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1974-09-09 第73回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年九月九日(月曜日)     午後一時四十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 床次 徳二君    理事 國場 幸昌君 理事 本名  武君    理事 加藤 清政君 理事 美濃 政市君    理事 正森 成二君       片岡 清一君    斉藤滋与史君       竹中 修一君    中村 弘海君       上原 康助君    島田 琢郎君       渡部 一郎君    安里積千代君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖繩開発庁長         官)      小坂徳三郎君  委員外出席者         警察庁刑事局参         事官      佐々木英文君         防衛施設庁総務         部施設調査官  奥野 貞広君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         沖繩開発庁総務         局長      山田  滋君         沖繩開発庁振興         局長      井上 幸夫君         法務省民事局参         事官      古館 清吾君         法務省刑事局刑         事課長     根岸 重治君         外務省アメリカ         局長      山崎 敏夫君         大蔵省関税局企         画課長     松尾 直良君         農林大臣官房審         議官      二瓶  博君         農林省食品流通         局砂糖類課長  永井 和夫君         運輸省航空局監         理部国際課長  中村  徹君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 九月九日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     斉藤滋与史君   熊谷 義雄君     片岡 清一君   箕輪  登君     中村 弘海君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     熊谷 義雄君   斉藤滋与史君     宇野 宗佑君   中村 弘海君     箕輪  登君     ————————————— 七月三十一日  一、沖繩住民等が受けた損害の補償に関する   特別措置法案安井吉典君外八名提出、第七   十一回国会衆法第四七号)  二、沖繩及び北方問題に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩問題に関する件      ————◇—————
  2. 床次徳二

    床次委員長代理 これより会議を開きます。  委員長は海外に出張中のため、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 最初に、御案内のとおり、けさの新聞を見ますとTWA機が地中海で墜落をしまして、わが日本人が十三名もほとんど絶望視されておる。こういうことで、これの大半が沖繩県からのお客であるということでいま県内においてはずいぶん騒動しておるような状況でありますが、長官、その点に対しまして、管轄外といえども何か情報がありましたのでありましょうか、お伺いします。
  4. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 まことに不幸なことでございまして、特に私も開発庁長官といたしまして沖繩方々にも多くお目にかかっておりますし、また沖繩タイムス社にも数度訪問もしておる関係もございますので、あの墜落事故そのものが真実であれば、心から弔意を表したいと思います。また、その後の情報につきましては、まだ的確なことを入手しておりません。
  5. 國場幸昌

    國場委員 この問題につきましては、国内の航空会社でありますと別なんで、やはり対外的な国際問題においてこの問題に対してはいずれ解決をせにゃいかないことだと考えるわけでございますので、その節は被害者双方間といわずして、国家としましても、これに対する バックアップをして、よきよう御配慮をしていただきたいことを希望いたしております。何ぶんにも事情があまり判明しておりませんので、この問題に対しましてはそれぐらいにしておきまして、私は質問に入りたいと思います。  長官は、沖繩振興開発十カ年計画につきまして、静かなる沖繩づくりとして今後沖繩開発に対しましてはやはり再検討を加えるんだと、こういうようなことで談話を発表されたということを記憶しております。この静かなる沖繩づくりというのと、十カ年計画におけるところの振興開発計画との相違点、どういうところに相違があるものであるかどうかということをお伺いいたします。
  6. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  私が先般那覇に参りましたときに、静かな沖繩ということを県民皆さんに申し上げたことは事実でございますが、私はこの静かな沖繩ということばを、ただいまございます十カ年計画とそんなに内容がそごしているものとは考えておりません。  ただ、私が強調したいし、来年度の予算等におきまして特にわれわれとして心がけるべきことは、離島問題、あるいはまた離島に住む方々の水の問題、あるいは農業基盤の拡充の問題等々を含めまして、今日までいろいろと予算的にも政府として施策をやってまいりましたが、来年には海洋博も一応終わる時期になるわけでございますので、そうしたあとの問題も踏まえまして、政府としてのこれからの沖繩に対する政策の最も端的な表現としては、目立たないけれども着実に沖繩に住む方々生活生活環境が向上していくということをねらいとすべきである、そのような考え方で静かな沖繩ということを申したわけでございます。  また同時に、やはり沖繩には固有のりっぱな文化がございますが、こうした沖繩のりっぱな文化を守り、またそれを育てるというようなことも、一つの心の落ちつきを県民方々に持っていただくためにも非常に必要だし、また同時に、開発庁といたしまして、そのような考え方を公にしながら、今後の沖繩の民生の向上の一つのスローガンとして県民にも理解していただくと同時に、われわれ自身もまた開発問題等々に関連して、いつもそうしたことを考えて努力をすることが適当である、そのように考えたわけでございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 十カ年計画価値観相違によって今度洗い直しするんだというような県側の発表から見ますと、十カ年計画審議会においてこれが決定され、二カ年たたぬうちにこれが洗い直しということになると、これは十カ年後においての目的達成格差是正、すなわち、百三万から百五万の人口を維持し、いまの県民所得を三倍にふやしていく、こういう目的で十カ年計画は作成されておるということでございますが、県側のほうから短期三カ年計画が出されるんだ、この短期三カ年計画といいますと、十カ年計画の十分の三、大体三分の一であります。目標は私は前から申し上げておいてありますが、年次計画ということなくして十カ年計画実現というものがどうなるかということを考えますと、やはり何カ年目にはこういう姿になるんだというようなことに対しての基本的な年次計画というのがあるべきだ。こういうことは物価そのものに左右されるものじゃない。物価そのものが高騰した場合においては、それに見合うところの計画に対しての予算を獲得する、こういうことであれば、間違いなく十カ年目においては計画どおり目的達成ができると、こういうことを考えるわけでございますが、県のほうから短期三カ年計画というのが近く出るので、これに対して今度は検討を加え、実施していくんだ、こういうこともまた新聞では拝見しております。それに対しまして、県のほうからのその三カ年計画というのと、十カ年計画の三年度目のものとの相違点、これはどういうようなことになっておりますか、お聞かせをお願いいたしたいと思います。
  8. 山田滋

    山田説明員 かわりましてお答え申し上げます。  いま御指摘の、県が鋭意努力いたしております三カ年計画は、御指摘のように過去の十カ年計画というのがいわゆるマスタープランでございますので、具体性がないといいますか、毎年予算によって具体化をしていくという方式をとってまいりました。そこで、少なくとも三年ぐらいを見通し実施計画をつくったらどうか、こういう考えで現地審議会で練り上げておられると聞いております。  その素案につきましては、すでに私どもの手元に参っておりますけれども、だいぶ内容も複雑でございますので、近く、来月早々に予定いたしておりますが、私ども現地へ参りまして、特に国の審議会委員さんをお願いいたしまして現地へ行っていただきまして、現地審議会委員さんとの懇談会予定いたしております。その席で十分県側から内容の要点を聞きまして、はたしてそれが直ちに国として取り上げ得る内容のものであるかどうか、そういう点を吟味いたす予定にいたしておりまして、現在まだ詳細に内容につきまして検討を進めておりませんので、御了承願います。
  9. 國場幸昌

    國場委員 その時点においての価値観というものの相違をもって、それでそのつどつど今後においてでもやはり変更変更ということにしますと、十カ年計画というのは大体いつになったら達成するか。私は基本的に、年次計画において五カ年目には、たとえ紆余曲折があるといえども基本線に対してのいわゆる振興開発計画目的達成のために、計画がそのとおり実現するということに対して基本的姿勢をもっていかなくてはいかないじゃないか、こういうことを考えるわけでございます。  そこで、開発庁設置法の問題もございますが、やはり県の申請によってこれを実施するということと、開発庁設置法の第四条を見ますと、開発庁にしましても調査あるいは十カ年計画振興計画を策定することが同じように義務づけられております。でありますので、最終的な決定は総理大臣になっておりますが、いま海洋博にちなんでの問題もたぶんあるとは思いますが、道路開発するとか、港湾を開発するとか、こういうことになると乱開発であるし、あるいは景観の破壊であるし、自然破壊だ、こういうようなことだけでこれが次から次に変化をしていった場合には、はたして十カ年計画そのもの目標を十カ年間で達成することができるかどうかということに私は危惧の念を持つわけでございますので、その点に対しましては、県側とも十分の話し合いをするといえども、十カ年計画達成のためにこれでなくてはいけないということになりますと、やはり自主性のあるところの実現に対しての実行もしていただきたいことを希望しておきます。  時間がございませんのでそれくらいにしまして、通産省に聞いてもと思いますが、問題は、海洋博の開催までもうすでに十カ月に迫ってきております。そこで、私は前からこういうことに対しては、はたして県サイドあるいはまた町村サイドにおいてできるかどうかということで心配をしておりましたが、案の定これが全然見通しがつかないという段階に今日来ておるというのは、長官よく御承知でございましょうが、なるほど国サイドにおいての道路公団あるいは五十八号線、これは大体目鼻がつくと私は見ております。  ところが、名護から以北においての会場までの道路、これが全然目鼻がついていない、と同時に、本部町がやらねばいけないという、今帰仁と相まっての汚水処理問題、あるいは焼却炉ですね、廃物の焼却、そういう問題が全然めどがついていない。百十二号線、百十六号線、百十五号線、それの土地買収さえもまだ終了していない。もう十カ月しかございません。それに対して振興開発特別措置法の第六条二、三、四項には、市町村において必要なる重要な施設に対しては、市町村のできないものは肩がわりして、これは県知事からの申し出があるときには、国でもってこれを実施することができる、こういうようなこともありますが、その点、十カ月ではとてもできない、名護においてふん詰まりするという段階になると、いかような手段観光客あるいは海洋博に押しかけてくる人たちをさばいていくか。それに対して二段階としては、設備ではとても間に合わない、間に合わないとなれば海上輸送とか、こういうことも考えられるわけですが、しかし来年の七月からということになりますと、ちょうど暴風雨の時期にもなるのです。沖繩の海は暴風雨の常襲地帯で、那覇からホーバークラフト、そういうもので行くと一時間で行けるというような計算ではありますが、それじゃ名護からふん詰まりするものをどうさばいていくか、こういうことに対してまだ目鼻がついてないというようなことを聞いております。その点に対しましてはいかような政策をお持ちであるか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 井上幸夫

    井上説明員 数字のことでございますので、かわりまして御説明いたします。  海洋博関連公共事業進捗状況は、四十九年までに予算措置されましたものの累計が七百六十億でございまして、ちょっと数字が古うございますが、第一・四半期末にほぼ六割台の契約がなされております。  ただいま先生指摘の、主として県でお願いしております本部半島道路廃棄物処理関係でございますけれども県道六号線、本部半島本部循環線県道百十四号線、百十六号線等は、いずれもほぼ用地買収を終わっておりまして、その上の契約も順調になされております。したがいまして、道路に関しまして予定計画海洋博開会時までに終わらないということはないと考えております。  それから、廃棄物処理及び本部町の公共下水道、これはいずれも契約済みでございますので、仕事が格段に行き詰まらない限り、海洋博には十分に間に合うという計算でございます。
  11. 國場幸昌

    國場委員 ずいぶん簡単におっしゃるのですが、できませんよ。私ははっきり言いますが、できません、これは。これは皆さんどういう報告を受けておるか知りませんが、名護の取りつけのほうの土地買収もまだ済んでおりません。それから、本部のほうに入りまして、変電所がございますが、ここからまた向こうの取りつけのほうもまだ計画はないわけなんです。それから海岸線、その海岸線もまだ着工していないわけなんですね。着工しておりませんよ。だから、これをもって十カ月でできますというようなことをおっしゃるのですが、事実現場はよく知っておられるのですか。  それから汚水処理問題、これは三カ年計画でやるというのが、まだ全然手をつけていないのですよ。これは皆さん町村今帰仁村と本部町の責任においてやるんだというが、御承知のとおり、物価高騰によって町村にしましても財政裏づけがないということで、四十七年度から四十八年度、四十九年度予算、これは全然消化していないのです。向こう市町村長が言うには、裏づけ補てん財源が見つからぬうちは、これは着工したいけれども市町村はその財政にこたえるだけの起債の力もないし、とてもできる問題じゃございません。今日まで二カ年間過ぎて、これに対してそれではどうしようというような——国家的な事業関連する事業ですよ、これは。これをいまから十カ月でやれといっても、絶対できませんよ。それは簡単におっしゃるのですが、できる見通しでありますとか言うんだが、これは私が言うけれども、私は仕事師でございますので、とても間に合いませんよ、皆さん。どうぞその点は、それではぼくがそう言うからというようなことで、もう一回詳細な調査をしまして、できるということをこの場において責任ある発言をされたのであれば、その目的をひとつ絶対に実現させるようにしていただきたいことを希望しておきます。  それからもう一点、総理府長官小禄爆発事件、これがいまだにあれだけの被害のもとで生活の一番中心の柱を失って、いまさびしい七月を送り、今後の生活をどうするかということに不安を持つ、市のほうでも、県のほうでも、国のほうでもその後は音さたない、こういうことで、ずいぶん先行きに対して不安を持っておりますが、その後、それに対する補償といいましょうか、救済措置はまだ全然進展していないということでありますが、その点に対しましてはいかがでございますか。
  12. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  小禄爆発につきましては、非常にたいへんな事故でございまして、この点については非常に被災の方々に御迷惑であり、また、なくなられた方もおられまして、心から恐縮なことだと思っております。  同時にまた、この問題につきまして、地元からは補償要求が出されております。われわれといたしましては、この補償要求に対しまして、やはり一応調査をしなければなりません。先般私もこの席で申し上げましたが、おそくも七月中には調査を完了したいということを申し上げて、その方向で鋭意努力をいたしておりましたが、意外にこの調査に手間がかかりまして、たいへんこれは申しわけないことでございますが、ようやく今日ほぼ完了したという報告を受けております。したがいまして、この報告に基づきまして関係各省並びに地方公共団体とも打ち合わせをいたしまして、何らかの方法でお見舞いを差し上げるということを進める段取りにやっとなりましたことを御報告したいと思っております。
  13. 國場幸昌

    國場委員 もう一点だけ、海洋博にちなんで申し上げておきます。  いま国サイドにおいては、石川までの水道給水に対しては、大体海洋博会場もだいじょうぶだろう、こういうことであります。ところが、いま石川から南部のほう、海洋博に対するお客さんはほとんど中南部に宿舎を求めなければいけないのだ、こういうことでございますが、いまでも毎週一日越しか三日越しか断水しておるのですよ。ところが、石川浄水場から南のほうは県サイドにおいてなすべきものだ、こういうことで、いまでさえも断水しておるのに、それに対する措置が講じられていない、その問題をどう解決されますか。これはたいへんな問題ですよ。  これだけの観光客が来まして、いまでさえも水が断水するということで、これが海洋博になって三万人も人が泊まるという。ホテルのほうも、いま三五%から四〇%ぐらいの利用率しか持っていないわけです。海洋博が来ますと、中南部ホテルは全部満員になるであろう、そのときにこの水の問題はどう解決されますか。なるほどこれは県の企業局がやるべきだ、こういうことでございますが、しかし、国家的な名誉にかけてのこの事業を、県サイドだけにまかせておってこれができますかどうか。県がやらないからわれわれは知らないよということでは済まされる問題ではないのです。その問題に対してひとつお答えをお願いします。
  14. 井上幸夫

    井上説明員 御指摘のように、沖繩中南部の水の問題というのはたいへんな問題でございます。国がやりましたのはいわゆる北部のダム群開発でありまして、現在そのうち福地ダムが完成して機能しております。それ以降、以南の水道管の布設につきましては、費用は国の十分の十負担でただいま沖繩県企業局において工事中でございまして、計画といたしましては石川浄水場までを完成させるということでやっております。また、すでにこの夏相当の断水問題が出ております。対策は、ただいま私ども沖繩県と協議中ござごいます。
  15. 國場幸昌

    國場委員 時間がございませんのでこれでとめますが、しかし、打ち合わせ中とか、そういううちに十カ月は過ぎて、海洋博で混乱をしたということになると、それこそ今日までわが国が、東京オリンピックから始まりまして大阪の万博、冬季北海道大会と、世界の人類称賛のもとに今日大成功した功績を、これが沖繩海洋博不行き届きによって水泡に帰せないように、責任あるところの政府としては、この問題に対してはひとつ十分なる努力をしていただきたい、これを希望いたします。  終わります。
  16. 床次徳二

  17. 上原康助

    上原委員 最初長官にお尋ねしたいのですが、時間が非常に限られておりますので……。  いま國場委員のほうからも質問があったのですが、昨日、アテネ−ローマ間の日本人を乗せたTWA機墜落事故を起こしております。きわめて不幸な事件だというお答えがあったのですが、こういう不幸な事故が起きた場合、日本人の乗客がおったときは、たとえばパリで起きた事故ども運輸省など政府代表としてさっそく現地専門家を派遣をして、事故調査、あるいはその事故にあった方々処理について政府対策というのがこれまでは緊急になされておったと私は思うのです。政府は、今回のこの事故の場合においても、政府代表なり、あるいは運輸省専門家現地に派遣して事後処理を十分やっていく御意思があるのかどうか、そういった面は政府間でどう話し合われているか、運輸省も来ておると思いますので、そこいらの点についてもう少し明確に政府の態度を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  18. 中村徹

    中村説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘のありました事故調査の件でございますが、今回の事故アメリカ国籍トランスワールド航空日本の国外で運航事故を起こしたことでございますので、私どものほうで事故について調査を行なうように参加するという権利は、国際的にはございません。そこで、やはり今回の場合に外務省在外公館を通じまして、在外公館日本人の方についていろいろお世話をするなり、必要な手段をとるなりするようにしていただく方法しかないというふうに考えております。
  19. 上原康助

    上原委員 国際航空協定でどういうふうになっているか、私はまだ勉強しておりませんが、いずれにしましても、沖繩県民が大多数だということで私は申し上げているわけじゃないのですよ。十三人という報告だが、ほかにも日本人がおるのじゃないかという未確認情報もあるわけですから、国際的あるいは外交的にはそうなっておっても、現に日本人が乗った飛行機墜落事故を起こしたという事実は、もうほぼ間違いないわけです。人命尊重あるいはこれまでの慣行からしても、政府としてこの問題に対しては積極的な姿勢を私は示すべきだと思うのですが、長官の立場での御見解をもう少し明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  20. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  いま事務的には運輸省からお答えしたとおりだと思いますが、なおわれわれといたしましては、在外公館を通じまして、さらに詳細な状況等報告を求めたいというふうに考えておりまして、外務省においては現在その努力を重ねている段階でございます。なお、そうした状況の判明を待ちましてこの問題に対する対策は定めていく、こういう順序になると思いますが、私、個人的に考えましても、たいへんに多数の日本人飛行機事故でなくなられて、まことに残念なことだと考えておる次第でございます。
  21. 上原康助

    上原委員 事故原因究明がそれぞれなされると思うのですが、場合によってはいろいろな国際的な政治問題に発展をする背景もあるのじゃないかという情報もありまして、そういった面などもぜひひとつ究明をしていただいて、十分な対策をとるように、この点は強く要望しておきたいと思うのです。  そこで、若干関連もするのですが、長官にお尋ねしたいのですが、沖繩で起きているいろいろな問題の処理というのが非常に時間がかかっているわけですね。小禄の例の爆発事故にしましても、去る三月二日に起きてまだ解決を見ない。あるいは七月十日に起きた伊江島での狙撃事件にしても、裁判権の問題というのがまだ、日米間で話し合いが持たれて、第一次裁判権日本にあるのかアメリカ側にあるのか、それさえも十分でない。一、二をあげてみても非常に時間がかかる。またそのほかの県民なり各団体から提起をされている諸問題等についても、なかなか迅速に処理されていないというケースが多いわけですね。なぜそういう時間がかかるのか。いろいろ言い分はあると思うのですが、もっと県民要求に対してはすみやかに処理をしていく、政府責任においてできるものはできる、できないものはできない、あるいは県側との事務処理の面で長引いているのか、そこいらの面を、すっきりというか、明確にしないといかない面が私はあると思うのです。  機構の問題を含めて、なぜそういった県民生活と密接にかかわり合っている問題の処理がおくれるのか。一体ネックはどこにあるのか。開発庁長官、総務長官として御就任なされてから、そういう面についてはいろいろとお感じになっている点もあると思うのですが、どうして長引くのかという原因についてお尋ねしたいということと、これを長引かないように処理していくには、政府としてはどういうふうにしていったらいいのか、また、県なり議会なりはどう対応していったほうがいいのか、そういった面について、もう沖繩の特別措置法や振興計画を含めて整理をする段階にあるのじゃないかという感も私は受けるのですが、ここいらについての長官の御見解を求めたいと思うのです。
  22. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 いろいろの事務処理がたいへんに県民側から見てはおそいというような御批判は、私もよく理解できるわけでございます。しかし、起こりました問題、やはり政府としてこれに対処するためには、その事態に対して原因を究明するなり、あるいは現状がどうなっているかということ等につきまして詳しく調査をいたさなければならないというようなこともあり、また、特に先般の伊江島のような事件につきましては外交的な問題も大きくうしろにあるというようなことから、なかなか思うような前進がいかないという面は、確かに御指摘のとおりでございます。  われわれといたしましては、やはりそうしたことが現実でございまして、これを一挙に飛ばすといっても、それは単に抗議でおしまいになってしまうので、実際的な補償なり原状回復なりというようなこと、あるいはもっと適宜な施策を打っていくというようなことを十分やらなくてはならない責任も同時に深く考えておりまして、ただいま御指摘のような点につきまして、われわれもいまそうした事態を解決すると申しますか、処理の促進をはかる努力を、開発庁としてできる限りのこともやる方向で進んでおるわけでございます。なお、御指摘の点につきまして、よくわれわれも踏まえて反省をして、今後に処してまいりたい、そのように考えております。
  23. 上原康助

    上原委員 政府がいろいろ御努力しておられることについて、私も全面的に否定するわけじゃありませんが、かねがね指摘してきたつもりでありますが、どうも窓口の問題が私は政府機構上にあるのじゃないかという感じを持つわけですね。具体的な例としてこの小禄爆発事故処理の問題ですが、これは開発庁でやるわけですか。こういう問題にしても、あるいは返還された軍用地の地籍確認の問題にしても、いろいろこれまで議論されてきたんだが、やれ防衛施設庁だとか、やれ総理府だとか、あるいはやれ法務省だとか、経企庁とも関係があるんだというように、むずかしい問題になるとたらい回しにされて、どこにどう訴えていいのかわからないというのが、最近の県民の非常にもどかしい声なんですね。私はそういった面をもう少しきちっとすべきじゃないかという感じを持つわけですよ。  こういう窓口を明確にして、その部署、部署で問題処理というものを適時にやっていくということでないと、膨大な政府機構の中にほうり込まれて、むずかしい問題についてはなかなかみんな触れたがらないわけですから、できればほかの省庁にさしたいという気持ちが役人の中になきにしもあらずであります。そういうことをもっと正していかないといけないんじゃないかという感じを私はこの二、三年ずっと持ち続けているんですが、そこいらについて、何といったって沖繩関係は直接開発庁が窓口ですから、開発するだけじゃなくして、復帰との関連において起きた戦後処理の問題をどう処理するかという機構上の面についても、この際、私はもう一度再検討をしてみる必要があると思うのです。そういう面を含めて私はお尋ねしているわけです。  そこで、この小禄爆発事故の件については、七月段階である程度の実情調査が済んだということでしたが、この事故が起きたときは政府・与党のほうからも調査団を現地に派遣をして、場合によっては特別立法も必要だということは与党議員のほうが強く指摘をした点もあるわけですよ。その被害者に対する補償の問題もさることながら、いまのように時間をかけておると、またどこかでぱかんとやられて、そのことを問題にする。どうも日本人の悪いくせかもしらぬが、のどもと過ぎれば熱さを忘れるのたとえで、次から次へと時間がかかってしまって、処理がされないままに新しい問題が起きてくるという繰り返しがこれまでなされているような感じがするのですが、これは特別立法が必要なのか。補償については一体どうするのか。国家賠償法の適用はできないという見解もあるということも、自治省なり法務省あたりも当時は出されたんですが、この補償問題あるいは今後の不発弾処理についてどういう形で長官としてはやっていかれようとするのか、そこいらが非常にあいまいのままに今日までなされているわけです。そういった点は今後どういうふうに進めようとしておられるのか、この点はぜひ、補償問題を含めてもうそろそろはっきり県民に対して、政府としてはこういうふうに処理するんだという答えを私は出すべきだと思うのですが、あらためてお尋ねしておきたいと思うのです。
  24. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 いま、沖繩の問題に対してのきわめて適切な御意見だと私は承っております。しかし、上原委員も御承知のように、たとえば国家がこの賠償の責任に任ずるかどうかということは、本来的にはやはり法務省の見解が重要でございます。また、その見解がなければ、われわれが幾らそうやりましても動かないわけでございます。  同時にまた、補償額そのものも、先ほど國場委員にもお答え申し上げましたが、たいへん手間どって、私らは残念に思います。しかし、請求額そのものをやはり検討しないわけにはまいりません。やはりそのためには相当精密な調査を、物的または人的な問題について一々突き詰めて調査をさせていただいておるわけでございますが、しかしそういう調査の間でありましても、なかなか調査そのものが思うように進まない問題も出てまいりまして、そうしたことを迂回して通るわけにもまいりませんので、時期を待たざるを得ないという点もございまして、この爆弾の事故などというような問題につきましては、やはりそのような時間がかかっても正確に事実を認定をしていくという努力を積み上げざるを得ないということも、ぜひ御理解をいただきたいわけでございます。  同時にまた、こうした補償をいたす場合に、国家賠償というようなことであるかないかという見解も一応はいまの段階では明確になされつつあるわけでございますが、われわれといたしましてはお見舞い金を早く出したほうがいいという政治的判断を持ちます。そこら辺のととろで、幾らお金をどこから出すかということについても、やはり財政当局との話し合いも必要である。また同時に、その分のうち地方自治体において何がしかの応援もしていただく、こうなりますと、自治省との関係も調整しなければならぬ。  上原委員の御指摘の、何をやっているんだ、時間ばかりかかっているじゃないかというお気持ち、また多くの県民方々もそうした考えをお持ちだと思いますが、しかしやはり日本の行政機構そのものがそのような形でそれぞれたてまえを持ち、しかもその中でベストを尽くそうという努力をしているということもお認めいただきたいわけでございまして、そのようなことからなかなか思うようなスピーディーな処理が——重要な問題であり、また県民の心に突き刺さるような問題であればあるほど、遺憾ながらやはりそうしたことに相当の時間をかげ調整をし、そしてきめたことは必ずやるということをたてまえにせざるを得ないのではないかと考えておりまして、先ほど来のいろいろな御質問を通じまして、やはり沖繩の問題の処理ということにつきましてももう少しスピーディーなやり方というものをわれわれとしては検討をし、また関係省庁とも、提案をしてよく話してみたいというふうに考えておるととろでございます。
  25. 上原康助

    上原委員 長官への時間がないので、突っ込んだあれができなくて残念なんですが、そうしますと、今後の処理の問題を含めて特別立法をするかどうかは、これは議会との関係もありますのできょうはこれ以上触れませんが、少なくとも現段階で言えるのは、過日、死亡者に対しては百万円、負傷者に対しては二十万円の見舞い金を一時政府のほうで手当てをなさった、それだけで事を済ますというお考えはないということだけははっきり言えますね。  それと、大体もう調査も済んでいるので、年内ですか、年度内にはこの問題については処理するという立場でいまやっているというふうに理解をしていいかどうか。この点明確にしておいていただきたいと思います。
  26. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 爆発事故に対しましては、すでに補償要求も出ております。いまそれの査定をほぼ終わったところになってきておると思います。そのわれわれのほうの査定額を提示いたしまして補償を申し上げるわけでございますので、私はこれがさらに先にどんどんと延びていくということはもちろん希望いたしませんし、またなるべく早くそうした措置がとられるように促進をいたしたい、そのように考えております。
  27. 上原康助

    上原委員 これはあとでまたお尋ねします。  そこで、先ほどパインの問題についての陳情がなされているわけですが、これは具体的な内容については農林省等にお尋ねをしますが、長官として静かな沖繩づくりをやりたいということで、離島振興とかいろいろいわれているわけですが、問題は、第一次産業、沖繩の農業をどう回復し、復興し、振興していくかということも、沖繩振興開発の上できわめて重要な柱に位置づけなければいけないわけですよね。そうするには、パインの生産者価格にしましても、原料価格にしても、キビの原料価格にしても、これを農民が期待をしている価格に引き上げなければどうにもならぬですよね。直接の担当者ではないかもしれませんが、閣議なりいろいろな政府全体として、パインの原料価格の決定あるいはキビ価格の決定については長官の果たしていかなければならない役割りも大きいと私は思うし、また、沖繩県民はそれなりに長官に期待をしていると思うのです。  現に、キビについてはトン当たり一万八千円以上、パインの原料価格についてはキロ当たり四十八円四十銭ですか出ている。これについて長官はどう対処していかれようとするのか。積極的にその要求にこたえていくお考えなり姿勢があるのかどうか、あるとは思うのですが、ぜひひとつ、代表も先ほど陳情したばかりでありますので、具体的な中身については後ほど政府委員にお尋ねしますが、長官の決意のほどを伺っておきたいと思うのです。
  28. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 やはり国際的な商品でございますから、この生産物の価格もまた相当程度には国際価格というものを基準にせざるを得ない。しかし、そこにまた沖繩の生産性の問題等もあって、あるいは気候的条件、あるいは耕作に対するいろいろな諸設備が劣っておるというのも現実でございます。そこに生産性向上ということが十分にはかり得ないための価格の高さというものも、やむを得ないじゃないかと思うわけでございます。  しかし、私は離島を歩きまして痛切に感じたことは、やはり農業基盤の拡充が、もちろん一方においては現在のトウキビやあるいはまたパインの生産者価格という問題に非常に密接に関係するととは決して否定いたしませんが、同時に、現状のままではいけないということを考えまして、来年度におきましては、農林省とも十分打ち合わせし、また、農林省予算の一部を上積みしてもらうような形で、農業基地としての、特に水の供給、イリゲーションの整備あるいはまた害虫の駆除等につきましては、特に来年度においては力を入れて進んでまいりたい、そのように考えております。
  29. 床次徳二

    床次委員長代理 島田琢郎君。
  30. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 わずか十五分でありますから、きわめて単刀直入に大臣の見解を伺っておきたいと思います。  まず、ただいま上原委員から、沖繩開発の基礎となる産業、とりわけ農業の位置づけ、そしてまた沖繩の持っております特殊性の中から歴史的に経過をしてまいりましたサトウキビ、パインの問題についてお尋ねがあった中で、所信を伺ったのでありますが、大臣はそういう決意をお持ちであるとすれば、現在サトウキビの置かれている状態というのは、問題点が非常にたくさんあると私は考えているのですが、昨年は要求一万三千円に対して、千三百円の奨励金で、含めて一万円、こういう価格決定で、沖繩の農民の皆さん方の期待を大きく裏切りました。その結果がたいへんな耕作放棄、あるいは砂糖の生産、糖業を含めてたいへんな危機に立たされている、こういうふうに私は現状を分析しているのであります。大臣はこの昨年のサトウキビ原料価格決定以降の今日までの状況をどのようにとらえていらっしゃるか、その点をまず第一にお伺いいたします。
  31. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  やはり昨年来のトウキビの問題というものは、沖繩の農民の方々に非常にいろいろな苦悩を与えたというふうに率直に思っておりますが、しかし同時に、あの価格であってもまた砂糖精製会社のほうが引き取らないというようなことで、たいへんなトラブルがあったことも事実でございます。やはり生産者価格の補償的価格というものと、世界商品としての砂糖あるいは粗糖の価格との間のバランスの問題が大きな問題であるというふうに認識せざるを得ないわけでございます。  そこで、先ほど上原委員にも私の所感の一端を申し上げましたが、何としても生産性の上がる基盤を早く整備するということ、もちろんこのトウキビ価格等につきましての直接の価格決定あるいはその指示をなし得る権限は農林省でございますけれども、私はそうしたことよりも、開発庁といたしましては、基盤のほうを早く整備するということを声を大にして関係省庁に呼びかけ、予算をつけ、そしてまた特に水の問題等について、あるいはまた耕作の能率化のために機械化をはかるということについての声を大にしながら、関係省庁のほうの理解を進めていくという方向で、今後も対処してまいりたいと考えております。
  32. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 いま大臣がおっしゃった点は重要な部分でありますから、これは私は否定いたしません。開発庁としてのお取り組みの姿勢としては私は理解をいたしますが、しかし基盤整備というのはなかなか一朝にしてなるものではありません。したがって、その間サトウキビ農家やパイン農家が死んでしまうような状態になったら、これはせっかく基盤ができ上がっても、元も子もなくなるという状態になると思うのです。そういう状況にいま沖繩が置かれていると私は思うのです。だから、基盤整備の問題と、もう一つ大事な点があると思うのですが、大臣、その点はお気づきになりませんか。
  33. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 もちろん委員のいま仰せられましたことのより端的なことは、農産物価格の生産者補償システムというものをなぜもっと進めないのかという御内意ではないかと私は理解いたしますが、しかしこの生産者補償主義というものは、政府といたしましては、現状なかなかそれに踏み切るという段階にまで合意が成熟しておらないのも事実でございまして、そうした中におきまして、このトウキビの問題につきましては、いまわれわれといたしましてもいろいろと御陳情をいただくたびに頭を痛めておるのが現状でございます。
  34. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 砂糖でありますから、今日の砂糖の国際的ないわゆる暴騰の問題、そういうものの背景が一つあって、その点についてはおれは所管でないからということになるかもしれません。ですから、この部分についての詰めは後ほどひとつ政府側とお話し合いをしてみたい、こう思っておりますが、私はより基本的に、たとえばいま、価格の問題にも問題があると考える、こういうふうに大臣は明確におっしゃったわけです。昨年からことしの沖繩県に限ってのサトウキビの状況はどのように推移してきたか。そして大臣は、沖繩にどれぐらいサトウキビの面積があって、どれぐらいの生産量を持っていて、そしてパインはどれぐらいの面積でどれぐらいの生産がなされているか、その辺所管の大臣としては十分御認識になっていると思いますが、幾らあるとお考えですか。——私は大臣に聞いているのです、これは大事な点だから。事務局から答えてもらうならいつでも聞いているのだから、やはり大臣が認識していただかないと、サトウキビの位置づけができないのですよ。大臣からお答えください。
  35. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 サトウキビの生産額は百二十七億円でございまして、これは少しデータが古いのでございますが、パインは十三億円でございます。農業総生産が三百二十億でございますから、サトウキビはその三九%、パインは四%という比率になります。
  36. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 前年に比べて現状はどのようになっているか、大臣おわかりですか。
  37. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 たいへん申しわけございませんが、ただいまここに数字を持ち合わせておりませんので、お答えできかねます。
  38. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 私はきわめて残念に思うのです。沖繩県でサトウキビをつくっている農家は、もうここ何年も前からこの政策の確立を訴えてまいったのです。農林省だけが承知しているけれども、肝心の基盤整備を進めていくと先ほどはっきりおっしゃった大臣が、沖繩でサトウキビがどのような現状になっているかを承知しないようでは、一体本気になって沖繩開発の基幹に農業を据える、サトウキビも大事だと考えているなどと言えた義理がないじゃありませんか。私はきわめて残念に思います。  そこで、実は昨年に比べて一四%耕作が減退をしているのです。これは農林統計が昨年のサトウキビの価格決定以後の推移を六月の十五日に公表いたしております。それによりますと、現在、四十八年産は二方一千三百ヘクタールで、昨年に比べて八六%だと発表しているのです。こういう認識をきちっと大臣にお持ちいただきませんと、沖繩開発なんか何にもならぬですよ。そうすると、私は、先ほど上原委員に答えられたように、大臣みずから農業の重要性をお感じ取りになっているとは理解しにくくなってくるのです。たいへん残念なことでありますが、時間がないから先に進みます。  昨年、価格の決定の際に、私ども櫻内前農林大臣とお会いをいたしました。上原議員を先頭にして、価格決定に対する要請、要求を行ないました。そのときに、当時の櫻内大臣はたいへん大事なことを三つほど言いました。  その一つは、沖繩における海洋博のダメージが農家にたいへん大きなしわ寄せとなっている現状にあることを率直に認める、こう言っているのです。したがって、このための特殊事情というものが生じている限り、特別措置をしなければならないと発言しているのです。これは私どもに言っている。私もそれを聞いているのです。特別措置とは、いろんなやり方があるでしょうけれども、今日の沖繩開発の基本になる農業の部門に視点を当てるなら、やはりサトウキビという問題をきちっと農政の柱に据えていかなければならない。そのために、必要なら糖価安定法の内容についても検討を加えなければいけないが、それはなかなかむずかしいので、特別立法の措置ども考慮すべきではないか、これはたいへん重大な発言であります。  そして第二点目には、農相自身が、昨年も物価の上昇を考慮に入れてサトウキビの価格決定を行なったけれども、狂乱物価等の情勢の中では先の見通しを誤ったと反省せざるを得ない、こう言っているのです。  それから三点目は、これは農相発言の中にはなかったことでありますが、私どもが追及をしているのは、昨年サトウキビが一万円になったことによって約四四%値上げされたわけですけれども、それでも、反当たり七・五トンとすれば、反当たり、十アール当たりの粗収入というのは七万五千円だ、これでもとても沖繩はやっていけない、こう言っているのです。何となれば、これはひとつ長官にお尋ねをして真偽のほどを確かめたいのですけれども政府があっせんをして米軍に基地を貸すために出させているいろんな補償料とか、それから見舞い金、協力金なんかを入れると三十万円になる。三十万円でアメリカに貸しておいて、自分たちのつくる大事なサトウキビの反当たりの収入というのは七万五千円にしかならぬのだ、こういう点が沖繩におけるたいへん問題になる点ではないかと指摘したのに対して、農林大臣は、所管する立場からはそれを率直に言うことはできないけれども、そういう一つのいわゆるバランスのくずれる部分というものは沖繩に特殊事情としてあるから、したがって特別立法措置を講ずるということが正しいと思うと、たいへん歯切れよくわれわれに答えているのであります。  所管する開発庁長官が、幾度も指摘して悪いですけれども、サトウキビに対するそれぐらいの認識しか持っていないようであれば、私は沖繩のサトウキビ農民は浮かばれないと思うのです。いかがでしょうか。
  39. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 サトウキビの前年対比が一四%ないし一七%減ったというその数字お答え申し上げなかったことは、たいへん不勉強の点をおわびしたいと思いますが、私はこのサトウキビの持つ沖繩農民にとっての重要性というものを決して否定申し上げません。しかし、同時にまた、サトウキビだけでなしに、最近は畜産物がふえております。これは非常な勢いで毎年上昇しております。私はこの農家経済そのものを考える場合に、端的に言うならば全農産物の三〇%を占めるサトウキビの重要性は少しも衰えてないと思いますが、同時に、このサトウキビは先ほども申し上げましたように砂糖の価格の国際的なバランスとか、あるいはまた、それをこなすための工場と農民との間のいろいろな価格のトラブルとかいうようなものを考えた場合に、同時にまた、沖繩の農業を基盤にしたいという考えの中には、なるべくトウキビから畜産へ、あるいはまた他の蔬菜類というものへの転換を開発庁としては積極的に推進をするというのが私は一つの基本的な理念ではなかろうかと考えておりまして、先ほど諸議員に対しまして私の考えを申し述べた基盤はそこにあるわけでございます。農業基盤の整備ということは、単にサトウキビだけの問題をさしておるつもりはないということを御理解賜わりたい。  それから、ただいま前農林大臣の糖価安定のための施策としての御発言を承りまして、私は前機内農林大臣がそのようなお考えを持っておられたということを十分に承知しておらなかったわけでございますが、同時にまた、そうした考え方がその後の農林省の政策の中にどう位置づけられているかということにつきましては私どもとしても言い分があるわけでございまして、この糖価の安定と申しますか、トウキビが、何回も申し上げますが、農家経済にとってきわめて重要な柱であるというならば、やはりそれにふさわしい一つの価格決定方式というものもあっていいではないかということは、開発庁としてるるそうした問題の提起を今日まで行なっておるわけでありますが、しかしそれがなかなか前に進めないということも御理解をいただきたいと思います。
  40. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 時間が来ましたけれども、大臣はいま非常に大事なことをおっしゃっているのですが、ひとつ認識を誤ってもらっちゃ困るんですね。私はこの両省間におけるそういう連絡不手ぎわ等についていま責める時間がございませんからこれはやめますけれども、大臣、砂糖については農林大臣でないからこれは無理もありません。しかし、国内の砂糖と外国から入ってくる砂糖というのは、いまは昔みたいなことはないのです。たいへんなのです、よそから入ってくる砂糖はこんなに高いのですから。沖繩皆さんがおつくりになっている砂糖なんというのは実に安いのです、小売り価格にすれば。それは認識が違うのです。沖繩の砂糖をあまり高く上げたら、国際糖価とのかね合いとか、砂糖価格に影響するなんというような情勢じゃないのですよ。これは認識を改めてください。御勉強ください。事務局の皆さんも大臣によくこの辺教えてあげていただきたいのです、これは大事な点ですから。  そして同時に、まあ農林省に対する言い分その他あるでしょうけれども、もう一つは、沖繩のサトウキビをだんだん縮小し、転換させていくということは、国内の砂糖の政策からいくと、現状それは逆行するのです。国内の自給率はいま二〇%を割っているのです。ところが、倉石農林大臣は、私の砂糖政策に対する質問に答えて、砂糖はいまたいへんだ、だから国内自給率を何としても最も早い時期に二八%程度までは引き上げたい——ところが、現状政策が逆行していて、ことしはおそらく、沖繩皆さんのつくるサトウキビ、私のところのつくるビートを含めて考えても、一七%以下に落ち込むのではないかと私自身は推定をしているのです。そういう危機状態にあるのです。ですから、政策的に沖繩のサトウキビを縮小方向に持っていったら、これは日本の砂糖政策に逆行することになりますから、この点は十分お気をつけいただきたい。  このことを申し上げ、さらに、もう間もなくことしのサトウキビ価格の決定の時期を迎えておりますので、所管の農林省とも十分ひとつ大臣お話し合いをいただいて、沖繩のサトウキビを守る、沖繩の農業を守る、そこから沖繩開発の基本姿勢を明確に打ち出されるように心から期待をいたしますが、決意のほどを伺って、私の質問を終わります。
  41. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私の先ほど御答弁申し上げたことで多少誤解をいただくとたいへん私も困りますので、あらためて申し上げますが、私は、農業総生産の中におけるトウキビの比率を下げるということは、何も現在のトウキビ生産を縮小するという意味ではございません。他の産物を伸ばして、比率としてそれを下げていくという意味でございますので、その点は御理解をいただきたいと思っております。  なおまた、ただいまの御指摘のトウキビの生産者価格につきましても、十分御趣旨を踏まえて今後も行動してまいりたいというふうに思っております。
  42. 島田琢郎

    ○島田(琢)委員 終わります。
  43. 床次徳二

    床次委員長代理 正森成二君。
  44. 正森成二

    ○正森委員 私は、最初に、他の議員もお聞きになりましたが、小祿における昭和四十九年三月二日の爆発事故についてお伺いしたいと思います。  これは、爆発事故がありましてからもうすでに六カ月もたっております。私どもの記憶に誤りがなければ、大臣自身も、六月までには解決のめどをつけるとかいうようにたしかおっしゃったはずであります。それに対して、いま私が答弁を伺っておりますと、調査に意外に手間どって、近く被害額について出るはずであるとか、あるいは各省、自治体と相談して、被害額が出れば近くお見舞いを差し上げる予定であるというように、國場委員に対する答弁でお答えになっていたと思います。  しかし、私はまず第一に、六カ月もたっておるのに、調査は意外に手間どるもので、近くできるというようなことをいまごろおっしゃる。それならばなぜ六月ごろにめどをつけるとおっしゃったのかということがありますし、それから第二番目に、額が出るかどうかというのと並行して、あるいはそれより前に、一体責任が国にあるのかどこにあるのかという問題が解決しなければ、額だけは出ても、国は一文も払わないということになってしまう可能性があります。  その点で、勘ぐるわけではありませんが、近くお見舞いを差し上げたいと思いますということばをわざわざお使いになりました。お見舞いというのは、私の記憶に誤りがなければ、政府は三月の八日に、とりあえず死者一人当たり百万円、入院している負傷者七人に一人当たり二十万円お見舞いを出すということをきめて、西銘政務次官を沖繩に派遣しておられます。すでにお見舞いはこの点では済んでいるはずであります。したがって、今度出されるお金はもっとはっきりしたものでなければならない、こう思うのですね。それについて政府の見解を、総論的に大臣から伺いたいと思います。
  45. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 最初に、私が、六月末までに被害額を精査して、そして被害額の確定をしたいということを申し上げましたが、地元からの補償要求額が出たのも時間的にずれましたし、また同時に、これに対して、基本的な一つの問題でございますが、国家賠償という責めに任ずるかどうかという問題につきましても、先ほど来申し上げているとおり、政府内部においてはいろいろと異論がございます。そうしたようなことであっても、われわれとしては何らかの形で補償請求に対して答えをしたいというのが開発庁の一貫した考えでございまして、したがいまして、そうした議論をだんだんと進めてまいりますと、国家賠償なりやいかんという問題を議論をいたしておりますれば時間はますますたちます。したがいまして、先ほど私が申し上げた、お見舞い金のような形でということを私は進めてまいりたいという自分の考えを述べたわけでございます。  それからもう一つは、今日まで非常に手間どったということでございますが、要求総額が三億九千万ぐらいになっております。約四億になっておりますが、これは人身の損害と、それと物的な損害と、二つに分けましてこの調査をさせていただいております。同時に、この調査には地方自治体も現地調査に参加していただかなければならぬ。まあ、いろいろの点を申し上げますと非常にややこしい手続が要りまして、その調整に約一カ月を空費したことは事実であります。しかし同時に、理解を得まして、それから精力的に地方自治体の協力も得て進めてまいりまして、なかなかその詳細な事実認定ということになりますると時間もかかるわけでございます。また、ある場合には調査に対して御協力をいただけないような事情も出てまいりまして、それを飛ばしてやってしまえばいいというような考えではいけないのでございまして、御協力いただくまで時間をかけるということもこれはやむを得ないかということで、だんだんと時間がたって、大体今日ほぼ煮詰まったという段階まで参りましたので、これを基礎に行動を起こしたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 正森成二

    ○正森委員 事情の御説明がありまして、これは大臣に最後に聞くべきことかもしれませんけれども、国賠法などといっておるといろいろ政府部内でもむずかしい問題があるので、一応お見舞いというような形でも早く解決したいと、こうおっしゃいました。私は、政治家としては必ずしも金の出される原因にこだわる必要はないんですけれども、お見舞いだから非常に安く、損害賠償だから正当なものが支払われるというのであれば、これは当事者にとって困るわけですね。  そこで、再度お見舞いということばを使われましたが、現在どの程度煮詰まっておるのか知りませんけれども、名義はかりにお見舞いであっても、県民が納得するような額が出されるようなかっこうで各省で連絡ができておるのか、あるいは予算措置をするつもりがあるのかどうかということを、中間の、いろいろ法務省などに聞きたいことがあるのですが、それはあと回しにして、大臣にまず伺っておきたいと思います。
  47. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 この場で正確な数字をまだ申し上げる段階ではございませんが、しかし、現在の担当者の報告によりますれば、良心的に十分詰めた数字であるというわけでございますので、私はそれを信頼していきたいというように考えております。
  48. 正森成二

    ○正森委員 再度お伺いしますが、そのお見舞いは政府が支出されますか、それとも他の地方公共団体とかいうものと共同でお払いになるつもりですか。
  49. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 現時点では、地方公共団体も協力をしていただくという方向で進めていきたいと思っております。
  50. 正森成二

    ○正森委員 その比率などのこまかい点については煮詰まっていないと思いますから、あえて伺いませんが、それでは、私は警察庁と法務省に若干のことを伺いたいと思います。  報道によりますと、報道ですから誤っておるかもわかりませんけれども、今回の国賠法ないしは政府に損害賠償の責任があるという明確な法律的前提での解決というものについては、終始一貫法務省が非常に難色を示しておるというのが私どもの耳に入ってくる報道であります。新聞報道によりますと、新島に同種の事件があって、それが結審をして間もなく判決であるから、それに抵触するような形ではこれは見解は出せないのだというようなことも言っておられますね。しかし、私の承知しておるところでは、新島というのは、これは海岸でたき火をしている中へ、多少冗談もあってくべて、それが爆発したというような事件で、本件のとは全然性格が違うのです。そうだとすると、新島の問題がこうだからというようなことで本件の結論を左右される必要は全くないと思うのですね。  そういうことで申し上げたいと思うのですけれども、たしか私が三月の七日と二十人目にこの問題を質問しましたが、二十八日には、古館説明員だと思いますが、国賠法二条の適用を非常に困難視されまして、「ところが国家賠償法一条あるいは民法七百九条という問題もあるわけでございます。この辺は事実関係によりまして判断しなければならない事柄だろうと思います。」という意味のことを答えておられるのですね。これはおそらく質問した当時にはまだ明らかでなかった、爆発したのが一体何によるものであるかというようなこと、その前後の事情などをやはり知ってから、法務省としては見解を出したいという御趣旨だろうと思うのです。  そこで、以来六カ月もたっておりますので、警察庁に、爆発したのは一体米軍のものなのか、旧日本軍のものなのか、旧日本軍のものであるとすれば、それはどういう性質のものであるのか、それらについてまずお答え願いたいと思います。
  51. 佐々木英文

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  沖繩県警の科学捜査研究所から日本兵器工業会に照会いたしたわけでございますが、その照会に対しまする回答といたしまして、あくまでもこれは推定ということが前提としてあるわけでございますけれども、有力な爆発物として次のものが考えられるということで、視発沈底式機雷という疑いがたいへん濃厚であるという回答をいただいておりますので、お答えしておきます。
  52. 正森成二

    ○正森委員 ちょっと初めのほうの語尾が聞き取れなかったのですけれども一その機雷は、私の質問からいっても答えていただきたいのですが、旧日本軍が使用しておったものをあの地域の海軍の司令部の防衛のために埋めたものが残っておった、こういう推定ですか。その機雷は旧日本軍のものですか。
  53. 佐々木英文

    ○佐々木説明員 旧海軍で使用したものというふうに聞いております。
  54. 正森成二

    ○正森委員 そういたしますと、三月段階質問では明らかになっていなかったことが、ほぼその部分だけについては明らかになっておって、かつて日本国に所有権があったものであるということは明らかになるわけですが、そういう点を踏まえて、法務省側は国賠法二条あるいは一条あるいは民法七百九条についてどういうようにお考えになっておるか、時間の関係でごく簡単にお答えをしていただきたいと思います。
  55. 古館清吾

    ○古館説明員 まず、いまの旧海軍の改造機雷の所有権の帰属の問題でございますけれども、これは昭和二十年の四月から五月ごろにかけまして、旧海軍が敷設したのでございます。これは戦闘中に敷設したものでございますから、この機雷の物理的滅失を目的として敷設しておるというふうに考えられるわけでございます。そういたしまして、その後ここで激戦が行なわれまして、当時旧海軍の軍人が全滅しているという事実がございます。そういうように考えてまいりますと、この機雷の所有権でございますけれども、これは敷設した当時、あるいは激戦で全滅した段階で所有権が放棄されたと同じように見てもいいのではないかというように考えられるわけでございます。そうしますと、この機雷は無主物というふうに考えるべきではなかろうかというふうに考えたわけでございます。次は、国家賠償法の一条の問題でございますけれども、国家賠償法の一条の場合には、この事案では不作為の違法性ということが問題の一つになっているわけでございます。この関係で国家賠償法の一条を考えてみますと、国家賠償法の一条によって不作為の違法性があるということのためには、特定の公務員について不発弾を除去する法律上の義務ということが前提にならなくちゃならないというふうに解釈されているわけでございます。  そういうふうに考えてまいりますと、このような不発弾について除去する義務のある公務員はだれかということになりますと、これは法令上明確になっておりません。この場合に、特にこの不発弾の所在位置でございますけれども、これは地下大体四メートルぐらいのところにあったわけです。その存在についてはだれも気づかなかったという事実関係があるわけでございます。そういう事実関係を踏まえて、この不発弾を除去する法令上の義務がどの公務員にあるのかということになりますと、その法令上の義務がある公務員をはっきりさせることができないということから、国家賠償法の一条の不作為による違法性という関係では問題がございますので、国家賠償法の一条の適用というのは困難だというふうに考えられたわけでございます。次は、民法の七百十五条、これも問題になるわけでございますけれども、この場合には、特定の公務員について不法行為責任の成立ということが前提になるわけでございます。しかし、この事案についてそういうことをはっきりすることはきわめて困難であるということから、七百十五条の適用もまた困難であるというふうに考えられるわけでございます。  そこで、最後は七百九条の問題でございます。七百九条の問題につきましては、最近の下級審の判例あるいは学説によりまして、その要件は非常にゆるやかになっております。そういうことを踏まえて考えましても、国がこの事案について不法行為責任を負うということを断定することはできないであろう。しかし、この事案がかりに裁判所に係属した場合に、絶対国に不法行為責任がないという判決が出るか、また出ると言い切れるかということになりますと、そうも言い切れないのじゃないかというふうな疑問を持っておるということでございます。
  56. 正森成二

    ○正森委員 時間がありませんので、その問題の議論については、大臣が帰られた次のときにさしていただきたいと思います。  ただ、一つ非常に重大な発言は、旧海軍が敷設して、その海軍部隊は全滅したから、それで所有権は放棄されて無主物になった、こうおっしゃったのですね。これは非常に重大な発言でありまして、こういう見解がまかり通るということになればこれは非常に大問題だということを一言申し上げて、私は次の、大臣が帰られてからのときに政府委員に対し質問したい、こう思うのです。  ただ、それに関連して一つお伺いしておきますと、今度の予算でたしか不発弾の処理開発庁は請求していると思うのですが、それはどういう形態で申請をしておりますか。たしか二億一千万円要求しておるんじゃないですか。
  57. 山田滋

    山田説明員 御指摘のように、二億一千万程度、国が県に委託をするという形で要求いたしております。
  58. 正森成二

    ○正森委員 私は三月七日にも伺ったわけですが、昭和二十七年五月十九日に通商産業事務次官等が出された「陸上における爆発物件の処理について」という通達ですね。これを見ますと、三項、五項などで「都道府県知事に委託して行うものとする。」こうなっております。当時の鎌田説明員が、「委託費の性格からいいまして予算上の制約がございましたので、事実上の負担は別といたしまして、たてまえとしては全額負担する、こういうたてまえであったと思います。」こう答弁しておられるのです。  これは昭和三十三年に処理のしかたが変わって、地方公共団体処理して国はその補助をする。たしか五百万円ぐらいの足切りがあるのですね。だからその金がろくにもらえないという状況に三十三年から私どもの考えでは改悪されたわけですが、昭和二十七年から三十二年までは委託費でありますから、これは国の責任としてたてまえとしては全額責任を持つ、こうなっておったのです。それが今度の沖繩では再び復活して、国の責任として全額負担してこれを地方公共団体に委託する、こうなっているのですね。そういうことは、結局この爆発物の処理ということ、いま古館参事官はいろいろ言われましたけれども、少なくとも政治論としては国の責任であるということを予算上国が明白に認めたことにほかならない。県も一半の責任があるんじゃなしに、少なくとも沖繩では国がその除去について全責任があり、だからこそ国が全額出してこれを委託費として沖繩県に渡す、こういうことになっていると思うのですね。  そういう政治論から考えると、今度の爆発事故責任についても、やれ放棄したんだ、無主物だ、だから国は原則として責任がないのだ、ただ七百九条で裁判やって必ず勝つとは言い切れないというような、俗な日本語で言うとつれないといいますか、あの犠牲者に対して絶対にそういう態度をとるべきものであってはならないというのが私の考えであります。  ですから、その見舞い金の額及び地方公共団体との負担の割合についても、国は非常に責任を痛感した、そういう態度での負担をすべきである、こう思いますが、小坂長官に再度その点について伺いたい。
  59. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま法務省から御説明申し上げたのが御理解をいただけるかどうかは別といたしまして、そのような考え方が支配的であるわけでございますが、私どもといたしましては、やはりそうした爆発物が民間人の手でなされたものでないことは明らかでございますし、そうした範囲で今回、五十年における爆発物を一掃してしまおうじゃないか、また五十一年にかけてもこの運動は続けていこうということで、われわれといたしましては、国として予算を請求をして、それを地方公共団体に委託をするという方式をするわけでございます。  しかし、同時にまた、だからといって小祿の爆発補償の問題の理念と申しますか、そうした法理的な問題にまで拡大をするということはお聞き及びのように非常に困難もございますので、私が先ほどから申し上げましたようなお見舞いのような形でというふうなことを御理解いただきたいというふうに思っております。
  60. 正森成二

    ○正森委員 ただ、それについて、お見舞いというような形でということですけれども、私はその額や負担の割合について十分に考えるということについての決意のほどを伺いたい、こう言っておるわけですから、それについて、非常に恐縮ですが再度お答え願いたい。
  61. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 賠償請求案が出ております。またそれを一件一件詳細に当たってわれわれとしての見解も固めておるわけでございまして、その結論が私はきわめて公正妥当であるということを念願をいたしておりまして、同時にまた、それは十分に被災者の方々の御理解を得るものであるというふうにも考えております。
  62. 正森成二

    ○正森委員 サトウキビの問題など伺いたいと思いましたが、時間が参りましたので、政府委員に伺わしていただきます。  それでは質問を終わります。
  63. 床次徳二

    床次委員長代理 渡部一郎君。
  64. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 長官にお伺いしますが、きょうは沖繩のパインの問題につきまして同僚議員から何人か御質問があるわけでありますが、沖繩の農業のこれからをどういうふうにしようと思っておられ、どういうふうに育成するようにしようと思っておられるのか、そこからまず基本的な農業像というようなものを伺わしていただきたいと思います。
  65. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 お答え申し上げます。  渡部委員もしばしば沖繩に足を運んでいらっしゃいますので、その実態等については私よりもむしろよく御承知のことだと思いますが、私は、やはり沖繩のこれからの進み方の中で、もちろん工業化をすることが県民所得の増大になるということは理解できますけれども、しかし沖繩の現在のいろいろな条件、情勢等を考えます場合には、工業化だけをやることはむしろまた大きな反動を県民生活に与えるものではないかというふうに考えて、同時にまた、農業を大切にするということは、何と申しましても離島の方々や、あるいはまた、現在のようなほとんどの物資を外部から輸入するというような体制の中では、やはりいろいろ考えてみても、農業基盤を強固にしていくということがいろいろな意味で県民の幸福につながるものだというふうに私は思います。  同時にまた、そうした基盤整備ということを、もちろんパインの問題やトウキビの価格問題等、焦眉の問題はございますけれども、それを乗り越えてもさらに農業基盤の強化、水の確保、害虫の駆除、そしてまた亜熱帯農業としての新しい発足、こうしたことを総合的に推進するということが当を得ているのではないかと考えているわけです。
  66. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 時間が短いので短い質問にとどめますが、それでは、沖繩農業におけるパインの位置をどういうふうにお考えですか。これを将来漸減していくものとお考えなのか、これを維持するべきものとお考えになっておられるのか、それとも今後育成、強化する可能性のあるものとお考えなのか。先日のNHKのテレビの「あすの農業」というのによりますと、政府の御意向は非常に意欲的なように承る。ところが、ただいまの御施策に関して言うならば非常に冷たい感じがする。非常なアンバランスを私は感ずるわけです。したがって、その辺を明らかにしていただきたい。
  67. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 パインそのものは全農産物の中の現在四%でございますから、その限りにおきましてはこのパインというものが決定的な重要さを持つということには一見ならないようでございますが、しかし現実の沖繩の就業面等から見た場合に、やはりパインの確保ということは非常に大きなウエートもございます。また同時に、沖繩の農業の現地の特殊事情から申しましても、パインをいまここで急に減産をしていくというような政策はとてもとり得るものじゃありません。これは輸入パインとの関連の調整ということを的確に行ないながら、しかも農業生産力の増大ということを基盤にして、だんだんとこのパインの占める比率をさらに希薄なものにしていくということが得策なのではないかというふうに思います。  なお、この問題につきましては、われわれはそのような考えを持っておりますが、直接の指導は農林省がいたしておりますので、農林省からも意見を聞いていただければ幸いだと思います。
  68. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答えいたします。  パインにつきましては、沖繩県におきましてはサトウキビ等と並んだ重要な農業面での基幹作物の一つである、かように認識いたしております。したがいまして、沖繩復帰とともに果樹農業振興特別措置法に基づきます対象果樹に指定をいたしまして、四十八年の二月に果樹農業基本方針というものをパインにつきましても策定をいたしてございます。  それにおきましては、五十六年が目標年次でございますけれども、生産量といたしましては十二万五千二百五十五トン、十二万五千トンというのを五十六年度の目標に掲げてございます。計画を策定いたしました当時の四十六年度の実績では七万一千トンという収量でございます。したがいまして、四十六年の七万一千トンから十二万五千トンというところまで収穫量もふやしていきたいという線を出しまして、この線にのっとりまして、栽培の省力化なりあるいは優良種苗の供給、普及なり、土壌の改良なり、そういう面の生産面に対する対策等も強化してまいっておるわけでございます。  なお、沖繩のパインにつきましては、先生御存じのとおり、その九八%がみな加工用に回っております。したがいまして、その加工のパインかん詰めの面につきましては非自由化品目ということにいたしまして、関税率等につきましても暫定関税五五%というのも適用いたしましてその保護をはかっておるわけでございます。  そういうようなことで、生産なりあるいは流通なり、消費というような各般にわたりまして積極的にパインの生産を振興してまいりたい、かような態度で取り進めておるわけでございます。
  69. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 農業問題は、そう一面的な論議ができかねるめんどうな面がたくさんあるとは存じますが、ただいまのお話を伺っていたところだけでも、大臣は、パインの農業に占める割合というのを、だんだん比率を希薄なものにしたいという御発言です。ところが、いま二瓶局長ですか、お話は、明らかに四十六年から五十六年にかけて七万一千トンのパイン産業を十二万五千トンにするという、まあ増加方針でいらっしゃるわけですね。そうすると、一体パイン農業に対する比重はどこなのかということが、いつものことでありますけれども政府方針というのは明快ではない。これは農業政策についてしばしばわれわれが感ずる不満ですが、こういう不満が、今回の関税に関する政策、金融に関する政策、滞貨に対する見通し、あるいは輸入パインとの調整等の問題でいずれも出ていることに注目しなければならぬと思うわけですね。私、率直に申し上げるのですけれども、どうもその辺が納得できかねる点があります。  時間がありませんから二、三点を指摘するにとどめますが、たとえば冷凍パイン、無糖、加糖のもの両方ともに非常に大量に輸入され、それが本土内のかん詰め業者の手によってパイかんと同じような形に刻まれて使用されて、実質的に沖繩産のパイかんの販売というのを大きく阻害しているということがある。これは先ほどから同僚議員からも御指摘があったと存じますが、そういう点、どうお考えになるのか。まさに冷凍パインがそういう形で使われていくということを容認する方向で今後いかれるのか、あるいはこれを容認しないで、これを食いとめていくほうでいかれるのか、関税率というのは一回きめたら相当変わらないものだという形で今後これを放置されるのか、この辺がきわめて不安定であります。ですから、いまのところ、私のほうで伺ったのは、行政指導するとか、JASの規定を適用して、それによって冷凍パインというものを品質のよくないものについては入りにくいようにしていくとか、そういうようなこそくな手段がとられようとしているようであります。私がこそくなと言うのは、ほとんど実効がないから私はそう思うわけなんですが、その点はどうお考えになっておられますか。
  70. 二瓶博

    ○二瓶説明員 冷凍パインにつきましては、四十六年に自由化をいたしております。自由化いたします際は、冷凍パインが本来冷菓として使われるということでございまして、主としてそういう冷菓に使われるものであろうという認識に立ってあの自由化がされたわけでございます。その後、冷凍技術等の発達もございますし、また、そういう進んだ冷凍技術が導入されたというようなこともございまして、ただいま先生からお話がございましたように、冷凍パイナップルを原料とするパインかん詰め、これが相当量製造されてまいっております。そこで、そのことによりまして沖繩のパイナップルかん詰めの消費が滞っておるというような深刻な事態に立ち至っております。  したがいまして、農林省といたしましては、まず一つは、この冷凍パインを原料としますパイナップルかん詰め、これにつきましては、現在俗称JAS法というふうに言っておりますけれども、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律という法律がございます。これでパイナップルかん詰めのJAS規格が設定をされております。したがいまして、このJAS規格を受けるように、受検することを励行するようにということを強く指導してまいりたい。このJAS規格がいわゆる消費者のほうの商品選択の一つのものさしになるわけでございます。現在冷凍パインからつくったかん詰めといいますものが相当粗悪なものが多いようにも聞いておりますので、そういうJAS受検というものをまず励行させるというのが一つ。  それからもう一つは、このかん詰めに冷凍パイナップルからつくったパイかんであるということを明確に表示をさせる、これも励行をさせるということで、現在強くかん詰め業界を指導しておるところでございます。したがいまして、そういうことによりまして、消費者の選択の面からこの生産というものが逐次縮小されるということを強く期待もし、考えておるわけでございます。
  71. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 大臣、いまお聞きになったように、この程度の対策でおられるわけですね。ですから、これからそういうJASの規格をつける。そしてそれからしばらくたってからその販売に関してJASのマークがあるかどうかを消費者が見る。しかしそんなのに気がつく消費者というのはあまりいない。それで冷凍パインでつくったかん詰めですなんていったって、そんなことではあまり大衆の消費傾向にブレーキかけるほどにはならないと思われますよね。そういう事態がずっと続いていく。その間滞貨量はますますふえる。地元では問題が深刻化する。対策はスピードを求めており、そしてもっと根本的であることを求めているのに、対症療法としてはきわめて弱い。たとえて言えば盲腸になったときに上からばんそうこうを張るようなものだと私は思う。これでは実際、私はしろうとっぽく考えても的確な処置とは言いかねると思うのですが、いかがですか。私は率直に言って、これは関税率の改定あるいは特別なこの冷凍パインに対する一時的な輸入割り当ての規制等の緊急措置が、まだほかにもいろいろありますでしょうけれども、考えていただくとして、とられるのが妥当じゃないかと思いますが、どうですか。これはちょっとJASのマークくらいで片づくことじゃないのじゃないでしょうか。
  72. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま御指摘のような問題については、やはり農林省あるいは通産省あたりがいろいろ施策を立てるたてまえになっておりますが、開発庁といたしましては、先般来パインの問題につきまして非常な苦境にある旨の何回もの御陳情をいただいておりまして、われわれといたしましても非常にその深刻な事態——先ほども協同組合の会長がここで言われましたように、賃金の不払いというようなことにまで発展する可能性があるかにお述べになりまして、われわれといたしましてはそうした問題はやはり非常に重大なことだと考え、現在融資その他につきましては開発庁の担当者それぞれ努力を傾けております。  しかし、基本的な問題といたしまして、冷凍パイン等の輸入をここでカットしてしまうというようなこと等については、なお政府内部においてのはっきりとした方針が立っておらないわけでありまして、その点につきまして、先ほども委員が御指摘になりましたような手ぬるさというものは私ら自身も感じておるところでございます。しかし、それではこのパインの冷凍だけを、沖繩だけの立場から関税を引き上げろとか、あるいは輸入制限をしてしまえということを、議論としては幾らでも出せます。しかし同時にまた、これは世界的な貿易の流通とかいろいろな問題を踏まえてのことになるわけでございまして、そうした点からのやはり一種のブレーキというものも当然覚悟しなくちゃいけないわけでございますが、ただいま御指摘のような問題につきましてわれわれも憂慮をしておりますし、そうした面で開発庁としましてもなるべく早い機会の現在の危機突破、それだけでも早く何とか片のつくような方向に進めてまいるというつもりで努力をいたしておるわけでございます。
  73. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それでは最後に。  大臣の現状御認識は私とほぼ同じものだと思われますが、要するに対策がのろいということが、これは致命傷になっておると存じます。したがって、いつまでにこれが対策らしい対策が出てくるのかがここで明らかにされなければならないと私は思うのです。確かにいま長官がおっしゃったように、国際貿易のバランスの上に成り立っているこうした関税率、そうしたものを明快にするということは、さわるということはたいへんめんどうなのはわかります。しかし、このまま放置してよくないこともおわかりいただいているわけであります。そうすると、ここに出てくるのは何らかの意味の新しい手を打ち始めることでなければならぬ。それをきめる日が明らかでなければ、きょう聞いておられる方々にとっても日本政府に対する信望というのはますますなくなろうかと私は思うわけです。  ですから、私は、まず一つは、いつまでにその結論をお出しになり、的確な対策をお立てになるか、これが一つ。もう一つは、価格に関して、販売その他に対していろいろな問題点があるわけでありますが、牛や豚肉の場合に価格を維持するための公団、公社等がございますけれども、そういうような類似の考え方まで含めて緊急にお考えいただいて、そして明快な御処置をいただきたい、こう思うのですが、いかがでございましょう。
  74. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま渡部委員からたいへんに具体的な示唆をいただきまして、ぜひわれわれといたしましても具体的な問題の前進ということを期しまして努力をいたしたいと思いますが、いま何月までにどうしてこうするということについては、なお政府部内でも十分な話し合いがまだまとまっておりません。理由は先ほど申し上げたような諸点に尽きるわけでございます。その点も、われわれとしましては現地の農民の方々あるいはパイン製造会社の方々の苦悩は十分承知しておりますので、できるだけ早期に手を打つということで御答弁にかえさしていただきたいと思っております。
  75. 床次徳二

    床次委員長代理 安里君に申し上げますが、まことに恐縮ですが、小坂長官の次の会議出席の予定がありますので、何ぶんよろしく御協力をお願いいたします。安里積千代君。
  76. 安里積千代

    ○安里委員 時間がないようですから、ただ一言だけあれします。  先般、長官沖繩においでになりましたときに、静かな沖繩県づくりということをおっしゃいました。私もその席上に参加をいたしましてお聞きいたしまして、結論的にたいへんいいことばをおっしゃった、私はこう思っております。あれは長官が決して思いつきじゃなくして、用意された周到な原稿のもとにお話しになったのだと記憶いたしております。したがいまして、この新しい構想と申しますか、御発言の裏には、沖繩の実態というもの、現状というものをどのように把握し、またどういう反省からこのことばが出たかということを私は明らかにしておきたいと思うのです。
  77. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 私の考え方は、もちろん、沖繩開発の担当大臣となりましてから第一回に沖繩に参りましたときに——実はこれは復帰後初めて参ったわけでございます。復帰前には私は数回参っております。そのときの印象というものが私は非常に強く心に残りました。それで、もちろんこうした振興開発計画に基づき、あるいは海洋博開催ということは確かに起爆剤であるけれども、しかし来年の七月にはすでに海洋博も終わるわけであります。そうしたことを踏まえながら、沖繩方々のお話を伺えば伺うほど、やはりここら辺で、いわゆる開発計画中心の沖繩政策というものはもっと心を大切にするものに切りかえなくてはいけない。要するに、沖繩の方たちがもっと落ちついた気持ちで、ささくれ立ったような感情から解放されなくてはいけない。それには、もちろんこれまでもなされてきておりますが、いろいろな文化的な施策や、もっとゆとりのある感覚というようなものを大切にし、そして、いま起こっているような心の動揺というものは東京と劣らぬじゃないかというふうにも考えまして、これを早く直すために、いままでやってきたけれども、だいぶあちこちに不十分な点もあるやに伺ったので、ひとつこれから数年の間に、静かな沖繩づくりという形の中でこれを推進したい。  また、一面から申しますと、静かな沖繩というと、たいへんに公共投資等を削減してしまって、予算が小さくなるんではないかというようなことをすぐまた打ち返しで反応を受けたわけでありますが、私らはそんなことではないのでありまして、まだまだやることは山ほどある。具体的に言うなら、水一つとったってまだだめではないか、これをひとつぜひみんながどこにいても安心して飲み水を飲めるんだという施策を進めるのがやはり一つの安心感につながる政策ではないか等々考えまして、申し上げたわけでありますが、今度の五十年度の予算要求等につきましても、できるだけそうした考え方を盛り込んで、これの実現を期してまいりたいというふうに考えております。
  78. 安里積千代

    ○安里委員 いま、おことばのうちに海洋博の問題も出ましたけれども、確かに海洋博の問題を中心にいたしまして、かつ、沖繩の復帰後の問題は、海洋博を突貫工事でも何でもなし遂げなきゃならないという非常に限られた期間内における集中的な資材、資金の投入であるために、いろいろと問題が起こっておることも御承知のとおりです。  そこで、参議院選挙のときに田中総理は沖繩においでになって、少し海洋博は早過ぎた、こういうことをお話しなさった。海洋博は早かった、現実に海洋博を通じていろんな問題が起こっておる、騒がしい、こういう思想、考え方と相通ずるものがあると思うのでございますが、どうでしょうか。
  79. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 海洋博が早過ぎたかどうかということについては、私は必ずしも総理と見解を一にするものではないかもしれませんが、しかし、あの沖繩という経済圏、また、きわめて限られた人口、そこに三千億以上の投資が一挙に集中したということは、これはやはり非常な影響を与えるのは当然のことでございまして、要するにスピードが速かったというふうにも思うわけでございますが、いずれにいたしましても、そうしたあらしが去ったあと、また逆に非常な虚脱が訪れることは県民にとっては耐えられないことであると考えまして、そうしたあらしの通り過ぎたあとには、すぐ、民生安定、教育の振興等を含めた、もっと心の通った政策をひとつ展開をすべきだというふうに私は考えておるわけでございます。
  80. 安里積千代

    ○安里委員 最後に、静かな世界をつくるということ、これは望ましいことだと思います。しかし、静かであることを願いましても、風が吹けば波は立ちます。海底の陥没があれば津波も起こってまいります。私は、沖繩の実態はそうではないか、こう思っておるのです。いろんな問題というものが沖繩にあまりに多過ぎる。また、政治的ないろんな問題がごじゃごじゃある。ひょっとして長官の心のうちで、沖繩はあまり問題が多過ぎる、悪いことばで言いますならば、もっとおとなしくしろ、そういうような構想の中から生まれておるならば、これは大きな誤りだと思っております。  確かに、工業開発、いろんな問題にあまりにとらわれて、そして大事なものが忘れられておる。先ほど國場委員質問の中にも、農業、水産業、あるいは離島の関係というもの、あるいは文化の問題に意を注ぐ、こういうおことばがございました。私はそのおことばを信じたいと思うのです。沖繩の地理的条件や地位、歴史的条件、そんなものをほんとうに生かしまするためには、はなやかな問題以上に大事な問題が忘れられておる。今度のこれからの予算におきましても、そのように目立たないけれども、はででない、じみであるかもしらんけれども、そういうものに精力を尽くす。いまのところは開発をするということが主体になって、振興ということが忘れられておる。まあ、ことばがどう違うか別といたしまして、振興ということは従来あったものをふるい起こすという観念がありましょうし、開発というものは新しく開くという意味も含まれておるのでございましょうけれども、パインの問題、サトウキビの問題、基幹産業の問題でございましても、文化の問題でございましても、これをほんとうに盛り育てていくという基本的な姿勢がなければならない。いまの沖繩は、ただ金さえ注げば、開発さえすればいい、こういう安易さがある。もう一つ言うならば、軍事基地があるために、いかに静かにしろといったところで、爆音がやかましいし、演習はやかましくなってくる、激しくなってくる、あとからあとから問題ばかりなんです。こういう問題の起こらないようにするということが大事な問題でありますとともに、もう一つ、先ほども議論がありましたけれども、問題の処理というものがいつでもうやむやになるのです。問題が起こりましても、また新しい問題が起こる、それに目をとられて議論をして、過去の問題の処理がさっぱり進まない、こういう解決しない問題というものが非常に多いのです。私は、静かなる沖繩県づくりという意味が、そういう意味において、単にはなやかな打ち上げ方じゃなくして、心を込めた文化の問題、農業、水産業の問題、離島の問題、恵まれない地域に対する政府の配慮、それからいままで起こった諸問題に対して、すみやかに処理していかなければならぬ。いつでも過去の問題をうやむやにして、そして前へ進むという傾向があると思っております。  いろいろな問題がありまするけれども長官の時間がございますので、私は、私の意見だけを申し上げまして、今後の沖繩開発に対しまする、開発庁ばかりじゃなくして、政府の意向としての沖繩問題に対する考え方というものを、ひとつ功をあぜらずに、せっかちな沖繩振興じゃなくして、もっとほんとうに腹を据えた、長い目で見たところの立場における振興開発と取り組んでいただきたい、こういう希望を申し上げまして、私の質問を終わります。もし言いたいことがあったら、言ってください。
  81. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの安里委員の御発言は、私、非常にありがたいおことばだと思います。また、われわれも、一挙に、短時間の間にやり上げていくというようなことは捨てるべきであって、やはり長期間かかって、ほんとうに心にしみ通るような社会をつくっていくということにわれわれは協力をしていくという考え方が正しいものだと思います。  同時にまた、先ほどの、今度沖繩県でつくった三カ年短期計画でございますが、こうしたものの素案の提案を受けておりますが、庁内で話しまして、今度はこちらの審議会委員方々にも現地まで御足労願いまして、そして現地で三カ年計画をはじめとする来年度のわれわれの予算に対する心がまえや、あるいはまた、具体的に現在起こっているいろいろな事態に対する御意見を十分承っていきたい。  要するに、沖繩という問題について対話が非常に多くかわされているようでありますが、それは要求と回答だけのぶっつけ合いでございますが、われわれとしましては今後、開発庁の基本的な姿勢としては、十分に事前にお話し合いをし、そして理解を深めていくというような方向で進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  82. 床次徳二

    床次委員長代理 以上をもちまして、開発庁長官に対する質問を終わります。  次に、政府当局に対する質問をお願いいたしたいと思います。國場幸昌君。
  83. 國場幸昌

    國場委員 農林省の政府委員にお伺いしたいのですが、パイン問題は、いま各委員の方から質問がありましたとおり、これはもう沖繩のパイン生産者並びにその加工業者が少しの余裕も持たないような窮地に追い込まれ、早急にこれを解決せねばいけないという問題でございまして、私はなるだけ重複を避けまして質問をしたいと思います。  いまこういうような事態に至ったというのは、需要に対しての供給のバランスがくずれておるということでございます。大体三百三十万ケースといういままでの実績に対して、約四百四十万から五十万のパインかん詰めが入っておるということ、これは何と理屈を申しましても、JASマークをつけてどうだこうだ、こういうことを言いましても、三百三十万でこれをとめることなくしては解決できません。それから、もう一つ方法としては、時勢にさからうというようなことかしれませんが、やはり関税を五五%つけて、それでは引き合わないというようなことで輸入を食いとめることなくしては解決できないと思うのです。と申しますのは、いまさっき、JASマークをつけて商品の中身を確実に明示する、こういうことでございますが、それではそれに合格しない品物をどうするのか、これは自由に売っていいのか、合格すれば幾らでも入れてもいいのか。こういうことになると、パイン振興、パインを育成していくという沖繩の基本産業に対して何の目的政策もないということなんです。  問題になるのは、その冷凍パインが自由化されたらどういうような影響を受けるということは、これはもう予想しなかったかどうかしれませんが、これが大きな失敗となって今日こういう姿になってきておるというのは、私が言うまでもありません。自由化、自由化という国の立場というのもよく理解できます。ところが、この時点において、いまドルの流出防止という点から見ますと、これはまた自由化だけでもどうか。国内においての自給度を高めるというようなことで、まあ二十一世紀になりますと人口は七十億にもなるというような、それに対して自給度を高める——お米のごときでも、これは国際相場からしますとほとんど倍でしょう。沖繩にはこれしかできない。そこでまた、酸性土壌であるがゆえに、やはりそこに転作をして何か植えろといってもできないんですよ。直ちにそれはできません。でありますから、この問題に対しては抜本的な対策をもって、いま私が指摘しました、それじゃJASマークをつけて、それでもって合格しない品物に対してはどう処理するのか、あるいは三百三十万というものを完全に消化させるためには、やはりいままでどおりのJASマークをつけて、合格するものは幾らでも売らしていいのか、この問題に対して確答を得たいと思います。
  84. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答え申し上げます。  まず、冷凍パイナップルからつくったパイナップルかん詰め、これにつきましては、JASの検査を受けるようにということ、もう一つは、冷凍パイナップルを原料としてつくったパイナップルかん詰めであるという表示をつけさせるということで、強く業界を指導をいたしておるわけでございます。  その際に、ただいま先生からお話がございましたように、一体、JASに合格しないもの、これは市販するというようなことはできないのかできるのかということでございますが、この面につきましては、JAS法は、御存じのとおりこれは品質のいい商品であるということの証拠として、JAS規格に合格すればJASマークを付する、こういう制度でございます。したがいまして、それに合格しないものは売ってはだめだというような、そういう強制力はございません。食品衛生法上これは問題だというようなことになりますれば、これはそちらの面での規制がございますが、いわゆる食品として流通するものの中で消費者が選択する際に、一つのものさしとして、これは粗悪品ではない、あるいはややいいものであるということのものさしとしてJAS規格をつくる、こういうことになっておるわけでございます。  それではあまり効果はないではないかという問題があるわけでございますが、この面につきましては、十分そういうJAS受検をさせる、あるいは冷凍パインを原料としたかん詰めであるという表示をさせることによりまして、消費者の購買態度、そういう面を通じて消費を減退をさせる。したがいまして、それに伴います原料としての冷凍パインの輸入が減ってまいるということを、強く期待をしておるわけでございます。
  85. 國場幸昌

    國場委員 どうもはっきりしないんです。私が聞いておるのは、JASマークをつけた場合に、それじゃその品物がJASに合格したものであれば幾らでも入れていいのか。いま沖繩産が百九十万ケース目標ですね。三百三十万の消費量に対して、百四十万は輸入、外割。これは三百三十万しか消費量はない。そこにもってきて、割当量に対して冷凍パインが、昨年からことしにかけて一年間で約百万ケースぐらい、よけいなものが需要に対してオーバーして入ってきた。これがいまそっくりと沖繩ものにしわ寄せされて、その分が売れなくなって滞貨しておるんですよね。それじゃこの百万ケースという余分なものが、JASマークをつけることによってこれがとまるか。とまらないときには、それでは幾らでもいまのとおりに野放しにして、それで沖繩ものを売れといっても、それは無理なんですよ。それは売れませんよ。だから、そのときには政府としてはどういうような政策をお持ちか。  それから、検査はするが、検査に合格しないものはとめる方法はないといったら、何もマークをつけたからつけないからといって、一緒でしょう。いままでどおりですよ。何もそれは変更ありません。どうも私は、いまの説明を聞きますと、検査したよ、合格したものはマークをつける。つけなかったものを売るのを阻止する何ものも手段を講ずることなくしては、何らいままでと変わりはありません、言いかえれば。そういうことにしかならぬでしょう。だから、私が言うのは、ほかから入れる百四十万ケースと一緒に五五彩の関税をつけるか、あるいは売らさない方法があるのか、それから冷凍パインに対しては制限を加えるか、それに手を打つことなくしては目的達成はできないわけなんです。その点に対してどうですか。
  86. 二瓶博

    ○二瓶説明員 一つはJASの受検の励行と、それから冷凍パインを使っているという表示をさせるということでございますが、問題は、冷凍パインでつくりましたかん詰め、これにつきましてはいわゆる粗悪品が相当あるというふうに聞いておりますので、むしろそういう面をはっきりさせるということによって、冷凍パインでつくったかん詰めの消費というものを結果論として減退をさせよう、それが減退することによって冷凍パインの輸入が減ってまいるというようなことを期待して申し上げたわけでございます。  もちろんこういう措置も当面いまとって、強く業界を指導してやっておるわけでございますが、先生から、そういうことではなしにもっとはっきりした措置、たとえば冷凍パインの関税、こういうものも引き上げるというようなことはどうかというお話もございます。これにつきましては、現在冷凍パインの関税率は二〇%でございます。これをパイかん並みに五五%に上げたらどうかというような話も実は伺っております。ただ問題は、この冷凍パインにつきましては、やはり冷菓そのものとして使っています業者の方も相当おられるわけでございます。したがいまして、すぐ二〇%を五五%にすることにつきましては、いろいろ問題があろうかと思います。この面につきましては、今後の沖繩のパイかんの消化状況、それから冷凍パイナップルを使ったかん詰めの製造の状況、そういうものも十分見定めた上で慎重に検討をしたい、関係の大蔵省とも相談してその辺は慎重に検討したい、かように思っております。  それからもう一つは、先生のお話で現在パインの総需要量が三百三十万ケース程度ある、それに対して、さらに冷凍パインを原料とするものがそのほかにどうも八十万ケースあるようでございます。そういう面からいろいろな問題があるのではないかという御指摘でございます。したがいまして、今後輸入割り当ての際にそういうものをどう織り込むのか織り込まないのかという問題もあろうかと思います。たとえばことしの下期の問題、あるいは来年度以降の問題、いろいろあろうかと思いますが、これらの面につきましても、今後の沖繩パインの滞貨の消化状況、そういうものを十分踏まえた上で、関係の省庁とも打ち合わせた上で検討してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  87. 國場幸昌

    國場委員 いまもうすでに八重山のほうで、約七、八十万ケースぐらい生産されておるわけなんですが、それが目鼻がつかない。二、三年前においては、こちらの扱い商社もやはり完全に消化することの見通しがあったから、資金の手当てとかそういうものに対してでも便宜をはかってもらったのです。ところが、政府のほうの政策そのものが冷凍パインというものを野放しにしまして、いま沖繩のものが百九十万だ、やあ輸入ものが百四十万だと、需要に対しての供給のこのワクはただきめたといえども、二、三年前はそれが守られておったのですが、冷凍パインの開放後においてはいまのような結果を来たし、冷凍パインがかん詰めにかわって入ってきただけはそっくり沖繩ものが売れなくなっちまって、商社のほうでも売れ行きの見通しもつかぬものに対して前金を出すとかあるいは買い取ることはできない、こういうことなんでしょうね。  冷凍パインを皆さんが開放するときに、沖繩の農業組合とか生産者、パッカー側に、これは香味料ぐらいの程度であって何も沖繩ものには支障を来たさないから、政府としては依然として沖繩ものを優先にして、それに対する足りない分に対しての外ワクであり、冷凍パインもそれに対しては影響はないのだ、だから安心しなさいということで、沖繩側としては政府を信用して、それじゃよろしゅうございます、こういうことであったようです。ところが今日に至って、もうその沖繩パインの振興のために保護してやるんだというような目的は、一つの保証もいまないわけなんです。だから、その保証をするためにはどうすればいいかということは、いま言うような小手先のことで、はたして沖繩パインが完全消化されるようなことになっていくかどうか。半年たち一年たってできないときには、また冷凍パインみたいにして、こういうことであったからこういうことだと思っておったが、予期しないようなことでこれがどうもうまくいかないで申しわけない、こういうことでは済まされる問題じゃないんですよ。  だから、またそういうような失敗を繰り返さないように、農林省としましては、沖繩側からの十カ年計画に対しては十二万五千トンをつくれ、こういうこともいわゆる計画の中に策定しまして、それに対して、価格の問題で生産は落ちたといえども、希望を持ってこの線に沿うて農民は一生懸命やろうというようなさなかにおいて、こういうぐあいに挫折させられておるわけです。  これは、目的そのものは、それを自由化するための政策として、あくまでも沖繩のものを、国内産を優先する、こういうことであったと私は考えたわけなんです。だから、その目的のためにはどうすればいいか。農林省が、あるいは通産省がそういうことでやったとすれば、責任を持って農民が心配をしないように手段を講じてやるというのが親心ではないか、こういうことを考えるわけですが、そうすると、いまのようなことでやってみなければわからないが、勝負をしてやってこれがうまくいかなかった場合にはどうするか、その時期を待たれないというのが現場の立場なんですよ。だからそれに対して、それじゃそれでとまるような見込みがつかなかったら税金をつけましょうとか、あるいはそれに対しては何かの方法をもって外ワクの発券を全面的にとめましょうとか、こういうことの手段を講じてやらなければ、これは解決できる問題じゃないですよ。その点に対してどう思いますか。
  88. 二瓶博

    ○二瓶説明員 沖繩のパインの滞貨の問題につきましては、非常に深刻でもあり、またこれが解消の対策を早急に立てなければならぬという先生の御指摘、全く同感でございます。ただ問題は、具体的にどういうような手段で行政的に手順を追って展開し得るかという問題になろうかと思うのです。  そこで、まず第一段に考えておりますことは、一つは、これは通産省などとも一緒にやっておるわけでございますが、本土のいわゆる販売代理店、こういうところも集めまして、沖繩産パインにつきましても優先的にその販売をするようにというような面での指導等もやっておるわけでございます。  それからもう一つは、先ほど来申し上げておりますJASの受検なりあるいは表示の問題、こういうものもかん詰め協会等につきまして強く指導をしておるということでございます。  もちろん、これだけの措置でもって十分かどうかという問題になりますと、確かにいろいろ問題があろうかと思います。私たちといたしましても、この下期の割り当ての問題をどうするかとか、あるいは関税の問題ということも、これは問題としては大いにあると思うのでございます。ただ、この面につきましてはまだ関係の省とも十分詰めておりませんけれども、たとえば関税を引き上げるという話につきましては、先ほど申し上げましたように冷菓として使っています業界もございますし、この面につきましてはそう簡単にはいかない問題があるのではないかということもございますし、あるいは割り当ての際に冷菓からつくったパインかん詰めを差し引くというような問題、こういう問題もあるいはあるのかとも思いますけれども、この面につきましても、今後の沖繩パインの消化状況、そういうもの等も踏まえた上で、関係の向きとも相談して詰めていきたい、かように考えておるわけでございます。  何か非常に手ぬるいというようなお考えもあろうかと思います。それは率直に申しまして、そういう印象を受けられるのは無理ではないと思います。当然だと思いますけれども、一応の手段としていろいろ手を打つ際に、現段階としてはそういうただいま申し上げたようなところでございます。
  89. 國場幸昌

    國場委員 いまのところ、どうもこれをもって解決して、沖繩のパインの業者あるいは生産者、安心感を持って終戦後今日までこれで生活をつないできた人たち生活を保障することは、とても見込みがない。  商社にしましても、いまおっしゃったのですが、商社はやはり魅力のあるものに対しては——冷凍とかそういうものの輸入パインを扱ったら、何か一ケースで三十五円ですか、それだけの手数料があるそうです。沖繩のものを扱ったら五、六円しかないというのです。その上に、沖繩物はどこにも売っちゃいけないような特定のレッテルを生産と同時に張らすそうですよ。どこでもこれは売れませんよ。やはり弱いですから、資本とのいろいろな提携もあるでしょう。輸入物が魅力があるから、政府の盲点をついてどんどん入れるものですから、それに魅力があって、それにしか向いていかないのですよ。だから、五倍も六倍も七倍も利益のあるようなものに対しては、これを幾ら政府がなにしましても——店屋をこの前回りましても、沖繩のものは、これだけストックしておっても、店屋に一つも飾ってないというのです。それは何を意味するか。売ってももうけのないものには、営利事業であるから、必要以上のものが来るからダンピングというものもおそれて引き取りませんよ。だから、首はくびっておって、それでもってその弱みにつけ込んで沖繩物を締め出すというようなかっこうになる。悪い表現かもしれませんが、そういうことになっておるのです、事実において。  こういうような沖繩の命ともすべき基幹産業に、お米に出しておるような政府の助成ということから考えました場合には、このパインのわずかな——沖繩ではとても他の農作物はできないんです。それで生活する者が約三万から四万といわれております。生産者は五千世帯で、約二万五千名だ。それに間接的に加工する業者、全部いろいろしますと、まあやはり四万人から三万五千名だ、こう踏んでおるようですが、これだけの生活に対しての命の問題ですから、何とかそのほうに対して、ひとつ抜本的な対策をもって、勇気をもってそれを断行していただきたい。  これは、おっしゃるような線ではとてもとまりませんよ。まず、JASマークをつけて、不合格はどうするか。これに対する検疫か何かわかりませんが厳密な検査をするんだとか、そういう検査をする方法もないでしょう。それから、パインかん詰めとは一その定義なんですが、冷凍パインはかん詰めにつくって出しなさいという趣旨じゃなかったはずなんです。だのに、かん詰めに形づくって、それで何ら普通のパインかん詰めと違わないものが自由に販売されるということに対して、私はどうかと思うのです。冷凍パインというものの輸入に対して、それじゃどういうものを冷凍パインと言うかという定義がありますか。幾らでも切って、ビニールにただ詰めるだけでこれが冷凍パインであります。変じてこれは製品のパインかん詰めになっておるのですよ。そういうかっこうであると、幾らでも今後持ってきますよ。  それにまた、もう一つ一番重要な問題は、JASマークに合格しないものに対しての販売を阻止させるような法律はありませんとこうおっしゃると、何をか言わんや、もういままでと何も変わりはしないということなんです、不合格品は全部売らしてもいいということになると。だから、それじゃいけません。  私は、与党である自由民主党の議員なんです。ところが、どうしてこういう問題にこんなにまで殺気立って、気負い立って言わなければいけないかということは、三千名の大会で私はつるし上げをされました。責任政党ですよ。そういうようなことで、ことに北部と八重山の特別な地域で、これはやはり特作物なんです。これが命なんですよ。傾斜地で酸性土壌、そこにほかのものはできません。いろいろこれから考えてやる。それにはやはり準備期間が必要なんです。しかし生産はことしのものも先行きは全然まっ暗、昨年からの持ち越しが約八十万ケース、資金は、韓国から女工を入れたといえども給料も払えない、そういうような事態に至って、皆さん沖繩においての十カ年計画を指示された、その責任からしましても、責任を果たしてもらおう、こういうようなことを考えるわけなんです。  どうぞひとつ、ずいぶん言い方もまずいし、こっちも悪いかもしれませんが、私は真実を訴えておるのです。皆さんがあの大会に引っぱり出されて、つるし上げをされてみなさいよ。どういう気持ちがしますか。  以上です。——しかし、以上ですといっても、努力しておりますで、またこのまま通るのかどうかということを考えますと、私は、この席において、あなたも大臣のかわりに責任をもってこの委員会に出られたはずですから、ある程度の見通しに立って、こうやりますというような決断を聞かしてくださいよ。
  90. 二瓶博

    ○二瓶説明員 沖繩パインの問題につきましては、お答えを申し上げておるわけでございますが、ただいま現時点でいろいろやっております措置につきましては、必ずしもこれでもって完全消化というかっこうにいくかどうかという面につきましては、先生指摘のとおり、多少問題があろうかと思います。しかし、極力この面につきましては努力をしまして、何とかこの沖繩産のパイかんの滞貨解消という問題について積極的に取り組んでいきたい。その際に、関税の問題等とか多々ございますけれども、こういう面につきましてもさらに検討を続けさしていただきたい、かように考えております。  なお、パインそのものにつきましては、これは先ほども御答弁申し上げましたように、昨年の二月に果樹農業基本方針を改定いたしまして、このパイナップルの生産目標等も一応きめてございます。農林省といたしましては、この面につきましてはこれが達成のために生産対策等をさらに強化をいたすつもりでございますが、特に今回のこういう問題もございますし、単なる生産、流通というだけでなしに、さらにもっと基本的な問題も検討を深めなければならぬのではないか、かような認識に立っております。今後とも前向きにこの面については取り組んでいきたい、かように思っております。
  91. 國場幸昌

    國場委員 農林省畜産関係の方、来ておられますか。——来られていないようですから、それでは終わります。
  92. 床次徳二

  93. 上原康助

    上原委員 パイン問題についてはちょっとあとでお尋ねしますが、もう少しいい答弁をその間考えておいてください。  時間がありませんので、先ほどからお待たせしておりますので、基地労働の問題について若干お尋ねをしておきたいと思うのです。  きょうは時間が限られておりますから、基本的な問題点だけ触れておきますが、最近、本土も沖繩もそうですが、特に諸機関関係の雇用員の解雇あるいはパート制への切りかえ問題が相次いでおります。この諸機関労働者の解雇、合理化、特に労働力は必要としながらもパート制へ切りかえをどんどんやっている現況、これに対する政府の基本認識は一体どういうものなのかという点が一つ。  また、JREやOREのパート制への切りかえに対して、政府は今日まで米側とどういう交渉を進めてきたのか。そこいらの基本的な点について、政府の考えている基本認識、基本見解というものをまずお伺いしたいと思うのです。   〔床次委員長代理退席、國場委員長代理着席〕
  94. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 お答えします。  まず第一の、諸機関従業員に関する政府の基本的な態度というお話でございますが、これは御承知のように、諸機関労務協約というものを米軍との間に結んでおりまして、ここにいろいろの労働条件を記載してございますが、雇用主は防衛施設庁の長官になっております。したがいまして、雇用主として、私どもの役所といたしましてはその従業員のお世話をするという立場にございます。  それから、最近の諸機関の解雇なりパートの切りかえなりの問題で、どういう対米交渉をしているかという問題でございますが、これは特に昨年来、全国的な状況でございますが、諸機関の経営状況というものが非常に悪化いたしております。そのせいだと思いますが、昨年の初め青森県に始まりまして、ずっと沖繩県まで、ことしの夏も引き続きましていろいろ問題が起きております。  それで、この前の先国会でもお答えいたしましたが、諸機関労務協約のうちのパート切りかえに関する条項というものがなかなか実情に合わない面があるという御指摘がいろいろございます。関係の労働組合からもいろいろ意見がございました。それで、その協約の改正方を進めております。  それから一方、実際におきます案件につきましては、そのつど、できるだけ従業員の生活に重大な低下を来たさないようにという趣旨でアメリカ側と交渉いたしてきております。
  95. 上原康助

    上原委員 私の質問にはあまり答えていないので、こっちのほうから具体的にお尋ねしたいのですが、問題は、諸機関労務協約に基づいてやっているあるいはパート制への切りかえ問題が、現在の協約とあまりなじまないので、その改定などを求めているという、これは前からお尋ねもしてある程度聞かされているのですが、きょう、OREの件について定めて申し上げたいのです。  要するに、職場の労働力の需要は現にあるわけですよね。たとえばOREの場合は千六十二名でしたか、千六十二名の従業員は必要としながらも、十月十一日付で全員解雇する。そうして、解雇したあと、一日をおいて——現在は正規雇用ですね、常用雇用。一日おいただけでパートに切りかえる。その理由についてはどう把握しているのですか、その原因と理由ですね。皆さんは、これまでの解雇については、やれ軍用基地が返される、軍用地が返還されるから規模の縮小だということを政府は異口同音に言ってきたのだが、アメリカ側の言い分を見ても、労働力そのものは必要なんだ。一日おいて全員パートに切りかえる。これはJREだってやり方は同じなんだ。その基本的な認識の問題なんです。本質の問題、それを政府としてはどうとらえているかということなんです。第一に、わが国の労働慣行になじまないじゃないですか。それに対して非常に不明確なお答えをしておられる。それについてもう一ぺんお尋ねしたい。  それと、アメリカ側が全員パート制に切りかえるという原因は一体何なりか、そういう点についてどう考えているか。  さらに、時間がありませんから、外務省、来ていますね、地位協定の十二条四項の見解はどう考えているのか。それと、諸機関労務の調達の場合の、協定の十五条。大体、米軍の施設内にあるいわゆる歳出外機関にしても、提供施設、区域であるには間違いないですね。労務の需要については日本側の協力を得てやるという地位協定になっていながら、日本側を素通りにして、外人パートをどんどん雇っている、あるいは米人採用をやっている。これなども歯どめはないんじゃないですか。十二条の四項や十五条の地位協定を基本にして諸機関労務協約と基本労務契約はできているはずなんです。雇用主が日本政府の防衛施設長官であるならば、米側のいまのやり方に対して、主権国であるわが国は、もう少し労働者の立場に立った対処のしかたというものがあると私は考える。一事が万事、さっきのパインの問題でもそうなんだが、これはもう政府姿勢一つなんです。そこら辺について、外務省施設庁の確たる態度といいますか、問題認識のしかたというものをこの際明確にしておきたいと思うのです。
  96. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 お答えします。  最初に、どういう考え方でこのOREの問題を把握しているかという御質問でございますので、お答えしますが、OREはいまいろいろ論議になっております諸機関の一つでございます。したがいまして、いわゆるアメリカ政府予算は支出されないような仕組みになっております。いわゆる俗にいいます独立採算制というようなかっこうでやっております。その経営状況が、たとえばことしの問題としまして承知しておりますのは、百万ドル以上、百二十万ドルばかりの赤字であるというふうに承知しております。その原因は、このお客さんがアメリカの軍人並びに家族、軍属というようなことになっておりますので、そのお客さんの減少ということにありますが、その状況は、復帰の当時に比べますと、現在は約三割程度の減であるというふうに承知しております。したがって、それに対応して、復帰の当時約百四十ばかりの部門がございましたものが、いま現在は六十八ぐらいになっておりますが、それをさらに幾つかまた締めなくてはいけない、そういう状況一つございます。  それから、総人員でございますが、これはいまおっしゃいますように、日本人従業員千百人でやっております。それで、それを全員は持ちこたえられない、少なくとも二割程度は削減しないとだめだ、したがって、一口に申しますと、事業所の一部閉鎖なり縮小、それから総人員の縮小といいますか削減、その残った約七割か八割程度の職員や従業員を、従来のような四十時間体制では維持し切れないので、三十九時間体制、それはまあ俗にパートと申しておりますが、そういう体制でないと維持できないということが原因でございます。  それで、この間には、要するに立て直しをいたしましたあとの体制として、一週間当たり三十二時間とか三十五時間とかというようなパートでないと云々というような話がございましたけれども、これは先ほど申し上げましたように、現在一週当たり四十時間でやっておりますので、三十二時間ということになりますと、約二割の給与の事実上の減少になりまして、従業員としてはたいへん問題が起きるわけでございますので、これをアメリカ側といろいろ折衝いたしました結果、三十九時間でやるということにいまなっております。  それから、先ほど、日本人従業員をもって本来充てるべきものではないか、それにアメリカ人その他の外人が非常にたくさん入っているじゃないか、それにちっとも歯どめがないというお話でございますが、状況を申し上げますと、復帰の当時、総数は約二千人というふうに聞いております。その二千人おりましたのが、去年の六月では約千七百人に減っております。これは全体、日本人も外人も入れましてですね。現在はそれがさらに減りまして、千六百人以下というようなことになっております。  その内訳を申しますと、去年の六月では約二百十人ばかりが外人、それから残りの千五百人でございますかが日本人、そういうことでございましたが、ことしの六月現在ではそれがアメリカ人のほうがふえまして約五百人、ただしこのうちの内訳は、いわゆる臨時といいますか、パートの者が約二百六十人ぐらいになっております。で、いわゆる四十時間体制の者が二百四、五十人ということでございますが、日本人のほうはその残りの約千百人というようなことになっております。  それで、歯どめでございますが、これはたびたびアメリカ側と協議なり約束を取りつけておりまして、日本人の首を切って、それでかわりに外人を入れるということはしないということをたびたび明言いたしております。  それからさらに、最近でございますが、いろいろ問題がございますように関係労働組合から話を聞きますので、先月の末、私自身OREの司令官と話をいたしまして、現在おるアメリカ人の交代は別といたしまして、その現在二百四、五十人おります四十時間体制のいわゆるアメリカ人をふやすということはしない、新たに採用することはこの二カ月ばかりは中止というふうにいたしております。
  97. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 地位協定の十二条四項には「現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。」というふうに掲げておりまして、実際上の慣行といたしましても、いわゆるMLCまたは十五条機関の場合はIHAという形式で行なわれておりまして、日本政府が間に入りましてその需要を充足しているわけでございます。したがいまして、現地日本人労務に対してはそれがそういうふうに行なわれておるわけでございます。  いま先生のおっしゃいました点は米人の雇用かと思いますが、これは現在、施設庁のほうからも答弁がございましたように、向こう側として、やはりアメリカ人でなければやりにくいような仕事の場合ぐらいに限られておるはずでございまして、また、日本人の首を切ってかわりにアメリカ人を雇うようなことはしないということは、われわれはアメリカ側の当局からも保証を得ておる次第でございます。
  98. 上原康助

    上原委員 そうお答えしていれば、聞いている人は確かにそうかなあと思うかもしれません。しかし、実際にそうなっていないわけでしょう。労務部長ももう少し事実を把握していただかないと困りますよ。今年六月現在で五百人程度と言われるが、私の資料では、六月十四日現在で外人雇用が六百四十六人いる。さらに七月段階で百人近くふえて、七百五、六十人いる。もちろんその中には若干、二割程度はパートだと聞いている。だから、皆さんはアメリカがそう信じなさいと言うと、みな日本政府は信じてしまうのですね。大臣だけそうかと思うと、お役人の方々までそういう状態。だから困るのです。十月の十一日段階で全員パートに切りかえるまで、今年の初めから六月、七月段階まで、もう米人への切りかえというのはやってきたんです。それを、向こう二カ月はやらぬとか、今後はやりませんなんてぬけぬけと言っている。こういう基本的な問題認識、事実把握についてちっともやっていただかないから困る。きょうそこまで議論するあれはありませんが、実際にそういうふうにアメリカから出ている数字があるじゃないですか、六百四十六人、そういうような状態なんです。さらに、あなたは、アメリカ側が外人は雇用しないという保証を得ておられるというんだが、アメリカ局長は具体的にはどういう保証を得たのですか。  私が基本的な問題で指摘をしたいことは、少なくとも米軍の施設、そういったPXとか、いわゆる諸機関というところで需要していく調達員については、すべてわが国の税は課されぬのでしょう。免税でしょう。それにはそういう特典は与えているんです。その身がわりとして日本の労務の提供については日本政府の協力を得てやると言っていながら、いまアメリカがやりたいほうだいやっている。実際問題としては何の歯どめもないですよ、地位協定も、基本労務契約も、諸機関労務協約も。これについて、政府は、米側と具体的にこの問題に対して、単なる事務処理でなくして、もっと外交折衝という立場でこれをやらない限り、前から私が指摘するようにこの問題は解決しない。  だから、ではこういう問題で地位協定上の日米合同委員会の中の労務委員会は一ぺん持たれたことがあるのか。これこそまさに十二条や十五条、あるいはいまの諸機関問題については、合同委員会の中の労務委員会、労務分科会などを持って、積極的に具体的な資料を突きつけてやるべきなのが政府姿勢であるにもかかわらず、この間も、十八年間一ぺんも労務委員会は持たれたことがないなんてぬけぬけと答弁をなさった。そこらはどういう状態になっているか。私が調べている資料とは全然違う。そこに基本的な認識の違いがあるというのです。あまりたくさん言わないで、質問にだけ答えてください。
  99. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 いまのOREの外人の従業員の数でございますが、先ほどもお答えしました約五百四十人と申しましたのは、これは最近そういう関係労働組合からいろいろ訴えがございますので、特にOREの司令官から調査の上もらったものでございまして、七百人ということはないと思います。その内訳は、先ほど申し上げましたように、いわゆるフルタイムの者が二百四十七人、そういうふうになっております。  それから、労務委員会は、この前、十八年間開かれてない、こう申し上げましたが、その後ずっと開きまして、このごろは週に三回ぐらい専門部会を開いて、いま健康保険の問題をやっております。
  100. 上原康助

    上原委員 労務委員会を開いて健康保険のことをやっている。健康保険のことはいいですよ。そんなのは厚生省にまかせればいいんだ。そういう態度じゃいかぬというのですよ。  そこで、あなたは先ほど、施設が縮小されたという御答弁だったんだが、今度の全員解雇してパートに切りかえるというのは、施設が縮小されたからそういう結果になっていると見ているんですか。これは端的に答えてください。
  101. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 先ほどお答えいたしましたように、施設といいますか、その営業単位の縮小ということも一部ございます。しかし、全体的には総人数持ち切れないということが一つございます。それからさらに、数を減らしました従業員もいわゆる従前の体制では維持できないという状況がありまして、これは私だけではございませんで、うちの長官にもこちらの第五空軍のガリガン司令官に会っていただいて交渉しましたけれども、どうも現実的な処理としてはこういうものでやむを得ないんじゃないかということで考えております。
  102. 上原康助

    上原委員 なかなか言わないのですがね。ここにORE当局から出されている解雇通告書がありますが、ここでもはっきり言っているのですよ。「解雇の理由は顧客の連続的減少と加速的な人件費の上昇によるものである。」問題は、人件費がかさむから安い方法で使おうということなんですね。もちろん顧客も減っているかもしらない、カストマーも減っているかもしらない。しかし、その減った分についてはすでに解雇をしたり、外人パートにしたり、手を打ってあるのですよ。  アメリカ側のねらいは、ベアが大幅にかさんでいくということと、それと関連をして退職手当もかさんでいくから、ここいらで退職手当を全部清算をして、新しく雇用しようということでしょう。パートというのは、これはもうほんとうのたてまえね。ほんとうに皆さんが言うように、部署や営業部門が減らされて、みんな人が減るというなら、これはもうある面ではやむを得ない面もあるかもしれない。しかし、現に千六十人か千名近くの労働者はOREは必要なんだよ。だから、十月十一日で解雇するから、一日おいて、またパートに切りかえましょう、全部応じてください、こういうことを出しているわけです。そのねらいは、退職手当の清算じゃないですか、退職手当と人件費がかさむから、こういうことをアメリカ側の言いなりに認めていいのかどうかということなんです。  そのことは、私が先ほど言った——これは外務省後ほど議論もしたいのですが、いまの地位協定の十二条あるいは十五条の解釈の問題、また、きょう大蔵省も来ているかもしれないが、免税措置もすべてやって、そんなかっこうでやるのなら、PXとかそういった諸機関の歳出外機関というのは全部なくなして、一般の民間の店を利用させればいいのですよ。アメリカ側に何でそんな特典まで与える必要がありますか、わがほうの歯どめは一つもなくして。こういう基本的な問題に対して政府としてやらない限り、この問題は解決をしない。  だから、申し上げたいことは、そういったアメリカ側が押しつけてくるものに、はい、そうですかと応ずるのではなくして、この地位協定や諸機関のいまの協約問題を含めて、根本的な対策というものをやる意思があるのかどうか。これがない限り、これは歯どめがないですよ、いまあるものさえ皆さん歯どめできないんだから。ここいらについてはどう考えているのかということ。  時間がないのであれですが、さらに、沖繩県はそれは事務手続を拒否しています。また、当然拒否すべきだと思うのです。拒否し続けた場合には、政府はどういう態度をとるのか。これは人間は必要なんだよ。でき得べくんば全部パートで働いてくれと言っている。こういうことについて今後どういうふうに処理していかれるのか。ここいらについて明確に答えておいていただきたいと思うのです。
  103. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 お答えいたします。  千人の者が今後また千人必要ではないと言っております。大体八割以下だ、そういうふうに言っております。したがいまして、労働力はそれだけ要らないわけでございます。  それからもう一つは、なぜ私どもがやむを得ないというふうに考えざるを得ないかと申しますと、この諸機関の関係と申しますのは、ずっと去年以来経営が悪化していることは、全国的にその傾向がございまして、これがたいへん近い将来好転していくというふうになかなか考えにくいところでございます。  それで、人件費が上がっていることも、これもおっしゃるとおり事実でございます。この資料はいろいろございますが、公務員に準じて駐留軍従業員の給与を扱っていこうというのが私どもの基本方針でございますので、諸機関の従業員は公務員が上がりましたと同じ率で上がっております。それで、先ほどお話しになりました、アメリカ人の従業員の平均の賃金よりは、現在は退職手当等の引き当て分等を含めますと日本人従業員のほうがはるかに高くなっているということはございます。  ただ、人件費だけではございませんで、ほかのコストも相当かさんで、結局先ほど申し上げましたようにOREだけで年間百二十万ドル程度の赤字になっている。そうしますと、これがほかの国の予算で補助できない種類のものでございますので何とか立て直しをせざるを得ない、そういうことになってくるわけでございます。
  104. 上原康助

    上原委員 それは納得いかないです、その御答弁は。これは問題提起として申し上げておきたいのですが、年間百二十万ドル赤字になるということは、これは米側の言い分だけなんです。OREの言い分で、問題は、これはアメリカ局長なんかもっと——むしろ大臣がおればいいのですが、要するに、基地は提供しているわけなんです。労務の調達についてはわが国の協力を得なければいかぬ。しかも法的には雇用主は日本政府なんです、防衛施設長官なんですよ。  現に労務は必要としない、あなたは二、三割は減らすと言っているけれども、二、三割減らすのであれば、千百名の二割の解雇というのなら話はまだわかりますよ。話はまだわかる。明らかに人件費を押えた安いコストで使いたいという意図がありありとしている以上は、わが国の労働慣行なり労働市場の慣例と比較をして、不当なやり方に対してはアメリカ側にものをいうのが、政府の国民を擁護する立場なんです。  したがって、私は、この諸機関問題については、皆さん諸機関には米側の歳出予算が、補助がむずかしいなんて言っているけれども、実際はできるのです、やろうと思えば。アメリカ政府に対して政治的に、いまの諸機関労務の実態というもの、これだけインフレになり人件費がかさめば、国の人件費に対する予算の支出というのは当然じゃないですか。そういうところまでこの問題を今日まで上げ切れずに、じり貧にアメリカの言いなりになって全部外人パートに切りかえていく、だから退職手当を清算をして、また最初からスタートをしていこう、こういう労働慣行とか協定の解釈というものがあってはいかぬですよ。これに対して検討する意思があるのかどうか、ぜひこの点については両方から答弁いただきたいと思います。
  105. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 ただいまのパートの切りかえに際して、その二割要らないのであれば二割解雇すればいいじゃないか、なぜ全員解雇するのか、そういう御質問でございますが、これは現行のと申しますか、従来の切りかえ方式ではいろいろ問題があるということで、関係労働組合を含めまして、先生御自身からもこの前の国会でもいろいろ御指摘を受けたところでございまして、一たん解雇、それから希望者だけが次のパート従業員として採用される、そういう方式がいいんじゃないかというふうに考えたわけでございます。
  106. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 地位協定十二条四項の問題として、必ず日本人労務者を雇わなければならぬという解釈は、ちょっと私たちとしてはむずかしいと思います。日本現地の労務の需要に関しては日本政府は援助することにはなっておりますが、必ず日本人を雇えという解釈は若干むずかしい。  ただ、実際問題としてわれわれとしても、そういう直接彼らが米人を雇う場合には、米人でなければ困るような職種に限定さるべきであろうと思っております。そういう意味で、この今回の問題は私たちとしても確かに非常に重要な問題と考えておりますので、今後アメリカ側といろいろな機会を通じ、合同委員会その他の機会を通じて話し合ってまいりたいと考えております。
  107. 上原康助

    上原委員 必ず日本人労務者を雇わなければいけないという義務づけは、それはもちろんないですね。それはおっしゃるとおり。それはよけいなことです、そんなことは。ただ、六百四十六人も現にパートがいる。日本人は千百名割っている。六割はもう米人なんですね。皆さん実際その内容を知らないの。必ず米人を雇わなければいけないという義務は課されていないけれども、高度の技術とか、どうしても米人でなければいけないポストというのはあるはずなんですが、何ですか、最近はレーバーまで、労務者とかベーカリーまで、日本人がやっておったのを全部すりかえておるのです、実際は。それはスト対策であり、コストのダウンであり、切りかえなんですよ。一種の合理化なんだ。そういうことをやってどんどんパートに切りかえていって、最終的には退職手当を清算をする目的で全員解雇、一日置いて——これは諸機関のいまの労務供与からいってもそこは違反ですよ。そういうことをなぜアメリカ側にぬけぬけとさせるかということなんです。  これはいまおっしゃったように合同委員会の労務分科会をやって、その問題をそこで日米間で話し合いますね。
  108. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 私は合同委員会の代表をつとめておりまして、労務委員会のほうは直接タッチしておりませんが、私の所管に属しております合同委員会におきましては、機会を見て米側と十分話し合っていきたいと思います。
  109. 上原康助

    上原委員 これを拒否し続けた場合にどう対処するかということについてはお答えがなかったのですが、それを答えてください。
  110. 松崎鎮一郎

    ○松崎説明員 これは従来からこの措置につきましては沖繩県庁といろいろ協議をしてやってきておるわけでございまして、今後十分理解と協力を得たいと考えております。
  111. 上原康助

    上原委員 木で鼻をくくったような答弁で、そんなことで理解と協力を得られますか。あとでまたこの問題をやります。いまきわめて重要な問題ですから、もう少し政府は真剣に考えていただきたいと思います。  そこで、島田先生の時間をちょっといただいて最後にパイン問題を簡単にお尋ねします。  簡単に要点だけ聞きたいのですが、先ほども現地の代表の方から御発言があったのですが、どうもあなたの答弁を聞いていると、全く何を言っているかちっともわからぬ。政府沖繩のパイン問題をどうしようとしているの。具体的に言うと、まず沖繩産を優先に消化しなさいということでしょう。原料価格は少なくともキロ当たり四十八円四十銭やれというわけでしょう。冷凍パインのかん詰めを製品にさせるなということで、冷凍パインの輸入については規制をしなさいということでしょう。それと、当面パイン業者あるいはパッカー、生産者を含めて、やるためには金融措置が必要だから、三十二億の融資はやってもらいたい。こういう具体的な問題について、政府はどうするの。これに答えてくださいよ、しどろもどろのこと言わぬで。  皆さんは、果樹園芸振興法に指定をしましたとか、四十六年から五十六年まで何やかや何万トンまで生産するといって、ちっともやってないじゃないですか。生産はどんどん低下してきている。先ほどの総務長官なんか基盤整備云々と言うが、それもけっこう。しかし、基盤整備をやる間に農民はいなくなる、キビにしてもパインにしても。そんなくだらぬ答弁じゃだめなんだ。  いま私が言った四つの点に対して政府はどうするのか、農林省は。これは通産省を含めて具体的に答弁してください。いつまでにそれをやるのか。
  112. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答え申し上げます。  沖繩産のパイナップルかん詰めの消化の問題でございますが、これにつきましては、当然現在相当量の滞貨があるということでございますので、この沖繩産パインの滞貨の解消ということに精力的に努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  そこで、まずこの沖繩産パインが滞貨を生じているということについて、一つの大きな原因としては、冷凍パイナップルを原料とするパインかん詰め、これが相当量の製造がされ、また市販されておるということのしわが寄っておるのではないか。したがって、この冷凍パインによりますパイナップルかん詰めの何らかの規制、こういうことをやるべきではないかという御指摘かと思います。  この面につきましては、先ほど来御答弁申し上げておるわけでございますが、一つは、この冷凍パインを使っていますパイナップルかん詰めといいますのは、相当粗悪なものも多いと聞いております。したがいまして、こういうものにつきましてはJASの受検ということをやりますことによりまして、消費者のほうの購買態度が相当変わるのではないか。そういうことによる消費減、それからまた、冷凍パインを使ったという表示を励行させることによりまして、これまた消費者の購買態度からしてその需要の減を期待をするということによって、この冷凍パインを原料とするパイナップルかん詰めの消費を抑制をしていくということにおいて、沖繩産パインの消化に資していきたいというのが、先ほど来申し上げておるところでございます。  それから、金融措置の問題でございますが、この面につきましては、年度内に三十二億、それから年内に約十八億ほどの融資が必要であるというふうに要望を受けております。  この面につきましては、まず一つは、沖繩振興開発金融公庫の中小企業資金のワクがございます。貸し付け限度が一企業四千万円までございますけれども、この沖繩公庫からの融資ということを考えておりまして、この面につきましては、沖繩開発庁等の御協力も得まして、現在、沖繩公庫のほうで具体的に審査も進めておるというふうに聞いております。  なお、さらに県のほうにおきましては、県の資金を預託をするということによって、その金融機関のほうから融資をパッカーに対してやるというような方途につきましても、相当具体的にこれも進めておるというふうに聞いております。なおこれで不十分であり、なお必要であれば、さらにこのほかの農林中央金庫なり、あるいは商工中金なり、そういう面についてもさらに融資の面について相談もし、進めていきたい、かように考えておるわけでございます。  なお、四十九年産のパインの生産者の価格のほうでございますが、この面につきましては、現在、四十八円数十銭ということで生産者側がパッカーのほうと交渉を続けておるわけでございますが、なかなかこの交渉が妥結をいたしておりません。さしあたり四十八年産の二十八円四十一銭というのを暫定価格として農協が立てかえ払いをいたして、さらにパッカーのほうは、当然でございますが、その金利を負担するというような形で暫定価格の支払いはやっておるわけでございますが、さらに、この要望の価格、この面についてはパッカーのほうと交渉中と聞いております。この面につきましては、業者の間で話し合いがつきますことを期待をいたしておるわけでございます。  ただいま先生からお話のございました点は以上でございますが、私たちといたしましては、今度のこのパインの滞貨解消の問題につきましては、非常に深刻な問題でもあり、また非常に急ぐ問題でもあるということでございますので、そういう認識に立ちまして手を打っていきたいと考えておりますけれども、現段階のところ、あまり十分な歯切れのいい御答弁ができませんで、はなはだ申しわけございませんけれども、前向きに今後とも取り組んでいきたい、かように思っております。
  113. 上原康助

    上原委員 時間が来てあれなんですが、あなたに幾ら申し上げてもその程度しかお答えいただけないかもしれませんが、これなどもやはり、もうすべてそうなんだが、政府の認識のしかたに問題があるんですよ。百万ケースもつくれるぐらいの冷凍パインをどんどん輸入すれば、沖繩のパイン産業に打撃を与えることは、われわれが指摘したとおりじゃないですか。冷凍ものというのはかん詰めにするための輸入の自由化じゃなかったはずなんですよ。それなども歯どめをしない。全く沖繩切り捨て、パインの皮をむくみたいに、みんなむいているじゃないか。そんな農政だからだめなんだよ。その点はもう少し農民の現状を知ってくださいよ。  これだけのインフレの中で、キロ当たりまだ二十八円四十一銭といって、価格についてはパッカーにまかしては困るんだ。製品はコマーシャルベースで取りきめておいて、それを逆算して農作物に対する原料価格をきめるなんて、これはもってのほかなんだ。これはいつごろまでにきまるのですか。ぜひ確答をいただきたい。  それと、大蔵省来ておりますか。——輸入関税の件なんですが、外国産にたしか五五%関税をかけていますね。その関税差金というのが二十億か幾らかあるわけでしょう。そういうものは実際問題としてその生産者の保護に回すべきお金だと思うんだが、そういう考えは、農林省あるいは大蔵省、皆さん話し合いなさっているのか。こういうものも、やろうと思えばできない相談じゃないはずなんだよ。どれだけパイン産業を追い込んでおきながら、キビだってそうなんだ、そういうことについては、大蔵省どうお考えなのか、ぜひこの点も明らかにしていただきたい。  さらに、開発庁振興局長、これは開発金融公庫の中小企業育成資金ではたしか四千万円だね。現に三十二億ぐらいは要ると言っている、現地の業者も、生産者も。これはもう果樹とかなんとかでない、パイン産業のほんとうに危機だから。そういう面に対する開発庁としての金融手当てはどうしようとするのか。年内に十八億、年度内に三十二億、これなんかは特別措置でやるべきなんだ。これはこの金融引き締めでどこも貸さないんだ。政府がやらなければいけない問題だ。こういうことはやらないで、前向きの努力をします、検討します、いつまでたったってのらりくらりとして、その易しのぎで、一体沖繩皆さんは何と思っている。先ほどの基地労働の問題だってしかり、小祿の爆発事故だってしかり、何でもそうなんだ。国会がない限り政府は動かない。  全部、具体的にいま答弁してください。
  114. 二瓶博

    ○二瓶説明員 現在、四十九年産のパイナップルの原料価格、この面につきまして生産者側とパッカー側と交渉を継続をいたしておるわけでございます。これにつきまして、一体いつまでにやるのか、こういう御指摘でございますけれども、この面につきましては早期に妥結するということをこちらは望んでおります。もちろん、また、生産費その他も上がっておることでもございましょうし、そういう面も考慮して、前年度は二十八円四十一銭でございますから、相当のその面の配慮もある適正な価格できめられるように、強く希望いたしておるわけでございます。いつまでということはちょっとなかなかむずかしいわけでございます。  以上でございます。
  115. 松尾直良

    ○松尾説明員 御質問は、パイナップルの関税収入を特定財源に使うということを検討しておるか、あるいはそういう考えはないか、こういう御質問かと承知しておりますが、一般的に申しまして関税は一般財源に入っておりまして、特定の物資についての関税を特定の物資に使うということは、財政の原則から申しまして、一般的にそういうことはいままで考えておりません。具体的にそういうものを農林省と相談をしておるかという御質問でございますが、現在そういう検討はいたしておりません。
  116. 山田滋

    山田説明員 パインの沖繩公庫からの融資の問題でございますが、農林省からお話がございましたように、私どものほうへも、大臣等に地元から陳情もございました。重要性は十分認識いたしております。そこで、農林省とも相談いたしまして、私どもの範囲でできることとしまして、一企業当たり四千万という限度はございますが、とりあえずとにかく早急に公庫からその範囲で融資をするように現在努力中でございます。  なお、先ほどお話がありましたように、県が預託をいたしまして、協調融資を考えておるようでございますが、それによる融資、それから、これはおそらく九月、十月程度をしのぐものだと思いますが、総体的に三十二億という要求がございますが、現実にどの程度が必要であるのかという点をさらに詰めるように県のほうへ十分に連絡をとってございますので、それによりまして農林省としては総合的に考えられると思いますけれども、私どもとしてもできる限りさらに協力をいたしたい、こう思っております。
  117. 上原康助

    上原委員 時間が来ましたので、これで終わりますが、いろいろ苦言も申し上げたのですが、きょう最初から指摘をしましたように、すべての問題にあまりに時間がかかり過ぎる。もちろん役所仕事というのはそういう面があるのは、私は理解しないわけではありませんよ。ありませんが、もう少しやはりそれぞれの官庁が真剣になって、親身になって考えてもらわなければ困る。大蔵省は、そんなエリートぶらぬでいいんだよ。検討するかしないかを聞いているのだ。これまでそういう特定財源に充てたことはないということは、やろうと思えばできないことじゃないのだよ。それに対しては答えていない。  そういった問題を含めてぜひ総合的に検討していただいて、このパイン問題については近々に政府の方針というものを出していただきたい。そうでないと困るし、いつまでも同じことを国会で議論すること自体も、われわれもむだなんだ。もっと前向きにやってもらいたいということを強く申し上げて、きょうは時間がありませんから、これで閉じたいと思います。
  118. 國場幸昌

    國場委員長代理 正森成二君。
  119. 正森成二

    ○正森委員 ことしの七月十日に伊江島で、ロックとジョンソンという二人の米兵が沖繩県の農民を信号砲で射撃をして負傷を負わせたというのは、御承知のとおりであります。  それについて質問するわけですが、まず最初に、刑事裁判管轄権をめぐる日米合同委員会というのが七月三十日に開かれたと思うのですが、それ以後何回ぐらい開かれて、現在どういう経緯になっているか、ごく簡単に説明してください。外務省でも、法務省でもよろしい。
  120. 根岸重治

    ○根岸説明員 お答え申し上げます。  七月三十日に日米合同委員会が開かれまして、その結果、問題はすぐれて法律問題にからまるものですから、刑事裁判管轄権分科委員会で討議するのが適当であるという判断に基づきまして、事柄が分科委員会におろされたわけでございます。分科委員会におきましては、八月五日、十二日、二十八日、三十日の四日にわたりまして会議を開きまして、なお五回目を明日開くことになっております。  現在までの内容でございますが、事柄の性質上、どういう議論を米側が出し、私どもがどういう議論をしたかという詳細を述べることは適当でないというふうに考えるのでありますが、要するに、現段階では両者の事実認定をめぐっての食い違い等につきまして甲論乙駁をしておる。その間において、もちろん法律見解もまじえつつ、討論といいますか、折衝といいますか、そういう段階になっております。
  121. 正森成二

    ○正森委員 この問題については、行政協定十七条の解釈というのが非常に重要になると思うのですが、それにつきましては、御承知のように行政協定の十七条を改定する議定書というのができまして、さらにその議定書に関する合意された公式議事録というのができておるはずであります。その議定書についての解釈のこまかい点については、この日米合同委員会における合意書というのがこれを補完するものであるというように一般にみなされておりますが、そういう解釈でよろしいか。
  122. 根岸重治

    ○根岸説明員 むしろ外務省からお答えになることかもしれませんが、大体そのように承知しております。
  123. 正森成二

    ○正森委員 そこで、私は、折衝中であるということですけれども、伺いたいと思うのですが、本件は、そもそもアメリカ側があの米兵の行為を公務中であるというてきたことから発生していると思うのです。そこで、合意書によりますと、第六の「公務の定義等に関する事項」というところで「行政協定第一七条第三項(a)(ii)及び同項に関する公式議事録にいう「公務」とは、法令、規則、上官の命令又は軍慣習によつて、要求され又は権限づけられるすべての任務若しくは役務を指す。」と、こう書いてありますね。そこで、米側は、公務であるということについては、あの信号砲を日本の青年に向けて発射する行為が、アメリカ側のいかなる法令、規則、上官の命令または軍慣習によって権限づけられておると言うておるのか、あるいはあなた方はどう解釈されておるのか、それを伺いたい。
  124. 根岸重治

    ○根岸説明員 先ほど申し上げましたように、米軍側がいかなる主張をし、私どもがいかなる反論をしておるかということにつきましては、現在まだ討議中の問題でありますので、ここで詳しく申し上げることは差し控えたいと思うのでございますが、少なくとも現段階においては、私どもは米兵の行為が公務中ではないという立場に立って主張しておる段階でございます。  なお、米側がいかなる観点から公務中であるというふうに言ったかにつきましては、先ほど来申し上げますように全部明らかにすることはできないわけですけれども、ただ、現段階が必ずしも向こうの主張もまだ出尽くしてはいない段階であるということだけ申し上げておきたいと思います。
  125. 正森成二

    ○正森委員 それでは、私のほうから聞いてまいりますが、いろいろ双方のやりとりはあると思います。草を刈るために入ったのだとか、いや、それに付随して何かを拾っておったのだとか、いろいろなことが双方から攻撃防御をされると思いますが、しかし、とにもかくにもあの信号砲というのは、米側の規定によっても、携帯して、まして信号砲でありますから人間に向けて撃つということは、いかなる法令、規則に基づいてもそれは許されないはずであります。それはあなた方もよく承知しておられると思うのですね。そうなると、そういう点についてあなた方がこの小委員会でき然として主張されるというのは当然の態度だと思いますが、そういうようになさいますか。なさっているかというと、内容をまた言えぬと、こうなりますから、なさいますかということであれば、これは決意の問題だから答えられると思います。
  126. 根岸重治

    ○根岸説明員 私どもは、信号銃を撃ったという事実だけでそのような主張をしているのかどうかという問題にも関連するわけですが、とにもかくにも私どもは、現段階におきまして、この事件全体を通じて公務の執行ではないという主張を現在しております。
  127. 正森成二

    ○正森委員 折衝中であるからだいぶ遠慮した答えなので、詳しいところへ参りませんけれども、御承知のようにジラード事件の裁判所の判例にしましても、その他の判例にしても「「公務中」とは公務に従事していた時間と解すべきではなく「公務遂行の過程において」という意味であってその犯罪が公務執行に随伴して生じ、公務執行とその犯罪との間に直接行為上の関連性を有することが要求される。」こういうふうな、釈迦に説法ですけれども、当然のことだと思いますね。そういう観点から見ると、あの信号拳銃を携帯して、しかもそういうぐあいに撃ったというように一般に報道されておりますが、そういうことであるとすれば、公務中であるということはこの合意書から基づいても絶対に言えないことである、私どもはそう思っているのですね。  その捜査に行くまでの過程について警察庁に伺いたいわけですけれども、警察庁は、われわれが承知しておりますところでは、事件が起こりましてから六日後の七月十六日に、コザの簡易裁判所で逮捕状をとり、その逮捕状を執行したいということで引き渡しの要請に行ったということが一般的に報道されておりますが、そういう事実があるのかどうか、そして、なぜそれをやめたのかということを、まず簡単に答えてください。
  128. 佐々木英文

    ○佐々木説明員 御指摘いただきましたように、七月十六日にキャロル・E・ロックに対しまして傷害容疑の逮捕状の発付を得まして、同日県警の刑事部長らが米軍側に対しまして逮捕嘱託を行なったわけでございます。あわせまして身柄の引き渡しを求めたわけでございます。これに対して米軍側は、検討の上、後日回答するということでございまして現在に至っておるというのが実情でございます。  なぜやめたかということの御質問でございますが、これにつきましては、七月十六日に発付を得まして、逮捕状の有効期間は七月二十三日までであります。なるほど、七月十六日に逮捕状の発付を得て米軍側に対して逮捕の嘱託を行なって、身柄の引き渡しを求めましたその当時におきましては、まだこの事件の事実関係が不明確でありました。それから、県警の取り調べに対しまして、被疑者は完全黙秘の状態であったということでございます。そういうふうな状況でございましたので、逮捕の必要性があったわけでございますが、現時点におきましては、一応実況見分、それから目撃者等関係者に対する事情聴取等によりまして、事実関係に対する捜査をほぼ終えたというふうな段階でございます。被疑者に対しましても九回の取り調べを行ないまして、事実関係についておおむねの供述を得ている。それから、被疑者は米軍側におきまして嘉手納基地内で禁足措置がとられているというふうな状況が見られますことにかんがみまして、今後特別の事情が生じない限り逮捕の必要がないというふうに判断したわけでございます。
  129. 正森成二

    ○正森委員 いまそういうお話ですけれども沖繩県民が一般に言っておりますのは、ジョンソンとロックというのは、米側の通知によっても、これは共犯である、こういう犯罪通知があったはずであります。しかも地位協定の十七条の五項(c)とも関係するわけですけれども、米側は、米側の手中にあるというように主張しているのでしょうが、われわれの一般の通念によれば、十七条の五項(c)を見ますと「日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。」こうなっておるわけですね。だから、原則として拘禁ということを前提にしておるわけですね。ところが、これは基地の中で、出られないというだけであって、自由自在に動き回って、この二人は自由に会話をしておるわけです。こういう状況のもとでは、お互いに、あのときはこうしておったということにしようというようにできるというのは、これは捜査の常識であります。そういうような状況のもとで、警察は手ぬるいとか、日本の青年を撃った者に対して一体どういうように考えておるのかという不満が出るのは当然のことであろう、こう思うのです。  そこで、七月十九日に米側はこれについて犯罪通知を行なうのと同時に、これは公務証明を出さないという通知をしてきたはずですね。それは事実だと思うのですが、その点をお答え願いたいと思います。
  130. 根岸重治

    ○根岸説明員 七月十九日に犯罪通報をしてきたこと、及び非公式ではありますけれども、その通知と同時に、沖繩空軍法務部を通じて、公務証明書は両名については発行しないということをこちらに連絡してよこしたということは事実でございます。
  131. 正森成二

    ○正森委員 いま非公式にとおっしゃいましたけれども、われわれの承知しているところでは、在沖繩米軍空軍憲兵隊長のマニュエル・バホー少佐ですか、これが那覇地検に対して公務外であるということを書面で通知してきておるということがいわれておるのですね。そうしてまた、七月十九日に那覇地検に対して犯罪通知を行なうと同時に、公務証明を発行しないということは、三百十三航空師団のマクレーン司令官の知事あての文書も、これが米第五空軍の司令官の決定であるという旨を述べており、この空軍兵は日本裁判権に従いますというように文書で指摘しておるというように、われわれの調査ではなっております。そうすると、これは公務証明を出さないというだけにとどまらず、第一次裁判権日本国にあるということを明白に一たんは認めたということになると思う。  そうすると、問題は、刑事訴訟法でいえば、こういういわば訴訟行為が恣意的に撤回することができるかどうかという問題にもなってまいります。一般的に刑事訴訟法の考え方でいえば、これは訴訟追行行為といいますか、申し立てとかいうようなものについては、裁判所の判断があるまでは撤回できるということになっておるけれども、それ以外の場合には明文の規定がなければ撤回できない。または、それだけでなしに、禁反言の原理によっても、一たん自分が言ったことを撤回できないというのはこれはあたりまえのことだと思うのですね。かりにたとえてみれば、そういうことを言って一定の期間がたって、日本側が身柄も拘束しておる、起訴しておるということになって、そのあとになって、いや、おれのところに第一次裁判権があったのだというようなことを言うようになれば、これはえらいことであります。  だから、そういう刑事訴訟法ないしは一般的な法律的な原則からいっても、七月十九日に一たんそういう通告をしておきながら二十九日にあとで撤回するというようなことは、重大な法律的な問題点を含むと思うのですね。それについて法務省あるいは国側はどういうようにお考えですか。
  132. 根岸重治

    ○根岸説明員 最初にちょっと一言お断わりしておきますが、私が非公式にと言ったことは、別に米軍側の意思を私どもが軽く受け取っているという意味ではございませんで、米軍側が間違いなくそういう連絡をよこしたという事実は、私ども事実として受けとめております。非公式と申しましたのは、本来そういうことを通知するような形にはなっておらないということをただ申し上げただけです。  次に、刑事訴訟法上訴訟行為の撤回が許されるかどうかということにつきましては、いろいろ問題があるとは思います。私どもは現在、そういう法律論はさておきましても、いわばエストッペルで、当然そういうことは通常の感覚ではあり得ないことであるという立場に立って主張をいたしております。
  133. 正森成二

    ○正森委員 いま、禁反言の原理といいますか、エストッペルというのは、日本側も当然主張すべき点であるというように言われておりますから、当然法律家としてはそういう主張をしていただきたいと思います。  さらに警察庁に伺いますが、先ほど私が言いました合意書の第八の「逮捕に関する事項」というのを見ますと、こう書いてあるのです。「日米両国の法律執行員が犯罪の現場にあつて、犯人たる合衆国軍隊の構成員、軍属又はそれらの家族を逮捕する場合には合衆国軍隊の法律執行員が逮捕するのを原則とし、この被疑者の身柄はもよりの日本国の警察官公署に連行される。日本国の当局による一応の取調の後、当該被疑者の身柄は原則として引き続き合衆国の当局に委ねられるが、当該事件日本国の当局が裁判権を行使する第一次の権利を有する犯罪に係るものである場合には、日米の共同捜査のためいつでも取調の対象となる。日本国の当局が特に当該被疑者の身柄を確保する必要があると認めて要請した場合には、その者の身柄は日本国の当局に引き渡される。」こう書いてあります。  そうすると、おそくも七月十九日以降は、向こうは公務証明を出さない、いわば第一次裁判権日本国にあるということを公式の文書で言ってきたのだから、だからおそくとも七月十九日以降は、ジョンソンやロック、こういう者の身柄を確保して連絡を遮断して、そして厳正に調べることができるはずであったのに、しかもそれは、いまの答弁によっても逮捕状の期限が切れる二十三日より前であるのに、なぜ断固とした態度をとらなかったのか。
  134. 佐々木英文

    ○佐々木説明員 先ほどお答えを申し上げましたように、米軍側に対しましては、逮捕の嘱託を行ない身柄の引き渡しを求めたのは、一度だけではございません。ただ、先ほどもお答え申し上げましたような米軍側の態度でございましたので、私どもといたしましては、キャロル・E・ロックにつきましては九回にわたりましてコザ署に任意出頭を求めまして、コザ署におきまして本件に関する取り調べを実施したわけでございます。このコザ署におきまする取り調べによりまして、一たん黙秘の状況があったわけでございますけれども、その後事実関係についての供述をいたしておりまして、七月の十五日以来七月の三十日までの間に、キャロル・E・ロックにつきましてはほぼ全貌を把握することができたということでございます。したがいまして、決して私どもがき然たる態度をとらなかったということではないと私、考えております。
  135. 正森成二

    ○正森委員 いま警察庁からそういう答弁がありましたけれども、法務省自身も認めておるように、七月十九日に一たん公務証明を出さないと言ってきて、十日もたった二十九日にそれを撤回したというのは、エストッペルの考え方からいっても異常な事態であります。もしそのときに、警察が七月十九日以降身柄を確保して——身柄を確保すれば起訴も容易でありますし、そういう点を実行しておったなら、それ以後の二十九日に前言をひるがえすということになれば、一たん日本側の身柄にあるそういう者について、再び米側が第一次裁判権がある。こういう主張になって、いろいろ日本国とアメリカ合衆国との間の争いになるでありましょうが、身柄はわがほうが確保し、そして捜査が完了すれば起訴も当然できるという段階での米側の撤回というものは、いまわれわれが身柄を確保できず起訴もしていない段階での折衝というものと、これは攻守は大きく立場をかえると思うのですね。わがほうが身柄を確保し、やるべきことをやりながらの中での折衝であるということになると思うのです。そういう意味では、警察が合意書でも当然できることをなさなかった、しかも共犯と米側でさえ言っておるジョンソンについては供述も得られないのにそういう態度をとっておるということは、行政協定の不備もさることながら、われわれは政府あるいは行政庁の態度について国民として遺憾の意を表せざるを得ないというように考えるのです。  時間がありませんのでさらに申し上げますけれども、私は現地に行って何人かのその場に居合わせた農民を調べまして、供述調書をとってまいりました。その供述調書によると、米側は明らかに証拠隠滅と認められることをやっておる。  たとえば、ここにあります調書は、その当時現場におりました知念千代さんという人の調書であります。それを見ますと、こう言っておる。「七月十三日だったと思いますが、演習場に行くと、あの日私たちが草を刈ろうとしていたところはブルドーザーのようなもので掘り起こし草をなくしてしまっていました。また、十九日ごろ行くと、今度はフェンスを上につけて二重にし、入り口も私たちの入ったところはフェンスをつくって入れないようにしてしまっていました。」こう言っております。つまり、事件があって現場を最も保存しなければならないところを、事件後わずか三日ないし一週間たったときに草を刈って、そして何が何やらわからないようにしてしまっている。現場には明らかに信号弾が落ちて焼けたあとまであったのですね。それをとってしまっておる。そして、フェンスをつくりかえて、 いかにもここは入っては悪い場所だったのだというようにつくりかえておる。こういうことをやっておるのですね。これは国内でこういうことをやれば、証拠隠滅で場合によったら逮捕されるかもしれない事案であります。  また、平安山シズという人がおります。この人は真謝の区長の奥さんでありますが、この人の言うておるところによりますと、七月の十七日に、演習が終わったことを示すように赤い旗がおりておったので、中へ入って草を刈ろうとした。そうすると、入るときには何も言わなかったのに、いきなり米軍がジープその他でがあっとまわりを取り囲みまして、どういうことをやっておるかというと、ここである人——中学三年生だそうでありますが、草を刈りに来て、ちょうど十キロのナパーム弾の模擬弾を見つけたところだった。そうすると、米側はその中学三年生に近寄ってきて、わざわざそのたまを指さして、持ちなさい、持ちなさいと手まねをして、そしてカメラをかまえた。いつもだったら、赤い旗がおりると機関銃の的になる標的というのはおりているわけです。ところが、このときに限って標的はおりていなかった。そして、この標的とその少年とナパームの模擬弾、これが入るような角度で一斉にカメラをかまえたというのですね。そこで、この平安山シズさんが、おかしいと思って、持つなと言ったら、米兵がその平安山シズさんのところへやってきて、おばさん仕事中入った入った、一緒に行きましょう、こういうことを何回も繰り返しておるのですね。この人が、旗がおりてから入ったのになぜそんなことを言うかと言っても、米兵は、仕事中、仕事中、行きましょうというように繰り返し言って、それじゃ行きましょうと開き直ったら、そのまま行ってしまったという事実がある。これは私がもうちゃんと調書をとってきておるのですね。  そういう点を見ると、明らかに赤い旗がおりて、ゲートも入ってもいいといっておるのに、米側はわなをしかけて、中学三年生の子供が落ちておるナパーム弾の近くへ行ったら、わざわざそれを持てと言って、標的と一緒に写真を写そうとしたという重大な事実があります。米側はおそらく、米軍の財産であるたまをかってに持っていこうとしたからそれを制止したんだというようなことを合同委員会でも言うでありましょうが、そういう一つの証拠をつくるということを、事件が起こってから一週間後にわざわざ、わなとしてやっておるということで、地元の人は憤激しているのですね。私が現地に行ったときに、いままでだれにも言わなかった、警察にも言わなかったけれども、共産党の正森代議士さんに言うから聞いてくれ、こう言ったから、私は調書をとってきた。実にひきょうなやり方だといわなければならぬ。そういう米側を相手にあなた方が交渉されるという場合に、日本国の名誉にかけて、き然とした態度をとっていただきたいということを私はいわざるを得ません。  また、時間の関係で申しますと、あなた方も御承知被害者の山城安次さんの言っているところでは、けがをしたあとで、やってこい、やってこいと言って、そして監視所まで連れていった。それは一キロ離れているのですね。ところが、そこで興奮してしゃべりまくるだけで、血がだらだら流れているのに手当ても何もしないで、そして放置して行ってしまった。しかもそのときに、この演習地に入るやつは全部撃ってやるんだということを英語でしゃべりまくったというのですね。これはその監視所にいたガードマン、宮里豊信という人が聞いて、それを言っておるということもわかっております。一体日本人を何と心得ておるかというようにいわなければなりません。  こういう事案でありますから、代表にはあなたのほうの法務省の総務課長ですかが行っておられるそうですけれども、あなた方は、米側がこういうようなやり方をやっておるということで、非常に不十分な規定ではありますが、地位協定や合意書を最大限に活用して、そして日本の刑事訴訟法のエストッペルその他の法理を駆使して、わが国の権利が守られるように、いやしくも二十歳の青年がピストルで撃たれるのが公務であるというような、そういうとほうもない主張を許さないように、あなた方は適切な交渉をしていただきたい。そしてまた、一定の後にこの委員会でわれわれは報告をしてもらいたい、こう思っております。それについてあなた方の御意向、決意を伺いたいと思います。
  136. 根岸重治

    ○根岸説明員 いま申されました現場をどのようにつくりかえたかどうかということにつきましては、もし必要があれば警察庁のほうでお答えいただくこととして、正森議員十分御存じのように、あとでどういうたまを持たしてどういう写真をとろうと、それは事後のことなので、本件について立ち入りを禁止されておったかどうかという証拠には当然なり得ないことであると思います。私ども分科委員会に出ておりますのは、不十分かもしれませんが法律家の集まりでございますので、十分法律的見地から主張すべきことは当然主張するという態度で臨んでおりますし、今後も全く同じであるというふうに御了解願いたいと思います。
  137. 正森成二

    ○正森委員 一つ申しますが、あとからつくった証拠は証拠にならない、こういうぐあいにおっしゃいますが、それは二重の意味で米側を過信しておる発言であります。たまたまこの平安山シズさんという人が勇気をもって私に言ってくれたからいいけれども、警察にも検察庁にも一言も言ってないんですよ。米側はこれをその当日の状況だとかということも言おうと思ったら言えるし、それはあなた方にとっては反論がある意味ではほとんどできないことである可能性もある。また、それがかりに事後であったとしても、しょっちゅう沖繩の農民というのはこういうぐあいにやってきて、十キロのナパーム弾をこういうぐあいに持っていくのだという一つの情況証拠にはできるんですね。そういう点を考えますと、沖繩の農民が私にこういうことを言ったということは、私はある意味では——この件について現地は公務外だと言っておるのに、ワシントンのほうから公務中であるというように言ってきたと承知しておりますが、非常に意味深いものがあるというように私どもは考えるのです。  時間が参りましたので、キビの問題について質問しようと思いましたが、それは省略させていただきます。  ただ、一言私、申しますと、沖繩では、勤労者の世帯の実収入というのは全国平均の七六%なんですね。農民の場合、農家所得というのは、農林省の資料によりますと全国平均の五〇・三%であります。そして、やせ細る県内農業ということで、沖繩の農家というのは前年比で五・二形減少しております。しかも、肥料というのは平均三二%値上げが決定されております。こういうように、農家を経営していくための肥料だとかあるいは機械というのはどんどんと上がる。たださえ低い沖繩県民の収入というのは全国平均に比べて五〇%、六〇%だということになりますと、それは、産業基盤を変えていくとか比率を変えていくとかいうことは三年先、五年先にはいいかもしれないけれども、現実としては、沖繩のおもな産業であるサトウキビだとかパインというものについて、サトウキビは一万八千円以上とか、あるいはパインは四十八円四十銭とか、いろいろいわれておりますが、そういうものについて政府が理解を示さなければ、とうてい沖繩の農民は健康で文化的な最低限度の生活を維持できないんですね。  ですから、そういう点について農林省やあるいは沖繩開発庁というのが、いままでるる他の議員が質問されましたから、私は時間がありませんから質問はやめますけれども、もう少し人情味のあるあたたかい行政をやっていただきたいというように願うのは当然のことだろうと思うんですね。開発庁いいですか、そういう点についてあなたのほうに責任があるんですよ。だから、具体的な答えはできないかもしれないけれども、ともかく、そういう問題で沖繩の農民あるいは沖繩県民生活レベルが低下しておるということをよく考えて施策をとってほしい、こういうように思います。  それでは終わります。
  138. 國場幸昌

  139. 安里積千代

    ○安里委員 時間がありませんので、きわめて簡単に結論だけの質問にとめたいと思いますが、パインのかん詰めの問題につきましての農林省の皆さんの答弁を承っておりますと、農林省とされてはどうも通産省に対して弱い、また通産省は貿易業者に対して弱いのじゃないかという感じを抱かされますし、また、農林省が沖繩の農民よりも本土の資本家といいますか、事業家のことを考えておるのじゃないかというような感じがするわけであります。  お聞きしたいのは、沖繩のパイン産業というものは沖繩の基幹産業であり、日本における特産であっていいと思います。としまするならば、沖繩の農民のためにも、あるいは国内の生産を維持するという意味におきましても、パイン産業というものはつぶしてはならない、これは保護育成しなければならない問題だ、私はそのように思っておりますけれども、農林省はそのような気持ちを沖繩のパイン産業に対して持っておられるかどうか、簡単にお答え願いたいと思います。
  140. 二瓶博

    ○二瓶説明員 お答え申し上げます。  沖繩のパインの問題でございますが、沖繩県におきましては、パイナップルはサトウキビあるいは畜産等と並びまして重要な農業面での基幹作目の一つであると考えております。したがいまして、これが生産の面につきましても、果樹農業基本方針の改定も行ないまして、パインについての目標も明確に明示をいたしております。そしてこの目標を達成すべく、栽培の省力化なり、あるいは種苗の面につきましても優良種苗の供給普及というような点等々、生産面の強化をやっておるわけでございます。  なお、それとともに、沖繩のパインはかん詰めに加工されるものがその九八%を占めるということでございますので、この加工の面につきましては、国際競争力等とも考え合わせまして、現在非自由化品目ということにいたしており、なお関税の面につきましても五五%という関税率の適用をいたしておるということで保護育成をはかっておるわけでございますが、このパインの育成につきましては、今後とも生産、流通、加工、このような面につきまして十分積極的に措置を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  141. 安里積千代

    ○安里委員 いまお答えのような趣旨からいたしますれば、パインを生産します農家が引き合うような値段で買い取られ、必要な生産意欲というものを農家に持たせなければなりませんし、また製造されましたかん詰めがスムーズに消化されてこなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、問題は、もう結論だけを申し上げますならば、沖繩のパインかん詰めは、日本全国の需給の関係が当然あるわけなんですから、日本の需要の関係から、沖繩産のパインかん詰めは最優先的に消化をはかる、こういう基本的な考えで復帰前からスタートしたと思っておりますが、現在におきましてもその基本線は維持されておられるかどうか。また、そのような考えで沖繩のパインかん詰めの生産を考えているかどうか。
  142. 二瓶博

    ○二瓶説明員 沖繩産のパイナップルかん詰めにつきましては、これを優先消化するという考え方をとっております。  具体的に申し上げれば、パイかんの輸入割り当て等にあたりましては、総需要量を一応推定いたしまして、それから沖繩からの出荷量を差し引きまして、そしてその残りの分について輸入割り当てをやるという考え方でやっております。したがいまして、四十九年度におきましても同様な割り当てで、総需要量三百三十万ケースというふうに見込みまして、沖繩産からのものを百九十万ケース、差し引いて百四十万ケースが大体輸入かなということになっておりますが、現在のところ上期分だけを割り当てております。これが百五万ケースでございますが、あと残りの下期分につきましては、現在沖繩産のパイかんの滞貨という問題もございますので、今後その辺の消化状況も見定めた上で、下期の割り当てのほうは関係の向きとも相談してきめていきたいということでございまして、沖繩のパイかんの優先消化という基本線につきましては、その考え方で今後とも進んでまいりたい、かように考えております。
  143. 安里積千代

    ○安里委員 沖繩ものの優先消化、そして輸入ワクをきめる、これはそのとおりだと思いますが、しかし、現実といたしまして、いままで指摘されましたように、また、きょう関係者の方が陳情申し上げましたように、これまで相当の滞貨ができておる結果をなしております。いままでいろいろ指摘されましたように、その原因というものは、冷凍パインが冷凍パインとして輸入されながら、本土においてこれがかん詰めに製造される、こういうことに大きく原因しておるということも、いままで指摘されたとおりであります。  そこで、先ほどお話しいただきましたその基本方針というものを維持し、そして沖繩のパイン産業を維持していきまするためには、いまのような結果を来たしました冷凍パインによるところの製造に対して配慮が加えられなければならないという結論、まことに簡単な結論になるかと思います。冷凍パインそのものの自由化を禁止するということは、これはできない問題だと思います。しかし、この自由化を認めた一番初めの原因も、やはりいまの基本線、つまり沖繩の生産を阻害しない、かん詰めの消化を阻害しない、また冷凍パインを入れたところで差しつかえないであろう、及ぼさないであろうという見通しのもとになされた。そうでありまするならば、冷凍パインを入れるということ、自由化したという趣旨がそうなんだから、それならば、それを入れた目的を越えて大事な基本である国内の需要を乱す、沖繩のかん詰めの消化を妨げるような原因をつくっておるならば、端的に申し上げて、冷凍パインで入れたものは冷凍パインであって、これで加工してかん詰めをつくることはできないのだ。輸入されてくる目的がずいぶん違ってくるわけですから、もっと積極的に何らかの規制をする方法というものがあるはずだ。  ところが、先ほどからの御答弁によりますと、それにJASマークをつけて消費者の選択にまかす、冷凍パインの消費の規制をするといったような御趣旨の御答弁があったわけですけれども、それでは何にもならぬと思うのです。むしろますます多い目に冷凍パインで入れてかん詰めをつくる、これを奨励するようなものにしかならないと思います。なぜ冷凍パインで入れて、ここでかん詰めにするかという内情もわかります。本土における類似の工場の合理化あるいは工場をフルに利用するというような立場からでしょう。その点は業者の立場もわかりまするけれども、そこまでして沖繩の特産を圧迫するということは、業者の良心から考えてみてもやるべきことじゃないのだ。これがなかった場合でも十分維持できている問題なのだ。  そうでありますので、いまの御答弁からしますと、何だかかん詰めを製造することを認めるような趣旨に伺われましたが、それじゃだめだと思うのです。何か冷凍パインで入れたものはもうそういう面に利用させないのだというところの方策があってしかるべきじゃないか。さもなければ、いかに優先消化を云々言いましても、それによって輸入ワクをきめると申しましても、また同じような問題が起こってくるのだ、こういうふうに思うのですが、これは何らかはっきりさせる方法はないのですか。
  144. 二瓶博

    ○二瓶説明員 今度の沖繩のパイかんの滞貨問題といいますものは、冷凍パインを原料として製造されますパイナップルかん詰め、これが相当量製造され出回っておるということにおいて発生しているということでございます。したがいまして、この冷凍パインによりますパイナップルかん詰めの製造を規制するというわけにはいかぬか、こういう御指摘だろうと思います。  問題は、この冷凍パインを原料としたパイナップルかん詰め、これを製造してはならぬというようなところまでは、これはなかなか言い切れない問題があると思います。したがいまして、行政措置といいますか、そういう面で指導いたすという立場から参りますと、先ほど来申し上げておりますJAS規格の問題なり、あるいは特にこの冷凍パインを使っているという表示、これを的確にやらせるということによってその消費の減退を期待をするというやり方で現在のところやっておるわけでございます。  ただ、問題は、これだけで十分かという問題がございます。この面につきましては、行政指導の面でやります場合におきましても、もう少し強い線でやれないかどうか、これはさらに検討してみたいと思っております。
  145. 安里積千代

    ○安里委員 時間がありませんのであれですけれども、いまのような行政指導だと、私は決して冷凍パインの輸入、冷凍パインによる本土におけるかん詰め製造、これは減らないと思います。結果を見てみなければわかりませんけれども、そのような甘い考えでは、総需要の中における沖繩のパインかん詰めの優先消化という問題は、今日のような事態を起こすことをまた繰り返すのではないかという感じがいたします。これ以上触れません。  当面するところの滞貨の処理、これに対する金融措置、この問題につきましてもいろいろとお話がございましたので、それを信頼をいたしまして、当面するこの問題というものをぜひすみやかに解決してもらいたい。さもなければ、これは壊滅状況、あと回復することのできないところの問題が起こってくる、こう思いますので、御配慮願いたいと思います。  次に、サトウキビの価格の問題についてちょっと触れたいと思います。毎年サトウキビの買い上げ価格の問題について問題があり、昨年千人にわたるところの陳情団が上京したこともございました。遠隔の地沖繩から直接政府その他に圧力をかけ、あるいは直接事情を訴えるということはなかなかむずかしいのです。よほどのことがなければやれません。そのために案外、沖繩の実際というものが政府の施策の中において響かないというような場合が考えられるわけです。  そこで、価格の問題もございまするが、いま沖繩側の主張いろいろありますけれども、私はその前に、一体政府とされまして沖繩のサトウキビ糖業というものに対する位置づけと申しますか、どういう基本的な位置づけで沖繩の糖業を見ておるか、この基本的な考えから私は価格の問題も生まれてくると思いますので、お聞きしたいと思います。
  146. 永井和夫

    ○永井説明員 沖繩のような亜熱帯性の気候、それから台風常襲地帯という観点から見まして、サトウキビは当地に適した作物であり、また、他の作物と比較いたしました場合にも、早急に収益を多大にあげる作物というのは期待できない現状におきましては、やはり第一に基幹となるべき作物である、かように考えております。
  147. 安里積千代

    ○安里委員 私が実はお聞きしたかったのは、もちろん沖繩のいろいろな気候その他の状況から沖繩の糖業を考えておられるという、それはわかります。沖繩のため、沖繩の農家のため、沖繩の云々、これももちろん結果的にそうでございまするけれども、糖業の位置づけというものを私がお聞きしたかったのは、日本における甘味資源の需要に対しまする沖繩の糖業に対してどう考えておるかということを実はお聞きしたがったんです。これは昨年の予算委員会総括質問においても私が大臣にお聞きしたわけでございまするけれども、依然としてまだはっきりしません。  私は、もちろん食糧ではございませんけれども、食糧以上に甘味資源というものは国民の大きな必需品であると考えておりまするし、しかもこの生産地というものはまだ外国であり、いわゆる開発途上国に多い、ある場合には政情も不安である地域であります。外国にこれを依存しておるということの危険性というものを考えなければならぬ。いま外国から安いものを入れればいいんだ、輸入さえすればいいんだというような考えでありますと、どのような事情でその生産地というものが事情が変わるかもしらない。あるいはまた、国際的ないろいろなあれによって、日本に対する輸入の制限というものが行なわれぬとも限らない。極端に言うならば、全然ゼロになることもないとも限らない。  私は、国民の必需品というものは、どんな事態においても最小限のものは国内で生産をする、こういうところの基本線を持たなければ、国民に対する責任ある政府とは言えないんじゃないかと思うんです。外国がどういう事情になろうと、外国の輸入がどのようにあれしようとも、国民の甘味資源の供給を断たせない、不自由を忍んでも国内で維持できるというふうに考えなければならぬと思いますし、食糧問題の基本も、いま言われておりまする外国に食糧を依存しておる、国内の生産を増加させようというような基本方針であるはずであります。  としまするならば、もちろん沖繩の基幹産業として、沖繩の農民を生かすため、沖繩の経済を維持するために大事でございまするけれども、それ以上に、いまサトウキビができるのは奄美大島、沖繩であります。この供給地域というものは、日本の甘味資源を維持するためにはどうしても保護育成しておかなきゃならない。たとえコストが高くあろうと、国民に対しても不自由をかけさせないために、国際相場がどうなろうと、国際需給関係がどうなろうと、国内需要を維持する、こういう基本的な使命感と申しますか、責任というものを沖繩の農民にも負ってもらい、政府もまたそういう気持ちで保護育成していく、こういう基本線に立たなきゃならぬじゃないか。  そうするならば、価格というものも、農民が再生産のできる、生産意欲を維持できるような価格に決定しなきやならぬ。これが所得補償方式であろうと、計算する方式がどうであろうと、少なくとも基本的に農民が再生産への意欲を十分持ち、国内の生産を確保し得るような、そういう線を政府は考えて、買い上げ値段についても考うべきじゃないか。この基本線だけを、私は農林当局から確約を得たいんです。そういう基本線に立って価格の決定に当たってもらいたい。ただ数字計算上こうなるからといったような算術計算や、机上のあれでなくして、政策的立場において価格の決定について考えられなければならぬじゃないか、そう思うのですが、これに対するお考えをお聞きしたいと思います。
  148. 永井和夫

    ○永井説明員 四十九年産のサトウキビの決定の時期は、十一月の三十日でございますし、具体的な本年の算定の方針、また価格をどうするかということにつきましては、その時期に至りましてまた各種資料を取りそろえて検討いたしますが、気持ちといたしましては、先生の御質問の趣旨のようなことを念頭に置き、沖繩のキビ作の振興に努力してまいりたいというふうに考えております。
  149. 安里積千代

    ○安里委員 これは政府に対する要求の立場で申し上げますが、これは沖繩における農民自体も考えなければならぬ問題がもちろんあります。反当たり収量の増加ということが当然望まれてまいります。収量が多くなればもちろん単価というもの、生産費というものは下がるのですから、この努力はしていかなければならぬと思っております。とともに、そのような収量を増加せしめるためには、やはり基本的な基盤整備、あらゆる指導というものが、これは農民自身でできるものでなくして、政府の施策として行なわれなければならない、こう思うわけであります。それが両々相まって甘味資源が確保できるように、政策的立場から配慮願いたい。  時間が参りました。あと、沖繩返還協定に関しまして、放棄した対米請求権に対します政府のお考え、それから返還と同時にアメリカに提供する地域から除外されたといわれております一部の土地、その地上にまだアメリカの時代になされた施設が残っておることによって、アメリカには提供していないけれども事実上地主の手に戻らない、戻るためには多くの原状回復というものがなされなければならない、こういった問題につきましてお聞きしたがったわけでございますが、時間がございませんので、私はこれは次の機会にあれしたいと思います。  ただ、一つだけ、基本線だけ外務省の方にお願いしたい。沖繩返還協定第四条第一項によって放棄したところの請求権につきましては、その協定の趣旨は、沖繩の請求権者に対しては政府において補償あるいはその他何らかの配慮をするという含みのもとに返還協定の第四条第一項はなされたものだというふうに私どもは理解をいたしております。  そこで、あらためて確言をいただきたいのは、対米請求権の放棄に伴う請求権者に対する補償日本政府において考えるという立場において配慮されておられるかどうか、この基本線だけをお聞きして終わりたいと思います。
  150. 山崎敏夫

    ○山崎説明員 沖繩返還協定の第四条第一項においては、一般的に日本政府は請求権の放棄をしたわけでありますが、第二項におきまして、沖繩の米国による施政の期間中に適用されました米国の法令またはこれらの諸島の現地法令により特に認められる日本国の請求権の放棄は含まないということになっておりまして、この問題がいまお尋ねの問題であろうと思います。この問題をどういうふうに処理いたしますかという問題につきましては、関係官庁間でいろいろと話し合いが行なわれると思っておりますが、正当な事由あるものについては当然適切な補償が行なわれるものと存じます。細部につきましては、私のほうの所管ではございませんので申し上げかねますが、外務省としてはそういう考えでおります。
  151. 安里積千代

    ○安里委員 施設庁にお聞きしたい。
  152. 奥野貞広

    ○奥野説明員 ただいま御質問の趣旨は、沖繩返還協定四条一項に基づき放棄した請求事項について、沖繩県民の方が受けられました損害についてどのように考えるかという御趣旨だと思いますが、これにつきましては、当庁といたしましては、沖繩のいわゆる対米請求権問題につきましては、関係省庁の協議によりまして、当面、沖繩開発庁の協力のもとに防衛施設庁が調査を行なうことになっております。四十八年度以降、実態の把握につとめてきたところでございますが、四十九年七月下旬、沖繩返還協定放棄請求権等補償推進協議会から四万八千六百八十一件の補償要請が提出されております。また、沖繩県漁連からの要請も含めて、諸要請が提出されております。  今後、これらにつきましては、政府の立場としてさらに施設庁として調査を進めるわけでございますが、今後の処理に伴う事項につきましては、関係省庁と協議してまいるということに考えております。
  153. 安里積千代

    ○安里委員 調査を進めておるということは、もちろん補償すべき立場であるという前提のもとの調査だと思います。ただ問題は、返還してから二カ年になるのです。相当の日にちがたっております。県におきましては、その期待のもとに調査について皆さんの手元に要求書も要請書も出しておるはずであります。  そこで、最後にお聞きしたいのは、調査施設庁だとおっしゃいますが、新しい年度に対しまして、この補償調査に対して相当の費用を要すると思いますけれども、必要な予算要求をなさっておられますか、どうですか。最後にその点だけを承ります。
  154. 奥野貞広

    ○奥野説明員 すでに四十九年度において調査費を要求しておりますが、五十年度においても引き続き調査費を要求中でございます。
  155. 安里積千代

    ○安里委員 終わります。
  156. 國場幸昌

    國場委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後六時十八分散会