運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-05-17 第72回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十七日(金曜日)    午後二時十分開会     —————————————    委員異動  五月十六日     辞任       補欠選任      前川  旦君     竹田 現照君      沓脱タケ子君     河田 賢治君  五月十七日     辞任       補欠選任      山下 春江君     竹内 藤男君      塚田十一郎君     西村 尚治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小笠 公韶君     理 事                 佐藤 一郎君                 棚辺 四郎君                 田代富士男君                 中沢伊登子君     委 員                 嶋崎  均君                 竹内 藤男君                 西村 尚治君                 小林  武君                 竹田 四郎君                 河田 賢治君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君    政府委員        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        資源エネルギー        庁次長      北村 昌敏君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        厚生省社会局施  舘山不二夫君        設課長        農林省畜産局審  下浦 静平君        議官       杉山 克己君        食糧庁総務部長        資源エネルギー        庁石油部精製流        通課長      松村 克之君        資源エネルギー        庁公益事業部業        務課長      中井 富男君    参考人        日本住宅公団理        事        川口 京村君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (国際商品価格動向国内物価への波及状況  に関する件)  (公共料金値上げ申請現状等に関する件) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいまから物価対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十六日、前川旦君及び沓脱タケ子君が委員辞任され、その補欠として竹田現照君及び河田賢治君が選任されました。  また、本日、山下春江君及び塚田十一郎君が委員辞任され、その補欠として竹内藤男君及び西村尚治君が選任されました。     —————————————
  3. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、国際商品価格動向国内物価への波及状況及び公共料金値上げ申請現状等について政府当局から説明を聴取いたします。小島物価局長
  4. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) お手元にお配りしてございます「最近の物価動向に関する資料」に基づきまして、時間もございませんので、ごく簡単に御説明申し上げます。  最初の第一ページ国際物価動向でございまして、主要十カ国の最近の物価動きを比較してございますが、上のほうの統計は年別の統計でございまして昭和三十八年を一〇〇として指数化されておりますが、日本は、四十七年までは大体五、六%台の上昇でございましたが、七三年から急騰いたしておりまして、前年比一一・七%になっております。その下のほうが最近のものを月別に見ておりますが、やはり昨年十二月からいわゆる狂乱的な上昇を示しまして、この数字はいずれも前年同月比しか出ておりませんけれども前月比が非常に高くなりまして、この三カ月間だけで一二%上昇いたしております。三月現在では前年同月比二四%という非常に高い水準になっております。外国のほうは、消費者物価も最近かなり上げ幅が強くなっておりますけれども、前年同月比で見ます限り、先進国の中では、イタリアがこのまん中辺にございますように二八%というところで、特に西独がやはり成績がよろしいようでございます。アメリカは統制で押えていたこともございまして一〇%台でございます。  それからその次のページ卸売り物価でございますが、これも同じような統計でございますが、七二年までは日本の場合非常に安定いたしておりまして、平均しますと一%台の上昇各国の中でも一番成績がよろしかったわけでございますが、七二年の秋から急騰が始まりまして、特に七三年十一月、昨年十一月からいわゆる石油パニック狂乱状態になりました。これも下のほうに月別数字が出ておりますが、一番はなはだしかったのは、十一月の中旬から本年二月の中旬までの三カ月間でございまして、三カ月間で卸売り物価が一八%上がっております、これはこの表にはございませんが。その後は三月、四月とかなり鎮静化いたしております。  申しおくれましたが、消費者物価のほうも、三月には前月比〇・七%、四月は季節要因で三・五%上がりましたが、これも季節要因を除きますと大体三月並みでございまして、一応鎮静化方向に向かっております。  卸売り物価の表では、下のほうの統計でごらんいただきますと、非常に顕著なことは、日本の場合は昨年の年末近くから非常な勢い狂乱いたしまして最近鎮静化に向かっておりますが、外国の場合はむしろ最近になって上げ幅が強くなっております、石油高騰影響と思われますが。イギリスの場合はこの二、三カ月間に非常に高まっておりまして一八・七%、同様に各国とも最近二、三カ月の間にかなり高まっております。  それから三ページロイター商品相場指数の推移でございまして、これはいわゆる国際商品相場指数化したものでございますが、これでごらんいただきますように、二月の二十六日に一四七九という、これは一九三一年を一〇〇とした指数でございますが、たいへんなピークに達しまして、ほぼ一年間に二倍近く上昇いたしております。しかも、この指数石油が入っておりませんので、このほかに日本の場合は特に石油影響が大きかった。石油がほとんど四倍近くに一年間に上がっておるわけでございます。こういうふうにロイター商品相場が非常に上がりました原因はおもな原因三つございまして、一つ天候異変農産物等が不作だったこと、それから二つ目には各国が同時的に景気上昇いたしたこと、それから三番目にアメリカのいわゆるドルのたれ流しによりまして過剰流動性が国際的に発生しておりましてこれが投機をあふったということ、これらが原因といわれておりますが、最近は二月ごろをピークとして反落傾向に入っておりまして、これはやはり天候がよくて農産物が非常に豊作であるということ、それから各国の景気が同時的に反落傾向に入っているというようなことが原因と見られます。これは、ですから、今後の日本物価に対しても非常にいいプラスファクターでございます。  その次から品目別に見ておりますが、綿花、これもピークを過ぎて最近は作付面積増大等によって反落し、小麦——ページにございますが、これも一時たいへん上がりまして七ドル近くまで上がりましたのが、最近は三ドル台に戻し、大豆も、一時たいへんな勢いで上がりましたが、最近は平静化いたしております。砂糖は、これはまだかなり高うございまして、七ページにございますが、国際協定がなくなったというようなこともございましてかなりの高水準でございます。それから銅が、これもやはり高水準で、主産国でありますアメリカのストが予想されましたことで非常に上がっておりましたが、ごく最近日本の輸出などが行なわれたことがございまして多少反落いたしております。  それから九ページからは今度はこれを日本輸入価格段階で調べておりまして、原粗油——油でございますが、御承知のような勢いでたいへんな上昇でございます。それからその次の一〇ページ製紙用パルプでございまして、これもやはり国際的なパルプ原木高影響いたしまして非常な高水準でございます。最近、ただ、国内の古紙が非常に値が下がってきておりまして、一時の半分近くまで下がってきております。  それからその次の一一ページからこれらの指数をグラフ化いたしておりまして、上の二つが国際的な相場でございまして、いわゆる原油の輸入物価指数、それからロイター商品相場指数、それからその下が一般的な石油も含めました日銀による輸入物価指数でございまして、これらが最終的に一番下の卸売り物価のところに響いておるわけでございまして、やはり最近の卸売り物価上昇輸入物価上昇によって大きく要因づけられておりまして、白書の分析によりますと、最近一年間ないし二年間ぐらいの卸売り物価上昇の中で約五割から六割ぐらいが輸入要因であると、海外要因であると見られております。  それからその次の一二ページは、これは前期比でございますので多少この凹凸が激しくなっておりますが、ほぼやはり同じような傾向で国際的なものに引きずられている面が非常に大きいということが示されます。  それから一三ページが、最近わかりました四十八年度一年間の卸売り物価消費者物価の対前年度上昇率、これがマルの中に書いてございますが、卸売り物価が二二・六%でございます。これを一〇〇といたしまして各物資別にどれだけ責任があるかということを調べましたのがこの表でございまして、繊維製品が一二・一%、以下、化学製品食料品鉄鋼雑品目というふうに並んでおります。やはり、この中で、繊維製品とか化学製品、あるいは食料品鉄鋼、さらに石油・石炭・同製品、製材・木製品というようなところは非常に海外要因がきいておるわけでございます。しかしながら、各品目わりにならして上がっているというところは、やはり国内的な一般的な需要超過と申しますか、そういうファクターもかなり強いということをあらわしております。  右のほうが消費者物価でございまして、マルの中にございますように、対前年度上昇率が一六・一%、これを品目別責任度と申しますか寄与率をはじきますと、衣料が一番大きくて一六・九、以下右回りで大きいほうから並んでおりますが、衣料はやはり羊毛等値上がりによる昨年の春の買い急ぎによる暴騰が非常にきいております。それから野菜、外食、肉類、加工食品というような食物関係がやはり相当のウエートを占めております。  それから最後のページ主要公共料金申請状況でございまして、一番上の大手十四私鉄が、これは申請どおりかりに認めるといたしますと、平年度ベースCPI——ここに書き込んでございませんけれども、〇・一三%ほどの影響があることになります。それから国内航空三社は〇・〇三%。東京民営バス九社は〇・〇二%。路線トラック間接効果しか計算されません。直接物価指数には影響ございません。それから六大都市のタクシーは〇・二〇%。東邦ガスが〇・〇三%。電気の九電力は、申請どおりにかりに認めるといたしますと、消費者物価に対しまして〇・六六%の影響がございます。  以上で説明を終わります。
  5. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) それでは、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま局長からいろいろ日本外国と比べた御説明がございましたが、確かに、消費者物価卸売り物価上昇率は一時の狂乱状態は脱したかと思いますが、依然として強いものがうかがえられます。先般発表になりました四十八年度統計によりますと、消費者物価は四十九年度に一二・一%、卸売り物価は四十九年度に一八・三%、すでにげた部分を持ち越しております。政府経済見通しでは、その割合をそれぞれ五・六%、また一〇・八%と試算されておりましたけれども、ただいま私が申し上げました数字のとおりに見通しと実績の違いがあるように考えられるわけなんです。また、そういう意味から、早急に物価以外の他の項目も含めましてこの時点におきまして見通しを改正すべきではないかと私は思うわけなんです。また、先日、衆議院の物特で、小島局長は、秋ごろまでには二〇%ないし四〇%対前年同月比の上昇率は続くと見なければならないと、このように答えられているのが新聞に報道されておりますけれども、今後の見通しについてもあわせて一番最初お尋ねしたいと思います。
  7. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 先生おっしゃいましたように、四十九年度に持ち越されましたげた部分が、卸売り物価は一八・三%、消費者物価は一二・一%ということで相当高いわけでございまして、したがいまして、本年度が終わった段階で四十九年度の前年度に対する上昇率というものがかなりやはり高くならざるを得ないということは否定できないと思います。ただ、先ほど先生もおっしゃいましたように、年度の中の動きといたしましては、最近かなり卸売り物価消費者物価も一時の狂乱状態から脱しつつあるというふうに思います。特に卸売り物価のほうは、総需要調整を堅持してまいり、さらに独禁政策を厳正に運用する等のマクロ政策を厳正に行ないますれば、ある程度電力その他のコスト要因がございましても、海外物価も先ほど申しましたようにいい方向をたどっておりますので、鎮静化が定着していくのではないかと考えております。消費者物価のほうは、多少やはり先取りされておりません公共料金等がございますし、これからいわゆる工業品関係を中心とした物価狂乱状態の後遺症というものが農産物とかサービスとかいうものに波及する過程でございますから、卸売り物価に比べますと多少やはり強さが残ると思います。そういうことで、先日衆議院のほうで私がお答え申しましたのは、二〇ないし四〇ということでございませんで、秋ぐらいまではやはり二〇%を切ることはむずかしいのではないか、特に消費者物価につきましてそういうことを申したわけでございまして、ただ、昨年の十二月からいわゆる先ほど申しましたCPI狂乱が始まっておりますので、十二月、一月、二月あたりになりますと、前年同月比というものは急速に下がってまいると思います。そういうことで、年度の終わりのころになりますと、二〇%をかなり切って一〇%台の数字になることは十分期待できるというふうに思っております。
  8. 田代富士男

    田代富士男君 次に、大臣お尋ねしたいと思いますが、いまも私は数字を示してここで見通しのことについて検討される余地があるのじゃないかということを質問しておりますけれども大臣もすでに御承知のとおりに、今回の春闘によりまして賃上げ率は平均三二%に達すると見られておりますけれども、これが全産業製品価格に八・九%、卸売り物価に九・五%、消費者物価九・九%ぐらいに値上がりになるといわれておりますけれども、これは経企庁でそういうことを調べていらっしゃったということが新聞にも報道されておりますが、これはどのようなことを根拠にして試算されたのか、明らかにしていただきたい。経企庁といたしましては、卸売りあるいは消費者物価上昇率を再点検すべきじゃないかと思うのですが、長官、いかがでございましょうか。
  9. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 四十九年度経済見通しは、まず経済成長率もございますし、あるいは卸売り物価消費者物価見通しもございます。あるいは国際収支見通しどもございまして、物価につきましても、いま御発言がございましたような春闘予想以上の大幅な結果というようなものがどのように反映するかということによりましては、それは物価にも影響いたしましようし、あるいはその他のいろいろな面に影響がまいるわけでございます。また、春闘ばかりではなしに、国際収支状況ども、これは年間を通じて見ますると、私どもは、また私どもばかりではなしに大蔵省当局も、ほぼ予想したような結果におさまるだろうという考え方を最近お持ちのようでございますが、しかし、年がかわりまして、ことしの一月から今日に至りますまでの間には、貿易収支も私ども予想しておったよりも一時的にはかなり大きな赤字をも出しておりまするし、また、長期資本収支などにつきましても、その前途がどのようになるかということは必ずしもはっきり見通しに合うようなふうにも思えない点もございました。しかし、国際収支につきましては、これも御承知のように、この四月ぐらいまでの段階にかなり輸入超過状況も改善されてきておるようでございますし、また、長期資本収支も、出ていくものと入ってくるものとの状況が私どもが当初期待いたしておったような方向にまた戻りつつありますので、これらはすべて今後まあ私どもを含めて政府が一体どういう経済指導政策をこれから先とり続けるかということに関連をして今年の経済見通しも再検討をしなければなりません。それはたとえて申しますと、総需要抑制とか金融の引き締めというものをいつまで続けてまいるかというようなことで、それを続けてまいりますと、それはそれだけに物価に与える影響、あるいは貿易に与える影響等も出てまいりましょうし、あるいは雇用に与える影響も出てまいるわけでございますが、しかし、また、他面、その物価料金をいつまでも無理に押え込んでまいりますと、そこにまたいろいろの現象も生じてくることも言うまでもありません。いろいろの現象ということの中の一つにはそれはエンプロイメントの問題もございましょうし、あるいは中小企業等々の倒産というような問題をも起こしましょうし、いわゆるスタグフレーションの状況も来たすことになりますので、これから先の経済指導政策というものはその間の選択がいろいろむずかしいわけでございますので、それらの成り行きや政府方向づけをも織り込みました上で、さらにお尋ねの本年度経済見通し物価国際収支というようなもの、あるいは成長率というようなものの再検討の結果を出しまして、その上で改定発表の必要があれば改定をするような手配をいたしてまいりたいと思います。  いずれにいしましても、これからの経済指導政策につきましてはいろいろな課題を含んでおりまして、経済企画庁の私のほうでも幾つかの政策手段をそろえてとればこういう経済上の結果といいますか現象が生ずると、それを今度は経済政策手段を違えてくればまたその結果もおのずから違ってくると、こういうことになることは当然でございますので、その辺を経済企画庁が開発いたしております。パイロットモデルというものにコンピューターで差し入れまして、そして幾つかの政策手段組み合わせ、そのまた結果の選択というものを現在作業中でございます。きのうとかけさの一つ新聞にたいへんこまかい数字が載りまして、その作業中間的部分が出ておったようでございますが、まだまだあれは途中の作業でありますし、しかも、数字も誤った数字もございまして、これらはそう長い間ではございませんけれどもどもはなおしばらく詰めまして、そうして政策選択のいろいろな形を出してその上できめてまいるべきものだと、いろいろ複雑なことを申しましたが、ありていに申しますと、そのとおりでございます。
  10. 田代富士男

    田代富士男君 いま長官おっしゃるとおりに、ここに新聞に出ています、試算されたこまかい数字が。これはまだ大臣はお認めになっていないというわけなんですね。ここまで出されたのですから、どういうふうに試算されたのかという内容までお聞きしたかったのですけれども、いまの大臣のお話をお聞きしておりましたら、いまこれ以上の答弁はおそらく返ってこないのじゃないかと思いますし、時間がありませんから、先に移ります。  いままで価格引き上げ事前届け出制をとってきた基礎物資、あるいはスーパーやデパートに協力を求めまして価格抑制を行なってきた生活関連物資について、最近解除するということがちまたに伝えられておりますけれども、その方針、また解除の基準はどこに置かれているのか、これが第一点。  また、国民生活安定緊急措置法による標準価格に移行をさせる商品は具体的に考えていないのか、これが第二点。  次に、国民生活安定緊急措置法は約五カ月を経過しましたが、その運用上、その効果、あるいは運用していく上でのむずかしさといったものについてそれを施行される側といたしましてどのように考えていらっしゃるのか、御説明願いたいと思います。三点です。
  11. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) まず第一点の、いわゆる事前了承制として取り上げました通産関係物資の四十六品目、それに農林関係物資等を加えて五十九品目くらいになるわけでございますが、これにつきましては、先ほど物価局長から述べましたように、卸売り物価等の最近の情勢がここ二カ月ぐらい沈静化方向にある。それからまた、これはもう言うまでもなく、いままで国民生活におきまして非常に関心を持たれた代表的な物資などについてもわかりますように、それはトイレットペーパーとか洗剤とかいうものもその代表的なものでございましょうが、その需給状況が一時と全くその状況が違ってきたというような情勢に対応いたしまして、政府の部内にも、あるいはまた世間にも、もはやいまお尋ねがございました事項につきましては解除をぼつぼつしていくべきではないか、あるいはされていくのではなかろうかという予想があることも事実であります。しかし、私どもは、必ずしもそのように簡単には考えておりません。いま私が述べましたことは、一部の新聞などでも先取り的に取り扱われておりましたので、ことにいまにもこれが解除されるような印象を与えておると思いますけれども、しかく簡単なものではないと私は考えております。  やや詳しく申しますと、それらの五十数品目物資の中にも、少なくとも三つぐらいの型がある。ほんとうに需給が緩和してしまって、そうしてかりに事前了承制というものをやめてしまっても、客観的に再びそのものの需給がタイトになるとかまた価格が急上昇をするというような心配がまずないと考えられるタイプのものも幾つかあるようでございます。しかし、また、これから大幅な春闘による賃金アップ影響、あるいは電力その他のコストアップ影響というものが当然リフレクトしてきた場合に、需給は緩和しているように見えるけれども、いわゆるコストプッシュ値段が上がるかもしれないというようなものもございます。それから第三番目には、おおむねそうなるにきまっていると、そんなに需給も緩和されているとも思わないし、あるいはコストアップの要素も少ないとは考えられないものもございますので、いまお尋ね事前了承制対象物資につきましては、その三つタイプのあることを頭に置いて、それぞれに応じた処置をしてまいらなければならないと思います。なお、その全体の上にかぶさりますものは、解除しても第一タイプに属するように心配がないように見えても、一般にもう引き締め緩和だというようなムードを一般消費者大衆あるいはまた政策担当の方面に与えるというようなことがないかというようなことも私どもは考えなければこの段階においてはまだ考えなければならないという面もありますので、慎重に処理をしてまいるつもりであります。  それから第二番目にお尋ね標準価格生活関連物資についてつくるものがあるかと、こういうことでございますが、それはいまの段階においては原則として新しいものは当面考えられないのではないか。しかし、石油製品関連物資の中で検討対象に新しくしたほうがいいと思われるものもありますので、それらについては、例外的な措置として、また石油関連幾つかの製品の中の組み合わせの問題として検討してまいりたいということで打ち合わせをいたしております。  それから第三番目のお尋ね国民生活安定緊急措置法効果でございますが、これはこれに基づいて標準価格等を設定した品目は比較的少のうございましたけれども、しかし、いつでもそれに移り得るというたてまえのもとに、事前了承制というようなものも、これは行政指導で必ずしも好評ばかり受けておるものではございませんけれども、そういうものもやり得たでありましょうし、あるいはまた、春闘等の場合における一地域から一地域への物資の輸送等につきましても、法律そのものは直接発動いたしませんけれども、必要あればいつでも発動し得るという体制のもとに生活関連物資の移動体制等も実はとってまいりまして、私は個別対策として目に見える以上の効果があったものだと考えるものでございます。
  12. 田代富士男

    田代富士男君 大臣、懇切丁寧に御答弁いただくのはありがたいのですが、与えられた時間が少ないものですから、要領よく、私もよりよくまとめてなにいたしますから。  今度は、電力料金のことについてちょっとお尋ねしたいのですが、御承知のとおりに、電力公共料金の中でもそのウエートは横綱格です。そういう意味から、四十五年度経済白書によりますと、四十年の産業連関表によりますと、公共料金が一〇%値上げした場合の影響が試算されております。これはここに表がありますけれども、こまかいことばもう時間がありませんから省略しますけれども、まとめて申し上げますと、今回もし電力が六二・八九%の申請が平均出ておりますけれども、六〇%と見ましても、このような大幅値上げが認められたとするならば、いま小島局長からお話がありましたあの数字を計算しますと、消費者物価で二%、卸売り物価で三・三%近い物価押し上げとなる数字になっているわけなんです。そうしますと、政府は一・二%程度だというような説明もありましたし、いまの説明も聞いたところでございますが、そうしますと、これだけで公共料金は終わらないのです。このあとは、おそらく電力料金のあとにかけましては、米価、それから都市ガス、国鉄、あるいは私鉄の料金、あるいは塩、こういうものがいまから秋にかけましてずっと続いてくるのじゃないかと思うのです。そうした場合に、政府が言われる一・二%程度だからという説明では納得できないのじゃないかと思うのですね。そういうわけで、各料金ごとに出てきたときに、いまも長官の話を聞いておりましたら、政府経済政策は変わってとるる御説明になりましたけれども、そんなことを言っていたならばこれはどうにもならないと思うのです。だから、物価抑制の基本方針に沿ってこういうことを踏まえて具体的にどう対処されるのか、どうでございましょう。
  13. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 簡単に申しますと、たびたび述べてまいりましたように、公共料金については慎重なる態度を持して極力これを抑制するということに変わりはございません。しかし、おっしゃるように、公共料金改定をやむを得ざるとするものが幾つかがメジロ押しに並んでおりますが、慎重に処理するからといってそれをいつまでもそろえてストップをさせるということをいたしますと、それらの本体でありますところの公益事業が荒廃して、かえって国民生活に非常に不便をかけるということになりますので、一方の物価全体の状況と見合わせながら、また、当該業種の実態をも勘案しながら、たびたび申しておりますように、適当にそれらを物価動きの中にはさんで認可をしてまいるほかないと、かように考えております。電力料金につきましては、一体、卸売り物価消費者物価等に及ぼす影響は幾らかということでございますが、計算を一応いたしてみましても、消費者物価に対する値上げ率というものは、値上げ率といいますか、引き上げ影響というものは、電力部分に直接だけをはじいてみますると、やはり〇・六六%というようなことでございますし、また、卸売り物価につきましても、おっしゃるとおり、卸売り物価全体の指数を押し上げる分は一%を少し上回る程度だと、こういう計算になるわけでございます。それは、その電力を使う当該商品の個々の価格の値上がりというものはかなり値上がるものもあるわけであります。数%、数十%値上がるものもあるわけでございますけれども、そうではなしに、電力値上がり影響を受けない消費者物価卸売り物価対象品目、その中に取り込んでおる品目もございますので、全体として見まして電力消費者物価に対するウエート、あるいは卸売り物価に対するウエート、あるいは個々の産業コストアップ状況をウエートをつけて計算してみますると、私が申し述べたとおりでございます。  いずれにいたしましても、御発言がございましたように、たくさんの公共料金問題をかかえておりますので、それ全部容易にオーケーだと、こういうわけにもまいらないわけでありますから、その辺十分気をつけて対処してまいるつもりでございます。
  14. 田代富士男

    田代富士男君 ここでこまかい数字のことでいまの長官の話と私とちょっと意見が合わないわけなんです。私が計算して出した数字と長官が言われる数字との食い違いがあるから私は指摘をしたわけなんですけれども、それに対して私はちょっと納得できません。しかし、もう時間がありませんから電力の本題に入っていきますけれども、この電気料金値上げに際しまして、ことしの二月に、これは通産省にお尋ねしますけれども、通産省は、ここに資料がありますけれども、三十七社の電力会社に対しまして設備投資動向付帯調査票を行なわれましたけれども、この調査の内容を見ますと、今回の電力会社の値上げの引き金になったのじゃないかという感じが受け取られます。どうしてこういう調査をやられたのかですね。これは政務次官おいでになっていらっしゃいますけれども、ここにこういうマル・ペケのところもありますし、数字を書き込まなくちゃならないところもありますけれども、この内容の調査が三十七社に対して全部出されているんです。ことしの二月からこれは出されているんです。これはどういうわけでこれを出されたのか。内容を見ますと、いま言うとおりに、今回の値上げをさすための通産省からそれを呼び水でもしたような感じを受け取られるような資料なんです。だから、なぜこのような調査をしたのかということが第一点です。調査結果についてどうしようというのか、その点を明確にしていただきたい。これはないということはない。私だけが持っている資料じゃありませんよ。通産省にあった資料ですよ。通産省がお出しになった資料ですよ。こういうことが事前に出されて、だれが見ても、一々時間がありませんから内容には触れませんけれども、値上げをせざるを得ないというような方向に行かざるを得ないようになっているんです。これはどういうことなんですか。私もこれは合点がいかないんです。
  15. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 私、設備投資計画の直接の担当ではございませんが、私の推測では、われわれのほうに産業構造審議会の資金部会というものがございまして、毎年二月ごろに、来たる年度の設備投資計画を主要な業種から聴取しております。その関係調査ではなかろかと存じます。  なお、現在は、国全体が総需要抑制策をとっておりまして、公共投資の繰り延べのほか、民間設備投資も極力繰り延べる、あるいは新規の着工は必要不可欠なもの以外は差し控えるという方向で指導もいたしておる次第でございまして、その関係調査が二月時点の調査と存じます。  なお、それの結果は、私の記憶では、四月末か五月初めに産業構造審議会の資金部会におきまして各業種繰り延べ分を差し引いた形での四十九年度設備投資計画が審議会で認められ、大臣のほうに答申があったものと、こういうふうに記憶いたします。
  16. 田代富士男

    田代富士男君 所管が違うとおっしゃればそれまでですけれども、これの内容を見ますと、値上げをまあ指導するということはおこがましいかわかりませんが、私はそうとらざるを得ないような内容になっております。だから、今度は経企庁長官にお尋ねいたしますが、長官は二月の十五日に七項目の当面の緊急物価対策を田中総理に要請されました。そのときに、政府としては原油価格が上昇しても電力料金の値上げを凍結すべきである、経営の悪化をカバーするため特別融資制度などの助成策を検討する必要があると言っていらっしゃいましたが、この基本方針はどうなったのか。まあ、今回の値上げは、そういう面からいくならば、安易過ぎているのじゃないかと思いますし、政府の方針はもしもこれが実行されなかったならば信用できなくなりますけれども、この点については、長官、いかがでございましょうか。
  17. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) その七項目の、これはまあ同じ政府でありますから申し入れという形ではなしに、私の構想のようなものを当時持ち出したことはございますが、田代さんがいま読み上げられましたような、必ずしもそういう形でもございませんでした。石油の値上げがありましても公共料金やあるいはまた一般物資の価格等にそのままの姿で反映をさすべきではないわけでありまして、それは企業努力その他の方法でできるだけ押えるべきである。まあその一つの方法として先ほども触れました数十品目事前了承制というような押え込みもできたわけでございますが、そのとおりのことばではございませんけれども、とにかく物価料金に対処して極力慎重に臨むということはいまでも変わりはございません。しかし、先ほども述べたとおりでありまして、公共料金はいつまでも押えられない。特に今度改定いたしますものの中には二十年間も据え置いてまいっているものもございまするし、東京電力一つをとりましても十年ぐらいはずっと押えてまいってきたもの、まあ特に目立つものが四国とかあるいは関西電力で昨年一度値上げを認可をいたしたものに上乗せして今度認可をいたすものも入っておりますので、何か公共料金に対する政府の態度が非常に甘いような印象を与えますが、決してそういうわけではございませんことをあらためて申し述べるものでございます。
  18. 田代富士男

    田代富士男君 これも言ってもまた水かけ論になるでしょうから先に進みます。  そこで、いま全国に九つの電力会社の体系ができ上がっておりますが、所管内の電力の安定供給には効果を発揮している面もあるかも知りませんが、特に中部電力と関西電力との関係ですが、中部・関西というこの接点といいますか、特に電力という広域運営的な電源開発をやっていかなきゃならない場合に、中部電力だ、関西電力だといった場合に、電源開発に広域運営的な面に欠けているという面が指摘されているわけなんです。こういう点をどのようにお考えになっているのか。この際、そういうことを考えるならば、九つの電力体系の再編成を検討する必要があるのじゃないかと思う点が第一点です。  第二点は、一部には新規建設の発電所を公団所有にいたしまして電力各会社が公団から電力を買うという、たとえば御承知のとおりに国鉄と鉄建公団との関係のような構想ができているようでありますけれども、今後の電源開発と関係してどのようなビジョンを持っていらっしゃるのか、この点を簡単に御説明いただきたいと思います。
  19. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) たいへん大きな問題でございまするが、政務次官の御指示でございますので、私から御答弁さしていただきます。  現在のわが国の電力産業の体制は、私企業の持っておりますメリットを生かしつつ、電気産業の公益的な性格にかんがみまして、九つの地域に地域独占を認め、そのかわりにきびしい事業監督をやっていくという体制で、そういう仕組みで運営されております。われわれは、このような仕組みでこれまでかなりの成果をあげてきたものと考えておりまするけれども、現在電力産業が直面いたしておりますきわめてきびしい局面を乗り切っていきますためには、先生御指摘のように、九電力間の広域運営とか、あるいは電力会社と電発との間の協調、こういったやり方をますます強めまして現行の体制の中で一そうの効果をあげていく必要があると、こう考える次第でございます。  なお、電源開発につきましては、現在、九つの電力会社がそれぞれ火力・水力・原子力の発電に取り組んで努力いたしておりまするほか、公団ではございませんが、特殊な法律に基づきます電源開発がこれまた開発に努力をいたしておると、こういう次第でございます。
  20. 田代富士男

    田代富士男君 いまのお話を聞いておりますと、いまの体制からあまり進みませんと、一言で言えば。いまの体制内において努力していきますという、将来のビジョンはありませんということですね。電力の行き詰まりということは考慮を一つもされていないと、私はこのように受け取らざるを得ないと思うのです。これじゃ将来の見通しもほとんど立っていないじゃないかと私は言いたいと思うのです。もっと検討すべき余地があるのではないかと思いますが、これは希望です。  次に、電力料金の値上げに伴う家計の実質的負担軽減のために電気税の減税が伝えられておりますけれども、これで私は再確認をしておきたいと思いますが、電力料金がもしも値上げされるとするならば、値上げに伴いまして自動的に増税になる。そうしますと、現在の税制においてはその増税分は約五百億円と、このように見込まれておりますが、この五百億円の増税分を減税に振り向けるべきではないかと私の個人的な考え、ということは庶民の考えもそうじゃないかと私は思うわけなんです。そういう意味から具体的に法案立案作業等も進められているのかどうか、そこらあたりをちょっと説明を願いたいと思います。
  21. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 御指摘のとおり、電気税は従価税でございますので、処置を講じなければ料金の値上げに伴いまして増税になってしまうわけでございます。通産省としましては、従来から電気税・ガス税につきましては、これは廃止するほうが望ましいというほうの主張を続けてまいっておりまして、その結果、税率の引き下げ、あるいは免税点の引き上げといったようなことで年々電気税の軽減が実現してまいっておるところでございまするが、今回の電気料金の値上げによりまして電気税の負担増を伴ってまいりまするので、これは当然に減税措置を講じて相殺すべきであると、こういう考え方のもとに、現在、関係省のほうに、税率の引き下げ及び免税点の引き上げに関し要求をいたしまして、いま折衝いたしておるところでございます。
  22. 田代富士男

    田代富士男君 いま各省問で折衝中であるということでございますから、これ以上ここで聞きましても結論は出ないかと思いますが、電気には現在御承知のとおりに百分の六の税が課せられておりますけれども鉄鋼、アルミ、化学などの百三十品目産業用の大口需用者に対しましては免税措置がとられております。そのために、電気総消費量の約二〇%を占めるにすぎない一般家庭の電灯が税収の六〇%を負担しているというのが実態じゃないかと思うわけなんです。一つの例としまして、四十五年の産業用に対する免税額を試算しますと、私の試算で大体二百三十七億円になっておりますけれども、こういう免税額の二百三十七億円も、これは免税分を福祉面に回すべきじゃないかと思うのですが、この点はどうでございましょう。
  23. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 電気税が消費税でございまするので、原料に対する課税ということは避けるべきであるという考え方のもとに、現在では、基礎物資を製造いたしておりまするもので電力コストが非常に大きい業種につきまして非課税の措置を講じております。現在百二十九業種が非課税措置を受けておる次第でございます。先ほども申し上げましたように、当省としましては、前々からこの電気税・ガス税につきましては撤廃の方向を主張し続けてきておるわけでございまするが、この問題につきましては、もちろん家庭用をも含めまして、電気税を全体といたしまして今後とも軽減あるいは撤廃という方向で処理していかれるようわれわれのほうも努力もいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  24. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、公共料金の事柄からお尋ねしたいのですが、これは長官にお尋ねしたいのですが、公共料金については、御承知のとおりに、料金決定にあたりましては政府が関与するわけなんです。政府が関与する以上は、国民の福祉向上のために政策的に配慮がされるのは当然であります。しかしながら、現在、電気・ガス、こういう料金につきまして受益者負担の原則がとられております。公共料金の値上げは、そういうたてまえからいきますと、受益者負担の増大をもたらすわけなんです。そうしますと、それは低所得者の家計負担の増大につながってまいります。そうしますと、福祉の向上という政策目標と矛盾した結果が起きてくるのじゃないかと思うわけなんです。だから、政府が福祉社会を実現しようとするならば、こういう公共料金の決定にあたりましては受益者負担の原則を貫かずに、財政資金を投入するなどして料金値上げを抑制すべきじゃないかと思うのです。特に弱者の立場から低所得者層の家計負担の増大を招くことは避けなくちゃならぬ。先日も田中総理が五つの大切なこと、十の反省しなくちゃならないことということを国民に呼びかけまして「弱い者をいじめてはいませんか」ということを言われておりますが、この公共料金値上げは、いま私が言いましたことから考えたら、弱い者いじめになるのじゃないか。そういう田中総理の五つの大切なこと、十の反省すべきことと合わせて、長官、いかがでございますか。
  25. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) そういうお考えのことは私もよくわかります。しかし、社会福祉や弱者対策として私企業の料金を個別的に下げてまいるということは、料金制度の複雑な体系になるばかりでなしに、電気事業の私企業体制ということから見てもそこに問題があります。でございますから、弱者対策、社会福祉政策の推進のためには、これはあくまでも財政でめんどうを見るべきところは堂々と国が財政をもって負担金やあるいは国の支出金というものをきめこまかに配慮をしていくということのほうがより直截的だということで、社会福祉対策というものをこまかいところまでは料金制度に織り込んでおらない、またそのほうがいいんだと、こういうことになっておるわけでございます。しかし、一般論といたしまして、こまかいところは別といたしまして、いわゆるナショナルミニマムの家庭の電灯料金制度を設けるというようなところは、これは料金制度の中において可能なことであるからということで、今回の電力料金制度のタイプを変更をする機会においてこれを取り入れていこうと、こういう考え方を持っておりますことは、田代さん御承知のとおりでございます。
  26. 田代富士男

    田代富士男君 それで、ちょっと具体的にお尋ねしたいと思いますが、電力の問題は、燃料が値上がりしたから料金を上げるというのは、これはだれでもできると思うのです。そこで、いろいろな施策を考えていくのが経営者じゃないかと思いますがまあ極端にまで石油に依存してきた、それで今回の料金値上げに追い込まれた、これは経営者としての見通しの甘さの責任をこの際会社はとるべきじゃないかと思うわけです。そういう意味で、会社自身といたしまして、国民にそれだけお願いをするならば、その前に会社自身の姿勢、会社自身の態度というものを改めるべきじゃないかと思うのです。  それで、私は大阪でありますから、大阪の電力会社は関西電力ですから、関西電力を調べてみました。関西電力は、昨年の九月に二二・二三%値上げしております。それになおかつ今回五三・四〇上乗せをしようとしております。昨年の九月に二二・二%値上げをして、向こう三年間料金は維持しますということを関電の吉村社長は約束しております。こういう維持しますということが大阪のある新聞にも掲載されております。にもかかわらず、今回また料金を値上げすると、こういうような姿勢であっていいでしょうか。それがその前に大事なことは何か。いま関西電力がどういうことをやっているか。関西電力は現在三千四百万坪の土地を保有していらっしゃる。まず値上げをしなくちゃならないというならば、こういう保有している三千四百万坪の土地なんかを処理もしましたと。このように内部留保の取りくずしを徹底的にやりましたと。まあいろいろこのほかに他の企業へのいろいろな資本参加をしていらっしゃいます。株だけでも一億二百万株ほど所有していらっしゃる。こういうふうに考えていきますと、こういう自分たちはやりたいほうだいのことをやっておいて、それは許されて、昨年九月に値上げしておいて、三年間は値上げをしませんと。それにさらに値上げをするという、こういう姿勢が許されるかということを私は言いたいんです。そして、多額の政治献金がなされております。一応四億円にのぼる政治献金、これ以外に派閥個人の人に対する政治献金というここまでは調べておりませんが、一応明らかにされている分がこれだけの政治献金がされている。こういうことを国民が知っていて、料金値上げをしなくてはならないと、こういうようなことが許されていいかというと、私はこういうことは許されてはならないと思う。まず自分自身の企業の姿勢を、三千四百万坪の土地だけでも放して、これも努力をしたと、なおかつこうですと。昨年の九月に上げているじゃないですか。三年間上げませんと約束したことは守っておりますかと。田中総理の十の反省の中に入っております。こういうことを、どうでしょうか、経企庁と通産省と両方から、この点に対して、これは具体的な問題ですから……。
  27. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) おっしゃることには、政府としても、いわんや企業当局は十分耳をかさなければならないところであろうと思います。ただ、昨年の料金の引き上げ後引き続いて上げることにつきましては、でありますから、私どもも、通産省といたしましても、その上げ幅、上げなければならないという理由等につきましては、徹底的に査定をいたしましてそして対処するということにいたすわけでございます。  なお、今日経済変動が非常に激しいわけでございますので、従来は、先ほども言いましたように、十年、二十年も電気料金の引き上げをしないで済んだような事情もございましたが、今後の問題につきましては、その原価状況というものを何年間を基準にして、それは三年がいいのか、あるいは五年がいいのか、あるいは二年、一年でも状況の変動があったときには対処するような仕組みにいたすべきかというようなこともあわせて、今回の料金認可の際に原制を立てることにいたしておるはずでございます。  なお、私ども承知をいたしておるところによりますと、料金値上げをして受益者にそれだけ負担をかけるわけでありますから、会社といたしましては十分やはり自粛の姿勢を示すために、任意な積み立て金、保留金というものは許せる限りこれを吐き出してしまうし、あるいはまた、資本にする報酬、つまり配当などにつきましても、従来は一割を続けておったはずでございますけれども、これについても減配の決意をしておるということも聞いておるわけでございます。  なお、会社が土地をたくさん持っておるというお話でございましたが、土地を処分してその代金をもって料金引き上げをすべきところに充当するというのは、資本取引と損益取引の関係になりますのでそれは簿記会計上問題があると思うわけでありまするし、また、許された積み立て金、引き当て金等の運用といたしまして会社がそれを適当の方向で運用するということも、これは電気事業の監督を通産省がおやりになっておるわけでありますが、電気事業の総合的経営の目的に反しない限りは認められる場合もあり得るのではないかと思います。これは私は会社のために弁解するつもりは毛頭ございません。ただ、そういう電気事業に供されていないような不動産その他の資産を持っておる場合には、料金査定の場合にその資産に対してはそれは料金構成の比率を適用をしないと。これは具体的には電気事業に供せられる重要な資産についてはたしか料率算定の基準において八%の資本費を計算上認めることにしているはずでございますが、御指摘のような資産がありました場合には、それらについてはその八%の資本保証の要素を算入しないと、こういうことをいたしておりますこともあわせて申し述べておきます。
  28. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 関西電力の場合、昨年九月に先三年間のコストをにらんで料金値上げの認可をいたしましたことは事実でございます。ところが、その後に、十月の十六日以降、今回の石油危機が勃発いたしまして、何人も予想もできなかったほどの大きな幅と急激なテンポで油の値上げを食らったわけでございまして、この主として燃料費の大幅高騰の結果、昨年値上げしたのに今回また値上げをせざるを得ないという申請が出てまいったものと思っております。  なお、先ほども大臣からもお答えございましたですが、内部留保の関係は、取りくずすことができまする引き当て金あるいは積み立て金などにつきましては、四十八年度の下期、かなりの燃料費が高騰しておるのに料金が現行のままという状態の結果大きな赤字を出しておりまして、それのために大部分のものが取りくずしをされておる。社によってはその結果減配せざるを得ない会社がかなり出ておるという状況でございます。さらに、なお、四十八年度下期ではまだ取りくずさずに済んだ残の内部留保のある会社につきましても、四十九年度四月、五月と現行料金のままでいっておりまするので、かなりの逆ざや状況が続いておりまして、このために残があったとしてもそれまた取りくずされてしまうという状況でございます。  それから土地の保有につきましては、発電所の建設のため、あるいは送電線の建設のために、土地の先行取得ということが電力会社の場合絶対に必要でございまして、このような発電建設の推進、あるいは送電線の建設のためには、売却じゃなくて確保しておかなければならない土地が非常に多いという実情にもございます。  なお、電力会社の場合には、従来とも、たとえば新技術を導入いたしまして発電熱効率を上げ燃料消費を下げるとか、あるいは送電ロスを大幅に引き下げるとか、あるいは事務の機械化、発電所の自動化等によって労働生産性をあげるとか、こういった努力をやっておりまするけれども、今後ともこのような経営の合理化につきましては一そうの努力を強化していく必要があると、こういうふうに考える次第でございます。
  29. 田代富士男

    田代富士男君 いま、関西電力の場合、三年間は上げないということを約束をしていたことはそのとおりだとおっしゃいましたが、関西電力の社長はそういうことを言った覚えはないなんていまうそぶいているんです。これは注意してください。現に通産省のほうでも認めていらっしゃるのを、本人はそう言った覚えはないといま開き直っている。いま認められたわけだから、そういう面で注意していただきたい。  石油の原油が上がったからとおっしゃる。だから関西電力もしかたがないと。それならば私はお尋ねしますが、北陸電力です。これは水力関係が北陸電力の全体の五七%、火力が四三%、ここの値上げ幅は六四・八九%で一番高い。水力は火力と比べまして原油を使うにしても少ないんです。ほかのほとんどの電力会社は火力が七割ないしそれ以上のところがある。水力五七%であるにもかかわらず、北陸電力は六四・八九%と一番高い。これはいまの説明と相対的にするならば理屈が合わぬ。これが第一点です。  第二点は、生産業の生産額に占める電力使用額は平均一・一一%です、小さいです。電気代の値上がり製品価格値上げの理由にされる可能性が大きいわけなんです。そうするならば、石油製品の値上げによる各種製品の値上げと電気料金の値上げが重なりまして、便乗値上げのチャンスをつくることになるんじゃないかと思うのです。これが第二点です、それをどうするか。  それから第三点です。これは燃料関係の問題ですが、今回の値上げの八割近くのウエートを占めているのは燃料の関係だからという。じゃ、燃料では原料のまま使用されるのと重油の使用と二通りあると思うのです。ほぼフィフティ・フィフティの立場になっていると思いますが、この原油の為替レートの問題ですが、関西電力は為替換算益だけでも百三十六億円あります。あとこまかい数字はありますけれどもこれは省きますけれども電力会社が一ドル三百円で出していらっしゃる。石油会社は一ドル二百九十円で出している。飼料原料は一ドル百八十五円。どうして低いか。これは御承知のとおりに先日の参議院の予算委員会のおりに飼料関係参考人を呼びまして私が質問しました。そのときに一ドル三百八円で出しております。為替差益があるんじゃないかと私はこの問題を追及しました。その結果、認められて二百八十五円に下げられている。だから、一番低い、飼料原料は。だから、そういう意味から、電力会社の為替レートの計算からいきますと、一ドル二百九十円に計算しただけでも四%電気料金を値下げすることができるのです。さらに、二百八十円で計算しますと、六%値下げすることができるのです。この点、今度は政府は為替レートを何円で各社に計算させられるのか、ここらあたりも値下げさす要因は十分にあります。これは第三点です。  第四点は、今回の電灯料金の値上げ案を三段階に分けられております。けさの朝刊にもいろいろ出ておりましたけれども、その三段階が、一段階から二段階、二段階から三段階に分けた場合に、一段階から二段階にいった場合には下に厚く上に薄い値上げになっている。特にここで問題にしなくちゃならないのは、ナショナルミニマム、すなわち一番最低の人たちにいままでは百キロワット、きょうの新聞では百二十キロワット前後まで検討がされたわけなんです。しかし、これは下宿をしている一人の生活の人だったらいいんですが、いますべての標準家庭というものは夫婦親子四人、それであったならば、これははるかにこえます。これをナショナルミニマム、こういう立場からいくならば、もっとこれを上げるべきじゃないか、こういう点に対してまだ配慮の余地はないのか、当然やるべきである。この四点につきまして、まとめてでありますけれども、お答え願いたいと思います。
  30. 中井富男

    説明員(中井富男君) お答え申し上げます。  まず、最初の北陸電力の値上げ率の関係でございます。これにつきまして、先生お示しのとおり、確かに水力発電の量が北陸におきましてはまだかなりのウエートを占めております。ただ、しかしながら、最近のいろいろな電力需要の増加に伴います需要増に対応する発電所と申しますか、その関係につきましては、ほとんどが油火力でまかなわれているわけでございます。したがいまして、北陸の場合に水力発電所の開発地点がかなり枯渇してまいりまして、需要増がだんだん火力発電所によってまかなわれつつあるということ、他方、その北陸電力の水力発電所はかなり古く開発されました発電所でございまして、償却等もすでにかなり済んでおります。したがいまして、単価的に申しますと、非常に安い水力発電原価になっているわけでございます。それに対しまして、最近の水力に比べますと比較的高い火力発電所が増分需要に対応して入ってまいります。そういう関係で総合いたしますと、アップ率が高くなるというそういう関係になっておるわけでございます。  それから第二の問題は、電力料金のアップに伴いまして他物資の便乗値上げが起こるのではないかというお尋ねでございます。この点につきまして、現在電力料金の値上げにつきましては、まだ申請につきましていろいろ審査をしている最中でございまして、査定を完了いたしておりませんので、その値上げの幅につきましても未定の状況でございます。したがいまして、どういう影響があるかにつきましては、現状においては明確にお示しできない状況でございます。ただ、先ほどから経済企画庁長官もおっしゃっておりましたように、最近の物価情勢は、総需要抑制策の浸透等によりましても全般的に鎮静化傾向をたどっておろうかと思いますし、便乗値上げも困難な情勢になっております。そういった点で、価格上昇の安易なコスト転嫁ということもむずかしくなってきておるのではなかろうか。そういう点もございまして、電気料金の引き上げが必ずしも直ちに物価値上がり、便乗につながるとは考えておらぬ次第でございます。  それから次に、為替レートの問題でございます。これにつきましては、先生お示しのとおり、確かに石油につきましては一ドル二百九十円でカウントしているわけでございますが、私ども、為替相場の変動を追ってまいりますと、直物相場でいたしますと、ちょうど二月に変動相場制に移行いたしました。その時点におきましては、直物相場が一ドル二百六十五円程度でございましたけれども、その後だんだん円安に転じてまいりまして、四十九年一月一ドル三百円に低下いたしております。現在時点では一ドル二百八十円前後かと思っております。日本の場合におきましては、基礎資源をほとんど海外からの輸入にたよっておりまして、そういった点から、今後とも必ずしも円高の方向になるとはなかなか考えにくいのではないかという、そういう感じもございますが、私どもといたしましては、為替レートの換算につきまして、今後の長期的な見通し等も十分勘案しながら現在検討を進めておるところでございます。  それから次に、百キロワットアワーのナショナルミニマムが低いのではないかというお尋ねでございます。これにつきましては、三月二十日の電気事業審議会の料金制度部会におきまして中間報告が出ておりまして、その中に、電気使用量のナショナルミニマムをきめます基準といたしまして、「電灯需要の使用電力量の相当部分対象とすること」それから「標準家庭の普及率の高い機器の消費量をカバーすること」、そういった基準できめるのが好ましいというふうにされておるわけでございます。当面百キロワットアワーということになりました理由といたしまして、まず、電灯需用家の大体三〇%ないし四〇%の需用家数が年平均一月当たり使用量百キロワット時以下であるということ。それから電灯需用の総使用量のうちの約五〇%、半分近くをカバーしておるということ。これは若干補足いたしますと、二百キロワットアワーあるいは三百キロワットアワーをお使いになる方も、下の最低限の百キロワットアワー以下の低い料金の適用を受けることになるわけでございます。それから第三点といたしまして、標準的家庭におきます普及率八〇%以上の電気機器、これの電気使用量を試算いたしますと、これは、品目といたしましては、照明はもとよりでございますが、あと、アイロン、あんか、トースター、扇風機、こたつ、冷蔵庫、洗たく機、カラーテレビ、掃除機、そういったものが入っておるわけでございますが、一応百キロワットアワーとなるわけでございます。今回の九電力料金改定におきましても、そういったことで、審議会の答申を受けまして三段階方式を採用して申請をいたしてまいっております。私ども、いま審査中でございまして、具体的に何キロワットアワーまでをナショナルミニマムとするのが妥当であるか、これにつきましては、公聴会の御意見、さらには先生のただいまの御意見等をも参考にさせていただきながら慎重に検討いたしてまいりたいと思います。     —————————————
  31. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本日、当面の物価等対策樹立に関する調査のため、日本住宅公団理事川口京村君に参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  33. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 引き続き調査進めます。
  34. 竹田四郎

    竹田四郎君 長官にお聞きしたいと思います。新価格体系とかいろいろな構想がされているわけでありますけれども、今後の物価情勢というのは一体どうなっていくのか、この点をまず第一点として聞きたいわけです。  田中内閣は、大体卸売り物価の上がる割合が若干鈍くなったということで、物価の危機は避けられたと、こういうふうに言っております。しかし、実際問題、消費者物価は、三月、四月を比べますと実に三・五%、これで閣議は大騒ぎをしたように新聞は伝えております。メロンが悪いんだ、統計局長統計のとり方が悪いんだというところまで問題は発展してしまったようであります。一体、これからの消費者物価動向というものはどう考えていったらいいのか。国民は、電気料金をはじめとして、電気料金が上がれば私鉄料金が上がるだろう、あるいは米価、国鉄運賃も六カ月凍結したものがやがて解除になる、解除になるときにはそれがまた大幅に上がるのじゃないだろうか、こういう心配もある。さらに、最近は、電話料金とかあるいは郵便料金値上がりも言われておる。一方においては、鉄鋼価格の引き上げをしてくれという要請が出てくる。あるいは、三月十八日付で五十三品目基礎物資の凍結も解除しようじゃないか、こういうことも、これは長官じゃないと思いますが、ほかの大臣の口から出ている。あるいはデパートやスーパーに頼んである百四十八品目でしたか、こうしたものの価格も解除をしようじゃないか、灯油の三百八十円も需要期を過ぎたから解除しようというような話が新聞に次から次へ実は載っているわけです。こういうことが行なわれていくということになれば、いま田代委員の話にもありましたような便乗値上げというものも当然これはついて回るわけです。そうすれば、いよいよ、この電気料金の値上げを一つの発火点としての第三次の狂乱物価が起こるだろうと多くの人が言っているわけです。そうした点では、これからの物価情勢、特に国民生活関連のあるところの物価情勢というものはいよいよ上がってきて、国民生活はいよいよ追い詰められてくるだろう、こういうふうに言われているわけですが、長官として、経企庁として、今後の物価情勢というものは一体どう考えているのか、これが一番私の聞きたいところでありますが、これはどうなんですか。
  35. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) お説のとおり、今後の物価の推移について決して楽観をしたり、また物価対策についての手をゆるめるべき時期に来ていると思ってはならないと私は考えるものでございます。なるほど、卸売り物価等につきましては、御承知のように、三月、四月などのある旬におきましては、対前旬に対する上昇率がゼロ%のときもあったり、あるいは若干マイナスになるような月もございまして、これは昨年の十二月とか今年の一月のように前月に対して七・一%とかあるいは五・五%とかいうような上昇率を示したときに比べますと、非常に鎮静をいたしてまいってきておることは事実でございますが、消費者物価は、先ほども御指摘がございましたように、その原因がたとえ季節的物資の季節的上昇に多くの要因があるにいたしましても、私は決して楽観をしてはならないと思います。ことに公共料金改定の問題も控えておりますし、また、春闘における予想以上の高額の賃上げというようなものも行なわれまして、これがコスト要因におきましてもあるいは需要の要因におきましても物価相当影響を放置するならば与えると考えなければならない点もございますので、一部の物資担当方面におけるお考えのように、もはやそういう規制や抑制をそろそろ解除してもいい時期だということを手放しには私どもは受け入れるわけにはまいらないと思います。中には、その価格の規制等を存置いたしますことがいわゆるその価格の下値ささえになってしまったり、また、現実に標準価格といわれているものよりも実際の販売価格のほうがかなり安いような事態が生じてきておるものもございます。つまり、需給が著しく緩和しておるものもございましょうが、先ほど来申しますような上昇要因というものを考えますときに、これはもはや物価対策は済んだと、公共料金対策もゆるめてしかるべき時期だというふうに考えてはならないと、こういうふうに私どもは考え、また、今後そのような施策をいろいろ取りかえて採用した場合には、それが物価なりあるいは企業の活動なりあるいは労働関係なりさらには経済成長などにどのような影響を及ぼすか、さらにひいては明年にわたって賃上げ、春闘等のいかなる情勢を誘致するかというようなことにつきましては、いろいろの仮定を置きながら分析をしたり、それをまた総合いたしたりしながら、今後にわたってとるべき政策の基調についての判断材料というものをいま私ども作業をいたしておりますのも、私が述べましたような見地に立ってでございます。
  36. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまの長官の発言で、賃金の大幅な値上げが物価上昇を引き起こすと、こういう話でありますが、紙の上なら私は確かにそういう理屈も成り立つと思うのですが、ことしは私は賃金の値上げが物価影響を与えるということはないと思うんですよ、これはもう明確に便乗値上で取っちゃっているんだから。これからまた賃金を理由にして上げるということになったら、また賃金を理由にしての便乗値上げをやるということですよ。これは厳に政府として監督してもらわなくちゃいかぬと思うのです。この点は私の認識は違うわけです。これはもう少し物価局もあることですからしっかりと精査してもらったらわかることだと思う。若干のアンバラはあると思いますけれども、全体的に見れば賃金によって物価が上がるということはあり得ない。これは私は指摘をしておきたいと思います。  あなたは、いま、公共料金についてもゆるめてはならないという事態だと。まあ私もそう思う。それであるならばなぜ電力会社の料金値上げ申請を受け付けているんですか、これについていろいろな議論をしているんですか。これを一つゆるめていたら次から次へ公共料金は許さざるを得なくなるのじゃないですか。あとのものは、いま世上言われている電気料金の値上げは全部生産性の向上によって吸収できるものですかどうですか。吸収できるものであるならば、これはまあ電力九社ですか、これについては先ほども個々には一般論として議論がありましたけれども、完全にそれが生産性の向上によって吸収できるというものであるならばこれは私はわかりますけれども、できるんですかできないんですか。世上言われている電気料金の値上げが生産性の向上によって吸収できるものですかできないものですか、どっちなんですか。
  37. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) おそらくできない要素の分が私は多かろうと思います。しかし、中には、それは先取り値上げで、いまの賃金についての御所論がありましたように、先取り値上げの分の中に埋没されるものもございますので、したがって、私は、電力料金の値上げがかりに行なわれましてもそれが全部吸収できないというたてまえのもとに、いまの物価の特定物資の価格の事前了承制というようなものも、それはとっても心配ないんだと考えるところはそこにあるわけでございます。
  38. 竹田四郎

    竹田四郎君 それであるならば、この電気料金の値上げというものを、いまここで何か通産大臣の話では二十一日に認可をして六月一日から実施するなどという報道がされておりますけれども、そういう必要はないんじゃないですか。延ばすだけ延ばすということが必要じゃないんですか。どう思いますか。
  39. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 公共料金に対しましては慎重に対処するということは、今も昔も変わりはないわけでありますけれども、慎重に対処するということは、いつまでも公共料金の引き上げを認めないということではございません。私が慎重な態度をもって持するということを言うことによりまして、公共料金改定に臨むその態度というものも当然違ってくるわけでございますので、たとえ今月に認可をいたすことになりましても、それは必要最小限度の幅をもって料率の改定を慎重に審査の上認可すると、こういうような考え方を一そう強めつつ対処をすると、こういうことになろうかと思います。
  40. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、経企庁長官は、ある程度の公共料金の値上げはやむを得ない——もちろん、慎重検討はするでしょう。その結果、電気料金の値上げはやむを得ないと、まあこういう立場ですか、それとも、今後検討をしてそしてこれはやめさせていくという態度なんですか、どっちなんですか。
  41. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これはもう経済は生きているものでございますから、機械的に押えればそれで万事が済むというものではございません。それは鉄道であれ、私鉄であれ、国鉄であれですね。そうした場合に、一体、電気事業というものは、はたしてそれは国民生活に不便をかけないような状況のもとに運営をしていけるのか。国鉄、私鉄についても同じわけでございますので、抑制をはかりながらも経済の中の一こまの料金であり価格であるということをも考慮しながら私どもはやっていかなければならないと思います。
  42. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、あなたの意見ですと、一つ電力会社を基準とし、あるいは電力事業というものを想定して電気料金を上げていく、こういう立場のように聞こえるんですよ。私も、公共料金を常にいつでも上げてはいけないということを言っているわけじゃない。上げなくちゃならない時期も私はあると思う。しかし、公共料金を上げることによって他の消費者物価を引き上げるというような情勢、そういうときには公共料金を上げるべきじゃない、時期が非常に悪い、こういうふうに私は思うのですけれども、あなたの意見では、そういうことではなくて、電気事業の経営上いつまでもやっておけば赤字になってつぶれてしまうかもしれぬからいま上げなくちゃならぬ、こういうような議論だと思う。私はその議論は間違いだと思う。あなたの立っている立場というのは、電力会社の利害に立ってそういうことを考えているというふうにしか言えないわけです。いま消費者は物価問題でおののいているわけです。そこへ電気料金をはじめとするものの公共料金がずっと引き上げられるということになったら、これはたいへんだ。もし上げなければならないという事態であるならば、少なくとも一般消費者用の電力料金というものは絶対上げてはならない。もし上げるということであるならば、大量に使っているものの電力料金を上げたらどうですか。いま、家庭用の電力料金は一キロワット時大体十二円です。大口のものは四円前後です。家庭用のものが三倍も高いわけです。ナショナル、ミニマムとかなんとかいうインチキなことばを使って家庭用の電力料金を引き上げようと思うんでしょう。上がったって、ベースが違うんですから、幾ら家庭用の値上げを低くしたって、ベースが高いんですから、この格差はやや縮まるだけで一向に変わらないじゃないですか。こういうような電力体系そのものに私は問題があると思う。これは電力問題だけじゃないと思うのです。ほかの生活必需物資すべてについて私はそう思うのです。  これは私の一つの提案ですが、われわれの個人的な生きる権利、憲法二十五条にいうところの文化的にして健康な生活をするという、そういう基本に立って考えてみれば、われわれの生きる権利を守るための生活基礎物資についての価格はこれは据え置くと、こういう価格体系というものを私は新しくとらなくちゃいかぬと思うのです。電力にしても同じです。貴重な石油を使っている、空気をよごしている、公害を発生している、こうした社会的な費用というものは一切みていないわけです。ゼロとして勘定している。また、電力を大量に使う工場というのは当然そうした社会的費用がかかっているわけですよ。そういうものを一切抜いて計算をしている。たくさん使えば安い、たくさん買うものは安いと、こういう常識というのは私はいままでの産業優先、企業優先の考え方だと思うんですよ。この間も私は神奈川県の秦野のある小さな工場を三十軒ばかり回ってみました。そうすると、工業用の灯油ですね、これがタンクローリーで持ってくるような大企業は安い工業用の灯油価格、あまりたくさん使わなくてドラムかんで持ってこなくちゃならぬ、そういうような小さな企業はキロリッター当たり五千円ぐらい高いものを買わされている。しかも変なものを混ぜられて使わされている。こういう状態じゃ大企業と小企業と競争できるわけないじゃないですか。これもやっぱり価格の条件は同じにしてやらにゃいかぬと思うんですよ。ウサギのスタート点を前に置いてカメのスタート点をうしろに置いて、さあ自由競争だといったって、これは自由競争にならない。初めからわかり切っている。カメのスタート点を前に置いてウサギのスタート点をうしろに置くなら、これは同時に決勝点に着くということもあり得る。そういうような逆な価格体系というのを、いまの資源の少ない日本、しかもインフレで困っている日本の今日の物価情勢、こういうものから見れば全然変えていかなくちゃいけないのじゃないのか。それが国民の生活を預かっているところの国民生活局やあるいは物価局の私は役割りじゃないかと思う。だから、田代委員が先ほど電力料金を上げなくてもいいといういろいろな根拠を示しましたけれども、もしそういうものを検討してもどうしても上げなくちゃならぬという場合、一般家庭で使うものは据え置く、大量に使うものは上げていく、こういうような新しい物価体系というものをつくっていかなければ、幾ら田中内閣が福祉社会を私どもはつくります、人間尊重をいたしますと言ったって、人間尊重にならないのじゃないですか。人間が生きていくために必要な電力は十二円だ、大企業が便乗値上げをしたり価格転嫁をしてやれることのできるようなのはたった四円、こんな価格体系はここで根本的に直していかなくちゃいけないのじゃないですか。そのためにも、もしいろいろ精査をして、どういうような合理化をやっても電力会社が赤字になるというならば、大口電力を大幅に上げてその赤字を解消すべきだと思うんですよ。そのことによって当然払うべき社会的な費用を彼らが負担すべきだと私は思う。この電力料金を中心として今後の公共料金値上げの中で新しい価格体系を私はつくっていかなくちゃいかぬと思う。この点について、長官、どう考えますか、私の提案について。
  43. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 非常によくわかる御提案だと思います。しかし、電気料金の価格体系と申しますか構造につきましては、電気事業審議会の価格部会というものがございまして、先般、今回の料金申請よりも前に、いかなる料金構造であるべきかというものを、いろいろのお立場にある方がお寄りになって論議をされて政府に答申されました結果、家庭用の電力については、いわゆるナショナルミニマムというようなものを設けながら三段階制にするとか、あるいはまた、従来は電力料金の計算のしかたというものはいわゆる原価主義によって、大きな工場等に持っていく高電圧のつまり変電施設の網を通らないで済む電気の原価と、それからまた家庭に配電するように、百ボルト程度に電圧を下げるために幾つかの変電装置を経たり、かつまた配電のための電柱をつくったりするような場合の原価主義のコストというようなものを単純に計算すべきではなしに、いま竹田さんがおっしゃられるような構想をも一方の頭に置きながら論議をされて今回の電気料金体制ができたと、こういうことを承知いたしておるわけでございます。これはまあいろいろの論議があるわけでありますが、十分御意見のありますところは承りました。
  44. 竹田四郎

    竹田四郎君 エネルギー庁の長官としては、いまのような私の意見ですね、当面の電力料金については、家庭用については一切据え置く、大口でやっているものはいままでもものすごく安いんですからこれは上げていく、どうしても合理化ができない、どうしても値上げ分を吸収できないという場合には、そういう形を改めるべきだと思うのです。あなたは直接この料金を今後認可していく当の担当者です。少しばかりそういうような形じゃなくて、抜本的にこの際そういう形で改めていく、私はそのことをあなたに要求しますけれども、どうですか。
  45. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 現在われわれ値上げ申請の査定にあたりましては、徹底的に経営の合理化でまずコスト上昇要因を吸収していくということを求めて、できる限り必要最小限の幅のものにしたいという方針で査定をやっているところでございます。  いま竹田先生がおっしゃられました家庭用は据え置いて大口のほうをそれ相当分上げるべきだというお説でございまするが、電気事業審議会の答申にもございまするように、発電から送電、変電、配電を通じまして電気が円滑に供給されていくことを確保していくためには、従来の総括原価主義及びこれを電灯、電力それぞれに配分いたします個別原価主義、これを取りくずすべきでないという答申を受けておる次第でございます。そのワク内で電灯料金につきましてはナショナルミニマムを含めた三段階方式、それからまた電力料金につきましては新しく逓増制という概念を取り入れまして、電気を大量に消費する人には高い料金を要求すると、こういうような仕組みを通じまして省資源、省エネルギーの方法を実行していくと、こういうような考え方で現在査定をしておるわけでございまして、先生お説のように、電灯料金を据え置いて、上げぬといかぬ分は大口に使う分にのみ負担せよというお説には従い得ないと考える次第でございます。
  46. 竹田四郎

    竹田四郎君 個別原価主義というのが一番いまの価格体系の大企業に有利な形の価格体系になっている。この個別原価主義というのをやめなければ、いまの料金体系というのはいつまでたったって、憲法で定められてある精神、その精神に基づいた人間尊重の料金に私はならぬと思うんですよ。いま直さなければ一体いつ直す時期があるんですか。何とか審議会の答申が何だかんだ言うんですが、何とか審議会の答申だって、全部がそういう方向できまっているわけじゃないんです。政府だって、審議会の方針をすべていつもそのとおり守っているわけじゃない。私の言ったそうした形であれば、どこが困るんですか、何が困るんですか。家庭用の電灯料金を据え置いて、うんと大口の二円だ三円だという安いところのを上げるということが、何でどのように電力需給に支障が来るんですか。私は、そんなもの来ないと思うんですよ。電灯料金の全体に占める割合なんというのは二割程度ですよ。二割にも及ばないですよ。大部分がうんと大口のところへ行っているわけです。どうしてそれができないですか。個別原価主義をどうしてこの際やめることができないんですか。
  47. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) それぞれの需用家層に応じまして発電所からその需用家の手元にまで届けまするためには、各種の設備投資が要るわけでございまして、やはり必要な投資が確保できるように投資に見合いのコスト、これはそれぞれの需用層から料金でいただく、こういう考えが各需用層に十分に円滑に電気の供給が確保されるための設備投資が実現できる道だと、こういうふうに考える次第でございます。
  48. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がありませんから、この議論は私はもっとしたいのですが、できませんので次に移るのですが、次長、そういう資本の立場に立った考え方、設備をこれだけ投資したんだからこれは回収しなくちゃいかぬのだと。これは金持ちの論理ですよ。金のある、たくさん買うやつは安く買える。貧乏人は、結局高いものを買わなくちゃいかぬ。しかも、家庭用の場合には、これは何も金もうけのために電気を使っているわけじゃないんです、生活のために使っているんですよ。生きていくために使っているんですよ。しかも、電気事業というのはいま独占形態でしょう。おれは関西電力のほうが安いから関西電力をここで引くというわけにはいかぬでしょう。そういうような制限のある中で、設備投資が多いんだ、設備投資が少ないんだ、そういうようなことで資本の論理に立っての価格というものを考える時代というのは過ぎたと私は思うのです。発想の転換、発想の転換とここ二、三年間、佐藤内閣当時から言われましたが、ちっとも発想の転換がしていないじゃないですか。相変わらず個別原価主義、そんなことでどうして新しい時代対応できるというふうに言えますか、私は言えないと思うのです。この議論はもうしませんけれどもひとつこれは帰って十分考えてみてください。そういうような古い考え方でいてこれからの世の中がつとまるかどうか。これは長官にも、たくさん買えば安いんだと、こういう考え方はもう私は終わりの時代だと思うんですよ。余分にかかっている社会的な費用というのは全然考えていないやり方ですよ。水も空気もただだから幾らでも使うんだと。その結果いまどうなっていますか。公害病は発生しているし、魚だって思うように食えないような事態になっているじゃないですか。そうした問題を考えたときに、たくさん資源を使うものは当然私は高い代金を払うのはあたりまえだと思うんです。この電気だって、家庭用だけで使っているとしたら、火力発電をやったっておそらく公害は起こりませんよ。大量に使うから火力発電所をうんとつくらにゃいかぬ、原子力発電所をうんとつくらにゃいかぬということですよ。家庭用に使うだけなら、いまの水力電気でもう十分間に合っているはずです。そういうことを考えてみれば、社会的な費用というものを当然考慮に置いて、大量に使うものは高い代金、これはあたりまえのことだと思う。こういう発想の転換を長官もひとつ考え直してください。そして新しいこれからの料金体系というものはそういう考え方でつくっていく、これを要望しておきます。また私が新しく参議院議員になったらこの問題をやりますから、そういうことでひとつお願いをしたいと思います。  公団の方にお聞きしますけれども、なるほど家庭用の電力はまあ値上げ率が幾らか少なくなるということでありましょうけれども、公団が各家庭に配給していない電力、たとえば水をタワーに揚げる、このためには電力が要るでしょう。あるいは汚水処理場の電力、こういうものも要るでしょう。こういう、公団が各メーターで各居住人にやっている以外の、公団が一括して買っているところの電力、これは今度は一体どうなるんですか。いままではどういうふうにしてやってきましたか。それが共益費用の中で一体何%を占めているものですか。
  49. 川口京村

    参考人(川口京村君) 公団の場合は、いまおっしゃいましたような費用は共益費の中でまかなっているわけです。それで、現在の共益費が総平均いたしますと、大体月千円というふうになります。もちろん団地の状況によってそれより安いのも高いのもございますけれども、平均いたしますと千円でございます。その中で公団が支払っております電気料金が約一割、百円ということになります。この内訳は、いま先生おっしゃいましたように、給水施設、汚水施設、それから街灯、それから階段灯も含みます、そういうものでございます。街灯と階段灯はいわゆる普通の百ボルトの電流でございますが、モーターを回す給水とそれから汚水処理のほうは動力の電気を使っております。二百か三百ボルトかよく知りません。いま手元に資料がございませんのですが、それぞれ何キロワットということはちょっといま申し上げられませんが、金額で言いますとその千円の中の百円、毎月です。もちろん千戸あればその千倍ということになるわけですが、そういう状態になっておるわけです。ですから、電気料金が上がりましたときにどの程度影響があるかということはいまちょっとにわかに答えられませんけれども、かりに五割上がれば百円が百五十円になる、単純に計算すればそういうことになる、そういうことでございます。
  50. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、いずれにしても上げ方によって、これはいままで階段灯とか街灯は百ボルトですからどういう値段になっているか知りませんけれども、少なくとも給水用あるいは汚水処理場の電力というのは大口電力の価格で買っているわけですね。
  51. 川口京村

    参考人(川口京村君) 給水と排水は大口ではございません。動力の電気を使っておるというわけでございまして、いわゆる大口の適用を受けておりません。
  52. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、これはエネルギー庁の次長に聞きたいのですが、たとえば東京電力でいま申請をしている料金値上げの申請ですね、それによれば、こういう公団の街灯、階段灯、あるいは給水、汚水、これへの電力は一体幾らぐらいに東京電力は上げようとしているわけですか。
  53. 中井富男

    説明員(中井富男君) お答え申し上げます。  先ほどもお話のございました街灯なり階段用の照明用につきましては、これは電灯のアップ率が適用されるわけでございます。したがいまして、電灯の平均が東京電力でございますと三六・三二%のアップでございます。それから給水なり汚水関係のこういったものにつきましては、キロワットがわかりませんとちょっと街灯の利用種別がわからないわけでございますが、かりに五百キロワット未満ということでございますと、小口電力か大口電力かというどちらかに入っておろうかと思います。これはもちろん公団住宅の規模の大きさ等にも関係があろうかと思いますが、東京電力の今回申請いたしておりますのは、小口電力の場合におきましては八一・七四%アップ、それから大口が九七・二七%アップでございます。  なお、単価的に申し上げますと、申請値でございますが、電灯の場合は平均いたしまして今回の改定申請が十五円九十七銭でございます。それから小口電力につきましては十三円十二銭、それから大口につきましては八円四十銭、こういったかっこうであろうかと思います。
  54. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあおそらく街灯とか階段灯の電力というものは幾らでもないだろうと思います。結局、大きなものは、給水、汚水ということになります。そうしますと、小口で八一%ということになると、大体計算しまして百円が百八十円あるいは百九十円、このぐらいになるわけですね。そうすると、その分は公団としてはどうしますか。やっぱり共益費用の値上げあるいは家賃の値上げという形でそれは転嫁をするんですか。
  55. 川口京村

    参考人(川口京村君) 直ちに転嫁するかどうかはほかのものとの関連がございますから言えませんですけれども、純粋に考えれば、共益費というのは実費精算ということになっておりますので、その分はいただかなきゃならぬと、そういうふうに感じております。
  56. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、一方では家庭用は低く押えると言いながら、こういう公団に人が集中してそこで住んだということになると、共益費は普通の電灯代よりももっと高いものを払わにゃならぬということになるわけですが、私はその辺は非常に大きな矛盾だと思うのです。水を給水しない、あるいは下水を処理しないということはこれは考えられないわけですよね。そうしたものの電力料金というのはこれは別途に考えるべきじゃないか、家庭用と同じ料金値上げという形で考えるべきじゃないか。これでなければ、一方では押えたように見えても、片っ方ではしり抜けだ、こういうことになるわけですね。この辺は一体どう考えるか。  続いて厚生省の方にお伺いするのですけれども、電灯料金あるいは電力料金はどういう形で福祉施設の場合にはやっているのですか。
  57. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) 家庭用電力料金となっているのが大部分でございます。
  58. 竹田四郎

    竹田四郎君 家庭用が大部分だというのですが、いまのようにタンクに水を揚げるとか、あるいはエレベーターを使うとか、あるいは場合によれば電熱を使うとか、あるいは汚水を処理すると、いまの公団以上におそらくそういうワット数の高い電力を使うと私は思うのです。こういうのを使うことはないですか。福祉施設の小さなやつはそうでしょうけれども、大きなやつはやっぱりそういうことに私はなっていくだろうと思うのです。福祉施設は別にすべてを電灯料金並みで給電をしているということなんですかどうですか。
  59. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) もちろん大口用の電力料金を払っているところもないわけではございませんが、数は非常に少のうございます。
  60. 竹田四郎

    竹田四郎君 いま、福祉施設は、一般的に物価値上がりで食料その他でも非常に困っているわけですよね。その上へまたこうした電力料金の値上げが、全般でなくても、あるところ——これは病院なんかでもあると思いますよ。そういうふうになってまいりますれば、こういうところにはますます公共料金の値上げのしわ寄せというものがいまでさえたいへんなのにその上に行く。経営自体がもう破壊されちゃっていくと私は思うんです。これは厚生省どうしますか。やっぱりさっきのような割合で九〇%も八〇%も上がるというのはそのまま社会福祉施設の自己責任において払わしていくという形をとるのですかどうですか。
  61. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) 御承知のように、社会福祉施設の運営については国が責任を持っていることになっているわけでございます。したがいまして、巷間伝えられますように電力料金がもし大幅に上がるということになりますならば、当然私どもはそれに対応する措置をとらなければならないということで、すでに部内では検討を開始しております。
  62. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、値上がり分については国がそれは埋めると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  63. 舘山不二夫

    説明員舘山不二夫君) 結論を出すまでにはなお検討を要するわけでございますが、基本的にはそういう考え方で対処してまいらなければならないと、私どもはかように考えております。
  64. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はこれは国が出すということは一つの理由はあると思うのですが、こういう部面の電力料金は別に高く上げる必要はないのじゃないか。そういうものはむしろ押えていくべきだ、あるいは現行料金を守っていくような料金体系をとるべきだと私は思うのです。上がった分は何でもかんでも国に負担をさせると。おかしいじゃないですか。そういう福祉施設や、あるいはそのような公立的な病院、あるいは医療福祉法人、こういうような社会的な公共性のあるような施設、これは老人ホームだって何も全部国でやっているわけじゃありませんよ。民間でやっているのもあるし、あるいは収容施設もいろいろあるわけです。こういうものに対する料金というのは、むしろ国の負担じゃなくて、電気料金そのものを据え置くという形にしなければおかしいじゃないですか。
  65. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 社会福祉の重大さにつきましては十分に認識しているつもりでございますけれども、私企業の電気料金の場合、社会福祉向けの料金を安く浮かしますれば、その分だけ家庭用の電灯料金でございますると家庭用のだれかが負担せざるを得ないと、こういうことになるわけでございまして、社会福祉の要請を料金の中でこなしていくというのには限界があると思うのでございます。で、先ほど厚生省からお答えのように、社会福祉の重大さに立脚した配慮はやはり別途国の政策として配慮していただきたいと、こういうふうに考える次第でございます。
  66. 竹田四郎

    竹田四郎君 その考え方も私は非常におかしいと思うんですよね。いまの大企業、中企業がたくさんの税金を払っていればいいですよ。この税金は非常に軽いですよね。法人税を見たって、中小企業はもうけの三割は持っていかれちゃう。中堅企業十億から五十億のところへいけば経常利益の二五%、百億以上の大企業になれば経常利益のたった二〇%しか払っていない。税金が同じように均衡がとれた形で払っているというなら、これはわかりますよ。これは所得税においても同じですよ。二千万、三千万の所得の人にいけばもうこれは累進税率でなくて比例税率だ、二〇%しか取られていない。こういう不公正な税制が一方にある中で、社会福祉に電気料金を安くすると、それは家庭のほうにしわ寄せがいくからけしからぬと。私、そんなはずはないと思うんですよ。そういう考え方自体がもう間違っているわけです。だから、私は当然そうした福祉関係の施設へ行くものについては、これは電力料金も特別扱いをする。あたりまえだと思うんですよ。これは国鉄なんかでも同じでしょう。たとえば身障者に対する割引をやっているとかいろいろなことをやっているわけですよ。電気事業だって、公益事業として純粋な私企業じゃないわけですよ。そういうものに対する電力料金というのは当然私は割引してしかるべきだと思うのです。そういう方式を打ち出してこそ、なるほど福祉社会になりつつあるなということになるわけですよ。これはさっそく改めてもらわなければいかぬと思う。これは長官どうですか、大臣の一人としてそういうものに対する料金というのは当然私は割り引いていいと思う。どうですか。
  67. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 竹田さんのおっしゃる考え方は、一つのわかりやすい御主張であると思います。しかし、通産省の答えられましたような考え方もございまして、そこの間にどのように線を引いていくかというところに問題があるわけでございまして、電力料金その他の料金、あるいはいろいろな物資の価格などにつきましてもこれは同じ問題があるわけでございますが、そうした複雑な形の料金制度、価格制度がいいのか、あるいはその出っぱり分は、社会福祉については国が進歩的な政策をもちまして措置費を引き上げていくとかあるいは財政負担金をふやしていくとかいうような形でやったほうがより行政の効果があがるというような議論もあり得るわけでございますので、その辺の接触点を十分検討してまいらなければなるまいと、かように思うものでございます。
  68. 竹田四郎

    竹田四郎君 大臣ね、検討してまいるって、ほんとうに検討するんですか。検討してまいらなければいけないというのですが、ほんとうに検討するつもりがあるんですか。検討したら、検討した結果をあとで報告ぐらいしてくれるでしょうね、私に。
  69. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いろいろの他の考え方を申しますと、これはもう全く竹田さんに対する反論や議論にもなってしまうわけでございまして、竹田さんからわかりやすいお話も承っておるわけでありますから、私も聞いておりますし、通産当局、厚生当局もそれを承っておるわけでありますから、それは反映されておると私は思うわけでございまして、そっちがこちらをやっつけるか、こっちがそちらをやっつけるかという、いまこの場でとか、あるいは次に回答を持ってこいということではなしに、たいへんわかりやすいお話をしていただいたということで私ども竹田さんのお話を傾聴いたしておりまして、行政の参考にさせていただくと、こういう趣旨でございます。
  70. 竹田四郎

    竹田四郎君 あといろいろ問題点はあるわけでありますけれども、先ほどの田代委員との質問が重複しますので、電力料金の問題はこの辺にしたいと思います。  次に、一般物価の問題に入るわけですが、農林省が何か最近鶏の卵の生産を抑制するというような通達を出したというんですが、これは私全くけしからぬことだと思うんですね。いま、魚だって、なかなか漁獲量が少なくなって、日本のいままでの国民のたん白資源としての魚だってなかなか口に入らぬようになってきた。いまやっと一番われわれの口に入りやすいのは鶏卵です。まあこれがいまのたん白食料として一番手に入りやすいものだということで卵というものは日常生活に非常にたくさん使われるようになった。これを、鶏をふやしてはいけない、そうして卵の値段を引き上げる。まさにこれは私は話が逆じゃないかと思うのですね。それで、一方、国際的にえさの商況は非常に下がってきている。なぜえさを安くして安いたん白資源を国民に供給する、そういう立場に立てないんですか、この通達は。  それからもう一つ聞きますけれども、この卵の価格調整のために液卵公社というのがあるそうですけれども、これはどういう活動をいままでしたのですか。それから今度の場合に液卵公社というのはどういう態度をとっているわけですか。その二問についてお答えをいただきたい。
  71. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) お答え申し上げます。  安いえさが供給できまして卵も安い卵を供給できるということが、先生おっしゃるとおり、私どもも理想だと思っております。現に、過去数年にわたりまして、これは十年以上ではないかと思いますけれども、きわめて配合飼料価格が安定的に推移いたしました際には、鶏卵の生産自体の合理化もこれは行なわれたことではございますけれども、鶏卵の価格自体もきわめて安定的に推移をしたと、こういう事情でございます。ところが、昨年の一月ごろから、これは穀物全般でございますけれども、その中の飼料穀物もそうでございますが、国際需給がたいへん逼迫に転じてまいりまして、昨年の一月から本年の二月まで合計いたしまして四回の配合飼料価格の引き上げが行なわれております。数字で申し上げますと、それ以前には、工場建て値でございますけれども、大体トン当たり三万二千円程度のものでありましたものが、ことしの二月には六万一千円ないし二千円というようなところに来ておるわけでございます。したがいまして、鶏卵の生産と申しますか、生産農家の経営自体の問題でございますけれども、これが実は非常に困難になってまいっておりまして、この際やはり鶏卵生産の継続ということをまず第一に考えませんと、これは国民経済全般の問題にもつながる問題でもございますので、私どもといたしましては、ここ四十五年をピークといたしまして爾来非常に過剰ぎみな生産でございました鶏卵の生産につきまして、四十七年の夏ごろからいわゆる需要に合わせた、需要に見合った計画的生産ということを打ち出してまいっておったわけでございますけれども、本年度におきましてもそれを強化をした方向でやってまいろうということで、ただいま先生御指摘のございました通達を出したというような状況でございます。  なお、えさの原料穀物の価格の推移でございますけれども、これはことしの三月の半ばから下旬ぐらいにかけましてピークになりまして、それ以来はやや小康状態ということになってきております。かたがた為替レートの円安・ドル高の傾向というものもだいぶ落ちつきぎみでございまして、それで五月から配合飼料価格につきましては建て値でトン当たり約八百円程度の引き下げを行なったという状況になっておりますが、なお、ただいま使用中の原料は相当高かった時代の原料を使用しておりますので、今後の推移をながめ、かつ為替レート等の動向も見きわめました上で今後対処してまいりたいと考えております。  それから第二点の液卵公社でございますが、この液卵公社と申しますのは、国、都道府県、それから全農等の生産者団体等の出資によりまして昭和四十六年の六月に設立されたものでございますが、その後この機能を発動することなく昨年の春まで推移したわけでございます。昨年の春やはり鶏卵価格が低迷いたしましたときに初めて買い入れを行なった経緯がございますが、これは昨年は九百九十トンほどの買い入れをいたしまして、液卵にいたしましてこれを凍結いたし保管をいたしまして、価格の高い時期にこれを放出するというようなことをやったわけでございます。本年も四月に入りましてから鶏卵の価格が下がり始めたわけでございましたので、買いに入りまして、現在まで千八百トンほどの鶏卵の買い入れを行なっております。以上でございます。
  72. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ、経企庁長官がほかへ行かれるようでありますから、一問聞いておきたいと思うのですが、いまの飼料穀物等についてもこれは下がってきているんですよ。砂糖の市況だっていまずいぶん下がってきていますね。大体三分の一下がっているですね、ロンドンの砂糖の市況を見ても。小麦の市況を見ても、ことしの二月は六ドル三十五セントのものが、四月には四ドル台に下がっているわけですよ。大体三分の一下がっているわけでしょう。そうじゃありませんか。ロンドンの市況を見ても、砂糖が二百七十ポンドが三月には二百ポンドに下がっているわけでしょう。それはそのほかのものもそういうような形で国際商品というのは一時のような強さから全体的に弱くなっているわけですよ。綿花にしても、羊毛にしても、穀物にしても、下がってきているわけです。そういう中で、国内商品というのは、繊維関係、木材関係はちょっと下がってきていますが、ほかのものはほとんど下がっていないですわな。おかしいじゃないですか。国際市況が下がってくれば、当然多くのそうしたものが国内影響して国内の価格というのはもっと下がるべきじゃないですか。もっと徹底的に調べて、こういうものを下げるような形の指導をしないと、この前の円ドル関係のときもそうですよ。輸入品が少しも下がらない。ウイスキーなどそうでしたね、問題になりましたけれども。それと同じような状況がいまあるのじゃないですか。そういうものを下げさせるような方向での行政指導というのは行なえないものですか、いまの段階で。どうなんですか。
  73. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 国際商品市況にいろいろあるわけでございまして、きょう当委員会にお配りいたしましたロイターの第一次産業物資といいますか、そういうものの指標もここに出してございますが、これはある程度竹田さんのおっしゃるような状況を来たしていると思います。第一次製品でも鉱物関係などは銅とかあるいはくず鉄とかそういうものはなお上がり続けておるようでありますけれども農産物につきましては天候の回復というようなことが世界的にございまして、また、前年の天候不順による需給の窮屈化、価格の高騰というようなことに続くものでございますから、耕作反別がふえたりしたような事情も作用していると思いますが、おっしゃるとおりに下がる歩調にあると私も考えております。ただ、砂糖につきましては、これはいろいろ相場動きが非常に激しいものですから、一日か二日下がったかと思うとまた上がっているというようなことで、必ずしも相場の成り行きが下がる一方でもないようでございます。そういう状況を見まして、これは私は専門家ではございませんけれども、配合飼料、これは大家畜——牛などの草などをまじえた飼料につきましては直接の影響はないわけでありますが、小家畜などの飼料に充てる輸入穀物などを配合した飼料につきましては値下げの指導をとり得る状況にあるわけでありまして、間違ったら農林省からお直しをいただきたいわけでありますが、配合飼料の製造販売を扱っております全農などでも、先般来二回にわたってその飼料価格を下げたはずでございます。また、政府におきましても、農林省が飼料購入畜産農家に対する利子補給をいたしたり、あるいは若干の金融措置がございまして、そういう方面で助成の策をとりまして、できる限り飼料の価格を引き下げの方向に持っていくことによって、それをえさとする小動物などの価格、あるいはまた鶏につきましては卵などの値段につきましても採算がとれるような政策をとっているはずでございます。豚などについてもその動きがかなりあらわれているようでございますが、しかし、鶏卵については、私もあなたと同じように、農林省の通牒なるものをあとから知りまして、それは世間の理解が得られるものだろうかという気持ちを正直に申して持つわけでございますが、しかし、他面、これも竹田さん御承知だと思いますが、鶏卵の価格はこの二十年ぐらい動いていないはずでございまして、ほかの物価が非常に上がっている中で一番のまあ優等生であるはずでございます。そういうために、飼料ばかりでなしに、鶏卵農家のいろいろな必要資材のパリティー指数が上がってきているのに鶏卵は上がらないというようなこともございまして、鶏卵専業農家あるいは副業でやっているところもだんだん鶏卵をやめていくような傾向が顕著にあらわれているということも聞いておるところでありまして、それなどに対して農林省は比較的こそくな手段をと申すと批判がましくなりますがとってきたようでありますが、今回はこそくな手段じゃなしにたしか三千羽以上の大規模養鶏農家を対象として、その方面で飼育羽数を伸ばさないようにしてむしろ中小養鶏農家のほうに痛手を与えないで、市況の回復というか上昇というか、まあ上昇ということになりますとわれわれ消費者は迷惑でなかなか理解できないところでありますが、そういう手段をとったことであります。しかし、竹田さんのおっしゃることは非常に示唆に富むわけでありまして、需要を減らしていわば生産調整をして値段を上げるということは一部の基礎産業などがかつて行なって批判を受けているのと似たようなところもあるわけでありますから、基礎産業で悪いことは他の産業についてもあまり感心できないことでありますから、しかし、食料の改善とかたん白資源の補給ということから言いまして、いまの養豚であれ養鶏であれ非常に大切な産業であると私は思いますから、飼料を下げる努力を含んだ他の方法で農林省も知恵を出したり、また勇敢に大蔵省に相談したり、また私どもにも持ち込んでいただいて、経済企画庁もひとつ同一歩調で協力をしてほしいということでもう少し大胆にやっていただいていいのじゃないかという気持ちを持つ次第でございます。その辺を含みまして、私どもも農林省を激励したり協力をしたりしてまいるべき事柄だと思っておりました。
  74. 竹田四郎

    竹田四郎君 しかし、これだけ国民が一年に百個も食べている卵を経企庁にも大蔵省にも相談しないでかってに生産調整をやるなんというのは、私は、農林省ももってのほかだし、これは閣議で問題にならないというのはおかしいと思うんですよ。国民だって、それは確かに養鶏農家が採算が合わないという理由はわかりますよ。で、いままでのいろいろな状況を見てみまして、飼料のほうに対する値下げをうんとするとかその他の方法でコストを下げさせるという形で養鶏農家が生きていけるような経営をやるという方向をまず努力をすべきだと思うのです。そういう努力というのはわれわれには少しも反映していないわけですよ。国民にも反映していないと思うんですよ。これは、大臣、ただ単にあなたのほうはまずいことをしましたねじゃ困るんだ。これは閣議で問題にしてくださいよ。もっとほかに私は方法はあると思う。この点をお願いして、どうぞほかの方が御質問がなければ御退席御自由でございますから……。
  75. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私からも農林大臣にとくと申し入れたいと思っております。
  76. 竹田四郎

    竹田四郎君 それから農林省に申し上げますが、国際価格が上がった、国際価格が上がったと、こうおっしやるんですが、ことしの二月、三月の港の状況はどうでした。ものすごい買い占めじゃなかったですか。はしけというはしけには全部飼料で、二カ月も三カ月も倉ばしけになっていたわけですよ。この大部分というのはえさですよ。これは牛のえさも豚のえさもあったでしょう。しかし、同時に鶏のえさだってあった。その買い占めのために、国際価格が下がっても下げられないんじゃないですか。そういう調査をあなたのほうは十分したことがあるんですか。あったら、その資料を出してください。
  77. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) 先ほど経済企画庁長官の御答弁にありました点につきましてちょっと補足をさせていただきますが、長官は先ほど飼料価格につきましては全農におきまして先般二回の引き下げを行なったという御答弁をなさいましたけれども、工場建て値の引き下げを行ないましたのが一応五月、六月分につきましてトン当たり八百二十円引き下げました一回でございます。これは過去四回引き上げをやってまいりまして、今回初めての引き下げということに相なっております。  それから飼料対策につきましてあまり努力をしていなかったではないかという竹田先生の御指摘でございますが、実は昨年の一月、これは全農の建て値で申し上げますが、トン当たり三千二百円、それから三月にトン当たり同じく四千八百円の引き上げがあったわけでございまして、さらに九月に入りましてトン当たり一万円の引き上げが行なわれたわけでございます。したがいまして、昨年一年は、先ほど長官の御答弁にもありましたように、飼料購入資金に対しまする低利融資を春秋二回にわたって行ないましたほか、配合飼料価格安定基金というそれぞれの系統で設立をいたしております法人がございますけれども、これに助成をいたしまして、春におきましては平均千七百五十円、それから秋におきましては平均トン当たり三千円の補てん金の交付を行なうというような助成もやってまいったわけでございます。それからことしに入りまして二月にさらに一万一千円から一万二千円程度の引き上げがあったわけでございますが、このときには、この引き上げの原因でございますけれども、これが従来のようなシカゴ相場のアップというようなことばかりではございませんで、例の石油問題から始まります海上運賃の非常な高騰あるいは円安の事態というようなことが重なりまして引き上げになってしまったということでございましたので、この春の対策といたしましては、先ほどお話がございました低利融資について対策を講じ、この配合飼料価格の補てん金の交付ということは行なっておりません。  なお、最後に買い占め等につきましてのお話がございましたわけでございますが、先生御承知のとおり、飼料の全国需給でございますけれども、これは配合飼料だけで千八百万トンございます。そのほかに単体の飼料がございますので、濃厚飼料だけで二千万トンをこえるというような状況に昨今ではなってまいっております。それぞれやはり一月分程度の在庫と申しますかストックを持っていなければなりませんので、かつ、昨年の七月でございますか、大豆の輸出規制問題等もございまして、これは私どものほうからもそういう指導をしたわけでございますけれども、できるだけ早く買い手当てをせよというようなことで相当手当てが例年以上に進んだと、こういうこともございまして、一時ストックがふえたというような現象はございましたけれども、先高を見込んでの買い占めというようなことはなかったものと考えております。
  78. 竹田四郎

    竹田四郎君 なかったものと認めるというけれども、横浜の港というのは全部倉はしけになっていたじゃないですか。どこへ行ったって倉はしけです。倉庫はえさで一ぱいですよ。そういうことを調査したことがあるですか、あなたのほうで。調査もしないでおいて、そうした便乗値上げにまかして飼料が上がりました、養鶏農家が困りますから卵の生産調整をして卵の値上げをします、こういうことが許されますか。もっと飼料を下げる努力をしたらどうですか。飼料を下げる努力をしないで卵を国民に高く買わせようと、私はもってのほかだと思うですね。農林省というのは安く安定的に食料を国民に供給する義務があるでしょう。生産農家の赤字対策だけじゃないでしょう。そういう義務を怠っているんじゃないですか。  それから先ほどの液卵公社も、ことしの四月からまた買いに入ったというんですが、具体的にはどのくらい買いに入って、その効果はどのくらいあったんですか。もう買えないんですか。卵を少なくして卵の値段を上げない限りはもう液卵公社の機能は停止ですか。せっかく液卵公社というものがあるならば、ある程度安定してそうしてまた卵が上がったときにその凍結された液卵を出していいじゃないですか。液卵公社というのはいま具体的に何をしているんですか。
  79. 下浦静平

    説明員(下浦静平君) 配合飼料価格の引き下げの問題につきましてまずお答え申し上げますが、先ほどお話し申し上げましたとおり、先般初めて若干ではございますが引き下げに相なったわけでございまして、今後私どもは、これは養鶏ばかりではございません、畜産全般を通じてやはりできるだけ安い飼料が供給されるということはきわめて望ましいわけでございますから、シカゴ市場の成り行き、あるいは為替レートの動向等をよく見きわめまして、今後とも引き下げの努力は続けたいというぐあいに考えております。ただ、四月から六月までの間は、これは現地で買い付けをいたしましてから日本国内で使用いたしますまでに約三月ばかりのタイムラグがございますので、かなり高い原料を使うという関係もございますので、七月以降の価格につきまして十分指導をいたしたいという考えでございます。  それから液卵公社でございますけれども、先ほど申し上げましたように、ただいままで千八百トンばかりの卵を買い入れておりますが、最近では冷蔵庫のスペースが非常に窮屈でございまして、買い入れましたものを冷蔵庫に入れましてそれを割卵をし凍結をするという過程でございますので、なおその辺のやりくりにつきまして十分努力をするように指導いたしたいと存じております。決してこの千八百トンで終わりということではございません。それからさらに、これは、制度といたしまして、畜産物価格安定法に基づきます生産者団体の調整保管をいたしました場合に畜産振興事業団からの助成を行なう制度もございます。本年は、畜産振興事業団で、これは一応でございますけれども、五千トンばかりの予算を組んでおりますので、これが行なわれました場合にはここから助成をいたすという仕組みもございますので、この辺につきましても十分今後指導をいたしたいという考えでございます。
  80. 竹田四郎

    竹田四郎君 下浦審議官ね、その通謀だけはやめなさいよ、そんなもの。そして、もっと養鶏農家がほかのほうでコストダウンができるようなそうした措置をもうちょっと講ずるようにしなければ、国民は承知しませんよ、こういうことをやっていれば。通産省の二の舞いを農林省が今度はやっているわけですよ。もってのほかです。これは検討し直してひとつ撤回するようにしてください。——いいです、答えは要らないです、どうせいまのところ撤回するとは言えないでしょうから。撤回すると言えるなら答えてください。  それから食糧庁に聞くんですが、小麦の価格もとにかく下がってきているんです。膨大に上がって、その上、最近では、即席めんなんかは六カ月以上のような古いものを食わされている。これはこの前の小麦価格の引き上げのときの買い占め、売り惜しみの典型的な例です。NHKがこの間やりましてあれはだいぶ問題になりましたよ。今度も国際的な小麦価格は下がっているんですからね。いま物価が上がって、とにかくそれでなくたって十円上げて採算がとれるものを二十円も三十円も上げてきたわけです。二円上げていいものを十円も上げてきている。この際、国際価格も下がっているんですから、食管会計の赤字もあるいはあるかもしれぬけれども、小麦の価格を引き下げなさいよ、売り渡しの。そしてメーカーからのも三分の一ぐらいは引き下げて、国民にやはり安い価格でそうした小麦製品が食用に供されるようにするべきじゃないですか。少なくともまずどうしてもやらなくちゃいかぬというのは学校給食のパンですよ。下がった分だけ三分の一ぐらい下げる。いま学校給食は次から次へ上がって悲鳴をあげているわけです。そういうところの分だけは下げさせなさいよ。どうですか。
  81. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) 麦は、国民の主要食糧でございますし、食糧管理法に基づいて国が管理しておるわけでございます。したがいまして、外国麦は、これは直接食糧庁が買い入れて実需者にこれを売り渡すという方式をとっております。外麦価格が下がっているのにこれが国内に反映しないという御指摘は、その政府売り渡し価格が引き下げられないということを御指摘になったものかと存じます。この点につきましては、たてまえといいますか考え方の話とそれから実態の話と両面ございますが、考え方のほうから申し上げますならば、私ども、主要食糧の国内価格がそのつどそのつどの国際価格等の変動に左右されるということは好ましくないと思っております。したがいまして、国としてはできるだけ安定した価格で売るように考えておりまして、一昨年以来の高騰の際もそのままこれを国内の売り渡し価格に反映させるというようなことはいたさず、昨年の十二月に麦の売り渡し価格を上げさせていただきましたが、そのときも一部にとどめているわけでございます。その結果、多額の財政負担をするという実情になっております。  それから実態のほうについて申し上げますならば、先ほど来先生御指摘のように、麦の国際価格は一昨年の夏以来ずっと直線的に高騰を続けてまいったのでありますが、本年の二月をピークにいたしまして幸いその後かなり下がってまいっております。国際相場の一番基準になりますシカゴの穀物取引市場の相場を現物で見てみますと、一ブッシェル当たり四十七年の六月−七月、これは国際価格が高騰する以前の正常時の価格ということが言えるかと思いますが、このころは一ドル四十九あるいは一ドル五十二というような水準でございました。それが四十九年二月まではずっと上がり続けまして、一番高い時点では二月の月央でございますが、六ドル九十一というようなことで四倍半の水準にも達しております。その後は若干本年のアメリカの豊作等が予想され市況は下がってまいりましたが、いまなお、これは五月十五日現在の相場でございますが、三ドル六十五という水準にございます。これは正常時の価格に比べてなお二倍以上の高値である。それから海上運賃、アメリカから運んでまいりますところのフレート等も、これは穀物自体の相場とは異なりまして、ほぼ横ばいで高水準にございます。こういうような事情を勘案いたしますというと、なお外麦の政府の買い入れているコストとそれから売り渡し価格との間では大幅な逆ざやになっておるわけでございます。そういうことに変わりはございませんので、国民の主要食糧である麦の売り渡し価格については諸般の事情を今後総合的に考えてきめていかなければならないと思いますが、いま直ちに下げなければいけないというような事情にあるとは考えておりません。
  82. 竹田四郎

    竹田四郎君 総務部長ね、何もかも上がっている、どっちを向いてもたまらぬということですよ。あなたの小づかいはどのくらい奥さんから減らされたか知りませんが、どこの家だっていま奥さんの小づかいもぐんぐん減らしているところですよ。亭主族もいまや小づかい難で困っているというそういう時代ですよ。政府が売るものぐらいはどこかに一つぐらい息抜きを与えるような政策があっていいじゃないですか。それによって、ああ、やっと上がるものばかりじゃなくて、下がるものもあるなあと、こういうふうなことになるのじゃないですか。それが食糧管理法を政府がやっているゆえんでしょう。そろばん勘定でやっているなら、何も政府が高い金を出してやる必要はないんですよ。そうした全体の食糧政策、価格政策、そういうもののためにわざわざ食管法という形で今日までやっているんでしょう。そうするならば、世界的な小麦の相場があなたのいまのお話では半分ぐらいに下がってきていると。まあこれからもおそらくそう上がることはないでしょうね、少なくとも一年くらいは。まあこれは天候に左右されるからわかりませんけれどもね。そうしてみれば、下がったときぐらいああ下がったなあという感じを与えるくらいのことがそろばん勘定ではなしに政策としてあっていいじゃないですか。全部下げられないにしても、一部の学校給食とか、あるいは福祉施設のものとか、そういうところぐらい——いま福祉施設なんというのは一番困っているわけですよ。電気一つで困っているんですよ。学童の給食だってそうですよ。水っぽくなっているんですよ。そういう事態の中で何か一つぐらい息抜きに下げるものがあっていいじゃないですか。検討してみてくれませんか。
  83. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) これ以上さらに下げてみたらどうかという御指摘でございますが、現在の逆ざやの状況を申し上げますというと……
  84. 竹田四郎

    竹田四郎君 わかっているんだよ。わかっていて言うんだよ。
  85. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) おわかりでございましょうが、なおかつ申し上げさせていただきたいと思います。  私どもピーク時に買っておりましたときの小麦の価格は、トン当たり、まあこれは国内コストから何から含めましてでございますが、八万七千円ほどになっております。それに対しまして、売り値は四万四千円でございます。半分よりはやや高うございますが、四万円程度の損をして売っておったわけでございます。最近、御指摘のように、小麦の国際相場が下がりましたから、最近の価格でもってこれを入手するということになればたぶん六万七千円程度のコストになろうかと思います。高い時代のとこの程度に下がってきたのと平均した水準で今後の単価が想定されるわけでございますが、今後の見通しはまあ若干それが影響するとは思いますが、かなり全体として高い水準で買っておるわけでございます。これをいま申し上げましたような四万六千円というようなことでトン当たり二万円以上、三万円、四万円といったような負担をして売っているわけでございます。外国農産物をそのように高く買ってこれを国内に安く売るということには、これはまたいろいろ問題もございます。農業政策上の問題もございますし、外国の農民に価格補助をやっているのではないかというような批判もございます。それとまた、物の値段でございますから、全くコストを無視したような、財政だけが負担すればいいというような売り方も、これは実際問題としてなかなかできないということがあります。ただ、全般の事情を考えながら、むしろ現在の逆ざやのことを考えれば上げたいところをがまんして据え置いてきているというのが実情でございます。  なお、学校給食用の売却につきましては、先般、昨年十二月に一般用の売り渡し価格を三五%平均引き上げました際に、これは三月末まで据え置くということにしたのでございます。それをさらにこれは全体の緊急物価対策の一環といたしまして六カ月延ばして九月末まで据え置くということで、学校給食用の小麦粉に対しましては、あるいはパンに対しましては、非常な決断をして食糧庁としては措置をいたしたところでございます。また、現実に学校給食用のパンにつきましては製粉業者なりあるいはパン業者なりが学校給食会なり学校あるいは市町村といろいろ折衝しておられるわけでございますが、極力、いろいろコストの上昇はあろうが、それを安く供給するようにということで業界に対する指導を行なっているところでございます。
  86. 竹田四郎

    竹田四郎君 終わります。
  87. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 世の中があんまり目まぐるしく変わっていきますので、そして先に先に目を奪われてしまうものですから、ついこの間まで問題になっていたものも忘れがちになってしまう、こういうような状態が最近特に感じられるわけですが、その中で、政府が一ころ石油の再々値上げが必要だというようなニュアンスでございましたけれども、現在はどう考えておられるのでしょうか。最近はアメリカもアラブも今回の石油の値上げは少し上げ過ぎたのではないかと考えているようなニュアンスを私どもは受け取っているわけですけれども、そして少し石油の価格が下がりぎみになっているように思われますが、政府はどう見ておられましょうか。
  88. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 原油の国際情勢はいまなお流動的な面を多分にはらんでおりまして、現に先般三月十六日の閣議決定で現在の指導価格をきめましたのですが、あれ以降も原油の追徴金の請求がかなり来ておるという上げのほうの要因もございますし、それから片一方、為替レートのほうは、あれは一ドル二百九十円で算定をいたしましたですが、現在はドルは二百八十円をちょっと割っておるというような状態でございまして、これはむしろ下げのほうの要因でございまするが、なかなか双方の方向になお流動的な面がございまして、あの八千九百四十六円の水準、これを原則としては等価で開きましたわけでございまするが、これの是非についてまだ即断するのは早いと、しばらく内外の状況、推移を見守る必要があると、こう考えております。  それからその八千九百四十六円を各油種ごとに開きまして、上限価格を元売りの出し値をきめまして、その元売りの出し値の上がった分の範囲内で流通段階も売り値をきめると、こういうことでやっております。  さらに、家庭用灯油、家庭用プロパンガスのほか——この二つ標準価格でございまするが、ガソリン、軽油、A重油につきまして指導価格という形で現在一定の取引条件のものにつきまして一定の指導価格を設定しておりまするが、これらの油種ごとに元売り及び小売りのきめた額が実勢とどうかという点につきましては、油種によりまして若干弱含みのもあり、若干強含み——しかし、これは一応それ以内で売るということになっておりまするので、現実の形、売り値の形には出てまいっておりませんが、含みとしては若干強含み、強弱双方の油種が存在すると、こういうふうに見ておる次第でございます。
  89. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまおっしゃった三月十六日に閣議決定をした石油製品の価格ですね、それをきめたときに、業界はこんなに安くてはメジャーは供給をストップするだろうと言ったわけですね。ところが、事実は、三月も四月も大幅に石油の輸入がふえている。供給削減はなくなったと私どもは思っているのですが、どうですか、その点。
  90. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) あのときに石油会社もまた一部のメジャーもそのようなことをほのめかすようなのもございましたですが、現実は、先生いま御指摘のとおり、四月も五月も、それから六月のやつをいま配船計画などをとって検討いたしておりまするけれども、六月も大体四、五月と同様のようなことで幸い量的には確保できるようなめどを持っております。しかし、メジャーからのカット通告も取り消しがされたわけではございませんで、一応形としてはカット通告という状態が続いておる。しかし、幸いにスポット物などでメジャー経由でも長期契約価格と同じような値段で供給がされておるというようなことで、現実は必要とする原油の輸入は確保されておるという状況でございまするけれども、何ぶんその内面にはいまのようなことも含まれており、あるいは七月以降OPEC諸国あるいはOAPEC諸国がどのような線を出してまいりまするか、なお流動的な面もある程度残っておるという状況で、これまた全体としては量的な問題は峠を越したように思っておりまするけれども、なお動向の推移を見守りたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  91. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 先ほどやっぱり同じようにおっしゃったわけですけれども、三月の十六日の石油の価格をきめられたときの為替レートは一ドル二百九十円でしたね。ところが、いま二百八十円を割っているだろう、おそらく二百七十七円ぐらいだと思いますけれども、そうすると、十三円ほど得をしているわけですね。これがずっと続いてきているわけですから、値上げ幅をもう一ぺん再検討すべきではないかと思いますが、その点はどうですか。
  92. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 日本の場合、鉄鉱石なり原油なりいろいろな基礎原料、あるいは食糧関係、これを大幅に海外に依存しておる構造を持っておるわけでございまして、為替レートの見方をあの三月十六日のときには過去三カ月平均をとってみましたですが、今後の為替レートの見方につきましては、足元の短期のことだけでなくて、ある程度長期な動向についても念頭に置きつつ慎重なものの考え方をしなければいけないと、こう考えております。さらにまた、石油だけ考えましても、大幅に値上げした原油が日本に到着いたしまして輸入通関後四カ月たちますると対外決済が始まってくるというようなことで、ドルの需給にも影響する面もございまして、なお為替レートのほうも今後の成り行きをよく見守った上で考えたいと、こう考える次第でございます。
  93. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 初めにおっしゃった石油の追徴金ですね、これはどれくらい来たのですか。
  94. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 三月十六日に現在の指導価格を設定いたしましたときに、すでに追徴請求が来ておりました分につきましてコスト算定の中に入れましたのですが、その後に追徴請求があった分は指導価格に入れた分の倍程度のものと、こういうふうにお受け取りをいただきたいと思います。キロリッター当たりに直しますと相当大きなものになります。
  95. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 どれくらいかわかりませんか、値段は。
  96. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) ちよって手元に正確な資料がございませんのであれですが、バーレル当りで三月十六日の算定に入れた分が約二十五セント前後だと思いまするが、その後の追徴請求分が五十セント見当じゃないかと思います、ちょっと正確でございませんですが。
  97. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 けっこうです。  そこで、資源エネルギー庁が去る三月十八日に発表した揮発油、軽油、A重油ですね、これの流通マージンでございますけれども、それぞれ四十八年つまり昨年の十二月についてのみ具体的な数字があげられておりますけれども石油削減が実施された十月、十一月の流通マージンを明らかにしてほしいんです。
  98. 松村克之

    説明員(松村克之君) 流通マージンにつきましては、統計的にきちんと統計法によってとっているわけではございませんので、十月、十一月というものは手元にないわけでございますが、四十八年の十二月の数字のほかに、私ども検討の材料としましたものに四十八年の三月の数字があるわけでございます。それでございますと、揮発油について申し上げますと、流通マージンが四十八年の三月で約十六円でございます。それから四十八年の十二月が約三十円でございます。これが今回検討いたしましたときには二十一円七十銭という数字になっておるわけでございます。  それから軽油について申し上げますと、四十八年の三月の流通マージン、これは私どものほうで計算いたしましたときには約十一円ということになっております。これが四十八年十二月には二十一円、新しい価格では十四円七十銭という数字を一応計算上やっておるわけでございます。
  99. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの三つ製品の流通マージンが、四十八年の十二月には、四十八年の三月に比べてみると、ガソリンが八七%、軽油が九二%、A重油が二七一%それぞれ大幅に引き上げられておりますね。これは便乗値上げではなかったのですか。
  100. 松村克之

    説明員(松村克之君) 四十八年の十二月の末端価格が特にA重油等につきましては相当高いものが出ていたのは事実でございます。したがいまして、先生いまおっしゃいましたとおり、一部に便乗的な部分があるということは私どももそういうふうに考えておるところでございます。
  101. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もう一つお伺いしますけれども、それでは昭和四十八年十二月の時点の流通マージンは、対前年同月比、つまり四十七年の十二月に比べて何%上昇していますか。
  102. 松村克之

    説明員(松村克之君) 四十八年十二月の数字に対しまして四十七年の十二月はどうかという御質問でございますが、私、手元にちょっと四十七年十二月の数字を持っておりませんけれども、四十八年の三月が十六円程度でございます。それから四十七年の三月が十五円程度でございます。したがいまして、大体その程度のものではないかというふうに考えるわけでございます。
  103. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ですから、四十七年の一二月と四十八年の三月と比べると、ほとんど動かないわけですね、値段が。動いていないわけでしょう。ところが、四十八年の十二月になると、さっき私が言いましたように、あなたのおっしゃった値段を聞いてみますと、ずいぶん大幅な値上げになっているわけですね。つまり、もう一ぺん言いますと、ガソリンで八七%、軽油で九二%、A重油が二七一%、こんな大幅な値上げになっているわけです。そこで、今度は、指導価格をつくられた四十九年——ことしの三月十六日、ほんとうは実施したのは十八日ですけれども、このときの値段は、マージンの低減をはかり販売価格の小幅値上げにとどめたと、こういうふうにあの当時発表をされたわけです。ところが、この指導価格はどの時点を基準にして低減したと言われるのでしょうか。
  104. 松村克之

    説明員(松村克之君) 四十八年の十二月の流通マージンというものの中には、確かに、先生のおっしゃるように、異常高の分があるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、たとえばガソリンでございましたら、四十八年十二月の流通マージン約三十円に対しましてこれを二十一円七十銭と、約八円の切り込みと申しますか、切り捨てをしたということでございます。ただ、先生の御趣旨は、おそらく四十八年三月が十六円程度であるといたしますれば、四十九年の三月が二十一円七十銭というのは、つまり切り込みが少ないのではないか、いま少し流通段階での合理化と申しますかができるのではないかという御指摘ではないかというふうに考えるわけでございますけれども、確かに、わが国のこういった小売り商の流通マージンというものは、外国に比べて相当高い面もあるわけでございまして、これの合理化につきましては、中小企業近代化促進法等を通じていろいろ努力しているところでございますけれども、何ぶん中小企業でございまして、私どもも今後とも努力は続けていきたいと、かように思っておるわけでございます。
  105. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私の言っているのは、ちょっとあなたの受け取り方とは違って、いまのガソリンにしてみれば、四十八年の三月に十六円だったんでしょう。今度の指導価格で二十一円七十銭になりましたね。そうすると、切り込みが少ないんじゃなくて、あなたのほうの初め言われたのは、指導価格をつくられたときは、マージンの低減をはかり販売価格の小幅値上げにとどめたと言っておられたわけですね。だから、これのつまり基準にしたのは、大幅便乗値上げをしたといわれる四十八年の十二月を基準にしたのではないかと、私はこう質問しているわけです。そのとおりでしょう。
  106. 松村克之

    説明員(松村克之君) 決して、私ども、四十八年十二月の大幅値上げをしたものを、まあ基準というおことばでございますけれども、それを是認したということではございませんで、四十八年三月、過去の数字も含めまして検討したわけでございますが、何ぶん現在の情勢から必ずしも四十八年三月の数字をさらに切り込むというところまでは実際上困難であったということでございます。
  107. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、もうちょっとはっきり言いますと、四十八年の三月もいろいろ勘案をしながらということであれば、四十八年三月の十六円から今度の二十一円七十銭になったそれを計算してみると、四十八年三月からを見ると四〇%も値上げしたのを今度の指導価格にしていらっしゃるわけですよ。ところが、先ほどから質問したように、石油は大幅に入ってきていたわけですね。それから為替レートも少し下がってきているわけでしょう。だから、もう少し石油の値段を下げるわけにはいかないのかというのが私の質問の中心になっているわけですね。しかも、これをなぜこんなことを言うかというと、その指導価格をつくるときに、おそらく、中曾根通産大臣から、三日間のうちに指導価格を早く計算をしてつくりなさい、こういう命令が事務官やエネルギー庁に対してあったはずです。そのために、だいぶんうろたえて、三日間でやらなくちゃいけないということで、この十二月の大幅値上げになったときのが基準にされてこういう値段をつくられたんだと、こういうふうに私どもは思っているのですが、それはどうなんです。
  108. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 私自身、流通業界の代表を役所に何度も招致しましてこの切り込みの折衝をした当事者でございますけれども、三日やそこらでというものではございません。それから大臣からそういう指示はございませんです。なお、ここで先生がおっしゃっておられまする流通マージン、われわれのほうが言っております流通マージンは、元売りの出し値とそれから小売りの販売価格との差でございまするから、その中間に介在いたしまする各種の流通段階がございまして、特にガソリンとか軽油とかA重油とかいうのは非常に複雑多岐な何段階もの段階を経て末端から売られるわけでございまして、各段階ごとのやっぱりコスト上昇というものがある程度一年間のうちにはあるだろうと思うのですが、われわれはしかし石油の大幅値上げをなるべく最終の需要者には小さくしたいということで、十二月の流通マージンをどれだけ切り込めばそれが適正なものかというのはなかなかむずかしゅうございますけれども、できる限りそれを切り込みたいということで何度も折衝した結果が以上の数字でございますので、御了承を得たいと思います。
  109. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私どもは通産大臣が三日間でやれと言って大あわてでやられたという話を聞いているものですから、それでお伺いをしてみたわけですけれども、そんなことで石油製品の価格がきめられたのではたまったものではないと、こう思いながら、もう一つの点は、いまの元売り仕切り価格ですか、それが昭和四十八年の三月に四十五円二十五銭でしたね。それで今度四十八年の十二月に大幅アップになったわけでしょう。私の資料でいけば八七%上がりましたね。で、そのときには石油精製メーカーから便乗値上げ分を吐き出させたんでしょう。つまり、先取り値上げを吐き出させた。これと同じように、流通段階でも同じような措置をなぜ講じなかったのかと、この点を伺いたいと思います。
  110. 北村昌敏

    政府委員(北村昌敏君) 元売り精製段階は、元売りは十三社、それから精製は重複する元売りも含めまして三十五社という状況でございまするが、何ぶんその元売りを出てからあとの卸、小売りの流通取り扱い業者というのは、大卸のところは別でございますけれども、大部分が中小の業者が十数万、各油種入れますと十数万をもっとこえるかと思いまするがそういう対象でございまするので、あのような方式での吐き出させ方はとても実際問題として無理でございまして、そのためにできる限りの切り込みをしたいということで努力をした結果が先ほど来の決定の数字でございます。
  111. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 では、もう私の時間が来たからもうやめろということなんで、まだもう少し詳しく伺いたかったのですが、それでは最後に続けて質問をさしていただきます。  中途はんぱな質問になってしまったわけですが、実はおとうふ屋さんとこの問いろいろ話をしてみたら、最近A重油というものが非常に大幅に上がりました、さっき言ったとおりです。それくらいに上がったので、最近のとうふは、むしろとうふの原料である大豆が値上がりをしたとか値下がりをしたとかということはそれほどの問題ではない。先ほども説明を聞きましたように、大豆というのは、去年の五月、六月、七月ごろは十一ドル八十七セントだったのですね。それがいま、四十九年の五月には五ドル五十二セントに下がっている。ちょうど半分になっているでしょう。これだけ大豆が半分になってもおとうふは下がっていないんです。なぜ下げないのかと言ったら、A重油が非常に高くなりましたと。B、Cの重油を使うと公害だの何だのといって騒がれるものだから、おとうふ屋さんもA重油を使わなければいけない。ところが、消費者が、やれ灯油をどうせいとか。プロパンガスがどうなったとかということで灯油とプロパンガスに消費者があんまり目を向けたものですから、その結果、標準価格がきめられて、灯油は三百八十円に押えられた。そういったようなしわ寄せが全部A重油に来たのじゃないですか。そのために、大豆が上がろうが下がろうがそれはたいしたことじゃなくて、とうふ屋のいま一番問題になるのは燃料であるA重油でございますと、こういうような話を私はこの間聞いてきたわけですけれども、その辺がさっきからの質問と全部かかわり合ってくるわけですが、その点はいかがでございますかというのが一点。  それからもう一つは、いまくどくどいろいろなことをお伺いしたのは、いままでガソリンスタンドで私どもが車にガソリンを入れるときに現金売りとチケット売りとがあった。たいていチケットを買っておりましたね。チケットを買っておりますと、多少値引きをしたりサービスをしてくれてあったわけです。ところが、いまいろいろ申し上げましたように、流通段階で非常に大きなマージンを取ったために、今度はガソリンつまり小売りのほうにはもうけを押えてしまって、そして百円ということになりましたね、いま。現在は百円ですね。そうなると、つい四、五カ月前まではチケット制のものには割引をしたりしてサービスをしてくれた。ところが、最近は、チケットであろうが現金であろうが、もう百円なら百円きちっと取られるわけですね。こういうふうに、ガソリンスタンドが卸からたたかれているのではないか、そのために小売り業者のマージンが相当圧迫されているのではなかろうか、一度その小売りのマージンを調査してほしい、こういうふうに考えてこれだけの質問をしたわけでございます。  以上の点について御答弁をいただいて、質問を終わります。
  112. 松村克之

    説明員(松村克之君) 御指摘の点の第一でございますが、A重油でございますけれども、A重油の価格につきましては、今回の石油価格の改定に際しましてキロリッター当たり八千九百円の値上げが行なわれているわけでございます。これは全体の油種の平均の値上げが八千九百四十六円であるということ、それから等価比率の上げ幅であればさらに一万円をこえるはずでございますけれども、やはりA重油は御指摘のような中小企業向けということもございまして、軽油とともにその上げ幅を平均以下に押えたということでございます。したがいまして、経済的に考えますよりは相当低目に押えているわけでございます。ただ、お話のように、家庭用の灯油はこの需要期につきましては標準価格が定められておりまして、元売り出し値を一万二千九百円ということに押えているわけでございますので、当然それに比べればA重油は相当高いということになっているわけでございます。  それから第二番目の御質問のガソリンスタンドの件でございますけれども、私ども調査いたしましたところでは、百円で売っているものは現金売りのものが大部分と申しますか、現金売りの場合には百円で売っているものが約九〇%、それよりも少ないものがあと一〇%程度でございますが、掛け売りの場合は百円で掛け売りをしているものが約四割でございまして、あとの六割はそれ以下で売っているわけでございます。  ただ、そのようなときに中小のガソリンスタンドのマージンが非常に圧迫されているのではないかという御質問が最後にあったわけでございますが、先ほどから申し上げておりますとおり、流通マージン全体といたしましては、つまり小売り店及び卸売りのマージンを合計いたしましたところでは、今度のマージンは二十一円七十銭ということで、昨年の三月の十六円に比べて五円程度の上げ幅になっているわけで、この中に卸売り部分相当あるのではないかということにつきましては、ある程度卸売りのマージン幅があるかとも思いますが、原則といたしましては卸売りのマージン幅は四十八年の三月ごろからそれほど上がっていない、大体これは小売り店におけるマージンの増加であろうと私ども推定いたしておりますけれども、これは先生の御指摘もございましたのでなお調査をいたしてみたいと思っております。
  113. 河田賢治

    河田賢治君 時間がございませんから、ごく端的に伺いたいと思います。  まず、第一に、電気事業については、御承知のとおり、地域的な独占があり、そして公益事業として政府のこれに対する監督が毎年検査もされるというふうになっております。ところが、最近、きょう資料をもらいましても、各電力会社がずいぶんいろいろなところへ投資をしているわけですね。一〇〇%投資というのもだいぶありますし、そしてまあこれが電気に関連するいろいろな生産物をつくるとかないしは工事に関係するものであるとかいうならば、これは一つの理屈がつくわけですけれども、そうでないものに相当投資されている。これについて、中曾根大臣も、先日衆議院のわが党の神崎議員の質問に四月二十六日に答えられて、電力会社が公益事業としての業務に直接関係のない事業を行なうのは好ましくないという答弁をされておるわけでありますが、特に私はいま関西電力の問題について聞くわけですが、関西電力が最近では二十四社の関係会社を持っております。二〇%以上の投資ですね。これに対して、土地の造成とか、マンションの建設とか、そういうものがだいぶあるですね。これらについて、会計検査もされておるわけですが、これについて今日までどういう態度をとられたのか、また、会社に対する何らかの警告なぞを発せられたか、この辺をちょっと聞きたいと思うのです。
  114. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 関係会社に対します投資は電気事業法の直接の規制は受けておりませんが、やはり、本来の電気事業を円滑に運営され、また公共事業としての使命を達成するという考え方、このベースの範囲内で処理することが基本であろうと思っております。関係会社の中身を見てみますと、資材の購入であるとか、あるいは機械の修理であるとか、あるいは土地の取得であるとか、やはり大なり小なり電気事業に関連する分野を分担しておるわけでございますが、その運営が適切に行なわれているかどうかについては私どもも十分指導してまいりたいと思っております。
  115. 河田賢治

    河田賢治君 それではお聞きしますが、関西電力昭和土地開発というのを持っているわけですね。これは九〇%出資です。「昭和四十六年三月末迄には、御影アーバンライフほか三カ所に分譲マンションを建設、販売し、現在茨木サニータウン(茨木市大字安威)ほかの大規模な宅地造成を開発中である。また不動産の仲介、斡旋、鑑定業務も行い、当社業務の代行委託もうけている。」と、これはだいぶ古い「関西電力の二十年」から抜いたわけですが、これのたとえば実際こちらで調べましたあれを見ますと、ここに写真はだいぶとってきているんです、こういうふうにね。ずいぶんりっぱなマンションなんですが、こういうものが一つは売り出されております。  それからもう一つ、黒部ですね、例の黒部峡谷ですから、いろいろな自然との関連で開発があそこもいろいろな形で行なわれておる。ところが、これはおそらく通産省のほうでも調べられておるのじゃないかと思いますけれども、関西電力でなくて、関電産業会社というのですね、これが「黒四」という旅館を経営して、それからその付近に分譲住宅、それから御承知のとおりテニスコートやら、あるいはまたゴルフですか、これなんかも開発されて、四十九年ごろまでに大体終わるということになっております。ここにその略図が全部ありますけれども、まあこういうことが盛んに行なわれているわけですね。毎年検査されているんだから、ある程度投資会社に対してやはり通産省は関心を持たれるのじやないかと思うのですけれども、こういうものに対して投資してもあまりたいしたことはないというふうなお考えなんですか。
  116. 岸田文武

    政府員員(岸田文武君) お話のございました昭和土地開発は、本来の業務といたしまして関電の事業用の土地の代行取得、また関電の社有地並びに建物の評価鑑定、また関電の従業員向けの宅地分譲ということを本来の使命といたしております。御指摘のように、一般向けの宅地分譲もあわせて実施をいたしております。  また、後段にお話しございました関電産業でございますが、この関電産業は、関西電力自体の本社ないし一部の営業所の建設、賃貸を行ないますほか、送電用の用地、また水源涵養林、これらのものについての受託管理などもあわせて実施をいたしております。そのほか、御指摘のような事業もその事業内容の中に含まれていることは事実でございます。私どもは、関係会社は直接監督の対象にはなりませんが、しかし、間接的には私ども御指摘の趣旨はわかるような気がいたしますので、なお一そう調査もし、指導もいたしたいと思います。
  117. 河田賢治

    河田賢治君 それはなるほどその付近にはいろいろな峡谷を通っていって道路をつくったとか、あるいはまた若干電車を走らせるというようなこともあると思いますけれども、しかし、最近ここで行なわれている日向山の高原を中心にした宅地——別荘地ですね、ゴルフ場開発の実態というものは非常なものなんですね。黒四ダムから車で約一時間の日向山高原に、関電は昭和三十一年ごろから、関電産業は三十四年ごろから土地の買収を始めて、約四十万平米、購入価格は平均して一平米が大体五百円、譲渡価格がいま大体二万円になっているんです。そうすると、売り上げ総額は約八十億円に達するんですね。これは造成分譲地ですから、ばく大な利益があがるわけなんです。  しかも、この関電産業は、御承知のとおり、関西電力が一〇〇%出資しておる完全な関電の小会社なんです。名前は別でありますけれども、しかし、関電の会社自身がこういうことを言っているんですよ。関係会社の管理については、単に投融資の保全の観点のみでなく、当社を中核とし、その総合力を存分に発揮させるよう組織的な管理を行なっている。当社役員が関係会社の役員を兼務し、直接その経営に参画する。体質の強化、内部留保の蓄積、技術の高度化、経営合理化に直接役立つような指導育成的な管理に留意していると。そして、この関係会社が四十六年の四月に二十四社になって、これを三十六年四月に比べると八社ふえているわけですが、年に一回ないし二回社長会を開いて、ここで、株主総会付議事項や、あるいは新しい事業計画、労働組合との交渉事項等、指導育成に力を注いでいると、こういうふうにして、もう実際の内容から言えば、まあ関係の別個な会社ではありますけれども、役員を通じ、資本を通じ、大体一つの事業会社の一分身と見ていいわけですね。こういうものがだいぶあるわけなんですよ。そしてマンションをつくったりゴルフ場をつくったりしているのはどうも私たちには解せないんですよ。  なぜかならば、いま電力会社は総じてみなそうでございますが、まだまだ公害なんかの問題でも完全にいま公害がなくなったというようなことはないわけなんです。多少でも利益があればどんどん公害を食いとめるようなそういうところへ投資もしたりして、清浄な空気、あるいはまた住みよい環境、こういうところにも相当出すべきが私は当然だと思うのです。ところが、この関連会社が、まあこれは四十五年までですけれども、とにかく関電自身がやりましたあれでは、昭和三十五年度は十六社ですね。そして四十五年度は二十四社ですが、この資本金が百三十四億円から九百八十七億円、つまり七・三五倍にふえている。それから税込み利益が七億五千八百万円から百二十九億九千九百万円、これが一七・三倍になっておる。それからまた資本金も十億二千四百万円が七十三億五千百万円、約七・一七倍にふえているんですね。ですから、こういう点から見ましても、つまり関連産業のほうが本業のあれよりも利益がある。本業のほうはどうかといえば、同じ三十五年に千億円の売り上げですね。これが昭和四十五年には三千二百三十二億円ということになって三・二三倍にしかなっていない。それから税込み利益も七十一億円が二百五十八億円というふうになってきて、これは三・五九倍ということになっている。だから、関連会社のほうの投資が非常に利益があるわけなんですよ。だから、多少の内部蓄積ができてもそっちのほうへどんどん投資をしていく、利益の大きいほうへいって、本業の公害企業といわれる電気産業にはあまり熱を入れていない。なかなか公害を全部なくすには相当かかりますというようなことで済ましているわけですね。これでは、通産省は、ほんとうに電気産業が公益事業で地域独占をもって保証されているわけですが、こういう問題に対してこれまであんまり警告らしい警告もしないというのは、まあ大臣自身も今度は思わしくないということを述べられているわけですね。そうすれば、こういう問題に対して何らかの警告を発するとかやるべきだと私は思うのですけれども、こういうことは一度もなかったんですか。
  118. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 御指摘がございましたので関西電力にあらましの経過を聞きましたところ、いまお話しございました分譲用地、これは黒部第四ダムの建設に際しまして取得した用地の活用につきまして地元からいろいろの強い要望があって、いわば非常に環境のよい住宅地帯を形成しようと、こういったことからスタートしたものだそうでございます。一般的なルールといたしまして関係会社がたとえばコンピューター部門を拡充するとかあるいは機械の整備事業を充実するとかそれぞれ発展をいたしますこと自体はよいわけでございますが、それが行き過ぎましていわば公益事業とあまりにも関係のない分野のウエートが高まるということになりますと、やはり私どもとして問題はあると思います。したがいまして、私ども関係会社につきましては今後ともいろいろ実態を調査をし、指導をいたしたいと思います。
  119. 河田賢治

    河田賢治君 今後とも言うて、今日こんなに電気料金の問題でずいぶん消費者にも困らし、何かやっているわけですから、問題ができたからこれからやるなんというのはちょっとなにだと思うんですよ。確かに、大会社ですから、あまり通産官僚の諸君では頭が上がらぬかもしれぬけれども、しかし、政府としても、そういう公益事業として保証された電気会社ですから、こういう大臣すらも好ましくないという問題をどんどん起こしているわけですから、やはりこれに対して、適当な指導をすべきだと私は思うわけです。そういうことが今日までなされていないわけですが、とにかく通産省はこういう点で非常にあれなんですよ。かつて、新宮津の火力発電所が、まあこれは建設に至りませんでしたけれども、このときも、馬場公益事業局長なんかが出られまして、こういうことを言っているわけですね。これはいろいろ前のことばが出ますが、「このように電源地点がきゅうくつになれば、大容量のスペア地点を各社合同してもつとか、施策にしても大胆な考え方でやらないと仲々解決できないと思う。」ここからが大事なんですね。「必要なら料金値上げもやったらよいと思う」と、こういうことをおっしゃっているんですね、公益事業局長が。これは会社の向こうのちゃんと記録の資料です。これはまあだいぶ古いことですけれどもね。とにかく、通産省自身がもうなんだったら値上げしなさいということを言っているんですね。だから、今度の公聴会で中電の加藤社長が次の電源開発のために料金改定をしてもらいたいということを言っているんですね。つまり、いま上げておいて、どんどんもうかったらそれを次のいわば建設に回そうというのが偽らざる中部電力の社長の言い方なんですね、だから電力料金を上げてもらいたいと。社長もそう言っているし、それからまた、かつて公益事業局長が値を上げたらいいじゃないかということをおっしゃっているんですね。これは全くもう企業べったりなんですね、この考えは。やはり今日の石油危機から確かに重油が上がったりしております。だから、そういうところで経営が無理なら上げなきゃならぬという理論、理屈も出てきますけれども、それを単にそのまま値上げしたらいいだろうというようなお考えの通産省ですから、今度あたりでもまあどんどん上げなさいと言わんばかりの態度じゃないかと思うんですよ。  この間わが党の議員が聞きましたですが、あれは調査ができましたかしら。つまり、十七億なんぼでしたか、電力会社がいわば偽装工作をしているというような問題ですね。この間、衆議院の商工、物価、大蔵の審議を通じて、わが党は、これらの点、水増し原価計算、内部留保、関連投資、料金体系の民主化等について徹底的なメスを加えること、それまでは料金値上げの認可を行なうべきでないと、こう再三主張したわけです。そこで、この問題について、政府のほうでも、その事実を知らないけれども、エネルギー庁公益事業部長は、帳簿調査なので手が及びかねていると。中曾根通産大臣も事後に報告をすると言って一応約束をされているわけですが、時間がまだありませんからできぬのかもしれませんけれども、とにかく荒木議員その他が会社の帳簿のいろいろな偽装工作など、そういうことをやっているということ、それから内部留保がずいぶん大きいじゃないかというような問題をあそこでずいぶん質問をしているわけですね。これらについては通産省のほうとしては一応調査ができているんですか、どうですか。
  120. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 先ほどのお話の中で今後の電源開発の問題にお触れになられましたが、電気事業は本来の使命として電気を安定的に供給するということが最大の課題であろうと思います。その意味におきまして、今後増大すると思われる電力需要に見合うだけの発電所の建設、またそれを運営するに必要な燃料その他の確保、これらについてはやはり電力会社としても全力を注ぐというのが当然の姿ではないかと思います。  後段お話しございました各種の調査につきましては、主として商工委員会等で御指摘になりました幾つかの問題でございますが、私どもも現在調査をいたしております。その中で、お触れになりました関西電力の追加工事の問題、約十七億円と指摘されました問題につきましては、帰りましていろいろ調べてみましたところ、当座の中間報告でございますが、関西電力は配電工事について年度間に約五百七十二億円の工事計画を持っておりまして、これは年度当初でございます。それがその後物価上昇した、また昨年上期にかなり需要が増大した、これを増額をしなければならないわけでございますが、全体の資金需給が逼迫をしておるこういった中で極力圧縮をしようということで、当初原案の組みかえ組みかえという形で処理をいたしておりました。かなり年度も押し詰まった三月になりまして一部の送電工事について緊急にやる必要ができてきたという意味で十七億を追加着工したわけでございます。私どもも関西に参りましたときその事実を聞いておるところでございまして、少なくとも私どもの知っております限りでは特にそれによってどうこうしようというような、ためにするものとはいまのところ見受けられません。なおよく調査をいたしたいと思います。
  121. 河田賢治

    河田賢治君 もう時間がございませんからあれですが、この間開催された公聴会ではいずれも消費者代表の強い反対の意思が出されて、特に九電力の申請内容をめぐって、一、水増し原価計算に基づく大幅な便乗値上げの疑い、二、退職引き当て金をはじめとする過大な内部留保の存在とこれを放置したままの値上げの不当性、三、公益事業と無関係な不動産業、その他へのばく大な投資による収益の吐き出し要求、四、特約料金など大企業向け優遇料金の廃止と、民生用電灯、中小企業、農事用など料金の据え置きなどが一応一斉に指摘されて追及されているわけですね。御承知のように、昨年の石油危機から、国民は、その生活に追われる、あるいは物不足に悩む、ずいぶんな犠牲がある。また、貯金もわずかばかりしておりましても目減りが来ている。それぞれ相当の被害を受けているわけですよ。そうだとするならば、まあこれは公明党の委員からも話がありましたが、電力会社自身も、一応これまで相当利益もあったりしたら、自分たちのこれまでもうけ過ぎた問題、どんどん投資をしてやってきている問題、こういうのがあるわけですから、ある程度国民の犠牲と同様に会社自身も犠牲になる覚悟を持たなくちゃならぬと思うんですよ。そういう指導をしないと、これは私は非常な不公平になると思う。国民はあまり個人個人では力がありませんから、結局、物価のままに非常に困難になる。大会社はそれぞれいろいろなルートを持ってなるべく損はしないようなやり方で原油なんかも入れておりますし、また、いろいろな関係でこれを差し迫ってくればすぐ値上げだといって政府を動かしてくると、こういう事態なんですね。だから、このように消費者から疑問がたくさん出るこの疑惑をきちんと晴らしていくことがまず第一の先決問題だと思うわけですよ。こういうところに通産省はあまり努力を払われていないようなんですが、いずれにしましても、今日このような犠牲を国民が払っている以上は、会社自体もやはり相当の犠牲を覚悟するべきだ、そういうことをまた指導すべきだと私は思うわけです。この点について一応通産省の意見を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  122. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 政府といたしましては、御承知のとおり、物価抑制ということは一番緊急課題でございますので、公聴会での意見等も十分参酌いたしまして、極力経営の合理化等によりましてコストの上昇を吸収するよう厳正な審査を行ないまして、値上げがやむを得ないとかりに判断した場合でも、なお極力その値上げ幅を押えていくということに努力をいたす所存でございます。
  123. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。本日はこれにて散会いたします。    午後六時散会      —————・—————