○神門
委員 これはもうたいへんな前進だと思います。そういう方向で国鉄再建問題を検討されない限り、今日このような新幹線の安全
対策一つをも借金に追われてできないということで、これは国鉄を責めることだけでは解決できない問題でありますから、根本はそこにありますから、ぜひとも積極的に進めてもらいたいと思います。
それから、十月十五日に出されました新幹線の安全
対策について、これは非常に積極的な提起であるというふうに評価はされておりますが、実はその
内容について、目新しい提案ではないのではないか、こういうふうに私思うのです。それはどういうことかと申しますと、さっき申しましたように車両の交換あるいはレール、架線の交換ということが三つの桂になっております。ところが、車両の交換
一つを見ましても、いま、三十九年のあの新幹線開通当時までにつくりました一次車、二次車といわれるものが三百六十両ある。これが五十三年度末に完了いたしますと、実は四年五カ月も先になるわけであります。問題は、その車両の一番しまいがどうなるかということであります。国鉄当局のほうでいっておいでになりますように、この三百六十両はいままで五百万キロ走っておるわけですね。四年半先になりますと七百万キロ以上になるわけです。在来線の場合は十四、五年は使いますけれ
ども、キロ数で言うと四百万キロですね。そうすると、この七百万キロ以上新幹線の車を使うということ自体、実は危険な状態ではないか。それから、この車両をいまから取りかえましょうという、その出発が五十一年度からであります。そうすると一年五カ月あります。一年五カ月たちますと、これは六百万キロ近くなるのであります。いかにこの部分的な部品の交換あるいは危険個所の取りかえ等、やりくりをいたしましても、あの風圧なり速度なり、多様な、今日まで在来線で考えられないような大きな圧力というものがかかり、無理がきておるわけであります。その限界というものが、これはこの新幹線の安全確保
報告で、もしこうして集中して出されなくても、それはもう限界ではないか。それ以上延ばすことは、私はできないと思う。だから
むしろこれは繰り上げて、古いものから取りかえていく、こういうふうなことが必要ではないかというふうに思うのです。また、レールの問題にしても同じことがいえるわけでありますが、これも四十七年度丁から十カ年計画で今日すでに実施中であります。ところが実施中のレールの交換計画が実はいま七年、八年、二年半以上たってみても計画の半分しかレールの交換がなされていないわけですね。計画どおりにいけてない。いろいろ副
総裁がおっしゃるように六時間も保守作業時間がとってあるのだから、こういうことをおっしゃっているけれ
ども、実はその
内容、きょうは触れるわけにいきませんけれ
ども、それらの時間がなくて計画の半分にも達していないのであります。あるいはテルミットの溶接部分も、この劣化が激しくて、全体のレール故障の九〇%の、そのさらにテルミット部分は八〇%だ、こういうふうにこの
報告書にも書いておいでになりますけれ
ども、それらにいたしましても、もうこのレール交換そのものは、四十七年度から五十六年まで、それ以上延ばすことはもうできないものなのです。今日やっておいでになることを
報告書の中にやはり出しておいでになる。あるいは重架線化の問題にいたしましても、今日多発する電気
関係の
事故であります。これは線路が非常に劣化する、それで車両が老朽化する、それらの振動がそのままもろに架線に衝撃ハンマーとなってあらわれますから、今日の架線ではそれに耐久することができないわけですね。だからいま急いで何とか交換をおやりになっておるけれ
ども、これまた計画がなかなか遂行できない。いわゆる五十二年までに風の強いところとか駅構内をやろうというふうにおっしゃっておりますけれ
ども、それらの計画が計画どおりに進んでいないわけなのです。ここが実は問題なわけです。ちなみに、列車の本数の増加を見てみますと、昭和三十九年の開通時期には六十本であったのが、四十四年には八十五本、四十六年には二百十四本、四十七年には二百二十八本というふうに、もう四倍近くも列車の回数がふえております。それらが車両にも線路にもあるいはレールにも、そのまま大きな消耗としてその劣化を進めておる状態であります。でありますから、このようなことは実は真の国鉄の安全確保の
対策にならない。これは今後運転休止をしてでもやろうという中にぜひとも取り上げていただきたいと思うのでありますが、問題は営利主義に追われて銭がない、そしてもう
一つは人がないのであります。
報告書にも書いてありますように、その
報告書の全体の論調あるいはその
報告書の体系が、新しい機器を開発しましょう、改良しましょう、設備の取りかえをいたしましょう、保守基地をふやしましょう、あるいは整備いたしましょう、職員の技術は向上いたしましょう、外注技術力の——下請ですね、下請の技術力の向上をはかりましょうというふうに、いわゆる量的、質的の設備なり技術の問題は書いてありましても、それらの機械を使う人間のことを
一つも
報告書というのが書いてないのであります。
最近十七日ごろから新聞論調が一斉に、機械は人間が使うものである、そして営利主義に追われて効率主義第一の人減らしのための機械化が今日新幹線のこのような
事故の多発する原因になっておるのではないか、あるいは国鉄
事故の多様で多発する今日の全線的傾向になっているのではないか、人的配置をぎりぎりのところにせずに、もう少し余裕をもってしたらどうかという、この論調に私は賛成をするものでありますが、それらにこたえることこそ新幹線の安全を確保する最大の問題だと思う。いわゆる車両にしても、レールにしても、架線にしても、この三本柱自体は何ら新しい新味の提案ではないのではないか、このように考えますし、先ほど申します最も大事な
予算的問題は、
大臣がこれに必要な一千百億程度のものは政府で確保しよう、この点を検討中だとさっき御言明になりました。それとあわせて、人的な問題についても、このぎりぎりの状態ではどうにもならない、それを何とかすべきではないか、こういうふうに考えますが、この点いかがお考えでございますか。