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参考人(
篠原武司君) ただいまの点につきましてお答え申し上げます。
上越
新幹線は非常にトンネルの多いところでございまして、大宮から新潟まで二百七十キロぐらいでございますが、そのうちの大部分、百五・五キロぐらいは全部トンネルでございます。まあそういうようなことでトンネルに対する問題というものは非常に重大でございまして、
〔
主査退席、副
主査着席〕
その中には大清水トンネルは世界一のトンネルになるというような性格のものでございまして、その手前にあります中山トンネル、いま
お話に出ております榛名トンネル、いずれも大きな大トンネルでございまして、これによっていろいろ渇水問題なんかできてはいけないということで、当初からいろいろ心配して調査をさしてきたわけでございますが、この渇水が起きますとその原因者である公団がそれに対して補償しなきゃならぬというのは当然でございますので、早くから市町村、県にもそうでございますが、工事着手前から
お話し合いしておりまして、水源の現状だとか、あるいはそのほか、常時水の状態を観測しておかなければなりませんので、そういう点の打ち合わせとか、まあいろいろやりまして、地元の方々にできるだけ御迷惑のかからぬように心がけてまいってきているわけでございます。トンネル工事と渇水との因果
関係のはっきりしております水源、まあトンネルの特に近くにあります水源につきましては、事前に予防措置を講ずるようにしてきておったんでございますが、これもなかなか水の問題はむずかしいんでございます。一般にはトンネル工事によりましてどこが渇水するかなかなか予測が非常にむずかしいというようなこともございますので、現実に渇水を起こしていろいろ地元の方に御迷惑をおかけしているケースも起きております。このような場合、トンネルの湧水を浄化いたしまして直接給水したり、あるいは貯水池に送水いたしまして、それでなければ新しく井戸を掘ったり、いろいろな措置を講じまして、御迷惑を極力少なくするように誠心誠意努力してまいったわけでございます。
恒久的な対策といたしましては、今後の問題が非常にたくさん起こってくるわけでございますが、地元の市町村と十分協議いたしまして、そういう対策の手を打っていきたいというふうに
考えております。
実際問題といたしまして、榛名トンネルの全体の湧水は二十五トンぐらいございまして、中山トンネルは、これは実際渇水とかなんとかという問題じゃなく、トンネル全体の現場から出てまいります水でございますが、四十トンにも及ぶというように非常に湧水が多いんでございます。それから、先ほ
ども先生から
お話のありましたように、榛名トンネルの通過する地帯は大体非常に水の便が悪くて、常時水に困っておられるような地域でございますので、特にこういう問題が深刻に出てきているように思います。なお地元の方々の連絡はもちろんでございますが、われわれといたしましても、また知事さんが常時東京においでになりますと、お寄りいただいて、いろいろ連絡とっておりますが、一週間ばかり前にも知事さんが直接お見えになりまして、この問題について
お話があったわけでございます。われわれとしても真剣にこの問題を解決していきたいというふうに
考えております。
それから第二点、榛東村に対する誓約書の問題でございますが、これは公団の東京
新幹線建設局とそれから地元の方との間に結んだ誓約書でございますが、これにつきましても誠心誠意おこたえしていきたいというふうにわれわれは
考えておりますし、数日前にも東京
新幹線建設局へ私と、隣におります担当の理事と
一緒に行きまして、よく打ち合わせてまいったんでありますが、なかなかこういう問題はむずかしい問題もございますので、しかし、これを誠心誠意やらなければならないということで検討を進めて、少しも早くこういう対策が打てるようにわれわれとしても
考えていきたいと思っております。
それからかんがい用水の問題でございますが、こういう問題も今後田植え時期を控えておりまして、いろいろむずかしい問題が出てまいりまして、これがこのトンネルの原因かどうかという問題もいろいろあると思いますが、さしあたりとにかく手を打たなきゃならぬという問題で、私
どもとしましても、地元とよくお打ち合わせしまして、できるだけの措置をとってまいりたい。それから、そういう問題の原因者負担とかなんとかいう問題はそのあとで
考えてもいいんじゃないかというように
考えているわけでございますが、しかし、このかんがい用水につきましては非常に大量の水も要しますし、また温度の問題とか、いろいろむずかしい問題もございますので、誠意をもってこういう問題も解決してまいりたいというふうに
考えております。
それから先ほ
どもお触れになりましたんですが、中山トンネル、月夜野トンネル、大清水と、さっきの榛名トンネルというように、群馬県の近くには大きなトンネルをたくさん控えておりまして、これの
影響といいますか、いま問題になっております大清水トンネルにつきまして、新潟県側において、湯沢のところで温水の水源がだいぶ減ってきているというような
お話もございますので、こういうような問題につきましてもいま調査しておりまして、いろいろ地元ともお打ち合わせし、できるだけの措置をとってまいりたいというふうに
考えております。中山トンネルにつきましては非常にたくさんの湧水がございますが、これはまだ縦坑を掘っている段階で、非常にむずかしい隊道工事がございまして、この縦坑の深井戸を掘りまして、それから水をどんどん揚げておるわけでございますが、この水が非常に多いということでございますが、これから本トンネルに入ってまいりますと、よけいそういう問題が深刻になってくるおそれもあります。幸いここではまだそう大きな渇水問題は出ておりませんけれ
ども、慎重にやりまして、トンネルの中をコンクリートで巻きまして、それから裏に水が通って、浸透してまいってたくさんの水が出てまいると困りますので、そういう点についての、裏へセメント注入を行なうとか、いろいろな対策をこれから真剣に
考えてまいりまして、少しでもこういう問題で御迷惑をかけないように、止水の方法を講じてまいりたいと、そういうふうに
考えるわけでございます。
それからもう
一つの問題としまして、市町村や県などと緊密な連絡がとりにくいという
お話もございました。これについては、現地の建設事務所がございまして、それが主体になって連絡をとっておりますんですが、どうももう少し責任の高い責任者が常時いないとまずいという
お話もございますので、これをどういうふうにするか。たとえば高崎地区にそういうような出先機関の小規模なものでもつくって常時連絡をとるとか、あるいは県庁の中に、何らかのそういう日をきめて出張してまいりまして、いろいろ地元とお打ち合わせをするとか、まあいろいろな方法が
考えられると思いますので、早急にその問題も詰めまして、地元にあまり御迷惑のかからぬようにわれわれも誠意をもってこういう問題も解決してまいりたいというふうに
考えるわけでございます。
それから最後に
お話のありました、工事に伴った補償の問題でございますが、補償につきましては最初に申し上げましたように、トンネル工事によって渇水を引き起こしたということならば、当然原因者である公団がその責任を負うというのがたてまえでございますので、あくまでもその点はそういう
考えで地元に対する補償を
考えていきたいというふうに思っております。ただ、その原因を探求するのに非常に時間がかかっては、また地元に非常に御迷惑かけるので、その点についても、今後早急にそういう問題が解決するように、われわれとしては努力してまいりたいというふうに
考えます。