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参考人(
横田郁君)
お答え申し上げます。
最初の、今後引き締めをなお持続すべきかどうかという御質問でございますが、現在の段階では、仰せのとおりに、だんだんと引き締めが
実態経済面に浸透してきておることは事実でございます。さらにまた、四月から六月の間に原油価格の高騰等によりまして、あるいはまた季節的に決算
資金の需要、そういった
資金需要が大きくなりまして、この四−六月ごろは
金融が非常に引き締まる事態が生じてくる可能性が強いわけでございますが、この際、ここで
金融をゆるめますということは、やはりいささか問題があろうかと思います。というのは、
物価は一応卸売り
物価にしましてもやや鎮静化の傾向にございますけれ
ども、なお依然として高水準にございますし、また、輸入原油価格の高騰によりまして、これが電力料金とかあるいは石油製品その他の関連物資に波及する可能性もございますので、まだここで
金融政策としては引き締めを当分の間続けていかなければならないというふうに考えますが、ただ、その場合に心配されますことは、オーバーキルの状態が現出するのではないか。需要も大体停滞いたしてきておるようでございますから、オーバーキルの状態が出てくる可能性もないわけではございません。したがって、今後の
金融政策のかじのとり方としては非常にむずかしい局面にさしかかっている。したがって、大筋としては引き締め
政策を堅持しながら、そのときときに応じまして、きめのこまかい配慮が必要になるのではないかというふうに私は考えております。
それからその次の問題は、農業
金融の問題、農林関係の
資金の問題でございます。これは、御指摘のように、非常に問題があろうかと思います。農林関係の
資金が非常に豊富でございまして、それがいろいろの方面に流れていっている。ことにプロパーの産業じゃなくて、員外と申しますか、他産業の方向へも流れていっているということは非常に問題であろうかと思います。若干この辺を締めていかないと、やはり総需要抑制策というもののしり抜けになる可能性がないとは申せません。現在の
金融引き締め
政策というのは、どちらかというと都市
銀行に重点が置かれて引き締め
政策が強行されておるわけでございますので、勢い、いろいろの
企業が
資金繰り難から、
資金の豊富な農業
金融機関にかけ込むという状態が出てくるわけでございまして、これに対して都市
銀行が保証していることが非常に問題であろうかと思いますが、これは農林系統機関が融資をするに際しまして、担保を取るとか、そういうような手続がめんどうであるために、都市
銀行の保証を取っておけば安心して貸せるということでそういう方向に向かっているんだと思いますが、これにつきましても、われわれは大いに自粛をしなければいけないというふうに考えております。もちろん、
日本銀行からも大いにこれについては抑制するようにという
方針が打ち出されておりまして、私
どもとしましても、毎四半期ごとの保証ワクというものは極力押えていくような配慮をいたしておるわけでございます。
それからインパクト
ローンでございますが、インパクト
ローンが、あるいは外債の募集ということが盛んに行なわれるようになりまして、これで国内に
資金が流入するということになれば、確かに引き締めのしり抜けになるわけでございますけれ
ども、現在では、これらのインパクト
ローンの導入あるいは外債の発行というようなことにつきましては大蔵当局の認可が要るわけでございますし、当局としましても、インパクト
ローンの導入につきましては、現在のところ、電力とかあるいはガスとか、そういった公共性の強い、また、真にやむを得ざるものについてのみ許可を与えておるわけでございますので、まずまずやむを得ないことではないか。それからまたもう一つは、これは
日本の国際収支がだんだんと悪化しておりますので、ことに
長期資本収支のバランスが御承知のように非常に悪い状態でございますので、これの対策として、ある程度の外資の導入ということはやむを得ない点ではなかろうかと思うわけでございます。
それから
預金の目減りの問題につきましては、これはもちろん私
どももいろいろ苦慮しているところでございます。ただ、御承知のように、
わが国では、先ほ
ども御指摘がありましたように、
金利の自由化が行なわれていませんので、非常に
銀行が、特に
預金の目減りに対してどう対処するかということがなかなかできにくい環境にあるわけでございます。それで、いろいろな考え方があるわけでございますし、われわれとしてもできるだけ
預金者に対して有利な貯蓄手段を開発したいということで、郵便局のやっております定額
預金制度とか、あるいはまた財形貯蓄による
長期の
金利の高い
預金を創設するとか、いろいろ考えてはおるのでございますけれ
ども、御承知のように、
金利体系というものが厳存しておりまして、
預金金利をいじりますとすべての
金利に影響をするということになって、したがってまた、財政負担の増大、あるいはまた借り入れ者の
金利負担の増大、そういったことに全部結びつくわけで、なかなかいい案が出てまいりません。これはできれば何とかしたいというふうに私
どもも考えておりますし、大蔵当局も当然考えておられるわけでございますが、いまのところ、ちょっとまだ名案が見つからないというのが
実情でございます。
ほかに……。