運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-12-14 第72回国会 参議院 本会議 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十四日(金曜日)    午後四時十五分開議     ━━━━━━━━━━━━━議事日程 第四号   昭和四十八年十二月十四日    午後一時開議  第一 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内     閣提出、衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、昭和四十八年度一般会計補正予算(第1   号)  一、昭和四十八年度特別会計補正予算(特第1   号)  一、昭和四十八年度政府関係機関補正予算(機   第1号)  一、国民生活安定緊急措置法案及び石油需給適   正化法案趣旨説明)  一、日程第一  一、昭和四十八年度における期末手当割合等   の特例に関する法律案内閣提出衆議院送   付)  一、裁判官訴追委員辞任の件  一、裁判官訴追委員皇室会議予備議員、東北  開発審議会委員四国地方開発審議会委員、離  島振興対策審議会委員日本ユネスコ国内委員  会委員及び鉄道建設審議会委員の選挙  一、請暇の件      —————・—————
  2. 河野謙三

    議長河野謙三君) これより会議を開きます。  この際、日程追加して、  昭和四十八年度一般会計補正予算(第1号)  昭和四十八年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和四十八年度政府関係機関補正予算(機第1号)  以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。予算委員長鹿島俊雄君。    〔鹿島俊雄登壇拍手
  4. 鹿島俊雄

    鹿島俊雄君 ただいま議題となりました昭和四十八年度補正予算三案につきまして、委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  今回の補正予算は、最近の物価情勢資源問題等による供給力の制約を考慮して、特に緊急にしてやむを得ない必要最小限度経費にとどめるよう配意して編成されたものであります。  補正予算三案は、十二月一日に国会に提出され、五日に福田大蔵大臣から趣旨説明を聴取し、十一日から本日まで四日間にわたり田中内閣総理大臣並びに関係大臣に対し質疑を行なってまいりました。  まず、物価インフレの問題につきまして、政府は、今日の事態は憂慮すべき状態であると述べているが、なぜすなおに現状インフレと認めないのか。今日の物価異常高騰は、列島改造をはじめとする田中内閣の一連の政策と無関係とは言えないのではないか。総理は本年三月の本院予算委員会経済政策失敗政治責任をとる決意であると述べているが、今日の事態はまさにそれに相当するのではないか。さらに、来年上半期までに現在の異常な状況を鎮静できないときは政治責任をとると理解してよいか。また、地価上昇抑制は、国総法を待たずに、単独立法によってでも緊急に対策を講ずべきではないか、などの質疑がありました。  これに対し、田中内閣総理大臣及び関係大臣より、物価現状はまことに憂慮すべき状態にあるが、最悪の状態におちいらないよう最善の努力をしておる。政府は、現状インフレとは考えないが、あえてインフレと言われるならそれを否定はしない。今日の物価上昇は、海外要因によるところが大きい。過去の政策がすべて完ぺきであったとは思っていないが、円再切り上げなどに伴う国内産業への影響最小限度に食いとめながら対米黒字解消をはかるにはやむを得ないことであった点を理解してほしい。物価が憂慮すべき事態にあればこそ、全力を尽くしてその解決に当たるのが政府責任だと考えておる。物価鎮静の時期を一応来年上期に置き、上昇率主要工業国の平均以下におさめることを目標全力を傾注しており、それでも解決できないときは政治責任を明らかにする決意である。地価は、金融引き締めにより必ず下がると考えているが、公共福祉の観点から大都市の地価を凍結することも目下関係当局間で検討中である、との答弁がありました。  次に、石油問題につきましては、輸入削減に伴って需給面混乱が生じているが、必要量確保や今後の対策を聞きたい。今日の事態を招いたのは石油にたより過ぎた結果で、石炭原子力等代替エネルギーの活用をはかる必要があるのではないか、などの質疑がありました。  これに対して政府側から、今年度石油輸入は二〇%程度減少する見込みであるが、国民生活に必要な油は政府責任をもって確保する。灯油、プロパンなどの供給については一部に混乱が見られたが、今後はそのようなことのないよう努力したい。さらに石油二法の成立をまって油の重点配分を推進するなど政府調整機能を強化する考えであるが、消費者石油危機を理解し、節約に協力してほしい。代替エネルギーについては、原子力発電に力を入れ、政府責任をもって安全対策地元対策を推進する決意であり、石炭の見直し、太陽エネルギー利用等多様化をはかっていく必要がある、との答弁がありました。  最後に、財政経済に関する問題につきまして、今回の補正予算は、一兆円に近い空前規模で、総需要抑制の線に沿ったものとは言えないのではないか。生活保護費等で五%の物価補正が行なわれているが、物価高騰状況から見て不十分ではないか。公共事業単価補正の中で住宅関係改定が行なわれてないのはどういう理由か。また、来年度予算及び経済見通しについての考えを聞きたい、などの質疑がありました。  これに対し政府側から、今回の補正は、すでに追加計上を義務づけられた費目に限定し、財政需要拡大にわたる経費は、厳にこれを慎み、総需要抑制につとめている。生活保護費は、年度当初分と合わせて対前年度一九%の引き上げで、家計消費支出の一六%上昇を上回る措置をとっておる。住宅関係補正は、事業の進捗がおくれており、成立予算のワク内で処理することとして、すでに六月と十月に単価改定実施済みである。また、来年度予算については、物価石油問題の現状にかんがみ、きびしい姿勢編成に当たっているが、福祉関係は特別に配慮する。来年度経済見通しについては、二・五%の成長率になる見込みである、との答弁がありました。  このほか、内政、外交にわたり広範な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて、本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して横川委員反対自由民主党を代表して片山委員賛成公明党を代表して矢追委員反対、民社党を代表して木島委員反対日本共産党を代表して渡辺委員反対の旨、それぞれ意見を述べられました。  討論を終局し、採決の結果、補正予算三案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上をもって御報告を終わります。(拍手
  5. 河野謙三

    議長河野謙三君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。足鹿覺君。    〔足鹿覺登壇拍手
  6. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十八年度補正予算三案に反対討論を行なうものであります。  反対理由の第一は、田中内閣補正予算提出資格なしと断ずるからであります。  田中内閣成立して約一年半の間の実績は、曲がりなりの日中国交回復があげられるだけで、他はすべて失政の連続であります。特に経済運営失敗は許しがたく、国民大衆インフレ生活必需物資に次々に起きるパニック現象に不安と動揺の毎日であり、全国的に田中内閣責任追及の声が高まっております。今日のインフレ原因が、四十七、四十八の両年度にわたる超大型予算による無節操な財政運営列島改造に踊る地価暴騰民間設備投資異常拡大、さらに、国際収支黒字解消という言い方で行なわれた調整インフレの結果であることは明瞭であります。  しかるに、今国会所信表明では、輸入インフレ過剰流動性個人消費支出拡大物価上昇原因であると総理はすりかえております。さらに、衆議院でのインフレに関する統一見解の発表にあたっては、所得政策の導入をにおわせ、労働者賃金生活を抑圧しかねない居直りの姿勢すらとっております。  田中総理さきの円再切り上げ責任を明らかにしなかったばかりか、本院予算委員会で、経済運営失敗したならば歴代内閣とは異なり責任をとると言明し、さらに今年下期には物価を下げると二回も公約しておきながら、卸売り物価一七%、消費者物価一三%の二けた異常騰貴でも政治責任をとろうといたしません。そればかりか田中総理は、愛知前蔵相の急死というまことにお気の毒なできごとを自己の政権欲を満足させるために利用せんとして、水と油の経済政策を主張してきた福田氏をあえて蔵相に迎え、安定成長転換したかのポーズで国民の批判をかわさんとしておられます。これは田中総理と親交があるといわれるニクソン、朴両大統領と同じやり方で、責任政治破壊者と言わねばなりません。田中内閣は直ちに総辞職をして、経済政策とその運営失敗の償いをすべきは当然でございます。  反対理由の第二は、田中内閣政策はことごとく失敗し、いまや政権担当能力資格もないと断ずるからであります。  田中総理は、前国会では史上空前の百三十日の会期延長という暴挙をあえて行なったにもかかわらず、総理政治生命をかけたといわれる国総法は衆議院ですら通過できませんでした。列島改造を一枚看板総理のいすを手にした田中総理国会から不信任を受けたというべきでありましょう。そうしたやさき、アラブの石油削減措置によって、田中式列島改造は完全に息の根をとめられたばかりか、構想そのものが、わが国の将来の産業経済のあり方としてはなはだ危険であるばかりか、破滅への構想であることが明らかになりました。そうした内外情勢を前にして、私が言うまでもなく、せめても田中総理としては、率直にみずからの不明を恥じ、深く反省し、根本的な政策転換をし、国民に謝罪することは、百歩譲っても当然の措置であり、政治家最低のモラルの問題だと思うのであります。その政策転換あかしは、列島改造論と国総法との訣別であり、国総法の撤回でなくてはなりません。しかるに、田中総理にはその意思も能力もないことが明らかになりました。  さらに、四十八年度インフレ経済によって、田中内閣長期経済計画である経済社会基本計画は初年度で完全に破綻しております。いまや田中内閣は、海図も羅針盤も持たずに場当たり的な政策を行なっているにすぎません。  さらにまた、田中総理のリーダーシップで打ち上げられました来年度の二兆円減税も、ほんの一、二カ月の間に看板を塗りかえ、四十八年度の一兆円減税のかけ声が肉も骨も削ってたった三千億円にしてしまったと同じ手口をやりかねない状況で、ネコの目が変わるより田中総理政策と見識の変わり方は早く、支離滅裂であるというのが世間の評価になっております。  第三の理由は、この補正政策分裂症補正であるからであります。  四十八年度予算審議の段階では、公共事業費三二%の史上最大伸びが、福祉社会建設財政主導型経済への転換目玉商品と大宣伝をされましたが、これが引き金となって財政インフレを引き起こし、今日では百八十度転換緊縮財政を余儀なくされております。そうした情勢のもとで、本補正史上最大の九千八百八十五億円の歳出追加を行ない、予算規模は十五兆円の大台に乗るというインフレしりぬぐいの矛盾と苦悩に満ちたものとなったのであります。百歩譲って、政府が主張する緊縮型の財政運営を行なうためには、本年度財政インフレを可及的に是正すべく、四十八年度当初予算公共事業費八%繰り延べ分はもちろん、不急の官庁営繕費防衛費産投会計出資金国債引き当て大型プロジェクト向け出資金等減額補正を徹底的に行ない、財政規模の圧縮をはかるべきであります。政策的な減額補正を全く行なわない本大型補正は、総需要抑制政府言い分とは全く逆のものと言わねばなりません。  反対理由の第四は、この補正がやらずぶったくりの補正であるからであります。  四十八年度自然増収政府見通しで一兆五千億円をこえるという、まことに膨大な税金の取り過ぎの事態が発生しております。他方、諸物価異常高騰納税者生活水準は切り下げをしいられる一方、名目所得の増加によって納税者は本年度減税は帳消しにされ、税負担の強化にあえいでおるのであります。巨額年度内自然増収びた一文納税者に還元することなく、政府失政インフレあと始末に使ったことは許せないのでありまして、インフレと重税のはさみ打ち国民大衆生活をますます苦しめる田中内閣やり方にわれわれは強く反対をし、年度内減税実施を強く要求するものであります。  反対理由の第五は、財政民主主義を否定し、経済的弱者をむちうつ本補正は絶対認めるわけにはまいりません。  政府は、さきに八%の公共事業年度内調整を行ない、約一兆円の執行繰り延べを行なっておりますが、予算執行国会議決に基づいて行なう旨の憲法趣旨からしましても、補正提出の際に減額補正を行なうべきは当然であります。  さらにまた、四十八年度財投計画は、資金があるのに消化が困難で、巨額使い残りが出ることは必至であります。本年度から財投国会審議議決対象としたと大みえを切った政府言い分からすれば、財投減額補正国会に提出するのは政府の義務ではありませんか。  しかるに、政府は、公共事業費財投行政権限りの運用で繰り延べを行ない、国会国民にその実態すら知らせず、独断専行やり方をしており、これは憲法四十一条並びに八十三条の精神をじゅうりんするものと言わなければなりません。  最後に、政府は、生活保護基準等を五%引き上げたことを社会保障費インフレ補正だと宣伝しております。しかし、東京都の生活保護世帯で一人一日たった十八円、失対賃金日額六十三円の引き上げがこの物価高騰下補正金額であります。これが、福祉元年を宣伝し、福祉型への転換を公約した田中内閣クリスマスプレゼントでは、あまりにもお寒い額だと言わざるを得ません。このほか、補正対象外に放置された母子家庭、身障者、老人等の経済的、社会的な弱者にはインフレ被害はないと総理考えているのでありましょうか。こうした弱い者にむちうつ政治は許されてはならないのであります。  この補正憲法二十五条の政府責任を放棄しておる点では憲法違反補正と言わざるを得ないのでありまして、わが党はこうした補正に強く反対するものであります。  以上で私の反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  7. 河野謙三

  8. 細川護煕

    細川護熙君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十八年度補正予算三案について、賛成の立場から討論をいたします。  政府は、さきに四十八年度予算編成にあたって、経済政策目標国際収支均衡福祉充実物価の安定に置き、積極的な財政運営をはかってきたわけであります。この間、国際収支は急速な黒字の縮小を見、対外均衡は将来においてむしろ不安を抱かせるほどの改善を示しております。しかし、一方、国内では需要の急速な増大と過剰流動性の投機的な動き、あるいはまた海外における物価高騰、そういった要素がからまり合って、わが国物価はきわめて憂慮すべき上昇を続けております。加えて、石油削減問題という新たな事態は、国民生活に深刻な脅威を与えております。  政府は、このような事態に対処するため、物価の安定と石油問題を解決することを当面の最も緊急な課題として、数次にわたる公定歩合の引き上げ、あるいは預金準備率引き上げ等、きびしい金融引き締め措置をとる一方で、公共事業費の大幅な繰り延べ等によって、極力総需要抑制をはかってきたわけであります。さらに、石油問題については、石油消費規制並びに国民生活安定確保をはかるための緊急措置法案を提出して、国民の協力に訴えております。  今回の補正予算は、このような緊迫した経済事情を背景にして、生活保護基準引き上げ等に伴う経費追加生産者米価引き上げに伴う食管会計への繰り入れ追加公務員給与改善等を行なうものであります。  まず第一に、生活保護基準引き上げについては、年度当初一四%の引き上げが行なわれましたが、しかし、最近における消費者物価高騰のため、被保護世帯生活に与える影響を考慮して、年度途中にもかかわらず、特別措置として生活保護基準改善が行なわれたことは、社会保障の根底をささえる生活保護制度重要性を認識している一つのあかしとして、きわめて適切な措置であったと考えます。  なお、この生活保護基準改定に合わせて、失対事業就労者賃金についても、賃金日額改定が行なわれました。これらの措置は、福祉充実をうたった四十八年度予算編成方針趣旨に照らしても、もっと早急に実施されるべきものであり、物価高騰の打撃を最も深刻に受ける階層への救済措置は、今後ともさらに配慮されるべきものと考えます。  第二は、生産者米価についてでありますが、申し上げるまでもなく、国民基幹食糧である米の需給と価格の安定をはかることは、われわれの生活の安定にとって欠くべからざるものであります。したがって、米価は今日なお食管制度に組み込まれた中で、あえて今回は一六・一%の引き上げが行なわれたのであります。米価はこれまで実質的には三カ年も据え置かれてきたこと、あるいはまた、最近の消費者物価賃金の記録的な上昇考えた場合、これもまた真にやむを得ない措置であったと言わざるを得ないのであります。  第三は、公務員給与改善でありますが、さき人事院勧告に照らして、四月にさかのぼってベースアップを行なわんとするものであります。従来と違い、年末を待たずに実施を見たことは、一歩の前進として正当に評価されるべきでありましょう。  第四に、今補正予算案最大の部分を占めるのは、何といっても地方交付税交付金追加でありますが、これに関連して、交付税及び譲与税配付金特別会計借り入れ金残高の繰り上げ償還等が行なわれる予定であります。この点は、国、地方を通ずる総需要抑制の見地から、きわめて適切な措置考えます。  最後に、政府はこの際、当面の課題である四十九年度予算編成にあたって、抑制方針を堅持し、時局に臨む政府姿勢を鮮烈に打ち出すとともに、今日の異常な経済社会情勢に対し、従来の行きがかりにとらわれることなく、断固とした手だてを講ずることによって、すみやかに国民生活を安定に導き、政治への信頼を回復することに全力を尽くすことを強く希求して、補正予算三案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)     —————————————
  9. 河野謙三

    議長河野謙三君) 藤原房雄君。    〔藤原房雄登壇拍手
  10. 藤原房雄

    藤原房雄君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十八年度補正予算三案に対し、反対討論を行なうものであります。  反対理由の第一は、このたびの補正予算案は、形式上は例年見るごとき補正追加要因を計上しておりますが、その規模と内容において従来には見られなかった新しい性格を持っている点であります。言うまでもなく、予算補正は、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費支出」に限られるべきものであります。しかしながら、今回の補正は、災害発生とか、その他予期せざる事態に対処するための緊急にしてやむを得ない事項にしぼられた支出とはとうてい認めがたいのであります。全体として見れば、政府日本経済に対する現状認識及び当初見通しの重大な誤りと、その後間違った経済財政金融政策がとられた結果必然的に生じた事態に対処する、いわばしりぬぐい的性格を持つものであると言うべきであります。  日本経済が、今日見るような異常な物価高物不足、売り惜しみ、買いだめなど、最高の混乱状態を来たした原因は、国際的要因もさることながら、政府内外情勢変化に目をつむり、依然として高度成長日本列島改造など、インフレ政策を強行したところに根本原因があり、日本外交の無力が招いた石油危機は、過去の無為無策に追い打ちをかけ、はからずも政府経済政策の破綻がはっきりと浮き彫りにされたのであります。すなわち、政府がみずから招いたインフレの種によって超大型補正予算が実るべくして実ったのであり、いまや、財政の体質は、タコがみずからの足を食うごとく、インフレ自家中毒症状におちいるに至ったと評しても過言ではないのであります。  この補正予算性格を一言で要約すれば、政府無責任体制計数的表現であり、政治責任予算補正という形で一時的にごまかそうとする責任転嫁姿勢を物語る以外の何ものでもありません。  第二に、いま国民が年末を控えて物価高物不足に深刻に悩んでおり、パニック状態ともいうべき憂慮すべきときにおいて予算補正を行なう基本姿勢としては、まず第一に、経済成長につながる産業基盤整備のための公共事業費繰り延べではなく、思い切った削減をすることであり、インフレによる社会的不公平、所得分配の不公平を是正するため、生活保護費老人心身障害者児等に対する福祉年金、諸手当児童手当など大幅に引き上げるとともに、失業問題に対応する諸施策を準備することなどに全力を傾注すべきであるにもかかわらず、その努力あとがほとんど見られないことにあります。  また、補正予算規模は、わが国財政史上未曾有の超大型となっておりますが、補正追加額配分割合を見ますと、地方交付税交付金と、食管会計への繰り入れ、国鉄の助成費などに全体の七〇%強と振り向けており、これに給与改善費を加えた残りは、わずか一〇%そこそこであります。これでは、本年度当初予算で予定した施策と、物価暴騰のために実現できなくなっている施策とのギャップをきめこまかく埋めることはとうてい不可能であるばかりか、地方財政超過負担を一そう増大させる無責任やり方であると言わざるを得ないのであります。  さらに、この補正予算が、いかに国民生活不安解消、安定のために無縁なものであるかは、たとえば、建築単価生活保護基準等引き上げなどに対する現状無視のおざなり的措置を見れば明らかであります。すなわち、公立文教施設社会福祉施設等における建築単価改定には、一兆円近い追加補正額のうち、わずか百十億円、追加額配分率にして〇・九%と、スズメの涙ほどの金額しか計上していないのであります。また、生活保護基準等引き上げには、わずか四十一億円、追加額配分率〇・三%を追加しているにすぎず、物価が年間十数%暴騰しており、いまなお時々刻々天井知らず上昇しているのに、生活扶助基準引き上げは、当初一四%で全く不足しており、この穴埋めとしての引き上げをたった五%、一日一人当たり十九円にとどめているにすぎないのであります。また、失対労務者賃金も同様に穴埋めとしてわずか五%、一日当たり六十円という低い引き上げにとどまっているのであります。さらに、社会福祉施設におられる方に対する飲食物費日常生活諸費単価を、物価事情をまるで無視した非常識な低い額に押えているなど、最低生活に必要な物資不足と異常な物価高に苦しむインフレ被害者への配慮がはなはだ冷たく扱われているのであります。したがって、昭和四十八年度予算福祉優先であるという当初の政府説明がまっかなうそであることを、この補正予算を通じて明白に暴露されたのであります。  第三に、補正予算を前例のない大幅に膨張させたことによって、当初予算資源配分機構を大きく狂わすとともに、財政の持つ景気調整作用を阻害する結果を招くという点であります。  このたびの追加補正により、四十八年度予算規模が十五兆二千七百二十六億円にふくれ上がり、四十七年度補正後に比べ実に二六%という、三十年代に入って以来最大伸び率となったのであります。明年度予算をいかに控え目に編成するとしても、すでに上積みされて超大型になってしまった本年度予算インフレ促進効果は、タイムラグをもって今後の経済運営に重くのしかかってくることは当然であります。  石油危機下で、経済成長率が大幅に鈍化し、物資需給関係が逼迫してきている現況下にあって、財政面からの支出増加が、やがて来年度インフレをさらにあおる結果になることは、火を見るよりも明らかなことであります。  第四に、補正予算の税収見込みに対する疑問と、巨額自然増収の使い方について根本的に間違っているということであります。  補正予算の歳入は、税の自然増収その他を合わせて一兆五千百八十五億円と見込まれておりますが、これは例によって政府の意識的な過小な見積もりであると言わねばなりません。また、国債依存度を下げるという口実のもとに財源の三分の一を公債減額に振り向け、物価高に悩む国民に対し税の取り過ぎを還元する意味での減税を否定する態度は、断じて許すことはできないのであります。低所得者への減税と、法人税増収を、年内あるいは年度内に行なうことは、政府がその気になれば十分実現可能であるにもかかわらず、あえてこれを無視して補正予算を組む姿勢は、インフレのツケをすべて国民の犠牲にのみ押しつけようとするものであって、このような片手落ちの姿勢を承服することはできないのであります。  以上指摘してまいりましたように、昭和四十八年度補正予算三案は、政府インフレ政策強行によって生じたインフレ結果を穴埋めすることによってさらにインフレを促進するものであり、今日最も緊急とする予算補正に対する基本姿勢が全く間違っており、全体的に見て国民生活無視かつ無反省、無責任な内容となっており、反対せざるを得ないのであります。  以上をもちまして反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  11. 河野謙三

    議長河野謙三君) 木島則夫君。    〔木島則夫君登壇拍手
  12. 木島則夫

    ○木島則夫君 私は、民社党を代表して、昭和四十八年度補正予算三案に反対をするものです。  今日、わが国経済最大のエネルギーである石油供給がアラブ諸国によって削減をされるという、かつて経験したことのない異常な事態を迎えたわけです。石油削減に伴って物不足の時代が来るという強い不安感、こういった状況を利用し、逆手にとった買い占め、売り惜しみ、さらに、系列化を促進して利益を追求する悪徳業者の横行などから、国民生活は根本から脅かされ、極度の精神的不安にさらされております。  また、心身障害者老人生活保護世帯、まじめな勤労者、それに中小企業者など、異常な事態に対処する力を持っていない人たちは、救済のないままに犠牲をしいられているわけです。したがって、事態をこのままほっておきますと、国民はますます不安にかられて、社会暴動が起こらないと言い切ることはできない状態です。こういった状況の中で政治が対処すべき最も重要なことは、石油ショックに伴う社会的混乱を収拾し、異常な物価高を押えるための確固たる方針国民に示して、国民生活の安定を保障し、その不安を緊急に取り除くことであります。したがって、今回の補正予算案は、激化するインフレ物価高に対処し、国民生活を守ることを基本として編成することが絶対的な要請でありました。しかし、今回の政府補正予算案は、この認識に欠けており、従来の高度成長政策に根本的なメスを加えることをおろそかにしております。  反対の第一の理由です。  当初予算編成方針に沿ったものであり、特に公共事業費の大幅な圧縮が中心課題とするならば、政府みずからが総需要抑制に対する明確な姿勢をさらに強く打ち出すべきであります。少なくともこの際は、補正予算規模は三五%削減し、内容において福祉対策費の大幅増加、地方公共団体の超過負担の解消、年内所得減税の断行、また、歳入においては、かつて見ない利益を計上している資本金十億円以上の大企業に対しては臨時法人利得税を課するなど、国民生活国民経済の現状に照らして補正予算案編成すべきでありました。  反対の第二の理由です。  異常な物価高、悪性インフレの中で、一方的に犠牲をしいられている生活保護世帯老人心身障害者、中小企業者などに対する救済対策がきわめて貧弱であるということであります。  社会的に弱い立場に立たされているこういった人々をインフレから救済することこそ、政府が果たすべき重大使命であることを考えますと、生活保護基準の二〇%引き上げ、これに準じた失対事業老人、児童などの保護費の充実、また、老齢福祉年金と老齢特別給付金を月額一万円に引き上げ、障害年金、母子年金などもこれに準じて引き上げるべきであります。  第三の反対理由です。  公共事業費の中で、高速道路、鉄道、新幹線、港湾、空港整備費など、大型財政支出削減すべきであるにもかかわらず、政府案では、それをわずか八百七十一億円にとどめていることであります。この政府案の背景にあるものは、破綻した高度成長政策財政主導に切りかえ、その継続を主眼としていると言わなければなりません。言うまでもなく、資源を持たないわが国が、狭い国土で膨大な資源を使い、高度成長を続けることはもともと無理な問題であり、すでに公害、自然環境の破壊など、国民生活と生命は随所で脅かされておりますが、さらに、今回の石油危機は、世界的にも重要な基礎資源の配分が不均衡であることへの是正を求めている国民の率直な声と受けとめるべきであります。こういった点からしても、わが国の経済構造は、資源を節約し、福祉を向上する方向に転換することこそ急務と言わなければなりません。  事態はほんとうに逼迫しております。この差し迫った事態に敏感に対応できる政府施策を望むとするならば、この補正予算案はまことに不十分であり、あえて反対をするものであります。  以上で反対討論を終わります。(拍手)     —————————————
  13. 河野謙三

    議長河野謙三君) 河田賢治君。    〔河田賢治君登壇拍手
  14. 河田賢治

    ○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の補正予算三案に対し、反対討論を行なうものであります。  いま、国民は毎日のようにつり上がる諸物価高騰、灯油、砂糖をはじめ、生活必需品の全般にわたる入手難という異常事態に直面し、言い知れぬ不安と自民党政治への憤りを込めてみずからの生活防衛に立ち上がり、政府にその緊急な解決を強く要求しているのであります。特に、全国約百三十七万人に及ぶ生活保護者をはじめ、養護老人、各種年金生活者、身体障害者など、いわゆる社会的弱者といわれる国民にとってこの事態の解決は、一刻の猶予も許されない深刻な課題となっているのであります。まさに国民生活の救済と防衛のための実効ある措置の断行、さらにはこの危機をもたらした根源である歴代自民党内閣、特に田中内閣の超高度成長路線の転換こそは、焦眉の最重要課題なのであります。  しかるに、今回政府が提案した補正予算案は、こうした国民生活防衛のための実効ある措置をほとんど講じていない点でも、また、従来の大企業本位の高度成長政策の基調を何ら転換しようとしていない点でも、今日の国民の要求にこたえない全くかけ離れたものであります。  反対理由の第一に指摘しなければならないのは、福祉関係補正予算のおそるべき貧弱さについてであります。  一四%をこえるという対前年度消費者物価の騰貴と物不足の中で政府が今回実施しようとする生活保護基準、各種福祉施設の措置費五%のアップは、たとえば、老人ホームでは一人一日分にしてわずか十四円、保育所に至っては実に二円の引き上げにすぎないのであります。しかも、年金生活者に対しては、何らのインフレ救済措置もなされていないのであります。これが、寒空のもとで暖房用灯油も買うことができず、ふろにも入ることができず、食費にさえこと欠くに至っている老人や幼児に対する田中自民党政府の緊急対策の実態なのであります。みずからの身を守る何らのすべも持たないこれら社会的弱者に対する施策は、まさに非人道的な切り捨て政治と断ぜざるを得ないのであります。もしも政府にみずからの失政に対する幾ばくかの反省が残されているならば、最低限の償いとして、野党四党の要求する次の緊急措置に踏み切るべきであります。  すなわち、生活保護世帯に対する補助基準の二〇%引き上げ、老齢福祉年金、老齢特別給付金の月額一万円への引き上げと年内繰り上げ措置実施、さらには各種福祉施設の措置費を実態に見合って引き上げることであります。しかも、これらはわずか九百二十一億円の財源で直ちに実現し得る最小限の緊急避難的な救済にすぎないのであります。  第二に、政府がいわゆる総需要抑制を口実にして行なおうとしている地方交付税の不当な凍結、削減措置と、地方自治侵害の問題であります。  学校、保育所、ごみ処理施設をはじめ、一刻の猶予も許されない住民のための公共事業は、いま軒並みに契約不成立と、五〇%、一〇〇%にも及ぶ異常な建設費高騰にさらされ、事業ストップとばく大な超過負担に直面しているのであります。しかるに政府は、これら事業の国庫補助単価の正当な引き上げをサボり、自治体が裁判にまで訴えてその解消を迫っている地方超過負担を一そう破局的に拡大さしているのであります。そればかりか、今回の補正で、当然自治体に交付すべき地方交付税のうち、実にその四七%に当たる約二千億円を削減し、政府の一方的判断で借り入れ金の繰り上げ返済に回そうとしているのであります。これらの措置が、緊急を要する学校、保育所、病院、下水道など、住民のための生活関連施設建設を重大な苦境におとしいれることは必至であります。しかも、地方の自主財源である地方交付税の使途を政府が不当に規制することは、明白な地方自治への侵害であります。政府は、かかる不当な削減措置をやめ、地方財政法違反の超過負担の完全解消、交付税単位費用の全面的な改定、増額措置をとるよう強く要求するものであります。  第三の反対理由は、本補正予算が依然として大企業奉仕と対米従属、軍国主義強化の予算となっている点であります。  政府は、物価問題の解決をすべてに優先して取り組むと言いながら、消費者米価公共料金の引き上げを断行し、財政投融資資金を留保して列島改造計画の実施にあくまで固執しているのであります。そればかりか、一部の大企業のための電算機産業振興対策費、田中・ニクソン会談に基づく日本研究促進特別支出金の追加・増額、さらには四次防予算をそのまま残すなど、大企業奉仕、対米従属の施策の新たな推進を企図しているのであります。まさに、今日の異常事態を根本的に打開するための財政経済政策転換は、その糸口さえ見出すことができないのであります。政府はこの際、諸悪の根源としていまやすべての国民の指弾の的となっている列島改造をきっぱりと放棄し、高速道路、新幹線をはじめ、インフレを促進する不要不急の大規模公共事業費は大幅に削減すべきであります。さらに、ばく大な超過利潤を生み出し、国民生活を圧迫している大企業に対して、臨時法人利得税の新設などで投機資金を吸い上げ、これらの財源を国民生活防衛のために大幅に振り向けること、これこそが国民の差し迫った要求にこたえるただ一つの道であることを最後に指摘して、私の討論を終わります。(拍手
  15. 河野謙三

    議長河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。  これより三案を一括して採決いたします。三案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  16. 河野謙三

    議長河野謙三君) 過半数と認めます。よって、三案は可決されました。(拍手)      —————・—————
  17. 河野謙三

    議長河野謙三君) この際、日程追加して、  国民生活安定緊急措置法案石油需給適正化法案以上両案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 河野謙三

    議長河野謙三君) 御異議ないと認めます。内田国務大臣。    〔国務大臣内田常雄君登壇拍手
  19. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 国民生活安定緊急措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。物価の安定は、わが国経済の当面する最重要課題であります。最近の物価情勢に対処して、政府は、総需要抑制をはかるという見地から、財政執行繰り延べ、累次にわたる金融引き締めの強化などを行うとともに、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律に基づき、灯油、紙等を追加指定し、買い占め売り惜しみの防止につとめるほか、関係業界に対し緊急増産や出荷の指導を実施するなど、個別物資需給の調整措置を講じてまいりました。  しかし、最近の石油供給の削限と輸入価格の上昇は、新たな物価上昇圧力となり、現下の物価問題を一そうむずかしいものといたしております。  このような状態のもとで、引き続き総需要抑制政策の強化をはかることはもちろんでありますが、いかなる事態が生じても国民経済の混乱国民生活への影響を未然に防止し、物価の安定と必要物資の安定的供給確保するための備えをしておきますことは、国の責任であります。  この法律案は、このような観点から、物価高騰その他の経済の異常な事態に対処し、生活関連物資及び国民経済上重要な物資について、標準価格の設定、生産、輸入に関する指示その他の価格の安定及び需給の調整等に関する緊急措置を定めることにより、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に資せんとするものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  その内容の第一は、指定物資についての標準価格の設定と、これをこえて販売する者に対する価格引き下げの指示及び公表であります。  生活関連物資等の価格が著しく上昇し、または上昇するおそれがあるときは、物資を政令で指定し、標準価格を定めるとともに、これをこえてその物資を販売したときは、価格の引き下げを指示し、これに従わなかったときには、その旨を公表することができることとしております。  第二は、特定物資の指定、特定標準価格の設定と課徴金の徴収であります。  指定物資のうち特に価格の安定を確保することが必要な物資を特定物資として政令で指定し、特定標準価格を設けるとともに、これをこえて特定物資を販売したときは、特定標準価格と販売価格との差額を課徴金として徴収することとしております。  第三は、生産、輸入、保管等に関する指示及び公表であります。  生活関連物資等の供給不足することにより国民生活の安定または国民経済の円滑な運営が著しく阻害され、またはそのおそれがある場合は、物資を政令で指定し、生産、輸入、保管についての指示及びこれに従わなかったときの公表の措置を講ずることができることとしております。  また、地域的な需給の不均衡に対処して、売り渡し、輸送、保管等の指示及び公表をすることができることとしております。  第四は、設備投資の抑制に関する指示及び公表であります。  国民生活の安定または国民経済の円滑な運営を確保するため設備投資に関する需要抑制をする必要があるときは、一定期間、建築物の工事計画及び設備投資計画を届け出させ、計画の実施の延期等の抑制措置を指示し、これに従わなかったときは、公表することができることといたしております。  第五は、割り当て、配給、使用制限等についてであります。  物価が著しく高騰し、または高騰するおそれがある場合で、生活関連物資等の供給が著しく不足するというきびしい事態においては、政令で割り当て、配給、使用制限等の措置をとることができることといたしております。  その他、地方公共団体の長等に対する権限の委任、罰則等に関する規定を定めるほか、附則において物価統制令の統制額の発動要件の改正を行なうとともに、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律について、特定物資の範囲の拡大、売り渡し命令の創設等、所要の改正を行なうことといたしております。  以上が、国民生活安定緊急措置法案趣旨でございます。(拍手)     —————————————
  20. 河野謙三

    議長河野謙三君) 中曾根通商産業大臣。    〔国務大臣中曾根康弘君登壇拍手
  21. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 石油需給適正化法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  去る十月中旬、第四次中東戦争を契機として始まったアラブ産油国における石油の生産制限措置とこれに伴う我が国への石油供給削減は、このまま推移すれば、今後国民生活及び我が国経済全般に次第に大きな影響を与えてくるものと憂慮されます。  政府におきましては、今回の緊急事態に対処するためには、官公庁、企業、個人など、国をあげての協力と国による効果的な施策が不可欠であるとの認識のもとに、去る十一月十六日の閣議におきまして、石油、電力等のエネルギーに関する全国民的な節約運動の展開、石油及び電力の使用節減のための強力な行政指導の実施石油の大幅な不足が生ずる場合における国民生活の安定、国民経済の円滑な運営をはかるため必要な緊急立法の提案、総需要抑制策及び物価対策の強化、エネルギー供給確保のための努力等を中心といたしました石油緊急対策を決定し、現在鋭意これら諸施策実施につとめているところであります。  本法律案は、この緊急対策の一環として、またあわせて将来の同様な不測の事態に対処するため、我が国への石油の大幅な供給不足が生ずる場合において国民生活の安定と国民経済の円滑な運営をはかるため、石油の適正な供給確保し、及び石油の使用を節減するための措置を講ずることにより、石油需給を適正化することを目的として立案されたものでありますが、その要旨は次のとおりであります。  まず、本法律案に規定する措置を講ずるにあたっては、その事の重要性にかんがみ、内閣総理大臣対策実施の告示を前提としております。すなわち、内閣総理大臣は、我が国への石油が大幅に不足し、または不足するおそれがあるため、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じ、または生ずるおそれがある場合において、その事態に対処するためこの法律案に規定する措置を講ずる必要があると認めるときは、閣議の決定を経て、その旨を告示することとしております。本法は、この告示がなされてからこのような事態が消滅した旨の内閣総理大臣の告示が行なわれる日までの間に限って適用されるものとしております。  対策実施の告示がなされた場合において、本法律案に基づき具体的に講ずる措置は、次のとおりであります。  第一は、石油の適正な供給確保するための措置であります。  通商産業大臣は、石油の適正な供給確保するため、石油輸入動向等を勘案して石油供給目標を策定するとともに、石油精製業者の生産計画、大手の石油販売業者の販売計画等については、届け出制にかかわらしめ、石油供給目標達成のため必要があると認めるときは、当該計画の変更の指示を行なう等の措置を講ずることとしております。  また、通商産業大臣は、国民の生命、身体もしくは財産の保護または公共の利益の確保のために不可欠な事業等に対する石油供給確保するため、大手の石油販売業者に対し、石油の保有の指示とその売り渡しの指示を行なうとともに、一般消費者、中小企業者、農林漁業者その他の公益性の強い事業等に対する石油の円滑な供給確保するため、石油販売業者の団体に対し、供給のあっせんその他必要な措置を講ずるよう指導することとしております。  第二は、石油の使用の節減のための措置であります。  石油の使用を節減するため、一定量以上の石油を使用する者は、主務大臣が指定する数量または政令で定める数量をこえて石油を使用してはならないものとし、その他の者についても通商産業大臣が定める石油使用節減目標に従って石油の使用の節減につとめなければならないこととしております。  また、民生安定の観点から、灯油その他の特定の石油については、一定量以上の使用者に対し、別途その使用限度量を設定することができるものとしております。  また、ガソリンスタンドにおける揮発油の販売方法等についても必要な指示を行ない得ることとしております。  さらに、第三には、以上第一または第二の措置をもってしては事態を克服することが著しく困難であると認められる場合には、これに迅速かつ適切に対処し得るよう、必要最小限度の範囲におきまして政令で石油の割り当てもしくは配給または使用の制限もしくは禁止等に関し必要な事項を定めることができることとしております。  以上がこの法律案趣旨でございます。(拍手
  22. 河野謙三

    議長河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。沢田政治君。    〔沢田政治登壇拍手
  23. 沢田政治

    ○沢田政治君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました石油需給適正化法案及び国民生活安定緊急措置法案について、総理並びに関係各閣僚に質問いたします。ところが、きょう総理は急に健康を悪くされて、この本会議場に見えられないわけでありますが、事健康でありますから、まことに遺憾であり、残念でありますが、やむを得ないと思いますから、以下、私の総理に対する質問の点については、官房長官並びに責任のある国務大臣答弁をあらかじめ求めます。  まず私は、石油需給適正化法案から、日本社会党の基本的見解を述べつつ政府姿勢をただしたいと存じます。  まず、私は、本法案にかかる基本問題について、総理並びに通産大臣の所見を求めたいのであります。  本法案は、言うまでもなく、政府に大幅な強制権を付与するものであって、やり方いかんによっては非常に危険な事態が発生するのであります。緊急事態という認識をもとに強制権を行使するということは、非常事態法の性格を持つものであります。したがって私は、政府が今日の石油問題についていかなる認識を持っているかがまことに重要なポイントであると思うのであります。私は、今日の石油問題が偶発的なものでも、避けることのできなかった問題でも、また単に外圧として受けとめるべきものでもないことを特に強調しておかなければならぬと思うのであります。  すでに、私たちは、六〇年代の石炭政策転換の戦いの中で、また六五年代の都市問題や、そしてコンビナート問題等の中で、さらには七〇年代における公害と環境破壊の危機に際して、繰り返し政府石油エネルギー政策を批判し、転換を迫ってきたのであります。いま政府は、石油需給を適正化する必要に迫られているのでありますが、この問題は、国外から安い原油収奪に全く依存して日本経済高度成長と重化学工業化を異常なテンポで開始したときから考えておくべき問題であったのであります。  過去十年間の日本経済は、年々二〇%近い石油輸入を増大させることによって、重化学工業を中心とする民間設備投資拡大と超高度成長を遂げてきたのでありますが、こうした異常な状態を長期間にわたって続けることが無理なことも、当然理解しておかなければならなかったことであります。しかるに政府は、こうした異常なエネルギー資源の供給を基盤に野方図な高度経済成長政策をとり続け、公害の激発と著しい環境破壊の進行にもかかわらず、経済政策の根本的な転換を怠ってきたのであります。これは政府の怠慢であり、失政と言わなければならないのであります。  こうした経過から見て、私は、政府・自民党の諸君の石油エネルギー政策に関する認識、ひいては高度経済成長政策についての反省など、まことに心を寒からしめるものがあります。いまこの点をはっきりと確認しておきたいのであります。石油問題に関する的確な認識を持たない政府に、強い権限を持つ本法案の実施をまかせることはできないのであります。企業の無限な利潤拡張に追従する政府・自民党に、非常事態法ともいうべき本法をゆだねるならば、国民生活の利益にならないという疑念を禁じ得ないことはもちろん、むしろ大企業の利益につながることが今日までの政府物価に対処してきた数々の実績を見ても明らかであります。今日までの失政を認め、非を明らかにした上で、国民の利益のために本法案を活用するというのであれば、政府は、いま直ちに大企業の蓄積してきた高利潤を税金として国庫に納入させ、これを社会福祉の向上に振り向けるべきであります。すなわち、政府は、法人税を大幅に引き上げ、企業の広告費や交際費などに対する課税を抜本的に強化すべきであります。こうした政府政治姿勢の具体的な転換がなければ、国民にとって石油需給安定化法案は無縁のものであり、また、再び大企業に奉仕する経済政策の強権を無条件で与えることになり、本法の成立は絶対に許すことのできないことと言わなければなりません。また、政府は、今日の石油問題を一時過ごしとして処理するのではなく、今後の長期にわたる石油エネルギー政策に関連する産業構造転換の方向と方法についても明確にしていくべきであります。そのためにも、私は、日本社会党の公式見解として、次の五つの条件を提示して、政府の明確な答弁を求めるものであります。  その第一の条件は、石油供給の優先順位を明確にし、生活に必要な需要に対して政府供給責任を明らかにすることであります。  第二の条件としては、石油の割り当てや配給などの権限について、政令事項としてではなく、その大綱を国会の承認事項とすべきであります。  第三の条件は、本法の施行に関して審議会制度を導入し、その統制について民主化をはかることであります。  第四の条件は、本法の施行によって独占禁止法の適用がいささかも制限されないことを明確にすることであり、当然、経企庁、通産省と公正取引委員会の間で取りかわされた覚え書きを排除することであります。  そして、第五の条件として、本法は時限立法として、非常事態法にもひとしい強制措置を含んだ本法の見直しを議会が行なうことであります。  以上が石油需給適正化法案に関する要点質問でありますが、引き続いて私は、国民生活安定緊急措置法案につきまして、基本的諸問題を関係閣僚にただしたいと存じます。  最近の物価騰貴は、総理予算委員会でも言われておりますような認識は、まことに貧弱な認識にもかかわらず、ついに政府をして本法案をどろなわ式に提出せざるを得ないところにまで暴走し悪化してきておるのが今日の状況であります。言うまでもなく、悪性インフレを巻き起こした主犯は、政府・自民党にあります。日本じゅうを重化学工業化して高能率、高利潤を維持し続けようという田中総理列島改造政策は、政府インフレ金融財政政策を伴って日本経済を破局に追い詰め、名実ともに世界一の悪名をとどろかせ、悪性インフレによる国民生活の困難を耐えがたいものにしてきたのであります。政府は、物価がこのように暴騰し、国民に深刻な打撃を与えている中で、今日、国民生活安定緊急措置法案を提案されましたが、この法案は一体このような物価騰貴の基本的な原因を除去し得るものになるかどうか、きわめて疑わしいのであります。政府は、物価値上げの原因となっている日本列島改造政策をやめようとしておりません。公共料金の値上げをやめようとはしておりません。買い占め、売り惜しみについても、みずからがつくった投機防止法すらほとんど発動せず、企業の買い占め、売り惜しみを規制しようとしておりません。独占価格は野放しであります。自民党行政によってますます複雑化された流通機構は、物資の円滑な流通と価格の安定を大きく阻害しております。田中総理は、参議院予算委員会における答弁の中で、物価抑制する武器がないから、この法案を成立させ武器とするのだと言われておりますが、一体これまで物価抑制する手段がなかったのでありますか。あったと思うのであります。実に多くの物価抑制策があったのであります。高度成長政策をやめ、国民生活優先の政策実施すること、インフレ金融財政政策をやめること、国鉄運賃あるいは電力、ガス料金等の公共料金の引き上げを認めないこと、大企業製品の独占価格をきびしく規制すること、投機防止法によって買い占め・売り惜しみ行為を取り締まることなど、政府が真剣に物価抑制を行なう気があるならば実行できたことであります。総理の言う物価抑制する武器は、現実に幾つもあったのであります。このように、あなたを代表とする自民党政府がその手段を使わないというところに物価値上げがとまらない原因があったのであります。物価抑制する武器がないのではなく、自民党政府にやる気がないと言わざるを得ないのであります。  さて、物価値上げを推進することによって大企業の企業利潤を少しでも多くしようとする政府・自民党の体質が今日の物価騰貴を招いていることは、多くの国民の前にすでに明白になりつつあります。われわれは声を大にしてこのような自民党政府政治姿勢に対して抗議せざるを得ません。政府提案の本法案は、名前こそ国民生活安定法案というものでありまして、いかにも国民生活が安定するように聞こえますが、その中身は逆に国民生活を一そう破壊する危険性を所有しおると言わざるを得ません。政府は、きわめてあわただしい不十分な作業の中でこの法案を提出してまいりましたが、この法案は、物価抑制をはかるどころか、逆に企業間カルテル価格を公然と認める高値安定法案であります。また、一度きめた価格でも、次々と値上げできる仕組みになっております。価格は大企業の利潤を確保するために常に自民党政府によって引き上げられ、国民生活はますます苦しめられることになります。  そこで、総理にお尋ねいたしますが、一体この法案が法律化されればほんとうに物価が下がるのかどうか、国民生活が安定するのかどうか、さらに、この法案が施行されても物価が下がらず、国民生活が安定しなかった場合には、田中内閣責任をとって退陣するのかどうかをこの際明らかにしておきたいと思います。  また、このような物価の暴騰を押えるためには、国鉄運賃、消費者米価その他の値上げの中止をして、公共投資の大幅削減、独占価格の規制、大企業の買い占め、売り惜しみの徹底した摘発等を行なうべきであります。  次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。  福田さん、いま物価の異常な高騰の中で約七十兆円の個人の貯蓄は見る見るうちに減価しております。富と所得の不公平は著しく拡大しております。これを借りて設備投資や大型買い占めをしてきた大企業はもうかっておるのであります。笑いがとまらぬのであります。零細な個人貯蓄は、一秒ごとに、こう話しておるうちに損を拡大しておるのであります。このようなときに、大蔵大臣、個人の預金金利を大幅に引き上げ物価上昇を上回る金利にして、いま買いたいものを数カ月先に延ばすというような消費需要抑制策をいまあなたはとる気がないのかどうか。何といっても物価のきめ手は総需要抑制することであります。これを私はまずやるべきだと思います。  さらにはまた、今日問題なのは、政府・自民党の財政金融政策であります。だれがみすみす損をする貯蓄をするでしょうか。だれが損をしてまで物を買い控えているでありましょうか。こうしたインフレ心理の温床となってきた経済の基盤を根本的に変えていかなければなりません。私は、大蔵大臣、あなたに、本法案を成立させる以前に、いま直ちに政府財政金融政策を大転換すべきことを要求するものです。経済政策転換を先行させずに、効力もあいまいなもろ刃の危険性を持つ本法案の成立を急ぐ政府・自民党の諸君に警告を発するとともに、一つの問題を提起いたしておきたいと思います。  この際、私は、政府昭和四十九年度予算編成にあたって、生活関連部門を除いた公共投資の全面的なストップを断行するとともに、短期貯金の金利を先ほど申し上げましたように一五%に引き上げ、同時に公定歩合をちびちびではなく大きく引き上げるなど、思い切ったインフレ対策財政金融政策を実行すべきであると思うであります。また、予算の既定経費の俗にいわれる当然増についても徹底的に検討し直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。  次に、経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、最近の物価騰貴は、企業が商品の原価に不当な利潤を付加して価格をつり上げている傾向がありますが、この際、生活関連物資については原価計算に関する資料の公開を義務づけるべきだと考えますが、長官の所見をお聞きしたいと思います。  また、各企業は企業の秘密事項であるとして価格の算出根拠を公開しようとしておりませんが、企業の秘密とは一体何をいうのか、通産大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。  さらに、提案されました本法案は、価格決定を主務大臣が行なうことになっておりますが、これまで一貫して大企業優先の政治を行なってきた自民党の大臣が価格決定を行なうということは、結局大企業の多額の利潤を保証する価格となり、これは大企業が多額の利潤を確保するために協定してつくられるカルテル価格と同じものになると思いますが、この点に関する公正取引委員長の明快な所見をお聞かせ願いたいと思います。  私は、価格の決定については、一部独占資本を代弁する者によってのみ行なわれるべきものではないと考えています。国民一人一人の毎日の生活に密接に関係する物価については、消費者労働者、中小企業、農民、あるいは学識経験者等も参加した民主的な機関によってきめられるべきだと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。  また、現在の複雑な流通機構の中で価格の安定を保証できるだけ関係当局の業務体制があるのかどうか、関係大臣の御答弁をお願いいたします。  さらに、買い占め、売り惜しみ等の調査にあたっては、一般消費者の中から生活物資調査員のような人を募集し、調査事務を委嘱できるようにすべきだと思いますが、経済企画庁長官の答弁を求めます。  「この法律は、物価高騰その他の我が国経済の異常な事態に対処するため、」とありますが、一体どういう事態を異常な事態というのか、全く不明であります。どの物価が何%以上上がった場合を異常な事態というのか全くわからない。また、「その他の我が国経済の異常な事態」の「その他」とは一体どういう現象をさすのか、わからないのであります。このように、本法を適用する経済現象が抽象的で全く不明瞭なため、この法案は法律化されても使用できないか、もしくは大企業寄りの行政当局の一方的な判断により大企業にとって有利な価格をきめるときのみに使用される危険性があり、結局は物価高騰を押えることはできないと思います。  また、この第一条でいう「国民経済上重要な物資」とはどういう物資をさすのか、また、「国民生活との関連性が高い物資」とどう違うのか、答えていただきたいと思います。  課徴金は標準価格をこえた額だけ徴収することになっておるわけでありますが、これでは、業者が違反して高く売った場合、もしも事実が判明した場合は、不当に多く取った分のみ返せばよいという意識を持たせるようにならないか。また、徴収した課徴金は、業者が不当に国民から搾取したものでありますから、当然国民に返すべきものでありますが、どうやって返却するのか。  政府は、物価高騰しているときは標準価格をきめて価格を押えようとしておるわけでありますが、その価格のきめ方は、標準的な生産、輸入、販売等の費用、利潤、指定物資需給見通し並びに国民生活または国民経済に及ぼす影響を総合的に勘案して定めることになっておりますが、標準的な生産とは一体どのような内容をいうのか、全くわからないのであります。一つ一つ具体的な説明の必要があると思います。また、国民生活を利潤や諸費用と同列に並べているが、国民生活が極度に悪化している今日、国民生活の安定と向上を最優先して保証する価格決定を行なうことを条件とすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。  この法律において、価格の決定は主務大臣によって行なわれることになっているが、主務大臣は、大企業によって支持されていると思います。また、間接直接を問わず多額の政治献金をもらっている自由民主党大臣である。このような立場にある大臣が価格をきめるということは、大企業の利益を拡大する価格、すなわち国民生活をさらに苦しめる高い価格で決定されることになると国民が思うのでありますが、どうでありましょうか。物価値下げ法案ではなく、逆に物価値上げ法案であると思わざるを得ないのであります。また、標準価格を定めるということは、企業間に共通な価格を設定することになり、これは実質的には独禁法第二条にいう「不当な取引制限」に該当し、独禁法違反の価格カルテルであると思います。このような独禁法違反の規定をなぜ盛り込んだのか、当然取りはずすべきであります。公的な機関によってきめられた価格はカルテル価格にはならないという政府、公取の見解であるが、これまで大企業優先の政治を一貫して行なってきた自民党の大臣が価格をきめるのだから、結局大企業の多額な利潤を保証する価格になり、これは大企業で大幅な利潤を確保して協定してつくられた価格と実質的に変わりない高い物価になることは、当然の結果として国民がひとしく憂えておるのであります。この法案できめられた標準価格はすぐ変更できるということは先ほど指摘しました。最近のように経済状態が変動しているときはすぐ変更せざるを得なくなり、せっかく価格をきめても長く維持できなくなるのではないかと思いますが、この点についてもあわせて御答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣二階堂進君登壇拍手
  24. 二階堂進

    ○国務大臣(二階堂進君) 沢田さんにお答えをいたします。  政治姿勢についてでございますが、わが国経済は国民のたゆみない努力によって世界に類を見ないほどの経済の発展をなし遂げ、その過程で国民生活の水準も格段に向上し、国際社会でのわが国の地位もとみに重要性を加えたのであります。しかし、今日の事態は、資源の制約の中で新しい豊かさを追求するという、いまだかつて経験したことのない試練に当面しております。われわれは輸出第一、自由価格優先から国民福祉充実国民生活第一の政策運営への転換を急がなければならないと思います。政府は、国民の支持と理解を得ながら、冷静な判断と敏速果断な行動をもって対処していく決意でございます。  経済政策の基本的態度についてでございますが、物価問題はすべてに優先して取り上げるべき政策課題であり、政府はこれに全力を傾注してまいります。経済的にも社会的にもわが国にとって一つの歴史的転換期ともいうべき試練に直面しておる現在、長期的には、産業構造の地域集約化、国土の均衡ある発展、原子力の開発、水力発電の見直し、石炭その他の国内資源の活用、無公害の新エネルギーの開発、資源外交の推進等につとめる必要があります。また、当面最も緊急に対処すべき問題は、物価上昇石油の問題であると考えます。当面、政府といたしましては、一つには総需要抑制措置の強化、二つには生活必需物資を中心とする個別物資需給調整の強化、三つには緊急二法案の提出などにより物価抑制をはかってまいる決意でございます。(拍手)    〔国務大臣中曾根康弘君登壇拍手
  25. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 沢田議員の御質問の第一は、石油危機の認識及び日本の産業構造の転換の問題でございます。  いままで政府がやりました産業構造転換政策あるいは資源政策につきましては、非常に大きな反省をいたしております。一九六〇年代に中東に非常に石油が出まして、そのために、この安い石油を大量に大型タンカーで運びまして、そして臨海工業地帯をつくって、その安い油を使って鉄をつくり、船をつくり、あるいはテレビをつくり、自動車をつくって外国へ輸出したと、そういう産業構造の型をとってきたのでございますが、そのことがまず第一に公害問題になって出てまいりました。それから今回は資源の問題で、石油問題で出てきたわけであります。したがいまして、このような過去を考えまして、日本の産業構造を省資源、省エネルギー型、いわゆる知識集約型に転換することをさらに強く推進していかなければならぬと思っておりますと同時に、資源問題につきましても、石油に大いにおぶさり過ぎておるこの肥満児型の経済構造から、資源をできるだけ質的に充実した方向に、しかも、多方面の資源を当てにするという関係転換していかなければならぬと思っております。そしてこの法案につきましては、相当な権限を国会から御委任いただくことになりますので、これは国民の理解と御協力なくしてはできないと思っております。政府は、野党の皆さま方の御意見も心をむなしくして拝聴いたしまして、われわれが正しいと思う御意見については、これを勇敢に採用するにやぶさかではございません。  それから御質問になりました点で三、四点、重要な問題点がございました。  第一は、民生優先を明示して、これを強くやれということでございます。法第十条にこの点は明示してありまして、一般消費者、中小企業、農漁業者、鉄道、通信、医療、公益性の強い事業や活動に対して重点的に配慮せよということが法文上も明示されてありまして、こういう趣旨に沿ってやっておるわけであります。現在、法律はできておりませんけれども、先般、通産政務次官と農林政務次官の間に農漁業関係石油につきまして、また、通産政務次官と運輸政務次官の間に運輸関係石油の配当につきまして、お互いに協議いたしまして、その協議に基づいて配当を実施しているわけでございます。  次は、法第十一条による割り当て、配給のような強制権限をやるという場合に、国会の承認を必要とするのではないかという点でございます。この法律は、緊急の事態を前にして、臨床的に敏速に処理しようという法律でございまして、非常な機動性と弾力性を必要といたしますし、また、対象がきわめて多種多様でございます。したがいまして、これは政府責任において行政裁量によってこれをやらしていただく、そして国会の監督のもとにこれをやらしていただくというやり方でやっていきたいと思っております。  次に、審議会を設けて国民の世論を聞いてから行なえと、こういう御提案でございますが、国民の理解と御協力を必要とするということは、先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、非常に機動的に臨床的に敏速を要する仕事でございますのですから、国会の御監督のもとに政府責任において実行さしていただきまして、国民の監視、批判を心をむなしくして聞きまして、間違っておるところがあればすみやかにこれを修正すると、そういう態度で実行してまいりたいと思います。  次に、価格の決定についてでございますが、すでに灯油、プロパンについて価格を凍結いたしました。これらは、いずれも価格騰貴が始まる以前の大体十月ごろの価格を基準にいたしまして、その後の変化を考慮し、また、来年の三月ぐらいまでこれをもたせると、そういう将来の展望もいたしましてきめたわけでございます。便乗値上げは許さない、それからできるだけ今後も抑制していく、そういう考えに立って決定してまいりたいと思います。価格決定に関するいきさつにつきましては、その内容についてできるだけ国民の皆さま方にお知らせしたいと思っております。  次に、独禁法との関係でございますが、カルテルというものを認めているわけではございません。今回の措置は、政府責任をもって指導、介入をして、政府の行なうそういう行政的行為について業界に協力を求めるということでございまして、独禁法に抵触はしないと、そのことを確認したのが先般の通産省と独禁当局とのメモでございます。  次に、時限立法にせよと、そういう御提案でございますが、この法律を適用するに際しては内閣の告示を必要として、その閣議決定による告示の期間だけ通用する、必要がなくなったら告示をもってこの通用を排除する、そういう配慮ができておりまして、将来、石油問題等も考えてみますと、やはりこれは恒久法にしておいて、発動についていまのような内閣の告示という措置を必要とすると、そういうことが適切ではないかと思う次第でございます。(拍手)    〔国務大臣内田常雄君登壇拍手
  26. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) いろいろ広範なお尋ねでございましたが、まず、この法律の第一条でいう「我が国経済の異常な事態」とは一体いつかと、こういうお尋ねでございますが、私どもは、物価高騰をいたしておるこのような事態がすなわち「異常な事態」と判断をいたしまして、この法律の御決定を得ましたならば、でき得る限りすみやかに公布また発動をいたしたいと考えるものでございます。  それから第二番目に、物資の範囲はどの程度かと、こういうことでございましたが、これは今日の物価指数などをつくります場合には、数百の物資を寄せ集めて、それぞれウエートをつけて構成いたされておりますことは御承知のとおりでございますが、それらの全部を指定物資として標準価格をつくるということではございませんで、まず、そのうちで国民生活との関連度が最も高いもの、そして次に、国民生活との関係の深いものをつくるための基礎資材のようなもの、別のことばで言いますと、国民経済上重要な物資ということになりましょうか、そういう範疇に入るもののうち、これだけは価格を安定したり、需給を調整をしないと国民生活が不安でしかたがないというものをまず選びまして、そうしてこの法律のそれぞれの条項を発動をいたしてまいりたいと思います。  それから課徴金のことについてもお尋ねがございました。課徴金は、それは結局高い値段で売られたものであるから、国民に返すべきであるという御趣旨の御発言であったように思いますけれども、この法律の構成が、課徴金は全部国庫に収納することにいたします。たくさんの課徴金が国庫に入らないような事態を私どもは希求するわけでございますが、しかし、課徴金が入りましたならば、これは国の一般会計に入るわけでございましょうから、私から大蔵大臣にも申し入れて、その種の収入はあげてこれを物価対策費に加えてもらうようにいたしたいと思います。  なお、これは中曾根通産大臣のほうからもお答えがございましたが、石油需給適正化法のほうには、名前が石油需給適正化法となっておりますが、経済企画庁が各省を代表して、今回御提案を申しておりますほうの一方の法律は、御承知のように国民生活安定緊急措置法と、こういう名前で国民生活というものを守るためということを表題の初めからうたいましたし、物資のあげ方などにつきましても、国民生活関係の最も高い物資と、こういうことで、沢田さんが仰せられる気持ちを私どもはあらわしておるつもりでございます。  それから標準価格のきめ方について国民的な機関に参画させよというお話もございました。これについては、中曾根通産大臣から御発言がございましたが、私も同じ考えでございまして、この法案が経済の異常事態に対処するためのものでありますために、運営の機動性、迅速性というものを期する上から、たとえば審議会のような機関を設けて標準価格をきめることは適当とは考えておらないものでありますが、しかし、この法の運用が国民から十分納得が得られますように、政治上、行政上の最大努力を尽くしてまいりたい考えでございます。  それから公正取引委員会との覚え書きは、石油に関して通産省と公取との間に取りかわされましたように、おおむね同工異曲でありますが、経済企画庁と公正取引委員会との間にも覚え書きがかわされております。しかし、これも中曾根通産大臣からお答えがございましたように、この覚え書きというものは、独禁法の禁止するカルテルの適用除外をはかろうというものでは決してありませんで、この生活安定法によりまして標準価格をつくったり、あるいはまた、物資不足した場合にその生産指示なり出荷の指示なり輸送の指示なりを国が決定いたしました際に、国の監督のもとに国に協力させるという趣旨は、そもそもこれは独禁法に抵触するカルテルではないということを念のために規定をいたしたものでありまして、決して独禁法の適用除外を覚え書き等で軽く設けたというつもりは毛頭ございません。  それから時限立法になっておりませんことは、石油需給適正化法と同じでございますが、これはまた、だんだん委員会等で御説明を申し上げる機会もございましょうけれども、この法律に基づく個々の措置が、事態が必要とする場合に発動をいたしますけれども、その事態がおさまった場合には直ちにその措置はそれを撤回をすると、こういうたてまえになっておるわけでありまして、いわば相対的な、レラティブな時限法と、こういうふうに御理解をいただきとうございます。  なお、物価対策としてこういう生活安定法より前にすべきことはたくさんあるではないかというおしかりでございましたが、これは申すまでもなく、今度の法律は物価対策のうちでも個別の物資対策を規定をいたしたものでございまして、物価対策として同じく大切なものは、しばしば予算委員会等でも論ぜられましたように、総需要抑制策ということであります。これは財政金融対策というものを私は主とするものであろうと思うわけでありまして、政府みずからが大きな予算は組まない、地方公共団体にも同調をしてもらう、また、民間の企業等にも、不要な設備投資はもちろんのこと、この際設備投資などでお金を使わないように、そういう総需要対策をやることはもちろんでありまして、それの強化を私どもはぜひいたしたいと考えますけれども、同時に、やはり今日の状況におきましては、一つ一つの物資を指定した個別対策がなければ物価対策は乗り切れないと考えまして、このような法律案を提出いたしたものでございます。  それから標準価格をきめても、どうせ大企業の追随価格になるだろうと、こういうようなまた御批判もございましたが、私どもは、このようなものをつくるつもりは毛頭ございません。国民的に納得のいく公正にして合理的な価格をつくってまいるつもりでございます。  なお、標準価格はいつでも直ちに変えるのかと、短期のもののようだがと、こういうお話もございましたが、標準価格をつくりましたならば、なるべく長期の安定指導価格になるような態様でつくってまいりたいと思います。  なお、いろいろございましたが、最後に、この法律による施策は、買い占め防止法などの場合も同じだけれども、国民的な監視が必要ではないかというお話でございましたが、そのために私どもは、今回買い占め防止法のほうもこの法律で改正し、また、この法律の中にも、いままで中央官庁のようなわずか数百人でやっておったような監視の体制を思い切って広げますと同時に、それらの監視、立ち入り等の権限を最も消費者に近い地方公共団体にも委任をする、こういうたてまえをとっておるわけでございますので、御理解をいただきたいと存じます。  以上でございます。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  27. 福田赳夫

    ○国務大臣福田赳夫君) お答え申し上げます。  まず第一に、公共事業費を全面ストップすべきではないかと、こういう御質問ですが、私は沢田さんのお気持ちはほんとうによくわかります。ただ、公共事業費と申しましても、住宅もあります、あるいは教育もある、あるいは下水道もある、あるいは福祉施設もあります、あるいは最小限の事業をやらなきゃならぬという諸工事もあります。そういうので、全面ストップということには賛成できませんけれども、これは厳に抑制することにいたします。  それから次に、個人の預金利子を大幅に引き上げたらどうだ、こういう御提案であります。これもお気持ちはよくわかります。ただ、具体的の御提案としまして、一五%にも上げろと、こういうお話でございますが、これは金利体系として非常に問題だと思います。ただし、私は、この物価高の中におきまして預金者の立場がどうなると、それを思うときにほんとうに心配でなりません。そういうことを考えますと、貯蓄の優遇につきましては、この上ともあれやこれやとまあとにかく私の頭をしぼっていますが、一五%というようなことはできかねるということをお答え申し上げます。  次に、公定歩合を引き上げたらどうだ、それで設備投資を抑制したらどうだ、こういうようなお話でございますが、これも御趣旨はよくわかります。ただし、公定歩合につきましては、これは日本銀行の権限でございますので、お答えはいたしません。ただ、金融政策全体といたしましては、引き締め基調を堅持する、そうして総需要抑制政策を推進する、これだけははっきり申し上げます。  私は、沢田さんのおっしゃるように、今日の物価情勢というのを非常に心配しているんです。それで、これをどういうふうにするか、私はこういう国民不安の状態が続くということは長続きはいかぬと、こういうふうに思うんです。短期に片づけなきゃいかぬ。それには対策はきびし過ぎるという批判を受けるぐらいのきびしさにならなきゃならぬ、こういうふうに思うのです。そういう方向でいろいろ具体的な施策を進めてまいりますので、どうかこの上とも御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。(拍手)    〔政府委員高橋俊英君登壇
  28. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 御質問の中の覚え書きと独占禁止法の点についてお答えを申し上げます。  今回、石油需給適正化法案及び国民生活安定緊急措置法案の制定に際しまして、その実施に関して当委員会は、通産省及び経済企画庁とそれぞれ覚え書きを取りかわしました。これは、石油危機による国民生活への影響等を最小限にとどめるためには、どうしてもこれらの法案に基づく政府施策に対しまして業界の協力をある程度求めることも必要であります。その場合に、業界が主務大臣の具体的な指示、監督、もちろんこれは厳格なものでございますが、それに基づいて行なう協力措置は、独占禁止法に抵触するものではありません。覚え書きは、民間の適法な協力の限界を示す意味でこの旨を明確にしたものであります。したがいまして、この覚え書きはいやしくもカルテルを認める趣旨のものでは全くありませんので、これを廃棄する必要はないものと思います。  なお、両法案が制定されましても、これによって独占禁止法の運用にいささかも影響することはないのでありまして、独占禁止法はこれまでどおり厳正に運用してまいる所存でありますので、これらの法案の中に独占禁止法の適用が妨げられない旨を明確にする必要性が特にあるものとは考えておりません。  次に、お尋ねの標準価格の決定そのものについて、独禁法違反云々ということがございましたが、法律に基づいて政府の定める標準価格等は独占禁止法の対象にはなりません。独占禁止法が禁止しておりますいわゆるカルテルとは、民間の不当な取引制限でございます。しかしながら、およそ一般的に申しまして、価格の決定に際し明らかに業界のカルテル的行為を伴うものがありますれば、厳にこれを規制し、そのような行為を確実に排除してまいる考えでございます。(拍手)     —————————————
  29. 河野謙三

    議長河野謙三君) 渋谷邦彦君。    〔渋谷邦彦君登壇拍手
  30. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 私は、公明党を代表し、ただいま議題になりました国民生活安定緊急措置法案石油需給適正化法案につき関係閣僚に対して若干の質問を行ないたいと思います。    〔議長退席、副議長着席〕  わが国は、エネルギー大量消費経済を基底とした田中内閣日本列島改造、高度経済成長政策の破綻の中でインフレ物価高は、異常なほどまでに高進し、そのため国民は深刻な苦しみにあえいでおります。さらに、中東産油国の原油供給削減石油危機をもたらし、国民生活の基盤を大きくゆるがせようとしているのであります。  このエネルギー消費経済の根底となっている石油危機を乗り越えるため、政府は、三木副総理を中東諸国に派遣し、また、総理みずから東南アジアを歴訪する予定ということでありますが、もちろんそのような措置は当面の緊急課題を解消するための手段として一応評価するにいたしましても、あまりにも場当たり的な発想と言わざるを得ないのであります。  言うまでもなく、地球上の資源は有限なものであり、中東諸国にいたしましても東南アジアにいたしましても、資源供給の面で今後ますますきびしい調整が加えられてくることは、十分に予想されるのであります。  わが国のエネルギー構造は、石油エネルギーがほとんどであり、そのため今度のような石油危機には想像以上の打撃を受けることは、論をまたないところであります。この際、現在の石油中心のエネルギー消費構造を根本的に改め直さなければならないときに来ているのではないかと思うのであります。  原子力、水力・火力発電や石炭のガス化・液化、あるいは水素エネルギー、核融合など、新エネルギーをも含めた総合的なエネルギー対策政府はどう考えているのか、所信を示していただきたいのであります。  次に、石油にかわるべきエネルギー源として最も可能性のあるものは、原子力発電というふうに考えられております。しかし、現状ではあまりにもさまざまな問題点があることを指摘せざるを得ないのであります。米国の消費者運動指導者ラルフ・ネーダー氏も、原子力発電所の重大な事故が発生する危険があると述べております。我が国においても、燃料部の破損、放射能漏れなど、幾多の事故が相次いで発生しております。あるいは企業秘密を優先し、公開の原則が守られていない、原子炉構造自体の安全性についてもいまだに確認されていない、温排水についてもその対策及び研究が未完成であるなど安全性に関するこれらの問題処理について、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをしたいのであります。  次に、大陸だなの開発も大切な問題であります。石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会の答申にも強調されておりますように、わが国周辺の大陸だなには膨大な資源の埋蔵が期待される多くの堆積盆地が存在しており、しかも、これらの石油は良質でほとんど硫黄がないといわれております。また、天然ガスにおいても、これらわが国の大陸だなには八千億立方メートルに達する膨大な埋蔵量の発見が期待できるといわれているのであります。したがって、このような大陸だなの開発について、現在までのような細々とした開発予算ではなしに、大幅に大陸だな開発予算を組み、国家的事業として大陸だなの石油、天然ガスの開発を行なうべきであると思いますが、いかがでございましょうか。  また、領海の問題においても、現行の三海里制をとっていると、せっかくのわが国の大陸だな資源が外国の企業によって発掘されてしまうという事態も起こってまいります。わが国も現在の領海についての考え方を検討すべき時期に来ているのではないかと思いますが、いかがでありましょうか。  次に、政府は明年度より、新エネルギー政策の一環としてサンシャイン計画に着手されるようでございますが、しかし、それぞれの課題の優先順位、人材及び予算の配分、この計画に折り込んだ技術が将来のエネルギー需要のうち、いつ、どの程度を分担するのかという目標が明確ではないなど、多くの問題点があげられているのであります。したがって、この計画の諸課題に、原子力をはじめ、熱効率のいいMHDいわゆる電磁流体発電や、蒸気とガスタービンの組み合わせ発電などさまざまの研究課題を加えて総合的に評価し、将来のエネルギー需要、資源事情に見合った短期・中期・長期的計画を確立してお示しを願いたいのでありますが、いかがでございましょう。  この新エネルギー開発に関連して、核融合についてでございますが、現在、日本原子力研究所は、トカマク型核融合炉で研究を進めているわけでありますが、これは実用的核融合としてはなお若干の問題があるといわれております。ところが、名古屋大学プラズマ研究所では、トカマク型核融合の問題点の一つを打開できるという、トカマク型とステラレーター型との混合形式を採用し、非常にユニークな研究を行なっているのであります。将来のためにも、この研究を大いに促進させるべく、政府は、予算の面ばかりじゃなく、文部省と大学、及び科学技術庁と研究所の有機的調和をはかるべきであると思いますが、いかがでありましょう。  また、この名古屋大学の例にも見られますように、各種の研究所及び大学においても、少ない予算と人数で研究を続けておりますが、今後研究者の養成、補助などについてどう考えているのか、具体的な構想を示していただきたいと思うのであります。  次に、当面の重要課題であります石油不足について、総理は、昨日の予算委員会で、今年一ぱい分は確保できる旨の答弁をなされております。しかし、来年と申しましても、あと半カ月の後でございます。したがいまして、明年度は、通産省の各省庁への割り当てについて、各省庁は優先順位をどのように決定して効果的利用を行なっていくのか、その展望を明らかにしていただきたいのであります。  次に、国民生活安定法についてお尋ねをいたします。  その第一は、標準価格の算定根拠であります。すなわち、価格が著しく上昇するおそれのある物資を指定し、標準価格を定めるわけでありますが、現実問題として、標準価格決定の際、何が基準となるのかが非常にあいまいであります。物資を指定し、標準価格を決定する段階で、すでにそれらの商品はかなりの急騰が行なわれているはずであります。とすれば、標準価格自体がその時点の価格に左右され、本法案の趣旨を満たし得ないということになりはしまいか。したがって、本案の提出それ自体が生活必需品のかけ込み値上げの原因となっている現状をどう考えておられるのか、その所信をお伺いしたいのであります。  すでに、各地の小売り店や生協に対し、十一月下旬からメーカーや問屋の値上げ通告が続々と舞い込んでいるのであります。たとえば、十一月と比較して十二月には、ソースが三九・八%、てんぷら油二・六%、即席ラーメン三六・四%、干しうどん八〇%、パン粉六九%、シンナーに至っては一二六%というおそるべき値上げ幅のものがメジロ押しに並んでいるのであります。このようなかけ込み値上げに対し、政府はいかなる処置をとるのか、お伺いしておきたいと思います。  これに対し、経企庁は、標準価格は原価と適正利潤をもとに政府がきめると言明いたしました。しかし、問題は、原価の算定のしかたであります。メーカーでいえば、生産コストは企業によって生産性に格差があり、その段階で平均的なコストを厳密に計算することは不可能に近いのであります。したがいまして、勢い標準価格はどうしても効率の悪い、生産性の低い企業に合わせることになり、高いほうの水準できめられることになりかねないと思いますが、いかがでございましょうか。  次に、標準価格が決定したとしても、その価格維持を実行させなければ何ら目的を達したことにはなりません。現在の経企庁ないし物資担当各省の機構では、標準価格の順守についての監視は不可能であります。官僚統制にすれば膨大な人員が必要であることは、火を見るよりも明らかでございます。しかも、臨時体制後の転換も容易ではありません。また、地方公共団体に肩がわりをさせるにしても、たとえば、東京都が代行するとなれば、少なくとも約五百名の人員が必要であるといわれているのであります。したがいまして、政府は、これらの人員の確保予算措置をとる意思があるかどうか。また、標準価格を守らない業者にはもっときびしい罰則措置が必要だと思うが、どうでありましょうか。  われわれは、将来を憂えると同時に、差し迫った今日の危機をいかに打開するかが切実な問題であります。今回の石油危機に対して、田中総理は、アラブ諸国に対する外交で積極的姿勢が薄かったことを率直に認めました。七年前、私は、中東問題について、アラブ諸国に対し、疎遠にせず、技術協力を行ないながら、密接な関係性を持つべきだと申し上げたことがあるのであります。しかし、残念ながら、七年経過した現在まで、何一つ有効な手段がとられませんでした。今日のパニックを見るまでもなく、自主外交の展開を表明してきた政府外交政策は、あまりにもみじめという以外はございません。強い反省を求めるとともに、今後の資源外交のあり方について所信を求めて、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曾根康弘君登壇拍手
  31. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まず、四十九年度石油の各省庁割り当ての見当はいかん。目下四十九年度予算編成を行なおうとしているときでありまして、その基礎になる石油輸入量がどの程度になるか、各省間で検討している最中でございます。大体の見通しでは、上期はきびしく、下期はやや緩和されるであろう、そういう大勢的な見通しをもちまして、二億六千五百万トンから二億七千万トンの間ぐらいであろうと、そういう予測を持っております。各省に対する優先につきましては、先ほど申し上げましたように、中小企業、農漁業、医療、大衆交通手段等々、公益性、公共性の強いものを優先して配当するという考えでおります。  次に、総合エネルギーの開発の点でございますが、まことに同感でございます。特に水力、地熱発電、石炭火力、太陽熱、水素の直接還元等につきましては、通産省もサンシャイン計画という計画のもとに、来年度から強力に遂行してまいる考えであります。  温排水の問題、原子力の危険性について御質問がございましたが、温排水につきましては、深層取水とか、あるいは復水器のバイパスをつくるとか、あるいは拡散効果を考えて排水口を注意するとか、そういうことをよく点検しながら、現在、原子力発電、火力発電について許可をやっておりますが、気象条件、海象条件等もよく考慮して行なう必要があり、付近の漁業組合その他との調整も必要でございまして、これらの点につきましては、さらに研究を重ねて、シミュレーション等による検討を経て、関係の皆さんに安心していただくような措置をしていきたいと思っております。  原子力の危険性についてラルフ・ネーダー氏の御発言が提示されましたが、環境及び安全問題で提示されたようでございます。しかし、日本の原子力は科学的に安全であるという結論のもとに目下推進しておるのでありまして、原子力発電は安全性を持っております。ただ、しかし、やはり住民の皆さん方には不安がございますから、この上もさらに安全審査会の機構を充実し、その審査を厳重にいたしまして、住民の皆さんにさらに安心感を与える措置を講じていかなければならぬと思います。  大陸だなの開発の問題につきましては、昭和四十五年から二百メーター以内の大陸だなの海象の基礎調査を進めておりまして、大体民間等を通じてやらしておるのでありますが、今般、福島県におきまして非常に有望なガス層の発掘が行なわれました。これを見ましても、かなりのものが日本近海にあるのではないかと考えられまして、石油開発公団に対しまして来年はさらに投融資あるいは開銀融資等のスケールを大きくするとともに、法の改正も行ないまして、石油開発公団等を中心にして強力にこれを進めるようにしたいと思っております。現在、大陸だなにおける採掘については、鉱業法上、日本の法人でないと権利を与えておりません。しかし、日本の法人、日本の企業が鉱業権を持ちまして外国の企業がこれに共同して参加するという場合はこれを認めております。外国企業が優秀な技術等を持っておる場合には、これは認めるということになって、やっておる状態でございます。(拍手)    〔国務大臣内田常雄君登壇拍手
  32. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 渋谷さんのお尋ねでございますが、標準価格の決定にあたりましては、いわゆる高値安定になったり、かけ込み値上げをそのまま認めるようなことになるべきではないと、こういう御趣旨の御発言でございましたが、まことに私どももそのように考えるものでございまして、標準価格をきめます際には、先ほども申しましたように、国民の納得のいく合理的にして適正な価格を洗い直した上で決定をして定めるつもりでございます。  それから標準価格などの監視体制を充実することは、もとより御指摘のとおりたいへん必要でございまして、中央官庁の職員だけでは足りないばかりでなしに、事の実態にも即せない場合が多いと思いますので、今回の法律におきましては、中央官庁の地方支分部局のほかに、これも先ほど申しましたが、地方公共団体に本法に基づく各種の権限を委任してまいるということにいたしております。  標準価格を守らない者に対する制裁といたしましては、第一段階は、標準価格を守らない者に対して引き下げの指示をする。それも守らなければ、それを世間に発表して社会的指弾の対象にすると、こういうかっこうになるわけでありますが、しかし、事をきっちりきめなければならないような物資につきましては、この法律の中に特定品目というものを定めることができることになっておりまして、この特定品目については特定標準価格をきめ、それよりも高く売った者に対しましては、行政罰としての課徴金を徴求することにいたしております。さらに事態が重大な場合には、物価統制令の援用ができることもこの法律の附則できめてありますが、そうなりました場合には、統制価格違反でございますから、体刑並びに何百万円以下の罰金というようなことも、そういう事態を予測したくはございませんけれども、そういうところまででき得ると、こういうことになるわけでございます。  それから不足物資に対する需給調整の手段といたしましては、生産、輸入、輸送あるいは保管、売り渡しなどの指示の規定がございますが、しかし、事態が重い場合には、これは石油関係の法律にもございますが、割り当て配給制度とか、あるいは譲り渡し、譲り受けの制限、使用の制限、禁止というような措置をも導入することもできるような形にいたしておりますことも、御承知でございます。  官僚統制の弊害についてもおことばがあったように思いますが、私どもはそうならないようにぜひしたい。でありますがゆえに、今回の法律におきましても、一言に統制ということばの対象にならないように、自由主義機構というものの中において業者の機能を十分働かせるような指示、監督をしながら官僚統制の弊を排除してまいる所存でございます。  それからお尋ねの要旨の中にあったと思いますが、この生産の指示は第一次産業部門には適用しないのかと、こういうようなお尋ねがあったかと思いますが、これは第一次産業部門はおもに季節商品が多いわけでございまして、常に値上がり、値下がりの状況にありますことは、言うまでもございません。したがって、標準価格というようなものの設定に適せないものというか、なじまないものが多かろうと考えますので、実際的にはその十四条の規定は発動をしにくかろうと思います。しかし、法律上の書き方といたしましては、それが生活必需物資であり、あるいはまた国民生活の基礎物資であれば、区分することにはなっておりませんことを付言をいたしておきます。(拍手)    〔国務大臣森山欽司君登壇拍手
  33. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 原子力の研究について、公開の原則に問題があるのではないかという御質疑がございました。公開につきましては、渋谷先生御案内のとおり、原子力の平和利用を担保するとともに、原子力研究開発の成果を広く利用することができるようにという趣旨でございます。したがって、公開の原則はいついかなる場合でも適用されるというものではございません。公開によって研究開発の促進が阻害されるような場合、あるいは財産権保護の原則に抵触するような場合は公開しなくてもよいと従来から政府は解しております。たとえば、商業機密や特許出願前の研究成果のごときものは、必ずしも公開しなければならないものとは考えておりません。  原子炉の安全性の問題につきましては、先ほど通産大臣からお話がございましたが、原子力の実用化にあたって、わが国はもちろん、世界的にも安全性を第一として進められてきております。現在世界で運転中の原子炉は百三十二基、総出力は四千万キロワット、もうすでに実用段階に入っておるわけでございますが、一九五四年以後、発電用原子炉が実用化されて以来、公衆に障害を与えるような事故は一件も発生しておりません。機器が部分的な故障等の例はございます。先ほどお話しのとおりでございますが、発電用原子炉につきましては、もう何重もの防護安全施設が取りつけられており、設計工事段階において十分にチェックをする、運転段階において厳重な監視をする。故障は機械でございますから避け得ないといたしましても、公衆に影響を与えるような事故は未然に防止されておりまして、今後とも万全の措置を講じなければならないと思っております。わが国では、御案内のとおり、原子炉等規制法、電気事業法等によって厳正な安全審査、安全確保の観点から厳重な規制が行なわれておるわけでございますが、何と申しましても、原子力についてのわが国民に一種のアレルギーがございますから、厳重の上にも厳重にやらにゃいかぬということでございますから、先ほど通産大臣からお話がございましたように、安全審査体制あるいは安全研究にこの際格別の努力をいたして万全を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから放射性廃棄物について、放射能の人体、生物、環境に与える影響の究明等について、現状は問題があるのではないかという趣旨の点をお触れになられました。原子力発電所等、原子力施設から放出されます低いレベルの放射性物質は、国際放射線防護委員会の勧告等に基づきましてその安全性を十分確保した上で放出されておるのでありますが、なお、環境中における放射能の動き、あるいは人間、生物における動き等につきましては、現在も、厚生省、水産庁、気象庁等の研究試験機関において調査、研究を実施いたしますとともに、放射線医学総合研究所において人体との関係について調査、研究を実施しておりまして、今後とも調査、研究を継続して実施する所存であります。  他方、放射性固体廃棄物等、施設より直接環境中に放出されない廃棄物につきましては、海洋処分、陸地処分を組み合わせて実施する方針で、現在、水産庁、気象庁、海上保安庁等の機関によって海洋処分の安全評価等のための調査を実施しておるところでありまして、その結果を踏まえて安全評価を行ない、安全を十分に確認した上で実施をする方針でございます。  なお、放射性廃棄物の処分にあたっては、安全の確保責任の明確化等の観点から、その体制等について現在検討を進めておるところでございます。  次に、サンシャイン計画、これは通産大臣からお話がございましたから、私からことさら申し上げません。  名古屋大学のプラズマ研究所の問題についてお触れになられました。核融合でございますが、核融合につきましては、昭和四十三年、原子力特定総合研究に原子力委員会が指定をいたしまして、すでに第一段の研究開発が、来年で第一段の期間が終わるわけでございますが、日本原子力研究所で、先ほどお話がございましたように、高温プラズマの閉じ込めについて世界の研究開発水準に比肩し得るような段階に到達しておるわけでございます。昭和五十年から五十四年の五年間で第二段の研究に入り、今世紀の終わりまたは来世紀の初めには核融合動力炉の実用段階にまで研究を進めなきゃならないというふうに考えておるわけでございます。名古屋大学のプラズマ研究所の問題でございますが、核融合の現段階でございますので、プラズマ物理などの基礎的な研究から大規模な開発研究に至るまで、かなり幅広い分野にわたって研究開発を行なう必要があります。御指摘のように、こういう広範にわたる大規模な技術を開発するためには、関係研究機関で適正に分担して、有機的な連携をはかって効果的な研究を進める必要があることは当然でございます。このため、現在、原子力委員会では、各関係機関と密接な連絡をとりつつ研究開発の推進をはかってきておるところであります。このうち、名古屋大学のプラズマ研究所をはじめとする各大学において理論的、基礎的な研究を行ない、また、日本原子力研究所、理研、電子技術総合研究所等の研究機関では、主としてプロジェクト的な開発研究に重点を置いて、原子力委員会の特定総合研究として総合的、計画的に研究を推進しておるところでありますが、御趣旨の線に沿ってできるだけ善処をいたしたいと思います。大学等につきましては、御案内のとおり、大学のほうは文部省ということになっておりますが、科学技術庁では、大学の研究者との連携はこの際特に緊密に進めてまいりたいということでございます。  以上をもって答弁にいたします。(拍手)    〔国務大臣大平正芳君登壇拍手
  34. 大平正芳

    ○国務大臣(大平正芳君) 領海三海里を考え直す時期じゃないかという御指摘でございます。これにつきましては、すでに政府といたしまして、国会を通じて申し上げてあるつもりでございますが、すでに多くの国が十二海里説をとっております。ことしの夏はベネズエラにおきまして海洋法会議が持たれることになっております。そこで他の多くの海洋法上の問題とあわせてこの問題が討議されるわけでございまして、わが国といたしましては、十二海里説について国際的合意が成立いたしますならば、それを支持する態度でまいりたいと考えております。  それから大陸だなにつきましては、政府として、これは沿岸国が主権的な権利を持つものであるという見解をとっておるわけでございます。したがって、外国企業は沿岸国の許可がなくては探査あるいは採掘等ができないという立場でございます。  それからアラブ地域につきまして、いままでたいへん経済・技術協力等が十分でなかったじゃないかという御指摘でございます。政府としては、ただいままで技術協力といたしまして千五百六十名の研修生を受け入れております。それから三百七十名の専門家をかの地に派遣いたしておりまするし、円借款等の形で信用供与を与えております。ことしになりましても、シリア、エジプト等に対しまして円借款を供与すると同時に、既往の円借款についての債権の繰り延べ等を実行しておるわけでございまするし、民間レベルにおきまして石油の開発等を通じましてアラブ諸国との協力が行なわれておるわけでございます。しかし、御指摘のように、必ずしもこれが十分であるとは申せられないわけでございまして、今後一段と協力を強化してまいる所存でございます。(拍手)     —————————————
  35. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 栗林卓司君。    〔栗林卓司君登壇拍手
  36. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、国民生活安定緊急措置法案及び石油需給適正化法案について、本日総理の御出席がございませんので、通産、大蔵、経済企画庁の各大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  この二つの法案は、それぞれ恒久立法の形はとっておりますけれども、その内容は、緊急の事態に対する臨時的かつ緊急避難的な対策として提案されたものだと思います。その緊急事態というのは、平たく言い直しますと、物価の大幅値上がりということだと思います。石油供給不足の問題も、最終的にあらわれてくる姿は、全商品の大幅な値上がりということにほかなりません。  そこで、まずお伺いしたいのは、緊急事態が発生すること、別な言い方をすれば、物価が大幅に値上がりすることを最初に知ることができる人は一体だれかということであります。申すまでもなく、将来の変化を読み取る判断力と情報量を持つ人たちであり、物価の値上がりを先取りすることによって利益を得ることができる人たちであります。具体的に言えば、企業であり商社でありましょう。その判断力、情報量、そして敏速な行動力は、たとえばアラブ地域において日本政府の行なうべき外交を事実上代行できるほどにも強力でありました。  では、緊急事態の発生を二番目に知る人たちはだれでありましょうか。言うまでもなく一般国民であります。いま、国民は、すさまじい物価高の渦の中に巻き込まれて、生活への不安を日とともに高めているのが現実の姿であります。  そしてこの事態を三番目に知る者はだれか。残念ながら、それがわが国政府だと言わなければなりません。対策は常におそく、値上がりの甘い汁が吸われたあと政府が登場するのが従来の例であったと言っても過言ではないと思います。そしてこのやり方が今後も繰り返される限り、今回の政府提出の二法は、値上がりの追認であり、政府の権威をもって産業利益を擁護するものと言われてもしかたがないでありましょう。大切なことは、政府みずからが緊急事態を未然に予知し、防止をすることであります。そして政府にその覚悟と用意があるかいなかが、いま全国民が重大な関心をもって見守っている点だと言わなければなりません。  そこで、問題は、今後の情勢見通しであります。  まず、通産大臣にお尋ねをいたしますが、今回の二法案を提出するに至った背景は、申すまでもなく物不足であります。直接的にはアラブ諸国の石油供給削減が引き金を引いた形にはなりましたが、基本的には資源の不足型経済への転換という問題が存在していると言わなければなりません。では、この資源不足の傾向は、今後緩和される見通しなのか、それとも継続する見通しなのか。世界の食糧生産は、七年ごとに豊作と不作を繰り返してきたといわれております。事実、戦後の食糧生産を振り返っても、ほぼ七年ごとに食糧の過剰時代と不足時代が交代し、一九六七年から一九七三年すなわちことしまでの七年間は、異常天候による例外を除いて、豊作の七年間でございました。この過去の傾向が今後も繰り返されるとすれば、われわれは来年から食糧不足の七年間に向かって突入していくことになります。  また、今回の石油供給削減が痛烈に教えたものは、資源輸出に大半を依存している開発途上諸国の生き方の問題であり、南北問題の深刻化とともに、資源が外交の武器となることでありました。しかし、アラブ諸国の立場に立って考えれば、細く長くそして高く石油供給したいと思うのも、また当然の事情でございましょう。そして、この南北問題について、残念ながらわれわれは早急に解決する見通しを持つことができません。とすれば、資源の供給もまた困難な見通しのほうが多いと認めざるを得ません。  以上を要約すれば、わが国は今後恒常的な資源不足に直面せざるを得ないということでありましょう。もしそうだとすれば、これに対処するに緊急避難的な法律でよいのでありましょうか、御見解を伺いたいと思います。  そしてもし、相当の間これを続けざるを得ないというのなら、次の問題点をお伺いしなければなりません。  物価上昇原因について、田中総理海外要因を再三にわたって指摘されました。輸入物資の価格上昇が大きな原因の一つであることについて、私は否定いたしません。しかし、ここで重要なことは、輸入物資の価格上昇が続く限り国内物価は常に改定の必要に迫られるということだと思います。すなわち、この問題を国民生活安定緊急措置法案に当てはめて言えば、標準価格の設定とは、際限なく標準価格を改定していく作業にほかならないということであります。これは政府みずからを物価値上がりの共犯者に仕立て上げることであり、地価公示制度がそうであるように、価格上昇すなわちインフレを公認することにほかなりません。このような問題を一片の政令にゆだねて問題がないのでありましょうか。いわゆる官僚の独善的統制に走るおそれがきわめて大きいのではないのでしょうか。  また、政府は、一体だれの意見を聞いてこの価格改定作業を進めるのでありましょうか。法律で見る限り、消費者労働者の立場は黙殺されております。では、政府は業者とだけ相談して甘んじてインフレの共犯者としての役割りを演じようとされるのでありますか。  資源不足が短期的に解消でき、したがって、今回の緊急立法は例外的な発動にとどまるのだと言われるのなら、私の述べた心配は当たりません。しかし、世界経済が資源不足に向かって歩いていることを率直に認めるのなら、一時の緊急避難的対策では対処できないことも同時に認めなければなりません。したがって、いま必要なことは、恒常的な価格の監視機構をつくることであり、流通の管理機構をつくることであり、そこに消費者労働者、そして家庭の主婦を含めて一般国民をいかに参加させていくかという問題だと思います。換言すれば、物不足経済がもたらした売り手万能の市場に対して有効に働く制度を開発し、定着させることだと思います。特定の商品に対する特定の対策だけで糊塗できるような情勢でないことを認識すべきであります。同様に、エネルギー資源の根幹である石油需給についても、緊急避難的措置にとどまらずに、石油需給全般を恒常的に管理し、公共の立場に立って石油の活用をはかる法案に発展させるべきだと思いますが、以上の諸点について、通産大臣並びに経済企画庁長官にお伺いをいたします。  次に、需要の適正化という問題に関連して、大蔵大臣及び通産大臣にお尋ねをいたします。  総需要抑制ということが物価対策の中心的課題として強調されております。しかし、資源不足下の経済社会を考えると、総需要抑制は単に財政金融政策の問題でないことは明らかであります。そしてこの認識があればこそ、田中総理所信表明演説でも、「節約は美徳」と強調されたのだと思います。もしそうだとすれば、かつては消費は美徳と宣伝してきた経済の姿をここにきて基本的に変更すべきではないのでしょうか。  私は、その一つとして、広告の問題を提起したいと思います。さきに発表された経済企画庁の資料を見ると、都市部においては土地住宅問題がいよいよ深刻であることを訴えながら、庭つきマイホームは断念するしかあるまいと示唆をしております。しかし、そう言われている国民が家に帰ってテレビをひねれば、庭つきマイホームのコマーシャルのはんらんであります。こんな無残な光景はありません。これほど社会の不公平をありありと見せつけている姿はないと思いますし、加えて、庭つきマイホームを持てるような一部の人たちだけのためにテレビが放映され、電力が浪費されていることが正しい社会のあり方なんでございましょうか。従来の広告が、全面的に否と否定するつもりはありませんが、欲望をかき立て、需要を過大にさせる大きな役割りを果たしてきたことは事実だと思います。この意味で、これからの商品情報の正しい提供のしかたということも含めて考えながら、商品の性格に対応した広告の基準をもつくるべきではないかと思いますが、通産大臣の御所見を承りたいと思います。  また、同様の観点から大蔵大臣に、交際費すなわち社用消費の規制の問題についてお伺いをしたいと思います。多くを申し上げる必要はないと思います。社会における啓蒙効果も含めて、全額損金不算入ぐらいの措置は講ずべきだと思いますが、いかがでございましょうか。  最後に、標準価格の持つ意味について申し上げたいと思います。標準価格の設定とは、その実体は原価の中身と利潤について政府が立ち入った判断をしていくことにほかなりません。この意味で、標準価格の設定は、いわゆる所得政策の一里塚と言っても大きな間違いはないと思います。この点についてここで深入りして議論をするつもりはありません。しかし、いずれにもせよ、政府は、これまで回避してきた賃金政策、労働分配率の問題にまっ正面から直面せざるを得ないでありましょう。政府与党にとってこの新しい問題に取り組むために不可欠なことは、野党の意見に耳を傾け、政策を修正する態度を持つことであります。  緊急事態に直面してこの二法案の審議をするにあたり、最後にこのこと強く要請して、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣中曾根康弘君登壇拍手
  37. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まず、資源問題の見通し政策でございますが、確かに御指摘のように、資源問題は非常に重要な問題として登場してきたと認識しております。それで、石油にしても食糧にしても、単に金で買えるという経済的性格から非常な政治性をいまや持ちつつある。今回石油問題がやはりある主張を通すための戦略的武器として使われているということを見ますと、ほかの資源についてもこういうような政治性を持ってくる可能性がなきにしもあらずであります。そういう考えに立ちまして、いままで日本がやりました外交政策や経済協力政策というものをここでやはり検討すべきときであると反省しております。すなわち、経済協力については、その国々の要望を満たして、その国々の立場になった経済協力をやるべきである。それからさらにもう一つ、備蓄政策についてもここで国として考うべきである。これらの点につきまして私たちは検討を加えてまいりたいと思います。  次に、流通段階における監視機構と申しますか、管理機構が重要ではないかという御指摘は、全く同感でございます。通産省及び政府といたしましては、地方支分部局あるいは地方公共団体及び民間等の協力を得て、この流通政策及び価格政策に万全を期してまいりたいと思っております。しかし、いずれにせよ、民間の御協力なくして今回のいわゆる民主的調整ということは行ない得るはずはございません。そういう意味におきまして、民間の御協力をいかに得るかという点についてさらに研究してまいりたいと思います。  それから石油の全面的管理法を制定してはいかんという御質問でございますが、現在は石油問題がにわかに惹起してまいりまして、いままでの日本の石油政策全般を込めた総合的な立法となすべきかどうか、今回の石油措置は一つの緊急的措置としてやっておるわけでございますので、その点につきましては、もう少し事態の推移を見ながら、この二つを統合したさらに大きな管理体系の政策にすべきかどうか、検討してみたいと思います。  さらに、総需要抑制の一環として広告の基準をつくれという御質問でございます。確かに御指摘のとおり、日本の広告は過剰なもの、浪費をそそるものが多分にありまして、御指摘の要素はわれわれとしても十分認識しております。現状のままこれを許していいかどうかは私たちも考えなければならぬと思っております。現在は、法律といたしましては不当景品類及び不当表示防止法という法律がございますけれども、この法律だけによって抑制することは不可能であろうと思います。したがいまして、これを税でやるがいいのかどうか、別の方法があり得るのかどうか、ともかく現状はもう座視してはいけない状態にあると私たちも感じますので、検討してみることにいたします。(拍手)    〔国務大臣内田常雄君登壇拍手
  38. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) 私は、物価対策といたしましては、この段階においては総需要抑制対策とともに、どうしても物資別の個別対策が必要なところに来ていると考えるものでございまして、さような見地から今回のこの法律を提案いたしておるわけでございます。  その際、栗林さんが御指摘のように、監視機構は最も必要でございますが、そのために、先ほど来申しますように、地方公共団体に対しまして監視を含む諸般の権限をこの法律の中で委任をいたしておるわけでございます。  所得政策についてのおことばがございましたが、今回この法律がとっておりますところのたてまえは、所得政策に踏み込んだとは私どもは考えておりません。言うまでもなく、国民的コンセンサスが必要な課題でもございますし、また、この法律の標準価格など決定のたてまえをごらんいただけばわかりますように、なるほど、標準的な生産費とか、あるいは販売費とか、あるいは適正な利潤とかいうものを積み上げてまいりますけれども、その過程におきまして賃金所得の統制ということには触れておらないわけでございまして、所得政策の第一歩と考えない次第でございます。(拍手)    〔国務大臣福田赳夫君登壇拍手
  39. 福田赳夫

    ○国務大臣福田赳夫君) 交際費課税を強化すべしという御意見のお尋ねでございますが、企業も、個人同様一つの社会単位でありますので交際をするんです。交際費が要ります。しかし、行き過ぎがあるものですから、そこで社会的非難という問題も起こってくると思います。この問題は元来、企業のモラルの問題です。そこで、税はいまこれに対して行き過ぎ是正の考え方を出しておりまするけれども、これはどこまでも補完的な役割りをする、そういう立場にあるわけなんです。そういう立場でこの交際費課税問題は、この春七五%までの損金算入否認という措置をとったわけでありまして、まあ七五%も否認するというんですから、これは相当きびしい措置だと思います。私は、企業のモラル高揚につきましては大いに努力しますけれども、交際費課税の問題は、まあこの辺が妥当なところじゃあるまいか、さように考える次第でございます。(拍手)     —————————————
  40. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 小笠原貞子君。    〔小笠原貞子君登壇拍手
  41. 小笠原貞子

    ○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、提案されました二法について質問いたします。  いま、日本じゅうの労働者、農漁民、中小商工業者など、まじめに働く者をはじめ、年寄りや子供、身体障害者など弱い立場にある者は、自民党政治による石油物不足、急激な物価上昇の直撃を受け、その生活は重大な事態に立ち至っています。こうした事態を引き起こした自民党田中内閣は、いまこそその政治責任を明らかにすべきだと思います。  雪深い北海道岩見沢の重度身障児施設緑生園では、零下十数度という酷寒を迎え、朝は二時間、昼間はわずか三十分、夕方は四時から九時までしか暖房を通せません。健康な人なら運動してからだをあたためるというすべもありましょうが、この子供たちはじっとがまんする以外にはないのです。老人施設もまた同じです。南の九州でも、ノリの養殖漁民が、例年にない豊作だというのに、重油不足で乾燥させることができないで、腐っていくのを黙って見ていなければならないというのです。また、全国至るところの漁民が、燃料不足で海の幸を目の前にしながらとることができず、みすみす港に帰らなければならないと訴えています。暖房用の灯油を各自が持参するようにしなければならないという、そんな保育所も出てきています。LPガスが手に入らず開業できない個人タクシーの労働者を自殺に追い込んだのは一体だれですか。自民党田中内閣、あなた方ではないでしょうか。政府には、石油緊急対策要綱でも明確にしてあるとおり、農林漁業、公共性の強い施設の石油については、その適正な必要量確保につとめなければならないという責任があります。政府は、この二法によって事態が好転すると称しておりますが、はたしてそれができるのかどうか、伺いたいと思います。  まず第一に、国民生活優先の供給が保証されていないという問題です。  石油需給適正化法案では、政府供給目標を定めることになっていますが、このために必要な優先需要が何ら明確にされていません。これでは、いまの緊急対策要綱のもとでも国民生活に関連する分野が大きく削減されているという現状を改めることは、全く不可能であります。わずかに優先需要をきめた第十条のあっせんも、業界主導では実効性に乏しいということは、先日、鉄鋼、綿糸、紙などのあっせん所を開いても、物がなかったり、あっても少量で、しかも高い価格でないと入手できないという事態であったことを見ても明らかです。国民生活を守るためには、家庭用、教育、医療、福祉公共交通機関、中小企業、農林漁業、言論・出版に関連する事業など、国民生活に重大な影響を及ぼす分野については、優先的に供給する原則を明確にした四党提案の立場で政府案を根本的に修正することであります。政府にその意思があるかどうか、お伺いいたします。  第二は、物資を安く安定的に供給する問題であります。  トイレットペーパーを例にとって伺いますが、今回の値上がり前は、四個入り一パック百円でした。十一月初めのあのパニックの直前では二百四十円以上になりました。このとき政府は百六十円で放出しましたが、いま私の家の近くのスーパーでは二百七十円からになっています。国民生活安定緊急措置法案でいう標準価格とは、このうちのどれに該当するのですか。私は値上がり前の価格だと思いますが、いかがでございましょうか。この法案で、値上がりした物資の価格を引き下げることができますか。また、法案の成立を見越していわゆるかけ込み値上げが横行していますが、これを防止できますか、お伺いいたします。  価格決定について政府案は、第三条と第七条でこまかくきめていますが、この問題で政府に立ち入り調査権がなければ、結局、業界の言いなりの価格をきめる以外になく、業界の高価格安定を追認することになります。価格問題は、四党提案のように、価格決定に必要な資料の提出を企業に義務づけ、価格の決定は原価計算を基準とし、その価格構成等決定の根拠を公開し、国民の審判を得るよう修正すべきです。政府の見解を伺いたいと思います。  第三に重大なのは、この二法案がいう需給の緩和や適正化、また、価格の安定が、いずれも企業が結ぶカルテルによって行なわれようとしていることであります。このことは、二法の運用に関して通産省及び経済企画庁と公正取引委員会との間でかわされた覚え書きによって明らかであります。一体、これまで、企業のカルテルが物価安定に役立ったことがあったでしょうか。物価をつり上げてきただけではありませんか。いま国民を苦しめている石油製品のひどい値上がりも、これが石油メーカーのやみカルテルによって進められてきたものであるということは、先月来、公正取引委員会石油メーカーに立ち入り検査をしたことではっきりしています。しかも、これは石油業界だけではありません。すでに、ことし一月以来この十二月十一日までに公正取引委員会が摘発したやみカルテルだけでも、過去五年で最高の五十六件に達しており、これがいまの物価暴騰の主犯の一つであることは、議論の余地がありません。まさに中心問題は、こうした大企業のカルテルをきびしく取り締まり、価格の引き下げをやらせることにあるのです。それを、この二法案は全く逆で、やみカルテルを公認しようとしている。ここに政府が、今日の事態に至ってもなお大企業を擁護して、国民に一そうの犠牲を押しつけようとしていることが明白に示されており、このままでは、価格安定どころか、価格つり上げをさらに進めさせるものだと思います。  私は、政府が直ちに公正取引委員会との覚え書きを破棄し、同時にこの法案に、外資法、外為法、証取法など大企業に一定の規制を加える法律にあるごとく、独占禁止法の適用を除外しないこと、公正取引委員会の権限を排除しないことの規定を加えるよう要求するものであります。関係大臣にその意思がおありになるかどうか、明確にしていただきたいと思います。  最後に重要なのは、この異常事態におちいった物価問題に対する政府政治姿勢の問題であります。  政府・自民党は、現行の買い占め防止法の審議に際し、政府案で買い占め及び売り惜しみの取り締まりは十分行なえるといって、その不徹底さを改めようとした四党提案を取り入れず、政府案のまま成立させたのであります。しかも、この法律すら政府は積極的に発動せず、悪質な大企業の売り惜しみ・価格つり上げ行為を野放しにしてきたのです。こういう姿勢では、政府が幾ら価格の安定とか石油危機の打開などと言っても、だれも信用する人はいないでしょう。政府の明快な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣内田常雄君登壇拍手
  42. 内田常雄

    ○国務大臣(内田常雄君) いろいろのお尋ねでございましたが、まず第一に、標準価格をきめる私どもの態度でございますが、私どもは業界の便乗値上げとかあるいはかけ込み値上げを基礎としてこの標準価格をきめる考えは全くございません。先ほど来たびたび申しますように、適正にして合理的で国民の納得の得られるような価格を設定してまいる所存でございます。  それから公正取引委員会との覚え書きの問題でございますが、これも先ほど申し述べましたように、この法律による政府の監督と指導のもとに関係者を協力させるための覚え書きでございまして、この覚え書きによって決して独占禁止法の適用除外を設けんとするものではございません。したがって、小笠原さんの御意見の中にございましたけれども、この法律の中に独占禁止法に関する規定を設ける考えはございません。  それから七月に御制定をいただきました買い占め売り惜しみ防止法があまり役に立っていないと、こういうおしかり、御批判でございましたが、この法律では、私は十分な法律と思っているものではございませんので、今回の国民生活安定法によりましてこの法律を改正、強化をいたさんとするものでございますが、ただ、この買い占め防止法も、これまで関係物価調査官等を中心として物価の動向や荷動きなどについての監視機構は果たしてまいった面は看過することはできないものだと思います。  最後に、野党修正案についての御言及がございましたが、それはそれといたしまして、私ども政府としては、この法律案を最善の案として提案をいたしておるわけでございますので、よろしく御審議をお願いをいたします。(拍手)    〔国務大臣中曾根康弘君登壇拍手
  43. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) まず、優先配給に対する御質問でございますが、小笠原さんが御指摘になりましたように、第十条に、「一般消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに鉄道事業、通信事業、医療事業その他の公益性の強い事業及び活動」と、こう例示してありまして、こういうような施設の関係、あるいは農漁民、そういうものは優先してやるようにわれわれも義務づけられておるわけでございます。  次に、この法律によって事態改善するかという御質問でございますが、基本的には油が増加しなければなかなか改善しにくい。目下三木さんを中近東に派遣いたしまして、油を増加させ、あるいは悪化するのを防ぐために一生懸命やっておるところでございます。やはり、この法案のねらうところは、価格のこれ以上の騰貴を押え、そして国民がひとしく公平に負担するように、そういうような公平原則というものを確保しようというのが非常に大事な要素になっておるのではないかと思います。  それから公取との覚え書きを廃棄する意思があるかどうかということは、前に申し上げましたように、廃棄する意思はございません。(拍手)    〔国務大臣倉石忠雄君登壇拍手
  44. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 国民生活に密着いたしております食糧等を供給する農林漁業用石油につきましては、関連事業等を含めてその適正な所要量を確保いたすこととしております。このため、現在、中央・地方段階を通じまして石油対策のための連絡体制の整備をはかりまして、通商産業省と共同いたしまして苦情処理等に当たっております。そのほか、さらにまた、元売り業者、販売業者等への指示、流通あっせん等具体的な確保措置について、通商産業省とも連絡協議をいたして、万遺憾なきを期しておるような次第でございます。  なお、目下緊急にその対策を迫られておりますハウス用油、漁船用、それからいまお話のございましたノリ乾燥用等については、供給者団体と需要者団体を協議させまして、具体的な供給方法を取りきめるように、農林省と通産省双方で指導することにいたしております。  それからまた、海外に出ております漁船がございますが、この燃料油の補給を制限された遠洋漁業船に対しましては、今後とも、外交ルートを通じて相手国に給油の確保を要請いたしまするほか、国内石油の積み出しによる洋上補給、漁場変更の指導等、これら遠洋漁業船の燃料油の確保最大限の努力を払ってまいるつもりでございます。(拍手)    〔国務大臣徳永正利君登壇拍手
  45. 徳永正利

    ○国務大臣(徳永正利君) 公共輸送機関の輸送用燃料につきましては、御指摘のように、十一月十六日付の政府石油緊急対策要綱においても、その適正な必要量確保につとめることとなっております。この線に沿って、運輸省といたしましては、業種の実態に応じまして、節約するところは節約し、抑制すべきものはこれを指導するとともに、適正所要量については、輸送部門ごとに通産省と協議して、あるいは石油業界と運輸関係業界団体間の自主的交渉を指導しつつ、確保全力をあげておる次第でございます。  さらに、これが末端への円滑な配分につきましては、業界団体間で適切な具体的方法を確立するよう話し合いを進めておる次第でございます。  お尋ねの個人タクシー用のLPガスにつきましては、去る八日、十一月の供給量の九〇%を確保する旨、通産、運輸両省間で合意が確定いたしました。これを具体的に法人、個人の業者にどう配分するか、また、地区別にいかに配分するかについて、業界を指導して精力的に検討を進めた結果、昨十三日の夜半に、法人及び個人業界において了解に達した次第であります。御指摘のように、弱い個人タクシーの方々に対する問題につきましては、十分配意してまいるつもりでございます。  さらに、この了解された配分量が個々のタクシー事業者に円滑に行き渡るよう、石油販売業者等に対する通産省の強力な指導を期待いたしますとともに、運輸省もタクシー業界を指導し、配分の公正な実施を行なわせる所存であります。  また、石油事情が一そう逼迫し、石油の割り当て配給制等が実施される段階には、公共輸送機関の輸送確保に必要な石油の適正量を優先的に確保するようつとめます。(拍手
  46. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) これにて質疑は終了いたしました。      —————・—————
  47. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 日程第一 郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長報告を求めます。逓信委員長茜ケ久保重光君。    〔茜ケ久保重光君登壇拍手
  48. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保重光君 ただいま議題となりました法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。  本法律案は、最近における国民所得や貯蓄保有額の伸び状況などにかんがみ、郵便貯金預金者の利益を増進するため、預金者一人当たりの貯金限度額を、現行の百五十万円から三百万円に引き上げようとするものでありますが、現在の経済情勢下における総需要抑制のための貯蓄増強策の一環として緊急に提案されたものでございます。  委員会におきましては、限度額の引き上げ並びに別途新設された六カ月定期貯金による年末ボーナス吸収効果の見通し物価上昇に伴う貯蓄の実質的減価に対する方策等について熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。  質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  49. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) これにより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  50. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  51. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) この際、日程追加して、  昭和四十八年度における期末手当割合等の特例に関する法律案内閣提出衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 御異議ないと認めます。  まず、委員長報告を求めます。内閣委員長寺本広作君。     —————————————    〔寺本広作君登壇拍手
  53. 寺本廣作

    ○寺本広作君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、去る十二月六日付の人事院の意見の申し出を実施するため、昭和四十八年度に限り、一般職給与法の適用を受ける職員等に対して、昭和四十九年三月に支給する期末手当のうち、〇・三カ月分を昭和四十八年十二月に繰り上げて支給しようとするものでございます。  委員会における質疑の詳細は、会議録に譲りたいと存じます。  質疑を終わり、討論なべ、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  54. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  55. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。      —————・—————
  56. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) この際、おはかりいたします。  伊藤五郎君、山本茂一郎君から、裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申し出がございました。  これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。      —————・—————
  58. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) つきましては、この際、  裁判官訴追委員二名、及び、  欠員中の皇室会議予備議員、  東北開発審議会委員、  四国地方開発審議会委員、  離島振興対策審議会委員、  日本ユネスコ国内委員会委員各一名、  鉄道建設審議会委員二名の選挙を行ないます。
  59. 柴立芳文

    ○柴立芳文君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
  60. 竹田現照

    ○竹田現照君 私は、ただいまの柴立君の動議に賛成いたします。
  61. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 柴立君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 御異議ないと認めます。  よって、議長は、裁判官訴追委員に小山邦太郎君、平島敏夫君を、  皇室会議予備議員に郡祐一君を、  東北開発審議会委員に山崎五郎君を、  四国地方開発審議会委員に濱田幸雄君を、  離島振興対策審議会委員に中津井真君を、  日本ユネスコ国内委員会委員に斎藤十朗君を、  鉄道建設審議会委員に郡祐一君、増原恵吉君を、それぞれ指名いたします。      —————・—————
  63. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) この際、おはかりいたします。  小枝一雄君、田中茂穂君からいずれも病気のため三十日間、矢野登君から海外旅行のため来たる十七日から十四日間、藤井恒男君から海外旅行のため明十五日から十日間、それぞれ請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 森八三一

    ○副議長(森八三一君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十九分散会