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参考人(
久米三四郎君) それで、一
ミリレムの
被曝があったと盛んに原子
力局長は言っておられますが、これは間違いでありまして、その点を、これは、この間からの新聞なんかを書いておられる記者の皆さんもおそらく理解をしておられないのでそのままうのみに書いておられるので、そうではないのです。はたして
岩佐氏の
ひざに何
ミリレム当たったかということは全然いまのところ証拠がないわけです。あるのは何か。こういうポケット
線量計というものは、皆さん御存じだと思いますが、きょう持ってくりやよかったんですが、忘れてきたんですが、万年筆のようなものがございます。これはもう
原発へ行かれたらございますが、それを首から彼はぶら下げさせられたんです。ここの、ここで受けた
線量、しかも、先ほどから問題になっておりますこれはガンマ線です。ガンマ線で一
ミリレムここで感じたと
——一ミリレントゲン、正確に言いますと、一時間一ミリレントゲンという数がここに
記録しておったという、それだけでありまして、それをあたかも一
ミリレムの
被曝を受けたのにあんな
皮膚炎が起こるはずがないと
——ここか問題のすりかえなんです。この点は、議会の議員の皆さんもぜひ勉強をしていただきたい。で、あった事実は、ここの、このぶら下げておった、このたよりない
——これは、われわれは非常に信頼がおけないということでもう私たちの
研究室ではこれを使っておりません。そういうもので出た、そのあやしげな
線量が一ミリレントゲンであったというそれだけです。
それで敦賀のやつをいろいろ調べてみますと、使っておる
線量計が二つございまして、一つはこの万年筆、それからもう一つは、ここに持ってまいりました、これ、皆さん御存じのGM管というやつですね、ガイガーカウンター。こういうふうに鳴ります。それでこの部屋にも自然放射能がありますから、これ、鳴っているのがそうです。それでそいつがベータ線には全然だめだということを、もう実験で示します。ここへ持ってまいりましたのは、これ決しておそろしいことでございませんから、十分、
科学技術庁長官も認められた法律以下の量でございまして、持ち歩いてもいい量でございますが、これは何かと言いますと、セシウムです。これはやはり敦賀
原電の
原発の中でできる死の灰の中の代表的なものです。これにはベータ線とガンマ線、両方出てまいります。これは遺伝に非常に影響を与える、われわれの睾丸とか、そういうところへ入り込んで非常にこれは影響を与えるもんでございますが、このセシウムからはベータ線とガンマ線が出ているんですね。それでこの薄い、
皮膚ぐらいの厚みのものの、こっち側に乗ってあります。それでこっち側からやりますと一これ、鳴っていますね。これは何が鳴っているかというと、これがベータ線の音です。それでその敦賀
原電などで調べられたというのには、
線量計というのは、その前にこういうキャップがかぶせてあって、こうやってはかるんです。そうすると、全然鳴らぬでしょう。これなんです。こういうものではかっているわけですよ。それで、一ミリレントゲンとかなんとか言っているのであって、私たちは、そうではないと
——それは事実として認めようと
——その事実自身も、あとでまた時間があったらお話ししますが、非常に疑わしいんです。疑わしいですが、百歩譲ってそれを認めたとしても、
岩佐氏の足に、そういうベータ線の汚染ですね、あのちょうど十センチぐらいになりました、ああいう形で、ここに局部的にその死の灰の成分がそこに落っておったのではないかと。
その
岩佐氏の
作業は
——これは詳しくは申しませんが、その四十センチのパイプにもたれかかって、足でくっと力を入れて、それでハンド
——手で持つ旋盤で穴をあけるというそういう
作業なんです。それを三時間にわたって彼がやっていた。その労働のときに、ここの、この足を、そのパイプにつけているわけです。もしも、そのパイプにそういう汚染があったら、その三時間の間、ずうっとここで、この音がしているベータ線にさらされているわけです。詳しいことはやめますけれ
ども……。
ここで、原子
力局長さんがおっしゃられるように、一時間一ミリレントゲンあったとしましょう、ガンマー線で。それでよろしい。そうしたら、そのときに、ここに死の灰がついておって、どれぐらいになるかということ
——これは熊取先生なんか計算されているはずなんです。こんなにりっぱな方が
政府におられるのに、いまごろ私
どもがどうしてこんなことを言わなならぬのか、もうほんとうに情けない話ですが、ここに、
ひざで一時間で数千レントゲンになるという
——数千
レムです、正確に言うと
——まあレントゲン、とちらでもいい。いいですが、そのベータ線によって数千レントゲンの
被曝——これこそまさに
被曝です。そういうものを
皮膚は十分受けよる。その数千レントゲン、あれぐらい、まっ黒になるぐらいのものがここにあっても、ここで、そういうポケット
線量計というようなもので見ておったならば、それはわずか一ミリレントゲンしか出ないという
——こんなことは放射能のイロハです。こんなことは、もう
政府委員がりっぱなのがおられるのに、どうして私は国民にそういうことを正直に言われないのか。で、あたかも一ミリレントゲンであって
——それはそうてす
——もしも
被曝が一ミリレントゲンだったら出ないというようなことはだれだってわかっているんで、
田代先生だって、そんなことはとうにおわかりなんです。だけど、そういうものでモニターをしておったら、
皮膚の障害なんかを見落とすから気をつけろと、それがさっき
田代先生の言われたその本なんです。これも
放射線の防護の常識であります。熊取先生なんかも特にそういうことは御存じなのに、あえて何か証拠をあれしない。それはそうです。はっきり証拠が出ないとそれは
放射線障害かどうかわかりません。しかし、そういう
可能性があるという認識のもとに真相
調査とやらをやられるか、あるいはそんなことは常識で
考えられないというそういう非科学的な態度で真相究明に乗られるかによって、まるっきり話が変わってくるんです。この本はぜひ
——この
委員会は科学の
専門委員会だそうでございますので、
政府の
考えておられることは、どこかインチキであって、どこをごまかす
——ことばが悪いかもしれませんが、私にはそう思える。で、私だったら、普通の科学者だったら、そういうベータ
放射線の
被曝は十分あり得るから、そうしたらあと問題は、そういう局部的な汚染が当時あったか、なかったか。これは三年前のことですから、私はたいへんだと思いますが、それを徹底的に調べるということこそ、行政なり、あるいはそれをあれされる立法府の責任であろうと思います。それを
調査の前から、そんなことはあり得ないので、まるで、寝言みたようなことを言うなと言わんばかりに
長官ないしは原子
力局長がおっしゃったら、これははたしてどういう
調査ができるか、私は非常に寒心にたえないんです。
それで、まだ時間がございましたら、そういう
可能性があったかどうかということについて申し上げさしていただきたいと……。