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1974-10-23 第73回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十月二十三日(水曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 勝澤 芳雄君   理事 小此木彦三郎君 理事 中村 弘海君    理事 平田 藤吉君       阿部 喜元君    加藤 六月君       片岡 清一君    塩崎  潤君       羽田野忠文君    林  義郎君       松永  光君    森  喜朗君       板川 正吾君    久保 三郎君       松本 忠助君    渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      竹岡 勝美君         大蔵省銀行局保         険部長     徳田 博美君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 杉浦 喬也君         運輸省航空局長 中村 大造君         日本国有鉄道副         総裁      井上 邦之君         日本国有鉄道常         務理事     山岸 勘六君         日本国有鉄道施         設局長     篠原 良男君     ————————————— 委員の異動 十月二十三日  辞任         補欠選任   越智 通雄君     林  義郎君   奥田 敬和君     羽田野忠文君   左藤  恵君     松永  光君   佐藤 守良君     森  喜朗君   野田  毅君     塩崎  潤君 同日  辞任         補欠選任   塩崎  潤君     野田  毅君   羽田野忠文君     奥田 敬和君   林  義郎君     越智 通雄君   松永  光君     左藤  恵君   森  喜朗君     佐藤 守良君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件(日本国有鉄道安全  対策に関する問題等)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、地方における交通事情及び交通安全施設整備状況海上交通安全対策並びに航空交通安全施設整備状況等調査のため、去る九月十日から五日間、青森県、秋田県、山形県及び新潟県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から報告を聴取いたします。中村弘海君。
  3. 中村弘海

    中村(弘)委員 御報告申し上げます。  地方における交通事情及び交通安全施設整備状況海上交通安全対策並びに航空交通安全施設整備状況等調査のため、議長の承認を得まして、去る九月十日から五日間、青森県、秋田県、山形県及び新潟県に派遣されました派遣委員を代表いたしまして、その調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、勝澤委員長野中英二君、井上泉君、野坂浩賢君、平田藤吉君及び私、中村弘海であります。  まず、道路交通安全対策について御報告いたします。  道路交通安全対策については、調査対象の各県の県庁において、県当局及び関係の機関から説明を聴取したほか、青森県内国道四号線、秋田県内国道七号線、十三号線、山形県内国道十三号線、百十三号線及び新潟県内国道百十三号線、七号線並びに青森市内及び秋田市内道路について、交通状況及び交通安全施設整備状況を視察しました。また、秋田県においては、積載重量違反及び速度違反取り締まり状況を、山形県においては、幼児交通安全クラブ集合訓練実施状況を視察いたしました。  道路交通事故は、各県とも最近減少を示しております。これは、それぞれの県において、交通安全対策推進体制整備され、道路交通環境整備交通安全教育交通指導取り締まり等の諸施策が強力に推進された結果であると考えられますが、なお、以下に述べるような問題があります。  まず第一は、歩行者、自転車、特に子供と老人事故が依然として多いことであります。また、交通安全施設の不十分な市町村道交通事故が増加の傾向にあることであります。  これらの交通事故を防止するためには、道路交通環境整備交通安全教育強化が望まれるのでありますが、交通安全施設整備につきましては、各県から要望を受けております。  交通安全教育につきましては、山形県で視察した「かもしかクラブ」という幼児交通安全クラブ母親ぐるみ幼児交通安全教育実施して、相当事故防止効果をあげているとのことであり、参考にすべきであると考えます。  また、老人交通安全教育につきましては、各県ともいろいろと努力しているところでありますが、交通事故の分析結果に基づき、さらに有効な方策を実施する必要があると思います。  次は、依然として酒酔い運転事故が多いことであります。今回調査した各県の地域的特性ということもあると思われますが、取り締まり強化とともに、強力な県民運動実施が望まれます。  第三は、踏切事故の問題であります。  昭和四十八年度は、踏切事故が増加しているという状況が見られましたが、これは豪雪によるものであるとのことであります。踏切付近の除雪及び相当手前から踏切をわかるようにするための表示など適切な対策が必要であると思われます。  また、踏切事故は、警報無視によるものが多いとのことであります。踏切保安施設あり方運転者に対する広報について、さらに検討することが望まれます。  次に、海上交通安全対策及び航空交通安全対策について御報告いたします。  海上交通につきましては、青森港及び新潟港を視察いたしました。また、航空交通につきましては、青森空港及び新潟空港において調査を行なうとともに、秋田県において新空港建設基本計画説明を聴取いたしました。  カーフェリーの事故につきましては、交通安全対策強化の結果、最近減少しており、今回の調査におきましても、問題となる点は特に見出しませんでした。また、航空交通の問題は各地とも、増大する輸送需要にいかにして対応するかということで、安全対策上特別の問題はありませんでしたが、これらの交通事故は、一たび発生すると多数の人命に影響を与えるものでありますので、今後一そう安全の確保につとめていく必要があると考えます。  以上でありますが、詳細についての報告書委員長の手先に提出してありますので、本日の会議録に参照掲載されることをお願いいたします。  報告を終わるにあたりまして、関係各県知事その他関係者の御協力に心から感謝いたしますとともだ、政府は、今回の調査において提出された各要望事項等について、必要な財政措置等十分な配慮を行なうよう強く要望するものであります。  以上をもちまして報告を終わります。
  4. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。     —————————————
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 なお、ただいまの派遣委員より申し出のありました詳細なる報告書について、参照として本日の会議録に掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  8. 久保三郎

    久保(三)委員 国鉄安全問題についてお伺いをするわけでありますが、急のことでありますから、わかる程度でけっこうでありますが、実はこの委員会じゃなくて運輸委員会で私が、国鉄財政再建法あるいは運賃法改正案の審議で、ことしの三月二十二日だと思うのでありますが、新幹線並びに国鉄安全性について、そこにおられる副総裁質問したのでありますが、それ以来今日に至るまで、かなり運転事故あるいは運転阻害件数が多いと思うのですね。ついては、運転事故並びに運転阻害によるところの影響というか、そういうものはどの程度あったのか、ひとつ概数でけっこうですから御発表願いたい。
  9. 山岸勘六

    山岸説明員 在来線新幹線とに分けて申し上げてみたいと思います。  在来線におきましては、いわゆる私ども列車事故と申しております件数は、正確には持ってきておりませんけれども、大体月五件ぐらいの事故発生いたしております。また運転阻害につきましては、部内原因部外原因とも一ありますけれども、月平均いたしまして約二百件ぐらいの発生を見ております。  新幹線につきましては、四月以来今回まで、運転事故運転阻害を含めまして、約八十件の発生を見ておる次第であります。
  10. 久保三郎

    久保(三)委員 いま在来線で約二百五件、新幹線で八十件、そういうような運転事故並びに運転阻害があったということでありますけれども、きのうもありましたね。心配なので、けさも早起きしてテレビを見ましたら、けさはなかったようなので、安心しました。これは国民のだれもがそういうふうな気持ちで、いま国鉄をながめていると思うのです。  そこで、その問題は別として、この間のいわゆる乗客というか国民というか、そういう方々に及ぼした影響というのは、どんなものでありますか。
  11. 山岸勘六

    山岸説明員 私ども、一日平均列車のおくれぐあいを採時個所をきめまして、とっているわけでありますけれども平均いたしまして、一個列車平均のおくれが大体二分ぐらいのときがきわめて平静な状態——二分以内のときでありますが、これが全体の四分の三ぐらいに当たるかと思いますが、平均いたしまして二分以上のおくれを出した日が大体四分の一ぐらいに当たっておると思います。  新幹線につきましては、もう少し単純でありますので、私ども、一時間以上のおくれ、どの列車でも一日じゅうで一時間以上のおくれを出した日はどうかというような見方をしておるわけでございますが、これにつきましても、ただいま申し上げましたように、まことに残念でありますけれども、約二十数%の日に当たるものが、そういう故障による輸送障害を出しておるというのが、今日までの実情でございます。
  12. 久保三郎

    久保(三)委員 副総裁、あなたにはこの事故の問題というか安全の問題は、これまで二回目になりますが、三月の二十二日にあなたに質問して答弁してもらって、それで時間の関係でやめておいたのでありますが、あなたはそのときの答弁を御記憶だと思うのでありますが、総括して結論的には、安全の問題は、てまえどもにおまかせ願いたいということで御答弁がありました。まことに心強いようでもあるし、また聞きようでは、よけいなことを言うな、そんなことはわかっているというような態度にも受け取れたのであります。  それは冒頭にいんぎん無礼なことばを吐いているわけです。あなたは語彙、ボキャブラリーが多いそうでありますから、あるいはそういう関係でそういう発言をされたのかもしれませんけれども、あなたのように、非常に関心を持たれておりまして感謝にたえません——関心を持っている人に何も感謝にたえないということばは必要ないのですね。そういうものの言い出しがら、結論は、まかせろ、こういうことですね。  そのやりとりは別として、三月二十二日の議事録をいまここで読んでいるひまはありませんけれども、「どうかひとつ、安全の問題につきましては、私どもにおまかせいただきますようにお願いいたしたいと思う次第でございます。」それで、まあまかせる以外にないからまかせたのだが、いま聞けば、かなりの件数になっておるわけです。これに対してどういうふうな感じでおられるのか、気持ちを聞かせてほしい。  それからもう一つは、いまだ寡聞にして聞かないのだが、これだけの運転事故並びに運転阻害をして予定のダイヤどおり走れなかったために、乗客に多大の迷惑をかけているわけなんだが、国鉄を代表して、いまだかつて、これに対する考えを述べられたということは聞いていないのですね。せっかくきょうは公式の場所だから、これに対してどういうふうな考えを持っておられるのか聞きたい。
  13. 井上邦之

    井上説明員 三月二十二日の久保先生の御質問に対して申し上げましたことは、いま考えてみますと、確かに舌足らずの点があったと思います。安全のことは、私ども国鉄におまかせいただきますようにと申したことは事実でございますが、私の真意をひとつこの際、おくみ取りいただきますように重ねて申し上げたいと思いますけれども、決してよけいなことを言うな、安全のことは、おれのほうでやるから心配するなと、そういうような思い上がった気持ちで申し上げたつもりは毛頭ないのであります。諸先生の御高説も拝聴し、また国民感情と申しますか国民世論といいますか、そういったものの動向も十分拝察し、また内部的には組合の諸君意見虚心たんかいに聞いて、そしてとるべきものはとり、聞くべきものは聞いて安全のための施策を続けてまいるということに変わりはないのでございます。  ただ、何を申しましても、いろいろの意見は拝聴いたしますが、安全について責任を持ってやっていかなくちゃならぬのは私どもであるという点において、私どもの使命の重大さを痛感しておるという認識のもとでああいう発言をいたしたわけでございまして、どうかひとつその点は他意のないところをおくみ取りいただきたいと思います。  その後確かに私ども安全のために懸命にやってまいりましたけれども、結果的には御指摘のとおり従来以上に事故もふえております、故障件数もふえております。この点につきましては、確かに国鉄当局といたしまして国民皆さまに御迷惑をおかけしましたことについて、この席をかりまして心からおわびを述べさせていただきたいと思います。ただ気持ちは、もうそれだけでございます。
  14. 久保三郎

    久保(三)委員 安全についての責任はてまえどもにあるので、そういう責任から言ったので他意はない、こう言う。そういう責任についてわれわれ自身が言っているんじゃないのですよ。こういうことについて御注意なさったらいかがですかということも言っているわけなのであって、あなたの答弁を、三月二十二日の議事録を一ぺん読んで出てきたらいいと思うんだな。はっきり言って、あなたの答弁を見て、まじめに答えているのはどこにもありませんよ。  たとえば私の質問は、きょうこれからやることと三月二十二日にやったことと同じなのです。きのうも運輸委員会でやりましたが、これは大筋は大体同じなのですね。たとえば線路保守、車両の修繕の問題、そういう問題について言っておる。それで特に私はそのときに、「一つは、十年の間に目に見えないところに疲労がきてはいないか、その疲労の蓄積というものが今後爆発的に出やしないかという心配一つはある。」新幹線については、こういうふうに質問しているのですよ。それからATCについてはあとから聞きますが、ATCについても、「列車総括制御、そういう制御装置に問題があるという話も一聞いている。こうなりますと、技術革新安全を阻害するという問題が逆に裏目に出てくるわけですね。そういう問題についていままでどういう対策をとってきたのか、この辺でいままでの経営あり方というか、姿勢を変える必要がありはしないか」ということで質問しているわけです。経営というのは安全の問題を含めての経営姿勢を私は質問しているのですよ。あなたの答弁をここで繰り返す必要はありません、お帰りになったら一ぺんお読みになったらいいと思うのでありますが……。  しかも、きのう運輸委員会の中で発表になったかどうかわかりませんが、終わってから発表になったと思うのですが、新幹線四日半ドンだという話でありますが、これもなぜもう少し早くやらなかったのか、しかも委員会の中では、質問最中なのに何も御発表にならぬということも、これもずいぶん——どういうお考えであるのかわかりませんが、いまこういうことで考えていますぐらいの話はあってしかるべきだと思うのですね。運輸大臣は、いわゆる運休などもして間合いもつくってやるべきだ、こういう主張をしていましたが、あなたのほうからはあまり聞かなかったですな。新幹線については総点検いたしますとかいうような話——まあ聞いた聞かないは別にして、そういうものをなぜ早くやらなかったのか。それじゃ、きのうきめたのは一月の末から二月にかけておやりになるということですね。おそらくこれは閑散期であるからやろうということでしょうね。一番時期としてはいいし、三月開業だからその直前であるし、その二つのねらいから一月末から二月の終わりにかけてやりましょう、影響の比較的少ないところでいきましょう、こういうことだと思うのですね。  これで間違いなければいいと私は思うのです。これでいいと思う。そういう御自信でおやりになるならけっこうです。しかし、私はこの際申し上げておきますが、まだまだ国民の一人として国鉄安全対策については、そう安心はできかねる面があると思うのです。だから、もしやるとするならば、勇断をふるって、ここまで来たならば、もっと早目におやりになったらどうでしょうか。安全の問題は一日といえどもゆるがせにできない問題であります。そういうふうに思うのですが、これは御発表どおりやるという御返事でしょうが、もっと早目にやる考えはなかったのかどうか、早目にやらなくても心配はないのかどうか、これをひとつお尋ねします。  それからもう一つけさ新聞を見てみますと、山岸常務もあなたもみんなそろって、新幹線その他全部安全だ、心配ないのだ、しかし世論がとめてまで点検しろと言うから点検しますという、いやいやながらやるようなかっこうなんですね。私は、その気持ちがわからないわけじゃありません。国鉄最高幹部たる者がどうも国鉄安全ではありませんから早急に総点検いたしますと言ったならば、逆におまえのところの汽車は乗れないじゃないかと言われるから、たいへんだという気持ちが先に立つばかりだと思います。  しかし、国民だれ一人として全く一〇〇%安全だと思っている人はいまいないのですよ。それを一〇〇%おれだけは安全だと言ったって、だれにも通用しない。そういうごまかしは私はしなくてもいいのじゃないか。もう少し率直でいいのじゃないか。気持ちはわかりますよ。私が立場を変えれば、私もそう言うかもしれません。しかし、それで通れる時代ではないと私は思うのですね。繰り上げてやらないで安心できるのかどうか、ひとつそれをお聞かせいただきたいのです。  それから、この半ドン点検のあれはいわゆる世論がそう言うから念のためにやりましょうという程度のものなのかどうなのか。いかがです。
  15. 井上邦之

    井上説明員 まず最初のお話でございますが、実はきのうの運輸委員会で、私ははっきりお答え申し上げたつもりでおるのでございまして、国会で何も言わなくて、そしてそのあと国鉄から発表したということではないのでございますから、その点だけはひとつ御了承いただきます。  それからもう一つは、なぜもっと早くやらないのかというお尋ねでございますが、実は私どももやはり毎日毎日四十万のお客さまが新幹線を御利用になっておる、この事実を考えますと、輸送責任を負っておる者といたしましても、列車をとめるということについては、率直に申しまして、やはりなかなか決断をいたしかねる面があるのでございます。もちろん実態的にあぶないということになれば、これはもうとめなければなりません。現にせんだっての東京運転所構内で起こりましたATC関係故障、あの故障原因を探るために一日新幹線をとめております。  したがいまして、そういうふうにほんとうに必要な場合には、これはとめることもあえて辞さないつもりでございますが、何を申しましても、新幹線は夜分はとめておるわけでございますから、夜分に五時間ないし六時間の保守間合いというものはあるわけでございまして、在来線保守間合いに比べますと、その点でははるかに余裕がある保守間合いとしては余裕がある、こういうことも考えますと、いまのままで、夜間の保守体制というもので新幹線安全についての一応の体制はとれておるというふうに考えておるわけでございます。  お話の中に、一〇〇%絶対安全と思っておるのかというお話もございましたが、これは私、きのうの記者諸君お尋ねにもお答えしておるとおり、人間のすることでありますから、一〇〇%完全ということは、これはあり得ないと思うということも申し上げておるわけでございまして、一〇〇%絶対に安全かということになりますと、これはちょっと問題がございますが、一応常識的に考えまして、現在の五時間ないし六時間の保守間合いというものを考えますれば、新幹線安全についての体制はとれておるというふうに考えておるのでございますけれども、今回——今回申しますか、来年三月には新幹線博多まで延長いたします。これは単に距離が延びるということだけではなくして、やはりATC、CTC、そういったものを一元的に千百キロにわたって統括して統御してまいるというふうな問題を考えますと、かなり質的な大きな問題も含んでおるわけでございまして、この際もし万一ということがあってはいけませんので、博多開業を前にして、従来とかく問題が起こっております旧東海道新幹線と申しますか、東京−新大阪までの区間において、念には念を入れてもう一度総点検してみようではないか、こういうことに踏み切ったわけでございまして、決して国民皆さまがお騒ぎになるから、それでそういうふうにやったのだということでもございません。  もちろん国民世論というものを考え——国民世論というのは、新聞なんかで拝聴いたしますと、やはり定期的に日をきめて運休して点検をすべきではないかというような意見もかなり出ておりますので、そういった点を十分考えたのはもちろんでございますけれども、ただそれだけというわけではございませんので、やはりもし万一ということがあってはいけない、博多開業というものを重大視しておるだけに、この際ここで大掃除をしてみようではないか、こういうふうなことに踏み切ったわけでございます。
  16. 久保三郎

    久保(三)委員 大掃除というか、念には念を入れるということ、これはけっこうな話でありますが、ただおことばの中に、汽車をとめるということ、これは非常に重大なことである、それはそのとおりですよ。汽車を動かすのが商売なんですから、とめることは重大なんですが、ただ、汽車をおくらせたり何かすることも重大なんですね。そうでしょう。その点は、いままでの国鉄の内部では鉄則になっているわけですね、一分といえども、とめたりおくらせたりしたらいかぬということは。しかし、安全というサイドに立ってものごとを判断するというのが新しいモラルだと思うのです。そういうものがいまだにモラルとして確立しているようないないようないまの御発言なんで、私はそれこそ少し舌足らずじゃないかと思うのです。  念には念を入れる、それはいいですよ。しかし、安全について一〇〇%でなければないように、汽車をとめるということについても、もう少し勇断をふるってやるべきだと思うのです。今度の半ドン勇断だと言うかもしれませんが、勇断ならもうちょっと早くやったらどうか。  それから、一番終わりが二月の二十五日ですね。ダイヤ改正は三月十日ですか、博多開業というのは。そうですか。
  17. 山岸勘六

    山岸説明員 まだはっきりしていません。
  18. 久保三郎

    久保(三)委員 確定はいたしていない。しかし、国鉄は十日というのが好きのようだから、三月十日だと言うんじゃないですか。そうでしょう、大体の予想は。
  19. 山岸勘六

    山岸説明員 これにつきましては、まだ運転練習も開始されていない状況でありまして、私どもの予定する運転練習の日にちが十分とれる、そうして同時にまた線路の路盤というものは相当列車を通しながら固めていく、先生御承知のとおりでありますけれども、その見きわめというものをもっと詰めてみたい。やはり三月というのは、だんだん多客になる時期でありますから、できれば早くやりたいという気持ちもあるわけでありまして、現在のところ上旬という中で詰めている最中でありまして、できるだけ早くこの結論を出すことが望ましいわけでありますから、そういうわけで私どもも一生懸命最終的な日にちの決定をいま急いでいるところでございます。
  20. 久保三郎

    久保(三)委員 三月上旬というと、やはり十日でしょう。国鉄というのは、みんなそういうふうに変に秘密主義というのかな、そういうことなんで、もう少しからっと話はしたほうがいい。いんぎん無礼な話なんかしないで、からっとしたらいい。はっきりいえば、気に食わなかったら気に食わないと言ったらいいのだ。三月十日と仮定した場合に、二月の二十五日に総点検を終わって、その結果どうなるかという問題もある、そうでしょう。だから少なくとも二月二十五日までには開業の日取りがきまらぬということもあるのじゃないですか、そうなれば。そういう酷なことは言いませんけれども、もう少し信頼していいと思うのですよ。  しかし、ダイヤの編成は二月二十五日に総点検してみなければわからぬものがあると私は思うのです。そうなれば二月二十五日、三月十日開業は少し迫っちゃいませんかというのです。ほんとうに真剣にやって、博多まで三月十日ごろ、上旬まで——あなたの言うのは上旬だから、ぼくは十日だと思ったが上旬と言うのだそうだ、そういうふうに開業するという心がまえで、方針でいるならば、もう少し余裕をとって総点検して、あなたの言うところの総点検でも、そういうふうに余裕をとってやる必要がありはしないかというふうに私は思うわけです。これは警告ですよ。別に私が仕事をしているわけじゃないからね。おまかせするわけだから。  いずれにしても、こういうものは二月の二十五日までに結論を出していくのでしょうから、慎重にやる必要があると私は思う。しかし、できれば国民の一人としては、やはりこれまでの世論であり、これまで信用が失墜したといったら、いやな気持ちになると思うのですが、半ば安心だという信用はなかなかそう出にくいと思うのですよ。そうならば、もう少し早く総点検をして国民の皆さんに安心してもらうことも信用回復の道じゃないのですか。なぜ二月二十五日までかけてやらなければならぬのか、私はふしぎでたまらぬ。  とめるのには手順がありますよ。きょう思いたったから、あしたからとめるといったって、そうはいきませんね。しかし少なくとも暮れは忙しいから、正月は忙しいからといったら、年じゅう忙しいのですよ。しかし安全が大事だということを考えれば、国民大衆の要求は総点検というのは安全のためなのだから、念のためじゃないのだから、安全を保障してもらうために、やはりやってもらうのだから、そうなればそれは早いほうがいい。これは再考を促しておきます。  時間も一ありませんから先に行きましょう。  それから、次にATCですね。ATC事故原因についてはどうなっているのでしょうか。ちょっと簡単に説明してください。この委員会では九月三日にも一応原因についてお話がありました。きょうまた「瞬時変化現象について」という資料が配付されておりますが、瞬時変化現象については、これは調査した結果、原因には変わりはございませんか。
  21. 山岸勘六

    山岸説明員 前回にも申し上げたことと変わってはいないと思いますけれども、九月十二日の事故に関しましては、きわめて特殊な事故でありまして、この点だけは、在来申し上げてきた点と違うかと存じます。  なお、資料にもありますように、原因不明という欄がございまして、ことしに入りましてから、もう二十数件の乗務員の申告があったけれども、記録的または再現性がないという瞬時下位現象を示しているわけでございますけれども、私ども、乗務員が申告して、それに対してわからないという返事は、やはり乗務員のATCに対する信頼度というものから考えますと、かくあってはならないと思いまして、先般、新幹線総局にエキスパートを特に配置いたしまして、一件一件についてもう少し追究して乗務員の納得できる体制をつくっていくべきであるということで、そういう体制をとってこの問題に対処しているところでございます。
  22. 久保三郎

    久保(三)委員 九月三日の報告には原因不明というのはないのですね。きょうのこの資料には、原因不明というのは、いま御説明のとおりあるわけですね。前からあったでしょう、原因不明というのは。
  23. 山岸勘六

    山岸説明員 前から私ども、再現性がない、あるいはまたATCの車上記録装置に記録も出ないというものについてもとっておったわけでありまして、先生のおっしゃっている原因不明がないということは、ちょっと私いま記憶がないのでありますけれども……(久保(三)委員「資料にないという……」と呼ぶ)全体の件数としてあげてあるかと思います。
  24. 久保三郎

    久保(三)委員 原因不明がかなり多いのですね。エキスパートを配置したというのは、いつから配置したのですか。
  25. 山岸勘六

    山岸説明員 十月三日でございます。
  26. 久保三郎

    久保(三)委員 この記録だけでも四月七日からずっとあるのですね。それ以前にもあるのじゃなかろうかと思うのです。これらについてどういう考えでいままでおられたのか、原因不明は不明のままで放置しておったのか、わからないから困ったものだなという程度でおいでになったのですか。そういう点が姿勢としておかしいのじゃないかと思うのです。  たとえばいろいろな事故がありますね。そうすると、列車脱線、それは競合脱線であろうなんて簡単に片づけて、競合の原因は何だというような究明ができない。だからこの三月二十二日にも、私は、事故原因責任についてきちっと整理するために、やはり外部にでも何でも委託してやれということを総裁、副総裁に言っているのです。あなたは何もこれに対しては答弁してない。原因不明の事故というのはたくさんあるのですね。しかも原因は何だといったら、職員の取り扱いの誤りというようなことで簡単に片づけているものが何件かあるのです。ところが、職員の取り扱いの誤りは何に基因するかという、その真の原因が探究されていないまま今日きてはいないかということ、これはたくさんあるのですね。そういう事故の真の原因というか、それの究明の態度がきびしくない。  だから、いまはあまりないと思うのですが、国鉄部内では、事故があったときには、いわゆる扱い者の成績に関係するからマルにしてくれという、列車運行にそんなに支障ないときには、なかったものにしてもらうという風習が残っていたのですね。いまはどうか知りませんが、それがずっと尾を引いているのじゃないか。やみからやみに葬ってしまう、そういう態度を変えていかなければいけないと私は思うのです。もっときびしく原因というのは探究していく。だれが責任を負わなくちゃいけないかなんて、そういうものが先に立っているから、原因がほんとうに究明できないのじゃないかと私は思うのですが、この点についてどうですか。副総裁どうです、あなたはこの前、二十二日に答弁しないから。
  27. 井上邦之

    井上説明員 決して事故責任者がどうのこうのということで事故原因をあいまいにするとか、真相の探求を怠るとか、そういうことはないのでございまして、最近はやはり科学的にコンピューターなども使いまして、シミュレーション方法なども使いまして、いろいろな面から原因探求につとめておるわけでございますから、決して先生の御指摘のような点は私はないと考えております。
  28. 久保三郎

    久保(三)委員 それは答弁になりませんよ。それは答弁にならないのじゃないですか。マルというのはいまないという、そんなことはない、それはいいのです。それでは原因の真の探求についてどういう方策を具体的にとっていますか。
  29. 山岸勘六

    山岸説明員 たとえば競合脱線というような問題を先生からもお話がありましたけれども、私ども競合脱線ということばに対しまして満足しているものでは決してありません。むしろ技術屋といたしましては、競合脱線ということばは恥ずかしいことばだというふうに理解し、また私どももみんなその気持ちで当たっておるのでありますけれども、現段階におきまして、やはりこれで脱線するのはわからぬというものがあるわけであります。しかしながら、それでいいというものでは決してありません。  たとえば競合脱線につきましても、私ども過去十年この問題と取り組んできたわけでありますけれども、御承知のように昭和四十四年ごろを最高にいたしまして、そのころ大体十件内外あったものが、現在では年間に三件というところまで追い詰めたわけであります。しかし三件あっていいというものでは決してないのでありまして、さらにこれを究明すべく、もう少し大型のコンピューターを使用するとか、最近の理論あるいは過去のデータの分析から始めまして、もう少しこの競合脱線の追求の深度化というものをはかるべく、現在も専門家を中心にいたしまして、いろいろ勉強を続けているところであります。  たとえばATCの異常現示、いわゆる瞬時に下位を現示する現象の中でわからないというものにつきまして、御承知のように資料にありますように、四十八年度は全体で四百九十六件というような申告があったわけでありまして、これを何から退治していくか、やはり一つ一つ原因を究明していく中に共通性があるわけでありまして、たとえば六甲トンネルの付近におきます下位の異常現示というようなもの、これも六十九件ほど昨年度はあったわけでありますが、これの対策を講じました結果、今年度に入りましてゼロになっております。あるいは大阪運転所においてもしかりであります。  いまようやく対策としてどうしたらいいかが技術的に解明して、その工事の方法もわかったものに吉原のき電区分所というのがありますが、これは六十サイクルと五十サイクルを六十サイクルに直した電流とが、層としてズレがございますので、その関係で、出ることはわかっておったのでありますけれども、しからばどういう対策でそれを合わせるかというきわめてむずかしい技術的な問題がようやくめどがつきまして、今年度内にはこの対策が完成するということになっているわけであります。順次それらにつきまして、すべて手を打ってまいりたいということの中で、やはりある程度現象として証拠がはっきりしたものから進んでいくというのが順序じゃないかと思うわけであります。  最後にいま残ってまいりましたのは、乗務員から申告があったものでも、ブレーキがかかってないわけであります。下位を瞬時に、いわゆる〇・四秒以下瞬時に変わったような気がしたというものがあるわけでありますけれども、現在ではまだこれはわからぬということしか乗務員には言っておりませんので、これではいかぬじゃないか、これにももっと取り組むべきであるという姿勢のもとに、先ほど申し上げましたような対策を講じた次第でございます。
  30. 久保三郎

    久保(三)委員 ATCばかりじゃなくて、競合脱線の問題も部内で検討を加えられることもやっておられると思うのですが、やはり外部の力もこの際は謙虚に使ったらどうかというのが私の提唱なんですよ。そういうものも受け付けないで、何か国鉄の秘密のベールみたいにとられたのでは、あなたらも不本意だと思うのだ、一生懸命やっているのに。井上総裁、それをわからないのだ。そういうことじゃ困る。もう少し謙虚に問題に取り組んだほうがいいと私は思います。虚勢を張ってみたところが、太っている者とやせた者は側からわかるのだから。その程度のことはやはり考えたほうがいいと思います。私は国鉄を責めるわけじゃありませんよ。反対にもう少ししっかりしてもらいたいと思っているのです。ところが、あまり虚勢ばかり張っていて、たまには、いやにこびへつらったり、そういうことでは方針としても間違う場合がありますよということを警告しておきたい。  時間がありませんから、そういう訓辞めいたことは、もうその程度にします。先に行きましょう。  在来線についても、特に線路保守の問題について問題が出てきた、あるいは車両の問題も出てきた。在来線について、たとえばこの間の東北線にしても、東北線は大体上野−大宮間というか、あるいは上野−宇都宮間というか知りませんけれども、そういう線区は前から問題になっているんですね。施設局長、いやな顔をしているようだけれども、これはほんとうなんですよ。側からも言われてきたわけです。側から言われたときに、なぜ対策を立てなかったのかというふうに私はいま言うんですよ。いずれにしても、保守方式はいまどんな方式をやっておられるか。たとえば定期的に修繕をするという方式をやっているのか、随時、事故発生というか障害ができたときに修理をするという方式でやっているのか、どっちなんですか。
  31. 篠原良男

    ○篠原説明員 東北線で、これから列車を徐行さして緊急整備体制をするということで、まことに御迷惑をかけておりますが、軌道の保守近代化を実施しましたときには、東北本線は、レールを三十七キロを五十キロにかえる、木まくら木をコンクリートまくら木にかえる、道床を砕石にしまして、厚さを五十ミリふやすという軌道強化をやりましてスピードを上げてまいりました。現在は、軌道保守近代化をその時点で実施いたしまして、定期修繕、しかし悪いところは即修をやる、この併用でやってきておるのが実情であります。  しかし、先生も御承知のとおり、東北本線沿いが非常に開発されてまいりまして、立体交差とか新しい貨車操配であるとか、あるいは新幹線の関連の工事がふくそうしてまいりまして、夜間の切りかえの間合い及び従事員がそっちへ行くということが起きてまいりましたので、いわゆる定期修繕方式の定期性が若干随修のほうに追われてきたというのが実情であります。
  32. 久保三郎

    久保(三)委員 定期補修のほうが随時のほうに回ってきたという、これはゆゆしいことだと思うのです。体制がくずれてきたことなんですね。それは何のためにというか、いまお話しのような、間合いができないとか、人間も——人間の問題は、要員の問題はあまりおっしゃらなかったが、いわゆる外圧というか、そういうもののためにできなくなってきた、やむを得ず随修にいっているというようなお答えだと思うのでありますが、これは線路を守る者として抵抗すべき限界をわきまえない態度だと私は思うのです。そこにやはり問題があると思う。線路を守る者が、これはどうもうまくないんだけれどもやむを得ぬというようなことでやってきたのでは、安全は保障されないのが当然ではないかと私は思うのです。国民大衆も、安全が守れなくても乗るんだという人は一人もいませんよ。  これは極端な例でありますが、最近では交通政策だって、省資源・エネルギーの時代でありますから、乗りたい者は全部乗せるわけにはいかぬ場合があるのです。都市交通の中においてもそのとおりですね。国鉄だってそうですよ。だから、需要があるからどうしても供給しなければならぬなんということだけ考えている姿勢は私はおかしいと思う。安全、環境保全をどうするかというワク内で処理すべき交通政策を確立すべきだと思うのです。その土台は、レールは、レールを守る者が限界まではぎりぎりやってもらう、限界を越したらとめる、あたりまえのことですよ。  私が調べたあれでも、東北本線は、現在最高速度百二十キロですね。たとえば上野−大宮間にとると、三十九年から四十二年まで九十五キロで走っていた。四十三年十月から、ずっと百二十キロに上げてきたわけです。東北本線のそれから先の、大宮−宇都宮、あるいは白河、あるいは福島、あるいは青森、こういうところは、四十二年まで三、四年、大体百キロないし百十キロで走っていたのです。その上で百二十キロに置きかえていったのです。軌道強化が進んでやったのだろうと思うのです。ところがこの上野−大宮間は、三十九年以来というか、その前もそうだと思うのですが、ずっと従来どおり、四十二年まで九十五キロで制限してきたのです。軌道強化ができたというので、いま言ったように四十三年から百二十キロに置きかえた。そこらに私は一つは問題があると思うのです。百二十キロに置きかえただけならば問題はない。置きかえると同時に、優等列車の増発、それから通過トン数の増加、こういうものが並行して、これはなったと思うのです。  それで、四十三年からでありますから、七年ですよ。古いものからいえば十年を経過しているのです。そういうことからいっても、線路保守についてはやはり十全を期すべきだったのです。これはかなりいたんでいると思うのです。私は、これはいやなことでありますが、こういうものから類推すれば、大阪−神戸間が次に来やしないかと思う。大阪−神戸間も、大体スピードはこの程度。九十五キロで四十二年まで来て、四十三年から百二十キロに置きかえてきた。あるいは福島—岩沼間、九十五キロでありますが、これが次に来やせぬか。これはもちろん列車密度がかなり減っていますし通過トン数も少ないから、保守も完全というか、まあまあだろうと思うし、そう心配はないと思うのです。しかし大阪−神戸間というのも、これは問題の点じゃなかろうかというふうに思うのです。いずれにしても、上野−大宮間の百二十キロというのは一考を要すべき事項だったと思うのです。  そこで次に、軌道狂いの指数というのを前もって通告しておりませんでしたから、おわかりになるだけでけっこうでありますが、これはある資料によります四十年と四十七年との比較であります。ゲージのほうの狂いは、四十年が七・三%、これに対して四十七年度が九・九%、それから水準、水平ですね、これが四十年が九・五%、四十七年度が一七%、それから高低は二七・三%に対して四十七年は三一・八%、それから通りは、一七・五%に対して二四・九%の狂いがある。かなり軌道狂いが増加しています。これはいま申し上げたように、列車のスピードがかなり高くなってきた。これに対しては、御答弁は、レールを重軌条に直していったからそれは耐えられるというんだが、スピードと通過トン数の増加、これは相乗積になると思うのです。そういうものでたたいていくのでありますから、これは従来の概念からいったより以上にレールはいたむということだと思うのです。いたみに対して補修が完全にいきますれば、これはうまくいくのですが、列車の密度が多くなっておりますから……。  あなたのほうからいただいた列車間合いにしても、これはかなり詰まっております。さっき山岸常務かだれかが言ったのでは、夜間の間合いが多くなっているという話ですが、夜間の間合いというのは、極端に言えば使いものにならぬということであります。いまやらせているようでありますが、これはかなり問題がある。  結局、ここにある東北線のごときは、十年以前の間合いを見ますと、昼間は三十分以下が十一回あった。三十分以上が一回。夜間の最大は八十一分である。八十一回じゃない。八十一分。十年後の四十八年十月の統計では、三十分以下が四回になった。十一回が四回になった。三分の一に減った。三十分以上は昼間は全然ありませんという。夜間が百一分というんだ。この百一分というのは、ダイヤを見ますと、これはまことに深夜です。深夜でありますから、わずかに四時から六時の間に多少ありますね。それも区間によってであります。これは郡山、西那須野のほうであります。それではこっちの大宮近辺になったらどうかというと、大宮−宇都宮間のほうは、二時から三時を中心にして約一時間半くらいあるだけなんです。ここでいわゆるマル重と称する重労務夜間作業をやるわけですね。これはいまの状態からいえば、ある程度やむを得ぬと思うのです。しかし、これは翌日勤務を繰り上げてやるそうですね。普通の保線の従業員は、朝八時半から五時ですか、これが定時間の勤務だそうでありますが、これを繰り上げて午前二時から三時間とか四時間。規則からいけば八時間できるそうでありますが、そういう作業が完全に行なわれるものであるかどうかというのは、これは常識でわかると思うのであります。  もちろん国鉄職員は、まじめでありますから仕事はやるのでありますが、肉体には限界があると思います。そういうところからいっても、この保守作業というのは後退せざるを得ない。その上にいま申し上げたように随時になってきてしまうのですから、これはもうたまったものじゃありませんということです。そこでいわゆる列車運休、そういうものもやって間合いをとろうということでありますが、これは当然のことだと思うのです。これは当然だが、いままでそういうことが考えられておらなかった。結局最近における事例からいってやむを得ずこれをやってきた。そういうところに事故を多くした原因があると私は思うのです。反省してもらいたい。  それから要員にしても、施設の要員はそういう夜間作業、重労働、屋外作業だ。いまどき雨が降り、風が吹くさなかに、そういうところで野ざらしで仕事をするというのは、農業以外には保線従事員しきゃないんだ。農業だって雨が強ければ引っ込むわけですよ。ところが保線の従事員は雨が強くても引っ込めない。雷が鳴っても引っ込めない。そういうところで完全な仕事ができるはずがないから、また肉体的にも限界があるから、希望者がだんだん減ってくる。だからいま欠員があるんじゃないですか。一番重要な部門が欠員があるということです。これに対して副総裁はどう思うのですか、要員のことを言うと、いやな顔をするようだけれども……。  私はやはり人が中心だと思うのです。それは職場環境をよくすることも一つ。労働条件をよくすることも一つ。そういうものをあまり——あまりと言ったら語弊があるが、整えられずに夜間作業に押し込んでいったところに一つ原因があると思う。それから経営の方針が、いわゆるそういう線路の限界を越えて列車を走らせねばならぬというところに追い込んでいったところに原因があると思うのです。それを改めてもらうことが先決じゃないかと思うのです。そういうものをそのままにしておいて国鉄は、いやそんなに不安全じゃありませんよ、安全なんですよといっても、世間は承知しませんよ。また事故が起きたらどういう責任をとるつもりですか。安全はまかしておけと、それでも言うのですか。この際こそ、世論がこういうふうになっているのでありますから、世論に応じてやはり姿勢を正してやるべき時期だと私は思うのです。それがいままでの姿勢は何かどうもこだわっているようでありまして、われわれとしては納得しがたい面がたくさんございます。  山岸さんか副総裁に聞きますが、いまの施設局長答弁からいけば、当然線路には限界が来たということ、この処理についてはもっと体系的に方策を講ずべきだと思うのだが、どうなんですか。  それから既設線区は、東北線ばかりではなくて、その他にもあると思うのです。少なくとも幹線といわれる一万キロくらいの間は当然総点検をすべき時期に来ているのであります。それを国会で言われたから、野党のだれかに言われたからいやだとか、組合から言われたからいやだとか、新聞に書かれたからいやだとかいっている時期ではないと私は思う。率直に受けとめて総点検をすべき時期だと思うが、いかがでしょうか。
  33. 井上邦之

    井上説明員 冒頭にも申し上げましたとおり、私ども決して国民皆さまの御意見なり組合諸君意見を無視してやるというつもりはございませんので、虚心たんかいにそういった国民感情なり国民世論の動向を察知し、また組合諸君意見も真剣に、虚心たんかいに聞くという態度で進んでおるわけでございます。  ただ御承知のとおり、やはり国鉄はいま財政的にも非常に苦しい面をかかえておりますので、いろいろな面できびしい条件下にあるということだけはもう率直に申し上げざるを得ないのであります。そのきびしい条件の中で、ただいま先生御指摘のとおり、保線従事員は非常に苦しい環境の中で仕事をしておるということも事実でございますが、私どもといたしましては、決していまの状態、悪条件をそのままにしておいていいという考えは毛頭ございません。夜間の重労務作業、これは確かにたいへんなことでございますので、その回数にいたしましても、組合と話をつけて制限内に実施しております。そうのべつに夜間作業を強制しておるわけではないのでありまして、また職場環境なり、あるいは住居環境なり、そういった面につきましても、今度総裁がかわりまして、まず第一番に言いましたことは、職員の住居環境あるいは職場の環境、そういったものを改善するために金を惜しむなよということで、これを何よりも先に今度の総裁が申しました。そういったこともありまして、ただいま私どもといたしましても、職員の労働条件あるいは職場環境、住宅環境、そういったあらゆる面につきまして、できるだけの改善の努力はいたしておるつもりでございますので、どうかひとつ御了承をいただきたいと思います。
  34. 久保三郎

    久保(三)委員 私の質問には十分お答えいただけないようでありますからなんでありますが、私は総点検しろという質問をしているのです。その他の質問もしましたが、一番重要なのは結論的に総点検をすべきではないか、そういうものについてはお答えがない。私は、運動としても、国鉄全職員を動員して総点検をやるべきだと思うのです。しかも保線の、いまの施設局長の話じゃないが、やむを得ず追い込められているその姿はやはり解放しなければいけませんよ。そして正常に戻すくふうを一刻も早くしてもらわなければ安心できませんね。  国鉄再建といっても、財政再建といっても、金があれば何でもできるというものじゃありませんよ、これははっきり言って。金がなくたってできるものもあるのです。しかし何といっても、まず第一に安全輸送が先なんですよ。安全輸送することができなくて、これは金がありませんからだめですと言ったって、安全でなければどうにもなりませんね。その点について私は質問しているのです。お答えしますか、お答えしませんか。
  35. 井上邦之

    井上説明員 確かに各線区にわたっていろんな条件が重なっておりますし、またその点について問題があることは十分認識しておるわけでございますから、この際全線区にわたって総点検をしなければならぬというほどの必要性はいまのところではない、かように考えております。  東北線の問題につきましても確かに問題があるということは、もはや——わかっておってやらなかったのは何だとおしかりをこうむるかもしれませんが、線路の状態は軌道検測車を走らせましたり、あるいは線路の巡回その他のいろんなことで状態はわかっておるわけでございまして、従来からも手を入れておったことは事実でございます。たとえば軌道修繕費の額を見ましても、四十六年以前と四十六年以降を比べますと、東北線の軌道修繕費は倍になっております。そういったことでで、従来からも非常に線路が荒れておるということで手をかけてきておることは事実でございますが、いままでのケースでは、やはりはかばかしい効果があがらぬ、この際、やはり思い切って一挙にこれを改善して、線路の体質を強化すべきであるということに踏み切ったわけでございます。  その他の線区につきましても、いろいろの条件が悪い状態になっていることも十分私どもは把握をいたしておりますので、それに対応してそれぞれ手を打っていくということでやってまいりたいと思っております。
  36. 篠原良男

    ○篠原説明員 全線路をくまなく巡回、あるいは検測車で検査した結果を私どもで持っておりまして、非常に急進性の強いところにつきましては、必要に応じて徒歩巡回を強調するなり、あるいは特別修繕費をつける。地方線区でも、最近非常に線路が老朽しつつあるところにつきましては傾向でわかりますので、特別修繕費をつけるというように線区線区の重要性に応じて処置しております。  それから将来、先生のおっしゃるとおり、やはり線路というものは通過トン数が非常に破壊に影響してくるわけでございまして、特にレールが古くなってまいりますと、継ぎ目のところが継ぎ目落ちと称しまして上下動を非常に誘発してまいります。したがって、こういうところを極力強化していく、ロングレールに直すというようなことで善処してまいりますが、その間につきましては、その点だけを重点的に巡回さし、あるいはその点について特別修繕費をつけて即修をやっていくという実態をとっておるというのが実情でございます。
  37. 久保三郎

    久保(三)委員 時間がありませんからなにですが、副総裁に、これも古い話で申しわけないのですが、国鉄では車両の老朽度は車齢で見るのですか。
  38. 井上邦之

    井上説明員 御指摘のとおり、年数でございます。
  39. 久保三郎

    久保(三)委員 車齢で見るというのも一つかもしれませんが、最近のように運用効率を高めていくという時代には、走行キロを単位にしてやるべきだと思うのですが、変わってはいないのですね。  あなたは三月二十二日の私の質問に対して、車両の問題について電車は大体二十年見ているのだから、たとえば高崎線の「とき」のごときは十二年にしかならない、まだ新しいのだ、こういうふうに答弁しておりますが、走行キロを見ないで、あるいはスピードを見ないで、ただ車齢といって年数——人間だって最近は違いますよ。六十五歳から上は老人に入るそうでありますが、六十五歳でも元気かくしゃくたる者もあるし、五十歳でも老衰している者もありますしね、これは結局走行キロみたいなものですよ。早く若いときに精力を使い果たせばだめになってしまう。そうでしょう。あるいは保守修繕がうまくいかなければ早くだめになる。だからこれは車齢でもって取りかえを考えているなんていったら、たいへんだと思うのです。これはどうなんです。専門家はきょうは来ていないのですか。山岸さんが専門家ですか副総裁答弁するのですか。
  40. 井上邦之

    井上説明員 専門家ではございませんが、先ほどの御指名の御質問でございますので、お答えいたします。  車齢、車両の耐用命数を考えますときに、物理的耐用命数あるいは経済的耐用命数あるいは陳腐化を考えましての耐用命数、大づかみに言いまして三通りあると思いますが、物理的な耐用命数につきましては、走行キロに関係のある車輪なり車軸、これは現実に走行キロに応じて取りかえております。車輪、車軸、要するに車両の下の部分でございますが、その部分は走行キロに応じて取りかえておりますので、その走行キロに応じて新しくなっておるというわけでございます。それで車両全体として取りかえる場合には、車体の経年劣化といいますか車体のほうが問題になってきますので、その面で年数で耐用命数を考えておる、こういうことでございます。
  41. 久保三郎

    久保(三)委員 よくわかりませんけれども、信用していいのでしょう。しかし修繕回帰キロも一、やはり見直す時期にきたのじゃないかと私は思うのです。「とき」の問題を再び出す考えはありませんけれども、あのときにはあなたの答弁は、豪雪があったので修繕が押せ押せになってきたからだめなんで、とめてやるのだ、こういう御答弁でありましたが、それも一つ原因かもしれません。しかしながら車両の耐用年数というか寿命というか、そういうものももう一ぺん洗い直してみたらどうだろうか。荷重も大きくなっている、あるいはスピードも速くなっている、そういうさなかに同じ車がうまいぐあいに回れるかどうかという問題もありますから、これはやはり考えてみなければいかぬ。いずれにしても、この際、安全の問題を中心にして謙虚に仕事を進められるように希望しておきます。おまかせしますから、事故のないようにひとつしっかりお願いしたいと思います。  そこで運輸大臣せっかく御出席でありますから……。  きのうの発表では、在来の東海道新幹線は一月の末から二月にかけて四日、半日休んで総点検するそうでありますが、すでに問題も出ている在来線の、いわゆる東北線に見られるように、幹線でもその後スピードアップあるいは通過トン数の増加あるいは列車間合いの縮小あるいは要員の不足というような面で線路の補修がかなり後退していると思うのです。そこで閑散線区はその必要はないほど十分にいっていると思うのです、いままでどおりやっているのですから。しかし幹線では、先ほどの施設局長答弁じゃないが、はっきり彼は答弁しませんでしたが、私の推測するところ、どうも押せ押せになっている。そこで検査、修理がうまくいっていないのじゃないかというふうに思いますので、この際は、それぞれの主要線区については総点検をすべきことを提唱したのでありますが、そんなに必要はないというような答弁でありました。  運輸大臣として、いろいろ勧告というか、安全についてはお話があったり、あるいは報告をもらっておられるようでありますが、単にそれだけじゃなくて、もう少し積極的に進めるようにおやりになることが時宜を得た方策ではなかろうかと私は思いますが、あなたの御所見を承りたいと思います。
  42. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お説のように、輸送安全輸送を欠くわけには絶体にまいりません。したがいまして、いま御指摘のございましたように、国鉄マンとしましては、列車をとめていろんな作業までしなければならぬということは、これはほんとうにたいへんな決心だと私は思います。しかし、それもあえてやらなければならぬことも覚悟しなければならぬ、安全のためには覚悟しなければならぬと思います。  新幹線の処置につきましては、御承知のとおりでございますが、在来幹線につきましても、いま答弁を聞きますと大体の重要点について把握しているということを申しておりますが、なおこの点につきましては、いま御趣旨の点を十分わきまえまして、かみしめまして、安全輸送のために万全を期していかなければならぬし、また私からも、それがためにはあらゆる問題に優先して、これの点検等につきましては指導してまいりたい、かように考えております。
  43. 久保三郎

    久保(三)委員 時間がちょっと過ぎましたが、お許しいただいて、保険部長に一言お尋ねします。  最近自賠責の料率を変えて、十一月一日ですか最近実施されるというのでありますが、これはハイヤー・タクシーの、特にタクシー部門の地域の調整ということで、前の審議会の答申に基づいておやりになっているようでありますが、変更して財政的にはどういうふうになるのか、これでもし赤字というか足を出すというか、そういう際にどういうふうに調整をされるお考えなのか。  それからもう一つは、いまのこういうやり方をずうっと詰めてまいりますと、タクシーはタクシー部門、ハイヤーはハイヤー部門、路線トラックは路線トラック、こういうようなことで、それぞれの共済制度みたいにおちいりはしないかという心配があるわけですから、これについてもひとつ検討をしてもらったらどうか。  それからもう一つは、いまの自賠責、まあ国際的に見ても、制度としてはそう見劣りするものでもないと思うのです。ただ残念ながら、最近における死傷者のアフターケアについて、なかなかそう完全にはいかない面があるのですね。たとえば負傷者に対しての治療、それから治療が完全にいくかどうかわかりません。はっきりいうと、限度があります。しかも治療されたといっても後遺症がずっと残る者がある。これに対するリハビリテーションというかアフターケアというか、そういうものについては自賠責の範囲外なんですね。こういうものについて、やはりもう少し取り込んでいくことが現代に即応した制度ではないかというふうに思うので、これらについての検討の意思はあるかどうか、その点だけ簡単にお答えいただきたい。
  44. 徳田博美

    ○徳田説明員 御質問の点についてお答え申し上げます。  まず第一に、今回の自賠責保険におけるハイヤー・タクシーの料率の地区別調整にかかわる問題でございますが、先生が御指摘のとおり、今回の地区別調整は二年前に自賠責の審議会で今後二年ごとに同一方法でやることということをお定め願いまして、その線に沿って再計算をしたわけでございます。ただ、前回の方法によりまして再計算したところによりますと、若干の問題点がございました。  一つは、御承知のとおり、料率はABCDという四つに分かれてA地区が非常に高いわけでございますが、今回の計算方式によりますと、そのA地区がさらに若干、一万円ほど上がってしまうという問題が、まずございます。  それからもう一つは、これは地区別の事故率によって調整いたしますので当然のことではございますけれども東京特別区の料金が、いままでA地区であったも一のが最近過密の関係もありまして、大きな事故がなくなったということでB地区に落ちてしまうという問題がございます。  それからもう一つは、B地区とA地区との間の料率の間隔がかなりあきましたので、B地区からA地区に上がる場合に、四万円以上の大幅な増額を必要とするというような問題もあったわけでございます。  そこで、このような問題に対処いたしますために激変緩和措置をとることにいたしまして、これは原則をくずさないというたてまえから、原則として初年度において激変緩和措置をとることにしたわけでございますが、その措置といたしまして、今度の料率改定によって二階級以上にわたって変動が起こるような場合には、これは一階級にとどめる。それから上下の幅が四万円以上にわたるものは四万円以下にとどめる。こういうことにいたしました。さらに初年度限りの措置といたしまして、東京特別区は現行のまま据え置く、その反面、A地区の料率も初年度は現行のままに据え置く、こういうことにいたしました。それからランク間の変動にあたりましては、上下の変動幅をそれぞれ二〇%で頭打ちをする、このような激変緩和措置をとったわけでございます。  これらの激変緩和措置に要する原資は十一億円ほどでございますけれども、ただいま申し上げましたように東京特別区の据え置き、あるいは本来下がるべき地区が二〇%に頭打ちをした、こういうことによりまして八億強の資金が浮きまして差し引き二億七、八千万の資金が不足、こういうことになったわけでございます。  このような措置をとりました経緯といたしましては、御承知のように現在ハイタク業界は昨年の石油危機以来、ことに中小業者がかなり経営が逼迫しているという点もございますし、それからこういう保険料率の上昇は公共料金にもはね返ることでございますから、その点も激変を緩和すべきではないか、こういうこともありまして、このような措置をとった次第でございます。  また、この二億七千万円の金額につきましては、実は共同不法行為の問題がございまして、二台以上の自動車がぶつかった場合には、被害者はどちらの車に請求してもいいわけでございますけれども、タクシーに乗っておるお客さんは大体タクシーに請求する場合が多い、こういうことでハイタク全体で二%くらい余分に払い過ぎているというような面もあるわけでございまして、この点を勘案しまして、その金額をきめたわけでございます。しかしながら、いずれにしても二億七千万ほどの取り不足が生ずるわけでございますけれども、この点につきましては、今後予想されます料率全体の改正の際に、また審議会に御審議いただいて調整をいたしたい、このように考えております。  それから御質問の第二番目の車種別に保険料率をきめるということでは、これは共済制度のようになるのではないかという御指摘がございました。これは自動車賠償責任に関する保険でございますから、一応保険数理に基づいて現在車種別に計算しているわけでございまして、もしこれにつきまして車種別にある程度共通負担というようなものを設けるといたしますと、他の車種の事故の分をほかの車種で負担するということになりまして、その点につきましていろいろと問題があると思いますので、この点につきましては慎重に検討してまいりたい、このように考えております。  それから第三に御指摘の、後遺症に対する対策をどのように考えるか、こういう問題でありますが、先生の御指摘のとおり、確かにこれは自賠責保険のワクを越えた問題ではございますが、実は自賠責の保険の運用につきましては、これは運用益というのが別途にございまして、この処理につきましては、事故防止あるいはこのような被害者救済の面にある程度運用できるようになっておりますので、こういう面の運用につきまして先生の御指摘のような点について配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  45. 久保三郎

    久保(三)委員 終わります。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次に、平田藤吉君。
  47. 平田藤吉

    平田委員 東北線と新幹線の問題について質問したいわけですけれども、きょうは大臣都合で時間がとれないということで、そのあとまた鉄監局長も一時間が一緒にとれなくなるというような話で、前回も大臣がわずかな時間なんで、差し繰りで質問するというたいへん調子の悪い話なんですな。これでは、実際に重大問題を起こしておいて、根本的に改善していく論議をする場合にいないということは、たいへんまずいことだと思うのですね。これからやはりそういう点は十分考えてもらわなければならないと思います。  最初に、東北線の問題について質問しますけれども国鉄当局は十月十六日には、二カ月間東北線の昼間の急行列車をとめ、レールを総取りかえすることをきめたようです。さらに、十月十九日から上野−白河間のうち二十二カ所でスピードダウンをすることなどをきめております。これはどんな理由ですか。
  48. 篠原良男

    ○篠原説明員 東北本線につきましては、私のほうの検測結果が、去年からことしにかけて非常に軌道狂いの進行度が著しいものですから、この際、保守復元と申しますか、あるべき姿に直すべく検討いたしました結果、耐用年数が十八年以上たったレールは約四キロございます。これを早急に取りかえる。それがためには、どうしても夜間の間合いが要りますので、夜間九十分の間合いでこれを処置します。しかし、夜間作業は月間八回という制約があります。レールだけ取りかえましても、あとレールの前後の継ぎ目、その他タンピングしなければいけませんので、昼間三十五分の間合いをとりまして、機械を入れまして、この総突き固めをして軌道整備を行ないたい。そういうために、二十二カ所列車を速度制限いたしまして軌道整備をし、並びに路盤の悪いところが一部ございます。この辺は、昼間の三十五分及び夜間の間合いを使いまして、道床を入れかえまして軌道整備をしようという計画でございます。
  49. 平田藤吉

    平田委員 七十一国会のこの委員会で、私が再三東北線の問題を指摘したわけです。列車数がふえて貨物の重量もふえて、それからスピードアップしている、レールと道床の劣化はひどくなる一方だ、それなのに保線の合理化を強行して保守が追いつかなくなっている、危険が増大しているから保守体制を再検討せよということを繰り返し要求したわけです。しかも、軌道検測車のデータ、マヤチャートと呼んでいるようですけれども、これを公表しなさい、資料として委員会に出しなさいということも要求した。これも断わった。しろうとが見たってわからないからということで断わった。それから、保線区の定員を合理化で大幅に減らしているけれども、これは重大な事態を引き起こすから考えるべきであるし、定員をやはりふやさなければいかぬ、保守時間もふやさなければいけないということを要求したわけです。ところが国鉄当局は、合理化で人を減らしても機械を入れたからだいじょうぶだ、上野保線区は特別な条件だなどというふうに強弁しているわけです。  いま起こっているこういう事態のもとで、七十一国会で繰り返し私が質問したに答えたような考えでいるのかどうか、その点をまずひとつお伺いしたいと思います。
  50. 篠原良男

    ○篠原説明員 上野と大宮の間は三複線に線増いたしまして、したがって列車回数は全部ふえましたが、三本複線がございますので、大宮以遠に比べますと、非常に通過トン数が一本当たり少なくなっております。しかもターミナルでございますので、夜間の列車間合いも大宮以遠に比べますと相当ございますので、ここは夜間を機械化いたしまして合理化をやってきたわけです。大宮以遠につきましては、四千五百万トンぐらいの通トンがございまして、しかもいろいろ関連の工事がございまして、夜間作業の間合いはそちらに食われる、それが蓄積いたしまして線路保守がおくれおくれになってきたということが実態でございます。したがって、この際列車を必要な個所は徐行させ、そして軌道整備をする、並びに昼間三十五分の間合いをとりまして緊急に軌道整備をいたしたい、こういう所存でございます。
  51. 平田藤吉

    平田委員 あなた方は大きな事故が起きなければ小さな危険には目をつぶるということで、いままでやられてきているのです。ですから、国鉄当局というのは大きな事故が起こらなければ小さな事故を見直すということをしないんだというふうにまでいわれているわけです。  それもそのはずなんですね。九月二十四日、東北線の古河−野木間で貨物列車と急行列車の脱線衝突事故が起きて数十名の負傷者を出して、ダイヤは大混乱したわけです。この事故が起きてから国鉄は重い腰を持ち上げて東北線を見直しをしたわけですね。そうしてみると、九月二十一日には、異常動揺で乗客が騒ぎ出して車両一両取りかえるというような事故が起こっておりますし、それから十月三日、下り特急の「はつかり5号」のいわゆる脱線衝突事故、十月十六日には、レールの故障で昼間の工事が行なわれており、十月十八日には、栗橋−古河間の下りレールの継ぎ目板が折れているという状態があり、十月十五日には、野木駅構内の下りレールの継ぎ目板ボルト二本がはずれて継ぎ目のところが約十センチすき間があいている、十月十八日には、小金井駅構内レールボルトのゆるみが生じているのが発見されたというようなことで、脱線衝突事故を前後してこういうふうな、あげれば切りがないのですけれども、三十九件もの問題が発生しているわけですね。   〔委員長退席、久保(三)委員長代理着席〕  こんな事態が何でこんなふうにだあっと集中して——レールが古くなったというだけじゃないのですよ、もうレールに関連する故障が次々に起こっている。何でこんな事態が起こっているのか答えてもらいたい。
  52. 篠原良男

    ○篠原説明員 東北本線は四十三年十月の時点までに、レールを三十七キロを五十キロ、まくら木はコンクリートまくら木、道床は厚くしまして、いわゆるスピードアップと増発をやったわけでございますが、レールが古くなってまいりますと、どうしてもレールのジョイントのところで継ぎ目落ちと称しますが、レールが摩滅いたしまして継ぎ目落ちいたします。そうしますと、列車の通るたびに、そこで大きな衝撃を受けまして、ボルト、継ぎ目板に相当の衝撃を受けるとともだ、そこで上下動が非常に出てまいります。したがって、年度末までに緊急に四キロのレールを全部更換して継ぎ目落ち対策を進めたい、こう考えておるわけであります。
  53. 平田藤吉

    平田委員 そういうことを聞いているんじゃないですよ。何でそういう事態が起こるのか。つまりあなた方が保線について、保守について手を抜いているから起こるのですよ。このことを聞いているのです。そんなことは、どこがどうなっているかということは、わかっているんですよ。だから、保守を手抜きしているために起こったのでございますというのが、ほんとうの答えじゃないですか。こんなに三十何件もの脱線事故が連続して相前後して起こっているということは、古くなったから起こりました、あたりまえなんですよ。古くなったって、ちゃんと手抜きをせずに保線を繰り返しやっていれば事態は違うのですよ。ところが、あなた方は保線の手抜きをずっとやってきて、そして集中して事態があらわれるようになってきている。  大臣が出かけられるそうです。私はまだいろいろ質問したいことがある。大臣に聞いてもらいたいこともある。だけれども、これは手抜きをしまして、質問を抜きまして、大臣に一点だけ質問しておきましょう。  いま申し上げたような事態は、実は見直してみなさい。東北線だけじゃないですよ。在来線列車頻度の高いところほど事態は悪化しておる。私なんか毎日東北線と高崎線で通っています。動揺がものすごいですよ。立っていてごらんなさい。ものすごい動揺ですよ。これで重大な事故につながらなければいいがなというふうにいつも思っている。ですから、東北線でこういう状態が起こったから、そこだけ見ておけばいいというものじゃない。とりわけ頻度の大きいところについては一斉点検を指導すべきだというふうに思うのですけれども、大臣どうお考えですか。
  54. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 先ほど久保先生の御質問にもお答えいたしましたように、やはり輸送安全輸送が最優先すべきものだと思います。それがためには、それに対するいろいろな手だて、点検等も必要だと思います。保全等も必要だと思います。久保先生は、一斉に全国点検をやったらどうだというお話でございました。  私は、国鉄はいままでにいろいろな資料を持って万全なかまえを持っているから、いま直ちにもう一ぺんやれと言うかどうかということは、国鉄とよく相談して検討してまいらなければならぬと思いますが、いまおっしゃいましたように、頻度の高いところとかそういうようなところは、先ほどお答えをいたしましたとおりに、十分点検もし、また保全もいたしまして、安全輸送の万全を期してまいるように今後も指導し、指示してまいるつもりでございます。
  55. 平田藤吉

    平田委員 大臣、予定があるようですから、いいです。あといろいろあるのですけれども、大臣いいです。   〔久保(三)委員長代理退席、委員長着席〕  合理化によって保線区の労働者を大幅に減らして、その上、上野−白河間の保線要員まで新幹線工事に動員しているじゃないですか。これで保線ができると思っているのだろうか。こういうことはやめて、安全を第一に労働者をやはり正しく配置すべきだというふうに考える。この点どう考えておりますか。
  56. 篠原良男

    ○篠原説明員 先ほど申し上げましたように、立体交差あるいは新しいヤード、それから東北新幹線の関連の工事で保線従事員が構内の切りかえその他に従事していることは事実でございます。しかし従事した場合には、そのかわりといたしまして、現地に代用人夫といいますか、代用の従事員を充当しておりますが、確かに先生のおっしゃるとおり熟練度はだいぶ違います。したがいまして、この際その辺を全部押えまして、昼間の間合いをとって保守復元といいますか、おくれているところを取り返そうとしているのが実情でございます。
  57. 平田藤吉

    平田委員 熟練した労働者をやはりちゃんと配置しておかなければいけませんよということなんです。だから保守をするんですと言うんじゃないんだろうけれども、配置してないから、そういう事態が起こっているんだということを私は言っているんです。だから答弁をはぐらかしちゃだめですよ。  一つは、古河−野木間の事故原因は何だったか。これが第一点です。  第二点は、事故現場付近の保線はどこがやっているのか。下請がやっているのか。事故のあった地点の道床の砕石の入れかえは、いつごろだれが行なったのか、これをひとつ答えてください。
  58. 山岸勘六

    山岸説明員 古河−野木間の事故原因につきまして、当初直ちに各種専門家を派遣いたしまして、車両、線路、積み荷、運転状況等について、できるだけ詳細なデータを取り寄せたわけでありますけれども、専門家といろいろ相談したのでありますが、そのままでは真の原因が出ない。やはりそれらのデータに基づきまして、コンピューターによるシミュレーションを詳細にやりまして、そしてやはり真の原因を追及しなければならぬということであります。  一般にこれらの途中脱線についてのシミュレーションは大体四十日を要しているのが現状でありますけれども、私ども四十日で満足しているわけではありませんが、現在の専用のコンピューターの大きさからいいまして、大体四十日を技術研究所で要しているわけでありますが、今回の一連の問題とのやはり一つの疑惑もある問題でありますから、早急にこれを勉強させまして、二十五日までにコンピューターによるシミュレーションの結果に基づいた脱線原因を持ってまいりますということで、いま技術研究所からの返事をもらっているわけであります。二十五日に、それらのデータに基づいた究明を徹底的にやってみたい、このように考えておりますので、どうぞ御了承願いたいと思います。
  59. 篠原良男

    ○篠原説明員 先生の御指摘の現場は、保守しておりますのは小山保線区でございます。小山保線区は、先生のおっしゃる整備のほうは直営でやっております。しかし、事故がありまして、あとの復旧整備のほうは外注も使ってやっております。道床更換というのは従来から外注でやっております。
  60. 平田藤吉

    平田委員 事故直後に私は現場に急行したのです、あの晩。現場へ行って、保線の担当者いないかと言って見つけて歩いた。いないのですよ、保線担当者は。責任者がいる。責任者に聞いてもわからない。このレールのRは一体どれくらいなのか、カーブはどれくらいなのか、だれもわからない。こういう状態ですよ。保線をいかに軽視しているかというのは、そういうところにもあらわれていると思うのです。  それから、この写真はそのとき写したものであります。一ぺんそばで見ておいてください。——貨車が脱線したレールの反対側なんです。つまり「まつしま五号」がここを通過する手前で脱線しているんですね。写真でもはっきりしているように、枕木の上まで道床のバラストが積み上げられている。この状態は、車輪のフランジが乗り上げて脱線しやすい条件だというふうに思うのです。たいへん危険だと思うのです。こういう状態は、実は私は事故の起こった、脱線した貨車が走ったレールの上も見たのですが、共通しているのです。これは一体どういうことなのか。たいへん危険だと思うのだけれども、どういうふうにお考えですか。
  61. 篠原良男

    ○篠原説明員 砂利は継ぎ目板が見えない程度にかかっておりますと、先生のおっしゃるとおり盛り上がります。またタンピングしてないとあれですが、道床更換の前とかあるいはタンピングの前には、あとで砂利を補充しますので、あらかじめ砂利をとってかさ置きするときがございます。しかし、あの写真だけでは私想像はつきませんので、現地保線区でよく実情を調べまして、もしふだんからそういう処置をしているようであれば指導をし直しますし、工事のための一時的なものであれば、やはり列車がその場所を通過するときには工事期間中は徐行させるとか、しかるべき指導をしているはずでありますが、よく検討して指導いたしたいと思います。
  62. 平田藤吉

    平田委員 だから、バラストの入れかえは、いつやったのかと聞いているのです。
  63. 篠原良男

    ○篠原説明員 手元に資料がございませんので、道床更換を最近いつやったか、ちょっと覚えておりません。
  64. 平田藤吉

    平田委員 そういう状態で、あなた方は事故原因を検討しているのです。しかも、私がわざわざその写真だけに限ったのは、脱線したレールのものを持ってくると、脱線した上に砂利がはね上がったんだと言うだろうと思うから、反対側のレールのものを持ってきたんです。継ぎ目板が隠れる程度までだいじょうぶだ、そんなばかな話がありますか、レールに沿ってフランジがその上に乗っかりますよ。この状態を、私は、非常に危険な工事の状態が行なわれている、下請にやらせて、やはり十分に点検していないんじゃないかと考えるわけです。  そういう意味で、今後の脱線事故の検討の中に当然入っているのだろうと思うのですけれども、非常に重大な問題なので、いま言われたように、今後は十分注意してもらわなければならないと思います。いずれにいたしましても、先ほども大臣に言いましたように、起こっている地帯は深刻な地帯なんで、東北線に限らず、重要な地点については再検討すべきだ。とりわけ、あなたさっき、大宮−上野間は三線になっておりまして比較的云々と言っておられましたけれども、これは乗ってごらんなさい、そんなものじゃないです。車両がよほど悪いのかと思わざるを得ないのです。あのゆれ方は立っていられないゆれ方ですから。ですから、そういう意味であらためて重要な路線については総点検することを要求します。  次に、新幹線の問題に移りたいと思うのですけれども、九月三日に新幹線の応急措置が発表されて、十五日に恒久的安全対策報告というものが運輸相に行なわれたということが発表されております。  その一つは、開業時の三百六十両の車両を五十一年度から三カ年で廃車にする。  それから二つ目は、レールは五十六年度末までに六十キロのものに更換をする。  第三に、架線は現在十二・三ミリのものを十五・四ミリの太さのものと更換する。  第四点に、路盤と道床の劣化に対しては、悪くなったら、その部分を修繕するというこれまでの発生主義を改めて、周期更新の体制を確立する。  五つ目に、これらの作業を推進する保守基地を増設する。  六つ目に、ATCの瞬時的なあおりの原因究明に力を入れ、そのために三人の専門家を特別に配置する。  新幹線の問題点として、これらの対策については、われわれが繰り返し要求してきていたところです。そういう意味では別に目新しいことじゃないじゃないかと思うのです。  たとえば、七十二国会の二月二十日、当委員会でわが党の紺野議員が、レールのテルミット溶接個所が切断されやすいこと、道床の固結化や砕粒化が急速に進行していることなどをあげて、これらが事故に結びつくもので、しかも危険であることを指摘しております。そして計画を立てて早急に改善すべきであるというふうに要求しております。  私も、この九月九日と九月二十日の委員会で、具体的事実をあげて、架線とレール、道床などの取りかえ計画を立てて、全面的に急速に推進すべきだということを指摘しております。  また、七十一国会の五月十一日の運輸委員会では、紺野議員が車両の取りかえの必要を指摘しています。  時間がないので、例はこれくらいにしますけれども、今回の報告は、こういうわれわれが繰り返し指摘してきた問題点を、ほぼ全面的に認めざるを得なくなったということを示していると思うのです。しかし、この報告をめぐっても多くの問題があります。その幾つかについて質問したいと思うのです。  まず第一点ですけれども、紺野議員の質問に対して、篠原施設局長は、テルミット溶接レールは四十九年度末を目途に全部取りかえたいというふうに答えていたのです。ところが、今度の報告では、五十一年度末というふうにしております。これは答弁との間に二年間のズレが生じているわけですけれども、なぜズレが生じたか、いつ完了させるつもりか、これについてお答え願います。
  65. 篠原良男

    ○篠原説明員 テルミットの個所が非常によく折れるというのは、レール折損のうちの大半がテルミットであることは事実でございます。しかし、テルミットというのは現場溶接ができるというメリットもありまして、大体工場で二百メートルのレールをつくって持っていきまして、現場で二百メートルと二百メートルを溶接するのがテルミットもしくはエンクローズド溶接でありまして、したがって、最近では、テルミットは全部取りかえて、エンクローズド溶接にかえるという方法をとりました。ところが、二百メートルごとに点在しておりますので、非常に作業能率があがらないというのは事実であります。したがいまして、四十六年度中にテルミットのところは全部継ぎ目板をかけまして、もしレールが折れても、継ぎ目板でもたせるというような補強策は立てました。  確かに先生おっしゃるように、われわれの計画は、テルミットを全部今年度、来年の三月までに取っ払いたいという計画を立てて推進してまいりましたが、エンクローズド溶接のいわゆる溶接工といいますか技能工が非常に少ない。しかも山陽新幹線のあれに押されまして、そちらのほうに手を食われまして、現状おくれておるというのが実情でありまして、今回五十一年度末というように計画の変更をせざるを得なかったというのが実情であります。  もちろん、テルミットの溶接の除去には、新しい六十キロのレールを入れまして、六十キロのレールを入れますとテルミットは取れていくわけですが、その六十キロのレールの投入が計画より少しおくれておる。いますぐテルミットのところを置きかえますと、これは五十キロに置きかえることになるわけです。したがって、六十キロに置きかえますと、そこでレールとレールの間に段違いができますので、計画は五十一年度末まで延びたというのが実情でございます。
  66. 平田藤吉

    平田委員 第二点は、路盤と道床更新の周期更新体制を確立するといわれておりますけれども、その対象範囲は上下で千三十キロというふうに考えられるわけです。けれども、これはいつ完了しますか。
  67. 篠原良男

    ○篠原説明員 いまの段階でいつということは非常に申し上げにくいのですが、と申し上げますのは、道床、いわゆる砂利を使っておるところを取りかえるわけですが、切り取りあるいは盛り土あるいは高架橋、隧道の中によって周期が違ってまいります。取りかえ周期が非常に違います。盛り土の区間は道床の厚さ三百ミリでございますし、高架橋の上は二百ミリでございます。しかも取りかえるときに、その下にバラストマットというゴムを敷くというようなことも一緒にやっておりますので、騒音対策からも高架橋の粉粒区間を早くやるとかというようなこともございまして、道床のいわゆる保守周期が個々によって違いますので、高架橋の上は何年、一般路盤のところは幾ら、一般路盤の雨の多いところは幾らというようにきめまして、そこを定期的にかえていこうという計画を立てておるということでございまして、全体でいつだとおっしゃられますと、いまちょっとここでは資料を持っておりませんので答弁できません。
  68. 平田藤吉

    平田委員 じゃ、それは資料を出してくださいね。  第三点は架線は強風区間と駅構内の約百十五キロ、五十二年度末までに更新するというふうにいっていますけれども、残るのは九百キロ残るわけですね。これはいつまでにやりますか。
  69. 山岸勘六

    山岸説明員 架線につきましては、いわゆる新大阪以西の山陽新幹線につきましては全部重架線化構造でできておりますので、そこの亘長百十五キロという数字は線路のほうと計算がちょっと違いまして、いわゆる営業キロと申しますか、上下で百十五キロ区間を五百十五キロのうちやるということでございますので、残りは四百キロ弱ということになるわけでございます。これにつきましては、大体五十八年くらいまで全体としてはかかる予定でございますが、その間といえども、もちろんいわゆる現在の架線方式のものにつきましての更換は二年半ないし三年ごとにやっていくわけでございます。
  70. 平田藤吉

    平田委員 ずいぶん先の話ですな。恒久対策、五十八年、いまから十年先でなければ——さあできました、完了しましたが、次からまただめになりました、こういうことですな。ずいぶんごりっぱな報告を出されましたけれども、中身はそういう結果になりますよ。  第四点として、開業時の車両三百六十両は五十三年までに新車と更換するというけれども、その間の安全対策について何か特別に考えておられるかどうか。
  71. 山岸勘六

    山岸説明員 報告書の中でも申し上げてあるのでありますけれども、現在のこの第一次車、二次車は大体八回目くらいになるのでありますが、工場の全般検査というものに入っております。したがいまして、この全般検査で更新すると申しますか、常態に復帰するというこの修繕が、工場といたしましても十分な自信をもって出場さしているわけでございます。  ただ、しかしながら、私どもといたしまして、この車両が大体現在四百五十万キロくらい走っているわけでありまして、これらの数字が、次に全般検査で入る時期を考えますと五百五十万キロ。もちろんこれは台車、車輪等は更新されているわけであります。予備品として新しく購入して更換されているわけでありますけれども、車体の状況を見ますと、洗面所の下等におきましては、すでに補強板を当てているという状況でありますので、やはりこの辺で私ども目標を立てて決心すべきじゃないか。第一線の職員は、われわれまだまだやれるのだという気持ちの者もあるわけでありますけれども、しかし総体から言いまして、予備品というものは相当購入していかなければならない。それを一車ごとに買えば、予備品の購入によってまかなわれるべきものも、この新しい車の中でまかなっていけるということもありますので、ここで腹をきめてひとつ五十一年ないし五十三年度の間にこの一次車、二次車というものを廃車していこうじゃないか。もちろん車両には個体差がありますので、そこで三年間の幅があるわけでありますが、もちろんそこではすでに三次車、四次車というものも十分考慮の中に入れて勉強していかなければいけないというものも含んでいるわけであります。
  72. 平田藤吉

    平田委員 車両が老朽化していて少しゆがんでいますと、風圧やなんかでガラスが割れたり、いろいろ問題が起こるのです。それを現場の職員は心配しておるのです。だいじょうぶだというより、むしろそれを心配しておる。ですから、部品を購入すればいいのだというだけに済まさないで、やはり安全対策を特別に立ててもらわなければならないというふうに思うのです。  次に、報告書発表したけれども、実際に計画はできるのだろうかどうだろうかという問題です。  新幹線は昨年来連続して事故発生するようになっております。そのために利用者は思わない被害を相次いで受ける結果となっており、不満と不安が急速に広がって批判が強まったわけです。国鉄労働組合をはじめ国鉄労働者も、乗客安全とみずからの安全を要求して繰り返し戦ってきています。マスコミや専門家の間でもいろいろな角度から批判や意見が次々に出されるようになったわけです。これらの声を受けた形で今回の国鉄当局報告書発表されているわけですけれども、問題の核心は一体どこにあるのだろうかといえば、事故をなくし安全で快適な旅ができる新幹線にできるかどうかにかかっているわけです。つまり報告は作文に終わってはならないということだと思うのです。  そこで、報告は実際に実行できるのかどうかをめぐって幾つかの点で質問したいと思います。  現行ダイヤのもとで終列車から始発列車まで間が何時間あって、作業可能時間はどれくらいなのか。
  73. 山岸勘六

    山岸説明員 ダイヤの関係で場所によって違いますが、五時間ないし六時間であります。
  74. 平田藤吉

    平田委員 レールの更換は一晩で一体どれくらいの距離できるものですか。
  75. 篠原良男

    ○篠原説明員 ちょっと御説明しにくいのですが、と申しますのは、新幹線は全部ロングレールでございます。したがって、信号のセクションとセクションとの間を一晩で全部かえなければいけませんので、一晩で更換すべき長さは約一キロから一キロ五百ということになります。一キロないし一キロ五百に軌道回路があって、そこまではレールは全部溶接する。そこの一キロないし一キロ五百のところに絶縁継ぎ目が入っておりますので、一晩でかえる長さは、その場所によって違いますが、一キロないし一キロ五百、こういうことになります。
  76. 平田藤吉

    平田委員 これは完了するのは予定どおり終わりますか。
  77. 篠原良男

    ○篠原説明員 レールは、いま先生御指摘のとおり、五十キロレールから六十キロレールにかえつつあるわけです。五十キロのレールといいますのは、通過トン数が五億四万トンぐらいになりますと、レールの溶接部が疲労してくるというのが研究所の報告に出ております。母材のほうは使えるわけです。したがって、溶接部を切って下級線に使うわけですが、六十キロになりますと、これが二割ぐらいふえてまいりますので、六十キロに更換するわけですが、更換の溶接の場所をふやすとか、あるいは運搬する運搬機具を、溶接個所数をふやしますと、そこに機具もふやしてやります。  それから、いま運転局と相談しておりますのは、百十キロの臨速てこという設備を引いてくれということであります。そうしますと、七十の徐行が百十に上がりますと、夜間工事する場所がふえる。現在の徐行余裕時分では、大阪から東京までの間に、たとえば八カ所しかできないやつが、百十キロの臨速てこを引きますと十何カ所できるというようになりますと、そこで更換するピッチが上がるというようなことも踏まえまして、約一年の余裕をもって五十六年ぐらいの更換をやりたい。一年といいますのは、今後相当ダイヤをびっしり組んだとして五億四万トンに達する余裕が一年でございますから、現行のダイヤのままずっといきますと、レールの寿命からいきますと五、六年の余裕はあるということであります。
  78. 平田藤吉

    平田委員 道床の更換は、夜間どれくらいできますか。
  79. 篠原良男

    ○篠原説明員 ループの数にもよりますが、大体一日ワンパーティーといいますか、三十ないし四十メートルぐらい更換しておるというのが実績だと思います。
  80. 平田藤吉

    平田委員 架線の更換は一晩でどれくらいですか。やっぱり同じように信号との関係があるのだろうと思うのですけれども
  81. 山岸勘六

    山岸説明員 架線は、大体一キロないし一キロ二百が一本になっておりまして、この一本を一緒にかえるという操作が必要なのでありますが、ただ、これは一晩でかえなければいかぬのでありますけれども一、その準備作業等に相当の日数を要しているというのが現状でありまして、この辺の工法の勉強をする余地がまだあるという認識をもっております。
  82. 平田藤吉

    平田委員 これはなかなかたいへんだというふうにあらためて感じます。  次に進みますけれども、現在の新幹線ダイヤは事故の激増に拍車をかけているわけですね。たとえば静岡−浜松間で列車回数をとらえてみますと、次のようになっていますね。三十九年の四月、「ひかり」上下各十四本、「こだま」上下各十四本、合わせて五十六本になります。ところが、四十七年三月、岡山開業時をとってみますと、「ひかり」が上下各三十九本、「こだま」が上下各三十四本、合わせて百四十六本。二倍以上、二・六倍ですね。しかも車両数は、当初十二両だったものが、今日では十六両になっているというのが現状です。これは、当初考えられたものよりはるかに大きな負担を新幹線にしょわせていることになるのですけれども、無理に無理をさせることを示していると思うのです。これが事故続発の大きな要因の一つになっていると考えますけれども、どうですか。
  83. 山岸勘六

    山岸説明員 列車本数と編成でありますけれども、これは当初も考えたダイヤであり、御承知のようにホームも当初は十二両編成で間に合うホームでありましたけれども、すでに設計としては十六両化ができるようなホームの基礎構造をつくっておったわけでありまして、したがいまして、現在のダイヤあるいは列車の長さというようなものは、当初考えてなかったようなものでは決してございません。ただ、その状況が、約二年ないし三年私ども当初考えていたよりも早くきておるのじゃないかということでございまして、その点につきまして、それらが事故につながっておるのじゃないか、あるいは故障につながっておるのじゃないかという先生の御意見でありますけれども、私どもといたしまして、それらが要因の一つでないということは申し上げかねるわけでありまして、むしろやはり要因の一つとしては考えていいのじゃないか、このように思います。
  84. 平田藤吉

    平田委員 どうも話が違うようなので、あらためて確認したいのですけれども、九月十四日付の毎日新聞は、国鉄の瀧山技師長の話として、次のように報じているのですね。「新幹線は十年前と比べ運転本数からケタ違いに増え、酷使されており、量的にも一限界に近づいていることはたしかだ。その点、種々の規定や基準が、開業当初のままでよいとは思わない。開業時と同じ状態、同じ条件なら、こうも皆さんに迷惑はかけなかったろう。」こう言っております。またわが党の機関紙「赤旗」の記者の取材に答えて次のように言っております。「当初の計画では、十年後に当る現在は、列車本数は、いまよりも約百本少ない百数本で十二両編成のはずだった。車両も座席指定で、今日のように満員にして乗せるように造られてはいない。」  技師長自身が認めているように、現在のダイヤ、列車編成ともに設計時の規模を大幅に越えたもので、たいへんな無理をしているのだ、こういうふうに言っているわけです。どうもいまの山岸常務理事お話とたいへんな食い違いですが、どうですか。
  85. 山岸勘六

    山岸説明員 私も新幹線開業当初からダイヤをかき、あるいは山陽新幹線の建設をいかにやるべきかという議論に携わってきた人間であります。いわゆる十六両化の目標というようなものは、実際は一部四十四年の末から始まったわけでありますけれども、これが四十四年か四十五年かという議論がすでになされておったのでありまして、十六両化完成という全部現在のような状態に対しましては、やはり五十年度に入ってからであろうという想定でやっておったわけでありますが、これらにつきましては、当時の山陽新幹線技術調査委員会というようなものに——ちょっと正確な委員会の名前あるいは違うかもしれませんですけれども、その議事録にも載っているダイヤであり、中身でございまして、私が申し上げましたことは、いまここでいいかげんに申し上げているわけではございません。
  86. 平田藤吉

    平田委員 山岸常務理事お話がいいかげんでないとすれば、瀧山技師長さんのお話はいいかげんなのですか。
  87. 山岸勘六

    山岸説明員 技師長のお話新聞等によって多少ことばとして誇張されているのじゃないか。ただ後半のいわゆる検査規程あるいは保守規程というようなものが当初のままでいいとは私ども考えておりません。たとえば車両部品にいたしましても、その取りかえ周期にいたしましても、どんどん短縮するものを短縮し、かえているわけでありますが、今後ともこれらの問題については私ども十分研究を重ね、積み上げていかなければならない、こういうふうに考えております。
  88. 平田藤吉

    平田委員 これはたいへん重大な問題ですからね。当初から十六両の計画でおりました、走らせる本数も二百本以上走らせる計画でございます、だからだいじょうぶなんです。そんなら、そんなにいたまないで済むでしょう。あなた方の返事はいつでもそうなんだ。危険だから、ダイヤの問題も時間の問題も考えなさいと言えば、いや、計画どおりでございます。危険ではないか、危険個所は直しております。ところが、どうなんです。レールに三千カ所もひび割れがあるというじゃないですか。これもうそですか。あなた方が一つ一つそういうふうにその場のがれ、言いのがれをしていたんじゃだめだと思うのです。何も、十六両にすぐするのなら、ホームだって最初から十六両につくってしまえばいいのです。計画が最初からそうなら、そうされているはずですよ。そういう意味では、あなた方のほうで、この両者の言い方の食い違いをはっきりさせてもらわなければならない。  それから、当初から十六両編成二百本以上の列車を通すようにできておりますというのなら、それを立証する資料をこの委員会に出してください。  次へ進みましょう。  来年三月博多開業、「ひかり」が上下各五十七本、計百十四本、「こだま」が上下各四十九本、計九十八本、上下合計で二百十二本というふうな数に今度はふくれ上がる。これがまたどうなっていくんだろうかということが心配です。つまり、開業時の三・七倍になるわけです。先ほど技師長みずからが認めているように、現在ですら相当無理をしている。車両や施設の強化の計画が進まないままにまた本数をふやす、これは事故を増発させる結果しか生まないんじゃないか。もう一度ダイヤを見直すべきだというふうに考えますが、どうですか。
  89. 山岸勘六

    山岸説明員 先生のおっしゃいました二百十二本という列車本数、これはまだ正確に私どもといたしまして発表をいたしておりませんので……。ただ、列車の系統といたしまして、考え方を相当大きく変えておりますので、たとえば名古屋から出る「こだま」は広島までとか、形を非常に変えておりますので、列車本数だけの考え方からはいかないかと思います。  ただ、私ども考えております来年度の山陽新幹線のダイヤの形態の基礎といたしましては、いわゆる四−四ダイヤと私ども呼んでおりますけれども、これは現在すでに多客期において実施しておるダイヤでございまして、基本的には、それがきわめて危険に結びつくというふうには考えておりません。
  90. 平田藤吉

    平田委員 国鉄は、博多開業の結果、東海道線の乗客新幹線に移るものと推定して、東京と名古屋発着の夜行列車は二、三往復程度削減することを検討しているというふうにいっているけれども、こうした施策安全上からも、在来線を維持する上からもよくないのじゃないか。やはり東海道線は東海道線として維持しながら、新幹線にあまり無理させるな。この点についてどうですか。
  91. 山岸勘六

    山岸説明員 先生のおっしゃるように、山陽新幹線開業時における東京発の夜行列車については、九州行きでございますが、ほとんど手をつけていないというのが実情でありまして、私どもその点については十分考慮を払いつつダイヤを急いでいるところでございます。
  92. 平田藤吉

    平田委員 運輸省、どなたかおいでですか。——鉄監局長は出かけたのですか。
  93. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 ここにおりますのは鉄道部長であります。
  94. 平田藤吉

    平田委員 新幹線故障発生件数は、比較的安定していた四十二年に比べて、車両関係で四十二年が十二件、四十七年が三十六件、四十八年が五十五件、線路関係で四十二年が六件、四十七年が二十件、四十八年が三十七件、ことしはまだまだふえる見込みですね。乗客と職員の安全のために、設計した当時の立場、開業時の立場に返って、設備の補強とともにダイヤを見直すべきだというふうに考えておりますが、そういう指導を運輸省として国鉄に対して行なってはどうかと思うが、お考えを聞かせていただきたい。
  95. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 お答え申し上げます。  年々増加いたします輸送需要増という面もございます。こうした輸送需要増に対しまして適切な輸送を行なうということも、国鉄の大きな使命じゃないかと思います。  しかしながら、やはり安全という問題は、大臣もしばしば申しておりますように非常に重要な基本問題でございますので、この辺につきましては、今後ともダイヤ編成に対しまして、安全上の観点からの検討をするように、国鉄を指導してまいりたいと思います。
  96. 平田藤吉

    平田委員 ダイヤ編成についても安全上の立場から検討するということですから、私は、大臣にそのことも伝えてぜひひとつ検討してもらって、事故が起こってからじゃ間に合わないのですから、起こる前にやはりぴしっと対処してもらいたいと思います。  国鉄のほうは、いま検討中でございますとおっしゃったけれども、どうもダイヤを見直して何とか考えるというふうにはなっていないようです。このままでいきますと、やはり大きな事故になります。設備の補強で事故をなくすることができると考えられているようですけれども、これまでの答弁では、その設備の補強さえ、すみやかに推進できないことを示しているのですね。たとえば道床をめぐる問題にしても、あるいはレールをめぐる問題にしても、架線をめぐる問題にしても、えらい年限かかるのです。それが終わったころには、もう片っ端からこわれてくるという状態でしょう。ですから、絶えずこわれた部分を背負いながら新幹線が走るということなんです。こんな危険なことはないと思うのです。その上博多開業による列車の増発が設備の劣化を促進することは明らかだと思うのです。  路盤と道床を例にとってみると、二百四十キロという列車の速度で上下合わせて二百十二本が走るということになりますと、これは二百十二本、発車する場所によって違いがあるというので、総体では二百十二本までいかないかもしれません。しかし、これに近い数のものが走るということになりますと、路盤と道床のいたみは、一そう激しくなるのであろうということが予想されます。盛り土の路盤では、全部ではないにしても、相当部分で水が吹き上げてどろを押し上げる、路盤が変動する。盛り土、高架橋、それからトンネル内、それぞれ条件によって、あらわれ方やもち、何といいますか、耐用命数といっているようですけれども、もちの違いはあるようですが、道床の砕石が砕けてこなごなになってしまう。これを細粒化と呼んでいるようですけれども、この上にレールを載せてあるのですね。ですから砕石がこなごなになっていく。この土台の上へレールが乗っかるということになるわけで、道床に弾力性がなくなってくるわけです。  これはやはり危険な状態だ。だから、あなた方はいろいろな苦心をしてどろと砕石との間ヘマットを敷いて、どろが上がってこないように苦心をしたり、いろいろされているようですけれどもね。現在でも、見ますと、危険な状態というのは年間約四十キロ発生しているといわれているのですね。これは異常ですよ。この異常といわれる状態、発生状況も年々増加しているのが現状です。浜松保線支所の場合だけを見ても、四十七年度に二百十四件、四十八年度に三百六十九件、二倍に近い発生状態になっている。四十九年七月までで、この四カ月間で百六十五件に及んでいる。これを即修ということになると、増加すればするほど周期的な道床更換などという時間がとれなくなる一方になるのですね。これはもうたいへんなことだと思うのです。  それからもう一つ、時間もなくなりましたから触れておきますけれども、先日石澤新幹線局長が摂津市で騒音公害問題に触れて、防音壁などの効果がない場合、スピードの減速もあり得るという趣旨のことを言っているのですけれども国鉄がそのように考えていると理解してよろしゅうございますか。
  97. 井上邦之

    井上説明員 先日、新幹線局長石澤が申しましたと新聞に出ておりますこと、あとで私も石澤君を呼んで実際にどうであったかということを尋ねてみましたが、新聞に出ておりますことは、石澤君が発表いたしましたことと、真意と多少違う面があるようでございまして、廉澤君の言っておりますことは、国鉄としては音源対策なり、あるいは障害防止対策なり、あらゆる手を尽くして環境庁長官から示された基準に従う程度の公害防止を考えていくんだ、しかしながら、それによってもなおかつその基準に沿い得ない場合、もし全体のコンセンサスが得られるならばということを、ちょっと入れておるのでございますが、この点がちょっと誤解を生じたようでございまして、全体のコンセンサスを得られるならばということは、国民皆さまがスピードダウンをしてもいいんだ、新幹線について何も東京−新大阪間いまの三時間十分で行く必要はないのだ、一時間半くらいおくれてもいいのだというふうに皆さんお考えになるならば、それは減速の場合もあり得ましょう、こういう条件がついておるわけでございまして、現在のところではやはり東京−新大阪間三時間十分で走るということは、やはり国の経済なり、あるいは国民生活の中で一つの大きな要素として定着しておると考えられるわけでございます。したがって、いま直ちに東京から新大阪まで一時間半延長していいんだということには必ずしも、国民皆さま方の御同意が得られるかどうか疑問であると思います。もしそうしなければ絶対に安全も得られないし、それから公害の防止もできないのだということになりますれば、それはそのときのまた判断でございますけれども、いまの時点では、そうしなくても国鉄のやっております音源対策なり障害防止対策なりでやっていけるという確信を十分その前に披瀝した上で申しておるわけでございますから、新聞に出ておりますことは、ちょっとニュアンスが違って発表されておると思います。
  98. 平田藤吉

    平田委員 どうもあなた方のニュアンスというのは都合のいいようにしか響かないようでございまして——静岡県の三島市での調査によりますと、防音壁ではほとんど効果がないという結果が出ておるのですね。ですから、あと何を施すつもりなのかしりませんけれども……。したがって、騒音公害のひどい個所については徐行せざるを得ないと思うのです。あなた方一時間だの一時間半だのと言っていますけれども、そんなになるのか、私計算してみないからわかりませんが、いずれにしましても公害を防止する対策で若干スピードを落とすということになりますと、これはやはり余裕時間がなくなりますね。  今回の報告によると、先ほどもちょっと触れておられたように「工事の増加に伴い実態に即応した徐行運転の確保」のために徐行速度をこれまでの七十キロから百十キロに速める信号てこを設置するというふうにいっております。こうしたとしても、徐行によってつくり出される余裕時間は現在の七、八分が二倍にもならないはずですね。こうしてつくられた余裕待間も、いま言ったように騒音公害に対して何らかの配慮をしようということになってきますと、当然スピードダウンの方向へ回される。これでは工事時間はなくなりますよ。いまですら工事のための徐行する時間がつくり出せないで四苦八苦しているのですね。検査するだけでも先ほどお話がありましたように、一月になって四日間ですか、半日休んで検査をする。検査するだけでもそういう状態ですよ。ですから時間の余裕がない。最初に申し上げた、あなた方のりっぱな報告書はでき上がったけれども、実際にダイヤを現状のまま、スピードを現状のままで押し通していって一体あの計画はできるのか。絵にかいたもちにひとしいといわざるを得ないのです。テルミット溶接が、四十九年末がいろいろな都合でございましてといっているけれども、二年間ダウンしている。この間質問したばっかりでしょう。それがすでに答えたあとから二年間ダウンしているというような実態ですよ。それが現実なんです。あなた方は国民の目をごまかそうたって、それは無理だ。事故を起こさないことが一番大事だ。  そういう意味では、私は繰り返して言うけれども、ダイヤを見直すべきだ。大英断を下すべきだ。そうして安全対策の時間をとるべきだ。スピードについても考えるべきだ。博多開業を前にして、あらためて再検討をする用意があるかどうか。これは国鉄当局と、そういう立場から再検討していく考えがあるかどうか、あらためてもう一度運輸当局の見解を聞きたいというふうに考えます。
  99. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 具体的に博多開業のダイヤの問題でございますが、三月開業を前にいたしまして、国鉄も従来にない英断をもって保守体制強化するということでございますし、その間に安全に対する十分な措置を講じた上で三月の開業をいたしたいというふうに考えております。
  100. 井上邦之

    井上説明員 午前中久保先生の御質問にもお答えいたしましたと思うのですが、現時点で私ども考えておりますのは、夜間はやはり五時間ないし六時間の保守間合いを持っておりまして、在来線に比べますと、これは倍以上の保守間合いでもありますし、いまの時点でダイヤを見直さねばならぬという考えは持っておりません。じゃ、なぜ今度一月、二月に四日間も午前中運転をやめて総点検をやるのかというお話になろうかと思いますが、その点は、これもまた先ほど久保先生の御質問のときにもお答えいたしましたので重複はいたしませんが、念には念を入れてやるということでございまして、いまの時点ではダイヤを見直さねばならぬというほどの必要性は私ども考えておりません。
  101. 平田藤吉

    平田委員 最後に、国鉄当局はこれまでの立場を変えていないということですね。そして国会で答弁した、テルミット溶接のレールは四十九年度末までに直しますと言った、これが二年間も延びてしまう。こういうことも平気でやってのけているのですよ。なんでそんなことをするのだ。これは国鉄の営利第一主義の姿勢を示すものだ。スピード万能で、そして営利第一主義の立場に立っているからです。私はやはり安全を口にする以上は、安全第一の立場に立ち、人命尊重の立場にはっきり立つべきだというふうに思うのです。  いままでも繰り返して指摘してきましたように機械万能主義を改めて、人が機械を使うという立場に立って、やはり手でやらなければならない作業というのが現実だというのは今度の新幹線の事態でも東北線の事態でもはっきりしてきている。やはりあらためて事故を未然に防ぐための安全対策、ダイヤの見直しや人を中心にした保守体制、これを確立していく、そして安全を守るというふうに努力されるように強く要求して、私の質問を終わります。  以上です。
  102. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次に、渡辺武三君。
  103. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 私は航空機関係について、若干御質問を申し上げたいと存じます。  現在使用されております調布飛行場というのがあるわけでございますが、この調布飛行場は、いわゆる航空法に基づいた、いわば飛行場に関する告示がなされないまま、つまりは場外離着場ということで使用されておるというふうに思うわけですが、場外離着場というのは、御承知のように海岸線でも許可さえ受ければ離着できる、いわば臨時的にやるきわめて不自然な状態のときにそういうのを使用される、こう理解をしておるわけですが、ところが調布飛行場というような、いわば相当以前から使われておるのが、現在依然として場外離着場というような不自然な形のままで使われておるということについて若干、私疑問があるわけですが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
  104. 中村大造

    中村説明員 調布の飛行場、通称飛行場といっておりますけれども先生御指摘のように厳密にいいますと、航空法によります飛行場としての告示をいたしておらないということはおっしゃるとおりでございます。  これは調布の飛行場というものが戦前から飛行場としての機能を果たしておりまして、それ以来、終戦後も米軍からの接収解除後いわゆる小型機専用の、実態的には公共飛行場として使用されているわけでございますけれども、実は四十七年に接収解除がなされました年に、航空局長から東京都知事に対しまして、これを民間の小型機専用の飛行場として使用したいという要請をいたしましたときに、あわせて飛行場としての告示をいたしたいという申し入れをしたわけでございます。  ところが、これに対しまして、東京都といたしましては、これを地元三市のいろいろな要望もございまして、飛行場以外の用途に使いたいということで五十年三月まで三年間の使用を認めましょう、それ以後は返していただきたい、こういう御返事でございまして、したがって、そういうふうな五十年三月という返還について確約ができなければ、ただいま申し上げましたような飛行場としての告示の手続、それからいろいろな本格的な補修とか、そういうものについては、これをお認めできない、こういうふうな回答で今日まできておるわけで、したがいまして、私どもといたしましては、きわめて残念でございますけれども、そういう告示手続ができないで今日に至っておる、こういう経過でございます。
  105. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 先ほどの質問の中にもございましたが、そのおりの大臣の答弁は、いわゆる輸送というものは安全を第一にしていくのだ、こういう御答弁を再三にわたってなされておるわけでございます。したがって貸借関係の問題があるから安全面の強化ができないのだ、補修ができないのだということでは、貸借関係そのものは、それは双方の言い分はあるでしょうけれども、それが直ちに人命に影響するとかなんとかいうものではないのですね。ところが、そういうことで航空法上に基づかない、いわば場外離着場などというものは、別に補修の義務とかなんとかいうことはきまってないと思いますが、少なくともそういう形で行なわれておりますと、相当滑走路なり、あるいは管制塔なり、いろいろな設備面の不備というものが現在指摘をされておる。しかも、たいへん危険な状態ではないかとさえいわれておる。そういうことが、いわば貸借関係があるために補修をされないということになりますと、これは先ほどの大臣が言っておられました基本的な考え方からいきましても、ちょっとおかしいのではないか。  安全がすべてに優先するならば、そういう契約関係とは切り離して、少なくとも安全を守るための離発着に差しつかえのない補修なり整備なりというものが行なわれなければいけないわけですが、ところが、どうもそれらが行なわれずに簡単な補修程度にとどまっておるということのようでございますが、それで、はたしてほんとうに安全が守られるかどうか。私は、特にその点について非常に大きな心配をしているわけですが、いかがでしょうか。
  106. 中村大造

    中村説明員 先生御指摘のように、いかなる使用形式になっておりましょうとも、安全の確保ということは私どもといたしましては最優先的にこれを行なわなければならないわけでございます。したがいまして、この調布の飛行場につきましては、いわゆる本格的な補修工事というものが、ぜひとも必要な時期にきておることは、これはもうおっしゃるとおりでございます。私どもも、その必要を認めて東京都に申し入れをしているわけでございますけれども、とにかく現在の段階で安全を確保するために、最小必要限度の補修だけは、これはもう絶対条件ということで常にやっておるわけでございます。  したがいまして、決してこれが好ましいかっこうではございませんけれども、しかしながら、安全のための最低限度の必要な措置だけはとっておるということでございまして、私どもといたしましては、いずれにいたしましても、来年の三月というきわめて切迫した状態にあるわけでございますので、できる限り東京都それから地元の理解を得まして、これの使用関係について、はっきりとした線を打ち出し、必要な補修をいたすように努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  107. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 安全上必要な最低限度の補修はしておる、こうおっしゃいますが、しかし実際にやられておるんだろうか。運輸省の航空局長名で東京都知事に出されております要望書等見ましても、いわば、たいへんに滑走路の路面等に著しい亀裂が認められるし、離着陸のつど、その石片が散乱をする、そういうような非常に老朽化が激しいのだ。さらには管制塔そのものも旧格納庫の上につくられた木造であって、乗員がたいへん危険を訴えておる。このままではたいへん危険だから、少なくとも四十八年度中には、これを直さなければ、地震だとかあるいは台風シーズンによる風圧等には、とても耐えられないだろう、こういう要望を出されておりますね。  ところが、これはそのままに推移をされておると思うのですが、管制塔等は一向に直されておる形跡はないわけですね。そうしますと、おっしゃっておることと、実際の実情面とはやはり違うんではないだろうか。最小限の補修はしておるとおっしゃいますけれども、ところが、実際に管制塔に上がる要員そのものがたいへん危険を訴えておるんですよ。それがそのまま放置をされておる、こういう実情じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  108. 中村大造

    中村説明員 先ほど申し上げましたように、最小必要限度というものの程度でございますけれども、ことしに入りまして滑走路、誘導路等につきましては、ある程度の補修はいたしております。  また、管制塔についても御指摘のように非常に老朽化しておるわけでございますので、これについても、現実に目の前に危険が生じるおそれのないような補修というものは、近くこれを実施いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、従来、管制塔と滑走路を区別いたしますと、滑走路等につきましては、必要限度の補修をやってきたわけでございますけれども、管制塔については、いままで手がつけられなかったわけでございます。管制塔につきましても、目前の危険にさらされるということのないような補修だけは航空局の責任においてやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  109. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 ぜひ私はそうしてもらいたいと思うのです。東京都から出されておりますいろいろの書面を拝見いたしましても、若干問題があるのではないか。東京都は、そういう所有権がはっきりしないから、それらを明確にするまでは補修はしてもらっては困るというような書類をどうも出しておるようですけれども、しかし、そんな人命に関する安全の問題を他の契約面に援用するというようなことは、ほんとうはこれは許されないことであって、むしろ所有権の移転その他等の折衝は、これは別の角度でおやりになるべきであって、そのために目前に迫っておる人命が損傷されるかもわからぬというような危険を武器に使うというようなやり方は、これは最もけしからぬやり方であって、それとは切り離して、完全に、やはり人命尊重の立場から、悪ければ悪いで直さなければいかぬ。そして所有権の移転なり、あるいは飛行場の使用なりについては、これはまた別にいろいろお話し合いをなさるのはけっこうでございますけれども、それらをやらなければやらせないというような方向というのは、私はたいへん問題があると思いますので、やはりそれとは切り離した、いま局長答弁のありましたような方向で早急にひとつやっていただきたい。  それから、角度を変えて御質問をいたしますが、この小型航空機の離発着、これはいまどのような目的で使用されておるのでしょうか。
  110. 中村大造

    中村説明員 これの使用形態は非常に種々雑多でございますけれども、従来から、たとえば測量、それから航空写真、薬剤の散布、訓練飛行、こういうことでございますけれども、最近はいわゆる公害調査等にこの航空機を使う、それから漁業に協力するとか、海洋を調査するとか、あるいは場合によっては人命救助というふうに、非常に幅広い、しかもきわめて公益性の強い業務内容というものが多く含まれておる、こういうふうに承知いたしております。
  111. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 つまり、きわめて公共性が高いということであって、いわば大都市の機能の一環としての役割りを果たしておるのではないか。これは世界的にいろいろ調べてみましても、国際的な都市に行きますと、小型飛行場というのは必ずその都市に、近傍に付設されておるわけですね。東京都はたまたま調布に従来からあった飛行場を使われておる。それがいま、返還問題から端を発して、飛行場にするとかしないとか、いろいろな問題がございますけれども、それらの問題を別にいたしましても、少なくとも大都市周辺の小型飛行場というのは、その圏内に住む国民の公益を守るためにも必要であるし、また一朝有事の際の、災害という面を考えた場合にたいへん大きな役割りを果たすものではないだろうか。  特に東京都は離島を持っておるわけですから、最近の離島との関係からいきましても、やはりその程度の飛行場というのが必要になってくるのではないか。特に公害面から見れば、ああいう羽田とか成田とかいうような大型のジェット機が離発着するわけではありませんから、住民に与える影響というのは私は少ないのではないか。その辺については、もっともっと住民とのコミュニケーションを多くして、そしてやはりその必要性から納得をしていただくとか、いろいろな方法があろうかと思います。  ところが、実際にこの書面を拝見いたしますと、東京都が一方的に三年間で返せ、こういっておるらしいのですけれども、その三年の期限が、もう来年の三月末に来るという。いわばもうあと半年そこそこという時点になっても一向にらちがあかず、たいへんに問題が複雑化しておるようでございますが、どうして三年もかかって一向に進捗しないのか、私どもちょっと疑問に思う点があるのですが、ほんとうに腹を割った話し合いと申しますか、そういうことがやられていないのかどうか。私は、この小型飛行場というものが、東京都自身もやはり、あるいは直接には使っていないかもしれませんが、間接的には相当実際に利用なさっているのではないだろうか。いろいろ実際に行なわれているあれを見てきましても、航空測量だとか、あるいは薬剤の散布だとか、あるいは新聞社もどうも使っておるようですけれども、そういうような公益性から考えて、当然そういうことが考えられるわけですが、その辺ではどういう話し合いが一体なされてきたのでしょうか。
  112. 中村大造

    中村説明員 三年という期限があと半年近くで来るわけでございますが、実は東京都ないしは地元三市との間で調布の飛行場についていわゆる理解を得るといいますか、コミュニケーションを深めるといいますか、そういう努力が従来十分であったかどうかという点については、私どもも大いに反省をいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、先ほどから申し上げましたように、この調布の飛行場というものは、他に適当な代替飛行場を求めるすべはほとんどございませんので、われわれとしてはどうしてもこれを存続して使用させる必要があるというふうに考えておりますが、それはあくまでも東京都ないし地元の十分な理解を得て行なうということが必要でございますので、六カ月という期間は、きわめて短い期間でございますけれども、私ども現に、鋭意東京都とパイプを通じまして、この問題について円満な解決がはかられるように努力をいたしておりますが、さらに努力を強化してまいりたいというふうに思っております。
  113. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 書面で拝見する限りは、私はどうも他人行儀的なやりとりがなされてきただけだ、こういうことにしか考えられないのですね。そして一向に率直にお話し合いをなさったというような形跡が実は認められないのです。ところが一方、実際に使われておるその飛行場の状態を調べますと、そういう安全性もたいへん危険になっておりますし、しかも、それらがもしも廃止をされてしまって、そのままこの近郊に小型飛行場がないというようなことになりますと、国民も迷惑をする問題がたいへんに多い。特に災害等が起こった場合の直接的な問題が出てくるのではないかとさえ思うわけです。  そうだとすれば、もう少しやはり具体的な話し合いに入られるべきではないだろうか。たとえば、この間の「むつ」の問題でも、ほんとうはもっと国民的なコミュニケーションがされておるならば、あんな摩擦は起こらないで済んだのではないか。放射能と放射線すら区別がつかない、原子爆弾と原子力の平和利用というものすら区別がつかない、そういう中で実は強行的に出港されてしまった、それによく似たような、表面的なやりとりだけしておいて、期限が来てもう強行的にやってしまうということになりますと、当然やはり何らかのトラブルが生ずるおそれがあるわけですから、やはり私は、もっともっと具体的な、そういう面において話し合いというものが早急になされなければいけないのじゃないか。本来ならば、もう三年も期間があったのだから、ほんとうはいままでに相当な努力がなされて、そして一つ一つその努力が克服されていっていなければならないのですけれども、しかし、どうも書面で拝見する限りでは一向にどうも進展がないようですし、お互いにその立場を主張しておるのみにとどまっておるという状況ではないかと思うのですが、その辺、どうなさるおつもりですか。
  114. 中村大造

    中村説明員 その書面だけをとらえてみますと、確かにきわめて表面的なやりとりに終始しておる印象を与えておるわけでございますけれども、従来から私どもといたしましても、いろいろな努力をしてきたつもりでございます。ただ、これは非常に客観的に見て十分でなかったという点は、先ほど申し上げましたように、大いに反省をいたしておるわけでございまして、現在私どもとしては具体的な提案あるいは相手からの具体的な注文といいますか、こういうものも十分お聞きするという前提で、具体的な交渉といいますか、そういうものを積み重ねてまいりたいというふうに思っておりますし、現在すでにそういう方向で接触をいたしておることを申し上げます。
  115. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 実は、ここに働いておられる方がもう千名以上に達しておると思いますね。そういう方々は、いわば雇用的な不安も実は出てきておるわけでございまして、たいへん動揺をしておられるという面も見られるわけです。特にああいう安全を第一とするような輸送業務といいますか、そういうものに携わっておられる方々については、その心理的なそういう影響がもしも事故につながったということになりますと、たいへんなことでございますので、あと半年そこそこしか東京都が指定している期限からはありませんけれども、最大限の努力をなさって、ほんとうにそこに働く人々がそういうような心理的な影響を受けないような、安心して働けるような対策を一日も早く確立をしていただきますように、私は強く要望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  116. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十四分散会      ————◇—————