○坂井
委員 時間がございませんので、私は、いまの
大平大蔵大臣の御
答弁はきわめて前向きに検討するというように理解をいたしまして、その結果を期待してお待ちいたしたいと思います。
なお、念には及ばないかと思いますが、この際、やはり当時この電気事業法が制定されまして議論された際の主たる部分について、これは通産省もよく御認識いただきたいから申し上げておきます。
これは
昭和三十九年六月の九日の商工
委員会でございますが、宮本さん
——当時公益事業局長です。こう答えていますね。「投資をした結果、たとえば何かほかのことをやったためにそちらで穴をあけて、公益事業の基礎をあやうくするということを押えるのが精神でございます」と。それから通産
大臣、福田さんです。ここで
大臣はやはり同じように、「関連会社に投資するというようなことは、いままでもたくさんはやっておりません。そういうことをむやみにやるような電力会社の社長は、経営
能力があまりない者だ」と、こうまで言っていらっしゃる。「しかし、それは全然そういうものを禁止すべきかということになると、私は事情によっては許してもいいものもあるだろうと思いますから、それはやはりいわゆる
運営の面において十分監督いたしてまいりたいと思っております。」これは何もかも関連会社はだめだというんではないということです。これは私はよく理解できます。つまり、電力会社が電気事業を円滑に、公益性が高い、
国民に対して電気を提供せにゃいかぬために、効率的に運用するために電気事業に
関係のある小会社を持つ、これは当然だと思いますね。しかし、ここで言っておるのはまさに
不動産会社、こういうものは、これは断じてならぬ。これは電力会社の
財政の基礎をゆるがす、不健全にするおそれがある。電力会社は電気事業、この事業に専念すべしという立法の精神からいっても、これは当然のことだと思うのですね。ですから、そういう点も再度、これは非常にシビアに踏まえられて、いま政務次官それから
大蔵大臣が御
答弁いただきましたので、ひとつ御検討の上できわめて前向きに、早急に結論をお出しいただきたい。
お願いしておきたいと思います。
なお、この際、時間が参りましたので御参考までにという意味で申し上げておきたいと思いますが、私ここに持ってまいりました。こういうことを言われておるわけですね。これも私、ちょっと勉強しているのです。これは早稲田の大濱信泉さんが「従属会社の独立性とその限界」ということにつきましてこう言っておりますよ。「従属会社は親会社が第三者に対して
負担している義務を回避する手段として、利用されることがある。」ここで第三者を
政府なり通産なり大蔵とこう置きかえますと、これは非常に明確だと思いますね。回避する手段として子会社を持つ、従属会社を持つ、関連会社を持つ、こういうことがあり得る。このことは「新会社の形式上の独立性を楯にして、自己の義務違背に対する責任回避の理由となすことは不当といわなければならない。」これは最も当然なものの
考え方だと思うのですね。これも
一つの学説としてしまいますかどうですか……。
いずれにしても、そうした明確な従属会社、子会社の
一つの独立性という問題と、その独立性という名を理由にして親会社が第三者に負うべき義務、つまり
政府に負うべき義務、それを回避する手段として、いまのような
不動産会社が、まさに電気事業法十二条のしり抜けの形の中で、出資は自由だ、投資は自由だというような形でどんどんと行なわれている。この事実をこそ直視をして、このような
実態はきわめて好ましくないということ。同時に大事なことは、
最初申しましたように、少なくとも国の金が出ておる。
国民の血税であります。そういうことから
考えても、これはひとつ真剣な受けとめ方の中で御検討をいただきたいと思うわけであります。少なくともこういうことが親会社の赤字の
一つの要因をなしていることも事実であります。そのことがいま直ちに電気料金の値上げにどう影響するかということを、私はここで議論するいとまがございません。しかしながら、少なくとも親会社たる電力会社の赤字、あるいは赤字になる危険性をかかえる
状態の中でこのまま放置していいはずはありませんし、それが間接的であれ電気料金にはね返らないということは、これは論法としては言えないと思うのですね。これらが具体的にどういう影響を持つかということについては、なお私のほうで調査検討いたしまして、次の機会に譲りたいと思いますが、本日の
委員会におきましては、そうした事実
関係の問題提起の中でひとつ前向きにお取り組みをいただくということでもって了解いたしまして、質問を終わりたいと思います。