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政府委員(高木文雄君)
昭和四十九年度
予算のうち、
租税及び
印紙収入につきまして御
説明いたします。
昭和四十九年度の
一般会計歳入予算のうち、
租税及び
印紙収入の額は、十三兆七千六百二十億円でありまして、
昭和四十八年度の当初の
予算額十一兆七百八十六億円に対しまして、二兆六千八百三十四億円の
増加となっております。なお、これを補正後の
予算額と比較いたしますと、
増加額は一兆一千七百五十四億円でございます。
この
租税及び
印紙収入予算額は、
昭和四十八年度の当初の
予算額に、
昭和四十九年度の増収
見込み額三兆六千八百五十四億円を加算した現行法による
収入見込み額十四兆七千六百四十億円を基礎とし、この
見込み額から、
昭和四十九年度の
税制改正による減収
見込み額一兆二十億円を差し引いたものであります。
なお、この
一般会計租税及び
印紙収入予算額に、交付税及び譲与税配付金
特別会計の
歳入となります諸税二千百五十五億円、石炭及び
石油対策特別会計の
歳入となります原重油関税一千三百六十三億円、さらに新設につき御
審議をお願いしております
電源開発促進対策特別会計の
歳入となります
電源開発促進税百一億円を加えました
昭和四十九年度の国の
租税及び
印紙収入予算の
総額は、十四兆一千二百三十九億円となっております。
以上が、
昭和四十九年度の
租税及び
印紙収入予算の
規模でありますが、次に、その内容につきまして御
説明申し上げることといたします。
まず、
昭和四十九年度の
収入見込み額の基礎となっております現行法による
収入見込み額十四兆七千六百四十億円の見積もりについて御
説明いたします。この見積もり額は、
昭和四十九年度
政府経済見通しによる経済諸指標を基礎とし、最近までの課税実績、収入状況等を勘案して見積もったものでございます。
わが国経済は、
昭和四十九年度においては、
昭和四十八年度後半に発生した
石油問題の影響等により、年度当初において経済活動が停滞するものと見られますが、年度後半には回復、安定に向かうものと見込まれております。このような経済事情を背景として、税収も
所得税、
法人税を
中心に相応の増収が見込まれ、
所得税の増収額は、一兆九千九百八十一億円、
法人税の増収額は、一兆一千七百八十六億円と見込まれます。その他、各税日ごとに、経済
動向、課税実績、収入状況等を勘案して積算し、合計三兆六千八百五十四億円の現行法による増収額を見込んでいる次第でございます。
次に、
昭和四十九年度の
税制改正につきまして、その主要な内容を御
説明いたします。
第一は、
所得税の
減税であります。
所得税につきましては、特に
給与所得者の
負担軽減を
中心とする趣旨から、
給与所得控除の
抜本的拡充を行なうとともに、
人的控除の
引き上げ及び
税率の緩和を行なうことといたしております。
まず、
給与所得控除の
拡充につきましては、定率控除の控除率を大幅に
引き上げるとともに、現行の年収六百十六万円で控除が頭打ちとなる
制度を改めることといたしております。また、控除の大幅な
拡充に伴い、現行の定額控除
制度を廃止し、別途低額所得階層について最低五十万円までは必ず控除する
制度を設けることといたしております。
次に、
人的控除の
引き上げにつきましては、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ三万円、扶養控除を八万円
引き上げて、各控除一律同額の二十四万円とすることといたしております。
これらの結果といたしまして、たとえば、
夫婦子二人の
給与所得者の
課税最低限は、初年分百五十万円程度、平年分百七十万円程度に、また独身の
給与所得者の
課税最低限は、初年分七十万円程度、平年分七十七万円程度となります。
次に、
税率の緩和につきましては、
税率の適用所得階級区分を現行の課税所得二千万円までの部分についてはおおむね一・五倍にそれぞれ
引き上げ、それ以上の部分については現行のまま据え置くことといたしております。
また、
福祉政策等の見地から、障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除等を
引き上げることとしております。
以上の
所得税の
一般減税による
減収額は、初年度一兆四千五百億円、平年度一兆七千二百七十億円の
規模に達しております。
なお、これらの改正にあわせて退職所得の特別控除の
引き上げ等の
措置を講ずることといたして
おります。
第二は、
法人税負担の
適正化であります。
法人に適正な税
負担を求めるため、いわゆる法人の実効税
負担水準をおおむね一割程度
引き上げることを目途といたしまして、
法人税率につきまして、基本
税率を四〇%に、配当軽課
税率を三〇%、ただし、最初の一年間は二八%に
引き上げることといたしております。なお、中小法人に対して適用される
軽減税率は、現行のまま据え置くとともに、その適用所得の範囲を七百万円、ただし、最初の一年間は六百万円に拡大することとしております。
以上の改正による増収額は、初年度二千百十億円、平年度三千二百八十億円と見込んでおります。
なお、これらの改正にあわせて、貸し倒れ引き当て金の縮減及び賞与引き当て金の合理化等の
措置を講ずることといたしております。
第三は、
印紙税の
税率引き上げであります。
最近における経済取引の推移等に顧み、
印紙税負担の
適正化をはかるため、
税率の
引き上げ等の
措置を講ずることといたしておりまして、これによる増収額は、初年度九百億円、平年度一千二十億円と見込んでおります。
第四は、
自動車関係諸税の
税率引き上げであります。
資源の節約、消費の
抑制、
道路財源の
充実等の観点から、二年間の暫定
措置として
自動車関係諸税のうち、揮発油税及び自動車重量税の
税率の
引き上げを行なうことといたしております。なお、自動車重量税につきまして
現下の
物価動向を勘案して、営業用自動車については
税率を据え置く等、政策的配慮をいたしております。
以上の改正による増収額は、初年度一千七百八十億円、平年度二千百四十億円と見込んでおります。
なお、以上のほかに、
租税特別措置についての
所要の
措置を講ずるほか、電源
開発促進対策の
財源に充てるため、
電源開発促進税を
創設することといたしております。
次に、
昭和四十九年度の国税収入全体の構成を、
専売納付金をも含めてみますと、
税制改正の影響により、
所得税収の割合は四十八年度当初
予算よりも低下し、三二・九%となり、
法人税収の割合は、四十八年度当初
予算よりも上昇し、三四・〇%となるものと見込まれます。
また、
昭和四十九年度におきましては、国税収入全体に占める直接税と間接税等の割合、いわゆる直間
比率では、直接税の割合が四十八年度当初
予算に比べ若干の上昇にとどまり、六九・九%になるものと見込まれます。
以上述べました
昭和四十九年度の
租税及び
印紙収入予算額を基礎として、国民所得に対する
租税負担率を推計してみますと、国税につきましては一三・三%程度になるものと見込まれます。なお、この
租税負担率は、かりに
税制改正を行なわなかった場合には一四・二%程度の高さになったものと見込まれる次第でございます。
国税、地方税を合わせての
負担率は、地方税の
収入見込み額が確定しておりませんので、一応の推算でございますが、二〇%程度になるものと思われます。
以上をもちまして、
租税及び
印紙収入につきましての
補足説明を終わることといたします。