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宮之原貞光君 いま、
大臣からきわめて抽象的な
答弁であったわけですが、目を開いたとか、あるいは
日本を見直した。私が先ほど申し上げたところのいわゆるいま討議を進められておるところの
基本的なものの
考え、あるいは
国際交流とは何かというこの
基本理念という
立場を踏まえてみた場合に、はたしてそのような成果があがっておるかどうか、やっぱり率直に申し上げて疑問を表明せざるを得ないんです。第一、
海外派遣の
教員の
人選をこう見ておりましても、ほとんどが、これは
文部省なり、
教育委員会のおめがねにかなったような、いわゆる平場で言われておるのは論功行賞的な
人選ばかりだと、こういう声もきわめて強いのでございますが、そのこともさることながら、
派遣をされて行って帰られてからのその人々のものの見方というものがはたして
ほんとうに正しい
国際理解という
方向へ近づいておるのかどうかという、このことについては、あるいは問題がありはしないかと思っておる。たとえば、
文部広報などに出ておりますところの
皆さんの
報告書を見てみますと、毎回のように
訪問国の
歴史、
文化、
教育等について
事前の研究が不十分であったというのが毎年のように述べられておるんですよ。同じことを毎年これは繰り返さなければならないということは、言うならば、訪問した先の
国国のこういう問題についての
事前の
お互いの
学習活動、そういうものが十分であったかどうかと、こういう点を私は用意されることなくして、ただ指名をされたから名誉だと思って行ったという形のものがこういう
反省を私は生んでおるんじゃないだろうか、こう思うのです。さらにまた、それぞれの
訪問国を行って来たところの
報告書を見れば、もののとらえ方が、進んだ国とおくれた国、あるいは
歴史と
伝統の国とか、新しい国、こういうものの表現で
東南アジアを、あるいはヨーロッパ、あるいは
アフリカ諸国を、
新興国をとらえるという、こういうとらえ方の
文言が相当たくさん出てくるんです。私はこれを見て、非常にこれは浅薄な、浅い
民族観でそれぞれの国を見ておるのじゃないだろうか。しかも、
日本は進んだ国だという
立場から、
開発途上国はおくれた国だと、あるいは新しく独立したところの国を新しい国ということでとらえて、その国の、いわゆる独立したところの――新しく最近独立した国のそれぞれの
歴史的な
文化というものに対して学んでいこうというところの
態度が欠けておるんじゃないだろうか。したがって、せっかく
多額の金を使ってやりながらも、これはねらってるところの
ほんとうの
国際交流というところからまだまだほど遠いところにあるのではないだろうか、こういう感がしてならないのです。この点は、単に
教員の
海外派遣だけでもなくて、「
青年の船」についてもこれは言えると思うのです。たとえば
総理府発行の「時の動き」
あたりに書かれておるところの
報告書を見ますと、これはどっちかというと多くの者が
日本の
経済進出の力強さに感動したという、そういう
ことばかりが
報告書でずっと盛られておるという点は、私はこれは
一つの側面ではあると思いますけれども、すべてそういうものだけでものをとらえるとするならば、いわゆる
総理が
東南アジア回って帰られてきたところの、
国際人づくりという
一つの
反省の上に立つところの、この
閉鎖性の
打破とかあるいは
国際人づくりというものの
考え方からはやはりほど遠いんじゃないだろうか、こういう感がしてならないわけです。しかもこれは、こういう実際の
教員の
海外派遣や「
青年の船」だけじゃございません。私は、やはり今日の現行の教科書の書き方の中にも若干大同小異的な問題があるのではないかと思う。たとえば、
海外への
日本の
経済進出を、単に伸び行く
日本ということだけで表現をしてとらえるというとらえ方ですね。これはやはり、
日本はアジア第一の工業国として、
東南アジア進出するのは、進んだ
日本が
東南アジアの国々を開発してやるんだ、手を差し伸べておるんだという、おまえたちにしてやるんだというようなものの
考え方がやはり私は教科書のこの文章づらににじみ出ておるような気がしますね。これまた、いわゆる
東南アジアの中であれだけ
田中総理に対して学生諸君が騒いだという問題の背景をなしているところの、
相互に
理解をし合う、
尊敬し合う、それぞれの国の
立場に溶け込んでいろいろなものなりの手助けをするというものの
考え方が、まだまだ実際の
教育の部面、あるいは
政府がいままで
多額の金を出したところの
教員の
海外派遣とかあるいは「
青年の船」というものの実行の中でも、
ほんとうの
国際人づくりの
方向に進んでおるのかどうかということについては、非常にまだまだ
問題点があるのじゃないか、こういうことを強く感ずるわけなんですが、その点はどうなんですか。