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1974-04-02 第72回国会 参議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二日(火曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      神沢  浄君     鈴木  強君      中村 波男君     竹田 四郎君      柏原 ヤス君     鈴木 一弘君      中村 利次君     木島 則夫君      中沢伊登子君     田渕 哲也君      須藤 五郎君     渡辺  武君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鹿島 俊雄君     理 事                 片山 正英君                 嶋崎  均君                 西村 尚治君                 細川 護熙君                 吉武 恵市君                 小野  明君                 加瀬  完君                 矢追 秀彦君                 木島 則夫君     委 員                 岩動 道行君                 今泉 正二君                 小笠 公韶君                 大竹平八郎君                 梶木 又三君                 木村 睦男君                 熊谷太三郎君                 黒住 忠行君                 小山邦太郎君                 高橋 邦雄君                 竹内 藤男君                 玉置 和郎君                 内藤誉三郎君                 中村 禎二君                 原 文兵衛君                 米田 正文君                 上田  哲君                 小柳  勇君                 鈴木  強君                 竹田 四郎君                 辻  一彦君                 戸叶  武君                 羽生 三七君                 前川  旦君                 宮之原貞光君                 鈴木 一弘君                 田代富士男君                 田渕 哲也君                 星野  力君                 渡辺  武君                 野末 和彦君    政府委員        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        公正取引委員会        事務局経済部長  熊田淳一郎君        経済企画政務次        官        竹内 黎一君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        国税庁次長    吉田冨士雄君        厚生政務次官   石本  茂君        厚生省薬務局長  松下 廉蔵君        農林政務次官   山本茂一郎君        農林省農蚕園芸        局長       松元 威雄君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        資源エネルギー        庁次長      北村 昌敏君        中小企業庁次長  小山  実君        建設政務次官   内海 英男君        建設省道路局長  菊池 三男君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君    参考人        石油連盟会長   密田 博孝君        石油連盟会長  加藤  正君        全国石油商業組        合連合会会長   松村信治郎君        日本石油株式会        社社長      瀧口 丈夫君        経済団体連合会        エネルギー対策        推進委員会委員        長        松根 宗一君        日本貿易会会長  水上 達三君        伊藤忠商事株式        会社社長     越後 正一君        三井物産株式会        社会長      橋本 栄一君        丸紅株式会社社        長        桧山  広君        東ビ株式会社社        長        今井 敏郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和四十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  この際、委員異動に伴う理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 御異議ないと認め、それでは理事木島則夫君を指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 昭和四十九年度一般会計予算  昭和四十九年度特別会計予算  昭和四十九年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  本日は総予算審査のため、物価問題について参考人出席を求め、集中的に審議を行なうことにいたしております。本日出席お願いいたしております参考人方々はお手元にお配りいたしましたとおりでございます。  この際、参考人方々一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中にもかかわりませず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)  物価問題は国民が当面する最大の関心事でありますので、各委員質疑に対しては率直にお答えお願いいたしたいと存じます。  なお、御発言はそのつど委員長許可を得て行なうようお願いいたします。また、時間の制約がありますので、お答えは簡潔にお願いいたします。  次に、各委員質疑される場合は、参考人を指名していただきたいと存じます。  それでは、これより質疑を行ないます。
  5. 玉置和郎

  6. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 議事進行ですか。玉置君。
  7. 玉置和郎

    玉置和郎君 参考人皆さん方、まことに御苦労さんでございます。ありがとうございます。  国会参考人を招致して意見を聴取できる根拠、これはもう十分御存じだと思いますが、これは議員の諸権能であります立法権条約承認権予算審議権行政監督権など、有効適切に行使できるようにするために、憲法が認めた補助的権能であります。したがって、国政調査権乱用は厳に慎むべきであるということ、これは前にここでわが党の委員が申し述べたとおりであります。それだけに、この運用にあたっては十分注意しなければならないものであります。  衆議院集中審議は、事実究明に熱心のあまり、参考人を糾弾するがごとき高圧的な態度がしばしば見られたのでありますが、これは国政調査権乱用ではないかという指弾があります。また、国民の中にそういうことについてひんしゅくを買っております。参議院良識の府であります。参考人意見聴取にあたっては、委員長国政調査権本質を十分踏まえて、良識の府に恥じない運営を行なっていただきたいと、特にお願いするものであります。  また、参考人皆さん方にも、いま委員長が言われましたように、どうか活発な御意見を開陳をしていただきたい、こうお願いするわけであります。
  8. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 承っておきます。
  9. 小野明

  10. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 議事進行ですか。小野君。
  11. 小野明

    小野明君 玉置委員から御発言がございましたので、私どもも野党といたしまして参考人皆さん一言御理解をいただくために申し上げておきたいことがございます。  それは、もうすでに御承知のように、衆議院審議の際の様子を見ましても、率直な偽らざる御見解の表明に欠ける点がございました。私どもは、参考人としての招致ではなくて、証言法という法律があるのでございますから、この法律に基づいて証人として御出席をいただく、こういう強い主張をいたしてまいったところでございます。しかしながら、はなはだ残念でありますけれども証人とするか、参考人とするかと、この点についてはこの委員会で異例の採決をもって決定を強行されたところでございます。これら私どもの強い要求があり、かつ国民のサイドから見ましても、証人とすべきであるという意見が非常に強いこともそれぞれ皆さん承知のことだと思うわけであります。したがいまして、参考人ではございますけれども委員質問につきましては、率直に、包み隠すところなく御証言、御発言をいただきますように、私どもこれを強くお願いをいたしておきたいと思うわけでございます。  以上であります。
  12. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) それでは、これより質疑を行ないます。岩動君。
  13. 岩動道行

    岩動道行君 本日は、参議院予算委員会において物価集中審議を始めるわけでありまするが、衆議院におきましてすでに相当の問題が取り上げられ、相当の問題の解明が行なわれましたが、私は、参議院立場としては、さらに国会での最後のまとめとしての物価問題こういう立場から、参考人皆さん方の率直な、そして反省すべきところは十分に反省をして、国民に対してお答えをいただき、述べていただくと、この基本姿勢をまずお願いを申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、まず石油問題について始まるわけでございまするが、石油は申すまでもなく国民経済の基本的なエネルギーの根源をなしておるわけであります。その影響するところはきわめて大であることは、昨年の中東戦争による石油危機以来、国民の末端に至るまでしみじみと、そして深くこれを感じたところでありまするが、かような意味におきまして国民の生活、物価価格の問題、あらゆる面において決定的な役割りを果たしておる石油業界石油の問題、これを私どもの与えられた時間において申し上げたいと思います。  まず第一に、公正取引委員会やみカルテルを行なったとして先般審決を行なったのでありまするが、これに対して応諾をしておりながら数社の石油会社はその取り消しを求めているというこの事実、つまり十二社のうちの半分の六社がそれぞれ異議を申し立てたと、そして六社はこれを応諾したと、このことは国民にとってきわめてわけのわからないような事実でございます。このことについてまず石連会長から全般的な情勢についてのお答えをいただきたいと思います。
  14. 密田博孝

    参考人密田博孝君) お答えいたします。  いま御質問がございました問題は、公取委員会から勧告書が出まして、それに引き続いて検察庁に告発が行なわれたわけでございます。それで価格問題につきましては、元売り十二社の問題でございますし、生産調整につきましては石油連盟がその対象と相なっております。  いま御質問の、勧告応諾しながらなおかつ元売り六社がそれに対しまして行政訴訟提訴をいたしました。連盟提訴いたしておりません。したがいまして、御質問の問題は、提訴をいたしました元売り六社の問題であろうかと存じます。これはそれぞれ提訴いたしました六社がこの事態をどういうふうに判断いたして提訴せられましたのか、これは各社の判断にゆだねざるを得ないのでございますけれども、一般的に申し上げますと、私は衆議院でもお答えいたしましたように、勧告を受諾いたしましたけれども、それは主文応諾するかせないかと、こういう判断に立ってそれに応諾という態度をそのとききめたわけでございます。ただ、そのときの判断といたしましては、主文で申しておられることを応諾することでありまして、勧告審決は事実の認否をやらずに勧告書の内容についてのみわれわれが知ると、こういうことでございましたので、私は石油連盟も、あるいは元売り十二社も、必ずしも事実そのものを是認しておるわけではないのですが、ただ勧告主文応諾すると、こういう趣旨のことを申し述べたわけでございます。したがいまして、その後の告発という新しい事態が生じましたので、それを含めましてこの際もっと事態をはっきりさせようと、訴訟におきましてその事態をもっとはっきりさせたいと、こういうのが提訴をした六社の理由ではないかと、こう考えておる次第でございます。提訴いたしました六社につきましては、その考え方はあるいはそのほかに別にあるかも存じませんけれども、これは、私は連盟会長としてはその辺まで事情を十分承知はいたしておりません。  以上でございます。
  15. 岩動道行

    岩動道行君 それならば、会長大協石油社長でいらっしゃいますが、大協石油はどういう態度をおとりになっていらっしゃいますか。
  16. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 大協石油といたしましては、提訴をいたしておりません。したがいまして、そのいま問題の真偽のほどは、検察段階で捜査、調査になっておりますので、先ほど申しましたような考えから、事実の真否というものは検察段階で明白になると、こういうことから提訴いたさなかった次第でございます。
  17. 岩動道行

    岩動道行君 続けて伺いますが、それならば、副会長でありまする加藤さんは出光のほうに御関係があるわけでございますが、出光としてはどのような態度をおとりになっていらっしゃいますか。
  18. 加藤正

    参考人加藤正君) お答え申し上げます。  出光興産はおっしゃるとおり取り消し訴訟をいたしたわけでございます。これは第一に、私、当社の弁護団意見判断というものが第一でございます。第二に、先ほど連盟会長がおっしゃられましたように、応諾、受諾したのは主文に対する受諾でございまして、事実に対してはまだ納得がいかない点もあったということを連盟会長もあの当時から申しておられますとおりでございますが、私どももこの訴訟によって事実を明らかにしたいというのが第二でございます。第三は、いままで公取勧告を受諾いたしましてこれが告発に付されるという例はいままでなかったわけでございます。受諾するというのは、いわゆる恭順の意を表したといいますか、社会的情勢、諸般の情勢を勘案しまして受諾したわけでございますけれども、同時に告発に持ってこられるということはいままで前例がなかったというような点も、これはあるいは感情問題とおっしゃられるかもしれませんが、弁護士団のほうでもそういうようなことを勘案して提訴するという一つ理由になったのではないかと、こう考えております。  以上でございます。
  19. 岩動道行

    岩動道行君 日本石油社長もお見えになっておりますので、瀧口さんのほうからこの点についての態度をお聞かせいただきます。
  20. 瀧口丈夫

    参考人瀧口丈夫君) お答えいたします。  日本石油考えでございますけれども公取の一応勧告を受諾した以上は、やはりそれについては従うと、ただし事実というものをわれわれはまだ是認しておりませんので、それがそのあと告発の問題で影響があってはわれわれも困ると思いましたので、弁護士といろいろ相談しましたところが、それは別個の問題であって影響がないということが弁護士のほうから話がありましたので、それなれば一たん受けたものはやはりそれを履行するのは当然だという考えに立って受諾いたしました。
  21. 岩動道行

    岩動道行君 はなはだわれわれには理解しにくい分裂状態石油業界に起こっていると言わざるを得ないのであります。公正取引委員会としては、やみカルテルがあったということで、元売り十二社に対して応諾の返事をもらって、そして審決を出したわけであります。その後石油価格の引き上げが行なわれました。そして、そのあとにおいてこのような審決取り消し提訴と、こういうような事態が起こってきております。そうなりますると、国民の側から見るならば、ある社は、価格の値上げをするためには一応公取審決を受けておいたほうがいい、そしてあと値が上がったならばひとつ争ってやろうかと――大体、応諾をするならばあと告発がないんだというのが従来の例であった、こういうことから、告発をされたことは前例もないことだし、どうもやり方が気に食わぬ、こういうようなことで、いま出光さんのほうからのお話もそのようなニュアンスで伺ったわけでありまするが、こうなってまいりますると、石油業界に対する国民の不信というものは一そう深まってまいる。これはいずれ公取あるいは裁判所においてその黒白が明らかになってくることと思いまするが、いまの段階において、私どもはどうにもぬぐいされない疑惑と申しまするか、皆さま態度というものが理解できない。これが国民経済基礎となっている石油業界に起こっているということは、非常に大きな国民への影響があると、かように思うのであります。  そこで私は、引き続いて石油業界体質について申し上げたいと思いまするが、今日まで非常に大きな数で石油業界公取から審決を受けております。これは本社の段階においてはもうそうでありますが、流通段階におきましても、ほとんど全国の都道府県の小売り商商業組合段階においても、のべつに公取からのやみカルテル指摘を受けておるわけであります。一体、こういうような業界姿勢というものは、何年も何年も続いているということは一体どういうことであるのか。私は、石油業界全体の、精製から元売りから、そしてまた流通段階、スタンドの小売り店に至るまでの段階においての独禁法、そして自由で公正、そして国民への奉仕という、そういう社会的な意義というものについての認識が十分であるのかどうか、きわめて疑問に思わざるを得ないのであります。この点について、石連会長、そして全石商会長からそれぞれお答えをいただきたいと思います。
  22. 密田博孝

    参考人密田博孝君) いま御指摘の問題はお話のとおりでございます。まことにどうもこういうことが数多くあったことは、これは国民皆さまに対してたいへん申しわけないことでございます。ただ、われわれが、石油の量の問題も含めまして、価格問題につきましては、エネルギー本質から申しまして、これはあまり非常に高くなったりあるいは安くなったり、どう申しますか、市況が大幅に変動するということは、これは非常に、基礎物資そのものから申しまして好ましくないと、こういう基本的な考えを持っております。したがいまして、できるだけ安定した量と価格をいつも供給したい、これが基本的な考え方でございます。  それから第二には、たいへん、御承知のようなことで、過当競争業界でございます。これは石油が、昭和二十五年に石油精製が再開の許可を受けました以来、今日まで続いている状態でございます。で、その反動といたしまして、たいへん体質が弱くなりますし、また裏から申しますると、たいへん薄利な収益の仕事でございます。これがかりに――かりの話てたいへん恐縮でございますけれども、もっと十分体質が安定いたしましておれば、いまのような問題もかなり少なくなっておったのではないかと、こういうふうな感じがいたしますので、この六ヵ月くらいの間、基本的に今後の石油業界やり方反省し、また、はたして皆さん疑惑のないような安定供給のできる業界にするためにはどうすればいいかと、こういったことをわれわれいま真剣に考えておる最中でございます。したがいまして、これを契機にいたしまして、疑惑のない安定した、しかも体質もりっぱなそういう業界に再建せなくちゃいかぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 松村信治郎

    参考人松村信治郎君) お答えいたします。  いま連盟会長からお話がありましたとおり、われわれの業界は、元売り小売りのわれわれも、非常に過当競争であるということは皆さん認識のとおりだと思います。そこへもってきまして、石油自身必需品であるだけに、いつも、ふだんであればたっぷり供給である。たっぷり供給ということは、石油というのは種類がございませんでして、一つ種類でございますから、ガソリンならガソリン、非常にここに一物一価と申しますか、競争が激しくなる。もう一つ小売りのわりにはわれわれは設備投資が非常に大きい部門であります。一たん、御存じのとおり、ガソリンスタンドができますと、そこに必ず損益分岐点をかせぐために競争をしかける業者がある。これがまた価格を刺激いたします。もう一つ、たっぷり供給ということは、ガソリンはちょっとお米に似ておりまして、全体の消費量はそう年間変わらないわけですが、たっぷりであるということは非常に価格が下がりやすい、今回経験しましたように、少し足らないと暴騰していく、そういう性質を一つまた持っております。もう一つは、最近の事例で、この二年間ほどの事例でありますが、公害問題がありますと、例の中間産品の需要が非常に大きくなる。そうしますと、ガソリン過剰生産になってくる。こういう刺激を受けておるのが最近の状況でありますが、過当競争が非常に激しくなる、これに向かってわれわれはやはり、連盟会長のおっしゃいましたように、何か安定した価格供給したい。また、われわれといたしましては、実際消費者から取る大きなガソリン税というのがあります。この税を実質的に消費者からいただいていくという一つの機能を持っております。こういうことで業界がたえず安定したいという要望が多いわけですが、残念ながら過当競争の世界である、また、それを刺激する材料はたくさんある、これに向かって私たちは安定の一つの政策をつくっていくというところで、話し合いの問題の可能性が非常に多い業界であるということを御説明しておきます。
  24. 岩動道行

    岩動道行君 過当競争一つの原因であり、価格を安定させなければいけないと、使うほうから見れば、同じものがばらばらの値段であるということも、経営上、それぞれのメーカー等においても問題があろうかと思いますが、しかし、これがおのずからそういう姿になるならばよろしいけれどもやみカルテルを結びながらやっていく。そこに私はやはり日本経済市場価格の形成ということを阻害している大きな誤りがあるのではないか。この点については十分な反省と申しまするか、国民に対する謝罪も必要ではないかと、かように思うのでありまするが、ただ、石油については、従来、通産省行政指導と申しまするか、これがかなり強く働いており、しかもこれが長い間続いておるために、そこになれが出てきて、そのために、通産省の役人がその会合に出ておるならばやみカルテルではない、やみ協定ではない、行政指導があったのだと、したがって、公取の言うような独禁法違反にはならないのだ、こういうような安易な考え方があったのではないか。またこれを生んだのは、通産省の側にも私は十分に反省をしなければならない点があったのではないか。この点について、石連会長からも、通産省との関係を十分に国民にわかるように、またあなた方のお立場からどのように今後対処していくのか、過去とあわせてお答えをいただきたいと思います。
  25. 密田博孝

    参考人密田博孝君) お答えいたします。  石油連盟とそれから行政指導関係でございますが、もともと御承知のようなことで、石油供給につきましては、石油業法に基づきます供給計画石油審議会でつくられまして、当年度を含めまして五年間の供給計画を毎年策定いたしております。したがいまして、その供給量は、供給計画を目安にいたしまして、各社がそれぞれ生産量を役所に提出するわけでございます。こういったような一つの大ワクがございまして、やはり石油供給は、通産省といたしましてはそれとの関連においてきめていく、こういった表裏の問題でございます。したがいまして、やはり行政上の必要から、そのときどきの問題を踏まえまして、業界にいろんな指示なり、伝達なり、そういうものがございます。われわれといたしましては、この行政指導行政上の必要から出てくるのでありますから、したがいまして、できるだけそれに協力せなくてはならない、こういう考えが常時ございます。これは石油企業の経営上の問題もいろいろ出てまいりますので、したがいまして、その指導に全面的に一〇〇%従うと、こういうことではなくて、やはりいろいろこちらの考え方意見も申し上げます。しかしながら、通常、やはり大臣名の通達でありますとか、あるいは長官名の通達でありますとか、あるいは担当官の口頭による指導でございますとか、種類はいろいろございますけれども、そういう接触が常時あるわけでありまして、それがやはり価格問題も含めまして、供給が最も有効裏に今日まで私はきておった、こういうふうに考えておりますので、全然その行政指導をわれわれ無視するわけにはまいりません。やはり役所のいろいろ意向も十分理解せなくちゃならない。  ただし、それはいまお話がございましたように、それがカルテル行為の免除には決してならない、それもわれわれ十分自覚をいたしております。ただ、従来の石油供給あるいはそれに伴う行政指導、それがそういう意味の非常に密着しやすい表裏一体のものであったというふうにわれわれ考えておる次第でございます。
  26. 岩動道行

    岩動道行君 いま通産省との関係において、その行政指導独禁法のカルテル協定の免除にはならないという明確な考えをお示しになったことは、私は非常な前進であるし、今後そのようなことで日本経済が運営される大きなもととして、私はこれを国民とともに十分に評価をいたしたい、かように思うのでありますが、先ほど来、過当競争ということばをお使いになりましたが、この過当競争自体は、業界がおつくりになったのではないかという感じもしないではないのであります。貴重なエネルギー資源、その石油が大もとをなしておるわけでありまするが、これが安く手に入るという時代は、すでに早くから、そのような時代はなくなってくるのだ、こういう石油の危機、エネルギーの危機というものは早くから感知しておかなければならなかった。にもかかわらず、業界としては安い石油をどんどん買うことによって、日本経済はそれによってもちろん成長もし、国民生活も豊かになってまいりました。反面において浪費という姿がここに出てまいった。ガソリンスタンドにおきましてもどんどんどんどんこれをつくっていくという、みずから過当競争の場をつくっていったのではないか。そうしてあと価格を維持するために云々と、これでは私は話は逆ではないのか、かように思うのでありまするが、全石商の松村さん、いかがにお考えになりますか。
  27. 松村信治郎

    参考人松村信治郎君) 過当競争の原因でありますが、今日のように、石油危機を迎えまして全体的な志向のあるときはその意識が非常に強まってまいりますが、しかし、過去、原油のたっぷり供給という段階では、企業ベースといいますか、大企業もわれわれサイドも、企業ベースでは各般成長という志向が非常に強うございました事実は認めざるを得ませんです。しかし、業界全体となりますと、これを何とか安定をしたいという要望のもとに、全石連は団体としてその調整につとめてきたという次第であります。過当競争の過去の実情というのはいなみがたい事実であり、企業ベースではそういうことで経済成長をしてきたと言わざるを得ない次第であります。
  28. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、石連の中に、これはそのものとは違うと思いまするが、検察庁の捜査の段階において、千代田会であるとか、あるいは衆議院でも問題になった、かもめ会であるとか、あるいは白球会であるとか、そういうものが次第に世の中に浮かび上がって国民の目に映るようになってまいりました。一体、石連とそのようないろいろなものがどういう関係があるのか、そうしてまた、まずどのようなものがそのほかにもあるのかどうか、この辺をひとつ解明していただきたい。
  29. 密田博孝

    参考人密田博孝君) いまお話の出ました千代田会と申しますのは、これは三、四年前までは常任理事会と、こう申しておりました。かなり、ずいぶん前からそういう常任理事会、千代田会というものはございました。本来、これができましたのは、会長の諮問機関といたしまして、いろいろ午さん会をやりまして、その場で、従来、会長経験者でありますとかあるいは業界の長老でありますとか、そういう方に集まっていただいて、いろいろな問題の意見を聞くと、こういうことから発足してまいりました。常任理事という名称は、何ら石油連盟の定款にもあるいは組織上にもございません。常任理事会でこういう話が出たということが、いかにも何か決定機関であるかのごとく、たいへん錯覚が、世間に誤解を与えると、こういうおそれから、三、四年前から千代田会という名称に変えたわけでございまして、したがって、これは何ら決定することもございませんし、また特別の議題そういうものもございません。  ただ、たとえば一つの例を申し上げますと、二、三年前に海上交通安全法というものができましたが、そのときにも、大型タンカーを瀬戸内あるいは狭水道その他を航行させる際には漁業補償をどうするかと、こういった問題が出てきまして、なかなか法案が成立いたしませんでした。その際に、業界から、それを解決する何らかの寄付行為をいたしますれば法律がかなり具体化するのではないかと、こういったような非常に大きな問題が出ました。そういう際に、やはり、これをどういうふうに石油業界として判断するかというような、一つの例でございますが、その他公害問題でありますとか環境問題でありますとか、たとえば税制問題でございますとか、そういうそのときどきの大きな問題を取り上げまして、それでその意見を聞いて、その意見を参考にいたしまして連盟内でそれを検討し、理事会に付議すると、こういう性質のもので、これは依然としていまでもその性格は変わっておりません。  ただ、そういう性質の会でございますから、したがいまして、今年度の日本の景気動向はどうであるとか、経済の成長の伸びはどうであるとか、それに関連しまして、一体業界は本年度はどういうふうな動き方をするのであろうかとか、当然やはり量の問題あるいは市況の問題、そういうものも議題に出ておるわけでございます。  それから、第二のかもめ会でありますとか白球会でありますとか、最近の検察の調査段階でいろいろ新聞にニュースが出ております。これは石油連盟の組織とは全然関係のない、やはり各その業界、あるいは石油の品種によりまして各元売り会社間の情報の交換機関ではないかと思います。私も衆議院で御質問を受けましたが、その当時も、かもめ会ということは、これは私はそういう――どう申しますか、営業のかなり末端段階のそういう組織については、これは承知しておりませんので、存じませんと、こういうお答えをしたわけでございますが、現在でも同じでございます。
  30. 岩動道行

    岩動道行君 まあ、世の中のいろいろな疑惑がそういうところからもきておることは十分に反省をしていただかなければならないと思いますが、石油連盟自体の改組をこの際考えておられるのかどうか、それならば、どういう方向でこれを考えるのか、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。
  31. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 業界に対しますいろんな問題がここまで表面化してまいりました。また、公取なり検察の段階でもございます。したがいまして、先ほどもちょっと申しましたように、一般の疑惑なり誤解なり、そういうものをこの際払拭するのが急務だと考えます。石油連盟の本来の仕事は、業界意見の交換でありますとか発表でありますとか、あるいは調査でありますとかあるいは政策でございますとか、そういうものでございます。今度の石油戦争の一番大きな問題点は、やはり的確な情報、これが得られなかったことでございます。したがいまして、そういう情報ができるだけわれわれの手に入るように、それによって業界全体の今後の政策をどういうふうにきめるか、こういうことが最もいま急務と考えておりますので、そういうことを中心に石連の体質をどういうふうにするかということを目下検討中でございます。
  32. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、実は本日の毎日新聞でありまするが、その三面に、日石の瀧口社長が記者会見をしておられる。その中に、告発後は社長会もなく、石油製品価格は各社ばらばらで、消費者も当惑しているのではないかということが記事になっておるわけでありまするが、このような重大な時期に、私はやはり、ただいま密田会長が言われたように、日本エネルギー、そして経済活動の根源をなす大きな方向、こういったようなことについては、十分に政策的な見通しを立てて、そうして国民生活の安定をはかるための社会的な責任を果たしていかなければいけない。こういう意味において、瀧口社長は一向に、もう何かおびえて、石連の会合もないと、こういうようなことをおっしゃっているようでありまするが、これでは私ども国民は一体ほんとうに何をしておられるのか、ただうろうろしておられると、これでは私どもも困るのである、こう思いまするが、瀧口社長、どうお考えになりますか。
  33. 瀧口丈夫

    参考人瀧口丈夫君) お答えいたします。  実はけさ毎日の記事を私も読みまして、おととい会社に毎日新聞の社会部の記者が二人参りまして、面会を求められましていろいろ話をしましたんですが、そのときのことが出たんでございます。  いまの話は、現実的に石油連盟というものが機能を一応停止しているようなかっこうでおるわけでございまして、当然これを今後どういうふうにするかということは、いま連盟会長も申し上げましたけれども、われわれも一理事として、やはりこれからどういうふうにしていったらいいのかなあと、いま検討中なのでございます。何ぶんにも現在はいろんな事件がありまして、われわれが全部集まっていろんな話をするということがどうも誤解を招くもとになるので、もうなるたけ会わないようにするのが一番いいというのが現状の形なんでございます。少し事件がおさまりましたら、そういう問題もじっくり考えまして、将来のために価値のあるものをつくりたいと考えております。
  34. 岩動道行

    岩動道行君 何か非常におびえてしまっていると。一方において通産省あるいは公取も、大きな国家的な立場からいろいろなことを話し合う、これは私は必要ではないかと。そのようなことにおびえているということが、自体、石油業界が国家に対する、国民に対する責務をおろそかにしているのではないかと、かようにも考えまするし、また公取等も、そのようなことにまでおびえさせるようなことでは私はよろしくない。通産省も、十分な政策の問題については政府だけではできない面が多いわけであります。ことに、日本が原油をほとんどがメジャーから買い入れている、こういう実態の中においては、それと十分な連携のとれる業界というものの情報を十分に入手しながら、政策をお互いに話し合ってきめていくと、これが必要ではないかと。そこで、エネルギーの専門家であり、また経団連のエネルギー問題の責任者である松根さんから、この点について一言御所見を承っておきたいと思います。
  35. 松根宗一

    参考人(松根宗一君) いまの御質問お答えします。  今回の石油危機の問題、先ほど連盟会長から話がございましたように、要するに情報の不足ということが非常に私は大きな原因だと思うんですね。この情報を拡充すること自体は、簡単にそう短時日にできる問題ではないのでありますが、私もつい最近ヨーロッパのメジャーにも会いまして、いろんな話を聞いてみたんですが、やはりごくトップで話し合う機会がありますと、かなりメジャーの考え方もわかると。これらの問題をいまの石連という形でやるかあるいはもっと違った形でやるかというような問題は方法はあると思うんですが、そういう意味におきまして、最近、経団連その他財界が中心でつくりました総合エネルギー推進委員会というのができまして、これは主としてヨーロッパ、アメリカ、インドネシア、さらに産油国との情報の交換を強力にやろうという趣旨でできたものでありますが、そこの委員長はきょう出席するはずでございました中山素平君なんでありますが、彼、きょう病気で、私、急にきょうここへ出てまいったわけでありますが、私は、先ほどからお話が出ております石油のいまの物価に対する問題、これ非常な重大な問題でありますが、やはりこれはもうちょっと広い面で、石油だけを論じておってはこの問題は解決しない、この点について、幾らか広い面の、しかも長い目の案を立てなければこの日本石油問題は解決しないと考えておるものであります。簡単でございますが……。
  36. 岩動道行

    岩動道行君 それでは次の問題に移ってまいりたいと思いますが、先般きまりました新しい石油価格、これができるだけやはり国民のために低く、しかも合理的にきめられなければならないということできまったわけでありまするが、はたしてこの価格でいつまでそういうような状態が続き得るのか、その見通し。私どもはいろいろ新聞紙上等でも見ますると、ああいったような価格ではいずれ大幅の赤字が出てまいるということで、企業の存立にかかわる価格ではないかというような声も聞くのでありまするが、はたしてそうであるのかどうか。これも会社ごとに私は違うんだろうと思います。特にメジャーを通して買っている会社はある程度安い。しかし、そうでないところは高い。特にDD原油の問題等もあります。これについては同僚議員からも関連の質問をいただくことになっておりまするので、私は触れませんが、まずその石油価格の決定に伴っての今後の見通し、そしてそれが原油確保にどのようなつながりを持ってかかわり合いがあるかと、この点についての簡明な、そして簡単に、率直にひとつお話連盟会長からお願いしたいと思います。
  37. 密田博孝

    参考人密田博孝君) お答えいたします。  御承知のように、三月の十八日に、平均いたしまして八千九百四十六円の価格が政府によってきめられたわけでございますが、いまお話しございましたように、たいへんこういう価格は上がってまいりましたり、またまだ量的に不十分の現状では、外資系と民族系とでたいへん価格が違っております。これは原油問題というのは各社の最も企業秘密になっておりますので、幾らであるかということを、われわれ連盟サイドからも、あるいは各社相互間からも、どうもうかがい知ることができませんが、非常に大ざっぱに申しますと、やはり外資系と民族系の平均では一ドルないし二ドルの格差があるのではないかと、こういう気がいたします。八千九百四十六円と申しますのは、どうも中身は私十分承知いたしておりませんが、CIF価格でもって十ドルをこしておるように考えます。しかしながら、われわれ業界総平均いたしますと、やはりFOBでもって十ドルあるいは十一ドル、二ドルという会社もないではない。そうだといたしますと、いかにもこの八千九百四十六円というのは無理な価格でございます。たとえば一つの例を申し上げますと、この数字を出します際には、四十八年上期の業界のキロ当たり平均利益五百円、そのうちの二百五十円も吐き出すんだと、こういった計算になっておるようでございます。また、十月-十二月、これは通産で算定されました各社の総利益が六百五億ある、これも全部還元する。それからその他の販売費、精製費、管理費、これにも非常にかなりのカットがなされております。そういう結果、三月末の石油各社の利益と申しますか、損益は、実質的には千三百億ぐらいの赤字になるであろう、こういう予想も通産のほうで立てておられるわけでございます。価格自体がそういうふうにたいへんシビアでございますから、したがいまして、四月以降は、私はこの値段でまいりますれば各社の毎月赤字の累積になるかと思いますし、その上まあ決算に対する方針は、千三百億の赤字がそのまま出るとは考えませんから、表面数字はかなり変わってくるかもしれませんけれども、実態的にはたいへんなそういうものを負担するということでございます。したがって、四月以降赤字が累積し、かつ三月末に千三百億の実質損がありまして、これに対する将来の対策というものは、いまのところ、私は少なくとも役所のほうでどういうふうに考えておられるか、これも聞いておりません。かりにそうだといたしますと、そういう状態で、この一月以降二倍以上にも値上がりいたしました原油購入の資金手当てが一体企業自体でできるのかどうか、これは私はたいへんむずかしい問題でございます。原油の値段の高い安いにかかわりませず、五月後半から六月になりますれば、そういう状態で原油購入の運転資金の手当てができるかどうか、これが私はたいへん当面の問題であろうと思いますので、したがいまして、そういう対策を立てますにはもうすでに時間的の余裕もあまりありませんので、たいへん将来の供給にこの問題はすぐにつながってくる懸念を十分持たなくてはいかぬと、こういうふうに考えます。
  38. 岩動道行

    岩動道行君 この原油の確保についてはかねてから私は業界の方にも警告を申し上げたと思うのであります。特に瀧口さんが連盟会長をしておられるときに私は、これはもう三年か四年前でありまするが、一体日本の原油の安定確保はほんとうにだいじょうぶなんだろうかということを申し上げたところが、それはだいじょうぶだと胸を張ってお答えになった。われわれも企業をやっているんだと、企業をつぶすようなことはしないと、こういうことで非常に力強いお話を承ったのでありまするが、実は私はそのときには非常に大きな不安も抱いたのであります。当時すでに石油市場は買い手市場から売り手市場に変わりつつあった。そこに対する日本石油業界というものの見方というものがかなり甘かったのではないか、あるいはまたメジャーズとの関係においてそういう自信を持っておられたのか。しかし、今回の中東戦争を契機とする石油供給の実態を見まするならば、メジャーズは日本に対する供給についてはかなり努力もしたかもしれません。しかし、たとえばイランにおいては、日本には一〇〇%来るであろうと予定されておったものが、まず自分の国で引き取り、あるいはヨーロッパにそれを回し、その余りが日本に回ってきたと、こういったようなことで、OAPEC以外の国の最も日本としてはたよりになる、また親交関係の深いイランの石油が大幅に減ってしまったと、こういう事実を考えてみまするならば、業界の原油輸入手当てに対する私は甘さというものがあったのではないか。この点について一言瀧口石連会長としてお答えをいただきたいと思います。
  39. 瀧口丈夫

    参考人瀧口丈夫君) 前に申し上げましたことでございますけれども、あのときと現在とは、御承知のように、中東第四次戦争による政治的な要素によって油の世界的な要するに供給が途絶する状態でございまして、われわれはそういうことは当時は考えておりませんで、それがなかりせば、やはり相変わらず油には要するに不自由はなかったんではないかと、特に現在でも、ある程度の要するに金を払えば原油というものは買えないことはございません。ただ値段が、いまの日本の中の八千九百四十六円という平均価格に製品が押えられているこの状態では、先ほど連盟会長が申し上げましたとおりに、油は買えないんだということで、ある程度DD原油が買えるような値段で買ってきて製品にそれを転稼した場合に、それである程度の経営が成り立つんでありましたれば、まだ油というものは買えるんではないかと考えております。価格の問題で現在はぐあいが悪いということで、油自体はまだそれほど心配ないと私は考えております。
  40. 岩動道行

    岩動道行君 どうも重ねて私は発言せざるを得ません。値段だけの問題だというふうにいま片づけておられまするが、それはなるほどアメリカに対するサウジアラビアの輸出禁止も解除された、世界的な緩和の状況にある、そしてまた日本も、三億キロリットルまではいかなくてもそれに近いところまでは確保できるであろうという見通しが一応成り立っておりまするが、一方において価格が上がってくるならば、はたして日本経済がそれを買うだけの力があるのかどうか。これは日本の輸出の能力とにも関係し、日本国内の物価問題にも関連して、私はそう甘く考えていってはいけないのであって、したがって、依然としてエネルギー源としての石油は量と価格と両面から十分な配慮が必要であると、こう思うのでありまするが、その点については私は認識を異にする。そのような甘いことを考えておられたならば日本国民経済というものは成り立っていかないと思う。そのことだけを申し上げて、ここで議論はもう避けます。
  41. 嶋崎均

    ○嶋崎均君 ただいまの岩動委員からの御質問に関連してお聞きしたいと思うんですが、本年度の石油の輸入の見通し二億七千万キロリットルということで考えておるわけでございますが、しかし、輸入の価格が非常に上がってきておる、そういうことで、省資源へ切りかえるということで、ある程度価格が上がり、それにまた税金まで上のせをして消費抑制に現在国民の協力を求めておるわけですが、需要の面からそう急速なダウンということは期待できないように思うわけでございます。反面、私は非常に心配しているのは、先ほども指摘ありましたように、八千九百四十六円という価格をきめるにあたって四分の三バルクラインだとか、あるいは総平均だとかいうようなことで価格が設定されております。しかし、よくよく考えてみますと、日本石油精製業というのはリファイナリーで、結局船からおろしてパイプを通して得率をきめて精製をしていく過程、そのことはそう技術的に変わらないわけです。コストが変わってくるとするならば、それは原油の輸入の価格が各社ごとに違っておるというところで競争力が違ってくるという深刻な実は問題だと私は思うのです。  そういう観点からしますと、一年前にわれわれは物不足ということで非常に悩んだ。そうしてまたこの石油危機も物不足ということを前提にして、それが投機に結ばって石油製品及びそれの関連商品の暴騰を招いたという苦い経験を持っておるわけでございます。したがって、私はこの八千九百四十六円という価格でもってほんとうにだいじょうぶ、この四十九年度の石油の、ものが確保できるかどうかということを非常に憂えておるわけでございます。特に採算によってとてもそろばんに合わないものは輸入を手控える、あるいは非常に日本価格が諸外国と比べて相対的に安いということになれば、日本への供給というものが抑制される。そういうことを通じて、結局夏場はともかくとして、秋口から需要期に入ったときに非常に深刻な事態を招くのじゃないかということを心配しておるわけです。特にこの一月に値上げをされ、あるいは三月にさらに追加が通告をされ、四月一日からミナスの石油が九十セント上がっておる、こういう事態が次々起こっておるわけでございます。私、ごく大ざっぱな計算をしましても、これは先ほどCIFでお話がありましたけれども、FOBで見まして九ドル三十から四十あるいは五十程度でないと、なかなかそろばんが合わないというのが現実じゃないか。各社のいろいろな有価証券報告書等から見まして、私はどうもそういうぐあいに計算をしておるわけでございます。  そういう観点からしまして、ほんとうにこれだけの高い油でもって玉ぞろえができて、ほんとうに政府が意図している二億七千万キロリットルを供給できるのかどうか。もしそういうことでないならば、私もさきの予算委員会で中曾根大臣に指摘しときましたけれども石油業法による月々の生産計画というものがあるわけでございますから、そういうものを通してやはりものを言うべきことはきちっと言ってもらわなければいかぬし、そうしてそのことがほんとうに日本経済を安定成長の軌道に乗せる非常にキーポイントであるというふうに思っておるわけです。そういう意味で石連会長お願いしたいのですが、ほんとうにこういう状態で、あるいは大協石油だけの経理しか御存じないかもしれませんが、そういうことであったら、各社ごく簡単に、ほんとうにこれで確保ができるのかできないのか、その辺、自信があるのかどうかということについて御返事を願いたいと思います。
  42. 密田博孝

    参考人密田博孝君) いまのお話は全くそのとおりで、私は数字と上から申しましても同感でございます。八千九百四十六円という数字は、少なくともFOBで十ドル以内、九ドル五、六十セント、そういう原油価格でないと採算がとれない数字だと考えます。また、あの数字を算定されました際には、メジャーから供給を受けております原油の価格はみな暫定価格でございます。したがいまして、あの三月十八日後、今日までかなりの追加値上げ要求が来ておりまして、メジャーから買うものでさえおそらく私はFOBで十ドルを出ているものが大部分になっておるのではないかと考えます。これは民族系の立場からいま申し上げましたので、外資系の実態はこれは私はよく承知いたしておりません。したがいまして、それが先ほども申し上げました四月以降こういう値段で推移いたしますと、とても各社には赤字が毎月毎月累積するのではないか、その懸念がたいへん強い、こういうふうに考えた根拠でございます。  それで、もしもこの石油会社の企業経営の立場で、その際にそれではどうするかと、こういったことを考えます際には、どうしてもやはり経営責任の上からいきますと赤字を少なくせなくちゃならぬ。赤字を少なくする唯一の最も有効な手段は、高いものを買わない、つまり十ドル以上出ている原油はできるだけカットダウンする、採算のとれやすい原油だけで処理すると、こういうことにならざるを得ないと思うわけであります。これは必然的に供給量の減少につながってまいります。ただ、石油の製造は、これは装置産業でございますので、断続的に一週間やって一週間休むと、こういったことはできません。したがいまして、やはり操業の可能――操業率を維持する最低限度というものがございます。これはやはり六五%から、せいぜい私は嫁動率七〇%がミニマムでございまして、もしもそれに必要な原油が手当てできないということになりますと、これは工場を一時的に停止をする、こういうところへ追い込まれる心配もあるわけでございまして、大体現状はそういうふうに考えていいのではないかと考えます。
  43. 竹内藤男

    竹内藤男君 ただいまの質問に関連してお伺いをいたします。  ただいまのお話ですと、日本石油業界精製能力の半分を持ち、しかも販売のシェアにおきましても四五%を占めております民族系の会社が、今度の価格決定においても相当シビアに価格決定がされたために赤字にならざるを得ない、その上一ドルから一ドル五十セントぐらい、いまメジャーのほうから追徴金を決定されて要求をされている。この追徴金を払わなければ供給を確保しないというようなことも新聞に出ておりますので、これはのまざるを得ない。そういうことになりますと、赤字を継続するわけにいかないので、石油供給することをやめなければならないと、非常に重大な発言があったわけでございます。  そこで、私はお伺いいたしたいのでございますけれども一つは、これほど手痛い打撃を受けている民族系の会社、これにつきましてはいろいろなことがいわれているわけでございますが、石油の輸入公団というような主張もございますし、また石油会社の統廃合の問題ということもいわれておりますが、通産省あたりにおきましては、民族系の会社をある程度大きくしまして、価格のリーダー性を持たせるようにしたいというようなことも言っておられますけれども、いまのような石油がメジャーに支配されているような状況におきまして、民族系会社の統廃合の問題、あるいは今後の民族系会社の生きるべき長期的な方向としてどういうことを必要と考えておられるのかどうか、その点について一問だけお伺いをしたいと思います。会長お願いいたします。
  44. 密田博孝

    参考人密田博孝君) たいへんむずかしい御質問で、私はそれに率直になかなかお答えしかねると思うのでありますが、たいへん精製会社も数は多くございますし、また元売りも十三、四社もあるわけでございます。こういったことで、もっと集約化、再編成、合理化する余地はないかと、こういう点から考えますと、これは十分その努力をせなくちゃなりません。あるいはまた石油審議会で設備の許可基準をきめます際には、そういう方向をたどるものを優先的に設備の許可をするのだ、こういうもうすでに前からの一つの方針もございます。ただし、ここまで石油各社の赤字と申しますか、負担が大きくなってまいりますと、必ずしと従来のような集約、再編成という考えだけでは私は効果が出ないと思います。何を申しましても、原価の中に占める原油費とフレートの比率は、大体全製品平均で六〇%から六五%ぐらいを占めておるわけであります。  この大部分の原油費がいまのように暴騰いたしておりますし、それに反比例いたしまして販売価格が非常に低く押えられておる。そこを解決いたしませんと、たいへん弱体化いたしました会社が単により集まりまして合理化して、それでもって何かその穴埋めをしようという、そういうなまぬるい程度ではこれはとても追っつかぬのではないか、こういう気がするわけでございまして、したがいまして、この原油費をどういうふうに販売にバランスしたものに合わしていくかということを、これをひとつ考えなくちゃいけませんので、したがいまして、DD原油は御承知のようなことでメジャーから供給を受けるものよりはたいへんに割り高でございます。これは当面の間なかなか値下がりを期待をするとか、そういうことは私は考えられない。そうだといたしますと、つまり政府間ベースのGG原油と申しますか、そういうものを今後いかにして有効にそれに適応させるような原油を買い得るかどうか、これは私はなかなかどうもいまの段階では、企業段階でこれを解決するということはむずかしい。やはり政府のある程度の力をそこへ投入していただきますとか、そういう努力もひとつ十分やっていただかなくちゃならぬかと思います。  ただ、それは直ちに原油の輸入公団をつくるということであるとか、あるいは供給国策会社をつくるということ、そういう構想に結びつけて私は申しておるわけではございません。それだけ念のため申し上げます。
  45. 細川護煕

    ○細川護熙君 いまの問題に関連して、もう一問重ねてお尋ねをしたいと思いますが、昨年の石油危機以来私たちが一番強く感じているのは、やはり鉄と並んで一番わが国の産業にとって基幹物資である石油というものが非常に野放しにされてきたというやはり強い認識であります。中東戦争が起こってから、対外的には石油のメジャーに振り回されて、また一方で、対内的には製品供給というものも私企業である石油元売り会社にまかせているために価格がばらばらで非常に混乱に大きく輪をかけたという面があったと思います。そういう点からも、前に質問を申しましたように、やはり輸入、流通、あるいは価格の各段階において何らかの根本的な再検討というものを加える必要があるのじゃないかという率直な感じがするわけであります。  で、かりに国による管理体制というものをもし考えるとすれば、どの段階でそういうことが考えられるのか、業界としてのお考えを伺いたいわけですが、ここにひとつ、これは中山伊知郎さんが議長をしている社会経済国民会議ですか、この中でも、時限措置として石油管理特別会計を設けたらどうか。国が為替管理をして、政府が為替管理をして数量を調節したらどうかというような提言をしておられます。もしそういうふうな国が介入をしてやるということを考えた場合に、どういうふうなことが現実的な問題として検討されなければならないか。石油業法の改正ということもあるでしょうし、あるいはまあ元売り会社を免許制にするとかいろんなことがあると思いますけれども、そういう点についての業界としてのお考えをひとつ承っておきたい。石連会長と松根参考人とお二人にお尋ねしたい。
  46. 密田博孝

    参考人密田博孝君) どうもなかなかむずかしい問題でございまして、すぐに私はお答えしかねると思うのでありますけれども、たとえば食管会計のような石油特別会計、こういうものをつくって、そこで原油の価格調整をやったらどうだ、こういう構想もあるように考えますが、それの是非につきまして、私はここですぐこういうほうがいいというようなお答えはちょっと未検討でございますので、いろんな問題がございましょう、お答えいたしかねるわけでございますが、ただ、この原油価格問題はたいへん為替との関連が強うございまして、いまのような変動制で円がどういうふうに変わるかということでかなり原油の購入費が変動いたします。たとえば石油会社が五億ドルのドル債務をかりに持っておるといたしますと、一円為替が上下いたすことによりまして五億円もうすでに違ってくるわけでございます。十円変動いたしますと五十億円でございます。これが直接損益に響いてまいります。たいへんそういう意味では為替変動による経営が不安定である、こういったことも言えますので、したがって、それを安定させる何かの方策、これはいまの石油特別会計と申しますか、そういったものである程度の調整をするという考え方も出ないでもないと思いますけれども、これはまあ一つの問題点でございまして、やはりそれによって原油価格がここまで高騰いたしましたり、しかも国内の物価対策にたいへんな関連があるということで、まあ非常に率直に申し上げますとかなり――どう申しますか、経済原則に違った原油費と販売価格と、こういったものがいま出ているわけでございますから、その基本的の考え方をどうするかによりまして、私はそれに対するいろんな対策、構想、あるいは政府自体がやっていただくそういう問題がおのずから出てくるような実は気もするわけでございます。  以上でございます。
  47. 松根宗一

    参考人(松根宗一君) ただいまのお話、いかにしてこの石油価格を安定させるかといういろいろお話を承ったのでありますが、私は最近の八千九百何がしという石油価格の決定そのものは、やはり政府の一つの大きな物価政策として考えられたものであって、これは必ずしも石油の世界的な経済性に合致しているものだというふうには考えないのであります。ことに石油価格の変動というものは、先ほどからお話がございますように常に変わっておる。それと同時に為替の問題、フレートの問題、これまた非常に動いております。したがいまして、一度きめた値段であくまでもこれを守るために、先ほどからお話がありましたような、あるいは政府機関を置いてどうするというようなことは、おのずからこれは問題をさらにむずかしくする問題であって、私はむしろそういう石油価格に関する情勢の変化に応じてこの価格は変動すべきものであるというふうに考えております。  先般もメジャーの一人であるシェルの首脳部に、君らは一体日本の今度の値段をどう考えるかということを聞いたことがあるのですが、どうもこれでは安くてなかなかわれわれとしてはたくさん油は入れられないと、一体それじゃ君らは何ぼぐらい上げたらいいと思うかと言うと、一万一千円だというようなことを言っておりましたが、この数字が当たっておるか当たっておらぬは別としまして、やはり価格の問題と日本への供給の数量というものは常に関連があるのでございまして、これを日本だけでこれを規制しようとなりますと、どうしても政府が何かそこに援助をするということにならざるを得ない。しかし、そういうことが今後引き続いて行なわれる場合に、はたして外国がそういう援助をするということについて黙っておるかどうかという問題が当然起こってまいります。したがいまして、今度決定しましたこの石油価格というものは、それによって潤沢に必要な程度の油が入ってくるという前提でなければ成り立たない私は数字だと思うのであります。したがいまして、そういう国際的な石油価格に応じてこれを変えていくということが当然必要であろうと思います。言いかえますと、先ほども申し上げましたように、とりあえずいまの物価を押えるという一つのたてまえからこれはできたものでございまして、これをいつまでも価格を規制していくということは実際上私は不可能なことであろう。できるだけ早い機会に、その時期は別としまして、なるべく早くこの価格の規制というものは解除すべきものであるというふうに、そうして新しいこの価格構成というものがそこで生まれて、それによって円滑な経営をしていくというのが私は常道だろうと思うのであります。先ほどちょっと申し上げたんですが、  それじゃ、そのままにしておいていいのかという問題になりますと、やはりこれは石油だけで解決のできない問題である。それじゃどうするかと、結局石油にかわるエネルギーを早く開発することである。日本ではいま石油にかわるエネルギーとして一番身近なものは原子力でございますが、簡単に原子力といま石油との問題を比較してみますと、大体電力にして石油の半分、つまり八円、キロワットは八円ぐらいのものが原子力の場合には四円。それからもう一つ私は大きな問題は、油を買います外貨ですね、これが非常に大きな額になりまして、これが買えないという問題が間近に迫っておる。この点を、もしこれを一部電力に使うものに振りかえて考えてみますと、外貨の所要額というものは油の一〇に対して原子力の燃料は大体その八分の一であります。一対八分の一という非常に少額の外貨で済むということから考えましても、これは単に私は原子力だけのことを言っているんでありませんが、いずれにしましても、そういう代替エネルギーをすみやかに開発して、そうして政治商品である石油というものに対抗する策をとらなければ根本的な解決はできないと思うんであります。  なお、最後に一つ申し上げておきますが、今度の石油の打撃は、この安定供給を中心としておる特に民族系の石油に非常に大きな影響を与えております。これをひとつどういうふうにしたらいいかということは、先ほどから構造改革その他の問題がいろいろ出ておりますが、これまたわれわれのほうでもいろいろいま検討しております。何かそういうことによってそういう問題の解決をこれからはかっていかなきゃいけないという問題が差し迫っておると思います。  以上でございます。
  48. 岩動道行

    岩動道行君 私の質問に対する関連質問でいろいろな点が解明されてまいりましたが、この新価格、キロリッター当たりの価格がきまったことによっていろいろな関連商品の価格がきまってまいり、あるいは電力の料金を新しく改定していかなければならない、そういう中においてガス料金もまた改定を見なければいけない、そしてまた春闘の結果を見なければならない、あるいは国鉄運賃、私鉄運賃等の輸送関係の料金の問題、こういったようなことの一連は、すべてまず石油基礎としてスタートしている。つまり日本物価というものは、今日は石油価格をスタートとして、そこから新しい価格体系が生まれ、新しい物価水準が生まれてくる。こういう意味において私は、石油業界国民経済に社会的な責任を果たすという重要性がある。かような意味において、本日もトップバッターとしての石油業界においでをいただいたようなわけでありまして、その辺の認識に立ってさらに質問を続けさしていただきまするが、市場経済のメカニズムというものをこれは私は現体制において放棄するわけにはまいらない。かりに輸入体制を一手にしてまいるということによって、はたしてその原油の確保ができるかどうか。食管会計みたいなものをつくれば、これはあるいは高くても買う、そうして国内には安くする、その差額は税金、財政資金でまかなうと、こういうようなやり方にまで進めばこれは別でありまするが、はたしてそのようなことが国際商品としての石油に可能であるかどうか非常に私は疑問に思います。さような観点からのお答えもいただきたいと思いまするが、さらに先ほど密田参考人からお話がありましたように、今回の新価格というものが、FOB価格ですか、これで十ドル、バーレル当たり。しかもドルの換算は二百九十円と、こういうことに基礎を置いております。これが変わってくるならばきわめて大きな影響を与えることは先ほどのお話でもわかりました。  さらに、これを具体的にわかりやすく考えてみますと、為替レート十円が変動した場合には一体どうなるか。これをキロリットル当たりで製品まで換算して一応の試算をしてみますると、一円の変動で製品価格キロリッター当たり六十五円上下すると、こういうことになってまいります。そういたしますると、今回の八千九百四十六円、キロリッター当たり、これが一円の為替相場の変動によってどちらになるか、高くなるのか安くなるのか。しかし、現在のドル為替はドル安になって円が高くなっております。これによる利益というものは十分に私は受けている、また受ける立場に現在はある。変動相場制であるがゆえに不安定であるということもありましょうが、そういう点においては、先ほど松根さんからもお話があったように、石油価格というものはある程度の一定のタームをもって仕切っていかなければ国民経済というものは成り立っていかない。市場価格というものは成り立っていかない。絶えず動いていくということでは日本の全産業がゆれ動いていく。こういう観点から、一体どの程度のタームをもって現在の時点においては政府の今回の行政上の指導価格というものが維持できるのかどうか、この辺をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。密田さん。
  49. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 最初に申しましたように、石油製品価格というものはあまり変動するのは好ましくない、こういう考えをいまでも持っておりますので、しかしながら、昨年の十月、中東戦争以降、全く情勢が変わってしまったわけでありまして、したがって、いまのような考え方はこれはなかなか通用いたしません。といって年に三回も四回も価格が変わるということは、これは好ましくないのは当然でございますが、したがいまして、これはそれでは年一回がいいのか二回がいいのかということも、これもそのときの情勢によりまして、やはり安定して量が供給できるというそういう状態でありませんと、価格問題を解決しても量の不足という問題がすぐに引き続いて起こってはこれも困るわけでございますから、したがいまして、そのタームはどれだけがいいかということは私がいまここで即答はいたしかねると思うのでありますけれども、しかしながら、先ほど来申しましたように、現状の八千九百四十六円というのはいかにも業界の国際商品としての石油供給するには不自然なものであるということはこれははっきりいたしておりますので、したがいまして、今後の諸物価の関連の問題からいいましても、できるだけ早い機会に自然な形にひとつ是正していただく、これをこの場をおかりいたしましてお願いを申し上げる次第でございます。
  50. 岩動道行

    岩動道行君 時間がなくなりましたので、実は流通問題について全石商の方からも中間マージンの問題を伺いたいと思いましたが、本日は時間の都合で省略をいたします。また別の機会にあれしたいと思います。  備蓄の問題、これが現在非常に減ってきている。そうしてこれの補充が十分にいかない。入ったら直ちにこれを使っていく、なかなか備蓄が思うようにいかない。かつまたCTSの問題がいろいろな難問にぶつかって進展しない。こういうことから私は、日本国民経済あるいは日本の国家の安全保障、こういう観点からも重大な問題である。備蓄の問題についてはなお質疑を重ねたいのでありますが、時間の関係上、問題点を指摘するにとどめて、今後業界においてもできるだけ備蓄の増強に努力していただきたい。政府もまたこれは十分に配慮しなければならない、かように考えるわけであります。  終わりに、石油企業というものは、いままでのお話を通しましても結局一種の公益事業的な色彩がきわめて濃いものである。電気、ガス事業が公益事業であると同時に、石油企業もまた精製からダウンストリームのすべて、そうして末端のガソリンスタンド等に至るまでやはり公益的な社会的な役割りを果たしていく、こういう認識を私は十分に持ってやっていただかなければならない。このためにこそ関係法案等も成立をして今日活動をしているわけであります。  なお、政府の態勢といたしましても、年来私が主張してきておりますのですが、この私の書いた「エネルギー」という本にも出してあるのでありまするが、お読みいただいたと思いまするが、動力燃料省あるいは資源エネルギー省専任の国務大臣を置いて、そうして積極的な国民の要請にこたえるようなエネルギー問題の対処をしていかなければならない。このことについて一言松根さんからお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  51. 松根宗一

    参考人(松根宗一君) ただいま岩動さんのお話、よくいままでそういう話も出たのでありますが、最近やっとエネルギー庁というものが通産省の中にできまして、この運用の成績を見ておりますと、いろいろふしあわせなできごとはあったといたしましても、きわめて所期の目的のような動きができておりません。先ほどから申しておりますように、日本エネルギー問題というのは石油一本にたよるとか、あるいは石炭にたよるとかいうような性質のものではなく、常にエネルギー源というものは私は時々刻々――時々刻々と言っては悪いのですが、少なくとも十年、十五年のインターバルですでに日本でも外国でも変わっております。そういう意味におきまして、これを強力に推進することがいかに一般の社会生活、産業、双方にとりまして非常に大きな問題であるということは、いまさら申し上げるまでもないことでありますが、特に今回の問題で痛切に私は国民としてはそういう自覚がふえたと思うのであります。それをやりますためには、いまのエネルギー庁という組織はあまりにも小さくて、あまりにも力が弱い。アメリカでニクソン大統領がエネルギー教書を出しましたことは、あれ自体は、このエネルギー問題は大統領がやらなければできないんだということであります。そういう意味におきまして、私は、エネルギー省というものをつくって、これで強力に、外務、大蔵、通産、技術、環境と、そういうものを含めた大きな組織でこれを推進することが、一番私はこれからの日本に必要なものであろうと存ずる次第であります。  ありがとうございました。
  52. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 上田哲君。(拍手)
  53. 上田哲

    ○上田哲君 八千九百四十六円ですが、大協石油社長として密田さん、このことはいつ御存じになりましたか。
  54. 密田博孝

    参考人密田博孝君) どうも、しっかりいま日時を覚えておりませんが、たしか、やはり三月の十八日ではなかったかと、こう考えます。いま正確な記憶がございません。
  55. 上田哲

    ○上田哲君 瀧口社長はABC案をいつ御存じになりましたか。
  56. 瀧口丈夫

    参考人瀧口丈夫君) お答えします。  ABC案というのは私知りませんけれども、どういうことでございましょうか。
  57. 上田哲

    ○上田哲君 じゃ、八千九百四十六円はいつですか。
  58. 瀧口丈夫

    参考人瀧口丈夫君) あれは土曜日だと思いましたね。土曜日ということは十六日でございますか。
  59. 上田哲

    ○上田哲君 午前午後ということは御記憶になりませんか。
  60. 瀧口丈夫

    参考人瀧口丈夫君) 実は、土曜日は私は、会社は休みなんでございまして、係の者から電話で聞きましたものですから……。
  61. 上田哲

    ○上田哲君 八千九百四十六円はそんな調子でわかったんだということになるんでありましょう。八千九百四十六円そのものが、私ども立場からすると、第二インフレのとびらを開いたと、こういうきびしい国民生活からの実感を持っています。これに至るまで、さまざまな契機に、カルテルに次ぐカルテル、そして最後は、今度は週休二日だったからわしゃ知らぬぞというようなせりふでありますけれども、いずれにしても九千円近い石油製品の値上げがこの三月中旬から一斉に動き出したということの国民生活に与えた影響、その不安、非常に高い。このことが私は企業側の大きな感覚のベースになってなきゃならぬと思うんです。しかし、お話を聞いておりますと、全く企業あれども国民生活なし、あるいは値上げあれどもモラルなしと、こういう実感にとらわれざるを得ない。  第一の問題は、例の協定破棄勧告応諾、撤回、そして提訴、この形は、いかに諸悪の根源などと言われた石油連盟といえども、まことにあいまいもこ、国民にとっては理解しがたい暗やみのかなたにある、こういう実感をさらに強めるものだと思うんです。私は先ほど来のお話を聞いておりましてね、主文応諾であって事実の認否とは違うなんという論理は、これは通りませんよ。国民にはわからないです。まさに私は、このあり方そのものが、端的に言うならば、ただ一点、とにかく値上げさえできれば、しかもそれが早ければいいということだけにしぼって、企業感覚だけで、なりふりかまわず突っ走った、もう一ぺん申し上げるけれども、これは、企業あれども国民生活なし、値上げあれどもモラルなし、この指摘には私は耐えがたいと思うのでありますけれども石連会長として、これは六社と六社以外と私は区別しません、同じ発想だと思っていますが、いかがですか。
  62. 密田博孝

    参考人密田博孝君) いまの御指摘は、実は私は、たいへんそういう御見解もあるかと、こういうふうな気持ちで伺っておりました。たいへん一連の問題が、勧告が出まして、それに応諾するかどうか、また、そういうあと告発問題、あるいはまた値上げ問題、それに続いてまた勧告に対する提訴の問題、こういったものが続いておりますので、あるいは御事情のおわかりにならない方は先生のような見方をされる方もたいへん多いかと思うのでありますけれども、われわれの率直な心情を申し上げますと、決してそういうことではございません。そういうふうに御解釈されるといたしますと、これはやはりわれわれの至らなかったところがそこに多々あるかもしれませんので、ただ、そういうことで今日まで一連の行動をとってきたことでないことだけはここで申し上げておきたいと、こう考えます。
  63. 上田哲

    ○上田哲君 密田さん、事情のわからぬ者にはわからぬだろうなんということは、国民関係のないところで石油企業が成り立っているのではありませんよ。国民の血液、産業の血液といわれるところに公的資源としての石油の問題があるんですよ。あなたはそういう感覚が全然おありにならない。全くこれまでの反省を欠いている発言ということが、国民生活の立場から見れば、われわれにとっては、わけのわからぬジャンルでもって、とんでもない大地主のような社長が何かやっておるという感じしか受けない。事情のわからぬ方にはわからぬとおっしゃるが、一般庶民は、事情がわからぬ中で高い製品を買わなければならぬのですよ。このことに対して十分な説明が通っていないということ、非常にわかりにくい。主文応諾であって事実の認否とは違うなんということは社会常識には適合しませんね。これがわからないのがあたりまえだと、わからないほうがあたりまえであって、その辺については反省するという一言がなければならぬと思うのです。もう一度お願いします。
  64. 密田博孝

    参考人密田博孝君) いまの御指摘の点でございますけれども、これは主文の内容を、勧告書の内容をよく読めば、それの事実の認否をするかせないか、これは当然の理であろうと、こういうふうに公取委員長もおっしゃっておるわけでございますが、しかしその際、われわれ弁護人とも法解釈といたしましてどういうふうに取り扱うべきかということをいろいろ研究いたしました。したがいまして、私は衆議院でも申し上げましたとおり、学説あるいは法理論から言って、必ずその事実を認否せなくても主文勧告応諾し得ることがあるんだと、こういう見解を聞きましたので、そういうこともあり得るということを申し上げた次第でございます。
  65. 上田哲

    ○上田哲君 私は、政府に対する考え方公取に対する質疑とは違いまして、きょうは独禁法の解釈は争わぬつもりです。その問題ではないのです。独禁法上の問題は、独禁法にまで触れるほどの許しがたいことであるというレベルとして問題にさるべきであって、国民生活に与える影響の度合いを国会はあなた方に伺いたいのであります。私は声を荒立ててものを申したいとは思いません。しかし、あなたのことばの中に、一般にはわからぬだろうということで、たかをくくるような言い方があっては、はなはだ国民に対して、あるべき企業の姿勢を放棄したものだと言わなきゃならない。わからないのが国民としては普通でしょう。いまのお話を聞いていると、事実の認否はともかくとして主文を、審決の全体をほとんど分析することもなく、とにもかくにも、まあこれは独禁法上の解釈としてはよかろうということで、とりあえず応諾をしたと、こういうふうにしか受け取れない。はなはだ、あなたがたには、十分な点検を行ない、論理を正した上でやったんではなくて、非常に論理的にも混乱もあるし、国民にはわかりにくいだろうというところは、これは率直にお認めになるのが企業のモラルではありませんか、どうですか。
  66. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 私の先ほど申し上げましたのは、ことばが足らなかったかもしれませんので、皆さんにはおわかりにならないというのは、いま申しましたような法理論がおわかりにならない方もあったかもしれないと、こういう意味で申し上げたわけです。しかしながら、後段で先生のお話しになりました、われわれこの間の八千九百四十六円というのは、たいへん、どう申しますか、先ほど申しましたように、経済原理に合っている価格であるというふうには考えておらないと、こう申しましたけれども、しかし、これは国民の生活にたいへん影響のあると、そういう認識は十分持っておるわけでございます。
  67. 上田哲

    ○上田哲君 根本的に、とにかく国民生活に対して理解をしがたい状況としてあなたがたがふるまっておられるということはお認めになったものと、そこにはそれだけの反省はおありになるものというふうに私は理解をしておきます。よろしいですね。しかし それでもこの背景にはやっぱりどうしてもわかりがたいところがある。この背景は、根本的に、応諾をすれば、少なくとも応諾をした時点ではカルテルを認めたということにならざるを得ないわけです、論理は。ところが、認めていないわけですね。これは六社であっても、そうでないところでも、同じだろうと思うんですよ。そうですね。まずそのことを一点伺いましょう。カルテルを認めてないわけですね。
  68. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 先ほど来繰り返すようでございますけれども、特に連盟に対します生産調整問題につきましては、十一月以降カルテルの事実があったと、それを破棄しなさいと、こういうことでございますけれども、その事実はわれわれとしては認めておりません。これはまあいまの捜査の段階でいろいろ明白になることだと、こう考えております。
  69. 上田哲

    ○上田哲君 そこで、出光から出ている訴状がありますが、この訴状の中で、その筋から応諾を慫慂されたのだという一行があるわけであります。これは加藤さんからお伺いしたいわけですけれども、その筋というのは、これはもう言うまでもなく通産省だと、これは文脈からいって理解せざるを得ない。この慫慂された内容は、いまこの勧告を認めれば値上げは認められるということ、まあつまり応諾しなければ認めにくくなるだろうということ、そして応諾すれば告発はなかろうということであった内容だろう、それは通産省だということをお認めいただきたい。
  70. 加藤正

    参考人加藤正君) お答え申し上げます。  先生の御推定として、その筋というのは通産省であるとおっしゃられていると思いますが、いろんなバックグラウンドから見て、もっともであると思いますけれども、現在訴訟中でございますし、また、直接関係はございませんけれども、検察御当局からこれは刑事事件としてお取り調べを受けておりますので、私からはっきりそうだということを申し上げるのはごかんべん願いたいと思います。
  71. 上田哲

    ○上田哲君 係争中のことをあまりここでもって検察庁のかわりに聞こうと思いませんよ。そこは一線画してもいいです。しかし、あなたのほうに、この訴状というのは、もうこれはだれでも手に人れようと思えば手に入れられるものですから、そこにはっきり伝聞でお書きになっているはずはない。これは通産省以外だったらたいへんなことになるわけですよ。これは通産省だということはわかる。たとえば、権限を持っている通産大臣なのか、あるいは石油部長なのか、こういう固有名詞で伺うことは私は避けましょう。しかし、通産省であるという言い方については認めていただかないと、これは社会的に成り立たないわけです。
  72. 加藤正

    参考人加藤正君) 先生から重ねて御質問がございましたけれども、私の立場といたしまして、はっきりそうだということを認めるわけにはいきませんので、訴訟その他で明らかになってくる問題かと思います。御了承をお願いいたしたいと思います。
  73. 上田哲

    ○上田哲君 通産省ということは言えなきゃいかぬですよ。では、通産省ではないですか。
  74. 加藤正

    参考人加藤正君) それは、御推定に対してはごもっともだと思いますけれども、この際はっきりそう明言する時期ではないと、こういうことを申し上げておるわけです。
  75. 上田哲

    ○上田哲君 それでよくわかりました。  通産省通産省はこういう事実はないということをしきりに言っておられたわけであります。これはまあ時間がありませんから、私はあとでまとめて次の機会にでも言いますけれども、これはしっかり聞いておいていただきたい。やがて捜査の段階でも明らかになることなんでありますから、これはもう通産省以外ではないんです。通産省はこういう介入指導をしていたという事実が明らかになります。問題は、この辺のところを要するならば、業界通産省行政指導と一体になってカルテル行為をしたんだと、だからカルテルに対して罪の意識はない、あるいは、これはまあ提訴するほうと、しないほうに分かれるわけですけれども、私が区別しないと言ったのは、十六日の値上げ決定後、応諾状態を続ける理由がなくなった、あるいは告発を受けた、だから六社は争う、もう一方のほうは、提訴をする意味合いもなくなる、これだけの私は区別でしかないと思うんです。結局、その基本にある問題は、さっき申し上げたように、八千九百四十六円という第二インフレの狂乱怒涛のとびらを開くような大きな決定、その国民の大きな不安がかり立てられるような状況に対して石油業界も恭順の意を表するというふうな環境づくりが必要であるということを通産省が指導し、業界はこれに他の論理やモラルを捨てても乗ることが値上げのために非常に重要で、有効であると、こういう判断からでき上がったストーリーであるということを断定せざるを得ない。私は非常にそこのところが不明快、不明朗であると思います。  そこで、いま問題になっております三種類、四十八年一月から十二月まで、五回にわたる石油製品の値上げやみカルテル、四十七年下期、四十八年上期、下期、この生産調整カルテル、あるいは四十七年、ガソリンの販売制限カルテル、これらはまあ捜査の段階ですから言えないとおっしゃるんだけれども、少なくともこれまで報道されているところ、あるいはわれわれが調べたところを通じても、結論的には、これはそのカルテルは明白になったというふうに認識をされておられると思うんですけれども、いかがですか。
  76. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 私は価格問題に言及する立場でございませんが、石油連盟生産調整告発事件につきましては、三月の十二日以来数度にわたりましていろいろ事情を申し述べてまいりました。それと同時に、先ほども触れましたように、四十八年下期の生産調整の問題につきましては、御承知のように、十月は暫定的にこういう行為をやったと……
  77. 上田哲

    ○上田哲君 いや、もう結論でいいです、時間がありませんから。お認めになるのかならぬのか。
  78. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 事実を、四十八年下期以降の問題につきましては、これは認めておりません。それからそれ以前の、四十七年下期以前の問題につきましては、私の記憶しております事実をいろいろ申し述べましたので、それにつきましては、検察庁の今後の判断に待たなくちゃならぬと、こう考えております。
  79. 上田哲

    ○上田哲君 密田さんの衆議院以来の発言が二転三転したわけですね。私は、そこのところ、たいへんおかしいと思っているんです。二月と四月の勘違いという言い方では、本質はすりかえられてしまうと思っています。係争中のことは話しにくいということがありましたから、そこは省きましょう。その四十六年、そこんところしぼっていきたいと思うので、これは加藤さんが、当時出光社長会長でしたから、加藤さんからひとつ事実関係を私、具体的に伺っておきたいと思うのです。  まず、四十六年二月二十二日、三菱石油の会議室で一キロリットル当たり平均千百円値上げの業界決定があった。そして、通産はその決定以前から話にかんでいたと私は思うんだけれども、これはちょっとしばらくおいておきますが、二十二日の業界決定に対しては、通産省側から、千百円というのは少々高い。その見解を示して、そこから行政指導に入った。いいですね。そこから先は非常にひんぱんな話し合いがなされていた。特に、このときの話のポイントは石連の会長、それから営業委員長、それから相手方は通産省石油計画課長栗原さん、この間でひんぱんな話し合いがその当時行なわれていたんだ、まず、ここはよろしいですね。
  80. 加藤正

    参考人加藤正君) お答え申し上げます。  四十六年の二月二十二日、これはおっしゃるとおり業界で営業委員長中心にいろんな意見交換、研究をやったことは間違いありません。しかし、そのときは大幅な値上げでございます。もういまは一万円単位になりましたけれども、そのころのキロリットル千百円と計算、テヘラン協定による値上げでございますね、たいへんな問題でございましたので、業界として集まっていろいろ意見交換し、研究するのは当然だったと思います。そのときは通産省行政指導は受けておりません、その会議におきましての意見交換、研究については。しかし、その後やっぱりこれはたいへんな問題でございましたので、これは通産省がいろいろわれわれと議論をし、あるいは指導される、これは当然じゃないかと思います。これはしないほうが悪いんでございまして、当然なことだったと思います。それで、たしか三月二十七日か八日でございましたか、それまでにいろいろ業界と通産担当局、課と御相談いたしまして、たしか三月二十七、八日と思いますが、当時の出光石油連盟会長に対しまして、千百円は、これはそのまま転嫁することは相ならぬと、八百六十円、バーレル当たりたしか十セントだけは業界で持てと、こういう内示があったように覚えております。
  81. 上田哲

    ○上田哲君 そこなんですね。その連日の話し合い、この段階からは、三月二十七、八日に至る直前あたりには栗原課長のほかに岡松総括班長も参加をされる。そして、いまおっしゃる三月二十七、八日、当時の出光会長に対して八百六十円にするという内示が行なわれたということですね。そして、そういう実態の上で二月以来の値上げ問題が業界の窓口と通産省の話し合いを通じて固められて、四月二十二日、今度は石連の営業委員会に文書になって提示されたと、そうですね。そして、そこでは、今度は栗原計画課長が出席して提示したと、この事実、間違いありませんか。
  82. 加藤正

    参考人加藤正君) お答え申し上げます。いまおっしゃったとおりと存じます。
  83. 上田哲

    ○上田哲君 密田会長、こういうことになりますとね、この二月から四月の一連の経過であります。二月、四月の勘違いというようなことは意味を持たなくなってくる。明らかにこれは通産省行政指導というものの中で、こういう結論に導かれたのだということにならざるを得ないじゃありませんか。
  84. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 衆議院の私のいまの問題に対する発言で、最初に、四月二十二日に行政指導がございましたと申し上ぐべきところを、その四月二十二日が明確でなかったためにたいへんどうも問題が混乱したわけでございます。したがいまして、その後の速記録を詳細に読みまして、二回目にお話し申し上げましたときにはその訂正をいたしました。私の真意は、やはりあくまでも正式の行政指導がありましたのは四月の二十二日でございます、二月の二十二日ではございませんと、そういう意味で最初から申し上げておりましたのが不正確、不整備でああいう混乱を来たした原因だと、こう考えておりまして、またその旨、二回目の楢崎先生にもお話し申し上げまして、その際に楢崎先生は、第一回目のお前の発言は何も事実と違ったことを言っておらぬじゃないかと、こういうお話さえあったわけでございまして、それで、私の申し上げました真意が十分御了解願えたものと、こう考えておるわけでございます。
  85. 上田哲

    ○上田哲君 真意を了解しているのですよ。了解している真意というのは、やっぱり抜きがたい、分かちがたい行政指導の中で価格決定が行なわれている、こういう事実を私たちは理解をしているということなんです。あなたは初めから間違っておられぬ。一番初めにおっしゃったように、行政指導ということがどんとあって、その中で行なわれている業界の活動であった、決定であった、われわれはそういうふうに理解をしているという意味であります。そういう意見の一致ならたいへんけっこうでありまして、通産省に向けて私は議論をしたいわけです。つまり、ここで私が議論をしたいことは、冒頭にも申し上げたように、独禁法に触れるか触れないかというような視点、その視点に立っての独禁法の解釈をどう争うかというような話ではないのでありまして、根本的には、そうした形にのみ視点を合わせながら国民と遊離したところで行なわれていく、国民と非常に密接な関係のある石油価格というものの価格決定のあり方、数量の決定のしかた、この問題。もう一つは、業界がいかにも自主的にいろいろな活動をする。また、たいへん黒々と見えるのは事実でありますけれども、しかし、その奥に行政指導というものが抜きがたくある。この部分をしっかり見ていかなければ、たいへん通産省だけがいい子になるみたいな感じがするところを私はしっかりしておきたいと思っているのです。  時間を省かなければなりませんので、どんどんテンポを早めて申し上げざるを得ませんけれども、触れたくないとおっしゃるだろうし、そこまで踏み込むことが妥当かどうかわからないのですけれども、四十七年下期以降のいろいろな経過をながめてみますと、このごろわかってきたことがある。一口にカルテルという言い方のために、何かかぎをかけていろいろな会合が開かれて、そこでひそひそ話をしながら一、二、三できめて、議事録をどっか金庫の中へでもしまうふうみたいな感じに受け取れやすいけれども。石連というのは、もっといろいろ、実にもっと連絡のしやすい、何といいましょうか、連絡系統のよく行き届いた、しかも、窓口のよく整備された機能体であるようでありまして、しかも、行政指導の実態というのが通産省が、たとえば、プライスリーダー、あるいは需給委員長であるとか、営業委員長であるとか、そういう部分との非常に密着をした日常的な連携の中で行政指導が行なわれていた、こういうふうに、われわれは最近非常に強く理解をしかけているのです。この印象について加藤さんどうですか。
  86. 加藤正

    参考人加藤正君) 行政指導には公式文書によるものと、公式の会合によるものと、それから石油連盟の、いまおっしゃいました各種委員会、それから各企業別、こういうようないろいろな行政指導の形があろうかと思いますが、そういうことをわれわれはむしろ積極的に行なうべきだという考えでやってまいりました。これはおっしゃるとおり、石油が非常に大事な国民基礎物資でございますし、国民生活に影響のあるものでございますから、癒着というよりも、むしろ、一体になってやるべきだと、そういう考えでやってまいったわけでございまして、この点は御理解いただきたいと思います。ところが、それがいわゆる公取独禁法、たとえば生産調整の問題につきましても、昭和三十八年にわれわれ出光興産が石油連盟を脱退いたしましたのは、生産調整――いわゆる政府の指導の生産調整に対して反対して脱退したわけです。そのときから公取独禁法通産省行政指導による生産調整というものの限界、解釈、そういうものがあいまいであったわけでございまして、それが現在まで続いておるんじゃないか。しかし、政府と一体になっていろんな連絡をしながらやるべきとわれわれは考えて今日まで及んでおるわけでございまして、そのカルテルにひっかかるかどうかという差といいますか、境目といいますか、そういうところが非常に微妙じゃないかと思いますけれども、われわれは、当然石油供給の責任を持つものとして、通産省と癒着じゃなくて、密接に連絡をとりながらやってきたと、これをお答え申し上げます。
  87. 上田哲

    ○上田哲君 たとえば四十八年上期の場合は、通産の行政指導というのは、石油の需給委員長に対して非常に密着して具体的に行なわれている。あるいは新たな設備をつくろうとする会社に対しての非常に具体的な窓口指導という形で行なわれていく、あるいはまた、昨年の十一月から十二月にかけて石連の臨時石油製品需給対策本部というのが発足した。ここで二十六の対策部会としてそういう組織ができましたけれども、実はこれは二十近い部会として長いこと地下にもぐっていたものです。で、この二十近い部会に通産省の計画課なり業務課などの班長、係長クラスというのがしょっちゅう出席をしている。これはもう日常的に出席をしている。こういう実情を積み重ねの上で、最終的には大きな会合の中でオーソライズされるということになるわけですけれども、そういう日常的な積み重ねというものがいま申し上げたような形の中で進められていた、こういう事実はお認めになりますか。
  88. 加藤正

    参考人加藤正君) 各種の部会がそのまま発展して、昨年の石油危機のときの、たしか十二月十日に緊急対策本部というのができたと思います。それがそのまま上がったという御質問と思いますけれども、それはそうではございません。これはもう全然新たに関係の部会の数も全然違いますし、新しくできたわけでございまして、おっしゃるとおりに前にやっておったものがそのまま緊急対策本部の部会になったということはございません。
  89. 上田哲

    ○上田哲君 ですから、そういう場を通じて班長、係長クラスとの非常に密接な連絡というものがあってのたとえば営業委員会であり需給委員会であるという形になっていると。
  90. 加藤正

    参考人加藤正君) いえ。これは、班長、課長がしょっちゅう出席しておったということはないと思います。私は部会にも委員会にも出ておりませんので、事実は詳しくは存じませんけれども、そういう課長、班長の出られるときは、これは公式的な会合になりまして、そのときには、もうはっきりメモその他の指示もございますし、それは記録として残っておると思います。
  91. 上田哲

    ○上田哲君 そうすると、その下の段階でいろいろ日常的に行なわれていたということですか。
  92. 加藤正

    参考人加藤正君) いや、その各部会のことは私は知りません。委員会の下に部会というのがあるようでございますけれども、それには通産からおいでになっておるかどうかということは、私はよく存じておりません。
  93. 上田哲

    ○上田哲君 たいへんおかしくなってくるんですがね、そんなことはないですよ。具体的に去年の十一月、十二月から表に出て、二十六の部会に整理をされる、その場合に――現実にイコールではないですよ、数が違いますから。しかし、そこに班長、係長クラスの通産省の人たちが何べんも出ている、これは日常的に実にひんぱんに出ているということは明らかです。しかも、申し上げたいのは、そうした話し合いの場は、どちらかといえば、皆さんのほうから販売部長、次長クラスの人たちがしょっちゅう出かける、場所としては計画課、どっかの会議室、業界の会議室でもってこっそりかぎをかけてやるというような形態よりも、もっと日常的に通産省の計画課なり業務課なんというところで、そういうことが日常的に行なわれているという、こういう実態だということを指摘したいのですが、いかがですか、簡単にひとつ。
  94. 加藤正

    参考人加藤正君) さっき課長、班長ですか、出てやっておったという御指摘でございますけれども、私の知っている限りでは、毎年の需要を検討する需要専門委員会というのがございます。需要専と略式で言っておりますが、これはもう通産省の班長、係長クラスが一緒に共同作業をしておる、これは間違いないと思います。  それから最後の御指摘の各会社の販売課長とか販売部長が通産省に行っていろいろ打ち合わせしておる。これは先ほど申し上げましたように、非常に、われわれは一体となってやろうということでございますから、われわれの販売担当の者、あるいは需給担当の者、そういうのがしょっちゅう業務課なり計画課に行くのは当然だと思います。これは私ははっきり認めます。
  95. 上田哲

    ○上田哲君 かなりわかってきたのですが、そういう日常的な関係、言ってみれば、一番上の全体計画の中の下請作業みたいなものが、これが石連の業務になっていたというような認識になっているはずです。まあこれは、私は、時間がないからその辺のところを抽象的に言うのは避けますけども、そういう日常的な形態の中で、たとえば、もうあすにもあさってにもきまろうという今度の八千九百四十六円の直前の三月十四日の石連での会議というものが全く平然として行なわれるということになってくる。少なくともこの問題は、そういう流れの中からつかまなければならないんですけれども通産省が説明していることに少なくとも三つのうそがある。第一のうそは、これは営業委員会ではないということを白々しく言うわけであります。十二人の出席者のうちに正委員が二人、副委員が七人、計九人がメンバーであります。正委員が少ないのは検察庁の捜査のために呼ばれていたという事実があることは、公取委員長指摘をされたとおりであります。まぎれもなく営業委員会であります。二番目に、この会議がわずか二日後の値上げの幅の決定にあたって混乱を防ぐ措置を目的としたなどというのはとんでもない取りつくろいでありまして、実態上はあり得ないし、また、現に出席者はそれぞれ社内で結果の報告をしてますけれども、混乱防止の対策は一切とられておりません。こういう事態からいったって、この言いのがれというのは許しがたい。第三に、最も重要なことは、これが全く不注意な会合であり、不注意な場所であったというような言い方にすりかえようとされておられる。しかし、これはもう皆さん方からも常識としてお答えいただけると思うけれども、この時期に、さっきから何回も出ておるような重要な役割りを果たすべき計画課長が、わざわざこの時期に経団連まで出かけてきて、しかも前の晩に、通産省から天下りになってる理事を使って、正式文書でなく、みんな集まれということになったら、当然価格問題、成り行きの問題ということを聞いて帰らなければ出席の意味がない。こういう日常的な行政指導との関連というものがこの中にみごとに出てきた。これをあえて異としない、ここに私は最大の問題があると思うのです。端的に言うなら、こうした三つのうそに裏づけられながら――このような形というのは、石連も悪いけれども、私は、通産省の指導が、単に石連を諸悪の根源とだけ言ってるのじゃなくて、石連も諸悪の根源であろうけれども、その石連を諸悪の根源に追い込みつつ陰に隠れている政府の行政指導というものは、ここにきわまったというように考えるのですけれども、どちらからでもけっこうですが、この御見解を簡単に承りたい。
  96. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 先ほど岩動先生の御質問の中にも私ちょっと触れましたけれども、やはり業界といたしましては、政府の行政上の必要によって、いろんな意見なり注文なり、そういうものが業界に出てくるのだろうと思います。  で、いま御指摘のその問題も、やはりわれわれとしましては、十月-十二月にたいへん流通上の混乱が起きましたので、今回の値上げに際しましてもそういうことがあってはいけない、こういうふうに考えておりましたし、また、その趣旨のお話を平林課長から伺ったわけでございます。
  97. 上田哲

    ○上田哲君 もうけっこうです。そう思うかどうかです。  どうもわかりませんから簡単に言いますよ。あのときの会議では、平林さんから、全体の値上げ幅が出るが、各社ごとに旧価格体系と新価格体系を届け出てください、若干の修正があるかもしれないが、認可するものは認可します、人がふえたので各社ごとに相談に来てくださいという趣旨のあいさつがあって、質問は、会社は赤字できゅうきゅうしている、小便がしたいのに小便もできない、どうなるのか知りたいのが人情だ、あるいは灯油、LPGはどうなるのか、あるいは値上げできないのはここまで上げたい、これに対して、――もう時間がないから省きます。回答が出ています。こういうやりとりが現にある。これはやっぱり国民の知らないところで、こういう形が日常的に行なわれているということは非常に不明朗であり、私は、許しがたい行政指導の実態が明らかになっていると思うのです。  しかし、最終的に申し上げたいのだけれども、私は、これがもう全く密着した行政指導のもとにある石油業界の保護統制の姿そのものだろう。こういう、こんなに大きな行政のかさの下で行なわれているというのはほかにはないと思うのですよ。そういう実態がここにみごとにあらわれていると思うのだが、問題は、先ほど来の議論の中にも出ておりますが、八千九百四十六円というのはたいへん不満であるというお話が出ている。政府のほうは、総理大臣と公取との話し合いの中では可及的すみやかに、四週間という数字も公取委員長から出ましたけれども、これは標準価格にしようという話がある。皆さんお話では五月、六月には決済期もくるし、簡単にはいかぬのだ、すでに私の見解では、もうすでに皆さんのほうから資料を出して、値上げの書類も通産省に出されているという情報もある。そういう事実も踏まえて、標準価格というものについて皆さんはどうお考えになるのか。その前に、可及的すみやかに値上げという方向に走ろうとされておられるのか、この問題をしぼってひとつ伺いたい。
  98. 密田博孝

    参考人密田博孝君) あの価格決定は、公取委員長も言っておられますように、標準価格は好ましいけれども緊急避難の措置である、こういうふうにおっしゃっております。
  99. 上田哲

    ○上田哲君 五月、六月に上げるんですか、どうですか。それだけでいいです。
  100. 密田博孝

    参考人密田博孝君) できるだけ早い機会に是正をしていただきたいと、こう考えております。
  101. 上田哲

    ○上田哲君 通産省、最後に伺いますが、いまは値上げを求めるという意向ですよ。ところが、通産省がここで何べんも大臣以下答弁されておられるのは、標準価格にしようということについて合意もしておる。値上げをしないという言い方です。その辺のところがどう矛盾するのか、どう解決をするのかということがうそになってはいけないからはっきりしていただきたい。それから具体的に書類も出ている。メーカーの名前言わないけれども、そういう形もある以上、その事実の上に立って一体これから先どうされるのか。こういう状態の中で、行政指導というものは非常に抜きがたい、諸悪の根源だと言われた通産省のほうにこそ大きな諸悪のありようがあったではないか。この問題について大きな反省があるべきだと思うのです。そこについて御見解をいただきたい。
  102. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 簡潔に。
  103. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 三月二十九日までに、先般決定いたしました油種別の値上げ幅の限度内で、各社がそれぞれ事前に通産省のほうへこれからの仕切り価格の届け出を求めております。現在それの審査中でございます。なお、先般決定を見ました八千九百四十六円につきましては、われわれは石油供給不安を来たすことがないようにということを常に念頭に置きながら、しかし、諸物価へのはね返りを必要最小限にとどめたいということで作業をしてまいった次第でございまして、なるほど現下の情勢に比べれば、あの価格水準はきびしいものであることは事実と思っております。ただ、石油をめぐります内外の情勢はきわめて流動的でございまして、原油の価格水準自体も上げ要因もあれば、下げ要因もある。あるいは先ほど来御議論ございますように、為替レート自体がきわめて大きく流動しておる、こういう状況でございますので、いましばらく内外の情勢の推移を見詰めたいと、こう考えております。
  104. 上田哲

    ○上田哲君 上げないと言えるかどうかですよ。
  105. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) そこは、両方向の要因が流動的に動いておりまするので、しばらく事態の推移を見守りたいと、こう考えます。
  106. 上田哲

    ○上田哲君 うそになるじゃないか。  終わります。(拍手)
  107. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 午前中の質疑はこの程度といたし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時十四分開会
  108. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。鈴木君。(拍手)
  109. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 最初に、これからの石油の問題についてまず伺いたいのですが、いまの国民の最大の関心の問題は、何といっても、先月、の十八日から元売り価格、また小売り価格が上がりました。先月の十八日からですね。そして、四月一日からさらに税金で、ガソリン税などの税の引き上げで、これが加重されてきている。一キロリットル八千九百四十六円という値上がりが行なわれたわけですけれども、こういうことについて、一体これでおさまっていけるのかどうか、これからさらに石油は上がるのではないか、こういうことが、現在国民の最大の関心事です。というのは、当時の新聞を見ますというと、その新聞の報道に皆さん方の御意見が出ている。その業界皆さんの意向を見るというと、値上げ幅が不足ということで、非常な不満がある。これでは赤字を吸収できないとか、いろんなことがいわれています。先ほどの答弁でもうかがえたんでありますけれども、一キロリットル当たり一万一千円とか、なければといってもおられますし、当初の業界の要望は、一万二千円、一キロリットル、こういうようなことがいわれておりました。そういうことになりますと、それが八千九百四十六円にきまったということは約三千円の差があります。こういうことがいつかまた火を吹いて上がってくるんじゃないか。それは最大の国民にとっての不安になるわけです。基礎資材から日常生活の物資に至るまで、ことごとくが石油でもってきめられるという一面がありますから、そういう点で、これまでは三千円の差が出てしまったから、赤字がなくならないという声もある、こういうことから、業界の声もあるものですから、国民には相当の不安があるのですが、そこでこの点について伺いたいのですが、いままでは一日七十億円とかなんとかの赤字があったと、いまは、三月十八日以降は十億円だというような話があります。原油についても一バーレル五ドル前後のものが十一ドルをこえたとか実勢価格でメジャーから九ドル五十セントとかこういうようなことがいわれているわけでありますけれども、まず伺いたいのは、この一連のことですけれども、その最初に伺いたいのは、メジャーのほうがさらに原油を今後上げるかもしれない。OPECではサウジアラビアの値下げの問題もあるので、いまのところは慎んでいるようですけれども、四月一日から三ヵ月間は延ばすという話はありますけれども、それを過ぎれば上がってくるのじゃないか、こういうことに対して、一体どういうように業界として努力をしているのか、これはたいへんな問題だと思うのです。メジャーの利益のほうのことを確保するために、われわれ国民のほうが高い石油を買わされるのじゃかなわないわけでありますから、そういう点についての考えをまず伺いたいと思うのですが。――これは石連会長からひとつ最初お伺いしましょう。
  110. 密田博孝

    参考人密田博孝君) お答えいたします。  午前のお答えでも言いましたように、八千九百四十六円の価格の是正は、通産省でも言っておいでになりますように、その当時の各社が、メジャーあるいはDD原油、そういうものを買いました総平均でございまして、その時点以降、もうすでに現実にわれわれにメジャーからの追加値上げの申し出が来ております。一ドルないし一ドル七、八十というものもあるわけでありますから、したがいまして、現実にはもうそれだけ原油費が上がっている、こういうふうに御理解願っていいわけでございます。それに、たいへんどうも繰り返すようでございますけれどもエネルギー庁の価格是正における際の査定がたいへんシビアでございまして、石油会社としましては、過去の利益もかなり吐き出しておりますし、また、あるいはこの三月期の決算対策といたしましては、どういったような内部処理をいたしますか、いずれにしても、体質は私は前よりは悪くなるだろうと考えます。  それから世界の原油の情勢としましては、いまのお話にありましたように、一応四-六の間はOPECは価格を据え置きというふうにきめましたけれども、なお、その後の動向はいまのところ未定でございます。たしか六月の十日でございましたか、七月以降の価格のあり方を再協議する、こういうことになっておりますので、やはりその会議が今後を占う一つのポイントになるかと思います。たいへんサウジアラビアは、ヤマニ石油相が日本に参りましたときも、できるだけ価格を押えたいと、こういうことを言っておられますけれども、必ずしも、イランでありますとか、リビアでありますとか、アルジェリアでありますとか、たいへん将来の価格の強気のところもあるわけでございますので、したがいまして、その帰趨もまだはっきりわかりません。そうだといたしますと、どうも四月以降の各社の採算というのはたいへん苦しくて、特に民族系ではやはり毎月赤字の累積と、こういうようなことに当然私はなるような気がいたします。そういう実態に加えまして、これからの、原油の値上がりしましたものの支払い資金、その調達の問題も加わりますれば、たいへんどうも現状はやはり不安定な状態であり、石油会社の将来の供給力にも影響する要素が多分にある。これをそれじゃ何で安定させるかということになりますれば、私は、原油費が先ほどは六〇%から六五%原価の中に占めていると申しましたけれども、しかし、最近のメジャーの値上げを加えますれば、どうかいたしますと、CIF価格で八〇%もウエートを持つような気がいたします。その点の解決を今後やりませんと、なかなか石油安定供給というのは、将来の皆さんのお使いになる、需要側のお使いになる不安というものが完全に払拭し切れないというふうな気がするわけでございます。
  111. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いま原油の価格のウエートというものが、原価に占めるのが八〇%というような話がありましたけれども、これはちょっと伺うと、メジャーの産油利益というものが、原油価格が上がったということで、昨年の十月十五日に約九十三セントだったのが、いまは二ドル四十セントとか、それ以上になっているとか、こういうことがあるわけです。メジャーがそういう大きな利益をバーレル当たりあげると、いままたさらに一ドル上げると、こう言ってきているという話でしょう。だけど、一ドル上げてくると言っていますけれども、倍以上の利益をあげるようにバーレル当たりしているのであれは、当然そういうような――これは悪いけれども、横暴ですよ、言えば。こういう横暴に対してはきちっとした対応策がなきゃならないと思うのです。ただ、そういうように上げてまいりますから、しかたがない、受けて、上げなきゃなりませんということでは、これは子供の使いみたいになってしまいますので、そういう点については一体どういうようにお考えですか。メジャーの利益拡大については、これは何としても押えていかなきゃならない。そうしなければ、私ども安定供給以上に高いものばっかり供給されたのじゃかなわないわけですけれども、その点はいかがでございますか。
  112. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 現在、日本が処理いたしております原油の約六五%ぐらいでありましょうか、これはメジャーの手を経由してわれわれ取っておるわけです。そのぐらいメジャーの依存度が依然として高いわけでございます。また、メジャーがやはり値上げを通告してまいりました最大の理由は、これはやはりメジャーが産油国からバイバックいたしますコストが、やはりDD原油に近いものでなくっては買えないと、こういう事情もあります。したがいまして、それの、メジャーの入手いたします原油のコストはそれだけ上がるわけでございます。どうも将来産油国の事業参加がどういうことになるか、こういうわからない要素もございます。裏から言いますと、それだけメジャーの取り扱い分と申しますか、自分の取得分が減ってまいりますから、それを補うために高い原油を買ってわれわれに供給する、こういうことも一つその要因の中にあるかと考えます。したがいまして、そういう意味で、どうも六五%もメジャーに依存しておるものを、これをやはり、この際高いからといっても、どうも切り捨てる、こういうことは、われわれの供給いたします量に直接関係いたしてまいりますので、お話にありましたように、過去には五十セント――九十セントくらいの利益しかなかったものが、もうすでにたいへんに上回っておるということで、メジャーの利益が相対的にふえますか、あるいは量が減りますのであまり伸び率はふえないかもしれませんけれども、いずれにしても、ヨーロッパなり日本なりはたいへん消費国としての非常に弱い立場に立っておるということは、これは事実でございます。しかしながら、石油の製品なり原油なりは、これは国際商品でございますから、もしも世界的にそういう原油価格というものが通用いたしますと、日本だけがそれを拒否するということでは、これはどうも量的不安というものがすぐそのあとに参りますので、なかなか企業だけの努力でそれを抑制するというのは、私は、これは限度でございまして、やはりそこに国の政治力と申しますか、国と国との間の交渉あるいは政府と産油国との間の、つまり一体こういう原油価格で世界経済というものが成り立つのかどうか、こういったような観点からの政治的解決が私はたいへん必要になってきていると、こういうふうに考えるわけでございます。
  113. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの話を伺っていると、メジャーには強いことは言えないと、業界としては個々には言えないからまとまってほしいという話ですよ。政府が口をきいてくれなければとてもできないと言うんですけれども、私たちは、この前もここで、予算委員会の席上で、石油輸入公団とか、そういうようなものをつくらなければ、DD原油を過当競争でせり落としたり、あるいは今後の交渉やなんかにも困るんじゃないか、そういうことで、ぜひとも石油輸入公団のようなものが必要であるという感覚を持っているんですが、いまの石連会長さんの話、密田さんの話からは、そういうような感じでおられるというふうにとってよろしゅうございますか。その点について伺っておきたい。
  114. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 先ほどもお話出ましたように、そういうことも一つの、国内の物価対策上は一つの構想として私はあり得るかと考えます。しかし、それにはまたそれなりに、先ほど申しましたように、石油は国際商品であるということから、それに対する反発なり、あるいはいろいろな、輸出に関する摩擦なり、そういう問題も出てまいりましょう。したがいまして、それを総合的に解決いたしまして、何が一番日本経済にとって有利であるか、あるいはそれがまた国際経済に通用するのか、そういう観点から判断をせなくちゃならぬ問題だと、こう考える次第でございます。
  115. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 だから、そういう意味からも、私は、これはぜひ必要だという感覚を持っているんですけれどもね。ですから、その点は、これはこのぐらいにいたしておきますけれども……。  もう一つは、先ほどの話ですと、どうしても四、五、六はおそらくOPECも上げないだろう、しかし、六月半ばに値上げの幅がきまってくるだろうし、そうすると七月からはやらざるを得ないというふうにとるわけですが、それはじかにそのまま来ればの話ですね。じかに来ればの話ですけれども、これを企業の努力によって一体どこまで吸収できるかということが一つの問題になってくるだろうと思うのです、これから先の問題は。いわゆる元売り価格というものを上げないで済んでいく、八千九百四十六円で一体どこまでやれるかということ、これが最大のいま関心なんですから、おそらく参議院選挙が終わったならばぱっとやるんじゃないかとか、何とかかんとかと言われたんでは、私たちの国民の生活は先行き不安でたまらないわけですね。そういう点から見ると、この吸収努力というのは一体どこまでできるかということだと思うんですよ。大体タイムリミットとしたら、一体どこら辺までとお考えでございますか。
  116. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 率直に申し上げますと、もう企業努力で吸収するのは非常に困難だというふうに申し上げたほうがおわかりやすいかと思います。一つの例といたしましては、エネルギー庁では、やはり、とにかく物価政策のかなめであるから、三月決算においてできるだけの企業努力をしなさいと、こういうふうに考えておられます。あるいはまた三月決算はある程度の赤字は覚悟してもらわなくちゃいかぬ、こういうふうにも言っておいでになります。われわれといたしましては、これは当然国策に協力すべき立場にございます。しかし、その反面、企業に対する経営責任というものも持たされておるわけでございます。それで、たとえば大協石油の例を申し上げますと、資本金六十億でございます。一割配当しておりますと年間六億でございます。もしも――まあ、私の考えからいたしますと、無配にするということは、これはどうも企業責任を果たせないような気がするわけでございます。しかしながら、かりにそれを企業努力で無配にもしようということを言いましても、年間に六億しか吸収できないわけでございます。それには、あまりにも負担が多過ぎます。繰り返すようでありますけれども、三月決算は、実質は通産省自身が業界は千三百億の赤字というような、そういう予測も立てておられます。この数字を比較していただきますれば、私は一目りょう然であると思います。そういう窮状でございますから、それは万全の企業努力をいたしますけれども、吸収できるものは、数字の上からいきますと微々たる状態であるということを言わざるを得ないと思うわけでございます。
  117. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それでまあ、二つの疑問があるんです。一つは、いまお答えをいただけなかったのは、一体いつごろになるのかということです。めどの問題です。いま一つは、八千九百四十六円ではやっていけない、こういうように赤字がふえますというお話がありました。だけど、これはいままでの国会の追及、そのほかでも明らかになっておりますように、便乗値上げだとか何だとかずいぶん言われました。さんざんたたかれておるわけですね。そういうふうだから、国民の目から見ると八千九百四十六円も高いんじゃないかという気がするわけです、一方では。これは避けられないと思うんです。なぜかというと、それについての原価だとかマージンとか、こういったことがはっきりしてこないわけですね。これは全部の石油会社個々について全部それがリストアップされて、石連なら石連からきちんと発表になるというようなことがないと、私たちも一体これがほんとうに適正な値段なのかどうなのかということが全然わからぬわけですよ、これ。言えばですね。中から抽出して一つの会社をというけれども、それだけじゃ見当つかないということになるわけです。一つの例でございますといって最悪のを出したんじゃないかという、疑うわけじゃありませんけれども、いままであれだけのことがあるというと、どうしてもそう思わざるを得なくなるわけです。そうです。そういうところは理非というものははっきりさせなきゃならないんじゃないか。その点について全部各社別に石連なら石連が責任をもって公開をするという考えはないかどうかですね。これが一つです。  それから先ほども申し上げたように、一体いままで、じゃ企業努力で吸収できないというならば、一体いつがどうなのかということです、値上げの問題について。それを石連の会長さんのほうと、それからもう一つは全石商の松村参考人からも伺ってみたいと思うんです。
  118. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 連盟は、各社の数字はいまのようなお答えする資料がないわけでございまして、従来ともいろんな諸統計、あるいは経理の内容、そういうものは実績の集計はいたしております。したがいまして、三月決算、これはいま申しましたように、まあ、二、三ヵ月後にはその集計はいたしております。従来の実績は全部ございますが、したがいまして、このこういう事態に対処いたしました各社の内容がどういうことになったかということは、その時期になると、皆さんこれは有価証券報告書とともどもにおわかりになることと思います。しかし、いまの御質問は、それでは間に合わない、回答にならぬじゃないかと、こういうお話でございます。そのとおりでございます。しかし、われわれは将来に対してたいへんな不安と懸念を持っておりますので、実態につきましては、これは一月末現在で詳細な三月予想、そういうものも出しておりますし、また、ごく最近になりますと、各社別に、四月以降はどのくらいの毎月赤字が発生するのであるか、そういう実態になって、またこの一月以降原油の値上がりしました所要資金、これは五月の後半から六月にどんどん出てくるわけであります。そういう資金繰りはどういうことになるのか、増加運転資金としてどのくらいのものが必要であるか、そういう資料をみな出しております。過日、日経にも出ておりましたように、業界全体で五千億ぐらいの資金が要るのではないか。そうだといたしますと、いまのような実態でそういうものが、金融引き締め下においてそういうものが調達が可能であるのかどうか。将来対策がありませんと、現在発生している赤字が将来こういうふうに消えますよと、そういったようなやはり一つの見通しがありませんと、なかなか普通の金融手段では私は調達はできない、そういう心配がある。したがいまして、そういう心配をなくいたしまして将来の供給に安心感を持つためには、いまのような状態は一日も早くひとつこれは是正する必要があると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  119. 松村信治郎

    参考人松村信治郎君) お答えいたします。  石油連盟の話と違いまして、ちょっと頭を転換していただいて、私たちの世界は中小企業の世界です。組合員が三万おります。その中の二次特約店というのが一万、さらにその下のランクが二万、ガソリン、主としてガソリンスタンドが皆さまに御関心があることと思いますが、それと灯油の問題だと思いますが、ガソリンスタンドにいたしまして四万五千、こういう単位の問題でございますので、ちょっと頭を切りかえていただかないと、けたが非常に小さくなります。  そこで、十二月の諸資料が通産省からも出ておりますが、十二月の段階通産省が示しております元売りの仕切り実勢価格というのがございます。それから私たちが表示しておりますガソリンスタンドのガソリン価格というのがございます。これは元売り仕切り実勢価格というのは、元売りが商社など何万トンと大きくおろした価格と平均されておりますから、われわれにいたしますとまぼろしの仕切り価格といいますか、最低価格であります。それから末端の販売価格、いま申し上げる末端の販売価格というのは最高の価格です。こういう、わかりやすくそういう極限をとらえますと、一ガソリンスタンドの十二月の利益が統計では二十七円五十銭ほどになっております。これが利益の取り過ぎであるとか先取りであるとかいう対象になった問題でございます。そこで、そういう世論がありましたので、今度の八千九百四十六円の元売りの仕切り価格が、ガソリンでは一万七千百円、そこへ四月一日では五千八百円の税金が乗って、本来二十二円九十銭ぐらいの当然のこれは値上がりでございますが、七円九十銭ほどカットされて、いわゆる上限価格百円という線で押えられたのがわれわれの業界です。で、百円になりますと、二十円ほど――これは私の申し上げるのは小売りの利益も含めた荒利益でございます。これが二十円ほどであります。で、私たちの業界は、平均ガソリン通油量といたしますと全国ベースでは四十五キロになります。これをかりに五十キロと見ましても、わかりやすく言うんですが、百万円の一ヵ月の収益になるわけです。百万円、五十キロといいますと、最低従業員で四人かかっているわけです。経営者あるいは主任というのを除きまして、四人どうしてもガソリンでかかっておるわけです。そうしますと、私たち健康保険組合をつくっておりますが、そこにあらわれている四十八年九月の人件費の男女合わせた平均額で八万一千円、これにボーナスあるいは退職金あるいは厚生費を入れますと、十三万あるいは十四万になっております。これを四人かけますと、大体五十万にはつくわけです。五〇%が大体人件費であります。そういうところで今度四月のベースアップを迎えますと、この二十円の荒利益というのは、非常に苦しくなってくることははっきりしている。はたしてわれわれがこの二十円で耐えていけるかということは、中小企業としては別途に、私たちといたしましては、中小企業対策としての対策をお願いしたいという気持ちでおります。  それから灯油の問題でありますが、これ三百八十円、家庭用灯油三百八十円ということは、大体二万円になりますと、原油価格よりも値段が安い製品価格でありますから、当然いつかは改定されるということは明らかであります。ところが、政府の対策で、物価対策上標準価格ということで押えられております。これはいまの仕切り価格が政策的に存する限り、私たちも努力して社会に協力したいと思っております。しかし、来冬、ことしはシーズンが終わりましたが、来冬の問題を考えますと、やはり流通経路が非常に問題になって、私の考えでは、価格はやはり本来石油というのは長期には一つであるべきだと思いますけれども物価政策、対策上あるいは社会政策上そういう標準価格を設定されて、その中で安定供給をしろと言われますと、私は、こういう二重価格の安いほうの価格の場合には、来冬は需要者に対してはナショナルミニマムの考え方で、むしろ切符制にしていただきたい。それで、私たちのほうには登録制にする。そこに予約していただく。そしてメーカーにその数量と価格を保証していただく。そういう形をとっていただきたいと思っておるわけです。そうしないと、四十八年の暮れ、冬にありましたような混乱をまた来冬も繰り返すかもしれないという危倶を持っております。そういうことで、これにつきましては社会政策であります、あるいは物価対策と、短期の問題としますと、どうしてもそういう責任体制をとったほうがいいのではないか。またちょっとよけいになりますが、灯油は工業用灯油も家庭用灯油も一種類であります。これが工業用灯油の場合には、今度の新価格では三万円をこえます。ところが、家庭灯油の場合には二万円であると、キロリッター当たり。そうしますと、この流通経路をあいまいにしますと、メーカーが供給するのもたいへんだと思いますが、私たちの混乱をみずから招くということも非常にたいへんなことになると思います。それで説明いたします。
  120. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 どちらにしても、これは何だか値上げのムードがもう全部あるみたいな感じしか受けられないのですがね。石連にぜひ伺いたいのは、先ほど、八千九百四十六円ということについても原価とかそういう点をはっきりしろと言ったら、それはとうてい私のほうではできませんという話でしたね。できませんということでは、私たちは納得できなくなっちゃうと思うんですよ。いろいろなそういったことだけで見たらばいいじゃないかと言うけれども、いろんな諸表からと言っても、そういうものからだけでは国民はわからないわけです。一体原油は幾らで入ってきて、精製段階でこれだけかかって、ここでこうなってこうでございますというのは、そういうものを出してあげなきゃならないと思います。それは各社でもって違うんだろうと思いますね。  で、私の伺わなかった点まで答弁があったんですけれども、そういうことは当然石連として努力をするべきじゃないんですかね。その点はどうなんですか、お約束をしていただきたいと思うんですけれども。きちっとした、こうこうこういうわけで、これだけの適正マージンでこういうふうにならざるを得ないということの原価公開というのを当然するべきだ。一方の公益事業の電気料金の場合には、電気事業法でもってはっきりと原価公開主義になっているわけです。同じエネルギーなんですから、そういう社会的な意味、国家的な産業という意味も含めて考えるべきだと。当然業界からそういう方向に乗り出すべきじゃないかと思うんですが、いかがでございますか。
  121. 密田博孝

    参考人密田博孝君) たとえば原油費が外資系と民族系で、パーバーレルたとえば三セントとか、五セントとか、過去には供給が豊富なときにはそういう状態が続きました。したがいまして、そういうときには、これは一つのモデルケースをつくりますと、かなりマクロの私は見当がついたと思うわけであります。ところが、どうかいたしますと、いま原油平均価格の格差がもう二ドル、二ドル五十セントと、こういう開きがついております。それからたいへんな能力の規模のところ、あるいは中小のところ、まちまちでございます。したがいまして、これは各社の個々別々の経理状況あるいは体質、そういうものは、なかなか総平均しましても、基準になるようなものはできないような状態になっておると思います。したがいまして、たとえば、十ドル原油に耐えられる会社もございましょうし、あるいは十二ドル原油で――それを反映した価格でなくちゃ供給ができないという会社も私はあるかもしれないと思うわけであります。したがいまして、いま御質問のような、当然これはこうでなくちゃいかぬという納得すべきことは、これはわれわれのほんとうにやらなくちゃならぬことだと思うのですけれども、その辺の説明は、先ほど申しましたように、私はエネルギー庁にたいへん詳しい資料が出ておりますので、したがいまして、われわれが申しますよりは、もっと権威のあります通産省からその御説明を受けていただきたいと、こういうふうに考える次第でございます。
  122. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは非常な収穫で、石連の会長さんみずから、各社別のいわゆる原価の公表をぜひ通産省でやってほしいということですから、これはぜひ通産省もよく聞いておいてください。やっておいてもらいたいと思うんです、これは。  次に、石連にお伺いしたいんですけれどもガソリン税の問題ですが、ガソリンの場合、決済の関係もあって、締め切り当該月のあと八十日以内ですか、そういうぐあいに納めればいいということにされておるそうですけれども、一方で、スタンドからの支払いの条件は各社とも縮める傾向にある。これはここに出ておりますけれども、支払い条件が異常に短縮をされていることが、これは全石商の調べでもわかっております。旧の場合には、猶予が十日あったのが猶予日がなくなったとか、あるいは三十日基本で、猶予が二十日あって五十日間の支払い条件であったものが、基本が三十日で、猶予が十五日で四十五日で、五日間減ったとか、あるいは六十日の基本と猶予と合わせてあったのが三十日に減ったとかというふうに、これは共同、三菱、シェル、大協、昭和、モービルとも、ほとんどなってないところはございません。変更のないのは日石と出光とゼネラルだけですけれども、そういうことが出ております。そういうことから、スタンドからの支払い条件は各社とも縮めておる傾向にある。そうすると、その早まった分の金利、元売り会社は非常にもうけたということになるんじゃないですかね。こういう点についてはどうでしょう。日歩二銭にしても、一日に、全体で八千億とすれば一億六千万円ぐらいずつ入ってくるわけですから。これは滞留期間の問題もあるとは思うんですけれども、いかがでございますか、その点。これは私はちょっと不当じゃないかという感じがしてしょうがないのですが、やはりそういう支払い条件を締め上げるということはどうかなという感じがするのですが、いかがでございますか。
  123. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 現在、ガソリンの納期限は製油所出荷後九十五日になっております。それで特約店からの回収日数を短縮しておるではないか、こういったようないまお話がございましたけれども、大体そういうことをお願いしている会社もあるように聞いておりますけれども、全体が短縮しているかどうか、これは私はよく実情を把握いたしておりません。大ざっぱに言いまして、輸送上の在庫日数、それから各輸送基地へ運びます輸送日数、こういうものを含めますと、代金回収日数は、ガソリンの税法上いまきめられております九十五日、これと大体見合っておるように私は考えておるわけでございます。そのときの元売り会社の資金繰りでありますとか、あるいは各社の特約店との個々の関係、契約から見まして一様ではありませんけれども、大体全社平均から見ますと、いまのガソリンの猶予日数の九十五日と回収日数がそう狂いはなくて、それによって不当に元売りが利益を得ていると、こういうふうには私考えておらないわけでございます。
  124. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは九十五日というのは、月中から勘定するから、十五日加わるから八十日に十五日で九十五日ということです。だから、終わったときの締め切り日からだったらば八十日になってくるわけですよね。そういうのを申し上げたんですがね。いま、支払い条件短縮を元売り会社がそんなひどくはしていないはずだという話なんですけれども、申し上げましたように、シェルなどは、北海道が六十日間であったものが三十日ですよ。そうして金利についても二銭四厘が三銭に引き上がっている。上がってきているわけですね、これ一つの例を見ると。あるいはモービルでも、四十五日だったのが三十日になって、三銭であった金利が三銭五厘になっていますね、日歩で。こういうことは全石のこの新聞に出ているのです、はっきりとそういうことをうたわれているわけですよ。そうすると、いまお話しのようにそんな不当な利益得てないと言ったって、一方から引き上げるのが早くて、片方だけは同じなんですから、そうすると、その間だけはこれは金利差でもうかってくるわけですよね。それを二銭としても一億六千万円という計算にならざるを得ないわけなんですよ。この点は石連としてはどういうふうに指導していくつもりですか。どういうふうに各元売りに申し上げますか。
  125. 密田博孝

    参考人密田博孝君) これは、各社のそれぞれの一つの経営方針が販売方針に連なったやり方でございますので、これはどうも石連でもってそれをどう基準をきめてどう統制していくかと、こういうことまでは、いままでは何らやっておりません。ただ、先ほど来からお話が出ておりますように、何か元売り各社もいろんなこまかい点までも、できるだけの合理化をしたい、そういう考えは、いまこれあるのははっきりしておりますから、これは特約店を何か搾取するとか、不当な利益を得ようとか、そういう意味ではなくて、それぞれの私は企業努力をしておられる結果が、そういったことに出てきておるのじゃないかという気は実はするわけでございます。
  126. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それはおかしい。支払い条件変えたらそれは企業努力じゃないでしょう。
  127. 密田博孝

    参考人密田博孝君) それぞれ、最近そういうふうにサイトの短縮をいろいろお願いしておるという話は私も聞いておりますが、各社の考え方におまかせするよりしようがないというふうに私考えております。
  128. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは元売り各社といえば、もう先ほどからもこの委員会でもずっと問題になってきた問題です。いままでもですね。それほどに諸悪の根源だなんていうことまで言われるところまでいったわけなんですから、社会的責任ということを問われているわけでしょう。で、いま不況の時代に入ってきている。当然中小企業そのほかというものを守るということから考えていけば、支払いサイトというものをどんどん縮めていくのが企業努力とはいえないと思うんですね。それはやはり社会的責任の上に立って、社会的な条件といいますか、そういう責任というものをはっきりと踏まえた上でいったら、いまのような御答弁はあり得ないと思うのですね。それを企業努力だなんていうことばだけで過ごされたんでは納得がいきませんね、これは。そうじゃないでしょうか。税金を早く納めるというなら別ですよ、そうじゃないんですから。それじゃあまりにもひど過ぎるのじゃないか。結局、中小企業を踏まえて元売り各社が繁栄していくという道をつくっている、大企業横暴であると、こういうことになっていっちゃうんじゃないですか。この点の反省お願いしたいと思うんですが、いかがですか。
  129. 密田博孝

    参考人密田博孝君) これは元会社あるいは系列販売店の関係でございますから、私は決して元売り会社も、その各社の系列販売店が困るような、そういうことはこれは決してやっておられないと、こう考えます。いまの企業努力と申しましたのは、そういう意味で、お互いにこれは幾らつくりましても配給が円滑にいかない、あるいはまた特約店あるいは三者がこれはやっぱり適正な利益を確保していただかなければ、円滑な供給もできないわけでございますから、そういう意味で、これは元会社自体、大企業のと申しますか、エゴイズムと申しますか、私は、各社はそういうふうには考えておらないと固く信じております。
  130. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 田渕君。(拍手)
  131. 田渕哲也

    田渕哲也君 まず初めに、通産省にお伺いをしたいんですけれども、先ほどからの石連の密田会長お話を聞いておりますと、今回のいわゆる元売りの引き上げ限度額、これ平均で八千九百四十六円に上げられたわけですけれども、現状ではこれでも無理なんだ、だから、できる限り早くこれは変えてもらいたい、こういう意向があるように受け取ったわけです。ところが、通産省のほうのこの閣議了解には、変動的な要素が多いから、今後の原油価格あるいは為替レート等の基調に変化が生じた場合は再検討する、ここにちょっと食い違いがあると思うんですね。私は、通産省にまずお伺いをしたいのは、今回のこの指導価格というものを、引き上げ限度額というものは、もし現状が変わらないとするならば永久に続く――まあ変わらないということはあり得ないかもしれませんけれども。そして、このつくられた基準というものはFOBで大体十ドル、それから為替レートは一ドル二百九十円、こういうものが基準になっておると聞いておるわけですけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。これがどの程度まで変動があれば再検討するのか。こういう点についてお答えをいただきたいと思いますが。
  132. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 閣議決定記載のとおりの考えでおります。なお、それがどの程度の幅以上に動けば再検討に入るのかという点につきましては、その幅は正確にはきめておりません。  なお、原油事情が変化なければ永久に続くのかという問題につきましては、原油価格以外のコスト要素もございまするので、その辺の追跡も必要かと存じます。
  133. 田渕哲也

    田渕哲也君 ただいまの答弁によりましても、大体通産省のほうでは、せっかくきめたからには、そう短期間でころころ変えるようでは、これは石油製品の価格の安定につながらないと思うんです。だから、もし現状が大きく変わらなければこれをずっと持続されるという前提に立っておると思うんですがね。その場合に、石連としてどうですか。もしこういう状態がずっと続くような場合じゃ困るというようなお話を聞いているわけですけれども、そういう場合でも、この指導価格というものについては、これは協力をされないと、これは業界の協力がなければなかなかできないと思うんですけれども、これはどうなんです、協力されるわけですか、密田会長
  134. 密田博孝

    参考人密田博孝君) 協力するかせないかというようなお尋ねでございますけれども、私が一番心配しておりますのは、これではたして企業の維持ができるかどうか、協力の前に、はたして生産、供給、販売、そういうものが円滑にいくのかどうかという、もう一つ先の問題があるわけでありまして、それで、かりにどういうふうに御判断になるかわかりませんけれどもエネルギー供給のためには石油会社が、これは全部の会社がみなそうだという意味ではございませんけれども、一部の会社が赤字でも生産販売せなくちゃならないかどうか、これは経営者がそれをどう判断するかという問題になると思います。どうも普通の他の、たとえばレジャー産業のように、必ずしも継続してある一定量を適正の価格でどうしても販売せなくてはならないという仕事と違いまして、いまの石油精製会社が、やはり自分の持ち分に応じた、それだけの量を安定して供給をいたしませんと、すぐにも日本の産業なり、民生なりにたいへんな影響が起こるわけであります。したがいまして、全体がどうということではなくて、たとえば五分の一あるいは三分の一の会社が、そういう状態になったときには、エネルギー安定供給はたちどころにどうも一角がくずれる。それで、たとえば昨年末、原油が一五%足りない、二〇%足りない、こういったようなことで石油二法すらできたそういう重要物資でございます。だから、ここでかりに一〇%、一五%の供給不足が起きたときには、これは日本全体の問題でありまして、たとえば半分の会社が供給できても、一部の会社が供給できないというときには、すぐにそれに対する緊急対策というものが私は必要になるような、そういう心配を実は持っておるわけであります。企業の維持が一部でもくずれると、すぐにもたいへんな問題が起こる可能性がある、こういう意味で申しておりますから、したがいまして、ここでできるだけ早い価格是正をする、その対策を考える必要があるというのは、前者に対するそういう問題ではなくて、繰り返すようでございますけれども、たいへん体力が低下しておる、そういう会社に対して、ボーダーラインとしてひとつやはり考える必要があるのではないか、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
  135. 田渕哲也

    田渕哲也君 石油連盟のほうは、これではとても維持できなくなると、言うなら、国民に対してこれでは安定供給ができないおそれがある。これは非常に重大なことだと思うのですね。私は、通産省がこの指導価格をきめられるならば、やはり安定供給ということも強力にやっぱり指導していただかないと困ると思うのです。だから、石油会社のほうが採算に合わないからやめだということを言われると、これまた第二の石油危機というものに見舞われかねない。こういう点について通産省はどう指導されるのか、お伺いをしたいと思います。
  136. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 午前中も答弁を申し上げましたとおり、今度の石油価格につきましては、常に二度と去年の暮れのような供給不安を惹起するようなことがあってはいけないという配慮を常に念頭に置きつつも、他面、物価へのはね返りを必要最小限に押えたいという、相矛盾する要請でございまするが、そういった配慮から数字が決定されまして、現在時点に立つ限りは、確かにあの数字自体はきびしいものがあろうかと存じております。ただ、石油に及びます国際情勢も、上がる要因もございまするけれども、下がる方向に働く要因もございまして、ほんとうに上下いずれの方向にいくか、流動的でございまして、とても予断できない状況にございます。また、為替レートも非常に大きく変動をしておる現状でございまして、しばらくは、内外のそういった大きな問題の動向を見きわめて、供給確保問題も考えたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  137. 田渕哲也

    田渕哲也君 次に、この元売り価格のほうは高い、安い、これで妥当か妥当でないか、いろいろ論議があろうかと思いますけれども、この問題は、ここでは触れないことにしまして、私は、末端指導上限価格というものについてお伺いをしたいと思います。ガソリン、軽油、A重油についてこれがきめられたわけですけれども、私はここに若干の疑問を持つわけです。というのが、かりに元売り価格が、これは一つの前提として考えるにしましても、この中間マージンといいますか、流通マージンに問題があるように思います。特に、ガソリンに例をとってみますと、石油危機の起こる前と、それから石油危機のさなか、十二月からこの価格がきまるまでの間、それから現在の指導価格がきめられた時点における流通マージン、この辺がどうなっておるかお伺いをしたいと思います。これは日石の社長でも石連の会長でもどちらでもけっこうですけれどもお答えできる方にお答えしていただきたいと思います。――日石の社長、答えてください。
  138. 瀧口丈夫

    参考人瀧口丈夫君) お答えいたします。  元売り価格の問題は、私わかりますけれどもあとの全石連関係の問題は、松村全石連会長がよく、先ほど二十七円とかいうような流通の口銭を言っていましたので、よく説明が済んだと思うのでございますけれども、私は、その問題についてはちょっと自信がございませんから、ごかんべんを願いたいと思います。
  139. 田渕哲也

    田渕哲也君 先ほど松村全石連会長お話もありましたから、大体わかっておるわけですけれども通産省の調べによりましても、石油危機が起こる前は、流通マージンは、ガソリン一リッター当たり十四円七十五銭、石油危機のさなかの十二月には二十九円六十銭、今回の新価格では二十二円四十銭ということがあげられております。これで見ますと、これと同時に、私独自で調べたデータもあるわけですけれども、これは総理府の小売り物価統計調査報告によるガソリン小売り価格、これはチケットの価格をとりました。それから日銀石油卸し売り価格、これはいずれも東京において調査したものでありますけれども、これを見ましても、大体十二月ごろから流通マージンが倍に上がっておるわけです。私は、この石油危機による便乗値上げが、石油製品の元売り価格においてもあったと思いますけれども、同時に、流通過程においてもマージンの倍増というかっこうであらわれておると思うのでありますけれども、この点はいかがですか、石連の密田会長
  140. 密田博孝

    参考人密田博孝君) いま日石の社長が答えられましたように、われわれとしましても、これはある程度の実態を把握すべきなんでありますけれども、自社系列の販売店の利益がどのぐらいあるかということの調査がなかなか困難でございます。どうもいろいろの販売のしかた、あるいは元売りに対する支払いのやりよう、そういうものから見まして、たとえば九月以前と、それ以降とでは、相当の利潤が増加しておるなということの推定はできますけれども、それがどのくらいの利潤があるかということはなかなか把握いたしておりません。それで、いまお話がございましたように、たとえばガソリン小売り価格と、それから元売りの仕切り価格、これは総平均でございますが、元売り仕切り価格は、元売りの十三社の平均、それから小売り価格は、総理府の統計局の数字を対比してみますと、九月には一リッター当たり十八円五十銭であったものが、十二月には二十七円六十銭、そういう数字でずっと推移いたしております。今度の新しい価格アップ後の数字は、これはまだ統計がございませんので、比較できないわけでありますが、いずれにしても、十二月以降一、二とかなりの利益が元売り段階にあったということは、これはある程度言えるのではないかと、こういうふうに考えます。
  141. 田渕哲也

    田渕哲也君 通産省にお伺いをしたいと思いますけれども通産省のデータでも、十二月では二十九円六十銭、一リッター当たりの流通マージンがあるということがあげられております。これはそれまでの石油危機以前のマージン十四円七十五銭がかりに適正なものとするならば、倍増しておるわけです。これによってかなり超過利得的なものが石油流通段階において生じておるということが言えるわけです。これを概算しますと、大体月に二百四十万リッターぐらい売れておるわけでありますけれども、そうしますと、かなり膨大な利潤というものが流通過程においてたまっておるということが言えると思うのです。これは通産省のデータによりましても、かなりの額になります。また、かりに今度含められた二十二円四十銭のマージン――前の十四円七十五銭は安過ぎた、今度の二十二円四十銭が適正な流通マージンとしましても、差額の約七円というものは余分に流通過程でもうけられておるわけです。七円としましても、これは十二月、一月、二月、三月の中ごろまで、この三ヵ月半の間に実に六百億から七百億という金額になるわけです。これについてどのように考えられておるか、お伺いをしたいと思います。
  142. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 元売りを出ましてから以降、きわめて複雑多岐な卸、小売り段階すべてを通じましての経費の問題でございまするけれども、これを先ほど石連の会長が言われましたように、元の平均値とそれから一番末端の平均値と比べまして、その差が全部流通段階のマージンであるということにいたしますると、先生御指摘のように、このアラブ危機が起こります寸前の昨年九月で、レギュラーガソリンにつきまして流通マージン十八円五十一銭。それから昨年暮れの一番ピーク時、これはレギュラーが八十五円で売られるとしまして二十九円六十銭でございます。それで、今回この新石油価格の値上げをきめます際に、なるほど中小流通段階におきます人件費その他の経費の増高もわかりまするけれども、それにしてもマージン幅の上昇が大きいので、この際極力それを圧縮をしてもらうというようなことで、いまの暮れの二十九円六十銭のものを二十一円七十銭というところまで圧縮をしてもらうという考え方で、指導上限価格を設定した次第でございます。
  143. 田渕哲也

    田渕哲也君 ちょっとその考え方は、私は、おかしいのじゃないかと思うのですがね。というのは、流通マージンを圧縮するといいましても、この二十九円六十銭を基準に考えるということは間違いだと思うのです。これはいわゆる石油危機の中における異常なマージンの増額の金額です。その前が十四円七十五銭、通産省のデータでも十四円七十五銭。これに比べて、現在どれぐらい流通経費がふえておるかということを考えてきめるべきであって、二十九円何ぽを基礎にして考えるというのは間違いだと思いますが、どうですか。
  144. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 先生のおっしゃる数字と私の申し上げる数字とちょっと違うのでございますが、アラブの危機が起こります寸前の昨年九月、これが元売り仕切り価格平均四十五円四十九銭、それから、そのときの小売り価格は六十四円でございまして、差し引き流通マージンが十八円五十一銭でございます。それで、今回の値上げに際しましては、極力それに近づけるというようなことで圧縮の協力を強く求めたわけでございまして、それの限界がこれに三円ぐらい乗っかった形の二十一円七十銭というところに落ちついた次第でございます。
  145. 田渕哲也

    田渕哲也君 私は、その九月の時点の数字はちょっとおかしいのじゃないかと思うのですがね。総理府の小売り物価の統計と日銀の卸売り価格では、この石油危機が起こる十二月までは、マージンというのは大体十一円ないし十二円できわめて安定しておったと思うのです。それから通産省の調べによりましても、三月などは十四円七十五銭、その三月から九月まで半年たつ間に、それが十八円まで上がる要素があったのかどうか、この点はいかがですか。
  146. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 手元の資料によりまして四十六年三月以来の数字を申し上げますると、方法は、先ほどのとおり、元売り出し値の平均値と小売り末端価格の平均値、レギュラーにつきまして。これでいきますと、四十六年三月が十六円七十銭でございます。それから四十七年三月が十四円二十四銭、四十八年三月が十五円七十五銭、四十八年九月が十八円五十一銭でございます。十二月が二十九円六十銭、今度の場合に二十一円七十銭と、こういう次第でございます。
  147. 田渕哲也

    田渕哲也君 かりにそうしましても、去年の三月と比べた場合に、これは通産省のデータだと思いますけれども、十四円七十五銭の流通マージン、それが今回の決定では二十二円四十銭、これが税金の関係で二十一円七十銭、それでも五割ふえているわけです。五割というのはちょっと多過ぎるんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  148. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 何ぶん非常に複雑な流通段階のことでございまするので、われわれのほうも精細な正確な分析に欠けるところもあると思いまするが、ここで申しております流通マージンというのは、先ほども申し上げましたとおり、小売り段階の経費だけではなくて、元売りを一歩出てからあと一卸、二卸と各段階の卸、小売りを全部引っくるめました経費でございまして、先ほども申し上げましたとおり、四十八年三月が卸、小売り全部含めまして十五円七十五銭でございまして、流通マージンが新価格二十一円七十銭、一年間の人件費その他の経費を各段階ごとのやつを全部積み上げまして、必ずしも流通マージンが今度の新指導価格ベースで異常になお大きいということは言えないのじゃないかと存ずる次第でございます。
  149. 田渕哲也

    田渕哲也君 大体ヨーロッパ諸国でもこの石油価格の改定をやっておるわけですけれども、イギリスは二月に価格の改定をやりまして、レギュラーガソリンでは、マージンの改定は旧の六円七十銭から七円五十銭まで、一割程度しか上がっておりません。フランスは四円十銭から四円二十銭まで、フランスは一月に改定をやっております。これはほとんど横ばいであります。日本と外国と物価の上昇その他違いはあろうかと思いますけれども、賃金とか何かにしましても、ことしの賃金が上がるのはこれからなんです。去年においては五割も上がってないわけです。それから小売り段階とか卸段階とか言われましたけれども、私は、それは問題にしてないわけで、とにかく元売りを出てから末端消費者に至るまでの流通マージンの総計がこれだけふくれあがっておるということを指摘しておるわけです。だから、いまの御説明ではちょっと納得しかねると思うのですね。  それからもう一つ、時間がないからついでに答えていただきたいと思うのですけれども石油危機のいわゆる混乱期の三ヵ月あまりの間に、これはたとえいまの通産省のきめられた二十一円七十銭が適正だとしても、数百億円の超過利潤というものがあるわけです。これに対する配慮はどのようにこの価格の決定の中にされておるのか、この点を伺いたいのです。
  150. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) われわれのほうで在外公館から取り寄せました今度のヨーロッパ各国のガソリンの値上げぶりを見ましても、税抜きで元売り価格とそれから末端の小売り価格との差は、イギリスの場合で七円四十銭、フランスの場合で一円二十銭、それからドイツの場合で三円八十銭というふうに確かに少のうございまするが、これは一つは、先ほど来申し上げておりますように、日本の油の流通段階がきわめて複雑でマージンがかさむという点が一点でございまするが、そのほかにも税抜きのベースで割り高になっておりまするのは、灯油などの中間留分の価格を抑制をいたしております分だけ……
  151. 田渕哲也

    田渕哲也君 いや、価格の絶対額はいいんですよ。
  152. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) これはやはり一にかかって流通機構の……
  153. 田渕哲也

    田渕哲也君 いや、流通機構の問題も言ってないんですよ。上がり方がひどいということだけ言っているんですよ。
  154. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) それは今回に限らず、値上げ前の状態をとらえてみましても、イギリスの場合で六円五十銭、フランスの場合で二円十銭というぐあいに、流通マージン自体の幅が日本の場合とかなり違っております。
  155. 田渕哲也

    田渕哲也君 私の質問の趣旨とちょっと答えが違っておるようでありますけれども、時間がありませんので、最後に日石の社長とそれから通産省に一緒にお尋ねをしたいと思います。  ただいま私がいろいろ言いましたように、流通過程においてまだまだ私は合理化の余地があると思うんです。一年前まで大体十二、三円ないし十四、五円でマージンが、それぐらい取って元売りから消費者まで渡っておったものが、今回なぜ二十一円も二円もかかるのか。これをもっと合理化でやはり十四、五円ぐらいまでに押えられないのか。私は、これはできないはずはないと思うんです。人件費などで上がる分はやむを得ないと思いますけれども、ちょっと上がり方が多過ぎると思いますので、その辺の努力をして、少なくとも小売り価格百円じゃなくて、少しでも下げる努力をしていただきたい。私は、五円ぐらいは下げられると思うんです。五円ぐらいは石油会社が腹は痛まずに下げられると思うんです。  それから、通産省にお尋ねしたいのは、三月二十日に私が幾つかのスタンドを実地に調べて見ましたところ、三月二十日ですから、指導価格はできて直後であります。そのときにも九十四円――当時は九十四円二十銭が指導価格でありましたけれども、それ以下で、それより安い値段で売っておるのが約三〇%ありました、スタンドの中で。ところが、四月二日きょう現在で調査してみますと、百円より安い値段で売っておるのは六%しかないんです。だから、今回の上限指導価格は、いわゆる高値保証的な、高値安定的な役割を明らかに果たしておると思うんです。この辺について、もっと値下げに対して強力な指導をやってもらわないと困ると思うんですが、いかがですか。
  156. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 時間が来たので、簡潔に。
  157. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 現在、三月十八日以降の、この三月中のガソリン小売り値段及び四月に入ってからの動向の把握を各通産局を通じてやっておるところでございます。何ぶん新値決定以後まだ日が残いものでございまするので、指導上限価格の末端までの徹底につきましてやや欠ける点もあるかと思いまするが、今後努力してまいりたいと思います。
  158. 田渕哲也

    田渕哲也君 日石の社長、いかがですか。
  159. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 簡潔にどうぞ。
  160. 瀧口丈夫

    参考人瀧口丈夫君) お答えいたします。  よく特約店と相談をいたしまして、御趣旨に沿うように努力いたします。
  161. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 委員長より参考人各位に申し上げます。  長時間にわたり貴重な御意見を賜わりまして、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  どうぞ御退席ください。(拍手)     ―――――――――――――
  162. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 本日は総予算審査のため、物価問題について参考人出席を求め、集中的に審議を行なうことにいたしております。商社関係について出席お願いいたしております参考人方々はお手元にお配りいたしましたとおりでございます。  この際、参考人方々一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中にもかかわりませず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手)  物価問題は国民が当面する重大な関心事でありますので、各委員質疑に対しては率直にお答えお願いいたしたいと存じます。  なお、御発言はそのつど委員長許可を得て行なうようにお願いをいたします。また、時間の制約がありますので、お答えは簡潔にお願いいたします。  それでは、これより質疑を行ないます。岩動君。
  163. 岩動道行

    岩動道行君 午前は石油問題について集中審議をいたしたんでありまするが、これから商社についていろいろな問題点を皆様方から御意見も伺い、私どもも申し上げて、そうしてこの参議院における物価集中審議国民のために有益な成果をあげ得るような結果を私どもは期待をいたしております。どうか参考人の皆様にも、その心がまえで率直に、かつまた十分に、国民に訴えるところは訴えていただきたい、このようにまずお願いを申し上げたいと思います。  さて、商社等につきましては、いわゆる悪徳企業というような印象を国民に最近与えていることはまことに遺憾でございます。   〔委員長退席、理事吉武恵市君着席〕  たとえば、脱税問題について社会から指弾を受ける、あるいは在庫の分散指令を出したというようなことでいろいろな疑惑を招く、あるいは関税のごまかしをしたということで指摘を受ける。こういったような商社の非常にアンモラルな、そしてもうけるためには手段を選ばない、こういったようなやり方があちらこちらに続いて起こっている。これはわれわれまことに国民として情けないと申しまするか、許しがたいところであると思います。特に大企業の分野においてそういうことが起こったということは、十分に反省をしていただかなければならぬわけであります。また、石油についても、元売りのやみ価格のカルテルを結んだということで告発まで受けると、こういったようなことが契機になって、たとえば会社臨時利得税というものを、法案をわれわれは成立させました。まことにこれは日本の商社、企業にとって恥ずべきことでないでしょうか。  さらにまた、反社会的企業として、大蔵大臣は、これに対する輸・開銀等の融資をストップするか、あるいはその貨し出しの条件を変更するとか、いろいろなことを国会で論議をされ、近くそれに対する政府の試案、基準を設けて発表するというようなことまで具体的な作業が進んでおる現状であります。そしてまた、一方において、石油二法を中心として価格の凍結あるいは石油に関する行政価格の指導が行なわれる等、あらゆるものが日本国を動かしておる企業を通じて、そうして統制へ統制へと走るような傾向が出てまいってきていることは、まことに遺憾だと言わざるを得ません。  これらについて、まず当該の商社として、本日は御出席をいただいております伊藤忠の参考人の越後さん、そして丸紅の桧山さん、なお三井物産につきましても、私は、この機会に伺っておきたいんでありまするが、海外での商社の行動、これはたとえばローデシアに対する抜けがけの貿易をやったというようなことが出ております。国連の決議を無視して、そうして人種差別を行なっている国に対する貿易がロンドン・タイムスにおいて問題になっている。こういうようなことは一体どういうことであるのか。これらについても、この機会にまず明らかにしていただきたいと、かように思います。  なおまた、中小企業に対する大企業の支配の問題、これは後ほどまた触れまするが、たとえば、ある地方の土建会社におきましても、昭和四十八年の十月には、A商社と七百六十万のサッシの購入契約を結んだ。ところが、十二月に入って、メーカーの役員と商社の人がやってきて、そうして契約の取り消しを申し入れた、品不足だということで。その後において、工事は進めなければならないという立場から、九百八十八万円の契約をし直しをせざるを得なくなったと、こういったような事実、これらの中小企業の立場というものは非常に弱いことになっておるわけであります。もちろん、経済情勢の変化によって契約も変更されることは当然あり得ることでありまするが、しかし、このようなことが全国に頻発をしているということは、われわれとしても見のがすことができない。ことに公共事業においては、学校とかその他の社会福祉的な事業に重点を置いて、総需要の抑制を進めている。そういう場合において、これらの中小業者がいろいろな被害をこうむっているということは見のがしのできない点であるわけであります。政府においても適切な措置をとることにはなっておりまするが、しかし、直接の取引はそれぞれの企業がやっておられるわけであります。  かような点において、まず越後参考人、そして桧山参考人と、次々とひとつ簡潔にこれらの問題に対する御所見を承っておきたいと思います。
  164. 越後正一

    参考人(越後正一君) 商社の活動につきまして御批判を受けたことは、われわれといたしまして衷心から責任を痛感いたしておることは、この前の衆議院のこの会合にも申し上げたのであります。特に当社といたしましては、世間に誤解を与えたということに対しましては、まことに申しわけないと存じております。したがいまして、今後こういうことを絶対になくするという意味におきまして、経営刷新特別委員会及び社会関連監査室というものを設けまして、具体的に行動基準の徹底はもとより、下部に対しまして管理体制、在庫・人事・文書等の不備等を十分検討いたしまして、二度とそういう間違いを起こさないように注意をして、国家社会の健全な発展とともに成長していく、福祉に貢献できる会社でありたいということを念願いたしておる次第でございます。  いま具体的な問題の中にローデシアの話がございましたが、当社は、これには関係いたしておりません。  中小企業の問題に対しましても、もちろん仰せのとおりでありまして、いわゆる共存共栄と申しますか、われわれにも関係会社がたくさんございますが、関係会社がりっぱに育ってこそわれわれの仕事が成り立っていくんだということを、強く本部長にも要望しておるような次第でございますので、何とぞ御了承をお願いいたしたいと思います。
  165. 桧山広

    参考人(桧山広君) ただいま岩動先生から、税金の問題とか、あるいは海外の取引の問題とか、国内の中小企業との問題、いろいろな問題が指摘されましたが、一応そのケースによっていろいろ内容は異なると思いますが、そういう事態の発生したことにつきましては、十分反省すべきは反省し、自省すべきは自省する。  で、ただいま越後参考人から申されましたように、総合商社として恥ずかしからざる国民福祉に寄与し得るような行動をとっていきたいというふうに考えております。いずれにしましても、私どもも総合商社として、戦後何とか貿易収支の黒字をもって貿易外の赤字を埋めて、国際収支の健全化をはかろうという一念のもとに、いろいろやってまいってきてはおりますが、何さま世界あまねく機構あるいは網をめぐらしながら日夜努力しておりますので、いろんな点においてそうした間違いが起きるかもしれませんので、今後は、これを契機に、絶対かかることの起きないように、いろんな管理体制を固めながら、ほんとうに真に国家社会に役立つ総合商社としての経営をやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  166. 岩動道行

    岩動道行君 ローデシアの問題は、三井物産がかんでいるような記事になっておりますんですが、実は私の答弁を求める対象になっていないようでありまするので、これは別の機会にやれと、こういう委員部からの話でありますので、残念ながら、その点は答弁はまた別の機会にお願いせざるを得ない、こういう運営になっておるようでありまするので、あれいたしますが、大問題であるということをひとつ十分に認識をして、その事実の有無を明らかにしていただきたい。適当な機会にお願いしたいと、こう思います。  そこで、いまきわめて国民に対して企業の社会的責任というものを痛感された、十分に反省されたおことばがあったのでありまするが、すでに昭和四十八年、昨年の五月には総合商社の行動基準というまことにりっぱなものをおつくりになっていらっしゃる。にもかかわらず、その後にもいろいろと指摘されるような行為があったと、これでは、社長として、末端にまで、全世界にまたがっているからというようなことでこれは済むものではない。こういうことにおいて、私は、まだまだ十分に社会的責任を認識しておられるかどうかはなはだ疑問に思わざるを得ないのであります。この点について、同僚議員からの発言も求められておりますので、そのほうから発言をしていただきたいと思います。
  167. 細川護煕

    ○細川護熙君 水上参考人にお尋ねをしたいと思いますが、いまのお話の、企業の社会的責任というものが明確な定義なしに議論をされるということになると、行く行くは、市場経済の重要な柱である自由かつ競争的なやはり企業家精神というものを衰退させることになりかねないという気がいたします。一定以上の所得が暴利であるという議論は、もちろんこれは商業者利益を認めないということにも通じますし、結局は、広く拡大をしていくべき消費者の選択にとっても非常に不利なことになりかねないという気がいたします。  そこで、初めにまず確認をしてお尋ねをしておきたいのは、企業の社会的責任というものを一体どういうふうに考えられるか。あるいは一体何をもって反社会的だというふうに定義をされるのか、その辺をひとつ、非常にこれは理念的な話ですけれども、まず初めにお答えをいただいて、それからもう一点そのことに関連をして、商社活動というものがこういうふうに際限なく広がっていくと、いまもお話しの昨年の五月ですか、行動基準というものをつくられたわけですけれども、俗にラーメンからミサイルまでというぐあいに活動の範囲が広がって、そしてさらに、それが財界活動というところまで立ち入って非常に大きくなってきた。そういうふうに商社活動が広がった中で、その自主的な行動基準というものだけでその商社活動というものを律していくことができるのかどうか。私はその辺非常に心もとない、自主的なルールだけでできるのかどうか非常に心もとない気がいたします。もしその自主的なルールだけで、行動基準だけで律していけないということになれば、そこで当然前から問題になっておりますように、商社法の問題であるとか、あるいは例の大口融資の規制の問題とか、そういうふうな問題もまた出てこざるを得ないわけでありますけれども、その大口融資規制という問題についても、これはアメリカや西独ほどのところまではいかないにしても、いま問題になっている系列融資等のあり方について、やはりこれは相当に突っ込んで考えていただかなければならないのではないかという気がするわけであります。その三点について初めにお答えをいただきたいと思います。
  168. 水上達三

    参考人(水上達三君) 企業の社会的責任につきましては、私の持論といたしまして、企業が繁栄し、従業員が生活が幾らかでもだんだんと豊かになっていくと、それがまた地域社会を潤し、それがまたさらに世界の民生福祉の向上にも寄与するというふうなことがあって、初めてその企業の繁栄というものが約束されるものである。企業だけがひとり繁栄するなんてことはあり得ないというふうに基本的に考えております。したがいまして、現在のこの問題は、社会と企業、企業と社会、その両面からお互いがよく理解し合って、よく見詰めて誤解のないようにして、そこに初めて確立するものではないかと思うのですが、残念ながらこれは率直に言いまして、両面からやっぱり相当足らない面があると、こう思わざるを得ない現状であります。もっともっと企業側も努力しなければならない。社会の側も、裏だけ見て表を見ないとか、表だけ見て裏を見ないとか、あまり偏することなくやはりやっていかなきゃいけない、こういうことを痛感しております。  それから第二の御質問の、反社会的ということの基準と申しましょうか、考え方は一体どんなふうに考えているのかという御質問のように伺いましたが、まあきわめて常識的な話でございますが、私どもは法治国に住んでいる。法律を守るということがまずこれが根本だと思います。したがいまして、法に違反するというふうなことは、これはもう絶対的に許されない。それから、まあいろいろな段階があるかと思いますが、かりに検察庁の手にかかっておるものとかなんとかいうふうなことになりますと、これも反社会的と言わざるを得ないんではないかと、まあ、事情により、その段階によるとは思います、そんな気がいたしますが。  もう一つ、しいて申し上げますというと、やはりわれわれ国民として、日本人として進むべき道なり、われわれ日本民族が将来にわたって長く生き長らえるというだけでなく、繁栄していくというためには、やっぱり国際社会に伍していかなければならないとか、世界の中における日本というふうな考え方を強く持ちながら、国際人として国際人の中に、国際間において日本が、やっぱりさきの企業と社会と同じような関係にもなるかと思いますが、そういうふうな立場考えていかなきゃならない。そうしますと、そこにひとつ日本人として、あるいは日本国として何か考え、基本的なものがあるべきだと思いますね。そこで、こういうものはやはり法律になくとも、何かになくとも、日本人として何かしなくちゃならぬ、この基本方針に反しないでいくという心がまえですね、これはあるいは良識かもしれません、かもしれませんが、そういう点も考えます。  それからもう一つの、何でもやるという問題でございましたかしら、何でもやるというお話で、これは世間にかなり誤解もあるかと思います。まあラーメンの話が出ましたけれども、ラーメンというものがわれわれの国民食の中で、食生活の中でどういう役割りをいままで持ってきたか、現在持っているか、また、これが世界的にも案外評価されておって、こういうものを自分のところへも来てやってもらいたいというふうなことも、しばしば私も耳にするところであります。したがって、そういうふうな点を考えますと、あまり一がいにラーメンからミサイルというふうに、代表的なことばとして一体適切でありやいなやという疑問を私は持っている。その点はよく考えなきゃならぬ問題だと思いますが、そのときに応じましていろいろこういう問題は見方が違うのでありますが、たとえば鶏の卵のようなものを、昔は、あまりそういうものはやらないほうがいいということもございました。しかしながら、われわれは、この敗戦後の私どもの中で、生活の中で、食糧の中で、鶏卵の果たした役割りというものは偉大なものがあると思うのですよ。ここにまた傾けた総合商社の力、いろいろな犠牲もときどき払っておるようでありますし、それは私は非常に評価すべきものがあると思います。ですから、それはそのときどきに応じまして適当な評価を下していくべきものと思いますので、この商品の選択というのはむずかしいわけですが、しかしながら、何でもやるということは私も全く反対の立場をとって考えておりますのです。  それから、いま公取のほうでいろいろ調べておられるような問題についてもお話がございましたが、これは私どもいま、私どもの中でいろいろ検討中でございます。
  169. 玉置和郎

    玉置和郎君 水上会長にお伺いします。  いま会長が、商社がラーメンやること、また鶏卵やること、これはまあ相当貢献しておるのだというお話であります。しかし私たちは、これはやっぱりラーメンはラーメンでやれる人があるのです、鶏卵は鶏卵でやれる人があるのです。何を好んで大商社がその鶏卵のところまで手を突っ込まなければならぬか。あなた方が鶏卵にまで手を突っ込んでくると、それによって塗炭に苦しむ養鶏農家があるのです。この辺のことは私は経済の秩序だと思いますけれどもね。大商社がいわゆる社会的な責任というものを痛感するのであったら、少なくともこういう問題について経済秩序を破壊しない、そのことによって国民の中に多くの犠牲が出ないということ、これをやっぱり考えてやってもらわなきゃならぬと思います。  私は本論に入りますが、社会的責任を果たす、このためには表だけを見ておったんじゃいかぬ、裏も見なければいかぬというお話がありました。これ、もっともだと思います。  そこで、この二つの事実についてお聞きをします。一つは、物価問題というのは、これは非常にメンタルな問題を含んでおると思います。で、私は今度の物資不足のパニック状態、これはどうもつくり出されたという感じを私は持つんです。多くの国民も最近持っております。というのは、ここに資料を要約したものを持っておりますが、今度問題になりましたトイレットペーパー、それに洗剤、それに砂糖、専売の塩まで一時は問題にされた。こういうものの四十七年の十一月-十二月の生産高、それに伴う出荷高、出荷の量、相当あのパ二ック状態が起こった四十八年の十一月から十二月にかけての生産量、出荷の量、こういうものを見てきますと、いずれも生産が減っていない。それから出荷も減っていない。むしろふえておる。にもかかわらず、何で品不足の状態が起こったかということなんです。  私は、おかげで全国的な組織を持っております。私たちなりに今度問題なところを調査してみました。そうしますと、これはもう名前をあげちゃあまり刺激するからいかぬという私たちの理事さんのありがたい配慮でございますので、言いませんが、ある強力な婦人組織、この婦人組織がプロによって指導されて、そうして、その大きな団地のマーケットに組織的にトイレットペーパーを買いに行っておる。そうして、最初は一人が四つも五つも買う。これは一つ四巻入って二百二十円くらいでありますから、四つ買って八百八十円、ざっと千円以下のものであります。それを小わきにかかえて、そうして団地の中を歩く。奥さん、トイレットペーパー不足しておりますよ、もうありませんよ、いまに買いなさいよと言って、トイレットペーパーを大事にかかえながら歩くその姿を見た団地の人たちが、あわててマーケットに押しかける。そういうようなのが二日、三日と繰り返された。そして三日目には完全になくなった。そこへ数十人が押しかけておうおう、わいわい騒いでおるところを新聞が報道する、テレビにのせる。この局地の問題があたかも全国的な問題として国民の目に映る。これが洗剤も同じことなんです。トイレットペーパーの販売をしておるところにちょうど洗剤があるんです。そのまた裏側で砂糖を売っているんです。そういうことによって火がついて、全国的に起こった物資不足のパニックという問題、私は、これはたいへんなことだと思うんです。  こういうふうに、冒頭に言いましたように、物価というものはこの御婦人方の特にメンタルな問題これがたいへんな要素を占めておるということ。そしていま、あの当時四つも五つも買い占めた人たちが、はたして買ってよかったという状態にあるかどうか。最近のこの下がってきた物価から見ますというと、いま反省しているのであります。これが私は自由経済のいいところだと思います。それだけに、私はここでいま嶋崎さんから注意を受けて、あまりおまえ新聞を刺激するようなことを言うなと、こう言う。私はそうじゃないと思うんだ。こんなことははっきり言っておいたほうがいいんです。私は、理事さんのことはたいてい言うことを聞くんですけれども、これはやっぱりはっきりしておいたほうがいいんです。これは新聞の責任、民放の責任、テレビの責任、これはこのあとにも申しますが、たいへんなもんです、これ。いままでは直接に国民の目に触れ、耳に触れるというこの媒介体がなかったのです。しかし、いまやある。こういうことについては私はマスコミ界の責任というものは避けることはできないと思う。この辺で反省してもらういい機会だと思う。  その証拠を言っておきます。ちょうど英国であの石油削減の話があったときに、英国の新聞や経済誌で、昨年末の石油パニックに際して、アラビア湾岸から原油の積み出しは減っていないということをしばしば報道いたしております。そして英国国民に対して、あわてなさるな、じっとこの状態を見ましょうという呼びかけをしておるのです。日本の新聞の一部にも、航海中の船長にそのことを語らせておる事実もある、これはりっぱなことだと思います。しかし多くの新聞、多くの報道は、いまにも世の中がひっくり返ってしまうような報道をした。いまはたして石油がそれだけ、報道しただけ減ったでしょうか――、減ってない、私は、新聞というのは社会の公器であったならば、また、テレビというものが社会の公器であったならば、そういうところにこれ、私は目をつけて報道せなければはらぬと思う。  もう一つ、これは政治の責任の一つでありますが、先般の衆議院予算委員会で某商社の社内報を取り上げて、そうして――これは三菱でありますが、共産党の野間君が、豚は何とか言うた。豚というのは私のことじゃないので、原地人を豚や鶏にたとえてわめいたのですね。「豚は太らせてから料理せよ」、まあこう言った。私はおかしなことを言うな、これはまあ共産党らしいことを言っておるな、これは一部のことを言ってるだけじゃないかと思って、実はこの「菱和」、社内報をもらってきた。これです。あるいは会長はもうお目通しかもわかりませんが、この中の記事を見ますと、決してそういうことを言っていない。私は、これについてタイの大使館のほうに聞いてみた。タイの大使館ではこれは、「豚は太らせてから料理せよ」というのは、タイ国民を豚にたとえたのではなく、タイ国に古くからあることわざで、原地語でクン・モー・ハイ・ウォンというのだそうです。クン・モー・ハイ・ウォン。このことは、ことわざは四通りの意味に使われているのが多いのだそうであります。だから質問者の議員が意味を取り違えておるのじゃないか、前後の事情を読んだならば、これはもうはっきりするということです。  そしてさらに、ここにタイの新聞の切り抜きを持ってきております。これです。この新聞の切り抜きを翻訳いたしますると、これはタイの新聞が、日本国会議員、共産党の議員は誤って事実を伝えておると言っておる。こういうことについて一体公党としての責任を共産党はどのように果たすのか、私はむしろこれを問いたい。そうして、私は何もこれ、商社を援護するのじゃないのだ、日本人はタイを見下していないという見出しをつけて、実はタイの新聞が弁護をしておるのであります。日本の新聞見たらこうなんです、「商社マンこの怪獣ぶり!」と書いてある。そうして「バカな社員……苦り切る社長」、社長もこんなの知るはずがない、こんなことを。こんな社内報のことなんぞ三菱商事の社長は、こんなの知るはずがない。それで「合弁会社を豚・鶏扱い」「『物価審議』でスッパ抜き」と書いてある。この一部だけ見たらそうなるのです。しかし、全部を読めばりっぱな商社マンの倫理を説いておるのです。私はそう思う。この問題について貿易会の会長はどのような見解をとられるか(笑声)はっきりして、はっきり――。大体あなた方遠慮するのですよ。国会へ来て遠慮しちゃいかぬ、これはもう堂々と思うとおりに、私ぐらい言ったらいいんです、私ぐらい思うとおりに言え。そうしたら初めて活気ある審議ができるのです。国民はそれを望んでおる。おどおどおどおどしてね、きょうは割に態度がいいですよ。(笑声)この前は何ですか、あれは。おどおどおどおどして、そうして情ない声――私の親戚にも実はある商社にいっておる。うちの社長のあの態度見て、わしはもう月給もらうの情けなうて情けなうてと、こう言うておった。だから、この辺で貿易会の会長としてしゃんとした答弁をしてください。
  170. 水上達三

    参考人(水上達三君) 最初にちょっと誤解があったように思いますので――。というのは鶏卵の問題ですが、商社のつとめた役割りというのは、その飼料の輸入の面であります。そちらに重点を置いてまいって、鶏卵の取り扱いを積極的にやるとかいうふうな意味ではもちろんありません。現にあまりやっておりません、国内のそういうことは。それからラーメンの取り扱いは、小さい業者にまかしたほうがよくはないかというふうな御趣旨のように私は伺いましたが、もしそうであるならば、商社の役割りというところは、やはり新しい商品を開発して、できるだけ多くの人がそれに従業し、それによって適正な利益も得て、雇用の機会も多くなるというふうなところに商社の目的はあると私は信じております。そういう意味で、ちょっと誤解もあったように思いますので、念のため申し上げたいと思います。  それから、いまのタイの問題ですが、これは貿易会の会長として、外国の企業活動でありますし、それから貿易に関連する業務でありますので――実は私のいま会長をやっておる日本貿易会というのは、貿易に関する日本における民間の唯一の中枢機関でありまして、貿易の健全なる発達によって国民経済の繁栄をはかっていくというふうなことが目的になっております。したがいまして、国内の仕事につきましては全く直接的には関係ない立場でありますけれども、いまの貿易の点につきましては、御激励を受けましたから所見を申し上げますが、これは、ごらんいただいておるんじゃないかと思うんですが、海外にいま出ておる日本の企業というのは、海外側から見た数で三千五百以上にのぼるということであります。そこで、その中には必ずしも日本の政府が考え、あるいは私ども考えているような方向に向かっていないというふうなこともありますので、私ども日本貿易会としては、ちょうど二年以上前だと思いますが、そのころから、一つの指針といいますか、ガイドラインのようなものをつくったほうがよくはないかという意見がありました。  で、この背景を簡単に申し上げますというと、産業構造審議会というのが政府の機関にございますが、そこの国際経済部会というのがありまして、今後の日本は国際協調のもとにまとまっていかなければ、日本のない資源をよそから仰ぎ、加工貿易によって国を立てているわけでありますから、そこが一番の大事な点であるというふうな答申をしておる事実がございます、一昨年の五月ごろだと思いますが。それを受けまして、総合商社のみならず、日本全体の企業の海外進出にはこういうふうな心がまえが必要であると、こういう海外投資行動指針というものをつくっておったんです。たまたま、昨年の一月、通産大臣が、これをひとつ日本貿易会のみならず、官本全体の経済団体の決議にしてもらえないかというふうな要望がございまして、そのようにそれからいたしまして、正式には六月の一日に公表しておる。これは、海外にも英訳ないしその国のことばにいたしまして相当行っております。これはほんとうに、自画自賛でございますが、りっぱなものだと思います。また、ほめられています。しかし、これがなかなか徹底してないところがあるんです。そういう徹底しないというのは、どういう点に原因があるかというと、やっぱり企業企業によりまして、そのくらいの数になりますというと、なかなかいろいろな考え方がございます。したがって、いろいろの問題を出先で起こしておるという実例もあるわけです。  で、いまのお話の件は、私は、よく実情は知りませんけれども、おっしゃるようなことであると私も想像いたします。したがいまして、いろんなものをよく注意して、ことばの上でも、行ないの上でも、しなきゃいかぬとは思いますが、また、あまりに悪意に受け取って、その一部だけをとって、そしてしかも日本の国の中で、日本の国の悪口を海外にさらすというふうなことは、これは私ははなはだ残念でなりません。いま物価の問題にいたしましても、いろんな問題について、日本の中であるいは特別の悪者をつくったり、あるいは人の中傷をしたり、そういうことが海外に流れて、それがはね返ってくるというふうなニュースも数限りなくあるように思います。情報は重要なものでありますが、情報があまりに過多で、その選別に苦しんでいるというのがいまの状態じゃないかと思います。私も、いまのお説については、いまは一つの問題ですけれども、今後も同じような問題がたくさん起こってくるかと思いますので、いまのような海外投資の行動の指針を通じまして、もっとこれを実際的に現場に徹底するように、この関係する三千五百社以上の日本の企業、これの懇話会のようなものをつくりまして、現場に徹底するようにということをやろうという動きがいま全国的に広がりまして、最近実現する運びになっておるようであります。私どもは私ども立場からこれに協力応援しております。
  171. 今泉正二

    ○今泉正二君 自由民主党、なかなか順番が来ませんので、三十三年間しゃべっておりましたが、委員会でしゃべるのはことしに入って初めてでございます。その点は野党に入っていればよかったなと、いま思いながら質問をさせていただきます。  この間お坊さんに会いましたら、人間というものは一生のうちに使うことはきまっているそうで、三分の一は、たいていふとんの中で、一晩のうちにかく寝汗がコップ一ぱいで、七十二歳まで生きるとして、使う木材は大体一万平方メートルで後楽園よりちょっと狭目、水は生涯に使うのは、飲むのと洗たくと流すのを含めまして五十メートルプールで四はいぐらい。さて、さっき出ました関連のトイレットペーパーは、七十歳から七十二歳ぐらいまで生きて、トイレへ入っている時間は二年間。そうなると、幾らトイレットペーパーがないからといって、あるからといって、そうそう買って、朝から晩まで便所へ入っていられるものじゃございません。日本の生活がその日暮らしでありましたために、一つの扇動によって、あるいはまた何かの状態によって、そういうものに競争して買いあさるわけでございます。  そして、最近の新聞を見ますと、フィリピンのマニラでティッシュペーパーやトイレットペーパーがないというのが新しい新聞に出ております。そして、これも日本人の観光客が買うからなくなるんじゃないかといって、骨とう屋で、骨とう品は要らないからトイレットペーぺ一のいいやつをさがせと言っている慢画が出ているそうで、デーリー・エキスプレスなどもそれを書いているそうでございます。そして、それを言われた原因は、調べますれば、重油カットと原料パルプの入手難が原因で近隣へ出さないようにする、しばらく輸出をしないというのが原因でございますけれども日本で起こったトイレットペーパーの問題が遠くフィリピンまで飛び火して、観光客のだらしのない行動とともに言われております。そして商社マンが、いまの会長お話のように大へんみんな教育をし直されたり、また悪い人ばかりいません、この委員会を含めまして、国会議員が少し増長していると言う人が政治評論家でこの間ありまして、このバッジをつければ、何でもてまえだけは生まれてから一度も悪いことをしたことないように、だれかをとっちめていやがるが、あんなものは国民の代表といっても、なんて言っている人がいたんです。それを私は聞いた立場ですから、私が、いや、それは参議院やり方を見てくれと、参議院参議院なりでまた自主的にやるから、いつもそんな何かとっちめているのじゃなくて、堂々と話をし、玉置議員からもお話のあったように、向こうからも堂々とこわがらずにいただいて、その中をとって国民がテレビを見て善否をきめるわけでございますから、その中で皆さま方もフランクにお願いしたい。  そして最後に一言お願いしますことは、それぞれの……(「短いぞ」と呼ぶ者あり)短くしないとおこられるものですから。それぞれの中で、この間タイ国でコンペがありました。ゴルフでございます、皆さん大好きな。私あまりやりませんが。このコンペに参加しない人は当日のプレイを御遠慮くださいといって、日本人の集まりが十八ホールから全部出発するんで花火上げたと、そうすると、前からそこの会員だった現地の人は非常にひんしゅくをまあ持ち、日本人に対して非常に憤りを持ったと、その中に商社マンがいたか、あるいは向こうの在外公館がいたか、それはわかりませんけれども、おそらく一人や二人はいたんじゃないかと、十八ホールから一斉にスタートするのに五人しかいないということはないでしょうから。そうなると、そういうような一つ一つの――タイ国の方に圧迫を与えるわけでないけれども、たまたま日本人がひとつのお遊びの日に、土曜日か日曜日にやったことが、またそういうことが回り回って物価の問題にはね返って、日本人全体を悪くするような印象も持たれがちでございます。  私は、日本人が働き過ぎだということ大賛成です。こんな小っちゃい国で、まあアメリカの半分とはいかないけれども、一億一千万の人がお互いにひしめきながら、それぞれの生活権を確保しようというのに、ゆっくり遊んで、ゆっくり寝て、給料が来て、物が下がって、全部しあわせになってというわけになかなか――それは理想論としてはいいですが、やはりこの勤労の結果、こんなトウガラシのような小さな国だと外国人に言われているこの国が、これだけ繁栄をしたんでございますから、私は働き過ぎのあと、まあ遊ぶのはけっこうですが、そういうとこまで海外の商社の代表の方々は留意していただかないと、こんなことが記事になって載るわけでございます。  したがって、おしまいに、きょう御出席方々で、まだ一言もしゃべれない方と、しゃべり足りない方もありますから、貿易会の会長はいま玉置委員に対して御回答があったから、あと越後さんと橋本さんと桧山さんと今井さんに一言ずつ、うちの会社は在外ではこういう教育をしているということを一言でけっこうでございます。一言お願いをして、私の質問終わりたいと思います。たいへん早口でしゃべりました。
  172. 越後正一

    参考人(越後正一君) いまのお話、もし事実であるとすれば少し常識をはずれていると思います。これは国外の問題ではなしに、国内でもゴルフというものはほんとに自粛して健康のために有効なスポーツとして愛される方向にいってもらいたい。絶対に排除的な、またぜいたくなやり方はやりたくないというのが私の考え方でございまして、今後十分社内、社外にも注意をいたします。
  173. 桧山広

    参考人(桧山広君) 先ほど水上参考人が申し上げましたような、行動基準を徹底するように、海外支店にも通知し、また現地人との融和のために海外の店員、現地店員を定期的に日本において教育をするというようなことによって、相互理解を深めるということによって、逐次われわれの行動指針がわかるように徹底した教育をやっております。
  174. 岩動道行

    岩動道行君 同僚議員からきわめて適切な質問が出され、私のあと残された時間も少なくなりましたので、問題を少し整理して簡潔に申し上げ、簡潔なお答えをいただきたいと思います。  ただいまのように、いろいろな商社、企業等の経済活動、これが国民経済に寄与する役割り、そういうもの以前のモラルの問題として今日ほどこれが取り上げられたことはないのではないか。もしありとするならば、昭和の初めのころの五・一五事件あるいは二・二六事件、ああいったような時点、あるいはドル買いの問題、こういったようなことが、あるいは次元と時代も違うかもしれませんが、社会に対する企業の責任を問われた時代ではなかったか。これと同じようなことが今日さらに進展をするとすれば、まことにおそるべき事態である。私は大商社の代表者の皆さま方がこの点を十分に反省をして、そうして国家、国民のため、そして世界の平和に寄与する行動を十分に進めてもらうように、特段の御留意をお願いしたいと思います。  そこで、先ほど来の問題からさらに一歩を進めまして、今日のわれわれの維持しておりまする経済体制というものは自由主義経済体制であり、市場価格のメカニズムをいかにして国民の利益と合致させながら運用してまいるかという経済運営の問題であろうと思います。この点について、私は水上さんから代表的にひとつお話をまず述べていただきたいと思います。
  175. 水上達三

    参考人(水上達三君) この自由経済なり人間の自由、この自由という問題につきましては、まあ昔からいろんなことがたくさんございまして、いまさらそれについて申し上げるまでもないのでありますが、やはり人間は本来自由をとうとび、自由を求め、その自由をまたうまく活用しまして今日の人類の発展の基礎になっていると、こう思うのであります。今後も、やはり人間である以上、この原理は変わらないと私は信じます。したがいまして、経済の問題につきましても、外国にいろんな例がございますが、自由を奪っていろんな形でやっているところがありますが、そういうところの生産、ことに農産物のようなものは、増産を目標にしていながら、実際は逆の結果に順々になっておって、日本もそのために飛ばっちりを受けているというふうなことも実際あるわけでございます。  そこで、ただ最近の日本物価問題について申し上げますというと、最近の物価問題というのは大半が外国から影響を受けているのでございます。まあ非常に大まかに申し上げて恐縮ですが、まず農産物が起こりました。農産物は、ソ連という国が自由中国家群からは食糧を期待していなかったのに、ニクソン大統領の訪ソをきっかけに、しかもばく大な数量を供給する契約ができまして、これが穀物、飼料その他関連する食糧、それから運賃、その他いろんなものに非常なインフレ的要因を与えたというふうなこと、それに関連しまして、昨年の後半になりまして石油の問題が起こった。これまでまさに油に火をつけたようなことになりまして、ますます海外要因が日本物価に及ぼした影響を大きくしたと、こういうふうに簡単に言いますと言っていいと思います。  そこで、日本物価施策の一番の基本は、いかにしてこの海外から受ける波の影響を最小限にとどめるかというところにその基本がなくちゃならないと思います。そういうふうに心がけているとは思いますが、しかしこれが必ずしもそうなっていないと私は考える。これはいまからでもおそくないから、できるだけそういう方向に持っていくべきだ。これは私は、非常に簡単に言いますというと、西独はわりあいうまくやっていると思います。できるだけその影響を少なくして、貿易の構造におきましても、まあ機械と化学製品のようなものが主であるドイツの貿易構造にもよりますけれども、そういう点を非常に巧みに使いまして、うまくやっていると思います。  あまり時間をとりましても恐縮でございますので、簡単でございますがちょっと。
  176. 米田正文

    ○米田正文君 いま国際物価お話が出ましたから、それに関連して、私一言水上会長にお伺いをいたしたいと思います。  いまこの場で論議されておることも国内物価が主でありますし、この予算委員会におけるいままでの審議も、まあ国内物価が大部分を占めておりますが、お話のように、この問題はやはり海外物価との関連が非常に強い。特に私はそういう意味から、貿易収支について御意見を承りたいんですが、この問題は、昨年は非常な赤字の貿易でございました。大蔵大臣もこの委員会で、国内物価も重要ではあるが、何といっても海外物価、特に国際収支が非常な問題だということを心配をしております。私どももそう思います。が、この見通しはなかなか人によってまちまちでございましょう。それは国際価格も、あるいは国内価格も非常に流動的ですから、なかなか見通しがむずかしいということだと思いますが、たとえば三月二十六日の日経でいろいろな方の国際収支見通しのアンケートをとっておりますが、それを見ましても、十人に聞いたら十人とも非常に差がある。一番多い人は貿易収支で今年度は六十五億ドルぐらいな黒であろうという人もある、そうかと思うと、一番少ない人はもうゼロであろうという人もある。その間に十人の人が並んでおるわけですが、そういうように非常に見通しがむずかしい、非常に流動的であるという情勢でありますが、石油の非常な価格の高騰によって輸入が少なくとも名目的には非常にふえてくるというこの情勢において、貿易はとうなるてあろうかという――政府はこの予算については貿易収支で三十四億ドルぐらいな黒字というめどでやっておりますが、これはどうであろうかという点についてお伺いをしたいと思います。  で、内容的に言いますと、輸入物価も非常に上がってくるであろう、そうすると輸出物価が一体どの程度上がっていくであろうか、それがはたして外国で国際競争においてどういう関係を持つであろう、あるいはそこにいろんな各国との摩擦ができるんではなかろうかというようなことも心配されます。それからまあ商社のビヘービアもありまして、私ども外国に行くとよく、どうも商社がもうたくさん来て、過当競争をして抜けがけの商談ばかりやるという悪い話もよく聞きます。これはまあ皆さんのほうがよく聞いておると思うんですが、この際、そういうことは秩序のあるひとつ商行為に国内も直していくが、国外も直していくという姿勢をとっていただきたいということも含めて、ひとつお話を承りたいと思います。
  177. 水上達三

    参考人(水上達三君) 時間の関係もおありのようでございますので、簡単にいたしますが、貿易収支は、おっしゃるように、非常にいま流動的な見方が多うございます。ただ、いまの時点で考えますと、まあおよそいまおっしゃったまん中辺のところを私は考えております。ただ数字は輸出入ともに非常にふえます。それはおっしゃるように、輸入価格、輸出価格の高騰でございますが、しかし輸入価格のほうはこの辺からだんだん下がってまいります。輸出の価格のほうは、これは海外のインフレ程度がどのくらいになるかとか、日本のいまの物価政策、あるいは為替に対する政策、あるいはその他春闘に対する政策、いろんな日本側におけるインフレ要因というのがかなりございますので、そういうものをうまくやっていけば海外とのインフレの度合いはまあバランスしていくというふうな考え方でいきまして、まあまん中辺のところを考える、こういうわけでございます。  それから商社のビヘービアの問題がございましたが、これは行動基準なり海外の投資指針をお読みくださればよくわかるように、御心配のないようにもう極力努力しておりますので、だんだんとよくなると思いますが、ただ何せ数が多いのでございますので、皆さま方も御協力をいただきたいと思います。
  178. 岩動道行

    岩動道行君 時間がありませんので言いっぱなしになるかもしれませんが、最後に私は、やはり商社の果たす国民経済役割りというものを、こういう審議を通じて十分な審議ができませんでした、しかし精神はおわかりいただけたと思いますので、今後の行動、そして社会への貢献、これを十分にやっていただきたい。そういう中において企業集団というものができてきてる。これの行くえというものは国民経済にもまた非常に大きな影響がある。これについては公取調査を進める段階にありまするが、これらも中小企業との分野の調整を十分に考えながら、日本経済のバランスのとれた発展のために皆さま方の十分なる反省と、そして国民経済への寄与を自負を持って進んでいただきたいと、これを希望いたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わることにいたします。(拍手)
  179. 吉武恵市

    理事(吉武恵市君) 小柳君。
  180. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は、大手商社が製糖事業を支配している問題を指摘して、このような状態では将来糖価は上がるのではないか、下がるはずはないというような見地から、具体的に質問をし、かつ、きょうは伊藤忠の社長さんを参考人としてお願いいたしました、お忙しいのにどうもありがとうございます。それから公取委員長と農林省の担当官も出席していますから、その三者に対しまして質問をして、独禁法違反的なものがあれば早急に直してもらうし、また公正取引委員会独禁法の改正に早急に取り組んでもらいたい、こういう見地から質問いたしたいと思います。  まず伊藤忠の社長さんに質問をするのでありますが、去る一月の二十一日に公取委員会が総合商社に関する調査をいたしましてその報告書を出しました。その冒頭に私が本日指摘するようなことを書いてあるのでありますが、「近年に至って、これらの総合商社は、多角的な商社機能と巨大な資金力を活用して、取引先企業の系列化を推進し、原材料輸入から製品販売に至るまでの過程を垂直的に組織化し、」云々、そして「流通市場の寡占化、取引先企業等の系列強化およびこれに伴う各種物資の価格形成への影響力の著しい増大等、公正かつ自由な競争秩序の維持の観点から、種々の批判を生んでいるところである。」、こういう調査報告がなされています。この調査報告に対しまして、社長はもうお読みになったと思うし、いろいろ衆議院でも御意見を聞いたようでありますが、現在の御心境をお聞きいたします。
  181. 越後正一

    参考人(越後正一君) 公取の報告は詳細に拝読いたしました。また、精神もわれわれは十分考えながら今後進めていかなければならないということも痛感いたしました。以上で終わります。
  182. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、かつて伊藤忠とそれから新日本製糖――現在清算中でありますが、新日本製糖との間に基本協定なるものをお結びになりまして、新日本が必要とする原糖の全量及び新日本の製造する製品の全量を取り扱うというようなことで、しかもそのあとには役員の派遣などもございますが、これはもう明らかに一つの製糖会社を、金を貸すことによって営業権も一切伊藤忠が支配するというようなことになるのであるが、こういう協定を結ばれましたその真意はいかがでございましょうか。
  183. 越後正一

    参考人(越後正一君) 基本協定書は昭和四十年十二月に締結しております。新日本との経営協力体制をはっきりとうたっておるんでありますが、この協定を結びます当時には十五億の債権残がありまして、資本金が一億の会社にはずっと赤字の続いていました過大与信でありましたが、当時の事情を考えましてそのまま継続してまいりましたのであります。現実の取引は、昭和三十三年二月一日から代理店契約及び総販売店特約契約書に基づいて行なってまいりまして、相互協議の上、新日本の業績伸展に努力する、また伊藤忠の全面的な協力を基本としたメーカー主導型の双務契約でありまして、一般の代理店契約と同様であります。  ここでつけ加えて申し上げますが、新日本と合田と三社で新たに出直す協議をいたしましたのにかかわりませず、不幸にいたしまして新日本に大きな欠損がございまして、いま清算途中でございますけれども、約十三億ぐらいの赤字になっております。工場担保ももちろんいただきました。残りの十億近くは伊藤忠が全部負担することになっております。個人の財産は一切お受けしない。まだ新しい会社に資本を投じて参加するという御意向は伺っておりませんけれども、もし御希望があるならば十分前向きに検討する用意がございます。
  184. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま私は具体的な問題を一つ提起いたしましたけれども、私が言わんとするところは、大手商社が製糖会社を系列に入れまして、いまの公取委の調査報告にありましたように、原糖輸入のときにこれでまたもうけるし、そうして製糖会社に精製させましたものを販売するとき、また販売権を一手に握って、そこでまたリベートを取るというような現象があるということを公取も発表しておりますし、いま私が申し上げましたのは一つの具体例として申し上げているわけです。したがって、金額の問題については若干あとで問題にいたしますけれども、まあ過去に起こったことですから、いまそれを責めてもしようがないことです。ただ、ほかにも現在の大手商社が製糖事業というものを支配している、ほかにもこういう現象があるとするならば、これでは製糖事業の公正なる競争というものは望めませんし、また、商社が金を貸すことによって製糖事業というものを支配してまいる、そういうことになりますものですから、したがって、いま具体的に提起しておるわけでございます。  公取委に質問いたしますが、こういうような調査報告を出されておりまするが、いま私が具体的な例を一つ言いました。これは過去の例ですけれども、現在のはあとでまた金融の面で製糖事業を支配している具体例を出します。これの現状について把握しておられるかどうか、お尋ねいたします。
  185. 熊田淳一郎

    政府委員熊田淳一郎君) お答えいたします。  公取といたしましては、ことしの一月に発表いたしましたあの商社の調査の中におきまして、昨年の三月時点におけるいろいろな株式支配の状況等について調べをいたしております。しかし、その後の新しい時点におきます資料は持ち合わしておりません。私どもは、ただいま第二次の商社調査に着手するために準備をいたしておるところでございます。
  186. 小柳勇

    ○小柳勇君 この調査報告には具体的にいろいろ過去の例が出してあります、調査にはですね。いま私が申し上げましたようなものもその調査の中に入っておるものと理解いたしまするが、商社と製糖会社が基本協定なる、これに似たようなものを結んで、その営業権あるいは原糖輸入あるいはその製品の販売などを協定しているものもほかにあるのじゃないかと思うが、いかがですか。そのことを聞いているわけです。
  187. 熊田淳一郎

    政府委員熊田淳一郎君) そのような具体的な契約の内容については十分に私どもは把握をいたしておりません。ただ、総代理店契約というようなものを結んでおるかいなかというようなものにつきましては調べを持っております。
  188. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまのその最後の調べはどうですか、内容は。
  189. 熊田淳一郎

    政府委員熊田淳一郎君) お答え申し上げます。  手元にございます資料によりますと、代理店契約を結んでおります例、これは三菱商事の場合には大日本製糖との間。それから三井物産の場合が三井製糖、東海精糖、台糖、北海道精業、九州製糖、日新製糖。それから丸紅の場合は東洋精糖と日新製糖。それから日商岩井の場合にフジ製糖、こういうぐあいになっております。
  190. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間の配分がありますものですから具体的なあれがこちらからも出せないのですが、ほかにも商社の系列の中に製糖会社が全部入りまして、商社が製糖事業をやっておると同じような結果を招いています。さっきラーメンからミサイルまでという話がありましたが、そういうような傾向がなお助長されるような方向にあると思うのですが、こういう傾向に対しては伊藤忠の社長さんはどういう御見解でございますか。
  191. 越後正一

    参考人(越後正一君) 製糖業界全体を見ました場合に、昨年まで業績が非常に悪化しておりまして、赤字の累積が普通のようにいわれておりましたが、主として債権保全のために従来から取引関係の整理等が若干進行した傾向も見られておりますけれども、統一的な意思が存在しての意識的な行動であったとは思われないのであります。少なくとも当社に関しましては意識的に寡占体制を初めからつくるという考え方を強く持ってやったということにはなりません。  と申しますことは、三社が共同で新しく出直しましょう、このままでは操業が不可能になりましょうというのでありましたにかかわらず、結果が合田さんのほうは老齢で、もう再投資の意思なし、新日本さんのほうもそういう申し出がなかったんでありまして、結果的に批判されますとそういうことになるのでありますけれども、いま申しましたように、御参加の意思があるならばわれわれは十分尊重して、伊藤忠製糖は八月から操業することになっておりますが、新営の製糖工場でありまして、地域社会への貢献とともに全国的に均衡のとれた砂糖の生産供給の実現をしていきたいという観点から、当社の独自の判断に基づいてやったものでございますので、どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  192. 小柳勇

    ○小柳勇君 さっき新日本製糖は十三億ばかりの赤字であった、したがって金を貸して拡約を結んで営業権にタッチしたとおっしゃいましたが、商社が損するようなことはやられぬと思うし、聞くところによりますと、東京都が騒音公害で立ち入り調査をやったら、たまたま六十ホンばかりあった、で町の投書もあったし、この際、手入れをすることなく、再建をすることなく、そのままもう清算に入ったというようなことであります。大きな伊藤忠という商社がバックにありながら、あまりにも簡単に清算に持っていったんですが、経営にタッチされましてからこの新日本製糖を清算に持っていって、あと新しい伊藤忠製糖をおつくりになりました。それらの経過を追って簡単にいきさつをお話し願いたいと思うのです。
  193. 越後正一

    参考人(越後正一君) 新日本製糖は、昭和四十七年の六月に操業をストップさせられまして、工場閉鎖は八月の二十日でございます。予期しない操業停止を受けまして、全くとほうにくれたわけでございますが、いまもお話しのとおり、深川の扇橋の町工場であったために、地域の住民から騒音問題、原料糖の搬入ダンプの交通規制の問題等で苦情がございまして、昭和四十七年五月三十一日に東京都公害局監察第三課の立ち入り検査を受けまして、翌日の六月一日に工場の停止命令を受けたのでありまして、やむを得ず、その後の従業員の必死の努力、経営者の努力にもかかわりませず閉鎖せざるを得なかったのでありまして、いま申しましたように、工場経営者の意思を尊重して何とかならぬかという考え方は強く持っておったにもかかわりませず、その意思に反しまして、取締役会あるいは株主総会で議決されて、やむを得ず閉鎖をしたような次第でございます。重ねて申し上げますが、御本人の御希望が少しでもあるならば、われわれはこれに対しまして十分対処して善処していきたい、こういうぐあいに考えております。
  194. 小柳勇

    ○小柳勇君 あとのその結論の問題は次にお尋ねいたしますが、新しい伊藤忠の製糖工場をおつくりになりました。それをつくるまでに新日本製糖で職員を養成したり、あるいは仮払い金を新日本製糖で持って新しい工場をつくった。そういうものを、おたくの伊藤忠のほうから精算人が出まして、一方的に清算してあると。で、公認会計士も強引にそれだけの決算は無理だと言って主張して、それが退けられて、ついに辞任したような事実がございますか。同時に、七千万の、当然それは新しい工場が持つべき仮払い金は新日本製糖の借金になっておる。その上に五億ばかり赤字が決算で出ておると。で、決算の問題については正しかったという社長の見解でございますか。
  195. 越後正一

    参考人(越後正一君) ただいま清算中でございますので、経理上問題がございますれば、これは当然訂正するものは訂正をさせます。損得の問題を離れて、公正な判断をもって清算結了をしていきたい、こういうぐあいに考えます。
  196. 小柳勇

    ○小柳勇君 農林省の流通局長、新しい製糖会社ができて、これに清算する製糖会社が、プラントなりあるいはノーハウなりあるいは供給保証なりを移譲する、その場合に、全部農林省のほうにこの会社から報告されるような何か法的な根拠はあるんでしょうかね。そういう場合に、たとえば報告したような場合には、どういう行政指導なり措置をしておられるのか。そういうものを御報告願いたいと思います。
  197. 池田正範

    政府委員(池田正範君) お尋ねの、新設会社ができましたときに農林省に報告をしなければならないという法律上の規定は、原則としてはございません。ただ、たとえば、その新設されます会社が工場立地法に基づきます要件の中に入ってまいりますというと、これは当然そのための届け出というものを必要といたしますけれども、一般的にはそういうことはございません。  ただ、私どもとしては、これは御承知だと思いますけれども、現在の日本の国内の製糖設備の能力というものが、合計いたしますというと稼働力で約三百八十万トンをこえる能力を持っておるわけでございますが、現実にはこれが約二百四十万トンないし五十万トン程度の稼働しかしていないわけでございます。したがいまして、全体といたしましては非常に設備過剰の状況にある。したがって、この過剰設備というものは、新しい設備ができます際に、その際のいろいろな雇用関係その他のこともございますから一がいには言えませんけれども、できますことならば過剰部分というものが漸次解決したほうが望ましいというナショナルベースでの希望は持っておるわけでございます。その意味で、スクラップをいたしますとあとビルドをするといいますか、スクラップ・アンド・ビルドというような形でのナショナルベースでの指導という方針は持っておりますけれども、しかしながら、これも、たとえば国がいろいろと融資のあっせんをする、その他国が介入をいたしまして設備を拡充するといったような場合には、その拡充するものになるべく見合うだけ老朽施設をやめてもらうという形に結びつけて指導することはございますけれども、そういうことがない場合には、これは自由にいままでは設備の拡充が行なわれておるというのが実態でございます。
  198. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは局長、会社がこういう届けを出して、経営権、営業権や、それから供給保証などを移譲いたしますからよろしくお願いいたしますという書面を受け取った場合には、農林省としてはどういう行政指導をするんですか。
  199. 池田正範

    政府委員(池田正範君) いまお話しになりましたものの中で、営業権の移譲ということになりますというと、これは会社同士のプライベートな契約によってきまることでございますので、したがって、その移譲を受けた会社に、特段の何というか、その移譲関係に大きな問題があって、たとえば供給保証の行使権をその新しい会社に行使させることが不適当であると思われるような大きな問題でもあれば別でございますけれども、前者においてはこれは完全な私契約で行なわれるということだと私は思います。したがって、たとえば百トンの設備をつぶして千トンの工場をつくる、しかも全体として供給過剰であるというふうな場合には、その千トンの設備をなるべく小さくして、全体としての過剰設備というものをなくす方向に努力をするという行政指導をすることはあり得ますけれども、これは強制力を持ちません。しかし、供給保証の問題は、これは国際砂糖協定に基づきましてナショナルベースで国際間で国が持っておる権利でございます。それをそれぞれのリファィナーに分割して行使させるわけでございますから、したがって、これはその前の設備を引き継いであとの設備が順調に稼働する場合には原則としては引き継がせるという形をとりますけれども、必ずしも常に原則としてやらせるというふうにきまったものでもございません。
  200. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは、この場合はどうしますか。新日本製糖に伊藤忠製糖ができて、これからやっていくわけだけれども、その場合によろしくお願いいたしますと、「オトリハカライノ程オ願イ申シアゲマス。」という書面をあなたはとって、どう処理いたしました。
  201. 池田正範

    政府委員(池田正範君) これは「宜敷オトリハカライノ程」という文書が出ておりますけれども、これは一つはスクラップ・アンド・ビルドをいたしました。したがって、ほぼたしか六百トン程度のものをつぶし、六百トン程度のものをつくるという形で実施をいたしておりますから、全体といたしまして国がナショナルベースで指導しておる方向には即しておるはずでありますというのが、伊藤忠製糖の一つのこれはお話の前提になっているのだと思いますが、そこで、この下に三つほどの項目が書いてございますけれども、その中の「新日本製糖株式会社ノ輸入実績並ビニ選択権行使二係ワル需要者別購入比率ヲ引継ギ」たいということを、おそらく「宜敷」という表現で言われたのだと私どもは解釈しておるわけです。これは、いま先生申されましたように、これはいわゆる当事者同士で一つの会社から他の会社に契約で引き継ぐべきものではないわけでございまして、これは当然伊藤忠製糖会社に新しく割り当てるべきかどうかを行政判断して、そして割り当てるということになるわけでございます。
  202. 小柳勇

    ○小柳勇君 それで局長、どうするわけですか。
  203. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 私どもといたしましては、いまいろいろ御指摘のあるような商社支配を含むいろんな問題点というのは別途の観点であろうかと思いますけれども、現段階では、私どもとしては、この旧新日本製糖株式会社の行使をいたしました選択権の行使に関するワクにつきましては、大体これは新しい伊藤忠製糖会社に割り当てをするということで決定をいたしておるわけでございます。
  204. 小柳勇

    ○小柳勇君 伊藤忠の社長にお伺いしますけれども、新しい製糖会社を一〇〇%出資でおつくりになりました。これは合田と両方合併でございますけれども、そういう場合に、今日までの新日本製糖の持っておりましたノーハウの問題、あるいはいまの供給保証の問題など、あるいはお得意さんの問題などいろいろありましょう。それは商売上の計算があると思うんですけれども、一切こういうものを無償で伊藤忠製糖に譲渡させるとお考えではないと思うんですけれども、いかがでございますか。
  205. 越後正一

    参考人(越後正一君) 砂糖の国際協定は四十八年の十二月末に失効いたしましたので、現在あまり意味はなくなったのでありますが、業界といたしましても昨年の十月まで赤字続きでありまして、新日本製糖閉鎖の事務にも供給保証ということはむしろマイナスであったという結果が生まれておりまして、ありがたみがなくなったわけでありますが、しかし、こういう問題に対しまして道義的に考慮をしろと、したほうがいいというような感じもいたしますので、なおこれは清算中でございますが、どういう形でやりますか、ここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、部下に十分この事情を好意的に取り扱うように指示いたします。
  206. 小柳勇

    ○小柳勇君 それで、清算中の会社の新日本製糖のほうの社長の私有財産、一億ばかりですね、これも担保としてとってあるようでありますが、あと社長はおたくから派遣されておりまして責任はないということで、社長だけが責任があっているというようなこともありますから、いま社長がおっしゃいましたように、ひとつ同じ企業家として良識ある解決をしてもらいたいと思います。これは要望でありますが、少し問題があるものですから急いでおりますが、そういうことでひとつ要望をいたしておきたいと思うんです。  次に公取質問をいたしますのは、大手商社が製糖業を出口で押え、また販売で押える、そうして繰業をやって、赤字は全部製糖会社の欠損になる、そこに金を貸して支配していくというケースがほかにあります。そういうものについては、独禁法の改正などで持ち株の制限とか、あるいは支配介入の制限とかをしなければ公正な競争ができないのではないかと思う。いま一つの例は、ここに丸紅の社長がおられましたけれども、きょう参考人に要請してないから質問できないそうです。で、東洋精糖が赤字になりまして増資をした。それで初めから重役会で、この増資した分は全部これは丸紅にやるんですよということできまっている。こういうものを、これは行き過ぎといいましょうか、公正取引委員会としてはどういう見解を持たれるか、聞いておきたいんです。   〔理事吉武恵市君退席、委員長着席〕
  207. 熊田淳一郎

    政府委員熊田淳一郎君) ただいまのようなケースは、決して好ましいとは言えないわけでございます。それで、公正取引委員会といたしましては、ただいま独禁法の改正問題を独禁法研究会において検討していただいておりますが、その中におきまして、商社の持ち株制限の問題というものも含めまして検討していただくということにしておるわけでございます。
  208. 小柳勇

    ○小柳勇君 きょうは公正取引委員長は何時に来れますか。
  209. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) きょうは出席は不可能です。事務局長が来ております。
  210. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは事務局長に答弁を求めます。  先般から衆議院でも参議院でも大手商社の企業支配についての問題が出ているが、独禁法改正について考えておりますか。
  211. 吉田文剛

    政府委員吉田文剛君) お答え申し上げます。  商社のいわゆる系列支配、あるいは株を持ったり役員を派遣したり、そのほかいろいろな方法を使って系列支配を強化するという点については、独禁法上もいろいろ問題があると思われます。こういう点につきまして、ことに商社の株式所有の点について、これは株式所有による支配を過度にわたって行なうということは問題があるというふうに思いますけれども、現在、独占禁止法研究会という独禁法改正のための研究会を設けておりまして、そこでその商社の株式の問題につきましても法改正の検討の一環として研究をするということにいたしております。
  212. 小柳勇

    ○小柳勇君 研究の中に、きょうのこの質問などをよく入れて、これだけもう衆参両院とも問題にしているんですから、拙速をたっとぶというのか、早くやりませんと、何回もこんな会議を開く、それは無意味です。いま国民はそういうものを非常に疑惑を持っておりますから、できるものは早急に独禁法を改正して、独禁法で取り締まってもやみをくぐる人もあるでしょうけれども、そういうのは国民がさばきます。したがって、早急に、公取委員長にもきょうのこの審議を報告してください。また別の機会に私聞きます。  それから農林省の局長に。砂糖需給協議会が四十八年十月から四十九年三月までの生産指標の決定で、一四%ばかり少なく生産をきめている。したがって、町では砂糖はもう品不足だということで値段が上がった。これは一般的な常識ですが、なぜそういう決定のしかたをしたのか。それから、これから先の生産指標というのはどうなるのか。いつきめるのか。見解をお聞きいたします。
  213. 池田正範

    政府委員(池田正範君) 砂糖需給協議会は、御案内のように、これは砂糖価格安定事業団の理事長が座長でございまして、あと輸入商社、それから砂糖のメーカー、それから流通業者と、いわば買い手も売り手も全部入った協議会でございます。非常に価格の弾力性の少ないものでございますから、したがって、ちょっとの供給過剰で非常に大きく暴落するというようなことで、最近非常に上がってまいりましたけれども、昨年まで累積赤字が約百四十億といわれた業界でございます。そういう意味で、ある程度の需要の全体の見通しというものを広く議論し合うという形で協議会というものが持たれてきたわけでございます。  いま御指摘の一四%というお話でございますけれども、昨年の――これは砂糖年度というのは十月に始まって九月に終わるわけでございますけれども、その四十七砂糖年度の上期、十月から三月までがこれが百四十万トン、四月から九月までが百五十四万トン、それに対してこの四十八年の十月から三月までが百四十五万トン、こういうことでございまして、ここで百四十五万トンとなりましたのは、百五十四万トンに対しましては確かに御指摘のように少ないわけでございますけれども、これは前の十月-三月の百四十万トンから比べますというと、五万トン多い数字になっておるわけでございます。全体として申しますと、昭和四十六砂糖年度の四-九月が、実績でございますが、百五十一万七千トンでございましたのが、四十七砂糖年度の四-九月では百五十一万トン、つまり七千トンではございますけれども、すでに前に見込みました数字よりも、一年前の同期よりも全体としての消費実績が落ちたというのを前提にして立てたという客観条件があったわけでございます。そこで、多少なりとも前の十月-三月期よりもこの十月-三月期が、わずかでございますが、五万トンほど多くやったということで、特にこれを意識的にしぼったという形よりは、むしろ御承知のように、昨年の夏非常に暑かったわりあいに非常に砂糖の売れ行きが悪かったわけでございます。そのために、これは日銀の卸売り物価あるいは総理府の消費者物価をごらんになってもわかるように、八月が非常に落ち込んでおります。そこで、若干の在庫調整という形があったことは事実でございますけれども、しかし、その後九月に若干上がりましたけれども、御案内のように、これは生産が若干落ち込んだのが九月でございます。十月以降は出荷が非常に伸びておるはずでございます。つまり、ほんとうに価格をしぼるならば出荷をしぼらなければいかぬ。しかし、出荷自身は対前年で伸びておるわけでございまして、必ずしも百四十五万トンというのがしぼった数字で、あと価格につながったものだというふうには私ども考えておらないわけでございます。
  214. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後に伊藤忠の社長にお伺いするのですが、いま小売り価格百八十六円できめています。これが農林省の指導価格でございます。これで売っていますけれども、メーカーの出し値などははっきりしていないものですから、小売りのほうがしわ寄せが来ているという町の生活協同組合などの意見がたくさん寄せられています。これが一つ。それからもう一つは、赤羽の西友ストア、ここでキロ百五十円でどんどん売っている。目玉商品として百五十円で売っている。こういうことで、小売りのほうの値段を調整をいたしましても、メーカーのほうの指導価格などというのはほとんどないものですから、そういう面で精糖事業自体が現在どういうものを望んでおられるのか。たとえば指導価格がそれだけであるならば、メーカーの出し値もひとつ指導してくれとか、卸価格をはっきりしてくれとか、こういう廉売の出ないような方法も考えなければならぬでしょう。百五十円でやったら損していることは明らかですね。そういうものを野放しにしておいては、これは精糖事業だって困るでしょう。したがって、現在のいわゆる指導価格なるものについてはどういうお考えであるか。それから、権威者ですから、国際糖価の問題なり、これからの精糖事業の問題なり、先般農林大臣は一年ぐらいは現在のキロ百八十六円でいきたい、指導価格でいきたいということを私に答弁いたしました。そういうものを踏まえながら、精糖事業をやる大手商社としてはどうありたいか、そういう面について御意見をお聞かせ願いたいと思うのです。
  215. 越後正一

    参考人(越後正一君) 先ほど申しましたように、八月から操業いたしますので、製品がその後に出てまいりますが、生産キャパシティは六%から七%の間と聞いております。したがって、たいした大きなシェアではございませんけれども、しかし、重要な日常の消耗品でございますので、価格に対しましては細心の注意を払って対処していかなければならない。現にわれわれは二十八品目価格凍結して、四月もそれを継続してやることに決定いたしております。相当の損失も出ますけれども、これはやむを得ないという腹をくくっておるのでありますが、砂糖事業に対しましても皆さんと共同して合理的な経営を進めていきたいということが私の念願でございます。どうぞ御了承願います。
  216. 小柳勇

    ○小柳勇君 質問を終わります。
  217. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 鈴木強君。
  218. 鈴木強

    鈴木強君 本日は、三井物産の会長さんと東ビの社長さん、御多用のところ、ありがとうございました。  昨年来の悪性インフレと異常な狂乱物価は農民の上にも大きく襲いかかっておりまして、いまや農業資材、それから肥料あるいは飼料等の急騰によりまして、農家の経営は重大なピンチに立たされているのでございます。したがって、私はこの問題についていろいろとお尋ねしたいことがございますが、持ち時間が非常に少ないので、ここでは全国的に問題になっておりますハウス栽培用ビニールの便乗値上げと思われる問題につきまして、三井物産と東ビの参考人の方から御所見をお伺いすることにいたします。同時に、この問題につきましては、三月十四日の本委員会で、すでに私が問題提起をいたしておりますので、その後の行政指導と措置経過について、後ほど農林当局からもお答えをいただくことにいたします。  まず、東ビの社長さんに確認したいのでございますが、昨年六月一日、山梨県の一宮町にございます国際ボウルのレストランで、ビニール、酢ビ、ポリ製品の行く先見通しについての説明会が開かれておりますが、そこに関係メーカーとして東ビから御出席になられ、東ビの考え方を述べられておりますが、そのことはお認めくださいますか。
  219. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) ただいまの御質問は、山梨県のブドウハウスの件というように存じます。  六月一日に会合が行なわれたということにつきましては、私は承知しております。私は当日の会合には出席いたしておりませんが、当社の社員が出席をいたして、その報告を聞いております。
  220. 鈴木強

    鈴木強君 この説明会というか、研修会と申しますか、その目的は何であったのですか。
  221. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) 山梨県の地元の販売店がブドウハウス栽培用の需要家の方々を招集されまして、ハウス用の被覆資材の点についていろいろ市況の説明をされたというように聞いております。当日、各関係のメーカー数社が出席をされて、いろいろそれぞれの市況についての説明をされたというように伺っております。当社の社員は、たまたまその席に列席はいたしましたが、特に説明はいたしておりません。そのように報告を受けております。
  222. 鈴木強

    鈴木強君 それは違いますよ。その席上で――あなたのところは三井物産の代理店ですね。私は名前を言ってもいいですけれど、一応もう一回伺った上でいたしますが、その席上であなたのほうの方が、ことしの六月一ぱいに注文をしてくれれば、ビニール系統は一〇%、ポリは二五%くらいの値上げで量的にも価格的にも確保するという約束をしておるんです。これは出席者の名簿が全部ありますし、きょう実は参考人として、出席した方をお呼びしようと思ったんですが、一応お伺いした上でと思いまして、それは差し控えておるんです。いかがですか。
  223. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) ただいま申し上げましたように、私が受けております報告では、そのような確約をどなたもいたしておるというようには聞いておりません。
  224. 鈴木強

    鈴木強君 これは、ですから、参考人証人かの問題にも関連してくるんですけどね、そういうその場で問題をそらすようなことをしてはいけません。  これをちょっとごらんください。(資料を示す)
  225. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) この文書につきましては、日にちその他がちょっとよくわかりかねますが、私、当社の地元の販売店の社長の筆跡はよく存じておりますが、これはおそらくその取引先の社長の書かれた字ではないかと思いますが、先ほど私お答えいたしました件につきましては、当日の出席関係メーカーは、特にこういう価格、その納期、その他についてのお約束はしておらない、いわゆる市況の説明に終わっておるというように報告を受けておるわけでございます。
  226. 鈴木強

    鈴木強君 これは委員長ね、ここでは水かけ論のような形になってしまいまして非常に私は残念ですけれど、具体的に当日出席された名簿を私はここにも持っておりますし、それからその方々証人に出てもいいと言っているんですよね。ですから、こういうふうに言ったのに、言わないということでは、これはもう問題の解決にならぬわけですから、これは非常に大事なところですから、ひとつ扱いについて相談してくれませんか。これは証人にしてくれなくちゃだめですよ、こんなの。
  227. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これは委員長では計らいかねます。申し出でありますが、理事会で御協議をいたさなければ御証人というわけにまいりかねますので、理事間で協議をするという前提でひとつ御了承いただきます。
  228. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、証人として出席するように私要求しますので、理事会のほうでひとつ取り計らっていただきたい。
  229. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 後刻、理事会においてお申し出での件につきましては協議をいたします。
  230. 鈴木強

    鈴木強君 だけど、理事会でやったのじゃ、それがわからないと質問できないじゃないですか。現にここに文書まで書いてあって、それで、出た人たちがそう言ったと言うんだ。二割から三割の値上げは必至だ、だから早く注文してくださいと。
  231. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  232. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  233. 鈴木強

    鈴木強君 私は非常に不満ですよ、その進行についてはね。やはりいろいろと委員長理事で打ち合わせをされて、参考人として御出席になることについては私は経過は知っております。だがしかし、こういうふうに具体的に質問をした場合に、われわれが把握している実情と全く見解が違う意見が述べられて、そのまま質問を続けるということは、質問者としてもこれはできないですよ、正直言って。そうでしょう。ですから、そこへ出席をして何も言わなかったと、そんな答弁ではこれは済まないですよ。表現の方法は別としてもね。
  234. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 今井参考人、的確にできるだけ御答弁を願います。
  235. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) 私への御質問お答えいたします。  私が先ほどお答えいたしましたのは、当日関係のメーカーが出席した時点に、その関係メーカーは市況の報告をいたしたということでございまして、特にそのメーカー筋から、価格のアップということについての御説明は、あるいは市況の報告という中にはあったと思います。しかし、じゃ六月一ぱいに注文したらばこれは納入できるというようなことの確約は、その席上ではしておらないというように私は伺っておるわけでございます。
  236. 鈴木強

    鈴木強君 今井さんね、問題は、そこに御出席されたわけですね、そしてここにも書いてあるように、「石油原料の高騰のため今秋よりビニール類は大巾の」――二割-三割ですね、「値上りは必至であり然も品薄のため十-十二月頃の注文は間に合わないという結果になると思われます。従って来春ご使用になるビニール・ポリ類は寸法のおわかりの物は少くも六月までに注文されるのが賢明と存じます。将来の為御参考まで御知らせ」すると、こういう文書が流れているわけですから、そういう趣旨のことを言わなかったということはないですよ、これは。あなたが説明を受けないと言っても、あなたのところの藤井さんというのがいるでしょう。課長代理か何かやっているセールスマンが。その人が明確に言っているんですよ、これは。だから量的にも、価格的にも、そういうふうに、ここに書いてあるような趣旨に沿ってやりたいということは言っているんですよ、これは。
  237. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) ただいまの御質問で、量的にも質的にも六月一ぱいに注文を出せば間違いなく入れるということは、そこにございます証拠書類には、地元の業者があるいはそういうことでこうしたというように私は考えておるわけでございます。メーカーは時期的な件について確約をしておらない。地元の業者はそういうことを、あるいはあとから文書なり何なりで出されたかということは御質問のとおりと思いますが、その六月一日の時点ではお約束をしておらないというように私は聞いておるわけでございます。
  238. 鈴木強

    鈴木強君 メーカーとおっしゃるんだが、メーカーはまた違うんでしてね。おたくのほうでは第二次卸になるのですか。そういう意味でしょう。そこに出席したのは東ビの、代理店として出たわけでしょう。(「それは認めたんだよ」と呼ぶ者あり)いや、出たんだけれども、代理店の店員が言ったわけだから。メーカーが言ったわけじゃないんだから。
  239. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) 当社は一次店卸でございます。
  240. 鈴木強

    鈴木強君 これはあれですか、三井物産との代理店などの関係はどうなりますか。
  241. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) 当社の関係商品、販売商品を三井物産から購入いたしております。関係ございます。
  242. 鈴木強

    鈴木強君 関係ございますじゃなくて、たとえはこういうふうな――ちょっとこれは切ってきたのですけれども、(資料を示す)これはサクビの場合ですけれども、農業用三井サクビロンフィルムの場合ですね。そうすると、この三井物産が発売元で、製造元が荻村化学工業になっているわけですよ。そうでしょう。ですから、製造元の荻村化学から三井物産が販売元として一たん引き受けるわけですね。まあ言うならば、そこが第一次卸と私は思うんですよ。そうなりますと、第二次卸は東ビが代理店としてやっているんじゃないかと思うんですが、その点はどうなんですか、いまのあなたが言っていることは。
  243. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) ただいまの御質問のようにいたしますれば、私どもが第二次卸になることになります。ただ、慣習上いままで私どもは一次卸というようなことばを使っておりましたが、訂正いたします。そういう御質問の御趣旨であれば、第二次卸になります。
  244. 鈴木強

    鈴木強君 そういう御質問の御趣旨たって、これも普通のビニールの場合ですけれども、やはり製造元は山本ゴムですね。そして発売元は三井物産と、こうなっておるわけですから、だから私は通例第二次問屋だというふうに当然考えているんです。だから、要するに、三井さんのほうでもマージンを取られて、それから東ビさんのほうでもマージンを取られて、それが単協を通って――農協を通っていくか、あるいは直接販売店にいくか別としても、そういう流通系統をとっておるんですからね。第一次でございますなんて、そういうことはちょっとおかしいじゃないですか。それは訂正したのですか。正直に言わなければだめだよ、あんた。
  245. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) 先ほどの発言は訂正いたします。二次店卸でございます。
  246. 鈴木強

    鈴木強君 だからだめなんだ、これは。参考人証人じゃ、全くこれはうそばっかり言ってだめだ。  それで、三井物産の会長さんね、あなたは最初から頭をこうやって、第一次、第二次だということは認めておられるね。さすがですよ。  そこで、商法上、代理商というものが取引の代理をした場合とか、あるいはいろんなものを媒介した場合、そのときには当然三井さんのほうに報告をしなければならぬという商法四十七条の規定があるわけですね。こういうことはちゃんと東ビさんから来ていますか。
  247. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 東ビさんがわれわれのほうの代理店という言い方が正しいかどうかは私ちょっと問題があると思うんです、代理店という言い方が。長年の取引先でございますけどね、非常に密接な取引先ではございますけれども、代理店という言い方がいいかどうかはちょっとはっきり断定いたしかねます。しかし、この御指摘の酢酸ビニールに関しましては、非常にここを通じてたくさん売っておりますので、またよそからは買えない品物でございます、東ビは。したがいまして、取引の実情に関しては逐一われわれのほうに報告があって、そのお取り次ぎをなされるのがやり方であろうかと、私はさように考えます。
  248. 鈴木強

    鈴木強君 あまりしてないでしょう。
  249. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 何をですか。
  250. 鈴木強

    鈴木強君 取引の報告、していないでしょう。
  251. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) いやいや、私はその取引の実際までは関与しておりませんけれども、報告しておると思いますがね。
  252. 鈴木強

    鈴木強君 していなければ、商法に違反ですよ。
  253. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 取引の報告しておると思いますがね。――よろしゅうございますか。
  254. 鈴木強

    鈴木強君 東ビさんは、あなたの名刺を見ると、代表取締役今井敏郎、三井物産株式会社代理店東ビ株式会社、こういう名刺になっている。代理店です。代理店というか、代理商だ。
  255. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) 正式な代理店契約は結んでおりません。ただ、従来われわれの一つの商慣習として代理店という名前を使っておりまして、法的に言えば、これはいかぬことでございます。いろいろとその件についてはまた商慣習としてやっておるということでございます。
  256. 鈴木強

    鈴木強君 これはまあ率直でいいけれども法律からいうと違反だと、商行為的にやっておるんだと。これは非常に重大なことなんですね。民法上の特例としてこの商法というのはできているわけですからね。ですから、この商法によってちゃんと代理店なら代理店にしなけりゃいかぬですよ。これが銀行とか、あるいは政府金融機関のような場合ですと、もう法律によってきちっときめられておるから、主務大臣の認可を得なけりゃできないことになっているんですよ。ところが、その辺が法的に少しあいまいな点があるんです、これは、正直言って。ですから、いまのようなあいまいなことをやっているものですから、適当に報告したりしなかったりというのでもって、この全体の、いまのような便乗値上げがあるとかないとかというような場合には非常な問題が出てくるんですよ。これは法的な問題として今後十分に検討しなきゃならぬと私は思っているんですよ。  まあ時間がありませんから……。いずれにしても、あなたのほうで六月一日の会合に出席をして、早く注文してくださいと、大体六月一ぱいにしてくれれば、値段的にも、量的にも大体質的にも確保しますよ、こういう話をしたことは、これは間違いないんですよ。そういうことで、当日集まった方々はさっそく代理店を通じて申し込みしたわけですよ。そして早いのはもう八月ころに入荷してきているんですよ。ところが、一月になって請求書が来ましたら、これはたいへんな話で、まず三倍にも値上がりしているということが明らかになったわけですよ。そうなると、六月一日に約束したことと違うじゃないかというので、みんながおこって、山梨県の場合ですけれども、千五百名の果実農家がはち巻きをして、一大集会を開いて、こんなやり方についてはけしからぬと、これが明確にならなければお金は払わないぞというところまで決議しているんですよ、二百五十ヘクタールのそのブドウを植えた人たちが。ですから、たとえば一月十五日に請求書が来ているんですが、ここに請求書全部ありますよ、現物が。(資料を示す)去年とことしの請求書ですよ、これは。これを見ますと、たとえば普通ビニールの場合に、厚さが〇・一ミリ、幅が二・三メーター、長さ百メーターのものの単価が、メーター当たり昨年は六十七円三十銭だった。それがことしは百六十五円二十銭で、二・五倍の値上げ。それからサクビの場合には、厚さが〇・〇五ミリで幅が六メートル、長さ百メートルのものが、昨年メートル当たり六十九円であったものがことしは百八十円と約三倍に値上がっている。こういうことが具体的に出たものですから、これはもうたいへんだ、おたくのほうでは石油や原料の値上がりを製品高の理由としておるようですけれども、これはそんなものではない。後ほどビニール原価と実勢価格を全部明らかにしますけれども石油が上がったから高くなったなどと、そんなものじゃないですよ。そこで、まあ非常にこれ、問題になっておって、このままではとても問題にならぬというので、農民の方々は頭にきて、おこっているわけですよ。こういう便乗値上げはいけませんじゃないですか。
  257. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 東ビ株式会社がどういうことでどういう値段で山梨県の取引先に売ったかということは私のほうは知りませんが、話の順序といたしまして、私のほうが東ビに仕切りました値段というのが先生の御参考になるかと思いますので、一応申し上げます。  先ほど御指摘がありました塩化ビニールでございますね。これのフィルムにつきましては、これは私のほうは山梨県に出していないんです。山梨県の果実組合には出していないんですけれども、山梨県向けの価格は、ただいま御指摘のように、昨年度六十七円三十銭というのでできたということは私聞いております、いま先生おっしゃったように。そういうふうに聞いております。で、本年は、四十八年の四月一日から八月二十日までに出荷いたしましたものは六十二円九十銭、八月二十一日から十一月三十日までに出荷いたしましたものが七十五円六十銭、十二月一日から一月三十一日までに出荷したものが九十八円十銭、二月一日以降のものが九十四円三十銭、こういうことになっておりまして、ただいま塩化ビニールのフィルムにつきまして、先生がおっしゃいました百六十五円という価格はいささか高い。われわれの値段で一番安く出荷しておりますのが一四%アップ、一番高い十二月-一月のものが七八%アップでございまして、非常にそこに値差があるんでございます。  それからサクビに関しましては、これは百四十トン山梨県へ出荷しておりまして、その中で、昨年の六月から八月に出荷いたしましたものは、その百四十トンの中で八十四トン、この数量が六〇%に当たります。それは三割三分アップであります、昨年度の。それから六月から十一月に出荷したものの中で数量の三五%に当たります四十九トン、これは四三%アップであります。それで、この御指摘の果実組合には、私の報告を受けておりますところでは、八月の大体二十日前後に出荷したものが最後でありますが、果実組合以外に出たもので、一番高いときに出たものが十一月の二十一日から十二月にかけて出荷したもので九三%アップというものが五%ございます、百四十トンの。これが数量にして七トンでございます。合計百四十トン。百四十トンの出荷全量のものに対しまして平均は約四〇%アップ、これが私のほうの仕切り価格でございまして、東ビさんはこれに、私のほうの了解によりますれば、所定の手数料の七%を加えてこの山梨県にお売りになったはずと私のほうは了解しております。
  258. 鈴木強

    鈴木強君 メーカーの建て値はどうなっているんですか、メーカーの建て値は。
  259. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) メーカーの建て値は、私のほうは、これは大体三%口銭をいただいておると思います、手数料を。したがって、私がいま申し上げました価格の三%引きがメーカーの価格であります。
  260. 鈴木強

    鈴木強君 東ビさんのほうでは、第二次卸になるわけですけれども、どのくらいのマージンを取っておられますか、東ビさんのほうは。
  261. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) 当社は、農業用酢酸ビニールと、それから農業用のビニール、いわゆる農ビでございますが、これを山梨県下に販売しておりますが、当社の一応必要口銭といたしまして約七%-約でございます。約七%を当社の必要口銭ということで――個々の販売店によって若干は違いますが、大体この程度ということでいろいろお願いをしております。
  262. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、農ビの場合でも、それからサクビの場合でも、こういう一応仕切り価格あるいは建て値価格というのがわかりまして、で、マージンも大体わかりましたね。ところが、いよいよ販売店から農民に渡る流通系統の中でどうなっていくのか私は知りませんけれども、そういうことは全く無関心で、自分の品物が幾らに売れようが、競争をして自由主義経済の中でやるのは末端価格が幾らになろうがそれはもうしかたないんだと、こういう考え方ですか。
  263. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) これ、われわれのほうが一次から二次、二次から末端へかけまして全部特別なルートを通じてやっておりますものに対しては私は責任があると思います。だけれども、この山梨県の東ビさんのお取引先に関して私の承知しておるところでは、これは各社のものをお扱いになっている、全く別個のお扱い店でございますから、それがどういう価格でお売りになるかということについて介入はしておりません、いままで。だけれども、先生がいまおっしゃいますように、少なくともわれわれの製品が非常に不当に高い価格で末端に売られたということに対しては、これは何らかのやはりアドバイスと申しますか、そういうことをする必要があるというふうに思いまして、そういうふうなことで適当な話し合いで、もし先生の御指摘のような高い価格で売られておるものでありましたら、そういう措置をすることが必要ではなかろうかと私は思います。しかし、それはどこまでも販売店に対するアドバイスでございますから、よく販売店側の事情も聞いてみないと私はわからないと思います。
  264. 鈴木強

    鈴木強君 それはそうでしょう。ただし、あまりにもひどいですね。いま会長さんが、おっしゃるのですと、一月以降のもので九十八円十銭というのでしょう、高いものが。ところが、それが百六十五円になっているわけですから、これはやはりたいへん不当な値上げだと私は思いますよ。こういうものをこのまま放置するということは、これは絶対いけないわけですから、だから、これは農林省のほうにも、この前私は問題だけ提起をして、これについての行政指導なり、具体的な措置をやってほしいということを要求しておったのですけれども、いずれにしても石油が上がったから高くなったんだという、そういう理屈は、これは認めますか、お二人とも。
  265. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 石油の問題の以前に、昨年の六月、八月にすでに若干の、いま御説明しましたように値上がりをしております。これは合成樹脂というものは世界的にたいへん不足しておりまして、たとえば、いま御指摘の酢酸ビニールのフィルムにつきましては、昨年われわれのほうは、フランスのブドウ園にこれをおすすめするのがいいのじゃないかということで五十トン輸出しております。たいへん好評でございまして、向こうでもそういうものは足らないらしくて、実はただいま千トンの引き合いを受けておるような状態なんでございますけれども、生産の能力がございません。それで、そういうふうな状態で世界的に値が上がっておりまして、そういう事情で、いま三三%ないし四三%の値上がりが私は六月以降出たものだと思います。しかし、石油問題でさらに一段拍車をかけたことは事実で、いまの私が申し上げました値段でおわかりのように、さらに石油問題が出たあと若干上がっております。しかし、石油問題がそれほどわれわれが心配したほどでないんだということで、また一月に入ってから下がっておるわけであります。一番最後には、やや高値から下げておるような形になっておると思います。
  266. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、最初に申し上げましたように、石油原料の高騰のため今秋からビニール類は大幅の値上がりは必至だという、こういう先行きの見通しをすることは間違いですよ、これは。これは中東原油の、アラビアンライトの場合ですけれども、ずっと原油の公示価格と実勢価格を見ておりますと、十月の十五日までは一バーレル当たり三・〇一一ドルなんですね。ですから、その当時十月の十五日までそうだったのですから、十六日以降備蓄が、輸送中のものも含めて八十日あったわけですから。そうすると、ことしの一月五日までは三ドルの石油日本にあったわけです、これは。それを何か、確かに十月に五ドルになり、一月は十一ドルになったのですけれど、そういう先行きもう石油が上がるのだということをあおっておいて、そして便乗値上げをするようなこういう文書まで出して、そしてしかも二割、三割の値上げが必至だというような、そういうことを農民に説明をして、早く注文をさして、そして今度は逆に三倍も値段を上げて、こんな農民を愚弄するようなやり方についてはもってのほかですよ、これは。いま会長さんがおっしゃったように、もう少し親切に、いろんな条件があるならば、そういうものを含めてよく説明をし、農民の皆さんにも協力してもらわなければ、あまりにも一方的にこういう文書をやるなんということは、これは私はけしからぬと思う、実際。石油なんか一つも上がってないですよ。原油は。
  267. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) ただいまの点につきましては、山梨県で問題が起こりましてから、私どもは私どもの販売店から直接にこの話を聞きました。私のほうは、先ほど申し上げましたように、約七%程度の口銭ということで、仕入れ先から買ったものをそのまま当社の販売店へ流しております。特に山梨県の場合は農サクビは非常に新しい商品でもありまして、非常に開発の機運が強かったということから、前年も特別価格というようなことを私のほうは言っておりますが、特に山梨県下には非常に安い価格で提供させていただきました。前年も、したがいまして、それの比率で、特別価格という形で安いお値段で提供させていただいてきておるわけでございます。二回ばかりの値上げがございましたが、私のほうは六月の期初の時点から平均いたしまして、パーセンテージで申し上げますと前年比約三七%増という程度のお値段で、当社の百四十トン出荷量のうちの八七%は八月から十月の間に納入をいたしております。あと、総出荷量の七%程度のもの、これを十月から十一月の間に納入させていただいておりますが、このときには、当社の計算でいきますと前年比約六八%増ということで納入いたしておりまして、当然私どもといたしましては当社の販売店からそういうような価格で、倍率で需要家の方々に提供されるというように実は思っておりまして、その件を、その問題が起こりましてから、これは私どもいわゆる二次店といたしましての責任を非常に感じまして、地元の販売店に対しまして需要家の方々ととにかく円満に話し合ってお互いが納得できるような解決の線に持っていくようにということで強く強調して説明してまいりました。こういうことが起こりましたことは、私どもといたしましては、はなはだ遺憾に思っているわけでございますが、私どものほうは、そういう形で現地のほうに特に他県より安く、ブドウハウス栽培のためということで、価格的には前年も、昨年もお安く供給させていただいておるというのが実情でございます。
  268. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、石油の値上げによって三倍になったのではないということがもう明確になったわけです。ですから、それはその他の諸物価の高騰とか、労賃のアップとか、こういうものは当然入ってくるわけですから、適正なアップであれば農民も納得するわけです。しかし、いま申し上げたような経過から見て、おこるのはあたりまえです、これは、そういう説明をしておいて。そこを私はよくこれからも考えてほしい。要するに、業者の社会的責任ということをやはり考えれが、やはり自分のつくった品物がどういう系統でどこへ行って、最後に農民の方々のところへ行くわけですから。農民の方々だって、いまは実際もうたいへんですよ。私が最初申し上げましたように、飼料は上がるし、肥料は上がるし、もうほんとうにたいへんですわ。ですから、もう少し農民のことを考えていただけば、中間におけるマージン等もできるだけお安くしていただいて、生産農家の立場も理解していただいて、もう少しあたたかい考え方でもって物を売っていただきたいと私は思うんです。  で、農林省のほうで、この前私ちょっと申し上げておったのですが、その後、県側、販売店のほうともいろいろ折衝していただけたと思いますが、どういう経過になっておりますか。その後。簡潔でいいです。
  269. 松元威雄

    政府委員(松元威雄君) お答え申し上げます。  三月十四日に先生の御質問がございまして、私もそのとき第一次答弁をいたしたわけでございますが、そのときは、このように一方的に値上げの通告をする、しかもその価格は、私たちが標準と考えておりまする全農の単協渡し価格、これももちろん相当上がっておりますが、これは平均いたしまして、ビニールの場合は前年同期比約六割、それからポリの場合は二倍強上がっているというのですが、それに比べましても、いわば三倍なんて非常に高過ぎるというので、その点はどうも高過ぎるので、もっと下げる必要があるのじゃないかということが一点。それからもう一点は、収獲後に代金を決済している、それを今度は物を受け取ってから、いわばすみやかに払う。しかも、従来は単協を通じて払っておったものが、今度は個人別にいわば請求が来たということで、価格の問題と代金決済方式につきまして従来と扱いを変えている。しかも一方的通告というのはなかなか納得しがたいということで、そこで、県を通じまして指導いたしまして、まず第一は、決済条件について、やはり従来の慣例、取り扱いも考えて、直ちに払うというのではなくて、単協を通じて払うようにと。しかも履行時期も、従来は収獲後でございまして、今度はもちろん金融事情等もございましょうが、あまりにも一方的に払えというのは、これは話し合いの問題でございますから、一方的通告はおかしいではないかということで、とりあえず県に対しまして、まず支払い条件を延ばしてもらうように販売業者と話し合いをするようにという指示をいたしまして、しばらく履行時期を延ばしたわけでございます。  もう一点は、その間に、価格につきましても、これはやはり基準は全農の単協渡し価格、これがやっぱり基準になるべき筋合いではなかろうかと。実はこの問題につきましては、ビニール、ポリ、こういった農用プラスチック製品の場合には全農の扱い高のウェートが非常に小そうございます。ほかの資材でございますと、たとえば肥料でございますと、八割は全農、末端単協は九割というふうに非常に高うございますが、非常にシェアが小さい。したがって、建て値の標準は全農のものでございましても、実際の取引はどうもメーカーといわば商人系流通業者で、そうしますと全農の建て値がなかなか通じないのではなかろうかということでありますが、この点につきましては、したがいまして極力全農のを標準にしていってもらうようにということで、これも交渉するようにという指示をいたしたわけでございます。そういたしまして、それに対しまして、もちろん流通系が違いますし、マージン等についての扱いが違うようでございますが、いずれにいたしましても、かなり全農系統の建て値より高いわけでございます。しかも、そういうことはほかの地域にもあるということでございますものですから、県を通じて話をしまして、目下生産者の団体でございまする果実連と、それから販売業者の間で話し合いを進めておりまして、原則的には価格につきましてはこれは全農、単協渡し価格というのを基準にすると。ただし、若干物が違うものもございますし、履行時も違いますが、原則的にはそれを基準にするようにという原則的合意に達しまして、目下細目につきまして話し合いを続けている最中というように聞いております。  それから履行時につきましては、従来は出来秋でございましたが、これについてはある程度早くなるのはやむを得ない。ただし、個人別ではなく、単協を通じて決済をするということでこれは話し合いがついたように聞いておりまして、したがって、この基本原則に従いまして、さらに具体的品目につきまして価格の話し合いを進めるように、さらに指導を続ける考えでございます。
  270. 鈴木強

    鈴木強君 聞くところによりますと、前にすでに納入したものも、それからあとから納入したものも、何か時価相場で金はもらいますというような、そういうことも言っているようですけれども、これもまた少しおかしな話だと私は思います。ですから、いまの農林省のお考え方もわかりましたので、従来の出来秋後に払うというこの点は、ひとつメーカーのほうなり、それから三井さんのほう、それから東ビさんのほうも協力してやる、そういうふうにしてやらぬと、またこれは販売店のほうもたいへんなことだと思うのですね。その点はどうでしょう。
  271. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) その点は御要望のようにはからえると思います。まあ、先ほど先生がおっしゃいましたように、この問題は末端の販売店と使用者の間の話し合いで解決すべき問題でございますから、そういうようにうまくいくだろうというように私は聞いております。話し合いが進んでおるように聞いております。
  272. 鈴木強

    鈴木強君 それから東ビさんね、商法の四十六条、四十七条をよく読んでもらって、商法のね、そして何か代理店なんというのを、あなたの名刺、持って回っていると、これは錯覚起こしますからね、ひとつ注意してくださいますね。
  273. 今井敏郎

    参考人(今井敏郎君) その点につきましては、特に今後よく注意いたします。
  274. 鈴木強

    鈴木強君 じゃ、終わります。(拍手)
  275. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 竹田四郎君。(拍手)
  276. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、伊藤忠商事関係、特に伊藤忠燃料問題について二点お聞きをしたいと思います。その一点はLPガス問題第二の点は通産省と伊藤忠燃料との関係、この二点についてお伺いをしたいと思います。  まず、四十九年四月一日の「日刊LPG通信」という通信が出ております。これによりますと、四十八年度の全店総売り上げが一千億円が予想されると、こう書いてありまして、四十九年度の目標は、設備投資については、四十八年度はLPGの充てん所六ヵ所新設して八十五ヵ所になっている。それからオートガススタンドは、五ヵ所新設して六十二ヵ所になっているということであります。特に伊藤忠燃料は、九州方面では大きなシェアを持っているという話を伺っておりまして、私の聞いたところでは三〇%ぐらいのシェアだと、こういう話でありますが、「四十九度は前年度未達分の完成と既存設備の改修築を重点にする考え。このため地域社会の貢献から安定供給体制を整備する必要で関東および関東以北を中心に基地十ヵ所、」――これは充てん所だと思いますか、「基地十ヵ所、オートスタンド八ヵ所新設を目標としている」、このように書いております。こうした計画をお持ちなんですか、どうなんですか。御承知ですか、どうですか。
  277. 越後正一

    参考人(越後正一君) 何がしか拡張の計画を持っておると思いますが、詳細には報告を受けておりません。
  278. 竹田四郎

    竹田四郎君 通産省はこの計画は御承知ですか、通産省エネルギー庁は来ないんですか、いないんですか。――伊藤忠の社長さん、おたくでは、このガススタンドですね、これは一体どのくらいのシェアを燃料が占めているのか、これは御承知のはずだと思うんですが、伊藤忠商事の常務がここのたしか副社長になっておられると、しかも資本金もほとんど伊藤忠商事だと、こういう状態で、もう一体と見ていいと思うんですよ。それについて全然御承知ないということは、どうも私、総合商社の社長さんというのは全然知らないのかなと、こう思うんですけれども、その辺はどうですか。
  279. 越後正一

    参考人(越後正一君) 多数の関係会社がございまして、その具体的な説明を聞く場合には、大量の資金を要する場合にほとんど限っておりまして、それ以外は報告を受けておりません。したがって、伊藤忠燃料が多額の資金を要する拡張をいたします場合には本社に連絡があるはずでございますけれども、まだ今日まではございません。
  280. 竹田四郎

    竹田四郎君 ここに江東区深川枝川町に新しくガススタンドをつくるという図面があるわけでありますが、この点は伊藤忠商事は御承知でございますか。御承知でありましたら、ひとつその能力はどのくらいの能力かお答えをいただきたい。
  281. 越後正一

    参考人(越後正一君) 詳細な報告は受けておりませんが、こちらへ参ります前に、燃料関係で東京都江東区の深川にオートガススタンドの建設という意向があるということを聞いておりますが、地元の事情もございまして、十分慎重に検討した上で決定いたしたい。この土地は伊藤忠燃料の所有地でございまして、現在油槽所として使用しておるものでございます。
  282. 竹田四郎

    竹田四郎君 ちょっと最後のところがわからなかったんですが、伊藤忠の何として御使用になるのですか。
  283. 越後正一

    参考人(越後正一君) 伊藤忠燃料の所有地でございます。
  284. 竹田四郎

    竹田四郎君 社有地へつくる。
  285. 越後正一

    参考人(越後正一君) 土地は。
  286. 竹田四郎

    竹田四郎君 私の調べによりますと、江東区におけるところの今度の伊藤忠のこのキャパシティーは、日量の扱いが十四万四千リッター扱えると、こういう施設であります。ちなみに、他に江東区に八ヵ所のこうしたLPガススタンドがあるわけであります。これの実態を見ますと、処理能力、まあ設備能力といいますか、その能力は五十万四千リッターの能力を持っていて、最近の扱い量は十九万三千四百六十九リッター、こういう数字が出ているわけであります。稼働率から考えてみますと、設備に対していま実際動いているのは三八%余と、こういう実態で、言うならば、かなりこの業界が乱立をしている、こういう事態であろうと私は思うわけです。ここへ、全体の江東区の処理能力の約三分の一ですか、三分の一の施設をここへ一体つくるということになればですね、他の八社の営業状態は一体どういうふうになると思いますか。
  287. 越後正一

    参考人(越後正一君) 私が伺っております範囲では、同地の個人タクシーが燃料が受けられないで非常に困っておるということで、これの要望に対しまして対処するという考え方ではないかと思いますが、いまお話しのように過剰設備になっていくということであるならば、そういう点は十分差し控えて、全体のバランスを考えながら対処していかねばならないというぐあいに考えますが、これは、直接伊藤忠燃料の社長、幹部には会っておりませんので、帰りましたらそのことを十分伝えまして、絶対に無理はしないように注意いたします。
  288. 竹田四郎

    竹田四郎君 通産省にお伺いしますが、三月六日にも、朝日新聞の記事でありますか、中曾根通産大臣が、商社の活動を規制する具体策を検討中であるということで、特に中小企業の事業分野、こうしたものについては検討をして、中小企業と大企業との事業活動分野というものは一定の区分をしていかなくちゃならぬと、こういうことを言っているわけでありますが、このLPGの充てんとかオートガススタンドというようなものは、はたして事業分野として、まあ年間の売り上げが一千億円もあり、資本金を十億も持っているような企業が、私はむしろやるべきじゃない、むしろ中小企業の事業分野として、こういうものはそういうところへとっておいてやる。それでなければ、おそらく将来、伊藤忠燃料がここへ三分の一の能力を持ってきて、大きな資本と系列関係の燃料供給というようなことで、ほかの中小企業はつぶれてしまって、つぶれたあとに値上げをやっていくというのが私は資本の論理だろうと思います。いままでもそういうことをやってきているわけでありますから。これは資本としてやってきているわけです。そういう意味では、私は、こういう事業というのは、何も年間売り上げ一千億、資本金十億円のような大会社があえて出ていく必要はないと、こう思うんですが、通産省、特に中小企業庁あたりでは、この問題についてはどのようにお考えですか。
  289. 小山実

    政府委員小山実君) 先生の御指摘の、大企業が中小企業のウエートの大きい分野に進出することによりまして中小企業者の事業活動に支障を来たすような場合には、極力、双方の話し合いを指導することによりまして、事態の円滑な解決をはかるということに従来考えておりますし、必要がございますれば、現在、中小企業団体の組織に関する法律に基づきます特殊契約制度の運用等によりまして、大企業と中小企業の調和のとれた発展をはかっていくというのが私どもの基本的な立場でございます。  で、お話のございました、ある特定の分野を中小企業のためにとっておくかどうかという点の問題でございますが、これは中小企業の存立にかかわる重要な問題である反面、それが関連消費者、需要家等について、どういう影響を及ぼすかということも十分配慮をする必要がございますので、中小企業庁といたしましては、当面、現行制度の積極的な活用をはかるとともに、いま御審議いただいております四十九年度予算に中小企業存立分野調査費というのを盛り込んでありますので、これを活用しながら基本的な分析を行ない、施策のあり方を検討してまいりたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  290. 竹田四郎

    竹田四郎君 社長さんね、あなたはもう何回か、社会的な法律違反はもちろんのこと、社会的批判を受けるようなことについても商社としてこれは十分自粛しなくちゃならぬと、こういうことで、関係各会社の社長を集めて、そうした趣旨を徹底したということを二月の二十五日に衆議院のほうでおっしゃっております。その後も、先ほども、そうした社会的な疑惑や、あるいは非難を受けるようなことはしてはならない、慎んで、自粛しているんだと、こういうふうにおっしゃったんですか、実はこの計画が――あなたが衆議院予算委員会でお述べになったのが二月の二十五日ですよ。この拡大計画が、伊藤忠燃料が大阪本店に全店管理職者を集めてこうしたことをきめたのが三月十七日ですね。ちょっとおかしいんじゃないですか、これは。社長の命令が、関係会社の社長を集めて徹底をしたと言うんだけれども、どうも私は徹底していないように思う。そして、あなたも、先ほどは全体のバランスを考えてやると、無理なことはしないようにしているんだと、こうおっしゃっているわけです。しかし、私はどうもさっきの稼働率等々から見まして、ちょっとあなたのこの計画、関東以北を中心に八ヵ所も新設を四十九年度にしようと、こういうことは、特に深川の場合には付近にあるわけです、八つもスタンドがね。そのどまん中に一つまたつくろうと、こういうことですね、社有地があるからといって。私はちょっとこれは一般的に考えて、先ほども中小企業と大きな企業との問題がありましたけれども、当然この点は再検討をひとつしてもらわなければ、あなたが国会でいままで精一ぱいおっしゃっていた事柄と私は相反すると。これが、おたくの資本がほとんど入ってないとか、名前だけ同じだとか、あるいは役員の関係も全然ないというなら、これは私もあなたを責めるわけではないのですけれども、あなたのところの資本がほぼ一〇〇%だ、本店の常務がしかもここの副社長になっている、こういう事態で、非常に密着した会社があなたの趣旨と反対のことをやっているということになりますと、私はちょっと問題があるんじゃないか、もう一回御答弁をいただきたいと思います。
  291. 越後正一

    参考人(越後正一君) その前に、ちょっと説明直しになりますけれども、LPGの充てん所及びオートガススタンドは、ほとんど中小企業にその運営を委託しておりますようであります、自分のところでやらないで。四十九年度新設計画も、中小企業の育成及び地域住民の便宜をはかるという方針を打ち出しておるようでございまするが、御存じのとおり、LPG施設は、保安のため膨大な敷地と完全な設備が必要でありますし、また多額の投資を伴いますので、中小企業へは融資、設備貨与、従業員の訓練等で、経営面で側面的に援助を行なっておるということを報告を受けております。  なお、いま御指摘の、趣旨が徹底してない、実行面と相反しているという御注意がございましたが、これは再度関係会社の社長約百名集めまして、四月の二十三日にいろいろ説明会をする予定でございまして、その席で十分、そういう社会的な考え方を強く持って、すべての会社が行動を守ってもらいたいということを強く要望する予定をいたしておりますので、この点も御了承願いたいと思います。至らぬ点がありますことをはなはだ遺憾に存じます。
  292. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはあなたがお話しになっていると思うのですが、「伊藤忠商事」という本が出ております、単行本がね。総合商社は何だといったら、会社をつくる会社が総合商社の一つだというような定義をなさっているわけですね。会社をつくる会社だと。そうしますと、いまあなたがおっしゃっている点は、中小企業にやらせる、こういうお話ですけれども、資本は全部出してやる、役員はこうやるということになれば、それは本来の中小企業なのかどうなのか、私は、それは中小企業としての自立性はない、むしろ伊藤忠商事のもう手であり足である。そうなれば、たとえそれは中小企業の、会社は形をそういうふうにとっても、実質は私は伊藤忠商事がやっている、こういうふうに見ていいと思う。  時間がありませんから、私は先ほどの、全体のバランスを考えてやる、無理をしないように、そう言うのだという点はよろしゅうございますね。
  293. 越後正一

    参考人(越後正一君) けっこうです。
  294. 竹田四郎

    竹田四郎君 それでは時間がありませんから次の問題に入るわけでありますが、通産省にお伺いいたしますけれども、灯油の末端の指導価格十八リッター三百八十円を、通達を出したのはいつか、実施をさせたのはいつか、この点を明確にしていただきたいとともに、先ほどの質問に対する答弁もいただきたい。
  295. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) お答えいたします。  標準価格の通達は……。
  296. 竹田四郎

    竹田四郎君 標準じゃない、指導価格
  297. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) ちょっと失礼します。
  298. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  299. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  300. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 標準価格の前の指導価格の日付につきましては、正確なことを記憶しておりませんので……。
  301. 竹田四郎

    竹田四郎君 それはおかしいですよ。これはすぐ答えてください。そんなものはわからないなんてはずはないですよ。
  302. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) いますぐ電話で確かめます。十月か、十月の何日ごろでなかったかと思いまするが、いますぐ確かめます。
  303. 竹田四郎

    竹田四郎君 社長にお伺いしますが、伊藤忠商事株式会社エネルギー本部長常務取締役金井多喜男さんが、衆議院議員松浦利尚殿あての私文書をお出しになっておりますけれども、この内容を御存じですか。
  304. 越後正一

    参考人(越後正一君) 存じております。
  305. 竹田四郎

    竹田四郎君 この文書によりますと、民生用灯油の調査結果の中で、四十八年十一月販売数量千八百四十五キロリッター、十二月の販売数量三千七百五十六キロリッター、本年一月の販売数量千七百六十二キロリッター、これだけ売っているという数字がございますけれども、まずお聞きしたいのは、この問題が起きたのは、初め十四円五十銭で卸をしていたのを十六円に上げられた。それで、それは高いじゃないかといって松浦さんから指摘を受け、さらに標準価格が一月十四日の通達で一月十八日からこの通達を実施するようにという通達が出て、十六円を十五円五十銭に引き下げた。こういうわけでありますけれども、十一月に十四円五十銭から高位安定のために十六円に引き上げた日付はいつですか。それと四十九年一月、十六円から十五円五十銭に引き下げた日にちはいつですか。
  306. 越後正一

    参考人(越後正一君) 私が報告を受けておりますのは、燃料が、標準価格を知りましたのは一月二十二日の新聞でありまして、また元売りにも照会いたしましたが、それで確認した。したがいまして、伊藤忠燃料が通産省から直接に聞いたということはございません。しかし、標準価格の実施日が十八日ということでございますので、請求書は、日にちは月末になったり、いろいろまちまちでありましょうが、十八日にさかのぼって十五円五十銭に訂正をして請求したはずでございます。
  307. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう一つ、十一月、十四円五十銭から十六円に上げた日付。
  308. 越後正一

    参考人(越後正一君) その請求書の日付は詳しく見ておりません。あとで報告を受けましたが、全部客先に対しまして十五円五十銭をこえた金額が九百八十万ございますので、これを小売り店に全部返却したと、伊藤忠燃料の営業所長、課長などの責任者が小売り店に出向いて説明をいたしまして、小売り店消費者に払い戻しするようにお願いをいたしたと。またLPG金券につきましては、名古屋本巣以外では発行しておりませんが、余分にちょうだいしました十一万八千円は、全額需要者に返還いたしたのであります。
  309. 竹田四郎

    竹田四郎君 わからなければわからないでいいです。  二月の二十五日に、あなたは衆議院の松浦利尚さんから、ある小売りに対する請求書を示されまして、そしてその日付について見られているはずですな、見られているはずですね。見ておりませんか。
  310. 越後正一

    参考人(越後正一君) 十六円の請求されておる部門だけ見ておりまして、名前もわからなければ折りたたんでおりまして日付は存じません。
  311. 竹田四郎

    竹田四郎君 そのときに松浦利尚議員は、十一月の二十日までは十四円五十銭だったと。それから十一月の二十六日から十六円になっていると、こういうことを言っておりまして、それに対してあなたは否定していないわけですね。
  312. 越後正一

    参考人(越後正一君) いま、全体の金額と数字を申しましたのでありまして、それで間違いないものと思います。
  313. 竹田四郎

    竹田四郎君 数字には間違いないと思いますけれども通産省一体いつから、指導価格ですね、指導価格にしたんですか。私が調べたところでは十一月二十八日から末端指導価格三百八十円、そして、私の調査によりますと、通産省は二十八日に通牒を出している、こういうことですが、間違いないですか。
  314. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 正確にはいま電話でさらに確かめておりまするが、手元の資料を見ますると、灯油につきましては十一月の二十七日付で通達を出しております。以上でございます。
  315. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、伊藤忠燃料は、小売店に対して十一月の二十六日にすでに十六円で売っている。このことは松浦利尚氏の速記録で明らかなわけです。そうすると、通達の出る前にすでに末端価格三百八十円というものを知って十六円にしている。あなたのほうの文書にもこう書いてあります。「四十八年十一月下旬に通産省より民生用灯油の指導価格が示されました」と書いてある。ちゃんと書いてある。そして売っているのはすでにそのときに十六円に値上げを、その前に値上げをしている。二十六日の請求書にそれが出ているわけであります。  それからもう一つは、一月の十四日に出したこの通達に基づいて、モデル価格が二百六十円から二百八十円程度を想定しという通達の内容がある。そして、いまのお話ですと、十八日にさかのぼって十六円から十五円五十銭に引き下げたと、こういっているんですが、私がこのおたくで出した数字を見ますと、十一月の販売数量、少なくともこれは十一月二十日以降と私は想定しておりますが、それに売っている十日間、これはその間に休業日もあったと思いますが千八百四十五キロリットル、一月は十一月に比べますとさらに需要は高まっているはずです。しかも、若干休みもあったでしょう。しかし、十七日間に売った数量が千七百六十二キロリットル、十一月の十日間に売ったよりも少ないわけです。こんなばかなことが、灯油の需要期にこんなばかなことが私はあるとは思いません。これも松浦氏のこの請求書によれば、一月の四日から十六円から十五円五十銭になっている。こういうことを私は明確に彼から聞いたわけであります。   〔委員長退席、理事西村尚治君着席〕 二回、三回にわたって聞いております。これはぜひ帰ってひとつ調べてください。  そうしますと、私は非常に不愉快なのは、十一月二十七日に通達が出ているにもかかわらず、十一月二十六日からすでに十四円五十銭を十六円に上げている。さらに標準価格も十八日から実施をするということで、一月十四日の日付で通達が出ているにもかかわらずその前から値段を引き下げている、こういう疑いというものは十分ある。これについては三月の衆議院の分科委員会でもこれはエネルギーの長官に質問があったわけです。これは調べてみるとこういう話です。どうなりましたか、それは。
  316. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 標準価格の通達一月十四日付及び指導価格の大臣談話、十一月二十七日付の大臣談話でございまして、二十八日から指導価格の実施に入っております。標準価格の通達の場合には十八日からの実施に備えまして、各県の担当官を呼びまして詳しく事情説明をし、その際指導通達を配付いたしておる次第でございます。
  317. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がありませんからもう少しこの点を私は詰めなくちゃなりませんが、時間がなければ分科会でひとつやらしていただきたいと思いますが、明らかに通産省と伊藤忠商事との関係、通達が出る前に事前にすでにその内容が漏れている。通産省とこうした総合商社との癒着という問題が私は明らかだと思います。それと同時に、これは新聞でありますけれども、各銀行、あるいは企業というものが、通産省にも三十一名出向社員として出ている。これは銀行の表です。こういうところからも私は情報が漏れている可能性は十分あると、非常にその点は結論が出ないで遺憾でありますけれども、こうした疑惑はこの次にひとつ晴らしていきたい。こういうふうに思いますけれども、こうした癒着のある限りやはり物価というものはつり上げられていく、その疑いがきわめて濃いということを申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  318. 越後正一

    参考人(越後正一君) 通産省と伊藤忠の癒着の問題をお触れになりましたが、これは事実は絶対にございません。また、おそらく伊藤忠燃料と通産省もなかろうと思いますので、私の信念を申し上げておきます。   〔理事西村尚治君退席、委員長着席〕
  319. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 鈴木君。
  320. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まず物産の会長に伺いたいんですが、石油ショック以降、物産では石油部門で非常に荒かせぎをしたと、こう言われているわけです。それについて、四十八年十月以降の月別に石油部門の取り扱い高と、それから荒利益を説明をしていただきたい。また、対前年度比は一体どうなっているかをちょっとお答えをいただきたいと思います。
  321. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 月別につきまして私いまここに資料を持っておりませんが、昨年の九月期の決算並びに四十七年と四十八年の一年間を比較してみますと、大体一年間に一千億程度取り扱いがふえております。それは、その理由は、約半分がわれわれの関係の極東石油株式会社が六万バーレルから四万バーレル増加を許可されまして十万バーレルの稼働になったということで原油の取り扱いがふえております。それが約半分であります。それからあとの半分の価格の上昇分につきましては、大体石油の値上がりということによって取り扱いがふえたもんだ、かように報告を受けております。
  322. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまのは九月の累計ですね。
  323. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) いや、一年間の累計。
  324. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 年間の扱いでございますか。
  325. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) そうです。
  326. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 石油ショック以降の価格の値上げ、売り上げ、そういうのでここに三井物産の商内別、商品別成約高が私の手元にありますけれども、これを見ると石油で四十八年十月、十一月が三百三十二億、四十七年十月から十一月が百六十一億で二・八倍、経常利益では四十八年十月、十一月が四億二千万ですか、四十七年十月、十一月が一億一千四百万ということで三・六八倍というような膨大な金額に上がってきています。こういうことが出ているんですけれども、その辺は間違いございませんか。
  327. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) ただいまの御指摘の昨年の十月-十二月の当社の石油部の決算、三ヵ月間の決算数字を集めてみますと、五億七百万円の利益になっております。その一年前の前年同期は七億円のマイナスになっております。その七億円のマイナスになりました理由は、先ほどちょっと申しましたわれわれの関係会社であります極東石油工業が事故によりまして休店をしておりますので、その関係でこういうふうな損が出たわけでありまして、商売だけでこの五億と七億のインプルーブメントがあったというわけではございません。
  328. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それは十月から十二月までをいま言われたのですが、私は十月から十一月までの二ヵ月でマイナスのないというところで申し上げたのですけれども、こういうことで非常に石油元売り価格が三月十八日から値上げになるまで、十八日に値上げになるまでには石油各社がだいぶ便乗もうけを吐き出したなんという話もありますけれども、便乗した商社がもうけた分は一体どういうふうにするつもりなのか、その点を伺いたいと思うんですが、これは物産の考えとしてはいかがでございますか。
  329. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 私の手元にございます四十九年三月期、この先日終わりました三月期の予想によりますと、半期間、半年間の当社の石油部の決算は十億三千二百万円のマイナスであります。したがいまして、ただ私のほうは石油だけを商売しているわけではありませんので、この数字がどうこうというわけではありませんが、これは私のほうのちょっと特殊な例でございまして、実はわれわれのほうは入れました原油が一月以降値上がりした分で大きな損が出ております。それを入れました損が結局三月末の決算におきまして合計して十億三千二百万円のマイナス、こういうことになっております。
  330. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 しかし、鉄鋼関係なんかを見ますと、商内別、商品別成約高で見ていくと、鉄鋼が四十八年十月から十一月で経常利益で五十一億、それが四十七年十月から十二月が二十三億で二・一六倍、また機械関係でも二十八億、四十八年十月、十一月が。そして四十七年の十月、十一月が十二億ということで二・二三倍になっておるのですね。こういうのを一つ一つ見ていきますと、これはこういうことになると、やはりずいぶんいろいろと言われたわけですから、それだけに商社の姿勢としての社会還元ということ、それを一体どう考えていくかということは非常に大事じゃないかと思うのです。その点はどう考えているのか、その点をひとつ伺いたいと思うのです。  それからこれは丸紅の桧山参考人に伺いたいのですけれども石油の取り扱い高と利益、やはり四十八年十月以降の分でけっこうでありますけれども、前年度対比のものと、それから一体社会還元についてはどういうふうに考えているか、この二つについて伺いたいのです。
  331. 桧山広

    参考人(桧山広君) ただいま先生のおっしゃられた十月以降という数字を持ち合わせておりませんですが、私のほうの大体石油部門は非常に弱体でまことに恥ずかしいのですが、全取り扱いの三%にすぎません。本年の三月に終わるこの六ヵ月の取り扱い高の予想が大体千百億から千二百億になるだろう、利益が五、六億円見当ではないかと、こういうふうにいわれております。昨年の三月をもって終わった同期六ヵ月間の取り扱い高が五百四十億でございまして、約八千万円の赤字を計上しております。これはかなりの改善を示してはおりますが、これは昨秋以来の石油並びにその製品の価格の上昇による取り扱い口銭が増加したということと、取り扱い量が若干増加したということが主因でございます。私どもの千百億あるいは千二百億の取り扱いのうち、原油が約五割の六百億でございまして、これは代行取引ですから手数料が〇・五あるいは一セント・パー・バーレルということで、重油が三割ほどで三百六十億の取り扱いで、ほぼ原油と同じような取引形態でございますが、ただその口銭の取りきめが金額に対して何%というふうになっておりますので、値段が上がったのでその収入の口銭収入が大きくなった。ガソリンは五%ほどでこれは六十億ほどでございますが、これは六割が代行で四割が売り切り買い切りになっておりますが、これはまた貯油設備とかそういうものがないので、便乗とかそういうこともできません。LPGが四%で五十億ほどの取り扱いで、この取り扱いによって約数千万の利益が見込みができるのじゃないかと、こういうかっこうになっております。  それから社会還元でございますが、この石油それ自体の社会還元ということは考えておりませんが、全社としてできる限り丸紅基金というようなものをつくるとか、あるいはその他のことを種々考えておりますが、しかし私は、企業の社会的還元というものは、やっぱり第一義的にわれわれが資源を開発するとか、重要資源を確保するとか、あるいは輸出入の取引の段階において、その取引の実態において、日々の行動においてほんとうに国家社会のためになるのだということ自身がむしろ社会的な還元であり、また責任ではないかというふうに考えております。
  332. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 橋本参考人に、先ほど鉄鋼とか機械とかそういう全体を含めた場合にも、鉄鋼、石油化学品、機械全部ひっくるめても、二倍から三倍近くのいままでにないような経常利益が出ているわけです、十月、十一月を見ますと。そういうことから考えて、いままでの商社の責任ということがかなりいわれてきたわけですから、そういう点で一体どういうように社会的還元を考えているかというわけです。先ほどは石油のことだけで赤字だから云々ということでございましたけれども、その点、いかがですか。
  333. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) ただいま御指摘がありました鉄鋼の数字につきまして、私はその数字はちょっと存じ上げませんが、鉄鋼につきましては、一昨年の十月、十一月という月につきましては、不況カルテルの末期でございまして、たいへん市況の悪いとき、それに比較しまして昨年の十、十、一月は好況でございまして、数字は確かに改善されております。だけどもいま三月期の鉄鋼の予想をいたしますと、これは私の推測でございまして、まだ決算数字は出ておりませんが、大体一倍半ぐらいな利益じゃないか、三月期の決算が五十億ぐらいじゃなかろうかと思います。これはいずれにしましても、鉄鋼でよかったとか石油で損したとかいうふうなことは関係なく、ただいま先生が御指摘の鉄鋼で二倍になったとか、機械で三倍になったとかいうことはございません。そういうことはございませんが、決算の数字全体をつかみました上で、われわれとしてはすでに宣言しておりまして、前期にも実施いたしましたように、公表、税引き前利益の二%ないし四%を社会還元費として積み立てるということを前期から実行しております。  私個人の考えを率直に言えと、こういうお話でございますから、私個人の考えといたしましては、やはり企業は企業の正常なアクションを通じて社会に還元するのが私は一番いいことだと考えております。しかし、そういうことを言いましても、はっきりしないところもございますから、やはりいま私が申し上げたような社会還元費というような形で一つの計上をするというふうなことも、やはり企業利益と社会利益を併存せしめるという上で一つの方法だと思いますので、決算の結果を見まして総合的にそういう処置を講じたい。まあ、その件につきましては、これをあるいは文化とか、教育とか、あるいは公害とかというふうな方面に使うということでございまして、その方法はいろんな方法がございますので、これは専門の委員会をつくりまして検討しております。前期の分を合わせて今期の以降検討するわけであります。
  334. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間がないので、まとめてこれは物産の橋本さんにお伺いしたいんですけれども、昨年後半の鉄鋼価格の暴騰というのは、これは目に余るものがあったことは御承知のとおりでございますね。たとえば建設用資材の暴騰でも、一昨年の九月に特約店が需要家におろす価格がトン三万五千五百円ぐらいだった。それが昨年の九月に九万円、十一月には下がっているけれども八万九千円、場所によっては十三万でも小売りが買っているというのがありました。いま下がってきていますけれども、それに対して総合商社は、鉄鋼販売いついて販売高の半分を問屋として扱っている、全体を見ますと。そして手数料として従来平均二%ないし四%を得ていると聞いております。ですから、そういうことから見ると、昨年の十月-十二月というような手数料というものは、いわば暴騰価格になるわけですから、先ほど私が申し上げたような二倍だとかいうようなかなりの大きい金額になってきているわけです。だから、それがこの手数料二%ないし四%というのは、販売価格に対してだということもわれわれは聞いているのですけれども、その点でこれは価格暴騰のときには大きな手数料になるわけです。そういう点で、このような物価がぐっと上がってくるようなとき、そういうときにこのパーセンテージをそのままにしておくということはおかしいんじゃないかとぼくらは思うわけです。やはり三%ぐらい取っておったものは二に減らすとか、二のものは一に減らすとか、こういうことを考えるべきじゃないかということを思うのですけれども、その点の姿勢を伺いたいのです。
  335. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 時間でございますので、締めくくりをお願いいたします。
  336. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) ただいま御質問の点は、先生の御指摘になりました丸棒とか、あるいはそういう商品につきましては、これは市況商品で、高炉製品ではないのでございます。これはたえず暴騰暴落を繰り返していることは御承知のとおりでありまして、高炉製品――われわれが大部分八五%ぐらいの扱いに当たります高炉製品というのは、御承知のように、長年にわたって価格が据え置きの形になっておりまして、あまり高い価格で売られておるということは、今日現在でもございません。これは鉄鋼の高炉の売り出し価格をお調べいただければよく御納得いただけることだと思います。したがいまして、高炉製品についてわれわれが二%半なり、あるいは三%なりいただくということにつきましては、元の価格はそれほど変わっていないわけであります。ただ、われわれの三月期におきます手取りが若干インプルーブしています一番大きな原因は、輸出の好調ということであります。これは世界的な鉄鋼不足でございまして、輸出価格は非常にいい値段になっております。例をあげますと、アメリカにおきましては、アメリカの製品よりも現在三割も高い値段でアメリカに売れておるというような状態で、その点については比較的いい値段がとれております。したがいまして、しかし輸出で利益が出たとか内需で出たということは別にいたしまして、先ほど申し上げましたような社会還元方策について考えております。
  337. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 渡辺君。  委員長より渡辺氏に要望がございます。  水上参考人は治療のため五時五十分に本委員会を退席いたしたい旨の申し出がございますので、この御質疑は、それまでに同参考人に対する質疑を終了さしていただきたい旨の御協力をお願いいたします。
  338. 渡辺武

    渡辺武君 いや、委員長、それは困ります。
  339. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  340. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。  渡辺君。
  341. 渡辺武

    渡辺武君 できませんよ。退出したら困りますよ。その点、困りますよ。議会の審議権があるのですよ、議員には。困りますよ、それは。
  342. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  343. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こして。
  344. 渡辺武

    渡辺武君 さっき申しましたように、一番最後に伺わなければならぬことなんです。それは水上さんね、失礼ですけれども、いろいろ御健康上の理由もございましょうけれども……。
  345. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  346. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記起こして。  では委員長の裁断によって議事を進行します。渡辺君。
  347. 渡辺武

    渡辺武君 非常に不当な扱いだということを最初にはっきり申し上げておきます。  三井物産の橋本会長に伺います。  御承知のように、今年の一月七日、政府が輸出前受け金受け入れに対する規制をそれ以前の一件一万ドルから十万ドルにゆるめました。このことと関連して、最近この輸出前受け金という形でのドルの流入が、まだ緩慢ではありますけれどもふえ始めております。私が大蔵省から受けた報告によりますと、船舶輸出の場合を除いた前受け金の流入は一月には八千九百万ドル、そして二月には約一億ドルにふえております。これは円に直すと約三百億円近い額ということになろうと思います。三月にはもっと増加している見込みだという報告でありました。そこで伺いたいのですが、三井物産が現在受け入れている輸出前受け金の現在高はどれくらいか、それからまたことしに入っての月別の受け入れ高はどのくらいか、これを伺いたいと思います。
  348. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) いまの御質問の輸出前受け金につきましては、二年半ほど前にニクソン・ショックのときに前受け金で問題になりました三億三千万ドルの金額がその後減少いたしまして、現在四千万ドルぐらいの残になっております。その後二年間には造船を含めたものだと思いますが、私は月別の数字は知りませんが、その後の二年間で約八千万ドルぐらいの導入がございます。現在残高はその合計をいたしました一億二千万ドルぐらいが前受け金の残高だと私は記憶しております。
  349. 渡辺武

    渡辺武君 ことしに入っての月別の……。
  350. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) その数字はちょっと私知らないのですが、そのいまの後半に申しました八千万ドルの中にことしの分がどれだけ入っているかということは私は知らないんです。現在残高が三月末でそのくらいだと思います。
  351. 渡辺武

    渡辺武君 正確にお答えいただくためにあなたのところの業務部の次長さんが見えたので、その点はお願いしてあるんですよ。ことしに入って一月、二月、三月と、どうですか、ふえる傾向ですか、それとも減る傾向ですか。
  352. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 輸出前受け金は、御承知のように、輸出貿易に関する決済手段の一つでございまして、現在、金融引き締めの結果、商社は貿易資金にもまことに困っておるような状態でございますので、その一つの手段として、今後現在のような金融引き締めが続きますれば、政府の法令の許す範囲においては導入が引き続き行なわれる見込みでございます。
  353. 渡辺武

    渡辺武君 御承知のように、この輸出前受け金制度というのは、輸出契約を結ぶと同時に代金を外貨で送らせて、そうして円にかえることができるというものです。商品の輸出は通常一年以内に実行すればよいという制度でありまして、もし契約が破棄されたときや輸出が行なわれなかったときは、ドルを買い戻して返済すればよいという制度であります。これは御承知のとおりだと思います。ところが、この便利な制度は、悪用しようとすれば為替投機のための絶好の手段として利用できます。すなわち、将来ドルが安く円が高くなると予想されるときは、この制度で前受け金としてのドルを取り入れて円にかえ、円が実際高くなったときに輸出契約が解除されたなどの理由でドルを買って為替差益をかせぐことができます。三井物産が、いまおっしゃったように、前受けの取り入れをふやそうとしておられることは、円の先高を見越して、この為替投機をやろうとするおつもりではないでしょうか。
  354. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 私の個人的な意見でありますが私は円が強くなるとは思っておりません。したがいまして、先生がただいまおっしゃったような形で前受け金を受け入れることは、私個人はうちの経営者として反対でございます。
  355. 渡辺武

    渡辺武君 私が失礼なことを聞いたようにお考えでしょうけれども、三井物産に私は前歴があると思うんです。それは昭和四十六年の八月十五日ニクソンが金とドルとの交換停止を声明したそのときから日本政府が円の変動相場制への移行をきめた八月二十七日までの約十日間、日本には為替投機のあらしが吹き荒れました。大手商社などは、円の切り上げを予想して、架空の輸出契約書で大量の輸出前受け金を手に入れてこれを為替市場で売りまくって円にかえました。当時大蔵省が国会に提出した資料によりますと、八月十六日から二十七日まで三十八億九千五百万ドル、当時の為替相場にして一兆四千億円をこえるお金がわずか十日間程度の間に日本に入ってきている。そうして為替市場で売りまくられました。そのうち十四億二百万ドルは前受け金であったというのが大蔵省の報告であります。ところで、このように輸出前受け金を大量に取り入れて大規模なドル売り円買いをやったものは、大蔵省の資料によりますと、主として三井物産、丸紅などの大手商社だった。中でも、三井物産は三億三千百万ドル、最大です。二位の丸紅飯田は一億四千二百万ドル、だいぶ開きがあります。その後、十二月二十日には例のスミソニアン会議で一ドル三百八円の新レートとなって、円は一六・八八%という大幅な切り上げになりました。かりに八月に一ドル三百六十円の相場でドルを売って、そうして十二月の新レートでドルを買い戻せば、一ドル当たり五十二円の為替差益が手に入るということになります。これで推計いたしましても、三井物産は前受け金の操作だけで当時百七十億円をこえる為替差益を投機でもうけたことになります。これらのことは国会でも大きな論議を呼びました。おそらく橋本さんも御記憶新たなところだと思います。  重ねて聞きますけれども、三井物産が輸出前受け金の取り入れをふやそうというふうにしているのは、このような為替投機をもう一回やろうというおつもりからではないでしょうか。
  356. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) ただいま御質問の点につきまして架空の取引というおことばがございましたが、私どもは架空の取引に対して為替前受け金を導入したことはございません。  それからいま一点、その証拠に、三億三千万ドルという私も数字を申し上げましたが、それはその後積み出しに従って順次減りまして現在四千万ドルになっているということは、先ほど申し上げたとおりであります。  それからいまのもう一点の御質問の点、何でしたか、二番目の御質問は。
  357. 渡辺武

    渡辺武君 為替投機をおやりになるつもりでやっておられるのじゃないかと。
  358. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) いや、そういうことはございません。ただ、そのときに、前回のときには――それからもう一点、先生の御質問の中で百七十億の利益をあげたというお話がございますが、それはその前受け金のそのことだけを抽出すればそういうことになりますが、私のほうはドル建てのいろいろな海外投資あるいは輸出契約その他ばく大なものを持っておりまして、当時の為替の残高は十億ドル以上のドル持ちになっているわけです。そのうちの三億三千万ドルが前受け金で、その持ちが減ったということでございますから、私のほうは為替のドルの切り下げによります円高によりましてばく大な為替差損を受けておりますことは、その後の決算でよくごらんになればおわかりになることでありまして、私の推定によりますと、ニクソンショックのときの当社の為替差損は総額約二百億円をこえるものだと思います。
  359. 渡辺武

    渡辺武君 もう一点伺います。こうして輸出前受け金などを取り入れてこれを円にかえることができるというような大商社は、いまの金融引き締めのときに、ほかの会社では手に入れることのできない大量な円資金を運用できることになるというふうに思います。先ほど四千万ドルまでは減った輸出前受け金が一億二千万ドルまでふえているということをおっしゃいましたけれども、これは物産が前受け金の取り入れをふやして金融引き締め政策の裏をかこうとしているというおつもりからじゃないでしょうか。
  360. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 先ほど申しましたように、これは輸出の決済手段の一つでございますから、われわれのほうで輸出の貿手資金に困るというような状態であれば前受け金で決済するということも起こり得るわけであります。現在、われわれは、先ほどちょっと申し上げましたように、為替相場を目標にそういう前受け金の導入をやっている事実は全くございません。全く資金難のために貿易資金にもこと欠くという状態でございますから前受け金の導入が行なわれているというのが現在の状態であります。
  361. 渡辺武

    渡辺武君 私は、ここに、三井物産の業務部長(企画業務室)、財務部長(総合企画室)というところが出した業長第一七七三号、昭和四十九年一月二十日付の社内通達といいますか、代表取締役各位、内外各部店長殿とした通達を持っております。これを橋本さんごらんいただきたい。これは私のほうでリプリントしたものですから、紙の質などは非常に悪うございます。――いま一月二十日と言ったそうですが、一月八日です。(資料を手渡す)これはあなたのところの社内通達だと思いますが、どうですか。
  362. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  363. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 速記を起こしてください。
  364. 渡辺武

    渡辺武君 橋本さん、その通達をよくごらんいただきたいと思います。題は「為替 Operation 二一層注力願イタキコト(石油危機ト当社対策第四報)」としてあります。そうして「社外秘」というのが、ペン書きでおそらく書いたんでしょう、書き入れてありますが、その第三ページを見ていただきたい。三枚目ですね。(3)として「輸出前受金受領準備ノコト(極秘)」としてあります。読んでみますと、「為替管理ノ外貨輸入規制緩和ニヨリ輸出前受金ハ一件一〇万ドルニupサレタ。」その次は全部ぎざぎざのアンダーラインが引いてあります。「本年後半ヨリハ対米ドル円安傾向ハ再ビ修正サレル可能性モアリ、前受金導入ヲ検討サレタイ。」としてあります。それでちょっと一、二行飛ばしまして、「尚、国内資金的ニ見テモ現在金融引締メ厳シク、米物金利約一一%ヲ利用シ前受ケシ一年運用スレバ資金面二於テモ全社的 merit 大デアルコトモ勘案、各部ノ積極的協力ヲ御願イシタイ。」というふうに書いてあります。この文面は、いまは対ドル円安傾向だが、将来はこれが修正されるだろう、つまり円高になるだろう、だからいまのうちに輸出前受け金取り入れ、これを検討せよという指示です、これは。そうでしょう。これは明らかに為替投機ということを目標としたものじゃないでしょうか。同時にまた、いま申しましたけれども、米物金利約一一%を利用して前受けして一年運用すれば資金面においても全社的メリットがあるんだと、これは国内資金的に見てもそうだということを強調している。明らかに現在の金融引き締めの裏をかいて円資金を手にしようというもくろみから出された通達じゃないですか。どうです。
  365. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) これは当社の社内通達であることは間違いございませんが、ただいま御指摘の点につきまして、われわれはこれを別に法令の外でやろうとしているわけでありません。法令の許す範囲において、われわれは、先ほども申しますように、輸出貿易資金にも困っておるような状態でありますから、それを外資を取り入れて諸法令の許す範囲でわれわれの金融に便ずるという考え方で言うておるわけであります。したがいまして、また、この為替の問題に関しましては、ここには「円安傾向ハ再ビ修正サレ」ということが書いてありますが、私自身は円安傾向になるものだというふうに思っております。
  366. 渡辺武

    渡辺武君 あなた個人の意見を伺っているのじゃないんです。この通達、これは会社の正式の通達でしょう、あなたも認めているとおり。
  367. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) しかし、円安傾向、まあかりにこの通達で円安傾向があるから為替で前受け金を導入したいといいましても、これは法令で許される範囲で輸出前受け金の決済をするということにつきましては、そういうことも検討する可能性があるのじゃないですか。私はそういうふうに思いますが。
  368. 渡辺武

    渡辺武君 もう一回伺います。  将来円が高くなるだろうという予想でいまのうちに前受け金を導入しておけということを言っている。この通達の終わりのほうには、将来今年の後半には円高になるだろうという見通しが詳細に分析されて書かれている。これは一ドル三百六十円の公定レートが将来続くというような時期ならば、いま輸出前受け金を取り入れても、将来スペキュレーションをやるつもりでやっているんだと私は言うつもりはない。将来円高になる、いま安いうちにドルを取り入れて円にかえておいて、円高になったらドルを買い戻して為替差益をもうけよう、昔やったと同じことを考えているということをはっきり示しているじゃないですか。もう一度その点をはっきり言ってください。  もう一つは、国内資金的に見てもメリットがあると言っている。金融引き締めの裏をあなた方のような大商社がかいてやろうという。いま、一体、どういう時期ですか。金融引き締めで中小企業の倒産が激増しているような時期でしょう。この通達に書かれてあることをはっきりあなた御答弁いただきたい。
  369. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 輸出に対して代金を受け取ることを、前受けで受け取るか、あるいは貿手を決済して受け取るか、これはそのときの情勢によってどちらでも法令が許すならばできることだと思います。したがいまして、前受け金で受け取るという方法もあるということは先生も御承知のとおりであろうと思うのです。為替の円安であるか円高であるかというのは、これは見通しの問題でございます。私はこの通達の趣旨には賛成しませんけれども、もしかりに――いま円は変動下にあるわけですから、そういうことを見通してわれわれがそのために損をすれば、これはわれわれがその見通しを誤ったわけであります。もしわれわれがそれによって若干の利益を得ることができれば、それはわれわれの見通しが当たったわけでありますから、変動下においては、合法的な範囲においては、そういう為替の先物取りきめということはやむを得ないことだと思います。
  370. 渡辺武

    渡辺武君 国内資金的にはどうですか。
  371. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 国内資金的には、それはわれわれは非常に困っておりますから、お金は輸出貿手は先にもらったほうがいいわけであります。貿手を引くよりも前受け金でもらったほうがわれわれは輸出資金が早く入るわけでありますから、それだけわれわれとしては輸出の代金決済が早くなって楽になるわけでありますから、私はそれは当然のことだと思うのです。
  372. 渡辺武

    渡辺武君 驚くべきお答えだと私は思うんですよ。いま、一体、どういう時期ですか。先ほどもちょっと申しましたけれども、いわゆる石油危機、国際価格の高騰、これに便乗したあなた方を含む大企業の売り惜しみ、物価つり上げ、これで国民生活が大きな打撃を受けている時期ですよ。その同じ石油危機から生まれた一月の上旬ごろのドルの一時的な高騰と円安、これを利用して、いまのうちに輸出前受け金を取り入れて円にかえておけと。将来円が上がるから為替差益はふところに入るだろう。明らかに、これは、合法、非合法を問わず、為替投機を目的にしてやったと。いまあなたはそれを当然だと言われたけれども、言語道断ですよ、国民がこんなに苦しんでいるときに。しかも、どうですか、金融引き締めで、資材不足で、中小企業の倒産が激増しているときに、あなた方のところは、三井銀行、東京銀行、三井信託、富士銀行、こういうようなところからばく大な融資を受けている上に、日本輸出入銀行から一千六百四十九億円、大銀行の三つか四つぐらい合わさったくらいの融資額を安い金利で政府関係の金融機関から受けて、それでも足りないでドルを取り入れて、ほかの企業はできないもあなた方だけがドルを取り入れて円にかえて、この資金を運用しようとしている。全くひどいことをやると思わざるを得ないじゃないですか。
  373. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) ただいま輸出入銀行のお話がございましたが、輸出入銀行の資金というものは、海外におけるわれわれの投融資あるいは延べ払い輸出というものに使われておるのでございまして、これはわれわれは国内に一銭の流用もしておりません。したがいまして、そういうわれわれの輸出入銀行の金が国内資金に金融緩慢あるいは金融逼迫の状態に作用しておることは全くないと思います。ただ、その輸出の前受け金の問題につきましては、この輸出前受け金をわれわれが早く決済したからといいまして、それが国内の物価問題に非常な影響を与えておると、私はそういうふうに考えません。
  374. 渡辺武

    渡辺武君 念のために伺いますけれども、これには「極秘」となっています。あなた、合法的にやるなら当然のことだと言っておりますけれども、何でそれなら「極秘」としたんです。  それから法律のワクならば為替投機をやってもいいとおっしゃるんですか。
  375. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) あの手紙が「極秘」というなにがついておりますのは、当社の会社の商売の方針がよそに漏れることは困るという意味であります。  法律のワク内で為替投機は幾らやってもいいというそういう考え方は私は持っておりません。そういうことを申し上げているわけではありません。
  376. 渡辺武

    渡辺武君 法律のワク内ならやるのは当然だとさっきおっしゃったじゃないですか。とんでもないことですよ。そうして国内のインフレをあおるとは思わないとおっしゃったけれども、あなた方、あのニクソンショックのときの大きな為替スペキュレーションでたくさんの手元流動性をふところに入れた。あの当時の数字によれば、昭和四十六年と四十七年のわずか二年間で、外為会計からの円の払い超は合計して六兆円にも及んでいる。そのうちのかなりの部分は、あなた方のあのスペキュレーションで、円が増発された大きな原因ですよ。そのばく大な手元流動性を使ってその後何をやりました。大豆でしょう、木材でしょう、綿花綿糸、羊毛から株式から土地まで、あの売り惜しみ買い占めの大きな投機をやって、現在の物価狂乱の大もとをつくったのはあなた方じゃないですか、とんでもないことだ。為替投機をやり、国内の金融引き締めの裏をかこう、これが正常な商行為ですか。明らかにこれは反社会的な行為と言わなきゃならぬと思う。どうですか。
  377. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) われわれは、国内の法律の裏をかいて利益をあげるということを考えておるわけではなくて、ただいま申し上げますように、輸出前受け金は、輸出代金の決済の方法でありますから、そういう方法によって代金を受け取ることについては、私は差しつかえないじゃないかということを申し上げておるのであります。  二年半前のニクソンショックのときに多量のドルが入りまして、それが過剰流動性の一つの原因になったということは、私は認めます。そうだと思います。しかし、それをどういうふうに運用したかということについては、われわれは非常に良識を持って運用したつもりであります。ただいま先生が御指摘のように、これが非常に物価狂乱の原因をつくったような、買い占めだとか、あるいは株式だとか、あるいは土地だとかいうものの買い占めに、当社はそういうことに使用した覚えはありません。
  378. 渡辺武

    渡辺武君 それはその後の客観的な事実が示しておりますよ。あなた幾ら否定したって、事実はこれは事実です。  そこで、もう一つ伺いますけれどもね。昭和四十六年の、さっき申しました為替投機の際に、あなた方は架空の輸出契約書を出した覚えないというようなことをおっしゃいましたけれども、当時、為替調査官の立ち入り検査によれば、当時の輸出前受け金証明書の中には、商品名をゼネラルマーチャンダイズ、つまりただ商品だというようにしたものや、それからまた、仕向け地が複数となっているもの、――同一商品の輸出の仕向け地か複数の国だなんて、ばかな話ないですよ。それから契約日と買い取り日が同一のものなど、為替調査官でさえこれはおかしいと思ったものが数多くありました。時間がないから詳細なことは言いませんけれども、あなた方の出したものもこの中に含まれている。そうしてこのような架空の輸出契約書で前受け金を取り入れているから、実際の前受け金の送金先は外国の輸入業者じゃない、あなた方の在外支店が外国銀行などから借りたドルをそのまま送っていた。  先ほどあなたに読んで差し上げたものの中に、米物金利約一一%を利用し、前受けし、一年運用すれば資金的に有利だといっている。つまりこれは在外支店が、一一%金利の米物を借り入れて、本店に送って運用するということをはっきり物語っている。あなた方の輸出契約書なんですが、いま出しているものも架空のものであるという疑いが非常に強い。これを国会に提出していただきたい。この点どうですか。
  379. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) この輸出のアメリカの金利一一%を一年間運用してというのは、いま先生も申されましたように、一年以内に積み出しを完了すればよろしいわけでありますから、その間その金は、使えるということを意味しているわけであります。したがって、その点につきましては、これをただ――ただいまお話しのように、現在は十万ドルまでしかできないようになっておりますので、大きな金額はできません。これを、十万ドルを何件もやるということはたいへんな手数でありますから、おのずからそこに限度があろうと思います。しかし、架空の契約書をつくってわれわれがこういうことをやっておるということはございません。したがいまして、もし最近の問題につきまして、そういう契約書が必要であれば、われわれのほうとしてはそれを一応検討いたしまして、提出できるものはしたいと思います。
  380. 渡辺武

    渡辺武君 もう一、二点伺います。  この輸出前受け金、あなた方は合法だと言うけれども、かりに合法だとしても、法律に抜け穴がある。そうしていま言ったように、将来の円高を予想して為替スペキュレーションをやろう。金融引き締めの裏をかいて――額の多少は、いまあなたのおっしゃるとおりだけれども、将来大規模になる可能性がある。したがって、このような輸出前受けの取り入れ、そしてこれの円への転換、これはおやめになるお気持ちがあるかどうか。これを伺いたい。
  381. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) ただいま先生にここで、全然、そういうことは全部やめてしまうというお約束はできません。それは、そのときの状態によって、前受け金で受け取るほうがいいか、貿手を引くほうがいいか、また貿手を引くだけのわれわれに資金があるかどうか、そういうことによってきまるわけであります。しかし、誤解を招かないように、先生の御趣旨を尊重して、できるだけ善処したいと思います。
  382. 渡辺武

    渡辺武君 最後に一点だけ伺いたいと思う。そのほかにも、あなた方のやっている系列支配の問題も申し上げたいのだが、時間がきましたからやめておきますが、とにかく三井物産の四十六年三月期、九月期決算の合計の経常利益は二百四億六千九百万円、四十七年は二百七十二億八千二百万円、四十八年は三百十一億二千四百万円。前の期に比べて、四十七年は三三・三%も多い、四十八年は四〇・一%も多い。こうした荒かせぎを、いま申し上げたような輸出前受け金の取り入れ、系列支配の強化、こういうものでやっている。世間の指弾があなた方に集まってくるのは、私は当然なことだと思う。この大きなもうけを、これを国民に返すために、あなた方の扱っている全商品、これを一斉に値段を引き下げるということをやるおつもりがあるかどうか、この点を伺いたい。
  383. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 関係官庁並びに政府の御要請もありまして、われわれは、日常品の中で五十三品目だったか――六十四品目だったか、を限定いたしまして、現在、三越あるいは西友その他で全国四ヵ所の都市を選びまして、安売りをやっております。これはしかし、きわめて短期的な措置でないとできませんので、現在五月の三十一日までを目標にやっております。それによるわれわれの日常食料品の値下げ販売というものは、あまり長期に続けますと、またこれは中小の小売り屋さんその他との問題も起こりますので、これは恒久的にやるわけではありませんが、五月三十一日までこれを実施したいというふうに考えております。しかし、これ先生いま御指摘がございましたが、全部の商品についてわれわれは荒かせぎをするとかなんとかということは決してございませんので、われわれは正常な口銭を積み上げて、そうして会社の経営をやっているわけであります。特にトリックを使うとか、あるいは国民に迷惑をかけるとか、そういうことでわれわれは仕事をしておる覚えは絶対ございません。
  384. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 野末君。
  385. 野末和彦

    ○野末和彦君 私は、直接物価関係ないかもしれないんですけれども、この委員会でずっと続けて政治献金のことを聞いておりましたので、きょうはこのお金を出す側のお気持ちを聞いておきたいと思うのです。  まあ商社の場合はあまりお出しになっていないようなので、ちょっと場違いかもしれませんけれども、まあ多少といえども出している以上は、やはりこの事実は動かしがたいわけですから、そこでお聞きするのですが、まず物産の会長さんにお伺いしますが、どうなんでしょうか、政治献金を喜んで積極的にお出しになっているのかどうか、その辺のところを正直に。
  386. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) ただいま先生が御指摘のように、商社はあまりつき合いのいいほうではございませんが、しかし、まあやはり応分のつき合いということもございますので、そのおつき合いの範囲内で拠出をしております。しかし、決して、私ざっくばらんに申しますと、喜んで拠出するとは申し上げかねます。喜んでというか――。別に他から圧迫されて拠出しているという意味ではありません。われわれは自分の意思からおつき合いをしているわけでございますけれども、それは、なるべく多いよりも少ないほうがよろしいかと思います。
  387. 野末和彦

    ○野末和彦君 そこなんですよね。政治家の方は大体みんなは喜んで積極的にどんどん参加していると、そのあらわれがお金になっているんだというふうに考えておられるようなんで、で、私のほうは企業のほうにアンケート出しまして、きょうの商社のお三方からは返事をいただきませんでしたが、集まった返事はみんな出したくないというんですね。あんまり出したくないんだがおつき合いで出すんだというんですが、このおつき合いが問題なんですね。その程度の軽い気持ちで出されて、それが積もり積もってどんな弊害を生んでいるかということまで考えますと、いや、おつき合いで、応分の範囲でということではちょっと済まないんですが、あれですか、割り当てがあって圧迫されているんじゃないとなれば、そのおつき合いにもある程度積極的な意思は働いているわけですね。結局、そのおつき合いはどういう目的を持ったおつき合いなんでしょうか。円滑に人間関係をやっていくとか、あるいはいろいろあるでしょう。その辺もうちょっと聞きたいんですが。
  388. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 私があんまり得意な問題ではございませんが、やはりわれわれも経済団体にいろいろ加盟しております。そういう経済団体の一員としてのおつき合いということは、やっぱり応分にしなければならないというふうに私は考えております。
  389. 野末和彦

    ○野末和彦君 物産のお考えは大体わかりまして、それでは伊藤忠と丸紅の方、それぞれ社長さんはどういうふうにお考えになってますか、同じだったら同じでもけっこうですが、やはり同じということはないと思うんです。それぞれ少しは違うと思うんです。
  390. 越後正一

    参考人(越後正一君) 結論は大体同じであります。自由経済を守るためにやむを得ない必要な経費と、応分に協力するということでございます。
  391. 桧山広

    参考人(桧山広君) 私どもも同じようなあれでございます。
  392. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうなると非常に無責任だと思うんですね。その程度のおつき合いだったら出す必要は全くないんじゃないかということなんですよ。じゃ、その応分のおつき合いが、まあ浄財とおっしゃるか、それとも経済界のおつき合いというのか、一体生きた金となっているか、死んだ金となっているか。商社ですからやはりむだな金はお出しにならぬでしょう。ですからその辺、生き金になっているか、死んだ金になっているか、しいて言えば、その浄財がプラスに働いているかどうかという点ではいかがですか。
  393. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) ただいま申しましたようなことでございますので、われわれはその金が、われわれの企業に直接生きておるということは考えておりません。
  394. 野末和彦

    ○野末和彦君 それでは別の角度からお伺いしますが、いま国民が政治献金に非常に疑問を持っている。私は悪いとは言っていないんですよ。フェアでない部分が多過ぎるから、それが国民の政治不信を招いているから、そこで問題があるというふうに考えておりますから、どうでしょうか、その利益の一部から軽いお気持ちでお出しになっている、直接プラスになっているかどうかもあまり考えないがというお答えでしたけれども、そのおつき合い料が実は国民の政治不信を非常に招いているんだということは、そういう認識はおありになるんですか。いや、もうどなたでももちろんけっこうなんですが……。
  395. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 私、これまたちょっと個人的なもののいい方で申しわけありませんが、私個人としてはやはり個人的なベースで献金が行なわれることが望ましいと、私はそういうふうに思っております。したがいまして、企業の政治献金という問題につきましては、それはそれよりも個人の形が望ましいということを申し上げておるわけであります。
  396. 越後正一

    参考人(越後正一君) 私どもは最初から反対給付を受け得られるというような希望をもってはやっておりません。やむを得ず皆さんのおつき合いをしておるということであります。
  397. 野末和彦

    ○野末和彦君 いよいよもう、そんなやむを得ず皆さんのおつき合いだというんだったら、やめてほしいですよね。もうそんなことで出している金だったらば、われわれからいえばやめるべきだと、それから自民党のえらい政治家の先生もそんな気持ちだとは思っていませんので、喜んでいるんだと、積極的政治参加の意思であるから断わるわけにはいかないんだというふうに考えて、非常にズレがそこにあるわけですね。そのズレは、お互いの間だったらかまいませんよ。しかし、いわゆる政治献金というものに関するいろいろな弊害、それを考えたときには、そんなあやふやな金だったらやめるべきであるというふうに考えますが、このままずっとまだおつき合いを続けていかれるんですか、それとも、できればやめたいんだから、ある時期を区切ってはっきりした態度をとってもいいというお考えですか。どうなんでしょうか。あまりにも何か社長とか会長という立場にしてはちゃらんぽらんで、政治献金というものを一体いま国民がどういうふうに考えているんだと、特にいろいろ最近のように問題が出た場合に、企業と政治が癒着しているんじゃないかと、何かその実態が明らかにならないだけになお不信感がつのるというようなとこなんですが、どうなんですか。あまりにもちゃらんぽらんで、何かはっきりしないんですがね。
  398. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) ちゃらんぽらんのお答えをしたわけではございませんが、それは政治献金というものは、多いよりも少ないほうがいいということはもう私が申し上げたとおりであります。しかし、これはわれわれ、特に商社の立場から申し上げますと、自由経済体制を守るということは非常に商社の生命の問題でありまして、これが統制経済になるということは、私は国の経済の進歩としてもいいこととは思いません。したがって、自由経済を守るということにつきましては、これはもう商社の生命線であるというふうに私は考えております。そういう意味で、私は、おつき合いであっても、そういう支持政党を明らかにするというふうなことは必要なことではないかと、これが私の考えであります。
  399. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうなりますと、今度ははっきり目的があるわけですよ。自由主義経済を守るということの目的が出て、先ほどの単なるおつき合いとはちょっと違ってきますね。また、それでもいいと思うんですよ。当然商社の立場だったら、おつき合いよりも、むしろ自由主義経済を守るということのほうが私には意味がわかりますよ。そうなると、どうなんですか、どっちをほんとうと見たらいいんですか。おつき合いと生命線を守ると、えらい違ってくるんじゃないんですか。
  400. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) いや、それはいま申し上げますように、経済団体の一員としてのおつき合いをしておるわけであります。しかし、何も、たとえば全然きらいなものにそういう金を出すはずはないんでございまして、それはおつき合いとして、おつき合いの結果がやはり自由経済体制を守るということに通ずれば一番いいことじゃないかと、私はこういうふうに思っておるんです。
  401. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうしますと、企業としてより個人でお出しになったほうがいいんじゃないですか。企業としてお出しになると、株主とかあるいは従業員とか、全部の総意というものもまたそれなりに大事じゃないかと思いまして、いまの物産の会長さんの論理でいきますと、やはり当然企業が出すんでなくて、少ない額であっても、これは個人のポケットマネーで出すのが筋じゃないかと、そういうふうに思いますが、それだったらぼくはそれでかまわないと思うんです。
  402. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 会社の経営に差しつかえるほどの多額の金は出しておりませんので、その点は御了承いただけると思いますが、私が、本来、先ほど申しましたように、支持政党は個人の色で明らかにすべきだと、私はそういうふうに思っているんです。したがいまして、そういう組織ができますれば、それぞれそういう形のところに所属すればよろしいんじゃないかと思いますが、そういう組織が現在は私はないんじゃないかというふうに思います。また、個人としてはなかなか現在の収入でもってしますと、わずかな拠出しかできませんですが、それは御承知のとおりだと思います。
  403. 野末和彦

    ○野末和彦君 それでは、伊藤忠と丸紅の社長さんにお伺いしますが、いまの物産の会長さんの意見で非常にぼくは興味を持ったところは、自由主義を守るんだという点ですね、そのために好きなところに出すんだと。私は反対で、好きなところ守るためには、きらいなほうにも出しておくのがつまり当然。なぜならば――いや、お金がほしいとかそういうことじゃない、一つの党に片寄ることが、結局は自由主義を守りそこなうことにもなるし、その辺がだいぶ、これは考えの違いですが、桧山社長と越後社長はいかがですか、あくまでもおつき合いでお通しですか、それとも……。
  404. 桧山広

    参考人(桧山広君) 私はやはり先生がおっしゃるように、個人でやるということが非常に理想型だと思います。まあしかし、自由主義を守る守らぬということよりも、やはり法人、企業が一つの、社会構成の一メンバーであるということで、やはり国の施策に発言もし、あるいはよりよい政治をやっていただきたいということはもう当然なことだと思います。したがってまた、法人が与野党を問わずそういういい政治をやってくださるところに、そういう何ですか、献金をするとかということは、これは各自の自由ではないかと、こういうふうに考えます。
  405. 越後正一

    参考人(越後正一君) 私も同じ、結論は一緒でございますが、いい政治をやる党というものは幾つかありますので、それに対しまして協力すると、先ほど少し脱線していやいやながらということばを使ったように思いますけれども、訂正いたします。(笑声)
  406. 野末和彦

    ○野末和彦君 いや、もうとにかくだいぶ意外――びっくりというか、何しろお金か、いい政治であろうが、それは自由主義守るのはいいですが、その金が結局は政治を腐敗させるというか、国民の政治不信を招くという弊害を生んでいるんですよ。その認識があるかないかが一番お聞きしたかったところなんで、さっぱりないようなんで、実にどうも、やはりこれはいつになっても企業と与党のお金による癒着はなくならないんじゃないかという気がしましたがね。  時間もきましたので、最後にお伺いしますが、この間できました会社臨時特別税法ですけれども、あれが通ったことで、率直にお三方はどういうふうに思われていますか。何かわれわれ野党はあれじゃとてももの足りないと思っておりますが、やはりそちらでは、何か財界では自民党がどうも野党に押し切られたとか、世論に負けてこんなことをやったとか、非常に不満なような感じを聞くんですけれども、実際のところはどうでしょう。あれでもやはりちょっときついというのか、それともあのくらいはこの際当然だったと思われるか、結果についての意見をちょっとお聞かせ願いたい。それで終わりにします。
  407. 橋本栄一

    参考人(橋本栄一君) 御質問の点の税金は、それは高いより安いほうがよろしいと私は思います。だけれども、現在の日本というのは、私自身の考えでは、ある意味では非常時であります。ある意味では非常時であります。したがいまして、企業もある意味の増税に対して喜んで負担するということは私は必要なんじゃないか、これは永久に高い税金が続くということは私は困りますけれども、現在の経済情勢というものは、私は一つの危機感を持っております。そういう意味では、私はある程度の負担増はやむを得ないというふうに私自身は考えております。
  408. 桧山広

    参考人(桧山広君) かなりあれによって法人の実効負担税率が上がってまいってきているとは思いますが、しかし、こういう時代ですからやむを得ないと思います。ただこの税金を、せっかくの税金ですので、大いに有効適切に使っていただきたいということでございます。
  409. 越後正一

    参考人(越後正一君) 私も前二人と同じ意見であります。時局柄やむを得ないというぐあいに考えます。
  410. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じます。  参考人各位には長時間にわたりまして貴重な御意見を賜わりましてありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。(拍手)  明日は午前十時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十五分散会