運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-04-06 第72回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月六日(土曜日)    午前十時二分開会     —————————————    分科担当委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      須原 昭二君     宮之原貞光君      宮之原貞光君     鈴木  強君      塩出 啓典君     三木 忠雄君      木島 則夫君     中村 利次君     —————————————   出席者は左のとおり。     主 査         小野  明君     副主査         片山 正英君     分科担当委員                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 西村 尚治君                 鈴木  強君                 三木 忠雄君                 中村 利次君    国務大臣        建設大臣     亀岡 高夫君    政府委員        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        建設大臣官房会        計課長      森田 松仁君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        建設省都市局長  吉田 泰夫君        建設省道路局長  菊池 三男君        建設省住宅局長  沢田 光英君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 小野明

    主査小野明君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、須原昭二君、塩出啓典君及び木島則夫君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として宮之原貞光君、三木忠雄君及び中村利次君がそれぞれ選任されました。
  3. 小野明

    主査小野明君) 昭和四十九年度総予算中、建設省所管を議題といたします。  慣例では、まず政府から説明を求める順序でありますが、これを省略して、お手元に配付してあります資料をごらん願うこととし、その説明資料は本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小野明

    主査小野明君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  これより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 中村利次

    中村利次君 財形貯蓄あるいは持ち家対策等、たいへん勤労者にとってけっこうな対策なり制度というのができていると思うんですけれども、これは非常にけっこうですけれども、実は、これは中身からいきますと、たいへんどうもむなしいことでありまして、庶民、特に勤労者は、持ち家なんていうものは、まずはマイホームなんていうものは夢のまた夢みたいになってしまっているんですけれども、これはやはり地価あるいは建築費高騰というよりもむしろ暴騰に原因があると思います。したがって、現在土地問題については議員立法の動きすらありますけれども地価対策土地対策あるいは建築対策というものがたいへんにいま重大であると思いますけれども地価対策関係閣僚協議会が去年の一月以降全くこれは開かれていないと聞いていますけれども建設大臣は、この際、閣僚協議会開催を提唱して、庶民勤労者期待するようなそういう問題解決についての協議を行なわれる御意思がおありかどうか。それから去年の一月以来、一年余りこの協議会がこういう重大な時期に開かれていないという点についての理由ですね、そういう点をまずお伺いをしたい。
  6. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 中村委員の御質問のお気持ち、よく理解できるわけでございますが、四十八年の一月に地価対策閣僚協開催以来開かないでけしからぬじゃないか、また、開く意思はないかというようなお尋ねでございますが、実は四十八年の一月に閣僚協を開きまして、そのとき決定をいたしました問題につきましては、土地利用基本計画策定をやれ、土地取引届け出勧告制度を創設しよう、それから開発行為に対する規制措置強化しよう、それから特定地域における土地利用及び規制強化をやりましょう、それから土地融資抑制、また公的土地評価体系制度を充実しようと、この六つ閣僚協決定をいたしたわけでございます。この六つ決定のうち、土地利用規制利用基本計画策定土地取引届け出勧告制度の新設、開発行為に対する規制拡充強化特定地域における土地利用規制強化というこの四項目につきましては、御承知のように、国総法の改正案の中に実はこの閣僚協決定事項を盛り込んで法案をつくりまして国会に御審議をお願いするということで、現在、各党間で、衆議院のほうでいろいろ御検討いただいておるところでございます。それから五番目の土地融資抑制を強くしようということにつきましては、御承知のように、思い切った土地融資不動産融資については極端なる抑制をいたしまして今日に至っておるわけでございます。また地価公示制度につきましては、四十九年度の予算等にもごらんいただくとおわかりのように、その公示地点を全国的に思い切って数をふやすという措置をとっておるわけでございまして、閣僚協検討をすべき項目というものは、いまのところ、   〔主査退席、副主査着席〕 これらの問題を一応目安をつけて解決をした後にいろいろ起きてくる問題等についてのことをやればよろしいと、これらの一応昨年の一月にきめたことをとにかく実現をするということで、各省の閣僚協に基づく事務的な会合というものは何回か開いておるわけでございまして、そういう意味合いにおいて今日まで開いておりませんし、また、私としても、一応この土地に対するわが党の考え方、政府が考えまして国会に提案しております問題が国会によって方向づけられるという、しかる後に閣僚協を開いてさらにその上に積み重ねるべき国土調査の面あるいは土地問題等についてのことを検討していきたいと、こういう考えを持っておるわけであります。
  7. 中村利次

    中村利次君 これはなかなか議論もかみ合わないものがあると思いますが、私は、やはりなかなかどうも実効があがってないと思うんですね。たとえば五項めの融資、これは総理の国会答弁の中でも、下期以降かりに金融措置を見直さなければならないとしても、不動産に対する金融というのは、これは引き締めていくというような御意思のようでありますけれども、しかし、これは非常にむずかしいからみが出ておると思うんですがね。とにかく国民期待は、これほど暴騰をした地価が安定をしてほしい、はっきり言うと、下がってほしいという、そういう期待が非常に強いと思うんですがね。超金融緩和時代にだぶついた金で、借りた金で土地を買った法人等は、不動産業者じゃなくですね、いっぱいこれはあるわけですね。ところが、そういうのはやっぱり金融機関担保に入っているわけでしょう。なおかつ、いまやっぱり金融引き締めがだんだん徹底をしてまいりましたから、特に中小零細業者なんというのは倒産が相次いでおる、あるいは自由主義経済体制下では投げ売りも出ることも考えられる。こういうところはやっぱり担保物件に入っているということで値下がりブレーキがかかっておると、そういう面はございませんか。
  8. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) その点については、所管じゃございませんけれども、常識的に申し上げまして、担保にとる際には、その時価の何割かしか担保価値を認めないということで、担保にとってあるから地価の安定にそれが阻害要件をなしておるとは私は考えない、むしろもう少し金融を引き締めて、ここ二カ月、三カ月政府がとっておりますこの措置を続けることによって、いわゆる純粋なデベロッパー諸君が保有しておるんじゃなくて、ただ土地を買って、それを持っておって値上がりを見てもうけようとして不動産に投資した者に対しては、これはもうある程度の私は犠牲が出てもやむを得ないのではないかという感じを持つわけでございます。  ただ、私、一番心配しておりますのは、いま御指摘のように、現に住宅に困っている方がたくさんおられる。そういう方々に対して、いままで民間デベロッパー諸君によって、年間百十万から二十万くらいの家が建てられておったものが、それが大きくブレーキがかかって、公的住宅計画達成ができない、民間住宅建設度合いもダウンするというようなことになってきますと、これはもうほんとう住宅五カ年計画というものが達成できなくなるわけでありますから、やっぱり良質な安価な住宅提供ということを進めていくためには、公共関係住宅民間住宅も、いままで以上に建築されていくという立場を私としては考えていかなければならないと、こう思うわけでございます。  そこで、不動産融資規制する、これはもう当然でございますが、しかし、建設省として、その住宅地区開発というものについて、デベロッパーの持っておる土地に対する五カ年計画を出さしておるわけでありますが、その計画ほんとうにいろんな面から見て、検討をいたしまして、住宅局として、もう家賃がどのぐらいになるかまでそのデベロッパー諸君に責任を持たせて、そういうところまできちっと見た上のものについては、やっぱりある時期がくれば、総需要抑制の成果があがって物価の安定というめどがついた暁には、やはりケースバイケースで大蔵のほうに対してやっぱり投資を要請してもいいんじゃないかという感じを持っておるわけであります。
  9. 中村利次

    中村利次君 これは大臣の御答弁を聞く限り、私もそう思うんです。ところが、なかなかその実態がそうでないというところにこれは問題があると思うんですがね。担保に入っていても、これはやっぱり一定の率でとっているんだから値下がりに対するブレーキにはならないとおっしゃいますけれどもね、しかし、いまは過渡的現象かもしれませんよ、しかしとにかくばか高値になった、高値というものはそのまま据え置きなんですよね、そして売買は行なわれないんです、これは。金融引き締めのせいもあるでしょうけれども、たとえば建て売りが売れ残るとか、マンション——公庫、いろいろ保証はあるようですけれども、そのマンションのたぐいも、この一、二年のうち、どうですかね、倍なんてものじゃない、倍から三倍に値上がりしているんじゃないですか。一般勤労者なんかは手が届かないぐらいになっていますけれども、これも呼び値高値のままでね、買い手がないから、したがって業者というのは倒産もしていく、あるいは投げ売りも出かねないんだが、そういうものが出ても庶民勤労者を喜ばすような状態にはない。これが何といっても実態ですけれども、いかがでしょう、こういう点について。
  10. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 実は不動産をいろいろ調査しておるところの最近の発表なんかによりますと、売り物件が非常に不動産については多くなってきておる、しかし、買い手のほうがそう多くなってきてないという現実があります。やっとこの金融引き締め、総需要抑制効果が出かかってきたと、ですから、あと二カ月くらいこうやれば、いま中村委員指摘のとおり、先ほど申し上げましたように、土地だけ買って右から左へ動かして、じっと持っていることだけによって一もうけしてやろうというような、われわれから見れば不心得者、こういう人が地価をつり上げさしたわけでございますが、こういう諸君がある程度、まあ地価暴落といいますか、そういう期待を実は私も心ひそかに持っておるわけでありますけれども、しかし、なかなかそういう期待ばかりしておって健全なデベロッパーが参っちゃうというようなことも、これは一面では防いでいかなければならぬわけでありますから、そういう面について現在大局的に見まして、地価上昇率がダウンしておるという現実は出てきておるわけでございます。それと同時に、各県あるいは各県の公社、市の公社あたりから土地を買いたいと、金融を世話してほしいという要請も実は強くあるわけでございます。これも、私どもとしては、もう少し待っていたらどうだろうかということで、とにかく学校とかそういうもの、特別の土地として入手しなければならない問題についてだけ大蔵のほうといろいろ協議をして、融資の道を講ずる方法をとろうというようなことにもいたしておるわけでございます。もう少しやはり、短期決戦とはいえ、あと一カ月か二カ月ほど待っていくべきであると、こんなふうに考えているわけであります。
  11. 中村利次

    中村利次君 大臣の想定されるようになれば、これはもう文句なしですね、私もこういう質問をする必要はないんです。確かに地価値上がりというのは、その率は落ちておるということは、これはもう事実だと思いますね。ところが、大臣のおっしゃるように、一カ月あるいは二カ月待てば、金融引き締め効果が出始めておるんだから、出ておるんだから、何とかなるという、この見通しについては、私は、たいへんやっぱり疑問があるわけです。それは先ほど申し上げましたように、とにかく地価というのは、これは売り手が非常に多くなっていることは、これも事実ですね、まぎれもない事実。買い手がたいへんに少なくなっているのもまぎれもない事実。これは金融措置に大いに影響があることも、これもまぎれもない事実。ところが、呼び値というか、高値そのものは宙ぶらりんで浮いているんですね。これは一カ月待っても二カ月待っても、半年待っても一年待っても、下がる可能性ということについてたいへん疑問があるんです。なぜかといいますと、中小どころか零細業者土地を買って、これなんかでもどんどん土地をつり上げながら買って、たとえば建て売りを建てる、あるいはマンションを建てる、みんなこれは銀行から金借りてやったわけですから、これは担保に入っているんですよ。そういうのが倒産をした、あるいは投げ出したとしても、金融引き締めによって自転車操業できなくなった、そういうことにしても、これは銀行担保を、金融機関担保で取るだけでありまして、あるいは、よくいままでいわれたように、大手不動産業者その他の法人保存登記が移転する、移動するだけであって、庶民期待する地価値下がりにはつながらない、こういう私は憂いを非常に持つんです。そうしますと、これは仮定ですけれども物価対策が成功をしたと仮定して、いまの狂乱物価が鎮静をしたとしても、いまの物価上昇傾向というものは率がどれだけかということ、これは否定できない。そうなりますと、やっぱり経済力のある金融機関だとか、大手法人なんか、大法人なんか担保物件として取ったその土地をそのまま保有すれば、これはやっぱり国民期待する土地値下がりというものはないままに金融引き締め効果というのがから振りに終わると、こういうおそれがあるんですが、いかがでしょうか、そういう点についての御見解は。
  12. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 確かに、この地価問題については、金融措置等だけではもうある程度の限界までしか持っていけないということは御指摘のとおりだろうと思うんです。そこで、私どもといたしましては、昨年の二月に土地規制という思い切った、いわゆる私権の制限ということを土地制度の上に大きく強く打ち出していかないと、これはもうたいへんなことになるということで、昨年の二月に、実は国総法の中に特別規制区域ということにいたしまして、これから住宅団地にしようとか、あるいは工場を誘致して都市開発をしていこうとか、そういう開発、特別の開発をするような地点に対して、一例を申し上げれば、江東地区防災開発、再開発をするというような、ああいう土地に対して特別規制区域というものをぶっかけて、そうして地価上昇、その特別規制区域を受けたところは土地売買許可制にするというような方針、方向を国会に御審議をお願いしたわけでございますが、これがなかなか御批判が多くて、今日までも土地に関するいわゆる地価規制措置というものは何ら講ぜられてないと、これが私ども行政をあずかります者としてたいへん残念なことであるわけでございまして、これは一日も早く、やはり先に地価上昇度合いがいままでのように急上昇しないで、スローダウンまではいっておりませんけれども地価上昇の率が鈍化してきておるわけでございますので、こういうときに、いわゆる土地を持っていることだけによって暴利をあげるというような不心得者が存在できないようなやっぱり立法措置というものを一日も早く御制定を願うことが中村委員の御指摘された地価上昇を防ぎ、ひいてはこれがすべての住宅政策都市政策にきわめて好影響をもたらしてくるということになりますので、その点については、もうわれわれの現行法に基づく限度一ぱいの努力をしているという結果を先ほど申し上げた次第でございます。
  13. 中村利次

    中村利次君 これは残念ながら、やはりこの土地対策に対する与野党手法がなかなかみ合わないから、大臣のおっしゃるような状態にいまあると思うのですね。しかしながら、これはやっぱり手法はともかくとして、何らかの対策立法措置が必要であるということは、これは与野党ともに全会派が一致して認めているところでありますから、これはひとつ大臣、どうか積極的に前向きの姿勢をお出しになって、そうしてその対策国民的に進めていただきたいことを私は要望して、この問題についてはこれくらいにします。  去年の四月一日に公示されましてから、ことしはまだ価格公示が行なわれておりませんけれども、その理由と、それから大体見通しとして、どれくらい地価値上がりが、まあ幾らか落ち込んできておるということでありましたけれども、私もそうだと思いますが、見通しとしてどれぐらいの値上がり率になっておるか、わかったらお聞かせ願いたい。
  14. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) ことしは、昨年四月一日に公示したわけでございますけれども、本年は公示地点数が非常にふえまして、三倍ぐらいになりましたので、それは当初からわれわれも予定してその準備を進めていたのでございますけれども、ことしの二月十九日に開催されました土地鑑定委員会におきまして、やはりちょっとおくれるということで、やむなく本年に限り一月ほどおくらせて五月一日にするということにしたのでございます。どれぐらいことしは上がるかということで検討して、その中間の推定をわれわれも推察しているのでございますけれども、まだ公示がはっきり出ておりませんので、いまの段階では何とも言えません。ただ、昨年の秋以降、大体地価上昇不動産研究所等の別の資料によりますと、地価上昇鈍化傾向をはっきりと示している。特に三大都市圏についてそれが著しいという傾向でございます。したがいまして、最近ではやや横ばいに近い状態になっているのではないかというふうに考えますが、この地価公示年間を通じてのでございまして、一月から一月までのものを出すものでございますから、昨年の一月からことしの一月のものを四月一日に出すということにしておるものでございますから、全般の値上がり上昇を含めての結果が出るものと思われますので、やはり昨年に比べてずっと上がったかっこうで上昇の結果が出ると思われます。ただ、その中身を分析してみたいと思って、われわれは、それが出ましたならば、いまの私が申し上げましたような傾向にあると思われますけれども、それを分析してみたいと思っております。
  15. 中村利次

    中村利次君 五月一日に価格公示をされますと、やっぱりそれは相当の値上がりになっていくことも間違いございません。いま確かに値上がりというのは鈍化傾向にあることは、これは事実だと思う。しかし、これはおそらく庶民の手が届かないくらい高くなった、その価格をもととして鈍化ですから、たとえば首都圏の周辺を見ても、東京駅から電車に乗って一時間あるいは一時間半あるいはそれ以上、それからまたバスに乗って十分も二十分も行かなきゃならないところが二十万も三十万もというのじゃ、これは全く給料生活者なんか……。前は退職金でやはり家を建てられたんですがね。いろんな持ち家制度で、あの制度企業等によっても始められたころは、一定の金額を積んで金を借りて家がりっぱに建った、土地買って家が。いまはまさにもう、たとえば三十年、三十五年勤続をした退職金で、これは相当高額退職金をもらっても全然問題にならぬ。五十坪の土地を買って二十坪の家が絶対建たないという状態ですね。これはまさに、何というのか、むなしいというのか、失望というのか、こういう実態については何としてもこれは有効な対策が講じられなければならないと思うんですけれども、もう一つは、建設省としては、公示価格実勢価格というんですか、実際の売買価格というのは、これはイコールであるという立場をおとりになっておりますけれども、実際にはずっと続いてきた地価高騰にはなかなか見合わない。これはもう公示価格で入手できればまことにけっこうというのが実態だったと思う。ところが、土地価格にはそういう公示価格あり、あるいはどういう表現がいいんですか、実勢価格あり、あるいは税金の課税対象になる評価額があり、あるいは帳簿価額あり、まさにこれは複雑多岐でしてね。これも評価額なんかはいままでも大いに議論のあったところですけれども、こういう点についてはどういうぐあいにお考えですか。
  16. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 確かにおっしゃいますように、たとえば帳簿価額、税制におきましても、固定資産税評価額あるいは相続税評価額、それから公示価格等々、いろんな価格体系があるわけでございますが、いまおっしゃいましたこの公示価格というのは、われわれは正常価格と呼んでおりますけれども、これは正常な市場価格を反映しているもの、すなわち時価を反映しているものというふうに考えておりますし、また、そのように確信しております。法律の規定するところも「自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる価格をいう。」とありまして、普通の売買におきますと、買いあるいは売りのいろんな個人的な事情によりまして、どうしても急ぐというような場合、あるいはかど地でほかに求められないというような、銀行が支店を出すような場合等におきましては、通常考えられる価格よりも高い価格取引されるのでありますし、また縁故その他によりまして低く買われる、これらを実態実勢価格と言われるならば、この公示価格は、確かにそれとバランスのとれない面があるわけでございますが、このいわば公示価格というのは、たとえば体温計あるいははかりのごときものでございまして、その客観的な市場価格をできるだけ正確にそれにアプローチしようというので、いろんな手法を用いて、そういう特殊な事情を排除して、そして公正なあるべき市場価格に近づこうというので鑑定委員がいろんな手法を用いまして合議してきめる、そういう価格でございます。したがいまして、実際の実勢価格といわれる売買されている価格と、あれは安いのではないか、あるいは高いのではないかというケースは出てまいりますけれど、間々。そういう乖離を生ずることもありますけれども、それはそういう具体の諸事情によるものだというふうに考えまして、われわれは、いわゆる正常な時価とはこの公示価格によるものが実勢を反映しているんだというふうに考えるものでございます。
  17. 中村利次

    中村利次君 この課税対象になる評価額あるいは簿価等についての御答弁がなかったんですけれども、これはいま土地対策立法措置についてのいろいろな議論があるときですけれども法人にしても個人にしても、必要な土地を、だれが聞いてももっともであるという土地、これを所有するというのは、これは当然のことだと思うんですよね、いまはそれがかりに使われていなくても。あるいは一定規模土地ですね。ところがやっぱり投機の対象としてたいへんに法人買いがあったといわれておる、こういうのは、この課税対象評価額にしても、きわめてこれは低いものですし、あるいは帳簿価額なんかでもこれは低いものですけれどもね。たとえば評価額を見直しをするとか、これは建設省所管じゃないにしても、見直しをすると、そうすると、これは税金でがっぽり吸い取られるということになりますから、ある意味では値上がりを待って不要な土地を買い占めておるというものに対する対策にもなると思うんですが、そういう構想はいかがでしょうか。
  18. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) これは建設省所管じゃございませんけれども土地につきましては三年ごとに評価がえというものが固定資産税法、地方税法上行なわれておるわけでございまして、五十一年度に再評価されるということになるんじゃないかと思われます。そういうときに、御指摘のような差異は今日でもあらわれているわけでありますし、ただ、このいわゆる異常な地価上昇した問題というものは、やっぱりこの次の評価がえというときになりませんと帳簿の上にはあらわれてこないということが言えるんじゃないかと、こう思うわけでございます。建設省としては、先ほど御指摘のありましたように、一物四価と申しますか、時価公示価格、固定資産台帳評価価額、相続税の際の基準になる評価額と、この四つ同じ土地についての評価がされるわけでございますね。こういうことがはたして行政をやる上において国民の利益になるんだろうかどうかという問題も、実は、私、非常に決断が下らないでおるわけでございます。長年の聞こういう状態で続いてきておるのも、やはり国民のためになるところがあるからこういう制度がこのまま生きてきておるのか、あるいは地価抑制地価規制というような問題を取り上げるときに、こういう問題までやはり方向づけをしたほうがいいものであろうかというような点について、いまいろいろと建設省においても研究をさしていただいておるということでございます。
  19. 中村利次

    中村利次君 やはり私は自由主義経済の一つのひずみだと思いますね。ですから、そういう意味からすると、自由主義経済を真に守ろうとすれば、やっぱり悪い点を逐次是正をして、国民立場に立った是正がなされなければならないというぐあいに考えます。そういう点もひとつぜひ前向きな御検討を特にお願いしておきたいと思うんです。  それから、先ほどこれは御答弁の中にもございましたけれども、法的な住宅の建設もなかなか思うようにいかない、これは地価高騰、建設費の高騰等で予算がオーバーで計画どおりに建てられないという実態がたいへんあるようです。もう一つは、公団あるいは公的な住宅にしましても、たとえばこれは身近なはっきりした例では、多摩ニュータウン計画なんかにも見られますように、地方公共団体との間にいろいろの対立があると、大団地だけ建てられて、上下水道から道路あるいは学校、医療機関その他、それに当然人口増に付帯して起きるいろんな負担が全部これは公共団体の負担であって、そんなのはもうお断りだと、こういうトラブルでなかなか計画どおり進まないという実態もあるようですけれども、こういうものに対する対策はどういうぐあいにお考えでしょうが。
  20. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 御指摘のとおりでございまして、特に地方公共団体の人口抑制に対する考え方、団地拒否という問題、これが現に東京周辺、大阪周辺に起きつつあるわけであります。いろいろ分析いたし、また、知事さん等の意向等も、あるいは関係市町村長さん方の意向等も聴取いたしてみますると、結局、いま御指摘になった地方自治体の超過負担が膨大になって、これを自分の財源でもういかんともすることができないということから発生してきておりますことは、もう御指摘のとおりでございます。  そこで、四十九年度の予算編成にあたりまして、住宅公団に対して、いわゆる立てかえ公共施設、学校でありますとか幼稚園でありますとか、そういう立てかえをいままで学校等にのみ規制しておったわけでありますが、その法的範囲を広げまして立てかえができるようにしようと、それからその立てかえて、公共自治体に移しますときのいろいろな優遇措置を講ずると。それから今回宅地開発公団法を御審議願っておるわけでありまするが、その宅地開発公団の手法におきましても、実は公共施設、交通施設、そういうものを宅地開発公団みずからが全部つくって、そうして自治体に引き継ぐと、そうして引き継ぐ際にも十年間の据え置き期間をおきまして、そうして三十年償還のような非常に緩和された措置で自治体の超過負担にならぬように配慮をすると。それから公団自身に農林省の補助金でありますとか、あるいは文部省の補助金でありますとか、そういうものを公団が直接受けて、そうしていわゆる河川の改修でありますとか、あるいは水路の排水路とか、農業用水路とか、その土地内を通る際の改良の工事でありますとか、そういうものを公団みずからが行なってそれを町村に引き継ぐというようなことをいたしまして、できるだけ地方自治体の負担を軽減をするということと同時に、いままでいろんな政府の機関がありますけれども、地方自治体の直接の参加を願っておらないわけです。それで宅地開発公団等には地方の自治体から、市町村あるいは県の代表の方々に非常勤の理事として参加をしていただく、そしてその機関の中でいろいろ各県の意見を紹介してもらうと、そういう措置も実はとっておる次第でございます。
  21. 中村利次

    中村利次君 だんだん時間が残り少なくなってまいりましたので先を急ぎますけれども、いろんなやっぱり方法がある中で、供給計画、供給体制ですね、そういうものもこれはたいへん重要だと思いますが、年次別の、そしてまた供給主体別の具体的な供給計画がおありかどうか、これをお伺いしたいと思います。  それから、本年度、宅地開発公団を発足さして宅地開発を実施するということのようでありますけれども、これはたとえば首都圏にどれくらい大規模開発の余地があるのか。それから公団がどのくらいの開発を予定されているのか。それからもう一つやっぱり重大なのは、開発された価格がどれくらいになるのか。これはなかなかむずかしい問題でしょうけれども、そういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  22. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) まず住宅宅地の長期計画でございますけれども、これは長期見通しを立てておりまして、昭和六十年までに、公的あるいは民間合わせまして三千万戸という需要に対しまして、新規に宅地がどれだけ要るか——千百五十万戸分というふうに考えておりますけれども、四十九年度からは九百万戸分、これが新たに宅地を必要とするものというふうに考えまして、これに対しまして、内輪の検討事項としましては、これぐらい公的機関でやらなければいけないという計画案は持っておりますが、これを外に計画として公表したものは持っておりません。概数としてのそういう見通しというものは持って、すでに公表しております。したがいまして、いまの公的供給の内訳はどれくらいで、そのうち公団がどれくらいだという詳細な内訳は、現在のところ、外に公表していないのでございます。
  23. 中村利次

    中村利次君 いや、開発公団が発足しますね……
  24. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) それは私から答えましょう。中村先生、大体の腹づもりを実はもう申し上げたいわけです。ところが、大体どの辺にどのくらいのというのは、大体建設省の内々では地図を広げまして、この辺は大体あれだという見当つけておるのでございますけれども、それをいま私の口から申し上げますと、こういうやっと鎮静しかけた地価問題に対して何らの土地規制の法的措置のない現在、またしても非常な混乱を来たすような結果をもたらすということで、ただ、もうすでにこれは移しかえをお願いしようと、法律が通りましたらさっそくお願いしようと思っておりますところに北千葉の土地があるわけでございます。これはもう申し上げましても値上がりするということはございませんので、一応計画地区として、いろいろここを中心にしていま検討されておるということでございまして、価格も役所の書いたこれからいきますと、結局、高い値段のあれでいきますから、非常に高い土地になっちゃうわけですね。それだけでいいだろうかと、私、政治の立場から、何かもっとうまい方法、知恵を出さなければいけないのではないかなと、それじゃ、その具体的な知恵は何だと、こう言われると、まだ実はないわけでございまして、できるだけいまの一番高いときの基準価格でしか今後庶民土地入手はできないというようなかっこうじゃなくしていきたいものだなと。私は、宅地というものがいままで政府がみずから進んで供給するという体制が少し欠けていたような感じもするわけであります。したがって、それが宅地上昇の需要と供給との関係から非常に上昇した。どんどん宅地をあれして、宅地を持っておってもそう値上がりもせぬのだと、もうからないのだという、また土地でもうけちゃいけないというやはり国民世論というものを、油でもうけちゃいかぬ、米でもうけちゃいかぬといったような、やはり国民運動と申しますか、そういう方向に一応国民が進んでいきませんと、やはり世界じゅうから袋だたきにあうような感じがしてならないわけですね。そういう意味におきまして、私どもといたしましても、関東周辺、東京周辺、大阪周辺で地図を引き出しては見当をつけておるところがないわけじゃございませんが、いまここで申し上げられないのが非常に残念でございまして、お許しを願いたいと思います。
  25. 中村利次

    中村利次君 それは理解します。そういう逆効果的なものが出ることは私も欲するものではありません。しかし、大まかに言って、首都圏あるいは中京圏ですか、近畿圏、そういう大都市周辺にはたして供給計画を立てて、それが達成されるようなお見通しがあるかどうか、これはもうほんとうに大まかなところで、その点が伺いたいと思いますし、それから、いまお話しに出ました北千葉ニュータウンですね。これは千葉県との間にどういう話し合いが進んでおるのか、これもさしつかえなかったら御答弁願いたいと思います。
  26. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 現実に三大都市圏の周辺部におきまして、いわばグレーダー東京、グレーダー大阪、グレーダー名古屋のフリンジのようなところで具体的にそれだけの土地が確保できるか、また、それはどういう方法によって見通しがあるのかということだと思いました。いま大臣からも御答弁がありましたように、具体の土地をここというふうに言えませんので、定性的に申し上げますと、距離的には比較的近くて、東京圏でいえば五、六十キロ圏にございまして、社会的には遠い——つまりいろいろな交通手段もなく、あるいは非常に弱く、したがってそこのところが取り残されたかっこうで、あるいはそのほかに水の便等が悪くというようなことで社会的に遠い距離にある、遠い位置にあるというようなところがわれわれとしては開発可能地と、そこにある種の鉄道あるいはそういった公共的なてこをもってすれば、これをそういう通勤圏内に引き込むことは可能であるというようなところが一応頭の中に置かれている対象でございます。このようにしてとらえてみますときに、かなり首都圏におきましても近畿圏におきましてもあるわけでございまして、しかし、それをいま放置しておきますと、徐々にこれが都市化の波に洗われて虫食い状態になるわけでございます。われわれとしましては、この公団の設立と同時に、できるだけ早くこれを確保しておく方法をとることが必要だというふうに考えておるわけでございます。  それから、千葉県の北千葉ニュータウンとの関係につきましては、これは正式に千葉と交渉を持ったというわけではございません。非公式にその意向の打診が行なわれたという段階でございますので、私どもは、公式に北千葉をどうこうということを申し上げる段階ではないのでございますけれども、御承知のとおり、北千葉ニュータウンにつきましては、かねてから千葉県がここを県におきまして鋭意開発されまして、現在土地取得率が約七五%程度いっておるわけでございまして、その残ったところを含めて鉄道の開発あるいはこれの公共施設が県とされましては相当の負担になります。こういうところは、公団というものができれば、開発公団の手に移すのに適当ではないかということで千葉県のほうもお考えのようでございますし、われわれとしても、そういうことであるならば受け取る用意があるということで話し合いをしておるわけでありますが、その具体的な条件なり内容につきましては、まだ千葉県と具体的な交渉をする段階に至っておりませんので、いつごろどういうふうにして、どれぐらいの負担を引継ぎ、残った土地はどういう条件でやるかというような点がおそらく問題になると思いますが、また、職員の処遇の問題等につきましては、正式に話し合いができる段階にならないと向こうも話が乗ってこれないと思います。でございますので、法律の成立を待ちまして、われわれは、そういう糸口をつけたいと思っております。
  27. 中村利次

    中村利次君 次に、多摩ニュータウンの問題ですが、これはたいへんに期待が大きかったわけですけれども計画も約十万戸ですか、たいへん大規模なものであり、期待も大きかったのですが、これは着工以来八年ぐらいたったのですか、なかなかどうも予定どおり進まない。現在、どうなんでしょう、一割程度ぐらいできたのですか。昨年なんかほとんど足踏み状態である。これはいろんな理由があるようです。たいへんむずかしいことも承知をしておりますけれども、これを何とか解決するための具体的な対策をお持ちかどうか。これは実施主体の東京都との間でのいろんな調整問題を含めて何か対策をお持ちかどうか。  それから計画を縮小しようという案が伝えられていますね。とすると、具体的にはどういうぐあいにお考えか。それから、何といっても、これは新聞等にも書かれておりますけれども、へたをすると、陸の離島というんですか、何か京王帝都、小田急等の乗り入れがどういうぐあいになっておるか、あるいはそこにバス等のあれもあるんでしょうけれども、いろんなやっぱり問題点がたくさんあるようですね。こういうものに対して具体的な対策がおありならばお聞きをしたいと思います。
  28. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 確かに、多摩のニュータウンの問題につきましては、主体が三者にまたがっておりまして、住宅公団と東京都、それから公社の三者にまたがっておりますが、その問題点が大体四つほどございましたが、病院の問題あるいは地区の境界の問題、それからいまおっしゃいました計画戸数等の問題、それから、何と申しましても、学校等の財政負担の問題、こういう問題につきましていろいろ地元との間に交渉が進められて、地元との対策協議会をつくりまして交渉を続けてきたわけでございます。いま申しましたような案件もだんだん解決の方向にありまして、境界の問題は済みましたし、逐次解決のほうに近づいておりますが、一番問題になりますのは、最後には財政負担の問題が一番大きな問題として残っております。これも緊急にその対策協議会を通じまして地元との話し合いを進め、緊急にこの解決をしたい。そのときに問題になりますのは、いまもお話しに出ました、もう少し縮小と申しますか、戸数の配置計画等につきましての提案が地元のほうで出されておりますので、これをどうこなすかという問題が中心になります。そこで、結果的には多少の計画の変更をいたしまして、その戸数の配置あるいは建てる建物の種類、賃貸の戸数あるいは分譲の戸数等の配置につきまして、これを検討のし直しをする用意があるということで、この協議会で近いうちに話し合いで結論が出るように、われわれもこれを促進したいと考えておる、こういう段階でございます。
  29. 中村利次

    中村利次君 この多摩ニュータウンの下水処理場で第三次処理の実験的な施設がつくられておるということを伺いますけれども、そうですか。
  30. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 昭和四十八年度の予算から実験施設としての三次処理施設、しかし、実験施設といいましても非常に大型でありまして、五万五千人分を処理するという、実用規模で。わが国初めてのそういった大型実験施設をつくる予算がついております。四十九年度も引き続きついておりまして、現在設計を終わり、近く発注するという段取りでございます。
  31. 中村利次

    中村利次君 時間がおしまいになったそうですから、それじゃ、私は最後にまとめて質問しますが、これは私は非常にけっこうなあれだと思いますよ。そこで、この水の問題は、今日以降ますますどうも深刻になっていく可能性が多分にあるわけですけれども、第三次処理された水を再生利用するという計画はないかどうか。これはそういう再生利用し得るような施設を設置してはどうかと思うのですが、それに対するお答えをいただきたい。  それから、まだこれはたくさんお伺いしたいことがあったんですが、時間切れになりましたので、この間、沖繩で建設工事中に不発弾が爆発して問題になったことがあるのですね。これはやっぱり戦後処理はなかなか問題である。そういう不発弾の処理、これは防衛庁でも、おれの所管ではない、建設省でも、おれの所管ではないということになっておると思うのですがね。たとえば戦時中、旧軍が、あるいは公的にもいろんな防空壕その他つくったところがありますね。そういう点の調査と、それから対策、これは戦後は終わったといっても、安定社会にどうも処理をすべきものは処理をしなければならぬと思うんですが、そういう点についての調査の実態対策。  それからもう一つ、これもけっこうな話なんですけどね。自転車道がたびたび報道されておりますけれども、最近はどうもこの自転車の事故がふえたということも言われておりますけれども、しかし、サイクリング道なんというのは国民的にもたいへん喜ばれ、期待されるものだと思うのですが、時間もありませんので、この自転車道に対する具体的な計画等についてお伺いをして私の質問終わります。
  32. 吉田泰夫

    政府委員(吉田泰夫君) 三次処理した水を再生利用する考えはないかということでございます。もちろん近くにすぐ再生利用できるようなものがあれば、そういうことは十分可能なわけで、そういうこともあわせ考えたいと思いますが、普通はそう近くにかっこうよく、都合よくあるというわけでもありませんので、やはり一たんは河川に入れ、入れましたその水は非常にきれいで下流に流れていきますから、またそれを取水する、こういうことで水循環のサイクルに乗せるということが基本ではないか。もちろん最初に申し上げましたようなケースがあれば、これは当然考えてしかるべきだと思います。  それから不発弾の処理につきましては、ああいう事故が起こりましたことを契機に政府全体でいろいろ対策協議しておりまして、いままでのようなわけにいかないというわけですが、従来から総理府で不発弾の処理については補助金の交付等行なっております。ただ発見したものを処理するというような体制でありましたものをもっと積極的に調査もし、見つけ出して処理するというようなことが必要ではないか、こういうことで検討しているわけでございます。  それから防空壕などにつきましては、これも問題でありましたが、四十九年度から都市地域については建設省、都市地域以外の農村部につきましては農林省がそれぞれ所管することにしまして、四十九年度予算から防空壕の埋め戻し費用というものに国庫補助の道が開かれまして、私ども調べた範囲では、全国で約二千カ所ぐらいありますが、これを四年間ぐらいで急ぐところから順次埋め戻したいと思います。
  33. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 自転車道のお話しが出ましたので、お答え申し上げます。自転車道は、いまのお話しのように、自転車の安全と、それから国民の健康のためにという二つの問題をあわせましていま積極的にやる予定でございます。現在自転車道が約三千五百キロぐらいございますが、今度の五カ年計画で五千キロ整備したいということでございますし、また、従来は車道と自転車道と歩道という三つくっついたものだけを考えておりましたが、自転車道だけの専用道路というものをつくりたいということで、これは昨年度からそれだけの自転車道を始めておりますけれども、一つの単位が三十キロくらいから百キロくらいあるような長い自転車道を各県で考えておりまして、これも現在十一路線着工しておりますし、来年、四十九年度には十九路線新たに着工するということで、そういうものをあわせて早急に整備を進めていきたいと考えております。
  34. 三木忠雄

    三木忠雄君 まず、最初に建設大臣に伺いたいんですが、中小の建設業界が非常にピンチに立ち至っているわけです。特に四月から六月には相当倒産件数が出るのではないか、こういう状況を私たちもいろいろ把握しておりますけれども、この問題について、まず建設大臣対策をどう考えているのか、この点についてお伺いしたい。
  35. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) ほんとうに建設業界に対して御配意をいただいて、たいへんありがたいと思うわけでございます。私も就任以来、総需要抑制という大きな方針を打ち出し、また金融の引き締めということを打ち出して以来、その政策の波を一番やっぱり直接かぶりやすいというのが戦後日本の再建のために働いてこられたやはり建設業界、こう言って言い過ぎではないと私は考えながら、実はいろいろ対策を講じてきた次第でございます。  と申しますのは、昨年の十二月の初めにスライド条項と申しますか、これを活用しなければもうたいへんなことになるんじゃないかということで、事務当局もたいへん努力してくれまして、官房長通達でそのことを各地建を通じて実施をいたしたわけでございますが、その成果が、やはり初めてのせいもございましたか、業界から、特に中小企業の方々から、これでは非常に不十分だ、こんなことではもう何の役にも立たぬというような批判もありまして、一月の十四日に、さらに再度の官房長通達を出しまして、中小建設業界の諸君のプラスになるという措置を講じたわけでございます。  この措置と同時に、本省におきましては、資材、労務のための委員会を高橋技監を委員長にいたしまして省内に設置し、資材の安定的供給と、それから値上がりをできるだけ抑制するような措置を通産省を通じまして、また、直接に各業界にも要請をいたしてきておるところでございます。と同時に、各地建ごとに、実は主要なる建築資材の需給の実情、相場と申しますか、建築資材の価格の動向を一週間ごとにキャッチをして、本省でこれを集計をして、それによって、セメントの少ない方面に対しては、通産省からセメント業界に、あるいは通産局を通じてセメント業界に、どの方面に資材をもっとひとつ備蓄をしてほしいというような措置もことしの一月から実はとらしてきておるわけでございますが、御承知のように、たいへん倒産の数もふえてきておるわけであります。これからも四月−六月、例年でさえも年度初頭というのは仕事の契約の更改とかなんとか、新たな契約とかいうようなことで仕事のとぎれやすい時期にもなっておりますので、そのとぎれがことしは特に業界にとってはほんとうにたいへんなときであるというわけでございますから、そのとぎれないようなくふうが何かできないものかということで、実は国会予算を通過さしてもらえたら直ちに契約書に判こを押すようなことが、数字だけあとで入れるようなぐあいにしてできないものか、それまで行政当局としてはやるべきではないかというようなことで、各地建に対しても指導をいたしてきておるというのが実情でございます。
  36. 三木忠雄

    三木忠雄君 この工事が大体二月、三月になりますと、期限切れですか、いつも下半期ぎりぎりになってくると工事が一挙に発注されるわけですね。それで四月−六月が少ない。こういう上期が少なく下期が多いということで、三月ごろになって道路を通りますと、どこでも掘っているわけです、予算を消化するために。それをやはり計画的な受注というか、総需要抑制の中にあっても、やはり計画的な受注を上半期にやっていけばこういう業者が救われるのではないかという点、これが第一点です。こういう問題。  それから、もう一つは、やはり契約更改になりますね、官公需を受けるための。中小企業、あるいは大企業も含めてでありますけれども、登録制、この問題に対して、やはり中小企業等が非常に赤字決算が多いわけです、今回は特に。こういう問題は、やはり官公登録を受けるためには、何か赤字になると抹消されるとか、地方自治体にもいろいろ問題があるわけであります。こういう物価の騰貴の中で、やはり建築費、労務費が上がっている中で建築業者というのは非常にたいへんな状況なんです。場合によっては黒字と粉飾した上でやらなければならないんじゃないかという、こういうふうな問題があるわけですね。粉飾決算まで追い込んだ上で官公登録をしなければならないという、こういう事例が実はあるんですね。こういう問題に対して、こういう物価高騰の折、総需要抑制の中にあって、やはり赤字の中でもこの期間中はある程度官公庁の登録は認めるとか、そういう何か便宜をはかれないものかどうかということです。わざわざ何か粉飾決算をやれといわんばかりのこういう制度で官公庁の登録検査を受けているという感じを受けるわけですけれども、この点についていかがですか。
  37. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) その点につきましては、やはり業者の信用問題というものもこれは十分考慮しなければなりません。そういう問題につきましては、やはりその業者が長い間建設省なり、あるいは県なり市町村なりの仕事をやってきておるわけでありますから、ことしはこういう特別の情勢であると、そのために三月期の決算が、昨年の下期の決算が赤に落ち込んだというようなことは、話し合えば十分わかってもらえるのじゃないかと思うわけですね。そのときだけ赤字が出たら、もうおまえは資格ないと、これはあまりにも役所的ではないか。役所にはいろいろむずかしい規則があるかもしれませんけれども、これはだれが見ても、その点は自分の過失やら自分の技能不足やらで経営の才能が足りなくて赤字になったのじゃなくて、やっぱりこの値上がりの問題であるとか、その単価の問題であるとかいうことで若干赤字が出たというような人までもう資格をはずしてしまうというようなことは、これは避けるようにできるのじゃないかと、こう思うわけです。  もういろいろ条例とか政令とかありますから、そういう点については事務当局のほうから答弁させます。
  38. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) 先生の御指摘は、おそらくあの資格審査、毎年初めに登録します、その御指摘だと思います。これは大臣答弁申し上げたとおりでございますけれども、この資格審査できめますいわゆる点数制、これのきめ方につきましては、いろんな角度からこれはきめております。したがいまして、いまの経営状況というものも十分その中の一つの資料になるわけでございますが、ただ、過去における工事をいかに完成させたか、工事成績だとかその他施工能力というものをいろいろ審査しまして登録するわけでございます。その中におきまして赤字の問題も一つの問題でございますけれども大臣答弁されましたように、また先生の御趣旨のように、十分その際には考えてまいりたい、配慮してまいりたいというふうに考えております。
  39. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは大臣からでも——こういう問題が地方自治体にまで及ぶかどうかという、これは権限の問題いろいろありますけれども、やはり中央官庁でそういう問題が明確にされれば、地方の契約、指名業者入札の問題に対しても、これは配慮されてくると思うのです。やはり建設省がこういう考え方だから、われわれ地方自治体としても、こういうものはだめだという問題が非常にあるわけですね。したがって、こういう問題を大臣通達か何かの形で、今回に限り、こういう総需要抑制の一環の中で、あるいはこの物価騰貴の中で、この経営赤字等の問題については、入札制の問題についても考慮するとか何かの考え方で建設大臣通達は出せぬかどうか。こういう問題についてはいかがですか。
  40. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) さっき申し上げましたような考え方のもとに、十分ひとつその趣旨が徹底するように、大臣の趣旨が徹底するように考えます。
  41. 三木忠雄

    三木忠雄君 それじゃ、武蔵野のこのグリーンパークの問題で伺いたいと思うのですけれども、特にこのグリーンパークの土地問題は、たびたび国会でも議論されてきたわけです。現在に至っても、実際にこの日本文化住宅協会がどういう方向に進むかということが明確にまだきまらないわけですね。建設省として、今日までどのような指導を続けているのか、どういう方向性を持ってるのか、この点について伺いたいと思うのです。
  42. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) 文化住宅協会のいろんなことにつきましては、先生すでにいろいろ御承知のとおりでございます。  昨年の十月十七日に、国から和解金として二十二億円が支払われたのでございます。その後のことにつきまして簡単に私どもの指導監督しました状況を申し上げたいと思いますが、この国から支払われました二十二億の和解金の使途について、どう使うかということにつきましては、建設大臣の指導の上で行なうように実は指示いたしたわけでございます。ところが、協会は、法律上のそういう義務は実はないわけでございますけれども、そういう指導に対しましては、いままでのところ、申請書を提出いたしておりません。しかしながら、それでは私どもの指導監督が徹底いたしませんので、昨年の十月二十三日に協会に対しまして、あと地利用の問題、それから和解金の使途の状況等につきまして立ち入り検査を行ないました。その結果につきましては、一部改善検討すべきものはもちろんいろいろありますが、和解金の使途につきましては大体妥当であるというふうに考えております。その後二十二億円の中から三井不動産に対しまして一億程度の支払いをしたということがあるわけでございまして、この点につきましては、協会にそれはどういう考えからなんだということをいま照会いたしておる次第でございます。  それからグリーンパークのあと地の利用につきましてでございます。これにつきましては、地元からは再三公園緑地にしたいというような要望があります。この武蔵野市におきましては、これは急激に人口がふえております。同時に、この市におきます一人当たりの公園の面積というようなものも、ほかの市に比べますと非常に低うございます。したがいまして、私どもといたしましても、公園緑地にこれをすることが妥当であろうということで、早期にそういうことが実現できるように、協会をただいまのところ指導いたしておるわけでございます。御承知の文化住宅協会の林専務理事を二月、三月と建設事務次官室に呼びまして、あと地利用のことについて強力に指導いたしておるわけでございます。現在のところ、協会側は、なお、そうしましょうというような結論は出ていないという次第でございます。
  43. 三木忠雄

    三木忠雄君 私は、さかのぼったいろんな議論はしたくないと思うんですけれども、この林と三井不動産の間に、一億二千万か七千万ですか、これが個人で借りたのを協会が借りたような形になって担保に入り、あるいはまた協会と林との間の関係が非常に不明確であるという、こういう問題については解明をされたのかどうか、その点についてはいかがですか。
  44. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) 先生の御指摘の三井不動産と協会との貸借関係、それに林文爾さん、この三者の間の債務関係は非常に複雑で、明確じゃないところがあります。これはもうすでに御承知のとおりですから、具体的には申し上げませんが、この点につきまして、私どもも、協会に対しまして、それはどういうようなものであるかということを再三照会をいたしておるわけでございますが、結果的には、いまのところ、まだ明確じゃございません。協会は、これは林個人が借りたものであるということを言っておりますし、三井不動産は、これは協会の業務に使ったものである、協会運営のために使ったものであるということを言っておるわけでございまして、その点につきましては明確じゃないわけでございます。そういう明確じゃない、そういうときに、先ほどもちょっと申し上げましたように、昨年の十二月の初めに、三井不動産に対しまして協会が弁済金としてお金を支払っておるわけでございまして、これも先ほども申し上げましたように、この点につきまして、私ども、一月の初めに、文書をもちまして、林個人の債務なのか、協会なのか、どういう考え方でこれは支払われたのかということを照会いたしておるわけでございます。が、協会側は回答はございますけど、この点につきましては明確な回答じゃございません。したがって、いまのところ、どうもまだはっきりしないということでございます。
  45. 三木忠雄

    三木忠雄君 この貸借関係の問題で私はきょうは議論するつもりはないんです。あと地の問題をはっきりさしたい。しかし、こういう問題で、協会のほうは建設省をなめている、建設省はなめられているわけですよ、はっきり言えば。だから一向にこの問題が片づかないわけですね、考えてみれば。実際に個人で借りたものが、日本文化協会が担保に入って、三井不動産から金を借りている協会がこの借り主になっているという形で領収書まで発行しているわけですよ。こういう問題について明確な指導、監督を建設省はしておったはずだと思うのですね。こういう問題をいいかげんにしたままで、実際に建設省の指導もあまり聞き入れない。こういう中にあって、武蔵野市が要望しているような緑地公園に、はたしていつ解決の目途があるのかどうかという、こういう点は、私たち、また地元民にとっては非常に不安な問題なんですね。この協会がどういう方向にこの問題を建設省の行政指導でうまくできるのかどうかということが非常に心配をされているわけですよ。この点についていかがですか。
  46. 高橋弘篤

    政府委員(高橋弘篤君) 先ほど申し上げましたように、私どもも法の許す限りの指導監督というのはいたしているつもりでございますけれども、やはり現在の法制では限度がございまして、先生の先ほどの御指摘のような点について、まだ明確でないことはまことに残念でございます。が、あと地の利用につきましては、これも先ほど申し上げましたとおり、私どもといたしましても、いろんな実情からいたしまして、公園緑地にするほうが適当であるという考えをもちまして強力に指導をいたしているわけでございます。ただ、この財産は、御承知のように、この協会のものに完全になっているわけでございます。したがって、これは東京都の都市公園に私どもするつもりで、東京都も大体内意を得ているわけでございますけれども、東京都に協会が譲る気持ちがなければ何ともならない次第でございますので、なお、私どもも十分に強力に指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
  47. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは大臣に伺いたいんですが、これは協会のものです。確かに、裁判上のいろんな問題があったにしても、協会のものに移されているわけですね。しかし、こういういろんないきさつのあった土地ですね。まして武蔵野市全体に考えてみれば、ここに公園緑地もほしいという、こういう実態も、いろいろ現地の問題があると思うのです。これがいつ解決のめどがつくかというようなことは、なかなかそれは協会のいろんな考え方があるかもしれない、しかし、この問題はお互いに話し合いをして、大臣折衝、大臣が乗り出してこの問題を早く決着をつける、そうして地元の願うこの公園緑地の方向に早くならないものかどうかですね。この努力はひとつ建設大臣がとろうという、こういう考え方ございませんか。
  48. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私も実はけさ初めてこの問題聞きました、事務当局から。世にもふしぎなこういう問題がまだこういうふうにしてあるのかなと感じたわけでありますが、私としては、あれだけの面積の残骸をさらしながら、いかに自分のものだからといって放置しておく協会、これは許さるべきじゃないという感じを実は持ちました。そこで、できれば、その林という人は会ったことはありませんけれども、どういう考えでいるのか、事務当局からさらに確認をいたしまして、これは事務当局として案もなく話し合いしても、これはしようありませんから、いろいろ検討した上で、できるだけ地域住民の意向にマッチするような方向で協会が結論を出せるようにできるものかどうか、検討したいと思います。
  49. 三木忠雄

    三木忠雄君 まあ、これはすぐに出せといって、いつまでやれといったって、なかなか期限の問題相手次第の問題ですから、私もそこまで詰めませんけれども、これはやはり地元民の要望も、おそらくことしじゅうには財政状況からいっても、協会がそんなに長く持ちこたえると——まあこれは失礼な話かもしれませんけれども、そう長くないと思うんです。そういう点から、早くやはりお互いに話し合いをして、この問題が現地の要望する方向に解決できるように、これは大臣に労をとっていただきたいと思うんです。また、価格問題等についてもやはり常識的な線があるし、東京都としても緑地公園にしたいという問題になれば、これは価格の問題でも、国民の納得のできるような、特にこういういわれつきの土地でありますから、そういう点が納得のできるような線でどうか解決する方向を見出していただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。  それから、次にマイホームを持ちたいという、こういう要望が非常にあるわけですね。この中で、傾斜償還制度によって持ち家制度を公団のほうで一部やっているわけでありますけれども、実際にこの問題について、建設大臣の考え方は、どういう方向に進めていこうとしているか、この点についてお伺いしたいと思います。
  50. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) 事務的なお話しから答弁さしていただきます。  持ち家を持ちたいという階層は、大体中堅階層、分位にいたしまして二分位の上から四分位程度の方々だと思います。こういう中堅勤労階層の所得は、やはり年々上昇してまいります。ところが、いま住宅のコストが非常に高くなっておるということから、支払いがかなりつらくなっておるわけでございますが、これを先ほど言いました、いわゆる所得に応じたような支払い方で払っていくということであれば、非常に払いやすい。そういうことで、私どもは、傾斜償還制度というものは、いまの社会の情勢からきわめて望ましい行き方だ、こういうふうに考えておりまして、先生いまおっしゃいましたように、まず、融資と同じようなものでございますが、住宅公団の中に長期特別分譲住宅制度というのをつくりました。これは昨年といいますか、四十八年度からできたわけでございますが、持ち家にふさわしいような立体化された住宅、これを3LDK程度のものをつくりまして、したがって、金も賃貸よりは高くなるわけでございますが、それを当初六分五厘、いわゆる財投金利だけで五年間金利を払う元金据え置きと、次の五年間は六分五厘で元利均等償還、次の二十年は七分五厘程度の元利均等償還、かような三段階にしたわけでございますが、さらに建築費も上がりますし、そういうことから持ちにくくなるという状況を勘案いたしまして、四十九年度の予算案におきましては、その原資の六分五厘というのを五分五厘まで下げております。ほかの一般金利が各種の財投系統で上っております中で、これだけは下げておりまして、すなわち財投の資金の中に一般会計から金利補給がいくと、こういう体系になりまして、持ち家に初めてそういう助成制度が入っていったということで、非常に意義が大きいわけでございますが、そういうことによりまして、さらに四十九年度におきましては、そういうものが楽にやりよくなった、かような状況でございます。公団におきましては、三万戸程度これを供給しようという計画になっております。さらに住宅金融公庫の資金あるいは地方公共団体の資金を利用してやります公社住宅——地方住宅供給公社のやります分譲住宅というのがございます。これにつきましても、同様な傾斜の制度を四十九年度から取り入れていくということにいたしております。  さらに、これは傾斜ではございませんが、公庫の個人融資で皆さんが家をお建てになる、これは自分でお建てになる、先ほどの二例は建て売りの長期割賦でございますが、公庫の個人融資に関しましては、額が第一に十分大きくならなければいけないということがございますけれども、その支払い方につきましても、傾斜までは行きませんが、現在は元金均等償還になっております。元金均等償還というものは、先ほど申し上げました後期逓増と逆でございまして、初めに非常に高くて、あとからだんだん安くなる、こういうかっこうでございます。非常にそぐわないので、これを元利均等にいたしまして、水平にもいたしまして、さらにボーナス払いを認めるということで、やや傾斜に近い傾向を入れておりまして、今後におきましては、こういうものについても傾斜方式をさらに加味していきたい、検討したい、かようなことで、傾斜方式については方針を立てておる次第でございます。
  51. 三木忠雄

    三木忠雄君 これは個々の問題はともかくとしまして、大臣に見解を伺っておきたいのですけれども、やはり傾斜償還制度による供給公社あるいは住宅金融公庫、いま元金水平でありますけれども、やはりいまのサラリーマン階級では、平均ということになるというと非常にたいへんな問題なんですね。したがって、傾斜償還制度というのが私は一番いい方法ではないかと思うのです。この問題について、やはり供給公社あるいは住宅金融公庫等も含めて、そういう方向に早く踏み切るべきではないかと思うのです。四十九年は間に合わぬにしましても、五十年なら五十年からでも、それからそれに対する五カ年計画あるいは十カ年計画でどの程度の戸数をするかという、そういう策定案を建設省としてつくったらどうかと、これを私は提案したいのですけれども、この点についてはいかがでございますか。
  52. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 持ち家に対する住宅金融公庫の償還の問題については、いま局長から御答弁申し上げたようなことでございます。これのみならず、やはり住宅取得という問題についても、また、取得する賃貸住宅にしても、住宅問題は、入手するにも、支払いをしていくにも、家賃を払うにも、非常に大きな現在隘路に来ておることは、三木先生のお感じのとおりでございます。  そこで、これらの問題を住宅宅地審議会というのに、実は今後どういう方向をとったらいいであろうかというようなことも諮問をして、八月ごろまでには結論を出していただきたいということでやっていただいておるわけでございます。したがいまして、そういうところの家賃の関係等の結論も十分参考にした上で、いま三木先生から御提案になったような点も十分考慮して、五十年度の予算要求にあたりましては何か措置を講じなければいかぬのではないかと、こう考えておる次第でございます。
  53. 三木忠雄

    三木忠雄君 この制度は、やはり大ぜいの人からの要望といいますかね、こういう声が非常に強くなっている。三万五千、四万円の家賃を払って公団に入るのであれば、やはり自分の持ち家になるという方法を好むのは、これは当然だと思うのです。こういう姿を積極的に進めていただきたいということが私の要望です。  それからもう一つ、きょうからですか、老人住宅の募集が開始されるということですが、これは公団が初めてやった制度でありますけれども、この老人の同居住宅ですね、この問題はさらに進めていく方針だと私は思うのですが、これは非常に老人にとっては喜ばしい問題だと思うのです。これは老人の住宅対策としてさらに増加をさしていただきたいという強い要望と、今後の将来計画ですね、この老人住宅に対する将来計画は、建設省はどういうふうに考えているのか、この点について。
  54. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) 老人のいわゆる住問題、これは次第にクローズアップして大きな問題になりつつあります。老人になりますと、世帯であれ、独身であれ、やはり収入的には弱くなってきて、社会的に福祉の手を差し伸べなきゃならぬ、こういう階層になってまいります。建設省も、従来こういうところに着目いたしましていろいろとやっております、十分ではございませんが。まず老人世帯で、これは六十歳以上の御夫婦ということになるのでございましょう。こういう方々のために、所得が低い方々のために、公営住宅の範疇の中で老人向け住宅というものを、これはもう十年以上前からやっております。やり方は、三分の二補助金を入れる一番家賃の安いものでやっておりまして、その設計も、たとえばアパートであれば一階に設ける、上には設けない、あるいは各部屋の設備等も老人向きにする、こういうことでやってきております。地方公共団体が地域の行政としてそういうものの需要を把握し、フォローアップをするということを条件にやっておりますが、大体、年間千戸程度のものしかまだ進んでおりません。なかなか地方公共団体におきましても世話がたいへんだということもございましょう、民生関係との連絡の不十分さも多少あるかもしれませんけれども、しかし、私どもは、こういうものが幾ら伸びてもこれに対応していくというつもりで対処しております。それからさらに最近出てまいりますのは、いわゆるほんとうの低所得の方ではなしに、いわゆる中堅的な位置にありながら老人の問題、こういうものがありまして、一つは、先生おっしゃいましたように、公団でも考えております、あるいは公庫でも考えている、公庫でも、昨年から老人室のためには割り増し貸し付けを三十万ないし四十万円すると、こういう制度で、これは非常に人気を呼びまして、年間二万戸以上の需要をこなしております。それだけ一部屋ふえるというかっこうでございます。それから、さらに公団でございますれば、これは賃借住宅をやっておりますが、それに老人室をさらにつけた大きなものをつくると、そして優先的に入れるという制度。さらには、いわゆるスープのさめない距離、階段室でいえば同じ階段室のところに老人向けの住宅と、いわゆる若夫婦向けのやつをつくりまして同時にお入れする、こういう制度をためしに始めておるというのが実情でございます。これはいずれもためしでございますので、家賃問題その他もございまして、戸数はまだほんの数百戸の計画でございますが、そういう芽を出しておるということでございますが、私どもは、こういう公共的な住宅は、やはり福祉的な色合いの強い特殊目的的なものにだんだん指向していくべきだ、特に公営住宅はそうあるべきだというふうに思っておりまして、将来とも、そういうものの拡充、さらにこまかい配慮をした上での行政、こういうものに力を入れていきたいというふうに考えております。
  55. 三木忠雄

    三木忠雄君 これがたとえば公団では相当高いですね。こういう問題は、やはり老人問題は、御答弁のとおり、福祉的な要素が非常に強いわけですね。そうしますと、いまの三万五千、四万のこういう公団の建設では、ある意味では、親孝行したいと言ったってなかなか一緒に住むわけにもいかないような、こういう状況になるのではないかと思うのです。この建築方法をもう少し、やはり土地の問題もいろいろあると思うのですが、これを長期の形でするか、傾斜家賃制度もいろいろしいているのでしょうけれども、この対策はもう一歩手軽にできる方法を、福祉的な色合いを含めて、厚生省との関係もあると思うのですけれども、この点をもう一歩さらに拡充し、進めていくという考え方はいかがですか。
  56. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) 基本的には、いま先生おっしゃいましたように、いわゆる収入に応じた家賃、こういう体系が終局の姿だろうと思います。かように建築費が上がり、土地費が上がりまして、コストが上昇する中で、補助金は入れるといたしましても、やはりコストに基づいた家賃計算がなされるということになりますれば、収入との乖離というものは出てまいりますから、おっしゃるとおり、最終的には、いわゆる収入に応じたような家賃の取り方という制度に行きつくだろうと思います。そういうことで、大臣が先ほど申しましたように、現在鋭意その基本的な問題を扱っております。しかし、中間的にそれじゃどうするのかということでございますが、私どもは、たとえば公営住宅等におきましては、これは地方自治体が家賃減免というふうな制度を持っております。こういうものを活用いたしまして、応じたような家賃にするということは、社会的な地域の政策としても大事だろうと思います。また、私どもが、そういう金が足りないときには、地方財政の問題として考えるということも、これはいわゆる自治省、さらには厚生省、そういうふうなものとのお打ち合わせによってできる方法もあろうかと、こういうことを詰めておりますが、終局はそういうことでございますが、とりあえずのつなぎは、そういうことでいろいろと知恵を出し合って、今後とも、つなぎとしては検討していきたいと考えております。
  57. 三木忠雄

    三木忠雄君 建設大臣、これは厚生省の管轄になると思いますけれども、年金福祉事業団ですね。年金等の積み立て金が財投でいろいろ投資されているわけです。これはこのうちから四分の一は還元融資をされるという問題があります。こういう問題の資金をやはり活用して、建設省だけの縦割り行政だけでなしに、厚生省との連係というか、そういう形から、老人住宅の問題に積極的にそういう資金を投入してやっていくという考え方は、私は、一つの方法ではないかと思うのですね。年金福祉事業団の金が、ある意味では、何といいますか、あまりいい方法で活用されていないような問題点を私たちもずいぶん指摘したことありますけれども、こういう老人の住宅にこそこういう金を使うべきじゃないか、国民年金、厚生年金をかけて一生懸命やっているわけでありますから。こういう点を積極的に厚生省と話し合っていくという、こういう考え方は、いかがですか。
  58. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) たいへんいい御示唆だと思います。現在、こういう年金福祉事業団のお金は、福祉的な施設の建設にも使われております。それから住生活のほうにも最近回るようになってきております。特に年金福祉事業団では、企業を通じまして住宅の資金をお貸しをするという制度を始めました。しかし、企業がそういうものは扱わないときがあるわけです。たとえば中小企業のようなところは、力がないからそういうものは扱わないということがございます。そういうものを実は四十八年度から住宅金融公庫のほうに福祉事業団から金を受け入れまして、それを公庫が委託によってお貸しをする。そのときに、あわせて公庫の本来のものも合わせ貸しを必ずするというふうな制度をとって活用をする。そのときに老人の加算というものもついてくる、かような程度にいまとどまっております。しかし、資金量も非常に多うございますし、元来が福祉的に使うべきものでございますから、今後ともこういうものの老人その他の特殊目的なものに有利に使わしていただくということは、現在も相談中でございますし、今後とも十分詰めていきたいと考えます。
  59. 三木忠雄

    三木忠雄君 それじゃ、もうあまり時間がないようですが、土地問題を最後にちょっと伺いたいと思うんですけれども、去年の九月ごろですか、企業に対して土地の提供を建設省から話し合いをしたと思うんですね。資料を一部いただいておりますけれども、実際に出された地域というものは調整区域が主力であって、ほんとうに提供された土地が、公団で買ったのが四つですか、あるいは地方自治体が一つか二つという程度です。こういう問題を見ましても、建設省自体が、たとえば首都圏を中心とした地域にどの業界が土地を持っておるかということについての調査は、具体的にされていないと思うのですね。こういう点で、提供される土地というのは、大体使い道のないような土地を実際に提示しただけでありまして、これではやはり住宅建設は進まないんじゃないかと思うのですね、土地問題は解決しないのじゃないかと思うのです。これの具体的な単価等の問題については、私は、ここで議論をするつもりはありませんけれども、もっと積極的に住宅宅地の取得のために、この企業に対して提示を迫まるという考え方はないかどうか、この点についてお伺いしたい。
  60. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 実は、私も建設大臣になりまして、三木先生と同じような考え方をもって、まず不動産屋の持っている土地を少し出さしてどんどん住宅を建てたらいいじゃないかなんて簡単に思ったわけであります。そしたら、もうすでに、いや、それはもう金丸大臣のときに、不動産屋のほうにやかましく言うて、なかなか提供してくれないというのを押して、あれは四百二十六ヘクタールですか、放出をさせたと、こういうことで、その放出された部分が住宅には適さないじゃないかと、こんなところにはだめじゃないかと、こういう批判も私聞いたものですから、そのときに住宅公団の専門の係りの方を呼んで、地図を持ってこさして、そうしてしさいに私は私なりの知識で見てみたんです。そうしたら、そういうことはないんですね。やっぱり住宅公団としては、住宅団地として開発可能である、しかも通勤の足の問題等も考えて、十分にその点については市と協力してやっていけるという話し合いもした上での放出に応じた、こういうことでございますので、その点、三木先生も御理解いただきたいと思うわけであります。  実は不動産屋というのは、私も、根性の悪い、もうほんとう土地でぬくぬくともうける人が多いんじゃないかと、こう思って、不動産の業界のおえらい方にだいぶん来てもらってお話ししたことがあるわけです。政府土地問題で非常に苦労しておるのだから、とにかく政府の税制措置なり何なりに協力してもらいたいと、どうも不動産屋というイメージは、われわれは、何かあれしてぼろもうけするというようなイメージが抜け切れないんだと、こういうことを皆さんの前で申し上げて、まことに恐縮だがという前置きをしてやりましたところ、いや、実は不動産屋にもピンからキリまであるんだ、われわれはピンのほうなんだ、ピンのほうにはやっぱりデベロッパーとしての使命感に燃えて、数十年前から、また明治の初めから、こつこつと市街地を開発し、住宅を建てて、国民のためになるものもいるんであって、不動産の汚名をもたらしているようなのは、中にはいるかもしらぬけれども、そういうものは大いに征伐してもらってよろしいと、こういう話も実はあったわけでありまして、話がちょっと横にそれましたけれども、そういう不心得者ばかりじゃないんだなという感じで、私、建設大臣になって初めて、いろいろ話をしてみて知ったわけでございます。  先ほど来の住宅難のおりからでもございまするし、四月から新税制も、土地税制もスタートしたわけでございますので、この点は、御趣旨の線に沿って、さらに協力してもらえるような行政を進めていきたいと考えております。
  61. 三木忠雄

    三木忠雄君 この住宅宅地の供給五カ年計画、これは不動産協会との話し合いで、これだけの土地は提供できるという形になったんですか、計画局長。
  62. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) いまお話しのは、五カ年以内の計画を立てて、各団地ごとに開発可能な市街化区域の中のものは——調整地域は開発抑制されておりますから、ですから、市街化区域のものはわれわれでやりますといって、この間放出のときには、そういう要請の対象にしてこなかったわけでございますので、われわれとしましては、すみやかにこれを開発する方向で五カ年計画をつくれということを言ったわけでございます。  その中身につきましては、不動産協会を中心としまして、傘下百八十社に呼びかけまして、その資料をつくっておりまして、その一部は提出されております。ただ、その漏れがございますので、それをさらに追加するように現在調整させております。一部は届いております。
  63. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、この五カ年計画で、この土地は市街化区域の中でこれだけ放出するというんですか、そして住宅建設に土地を提供するという、こういう形の約束は建設省との間にかわされているんですか。
  64. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 早いものは三年あるいは五年以内にその計画を立てまして、その五年以内に開発するということをお約束いただいております。
  65. 三木忠雄

    三木忠雄君 そうしますと、ここにいろいろな問題点があると思いますけれども、たとえば公共・公益施設の負担割合、こういうような問題等も、いろんな条件をつけての話し合いは進んでいるんですか。
  66. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) その際の具体的な団地によって違います。ですから、一般的には、いま大臣がお答えされましたような金融の要請がございます。取得には回さないので、開発の際には、いいものについては金融について助成してほしいというような要請がございますけれども、具体的にその負担割合、つまり公共施設をどれぐらい出すというようなことにつきまして、いずれも開発許可を必要としますので、開発許可の条件のもとに現在ではやっていただいておるのでございますが、急ぐ、それから優良だと、優良なものについては、そういう急いで造成させるということになりますれば、こういう助成を特に金融という面について要望が強うございます。負担の割合は、繰り返しますけれども、それぞれの開発許可の条件によって、これぐらい緑地を出せとかいうようなことによって負担の割合はきまっていくものと考えております。
  67. 三木忠雄

    三木忠雄君 最後に、大臣に、いま地方公共団体は、どこへいっても、大体団地を建設することはあまり好まないわけですね。これはなぜかというと、やはり公共負担が非常に多いということです。この問題の隘路をどう打開するかということですね、この問題がやはり一番今後の住宅建設の大きな問題点じゃないかと思うのです。住宅はとにかく土地があったら建ててもらいたい地域はあるかもしれない。しかし、やはり公共負担が非常にその地元では負い切れないという、こういう問題をどう解決するかということ、これがやはり住宅五カ年計画を進めるとか、あるいは解決していく大きな問題点だと思うのですけれども、この問題についての大臣の見解を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  68. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) まず地方自治体の協力を求めなければならないということは、これはもう今後の住宅宅地開発等についての最大の要素であると考えております。したがいまして、まずその市町村と話し合いをする際には、そこにたとえば一万なら一万、十万なら十万の町ができて、その町が従来の市なり町にどのような関連を持ってくるのか、どのような影響を持ってくるのか、どのような利便を持ってくるのか、そこに土地をつくることによってどういう不利があるのか、そういうことをあらゆる面から検討いたしまして話し合いをする。そうして、結局、その市なら市、町なら町にそれだけの新たな市街地ができるということがその町に有利であるというような結果をつくり上げていきませんと、なかなか自治体の協力は得られないというのがもう現実でございます。  そこで、宅地開発公団を提案するにあたりまして、私どもとしましては、その地方自治体の一番苦労されておるような点を払拭できるような発想をし、対策を織り込んだ次第でございます。  まず、公共施設の面については、学校、幼稚園、公民館、そういう施設を建てる土地等は、もう公団がみずからの手でこれを造成をする。しかも、ここに建設をして、そうしてそれを自治体に引き継ぐ。引き継ぐにあたりましても、いろいろと有利な条件を、あるいは十年据え置きの三十年償還といったような形にするとか、あるいはいろいろ文部省の補助、あるいはその団地を通る農業用水でありますとか、農業排水というようなものが必要であれば、農林省からの補助金を公団が直接受けて、そうしてそういう公共事業を行なった上でその団地を完成さしてまいる。これはもちろん下水にしても、水道にしてもしかりでございます。そういうところまでつくった上で、町あるいは市に、あるいは自治体にこれを引き継いでいくという措置をとることといたす反面、また宅地開発公団だけそういうことでやったんでは、住宅公団のほうもこれまた団地をつくっていくわけでありますから、住宅公団の公共投資に対する立てかえの措置というものも、従来よりも自治体に対して手厚くなるように配慮をした予算を組んでおるわけでございます。  ただ、民間デベロッパーがつくる団地、そういうところに対する措置をどうすべきかということについての配慮というものは、これは調査費をつけまして、補助金も若干ついたのですか、これは局長から答弁させますが、そういう措置を講じまして、これは五十年度から実態に合ったような体制をとって、民間デベロッパーによって自分の市町村内に団地をつくっても、公団でつくっても、宅地開発公団でつくっても、自治体としては同じ条件で受け入れることができるような方法が望ましいという気持ちでやっていきたいと思っております。
  69. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) 公団につきましては、両公団につきましては、いま大臣のお話し申し上げたとおりでございます。残りますのは、地方公共団体、特に県の施行、それから公社の施行するもの、市町村の施行するものあるいは民間の施行するものでございます。従来、これらにつきましては五省協定と申しまして、公共施設及び学校等につきまして、その立てかえるのについて長期割賦の助成をするというような仕組みがあるわけでございますが、その範囲及びその内容を今後五省協定の改定によりまして広げていくことといたしたい。特に民間につきましてもそういう制度をより厚くかぶるように今後持っていくようにしなければ、結局、民間のほうのしわ寄せがきまして、公共のほうにしわ寄せがきまして、民間のほうがなかなかやっていただけなくなるというアンバランスが、市町村の側から見れば同じだという意味においてくるだろうという意味で、五省協定の改定の拡充につとめていきたいということでございます。  なお、ただいま大臣の申されました中で、農林省等の補助を受けてというのは、直接施行ではなくて委託を受けてというふうになりますので、それをつけ加えておきます。
  70. 片山正英

    ○副主査(片山正英君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時五十九分開会
  71. 小野明

    主査小野明君) ただいまから予算委員会第三分科会を再開いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、宮之原貞光君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  72. 小野明

    主査小野明君) 休憩前に引き続き、建設省所管質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 時間が少のうございますから私、住宅と市町村の道路の問題二つについてお尋ねしたいと思います。  最初に道路局長他の委員会においでのようですから住宅問題でお尋ねしたいと思います。  昭和四十八年度の住宅建設計画というものは御決定になり、それに基づいていろいろと御苦労をいただき、工事の促進をしていただいていると思いますが、私ども見ておりまして、最近の非常に物価が高くなったとか資材が不足とかいうことで、なかなか公団住宅にしましても、公営住宅にしても土地の取得にまず困る。資材の高騰によってなかなか予定どおりの工事が進んでいかないという現実を見ておるわけでありますが、現在、一番最近のところで計画に対して実施されました工事はどうなっておるか、この進捗状況をひとつ説明していただきたいんです。
  74. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) 先生御指摘のように、この近年、四十六年度まではこの計画が大体順調にいっておったわけでございますが、四十七年度、四十八年度に至りまして非常に公共住宅を中心に難渋をしております。民間住宅のほうは金融緩和等によりまして四十七年度は延びましたけれども、四十七年度におきましていわゆる地方公共団体の財政負担の問題、あるいは人口抑制の問題、土地問題が基本でございますが、そういう問題でいわゆる団地拒否、お断わり、こういう問題が出て、実は四十七年度あたりから御指摘の公団住宅、公営住宅というものが難渋をし始めたわけでございますが、四十八年度に至りまして、その上にただいま先生おっしゃいましたようないわゆる物価高騰問題、建設費高騰問題によりまして非常な痛手を受けておるというのが実情でございまして、四十八年度の公営住宅計画は当初予算では十二万四千戸でございました。ところがそういうふうに施工能力が落ちてきたということとあわせていわゆるコストアップ、単価アップが非常に激しゅうございまして、これの手当てをする、この二つの事項から十二万四千戸が十万八千戸程度に計画戸数が減らざるを得ないというようなことになりました。この十万八千戸のうちで年度末までに私どもが目標といたしました発注戸数は九万戸というふうに勘定をしております。まだ締めておりませんけれども、大体二月末の状況を見ますと六万とか七万とか出ておりまして三月末で締めればややこれに近い数になろうかというふうな全国的な進みぐあいになっている次第でございます。したがいまして、十万八千戸から九万戸を引きました一万八千戸程度のものが四十九年度に繰り込んでいく、かような状況が公営住宅の状況でございます。  同様な事情が公団住宅にもございます。公団住宅は八万戸という計画戸数でございます。これがやはり事業の難航とコストアップということのために戸数が減りまして、計画月数が最終的にはおそらく五万九千戸になろうかと思います。しかしこれの進みぐあいでございますが、私どもは年度内に四万八千戸程度これを発注し終えるというふうなつもりでございますが、現在のところでは二月末現在ではそれよりもだいぶ低い数字でございます。したがいまして、四万八千こなし切れずさらに数千戸が残っていくというようなのが現状でございまして、したがっていわゆる五万九千戸から四万八千戸で一万一千戸繰り込んでいく予定のものがそれより多少オーバーするという現実の状況に立ち至っておる次第でございます。  以上でございます。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、四十九年度に繰り越していくことになるわけですね。——四十九年度の住宅建設計画というものはもうすでに御決定ですか。そうすると、その繰り越していく分はプラスアルファとしてふえていくわけですけれども、数だけふやしても実際に四十九年度それがやり得るかどうかという見通しの問題ですけれども、その辺をどう考えておられるのか、四十九年との関係ですね。
  76. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) 私ども四十九年度の予算を組みます際に、もちろん五カ年計画の達成ということも大前提でございますが、事業体のいわゆる消化能力というものを一番先に考えました。その場合に、たとえば公営住宅を全国でやっておりますが、四十八年度は十二万四千戸と組みましたけれども、一体能力はどのくらいなのかと各個のヒヤリングを全部やりました。そして積み上げましたものが、大体これから能力が伸びるとしても十一万戸台だろう、こういうふうに考えました。そこで背伸びをしても十一万戸だろう。そこで私どもは、先ほど繰り込んできました一万八千戸程度のものを引きまして九万五千戸というものを四十九年度の予算に計上をした。したがいまして、予算的には九万五千戸でございまして、十二万四千戸よりも非常に落ちておりますけれども、しかし、こういう繰り込んできたものを入れますとやはり十一万以上のものをこなさなければいけない、かようなかっこうになっております。  公団住宅についても同様の考え方をいたしました。先ほどいいました一万一千戸ないしは五千戸程度のものが繰り込んでまいります。そうしますと、予算では七万戸を組んでございます。足したものが八万から九万の間になるわけでございますが、そのくらいが公団の消化能力の限度だろうということで組んだわけでございまして、先生御指摘のように、数だけ云々してもだめだということで消化できる戸数を組んだということでございまして、ただ、これを組んだからには今度はほんとうにこれを消化しなければいけないということでございまして、新しい予算案におきましては、単価をとにかくアップする。資材問題がございますから、建設費問題がありますから単価をアップする。実は四十七年度におきましては、合計で三五ないし六%平均で当初よりも単価を上げておるわけでございますが、今度の予算ではさらに上げまして、四十八年度の予算の四五%強、この程度のものを公営住宅等で予算を組んでおります。昨年一年を通じまして見ますと、ものによって違いますが、やはり三五%平均程度の値上がりが積算上出てまいります。しかし、それにまだ来年度、多少平年度程度のものは数%上がるだろうということで、超過負担も解消した上で四五%にしたわけでございますが、したがって、少し物価が鎮静してきて入札もだんだん行なわれるようになってきました、こういう状態で平準化してまいりますれば、通常ベースの値上がり程度に戻れば私どもはこの入札は全部今度の単価でできるというところまで五割近く上げたというのが一つでございます。  さらには公共住宅が小さいというふうなことで公共団体にいやがられる、入居者にいわゆるいやがられるという面もございますので面積もふやしてございます。いままで二室住宅が大部分でございましたものを三室住宅を中心にして、半分以上三室住宅にできる、かような予算を組みまして、戸数は減になりましたが公営住宅予算は二〇%増ということで、完全に実施できるというベースで九万五千戸を組んだ、公団も同様七万戸を組んだ、こういうふうな考え方で四十八と四十九の関連で四十九年度の計画案をお出ししておるわけでございます。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 当初四十八年度の計画が十二万四千戸だったわけですが、これを中途におきまして十万八千戸に変えたわけですね。そうすると、十二万四千戸から十万八千戸の差というものは全体の五カ年計画の中ではどこかでこれはやらなければならぬわけでしょう。五カ年計画の中では全体の計画を消化する、こういう方針だと思いますがね。  そこでまず問題になるのは土地だと思いますよ。この土地の取得について事前に相当な配意をして先取りしておきませんとやっぱり問題が解決しないように思うんですね。そこのところの土地取得に対する対策というのは、どうなんでしょうね、その辺のまず土地を見つけるということに対しては、建設省ではどういう方法でやっておられるんですか。
  78. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) お説のとおり下物、いわゆる土地の問題が非常に大きいところだと思います。先ほど上物の工事費の問題はかなり手当てをいたしましたが、土地の問題はまだまだ残ると思います。基本的には、こういうふうに大都市中心で建設がダウンをしておる。東京都などは一万九千戸というものに対しましておそらく数千戸しかできないだろう、三千戸程度のものになるだろうと、四十八年度は思われておりますのも、やはり下物の問題でございます。そこで基本的には、やはりこの四十七、四十八に押し寄せましたこの事態をはね返すには、やっぱり抜本的な土地の問題の扱いをしなきゃいけない。そこで、公営住宅だけではございませんで、土地問題全体の問題として、住宅の下物の問題として、わが省といたしましてはいろいろと考えておりまして、その中の一つは、やはり土地規制に関するような法律をお願いしております。さらには、関連公共公益施設の補助体制の問題、あるいは宅地開発公団を設立いたしまして、そこでいわゆる戸建ての宅地も造出をいたしますが、公共用のあるいは共同住宅用の敷地も同時に出すというふうな基本的な手は打っておるわけでございますが、こういうふうな、もちろんこれは法律が通ってからでございますが、ただそういう基本的なことは、やっぱり年限がかかりますので、この五カ年計画には間に合わないかもしれない。そこで私どもは緊急にもいろいろと手を打っております。それはたとえば、いわゆる都市の中の空閑地、こういうのがありますれば、いま公園になるということが非常に多うございますが、そういうところに公共住宅を建てて、そこにまわりの住宅、老朽住宅に入っておる人、木賃の人を入れまして、そしてそのあいた木賃を取りくずして公園にしていくいわゆるころがし方式、こういうものを今度の予算の中には組み込んでおります。すなわち都市内の空閑地の利用あるいはAB農地の活用、こういうことも非常に進めております。そういうふうな、あるいは国公有地の活用、こういうふうなことでつないでいって、将来の基本計画につなごうということで、AB農地の促進あるいはころがし計画の推進、木造公営住宅の建てかえ、こういうことを軸に、東京都、大阪府等の大都市における土地の問題というものを基本的にあるいは短期的につないでいこうと、かように考えておる次第でございます。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 どうも四十九年度に建設を予定している公営公団住宅、さっきちょっと聞きましたけど、公営のほうが、二月末現在で、発注できるのが九万幾らと言いましたね、九万五千……。
  80. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) いやそれは年度末でです。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 二月末発注で……。
  82. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) 二月末で七万戸程度でございます。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 さっきあなた二月末という予想で言ったんだが……。
  84. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) そうでしたか。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 ええ二月末と言った、それから公団のほうも二月末と言った……。
  86. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) あとで訂正いたします。
  87. 鈴木強

    鈴木強君 だからそこのところをもう一回はっきり、四十九年度に四十八年度から繰り越すものと、四十九年度に計画をしているものとを合わせて実際に幾らになるか、公営住宅と公団住宅との戸数をちょっともう一回言ってくれませんか。
  88. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) ちょっと不明瞭だったと思います。  もう一回言い直しますと、四十九年二月末での公営住宅の発注戸数は、六万七千戸弱でございます。したがいまして、三月末ではおそらく九万戸近くなっているだろう、入札が大体二月あたりから落ち始めましたから、なるだろうという予想でございます。したがって、九万戸というものが発注されれば、十万八千戸からの残り一万八千戸というものが、次の年度に繰り込んでまいります。そこで九万五千戸と一万八千戸とを足しますと、四十九年度の実際事業は十一万三千戸程度になると、かような次第でございます。  公団につきましては、二月末ではまだ非常に成績が悪うございまして、一万二千戸程度の発注でございます。したがいまして、四万八千戸程度のものを年度内に発注するという計画がおそらくまた一万戸ぐらい足りない三万戸台に終わるんではないかと思います。したがって、当初五万九千戸から四万八千戸を引いた一万一千戸が繰り込んでいくと予想されましたが、さらにこの上に一万戸ぐらいつけ加わったものが加わっていくということでございまして、二万戸程度繰り込んでいくということでございまして、七万戸という予算に対しまして、実質的に来年度やります事業は九万戸程度になろう、かように公団のほうが公営よりもややおくれておると、これは大都市中心でございますから、かような状況でございます。
  89. 鈴木強

    鈴木強君 それで現状ですね、いま四十九年度に計画をしておる公営住宅十一万三千戸ですね、繰り越しを入れてね。それから公団住宅九五尺この九万戸の必要な所要土地ですね、土地のうちで現実にもうだいじょうぶだと、いつでも建てられるというような土地が取得してあると、そういうようなものは何戸分くらいあるか、両方とも。その点はどうなんですか。いままで全然土地の取得に対しては手を打っていないとは言わないんですけど、打っているんでしょうけど、なかなか土地のいいところがない、特に都会地、都心部はそうでしょうね。だけど現実にどのくらいのものが、もうすぐ建てられるようになっているのか、その土地の取得の状況をちょっと説明してください。
  90. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) こまかい資料は持ち合わせておりませんが、私が把握しておる状況では、たとえば公営住宅につきましては、これはいなかも大都会も含まれております。したがって、いなかのほうの土地取得が容易なところでは、四十九年度になってから調達を十分するというところは相当ございます。  そこで問題は、たとえば東京都に例をとってみますと、東京都もほんとうは事前からいろいろと手を打って、土地を買ったり区画整理で生み出したりしております。そういうことで実は東京都は来年一万戸と称しておりますけれども、一万戸を越す数万戸分の実際の土地は持っておるわけでございます。持っておるが、そこにうちが建たないということでございます。それはどういうわけかといいますと、たとえば、足立区等に建てようといたしますれば、公団と同じような団地拒否の問題が起こりまして、足立区といたしましては、そういう団地をあんまり建てられると、人口がふえてあるいは関連公共公益施設のメリットが薄まる、あるいはまわりの住民がいわゆる日照問題とか、そういう問題があるからきてもらっちゃ困る、こういうふうなことでなかなか話がつかないということが一つございます。  さらに立川とかあっちのほうへいきましても、今度は学校が足りないとか、そういうことで全部東京都に持ってもらいたいというふうなことから、なかなか話が進まない、かような状況で、この一年間分のものは東京都も持っております。しかし、現実にはそれをなしくずしに折衝しておるわけでございまして、その中には数年前から折衝しておるものもございまして、現在の東京都の状況は土地が買えなくて、土地がなくてうちが建たないんじゃなしに、むしろそういう別の社会問題これによってストップをしておる。そこで東京都につきましては、先ほど言いましたころがしとか、いわゆるまわりをよくしながらうちを建てていくと、こういうことを編み出したわけでございます。さらにはそういうものは正式に伸びていけば、再開発ということにつながるわけでございますが、さような状態でございます。  公団におきましても、一年分以上の戸数の乗っかる下地は持っております。しかし、やはりそれも同じような事態で地方公共団体のオーケーがなければそこへ住宅計画も立てもできません。したがいまして、そういう折衝は逐次やっておるということでございます。したがって、全部が持っておりますけれども、そういうものを全部勘案して、新しい団地を買うことも考慮をいたしまして、先ほどの計画戸数はこれは何とかこなすと、もちろんその中には折衝がまだ残っているものもだいぶございますけれど、そういうことに努力をしていくという予算を組んだ次第でございます。
  91. 鈴木強

    鈴木強君 そういう事情にもしあるとすれば、公営住宅の場合は公団よりもなおむずかしい点があるかもしれませんね。しかし、土地はあるんだが、実際にはその土地に建てられないんだという、そういうことであれば、もっと土地を有効に使えるためのいろんな住民との接触なりコンタクトを十分やっていただいて、理解と納得を得るような形にしなきゃいけないんじゃないですか。要するに拒否反応を示すということは、もちろんそこにたくさんの団地ができて、道路から下水から学校から、いろんなものが地方自治体にしわ寄せになってまいりますからね。ですから、どうかするといやだというところもあるかもしれません。しかし、現実住宅が足りないわけですから、その住宅をどこかへ建てなきゃならない。したがって、もし現状の形が、そういう地方自治体に対して圧迫を加えるならば、その圧迫を加えるものに対して、国が何らかの措置をその地方自治体にしてあげるということを、まず考えるべきですよ。  公団の場合でもそうでしょう。確かに大きな団地を持ってこられて——私ども回ってみて、いろいろ、どうにも、受け入れたいんだけれど、地方財政貧困のところでは、いま申し上げたような、地方自治体の財政不如意のところへ持ってこられてとても困るんだという、そういう苦情は聞きますよね。そこいらをもう一度根本的に考え直さないといけないと思うんですよ。だから、住宅公団ができて、いろいろと今日まで御苦労されて、かなり順調に進んできたんだけど、その過程におきましてもいろいろと運営については問題がありましたよ、これは。共益金の問題とか、いろんな問題家賃の問題とかありましたけれど、まあまあ家を建てることについては、いろんな地方自治体などの不満はあっても、きたわけですね。ところが、いまの段階は一つの転機にきていると私は思うんですよ。せっかくあなた方が国費を使って、建てる計画を立てて、国会の承認を得てそうしてやってみても、現実には四十八年度のように、全くその計画計画にならないじゃないですか、これは。これじゃ相すまぬじゃないですか。ですから、そういうことを四十九年度に新しく計画を立てるときにも、反省すべき点は反省をし、是正すべき点は是正をして、そうして四十九年度は必ずこれが実行できるんだという、やっぱり自信と確信のあるものじゃないといかぬのですけれども、そうは言っても、もちろん客観情勢がいろんな不利な条件があるわけですから——これはわれわれもわかりますよ、だけど、そういうネックになるものがはっきりしたならば、それに対する対応策というのはぴしっと立てて置くべきだと私は思うんですが、そういう点に対する見解はありますか、何か考えが。
  92. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) いま、二つの点を御指摘になったと思います。  一つは、公営住宅で、特に東京都のような大都市地域における公営住宅のような話、もちろん公団も入りますけれども、いわゆる既成市街地の中にどうやって住宅を入れていくかと、こういうときに、私どもは先ほど申しましたように、そこに人口がふえるということがまず一つの問題でございます。もちろんそれに手当てを十分すればできるわけでございましょうが、それは再開発につながるということで、長期目標になります。  そこで、ころがし方式と申しました方式は、あいた工場跡地なり、あるいは研究学園都市の跡地なり、こういうものがありますれば、もちろん公園にするものもありましょうが、その中を使わしていただいて、ここに公営住宅なり公団住宅を、質のいいものを環境よく建てる。そこで、回りの不良住宅から優先的にその中へ入れていく、その跡を公園にすると、いわゆるあき地をころがしていくわけでございまして、いま大都会のいわゆる住宅難というものは、数の問題もさることながら、いわゆる木賃が東京で八十万あるとか、そういうふうなことが現実住宅問題でございます。したがって、地域の人口をふやさずに、環境をよくしながら、そういう新しい公共住宅を充足していくという方向に向かわなきゃいけない、かようなことで、今度の予算でこういう跡地の買い取りとか、そういう補助を入れて、そういう事業が動き出すように、現在東京、大阪で、すでに予算成立前にそういう調査なり計画なりを始めております。  もう一つは、いわゆる新開発の場合でございまして、これは先生御指摘のように、おもに公団がぶつかった問題でございます。これはやはり、反省してみますと、住宅団地をつくるということだけではなかなか問題が今後は進まない。そこで住宅市街地というものを形成する。形成して、環境がいいところに住宅にふさわしいかっこうでつくっていく、各種の施設も全部やっていく、そういうことで、実は住宅公団に対しましても、関連公共施設の費用の立てかえとか、あるいはそういういろいろな手法がございまして、これを強化いたしまして、しかし基本的には、やはりもっと大規模なスケールのものが要るということで、実は宅地開発公団、これは計画局の所管でございますけれども、そういう案が出ておるわけで、この宅地開発公団は、都市近郊で住宅市街地を、ニュータウンをつくっていくということでございます。それの中に盛り込まれた手法は、関連公共に対します直接施行、道路河川、その他街路、そういうふうなものを公団が補助金を受けて直接施行するというふうな話、それからそれを地元公共団体に引き継ぐ場合に、十年間は無利子据え置きということで、財政負担を軽減する、かような方法をまあ二つの軸にして突破しよう、かようなことでございまして、そのあとのほうで申しましたいわゆる十年据え置きのような話は、住宅公団にも同様な手法を四十九年度から入れられると、かような案をお出しをしておる次第でございます。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 一つの転機に立って、それに適応する施策を打ち出すということは、これは当然なことだと思うんですが……。それで、民間の住民の自力によって建設をする住宅ですね、こういったものを含めまして、五カ年計画が終わった段階で、なおかつ、日本の住宅不足というものはどのくらいになるか、推定の数字はありますか。
  94. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) 五カ年計画は四十六年から五十年までの五カ年でございますが、これを当初策定するときには、その終わった時点におきましては、いわゆるその水準での住宅不足というものは一応ないと、その時点におきましては、瞬間におきましては——こういうかっこうになってございます。すなわち、ある一定水準の住宅に皆さんがお住みになっておる、こういうかっこうになります。しかしこういうことをやっている間にも、皆さん方の水準向上に対する意欲というふうなものが大きくなりまして、たとえば木賃住宅のようなものも、数からだけいきますれば住宅でございますが、そういう一ものが東京都に八十万あったんではまだこれはだめだというふうなことで、やっぱり質の問題に移行しております。  したがいまして、今度、次の五カ年計画のときには水準を上げます、上げた水準の住居を確保するという計画を立てますので、ただいま住宅統計調査の結果の速報は出ておりますが、あれの詳細が出てまいりますと、どういう水準のうちがどれだけ世の中にあるかということがわかりますから、その中から、いわゆる上がった水準以下のものは、これはやっぱり建てかえなきゃいけないというふうなことで、新しい需要が起きてくる、これが一つでございます。もう一つは、やはり日本の人口増、あるいは世帯増、そういうふうなものがそれから以後起きてまいります。その次の五カ年間に起きてまいります。こういうものを合わせて、次の五カ年計画住宅需要というのはそういうものだと、かようなかっこうになります。  いずれにいたしましても、実際の住宅の水準のアップよりも、皆さん方の所得、あるいはこれに応じます住居に対する欲望、希望といいますか、こういうものの水準が上がってまいりますから、何といいましても今度の五カ年計画よりも、さらにいろいろな、数の面でも質の面でも要求が出てきて、そういう計画になろうかと思います。  一応、昭和六十年時点までには、四十五年からですか、いわゆる三千万戸というふうな予測は出ておりますが、これは非常に大ワクでございまして、五カ年をやる、それをまた五カ年ごとに区切っていくわけでございまして、その五カ年の次の五カ年は五十一年からでございますけれども、その時点におきましては、私の申し上げたようなことで、その計画がきまっていくということになります。
  95. 鈴木強

    鈴木強君 それは概要であって、私が聞いているのは、五十年に終わるこの五カ年計画の時点に立てば、もう不足はなくなるという、あなたの、こういう考え方ですね。しかし、その後の人口増や、あるいは世帯増、その他の質的な改良等によってまた需要がふえてくるだろうと、それはわかりましたが、要するに、五十一年から、その次に五カ年計画を立てる方針でしょう、さらに。その場合に、いま建設省が推定をしておるこういった条件の中で、どのくらいの家が必要になってくるのかという、そういう、大ざっぱであっても推計した数字というものは、まだ発表できないんですか。
  96. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) それは、次の五カ年計画は五十一年でございますから、いま、四十八年度にやりました住宅統計調査、この結果を分析いたしまして作業に入るわけでございまして、まだ、私ども作業に入っておりません。しかし、この住宅統計調査の速報だけで見ておりましても、住宅数が世帯数を百数十万オーバーしたという事態が出ております。したがって、いわゆる住宅がないということでの不足はなくなって、先ほど私の言いました水準アップの問題が、性格的には前の五カ年計画よりは違った要素として入ってくる、かように考えますが、それの数量は、やはり今度の住宅統計調査がこの秋に出ますので、それ以後でないと正確な数字は出てこない。ただし、やはり投資額からいいましても、住宅の現状、日本の現状から見まして、今回の五カ年計画以上のものを組まなければいけないというふうなことだけは言えるのではないかと思います。
  97. 鈴木強

    鈴木強君 五十年ですから明年一年あるわけですけれども、ちょっと私はお役所の仕事というのは、何というのかな、もう少し前進性というものがほしいですね。ですから、まだまるっ切り、五十一年以降の計画について速報程度で見ればというふうな話でなくて、やっぱりいまあなたが、局長の言われたようなそういう基礎条件というものを考えた場合に、一体どうなるかぐらいの推計数字というのは持っているべきじゃないかと思うのですよ。これは、仕事が忙しくてできないのかどうかしりませんけれども、コンピューターの時代ですから、やっぱりもう少し統計的にもしっかりしたものを持って、そしていまから対策を立てていくというようなことをぜひしてほしいという、これは私の希望ですよ。日本の場合には、どうも調査資料なんかも古いものしか出てこないですね。一番新しいものといっても、何か三カ月くらい前のものを持ってきてここでいつもやられているわけですよ。ですから、そういう調査研究、これは予測ですからなかなかむずかしいと思いますけれども、しかし、そういう需要予測というものを絶えずつかんでおくということが必要じゃないでしょうか。
  98. 沢田光英

    政府委員(沢田光英君) まさにそういう長期展望が必要だろうということでございます。私どもさっきちょっと申しましたように、昭和六十年までに、四十五年から六十年までに所要の住宅がどのくらいかというものを、出発時点、あるいは最近もチェックをしております。これによりますと、私どものいまの推計では三千五尺この十五年間に三千万戸ということが出てまいります。ただし、最近のいわゆる大都市からの地方分散とか、そういうふうな社会的要請が非常に違ってまいりますと、またそれが違ってまいります。東京の人たちがいなかへ移れば、それだけ地方のほうに建てなければいけないというふうなかっこうにもなります。そういうことで、その程度の概算はやっておりますが、これはオーソライズされたものではございませんで、やはり生産は五カ年計画を単位にやっていかなければいけないというふうなかっこうでございます。
  99. 鈴木強

    鈴木強君 大臣に最後に御所見を承りたいのですけれども、日本住宅公団というものが発足をして今日まで、歴史の中でそれはそれなりの成果をおさめていると思います。ただ、何といいますか、去年、おととしあたりの委員会でも若干論議になったのですけれども、多少官僚化したような形に住宅公団というものが運営の中でなっているのじゃないかという心配をするわけです。要するに、おれたちはあなたたちを、住宅をつくって入れてやっているのだという意識が運営の衝に当たる人たちの頭の中にどこかにあるのじゃないかという、そういう懸念を皆しているのです。それが自治会あたりの運営の中で、ああしてほしい、こうしてほしいとかというようないろいろな要望が出てきますね。それを受けて公団側が折衝に入る、そういう中で、非常にトラブルが起きる場合もあります。私たちも中に入ったこともございますが、そういうときにうかがい知れる片りんの中に、そういったいわゆる官僚的というと語弊があるかもしれませんが、そういう意識というものが動くようなことを私たちは感ずるわけです。これはたいへんな間違いでして、やはり公団設立の趣旨にのっとって、あくまでも公団というものの運営に当たってもらいたいという願いがあるわけですよ。  その点と、それからもう一つは、民間の方々が建っていく自力による住宅というものと、それから公営、公団というものと三つでやっているわけでしょうけれども、その際に、民間の場合ですと自分で土地を見つけて住宅ローンなりあるいは借金するなり、まあ資金調達をしてそうして土地を買い建設しているわけですね。それはそれなりにまた個々人の力でやっていけばいいのですけれども、しかしそれにたよれない、それでいけない層があるわけですから、そういう層のためにこそ公営とか公団住宅というものが必要になってくるのでありまして、この公団・公営住宅の運営はそういうふうにしていただくことにして、質的な問題についてもやっぱりもう少し、二DKとかというような狭いものではもういまはなかなかなじまなくなっておるわけですから、さっきの局長のお話しのような量的な問題もそうでしょうけれども、むしろ質的な内容の問題についての拡充強化といいますか、改善といいますか、そういうものにやっぱり力を入れて、できるだけ安い家賃と、こうなるわけですね。高い家賃を取られたのじゃ、自分でつくれない人たちが入れてもらおうというようなそういう気持ちなんですから、やっぱり困るわけですからね。家賃の問題も最近はかなり高いものになっておりますから、なかなかこれは簡単には入れない、それから制限がありますし、そういう点も十分配慮していただいて、何といったって衣食住の住がたいへんなことですから、ひとつそういう意味において、今後の建設計画については今日までの歴史的な経過とその中におけるいろいろな問題点をひとつ摘出していただいて、それで解決すべき点は解決をして、新しいまた方向にここでステップを切っていくというようなそういう考え方で、今後この住宅問題にぜひ取っ組んでいただきたい、こう私は思うのですが、そのためには必要な法律をつくらなければなりませんでしょうし、いろいろな制度の改革もやらなくちゃなりませんでしょう。日本列島改造論じゃないですけれども、そういうものとの関連で土地問題等もたいへんこれは値上がりしていることも事実ですから、そういう点も踏まえて、ひとつ今後の住宅政策に対する大臣の所感を伺いたいと思うのですが。
  100. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 鈴木先生の御指摘、まことにそのとおりでございまして、実は私どもも四十九年度の公営住宅並びに公団住宅予算編成にあたりましても、御指摘いただきましたような趣旨をできるだけ盛りたいということで、ただいままで局長から答弁申し上げたような線に努力しながら、四十九年度の質の向上というような措置をとったわけでございます。ここでまことに残念なのは、戸数が政府が公営住宅をもっと消化してもらえるのじゃないかということで希望した各自治体から、特に三大都市圏等において思うとおりに消化していただけなかったということ、なぜ消化してもらえないかという面についての反省、それも取り入れて四十九年度の予算編成をいたしたということでございます。  さらに、長期的に見てまいりますと、何といってもやはり土地問題というところに返ってくるわけであります。家賃の問題も、建設が思うとおりにいかないという問題も、もちろん資材の高騰という問題もありますけれども、それをこえて土地の異常なる暴騰というものが住宅建設に際しての何よりの障害になっておるということは、もう御指摘のとおりでございます。この問題につきましても、できるだけ早く土地規制の問題という法的な根拠を私ども行政に与えていただくとともに、われわれとしても、ただいま御指摘いただいたような線を十分織り込んで住宅政策の万全を期していきたいと考えておるわけでございます。と同時に、今年の秋、総理府の住宅統計調査というものの結果が出てまいります。それと、さらに住宅宅地審議会のほうにも、いろいろ家賃制度のあり方でありますとか等の諮問をして御検討をいただいております。これが、やはり秋近く結論が出していただけると思いますので、その線等も十分参考にいたしまして、次の段階の住宅政策に対処する考え方をきめていきたいと、このように考えておる次第でございます。
  101. 鈴木強

    鈴木強君 私は、もう少し日本住宅公団の今後の建設計画とそれから既設の建物ですね、こういう問題を、民間に払い下げていくとか、いろいろな方法があると思うのでございますが、そういうことについてちょっと承わりたかったのですが、時間がもうなくなりましたから……。  大臣、あれですか、すでにいま住まっておる、各種の日本住宅公団に住まっている家賃については今年度は値上げしないという、そういうことをたしかおっしゃっていたと思うのですけれども、その点は間違いないですね、日本住宅公団の家賃については今年度は値上げしないということは。
  102. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 先ほども申し上げましたように、今後の家賃の問題という点をどうすべきかということを諮問しておりますし、そういう結論も聞いてからということにいたしたいということで、四十九年度は家賃はそのまま据え置いていきたいと考えております。
  103. 鈴木強

    鈴木強君 それでは道路局長にお尋ねしますが、実は全国に市町村なんかにある道路で国の補助がもらえない道路がたくさんございますが、特にそういう道路の中で、僻地に参りますと落石があったり、あるいはちょっと雨が降りますと地質がゆるんで崩壊するとか、そういう危険な個所がかなりあるんですね。  実は私も新聞でちょっとびっくりしたんですけれども、せんだって山梨県の早川町というところで二十九歳になる会社員が落石事故のためになくなられたわけですね。首の骨を折ってなくなられた、こういう気の毒な不幸な事件が起きまして、おとうさんの貫次さんという方が落石は道路管理者である町の責任だということで、昭和四十七年の五月に起きた事件ですが、その六月に甲府地方裁判所の鰍沢支部に総額二千万円の損害賠償請求の訴訟を起こしました。ところがせんだってその訴訟が訴えが認められまして、総額千四百八十万円の賠償金を支払うようにという命令が出たんです。これは控訴するかしないかは町でいまやっておるわけですが、こういう事件が起きまして、結局過疎に苦しむ町財政からこの賠償金を払わなければならないというようなことになりまして、ほんとうに僻地のこういう市町村は危険個所に対する防災対策といいますか防護対策というか、そういうものが地方財政でなかなかうまく進まないためにこのような事件がまた起きてくるんではないだろうか、こういう心配をしているわけですね。ちょっと私、前に局長のほうに写真を差し上げておきましたけれども、その写真にあります中富町という町の、これは前は国道五十二号線が通っておったのですが、今度そこのところが新しく早川町ができましたから町道になっているんですね。町道の飯富——曙線というのでございますがね、旧早川橋からちょっと入ったところですけれども、そこはもう心臓部でございまして、その曙の旧部落に入っていく人たちは全部そこを通らなければならぬのです。ところが写真にありますような、ちょっと雨が降りますと、雨が降らなくても石がごろごろころがってきて、でかい石が道一ぱいになってしまうんですね。そこは今度は曙という中学校が廃止されまして飯富のほうに中学校が行ったものですから通学路にもなるわけですね、非常に心配をしているわけです。  これは一つの例でございますけれども、そういうような問題があるのですけれども、これは国としても若干のこういう危険個所の防護対策といいますか、そういうものに対して財政的な援助はいましておるのでございましょうか。全国的にこういったふうなものを建設省が把握されておるとすれば、全国的にどのくらいの市町村道の中に危険な個所があるか、そしてその危険個所に対して実際に防護策というものがどういうふうにやられておるか、そういうような概況をつかんでおりましたら最初に承りたいんですが。
  104. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ただいま先生からいろいろと問題点の御指摘がございました。第一に、こういう市町村道等のこういう危険な場所というものが全国でどのぐらいあるのかという問題それから第二番目が、そういう場合に国の援助をどうするのかということの問題と思いますが、この危険個所につきましては、実はこれは市町村道でございますと、市町村道自身が実は全国で八十六万キロございます。そういたしますと、その八十六万キロのうちには交通の通れない市町村道、車の通れない市町村道もたくさんございます。そこで、その市町村道全体についての危険個所ということになりますと、これはまだ改良前でございますので、これはまあ相当きりがないわけでございますが、たとえば自動車の通れるようなところ、こういうところで、自動車が通っておるところで危険個所がどのぐらいあるだろうかということで調べてみたのがございます。  これは実は昭和四十六年度に全国国府県道、市町村道ひっくるめまして危険な個所を総点検いたしました。そのときの市町村道の危険個所の数でございますが、当時は市町村道は全国で約二万カ所ぐらいあるであろう。それでその後これは四十七年度と八年度で約三千六百カ所くらいは手当てをいたしております。したがいまして、あと残りが本来ならば一万四千カ所くらいが計算上は残るわけでございますが、その後また落石等の事故がほかでございまして、さらにもう一回点検のやり直しをしようということで四十八年度にやり直しをいたしました。その結果また少しふえまして一万九千七百カ所というのが現在市町村道で危険の個所ということになっております。ただこれは一万九千カ所というと非常に多いようでございますけれども、同じ危険個所と申しましても、国道等のように何万台も通っている個所、それから市町村道で交通の非常に少ない個所というのもございますので、同じ危険個所一カ所でも差はございますけれども、構造的にやはり危険で手当てをしなければならない個所というのはそのぐらいございます。  それから第二点の国の援助をどうかという問題でございます。これはもうできるだけそういう危険な個所は早急に解消すべきであるということで、今度の五カ年計画におきましてもそういう危険な個所については早く整備をしたい。それでこれはのり面でございますので、当然道路の改良もやりながらのり面の手当てもするということで、市町村道の場合は改良と同時にやるのが通常でございます。のり面だけやりましても、また将来道路を広げるときにそれが全部むだになりますので、そういう個所をなるべく早く改良とあわせてのり面の手当てをするということでございます。しかしそれでもなおまだ当分やる計画にないし、非常に危険な場所というのは特にまた別途単独事業あるいはその他でのり面だけの手当てをしている例もございます。先ほどの一番最後に質問のございました中富町のところは……
  105. 鈴木強

    鈴木強君 三石というところ。
  106. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) はい、三石、そこはまだ改良工事はやらずに、のり面の手当てだけ早急にやるというところでのり面の手当てをやったところでございます。何かその後ちょっと石が落ちてまいりまして防護した網がこわれたようでございますけれども、そういう場所については早急にまたそれを直すというようなことで、改良と組まずにやった場所もあるわけでございます。
  107. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろ御配意いただいてありがとうございましたが、たとえばこれは具体的な例として三石があがっているわけですが、そういうところがおそらくたくさんあると思うのですね。そこは唯一の国道から入っていく道でございますから、どうしてもそこを全町民が通るということになりまして、特に中学校の子供たちの最近は通学路になるというようなこともありまして、実際に大臣ごらんくださったですか、その写真を。
  108. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 拝見しました。
  109. 鈴木強

    鈴木強君 ひどいものでしょう。石がああいうふうにごろごろと落ちてくるわけでして、先だって私もちょっと通ってみたんですけれどもほんとうにこうやって神に祈るような気持ちで、どうか石がころがってきませんようにというような、そんな気持ちでそこを通らざるを得ないのでしてね、何とかこれに対して具体的な対策が立たないだろうかというのが地元の願いですね。これはおそらく全国的にそういうことがたくさんあると思うのです。ですから、そういう重点的にひとつ危険個所を選択していただいて、そうして直ちに手を打つべきところ、若干余裕を置いてやるとか、A、B、Cくらいに分けてもけっこうですから、そういうことをひとつ建設省としてもリーダーシップをとっていただいて、そうしてできるだけ市町村の財政負担についてもこういう危険個所については援助してやると、災害でも来ましてそこがぐわっとやったときには、これはひとつの災害対策としての国の援助がいくわけですけれども、そうでない普通の場合にはなかなか金がもらえない。しかも中富町にしても、問題になっておる早川町にいたしましても全くの過疎地帯でございまして、町財政ではどうにもならぬというところに追い込まれているわけですから、その辺、局長、国の援助というものはいま現在どのくらいやられているのですか、これについては。そういう危険個所に対して金は出ていないのですか。若干昨年あたりから何かしてくれているような話も聞いているのですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  110. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) 市町村道につきましては、従来はまだ幹線道路のほうの国道、県道のほうを先にやっていたもので、従来はあまり手を入れておりませんでしたけれども、この二、三年は市町村道、生活道路中心ということで、非常に積極的にお金を入れております。ただ、先ほども申しましたように、市町村道の場合は未改良の道路がほとんどでございますので、のり面だけの手当てをするというよりは、改良工事と合わせて手当てをしておりますので、進捗の状態が非常に悪いということは言えるかと思います。ただ、それでもなおのり面だけを早急にやらなきゃならない場合にはそれなりののり面だけの工事もやっておりますけれども、どちらかというと、改良と一緒にやるというのがいまわれわれの考え方で、進んでおるわけでございます。  また、市町村道につきましては、私どものほうが、国が補助をしております事業のほかに、市町村の単独事業が相当ございます。どちらかといいますと、国の補助事業より単独事業のほうが事業費としてははるかに大きいわけでございますが、これは主として舗装とか、あるいはこういうのり面のところに対する手当てというようなことで、どちらかというと単独事業のほうにウエートがかかっておると思いますけれども、こういう危険な場所というものはお金もたくさんかかりますので、できるだけ公共事業の補助事業のほうへ切りかえていくように進めてまいりたいと思っております。
  111. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、その写真にもありますけれど、防護網というのですかね、その装置がもう全く貧弱なものですよ。見るとわかりますけどね。このくらいの鉄の棒が相当長い距離でこう幾つかあるわけでしょう。ですからそこへ、小さい石ですととまるでしょうけど、ちょっと大きい石がころんできたらもうそれは全然すぐ曲がってしまうような、——せっかくやるんですから、もう少しちゃんとしたものをしたらどうかと思うのですがね。国道なんかの場合ですと、これはもうほんとうに至れり尽くせりちゃんとしておりますね。しかし、国道が幾ら整備されましても、住民の住む山の中に入っていく危険な市町村道というものがそういう状態になっておったんじゃ、これはだめですよね。ですからそこいらを、せっかくのり面をやり、改良工事をやる際にそういう防災面についてもやろうというのでしょうから、もう少し思い切って、だいじょうぶ、かなりの石が落ちてきてもだいじょうぶと、しかし、落ちてこないようなことが第一番ですね。それをやってなおかつ最悪の事態を想定して防護網というのを張るわけでしょうからね。そういうものについてももう少ししっかりしたものはできないでしょうか。それを見てどう思いますかね。局長、これじゃだめですよ。やっているたって、形式的にただやったというのであって、その下にごろごろと落ちてくる石、それを見たら、これは危険で通れませんよ、正直言って。いま雪が降ってちょうど解ける時期になりますと、もうしょっちゅう石がころがり落ちているのですね。ですからそこいらをもうちょっと、——単独事業でやる場合もあるでしょうし、それから補助事業でやる場合、そういう防災対策については幾ら国は出してくれているのですか。予算総額の……。
  112. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) これは市町村道だけについて、たとえば四十七年度、四十八年度等では、大体三十億円から四十億円ぐらいのお金が毎年この防災危険個所に対してつぎ込まれておるわけでございます。また五カ年計画では、私どものほうの補助の対象としておるものだけで約百三十五億ぐらいいま組み込んでございます。  ただ、先ほども申し上げましたけれども、市町村道というのは八十六万キロございまして、先ほどの早川の訴訟のありました場所、ここももとは木材搬出用のトロッコの通っていた私用の道路だったんです。これをたまたま村に寄付をしたということで、村道の認定をいたしまして、それが町村合併になったために町道ということになったので、この市町村道につきましては、まだ、道路という管理の責任は、もちろん市町村にあるわけですけれども、それまでに至っていないけれどもどんどん認定をしてしまったというものもございますので、やはり私どもは認定する場合にも、それだけのものを——ここでそういう管理の責任ということが出てまいりますと、市町村のほうもそうやたらに認定するということはおかしいという問題も出てくるのじゃないかと思いますけれども、そういうようなこともあわせまして、今後の対策を進めてまいりたいと思っております。
  113. 鈴木強

    鈴木強君 具体的なことで恐縮ですが、いまの三石ののり面の道路、この工事だけ済ませたという、そこに対しては、建設省のほうから、国からの補助というものはまだいっていないわけですか、その工事に対しては。
  114. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) ここはのり面がこわれまして災害復旧でこれをやったわけでございまして、これは建設省からのいわゆる補助対象の工事としてやったのではございません。
  115. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、ここの場所は、たしか幅が百メートルくらいで高さが五十メートルくらいのところなんですよ。ですからもう少し国から補助がもらえれば、ちゃんとした防御網というのですか、防護網、それもできたと思うのですけれどもね。まあごらんのような貧弱なもので、おそらく町の単独事業でやったのでしょうからそういうことにならざるを得なかったわけですね、まあ気休めみたいなもんですから。せっかく四十七年あるいは四十八年にかけて三十億ないし四十億のお金も出していただいているし、五カ年計画全体としては百三十五億の国庫補助もしようということですから、もう一段と、ひとつ建設省のほうでも実態を調査していただいて、もちろん地元のほうも積極的に建設省にも要請をして、そういう補助対象になるとすれば、もっと市町村のほうも能動的に動かなきゃいかぬと思いますよ。ですから、建設省だけを責めるわけではありませんが、やはりお役所として、全体の道路行政をあずかる建設省ですから、むしろ地方自治体の気がつかない点もあるでしょうし、まだ補助対象になっているのかどうかもわからぬという住民もいるわけですから、そういうときですから、できるだけ親切に全体を見ていただいて、そして重点的に危険なところから逐次防御対策というものを樹立していくという方針だそうですから、これは私もまた地元の方にもよくその旨をお伝えしますけれども、そのままにしておいたのではどうにもなりませんから、ぜひひとつ早急にそのところを手をつけていただくようにお願いしておきたいと思います。  大臣、お聞き取りのようなことで、建設省建設省として努力をしていただいておりますから、この点は感謝をいたします。ただ、まだまだ全国にたくさんのある市町村道で、しかも僻地に入っていく、ですから改良工事自体もできないようなところもあるから、それもやらなきゃいかぬというので、地方財政全体としても地方自治体は苦労しているのです。ですけれども、いま申し上げたような状況ですから、できるだけ危険な個所だけは最大限人命の尊重の立場に立つわが国として、積極的に、建設省におきましてももう一段のくふうをこらしていただいて、そして実態調査をもう一回やり直していただいてそれをあるクラスに分けて——直ちにやるべきところと、こういうふうに段階を分けてもけっこうですから、何カ年かの計画で、こういう一万数千カ所にわたる全国の危険個所を全部なくしていくという、そういう大方針をすみやかに立てていただいて、そうして必要な財政補助についても今日の地方自治体の貧困の中で、できるだけひとつ大蔵当局とも相談していただいて、その補助金もふやしていただいて、人命が尊重され、安全になって、そして住民がそこを通れるような、そういう道路をつくっていく状態にしていただきたいと思います。大臣からそういうことについての御所見、いかがでございましょう。
  116. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 御説のとおりでございます。公道を歩くのに石が落ちてくるのじゃないかということでひやひやしながら歩くような個所が残されておるということは、これは市町村道八十数万キロあるからということでそういう個所が残されておっていいということにはならないわけでございますから、これはもう人命に関する問題公道に石が落ちてきて死ぬと、少なくともこれだけはほんとうに国としても恥ずかしいことだという感じがいたすわけでございます。したがいまして、この点につきましては、実はなだれ等にもことしも実は何件かの例があるわけでございまして、とうとい人命を失っておるわけでございます。なかなか容易じゃない仕事ではありますけれども、いままでもやってまいりました以上にさらに熱意と努力を傾けまして、できるだけ短い年数の間にそういう個所がなくなるように、せめて石が落ちてきて人命を損傷するというようなところは、これはもう一時交通をストップするなり何なりというようなことも考えていかなければならぬのじゃないかと、そういうところを通っておってなくなった方に対してのいろんな賠償問題等についても、やはり人間中心の人命尊重の立場の判決も出ておるような時期でもございますから、そういう点から考え合わせましても、やはり道路行政の面においてはそういう個所のないように強力な手を打ちたいと考えております。
  117. 鈴木強

    鈴木強君 たいへん大臣から御理解のあるお答えをいただいて、おそらく住民の人たちも感謝していると思いますが、それでこの早川町の場合も千四百八十万円という賠償金を支払えということですから、非常に町のほうでもいま議会を開いていろいろ対策を立てておりますが、こういうものに刺激されまして、現在管理道路賠償責任保険制度というのがございますね。これに入っておると二千万円くらいの一人、保険に入っておれば金がもらえるというようなことで、関係の市町村もこの早川町の問題に刺激されてかなり保険にも入るような傾向にあるんです。これに入りますと、当面、その賠償支払いに対しては若干の措置はとれるのですけれども、やっぱりそれよりも根本の、いま大臣のおっしゃるような、われわれが指摘するような問題を解決するほうが先ですから、最悪の最悪の最悪の場合のことを想定しての賠償責任保険のことでしょうから、それは最後の一つの安心としてやることであって、前段のところにやっぱりウエートを置いて施策をすることが必要だと思うのですが、現に起きたような場合に、これやっぱり無過失賠償責任的な傾向が強いわけですよ、これは。ですからいまの法律から見るとなかなかむずかしい点もあると思いますけれども、ですからそういう過渡的な場合には、若干国のほうで、そういう賠償の支払い金に対して何がしかの援助をするというようなことは、これは処置ができぬもんですか、その辺は。
  118. 菊池三男

    政府委員(菊池三男君) たいへんむずかしい問題でございます。今度の早川の場合は四月の二日に、これは管理上の責任じゃないということで、町は控訴をしておるようでございます。したがいまして、今度の場合にどうなるか、まだ結論は出ませんけれども、ただそうなった場合に、もし支払うようなことになりますと、やはり千五百万という大金は町の小さい財政ではたいへん苦しいと思います。そういうことで、ただいま先生のおっしゃいましたように、いわゆる保険制度というものをやっておるところも若干ございます。まだ若干でほんの一部でございます。したがって、そういう場合に、そういう保険制度をつくることも一つの考え方でもございますし、また何か公共団体が集まって共済制度というようなもののやり方をするのも一つの方法だろうと思います。ただそういうことに対して国がどれだけ出すかということは、どうも国の直接の賠償の問題でございませんので、これは道路管理者も違いますし、また道路そのものも国と直接関係がないもんですから、国がそれに対していま財政負担をするという考え方は、いま現在むずかしい問題でございます。あるいはまた、それが交付金というようなものの考え方もあると思います。そんなことで、そういうことに対して、最近非常にこういう問題が大きくなってまいりましたので、私どもも早急にそういう一つの、最悪の場合であって、先生のおっしゃるようになくすことがまず先でございますけれども、万が一出た場合のことも考えて、それをどうするかということを私どもも早急な問題としていま検討しておるところでございます。
  119. 鈴木強

    鈴木強君 じゃこれで終わります。
  120. 小野明

    主査小野明君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  121. 小野明

    主査小野明君) 速記起こしてください。  それでは、以上をもちまして建設省所管に関する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会      —————・—————