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1974-10-16 第73回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十月十六日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 井原 岸高君 理事 唐沢俊二郎君    理事 松岡 松平君 理事 久保田鶴松君    理事 原   茂君 理事 庄司 幸助君       宇都宮徳馬君    大西 正男君       吉永 治市君    稲葉 誠一君       平林  剛君    金子 満広君       坂井 弘一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 木村 俊夫君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   伊藤 圭一君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  河口 甲逸君         外務省アジア局         次長      中江 要介君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省経済協力         局長      鹿取 泰衛君         外務省条約局長 松永 信雄君         会計検査院事務         総局第一局長  高橋 保司君         決算委員会調査         室長      東   哲君     ————————————— 委員の異動 十月十六日  辞任         補欠選任   中尾  宏君     大西 正男君   田代 文久君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   大西 正男君     中尾  宏君   金子 満広君     田代 文久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十七年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十七年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十七年度政府関係機関決算書  昭和四十七年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十七年度国有財産無償貸付状況計算書  (外務省所管)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、外務省所管について審査を行ないます。  まず、外務大臣から概要説明を求めます。木村外務大臣
  3. 木村俊夫

    木村国務大臣 昭和四十七年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳出予算現額は七百九十億三千二百八十一万円余でありまして、支出済歳出額は七百五十一億六千五百三十五万円余、翌年度繰越額は三十一億二千三百七十六万円余、不用額は七億四千三百六十八万円余であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額七百三十七億九百八十五万円余、前年度繰越額十五億六千八百四十二万円余、予備費使用額バングラデシュ人民共和国緊急救援費テル・アヴィヴ・ロッド空港事件特別支出金フィリピン水害救援費ヴィエトナム難民救援費ニカラグァ震災救援費に要した経費)三十七億五千四百五十三万円余でありまして、前年度から繰り越したものの内訳は、国際友好団体補助金五百八十三万円余、海外技術協力実施委託費八億八千六百八十一万円余、経済開発特別援助費四億三千九百八十七万円、在外公館施設費二億三千五百九十万円余であります。  支出済歳出額のおもなものは、  科学技術振興のため国際原子力機関に対し同機関の憲章に基づく分担金及び拠出金として二億八千九百八十三万円余、並びに国際連合その他各種国際機関に対する分担金等として四十五億二千九百二十七万円余。  また、貿易振興一環としての啓発宣伝工作等事業のため五億四千五百六十七万円余。  次に、経済協力一環としての技術協力実施につきましては、コロンボ計画等に基づく技術研修員千七百五十名の受け入れ及び専門家三百三十七名の派遣業務のほか海外技術訓練センターの設置、投資前基礎調査日本青年海外協力隊派遣医療協力農業協力等委託事業アジア開発途上国に対する経済開発特別援助及び国連開発計画等の多数国間経済技術協力のための拠出等に要した経費二百二十二億二千五百十四万円余。  さらに、移住振興につきましては、中南米等への移住者七百六十三名を送出及びこれを援護するため等の経費二十六億七千三百四十四万円余であります。  次に、翌年度繰越額について申し上げますと、  財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰り越しのものは二十七億四千九百五十八万円余でありまして、その内訳は、海外技術協力実施委託費十億五百七万円余、経済開発特別援助施設費七億六千七百八十九万円余、経済開発特別援助費六億八千百四十万円余、在外公館施設費二億九千五百二十一万円余。  また、財政法第四十二条ただし書きの規定による事故繰り越しのものは三億七千四百十七万円余でありまして、その内訳は、海外技術協力実施委託費三千三百六十八万円、経済開発特別援助費七千五百五十七万円余、バングラデシュ復興特別援助費二億六千四百九十二万円余であります。  不用額のおもなものは、外務本省の項で退職手当を要することが少なかったこと、貿易振興及経済技術協力費の項で事業計画を変更したこと等により海外技術協力実施委託費を要することが少なかったこと、国際分担金其他諸費の項で国連開発計画等拠出金を要することが少なかったこと、移住振興費の項で海外移住事業団交付金を要することが少なかったこと並びに在外公館の項では職員諸手当を要することが少なかったこと等のためであります。  以上が昭和四十七年度外務省所管決算概要でございます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。高橋会計検査院第一局長
  5. 高橋保司

    高橋会計検査院説明員 昭和四十七年度外務省決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  6. 臼井莊一

    臼井委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  7. 臼井莊一

    臼井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、順次これを許します。松岡松平君。
  8. 松岡松平

    松岡委員 核兵器に関することで外務大臣にお尋ね申し上げたいと思います。  一昨日も外務委員会で論議になったようでありますので、なるべく重複しないようにお尋ね申し上げたい。  このラロック氏のアメリカ上院委員会における証言なんですが、これはどのようにおとらえになっているのか。つまり、その証言内容証言が行なわれた委員会のあり方と申しますか、どういう事案についてかかる証言が行なわれたのか、まずこれを大臣から承りたいと思う。つまり、証言をどのように把握しておられるのか、これがちょっとどうも私どもにはよく理解できないところもあるように思われるので、ひとつよろしく。
  9. 木村俊夫

    木村国務大臣 いわゆるラロック証言なるもの、これは御承知のような、米議会における小委員会で表明されたいわゆる発言でございまして、宣誓の上でいわゆる証言をした性質のものではございません。しかも、かつて米海軍の職にはおりましたけれども、現在は一民間研究所長としての立場発言したものでございます。しかしながら、米議会でなされたものであること等から申しまして、いままで雑誌等のインタビューに応じた発言とはまた違った意味とわれわれは受け取っております。  その内容といたしますのは、もうすでに米政府に対して私どもが要望、要請をいたしまして、インガソル副長官から公式の見解としてわがほうに一種の覚え書きとして出されております内容によりますと、日米安保条約に基づく事前協議についてのアメリカの約束は、従来も守られてきたし、また今後も引き続き守られることを確認する、また、このいわゆるラロック証言なるものは一私人発言であって、これは米政府と何らかかわりのないものである、こういうような内容とお受け取りになってけっこうでございます。
  10. 松岡松平

    松岡委員 大体アウトラインはわかりますが、その証言内容がどの程度であるか、つまびらかでないんですね。そのラロック氏のかつて所属した艦隊は第六艦隊のように承っておりまするが、それによると、核兵器積載できるものにはたいてい積んでいる、こういうように把握できるのですが、どの艦に積んでおるのか、それもよくわかりません。私どもは、その点は非常に抽象的に把握し得られるだけなんですが、その点どうでしょうか。
  11. 山崎敏夫

    山崎説明員 お答え申し上げます。  仰せのとおり、ラロック氏の証言は、非常に一般的な形で米国の海軍艦艇核積載能力について述べたものでございます。
  12. 松岡松平

    松岡委員 そうすると、局長でけっこうでありますが、どの艦艇積載されていたかという事実じゃなくて、一種の抽象的な、アメリカ艦隊の装備に関する概説みたいなものになりますな。その点をはっきりしないで議論を戦わしておっても、おしまいに霧のごとく消えていってしまう。これはまことに国民にとって不安だ。はっきり言うと、そういう一種概念状況外務省当局が交渉されていても、これは反響は来ないはずです。  ですから、この点はどうなっているのでしょうか。もっと具体的なものであったのか。やはりいま説明になったように、一種の概説的なものであったのか。
  13. 山崎敏夫

    山崎説明員 ただいまお答え申し上げましたように概説的なものであったわけであります。  ただ、ラロック氏が、核兵器を普通は取りはずして外国の港に入港しないと言ったときに、たとえばということで日本というものが言及されたわけでありますが、この点については、その後の新聞報道等によりますと、たまたま日本を言っただけであって、自分が言おうとしたことは一般的であったというふうに言っておるようでございます。
  14. 松岡松平

    松岡委員 そうしますと、いまほど局長のおことばのとおりだとしますと、まあ一種の概説的な説明であって、個々具体的な証言としては高い価値のあるものじゃないということになりますな。証言ですから、事実に関することがこれは原則なんで、そういう概説的なことというのは、ある意味における本質的な証言であるとはちょっと受け取りがたいものだと私は思うのです。  しかしながら、この概説的な証言から把握せられることは、少なくとも核兵器が装備されている可能性があるし、また、装備されておるかもしれぬし、おらぬかもしれない。だけれども、抽象的に言えば核兵器積載される可能性があるということになるのですが、そこで一体、日本領海に入り、日本の港に着いたような場合に核兵器積載していると思われても、事前通告がなければ手のくだしようがないのですね。事前協議の爼上にのる以外には、みずから日本国としては核兵器積載があるということを確認するということはできるのですか、できないのですか、この点どうですか。
  15. 木村俊夫

    木村国務大臣 御承知通り事前許可制になっておりますので、事前協議がない場合に、われわれとしてはそれに核兵器は搭載されていないということをもちろん確信をしております。
  16. 松岡松平

    松岡委員 そうすると、いま大臣のおことばによりますと、事前通告がなければ核兵器が装置されていないということは、アメリカ政府信頼し、これによって日本が安心している、こういうことでありますな。  しかしながら、現実にラロック氏の証言によると、核兵器を装備した艦艇が航海していることはあり得た、あったということが一応把握できるのです。そうすると、非常に不安なもので、艦艇ですから、わが国の権力の及ぶところではない。したがって、ここへ立ち入ることもできない。非常にむずかしい問題である。ここが、不安を感じている国民にとっては、不安を持ちながらもこれを捕捉できないということははなはだ不安なことである。  続いて私はお尋ねしたいのですが、アメリカとの間には安全保障条約というものがございまして、いわゆる事前通告、それによる協議というものが行なわれ得ますが、そうでない国、核の最も有力な国といえば、アメリカに次ぐのはソ連、その他の国も核を持っておるし、核兵器を持っておるかもしれない。そういう艦艇わが国あるいは領海の中にも接近し、または入っているかもしれないし、入るかもしれない。いわんや、今後十二海里問題が出ております。おそらく領海通過ということはひんぱんに行なわれる可能性があります。ひとり、何かラロック氏の証言によって核兵器積載しているのがアメリカ艦艇だけのように考えると、これは私は一つの誤りだと思う。ソ連艦艇もたくさん海洋におるのですから、これは言うまでもないところであります。この艦艇核兵器が全然ないと言い得るかどうか。おそらく、ラロック氏の証言を推してみても、近代艦艇には、核兵器を持っている国においてはそういうようなことはあり得るとわれわれでも考えるのですが、アメリカのような、そういう安全保障条約を結んでいる国との間においては、事前通告の形において協議対象になるけれども、そうでない国との間においては今後どうなるのでしょうか。これはひとつ外務大臣に特にお答え願いたいと思うのです。
  17. 木村俊夫

    木村国務大臣 たとえばソ連艦艇核兵器を搭載してわが国領海を通過するということは、一応仮説としてはございましょうが、そういう場合におきましても、わが方の非核原則その他の方針から申しまして、そういう通航無害通航と認め得ないという立場を堅持しております。しかしながら、御承知のように日米安保体制日米安保条約に基づく事前協議制のないソ連との関係でございますから、私どもは、ソ連核兵器を搭載した軍艦がわが領海を通過することはないという確信のもとに、これについて確認したことはございません。
  18. 松岡松平

    松岡委員 そうすると、核兵器は外面からはなかなか捕捉しがたいもので、航空機からこれを偵察することもなかなか至難であり、おそらく外部からは隠蔽されているものと考えられる。非常に至難なことだと思うのですが、これを知る一つの方法として今後やはり情報の把握ということも、これはなかなか至難な問題であると思うのです。不安はあっても確たるものをつかめない、こういう現状にあるこの核の時代においては、かなり問題があると思うのですが、大臣、その点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  19. 木村俊夫

    木村国務大臣 ソ連といえども国際法、また、わが国国内法に基づく諸規定、また、わが国の基本的な非核原則に対して、これに違背するという考えはないと私は確信しております。そういう意味におきまして、われわれは一々確認はなし得ませんけれども領海三海里の中におけるわが国自衛力、また日米安保条約に基づく米海軍のこれに対する遊よくと申しますか、そういう面から申しまして、いまだかつてソ連核兵器を搭載したままで日本領海に入ってきた実例はない、こういう考えでございます。
  20. 松岡松平

    松岡委員 核の問題は、いずれまた外務委員会あたりで問題になるかと思うので、この程度にとどめます。  次に外務大臣にお尋ねいたしたいことなんですが、このごろ盛んに資源外交ということが言われる。先ごろ総理アメリカカナダ、メキシコその他にお回りになりまして、資源の円滑なる援助についての外交を展開されたように思います。しかしながら、この資源外交というものは、一片の頂上会談でなかなか解決のつく問題じゃございません。資源国にとっては貴重な資源でありますし、また、わが国にとっては、資源なくしては日本の工業というものの前途は非常に憂うべきものがあります。  そこで、相互の親睦というものはもちろん基礎になりますが、両国の間に資源が円滑に行なわれるためには、何と申しますか、ギブ・アンド・テイクと申しますか、こちらからも向こうに尽くすべきものは尽くし、そして求めるものを求めるという態度になりませんと、ただ、物がほしいほしいといって世界中でほえておりましても、どこの国もいまみな資源ナショナリズムと申すか、そう簡単には資源を得られるものではございません。そうして、やはり資源にいたしましても、質も量もこれはかね備えなきゃならぬもので、量があるからといって質の悪いものをちょうだいしても、これは採算には乗らないということを考え合わせて、外務大臣がだいぶアフリカ方面に目を向けておられるようですが、既成の資源国はむろんですが、まだまだアフリカは、こまかく目を注ぎ足を運んでお調べになるならばたいへんな資源国だと私は思うのです。ただ、いままでの関係で、何か私どもでも子供時代から教え込まれたというか、アフリカあたりは未開発で、不便で、非文明的で住みにくいところだというような感じを人々に与えておるのです。大臣は近くアフリカを訪問されるということを伝え聞きましたが、それはすでに日本では名の知れた国もあり、未開の国もあり、未知の国もあるのです。行かれる場合には、アフリカを少なくとも一通りは回ってみるべきだ。東海岸もあれば西海岸もありますし、南岸もあります。  私は、西海岸に昨年、代表で行ってこいというので行ってまいりましたが、なかなか向こうは——具体的に国の名をあげてよろしいのですが、ギニア日本に対して絶大な信頼を持っております。ソ連に対する信頼中国に対する信頼ヨーロッパに対する信頼の比ではございません。どうしてそんなに一体日本信頼するのか。自分らが、ともかく総理ほか大蔵大臣経済大臣日本に一昨年参って、約二週間にわたって各工場その他を視察し、日本人の技術的なすばらしさと勤勉と努力を見てただただ感服した。しかも信義もあるというので非常に信頼しておるのですが、どうも諸般の手続がおくれて困るのです。私ども私人考えると、頼まれていることをさっと果たしてやったらどうかと思うことが、半年たっても一年たってもできないのです。大臣は就任されてから日が浅いので、私が大臣とこの点について親しくお話を申し上げたことはありませんが、近く機会を得て、私、友好協会の会長もいたしておりますので、話したいと思う。  そこで、単に私ども関係している国だけを行かれることは、行かれなかった国に非常に反対が起こります。それは、アメリカに行ってカナダに行かなければ、カナダの人に、何だアメリカだけ行くのか、わが国には来ないのか、という感じを与える。その感じ一つの、やがては動かすことのできないものになっていく危険がある。私はその意味において、外務大臣アフリカへお出向きの際は、東も西も南も一通り歩いていただきたい。まあ二週間あれば飛び飛びで行けると思う。ただ、飛行機の航路の問題がありますので、こういう場合にこそ飛行機をチャーターなすってください。そんな、選挙運動にチャーターするだけの費用があったら、こういうときにこそ、ひとつ総理にお話しになっておやりください。アフリカは、日本に対して非常に人気はいいですよ。  それで、資源も非常に豊富ですし、いろいろな調査団もお出しになっておりますが、どうもその結末がなかなか時間がかかるのですよ。これが一番向こうの地元の人たちがじりじりするところなんで、やはり直ちに結論を出せなければ中間回答を出すとか——一例をあげますと、いかなる手紙を出しても返事はくれないのが日本慣習かというのですよ。日本慣習なのか。いや、そうじゃない、いろいろ考えているんであろうとこう言うんだけれども、それにしても一通も返事が来ない。だめならだめ、いま審議中なら審議中、調査中なら調査中と言うてくれればいいのだけれども、何にも言うてくれない、はなはだ困るという不平を訴えられるのであります。  私はその意味において、向こうは、どこへ行ってもおそらく食糧問題で訴えられると思うのです。私は、東のほうも南のほうもよう知りませんが、西のほうでは、主食はやはり米でございます。ヒエを使います。これは日本古来ヒエをつくっておりましたが。……だから、そういう関係で、米をつくったらよさそうなものだと思いますけれども、そこがやはり技術の未開発とでも申しますか、米は水田でつくるものだという錯覚を起こしている国があります。私は、それは錯覚だ、もともと米の起源を調べてみれば、オカボが早いんだ、オカボから水稲にかわったんだというふうに説明しております。そうすると、何か自分らの国にまずい米を食わせる技術を教えるように錯覚を起こすのですね。  こういう点もありますので、ひとつ近い機会大臣アフリカを一回り回り願いたいと私は思うのですが、御所見を承りたい。
  21. 木村俊夫

    木村国務大臣 アフリカについての御経験に基づく御意見、ありがとうございます。  私、今回アフリカへ訪問いたしますのも、まず、資源目当て外交ではございません。したがいまして、アフリカ諸国の最近における新興勢力としての動き、これからの国際社会におけるそれらの発言力、われわれ日本外交が進むべき道をその中に見出したいという一つ方針に基づくものでございます。  しかしながら、アフリカを訪問いたします上には、そのアフリカ諸国考えております考え方というものをよく吸い取ってこなければなりません。大きな資源を持ちながら、まだ開発すらできないという対象国に対しましては、やはり開発に対してわが国技術的あるいは資金的な援助の手を差し伸べる、これは向こうとの合意の上で当然やらなければなりません。  そういう意味におきまして、アフリカ諸国を訪問する上においては、先ほど御注意がありましたとおり、どういう順序でどういう国々を回るかということについては慎重に私ども考えまして、とうてい一回では回り得るものではございませんので、第一回というような形で今回訪問する所存でございます。  アフリカ諸国に対する考え方は、まずアフリカ諸国考えを聞くこと、またその自力を助けること、また最も大きな問題は、いまだに人種的、人権的な問題すら解決してないアフリカ諸国のそういう面におけるわが国精神的支援、これが第一だと思います。そういう意味合いで、私はアフリカ諸国を、約五カ国でございますが訪問してくる予定でございます。
  22. 松岡松平

    松岡委員 この今度行かれる五カ国はどことどこでしょうか。
  23. 木村俊夫

    木村国務大臣 ガーナ、ナイジェリア、ニジェール、タンザニア及びエジプトでございます。
  24. 松岡松平

    松岡委員 これはここで申し上げることではないのですけれども、あの西海岸ブラックギニアというものは、六カ国ありますので、これはなかなか仲がいいようでやはり多少各民族的な確執もあります。一国へ行かれて一国へ行かないということは、非常に影響が多いのですね。飛行機をお使いになれば、一日あれば、三時間ぐらいで行けるところがありますし、私は、なるべく五カ国のところを八カ国でも、その部分、地域をやはり回っていただく。たとえば、古い話を言うけれども、明治天皇が東北へ行かれれば、やはり東北各地をお回りになった。中国地方へ行かれれば、中国地方をまんべんなく回られた。私は何もまんべんに媚態外交をなさいと申し上げているんじゃないんで、向こうでは非常に待っているんです。そんなわけですから、その点をもう一考していただきたいと思う。  次に、私は商社の方々にも常に言っているし、また各鉄鋼その他アルミ関係方々にも言っているのですけれども、いまアフリカギニアなんかにおきましては、ボーキサイトは現在、発見された鉱区だけでも世界の資源の三分の二を持っているのです。現にギニアが出鉱してソ連に出している鉱区一つある。これは鉄道をソ連の力でつけまして、約百五十キロです。それからもう一つは、ヨーロッパ、これは日本関係しておりますが、国連の世界銀行の資金などを出してもらって出しておりますが、有名な鉱山がございます。これが毎年一千万トン。ソ連のほうも一千万トン。どうもソ連はそれ以上あまり資源の搬出はしたくないという希望を持っているようであります。それはどこからきているか私はわかりません。また、ここで言うべきことではないと思います。  そこで、常に求められるのが日本であります。そんなわけで、アルミ状況も必ずしも現在、日本との関連国は将来、安心してはおれないということ。もう一つ資源を持ってくるのは、まあはっきり言うと、どろかすを半分は運んでいるという勘定になります。そんなことをしておるよりも、できるだけ向こうの工業化をはかる、これが私非常な急務じゃないか。それで、日本がやればみな合弁でしょう。合弁でやって、開発する製品を自分らの手で販路へ乗せていくというような考え方に改めないと、何でもいいから鉱石で持ってくるぞ、こういう考え日本の産業界に根を張っております。これは大臣出向きの節は、その点もよくお考え願って、ひとつ双方、現在日本が受け取っている信頼を生かして外交を展開されんことを希望してやみません。  一例をあげますと、核兵器関係するのですが、私はギニア国の、そうです、隣国に接した標高八百メートル近くのところですが、ギニアにしては北のはずれになるでしょう。ここの飛行場へおりましたら、盛んに工事をやっている。何をやっているのかといって詳しく聞いてみると、二千メートルの滑走路を三千八百メートルの滑走路に変更しておるのです。これじゃ軍事基地じゃないか。しかも向こうの戦闘機が数台あります。これはどこの飛行機か。これは某国の飛行機だ。しかも、アフリカのどまん中にこれだけの大型空輸のできる軍事基地をつくるということは、一体君ら何と考えているのだと聞いたら、いや、どうもまごまごして、よく言わない。けれども、やはり非常に一つの不安感があるようですね。ただ、不安感があるけれども一つの強圧の力でついにそういうふうになったというふうに私どもは理解をしてきました。  中国は、資源開発はあまりギニア国に対してはやらないのですね。しかし、少なくとも私どもの目で見て、時価三十億以上の金をかけて人民宮殿というものをつくりました。この中に議会もありますし、あらゆる集会はここでやっております。こういうものは何ら反対給付を受け取らないでやっている。ソ連は必ず反対給付を伴っておりますし、与えているものはあまり私は目につきませんでした。だから、ここに私は公平に見て、中国外交というものは学ぶべきものがある。人民宮殿を寄付しまして、何も中国に返っていません。資源も買っておりません。これはなかなか驚くべきことだと私は思っている。この機会大臣に申し上げて御参考に供しておきたい。もう時間もあまりないようですから、大臣の簡単な御所見を伺って終わりたいと思います。
  25. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほど、私が訪問する相手国の名前を一つ間違えまして、ニジェールと申しましたのは、これはザイールの誤りでございますから訂正しておきます。  いまいろいろ御意見を承りまして、いずれにいたしましてもこれからの日本外交というものは、相手国との相互信頼というものにやはり基づかなければなりません。それを傷つけるようなことがないよう慎重な外交方針をとっていきたい、こう考えております。
  26. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、原茂君。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 いま、松岡委員アフリカ関係する話を聞いていますと、中国アフリカに対する態度などが紹介されましたが、私もひとつ大臣に、行ったら関心を持っていただきたいなと思うのは、いわゆる卓球ですね、ピンポン。これを通じて、特にナイジェリア中心に中国が異常な力を入れているんですね。一年間に五十チームぐらいのチームを派遣しまして、これはもちろん無料ですが、あるいは自国にアフリカ諸国の卓球関係者を研修に呼びまして、このめんどうを見て、卓球を通じてのアフリカ外交というのは非常に実は根を張っていまして、前にほかの委員会で、このことを違った角度から申し上げたことがあるんですが、私はやはりこの種の態度を見てみますと、現在、日本で石油などの備蓄の問題がある。荻村伊智郎さんの話じゃありませんが、この資源の備蓄と同じような同義語で、国民感情の備蓄というものに日本外交が相当力を入れていかないと、ただ上部の交流があった、親善訪問をしたというだけでは、なかなかに今日、いろいろと生活あるいは歴史の違う異民族との間の交流というものは、真に国民的な場に展開していかない。そういう意味では、中国がねらった、卓球を通じての外交のやり方は参考になると思いますので、おいでになったら、ひとつ卓球の話をちょっとしてごらんになるとよくわかります。あのアフリカの皆さんが、卓球に非常に熱意を持っている。今日使っている卓球台を見ますと、中国からセットを全部買っているのです。それほど中国は、まあそんなもの売ろうとしてやったわけじゃないのですが、非常に国の一つの焦点をそこにしぼったような、外交に準じたことをやっているんですね。こういう点も日本でも非常に参考にする必要があるのじゃないか、こう思いますので、アフリカへせっかく行かれたら、そういう点、なるほどなというので——日本ではちょっといま幾ら私ども言ってもなかなかやってくれないのですが、もう少しこういう面の国民感情の備蓄といいますか、そういう底辺からの国交を盛り上げるということをもうちょっと考える必要があるのじゃないか、こう思います。これは余談でございますが……。  きょうは、きのう外務大臣が講演をされました十二海里に関係する問題で核の持ち込み云々ということが新聞に出ておりますので、これを一つ取り上げさしていただきます。それからもう一つは、韓国に対する経済協力の進展の度合い、今後の方針を二つ目にお伺いしたい。これにつれて、韓国に対する日本の懸案になっております金大中氏事件ですとか、あるいは最近の狙撃事件を中心にしたいろいろなやりとりの展開等をおもにお伺いをしたいと思うのですが、その前に二、三の問題をお伺いしておきたいのです。  一つは、六月ごろでしたか、ビルマで領海侵犯だというので、日本人六人を含めた、これは研究者、技術者でございますが、三十一人の乗り組みました船がそっくり領海侵犯のかどで拿捕されて、いま実刑の判決を受けている。これに対して当時官房長官が談話を発表していまして、この国際機関のセンターというのは加盟国が六カ国あるので、したがって、日本一国だけが積極的に動くことはビルマを刺激して事態を悪化させる判断がある、ためにビルマへの働きかけは消極的で、このことが事件の解決をおくらしている一因になっているのではないかといわれるほど、非常に何かこれに対する対処のしかたが手ぬるかったということが、当時報道されておりましたが、その後どうなっておりますか。少なくとも一年の実刑判決があったはずですが、わが国がどのように働きかけをして、結果どういうふうになったか、いっこの事件の解決の見通しがつくかというのを先にお伺いしたい。
  28. 木村俊夫

    木村国務大臣 このいわゆるチャンギ事件と申します、これはすでに御承知と思いますが、乗り組み員は釈放されております。ただ、その問題の船の性格は、御承知のとおり技術協力に基づく船でございますので、船の釈放もわれわれはこれを要求しております。たまたま数日前、ビルマの副首相が来日いたしましたので、重ねて私から副首相に直接、この問題についての早期解決を申し入れてございます。  なお、詳しい点につきましては事務当局からお答えしたいと思います。
  29. 鹿取泰衛

    ○鹿取説明員 ただいま大臣の御説明のとおり、船員は釈放されたわけでございますが、問題は、船体がまだビルマ側に押収されたままでございます。この船は——東南アジア閣僚会議一種の下部機構ということで、東南アジアの漁業のセンターがございます。この漁業のセンターは実は三カ所に分かれておりまして、タイとシンガポールとマニラにございます。タイは訓練センター、シンガポールは調査センター、それからマニラは養殖のセンターでございます。問題は、シンガポールにあります調査センターの船がビルマ沖で調査をしていたときに、領海侵犯のかどでビルマ側の官憲にとらえられたわけでございます。  したがいまして、この船は、もともとわが国の寄与に基づくものではございますけれども、いまは所有権はそのセンターに属しており、船籍もシンガポールの船籍になっているわけでございますので、わが国といたしましては、この事業そのものの今後の進展のために早期に返してもらうということを希望し、ビルマ側にも、先ほどの大臣の先方の副首相に対する会談その他、あるいは現地の大使を通じまして希望を申し入れているわけでございますけれども、先方も法律上に基づく裁判をやっておるわけでございまして、向こうには向こうの事情もございます。それから、形式的に、先方に対して要求すべきはやはり法人格を持っているセンター自体でございますので、そのセンター自体とよく協力いたしまして、特にシンガポールの調査センターの責任者に対しましてわれわれとしていろいろ協力して、表はそのセンター及びセンターの事務局長であります、これはシンガポールの人でございますけれども、その人にビルマ側と正式に折衝するようにということを指導しているわけでございます。  それでは今後どうなるかということでございますけれども、これはだんだんビルマ側も、この東南アジア閣僚会議の意義を、特に東南アジア閣僚会議に基づきますいろいろなプロジェクトの意義を認めてまいりました。実はビルマは、この閣僚会議に加盟したのは昨年の東京の会議で、まだ経験が浅いわけでございますので、東南アジア閣僚会議のそういうようなプロジェクトが、いかに東南アジアの民生の安定とか経済の伸展、発達に寄与しているかという具体的なことを知り始めておるところでございますので、そういうようないろいろビルマ側の理解が深まるにつれてこの事件は円満に解決するものと期待している次第でございます。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 いまの説明でよくわかったのですが、私はふしぎだと思ったのは、ビルマも開発閣僚会議のメンバーなんですね、だからどうしたのかなと思ったのですが、いまの御説明でわかりました。一日も早く——船もあれ日本製ですよね、日本製だからつかまえているわけではないでしょうけれども、こんな問題は、外務省のある限り、もっと早く的確な切りをつけさせるのが常識だと思うのですよ。最近の韓国との外交のあり方を見ても、国民の側から言うと、何と日本外務省弱腰といいますか、なまけているといいますか、いわゆるわが国国民の期待に沿っていないという印象が強くこんなことからも持たれるおそれがあると思うので、大至急に完全に措置をしていただくように希望を申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、先にお伺いしておきたいのは、九月の六日ですか、ソウルの日本大使館の日本の国旗が破り捨てられたという事件があり、その前日の五日には、釜山の総領事館においても同じ事件が起きそうになったのを、これはわずかに防ぐことができた。過去二、三回この種の事例が日本でもあり、そのほかでもありまして、相当これだけは重要な外交問題として措置をされてきているのですが、一体わが国よ、この韓国における日本大使館の国旗に対する侮辱事件をどのように処置をされたのか、その決着のつく見通し、これを明快にお答えをいただきたい。
  31. 中江要介

    ○中江説明員 ただいま先生御指摘の、ソウルにございます日本大使館に対する韓国側のデモ隊の乱入、それからそれに伴います大使館の器物の損壊、日の丸の旗の損壊、その事件につきましては、乱入がありました直後に、もうその時点でまず電話で向こうの警備当局に対して、そういったたぐいのデモがあるという情報があったわけなんでございますが、にもかかわらずこういう事態になったということを遺憾として、すみやかに復旧の措置をとるように申し入れました。それから、向こうはさっそく警備の人数をふやすなどして排除につとめたのですけれども、結果としてはただいまおっしゃいましたような事態になって、非常に遺憾なことであるということで、わがほうはまず口頭をもって、次いで文書をもって正式に韓国政府に抗議をしております。  それに対して韓国側は、あらゆる機会外務省の次官、外務部長官それから向こうの警備当局の責任者、そういうものが陳謝をしておりまして、と同時に、その損害については十分な賠償をする、損害賠償をする、つまり復旧のための財政、金銭上の負担は全部引き受けるということを言ってきましたと同時に、もうその夜から、破損されたものを非常な早さでもとに復するという努力をしておりまして、現在では大体事務の遂行には支障のない程度には回復しておりますけれども、そのことをもって本件がすべて解決するというわけではなくて、在外公館と特にその国旗、国章についての十分な保護がなされなかったということに対する国際法上の責任というものはあるわけでございますので、これは厳重に抗議を申し入れて、その善後措置を要求している最中に御承知の狙撃事件が発生いたしまして、その結果として日韓関係が御案内のような非常に悲しむべき状況になって、これをまず鎮静化するということに主力が注がれておったわけでございまして、これが椎名特使の派遣によりまして一応鎮静化した段階で、先方からも本件について正式に遺憾の意の表明があって、いまは、まだ復旧を見てない部分はほとんどございませんけれども、損害についてその財政的な補償の問題その他を手がけている、こういうのが現状でございます。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 経過は大体わかりましたが、特にもう一度お伺いしたいのですが、この国旗を破り捨てるという、国際法上からいっても慣例の上からも許すことのできない事態が生じたのを、向こうの韓国の最高責任者が正式に謝意を表することぐらいは当然だと思うのですが、この点はいかがですか。大臣からお答えいただきたい。
  33. 中江要介

    ○中江説明員 本件につきましては日本と韓国の間の外交上の問題ということでございますので、その最高の責任者である金東祚外務部長官が韓国において、またソウルにおいて、また先般はアメリカ木村外務大臣と会った場面でも、正式に陳謝の意を表しておる、こういうことでございます。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 韓国は自分から、この間椎名特使をよこすときにも首相ではいけない、大統領のところへ来い、こういうことを言ったほどで、いわゆる韓国といえば朴大統領が正式に陳謝しなければいかぬのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  35. 中江要介

    ○中江説明員 これは通常の外交上の問題につきましては、外務部長官がその国を外に向かって代表するということになっておりますので、外務部長官の遺憾の意の表明といいますか、陳謝でもって十分だと思いますけれども、先般椎名特使がソウルに行かれましたときに、朴大統領は、この大使館乱入事件も含めまして、最近の日韓関係についての憂慮の気持ちというものは表明しておられますが、いま先生がおっしゃいますように、この事件のみについて大統領から何ぶんの話なりあるいは文書なりというものは、現在までございません。
  36. 原茂

    ○原(茂)委員 少なくともこんな事件があった限り、狙撃事件その他に関連していまの程度でおさめるということは、私はよろしくないと思う。今後のこともあるから、少なくとも朴大統領ないし金首相自体に、この間の向こうの要求ではありませんが、わが国からも厳然たる要求を行なって、文書による陳謝をこの国旗事件に関しては求めるべきだと思うのですが、どうでしょう。
  37. 中江要介

    ○中江説明員 先ほど冒頭の説明で私が申し上げましたように、わがほうは文書をもって抗議をいたしまして、これに対する文書による遺憾の意の表明といいますか、陳謝、その他責任者の処分とか補償の問題とか、そういったものを明確にしてもらうようにという話を進めておりますやさきに狙撃事件が起きて、そういう意味での事務的な処理は多少遅延しておりますけれども日本政府としては文書による正式の態度表明というものを要求しておるのが現段階でございまして、今日までのところは参っておりませんけれども向こうは文書による態度表明というものを約束しておりますので、遠からず文書によって正式に態度表明があるもの、こういうふうに期待しております。
  38. 原茂

    ○原(茂)委員 これはどなたですか、いまお答えいただいて筋道はわかりましたが、大臣にお伺いしますが、はっきりと文書によって——態度表明なんて言っていますが、少なくとも、こちらから言うなら陳謝の要求が当然だと思うのですが、とにかく、その種の文書による最高責任者の陳謝表明、これを必ずわが国はとるということをここではっきり言明していただきたい。
  39. 木村俊夫

    木村国務大臣 この種の事件に関する国際慣例上の諸措置は全部完全にとっております。先ほどちょっと中江次長のことばの中にございましたが、これらの問題は、やはり国際慣例上政府を代表するものは外務大臣であり外務部長官であるということから、政府を代表するという意味において、私は最高責任者の意思がそこにあらわれておる、こういうふうな解釈をとっております。
  40. 原茂

    ○原(茂)委員 必ず文書による意思表示を求める、必ずとるんだということは間違いないですね。
  41. 木村俊夫

    木村国務大臣 当然の措置であると思います。
  42. 原茂

    ○原(茂)委員 くどく聞いて恐縮なんですが、なぜ言うかというと、金大中事件に見られるように、日本の韓国外交というものは残念ながら、大臣がそう言ったから、なるほど必ずとるなあと、こういうふうに信頼ができないんですね、いままでの経過から。  金大中氏のことに少しこれから入っていきたいと思うのですが、金大中さんの現在の状況大臣は御存じでしょうか。軟禁状態、あちらにいわせるとそうではない。現実には二重、三重に警察官らしい者が包囲をしていて、訪問者に対してすら一々厳重な検問を行なって、多くの場合追い返している。なかなかに金大中氏に会うことすら不自由だ。今日、金大中氏が、腰を中心にした病気のために相当不自由な状態にある。にもかかわらず、これがまだ、必要あれば自由に海外へ出られる約束だったにもかかわらず、海外に治療に行くことすら不可能。いまや金大中事件というのは人権問題だというふうに私は思うのですが、大臣は、この金大中氏の近況を考えて、一体いままでの日本外交が——あちらから金総理が参りまして田中首相などとも話し合いを行なって、まずまずこれでまあ一段落ついた、金大中氏は自由だということが保障されたと言わんばかりに国内、国民に報道をされる。われわれも、ある程度これでとにかく自由になったんだと考えさせられました。ところがあとになって、選挙違反事件があるのだ、この選挙違反で現在調査している、その犯人がまだ的確に出てこないかち、金大中氏も海外に自由に出ることは許されない。こういう状態でずるずる今日まで、もう金大中事件以来一年一カ月になりますか二カ月になりますか、これだけたって、なおかつ金大中氏の自由は保障されていない。いままでの、わざわざあちらの金総理が来て、わが国との話し合いをやって、経済問題中心の閣僚会議を、話がけりがついたから開こうと言わんばかりに開いて、そのほうだけは進めていきながら、金大中氏のほうはストップがかかったまま。原因は何かというなら選挙違反事件があった。なるほど、どんな国内事犯であろうと何であろうと、これは一切もう金大中氏は放免になる、自由の身だ、こういう個条書き的に一々あのときに取りつけるだけの準備、周到さが日本に欠けていたとは言えるかもしれませんが、少なくとも韓国政府高官があの直後にすぐ選挙違反事件を持ち出すようなあの事態を考えると、わが国と折衝するそのときからもうすでに次の二の矢、金大中氏を何らかの理由で拘束しようという拘束の理由を選挙違反事件に求めることを百も承知、腹に置きながら、なおかつわが国の首脳部はだまされていた、こういう結果が総じて言えるのじゃないかと思うのですが、いかがお思いでしょうか。
  43. 木村俊夫

    木村国務大臣 金大中氏の近状につきましては、金大中氏を最近訪問された方々、また報道等で知る限りでございます。しかしながら、御承知のとおり金大中氏事件は、昨年十一月の金国務総理の来日の際に了解事項がございます。その了解事項について、まだフォローアップすべき事項が残っております。そういうようにわれわれ政府は受け取っております。何にせよ韓国内のこと、しかも韓国における司法手続のことに関係いたしますので、これについてはかれこれ論評することを差し控えたい、こう考えております。
  44. 原茂

    ○原(茂)委員 それじゃ一つだけ具体的に聞きたいのですが、まだ了解事項の中でフォローアップしなければいけない問題がある。その了解事項というのは、金大中氏が帰国前、日本や米国滞在中に行なった言動に対し、本人がこれから反国家的言動を再犯しないなら責任は問わない、二、金大中氏は自由の身なので、出国にあたっては一般人並みの手続を踏めばよいということを、外務大臣があの日本との首脳会談のあとすぐに発言をして、補足的に言っているわけです。これを中心にこの了解事項が大体できたわけですが、これに対して何をフォローアップしようというのですか。どこが、大臣がまだこれから折衝をしなければいけないとお考えになっているのか。その点微妙な問題でしょうから、明瞭に答えていただきたい。
  45. 木村俊夫

    木村国務大臣 まず第一に、金大中氏の出国を含めて自由であるということが第一でございます。第二には、この事件に伴う金東雲元書記官の問題がございます。この二つでございます。
  46. 原茂

    ○原(茂)委員 自民党の宇都宮徳馬氏ですらAA研で結論を出して、この金大中氏を取り扱っている韓国の状態から言うなら、報復手段ではないけれども、やはりここらで韓国に対する経済援助を打ち切るべきだ、こういうことを大胆に、自民党の中の宇都宮徳馬氏が発言をしていますが、どうお考えになりますか。
  47. 木村俊夫

    木村国務大臣 わが自民党内にもいろいろ意見があることは承知しております。しかしながら、政府といたしましては、韓国に対する経済援助というものは一つの特定の政権をてこ入れするものではない、したがって、韓国の国民の民生に寄与するものであればこれを今後も続けるにやぶさかではない、こういう方針をとっております。
  48. 原茂

    ○原(茂)委員 金大中氏の問題で、けじめを中間的につけたいと思うのですが、金大中氏の現在の状況、近況などを見ますと、これはもう人権問題になっているんだ、こういうふうに思いますが、非常に大事な基本的な人権問題として、大きくこれにウエートを置いて問題を処理していく必要があり、しかも緊急にしなければいけない事態になっていると思いますが、そういう認識をお持ちになりますかどうか。
  49. 木村俊夫

    木村国務大臣 これは米国内でもそういう非常に大きな意見も出ておりますし、また、わが国会内におけるそういう御意見、十分私は念頭に置いております。
  50. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、この間、十月一日ですが、朴大統領が国軍の日に演説をしているわけです。自由を守るためには小さな自由を一時的に犠牲にするんだ、こう言い切っている。それがいまの韓国の政治体制の真髄ですよ。いわゆる自由を守るためには小さな自由を一時的に犠牲にするんだということで、すべてあの国家体制が一つの型にはめられて動いている。そのことをくしくも言い切ったのが、この国軍の日における朴大統領の演説だ。ところが、その同じ日に、米国の国務省はまた大胆に、いわゆる朴大統領の言う維新体制という抑圧政治に対して特別報告という正面切った形式をとって、われわれは人権について韓国のとっている政策を承認しない、こう警告をしているのですね。これは同じ十月一日に、そういう正式な警告がアメリカ側から出された。  アメリカは韓国に対して長い間、かつては経済援助から、いまやほとんどの中心は軍事援助に変わっている。日本がその経済援助の肩がわりをしたように、だんだんわが国の経済援助がウェートを大きくしてきた。しかも、最近の狙撃事件などを通じて、わが国の朝鮮総連がいかにも文世光の黒幕でもあることを承認しろと言わんばかりの強圧的な外交をぶつけてくる。あるいは日本人二人がいまや、われわれに言わせると不当に逮捕されて処刑をされる。金大中氏がこのような状況で、わが国の国権を侵されたまんま、しかも人権問題とすらいえる状態におちいっている。経済的には、非常に大きく足を踏み出した日本との経済協力関係は、世界に例を見ないほど非常に深刻化してきている。総じて言うなら、アメリカと韓国との関係よりは日本と韓国の関係のほうが、われわれから見るといまや非常に深まっている。いろんな意味のかかわり合いも多く出てきている。  こういう状態の中で、この国軍の日における朴大統領のこの種の演説がある同じときにアメリカが、現在のような自由を束縛する、人権を抑圧するこの維新体制という韓国の政府に対しては断じて承服できないという警告を発するというのを、これをごらんになっているはずですが、一体、日本政府が、この韓国の今日の自由を抑圧する維新体制と称するものに対する批判があってしかるべきなのに、あるいは忠告をしてしかるべきなのに、アメリカがやる、このことをどうお考えでしょう。あまりにも日本という国が何かをおそれて、平たいことばで言うと屈辱外交、かつてずいぶんいわれました軟弱外交、なぜ一体韓国に対してこんなていたらくで推移するんだ、これが国民大半の偽らざる気持ちなんだ。われわれはやはりもっとしっかりした立場で、韓国と今後とも親好を深めていく立場からいっても、現在の維新体制と称する、この自由を抑圧する韓国の体制に対しては、アメリカよりも率先してわが国の意思表示をして、改むべきは改めてもらうということをすることが、ほんとうの意味の友好を深めようとする隣国としてのつとめではないか。そのことが間接的には金大中を救い、多く自由を抑圧されている韓国民衆に対する寄与にもなるということを考えるなら、当然やるべきいまは絶好のときであるのに、アメリカがやっているのに日本はやらない、これは非常に不満だと思うのですが、どうお考えでしょうか。
  51. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまおあげになりました米議会における米政府証言なるものは、私どもは確認しておりません。ただ、日本と韓国、またアメリカと韓国との間にはある隔たりがあることは、これは御承知のとおりです。アメリカにおきましては、国連軍という名のもとに米軍が事実上駐留しております。また、軍事援助もございます。また、御承知のような対外援助法という法律がございます。その意味わが国立場とは多少異なったものがあることは御承知のとおりでございます。しかしながら、結論的に申し上げて、韓国の政治体制そのものがどういう経過をたどっておるかわれわれは承知しておりますが、他国の政治体制についてかれこれ論評することを差し控えたい、こう考えております。
  52. 臼井莊一

    臼井委員長 ちょっと中江アジア局次長より発言を求められておりますので、これを許します。中江アジア局次長。
  53. 中江要介

    ○中江説明員 先ほど先生の御質問に対する答弁の中で、私、事実について二つ誤りをおかしましたので、訂正させていただきたいと思います。  一つは、例の大使館乱入事件の処理について、その後狙撃事件が発生してと申し上げましたのは、これは間違いで、狙撃事件はその前に発生しておりまして、それの処理について非常に日韓間の関係が微妙になっていたということを申し上げるべきであったというのが第一点でございます。  もう一つは、より重要な点なんですが、文書による陳謝がまだ来てないということを申したんですけれども、事務当局でただいま確認いたしましたら、九月六日付で金東祚外務部長官名の、口上書ではなくて文書で、つまり手紙をもって正式に陳謝と責任者の処分、補償の問題、将来こういうことを再び起こさないようにするということに言及した文書が参っておりますので、この点訂正させていただきます。
  54. 原茂

    ○原(茂)委員 じゃ、恐縮ですが、その文書をちょっと読んでいただけますか。
  55. 中江要介

    ○中江説明員 文書そのものはいまちょっと手元にございませんで、いま電話でもって、文書が来たかどうかということを確かめた結果を申し上げたわけでございます。
  56. 原茂

    ○原(茂)委員 そこで、委員長にお願いしておきますが、その文書はやはり私の手元へ写しをちょうだいしたい、いかがですか。
  57. 中江要介

    ○中江説明員 委員会としての御要求がございましたら、その提出のしかたについて検討をさせていただきたい、こう思います。
  58. 臼井莊一

    臼井委員長 この問題につきましては、あとで理事会でひとつ御相談いたします。
  59. 原茂

    ○原(茂)委員 そこでもう一点、いまの韓国の問題でお伺いしてみたいんですが、椎名特使がソウルにあの問題で行きましたね。日韓折衡というのが行なわれたわけです。そのあとを受けて金首相が国会で、椎名特使の来た経過と結果について説明をしているんですね。そのときに、最後に要約して、要するにわがほうの対日要求事項は貫かれた、こういう国会答弁をしているわけです。時間がありませんから、こまかく当時の前後の様子なりあの親書の内容云々というやりとりを一々申し上げる時間はありませんし、それは省かしていただきますが、しかし、ほんとうに国会という場で金首相があのように、わがほうの要求事項は貫かれた、こう結論づけて正式報告をしたことを、日本外務大臣としてはどうお受け取りになりますか。
  60. 木村俊夫

    木村国務大臣 金首相が国会内でどういうことを言われたか、これはもう韓国内のことでございますから、それについて何ら論評は差し控えたいと思います。
  61. 原茂

    ○原(茂)委員 あの大きな問題になって、わが国から椎名特使を派遣する、椎名さんが行く行かない、親書の内容はああだこうだという注文をつけられたあの事件のすぐあとに国会が開かれて、あちらのいわゆる責任者がそういうことを言ったということを、どうもほかの国のことだからとやこう言えない。先ほど言った軟弱というのか、何がそういうものを言わせないのか知りませんが、あまりにもひど過ぎると思うのです。こういうことに対しては、何が要求事項を全部貫かれたのだ、何だということを検討して、その金首相の発言にもしわが方として承服できないものがあるなら、直ちにやはり問い合わせを行なうというくらいのことは外交上当然の権利だと私は思うのですね。韓国のことだから言及できないなんということで逃げるなんということが、どうしても何か韓国と日本との間の裏にある——コーエン教授、ああいうりっぱな方が、少なくとも日本の現田中首相、前佐藤首相、元岸首相が韓国からのリベートで産をなしたという東京のうわさを発表したなどという事件が起きたときに、ふざけるな、そんなことがあるかと、日本国民がすぐにあのコーエン発言に反発できるような状態にすることが政府の外交上の責任なんだ。ところが、いまの国民は一体どうか、ああいうことを聞いたときに、そうか、そんなことがあるだろう、とにかくいま韓国に対する日本政府のあの態度から見てありそうなことだ、こう思わされざるを得ないような外交になっている。その一つがやはり、いま大臣の言われた態度なんだ。たとえば、韓国の要求事項が貫かれたというあの前後の中で一つの問題をとらえてみるなら、先ほどもちょっと触れましたが、わが国における朝鮮総連が文世光の黒幕だったということを認めたということになるわけです。そういうことになるのであります。そう解釈してよろしいのですか。
  62. 木村俊夫

    木村国務大臣 韓国内では韓国首相がそういう発言をされたことは承知しております。しかしながら、わが国では政府が、国民に直接この日韓関係の交渉のてんまつの理解を求めて、また国会でも御質疑に応じて答えております。これがすべて事実でございます。
  63. 原茂

    ○原(茂)委員 要するに、文世光のわが国内におけるかかわり合いでの黒幕というようなもの、要するに背後関係は、日本の国内は独自の法律的根拠に基づいて十分な調査をする、わが国独自の方法で調査をする、したがって、金首相のあの発言というものは、少なくともわれわれが考えたときに、いま言ったような一つの事例、要するに朝鮮総連というものが文世光の黒幕だったというようなことを認めるものではない、こういうふうに解釈していいわけでしょうね。
  64. 木村俊夫

    木村国務大臣 わが国は当然法治国でございますし、また、きわめて民主的な政体をとっております。そういう中で、これらの事件の処理というものは当然そういう基本的なわが国の政治制度の、または法律制度のワク組みで行なわれるべきだ、こういう基本的な態度を堅持しておることに変わりはございません。
  65. 原茂

    ○原(茂)委員 間接話法ですが、韓国金総理の国会答弁を外務大臣は否定をされた、こういうふうに理解をいたします。  なお、先ほどちょっと触れましたコーエン教授の講演でございますが、あの発言のありましたあとにわが国が一応抗議声明を出した。外務省は大使館を通じまして、異議のある旨の意思表示をした。これに対してコーエン教授が反論をした。それに対してまた官房長官談話が出た。コーエン教授がまたこれに反論をした。その反論がこまかく幾つかいわれ、出されてまいりました。  私は、少なくとも、田中首相並びに佐藤前、岸元首相ら政界指導者は、東京でのうわさによると対韓援助のリベートでばく大な産をなしたというようなことが、国旗の破り捨てられた事件ではありませんが、われわれが信頼するコーエン教授がこうした講演をしたということ自体、一応も二応も政府がその真相を究明し、ある意味の抗議を発し、そうしてこの事態の国民的な了解が得られるような決着をつけることが当然だと思う。いかにアメリカのハーバード大学の教授であろうとも、少なくともわが国の現首相をつかまえ、少なくとも佐藤前総理といい岸元首相という当時の総理をとらえてこの種の発言のあったということに対して、一応意思表示をしたことは妥当だと思うのです。コーエン教授の反論があったら、そのあとになったらもうノーコメントだ、これ以上わが国はこれに対してものは言わない、こういう態度になったということは、韓国に対する軟弱外交ではありませんが、不当な外交ではありませんが、これも同じ轍のものであって、国民の側から言うなら納得がいかない。どこまでもケリをつけてもらいたい。せっかくやり始めたんですから途中でやめる手はない、そう思いますが、いかがですか。
  66. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまおことばにありましたとおり、前また元総理、また現総理に対するたいへんな、何と申しますか、批判的なことばがございますので、一私人発言ではございますけれども、政府としては、わが国のイメージにかかわる問題として、これに対する抗議を申し込みました。しかし、これに対して、先方コーエン教授の答えは御承知のような答えでございます。しかしながら、これ以上追及いたしますのは、結局アメリカ国内法における名誉棄損罪の成立いかんという問題にもなりますので、これ以上の追及はむしろ賢明でないという考え方からこの程度でとどめたわけでございます。
  67. 原茂

    ○原(茂)委員 名誉棄損罪の成立ができるかどうかがわからないのでこの程度でおさめる程度の軽い問題ではない。この種の問題をそういうふうな態度で引っ込むということを見ると、何かやはりほんとうじゃないだろうかと、コーエン教授の言っていることに信憑性を政府みずから与えている。国民にそういう誤解をかえって与えるおそれがある。そういう意味では、これは名誉棄損が成立するかしないかなどを心配したから手を引っ込めるのでなくて、とことんまで国民的な立場でも追及をし究明をして、そういう事実のないことを明らかにする義務があります。そんな程度で引っ込んでいい問題じゃない。少なくとも現職の総理ですよ。元、前首相なんです。そのほか政界の指導者まだ複数のようですが、この種の問題をその程度のことで引っ込むところに、私は、わが国外交の自主性というものがどこか欠けている、何か隠されたものがあってそれ以上ものが言えないんじゃないかという国民の疑惑を、一そう、そのとおりだと印象づけるように思えてならない。もう一度おやりになる気があるかどうか、もう一度どうです。
  68. 木村俊夫

    木村国務大臣 わが国も、またアメリカも、言論はきわめて自由でございます。そういう意味におきまして、これ以上これにかかわり合いを持つことがはたして賢明であるかどうか。確かに有力な教授ではありますが、外国の一教授によるわが国のそういう政治の最高責任者に対する疑惑をはたして一体国民がどう判断するかということは、私は、むしろ国民自身が判断すべきことであって、外国の一教授によって左右されるべき筋合いではない、こういう考えでございます。
  69. 原茂

    ○原(茂)委員 平行線をたどる、逃げの一手、まことに遺憾です。この種の問題に関してはもう少しき然たる態度で、せっかく一歩踏み出したらけりのつくまでやって国民的疑惑を明らかにするという義務があるのに、それができない政府、できない外務省、できない内閣、こういう印象を、私も国民も、もっといままで以上に強く持つだろうことを遺憾に思います。まことに遺憾に思います。  しかし、これにだけ時間をかける余裕がありませんから、次に移ります。  これにつれて、いわゆる韓国に対する経済運営ですが、特に経済協力の問題は最近どういう動向になっているのか、概括的でけっこうですから、経済協力全体がどういう趨勢になっているのか。だんだんかつてのように上へ行ったり、横ばいをしたり、ダウンをしていくなりするその概括的な状況を話していただいて、その原因は一体何だとお思いになるかをお聞かせいただきたい。
  70. 鹿取泰衛

    ○鹿取説明員 韓国に対します経済協力の動向について簡単に御説明申し上げます。  韓国に対します経済協力の最初の協定は請求権協定で、昭和四十年にできました。有償と無償とございまして、これは御存じのとおりと思いますけれども、有償は二億ドル、無償は三億ドル、これをずっと続けておるわけでございまして、大体五十年に終わるという予定でございます。  それで、二億、三億、両方合わせまして五億ドルのところ、現在実行いたしましたのが四億ドルをこえておりまして、これは協定が切れれば消滅するという性質のものでございます。  それから、その後昭和四十六年以降に至りまして、この請求権の協力に並びまして、普通の国に対すると同じような経済協力を始めたわけでございまして、普通の国に対しますような基金と輸銀によります借款、これは大体農水産業の近代化でありますとか、輸出産業の育成でありますとか、中小企業の振興というところに重点を置いてまいりまして、従来から続けておるわけでございます。その中で非常に目につきますといいますか、国民一般の注目を浴びると思われますものはソウルの地下鉄でございまして、これも先般完成したことは御存じのとおりでございます。これは大きな事業でございますけれども、ソウル市民の一般の福祉に寄与するということで借款をしたわけでございます。  それから、昭和四十七年ごろに至りますと国際通貨の動向が不安定になりまして、韓国もごたぶんに漏れず輸出の不振におちいるというような問題がありまして、そのころ始めましたのが商品援助でございまして、これが韓国の国際収支の改善に寄与したというふうに考えております。  それで、大体昭和四十年から現在に至ります間、先ほど申しました請求権協定の三億、二億、合計五億ドルを含めまして、現在までに約束をしている額が五百十一億円、大体五百億円ぐらいになっているわけでございます。この約束済みのものは順次実行してまいりますし、韓国からは規定に基づく償還も行なわれているわけでございます。  そのほか技術協力も、主として先方の民生安定に寄与するような形で行なわれておりまして、現在までに韓国から研修生を千八百人程度受け入れておりますし、専門家わが国から五百人程度行っておりまして、それぞれ医療協力でありますとか農業協力に寄与しているわけであります。  それから、韓国が米不足に悩んでおりましたころ、わが国は食糧援助をやったのでございますけれども、最近はこれがなくなっておりまして特にKR、ケネディラウンドの規定に基づきます食糧援助などは、韓国よりはむしろほかの東南アジアの国にというふうに振り向けているわけでございます。  以上が政府ベースの形におきまする経済協力でございますけれども、民間の経済協力も、あるいは輸出信用の形あるいは民間投資の形で漸次伸びてまいりまして、現在まで、承認ベースでございますけれども、民間の商業信用は総額大体七億ドルになっております。直接投資も、累積でございますけれども、累計いたしますと四億ドル近くに伸びているわけでございまして、特に民間投資はこの近年の伸びが大きかったということでございます。  総じて言いますと、政府ベースよりはだんだんと民間ベースの協力に形が移っていっておりまして、このことは昨年の閣僚会議でも日韓双方で話し合いをいたしまして、現在韓国が行なっております五カ年計画が終わります一九七六年、昭和五十一年以降におきましては、従来の政府中心型の経済協力を漸次民間中心の経済協力に変えていくということをうたったわけでございますけれども、現在、私が申しました従来からの動向におきましてもそういう徴候があらわれているわけでございまして、今後ますますそういう方向に移っていくというふうにわれわれは考えております。
  71. 原茂

    ○原(茂)委員 これも問題が二、三あるのですが、時間がありませんから個々に突っ込んだ申し上げ方ができません。ただ、韓国全体の経済を見ますと、一月を皮切りにする新しい年度で海外から大体十五億ドルの援助、借款などを行なって、そのうちの約十億ドルが利息、元金返済に充てられるというような状態になってきている。そのシェアはだんだん狭まってきて、来年、再来年といくほどに、実はもう韓国は、返済するのに外国からの援助を受けて、その援助ではまだ足らないほどの返済額になるのがあと四年後だという経済の実態の中で、無制限といえるほど日本がここまで突っ込んできたのですが、最近また韓国のほうからはやいのやいの、早くこれをやってもらわないといわゆる新年度を迎えるのに困るという立場から、大きく外務省に対するあちらの外務省からの突き上げがある。これに対して、私は端的に言って、ここらで韓国経済に対しては、わが国国民に総需要抑制をしているばかりでなくて、韓国に対しては円借款といえども指導を行なって、相当程度引き締めていくことが、韓国経済の実態から見ても、わが国の経済を考えたときの当然の処置ではないかと思うのですが、従来と同じようにこの経済協力が行なわれていくということに対して、相当大きくチェックをしなければいけない事態が来ている。日韓の関係などの配慮もあると思いますが、だからといってずるずるっと、このようなどろ沼的な韓国経済にまだまだ上のせをしていくという態度は親切ではない、かえって隣国として不親切ではないかというふうに思います。今後の方針に関して、従来と同じように、既契約分は早期に出してやろう、あるいは新たに、前から懸案になっておる問題は二、三ありますが、これも何とか配慮してやろうというような約束をしてあるようにすら思えるのです。そうすべきでないと思うのですが、いかがでしょう、大臣
  72. 鹿取泰衛

    ○鹿取説明員 いま先生の御指摘の問題、すなわち対外債務が大きくなり過ぎて、その返済ができなくなってくるではないかという問題でございます。これは、発展途上国すべてについてそういう問題があるので、当然、援助国側のほうではそういう点を注意するわけでございます。  それで、韓国におきましても、ほかの発展途上国と同じように世銀主宰の協議グループができておりまして、ことしの三月に会合が開かれたわけでございますが、そのときの世銀、IMFのいろいろな調査によりますと、また依然として——韓国のデッド・サービス・レシオということばを専門的に使うわけでございますが、年々の債務に充てる額がその年の輸出のプロシード、輸出の取り高にどのくらいの比率を占めるかという問題がございます。大体二〇%をこえますとやや危険信号ということになるわけでございますけれども、韓国の対外債務を全部洗ってみまして、それから韓国の輸出能力、そういうものをはじいてみますと、危険な状態ではない、二〇%を非常にこえることはないというような判断でございまして、その後韓国は石油危機を相当まともにかぶったわけでございまして、石油危機につきましては、IMFで石油に非常に困っている国に対しまして特別の救済措置を行ないまして、韓国もその対象になったわけでございます。韓国といたしましては、特にアメリカに対する合板の輸出、これはアメリカが住宅の建設が非常に不振なために、それが伸び悩む。それからまた繊維の輸出、これが韓国の輸出品の大宗だったわけでございますけれども、これも世界的不況、特に日本に対する輸出が伸び悩むということで、そういう点では輸出見通しの見直しをしなければならなかったわけでございますけれども、逆に、いい材料といたしましては、東南アジア諸国等に対しましていろいろな機械部品等の輸出が伸びるということで、これはまた来年世銀主宰の協議グループで、世銀とかIMFの専門家をまじえて考えなければならない、検討すべき問題だと思いますが、さしあたっては、そういう危機的な状況ではないというのが大方の判断と思います。  わが国といたしましては、もちろん、そういうような非常に危機的な状態におちいる国に対しましては、韓国といわず、どこの国に対しましても、やはり貸し出しを制限せざるを得ないわけでございますけれども、そういう点では、われわれとしては、韓国はそういうような危機的な状態にないという判断でございます。
  73. 原茂

    ○原(茂)委員 これは非常に見方が甘いし、それではいけないと思いますが、時間がありませんから、最後に、冒頭に申し上げましたように、木村外務大臣が昨日講演をされましたその内容を新聞で見まして、実は驚いたのです。  ラロック証言がありましたあと外務委員会であのやりとりがありまして、先ほど松岡委員からも話がありましたが、その外相講演の中で、米国の核政策については非常に大きな、押すことのできない壁があらかじめ考えられていた、考えられていたとおり、やはりその壁は厚かった、残念ながらラロック証言問題を通じて、政府が期待するような立証がアメリカから得られなかったということを、木村大臣発言をされたようです。集約して書いてある各紙の記事ですが、なお、先ほど松岡委員ソ連の問題にも触れました。ソ連が核装備をしておる艦艇をどこへ持ってきておるか私は知りませんが、大臣は、核装備の云々もわからないが、少なくともわが国領海三海里の中にソ連の核装備した艦艇が来たという事実はないと思う、こういうお話がありました。私もそう信じたいわけですが、しかし、六月二十一日から八月二十九日にベネズエラで終わりました海洋法会議の第二委員会における十二海里説というのは、来年三月以降の会議でほとんど国際的にきまるだろう、こう思われておるのを受けて、大臣は、十二海里という領海になったときに、核装備した艦艇がこの領海を通過するときにということを配慮されて話をされ、あるいは局長がそれに触れた答弁をしたようです。  私は、この問題をこまかくいろいろ申し上げる時間はないわけですから、先ほど申し上げました、第一には、ラロック証言を中心にアメリカの壁が厚かった、不満足だと言わんばかりの外務大臣発言があった、その真相をもう少し突っ込んでお伺いしたいのが一つ。  それからもう一つは、十二海里がもしきまったときに、非核原則との関係でこれから検討する、あるいはそのときになってどうするかこれから考えるのだということになったのではいけないので、もうすでに決定的ですから、非核原則との関連において、この十二海里説というものをわが国としては一体どのように配慮をし処置をしていくのだということを、大臣のお考えになっておるところをもう少し明確にお聞かせいただきたい。
  74. 木村俊夫

    木村国務大臣 まず第一のお尋ねでございますが、御承知のとおりアメリカには、核兵器の存否を明らかにできないという最高の政策がございます。私が壁と申しましたのは、まさにそのアメリカの政策自身をさしております。そういう意味において、今度のラロック発言に対する米政府からの公式見解が、アメリカとしては最大限のことをしてくれたという受け取り方を私はしておりますが、こういうことに対する国民の疑惑というものはなかなかそう簡単に解消できるものでもないということは、一般にいわれております。  そこで、第二のお答えですが、海洋法会議、カラカスでは結論を出さずに終わったわけです。いずれ、大体国際間の流れといたしましては、来年三月のジュネーブ会議あるいはその後におけるカラカス会議で十二海里を認めざるを得ないだろうということは、私どもも認識しておるところでございます。その際に、新しくできます国際海峡、これはいままでの国際通念とは違ったカテゴリーがあるいはできるかもわかりません。いままでの領海以外に一つの特殊な水域というものができる可能性もございます。そういう意味において、私どもは、これから新しくできる新しいレジームの中で、わが国非核原則を一体どう運用していくかということは、これは一番大きな問題ではございますが、ひとり政策だけでなしに、もうすでに国会で非核原則は決議されております。こういうことについての考えを政府がまとめることは当然でございますが、慎重にこの問題については、国会審議の段階でもいろいろ御質疑に応じてお答えしつつ政府の考え方をまとめていきたい、こういう段階でございます。
  75. 原茂

    ○原(茂)委員 最後に、いまの御答弁の中の、これからいろいろ審議をし、どう対応するかを考えていくというのですが、少なくとも国内法であるといえる非核原則、これが、十二海里説が定着をしたときでも優先するという考え方はとるべきだと思う。これが優先するということになると、そこから出る問題は、自由航行か無害航行かという問題がおのずから出てくるわけですが、十二海里説が定着するという前提があっても、なおかつ、これから検討をなさる方向として、少なくとも非核原則を優先させていく、これにどうなじましていくかを検討していく立場がないと、ことによったらこれにいい口実を設けて、非核原則のいわゆるなしくずし解消みたいなことを考えられるおそれがあると思いますし、これは国民的な合意でございますから、非核原則というものは何が何でも優先させて、これを貫く立場で十二海里説にどうこれを対応させるかを考えていただきたいと思いますが、最後にその点をもう一度お答えをいただいて終わりたいと思います。
  76. 木村俊夫

    木村国務大臣 従来の三海里の領海、これについての非核原則の適用はもうすでに明らかなとおりでございます。しかしながら、今後出てまいります問題はきわめて新しい問題でございますので、これについての政府としての考え方はこれから検討すべき問題である、こう考えております。
  77. 原茂

    ○原(茂)委員 終わります。
  78. 臼井莊一

    臼井委員長 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ————◇—————    午後一時二分開議
  79. 臼井莊一

    臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。稲葉誠一君。
  80. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 午前中の最後のところの原先生の質問の答えに関連するのですが、非核原則を優先をずっとしていく考えはないかというような質問に対して、外務大臣の答えは、新しい情勢が生まれたとかなんとかで、これから検討をするのだ、こういうような答えのようで、私ちょっと真意をつかみかねたかもわかりませんが、というふうなことだったのですが、そこら辺のところをもう少し詳しく説明願いたいのが一つと、なぜここで非核原則を優先するということをはっきり言われなかったのですか、そこら辺のところをお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
  81. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、この海洋法会議の見通しがきわめてまだ明確ではございません。したがいまして、新しく十二海里に拡張された場合に、それが従来の国際法上の観念の領海になるのか、あるいは国際法上特殊な水域になるのか、そのことも含んでまだ不明確な点が残っております。いずれにいたしましても、新しい一つのレジームができるという点を考えますと、にわかに政府としてそれに対する考え方をきめるのは、もう少し慎重にしたほうがよいではないか、しかしながら、非核原則という核問題に対するわが国の基本原則というものは常に念頭に置かねばならないということをお答え申したわけでございます。
  82. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いまの点についてはまたあとで、質問の中でお聞きをしたいと思うのですが、きのうの講演の中で大臣が、非核原則アメリカの核のかさへの依存ということについて、矛盾するとはいわないが両立がたいへんむずかしい二つの命題だ、こういうふうなことを言われたというふうに出ておるのです。これは全体の中の要約かもわかりませんから、必ずしもあれは真意を伝えてないかもわかりませんけれども、まず、大臣のこういう点について言われたことについての真相——真相ということばはおかしいけれども、どういうことかということと、それから、あなた自身のこの点についての真意、これがどういうふうなものだということをお聞かせ願いたい。
  83. 木村俊夫

    木村国務大臣 非核原則、その第三と申しますか、核兵器わが国領域に持ち込ませないという方針、これはもう確立しております。しかしながら、わが国の安全というもの、わが国自衛力と同時に、日米安保条約にたよっております。また、その中でアメリカの核抑止力というものが重要な部分であることは申すまでもございません。しかしながら、その核抑止力というものがわが国の安全を保障するきわめて大きな柱でありながら、核兵器の存否を明らかにできないというアメリカ自身の最高の軍事政策というものと考えますと、非核原則による核兵器を持ち込ませずというわが国の国是と、核抑止力において核兵器の存否を明らかにできないという、これまたアメリカの安全保障上の国是との間に、きわめてデリケートな点があることは否定できないと思います。したがいまして、ラロック発言に見られるように、わが国非核原則を厳守いたしながら、しかも米政府のそういう壁、最高政策に当たりまして、その核兵器の存在しないことを直接的に否定できないというようなところに、私が、非常に苦しい私の意中をその講演の中で述べたものとお受け取りいただきたいと思います。
  84. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 前の、海洋法会議のことというのは、これはなるほど領海がふえる、そしてそれがいわゆる領海という形になるのか、それから領海でないところの、あの条約の何条ですか、国際海峡というのですか、そういうふうなものになるかという話は、これは問題としては今後ありますね、技術的かどうかわかりませんが。そのことがあったところで、そのことと、非核原則を優先して厳守しなければならないということとは別のことではないのでしょうか。そういうふうな事態が発生してくることによって非核原則の、ことに核の持ち込みに関連をして、従来とは多少、角度というか、あるいはニュアンスというか、アローアンスというのか何というのか、そういうふうなものの変化というものも、国際情勢というものに関連をして考えられる。考えられるというか、考えられざるを得ないというのか、そういうふうなことを大臣としては頭の中に置いて答えられたのではないでしょうか。
  85. 木村俊夫

    木村国務大臣 これはまだ政府の考え方とか、そういう考え方ではございませんけれども、かりに領海が十二海里まで広げられたといたします。これは、わが国もこれを承認すれば、当然国際法になるわけです。また、海洋法会議そのものが国連における会議、したがって、国際法を順守し、また国連中心主義であるわが国としては、当然その規定に従わなければならぬというのが従来の考え方でございます。ところが、わが国非核原則がある。しかも、いままでは三海里の領海において、持ち込ませないという原則を厳守してまいりました。しかしながら、それ以上に、今回の海洋法会議の帰結はまだわかりませんが、かりに十二海里に広がった場合に、十海里と三海里との差の九海里という幅は、いままでわれわれが経験しなかった、また従来は公海として、核兵器を搭載した艦艇が自由に通航できた範囲でございます。それに及ぼす場合に、一体非核原則の三つ目の原則をそこへ及ぼすかどうかという問題に、割り切って考えればそういうことになります。そういう問題になりますと、これは新しいレジームに対応するわが国非核原則の適用と、国際法として確立される、しかも国連の海洋法会議で決定されたそういう規則に対して、国連中心主義であるわが国がどう対応するかということは、これはある意味においては、形式論理からいえば留保ということもございましょう。そういう面も含めて、まだこれからわれわれが対応して考えていかなければならぬ新しい問題であるということを申し上げたわけでございます。したがって、その問題については、いま私がこの場で外務省を代表して、あるいは政府を代表してそれについての考え方を申し上げるには、非核原則というものはあまりにも大きいということで、先ほどそういう御説明をしたわけでございます。
  86. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、非核原則というのは絶対不変のものではない、国際情勢の変化あるいはより大きな日本を取り巻く要請というか、そういうふうなものがあれば、それに対応して内容というものも制限を受けていく、あるいは、制限を受けていくということばが悪ければ、変化をしていく、こういうふうに理解をせざるを得ない、こう思うのですが、そういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
  87. 木村俊夫

    木村国務大臣 私はそこまで申し上げてはおりません。いま申し上げたのは、一般通念として、国際法の順守あるいは国連中心主義を守っておるわが国の将来の方針といたしまして、いずれを選ぶべきかという大きな課題に直面せざるを得ないとなれば、それは一外務大臣の問題ではなしに、もうすでに非核原則が国会の決議にもなっておることでございますので、そういう場合における対応は、政府全体として、また国会との関連において、重大な問題として考えなければならぬ。いま私が軽々にそれについての私自身の考えを申し上げる段階ではない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  88. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いずれをとるかというのが非常に重要な問題だ、これはそのとおりですが、そうすると政府なりあるいは国会、それだけでなくて、ちょっと飛躍をするかもわかりませんが、この問題は究極的にはやはり国民の審判を仰がなければならない問題だと私は考えるのですが、いかがでございましょうか。
  89. 木村俊夫

    木村国務大臣 当然、国民に代表された国会というものがございます。したがいまして、単にこれは外交問題として政府の専管には属しますけれども、それを条約として審議するのは国会でございますから、そういう意味において国民の判断を受けるということは当然であろうと思います。
  90. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 私のはそういう意味じゃなくて、直接国民の審判を得るのはと言ったのですが、それは外務大臣、そう言ってもあなたとして答えられる立場にないかもわかりませんから、これは総理大臣に……。  そこで、この三原則のことなんですが、私が疑問に思いますのは、なぜこれが原則といわれるものなのか、なぜそれが法律としてできていないのかということですね。実は私、核のことやいろいろなことで、これは参議院のときでしたが、予算委員会で聞いたことがあるのです。それで、終わりましたら、政府のある高官ですが、これは現存の人ですから、名前を申し上げるのは省略させていただきますが、ざっくばらんな話、ぼくにあまりそういうことを質問してくれるなというわけだ。あまり法律的なことなんか聞かれても困る、政府としては、核の問題についてはフリーハンドで余地をうんと残しておきたいのだ、こういうふうなことを言っておられたわけですね。これはあなたの考えとしても、そういう考えではないのでしょうか。実際に今後の国際情勢を考えたときに、日本立場として核についての——フリーハンドといったって余地が一ぱいあるから、いろいろあるかもわかりませんが、そういう余地というか、そういうふうなものを確保しておきたい、残しておきたいというふうな気持ちがあって、これは三原則という形にしてあるのではないのですか。
  91. 木村俊夫

    木村国務大臣 私はそう大それた考えを持っておりません。また、非核原則についてはそう簡単に柔軟な態度を持ち得る問題ではない。したがいまして、いまこれを法律にすべきであるという御意見——御承知のとおり非核原則の中に、つくらず、持たずというのが、もう原子力平和利用、わが国の原子力法で規定されております。これは法律化しておる。第三の持ち込ませず、これは日米安保条約というものがもうすでに国会の審議を経ております。それに基づく措置であるという面においては、法律そのものではございませんけれども、そういう意味で条約に基づくものであるということで、法的効力があるものと考えております。また、非核原則国内法化すべきであるということは、これはもう政府だけでなしに、国会の御審議が要ることでございますので、これについては私この際触れたくないと思います。
  92. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 あなたがことし外務大臣になられる前のことなんで、ちょっと恐縮なんですが、四月二十二日に、国民政治研究会というところでいろいろお話しされているわけですね。こういうのを取り上げるのはどうかと思いますけれども、外務委員長のころですね。その中にあるのはこういうことですね。わが国の対米政策というものを再検討し調整すべき時期ではないかということが一つだ、こういうふうなことを言われておられますね。それは、日本アメリカとの関係をどういうふうに再検討し調整すべきだというふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  93. 木村俊夫

    木村国務大臣 それは一般的に私が申し述べた内容であると思います。したがいまして、日米友好というものは、もちろん従来もまた今後も、日本外交の基本でなければなりませんが、たとえば昨年以来の石油危機におけるエネルギーの問題あるいはアラブに対する政策の問題、そういう問題において、私どもはしばしば、米国の考え方とある意味において違った考え方をとらざるを得なくなっております。そういう意味において、将来の日米関係というものは、単なるバイラテラルな関係ではなしに、世界の中における、また国際調整の中における日米関係というものを再検討すべき時期が来ているというような意味で申し述べたわけでございます。
  94. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、日米安保条約は、何か堅持するということをアメリカで約束されたようにも聞いておりますが、これについての再検討というか、そういうふうなことについてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  95. 木村俊夫

    木村国務大臣 日米安保体制はもうわが国外交の基本ということを申し上げております。それについて再検討する考えはございません。ただ、その運用においては、時々刻々いろいろ情勢も変わることですから、運用面における調整ということは日米両国政府とも努力しなければならぬ、こういうことを考えております。
  96. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 日本アメリカとの間に、たとえばいまの核の持ち込みの問題をめぐっても、考え方の違いがあるのではないのでしょうか。ということは、アメリカは、核の持ち込みというのは、日本の本土においてそれが使用できるような状態になったときに核の持ち込みはあるというふうに理解をしているのではないんでしょうか。日本考え方とそこで食い違っているんじゃないんですか。それはいままでの経過や何かでどういうふうになっておりますか。
  97. 木村俊夫

    木村国務大臣 その問題につきましては、日米関係の食い違いはございません。
  98. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、領海通航するということもこの核の持ち込みになるということについては、日本アメリカとの間できちんとした、コンクリートしたものがあって、それは解釈として、アメリカでも日本でも動かないものですか。
  99. 木村俊夫

    木村国務大臣 領海における通過も事前協議対象になるということについては、日米両方とも同じ考え方を持っております。
  100. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 同じ考え方を持っておりますじゃなくて、その点についてのしっかりとした合意があるんですか。あって、それが議事録か何かの形で残っているんですか。
  101. 松永信雄

    ○松永説明員 政府の見解は、いやしくも核兵器の持ち込みがあります場合に、それが日本に配置された米軍であろうと、あるいは一時立ち寄りの形で通過をする米軍であろうと、事前協議対象になるということでございます。  その根拠は何かという御趣旨の御質問かと思いますが、これは安全保障条約第六条の実施に関する交換公文におきまして、合衆国軍隊の装備における重要な変更といっておりますが、この「装備における重要な変更」というものにつきましては、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設という場合をいうものであるということにつきまして、安保条約を締結いたしました当時に、その締結の責任者であります藤山外務大臣とマッカーサーアメリカ大使との間で了解がなされているわけであります。このことは、政府が従来から再三繰り返して御説明申し上げているところであるわけでございます。すなわち、一時的な立ち寄りの場合であると日本に配置される場合であるとを問わず、核兵器わが国の領域内に持ち込まれるという場合においては、このような持ち込みが事前協議対象になるということはきわめて明白であると考えているわけでございます。
  102. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 私の聞いているのは、日本では明白なんだけれどもアメリカはそういうふうな理解のしかたをしていないんじゃないですか、こう聞いているわけですよ。
  103. 松永信雄

    ○松永説明員 核兵器の持ち込みであります以上、アメリカ政府事前協議の主題として、もし持ち込みます場合に、日本政府に事前協議をして同意を求めてこないということはあり得ないことであると考えているわけであります。
  104. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そんなことを聞いているんじゃなくて、いまあなたの言ったような理解は日本政府の理解のしかたでしょう。アメリカの場合は、領海を通過するのまで核兵器の持ち込みだとは理解してないんじゃないですか、こう聞いているのですよ。あなたの言っているように通過するのまで核兵器の持ち込みだというのは、それは日本政府の解釈でしょう。その点についてアメリカも同じ解釈だということが、何らかの機会にぴちっとしていたんですか、そういうような議事録なり何なりがあるんですか、こう聞いているわけですよ。日本の解釈はわかっているのです。
  105. 松永信雄

    ○松永説明員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、安保条約を諦結いたしました際の藤山大臣とマッカーサー大使との間で、「軍隊の装備における重要な変更」というのは、核弾頭及び中長距離ミサイルの持ち込み並びにそれらの基地の建設ということで明確に了解されているわけでございます。
  106. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、持ち込みという意味の理解のしかたを聞いているわけですよ。違うんじゃないか、こう聞いているわけです。ここで押し問答しても始まりませんが、それじゃ一体、事前協議というのは具体的にはどういう場合に、どういう形で出てくるのですか。具体的に考えられるのはどういう形で出てくるんですか。一つは、考えられるのは、国家が、日本の国家かあるいはアメリカの国家か知らぬけれども、危急存亡のときに、アメリカの大統領の要請か何かでそれが出てくるということは一つ考えられるというのでしょう。それ以外に何か一体考えられているのですか。具体的にどうやってやるのですか。
  107. 松永信雄

    ○松永説明員 核兵器の持ち込みについての事前協議が行なわれます場合は、ただいま御指摘になられましたように、かなり緊急と申しますか、危急な状態のもとにおいてであろうと私ども考えているわけでございます。その場合にどういう形で協議がなされるかということにつきましては、緊急な状態でございますので、いま、こうこうこういう形でということを断定的に申し上げるわけにはまいりませんけれども、通常の外交チャンネルと申しますか、外交経路を通じて行なわれるのではないかと考えております。
  108. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、そういうきわめて例外的なときは別ですよ。そうでないときには事前協議ということはあり得ないんじゃないか、核の持ち込みに関して。アメリカ側はそういうふうに理解をしているんじゃないですか。だから、日本考え方アメリカ考え方と食い違っているのではないのか。ぼくはどうもそういうふうにとれるのですがね。  では、通常の場合はどうするのですか。普通の場合、軍艦が核を積んでいるとして、アメリカのほうから事前協議をどういうふうな出し方をするのですか。どういうふうにやるのですか。私のほうでは今度軍艦が入りますが、それには核を積んでおります、よろしゅうございますか、こう言ってくるのですか。どういうふうに言ってくるのですか。
  109. 松永信雄

    ○松永説明員 通常の場合においては事前協議というものが想定されるようなことはないであろうということも、従来からたびたび申し上げているところだと思います。これは核問題につきましての日本国民の非常に特殊な感情をアメリカ政府として十分理解しておりますし、また非核原則ということもアメリカも十分承知しているというふうに考えているわけでございます。
  110. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そんなことを聞いているのではなくて、国家危急存亡の特別のときはいいですよ、それ以外のときには、現実にどうやって事前協議をするのか。そういうことはないというのですか。ないという前提で外務省としてはいる、こういうのですか。
  111. 松永信雄

    ○松永説明員 あるかないかということは事実問題になりますので、私からお答え申し上げますのが適当かどうか存じませんけれども、通常の状態と申しますか、そういう緊急な状態以外に、事前協議によって核兵器の持ち込みについて日本政府の同意を求めてくるということはおそらくないんじゃないだろうかというふうに考えているわけでございます。
  112. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 ないんじゃないかというのは、アメリカ信頼しているからないんじゃないかというだけでしょう。  それでは、実際に核を積んで入ってきたときに、普通の場合に、そういうときには一体どういうふうに——かりに事前協議となるならばどういうふうにするのですか。私のほうは核を積んでおりますけれどもよろしゅうございますか、こうくるのでしょう。それ以外にないんじゃないですか、事前協議というなら。積んでないというなら事前協議対象にならないというなら、そういうふうになってくるのではないのか。そんなことをアメリカとしてはやりっこないわけでしょう。結局、アメリカの法律で、核を積んでいますなんて言えないわけだから、国家危急存亡の特別な場合は別として、ふだんの場合には、非核原則で核の持ち込みが安保条約で事前協議対象になるといったって、実際には有名無実だということになるんじゃないですか、同じことばかり聞いていて恐縮だけれども
  113. 木村俊夫

    木村国務大臣 非核原則で、事前協議を受けてもわがほうはノーということははっきりわかっておりますから、そういうような通常の場合における事前協議の場合はまず想像し得ない、こう考えます。ただ、危急存亡の場合には、単に外交ルートを通じての事前協議があるのかあるいはホットラインを通じてやるのか、そういうことはその場でまたわれわれが考えなければならぬ問題だと思います。
  114. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 ノーと言うのはわかるのです。ノーと言うのには、向こうが何か言ってこなければならないでしょう。何か言ってくるときに、アメリカはどういうふうに言ってくるのかということです。どういうふうに考えるかということですよ。質問の意味がわかりますか。
  115. 木村俊夫

    木村国務大臣 そういう場合をわれわれは予測しないという場合と、論理的にもしあった場合にどういう形でやるかということは別個の問題でございますが、おそらく予測できるのは、かりに入港あるいは通過をしなければならぬ場合に、事前外交ルートを通じてわがほうに事前協議を申し出る、こういうことが考えられます。
  116. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、事前協議のときに、どういうふうに事前協議をするのかというんですよ、くどいけれども。私のは核を積んでますけれども、入ってよろしゅうございますか、通過してもよろしゅうございますかと言って聞くのですかというんですよ。
  117. 木村俊夫

    木村国務大臣 この核兵器搭載の問題で事前協議があれば、当然そうなると思います。
  118. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だけれどもアメリカ国内法では、自分のほうでこういう核を積んでますということを発表できないんでしょう。発表したらたいへんなことになるんでしょう。それじゃ核の抑止力の意味がなくなっちゃうんじゃないでしょうか。
  119. 木村俊夫

    木村国務大臣 したがって、通常の場合にはあり得ない、また緊急の場合には大統領の権限に基づいて事前協議をしてくる、こういう予測をしております。
  120. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 どうも話が同じことになっちゃって恐縮なんですが、日本の政府としては、三海里が十二海里になったときに、その九海里を日本領海としていくという考え方なのか。領海に関する条約十六条の三項前文ですか、国際航行に使用される海峡では無害通航権とかなんとかという問題は起きないわけでしょう。そのほうに九海里を持っていくという考え方なのか。いいですか、わかりますか。お聞きしたいのは、領海として考えるのか、領海ではないという特別な国際海峡として考えるのか、どちらのほうに日本のほうとしては考えるのかということですね。
  121. 松永信雄

    ○松永説明員 これは先ほど外務大臣からお答えいたしましたように、新しい国際海峡、すなわち領海の幅員が十二海里に広がることによって出てまいりますところの国際海峡について国際法上どういう制度が適用されることになるのか、実はまだ結論が出ていないわけでございます。この間の海洋法会議の際にいろいろな考え方、いろいろな提案が出されまして、まだ統一的な結論というものは出てきていないわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、そこに新しい国際海峡の何らかの制度が設置されるだろうというふうに私ども考えているわけでございまして、その海峡について、いま御指摘がありました領海に関する条約の規定がそのまますぐ当てはまって適用されるということにならないんじゃないか、新しい制度ができてくるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  122. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 その九海里については、日本としては領海という形で残しておくほうがベターなのか、あるいは領海ではない特別な水域として残しておくほうが日本にとってベターなのかどうなのかということについては、あなた、外務省の中で当然検討がなされているわけじゃないんですか。そうでしょう。それでなくちゃおかしい。この間ベネズエラでやったんですし、ジュネーブ会議は来年三月かな。当然検討されているわけでしょう。領海として残していったときに、そこの領海の中における通航権というものをどういうふうにしていったらいいかということは、当然検討されているんじゃないですか。
  123. 松永信雄

    ○松永説明員 新しくでき上がってきます国際海峡において、日本としていかなる立場でこれに臨むべきかという方針は、もちろん検討しているわけでございます。そのときにあたりまして、私どもといたしましては海運立国の立場から、海運の自由が国際海峡においては保障されることがたいへん大切であるということを考えているわけでございます。
  124. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、いまの海運立国というのはどこの海運立国のことですか。日本のことを言うのか、外国全体のことを言っているのか、ちょっとわからないんだけれども領海ではない特別な水域というものをつくる、世界の大国というのはみなそういう方向へ進んでくるでしょう。アメリカだってソ連だって、そのほうが自分のほうに有利だから進んでくるんじゃないですか。ですから、結局そういう方向にいかざるを得ないということになれば、そこでは非核原則は適用にならないということでしょう。そのほうの見通しが強いんですか。どういうことなんですか。外務大臣、どうですか。まだちょっと無理かな。
  125. 松永信雄

    ○松永説明員 いま先生が御指摘になられましたように、海洋法会議におきましては、アメリカソ連等が、この国際海峡については、船舶及び航空機を含めて、公海におけると全く同じ自由を保障さるべきであるという立場を強く打ち出しているわけでございます。これに対しまして、いろいろな考え方が他方においては出されているわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、新しい国際海峡の制度を採択していこうという一般的機運と申しますか趨勢はあるわけでございます。ですから、そこに全く何にもつくらないんだという考え方はないわけでございまして、ただ、その新しい制度をどうしていこうかということが実は今後の問題として残されているわけでございます。  先般の海洋法会議におきましては、いろいろな国がいろいろなことを一般的な論議の形で出しておりますけれども、まだ考え方を表明してない国も非常にたくさんございます。各国においてもそれぞれ具体的な方針、政策についてはなお検討中だろうというふうに私ども考えているわけでございますが、政府といたしましては今後ともなお、海洋法会議の趨勢につきまして、これを十分見守りつつ慎重に検討していかなければならないというふうに考えているわけでございます。
  126. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 その推移を見守るのはいいのですがね。日本としてはどういう立場をとるのかということについて、外務省の中でもう検討が始まっているわけでしょう。だから、そういう立場をとったほうがメリットが多いとか、デメリットがあるとかなんとか、いろいろ検討しているわけでしょう。それを聞くわけですけれども、それはいまの段階ではなかなかすぐ答えるわけにもいかない、まだコンクリートしてないんだということなら、それはそれでいいですが、そこで考えられてくるのは、領海でない特別水域ができれば、少なくとも一たん日本領海に入った九海里のところというものは非核原則の適用がなくなってくるのではないですかと、こう言っているのですよ。これはそのとおりでしょう。
  127. 松永信雄

    ○松永説明員 たいへんくどいようで恐縮でございますけれども、そのことはまさしく、でき上がってきます新しい国際海峡に関する制度がどういうことになりますのか、要するにそこに認められます国際法上の地位がどういう形になるのかによって変わってくるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  128. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それでは、いまの国際海峡というか、そういうものがかりにできても、その中で日本としては非核原則が適用されるように努力するというのですか。領海でないところのものができ上がって、そういう努力をやって認められる可能性というのは一体あるんですか。どうなんでしょうか。
  129. 木村俊夫

    木村国務大臣 これはまだわからないことですが、もし、国際法上そういう特別な水域ができまして、外国艦艇についていままでの公海上の権利を同じく認めるという内容になれば、確かにおっしゃるとおり、非核原則はそこでは適用されないということになろうかと思います。
  130. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、二つあるというのは、前のほうで、十二海里が領海だというふうになった場合ですね。これはそういうふうになると思うのですが、それで国際航行の特別のものができない段階において、そこはあれですか、三海里のところと新たに加わった九海里のところとでは全く別個の取り扱いということになるわけですか。九海里のところにも非核原則は適用をされるのですか、されないのですか。領海で残った場合ですよ。
  131. 木村俊夫

    木村国務大臣 そういうことを具体的にわれわれは検討はいたしておりますが、まだわれわれがそういうことをコメントする段階ではない、こう考えております。
  132. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 検討しているといっても、さっきの話にもありますように、非核原則を優先するんだということばがあなたの口から、海洋法会議領海が変わってきたところでどうなるかということが、あなたの口からはっきり出てこないのですよ。新しい時代だからとか考え方だから検討するとかいうことばでしょう。それ以前の問題として、非核原則日本としてはどんな状態になっても守るんだ、確保するんだということがどうして出てこないのですか。そこですよ。きょうのあれを見て、国民はまた相当疑問に思いますよ。ぼくはそう思うな。あなたの午前中の最後のところを聞いていてずいぶん疑問に思ったのですが、なぜあなたの口から明快に、情勢がどんなに変わっても非核原則は厳守しますということが言えないのですか。言ったらあとで困っちゃうのかな。どうなのか、それは。
  133. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、まだこの段階で外務省として、また外務大臣としてそれを申し上げるのは時期尚早である。もっと大きな問題である。内閣全体の問題であり、国会との関係もございますので、いまそれを私が予断すべき事柄ではない、こういうことを申し上げたわけです。
  134. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それでおかしくなってくるのですよ。あなたが言うべき段階でないといったって、非核原則というものをあくまで守る——国是ということばは、ぼくはちょっとどうかと思いますが、ことばは正確でないかもわかりませんが、それを前提として、動かしがたいものとして、そしてその後の情勢の変化に適応していくというなら、いまのあなたのような答弁は出てこないわけですよ。新しい情勢への適応を主として考えて、その中で非核原則考えるということがあなたは頭の中にあるから、ここではっきり言っちゃったらあとで困っちゃうというので、いまのような答弁しか出てこないとぼくは理解しますね。聞いておられる方、どういうふうに理解されるか。ぼくもこのごろ頭が悪くなったか、ちょっとぼくの理解のしかたが悪いのかもしれませんが、私はそういうふうに考えますね。あくまでこいつは原則なんだ。法律じゃないんだ。原則なんだから、情勢によっては日本の国のために——これはあなた方に言わせれば国益というか、国益のためにこの三原則というものの幅をゆるめたりあるいはせばめたりしても、これは国益のためにいたし方ないことなんだ、というふうに言っているようにもとれるのですがね。あるいは力で押し切られたらやむを得ないというふうにもとれるのですがね。どうしてもっとはっきり、あらゆる状態の変化があっても非核原則は厳守いたしますとどうして大きな声で言えないのかな。その辺がわからないのですよ。ぼくの言うこと、くどいですか。ふだんあんまりくどくないたちなんだけれども、どうですかな、これ。どうして言えないんだろう。
  135. 木村俊夫

    木村国務大臣 従来の場合ですと、非核原則は厳守するということは当然言えると思います。ところが、新しい国際法ができるのです。新しい国際法ができるわけですから、その国際法を順守するというわが国の従来の立場はまた、今後も当然でしょう。また、国際法国内法に優先するということも、これまた法律上の原則でございます。そういう大きな問題が生まれてくるときに、そういうことを予断して、新しく生まれてくる国際法との抵触も考えないで、私がいまそれをこの場で言い切ることは控えたい、こういうことです。
  136. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、結論は、新しい国際法なりあるいは国際法秩序といいますか、そういうふうなものが生まれてくれば、それとの関連において非核原則というのは多少というか、あるいは大きくというか、いままでのような状態ではなくなってくることも考えられないわけではない、こういうことと承ってよろしいでしょうか。
  137. 木村俊夫

    木村国務大臣 私はそこまで言っておりません。
  138. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だけれども、あなたの答えとぼくの質問とを論理的にやっていけば、いま私が言ったようになるのじゃないですか。それならば、あなたの口から、非核原則はどんなに情勢が変わってきても厳守しますということが出てこなければならないのじゃないですか。新しい国際法秩序によって非核原則というのは制限を受ける、変化する、そういうこともあり得るということでしょう。それでなければあなたの答弁は筋が違いませんか。ぼくはそう思うな。
  139. 木村俊夫

    木村国務大臣 稲葉さんは、そういう新しい国際法ができた場合において非核原則とどう調整するかということも私自身が発言し得る権限を持っておる、立場にあるという予断の上でおっしゃっている。私はそういうことでは考えておりませんので、いまそういうことをここで発言する権限もありませんし、また立場でもないということを申し上げたのです。
  140. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 じゃ、その権限なり立場というのはだれが持っているのですか。政府としてはだれが持っているの。外務大臣が持ってないというのはおかしいな、それは。
  141. 木村俊夫

    木村国務大臣 外務大臣は内閣の一構成分子でございますので、内閣全体の方針、及び非核原則はすでに本会議で決議された原則でございますから、国会との関係で決定されるべきだと思います。
  142. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや、国会の決議はわかりますが、その前に行政府として、内閣全体として——それでは、新しい国際法秩序が生まれたときにおいては、非核原則ということについても何らかの変化があるかもわからないし、その点については外務大臣としては明言ができない、内閣全体の責任においてしか問題としては言えない、こういうふうに承ってよろしいでしょうか。
  143. 木村俊夫

    木村国務大臣 当然、所管すべき外務省でいろいろ検討はいたします。また、それを内閣の決定とするのは、これは外務省の当然の任務でございます。しかしながら、まだまだそこまで至ってない段階でかれこれ無責任に申し上げたくない、こういう気持ちでございます。
  144. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 無責任に申し上げたくなければ、くどいけれども非核原則はあらゆる変化があっても厳守しますと一言はっきり言っていただいたほうがいいのじゃないですか、国民は。そういうふうにおっしゃれない。ぐあい悪いか。
  145. 木村俊夫

    木村国務大臣 現在の国際法秩序また国内法の限界においては非核原則は厳守する、ここまでは申し上げます。
  146. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それでは、ここで同じ議論を繰り返していてもしようがないと思うのですが、ぼくはなかなかむずかしい問題をいろいろ含んでいるところだと思うのですが、そうすると、いまの非核原則ということについての考え方は、いま大臣が一番最終的に現在の状態というふうなこととして承っていって、変化があったときにはまたそのときはそのとき、基本としては大筋は変わらないけれども、ニュアンスの違いが出てくるということもあり得るけれども、それは自分の口からは言い得ることではないのだということと理解してよろしゅうございますか。
  147. 木村俊夫

    木村国務大臣 そう御理解願ってけっこうでございます。
  148. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 時間があれで、最後にちょっとお尋ねしたいのですが、別なことなんですけれども、朝鮮民主主義人民共和国の承認については、日韓条約は法律的には支障がないわけでしょう。
  149. 松永信雄

    ○松永説明員 そのように考えております。
  150. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 法律的には支障がない。それはそのとおり。政治的にはどうなんですか。政治的には結局、そういうふうなものがあることは支障になるということですか。
  151. 木村俊夫

    木村国務大臣 現在の情勢では北朝鮮を承認する考えはございません。
  152. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 どういう状態になったときに朝鮮民主主義人民共和国を承認するということになるのでしょうか。どういう状態になったときに承認ということが行なわれるのでしょうか。
  153. 木村俊夫

    木村国務大臣 それをここで予測して申し上げることは控えたいと思いますが、しかしながら、われわれ考えなければならぬのは、南北朝鮮とも平和的、自主的統一を民族の念願としておるということでございます。
  154. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、日本としては、南北朝鮮の統一ということについて、積極的に参加することは、これは内政干渉ですからできませんわね。少なくとも、消極的にしろ、それを阻害するようなことは日本としてはやらない立場に立っている、こういうふうに承ってよろしいでしょうか。
  155. 木村俊夫

    木村国務大臣 朝鮮民族のそういう悲願を妨げる意思は毛頭ございませんし、そういう措置はとっておりません。
  156. 臼井莊一

    臼井委員長 この際、中江アジア局次長から発言を求められておりますので、これを許します。中江アジア局次長。
  157. 中江要介

    ○中江説明員 先ほど原先生からの御質問の中にございました、九月六日にソウルにあります日本の大使館に韓国のデモ隊が乱入していろいろ不祥事が起きたというその事件に関しまして、韓国政府の金東作外務部長官日本政府にあてて出した文書による陳謝の意を表した手紙の内容ということでございまして、その内容を申し上げます。  これは原文が英語でしたためられておりますので、これを日本語に直しますと、五つの点が中に書かれておるわけです。第一点は、一九七四年九月六日の朝起きた事件、この事件では、大使館事務所に侵入したデモ隊の一グループによって、日本大館館事務所の財産に対する損害が発生し、また、大使館館員の身体に暴行が加えられたわけですが、この事件について、韓国政府の名において深く遺憾の意を表します。第二点、このようにして加えられた損害の補償のための措置はすみやかにとられるであろうことを確約いたします。第三点、さらに、この事件の調査はすでに開始されており、関係法令に従って侵入者に対する処罰が行なわれるであろうことをお知らせします。第四点、すでに逮捕されているデモ隊の一員によって日本の国旗に対して加えられた侮辱と損害については、私が最も遺憾とするものであります。第五点、以上の事件に関連して韓国政府は、将来このような事件が再び起きないよう一そう強硬な措置をとることをお約束いたします。  これが、九月六日付でソウルで、金東祚外務部長官からわがほうの後宮大使にあてて手交されました書簡の内容であります。
  158. 臼井莊一

    臼井委員長 次に、金子満広君。
  159. 金子満広

    金子(満)委員 最初に、領海問題について一言質問しておきたいと思います。  領海問題と非核原則の問題は大きな問題であるという大臣の答弁ですが、私はその点はそうだと思うのです。そこで、新しく生まれる国際法、それを見ないとなかなか態度が言えないんだということですが、国際法は自然にできてくるものではありませんし、それをつくる場合に日本政府の発言権、態度表明というものには当然あるわけです。そういう立場から見て、非核原則というものは十二海里になっても適用するんだということは明確にするべきだ、これが一つです。  それからもう一つは、自由航行と無害航行の問題ですが、非核原則を守る以上、どう考えてみても、これは無害通航でなければならない、こういう結論になると思います。国際法がどういうものになろうがなるまいが、日本政府としての基本的な立場というのは明確にできると思うのですが、その点いかがです。
  160. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどからお答えいたしておりますとおり、新しい国際法ができる、その中でわれわれがどうそれに対して対応するか、またそれに参加するかという問題です。おそらく米ソも自由航行をあくまで主張するでしょうし、また、ある国は無害通航を主張する国がございましょうし、そういう新しいレジームは、はたして明年三月のジュネーブで、あるいは五月のカラカス会議でこれが成立し得るかどうかということについても、まだ私どもは疑問を持っております。
  161. 金子満広

    金子(満)委員 すぐできるか、将来にわたるか、これは別として、国会の決議である非核原則、そしておとといの外務委員会では木村さん自身がこれは国是であると言われたわけですから、当然そういう見地は貫くべきだ。そうした意味から、日本政府の立場、態度というものは何も隠す必要はないのだし、新しい国際法ができる過程においてそうした立場で大いに日本としての意見を出すべきだ。黙っていて、あれこれの国からいろいろの意見が出る、それを聞いた上で最後に自分の態度をきめようということであれば、これは非常に大きな誤りをおかすことになる。態度は早く明確にすべきだ。これを妨げる障害は何もないと私ども考えるのですが、その点もう一度お聞きしておきたいと思います。
  162. 木村俊夫

    木村国務大臣 当然私どもはそれに直面しなければならぬ時期があろうと思います。それまでいろいろ慎重に考えた上で最後の態度をきめたい、こう考えております。
  163. 金子満広

    金子(満)委員 それでは、非核原則を十二海里まで最後まで貫く、そして自由航行ではなく、当然無害通航である、この立場を貫くように要求して、次に移ります。  実はきょうワシントンからの通信が、これは時事通信で入っているわけですが、きのうの夕方、ラロック氏がワシントンに帰って、空港で記者会見をやっています。その内容にこういうところがあります。「「九月十日の上下両院合同原子力委員会軍事利用小委員会の聴聞会でおこなった証言を訂正するつもりはない」とのべるとともに、」次です。「モスクワ滞在中、日本大使館からこの問題について問い合わせを受けた」、こういうことがあります。  おとといから、一私人ということばがたくさん出るのですが、大使館が会ったわけですから、当然外務省の訓令に基づいて会ったか、または訓令がなくとも国を代表する在外公館でありますから、会った経過と結果については当然外務省に報告があると思うのですが、その点いかがですか。
  164. 山崎敏夫

    山崎説明員 お答え申し上げます。  ラロック氏が上院の小委員会証言をいたしましたのがこちらに伝えられました後、日本の新聞のほうでラロック氏とインタビューをしていろいろな報道が伝えられたのでありますが、その報道の内容がかなりニュアンスにおいて違っておるのもございましたので、われわれとしてもラロック氏の真意がどこにあるかという意味で、モスクワの大使館を通じまして、どういうふうな御意図でそのインタビューでお話しになったかということを問い合わせたのでございます。それ以上のことはございません。
  165. 金子満広

    金子(満)委員 その結果はどういう答えが出ましたか。
  166. 山崎敏夫

    山崎説明員 一部の報道についてはその報道と違う点もございましたが、内容につきましては差し控えさしていただきたいと思います。
  167. 金子満広

    金子(満)委員 これだけ国民が重大な疑惑と関心を持っている問題で、しかも在外公館が公式に会ったのに、なぜ控えなければならないのですか、その点を伺いたいと思うのです。
  168. 山崎敏夫

    山崎説明員 ラロック氏の公式の発言といたしましては上院の小委員会で行なわれておるわけでございますから、われわれとしてはそれはそれなりに受けとめておるわけでございまして、ただ、その真意がどこにあったかということについていろいろな報道があるので、一応確かめさしていただいたということにとどまるわけでございますから、それ以上のことは申し上げる必要はないかと思います。
  169. 金子満広

    金子(満)委員 それは私的なことですか、機密に属することなんですか、どうなんです。
  170. 山崎敏夫

    山崎説明員 いずれにいたしましてもラロック氏は公開の席上で証言をいたしたわけでございますし、他方、日本の新聞の方々ともいろいろな形でインタビューしており、それは全部新聞に報道されておるわけでございますけれども、その内容についてお問い合わせしたということのわれわれの内部の連絡については、申し上げることは差し控えさしていただきたいという意味でございます。
  171. 金子満広

    金子(満)委員 発表できないというのは、ラロック氏の意見ではなくて、日本政府の措置として発表できない、こういうことですね。
  172. 山崎敏夫

    山崎説明員 これは内部の連絡でございますから差し控えさしていただきたいと申し上げたわけでございまして、ラロック氏が、自分日本大使館にこういうことを話したということを一方的におっしゃるならば、もちろんそれはけっこうなことでございます。
  173. 金子満広

    金子(満)委員 それから、同じ昨夕の記者会見で、ラロック氏が次のようにも言っています。核兵器が積まれたまま入港するという問題に関連してでありますが、問い、それに日本も含まれているかという問題です。答えとして、「日本だけ除外する理由は見当たらない。核兵器の積みおろしは非常に危険であり、もし核をおろしてから寄港するとの決定が下されていたとすると、それは私にとって驚きである。問題は、日本にこれまで核兵器が持ち込まれたことがあるか、また、将来持ち込まれるのかという点であり、これにはっきりした答えを出すべき機が熟していると思う。核の存在については否定も肯定もできないという米国政府の回答は答えにならない。」さらに違うところで続けて、「核能力を持った艦艇の乗組員は、自分の艦が核を積んでいるかどうかを士官、水兵の別なくみな知っている。核の存在を秘密にしておくことは不可能だ。」こうように言っているわけです。  ラロック氏について、政府が一私人とかいろいろ言いますけれども、これが三十一年の海軍の経歴を持ち、そして少将であり、海軍大学や統合参謀本部で仕事をしていた経歴であることは御承知のとおりですから、こういうようにアメリカの水兵まで全部知っているというのに、日本の政府はどうしてこれを究明していかないのか、これを非常にふしぎに思うわけです。  そこで、先ほどの委員の質問に木村外務大臣、答えまして、核の問題で日本アメリカの間には食い違いがない、こういうことを言われました。そこで、非核原則立場、これを厳守するという立場で、事前協議で核持ち込みがアメリカ側から要求された場合ノーと答えるということをいままで繰り返しておっしゃっているのですが、この点は今後も変わらないわけですね。
  174. 木村俊夫

    木村国務大臣 今後も変わりません。
  175. 金子満広

    金子(満)委員 このノーと答える態度は今後とも変わらないという外務大臣のあらためての態度表明ですから、この際、次のことをひとつただしておきたいと思います。  実は一九六九年の十一月の日米会談、このときに、現木村外務大臣は当時官房副長官でありました。そして、滞米中の記者会見や帰国後のいろいろの講演の中で、非核原則に触れていろいろ話されたことがあります。短いところだけ引用いたしますと、「非核原則といっても「作らず」「持たず」は別として、「持ち込まない」という点については、国家の危急存亡の時は広く国民が判断すべきことだ。」こういうように言っております。これは六九年十一月二十一日の日本経済新聞の特派員との会見で出ています。  これに関連した問題が、一九七〇年の二月二十七日の衆議院予算委員会でわが党の不破委員が質問したのに対して、当時木村政府委員として次のような答弁があります。「私の名前が出ましたので、まず私からお答えいたします。その当時の新聞記事をよくお読みになっていただけばわかると思いますが、有事とは何ぞやということをテーマにして対談しております。すなわち、事前協議における有事——これは第六条による有事の場合の解釈、それとわが国が危急存亡、たとえばある国から直接の核攻撃を受けるというような場合における有事とは、おのずから違うと思います。したがいまして、非核原則があろうとも、非核原則をまくらにしてわが国民が討ち死にしていいかどうかというところの判断を申し上げたいのであります。」  これは、いまの木村外務大臣の見解、持ち込みが将来言われてもノーと答えるということと、いまの四年前の木村さんの国会での答弁とは違うので、前のこの答弁は取り消しておいたほうがよろしいと私は思うのですが、いかがですか。
  176. 木村俊夫

    木村国務大臣 そのあとをお読みになっていないと思いますが、それは国民が判断すべきことであるということを言っておるはずです。しかしながら、一官房副長官の分際として申し上げたわけですが、そのあとで、最高責任者である佐藤内閣総理大臣が打ち消しておりますから、それが内閣の意思であるということにお受け取り願いたいと思います。
  177. 金子満広

    金子(満)委員 そうすると、外務大臣木村さんとしては、現在この見地はとっていない、こういうように理解してよろしいですね。  それではその次に、アメリカはこれまで日本政府に対して、核持ち込みをしない、つまり日本に核持ち込みをしないということを言明したことがありますか。
  178. 山崎敏夫

    山崎説明員 御承知のとおり一九六〇年に現在の安保ができましたときに、核の持ち込みに関しましては事前協議の主題の一つとなるということに口頭の了解がございまして、さらに岸・アイゼンハワーの共同コミュニケの声明の中で、米国政府は日本政府の意思に反して行動する意図はないということを明言いたしたわけであります。この両者によっておのずからおわかりいただけると思います。
  179. 金子満広

    金子(満)委員 いろいろの解釈は当時からあるわけですから、そのことを私はここでもう一度繰り返すつもりはありません。私が申し上げているのは、アメリカの政府を代表する人、それが大統領であれ、あるいは大統領の命を受けただれかれであれ、アメリカ日本非核原則も知っているとか、あるいは日本の政府や日本国民の気持ちも理解するとかいうことばでなくて、核の持ち込みはいたしません、こういうふうに明確に述べたことはないと私は思うのですが、その点はどうです。
  180. 木村俊夫

    木村国務大臣 いま言われるような直接法でやったことはないと記憶しております。
  181. 金子満広

    金子(満)委員 次に、アメリカ政府は、日本政府、日本がとっている非核原則立場を尊重し、これを守るという言明をしたことがありますか。
  182. 木村俊夫

    木村国務大臣 これは一九六九年の日米共同声明の第八項に、非核原則という文字ではあらわしておりませんが、日本国民の核兵器に対する——英語でいえばアゲインストという字を使っております。それを理解して、その政策に背馳しないように考える、こういうことをいっております。
  183. 金子満広

    金子(満)委員 その共同声明の八項では、もう一つの条項があるわけです。それは、日本政府のとっている態度に深い理解を示すと同時に、大統領は、深い理解を示したが、「日米安全保障条約事前協議制度に関する米国政府の立場を害することなく」という文字も入っているわけです。したがって、非核原則という点は、日本の政府は述べた、それを向こうは理解した。しかし、アメリカ側はまた、アメリカ立場を害することなくやれるのであろうという意思も表明した。こういう点で、明確にアメリカ非核原則を守り、尊重すると言明したのは、私はいままでさがしてみたのですが、見当たりません。こういう点で明確に述べたことはないと思うのですが、どうですか。
  184. 木村俊夫

    木村国務大臣 事前協議制度に関するアメリカの利益を害することなく——これは、従来の沖繩にこの事前協議制が適用になるという、新しい段階でのアメリカの留保を述べたものだと記憶しております。いまおっしゃるとおり、核兵器の持ち込みについて、直接法でアメリカが明言したことはございません。
  185. 金子満広

    金子(満)委員 それでは、今度は日本政府の側からアメリカ政府に対して、日本アメリカの核を持ち込ませない、持ち込んでは困るということを明確に通告したことがあるかどうか。
  186. 木村俊夫

    木村国務大臣 通告という形をとったことはございません。しかしながら、たび重なる日米間の会議におきまして、また日米首脳間の対談におきまして、そういう面についての、非核原則についての、特に核持ち込みについての御指摘のようなことは、たびたび先方に理解を深めております。
  187. 金子満広

    金子(満)委員 たびたび会って、そういう話はした。しかし、アメリカは、いまも木村さんおっしゃいますけれども、理解を深めさせたということはあっても、わがほうとしては絶対に入れないのだということを日本政府の態度として通告をして米側の回答を要求した、こういうようなことはないわけですね。
  188. 木村俊夫

    木村国務大臣 そういう明記されたものはございません。
  189. 金子満広

    金子(満)委員 それではもう一つ事前協議の場合でありますが、重要な装備の変更という場合、その内容の細部にわたって合意が成立していますか。
  190. 木村俊夫

    木村国務大臣 御承知のように、藤山・マッカーサーの口頭了解というものがございます。
  191. 金子満広

    金子(満)委員 それは存じております。  そこで、たとえば核兵器を積んだ船が通航するという問題、あるいは航空機が核を積んで日本の領空から領土に入るという問題、あるいは核は弾頭だけでなくてそれに関連した核体系そのものがあるわけですから、そういう核体系そのものの幾つもある個々の問題についての了解までありますか、ないですか。
  192. 木村俊夫

    木村国務大臣 いま申し上げました藤山・マッカーサーの、これは口頭了解でございますが、核弾頭、中長距離ミサイル及び基地建設、こういうような文句がございます。
  193. 金子満広

    金子(満)委員 そうしますと、戦術核に該当するその体系そのものの中には、一ぱいあります。核部隊もそうです。それから、それに付随するいろいろの施設や何かも全部あります。こういうものについてまで、ない。いま大臣がおっしゃったような範囲で、非常に大ざっぱであって、運用によっては伸び縮みする。つまり、ゴムのものさしみたいに、伸ばせばどんなにでも当たるし、縮めれば縮まったで当たる。この解釈のしたかによってみんな違うというようなことは生まれないですか。今後どうですか。
  194. 木村俊夫

    木村国務大臣 私はそういう心配はないと思います。したがって、いま申し上げた三種のものは、これは核兵器であるというところから、はっきり口頭了解で対象にしたわけでございます。
  195. 金子満広

    金子(満)委員 それでは次の問題ですが、そういう中で、時間がたくさんありませんから、私は沖繩の基地の部分の問題について質問したいと思います。  沖繩の米軍基地、特にその中で第四〇〇弾薬整備部隊について質問したいと思います。  アジア全域の米軍への弾薬補給を任務としている沖繩の米空軍第四〇〇弾薬整備部隊は、沖繩復帰直前の米軍の内部文書に基づくわが党の調査が明らかにしたとおり、嘉手納弾薬庫、これは通称知花といっていますが、そこに少なくとも数百個の戦術核弾頭を貯蔵、管理していた。当時の米軍内部文書によれば、この部隊には、これらの核兵器の保全、整備を直接担当している特殊の兵種番号の核兵器専門の米軍要員が、下士官を中心に数十人いた。  ところが、きわめて重大なことは、今回、わが党のその後の調査に基づいて初めて明らかにすることでありますけれども、沖繩の施政権返還以後も、この第四〇〇弾薬整備部隊には、核兵器の保全や整備だけを専門的に行なう核兵器要員が引き続いていることが、一九七二年の六月の米軍内部資料で判明しました。この事実は、復帰後も同部隊が核兵器を持ち込んでいることの具体的な証明であると考えます。  復帰後においても、第四〇〇弾薬整備部隊に配置されている核兵器専門要員は、少なくとも二つの種類の専門職からなっており、米空軍兵種番号の四六三五〇の核兵器専門職と米空軍兵種番号四六三七〇の核兵器技術職である。アメリカ軍の公式文書である米空軍教範の三九−一「空軍下士官職種区分教範」によると、これら二種類の核兵器専門職は、直接、核兵器そのものの組み立て、機能テスト、修理、点検などを行なうものであります。  あとでその内容はお配りいたしますが、こうした実態を政府は確認しておるかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  196. 山崎敏夫

    山崎説明員 われわれとしましては、米軍の部隊の内部編制の細部に至るまでは承知いたしておりませんが、いずれにいたしましても累次のアメリカ側の保証その他によりまして、現在沖繩に核兵器が置かれていないことは明らかでございます。
  197. 金子満広

    金子(満)委員 沖繩に核兵器があるかどうかという質問ではなく、それはあとでしてもらいたいと思うのです。われわれはこの兵種番号をいろいろ調べました。その結果、次のような内容のものをやるわけです。これは長いから文書で提出いたしますが、一つは、四六三五〇というのは核兵器専門職、おもな内容は、「核兵器・弾頭、再突入用ロケットおよびその関連部品とテスト装置の検査、組立、テスト、維持、補修および修正」。「義務と責任」ということでa、b、c、dまであります。「核兵器と再突入用ロケット部品の検査、組立およびテスト」「核兵器・弾頭、再突入用ロケット、関連テスト装置の機械、電気、電子部品の受けとり検査の準備。部品の破損検査」、以下ずっとあります。  それからもう一つ、四六三七〇の兵種番号でいきますと、おもな内容というのは、「核兵器・弾頭、再突入用ロケットの電気、電子、機械部品および関連テストと取りあつかい用装置のテスト、検査、故障の発見と修理、補修。核兵器関連諸作業の監督」。「義務と責任」の項では、「核兵器・弾頭および再突入用ロケットの部品の修正」、以下たくさんあります。  こういう兵種が、部隊が沖繩にいるということを調査したことがありますか。
  198. 山崎敏夫

    山崎説明員 われわれは、沖繩に第四〇〇弾薬整備部隊がおることはもちろん承知しておりますが、そういう内部の部隊の編制の細部に至るまでは承知しておりません。
  199. 金子満広

    金子(満)委員 沖繩返還協定の前後から、国会でも沖繩に核があるという疑惑は山のように出されたわけです。そうしたときに、沖繩県民のみならず、日本国民全体の生活、そして生命、アジアの全体の平和という見地を政府が真剣に考えるならば、一般的に承知しているのではなくて、核そのものについての点検、調査が私は必要だと思うのです。これは最小限の義務だと思うのです。あなた方がそういうことであれば、さらに続けて申し上げますが、重要なことは、との復帰後の一九七二年六月の時点でこの第四〇〇弾薬整備部隊の内部文書から、核兵器専門の任を持っているところの特別の職種と担当者の名前、家族の構成などが明らかになっています。次に掲げるものはそのごく一部であります。  それを例示的に示すと、一つは「アルフレッド・B・ミラー二等空曹=核兵器技術職」、兵種番号は先ほど申し上げました四六三七〇。一九七一年の七月に任命をされています。そうしてこの部隊に配属され、そのまま継続している。しかも核を取り扱うのでありますから、扶養家族が四名、妻名前はマーガレット、こういう形で出ています。こういう者をもう二人ばかりあげました。この点についても、家族から、奥さんの名前ですね、それから独身であるというようなことも全部出ています。  これは、私は非常に重大なことだと思うのです。こういう兵種でこういう仕事を専門にやるということが全部明記されておる。そうして、こういう人がやっています、核を扱うのですから、家族はこういう構成です、奥さんはこういう人ですというものが明らかになっているわけです。これは、核兵器がかりに沖繩にないとしても、核を扱う部隊である、こういうことはお認めになれると思いますが、どうですか。
  200. 山崎敏夫

    山崎説明員 米軍の部隊は沖繩のみならず世界各地に配置されることもございますから、各種の訓練はするであろう、そういう意味で、訓練という観点からそういう人が配属されているのかもしれませんが、われわれは、沖繩の本土に核兵器がないことは、いろいろなアメリカ側の言明によって確信している次第でございます。
  201. 金子満広

    金子(満)委員 私は、沖繩に核兵器がないことをあなたが信ずるということを聞いているんじゃないんですよ。かりに沖繩に核兵器がないとしてもという前提で言ったのです。こういう部隊は核兵器を取り扱う核部隊でしょうということを聞いているのです。どうですか。訓練の話を私はまだ一回も質問していないのです。専門職として——私は詳細に申し上げました。委員部の方、すみませんが、この資料を渡してくれませんか。——これは核兵器を取り扱う部隊である。いまあるかないかというのはあとの問題として、そのことを聞いているのです。もし外務省が答えられなければ、防衛庁もいるわけですから、どなたでもけっこうです。
  202. 山崎敏夫

    山崎説明員 先生のおっしゃいます核部隊という定義が私にはよくわからないのでありますが、私の承知しております限りでは、第四〇〇弾薬整備部隊は通常弾薬も全部扱っておる次第でございます。そういう意味において、この部隊を核部隊ということが、私にはちょっと理解いたしかねる次第でございます。
  203. 金子満広

    金子(満)委員 いまいみじくも答弁されたように、通常兵器も扱っていると言うのです。そうすると、「も」でないほうもあるわけです。当然そうなります。それは、あなたはいま非常に正確におっしゃった。そこで私は言うんですよ。いま私は、あるかないかを言っているんじゃないのです。いいですか。こういう職種、だから第四〇〇弾薬整備部隊というものが核部隊だということを言えとあなたに言っているんじゃないのです。その中にこういう核兵器を専門に扱う職種がある。ですから、これは核兵器を扱う部隊としての役割りも果たしている、こういうことになると思うのです。その点を聞いているのです。まさかそうでないとは言えないと思うのですが……。
  204. 山崎敏夫

    山崎説明員 通常の弾薬もと申しましたのは誤りでございます。通常の弾薬を扱っていると承知しております。ただ、先ほどから申し上げますように、各種の訓練は沖繩において行なわれておりますし、いつかも問題になりましたように、伊江島で核模擬爆弾の訓練も行なわれております。そういう意味で、核模擬爆弾のようなものは置いておるとは推定いたします。
  205. 金子満広

    金子(満)委員 これはかみ合わぬですよ。私はさっき資料をお配りしましたから、それを見てください。二枚目と三枚目なんですよ。これは核兵器を扱う専門職でしょう。これは演習するということは少しも書いてないのです。それから、ここには核兵器があるともないとも書いてありません。ただ、この人たちはこの仕事を専門にやっているのです。いまも、復帰後もこういう形で残っていると言っているのです。ですから、これは核兵器を——部隊に属さない兵隊というのはいないわけですから、そういう職種のある部隊だということがいえるだろう。どうですか、これは事前協議対象にはなっていませんから、言ってくださいよ。
  206. 木村俊夫

    木村国務大臣 いま拝見したこの資料の限りではどうもそのように思いますが、しかし、私どももこの資料について、もう少し正確に政府としての調査をしたいと思います。
  207. 金子満広

    金子(満)委員 いま大臣から、思うということで、それは確かめるということが当然その裏にはあると思うのです。  そこで、一九五七年、昭和三十二年二月八日の衆議院の予算委員会で、当時の岸総理が核の部隊の問題について次のようなことを表明しているのです。核部隊という問題です。「私はこの原子部隊を日本に進駐せしめるというような申し出がありました場合においても、政府としてこれに承諾を与える意思は持っておりませんから、そのことは明瞭に申し上げます。」こういうふうに言っているわけです。このあと安保条約の改定があったわけです。その安保条約の改定で核を取り扱う部隊を入れてもいいということになったのか、それともなしくずしに、沖繩は当時返還されておりませんでしたから、いたものが返還後もそのまま自動的にそこに居残ってもいいという取りきめでもあったのか、この点はいかがですか。
  208. 木村俊夫

    木村国務大臣 核兵器を取り扱う部隊といいますと核兵器がそこに存在するという前提になりますが、いま私が拝見した資料の限りにおいては、核部隊は存しますが核兵器は存在しない、こういう受け取り方でございます。
  209. 金子満広

    金子(満)委員 核兵器を取り扱う部隊はいても核兵器そのものは存在しないという大臣の答弁ですが、この二枚目以下を見るとわかりますように、これは毎日取り扱うようになっているんです。そうして、これはおとといの外務委員会で渡部委員からも、知花、読谷の弾薬庫の問題が出ました。これは嘉手納の弾薬庫のことでありますが、そういうように復帰直前にも工事をずっとしたということが明らかになっておる。そういうことの中でこの問題が復帰後もあるわけですから、これはだれが見ても、核兵器というものが沖繩にない限りはこの仕事がないんです。これは訓練をするんじゃないのですから。実際の核兵器の点検とか整備とか、そういうものをやっている部隊なんです。この点を考えれば、ないと考えるとか、ないと確信するとかいうのは全く主観の域を出ていない。これはないということであれば、科学的に確認をすることなしにはもはや言い得ないことばだ。これはラロック証言を見るまでもなく、現実にこれを確認をする必要があると思うのです。政府はそういう点で、この問題について確認をする意思は当然なければたいへんですが、その点はどうですか。  そのことと、もう一つついでにつけ加えておきます。  これも沖繩復帰後の問題です。核兵器についてのこれは秘密文書ですよ。これは一九七二年八月十五日発行になっています。「第四〇〇弾薬整備部隊の保管作業指示書三五五−一「災害対策作業」」というやつです。これは、緊急事態の発生の際のこの弾薬部隊の核兵器関係各種の機密文書の防護とか避難とか破壊について詳細に指示したものなんです。  その内容は次のようなことです。「機密文書の管理者は、機密文書を二つの優先順位にわけて、目録に記載するものとする。優先順位I(決定的に緊要な機密文書)と、優先順位II(その他の機密文書)である。第四〇〇弾薬整備部隊内の機密文書の優先順位を決めるため、つぎの指標が適用される。計画書、作業命令書、米空軍技術指令書「一一N」シリーズ」——これは航空機用の核兵器に関する技術指令書のことです。だから、これは核兵器が置いてなければ必要としないわけですね。それから「重要核兵器構造情報(CNWD)、暗号、爆発物処理関係機密文書のすべては、優先順位Iである。文書の入手が敵にとって直接利益を与えると認められるものについては、機密文書管理者が、前記以外の機密文書を優先順位Iに指定することができる」さらにこの機密文書の緊急防護、待避についての指示文書によれば、爆発物処理隊の任務として、「爆発物処理隊は、公式命令で求められた場合、同隊の特別部類の機密文書を三十分以内に破壊する責任がある。六ONならびに六〇NR系列の重要核兵器構造情報」——これは核兵器の解体作業に関する核兵器構造情報です。「を他の場所へ移送するさい、米軍用地から離れる場合には、最低二人の隊員は武装しなければならない」とまで規定しているんです。  これは皆さん、あると思うのが普通でしょう。ないと確信するとアメリカ局長言ったってだめですよ。どんなに大きい声でここで言っても、だれも信用しないです。こういう事態を前にして、私は事はほんとうに重大だと思うのです。そういう認識を日本政府がいま持つか持たないかなんです。ことばが悪ければ失礼ですけれども、いつでもアメリカ政府を絶対信頼しているような論調を続ける限りは、こういう問題は皆さん解決つかないです。こういう点について、ほんとうに日本政府が一億の国民に責任を持つという見地から調査、点検をする意思があるかどうか、私はもう一ぺん伺いたいと思うのです。
  210. 木村俊夫

    木村国務大臣 その専門的なことは私よくわかりませんけれども、たとえば沖繩に核があるかないか、これは昭和四十六年十月だったと記憶しておりますが、アメリカの議会の上院外交委員会沖繩返還協定の聴問会で当時のロジャーズ国務長官、パッカード国防次官が、沖繩復帰の日には沖繩には核兵器がなくなっていることを確言すると公式の証言をしております。これは単に一私人が宣誓を経ずしてやった証言とは重みが違うと思います。  こういうような証言、また日米安保条約、また日米関係というものは日米両国の信頼に基づかなきゃならぬという点から考えまして、私ども米政府の態度を信頼しておりますし、また、そのために施設、区域にわたって点検する考えはございません。
  211. 金子満広

    金子(満)委員 ロジャーズ証言がどうあろうとも、もしそれがほんとうなら核抜き本土並み返還ということになり、そうして事前協議がある、非核原則がある、だからアメリカとの合意の上で核兵器がないんだということを日本政府がおっしゃるのならば、どうしてラロック証言のときに、あるかないかわからないじゃなくて、日本は、皆さん、核兵器を持ち込んでいないということを——政府もことばでは認めている、アメリカもそれは合意の上で持ち込んでいないんだというのだったら、ラロック証言があろうとも、日本には持ち込んでいないと言えるはずじゃないですか。これが何で言えないのです。なぜ言わせないのです。そこのところを聞きたいのですよ。
  212. 木村俊夫

    木村国務大臣 いわゆるラロック証言のときは——一私人のそういう発言に対して一々米政府が公式見解をとることは、いままではなかったことでございます。それをあえて行なったのは、今回の問題の重みを感じて、一私人発言といえどもそういう公式見解を日本に対して示した、最大限のことであったと思います。  しかしながら、いま申し上げたとおり沖繩に核はないということを明言したのに、どうしてその他に明言できないか。当然これは日米共同声明における大統領の声明を受けての発言でございますから、これは当然でき得ることであった。しかしながら、世界全体を遊よくしております、配置を変えております艦隊に対して、一々その核の存否を各艦艇について明らかにすることは、これはもうアメリカ核兵器の秘密を守る上において適切でない、そういう判断が米政府に、また米軍にある、こういう受け取り方をしております。
  213. 金子満広

    金子(満)委員 いいですか、二つあるのですね。  一つは、日本に核を持ち込んでいないし、返還時には全部取り払うということは約束されているわけでしょう。そうすると、日本に核がないということは日米間の約束になっているんだと思うのです。そのように理解できないですか。大臣でもだれでもけっこうです。
  214. 木村俊夫

    木村国務大臣 日本領海、領域には核兵器はない、こういうことです。(金子(満)委員「約束しているわけですか」と呼ぶ)これは当然、日米安保条約に基づく事前協議に基づくまた約束でございます。
  215. 金子満広

    金子(満)委員 ですから、いまないということは約束になっているというんなら、なぜないと言えないのですかと。アメリカが、あるかないかその存在を言えないということは、持ち込みが可能である地域について言えることであって、日本には持ち込みができないんだということになっているんだったら、あそこへは持ち込んでいませんとなぜ言えない。これは、アメリカ政府が約束を守っていないという何よりの証拠だと私は思うのです。アメリカに、言ってみなさい、日本に持ってきていないのかいるのか、言ってみなさい、いや、秘密だから言えません、秘密だから言えないといったって、沖繩から全部取っ払うとロジャーズさんが前に言ったじゃないか、そうして本土並みと言っただろう、それじゃ日本全土に核兵器がないということになるんじゃないか、これはわが政府に対する約束だから何で言えないんだと。どうしてこれが言えないのか。アメリカに事核については指一本さすことができないような情けない状態が、いまここに生まれていると私は思うのです。  そういう点で、もう一つ、ついでにこれは明らかにしておきたいと思うのです。これを大臣のところへちょっと渡してください。  これは沖繩の核兵器における事故の問題です。これは一九六九年と七〇年の二カ年間に起こったものです。もちろん復帰前です。しかし、それを見ると、これはアメリカの第三一三師団が、嘉手納基地ですが、要員の核兵器の取り扱いについての安全のためにつくったスライドですよ。このスライドの中では、嘉手納の第一八戦術戦闘航空団と、いま申し上げた四〇〇弾薬整備部隊、それから当時那覇にいた第五一戦闘迎撃航空団に、核安全の部門を持った部隊がそこにいたわけですから、それに対する教育でやったものです。この二年間に起こった核兵器の事故が全部ここにしるされています。  参考までですが、その内容を言えば、事故は核兵器の場合には三つに分類されている。  一つはブロークンアロー、これは折れた矢と訳しますが、ここにはBAというのが書いてありません。この事故は、核爆発や広域の放射能汚染を含む重大な事故であります。これは起こったらたいへんなことになるわけですね。その二番目は、ベントスピア、これはBS、曲がったやりということですが、これはそこの空軍で修理ができないもの、アメリカの原子力委員会による核弾頭の安全点検の必要を求めるもの、こういう重大な事故です。これはこの表の中にありますBSというところです。これは六九年には嘉手納で五件起きています。七〇年には二件起きています。それから、三番目がダルソード、DS、にぶった剣ということですが、それ以外の事故。これはここに書いてある数字が出ておるわけですが、とにかく二年間で九十一件の核事故ですよ。二年間で九十一件となると、平均すれば八日に一ぺんずつです。しかも二番目の大きな核事故というのが七件も起きている。これが沖繩で現実に起きていた、復帰の直前までですよ。そうして、復帰後もこの部隊がいるというのをさっき私が申し上げたんです。そうして、核の点検をやっているというのですから。  こういうことになりますと、私は事は、木村外務大臣は点検する、また調査する意思はないということをきっぱり言われるのですけれども、さきの部隊の問題にしろ、この核事故、その後の問題にしろ、もう知らない、存ぜない、手がつけられないということでは済まなくなっているのです。だからこそ、私はあえてこういうことを言うつもりはないけれども、長崎も、そうして神奈川も、保守党の県知事すら寄港は拒否するんですよ。市長さんもやるんですよ。こういう事態が出てきているのです。これは国民的な重大な関心事だ。こういう点で、私は政府がやらなくてもこれは要求しますよ。徹底してこれは調査をし、核がないということをあなた方がおっしゃるのなら、天下に向かってしかじかでないということを言わなければ、アメリカ政府信頼論だけで、ほんとうにこれは神がかり的にアメリカのことを言っていても事態の解決はできないんだ、こういうことを申し上げたいと思うのです。  そこで、いままでアメリカ艦艇が核を積んでいるかいないかということでチェックをしたことがあるかどうか、問い合わせたことがあるかどうか、それから航空機の場合それをやったことがあるかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。
  216. 山崎敏夫

    山崎説明員 アメリカ艦艇あるいは航空機に関して核があるかないかというふうな、そういう直接的な形で米側に問い合わせたことはございません。これは向こうの最高の機密であり、また、そういう形で問い合わせることは、日米安保条約が相互の信頼に基づいている以上適当ではないと考えております。
  217. 金子満広

    金子(満)委員 核があるという疑いを持たれている基地についても、点検はしたことはないわけですね。
  218. 山崎敏夫

    山崎説明員 先生のおっしゃいます意味において、いわゆる点検とか調査、立ち入りなどというようなことは、やったことはございません。
  219. 金子満広

    金子(満)委員 時間だそうですから、最後に若干質問をしておきたいと思います。  これはあたりまえのことですけれども非核原則なんです。これはアメリカ原則になろうはずがないのです。そのことからして、両者の間に矛盾があることははっきりしているのです。向こうは核を自分でつくって、持って、世界に配備、展開しているのですから。こちらはつくらないでまだ持っていない。持ち込ませるかどうかということが向こうとこちら側の問題になるわけです。そうして政府は原則を貫くというのですから。  そこで、持ち込ませずということは、持ち込ませないためのいろいろの努力をしなくちゃなりません。その裏づけになるいろいろのことが整わなければ、やらなければ、ただ持ち込ませずと言ってみても、これは実際には効果はあがらない、その保障をどうするかという問題ですよ。いま、船も飛行機も基地も全然点検していない。そうしてアメリカのほうは核の所在を明らかにしないんだ、しかたがない、それを信じます、しかし日本には持ってきていないと思います、これは幾ら言っても、思うという域を出ないのですね。そうしますと、非核原則というけれども、つくらず、持たずはいいですよ、つくらず、持たずは日本のことですから。持み込ませずという原則はいまや大きく変わってきた。つまり非核原則という非のほうはあらずというほう、こっちの、拒否するほうの否ですよ。つまり、つくらず、持たず、確かめず、これがいまの実態だと思うのです。一つも確かめていないんだから。安保改定後十四年間、一回も確かめていない。沖繩についてこれほど言っても、やる意思はないのです。これは一体どこの政府かと、ことばは悪いけれども、疑われてもしかたがない。  私は、木村大臣、ほんとうに勇気をもって沖繩の、少なくとも私がきょう提示した内容だけは、点検ということばが悪ければ、とにかく米軍に聞いて、米側に聞いてこの委員会に報告をしてもらいたいし、また、それをする義務が日本政府にはあるだろうと、この点を申し上げ、答弁を求めて終わりたいと思います。
  220. 木村俊夫

    木村国務大臣 最も重要な点は、われわれ自民党でいま政権を担当しておりますが、日米安保体制というものをどうしても維持すべきであるという基本的な方針に立っております。そういう意味において、日米間の信頼を傷つけるようなことは日米間の安保条約の規定をゆるがすものだ、こういう考えは持っておりますが、しかし、国民的不信は、もともと政府としても極力、最大限の努力をして避けるべきだと思いますので、できるだけのことはいたしたいと思います。
  221. 臼井莊一

    臼井委員長 次は、坂井弘一君。
  222. 坂井弘一

    ○坂井委員 ラロック証言アメリカの政府見解、これを並べまして、どちらが信用できるかという議論、また一方、事前協議がないから核は持ち込まれていないんだという政府の態度、それに対して国民は決して信用できない。むしろ今回の問題は、そのような従来の安保条約運営上の形式論理というものの繰り返しということだったならば、核が持ち込まれたか、持ち込まれないかという国民の疑惑に対する答えにはならない。そういう中で、いま核持ち込みをめぐって、国民の政府に対する信頼の念というものがだんだんに薄れつつある。信じられない、そういう状態を生み出しているということ、このことが非常に重大なことである、私はこう言わざるを得ないわけであります。  あえて苦言を呈しておきますが、信用できない人間が、この人は信用できるからあなた信じなさい、こんなことを言っても、たいていの人はまゆにつばをつける。いみじくも二階堂官房長官が、国民の疑惑は残るだろう、こう率直に言っておる。おそらく私は外務大臣の心中も、まことに複雑なものがあろうとはお察しはいたします。しかし、問題は、そのような国民の不信、疑惑、それに対して国民的な合意であるところの、また国会の決議に基づく非核原則、これを絶対なものとしてわれわれがどう守るか、核持ち込みの疑惑に対して、あるのかないのか、国民にどのような形で具体的にその疑惑を解消していくか、そういう政府の積極的な姿勢がなければいけない。少なくとも、アメリカ側に頼んで、ラロック証言は信用できないんだと否定するようなことを頭を下げていくというような態度であっては断じて相ならぬ。このことにつきましていま外務大臣の見解を伺う気持ちはありません。私の意見として前段申し上げまして、具体的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。  最初に伺いますが、外務大臣にお尋ねをしたい。アメリカのサイミントン委員会、一九七〇年一月二十六日、この日のサイミントン委員会におきまして、当時在日米海軍司令官でありましたD・F・スミス・ジュニア少将が証言をいたしております。そのことについて外務大臣は御承知ですか。あるいは会議録についてはお読みになっていらっしゃいますか。
  223. 山崎敏夫

    山崎説明員 突然のお尋ねでございますので、ちょっといま資料をさがしておりますが、お差しつかえなければその内容をお読みいただきたいと思います。
  224. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、その前に重ねて大臣にお伺いしておきますが、大臣承知しておらない、こう解してよろしゅうございましょうか。
  225. 木村俊夫

    木村国務大臣 サイミントンレポートは存じておりますが、その中におけるいま御指摘の部分については、記憶がございません。
  226. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、私のほうから読み上げてみたいと思います。これは議事録の写しであります。これを翻訳いたしまして、「極東に米海軍基地を置く必要性」こういうテーマについて。最初にジョンソン——ジョンソンは当時国務省国務次官てあります。「基地を保持することを望まないというあなたの御意見ですが、もし第七艦隊を有し、それをその地域に維持するよう方針があれば、横須賀が最も良好な海軍ベースであります。完備した工業的施設を有し、パールハーバーに劣らず、あるいはそれにまさっております」。次にサイミントン上院議員「スビックベイよりすぐれていますか」。ジョンソン「作業隊に関する限りよくバックアップされています」。サイミントン議員「米国はカムラン湾を有している。これもよい港です」。ジョンソン「私が言いたいのは、第七艦隊もあの地域に保持するためには横須賀がきわめて価値のあるものであり、それにかわるものは思い当たらないことです」。次に、フルブライト議員「それはどのくらいの大きさですか。カムラン湾くらいですか」。ジョンソン「それについてはスミス少将に説明させます」。ここで初めて在日米軍司令官、D・F・スミス・ジュニア少将が登場いたします。スミス少将「乾ドック六台があります。現在二千四百名の熟練の日本技術者がおります。しかし四月にはそのうち五百名を解雇するつもりです。最大の乾ドックはエンタープライズ級の空母を収容できますが、これはパールハーバー以西で米国が支配できる唯一のものであります。その他の一つは七日前の通告を要するもので、米国は作業隊を有しておりません。米国は佐世保にてはほとんどすべての作業を契約にて外注しております。スビックは相当の設備を有していますが、収容できる最大の艦は一万八千トン級のもの、つまり巡洋艦までです。横須賀の工務員はきわめて熟練しています。核関係作業以外なら、彼らはどんな艦上の作業もやることができます。核作業を行なう資格は有しておりません」こういう証言であります。  この証言者は当時のスミス在日米軍司令官、基地は横須賀であります。この方がこのように証言している。つまり「核関係作業以外なら、彼らはどんな艦上の作業もやることができます。核作業を行なう資格は有しておりません」。これに対して外務省は少なくとも検討され、見解を持っていらっしゃると思います。お答えをいただきたい。
  227. 山崎敏夫

    山崎説明員 該当の部分については、お読みいただきましたので了解いたしました。しかし、日本のそのドックに従事している人たちは、まさに核関係の仕事に従事していないわけでございまして、また、それは当然のことであろうと思います。われわれとしては、日本の中にそういう核兵器が持ち込まれていない以上、そういう核関係の仕事に従事する人々はいないのは当然のことと考えております。
  228. 坂井弘一

    ○坂井委員 何をおっしゃるのですか、あなた。そういう解釈はおかしいじゃないですか。これをはっきり読まれたらどうなるかというのです。横須賀の工務員はきわめて熟練しています、核関係作業以外なら彼らはどんな艦上の作業もできます、彼らはその資格は持っていない。つまり日本人労務者は核を扱っておりません、横須賀に入る船で核を扱うのはアメリカのほうで扱っております、こういう証言じゃありませんか。核の仕事、ニュークリアワーク、原文であります。これは明確であります。横須賀に入るのです。艦上でですよ。核関係の作業には、アメリカのごく一部の限られた、核を扱う専門家でしょう、乗り組み員でしょう、そういう人にのみ扱わして、日本人には扱わせませんという趣旨のことを証言しているということは、つまり核が積載されたまま入港した、こういうことじゃありませんか。
  229. 山崎敏夫

    山崎説明員 私は、いまお読みいただきましたのを判断いたす限りにおいては、ちょっとそういうふうには読めないのじゃないかと思うわけでございます。確かに米軍艦艇の一部は核積載能力を持っております。そういう意味で、そういう核積載能力を持っておる艦船について核関係の作業があり得るだろうということはわかりますが、そういうことは、わが国核兵器が持ち込まれているということは全く別問題だと思います。
  230. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、ここでニュークリアワークと、こう明確に言っていることについては、あなたはどう説明されるのですか。納得できませんね。
  231. 木村俊夫

    木村国務大臣 ニュークリアワークという中には、御承知のとおり推進機を原子力で動かしている艦艇も含んでいる、こう思います。
  232. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、別の角度から言いましょう。  フィリピンとアメリカとの間において米比軍事基地協定、これが一九四七年三月二十一日、続いて米比相互防衛条約が一九五二年八月二十七日、さらに一九五九年十月十二日の発効で米比基地防衛条約合意覚え書き、これがなされております。この内容は、一つは作戦行動、二つ目はIRBM、さらにICBMの設置、こういうことが明確に一九五九年十月十二日発行の基地防衛条約合意覚え書きの中にある。スビック・ベイでは核を扱っているのです。同じ船が横須賀に入ってくるのです。ニュークリアワーク、艦上で核を扱っております。核の仕事に従事しておる。正確には核兵器と訳すべきではありませんか。そのほうが道理でしょう。いかがですか。
  233. 山崎敏夫

    山崎説明員 ニュークリアワークということばは正確にはどういうふうな意味で言われたか、私たちにはよくわからないのでありますが、いま私が答弁いたしましたこと、それから大臣から答弁されましたことからもわかりますように、これは核兵器関連作業とも解し得ますが、また原子力推進の関係の作業とも解し得るわけでございまして、その点は、そういう一問一答でございますからあまり正確な表現は用いられなかったのではないか。その意味で、われわれとしては了解いたしかねる次第でございます。
  234. 坂井弘一

    ○坂井委員 何としても私は納得できませんですね。むしろ、ごく自然にこれを解釈すれば核関係の仕事、つまり核兵器、こう訳さざるを得ない客観的な条件というものが、これを立証し得るものが幾つもあるじゃありませんか。たとえば、後ほど示していきたいと思いますが、ラロック氏はさらにそのことについて、先ほども出ておりますが、ただいま入ったニュースによると、通常核を洋上ではずして入港するようなことはあり得ないというようなことも言っております。  ずばり聞きますが、DD——核を保管する場合に、たとえば敵方に核が渡る、つまり盗難であるとか紛失というようなことを未然に防ぐために、DDというものをアメリカ側が開発中であるということについては御承知ございませんか。
  235. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 いま伺いましたDDというものについては承知いたしておりません。
  236. 坂井弘一

    ○坂井委員 ラロック氏は記者会見でこういうことを言っております。ソ連から帰りまして、きのうです。核兵器を途中でおろすのは危険だと言われたが、それはどういうわけか。答え、入港する前に洋上で核を弾薬補給船など他の船に移す場合二隻の舷側を並べてケーブルなどで移送することになるが、その途中核兵器が海中に落ちる危険性もあり、きわめて非現実的、非能率的かつ危険だ。それより各艦の特別弾薬庫にしまっておいたほうが安全だ。シュレジンジャー国防長官は、さきに、核兵器が敵の手に渡りそうになったりした場合これを作動しないようにするDD、つまり機能停止システムを開発中だと述べたが、これが完成したとはまだ聞いていない。つまり、このDDシステムというものが完成しない以上、みだりに核を積載した艦から他へ移送するというようなことはきわめて危険である。ましてや、戦術上の問題もあるでしょうが、敵の手に渡るというようなことがあったならば、これはもう何をかいわんやということになるわけでありまして、むしろ艦内の弾薬庫に保管をすることが非常に安全である。したがって、通常その艦から他へ移すということはあり得ない。こう言っておる。  そういうようなことから思いあわせても、少なくともいま示しましたサイミントン委員会におけるスミス、当時の在日米軍司令官ですが、その言うニュークリアワーク、核関係の仕事、これは艦上において、アメリカ側においてやっているのだ。日本人にはやらしていない。彼らは資格は持っていない。それをあなたの先ほどのようなそういう答弁では、どうしても納得できません。これは非常に明確じゃないでしょうか。いかがですか。
  237. 山崎敏夫

    山崎説明員 先ほどから申し上げましたように、ニュークリアワークということがどういうことを意味しておるのか、必ずしも明らかではございませんけれども、いずれにいたしましても、そういう核積載能力のある船についておっしゃるようなニュークリアワークがあるのかもしれませんが、日本では行なわれていない。核兵器積載されておる以上は当然事前協議対象になるわけでございますから、日本政府に事前協議があるはずである。それがない以上われわれとしては核兵器が持ち込まれているとは思わないということを申し上げたいと思います。
  238. 坂井弘一

    ○坂井委員 正確に聞いてくださいよ。サイミントン委員会証言の中では、ニュークリアワークが、横須賀という地名も出るのですよ、しかも艦上とはっきりしているのです、そこで行なわれているということを言っているのですよ。このことを証言した人は在日米軍司令官のスミスさんなんです。あなたはこの発言を否定されるのですか。ニュークリアワーク、つまり核関係の仕事、そんなことは日本領海内あるいは横須賀港内で絶対にやらしておらない、やってはいない、アメリカであれ日本であれ、やっていないということをここで明確に断言できますか。おっしゃってください。
  239. 山崎敏夫

    山崎説明員 答えを繰り返すようで恐縮でございますけれども、その意味は私としては十分理解いたしておりませんけれども、いずれにしても、核兵器が持ち込まれて、それの修理作業が横須賀において行なわれていることはあり得ないと考えております。
  240. 坂井弘一

    ○坂井委員 あり得ないと考えるのはあなただけの考えなんですよ。あるいは外務省、あるいは日本政府の考えなんですよ。そう言わなければたいへんだ。非核原則でなくなってしまう。だからそう強弁していらっしゃるのだとしか私には受け取れない。しかし一方、少なくともいま言ったれっきとしたアメリカの在日米軍司令官のスミスさんのサイミントン委員会でのこういう証言がある。いま何回も何回も読み上げたとおりです。このことに対しては否定されることはできないでしょう。事実こういう発言をされた。そのアメリカ側の発言は、ニュークリアワークをやっておるということです。ただし、日本人にはやらしておりません。彼らは資格も持っておりません。しかも場所はどこかというと、艦上だ、軍艦の上だと、明確にそう証言したのです。それを、あなたがいまのような答弁を何回繰り返されても、これはしょせん、だれが聞いても納得できる話ではないと私は思う。  大臣、これは原文ですが、ごらんになりますか。後段の部分がございます。
  241. 木村俊夫

    木村国務大臣 どうも、承っておりますと、造船修理、ドックにおける労働力の問題にウェートが置かれているように思います。したがいまして、そういうような意味で、確かに通常の造修関係の熟練工はおるけれども、ニュークリアワークスに従事する日本人の労働者はいない、これは当然のことだと思います。しかし、入ってくる船は、核兵器を搭載している艦艇はおりませんが、先ほどから申し上げますように原潜というものがございます。すなわち原子力によって推進される機関、それを扱うのもニュークリアワークスの中ですから、その意味で、私は何ら異とするに足りないと思います。
  242. 坂井弘一

    ○坂井委員 私はなぜこれを全部最初から読んだかといいますと、そのつながり等について御認識していただきたいと思ったから申し上げたわけです。スビック・ベイも出てまいります。そうなりますと、先ほどの米比条約、そういう覚え書きの中にも、すでにフィリピンにおいては、アメリカ側と合意して核の扱いについてはやっておるわけですね。スビック・ベイと横須賀港というのは、その間に、あの一連の証言の流れの中では非常な関連がある。つまり、一万八千トン級以上の軍艦については横須賀港しかないというようなくだりになってきておる。そういう一連の流れの中で、少なくとも今回のラロック証言、あるいはまた先般ワシントン・ポスト紙も報じておりました、ミッドウェーの赤いしるしのあるのは核爆弾であるというような新聞報道等々からしまして、客観的に幾つかの、そのような核の持ち込みを裏づけするような証言が次から次からなされておる。そういう中で、少なくとも、いまここで提示いたしましたものは権威のあるサイミントン委員会における、しかも責任のある在日米軍司令官スミス少将の証言であるとするならば、しかもこの中にニュークリアワークということが明らかに証言されておるとするならば、われわれが、そういうことは知らぬ存ぜぬ、日本はそのような核持ち込みは一切させておりません、断じてありませんと幾ら言い張っても、これはしょせん、説得力はありませんし、したがって、ここでこの問題についてこれ以上、押し問答をしても答えが出ないとするならば、大臣、いかがですか、これはアメリカ政府のそのような責任のある立場の人が証言した、ニュークリアワークということをはっきり言っておる以上は、少なくとも、このニュークリアワークは何を意味するのかということについて正式に米側の見解を求めるということは当然なさるべきだと思いますが、いかがでございますか。
  243. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどのお答えでもう尽きておると思いますが、いま英文をちょっと見てみますと、やはりニュークリアワークスということばはございます。しかしながら、それが核兵器を扱うという点にわれわれは受け取っておりません。すなわち、もしありとしても、原潜その他原子力を推進機関とする艦艇の修理、それも日本人の熟練工はないから、もし必要とあればアメリカのどこかの——あえて横須賀とは書いてないようですが、そういう意味の陳述であると思います。
  244. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣の態度で私はこれは承知できません。  ならば、さらに申しますが、核の一時通過ということに対して日米の秘密協定がある。それに対して明確に、そういうものはないということを明言されておりますが、そのことに関連いたしまして、先ほど入りましたニュースによりますと、日米秘密協定の存在について日本政府はこれを否定したが、米側は十五日の国務省記者会見でこれに一切論評を加えようとしなかった。これはニューヨーク・タイムズ。こうした米側の態度は、日本政府が秘密協定を否定している事実を知りながら示されたものであり、その意味はきわめて重要といえよう。しかも、この問題が最初に表面化した七一年四月の段階でアメリカの国務省はこれを否定。さらに沖繩返還協定調印前、同六月、米政府高官が行なった背景説明でも否定していることから見て、その後の米政府立場は明らかに変わったわけである、こういう報道であります。  昨日アメリカ国務省は、否定も肯定もしなかった。従来は、秘密協定等は一切ないということを米政府アメリカ国務省の正式見解として出しておったが、きのうの段階では肯定も否定もしない。これに対して率直にどうお考えになるか、お伺いしたい。
  245. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまのことは私も存じておりますが、その中で、英語で申しますと、ウイ・スタンド・バイ・ザ・レコードと言っております。すなわち、もう何度繰り返しても同じである、いままでの記録でおわかりのとおり、ということを言っております。
  246. 坂井弘一

    ○坂井委員 少なくともそう簡単に片づけられる、一方的にきめつけられる問題ではないと私は思いますよ。答弁ございますか。
  247. 山崎敏夫

    山崎説明員 ちょっと補足説明させていただきます。  報道官の発言は、ノーコメントと申したのであります。ただし、この点に関しましてわが大使館から国務省に問い合わせましたところ、それはいま大臣が申しましたように、われわれはスタンド・バイ・ザ・レコードだ、つまり従来の発言を守るという意味で言ったんだ、もうこれ以上つけ加えることはないという意味でノーコメントと言ったんだ、というふうな説明を受けております。
  248. 坂井弘一

    ○坂井委員 それじゃさらに、核が持ち込まれたであろうということを言う立場からお尋ねしたいと思いますけれども、けさほどからの議論の中で、日本領海内、ただいま三海里、領海内に入る場合にはこれは当然事前協議、持ち込む場合には事前協議ということになる。ないから一切持ち込まれてはいない、こういうことであります。アメリカ側はそのように合意をしておるかどうかについて、先ほどの質疑の中ではそれを裏づける確かなる根拠というものはないというように私は理解をいたしております。むしろ、一般的に国際法上、軍艦はある意味では領土の延長であって、寄港地に入ってもその寄港地国の主権はそれには及ばないんだ、こういう解釈を米側はとっているのじゃありませんか。そういうことは断じてない、なければ、その裏づけは、根拠はかくかくしかじかであるということをひとつ明確に示していただきたい。
  249. 松永信雄

    ○松永説明員 いま一般国際法上の問題として問題をお取り上げになりましたが、一般国際法上軍艦につきましては特殊な地位が認められておりまして、いわゆる不可侵権というものがあるわけでございます。したがいまして、入ってきました場合に、沿岸国、接受国側においてその軍艦の不可侵権というのは当然尊重されなければならないという国際法上の原則があるわけでございます。しかし、そのことと、それからただいま問題になっております核兵器の持ち込みについては、事前協議の主題とするという明確な日米間の約束があるわけでございますから、アメリカがその条約上の義務を履行するということは当然のことでありますし、私どもは、アメリカがその義務を履行することについて何ら疑いを持っていないということでございます。
  250. 坂井弘一

    ○坂井委員 通常、核を積載して公海を航行しているアメリカの軍艦が、日本領海内へ入る際に核をおろして入るというようなことは、これはもう常識的には全く考えられぬことでありまして、こういうことについてはラロック氏も、幾つかの例をあげながらそれを具体的に言っているわけでありますが、あくまでもいまのような形で、そういうことは考えられないんだ、一切持ち込んでいないんだということを強く政府が主張されるから、これ以上この問題についてつき合ってみても、しょせん、かみ合わないと思います。  ですから、これは次回に譲るといたしまして、さらに具体的なことでお尋ねをしておきたいと思いますが、横須賀の吾妻倉庫地区及び浦郷倉庫地区、弾薬庫がございますが、これを点検されたことはおありですか。防衛庁、御答弁いただきたい。
  251. 河口甲逸

    ○河口説明員 お答えいたします。  施設庁におきましては、米軍に国有財産をその施設、区域に提供するという業務を行なっております。それで、その国有財産の管理を十分にしなければなりませんので、その管理上の面から、毎年定期的にその国有財産の調査を行なっております。  それからまた、米軍にそういう土地を提供しておりますので、これは地位協定にもございますが、その必要がなくなったときには米軍から返させる、そういうような趣旨の規定もございまして、米軍が実際にどのように使っているか、遊休地はないかどうかというような点も調査のために入っております。それから、米軍が使用しない場合には日本国政府が使えますし、また日本国民も使える形になっておりますので、そういう日本国政府それから住民から共同使用の申請がございますと、実際にそういう場所が使えるのかどうかというような点につきましても調査をいたしております。  そういうように、必要に応じまして随時調査を行なっております。
  252. 坂井弘一

    ○坂井委員 この両地区にどのような弾薬が保管されているか、御承知ですか。
  253. 河口甲逸

    ○河口説明員 われわれが承知しておるところによりますと、小銃弾とか機銃弾、砲弾、そういったものが貯蔵されているというように承知いたしております。
  254. 坂井弘一

    ○坂井委員 吾妻地区は、ここの弾薬庫は写真撮影を外からできますか。そういう状態ですか。
  255. 河口甲逸

    ○河口説明員 普通、米軍の施設の中では、われわれが入る場合、写真はとってくれるなというように一般的には言われておりますけれども、特に吾妻島につきまして写真撮影ができるかどうかについては、現在のところ私承知いたしておりません。
  256. 坂井弘一

    ○坂井委員 私が聞いている意味は、外から写真をとろうとしてとれる状態であるかどうかと、こう聞いているわけです。
  257. 河口甲逸

    ○河口説明員 現地のことについてのお尋ねと思いますが、あいにく私、吾妻島倉庫を実際に見ておりませんので、外から、まわりから写真がとれるかどうかについては申し上げかねます。
  258. 坂井弘一

    ○坂井委員 あなたのほうは防衛庁だ。防衛庁がそういうようなたよりないことを言われたら困るんだよ。教えてあげましょうか。外からとれません、これは。ヘリコプターで上からとればとれる。外からとれないです。  そういうことで、あなたに聞いても全然わかってないですね。わかっていないから、これはこの両地区を一度点検されたらいかがですか。少なくとも、わがほうで自由に点検はできないでしょうが、できないでしょうから、この基地点検をアメリカ側にひとつ申し込まれたらいかがでしょう。どうですか。
  259. 山崎敏夫

    山崎説明員 米軍は基地については管理権を持っておりますので、わがほうが自由に基地点検をするということは、する立場にはございません。
  260. 坂井弘一

    ○坂井委員 できないのはわかっている。できないのはわかっているけれども、ここで具体的なことを言う時間がないから省略しておきますけれども、大改造されたのを知っていますか、この弾薬庫の大改造。知っているか知ってないか、それだけをおっしゃってください。
  261. 河口甲逸

    ○河口説明員 この改造につきまして、局のほうに一応、最近改造があったかどうかということを調べさせたわけでございますけれども、最近におきましては、補修工事程度の工事はやったが、そういう大改造というような改造はやってないという報告を受けております。
  262. 坂井弘一

    ○坂井委員 時間がなくなりましたので、最後に一言、外務大臣にお尋ねしておきますが、国連海洋法会議で十二海里が正式に決定して、国際海峡の自由通航が認められた場合、外務大臣非核原則に抵触すると判断されておりますか。国際海峡の自由航海が認められたとした。場合、非核原則にこれは抵触する、こういう判断に立たれるかどうか。
  263. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまのお尋ね、幾つかの前提がございます。したがいまして、新しい国際法がそこにできるわけですから、新しいレジームの中で——しかも非核原則というのは、いま御承知のとおり領域内における非核ということを守っております。それが、新しいレジームができて、新しいそういう領海の加わった部分についてどうするかということは、たびたびお答えいたしておりますとおり、いまだわれわれとしては検討中でございます。
  264. 坂井弘一

    ○坂井委員 では、あえて伺いません。  最初申し上げましたスミス当時在日米軍基地司令官、このサイミントン委員会における証言記録の中のあのニュークリアワーク、この証言について、先ほど私は問い合わせる意思はないかということをお尋ねしたわけでありますけれども、重ねてこのことについて聞きたい。  やはりニュークリアワークということを明確に証言している以上は、これがはたして核兵器をさすものであるか、あるいはまた核兵器には関係のない他の原子燃料等、そうしたものをさすものであるか、また、ここでいうニュークリアワーク、この核関係の仕事が、その他具体的にたとえば何を意味した仕事であるのか、そういうことについては、わが日本政府としては、ここで証言されたこのニュークリアワークについて、明確にやはり外務当局はこれはつかみたい、真偽を知りたい、ついては、アメリカ政府はこのニュークリアワークについて公式に、これは何を意味するものであるかということをわがほうの判断材料として明確に提示してもらいたいということは、非核原則を順守しようという外務大臣の姿勢からすれば私は当然のことだと思う。そのようなことが問い合わせもできないというような姿勢であるとするならば、これはもうまさに私が前段申し上げましたような、むしろ向こうの手をかりて、アメリカの手をかりて、無理に、国民の疑惑があろうがなかろうが、何でもかんでも核は持ち込まれていないのだ、こういうことでは、国民信頼というものはさらに失われていくということを私は心配しなければならぬという意味で申し上げているのでありますので、私は、アメリカに対して正式にこのニュークリアワークについて見解を求める、当然あってしかるべきと思います。したがって大臣の、そうした私の趣旨を受けて、これはひとつ前向きに御答弁をいただきたい。
  265. 木村俊夫

    木村国務大臣 どうも文脈から申しますと心配はないと思いますが、しかし、念のため問い合わせることにいたします。
  266. 坂井弘一

    ○坂井委員 終わります。
  267. 臼井莊一

    臼井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十四分散会