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1974-05-17 第72回国会 参議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十七日(金曜日)    午前十一時九分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第二十二号   昭和四十九年五月十七日    午前十時開議  第一 国務大臣報告に関する件(農業基本法   に基づく昭和四十八年度年次報告及び昭和四   十九年度農業施策林業基本法に基づく昭和   四十八年度年次報告及び昭和四十九年度林業   施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和四   十八年度年次報告及び昭和四十九年度沿岸漁   業等施策について)  第二 昭和四十七年度一般会計国庫債務負担行   為総調書  第三 昭和四十七年度一般会計予備費使用総調   書及び各省庁所管使用調書(その2)(衆   議院送付)  第四 昭和四十七年度特別会計予備費使用総調   書及び各省庁所管使用調書(その2)(衆   議院送付)  第五 昭和四十七年度特別会計予算総則第九条   に基づく経費増額調書及び経費増額調書   (衆議院送付)  第六 昭和四十七年度特別会計予算総則第十条   に基づく経費増額調書及び各省庁所管経   費増額調書(その2)(衆議院送付)  第七 昭和四十八年度一般会計予備費使用総調   書及び各省庁所管使用調書(その1)(衆   議院送付)  第八 昭和四十八年度特別会計予備費使用総調   書及び各省庁所管使用調書(その1)(衆   議院送付)  第九 昭和四十八年度特別会計予算総則第十条   に基づく経費増額調書及び各省庁所管経   費増額調書(その1)(衆議院送付)  第一〇 昭和四十六年度一般会計歳入歳出決   算、昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算、   昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算   書、昭和四十六年度政府関係機関決算書  第一一 昭和四十六年度国有財産増減及び現在   額総計算書  第一二 昭和四十六年度国有財産無償貸付状況   総計算書  第一三 民間航空の安全に対する不法な行為の   防止に関する条約締結について承認を求め   るの件(衆議院送付)  第一四 業務災害の場合における給付に関する   条約(第百二十一号)の締結について承認を   求めるの件(衆議院送付)  第一五 在外公館の名称及び位置並びに在外公   館に勤務する外務公務員の給与に関する法律   の一部を改正する法律案内閣提出衆議院   送付)  第一六 大気汚染防止法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  第一七 学校教育法の一部を改正する法律案   (第七十一回国会松永忠二君外二名発議)  第一八 公立障害児教育学校学級編制及び  教職員定数の標準に関する法律案(第七十一   回国会松永忠二君外二名発議)  第一九 公立障害児教育学校に係る経費の国   庫負担に関する法律案(第七十一回国会松永   忠二君外二名発議)  第二〇 国土利用計画法案衆議院提出)  第二一 日本放送協会昭和四十六年度財産目   録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに   関する説明書  第二二 簡易生命保険及び郵便年金積立金の   運用に関する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出衆議院送付)  第二三 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一   部を改正する法律案内閣提出衆議院送   付)  第二四 民事調停法及び家事審判法の一部を改   正する法律案内閣提出衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、新議員の紹介  一、日程第一より第一九まで  一、日程第二一より第二四まで      ——————————
  2. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより会議を開きます。  この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。  議席第五十四番、地方選出議員、高知県選出林道君。    〔林道君起立、拍手
  3. 河野謙三

    議長河野謙三君) 議長は、本院規則第三十条により、林道君を社会労働委員に指名いたします。      ——————————
  4. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第一 国務大臣報告に関する件(農業基本法に基づく昭和四十八年度年次報告及び昭和四十九年度農業施策林業基本法に基づく昭和四十八年度年次報告及び昭和四十九年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十八年度年次報告及び昭和四十九年度沿岸漁業等施策について)  農林大臣から発言を求められております。発言を許します。倉石農林大臣。    〔国務大臣倉石忠雄登壇拍手
  5. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 第一に、昭和四十八年度農業動向に関する年次報告及び昭和四十九年度において講じようとする農業施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十八年度農業動向に関する年次報告のうち、第一部農業動向について申し上げます。  わが国は、今日、物価問題、資源・エネルギー問題に加えて、世界的な食料需給事情など、内外の諸問題に直面しております。このような中で、国民食料安定的確保をはかることは、国民生活保全にとって一そう緊要な課題となっているのであります。  わが国食料自給度は、農産物輸入の引き続く増大と、米を除く穀物等生産の減退とを反映して、今日まで、長期的に見て低下傾向をたどっております。さらに、農産物国際市場不安定性等を考慮しますと、国内農業生産供給力維持強化をはかることをわが国総合的食料供給体制基本とするとともに、海外からの輸入安定的確保及び国内備蓄体制整備などを含め、内外を通ずる総合的食料供給体制確立につとめることが今日の食料農業政策の最も重要な課題となっております。  農業の他産業に対する比較生産性は、四十七年度にはかなり上昇し、農家生活水準世帯員一人当たりの家計費において勤労者世帯を上回るに至りました。これは、四十七年度には農業生産が四年ぶりに回復したことなどによるものであります。  農業構造について見ますと、最近における農業就業人口加速度的減少にもかかわらず、農家戸数減少は緩慢でありまして、農業を従とする第二種兼業農家割合は六割をこえるに至り、農地の流動性の乏しい中で経営規模拡大はなお停滞的であります。  その中にあって、近年低下傾向にありました自立経営農家割合は、四十七年度には六・五%とやや増加いたしております。また、基幹的な男子労働力を保持する農家は、総農家戸数の約三分の一を占めており、農業生産の約三分の二をになっているのであります。  今後、食料国内供給力維持強化を積極的にはかっていくためには、これら基幹的な男子労働力を保持する農家農業生産の中核的なにない手として着目し、評価し、その発展向上を支援することが必要であると考えております。  また、農業及び農村が果たしている国民食料安定的確保国土自然環境保全という役割りは、いまや一そう重要性を増してきており、次代の農業の中核的なにない手が定着できるような住みよい農村環境をつくるため、農業生産環境生活環境をあわせて農村総合的整備をはかることが必要であります。  以上が第一部の概要であります。  次に、第二部におきましては、四十八年度を中心として講じた施策について述べております。  最後に、昭和四十九年度において講じようとする農業施策について申し上げます。ただいま御説明申し上げました農業及び農村動向に対処し、農政展開をはかることとし、このため、四十九年度におきましては、国民食料安定的供給確保農業構造改善農業地域の計画的な整備農産物価格安定量点を置いて施策を推進することといたしております。  以上が、農業動向に関する年次報告及び農業施策についての概要であります。  第二に、昭和四十八年度林業動向に関する年次報告及び昭和四十九年度において講じようとする林業施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十八年度林業動向に関する年次報告のうち、第一部林業動向について申し上げます。  我が国森林林業につきましては、近年林地乱開発等が進む中で、森林の有する木材生産等経済的機能国土保全水資源涵養等公益的機能高度発揮に対する国民的要請が高まってきております。また、木材供給量過半を占める外材についても、産地国資源事情変化等からその供給条件は一段ときびしさを加えてきております。  このような諸情勢に対処して、国内においては、経済的機能公益的機能の調和のとれた総合的な森林資源維持造成をはかるとともに、海外資源については、産地国森林資源現状林業をめぐる条件等を十分踏まえて、産地国経済発展協力しつつ、円滑な木材輸入をはかることが今日の森林林業政策の最も重要な課題となっております。  次に、昭和四十七年から四十八年にかけての木材需給動向を見ますと、住宅ローン拡大等背景とした建築活動活発化による木材需要増大に対しまして、供給は急増する需要対応し得ず、流通段階での諸要因も加わって、昭和四十七年の秋から年末にかけて木材価格はかつてない高騰を示すに至りましたが、昭和四十八年に入ってからは、財政金融面からの景気引き締めや石油の需給逼迫等、種々の要因が錯綜して、例年とは異なった動きを示しております。  さらに、林業生産活動を見ますと、素材生産は、自然環境保全等必要性等から天然林伐採減少している反面、近年減少を続けていたスギ及びヒノキの生産木材価格上昇背景として増大に転じていること等、新たな動きが見られます。一方、造林につきましては、林地開発の進行や林地価格の急上昇による森林所有者造林意欲低下等から、拡大造林面積減少しているという問題があります。  また、林家等林業経営体昭和四十七年度の経営状況は、材価高騰を反映して、現金収支については多くの経営体で好転しております。  さらに、林業労働力については、これまで減少を続けてきた就業者数がわずかに前年を上回ったこと、農山村地域において若年層中心Uターン現象がある等、新たな動きが見られております。  以上のような林業をめぐる動向にかんがみ、内外における森林資源充実必要性人工林生産増大拡大造林停滞傾向林業労働力の新たな動き等対応した施策展開が望まれております。  以上が第一部の概要であります。  次に、第二部におきましては、昭和四十七年度を中心として講じた施策について述べております。  最後に、昭和四十九年度において講じようとする林業施策について申し上げます。ただいま御説明申し上げました森林林業動向に対処し、林政の展開をはかることとし、このため、昭和四十九年度におきましては、林道及び造林事業計画的推進林業構造改善木材備蓄等林産物需給及び価格の安定、林地開発規制等森林保全管理強化海外協力充実と秩序ある輸入に重点を置いて施策を推進することといたしております。  以上が、林業動向に関する年次報告及び林業施策についての概要であります。  第三に、昭和四十八年度漁業動向に関する年次報告及び昭和四十九年度において沿岸漁業等について講じようとする施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十八年度漁業動向に関する年次報告のうち、第一部漁業動向について申し上げます。  我が国漁業は、国民消費する動物性たん白食料過半供給する重要な役割りを果たしており、その生産量は年々増加し、四十七年には一千二十七万トンと、一千万トン台の大台をこえましたが、対前年の伸び率は三・一%で前年に比べ鈍化しております。これに対し、水産物需要は、近年、中・高級魚介類中心増大する傾向にあり、水産物輸入エビ等の高級ものを中心に引き続き伸びてきております。  また、その生産は、イワシ、サンマ等の多獲性魚介類増大し、魚種別に見て比較的均衡のとれた生産となったため、平均価格上昇率は前年に比べかなり鈍化いたしました。  次に、わが国漁業を取り巻く諸情勢について見ますと、近年、公害等による漁場環境悪化が進んでおり、その被害も増大しております。これらの環境条件悪化を克服するため、漁場保全改良等の諸事業を推進しているところであり、その効果も徐々にあらわれてきておりますが、今後とも沿岸漁場保全整備開発を計画的に推進することにより資源維持増大につとめることが必要であります。  また、わが国は広く世界海洋漁業実績を有しておりますが、本年六月からの第三次国連海洋法会議を控え、開発途上国中心に広大な領海あるいは漁業水域主張が強まるなど、きわめてきびしい状況になっております。このため、関係国との協力、協調を推進することにより、わが国遠洋漁場確保するととが必要であります。  四十七年の沿岸漁家所得は、養殖業の好調を反映して、前年を一七%上回って約二百万円となり、都市勤労者世帯生活水準にかなり接近しております。  しかし、四十七年の沿岸漁船漁業及び中小漁業経営は、魚価の上昇率の鈍化、生産の伸び悩み等から収益性低下が見られ、また、最近の重油等資材の著しい値上がりから漁業経営は大きな影響を受けており、今後、生産性向上経営の安定をはかることが重要となってきております。  以上が第一部の概要であります。  次に、第二部におきましては、四十八年度を中心として講じた施策について述べております。  最後に、昭和四十九年度において沿岸漁業等について講じようとする施策について申し上げます。  ただいま御説明いたしました最近の漁業動向を踏まえて、政府といたしましては、国民需要に見合った水産物安定的供給をはかるとともに、漁業経営の安定及び沿岸漁業者等所得向上に資するため、(一)海洋水産資源開発海外漁場確保口沿岸漁場漁港等生産基盤整備日漁業公害対策等拡充強化、(二)漁業経営近代化の促進、田水産物流通加工合理化等の諸施策を推進することといたしております。  以上が、漁業動向に関する年次報告及び沿岸漁業等に関する施策についての概要であります。  以上をもちまして、農業林業及び漁業年次報告及び施策概要説明を終わります。(拍手
  6. 河野謙三

    議長河野謙三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。足鹿覺君。    〔足鹿覺登壇拍手
  7. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいま議題となりました昭和四十八年度農業林業及び漁業動向に関する年次報告並びに昭和四十九年度に講じようとする施策、いわゆる農・林・漁業白書について、日本社会党を代表して、若干の質問をいたします。  第一に、この三つ白書共通する点についてでありますが、穀物、魚類、木材等重要資材がいずれも海外への依存度増大し、国内自給率低下したことを率直に発表しており、このことはわれわれはすなおに評価できるものでありますが、最近の内外情勢は新しい農業政策への転換を求めており、そのための国民の合意を得るためのよい機会でありますだけに、いま一歩踏み込みが足らないことを指摘し、今後の努力を期待するものであります。  いま一つの点は、事態が重大なときだけに、この白書の発表が四月以降になり、本年度予算案衆議院通過後であり、したがって、国会白書に基づいた予算はもとより、法案を審議するたてまえを無視した態度であって、まことに遺憾であります。今後はかかることのないよう十分注意をされるよう強く要請する次第であり、今後の善処を求めておく次第であります。  そこで、共通低下する自給率についてでありますが、農業白書わが国食料自給率がこの十数年来に急速に低下した事実を示し、しかも、この白書で初めて家畜飼料計算に入れたいわゆるオリジナルカロリー計算方法日本の実質的な食料自給率は五三%になることを公表し、中でも穀物についてはわが国は四三%で世界最低自給率というきびしい現実であることを公式に明示したことは、最も注目に値するところであります。  また、林業白書では、需要国内供給を上回って逼迫し、木材の安定確保問題が切実な課題となって表面化したことを説明し、木材自給率は四十六年の四六%から四十七年には四一・七%と落ち込み、外材依存増大したが、開発途上国でも森林重要資源とみなす機運が高まりつつあり、いままでのごとき野方図伐採が許される環境にないことを指摘しており、資源保有国との国際協力強化白書は訴えておるが、そのための具体的な施策が明確でありません。外務大臣並びに農林大臣の御所信を承りたい。  このことは、北の先進国が南の発展途上国から資源を安く豊富に手に入れ、繁栄を築くということができなくなったことを意味し、先進国にとって一つの時代の終わりを意味するものであり、したがって、世界のこのような歴史の流れに対応策を誤ると、日本世界の孤児となることは必至でありましょう。  漁業政策転換についてでありますが、去る五月一日の国連資源総会国際経済の新秩序宣言にも見る世界発展途上国主張の裏には、エコノミックアニマル日本は、公害のたれ流しによって自分庭先沿岸漁場を汚し、他人の庭先を荒らすという非難の声が上がることは明らかだと考えられますが、第三次国連海洋法会議が六月カラカスで開かれ、その準備会の経過から見ましてもきわめてきびしいものがあり、領海二百海里の主張は急速に高まりつつあり、もし日本漁業が二百海里の外に締め出される場合は、総生産量の半分を失ってしまう重大な事態となるのであります。  これに関連して、農水委員会外務省黒河内室長は、わが国沿岸十二海里へ踏み切る旨の言明をいたしましたが、これは重大であり、その利害得失について、外務大臣の御見解をこの際態度とともに明らかにしてほしいと思います。  要するに、わが国は、かかる情勢を踏まえて、いままでの漁業政策沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという国際漁業中心政策でありましたのを改め、沿岸漁業中心転換するとともに、沿岸漁業基幹的食料産業一つとして位置づけ、沿岸漁民を保護育成し、その生活を安定するためには、惜しみなく国家予算を投入し、また、公害企業の責任において公害の除去、事前防止等に強力な手を打ち、沿岸漁業振興のための総合的施策を進めらるべきであると考えますが、この三つ白書共通点に対する対応農相、外相、蔵相に伺いたいのであります。  第二に、農政転換基本姿勢についてでありますが、ここ数年来、農業の曲がりかどが論ぜられ、農政転換が幾たびか叫ばれてまいりましたが、今日ほど切迫感をもって農政方向転換が求められているときはないと思います。  農業白書国内農業による食料供給基本として明確化したことは注目されることであります。これは食料問題を国の安全保障問題としてとらえておるものであり、従来の農産物国際分業論をはっきり否定した点で戦後農政を大きく転換することを公表したものと思うのであります。田中首相は、政治生命をかけてかかる歴史的な政策転換を断行する決意をもって、経済政策との関連において農業政策のあり方についてよくよくお考えになるべきだと思いますが、いかがでありましょうか。  さらにまた、食料輸入増大外貨保有高減少についてでありますが、最近食料供給が著しく不安定になったことから、わが国経済の体質的なもろさが一度に露出し始めてきたのでありますが、その一番大きな指標は、昨年二月に二百億ドルに達した外貨保有高がわずか一年の間に百億ドルにまで減少したことは重大であります。そのおもな理由は、一昨年七十億ドル台であった農林水産物輸入が、昨年は実に百十億ドル台となり、四十億ドル以上のドルが食料輸入するために多く費消されたからでありましょう。原油をはじめとした輸入原材料高騰加工貿易型の産業構造であるわが国経済がきわめて困難な局面に立たされていることは言うまでもないが、その中で食料輸入のために費消する外貨増大し続けるということは、その困難にさらに輪をかけることになるでありましょう。  しかし、経済が困難だからといって食料輸入をやめることはいまの場合できません。特に最近ではアメリカを中心とする食料輸出国市場操作を通じて穀物価格を急騰させており、小麦のごときは二年間で四倍に近い暴騰であり、いまや安い外国農産物という神話は全くくずれ去ったのであります。食料国内自給はすべてに優先すべき政策であると確信いたすものでありますが、首相並びに蔵相の御決意を重ねてここで承っておきたいと思います。  第三に、国内における生産調整即時中止と麦の輸入制限について申し上げますが、国内において食料自給度が強調される一方で米の生産調整が続行されるということは、きわめて奇異なことではありませんか。四十九年度は百三十五万トンを転作及び通年施行によって減産をはかるといいますが、減反がそれにとどまるとしても、米の需給関係は綱渡り的な危険性を持っております。しかもこの数量は、昨年までの休耕田のうち七割が復元しなければ目標をオーバーすることとなります。そこで政府は、五カ年継続というメンツにとらわれず、生産調整即時中止すべきではありませんか。農林大臣に伺いたいと思います。  米の備蓄小麦輸入制限についてさらに伺いますが、生産調整を中止したことによって米の需給に余剰が生じたならば、まず備蓄量を増加さすべきでありましょう。政府は、備蓄に対する方針を持っておられるならば、この際明らかにしていただきたい。  また、米についてのみの需給バランスが常に米の過剰状態を生じるならば、食用小麦輸入を削減し、国民主食用穀物消費を米に誘導すべきことは当然ではありませんか。いかなる国でも、自分の国で有利に生産できる穀物生産を制限し、外国から高い代替の穀物輸入するような食料政策を採用しているところは類例を見ないと考えますが、農相に所見を承りたいし、大蔵大臣からは、外貨保有高減少する現状の中でかかる政策が容認されるならば、その理由を伺いたいと思うのであります。  第四に、総合的農産物価格制度確立についてでありますが、それはまず農産物価格政策の位置づけを明確にすることであります。  農業基本法路線においては価格政策はあたかも有害なものとして取り扱われてきました。価格政策生産を刺激したり農業所得を増加させることは、農業合理化近代化を妨げるというのがその認識であり、その結果、農産物価格は常に抑制され、工業製品との間に極端な不等価交換が生まれ、シェーレが拡大してきました。  そして、米や畑地農産物生産するための基盤整備受益者負担金の返済や農業機械購入等の借金の元利償還は、農業生産の収入だけでは負担できないため、農民は出かせぎ所得でこれに充てるという全く理解のできない事態が生じておるではありませんか。価格をこのように不当な地位に置いているということは、とりもなおさず国内農業切り捨ての具体的なあらわれでありますから、その考え転換し、価格政策農産物の再生産を可能とする最も重要な政策の柱であることを明確にすべきであります。  いままで政府はいつもわが国農産物の七割は何らかの価格支持の対象になってきたと言っております。しかし、食糧管理法は別格としても、農産物価格安定法繭糸価格安定法畜産関係等その他の措置は、昭和二十年代の末から三十年代の初めに制定されたものであります。価格算定方式にしても、同じ穀物であっても、米は生産費所得補償方式であり、麦はパリティ方式であります。価格算定の基礎となる評価がえ労賃も、物によって農村日雇い賃金あり都市勤労者賃金をとるなど千差万別であって、それらに何らの脈絡も合理的根拠もないありさまではありませんか。  また、各種の審議会の運営も、政府の息のかかった学者、元高級官僚評論家など委員の大部分で構成され、非公開で行なわれてきたことに対し、真の農民はもとより、消費者の代表をも加えて民主的運営を求める声が強いけれども、政府委員の構成、運営の民主化、会議の公開等についてこれを改めていくべきではありませんか。これをしないということは言語道断であると存じますが、所見を明らかにしていただきたいと思うのであります。  そこで、これらの諸制度を統合、分離または新設して、農業生産の著しい多様化に即応して改組し、米麦、畜産物をはじめ重要農産物について一貫した体系を持った農産物価格保障制度を法律として確立すべきであり、そのためには農民価格要求に対する団結権と団体交渉権を付与する方策をあわせて実施すべきであり、これこそ国内食料自給度向上のための最も重要な中心政策でありますが、首相の決断と実行を求めてやまないものでございます。  第五に、農民生活安定のための総合施策についてでありますが、要するに、農政転換のかなめは農民が安心して生産に励むようにすることであり、そのためには増産すれば所得がふえるというきわめて単純明快な施策を採用することであります。農業生産とそれに関連する施策と並行して、農民生活安定のため思い切って実行をすべきでありましょう。中核農家育成のためにも、これはぜひ必要な施策であります。  例を申し上げますならば、現在の農業者年金を無拠出農民年金制度などへ切りかえるとか、農民の社会保障水準を高め、家族経営による農業承継を保障するために相続税の特例を設けることも必要でありましょう。また、経営を圧迫しておる旧債整理のための特別融資や土地取得等のための金融制度の根本的改善ないし創設など数多くの問題がありますが、本日は時間の関係上省略いたしますが、これらを農業のにない手として中核農家を育成確保する政策視点から統一的に体系化して実施していくことを要請いたします。  白書は、自給度向上農業のにない手の中核農家の育成については十分触れておらないことを指摘し、政府の善処を求めてやまない次第でございます。  さらに、土地政策の根本的立て直しについてでありますが、この際緊急な問題が生じておりまするので、自民党総裁であり内閣総理大臣としての田中さんに伺いたいことがございます。  すなわち、五月十六日午後九時半NHKテレビで、東京女子大教授伊藤善市君が「総理にきく」という放映の中で、国土政策のビジョンについてあなたはとうとうと一時間にわたって述べていらっしゃいます。総理、これはきわめて重大な問題であります。いまわれわれは国土利用計画法案の趣旨に反するこの放言を聞き捨てにすることはできません。国会軽視もはなはだしいではありませんか。  すなわち、この法案は自社公民四党が国総法とは別個の立場から立案せんとしたものであり、順調にいけば本日の本会議提案となるところまできておったものでありますが、総理、あなたは自民党総裁でありまた総理大臣として、その法案の趣旨と全く反する無責任な放言をなさることは責任ある態度とは言えないではありませんか。言い過ぎかもしれませんが、国民を欺瞞する態度ともいうべく、公党の信義を裏切る重大な政治家としての背信行為ではありませんか。(拍手)われわれはこのような主張に対してあなたの考え方の転換を求めるために今日まで努力をしてまいりました。厳重に昨夜のテレビ放送のあなたの言に抗議をするとともに、心からなる陳謝を求めてやまない次第であります。(拍手)  私は、この際土地政策の問題について、最後の結びに一点だけ申し上げますが、民間資本による自由な開発行為は禁止に近い制限を加え、現に資本の手にある四十万ヘクタール余の土地を未墾地開発の対象とし、都市側の土地需要は市街地の再開発などを主体とし、農地への割り込みを強く抑制することを主張してまいりました。特に農耕適地に巨大な土地をかかえ込んでいる一部のゴルフ場、同予定地等については、これを農地用として適当であるならば育成牧場等に解放すべきであります。また、私見でありますが、高速道路網とその建設予定は再検討される必要があり、新幹線鉄道につきましても、必要な地域をトンネル方式として農地の壊廃を極力防止するとともに、沿線住民を振動と騒音から遮断すべきことを勇気をもって政策転換を行なうときではないかと思います。そして新幹線の新しい建設の経費は一キロ二十億円といわれますが、何千キロの新幹線建設を一時これを押えるということではなしに、再検討をされ、やり方、工法を変え、もって食料自給度向上の総合施策の財源の一部としても、私は決して過言でないと存ずるのでありますが、総需要抑制を持論とされる福田さんからこの点については承っておきたいと思います。  かくして限りある国土を守り、食料生産を第一にするための具体的な措置をとる一方、農耕不適地に工業を誘導立地させる政策をとるべきであります。農耕地に工場を誘致するということよりも、農耕不適地にドイツのように工場を誘致すべきであります。これを私は主張いたします。そのためには、土地に関する諸制度を根本から見直す必要があります。  要するに、公共事業にもピンからキリまであります。公共用という名において農地を壊廃して省みない現在の考え方は根本から改めなければなりません。そしてすべての公共事業に優先して守らなければならないのは農地や美しい自然であるという新しい価値観に政府は徹すべきであり、特に田中首相の新しい価値観の転換を求める次第でございます。真剣にお考えになって、率直なあなたの御所信を承りまして、私の質問を終わる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  8. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 足鹿覺君にお答えをいたします。  まず第一は、食料国内自給率についてでございますが、食料国民生活の基礎をなすものでございます。したがいまして、世界的な食料需給の基調から見ましても、国内生産が可能なものはできるだけ国内でまかなうことが必要であることは当然でございまして、安易に外国に依存すべきではないと考えておるのであります。このような観点から、主要な農産物については完全自給ないしは八割以上の自給率確保することとしておりまして、このため各般の施策を講じておるところでございます。また、国土資源の制約等から相当程度輸入に依存せざるを得ないものにつきましては、安定的確保のための対策を講じておるのであります。  次は、農産物価格政策についてでございますが、農産物価格政策につきましては、農産物ごとの商品特性、生産流通事情等に即してそれぞれに適した価格支持の方式が具体的に定められております。また、価格の決定にあたっても、関係審議会の意見を十分聞くなど、適正な水準に定めるようつとめておるところでございます。今後とも、価格政策の運営にあたっては、農業所得確保、物価の安定がはかられるよう留意してまいりたいと考えます。  次に、主要農畜産物の価格決定について申し上げます。  主要農畜産物の価格の決定にあたっては、従来から、関係審議会を開催し、生産者も含めた各界の代表から広く意見を聞いて適正な価格の形成につとめております。    〔議長退席、副議長着席〕 また、国会での審議も活発に行なわれており、生産者の意見は十分反映せられておると考えるのであります。  次に、現在の農地五百七十万ヘクタールの確保等について申し上げますが、農用地の確保につきましては、昭和四十八年度以降の十カ年間に農用地開発約七十万ヘクタールを見込んでおることは、御承知のとおりでございます。したがいまして、既耕地の整備と合わせて昭和五十七年に約五百八十万ヘクタールの農用地を確保することといたしておるわけでございます。  高速自動車国道、新幹線鉄道の整備にあたっては、優良農地の確保自然環境保全等に十分配慮して行なっておるところでございます。  なお、土地改良長期計画に基づく農用地開発にあたりましては、ゴルフ場の予定地となっておるところでも、農用地として利用することがより適当なもので関係者間の調整がつくものにつきましては、農用地として造成利用していくようつとめてまいりたいと考えております。  また、農地や美しい自然の維持についての御発言がございましたが、国土の均衡ある発展をはかるためには公共施設の整備の必要があります。しかし、その用地の選定にあたっては、農業及び自然との調和に最善の配慮をすべきことは言うまでもありません。このため、公共用地を含む土地利用の調整にあたっては、自然の保全、良好な環境確保国民食料安定的供給等、農業の有する機能に十分意を用いて対処してまいりたいと考えます。  最後に、昨日、放映の対談中の私の発言についての真意いかんということでございますが、このたび日本共産党を除く与野党の意見一致によりまして国土利用計画法案が成立の運びに至ったことはまことに喜ばしいことでございます。政府は、議員立法の趣旨を体してこの法律の適正な運用をはかってまいりたい、こう考えるわけでございます。  残余の質問については関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄登壇拍手
  9. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お答えいたします。  わが国木材需給は、国内需要が急速に増大いたします中で、国内資源の制約等から外材への依存度が年々高まっておることは御指摘のとおりであります。長期的観点に立ちまして国内森林資源充実し、森林生産力を増大させることは、私どもは、経済的機能のみならず、公益的機能維持増大するためにもきわめて重要な問題であると存じております。  政府は、このような観点から、昨年二月、森林資源に関する基本計画及び重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通しの改定を行ない、そこで適正な森林施業による人工造林の増進と天然林整備等によりまして資源充実をはかることといたしております。  こういう計画達成のための具体的施策といたしましては、造林林道林業生産基盤整備林業構造改善林業労働力確保対策等の諸施策充実をはかりますと同時に、最近特に問題となっております林地の乱開発の規制につきましては、先般改正いたしました森林法を適正に運用する等、積極的な施策を講じてまいる所存でございます。  それから漁業について、開発途上国領海資源等に対する主張から見て今後の国際漁場での操業の困難性等を含めたお話がございました。まことに私どもも御同感でありまして、こういう点につきましては、御承知のように、私ども考えましても、わが国漁業を取り巻く環境はきわめてきびしさを加えておることは事実であります。このような情勢に対処いたしましてわが国漁業の振興をはかることが緊要の課題となっております。  そこで、遠洋沖合い漁業につきましては、海外漁業協力海外漁場確保を一体的に推進いたしますと同時に、新漁場開発等にさらにつとめてまいりたいと思っております。  また、海洋会議につきましては、ただいまそれぞれのルートによりまして、こういう点を主張しておられる、つまり広範な経済水域を主張しておられる国々との接触等に努力をいたし、その打開につとめておる次第であります。  また、ただいまのような状況でございますので、これからはやっぱり沿岸漁業について十分な力を入れなければなりません。そこで、漁業公害対策、沿岸漁業構造改善対策、栽培漁業振興対策等、こういう点に特段の力を入れてまいるつもりであります。特に、先般新たに成立を見ました沿岸漁場整備開発法を適切に運用することによりまして沿岸漁場整備開発及び栽培漁業の振興をはかることにいたしまして、わが国国民食料の重大な部分を占めております漁業についての安定的供給に全力をあげるつもりでございます。  米の生産調整のお話がございました。米の需給事情につきましては、御存じのように、なお潜在的な過剰ぎみでございますので、農産物の長期生産目標に即しまして、稲作から今後の需要増大が見込まれる他作物への作付転換を計画的に進めておる次第でありますが、この場合、特に最近における国際的な穀物需給状況その他の経済情勢を考慮いたしまして、主要食料安定的供給に万全を期するために、百五十万トン程度の古米持ち越し在庫の増成をはかることといたしております。したがって、端境期における国民食料の主食であります米につきましては、御存じのように、絶対に御心配をかけない次第でありますが、将来のことにつきましては、今日の国際間の動き等に注目をいたしまして慎重に対処してまいる決意でございます。  それから米の消費量の増大をはかるべきではないか、外国からの輸入をなるべく抑制すべきである。この点につきましては、私ども御同感でございまして、農林省といたしましては、消費動向のもとで米の生産が過剰基調であるということを考慮しながら、米食についてのPRを行ないまして、たとえば学校給食等についても米飯給食の普及をはかる等、できるだけ米の消費拡大につとめておる次第でございますけれども、今日すでに国民生活に定着いたしておりますパンやめん類等の製品の消費需要を強制的に抑制するようなことも不可能でございますので、この辺におけるわが国国産の米の消費増大についてさらにPRを進めてまいるつもりでございます。  最後に、農産物価格工業製品価格のシェーレが拡大しているではないかというお話でございます。最近、生産資材価格上昇等、農業にとりましてきびしい条件が生じつつございます。これは、資材価格の値上げ抑制をはかるということがまず第一に大切なことでありますが、農業内部におきましても、生産構造対策を強力に推進いたしまして、生産資材価格高騰をできるだけ経営に吸収できるよう努力する必要があると考えておりまして、そういう方向に努力し指導してまいっております。しかし、こうした努力にも限度がございますので、農産物価格政策におきましもこの点に十分の注意をいたしまして適正な運用をはかってまいる所存でございます。  価格政策についてのお話がございましたが、足鹿さん御存じのように、私どもは大体産物ごとの審議会を持っておりまして、これらにおきましては生産者、消費者の意向の反映が十分できるように努力をいたしておる次第でございますが、なお今後もそういう点に対処してまいるようにいたしたいと思っております。  それから中核的にない手は、御報告いたしております農業白書の中で第二番目の重要事項として私どもも率直に提示いたしておるのでありますが、先ほど御報告の中にも申し上げておりますように、五十歳程度の中核的にない手が農業中心になっておられる農家が三分の二あると申し上げておりますが、こういう傾向につきまして、私どもは、それらの人の期待に沿うような農政をしていく必要があるということで力を入れておる次第でございます。  以上お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  10. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質問は、近来領海十二海里説を多くの国が採用するようになり、また多くの沿岸国が広大な経済水域を主張するようになってきた環境のもとにおいて、水産日本の利益をどう守るかということでございました。  御指摘のように、海洋及び海洋資源をめぐる各国の利害が先鋭に対立してまいり、沿岸国の主張が仰せのように非常に強まってまいりましたことは、御指摘のとおりでございます。わが国といたしましても、こういう世界の潮流に対しましていつまでも背を向けておるわけにはまいりません。しかしながら、領海の幅は国際的合意によって決定せられなければならないものでありまして、沿岸国が一方的に拡張することは国際法上認められないというのがわが政府基本的立場であります。したがいまして、第三次海洋会議の結論を待たず一方的に領海を十二海里に拡張するというつもりはありません。政府としては、海洋会議におきまして国際的に合意されるようでございますならば、現在最も有力な十二海里説を支持する態度で臨みたいと考えております。去る五月七日の農林水産委員会における政府事務レベルの答弁の趣旨も、いま申し上げたとおりであると承知いたしております。  しかし、この際、十二海里説に関連いたしまして、発展途上国側からは、領海の外にさらに広大な資源管轄区域が認められるべしという主張が出ることが予想されまするし、また、米国やソ連等からは、海峡の自由通航権が保障されねばならぬというような問題が出てまいることが予想されますので、日本といたしましては、こういった問題との関連を通じましてその合理的な解決をはかる中におきまして日本の国益を守るべく周到に対処してまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  11. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 領海が広くなる傾向がありますので、遠洋漁業もさることながら、近海漁業に力を入れるべきであると、そういう御所見でございますが、私は全く同感でございます。四十九年度予算におきましても、沿岸漁業構造改善事業、大型魚礁の設置、栽培漁業振興対策等を講じておりますが、今後ともこの方向を堅持してまいりたいと、かように考えます。  次に、国際収支上の観点からの食料自給率向上をはかれ、これも私は同感でございます。そのために、昭和四十九年度予算におきましても、麦や大豆、飼料、そういうものの振興対策を、新設というか、新たに始めております。今後ともこれを強化すると、さような考えでございます。  それから国内産米、この米食を進めるようにしまして、麦の輸入を減らすべきだと、こういうお話でございますが、これも私は同感でございます。いまその所見につきましては倉石農林大臣からお答えをしたとおりでございます。  それから新幹線、高速道路、かようなものは総需要抑制政策の見地からこれを停止せよ、こういう御所見でございます。総需要抑制政策はこれは非常に大事なものでありますので、緊急を要する特殊なもの以外につきましてはこれを御説のとおり停止しておる、こういうような状態でございます。また、御説のように、やむを得ず実行する緊急なる新幹線、高速道路につきましては、これを進めるにあたりまして優良農地を損壊しないように格段の配意をいたしておる次第でございます。  なお、中核農家の育成につきまして、これは質問はありませんでしたが、御所見が述べられた相続税の問題、農業金融の問題、さような問題でございます。これらの問題につきましては、これは御質問ではありませんからお答えはいたしません。いたしませんが、農政通であり尊敬しておる足鹿議員の御意見として十分承ったということをお答え申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 塩出啓典君。    〔塩出啓典君登壇拍手
  13. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、ただいま報告のありました農業林業並びに漁業白書に関しまして、田中総理及び関係各大臣に対し質問を行なうものであります。  FAOの警告を待つまでもなく、人口増に対して世界食料生産は追いつかず、世界的な異常気象も加わり、食料の危機が目前に迫っていることは周知の事実であります。とりわけ、主要農産物の多くを海外に依存しているわが国も、必然的に食料自給への道をとらなければならないことは明白な事実でございます。しかしながら、今日までの歴代政府・自民党の高度経済成長優先、農業軽視の政策のため、次の農村を背負い農業後継者とならなければならない若い農村青年たちは完全に農村を見捨てていることは、数字の示すとおりであります。  農地は急速に減少し、さらに狭い農地が荒廃化し、食料海外依存度上昇の一路をたどり、白書の示すとおり、穀物数量ベースの自給率は五〇%を大きく割っているのであります。かてて加えて、昨年来の悪性インフレは、米作農家に、ミカン農家に、そして畜産農家に、未曾有の打撃を与え、日本農業の将来はまさに暗たんたるものと言わなければなりません。  政府がいかに多くのことばを使って弁明をしても、みずからの命を断たざるを得ないほどの窮地に追い込まれている悲惨な農業の現実を見るとき、政府の責任はまことに重大であることは明白であります。いまこそ政府は、今日までの農業軽視の姿勢を抜本的に改め、食料自給という日本民族の死命を制する重要問題に総力をあげて取り組むべきことは、もはや議論の余地のないところであります。総理及び農林大臣の率直な反省と決意を聞いておきたいのであります。  政府は、本白書で、農業生産のにない手として中核農家の育成を示しております。今日まで政府自立経営農家の育成に種々の施策を講じながら、現実は政府の意図とは正反対に兼業農家は増加し、また専業農家ほど収入の伸びは停滞し、自立経営農家昭和四十七年度にわずかはふえたものの、全体の傾向は年とともに減少の一途をたどっております。政府は口で自立経営農家の育成を叫びながら、その実体は従来の施策の無気力な延長以外の何ものでもありません。このままではほんとうに中核農家の育成ができると考えているのか、農林大臣の見解を聞いておきたい。  増大する兼業農家、なかんずく非人間的な出かせぎを続けなければならない三十万農家に対して一体どのような施策考えているのか、あわせて農林大臣の見解をお伺いしたいのであります。  次に、農用地の確保についてであります。農地面積が最近では年一%ぐらいの比率で急速に減少していることは、政府の統計によっても明らかでございます。政府は新全総におきましては年〇・四%ないし〇・八%の農地の増加を見込んでいましたが、四十七年十月発表の「農産物需給の展望と生産目標の試案」におきましては、草地を含め逆に年率〇・二%程度で減少するという全く消極的な構想に改めました。このようなことでは、自給率はせいぜい現状維持にとどまることをこの試案自身が警告しております。しかも、現実の農地の減少率は、この試案が想定する減少率の五倍にも達しております。その上、総理は三十万ヘクタールの農地をつぶすことを言明してはばからず、正気のさたとは思えません。農地の確保こそ食料自給率向上のかぎであり、政府の見解を聞きたいのであります。  今日、燃料革命と農業の機械化により、膨大なかつての農用林野が未利用地ないし低利用地として放置されております。政府が真剣に食料自給率向上考えるのであれば、せめて農用地を確保するための土地制度及び財政投融資の両面にわたって強力な施策展開すべきであります。この点について農林大臣の見解を求めます。  第四は、農産物価格対策に対する展望が白書においてはきわめて薄いことであります。狂乱物価は市場支配力の強い工業製品に強くあらわれ、競争の激しい農産物価格を上げたくても上げることはできません。政府の支持価格に対する対応もきわめてゆうちょうであります。このようなことで、一体、農家の方々が安心して農業に打ち込むことができると考えておられるのでしょうか。営々として額に汗を流しながら働いた農家の方々に、その労働にふさわしい報酬を保障すべきは、政治の果たすべき当然の責務であります。政府は、計画生産、計画出荷を含む強力な最低価格保障制度を確立すべきであります。それなくしては自給率向上は絵にかいたもちであり、政府の率直な考えを聞きたいのであります。  次に、当面最大の問題は米価であります。米価決定の時期、また、生産費及び所得補償方式を堅持するかをこの際明らかにされたい。さらに、同じ所得補償方式といっても、農業団体と政府の方式の間には大きな隔たりがあり、その最大なるものは、農業団体が八〇%バルクライン方式であるのに対し、政府方式は平均反収方式、言いかえると五〇%バルクライン方式である点であります。かつて政府は八〇%バルクライン方式に近い限界反収方式を採用していたのでありますし、論理的にはすみやかにこの方式に戻すべきであります。日本農業のために、いままでのようないいかげんな政治米価でなく、納得のいく米価とすべきであります。この点についても政府考えを明らかにしていただきたいのであります。  次に、ミカン対策についてお伺いしたい。  わが国の温州ミカンの生産は、経済の成長とともに成長作目としてますますその生産量は増加の一途をたどっております。しかも、昨年、一昨年に引き続き、表年に当たる今年は、さらに四百万トンという未曾有の豊作が予想され、このままではまたも生産価格の暴落は必至であります。このことは、将来の見通しもなく行き当たりばったりにミカンをすすめてきた政府の責任であります。ミカンの生産増を天候のせいにしてきた農林省の無責任きわまりない答弁がいかにインチキであったかは、天下の事実となったのであります。農林大臣考えをお聞きしておきたい。  一方、昨年の石油危機以来の生産資材価格農業労賃、運送費等の急騰により、全国三十七万ミカン農家経営は危機に瀕しております。かかる事態を迎えるにあたって、政府は、自由化対策、生産加工流通対策、価格補償対策について、いかなる方針で臨もうとしているのか、総理及び農林大臣にその具体策をお尋ねしたいのであります。  次に、森林林業問題についてお伺いいたします。  わが国木材自給率は年々急速に減少し、海外依存率はすでに六〇%に達し、一方、開発途上国中心とする木材供給国で輸出規制の動きが強くなっていることは、白書の示すとおりであります。今後の木材需要の増加を考えるとき、木材資源供給の立場から、わが国森林の果たすべき役割りはますます重要となってくることは明らかであります。また、一方、森林の果たすべき役割りが近年急速に再評価されるに至り、森林経済外的な公益的機能は、昭和四十六年の生産林業所得四千八百三十億円の実に二十六・五倍に当たる十二兆八千億円と評価されているのであります。水源涵養、洪水調節、緑の供給、空気の清浄化等々、森林の社会的価値はまことに大なるものがあります。にもかかわらず、林業が、外材との競合や、山村の労働力不足や、その他のコスト上昇により停滞の傾向を続け、四十七年度の造林面積も大幅に減少していることは、見のがすことのできないゆゆしき事柄であります。造林事業への補助率のアップ、再生造林への補助の復活の要望などが林業経営者等から繰り返されているわけでありますが、農林大臣林業振興に対する今後の方針をお伺いしたいのであります。  さらに、森林保全に関する経費林業経営者だけに負担させず、社会的な規模でカバーするルールの形成を急ぎ、大幅に財政的援助を拡大することが必要であります。たとえば、木曾三川水源造成公社や滋賀県造林公社に対して、下流の受益者であり、富裕な都市地域でもある地域の地方公共団体が出資ないし融資する形態を一般的な制度に持っていくとか、公益上重要であるにもかかわらず民間の条件では良好な管理保全を期しがたい森林を公共有化する制度を確立することも含めて、停滞している林業活動に活を入れる強力な林政の展開がいまこそ必要であります。政府の見解をお伺いしたいのであります。  次に、漁業白書についてお伺いいたします。  わが国は、漁業先進国として広く世界海洋に伝統的な漁業実績を持っているのであります。しかし、近年における海洋秩序をめぐる国際情勢の変化は、わが国の国際漁業に壊滅的な打撃を与えかねないもろもろの要素を含んでいるのであります。すなわち、発展途上国領海を含めて二百海里の経済水域を主張し、同水域内における海底資源、上部水域の漁業権についても沿岸国が主権的権利を持つことを主張しているのであります。来月二十日からカラカスにおいて開かれる国連第三次海洋会議においてこの経済水域の問題が討議されようとしております。今日まで日本と同じく経済水域設置に反対であった米ソ両国がこれを認める方向に百八十度転換したと伝えられております。もし発展途上国が要求をする沿岸二百海里の経済水域を認めた場合、日本遠洋漁業は漁獲高の大半を占める漁場を失い、わが国への打撃はまことに大きいと言わなければなりません。国連海洋法会議に臨む政府の姿勢と今後の対策について、重要な問題であるので重ねてお伺いしたいのであります。  次に、国際情勢と同じように、国内における情勢も全くきびしいものがあります。このきびしい情勢の多くは、歴代自民党政権の高度経済成長政策の破綻のためとも言えるのであります。すなわち、下水道対策が立ちおくれ、企業のたれ流しに工業優先の海の埋め立て等に漁場を追われ、生業を追われている漁民が多いのであります。にもかかわらず、沿岸漁業生産量が横ばいの傾向にとどまっているのは、技術の向上等、沿岸漁民の涙ぐましい努力の結果であることを政府は身をもって知るべきであります。  今国会において沿岸漁場整備開発法が成立いたしましたが、その主眼が漁場の再生と造成にあると思いますが、そのあと始末と復旧には多大な財政支出が必要でありますが、今後の沿岸漁業振興に対する政府考えをお伺いしたいのであります。  次に、わが国の魚価対策についてお尋ねいたします。  昨年暮れ以来の石油危機の影響が漁業経営全体を破滅に追いやろうとしております。しかも、わが国の魚介類等の流通機構の中でさまざまな施策が行なわれてきましたが、そのきめ手がないまま今日に至っております。ゆえに、いまほど漁業経営を安定させ、漁家の生計維持をするための対策を強化すべきであります。わが党は、かねてから、合理的な価格維持のため政府資金の投入を活発にし、冷蔵・冷凍設備を完備するとともに、今日のような自由競争に放置された姿にメスを入れるべきであると、強く主張してまいりましたが、農林大臣流通機構を含めた魚価対策についていかに対処していくつもりか、お伺いしたいのであります。  最後に、海難事故対策でありますが、漁船の数は年々減少の方向にありながら、海難事故は増加の方向にあることを白書は示しております。昭和四十七年度海難発生隻数は千二百十三隻、死亡行方不明者三百六十七人と、近年の最高を示していることは、まことに悲しむべきことであり、ゆるがせにできない重大事であります。前々から指摘されているとおり、海難救助に対する海上保安庁の体制はまことに貧弱であり、老朽船、低速船が多く、特に日本沿岸側には、自衛隊の飛行機の基地は各地にあっても、海上保安庁の海難救助の飛行機は一機もなく、人命軽視の政治のあらわれと言えましょう。海難事故の防止策、救助体制の強化についての政府の見解をお聞きしたい。また、この問題については、特に日本海側出身の田中総理にも御答弁をお願いをし、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣田中角榮君登壇拍手
  14. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 塩出啓典君にお答えいたします。  まず第一は、今後の農政についてでございますが、政府はこれまで均衡のとれた経済発展国民生活向上をはかるため最大の努力を傾けてまいりました。特に農業につきましては、食料安定的供給確保という基本役割りに加え、健全な地域社会としての農村国民経済全体の中で健全に発展し得るよう、生産性の高い農業の育成と高福祉農村の建設を基本として各般の施策を積極的に講じてまいりたいと考えておるのでございます。  次は、農業が直面する諸問題の解決についての御発言について答えますが、今日の農業が直面する諸問題には、国土開発利用、農産物価格政策充実農村地域における就業機会の増大輸入農産物の安定確保など、農林省のみではなく、関係各省が一体となって施策充実をはかるべきものが多いことは、御指摘のとおりでございます。このため、今後ともその方向に沿って農業各般の問題の解決につとめてまいりたいと考えるわけであります。  生産者米価についての御発言がございましたが、生産者米価は従来から七月ごろに決定するのが通例になっていることは、御承知のとおりでございます。これを早くしろという議論もございます。しかし、これを早くすれば、生産者米価決定のために必要なデータがそろわないという問題も起こるわけでございますので、これらのデータが出そろった上で米価審議会に諮問の上、適正な生産者米価の決定をいたしたいと考えておるわけでございます。  食料自給率また未利用地の問題等に対して御発言がございましたが、最近における世界的な食料需給状況から見ましても、国民の基礎的な生活物資である食料につきましては、その安定的な確保をはかっていくことはきわめて重要であり、安易に外国に依存すべきでないと考えておるわけでございます。  このような観点に立ちまして、主要農産物であります米、野菜、果実、牛乳、乳製品、肉類、鶏卵等につきましては、できる限り完全自給ないしは八割以上の自給率を達成し得るよう必要な施策を講じておるわけでございます。特に四十九年度からは、麦、大豆、飼料作物につきまして特段の生産奨励措置を講じますとともに、未利用地域における畜産等の大規模な生産基地の建設などを進めてまいりたいと考えております。  三十万ヘクタールというのは、これはもう御承知のとおり、いまでも公共用地その他に年間六万ないし七万ヘクタールが転用せられておるわけでございますが、無計画に行なわれるということによりまして農地が虫食いになったり、優良農地が破損されたりというような問題がございますので、長期的目的の中で三十万ヘクタールというような転用をはかって、住宅地の確保、地価安定等にも資したいという意図にいずるものでございます。  同時に、これとあわせまして、全国には二百万ヘクタールに近い農用地もしくはこれに準じ得る地域があるわけでございますので、いま申し上げましたように、必要な農用地の開発をあわせて行なってまいるということで御理解を賜わりたいと思うわけでございます。  次は、水産業対策についての御発言がございましたが、わが国漁業を取り巻く環境は、沿岸海域にあっては漁場環境悪化資源の制約、沖合い遠洋海域にあっては国際的な規制の強化など、きわめてきびしいものがあることは、御指摘のとおりでございます。このような状況に対処して、今後とも、沿岸海域の漁場環境保全沿岸漁場整備開発と栽培漁業の全国的な展開、新漁場開発と国際協調による海外漁場確保、漁港の計画的整備水産物流通改善等の諸施策を積極的に講じてまいることにより、漁業従事者はもとより、消費者である国民一般の要請にこたえてまいりたいと考えておるわけでございます。  残余の質問については、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄登壇拍手
  15. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) お答えいたします。  中核農家をどういうふうにやっていくかというお話でございますが、先ほど足鹿さんにもお答えいたしましたのでありますが、私どもはこの中核農家確保ということは非常に大事なことであると存じますが、御存じのように、基幹男子の農業従事者のおります農家割合は、全体の農家の戸数で三二%、それから畜産物生産額の中ではこの基幹農家がやっておりますのは七八%のシェアを占めておる、青果物が八〇%、経営耕地面積の五五%がいま農林省で言っております基幹男子が一人おって経営をいたしておる、これが逐次こういうふうに増強いたしておるという現実の姿であります。私どもは、この人々に対して、農政に対してほんとうの信頼感を持ち、楽しみを持ってやっていただくために、諸般の施策を講じてまいらなければならないと努力をいたしておる次第でございます。  それから自給率向上のため、いまの三十万ヘクタール云々のお話がございました。これは総理大臣からもお答えがございましたけれども、私どもは、公共用地及び工場・住宅用地の需要に応じまして必要な用地を円滑に供給するということは一方において必要でございます。毎年六万四、五千ヘクタール壊廃が行なわれておりますのを、無計画にそういうことをしないで、やっぱり必要な宅地あるいは工場等に一方において出すと同時に、一方においては、その間において優良農用地を確保するということを目標にいたしまして、関係省庁と相談をいたして、ただいま申し上げましたような趣旨でやってまいるつもりでございます。  米価につきましては、ただいま総理大臣がお答えになりました。  ミカンの過剰のことでございますが、私は先般ミカン産地を少し歩いてまいりました。いずれもやはりあの人たちのことばの中では生産調整ということばが行なわれておりましたが、これは農業協同組合等の役割りも大切でありますが、私どもの農林省においても、大体の需要供給の関係を示しまして、そして生産の方向を差し示すということがまず大切なことだと思っております。私の接触いたしました生産者たちの組合におきましては私どもと全く意見が同感でありますが、しかし、ことしは御指摘のように表年でありますので、かなりの豊作が考えられております。そこで、摘果等によって一部の生産調整は皆さんやっておられるようでありますが、なおかつ、その出てきたものの消費状況に応じましては、私どもは、四十九年度予算でも、全国に果汁工場を六カ所ほど新設することの助成をいたすことにしておりますが、そういう面と、もう一つは、昨年行ないましたように、これは品物を凍結して、そしてそれに対する融資等できるだけのお世話をいたしてあげることにしたいと思っておりますが、なお生産者方面と十分打ち合わせをいたしまして万全を期してまいりたいと思っております。  森林資源重要性につきましては、これはもう全く御指摘のとおりでありまして、そこで、森林資源に関する基本計画を昨年の二月策定いたしまして、この計画を具体化するために林業構造改善造林林道林業生産基盤整備林業労働力確保をはかるということで努力をいたしておるのでありますが、ただいま御指摘の中にそういう予算措置についてもお触れになっていらっしゃいますが、私どもはやはり公共の中でも林業造林につきましては格段の努力を予算でもいたしておる次第であります。その見通しにつきましては、先ほど足鹿さんにお答えいたしましたので、重複しますので御了承をお願いいたしたいと思っております。  それから沿岸漁業につきまして、ただいまのような情勢の中で政府考えておりますのは、遠洋は全体の四〇%そこそこでありますが、これも非常に大事な仕事ではありますが、将来のたん白資源の補給源として私どもが一番大切にしなければならぬと思っておりますのは沿岸でございます。この沿岸には、四十九年度予算でも御承知のように、また、全般改正していただきました沿岸漁場整備開発法等を適切に運用することによりまして沿岸に特段の努力を払って力を入れでまいりたい、このように思っております。  海洋会議につきましては、これは先ほど外務大臣からもお答えがございましたけれども、これにつきましては、ただいま私どもは、一方においては外交ルートを通じ、また、直接私どもも接触をいたす面もございますので、十分にこういうことに対処いたしまして、わが国の既得権の確保に全力をあげてまいるつもりでございます。  それからもう一つ御指摘のございました所得向上につきましてでありますが、このことも最も大切なことでございますが、これは御承知のように、しばしば当該委員会などで論議されております問題でありますが、流通機構についてもっとくふうをすべきではないかということ、これは全く私どもも同感でありますが、先年市場法を改正されましてかなり改善はいたされましたけれども、まだ諸外国の取引関係から見ますというと、もう少し中間のロスが省けるものではないかということで、そういうねらいでなお魚介類の取引については検討を進めておる最中でございます。  以上お答えいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  16. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 御指摘のように、二百海里に及ぶ経済水域の主張沿岸国によってなされており、そしてその潮流はもはや避けがたい状況にあるとの御指摘でございました。私どもも同様に考えております。このこと自体非常にショッキングなことでございますけれども、しかし問題は、沿岸国による経済水域の管轄権の中身がどういうものであるかということがこれからの問題でございますので、私ども、この問題につきましては、沿岸国との対決を避けながら実際的なそして効果的な手段を案出することに努力いたしまして、農林大臣からも仰せられましたとおり、わが国の権益というものを極力守ってまいるように努力してまいりたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  17. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 沿岸漁業振興のためにもっと財政面からの施策強化すべしと、こういう御意見でございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、そういう方向で昭和四十九年度予算も編成いたしております。しかし、今後におきましては、沿岸漁場整備開発法ができましたが、それに基づきまして沿岸漁場整備開発計画ができるはずでございます。この開発計画ができますれば、その線に沿いましてさらにさらにこの施策強化いたしたいと、かように考えております。(拍手)    〔国務大臣徳永正利君登壇拍手
  18. 徳永正利

    国務大臣(徳永正利君) 海難防止と救助対策につきましてお答え申し上げます。  海難を未然に防止するためには、法制の整備、また、施設の充実、関係者の安全意識の高揚等の対策が重要であることは、御指摘のとおりでございます。このため、運輸省といたしましては、海事関係法令の励行、あるいは航路標識の整備、海上交通と漁業との調整等をはかるとともに、海難防止講習会等において気象情報の的確な把握、無謀操業の自粛等を指導し、海難防止につとめておる次第でございます。  また、海難救助につきましては、航行船舶の的確な動静把握につとめるとともに、巡視船艇三百七隻と航空機二十八機を全国の百二十六の基地に配置いたしまして救助の即応体制に遺憾なきを期しておる次第でございますけれども、人命尊重の立場からなお今後ともこれらの整備をはかるとともに、万全の対策を講じてまいりたいと存じます。(拍手
  19. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) これにて質疑は終了いたしました。      ——————————
  20. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 日程第二 昭和四十七年度一般会計国庫債務負担行為総調書  日程第三 昭和四十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その2)(衆議院送付)  日程第四 昭和四十七年度特別会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その2)(衆議院送付)  日程第五 昭和四十七年度特別会計予算総則第九条に基づく経費増額調書及び経費増額調書衆議院送付)  日程第六 昭和四十七年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)(衆議院送付)  日程第七 昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その一)(衆議院送付)  日程第八 昭和四十八年度特別会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その一)(衆議院送付)  日程第九 昭和四十八年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額調書及び各省各庁所管経費増額調書(その一)(衆議院送付)  日程第一〇 昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算、昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算昭和四十穴年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十六年度政府関係機関決算書  日程第一一 昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算書  日程第一二 昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  以上十一件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長田中寿美子君。     —————————————    〔田中寿美子君登壇拍手
  21. 田中寿美子

    ○田中寿美子君 ただいま議題となりました昭和四十七年度一般会計国庫債務負担行為総調書一件、並びに昭和四十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四十八年度一般会計予備費使用総調書及び各省庁所管使用調書(その一)外二件、合計七件の事後承諾を求めるの件につきまして、決算委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  当委員会におきましては、以上八件につきまして、去る四月十二日、大蔵当局から説明を受けた後、質疑に入りました。その詳細は会議録で御承知願いたいと存じます。  五月十五日、質疑を終了し、採決の結果、国庫債務負担行為一件につきましては全会一致をもって異議がないと議決され、予備費七件に関しましては多数をもって承諾を与うべきものと決しました。     —————————————  次に、昭和四十六年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  まず、昭和四十六年度決算については、昭和四十七年十二月二十二日国会に提出され、昭和四十八年四月十三日当委員会に付託されました。  国有財産関係二件については、昭和四十八年一月二十三日国会に提出され、同日委員会に付託されました。  当委員会は、昭和四十六年度決算外二件の審査にあたり、国会が議決した予算及び関係法律が適正かつ効率的に執行されたかをはじめ、決算全般について審査し、あわせて政策の実績批判を行ない、もって国政と綱紀の振粛をはかるとの観点に立って審査を行なってまいりました。  この間、委員会を開くこと十八回、別に述べるような警告内容のほか、公共事業の繰り延べに関する問題、公共事業の前払い保障の問題、中小企業金融対策、秋田大学医学部用地の地元負担の問題、ビル火災並びに化学工場の爆発事故対策、新幹線トンネル工事に伴う水がれ並びにじん肺対策、誇大広告とデパート商法の問題、たばこ専売のあり方、その他数々の諸問題について熱心な論議が重ねられましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  委員会は、五月十五日、質疑を終了し、直ちに討論を行ないました。その議決案の第一は本件決算の是認、第二は内閣に対する十項目の警告であります。討論におきましては、日本社会党、公明党及び共産党を代表した各委員から、本件決算は是認できないが、警告には賛成である旨の意思表示がなされ、自由民主党、民社党を代表する各委員からは、本件決算を是認するとともに、内閣に対する警告にも賛成である旨が述べられました。  討論を終わり、採決の結果、本件決算は多数をもって是認すべきものと議決され、次いで、内閣に対する警告については全会一致をもって警告すべきものと議決された次第であります。  内閣に対する警告は次のとおりであります。  (1) 綱紀の厳正は、適正な予算執行の基本である。本委員会における審査を顧みれば、建設省河川局における収賄事件をはじめ、郵政省近畿郵政局、日本住宅公団及び首都高速道路公団等における汚職事件をめぐって数々の綱紀の弛緩がうかがわれたことはまことに遺憾である。  また、郵政省では、郵便局における現金坊取り等、部内職員による不正行為が依然として跡をたたない状態である。  政府は、このような不祥事を招いた原因を究明し、それが機構運営上の不備に基づくものについては、即刻これを是正するとともに、実効ある防止対策をたてる等、綱紀粛正に万全を期すべきである。  (2) 補助金等の使用については、毎年のように会計検査院から不当事項として施工不良、積算過大、対象外補助等が指摘されているにもかかわらず、必ずしも十分に改善された形跡がみられない。  本委員会の審査においても、防衛施設周辺整備事業により建設した施設の一部目的外使用、農業構造改善事業における補助の対象外及び予算配付の遅れによる文化財保護事業の停滞のごとく補助金の有効かつ適正な運用に欠ける事例がみられる。加えて、日本分析化学研究所に委託した化学分析検査のように、虚偽の報告、分析試料の廃棄等が行なわれ、委託費が乱脈に使用されたことはまことに遺憾である。  政府は、このような事例の再発を防止するとともに、補助金等の効率的使用につき格段の努力をすべきである。  (3) 発展途上国とくにアジア近隣諸国に対するわが国経済・技術協力の中には、相手国国民の意向に必ずしも十分沿わないような面も見受けられる。  政府は、相手国政府の意向を尊重するのみでなく、国民感情を適確に把握し、真に相手国国民の利益と発展に寄与するよう配慮するとともに、これらの資金等が効率的に使用されるよう、体制の整備、運営の充実を図るべきである。  (4) 法務省が、刑事事件の被疑者であって、精神障害またはその疑いのため、不起訴になり措置入院となった者について、立法資料収集ということで、その病院に対し、退院先住所等まで追跡調査を行なう行き過ぎのあったことは遺憾である。  政府は、このような基本的人権を侵害するおそれなしとしない調査は厳に戒むべきである。  (5) 近時、租税の徴収にあたり、徴収額に過不足があったとして、会計検査院より指摘される金額が次第に増加していることは、税の公平の観点から看過できない。  政府は、徴収額の決定にあたり誤りなきを期するとともに、法人税等の実地調査により税を追徴する事例が数多くみられることも考慮し、徴税のあり方等を検討して国民の税負担の公平確保に努めるべきである。  (6) 学校給食は、最近の物価上昇に伴い、運営に困難をきたしているが、これに対応する文部省の施策は必ずしも十分とはいえない。  政府は、学校給食の教育活動中に占める重要性にかんがみ、地方自治体と協力の上、給食費負担の急増を抑制するなどその運営について適切な対策を講ずべきである。  (7) 日本航空株式会社と旧日本国内航空株式会社との合併が取止めとなったことに伴い、両者間に生じた航空機材の賃借料等にかかる精算処理については、旧日本国内航空株式会社が東亜国内航空株式会社として発足後の今日においても、なお、進展の兆しをみていない。   政府は、両社に対し、昭和四十五年十一月における閣議了解の線に沿い、早急に精算処理のため協議し、問題の解決をはかるよう指導に努めるべきである。  (8) 雇用促進事業団が建設し、運営している「全国勤労青少年会館」の大ホールは、芸能プロダクシヨン、テレビ、ラジオなど興行や公  開録画等に偏重して利用されていることは看  過できない。   政府は、会館設立の趣旨に沿い、勤労青少年のための催しを優先するなど利用方法の改善につき指導監督すべきである。  (9) 多摩川等、都市河川区域内における河川敷   については、私企業がゴルフ場等経営のため、長年にわたってこれを占用している事態が少なからず見受けられる。  政府は、都市環境改善のためにも、より早期にこれら私企業による占用を廃し、公園緑地等に開放するよう努めるべきである。  (10) 財政投融資の運用については、近年次第に  明らかにされてきたとはいえ、その運用についての国会報告は必ずしも十分とはいえない。  政府は、財政投融資の原資が主として庶民の零細な資金であることにかんがみ、その資金運用については、運用資産の異動状況等より詳細な実績資料の国会提出などに努め、国民の理解を一層深めるように配慮すべきである。  以上であります。    〔副議長退席、議長着席〕  次に、国有財産関係二件につきましても、採決の結果、昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書については、いずれも多数をもって異議がないと議決された次第であります。  内閣に対する警告につきましては、関係各国務大臣から、その趣旨を体して努力する旨の発言がありました。これらの発言が単なる口頭辞令に終わることなく、予算その他広く国政万般に遺憾なく具現されることを強く要望するものであります。  以上をもって報告を終わります。(拍手
  22. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより採決をいたします。  まず、昭和四十七年度一般会計国庫債務負担行為総調書について採決をいたします。  本件は委員報告のとおり異議がないと決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  23. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって委員報告のとおり異議がないと決しました。      ——————————
  24. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、日程第三及び日程第七ないし第九の予備費使用総調書等四件について採決をいたします。  四件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  25. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、四件は承諾することに決しました。      ——————————
  26. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、日程第四ないし第六の予備費使用総調書等三件について採決をいたします。  三件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  27. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、三件は承諾することに決しました。      ——————————
  28. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算、昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和四十六年度政府関係機関決算書について採決をいたします。  本件の委員報告は、本件決算を是認すること及び内閣に対し警告することからなっております。  まず、本件決算を委員報告のとおり是認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  29. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本件決算は委員報告のとおり是認することに決しました。      ——————————
  30. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、委員報告のとおり内閣に対し警告することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  31. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもって委員報告のとおり内閣に対し警告することに決しました。      ——————————
  32. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算書について採決をいたします。  本件は委員報告のとおり異議がないと決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  33. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本件は委員報告のとおり異議がないと決しました。      ——————————
  34. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書について採決をいたします。  本件は委員報告のとおり異議がないと決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  35. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本件は委員報告のとおり異議がないと決しました。      ——————————
  36. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第一三 民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約締結について承認を求めるの件  日程第一四 業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)の締結について承認を求めるの件   (いずれも衆議院送付)  日程第一五 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外務委員長伊藤五郎君。    〔伊藤五郎君登壇拍手
  37. 伊藤五郎

    ○伊藤五郎君 ただいま議題となりました条約二件及び法律案につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。  まず、民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約は、民間航空の国際的安全を確保する見地から作成されたものでありまして、航空機の破壊行為等を犯罪と定め、これらの犯罪行為について重い刑罰を科し得るようにすることを約束し、関係国に裁判権の設定義務を課するとともに、各締約国は、犯人を関係国に引き渡すか、または自国の権限ある当局に事件を付託すべきこと等を定めたものであります。  次に、業務災害の場合における給付に関する条約は、一九六四年に国際労働機関の総会で採択されたものでありまして、労働にかかわる事故及び職業病の場合に支給される給付について、保護対象者の範囲、給付の事由並びに給付の種類、内容、水準、支給期間等について定めたものであります。  次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、ベトナム民主共和国及びドイツ民主共和国との外交関係の設定に伴い、とりあえず政令で設置した両国における日本国大使館を法律に規定し、また、パプア・ニューギニアのポート・モレスビーに総領事館を新設するとともに、外務公務員の在勤手当額を最近の物価上昇、為替相場の変動等にかんがみて改定すること、在勤基本手当額を今後為替相場の変動等に応じ一定の範囲内で政令で調整できるようにすること等の改正を加えようとするものであります。  委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知願います。  昨十六日、質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、条約二件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定し、法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  38. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより採決をいたします。  まず、民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約締結について承認を求めるの件及び業務災害の場合における給付に関する条約(第百二十一号)の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  39. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。      ——————————
  40. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  41. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ——————————
  42. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第一六 大気汚染防止法の一部を改正する法律案内閣提出)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。公害対策及び環境保全特別委員長森中守義君。    〔森中守義君登壇拍手
  43. 森中守義

    ○森中守義君 ただいま議題となりました大気汚染防止法の一部を改正する法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  この法律案の内容は、大気の汚染にかかる環境基準を確保し、硫黄酸化物等ばい煙による大気汚染の状況改善するため、一定範囲の地域における大気汚染物質の排出総量の許容限度を算定し、その許容限度内に排出総量を押えるよう個別発生源を規制するものであります。いわゆる総量規制方式の法定化であります。  委員会におきましては、参考人より意見を聞くなど熱心に質疑を行ないました。質疑が終わりましたところ、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四党共同提案による修正案が、次いで日本共産党による修正案が提出され、それぞれ修正案の趣旨の説明が行なわれました。  討論の段階では別に発言もなく、採決に入りました。  まず、日本共産党提出の修正案を賛成少数で否決、次に、四党共同提出の修正案を全会一致で可決、最後に、修正部分を除く原案を全会一致で可決いたしました。  以上の結果、この法律案は全会一致をもって修正議決すべきものと決しました。修正の趣旨は、総量規制基準に違反したばい煙排出者に対して直罰を科することとしたことであります。  なお、委員会における質疑の過程で明らかにされた問題点を集約し、  炭化水素等についての環境基準の早急設定を行なうこと。  総量規制については、窒素酸化物、ばいじんに対する規制の促進をはかること。地方自治体の積昭和四十九年五月十七日 参議院会議録第二十一極的姿勢に対する運用上の留意をすること。地域特性を反映した府令の制定を行なうこと。  自動車排出ガス規制については、基準の強化、交通体系樹立による汚染防止の徹底を期すること。  光化学スモッグの総合対策の推進を行なうこと。  ばい煙の測定、監視体制の整備の促進をはかること。  工業開発等にあたっての環境汚染事前予測調査の徹底を期すること、等について政府は努力すべき旨の附帯決議を全会一致で付しました。  以上をもって御報告を終わります。(拍手
  44. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより採決をいたします。  本案の委員報告は修正議決報告でございます。  本案を委員報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  45. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって委員報告のとおり修正議決されました。      ——————————
  46. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第一七 学校教育法の一部を改正する法律案(第七十一回国会松永忠二君外二名発議)  日程第一八 公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案(第七十一回国会松永忠二君外二名発議)  日程第一九 公立障害児教育学校に係る経費の国庫負担に関する法律案(第七十一回国会松永忠二君外二名発議)  以上三案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。文教委員長世耕政隆君。    〔世耕政隆君登壇拍手
  47. 世耕政隆

    ○世耕政隆君 ただいま議題となりました三法案について、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、学校教育法の一部を改正する法律案は、特殊教育の名称を障害児教育に改め、盲・聾・養護学校に寄宿舎を設け、学校に寮母を置くこととし、その職務内容を定めようとするものであります。  次に、公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案は、公立の障害児教育諸学校の幼稚部、小・中学部及び高等部における学級編制の標準について、幼稚部は五人とするなど、その適正化をはかり、また、教職員定数の標準についても、学校規模の大小にかかわらず、一学級当たり幼稚部・小学部は二人の教諭を基礎とするなど、教職員定数確保をはかろうとするものであります。  最後に、公立障害児教育学校に係る経費の国庫負担に関する法律案は、障害児教育の普及及びその水準の向上をはかるため、国が公立の障害児教育諸学校の教職員その他の職員の給与費、教材費等の経費の三分の二を負担することにしようとするものであります。  委員会におきましては、特殊教育を障害児教育に改める理由、養護学校義務制の早期実現策、就学猶予・免除制度の検討の必要性、教職員の定数増と待遇の改善策、医療・福祉・教育の一体化の必要性などについて、きわめて熱心な質疑が行なわれました。その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  質疑を終局した後、日本社会党を代表して片岡委員より、三法案の施行期日をそれぞれ昭和五十年四月一日に改める旨の修正案が提出されました。  次いで、予算を伴う公立障害児教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律案及び公立障害児教育学校に係る経費の国庫負担に関する法律案について、内閣から意見を聴取した後、討論に入り、自由民主党を代表して内藤委員から、賛成できる点もあるが、今後なお検討を要する問題が多々あるので、現段階では賛成できないと反対意見、また、日本社会党を代表して片岡委員から、憲法第二十六条に基づき障害児の教育権を保障するためには、早急に三法律案の実現をはかる必要があるなど賛成の意見が、それぞれ述べられました。  続いて、採決に入りましたところ、三修正案及び三案の原案は、いずれも賛成者少数により否決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  48. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより三案を一括して採決いたします。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  49. 河野謙三

    議長河野謙三君) 少数と認めます。よって、三案は否決されました。      ——————————
  50. 河野謙三

    議長河野謙三君) この際、日程第二〇を後日に延期いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  52. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第二一 日本放送協会昭和四十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書  日程第二二 簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)  以上両件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長川村清一君。    〔川村清一君登壇拍手
  53. 川村清一

    ○川村清一君 ただいま議題となりました両案件について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  まず、日本放送協会昭和四十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について申し上げます。  本件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て内閣より提出されたものでありまして、その概要を申し上げますと、同協会の昭和四十六年度末における財政状態は、資産総額一千三百四十億八千六百万円、負債総額五百四十三億七千六百万円、資本総額七百九十七億一千万円となっております。  また、当年度中の事業収支の状況は、事業収入一千九億八千六百万円に対し、事業支出は一千五億九千三百万円であり、事業収支差金は三億九千三百万円、その内訳は、資本支出充当三億円、当期剰余金九千三百万円となっております。  なお、本件には、会計検査院の、記述すべき意見はない旨の検査結果が付されております。  委員会におきましては、政府、会計検査院及び日本放送協会当局に対し質疑を行ない、慎重審議の結果、本件については全会一致をもってこれを是認すべきものと決定いたしました。     —————————————  次に、簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案は、簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用利回りの向上をはかるため、積み立て金を政令で定める社債に運用できるようにするとともに、金融債及び社債の保有限度ワクを拡大しようとするものであります。  委員会におきましては、積み立て金の運用範囲拡大を目的とする今回の改正法の運用方針、余裕金運用制度の改善所得税に関する簡易生命保険料控除限度額の大幅引き上げ、簡易保険加入者に対する成人病予防施設拡充策の推進等につきまして熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終え、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、改正法の十分なる活用による運用利回りの向上及び余裕金の運用制度の改善を内容とする附帯決議が付されました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  54. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより採決をいたします。  まず、簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  55. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。      ——————————
  56. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、日本放送協会昭和四十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の採決をいたします。本件は委員報告のとおり是認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  57. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって委員報告のとおり是認することに決しました。      ——————————
  58. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第二三 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。商工委員長剱木亨弘君。    〔剱木亨弘君登壇拍手
  59. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 ただいま議題となりました法律案について、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、繊維工業の構造改善事業の対象を従来の特定の四業種から繊維工業全体に拡大し、これに伴い、法律の題名を繊維工業構造改善臨時措置法に改めるとともに、従来の同業種間の提携に加え、異業種企業間の連携により、新商品または新技術の開発促進等の新しい構造改善を推進するため、通産大臣の基本指針の策定、繊維事業者の事業計画の作成及びこれに必要な助成措置等を行なおうとするものであります。  委員会におきましては、参考人の意見を聴取するとともに、当面の不況対策、取引条件の改善、小規模事業者に対する配慮などについて質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、公正な取引条件の確保、秩序ある輸入体制の確立消費者情報収集機能の強化等について政府は努力すべき旨の附帯決議が付されました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  60. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  61. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      ——————————
  62. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第二四 民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長原田立君。    〔原田立君登壇拍手
  63. 原田立

    ○原田立君 ただいま議題となりました民事調停法及び家事審判法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会の審査の経過と結果を御報告いたします。  この法律案は、最近において民事及び家事の調停事件が複雑多様化している実情にかんがみ、調停制度の充実強化をはかるため、調停委員の制度及び調停の手続について、緊急に必要とする改正を行なおうとするものであります。  そのおもな内容は、次のとおりであります。  第一は、従来の調停委員候補者制度を改め、当初から非常勤の裁判所職員である民事調停委員及び家事調停委員の制度を設け、その職務内容を定めるとともに、手当を支給することができることとしております。  第二は、民事調停の手続について、被害者の救済等をはかるため、交通調停事件及び公害等調停事件の管轄の特則を設けることとしております。  第三は、家事調停における遺産分割事件について、調停の成立を容易にするため、その手続について必要な規定の整備をするものであります。  なお、衆議院において、調停委員会が調停条項を定める制度を通則化しようとする改正規定を削除する等の修正が行なわれました。  当委員会におきましては、調停事件の概況とその問題点、臨時調停審議会における審議経過、法曹三者協議の実情、調停委員候補者制度を改めて調停委員を当初から非常勤公務員として任命する理由、非常勤公務員としなければ待遇改善の不可能な理由、非常勤公務員にすることによる調停委員の職業化または官僚化のおそれ、民事調停委員及び家事調停委員の任命資格、選考の方法、その他裁判官不在の調停等について熱心な質疑が行なわれ、また、参考人の意見を聴取する等、慎重に審査を行ないました。それらの詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終了した後、日本共産党を代表して須藤委員より、調停委員を当初から非常勤の裁判所職員とすること等を定めた改正法案第八条を削除すること等を内容とする修正案が提出され、自由民主党を代表して後藤委員より、家事調停委員の職務内容を定めた改正法案第二十二条の二の規定中「その他調停事件を処理するために必要な最高裁判所の定める事務」を削ること等を内容とする修正案が提出されました。  次いで、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して佐々木委員より、自由民主党提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成、自由民主党を代表して棚辺委員より、日本共産党提出の修正案に反対、自由民主党提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成、公明党を代表して柏原委員より、自由民主党提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成、日本共産党を代表して須藤委員より、自由民主党提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成の意見がそれぞれ表明されました。  討論を終局し、採決に入りましたところ、日本共産党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、自由民主党提出の修正案及び修正部分を除く原案は賛成多数をもって可決され、よって、本法案は多数をもって原案を修正議決すべきものと決定いたしました。  続いて、佐々木委員から、自由民主党、日本社会党、公明党の三党共同提案にかかる法改正後の民事調停委員の負担事務及び民事調停委員並びに家事調停委員の任命について最高裁判所は十分に配慮をすべきである旨の附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  以上御報告いたします。(拍手
  64. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより採決をいたします。  本案の委員報告は修正議決報告でございます。  本案を委員報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  65. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は委員報告のとおり修正議決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十六分散会