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1974-10-14 第73回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年十月十四日(月曜日)     午後二時三十分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 石原慎太郎君 理事 鯨岡 兵輔君    理事 田中 榮一君 理事 水野  清君    理事 河上 民雄君 理事 堂森 芳夫君    理事 松本 善明君       小坂善太郎君    田中 龍夫君       谷垣 專一君    深谷 隆司君       宮澤 喜一君    石野 久男君       勝間田清一君    高田 富之君       土井たか子君    金子 満広君       大久保直彦君    渡部 一郎君       永末 英一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 木村 俊夫君  委員外出席者         防衛庁長官官房         防衛審議官   伊藤 圭一君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         外務省経済局長 宮崎 弘道君         外務省条約局長 松永 信雄君         外務省国際連合         局長      鈴木 文彦君         外務委員会調査         室長      亀倉 四郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  先般、米国との相互協力及び安全保障条約第六条に基づく地位協定実施状況等調査のため沖繩県委員を派遣いたしました。この際、派遣委員報告を聴取いたします。堂森芳夫君。
  3. 堂森芳夫

    堂森委員 私どもは、日米安全保障条約に基づく地位協定実施状況並びに沖繩国際海洋博覧会準備状況に関する実情調査のため、当委員会より派遣されまして、九月二十四日より三日間の日程で沖繩県視察してまいりました。  派遣されました委員は、有田委員長の外、石井一君、深谷隆司君、河上民雄君、松本善明君、渡部一郎君及び私の七名であります。  まず嘉手納米空軍基地司令部を訪問、嘉手納基地の組織及びOTH通信施設の概要の説明を受けた後、沖繩市字泡瀬に所在する泡瀬通信施設視察、さらに米軍のパイプオイルラインを宜野湾市真志喜付近視察をいたしてまいりました。  視察後、屋良沖繩県知事をはじめ、関係当局より米軍基地に関する問題などについて概括的な説明と要望を受けてまいりました。  次に、沖繩国際海洋博覧会準備状況につき、会場となる本部半島を訪問し、建設状況実情視察をするとともに、それぞれの関係者より進捗状況について説明を聴取してまいりました。  これらの調査内容につきましては、別途報告書を提出いたすことになっておりますので、委員長においてしかるべく取り計らいを願いたいと存ずるものであり ます。  以上、御報告申し上げます。
  4. 有田喜一

    有田委員長 詳細の調査報告書の取り扱いにつきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 有田喜一

    有田委員長 それでは御異議なしと認めます。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  6. 有田喜一

    有田委員長 国際情勢について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野清君。
  7. 水野清

    水野委員 私は、去る九月十日のアメリカ上下両院原子力合同委員会軍事利用小委員会という委員会におけるラロック海軍退役少将証言につきまして、最近新聞などの報道をにぎわしておりますが、いささか御質問を申し上げたいわけであります。時間がございませんので、私のほうも内容を簡単に伺い、簡単に御回答いただきたいと思います。  まず、このラロック発言に関しましてインガソル国務長官代理安川在米大使に対しまして口頭見解を示しております。この説明を見ますと、ラロック発言につきまして非常に間接的な否定であります。内容については新聞その他に出ておりますから、時間を要しますのであえて申し上げませんが、非常に間接的表現でありまして、もっとわれわれは直截簡明に、日本にある米軍基地に核の持ち込みが行なわれていないあるいは通過をしてないというような見解がほしかったのでありますが、その間の事情を外務大臣に伺いたいと思います。
  8. 木村俊夫

    木村国務大臣 御承知のとおり、核の存否に関する問題は米政府にとりまして最高機密事項とされております。そういう意味合いから、私ども立場からすれば、いま水野委員の御発言のとおり希望したいところではございますが、そういう関係インガソル長官のような説明に相なったと思います。
  9. 水野清

    水野委員 アメリカマクマホン法という法律があって、その辺のことは明確に答えがたいということは私も承知をしておりますが、日本政府は、しかしそういう壁を乗り越えて、今回直接的な表現で、ラロック発言における核の持ち込みの問題をアメリカ政府に否定されたいという努力は私はなさるべきであったと思うのでございますが、したのかしないのか、その辺のことを明快に伺いたいと思います。
  10. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまお尋ねの点は、今回のいわゆるラロック発言に関連した場合でなしに、従来もたびあるごとにそういう努力はいたしております。
  11. 水野清

    水野委員 次に、このラロック発言に関しまして、ちょうど私は昨日日曜日、テレビの討論会を見ておりましたが、いろいろな評論家がいろいろな発言をしておりましたが、この中で私どもが一番やはり知りたいと思ったのは、この問題についてはっきりしないという感じがしたのは、日本が御承知のように日米安保条約のもとでアメリカの核の抑止力のもとにある、こういう事実、これに対して、同時に日本は核に関しては特殊な国であって、佐藤内閣以来の非核原則というもとに、特に日本の国の中に核を持ち込まないということを堅持をしている、どうもこの二つのことが矛盾をするのじゃないか。アメリカの核のかさのもとにあれば、やはりある程度核が日本基地に出入りすることのほうが自然じゃないかという印象を、ラロック発言にもありますが、私どもはそういう矛盾感じるわけであります。こういうばく然とした疑問を私は国民の多くの方々が持っていると思うのでありますが、日本政府としてはこの問題を真剣に解明をされる責任があると私は思うのであります。外務大臣、いかがでございましょうか。
  12. 木村俊夫

    木村国務大臣 政府立場といたしましては何ら矛盾感じておりません。わが国非核原則を、国会決議もございますし、守るべきのは当然でございます。まあしかしながら、また同時にわが国がその安全保障基本をわが自衛力の整備、と同時に日米安保条約によるアメリカ核抑止力にたよっております。そういう観点から申しますと、非核原則を守らなければならぬ、したがってその中の核兵器わが国に持ち込ませないということは当然われわれはこれを厳守しておりますし、また米側といえどもそれを厳守しております。したがいまして、われわれはこの核抑止力が、同時にアメリカ核政策と申しますか、核兵器存否を明らかにしないというところにまた核抑止力のメリットもある点から申しまして、この双方の点を矛盾しないという立場でわれわれは受け取っております。
  13. 水野清

    水野委員 いまの外務大臣の御答弁に関してもう一つ別の角度から伺いたいのですが、私は、どうもアメリカの核のかさのもとにあるということと、非核原則というものの中に食い違うようなものを感じるわけでありますが、これが今度は別の議論に今日展開されようとしているわけであります。私は、それだけに政府当局のはっきりした態度というものをここで表現をしていただきたいのでございますが、私のこれから伺いたいのは、アメリカの核のかさのもとにあるということと非核原則との矛盾を利用して、結局日米安保条約は危険な条約であるという国民的なムードにすりかえていこうという、そういう傾向もまたあるわけであります。要するに、アメリカの核のかさのもとにあると危険である、核の攻撃を受ける可能性がある、あるいは核を持ち込まれたりなんかして汚染をする可能性がある、だから日米安保条約そのものが危険なんだという、そういう論理発展をして、さらに御承知のように、日米安保条約廃棄に結びつけていこうというような考え方が散見をしているわけであります。また、そういう論理に展開しようとしている言論界傾向もあろうと私は思うのであります。それだけにこの問題はきわめて明快に、国民にわかりやすく説明していただく必要があろうかと思うのでございますが、重ねて大臣の御見解を承りたいと思います。
  14. 木村俊夫

    木村国務大臣 私ども日米安保条約わが国の安全を保障する重要な基本一つの柱であるということを確信しております。したがいまして、日米安保条約そのものの存廃に対してのいろいろ御批判あるいは御意見等は承りますが、しかしながら、日米安保条約自体を堅持する上においては、当然その中に核抑止力にたよってわが国の安全を守るということは一点疑いをいれないところでございます。したがいまして、日米安保条約を堅持する以上はアメリカ核抑止力にたよらなければならない。またアメリカ核抑止力を有効にならしめるためには、また核の存在についてこれを明らかにしないというアメリカ核最高政策を理解しなければならぬ、こういう考えに立っております。
  15. 水野清

    水野委員 次に、安保条約の問題になってまいりましたので、安保条約に関連しまして、安保条約の二条に日米間の経済協力の問題がここでうたわれていることは、これはもう先刻御承知のことだと思います。このラロック発言の処理をあいまいにいたしますと、先ほども申し上げたことでございますが、核の危険という、そういう問題から発展をしまして安保不要論になり一いまそういう論旨が非常に展開されておりますし、各党の間にはそういう御主張の政党もあるようでありますが、安保条約というものの経済協力の面というのを従来非常に軽視しがちである、言ってみればこの小さな核の通過の問題あるいは核の持ち込み危険性——疑いでありますが、この疑いの問題が逆に日米間の経済関係を切断するようなことにもなりかねないんじゃないかという気がするわけであります。たとえば最近、これは先刻御承知のことと思いますが、石油の問題であるとかあるいは食糧の問題であるとか、いろいろな日米間で非常に緊密な連絡をとらなきゃならないことが多いようでありますけれども、そういう問題まで捨てざるを得なくなる危険性をはらんでいることは御承知だと思います。  そこで、大臣には先般五カ国の蔵相・外相会議にもワシントンで御出席をなすったようでありますし、本日何か午前中にエバリー特使とお会いになって、いろいろ経済問題についてお話しになったようなことを承っておりますが、最近は食糧問題で非常にアメリカ輸出制限をするであろう、対ソ、対中、対アラブ産油国には輸出制限をするのだという記事も出ておりますが、日本に対してはほんとうにだいじょうぶなのか。田中フォード会談では非常に簡単に扱われたようでありますが、その後アメリカ農務省の発表その他から見ると、アメリカの農作物の需給は非常に逼迫をしているようでありますが、はたしてだいじょうぶなのか。あるいは、これは西ドイツあたりが主として言っているようでありますが、インフレ抑制策アメリカが極端な経済政策をとりますと、結局日本や西欧はきわめて極端な不況に襲われて、世界恐慌を来たすのじゃないかというようなことが外国の新聞なんかに伝えられているようでありますが、そういうことを含めて、ひとつエバリー特使との会談の中でどんなお話が行なわれたか、承りたいと思います。
  16. 木村俊夫

    木村国務大臣 いま特に食糧輸入の問題についてお触れになりましたので、その問題に一応限定してお答えしたいと思います。  先般九月二十一日の田中フォード会談及び今回発出されましたフォード大統領の新経済政策、またそれを説明に派遣されましたエバリー通商代表ときょう午前中会談をいたしました。それらの発言の中から出てまいります、貫かれておりますのは、従来のわが国及びECのごとき伝統的な穀物買い入れ国に対しましては何ら不自由をかけない、すなわち輸出制限をしない、こういうようなことをはっきり述べております。特にけさエバリー通商代表との会談の中では、またわが国立場といたしましても、これについてたとえばラッシュ輸入と申しますか、買い付けを急ぐとかそういうようなことでなしに、いわばオーダリー買い付けをすることを考えておるということも私のほうからも申しましたし、またアメリカとしてこの穀物輸出については、いま申し上げましたとおり、わが国に対しては特別の制限は一切いたさないということをはっきり申しておりました。
  17. 水野清

    水野委員 重ねて伺いますけれども、特別な制限をしない、これは新聞記事でございますが、毎日五万トンをこえるものはこれは農務省報告をとるというようなことをこの間書いてありました。そういうこともしない、こういうことでございますか。
  18. 木村俊夫

    木村国務大臣 御承知のとおり、自主的な監視制度はとろう、承認制をですね、これはやっておりますが、しかしながら、それは目に余るようなラッシュ的な買い付けをした場合に発動されるべきで、先ほど申しましたように、オーダリー買い付けをするわが国にはそういうものは当然適用されない、こうお考えになっていただいてけっこうだと思います。
  19. 水野清

    水野委員 時間がありませんので次の問題に移りますが、けさ日本新聞の朝刊でニューヨーク・タイムズが、日本アメリカの間に核を搭載した艦艇航空機通過を認めるという、何か秘密協定がすでに三年前からあるのだ、沖繩返還以来あるのだということを伝えております。これは非常にセンセーショナルな問題であります、ほんとうならば。ひとつこのことについて、事実があるかないかということをお答えいただきたいと思います。
  20. 木村俊夫

    木村国務大臣 この種の記事が三年前にも一度出たことがございます。その当時政府が明確に否定いたしましたとおり、文書にせよ口頭にしろそういうような秘密協定は一切ございません。
  21. 水野清

    水野委員 次に、これは外務大臣からでなくてもけっこうでございますが、話題をもとに戻しまして、ラロック発言について二、三伺いたいのでございますが、先ほど申し上げた原子力合同委員会軍事利用分科会において、ラロック退役少将が、一個人としての立場ではあるがという前提証言を行なっておりますが、どういう証言の形式であったかということをまず伺いたいのであります。といいますのは、いわゆるアメリカの議会では証人として喚問をして宣誓をしてやれば、これは、もしうそを言えば偽証罪にもなるわけでありますから、どういう立場で、またどういう委員会の開催の趣旨であったかということも含めて御説明をいただきたい。
  22. 木村俊夫

    木村国務大臣 いわゆる証言と伝えられておりますが、聞くところによりますと、これは明らかに宣誓をせずして発言をする、いわばステートメントと申しますか、単なる発言であるということが明らかでございます。またその委員会性格は、私、つまびらかにいたしませんけれども、むしろアメリカにおける核の安全管理という面が重点であったようにいわれております。
  23. 水野清

    水野委員 このラロック発言の中で、日本新聞その他で一番問題になっているのは、核兵器を搭載する能力のある飛行機や艦船は必ず核兵器を搭載しているというような内容発言でありますが、これは大臣その他に承っても、大臣その他がラロックさん御本人じゃないわけでありますから、どうしてこんなことを言ったんだと聞いても意味のないことだと思うのでありますが、この証言の詳細が外務省にも来ていると思うのであります。その中で、何を根拠にこういうことを言ったのかということがわかったら解明をしていただきたいと思います。
  24. 山崎敏夫

    山崎説明員 お答え申し上げます。  ラロック提督は、御承知のとおり海軍に長く勤務した人でありまして、その自分経験に基づいて言ったということでございます。
  25. 水野清

    水野委員 そうすると、一般論として発言した、こういうふうにとってもいいわけですか、アメリカ局長
  26. 山崎敏夫

    山崎説明員 そのとおりでございまして、彼の自分海軍の経歴からして、その経験に基づいて一般論として言ったわけでございます。ちなみにラロック提督は、その旗艦艦長としては日本に来たことはないようでございます。
  27. 水野清

    水野委員 そこが少し問題があるのですが、ラロック提督海軍退役少将は個人として発言をしているのであるが、新聞などの報道によりますと、この人は第七艦隊所属プロビデンス号艦長をやっていたわけです。ラロック提督発言というのは、私はそういう意味では、日本に来たことがない、一般論だというふうに片づけていいのかどうか疑問に思うのですが、これはいかがですか。
  28. 山崎敏夫

    山崎説明員 ラロック提督は、一九六四年十月から一九六五年十月まで、御案内のとおり巡洋艦プロビデンス艦長でございました。しかるに、プロビデンスは一九六四年の七月、その前に第七艦隊旗艦としての任務を解除され、その任務はいわゆるオクラホマシティーに引き継がれております。そして、ラロック提督プロビデンス艦長であった期間東太平洋方面で活動しておったようでありまして、したがいまして、ラロック提督プロビデンス艦長であった期間プロビデンスが第七艦隊に所属しておった事実はございません。
  29. 水野清

    水野委員 そこで、このラロック発言の中で、御承知の、核を搭載する能力のある艦船航空機は必ず搭載をしている、核を載せているという感じ発言をしておりますけれども日米安保条約では事前協議というものがあるから安心だというお立場ですが、一歩進んで、相手艦船航空機の検査はできないかもしれませんが、やはり日本に寄港する際には一々、どうですか、まさか載せてはいないでしょうなという確認をとる。少なくとも、いまのラロック発言後のいろいろな新聞報道については、御承知のように保守系の方と思われる神奈川県の知事さんであるとか、あるいは横須賀の市長さんであるとか、こういう方々まで非常に問題をおそれております。私は、暫定的にでもけっこうですから、当分の間、アメリカ側にそういうことを聞かれる必要があると思うのです。そしてアメリカ側からどういう回答が出てくるか、それを公表していかれる。もちろん核のあるなしということは、先ほどのマクマホン法ですか、アメリカ原子力法に抵触をするということがありますが、何らかの方法でそういう手を打って、国民の、核は無断通過しているとか、無断で持ち込まれて持ち去られているというような疑惑を解明される努力をなさる必要があろうと思うのでありますが、外務大臣、いかがでございますか。
  30. 木村俊夫

    木村国務大臣 もとより政府立場としましては、国民の不信を除くためにあらゆる手だてをとることは当然でございますが、しかしながら、こういう日米安保条約に限らず、お互いの国際的な取りきめ、条約というものは、お互い信頼関係がなければこれは維持できるものではございません。そういう意味において、個々の入港する艦艇について、一々核の存否を確かめるということは、日米間の信頼関係に基づく日米安保条約の本旨にも決して適合するものではなし、またそういうようなことをわれわれが、政府がいたしますことは、むしろかえって核を搭載しておる艦があることを前提とするような疑いもなきにしもないということから、私どもはそういう措置をとる考えはございません。
  31. 水野清

    水野委員 そこでもう一つ、これは伺いたいことであり、お願いをしたいことでありますが、来月フォード大統領が来日されます。また、なかなか来日されるためのいろいろな問題が残っているというふうにも聞いておりますが、まずされると思います。その際に、この問題は、私は、田中総理フォード大統領との間に、やはりトップの間で再確認をしておかれる必要があろうと思うのです。核の問題については、日本という国はアメリカやヨーロッパその他の国とはちょっと性格が違うのであるということをよくお話しになって、日本に寄港する艦船航空機について、これはほかの米華条約であるとか米比条約であるとか、いろいろな条約がありますが、そういう相手の国とは違うんだ、だからこそひとつ日米間の将来をわれわれ考えれば、この辺を解明をしておいて話を進めようじゃないかという御提案をなすっていただければ、非常に前進的な解決ができると私は思うのでありますが、外務大臣、いかがでございましょうか。
  32. 木村俊夫

    木村国務大臣 来たるべき田中総理フォード大統領との会談、またそれと並行して私とキッシンジャー国務長官との会談もありますが、そういう機会に、こういう問題も含めて、日米間が大局的に、今後日米安保体制を基軸としてどういうような友好関係を増進すべきかということについては話し合いたいと思っています。
  33. 水野清

    水野委員 時間があまりありませんので、最後にこれはお願いをしたいわけでありますが、御承知のように、日本における核という問題は、日本世界における最初の被爆国でありますから、日本国民、あるいはわれわれも国会において非核原則決議をしております。これはなかなかゆるがせにできない重大な問題であります。ただ、先ほど私の質問の中でも申し上げましたように、今度、非常にまぎらわしいラロック発言というものが出てまいりました。日米安保条約というもの自体に疑問を投げかけるような傾向も生まれております。しかし、日米関係というのは、何か日米安保条約軍事面だけが非常に強調されておりますけれども、私は総合的に日米経済関係——承知のように、日本の輸入する食糧の、たとえば小麦でも大豆でもトウモロコシにしましても、ほとんど七、八〇%がアメリカ依存をしております。日本の商品の輸出先の四割近くをアメリカ依存をしており、また原材料も四割近くをアメリカ依存をしておる。こういう日米経済関係というものをここでこじらせますと、たとえばアメリカワシントンやニューヨークにいて日本新聞を見ますと、日本では何か反米一色になったような感じがするわけであります。フォード大統領来日反対なんという声も二、三の政党から生まれようとしているようでありますけれども、それを向こうで見ますと、まあアメリカ当局者あるいは上部の政治家はさほど驚かないと思いますが、アメリカの大衆というのは比較的単純な人たちでありまして——単純というと、アメリカ国民に失礼かもしれませんが、非常にものを簡単に割り切って見る国民であります。ですから、そんな日本なら、食糧をくれといっても売らなくたっていいじゃないか。現にアメリカは、石油問題にからんで食糧輸出をしないぞといって、アラブ産油国をおどかしている傾向もあるわけです。食糧をいわゆる政治的な手段に利用しているのじゃないかと思われる節もあるわけであります。私は、そういう意味において日米関係をひとつ総合的に見守って、手落ちのないような推進をしていただきたい、こういうことをお願いをしまして、外務大臣に対する質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  34. 有田喜一

  35. 堂森芳夫

    堂森委員 まず外務大臣お尋ねをいたすのでありますが、ラロックという人が去る九月の十日にアメリカ原子力合同委員会軍事利用分科会サイミントン委員会でありますが、そこで証言をいたしました。そして十月の六日にこれが公表されました。そして大きなセンセーションを、これは日本だけではない、やはり世界的に起こしておる、こういって過言ではない、特にわれわれ日本国民は、これに対して大きな関心を持っておるのであります。  時間がありませんから、この証言内容を一々私がここで申し上げなくとも、大臣はよく御承知だと思うのであります。個条的に言いますと、世界各国アメリカは核を配備しておるということを言っております。それから、このように核を世界各国に配備していることはきわめて不安、危険なことであると考える、こう言っております。それからまた、核を載せ得る能力を持った艦船あるいは航空機等は、ほとんど核兵器を積んでおるのだ。それから、外国の港に寄港する場合には、ちゃんと核兵器を積んだまま入っておる。これはラロックという人がプロビデンス号艦長であった、こういう立場だった人でもありますから、自分経験上そうであった。それから、日本の港に入るときもそうであった、こういうふうな意味発言をしております。それからまた、多くの予知しないような事故がかなりあったということも経験しておるということも言っております。とにかく、アメリカの核の戦略体制というものに多くの危険な問題点があるということを証言しておる、こう思うのであります。  そこで、このラロック証言というものをわが外務省政府はどういうふうに判断をしていらっしゃるのか、まずその点から伺っておきたい、こう思います。
  36. 木村俊夫

    木村国務大臣 元海軍軍人であったラロック退役少将発言でございます。それが雑誌等に対するインタビューでなしに、米議会で、宣誓はいたしませんでしたが、そういう証言をいたしております。それについての重みはわれわれも感じております。しかしながら、先ほど来からいろいろ御答弁の中で申し上げましたとおり、もうすでに米政府の公式見解として、これについてのステートメントがインガソル長官から出されておりますので、われわれはこの米政府の公式見解を受けて、できるだけすみやかに国民の不信を解いていきたい、こう考えております。
  37. 堂森芳夫

    堂森委員 ラロック氏の証言が公表されて、直ちに政府は駐米大使の安川氏に訓令を発しておられると思うのです。そしてこの証言内容について、事実調査をしろという意味の訓令が当然なされておると思うのでありますが、どのような訓令を安川大使になされたのであるか、これも承っておきたい、こう思います。
  38. 木村俊夫

    木村国務大臣 当然まず第一に安川大使に訓令いたしましたのは、かかる証言が米議会でなされた事実をまず確かめること、第二に、もしその発言がそのようになされた場合に、米政府のこれに対する立場について、安川大使を通じて問い合わせたということでございます。
  39. 堂森芳夫

    堂森委員 そうしますと、新聞に公表されて、十二日にアメリカ政府から覚え書きの形式であなたのほうに返答といいますか回答が来ていると思うのでありますが、率直に申しまして六日間かかっておるのであります。韓国へ椎名副総裁が特使として行かれたときのあのいきさつ、新聞報道されております。おそらく私は、そのような虚々実々のいろいろな交渉があったと思うのであります。あなたは記者会見で、アメリカ政府の労を多とするというような意味の、アメリカ日本国民の疑惑を解くような最大限の努力をしておるという意味発言もしておられる。ことばは違いますが、そういう意味だと思うのです。そこで、あのようなアメリカ政府の回答というものが日本国民に、核は持ち込まれていないんだという、そうした気持ちを与えるような内容であるとあなたは考えておられますか、いかがでございますか。これも承っておきたいと思います。
  40. 木村俊夫

    木村国務大臣 その間に六日間あったというお話でございますが、当然米政府は国務省と国防省との間にいろいろ話し合いも行なわれたでありましょうし、またいままでのこの問題についての日米両国政府の話し合いと申しますか、そういうものはすべて、たとえば沖繩返還の場合とか両国政府考えまして必要な場合に発出された声明であり、誓約であり、書簡であったと思います。今回は、元軍人ではありますけれども一私人の民間研究所長のことばに対して、米政府がこれに公式見解を出すということについては、私どもの推測では多少アメリカ側の抵抗があったと思います。しかもなお、国民のこれらに対する不信を解くために、私ども米政府にいろいろ希望を申し出まして、米政府はこれについて、一私人の発言に対してではありますけれども最大限の回答をしてくれた、私どもといたしましてはこういうふうに受け取っております。
  41. 堂森芳夫

    堂森委員 戦後、憲法上日本核兵器は置ける、置いてもいいんだ、こういう発言をかつて岸総理がいたしました。その後、これは政策上はしないが理論的にはできる、こういうふうに変えられました。それからまた、私いまでも覚えておるんですが、自衛隊が発足した当時鳩山総理が、アメリカ核兵器日本に置くことはやむを得ぬだろう、こういう発言をされて大問題になりました。これは国会での発言じゃないんです。外国記者団との会見の席上で鳩山さんが言われたんです。その後これが国会で問題になって、たしか予算委員会であったと思うのですが、これを取り消されるような事態もあったのであります。その後、六〇年安保のあの改定の国会等において、岸総理とアイゼンハワーとの共同声明、あるいはその後の沖繩返還のときの佐藤・ニクソン共同声明、あるいは福田外務大臣へのロジャーズ国務長官からの書簡等において、事前協議がいろいろと重要なもので、この事前協議の制度によって日本に核の入ってくることをチェックする、これが歯どめ役になる、こういう説明国会で公式の席で絶えずなされてきたのであります。  そこで、当時安保国会の一番大きな題目の一つ、中心課題であったのは、やっぱり核の装備の問題、それから事前協議の問題等について、野党の議員、特にわれわれの同僚の党の委員諸君からいろんな重要な発言がされてきました。たとえば事前協議で核装備についての申し入れがあったときにはどうする。すると藤山外務大臣は、そのときはノーと言います、本来事前協議というのはイエスもノーもある、しかし核装備についてはノーと言っていくのだ、こう言っておられます。いろいろいきさつはありました。しかし査察をする権利は日本側にあるのか。たしか横路節雄君であったかと思うのであります。それはないのだ、こう総理大臣は答えておられる。まあアメリカ側の態度に信頼してアメリカ政府を信用していくのだ、こういう答弁であったと思うのでありますが、今度のラロック氏の証言というものを契機として、ある意味では事前協議の制度というものがほんとうに空洞化したものだということがやっぱりあらわれてきた一つの大きな問題点だ、こういうふうに私は考えるのであります。  今度のラロック証言に起因して日本政府からいろいろ安川大使に訓令をされ、アメリカ政府と交渉をされ、そしてアメリカ政府のああいうような十二日の返答になった。あの返答は直接アメリカ核兵器日本に入ってないのだということを何も証明していないと思うのであります。ただ、従来こういうふうにこういうふうにというような、私がさっき申しましたようなことを順序を変えて羅列しておるだけで、入ってないのだ、こういうことは全然言ってない。しかも、ラロック氏の一私人の証言であると、アメリカの権威ある国会委員会証言したことをあたかも信用できない——そうは書いておりませんが、そういうふうな表現が使われておる。これに対して外務大臣はどういうふうにお考えでありますか、もう一ぺん伺っておきたい、こう思います。
  42. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどもお答えしましたが、核兵器存否米政府といたしましては最高の機密としてそれを明らかにしない、こういうたてまえをとっておることは御承知のとおりでございます。したがって、米議会の証言といえどもラロック氏はいまや一私人でございますから、それについての立場は、インガソル長官からの回答にございますように、米政府を何ら代表するものではないということを明確に言っておるわけでございます。
  43. 堂森芳夫

    堂森委員 それではことばをかえてお尋ねいたしますが、マクマホン法原子力法であなたがいまおっしゃったように、どこに核兵器があるのかということは言えないのだ、こういうふうにおっしゃいました。またアメリカ核政策からいってもそれは言えないのだ、こういう意味だと思うのでありますが、それじゃ核の問題についての事前協議というものは成り立つでしょうか。言えないのでしょう。発表できない。じゃ、日本核兵器を持って入ろうとアメリカがしても、それは言えないのだから言わぬのだ、こういうことになるのじゃないでしょうか。いかがでございましょうか。
  44. 木村俊夫

    木村国務大臣 この問題についてわが政府から米政府に問い合わせたことがございます。その答え、私は何年だかちょっと忘れましたけれども、あとで資料を出します。  正当な権限を持った行政府の官吏あるいはその他が、この問題について、たとえば事前協議の際に、この問題に触れることを排除する何らのアメリカにおける国内法はない、こういう回答をいただいております。
  45. 堂森芳夫

    堂森委員 外務大臣、そんな答弁じゃおかしいと思うのですよ。原子力法があって、核の配置等を発表することはできないんだ。そして安保改定当時から、事前協議の対象になる主として重大な問題は核装備のことである、これは政府は一貫して説明してこられた。これが歯どめになるんだ、こうおっしゃっている。しかし原子力法で発表できないというものを日本政府には言うんでございますか。いままで一ぺんもないですから、それは言ったということはないことでしょうが……。
  46. 木村俊夫

    木村国務大臣 マクマホンのたてまえ、またそれにとどまらず、アメリカ核兵器に関する最高機密を守るという政策、これによりますと、最終的には大統領というものの権限、専管であるということになっております。したがいまして、大統領が何らかのみずからの権限を行政官吏に委任した場合、あるいはみずから共同声明その他において、あるいは大統領措置によってそれに触れるときには、これはその例外であるということを聞いております。
  47. 堂森芳夫

    堂森委員 すると、外務大臣は、核装備についての事前協議が一回もなかったことは日本に持ち込まれなかった証拠だ、こういう御答弁ですね、あなたのおっしゃるのは。  きょうも、さっき水野委員が言っておられましたが、何かトランシットアグリーメントですか、核兵器日本の国土を通過することは認めるんだという秘密協定がある。また、あることはもう前からわかっておるんだ。きょうもいろいろ記録を調べてみますと、四十六年にすでに一ぺんニューヨーク・タイムズがそういう報道をしております。そうすると、これは日本政府アメリカ政府も、もちろん秘密協定があるとするならば、当然政府が知っておるのであります。今度もまたそういう報道がきょうの新聞を見るとなされておると、私はそう疑わざるを得ない、いろんな情報を見ておるとそう思うのでありますが、あなたは核が日本に持ち込まれることはないから事前協議が議題にならなかった、こういう御答弁のようでありますが、私はそれはそんなこと信用するわけにはいかぬという主張を持たざるを得ないのであります。  防衛庁の人おりますね。——ラロックさんの証言を見ておりますと、また、いまソ連邦に旅行しておるようであります。向こうで記者団といろいろとおしゃべりをして、その内容が毎日のように報道されてくる、こういうことがございます。そしてラロックという人は、核を積んだ艦船あるいは航空機というものの積みかえということは危険なことなんだ、だからしないのが普通なんだ、こう言っておるのですが、あなたは防衛庁の立場からどうお考えですか。
  48. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 御説明申し上げます。  この核兵器の積みかえの問題につきましては、すでに昭和三十九年に国会で問題になったことがございまして、当時の海原防衛局長から御説明いたしております。  このときに問題になりましたのは、核弾頭でありますサブロックをはずすことができるのかどうかということが議論になっております。その際、アメリカで公表いたしましたサブロックという核爆雷は、長さが六メートルのものであって、千八百キログラムのものであるということが説明されております。この程度のものであるならば、補給艦から、それに装備しあるいは装備してあるものを補給艦に移すということは、波がそう荒れてないようなときには可能でございますということを、当時の海原局長から御説明いたしております。  なおその際に、ポラリスという一万三千六百キロの、これは核弾頭のSLBMでございますが、このポラリスも全部潜水母艦から積み込んでおりますというのを例にあげまして、二トン以下のものを補給艦に移し、補給艦から積み込むということは技術的に不可能なことではございませんと、そういうふうに説明いたしております。その後この考え方というものを変えるような情報というものは私どもにはございません。したがいまして、技術的には不可能ではないというふうに判断をいたしております。
  49. 堂森芳夫

    堂森委員 時間がありませんからこれ以上聞きませんが、不可能でないということは、やっておるということじゃないのでしょう。同じですか。不可能でないからやっておるということにはならぬでしょう。どうなんです。あなたは防衛庁の方として責任ある立場にあるのですから、日本に入る場合はそうしておるというふうな情報を持っておるのですか持ってないのですか。そんな逃げ口上のような答弁では……。
  50. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 御説明申し上げます。  日本に入ってくるときには、安保条約によって、核兵器を持ち込む際には事前協議ということがはっきりいたしております。したがいまして、技術的に不可能ではないということは、日本に入ってくるときには核兵器を搭載していないというふうに判断をいたしております。
  51. 堂森芳夫

    堂森委員 私は、非核原則の問題と今度のラロック証言によって出てきた問題等をいろいろ聞きたいと思っておったのですが、時間がありません。同僚の委員があと二人おやりになりますからお譲りしますが、私は、もう二、三分ですから、外務委員長に要望しておきます。  アメリカ大統領が、来月ですか、来るといわれております。この問題が片づかぬ限り私たちは呼ぶべきでないということを、この委員会を通じてあなたに申し入れておきます。  それから、委員長に申し上げます。これは善処してもらいたい。  近くまた外務委員会を開いてもらいます。あるいは他の委員会との合同委員会でもけっこうですが、いわばわが国の防衛、外交上の重大問題について大きな問題が提起されて、国民が非常に不安の状況にあるのです。幾ら外務大臣が、アメリカのああした回答は国民に安心感を与えたというふうに思っておられるとしても、国民はそうでないと私は思うのです。したがって、もっと国会でこの問題を、外務大臣だけでなしに、田中総理に出てもらいまして、そうしてわれわれはもっと時間をかけた委員会をやってもらうように、理事会でも要求しておきましたが、今後そういう努力をしてもらいますようにあなたに申し入れまして、私の質問を終わります。
  52. 有田喜一

  53. 河上民雄

    河上委員 いま堂森委員からお尋ねをいたしましたラロック証言について、時間も限られておりますので、問題を二つ三つにしぼってお尋ねをしたいと思います。  初めに大臣に伺いたいと思うのですけれども、一体ラロック証言に関する米政府日本政府に対する回答について、政府ほんとうに満足しておられるのですか、いかがでございましょうか。
  54. 木村俊夫

    木村国務大臣 私は、米政府の核に対する最高政策からその限度内における最大限のことをしてくれたと、こう考えております。
  55. 河上民雄

    河上委員 今度のラロック証言によって生じた波紋というのは、アメリカ政府日本政府の間のいわゆる信頼関係一つの影を投げたということと、もう一つは、日本政府日本国民説明してきたことと事実が違うんじゃないかという不信感、疑惑というものを引き起こした、こういう二重の不信という問題を引き起こしたはずなんです。  もし日米両国政府間にこれで一応最大限納得したといたしましても、今度は日本政府日本国民の間の疑惑というものはまだ取り残されたまま残っているわけです。それの証拠に、先日も横須賀、佐世保、沖繩、岩国など基地のあるところの住民の方々、あるいは特に従来政府の言うことを信じて政府の政策に協力してきたと思われる人たちが、だまされた、こう言っているところから見ましても、これが投げた波紋というのは非常に大きいといわなきゃならぬと思うのです。  今回の回答は、いろいろ書いてありますけれどもアメリカ政府日本政府の間のいままでの約束を確認した項については、日本政府としては一応それで了承したかもしれませんが、ラロック証言については、証人の資格を云々しているだけであって、証人が行なった証言内容については肯定も否定もしないという態度で貫かれておる。そうなりますと、日本国民の間に生じました重大な疑惑というものはいまだに残されておると思うのです。そこで、日本政府としては、これを機会にもっと真実を追及するという態度が必要ではないか。アメリカ政府はこう言ったからこうなんだということでは、もうみんな不信感を持ち始めているわけですから、実際に核がないんだということを日本政府立場から明らかにする努力をすべきだと思うのですけれども、どうも核の有無を調べることに積極的であったというふうにうかがえないのだが、政府は一体どういう努力をされたのか。
  56. 木村俊夫

    木村国務大臣 この問題について両政府間の不信は一切ございません。  ただ、残りましたのは、日本政府がこの問題からいろいろ出てまいります国民の間のこれについての不信というものをいかにして解くかという、日本政府の責任でございます。しかしながら、日米安保体制そのものを否定される方々国民の一部の方々は別といたしまして、日米安保条約がどうしてもわが国安全保障上必要である、したがってこれに基づく核抑止力にたよらなければならぬ、また核抑止力のよって生ずるところは、米政府核兵器存否を明らかにしないという最高政策であるということからかんがみまして、いろいろ問題はございますが、私どものほうではこの米政府の回答によりまして、これからできるだけ最大限の理解を国民に求めるのみでございます。
  57. 河上民雄

    河上委員 先ほど大臣は、核の問題、核のあるなしについては、アメリカマクマホン法によってなかなか明らかにできないという壁があるのだ、ただ、これは大統領の専管事項であって、大統領の判断によって明らかにする場合もある、こういうような意味の解釈を述べられたと思うのであります。事実、いつでしたか、マクナマラ氏が国防長官であったころに、大統領の許可を得て、年次報告の中にはヨーロッパにおける核の所在についてかなり報告をしている例もございます。数まで言っているわけですね。そういう点から見まして、官僚機構のワク内で問い合わせをしたのではわからないことも、もっと最高首脳でトップレベルでぶつかればその壁が破れるのじゃないか、こういうことは十分に推測できるし、いま先ほど来いろいろお話がありましたように、核の問題について日本国民が持っておる一つの不安、一つの批判というものを背にして、総理みずからこの問題について当たるという覚悟はないかどうか。ラロック氏がこの前モスクワへ行かれたときに、これは読売新聞の十月九日号でありますか、「日本政府がもし知ろうとすれば知り得たはずだ。もし日本政府が疑うなら、フォード大統領に公式にただしたらよいのではないか」、こういうふうに言っているのです。総理大臣がみずからフォード大統領に問いただす、そういうお考えはないか、あるいは外務大臣として田中首相にそういう助言をするつもりはないか、伺いたいと思います。
  58. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどあげられましたマクナマラ前国防長官、これはヨーロッパに七千発の戦術核兵器がある、こういうように言明しております。ヨーロッパにということばで、一般的に各国ごとの核の所在については一切触れておりません。また、いま御指摘のように、この問題は先ほどから繰り返して申し上げますとおり、日米両国の信頼に基づく関係でございます。したがいまして、十一月十八日以降に行なわれますフォード大統領田中総理との会談の中で、これについて直接触れるようなことを私が田中総理に助言をする意向は全くございません。
  59. 河上民雄

    河上委員 先ほど木村外相は、必ずしも核の所在について明らかにしないわけではないという言質を、自分はかつて時期は忘れたけれども得たということを言われたのですけれども、たった数分前ですけれども、それは一体どういうことなんですか。
  60. 木村俊夫

    木村国務大臣 私が水野議員に申しましたのは、日米安保条約のこれからの友好関係も含めて大局的な話し合いをする、こう申し上げましたので、核の存否についてそういう会談で触れるということは申したわけではございません。
  61. 河上民雄

    河上委員 それでは木村外務大臣は、ラロック氏の核の問題についての信憑性というのですか事実については、これを否定されたわけですか。ラロック氏が言っているように、核を搭載可能の艦船については当然核を搭載しておる、そして搭載したまま寄港する、その点については日本を含めてそうであるというこのラロック証言を否定されるおつもりですか。
  62. 木村俊夫

    木村国務大臣 私は一般的な否定はしておりません。少なくともわが国に入ってくる艦艇には核兵器は搭載してないということを言ったわけです。
  63. 河上民雄

    河上委員 実はいま手にしたばかりのきょうの夕刊でございますけれども、それによりますと、ワシントン・ポスト記者が横須賀に寄港している空母ミッドウェーの乗員に、これは複数でありますけれども確認したところによると、ミッドウェーには核がある、こういう記事が出ておりました。海兵隊員が二十四時間警備をしているとか、あるいはこの核兵器はほぼ一年前に同艦が新しい母港である横須賀に向けてカリフォルニアを出発する際に積み込まれ、この二月には、フィリピンで厳重な警護のもとに核弾頭が積み足されたとも言っているというような記事ワシントン・ポストに十四日付で報道されたという、そういう報道が打ち返されて、日本新聞のきょうの夕刊に出ておるということをいまちょっと聞いたのでありますが、こういうような事実に対しまして、日本政府は一体どういうふうにお考えになりますか。国民の疑惑というものがさらに深まってくるこの中で、あの公式見解で満足しておられるのかどうか。この報道についての政府見解並びにこれによって起こされる波紋に対して、政府としてはさらにどういう努力をされようとするのか、ここで伺いたいと思うのです。
  64. 木村俊夫

    木村国務大臣 私はまだその報道を知っておりませんけれども、私どもは、政府といたしましては、米政府の公式見解を信用しております。
  65. 河上民雄

    河上委員 先ほどから政府は、ラロック氏の証言は私人の見解であるというようなことで、政府見解を重んずるようなことを言っておられますけれども新聞ワシントン・ポストでありますけれども、この新聞記事が、かつてニクソン大統領を辞任に追い詰めた記事も載っておったところでございますから、これをもって一般の新聞だから、アメリカ政府のは信用できる、こういうことでは済まないのじゃないですか。これは私もいま手にしたばかりですので、まだ原文なども十分読んでおりませんが、これは非常に重大な問題ですから、今後この委員会あるいは他の委員会において当然追及される問題だと思います。  次に、私はこれはちょっと留保さしていただきますが、いずれにせよ、ラロック証言の持っておる重みというものに対して、政府米政府見解が出た以上これで決着がついたというふうに考えてはたいへんなことになる、そのことを私は強く申し上げたいと思うのです。  もう時間があまりございませんので、最後に、先般、ごく最近、核の通過について秘密協定があるんだというニューヨーク・タイムズの記事につきまして、これに触れて事前協議制の問題についてお尋ねしておきたいと思います。  事前協議制の対象になるものは一体何であるか、この点につきましてもう一度ここで私は確認しておく必要があろうと思います。昭和四十三年の四月の外務省が発表したところによりますと、「日米安保条約上の事前協議について」   日本政府は、次のような場合に日米安保条約上の事前協議が行なわれるものと了解してい  る。  一 「配置における重要な変更」の場合陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は一機動部隊程度の配置  二 「装備における重要な変更」の場合核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設  三 わが国から行なわれる戦闘作戦行動(条約第五条に基づいて行なわれるものを除く。)のための基地としての日本国内の施設・区域の使用 こうなっておりますね。これはもちろんあらためて確認する必要がないと思うのでありますけれども、今回のニューヨーク・タイムズの報道によりますと、核の通過に関して日本政府アメリカ政府の間にこれを認める密約があるという報道ですが、日本政府はこれに対してどういう見解をお持ちですか。
  66. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、そういうことについての密約等は口頭にしろ文書にしろ一切ございません。
  67. 河上民雄

    河上委員 この報道によりますと、通過事前協議の対象外であるということになっておりますけれども通過事前協議の対象であるということを日本政府確認されるわけですね。
  68. 木村俊夫

    木村国務大臣 そのとおりでございます。
  69. 河上民雄

    河上委員 だいぶ古いものになるのでありますが、外務省の出身者だと思いますけれども、上村伸一という人が書かれました「相互協力安全保障条約の解説」というのがございます。これは別に特別なものではありませんけれども、「なお、前項において、米国の軍艦が日本の領海を無害通航することについては事前協議の問題が生じないことに触れたが、その軍艦がかりに核装備をしている場合にも同様であろうか。」   〔委員長退席、水野委員長代理着席〕 こういう設問をいたしまして、「この問題は、本来無害通航というものが一般国際法上の問題であり、無害通航としての要件を備えていれば、すなわち、純然たる通過であり、遊よくしたり停泊したりするのでなければ、他の外国の一般艦船と同様に取り扱われる問題であり、この事前協議の問題とはなりえないと考えられる。しかし、核装備した軍艦が、巡回等の目的をもって領海に出入したり、遊よくしたりする場合は、無害通航の権利を主張することができないのはいうまでもないことであり、そのような場合は事前協議の対象となるわけである。」こういうようなことを言っております。  いま秘密協定があると報道をせられましたのは、まさに通過の問題ですけれども、ここで非常に微妙な形で取り扱われている問題だと思うのです。こういう解釈が、これは別に政府の解釈でないかもしれませんけれども、このように広く一般に市販されておる。これはだいぶ前の本でありますけれども、そういうような考え方というものが背後にあるからこそ、こういう通過に関しては事前協議の対象外であるという密約があるのだという今回の報道となってあらわれたのではないかと思うのです。四十六年、四十九年と二回にわたって同じような趣旨が繰り返されているわけですが、政府はこれを否定せられておりますけれども条約局長に伺いたいのでありますが、ここに述べられております上村伸一氏の解説にある「すなわち、純然たる通過であり、遊よくしたり停泊したりするのでなければ、他の外国の一般艦船と同様に取り扱われる問題であり、この事前協議の問題とはなりえないと考えられる。」というこの解釈に当たる部分が、今度は密約として報道せられたものであるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。   〔水野委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 松永信雄

    ○松永説明員 ただいま御指摘になりました点は、いわゆる一般国際法上の無害通航との関連においてものを考えたものだろうと思いますが、先ほど大臣が申されましたように、安全保障条約上の事前協議の対象となります装備における重大な変更と申します場合には、単に日本に配置されたアメリカの軍隊ということだけではなくて、通過の軍隊を含むということが従来からの政府の一貫した解釈でございます。
  71. 河上民雄

    河上委員 もう一度ちょっと伺いますが、ここで問題を出しておりますのは、一般の米国軍艦が日本の領海を無害通航することについては事前協議の対象にならない。しかし、これが核武装している場合はどうかということなんですけれども、核武装している場合は、やはり事前協議の対象になるというふうに条約局長はお考えですか。
  72. 松永信雄

    ○松永説明員 そのとおりでございます。
  73. 河上民雄

    河上委員 三木外相が四十三年に、無害通航であっても核武装している艦艇通過は認めたくないという決意を表明されておるわけですが、それは一つの政策でございますけれども、いま条約局長が言われましたように、条約上そういうことはあり得ないのだ、政策としてのみならず条約上もそういうことは許されないのだ、こういうふうに理解していいわけですか。そして、その場合には上村さんの解釈というのは間違いであるか、非常にミスリーディングなものであるというふうに理解されるのか、そこを伺いたい。
  74. 松永信雄

    ○松永説明員 ただいまの引用なさいました三木大臣の御答弁は、一般的な領海における無害通航の問題として、核を持っている外国の軍艦については無害通航というものは認めないということを申し上げたのだろうと思います。したがいまして、その軍艦は、核を積んで日本の領海を通航しようという場合には、当然事前に日本政府の同音を求めなければならないということになるわけでございまして、その場合に政策としてそれは認めないということを答弁されたというふうに私は考えるわけでございます。  現在お手元にございます書物では、ちょっと私もそれは正確に読みませんと断定的なことは申し上げられませんけれども、合衆国軍隊の配置における重要な変更という観点に着目をして、日本の領海にただ入ってくるものは事前協議の対象になるのかどうかという点を論じたものじゃないだろうかというふうに考えます。
  75. 河上民雄

    河上委員 もう時間があまりございませんが、ここは配置における重要な変更に装備における重要な変更をダブらせた場合にどうかという論議だと私は思うのです。そこも私は伺っているわけです。
  76. 松永信雄

    ○松永説明員 条約解釈の問題としては、先ほど申し上げましたごとく、領海を通過するアメリカの軍艦であって、核兵器を搭載している場合には事前協議の対象となるというのが政府の一貫した見解でございます。
  77. 河上民雄

    河上委員 それでは最後に、木村外務大臣確認をいただきたいという意味で申し上げて私の質問を終わりますが、日米安保条約上の事前協議についての日本政府の了解というものは先ほど読み上げたとおりでございますが、最近の新聞、テレビ等座談会などでちょろちょろ出ている議論の一つとして、ここにはっきりと寄港ということが書いてないというようなことで、あるいは通過ということがはっきり書いてないということのゆえに、それは事前協議の対象外であるというようなことをにおわすような議論が一部にあるやに聞き取れるのでございます。はっきりそう言った人を、論者の名をここであげることはできませんが、そういうような議論が一部にありますけれども木村外務大臣は、そのような議論に対してはそれは間違っている、自分はあくまでも寄港を含めて、あるいは通航を含めて事前協議の対象であるというふうに解釈しているという、その態度を最後に表明していただきたいと思うのです。
  78. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどから申し上げているとおりでございます。
  79. 河上民雄

    河上委員 ということは、そういうことは絶対考えてない、こういうことでございますね。——それでは、私はこれで終わります。
  80. 有田喜一

  81. 土井たか子

    ○土井委員 安保条約の問題や、事前協議に関する問題や、核に対して事前協議のあり方に対する問題、いままでの国会論議というものは膨大なものであります。その国会論議の中で詰められてきた事柄を、一々何月何日の答弁でどうのこうのということを取り上げて、ここで言ういとまがありません。むしろ、そういうことを踏まえながら、きょうはひとつ積極的に、基本問題もこの節はっきりさせながら、外務大臣としてはどういうふうにこういう問題をこれからもお考えになるかということを、しっかり責任ある答弁をお聞かせ願いたいのであります。  まず、問題となっておりますラロック証言の、ラロック氏がかつて艦長であったプロビデンス号、先ほどの御答弁では日本に寄港したことがない旨の御答弁がございましたが、ラロック氏が艦長をやめられた後にもプロビデンス号日本の港に寄港していないかどうか、ひとつこれからお答えを願います。
  82. 山崎敏夫

    山崎説明員 ラロック氏がプロビデンス号艦長であることをやめた後に、プロビデンス号日本に寄港しております。
  83. 土井たか子

    ○土井委員 それは何年何月にどこの日本の港に寄港しているわけですか。どうなんです。——御相談なさっている時間だけ延びますよ。いいですか。ようございますね。
  84. 山崎敏夫

    山崎説明員 プロビデンスラロック氏がやめた後に日本に寄港いたしましたのは昭和四十七年十月二十六日から十一月一日まででございます。
  85. 土井たか子

    ○土井委員 もう一つ、どこの港というお答えがないです。どこです。
  86. 山崎敏夫

    山崎説明員 場所を申し落としまして申しわけございませんが、佐世保でございます。
  87. 土井たか子

    ○土井委員 その節は事前協議が当然にあったのですね。
  88. 山崎敏夫

    山崎説明員 その際、事前協議は行なわれておりません。
  89. 土井たか子

    ○土井委員 今回、ラロック証言の中身は先ほど来何回となく繰り返しこれに対しての質問があったわけでありますけれども、大きく分けるとラロック証言自身は、事実の指摘をやっている部分と、事実の指摘に基づいてラロックさん自身がみずから核政策に対する見解を述べている部分とあると思うのです。今回核政策に対する見解の部分は一私人の見解ということで取り扱いをなすっているようでありますけれども、しかし事実の指摘に関する部分には何ら触れられていないというのが現在に至るまでのラロック証言に対する取り扱いであります。事実は事実として指摘されているのですよ。最初に、きょうは水野委員からの質問の中にも御答弁としてございましたけれどもラロックさん自身の経験からするところの事実を、これはちゃんと述べているのです。したがいまして、その事実の指摘からすると、プロビデンス号というものが日本に寄港しているという事実がある。プロビデンス号というのが核を搭載しているという可能性は十分にある。このことは事実として認識しなければならないということが今回はっきりしている。しかも、これに対して事前協議は何らなかった、このことをはっきりいま一つ確認させていただきたいのですが、ようございますか。
  90. 山崎敏夫

    山崎説明員 先ほど申し上げましたように、プロビデンス号ラロック氏がやめた後も日本に一回寄港しておりますが、その際事前協議が行なわれたことはございません。
  91. 土井たか子

    ○土井委員 何べんも繰り返しオウムのような答弁を私は聞きたくないのです。私が質問しておることに対して御答弁くださいよ。もうすり抜けばいいかげんでけっこうです。この国会を通じていろいろとすり抜けをなさろうといったって、そうはいきません。ひとついまの質問に対して明確に答弁をお聞かせいただきたい。
  92. 木村俊夫

    木村国務大臣 事実関係と申せば、ラロック氏が、現在は氏ですが、艦長としてプロビデンスに乗って日本の港に入ったことはない、これは事実でございます。
  93. 土井たか子

    ○土井委員 私は、先ほどからそういう質問はみじんもいたしておりません。ラロック氏が問題にされているプロビデンス号というのは、核搭載をしている艦艇であるということははっきりしているのです。この事実を今度は証言で出したから問題になっているんじゃないですか。しかもこれは先ほどの御答弁ではっきりしているとおり、ラロック氏が艦長でない後にプロビデンス号日本の港に寄港しているわけでありますから、この具体的事実の指摘はいよいよ私はたいへん濃い事実であると見なければならない。このことに対して事前協議がなかったということをひとつ確認させていただきたい。いかがです。
  94. 木村俊夫

    木村国務大臣 事前協議はございませんでした。
  95. 土井たか子

    ○土井委員 その程度に事前協議というのは当てにならないものであることをまずはっきり確認をさせていただいて先に進みたいと思います。  では、いままでプロビデンス号については寄港いたしておりますということをお調べになっておるようでありますから、いままで何年何月に何という艦船が、原潜も含めましてアメリカのあらゆる艦船が佐世保、横須賀をはじめわが国のどの港に入港しているかは全部おわかりになっているはずでございますね。いかがですか。
  96. 山崎敏夫

    山崎説明員 航空母艦あるいは巡洋艦あるいは原潜とかそういう主要艦艇に関しましては、その出入はわれわれとしては承知しております。
  97. 土井たか子

    ○土井委員 主要艦艇についてのみですか。なぜそういう限界があるのです。なぜそういうワクづけがあるのです。主要艦艇についてのみという根拠をひとつおっしゃっていただきたい。なぜ主要艦艇のみしかわからないか。
  98. 山崎敏夫

    山崎説明員 主要艦艇と申しましたのは、私たちの持っております資料で申し上げたわけでございまして、もちろん第七艦隊には給油艦とか非常に小さい船もございます。そういうものについては、正直に申し上げて全部のデータがわかっているかどうかはただいまのところ手元の資料ではわかりませんので、そう申し上げたわけでございます。
  99. 土井たか子

    ○土井委員 手元の資料とおっしゃるのは、現在外務省が持っていらっしゃる資料ということですか、いまそこにお持ちの資料ということですか。いずれですか。
  100. 山崎敏夫

    山崎説明員 現在持っておる資料ということでございます。ただ、申し上げたいと思いますのは、米軍の施設、区域として提供されております港に米軍艦船が入る場合に、一々わがほうに許可を求めてくるわけではございませんので、先ほどから申し上げたように、小さい船の出入りについては必ずしもわからないということを申し上げたわけでございます。
  101. 土井たか子

    ○土井委員 さあ、おかしなことをおっしゃる。地位協定の五条三項というところをよく読んでいただきたいのであります。地位協定の五条三項によると、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」というふうな一項の条文を受けて「1に掲げる船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない。」と書いてあるのです。義務ですよ。当然に知っておかなければならない、地位協定の五条三項。したがって、一々そういうことを承知していないとおっしゃるのならば、これは義務違反であります。地位協定五条三項、何のためにあるかということにもなってくる。お答え願いましょう。——またこれは委員長、時間延長をお願いしますよ。
  102. 山崎敏夫

    山崎説明員 お答え申し上げます。  私が先ほど申し上げましたとおり、施設、区域に入る艦船に関しましては、アメリカ側はわがほうに一々通報する義務はないわけでございます。  これは唯一の例外は原子力潜水艦でありまして、これは二十四時間前にわがほうに通告することになっております。それ以外の、施設、区域以外の港に入ります場合は、ただいま土井先生がおっしゃいましたように、適当な通告をすることになっておるわけであります。
  103. 土井たか子

    ○土井委員 地位協定というのが準拠している条約は何でありますか。
  104. 山崎敏夫

    山崎説明員 地位協定日米安保条約に基づいて結ばれている協定でございます。
  105. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、いまの施設、区域内においては一々通告をする必要なしという根拠をひとつ明示願います。
  106. 山崎敏夫

    山崎説明員 地位協定の第五条の第一項には、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」と、これによって、施設、区域については自由に合衆国艦船は出入することができるわけでございます。
  107. 土井たか子

    ○土井委員 おっしゃることは全然別のことをおっしゃっているんじゃないですか、これは。だから、通告をする必要なしとどこにも書いてないですよ。ただこれは料金の問題であります。取りきめているのは料金の問題であります。なぜ通告をしなくてもよいのか、根拠を明示してください。
  108. 松永信雄

    ○松永説明員 地位協定が調印されました際に、解釈につきましては合意された議事録がございます。  その第五条に関する部分の第二号でございますけれども、「この条の日本国の港とは、通常「開港」をいう。」というのがございます。  したがいまして、その施設、区域は通常まあ開港様な施設、区域として提供されている場合もあるかと思いますけれども、一般的には、私は通常はそういう形態というのはないんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  109. 土井たか子

    ○土井委員 非常に苦しい答弁です。これは答弁になってないです。私は根拠を示せと言った。通常そういうふうになっているのではないかと思うじゃだめなんですよ。こういう大事なことは、やっぱり根拠が明示されていなければならないはずであります。どこにもないじゃないですか。  したがいまして、ここでは時間のかげんがありますから、私は資料要求をいたします。過去五年間の間に日本の港に寄港したアメリカの船舶について、船舶、艦艇の種類ですね。それからそれの日時、それから寄港地、これを資料として早急に提出されるように、委員長お願いいたします。よろしいですか、これはひとつ確認しますよ。五年間、過去五年間。
  110. 山崎敏夫

    山崎説明員 先ほど申し上げましたように、原子力潜水艦については一つの手続がございまして、われわれとしては全部把握しております。  それ以外の船舶に関しましては、全部の資料を取りそろえ得るかどうかちょっと申し上げかねますが、できるだけの努力はいたしたいと思います。
  111. 土井たか子

    ○土井委員 まずは主要なものがあると言われたから、それについては少なくとも提出が可能なはずであります。しかもいまはっきりしたことは、地位協定五条三項に基づく義務を十分に果たしていらっしゃらないということもわかったわけであります。こういうことで核は積載されないで日本には寄港しているはずだとおっしゃっても、こういうことじゃだれも信用しないですよ。  さて、委員長、続けざまに私は資料要求をこの節させていただきます。  第七艦隊傘下の艦艇並びに搭載機のうち核装備可能な艦艇の名前、搭載可能な核兵器の種類、それを艦艇別にお願いしたいこと。  それからそれらの艦艇日本の港に寄港しているかどうかということに対して、これはやはり日時と港の名前を明示していただきたいこと。  いかがです、この資料は。書きとめてくださいよ、あとで資料を言いますから。
  112. 山崎敏夫

    山崎説明員 できるだけ資料を取りそろえて御提出申し上げます。
  113. 土井たか子

    ○土井委員 わけてもここではっきりしておきたいのは、先ほどから問題になっている空母ミッドウエーであります。これは一年前からのミッドウェーの足取りをひとつ明示していただきたい。日本の港に何月何日に入って、何月何日に出ていったという、どこに向けて出ていったか、また何月何日にどこの港に入ってきたか、これはひとつ明示していただきたい。空母ミッドウエー、ようございますね。  それから二つ目の資料、これはさっきから言うと三つ目になりますが、航空機で核搭載機を全部あげていただきたいのです。核の種類もあげていただきたい。これはできますか。
  114. 山崎敏夫

    山崎説明員 ミッドウェーに関しましてはいつどこに入ったかということ、いつどこから出たかということはわかりますが、どこに向けて出たかということまではわれわれとしてはわかりかねます。その点はそういう範囲内において資料は取りそろえたいと思います。  それから航空機でございますが、土井先生は核搭載機とおっしゃいましたが、その点についてはわれわれとしてはわかりかねますが、どういう種類の航空機が核搭載可能であるかということは、われわれとしてはジェーン年鑑その他で一応調べられます。それでできる範囲のことは資料を取りそろえたいと思います。
  115. 土井たか子

    ○土井委員 あと二つ資料を続けざまに言います。  OTHに関する資料、OTH発信している短波はどういう種類のものであるか、日本の国内のどこにそれは置かれているかということをひとつ資料として要求する。  それからさらに、これはもう一つは地名を明示します。お書き取り願います。  横須賀、佐世保、岩国、横田、三沢、沖繩は嘉手納、辺野古、それぞれの米軍基地内の電話帳をひとつ全部出していただきます。  なぜこれを資料要求するかというと、サイミントン委員会ではこれはマル秘でないということは確認をしておりますし、過去の事実からいたしますと、アメリカといえども国務省はペンタゴンの内容がわからず、どんなものであるかというふうなことを電話帳で初めて知り得たという事実もあるわけであります。ひとつこれを資料要求いたします。いかがです、いいですね。
  116. 山崎敏夫

    山崎説明員 OTHの周波数に関しましては、従来も御答弁申し上げますように、アメリカ軍に割り当てられたある一定の幅の……(土井委員説明はけっこうです。資料要求しているのです。出せるか出せないかだけ言ってください。」と呼ぶ)一定の幅の、一定のものを使っているわけです。その周波数のその範囲内でどういうものを使っておるかということは、われわれとしては知り得ません。  それから次に電話帳に関しましては、われわれはそれは収集しておりませんが、米軍に問い合わせて出せるかどうか調べてまいります。
  117. 土井たか子

    ○土井委員 これは早急に出していただきたいんで、期限をひとつはっきりしたいと思います。いつまでに出せますか。
  118. 木村俊夫

    木村国務大臣 御承知のとおり、米軍の機密に属することは出せません。また、これはわがほうの管轄区域外のことでございますから、やはり米軍米政府に問い合わせなければならぬ、それだけの期間はお置き願いたいと思います。
  119. 土井たか子

    ○土井委員 それだけの期間のひとつ可及的すみやかに提出をしていただくことを要求します。ようございますね。  さて、それで先ほどからプロビデンス号日本に寄港していたというふうな事実、しかもこれは核搭載可能であるというふうなことが事実としてすでに証言されているという事柄、そういうことから考えましてお伺いしたいのは、例の、国会決議をされた非核原則は守らなければならないと、事あるたびごとに繰り返し繰り返しお述べになっている点であります。で、非核原則については私どももこれを支持します。  ところで、お伺いしたいのは、非核原則というのは国是ですか。国是、国是ですか。いかがです。
  120. 木村俊夫

    木村国務大臣 国会決議されたことは、私は国是であると思います。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 それでははっきり確認をいたしますよ。持つことも、つくることも、持ち込まないということも、これ国是ですね、三原則は。国是ですね。  それでは、それを確認した上で、私申し上げたいことがあります。かつて衆議院の予算委員会の席上、当時の佐藤内閣総理大臣は、「安全保障条約があるから日本に直ちに核兵器を持ち込む、こういうものでもございません。しかし、ただいまのような約束をすることは、」というのは、非核原則についてですね、これを国是とすることなんですよ。「約束をすることは、おそらく安全保障条約の中身について拘束を加えることになるのじゃないか、かように私は思いますので、そういうことをただいまからすることは行き過ぎじゃないか、かように思っております。」という発言なんです。こういう発言なんです。  そこで申し上げたいことは、いま非核原則というのは国是だとおっしゃる。私もそれはそのとおりだと思います。日本国憲法ある限り、これ国是ですよ。国是としなければならない。はっきりしたものです。そういうことからすると、安保条約というのは、この国是である非核原則矛盾するんじゃないですか。いかがですか。
  122. 木村俊夫

    木村国務大臣 当時の佐藤総理が申しましたのは、やはりこの非核原則も、日米安保体制日本が核の抑止力のもとにあるということを前提にしてでなければ、なかなか安全保障上問題があるということを言ったと私は記憶しております。  ところが、その後におきまして、国会においてもこれをお取り上げになり、これが決議として実現いたしました以上は、これは一内閣あるいは政府の政策でなしに、これはいまおっしゃいましたように、国是としてこれが実現を見たと、こう考えております。まあしかしながら、日米安保体制がその非核原則の国是に違反するとは、私どう考えても考えられないことでございます。
  123. 土井たか子

    ○土井委員 核の持ち込みについて事前協議されれば、どんなときであろうとはっきりノーという、これで日本の安全は確保されるということであるという当時の佐藤内閣総理大臣の答弁が、かつて沖繩国会のときにあったんです。  ところがですね、これは、こういうことについてはっきり核についての事前協議があり、それについてノーということがきっぱり言えるような状態でないことには、これはいま言った非核原則というものを安保条約下に生かしていくことはできないはずなんですよ。最初に私が申し上げたのはその点です。事前協議がなかったとおっしゃる。核を積載している可能性は十分にある、そういう艦艇日本に寄港する以前に事前協議がないという事実を認められて、一体こういうことで非核原則というものをほんとうに守り切れるとまじめに考えていらっしゃるのかどうかですね。  私はここにサイミントン報告を持ってきました。正確には米国上院外交委員会安全保障取極及び対外約束小委員会、この中で、これはもうよもや一私人とは私はおっしゃらないと思います。ジョンソン国務次官の発言です。「米国政府日本政府も、あらゆる種類の不測の事態を想定し、いずれかの政府事前協議が正式に援用されるべきであると考えるあらゆる状況に関して、あらかじめ確固とした了解に達しておこうとしたことはない。」とまず述べているのですよ。したことはないと述べている。  そうして続いて、この辺はたいへん問題になると思うのです。「日本に配置されている、あるいは日本通過中の米国の航空機が、日本国外の基地に移駐あるいは移動されて、そこから戦闘に参加するということに関して、日本が問題を提起したことは全くない。また、米国海軍艦船が戦闘作戦行動への途次、又はそれからの帰途日本にある米国の海軍基地を訪問することについて、日本が問題を提起したことは全くない。」と述べているのです。いかがです。事前協議というものがあってなきがごとしありさまであり、事前協議がありさえすれば、核の問題については常にノーという国会答弁を何回となく言われていることが全部煙のごとくに消え去って、何ら意味を持たない。これは何やっているのかということになりますよ。安保条約下における非核原則の保障というのはどこにあるのです。事実関係を推していけば、理屈の上でも全く矛盾するばかりでなく、事実がそれを矛盾していると立証しているじゃありませんか。こういうことに対してどうお答えになりますか。
  124. 山崎敏夫

    山崎説明員 ただいま御引用になりましたジョンソン次官の証言は、私ただいま手元に持ち合わせておりませんが、いずれにいたしましても、戦闘作戦行動の基地として日本基地が使われたことはございません。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 日本側が提起したことがないと言っているのです。戦闘作戦行動というものがあったからこそこういう発言になっているのじゃないですか。「戦闘作戦行動への途次、又はそれからの帰途日本にある米国の海軍基地を訪問することについて、日本が問題を提起したことは全くない。」と言っているのです。アメリカで今度のような証言があるとおっかなびっくり。それも中心の事実問題には何ら触れず、ただ一私人の見解にとどまるといって葬り去ろうというふうに交渉はなさる。しかし、正面切って日本からこの問題について提起したことは何らないという向こうの国務次官の発言が、正式の上院の外交委員会の席上述べられているということは、これは見過ごすわけにいかない問題だと思うのです。しかも、これは今回核があるかないか、核が持ち込まれているかいないか、そういう問題については、きょうも最初から御答弁の中にも出てまいりましたけれどもアメリカの国内法でもこれを規制する法律は何らない。こういうことを機密事項にして外部に発表するということができないということ。そういうことを定めているアメリカの国内法は何らないということ。これはもうすでに議事録なんかをひっくり返してみたら井川条約局長なんかの答弁にもはっきり言っているとおりでありまして、いまの米原子力法は、技術的な面については機密事項としているかもしらぬけれども、それがそこにあるかないかという存在の有無について、これは機密事項ではないということをはっきり答弁の中でも言われているわけであります。そういうことからしますと、これはやはり日本側が事前協議の問題について、真剣に非核原則ということに従って、いま核の問題に対しての取りきめを、またいろいろな交渉をアメリカ側にやっていらっしゃるかというと、どうもその点は今回のこの証言に対して、事実核が持ち込まれているということの国民の不安、国民の疑惑、それを一そう強くするような態度しかないじゃありませんか。これをひとつはっきりここでまず確認したいと思うわけです。いかがです。
  126. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどから申し上げますとおり、日米安保条約日米間の信頼にその基本的な基盤を置いております。そういう意味からいたしまして、私どもは、この日米間において事前協議がない限り核の持ち込みはない、また、先ほどからインガソル長官口頭説明にもありますとおり、この米政府の言明をわれわれはあくまで信頼する、こういう立場で終始しております。
  127. 土井たか子

    ○土井委員 かつて沖繩国会のときに密約はないと言われた政府の足元から、密約があった事実が出たことをよもやお忘れではないだろうと私は思います。したがいまして、信頼せよの、核がないというからその事実を信頼する以外にないのじゃ、もはや問題はおさまりませんよ、これは。事前協議もふぬけであります。これはむしろ事前協議で核をここに持ち込みますよといったら、ノーしかないということがわかっていれば、事前協議にかけるほうが実はおかしいのでありまして、核はわれわれの知らぬ間に持ち込まれているというふうに考えてこれは私はしごく当然じゃないかと思います。  そういう点からいいますと、きょう外務大臣は、アメリカ核抑止力というものに日本依存するということをおっしゃる。核のかさの中に日本というものはあって、安全性を確保するということをおっしゃる。けれども事実はそうじゃない。私たちが知らない間に核というものは持ち込まれ、そして日本アメリカの、まさに今回あの証言の中でもはっきりしているとおり、核戦略体制の中のアメリカの軍事基地となっている、この核攻撃の標的になることもあるということは、覚悟しておいていいわけであります。こういうことからすると、まさに今回、この核の問題に対して、あるのではないか、核積載の可能性があるという艦船に対しては、もうおわかりなんでありますから、そういうことに対しての確認努力というのは、いまのままでは私は済まない問題だと思います。責任をもってひとつおやりになる必要がある。やらなきゃうそですよ。そうして、そのことについては、申し上げますが、先ほどアメリカ原子力法の百四十二条、百四十四条をおそらく引用なすったんでありましょう、大統領の専権だと言われた。ひとつ今回のこの問題を通じて、外務大臣は、この日本に対して持ち込まれているかもしれない、その可能性は十分にある、また、核積載可能な艦船が核を搭載しないことがむしろおかしいという、こういう核戦略体制の上に立って、明確にこの事実に対しての確認を大統領にされてしかるべきだと思うわけであります。先ほどはそういう用意がないと、何だか木で鼻をくくったような答弁で終わっておりますけれども、私はこのことに対して、心をこめて、ひとつこの席上、強く要求をいたしまして質問を終わります。
  128. 木村俊夫

    木村国務大臣 日米関係が、日米安保体制の堅持を含めて日米間の信頼に基づくという大局的見地から、田中フォード大統領会談の際にはいろいろ話し合いをしたいと思います。
  129. 有田喜一

  130. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣質問いたしますが、いままでのこの委員会での討議を聞いておりますと、外務大臣インガソル国務長官代理見解を唯一のよりどころにして答弁をされましたけれども、これはラロック氏の名前すらあげていない。ラロック氏が私人の立場で答えているということについては、これはわざわざ聞かなくてもあたりまえです。政府の代表でないということも、これもあたりまえです。これはラロック氏の証言の信憑性を何ら傷つけるものではありません。  しかもいま問題になっておりますのは、日本に戦術核が置かれているという問題です。七二年のレアード国防報告以来、戦域核戦争というものが強調され、戦術核が非常に重視されている。通常戦争においても戦術核を使うことがあり得るんだというたてまえでアメリカの戦略が展開をされ、わが党は、沖繩協定の問題が論議をされます前から、たとえば第一八戦術戦闘航空団あるいは第三海兵師団、こういう部隊が最近も核爆撃訓練をやっている事実をあげて追及しましたし、あるいは第三海兵師団はりゅう弾砲を持って戦術核を持っているということを追及してきたわけであります。いま戦術核が世界の各地に展開をされているということは、これは軍事上の常識であります。ラロック証言というのはそのことを裏づけた証言であります。そういうことを考えますと、いまここで長々といろいろ外務大臣が答弁をされたことは、全く空虚であって、何の説明国民に対してしていないということであります。  私はそこで、こういう場合に、いままでの政府説明あるいはアメリカ政府説明にもかかわらず、ラロック氏が証言をしたということは、これは日本に核が持ち込まれているということを非常に明瞭に国民に示したものである。これについての一つ一つの事実を政府アメリカ政府に聞くべきであります。  私はまず第一に、日本政府は、ラロック氏が核積載可能の米軍艦船原則として核兵器を積んでいるんだ、このことを証言をいたしました。これが事実かどうか、これをアメリカ政府に確かめたかどうかをお答えいただきたい。
  131. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどのインガソル長官からの公式見解、これにはまさに一私人ということばで示されておりますが、これは当然ラロック前少将をさしたものと考えております。  また、いま言われましたように、一般的に核積載能力のある艦艇が必ず核を搭載しておるということは、御承知のとおり米政府もこれを否定しております。
  132. 松本善明

    松本(善)委員 否定しておる、それは、いつだれがそう言いましたか。いつ日本政府が確かめて、いつアメリカ政府がどういう形で答えたか。
  133. 木村俊夫

    木村国務大臣 明確なことばではございませんが、いままでたび重なる米政府見解その他を総合してそういうことに判断しております。
  134. 松本善明

    松本(善)委員 それでは今回の場合には明確に聞いていないということではありませんか。そうですね。今回は聞いていないということですか、はっきりお答えいただきたい。
  135. 木村俊夫

    木村国務大臣 米国政府見解の要点は、米国が日本政府の意思に反して核兵器日本に持ち込むことはない、及び、ラロック発言は米国政府見解を代表し得るものではないということであり、それが具体的に意味するところは、核搭載能力がある艦船は常に核兵器を搭載しているというラロック発言は正しくないといっておるものと考えております。
  136. 松本善明

    松本(善)委員 それは外務省の解釈でしょう。アメリカ政府が、核積載可能の艦船核兵器原則として積んであるということを否定することな明確にしてきましたか。いまのはあなたの解釈ですよ。ないなら、ないということをはっきりお答えいただきたい。聞いてなければ、はっきり聞いてないと言うべきでしょう。
  137. 木村俊夫

    木村国務大臣 米政府としては、それは言えないといっております。
  138. 松本善明

    松本(善)委員 それでは次は、ラロック証言は、核積載可能の艦船から核を積みおろすことはしないんだ、そういうことはしていないということをいっております。これについてアメリカ政府に確かめたかどうか、お答えいただきたい。——外務大臣お答えください。重大な問題ですよ。
  139. 山崎敏夫

    山崎説明員 いま御質問の点は、核兵器の所存にかかる問題でございますので、アメリカ政府としては明確には答え得ないということでございます。
  140. 松本善明

    松本(善)委員 そうすると、ラロック証言の重要なところは、一つアメリカ政府は答えていないということではありませんか。結局、日本政府は何もしていないということです。  このラロック氏については、サイミントン委員長が、海軍の核についてはこれ以上の専門家がないと思うが、どうか、そういって聞き、ラロック氏は、そのとおり考えられてけっこうだということで証言をしているのですよ。アメリカ政府のいっていることが真正面からくずされているわけです。それに対して、具体的になぜ一つ一つ聞けないのか、なぜ聞かないのか。どうして具体的にお聞きにならないのか。
  141. 木村俊夫

    木村国務大臣 当然、核兵器存否に関する問題でございますから、米政府の核に関する最高政策からそれは言えないといっております。
  142. 松本善明

    松本(善)委員 この問題は、外務大臣、真剣に考えなければならない重大な問題であります。いま核兵器日本に持ち込まれているということになれば、これは重大な条約違反であります。条約違反があった場合には、日本政府はどうするのですか。条約違反が実際にあるかどうかについてはあとから聞きますが、条約違反があった場合は、一般的に、日本政府はどうするのですか。
  143. 木村俊夫

    木村国務大臣 日米安保条約は、日米信頼の上に築かれておりますので、そういうことはわれわれは予測いたしません。
  144. 松本善明

    松本(善)委員 私が言っているのは、条約違反があったら日本政府はどういう態度をとるのかということを一般的に聞いているのです。この問題については、これは重大な条約違反の場合には安保条約が廃棄になるんだということもいままで再再答弁がされております。安保条約に限らず、条約違反があったらどうするんだということを聞きたいのです。
  145. 木村俊夫

    木村国務大臣 日米安保条約につきましては、私はそういうことを予測いたしません。ただし、一般国際法上の問題としては、当然、条約違反というのは、その違反について相手国に対してその是正を求める、あるいは抗議をいたす、あるいは場合によって最悪の場合は、その条約そのものの廃棄につながる、こういうことを考えております。
  146. 松本善明

    松本(善)委員 これは、いま条約違反が行なわれているという重大な疑惑が、アメリカの専門家であり当局者であった人から提起をされているのですよ。それについて日本政府は、当然にその事実の有無を調べる、あるいはその事実の有無について、ラロック証言が提起をしている問題点についてアメリカ政府に問いただし、あるいはみずから調査をする義務があると思いませんか。
  147. 木村俊夫

    木村国務大臣 一私人の発言ではございますが、米政府もこれに対してインガソル長官の公式見解を出したということで、われわれはそれを受け取っております。
  148. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣アメリカ政府の言うことを信用するというけれども、一体ウオーターゲート事件ではどうだったか。大統領がうそを言っているということは明らかになったじゃないですか。チリの軍事クーデターではどうですか。初めは関与していないということが、アメリカ政府が関与しているということをフォード大統領が認めることになったではないですか。古くはトンキン湾事件はどうですか。北爆開始のあのトンキン湾事件は、アメリカのでっち上げだということが暴露されたではありませんか。アメリカ政府が信用できないということは、幾つも幾つも歴史的な事実としてわれわれの目の前に展開をされております。今度のラロック証言もその一つですよ。いままでアメリカ政府の言っていたことが信用できないということを、ラロック氏は証言で明らかにしたのです。それに対して、アメリカ政府が信用できるんだ、それ以外にないんだということをいって、一体日本国民のだれが信用すると思いますか。あなたは、これで日本国民がわかったといって不信感を解消すると思っているのかどうか、お答えをいただきたい。
  149. 木村俊夫

    木村国務大臣 アメリカ政府に対しては何ら私は論評いたしません。
  150. 松本善明

    松本(善)委員 私が聞いているのは、これで日本国民が納得すると思っているのかどうか。日本国民の不信感が解消されると思っているのかどうかという大臣見解を聞いているのです。お答えをいただきたい。
  151. 木村俊夫

    木村国務大臣 やはり国民の最も心配するところは、日本の安全をいかにして確保するかということだろうと思います。したがって、そのためには自衛隊の整備及び日米安保体制に基づく米国の核の抑止力にたよる、これは国民がひとしく理解しているところだと私は思います。そういう意味におきまして、アメリカにおける制限的な核に関する最高政策、それが一つの壁にはなっておりますけれども、私は、この問題について日本国民は理解をしていただけるものと確信をしております。
  152. 松本善明

    松本(善)委員 これで核兵器持ち込みはないというふうに国民は思っていると思うのですか。そう思うというのですか。これ以上しようがないんだ、あきらめてくれということを言っているのですか。どちらですか。
  153. 木村俊夫

    木村国務大臣 それは国民みずからが判断するところでございます。
  154. 松本善明

    松本(善)委員 私は、まことに日本の国の外務大臣日本政府ほんとう日本国民の安全を守ろうとしていないということをまのあたり見ている感じがします。たくさんの核兵器が入ってきて、それが危険だということをラロック氏は言っているんですよ。だから引き揚げるべきだと言っているんですよ。日本国民は、いっそういう核爆発の核の事故にさらされるかもしれない。日本国民の安全を守るということはこういうことじゃないですか。こういう核基地を撤去さすということではありませんか。核兵器をなくすということではありませんか。あなたはそういうことについては関心がありませんか。
  155. 木村俊夫

    木村国務大臣 重大な関心を持っております。
  156. 松本善明

    松本(善)委員 それではだめです。外務大臣、それではお聞きしますが、あなたは先ほど来非核原則の問題やあるいは核抑止力の問題について答えられました。——————————————————————非核原則核抑止力にたよるということとはどちらが優先しますか。
  157. 木村俊夫

    木村国務大臣 それは、私は初めて承ることですが……。
  158. 松本善明

    松本(善)委員 どちらが優先しますか。
  159. 木村俊夫

    木村国務大臣 私どもが知っております国会決議では、そういう内容ではないと承知しております。これは昭和四十六年十一月二十四日、衆議院の本会議、「政府は、核兵器を持たず、作らず、持ち込まずの非核原則を遵守するとともに、沖繩返還時に適切なる手段をもって、核が沖繩に存在しないこと、ならびに返還後も核を持ち込ませないことを明らかにする措置をとるべきである。」第一項がその決議でございます。
  160. 松本善明

    松本(善)委員 それでは意見が一致しませんが、核抑止力にたよるということと非核原則とはどちらが優先するか、この点についてお答えをいただきたい。
  161. 木村俊夫

    木村国務大臣 私はその二つの問題でどちらが優先するかという考え方はとっておりません。したがいまして非核原則は、もちろん国会決議をいただいたことですから、これは国是でございます。しかしながら、わが国の安全を守るということも、これまた大きな国是でございます。その安全を守るためにわが国日米安保体制を堅持し、そのアメリカ核抑止力にたよるという立場をとっております。いずれも私は矛盾しないと考えております。
  162. 松本善明

    松本(善)委員 核抑止力にたよるということになりますと、これは核の所在を明確にしないという立場に立たれるというふうに思うわけです。そうだとするならば、これはアメリカ事前協議にかけてくるということもないし、それからまた、日本側が、かけてきてもこのことを明らかにすることはないという結果にはなりませんか。核の所在を明らかにしないという立場アメリカ政府がとり、そして日本政府が核の所在を明らかにしないというアメリカ政府立場に立っているとするならば、事前協議にかけてくることもないし、それからまた、それがかりにかけてこられても、これが国民の前に明らかにされるということはないという結果にはなりませんか。
  163. 木村俊夫

    木村国務大臣 まずその点で第一に申し述べたいのは、日米安保体制による事前協議というのは国際的約束でございます。したがいまして、アメリカの国内法がありましても、この国際的約束が優先する、これは当然のことです。また、先ほどもお答えしましたが、アメリカの国内法といえども、やはりこれは米大統領という最高権限に基づく委任がございますれば、その正当な合法的な委任を受けた行政官吏がそれに基づいて事前協議を行なうことについては、何らこれを排除しまたは妨げる国内法はない、これはたしか当時のライシャワー大使が米政府の意を体してわが政府に回答した内容だと記憶しております。
  164. 松本善明

    松本(善)委員 かけてこられたときに、日本政府はそれを発表しますか。
  165. 木村俊夫

    木村国務大臣 事前協議を受ける、またこれを実行することは当然政府の権限ではございますが、事と、またその場合によりましては国会とお話をするということも当然だと思います。
  166. 松本善明

    松本(善)委員 いまわれわれ日本国民はこの問題については重大な関心を払っております。いまこそ、この大統領から権限を与えられて——そして日本には核がないのかどうかということを明確にすべきときではないか、日本国民がみんな疑惑を持っているわけです。あのラロック証言でも、韓国に核があること、あるいはギリシアに核があること、こういうようなことは言っております。それから、そのほかのアメリカ政府の高官もたびたびそういうことを言っております。だから、核兵器の所在について一切明らかにしないということはないわけです。言っている場合もあるわけです。ギリシアについてはシュレジンジャー国防長官が九月十二日に、あるいは韓国についてはマクルーカス米空軍長官が四月一日に明らかにしております。日本には核がないのだということをなぜアメリカ政府は明確に言えないのか。日本政府はなぜそのことを明確に要求しないのか。ほかには明らかにしているところはあるわけです。この際はきわめて重大なときだからとそのことをなぜ要求しませんか。
  167. 木村俊夫

    木村国務大臣 沖繩に核兵器がないということは、御記憶のとおりロジャーズ国務長官が言明したことがございます。ましてや、核抜き本土並みということですから、本土にも核兵器がないということはもう当然の帰結だと思います。しかしながら各個の艦艇核兵器が搭載されているかということについては、アメリカが、従来もその存否については、その政策上明らかにしてないということは事実でございます。
  168. 松本善明

    松本(善)委員 ロジャーズ国務長官のは核政策に背馳しないということを言っているわけです。そうだとすれば、これは核がないということを明言したことではありません。核抑止力にたよるという日本核政策も含めて、いままで一度も日本には核がないということを明言をしたことはないではありませんか。  私は、外務大臣通過協定のことについて一言聞いておきたいと思いますが、この明言をしてない——秘密であれば日本に入ることはできます、事前協議にかけないで……。まさにそういう事態がいま起こっている。私は秘密協定について、アメリカ新聞でたびたび報道されていることはさもありなん。もし秘密協定があるならば、日本政府が一切抗議もしない、全くアメリカ政府を信頼しているというだけの態度というのは、これは理解のできる態度であります。とても抗議なんということはできません。調べさせろなんということはとてもできません。聞くことももちろんできません。私は、いまの事態といまの日本政府の態度というものは、秘密協定があるのだということをますます日本国民に疑惑として持たしておる。秘密協定がないならば当然に調査をし、抗議すべき事態ではないか。日本政府としてはその二つのどちらを選択するかという立場だと思います。大臣はこの点についてどうお考えになりますか。
  169. 木村俊夫

    木村国務大臣 繰り返して御答弁しておりますとおり、そういう秘密協定はございません。
  170. 松本善明

    松本(善)委員 秘密協定がなければ、当然に抗議をしたり調査をしたりする事態ではないかと聞いているのです。立ち入り調査をしたり、あるいは抗議をしたりする事態ではないか、こう聞いているのです。
  171. 木村俊夫

    木村国務大臣 私どもは抗議をする考えはございませんが、また御承知のとおり、国際法上も、また日米安保体制条約のたてまえ上も、米軍艦艇を立ち入り検査するようなごときことはとうてい考えられないことでございます。
  172. 松本善明

    松本(善)委員 アメリカがその立ち入り調査に応じればできるわけでしょう。応じなければ、当然に、艦船であれば寄港を拒否するとか、あるいは調査に応じない部隊は撤去を求めるとか、そういうことを要求すべき事態とは考えませんか。
  173. 木村俊夫

    木村国務大臣 そういうことになりますと、もう日米安保体制存否そのものになります。したがって、私ども日米安保体制を堅持する以上はそういうことは一切考えておりません。
  174. 松本善明

    松本(善)委員 そのとおりであります。日米安保体制が一体存続することがいいのかどうかという問題です。核兵器が持ち込まれているのです。日本国民がこれについて疑惑が解消されなければ、そんな国民がだまされるような条約は、一体どうしてアメリカを信頼することができますか。そういう重大問題であります。私は、安保条約が先ではない、日本国民の安全が先なんだということをはっきりと外務大臣は知るべきだと思います。一資料としてお配りをしておりますアメリカ太平洋空軍作成の「太平洋空軍核兵器安全計画」というのがあります。これは核兵器があるところに配られているものだと私どもは了解をします。これによりますと、日本では嘉手納の三一三師団とか一八戦術戦闘航空団あるいは四〇〇弾薬整備部隊等々に配られております。その他立川にも配られていることがこの資料では出してありますが、これは米軍の作成したものでありますが、私はいま核兵器がこういうところに、日本基地の中にあるということの一つの証拠だと思います。これについて調査をされたい。アメリカ政府に対して、これが存在するかどうか、そうしてこれはどういうところに配っているのか。いかなる目的で配っているのか、そのことについて調査をして回答されることを求めて、私の質問を終わります。それは調査をして回答されますか。
  175. 水野清

    水野委員 関連。ただいま共産党の松本委員からの資料が提出されましたが、調査をなさる前に、この資料そのものがどういう価値のあるものか、信憑性があるかも、私はまずそれを前提として御調査をいただきたいと思います。
  176. 松本善明

    松本(善)委員 ここに本物があります。
  177. 山崎敏夫

    山崎説明員 この資料はただいま初めて拝見いたしましたので、どういう性格の文書であるか存じませんが、いずれにいたしましても、調べまして、米軍にも問い合わせて回答いたしたいと思います。
  178. 松本善明

    松本(善)委員 以上で質問を終わります。
  179. 有田喜一

  180. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ただいままでの核兵器持ち込みに対する国民的な深い容疑に対する外務省の御答弁を伺っておりますと、依然として何一つ解明されていないのを感じているわけであります。外務大臣は、先ほどからの御答弁を聞いておりますと、核兵器日本に存在するという国民の間に起こっている深い容疑をそのままにしておいて、そうしてアメリカを深く疑わせて、日米関係の信頼を破壊するということをねらって答弁をされているように聞こえるわけでありますが、大臣、これに関してひとつ所信を述べでいただきたい。
  181. 木村俊夫

    木村国務大臣 私は、日米関係日米国民相互の信頼に基づかなきゃならぬ、こういう考え方でおります。したがいまして、先ほどからいろいろ御答弁いたしましたとおり、このラロック発言に伴う国民間の不信については今後も一そう努力をいたしまして、これを解消するように進めたいと考えております。
  182. 渡部一郎

    渡部(一)委員 残念ながら、そうはおっしゃいますけれども、何にも晴れていないのですね。  それで、先ほどからいろいろ興奮したやりとりもありましたから、もう一回冷静にもとへ戻りまして、ラロック発言はどんなものであったか。ラロック発言の中でこういうことが表示されております。「核兵器は空母だけでなく、大部分の場合はフリゲート艦、駆逐艦その他各種の艦に装備されている。大多数の人はこれに気づいていない。安全保障上から、私はそれらの艦が核兵器を積載可能だというにとどめたい。」これは重大なことであって、空母だけではない。わが国はそれらの米艦艇に対しては十分注意する必要がある。その次、「しかし、私の経験からいえば、核兵器積載可能な艦艇は実際に核を積載しているということである。それらの艦艇日本あるいはその他の国に寄港する際に、核兵器をおろすことはしない。核兵器積載可能な艦船はオーバーホールか大修理の場合を除いて、通常は核兵器を積んでいる。」この中に有名な、問題となったサッチ・アズ・ジャパンが入っているわけでありますが、それはともかくとして、核兵器搭載可能な艦は実際に核を搭載しているということと、それを寄港する前におろしたりするようなことはしないと当人は経験上から述べているわけであります。その点をどう評価されていますか。まず、その具体的事実に対してどう評価されていますか。
  183. 木村俊夫

    木村国務大臣 これはラロック海軍少将という方が言われたことですから、普通の一私人の発言よりは私は重みがあると思いますが、しかしラロック氏も退役後相当年月もたっておりますし、またラロック氏といえどもアメリカの全艦艇における核搭載全般を必ずしも把握しておるとも限りません。したがいまして私は、やはりインガソル長官からもたらされました、ラロック氏と目せられる一私人の発言であって、これは何ら米政府立場を代表し得るものではないという発言を信用したいと思います。
  184. 渡部一郎

    渡部(一)委員 そうすると、あなたはそこで信仰の分野に入っているわけですね。私は驚いたのですよ。そうすると、あなたのお話によると、アメリカ軍の艦船は、核兵器を持っているのは日本へ入ってこない。ちょうどからのやつだけが入ってくる。それでなければ、横須賀とか佐世保とかの港の入り口でぽいとどこかへ捨ててくる。そしてからになって入ってくる。こう信じているわけでしょう。もう一回言ってください。
  185. 木村俊夫

    木村国務大臣 私は、日本の港に入ってくる各艦艇がいかなる処置をとるかということについては一々これを承知しておりませんが、私は基本的な問題として核の持ち込みはない、こういう見地を信頼しております。
  186. 渡部一郎

    渡部(一)委員 原子力船「むつ」の核燃料棒を取るだけでもあれだけの大騒ぎをしなければならぬほどめんどうなものです。核弾頭というものが簡単なものでないのは御承知のとおりです。  一例をあげますと、私はアメリカ軍の核ミサイルを米本土で見てまいりました。振動がちょっと高くなりますと破裂します。温度が少し高くなると破裂します。湿度があるところに落ち込みますと破裂します。ですから湿度、温度、振動というのは非常にやかましい兵器です。海上で取りはずしのきくものでないことはもうしろうとの常識です。核兵器のかの字をかじった者にとって常識なんです。そんなことできるわけはないのです。そういうごまかしで答弁してここのところを突破することができたとする。当委員会だけは何とかごまかせたとする。その間、国民の不満というのはますます多くなるばかりです。横浜の市長さんから佐世保の市長さん、金沢の市長さん、神戸の市長さん、横須賀の市長さんから神奈川県知事に至るまで、これは自民党系の方まで言います。みんなが信用できない、米艦艇の入港拒否と叫んでいる。先ほどからの御答弁がそれにきくとお思いであるかどうか。私は謙虚に御反省なさるのが妥当であり、この際は、日本政府日本国民をそういう幼稚な戦術で説得するというのじゃなくて、アメリカ側に対してものを言うというのがむしろ私は日本の外交のやるべきことじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  187. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほどから繰り返して申し上げておりますとおり、日米間の信頼、これはもう日米安保条約をささえる最も大きな基本でございます。そういう意味におきまして、今後も日米間の信頼を傷つけないようなことを日米間で考えなければなりません。そのためには、われわれとしては最大の努力を尽くしたいと思います。
  188. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私はこうした形でいって、うそとごまかしでつき合うということは、もう長い間の信頼が傷つくと思います。傷つきほうだい傷ついてしまう。  ラロック氏はまたこう言っています。「沖繩については直接答えられない。「沖繩はB52の基地だ。ご承知の通り、B52の主な任務核兵器を積載することだ。従って核のないB52は理屈に合わないというのが私の見解だ」こう述べています。つまり、ここに意味することは、沖繩にB52がある以上は核兵器が沖繩にあることを示しています。これはどうお答えになりますか。先ほどの一般論でお答えになるのだったらもう必要ありませんが、どうお感じになりますか。
  189. 木村俊夫

    木村国務大臣 もう一般論は申しませんが、昭和四十六年十月二十七日開催されました上院の外交委員会沖繩返還協定聴聞会の席上、ロジャーズ国務長官、パッカード国防次官は、復帰日には沖繩には核兵器は存在しなくなっていることを確約する旨の公式的な証言をいたしております。
  190. 渡部一郎

    渡部(一)委員 そんな、ただいまのような古い古い議事録を持ち出されなくても、ラロックさんはこう言っていますよ。「日本政府は通常、米政府に対し、核持ち込みの有無を問い合わせるはずではないか。」という質問に対して、「私はその手続きを疑わしいと思う。なぜなら、米政府は一般には公表できなくとも、日本政府には核の有無を知らせることができるからだ。日本政府はこの問題について非常に真剣だったとは思えない。私の理解するところでは、その手続きは低いレベルで行われてきた。」低いレベルというのはどういう意味かわかりませんが、「もし日本の自衛隊が本当にその情報を入手しようと思うなら、シュレジンジャー国防長官に正式に聞くことができるし、日本の首相がフォード大統領に尋ねることもできる」、こう言っています。こういうふうな措置をおとりになってお聞きになることをなさるおつもりがあるかどうか、もう一回伺います。田中総理から向こうの大統領へ、あるいは外務大臣から向こうの国防長官なり国務長官なりにそういうことを確認なさるということをやる意思があるかどうかをお伺いしたい。そこで私は外務省の御熱意をいまはかろうとしているのです。
  191. 木村俊夫

    木村国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、インガソル長官はもう米政府を代表して先ほどの公式見解をこちらに行なったわけでございますから、今後この問題につきまして、先ほどのラロックさんの御意見は参考といたしますが、今後核装備の存否について、核兵器存否について両国政府間の上層において話し合うつもりはございません。
  192. 渡部一郎

    渡部(一)委員 じゃ、上層で初めて話し合う決意を示されたのですから、これはすばらしい前進だと思います。私はそういう前向きな姿勢を買っている一人ですから、がんばっていただきたい。  それで、交渉のときに何もないといけませんから……。
  193. 木村俊夫

    木村国務大臣 ちょっと待ってください。そういうつもりはございませんと言ったのです。
  194. 渡部一郎

    渡部(一)委員 しないと言ったのですか。大統領にも聞かない、国防長官にも聞かない、何もしない、このままじっと信じてすわっている、こういう意味ですか。
  195. 木村俊夫

    木村国務大臣 日米間の大局的な見地からいろいろ話し合わなければなりませんけれども、しかし、核兵器存否についての具体的な問題について話し合う気持ちはない、こう申し上げたのです。
  196. 渡部一郎

    渡部(一)委員 それじゃ、もうしようがないですから、きょうはひとつ資料を持ってまいりました。これを見ていただければどんなことになっているかわかりますから、ちょっと見ていただこうと思うのです。ここにありますのは、沖繩におきましていわゆる知花地域それから読谷地域に広がるアメリカの膨大な弾薬庫群の中にアメリカの核倉庫が建設されているという事実であります。そこまで持っていきますから、ちょっと見ていただきましょうか。  ただいまごらんいただきましたように、明らかに知花、読谷地域に散在する約二十の核弾薬庫がここに示されているわけでありまして、これは完全な設計図のコピーであります。この地域は私は現認をいたしております。そして、この地域は現在核倉庫の特徴であるところの湿度、温度等に対する完全な恒常的な設備及び特殊な警備員をもって警戒をなされております。この工事は沖繩返還直前に行なわれ、この中には明らかに核弾頭が持ち込まれたという状況証拠がたくさんございます。こういう状況があるのでありますから、少なくともわが国内においてこういう状況がある以上は、これに対してどういう決意を持たれるか、いま伺おうとしましたら、図面をごらんの間に、大臣は腹を切っても追いつかないことだとおっしゃっておられましたが、私はこれは重大な問題であろうと思います。したがって、ただいま図面で表示した地域に対する立ち入り検査もしくはそれにかわる適切な手段をおとりになるようにお願いいたします。
  197. 木村俊夫

    木村国務大臣 私の不規則発言が誤解を招くといけませんので、そういうことがもし現実なればという前提で不規則発言をいたしましたことを御理解願いたいと思いますが、また、先ほど米議会で上院で、米政府の責任ある行政当局者証言をしております。先ほどからこの証言問題、おそらく米議会における米政府の責任ある証言というものは、これは宣誓以上のものだと思いますので、そういうことについては私は一切疑っておりません。
  198. 渡部一郎

    渡部(一)委員 ラロック証言のときはその証言を拒否し、上院議員の証言はこれを高く評価する、その証言の形態は違うにせよ。大臣、そこまでいけばあまりにも説得力は薄過ぎると私は思います。したがって、この問題は本音を吐けない大臣のつらさというのがここに露呈していると私は同情もいたしておりますが、これは日米関係をもう一回明確なものに築き直さなければ、日ソ関係、日中関係等、日本を取り巻く環境条件というのはきわめて流動的であり、そしてある意味では危険であります。そのときに一つずつがこんなやり方で組まれていったのでは全部が崩壊しなければならない。その意味政府のおとりになっている核に対する態度というのは、ちょっと常識をはずれているのではなかろうかと私は思っているわけであります。少なくともこれだけ明瞭な証拠をもって沖繩の問題を表示しました。調べていただきたい。調べ、要求をすることくらいできるはずです。  沖繩返還協定委員会のときに福田外務大臣はおっしゃっておられました。福田外務大臣は何とおっしゃっておられたかというと、そのときに、沖繩の核撤去というような問題については、アメリカ側を信じている立場ではあるけれども、問題があるというのだったらそれは徹底的にそれを解明する、もしアメリカの大統領が総理大臣との約束に反した行動をとればこれは背信行為である、背信行為として断固たる措置をとるとまで言われたのであります。ことばのあやかもしれませんけれども、私は、ここまで日本外務大臣が意思表示をされたあとを継いで、濃厚なこれらの容疑に対してお答えになる必要があるのではないか。われわれ野党の議員は、私一人に限りませず、たくさんのこうした証拠を持っております。そしてそれに対していままでごまかし続けてこられました。ですから、こういうことをお調べになる、そういう決意を示されたらいかがですか。
  199. 木村俊夫

    木村国務大臣 その問題については米軍側に問い合わせることにいたしたいと思います。
  200. 渡部一郎

    渡部(一)委員 またついでに申し上げますが、横田米軍基地におきましてはブロークン・アロー・エクササイズが今日もなおかつ行なわれておりますことは、すでに本委員会において昔から何回か指摘をいたしましたとおりでございます。ブロークン・アロー・エクササイズというのは核弾頭の積みかえ等の際に事故が起こったときの事故演習であります。その事故演習に対して的確な答弁というのはこれまで行なわれておりませんでした。ところが最近に至り、これは明確に申し上げますが、本委員会性格上正確に申し上げますが、ブロークンアローが実際に起こったといううわさが広がっております。これもまた明確にお調べをいただきたいと思いますが、いかがですか。
  201. 木村俊夫

    木村国務大臣 その点についてもできるだけ問い合わせてみましょう。
  202. 渡部一郎

    渡部(一)委員 私は、このような深い疑惑の数数の中に包まれているこの問題に対し、本委員会で十分な質疑ができないことをまことに遺憾とする一人であります。したがって、委員長におかれましては、早急に本委員会をまた再び開いていただきたい。また、総理大臣の御出席を先ほど理事会でも申し上げましたが、得て開いていただきたい。また、ミッドウェー等の米艦船に対する当委員会の現地視察お願いしたい。また、できるならばラロック氏等を参考人として当委員会に招致すべく努力していただきたい。公式の席上で委員長に対し、私は申し上げておきたいと思います。しかるべきおはからいを願います。  それから大臣に対して、わがほうは沖繩において核撤去費というのを払っているはずであります。この七千万ドルも払った費用に対して、いまその費用の行き先というのは不明であります。何に使われたかも一切不明であります。そして不明だというのは、これは事柄の性格内容は言えないという弁明に終始して今日まで来てしまったわけであります。ところが今日これだけ核兵器の残存が認められ、そしてわれわれの信頼を破壊された現在、これに対しても明快な御説明を次回において私は求めたいと存じます。しかるべきお返事をいただけますよう、次回においてはお話をしていただきたい。そして少なくともわが国民の核問題に対する、平和を愛する感情こそは、将来の世界を救うものであるという立場から、日本国民を代表する立場からがんばっていただくような外務大臣であっていただきたいと私はお願いをしまして、私の質問を終わります。
  203. 有田喜一

    有田委員長 永末英一君。
  204. 永末英一

    ○永末委員 本日の質疑を聞いておりますと、国民ラロック証言ではしなくもアメリカの核戦略の実態について触れた。ところがわが政府は、いままでどおりアメリカ政府が一応原則として言っていることを繰り返しているにすぎない。言うならば、将棋の駒の動かし方についてもっと詳しく知りたいと国民は思っておりますのに、政府のほうは囲碁の話ばかりしておる。非常に食い違っておると思います。しかし私は、アメリカわが国の領土内においてあるいは領土内へ持ってくるいろいろな兵器、あるいはまたそれらの武器等について、政府はやはりもっと現状を知る必要があろうと思いますが、外務大臣はどう思われますか。
  205. 木村俊夫

    木村国務大臣 米軍の機密が許す限りできるだけ知りたいと思います。
  206. 永末英一

    ○永末委員 私は、次に私が調べましたことを申し上げますので、これに間違いがなければ、そのとおりとお答え願いたい。  第一。昭和四十八年五月に横須賀に入港いたしましたミサイル原子力巡洋艦ロングビーチは、四十基のタロスと二百四十基のテリアを積んでおる。タロスとテリアとは核装備、通常弾双方に適用できる兵器である。間違いありませんか。
  207. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 タロス、テリアともに核、非核両用の防空ミサイルでございます。
  208. 永末英一

    ○永末委員 いま横須賀に入っておりますオクラホマシティー、これもミサイル軽巡洋艦でございますが、これの積んでおるツインタロス、これも同じように核、通常両用である。間違いございませんか。
  209. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 諸資料によりますと、タロスは核、非核両用でございます。
  210. 永末英一

    ○永末委員 次にミサイルフリゲート艦原子力推進トラックストン、これは四十三年以来六回にわたって佐世保へ少なくとも三回、横須賀へ三回入港いたしております。これが積んでおる同じくツインテリアとアスロックは、核、通常両用である。間違いございませんか。
  211. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 諸資料によりますと、核、非核両用のミサイルでございます。
  212. 永末英一

    ○永末委員 もう少し小さな船になりまして、ミサイルフリゲートのベインブリッジ、これはツインテリアを積んでおる。そしてこのベインブリッジは昭和四十六年から少なくとも四回横須賀に入港いたしておりますが、この兵器は核、非核両用である。間違いございませんか。
  213. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 ベインブリッジに積んでおるテリアは、諸資料によりますと、核、非核両用でございます。
  214. 永末英一

    ○永末委員 ただいま空母ミッドウェーが横須賀に入港しておりますけれども、このミッドウェーに積んでおりますA7という航空機は核爆弾搭載可能である。現在沖繩におりますアメリカのF4は同じく核爆弾搭載可能である。現在岩国にございますA4並びにA6という航空機は核爆弾搭載可能である。間違いございませんか。
  215. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 航空母艦ミッドウェー等に搭載してございますファントム、それからA6イントルーダー、これは核爆弾装備可能といわれております。A7については、核装備可能という資料もございますけれども、ファントム、A6のようにはっきりいたしておりません。
  216. 永末英一

    ○永末委員 アメリカ陸軍が持っております百五十五ミリりゅう弾砲並びに八インチりゅう弾砲は核砲弾可能であり、これは沖繩県にあるということは事実ですか。
  217. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 百五十五ミリ、八インチのりゅう弾砲は核を撃てるというふうに聞いております。ただ、核のたまが沖繩にあるということはないと思っております。沖繩には百五十五ミリ、八インチのりゅう弾砲はございます。
  218. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣、いまお聞きのとおり、ただ単に一般的な議論ではなくて、それほどの核が装てんできる兵器というものは、わが国の周辺並びに内部にうろうろしているわけですね。また、ラロック少将は次のようなことも申しました。これは御確認されますか。「われわれは、世界多くの地域で、きわめて短時間の警報で発進できるよう、核能力のある航空機を一、二機空母の飛行甲板上に待機させている。」こう述べていますが、これは御確認いただけますか。
  219. 木村俊夫

    木村国務大臣 これは総じて一私人としてのラロック氏の発言でございますから、私どもがかれこれ論評する限りではございません。
  220. 永末英一

    ○永末委員 論評のことを申しているのではなくて、こういうことを言ったということを確認されるかということを伺っているわけです。なぜかならば、わが国にはミッドウェー、レンジャー、コンステレーションというように空母が入港しておる。しかもそれらの空母には、このラロック氏の言ったような事実があるとすれば、それは問題でございますから聞いている。ラロック氏がこのようなことを言ったかどうかは知っておられますか、知っておられませんか。
  221. 木村俊夫

    木村国務大臣 ラロック氏がそういう発言をしたということは聞いております。
  222. 永末英一

    ○永末委員 さて、われわれはこのように、わが国の内外にアメリカ軍が核を装備して、それを持ち込むようないろいろな条件のあることを知っておりますね。そこで、外務大臣に伺いたいのでございますが、いわゆる非核原則の中で、事前協議にかかるべきもの、その核弾頭というのはどういうものなんですか。核弾頭は持ち込ませない、こう言っておりますが、あなたの政府は、核弾頭というものはどういうものを呼んでおられるのですか。
  223. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 核弾頭というのは、核爆発を伴うたまのことだというふうに思っております。
  224. 永末英一

    ○永末委員 いま持ち込みがいろいろ問題になっておるのですが、最小限いま私があげました兵器に装てんし得るような核弾頭というのは、大きさはどれぐらいで、どの程度の破壊力のあるものと知っておりますか。
  225. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 ただいま申されたような核、非核両用の核弾頭がどのようなものであり、どのような威力を持っているかということはわかっておりません。
  226. 永末英一

    ○永末委員 その核弾頭が保管されている状態、それはどういう状態で保管をされておると承知しておりますか。
  227. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 戦術核については承知いたしておりませんが、私アメリカに参りましたときに見ましたICBMは、サイロの中に入っておりまして、その弾頭はまさに核だと思って帰ってまいりました。サイロの中に入っておりました。
  228. 永末英一

    ○永末委員 防衛庁の方に伺いますが、ホークは車両に載せて引っぱります。あなたのほうはホークを持っておりますが、その車両に載せてどんどん引っぱり回しているときには、信管と本体とはどういう関係にありますか。
  229. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 どんどん引っぱり回しているというのがちょっとわかりませんけれども、ホークはいわゆる弾体そのものを載せてございます。ですから、弾頭と弾体を分けているかという御質問だといたしますと、これは一緒にしてございます。
  230. 永末英一

    ○永末委員 核兵器の場合に、いわゆる撃発信管と本体とが絶えず一緒になって運ばれないしは管理されているか、あるいはまた、われわれが昔広島で爆撃を受けましたときに、発進して以来航空機内でその組み立てをやったということを、われわれはすでに発行された書物で読んでいるのでありますが、そういう時間を必要とする状態で保管をされているのか、いずれとお考えか。
  231. 伊藤圭一

    ○伊藤説明員 広島のころの原爆と、いまの核兵器というものが非常に進歩しておりますので、どのような状態になっているか、私ども承知いたしておりません。
  232. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣、私は非常に疑い一つ持っておりますのは、つまりアメリカ側日本非核原則に基づく政策は了知しておるとはいいましても、それはアメリカ側が、つまり戦闘にすぐ使える状態にしてある核弾頭そのものは持って入ることはないのだ、しかしそうでない以前の状態をもって入ることは、何ら日本政府のその原則に違反しないのだと考えているとしますと、おそらくは半永久的に事前通告などはあり得ない、しかしながら、われわれ日本人が心配している核弾頭は入ってきておる、こういう状態なんです。したがって、私はこの核弾頭、つまりアメリカが核、通常両用の兵器を持っておる艦船を出入させ、あるいはそれを使える兵器を国内に置いておるわけでございますから、弾頭の件については、私はアメリカ政府についてその実態を明らかにする責任が日本政府側にあると思いますが、いかがですか。
  233. 木村俊夫

    木村国務大臣 私は専門的な兵器のことはよくわかりませんけれども、しかし、いやしくも核兵器に属するものは一切核持ち込みの中へ入る、こういう解釈でございます。
  234. 永末英一

    ○永末委員 いままでの政府の態度は、アメリカが核を持ち込むときには通告をしてくるはずだ、したがって、その通告がない限り核はないのだ、こういう解釈でございますが、逆に、核はないのだという通告をしてくることは、いままであなたが言われましたアメリカ基本政策みたいなものには何らもとらないのではないでしょうか。艦船が入ってくる場合に、この艦船には核はないのだ、この通告を求める意思はございませんか。
  235. 木村俊夫

    木村国務大臣 それは結局核が存在しないということですから、核の存否に関するアメリカの政策にやはり反することだと思います。
  236. 永末英一

    ○永末委員 それはマクマホン法によるのですか。
  237. 木村俊夫

    木村国務大臣 単にマクマホン法のみならず、アメリカ核兵器に対する最高機密ということでこれがコントロールされておる、こう聞いております。
  238. 永末英一

    ○永末委員 先ほどから話題に出ておりますように、マクナマラ国防長官もシュレジンジャー国防長官もその他の者も、ある場合には核の存在を言っているわけです。それはおそらくは、大統領の許可を得たかどうかは知りませんが、そのアメリカの行政府内における了解を得て発表したものだと思われますね。それならば、われわれ日本人がこれだけこの点について心配をしておるのであるから、核はないということの了解を得せしむる努力というものを日本政府は当然すべきではないかと私は思いますが、いかがですか。
  239. 木村俊夫

    木村国務大臣 核の存否に関して米政府当局がいろいろ発言しております場合も、核そのものの存否、たとえばヨーロッパにおける七千発の戦術核があるというごときは、各国別のそういう具体的な存在について言及をしておりません。そういう意味で私どもは、この日本へ入ってまいります各種艦艇についての核についての言明ということは、アメリカ自体としてはとり得ないと、こういう解釈をしております。
  240. 永末英一

    ○永末委員 先ほどからマクマホン法原子力法がたびたび話題に上がりましたが、外務大臣並びに外務省は、そのマクマホン法の何条がそういうことを言うことを禁止していると見ておられるのですか、お教え願いたい。
  241. 松永信雄

    ○松永説明員 アメリカの法律について私どもが有権的な解釈を下す立場にはございませんことは、もう先生御了承をいただけると存じますが、マクマホン法にはいわゆる技術情報の取り扱いについてのいろいろな制約があるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、日米安保条約上の、いわゆる日米間の国際約束としての事前協議というものが優先するのでありまして、アメリカ政府としましても、事前協議の約束を履行することを妨げるアメリカの国内法はないということを政府に対して確言しているわけでございます。
  242. 永末英一

    ○永末委員 外務大臣、いま条約局長の言われたことが外務省の意見だといたしますとこうなるわけですよ。この委員会マクマホン法があるからということは一切理由にならぬということが第一。第二に、事前協議相手方がやってくるという場合のことは、マクマホン法とは関係ないのだ、こういうことでありますから、私が申し上げましたように、核があるということを明言することがいけないというのなら、この地域だけは核はいやだということを言っておる国に対して核はないのだと言うことは、何らマクマホン法とも関係がない、こうなりますね。いかがですか。
  243. 木村俊夫

    木村国務大臣 したがいまして、先ほど私が触れましたように、沖繩には核兵器はないというロジャーズ国務長官の米議会における証言もございます。また、その他の場合に、間接ではございますが、それを否定した共同声明もございます。しかしながら、各個々の艦艇についてのそういう存在しないということは、やはり私は、存在しないことを言明すること自体がこの核に関するアメリカ最高機密に触れる、こういう解釈をとっております。
  244. 永末英一

    ○永末委員 沖繩というような非常に重要なところでも、日本国民の意思を体して日本政府が交渉されると、そこまで明言するわけでしょう。いまやアメリカ艦船あるいは航空機等について非常に深い疑惑があるわけでございますから、この際、たとえば通過するもの——艦船通過しますね。ここへ長い間おるわけではございませんから、そういうものについては、核兵器は搭載していないのだという、同様のことを言え、はっきり意思を示しなさいということを日本政府は、沖繩に対して努力をしたと同じ努力をして当然でありませんか。その御意思はございませんか。
  245. 木村俊夫

    木村国務大臣 そういう努力はいたしたこともございます。しかしながら、やはり、アメリカ政府としましては、それは言えないということで終始しております。
  246. 永末英一

    ○永末委員 最後はそのアメリカの政策に日本政府が従うかいなか、問題はアメリカ政府との間の信頼感を持続させるのではなく、日本国民が抱いている疑惑の念を一掃するために日本政府努力すべきである、問題は外交ではなくて内政である、このことを外務大臣としては十分ひとつ御留意あって、総理大臣と相談して善処を願いたい。  終わります。
  247. 有田喜一

  248. 松本善明

    松本(善)委員 先ほどの私の、非核決議に関する部分については、不正確でありましたので、これを取り消します。
  249. 有田喜一

    有田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十六分散会