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1974-03-28 第72回国会 参議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)    午前十時五分開会     —————————————    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      塩見 俊二君     梶木 又三君      須原 昭二君     中村 波男君      高山 恒雄君     栗林 卓司君      中沢伊登子君     木島 則夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鹿島 俊雄君     理 事                 片山 正英君                 嶋崎  均君                 西村 尚治君                 細川 護煕君                 吉武 恵市君                 小野  明君                 加瀬  完君                 矢追 秀彦君                 高山 恒雄君     委 員                 今泉 正二君                 小笠 公韶君                 大竹平八郎君                 川野辺 静君                 木村 睦男君                 熊谷太三郎君                 黒住 忠行君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 高橋 邦雄君                 玉置 和郎君                 寺下 岩蔵君                 内藤誉三郎君                 中村 禎二君                 中村 登美君                 米田 正文君                 神沢  浄君                 辻  一彦君                 中村 波男君                 羽生 三七君                 前川  旦君                 宮之原貞光君                 峯山 昭範君                 栗林 卓司君                 中沢伊登子君                 加藤  進君                 須藤 五郎君                 野末 和彦君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        文 部 大 臣  奥野 誠亮君        厚生大臣臨時代        理        国務大臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君        農 林 大 臣  倉石 忠雄君        通商産業大臣   中曽根康弘君        運 輸 大 臣  徳永 正利君        労 働 大 臣  長谷川 峻君        建 設 大 臣  亀岡 高夫君        自 治 大 臣  町村 金五君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       保利  茂君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    政府委員        総理府統計局長  川村 皓章君        行政管理庁行政        監察局長     大田 宗利君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛施設庁長官  田代 一正君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        経済企画庁長官        官房参事官    有松  晃君        経済企画庁国民        生活局長     喜多村治雄君        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  仁君        環境庁自然保護        局長       江間 時彦君        大蔵省主計局長  橋口  收君        大蔵省理財局長  竹内 道雄君        大蔵省理財局次        長        井上 幸夫君        大蔵省国際金融        局長       松川 道哉君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        文部省体育局長  澁谷 敬三君        文部省管理局長  安嶋  彌君        厚生大臣官房長  曾根田郁夫君        農林大臣官房長 大河原太一郎君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        食糧庁長官    三善 信二君        通商産業審議官  森口 八郎君        通商産業省機械        情報産業局長   齋藤 太一君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        資源エネルギー        庁石油部長    熊谷 善二君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省自動車局        長        中村 大造君        労働省労働基準        局長       渡邊 健二君        労働省職業安定        局長       遠藤 政夫君        建設省計画局長  大塩洋一郎君        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省財政局長  松浦  功君    事務局側        常任委員会専門        員        首藤 俊彦君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和四十九年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十九年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算  昭和四十九年度特別会計予算  昭和四十九年度政府関係機関予算  以上三案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、神沢君の質疑を行ないます。神沢君。
  3. 神沢浄

    神沢浄君 きのうの答弁から。
  4. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 昨日の加瀬先生質問も加えての先生最後の御質問に対して、私も政治家として何らかの神沢先生に対する前進したお答えができればと心に思ってはおりましたが、官房長官と相談をいたしましたけれども、やはり政府を代表して官房長官が署名捺印したものを変更することは不可能であるという結論に到達いたしましたことを、まことに申しわけなく存じます。
  5. 神沢浄

    神沢浄君 私もたいへん不満足に思うんですが——と言いましても時間の関係がありましてこの問題だけに集中しておるわけにもまいりませんから、一応当問題につきましての質問はここでおきます。おきますが、今後機会を求めてさらに追及と検討は進めてまいりたいと、こう考えておるところであります。  ただ、昨日の御答弁の中で、支払い意思については変わりはない、もし支払いの条件が整えば予算が切れましても予算追加措置等は当然講ずる所存である、このような御答弁だったと思いますけれども、その点はだめ押しをしておいてよろしゅうございますか。
  6. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 仰せのとおり、会計法によって、繰り越し予算使用は、執行は今三月三十一日をもって終わりますので、これは不用に立てざるを得ません。ただ、この事態を予測しておりませんでしたため、昭和四十九年度予算にその措置がいたしてございませんので、昭和五十年度予算にその措置を、支払いのできる予算措置を講ずるつもりでおります。大蔵大臣も御異存はありません。
  7. 神沢浄

    神沢浄君 じゃ次の問題に入ってまいりたいと思いますが、まず大蔵省にお聞きしたいのですが、国有財産払い下げについての法律制度上の手続の御説明をいただきたいと思います。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 重要な案件につきましては国有財産審議会に付議するわけであります。国有財産審議会中央審議会地方審議会がありまして、まず中央審議会に付議しその細目につきまして地方審議会に付議すると、かような手続になっております。
  9. 神沢浄

    神沢浄君 そういたしますと、その手続以前には、たとえば内閣総理大臣でも大蔵大臣でも、売り払いの約束だとか、相手をきめたり売り払いの方法をきめるというようなことはできないと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この審議会に対する付議はこれは諮問なんです。こういうふうにこの財産は処理したいと、こういうことでその方針政府としても持たなければならないと、こういうことであります。大かた大蔵大臣が単独できめまして、そうしてその方針をもって審議会に臨むということになりますが、事関係各省関係がありましたり、それから重要な案件というようなことにつきましては、閣議の了承を求めてその審議会に臨むと、こういうことも間々あることでございます。
  11. 神沢浄

    神沢浄君 私は、国有財産の売り払いの問題についてたいへん不明朗に感じておる事実が一つありますので、その点をこれからお尋ねをしていきたいと思うわけですが、それに先立って、昭和四十五年の七月四日に富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合組合長渡辺孝二郎防衛施設庁長官山上信重との間に取りかわされた覚え書きというものがありますが、これを政府側でもって読んでいただきたいと思います。ちょっと長いから前文と二項と六項だけでいいです。
  12. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) ただいま御指摘昭和四十五年七月四日付の覚え書き前文には「覚書」「北富士演習場自衛隊使用転換することにつき、富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合長(以下甲という。)と防衛施設庁長官(以下乙という。)の間で協議中のところ、昭和四十五年七月四日現在、乙は次のとおり措置する方針である旨提案し、甲はこれを了解したので下記のとおり覚書を交換する。」。次に「記」とありまして一から順次ありますが、第二項「甲が上記1の林業経営再建整備事業を実施するための用地として払下げを希望している国有地宇梨ケ——檜丸尾——土丸尾等軍用道路北側)については、乙は、本演習場使用転換の際に約百五十ヘクタール以上の区域返還の実現に努めるとともに、甲が関係機関払下げを申請した場合は、乙はこれに協力する。」。それから第六項でございます。六項「甲は、東京地方裁判所に提訴中の自衛隊違法使用排除訴訟の進行を停止するよう努めるものとする。また、甲は、上記2の国有地の甲に対する払下げ方針が決定した場合には、本訴訟を取下げ、自衛隊への使用転換賛成意思表示を行なうものとする。」。昭和四十五年七月四日、覚え書きの当事者は富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合組合長渡辺孝二郎防衛施設庁長官山上信重、以上でございます。
  13. 神沢浄

    神沢浄君 私も若干その間の事情を知る一人でありますが、ただいま読み上げていただきました覚え書きの中で明らかなように、これはもう明確に取引なんですね、取引。当時係争中の自衛隊違法使用排除裁判が、おそらく見通しとしては国側が負けそうだった。したがって、その裁判取り下げ目的として百五十ヘクタール以上の国有地払い下げるというこういう内容でもって取引をした。その取引が結果になってあらわれるわけでありますが、この際、三月三十日の閣議了解事項というのを政府側でこれを読んでいただきたい。
  14. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 昭和四十八年三月三十日付閣議了解北富士演習場使用に関する措置について」   政府は、北富士演習場自衛隊及び米軍による使用について、その正常化をはかり、併せて演習場使用周辺地域の発展とを両立させるため、次のとおり措置するものとする。    本演習場米軍から返還を受け、引き続き自衛隊演習場として使用するとともに、米軍に対しては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二条四項(b)の規定に基づき使用を認めるものとする。  二 前記一の措置に伴い、国道一三八号線寄り国有地約二一〇ヘクタール及び富士山頂寄り県有地約一、三〇〇ヘクタールは本演習場から除外するものとする。    なお、将来米軍が本演習場を必要としなくなったときは、本演習場内国有地等地元利用面積の拡大について改めて検討する。  三 本演習場使用地元民生の安定とを両立させるため、山梨県及び演習場周辺地方公共団体富士吉田市、山中湖村、忍野村及び富士吉田市外二ヵ村恩賜県有財産保護組合)に対し、次の措置を講ずるものとする。   (1) 周辺整備事業の実施については、この地域特殊性に立脚した地元要望を勘案し積極的に推進するものとし、これに必要な助成措置を行なう。   (2) 前記事業に対する地元負担の軽減をはかる等のため、関係法令の運用の改善等について積極的に検討する。   (3) 林業整備事業を実施するため、国有地約二一〇ヘクタールの払下げを行なう。  「付記」がございまして、   前記周辺整備事業に対する山梨県案は障害防止対策事業道路改修事業及び民生安定事業等総額一三〇億円であるが、政府はこれを尊重し、昭和四八年度から山梨県と協議のうえ、具体的計画を樹立し、予算の範囲内において実行に移すものとする。   以上でございます。
  15. 神沢浄

    神沢浄君 お聞きのとおり昭和四十五年、いわゆる協定締結の三年前に行なわれております防衛施設庁とそれから富士吉田市外二ヶ村恩賜県有財産保護組合との間に係争中の裁判取り下げのための私はこれは密約だと、こういうわけなんですが、取引覚え書きが手交されて、それに基づいて昨年の三月三十日の閣議の中におきましては、二百十ヘクタールの国有地を同組合払い下げをするということがきまってきているわけであります。しかも、民生ではない、林業整備事業というような目標を掲げておりますが、これは大臣方も御承知のように、山中湖それから川口湖という富士五湖を代表するような景勝の地帯を結んでおる国道百三十七号線の沿道でありまして、林業整備などというものとは全く似つかわしくない場所であります。最近などはあの付近はほとんど地価にしましても坪五万円を下らぬでしょう、こういうような土地のこれは取引なんです、私どもから判断をいたしますと。全くこれは目的をどう掲げてあろうともたいへん不明朗きわまるものだと、こう考えているわけなんですが、いまこの払い下げの問題につきましては、作業はどんなように進行しておるんでしょうか、これをまず先に承りたいと思います。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府では一応閣議了解に基づきまして政府としての考え方をきめたんです。そこでその政府考え方は二百十ヘクタール、問題の二百十ヘクタールを、これを恩賜林組合払い下げる、これが適当であろう、こういうことでございますが、そういう方針がとにかくきまりましたので、その方針にのっとりましていま国有財産中央審議会のほうへ諮問をしておる、こういうことでございます。その諮問案を受けました国有財産中央審議会はどうしているかと、こう申しますと、まだ防衛庁のほうの調査資料、そういうものが整いません。そういうようなことで審議に入っておらないと、こういうのが現状でございます。
  17. 神沢浄

    神沢浄君 そこで、私は環境庁長官にお伺いをしたいと、こう思うんですが、さっきもちょっと御説明をしましたように、これはもう富士箱根伊豆国立公園のどまん中に位をする、山中・河口湖を結ぶような、まことに目抜きの場所なんです。大体年間にこの地を訪れる国民の数は数万にわたります。したがって、現在これは請願などにもあらわれておりますが、数が、あの地を国民保健休養場所にしてもらいたいという希望は、それはもう非常に強いものがあるわけです。せっかくの国有地を、私どもからすれば、自衛隊演習場目的のための取引のために、ここでもって林業整備とかいうような名目をつけて放してしまうなんというのは、やっぱり国の政策上から考えましても、私は、ちょっと不明朗というか、まことに妥当じゃないと、こう考えざるを得ないわけなんですが、環境政策上の見地からも、長官の御意見をひとつ承りたいと思います。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま御指摘になっておる地域は、富士箱根伊豆国立公園区域の一部に接近しておりますし、また、公園利用幹線道路である国道百三十八号線、これがやはりこれに沿うておるわけでありますから、まあ国立公園としてその風致を維持することが適当だとわれわれも考えておるわけであります。山梨県側としても、これを国立公園に編入するという強い要望があるようでありますから、そういう手続をとられるならば、われわれもこれを国立公園に編入をするようにしたいと考えておる次第でございます。
  19. 神沢浄

    神沢浄君 自治大臣にちょっとお尋ねをしておきたいと思うんですが、さっきも触れましたように、大体近傍類地価格から判断をいたしましても、坪五万円を下らないような土地なんです。二百十ヘクタールというと三百十五億くらいになります。地方の一事務組合が三百十五億というような金の調達などは、これはもう絶対できない。したがって、いま町には、どうもこの問題の背景には相当大きな観光資本が介在しているんじゃないかというような説が、ちまたにはしきりにあります。こういうような事情の中で、もしこれが実行されるときになれば、これは起債などにまたざるを得ないでしょうけれども、そんな金のめんどうは自治省ではなされるんですか、またなさるおつもりでしょうか。と同時に、自治体、特に一部事務組合というような性格の上からしまして、このようなものの売り払いの対象として妥当だとお考えかどうか。この点の意見をお伺いをしておきたいと思います。
  20. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいま問題になっておりまするその土地一体評価がどれくらいに相なるものかというようなことを私ども全く承知はいたしておりません。まあしかし、二百十ヘクタールという、かなり広大な土地でもございますし、近ごろは地価がだいぶ上がっておるというようなことからいたしまして、もしその全体の払い下げを受けるということになりますれば、これは相当な価格になるのではないかということは私どもも想像にかたくない次第でございます。したがって、現在の組合が、その価格いかんにもよると思いますけれども、どの程度の力のあるものでございますか、聞くところによりますると、年間財政規模は二億円程度というふうなことに聞いておりますので、いま神沢議員が御指摘になりましたようなばく大な金額になりますれば、とうてい自力でこれを調達するということはなかなか容易なことではない。私ども自治省に対しましては、まだその組合がそういった払い下げに要する資金等について私どものほうに起債等の申請をしておるというような事実は全くございません。そういう場合になりますれば、一体はたしてそれが許可できるものかどうか、その段階でひとつまた検討をいたすべきものと、かように考えております。
  21. 神沢浄

    神沢浄君 適格性はどうですか。払い下げ対象として一部事務組合適格性を持つかどうかという点はどうでしょう。
  22. 町村金五

    国務大臣町村金五君) その組合は、御承知のとおり、かなり現在でも広大な土地を保有をしており、いまでもそういうものの維持管理をして相当の収益をあげておるというような状態でございますので、私は、その組合がそのどこの土地をどういうふうに買うかは別として、組合自体がそういった土地を保有するということは法的には差しつかえがないものではないかと、かように考えております。
  23. 神沢浄

    神沢浄君 文部大臣伺います。  今日、東京の中などに、大学をはじめ、学校がメジロ押しに集まっておりまして、いま国民の間には、もっと教育環境の整っておるところに学園都市などを待望するような考え方というものは相当強まってあるというふうに私ども判断をいたしております。たとえば、この富士岳麓などにつきましても、これはもう富士を擁してあの雄大な自然環境の中で、教育環境としては、私どもしろうとが考えましても、まことにすぐれたものだろうと思うわけでありますが、富士岳麓等学園都市構想というようなものを国に求めるような声もかなりあることを承知をいたしているわけであります。そういうような状況の上において、せっかくの国有地を、国としては、事情いかんは別にいたしましても、手放してしまうというようなことは、文教政策上の立場からも、私は大臣の御意見などここで承っておきたいと、こう思うのですが、御所見を承りたいと思います。
  24. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 現在、文部省におきましては、全国的に均衡のとれた学園の配置を心がけたいということで、新学園の建設ということに鋭意調査を進めておるところでございますので、自然環境のよいところ、これは教育の場としても適当なところだと、かように考えるわけでございます。御指摘地域につきまして、いま検討対象にはしておりませんけれども、将来ともよい場所が容易に確保されるという場合には十分に検討に値する地域であろうと、かように考えております。
  25. 神沢浄

    神沢浄君 時間の制限がありますから、まことに不本意でありますが、端的にお伺いをいたしてまいりますが、行管庁長官にお聞きいたします。  昨日来の論議をお聞きになっていただいておると思うのですが、たしか林雑補償の問題については関係団体から陳情がいっておるはずであります。この払い下げの問題につきましても、やっぱり同様の申し入れがされておるように私は聞いております。そういう点でもって、行管庁としてはこれらの問題についてどのように御検討になっておられるか、また、長官とすればどのような御意見をお持ちであるものか、この際お聞きをしておきたいと、こう思います。
  26. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 昨日来のお話につきましては、この三月の初めごろ、関係方々行管庁にお見えになって、そして監察局長、直接お話も伺って、何とかこの事態円満収拾方がはかられなきゃならぬというようなことで、相当突っ込んで陳情趣意を受けて調査をいたしました。調べました。どうも昨日来のお話しのようなことで、やはり演対協を通じて補償手続をやっていただく以外にはどうもないということで、そのほうは行管として、それ以上のことを申し上げるということはちょっとできないというような結論になりまして、それで陳情方々に対しても、よくその趣意を申し上げたようでございます。よく事情を私は聞き取りましてみますと、そういういきさつになっておるようでございます。いまの払い下げの問題、あわしてこれはまあ一環となってこの覚え書きが持たれているようでございますし、これはやはり政府当該山梨県知事との間の覚え書き趣意に沿うて処置されていかなきゃならぬ。それには、いまお話しのようなことは十分頭に置いてやるべきであろうと、こう考えるわけでございます。
  27. 神沢浄

    神沢浄君 それぞれの御意見を承って、時間が許されるならば、私はもっと自分の見解も述べて論議を深めたいと、こうも思うところですけれども、もうすでに残念ながら時間が経過してしまっているわけでありますが、最後大蔵大臣にお伺いいたしたいんですけれども、これは朝日新聞ですが、朝日新聞の報道によりますと、「国有地利用方針などを検討する国有財産中央審議会は十四日、」——今月の十四日だと思いますが、「十万平方メートル以上の大規模国有地と二、三百平方メートル以下の零細地を除く、中規模国有地は今後払い下げをしない、という方針を打ち出した。同審議会は、この方針をふまえて大規模及び零細国有地についても、産業用払い下げを厳しく制限し、公共利用の原則を中心とする答申を福田蔵相に提出した。」と、こうあるわけなんです。この点についての御見解と、それから、もしこれを尊重されるならば、私は、いま論議の的にいたしております、この二百十ヘクタールについても、当然それに即した方針がしかるべきだと、こう考えるところでありますけれども大臣の御所見を承りたいと思います。  委員長、おそれ入りますが、ちょっと重要なところですから。
  28. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) あと一問。
  29. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大蔵省としては、かねて国有財産というものは非常に貴重な国の財産であると、そういうふうな認識でございます。むしろ、この国有財産をふやしたいくらいな気持ちをもってこの行政に臨んでおるわけであります。国有か、公有かというようなこともありますが、そういうむずかしい原則論は別といたしまして、国有財産はみだりにこれを処分すべからずと、そういう考え方でやっておるわけでございまして、この考え方につきましては、私はいまでも変わっておりません。まあよくよくの事情のあるもの、そういうものにつきましては、これが国家的に国有という形にしておくのがいいのか、あるいはこれを手放すのがいいのかということを判断すべきと、こういうふうにいま考えておるわけでありまして、いままだ私は国有財産中央審議会の建議、これを受けておりませんので、この建議につきましては、私まだ所見を申し上げられませんが、私がいま申し上げましたような趣旨を再確認すると、こういうような趣旨でありますれば、私も全く同感だと、そのとおりにいたしてまいりたいと、かように考えております。  ただ、いま問題になっておりますこの富士演習場のあと地の問題でございます。これはとにかくいろいろのいきさつがありまして今日に至っておる。そして関係各省においても相談いたしまして、これは恩賜財団への払い下げ、これはやむを得なかろうと、こういうことに一致いたしましたので、これは特例中の特例であるというようなことで、国有財産中央審議会諮問をしてみたいと、こういうふうに考えて、ただいまその手続を進めておると、かように御理解願います。
  30. 神沢浄

    神沢浄君 これで終わりますから。  いま特例中の特例というお話がありましたが、私はその特例というのに非常に疑問を抱くんです。国家の方針が肝心なところでもって、特例でもってその穴があいていけば、私は、国の方針というものはこれは成り立たないじゃないかと、こう思うわけなんです。昨日来、時間の関係でたいへん不備だったですけれども、私は自分の考え方に基づいた論議を進めてみたつもりであります。これはおそらく山中防衛庁長官といえども、いま国がとられておるところのその措置が明朗で妥当なものだなどとは考えておられぬだろうと思います。また、この二百十ヘクタールの国有地払い下げにつきましても、あの富士の目抜きの場所を単に一個の団体に渡してしまうなどということは、とにかく国有地を取得するために環境政策上あるいはその他の国の国家的な見地から国がたいへんいま努力をされておるようなさなかに、それをわざわざ手放してしまうなどというようなことは、一方においては、やっぱり演習場存置のための条件として取引をされているわけであります。特例中の特例と、こうおっしゃられましたけれども、これらの特例というようなものがやはり認められていけば、肝心な環境政策にいたしましても、あるいは国民保健の問題にいたしましても、教育上の問題にしましても、大きくやっぱり抜け穴としてあいていってしまうではないかという点を私は憂慮してやまないわけであります。しかも、それだけでなしに、その原因はすべてやっぱり軍事政策ですよ。軍事政策がもとになって、こういうような事態が起こっているわけでありますから、私はまあその点を特に憂慮するわけなんです。もし、こういう状態がさらに進んでいくということになりますと、たいへん忌まわしい思い出ですけれども、かつての問答無用、無法がまかり通ったような軍部横暴のような事態がまた再現しないとはだれも保証できないと思うんです。そういう点を考えるからこそ、私は私なりに政府に猛省を訴えたいと、こう思ったのでありまして、質問はこれで終わりますけれども、私の所信はひとつ御認識をいただきたいと、こう思います。ありがとうございました。(拍手)
  31. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて神沢君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  32. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 栗林君。(拍手)
  33. 栗林卓司

    栗林卓司君 私は、自動車関係諸税の増税問題を一つの話の中心にしながら今後の交通政策の問題についてお伺いをしたいと思うんです。  今回の自動車関係諸税の増税というものは、あらためて申し上げるわけではありませんけれども、国に関する増税による税収増というのは初年度で二千億をこえていると思うんです。これは法人税の増収額初年度二千百十億円をも上回っている非常に大きな増税額だと思うんです。問題は、この法人税と自動車関係諸税の問題について一つあらためて申し上げたいのは、同じように二千億円をこえる増税だとは言いながら、法人税の場合には企業の利益に対して課税されるわけですから、利益が出ない場合には当然のこととして法人税を納める仕組みにはなりません。自動車関係諸税はどうかといいますと、これは主として自家用自動車に対して課税をされていくわけですけれども、保有の内訳を見ると企業が持っている自家用自動車というのは大体二割ぐらいだと推定されます。この二割ぐらいの企業は利益が出ていようといまいとその税金は取られる。残り八割は何かといいますと、これは一般国民が負担をするわけです。個人の家計から支出される。それが、理由は別として、非常に巨額な大幅増税が行なわれたということを一つ前置きに申し上げておきたいと思います。  もちろん、そんなに税金を上げて、では産業面でだいじょうぶかという議論はあると思います。これもだいじょうぶだということは全然言えない話でございますし、たとえば二月の国内販売を見ると、去年の販売実績よりも落ち込んだのはもちろんとして、一昨年に比べてもなおかつ落ち込みました。三月はどうかといいますと、三月と言えばたいへん変わった月でして、決算月にあたる、来月からは関係諸税が増税になる、この際ということで売り上げ、販売がふえることが普通は期待される月なんです。ところが、三月の販売はどうかといいますと、去年に比べて落ち込んだのはもちろんとして、いまを去ること数年前の昭和四十五年度の三月同日現在の実績に比べても落ち込んでいる。そこに向かって来月からまたこの巨額な増税が来るというのは、ことばを選ばないで言えば、首つりの足にさらにおもりをぶら下げるようなことになるわけです。  はたしてそれでよろしいのかということを、ひとつこれは御理解を求める意味で申し上げておきますけれども、自動車産業というのはそれは大多数の中小企業で構成されている産業なんです。なるほど表向きには大企業がぎらぎら目につきますけれども、これが分担している部分というのはごく一部であります。したがって私は、かねて持論なんですが、自動車産業というのは中小企業産業であるという理解をすべきだと思うんです。では、どのぐらいの人が働いているのかといいますと、関連を含めて言えば三百六十万をこえる人たちがこの自動車の製造、販売、補修ということで暮らしを立てているわけです。それが何と三月では昭和四十五年度よりも落ち込んでしまった。理由はいろいろあると思います。そこにもってきて、四月からはさらに増税、首つりの足にさらにおもりをつけるようなことをやって雇用問題に心配がないかということは確かにある。これをきょう申し上げるつもりは毛頭ないんです。あくまでもこの税金というのは大半が国民が払うんだということでお伺いをしていきたいと思います。  実は、この間、自動車を使っているある団体の人たちと話をしてたんですけれども、こういうことを言ってました。何とか自動車メーカーのはでな広告をやめさしてもらえないか、あんなことをやるものだから、自動車けしからぬという話になって、とどのつまりはとばっちりでおれたちが税金を払う。ですから、何か自動車関係諸税というと産業問題だと短絡して考えがちなんですけれども、これはあくまで国民が負担をしている。家計から出していく税金であって、しかも巨額な増税を今回行なったんだということを前置きに申し上げておきたいと思います。  きょうお伺いしたいのは、そういう国民の暮らしとの関係で自動車交通というものをどう考えていったらいいんだろうか。そこでまず、たまたま税のことが発端になりますので、順序として大蔵大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、この自動車交通というものをわが国の交通政策の中でどう位置づけていくのでしょうか。簡略でけっこうですから御意見を承りたいと思います。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 自動車交通のわが国交通体系の中の位置づけ問題、これはなかなかむずかしい問題でありまして、いわゆる交通総合政策体系というものが常に議論されるのもそこにあるだろう、こういうふうに思うんです。ただ、大きく言いますると、これはいま自動車交通問題というものがかかえている幾多の問題がある。一つは、何といっても公害の問題です。自動車からふき出されるところの公害、この問題をどういうふうに処置するか、こういう問題が一つあります。それからもう一つは資源問題です。つまり自動車がガソリンを使う。この状態をこれを資源問題の立場から見てどういうふうに考えるべきか、こういう問題が近時いよいよむずかしく論ぜられるような時期になってきておる、こういうことでございます。それから自動車の生産、普及、その状態と道路網の整備、これがなかなか調和しにくい、こういう問題がありまして、それでこれは終局的には、とてもに考えましても、これはなかなか道路整備というものをいまの勢いの自動車生産に追いつけるということはこの狭い国土の日本としてどうだろうか、こういう問題がありまして、やはりこれは世界各国がいま一つの傾向としてとらえておる大量輸送運輸手段、こういうものを考えなければならない時期に来ておる、こういうふうに思うわけでございます。しかし、当面どうするかという問題につきましては、これは長い先々の問題は別といたしまして、道路を整備し、そして自動車交通あるいは自動車運輸、こういうことにつきましてもそれ相応の任務を担当してもらわなければならぬ、これが現状じゃあるまいか、かように考えております。
  35. 栗林卓司

    栗林卓司君 公害問題がある、あるいは石油を中心にした資源問題がある、道路整備の問題がある、御指摘のとおりなんです。ただ、そういったものを踏まえながら今後の交通政策の中で自動車交通をどう位置づけていったらいいんだろうか。これは困った困ったではほんとうは済まないだろうと思います。  そこで、経済企画庁長官にお伺いをしたいと思うんですが、同じ質問をします。今後のわが国の交通政策の中で自動車交通というものをどう位置づけていったらよろしいんでしょうか。
  36. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) これは栗林さんのお耳にも入っておると思いますが、今後の輸送政策といいますか、輸送構成といいますか、そういう中において自動車、すなわち道路に依存するたてまえと、それから鉄道等に依存するたてまえとどのように組み合わすべきかということについては、民間あるいは学界の学者等をも含めましていろいろ議論があるようでございます。これはまあ非常に問題があるところでございます。しかし、現状におきましては、自動車が、鉄道でありますとかあるいは海運とか航空とか、そういうものと対比をいたしまして旅客を運んでおるその数量、これはまあ詳しくは人キロといいますか、あるいはまた貨物のトンキロというようなもので計算をしてみますと、これはもう釈迦に説法でありますが、非常に大きい割合を実は占めております。しかもいままでの状況をその他の経済社会発展計画と組み合わせて、たとえば昭和五十二年あたりの時点においてそのままの——まあ全然規制しないということではないんでしょうけれども、おおむねその傾向でまいりました場合には、いま私が申しましたような輸送が、これは人間であれ貨物であれ自動車に依存する割合というものは今日よりもなお大きなものになると、こういうような状況がございます。しかし、それはそのままでいいということではございませんで、たとえばエネルギーの問題とかあるいは社会投資の問題とかいうようなことを総合的に考えますときには、自動車というものは輸送上一番高能率であり、また社会経済上も一番価値の高いものであるとばかりも言えない、その辺にむずかしさがあると、こういうことを念頭に置かなければならない点もあろうかと思います。
  37. 栗林卓司

    栗林卓司君 せっかくのお答えですけれども、どうも合点がいかないんです。で、関係することですから、では同じ質問を運輸大臣に申し上げたいと思います。
  38. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 自動車の交通体系の中での位置づけでございますが、御承知のように鉄道等のいろんな設備と申しますか資本投下と申しますか、そういうものが輸送面において、特に貨物等においては立ちおくれたことは私どもも認めざるを得ないと思います。そういう面から道路の整備、そのほか自動車のいろんな面における自動車そのものの改善等によりまして輸送面において大きな力を持ってきたことは、伸びてきたことは御承知のとおりでございます。しかし、今後どういうふうにこれを位置づけるかという問題でございますが、いままででも中長距離の中に自動車に依存したという傾向が非常に大きく出てまいったわけでございますが、今後におきましては交通公害の問題でございますとか、あるいは交通事故の問題でございますとか、いろんな安全の問題等からも、中長距離は特に鉄道、軌道等にだんだんとこれは整備すると同時に力を入れてまいらなきゃならぬと思います。さらに港湾等の整備によって海上輸送にもこれを振りかえてまいらなければならぬと思います。しかしながら、御承知のように農山あるいは過疎地帯における交通機関、これは旅客も貨物もそうでございますが、自動車に依存することが非常に大きい、また海上輸送にしましても、鉄道にいたしましても、末端の輸送というものはこれはもう戸口から戸口でございますから自動車に依存しなければならないと思います。そういうものを総合的にひとつ今後省資源の立場から、あるいはまた公害等の環境保全の立場から見直して軌道を修正していかなきゃならぬと思いますけれども、いずれにしても、近距離の面の面におきます、いわゆる面の交通体系の中には自動車がさらに大きく今後活躍をしてもらわなければならぬ、現在も受け持ってもらっておりますけれども、そういう面では過疎地帯あるいは山村地帯とか、あるいは都市におきましても近距離の面の面においてこの自動車に依存することが非常に大きいと思います。大きいと思うし、また依存しなきゃなりませんが、汽車あるいは海上輸送の末端輸送、そういうような面等におきまして依存せざるを得ないわけでございますが、それにいたしましても、さらにこの自動車そのものの改善等についても今後心がけてまいらなければならぬと思っております。
  39. 栗林卓司

    栗林卓司君 企画庁長官にいままでの一連のことでお伺いしたいのですけれども昭和四十六年十二月、これは臨時総合交通問題閣僚協議会の名によって「総合交通体系について」というものをまとめました。これはもういまは死んでしまっているんでしょうか。というのは、いまずっとお話を伺ってみて、自動車が持っている交通の特性ということに触れたお答えは職掌柄でしょうけれども、運輸大臣からいただきましたけれども、ほんとうはそれぞれの交通機関が持っている特性に照らしてどういう交通を組み立てていくのかということを四十六年の十二月に臨時総合交通問題閣僚協議会できめたわけです。なぜきめる羽目に至ったかというと、このときに自動車重量税ができたのです。配分をめぐってやったんです。これは作文だけなんですか。いまのお答えの中でこれに触れた内容の話が全然出てこない。しかもこれは当時経済企画庁が中心になっておまとめになったものなんですけれども、この点は作文ではなくてほんとうに政府政策の中に生きてきたんでしょうか、いかがですか。
  40. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 昭和四十六年の時点では、いま私がここに持っておりますが、「総合交通体系について」としてまとめられたこの考え方に間違いはなかったと思います。また、これは今日においても死んでしまっているとは思いませんが、でございますから、たとえば昭和四十八年に経済企画庁を中心として政府でつくりました経済社会基本計画におきましても、先ほど私が触れましたように昭和五十二年の時点においては自動車輸送の人間の輸送、貨物の輸送に占める割合というものはなおそのシェアを増加する、こういう数字が参考に載っておりますし、そのことを私は申し上げました。しかし今日、いまきょうの時点に立って見まするときには、いまのエネルギーの問題、いま新しく起こってきていることも考えたり、あるいはまた社会資本の有効なる投資、そういうようなものを考えますと、道路とか鉄道とかいうようなことを考えます場合におきましては四十六年の総合交通体系そのままを伸ばしていけばいいものだとも私は思いません。ことにまた自動車の中における乗用車とその他の車種との関係などにつきましてもいろいろな予測や数値の延長比というようなものも示されたものもありましょうが、そういう自動車輸送の中身におきましても車種ごとの私は役割りが変わってくる面も当然に考えていかなければならないと思います。
  41. 栗林卓司

    栗林卓司君 私が拝見した総合交通体系で、なるほどと思っている点が幾つかあります。そこの一番なるほどと思ったのは地域別に問題を分けて取り組もうというかまえがわりあいにはっきりしている。大都市交通に対してはこうしていこう、地方都市並びに地方の域内交通はこういった考え方で取り組んでいこう、過疎山村についてはこうなんだ、また都市間の輸送についてはこうであるということで分けて考える。この分けて考えるというのがまず何よりも大切な出発点じゃないかという気がするんです。たとえば、いわゆるマイカーといわれているものも、行政的に見ますと、全部白ナンバー——自家用自動車として一括されます。事実上、業務用も入るわけですけれども、これが、では、どのぐらい普及しているかといいますと、四十八年三月の実態で見ますと、全国平均より自家用自動車の普及率が多いのは一体どこかといいますと、名前をあげます。四国、中国、東海、北陸、甲信越。では、問題の阪神、京浜はどうかといったら、全国平均に比べてがた落ちに低い。なるほど、総合交通体系が想定したように、地方別に自動車が持っている交通機能というのは、分けて国民が使っているということではないかと思います。そういったものと、今後どうするかということになるわけですけれども、先ほど来エネルギー消費云々という話が出るんで、通産大臣がおいでになりましたからひとつ先にお伺いをしておきたいと思うんですけれども、よく、自動車というのはガソリンがぶ飲みしてどうしようもないものだという話になるんですが、日本の自動車というのはガソリンを、国際的に見て、どのぐらいがぶ飲みをしているかという調査はしたことがございますか。——では、時間がもったいないです。こちらで申し上げます。非常にラフな数字ですから、このまんまこまかくは受け取れないと思いますけれども、一九七二年、アメリカで見ますと、年間、台当たりガソリン消費量というのは大体三キロリットル、これは、大型が主だからそういうことになる。英国、西独、フランスといったヨーロッパ系はどうかというと、ごく大まかに申し上げて一・五キロリットルぐらいを一年間で使っております。日本はどうかというと、昭和三十七年、当時は車が少なかったのでたいへん使われたということでしょう。一年間で二・六五キロリットルぐらい使っておりました。十年たった昭和四十七年になると一・二二ですから、半分以下に落ちました。というのは、車の台数の伸びとガソリン消費量の伸びというのは、決して並行的に動くわけではないんです。で、年々比べてみても、台当たりの一年間のガソリン消費量というのは毎年減ってまいりました。これはあたりまえだと思うんです。そこで問題は、片方でそういった使い方をしながら、では、そうはいったって原油の関係がどうかということになると思うんですけれども、原油の中でガソリンに分けている比率はわが国はきわ立って低いはずです。その意味で、エネルギーと自動車というのをあまり短絡して議論することは誤解を生むのではないかと思いますけれども、この辺の事情について御意見があったら伺います。
  42. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 日本での石油製品の中でのガソリンの割合は一一%ぐらいでございます。アメリカの場合には大体三〇数%という数字になっておりまして、ヨーロッパでも日本より相当高い比率になっておりまして、そういう意味では、自動車の普及の度合いの問題もございますけれども、日本のエネルギーの総体の消費の中に占めるガソリンの割合は、欧米諸国に比べますと非常に低い割合になっております。
  43. 栗林卓司

    栗林卓司君 それから、そのエネルギー消費をどうするかというのは、一面では技術開発の問題がからんだことだと思うんです。この点について、技術開発の見通しというのは全く期待できないのか。運輸大臣とするとどのような展望をお持ちですか。
  44. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 技術開発による問題につきましては十分いままででも検討はしておりますけれども、まだその成果というものは見るに至っていないのが現状でございます。
  45. 栗林卓司

    栗林卓司君 何でこうお伺いしているかといいますと、エネルギー問題がある、消費抑制問題があるということで、解決するべき交通という問題までこれは当面だめなんだと送られることは困る。技術開発で対策をすべきものはすればよろしいんです。しかも、全体の原油の中で、先ほども説明があったように、ガソリンの得率というのは国際的に見て日本はきわ立って低いんです。日本は原油を何に使ってきたかというと、ナフサを中心にした工業材料として使ってきた。それを、じゃどうするかということも片方では技術革新を考えながら対応していかなければいけないでしょうし、日本がエネルギー消費が——消費といいますか、じゃ、ガソリンの得率が少ないからふんだんに使っていいかと、そういうことをいま申し上げておるつもりはない。そういったものとどういう交通対策を講ずるかということをごしゃごしゃにして議論をされるのが一番困る。  そこで話は戻りますけれども、前の総合交通体系なるものが地域別に目的意識を分けて考えてきた。どのような分け方で考えていたのか御説明いただきたいと思います。
  46. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) 四十六年の総合交通体系の検討におきまして、先ほど御指摘のように、地域的にあるいは機能的に交通問題について分けて考えていくと、こういうやり方をとっております。  地域的に見ますと、一つは大都市内の交通、それから地方都市及び地方の域内交通、そうして第三は都市間交通、こういった形で分けて考えておるわけでございます。
  47. 栗林卓司

    栗林卓司君 いや、その分けた中身でどういう対応策を交通機関別に考えているかということを  一緒に言ってください。
  48. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) 大都市交通におきましては大量性、通勤、通学が中心というような問題とかあるいは大気汚染その他の公害問題ということも考えまして、いわゆる地下鉄その他の公共交通というものに非常に大きなウエートを考えていく。また、タクシー等につきましてもそれに応じた機能を考えていく。あるいは貨物につきましては、やはり近距離交通ということでございますから、これにふさわしい機能を考えていくと、こういうことでございます。しかし、どちらかといいますと、重点は地下鉄、鉄道、バスというような公共交通に重点を置いていくべきであると、こういうことになっておると思います。  それから地方都市及び地方の域内交通につきましては、何といいましても自動車が中心になるという考え方で問題が提起されておると、こういうふうに承知をいたしております。  都市間交通につきましては、鉄道のウエートが相当大きいわけでございますが、鉄道、海運さらに航空というものが競合的にむしろこれはそれぞれの機能を発揮していくということが望ましい。こういう形で先ほどの地域別の交通政策考え方ができておる、こういうことでございます。
  49. 栗林卓司

    栗林卓司君 何となく自信のなさそうな答弁なんですけれども、要するにいろんな交通があるんだと、個別にやんなけりゃいかぬということさえおわかりいただければけっこうなんです。  そこで、この総合交通体系の見直しが必要だという御議論がさっきありました。環境が変わってきたんですからよくわかります。ただそこの中で、自動車交通に対する考え方というのがありました。自動車交通に対する抑制の考え方としては、全国的、時間的に画一的なものと考えてはならない、この考え方はいまでも続いておりますか。経企庁長官伺います。
  50. 宮崎仁

    政府委員(宮崎仁君) 確かにこの石油問題等が出てまいりまして、また公害関係の問題もきびしくなってまいりまして若干条件の変化は出ておるわけでございますけれども、基本的には、いま御指摘考え方でやはり今後とも考えていくということで、私どもは現在検討をしておる最中でございます。
  51. 栗林卓司

    栗林卓司君 大蔵大臣伺いますけれども、まあ常識的なことなんですね、抑制は一律にやっちゃいかぬと、全国的に事情があるし、いろんな交通態様があるんだから、きめこまかにやんなさいということを言っているだけの話だ。それと、今回の自動車関係諸税というのは全国的に一律である。これはどうつなげて考えたらよろしいんでしょう。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまガソリン諸税につきましても、また自動車そのものに対する課税につきましても、これは地域的に区分をしているということはいたしておりません。これは非常にむずかしい手続になりますので、それは避ける。しかし、この総合交通体系上地域的区分を配慮すると、こういう問題は、むしろ自動車やガソリンに負担させるというその税の問題としてとらえるよりは、あるいは道路整備でありますとか、あるいはその他の環境のいろんな諸施設をどういうふうに整えていくかというそういう問題、運輸行政をそういう配慮でやっていくと、こういう角度でとらうべき問題であると、こういうふうに考えております。
  53. 栗林卓司

    栗林卓司君 では、今回の増税の御提案が、消費抑制、資源節約、平たく言うと自動車抑制ということで御提案になったんだ。道路予算との関係というのは今回あんまりつながっていない、御承知のように。したがって、二年間の暫定だという話がありますから、抑制的なねらいがきいていた。抑制しちゃいかぬのか。これはいかぬとは言いません。問題はどうやるか。そこで画一的にやっとやるやり方がほんとうによろしいんですかという意味で伺っているんです。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 税は、その性質として地域的な区分ということが非常にむずかしゅうございます。そういうので、税の面では画一的にやる。しかし、道路整備とかそういうただいま申し上げました諸問題につきましては、総合交通体系というその線に沿って地域的配慮もすると、こういうことかと思います。
  55. 栗林卓司

    栗林卓司君 重ねてお尋ねします。  ですから、税を抑制手段に使うことは自動車交通に関して間違いではありませんかと聞いているんです。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 税は、これはどこまでも政策目的とすると、これは補完的な役割りであります。これに多くを期待することはできない。しかし、この政策目的を遂行する、その上において税が補完的な立場におきまして有効であると、こういう際におきましては、他のいろんな諸問題とも総合配慮いたしましてこれを行なうと、こういうことかと思うんです。ですから、自動車諸税またはガソリン関連諸税につきましては、これは一方においては資源の節約と、こういうことを配慮しておるわけです。同時に、公害という問題もにらんでおる。さらに、先ほども申し上げましたが、道路の整備、それとの調合と、こういうことも配慮いたしておるわけであります。そういう諸問題は、これはもう税で全部片づけると、こういうわけにはいかない。やっぱりこれは本来の道筋というものがあるんですが、そういう三つの問題をとらえるときに、これは税もまた補完的に有効な役割りを演ずるに違いないと、そういう立場からガソリン関連また自動車関連の諸税の増徴を行なうと、こういうことにいたしたわけです。
  57. 栗林卓司

    栗林卓司君 日本の場合、いろんな問題が起きるのは、本来講ずべき政策が先行的に打たれないで、結局たよりにすがるのは税だけだという話で、税が政策的に使われ過ぎるんですね。ですから、おっしゃるように、ほんとうに補完的、中立的に税がきくんならよくわかるんですけれども、なおかつ今回は大幅に上げたわけです。  じゃ税の立場から一つ伺いますけれども、せめて担税力がどうかという調査はなさったんだろうと思います、これだけ上げるわけですから。そういった意味で、各種各様、地方によって用途によってさまざま違う。じゃ一体どんなぐあいにこの車というのが今日使われているんであろうかという調査も本来はすべきであったと思いますけれども、この点についていかがですか。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ、今度の税の引き上げは、担税力にそう実質的に響くというほど大幅なもんじゃないんです。ガソリンは今度の税でいきますと、一リッター百円になります。その中で今度の増税によりまして五円八十銭、そんなもんでございますから、これはネグリジブルだと、こういうふうに見ております。それから乗用車その他自動車ボディにつきまして、一六〇〇ccの乗用車につきまして例をとりますれば、これも五千円のものが一万円になると、こういうことで、いま私は国民生活の現状から見まして、そう担税力を調査しなけりゃこの税がきまらぬというほどのものじゃない、さように考えております。
  59. 栗林卓司

    栗林卓司君 わずかガソリン五円八十銭でございますと言うときに、五円八十銭の根っこにある九十四円二十銭の問題は考えないんですか。それぐらい、とおっしゃるんですけれどもね、さっき申し上げたみたいに、一年間に一・二キロリットルぐらい使うと、年間五万円以上のガソリン代の支出増になるんです。加えて七千円ぐらい、やっぱりおっしゃる五円八十銭でかかる。加えて、これは国税でありませんけれども、自動車取得税がまたかかる。大蔵省から出していただいた資料によりますと、自動車取得税のほうは何千円という額が入っていますけれども、それは数字として正しいのかどうか、あとでお調べいただきたい。そんな議論をいまここでするつもりはない。いろいろ使われているんだということになれば、どんな所得階層が使っているか、そしてそれはまたどういう理由で使っているかぐらいの調査はすべきでしょうと申し上げている。  交通体系に戻りますけれども、簡単にいいますと、大都市では、通勤通学は大量公共輸送機関を使いなさい、業務交通は自動車を主体にしなさいと、こう言っている。じゃ大都市圏において通勤が大量公共交通機関ではたして可能なのかどうか。建設大臣おいでになっているから伺うんですけれども、首都圏について、最近、過去十年ぐらいを振り返ってみて、団地の建設状況というのはどんな姿になっていますか。
  60. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 地域的に見ますと、二十三区、密集地帯の大体六十キロ圏から八十キロ圏ぐらいのところに、いま住宅団地、一例を申し上げますと、多摩ニュータウンというような形での住宅団地の開発という傾向にあるわけでございまして、都内の再開発というのが、やらなければならないという情勢になりながら、なかなか住民の協力という態勢ができませんで、これが進んでおらない。どうしても二十三区、東京中心から六十キロないし八十キロ圏の地点で開発せざるを得ないと、そういう情勢になっておるわけでございます。
  61. 栗林卓司

    栗林卓司君 具体的にスプロールがどんなぐあいに進んでおりますかと聞いているんです、数字をあげて。何となく二十三区の外でつくってますというんじゃなくて、年々どうなってますかということを伺っているんです。
  62. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 詳しい数字、私、持っておりませんので、事務当局から答弁させます。
  63. 大塩洋一郎

    政府委員大塩洋一郎君) スプロールの状況というのは、大都市圏におきましては、ここ都市化の趨勢とともに、相当の勢いで拡大してまいっております。ただ、数量的には申し上げられませんが、特に三大都市圏等におきましては、その勢いが非常に大きいということで、そこで、特に都市計画の調整地域というような歯どめをしないと、スプロールが非常に拡大し過ぎるということは、特に三大都市圏において著しい。地方の大都市につきましても同様の傾向が見られます。そういった傾向的なお答えをさしていただきます。
  64. 栗林卓司

    栗林卓司君 スプロールが進むそういう団地建設に対して、   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕 大量公共輸送機関は、自動的に全部整備されてまいりましたか。これは運輸省にお伺いすることかもしれません。
  65. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 御指摘のように、新しい団地の開発に伴いまして交通機関がいろんな問題、足の確保の問題で、通勤あるいは通学等に問題を起こしていることは御指摘のとおりでございます。ただ、新住宅地のバス路線の開設の促進のために補助制度を設けますとか、あるいはまた、建設公団に軌道の建設をやらせますとか、あるいはまた、公営及び準公営のニュータウンに対する補助制度を設けますとか、いろんなことをやっておりますけれども、事実、現実の問題としていろいろの御批判の対象を残していることは事実でございます。しかし、私どもといたしましては、それぞれの通勤、通学の足の確保のために、それぞれの省庁が連絡をとりまして、公営あるいは準公営、あるいはバスの路線の確保、あるいは補助等につきまして、ただいま努力をしているところでございますが、なお、四十九年度におきましては、宅地開発公団をいま御審議をわずらわすように提案しておりますが、その中に交通部門を、事業部門を設けまして、今後そういうことのないように、抜本的な開発と同時に、足の確保をはかるということで御審議をわずらわすことにいたしております。
  66. 栗林卓司

    栗林卓司君 要するに、完備されておりますかと伺ったのです。一言だけ……。
  67. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 一口に申しまして、完備いたしておるとは申し上げられない状況でございます。
  68. 栗林卓司

    栗林卓司君 これは、あるところの調査なんですけれども、最近ガソリンが上がる、なおかつ、税もつくということで車を手放そうか、どうしても車手放せない、手放すと生活に困るという答えが、これは日本交通政策研究会の最近の資料ですけれども、労務職の人たちが四八%、事務技術職の人が三二%、管理職の人が三六%、労務職の人のほうが、これ手放したら生活に困る、たいへんなんだと言っているんです。そこで、何で公共交通機関を利用できないんだと聞いたら、その理由の大きな一つが終電車に間に合わない。何で終電車に間に合わないのか、だれしも思いつくのは交代制勤務です。では、交代制勤務というのは、どういう実態にあるか労働大臣伺います。あわせて、その人たちがどういう交通手段で通っているのか、お調べになったかどうかもお答えいただきたいと思います。
  69. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  交代制勤務に従事する労働者は、全労働者のうちの約一二%という数字が出ております。そして、そのうち三交代制勤務の者は、製造業においてやや増加するような傾向に見られております。そして、おっしゃるとおり三交代制に勤務する、深夜に通勤する必要がありますので、自家用自動車通勤者が増加しているということが当然わかっているのですけれども、労働省といたしましては、これらの労働者の交通手段、一人一人の労働者がどういうものを使っておるかという手段について、いままで実は資料を持ち合わしておりません。こういうときでもございますので、その手段の実態の把握について、運輸省その他関係各省と協議をしながら調査をしてまいりたいと、こう思っております。
  70. 栗林卓司

    栗林卓司君 労働者がどうやって通っているかということは、労働省が調べなければ調べるところはない。きのうも委員会で伺ったのですが、全然調べてない。通勤途上の災害は知っておりますと、こういう話であります。これだけ通勤時間が延びて、もう一つなぜ車を放せないかというと、乗りかえがたいへんで時間がかかってしようがない。ぜいたく言うなというにしては、通勤時間がどれくらいかかっていますか。なおかつ、中古とはいいながら、やっぱり自家用車によらざるを得ないとしたら、いまのガソリンの値上がりがどう一体響くのか、それが労働者の家計をどう圧迫するのか、本来言われなくったって調べるべきだと思うのですが、なぜ調べなかったのか。伺いますが、交通に対する、通勤に対する関心が労働省としてはきわめて低い、そういうことですか。
  71. 長谷川峻

    国務大臣(長谷川峻君) 従来は、そこまで実は手が届いていなかったのでございますが、通勤途上の災害等々の問題などに対しては、いろいろ手当てをしておったわけであります。
  72. 栗林卓司

    栗林卓司君 要するに、調べてなくてよくわからぬわけですけれども。  大蔵大臣伺います。そういう人たちも、やっぱり画一的に自動車関係諸税を負担しなければいけないのでしょうか。
  73. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ税ですから、しかも、これは間接税ですから、これを個々の国民の負担力の状態、そういうようなものによって差別をするのは妥当でない、また、技術的にも非常に困難がある、こういうことで画一的にしておるわけです。  それで、先ほど、国民の負担能力を調べたかと、こういうお話ですが、そこまで調べる必要もないくらい今度のは軽微な引き上げなんです。つまり、これらのガソリン並びに自動車関連の諸税は、これは従価税じゃない、従量税なんです。したがいまして、いまの価格からいいますと、ガソリンなりボディがになうところの負担率というものは非常に低くなっておる。しかも、国際社会で比べてみますと、一バーレル当たりわが日本は三ドルだ、ほかの国は、これに対して十ドル以上も負担させている、こういうことを考えますと、これはもう無差別に、地域的にも、あるいは国民個個につきましても、一律課税をして一向支障はないのじゃないか、そういう観点であります。もしその結果、不均衡が出てくるといえば、別の方法で対処すべき問題である、かように考えます。
  74. 栗林卓司

    栗林卓司君 軽微なものだといっても、万の単位の話なんですから、年間で見てですよ。軽微という話ではないし、車というのはやっぱりぜいたく品なんだから、要らなくなったら放せばいいじゃないかということが、どの人についても、どの交通についても自動車に関して言えるなら、まだ逃げようがある。そうではなくて、どうしても自動車を利用せざるを得ない。しかも、昨今は自動車の便益性から、自動車を手放すとなかなか暮らしづらい町というものも都市周辺にでき上がってきてしまった。そういった中で家計から出てくる。そのときに、それは税なんだからということになるのか、対象に応じながらやっぱりこれはきめこまかな手を打っていかなければいけないということになるのか、くどいようですけれども伺います。
  75. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ガソリン並びに自動車関連諸税は、これはいまも申し上げましたが、これは従価税じゃないのです。従量税になっているのです。国民の所得というものは、年々進んでおるわけなんです。そういう社会情勢の中で、従量税であるガソリン並びに自動車関連諸税、これを手直しするということは、私は、わりあいに理解され、納得されるのじゃないかと思います。  それから、どういうお方も自動車をお使いになるということになりますれば、これは道路を使うわけです。道路を整備しなければならぬ、それに対して、何がしかの応能負担という問題も出てくる。しかも、くどいようでございまするけれども、今回の引き上げはそう大きな引き上げじゃないのでありまして、まあまあ国民が、こういう情勢の中で、公害の問題あるいは資源の問題あるいは道路の整備の必要性と、こういうような問題、そういう問題を一般的にとらえて、多少の負担の増加というものにつきましては、これはすなおに御理解がいただける問題ではあるまいか、かように考えております。
  76. 栗林卓司

    栗林卓司君 ことばじりをとらえるようで恐縮ですけれども、まあまあ軽微なものでござんすと言って、年間二千億こえるわけですけれどもね。それよりも法人税の税率引き上げに伴う増収額のほうが少ない。ですから、ことばじりをとらえて言うと、今回の法人税の引き上げというのは、まあまあ軽微なもんでございますということになるんでしょうか。二千億をこえる増税をするというのは、まあまあ軽微ですから国民の皆さん、ということなんでしょうか。もっと慎重な検討がなければいけないのではないかと思いますけれども、あとにこの質問譲ります。  で、文字どおりこれを足に使っておる人もあります、自動車を。よく話に出ますのが身障者です。これは厚生省ということで伺うんですけれども、じゃ、身障者の人が文字どおりの足として自家用自動車をどのくらい使っているかというと、その調査も厚生省には全くないんです。御確認をいただきたいと思います。
  77. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 御承知だと思いますが、身体障害者につきましては、自動車関連の税金を免除をいたしておるものがございます、幾つか。しかし、自動車重量税とか、いま御論議中の揮発油税のようなものにつきましては、厚生省ではかねがね大蔵省に対しまして、身体障害者の使うそうした油、あるいは車については、これも非課税にしてほしいという希望を表明をいたしておりますけれども、これなかなかむずかしい条件がありまして、その点は実現をされておりません。  それから最後に数字でありますが、いま係員の私に対する説明によりますと、詳しい数字、そういう身体障害者関係の車両あるいは使用揮発油等に対する詳しい数字は把握しておらない、こういうことでございますが、しかし、いやしくもそういう政策をとっておったり、今後大蔵省に対して残りの部分に非課税を要求する以上は、そういう数字を求むべきであると思いますので、求めさせるような勉強、努力をさせたいと考えております。
  78. 栗林卓司

    栗林卓司君 ほんとうは、こうやって一つ一つ利用実態を調べていきますと、片っ端から、調べておりません、わかりませんということになるんです。  時間がありませんから、この種問題の主管官庁であるでしょう運輸省にお伺いしたいんですけれども、どういう所得の人たちが、どういう目的で、この自動車を、自家用自動車を使っているかという調査は運輸省としてございますか、またできますか。
  79. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 運輸省としましては、その登録の手続だけをやっているわけでございまして、いま御指摘の点は資料を持っておりません。しかしながら、これは必要な資料だと思います。したがいまして、トラックにつきましては、東京を摘出調査してみようと思っておりますけれども、一応四月中には手をつけてみたいと思っております。その他の問題につきましても、なるたけ近い時期にいま御指摘のような、どういう所得の階層の者が、どういうふうな自動車を持っておるか等につきまして調査をしたいということを考えております。
  80. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) その数字の一部につきましては、幸い経済企画庁の消費動向予測調査というその調査におきまして所得階層別——各世帯について、所得階層別について最近までの、昭和四十八年十一月までの各年の保有状況の調査がございます。ここに持っておりますが、大ざっぱに申しますと、まず用途別で見ました場合に、農家がわりあいによけい持っております。昭和四十八年十一月では、農家の世帯数の実に五〇%近いものが乗用自動車を保有し、またライトバンは二〇%ぐらいのものを別に保有をいたしております。それから所得別で見まする場合には、年所得二百万円以上ぐらいのところでは、実に半数以上の世帯、昭和四十八年におきまして五五・五%の世帯が乗用車を保有し、一四%ぐらいがライトバンを保有をいたしております。しかし、まだ所得階層百万円ぐらいのところの世帯では乗用車の保有率というものはやはりせいぜい二〇%ぐらいでございます。ライトバンのほうが一〇%ぐらいは保有をいたしておる。かなりの世帯が、いま申しましたように、自動車を保有しておりますけれども、しかし全体を通じますと、全世帯の中で——これは日本の二千五百万世帯を調査したものではございません。数千のモデル調査でございますけれども、全体を通じますと、全世帯の三九%ぐらいが乗用車を保有し、一一%余りの世帯がライトバンを保有しておる、こういう状況がございます。
  81. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) ちょっといまのを私、訂正させていただきますが、各家庭の所得別でどういう自動車を持っておるというのを調査、と申しましたけれども、そうじゃなくて、どういうふうに自動車が使用されておるかという、そういうような面において調査したいと、こういうことでございますから、訂正させていただきます。
  82. 栗林卓司

    栗林卓司君 すると、どういう所得の人たちが車を実際に使っているのかということは運輸省では調べられない、こういうことですね。
  83. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 経済企画庁で一応の摘出調査をお持ちのようでございますが、私のほうとしましては、所得のほうまで手を入れてどういう自動車を持っておるかということはなお検討させていただきたいと思います。それぞれの家庭の所得の問題でございますから、プライバシーの問題もあるかと思いますし、これは課題として検討させていただきたいと思います。
  84. 栗林卓司

    栗林卓司君 大蔵大臣にお伺いしますけれども、直間比率の問題を出発点にして間接税の比率を今後高めていくべきではないかという議論がされます。私も個人的にはその方向はよくわかる。ところで、その間接税、耐久消費財を含めてどのような税を組んでいくかというときに、国民のある暮らしを想定しながら、直接税プラス間接税がどのような生活への影響を持つであろうかという調査はこれは当然しなければいかぬ。これまでみたいに直接税優先のころはよかった。しかし、これからはそういう調査をしなければいけないし、おそらく今回そういったこともあって、一つは自動車に対する税と直接税の比率を直したという面もあるならなおのこと、これを機会にして国民のある標準的な暮らし、所得階層との見合いの中で、間接税、大衆物品の便益性にどの程度食い込んでいるか、それが国民の家計にどう影響するかという調査は何らかしなければいかぬと思うんですが、いかがですか。
  85. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 直間比率の改善、これは私は長期的に見まして必要であると。ただ、いま物価が激動しておるというこういう際でありますので、そういうことを考えますと、これを大幅にここで進めるわけにもいくまいと、こういうふうに考えておるわけなんですが、いよいよ直間比率を改善をするということに踏み出すというようなことになりまする際には、間接税による国民負担の状況がそれによってどういうふうに変わっておるかということにつきまして調査をいたしまして取りかかりたいと、かように考えております。
  86. 栗林卓司

    栗林卓司君 なぜ申し上げるかといいますと、先ほど通勤と身障者だけ例にあげましたけれども、便益の必要性が非常に高い人たちがいる。それは所得階層と無関係に、どこに住んでいるか、どこにつとめているか、あるいはどんな条件の中で生活をしているかということでいろいろ変わってくる。じゃ、それが車を持っている維持費の増大、九十四円二十銭プラス五円八十銭の問題も含めてどうきくんであろうかということを調べようと思っても資料が何にもないんです。しようがなくて、あるところの資料を持ってきますと、勤労世帯の中で年収百万円未満が一一%、年収百万円以上百五十九万円までが三九%、したがって、年収百六十万未満の層が半分の自家用自動車を持っているという数字がある。けどもだめなんです、その数字は。認知しませんというので議論にならないんです。その意味で、いろいろ環境激変で調査がむずかしい云々と言われるんですけれども、この点の調査はやはり大蔵省大蔵省なりに、運輸省ができないと言うんですから、やっぱりせざるを得ないんじゃないでしょうか。
  87. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) せいぜい勉強してみることにいたします。
  88. 栗林卓司

    栗林卓司君 いろいろこの問題についてお伺いしたいことはたくさんあるんですけれども、時間があともうなくなりましたので、一つお願いと主張を申し上げておきたいと思うんですけれども、先ほど来の私がした質問というのはなかなか国会の議論になじまないんです。何でなじまないかというと、交通というものがよくわからないんです。これが交通問題はみんなで議論しようというテーブルもないんです。それは国民生活にあまり密着していて、国民がそれぞれ自前で解決をしていた部分が多かったものですから、従来の行政ではあまり見なくてよかったのかもしれません。しかし、これからは先ほど来の公害問題がある、エネルギー問題がある、しかも片方では交通需要というものはどんどんふえてくるわけなんです。どうするかということで、政府政策の先取りをしながら取り組んでいかなければいけないはずだと思うんです。で、実は交通問題ということで考えていきますと、環境庁とか、きわめて多岐にわたりまして、ほんとうはいまおそろいだけの数では済まないんです。ですから、交通問題を抜き出して議論ができるような環境をぜひつくっていただきたいものだと思うんですけれども、その前段階として、これは経済企画庁長官にお伺いするんですけれども、四十六年の総合交通体系というものが見直しの時期に来たとおっしゃいました。しかも、これは税だけではないと。税は補完的な役割りなんだと大蔵大臣が言われました。そうすると、本来の行政対策ということが前に行かなければいけないんじゃないか。一体、では、それは具体的に詰めていったらどんな問題になるのか。しかも、これは単に作文だけではなくて、その財源をどこから持ってくるんだ、それが結果として物価にどうやって影響するんだ、交通問題というのは、片側から見れば住宅問題であり、片側から見れば消費者物価の問題です。時間がありませんから詳しくは言いません。  そこで、その共通のテーブルをつくるために何よりもいま急ぐのは、どういう使われ方をしているのか、交通のニードとの関係でどんなかっこうになっているのかということは至急つかまなければいけないんじゃないか。これ、どこの省に行っても、やはりみんな受け持ちがばらばらですからだめなんです。その意味で、前の総合交通政策というものは経企庁が所管事務をおまとめになったわけですけれども、再びそういった音頭をとっていただきながら、至急その調査をやり、予算も使いながら、どういう需要の実態にあるのか、どういう暮らしがあるのか、そこの中で今後の総合交通体系というのは、従来の委員答弁用ではなくて、ほんとうにどうやって積んでいったらいいのかという作業を私は至急すべきじゃないか。この点について経企庁長官の御意見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  89. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 四十六年の先ほど取り上げました総合交通体系、それがそのまま消えてしまったというものではございませんけれども、いまおっしゃられたような見地からいろいろさらに見直しをしまして、社会経済の現況やら、あるいは財政事情もございましょうし、あるいはまた総合国土計画、いわゆる新全総というようなものとの関係もございましょうから、ぜひ御要望の線に沿って、私どももさらに再検討する機会を——機会といいますか、努力をいたしてまいりたいと考えております。
  90. 嶋崎均

    ○理事(嶋崎均君) これにて栗林君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  91. 嶋崎均

    ○理事(嶋崎均君) 加藤君。
  92. 加藤進

    ○加藤進君 私は、いま学校教育が当面している緊急な問題について数点質問したいと思います。  奥野文部大臣は、去るテレビ討論会で、学校教育の条件は一応整備された、あとは教師の努力次第だ、こういう趣旨の発言をされております。学校の教育条件というのはいまどのように整備されつつあるのか、まず、お聞きしたいと思います。
  93. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御承知のように、戦後は、小中学校の施設につきましても国庫が基本的には二分の一を負担すると、対象によりまして、また地域によりまして若干違いがございますが、荒っぽく申しますと。そういう方針をとりまして、国民として必要最低限度のものは全国にわたって均衡のある施設を享受できるようにしたいということで努力してきたわけでございます。そういう意味におきまして、昔と比べますと格段の整備ができていると、こういうことだろうと思います。ただ、そうは言っても、改築を迫られているものでまだ改築ができていないものがあるじゃないかとか、あるいは人口がどんどんふえてきているところにおいては次々に校舎を建てないと施設が整備されない、なかなか校地が確保できないためにプレハブで過ごしているところもあるじゃないかとかいう式の問題は今日もあるわけでございます。そういう問題は今後もなお鋭意努力をしていかなきゃならないと思います。総体的な問題として考えますと、他の部門よりもはるかに学校の施設は整備されてきていると、こう言えるんじゃないだろうかと、かように思っておるところでございます。
  94. 加藤進

    ○加藤進君 文部大臣によりますと、学校の教育条件整備は格段に進んでいる、こうおっしゃいますが、そこでお聞きしたいのは、四十八年度の小中学校の学校校舎建設のうちで、ことし四月の新学期に間に合わなかったものはどれだけあるのか、面積で。そして教室数でどれだけあるのか、お尋ねします。
  95. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 小中学校の不足教室数で見ますと、四十七年度が九千七百四十一教室。四十八年度は九千四百九十五教室ということになりまして、若干少なくなっているようでございます。しかし、四十八年度において建設をいたしまして四十九年度に間に合わせなきゃならない、その問題につきましては、昨年来の建築、物価等についての混乱した姿などもございまして、契約で見ていきますと、わりあい前年度と変わりなく順調に最終的には行なわれたようでございますけれども、かなりなおくれが出てくるんじゃないだろうかと、したがいまして、若干四十八年度よりもふえるんじゃないだろうかという心配をいたしておるところでございます。
  96. 加藤進

    ○加藤進君 私の聞いていたのは、四十八年度の建設予定の中で、どれだけ建設できないところがあったのかと、こういう問題でございますけれども、これは、文部省の資料も明らかにしておるように、きわめて膨大な数字になると思いますけれども、その点重ねてお聞きしたい。
  97. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 四十九年四月開校予定の学校が、小中学校合わせまして百五十八校ございますが、そのうち、四月開校に間に合わないものが二十三校ございます。これはいずれも補助対象校でございます。
  98. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、一五%程度が予定よりおくれて間に合わない、こういう状況でございますが、それでは、この四月に移行して間に合わなかった状況のもとで正規の教室に入れなかった生徒、児童数はどれくらいになるんでしょうか。
  99. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 児童、生徒の数につきましては、これは調査がただいま手元にございませんけれども、御承知のとおり、プレハブ教室でございますとか、あるいは特別教室の転用でございますとか、あるいは屋体の間仕切り等でございますとか、それから分離新設校につきましてはもとの本校で授業を継続すると、こういうことになろうかと思います。
  100. 加藤進

    ○加藤進君 私の聞いているのはそういうことではございません。事実、正規の学校に入れなかった生徒数、児童数はどれだけか、こういうことでございます。
  101. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 先ほど申し上げましたように、学校数が二十三校ということでございますが、この対象児童、生徒数につきましては、ただいま手元に資料がございません。
  102. 加藤進

    ○加藤進君 これは、文部省の資料の中でも、全国三百二十万平米の建設予定のところ、四十七万平米は間に合わなかった、こう、はっきり出ているじゃないですか。これから推算できませんか。
  103. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 推算ということでございますれば、新設校の数が、児童、生徒数がかりに五百名といたしますと、約一万人程度ということになろうかと思います。
  104. 加藤進

    ○加藤進君 それはちょっと数字が違います。四十七万平米おくれている、生徒一人当たり六平米ですから、これは割ってみても八万人になるんですよ、八万人に。そして、ある人の試算によりますと二十万人に達するであろうというような試算も出ているんです。この点どうですか。
  105. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ただいま申し上げました開校がおくれます学校数は、これは全く新しく学校を開設する場合のおくれでございまして、ただいま御指摘の、工事が遅延しておりまする面積に対応するものではございません。   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕 おくれております面積に対応する子供の数ということになりますと別な数字があるわけでございますが、これは大部分が、それぞれもとの学校で教育を受けているわけでございますから、もとの学校におきまして便宜の措置を講じておる——便宜の措置と申しますのは、先ほど申し上げましたように、特別教室を普通教室に転用するとか、あるいは職員室を教室に転用するとか、あるいは屋体の間仕切りをしてしのぐ、場合によればプレハブ校舎ということもあるわけでございますが、私がお答えした数字と、ただいま御指摘になりました数字は、そこがずれておるかと思います。
  106. 加藤進

    ○加藤進君 それならそれで、その裏づけになる資料をひとつ出してください。  それと、もう一つは、きわめて驚くべき数字になっている。これはいろいろのところへ入れておると言われますけれども、入れることは別です、正規の教室ができなくて。そうしてどこか別の緊急の教室に入れている、こういう状態が起こっておる。この点を私は指摘したわけでございますから、もう一度その点、資料提出をしていただくかどうか、明らかにしてください。
  107. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ただいま御指摘の約四十万平米のおくれでございますが、私、その数字を確認する資料を手元に持っておりませんが、それはおそらく本年度事業の繰り越しになるものが約一割程度あるだろうということでございます。それから、あるいはそういう推算をなさったことかと思いますけれども、一割程度の金額の繰り越しというのは、直ちにそれに対応する面積、事業が完全におくれているということではないわけでございまして、御承知のとおり、繰り越しは金額でありまして、事業はそれとやや間接の関係になりますけれども、直ちに対応するという関係にはないかと思います。
  108. 加藤進

    ○加藤進君 ですから、もし文部省が確信を持ってそういう数字が出せるなら資料として出してほしい、こう言っていますが、どうですか。
  109. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 繰り越しは金額で計算をしているわけでございまして、事業量で計算をしているわけではございません。したがいまして、実際の事業のおくれというものを資料として提出せよということでございますれば、これはあらためて調査を要するということでございます。
  110. 加藤進

    ○加藤進君 そうすれば、私の疑問に答えるような回答と資料は現在文部省は持っていないと、こういうことじゃないですか。  続いて聞きます。文部省は、今日の文部省基準に照らして校舎の不足面積は一体どれだけになるのか、その不足面積に対して、不足の教室に対して、どのような措置が具体的にとられておるのか、その点をもう一度具体的に説明してほしいと思います。
  111. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 私どもの不足の把握は、教室数ということではございませんで、面積で計算をいたしております。四十八年五月一日における公立小中学校の校舎の不足面積は、小学校の場合が二百十一万平米、中学校の場合は百十九万平米ということに相なっております。
  112. 加藤進

    ○加藤進君 そういう不足面積ができておるために、今日入るべくして入れない児童生徒数はどれだけになっておるのか、この試算をお願いします。
  113. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) これは不足面積ということでございまして、教室が、たとえば先ほど申し上げました新設校のように建設中という不足もございますけれども、たとえば九割方充足されているけれどもあと一割の不足があるというようなその一割分もこの中には入っておるわけでございます。したがいまして、これに対応して、つまり収容し切れない児童数が幾らかということは、これは明らかではないわけでございます。これは先ほど来申し上げておりますように、全く新設校の場合でございますと、それが新設校で開校がおくれております場合には、母体校におけるやりくりでしばらくの間教育を続けるということでございますし、それから新設校ではなくて単純な不足校でございますと、当該学校におきまして何らかのやりくりをしながら教育を継続しておると、全くはみ出しておるということではないかと思います。
  114. 加藤進

    ○加藤進君 私は、その答弁では納得しかねます。子供たちの一人一人の問題です。正規の学校へ入れるか入れぬか、こういう切実な問題ですから、この数字については文部省は責任をもって明確にしてほしいと思います。私たちの推計によりますと、こういう不足面積が出ている以上は、これに基づいて五十五万人程度の児童、生徒がまともな教室には入っておらない、こういう現状が指摘できると思いますが、こういう制度に対してとられておる今日の措置はどうなっているのか、その点をお聞きしたいと思います。
  115. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 先ほど来申し上げているようなことでございまして、単純な不足校でございますと、当該学校における何らかのくふうによりましてその教育が継続しておる、新設校でございますならば新設工事が終わっていればそこに移るわけでございますが、工事がおくれているものにつきましては母体校におけるやりくりによって教育が行なわれているということでございます。
  116. 加藤進

    ○加藤進君 もう少し具体的に説明してください。プレハブあるいはいろいろな校舎の入れかえ、その他あるでしょう。
  117. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) これは社会増校における不足教室の数でございます。先ほどお話がございました公立小中学校の不足面積の全部に対応するものではございませんけれども、四十八年におきまする社会増校の教室の不足は九千四百九十五教室ということになっております。そのうち、特別教室を転用しているものが千九百二十八教室、プレハブ教室という形になっておりますものが三千三百六十四教室、その他四千二百三教室ということになっております。
  118. 加藤進

    ○加藤進君 だから、ともかくそういう生徒は、特別教室なり仮設教室なり、あるいは圧縮教室などというところにも入れられておる。これは事実でしょう。その数について明確にしてほしいと申し上げておりますから、この点は委員長もしかるべくお願いしたいと思います。  そこで、その中のプレハブ教室はどれだけありますか。また、そこで勉強する子供たちの数はいまどれだけになっているのか、この点を説明してください。
  119. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) これ、四十八年の五月一日の調査でございますが、プレハブ教室は三千三百六十四教室ということでございます。ちなみに、四十七年度のプレハブ教室は四千二百四十六教室でございますから、約千教室近いものが減少になっておるということでございます。  ここに学ぶ者の数ということでございますが、これはその教室に即した調査はございませんけれども、かりに一クラス四十名といたしますならば、約十二万人ぐらいの者がプレハブ教室に学んでおるということになろうかと思います。
  120. 加藤進

    ○加藤進君 四十五名定員かっきりですと、それが十五万になり、いま言われたように計算すると十二万に達する、これは非常に大きな数字じゃないですか、プレハブに入っている子供たちの数は。そこで、このプレハブ教室をことしはどれだけ解消される計画であるか、お聞きしたいと思います。
  121. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) プレハブ教室の解消のためだけの特別なワクというものは予算上はないわけでございますが、全体といたしまして、四十九年度は百六十七万平米の小中学校校舎の整備面積を予定いたしておりますので、プレハブ教室は、まあ優先的にその解消に充てられるならば、これはおおむね解消できる面積でございます。
  122. 加藤進

    ○加藤進君 ことしはそれでふえるんですか、減るんですか。
  123. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 四十九年度当初のプレハブ教室の数がどの程度になるかということは、これは今後の調査に待たなければまだわからないということでございます。
  124. 加藤進

    ○加藤進君 わからないとおっしゃいますけれども、これはふえるんでしょう、事実。ふえるんですよ。ここに大きな問題があると言うんです。じゃ、それで聞きますけれども、こういうプレハブの教室を全面的に解消するという計画をお示し願いたい。
  125. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 四十八年度に、先ほど申し上げましたように、三千三百六十四教室のプレハブ教室があったわけでございますが、四十八年度予算でもって、このうちかなりな部分が解消されていると思います、若干の残りは出ようかと思いますが。そのほかに、四十八年度に新たに発生したプレハブ教室というものが四十九年度五月におけるプレハブ教室の総数ということになるわけでございますが、その総数はふえるかふえないか、これは調査をしてみなければわからないわけでございますが、総体といたしましては、これは私どもの見込みでございますが、昨年年度当初程度のものはやはり残るんではないかというふうに考えます。  そこで、これをどう解消するかということでございますが、先ほど申し上げましたように、百六十七万平米という小中学校校舎の事業量が予定されておるわけでございますから、文部省といたしましては、このプレハブ校舎の解消にこれを優先的に使用してまいりたいというふうに考えております。
  126. 加藤進

    ○加藤進君 そこで聞きたいのは、いつまでに解消されるのかということです、いつまでに。
  127. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 先ほども四十八年度の例について申し上げたわけでございますが、当該年度当初におけるプレハブ教室は、おおむね当該年度の予算では解消されるわけでございますが、新たにプレハブ教室が発生するという事態がございます。ですから、それを追っかけながら解消しておるというのが実情でございます。
  128. 加藤進

    ○加藤進君 こうした追っかけっこでプレハブ教室はほとんどなくならない、こういうのが現状ではないですか、文部大臣ね。
  129. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 御承知のように、過疎過密の現象、人口急増のところは今日もなおふえ続けておるわけでございます。ふえ続けているところにつきまして、プレハブ教室で一応間に合わせる、こういうことになっておるわけでございます。同時にまた、プレハブ校舎を本校舎に変えたい、その場合に用地の確保もまたなかなか自治体にとりましてたいへんな苦労のようでございます。まず土地を確保できない、金の問題じゃなくて、現実の土地の手放しを受ける場所がなかなか見つからない、こういうことでございます。現在、人口急増の市町村におきまして、プレハブを本建築にしたい、だから文部省に対して補助金を求めるという場合には、私はあとう限り補助金の要望に応じてきていると思います。補助金を要望しておられるのにかかわらず補助金を出さないということは、まず私はないんじゃないかと思います。また、ないように、少なくても改築をあと回しにしましても新増設のほうに金は向けていくべきだと、かように考えるわけでございます。当該市町村もこの問題につきましてはたいへん苦労されているようでございます。そういう意味で、金の面で解決できないんじゃございませんで、現実にどんどんふえてくるという問題と、用地の手当てがなかなかできなくて困っておられる問題と、この二つじゃなかろうかと、こう考えるわけでございます。当該団体といたしまして新増設できるという見通しが立ちました限りは、金の面におきましては御心配かけないように、文部省としては最大限の御協力はしてまいるつもりでございます。
  130. 加藤進

    ○加藤進君 ここにプレハブ教室の写真があります。これは校舎全部が、校舎というよりも敷地が全部プレハブで埋まっています。こういう学校が東京都にあるのです。ざらにあります。こういう状態をそのままにしておいて、まともな教育を子供に施すことができる教育になるのか、これを私たちははっきりお聞かせ願いたいと思いますけれども、こういうプレハブ校舎の解消について、文部省は年次計画でも立てて、今後計画的にそのための努力をすると、こういうことをお約束されますかどうか。
  131. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いまも申し上げましたように、当該市町村として適当な用地を確保する見込みがついたと、したがいまして、その用地を買い入れる、同時にまた、本建築をするという場合には、文部省予算につきましても最優先的にそちらに回すべきだと、かように考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、そういうところを解消しますことが、改築したいという場合よりもはるかに切実な教育問題でございますので、文部省の全体の予算の運用にあたりましては、プレハブ校舎を解消する、学校を新増設する、本建築にする、最優先に扱いたいと、かように考えます。文部省のためにプレハブを解消できないということはないようにいたしたいと、かように考えます。
  132. 加藤進

    ○加藤進君 私は、いまプレハブ教室で、どのように先生も生徒も苦労に苦労を重ねて勉強しておるのか、こういう実情については、もう申し上げる時間はありません。これは新聞その他でも明確でございまして、この写真をもごらんいただけば明らかだと思います。そこで、こういう学校建設がおくれるおもな原因というのは一体何にあるのか、この点について用地不足という問題がありました。これだけでしょうか。
  133. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 基本的に私、やはり用地の確保ができない、なかなかまとまった土地を手放してもらえにくいというところにあるんじゃないだろうかと、そう考えます。同時にまた、学区を割るわけでございますので、割る場合になかなか住民の納得が得にくいというようなこともあっておくれているところも承知しているわけでございます。しかし、まあ基本的には私は土地問題じゃなかろうかと、こう思っております。
  134. 加藤進

    ○加藤進君 私は、文部大臣土地問題であろうと言われるような認識では納得できません。第一、建築単価はどうですか。これは現状に見合っていますか。
  135. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、四十八年度建築関係につきましては、かなりな混乱が見られたわけでございます。当初予算の執行にあたりましても三度にわたりまして単価の改定を行なってまいりました。四十九年度の予算の計上単価は四十八年度予算計上単価の四五・二%引き上げて計上さしていただいたわけでございます。今後とも実勢を見て、建築が円滑にいきますように最大の努力を続けていくつもりでございます。
  136. 加藤進

    ○加藤進君 四十九年度の補助単価は幾らにきめられておりますか。また、それはいつきめられたのか。
  137. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 一平米六万一千七百円としているわけでございます。四十九年度予算編成にあたりまして決定を見たわけでございますから、昨年の十二月に定められたということでございます。
  138. 加藤進

    ○加藤進君 十二月にきめられて、それが現在の物価高騰、土地の高騰等に見合ってはたして適正であるかどうか、この点でございますけれども、現在の実施単価は一体それではどれくらいになるか。
  139. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 実施単価は非常なばらつきがございます。最近の一例でございますが、一月契約のものにつきましては、先般改定をいたしました単価が五万七千円ということでございますが、高いものでございますと十万円をこえるというものがございますが、逆に安いものでございますと、予算単価をかなり下回るというものもございます。そこで、その予算単価をかなり上回るものの単価がこのまま妥当な単価であるかどうかということが問題になるわけでございますが、私ども予算の積算として考えておりますもの以外のもの、たとえば門でございますとか、さく、へいでございますとか、あるいは寒冷地以外の暖房工事でございますとか、給食設備、ロッカー設備、こうしたものがこの実際の単価に含まれている場合が往々あるわけでございます。それからまた、私どもの単価はいわゆるその標準的な仕様を前提とする標準的な単価でございますが、標準的な仕様といたしまして、たとえば床でございますと、アスファルトタイルということを考えておるわけでございますが、実施上はこれをいわゆるフローリングブロックにするとか、あるいは壁はプラスターを予定いたしておりますが、もっと高級な仕上げになさるとか、あるいは天井の吸音板も特殊なものをお使いになるとかいったような、いわゆるデラックス部分といわれる部分も含まれているようでございます。それから、補助対象工事とあわせて浄化槽の整備が行なわれるとか、あるいは受変電設備の整備が行なわれる等、各種の工事に付帯する経費がこの中に含まれておる例が往々あるわけでございますから、したがいまして、予算単価を上回っておるからといって当然に予算単価が低いものであるという断定はしがたいかと思います。
  140. 加藤進

    ○加藤進君 この点につきましては建設省も調査をしています。その平均の単価が十一月現在ですでに今日建てられておる文部省の単価よりも上回っています。こんな状態ですよ。八万円とおっしゃいました。これは特に人口急増の大都市周辺、これでは八万円はおろか、九万円、十万円のところがあります。そこでも学校は建てなくちゃならぬ。建てるとなると、どうしたらいいんでしょうか。文部大臣、どうですか。
  141. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いま管理局長お話しいたしましたように、文部省の補助単価は標準的な仕様、したがいまして、この標準的な仕様よりも上にするか下にするかによって単価が上下してくると思います。  もう一つは、文部省の補助対象にいたしておりますものがすべてではございませんで、まず設備ははずしているわけでございます。同時にまた、付帯設備もはずれているわけでございます。門、へいとかいったものも、はずれているわけでございます。したがいまして、いまの段階ではそれほど大きな差は出ていないんじゃないかなと、こう思うわけでございます。しかしまた、四十九年度に入りまして実施の姿を見ながら、先ほど申し上げましたように円滑に運営されるように最善の努力は払うつもりでおります。
  142. 加藤進

    ○加藤進君 文部大臣はそういう無責任と思われるような答弁をされますけれども、私は、この現在の文部省の補助単価の決定によって何が起こっているかといえば、学校が建たないか、建てるとなれば超過負担だと思います。自治大臣、いかがでしょうか、その点。
  143. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 自治省といたしましては、地方公共団体が超過負担に悩むということのつとめてないようにしなければならないということで、現に四十七年度に実際の調査をいたしまして、四十八年と四十九年の二ヵ年間で公立文教施設につきましてはいわゆる超過負担を解消しようという措置を講じたのでありますが、ただ、その後御承知のような物価の急激な上昇に伴いまして、一たんきまりました補助単価ではとうてい現実に建築ができないというような実情がございまして、先ほども文部大臣からお答えがございましたが、四十八年度では三度も改定をされた、明年度はさらにかなりの大幅の、御承知のような単価の改定が行なわれておるわけでありますが、しかし、今後の物価情勢の推移いかんによりましては、必ずしもこれでも十分でないかもしれないというようなことも私ども懸念をいたしておるのであります。そういった場合には、それに対処する適切な方法を当然講じていかなければなるまい、かように考えておる次第でございます。
  144. 加藤進

    ○加藤進君 政府部内でも、文部大臣の発言と自治大臣の御意見とは大きな隔たりがあるんです。これは超過負担をはたして認めて、そのための措置をとるかどうかにかかわるんですよ。私は今日こういう問題を提起したのは、学校を国が責任を持って建てなくちゃならぬ、義務教育なんですから、義務教育学校を建てる責任を国が負うて、そのために補助単価が低いなら現状に見合ってこれは引き上げましょうとこういうふうに積極的な措置をとられるのが私は当然だと思いますが、その点についての文部大臣の決意をあらためてお聞きしたいと思います。
  145. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 現在かなりな混乱がございますので、地域によりましても単価に大幅な開きがあるようでございます。早く経済的に安定をしてくれなきゃ困るなという気持ちを強く持っております。同時にまた、四十八年度の運営にあたりましても三度手直しをさしていただいたわけでございますので、四十九年度につきましても建築が円滑に進みますような配慮は当然なされるべきものだと、かように考えております。
  146. 加藤進

    ○加藤進君 もう一度確認したいんですけれども、現在の補助単位でも不十分だ、だから引き上げる用意があると、こういうことでございますか。
  147. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 四十八年度から御理解いただきたいと、こういうつもりでお答えをしているわけでございます。
  148. 加藤進

    ○加藤進君 ちょっとわかりにくい答弁でございますから、やられるのか、やられぬのか、やる気があるのかどうか、この点だけ聞いておきたい。
  149. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 予算単価が現実との間に大きな隔たりが出てくるということになりましたら当然単価の是正を行なうべきだと、かように考えております。
  150. 加藤進

    ○加藤進君 現状に見合ってね。わかりましたね。いいですね。現状に見合ってやってもらうということですね。  私がここまで質問をしましたのは、学校教育の中心である学校さえ今日こんなような状態だということですよ。教育条件が整備されたと言われておりますけれども、現状はまさにこのようなお寒い状態だと、こういうことを認めざるを得ない。これを認めた上で適切な処置をとるということが何においても国の教育に対する熱意のあらわれであり、熱意を示すべき一番重要な問題だと私は考えるわけです。  そこで、これは学校の教室だけの問題じゃないですね。運動場が狭くて遊ぶことのできないような学校、交代制によらなければ体操もできないような学校−卒業式といえば学校の年中行事の最大の行事です。これに在校生が「螢の光」も歌って卒業生を送り出すことのできないような学校がどれだけたくさんあるか御存じでしょう。入学式は目の前に控えています。その入学式にも全校そろって入学式ができるというような状態にないような学校がたくさんある。こういうことは御存じだと思いますよ。にもかかわらず、大臣が、こういう状況が整った、こう言われるのでございますけれども、この認識をひとつはっきりと変えていただかなくてはならぬ。このことを私は特に申し上げたいと思います。おそらく、全国の学校で「日の丸」を立てて、そして「君が代」でも歌ってくれたらなと思っておられるかもしれません。しかし、文部大臣のそういう願望にもかかわらず、そんなにそろって「君が代」が歌えるような学校も、あるいは運動場もない現状だということをはっきり認識していただかなくてはならぬと思います。
  151. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 学校施設につきましても理想を言えば際限がございませんが、だんだんよくなってきているという意味で、私は一番最初に御指摘になったことばを使っているわけでございます。私たちは、体育館にしましても、全学校に早く整備させていきたい、また、プールも全学校に早く整備させていきたい。また、補助対象基準面積も、四十八年度は従来の面積に対しまして二割アップをさせていただいたわけでございます。特別教室も潤沢につくっていきたい、こういうことで努力をしておるわけでございまして、そういう基礎と比べて不足であるか不足でないかというような計算もしていくわけでございますので、不足坪数というものの対象になります基本も、だんだん引き上げていっているわけでございます。もとより今後も、そういう意味で理想を追いながら努力をしていきたいと思います。  また、御指摘になりましたように、人口の急増しているところはほんとうに困っておられる。一部では校舎がどんどんどんどん余ってきているわけでございます。他方においては、どんどん学校を新増設しなければならない、プレハブで間に合わさざるを得ない、なかなか用地が確保できない、こういうこともあるわけでございまして、新増設の地域につきましては、あらゆるものをおいて優先的に私は国の補助金を向けるべきだと、こう考えております。それだけの財源的な余裕は予算に計上させていただいておりますので、御指摘の点ごもっともだと思いますので、市町村の努力とあわせまして、文部省としても十分協力をしていく決意でございます。
  152. 加藤進

    ○加藤進君 最後の市町村の努力とあわせましてという面につきましては、これはもう自治大臣のほうの管轄でございますから、国のほうとしてはひとつ全力をあげてやっていただく、こういうことでいいですね。  高校の建設の問題に移ります。  高校建設は、もう御承知のように、高校が義務教育化するという趨勢にある点で、きわめて重大な問題になっておるわけでありますが、この高校建設が、とりわけ東京だとか、あるいは大阪、神奈川、愛知、千葉、埼玉、兵庫などの府県では緊急な事態になっておることは、もう御存じだと思います。こういう私のあげた各県において、標準規模の学校がいまどれだけ必要になっておるのか、昭和五十五年を目ざして。昭和五十五年までにどれだけ学校が必要になっておるのか。その合計をお教え願いたいと思います。
  153. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 公立高校の新設計画でございますが、四十九年から五十三年までの五ヵ年間におきまして、全国で三百四校という報告が出ております。そのうち、大部分は人口の急増する府県でございまして、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、この七県におきまして百九十八校の新設が計画されておるという実情でございます。
  154. 加藤進

    ○加藤進君 これだけの高校がもし新設されないとすると、中学浪人が出るわけです。中学卒業生がどれくらい高校に入らない数になるでしょうか。
  155. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 現在でも高校へいきたいという者の九八・五%は入っておるわけでございます。また、定時制等を考えますと、定時制に希望しない方もおられますもんですから、そういうふうになっておりますが、定時制まで含めれば一〇〇%というところまでは収容力があるということは申し上げられると思います。
  156. 加藤進

    ○加藤進君 いえ、あなたは私の質問に対して答えておりませんよ。五十五年までに、とにかくいまの報告でも百九十八校が必要だと、こういわれております。百九十八校をもし増設できないとすると、どれだけの中学浪人が出るのかと、こういう質問をしておるわけです。
  157. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ただいま申し上げましたような新設予定校の数が報告されておるわけでございますが、それぞれの府県の報告によりますと、三百四校を新設することによりまして約二十七万の収容定員の増をはかりたいという数字が出ております。
  158. 加藤進

    ○加藤進君 私たちの試算によりますと、四十万をこすであろうと見ておりますけれども、一歩下がりまして二十七万といいましても、この二十七万の卒業生に対してどんな措置を今日考えておられるのか、これは文部省自治省と両方からお答え願いたいと思います。
  159. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 従来も、高等学校は三割くらいが私立、七割くらいが国公立ということになっておるわけでございます。私は、やはり高校生がふえてくる、それは公立ばかりじゃなしに、私立も分担し合いながら収容力をふやしていただくことがいいんじゃないだろうかなという気持ちは持っておるわけでございます。おそらく公立高校のことを御心配になってお尋ねだろうと思います。公立の場合にも都道府県立が中心になっておるわけでございまして、従来、高等学校の新設にあたりましては都道府県が財政責任を負っていくということになっておりまして、改築の場合に文部省から補助金を出すわけでございますけれども、新増設の場合には当該団体の責任でやってもらうというたてまえで来ているわけでございます。したがいまして、自治省のほうで、それぞれの都道府県に必要な財源を地方交付税法によって与える、あるいはまた地方債の運用によって与えるというようなことで、御配慮をいただいているわけでございます。今回は特に人口急増の地域において極端に高校増設の必要が起こってくることでもございますので、若干でもそういう建設を円滑に進めさせるというような意味で、地方債計画の中でそういう部分の起債をとってきていただくというようなことにしていただいたわけでございまして、全体の地方財政の中で個々の団体に必要な財源が個々の団体に向けられるように、自治省のほうで御配慮をいただけるものと期待をいたしておるわけであります。
  160. 町村金五

    国務大臣町村金五君) いま文部大臣がお答えになったとおりでございますが、公立高等学校の建設のためには、従来から地方債で措置をいたしておるところでありますが、昭和四十九年度の地方債計画におきましては、特に生徒の急増に対処いたしますために、高等学校新増設に対する地方債を新たに六十億円を計上することにいたしたのであります。もちろん、この六十億円で全部をまかなっていくというわけのものではございませんで、地方債計画の中で、従来と同様、できる限りの措置もあわせて講ずるという考えでございます。
  161. 加藤進

    ○加藤進君 先ほど私が指摘しました東京をはじめとする人口急増の都道府県、この地域で一つの学校をつくるのに、どれだけの用地費が要り、どれだけの建設費が要ると試算されておりましょうか。
  162. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) ただいま的確な資料を手元に持ち合わせておりませんが、新設校の規模といたしましては、大体十八学級規模で、一校の建物が約五千七百平米という予定でございます。それに単価が、高等学校の場合は六万円以上ということになろうかと思いますが、そうした単価を乗じますと、一校の建物の建設に要する経費が出てくるわけでございます。ただいま計算した数字を手元に持っておりませんですが、そういう経費が建物の建築に要する経費でございます。建物が五千平米でございますと、これに対応した校地面積、ほかに運動場等の面積が必要なわけでございますが、土地の単価につきましては、これは地方によりまして非常にばらつきがあるわけでございますが、したがいまして、総体としてどれくらいの金額がかかるかということにつきましては、ちょっと時間をいただければ計算をして差し上げたいと思います。
  163. 加藤進

    ○加藤進君 そんなことまで計算しなくちゃわからぬのでしょうか。私の手元だけでも、神奈川でも大阪でも、こんな数字が出ていますよ。用地に対しては十五億から二十億、建物に対しては十億考えなくちゃならぬ。つまり、三十億から三十五億です。こういう状態ですよ。これだけの金が要るんです。そこで、自治省も言われましたけれども、六十億の起債という数字では、六十億だけで二校の高校の予定しか考えられない、こういうことが数字的にはっきりするんじゃないですか。
  164. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、六十億だけで、公立高等学校の地方債はそれが全部だというふうには先ほどもお答えを申し上げなかったのであります。従来から、御承知のように、高等学校建設のための起債につきましては、いわゆる単独事業債の中で措置をいたしておったわけでございます。しかし、御承知のように、人口急増都市におきましてはどうしても公立学校の建設が必要であろうと、したがって、そういう意味で、まずとりあえず私どもとしては六十億円の起債ワクを特につくり上げたということでございまして、それだけでということじゃございません、先ほどもお答え申し上げましたとおり。
  165. 加藤進

    ○加藤進君 私も六十億で全部できるなどとは考えておりません。しかし、六十億という数字が出されたから、それなら二校分じゃないですかと、こういうことを聞いたわけです。現に私は神奈川県の教育担当者の声を聞いています。こう言っていますよ。昭和四十六年に七十億の予算を計上して先行取得のために努力しました、しかし昭和四十九年には十七校が必要だとされておるけれども六校しか新設できませんでした、昭和五十年開校のおおむね見通しのあるというのはわずか三校にしかすぎません——これが現状ですよ。こういう現状にあるということをしっかり認識していただくなら、これは大蔵省大蔵大臣にもお聞きしなくてはなりませんけれども、とにかく起債のワクを現状のような状態でとめておくということは、これは正しくないと思います。この起債のワクを現状に見合って大幅に拡大する、こういう用意と御決意があるかどうか、この点を文部省自身も持っておられるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  166. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 用地の確保につきましては別途地方債を運用していただくわけでございまして、六十億円というものは、私は、建物、施設起債だと、こう理解をしているわけでございます。同時にまた、人口急増の地域は、一般的に財政力がかなり充実しているわけでございます。税収入が相当多い。したがいまして、団体によりましては、地方交付税交付金のやっかいにならないという団体もあるわけでございます。今日の事態から考えますと、できる限り税収入を充てていただくということが大切じゃないだろうかと、こう考えるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、文部省としては、必要な高校が建設されないと教育上非常に支障が起こるわけでございますので、個々の都道府県、いろいろな御希望があろうかと思いますが、私たちとしては、個々の都道府県の実態に合った運営がなされますように自治省大蔵省に対しましてお願いをしてまいりたい。そして高校建設が円滑に進められるように努力をしていきたいと思いますし、またそれができると、こういうつもりでおるわけであります。
  167. 松浦功

    政府委員(松浦功君) ただいま大臣からお答えを申し上げたとおりでございますが、一般の単独事業債の中で、四十八年度は、高等学校の建設に対する地方債のやり繰りをしております。しかし、人口急増地域の問題が非常に重大な問題になってまいりましたという意味で、特に六十億をことしは上のせをしたというわけでございます。地方債計画全体の中で、高等学校の建設に支障のないように、差し繰りを当然していくということであろうかと思います。  なお、御参考までに申し上げますならば、高等学校の建設費につきまして、一般財源付与という形で、地方交付税の基準財政需要額の中に建設費を織り込んでおるわけでございます。それにつきましても、本年度は生徒一人当たり一万二千七百円から一万五千九百円というふうに引き上げを考えるという措置を講じたいと思っております。これによりまして基準財政需要額が約百四十億程度ふえるはずでございます。  なお、土地の問題につきましては、文部大臣から御説明がございましたように、水田取得債でございますとか、あるいは先行用地の取得債でございますとか、そういうものは別に用意をいたしてございます。土地につきましては、いま申し上げた六十億の中では考えていかないでも、別の面で十分地方債のカバーができると、こう考えております。
  168. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま御説明がありましたように、学校の建築の経費は財源がいろいろあるわけなんです。それで、その財源がどうしても足らないという場合にワク外債と、こういうことになってくるわけであります。そのワク外債につきましてはどういうふうに処理するかというと、金融機関から借り入れをすると、こういうことになるわけでありまして、いま物価情勢が非常にむずかしい時期に来ております。かなり私は見通しがついてきたとこういうふうには思いますが、それだけに大事な時期である。そこで、この物価の今日のむずかしい状態を引き起こした引き金的役割りは土地である、土地価格の下落、安定ということをはからなけりゃならぬ。全国的にはかなり落ちつきの傾向であります。また、これから私は下降傾向をたどるであろうとそういう際ですからね、土地を先は上がるであろうと思って買った人がいま売ろうとする、ところが買い手がないんです。なかなか売買が成立しない。そこで、国、たとえば住宅公団でありますとか、あるいは国鉄でありますとか、そういうところへ買ってくれ買ってくれと、こういって殺到する、こういう状況であり、もう一つは地方公共団体にいくわけです。それがその売りに応ずるということになりますれば、これはまさに地価の高値安定と、こういうことになっちゃう。そこで、政府としては、土地につきましては、政府自身がもう土地はそうは買いませんと、土地の需要を抑制すると、総需要の中でもそういう需要につきましては特に気をつけておるわけでありますが、かといって、いま加藤さんの御心配される文教施設あるいは社会福祉諸施設、それをなおざりにするわけにはいかぬと、こういうので、大蔵省といたしましても、そちらのほうの公共事業費につきましては、これは非常に配意をいたしておるわけでありますが、同時に、金融担当庁としての大蔵省の立場といたしまして、そのワク外債、これにつきまして学校だとかあるいは福祉諸施設だとか、そういうものに関連いたしまして、どうしてもこれは早く買い求めなけりゃならぬというものにつきましてはできる限りの配慮をいたしておる。過密都市、また人口急増都市ではずいぶんそういう問題につきましての苦情も承っております、地方自治団体から。そういうものに対しましては、一々これは直接地方自治団体に接触する場合もあります。また、自治省から御所見を承ります場合もありますが、ケース・バイ・ケースで大体御要請に応じつつ来ておると、こういうふうに考えております。
  169. 加藤進

    ○加藤進君 大蔵省はなかなか調子のいい御答弁をいただきましたけれども、しかし、いま自治体がどれだけ学校建設のために金に苦労しているか、こういうことはひしひしと皆さんもお気づきになっていると思います。その中でいろいろな手だてはあるでしょうけれども、とにかく現在の起債のワクではできないから、起債のワクをひとつ抜本的に広げてほしい、それからもう一つは、基準財政需要額の中の高校建設の経費をもっと上げてほしい、こういう要求でございますから、その点重ねてひとつ文部大臣大蔵大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  170. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いま自治省の財政局長から、地方交付税の基準財政需要額に、高校増設に必要な経費を百四、五十億円といいましたでしょうか、かなりな組み入れをしてくれているというお話がございました。今後とも十分な金額を確保してくれるように自治省にお願いをしてまいりたいと思います。同時にまた、地方債の運用につきましても、これは両省からお話がございましたように、かなり弾力的な運用を通じて、個々の団体の実態に即していきたいというお話をいただいたわけでございます。従来からもそうしていただいておるわけでございますけれども、今後とも個個の団体の運営が円滑にいきますように、文部省としても大切なことでございますので、両省にお願いをしてまいるつもりでございます。
  171. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 起債ワク、公共事業費ワクというのが国の財政計画また地方財政計画という中できめられておりますので、大体これで急増地帯の御需要には応じられるんだろう、こういうように思っておりますが、たとえば土地なんかにつきまして、ワク外債だというような必要のある場合があるようであります。そういう場合に対しましては、ワク外債の資金の調達、そういうことについて金融機関にあっせんをするとか、とにかく学校、福祉諸施設、これは大事なことでありますから、その緊急の需要には充足さしてまいりたい、かように考えます。
  172. 加藤進

    ○加藤進君 大蔵大臣もすでに触れられましたけれども、学校用地の問題、土地がないわけじゃない、こういうことはもう明らかであります。たとえば、神奈川県において非常に強く要求されておるような米軍の基地をあんなにほっておいて、あれに学校を建ててほしい、こういうような要求が続々出ています。それからまた、東京を中心とする各府県におきましても、広大な土地が不動産業者やあるいは大企業に買い占められておるのじゃないか、これを何とか府県に、自治体に先買い権を保障して、十分にこれを確保できるような措置をぜひとも政府にとってほしい、こういう要求が強く出ておることは皆さん御承知のとおりだと思います。私はその点について御異存はないと思いますけれども、そういう方向での努力をする、こういう点を確約していただきましょうか。
  173. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その種の問題は、非常にこれから国づくりの上で大事なことになってくるだろうと思うのです。そこで、いま政府といたしましては、国土総合開発法を国会に提案をしておる。この国土総合開発法を、いまその中の土地規制部門、これを重視されまして、各党間で御協議が行なわれておる、こういうふうに伺っておるわけでありまするが、そういう法制の整備、そういう中でこういう問題も消化されてくる、こういうふうに思いますから、何とかあの法律がそういう方向に有効に働くようにひとつ立法をお願いしたい、かように考えます。
  174. 加藤進

    ○加藤進君 ここで将来の計画について申し上げる時間はありませんから、手近に解決して、この土地さえ手に入れば学校は建つ、こういうような問題について一、二お尋ねしたいと思います。  その一つは国有地です。たとえば横浜国立大学の教養学部は、すでにあと地が県に払い下げられましたね。工学部もまた移転する。工学部は五十一年度には移転しますが、これに対しても、同様な措置をもって県が学校建設等々の土地利用いたします、こういう要望があればこれに善処される気があるかどうか、その点お尋ねしたいと思います。
  175. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 具体の土地の処分の方法は承知いたしておりませんけれども、国と地方団体関係につきましては、持ちつ持たれつ、協力し合わなければならない、こう考えるわけでございます。処分する、売り渡す場合には、地方公共団体を優先的に考えなければならないことも当然だと、かように思います。
  176. 加藤進

    ○加藤進君 そのために、ぜひひとつ積極的な努力をしていただきたいということを要望しておきます。  もう一つあります。東京教育大学、これはもう筑波大学に移転するわけでございまして、その祖師ヶ谷農場、この農場は二万八千坪の広大な丘陵地帯です。このあと地に高校や小中学校をぜひつくってほしいという要望がひんぴんと私たちのところに来ておりますし、文部大臣にも来ていると思います。このあと地を学校用地として転用するような決意があるかどうか、その点を関係文部大臣大蔵大臣にお聞きしたいと思います。
  177. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 文部省自身も、放送大学でありますとか、いろんな施設を考えているわけでございまして、その中では、いまお述べになりました用地も、われわれ検討して対象にしているわけでございます。いずれにいたしましても、国が使用しない、その場合に、基本的には移転あと地は緑地にしていくというたてまえではなかったかと、こう思うわけでございます。しかし、その必要がなくて売り渡すという場合には、先ほども申し上げましたように、地方公共団体を最優先に考えるべきものであろうと、こう存じます。そういう意味合いで今後も検討さしていただきたいと思います。
  178. 加藤進

    ○加藤進君 今日、高校建設が非常な困難に当面している。しかも、どうしてもつくらなくちゃならぬ。つくらなくちゃならぬとなれば、とりあえず国有地に対してこれを学校用地に転用するような努力をすべきだということを申し上げておきましたから、その点ひとつおことばどおり御努力かいただきたいと思います。  もう一つ、筑波研究学園都市にいろいろな研究所やあるいは大学等々の移転がありますね。当然のことながら、あと地が残ると思うのです。このあと地に対しても、いま申し上げましたような立場に立って、関係自治体の要望さえあればこれを優先的に考慮する、こういうお考えがあるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  179. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、東京都内からいろんな施設を筑波に持っていく、そして、過密になっている都の整備をはかっていくということであっただろうと思います。そういう意味においては、基本的な緑地、同時にまた、国としてもいろんな施設を設けるわけでございますので、そういうことも御理解をいただかなければならない、こう思います。先ほども申し上げてたびたび恐縮でございますが、売り渡す場合には当然地方団体を最優先に考える、そういうことで、いずれにいたしましても、公共団体教育施設を設ける用地につきましても、文部省文部省なりに、これはもう協力をすべき筋合いのものであろうと、こう存じております。
  180. 加藤進

    ○加藤進君 この点は重ねて申し上げますけれども地元の自治体の強い要望があり、これを支持する地域の住民の皆さんの強い熱望がある、こういう点を考慮に入れられて、せっかくこれに対して善処をしていただきたいと思います。  高校の問題の最後に一つお聞きしたいのは、私立高校の問題であります。もう私立高校は、公立高校が建たないということのために、ほとんど大都市周辺では、四〇%は言うまでもなく、五〇%、所によっては六〇%の生徒が私立に通っている、こういう状態で、御存じのとおりです。ところが、この私立高校の経営はどうかといえば、結局のところ、生徒の納付金にたよらざるを得ない。そのために、授業料は毎年毎年のように引き上げられる、こういう結果、二人の高校生を持つような家庭は、もう家計そのものが成り立っていかぬというような、非常に危険な現状にあるということは御承知のとおりだと思います。したがって、とりあえずなさなくてはならぬ問題は明らかだと思いますが、自治体において授業料補助に踏み切ったところが全国非常に多数にあるわけでございますが、この点、文部省はどのように現状認識をしておられましょうか。
  181. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 高等学校以下の私立の学校につきましては、現状維持助成も都道府県で行なっていただくということになっているわけでございます。それだけの所要の財源は地方交付税の基準財政需要額に算入していただく。四十五年から始まりまして四十九年、五年目には専任教員の給与の半分は助成をしようというたてまえで進めていただきました。専任教員の人数を、職員全体の四十八年度は七〇%と見込まれておったわけでございますけれども、四十九年度はこれを八〇%に引き上げていただきました。四十八年度は十分の四でございましたけれども、四十九年度は十分の五に引き上げていただきました。同時にまた、基礎の単価も上げていただきましたりいたしましたので、四十九年度はかなり補助の額を上げていただけるんじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。  同時にまた、補助のしかたとして、御指摘のように、父母の負担を軽減する。したがって、個々の父母のほうに助成をしていく、授業料を上げるものを公費に振りかえるというようなやり方をとっておられるところもあるわけでございますけれども、私としては、やはり経常費助成、一括して学校に援助する、それを強めていくという方向にしていただいて、あとは学校の運営にまつほうが望ましいんじゃないか、こういう気持ちを持っておるところでございます。各都道府県においていろんなやり方があるわけでございますが、いずれにいたしましても私立学校に対しまする助成がさらに増額されますように努力を重ねてまいるつもりでございます。
  182. 加藤進

    ○加藤進君 建物やあるいは人件費補助というようなことは、これはもう当然のことで、今後ともそれにも力を入れてもらわなくちゃなりませんけれども、私が簡単に申し上げたような私立高校生の現状、この子供たちを持っている家庭、こういう状態を考えてみるなら、これは授業料補助というところに踏み切ってもらわなくてはならぬのではないか、こういう趣旨の提案をしておるわけでございますから、第一に、私は、私学の助成の中に授業料補助の内容を一つ加えていただけないかどうか。それから第二番目には、それまでのつなぎ措置として、当面、その財源を、基準財政需要額の中に組み入れていただくような措置をとれないのかどうか。この二点について御見解をお聞きしたいと思います。
  183. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 私立学校に対しまする助成が増額されてまいりますと、自然、授業料におぶさらなきゃならないものが減ってくるわけでございます。したがいまして、私は、学校に対する一括的な助成が望ましいと思っているんですと、こうお答えをさしていただいたわけでございます。  同時にまた、それらの所要財源はいままで基準財政需要額に算入されておるわけでございますので、今後とも、その増額を自治省当局にお願いを続けていきたいと思います。
  184. 加藤進

    ○加藤進君 ともかく、全国の二十一都道府県においてすでに授業料補助をやっておるという事実があります。自治体においてこれまでの措置をとらざるを得ないような状態であるんですから、国が黙っておるというようなことは私は正しくないと思います、適切でないと思います。そのために自治体のこういう努力に見合って、国はこれをバックアップする、そのための授業料補助を何らかの形で私学助成の中にしっかりと組み込んでいく、こういう家庭に潤いを与えるような授業料補助の措置をぜひとっていただきたいと思いますが、重ねてその点についての文部大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  185. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほど申し上げました四十九年度の基準財政需要額の増額は、たしか七六%ぐらいになっておったんじゃないかと思うんであります。かなり大幅な増額を計上していただいておるわけでございます。したがいまして、やっぱりそういう方向を通じまして、学校のあり方、授業料でありますとか、あるいは特別な経費を、部分部分的につかまえまして助成をするというよりも、総括的な補助のほうが学校としても運営しやすいんじゃないだろうかなという気持ちがするわけでございます。今後とも研究課題として受け取らしていただきたいと思います。
  186. 加藤進

    ○加藤進君 ともかく、公立高校に通う生徒とそれから私学に通う生徒との間にきわ立った格差が存在するということは、これはもう教育そのものの機会均等に反するわけでございますから、大局的に見て、ひとつ文部省政府の十分な善処をぜひともこの点についてお願いしたいと思います。  次に、最近物価値上げの状況の中で、学用品の入手難というものが非常に強くあらわれています。特にここではざら紙の問題について一、二点お聞きしたいわけでございますけれども文部省は、このざら紙について通知を出されました。これによりますと、児童生徒月一人十枚という算定でございますけれども、この算定の基礎になるものは一体何なのか、基礎があるのかどうか、この点をお伺いします。
  187. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 各学校について調べましたら、月一人十七枚ぐらいが平均のようでございます。しかし、通産省がたいへん御協力をいただいておりまして、一人十枚にこだわらないという方針を今度打ち出していただきました。したがいまして、学校の必要な量が特別な配慮によって確保されるということになってまいるわけでございます。
  188. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、十枚のワクにはこだわらなくて、学校の希望に基づいてざら紙の用紙は十分に手に入るように措置いたしますと、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。通産大臣、ちょっとお聞きしたいと思います。
  189. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そのとおりでございます。御要望があれば、通産省としてもできるだけ手配いたしまして、御要望に応ずるようにいたします。
  190. 加藤進

    ○加藤進君 それでは、そのような制限をとにかく取りはずして、教育上ぜひとも必要だという枚数を十分に確保させるように、ひとつ努力をしてもらいたいと思います。  次に、値段の問題でありますけれども、いよいよ石油の再値上げが行なわれました。当然、これがざら紙の値段にも影響してくるんじゃないかと思いますけれども、現行の指導価格をあくまで守られるお気持ちなのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  191. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 現在、御承知のとおり、七百二十円の特別価格であっせんいたしておりますが、今後とも、この価格を維持していきたいと考えております。
  192. 加藤進

    ○加藤進君 ざら紙が凍結品目には入っておらないので、ほっておけばこれがいま言われた価格で押えられるという保証はないと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
  193. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 事実上、そのような形で指導してまいりたいと考えております。
  194. 加藤進

    ○加藤進君 本来、こういう指導価格そのものが、昨年の同期に比べると実は二倍にも上がっておるわけでございますから、いわば高値安定と言われてもしようがない状態なんでございますから、この点では、現状維持は言うまでもなく、可能な限りこれを引き下げる、こういう努力で、学校教育に支障のないように、ひとつぜひ善処していただきたい、こういうふうにこの点は要望しておきます。  ちょっと、ほかの質問がまたありますけれども、このまま続けますと——少しいいですか。
  195. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) どうぞ御続行願います。
  196. 加藤進

    ○加藤進君 それでは、私は若干質問を省略いたしまして、最後の問題として、いま学校教育上中心の問題になっております子供の学力をいかに引き上げるかという、こういう問題について質問したいと思います。  学力をどのように評価するかという学力評価の問題というのは、ここ数年来、たびたび文教委員会等々でも議論になりました。私も議論に参加いたしました。そういう中で、文部省また文部大臣はどう答えておられるかというと、五段階の相対評価は決していいとは言えないけれども、しかし、ほかにかわりようがないからこれでやっていくというような御答弁でございますが、今日もそのような答弁を考えておられるでしょうか、その点どうでしょうか。
  197. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 小中学校につきましては、そのように存じております。
  198. 加藤進

    ○加藤進君 他にかわるものがないからということを私は委員会の質疑において答弁としてお聞きしておりますし、これは委員会の議事録にも出ております。他にかわるものがあれば、事情は違うんでしょうか。
  199. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 五段階評価の方式をきめられたのは昭和二十四年のようでございまして、二十五年たつようでございます。当初は、教育学者、心理学者、教育委員関係者、校長、教員等からなる指導要録改善協力者会議を設けまして調査研究を行なった結果、現在の評価方法になっておるようでございます。最も合理的、客観的な方式と考えておるところでございます。また、児童生徒の進学、転学等の場合を考慮しますと、できるだけ全国的に統一されていることが望ましいという気持ちを今日もなお持っているわけでございます。
  200. 加藤進

    ○加藤進君 ちょっと聞きますけれども、これは従来の文部大臣答弁とも逆行しますよ。  そこで聞きますけれども、五段階評価にどれだけの効果が学力伸をばすという点であるんでしょうか。
  201. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先生が児童を指導していきます場合に、児童の能力、適性を伸ばしていかなきゃならない。その場合に、その児童の能力、適性を判断するときには、この五段階評価をしておりますと、わりあいに理解しやすいのじゃないだろうかと、その結果は指導しやすいのじゃないだろうかと、こう考えているところでございます。
  202. 加藤進

    ○加藤進君 非常におかしいですよ。とにかく、五段階というのは、あの指導要録にも明記されておるように、5、4、3、2、1、これを比率に応じて配分せよというのでしょう。配分せよというんです。そうでなかったら、あなた、それにかわるあなたのおっしゃるような論拠を資料として出していただきたいと思います。
  203. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 指導要録における評定につきましては学習指導要領で示しているわけでございますけれども、その中でも、この場合あらかじめ各段階ごとに一定の比率を定めて児童をそれに機械的に割り振ることのないよう留意することと、こうしているわけでございます。
  204. 加藤進

    ○加藤進君 ないように留意するというのですけれども、どういう措置が具体的にはとられるのですか、その場合。
  205. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) いまお話しになりましたように、頭から5の評定をもらう方が七%だとかいうふうにきめてかかることは適当でないということでございます。
  206. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 加藤君、時間ですから簡潔に願います。
  207. 加藤進

    ○加藤進君 そうしますと、極端な場合に例を引きます。学校の授業をやってみんな百点近くをとったと、こういった場合に五段階評価はどんなふうに判定しますか。
  208. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 非常に皆さんが優秀で能力差が少ないということになってまいりますと、私は、5という評定をもらう方々の人数が多くなるのじゃないだろうかと、かように存じております。
  209. 加藤進

    ○加藤進君 場合によっては全部5をつけてもいいんですか。
  210. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) それは理論的なことでありまして、私は、実態的にはそんなことはあり得ないのじゃないだろうかと、こう考えているところでございます。
  211. 加藤進

    ○加藤進君 それなら、現実には、学校の教育がどんなような状況に進行しているのか、授業についていけない子供がどれだけ出ておるのか、御存じでしょうか。ある学校の校長先生はこう言っていました。小学校の一年生のときには一割程度しかとにかく落ちこぼれはない。二年になると二割、三年になると三割。中学校三年になると実に九割はついていけないというんですよ。ついていけない子供に対して、これだけの子供があるのに対して、五段階評価というのは一体どういうふうに評価するんですか。
  212. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) ついていけないという場合には、私は、教科書、教科の内容がむずかしすぎるという場合もございましょうし、先生になかなか指導するだけの能力がないという場合もございましょうし、子供さんの力が全体的に悪いという場合もございましょうし、いろいろだろうと思うのでございます。いずれにいたしましても、個々の子供さんの持っている能力を伸ばすように先生方にもごくふういただきまして、ついていけない子供さんのないように力を合わせなきゃならないと、かように思います。
  213. 加藤進

    ○加藤進君 子供の能力を伸ばすというのは、学科ごとにある到達目標がきめられて、その到達目標に向かって各先生が学習の努力をやられる。そうして子供たちはどれだけ身にその能力をつけて学習の効果が上がったか、これをきめるのがいわば学習の評価の基本なんじゃないですか。これに対して、五段階評価というのは、そういう到達目標がどこまで進行しているかということ、どの程度の到達度があるかということは無視して、とにかく学級の中で五段階に評定する、学年の中で五段階に評定する。これはもう子供たちの学力がどれだけ上がったか、どれだけ下がったかにかかわりなく五段階評定をワクづけとしてきめなくちゃならぬ、格づけをやるというのがおたくのような文部省の指導要録の指導じゃないですか。これ違いますか。そうでないというなら、私はそうでないという御答弁をいただいてけっこうでございます。
  214. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 加藤君にちょっと要望いたします。時間でございますから、簡潔に結末をおつけをいただきます。
  215. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 小中学校につきましては、相対的な評価ということで来ているわけでございまして、高等学校の場合には、1、2、3、4、5ではありますけれども、絶対評価、おっしゃいますように到達度の一番高いところを5に置いているわけでございます。やはり、小中学校の場合、特に低学年の場合には、なかなか評価は困難だろうと思うのでございます。そういうこともあったりいたしまして、また、同時に、先生の主観があまり入らないように、できるだけ客観的に評価をすべきじゃないだろうかと、こういうこともあったりしましていまの相対評価になっているわけでございます。
  216. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) もう一問……。
  217. 加藤進

    ○加藤進君 客観的な評価の基準は、文部省の学習指導要領の中に明記されております。これは客観的です。これをどのように子供たちに教えて子供たちの能力、学力をつけてやるか、こういうことが教育の中心問題なんです。その学力がどれだけの程度に上がったかどうかを定めるのが評価でしょう。この評価の方法が五段階では、これは現状に合わないし、間違っておると私は強調しているのです。  そこで、私は、文部大臣に確認いたしたいと思いますけれども、よくできた子供がたくさんなら、5をほとんど全部つけてもかまいませんと、こういうふうに理解していいですね。
  218. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、機械的な割り振りは適当でないと、こう考えているわけでございまして、常識的に考えていただきましてほとんど全部が5だというふうなことで相対評価と言えるのだろうかといいますと、私は、言えないと、こう思います。
  219. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 加藤君、時間ですから、もう一問で結末をつけてください。
  220. 加藤進

    ○加藤進君 だから、とにかく評価が5、4、3、2、1に割り振るということでなくて、もしよくできる生徒たちが多い場合には5、4をたくさんにしてもよろしいと、できない場合には1、2をたくさんにしてもよろしいと、学力そのものを具体的に科学的に評価するやり方でやればよろしいと、こういう御意見ですね。
  221. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 小中学校については相対評価の制度によっていると、こう申し上げたわけでございまして、ただ機械的な割り振り方はよくない。しかしながら、そこにはやっぱり常識の線があると、これだけは申し上げさしていただきたいと思います。
  222. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 加藤君、これで質問を打ち切りますよ。
  223. 加藤進

    ○加藤進君 私はもうこれで終わりますが、それは、文部大臣、ごまかしですよ。私は最後に言いたいのは、いま通信簿は子供たちに出されておりますけれども、通信簿でこの五段階相対評価を具体的に書いて入れておる通信簿というのはほとんどないですよ。ほとんどなくなりました。もう、文部省の指導いかんにかかわらず、ほとんどなくなりました。それから相対評価そのものについても、学籍簿といわれるあの指導要録の中にこの相対評価でいいというような意見はもう広範な各地の教職員の中にはなくなっております。しかも、そのために新しい評価の方式をどうしてつくり出すかということでどれだけの努力とどれだけの熱意が示されておるかということは、あなた御存じでしょうか。もうすでにそういうことを教育委員会としてもきめて、五段階評価をやめて新しい評価方式をとりますと、こういうことを表明された府県がありますが、それは御存じでしょうか。
  224. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 評価の方法もたいへん大事な問題でございますので、いろいろな意見をお出しいただきながら努力をしていけばいいと思います。しかし、その結果において学習指導要領が変更された場合にはそれによっていただくわけでございますけれども、変更されない限りにおいては現行の学習指導要領によっていただきたいと、こうお願いをしたいわけでございます。同時に、指導要録のことで申し上げているわけでございまして、子供さんの父母に通知するその通信簿についてどういう記載のし方をするのが適当であるかということは、これはまた別問題でございます。
  225. 加藤進

    ○加藤進君 最後に一つ。
  226. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 加藤君、最後ですか。
  227. 加藤進

    ○加藤進君 そこで、大臣ね、最後に、最後最後でございますけれども、学校学校であるいは教育委員会で非常な努力を払ってほんとうに子供たちの学力のつくような評価方式を生み出すための努力をしておられる、こういう努力に対しては、これを励まして、もしいいものがあれば全国的にこれを普及する、これくらいの御用意があるかどうか、最後お尋ねして質問を終わります。
  228. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 絶えざる研究はきわめて大切なことだと、かように思います。
  229. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて加藤君の質疑は終了いたしました。  午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時八分休憩      —————・—————    午後二時三十七分開会
  230. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。野末君。(拍手)
  231. 野末和彦

    ○野末和彦君 私は食糧と人口の問題についておもに質問したいと思います。最近食糧問題がいろいろとやかましく言われているようですが、私は食肉類にまで幅を広げますと時間がありませんので、主食を中心に、それも一般家庭との関連において質問したいと思います。  最近、お米の需要が伸びているという声がありまして、ある新聞などによりますと、異常に伸びたというようなことも言われておりますが、ここ数ヵ月のお米の需要の実態はどうなっているか、政府のほうの資料でお願いします。
  232. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 昨年十一月から本年二月までの主食用のウルチ米の売却量は、自主流通米を含めまして約二百二十六万トン、極度に売却量が減りました前年同期——前年同期は二百三万トンでありますが、それと比べますというと若干ふえておりますが、平常年でございました一昨年の同期、これは二百十九万トンでありますが、それと比べますと普通の伸び方でありまして、異常な伸びというほどのことではございません。お尋ねの新聞記事は、前年の売却実績がたいへんこう低くありました、そういう事情をわりあいに考慮されないで、単純に前年同期と本年の数字を比較したものではないかと、こういうふうに見ております。
  233. 野末和彦

    ○野末和彦君 ということは、消費そのものが伸びたということじゃないということなんですけれども、私のほうも異常に伸びたのかどうか、いろいろな点で疑問に思いまして、お米屋さんのほうに直接いろいろアンケートとって調べていたわけです。で、回収率がまだ少ないので、この程度しかありませんけれども、実際伸びてはいないのですね。小売りの立場で言いますと、やはりお米の売れ行きは例年と同じで、横ばいで全然伸びてないということがわかりまして、そこでお聞きするのですが、今後どういうふうに見通しを持っておられるか。お米の需要は横ばいかあるいはもっと減るのか、その辺の予測についてお伺いします。
  234. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 大体近年になりまして一人当たりの消費量が少しずつ低減してきておりまして、ただいまでは九・一八ぐらいなキログラムでありますから、少しずつ減ってきておると、こういう現象であります。
  235. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうすると、一人当たりの消費量でいきますと、今後五年、十年とまだまだ減っていくと、減り方はいままでほどではないけれども、とにかく減っていくという予測ですね。
  236. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) いま申し上げましたように、横ばいないし若干減りつつあると、そのかわりに肉類だとか野菜だとかくだものだとかいうふうなものが逐年少しずつふえてきていると、こういう現象であります。
  237. 野末和彦

    ○野末和彦君 逆に今度は主食用小麦ですけれども、主食用の小麦は今後伸びるということになりましょうか。
  238. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) これも大体横ばいでありますけれども、どちらかといえば少しずつふえているというふうに見られます。
  239. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうしますと、お米のほうは少しずつ減って、小麦のほうは少しずつふえていくというのが需要の見通しだということですね。  そこで、この小売り店、お米を売っている立場の、消費者と結びついているお米屋さんの意見によりますとね、パンとか肉が値上がりしても、もうパン食が定着しているから、米の消費というのは減る一方だということを言ってきているわけなんです。で、まあ問題は減り方だろうと思うんですね。ですから、米がとにかくどれだけ需要が減って小麦がどれだけふえていくかという、その辺の数字というのは非常に見通しはむずかしいと思うんですが、ここで私がお聞きしたいのは、その小麦の、主食用小麦の場合はいずれにしても国内自給率が低過ぎるわけですね。不安があるわけですね。この不安のある小麦のほうが需要がふえて、もちろんほかの穀物一般も含めるんですが、不安のあるものがふえていくと、今度あり余っている、一〇〇%以上自給もできるという米のほうが需要が減っていくと。すると、日本人の食生活が非常に皮肉な、日本の置かれた立場から見ると非常に皮肉な傾向を示しているわけですね。で、これについて将来不安じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  240. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) でありますからして、私どもといたしましては、小麦等の自給度を高めるために、四十九年度予算で御審議を願っております中でも、それぞれ助成策を講じて、小麦等の自給度を高めることにたいへんな努力をいたしておると、こういう次第でございます。
  241. 野末和彦

    ○野末和彦君 その自給度を高めるといいましても、それはたいへんな努力をしてもどの程度高まるかというと非常に不安で、やはり輸入にほとんど依存するという状態はそう改善されませんよね。  そこで、私はきょうの新聞なぞにも、国内の自給率を高めるんだと、いろんな長期計画だということを言っておられますが、それと同時に、国民の、消費者のいわゆる嗜好の面からも自給率を側面から高めていくことを考えなきゃいけないと、こう思うんですよ。たとえば米の需要が減っていくと、あるいはまあよくいっても横ばいと、小麦のほうはふえていくかもしれないと、こういう国民の食生活の嗜好というもの、これをこのままほうっておいていていいのかどうかと、これについてはどうお考えですか。
  242. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 御存じのように、最近、ことに都会等におきましての生活様式が、だいぶ、昔私どもが育つころから見ますと変わってきておりまして、そういうことでもう——それからまた戦後パン食、粉食でだいぶならされてきている。したがって、それが、まあいまお話のございましたように定着しかかってきていると、そういうことで小麦の需要が永続しているわけでありますが、でありますからして、私どもといたしましては、まあめん類等に使います粉は、これは国内産で大体八〇%ぐらいまかない得るような努力をいたしておるわけでありますが、パン等にいたします硬質のものは、これは国内ではあまりうまく生産ができませんので、まあそういうことで、需要に応じて自給度を高める努力はしておりますけれども、やっぱり輸入にまつ点はお話しのようにかなり多いと、こういうことであります。
  243. 野末和彦

    ○野末和彦君 そこなんですがね、その輸入にまつと言って、もし輸入のほうがいままでどおりいかないという事態がかりに起これば、非常に危険だということになりますね。私の不安はですね、輸入の見通し、いろいろこれは非常に不安定な要素がずいぶんあるということは農林省もお認めになっているんですけれどもね。何かそういう状態において、やはり国民の嗜好は米からパンにゆるやかながらも傾斜していくということになると、危険地帯にこう向かって突っ走っていくようなものじゃないかと、もし輸入が、ストップはないまでも変化が起きてきたら、非常にまずい事態が起きるんではないかというふうに考えまして、ここらで、いままでは米からパンにいったと、今度はまあUターンさせるという意味ではないんですけれども、パンから米へ戻ってくるような、お米の需要がふえていくような、各家庭がお米を少しは多く食べていくような、そういう誘導政策もここらで考えないと、米離れをほうっとくということは、輸入依存度の高い主食用小麦を考えた場合に非常に危険だと思うので、大臣は全然そういう不安は何かお持ちにならないんで、国内自給度はめん類で、パンなどの小麦のほうは相変わらず輸入に依存しようというお考えなんですが、これはやむを得ないですが、しかし、ここで食生活を変えるような——変えると言っちゃあちょっと変ですね、誘導していく、小麦から米へ。それを考えなくちゃいけないと思うんですが、どうでしょうか。
  244. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 野末さんと同じ御意見の方がかなりおられます。で、学校給食等でも一週間に一ぺんは米にしたらどうだというふうな意見もございまして、私ども文部省と打ち合わせましてそういうこともいたしてみたんでありますが、やはりたき方その他の、何といいますか、手数のかかること等で、なかなかこれが成功いたしませんで、定着しておりません。まあ国民の嗜好にかなう食事のことでありますので、あまりこちらからいろいろむずかしいことを申すこともいかがかと思いますが、私どもといたしましては、そのいまの米につきましては、これは状況に応じてはやはり減り方が少なくなるんではないかと見られる点もありますけれども、やっぱり麦式、パン食というふうなものがかなりもう長期に定着しておりますので、これをいろいろ——学校給食の例を申し上げましたけれども、なかなか転換するということがむずかしい状況にあるんではないかと、このように考えております。
  245. 野末和彦

    ○野末和彦君 むつかしい状況にあるとすると、やはり輸入に対する危険をまだまだそのままにしておかなければならないということになるんですよね。で、学校給食の話が出ましたから、私もその点をちょっと考えるんですがね。結局、むずかしいむずかしいって考えているといつもできないんですね。それで、何か起こったときにあわてなければならないんですね。で、いま学校給食を、大臣のおっしゃるように、もうパンは食べちゃいけないと、米にしなさいとかという意味ではなくて、徐々にならしていくために給食に米を使う。で、たくのがむずかしいっていうのは考え方で、米を持ってこさせることも一週に一度や二度はできるわけですね。ですから、学校給食で言うならば、牛乳も高くなってくるし、非常に輸入食糧にたよる学校給食というものが不安定なわけでしょう。ですから、どうなんでしょうか、子供たちにパン食を定着させないで、少しは米を食べさせるという習慣をこちらから誘導していくように考えるのが、いま必要なことじゃないかと思うんですがね。
  246. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) あきらめていると申しておるわけではありませんで、これは学校給食になるべく米を使ってもらうように学校給食会にも頼んでおるわけであります。  それからもう一つ、輸入に待つことについて、われわれもいろいろ考えております。こういうことにつきましては、すべてのものをいわゆる国際分業というふうなつもりで考えておるわけではありませんけれども、たとえばいままで大手でありましたアメリカ、これは海外に輸出しなければやっていけない国でありますから、あれだけ大量のものを農家がつくっておるわけでありますから、それでいままで安定的に入ってきた。しかし、それだけではなくて多方面から入れることが必要であるというので、入れることについては、たとえばいま御審議を願っております海外経済協力事業団等はそういう目的で開発をいたそうとするわけでありますので、私どもといたしましては、そういうことで麦その他のものが入ってくることについて万全の策を講じておる次第であります。
  247. 野末和彦

    ○野末和彦君 万全の策を講じておられるとしたら、今度はお金の問題が出てくるですね。いままでどおり必要な穀物類を全部輸入できるかどうかという、外貨事情の立場からいってどういうふうにお考えになりますか。穀物は相場ですから、上がったり下がったりすると思うのです。しかし、いまの、ここ一、二年の様子でいくと、まあべらぼうに下がることもないのじゃないか。少なくも値上がり傾向にあるのじゃないか。特に、えさの場合はそうじゃないか。そういうふうに考えますと、万全の策を講じるというのは、たぶん大臣は、相手国とのいろいろな契約の問題とか長期的な話し合いとか、それはあるのでしょうが、お金は全然心配ありませんか。
  248. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) いま輸入しております穀物等の価格は、御存じのように石油関係で非常に船賃が高騰したとか、あるいは為替関係でこちらの円がドルに比べて安いとか、それからまた一昨年は非常にアメリカの農業は天候不順で不作であった、そこへもってきてソビエトロシアとか中国大陸から、いままでなかった現象でありますが、非常に大量に買い付けが行なわれたとか、そういうようなことで市価が非常に高騰いたしておりますが、幸いにまた去年はアメリカは大豊作、ソビエトロシアも非常な豊作だといわれております。そういうことでありますので、アメリカとしては、つくっております農産物を輸出しなければならない国でありますから、そういうことでやはり私どもとしては、われわれが使うところのものの安定的供給については確保いたしておるわけでありますが、お話のように、これは金を出さなきゃならないのであります。  そういう関係でありますので、わが国といたしましては、やっぱり従来どおり活発なる経済活動を行なうことによって得た資金をもって私どもにも必要なるものを買い込んでくる、こういう相互間の貿易というものはもちろん活発に行なわれるということが前提でありますが、いずれにしても、従来と比べましてアメリカ側の穀物価格が非常に高騰してきて、日本がいままで入れておりました価格よりは倍近くなってきております。だからして、日本で一生懸命つくりました大麦、小麦、あるいは米なんかでもそうでありますが、あんまり価格が違わない、こういう状況になっておることは事実であります。そこで、私どもとしましては、できるだけ国内の生産ができるように自給度を高める。これについてはしかし、大体限界がありまして、そう全部、どのようにいたしましてもいま日本の国土で小麦を一〇〇%生産し得るという可能性は、よほど努力をいたしましても困難でありまして、そういう点から見て、やはり海外に仰がなければならないものが穀類等におきましては存在しているということでございます。
  249. 野末和彦

    ○野末和彦君 結局は他力本願で、その上に立った安心感ですからね、いつ輸入のバランスがくずれるかわからないという要素を考えれば、何かあんまりいまのは安心感を誘わないと思うのですがね。いずれにしても油が上がるでしょう。油が上がって、穀物も上がって、両方買えるだけのお金が日本にあるかどうかという面からは、いまの輸入問題はお考えにならないのですか。これは大蔵省のほうですか。
  250. 松川道哉

    政府委員(松川道哉君) ただいま御指摘のように、最近の国際収支は依然として赤字基調で推移いたしております。しかし、これをつぶさに分けてみますと、御案内のとおり輸出自体は順調に伸びております。そして、ただ輸入面において、ただいま御指摘がございましたように、あるいは原油の価格が上がるとか、あるいは農産物の価格が上がるとか、そういった面で貿易収支の赤字がふえてきておる。それからまた他方、長期資本の流出が大きいものでございますから、こういったことが国際収支の赤字要因になっております。しかしながら、貿易関係をとってみますと、総需要抑制政策を財政金融両面から強力にいまとっておりまして、この面から貿易収支の黒字幅が縮まっていく傾向は是正されるのではないか。そしてまた、資本取引面におきます赤字というのは、昨年末以来とっております為替管理の手直しもきいてまいりましょうし、また国内の景気が鎮静することによって、外へ出ていく資本の圧力というものも弱まってくるのではないか。これらを勘案いたしますと、総合いたしまして国際収支の赤字は漸次縮小の方向へ向かっていくのではないかと思っております。  特に、ただいま原油の話と食糧品の価格につきまして御指摘がございましたが、原油価格の値上がりにつきましては、政府の経済見通しを作成いたしました時点において、見通せる限りの値上がりというのをすでに織り込み済みでございます。そしてまた農産物の価格につきましては、これは最近時点の統計、すなわち昨年の四月からことしの二月までの通関統計の数字をとってみますと、七六%の伸びということになっておりますが、これは一昨年の干ばつその他異常な天候によって非常に値上がりしたことによるものでございます。四十九年度は、この値上がりをしたべースに立ってどのくらい値段が上がるのか、それともまた正常化して戻るのかということでございますので、四十九年度において経験したような大きい値上がりはないのじゃなかろうか。そういたしますれば、現在とっております国際収支対策全体の中で十分吸収し得るものでございますから、御心配のような外貨面からの食糧輸入の困難というのは起こらないのではなかろうかと、このように私ども見ております。
  251. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうしますと、やはり残るのは、よく言われるように相手国の動向ですよね、大臣。相手国がたとえば食糧を戦略に使うようなことがあったら、これは不確定要因ですからいまここで話をしてもしかたがないですが、いずれにしても輸入というものに対していままでのような安心感は持てないというのは、国民もだいぶ感じ始めているわけですね。だからこそ国内の自給度を高めようということになったのでしょうが、そう簡単に高まるものでもない。それからもちろんかなり長期間にわたらなきゃならない。  そこで、やはりできることは、さっきの話に戻りますが、米がとにかく余っているわけですね。あり余っている米を何かいわゆるお荷物のように考えているということ自体が、やはり非常にもったいない、間違っているのじゃないかというところへ私は戻るんですよ。そこで、これは単純に計算するのはおかしいでしょうけれども、米が余っている分、それを今度小麦を輸入している分、小麦の消費を米の過剰分だけ振りかえていくということができるのじゃないか。それがいま言った、家庭でなるべく米を多くとる、学校なら学校でも子供たちにできるだけ米を食べさせていくという消費誘導政策、それをやはりここで考えないとだめだということなんです。  それで、ちょっと角度を変えてお聞きしますが、牛乳とか食肉類の値段が上がった場合に、食生活、主食に関して、これは変わるものでしょうか、それともあまり影響がないものでしょうか、どうお考えですか。
  252. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) 米が余っているというお話でありますけれども、これは余分なものを持っているというわけではございませんで、消費量を上回る生産が行なわれるので、そこで生産調整ということをやって調整をいたしておるわけでありますが、その調整をいたすやり方を五年間継続する。そのうち三年間は、何もつくらないものにも奨励をして奨励金を出した。それはもうことしからやめますと。そこで、去年は生産調整は二百五万トンいたしましたけれども、四十九年度予算では百三十五万トンに減らしておるわけであります。そこで、端境期の十月から十一月になって全然倉庫がからっぽであるようなことをやってはなりませんからして、大体そこで百五十万トン余りを持っておるほかに、そのときにはもう新米が入ってきておりますから、二百五十万トンそこそこ。私どもが米について絶対に不安はありませんよと申しているのはそういうことなんでありますが、そこでいま申しました生産調整をやって、米の作付をしないでもらいたいというところを実は遊ばしておってくれと言っているわけじゃありませんで、できるだけほかのものに転作してもらいたい。農業基本法で示しておりますように、いわゆる選択的拡大でございまして、米のほかに、日本の生活水準がよくなるに従ってやはり副食物に大きな需要が喚起されてきましたので、そこで畜産だとか酪農だとか、あるいはそういう野菜、くだものに転換してもらいたいということで、いろいろな施策をしてそちらのほうを伸ばしておりますが、くだものや野菜のほうは一〇〇%いきますけれども、酪農が非常にむずかしい。  そこで、野末さんも御承知のように、私ども念頭にありますことは、世界的に肉類がだんだん減少してきておるという傾向であります。これはよほど警戒しないといけませんのでありまして、ことにわが国を考えてみますというと、一時非常に和牛というものは評判のいいものでありますけれども、これもやっぱりほかの産業が伸びてまいりまして、労働力がそのほかの産業で所得の多いほうへ転換したりなどして、だんだんとそういう意味で減少してまいった。これを復活させるということにわれわれは全力をあげなければならないということで、今回、今月中にきまるわけでありますが、乳価の決定、それから豚の値段の決定、これは今日のような状況でありますので、物価の面から見ますというと、できるだけ低位に定めるほうがいいかと思いますけれども、一方において生産者は高いえさを買ってつくっているのでありますから、消費面だけ考えるわけにいきませんで、その間の調整をはかって今月中にきめる、こういうことでありますが、実勢価格がもうすでに豚も鶏卵も、それから乳価も大体上がってきておりますので、そういうことはやはり、数字だけから見れば消費者の家庭生活に影響があると思いますけれども、当然そのものだけ考えて見ますれば。しかし、価格が三〇%上がったからといって、釈迦に説法でありますが、家計に三〇%響くというわけじゃありませんで、それはもう産業連関表でも示しておるようにごくわずかなものでありますが、必要でございますれば事務当局から申し上げますが、いまの家計を考えてみましたときに、やっぱり生産者の生産意欲を増強していくという面では価格は上げざるを得ないと、こう思っておるのであります。
  253. 野末和彦

    ○野末和彦君 酪農まで幅を広げられちゃうとちょっと困るので、それはまた別の機会にひとつ畜産の問題をお聞きしたいのですが、私はあくまでも主食に限って考えておりまして、大臣は主食を小麦から米に戻すということにあまり積極的でないのですけども、それならば、この備蓄の問題をあらためてお聞きしたいんですよ。つまり生産調整しているわけですね。生産調整がいいかどうか、いろいろあるでしょう。私が感じで言えることは、いままで米について言えば、国民がそれを食べなくなったという、国民の食生活の嗜好に合わせて減反をしていったわけですね、結果として。そういうことはもういまやおかしいのじゃないか。なぜならば、片一方の輸入のほうがあまりにも不安定要素が多いということなんです。そこで備蓄ということを当然だれも考えると思うのですね。農林省では備蓄ということばはあまりお使いにならないのかもしれませんが、主食に関して、米と主食用小麦とどちらを重点的に備蓄しなきゃならぬか、それからどの程度の備蓄量が適当と考えるか、それについてお伺いしたい。
  254. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) その点は、私どもも四十九年度予算編成にあたりましてたいへん考えたところでありますが、まず米につきまして申し上げますと、四十九年度米穀年度で、すなわち十月末でありますが、古米持ち越しは百十万トン程度と見込まれますが、四十九年度産米につきましては、国際的な穀物需給の逼迫状況等勘案いたしまして、不測の事態に対応し得るように需給に相当の余裕を持たせることといたしております。五十年度米穀年度末、すなわち五十年の十月末の古米持ち越しを、先ほど申し上げました百五十万トンといたすこととしております。さらにまた各米穀年度末には、これらの古米のほかに新米の買い入れが二百五十万トン、これも先ほど申し上げた。米の需給には、そういうことでございますので全く不安はございませんが、米の備蓄、つまり古米の持ち越しでございますが、ふやしますと、その分だけ消費者は古米を食べるということになるわけであります。したがって、これをふやすにも限度がございまして、従来の経験によりますと、百万トン程度が無理のない水準ではないかというふうに考えられておりましたが、四十九年産米につきましては、いろいろな事情を考慮いたしまして、百五十万トンにいわゆる備蓄をふやすつもりでおります。  小麦につきましては、四十八年度末の外国からの輸入小麦の在庫量は需要量の二・三ヵ月分、つまり七十六万八千トンを見込んでおります。四十九年度末の小麦の在庫量につきましても、引き続いて需要量の二・三ヵ月分、つまり七十九万四千トンを小麦についても計画しております。  それから続いて大豆でございますが、これは一ヵ月分に相当する大豆を購入、保管させる。これは食用油とか、それから油かす等をつくる。これは一般の家庭でよく使われるものでありますが、一ヵ月分。大体一ヵ月分というのは五万トンでありますが、そのほかに常時ランニングストックが三十万トンほどございます。  そういう次第でございますので、おもなものにつきましての備蓄政策につきましては十分手当てをいたしておる。従来より少しよけいに米と小麦はふやしている、こういうことでございます。
  255. 野末和彦

    ○野末和彦君 米で、まあ古米とか古々米でだいぶ困ったから、ちょっと憶病になっているのじゃないかという気がしましてね。ぼくなんか考えるんだけど、やはり百五十万トン、これはもっと持ってもいいのじゃないか。一年ごとでなくて、古米とか古々米を食べるようになってもやむを得ないので、そのぐらいの大量備蓄をしていく方向に進んだほうが、国民に安心感を持たせることからして必要だと。少々金がかりにかかっても、いままでの旧来の経験というものとはここらで切り離して考えるべきだと、こう思うんですよね。そこまで積極的に備蓄を考えるお考えは、じゃ、ないわけですね。
  256. 倉石忠雄

    国務大臣(倉石忠雄君) おっしゃるように、私どもは、従来よりもよけい備蓄——いま申し上げましたように古米百五十万トン、そのほかに、そのころは端境期でありますから、新米がもう二百五、六十万トンは農協の倉庫に入ってきているわけであります。でありますから、それ以上持つということにつきましては、私どもといたしましては、その必要を感じないのであります。  なお、御不安というのは、つまり米はわが国ではもういまごろになりますというと、とうに全国の農協及び市町村は、自分の傘下の農家で水田にどのくらい作付をするかということはもうはっきりわかっているんでありますから、もう間もなくになりますというと、今年の収穫量の予想がほとんどぴったり合う数字が出てまいります。そういうことでありますので、百五十万トンの古米を貯蔵しておるということにつきましては、いやが上にも安定感を、安心感を持っていただくためのやり方である、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  257. 野末和彦

    ○野末和彦君 私は別に米に不安があってという意味で言っているんじゃないんですが、やはり輸入という面を考えた場合に、もっと積極的に食糧供給の面を考えるべきで、何か自給度を高めるという話の農業政策のほうが先に大きく政府の頭にあるような気がするわけなんです。そこで、なるべくだったらば、米を食うようなPRなり誘導政策を打ち出すのがいま必要なときじゃないか、不安がないときにやるべきではないかというふうに考えていたのですがね、あまり積極的なお気持ちがないようなんで、今度はちょっとおかずのことも含めて、食肉などのことも含めて別の機会にそれはお聞きしまして、食糧に密接な関係のある人口のほうに移りたいんですがね。  厚生大臣の何か人口問題に関する諮問機関が新りまして、それが意見を述べたということを新聞で読みました。それによりますと、日本政府が基本政策として人口抑制というものを積極的に推進しなきゃいかぬとか、何か人口抑制政策を明確に打ち出すという、そんなような意見が出ていたということを新聞で読んだんですが、それで、厚生大臣としては、それに対してどう受けとめておられるか。賛成なのか、なお疑問があるとお考えか、その辺からお聞きします。
  258. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 人口問題研究所というのが厚生省にございまして、権威ある方々がたくさん集まられております。私はしろうとでありますけれども、しかし、まあ臨時の厚生大臣でございますから、その辺のことをちょっと私の考え方を述べさせていただきますと、これは野末さんも御承知のとおり、いま地球上の世界人口というものは大体三十七億人ないし三十八億人ございます。一年間に大体二%ぐらいの地球の上では人口増加がございますので、つまり年々八千万人ぐらいの人口が地球の上でふえてまいります。そういう計算をいたしますと、地球上の人口が倍の七十二、三億人になりますのに三十三年ぐらいかかる。つまり三十年余りたちますと地球上の人口が七十何億人になるわけでございます。日本の人口増加率は比較的低いわけでありまして、私が厚生大臣として前にもそんなことをやっておりましたが、承知いたしておりますところによりますと、大体その年の増加率というものは一・二%ぐらいでありますが、世界の増加率というものは日本よりもはるかに高い、二%ぐらい。ですから、日本のこの国土面積の上でも毎年百数十万人の人口がふえておりますけれども、世界じゅうではいま言うように八千万人近い人口がふえていくということになりまして、そういう人口の増加率を延長をいたしますと、これは私は人口問題研究所の権威が書かれた著書を前に勉強したことがありますが、今後六百何十年の後には地球上の人口はふえにふえて、地球上の陸地面積の上に人間に与えられる面積というのは一平方フィートしかない、つまり立錐の余地もないぐらいに今後六、七百年の後にはふえると、こういう計算になるそうであります。  しかし、もちろんその間いろいろな事柄が地球の上に起きるわけでありますから、そのコンピューターではじいた数字どおり伸びるわけではございませんけれども、何しろ地球上の人口爆発というものはおそるべきものでありますところへ持ってきて、世界じゅうの人々がそういうことに気がつきまして、ことしの八月、ブカレストで国際人口問題会議というのが行なわれまして、日本がその人口問題会議におきまして一方の立て役者になるはずでございます。それでこの人口問題についての提案をすることになっておりますので、その際に、いまのような趨勢で人口を野放しにしておきますと、いま野末さんが言われるように、食糧問題その他と全く不符合になって、そして世界の貧困というもの、あるいは食糧不足というものは免れ得ないので、この際お互いに人口の増加情勢というものを裸にして見守って、そして人口の増加の合理的な抑制をはかるべきではないかということを提案しようではないかと、こういう相談を人口問題研究所に付属するまたその人口問題の専門家の会議で論議をしたことがあるようでございます。あなたのお目に触れたのはそのことであろうと思います。
  259. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうしますと、じゃ、日本の場合はまあ平均よりも低い、一・ちょっとですね。それをどの程度に、人口増加率をどのくらいに押えるという基本政策でこの会議に提案なさるんですか。
  260. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 日本の場合、どういう提案をするか、これはあとから御説明をさせることにいたしますが、人口は、さっき申しましたように日本の人口増加率は一・二%ぐらいですが、人口増加の純生産率というのがありましてね、人口は結局一人の女性が一生の間に女の子を何人産むかということによって人口増加というものはきまるんです。男の子は人口増加の上ではちょっとしか役に立たないんで、長い目で見た場合の人口増加の役に立ちません。ところが、日本のそういう意味の、一人の女性が一生に女性を産む率というのはちょうど一ぐらいです。一人の女性が一生に一人の女の子を産む、こういうような状況でございますので、その女の子が一生の間になくなる方もありますので、しばらくあとの将来を考えますと、日本の人口というものはその純生産率が一である限りにおいては、いまから五、六十年後には一億四千万人ぐらいでとまりまして、それからは減る方向にいくはずでございますので、日本の国土面積三十七万平方キロ、三千七百万ヘクタールの上では私は一億四千万人弱で日本の人口がとまるということはそんなに不合理ではない。むしろそのままほうっておくとそれからは減る方向にいくので、いまのような夫婦が二人で子供は二人しか産まないということ、しかもその中で女性がほんとうに半分ならば、おかあさん一人が女の子一人産むわけでありますけれども、それでは人間が、女の子が七十歳まで、七十五歳まで生きる間に必ず欠けますから、日本の人口というものはいま言うように、昭和百年ぐらいが精一ぱいで、あとは減る方向にいくので、その辺はむしろ考えますと、私はあまり日本で人口を減らす方向ということよりも、倉石農林大臣を攻めて食糧確保をやらせるほうがより合理的ではないかという気がいたします。
  261. 野末和彦

    ○野末和彦君 いや、しかし、一億四千万人ぐらいだろうというお考えはそれなりにわかりますが、積極的に人口抑制ということを打ち出さなければ、いまと同じで、現代のように自由にほしい人は産む、もちろん産む自由は当然ですけれども、これをそのままにしておいて、じゃ、はたして人口増加を抑制しようなんという提案ができるかどうかという国際的な一種の責任みたいなものもありますね。だから、厚生大臣はいまのままでよろしいというお考えですが、私はほうっておくと、ほしいという人がやっぱり多いのです。家ができたり所得が上がったりすると、いま平均が二・二ぐらいですか、一夫婦について。たしかそんなものでしたかね、はっきりしませんが、大体そんなものだと思うのです。それをほうっておけば、もっとほしい人がいるからふえていくのじゃないか。だから、ここらで一夫婦に大体子供というのは何人ぐらいが望ましい、だから将来の人口図というものを想定して——何人にしろとか、あるいはふえたらいけないとかということはもちろん言えませんよ。しかし、政府がそういう青写真を示して国民に協力を訴えるということをしなければ、国際的な場で人口増加抑制なんということは言えない。その点をどうお考えになっているかをお聞きしたいのです。
  262. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 日本の国は、たとえば税制の問題なんかをとりましても、つい先ごろまでは課税最低限度、所得税がかかります際のいわゆる扶養控除とかあるいは基礎控除とか、そういう計算をいたします際に、夫婦と子供三人というのを標準家庭にして百万円までは税金がかからないことにするとかというような政策をとってきた時代がありましたが、比較的最近において、税制上でも税金がかからない課税最低限の標準を設けて政策論争などをいたします際にも、御承知のように夫婦と子供二人で百七十万円までは税金がかからないことにするというような政策をいまは上りつつありますので、それは税の問題だけで人口政策をやっているわけではございませんでしょうけれども、そういう計算のしかたになっているということは、夫婦と子供二人というのがいまの日本のモデルだという考えかもしれません。しかし、夫婦が子供二人を産みましても、産んだとかんに両親が死んでしまうわけではありませんから、それは一時的には、私がさっき申しましたように何十年間は夫婦も生きており、子供二人も育っていきますから、その限りにおいては人口はいまの一億一千万人、まあことしの十月ぐらいに一倍一千万人だと思いますが、それが一億四千万人まではふえていきますが、その間における夫婦と子供二人ですと、女性が一人ということでありますと、必ずそのあと減るというわけであります。世界のモデルを見ますと、どこで人口がふえているかというと、大体カソリックの国とかあるいは発展途上国、東南アジア等において非常にふえておりまして、ほんとうはさっき数字で申しました二%の人口増加どころではなしに、もっと四%近くも子供は産まれますが、しかし病気で死ぬ人も非常に高いものですから、たくさん産まれてたくさんなくなる、それでもなお二%とか二・二%ぐらいの人口が増加しているわけでありますから、問題はそういうところにあるわけでございますので、それらの世界じゅうの地球の国々がやはり家族計画をやったり、あるいはまた環境衛生とか、あるいは医療の水準を高めてりっぱな子供を合理的な数を産んでそして健康に育てるという方向にいくべきだ、こういうことはわが国の提案の基礎をなしていることだと思います。
  263. 野末和彦

    ○野末和彦君 中曽根通産大臣にお聞きしたいのですが、いまのお話を聞いておりますと、まあ厚生大臣は、日本では積極的に増加抑制を考える必要もないような見通しですが、どうでしょうか、国務大臣としてお聞きするわけなんですが、やはり私が思うには、これからの夫婦は子供は大体何人ぐらいが望ましいのじゃないか、そうしなさいということじゃありませんね。もちろん産むのは自由です。それからいままでそういう子供を産むことに対して、政策がいろいろ意見を差しはさむなんというのは全くタブーでおかしいことだったと思うのです。しかし、日本と世界の人口の将来を考えるときに、いまの若い夫婦、これから子供をつくろうとする若い夫婦にいろいろな意味で人口問題の深刻さを教えなければならないということの一環として、どうお考えになります。子供は一夫婦何人ぐらいが望ましい姿だと、将来。私見でけっこうですが、どうお考えでしょう。
  264. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まあ、最近の若い夫婦の間では、やはり人口計画を持って一人とか二人とか子供を持つ傾向でありますが、私はやっぱり夫婦が二人いるのですから子供二人はやっぱりつくることがしかるべきであろう。三人以上何人にするかということは、夫婦の好みによってやったらいいと、そういうように思います。
  265. 野末和彦

    ○野末和彦君 しかし、そんなことを言っていると、通産大臣は、いずれは中曽根さんも総理大臣におなりになるでしょうが、そのとき、いまより人口問題がもっと深刻になったときに、二人まではいいけれども、あとは好みにまかせると言っていますと、もうこれはとめどなくふえることだってあり得るわけで、厚生大臣の見通しと違ってくることもあるのじゃないかと思うのですよ。だから、自由にまかせるという考え方は基本にはあるけれども、どんなものですかね、そんな楽観してていいのか。やはりもっと深刻だということを言わないと、日本の政府はいつもあとから大騒ぎするだけで、事前に日本の置かれた状況というのを、食糧にしても、人口にしても、こういう点で深刻なんだから協力をしてほしいというようなPRを打ち出さないでしょう。だから、ちょっとぼくは、何かそんな気持ちでいられると困るのじゃないかと思いますがね。
  266. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の子供の経験から見ますと、どうも産みたがらない傾向で、ちょっと私、手をやいているという感じがいたしております。やっぱり生活水準の問題とか、育児に関するいろいろの問題や何かがあるのだろうと思うのです。しかし、彼らには彼らのやっぱり人生設計と生活の価値観というものがあるようで、われわれの時代とはまた違った独自のものを持っておって、それはまた尊重しなければならぬと思っておりますが、まあ国家生活を維持して民族文化というものを維持していくということを考えると、やはり二人はつくっておいていただく必要がある。しかし、それ以上のことは、みんなの人生観なり価値観なりによってやるので、もし自分の家族がふえて苦しいというときには、夫婦が一生懸命働いて、共かせぎもして子供のめんどうを見るというのが自然の情愛で、人間的な生き方ではないかと、そう思います。
  267. 野末和彦

    ○野末和彦君 そこが根本的にこれからは通用しないと思うのですよ。つまり個人の人生観とか価値観で子供をつくる、これは基本としては当然だと思いますが、しかし、さて、じゃ個人の人生観、価値観と世界的な地球の置かれている状況というものをどう調和させるかというと、各夫婦は子供をつくるときにそんなことは考えませんからね。やはりいずれにしてもバランスがくずれるときが来る。だから私は、言いたいのは、子供を産むのは個人の自由である、人生観と価値観に基づいてきめればいいので、国家的見地でいろいろ言うことは全然間違いだという考えをいつまでも続けていくと非常に危険であるということを考えているのですがね、厚生大臣
  268. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) それは野末さん、この統計を見ますると、ちょうど昭和四十一年から昭和四十六年まで子供を何人かかえた世帯の動きがどうなっているかというのをちょっと申し上げます。  それは昭和四十一年には、四人以上の子供をかかえた世帯の全世帯に対する構成割合は六・二%でございましたが、昭和四十二年には四人以上子供のある世帯は三・八%に減り、四十三年にはそれが三・四%に減り、四十四年は二・八%に減り、四十五年は二・五%、四十六年は二・二%、つまり四人以上子供を持っている世帯というのは二・二%、これは子供を三人持っている世帯についても同じように逐年世帯数が減ってきております。(「大臣は何人」と呼ぶ者あり)私、三人です。それから子供が一人しかいない世帯というのは、そのかわりにふえてまいりまして、子供が一人しかいない世帯というのは昭和四十一年には三八・三%、それが四十二年には四〇・六%、四十三年には三九・七%、四十四年には三九・九%、四十五年には三九・五%、四十六年には四一%と、こういうぐあいに一人しかいない世帯の数はふえております。それでこれ、四十七年、四十八年の数字はまだございませんが、こういう状態ですと、子供は一人しかいない世帯のほうが五〇%をこえるというようなことになってまいる危険もある。こういうことさえも——これ、差し上げておきますから、ひとつ……。
  269. 野末和彦

    ○野末和彦君 そこがだいぶ、私から言わせると勘違いなさっているのです、大臣は。政府が悪いから、結果的に一人の世帯は、一人の子供という夫婦はふえたのですよ。公害の問題でしょう、住宅の問題でしょう、暮らしにくいのだと、子供をつくっても不安だという気持ちを政府政策の誤りによって国民に植えつけていった結果、たまたま子供の数は減っているんですよ、これは。もし、住宅問題、あるいは所得の問題、公害の問題、そういうものがかりに解決されるほうに向かっていけば、やはり子供はふやしたいというのが人間の心情だと思うのです。特に女は子供をほしがるわけですよ。だから、いまの結果は——私はこれは参考にいただきますけれどもね。全然この数字を勘違いをして、これは子供が減ってきているというのは、子供二人が平均でありながらそういう世帯が減っているというのは、いかに政治が悪かったかということを再認識しなければいけないことなんですよ。そうですよ。若い人の気持ちというのはそうなんですよ。子供を産むのが不安だって言うやつだってずいぶんいるんですから。だから、この辺はどうもだいぶずれていて、これは何を言っても理解してもらえないものね。ちょっと何かあまりにも、私いままで厚生大臣と通産大臣のお答えを聞きますと、楽観的というよりも、先のことをあまりにも、何というんですかね、甘く考えていて、また何か問題が起きたら大騒ぎするのじゃないかという気がしてしようがないのです。でも、これはいろいろしゃべっていても平行線ですから、別の機会にまたやらしていただきますが、通産大臣大蔵大臣がいらっしゃるので、ひとつ、じゃ、これから別のことをやりたいのですが。  この間、政治献金の問題が出まして、あのときのおことばは、本会議で私も覚えていますが、まず通産大臣は、政治献金は、あれは友情の発露であるというような意味とか、あるいは積極的な国民の政治参加である、だからもらうんだと、しかし、公正に調達し、適正に使うんだというようなことをおっしゃっていましたね。そこなんですがね。あれ、やはり政治献金というのは、友情の発露で、積極的な国民の政治参加のあらわれなんでしょうか。
  270. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういうように思います。やはり民主主義国家でありまして、みんなで政治をやる、第一線の議場に出られない方々が、自分の好きな者を応援してやって、そうして思う存分に働かせる、そういう精神が基本的にあって、政治参加のかわりとしてほかの者にそういうことをやらせる、そういう精神が基本にあると思います。
  271. 野末和彦

    ○野末和彦君 金もらう側の論理がそうだというのはわかりますがね。今度、じゃ、金出す側が、はたしてどういう気持ちで出しているかということ、それをお考えになったことはありますか。
  272. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり民主主義国家、自由主義を擁護するという層がわれわれをわりあいに応援してくだすっておりますから、自由主義を擁護する、そういう民主制のチャンピオンとして、やはり自民党の政治家については応援してくれるのだろうと思います。
  273. 野末和彦

    ○野末和彦君 さて、そこで私がお聞きしたいのは、実は個人でも出す方もいらっしゃるでしょう。しかし、企業が出す場合のほうが多いということで、自民党の常連、献金の常連に全部アンケートを出したんですよ、これなんですけどね。実は回収率があまりよくないんですよ。やっぱり答えにくいんだろうと思うんですがね。いずれにしても回収率がよくないんで、この数字をどうこうと言うことは差し控えますが、返ってきたんですよ。通産大臣大蔵大臣関係のある会社もあるんですがね。この手元に集まったそのアンケートの答えを見ますと、政治献金は本来大いに出したいか、あまり出したくないか、その他の理由が特殊な理由があればというふうに聞いたところ、あまり出したくないというのが九割五分なんですよ。有名な会社ですよ。政治献金大いに出したいと言うはずですよね、いまのおことばだったら。自由主義を擁護したり、友情があったり、とにかく積極的なんだから。答えはあまり出したくないと言うんだ。こういう答えばっかりです。お見せしてもいいですよ。ただ会社名見られちゃ困るから……。通産大臣、どうお考えになりますか、こういう返事を企業が私のアンケートに対して答えてきたことに対して。
  274. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 世の中にはいろんな人がおり、会社の重役や社員にもいろんな人がおりますから、そういう方もおると思います。しかし、そういう中に積極的に出してくださるというのは、やはり民主主義、自由主義の世界を日本でも維持していかせようと、そういう代議政体のもとにおいて、その前線の、われわれの闘士として自民党の国会議員を応援してくださるんだろうと、そういうように思います。
  275. 野末和彦

    ○野末和彦君 このアンケートが正直なものだと思っているわけじゃありませんが、いまのような言い方ですと、そういうところもあるだろう、あまり出したくないところも。しかし、喜んで出すところが多いんだというふうにとれるんですがね。なぜ出すか、なぜ政治献金をあなたの会社は出すのかという問いに対しては、全部おつき合いだと言うんですよ。おつき合いという意味を私が考えますと、どうもこれは出したくないけど、おつき合いでしかたなくて出しているんだというふうにとれるんですね。お祭りのときに、よく町内の顔役とかボスが強制的に割り当てしてくる、と、しようがないから、まあおつき合いで出すんだというような印象にとれるわけですよ。たまたま国民協会が何か値上げをということありましたね、中曽根大臣は直接関係ないでしょうが。その国民協会が割り当てして値上げしてきたけども、それに応じるかというと、賛成できないから応じないというのが半分なんですよ。結果的には知りませんよ。こういう答えを見ていると、どう考えても、喜んで、積極的に自由主義擁護のために出しているというよりも、割り当てられて、いわばせびられて、むしり取られたとは言いませんけれども、何かせびられていやいや出しているんだ、出している以上はメリットも取らなきゃ損だというような献金じゃないかと、こう思えてならないんですがね、いかがでしょうか。大蔵大臣でもけっこうなんですが、どちらでも。次の総理大臣ですからね。(笑声)これが一番大事なわけで、出すほうの論理はわかりますよ。もう、すべてきれいごとでいきますが——失礼しました、金もらうほうは、もう重々何回も聞いています。出すほうをたまたまこういう形で探ったら、いまみたいな返事が出ているんですよ。どう考えてもぼくは、積極的とか、喜んで出しているんじゃない、せびられているなと、そう思うんですがね。
  276. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 人間の心理の中にはいろんな複雑な心理があると思うんです。それで、やっぱりこう自分でさいふを出すときには、みんな出したがらないものです。しかし、いろいろ考えてみた場合に、熟慮してみると、やはり、たとえば参議院選なら参議院選があったという場合に、これ、野党のほうがよけい自民党よりふえちゃったらこれは政治変革が起こる、これはたいへんじゃ、法人税も重くなるぞというような気持ちを持つかもしれませんね。やっぱり自由主義経済で自由に商売ができる体制のほうが自分たちは喜ばしいと、そういうふうに考えている人は、政治的な変革が起こるのをおそれるという潜在意識があって、自分たちと同じ信条を持っているほうを応援しようという気持ちは私はあると思うんです。そういうようなものが底にあって、そして、たとえば自民党なら自民党というものを応援してくださる。あるいは企業でない場合でも、われわれの地方にある場合には、あれが好きだと、やっぱり一生懸命やっている、国会で野党にぶんなぐられているけれども、近ごろは顔色が悪いけど、どうしているだろうかなというふうなことも言ってくる、そういうファンがおるわけですね。そういう人がやっぱり応援してくださるというのもあるわけです。そういう意味で、明治以来百年間やってきた日本の民主主義というものは、功罪いろいろありますけれども、やはり代議政体という意味においては密着して、かなり定着してきていると私思います。そういうものの一つとしてこういう制度もあるのであって、あながち否定すべきものではない。むしろ、いまおっしゃった企業のような場合考えてみますと、政治的変革が起きて経済界に大混乱が起こるということを回避しようと、自分たちと同じ心情を持っておる政権を支持しようと、そういうような気持ちが潜在的にあって応援してくださるのが現実的には多いのではないかと、そう思います。
  277. 野末和彦

    ○野末和彦君 まさにそういう意見の人も、いや、そういう企業もいるんです。個人のことはちょっといま、ファンとして献金しているというのはちょっと別にしてください。この中にも、これ二十数通あるんですが、この中に三社あるんですよ、いまおっしゃったような変革をおそれるという、自由主義を守りたいとか、まあ与党に対する保険金だと答えたところはね、しかし、ほかは全然違う答えをしてるんで、大臣のお考えは、ちょっと自分に都合のいいように考え過ぎてんじゃないかとこう思いますよ。それで、いまの個人に戻ります。友情の発露、あるいは応援するということですが、個人は友情で出すことはあるんですが、個人から来る額は少ない。たいてい企業から来てますわね。大臣のとこもそうらしいし、それから自民党全体がそうですよね。で、いい悪いの問題じゃないんですが、これ、友情っていうのはどういう意味ですか。個人なら友情があるけれども、企業が友情の表現として金出すという場合には、どんな友情ですか、これは。
  278. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やっぱり大学の同窓関係とか、あるいは海軍で一緒に戦友であったとか、そういうような関係が会社の重役や何かを占めている場合に、重役会や何かでだれに応援しようかという場合には、やっぱりあれはよく知っていると、戦争中よく戦ったと、いい男だから応援しようじゃないかと、そういうのは友情の発露としてある場合があるんだろうと思います。
  279. 野末和彦

    ○野末和彦君 そうすると、その友情は会社の意思ではなくて、つまり従業員とか株主とかいうのを全部ひっくるめて、会社の意思とは全然関係なく、上の人たちの個人的友情だということですか。
  280. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) つまり人間をよく知っていると、人間の選別の場合に長所をよく見抜いていると、そういう要するに選別の問題になりましょうからね。そういう意味において、個人的によく知っているというときには、これは確かにいい人間だからこれは出そうじゃないかと、そういうふうに人に対する説得力もあるんだろうと思います。
  281. 野末和彦

    ○野末和彦君 しかし、それもまたおかしな話でね。じゃ、あれですか、会社が従業員や何かみんな一生懸命働いて一株主の参加も得て、もうかった利益のうちから献金するのに、上の人たちが中曽根はなかなかいいと、個人的によくやるからとかいってぼんぼんぼんぼん出す。そういう金を不自然と思わないで、これは友情だ、ありがたいと言ってもらっちゃうんですか、ちょっとおかしいんじゃないかという気もしますけども
  282. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本の法律上許されておる政治基金という、そういう範囲内においてどういうふうな処置をするかという場合の、選別、プリファレンスといいますか、そういう問題だろうと思うんですね。それじゃ野末陳平さんにやるのがいいか、中曽根にやるのがいいかという場合には、やっぱり野末さんのほうが、あれは頼もしいからあっちにしろと、野末さんをよく知っている方はそうおっしゃるでしょうし、中曽根をよく知っている人は、野末さんもりっぱだけれども、中曽根もまあいいからこっちのほうにしたらどうだと、そういうことで、やっぱりそういう選別の問題になりますわね。会社としてはそういうことがやり得る権限もあり、法律的根拠もあると、そういう場合には、重役がそれを選考するという権限を持っていますわね、社内において。それを選考しますわね。そういう場合に、ほんとうにどれが役に立つかというような場合には、同窓とか、あるいは戦友とかというものは、人間をよく知っていると、そういう点で選ばれる可能性が強いんじゃないかと思います。
  283. 野末和彦

    ○野末和彦君 まあ現実はそうだろうと思います。しかし、やはり個人に対する友情と、それを今度は会社全体の名前でもって利益の中から出していくという献金と、これがごっちゃになっているんですね。だから、ぼくだったら、やっぱり会社が、従業員全部含めて、株主までも含めて、中曽根通産大臣に金出そうというなら喜んでもらいますよ。しかし、一部の上の重役やなんかがきめて、それも個人的友情が基盤になっているという金をもらうとすると、その重役連中っていうのは、会社の利益を第一に考えなきゃならない立場の人間だから、そういうやつの意思でもらう金というのは、やはり無条件にもらえないというのが常識で、法的にどうとかこうとかじゃなくて、ちょっと企業のもうけた金を、その重役の個人的意思と、それからあなたとの個人的関係で出していると、そういうふうにとれちゃうんです。そうなると、国民が疑惑を持つように、金をもらっているから企業に対して言いたいことも言えないだろうとか、いろいろこう出てきますね。その事実は別ですよ、事実があるかないかはここで論議するんじゃなくて、何かあなたが友情の発露で、積極的に国民が政治参加しているのが政治献金だというような考え方、これはちょっとおかしいと、個人の場合に限っては言えるけど、企業が持ってきた金については、そういう考え方でもって受け取るっていうのはぼくはおかしいと思いますがね。もう時間もないですから、大蔵大臣、全然おかしくないですかね、いまのお話は。
  284. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ企業もまた社会的単位として活動しておるんですから、それは交際費も要るだろうし、寄付金もあるんだろう、これは私は奇異には感じませんね。私は、まあいま問答を承っておりまして感ずるんですが、最近政治資金、これが非常に膨大化してきた。政治資金という問題には量的側面と質的側面があるんです。一番私は憂慮というか、慎重に扱わなきゃならぬのは質的側面だと、不浄の金というか、そういうのが政治資金として動き回っちゃ、これはもうほんとに困る。しかし、その量的側面におきましても、最近のこの政治のやり方または選挙、そういうものに金がもうかかり過ぎる。ここ数年間たいへんな傾向であり、私は憂うべきことである、こういうふうに考えておるわけですが、それだけの金を一体どうやって集めるんだということになる。そういうときに、これがいわゆる不浄の金という性格を帯びたら、これはまたさらに問題がきびしいことになるわけでありますが、いま私どもでも、政治資金といって新聞に書かれますがね。それは、まあ私、政界二十一年になる。その長い間に、福田をひとつ育ててやろうという人が集まるわけです。そして、その中から福田後援会という性格のものができましてね。で、福田を応援するために何がしか金を出し合おうなんというような話も出てくる。それが政治資金団体ということになり、いまやりとりで聞いておったような、いやいや出しているという人は私は一人もないと思うんです。みんな喜んで、福田さんひとつ応援してやると、こういうことだろうと私は確信しておりますがね。そういう金というもの、それでその金がまた公正に使われているという限りにおきましては、まあ私は政治資金というものはそう問題でないと、こういうふうに思いますが、これが国の立法だとか、あるいは行政の運営だとか、そういうようなものに左右するような影響を持つ、こういうことになると、これはもう一大事です、これは。これは政治資金問題はそういう角度で考えなきゃならぬ。一方においては、まあ量的問題、もうとにかく政界、金がかかるようになった。これをどういうふうにして改革していきますかね。そういう問題もありますが、より重大な問題は、それだけの金の動き、これが国政の運行を影響するということをどういうふうに遮断するか、その辺に問題があるんじゃないかと、かように考えます。
  285. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) 時間が参りましたので、結論を……。
  286. 野末和彦

    ○野末和彦君 はい。まあこの場で結論を出そうとか、そういう気持ちは全然ありませんで、あまりにも献金をもらうほうの考え方と、出すほうの考え方に隔たりがあるように思えますから、だから、大蔵大臣は喜んで出しているんだろうと思うとおっしゃるが、ほんとうに喜んでいるかどうか、むしり取られているかどうか、あるいはまあまあおつき合いで出して、その分だけ取ろうとしているか、いろんな側面が今後あると思うんですよ。だから、それは機会あるごとにまた質問したいと思うんです。で、時間来ちゃって、大蔵大臣にお聞きすることは時間なくなっちゃいましたから、申しわけないですけれども別の委員会でやらしていただきますから。  終わります。(拍手)
  287. 鹿島俊雄

    委員長鹿島俊雄君) これにて野末君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、一般質疑は全部終了いたしました。  明日は午前十時から公聴会を開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会      —————・—————