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佐々木静子君 これはぜひ前向きの姿勢で取り組んでいただきたい。と申しますのは、その前提となる
環境権というものについて、いまも大臣もおっしゃったように、
環境権というものは否定しないが、その範囲なり、どういうものであるかというような定義づけというところまでは至っておらないというお話でございますが、私ももちろんきっちり固まったものができているというようなことは、まだはっきりした概念というものは、打ち出す
段階にまでは熟しておらないのじゃないかというお考えもごもっともだと思うのでございますが、やはりいま
環境庁自身がお示しになっていらっしゃる
環境管理というようなことを進めていこうと思うと、その前提となる
環境とは何ぞや、住民の
環境を破壊しないでくれという権利とは何ぞやという前提がわからなくては、どうもこれは進めようがないのではないかというふうな
感じがしないでもございませんので、ぜひ鋭意この問題についてお取り組みいただきたいと思うわけです。
それから、この
環境行政について、私
最初にも申し上げましたように、
環境庁の機構上のことについての私の不勉強によるものだとは思いますけれ
ども、
環境庁のお仕事というものがどうも
国民のサイドから見ると消極的過ぎるのではないか。いっときは、
環境庁ができたときには
国民をうちょうてんにさせたものでございますけれ
ども、どうもいまの
段階では
環境庁に頼んでもあまり十分やってもらえないのじゃないかということで、これはもう裁判の力を借りてやる以外にしかたがないというので、国際空港のこともやってくれば、
大気汚染もやってくれば、新幹線
公害もやってくる。ともかく周辺の
環境破壊に関することはみんな弁護士のところに持ち込まれてくる。そして、事実上
環境が破壊されていることを行政面でぴたっと
チェックしてくれれば訴訟に持っていかなくてもいいのに、国際空港の問題にしても、今度の新幹線
公害にしても、やれ何にしても、みんな裁判所へ持ち出して、裁判上すったもんだともめたあげくに司法的な解決によってそれを差し止めるとか、あるいはその被害を救済するというふうな
方法によらざるを得ないし、またその傾向がたいへんに強くなってまいりまして、これは
公害事件を担当する弁護士はもうてんてこ舞いをしている。
私
どもの同僚な
どもいろんな法律以外の勉強を山のようにしなければ、とても
国民の
要望にはこたえきれない。それからまた裁判所の側も、
人員も裁判官なり職員が少ないのに、これは本来の法律ばかりじゃない、いろいろな自然科学の勉強もしないといけない。また住民訴訟になると原告の数が二百人、今度の新幹線
公害など五百何十人ということになると裁判所自体が予想しておらないような大訴訟ということになって、法廷
自身も、当事者も弁護人もはいれない、超満員ですし詰めに押してもはいれないというような非常に変わった予期せざる
状態が起こってきているし、ますます今後これが起こりつつあろうと思うわけでございますが、その点において、次々にこういう問題が司法的に解決される以前の
段階で、何とか
環境庁でしっかりと
チェックしていただきたいと思うわけなんです。
これが
環境庁がごらんになって
環境破壊になっておらないというのであればともかく、新幹線の
公害の問題にしても、国際空港の問題にしても、そのほかいわゆる四日市
公害にしても、
公害が発生していることは事実なんですね。これが
公害が起こっているか、起こってないかということが争点になるのじゃなくて、起こっているのに、それに対して行政的な手が打てないために訴訟になっているわけですから、こうした訴訟をやるということ自体、被害を受けている住民にとってたいへんな負担なわけでございますから、そこら辺を訴訟までしないでも満足できる
状態に、ひとつ大物大臣の間にそういうふうな
方法をぜひ樹立していただきたいと思うわけでございますけれ
ども、そうしたあたり、長官はどのようにお考えでございますか。