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1974-08-09 第73回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年八月九日(金曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 天野 光晴君 理事 服部 安司君    理事 松野 幸泰君 理事 渡部 恒三君    理事 渡辺 栄一君 理事 井上 普方君    理事 福岡 義登君 理事 浦井  洋君       小沢 一郎君    梶山 静六君       田村 良平君    中尾  宏君       野中 英二君    林  義郎君       村田敬次郎君    大柴 滋夫君       佐野 憲治君    清水 徳松君       中村  茂君    渡辺 惣蔵君       柴田 睦夫君    瀬崎 博義君       北側 義一君    渡辺 武三君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 西村 英一君  委員外出席者         公害等調整委員         会委員長    小澤 文雄君         国土政務次官  山内 一郎君         国土庁長官官房         長       粟屋 敏信君         国土庁計画・調         整局長     下河辺 淳君         国土庁土地局長 河野 正三君         国土庁水資源局         長       宮崎  明君         国土庁大都市圏         整備局長    小幡 琢也君         国土庁地方振興         局長      近藤 隆之君         大蔵省理財局資         金第二課長   石川  周君         大蔵省銀行局特         別金融課長   窪田  弘君         郵政省電波監理         局放送部企画課         長       奥山 雄材君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 増岡 康治君         建設省道路局長 井上  孝君         建設省住宅局長 山岡 一男君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 七月三十一日  一、宅地開発公団法案内閣提出、第七十二回   国会閣法第四三号)  二、建築基準法の一部を改正する法律案内閣   提出、第七十二回国会閣法第七五号)  三、都市開発法の一部を改正する法律案(内   閣提出、第七十二回国会閣法第八一号)  四、大都市地域における住宅地等供給の促進   に関する特別措置法案内閣提出、第七十二   回国会閣法第九一号)  五、住宅基本法案北側義一君外一名提出、第   七十一回国会衆法第二五号)  六、建設行政基本施策に関する件  七、都市計画に関する件  八、河川に関する件  九、道路に関する件  一〇、住宅に関する件  一一、建築に関する件  一二、国土行政基本施策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  この際、去る六月二十六日、国土庁長官に就任されました西村英一君及び国土政務次官に就任されました山内一郎君から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。西村国土庁長官
  3. 西村英一

    西村国務大臣 去る六月二十六日、国土庁の発足に伴い、国土庁長官を拝命いたしました西村英一でございます。  土地問題、過密過疎問題など、国土行政の当面いたします課題は、きわめて重大なものばかりであります。私は、当委員会で御提案になりました国土利用計画法を立法の趣旨に沿って適確施行するほか、真の国民福祉の向上を目ざした国土行政推進に誠心誠意当たってまいりたいと存じます。  練達堪能なる委員各位の御指導、御協力を切にお願いいたしまして、私のあいさつといたします。(拍手
  4. 木村武雄

  5. 山内一郎

    山内説明員 このたび国土政務次官を拝命いたしました山内一郎でございます。  まことに微力でございますけれども、職責を果たすために、誠心誠意全力を尽くしてやる決意でございますので、諸先生方の御指導、御鞭撻のほどをお願いいたしまして、一言あいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  6. 木村武雄

    木村委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
  7. 井上普方

    井上(普)委員 ただいま西村国土庁長官からごあいさつがございました。国土庁とは一体何する役所ぞということなんであります。いまのお話でございますと、国土行政をやるんだ、国土行政とは土地問題であり、過疎過密問題だ、これの問題に取り組むのだ、こういうお話でございますが、国土行政とは一体何なのか。これに対してどういうような態度でもって臨まれようとするのか。国土行政の定義とその方針をひとつ承りたいと思います。
  8. 西村英一

    西村国務大臣 まあ国土庁ができまして、いわゆる国土行政をやっていく役割りでございますが、このたび政府があまり機構等をつくることを賛成しないのにあえて国土庁をつくったという意味は、国土行政をやってもらいたい。しかし、国土行政とは一体どんなことかという御質問でございますが、皆さま方今回、与野党合意のもとにおつくりになりました国土利用計画法中心にいたしまして、土地対策大都市対策あるいは地方振興対策、水の問題等について総合的な計画的な行政をやるべきではないかということでおつくりになったと思うのでございます。せんじ詰めると、それによって国民生活に環境のいい場所を提供するんだ、やはり豊かな国土のもとに豊かな生活ができるような行政をするんだということではないかと私は思っておる次第でございます。
  9. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、私、ことばじりを取り上げて言うんじゃございませんが、国土行政をやられる最高の責任者が「じゃないかと思うのでございます」というようなのではちょっと困ると思うのです。  それはともかくといたしまして、国土行政とは国土利用計画法に基づいてやるんだ、こうおっしゃられる。しかし、国土利用計画法といいます法律は、これは与野党が、一つ政党は逃げ出したのでございますけれどもあと大多数の政党が合意いたしましてつくった法律なんであります。   〔委員長退席服部委員長代理着席〕 この法律は、申すまでもなく、現在の土地問題をいかにして解決するか、土地高騰インフレを促進する最大要因一つであるし、かつまた国民住宅問題等々に対しまして非常な圧迫を加えておる。この現在の機会に土地問題を解決しなければならないというので、計画規制をやろうじゃないか。しかし、あくまでも地価規制土地規制というのを主体にしてつくられたのが国土利用計画法なんであります。名前国土利用計画法でありますが、この名称をつくる際に、国土利用というよりもむしろ土地規制法にすべきじゃないかというのが非常な論議になったのでございます。  ところが、いまのお話のように、国土利用計画法中心にして、そして大都市問題あるいは地方振興問題あるいは水問題等々に対処するのだ、これが国土行政なんだ、こう言われますと、大体基本になる国土利用計画法を大幅に拡大解釈されておるのじゃないだろうか。すなわち、国土利用計画法役人ベースにおいて解釈し、これを行政の上にあらわしておるのではなかろうかという危惧の念を私どもは持たざるを得ないのであります。と申しますのも、国土利用計画法につきまして、田中総理大臣は、あれは国土総合開発法と何ら変わるところがないのだいこういう言明をされました。国会におきまして一大問題となり、ついに田中総理は、参議院の本会議場において釈明をする。衆議院の当建設委員会におきましても、内閣官房長官が参りまして、誤解であった、申しわけないという釈明をされております。したがって、あくまでも国土利用計画法といいますものは、土地規制だ、地価の安定、地価抑制、このためにつくられた法律であるということ、根本的にそれにほかならないのであります。ただいま大臣のおっしゃられる大都市問題、あるいはまた地方振興問題、水問題等々につきましては、この法律では意図しておらないところなんであります。どうも田中総理の先般の言明といい、あるいは田中総理が持っておる日本列島改造計画施行舞台国土庁になるのではなかろうかという危惧の念を私どもは持たざるを得ないのでございますが、大臣、いかがでございますか。
  10. 西村英一

    西村国務大臣 私は、ずいぶん広い意味でいま国土庁任務を申し上げたのでございますが、もちろん土地対策中心でございます。その土地対策のうちで諸悪の源泉といわれておった地価の問題、これを規制することが緊急の課題であることはもう申すまでもございません。したがって、私がさいぜん申しましたのは、やはりいろいろの行政としての任務を広く言ったのでございまして、その中心はあくまでも土地対策、なかんずく地価対策にあることはあなたと同感でございまして、決して役人の言うようなことで言っておるわけではございませんから、御了承を賜わりたいと思います。
  11. 井上普方

    井上(普)委員 役人がそんなことを申したとは私は考えておらないのであります。しかし、いまの国土庁の行き方を仄聞いたしますと、これは私、人から聞いておるのでまことに無責任な話でございますけれども、ここでの話でございますと、どうも土地問題よりもむしろ国土行政だというので、列島改造にまごうような計画中心に考えられがちだというような話も承って、まことに私といたしましては危惧いたしておる一人であります。あくまでも国土利用計画法といいますものは、これが地価問題を解決する、国土庁はそのために努力をする役所であると私どもは理解して今後進めてまいりたいと思うのでございます。よろしゅうございますか。  そこで、国土庁の構成を見てみますと、大臣建設大臣をやられた方であるし、次官もまた長年建設省におられ、参議院に出られた方である、いわば建設省出身の方であります。さらにはまた、四つか五つかある局のうちでほとんどが建設省出身方々で、官房長も占められておるようであります。  ここで私どもは、一大発想転換をしていただかなければならないと思うのでございます。と申しますのは、建設省役人といいますものは、土地を使うのだ、土地がほしいという立場ですべていままで建設行政というのをやってまいりました。言いかえますならば、住宅問題を解決するには土地問題を解決しなければならないという立場でものごとを考えてまいりました。その際に考えられますものは、常に、建設省役人土地を使うほうの立場からすると、土地の値上がりというものは、これは一部経済学者でも言われておることでありますが、需給関係によって地価というものはきまるんだ、こういう考え方に終始してまいったのであります。したがいまして、国土利用計画法ができた結果、供給が少なくなるのではなかろうかというような考え方をする役人もたくさんあるのであります。しかし、そうじゃない。この国土利用計画法考え方といいますものは、法第二条に示されましたように、これはほとんどの政党が一致したのでありますが、ともかく国民のための限られた資源国土であるのだ、したがって、この国土というものは国民共通資源である、こういう考え方に立って土地というものを処理しようという考え方に立っておるのであります。したがいまして、この法律の中に盛られております意味といいますものは、あくまでも地価高騰——先ほど大臣もこれが諸悪の根源と一言で言われました。まさにそのとおりであります。したがいまして、このインフレを押える一助にも、大きな要因である土地問題を解決しなければならない、こういう立場に立って地価抑制ということを中心にしてこの法律ができておるのであります。したがいまして、土地需給関係ということを頭の一すみにでも置きますならば、地価抑制に対しまして、これが私どもは、何と申しますか、ゆるみが出てくる、このように考えられるのであります。すなわち、あくまでも国民の限られた資源というもの、この土地というものをいかに有効に使い得るか、そのためには地価というものをいかに低く押えるか、安定させるかということを発想基本に考えていただかなければならないのであります。したがって、いままで大臣以下建設行政に長年携わってこられた方々土地供給をいかにしてたやすくさすかということばかりを考えてまいられましたのと発想が違ってきておると思うのであります。ここが私の注意申し上げたい一点であります。すなわち、考え方によりますならば憲法二十九条との関連も出てまいります。出てまいりますけれども、ここに定義されましたように、限られた国民資源であるというのが法文上で出てまいりましたのは、この国土利用計画法が初めてだろうと思います。すなわち、個人の財産的な考え方としての土地、それよりもむしろ先行するものが国民の限られた資源であるという考え方に立脚いたしておるのであります。ここで土地に対する発想転換というものが大きくなされなければならないのであります。いままでの惰性の行政であってはならないと思うのでございますが、大臣、いかにお考えになりますか。
  12. 西村英一

    西村国務大臣 私も井上委員意見に賛成でございます。やはりものには所有権がありますけれども土地に対する所有権というものは十分公共のために制限をされてしかるべきものでございます。そういうことばいまやもう土地に関する限り国民のコンセンサスはあると思います。したがいまして、この法律施行にあたって、許可、規制、こういうことをすれば土地需給関係に響くんじゃないかという心配もないわけではございませんが、その場合にどちらに重点を置くかといえば地価の安定が重点でございます。しこうして、やはり土地供給がうまくいくようにということも心がけなければなりませんけれども、安定がやはり第一と考えて——そうでなければ供給をどんどんやることは値段をつり上げることになるのでございますから、どちらかといいますと、私はやはり地価の安定ということを主眼に運営をしていきたい、かように考えておるような次第でございます。
  13. 井上普方

    井上(普)委員 私ども大臣の御答弁で大体わかるのでございますが、この法律趣旨といいますものが、いままでの法体系での土地所有権というものに対する考え方よりもはるかに公共の、国民資源であるという考え方が強く出されておるのであります。しかもそれは、共産党の考え方は多少違いましたけれども基本的にはやはり地価に対しては規制を加えるべきであるという点においても合意いたしておるのであります。言いかえますならば、地価に対する、土地は限られた資源であるという考え方に対しましては、これは全政党の一致した意見である。すなわち、議会の意思であるということが私は言えようかと思います。したがいまして、いままでのような、先ほど来申しますような発想ではなくて、あくまでも地価の安定というものを基本にして、これを第一義にして行政を進めるのが私は国土庁任務ではなかろうかと思います。その点につきまして先ほどちょっと話したのでありますが、どうも国土庁という役所を概観いたしますと、機構そのものが昔のミニ内務省みたいな観がなきにしもあらずであります。しかしながら、これは私ども意図というものとこの国土利用計画法意図というものとだいぶんはずれておると思います。しかし、先ほど来申しますように、あくまでも地価の安定ということ、地価抑制するんだということ、これを中心にした行政国土庁がやっていくんだということをもう一度言明していただきたいと存ずるのであります。
  14. 西村英一

    西村国務大臣 国土開発庁ではございません。国土庁でございます。その一言でわかると思うのです。国土開発庁ではありません。国土庁でございます。したがって、あくまでも地価の安定ということを中心に法の運営をしてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  15. 井上普方

    井上(普)委員 大臣国土という名前をつけるときに非常に問題になったのです。国土というのは価格がないけれども土地というものこそ価格があるんだ。土地価格を安定させようという法律なんだから、これは土地規制法とでもすべきじゃなかろうかということが論議になったのです。国土とは一体何ぞやということになりますと非常に幅の広い意味が出てまいりますし、とる各人各人によって解釈が違ってまいります。したがって、大臣国土庁なんだからとおっしゃいますけれども土地庁でありましたならば私はいいのです。国土庁であるところに私ども心配をいたしますし、かつまた大都市問題地方振興問題、水等を取り扱うということになりますから焦点がぼやけてくるんじゃなかろうか。あるいはまた、田中総理列島改造論推進役国土庁がするのではなかろうかという心配が出てまいりますので、私どもはあえてこの問題について御質問をしておるのでございます。あくまでも国土庁地価の安定のために全力を投ずる役所であると私どもは解釈いたしまして、今後国土庁がさらに発想転換をせられて御奮闘せられんことを切に私は希望いたすものでございます。  建設大臣に時間もございませんので簡単に質問をいたしておきます。  住宅問題が国民最大の問題であることは御存じのとおり。しかも、金融引き締めによりまして庶民住宅がなかなか建てにくい状況になっておる。その際に住宅金融公庫融資というものはあまりにも金額が低いので十分に国民の意を満たさないものでありますけれども、聞きますというと、もうすでに住宅金融公庫申し込みワクは満ぱいになってしまっておるという話でございますが、これに対しまして金融公庫融資ワクをふやそうという動きがあるやに承っておりますが、その間の事情はどうなっておるのでございますか。
  16. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のとおりでございまして、総需要抑制金融の強力なる引き締めということで物価対策を打ち出しました際に、住宅ローン等につきましては引き締めをしないというような立場でやってまいったわけでございます。ところが、やはり実施いたしてみますとどうしても窓口で実は締められておるわけでございます。大体ことしの春ごろまではずっと五千億台で月々ローンがあったわけでございますが、最近になりまして月四千億台にぺースがダウンいたしてきておる一わけでございます。そのために、住宅金融公庫が五月に貸し出しの募集を始めましたところ、そこに予想もつかないほど非常に申し込みが殺到いたした次第でございます。詳しい数字は後ほど事務当局からお答えさせることといたしまして、とにもかくにも四十日足らずで一年分の融資ワクを出し尽くしてしまうという情勢に相なったわけでございます。これは個人住宅建設に対する希望が非常に旺盛であるということを物語っておるわけでございまして、やはりこの国民要望にこたえていかなければならないということで、大蔵省に対しましてさらにワクの増加をしていくようなことを目下事務当局同士でいろいろ折衝をさせておる段階でございます。詳しいことは事務当局から申し上げたいと思います。
  17. 山岡一男

    山岡説明員 ただいま大臣から諸般の情勢につきまして御報告申し上げましたけれども昭和四十九年度の住宅金融公庫個人住宅融資につきましては、昨年度よりも当初ワクで七千戸増の十六万戸を予定いたしておりました。五月の終わりごろから申し込みを開始いたしまして、実は九月の三十日ごろまではもつだろうと思っておったわけでございます。ところが、ただいま大臣からもお話がありましたように、民間住宅ローンが一・四半期四千億程度まで、四十七年度当初の水準まで下がっております。そのほか、今年度におきましては、公庫貸し付け限度額を昨年よりも百万円ほどふやしておる。そういうふうなことで公庫の魅力が増大をした。それから資材高騰等に対しまして先行き不安があるので、なるべく早くうちをつくりたいという方々要望が一挙にまとまったようでございまして、申し込みが七月の末までで二十三万戸ということになっております。二十三万戸に対しまして、何とか既存の資金のやりくりと申しますか計画変更いたしまして、応じられ得るのが約二十一万六千戸くらいというふうに推定いたしております。もちろん二十三万戸の申し込みの中でやはりほんとうの成契に至らないで逃げられる方もおりますので、おおむね二十一万六千戸は契約できるだろうと考えております。  さらに、金融公庫につきましては、御案内のとおり、予算総則にあげております弾力条項というのがございます。資金の五割までは状況によっては発動できるという規定がございまして、その発動方につきまして、先ほど大臣お話がございましたとおり、事務当局といたしましては大蔵省と協議中でございます。  以上でございます。
  18. 井上普方

    井上(普)委員 この金融公庫ワクをふやすというのは庶民の切なる願いだろうと思います。せっかくの御努力を願いたいと同時に、総需要抑制をゆるめることは結局インフレを促進さすことにもなりかねないと思います。その際に、特に仮需要、思惑、こういうものに対しましてきびしい態度をとりながら、片方真に国民の望んでおる住宅金融公庫ワク増大にせっかくの御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  19. 服部安司

  20. 清水徳松

    清水委員 建築基準法の第三十八条に基づいてワク組み壁工法、いわゆるツーバイフォーが七月二十七日に告示されております。たしか八月の七日施行ということになったはずでございます。現在までプレハブ住宅などのように工業化住宅日本に進出してきておるのでありますが、今後木造住宅用資材、いわゆる木材が非常に払底してまいりまして、どうしても外材依存度というものが高まってくるという現況においては、この工法というものは相当大きなウェートを占めてくるんじゃないかというような予想がされるわけでございます。  告示に際しまして、大臣とそれから住宅局長に対して若干の質問をいたしたいと思います。  この北米の住宅工法であるツーバイフォーをわが国に導入しなければならなかった理由について簡単に御説明願いたいと思います。
  21. 山岡一男

    山岡説明員 戦後住宅不燃化が相当進んでまいっております。しかしながら、まだ全体といたしましては木造住宅の占めるウェートは依然として相当高いものがございます。木材供給関係について見ますと、現在輸入の率が六〇%をこえております。さらに、その中の内訳を見ますと、アメリカからの丸太、それからソ連からの針葉樹丸太、それから合板材料としましての南方材、それらがいままで主流を占めておりまして、一部カナダ等からも材木、これは製材で買っております。ところが、最近の諸外国のそういう情勢を見ますと、原木輸入につきましてだんだんむずかしいという状況になっております。特にアメリカのごときは、丸太日本に売りながら製材カナダから買っておるというような状況でございまして、今後も丸太輸入についてはだんだん制限されそうなかっこうになっておる。そういう場合に、カナダでも、製材品であるならば、国際規格になっておるようなツーバイフォー製材規格品であるならば、どんどん輸出をしようというようなことが参っております。それらを勘案いたしまして、国際規格化しておるツーバイフォー、ツーバイシックス、ツーバイエイト等製材品を合理的に拡張した本工法を導入したいと考えたのでございます。しかも、資材輸入が容易であるのみならず、先生案内のとおり、工法が簡便であるとか、単価が安くなるとか、いろいろな利点もございます。そういう意味で、こういうものを導入したいと考えた次第でございます。
  22. 清水徳松

    清水委員 大体このツーバイフォーでいきますと、住宅の中での占める比率というものをどの程度予想されておりますか。
  23. 山岡一男

    山岡説明員 ツーバイフォーにつきましてはやっとオープン化をしたということでございまして、いわゆるお役所仕事といたしましては、皆さんができる状況には何とかしたということでございまして、今後国民の皆さんの嗜好、それからそういうものに対しますいろいろな工務店、大工さん等の対応のしかた等によっていろいろ変わってくると思っております。先ほどお話に出ましたプレハブにつきましては十五、六年かかってやっと普及率が一三%という、それくらいのところになっております。それほどおそくはないと思います。資材の関係等でやむを得ずそういうようなものが加速されるかと思いますが、まだまだシェアをどの程度というところまで検討する段階には至っておりません。
  24. 清水徳松

    清水委員 プレハブで一三%、おそらくこれ以上の普及率が、少なくともプレハブと違ってオープン化されたわけですから、相当普及率が高まるのではないか、特に外材の依存度が六〇%を占めておるという現在において。ですから、こういうことになりますと、いままでの工法、いわゆる軸組み工法と申しましょうか、そういったようなものが相当後退をするということも考えられるし、そうすれば、その軸組みを中心として考えられておった建築基準法そのものを根本的に変える必要があるのではないか、いわゆる施行法、施行令も含めて変える必要が出てくるのではないかというふうに考えますが、その点についてはいかがでしょう。
  25. 山岡一男

    山岡説明員 現在までの建築基準法第三十八条の運用状況を御報告申し上げますと、まず最初に個別のものが出てまいります。そういたしますと、個別の認定をいたしまして四戸以上くらいを施工させてみる、それを厳重に検査をしまして、使用に耐えるということになりますと一般認定ということをいたします。さらに、それが世の中に膳灸をいたしまして、これを一般化するほうがいいだろうという場合には、告示によりまして一般化をいたします。それ以外のものにつきましては、構造基準につきましては建築基準法の政令の中にしっかり書くということでございまして、建築基準法の政令でほとんどがカバーされるわけでございますけれども、どうしてもその範疇から漏れるものにつきましていまのような取り扱いをいたしております。ツーバイフォーもまだオープン化したばかりでございますので、これを直ちに政令の改正とか本法の改正とかに取り入れる考えは現在のところ持っておりません。
  26. 清水徳松

    清水委員 三十八条によっていわゆるオープン化しないで、技術基準等を全然告示をしないで認定をしていく、これがいわゆるいままでの特認、プレハブの住宅あるいはまた今度もED構法等については特認の形で残すということになるようですが、この特認という場合と告示という場合とどの辺のところに違いが出てくるのか、それをちょっと伺いたい。
  27. 山岡一男

    山岡説明員 たとえばプレハブを例にとって申し上げてみたいと思いますが、建築基準法の第三十八条で認定をいたす個々のプレハブというのは、現在個別の木質系のパネル式のものを対象にいたしております。これがプレハブの中で占めるウエートは大体二割か三割だろうと思います。残りの七割ないし八割を占めますコンクリート系、それから鉄骨系等のプレハブにつきましては、これを政令で規定をいたしております。したがいまして、個別認定と政令で進めるものと、その間に一般のオープン化した告示というものがあるわけでございまして、今回のツーバイフォーの中などでは、いま先生おっしゃいました永大のやっておりますED構法のように、従来のワク組み壁工法とわれわれが考えておりましたものと在来工法とミックスしたようなものでございまして、全く個別の特例のものだと思っております。それ以外のものにつきましては、今回一般の告示によってオープン化したということでございます。
  28. 清水徳松

    清水委員 このツーバイフォー工法とたいへん関係がありますので、ちょっとプレハブについて御質問を申し上げたいと思います。  プレハブ住宅は十六年ですか、たっているのに、一三%といったような当初の推定からすると、ずいぶんまだ普及率が低いと思うのですが、その理由は何であるかということを御説明願いたいと思います。
  29. 山岡一男

    山岡説明員 プレハブにつきましては、先ほど  二二%程度と申し上げましたが、それは中高層では約一八%、低層では一〇%くらい、それをまあ合成いたしますと約一三%の普及率ということになっております。これは、先生もいまおっしゃいましたとおり、われわれも、もう少し普及するだろうと考えておりました。第二期住宅五カ年計画の終わるころには、われわれの推定では二〇%くらいまでいくのじゃないかと思っておりましたが、現在まだ進んでおりません。  なぜ進まなかったかということでございますが、これは国民住宅に対します嗜好の多様性というにとや、敷地の条件等によりまして、元来プレハブが得意といたしますマスプロダクションからはずれまして、個別の持別注文のほうがだいぶ多いようだというのがあまり伸びていない状況の原因だと思っております。さらに、現場施工が五〇%くらい全体の中で占めております。そういうふうな現場施工をできるだけ減らすとか、いまの特別注文でなくても、皆さんの需要に応じられるようなりっぱなプレハブがどんどんできるとか、そういうようなことの技術開発、指導に今後つとめてまいりたいと考えております。
  30. 清水徳松

    清水委員 プレハブを含めて工業化住宅の利点といいますと、よく皆さんのほうで、まず安い、また非常に工期が短縮できる、いわゆる迅速に建てられる、それからもう一つは非常に堅牢、この三利点をおあげになるわけですけれども、いままでのわれわれの経験によりますと、プレハブでももう坪二十七万から三十万かかるといまいわれております。それから一般でも、在来工法木材でも二十五万から三十万というところが普通のようであります。そうしてみると、あまり安くもない。もう一つ迅速でも、内装といったようなものについてはかえっていままでよりはよけい時間がかかるといったような面もあって、あまり迅速でもない。さらにまた堅牢という面から見ましても、四十七年の二十号台風でプレハブは非常に弱さが露呈をいたしまして問題になった。四十八年から技術審査委員会というものを建設省のほうで発足させまして見直しをやっているというような状況であるようでありますが、この点、プレハブについてこのままの状態にしてよいのかどうか。いわゆるオープン化をするというような方向は考えられないのか。いわゆる技術基準をきめまして告示をしてツーバイフォーのようにやるというようなことにならぬものだろうか。その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  31. 山岡一男

    山岡説明員 まあ先生おっしゃいましたとおり、プレハブ住宅に対しましてわれわれが利点と考えております点は、一つはコストが安くなるはずだ、それから品質が安定するはずだ、それから工期が短縮されるはずだということでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、コストダウンというのは大量生産ということがうらはらでございます。ところが、十人十色の申し込みが非常に多いというのがいまプレハブ業界の悩みの種でございます。それを一々個々認定しておるからじゃないかという先生の御趣旨かと思いますけれども、重要な技術開発を助長するという意味では個々認定の制度もやはり残しておきたいと考えております。  ただ先ほど申し上げましたように、プレハブの中でも二、三割を占める木質系のものにつきまして現在まだ個々認定ということでございますけれども、その他はすべて政令基準まであがっておりまして、現在のところ、非常に多様化しております木質系のものにつきまして直ちに告示によるオープンということは非常にむずかしい状況でございます。  ただ、最近われわれがやっておりますことの中で、さっき堅牢ということもございましたけれども、認定制度というのをことしから発足させております。これは、各プレハブ業界の皆さん方のほうでおつくりになっている中で特に大量生産をなさるというような種類につきまして御提出をいただきまして、いわばお医者のカルテのようなものを発表する。これは屋根はいいよ、土台もいいよ、窓の大きさもいいよ、いろいろな住み方まで考えましていろいろなカルテを出して、国民の皆さんがそれを見ながら多様化した需要で選択が十分できるような手段を考えております。これらのものがだんだんそういうふうなものの中で集約されてまいりまして大量生産に乗ってまいりますと、予定どおりのコストダウンが進むのじゃあるまいか。おそらく毎年できます住宅のうちの二五%もしくは三〇%のシェアを占めるようになれば相当安くなるだろうとわれわれは考えております。
  32. 清水徳松

    清水委員 シェアを占めるような条件を与えるということが一番大事なことじゃなかろうかというふうに思います。というのは、永大あるいは積水その他のプレハブは、一部の大手メーカーによって全部独占をされておる。資材なんかもそこの系列に入らないともちろん買えないし、またその系列でないと施工もできないというような状況のようであります。それぞれの会社がそれぞれの基準のものを持っておりまして、それをみな集めてきて組み合わしてつくるというようなこともできないといったようなことで、そういうプレハブの独占的なやり方が非常にコストを高めている一つの大きな原因じゃなかろうか、それから個々別々のいろいろなわれわれの要求に対する対応ができない大きな原因でもなかろうかというふうに思います。ですから、一般の工務店がやろうとしてもできないわけです。  このことはツーバィフォーにも大きな関係がありますのでひとつお伺いしたいのですが、このツーバイフォーが告示される前までは一応特認といいまして、この特認をされた方々が、これを特許と考えられていたかどうかわかりませんが、一般工務店でその仕事をさせる場合に多額の保証料、特許料みたいなものを取っておったという事実を御存じでしょうか。
  33. 山岡一男

    山岡説明員 建築基準法三十八条によりますいままでのワク組み壁工法、これの在来の中で認めておりますのが七社でございます。その他個別の認定で、施工といいますか、先ほど申し上げました四戸以上のものを現実につくって、それを認定を受けるという段階にまだあるものが三社ございます。その中で、全部をつまびらかにしておりませんけれども、特に永大等では代理店との間で百万円とか最高三百万円くらいの保証料を取っておるという事実は聞いております。
  34. 清水徳松

    清水委員 ここで三百万円の保証料の契約をしている資料等も入っているわけです。これはほとんどのところで、その額はいろいろ違いがあるかもしらぬが、保証料を取ってやらしておるというのは事実のようであります。今度はツーバイフォーがオープン化されましてこういう保証料とかなんとかというのは要らないわけです。払う必要はないわけです。だれでもできるわけですからね。ところが、ED構法をぼくらから見ると——まあ見てきたんですが、ほとんどツーバイフォーと同じですね。ところが、ED構法だけはツーバイフォーではないといったような認定のもとに、いままでどおり特認のままに許されるということは、一体いかなる理由であろうか。この保証料を無理して返すようなことになれば、これは破算でもするといったようなことを配慮したためにそういうふうになっているのか、その辺のところをひとつ御見解を承りたいと思います。どうしてED構法だけツーバイフォーの告示から除いたのか。
  35. 山岡一男

    山岡説明員 現在までに三十八条で認定しておりましたワク組み壁工法と称するものの中にも確かにEDは少し変わっておりました。今度告示をいたします際に、ワク組み壁工法と国内の名称も正式にいたしました。「根太で組まれた床の枠組に構造用合板を打ちつけた床に、木材で組まれた壁の枠組に構造用合板その他これに類するものを打ちつけた壁を取り付けて、建築物を建築する工法をいう。」というふうにワク組み壁工法の定義をいたしました。それによりますと、七社のうち他のものは全部これに当たるわけでございますが、ED構法によりますと、小屋組みとか、それから床とかの構造が、これは在来工法とほとんど同じでございます。  それからもう一点、先生お話でございました先ほどの三百万円のお話でございますが、これにつきましては他のいろいろな事業におきましても代理店との間に保証料を取るということはございます。したがいまして、それが程度を越えておるのか、それともほんとうにむだなことをしておるのかという点が問題になろうかと思いますが、そういうことがあってはならないということで、特にオープン化にあたりまして永大さんにはいろいろなことを申し上げております。と申しますのは、大体こういうふうにオープン化されるのであるから、ED構法以外に一般のオープン化されたものをいままでの代理店がかわりにやりたい、EDはやめたいという申し出があった場合には、保証金は全部お返しなさいという指導をいたしております。現に相当、百三十店ぐらいはED構法をやめまして、一般になるということで保証金の返還をなさっておるというようなことだと聞いております。
  36. 清水徳松

    清水委員 ED構法をもしやるにしても、三百万円の保証金を出してまでツーバイフォーが告示された段階でやるという人はほとんどなかろうかというふうに思います。ですから、そういうふうなことで、これは早急に返済させるようにひとつ行政指導を強めていただきたいというふうに思います。  もう一つ資材確保のことなんですが、先ほど申し上げましたとおりプレハブがいまだに一三%内外、こういったような状況にあるというのは、資材がやはり独占されておるというようなことが大きな原因じゃなかろうか。いわゆる普及していく条件が非常にないということだろうと思います。ですから、このツーバイフォーも普及をさせるためには、特に外材が中心になるわけですから、いわゆる大商社、それから大メーカー、それからその系列の工務店といったような流れに資材がならないように何とか一般化しただけの、何というか、そういう妙味があるように、普及がしやすいように、そういうような流通機構を考える必要があろうかと思いますが、そのために何か建設省としては、たとえば外材の輸入公団をつくるとか、あるいはまた配給面で何らかのことを考えるとか、そういったような具体的な対応策というものはないものでしょうか。
  37. 山岡一男

    山岡説明員 先生おっしゃいましたように、プレハブの普及過程におきまして、確かに先生がおっしゃったことがあったと思います。その点は現在徐々に是正をしてまいっておるつもりでございますが、さらにいままで認めておりました七社もしくは個別認定中の三社等が中心となりまして、そういうことがあってはならないというつもりで、ほんとうをいいますと、オープン化を少しでも早くしたいということで急いでオープン化をしたというのが実情でございます。したがいまして、プレハブ等の前例にもならいまして強力に商社等の行政指導を行なってまいりたい。それから、さらに請けます大工さん、工務店等の協業化とか、そういうようなものを指導するためのいろいろな施策を十分前向きに講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  つい先日も、中小の団体でございます分住協とか宅造連という方々がお見えになりまして、ひざをまじえていろいろとお話をしたわけでございますけれども、皆さんもまさにそういうことをお考えでございました。近くみんなで力を合わせて協業化を進めようじゃないか、ひとつカナダまでみんなで買い付けに行こうじゃないかというようなお話をなさっておりました。そういう方向はまことにけっこうだと思いますので、われわれもしっかり応援をしてまいりたい。しかし、当面はどの程度の需給バランスになるのか、まだまだむずかしい問題があると思います。先生がおっしゃるような公団等のところまでまだ考える時期ではないだろうと思っております。
  38. 清水徳松

    清水委員 このことについては、もう少し様子を見ながら、われわれも皆さんのほうへいろいろ御要望もしてまいりたいというふうに思っております。  さらにまた、いままでの工法と違って、くぎと金具でぶっつけていくわけですから、たとえば十本くぎを使うところを八本、五本というふうにしてやってもかっこうとしてはできるわけです。ところが、日本の在来工法の場合は多少手抜きをしてもすぐ発見できるし、また手抜きをしても堅牢さをある程度確保できたと思います。ところが、くぎと金具の場合は、ちょっと手抜きをすると致命的な欠陥が出てくるというような気がいたします。ですから、手抜きをさせないためにどういうようなことをしたらいいんだろうかというのが今後の大きな課題になるだろうと思います。そのために検査制度なんかどういうふうにするのか。それからもう一つは、技術者の教育をどういうふうにしてやるのか、さらにまた、技術者の待遇面まで深く立ち入って考えてやらないと、やはり工事を急ぐあまり、手間をとるあまり手抜きをするといったようなことがないとも限らぬ、こういったような気もするわけであります。そういう点についてどのようなことを考えておられるのか、簡単に……。
  39. 山岡一男

    山岡説明員 先生お話のとおり、ワク組み壁工法につきましては、在来工法のように、ほぞをつくって柱を緊結するということと違いまして、くぎ打ちで全部やってしまいます。したがいまして、でき上がったあとでなかなか文句をつけられないという点がございます。これは確かに現場施工上の重要な問題でございますので、現在そういうものの普及をはかる際に、十分工事中の監督も厳重に行なうようにということを建築主事、建築士をしてさせるというような指導をしてまいっております。  さらに、これを普及させますためには、単にそういう技能者の方だけの養成では困ります。現在考えておりますのは、行政庁のほうの研修、これは普及の話と同時に中身の研修もいたします。それから、設計に携わられる設計士の方々、それから工務店、それから大工さんの方々、それから今度はそこに働かれる方々の技能の訓練、四種類ぐらいあろうかと思います。そういうようなものにつきまして計画的に研修を行なってまいりたい、その中でも現場施工の重要性については特に強調して、マニュアル等もつくって差し上げたいと考えておる次第でございます。
  40. 清水徳松

    清水委員 建築行政の面で、技術者あるいは工務店も含めた経営者、それから設計、そういったような各方面にわたるいろいろな建築行政が必要になってくるのじゃないかと思います。特に建築労働者に対して今後相当技術の向上、その他質の向上を目ざしつつ、それから待遇改善も含めながら、やはり建築行政を強めていく必要があろうと思います。そのために、いまはないようですが、建築労働者のために建築労働課あるいは部、局——局ぐらいの抜本的な一つの機構というものを新設するというような計画がないものでしょうか。これからはその必要があると思うのです。
  41. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のとおりでございます。私も就任以来、建設行政の今日までの経緯にかんがみまして、いわゆる今回の石油ショックによって、建設業界の、普通上昇期にあっては出てこないようないろいろな弱い面というものがはっきりといろいろな形であらわれてきておるわけでございます。したがいまして、こういう時期を契機といたしまして、やはり建設業法に盛られた精神を十二分に建設行政の面に発揮をしてまいるという立場から、建設業界がほんとうに国民の信頼を得るような形で発展してまいるための指導行政というような点はたいへん大事であるというふうに考えたわけでございます。したがいまして、これから来年度の予算要求にあたりましても、建設労働の問題あるいは資材対策の問題さらには金融問題等も、やはり十分、こういう不測の事態に対処いたしましても、倒産等に追い込まれないようにするために、指導行政の面を強化してまいりたいという感じを持っておるわけでございますので、御指摘になりました建築労働行政の面においても、現在は建設労務資材調査室というところで細々とやっておる現実でございますが、こういう面についてはもっと強化をしていきたい、こう考えておりまして、組織の面においても概算要求の中に要求をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  42. 清水徳松

    清水委員 では、まだいろいろ質問があるわけですけれども、あと二、三分しかありませんので、次に移りたいと思います。  先般六月二十七日公害等調整委員会裁定委員会の秩父市高篠地区における岩石採取計画の不認可処分の取り消しの裁定について質問をいたしたいと思います。  この公害等調整委員会はもちろんこの設置法に基づいてあるわけですが、この設置法は、公害対策並びに環境保全特別委員会で審議されております。そしてまた、山中国務大臣委員会で、土地調整委員会と公害審査会の合併したものであり、両方の委員がまじって構成され、公害等調整委員会はこれからどっちに重点を置くかということになると、ウエートとしては公害紛争の裁定を中心とした処理事務が一番大きなウエートを持つことになるだろうというふうに答えておるわけであります。ですから、この裁定委員会というものはやはり公害をなくするため、あるいは自然環境を保持するためという目的を持って設置もされ、運営もされるものであるというふうに私は解釈しておりますが、この公害等調整委員会の職務を遂行するについての基本的な態度というものからお伺いをいたしたいと思います。
  43. 小澤文雄

    ○小澤説明員 公害等調整委員会は、公害紛争の処理に関する事務と土地利用の調整に関する事務と両方を所掌していることは、いま御指摘のとおりでございます。  そのうち、土地利用の調整に関する事務の処理についての基本的姿勢は何であるかというお尋ねと拝承しますが、これにつきましては、公害等調整委員会のこの部分の事務の前身である土地調整委員会の設けられだ趣旨、すなわち鉱業、採石業または砂利採取業と一般公益等——この公益の中には公害防止も当然含まれるわけでございますが、一般公益等との調整をはかるために、鉱業法、採石法などに定めた不服の裁定につきまして、準司法的な手続により公平な第三者機関として厳格公正な立場から結論を下すのを使命としているわけでございます。
  44. 清水徳松

    清水委員 四十七年四月の公害の委員会における会議録から拾ってきたものですが、そのときに、総理府総務副長官でありました砂田重民氏は、委員会においてこのように発言をいたしております。「土地調整委員会と中央公害審査委員会がこういうことで統合するわけでありますが、両委員会のその性格を考えてみました場合に、土地調整委員会は、」「鉱業等と一般公益等との利害の衝突についての行政争訟、これを公益的立場から解決することを任務にしております。一方、中央公害審査委員会は、公害紛争という本来は私的な民事紛争でございますけれども、地域住民全般の生活環境にかかわるその社会的公共的な性格は無視し得ない、そういう争訟の処理に当たることになっております。」こういうことで、はっきりと公的立場に立つものであり、かつまた地域住民全般の生活環境にかかわる社会的、公共的な性格を重要視する、こう言っておるわけでありますが、その点間違いございませんか。
  45. 小澤文雄

    ○小澤説明員 おっしゃるとおりでございます。
  46. 清水徳松

    清水委員 それじゃ、もう時間がございませんので、結論だけお伺いします。  この裁定は一応振り出しに戻った、申請書が出された段階に戻った、こういうことですか。
  47. 小澤文雄

    ○小澤説明員 そのとおりでございます。ですから、その申請について全く白紙の立場からもう一度行政段階で審査してもらいたい、そういうことでございます。
  48. 清水徳松

    清水委員 わかりました。そうすると、県が認可するについては再び審査することになるわけでありますが、公害等調整委員会も、その点については、県が第一条による公共の福祉に反するといったような形での不認可ということでは法的根拠が違うので、三十三条によって新しく審査をして、それに基づいた結論を出せ、こういうことでいいわけですね。
  49. 小澤文雄

    ○小澤説明員 そのとおりでございます。
  50. 清水徳松

    清水委員 わかりました。  これで終わります。
  51. 服部安司

    服部委員長代理 中村茂君。   〔服部委員長代理退席、天野(光)委員長代理着   席〕
  52. 中村茂

    ○中村(茂)委員 西村長官にまず最初にお聞きしたいと思います。  先ほどあいさつをお聞きいたしまして、それから井上委員質問にいろいろお答えになった内容もお聞きいたしました。特に私ここでお聞きしたいというふうに思いますのは、国土利用計画法は、私が申し上げるまでもなく、四党共同提案で議員立法として成立したわけでありますけれども、こういう経過をたどって成立しただけに、幾つかの確認というか、そういう事項がそれぞれ政策の中で生かされていかなければならない性格が非常に多くあるわけであります。そういう意味で、この国土利用計画法の運用にあたっての基本姿勢を明確にひとつお答え願いたいというふうに思います。
  53. 西村英一

    西村国務大臣 法律施行にあたってどんな態度でやるかということでございますが、私が申し上げるまでもなしに、土地はたいへんもう限られたものでございますし、そしてまた国民生活あるいは生産等にはなくてはならぬものでございますので、とにかく公共優先の立場で、しかもさいぜん井上さんからいろいろ御質問がありましたように、地価の安定をはかりつつ土地の適正な利用をはかっていきたいというような心がまえでやっていきたいということでございます。
  54. 中村茂

    ○中村(茂)委員 特に、私は先ほど申し上げましたように、これは条文にははっきり出ていないような幾つかの内容があるわけですけれども、特にここで確認しておきたいというふうに思いますのは、この法律の四条の国土利用計画、この計画は、開発事業の計画そのものについては開発関係のそれぞれの法律に基づいて行なうべきものであって、したがってこの九条でいっている土地利用基本計画は、土地の取引の規制、開発行為の規制、それから遊休土地に関する措置等を中心にして基本計画を立てていくのだ、こういうことがそれぞれ確認されていると思うのですけれども、これからの運用にあたっては、そういうそれぞれの規制中心にして、土地の投機それから土地の暴騰等に対しての措置を通じて、これらのいろいろな問題は規制ということが中心になって地価安定をはかつて国民の用に供していく、こういう計画になっていかなければいけないのではないか、こういうふうに思うのです。ですから端的にいって、開発重点ではなくて、規制を通じて地価の安定をはかっていく、そういう土地計画を立てていくのだ、こういうふうに考えているのですけれども、そういう立場でいいですか。
  55. 西村英一

    西村国務大臣 仰せのとおりでございまして、開発ではなしに利用をどういうぐあいにうまくやっていくかということについて、いろいろ規制の問題があり、許可の問題があるのでございます。その場合に、もっとくだいて言いますと、やはり地域社会の住民の意思を尊重するということ、それから現在の状況でございますとあくまでも環境の保全を心がけて利用しなければならぬというようなこと、あくまでも人間的な立場に立ってやはり土地の利用を進めていきたいというような気持ちでやっていくべきではなかろうかと思っておる次第でございます。
  56. 中村茂

    ○中村(茂)委員 細部にわたって今度はお聞きしていきたいというふうに思いますが、ここのところに「国土庁の所掌事務 昭和四十九年八月 国土庁」というふうに冊子がありますけれども、これは国土庁でおつくりになったわけですね。
  57. 粟屋敏信

    ○粟屋説明員 そのとおりでございまして、先般県の企画部長会議を招集いたしました際に配付いたしたものでございます。
  58. 中村茂

    ○中村(茂)委員 この機構の中に計画・調整局があり、その中に総合交通課という課ができているわけですけれども、これは何をするのですか。
  59. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 計画・調整局の総合交通課におきましては、わが国におきます国土の利用問題にからみまして、特に施設面に限られておりますが、総合交通体系についての調整を行なうということが主要な任務であります。
  60. 中村茂

    ○中村(茂)委員 この冊子の三四ページから三五ページにわたってその所掌の内容が書いてありますけれども、「総合交通施設体系の整備」ということで、(1)、(2)、(3)というふうにわたって書いてあります。特にこの(2)の項でいっている意味が全然わからないのですけれども、読み上げると長くなりますから、そこにこの冊子があると思いますが、この(2)の項についてどういうことをいわんとしているか、はっきりお答え願いたいというふうに思います。
  61. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 お答えいたします。  「総合的な交通施設の体系の整備方針に関する基本的な政策」ということがうたわれておりますが、その意味をここへ説明を加えたつもりであります。これは幹線交通ネットワークといいますか、新幹線あるいは高速道路その他国道、地方道、いろいろ交通施設がございますが、それらが総合的に機能して全体としてのネットワークができるという考え方というものが中心で、その施設の整備の規模、配置というものを、ある目標年次を中心にして計画を立て、その基本的な構想をつくるということが整備方針という内容であって、それに対する基本的な政策をここで検討するという意味が書いてあるつもりでございます。  なお、狭義な意味で交通施設整備という物的な側面ということは先ほどお答えしたわけでありまして、ソフトといいますか、物的でない面についてまでここで含めているという理解はしておりませんが、ただそういった問題を検討する際には、背後には当然そういったソフトの面の検討も十分した上で施設的な狭い意味での調整をしたいということをここへ説明したつもりでございます。
  62. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そうすると「幹線交通ネットワーク形成の基本的な考え方を含め、」こうずっとあるわけですけれども、それでその下が上のほうの説明になっているわけですね。「なお、これは「総合交通体系の整備に関する政策」よりも狭義であり、交通施設の整備という物的な側面に重点をおき、かつ、」と、こうきているでしょう。いま、いえばこういう物的な側面と同時に「運賃料金体系、企業経営のあり方等の諸制度をも含めたより広範な政策をさしている」というのだから、狭義とか広義とかいっているけれども、これはこういうことを何でも一切やるぞ、もっとはっきりいえば、日本列島改造計画の全国幹線ネットワークをこのところで企画し、立案し、推進しますよ、一切のことをここでやります、こういうふうにいっているわけですか。
  63. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 この作文が読みずらくて恐縮でございますけれども、いいたいと思います趣旨は、運賃料金体系であるとか、あるいは企業の経営のあり方という制度を含めた設置法ではないというふうに考えておりまして、もちろんそういうものを踏まえた上ではありますけれども、施設の整備ということに力点を置いた政策の立案ということで考えております。
  64. 中村茂

    ○中村(茂)委員 だから、あなたの説明からいくと、狭義というふうにいって解釈づけている「物的な側面に重点をおき」と、こういう面だけなんでしょう、ここでやるのは。下のほうでいっている「運賃料金体系、企業経営のあり方等の諸制度をも含めた」というところまで、今度国土庁でこの総合交通課をつくってやるのですか。
  65. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 同じことをお答えすることになりますが、このページの「総合交通体系の整備に関する政策」という論議につきましては、実は運輸省、建設省国土庁の三省庁におきましてそれぞれが総合交通体系に関する事務を持っておりますが、その中で国土庁といたしましては、いま先生御指摘のように、この総合交通体系の上段のほうの仕事が調整の対象としての事務であるというふうに考えております。
  66. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私がここで言わんとすることは、俗にいわれているいまの日本列島改造論というか、そういう面に乗った開発部面の幹線交通ネットワークの構想ということよりも、ここのところの前段でいっている総合交通体系の整備は、過疎過密問題、この是正と密接な関係がある。そういう立場の総合的な交通体系の整備方針というもの、それに基づく政策、こういうものを立案し、それぞれの省庁と連絡をとって実施していく、こういうふうにすなおにとりたいのですけれども、それでいいのですか。
  67. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 御指摘のとおりでありまして、私どもといたしましては、まず新たに六十年を目標とする計画を十分検討いたしまして、過密過疎という問題をどのように理解し、どう解決していくかという方向を見出しながら、総合交通体系というものについて関係省庁への調整の仕事をしていきたいということで、御指摘のとおりだと思います。
  68. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私が特にそういうふうに念を押すのは、廃案になった国総法案、これは廃案になったからいいわけですけれども、それでこれがかわりに出てきたわけですが、その特定総合開発地域制度の二十四条から四十条の中で、特に開発指定地域としてずっといろいろあるわけですね。産業立地基盤の開発または交通結節拠点の開発を主たる目的とする総合開発を特に促進する必要がある地域というふうになっているわけです。これはもうなくなったわけですけれども、やはりこれが前段で提案されて、しかもそういうものに基づく、名前は変わったけれども国土庁となって、その中へやはり総合交通課というものができてきている。そうなってくると、これは抜けているからいいわけですけれども、こういう開発の部面はまた違う法律なり違う計画でやつでいくにしても、いまのできました国土利用計画法ではこの面は触れていないわけでありますから、そういうふうになったいろいろな紆余曲折と、議員ができたという経過の中でこの点は念を押しておきたい、こういうことで特に取り上げたわけでありますから、理解していただきたい、こういうふうに思います。  次に、法律の十六条、十九条、二十四条、三十三条、この四つのそれぞれの条項、土地に関する権利の相当な価額に政令で定めるというふうになっているそれぞれの条項で、この規制価格の算定方法、これははっきり申し上げまして、いろいろ新聞なんかでは見ますけれども、どういう算定方式を考えておるのか。この四つの条項に適用されるものはそれぞれ同じ方法を考えているのか、それとも別な方法になってくるのか。もう少し具体的に明らかにしていただきたいというふうに思います。
  69. 河野正三

    ○河野説明員 規制の基準価格の政令でございますが、おっしゃるとおり、規制区域内に適用される基準価格と届け出の際の価格と、それからさらにまた遊休土地に関する買い上げ価格の基準価格とございますが、基本的に規制価格をどういうふうにするかという点におきましては同一の基準が大体考えられると思います。ただ多少の違いがあるわけでございます。多少の違いと申しますと、規制区域の場合には、御承知のように価格が凍結されますから、凍結された価格がずっと何年間か凍結された間に土地を買って、また造成をして処分をするというときの特段の造成等に要する費用等の見方であるとか、そういった違いがございますが、基本的には「近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した」価額というような表現になっているわけでございます。この政令のきめ方につきましては現在ようやく検討に入った段階でございまして、どういうふうにきまるかということはもうしばらく時が必要かと存じておるようなわけでございますが、その基本的な姿勢といたしましては、御承知のように、国会でたいへんいろいろの御審議の経過等もあったようでございますので、その御審議の経過等を十分に尊重いたしまして、地目別あるいは地域別の実態調査等も現在行なっているわけでございます。これに基づいてきめていきたいと思っておるようなわけでございます。  特に宅地取引の場合におきましては、市場相場を相当程度下回るところに価格設定がなされなければならないというような御趣旨もございまして、その点を十分に尊重しながら、固定資産税の倍率方式または標準地比準方式等を考えながら政令をきめていくというようなことになろうかと思うのでございます。  また、農地取引の場合あるいは大規模取引の場合、山林の場合等につきましては、どういったような方式をとればいいかというようなことをきめてまいる所存でございます。
  70. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そうすると、まだ検討中だということですが、特に新聞等に若干出ました公示価格は、いっている市場相場の七〇%から八〇%だ、こういう意味の新聞を私見ましたけれども土地の公示価格というものはそういうふうに理解しているのですか。
  71. 河野正三

    ○河野説明員 法律によりますと、地価公示の対象地域につきましては公示価格を基準として政令で定めるところにより算定した価額、こういうふうに書いてあるわけでございます。しかしながら、宅地取引の場合に市場相場を相当程度下回ったものでなければならぬという御要請は、これはおそらくカッコの中にも及ぶものと私は理解いたしております。そこで、地価公示価格というものが市場相場の大体何割に該当するかということにつきましては、現在いろんな実態調査をやっております。地価公示法の制定当初におきましては、趣旨といたしまして、市場相場の追認であってはいけない、つまり異常な取引、買い進みであるとか、あるいは特定目的を持つ売買であるとかいうような取引事例というものは、近傍類地の取引事例でありましても排除しなければならぬというように指導をずっと続けておりまして、それが末端におきましてどの程度になっているかを現在実態調査をしておるようなわけでございますが、もしも法律でいっております地価公示対象地域は地価公示価格を基準とするんだということが、実態調査の結果におきましても、先ほど申し上げましたような市場相場追認でないという形で十分に貫徹されているならば、法律趣旨が非常に理解しやすいということで、私どもはそういう実態調査の結果に現在判断をかけているようなわけでございます。
  72. 中村茂

    ○中村(茂)委員 どうもはっきりしないのですけれどもね。これは追認であることは間違いないのですよ、指導はどういうふうにしていても。これは一応指標だということで、いままでずっとしているわけですけれども、それはいままでの経過を見れば明らかで、東京圏において、これはそれぞれの地域によって違いますけれども、平均、四十八年一月一日の公示は前年度に比較して三四%、それから四十九年は三三・三%、これは東京ですから、平均ですが、一番上がっている。そういうふうに上がっているように、順に追認してきているわけですよ。これが調査の結果とかいろいろ言ってみても、追認されてずっと上がってきていることは間違いないわけでありますから、それが市場相場の七〇%から八〇%にこの地価公示価格というものが該当するんだ、こういう理解は成り立たないと思うのですよ、幾ら調査してみたところで。しかし、新聞ではそういう趣旨に出ているのですよ。だからあなたたち、そういう考え方がやはりあるんじゃないですか。どうもいまの答弁では、調査してみて、こういうふうになっているけれども、もう少しそこら辺のところを明らかにしてください。
  73. 河野正三

    ○河野説明員 多少ことばが足りませんで失礼をいたしましたが、地価公示価格というものも一般の市場価格の相場と全然無縁だというわけではないと思います。つまり需要供給の関係で価格が決定されておりますから、東京地域なら東京地域全般につきまして需要供給を非常に上回るというような場合には、やはりある程度の市場相場の反映があるであろうと思います。ただ個々の標準地の土地価格の水準というものをとってみた場合に、市場相場でいっております水準よりも低いはずであると私は期待をいたしております。それが七割であるか八割であるかは地域によって違いますけれども、七割ないし八割の幅の中に入るような形で、相当低いはずであると私は期待をいたしております。おっしゃるように、昭和四十八年一月一日価格は、前年度の一月一日価格に比べまして三四%東京地区で地価公示価格が上がっております。また四十九年の一月一日価格は、その前年度に比べて三三・三%の上昇を見ておりますが、これは市場相場はもっとひどい形で上がっているのじゃなかろうかと私は思います。この間二年間、過剰流動性であるとか、あるいはローンが非常に普及したとかいうことで、需要が非常にふえた。それに対しまして供給市場というものが非常に限定されていたために、一般的に地価の上昇があった。ただ、市場相場は投機的な投資等を反映いたしましてもっともっと高かったのですが、その中のあるべき実需要的な需要というもの、この需要に基づく買い取り価格も相当上がっていたことも事実でございます。したがって、地価公示に当たります不動産鑑定におきましては、おそらくは異常な取引、つまりガソリンスタンドであるとか、あるいはスーパーマーケットがそれぞれ私鉄沿線の駅ごとに進出してしったとか、そういうような異常な取引事例というものは排除いたしまして、一般庶民が通常の売買でお払いになっているような金額に合わせて是正をして鑑定評価をしたものだと考えておりますが、その点もう少し実態調査をしてみたいと思うわけでございます。
  74. 中村茂

    ○中村(茂)委員 あまりとぼけたことを言って……。この公示価格というものは、市場相場でいろいろ取引されている、特に高くなったのを排除して、平均のところをとったと言っています。それでもいいですよ。しかしながら、あなた方はどういうふうに指導をしているのですか。これは、これで売買されるように行政指導して、土地の安定をはかっていこう、地価の安定をはかっていこう、この指標にしているんでしょう。われわれは、まだ土地がこれよりも高いところで売買されているのを何とか規制しようとしているわけですよ。だから、これは一般の取引よりも七〇%なり八〇%、おそらく市場相場よりも安い数字が出てくるだろう、この公示価格というものは安いだろう、こういうような憶測をするということ自身、これに携わっているあなたとして私は不見識だと思うんですよ。しかもここに建設省計画局で「昭和四十九年地価公示」についての「公示価格の性格等」というふうに皆さんのところで書いたものがあります。「公示価格は、毎年一月一日における標準地の更地としての一平方メートル当たりの正常な価格である。正常価格とは、市場性を有する不動産について、合理的な自由市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいうものである。換言すれば、売り手にも買い手にもかたよらない客観的交換価値であり、いわゆる仲値のことである。このような性格を持つことにより、土地の取引価格の指標となり、公共用地取得価格を定める場合等の基礎となりうるものと考えられる。」というように正確に出ているじゃないですか。だからこの国土利用計画法で、いま言っているそれぞれの価格をきめていかなければならぬのは、十六条、十九条、二十四条、三十三条、先ほど言いましたように宅地、農地、大規模、遊休、それぞれになっているわけですけれども、これは土地規制の中でそれを中心にして土地の安定をはかっていこう、特に宅地の場合等または遊休地の場合等、これは若干の開きがあるけれども、市場相場の七〇%から八〇%、そういう算出方法を定めておくというのですから、常識的にいえば地価公示価格よりも七〇%から八〇%低く算定方式を一これはまたいろいろむずかしいでしょう。固定資産税とかまたは相続税とか、いろいろ土台になるものがありますよ。それを公示価格そのものを市場相場の七〇%から八〇%になるんだ、このような考え方では私どもは絶対承知できませんから、もう一度その点を明らかにしてください。
  75. 河野正三

    ○河野説明員 一般的な需給という関係が、ある程度地価公示価格面にも反映することを先ほど申し上げたわけでございますが、もう一つは、市場相場価格というものよりは相当程度低いはずであるということを申し上げましたが、そのはずの点は、調査結果等を待ちまして御報告をさしていただきたいと思うのでございます。  なお、おかげさまで、国土利用計画法に基づきまして、従前の需要供給というような面を通じましての土地対策から、直接価格にメスを入れて何とか安定させようという新しい局面をわれわれは迎えることができたわけでございます。  そこで、著しい需給のアンバランスがあって地価が上昇するというような場合に、まずもって地価の上昇をとめることが大事であると私は考えております。そういう場合には、まず規制区域の指定というようなことが行なわれるべきである。そういたしますと、その規制区域指定の公告時現在の価格で、百も御承知だと思いますが、向こう何年間もストップになるわけでございます。こういうたいへんすぐれた仕組みを十分に駆使していくべきでございまして、基準価格そのものというものは、たとえば規制区域に例をとりますと、出発点でございますが、その出発点の価格というものも市場相場であってはいけないという御趣旨はごもっともだと思いますが、そういう意味合いでわれわれは政令をつくっていくわけでございますけれども法律にわれわれは忠実でなければならないということから申しますと、地価公示の対象地域につきましては公示価格を基準とするということは法律できまっておりまして、その基準の持ってきかたが政令に委任されておりますので、地価公示対象地域におきまして、公示価格以外のものを基準とするわけにはいかないという、実にたいへん大きな悩みがあるわけでございます。  いずれにいたしましても、実態調査の結果等に基づきまして、国会の御審議のあるべき御趣旨というものを十分尊重いたしまして、政令を練ってまいりたいというふうに考えております。
  76. 中村茂

    ○中村(茂)委員 まだ私は納得しませんけれども、時間が来ております。これは何回か言いますけれども、確かに法律はそうなっております。これは基準ですよね。あくまでも基準で、あと政令を定める場合に、それを基準にして算定方式をきめていくわけであります。言われますように、私は、それぞれのこの四つの条項のやつについて一律だというのも、これは無意味だと思うんですよ、実際に検討していくと。というのは、宅地等については、これはいろいろ需要供給の関係もあるけれども、安く提供という問題が出てきますよね。  それから規制区域のやつを凍結をしていくというような場合については、これは公示価格でも相当年々上がっているわけでありますから、二年凍結だということになれば、いまの土地の上がりぐあいで、公示価格等にそのまま何年度の公示価格というふうにきめておいても、二年間こうに行っていまの上がりぐあいでいけば、やはり一年たてばこれは公示価格よりも二〇%なり三〇%低くなりますよ。だからそういう実情に合わせて、やはりいままでそれぞれ審議過程の中でできるだけ安価な土地を提供するという趣旨を生かす、こういうことを強く訴えておきたい、こういうふうに思います。  特に皆さんのほうで出しておる調査等を見ますと、地価の動向について、地価公示価格、相続税評価額を基礎としてその推移を報告しろ、こういうふうになっておりますから、固定資産税がないから、ちょっと私はどうかというふうに思ったんですけれども、そういう方向でいろいろ調査をされておるでしょう。しかし、それは算定方法を定めるときに、その趣旨を十分生かすようにしていただきたい。  時間が来ましたから、以上で終わります。
  77. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 浦井洋君。
  78. 浦井洋

    ○浦井委員 建設大臣に、まず最初にお伺いしたい。  この間出された四十九年度の建設白書を見ますと、こういうふうに書かれているわけです。産業基盤の整備を中心に進められてきた建設行政は構造的な転換期を迎え、こういうふうな認識に立って、そこで公共投資においては立ちおくれの著しい生活環境施設の整備への資金重点的配分をはかるとともに、事業の選択に十分配慮し、資金の効果的活用をはかっていく必要がある、こういうように書かれておるわけなんです。これを文面どおりに解釈いたしますと、いよいよ建設省は決意を固めて、国民生活福祉に直結する事業というものは思い切って率先してやっていくんだという決意を建設白書の中で披瀝されておるというように私は理解するわけですが、そう解釈してよろしいですか、まず建設大臣にお伺いしたい。
  79. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 仰せのとおりでございます。
  80. 浦井洋

    ○浦井委員 そういたしますと、具体的にお伺いしたいのですけれども、その文章の中でいわれております、いわば採択されるべき事業であるとか、あるいは資金重点的配分をされる事業というものは、具体的にはどういうものをさすのですか。
  81. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まず人命尊重、公害防止という立場から、下水の問題が一番先に起きてくるわけでございます。これは全国の水、命から二番目に大事な水、水質というものを常に良好なる状態に保全しなければならないということで公害立法がされておるわけでございます。したがいまして、下水がよく浄化されないまま河川に放流されるということは、厳に今後慎んでいかなければならないという立場から考えますと、どうしても下水問題というものは喫緊の大事な問題であるということで、四十九年度においてもそのような立場で予算編成を行なった。あるいは補助率のアップ等を行なったゆえんもそこにあるわけでございます。  次いで、やはり住宅でございます。そういう面におきまして、道路等の予算を前年よりも減額をした中で、総需要抑制というきびしい中でも、やはり住宅問題等につきましては、多様なる国民要望にこたえてまいるという立場から生活尊重の重要項目として住宅問題等が考えられておるわけでございます。
  82. 浦井洋

    ○浦井委員 下水道、水質保全、それから住宅と、確かに私もそうだと思うのですが、それでトップに下水道が参ったようでございますので、下水道について少しお伺いをしたいと思うのです。  建設白書の中にも、下水道というのは都市施設の根幹をなすものであるし、住民の生活と環境を守る上でも不可欠のものであるというような、それに類した表現があったと思うわけです。  ところで、下水道事業の現状を見ますと、一般的に言うならば、やはり単価アップであるとか、あるいは総需要抑制に伴う公共投資の引き締めといいますか、こういうような影響で、特に大都市中心として各地の自治体の事業を見ますと、かなりペースが落ちておるというふうに私は思うわけでございます。たとえば神戸市におきましても、五十一年度に既成市街地を普及率一〇〇%にしたいということを目ざしていままで努力をしてきておるようであります。そしてここ数年大体年々一〇%ずつ伸ばしてきておる。ところが、四十八年度は伸び率が八・九%、それから四十九年度の伸び率の見込みはまず八%ぐらいだろうというようなことで、四十八年度ぐらいから急激に落ち込んできておるわけなんです。だから私は神戸市から要望を受けたわけです。  これは各都市共通しておると思うわけですが、神戸市でも、いま大臣が言われたように、補助率の問題、補助対象のワクの拡大の問題それから特に大都市では補助採択上の格差の是正をはかってほしい、それから公害の問題にひっかけての三次処理についても、十分技術的な確立をやってわれわれを助けてほしい、こういう要望が出ておるわけなんです。こういうようなところにこそ、これは大臣ももちろんそう思っておられると思うのですけれども重点的に資金をつぎ込むべきであるというふうに私は思うわけなんですが、大臣にもう一ぺん、いま下水道について少し説明をされたわけでございますが、五十年度に具体的にどういうような金を含めた施策をやっていこうとされておるのか、聞きたいと思うのです。
  83. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まだ数字的には固めておりませんけれども、気持ちといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、生活関連の最重要項目として予算要求をしてまいりたいと考えておるわけでございます。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、昨年は補助率のアップをいたしたわけでございます。今年は、御指摘のとおり、補助対象の拡大というような点につきましてぜひ成果をあげていきたいと考えておりまするし、第三次処理という問題が今後の下水道処理施設としてはもう欠かし得ない重要な施設になってくるわけでございますので、建設省等におきましても、土木研究所において、どういう方法、どういう施設、どういう資材、どういう機械を採用していくことが最も合理的で最も効果をあらわすかということを目下鋭意検討をいたしておるわけでございまするし、また、外国のいろいろな進んだものと意見交換等もやってきておりますので、その成果をもとにしていま研究を実際に行なっておりますので、その成果等も来年度の予算要求の中に生かしていきたいと考えておる次第でございまして、御指摘のような気持ちで下水道事業を、総需要抑制というきびしい事情の中におきましても、非常に最近、各地方自治体、地域住民から熾烈な要望の高まってきております要請にもこたえなければならないという気持ちで、目下鋭意作業を急がせておるところでございます。
  84. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣から総論的なお話があったわけなんですが、これは事務当局からお聞きしたいのですが、いま大臣が言われた補助対象の拡大というようなこと、三次処理のほうは大臣の説明で大体よいと思うのですが、この具体的な案があればひとつここでお示ししていただきたい。
  85. 吉田泰夫

    ○吉田説明員 下水道の補助の問題につきましては、かねてから補助率の問題、補助対象率の問題、大まかにいいましてこの二つの問題がありまして、前年度にも下水道整備五カ年計画の改定を要求いたしましたが、折衝の結果つかなかったわけでございまして、この問題は、明年度の問題として私どもはいまのところ考えたいと思っております。ただ、補助率のほうは非常に大幅にアップされまして、そのアップ率は非常に高率なものでございますが、そういうこと、あるいは五カ年計画そのものが見送られたこと等もありまして、補助対象率のほうは改善が見られなかったのが現状であります。そういうことでありますから、私どもも補助対象率の問題はやはり十分検討する必要がある問題ではないかということで、前年度に考えましたことを振り返りつつ、明年度の予算要求の案を固めてまいりたい、このように考えております。
  86. 浦井洋

    ○浦井委員 具体的な案はお示しにならなかったわけですが、その検討したいという先をひとつお聞きしたい。
  87. 吉田泰夫

    ○吉田説明員 実は一般都市と七大都市とこの二つに補助対象の割合が大きく開いているわけでございます。一般都市につきましてはかなり高率になっておりますが、これでも終末処理場等の全事業が補助対象になっていないというような御意見もかなり強く出ておりますので、これはわずかのものですけれども考える必要があるのではないかということでいま検討しております。  それの問題と別に、一般都市と非常に開いておる大都市の問題、これはいろいろ歴史的な経過もあり、また地方の財政力そのものの格差も一般都市とは違うじゃないかというようなこともあり、いろいろな要因がかみ合ってきておりますから、にわかに一本化ということにはいかないし、まして今年度の非常に大幅な補助率アップは、大都市、地方都市を問わず一律に適用されたわけでございまして、それによって目に見えて地方負担が軽減されたことは事実でありますから、そういうものも前提に置きながら、しかしながら、大都市と地方都市の格差が補助対象率においてこれほど開いたままでいいか、多少なりとも近づける必要があるのではないか。と申しますのは、地方都市は今後シェアとしてはどんどん広がっていくと思います。現にやっていないところ、やり出したばかりのところ、これは今後五年ないし十年間に急速に進めなきゃなりませんから、シェアとしては地方都市が圧倒的に多くなると思いますが、それにしても、絶対量において、七大都市というのは、現在下水道総事業の相当割合を占めておるわけでございますので、これが円滑な消化ということは、少なくとも大都市地域の湾とか、そういった水域の水質基準に非常に大きく影響する。一番汚濁負荷量の多い地域ということを考えれば、いつまでもほうっておけないという気もしております。まだ省としての予算要求方針が固まっておりませんので、それ以上のことは申し上げられませんが……
  88. 木村武雄

    木村委員長 答弁、なるべく短くしてください。
  89. 吉田泰夫

    ○吉田説明員 大体そういった方向で考えております。
  90. 浦井洋

    ○浦井委員 下水道に関しては、もっと積極的にやれというふうに私も要望しておきたいのです。  時間がないので大臣に伺いますが、少し都市局長弱気のような感じが私するわけです。いずれにしても、先ほどから申し上げておるように、自治体からも熾烈な要望があるわけですし、いまもお話が出たように、昨年度は四十九年度からの新五カ年計画が見送りになったということで、私はやはり五十年度から新五カ年計画を新しく策定する、そういう方向に踏み出すべきではないかというふうに思うわけですが、この点については大臣どうですか。
  91. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 昨年も新五カ年計画を要求したわけでございました。御承知のとおり、これは最後の段階において実現を見なかったわけでございます。気持ちといたしましては、今年も引き続きという気持ちもございます。しかし、政府といたしましては、今後の長期計画については五十一年を初年度として歩調をそろえたいというような意向も出ておるわけでございます。しかし、先ほどから申し上げてきておりますとおり、生活関連、特に水という問題に直結しておりますこの下水道事業でございますので、各省庁ともよく調整、話し合いをいたしまして、建設省の意向が貫き得るように最善の努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
  92. 浦井洋

    ○浦井委員 建設大臣、初めはえらい積極的だったんですが、進めると少しこれまた弱気になられたような感じがするわけです。  西村長官にお伺いしたいのですが、私も詳しくは知らないのですが、たとえば下水道新五カ年計画を策定するというような場合に、今度できました国土庁は予算調整権を持っておられるということでございますが、具体的にはどういうふうにこういう問題には関与されるか、その手順をひとつ教えていただきたい。
  93. 西村英一

    西村国務大臣 建設大臣も提案権はございますから、希望は希望でどんどん申し出たらいいと思います。また、私はいろいろな原因で諸政一新の時期になっておりますから、国土庁といたしましては、全国総合基本計画を改定をしたいということで、また、経済企画庁でも経済社会基本計画の改定をやっておるようです。したがいまして、明年一ぱいに大いに勉強しまして、公共事業にはやはりいろいろの事業があります。長期計画はいろいろな計画が十三ほどありましょう。そういうものをあらためて五十一年を初年度としてスタートしたいという気持ちは持っておるわけでございます。しかし、私も下水道の必要性を認めないわけではございませんので、いずれこれは建設省とか国土庁とかいうものでなしに、やはり内閣全体の調整のもとに今後進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  94. 浦井洋

    ○浦井委員 いま西村長官が五十一年度改定をしたいと一番初め言われた計画名前は何という名前ですか、もう一ぺんちょっと……。
  95. 西村英一

    西村国務大臣 全国総合開発基本計画でございます。全国総合開発基本計画の改定をいま作業中でございます。経済企画庁においては、経済社会基本計画の改定をやっておるのでございます。それは基本でございまして、それがやはり来年一ぱい勉強をして、したがって、公共事業は五十一年から一ぺん見直してスタートしたいという気持ちを私たちは持っておるわけでございまして、それとの調整をどうするかという問題でございます。
  96. 浦井洋

    ○浦井委員 いま言われたのは基本が余分ではなかったと思いますが、それで新全総を見直しをされて、いわば新々全総というようなものを五十一年度からスタートさせたい、こういうことを言われたんだと思うのです。  そこで下水道に返りますけれども先ほどから私が、また建設大臣もるる述べておられるように、下水道事業であるとか、あるいは住宅建設であるとか、あるいは公園事業というようなものは、やはり住民の福祉に文字どおり直結しておるものだ、だから、たとえばいま総需要抑制というようなことがあっても、こういうような総需要抑制ワクからはずしてでも、優先的に下水道とか、住宅とか、あるいは公園というようなものは取り扱い、実行すべきではないかというように私思うわけですが、老婆心ですけれども、もう一ぺん長官の決意を聞いてみたいと思います。
  97. 西村英一

    西村国務大臣 それはそのとおりでございます。生活関連の重要な仕事でございます。しかし、五カ年計画云々というよりも来年度予算をどれだけ計上するかということにあるわけでございまして、現在の五カ年計画でもやはり残余の金が相当に残っておるのですから、投資の額でございますから、計画もさることながら、投資の額にもよるわけでございましょう。
  98. 浦井洋

    ○浦井委員 それは五カ年計画が五十年度で第五年目に入る。だから、その分だけ金が余っているのは当然のことなんです。それでは足らぬので新しい計画を策定せよというふうに大臣も言われているし、私たちもそういうふうに思うわけなんです。その点についてもっと決意を聞かしていただきたかったというふうに私は思うわけなんです。だから、その辺で下水道なんかは特に優先的に扱っていただくような前向きの姿勢を要望しておきたいと思います。  そこで、少し角度を変えますけれども、いま大臣は、そういう表現ではなかったですけれども、五十一年度から新々全総を発足させたい、それ一合わせて十三ですか、各種の公共事業の長期計画を一斉にスタートさせたい、もちろん下水道なんか例外もあるだろうけれども、こういうことですね。だから、そういうような前提でお話を進めていきたいと思うのですけれども、五十一年度一斉にスタートさせるという前に、先ほどの話と似通ってきますけれども、予算調整権を持っておられる国土庁は、公共事業の長期計画の中で一体どういう事業を優先させるのか、その辺の展望を西村長官にお聞きしたい。たとえば道路整備五カ年もあるだろうし、港湾もあるだろうし、空港もあるだろうし、新幹線もあるだろうし、また一方では、先ほどから出ておりますように、下水道であるとか、住宅であるとか、公園であるとか、そういうものがずっと十三並んでおるわけですね。そういうものの中で、どういう形でどういうものを優先させたいのか、それとも全く平等にやるのか、その辺のことを聞きたい。
  99. 西村英一

    西村国務大臣 一口に言えば、やはり生活に密接な関係を持っておる、福祉につながるような性格を持っておる事業を優先させることでございます。
  100. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、下水道であるとか、公園であるとか、住宅というようなものは優先させるというふうに理解してよろしいですね。
  101. 西村英一

    西村国務大臣 さようでございます。
  102. 浦井洋

    ○浦井委員 道路は少しあと回しにいたしまして、新幹線網づくりというものはどうですか。これもやはり優先ですか。
  103. 西村英一

    西村国務大臣 ただいまあげたようなものが優先でございまして、新幹線網を優先にするかどうかという御質問ですが、それはそういうふうには考えておりませんが、やはりバランスのとれたことはやらなければならぬと思います。
  104. 浦井洋

    ○浦井委員 バランスのとれたところはやらなければならぬというふうなことであるわけですが、そういうことでございますと、国土庁発足以来、いろいろ田中総理は、ふるさと改造国土建設十カ年計画とか、いまも出ましたけれども、新々全総というようなことをぜひやりたい——西村長官も国土庁発足以来そういうことを言われておるわけでありますけれども、いまも言われたように、そういう新々全総というものが一つの節としてあって、そしてそれに、どう言いますか、十三の公共事業の長期計画というのはもちろん斉合されるべきであるというふうに私いままでの話から理解するのですが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  105. 西村英一

    西村国務大臣 さようでございます。
  106. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、そういうようなものと、先ごろ成立いたしました国土利用計画法国土利用計画の内容、これはどういうものが盛り込まれるか、私知りませんけれども、こういうものとが当然斉合してくるわけであるというふうに考えてよろしいですか。
  107. 西村英一

    西村国務大臣 その質問趣旨がちょっとわかりませんけれども、今度の法律とどういう関係になるかという……(浦井委員「の中の国土利用計画」と呼ぶ)いや、国土利用計画国土利用計画法律に基づいて進めることでございますから、いまの公共事業全般のこととの関連はありましても、それと直接の関連はやはりあまりないように思います。土地問題その他にはもちろんありましょうけれども、どういう意味での御質問か、浦井さん、それはちょっとわかりませんがね。
  108. 浦井洋

    ○浦井委員 まあそれはなにして、私、要望をしておきたいわけですが、両大臣ももう十分感じておられるように、いまや世論は道路であるとか、港湾であるとか、空港であるとか、あるいは新幹線網というような、そういうものの長期計画というものは、これはもう一ぺん根本的に再検討せよ、そうして国民生活基盤づくりに直結したような、そういう計画をこそ優先させるべきであるというような世論が、ほうはいとして起こってきているわけでしょう。ですから、私、要望したいのは、総需要抑制下においてやはりそういう道路、港湾、空港あるいは新幹線網というようなものについての公共投資というものは抑制さるべきだと思う。しかし、新聞論調の中に出ておりますように、下水道であるとか、勤労市民の住宅であるとか、公園という、そういうものは総需要抑制ワクからはずして、こういう時期にこそ別ワク国民生活を守るという観点で推進すべきであると私思うわけですけれども、ひとつ建設大臣国土庁長官の展望なり、決意なりを聞かしていただきたいと思います。
  109. 西村英一

    西村国務大臣 いろいろ考えなければならぬ時期でございますので、ひとついままでの計画を総合理に見直しをしたい。その中にはやはり急ぐものと急がないもの、どこに投資すべきか、それが国民の福祉にどういうふうにつながっていくかということを見直しをやろう、私のほうは私のほうの全国総合開発基本計画の見直しをやり、経済企画庁はまた別な意味で経済社会基本計画の見直しをやって、そのそろったところで新しい公共事業についてはひとつスタートを一緒にしたらいいじゃないか、いままでのやつを再検討しよう、こういう趣旨でございます。
  110. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 浦井委員の御指摘の気持ち、よくわかるわけでございます。しかし、政府といたしましては、物価鎮静、物価安定という至上課題を解決してまいりますためには、やはりある程度生活関連の下水道事業、公園事業、住宅問題等につきましても、総需要抑制立場からまるまる解放するというようなことは適当ではないという考えでおるわけでございます。総需要抑制の中のおつき合いはしながらも、できるだけそのおつき合いの度合いを薄めてまいるような立場をとってまいるというのが私の考え方基本でございます。
  111. 浦井洋

    ○浦井委員 どうも両大臣とも少し歯切れが悪いように思うのですが、具体的に、これは西村長官にまたお伺いしたいのですが、一般的に言うならば、現在の公共投資というのは、分け方に多少意見はあるかもわかりませんけれども、産業基盤整備が二、それから生活基盤整備が一というようなかっこうに資金量としてはなっておると私理解しておるわけです。私たちも産業基盤整備をゼロにせよというようなことは言っておらぬわけなんです。せめて二対一になっておるのを一対二くらいにはならぬものだろうかというふうに私たちは考えておるわけなんです。どうでしょう。そういうような問題の提起のしかたに対して、長官はどのように考えておられるか、聞きたい。
  112. 西村英一

    西村国務大臣 どういうようなバランスになっておるか、私もまだ二対一になっておるかどうかちょっと知りませんけれども、とにかく総需要抑制のもとでございますから全体のワクは小さいわけですね。したがうて、その小さいワク資金の中からどういう仕事に重点を置いてやるのかということは、いま申しましたように、やはり福祉中心に予算を組んでいかなければならぬだろう、こういうことを申し上げておるのでございまして、あなたの質問もやはり同じようなことじゃないかと思うのですが……。
  113. 浦井洋

    ○浦井委員 違う、違う。私は、全体が生活基盤を含めて袋が小さいというようなことは、それはもうそういうふうな姿であってはならぬ。総需要抑制というのは、産業基盤整備のためのところこそ袋を小さくする。別ワクにやはりこういう時期にこそかえって生活基盤整備の分野はもっと積極的に推進すべきであるというふうに言っているわけなんです。だから西村大臣のお考えと、私だいぶ違うわけです。それは御認識していただけますか。  それと、二対一を逆転させよという提案についてはどうですか。
  114. 西村英一

    西村国務大臣 二対一というのが私はちょっとわからないのですが、いまの予算が二対一になっておるということでございますかね。したがいまして、浦井さんのおっしゃるのは、国民生活に関連する仕事は、公共事業のワク外でワクを組んでやってくれというふうにもとれるのですが、それはいまの公共事業というものの定義の中には、いま言いましたように下水道とか、住宅とか入っているのですから、公共事業のワク外に別のワクをつくれ、こういうようなことにもとれますから……。しかし精神は、あなたのおっしゃるのは、やはり国民生活に関連した仕事に予算をたくさんつけてもらいたい、したがっていまの計画がまずいならば来年度もその計画をずらしたらどうか、こういうようにもとれるのですが、私のほうは、やはり諸政が転換期へ来ておるからあらゆるものを一ぺん見直す、見直す姿勢としては、あくまでもあなたが志しておるような方向に向かうことは当然なんです。おわかりですか。
  115. 浦井洋

    ○浦井委員 長官、いままでずっと、一方で下水道も公園も住宅も、それから道路も港湾も空港も一括して公共事業として縛られておるところに問題があるというふうに私さかのぼるわけですよ。だから、いま転換をしなければならぬといわれる。建設白書の中でもそういわれておるし、まさにそういう点で住民の要求も多様化しているわけだし、自治体の要求もあるわけだから、そういういままでのマンネリになっておる公共事業という一括した縛り方を、これこそもう一ぺん見直すべきではないかという主張を私はしているわけです。おわかりになりますか。
  116. 西村英一

    西村国務大臣 わかりました。やはりあなたのような考え方に基づいてもやりたいと思います。具体的にどうするかはわかりませんが。したがって、これは話は違いますが、たとえば災害の問題の場合に、いまは激甚災というのは公共事業のものは限られておるわけですが、こういうような場合に入っていない。都市公園を取り上げるとか、あるいは下水道を対象にするとか、いま対象になっていないのです。そういうような考え方のもとにやっていくんだということはよくわかるわけであって、理解ができます。
  117. 浦井洋

    ○浦井委員 これは災害の問題もあるわけですが、時間がとにかく限られておるので、ひとつ長官、まだだいぶずれているのですよ。だからこれはまた後日にこの辺は譲りまして、とにかく国土庁というのが発足して非常に国民の注目を浴びているわけですから、いままでのような大企業本位の開発中心主義の産業基盤づくりというようなところに重点を置くのでなしに、生活基盤づくり、こういうところに重点を置いた国土の建設というような仕事に邁進をすべきであるということを要望しておきたいと思うわけです。  下水道と一緒に出てきた問題に住宅の問題があるわけなんですが、すでに他の委員からも住宅の問題はいろいろ出ておるわけで、建設大臣にお聞きしたいのですが、建設白書でも、第二期住宅建設五カ年計画というのは、特に公的住宅の面ではきわめて悲観的な見通しを述べておられる。それから、建設省が非常に力を入れてこられた民間自力建設主義に基づくところの民間住宅の建設も、どうも四十八年度の着工統計なんかを見ますと、かげりが見えてきておる、こういうことであるわけですが、そこへもってきて、先ほどから論議になっております総需要抑制、そういう中で金融が引き締まってしまって住宅ローンがワクが狭くなった。そしてしかたなしに庶民住宅金融公庫に殺到をする。そうすると満ぱいになってしまって、七月の二十日で締め切らざるを得なかった。これは、ずっといままで準備をしてこの秋からでもひとつ家を建てようかというふうに望んでおる庶民にとっては、非常に大きな打撃であり、ショックであろうというふうに思うわけですが、まず最初に総論的にこういうような事態に対して、私やはり建設大臣として反省のことばもいただきたいし、それから総論的に一体どうされようとされるのか、対策をお聞きしたい。
  118. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 今日までの住宅政策につきましては、浦井委員百も承知のとおりの線で進んできておるわけでございます。その際に、地方自治体の負担というような問題についての考慮がもっとあるべきではなかったかという反省もいたすわけでございますし、また、積極的な公的機関による宅地の造成という面についてもっともっと積極的であるべきではなかったかという反省もいたしておるわけでございます。そういう中で、住宅対策といたしましては、国会でも御審議をいただいております公的機関による宅地の思い切った飛躍的な造成によって宅地の需要に対する要望にこたえてまいるという方式をとり、また、その宅地開発公団の中におきまして、地方自治体のいままで超過負担になっておりましたような、公的機関というものに対する地方自治体の負担が超過負担とならないような配慮並びに公共事業等がその住宅を建設をいたします地域に対して集中するような配慮、そういうもろもろの配慮をいたしまして、住宅の熾烈なる要望をいたしております国民の皆さん方にこたえていかなければならないと、大まかにはそのようなふうに考えておるわけでございます。  また、喫緊の問題といたしまして、住宅金融公庫の借り入れ申し込み希望者というものが、私どもほんとうにこんなにあるかと思うほど申し込みが殺到をいたしたわけでございます。これらの方々に十分こたえられ得るように、やはり大蔵当局とも現在鋭意折衝をいたしておりますので、先ほど局長からも答弁申し上げましたように、昭和四十九年度住宅予算関係の中に、公庫関係の予算の中に弾力条項がございますので、それを実現をしていけるような方向に努力をいたしておるところでございます。と同時に、やはり民間ローン、住宅に対するローンにつきましても大蔵省と鋭意折衝を続けまして、民間金融機関から住宅融資が低下しておりますのを増額できますように折衝を続けていきたいと考えておる次第でございます。
  119. 浦井洋

    ○浦井委員 それでは、その喫緊の問題としての住宅金融公庫対策についてどういう手を打つかという問題ですが、先ほどからも質問が出ましたように、五〇%弾力条項だと、新聞報道によれば、数字としては三千六百億ぐらいを秋ごろに財投から回すというような報道が出ておるわけなんです。大蔵省にお聞きしたいんですが、この辺の見通し、あるいは大蔵省としてどういう考えでおられるのか、お聞きしたいと思います。
  120. 石川周

    ○石川説明員 お答えいたします。  現在のところ住宅金融公庫に対する追加問題ということは考えておりません。新聞報道されましたけれども、私は承っておりません。ただ、住宅金融公庫の財政投融資につきましては、四十九年度の財投計画全体が一四・四%という非常に低い規模でございますけれども、その中におきまして公庫の事業ワクは約三七%ほど伸びております。非常に大きな資金配分を考慮したところでございます。また、御承知のように上期の契約抑制ということで、総需要抑制策の一環といたしまして、いろいろな公共事業関係抑制をいたしておりますけれども住宅公庫につきましてはそのワク内で相当な特段の配慮を払いまして、第二・四半期の新規契約ワクでいきますと、去年が約二千四百億でございましたが、今年度は第二・四半期で、千億、約四四%増でございますが、三千五百億をこえる大きなワクを予定しております。申し込みが上期に一時に非常に集中したことは事実でございます。しかし、これを年度間にならして資金需要に応じていく、そして総需要ワク内で何とかこれをこなしていただく、そしてその総需要ワク内ではあるけれども住宅政策、特に公庫については非常なウエートを払って配意してきた、こういう考えでございます。
  121. 浦井洋

    ○浦井委員 大蔵省はもっとすなおでなきゃならぬと思うのですけれども、やはり現実には、先ほども申し上げたように、この秋に何とかしょうということで、着工の準備をされた庶民がショックを受けているという現実をもっと直視をしていっていただいて、そして適切な手を建設省と相談をしてすみやかに打つべきだというふうに私要望しておきたいわけなんです。真剣にやはり住宅金融公庫融資ワクをふやす、拡大する。これも新聞報道によりますと、何か応募者が多くなるので抽せん制を復活させたいとかいうようなしみったれた話も出ておるわけですけれども、やはりそういう庶民のマイホームの夢をかなえるためにも、真剣な努力大蔵省建設省に私は要求しておきたいというふうに思うわけです。  それに関連して、建設大臣先ほど言われたように、民間住宅金融の問題であるわけですが、これも大蔵省に聞きたいのですが、大蔵省に対する答申として、金融制度調査会が昨年十二月二十五日に出した「民間住宅金融のあり方について」というのをちょっと読み上げてみますと、民間住宅金融、「特に個人向け住宅金融は、金融取引に不慣れな個人を対象」としておる、それから「わが国金融中心であった産業金融とは異なる性格を持っている。」というようなことが出ております。さらに「個人生活設計に密接に関連した住宅金融は、金融引締下においても安定的に推移することが望ましく、そのため必要に応じて政策上の配慮が払われることが望まれる。」こういうふうに私読んだわけでございますけれども、私もやはり個人向け住宅への貸し付けというのは生活基盤づくりという上からもきわめて大事なことであるし、この答申のこの部分については全くもっともだというふうに思うわけです。  そこで、大蔵省にお尋ねしたいわけですけれども、このような答申を受けて一体現在大蔵省では、この問題について何を検討され、何を実行されようとしておるのか、この辺についてできるだけ具体的にお聞きしたいと思います。
  122. 窪田弘

    ○窪田説明員 先生御指摘のように、昨年の十二月二十五日にいただきました金融制度調査会の答申におきましては、住宅金融はできるだけ安定的に伸びることが望ましい、こう述べておられます。私どももそのと一おりであると考えております。  従来の数字を振り返ってみますと、たとえば四十七年度におきましては、全国銀行ベースでも住宅ローンがその前の年の倍にふくらんだというふうな実績がございました。これが建築費とか土地の値上がりと無関係ではなかったという指摘もその同じ答申の条文に述べられているわけであります。したがいまして、なるべく安定的に伸びることが望ましい、こういう基本的な考え方は私どもそのとおりであると思います。現在のような金融の非常に詰まっている段階、特に都市銀行を中心といたしまして金融を非常に引き締めておりますこの中にありましても、貸し出しの増加額の中における住宅貸し出しの増加、この割合が下がらないように、こういう指導をしているわけでございます。  具体的に申しますと、まだ三月までの計数しか出ておりませんが、現在総貸し出しに占める住宅ローンの比率は約一二%で。ございまして、この比率はずっと下がっておりません。ただ、総貸し出しの伸び自体を非常に押えておりますので、住宅ローンの伸びの額そのものが落ちていることは否定できませんけれども、しかし総貸し出しに対する比率が二、三年前まではほんの一%そこそこでありましたが、今日すでに四%台になっております。そういうことで、私ども住宅ローンの金利は上げずに据え置いている段階ではございますが、そのもとにおいて、極力量の確保をするように、こういう指導をいたしているところでございます。
  123. 浦井洋

    ○浦井委員 繰り返しになりますけれども、こういう数字もあるわけなんです。民間金融機関の場合、総貸し出しに対する住宅貸し付けの占める比率というのは、日本では去年五・九%、ところが西ヨーロッパ、アメリカなどでは、アメリカでは四五・二、西ドイツでは三三%というふうな数字で、これを比較しますと、日本があまりにも低過ぎる。答申の中にもあったように、いかにいままでの日本の民間金融機関が産業融資中心にしてきたかということを端的にあらわしておる一つの数字だと思うわけです。だから、やはり世論もだいぶわいてきておりますし、民間住宅金融のあり方、特に庶民立場に立った民間住宅金融のあり方ということがやっぱり再検討されるべき時期に来ておるというふうに私個人も思うわけですが、さっきは大蔵省からお答えがありました。これはまたあとで別の機会に議論を繰り返したいと思いますけれども建設省のほうからひとつこの点についての御意見なり計画があれば聞かしていただきたいと思います。
  124. 山岡一男

    山岡説明員 ただいま大蔵省のほうからお述べになりましたとおり、いろいろな各銀行の総貸し出しの中の残高は現在四・四%ということでございます。それから、毎四半期のフローの中に占める比率は、いま大蔵省が申されましたとおり一二・三%、四十六年はそれが三・六%ぐらいでございました。したがいまして、総需要抑制の中でも住宅のほうに相当回るように指導していただいておることは事実でございます。  ただ、額といたしましては、全体のワクが押えられておるものですから、現在のところ第一・四半期総額約四千億程度とわれわれ思っております。これは少し前の水準からみますとだんだん下がってきております。四十七年度の当初くらいの水準じゃあるまいかと考えております。したがいまして、私のほうにも住宅宅地審議会というものを持っておりますが、その中に住宅金融委員会というのを設けております。そこでわれわれ先般からいろいろと民間住宅ローンの増強策ということについて案を練っておりまして、近く省議決定等を経まして来年度予算では要求してみたいと思っておるわけでございます。  簡単な考え方を申し上げますと、いままでの財投原資の中になかったような資金ソースをさがしたらどうか。そういうものをたとえば金融公庫などが債券発行等で持ちまして、民間の金利で民間の銀行のほうの平常時の資金の応援の一部としたい。これはまた非常にむずかしい問題で、今後大蔵省と相当の折衝が要るわけでございますが、来年度予算の要求の中では、さらにそういうふうな非常の場合には財政投融資の中の短期運用といいますか、そういうようなもので一時的にそういうふうな資金ソースをさがしましてホースでつなぐ、そうして平常時になりますと、それをまたなるべく短期に回収して財投に返すという意味のオペレーション的な意味を持った新しい住宅ローンの応援策を考えたらどうかということで、当小委員会では成案を得かけております。たいへんむずかしい問題だと思いますけれども、十分議論をいたしまして、そういうふうな道を開きたいと考えておる次第でございます。
  125. 浦井洋

    ○浦井委員 これはひとつ聞いておきたいと思うのですけれども、時間がございませんから、もう一つ住宅ローンの引き締めであるとか、それに伴う住宅金融公庫のシャットアウトとかいうようなことでマイホームの夢が吹っ飛んでしまったというような事態が起こっておるわけですが、この事態の中でやはり相当大きな影響を受けておるのは、住宅建設に励んでおるところの建設業、特に資金の手持ちの少ないいわゆる町場の親方、工務店の御主人というようなところで、甚大な影響を受けておる。すでに質問の中でも出てきましたけれども大都市などでは仕事の量が二分の一からひどいところでは三分の一。それも新築の仕事はなしに修理とか増改築の仕事しかなくなってきておるというような事態になって、すでに全建総連をはじめとしたいろいろなそういう団体が仕事をよこせというような運動に立ち上がっておられるわけなんですけれども、具体的にそういう人たちに対してどういう救済措置を考えておられるのか、ひとつ聞きたい。
  126. 山岡一男

    山岡説明員 住宅の建設戸数でございますが、昭和四十八年度中は、毎月、官民合わせまして十五万戸台、多いときには十七万戸までいったときがございます。ところが、その後だんだん下がってまいっておりまして、四十九年の一月、二月、三月は大体十万戸台でございます。四月、五月になりまして、十万戸を切るという状況になっております。したがいまして、簡単に申しますと、事業発注量が三分の二ぐらいに減っておるということはいえるかと思います。そのためには、一つには、たいへん御迷惑をかけておくれております公共住宅の発注を大いに伸ばすということでせっかく努力中でございます。  それからもう一点は、まだ大蔵省と相当な協議が要ると思いますけれども先ほど申し上げました金融公庫の増ワク等につきまして大いに前向きに折衝を進めてまいりたいと考えております。  それから工務店、大工さんのみならず、現在のところ木材業者の方々の在庫を調べてみますと、これが昨年の六月時点の在庫と比べまして約二・二倍でございます。それから合板関係の方々の在庫、これも約二・四倍ということになっております。そういうものの滞貨の一掃等にも協力できるだろうという方向で、ぜひともそういうような金融公庫の増ワク等について前向きの折衝をしてまいりたいというのが現在の考えでございます。
  127. 浦井洋

    ○浦井委員 計画局長の手が上がっておりますから、ひとつ計画局長のほうから……。
  128. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 ただいまのような事態に対処いたしますために、主として政府金融三機関、特に国民金融公庫等におきまして、御承知の第一・四半期におきましては千五百億円の上積みをしたわけでございますが、いまおっしゃいました全建総連というような方々に対しましては、そういう政府  三機関のほうの融資重点を置いておるわけでございます。
  129. 浦井洋

    ○浦井委員 もう時間がきましたので、とにかく私が要望したいことは、現実に庶民住宅を建てておる六〇%ですかというのは町場の大工さん、しかもそういう方たちがいま一番困っておるわけですから、そういう人たちが網から漏れないような、そういう神経の行き渡った救済措置をぜひ講じていただきたい、こういうことを強く要望しておきたいと思うわけであります。  それともう一つの問題は、これもすでに出ましたけれども、新工法の問題です。これは住宅局ですか、ツーバイフォー工法ワク組み壁工法の問題です。先ほど質問に対する答えを聞いておりますと、なるほど資材確保の問題にいたしましても、商社の行政指導をやりたいとか、大工さんに対して仕入れについての協業化ですか、こういうことをやりたい、あるいは工法の安全性確保のためにいろいろな技術指導などの研修をやりたい、そういうようなお話だったわけですが、これは大問題なんです。私は全建総連の滋賀県の支部の機関紙をこの間読ましていただきましたが、その表題が、黒船来たる、たった四はいで夜も寝られずというような狂歌じみた話になるかもしれませんけれども、黒船がカナダから上陸してきたというような受け取り方なんです。いまも言いましたように、いろいろな面で町場の大工さんは不安を持っておるし、行政のあり方について不満も持っておられるわけなんです。だから、先ほど言われたような答弁では、少なくともいまの段階では納得しがたいのではなかろうか。だから、全建総連などが要望しておられるように、資材確保は大問題なんです。これを大手の商社あるいは大メーカーに握られてしまうと、町場の大工さんは全く隷属化し系列化されてしまう、こういう状態です。だから、公的な資材の流通センターをつくれというような要望建設省にも出しておられるというふうに聞いております。  それからもう一つの問題は、工法の安全性確保につながるわけですけれども、講習なり研修を受ける、その責任は建設省で持っていただきたい。しかし、具体的に資格といいますか、認定の権能は、たとえば全建総連などのような具体的に一人親方、町場の大工さんの実情をよく知っておる団体にまかしてほしい、こういうような要望があるわけですけれども、最後にこの二点について住宅局から聞いておきたいと思います。
  130. 山岡一男

    山岡説明員 先ほど申し上げましたとおり、ツーバイフォーを導入する一番の動機となりましたのは、大体日本における材木が少ない。将来どうしても六割以上は外材を輸入しなければならない。その場合に、アメリカとかソ連から入ります丸太材はだんだん減少の方向にある。一方、無尽蔵にあると思いますカナダにおきましては、カナダの国是といたしまして丸太は一切売らないといっております。従来は日本のほうからも、日本の国内材に合うような、ベビースクエアと申しておりますけれども、フィート角とか四・一角とかの角材を特別発注をしておりまして、それが向こうの業界をたいへん乱しております。しかも、大量生産の中からそういうことをいたしておるので非常に困る。しかも、国際規格化をしたツーバイフォーを使ってくれないかというのが強いわけでございます。  その反面で、先ほど申しましたとおり、工法が非常に簡便でございますし、堅牢でございますし、いろいろな意味で普及もある程度簡単にいくのではないかということからこういうものの導入を考えたわけでございますが、先生心配のとおり、大手の商社がそういうものを一手に買いまして一手に流すというようなことでは非常に困ります。したがいまして、そういうふうなものをどのようにうまく流すかについて、先生からセンターという提案もございましたけれども、われわれもそういうふうな材料センターというものを一部持っております。ただ、いままでの材料センターの守備範囲の中ではたしてできるかどうかを検討中ということでございまして、そういうものも活用いたしたいと思いますし、先ほど申し上げましたように、全建総連の皆さん方も宅造連の皆さんのように協業化をしてしただくとか、そういうような方向でわれわれ十分御相談をして、間違いのないようにしていきたいと考えております。  それから資格の問題でございますけれども、最近研修を計画いたしておりますが、まず指導層といいますか、特定行政庁、建築主事等の研修は本省のほうが中心になってやっております。それ以外のところの研修につきましては、建築センターという法人がございますが、これに委託をいたしまして、どんどん研修をしていただこう、現在のところは、建築センターのほうへ将来の二次研修ができるための指導者みたいな方に各県から集まっていただいたらどうか、こういう研修を行ないたいと思っております。そのときに修了証書を渡すとか、いろいろなことが流れたものですから、資格のようにとられた向きもございますけれども、これはオープン化された工法でございますので、どなたでもできるというたてまえでございます。ただ、認定書を出したいというようなことをいたしましたのは、最初の研修がいわばオリエンテーションコースといいますか、入門研修みたいなものでございます。さらにアドバンストコースの研修も行ないたい。そういう場合に、第一回の講習を受けたよという意味の認定書を出したい、こういうことでございます。したがいまして、将来そういうふうなツーバイフォー工法のできる技能士というようなものについて認定するかしないかということとは現在は関係ございませんが、もし将来そういうものをほんとうに認定するという場合には、先生御提案のことも十分考えまして、そういう必要が起こった場合には検討してみたいと思っております。現在のところは、そういう必要は考えておりません。
  131. 浦井洋

    ○浦井委員 最後になりますけれども、その話に関連いたしまして、建設業法の許可の要らない例の三百万円、百五十平米ですか、この業者に対しても何らかの規制をしようというような動きがあるやに聞いておるわけなんですが、そういう何かを考えておられるのか、その辺について最後に聞いておきたいと思います。
  132. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 お答えいたします。  現在のところ、そのようなことは考えておりません。
  133. 木村武雄

  134. 北側義一

    北側委員 先ほどから住宅問題が論議されておるわけですが、それは私ももう少し詰めてその問題をお伺いしてまいりたい、かように考えておる次第です。  昭和四十六年から始まりました第二期住宅建設五カ年計画、これもあと余すところ一年と七カ月になったわけであります。しかし、言われたとおり非常に見通しがよくない、こういう実態でありまして、私考えますのに、やはりここらで日本住宅政策というものを一度見直して、そうして今後の住宅政策の方向というものを定める時期が来ておるのではないか、このように考えておるわけです。先ほど大臣がおっしゃっておられたとおりいわゆる自治体の負担をもっと軽くするとか、もっと宅造をやらなければならないとか、わた公共事業を集中的に配備するとか、また先ほどのいわゆる住宅金融公庫の問題につきましては、弾力条項等を用いて金を出すとか、いろいろお答えになっておるわけでありますが、特にその中でも大都市圏における住宅建設、これが非常におくれておるわけです。  たとえば東京都あたりになりますと、四十八年度の予算では竣工したのはゼロ、このように私聞いておるわけですが、大阪も同じだと思うのです。そういう点につきまして、一体この住宅対策をどのようにしていくのか。ここでたとえば第二期住宅建設五カ年計画を改定してやろうとしたって、できなければこれは何にもならないわけですから、そういう点は大都市に対しての住宅対策をどうするのか、まずこれをお伺いしたいと思うのです。
  135. 山岡一男

    山岡説明員 先生からお話がございましたけれども住宅五カ年計画の進捗状況を見ますと、四十八年度末でございますが、全国平均で計画の約五六%という進捗を示しております。その中で特に大都市圏を調べてみますと、関東臨海が五二・五%、東海が六一・二%、近畿が五一・一%という状況でございます。その他地域はこれをいずれも上回った伸びを示しておりまして、いま申し上げました関東と近畿の落ち込み、これが全体を引き下げておるというのが実情でございます。したがいまして、今後特に関東、近畿等の大都市圏におきます住宅の建設のおくれというものに努力しなければならぬということでございますけれども、少しあれでございますが、最近の住宅事情の中で十月一日に統計調査をやっております。住宅の国勢調査でございますけれども、それによりますと、たとえば東京でも当時三百六十七万世帯に対しまして三百七十九万戸の戸数がある。その差が十二万戸、世帯よりも戸数が上回っており、さらにあき家も二十万戸近くある、こういうような状況でございます。たいへんあき家の多いのには驚いておるわけでございますけれども、これらのうちの中で非常に小さいうちが多い。特にうちが小さくて、環境が悪くて古いものが多い、そういうものに対する皆さんの不満が高じております。したがいまして、特に大都市では最近は世帯を上回る戸数が一応あるということを前提にいたしますと、そういう小さいうちを建てかえまして大きいうちにする、もしくは大きいうちをどんどん供給しまして、住みかえられたあとは何とかもう一回建て直しまして新しい大きなうちにするとか、公園施設にするとかいうふうなことを進めていく必要がある。それらのことを含めまして昭和四十九年度から特定地域整備事業というのを始めております。  来年度は、さらにそれを一歩進めまして、そういうふうなあき地を活用するだけではなくて、さらに、でき上がりました賃貸住宅、分譲住宅等のある割合、それから毎年生じますあき家のある割合、そういうものをそういうふうなものに振り当てまして、特定入居等を軸としまして大都市にりっぱな住宅供給する方策を講じてまいりたい、俗称ころがしと申しておりますけれども、そういう方向でひとつ大いに努力してまいりたいと考えております。
  136. 北側義一

    北側委員 いわゆる特定地域整備事業によって、大都市における住宅の質のアップですか、それをあわせて住宅難を解消していこう、このようなお考えのようですが、私、思うのですが、たとえばニュータウン形式においても同じになるのじゃないかと思うのです。  たとえば、そういう大団地をつくる場合に、上下水道とか、保育所とか、ごみの処理場とか、こういうものは、いわゆるばらばらになっておるわけなんですね。たとえば地方公共団体におきましても、そういう施設をつくるのにずいぶん金を使う。しかも、そういう施設、保育園の施設なんか非常に超過負担が多いわけです。そして、なお、そういうものについては、一つのその規模に応じた一括的な補助、こういうものをやはり考える必要があるのじゃないかと私は思うのです。そうしなければ、その団地の規模によっても違うでしょうが、ばらばらで一つ一つの補助を受けにいく、こういうことも無意味じゃないかと思うのですね。だから、そういう補助の関係というものを一つのやはり規模に応じたように形づくってやっていく方向というのがいいのではないか、こういう考えを持っておるわけなんです。そういう点はどのように考えておられますか。
  137. 山岡一男

    山岡説明員 団地に関連いたします公共、公益施設等につきましては、相当国の補助の対象になっております。まず第一は、そういうものを集中的につけるということが必要でございます。それにつきましては、関係省とももちろん協議いたしておりますが、特に建設省では、省内に、技監を長といたしまして、そういうものを連絡調整する連絡委員会を持っております。そういうところを通じまして、団地の建設等にあたりまして、河川事業、道路事業、公園事業等を集中的につけるということについての配慮をいたしていただいております。  それから、先生御提案の、それ以外の補助の対象にならないようなものにつきまして、現在、先生のおっしゃるようなメニュー方式の補助というのが方々ではやっております。基地でありますとか、それから射爆場でありますとか、飛行場でありますとか、いろんなものがございます。そういうものについてもおりおり検討はいたしておりますけれども、当面やはり地方公共団体の財政負担を軽減するということで、現在利子補給制度を持っております。この利子補給制度の対象を大いに拡大するということで当面目的が達せられるだろうということで現在案を進めておる次第でございます。
  138. 北側義一

    北側委員 これは建設大臣にちょっとお聞きしたいのですが、神奈川県とか千葉、埼玉、ここらの三県では、一昨年でしたか、住宅公団あたりがつくる団地につきましては、地元の入居優先制度ということがとられておるわけです。今回東京におきましても、やはり同じように募集戸数の四割は地元に優先の入居とする、こういう方針がきめられた、このように承っておるわけです。このような措置というのは、地方自治体として、そういう公団住宅が建設されることによりまして、人口の急増その他いわゆる公共関連施設等に非常に金が要るということとあわせて、人口があまり入ってまいりますと、東京都あたりですと、水の需要がまかないきれない、こういうところでそのような方向をとっておると思うのですが、これらについてはやはり非常にむずかしい問題もあろうかと思うのですが、私、住宅難のいわゆる広域的な解決という面から見るならば、これは逆行しているように思うのです。そういう問題につきまして、建設大臣として今後の住宅政策のあり方としてどのように考えておられるのか。
  139. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 実は御指摘のような経緯をもってとにもかくにも今日まで地元優先の入居のやり方というものを実行いたしておるわけでございます。これは御承知のとおり、今日までの住宅団地のつくり方ということになりますと、地方自治体の超過負担も飛躍的に多くなってくる、学校の建設も間に合わないというようなこと、また一般に公募でやりますと、その自治体に関係のない方々の入居というものが実際に出てくるわけでございます。そういうことがいろいろ重なり合いまして、大都市圏における住宅公団等の住宅建設を非常に阻害してきておるということでありますために、やはり都市圏における住宅、ニュータウン等の建設にあたりましては、どうしても地方自治体の積極的な協力というものがございませんと、実際には家が建たないという現実を踏まえまして、自治体の意向を取り入れて、実は御指摘のような地元優先の入居という方法を定めたわけでございます。今後も住宅建設を進めてまいるにあたりましては、やはり自治体の希望というものを無視できませんので、ある程度地元優先というような方向になろうかとも思いますけれども、そうかといってやはり新しく自然増をしてまいります世帯等に対しても住宅提供をしなければならぬわけでございますので、そういう点について、今後、宅地開発公団等によってニュータウンを建設する際には、十分住宅宅地審議会等の意見等も聴取いたしましてやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  140. 北側義一

    北側委員 やはり地方自治体の公共関連施設に対する地元負担は非常に大きい、ここに一番大きな原因があろうと思うのです。やはりこれらを解決しなければ、ますますそういう傾向が随所にあらわれてくるのじゃないか。そうしますと、実際の住宅対策としてのいわゆる広域的な解決という問題がだんだん薄れていくわけです。そとが非常に相矛盾したことになってきておるような実情、これを何とか解決しなければならぬのじゃないかと思うのです。  それと、全国農業協同組合連合会等が考えております農住団地の建設計画、そう言う計画を私も少しこの間から読ましていただいておりますが、これは理にかなった方法であろうと思うのです。しかし、建設省としてこれに対してどのように評価し、またどのような考えでこれと取り組んでいかれるのか、そういうことをちょっと承りたいのです。
  141. 山岡一男

    山岡説明員 いま先生がおっしゃいました農住構想というのが私よくわかりませんでしたが、最近新聞等に出ました土地レンタル方式のことじゃなかろうかと想像いたします。現在、土地持ちの農民の方々住宅政策に対します寄与の方法といたしましては、まず公的機関に土地を売っていただく、それからあとはみずからおやりいただく、そういうところまでの施策はいろいろとございます。ところが、土地を借り上げてやるということにつきましては、具体的には検討されたことはございますけれども、制度としては成就しておりません。したがいまして、お百姓さんの方々の従来の農耕によります収益程度を上回る程度の地代を出しまして借りる、そして、相続の場合とか十年経過した場合等につきましては、公的機関がその上にうちをつくりましても、あとで時価で買い上げるという買い取り請求を含んだような制度、こういうようなものがその骨子になっております。  その事業そのものといたしまして、農業団体が出資をした法人であるとか、公的機関が対象と予定されておるようでございます。われわれといたしましても、全農、全中等とも相談中でございまして、できればそういうものを軌道に乗せたいという方向で十分前向きに検討したいということで進めておる次第でございます。
  142. 北側義一

    北側委員 この問題はこれからの問題ですので、もう少しいろいろな検討をなされて、もう一度私勉強して御質問申し上げたいと思っております。  これはまた別の問題ですが、最近都市部において、高層ビル、また高速道路による電波障害の問題が非常に大きな問題になっておるわけです。これは私少し調べたのですが、大阪市の公共事業関係だけでも、この電波障害の対策費として昭和四十九年で約七十一件、子算として三億一千五百万円がかかっておるわけです。これからの都市部というのは、いま総需要抑制等で幾ぶんかはビルの建築ラッシュというのがとまっておるようですが、しかし今後やはり高層ビルが建っていくと思うのです。ますます高層ビル、また高速道路、そういう建物による電波障害が起きてくると思うのですが、これらに対するいわゆる共聴アンテナ等は、現在すべて原因者負担となっておるわけですね。放送事業者等は、難視聴対策にこれらの対策として予算をとってあるのかとってないのか、放送関係としてはどのような考え方でこれに対処されるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  143. 奥山雄材

    ○奥山説明員 お答えを申し上げます。私、郵政省電波監理局放送部企画課長の奥山でございます。  都市におきます高層建築物等によるテレビジョン放送の受信障害の解消につきましては、先生先ほど御指摘になりましたように、従来から、原因者である建築主の責任で措置されるべきであるという考え方に立ちまして、郵政省といたしましては、共同受信施設の設置等によりこれを解消するよう指導につとめてまいりました。その結果かなりの成果をあげてまいったところでございますけれども先ほどお話にもございましたように、今後都市の高層化あるいは土地の高度利用というものがますます進むにつれまして、この受信障害がさらに増加することが予想されるところでございます。テレビジョン放送の国民生活における重要性等にかんがみまして、このような状態に対処するために、わが省といたしましては、昨年六月にテレビジョン放送難視聴対策調査会というものを省内に設置いたしまして、都市における受信障害並びに辺地における難視聴の問題これらを抜本的に解決するためにはどうしなければならないかということを現在鋭意検討中でございます。  その中におきまして、先生御指摘になりました自治体あるいは放送事業者がこの都市における受信障害の解消にどのような役割りを果たすべきか、あるいはどのような責務を持つべきか、さらにはどのような費用負担を行なうべきかということが論じられておりまして、受信障害関係者といたしまして、国及び自治体という行政当局、さらには原因をなしておりますところの建築主及び放送事業者、それに住民の方々つまり受信者の方々、こういった四者の方々の、受信障害解消に対する責務のあり方及び費用負担のあり方を現在詰めているところでございます。  先生がいま御質問になりました中に、放送事業者が現在受信障害解消のための予算を計上しているかという御質問がございましたけれども、放送事業者につきましては、現行法上の解釈といたしましては、いわゆる原因者がございます都市の受信障害につきましては、放送事業者が受信障害を解消する法上の責務はないということになっております。しかしながら、だからといって放送事業者がこれを放置しておいていいという考え方ではございませんで、先ほど申し上げましたように、国、自治体、放送事業者、さらには建築主並びに受信者の協力を得て、それぞれの責務に応じて、あるいは応分の負担に応じて今後の受信障害対策を進めてまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、現在、来年の三月を目途にこの調査会が結論を急いでおりますので、この調査会における検討結果を待って省としては措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  144. 北側義一

    北側委員 これは都市においては非常に大きな問題になっておるわけですから、その点ひとつよろしくお願いしたいと思うのです。  それから、先ほどからいわゆる住宅金融公庫融資の問題につきましてはだいぶいろいろ論議されたようなことでありまして、マイホームを持つためにいろいろ準備をなさっておる方もおるわけですから、何とか一日も早く対策を練っていただきたいということです。  あわせて、今日までのわが国のいわゆる住宅建設計画というのはおもに公営住宅、公団住宅等の公的機関が建設する住宅、それと、いま申し上げました住宅金融公庫によるところの公的機関の資金供給によって建てる住宅建設、また住宅減税、また住宅融資保険、こういうものによって民間自力建設を促進する、このような方向で住宅建設が進められたわけでありますが、こういう総需要抑制金融引き締めになりますと、一番先に早く引き締められるのはやはり住宅ローンであろうと思うのです。先ほどの話を聞いておりますと、総貸し出しのパーセントからいくとそう減ってないようでありますが、しかし実際の問題といたしまして、やはり低所得者等にとりましては、この住宅ローンが非常に大きなマイホームのための資金となっておるわけです。私は思うのですが、そういう点から先ほど浦井さんも少し話しておりましたが、住宅金融専門の機関というものをやはりつくらなければならないのじゃないか、このように考えておるわけなんです。と申しますのは、住宅局長でもけっこうですが、たとえば一千五百万円の建て売り住宅があった。この一千五百万円の建て売り住宅が二〇%の頭金、あとの一千二百万円を二十年のローン、こうなった場合に月々大体どれくらい払い込むのでしょうか。
  145. 山岡一男

    山岡説明員 民間の住宅ローンの金利は大体九分ぐらいということでございます。住宅の規模その他にもいろいろあると思いますけれども、おおむね四万円から五万円になるだろうと思います。
  146. 北側義一

    北側委員 これはえらい認識不足なんですが、大体一千五百万円の家で二〇%の頭金で三百万、残金が一千二百万。この一千二百万を二十年で払うとすると、大体月に平均十一万です。そうしますと、二十年ですから、十一万として一年で百三十二万ですか、百三十二万の二十年ですから、二千六百四十万ですか、それと三百万。一千五百万の家を買うために大体三千万要るんですよ。そうしますと、月々十一万のローンを払える人というのは、もういまないんですよ。だから、いま地方で、いわゆる建て売り住宅、分譲マンションが売れないのは当然なんです。売れ残ってきているのです。もう限界、つつ一ぱいまで来ているということですね。これに対して何らかの施策を打たなければ、これからのマイホームなんて、建て売り住宅を買うことすら——土地を買うて家を建てるなんて、もう不可能です。そういう安い建て売り住宅を買うことも分譲マンションを買うことも非常に困難になってきておる。だから、どちらにしてもそういう実態ですから、住宅金融公庫の金を借りて少しでも何とかしたいというのが一般の考え方なんです。だから、やはりこういうものについて、大体一千五百万の家で三千万近く払わなければ自分のものにならぬ。もちろん当然物価の上昇等もあるでしょう。それで見合うかもわかりませんが、実際問題としては一カ月十一万払えるかというと、これは不可能です。そうなってきますと、住宅対策というのはやはり公的資金で建てた公団とか公営、これにたよらざるを得ない。もし政府のほうが第二期五カ年計画においても四対六の割合で、公的資金が四、民間自力が六、こういう割合で進めていこうとするならば、どうしたってここで住宅金融関係専門の機関を設けなければたらないと思うのです。それに対して利子補給なり、あるいは何らかの形のものをつくっていかなければ私は不可能じゃないかと思うのですよ。これについてどのようなお考えがありますか。
  147. 山岡一男

    山岡説明員 現在、民間のほうでおつくりになっている住宅融資専門会社が四社ございます。これは都市銀行とかそれから信託銀行とか、それぞれの銀行がグループになられましてつくっておられる政策融資会社でございます。先ほど申し上げました民間ローンの増強策を講じていくという中の対象にも、当然そういうものも考えていきたいと考えております。
  148. 北側義一

    北側委員 問題は、やはり普通の一般の庶民では手の出ないところに来ておるということを認識をしてもらわなければならない。そこからいわゆる住宅対策発想というものを考えてもらわなければできないということです。もういっそのこと公的資金でがっちり建てる。どっちかです。それ以外に手はないのです。そういう点を考慮してひとつ考えていただきたいということです。そうしなければ、いつまでたったって第一期住宅建設五カ年計画で一世帯一住宅、第二期五カ年計画では御存じのとおり一人一室なんて幾ら言ったってだめですよ。幾らここでやりとりしたってそんなものはできないですよ。だから、民間自力建設を六の割合でずっと推し進めていかれるというのだったら、そこらの知恵をしぼっていただいて、みなが喜んでその金を使ってマイホームが持てるような施策をやってもらわなければいけないと思うのです。その点をひとつ強く要望しておきます。  それから、これも先ほど問題が出ておったようですが、総需要抑制の中で、中小建設業界、これは金融引き締め公共事業の契約率の抑制、また民間工事のいわゆる発注の不振、こういうことによって倒産件数もその負債額も、昨年等から比べますとだんだん多くなってきておるような状況です。これに対して救う手というのは、先ほどから話がありましたとおり、いわゆる中小建設業に対する融資と、公共事業等の中小建設業に対する優先発注、この問題については大臣も非常に苦心なさっておられるようですが、これ以外にないと思うのですね。具体的にこの対策としてどのような手をいま考えておられるのか、これを伺いたいと思うのです。
  149. 大塩洋一郎

    ○大塩説明員 お説のとおり、現下の特に中小企業の倒産に対する最も重点的な施策としましては、発注量の確保及び金融措置だろうと思います。そこで、政府としましては、この救済策としまして、四十九年度の第一・四半期におきます政府関係中小企業の金融三機関、これの貸し出しワクを御承知のとおり千五百億円追加いたしまして、建設業に重点的に貸し出しを行なうこととしたわけでございますが、さらに第二・四半期におきましても、これらの関係中小企業の金融三機関の貸し出しワクを五千六百十億円といたしまして、対前年一四%の増額をはかる、さらに七月におきましては、緊急措置としまして、民間金融機関によります中小企業向けの緊急融資二百億円を特別融資として講じたような次第でございます。  このほかに、公共工事の発注につきましては、通牒措置によりまして、発注標準を守れ、あるいは分割発注をでき得るだけ推進しろ、こういったことを内容とする通牒を出しておりまして、これによりまして、統計等によれば、その後中小企業の受注量は相当ふえてまいっておることが見られるわけでございますが、今後とも、中小企業の倒産を防止しますためには、いま申しました金融面及び特に発注面という両面において的確な対策をとっていくことが必要だと考えております。
  150. 北側義一

    北側委員 時間がないようですからもうやめますが、まず第一・四半期に千五百億中小企業に融資を考えておられたようですが、私が聞くところによりますと、この千五百億というのは、やはり銀行と業者の個別折衝で、どうしたって担保力のない建設業界にはあまり行き渡らなかったという話を聞いておるわけです。そういう面から考えて、これからの対策というものは、やはり中小建設業にうまく行き渡るような方向というものを考えなければいけないんじゃないか、こういう考えを持っておるのですが、それが一つと、それから大臣も、いわゆる中小建設業に対しての選別発注に非常に力を入れておられるわけですが、これは効果として出てきておる、それを見きわめられたあれがあるのですか。見きわめられたかということですね。
  151. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 総需要抑制下におきます建設業界の現状というものは、ほんとうにきびしいところに来ておることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、先ほど局長からも答弁申し上げましたとおり、本省においても、直轄事業等につきましては、一業者に全部まとめて発注するようなことをせずに、できるだけ多くの方々が受注の機会を得るような、これはいろいろ工事の種類によって違いますけれども、そういう可能な種類につきましてはそういうところまで気を配ってやるようにということで、新年度になりましてから指導をいたしておるわけでございます。  さらに、金融面におきましては、せっかく中小企業金融公庫に千五百億のワクを中小企業建設関係の貸し出しワクとして設定しても、それがはたして建設業界に確実に貸し付けになっているかどうかということにつきましては、私もその辺をはっきりつかみたいということで、実は現在個々に調査をさしておる次第でございます。  いずれにいたしましても、制度が十分でないためにそういうあと追い調査をしなければ実態がわからぬということであってはまことに困るわけでございますので、実は来年度から、いわゆる一般の中小企業者に対して五百万の無担保の貸し出し保証という制度がございます。あの上にさらに五百万程度の保証を建設省自体でやれるような仕組みができないものかどうかということで、実は事務当局に来年度の予算要求の際にそういう考え方を持つことによって中小業者の金融の要請にこたえていく制度をひとつつくったらどうかというような考え方で検討をさしていただいていることも申し添えて、答弁といたす次第でございます。
  152. 北側義一

    北側委員 いまの大臣の答弁になられた問題について、ぜひともひとつやっていただきたいと思うのです。やはり総需要抑制は続けていかれると思うのです。そういう点で、これから中小建設業者は、いまの状況から判断しますと、ますます苦しくなってくるのじゃないか、こういう見通しが立っておりますので、その点特に力を入れてやっていただきたいと思うのです。  西村国土庁長官に最後に一点だけお伺いしたいのですが、これからの国土行政のあり方です。先ほどもこれは質問があったようですが、一つ転換が必要じゃないかと思うのです。いま底での、たとえば昭和二十五年の国土総合開発法を見ましても、また、昭和三十七年の新産業都市建設促進法、昭和四十五年の新全国総合開発計画等を見ましても、いままでの計画というものは、経済優先、産業基盤整備のためのこういう計画であったといわれてもやむを得ないのじゃないかと思うのです。それによってもたらされたプラスも私はあろうと思うのです。しかし、これからの国土行政というものは、そういう産業基盤整備のための国土行政一つのひずみとして、公害とか自然環境破壊とかいう問題が大きくクローズアップして、道路一つつくるにつきましても住民運動が起こってくる、こういう中で国土行政をやっていかなければならないわけです。そういう点で、今後の国土行政のあり方としては、そういう産業基盤整備が主眼ではなくして、あくまでも国民福祉、環境整備、これらが中心となった、基軸となった国土行政のあり方でなければいけないのじゃないか、こういう考えを私は持っておるわけなんです。それに対する発想転換というものが必要になってくるのじゃないか。その発想転換をするためには、経済社会基本計画ですか、それに見合ったような国土行政のあり方というものを検討なさるべきじゃないか、このように私は考えるわけであります。しかし、あくまでもわが国のGNPを伸ばして、それを指標にして他のものを考えていくというやり方、これはいけないのじゃないかと思うのです。その点についての国土庁長官のお考えを承りたいと思う一のです。
  153. 西村英一

    西村国務大臣 いま北側さんがおっしゃったとおりでございまして、六〇年代のやり方に反省を加えなければならぬと思っております。大体GNPを想定して、それをやるためにはどういう生産が必要か、それをやるためにはどういう土地を使うかということで、ひずみがきたのでございますから、その逆をいって、国民の福祉がどうしたら得られるかということをやって、そうしておのずから経済成長、GNPが出るという逆な行き方で、それを発想転換といえば転換でございますが、土地は限られておるし、またことに水も限られておりますし、エネルギーも限られておりますから、そういうものを勘案しつつ、十分いままでの反省を加えて、国土の利用を考えたいと思っておるような次第でございますから、どうぞその点については、私も十分やるつもりですが、御指導をお願いしたい、皆さま方の衆知を集めてやっていきたい、かように考えております。
  154. 北側義一

    北側委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  155. 木村武雄

    木村委員長 次回は、九月十日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時十九分散会