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1974-03-28 第72回国会 参議院 法務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      春日 正一君     野坂 参三君  三月二十八日     辞任         補欠選任      小枝 一雄君     稲嶺 一郎君      重宗 雄三君     長屋  茂君      野坂 参三君     小笠原貞子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         原田  立君     理 事                 後藤 義隆君                 棚辺 四郎君                 佐々木静子君                 内田 善利君     委 員                 稲嶺 一郎君                 長屋  茂君                 柳田桃太郎君                 山本茂一郎君                 吉武 恵市君                 中村 英男君                 小笠原貞子君    国務大臣        法 務 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        法務大臣官房長  香川 保一君        法務大臣官房司        法法制調査部長  勝見 嘉美君        法務大臣官房訟        務部長      貞家 克己君        法務省矯正局長  長島  敦君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       安村 和雄君        最高裁判所事務        総局総務局長   田宮 重男君        最高裁判所事務        総局経理局長   大内 恒夫君        最高裁判所事務        総局刑事局長   千葉 和郎君    事務局側        常任委員会専門        員        二見 次夫君    説明員        環境庁大気保全        局企画課長    山崎  圭君        運輸省航空局飛        行場部長     隅  健三君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (大阪国際空港公害訴訟に関する件)  (鹿児島刑務所の移転問題に関する件) ○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆院送付)     —————————————
  2. 原田立

    委員長原田立君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  検察及び裁判運営等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは、ちょうど一カ月前、二月二十七日に判決が言い渡されました大阪空港公害訴訟についての判決及びその後の法務省中心とするところの関係各省の御態度その他につきまして若干質問をさせていただきたいと思います。  この空港公害責任を国に問うために起こされましたところの大阪国際空港公害訴訟におきまして、大きな三つの点が柱とされておったわけでございますが、結局、過去における住民が国の行為によって受けた損害賠償、あるいは将来に生ずべき損害に対する賠償、それからこの住民たちの健康とか生活大阪空港設置によって破壊されたことによるところの人格権ないし環境権に基づくところの差しとめ請求、その三つが大きな柱となっておったわけだと思うのでございます。これは豊中市、伊丹市をはじめとするところの関係十一都市、合計にしまして百七十万人ほどの人がこの大阪空港公害によって長い間悩まされ続けてきて、この住民方たちにとっては、この判決というものが、ほんとうにこれで勝利をかちとるということが悲願であったわけでございますが、この判決自身が一部請求が認容され、また一部棄却されたということで、住民側にとってももっと積極的な判決であったかというふうな失望もあったわけでございますが、これは判決内容についてはこの国会でとやかく言うべき問題ではないと思いますので、その後の各省の御態度というようなことについてお伺いしたいと思います。  まず、この大阪空港公害訴訟判決が出ましてから、これは特に原告団あるいは弁護団中心となって、その翌日、運輸省あるいは環境庁など関係の省にこの判決の趣旨を尊重していただきたい、また、さらに積極的に住民の健康とか環境を守るために御尽力いただきたいという要望に伺ったと思うわけでございますが、まずこのことに関しましてきょう運輸省お越しになっていただいておりますので、この判決が出た後、運輸省はどういう行政措置をとっておられるか。昨日、参議院の本会議におきましても騒音防止法が、これは社会党のほうはこれではなまぬるいということで反対ではございましたが、いよいよ通過いたしまして、もう現実にまず一番問題の多い大阪国際空港周辺に対する騒音防止の方法に着手していただいていると思うのでございますが、具体的にどのようにこの判決が出た後、運輸行政をしていただいているか、運輸省のほうにお伺いさしていただきたいと思います。
  4. 隅健三

    説明員隅健三君) 二月二十七日に判決がございまして、翌日、先生ただいまおっしゃいましたように、弁護団原告団人たち東京へ上京してまいりまして、私のほうの運輸大臣も親しく原告皆さま弁護団皆さまにお会いいたしまして、この判決を厳粛に受けとめるということを述べ、また今後の騒音対策ということについては誠心誠意最善努力をするということを申したのでございますが、われわれ運輸省といたしましても、大阪国際空港騒音問題の深刻さというものについては深く認識をいたしておりますし、今回の判決を厳粛に受けとめております。運輸省は、当然、大阪国際空港をはじめといたしまして、運輸省が設置いたします空港周辺航空機騒音障害についてこれを少しでも軽減する責務を持っておるのは当然でございまして、判決の有無に関係なく、われわれといたしましては可能な限り対策を進めてまいります。また、その一つの具体的な問題といたしまして、ただいま先生のおっしゃいましたように、昨日、参議院の本会議で成立いたしました航空機騒音防止法改正によりまして、本日、大阪大阪国際空港周辺整備機構発起人会を開きまして、これの設立をいたしまして、民家の防音工事あるいは移転補償促進代替地の造成というようなこと、あるいは空港周辺土地利用適正化などの思い切った周辺対策を進めていきたいと思います。また音源対策といたしまして、この音源対策についていろいろの、これはなまぬるいではないか、あるいは加害者である航空会社の、PPPの原則と申しますか、いわゆる加害者の負担が行なわれていないのではないかというような御意見国会でたびたび出たわけでございますが、われわれといたしましては、まず、東京大阪間の新幹線という代替輸送機関がございます区間は思い切った減便をしていきたい、これが一つ音源対策としてわれわれができるまず第一の点でございます。この点につきましては、われわれとしては低騒音大型エアバスと称しておりますものを投入して便数を減らしていきたいということを地元に申し入れておりますけれども地元の御了解、御理解をいただいておりませんので、この点は今後も進めていきたいと思いますが、まず大阪空港便数削減をしたい、特にその便数削減は過密時間帯における便数削減というものをぜひ行ないたいと思っております。なお、さらに日本航空、全日空、東亜国内航空の定期三者に対しましては一便一便を洗い直すように厳重に検討を命じております。このような周辺対策、それから音源対策をとってまいりまして、今後もこの対策を強化するように続けていくつもりでございます。
  5. 佐々木静子

    佐々木静子君 判決を尊重していただいて、できるだけ前向きの姿勢で取り組んでいただいているということは、たいへんにけっこうなことだと思うわけでございます。先ほど御答弁いただいております個々の点につきましては、またあとで御質問さしていただきたいと思いますが、次に、環境庁、お越しいただいておりますので、環境庁としますと、今度の判決をどのように受けとめていただいているか。
  6. 山崎圭

    説明員山崎圭君) お答え申し上げます。  環境庁といたしましては、この判決を、航空機騒音対策をさらに拡充するという一つ契機として受けとめたいと、これが基本線でございまして、従来の騒音対策をさらに積極的に推進いたしまして周辺住民皆さん方生活環境を保全してまいる、こういう考え方でございます。具体的には、寄り寄り関係各省とも御相談申し上げているところでございまするけれども騒音対策一般につきましては、実は御案内のように、昨年末に定めました航空機騒音にかかる環境基準というのがございまして、並びにその改善中間目標も示されているところでございますが、これらができるだけ早く達成されますように、音源対策でございますとか、障害防止装置でございますとか、あるいはさらに進んで土地利用適正化、あるいはまた総合交通体系の見直し、こういった各般の問題の積極的な推進をはかってまいる考えでございます。特にまた、この大阪国際空港につきましては、騒音被害の深刻さというものを十分認識しておるところでございまして、当面、住民の方々の被害の軽減をできるだけはかっていく、こういうことのために運輸省当局とも御相談申し上げまして、航空機発着回数の減少あるいは空港周辺におきます防音工事なり移転補償等促進をお願いしていると、こういうようなことが基本的な考え方でございます。
  7. 佐々木静子

    佐々木静子君 これも運輸省に伺いますが、この訴訟の中でも問題になりました夜間航行でございますが、特に夜間便夜間郵便物運航、運ぶために夜間航行が若干最近まで行なわれていたわけでございますが、この判決後は、いま郵政省お越しじゃございませんけれども、どのようになっておるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  8. 隅健三

    説明員隅健三君) お答えいたします。  郵便機は三月一日から、夜の十時以降八発着と思っておりますが、YSの専用機を飛ばしておりましたのを、郵政省におきましてはこれを中止して九時台で終わらせるという発表をいたしました。判決がございました二月二十七日に原告団弁護団の強い申し入れもございまして、その日から十時以降の夜間便運航を中止いたしました。現在では専用機といたしまして大阪に九時台で二発着の便を入れておりますけれども、十時以降の便は現在においては一切飛んでおりません。
  9. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは判決があった翌日の朝日新聞の朝刊に載っている文ですけれども、これ、運輸大臣は、空港というものは公共性が高いとはいわれるけれども公共性が高ければ高いほど国民生活をどう守るかが運輸行政基本である、これは利用者を守るということばかりじゃなくって、住民の迷惑を最小限にするため、いろんな面から挑戦していかなければならないという談話を発表しておられることと、すべての需要を満たすことを目標にするという運輸行政のあり方はストップしなければならないというようなことを御発言なさっているんですが、運輸省事務当局としても、この大臣の御発言をもちろん尊重していこうという行政に切りかえていらっしゃるわけですね。
  10. 隅健三

    説明員隅健三君) これは当然でございまして、判決が出る前から徳永運輸大臣事ごとにこの点につきまして事務当局にもきびしい指示をいたされておりますし、今度の減便につきましても、これは運輸大臣の強い指示によりまして、事務当局といたしましても、大臣の気持ちを十分取り入れまして、それ以上のことを何とかしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  11. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは環境庁にも伺いますが、同じ新聞に、三木環境庁長官が、「判決大阪空港周辺住民が、騒音に苦しんでいる状況を指摘して対策が不十分だといっている。政府としても、この判決を、環境政策を推し進める契機として受けとめたい」と、いまあなたのほうからも一環境庁の今後の取り組み方について御説明がございましたが、この長官のおっしゃる精神と事務当局としても同じような方針でもちろんいかれるわけでございますね。
  12. 山崎圭

    説明員山崎圭君) お話、御質問のとおりでございまして、長官判決の当日に談話を発表されましたが、長官の申し上げましたことを服膺いたしまして、私ども事務当局も鋭意その努力を重ねるつもりでございます。
  13. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは法務大臣にお伺いさしていただきたいんでございますが、この空港訴訟控訴について、これは三月十六日付のやはり同じ新聞でございますけれども空港訴訟政府がかなりもめて、で、このことについて所管大臣はこの話になるとあまり顔色がさえない。大臣は、政府控訴することに気乗り薄であるというふうに、これ新聞で報ぜられておるわけでございますが、これに対して、「「運輸相態度は煮え切らない」といぶかる法務省中心に「民事訴訟行政権を制限するのは妥当でない」という法律論に押されて期限ぎりぎり控訴が決まった。」というふうに新聞で報ぜられているんでございますが、これはそのりおりでございますか、どうですか。
  14. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 新聞にそういう報道があったようでございますが、実際問題としましては、法務省は制度上こういう訴訟担当をすることになっておりますだけで、本体は運輸省であり、あるいは環境庁でございまして、そういう主管省控訴する意思のないものを法務省控訴しようというようなことは言うはずもありませんし、実際問題としても、そういうことは全然ございません。ただ、関係省としてそういう会合には出席をしてまいりましたが、法務省主導権を握ったというようなことは全然ないわけです。これは各省相談をいたしまして、いろいろ各省とも迷っておりましたけれども、最終的には原告側控訴されたんで、こちらも控訴をして、なお不明確な点を今後とも控訴裁判を通して確定をしようということで控訴をしたことになったと思います。したがって、法務省中心推進をしたとか、主導的な立場に立ったとかいうことは全然ございません。
  15. 佐々木静子

    佐々木静子君 これまた大臣お話では全然ございませんということなんでございますが、各紙ともそういうふうに新聞報道はなっているんですね。非常に勇み足であって、ほかのところがどうであろうと、ともかく法務省とすると控訴しなければならない、また住民のほうは控訴しようとしまいと、まあこれはとりあえずこの問題には関係ないかしれませんけれども法務省とすると控訴をするんだと、そして相当各省間でもめたという報道ですね。そうすると、それは間違っているわけでございますね、事実と全然違うわけなんでございますね。
  16. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これは各省会議には総務部長が代表して出ておりまして、私ども出ておりませんので、総務部長に、来ておりますから後刻御説明をさせますが、私の聞いておるところではそういうような事実は全然ございません。
  17. 貞家克己

    政府委員貞家克己君) ただいま大臣から御答弁のありましたとおりでございまして、私自身何回も関係省庁間の会議にも出席いたしました。確かに、御承知のとおり、判決の与える影響、それから内容につきましてもいろいろ問題がございますので、きわめて慎重に意見を交換したのはそのとおりでございます。もちろん法律論もございます。また、事実認定の問題もございますので、いろいろ意見がかわされたということは当然でございますが、特にこの事件につきまして、法律論だけを取り上げて、これはどうしても控訴すべきだというようなことを申し上げた記憶もございませんし、各省庁間できわめて慎重に、時間も十分かけまして協議いたしました結果、控訴することに意見の一致を見たような次第でございます。
  18. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま御説明を伺いましたが、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、   〔委員長退席理事内田善利君着席〕 これはあくまで担当の省の御意向によって控訴していらっしゃる。そういうことだとすると、まあ担当の省というと、この場合は運輸省になると思うんでございますけれども、これは運輸省になるわけですか、あるいは環境庁も入るんですか、その点まず法務省のほうに伺いたい。
  19. 貞家克己

    政府委員貞家克己君) 私ども、国を当事者とする訴訟につきましては、法務大臣が国を代表するわけでございますので、法務省訴訟事務につきましては責任をもって訴訟を遂行するということになるわけでございますが、国を当事者とする訴訟と申しましても、それぞれ個々事務につきましては所管庁あるいは監督庁というものがあるわけでございまして、本件について申しますと、形式的には運輸省が大部分でございまして、若干、郵便機の問題もございますんで郵政省にも関係がございます。さらに、環境庁は、訴訟形式的にながめますと直接の関係ではございませんけれども環境行政という点から協議をいただいているわけでございまして、どこが中心ということは必ずしも申し上げられないのでございますけれども、私ども、それから運輸省というものが直接の形式的な所管庁ということになるのではないかというふうに考えております。
  20. 佐々木静子

    佐々木静子君 いや、これは先ほどの大臣の御答弁でも、所管庁意見を無視して法務省控訴をするとか、そんなことはあり得ないんだというお話だから、所管省を明らかにしていただこうと思って伺ったんですが、そうすると、運輸省郵政省環境庁ということになるわけでございますね。
  21. 貞家克己

    政府委員貞家克己君) 形式的には所管庁運輸省郵政省ということになるわけでございます。もちろんこういった問題につきまして控訴をするかどうかという問題になりました場合には、所管庁意見、これは最大限に尊重いたしますし、国としての態度でございますから、政府部内、事実上の関係のある省庁という方の御意見も十分に拝聴いたしまして、手続的に法務省控訴の手続をとるということに相なるわけでございます。
  22. 佐々木静子

    佐々木静子君 この事実上の関係ある省というのが非常にあいまいで私どもわかりにくいわけですが、具体的にはどういうことなんですか。たとえばこの空港訴訟の出たあと田中総理大臣も、これはもっともな判決だということを言っておられるわけなんですが、そうなってくると、何か形式上とか事実上とか非常にわかりにくいことなんですけれども、結局どことどことがこれについての権限があるのかということを私伺っていますので、はっきりと言っていただきたいと思うわけなんです。
  23. 貞家克己

    政府委員貞家克己君) 法律的に権限と申しますと、これは国を代表するのは法務大臣でございますから、法務省責任であると、こう申さざるを得ないと思います。ただ、法務省が独断専行するということは、事柄性質上あり得ないというわけでございます。
  24. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、法務省も相当なウエートをこの控訴についてはまあかんでいる、発言権を持って控訴をしたんだということにひっきょうなるわけですね。
  25. 貞家克己

    政府委員貞家克己君) もちろん国を代表する責任者でございますから、発言権を持っていることはこれは否定すべくもございません。ただ、事柄性質によりまして、事柄性質上当然に諸官庁の意見最大限に尊重する、事柄性質上そうせざるを得ないという次第でございます。
  26. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、その事柄性質最大限に尊重なすった結果が控訴されたということになると、運輸大臣控訴しろという意見だったわけですか。
  27. 貞家克己

    政府委員貞家克己君) 私どもとしては、最終的な意思決定としてはそのように伺っております。
  28. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、新聞なぞはみんな誤報だということになるわけですね。——そのとおりでございますか。
  29. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それは確かに誤報だと私ども思います。
  30. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしますと、運輸省に伺いますが、これは徳永運輸大臣は非常に新聞、テレビなどではいいかっこうなことを言っていられる。しかし、国民向けに言われることと閣議などで言われることとは非常に違っている。裏と表が非常に幅が大きい、そういうことになるわけですか、どうなんですか。
  31. 隅健三

    説明員隅健三君) 大阪国際空港騒音問題の深刻さ、これは行政の上から大臣は常々これを十分認識をしておる、それからまた行政上積極的な対策を講じていくという必要性を深く痛感しているということを常々おっしゃっております。また、そういう意味で今度の判決を厳粛に受けとめてはおりますけれども判決が認めました国の不法行為責任につきましては、騒音問題につきましていままでわれわれといたしましてはできる限りの対策を講じてきたという経緯もございまして、こういうことに照らしますと、国としてその責任を負うべきであるとすることについて疑問があるというようなことの理由から、さらに上級審の判断を仰ぐこととしたということのように承知をいたしております。
  32. 佐々木静子

    佐々木静子君 できるだけの対策を講じてきたとおっしゃいますけれども、これは私いつでも飛行場部長さんにお会いすると文句を言うことばかりで、非常に個人的にはお気の毒だと思っているんですけれども、ともかく判決が出てからさらにたいへん前進的な航空行政に切りかえられた。そうすると、やはり判決が出るまでできるだけの対策を講じてきたというんじゃなくて、判決が出てから、それだけのことをやっていただいているんですから、これは住民は喜んでいるわけですけれども、それじゃ、判決が出るまではできるだけのことをやってきたということにはならないんじゃないんですか。判決が出てから、できるだけその判決を尊重しようとたいへん努力をなさっているということで、私はその努力をしていただいていることの内容について全部もろ手をあげて賛成しているわけではもちろんありませんけどれも、その姿勢はおおむねけっこうであるということを申し上げているわけで、それまでできるだけの努力をしてきたということには当たらないんじゃないか。いかがなんですか。
  33. 隅健三

    説明員隅健三君) この点につきまして、大阪空港の推移というのは先生十分御存じでおられると思います。三十九年にジェット機を就航させましてから確かに、万博等もございまして、大型化、あるいはジェット機回数がどんどんふえてまいりました。その騒音被害ということをわれわれも痛感いたしまして、騒音防止法を制定をいたしまして、そして学校あるいは共同利用施設防音工事あるいは移転補償というような点、それから夜間飛行につきましても、四十六年の十二月に環境庁から緊急の措置すべき勧告が出ましたので、これに基づきまして夜の十時からの夜間飛行を中止をさせるというような点をわれわれとしては騒音対策として精一ぱい努力をしてきたつもりでございますけどれも、今度の判決を転機に、たまたま昨年の二月にこの騒音防止法改正案国会に上程をいたしておりましたけどれも、いろいろの事情で昨日まで延びたわけでございます。  また、一方、昨年の暮れには環境庁から航空機騒音にかかわる環境基準の告示もございましたし、さらに一段の努力の決意をいたしましたが、いままでについて、運輸省といたしましては、航空機騒音対策に何らしていないということではなくて、やはりわれわれなりに最善努力をしてきたというふうに考えております。
  34. 佐々木静子

    佐々木静子君 いろいろと御尽力はいただいていると思うんでございますが、昨日までの審議でもいろいろと問題で提示されたと思いますが、名古屋東京間にしても、いままで航空機というものはあれ一日十往復でございますか、あったわけですが、新幹線ができてからもうほとんどいま名古屋東京間飛行機を使う人はなくなっておる。そういうことから考えますと、今度の新幹線がさらに回数が多くなるか、あるいは総合的な新幹線網が進められているということになってくると、将来の大阪空港の利用率というものは、これは航空行政だけで考えられるものじゃなくって、もっと大きな総合的な視野から考えたならば、思い切った減便ができるのではないか。まあそこら辺のところも、わが党は騒音防止法について全面的に賛成できなかった。もっと大局的な見地から全国の運輸行政というものを考えてもらってやるべきじゃないかと。航空の需要を減らそうと思えば、もっともっと減らせるんじゃないかということなんでございますが、特にエアバスですね、いまあなたのほうは、大量輸送というものを、これは航空需要というものはもうこうだときめてかかって、だから大ぜいを一ぺんに運ばなければならないということで、この減便と引きかえにエアバスの乗り入れということがいま急に住民の前に突きつけられたようなかっこうになっておるわけでございますけどれも、その点どうなんですか、エアバスを大阪空港に入れることについては、私も実は飛行場部長さんにもうそのことでお願いに上がったこともあるわけですけどれも、これは住民は強く反対して心配しておりますでしょう。特にこの間の大きな事故などもございましたし、たいへんに住民が心配していることなんですが、エアバスが大阪空港に乗り入れをされるということについては地元住民の完全な了解を得た上で乗り入れをするように進めるということは、書面で運輸省のほうから住民代表のほうに提出されておりますね、書面がございますね。それは確認していられますね。まずそのことから伺います。
  35. 隅健三

    説明員隅健三君) エアバスを大阪に導入する件につきまして、確かにいまの輸送需要というものは相当根強いものがございまして、ロードファクターと申しますか、全部の便数当たりの、席数当たりの搭乗人数というのが相当高率を示していることは事実でございます。しかし、大阪空港における減便ということと、一方では航空輸送をどのようにしていくかという命題を総合交通体系の中に求めまして、やはり、低騒音であり輸送力のある大型機の導入というものを大阪空港に入れたらどうかということは前からも計画はしておりましたけどれも、これは佐々木秀世運輸大臣のとき、たしか佐々木先生がお見えになりまして、大型機の大阪導入については住民の理解がなければこれを強行しないということを佐々木運輸大臣が言明したことも、私は同席して存じております。  また、四十七年でございました。私のほうの飛行場部の騒音対策課長からいわゆる十一市協あてに、住民の御理解をいただいてエアバスを乗り入れたいというような書面を出したことも十分存じております。
  36. 佐々木静子

    佐々木静子君 もちろんその書面の内容どおりにこれからの住民の意向というものも、エアバス導入については住民の意向を尊重していただく、このことには全く変わりありませんですね。
  37. 隅健三

    説明員隅健三君) 私といたしましても強行乗り入れをするとか、御理解をいただかないでするということは考えておりませんけどれも、やはりエアバスの安全性あるいは低騒音ということについての御認識を何とかいただきたい。現在東京−沖繩間に日本航空はジャンボ川のSRという形のエアバスを入れております。全日空はロッキードの一〇一一トライスターという型の飛行機を入れております。四月からは千歳、福岡に投入する予定でございますけれども、やはりそういう音を聞いていただいて、そして御納得をいただく、そのために十一市協に御説明を申し上げましたし、十一市協の理事者、議会の皆さま方に何回も足を運びまして御理解をいただくということを考えております。
  38. 佐々木静子

    佐々木静子君 結局そして理解して住民が賛成すれば、その暁には乗り入れをする。しかし住民が、いわゆる住民ということを代表する十一市協が反対であれば、これは強引にやることはできない、やるつもりはないということでございますね。
  39. 隅健三

    説明員隅健三君) 大臣もこの点につきましては、やはり地域社会との調和が今後の飛行場運営、管理の上で非常に重要なファクターでございます、この点については、そこまでおかして強行をするということよりも、やはり誠意をもって御理解をいただくという努力を続けるべきであるというお考えでございます。
  40. 佐々木静子

    佐々木静子君 ぜひそのようにお願いしたいと思います。  それから環境庁にも伺いたいんですが、いま環境基準の話がございましたが、これは大阪府が厳格な環境基準というものを府議会できめている、そういうことは御承知のとおりでございますね。それから大阪空港の存在する豊中市におきましてもまた厳格な環境基準というものが定められている、そのことは御承知ですね。
  41. 山崎圭

    説明員山崎圭君) そういうことは承知しておりますけれども、いま詳細なものを持っておりません。
  42. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは運輸行政航空機を利用するということは、公共の福祉というふうに——今度の国の控訴の趣旨などは、私まだこの控訴内容はよくわかりませんけれども、これは公共の福祉という点に——公共性ということですね、公共性ということをたてに国が控訴してきていると思うんでございますけれども環境基準を守るということもこれは非常に大きな公共性を持っていることじゃないか。むしろそちらのほうが府民あるいは市民全部に及ぼす非常に大きな公共性あるいは公共の福祉を要請される事柄じゃないかと思うんですが、環境庁とするとその環境基準を優先して考えられるのか、飛行機を利用する人の便利を優先して考えられるのか、どちらを優先して考えておられますか。
  43. 山崎圭

    説明員山崎圭君) 環境庁の立場といたしましては、やはりそこの地域住民といいますか、それによって騒音等の被害が及ばないようにするという環境上の保全、これが最大の私ども行政上の目標であると考えております。
  44. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは法務省に伺いますけれども法務省のこの控訴の趣旨というものは、控訴の申し立てがあっただけで、そのうち書面をお出しになるので、控訴の理由というものはまだ訴訟手続上は明らかにされておらない段階じゃないかと私は思うのでございますが、どういう理由で控訴をされるのか、ちょっと口頭でお述べいただきたいと思います。
  45. 貞家克己

    政府委員貞家克己君) さきに御指摘のとおり、国の控訴控訴審での主張が固まりますのは若干まだ日数はかかろうかと存じます。目下細部につきましては検討中の段階でございますので確たることは申し上げられないのでございますが、控訴当時の私ども考え方といたしましては、先生御指摘のとおり、不法行為の成否について疑問がある。つまりこの判決は受忍限度の基準は明示はいたしておりませんが、その限度は、判決も示しておりますように、いろいろの事情、つまり侵害行為の態様と程度、侵害される利益の性質とその内容、あるいは侵害行為公共性の有無、さらには被害防止のための対策内容と、こういった事情、判決が出ておりますようにその他にもございますけれども、そういった各般の事情を総合して判断すべきものであると思うのでございますが、国といたしましては過去におきましても、騒音問題に対する社会の認識が高まるのに応じましてできる限りの対策を、しかも相当の国費を投じてそういう措置を講じてまいりましたし、大阪空港使用のための公共性がきわめて大きいということを考慮いたしますと、そのためのこれに対します対策が現在の目から見て必ずしも十分でないということが言えるといたしましても、直ちにこれをもって受認限度を越えるという判断はやはり再検討をしていただきたいという気持ちを持っておりますし、また差しとめ請求につきましても、この判決が、航空機空港を使用するのは、国つまり運輸大臣の公権力の作用である空港の供用行為に基礎を置くものであるということを前提といたしまして、そういう前提に立ちながら空港の供用の禁止ということを命じておりますが、これが行政庁たる運輸大臣の公権力の行使を義務づけることにならないかという法律上の疑問点もございます。そういった問題につきましてさらに上級審の判断を仰ぎたいというのが控訴を決定いたしました当時の私ども考え方でございます。もちろんこの考え方自体さらに検討して詰めをしなければならないと思っておりまして、目下鋭意検討中の段階でございます。
  46. 佐々木静子

    佐々木静子君 訴訟技術的にはいろいろ御検討なさるのはなんでございますけれども、これは先ほどの訟務部長の御答弁では、関係各庁のうちで法務省も重要なウエートを占めて控訴をするということを主張されたということであれば、やはりそのときにもっと基本的な点ですね、ここはこうだからこうだということぐらいは——鋭意検討中というのは私非常に無責任な御発言じゃないか。技術的にはいろいろとそれをどう持っていこうかというような訴訟技術の問題があると思うのですけれども、やはりこの点がこうだから法務省としては一歩も引けないとかいう御主張があったのならあったで、それを率直におっしゃっていただきたいと思います。
  47. 貞家克己

    政府委員貞家克己君) どの判決に対する態度の決定の場合でも共通の問題でございますけれども、明らかにこの判決にこういう誤解がある、間違いがあるという判決というものは非常に少ないわけでございまして、それぞれ非常に法理論上も事実認定上もむずかしい問題がございます。したがいまして、それを完全に短期間の間に、つまり控訴期間二週間でございますけれども、二週間内に完全に整理をするということは非常にむずかしいわけでございまして、なお将来の、控訴審にいってからの検討にゆだねるという分野がどうしても残ったままで一応の決断をせざるを得ないというのが通常でございまして、私どもは、まあ法務省といたましても各庁各省との協議の段階におきましても、それほど、これはこういうふうに間違っているから断じて控訴すべきだなどという明確な意見を申し上げるということはできなかったわけでございまして、いろいろ疑問点を私どもからも指摘いたし、関係庁からも事実上の問題について御意見を拝聴するということで、二週間の期限がございますので、控訴を決定したわけでございまして、その主張の内容につきましては、やはり今後十分に検討するとお答えせざるを得ないわけでございます。  なお、ついででございますが、先ほど私の勘違いから答弁を誤って申し上げましたので、修正をいたしておきたいと思います。これは実体についてそれほど大きな問題ではございませんけれども、この訴訟についての所管庁というお尋ねでございましたが、形式上の所管庁運輸省郵政省と申し上げましたが、郵政省というのは間違いでございます。所管庁運輸省だけでございます。したがって指定代理人、この訴訟におきます指定代理人は、法務省の職員と運輸省の職員が出ておりますので、さよう御承知おき願いたいと思います。
  48. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは単なる私人同士の訴訟であれば、控訴期間も満了するから、まあとりあえず控訴をしておいて、それからじっくり考えようかというようなことは、それはそれでいいと思うんですけれどもね。かりにも国でしょう。国が控訴をするということは、これはたいへんな問題ですね、それだけ。いままでこの判決を待ちわびて死んだ人も何人かあるわけだし、そして、これが十一という都市が中心となってこの判決を——これは思うとおりの判決ではなかったわけですけれども、とにもかくにもこの判決をかちとるということで総力をあげてやってきている。その間にはさまざまな困難があるわけですけれどもね。それを、ただ内容はぼつぼつ控訴してから考えたらいい、理屈をつければいい、とにもかくにも二週間しかないんだから国としたら控訴するんだ。私は非常に無責任なやり方だと思いますね。これは判決が出る前にも何回も、十一市協の人たち運輸省にも環境庁にも何回もおたずねして、そして判決が出たら、どういう判決であろうと、このことについてどういう行政をしていかれるかということについても何回も協議しておるわけで、私もその場に立ち会ったこともあるわけですけれども、まあそのとき法務省には行かなかったからそれがいかぬのだというわけでもあるまいと思いますけれども法務省はそこまで勇み足でがんばられるというふうには私ども考えておらなかったために、むろん運輸省との間でそういう話であれば、法務省がそうしゃにむに訴訟当事者の一方になり切ってしまうというようなあさはかなことはなさらないと思ったものですから、私どもとすると、非常に今度の控訴、あるいはいまの御答弁などから受ける法務省態度というものに対して、たいへんに無責任な感じを持つわけなんでございます。  それから、いま若干控訴の理由でお述べになりました、いろいろ事実認定についての法務省としたら納得できない点があるという意味のお話でしたが、事実認定はさておき、運輸省の中できめることに対して、この差しとめ請求というようなことは、司法機関でそういうことをきめるのはおかしいという趣旨の御答弁だったと思うんですが、これは三権分立の関係で、行政権権限に属することを司法機関の判決できめるのはおかしいと、そういう趣旨なんですか。ちょっとそこのところがはっきりしなかったわけですので、もう一度確認したいと思うこと。  それから、今度の判決で、環境権というものには非常に疑問を持つからと、判決内容で否定されておりますが、人格権というものはこの判決で認められておるわけですが、その点については、これは御答弁には全然出てこなかったので、人格権というもの自身の認定については、これは法務省としても当然だというふうに受けとめられておられるのか。そのあたりの御答弁をいただきたいと思います。
  49. 貞家克己

    政府委員貞家克己君) 先ほど申し上げました第二点は、これを抽象的に申し上げると、三権分立ということにも関係してこようかと思いますが、もし、公権力の行使に当たる運輸大臣の、本件につきましては、不作為ということになるかと思いますが、これが国家賠償法一条の、「公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えた」場合に当たるということになりますと、これは公権力の行使ということになるわけでありまして、そういった公権力の行使に当たる運輸大臣の作為を求めるということが許されるのかという疑問でございます。  第二点の人格権でございますが、この判決につきまして、内容にわたりまして論評をいたしますのは、今後控訴審において当然問題になることでございますし、なお検討を要する点もございますので、詳細は差し控えさしていただきたいと思いますが、一般に人格権ということばの意味内容というものは、必ずしもはっきりはいたしておらないわけでございまして、抽象的には判決の申しておりますような、個人の生命、自由、名誉、その他人間としての生活上の利益に対するいわれのない侵害行為は許されないという抽象的な文言は、まさにそのとおりであろうと思います。ただ、人格権ということばで何を内容に盛り、それからいかなる効果が生まれ出るのかという点については、これはいろいろ問題のあるところでございまして、抽象的に人格権を認めるということでは済まないわけでありまして、個々のケースによるのではないかというふうに思うわけでございまして、たとえばいわゆる日照権のリーディングケースであります最高裁の昭和四十七年六月二十七日の判決がございますが、これなどを見ましても、非常に注意深い表現を用いているわけでございまして、御紹介いたしますと、居宅の——これは住居でございますが、居宅の日照、通風というものは快適で健康な生活に必要な生活利益である、そして、そういった生活利益というものは法的な保護の対象にならないものではないと、したがって、被害者の受けた損害が社会生活上一般に認容するのを相当とする程度を越えるものであるというような事情があります場合には、加害者行為は社会観念上妥当な権利行使としての範囲を逸脱して不法行為責任を生ぜしめる、こういうような非常に、また注意深いと申しますか、いろいろな具体的な条件を加えているわけでありまして、人格権といえば直ちに、人格権を侵害したといえばストレートにそれが不法行為となり、あるいは差しとめ請求が肯定されるということにはならないと思うのでありまして、やはりその内容、いかなる利益がいかなる態様で侵害されたのかという点が問題になるわけでございまして、私どもといたしては、そういった個人の生活上の利益を人格権と呼ぶこと自体、これはあえて異を唱えるものではございませんけれども、その内容はまさに千差万別ではなかろうかと思うわけでございます。
  50. 佐々木静子

    佐々木静子君 人格権そのものの存在というものを一応肯定されている御答弁でございますので、それがどうなるかということについては、それはおっしゃるとおり、事案事案によって違うと思いますから、ともかく、そういう詳しい一つ一つの判例の検討などをいまここでやっている時間もありませんし、また人格権をかなりに肯定してその損害賠償を認めた判例というものも、私が申し上げるまでもなく幾つも出ているわけでございますので、これは法務省がいまの各行政庁の感覚と比べると、法務省が非常に半世紀ほどおくれておると。これは住民が全くそういう感覚で受けとめているわけでございますので、この訴訟当事者としてのお立場はわかりますから、それはおっしゃるとおりでございますと、訟務部長の立場とすると言ってしまうわけにはいかぬというごとはわかりますけれども、やはり国なんですから、これが訴訟当事者一つになってしまうと、これは住民の側から見ると、法務省だけまだ明治時代だというふうな批判を受けても、これは弁解の余地がないと思うんです。特にこの四大公害訴訟ですね、イタイイタイ病にしても、熊本水俣にしても、新潟水俣病にしても、これは判決が、一審判決が出るより前に厚生省のほうから企業に対して控訴をするなと、これは住民のために控訴をするなという勧告があったわけなんですよね。大企業に対しては、国はそのような姿勢で、住民サイドでという行政措置をやっておきながら、かりにこれが国となった場合には、これは国民がどう苦しんでもいい、国のメンツを立てなければいけない、もしそういう感覚があるとすれば——もしというよりも、私はそれだと思ってるんです。そうだとすれば、これは私大いに反省していただかなければならないと思います。  企業が訴訟をやるのは企業の費用でやるんです。でも、国の訴訟国民の税金でやっているんです。いま苦しめられてこのために病気になったり死んだりしたりした人たちからも税金を取り立てて、それで国は訴訟をやってるんですね。やはり国という立場に立って、もうちょっと大乗的な立場で考えていただきたい。事実、この判決が出てから、一審判決の線に沿うようにほとんど、一〇〇%とは言えませんけれども、それに近いように運輸省行政を切りかえているわけなんです。環境庁にしてもそのように努力していただいている。法務省ひとりが、いや何だかんだと理屈を立てて、この判決はおかしいんだ、航空機の利用という公共性を無視しているというふうに、住民よりも航空利用の公共性を力説している。まあ何だかんだと理屈をつけて、いま運輸大臣一つの作為を求めるようなことは訴訟上許されないんだ、訴訟では許されないんだというようなことをもういまになって言っている。これは何年間か、四十何年ですかね、四十四年ぐらいから続いている訴訟だと思いますけれども、もしそれを主張されるならば、訴訟が起こされたこれはもう一番前提になることですから、その段階で国は主張すべきだったと思うんです。それを全然主張しないで、いよいよ結審だというまぎわになってそういう主張をされて、そして国が全面勝訴というわけにはいっておらない。しかしまあ実質的には国にとって、住民から見ると非常に国のほうの肩を持った判決という批判が出ているわけですけれども、それにもかかわらず、今度の控訴審を有利に持っていくためにか、このごろになってにわかに行政庁の作為を認めるようなことは司法機関では許されないのだとか、何だかんだと言っていらっしゃる。そのあたり、これは法務省がおっしゃっても、にわかに法務省が全く国という大きな立場からの御発言というふうに住民は受け取るわけにはいかないわけです。たいへんにためにする一つの方便というふうにしか受け取れない。これでは法務省国民から信頼されないと思います。運輸省のほうがまだましだ、環境庁のほうがまだいいというのがみんなの声でございまして、もうこの法務省だけは、これはたいへんな役所だというのが、この被害住民の受けている率直な意見なんでございます。もうそのとおり言えばもっともっとひどいことばになりますけれども、それが議事録に残ると法務省に対して気の毒だと思いますので、私、そのとおりは言いませんけれども、そういう批判を受けているわけでございます。そういう点について法務大臣、これから先の法務行政についてどのようにお考えでございますか。
  51. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 法務省としましては、いわば一種の訴訟代理人のような立場でございますから、本体であるそれぞれの機関が控訴なら控訴ということの方針がきまりますと、控訴審におけるどういう主張をすべきかということは、さらにあらためて検討して善処しなきゃいけないんじゃないかと、こういうように考えております。したがって、法務省独自でかってな理論をまくわけでもありませんので、どうかその点は、国の訴訟代理の立場で検討してまいるということでございますので御了承願いたいと思います。
  52. 佐々木静子

    佐々木静子君 私の伺いました趣旨は、国が単なる訴訟当事者になったのではいけないということを伺っているわけなんです。そうすると、法務大臣の御答弁は、国は単なる訴訟当事者でいいのだと、訴訟に勝つために法務省はどういうふうな努力をしてもいいのだ、これでは国の一方の当事者だけですね。私人間の訴訟と同じことですね。そういうことであっては法務省とすればいけないのじゃないかというふうに私は述べているわけですが、法務大臣とすると、それでいいんだという御答弁ですか。
  53. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それもお説のとおりで、国の立場でございますから、一般民間の訴訟代理人とは全く違います。したがって、国家的の立場でいかなる方面にも通用する理論をひっさげて立たなければならないと、こう思っております。
  54. 佐々木静子

    佐々木静子君 結局、私の申し上げておりますのは、この航空需要が公共性の非常に強いものだというふうなものがいままでの国の主張なんです。そうしてその住民百七十万おるわけですけれども、いま被害を受けている住民、十一都市のその人たちの健康破壊、あるいは環境破壊よりも、やはり航空需要のほうが大事なのだ。まあ航空需要といいましても、新幹線網が発達すれば、いま言ったように、航空需要というものは一ぺんに減るわけなんですが、結局その航空会社がもうかるということにつながっていくと思いますので、ですから、国が航空需要ということにばかりウェートを置くということは、日航とかあるいは全日空というような大企業がもうけることに奉仕することにのみ重点を置いて、その陰に多くの住民生活を破壊されている、そういうことで訴訟が起こっているわけでございますからね。国が国という立場で、国の訴訟代理という立場だけに固執するならば、国民の目から見れば、法務省は大企業にのみ奉仕する役所だというふうになってしまうわけなんです。ですから、そのあたりをとくとお考えいただきたいわけなんです。厚生省が必ずしもいいというわけじゃありませんけれども、熊本水俣の場合でも、判決が出る前に厚生省がチッソに話をして、控訴をしないという確約を取ったわけです。これは住民のために控訴をすべきでないという話だったわけなんです。同じく法務省にしてみても国の行政官庁の一つだと思うわけですね。やはりその航空需要ということも大事かしれませんが、百七十万という住民生活ということも、これは特に人権を担当するのは法務省なんですから、もう少し大きな目でお考えいただかないと、これは法務省は何をしているかということになってしまうんじゃないか。私はそれを心配して申し上げているわけでございますが、その件について大臣はどのようにお考えになりますか。
  55. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それらのかね合いは非常にむずかしいところで、大企業に奉仕するとかなんとかいうことじゃなくて、むしろ飛行機を利用するお客さんというものの全体あるいはその被害をこうむる方々、これらとのかね合いというものが最も大事なことで、ある程度はがまんしていただかなけりゃなりませんし、そうかといって限度なしにがまんをしていただくということはこれはあり得えないことで、やはりそこにはそれだけの問題がありましょうし、これらのかね合いが要するに問題であろうと思います。先般の判決にいたしましても、私ども常識的に考えておりましたが、もし原告側控訴しなかったらどういうことになったか、私はまた別途の結論が出ていたかと思うのです。訴訟というものは一方だけの訴訟じゃありませんので、一方の当事者控訴をして争って、自分の有利な、最も有利な主張をされる場合に、相手方がそれに対するいろいろな論争も必要でございますから、そういうようなことで、私はこの間の控訴を、関係省の協議には出ておりませんで、訟務部長が主として出ておりまして、報告だけ聞いておったのですが、原告側控訴というものが、こちらもひとつ控訴して争いになっている点をもっと明確に控訴審でしてもらおうじゃないかということになった大きなファクターになっているだろうと思うのです、結果はわかりませんけれども。そういうようなことで、原告側控訴しておる事件でございますから、こちらも控訴をして、今後とも判決を通して論争点を明確にしていきたいというような心理作用が動いておったんではないかというように想像いたしております。いずれにいたしましても、もう双方とも、原告、被告とも控訴しておるんでございますから、これからの論点をどういうことにするかが問題であろうと思います。できるだけ佐々木委員の御指摘のとおりに、まあ国と——法務省は国の代表でございますから、国のという立場に立って、一個人ではありませんので、そういう高い角度に立って今後の論争点等もきめて、あやまちのないようにやっていきたいと、かように思っております。
  56. 佐々木静子

    佐々木静子君 最後に、当事者住民のほうは控訴したから、原告のほうが控訴したからということでございますが、これは付帯控訴じゃないんです。国は独立して控訴しているわけで、それも非常に原告弁護団から見るとたいへんに遺憾なことだと、こちらが控訴したからというのであればせいぜい国とすると付帯控訴ぐらいにとどめるべき事柄じゃないかということなんです。それから、実は昨日午後原告弁護団と日本航空との間でいろいろ交渉があったわけでございまして、日本航空ははっきりと公害事件における加害企業であるということを日本航空自身はっきりとそういうふうに認め、そういう態度で交渉に臨んでいるわけなんです。その加害企業、これは全日空にしても同様なんです、きのうは日本航空との話し合いだったんですが。その加害企業のために国が一生懸命に国民の税金を取り立てて訴訟をやるということ自体、これは大臣の御説明ではございますけれども、これは一般の国民は納得できないと思います。  それから、事実上いま控訴審の訴訟をどうするかという話がございましたが、実際上判決内容に近い線にもう運輸行政は変わってきつつあるわけなんです。そうなっても、国ひとりだけが浮き上がって控訴を続けるおつもりなんですか。どうなんですか。事実上、もう判決どおりの運輸行政が行なわれるようになってきても、法務省だけひとり半世紀前の姿勢でそういう訴訟をお続けになるおつもりなんですか。いまからでも——いま所管が運輸省と言われたけれども運輸省がもうこれでけっこうだ、このように運輸行政が切りかわったということで話がつけば、これは控訴を取り下げるというようなこともお考えないですか。運輸省が取り下げるといっても、法務省は取り下げずにやられるおつもりなんですか。そこのところちょっと伺いたいと思います。
  57. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) そんなことにはならないと思います。これはこれからの成り行きにもよりますが、まあ国のほうとしましても、判決の趣旨にももっともな点もありまするし、航空機騒音の防止については全力を尽くそうということで法律まで制定し、そして新たに機構もできまして、機構の大体人事等もきまってきて、すみやかにこの航空機等の騒音の防止について全力を注いでやろうというようなことになってきました。まあ騒音防止対策も樹立して住民もこれでけっこうだということになってくれば、もうそれでも争う必要もありませんし、ですから、これからの成り行き次第で運輸省がもうこれ以上、やることはやりましたから、争う必要はないということになれば別でございます。法務省だけが訴訟をするということは絶対にあり得ない。これは各省庁とも協議をいたしまして万事進んでいく事柄でございます。
  58. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは、ともかく早く判決を確定させて、この住民が、ただでさえ航空公害で困っている住民がさらに裁判闘争というものと取り組んで二重の苦しみにあえいでいるという事態を早く終止符を打つように、これは法務省としても十分お考えいただきたい。そのことによって国民法務省に対する信頼というものもまた回復できるのじゃないかと思います。これはあとから大臣も御承知のとおり裁判所職員定員法の審議がありますけれども、こんなつまらない訴訟を国がどんどんやっている限り、裁判官や職員幾らふやしたって足らないのです。やはりもっとほんとうに国益に、国民のためになることで貴重な裁判官とか裁判所職員を使っていただくように、これは法務大臣としても、一方でこんなつまらぬ訴訟をどんどんやって、それでいてこの一方で裁判所職員定員法のどうのこうのというのじゃ全く相矛盾していると思いますのでね、やはりつまらない訴訟は早く打ち切っていただきたい。そういう意味で早く——いまの御答弁のように、運輸行政がこの判決内容どおりの運輸行政に変わった場合には、これは法務省としてもつまらないえこじはやめて早く訴訟を打ち切るように努力していただきたいということを特にお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 原田立

    原田立君 刑務所の移転問題でお伺いしたいと思います。  まず実は鹿児島の刑務所の移転問題でお伺いしたいと思うのですが、その前に、現在刑務所が都市の中心部にあっていわゆる都市計画上移転を強く要請されている、そういうようなのは現在全国に何カ所ぐらいあるのか、それからまた、それに対して現在移転が促進されているのかどうか、現状の御報告をお願いしたい。
  60. 長島敦

    政府委員(長島敦君) 先生御指摘のように、ただいま各市で都市化現象が進んでおりまして、そういう意味から移転要請が出ておる庁が相当ございます。それらの庁の概数はただいま約三十五ヵ庁程度でございますが、このうちの約九ヵ庁はすでに話がつきましたと申しますか、移転地もきまりまして移転計画に入っておるのが九ヵ庁ございまして、したがいまして、残りの庁が二十六ヵ庁ほどでございますけれども、これてについは、ただいまその候補地の提示がございました分につきましてはその候補地の適否その他の問題をめぐって折衝を続けておりますし、まだその提起がございませんようなところにつきましては今後の御協力をいただくようにお願いを申し上げております。で、鹿児島刑務所につきましてはすでに候補地の提起がございまして、これについて折衝中の段階でございます。  で、一般にこの移転の考え方でございますけれども、一方では、その現地から御要望がございました場合に、御要望がどういう理由に基づくのか、その理由が地域の発展のためにどうしても必要だというような理由がございますかどうかという点が一方にございます。一方では今度移る側の私どものほうのまた要件がございまして、御承知のように刑務所の場合は収容者がございますので、収容者の教育ということもございます。あるいは病気にかかったような場合に、急病の場合、重病ですと近所のお医者さんへ移送して入院させるわけでございますけれども、あまり遠くなりまして適当な病院が近所にないというような場合には生命にもかかわってまいります。それから外部からいろいろな協力を、まあ教戒師さんとか特殊面接員の方とかあるいは地域社会の協力を得ておりますが、あまり遠くなりますとそういう点も得にくい点もございます。さらに収容者の面会に来られる方等がございますが、そういう点の便宜もある程度考えなきゃならぬ。それから職員の問題がございまして、刑務所の職員は義務的に刑務所のそばへ住居を持たなければならないということでございますので、あまり刑務所が離れてひどいいなかに参りますと、職員の家族の生活、子供の通学、いろいろな支障が出てまいります。で、これがまあ私どものほうの要件でございます。そういったいろいろな要件がございまして、両方の何と申しますか要請がうまくかみ合いますようにいろいろとお話し合いを続けまして、何とか御協力できるという条件になりますれば前向きに御協力を申し上げて、先ほど申し上げましたように、現在九ヵ庁についてはすでにこの決定をし、改築等に入っておる状況でございます。  大体の概況はそのようでございます。
  61. 原田立

    原田立君 鹿児島刑務所は私現地を見てきましたけれども、明治十一年あたりにつくられたものだという、まあつくられた当時は野っ原のように写真で見てきました。ところが、もう現在は町の中心部であって、あれじゃほんとうに困るだろうなというふうなことを実感として聞いてきたわけでありますけれども、雨漏りも非常にひどいようだし、早く改築したいということを所長は言っておりました。なるほどそうであろうということで、帰りに鹿児島市役所に寄って、某助役とも会っていろいろ懇談してきたわけでありますけれども、何か法務省のほうとしていろいろ陳情をしているけれども、非常にきつい態度でどうも話が前に進まないのだということを言っておりました。そんなことはあるまいということで言ってはおきましたけれども、この鹿児島刑務所の候補地の選定問題について、何か特にその隘路になるような問題点があるんですか。その点はいかがですか。
  62. 長島敦

    政府委員(長島敦君) この現在の候補地が提示されますまでにはいろんないきさつがございました。それは抜きにいたしまして、現在の候補地につきまして、私どものほうからいろいろ御要望申し上げておる点がございますが、これらについてもいろいろと話し合いを続けてまいりました結果、おおむね原則的に方向は一致してきておるわけでございます。ただ、いま残っております一つの難点は、この現在提起されております候補地がシラスと申しますか、何かあちら独特の火山灰地だそうでございますので、そこへ建てました場合に、これが崩壊したらたいへんなことに実はなりますので、そこで、その台地の整備につきましてどのような御計画で、どのように安全な工法と申しますか、敷地ができるのか、そこの具体的なことをお教えいただきたいと。それから、それに要する経費がかなりかかるかとも思いますが、その経費の見積もりがどういうことになるのだろうかということを一つ申しておるわけでございます。この具体的なシラス地区の造成計画が出てまいりますれば、専門技術的に、また私ども営繕課のほうで専門家を頼みまして検討して、それで安全かどうかを確認いたしませんと、実は簡単にそこがきめられない非常に大きな問題点だというふうに考えております。あとは刑務所の新しい敷地へ道がございませんので、その道路を引き入れるというような問題がございまして、これについても原則的な御了解は得ておるわけでございますけれども、具体的にどういうかっこうで、どういうふうにおつけいただけるのか、その点をお教えいただきたいということを申しておりまして、この二点について具体的な御解答がございまして、私どものほうで技術的にも検討いたしまして、あるいは予算的にも三問題がからみますので検討いたしまして、支障がないということになれば話し合いが進むというふうに考えております。
  63. 原田立

    原田立君 そうすると敷地造成の工法について、あるいは道路の引き入れについて二つが具体的に解答されれば話は前進すると、こういうふうな局長のお話なんだけれども、鹿児島でちょっと聞いた話では、何かそれ以外に鹿児島市議会でまず議決をしろと、それが一つ。それからもう一つは、付近住民の承諾書をとれと、それが提示されなければ検討にも入らぬと、また、その付近住民の承諾書や地方自治団体の会議の議決、それを持ってきたら、じゃ、やってくれるんですかと言ったら、それは違うんだと、そこから検討を始めるんだというような返事で実は困っているんですと、こういうような話があったんです。そういうことがあったんですか。
  64. 長島敦

    政府委員(長島敦君) 実は内部をいろいろ調べましたが、さような事実は私の耳には入っておりません。なかったというふうに聞いております。おそらく御指摘の点は、話がもう少し先の段階まで進みまして、いよいよこれでもって特別会計にのせていくとかいうような正式のルートにのります段階、その段階になりますとやはり一応、地域住民の方の反対がないということがありませんとのっていかないものでございますから、その段階ではそういう問題が必要になると思っております。  それから議会の議決といいますのは、おそらくいまの土地がシラス地区でございますので、そこが崩壊するというようなことがあった場合に損害をどうするかというような問題で御協力をいただきたいという趣旨であったというふうに理解しておりますけれども、この点も実は工法の問題とからみまして、完全な施工方法ができて、そういうことがないということが出てまいりますれば、また問題のないことでございます。いずれにしても、現段階でそういうことがなければ先へ進まないという問題ではないというふうに私考えております。
  65. 原田立

    原田立君 付近住民の承諾書をとって、それから検討が加えられるのだと、こういうことは、じゃ間違いですね。
  66. 長島敦

    政府委員(長島敦君) はい、それはそうではございませんで、最終段階にまいりまして、特別会計がきまりましてから反対が起こってきて、またこれがくずれるというようなことになると困るものでございますから、最終段階になりますと、またそういう点もお願いすることになるわけでございますけれども、現段階ではそういうことはございませんので。
  67. 原田立

    原田立君 いやいや、ぼくが聞きたいのはそういうようなことが手当てされてそれで心配が要らないと、こうなったらば移転はけっこうでございますと、こういう返事が法務省のほうから出てしかるべきではないのかと、こう言っているわけなんです。その点はどうですか。
  68. 長島敦

    政府委員(長島敦君) 仰せのとおりと考えます。
  69. 原田立

    原田立君 私も実は向こうへ行って聞いていて、そんなばかな話はなかろうがというふうには言ってはおきましたけれども、現実のあの鹿児島市内におけるいわゆる刑務所、鹿児島刑務所はとにかく市の中心ですから、これはやっぱり早く移転をしたほうがしかるべきだと思う。あれをおそらく移転しないで、もし現地改築なんていうようなことになれば、やっぱり大きな社会問題になるのじゃないかと、付近住民人たちにとっても大きい問題だろうとぼくは思う。どうかひとつそういうような面でお互い誠意ある交渉をしてもらって、きちっとしたものができ上がるように強く要望しておきたい。福岡の藤崎にあった刑務所が宇美のほうに移転して、たいへんりっぱなものができ上がってよかったなというふうに関係者の一人として喜こんでおるわけです。おそらくそういうふうに、鹿児島のほうもなってしかるべきだろうと、こういうふうに思いますので、話がこじれないように、前進せしめるようにしていってもらいたい。それでは局長のお考えと大臣のお考えをまず最終的にお伺いして、この問題についての質問は終わりにしたいと思います。
  70. 長島敦

    政府委員(長島敦君) ただいまお話を承りまして、何か多少現地で行き違いがあったような印象を受けたのでございますが、十分に相互に了解をしまして、現地のまた市からも十分に御協力をいただきまして、力を合わせて前向きに理解を持ちながら進めたいというふうに思います。先生にもどうかよろしく御支援をいただきたいと存じます。
  71. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まことにごもっともなお説で、私は現場を見ておりませんけれども、大体、想像ができる気がいたします。できるだけ誠意をもって——どうも出先がいるものですから誤解を生ずるようなことがあるかもしれませんけれど、法務省といたしましては、できるだけ誠意をもって早く実現のできまするように、最善を尽くしたいと、かように思います。
  72. 内田善利

    ○理事(内田善利君) 速記とめてください。   〔速記中止〕
  73. 内田善利

    ○理事(内田善利君) 速記起こして。  委員の異動について御報告いたします。  小枝一雄君が委員辞任され、その補欠として稲嶺一郎君が選任されました。     —————————————
  74. 内田善利

    ○理事(内田善利君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  75. 原田立

    原田立君 過日、春日委員並びに佐々木委員より質問がありまして、私も大体同じような質問になってしまうと思うのでありますが、重複の点もあろうと思いますが、きちっと御回答を願いたいと思います。  一番最初に、まず裁判所の速記官のことについてお伺いしたいのでありますが、過日の春日委員質問に対し、速記官は現在定員が九百三十五一人、実人員は七百九十人、現在不足が百四十五人おりますと、こういうふうな話があったんでありますけれども、それは間違いありませんか。
  76. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) そのときは大体の数字を申し上げましたので、今回お届けいたしました資料にあるとおり、速記官の現在員は七百七十九名、欠員百五十六と、こういうことでございます。
  77. 原田立

    原田立君 この百人以上もこえて欠員になっている状態は何年ぐらい続いているのですか。
  78. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 詳しいことはただいま資料が手元にありませんが、ここ数年来そのような状況が続いているというふうに承知しております。
  79. 原田立

    原田立君 この数年ということなのか、それとも長期にわたってなのか。数年ならば、不可抗力でこうなったんだと、こういうふうな説明は理解できるわけなんですけれども、何かやっっぱり取り組み方の姿勢の問題でだんだんだんだんこう漸増してきて現在百五十何名になっちゃたんだというのだと、実は問題なわけですね。何か詳しい資料はないというお話だそうだけれども、速記官の、速記の人たちの白書ですか、あれなんかを——皆さん方のほうから出ている資料ではありませんけれども、これによると、もう昭和三十一年あたりからまるっきり欠員なんですな、これ。となると、これは数年の間ということにはならないのではないでしょうか。
  80. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 数年と申し上げましたのは、ここ二、三年ということではなくて、相当長期にわたっている欠員であろうと思います。
  81. 原田立

    原田立君 そういう長期にわたってという意味だというなら、それで理解しますけれども、それで、不足になるような養成のしかたではなくて、もっとむしろ余るぐらいの計画というものは立てられないものですか。
  82. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) これは裁判所における速記の特殊性でございまして、御承知のように、国会等における速記のように手で書くという速記ではございませんで、ソクタイプとわれわれ申しておりますが、これはアメリカの法廷等で使われておるわけで、結局タイプみたいな機械がありまして、そのキーを打つという、そうしたことで結局符号で打つということです。したがいまして、これは耳で聞いてそれを直ちに符号に頭の中で翻訳し、それで直ちにそのキーを打つということになりますので、非常に神経を使うと申しますか、反射神経が必要だというようなことで、そのための適性というものが必要なわけでございますが、これは単にだれでもそういう適性を持っているということではございませんので、たとえば学校の成績がいいから直ちにそうしたソクタイプを打つという適性があるというわけにもまいりませんので、そうした適性の点でなかなか人が得がたいという点に問題があるわけでございまして、速記官になりたいという方はかなりあるわけでございますが、いろいろそうした適性検査等を行ないますと、その間に、適性がないということで、はずれていく方もございまして、結局速記官に実際になられる方というのは、そう多くは、大幅に得られない、こういう状況でございます。
  83. 原田立

    原田立君 私、しろうとだからあれだけれども、たとえば、三百人養成したと、そのうち三分の一の百人が合格者であったというと確率は三対一ですよね。しからば、四百人養成したならば、それが百二十人に、百三十人になりはしないのか、あるいは六百人養成したなら二百人になりはしないのかと、こう思うんですよ。ただ、確かに適格者であるかないか、能力の問題でいろいろあると思うんですよ、私もそれは認めるけれども。だけれども、こんなに欠員ばっかりずっと続いているようなのでは、こんなことを言っていたのじゃ、要するに職員の労務過重におちいってしまうのじゃないか。全然それじゃ解決の方策にはなっていない。ですから、不足になるような養成のしかたじゃなくて、むしろ余るような養成のしかたをしたらどうなんだと、要するに速記官の養成を、現在何人ですかワクは、それを太らかしていくような計画は考えてしかるべきじゃないでしょうか。
  84. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) この点も、確かに御指摘のように、大幅に養成すると、そのうち、かりに適性がないということであっても相当な歩どまりが出るのではないかという御指摘、もっともだと思うわけでございますが、しかし、この速記官になる対象、なられる方というのは、どうしても若い人ということになりますので、年齢的にも現在二十三歳程度に限っておりまして、高等学校を出て、それで二十三歳までの方というふうに限定しておりますので、そうした観点でも、希望者というのがそう大幅に一挙に何千人もというわけにもまいらないという状況もございます。ずっと前でございますが、やはり千人ぐらい希望者がありまして、結局そうした試験等やって、また研修所に入所した、しかし結局には五十名前後しか適性者が得られなかった、こういうような状況もございまして、確かに先生おっしゃるように、広く募集しまして、だれでもかれでも応募できるようにいたしましても、実際速記官として養成し得る、最終的に速記官になれる方というのは、どうしてもいろいろな観点から数としては限定せざるを得ないことだろうと思うわけでございます。しかし、もろとも先生御指摘のように、なるべく広い範囲で募集いたしまして、その上でそれを養成し、できるだけ歩どまりを多くするというような努力は今後ともいたさなければならないというふうに考えております。
  85. 原田立

    原田立君 四十八年、四十七年、四十六年、三年ぐらいでけっこうですけれども、それに受験——速記官の登用試験を受けたのは何人で合格したのは何人なんですか。
  86. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) ごく最近のところで四十八年度でございますが、応募した人員は百三十七名でございます。これも先般来いろいろここでお話がありましたように、現在では内部の職員から募集しておりますので百三十七人、それから四十七年度も大体同じくらいで、四十六年が百二十、大体ここ数年のところ百二、三十名の応募者がいるわけでございます。これに対していろいろ試験をいたしまして、最終的に入所する人員は四十八年で二十六名、四十七年で三十一名、四十六年も大体同じぐらいと、こういうようなことでございまして、こうして見ますと、百二十名で三十名前後ということ、百二、三十名の応募者があって大体養成部に入るのが二、三十名と、こういう状況でございます。
  87. 原田立

    原田立君 こんなに少ないものですかね。いま聞いて実はびっくりしているんですけれども、現実に百五十六人速記官が不足しているというのは先ほどお伺いしたのですけれども、それを埋めるにしては、毎年百三十七人とか百二十人ぐらい、そのぐらい応募する養成計画をやっていてこの百五十六人の欠員ほんとうに埋まるんですか。ちょっと私しろうと判断しても、あれは永久に埋まらないんじゃないかというような気がするんですけれどもね。それじゃ四十九年度はまた新たに採用していくんだろうと思うんですけれども、四十九年度は一体どんな考え方をしているんですか。
  88. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 四十九年と申しますのは、昨年の四十八年に募集いたしまして現在試験を行なっているという段階でございますが、その人員も大体例年と変わりありませんで、百三十八名の応募者があるという状況でございます。
  89. 原田立

    原田立君 これは人事局長のほうが担当なんだろうと思うんですけれども、田宮さんは総務局だから関係はあるんだろうと思ってこれ聞いているんだけれども、本気になって速記官を、穴を埋める熱意があるんですか。いまのままでいったら永久に穴は埋まらないと思うんですがね、総長どうですか。
  90. 安村和雄

    最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 先日人事局長からお答えいたしましたように、何とかして速記制度を充実させたいということで努力しているわけでございますけれども、反訳に十一倍ぐらいの時間が速記したのについてかかるという点もありますので、そういう点も含めて速記制度を根本的に検討しなくちゃならない段階に来ているんじゃないだろうかと、これが何といたしましても原田委員が御指摘になってもどかしく思われるような現象の一つの原因かとも思います。これは私どもそういうことだけで済まされるわけでございませんので、鋭意検討いたしまして、御指摘の点の改善に努力をしたいと思います。
  91. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) このような状況では永久に埋まらないのではないかという御指摘でございますが、先日人事局長からも説明がありましたように、速記官の場合にはわりと退職者が少のうございますので、その差だけは逐次わずか——まあ全体の面からいえばわずかということになると思いますけれども、まあ逐次最近においてはふえつつあると、こういうことは言えると思います。
  92. 原田立

    原田立君 総務局長、そんなこと言わぬほうがいいですよ。というのは、二十六人とか三十一人ぐらいしか合格者がいないわけなんですから。全国の裁判所なんですからね、二十人や三十人、四十人ぐらいやめる人はいますよ。そうなれば永久に埋まりゃしません、これは。まあ、そこら辺がたがた言ってもしょうがないでしょう。総長、鋭意充実するように努力すると言うけれども、十年も二十年もたって充実したって話にならないですよ。近々二、三年のうちに充実するような方策はもうすでに立っているんですか、それとも近いうちに公表できるような計画というのはいまやっているのかどうか、その点はどうですか。
  93. 安村和雄

    最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 目下事務総局で検討を一生懸命やっているという段階でございますので、なるべく早い時期に御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  94. 原田立

    原田立君 速記官になると、給与の面についてほかの人たちから見れば号俸の進み方がおそいというようなことがあるんですか。
  95. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 総体的に申し上げますと、速記官になった場合には、最初のころは書記官、同年配の書記官、事務官等に比べてはるかに待遇はよろしいわけでございますが、ある程度年次がたちますと同年配の方が、書記官の場合には主任書記官になられるというふうな関係もございまして、ある程度の年数以上になりますと、速記官のほうが同年配の方より若干待遇が低くなるという状況はあるようでございます。最初のころは非常によろしいのでございまして、たとえば高等学校を卒業して直ちに裁判所に入り、それから一年ぐらいして書記官研修所に入るというふうな形をとりますと、三年六カ月ぐらいで一番早く書記官補になるわけでございます。この場合には六等級の一号ということになります。同じく高等学校を出て事務官になった場合には八等級の六ということで、かなりの差があると、こういう状況でございます。
  96. 原田立

    原田立君 非常に神経を使う仕事でもあるし、特殊技能者でもあるんだし、そういう面でいったらばむしろ一般よりもその待遇等がよくあってしかるべきじゃないのかと、まあ常識的のものとして、見方として、考え方として。それが苦労はさせられたけれども、だんだん年数たってくるとほかの楽をしている人たちよりもずっと下回るんだなんというんじゃ、ちょっと意味がおかしくなってくると思うんですが、基本的に待遇改善等で何か考えがあるんですか。
  97. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) ただいま先生御指摘のとおり、ごもっともな点でございまして、もともと先ほど申しましたように、たとえば高等学校を出て三年半ぐらいたった方の場合にはそのように差があるわけでございます。結局、一般の同年配の者よりも一三〇ないし五〇%ぐらい高い待遇を最初のころは受けるわけでございます。これはもう当然、ただいま御指摘のように、高度の技能職というようなことで、そういうふうな扱いがされておる。ただ、だんだん年配になってきますとどうしてそういう差がつくのかということになりますが、この点は、この前も人事局長から説明がありましたように、実は速記官については主任速記官とか、それから次席速記官、主席速記官といったような、書記官と同じようなそうした職制と申しますか、そういうものが現在確立していないというような点から、そうした待遇をしたくてもできないという状況にあるわけでございまして、こうした職制の確立というものについては、鋭意早急に検討をしなければならない、そういうふうに考えておりますので、そういうふうな方向の打開の道ができますならば、ただいま御指摘のように、一般のほかの職員よりもそうした技能に相当したところの処遇ができるということになろうかと思います。その点については目下早急に検討しなければならないと、こういうふうに考えております。
  98. 原田立

    原田立君 この内部からのみ採っているという、応募をさせているという話なんですけれども、これ外部から応募させられないんですか。それからまた、たとえば二年間の講習をやると、そして不適格者——合格した者は採用するけれども、そうでない者はまたもとの職場に戻すんだと、内部の場合はね。そうすると外部から応募した者については、合格しなかったらまたちょんだと、首が切られると、こういうふうな形になるだろうと思うんだけれど、そこら辺の是正もはかって、まあ本人が速記官になるのが夢であって、そしてそれがなれなかったらばもう自分はやめるというのはこれは話は別だろうと思う。だけれど、そうじゃなくて、どうしてもつとめたいというような人等については別途考慮して、また就職できるような、奉職できるような、そういうふうにしたならば、外部からも応募せしめるということもできるんじゃないだろうか、こんなふうに思うんですけれども、内部からだけの応募というのではなくて外部からも採用するという方向にいくべきじゃないだろうかと、こう思いますが、どうですか。
  99. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先生御指摘のように、外部から採りますと、本人は速記官になろうということで高等学校を出て直ちに裁判所に入った、途中で適性がないから、そこでもって出されるということでは、非常に本人にとって気の毒だというふうなこともございまして、外部採用ということでなくて、現在内部採用をやっておるのでございます。また、外部から採りました場合でも、やり方によれば、もちろん本人が速記官でなくてもよろしいと、事務官であっても裁判所の職員としてとどまりたいということであれば、裁判所のほうとしてはいろいろの場所を考えるということは当然だろうと思うわけでございます。ただ、やはりそういう場合にはどこの庁に本人を配属するかという問題が当然伴いますので、現にいま欠員があるというようなところでないと、本人を勤務させるというわけにいきませんので、実際問題といたしまして本人の希望するところの裁判所に勤務できないというふうな状況もあるのではないか。日本全国どこでもあいているところがあれば、そこに就職したいという方はもちろんあると思いますが、反面、そうした任地等の関係でどうしてもやめざるを得なくなるといったようなことも起こるのではないかというようなことで、外部採用ということについてなかなか踏み切れない面があるのでございますが、先生御指摘のように、先ほど来、内部から募集していたんではもう百年待ってもこれは埋まらないのではないかという御指摘もございますし、この辺で外部採用の点について十分検討すべき段階ではないか。で、外部採用した場合に、先ほど申しましたようないろいろの隘路が生じた場合であって、裁判所が誠意をもってそうした再就職のあっせんその他について努力するということによって、何らかの解決方法も考えられるのではないか、そういった面もあわせて至急検討すべき段階であろうというふうに考えております。
  100. 原田立

    原田立君 次に、法案のほうに入るんですが、判事及び判事補。判事が三十五人ですか、それから判事補が七人、簡裁の判事が三十人、合計七十二名欠員になっているようでありますが、この補充計画は一体どういうふうにするのですか。
  101. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 裁判官の欠員状況は、ただいま御指摘がありましたように、参考資料として配付してございますこの参考資料の表の第一表にございますように、昨年の十二月一日現在で合計七十二名の欠員があるわけでございます。これは十二月一日現在でございますので、現段階におきますと、さらに退職、転官等で欠員がふえておる、正確には数字は現在のところ把握しておりませんが、これよりも若干上回っておるものと思います。  判事の欠員でございますが、判事の補充源といたしましては、現在の状況では主として判事補ということになりますので、ことしの四月に十年になって、判事補を十年やりまして判事に任官する方、それからまた同じ判事補でも簡易裁判所判事兼判事補という方がございます。この場合でも十年たちますとやはり判事資格がございますので、そうして判事資格を取得した人によって、ことしの当面四月になるとそういう方が判事に任官することによって充員される、こういうことでございます。  一方、判事補の場合を考えますと、ただいま申し上げましたように判事に任官する方がございますので、その分だけ欠員がふえてる。また判事補から簡易裁判所判事のほうに切りかえをする方がございますので、またその分だけ判事補の欠員がふえる。それからまた、今回御審議いただいております判事補二名の増員が認められますと、その分だけまた欠員になるということでございますが、これらを総合してみますと、判事補の欠員は大体九十名ぐらいになるのではないかというふうに考えるわけでございますが、これにつきましては毎年司法修習生から判事補になられる方がございますので、それによって判事補の充員がなされる、こういう関係になっております。  で、簡易裁判所の判事の場合でございますが、先ほど申しましたように簡易裁判所の判事兼判事補という方がございますので、こういう方が十年たちまして判事になるということで、簡易裁判所の判事の欠員がその分だけふえるということになります。その欠員は先ほどちょっと申しましたが、判事補から簡易裁判所判事に切りかえるということによってその分を埋めることができますし、また簡易裁判所の判事の場合でございますと、定年で退官された判事の方とか、または弁護士さんから来ていただく方も毎年若干ございますので、そうした方によって埋めることができますし、さらにはまた特別選考、選考任用によるところの簡易裁判所判事というのがございまして、多年法律実務に従事した方で、たとえば長い間裁判所で書記官等やられたというような方も対象になるわけでございますが、そうした方で特別選考をいたしまして、選考任用によって簡易裁判所の判事に採用するという方法もございますので、そういうことによって埋めることができる、まあこういうことでございます。
  102. 原田立

    原田立君 そうすると、四月一日で司法修習生やあるいは判事補が判事の資格を取ったり等するから、四月の上旬に至ってはこの七十二名、現在までに約九十人ぐらいだという話だけども、その欠員は十分補充はできるということですか。それとも、まだ若干二十人か三十人ぐらい、やっぱり若干穴があくのか、その点はどうなんですか。
  103. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) その辺は、正確なところは、実際に何名判事補から判事に任官されるか、任命されるかとかいったいろいいろな不確定要素もございますが、一応埋まるというふうに考えてよろしいと思うわけでございます。と申しますのは、それで若干かりに欠員部分があるということでございましても、先ほども申しましたように簡易裁判所の判事——判事補は簡易裁判所の判事になることができますので、簡易裁判所の判事にしわ寄せと申しては語弊がございますが、簡易裁判所の判事のところをあかせるということでございますと、その分は先ほど申しました選考任用の裁判官によって埋めるということもできますので、そうした関係で大体毎年のことでございますが、四月中には充員できると、こういうことでございます。  なお、それでは毎年こんなように欠員が生ずるのはどうかということでございますが、この点も前々から申し上げておりますように、裁判官の場合には途中で定年退官等でやめられる方がありましても、ほかの職員と違いまして直ちにこれを埋めるということができませんので、四月に一ぱいになっても十二月になりますと毎年この程度の欠員が生ずると、まあこういう状況でございます。
  104. 原田立

    原田立君 そうすると、この七十人から九十人ぐらいというのは、毎年このぐらいの欠員は出ると、そういうような説明としていま私、お聞きしたのですけれども、毎年そう出るんですか。
  105. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 大体その前後は、毎年十二月一日現在ではその程度の、まあ多少の幅はございますが、大体その程度の欠員が出る。これは定年でやめる方、依願免でやめられる方等ございますので、どうしても中途で補充ができないということになりますので、四月から十二月までの間逐次そういう方がございますと、その分だけがあいてきまして、毎年十二月ごろになりますとその程度の欠員が生ずると、こういうことでございます。
  106. 原田立

    原田立君 裁判官——判事、判事補あるいは簡裁判事等ですね、この定員を少しふやすような考え方はないんですか。
  107. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 裁判官の定員の問題は、結局裁判所におけるところの事件の適正迅速な処理のために必要な裁判官を増員すべきではないかと、そういう御指摘であろうと思うわけでございます。この点につきましては、当委員会の御理解等を得まして、逐次毎年裁判官の増員をしてまいっておりまして、昭和四十四年から四十八年まで、この過去五年間におきましても、判事、判事補、簡易裁判所判事、合計九十八名の増員をお認めいただいておるのでございまして、私どもといたしましても必要な限り逐次裁判官の定員をふやしておるのでございます。しかしながら、定員をいかにふやしましても裁判官になり手がないということでございますと、いたずらに定員をふやしても実際に働いていただける裁判官の数がそれに満たないということになります関係上、まあ必要最小限度、給源の関係を十分考えまして、この程度であるならば十分その定員を充足できるという範囲内にとどめて逐次毎年増員をお願いしてきている次第でございます。
  108. 原田立

    原田立君 裁判官の受け持ち事件数は平均幾らぐらいですか。
  109. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 裁判官の平均手持ち、受け持ち件数と申しますと、裁判官の負担件数というふうに私ども申しておりますが、新受事件——新しく受理した事件数で私ども考えておりますが、全国の事件、全国的に見ますと、昭和四十七年度におきましては、民事七十五件、刑事六十四件というふうになっております。これは東京とか大阪とか大きな裁判所でございますと、民事なら民事だけ、刑事なら刑事だけを担当するという裁判官がございますが、地方にいきますと、同じ裁判官で民事もやり刑事もやられるという方が多うございますので、統計上いまのような数字になっておりまして、これを合計いたしました百三十九件が裁判官一人当たりの年間平均新受件数であると、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  110. 原田立

    原田立君 一番多忙なところは、大体民事、刑事何件ぐらい持っているんですか。
  111. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 多忙と申しますのは、結局は事件数が多いところであろうと思うわけでございますが、いま申し上げましたように全国平均から見ましてそれを相当大幅に上回っているところと申しますと、やはり最近の東京近辺、横浜、浦和、また千葉といったような裁判所が全国平均よりかなり上回っている事件数をかかえておると、こういう状況でございます。
  112. 原田立

    原田立君 具体的に数字をあげて説明してください。
  113. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先ほど申しましたように、全国的に見た場合には刑事と民事を一人の裁判官が担当するということで計算しておりますが、具体的にどの程度の負担があるかという点は、横浜、浦和といったような裁判所の場合には裁判官が刑事なら刑事だけ、民事なら民事だけというふうに担当しておりますので、そういった点の比較から申し上げたいと思うわけでございます。  全国の地方裁判所の本庁の場合には民事なら民事、刑事なら刑事という担当をしておりますので、本庁だけについて見ますと、民事は百二十三件、刑事は百四十五件というふうなことになっております。で、横浜の場合には——横浜本庁でございますが、横浜本庁の場合には民事百三十七件、刑事三百八件、刑事が異常に多いのでございます。浦和の場合には民事が百九件、刑事が百三件。浦和の場合にはこのように新受事件は全国平均より下回っておるのでございますが、事件の負担を考えます場合には、未済事件もございますので、未済事件のほうを考えますと未済事件はかなり多うございますので、そういった観点から浦和の場合には負担がかなり重かろう、こういうふうに考えるわけでございます。千葉の場合には民事が百六十五件、それから刑事が百三十八件。千葉の場合も民事が全国平均を上回っている、こういう状況でございます。
  114. 原田立

    原田立君 横浜は、そうすると民事は百三十七件、刑事が三百八件ということですね。刑事はかなり多いことになって、これは裁判官もなかなかたいへんだなというふうに私感じているわけでありますけれども裁判官の受け持ち件数ですね、これは大体このぐらいが理想的だというような何か線はあるんですか、ないんですか。
  115. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) これもなかなかむずかしい問題でございまして、単に事件数だけで適正事件数は幾らかということはなかなか言いがたいわけでございまして、事件によってはその内容、複雑困難なものもございますし、たとえば民事で申し上げますれば、通常の貸し金事件を一件と勘定すると同時に、現在各地で係属しております公害訴訟といったようなものも同じく一件、それから労働、行政といったような複雑な事件も一件ということでございますので、単に件数だけのみをもって適正な負担件数は幾らかということはなかなか申し上げにくいわけでございます。この点、先般佐々木委員からの御質問にもお答え申し上げましたように、審理期間がどの程度であるならば適正な処理といえるかというような観点から手持ち件数というものを考えるべきではないかというふうに思っておるのでございます。それでいってみますと、手持ち件数が多ければそれだけ事件の開廷がおそくなるということで審理期間が延びることになりますので、そうした適正な審理期間はどの程度であるかという点からいろいろ検討すべき問題があろうかと思うわけでございます。  で、審理期間の点でございますが、お手元の資料の終わりのほうに載せてございますように、最近若干ずつ審理期間が延びでおりますけれども、これは主として、実を申しますと公害とか行政、労働、それから特に特許事件といったようなむずかしい事件もございますし、それから刑事で申しますと公安事件、それから税法事件といったようなむずかしい事件が最近ふえておりますので、そういった関係で全体の事件の平均審理期間というのは延びておるのでございますが、通常の事件でございますと、従来とそう変わらない割合で処理されておるのでございます。民事の場合には一年以内に処理されるという事件が全体の六三%ぐらいございますし、刑事の場合は六カ月以内で処理されるものが七四%ほどございます。こうした割合をもっとふやすべきではないかという観点からさらに検討するということになりますと、それでは現在の負担がそういう観点から重いのか、それとも若干はいまのままでいいのかといったようなことも出てくるのではないか。いずれにいたしましても、通常の事件の場合の審理期間をどの程度で処理するのが適正であるかという観点から初めて裁判官の理想的——理想的と申し上げますか、あるべき負担件数というものが考えられるのではなかろうか。そうした角度からいろいろ現在検討しているということでございます。
  116. 原田立

    原田立君 結論が検討中ならもう少し簡単に言ってもらいたんだ。田宮局長のいろいろ説明ぼくはそのとおりだと思って聞いておったわけです。だからこのぐらいということが出てしかるべきじゃないですか。検討中じゃどうも最後になってから足払い食ったような感じをしているんですけれども、どうなんですか。一人、私はしろうとだからわかりませんけれども、おととい来てもらった課長さんは、二百件ぐらいが適当だと思うというふうな話があったけれども、二百件じゃちょっと多いんじゃないかと、しろうとでそう思うんですよ。百とか百五十ぐらいの受け持ち件数で大体それが一番いいんじゃないのかというふうにぼくは思うんですけれども、これは専門家のほうの意見も一ぺん、刑事局長とそれから経理局長来てくれているから、そちらのほうの意見も聞かしてもらいながら御意見をお聞きしたい。
  117. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 理想的な訴訟の進行状態がどうであるべきかというようなのは、田宮局長がお話しされましたように、実は非常にむずかしゅうございまして、まあ庁によっていろいろ事件の質も違いますので、ちょっと簡単には言いかねるんではないかと思います。ただ私ども心配しているということで、目標にしているのは、二年をこえた事件を一応長期未済事件というふうに言っておりますので、大体の事件が二年以内に終了するように仕組んでいくように訴訟手続あるいは運用もそう運んでいったらどうかというふうには一応考えております。しかし、そういたしますと、現在長期未済事件がだんだんふえておりますので、その辺の運用上の手当ても考えていかなきゃいけないと、こういうふうになりますので、件数として何件がよろしいかということになりますと、私自身もちょっとすぐにはお答えできないように思っております。ごく機械的な交通の略式のようなもの、それについてはこれまでの経験で大体数字が出るようでございまして、交通切符でやってまいります交通略式でございますと、大体一日二百件程度というふうに計算ができまして、かつ会同なんかで伺いましても、それは大体無理がないと、その程度だったら十分できると、こういうふうに言われております。通常事件の訴訟事件につきましては、ちょっと件数私も申し上げかねるんで御了承をいただきたいと思います。
  118. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 私も民事を担当しておりましたが、私どもの経験からいたしますと、やはり次回期日が二カ月——普通の弁論期日だけですと一カ月以内に普通入る場合、それから証拠調べということで証人を調べるということになりますと、それがせめて二カ月以内に入るというような形が事件の処理としてはかなりスムーズにいくわけでございます。そうしたことから考えますと、大体二百件程度であるならば——二百件と申し上げましても、その中には当事者が進行に熱意のないといったような事件もございますし、現にわれわれ眠っている事件というふうなことを申しますが、そういうようなことで、実際に動かないような事件もございますので、二百件といっても実際に動いている事件が百五十件程度であるならば、かなり楽に事件が進行していると、こういう経験を持っております。
  119. 原田立

    原田立君 要するに、私が聞くのは、裁判が長引いて困るというのが大体一般的な意見ですよ。だから、それには事件の内容の複雑性というものもあるでしょう。だけれども、それにプラスして裁判官が不足していてそれで長期間になるのじゃないかと、こういう心配をする。もしそうならば、裁判官も漸次ふやしていくようなことを考えるべきではないのか。そういう面で、だからある程度の定員増ということは、われわれはこの法案について賛成の立場をとっています。だけれども、いまのように特殊な庁だろうとは思うけれども、刑事三百八件だなんというような受け持ちは、これは多過ぎやせぬか、要するに定員増をもっとしていくべきではないのか、こう考えているわけです。だからそれには、大体理想的にはこれぐらいのものがあって、それで件数をこれだけかけ合わせすれば、大体裁判官何人ぐらい必要なんだと、こう出てくるのじゃないのかと、こう思うのですよ。とにかく横浜の刑事三百八件なんというのは、これは多いと思うでしょう、これも普通ちょっと多目なようなことでそんなさして過重ではありませんと、こういう答えですか。
  120. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 御指摘のように、横浜、浦和につきましてはかなり負担が重いということでございますので、本年の四月以後におきましてそれについて裁判官をふやすという手当てを目下のところ考えております。
  121. 原田立

    原田立君 今度のこの法案では、簡易裁判所判事の員数を三人増加すると、こうなっておりますけれども、その理由として、道交法違反事件の取り扱いが急増したので、三人増員するのだ、こういうことでありますが、三人ぐらいのことで、道交法違反事件の急増対策できるのですか、三人ぐらいで。これでも少し三人では手当てのしかたが少なくて、やっぱり過重になるおそれはないのかどうか。その点はどうですか。
  122. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) この道路交通法違反と申しますのは、人身傷害を伴うところの事件ではございませんで、スピード違反とか酔っぱらい運転、無免許運転といったような事件でございまして、これを裁判所では略式手続で処理しておるので、略式手続はかなり簡単に処理できますので、一人ふやせばかなりの処理能力、処理ができるというそうした種類の事件でございます。で、簡易裁判所の場合には、最近急激に道路交通事件、その関係の事件がふえております反面、通常の略式事件、いま申しましたような人身事故を生じたような事件とかその他の略式事件が若干減りぎみでございますので、こうした道路交通法関係の事件だけの処理に限ってこのたび増員のお願いをしておるのでございます。この関係につきましても、四十五年以来逐次増員をお認めいただきまして、簡易裁判所の判事は四十五年以来七名、書記官七名、それからその関係の事件処理として事務官十名というふうにそれぞれお認めいただいておるのでございます。いずれにいたしましても、この種の事件は一人でかなり大量の事件処理ができるという性質のものでございますので、事件数等から見ましてこの程度の増員で処理し得ると、そういうふうに考えます。
  123. 原田立

    原田立君 今回の法律で書記官を六人、家裁の調査官を五人、事務官十四人、合計二十五人増員をしようということでありますが、こういうことで増大化する仕事量をさばけるのかどうか。しろうとの判断でありますけれども、これではなかなか事務量が増大しちゃってさばけないのじゃないか、こんなふうな心配もするのでありますが、また労組あたりの人の意見も、あるいは現場の意見も多少聞いてみました。そうしましたらば、やっぱり仕事が過重になって困るというような意見を言うのが多々でありました。今回の二十五人で十分できるんだともし言われるんだったら、数値的にデータを示されて御説明を願いたい。
  124. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 事件全体の状況でございますが、お手元に配付の資料にもございますように、最近では民事はやや減る傾向にございます。刑事事件につきましては横ばい状況、まあ事件全体から見ますとそういうふうな状況でございます。ただ、単に事件数が若干減りぎみであるから増員する必要はないというわけではございません。事件の内容等が複雑困難になってくるということでありますと、事件が減っても仕事の量としては多くなる。たとえば書記官の場合には、以前は一人の証人の証言する時間が短かったのに、現在ではそれがふえているということになりますと、事件は一件でも負担は重くなるという関係があろうかと思うのでございます。そうした観点をいろいろ検討いたしまして、しかし、現状におけるところの事件数等から見ますならば、現在特に大幅な増員の必要はなかろうというふうに考えるのでございますが、ただ、今回お願いいたしております、たとえば高等裁判所におけるところの刑事長期未済事件の処理といったよりな特殊な問題、それから地方裁判所におけるところの公害等の特殊損害賠償事件の処理、それから簡易裁判所におきますところの先ほどの道路交通法違反事件の急増、そういったものにつきましては、これは早急に対処する必要があるということで、その点についての増員をお願いしておるのでございます。この点につきましては、定員削減といったような政府の方針もございますが、しかし、裁判事務というものは一刻もゆるがせにできない性質のものでございますので、その点を十分理解していただきまして、この程度の増員を今度の場合の予算では認めていただいていると、こういう状況でございます。
  125. 原田立

    原田立君 基本的にちょっと理解しがたいのでありますけれども、実は私の手元に、横浜地方裁判所内全司法労働組合神奈川支部というところから文書が来ているのですね。この中で、読みますと、「裁判所職員の定数増員を要請する数」として、「裁判官五名以上、書記官二十四名、速記官十六名、交換手二名、守衛二名」、このぐらいのものは増員してくれと、こういうふうな要請書が入りております。きのう課長にも話しておったし、ごらんだろうと思いますが、この見解をお伺いしたい。
  126. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 横浜に限って申し上げますと、先ほど申し上げましたように、最近かなり刑事事件が急増してございますので、その分だけ裁判官をふやすという措置をとりたいと思っておるのでございます。裁判官をふやしたというだけでは裁判ととのいませんので、それに伴いましてそうした書記官以下の職員につきましても、ある程度の手当ては必要ではないのかということで、目下検討しているところでございます。
  127. 原田立

    原田立君 事務官で書記官の仕事をやらされているものが多いと、こう聞いておるわけです。まさかそんなことはあるまいというふうに言ったらば、現実にそういう問題があるというような話も聞いております。それはまあそれとして、事務官で経験が豊富な人が当然書記官の手伝いをするというのが、これはまあ多いだろうと思うのであります。そういう人たちのためにこの書記官研修所というような試験があるのであろうと、こう思うのでありますが、あんまりやかましい手続をして試験を受けてというんじゃなくて、現実に書記官の手伝いをしている事務官があるのだから、だから簡単な手続で試験で採用するというような、そういうふうなことも、経験を生かしてというか、経験を尊重してというか、そういうような面で採用の基準というものが——現在のところその中身はどうだか知りませんよ、だけれども何か話によると、一年ですか、書記官研修所というところに入らなければいけないというようなことだけれども、経験を持っているものはそんなところに入らぬでも、また入ったとしても短期間で書記官に登用できるような、そういう道というものをつくったならば、長い間裁判所の仕事をやっている者もまた励みになっていくのではないか、こんなふうに思うわけです。経験豊富な事務官、そういうふうな人たちのために、その経験を生かして登用するために、簡単な試験で採用するような方向にすべきではないかと、こういうことなんですが、その点はいかがですか。
  128. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 確かにただいま御指摘の点は、現在年配の事務官がそのままおりまして、なかなか書記官になれないということで、その処遇等も不満な面があることは事実でございます。で、これも御指摘のように、現在書記官になるためには二つ方法がありまして、まず書記官研修所に入ってそこを卒業するという方法と、それから書記官研修所に入らなくても、任用試験によってそれに合格すれば書記官になる、まあこの二つの道があるわけでございます。先生がただいま御指摘なさいましたように、それでは研修所に入らないまでも試験を少しやさしくしてやったらどうかという点でございますが、しかし書記官はほかの職種と違いまして、裁判所法にもその権限が特別に規定されているということで、かなり高度の職種ということに格づけされておりますので、単に事務官の待遇をよくするという面からだけで書記官の質的低下を招くということがあってはならないと思うわけでございます。そういうようなことで、私どもといたしましては、やはり現在のレベルの書記官は維持していきたいというふうに考えておるのでございます。そういうような観点から申しまして、ただいまお話のありました事務官等につきましては、各裁判所等で研修等を行なわせ、またそれぞれそういう勉強の機会もいろいろ与えまして、最近ではその結果でございましょうか、研修所に入所する方、それから任用試験で合格する方が逐次ふえてきているというこういう状況でございますので、今後ともそうした事務官の研修といったような面につきまして十分の配慮をいたし、逐次そうした書研入所者あるいは任用試験の合格者が逐次ふえていくと、こういうことを期待しておるのであります。
  129. 原田立

    原田立君 最後にお伺いするわけですが、去年、最高裁の職員がリボンをつけて春闘の闘争をしたと、それに対して百五十人か二百人ぐらいの者が処分を受けたと、厳重注意を受けたというような話を前に聞いておるわけでありますけれども、ことしの春闘にもリボンを胸につけて勤務している人たちがあるやに聞いておりますけれども、従前どおりの姿勢で厳重注意というような方向で進むのかどうか、これがまず一つ。  また、私が言いたいのは、同じ公務員でも、鉄道あるいは郵政、そのほうの公務員の人たちは、腕章をつけたり、あるいはリボンぐらいつけてやっている。いわゆる春闘をやっている。これはもう憲法で保障された表現の自由をやるんであって、そのぐらいの権利は当然認めてやってしかるべきだと、だから、普通の鉄道や郵便関係等の、最高裁以外の官公労の人たちについては別段そういう注意、処分とかなんかいうものはないはずだと思うんでありますけれども、最高裁だけ特に厳重注意というようなことは少し行き過ぎではないかと、むしろリボンぐらいをつけて実務をやっても実害はないんじゃないかと、こういうように思うんですが、これは総務局長ですか、総長のほうがいいんじゃないでしょうかね。事務総長のほうから、どういうふうな対処のしかたをなさるのかお伺いしたい。
  130. 安村和雄

    最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 裁判所の仕事と申しますのは、民事の事件にいたしましても、刑事の事件にいたしましても、公平に、政治的に中立を保って裁判をすると、そういうところに国民の信頼が寄せられているわけでございます。そういう仕事に当たっております裁判所の職員がリボンを着用しますことは、やはり裁判所の仕事の性質からいっていかがなものであろうか。また、反面考えますと、リボンをつけておることぐらい何ともないじゃないかと言いますけれども、やはり職務に専念するのには、裁判所の職員として公平な仕事に当たっている姿勢というものがおのずから必要であろうと思います。そういうことでありますので、裁判所といたしましては、そういう大事な仕事に当たるのに、何かよけいなものでわずらわされてはいけないということを固く信じておりますので、その点はきちんといたしたいと思ってやっているわけでございます。
  131. 原田立

    原田立君 そうすると、またことしの場合も、じゃ、処分するということですね、従前どおりやるというようなことになると。そこら辺の姿勢はもう改めてしかるべきじゃないでしょうか。最高裁につとめている人だからといって、特殊な人間が出仕しているわけじゃありません。同じ全官公の中に入っている人たちです。だから、そういう何というか、かたくなな姿勢というものはこの際改めてしかるべきではないでしょうか。
  132. 安村和雄

    最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 本年の実情はまだつまびらかになっておりませんので、御趣旨の点も十分考えに入れながら、しかし裁判所のあり方というものを考えて慎重に対処いたしたいと思います。     —————————————
  133. 内田善利

    ○理事(内田善利君) 委員の異動について御報告いたします。  野坂参三君が委員辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。     —————————————
  134. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは、予定の時間がだいぶ超過しておりますので、前回に引き続まして簡単に質問を続けさせていただきたいと思います。  まず、先ほど原田先生のほうからも御質問にございましたように、この審理の遅延ということがたいへんに問題になっております。前回も申し上げましたように、「自由と正義」が前にアンケートをとりましたときにも、裁判がおくれているということについては、だれしも異論なく、これは何とかしてほしいという一〇〇%のアンケート結果になっておったと思うんでございますが、いままで民事事件の遅延ということについて主として質問させていただいたことがあるんですが、きょうは刑事事件について若干お伺いいたしたいと思います。  最近、最高裁で審理の促進というような意味で、いろんな人的な、物的な措置を講ぜられて、合理化というようなものがはかられているというふうに思うんでございますけれども、特に刑訴規則の改正を最高裁の中で御検討なさっておられるということを伺っているんですが、そのとおりでございますか。そのとおりだとすると、その主要な改正点をちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
  135. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 刑事訴訟規則の改正の動きがあるのではないかということは、弁護士会の方々にしばしば質問を受けるわけでございます。しかし、これは私ども非常に心外でございまして、実は結論から申しますと、具体的にその作業はやっておりません。おそらく誤解が生じましたのは、昨年の二月に、これまでの会同でいろいろ出てきました訴訟促進について、もし刑事訴訟規則を改正することがあるならばどういうことを検討すべきであろうかということをまとめたもの、つまりここ十数年来同じような会同をやっておるわけでございますが、それらの中で出てきた意見をまとめたものを「刑事訴訟規則について改正を考慮すべき事項」ということでまとめて各庁に配付したことがございます。それは、ちょうど高田事件が一昨年の暮にございまして、訴訟促進ということがあらためて問題になったということもありましたので、一応まとめてみた。もちろん私どもその責任担当の局といたしましては、訴訟促進につきましては、運用ばかりでなくて、規則の改正のことも常に考えなければいけない立場にございますので、それらをまとめて、もし将来ぜひとも改正すべきであるという各庁の御意見があるならば伺ってみようと、こう考えたわけでございます。しかし、実際は各庁からは、規則でしばるべき問題ではなくて、むしろ各庁の実情に応じてそれぞれの土地の検察官あるいは弁護士さんとよく協議した上で運用をはかるべきだという声が大勢でございました。   〔理事内田善利君退席、委員長着席〕 したがって、それはもともと改正案でありませんから、そのままで運用の問題が従来と同じように検討された、こういうことでございます。
  136. 佐々木静子

    佐々木静子君 これ、いま御説明ございましたの、「自由と正義」の四十八年の六月号にも、二五ページに、刑事手続の合理化の企図というようなことで、「最高裁が「刑事訴訟規則について改正を考慮すべき事項」として提示するにいたった「合理化」案は」、次のような内容らしいというような趣旨の論文がございまして、これを拝見しますと、まあこうなったらたいへんなことになるなあと思うようなことばかり書いてありますので、実は確かめたわけでございますが、それは、そうすると、最高裁とすると、いまそういうことは考えておられないというわけでございますね。
  137. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 具体的にそのような作業はやっておりません。
  138. 佐々木静子

    佐々木静子君 まあそういうことで、たいへん安心したわけですけれども、その「考慮すべき事項」というのはやはり何となく気になるようなことばでございますので、もしそのようなことを考慮なさっているとするならば、これは最高裁という、まあ一般の国民からわからないところで、そういうことをひそかに企図されるんじゃなしに、たとえば一番関係の深い日弁連その他とも十分に御協議の上で、そういうどうしても改正しなければならないところがあるなら改正するように、裁判所の中だけで、知らない間にやみ討ち的に改正されるというようなことが絶対ないようにしていただきたい。その点はお約束していただけますね。
  139. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 仰せを承るまでもなく、そういうふうに考えております。  実は、裁判所のほうの作業といたしますと、まず各庁の裁判官の意見がそう煮詰まってこなければ規則というものはなかなかできないものでございます。いわんや、外部の関係におきましては、常に実際に法廷で御一緒に仕事をいたしますから、そういう前提を置いて、常に協議をしながら仕事をしなければできるものではないと私は確信しておりますので、もしそういうことになれば、仰せのように十分協議して作業を進めたいと思います。
  140. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは非常にごもっともなことなんですが、いま刑事局とまた論争するつもりはありませんが、前の参与判事制度のことなども最近あったところでございますので、あれは現地の裁判官からもかなり異議が出ておる、そして弁護士会は非常に反対しているにもかかわらずそういうことが行なわれたというような前例もあるものですから、私どもたいへん心配しているわけですけれども、そういうことがひそかに行なわれることがない、現場の裁判官あるいは一番関係の深い弁護士会との相談なしには、一方的に強行するようなことはないということでございますので、まずその点はそのように承っておきたいと思います。ぜひそのように、一方的になさることがないようにお願いしておきたいと思うわけでございます。  それから今度の判事補の増員について、学生事件がいま高裁のほうに係属しているということがその理由の一つになっておりますが、高裁の裁判官の中に判事とそれから特任判事と二つあると思うんですが、どういう割合になっておりますか。
  141. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 御指摘の特任判事というのは、籍は地方裁判所判事で特例法によって高裁の職務をとるという、われわれ言っておる代行判事のことだろうと思うわけでございますが、現在ちょっと手元に資料がございませんで、記憶で申しわけございませんが、刑事に関しては大体左陪席のうちの約半数ぐらいは代行判事——失礼しました、ここに資料がございますので……。四十八年の十二月現在で、判事三十九、それから代行の職権特例判事補は十二でございます。
  142. 佐々木静子

    佐々木静子君 それはどこの高裁でございますか。
  143. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 東京高裁でございます。——全国でございます。失礼しました。
  144. 佐々木静子

    佐々木静子君 全国で、そうすると高裁の裁判に従事している人は全部で何人になるわけですか、裁判官は。何か非常に数が少ないみたいな感じがしましたものですから。
  145. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 失礼しました。これはやっぱり全国でございません。東京高裁関係でございます。  どうも、たいへん混乱して申しわけございません。全国で高裁判事の職務代行をしておる数は、判事三十九、職権特例判事補十二でございます。
  146. 佐々木静子

    佐々木静子君 訴訟促進ということを最高が考えていただくことは非常にけっこうなんでございますけれども、勢い、いまの原田先生の御質問にもあったように、裁判官のところに手持ち事件が多い、そして、ともかくそれを早く処理しなければならないということで、強権的な職権発動というようなことにもなって、一審の審理が非常に強権的に進められるというようなケースもよく出ているように思うんです。特に東京高裁管内でそういうケースが多いんじゃないかというふうに私思うんでございますけれども、それのしわ寄せで、控訴審でもう一度事実調べを一からやり直さなければならないという結果がよく起こってくる。そうして、まあそのようにしたところで、せっかく三審制があるのに、一審をあまりにも強権的にやり過ぎたために、事実審が一審級しか行なわれないというようなことも間々起こってきているんじゃないかと思うわけでございますけれども東京高裁の刑事事件の平均的な審理期間はどのぐらいなのか。また、最も長くかかっているというのは、十年以上かかっている——十年というのはちょっと多いかもしれませんが、五年以上かかっている裁判例はどのぐらいあるのか。そのことおわかりでございますか。——いま急におわかりでなければ、私の知りたいと思いますのは、一審の強権的な訴訟指揮というようなものが東京高裁管内に非常に多いんじゃないかというふうに感じているものでございますので、これは東京高裁の刑事事件の審理期間と、あるいはほかの高裁の、たとえば大阪高裁の刑事事件の審理期間というようなものを比較してみると、まあいろいろその高裁独自のやり方もあるでしょうけれども、一審の強権的な訴訟指揮というものがまたしわ寄せになって高裁に出てくることがあるということもわかりますので、一審の審理の状態というものの違いも出てくるんじゃないかと思ってお尋ねしているわけです。
  147. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 各高裁別の審理期間というのは私いま手持ちしておりません。あるいは計算すれば出てくるのかと思いますが。そこの辺はあまり差がなかったと私記憶いたしております。  で、東京高裁管内、特に東京地裁について強権的な訴訟指揮が多く行なわれているのではないかという御批判、それも伺ったことございますが、おそらくそれは一ころの学生事件に関連してではないかと思います。むしろ、東京地裁の刑事の訴訟の運営は、よく当事者に準備をしてもらって、その準備ができるまでは期日を指定しないと。そのかわり、始まったら日を詰めてやっていくというのが大体の原則になってきておりまして、むしろ全国的なそういう意味では特徴があったかと思います。ただ、学生事件の場合は、御承知のように、なかなかルールにのりませんものですから、それでついかためて期日を指定せざるを得なかったというような事例がありまして、それが第三者からはとかくの御批判を受けたのではないかと思いますが、それにはそれの理由があったんだと思いまして、おしなべて強権的だと、こういうようなふうには私ども見ることはできないんではないかと、かように思っております。
  148. 佐々木静子

    佐々木静子君 ただ、私なんかもあっちこっちの裁判所に出さしていただくわけですけれども、やはり何か、東京高裁管内の裁判所というのはおっかないような感じがいたしますね。うっかり、弁護士であっても弁護人席に——弁護人席が満員だからちょっと横のほうへすわって証人尋問のメモなどとると、もうたちどころに廷吏から注意されるというような——ほかの裁判所では実はそういうことは全然ないわけなんで、まあそれが、全然注意しないのがいかぬと最高裁はおっしゃるのかもわからないけれども、これは個々裁判所の訴訟指揮の問題じゃないかと思いますけれども、確かにそういうふうに非常におっかないような雰囲気を東京高裁管内じゃ持っているということは、私ども主として関西の法廷に立つ機会の多い者にとりますと、やはりたいへんに強権的だということがこれは一般事件についてもいえることは否定できないことじゃないかと思いますので、その点、そういうふうな東京高裁管内における控訴審の審理期間というようなもの、あるいは他の高裁との比較——刑事事件ですね、そういうような資料がもしございましたら、後日提出いただきたいと思うわけなんです、参考までに。お願いできますでしょうか。
  149. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) はい、できるだけ早くつくってお届けいたしたいと思います。
  150. 佐々木静子

    佐々木静子君 それから、いま、ちょっと話がもとに戻りますが、原田委員からの御質問のときに、三百八件でございますか、これは地裁の刑事裁判の手持ち事件の多い例としてあげられておりますが、私の持っておりますところの資料、四十八年の十二月現在で、これは先ほどお話があった横浜地裁だと思いますけれども、もっと多い事例があるようでございますね。刑事のこれ、単独で未済事件三百五十六件というもの、あるいは三百九十七件、あるいは三百十六件とかいうふうなのがございますが、これはどうなんでございますか、おわかりございませんですか。
  151. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 横浜の場合でございますが、これは横浜の裁判官の数で事件数を割ってございますので、御承知のように刑事事件でも合議事件と単独事件というものがございますので、合議事件の場合には比較的各裁判——三人でやりますものですから三で割るとかなり負担が少なくなるということでございますので、刑事、平均して一人三百八件ということでございますと、単独裁判官では、さらにそれを上回った事件を担当するということは当然あり得るわけでございます。
  152. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうですね。いまのは平均ですね。刑事六部とか七部では、いま言ったような数字が単独で出ているようでございます。  そういうことで非常に、これは横浜とか東京周辺の地裁で特に多いということでございますけれども、先ほどの御質問にもあったように、あまり裁判官が仕事が、やはり裁判官、人間でございますから、あまりむちゃな負担をかけずにできるような状態をぜひともつくっていただきたい。そして、あまりにも多くの事件が一人の裁判官にゆだねられるということは、勢い強権的にならざるを得ないというふうなことになってくると思うわけですが、これは、刑事事件については、たとえば一審で、これは地裁に限ってもよろしゅうございますけれども、証人調べは平均何人の証人を調べているか、そういうような資料ございましたらお教えいただきたいと思います。
  153. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 四十六年の統計で平均で出しますと、地方裁判所では被告人一人当たり二・八人の証人になっております。
  154. 佐々木静子

    佐々木静子君 それから、高裁ではそういうふうな資料がございますか。たとえば控訴棄却になるケースと、破棄差し戻し、あるいは自判になるケースがどういう割合になっているかというような資料などございましたら、まずそれについてお答えいただきたいんですが。
  155. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 四十六年の統計で申しますと、高裁の破棄率は二六・六%、それから四十七年で申しますと二八%の破棄率になっております。
  156. 佐々木静子

    佐々木静子君 それから国選弁護のことについて若干お伺いしたいんでございますが、これは前にも議員立法で国選弁護の記録のことについて法案を提出して、いろいろと最高裁のほうにも御配慮いただいたわけでございますけれども、この国選弁護についての費用というものが本年度予算では相当増額になっておりますけれども、かなり請求額から比べますと、経費は一億四千六百二十一万五千円というふうになっておりますが、聞いているところでは、相当額を要求されたけれども削られてこうなったというふうに承っておるわけでございますが、これは十分な国選弁護費用をこの予算の中でまかなうことができるのか。また今後国選弁護の費用というものをさらに増額しようと最高裁のほうでお考えいただいているのか。あるいは、先ほど一番最初に申し上げました国選弁護人の記録謄写のことについてはその後どのように最高としてお取り扱いいただいているのか、そのあたりを具体的にお示しいただきたいわけです。
  157. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 国選弁護人の報酬の増額につきましては、当委員会の御尽力もございまして、私どももいろいろ折衝いたしました。当初考えていたところの半分ぐらいの割合になりましたが、しかし例年は九%から一〇%の割合であったものが今年度は一八%、平均でございますが、のベースアップということでありますので、まあこの程度であれば一応はいいのではないかと。で、また来年度も一同じように努力してみたいと、かように思っております。  なお、その報酬のほかに、別に謄写料につきまして約四千九百万円を上積みして予算にのせることができましたので、謄写料がどの程度になるかも最初の年でございますのでほんとうははっきりしたところがわかりませんですが、これを足がかりにしましてさらに検討してみたいと、かように考えております。
  158. 佐々木静子

    佐々木静子君 たいへんに御努力いただいて、またことしもがんばっていただいて、さらに増額の件を、獲得していただきたいと思うわけですが、いまの謄写料の件が実際最高裁でどのようにいま処理されているかということをもう少し具体的に御説明いただきたいわけです。
  159. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) この謄写料の件につきましては、実は一月の二十五日に、かねてお話がありましたように、国選弁護人に給する報酬にかかる所得税の源泉徴収の取り扱いについてという通達を出しまして、謄写料の分につきましては別途請求してもらって源泉徴収をしないという扱いに通達を出しました。謄写料につきましてはこの一月の通達の際に、その後会同等がございましたので、国選弁護人の謄写料についてはかねて通達が出ておりますけれども、源泉徴収の点もあるし、それから報酬に上積みして必要な分は支給することになっているので、その運用についてさらに徹底するようにということを裁判官に御連絡申し上げました。そういうことで逐次理解が深まっていくのではないかと、かように思っております。     —————————————
  160. 原田立

    委員長原田立君) 質疑の途中ですが、委員の異動について御報告いたします。  重宗雄三君が委員辞任され、その補欠として長屋茂君が選任されました。     —————————————
  161. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは次に、簡易裁判所における刑事事件のことについて若干伺いたいと思いますが、先ほどの御答弁にもございましたように、数からいうと非常に多くなっているようだけれども、たとえば交通違反の略式命令などの事件などもあるので、一がいに数だけでは判断できないという趣旨の御答弁が、総務局長でしたか、からございましたけれども、道交法違反事件についての略式手続と交通即決手続とがございますけれども、この即決手続はどのぐらいの割合を占めているわけでございますか。この略式との対比においてお述べいただきたいと思うわけです。
  162. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 昭和四十六年の簡裁の交通違反事件の略式が百四十七万八千件ございますが、即決手続は三千九百三十四。この数は年々下がってきております。この理由は、最近、交通の事件の取り扱いにつきましては、例の通告手続ということで、一種の切符制で警察段階で処理されます。それで、それにのらない分が検察等を通じて、手続的には略式の手続でまいるわけでございますが、特に弁解を聞くべきだ、あるいは訓戒を与えるべきだという点の顕著なものについて即決手続にのせるという扱いが従来からなされてきておりましたが、おそらくは略式にのる交通切符の扱いにつきましても、警察の段階で弁解のあるものは必ず記載するようにということで出発しておりまして、それがだんだんとルートにのってきたのだろうと思います。で、裁判官方に伺いますと、警察の切符の中に書いてあるので、弁解はわかると、そこで、場合によってはそれで刑も若干の変更をすることもあり得るんだということで、即決によらなくっても、略式によって十分できるというふうになってきたせいであろうと思います。もう一つは、即決はどういたしましても出頭した被疑者をずっと待たせなければなりませんので、被告人のほうが好まないという、それもありますので、それが両々相まってこういう結果になってきているんだろうと、かように思います。
  163. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまたいへんな数、膨大な数だということがわかったんですが、たとえば東京の墨田簡裁とか、横浜西簡裁、あるいは大阪簡裁などが事件量がたいへん多いように伺っているわけでございますが、一人当たり裁判官が略式手続でどのくらいを一日でさばく——さばくというとことばはおかしいですが、略式命令を出しておられるんですか。
  164. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 平均いたしまして約二百件でございます。多少庁によりまして増減がございます。また庁によって連日開廷しないところもありますので、その場合には、日によってはそれを相当オーバーすることもございますが、平均は二百件ぐらいでございます。
  165. 佐々木静子

    佐々木静子君 これ二百件といっても、記録は一応読むわけでございますね。これやはりかなりな負担量じゃないんでしょうか。
  166. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、交通略式の場合は、交通切符でございまして、それについている資料でございますので、それほど大量のものでございません。
  167. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、大体検察官の求刑どおりというのが多いわけですか。裁判官が求刑だけに従って、まあ機械的に処理されているようなケースが非常に多いとすると、実質的には裁判というものが行なわれてないというようなことにならざるを得ないんじゃないかと思うんですが、そのあたり求刑と異なる命令が出ているのはどのようなパーセンテージになっておりますか。
  168. 千葉和郎

    最高裁判所長官代理者(千葉和郎君) 求刑と略式命令の量刑の差についての統計というのはとっておりませんが、これは御指摘のようにきわめて少ないだろうと思っております。ただ、なぜそういうふうになるかといいますと、道交法事件はむしろ事実がきわめて類型的になっております。それで量刑基準のほうもしたがって一応できておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、特殊の事情のあるものについてそれが変更される。もちろん検察庁の求刑基準と裁判所のほうで考えている量刑基準とは、必ずしも一致しているとも言えないと思いますが、そういう意味では、それが何年かやっておりますうちに大体同じようなことになる。基準が同じようになっているということでございますので、おそらくは求刑と量刑とが違うというのは少なくなっていると思います。しかし、交通切符のほうに特殊の事情が書いてありますものは、十分検討しまして、数は少のうございますけれども、量刑が変わっている例も多々ございますので、それが単にうのみになって機械的にめくら判を押すという、そういう扱いはございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
  169. 佐々木静子

    佐々木静子君 御事情はわかりますけれども、あまりにも裁判が形骸化してしまうと、またそこに交通裁判無用論などということも起こりかねないわけでございますので、その点十分御配慮いただきたいと思うわけでございます。  それから、これは総務局にお伺いすることになると思いますが、いただきました「法律案関係資料」のところに出ております七の「地方裁判所の特殊損害賠償訴訟事件数」というところに「公害」と「その他」に分けて、ここ過去三年間のデータが出されているわけでございますが、この備考の「2」のところに「公害」はこうこういう場合と、「その他」はこれこれと、しかじかと書いてございますが、これをもう少しさらに分類した資料、これをおつくりになるについてもとになる資料があったと思うのでございますが、そういう資料を一度お出しいただけないでしょうか。
  170. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 承知いたしました。お届けいたします。
  171. 佐々木静子

    佐々木静子君 これはお手数ですけれども、できれば係属している裁判所がわかりますと、大体どの地方でどういう事件が多発しているのかということもわかってまいりますので、できましたら係属裁判所もお示しいただきたいわけでございますが。
  172. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 各裁判所別は、いまのところ全部集計した結果だけしかありませんので、どうしても各裁判所別ということでありますならば、できるだけ御趣旨に沿うように作成いたしましてお届けしたいと思います。
  173. 佐々木静子

    佐々木静子君 これはたいへんお手数でございますけれども、できるようでしたらひとつそのようにお願い申し上げたいと思います。お願いできますね。
  174. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) なるべく御趣旨に沿いたいと思います。
  175. 佐々木静子

    佐々木静子君 それから定員法そのものに関係ございませんが、前年やはり定員法の審議のときに私は執行官の職務代行官のことについてお伺いしたのでございますが、その後、そういうようなものも踏んまえて、強制執行法の改正というようなことを法務省民事局で御計画になっているということを伺っておるわけでございますが、これは法務省に伺いたいのですが、その強制執行法の改正はいつごろ御提案になるおつもりなのかお答えいただきたいと思います。
  176. 勝見嘉美

    政府委員(勝見嘉美君) 私、調査部長でございまして、直接所管いたしておりませんので正確なことは申し上げられませんが、御承知のとおり、強制執行法に関する法務省の第二次試案が一応公表されまして、各界の意見を求めまして、それを集約して法制審議会の執行部会に報告があったと私、聞いております。そのあとどういう作業になりますか、たいへん申しわけございませんが、承知しておりませんけれども、何せ基本法の一つでございますので、おそらく相当な期間がかかるのではないかと私なりに憶測している次第でございます。
  177. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、まだ当分はめどが立っておらぬというわけでございますね。
  178. 勝見嘉美

    政府委員(勝見嘉美君) どうも所管外の者が申し上げて恐縮でございますが、私の聞いておるところでは、いつごろということは申し上げかねるような状況かと存じます。
  179. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、これは総務局のほうでおわかりですか。いま当分強制執行法変わらないとなると、いままで問題の執行官職務執行代理者というようなものがやはり残ってくるわけでございますが、いま裁判所に総数でどのくらいのそういう人がいるかということを……。
  180. 田宮重男

    最高裁判所長官代理者(田宮重男君) どうも私のほうも所管でございませんので、何人というはっきりした数字を申し上げられないのを非常に申しわけなく思っております。
  181. 佐々木静子

    佐々木静子君 それではやむを得ませんから、またの機会にその点はお伺いさしていただくことといたしまして、最後に、これ、経理局長に伺いたいのでございますが、今度最高裁のすばらしいのがほとんど完成いたしまして、実は、私どもも宿舎から国会へ参りますバスの中でほかの議員の方々の大きな話題を呼んでいるわけでございまして、たいへんに大きなものができたけれども、こういう大きなものが裁判所にはたして要るのかどうかということが、たいてい各議員さんの話題なわけでございます。私、本質的に、三権の一つであるところの裁判所がりっぱな庁舎を、最高裁がりっぱな庁舎を持つということは、これは当然のことではないかと考えておるわけでございますけれども、ただ、実際問題として、各地に参りますと、現実に裁判をしなければならない裁判所があまりにもひどい裁判所がたくさんございまして、それと最高裁との格差においては、これは大いに首をかしげたい点も出てくるわけでございますけれども、この簡裁の庁舎整備がかなり全国的におくれているように思いますが、未整備の庁舎はいまどのぐらいございますか。
  182. 大内恒夫

    最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 簡易裁判所につきましては、全国で約二百六十ばかり独立簡易裁判所がございますが、その中で木造の庁舎が五五%、それから不燃庁舎、つまり鉄筋コンクリートになりましたものが四五%というふうに相なっております。御承知のように、簡易裁判所の制度は戦後に創設されたものでございまして、したがいまして、その建物も終戦直後に建築されたということになっております。その当時のいろいろの建築の事情等によりまして木造で出発したわけでございます。まあ二十数年経まして、相当老朽化し、あるいは狭隘になっておるというふうな実情にございまして、私どもといたしましては、できるだけ早くこういう簡易裁判所につきましては不燃庁舎にいたしまして、その執務環境ども整備してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  183. 佐々木静子

    佐々木静子君 たとえば、先ほど原田先生お話にあった横浜地裁ですか、横浜簡裁なども、これはやはり、私はよう参らなかったのですが、いらした法務委員先生お話でも、足音を立てないでくれと言われると、くつをはいているとどうしても大きな足音が立つので、くつを脱いでどろぼうにでも入ったように忍び足で歩かないと足音が立つ、そういう庁舎ではやっぱり困るわけでございますので、何とか簡裁の庁舎、これはやはり簡裁というところが非常になおざりにされがちのようでございますが、国民との結びつきにおいては一番深い関係にあるのではないか、お上のえらい方がおられるところだけをりっぱにして国民が出入りするところがあんまりお粗末だというのでは、これは何といっても国民主権主義の原則にも反しますので、ぜひとも簡裁の設備の充実ということに御尽力いただきたいと思うわけです。  それから、これ、具体的に例をあげてもずいぶんございますが、暖房とか冷房が、裁判官室とか、あるいは法廷とか、あるいは書記官室にはあるけれども、一足外へ出ればそういう設備がない、あるいは調停なんかで廊下で待っている間はふるえ上がる思いをして待たなければならないというふうな庁舎がかなりあるわけでございまして、よく非公式に、この待合室は寒いとかなんとか言いますと、いや、ここは裁判官が執務するところじゃないからとか、いや、これは一般の人で裁判所の職員はここにいないんだからと、これ、平気でそういうふうにおっしゃる裁判所の方もおられるわけでございまして、ここら辺は別に、裁判所という役所はサービスばかりする役所じゃございませんけれども、しかし、少なくとも訴訟のために来ている国民がかぜを引くようなそういうこと、裁判官あるいは裁判所で執務する人だけの冷暖房というのであってもいかがかと思うわけでございますので、そういうふうな点についての御配慮は、これから建築される裁判所の庁舎についてはどのようになさっておられますか。
  184. 大内恒夫

    最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 横浜簡易裁判所の問題をはじめ裁判所の設備の問題につきましても、いろいろ御指摘をいただきまして、まことに恐縮に存ずる次第でございます。私どもといたしましては、新しく建てます庁舎につきましては、原則として全館暖房はもちろんでございますし、できるだけ冷房にもいたしたいと、かように考えておりまして、そうした設備の充実ということを今後の一番大きな問題と考えておる次第でございます。仰せのとおり、裁判所の庁舎の環境をよくするということは、単に裁判官や職員だけでなく、やはり訴訟関係人でございますとか、あるいはそこに入ってこられる公衆の方々にも関係のあるところでございますので、今後ともその努力を継続いたしまして、できるだけ早くりっぱな庁舎を建設してまいりたいと、かように考えております。
  185. 佐々木静子

    佐々木静子君 これ、最後に、国の予算の中で占める裁判所予算でございますね、これが年々歳歳少なくなりまして、昭和三十年では〇・九二%であったところが本年度は〇・五三%というふうにたいへんに低下しているわけでございます。私どもこれを拝見いたしまして、この定員法一つを見ましても、裁判所の予算がそんなに十分であるというふうにはとうてい思えないわけでございまして、お金さえあればいろいろ解決できる問題がたくさんあるんじゃないかと思うわけなんですが、どういうわけでこのようにだんだんと少なくなってきているんでございましょうか。
  186. 大内恒夫

    最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 仰せのとおり、裁判所の予算の国家予算に占める割合が低下してまいっておることは事実でございます。裁判所の予算は、人件費を主にしまして主として事務的な経費を内容としておるものでございます。ごくわかりやすいような観点で申しますと、予算の大体八〇%が人件費でございまして、その次に一〇%が営繕関係の経費、残りの一〇%が庁費でございますとか、旅費でございますとか、いわゆる一般経費という構成になっておるわけでございます。そういう関係でございますので、一方、国家予算が、社会保障関係の経費でございますとか、その他いろいろの新しい事業関係の経費で財政規模が大きくなっていくという、そういう動きに比べますと、どうしてもこういう裁判所の予算としては、中身は非常に大事でございますけれども、予算としてはやはりじみな性質を有するものでございますので、そういう傾向をたどっているわけでございます。しかし、私どもといたしましては、裁判所の予算と申しますのは、裁判または司法行政の運営全体に非常に大きな意味を持つものでございまして、これに不足を生ずるということによって裁判その他の裁判所の運営に支障を生ずるということがあってはならないことでございますので、そういう観点で努力をしておるつもりでございますけれども、なお今後ともそうした努力を継続いたしまして、中身を充実した予算にいたしまして、経理面からして裁判所のお役に立つようにぜひいたしたいと、かように考えております。
  187. 佐々木静子

    佐々木静子君 さらにもう少したくさんの予算を獲得されて、来年の定員法のときにはもう少したくさんの定員を増加して、国民の期待に沿えるような裁判が行なえるように何とか御努力いただきたいと思うわけですが、事務総長にその点についての御所信を伺いたいと思います。
  188. 安村和雄

    最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 御趣旨に沿いまして十分努力をいたしたいと思っております。
  189. 佐々木静子

    佐々木静子君 裁判所は独立予算請求権を持っておりますけれども、やはりこれは最も関係の深い法務省の御尽力がたいへんに必要なんじゃないかと思います。法務大臣は非常に大もの法務大臣でいらっしゃいますので、何とかそういう点におきましてもいろんな御尽力なりしていただかないといけないことになるんじゃないかと思うんですけれども、この定員法の問題に関連いたしまして、今後の裁判所がもう少しいろんな面でゆっくりとした財政のもとに、定員の増員とか、あるいは先ほどお話に出ました国選弁護の問題、庁舎の問題なども解決していくことができれば、国民も喜ぶだろうと思うわけですが、その点について、法務大臣、御所信をお述べいただきたいと思うわけです。
  190. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 必要に応じまして最善を尽くしてまいりたいと思います。今年はあいにく総需要抑制という年にぶつかりまして、あまり私どもがんばり切れなかった面もございますが、今後ともひとつ努力をしてまいりたいと思います。
  191. 原田立

    委員長原田立君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 原田立

    委員長原田立君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  193. 原田立

    委員長原田立君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 原田立

    委員長原田立君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十三分散会