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国務大臣(福田赳夫君) ただいま労働
大臣と中沢さんのお話を聞いておりますと、やっぱり私も、
大蔵大臣という立場で、預金者の立場ということを非常に深刻に考えるわけなんです。
それで、財形貯蓄につきましては、私はこれは非常なメリットがあるんだと思いますのは、今度初めて融資制度というものを始めたわけです。つまり、財形貯蓄で積み上げた金、それは七年後には引き出せる。そのときには倍額の住宅融資が受けられる、低利長期。それから在来の融資制度があるんです。それを使うことがまたできる。同時に、貯蓄したんですから、それの引き出しもできる。そこで、五百万円財形貯蓄をしたという人につきましては、これは千五百万円の融資を受けられると、こういうことになりますが、問題は、その貨幣価値ですね。その問題は非常に大きな問題だと、こういうふうに思うんです。今日の状態だと、私は、ま
あとにかくそれだけの金があり、なお自己資金もあるわけでありますし、その上さらに退職時にでもあたりますれば、退職資金という問題もありまするから、まず持ち家というか、アパートにいたしましても、あるいは少し遠いところへ行けば一戸建ての家にいたしましても、これは持ち得るような状態だと思うんですが、問題は、貨幣価値がそのときどうなるか。これは、こういう貨幣価値の状態でありますれば、どうしたってそういう金額に対しての何らかの調整はしなければならぬと思います。思いますが、今日のこのインフレ
物価高というものは、いま御指摘のように、住宅の夢を失わせる、あるいは子供を育てる、そういう手段も非常にむずかしくなる。自分自身の老後の問題というものも、これは非常に困難になると、そういうようないろんな問題があるわけでありますので、小手先のことを幾らやりましても、これはもうほんとうの解決にはならないんです。これはどうしてもインフレを早期に解決するほかはないと、こういうふうに考えまして、少し窮屈な、あるいはきびしい政策でございまするけれ
ども、総需要抑制政策をとりまして、まあ短期決戦というか、もう早急に
物価の不安状態を取り除こうという手法をいま進めておるわけでありまして、二月あたりはかなりのそういう政策の浸透が見られるようになった。今日この時点になりますと、大かた卸売り
物価というか、そういう面におきましては横ばいの状態まで来ておる。
〔
委員長退席、理事吉武恵市君着席〕
これからだんだんだんだんと、そういう傾向が固まっていくであろうと、こういうふうに見ておるわけですが、そういうさなかにおきまして、ただいま御指摘の割増金付定期預金をなぜ行なうかということでございますが、これは別に強制するわけではございませんけれ
ども、やはり
物価を早く安定させるということを考えますと、まず国が率先して財政需要を押えなければならない。地方公共団体にも、これに見習ってもらわなければならない。同時に、産
業界におきましても、設備投資を控え目にしてもらうというので、金融抑制政策をとっておるわけですね。ところが、その総需要の中で半分を占める国民消費、これには、まあ所得政策とかいろいろ議論がありまするけれ
ども、私はそういう法的手法を使いたくない。そこで国民の御協力に待つと、こういうことになる。その御協力の道というのはいろいろありましょうが、一番大事な問題は、これは貯蓄であると。まあ貯蓄をする人は、目減りがあるという問題はあるけれ
ども、また貯蓄をしていただきませんと、これ、当面のインフレ問題が解決しないと、こういう問題もありまして、どれが大事かということを考えると、私は、国家的に見ましても、事業から見ましても、あるいは御家庭から見ましても、インフレを解決すること、これが大事だと。そこで、一方においては目減りという問題はありながらも、貯蓄をひとつ多様化、貯蓄手段というものを多様化いたしまして、でき得る限り、まあ貯蓄というか、国民の自発的御協力を願いたいと、こういうふうに考えて、割増金付定期預金という本のを始めたわけなんです。
私は、この定期預金というものは、見通しといたしまして、かなり大きな貯蓄実績をあげるだろう、少なくも一兆円、多けりゃ一兆五千億円、そのくらいの額になるんじゃないか、そんなふうに見ておりまするが、御指摘のように、これは多少射幸心をあふるというような問題もありますので、このやり方につきましては、そういうことを考えながら非常に規制をいたしておるんです。つまり、元金はこれはもとより残るわけです。同時に、普通預金利子、これも残る。その得べかりし
一般の預金利子と普通預金利子とのその差額をひとつ割り増し金として使おうと、こういうふうにする。それからまあ二年間の時限立法、こういうふうにいま考えて、そういう法律案の御審議をお願いしておるんですが、これも、もしインフレ
物価高がとまるというような傾向になりますれば、二年を待たずしてこれを切り上げる、こういうことも考えておるわけです。
その他、この割増定期貯金をやる手法、仕組みにつきましては、まあ射幸心問題と差しさわりのないようにということに、ずいぶん気をつかっておるんです。まあしかし、臨時緊急の措置だと、
物価を抑制することがいま最大の問題だということで、ひとつ御理解を願いたいと、かように考えます。