○
政府委員(御巫
清尚君) お答え申し上げます。
まず、田中総理大臣の東南アジア御訪問に対しましては、五カ国回られたわけでございますが、そのうちで、タイにつきましては、従来から日本が約束しております円借款がございまして、その円借款の中で、全体が金額が六百四十億円でございますが、そのうち四百六十億円がプロジェクト関係の援助となっておりまして、そのうちで、もうすでに実行済みのものもございますんですが、その残っておりますもの、大体において半額を条件の緩和をいたしたいということになりまして、従来の、これは経済
協力基金からと輸出入銀行からと、両方から供与されておりましたんですが、経済
協力基金分の百七十億円につきまして、三・二五%という年利率を二・七五%に、輸出入銀行の分で六十億円を五%から四%に直すというふうに御約束をなさいまして、これらにつきましては、目下交換公文等の手続をしておるところでございます。
それからマレーシアにおきましては、マレーシアに対しましても、第二次マレーシア五カ年
計画と申しますものに対しまして、すでに三百六十億円の円借款を供与してあったわけでございますが、それだけではプロジェクトに対する援助が不足するということから、先方、ラザク首相の強い要請に基づきまして、当初はこういうことは予定しておらなかったのでございますが、新たにそれに追加して、三百六十億円を供与しようという御約束をなさいまして、これにつきましても、近く、来週ぐらいかと思いますが、マレーシア側から代表団がきて、こまかい打ち合わせをするという手配になっております。
それからインドネシアにおきましては、従来からインドネシア援助
協議グループというものがございまして、これに対しましては、日本は、インドネシアの援助を必要とする総額の中から、世界銀行であるとか、アジア開発銀行であるとかいう多数国機関が行ないます分、それから食糧援助の分、これらを引き算いたしましたものの金額の三分の一を従来から受け持ってくるというような形になっておりまして、今年度十二月に、このインドネシア援助
協議会議というのがございましたんで、その席上でインドネシアが提示いたしました八億五千万ドルという援助必要額のうちから、いま申しました二項目を引きますと、大体六億ドルになりますので、その三分の一である二億ドルを援助するということを、これは新たな約束という
意味ではございませんで、確認されたわけでございます。
それからさらに、そのほかに、インドネシアにおきましては、天然ガスの産出が最近におきましてはっきりしてまいりましたので、この天然ガスの液化工場をつくるために、
政府借款を要請されておりましたんですが、これにつきまして、五百六十億円の借款を供与するということを御約束されました。この天然ガスプロジェクトに関します五百六十億円の供与につきましては、これはスマトラとカリマンタンと両方にわたるものでございますが、すでに交換公文を締結の手続を終えております。
以上が、田中総理大臣の回られました場所におきます御約束分と現状でございます。
その次に、
三木時使が回られました分につきましては、エジプトにおきまして、スエズ運河が近く再開されるであろうという見通しのもとに、このスエズ運河は、単に現在の状況で沈船等の引き揚げを終わって、清掃を終わって再開しただけでは、そこを通過する船のトン数等がきわめて
制約されたものになるので、これをエジプトにおきましては、深さを深くし、副を広げるという
計画を持っておりましたが、そのうちの南側については、日本に
協力を要請してまいっております。で、とりあえず
三木特使は、そのうちの第一期分といたしまして三百八十億円という金額の借款を供与することを御約束されました。その条件としましては、この運河の国際的な海運の上に占めます重要性にかんがみまして、年金利を二%というような緩和された条件で供与する約束をなさいました。
そのほかに、商品援助等の
お話し合いがありましたんですが、御訪問中には最終的に合意ができませんで、その後、さらにエジプトからハテムさんという副総理が日本にお目えになりました際に、
三木副総理とお会いになって、大体三百億円の商品援助並びにプロジェクト援助、合計して三百億円を供与するようなことを
お話し合いになりました。その点につきましては、なお今後詳細の詰めを行なって、交換公文等の正式の約束による考えで、目下
準備を進めておるところでございます。
サウジアラビアにも行かれましたが、この国は、技術
協力を相当希望しておりまして、従来から技術
協力協定といったようなものを結びたいという希望がございましたが、まだ先方から双方の出しました案についての返事もございませんし、そのときも返事がございませんでしたが、今後かなりの技術
協力を進めましょうというような
お話し合いがございました。
それからシリアに関しましては、
三木特使が御出発前に、シリアの副総理兼外務大臣が見えまして、製油所の建設というようなことを申されておりましたんですが、副総理の行かれましたときにも、必ずしも最終的な話し合いにはなりませんでしたが、その後、また話し合いが進みまして、結局二百七十億円にのぼるこれは
政府借款と
民間信用とを混合して供与する、その平均した金利が五・二五%になるようにするということが、約束が大体でき上がっておるのが現状でございまして、なおそのプロジェクトがどういうふうなかっこうになるのか、日本の供与した金額だけで、はたして全部のプロジェクトが完成に至るのかというような点の
検討を現在進めておりまして、その点が確認されました後に、正式の約束にまでもっていきたいと考えております。
イラク、イランにも
三木特使はおいでになりましたが、
三木特使のイラクにおいでになりましたときには、経済技術
協力協定というようなものをつくりたいという先方の
お話がございまして、それは今後話し合おうというようなことでお戻りになりました。イランでは、特に目新しいことはございませんでした。
カタールにも寄られましたが、カタールでは、先方から日本の経済の視察団をよこしたというような話がございまして、これについては歓迎するということを申されてお帰りになったわけでございます。
次に、中曽根通産大臣が、その後にまたイランとイラクとを御訪問になりました。
イランにつきましては、その前から先方の要請がまいっておりまして、輸出用の製油所をつくる、そのために、先ほどシリアで申し上げましたような、
政府借款と
民間信用とを混用したような形の援助をしてほしいという
お話があったわけでございますが、中曽根通産大臣がイランに行かれますと、この輸出用の製油所だけではなくて、さらに石油化学関係のプロジェクトも援助をしてほしいという
お話し合いがございまして、金額があまりにも膨大になりますので、今後さらに話し合いをしようということで、お帰りになったわけでございます。
イラクにつきましては、やはり先方が石油を供与するので、それに対しまして各種のプロジェクト、たとえばLPGのプロジェクトとか、そういったものを
民間、
政府合計して十億ドルを、円借款と
民間資本との混合したものを供与してほしいという話し合いがございまして、これにつきまして、やはり先ほどのと同様に、その全体の平均した金利五・二五%で供与するということで
お話し合いができましたが、それにつきましても、先方のプロジェクト等につきまして、なお詳細な調査を現在続行中でございますので、それらができまして以後、正式のお約束になるかと存じます。
最後に、小坂特使が回られました国につきましては、アルジェリアは、従来から日本に対しまして、各種の種類のプロジェクトについて、経済
協力の要請を行なってきておりましたが、小坂特使の御訪問に際しまして、主として電気通信関係のプロジェクトに関連して、百二十億円の円借款を供与するということを約束されまして、
〔
主査退席、副
主査着席〕
その後、これにつきましても、詳細な点を目下詰めておる段階でございます。
そのほか、小坂特使、いろんな国を回られたわけでございますが、円借款の
お話し合いがありましたのは、そのほかにモロッコとヨルダンとそれからスーダンで、それぞれ金額は三十億円ずつでございます。
で、どういうプロジェクトについて、この三十億円をそれぞれ
使用するかについては、今後の話し合いに待つということになっておりまして、現在、各国それぞれの相手方
政府と話し合いを続行しておると、こういうのが現状でございます。