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1973-12-21 第72回国会 参議院 本会議 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月二十一日(金曜日)    午前十時三分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第五号   昭和四十八年十二月二十一日    午前十時開議  第一 昭和四十八年度分の地方交付税特例に     関する法律案内閣提出衆議院送付)      ——————————
  2. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより会議を開きます。  議員平井太郎君は、去る四日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。  ここにその弔詞を朗読いたします。    〔総員起立〕  参議院はさきに参議院議長として憲政の発揚につとめられまた国務大臣としての重責にあたられました議員正三位勲一等平井太郎君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます      ——————————
  3. 河野謙三

    議長河野謙三君) 藤田進君から発言を求められております。この際、発言を許します。藤田進君。    〔藤田進登壇拍手
  4. 藤田進

    藤田進君 本院議員平井太郎君は、突如病におかされ、大阪逓信病院において御加療中のところ、ついに、そのかいもなく、去る十二月四日逝去せられました。  ここに、私は、各位のお許しをいただきまして、議員一同を代表してつつしんで哀悼ことばをささげたいと存じます。  平井君は、明治三十八年七月十七日、香川県木田郡三木町に生をうけ、昭和三年明治大学商科を卒業されると同時に、建設関係父業を継いで実業界に入られたのでありますが、卓抜した才腕と非凡な実行力をもって着々とその地歩を築かれ、地方実業界における名実ともに重鎮の座を占められたのであります。  しかもその活躍領域は、公共事業中心といたしまして、まことに多彩なものがありまして、文化報道関係における四国新聞社社長西日本放送株式会社会長交通関係における瀬戸内航空株式会社社長高松琴平電鉄株式会社会長のほか、四国電力株式会社取締役西日本観光株式会社社長、また、育英事業におきましても高松女子商業高等学校理事長等々、その顕職は数え上げれば十指をこえるほどであります。  その間、君は、輿望をになわれて、昭和二十一年、高松商工会議所会頭及び香川商工会議所連合会会長に、また、翌二十二年、四国商工会議所連合会長に推されて就任せられ、自来四半世紀に及んで今日に至ったのであります。永年にわたり地方文化、産業、経済興隆発展に尽くされた御功績ははかり知れないものがあるのであります。  一方、君の政界におけるはなばなしい活躍はいまさらぜい言を要しないところでありますが、昭和二十五年、第二回参議院選挙当選以来四選を重ねて、引き続き二十数年の長きにわたる政治生活におきまして、常に堂々とメーンストリートを歩み、中枢的立場にあって指導的役割りを果たされたのであります。  すなわち、当選翌年の昭和二十六年には電気通信政務次官、続いて二十七年には防衛政務次官の要職につかれ、二十八年からは参議院自民党幹事長、同自由民主党幹事長の重職を続けられ、三十一年には石橋内閣郵政大臣、三十二年には第一次岸内閣郵政大臣として国政の衝に当たられ、翌三十三年には参議院議長栄職に転じて国会権威高揚に尽力せられ、四十三年以降は参議院自由民主党議員会長に推挙されてその重責に尽瘁せられていたのであります。その長期にわたる偉大なる足跡は、わが国憲政史上にさん然と輝き続けるものであります。  君は、資性濶達にして豪放らいらく、春風駘蕩、もって人に接するというお人柄でありまして、君の茫洋たる中にも機を見て変に応ずる実業家魂が高く評価される一面、君の友情と人情と信義に厚い人間性などにおきましては深い敬愛の念を禁じ得なかったところであります。  しかも、君は少壮のころからまれに見る篤信の士でありまして、神社仏閣の前を通るときなど、常に必ず、かりに車中にありましても黙礼を欠かしたことのないほどの深い信仰心の持ち主であったのであります。人間平井像形成過程を知る上に、見のがせない一事かと存ずるのであります。  いまや時局は、いよいよ重大さを加えつつありまして、君のような練達たんのうの士に期待するところまことに大きいものがあったのでありますが、日常の激務が重なってか、不幸病魔のおかすところとなり、御家族の手厚い御看護にもかかわらず、六十八歳を一期としてついに不帰の客となられたのであります。  ああ、巨星地に落つ。まことに惜しみても余りあるというほかはありません。  ここに生前の業績と遺徳をしのびつつ、衷心より哀悼の誠をささげ、御冥福をお祈り申し上げて、追悼のことばといたします。(拍手)      ——————————
  5. 河野謙三

    議長河野謙三君) この際、中央選挙管理会委員及び同予備委員各五名の指名を行ないます。
  6. 柴立芳文

    柴立芳文君 中央選挙管理会委員及び同予備委員指名は、いずれも議長に一任することの動議提出いたします。
  7. 竹田現照

    竹田現照君 私は、ただいまの柴立君の動議賛成いたします。
  8. 河野謙三

    議長河野謙三君) 柴立君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、議長は、中央選挙管理会委員に、大浜英子君、近藤英明君、堀米正道君、梶谷善久君、風早八十二君を、  同予備委員に、小島憲君、近藤操君、遠藤隆次君、小幡操君、小沢茂君をそれぞれ指名いたします。      ——————————
  10. 河野謙三

    議長河野謙三君) この際、国家公務員等任命に関する件についておはかりいたします。  内閣から、航空事故調査委員会委員長守屋富次郎君を、同委員岡田實君、上山忠夫君、諏訪勝義君、山口真弘君を任命することについて本院の同意を求めてまいりました。  まず、守屋富次郎君、山口真弘君の任命について採決いたします。  内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  11. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。      ——————————
  12. 河野謙三

    議長河野謙三君) 次に、岡田實君、上山忠夫君、諏訪勝義君の任命について採決をいたします。  内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  13. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。      ——————————
  14. 河野謙三

    議長河野謙三君) 日程第一 昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。地方行政委員長久保田藤麿君。    〔久保田藤麿登壇拍手
  15. 久保田藤麿

    久保田藤麿君 ただいま議題となりました昭和四十八年度分の地方交付税特例に関する法律案について、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告いたします。  本案内容の第一点は、地方団体国家公務員に準じて行なう地方公務員給与改定財源を付与する等のため、普通交付税の額の算定に用いる単位費用を改定し、あわせて公共用地先行取得促進するため、土地開発基金費基準財政需要額に算入しようとするものであります。  第二点は、今回の補正予算に伴う地方交付税増加額のうち、以上の財源に充てる以外の額についての措置であり、本年度当初予定した交付税及び譲与税配付金特別会計借り入れを取りやめるとともに、既存の借り入れ金の一部を減額することに充て、明年度以降の借り入れ金償還額の減額をはかろうとするものであります。  委員会における質疑の詳細は、会議録に譲ることを御了承願います。  質疑を終わり、討論を行ない、採決をいたしました結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、現下の情勢に対処し、社会福祉充実、教育・生活関連施設整備促進等のための地方財源強化超過負担完全解消都市税源充実等について政府の善処を求める附帯決議を付しております。  以上御報告いたします。(拍手
  16. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  17. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。  これにて休憩いたします。    午前十時十六分休憩      ——————————    午後七時十八分開議
  18. 河野謙三

    議長河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、日程に追加して、  石油需給適正化法案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。商工委員長剱木亨弘君。    〔剱木亨弘登壇拍手
  20. 剱木亨弘

    剱木亨弘君 ただいま議題となりました法案について、商工委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、石油需給適正化をはかるため、石油の適正な供給確保するための措置並びに石油使用を節減するための措置等を講じようとするものであります。  なお、衆議院において、本法運用について、一般消費者への配慮、石油需給調整審議会設置などを加える修正が行なわれております。  委員会では、地方行政外委員会との連合審査会を開催して、石油需給状況並びに今後の経済見通し石油需給調整審議会性格等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りますが、特に石油需給調整審議会運営について、通産大臣より、「思惑、買い占め等国民利益をそこなうおそれのある場合を除き、本法運用に関する重要事項は、すべて事前審議会にはかることとする。また、経過措置として、審議会設立までに政府が行なった措置については、審議会設立後直ちに審議会報告了承を得ることとする」との発言がありましたことを御報告しておきます。  質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、今後の長期安定的な石油供給確保をはかるため、国際協力の増進、石油開発公団法改正石油備蓄対策等をはかるべき旨の附帯決議が付されました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  21. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  22. 河野謙三

    議長河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案全会一致をもって可決されました。(拍手)      ——————————
  23. 河野謙三

    議長河野謙三君) この際、日程に追加して、  国民生活安定緊急措置法案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。物価等対策特別委員長小笠公韶君。    〔小笠公韶君登壇拍手
  25. 小笠公韶

    小笠公韶君 ただいま議題となりました国民生活安定緊急措置法案につきまして、物価等対策特別委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案は、物価高騰その他のわが国経済の異常な事態に対処し、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営確保するため、国民生活関連物資及び国民経済上重要な物資について、価格の安定及び需給調整等に関する緊急措置を講じようとするものであります。  そのおもな内容は、第一に、指定物資について標準価格設定し、これをこえて販売する者に対し価格引き下げ指示及び公表ができるものとすること。第二に、特定物資について特定標準価格設定し、これをこえて販売する者に対し課徴金の納付を命ずるものとすること。第三に、円滑な供給が阻害される場合、生産輸入保管売り渡し等に関して指示及び公表ができるものとすること。第四に、設備投資抑制のため、工事計画及び設備投資計画に対し計画変更等指示及び公表ができるものとすること。第五に、物価高騰し、供給が著しく不足し、需給均衡回復が困難であるというきびしい事態において、割り当て配給使用制限等措置を講ずることができるものとすること。その他、罰則等所要事項を定めるほか、附則において物価統制令発動要件改正等を規定しているものであります。  本案は、衆議院において、本法運用の方針に関する規定の明文化中間卸売り価格についての標準価格設定国民生活安定審議会設置本法施行状況国会への報告義務本法施行後一年以内に見直しを行なう等を規定する修正がなされております。  委員会におきましては、参考人意見を聴取するとともに、商工委員会外委員会との連合審査会を開会する等、慎重な審議が行なわれました。  質疑のおもな点は、今後のエネルギー資源確保見通し物価高騰の要因と対応策、今後の物価見通し財政金融政策消費者米価国鉄運賃等公共料金の据え置きの問題、本法執行のための準備体制標準価格決定方法とそれをめぐる諸問題、本法運用独占禁止法との関係本法実施による物価抑制への効果等の諸点でありますが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。  なお、日本社会党工藤委員より、本法案の第二十七条、衆議院修正部分国民生活安定審議会運営について、思惑買い、便乗値上げ買い占めの起こる心配のあるもの以外は、原則として全部審議会にかける運用をするのか、との質疑に対し、経済企画庁長官より、国民生活安定審議会運営に関しましては、買い占め売り惜しみ便乗値上げを誘発するなど、国民利益をそこなうおそれのある場合を除き、本法運用に関する重要事項はすべて事前に本審議会にはかること、また、経過措置として、審議会設立までに政府が行なった諸措置につきましては、審議会設立後直ちに審議会報告し、その了承を得る旨の答弁がなされました。  質疑終了後、本案に対し、前川旦君外七名から修正案提出されました。  本修正案は、日本社会党公明党日本共産党に、実質的には第二院クラブも加えた四派共同により成案を得たものであるとの説明がありました。  原案及び修正案を一括して討論に入りましたところ、日本社会党を代表して工藤委員公明党を代表して田代委員日本共産党を代表して沓脱委員よりいずれも原案反対修正案賛成自由民主党を代表して棚辺委員、民社党を代表して中沢委員よりいずれも原案賛成修正案反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。  討論を終わり、まず修正案について採決の結果、少数をもって否決され、次いで、原案について採決の結果、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に対し、標準価格決定にあたり、先取り的値上げによる利益、高値安定を排除し、物価高騰以前の水準に定めるようつとめること、特定標準価格算定基礎及び決定経過公表すること、価格引き下げ命令権等公正取引委員会に持たせ得るような方向で現行独占禁止法改正問題に着手すること、物価対策推進のため機構、人員、予算について措置すること等、四項目を政府に要望する附帯決議全会一致をもって付されました。  以上御報告を申し上げます。(拍手
  26. 河野謙三

    議長河野謙三君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。竹田四郎君。    〔竹田四郎登壇拍手
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま物価等対策特別委員長より報告がありました国民生活安定緊急措置法案という名の物価高位安定法ともいうべき政府提出法案につきまして、反対討論いたすものであります。  すでに私は、去る十二月五日の本会議におきまして、総理並びに経済閣僚に対しまして代表質問を行ない、本法提出に関し厳重な注意と警告を発してきたのであります。  それは、国民生活に非常に重大な影響をもたらし、今後の日本経済の進路を左右しかねない本法案提出にあたって、政府は、少なくとも今日までの経済政策を自己批判し、抜本的に転換することが先決であるということであり、また、国民の大多数を占める勤労大衆の真の支持を得たものでなければならないという点であります。  しかるに政府は、みずからの失政を省みることなく、みずから引き起こしてきた悪性インフレのしりぬぐいのために、石油危機消費者にその責任を転嫁し、本法案をどろなわ式につくり出し、本来とるべき経済政策を実行してこなかったのであります。今日の物価情勢は、まさに末期症状にある性病患者みたいなものであります。この法案性病患者の皮膚にできたおできに張るこう薬みたいなものであって、その個所はなおっても、必ず他の個所おできが吹き出てくるものであります。病気はもとから断たなきゃだめであります。  政府がいま直ちに行なうべき財政金融政策については、すでに私どもから多くの具体的な提案を行なってきたのであります。たとえば、公定歩合の引き上げによる民間設備投資抑制すること、また、預金金利を大幅に引き上げることによって消費需要を先に繰り延べていくこと、さらには、生活関連以外の公共投資全面ストップなど、いま直ちに実行可能な諸施策について積極的に提案してきたのであります。  政府は本法案の成立によって物価抑制物不足ムード解消を企図しているようでありますが、残念ながら、私は、政府が現在の姿勢と政策をとり続けている限り、本法案が成立いたしましても物価は下がらず、物不足解消しないということを明言し得るのであります。とりわけ、標準価格につきましては、たとえ政府決定いたしましても、政府業界の実情を正確に把握していない現状から見て当てずっぽな価格でありまして、守られないことはほぼ明白なことと思わざるを得ないのであります。  また、政府による価格決定は、原価の非公開や審議会権限の縮小などによって、結局のところ、業界の資料に基づいて高位に決定されると推定されるのであります。  さらに、政府みずからの手による価格高位決定は、指定以外の物質の価格高騰買い占めへと波及し、そのあとを追うように標準価格がとめどもなく拡大し、法律統制は避けようとしても不可能な状態に追い込まれるものと言わねばなりません。また、標準価格決定いかんによっては、中小企業の多くのものは倒産に追い込まれる可能性がきわめて大きいものでありますし、また、消費者のみが貧乏くじを引くことになります。価格決定が高位に安定するということは、単に標準価格水準に安定するということだけではなく、特定標準価格にまず高騰の波が波及するということであります。  また、課徴金ということもありますが、こうした軽い処置では企業のビヘービアは決して改まるものではありません。少なくとも標準価格決定する以上、これに強い拘束力を持たせ、これを効果的なものにすべきであります。  本院における審議の中で明らかにされましたように、本法案は、審議会権限と機能が十分ではなく、原価の公開など正確な価格情報の提供が不備のままであり、また、調査するにも調査官が不足で不能な状態であり、さらに、売り渡し命令権限も不明確であるなど、あまりにも欠陥が多く、局面に対処し得ないものであります。  特に、本法実施にあたっては、国民生活優先原則に立って国会の承認を経ていくことが不可欠の条件であり、これも野党修正案で強調してまいりましたが、ついに政府与党の拒否にあってきたのであります。  結局、政府与党は、われわれが強く要求した財政金融政策をはじめとする緊急策をとらず、また、審議過程で明らかにされた欠陥を補強することもせず、さらに、野党が結束して提出した積極的な修正案をもかたくなに拒否するなど、院内外の多数の声に耳を傾けずに来たのであります。  わが党は、本法案をまつまでもなく、独占禁止法改正公正取引委員会強化売り惜しみ買い占め防止法改正、さらには物価統制令発動など、現行諸制度の強化と活用によって独占資本本位政策を転換し、日本列島改造政策を放棄し、国民生活優先政策実施すべきことを強調し、今後とも国民とともに政府政策を転換させる戦いの先頭に立っていくことを表明し、私の反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  28. 河野謙三

    議長河野謙三君) 棚辺四郎君。    〔棚辺四郎登壇拍手
  29. 棚辺四郎

    棚辺四郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国民生活安定緊急措置法案に対し、賛成意見を述べるものであります。  今日のわが国経済にとりまして、物価の安定は、すべてに優先して解決をはからなければならない最も重要な政策課題であります。  昨日の日銀の発表によりますと、十二月上旬の卸売り物価は、十一月下旬より三・五%の高騰を記録し、前年同期と比べると二七%の上昇でありまして、これは朝鮮動乱期の二十六年十一月の二八・六%に次ぐものであります。  この原因としましては、石油値上げ中心として、これに伴う主要物資先取り値上げや、先行き品不足感による仮需要の増大、さらに海外市況上昇によるものと思われるのでありますが、この卸売り物価高騰は、消費者物価の騰勢にもかなりの影響を与えるものと懸念され、いまや、物価問題は、今後の国民生活にとってきわめて憂慮すべき問題となっております。  政府においては、これまで物価上昇の鎮静のため、総需要抑制するという見地から、財政執行の繰り延べや、累次にわたる金融引き締め策をとったほか、生活関連物資買い占め売り惜しみ緊急措置法等、各種の対策を講じてまいりましたが、そのやさきに、今回の石油危機に遭遇いたしたのであります。昨年からの引き続く高物価物不足わが国経済にとりまして、この石油危機は、新たな物資需給の逼迫、先行き不安、インフレ心理をますますかき立てておりまして、国民生活にとってゆゆしき事態となっております。  そこで、今回の立法は、このような異常事態に対処して、今後予測されないいかなる事態が生じても、国民経済の混乱と国民生活への影響を未然に防止して、物価の安定と必要物資安定的供給確保いたそうとするものであります。  いわば、国の責任で将来の不測の事態に緊急に対処し得るようその備えを講じようとするものでありまして、戦前戦時統制という強権ではなく、国民本位国民協力のもとで自由主義経済の中での市場原理価格原理にのっとり、生活関連物資及び国民経済上の重要物資についての価格決定及び需給調整等緊急対策をとろうとするものであります。  以下、本法内容のうち、おもなるものについて触れてみたいと存じます。  まず第一は、指定物資についての標準価格設定であります。  生活関連物資等価格が著しく上昇し、または上昇するおそれがあるときは、物資政令指定し、標準価格を定めるとともに、これをこえてその指定物資を販売したときは、価格引き下げ指示し、正当な理由なくこれに従わなかったときには、その旨を公表することができることとされております。  第二は、特定物資指定特定標準価格設定課徴金の徴収でありますが、指定物資のうち、特に価格の安定を確保することが必要な物資特定物資として政令指定し、特定標準価格を設けるとともに、これをこえて特定物資を販売したときは、特定標準価格販売価格との差額を課徴金として徴収することとされております。  第三は、生産輸入保管に関する指示及び公表でありますが、生活関連物資供給不足した場合の生産指示ができるほか、指示に従わぬときは公表ができることとなっております。輸入促進または保管の場合についても同様であります。  その他、設備投資抑制に関する指示物価が著しい高騰事態における政令での割り当て配給使用制限等措置がとれることとなっておりますほか、物統令発動要件改正買い占め売り惜しみ法特定物資の範囲の拡大、売り渡し命令の創設など規定されております。  また、衆議院修正により、審議会設置国会への報告、法施行後の見直し条項の規定などが加えられておりまして、現在のわが国経済の体制下においては、この程度の規制は、物価の暴騰を防止して国民生活を安定する処方せんとして適切なる措置であると思うのであります。  最後に、私は、本法運用発動について意見を述べてみたいと存じます。  かつての国家総動員法、価格統制令、物価統制令を通じての苦い経験から、価格、数量などの統制にはやみ取引や売り惜しみなどの取引の不公正や経済効率の低下がつきまとうという欠点があるのでありまして、この法律が従前ほどの統制力がないとしても、経済異常事態によっては、最終的には配給割り当て制の実施ができるという権限を持っておりますので、やむを得ず発動する場合には、それはあくまでも緊急時の国民生活の保障と物価安定だけに限定すべきでありまして、その発動の目的、意味が十分に国民に理解されなければなりません。本法運用いかんによっては、官僚統制の弊なしとしません。悪徳者がはびこり、正直者が損をしたり、便乗値上げは、厳にこれを排除し、庶民の立場に立った公正適切なる運用に細心の注意を政府に要望いたしたいのであります。  さらに本法は、あらゆる事態での物価鎮静の万能薬ではなくて、いわば一つの緊急的補助手段にすぎないということを強く認識すべきだと思うのであります。  従来からの高物価経済情勢の推移の中で、今回、予期しなかった石油危機の遭遇という新たな経済危機に直面したのでありますが、この危機を克服するには、やはり基本的には物不足による供給力の低下に対して需要が強過ぎては物価の安定は果たし得ないということであります。したがって、そのためには、やはり財政的支出の縮小や金融引き締めの持続と強化という総需要を押える政策物価対策のかなめでなければなりません。その意味で、さきに発表されたわが党の来年度予算に臨む編成大綱には、その精神が十分に生かされておりますほか、本日行なわれた第五次公定歩合の再引き上げなどの財政金融政策はかなりの効果をあげるものと期待できるのであります。  政府におかれては、物価安定という命題にこたえるため、本法に基づく個別物資の安定対策を機敏に講ずると同時に、新年度予算の編成においても総需要抑制に十分対処せられるよう望みたいのであります。  以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)     —————————————
  30. 河野謙三

    議長河野謙三君) 上林繁次郎君。    〔上林繁次郎君登壇拍手
  31. 上林繁次郎

    ○上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました政府提出国民生活安定緊急措置法案に対して、反対討論を行ないます。  いまや、石油危機の直撃を受けて、国民生活は、戦後の混乱期でさえ経験しなかった最悪の事態を迎えております。私は、いま、おそらく来春にはわが国経済がかつて見なかったような重大な局面を迎えるであろうという不気味な前兆を感ぜざるを得ません。田中内閣誕生以来、すべての物価は一斉に急上昇を続けており、すでに十一月の卸売り物価は、対前月比三・二%、対前年度比で二二・三%も値上がりし、さらに、十二月上旬の十日間で三・五%という異常な暴騰を示しており、今後も大幅値上げが予想されております。政府がこの危機的状況を放置するならば、数カ月後には消費者物価はさらに急上昇することは必定であります。  この異常事態に対して政府対策は、総需要抑制並びに石油二法による石油規制と生活関連物資価格規制の二つであります。総需要抑制政策といっても、金融対策のみに偏重しており、各方面から、これではたして物価抑制の効力を発揮することができるかどうか、疑問視されているのであります。また、たとえ本法案が成立したとしても、本法案実施に当たる政府の基本姿勢について国民は疑惑の眼を向けており、本来あるべき方向とはかけ離れたものとなる危険が十分に予想されるのであります。なぜならば、買占め防止法が成立してすでに半年、政府はこの法律に基づいて二十一品目を指定したきりで、その後何ら手を打っているようには思えないことからも明らかであります。国民は買占め防止法によって生活必需物資を安い値段で取得できるものと期待しておりましたが、現状は全く逆であって、物価はますます高騰の一途をたどっております。この点私は、政府に深く反省を求めるものであります。  政府提出国民生活安定法案内容は、国民各層から批判があるように、国民が期待するものにはほど遠く、高値安定、カルテルの合法化、国民経済統制という弊害を生ずる懸念がまことに強いのであります。これでは、国民は、高くつり上がった物資をやむを得ず求めなければならないという苦しい日々を送らざるを得ないのであります。  これに対して、わが党は、あくまでも国民生活の安定と消費者擁護の立場から大幅な修正を強く主張してきたのでありますが、政府自民党は、これらを全く顧みようとせず、頑迷に政府案に固執するのみでありました。法律をつくることによってかえって現状の物価高を是認しようとする政府の姿勢こそ、まさに国民を欺くものであり、このままでは断じて認めることができないのであります。  われわれが政府原案並びにその修正案に応ずることができないとする第一の理由は、この法案によるならば、安定した物価を望めないどころか、むしろ物価高騰に拍車がかかると思われることであります。すなわち、国民がおそれていることは、政府原案及びその修正案には標準価格算定基準が明記されていないのであります。たとえば鉄鋼においては、新日鉄とその他の大手鉄鋼会社の生産コストでは一五%の差があります。まして、これらの大手企業中小企業とでは、生産コストの差は数十%に達しているのであります。こうした現状のもとで、かりに標準価格をきめたとしても、低生産性の生産コストに照準を合わせるならば、大企業製品価格をこれに準じてつり上げることになり、高値安定になることは明らかであります。しかも、標準価格をどのようにして守らせるのか、この点についても何ら保障がなく、無責任もはなはだしいと言わざるを得ないのであります。この問題に対しては、価格決定の根拠を公開するとか、あるいは価格決定に伴う何らかの検査をしなければ、大企業主導型の高価格になることは明らかであり、政府と大企業の癒着を一そう進行させることになるのであります。このことは、通産省が最近行なった灯油、プロパンガス等の指導価格に見るごとく、従来安く販売されていたものが、施行当日から標準価格にまで引き上げられたことによっても明らかなのであります。この点、アメリカなどでは、たとえば薬品などについて、その価格が不当に高いと思われるときには、政府は製薬業界の代表を呼んで詰問し、値下げさせるよう強力に指導しているのでありますが、わが国では、政府企業にその原価公表義務を課すことすらできないというまことに弱腰なものであります。  反対の第二の理由は、課徴金についてでありますが、政府案においては、その性格は刑事罰でなく、行政罰の一種であるとされ、差益のみの徴収となっていることであります。すなわち、これでは、業者は不正が発見されるまでの膨大な利潤はそのまま保障されることになり、この点を修正しない限り、この法案国民生活の安定にはいささかも寄与できないことは明らかであり、価格高騰の歯どめの効果は何ら期待できないものとなるのであります。  いまや、物価は操作されていることは明白な事実であり、すべての物資についてあらわれた物の不足——価格上昇——緊急放出——高値安定の悪質なパターンが定着し、残念ながら企業の良心などはみじんも見ることができず、合理的に価格をつり上げているとしか言いようがありません。かりに、政府の言うように価格決定することができたとしても、供給が円滑に行なわれなければ、結局、価格を安定させることができないことになるのであります。  反対の第三の理由は、政府原案及びその修正案は、生産輸入保管、売り渡し、輸送等についても、指示に反した場合には公表程度にとどめていることであります。このような軽微な処置で、安定した供給確保されるとはとうてい考えられないのであります。私は、利潤確保のため恣意的に指定された物資供給を滞らせようとする者に対し、公表は当然のこと、供給を命じ、違反者には厳罰をもって臨むべきであると強く主張するものであります。  反対の第四の理由は、政府は、修正案において、国民の望む民主的な措置を意識的に排除し、独善的な措置を盛り込もうとしていることであります。すなわち、より民主的な方法によって法律運用するために、中央には国民生活審議会設置し、それぞれの地域にはその実情に応じて対処し得る住民生活審議会設置するよう要求したにもかかわらず、政府・自民党は、従来と同じような御用審議会設置しか認めようとしなかったのであります。われわれの主張したこれら中央と各地域の二つの審議会制によってこそ、価格設定生産保管輸入、売り渡し、輸送等が民主的かつ合理的に運営されて、国民の意思を十分に反映させることができるのであります。  以上、幾つかの問題点を取り上げ反対理由を明らかにしましたが、当面している異常事態は、単に法律を制定すればこと足れりというものでは決してないと強く主張するとともに、政府は必ず物価を安定させるという決意に立って責任あるきめこまかい政策を着実に実行することを強く要望して、私の反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  32. 河野謙三

    議長河野謙三君) 中沢伊登子君。    〔中沢伊登子君登壇拍手
  33. 中沢伊登子

    ○中沢伊登子君 私は、民社党を代表しまして、ただいま提案されております国民生活安定緊急措置法案に対し、賛成討論を行ないます。  現在、私たち日本国民が置かれている状態は、いまさら申し上げるまでもなく、戦後初めて経験するような異常事態であります。とどまるところを知らないインフレ、物価高、その上、灯油、プロパン、紙、洗剤など各種の物不足、電力の使用制限など、国民生活は非常な混乱におちいり、日々の生活を強く圧迫しています。このような事態を招いた直接の動機は、石油供給の大幅削減にありますが、その背景には、歴代政府・自民党の高度経済成長政策と、それに伴うインフレ促進政策にあったことは、強く指摘しておかなければなりません。  さらに、これに拍車をかけだのが、田中総理の日本列島改造計画であります。土地対策を欠いた国土開発構想は、たちまちにして地価の大幅高騰を招き、庶民のマイホームの夢をぶちこわしてしまいました。また、新幹線、高速道路網など、産業基盤整備のための大型公共投資は総需要をますます刺激し、これが商社の商品投機を引き起こし、消費者物価の大幅上昇を招いたのであります。  私たち民社党は、このようなインフレ、物価高の進行を憂え、特に田中総理就任以来、政府に対して、日本列島改造計画の撤回、高度経済成長政策の転換、公共料金の値上げストップなど、各種の物価抑制政策を強く提言してきたのであります。それにもかかわらず、政府はこれを聞き入れず、最近の石油危機と相まって今日の異常事態を迎えたことは、国民にとってまことに悲劇だと言わざるを得ません。すなわち、エネルギーの大半を海外に仰ぎ資源もないわが国が、国民生活への配慮を忘れてひたすら経済成長に狂奔し、その上、列島改造にうつつを抜かしてきました。この間、国民の心は荒廃し、政治不信はその極に達し、みずからの生活をみずからの手で守らなければならない思いにかられております。いまや、水鳥の音にあわてた平家の軍勢のごとくとでも申しましょうか、たよれるものは、いま自分の手にしている物だけという不信感が渦巻いているのでございます。一方、企業や業者は、このときとばかりもうけのために狂奔し、商業道徳もメンツもかなぐり捨てて、かけ込み値上げ、さらには悪らつにも帳簿の改ざんまでしたといわれています。政治不信と同時に、消費者企業不信にもおちいっています。ここに鋭く政府の政治責任を追及しておく次第であります。  さて、しかし、政府責任の追及だけで、いま現に困窮している国民の生活に対する政策になるでしょうか。この緊急事態に対処するために政府は急速国民生活安定緊急措置法案を提案してきたのでありますが、その内容はきわめて不十分なものであります。したがって、衆議院段階においてその修正作業が行なわれたことは、きわめて当然なことであります。この結果、国民生活安定緊急措置法案において、国民各層の声を代弁し、政府の法運用を監視する審議会設置されるようになったことは、民社党をはじめ野党の大きな成果であります。また、この法の施行にあたって、政府原案には全くなかった家庭用、中小企業、農業など民生用物資の優先確保原則を明確に法文化させたことは、明らかに一歩前進したものと評価せざるを得ません。このほか、国会への報告義務並びに一年以内の見直し条項の設定標準価格中間卸売り価格を入れたこと、特定標準価格への直接指定の明確化などが盛り込まれたことは、評価しておきたいのでございます。  しかし、この際はっきり申し上げたいのでありますが、私たち民社党は、これら修正案だけで十分に満足できるというものでないことは、言うまでもありません。ましてや、この法案の成立だけでいまのインフレ、物価高が直ちに抑制されるという甘い幻想はいささかも持っておりません。インフレ、物価高の抑制は、一にかかって国民消費者の立場に立ったこの法案の厳正な運営いかんにかかっているのであります。また、この法案は、他の物価抑制策の強力な実施と相まってはじめて生かされてくるものであります。それにもかかわらず、政府は、この国会審議を通じて、この法案があたかも物価抑制の万能薬であるかのような甘い考えを持ち、事態に対処しようとしていることは、全く認識不足もはなはだしいと言わなければなりません。しかし、私ども民社党がこの法案賛成するゆえんは、現在わらをもつかむ思いでこの法案に一まつの期待をかけている国民に対し、たとえそれが七十五点でも八十点であっても、早急にいま何とかやってもらわなければならないからでございます。真に物価安定をはかるためには、わが党が従来から主張してきましたように、大企業の横暴をチェックし、経済計画の強化による福祉経済路線の推進、管理価格規制法案の制定、独禁法の強化公正取引委員会の拡充、大型公共事業等の縮小、公共料金の値上げストップ、地価の凍結、農産物生産の増大と流通機構の改革、そうして消費者運動の育成強化などを講じなければならないことを強く断言しておきたいのでございます。  政府は、いまこそ、この危機を招来した政治責任を反省し、きびしい現実を直視して、これまでの大企業優先の政治をやめ、ほんとうに国民の立場に立った福祉国家建設の道を歩まれんことを切に希望して、私の賛成討論を終わります。(拍手)     —————————————
  34. 河野謙三

    議長河野謙三君) 沓脱タケ子君。    〔沓脱タケ子君登壇拍手
  35. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表いたしまして、国民生活安定緊急措置法案反対する討論を行ないます。  昨年以来の物価の異常な急上昇、それと並行してつくり出されました物不足は、身体障害者、生活保護者や老人はもとより、労働者、農漁民、中小商工業者など、ほんとうに汗にまみれて必死に生きているすべての人々の生活を、耐えがたいまでの深刻な状態に追い込んでおります。  今日、物価の異常な高騰が、大企業、大商社が意識的につり上げたものであることと、田中自民党内閣がそれを追認してきたことは、国会の論議を通じても明白になっております。たとえば砂糖価格でありますが、三井製糖など大手製糖メーカーは、系列大商社と一体となり、生産抑制しながら九月ごろからじりじりと価格をつり上げ、ついに十一月二十日ごろにはパニック状態をつくり、その後消費者は二倍以上の値段でなければ買えないようにしています。いま、ちまたでは、「雲がくれ出てきたときには値段が二倍」という川柳がうたわれています。これこそ、まさに、大企業と田中内閣に対する国民の怒りと不信の声であります。そもそも、今日の石油危機物不足、インフレ、物価の異常な高騰の根本原因は、対米従属の外交政策、大企業本位の高度成長政策にあることは明白であります。しかるに、田中内閣は、これらの失政には何ら反省することなく、石油危機を口実に一切の政策破綻の犠牲を国民に転嫁しているではありませんか。このような反国民的な態度は、断じて許すことはできません。  私が本法案反対をいたします第一の理由は、本法案国民物価安定を望む声にこたえるものではないばかりか、かえって大企業本位の物価の高値安定を容認している点であります。異常につり上げられた物価を、値上げ前に引き下げてほしいという国民の切実な要求にもかかわらず、政府はこれを拒否しているのみか、かえってつり上がった物価政府が高値追認するものとなっています。標準価格特定標準価格は、大企業利益をまず保障する市場価格を基礎に決定されることは、砂糖、灯油、プロパンガス、トイレットペーパーなどの指導価格制度で試験済みのことであります。物価引き下げ、安定させるために、まずとるべき政府の手段は、大企業の膨大な利潤にメスを入れ、原価を厳密に明らかにさせることであります。大企業の不当な利益を押えさせた上で、国民が納得できる適正な生産費、仕入れ価格、利潤を明らかにし、これを指示価格として企業に厳重に守らせることが先決であります。そのために、必要な資料を提出させる資料提出命令権を規定しなければなりません。また、原価を広く国民公表し、国民に知らせることは、欠くことのできないものであります。本法案には、これらの諸条件が根本的に欠けており、国民の切実な願いにこたえておりません。  反対の第二の理由は、国民の生活必需物資の優先的な安定供給が保障されていないことであります。共産党、社会党、公明党二院クラブ四会派の修正案では、一般消費者、中小商工業者、農漁業者、公共交通事業、医療社会福祉事業、言論出版に関する事業等については、特に、必要な物資の優先確保政府に義務づけるとともに、大企業への放出命令権を入れるべきだと主張してまいったのであります。この立場は、福祉社会の初歩的原則ではありませんか。しかるに、田中内閣は、この基本的要求すら拒否しているのであります。  反対の第三の理由は、本法案が、配給割り当て価格決定など憲法第二十二条の営業の自由、第二十九条の財産権の保障など基本的人権にかかわる重大な決定を行なうに際し、国会の議決を行なわず、政令にまかせようとしている点であります。国民生活防衛のために、配給割り当て制を導入することは、やむを得ない場合もありますが、このような重大な決定をするためには、国権の最高機関である国会の議決によるべきことは当然であります。この当然の措置を行なおうとしないことは、国民の基本的人権にかかわる重大事態を一片の政令によって強行しようとする田中自民党内閣のファッショ的態度を明白に示しております。  第四の反対理由は、政府が、わが党をはじめ野党各党が強く反対してまいりました経済企画庁と公正取引委員会の覚書を破棄せず、事実上のやみカルテルを容認したことであります。このことは、独禁法を骨抜きにし、大企業が流通機構まで自由に支配することを許すことになるのは明白であります。いま、国民が切実に望んでおりますのは、物価引き下げ安定させることであり、物不足の不安からの解放であります。国民が政治に期待するのは、あすへの希望が持てる政治であります。いま、国民の前には、大企業利益を優先し、国民生活を犠牲にするのか、それとも、国民多数の意思を反映して、大企業の横暴と膨大な利益を民主的に規制し、国民生活を防衛するのか、この二つの道の厳粛な選択が迫られているのであります。  日本共産党は、断固として自民党田中内閣の大企業奉仕の道に反対し、国民本位の政治の実現を目ざし、国民とともに前進する決意をここに表明いたしまして、本法案反対する討論を終わります。(拍手
  36. 河野謙三

    議長河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決をいたします。本案賛成諸君起立を求めます。    〔賛成者起立
  37. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後八時十二分散会