○春日正一君 そういう悪い面もありますわね。親
会社が
子会社利用してもうけるという面もある。だから、いま言われたような、そういうことがあるから、だから親
会社の
経理あるいは営業内容を見ただけでは全貌がわからぬと、これは私事実だと思うんです。というのは、いまのあれは、私ここに公取の報告書を持ってるんですけれ
ども、これで見ますと、まあこれ全部読むとまた長くなりますから、新聞で要約したもののほうをむしろ使ったほうが簡潔であろうと思うので、新聞の切り抜き使いますけれ
ども、これ現物、私持っています。それによると、こうなっているんですね。大手六大商社について公取が調査報告をまとめた、それによると、三菱、三井、丸紅、伊藤忠、住友、日商岩井の大手六商社は「四十七年度の売上額が四十三年度の二倍、合計二十一兆円」、「上場卸売業八十八社の中で約七〇%のシェアを占める」、「六社の売掛金や前渡し金など、実質的な融資額が七兆四千億円にのぼるほか、国内上場
会社の半数以上にあたる九百二十四社の株式を所有している」、「このため、商社としての活動と資金力を利用して、
経済界で自由な競争を損う恐れがあり、特に独占禁止法で金融
機関の持ち株規制をしているにもかかわらず、商社が実質的に金融
機関化している現状では何らかの規制が必要である」というようは
趣旨の報告書を出しているんですね。私、まあここ一々詳しく読みませんけれ
ども、しかし、
子会社という
関係でいえば、株式の所有状況からいって国内の上場
会社約千七百社のうち六大商社は九百二十四社の株を持っておる。それから、この六社が筆頭株主になっておる
企業は非上場分も含めて千五十七社、その資本金総額四千四百億円、六社の資本金総額の約三倍に当たり、売り上げ額は六社の三〇%を占めるというふうになってるんですね。こういう形で非常に広く、いわゆる
子会社あるいは株式支配というような形でたくさんの系列
会社というんですか、系列化をやって、非常に広い範囲を支配しておるというふうな状況になってますし、特に商社の場合は外国に支店を設けたり、外国の商社の株を取得したりして、そことの
関係で大きな脱税をやったというようなことも今度の
国会で問題になってます。だからそういう
意味でいえば、ある大きな
会社なり大きなメーカーなりの全貌を知ろうとするなら、その
会社の
経理だけでなくて、当然持ち株
関係、
子会社からそういうものまでずっと全部調べて、その内容まで見なければ、一つの
会社の実態というものはわからぬということは、これ事実ですわ。それが現状です。
そこで、私まあ一番最初に提起した問題ですね、こういう現状に対して
法律は一体どうしようとしておるのか。そういうふうになっておるから、だからまあ特にこの場合は五〇%以上の株式を持っておるものというふうに限定していますから、この数ずっと減りますけれ
ども、それでも一つの法人格としてできている個々の
会社を別な
会社が
業務内容まで
監査できるというようなことになれば、これはやはり
子会社とかそういう系列
会社とかというようなものに対する大
企業の支配というものを
商法の上で公然と確認して、そうしてこういうピラミッドの支配というものを認めてしまうことになるでしょう。
商法の上で
子会社と親
会社という
関係をつくって、親
会社は
子会社を支配する。しかし理屈っぽく言えば、じゃ
子会社にしたって親
会社と取引していく上で親
会社の資産を調査する必要があるというような理屈もついてきますわ。しかし
子会社は親
会社を調べるあるいは
経理についての報告を求める
権利も何もなくて、親
会社は
子会社に対して報告を求める、報告がなければ立ち入り調査もできるというような、そういう形で大
企業の他の
企業に対する支配を公然と
商法という基体法の中で認めてしまうということはどういうものだろうか。しかも
子会社といえ
ども、先ほど私がお聞きしたように独立した法人格でしょう、一個の。親
会社といえ
ども独立した法人格だ。そういう
意味でいえば
対等、平等でなければならぬはずだ。そのものが
子会社だから従属しているのだという形の体系を
商法の中に持ち込んだということになれば、いまの大
企業の産業に対する支配というものを
商法がそのまま認めて大
企業の専横というものを一そう強める
方向に向けさしていくということになるんじゃないのか。いま必要なことは、公取も言っているように、独禁法というようなものを便って、そうして商社のいろいろな
会社に対する金融とかあるいはこの支配というようなものを押える必要があるということを言っているのですね。そしてまた、それが、いまのように
企業が大規模化して支配が強まっておる時期に、そういうものに専横な行ないをさせないようにするためにむしろ必要な
方向なんじゃないか。だから国民的な
立場からいえば、むしろ
子会社は親
会社を認めるのじゃなくて、こういうものとの
関係を、支配、被支配の
関係を薄めるような
方向で、持ち株の制限をするというような
方向で
商法の基本、
企業のあり方というものをきめていくべきじゃないだろうか、私はそう思う。
だから矛盾があるんですよ。同じ独立平等の法人格が他の、
子会社だからといって、
業務を
監査するというような、そういうことはそれ自体一つ矛盾しておるし、経済の実態からいっても、いまの弊害をさらに大きくするものになる。これは非常に大事な政治論議ですけれ
ども、しかし、今後の経済にとって、国民生活にとってきわめて私は重要な問題だろうと思うんですよ。だから私一番最初のときに、
企業のいままで発展してきた実態に合わせて
商法を変えるのか、それともこの現状でのいろいろな矛盾を少なくしていくような、国民的な
立場から見て少なくしていくような
方向で
商法を変えるのか、どっちにするんだという問題を出しましたけれ
ども、ここでもその問題が、どっちにするかということが出てきておる。いまのこの
改正案では、明らかに大
企業の産業支配というものを法として確定しようというようにしておいでになる。これは非常に大きな間違いだ。日本の現状及び将来にとってよくないと思う。この点については私こまかい技術的なとこを聞きたくありませんけれ
ども、法務
大臣のほうから、一体、日本のそういう
企業の状態をどうしようとしておいでになるのか、そこをはっきり聞かしてほしいと思うんです。独禁法でとめなければいかぬといわれるようなものを基本法で確定するというようなことがいいのかどうか。