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神沢浄君 過日の応酬の中でも、
大臣自体もおっしゃられておるのですけれども、国有財産の処理についてはこれはみだりに処分をすべからず、むしろ国有財産をふやしたいくらいの気持ちでもって行政に臨んでおると――これは私は
会議録から書き上げてきてあるわけなんですが、ごもっともだと思うのです。それで、特例中の特例ということばがそれに続いて出ているわけなんですが、環境庁の長官にお伺いをいたしますと、それこそ富士箱根伊豆国立公園のどまん中で、
日本の自然景勝を代表するような富士のふもと、これは
国民のための保健休養の場所等にすることがもちろん望ましいというような意味を言われておるわけなんです。文部
大臣は、
国民の中には教育環境というふうな点から、いまの大都市などにごみごみと集中さしておくよりも、むしろ富士岳麓等は絶好の場所ではないかということについては、やっぱり
同感の意を表せられてはいるわけです。私は、国家的な見地から
考えてみましても、確かに、いま最も
わが国にとって大切な環境の
政策、あるいは文教の
政策的見地、これらから見ても、あそこの目抜きの重要な国有財産をみすみす一団体に売り払ってしまうというようなことは、これはまあいかに特例中の特例か知りませんが、それこそ
大臣のおっしゃるように、みだりになしてはならないことだというふうに
考えているわけでありますが、
大臣は、この問題が起こりました際、閣議の――昨年の三月三十日ですから、
大臣はそこにおいでになってどういうふうな
説明を受けられたか存じませんけれども、大体内部的な取りきめというようなものがされましたのは、一昨年の八月ごろの
時点ですから、このときには
大蔵大臣は閣内にいらっしやらなかった。ですから、その当時の事情というようなものは、私は
大蔵大臣はよく御存じないのだろうというふうに私なりに
考えているわけであります。
この八月
時点の状況というのはどういうことだったかというと、例の民法六百四条を
政府もお認めになって、したがって法律上では演習場にかかわるところの県有地は山梨県に戻ったわけなんです。その県有地を再使用しなければならないという立場は、これは国側におありになっただろうと思います、私どもの
考えは別ですけれども。そこで、その
目的のための交渉を急ぐのあまり、何か巷間言うところによると、九月上旬に田中総理がアメリカへ行かれてニクソン大統領と会われるような予定も目の前にありましたし、そういうふうな
時点であるだけに、かなり慎重さを欠いた県との折衝というものが進行してしまったという、こういう事実があるようであります。
ちなみに申し上げますが、この国有地払い下げの問題もあとから各論的にお尋ねをしたいと思うのですけれども、これもさることながら、たとえば基地周辺整備事業などの約定につきましても、従来大体あの付近は、年間二億五千万くらいの
予算規模の事業というものが行なわれていたところであります。しかし、それに対しても、五年間に百三十億を消化をしようというようなこういう取りきめは、これはもう三月三十日の閣議の了解の事項の中に付記をされておりますから御存じだろうと思いますけれども、あわせて、いまやはり先国会から継続になっております富士保全整備法の問題だとか、こういうようなものが、もうすべてこの県有地再使用とあわせて、自衛隊への使用転換という国側の
目的のために、県の言い分といいますか、地元の思いつくままの主張というようなものが持ち出されてきたものを、ほとんど、うのみにのみ込んだような経過というのが私は実態だろうと、こう思うわけであります。ですから、そういう事態の中から問題がいろいろと派生をしてきていると思うのでありまして、当初から非常に無理があった、こういうことではないかと、こう思うわけであります。
そこで、演習場の除外部分になりました二百十ヘクタールの払い下げにいたしましてもそうでありますけれども、この起因するものは、これはもう二十八日の質問の中でもちょっと申し上げておいたところでありますが、この払い下げの元になっておりますのは、四十五年に防衛施設庁と恩賜林組合との間に覚え書きが取りかわされておりまして、その覚え書きの内容というのは、ごく端的に言いますと、
一つの取引的な密約なんですね。当時、恩賜林組合は自衛隊の演習場使用の違法性をついて裁判をしていたわけなんですが、これがどうも
政府側に不利だという情勢があったわけです。同時に、恩賜林組合は、自衛隊の使用転換には反対の姿勢をその当時は示していたわけです。ですから、これをまあ何とか押え込もうということでもって、施設庁との間にいろいろな折衝が行なわれて、その結果、覚え書きの中に――ここに持参もしてありますが、文書を読むまでもありません、これははっきり書いてあります。裁判を取り下げて自衛隊への使用転換に賛成をしてくれるならば、恩賜林組合の希望する百五十ヘクタール以上というような表現になっておりますが、現在の百三十八号線沿道のその地帯を――いわゆる梨ヶ原、檜丸尾、土丸尾というような地帯でありますが、この地帯を払い下げをするために防衛施設庁としては積極的な協力をするという、これは甲対乙の、これはどう読んだっても取引であります。この取引のその条件が、申し上げました八月
段階でもって持ち出されて、そして
一つの条件として
政府側がのみ込んで、したがって、のみ込んだ以上は実行をしなければならぬもんですから、四十八年三月三十日の閣議了解の中の一事項に発展をしているわけであります。それを裏書きをするように、同じ三月三十日に恩賜林組合議会は何をきめておるかといいますと、裁判の取り下げをきめているわけであります。
こういう経過、事実の上に明らかなように、これはあくまでも
政府側には
政府側の言い方というものもあろうかと思いますが、要は、自衛隊への使用転換、それから県有地の演習場としての再使用という
目的のために――
大臣もこれまでの質問の中では、審議会にもはかるし、これは国有財産の処分というものは非常に重大なことだから、そういう所定の手続というものを踏まなければならぬということをお答えいただいているわけでありますが、それもこれもない、とにかく自衛隊への使用転換、県有地の再使用というところへだけ照準を置いて、その他のことはほとんどもう配慮もなしに
政府側がのみ込んだ結果がいまあらわれ、だから、いろいろとつじつまの合わないようなことが生じてきておる。こういうような事情経過というものが、
大臣の言われるところの特例中の特例として取り上げなきゃならぬというような点に、いま私には非常に理解がつかないところがあるのでありまして、私は特にこういう点を
大臣に申し上げておりますのは、おそらく、一昨年の八月
時点における
政府対県との折衝
段階でのつまびらかな事情というのは
大臣は御存じでなくて、三月三十日の閣議でもっておきめになる当時、一応の取りまとめたような御報告をお聞きになって、そういうような御認識の上に立っておられるのじゃないかと、こう思うわけであります。したがって、私がこれからややこまかい点にも触れてお尋ねをしてまいりたいと、こう思うのでありますが、そういう
質疑の応酬等をぜひ
大臣もお聞きをいただいて、まだ大蔵省の
段階に入っておるというのでもないようでありますから、今後の処理等については、これはほんとうにひとつ慎重に対応していただきたい。ことに、
大臣が現内閣のだれが見ましても最大の実力者であるというようなことも私は
考えまして、重大なことだけに、ぜひひとつ慎重に対応をお願いをいたしたい、こういうことを申し上げて、少し前置きが長くなりましたけれども、質問を進めさしていただきたいと思います。
これは恩賜林組合に払い下げるという
方針でおられるようですが、これは正式にはいつごろそういうことがきまっておるわけでしょうか。というのは、昨年のやっぱり
予算委員会の同じ
分科会で、その点にちょっと触れましたらば、まだ正式にきめているわけではないと、こういうお答えがなされているわけなんです。
会議録にもそう出ております。したがって、つい先ごろの一般質問の際には恩賜林組合という名前がはっきり出ておりますから、いつ御決定になっておるのか、その点から入りたいと思います。