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1974-09-20 第73回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月二十日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 勝澤 芳雄君    理事 野中 英二君 理事 井上  泉君    理事 野坂 浩賢君 理事 平田 藤吉君       阿部 喜元君   稻村佐四郎君       越智 通雄君    戸井田三郎君       野田  毅君    太田 一夫君       松本 善明君    沖本 泰幸君       渡辺 武三君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  委員外出席者         運輸政務次官  増岡 博之君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     山岸 勘六君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  岩崎 雄一君         日本国有鉄道電         気局長     尾関 雅則君     ————————————— 委員の異動 九月二十日  辞任         補欠選任   唐沢俊二郎君    稻村佐四郎君   左藤  恵君     戸井田三郎君   紺野与次郎君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任  稻村佐四郎君     唐沢俊二郎君   戸井田三郎君     左藤  恵君   松本 善明君     紺野与次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件(新幹線安全対策に  関する問題)      ————◇—————
  2. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 新幹線が非常に事故が多いということで国民も大きな不安におののいておる、新幹線に乗るたびに、これは定時に着くだろうかという心配をしておるということは、総裁もよく認識をしておると思うのですが、過般の事故のときに、国鉄瀧山技師長が新聞に「技術に「絶対」ない」ということを、新幹線問題で大騒ぎをしておるときに発言をしておるのでありますが、その「技術に「絶対」ない」ということは、裏返せば絶対の安全はないと言っておるというように国民考えざるを得ないわけですが、国鉄総裁、これについての見解を承りたいと思います。
  4. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  私のほうの瀧山技師長技術に絶対はないと言ったのは、きわめて舌足らずの発言でありまして、彼の言った真意は、安全に関する技術は、これだけ手を打ったからこれで十分であるということはあり得ない、したがって、いかなる手を打っても、不断にまた新しい構想のもとに手を加えていかなくちゃならぬ、そういう意味合いで、これを裏に言えば、どんなにやってもこれで安心だというものは生まれないという、何か舌足らずの発言になったと思いますが、私ども考え瀧山考えている真意はそういうところでございますので、さようひとつ御了解を願いたいと思います。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 そのように、総裁の言われるとおり理解するとするならば、絶対安全ということをまず第一番に考え新幹線運行というものはやる、こういうことですか。
  6. 藤井松太郎

    藤井説明員 御指摘のとおり、絶対の安全を考えて、現在の技術であるとか知能の限りにおいて、絶対の安全を確保すべく努力しておる。しかし、また新しい考えが出て、こういう手を打てばさらに安全度は高まるというようなことがあれば、おくれることなくそういう手を打ちたい、かように考えております。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 そこで、新幹線の絶対安全をしていく上において、現在の新幹線運行体制というものは安全の絶対化が保障されておるのかどうか、そう考えておるかどうか、その点。
  8. 山岸勘六

    山岸説明員 私どもといたしましては、絶対安全であるという確信のもとに運行いたしている次第であります。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 それは絶対安全の確信のもとに運行してなければたいへんなことですけれども、その確信が絶えずぐらついておるでしょう。その確信が絶えずぐらついておるということは、これは認識しておるのですか。
  10. 山岸勘六

    山岸説明員 私ども、過去十年東海道新幹線運営いたしてまいりました。この間におきまして、いろいろ新しい事実に直面し、新しい問題に直面して、そのつど解明してまいったところでありますけれども、不幸にしてそういう新しい事態に直面するという問題が現にまだあるということにつきましては、私ども深く反省しつつ、根本的な手をもう一ぺんあらためて考えてみたい、こういうことでございます。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 時間がないので、明確に答弁をしてもらいたいと思います。  絶対安全という姿勢で運行しておる。ところが絶対安全という状態でないというふうに、最近の一連の事故によってぐらついておるでしょう。そのことはお認めになっておるかどうか。
  12. 藤井松太郎

    藤井説明員 私からお答え申し上げます。  新幹線の絶対安全を確保するということは、申し上げるまでもなく、きわめて重要なことなんで、私どもはそういうことをやっておりますが、はたして絶対安全とおまえら確信があるのか、しょっちゅう事故を起こしているじゃないかという御指摘だと思いますが、御承知のように新幹線は……。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 そうじゃないですよ。絶対安全としてやっておるけれども、それがいまぐらついておるということを認めておるかどうかということです。
  14. 藤井松太郎

    藤井説明員 その件に関しましては、おそるべき事故になるようなものは現況におきましても発生しないであろう。したがって、小さい、とまったとかなんとかいうことは新幹線の構造上ありますけれども、これじゃあぶなくて安心ならぬというようなぐらつきは、実は感じておりません。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 これではあぶなくてしようがないという不安は現在感じてない、こういうふうに言われるということは、結局、ことばを返せば、現在の運行体制というものは万全である、こういうふうになるのですが、そう理解していいですか。
  16. 藤井松太郎

    藤井説明員 現在の体系が万全であるという確信があるかと言われると、実は困るのでございますけれども、御承知のように、新幹線ハイスピードで走りますので、何かふぐあいな、事故が起こるような状態になれば、これをとめることになっておる。つまり、ふぐあいなときには常にとまるのだという原則に立っておりますので、そうしょっちゅうとまってお客さまに迷惑をかけていいのかと言われると実は困るのだが、そういう機構になっておりますので、おそるべき事故に発展するようなことに関しては、たいした懸念は持っておりません。  数日前の事故は、これはまた別にあやまりますけれども、それ以外はそういう事故を起こしておりません。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 新幹線人身事故を起こしてないということに国鉄誇りを持っておると思うし、また私どももそのことに大きな喜びを感じておるわけでありますけれども、それが人身事故、大惨事につながるほど、新幹線運行体制というものは非常なスピード化をしているし、そして過密ダイヤである。そういう中で、たとえば総合指令所東京にあって、そこの機能が麻痺したならば、機能がとまった場合に、それを代替するところがどこにあるのですか。これがとまった場合には一切の運行をとめるということで、総裁の言われるように、これがとまったら全部汽車をとめるから事故にかかわりない、故障が起こったら汽車をとめるから事故にはつながらない。あなたも国鉄マンであるのですから、汽車をとめるということは事故というふうに考えなくちゃならぬのです。とめることは事故でない、これは道を歩かなかったら交通事故にかからぬと同じことですから、その考え方。つまり、汽車をとめることは事故である、こういうふうに国鉄総裁としてはまず第一点考えてもらわなくてはならないと私は思いますが、その点についての見解。そうして中央制御室事故があった場合は、それに対する代替があるのかどうか、その点。
  18. 藤井松太郎

    藤井説明員 少し説明が悪くて、つまり列車ダイヤが乱れることが事故ということは十分考えておりますが、ああいうハイスピードでございますので、これは大きな事故に発展するようなものがあるやもしれぬということで、とめるというたてまえをとっておるので、とめることがいいとは決して考えておりません。(井上(泉)委員「とめることは事故考えないか」と呼ぶ)とまる、列車がおそろしく一時間も二時間もおくれまして、乗客に御迷惑をかけるということは確かに事故でございますけれども……(井上(泉)委員「それでいいです。事故と思えばいい。説明は要らぬ」と呼ぶ)  それから、あとで御指摘願った東京だけの指令所でなくて、仰せのように大阪、名古屋さらに九州地区につくらぬかということは、(井上(泉)委員「つくらぬかということも言ってないです」と呼ぶ)われわれが非常に検討した問題でございまして、将来、列車回数だの何だのが多くなってきたりしますと、そういうことも検討せざるを得ないだろう。現在のものは、東京から大阪へ延ばし、さらに博多まで延ばしたということになっておりますので、東京がフェールしたら、過日の事故のように、人間を配置してこれを動かすということになって、自動的には動かぬということになる。したがって、お客さまに御迷惑をかけるということになりますので、あとの問題は非常に重要な問題でございまして、われわれのほうでも十分検討中でございます。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 その検討——それからそれが動かなかったら、人を配置するといっても、とても人を配置するようなことで、あの機能が停止をされて、それで運行できるようななまやさしいものではないでしょう、新幹線運行というものは。  そこで、この間の三菱の会社の中で爆破事件があった。そのようなことがかりに東京駅の中で発生をした場合、これは人のやることですから、またこれを防ぐ余地もあると思いますけれども、いわゆる防犯の措置もとれると思いますけれども、たとえば火災あるいは落雷そういうようなもので——一カ所にあれが集中しておるでしょう。説明を受けると、これが故障でもこの次、これが故障でもこの次というように三段階の操作がなされておる、こう言われるんですけれども、それは全部一カ所でしょう。その一カ所の中にあるということが問題であって、少なくとも指令室のいわゆる副のようなもの——国鉄総裁があれば副総裁があるでしょう、自民党総裁があれば副総裁がある。これにとってかわっていつどんな場合でもやれるような場所というものをつくっておくということが、今日私は検討段階じゃないと思うのです。もうすでに実施計画段階でなくてはならないと思うわけですが、その点について総裁見解を承りたい。
  20. 山岸勘六

    山岸説明員 CTCの、いわゆる新幹線の頭脳が一カ所にあるという問題につきまして、私どもも長年の間勉強いたしてまいりました。これがだめになって、たとえばこれを博多にもう一つ持っているというような状態の場合に、これがふだんにおいてうまく両方で働くかどうかということになりますと、これは一つ遊ばせるという結論になるわけであります。そうしますと、結局それならば同じ個所において二重系、三重系で安全にしておいたほうがよろしいというような結論で現在まで至ったわけでありますが、いま先生のおっしゃいますように、たとえば爆破事故があるというようなことになりますと、おっしゃられるとおりにアウトであります。新幹線アウトであると私ども考えているわけであります。ただ、これを東京の別の個所に置くことがより有利であるか、あるいはまた博多に置いておくことがより有利であるかということになりますと、非常に問題のあるところでありまして、私どもは、やはり中心に予備を置いたほうがより運営としてはやりやすいのではなかろうか、こんなふうな考え方を持ちつつ現在勉強中でございます。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 それは中心に置いてよいのかあるいは大阪に置いてよいのか博多に置いてよいのか、そういうことは専門家のあなたたちで判断をすべきことであって、われわれがとやかく注文をつけるべきではないと思うのですけれども、とにもかくにも現在一カ所に集中をしておるということに問題があるわけだから、これをもう一カ所なにすれば、もし東京がとまっても別のところですぐ切りかえる。その間には何時間も時間的なものはないわけだから、これは車をとめることを事故だと考えるならば、そういう間髪を入れずそれと同じようなものが動き得るような——それは幾つ幾つもつくれとは言わないわけですけれども、少なくとも一カ所ぐらいはそれだけのものをつくっておくべきである。それに対して国鉄総裁はそれを真剣に考えておるのかどうか。  それからまた、それに対して政府は、そういうことを必要と認めないのかあるいはそういうことは政府としてもやらねばならないと考えるのか、これをひとつ、政務次官がおいでになっておりますので、政務次官から政府見解を承りたいと思います。
  22. 増岡博之

    増岡説明員 運輸省といたしましては、先月来、いろいろな故障につきまして、その原因究明対策について国鉄に指導いたしておるところでございまして、先生指摘のような問題につきまして、まだ運輸省といたしましては、そういうふうな結論を出し、国鉄に指導するというところまで至っていないわけでございます。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 いや、それに至っていないとしても、これは政府としてそういうことは必要であるかないか。これはやはり政治家として、政府として判断すべきだと私は思うのですが、あなた、それはもう検討せねば、そういうのが必要であるとかどうとかいう御返事はできないですか。
  24. 増岡博之

    増岡説明員 かなり専門的な技術的な検討を要する問題であると思いますので、即答はいたしかねると思います。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 何もこれは、私も全く専門的な技術も何もないのです。国民の常識として、中央制御室が一カ所しかない、一カ所に集中をしておる、その集中しておるものに対する予備的な、副次的なものがないということ、ここに私は大きな危険と不安を感ずるわけだから、だからそれを積極的に——国鉄当局はいま検討中だ、こういう通り一ぺんの答弁であるわけですけれども、これはもうかなり決断を持って取り組まねばならないことだと私は思うわけですが、これについての総裁の御意見を聞きたいと思います。
  26. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  ごもっともな御指摘でございますが、指令所——実はこういうことを申し上げていいかどうかわかりませんけれども、つくりますと何百億という金が要る。しかるに、三菱事件であるとか落雷東京センター機能が全部破壊されるチャンス、といっては悪いんだが、そういう可能性がどの程度あるだろうかということもやはり考えざるを得ないので、かりにそういうことが何十年に  一回というようなことならば、列車をとめることによって国民に御不便をしのんでいただくという考え方もあり得るわけでございまして、私は検討中と、それから運輸政務次官のおっしゃった意味はそういう意味でございまして、これがあまり金かからずにできるということなら、もうお説のとおりなんだけれども、ほんとうに金がかかる。しかも、そういう事態が、必要が生ずるチャンスがどれぐらいあるだろうかというような、実はそういう考えが根底にあることを申し上げておきます。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 総裁、何百億要る——これは大体どれくらいのものか、これはひとつ常務理事さんのほうからお答え願っておきたい。
  28. 山岸勘六

    山岸説明員 約二百億ぐらいかかるものと思います。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 二百億ぐらいの金、たいした金じゃないですよ、それは。  そこで、安全のためには人も金も惜しんではならないということ、これはもう安全対策の上においての不可欠なことなんです。私は四国ですけれども、橋を三つかけるとかいうような、そんな橋を三つかけて四国新幹線を走らすとかいうようなことをやってもらわぬでもいいです。それよりもむしろその金で、これが二百億なら、新幹線の本四架橋になれば四千億も五千億もかかるのです。それから見ればほんの一部分、一割にも足らない、五%。一つの橋の五%しかかからない。その金を、国鉄総裁万が一ということを考えた場合にこれは当然なすべきことじゃないか。どうもあなたは政府に遠慮しておるんじゃないか。国鉄の安全を確保するために、安全運行を確保していくためにはそれくらいのものはしていかなければならないんだ。そういうものは必要だとお考えになっておる。必要だが金がよけいかかる。そうしてその事故が、そういうことにおける故障万が一状態であって何百年に一回か、こういうふうなおとぎ話のような、夢物語のような事故のことを考えずに、現実に制御室事故というものが、故障というものが、きょうの朝日新聞の特集の中にも何回かあったことが載せられておるわけですから、それの一つ故障でも次が次がということでやるから、この機能というものは全うされておるわけです。だから私は、二百億の金ぐらいをけちって、そのことにおじけづいて、そのことの構想に足踏みをするということは、国鉄安全輸送というその大使命の点から考えて、これは国鉄マンともいうべき誇り高い総裁が言うべきことばじゃないと私は思うのですが、どうですか総裁
  30. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  国鉄は、御承知のように、なおおしかりを受けておるように非常に貧乏なんで、二百億の金が惜しいという意味にあらずして、二百億の金がより高い価値を発揮するような使い方がほかにはないかというような懸念があるということで、私が申し上げた、センターが全部爆破されて全部機能がとまるというようなことはまさに非常事態であって、これは何十年に一回もそういうことが起こられてはかなわぬので、その間のお客輸送の乱れを防止するために、二百億にしてもそういうものをつくっていいかどうかということに疑問を持って検討しておるということでございますが、私が先ほど検討したという意味は、全部九州から東京へ情報を収集するということは、これは物理的に考えても端っこのほうから号令をかけているというようなことで、まあ無理とはいわぬにしても、やはりまん中あたりでぎゅっとやっているほうが技術的にやりやすい。そういう意味合いもあって、複数の指令所をつくるべきじゃないかということを検討しているということで、先ほど申しました、それが爆破されるということを考えてというような感じには実はなっていないのでございます。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 爆破されるというたとえが、たとえばそういう問題、あるいは落雷、あるいは三つのうちの一つ場所故障が起こるという場合に、より安全なものが、より安全な対策が立てられておればこれは万全であるから、その万全の策を講ずるために二百億の金というものは決して高くない。そのことを国鉄自身国鉄自身の金でやろうと考える中に、やはり自分の経理のことがうるさいから、これは二百億も出すとたいへんだ、こういうように思っておるでしょう。しかし、やはりこれは国民の問題であるから、ここで私は、増岡政務次官がそういう点についてもっと安全の対策のために、そしてまたそういうものが必要だという意味において検討しておるならば、それに要する経費が二百億かかろうが三百億かかろうが、これは実際やるべきである、来年度の予算にはそれくらいのことは要求してやろうじゃないか、そういう決意があってしかるべきだと思うのですが、どうですか。
  32. 増岡博之

    増岡説明員 ただいま先生の御議論を聞いておりまして、二重にそういう設備をつくることが、あるいはまた配線その他でより複雑になって、その結果思わざるところに故障が起きるということも、私、これはしろうとでございますからわかりませんけれども、そういうこともあわせて、より安全な方法、施設というものをつくるように検討させる、あるいはまた先生指摘のように、安全の問題について銭金を惜しむということは、これはあってはならぬことでございますので、そういうことも含めまして検討さしてみたいと思います。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 これは専門常務理事にお尋ねするわけですけれども、いま政務次官が言われるような架線関係がダブるとかいうようなことは、これはないでしょう。  それで、あなた自身は、これは銭金勘定、銭のこととかいうようなのは抜きにしても、やはり万全な運行体制をやっていくためには、そういう、いま総裁も言われたような複数的なものをどこか中心的なところに置くのか、あるいはまた東京都内に置くのか、そういうことは検討しても、やはり必要だという認識の上に立って検討しておると思うのですが、どうですか。
  34. 山岸勘六

    山岸説明員 新幹線がより安全にという現時点の状態に立ちまして、何が必要かという御質問に相通ずるものかと思うわけでありますけれども、先ほどちょっと適切でないと先生がおっしゃられた爆破の問題でありますけれども、かりに爆破でなくとも、たとえば陸橋からものを落とすというような問題、それからまた、私ども自体としていま新幹線を丈夫にするには、たとえばレールを重軌条化にしなければいかぬとか、あるいはまた架線の問題、保安装置の現状について改善を進めなければいかぬというようなことは、全体の中で判断をすべき問題でもありましょうし、現段階まで、私ども、東北新幹線あるいは上越新幹線指令所をどうするか、どこに置くかというような点からの研究の結果では、やはり東京に置いておいたほうがより効果的な運営ができるというような見解に現在立っている次第でございます。したがいまして、私どもといたしまして、いまおまえに二百億やるから新幹線を安全にするようにそういうふうにやれとおっしゃられましても、私はちょっと決心いたしかねるんじゃないか、このように思います。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 もう時間がないので質問を打ち切るわけですけれども、大体、きょうの朝日の中を見ても、事実、利益をあげるということに集中をしておる。私、人の関係等についても質問をいたしたいのですけれども、これは後日に譲ります。  そこで、技師長たる者が、国民新幹線で非常に迷惑を受けて、そして何時間も列車内とかあるいは構内で困られておるときに、「技術に「絶対」ない」これはまあ舌足らずであるということで総裁は釈明をされたのでありますけれども、「技術に「絶対」ない」と同じように、安全の上にも安全を、安全のためには人も金も惜しむでないということは、これは運輸大臣もたびたび言っておることでありますので、国鉄がこの際、新幹線の総点検をやり、そしてそのより安全な方向を見出すということに対して、金がないからということをまず頭に置いてものごとを考えずに、金はあと回しにして——金がなければ私は橋をとめてもいい。これは四国の四県の県民も、新幹線のより安全のためなら橋を三つかけるのを一つにしてもよろしい、これだけの気持ちは十分にあると私は思います。そういう点からも、国鉄総裁は、金があったらこうするのだがという考え方ではなしに、こうしなくてはならないということをまず前提に置いて安全対策というものを考えていただきたいと思いますので、その点についての総裁の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  36. 藤井松太郎

    藤井説明員 先ほど申しましたように、国鉄は非常に貧乏なので、貧乏やつれがしているということだろうと思いますが、おっしゃる御趣旨はごもっともでございますので、気宇を広大にして安全性考えていきたい、かように考えます。
  37. 太田一夫

    太田委員 関連をいたしまして国鉄総裁にお尋ねをいたしますが、幾ら金を出しても安全がないというお話をちょっといま承りまして、非常に不安を感じておるのですが、いま国民新幹線に対して一番心配をしておるのは、いまの条件ではたして安全であり得るかどうかというその点なんです。いろんなことが起きましたね、車両火災もあれば、車両老朽化に伴うところの車軸の折損事故もあれば、いろいろな各種の付随物の落下事故もあれば、あるいはドアをあけたままで発車するというような事故もあった。あるいは線路の荒廃につきましては、レール折損が四十七年度統計でも六十七件もあったというようなことで、思うとおりにレール更換も進まないでいまなお五〇%程度だ。あるいは架線の摩耗につきましては、先回の米原駅の大切断事故等もありますように、非常に摩耗し尽くしておるように伝えられておる。さらにATCの不安、列車の保安というものにつきまして非常に不安全なものがあるということも、ついこの間の東京の運転所の事故のとおりなんです。そういう点から、さらに加えて災害の対策はどうかということになると、最近いわれておる地震対策などというものは、とまるということはあっても、安全という説明がなかなかしにくい状態がおありのようなんです。そういう点から、国民新幹線に乗ることが安全だろうかどうか非常に心配をしておりますので、その点についてひとつ基本的なお答えを承りたいのでありますが、私のほうの見解をもってするならば、ひかりは昭和三十九年十月開業当時一年有余にたわって最高時速百七十キロ、この百七十キロを限界といたしまして東京大阪間はいまよりも五十分長い時間で運転をしていた。東京−名古屋間におきましては二十六分長い時間で運転をしていた。この当時が一応実は一番安全であったのではなかったか、こういう意見があるのです。  私は、この際、総裁の御見解を承りたいのは、当初の百七十キロに返って、そうして絶対安全をはかるという御意思はないのかどうか、その御検討をなさる気持ちはあるかどうか。百七十キロの利点は、いざ何か事故があったとき、緊急制動をかけた場合のスリップ距離においても二百十キロの約半分なんですから、そういう点でも非常に安全度が高いわけなんです。それを二百十キロというスピードの壁に挑戦をするかのごとく走って走って走りまくるということは、即、国民に大きな不安を与えておると思うのですが、その点についてひとつ御見解を承りたいと思います。
  38. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答え申し上げます。  新幹線の開業当時、私は技師長をやっておったのでございますが、三時間で走れますと国民に公約したようなことで、実は三時間をこすことはだいぶん心情としてはつらかったのだけれども、その当時は路盤が固まってないから、遺憾ながら一年ほどはスピードダウンをしたということで、その後路盤も全部固まってきて、初めは初期故障と称するものがずいぶんありまして、一、二年はずいぶん故障があったのですが、三、四年たってきわめて安定してきたという状態でございましたところ、最近非常に事故の件数、つまり列車のとまるようなことが多くなったということでございます。これは決して言いわけじゃないのでございますけれども、開業当時は列車三十本ぐらいしか動いてなかったものが、いまは百二十本動かしているということでございますから、バッテンもらうことはよくはないのだけれども、同じだけの比率でバッテンもらったら四倍になる、これは算術の上でそうなる。私はそういうことだろうと思って実は検討させましたら、いやいや一番安定したときよりもそういう算術しても二倍近く最近の列車のとまる事故は多うございますよというようなことで、実はおそれ入っているのでございます。そういうことでとめることは、先ほど来おしかりを受けているのでございますが、あほの一つ覚えみたいなんで、あぶなかったらとめるのだということしか知らぬのでとめる、とめればたいていのあれは二、三時間か何かで原因が究明できて対策を講ぜられるということになっておるので、あほの一つ覚えみたいにとめてはおりますけれども……。  軌道にいたしましても、それは先生指摘のとおり、最近はやたらに動揺が多いぞというようなおしかりもしょっちゅう受けておりますけれども、しからば軌道の狂いがどうなっているかというようなことは、毎週検測車を出してはかっている。架線のほうも検査の車を走らしておるというようなことで、あらわれたところの数字だけを見るとあまり悪くはなってない。  しかし、車両は十年ぐらいたちまして、足回りとか神経系統みたいなところはしょちゅう取りかえておるけれども、からだのほうはやはり多少関節がゆるくなったというようなことは、これは起こり得ることで、そのために動揺が多いのではないかということで、最初に走っておった車は漸次取りかえていく、取りかえるまでに何か弱点のはっきりしたものは対策を講じていくというようなことで、国民一般なかんずくプレスが書くほど私は劣化しているものと思っていないのでございますけれども、最近の事故はどうだと言われると、これは申しわけない、かように考えております。
  39. 太田一夫

    太田委員 おそらくいまさら計画に大きな手抜かりがあったとおっしゃることは、あなたのお立場からできないだろうとは思います。しかし、このような最近の幾多の事故というのは、レール折損六十七件の四十七年度の統計にいたしましても、それは重大な結果を招来するおそれのある問題なんです。  この間の東京運転所の事故などは、一閉塞区間に一個列車であるべきだという閉塞の原則、これが完全に一番近代的な機械構造によってこわされたのですから、これはたいへんなことです。  そういう点から言うて、とにかくあの高速運転というのは、あなたのほうの安全綱領にも違反をする冒険主義だとしか思えない。ですから国鉄は、もうちょっと安全であり、愉快であり、正確でありという三条件を満たすために、ひとつ営業方針の再検討を行なってみる必要があると思うのです。もうけんかなではいかぬと思う。国鉄安全綱領には「安全は、輸送業務の最大の使命である。」と書いてある。もう一ぺんそこに戻ってもらわなければいかぬのですよ。人は足らない、補修人員は下請化していくことによって技術水準は低下するというような問題もありますし、幾多の問題がある中に、なおかつ無理に走る必要がどこにあるか。当初の百七十キロ最高スピードならば、地震のときの対策がほとんどおたくのほうにないことは私どもりつ然としておるのでありますが、とまることはとまる。二百十キロのスピードだったら、少なくとも平たん線において二千二百メートルもスリップするじゃありませんか。おそるべきことなんです。この際、開業当初の百七十キロで走った当時に戻るということを再検討してみる、それが安全であり、一番国鉄の使命に忠実なるゆえんではなかろうか、国民の期待にもこたえる道ではなかろうか、そういう点について私は一ぺん考えてもらいたいと思う。常務理事いかがですか。
  40. 山岸勘六

    山岸説明員 私、担当いたしておりまして、新幹線を見ておりまして、二百十キロだからあぶないという現象は私としては認めていないわけであります。  なお、この二百十キロ問題につきまして、非常に高速であるということは私も自覚しておりますけれども、これに対するさらに技術的追求というものは、それ以上のスピードでもっと安全かどうかという一つのチェックの方法があるわけでありまして、私ども、たとえば山陽新幹線も二百六十キロの規格で線路はつくっているわけであります。また、東北、上越等もそのようにつくっておりますけれども、それに対してはまだ十分な自信というものは得ていないので、これから試験に試験を重ねてこれに対応していかなければならない。自信がないものはやるべきではない。しかし、この過程におきまして、二百十キロというものに対する安全性をもっと高めていくということは、必ず私ども勉強しなければいかぬ問題であるという、そういう理解のもとに、この問題に対処していま研究を進めておるところであります。
  41. 太田一夫

    太田委員 ありがとうございました。見解は異なりますが、時間がありませんので終わります。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次に、平田藤吉君。
  43. 平田藤吉

    ○平田委員 きょう問題になっております新幹線事故ですが、たいへん国民に迷惑をかけております。乗客にたいへんな迷惑をかけておりますが、総裁、このことについてどう考えておられますか。
  44. 藤井松太郎

    藤井説明員 きわめて申しわけなく存じております。
  45. 平田藤吉

    ○平田委員 具体的な問題に入って質問したいのですけれども、九月十二日の新幹線東京運転所構内における信号の異常現示について質問したいと思います。  問題の一二〇A列車がポイント直前でゼロ信号を受けて停止しております。これは七一〇A列車がそのポイントを越えて進行してはいたけれども、ポイントを中心にする閉塞区間内にいたためにゼロ信号が出たというふうにいわれております。もし、この七一〇A列車がもう何秒か早くその閉塞区間を抜け出していたら、一二〇A列車はどのように進んだか、このことについてひとつお答え願いたいと思います。
  46. 山岸勘六

    山岸説明員 お答えいたします。  一二〇A列車は、問題のポイントのはるかかなた前で七一〇A列車の閉塞を受けまして一たんとまっておるわけでございます。その後、閉塞開通に伴いまして、三〇信号を受けて出たわけでありますけれども先生のおっしゃる事故は、問題の異常信号を受けまして、それからとまるべきところを通過いたした後の問題でありますけれども、もし運転手が前方を見ないで運転したならばポイントを割り出したであろう。しかしながら、非常に高速で割り出す可能性があったのじゃないかということは、これは高速で走るべき信号も出ておりませんから、そういう状態にはなり得ないのでありますけれども、状況から見まして、運転を継続したならばポイントを割り出し、脱線したであろうことは当然考えられる次第であります。
  47. 平田藤吉

    ○平田委員 先ほども言われましたけれども、一閉塞区間には二本の列車は入らないことになっておりますね。それが入っておるわけですよ。異常信号を受けて七〇信号で発進している。ですから、七一〇Aがもしそのポイントを中心にする閉塞区間を抜け出していた場合には、これはやはり一定の速度で行っただろうというふうに考えられるわけですよ。おっしゃるように、鳥飼事故と同様にポイントを割り出していっただろうというふうに考えることができるわけです。これは、一閉塞区間に二本の列車が入るというとと自体が、新幹線の安全の原則がもうここで破られているということが一つと、もう一つは、たまたま何秒かの違いで七一〇Aがまだ閉塞区間内にいたという、しりが入っていたということから、ポイントの割り出しにまで至らなかったというだけの問題ですね。ですから、たいへん重大な問題だというふうに考えるわけです。  問題の一二〇A列車は、本線上で待機していたところ、突然七十キロで走れという信号が出たわけですね。正常ならばここは三十キロということで、注意信号ということになるはずなんです。それなのに七十キロで走れという信号が出た。このような異常信号が出ることは予測できたのかできなかったのか、この点についてお答え願います。
  48. 山岸勘六

    山岸説明員 この十三時四十八分ごろのいわゆる混触検知装置に対しまして、誤って予備電源をつないだという誤操作がありまして、このあと一分間で所定に戻しているわけでありますが、この誤操作による一分間の間に発生いたしました七〇信号でありますけれども、これは明らかに出るべき信号ではありません。私どもといたしまして全然予想していないものでありました。したがいまして、そのあとの念には念を入れた操作になったわけでありますが、全然予想をしていないものであります。
  49. 平田藤吉

    ○平田委員 あなた方の調査報告書によりますと、二ページの「対策」のところでこういっているのです。「混触検知装置が動作したとき、ATC信号電流を断つ方法を図2のように信号を発信する回路もしゃ断ずることとし、試験した結果、有効であることが確認されたので、十四日四時三十分までに改良を実施した。」「(2)東京・岡山間における三十五箇所の信号機器室(品川を除く)についても、同様な現象が発生する可能性があるか試験した結果、異常のないことを確認したが、念のため、前号の対策を直ちに実施することとした。」というふうにいわれております。私も、これは案内していただきまして現地調査をやってみたわけですが、いわれるような処置をとったということを聞いてきております。しかし、こういうふうにいわれてはいるけれども新幹線全体で今後ATCによる異常信号は根絶できるんだと断定できるのかどうか、お聞かせいただきたい。
  50. 山岸勘六

    山岸説明員 私ども断定できると思います。その理由は、この三十六カ所の信号機器室からのみ発信しているわけでありますけれども、ここにおいてその発信する搬送波、信号波、両方とも切るような措置をとりましたので、私どもとしては確信を持っているわけであります。
  51. 平田藤吉

    ○平田委員 確信を持っておられるのはけっこうだと思うのですけれども、予測できない事態が現に起こっているのですね。現実に起こっているのですよ。あの問題は、ある程度これだろうという判断がつくところまでいったからあなた方はそう言っているだけなんだ。現実には予測できない電流によってああいう事態が起こっているわけですから、断言してしまうというのはたいへん問題がある。これはあとでも触れたいと思います。  国鉄当局が、今回の事故をこれまでになく重視し、列車を長い時間とめて調査したわけですけれども、これまた異常なことだったというふうに思うのです。なぜ国鉄当局が重大視したのか、それは、説明によれば、国鉄が、新幹線はフェールセーフの原理が働くから安全である、こういうふうに言い切ってきたのに、その原理がくずれるという事態に直面したからではないのかということなんです。つまり、新幹線はどんな場合でも、間違いが起こった場合でも安全の方向に働くようにできているとあなた方は言ってきたわけですね。今回は安全ではなく危険の方向に働いた、だからあなた方は重視したのだというふうに理解してよろしゅうございますか。
  52. 山岸勘六

    山岸説明員 けっこうでございます。
  53. 平田藤吉

    ○平田委員 フェールセーフの原理が破られた以上、今後は絶対にこの原理は貫かれると断定してはならないと私は考える。絶対安全だと断定してかかる場合、事故を事前に防ぐことは困難になると思う。絶対安全だと断定せずに、絶えず注意を払って、そうして安全のために全力を尽くすべきであるというふうに考えますが、どうですか。
  54. 山岸勘六

    山岸説明員 もちろん私ども確信を持って運行いたしておるわけでありますけれども、さらにそういった、まだわれわれの気のつかないものがないかというような立場に立っての勉強というものは、先生のおっしゃるとおりだと思います。
  55. 平田藤吉

    ○平田委員 総裁、同じ問題で絶対だいじょうぶだなんといういままでのいわゆる新幹線の神話といわれるようなものは捨てて、もうこう繰り返されてくるのでは、やはり絶えず注意していく立場から、安全だと考えていたってこれはどんな事態が起こるかわからないという立場から、重要な部分については絶えず注意を払うべきだというふうに考えるが、どうですか。やはり絶対安全だと言い切りますか。
  56. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  過日の事故はこれはきわめて重大なる事故で、われわれはATSというものは、先生指摘のようにフェールセーフの方向に働いて事故を起こさぬものであるという、これを神話とかなんとか言われるかもしれませんけれども、さように考えておりまして、事実それを裏づけるように、十年間は小さいマイナーな異常現象みたいなものは絶無とは申しませんけれども、とにかく間違いなく働いておったというものが、今回は出すべからざる信号をATSが出したということで、これは重大なことなので、三十一時間かかりましたけれども、全部動員して究明して、対策も原因もわかったということでございます。ところが、先生非常に御専門家のように見受けられるのでおわかりだと思うのですが、信号電流はあれなんです、七十キロで走れとか百二十キロで走れとか、いろいろな信号線がケーブルの中に入っているわけです。それを、仕事する者があやまってつるはしでも空っ込んだら、これが絶縁が破れて信号電流がくしゃくしゃになってしまう、これは一大事だからそういう事態が起こったら全部電流を切っちゃってとめろというたてまえになっている。それで、運転所において、これは予備線のほうですが、これの保守をやっていた男があやまってつるはしをたたき込んだような状態をつくっちゃった。したがって、列車はとまって動かなければこれは何でもないのですけれども、そのときに電流が流れたということで、それを究明しましたら、信号所の下に変圧器がありましてこれが発信しておったというので、これを取り除くと同時に、二つの信号電流とその電流を運ぶやつを、運ぶやつだけを従来は切る、これで切れると思っておったのだが、今回の事故でこれを切ってもこんなところから入るやつがあるから、信号を切ればもう絶対流れないというので信号のほうも切ったというようなことで、これは十二日の事故はまことに申しわけないのですけれども、まあ、皆さんがおっしゃるように、私どもは多数の人命を神話に乗せて運んでいるつもりは絶対にないので、ここは、現在の時点において科学的にこれが安全である確信のもとにやっているということだけは、ひとつ御理解願いたいと思います。
  57. 平田藤吉

    ○平田委員 確信はけっこうなんですよ。大いに確信を持たれることはけっこうなんです。しかし、絶対に安全なんだという立場からものを見ていちゃだめなんだということを今度の事故は教えているのじゃないか、私はそう言っているのですよ。  ATSじゃなくてATCですよ、あれが問題なんですから。ですから総裁、私が指摘しているのは、今度の事故、これは鳥飼の事故もその前後にあった大阪での事故も同じなんですよ、本質的に同じものを持っている。だから、絶対に安全なんだという立場から問題を見ていたら、危険な部分を発見することはできませんよ、進歩はとまりますよということを言っているのですよ。そこのところをあなた方理解してもらわなければ困ると思うのです。時間が迫っていますから次へ進みますけれども……。  そこで、私は今度の事故関係から、現在の状態のもとでの一つの提案をしたいと思うのです。安全の上にも安全を期するという意味で提案したいわけですけれども、現在の信号システムのほかに、いま一つの信号システムをつくって、その両方の信号が同じである場合に限って列車が動くという仕組みをつくってはどうか、そうすれば安全度は現在よりも高まるのではないかというふうに考えるわけです。いまは一つのシステムですが、しかし二つのシステムで頭脳も別々にして、そしてそれが列車に行って、そして両方とも一致している場合にのみ信号が出るというふうにすれば、いまよりも安全度を高めることは可能なんじゃないかというふうに考えるわけですよ。ですから、こういうふうにした場合にいまよりも安全度が高まると考えるけれども、その点どうなのかということをお答え願います。
  58. 山岸勘六

    山岸説明員 ちょっと前提を言わせていただきますと、現状は三重系と私ども承知しているわけでありますが、これは先生のおっしゃるように、波としては一つでいくわけでありまして、それをチェックするシステムが車上で三重系になっておるわけであります。   〔委員長退席、井上(泉)委員長代理着席〕 先生のは、波として二つを使って車上でやったらいいじゃないかという御提言でございますが、一つ考え方であろうかと私ども思いますし、もしそれが技術的にできればより安全であることも確かではなかろうかと私は思いますけれども、まだ十分に技術的にどういうことが問題か、できるのかできないのか、そのほかの手はないのかというような面からもあわせて研究させていただきたいと思います。
  59. 平田藤吉

    ○平田委員 いま常務理事からおっしゃったように、やはり一つの提案ですから、検討の対象として検討していただく必要があるというふうに思うのです。  それから二つ目は、現在起こってくる事態をずうっと見ますと、いずれもポイント地点が多いのですね。ですから、このポイント地点が一つの問題点であるというふうに考えられるわけです。そこで、ポイント付近に緊急に特別に現在と異なるシステムの信号を設置して安全を期すべきだ。全体が、いま言ったように一つのシステムにもう一つのシステムをつくって、二つのシステム、二重システムで運行する、これができれば一番いいのですが、これができるまで考えているというのではしようがないから、ポイント地点が事故が多いんだから、ポイント地点に特別のシステムをつくって安全を期すべきではないのかというように考えるわけですが、どうですか。
  60. 山岸勘六

    山岸説明員 ポイントの問題で一番の問題になりましたのは、確かに鳥飼の事故だと思います。それから、今回がその可能性を持っておった事故、内容的には違いますけれども、ポイントの問題をはらんでいるわけであります。これにつきまして、もともとポイントのところにはゼロスリーという一つのシステムを持っておりました、他のところに持っていないものを持っているわけでありますが、これを越したところに問題があるわけでありまして、鳥飼事故以後、その前にQ点というような、もう一つ常時とまらなければいかぬところでもしとまらなければというのを、さらに二重にいたしまして対処しておったところ、今回の事故がさらに発生したわけでありますが、今回の事故は全く性質の違うものでありまして、七〇信号というものを出しているわけでありますから、その点についての考察は、そういう信号の出ないという面から考察を払っていったわけでありまして、いわゆる鳥飼事故のような形でのポイントオーバーというものに対しましては、万全を期しているつもりであります。今回は今回で、別のシステムからの問題でありますので、その別のシステムに対して十二分に対応している、このように考えております。
  61. 平田藤吉

    ○平田委員 いまそうおっしゃったけれども、鳥飼事故の問題はまたあとでちょっと触れますけれども、新大阪でやはり同じような事故があるのですね。側線から出てくるのと本線を走るのと同時発車をする。本線を走っていた列車が七〇信号を受けていた。側線から出ていく列車も七〇信号で同時発車をしたという事態があるわけですよ。これはあなた方の調査によると、本線から七〇信号が流れてくるのをチェックするところに故障があった、こう言っているんだけれども故障じゃなくて、よく見ると、そのチェックする装置自身は生きている。ところが、そのまわりに鉄粉やら何やらがあって、そのレールからではなく、鉄粉を通じてチェック個所を越えて本線の七〇信号が側線へ入ってきた、そのために同時発車するという事態が起こっているのですよ。ですから私は、そういう意味では、関節、関節がどうも調子が悪い、ここのところはやはり特別に検討すべきじゃないかというように考えております。  それからもう一つの問題は、今度の事故を通じて明らかになったわけですけれども、さっき総裁も言われたように、混触検知装置が働いて間違いがあったときはスイッチを切るというシステムになっている。この混触検知装置ですけれども、現地へ行っていろいろ聞いたのですが、結局、機械の中で混触が起こった場合には搬送波発信装置ですか、これのスイッチが切れるという仕組みになっている。ところが、混触が起こったときは切れるけれども、ちょっと時間が経過して何かのかげんで直れば、再び自動的にスイッチがもとへ戻る、つまり混触装置が働かなくなって正常に作動するようになる、こういうシステムだというふうに説明を受けてきているわけです。もしそうだとすると、ことに一つの疑問が出たわけですけれども、これは、機械の中に混触が起こった場合でも、人が調べてスイッチを入れない限りは入らないという、自動的にもとへ戻るスイッチではなくて人が手を入れない限りはもとへ戻らないというスイッチにしておくべきだというふうに思うのですね。そうすれば、起こった事態をすぐ検討することができるわけです。自動で戻っちゃうというのはだめなんですよ。調べることができなくなる。そういう意味でこの装置自身についても再検討すべきというふうに思うのですが、どうですか。
  62. 尾関雅則

    ○尾関説明員 お答えいたします。  先生の御指摘の点も含めまして、混触検知回路装置だけでなくATC全体を謙虚な気持ちでもう一度見直してみるということをやりたいと考えております。
  63. 平田藤吉

    ○平田委員 次に、鳥飼事故についての幾つかの問題ですけれども、これはこれまでにも指摘してきたのですけれども、この事故の教訓を生かしていくことは、今後の安全対策考える上で非常に重要だと思うのです。この点で国鉄見解を具体的にただしたいのですけれども、昨年二月二十一日に起きた大阪基地、鳥飼基地での脱線事故、これは車両基地から出た回送列車が下り本線に入るポイントのところで脱線した事故なんです。この事故の原因を今後とも究明する姿勢があるかという問題です。今回の事故に照らしてみて、もう一度あらためて原因を明確にすべきではないかというふうに考えておるわけです。  たとえば鳥飼事故では、開通状態になっていないポイント向かって回送車が走りだしたわけですけれども、この場合、出発信号の七〇信号がなぜ出たのかという具体的な事実について、調査報告書はこう言っているのです。「このように本線側にポイントが開通している場合には連動回路により三〇信号しか出ない仕組みになっている。この状況において仮に七〇信号を現示すべき電流がレールに流れたとすれば、信号回路内で正当な三〇信号回路が故障により断たれ、他方、出てはいけない七〇信号回路が何らかの理由で出力したと考えることとなり、両者は全く別個の回路であって同時に故障が発生すると考えることには、大きな無理がある。」こういうふうに説明しているのです。しかし、今回の事故の事実でも明らかなように、ゼロ信号の回路でなければならないのが七〇信号が出たわけで、同時に二つの事故、いわば信号の異常現示が起きているわけです。したがって、この事実に立って鳥飼事故の場合も再調査を行なうべきではないかというふうに思うのです。あなた方はここのところについてはあまり重点を入れてないのですよ、あの報告は。  同時に調査報告は、七〇信号が出た場合の原因としては次のように述べております。「したがって仮に運転台で七〇信号を現示したとしても、機器の主要部ではなく、運転台の端末一重系回路部分、たとえばランプ表示回路の異常な誤接触以外には考えられない。しかしながらこの場合でもATC内は三〇信号で制御されており、安全は保たれている。」というふうに結論づけているわけです。しかし、今回の事故の最も重大な問題は、新幹線のATC装置が安全サイドに働かずに、より危険な側に働いたということです。この事実に立って見るならば、鳥飼事故の場合でも、ATC内は三〇信号で制御されており、安全は保たれていると結論づけるのは困難だというふうに考えるのです。事実、回送車は絶対停止区間を越えてポイントまで乗り上げたではないですか。  以上の事実から見ても、鳥飼事故も総合的に再調査されるべきだというふうに考えるわけです。いまお答えがありましたように、この電気系統の全般にわたってやはり再検討してみる必要があると思うのです。私は、鳥飼事故は今度の事故が起こる以前に結論を出していますから、今度の事故も含めて、七〇信号が鳥飼でなぜ出たかという問題をあらためて検討すべきだというふうに考えます。その点についてあなた方のほうはどう考えるか、ひとつ聞かしてください。
  64. 山岸勘六

    山岸説明員 鳥飼の事故につきましては、昨年の十月、私、就任してすぐに、総裁から、いま先生のおっしゃるような声があるけれどもおまえも真剣にこれと取り組めということでございまして、私、おそらく五回ぐらい繰り返し資料をひっくり返して見たんでありますが、先生おっしゃる七〇信号というのは、入出庫線から出なさいというときは七〇信号でなければ出られないわけでありまして、当然出たわけであります。問題はゼロスリーというそこを越えてはならないところ、ポイントが開通しておりませんから越えてはならないところを越えたというところに——そのときに七〇信号が出ておったという問題があるわけです。これは乗務員がそう言っておるのでありますけれども、あらゆるあとの証拠書類には三〇信号の証拠書類しか全然ないのでありまして、七〇信号が出て、七〇信号によって運転されてあのゼロスリーに入ったということは証拠が一つもありませんで、三〇信号によってあのゼロスリー区間に入った。入ったあとにおいて脱線の経過がどうして起こるのかというところに調査の焦点と結論があるわけでありまして、私、就任以来約一年、これを勉強しております。しかし、その結論以外にはどうしても出てまいりません。
  65. 平田藤吉

    ○平田委員 だから、今度の事故を踏まえて鳥飼事故についても七〇信号を調べてみると、どうも出てないと言うけれども、現実には七〇信号によって走ったというのが運転手のそのときの状況報告ですから、これはやはり解明されないものが内在していると考える以外にないでしょう。記録はそうなってない、記録はそうなってないと言ったって、現実にポイントを破って出ているんです。あの上り坂を出るのにはそれだけのスピードがなければ出ないでしょう。ですからそういう意味で、鳥飼事故もひっくるめてやはりもう一度検討すべきだというふうに考えるわけです。  時間も来ましたので、あとでまた質問することにいたしまして、一たん質問を打ち切ります。
  66. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 沖本泰幸君。
  67. 沖本泰幸

    ○沖本委員 時間が制限されているんで、あまり御質問できないわけですけれども、まず国民的な立場から疑問について御質問したいと思うのです。  最初、新幹線を走らした、十年たった、曲がりかどに来ているのじゃないか、いろいろな問題点がそこから出ているのじゃないか、時を合せたように事故がどんどんふえてきている。それから、最初走らして歓迎されたときの本数といまとは大きな食い違いが起きてきている。最初に企画された新幹線の機械能力の内容に対して数十倍もの運転計画が出てきておるので、そういうものがプラスされたりいろいろな形でひずみを起こして事故につながっていっている、いろいろな事故につながっている、こういう考え方が順当ではないかと考えられるわけですが、技術のほうではそういう問題すべてをあらためて洗い直していらっしゃるのかどうかという点と、それから、これは総裁にお伺いしたいわけですけれども、いわゆる国鉄の中で黒字は新幹線だけだというところで、赤字再建問題から端を発して、ここにだけ集中的に国鉄の営利的な経営面が加重されていって、たいへんな過密ダイヤを組まれることになったということになるのではないか。そういう点を十分に反省して、しろうと考えでも事故が起きない程度のダイヤに組みかえていくべきではないかというふうに考える点、それから、いまの時代では、国鉄の組まれるダイヤに従って国民生活が時間的に組まれていくという内容があるわけなんです。そのダイヤに仕事の内容あるいは東京大阪なりの勤務の内容なり、生活の基準が合わされていっているということになるわけです。  この間も私が乗った列車の中で、カーブをゆるい速度で徐行したのですが、その中で急停車があったわけです。ビュッフェの中ではビールびんがひっくり返って隣の人がお隣の人のカレーの中にたばこを突っ込んだ、灰ざらが飛び落ちるというような、ゆるいスピードでもその程度のことが起きているわけです。それがもっときびしい急停車ならもっと大きなことがその中で起こるだろうということも考えられるわけです。そういう点も考え合わせて、事故が起きたあとで、どうだったこうだったといってはならないわけです。国鉄側のほうは非常にATCに寄っかかる度合いが大きいわけで、それだけのものを組んではきておられたんでしょうけれども、それを上回るようなものになってきたのではないかということになるわけです。この点についてお答えをしていただきたいと思います。
  68. 山岸勘六

    山岸説明員 私、ちょうど新幹線がスタートを切った昭和三十九年には、本社で、ダイヤを書く取り締まりといいますか、列車課長をしておったわけであります。当時も大体新幹線はどのくらいで一ぱいになるだろうかということをいろいろ研究しておったのでありますが、大体十六両で一時間当たり十本というのが一番一日の中でも込んだところのダイヤとして、それ以上は無理じゃなかろうかというようなことをいろいろ勉強した覚えがあるわけであります。しかし、その時点の考え方といたしましては、私どもは昭和五十年代の後半というような考え方をしておったわけでありますが、いまやもう来年にはその一時間当たり十本くらいのダイヤ考えざるを得ない状況になっておるというような点からいいまして、新幹線お客さまの増加というものは、当時私ども考えた以上の猛烈なスピードでふえてきているということが事実であろうかと思います。それに対しまして、先生がおっしゃいましたもう一ぺん新幹線安全対策というものをゼロの状態から考え直すべきじゃないかというようなお話が当初に出されたわけであります。私どもも真摯な気持ちでこの今日の事態に対処して、より一そう安全度の向上に努力してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  69. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  先ほどの御指摘ですが、黒字が新幹線と二、三のやつしかないからあれでもうけてやれということじゃなくて、御承知のように、国鉄財政は、全部平均値の賃率をちょうだいいたしておりますので、もうけてやろうとかなんとかという意識にあらずして、国鉄が非常な財政上不如意な状態にあるので非常な力を入れているということは事実だと思いますけれども、それにいたしましても、やはり新幹線を御利用なさる皆さまの御要望がなければ、いかに列車を設定しても乗ってくださらなければそれまでの話なんで、御要望などを伺ったり拝見しながら列車をだんだん増発していくということであります。開業当時の四倍くらいにふえているということでございます。これが何本まで通るんだなんと言われると非常にむずかしい問題になりますけれども、現在大体飽和状態にだんだん近づきつつあることは事実であろう。現在百二十本ということ、もう少し端的に言いますと、七分に一回くらい出ているということでございます。先生承知の中央線のごときは二分何ぽかで出している。しかし、スピードが違うので、中央線が二分だから新幹線は三分でいいという議論は成り立たぬ。そういうことを考えては、飽和状態に近づきつつある新幹線をいかにして安全にお守りするかということに腐心もし、ある程度は苦慮もいたしておるという状態であります。
  70. 沖本泰幸

    ○沖本委員 総裁からのお話だと、そういう点、頭で考えたような印象を受けるわけなんです。そうでなくて、一番最初に走らした段階での数値、本数なり何なり、あるいは高架の足なりレールなり、いろいろな安全システムの機械の内容なりの対応の能力、そういうものの土台の上にそれを上回るものを乗せてきたためにいろいろなひずみが起きてきたんではないか。ですから、本数をふやしたりいろいろな計画をお立てになる前に、より安全な内容を機械的に割り出して乗せておるのか。営業面をお考えになる面と安全をお考えになる面とがばらばらになっておるということではないかという危惧があるわけなんです。そういう点についても、はっきり国鉄としては、現在の運行状況は安全なんだ、これはこういう状態で算出してきているし、それから、いろいろな安全を確保するシステムについても、それだけのものをテストして十分な上にいまの本数を走らしているんだという根拠はどこに置いていらっしゃるのかどうか、その点なんです。
  71. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  新幹線開業当時は三十本と申しましたけれども、これは、急にああいうハイスピードなものをつくっても東海道も行っているのでお客さんの御利用もないだろうということで三十本走らせたので、御利用があればあるいはその当時においても五十本や六十本はやれたかもしれない。しかし、車両の製作とかあるいはお金の問題なんかもひっかかって三十本を動かしたということございまして、だんだん輸送量がふえてきて安全性はどうなんだ、そういう勘定をしているのかということで、これはごもっともなあれで、もちろんレールのごときものはいろんな——われわれのほうではこれを疲労試験と申しまして、何回もおそろしい回数使っていると、従来折れざるものが疲れてきてぽいと折れるというような現象が起こる、これは一体どれくらいのあれで起こるのかというような実験もして、確かな数字はございませんけれども、大体五億トンぐらいこういう力がかかると線路は弱ってくるというようなことで、五億トンに達しない前に、現在の線路が弱って折れる可能性があるということにあらずして、大体太いレールに取りかえていこうという計画も進めつつあるとそれから架線にいたしましても、回数通りますとパンタでこすられてだんだんトロリーワイヤーが減ってくる。したがいまして、これらのものは大体三分の二ぐらいまで減ったらこれはもうだめだというので取りかえるといったようなことをやり、それからレールの御議論が非常にあるし、われわれも一応はそういうことを考えたのですが、新幹線をつくるときは、先生も御承知のように、大阪の万博なんかにも歩調を合わしてやろうというので、レールをつくるときにテルミット溶接——これは現場で簡単にできる溶接方法で、過去のうちはそう悪いものだとは思わなかったのですけれども、そういう溶接を盛んに使った。しかるに現場に入れてみると、テルミット溶接は折れやすいということで、このテルミットをやったものは、端的にはレールに添え木をして、折れてもたいした事故にならないように添え木を全部やった。それと同時に時間を見てテルミットをやめて本式の溶接をやるというようなこともやっておりますので、これは行き当たりばったりに、ふえたふえた、もうかったということじゃないことだけは事実だし、われわれは、これは十分とは申せませんけれども、トラックがふえたらその安全性がいかに脅かされるかということも勘案し、安全性を保つためにはどうすべきかというような検討も十分——先生の立場からいうと不十分だとおっしゃるだろうけれども、われわれは相当やっているつもりである、かように思います。
  72. 沖本泰幸

    ○沖本委員 総裁のお答えなんですが、お答えになる角度なり何なり、いろいろ違いはあると思いますけれども、いわゆるたくさんのものを在来のものの上に乗せていったところの因果関係ですね、そういうものが十分解明された上にいま走らせておるのか、総裁がおっしゃったとおりに、万博なり何なりいろんなものが臨時的に起きてきたので、新幹線を走らせた当時は東京オリンピックに間に合わすようにやったわけですけれども、その上にいまの本数になるようなもの、一つ一つの態様なり能力なりいまお述べになったけれども、しかし、いままでお答えになっているのはほとんど、思いもしないこと、思いもしないこと、こういう答えで返ってきているわけです。それは思いもしないことではなくて、こういうことがあるんじゃないかなということで絶えずそこに集中しておったけれども、なおかつそこで起こったというような点ですね。全体につながる問題と個々の問題との因果関係がきちっと機械的に計算され何なりして、そして起こるべきことが起こり出したからということは、十年というめどというものの上と、それからそれに大きな内容のものがかぶさっていったというところの内容との関連性ですね、そういうものが十分御研究された上で、それでなおかつ皆さんの上で思いもしないことになってこういう神話がくずれたという指摘を受けるようなことになったのかどうか、その辺なんですよ。
  73. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  非常に広範なむずかしい御質問のように伺いましたけれども、われわれはレールであるとかなんとかは、これは列車が何回通れば——この寿命が五億トンが正しいかどうかは別として、一応学説では五億とか六億とかいう数字があるから、何回通ればそれに近づいていくんだろうかということを不断にチェックしている。それからトロリーワイヤーのごときものは摩耗をはかればいいので、初めこのぐらいあったものがこれぐらいになった、これはいかぬということで取りかえるというようなことで、輸送量をがんと無計画にふやしたんじゃないかという御質問なんですけれども輸送量がふえただけじゃなくて、ふえたことによって線路その他の施設に破壊が行なわれるということが問題なんで、これは当然のことながら、十分とは言えないにしても不断にチェックしている。  それから、開通後新幹線事故が非常に多いというので、実は運輸大臣にもしかられたのでございますけれども、しかられたところは、接触が悪くなったとか、あるいは渡り線のところの電線が何回もこういう状態で折れたとか、そういうようなことなので、それを全部調べまして、その類似の個所を全部チェックしてやりかえるとか補強するとか、そういう手を講じておりますので、先生が御心配になるように、輸送量がむやみにふえてきたから何か思いがけぬようなやつがぽかっと起りはせぬかと——起こられちゃかなわぬのだけれども、そういう懸念は実はそうたいしてないのじゃないか、私はかように考えます。
  74. 沖本泰幸

    ○沖本委員 ですが、いろいろと新聞記事を読んだり、あるいは国労からの国鉄に対する申し入れとか、いろいろな各議員の皆さんの調査の結果なり何なりというようなものは、やはりその疑問になっている問題点を相当指摘して述べていらっしゃるわけでもあるわけです。そういう点を十分参考になり何なりし、真剣に取っ組んでいらっしゃるということはわかりますけれども、世界で有名な新幹線安全性において問題があったのだというようなことになれば、これは重大な問題になるし、人命にかかわる問題に発展したあとで後悔してみても始まらないという点に問題はしぼられてくるわけです。  そこで、うちの党からも総裁に申し入れました。「新幹線のATC体制をはじめ一連の機械・技術過信の姿勢を改め、“マン・マシン・システム”すなわち人間と機械・技術の調和を基本とした運行、保安、整備体制の確立および点検技術の開発を図るとともに、保安要員の増員とその質的向上を図ること」、それから、いま申し上げました「営利優先の姿勢を改める」「新幹線故障対策の中間報告の諸対策を実施するだけでなく、ATC運行の安全確保を含めた恒久的な安全対策を確立すべきである」こういう点を総裁に申し入れたわけなんですけれども、この申し入れました内容について、どの時点で私たちが申し上げている点についてお答えが出てくるなり体制が整えられていくのか、その点についてお答え願いたいと思います。
  75. 藤井松太郎

    藤井説明員 過日、貴重な御指摘を願いまして感謝いたしておるのでありますが、保守体制の人間をふやしてとかなんとかいうような問題は、いろいろな関連する問題がありますけれども、そういうデテールといいますか、そういう細部の議論を離れて、新幹線をいかにして安全性を高め、一そう安全なものにして国民に御安心願えるものにするかということが最大の命題でございまして、そのために保守要員をふやさなくちゃいかぬというような確たる結論が出れば、それもやらざるを得ないだろう、かように考えますが、これは非常にむずかしい問題で、全部——考えは傾聴し、かつ従うつもりでございますけれども、そのほか、申し入れに対してどういうことをやったかというのをお答えする時期にまだなっていないと思います。
  76. 山岸勘六

    山岸説明員 総裁から一応お答えがあったのでありますけれども、ちょっと補足させていただきたいと思います。  大臣のほうからも、強く、先生方の御指摘のところを私どもに対しましても御指摘があり、私どもといたしまして、先般七月の故障多発に伴いまして大臣からのおしかりを受け、中間報告をいたしたわけでありますが、この恒久対策について早急にまた御返事を申し上げなければならない立場にあるわけでありまして、この中の一環として、大体来月の上旬には大臣に——いま盛んに中で勉強しておるところでありますから、来月上旬ぐらいには大臣に御報告申し上げられるようなタイミングで仕上げたい、このように考えております。
  77. 沖本泰幸

    ○沖本委員 それから、そのときにわが党の渡部一郎議員が御指摘したフェールセーフ機構ですね、ATCの故障の際、いわば何重もの安全弁をつくる、こういうことの増加とレールの更換、これは総裁が先ほどおっしゃっておられましたけれども架線点検車の設置、それから振動が人体に与える影響度の点検など、これは起きているより寝ているほうがからだに影響がない、あるいは三時間乗ったら半日からだを休めることがからだの健康上必要なんだという点、これがずっと山陽新幹線博多まで延びていくと七時間という時間帯になっていくわけですが、そういうときに起きる人体に与える影響ですね、そういうものを十分検討していただかなければならないわけですけれども、そういう内容について、御指摘した部分について、どういうふうにお受け取りになっていらっしゃるか。
  78. 山岸勘六

    山岸説明員 渡部先生から、私、整理いたしまして九項目ございます。一応現段階でもある程度の御説明ができるもの、それからただいま先生が御指摘になりました人体と振動の関係というような問題につきまして、いろいろたとえた例を添えて御指摘いただいたわけであります。こういう問題につきましてはすぐ御返事というわけにはまいりませんで、労働科学研究所等を中心として、必要があれば部外の先生方の御意見などもいれまして取り組んでまいりたいということで、それぞれの関係の部に一つ一つ研究を命じております。
  79. 沖本泰幸

    ○沖本委員 あまり時間がなくなったのですが、これは私鉄の問題にからむのですが、国鉄も同じシステムを使っていらっしゃるのでちょっとお伺いしたいと思うのですが、テレビモニターですね、いわゆるホームの乗客の乗りおりと発車に関して、安全をはかるために車掌さんがテレビを見て、目の届かないところを見届けて発車させていくということなんですが、この間の八月八日、大阪の南海本線の新今宮駅で子供がドアに手をはさまれて、百二十メートル走ってホームから落として二両目で両足切断という事故が起きた。そのときの警察の調べでも、当然その車掌さんの安全を確保するための注意が足りなかったという第一責任は十分ある。あるけれども、しかし企業の側の管理責任が十分問われるというような見解も出ておるわけなんです。私自身が行って見たのですけれども、実際に白黒のテレビで遠近は肉眼よりずいぶん違うわけですね。それと映る人の姿が小さい。非常に人が少なくてホームの上で完全に乗ったということが確認できれば問題はないわけですけれども、混雑したときは、屋根なんかが日おおいになった場合に暗くて見通しがきかない、ホームがカーブしておるというと、車掌の肉眼で見通せる範囲内は一両であったり二両であったり三両であったりというようなことになって、向こうが見えないところをモニターということになるわけですけれども、モニターはほんとに役に立たないということになるんですね。それと、モニターを見れる車掌の位置というものが、電車がどちらかへ一メートルずれるともう全然見る角度が違ってしまって目の届かないところへいってしまうという問題もあるわけなんです。  問題は、そういう設備を機械にたよって、乗客の安全をはかる面で、はかったわけですけれども、そのことによって、駅でお客さんの安全をはかる掛の人たちをはずしてやっていく人減らし、こういうことが問題になるんじゃないかということで、十分駅員も出て、乗客掛も出て安全をはかった上で、なおかつもう一つ安全をはかるためにそういうものを据えているというお考えに立ってテレビモニターをおつけになっておるのか、ただそのことだけにたよって安全性を除いて人のほうを減らしているのかどうか、国鉄のほうはその点どうなんですか。
  80. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 国鉄でも二年ほど前からITVの方式を採用しているわけですが、東京付近が当然多いわけです。いま先生から御指摘ありましたように、見にくい、小さいじゃないかという問題がございますが、いろんな角度から一応ホームのお客の乗降の状態が確認できるように据えつけておりますので、現在のところ安全の面で問題があるというふうには考えておらぬわけです。ただ、非常に乗降が多くて、テレビだけにたよっておっては安全の確認上非常に問題があるということにつきましては、管理者ないしは旅客掛という要員を配置しておりますので、全部これによってホーム要員をはずしたということではございませんので、その点は御心配のようなことはないというふうに考えております。
  81. 沖本泰幸

    ○沖本委員 その点なんですがね、幾らかでもテレビにたよって人を減らしているのか、テレビにたよる度合いというのがどの程度なのか。あるいは直進コースのホームであっても、混雑した段階で、車掌さんが窓から首を出して列車が進行しだすと、人の持ち物とか人が立っているので首をとられてしまう危険があるので、混雑時には窓から首を出し切れないという問題も出てくるわけです。したがって、ドアを締めて発車させる、騒ぎが起こったあとで車掌が気づくというのが現実なんですね。そういう点についての安全確保という点で、ホームのいわゆる乗客掛なりあるいはホームの担当者というものを減らしていらっしゃるのか、あるいはふやしていらっしゃるのか。その点いかがなんですか。
  82. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 モニターの設置によりまして人は減らしておりますが、モニターと、それからさっき言いましたように、込む駅につきましては、現在管理者ないしは旅客掛の要員を配置しておりますので、そういうものと両々相まちまして、いままでよりも安全度が減っておるということはないように考えております。
  83. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう時間か来ましたからこれで一応打ち切りますけれども、幾らか減らしていらっしゃるというお答えなんですね。行って見た結果は、ちっともプラスになってないですねモニター自体は。見ては、確認はしておるようですけれども、決してモニターにたよれないというのが現状なので、その辺やはり機械にたより過ぎるというわれわれの一つのものの考え方の姿勢をお互いに改めて、すべてを真剣に検討していかなければならぬ、こういうふうに考えられるわけです。  端っこのほうの問題を取り上げたわけですけれども、同じようにこの問題は全般に通じる問題として、お互いにこういう姿勢を改めていく。ただ組合の関係とかそういうところからの問題から指摘していくということではなくて、あるいは経営の合理化ということからこういう機械にたよっていく姿勢をとるのではなくて、ほんとうにお客さまの安全をはかっていくという立場から問題を十分に考えていくことが大切だというふうに考えるわけですが、この点総裁どういうふうにお考えですか。あと一分ぐらいでお答え願いたいと思います。
  84. 藤井松太郎

    藤井説明員 まことに御指摘のとおりでございまして、経営の合理化をやらざるを得ないといっても、経営の合理化即サービスの低下、安全度の低下になってはたいへんなんで、そういうことのないようにひとつ——あるいは人間を減らせば、先ほどのテレビモニターが完全に動いていないという御指摘でございましたけれども、それにかわるような、そういう人間の機能を十分上回るようなもので置きかえていくというようなことで、いずれにしましても、経営の合理化は安全度の低下じゃ何のことかわかりませんので、御高説の意を体して十分努力する所存でございます。
  85. 沖本泰幸

    ○沖本委員 以上で終わります。
  86. 井上泉

    井上(泉)委員長代理 次に、渡辺武三君。
  87. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 国鉄総裁がお見えになっておりますので、私はこの際、常平生国民が一番疑問に思っておる点についてまずお尋ねをしたいと思います。  御承知のように、国鉄では、特有な順法闘争なるものが実はしばしば行なわれるわけでございます。もちろん法治国家に住む国民として法を守るということは、これは当然なことでございますが、そうだとしますと、通常走っておる列車運行状態というものはあれは違法なものであろうかどうであろうか、こういう疑問がわいてくるわけでございますが、この辺について総裁としてどのような認識をお持ちでございましょうか。
  88. 藤井松太郎

    藤井説明員 順法闘争の件でございますが、平生何もないときは無事に走れるものを、順法と称して速度を落として列車ダイヤを乱すというようなことは違法なことでございまして、私どもは、平生のノルマルの運行が決して違法なものじゃない、そのほうが順法である、かように考えております。
  89. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 私どもの知る限りでは、国鉄の中にはいろいろな規則がたくさんきめられておるわけですね。ところが、ほんとうにそれが守られておるだろうかどうだろうかということについて、実はたいへんに疑問を持っておるわけでございます。安全の確保に関する規程というものを、私、見させていただきました。その中には、綱領にもあるいは一条、二条、三条と、たいへんしごく当然なことがたくさん羅列がしてあるわけでございます。ところが、ほんとうにこれらが守られておるだろうか、こういうふうに見ていきますと、今回起こりました実はあのATCの問題につきましても、私は疑問が出てまいるわけでございます。なぜかといいますと、点検綱領というようなものがあると思いますが、本来点検綱領の中には、列車運行中にはあのようなATC関係のテストを行なってはならない、こういう規定があるはずでございます。にもかかわらず、あのようなことが起きたということでございますが、お聞きをしますと、実はATCに関係のないテストであったのだ、こういう説もあるようでございますが、関係のないテストであったかどうかは別といたしまして、いずれにしてもATCに関係のあるところに誤って結線がされてしまった。また、そのおそれが十分にあるというようなものについては、当然列車運行中にはそのような試験は行なってはならないことになっておったのではないかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  90. 尾関雅則

    ○尾関説明員 運転に関する安全を確保するための規則、規程というのはたくさんきめられておりますが、この間のような作業は、明確に禁止する規定はございません。運転の規則に、運転中はいかなる作業もやってはならないということはうたわれておりますけれども、これは新幹線のさく内でそういう仕事をしてはいかぬというふうに解釈をしております。しかしながら、あのようなおそれのある、間違ったらとまるから安全側だと思っておる、そういうことになっておるわけでございますが、そのような作業というのは、従来はこれは指導としてやらせないということになっておりまして、今後もその方針を貫いていくつもりでおります。  しかし、それじゃなぜこの間やったか、こういうことになるわけでございますが、御承知のとおり、七月の末から八月にかけまして新幹線、非常にたくさんの故障がありまして御迷惑をかけたので、この際何とかして早くそういうケーブルの絶縁その他の警報装置というものを点検しておきたいという気持ちが先立ったために、十分注意してやれば機能そのものには影響がないんだからということで、初めて昼間ああいうことをやらせるということにしたものでございます。結果として、あのような事故で皆さんに御不安を与えたわけでございますけれども考えようによれば、けがの功名で、ひそんでおったああいう本質的な問題が発見できたというふうにも考えております。   〔井上(泉)委員長代理退席、委員長着席〕 ある意味ではそういう意味で不幸中の幸いであったという考え方もできるというふうに思っております。
  91. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 私は、いまの御答弁のような認識では非常に重大な問題だと思うのです。確かにそういう問題が、危険性があるから、指導要綱としてやってはいけない、こういうふうにきめられておった、ところが十分注意をすれば影響はないであろうということでやらした、こうおっしゃるわけですが、それでは、そういうことが前提としてわかっておりながら、十分注意をしてやったはずにもかかわらず、なぜなったのですか。
  92. 尾関雅則

    ○尾関説明員 間違いでございまして、錯覚を起こしたものと、はなはだ申しわけないと思っております。先生おっしゃいましたように、その後さらに新幹線の総局に対しまして、今後いままでのようにそういう作業はやらないようにという通達も出してございます。今後そういうことをやる意思はございません。
  93. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 私は、そういうことがこまかくきめられておりますかという御質問をしたわけですが、それははっきりきまっていない、こうおっしゃったわけです。しかし、危険性があるから指導要綱でそういうことはやらないように指導をしておる、こういうことでございますが、そのような経験を踏まえられまして、いわゆる異常時に対する点検等々のマニュアル、まあいろいろなものができておると思いますが、そういうものを再整備をしなければならぬという必要性はお感じになりませんか。
  94. 山岸勘六

    山岸説明員 点検のやり方を根本的に見直すという意味からも、いま再整備につきましていろいろと勉強をさせております。
  95. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 そのようなこと一つ一つ——実は実際に迷惑を受けるのは国民の側なんです。お客さんである国民の側なんです。注意をしてやれば十分であろうと思ったことが、実は非常に大きな迷惑を国民に与えてしまっておるのです。したがって、二度と起きないような方策というのは、ほんとうに真剣になって考えられていかなければいかぬ。私が指摘をするまでもなく、実際には組合の人々が順法闘争をおやりになっている、これ自身国民はたいへんに変な気持ちで見ておりますね。それほど国鉄のいろいろなきまりというものはおかしなものであろうか、こういう疑問がまず第一にわいてくるのですよ。ほんとうに法どおり守っていくとああいうふうになってしまうのだろうか、そうだと、普通の場合はほんとうは違法なんだろうか、こういう疑問が当然わいてくるのですね。それで一つ一つの事例についてお聞きをいたしていきますと、実際にはきちっときまっていない、ところがそういう危険性があるので指導要綱で云々、こういうふうにおっしゃっているわけですが、これはきのうきょう始まった問題ではないわけですからね。当然、いままでの経過を踏まえてみれば、そういう問題はもはや真剣になって国鉄自身は取り組んでいなければならない状態にあると私は思う。ところが、今日現在いろいろな事故が相次いで、こういう事故の審議の最中にそれらを質問すれば、いまだにまだ検討中である、こういうことですからね。私は、そういう姿勢そのものが非常に問題だ、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
  96. 山岸勘六

    山岸説明員 私どもといたしまして、ただむやみにこの規程を変えていくという姿勢ではないわけであります。やはり実際の状況にマッチした姿で変えていかなければならない。また、私、検討していると申し上げましたけれども、それはさらに全体的な見直しという意味で申し上げたのでありますけれども、個々の問題として私ども絶えず取り組んでおりますし、先般七月に相当の故障が多発いたしまして、大臣からもおしかりを受けた際、その後におきましても、電気関係の点検のあり方について、数点の規程の変更をいたしております。私どもといたしまして、絶えずそういう観点で安全確保のための仕事をやっているつもりでございます。
  97. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 綱領の第二項に何が書いてあるか一回読んでみますと「安全の確保は、規程の遵守及び執務の厳正から始まり、不断の修練によって築きあげられる」のだ、こうきめられておるのです。これがほんとうに守られてやってこられたのだろうか。いろいろな一つ一つの具体的な例から考えていきますと、どうもそうではないようだ。  さらに具体的にお聞きをいたしますが、いろいろな異常が起きる。そうすると、異常マニュアル、異常の手引き書なるものが各局ごとにどうもできておるようでございますが、これは各局といいましても、相当たくさんの局があるわけでありますから、その各局間の矛盾性はないのかどうか。たとえば、昔と違いまして、列車もたいへん長距離を走りますから、新幹線でも相当の長距離を走りますから、幾つかの鉄道管理局の間を縫って走っていく。したがって、従来は同じ局の中の運転士さんと車掌さんが乗った、同じようなマニュアルによっていろいろ異常時の場合の訓練がなされておる。ところが、運転士と車掌と異なった局から乗り合わせた場合、そのような異常マニュアルが局ごとにできておるとしますと、もしも異常が発生した場合には、そのアクションのとり方というのは変わってまいりますね。それらがまた一つ一つ国民に対してたいへんな迷惑をかけている。たとえば、事故が起きた場合に、何が原因であったかを探求する場合でも、アクションのとり方によっては、三十分で見られるところが二時間も三時間もかかってしまうという問題が当然発生をしてくると私は思うわけでありますが、そういうことはありませんか。
  98. 山岸勘六

    山岸説明員 昨年、その点につきまして新幹線の規程の一斉点検、たとえば大阪の乗務員、東京の乗務員の取り扱いにおいて違う基準ができてないかというような点検をいたしまして、昨年一斉にこれを修正いたしまして、現状におきましては取り扱い方については全部一致している、このように認識いたしております。  なお、現在線においては、残念ながらまだ若干、ことばの使い方とか地域の特性で、ございまして、私どもなお調整に努力中でございます。
  99. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 非常に寒い北海道地方とあるいはあたたかい鹿児島のほうと、必ずしも同一にしなければならぬということではありませんが、少なくとも基本的な問題は統一をはかっていかないと、いろいろな問題が出てくるのではないであろうか。  さらに、おのおののセクションの中で、たとえは電気系統の方々、保線の方々、いろいろあると思いますが、これがまた一つ事故に対してどのようなマニュアルをお持ちになっているかどうか知りませんが、あるいは私ども想像するところによると、ばらばらではないであろうか。たとえば八月五日でしたか、あの浜松付近で起こりました事故、これは電気系統の方々がすぐにかけつけたようでございますが、どうもそのマニュアルの中には、おれは電気を点検すればいいのであって、何もはしごを持ってこいとは書いてないということで、行くには行ったのだけれども、どうも点検するにははしごが必要だ、ところがはしごを持っていく人がいないので、駅の助役がはしごをかついで走らなければならぬ、こういうようなことすら現実に起こっておるということを私は聞いておるわけですが、御承知でしょうか。
  100. 山岸勘六

    山岸説明員 八月五日の事故について、駅の助役がはしごを運んだということは私聞いておりません。しかしながら、一たん事故が発生いたしました場合におきましては、まさしく職域を越えてみんながその復旧に努力をする、その場合にできるものは、駅の助役であろうと駅長であろうとあるいは機関区長であろうと、できるものはすみやかにやるという姿勢は、私どもといたしましてそういうふうに教えております。
  101. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 綱領第四項には「安全の確保のためには、職責をこえて一致協力しなければならない。」これを明示してあるわけですよ。ところが、私が先ほどから、こういう基本的な問題を言いながら一つ一つ具体的な問題について申し上げておるように、ほんとうにりっぱなことは書かれておるけれども、ではそのようなことが行なわれておるであろうか、こう見ていきますと、どうもちぐはぐな点が多い。一つの例ですけれども、いま申し上げたわけですが、電気系統の人であろうとも、はしごがなければ点検ができないというのであれば、当然それははしごを持っていく。おれの業務にははしごを持ってこいとどこに書いてあるか。だから助役は困ってしまって、はしごを持って、どうぞ直してくださいということをやらなければその点検が始まらないというようなことであっては、これはたいへんなことだと思うのです。また、そういう指導をしておられるのかといろいろ調べていきますと、そうではないのだ、実際にはちゃんとりっぱに書いてある。そう見ていきますと、私は国鉄の職場の管理というものはほんとうに不備ではないか、いろいろ抜かった点が多いのではないか。書類はりっぱにできておる、質問すればりっぱにお答えなさる、ところが現実はどうかというふうに見ていきますと、具体的な例を見る限り、残念ながら職場管理はきわめてずさんだ、こう言わざるを得ないわけですが、いかがでしょうか。
  102. 山岸勘六

    山岸説明員 私どもも、残念ながら職場管理が満点であるというような認識一つも持っておりません。総裁からもかねがねこの点について、国鉄をあげてこの問題と取り組まなければならないという御指示がございまして、現在も努力中でございまして、今後もこの点につきましては、全力をあげて私どもも邁進していかなければいかぬ道であろうと思います。
  103. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 それから、国鉄の中には例の事故防止委員会というものが設置をされておりますね。で、これは対組合との関係もあろうかと思いますが、いわば当局と鉄労、当局と国労、当局と動労というような個別な事故防止委員会がどうも設置をされておるようでございますが、私は、この事故防止という問題は、いわばもう労使の問題よりも以前の問題だ、このような組合セクションごとに事故防止委員会をそれぞれ持つということではなくて、どうして全体の中で事故防止委員会ができないのかどうか、非常に疑問に思うわけですが、何かこれは理由がございますでしょうか。
  104. 山岸勘六

    山岸説明員 事故防止委員会発足当時から、私どもといたしまして、一緒にやれないかという気持ちは十分あったわけでございますけれども、現在なおかつ、動力車労働組合においては事故防止委員会を持たないというような立場を堅持している現状でございまして、私どもといたしましても、まことに残念に思っておりますし、また、その点についての力の足りなさも痛感しておるところであります。
  105. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 残念に思って、力が足りないことを遺憾に思うだけではいかぬのであって、これからどうしようとなさるのか。ともすれば事故処理委員会というものは、まあ国鉄に限らず、形式的に流れて、しかもあと追い的な問題が非常に多いと私は思うのです。私ども交通安全委員会ですが、どうも交通安全委員会そのものもそういうように流れやすい、したがってわれわれ自身も十分心しておるわけですけれども、われわれ自身は、事故防止をするということはやはり事前の対策、再び起きないような予防、少なくとも事故を発生せしめないという方向で努力をしていかなければいかぬ、こういうことが本質でなければならぬと思うわけです。だとすれば、いろいろ運転をしていらっしゃる方々、実際に列車に乗っていられる方々、事故にはつながらなくても、はっと思った問題点等々が私はいろいろあるのではないか。ATCの問題にいたしましても、スピードの表示が変わってはならないところでたまたまぱっと変わった。それが事故につながらなくても、単なる一時の異常として見過ごされていってしまってはいけないわけであって、そういう問題は、たとえ事故につながっていなくても、やはり重大な問題として事故処理委員会の中で十分討議をされ、そしてアクションが起こされていくということが必要なわけです。ところが、どうも実際を調べていきますと、個別に行なわれておりますし、その組織、組織の方針に従ってやられていくという性質のものではないと私は思うのです。いわば労使関係以前の問題として事故防止というものに取り組んでいかなければならない、こう考るわけですが、そうだとすれば、やはり中心になるのは国鉄当局ですから、国鉄当局の姿勢がどうあるかということが私は非常に問題になってくると思うのです。事故防止委員会などというものを組合がうるさいからつくってやるけれども、まあ適当にその組織、組織へ出ていって、その場限りで何とかかんとか言っておけばいいやという程度に考えておるとするならば、これはたいへんな問題なんです。そんなふうにはお考えになっておらぬと思いますが、しかし現実に見ておりますと、残念ながらそういうやり方でおやりになっておる。だから、事故というものに対する認識は、労使以前の問題だという基本的な認識にお立ちになるならば、もっと英知を結集して、そしてあらゆる組織を乗り越えて、この綱領にも書いてあるように、職責の壁を取りはずして、そして全員打って一丸となってこの事故防止のためにやるのだということになれば、そういう気持ちなりそういう姿勢があるとするならば、やはり現実の運営面でもそういうものがあらわれてこなければいけない、私はこう思うわけですが、これからはどうなさるおつもりですか。
  106. 山岸勘六

    山岸説明員 先ほどの私の答弁が至って舌足らずであったのでございますが、いまも現実に三組合と共同で全体の中で事故を討議をしようということで努力をいたしておるのでございますけれども、先ほど先生の御指摘のように、現実にそうなっていないという点から、私、舌足らずでございました。今後とも労使以前の問題として、国鉄あげてこの問題と取り組んでまいりたい、このように考えております。
  107. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣に御質問したいと思いますが、いまいろいろ国鉄の皆さん方にお聞きをしておるように、私は、一連の事故というものはやはり起こるべくして起こったという事故がたいへんに多いと思う、残念ながら。したがって、大臣も過日国鉄に対していろいろな警告をなさっておるようでございますが、書類を見ればりっぱにできておる。ことば説明を受ければりっぱに御説明をなさる。ところが現実というものはどうも違うようだ。こういう事象がいろいろあるわけでございます。したがって、こういう現実の上に立って、やはりこれからそれらを監督する立場にある運輸省としては一体どのようにしていかれるのか、具体的にひとつお聞かせを願いたいと思います。
  108. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 先ほど来御指摘がございましたように、ささいな事故がだんだんと積もり積もって大きな事故につながるおそれが多分にあるわけでございます。なお、今日までの事故の実態を見ますと、起こるべくして起きたというような事故もあると思います。事故防止のためには、これはもう輸送機関の第一の問題でございまして、起きてからいかにうまくそれを修理したとて許されるものではないと思います。九月三日に国鉄から、私のいろいろな事故対策の所見に対しまして中間報告が出てまいりましたけれども、今後もさらに抜本的な対策を至急にみんなで考えて、ただ国鉄総裁あるいは局長の頭だけでなくて、国鉄全体が事故防止に徹するように、みんなで力と知恵を出し合い、またその使命感に徹した対策を立ててもらいたいということで、国鉄当局を指導しておる次第でございます。
  109. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣、指導なさるのはけっこうですが、やはりそのあとが一体どうなっておるのかという現状チェックをときどきやっていただかないと、どうも心配なんですね。運輸省としては、注意をしたからもうこれでいいのだ、事終われりということではないはずでございますから、たいへんむずかしい問題だとは思いますが、ほんとうは事こまかい一々の問題についても、この諸規程に至るまで矛盾はないのかどうか、現状の中からどうあるべきかを、やはり事こまかい運輸省としての、監査といえば大げさになりますが、そういう再点検が必要ではないか、こう思うわけです。あらわれてきた事象について、たび重なってきたからこの辺で一回警告をという程度のことでは、従来の経過から見ると、これはなかなか問題が解消しないのではないか、こう思いますから、運輸省運輸省の立場として、十分そういうこまかい点に至るまで一回再チェックをしていただかなければいかぬと思うのですが、いかがでしょうか。
  110. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お説のとおりだと思います。私どもも、いまお話のございましたような点を十分配慮いたしまして、努力を続けてまいります。
  111. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 最後に、国鉄の方に要望しておきますが、国鉄というものはやはり私は国民のものだと思うのです。一番迷惑をかけてはいけない人たちは国民の皆さま方ですから、事故処理のしたか一つについても、それはたいへん影響の多いことなんです。先日の事故なんかは、東京駅を目の前にして二時間も三時間も列車の中に閉じ込められてしまった、こういう問題もあるわけですね。それは列車をとめて点検をしなければ、その現場を保全しておかなければ、十分な原因調査ができないということはわかりましても、現実にやはり東京駅を目の前にして、用事がある方が急いでこられたのに、二時間も三時間も箱の中に閉じ込められてしまった。この迷惑を考えるときに、もう少し何とかいい方法はなかったであろうか。いろいろな点を私は考えられると思うのです。そこには、やはり国鉄国民のものであるという基本的な認識を持っていただいて、今後ひとつ十分に気をつけて運用していただくように、特に要望して質問を終わりたいと思います。
  112. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次に、野坂浩賢君。
  113. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まず大臣にお尋ねをして、あと国鉄総裁、その他の皆さんに御質問をしたいと思います。  九月九日にこの委員会で私も質問をいたしましたが、そのときに国鉄側から、七月の正確な平常運転というのは三十一日間のうち十日間であった、こういう御報告をいただきました。それほど運転は正常に行なわれていない、こういうことが言えるわけであります。したがって、運輸省は大臣の名をもって異例の警告を八月にされました。そして、いま御答弁がありましたように、九月三日に国鉄は中間報告を大臣にされております。こういう状況の中で、九月十二日にATCにおけるああいう事故、そしてまた今月の十五日には小田原付近で何か箱のふたがたれ下がって平塚のほうで電源が切れたというような事故、あるいは十七日には線路のひび割れにおける事故、その後も相次いで事故が起き、国民国鉄に対して非常に不信を持っておる。まさに頂点にこようとしておるというのが現況であろうと思います。  そういう状況を受けて、運輸大臣は、中間報告を求められ、それをごらんになったと思いますが、それをごらんになってどのようにやらなければならないとお感じになりましたか、まずお聞きしたい。
  114. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 中間的な報告は、一応国鉄としてのものの考え方、またこれに対する対策の一部をもって当面の問題として提出されたわけでございますが、私はこれを拝見しまして、過去の、いま御指摘のございましたような十日間——十一日間という報告だそうでございますけれども、まあ一日間はどっちにころびましても、わずかそれしか定時運転ができなかったというその実態等から考えまして、これは抜本的な対策と申しますか、立ててもらわなければならぬ。当面の問題としては私は中間報告を了承いたしましたけれども、これだけで今後の国鉄運営というものがなされてはいけないということで、その後、軌道の取りかえの問題でございますとか、架線の問題でございますとか、あるいは下請の問題でございますとか、もろもろの数点にわたってさらに長期的になるたけ可能な限りにおいて早急にこういうものを解決つけていただきたい、またそれに対する一つのものの考え方等について報告をされたい旨を国鉄に申しまして、長期的と申しますか、抜本的対策に対する早急な手当て回答をいま待っておるところでございます。
  115. 野坂浩賢

    ○野坂委員 よくわかりました。  運輸大臣、抜本的な対策ということをさらにお尋ねをしたいと思うのですが、具体的にいって、スピードよりも安全が第一だということをしばしば大臣はお話しになっております。そうすると、安全にかかわる抜本的な対策と、国鉄の信用回復、国民の信頼、こういう意味から、それに必要な経費というものは運輸省としては十分配慮するということが前提であるというふうに考えてよろしいですか。
  116. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 それらの予算面等につきましても、運輸省ではあとう限りの努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  117. 野坂浩賢

    ○野坂委員 まず、基本的なことをお尋ねをいたしますが、総裁にお尋ねしましよう。  過密ダイヤですね、これの限度について、私は先ほどの質問を聞いておりまして、だんだん飽和点に達しつつある、こういう御表現でございました。これは安全の基準というものについての御回答でございますから、当初新幹線ができましたときには一日六十本、一日六万人、こういうのが、今日では二百三十五本、約四、五十万人を輸送しておる、こういう現況であります。そういたしますと、しかも六分ないし七分おきに列車は走っておるという状況でありますが、これは過密なのかどうなのか、そして安全の基準というのはどの辺なのか、お伺いをしておきたい。
  118. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  非常にむずかしい御質問でございますけれども、大体現在私が飽和に近くなっていると申し上げたのは、ただいまのお話のように、大体七分間ぐらいの間隔で動いているということでございまして、しからば、御承知の中央線のごときものは二分何秒おきぐらいに動いているじゃないか、これはそのかわりスピードが違うぞといったような御議論もございまして、何本だったらこれは限界だというようなこと、並びに何本だったら危険を伴うというようなことは、見方とかなんとかによっていろいろな議論が成り立つので、一義的にきめるということは非常にむずかしいのでございますけれども、大体やはり新幹線が二百キロで走っておるというようなことを考えますと、最小間隔は六分ぐらいからは詰めたくはない。詰めて走らぬというのではないし、直ちにそれを詰めて五分になったら安全性がかくもおかされるという立証はできないにしても、御指摘のように非常にハイスピードのものだから、五分間隔以上はどうもちょっと詰めたくはないというのが心境でございまして、飽和点に近いと申し上げたのは、現在七分ぐらいになっておる、こういうことでございます。
  119. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これは、漸次六十本が二百三十五本になってきたというようなことは、国鉄の営業政策といいますか、輸送政策からくるものでありますか。それともほかに理由があって漸次ふえてきた。安全の基準のぎりぎりのところは五分間だ、こういうことでありますが、それでは、新幹線はドル箱でありますから、さらにまだふやしていくというようなお考えなんですか。
  120. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  安全の限界は五分くらいだと私は決定的に申し上げたのではないので、それ以上は詰めたくないということを申し上げたつもりでございます。  それから、当初三十回だったものが百二十回になったのはどういう意味だと申しますと、国鉄が営業政策から、新幹線にお乗りください、お乗りくださいと言っても、やはり御利用になる方の御意思がそういうところになければふえるわけじゃないので、しいて国鉄の悪口を言うといったらちょっと語弊があるのでございますけれども、おまえら現在線に乗れぬようなダイヤを設定して新幹線に吸収しているじゃないかといったような言い方もございますけれども国鉄は意識的にそういうことをやったのじゃなくて、新幹線は便利であるというようなことによってそれだけ輸送需要がふえてきたというふうに私は考えておるのでございますが、将来ともそれがばんばんふえてきたらどうするのだということになりますが、五分か六分か知りませんけれども、それ以上になると、やはり現在の東海道をもう少し補強して、もう少しスピードを上げるようなことでも考えて、新幹線の補完をやって、お客様にそれ以上ふえることを御遠慮願うというような手も考えざるを得ないのではないか、かように考えております。
  121. 野坂浩賢

    ○野坂委員 今度の事故の問題についてはいろいろとお話がありました。九月の十二日午後一時四十八分異常現示が起こった。さらに昨年の二月には鳥飼の基地でこれは大きな事故を誘発をした。鳥飼の事故の原因というのは油であった。今度は中間に検査をしておる、あるいは作業をしておる最中に誤操作によって雑電流が入った、こういうようにお話がありました。国民は、そういうことであればみんな不注意じゃないか、もっと安全基準を完全に守っておるならばそういう事故は起こらぬじゃないか、こういう声が強いわけです。もっと機械のミスがあるじゃないか、もっと抜本的に調査をする必要があるじゃないか、こういう意見が非常にあります。七月の二十三日にも大阪周辺で異常現示もあった、こういうことが言えると思いますが、こういう重大な事故で乗客はイライラして、列車等で泊めてもらってたいへん迷惑をした、こういう状況でありますから、これらに対する対策としてもっとチェックをする。もしそういう誤操作があっても、それがチェックできてそれが没になる、バツができる、こういう操作ができないものなのか、こういう原因の公開にあたって国民はそういうふうに、利用者はそういうふうに言っております。そういう点についてはでき得ないものなのか。一年間も勉強したということでありますが、それをチェックする方法というものは具体策としてはできないか、お聞きしたい。
  122. 山岸勘六

    山岸説明員 鳥飼の事故につきましては、かりに間違って入っても、あの四十八メートルのゼロスリーという非常制動区間を飛び出さない、こういうシステムをつくり上げたわけであります。なお、全体的な問題としまして、ああいうポイントの前等にあります、ゼロスリー区間と私ども申しております、いわゆるそこへもし入ってきた場合には絶対非常ブレーキでもってとめるという装置でありますが、この装置等につきましても、一部一重系がありましたためにこれを二重系にするというような対策を講じておるわけでありまして、今回の事故と鳥飼の事故とは性質を異にしますが、今回の事故に対しましても、私どもいま絶対あれと同じ事故は起きないという自信を持っておるわけでありますが、さらに先生のおっしゃるように、ほかのところでも異常な信号の現示があるじゃないかというような点につきまして申し上げますならば、御指摘のとおりあります。瞬間的に一時的に下位信号を現示するところがまだあります。それも全部が出すわけじゃありませんけれども、周波数の同期のずれ等によりまして出すところがあります。たとえば吉原におきます五十サイクルを六十サイクルに変調いたしましたものと、在来の六十サイクルの部分との接続区間というようなところにつきまして、現実にまだあるわけであります。しかしながら、これもようやく技術的な解明ができて、これに対応する装置の設計もできましたので、年度内にはこれをとりつける予定にいたしております。  また、新しい問題でありましたのですが、六甲トンネル内で一年間に六十九件も下位の現示を瞬間的に行なったというようなものがありました。これらにつきましても原因対策ができまして、今年度に入って一件も起きていないというふうなことでございまして、私ども、申告のありましたものにつきましては、一つ一つ真剣に取り組んでまいりたいと思っておるわけであります。  なお、その中でも現在まだわからないと申しますか、いわゆる申告があったけれども再現できないというようなものもあるわけでありますが、これらにつきましても、今後車上、地上両面から一そう追究を進めてまいりたい、このように考えているところであります。
  123. 野坂浩賢

    ○野坂委員 先ほどから何回もお話がありましたように、国鉄はATCがあるから安全なんだと何回も言われてまいりましたけれども、そうではない、こういうように結果的には出ておるわけです。いまもわが党の井上議員からお話があったように——これは運輸大臣質問いたしますが、CTC装置、列車集中制御装置といいますか、これに約二百億程度必要であるというお話を総裁のほうからされた。国鉄もなかなか貧乏だということでありましたが、運輸大臣としてはそういう点については抜本的な対策をしてできる限りのことはやってやるということでありましたから、その中央指令所というものをもう一つ増設をする、それでさらに安全確認ができるということになれば、抜本的な対策ということの一つになろうかと思いますが、その設置をお考えになる御意思はございませんか。
  124. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 ATCをさらにチェックする一つの機械を置いたらどうかというような御指摘だと思います。そういうものは、あるいは確かに必要であろうと思います。思いますが、どの程度に技術が発達しているものか、またどういうふうなぐあいでやれるのか、いま初めての御質問でございまして、私すぐ即答するだけの用意を持っておりませんけれども、いずれにいたしましても、機械というものは機械であって、これを過信してはならないと思います。しかし、よりよいそういうようなものがあるとするならば、これは将来十分検討に値するものだ、かように考えます。
  125. 野坂浩賢

    ○野坂委員 それについては、総裁事故の万全を期するために運輸大臣等にいままでお話しになっていなかったのですか。全然お考えありませんか。
  126. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  御質問がだいぶ飛躍といったらまたおしかりを受けるだろうが、飛躍した御質問なんで、実は具体的に運輸大臣に御指示を仰いでおりませんが、御質問の趣旨は、東京一つしか指令所がないので、これが爆撃されたり落雷でもあってとまったらどうするんだということなんで、そうしますと国鉄の無策か何か知らぬが、列車をとめてお客さんにしかられるという結論になる。しかし、これが爆撃を受けたり地震でこわれる確率といったらまたしかられるだろうけれども、どのくらいあるかといったら、およそ四、五十年に一回そういうことが起こってもらっては困るような現象なんで、そういう現象を防ぐために一カ所二百億か何かの投資をやってサブの指令所をつくるということはだいぶ検討を要する問題なんで、もう少し検討いたしましてから、御指摘のように、それが安全を確保するゆえんであるということの結論になれば、大臣にも御相談を申し上げて御指示を仰ぎたい、かように考えております。
  127. 野坂浩賢

    ○野坂委員 この国鉄の監査報告の中身を読んでみますと、国鉄も相当老朽化をしておる、経年劣化といいますか、そういうことになっておる、こういうふうに書いてあります。国鉄当局は、新聞で見る限りはこういうふうに書いてありますね。「新幹線の場合は車両の部品、レール、架線などを次々に取りかえているので、疲労というのは当てはまらない」こういうふうに述べておられますが、私たち利用者、国民全体から見ると、ちょうど十月一日には満十カ年になりますが、神話もくずれ、事故も多く、不定時発着、こういうのが日常茶飯事になっておるわけでありますから、経年劣化をしてきたというふうに言い得ると思います。その証拠には、相当対策を立てられても、相次いでの事故、いま私が申し上げましたように、あのATC事件があった後でも、新聞で見ますと十五日、十七日にもああいう事故が発生をしておる、こういうことでありますから、非常に老朽化したのじゃないか、こういうふうに言い得ると思います。あるいは国鉄の検査なり管理が不十分である、こういうことが新聞等でも指摘をされております。そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
  128. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  もう十年たっておりますので、十年もたったら少し老化したじゃないか、きわめて常識的にはそういうことが言えるのですけれども、十年たったら一体どういう形になって老化したとおっしゃるのかということになりますと、車両のごときは、毎度申し上げますけれども、足回りとか何とかの減るところは取りかえていっているし、神経系統のごときものは異常があればすぐ取りかえる、異常が起こりそうなものは取りかえるというようなことで、おまえそういばっているけれども、しばしば列車はとまってお客さんに迷惑をかけているじゃないかということに対しては、言いわけができないのでございますけれども、それは毎度申し上げているように、新幹線は二百キロのハイスピードで走っておりますので、それが直ちに事故に発展しないにしても、異常があったらまずとめる、そしてその異常がどういう異常かをさがして直して走らすというたてまえをとっております。これが現在線のようなシステムになっておれば、おそらくまたとまった新幹線ということには決してならないで、あの半分もとまらないと思います。そんなようなことなんだが、ハイスピードだからやはりとめて調べるということになります。  それから、この間の十二旧の事故は、これはわれわれがATCというものは確実なものであるというふうに考え、あれにしたものが確実じゃなかったということで、これは私どもも非常に驚きまして、一昼夜半くらいあらゆる技術陣を動員して調べて、再現試験をやってその原因をつかんで、その対策を打って、二度と再びこういう同種の事故は起こらぬようにした。あくる日も、何かしらん機器、メインの変圧器と称するものが割れまして、それが爆発して架線の電流を切った。異常が起こったから電流が切れた。これは事故があったら電流を切ることになっていますから、それで列車がとまるという事故です。  それから、最後に先生が御指摘になった、またどこかでレールが折れた、こう申しますが、これは午前中も御説明申し上げたのだが、テルミットというものが最初は使われて、これは折れやすいから添え木をやっているのだが、それがまた折れた。そうしますとレールが離れるので、赤信号が出て列車をとめる、こういうことになっておるので、とまったことはけしからぬのだけれども考えようによっては、それによってそこを走ったら起こったかもしれぬ事故を防げましたということも言える。しかし、レールの折れたのは、添え木も入っておりますので、赤信号なんか実は要らぬおせっかいかもしらぬけれども、信号電流が走っているのでとにかく列車をとめるということになっております。こう言うと、事故ばかり起こしておまえ一向心配しておらぬじゃないかということになりますが、本質的なこの間の十二日のごとき事故、こういうものはぜがひでも、昼夜兼行で解決した。鳥飼でもやっているじゃないかとおっしゃいますが、事故の信号電流の記録なんかもちゃんとあって、これも当時の、私はいなかったのですけれども、技師長を団長にして、技術陣を動員して調べましたら、これはATCそのものの事故じゃなくて、レールの摩耗を防ぐために油を塗ってあった、ATCがきいて車輪をとめたのだけれども、車輪がとまったままですべっていった、したがって脱線したということが、これが九〇%くらい正しい。ということになって、これは私どもはそう心配しなかったのだが、この間の事故だけはまことに申しわけないと思って根治をした。こういうことは申し上げられます。
  129. 野坂浩賢

    ○野坂委員 時間がありませんから多くを申し上げることはできませんが、いまのお話、昼夜兼行でやられたということには敬意を表しておきますが、国民の安全を守るということが第一義でありますから、二百十キロのスピードを、百六、七十キロだったらこういう事故も起きぬだろうということですが、先ほどは過密ダイヤの話だけをしたわけですが、スピードの安全基準というのはどの辺ですか。
  130. 藤井松太郎

    藤井説明員 物が走っておりまして、それが急にとまったりしたときの破壊力というか、これは大体スピードの二乗に比例するという一般の学説がございます。物理的にそういうことは証明できますけれども、まあそれは二百キロで走った場合と百六十キロで走って、安全性がどれだけ違うかと言われますと、二百キロで走るためには二百キロで走るための装置を全部やっているし、同じ装置で百六十キロで走ると、初めから百六十キロに設計されたものとは骨組みが違うというようなことで、にわかにこのとおりだとは申し上げかねますけれども、確かにそういう疑問もあり得るんで、まあひとつよく検討をいたしたいと思いますけれども、非常にむずかしい問題です。
  131. 野坂浩賢

    ○野坂委員 山陽新幹線が来年の三月から開通するわけです。これは今度東海道新幹線の欠陥を十分引っ張り出して、そしてレール、架線等もずいぶん改良するということですね。だから、そういう点について欠陥があるとある程度わかっておるわけです。だから、この東海道新幹線も、そういう欠陥を全部摘出をして、これを年次別に改良をしていく、こういうふうにしてもらわなければならない、こう思うのです。  それから、今日非常に事故があって、大臣もこれから十分配慮して、国鉄当局とも話し合って対策を立てるべき点は対策を立てるということでございますが、たとえば線路にしても架線にしても、ここが上と下での電流でいろいろなことになるわけですから、私たちはよくわかりませんが、あの溶接にしてもテルミットというのは現場ですぐつなげる。それが離れればだめだ。添え木をしておるのはたくさんありますね。何百カ所、四百カ所くらいですか、あるというふうに聞いておりますが、それを今度エンクローズドですか、そういうふうに切りかえるということでありますけれども、そういうことになればそれはいつごろできるのか。国鉄は、発生したら事故対策はやるけれども、予防対策については不手ぎわな点がたくさんある、こういうふうにわれわれは思いますし、国民も大体国鉄というのは、事故があってから騒ぎ出して、普通あまりやっていないじゃないか、こういうそしりがあります。そういう点については今後万全の対策をとっていただかなければなりませんが、それに対する対処の方針と、それから確認をしておきますが、総裁はもはやATCの事故はない、こういうふうに御答弁をいだたいたように承知をしておりますが、今後はATCにおける事故はないというふうに考えておいてもよろしゅうございますか。これで終わりますから。
  132. 藤井松太郎

    藤井説明員 お答えします。  最初に御指摘になったのは、山陽新幹線におきましては、東海道は五十二キロというレールをつくっておりますが、これで危険だなんという議論にあらずして、やはり保守勢力がレールが太ければ少なくなるといった観点、それから安全性もしいていえば高いというので六十キロのレールにしておる。それから架線関係にいたしましても、東海道のもののようにやわらかいものじゃなくて、もう少しかたさを入れましてパンタグラフがスムーズに動くようなことをやっておる。この結果、岡山まで行って非常にいいので、漸次東海道も時間を見てそれに取りかえていこう、架線もレールも取りかえていこう、こういうことになっておりますが、とにかく列車の密度が相当高いので、急激にそれに取りかえるということは、一月も二月も列車をとめれば別ですけれどもできないので、それができるまで不慮の事故を起こさぬように、先ほども申しましたテルミットのだきのごときもの、これはテルミットが切れても安全性には何も関係ないといったような、まあ百姓芸みたいな手を打ってそれを押えていくということでございます。  それから、おまえはATCの事故は今後絶対にないからと言うがほんとうかという御議論で、私どももATCというのは事故は絶対ないという確信を持って今日まで進んできたのですが、十二日のような事故で思いもかけぬところで虚を突かれたということで、同種の事故は今後は起こしませんということははっきり申し上げられるし、それからあれに類似したいわゆる電磁波の誘導のごときものは、これにこりてあらゆる手を打つということにいたしますから、まず十年間ATCが今日まで事故がなかったごとく、今後はめったにああいう事故は起こしませんということははっきり申し上げられます。
  133. 野坂浩賢

    ○野坂委員 これで終わりますが、今日の新幹線における事故、非常に多発状態であります。さらに検査をあるいは管理を十分されて、そのような事故がなく、国民の信頼を一日も早く回復をして、正確な正常運転をされるように要求をしておきます。
  134. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次に、平田藤吉君。
  135. 平田藤吉

    ○平田委員 いまも質問で出ましたけれども、改良すべきいろいろな問題が出ているわけですね。渡り線、この間の事故で、これは改良しなきゃならぬということになった。それから架線もいまおっしゃるように太いものにかえなきゃならぬ、そのほうがいいということになった。それからレールについても六十キロにしたほうがいいということになった。それから下に敷いてある道床の砕石も、やはり悪いところについては計画的にかえられていく、あるいは発生した状況に応じてかえられていくというような状況ですけれども、私がここで質問をしたいのは、レールを六十キロレールにするのにいつまでやる計画か、それから架線を、東海道線を太いのにかえるのにいつまでにやられる計画か、それから架線の渡り線を改良して太いのにかえるのをいつまでにやられる計画か、これについてひとつお聞かせいただきたい。
  136. 山岸勘六

    山岸説明員 レール、架線等の重軌条化、重架線化の工事につきましては、いまの保守基地の容量からして私どもは直していかなきゃいかぬと、こういう観点で、この保守基地の容量を早急に拡大して対処してまいりたいと考えておりますが、いまの予定では、大体昭和五十六年度一ぱいに全線六十キロ化いたしたい。これは、レールと申しましても、カーブのところ、直線のところではいたみ方が違います。そういう観点からまいりまして、いたみ方の激しいところを重点に先に進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。また架線にいたしましても同じでありまして、強風区間、それから駅構内等の問題、この辺を中心にいたしまして、約百キロ、往復、上りも下りもという意味でございますが、百キロの区間につきまして五十二年度までに改良してまいりたい。なおその他の部分については引き続き早急にこの重架線化構造へ移していきたい、このように考えております。
  137. 平田藤吉

    ○平田委員 いま言われたような状況で、それからもう一つお聞きしておきたいのは、博多開業で現在よりも運転時間が延長されることはないかとか、あるいは朝現在よりも早く運転するというような事態が起こらないかどうか、そのことをひとつ……。
  138. 山岸勘六

    山岸説明員 保守間合いを確保する意味におきまして、現時点では考えておりません。
  139. 平田藤吉

    ○平田委員 私がこのことを聞きますのは、とにかく架線事故も多いし、それからいまのレールのテルミット溶接の切れが多いというような状況や、道床が非常に悪いという状況などから見て、これは保守の時間が非常に足りなくなってきている。同時に、保守の時間だけじゃなくて、工事をするとなると徐行区間を設けなければならないわけですね。この徐行区間をできるだけ少なくしようということから作業時間が極度にしぼられてくるという結果になっている。ですから、あなた方は徐行会議というものを持っているでしょう。この徐行会議を持って、何とかかんとか保守の時間を割り振りながらその中でやっていこうということですから、保守基地の容量、それもさることながら、絶対的にはこの保守時間の問題がやっぱり障害になってくるというふうに思うのですよ。大体、確認車が毎日始発前に走るわけでしょう。この間はできませんね。それから電気機関車が週に一回一往復走るわけですね。それから十日に一回軌道試験車が走るわけですね。ですから、これらを総合していくと、二十四時から六時までという保守時間というのはさらに縮まるという実態なんですよ。ですから、あとになってから、問題が起こってから対処するというのではなくて、事前に安全を期していく、故障の起こらないよう、事故の起こらないようにしていくという立場からすると、これはやはりたいへん問題をはらんでいるというふうに思うのですよ。ですから、保守時間が短いために、十分直さなきゃならぬということがわかっていてよう直せないという事態が、現場へ行ってみるというと聞かれるわけですよ。こういう状態が現在の新幹線状態で、私どもは容易ならぬ事態だというふうに考えているわけです。  そこで、先ほど来お話に出ておりますように、安全度を高めるために百七十キロにしてはどうか、それから十日に一ぺん休んではどうか、などという意見も出てくるのも、またこうした状況を見て出されてきている意見だというふうに考えるわけですよ。無理なからん意見だというふうに思うのです。保守が完全にできないこういう状況のもとで、これはひとつ運輸大臣にお聞きしたいのですけれども、大臣はこの間たいへんきついおしかりを国鉄当局に行なわれたようですけれども、いま申し上げたような条件のもとで国鉄は仕事をしようとしているのです。ですから、大臣がお小言をいえばこれで一体事故はなくなるか、ここら辺はどう考えておられるのか、お聞かせいただきたい。
  140. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私が警告しただけで事故がなくなるとは考えておりません。また、この安全というものに絶対というものもないということも心がけなければなりませんし、機械を過信するということも戒めなければならないと思います。いまお話のございましたような保守あるいは点検あるいはいろいろな問題、更換等につきましても、時間がないという現実の問題があるとするならば、国鉄でもその点は十分くふうしてやってくれているものと私は信じております。
  141. 平田藤吉

    ○平田委員 大臣、それは信じられては困るのですね。実際には、時間がないために徐行会議で時間の取り合いですよ。これが実態ですよ。こういう状態が現実にあることをやはり大臣は知っておいていただかなければならないと思うのです。その上に立って、いまの新幹線運営についてはやはり検討していただく必要があるというふうに考えます。  それで、時間もなくなりましたから、また引き続いて線路の問題、架線の問題などについても少し突っ込んで検討したかったのですが、時間がありませんから割愛させていただきまして、最後に、これはお願いしておきたいのですが、これまでの資料をひとつお願いしたいわけなんです。  昭和四十七年四月以降、今日までに発生したATCの異常現示の件数とその態様、これが第一番。第二に、このうち原因が明らかになったものの件数と原因、それに対してとった措置。三つ目に、原因不明もしくは未確定のものの発生日時、場所、態様、原因追及の体制。以上についてひとつ委員会に資料を提出していただきたい。これは委員長のほうにひとつお願いします。
  142. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 はい、わかりました。
  143. 平田藤吉

    ○平田委員 以上で質問を終わりますけれども、実は、鳥飼事故で発見した、異常なランプがついたんではないかというあなた方の結論、じゃあ、異常なランプがつくような弱点を実際になくする仕事がやられたかというと、やられてないんでしょう、今日に至るも。計画はあるらしい。こういう重大な事態が起こったときに直ちに手だてを講ずるという態度が、国民に対して仕えていく態度だというふうに思うのです。事故をなくしていく態度だと思うのです。一つ一つの小さな事故を重視して積極的に取り組まれることを要求して、私の質問を終わります。  以上です。
  144. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 次に、沖本君。
  145. 沖本泰幸

    ○沖本委員 十分しか質問時間がありませんので、個条的にお願いいたします。  先日、十七日の午後に大臣のほうに松本議員と渡部一郎議員とがお伺いしていろいろ申し入れをいたしました。  そこで申し上げているのは、「今回の事故はここ数か月の間に続発した一連の事故発生と関連して国鉄の安全点検、保安体制の欠陥を露呈したものだ」こうわが党ではとらえておるわけです。そこで、大臣に対しては、国有鉄道法第五十二条に基づく監督権を強化して、国鉄当局に対し保安体制の確立を行なうよう十分やっていただきたい。それから第二点は、営利優先の姿勢を改めてもらって、運行の安全が確保されるまでは増発計画を中止して過密ダイヤの解消をはかるよう指導すべきである。それから三番目は、中間報告に示された対策の実施状況を監督していただいて、ATC運行の安全確保を含めた恒久的な安全対策を確立するように、こういう点について大臣にお願いしたいわけでございます。  たとえばトライスターにしても、これも事故が起きればたいへんなことになるということで、急遽運航を停止して、十時間点検するような処置をおとりになったということもあるわけです。まあATCによって絶対安全性確信しておるということになるわけですけれども、空を飛んでいる場合は大事故だ、陸上の場合はそんな事故にならないとは言えないわけですね。そういう点について、やはり同じような角度から安全性を確保していただかなくてはならない。先ほど総裁のお話では、七分間隔でいっているものを五分ぐらいまではやれるんじゃないかという、これは要求によってやるんだというようなお答えもあったわけです。そうすると、まだまだ増発されるという計画があるということになるわけですけれども、こちら側から申し上げているのは、いま増発計画をとめてもらって、安全がもう完全にできるまでは過密ダイヤを解消していただきたい、こういう立場でお願いしているわけなんです。それともう一つ、安全を完全にやってもらうために総点検をやってもらいたい、こういうことになりますし、先ほど常務理事のお答えですと、九項目にわたる注文づけについては、大体近いうちに、来月ですかに答えが出せるというお話でございましたが、そういう点を含めて大臣のほうからお考えをお答えいただきたいと思います。
  146. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お申し入れの点につきましては、いまお話があったとおりでございまして、それぞれみな安全確保のためにという一念の上にあると思います。私も、安全確保のためにはあらゆる犠牲を払っても、この一点だけは何としても確保しなければならぬと思っております。それと需要との調和というようなものが、これは議論すればなかなかむずかしいところだと思いますけれども、念には念を入れて、機械の過信、あるいは、最後にはぐるぐる回って人間のところに戻ってくるわけでございますから、この安全問題については、いまおあげになったようなことを十分配慮して、今後監督してまいりたい、かように考えております。
  147. 沖本泰幸

    ○沖本委員 もう一つは、先ほど御説明しておったのですが、八月八日に南海本線の新今宮駅で、ドアに子供の手をはさんで、ホームから飛び出して子供の両足切断ということがあって、結局そこではホームに掛員がいなかったという点で、車掌には十分責任もあるけれども、会社の管理面で問題があるという点で、実際に行って調べたのですが、それによるとホームに全然いない、あるいは難波の駅にすら乗客掛なりあるいはそういう担当の人が全然いないというふうな点から、いわゆるテレビモニターにたより過ぎて人を減らしてしまった結果起きた事故だというふうに言えるわけなんです。それについては、組合のほうの方々も過去二十七回にわたって会社側のほうに人をふやしてほしいという要求をしておるのですけれども、一向にそういう点こたえてもらえない。先ほど国鉄にその件について、国鉄もテレビモニターを使っておるので同じことが考えられるのじゃないかという御質問をしたわけですが、幾らか減らしておるというお答えがあったわけです。そういう点、小さい点をとらえたようですけれども、いわゆる機械にたよって人を減らしていく、機械を過信してしまうという、まあ、ことばじりじゃありませんが、一端ではないか、こう考えられるわけでありまして、この点については、私鉄のほうもすべての私鉄も同じことが指摘されるという点から、この問題を取り上げて同時にお伺いしておるわけですけれども、これは新幹線にも同じことが考えられるわけです。曲がったホームでは、車掌さんは二両か三両しか目が届かない、あとテレビモニター、混雑したらもう全然モニターは役に立たないというのは、私も行ってちゃんと見届けてきたわけです。そういう点について大臣に、この問題は重大な問題なので、両方あわせて鉄監局長の御意見なり大臣の御意見を伺って、終わりたいと思います。
  148. 秋富公正

    秋富説明員 八月八日に南海電鉄で起きました事件は、まことに痛ましいことでございまして、私たち関係者といたしましても深く今後の問題として深刻に受けとめておるわけでございます。  さっそく運輸省といたしましては、各陸運局にもこの事件につきまして、さらに列車の監視体制の強化ということ、それからいまお話のございましたように、テレビで過信するということのないように、その監視体制の強化を検討するとともに、ドアの開閉装置につきましても、降乗の問題につきましても、さらに改善を加えるようにいたしたいと思います。  南海電鉄につきましては、当駅につきましては、ほかの駅とともに監視員を強化いたしておりますが、今後こういうことが再び起こらないように、私たち関係者としましても十分努力をいたしたいと考えております。
  149. 沖本泰幸

    ○沖本委員 いま鉄監局長のお答えなんですけれども、これは全体的に言えますので、陸運局長に全部伝えるということなんですが、もう少しこまかく言っておきますと、駅のホームでも、混雑すると車掌は窓から首を出せないのですね。そうすると、発進して事故があって、騒ぎが起こって初めてわかるというのが事実なんで、まあ国鉄のほうは過密になったときはしり押しなんかが出ておるわけなんですけれども、それ以上に乗客の安全をはかる体制を整えてもらわなければならない、こういう点あわせてお願いいたしまして、質問を終わります。
  150. 勝澤芳雄

    勝澤委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十分散会