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1974-03-27 第72回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十七日(水曜日)   午後二時十五分開会     —————————————  三月十三日   委員大橋和孝君は公職選挙法第九十条により   退職者となった。  三月二十二日     補欠選任        竹田 四郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小笠 公韶君     理 事                 佐藤 一郎君                 棚辺 四郎君                茜ケ久保重光君                 中沢伊登子君     委 員                 志村 愛子君                 嶋崎  均君                 山下 春江君                 竹田 四郎君                 前川  旦君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君    政府委員         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         農林大臣官房審         議官      松本 作衛君         林野庁林政部長 平松甲子雄君         通商産業審議官 森口 八郎君         資源エネルギー         庁次長     北村 昌敏君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君    事務局側         常任委員会専門         員       菊地  拓君    説明員         国税庁間税部長 横井 正美君         農林大臣官房審         議官      齋藤  稔君         食糧庁総務部長 杉山 克己君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      赤羽 信久君         運輸大臣官房参         事官      佐藤 久衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (石油価格改訂物価安定対策に関する件)     —————————————
  2. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る三月十三日、大橋和孝君が退職者となったことに伴い、その補欠として竹田四郎君が選任されました。     —————————————
  3. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、理事辞任の件についておはかりいたします。  工藤良平君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行ないたとい存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事茜ケ久保重光君を指名いたします。     —————————————
  6. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  石油価格改訂物価安定対策について政府当局から説明を聴取した後、質疑を行ないます。  まず、石油価格改訂について説明を求めます。通商産業省北村資源エネルギー庁次長
  7. 北村昌敏

    政府委員北村昌敏君) 先般決定を見ました石油値上げにつきまして説明申し上げます。  私の説明は、以下の三点につきまして御説明申し上げます。第一点は、キロリッター当たり八千九百四十六円、これは全油種平均元売り仕切り価格でございます、それの根拠につきまして。それから第二点は、それを各油種別に開きました油種別値段につきまして、それが第二点でございます。以上は元売り仕切り価格の問題でございまするが、第三点といたしまして、元売りを出てから卸、小売り段階における石油製品価格についていかに指導するかと、これが第三点でございます。以上につきまして説明申し上げます。  まず、第一点でございまするが、お配りしてございまする「石油製品元売仕切価格の値上根拠について」という二枚をとじた紙がございますのでごらんいただきたいと思います。この資料は、主として値上げの算出の手法につきましてそれを中心に書いてございまするので、時間の関係もございまするのでそれに必要な数字をつけ加えながら御説明申し上げたいと思います。  この一ページ目の下から五行目「この間の関係をまとめると次のとおりとなる。」というところから御説明申し上げます。そこに(イ)といたしまして、原油輸入価格は、四十八年度上期五千百九十二円キロリッターに対しまして、一万九千二百八円キロリッターと、一万四千十六円キロリッター値上がりになってございます。これは四十八年上期は通関統計によった数字でございます。それから四十九年上、これは二月一日から二月二十日の間に通関いたしました原油船ごとに積み上げました平均数値でございます。  (ロ)といたしまして、これを期初在庫平均して評価することにより減額する一方、これは大部分石油会社が採用いたしておりまする在庫評価のしかたでございまするが、期総平均法というやり方払い出し原価をきめておりまするが、その手法に従いまして在庫評価をいたしましたところ、ちょっと口で説明申し上げすまると、四十八年度上期、これがキロリッター当たり五千三百二十八円、四十九年度上期一万七千八百十七円ということで、その差額一万二千四百八十九円が値上がっておると、こういうことでございます。「原油輸入価格上昇に直結した値上要因、」これは一つ金利でございまして、四十八年上と比べますると、石油値段そのものが三倍から四倍に上がっております。もう一つは、従来無利子のシッパーズユーザンスで輸入しておったのでございまするが、これが短縮させられまして有利子のバンクユーザンスに乗り移ってきております。以上二つ事情から金利負担が増加せざるを得ない状況になってございまして、その分を六百四十円と査定した次第でございます。もう一つは、タンカー運賃でございまするが、その中に占めまするタンカーオイル、これの値上がりがまた非常に激しゅうございまして、その分の追徴請求を受けておりまするが、その追徴分を二百三十円と踏んだ次第でございます。それから「その他の値上要因」これは精製段階管理費及び販売費の面におきまする必要やむを得ざる諸経費のアップ分を四百円と査定いたした次第でございます。以上一万二千四百八十九円に六百四十円と二百三十円と四百円とを加えましたも一のが一番最後の行の末尾に「以上小計一万三千七百五十九円」と書いておるところでございます。  片や、元売りの出し値は、四十八年の上がキロリッター当たり九千七百九十四円でございまして、昨年十二月は一万四千三百五十七円ということでございまするので、その差四千五百六十三円というものはすでに昨年暮れまでの間に値上げ実行済みであるというので、これを先ほどの一万三千七百五十九円から差し引く。さらに、四十八年上期は利益をキロリッター当たり五百円強計上しておりまして、これは過去六期平均が三百四十円見当でございまするので、五百円の利幅から半分二百五十円をはき出してもらうということでさらに二百五十円引きまして、四千八百十三円を先ほどの一万三千七百五十九円から差し引きをいたしますると、値上げ幅八千九百四十六円と、こういうふうになる次第でございます。以上が第一点でございます。  それから第二点は、お配りしてございます一枚の紙に「参考資料1」、裏側に「参考資料2」とございます、その「参考資料1」をごらんいただきたいと思います。「石油製品油種別元売仕切価格引上げ限度額」という表題でございます。「1 本表は、元売仕切価格の全油種加重平均価格引上げ額——ただいまの八千九百四十六円を基準といたしまして、「等価比率方式基礎に、」これは最近の実勢価格にスライドしてと、こういうふうに御理解いただければと思います。その際、「家庭用灯油LPG据え置き、」かつ、バス、トラック用公共輸送機関用の「軽油及びA重油」、これは農林漁業用あるいは中小企業用が主たる需要分野でございまするが、この油種につきまして「政策的に低く押えて算出したものである。」  この表をごらんのように、軽油A重油のところは八千九百円となってございます。もともと等価比率で開きますならば、軽油A重油が一万三百円の値上げ幅になるべきところ、これを平均値の八千九百四十六円——百円未満を切り捨てにいたしまして八千九百円の値上げにとどめるということで、そういたしますると、その一万三百円と八千九百円の差額千四百円のも一のを他の油種で負担する、大体キロリッター当たり三百円見当追加負担を他の油種がしていると、こういう次第でございます。  「2 本表は、それぞれの油種についての引上げ限度額を示すものであり、各社の今後の元売仕切価格は、昨年十二月の仕切価格に本表の引上げ限度額を加えた額以内に抑えるよう指導する」と、こういうことでございます。引き上げ限度額は、このまん中の行に各油種ごとに書いてあるとおりでございます。それから右の行は、四十八年十二月の実勢価格の各油種ごと加重平均値でございます。  なお、注をごらんいただきまして、「1、表の引上げ限度額は、国内精製品国内販売対象とした引上げ額上限」ということでございまして、「輸入製品国内販売」につきましては、現在輸入製品は非常に高うございまするので、この表を適用すれば輸入が実行されないことになりまするので、本表を適用しない。それからまた、「輸出向け」につきましては、全く価格体系が違いまするので、これまた適用しない。国内で精製したものの国内販売だけが対象と、こういうことでございます。  それから2といたしまして、C重油につきましては、その含有しておりまするサルファ分によって非常に大きな価格差がございます。一・六%程度の含有率の場合に、その前後で〇・一%につき五、六百円ずつサルファ分を下げれば高くなっていっておると、そういう実情でございます。表に示しました七千六百円という数値平均引き上げ額でございまして、硫黄分に応じまして異なるそれぞれの価格C重油平均引き上げ率、すなわち一万一千八百円分の七千六百円、約六五%になりまするが、それを乗じて得た額をもってC重油値段とすると、こういうことでございます。  それから3に、家庭用LPGにつきましては、価格を据え置くほか、その他の副産品等につきましても、副産物は本表には入っておりませんが、別途必要な指導を行なう。  なお、4といたしまして、本表には揮発油軽油にかかっておりまする税金分は含んでおりません。  それから第三点の末端小売り価格の問題でございまするが、裏側の「参考資料2」をごらんいただきまして、「1、卸売及び小売段階における石油製品引き上げ額は、元売仕切価格上昇分以内にとどめるよう指導する。」と、すべて卸も一小売り元売りのところで上がった分以内という考え方を大原則としてございます。  なお2といたしまして、「今需要期家庭用灯油標準価格を据え置くとともに、家庭用液化石油ガス標準価格については、当面、これを据え置く。」という考えでございます。  それから3に、「揮発油軽油及びA重油については、小売段階引き上げ額元売仕切価格上昇分以内にとどめるのみならず、流通マージンを現行以下に節減することにより、これら製品小売価格上昇を極力抑えることとするが、特に次の表に示す取引形態のも一のについては、同表に掲げる額が上限価格となるよう強力に指導する。」ということで、この「指導上限価格」、一番右の行の数値は、元売りアップ分からさらに小売り段階におきます流通マージンを若干切り込んだ形で設定がされておる次第でございます。  揮発油につきましては、並み級が八割五分を占めておりまして、その並み級につきまして、店頭の現金売りという形態につき、リッター当たり九十四円二十銭、それから軽油につきまして、店頭現金売りリッター当たり五十五円、それからA重油につきまして、八ないし十キロリッターのタンクローリーで工場等へ持ち届けをする場合の持ち届け価格、ただし非常に遠方の場合には配達費が若干かさむということでございまするが、その場合におきましてキロリッター当たり二万九千円と、こういうふうに切り込んだ形で設定をいたした次第でございます。  以上でございます。
  8. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、物価安定対策について順次説明を求めます。経済企画庁小島物価局長
  9. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) お手元にお配りしてございます「石油価格改訂物価安定対策強化について」という作文と、それからその次の「価格抑制のための緊急対策実施について」と、この二つ資料につきまして説明申し上げます。  最初のものは、三月十六日に閣議了解されました石油価格改訂を含めました石油価格改訂と、いわゆる目張り対策と申しますか、生活物資等も含めていかに今後の価格安定をはかっていくかということを全体的に取りまとめたものでございます。   「政府は、物価の高騰が国民生活及び国民経済に及ぼす影響に鑑み、輸入原油価格上昇に伴う石油製品価格引上げ幅必要最小限に止め、また緊急の措置として、石油関連製品中心とした基礎物資及び生活関連物資価格の安定を図ることとし、次の措置を講ずる。」  第1が「石油製品価格改訂」でございまして、ただいま北村次長から御説明いたしました部分でございます。  その(1)は、「輸入原油価格上昇に伴う今回の石油製品価格引上げ幅元売仕切価格の全油種加重平均引上げ額が、キロリットル当り八千九百四十六円の水準に止まるよう指導する。」  (注)といたしまして、「なお、いまだ原油の需給、価格動向等流動的な要因が多いので、今後の原油価格為替レート等基調変化が生じた場合には、必要に応じ再検討することとする。」なかなか輸入原油価格の帰趨がいまだ流動的でございます。それから非常に国内価格に影響いたします為替レートの問題も、先ほどの次長説明は一ドル当たり二百九十円ということで計算してあるわけでございますが、最近の実勢は非常に円高になりまして二百七十円台になっておりますけれども一、二、三カ月先にこの原油の支払いが出てまいります時期の先物を見ますと、三百円以上になっているというようなことで、非常にこのレート関係も流動的でございます。したがって、そういうものの基調変化が生じた場合には、今回定めましたも一のを必要に応じて再検討するという趣旨でございます。  それから(2)が「その油種別価格については、今需要期家庭用燈油価格を据え置くとともに、家廃用液化石油ガス価格については、当面これを据え置くほか、軽油A重油については、その引上げ額を可能な限り低く抑えるよう指導する。」これが説明された第二の点でございます。  それから(3)が「流通段階においては各油種を通じ、元売仕切価格上昇分以上の値上げを厳に抑制するとともに、ガソリン、軽油及びA重油小売価格については特別の指導を行う。」これが説明の第三の点でございます。  (4)が「上記指導は、三月十八日から実施する。」  以上が「石油製品価格改訂」の部分でございます。  次の第2が「基礎物資生活関連物資等価格抑制のための緊急対策」でございまして、各物資所管省庁が個別にやるわけでございますけれども一、全体として取りまとめたも一のでございます。  その(1)は、「石油関連製品その他とくに価格の安定を図るため特段の措置を必要とすると認められる物資については、当分の間、原則として製品価格引上げを行わないよう関係企業に要請するものとし、その価格引上げようとする場合には、主務省事前了承を得ることとするよう指導を行う。」これがいわゆる事前了承制度と申しますか、その部分でございまして、大体大企業シェアが大きな業界、つまり行政指導がやりやすい業界対象に、五十三品目——通産省関係が四十五品目農林関係品目厚生省関係が一品目大蔵省関係品目、合計五十三品目がリストアップされておりまして、これはお配りしてございます参考表に列記されている物資でございます。こういうものにつきましては、当分の間、原則として製品価格引き上げを行なわないということで、関係企業に要請し、ほぼその約束を取りつけているわけでございます。それから近い将来その価格引き上げようとする場合、どうしてもコストの大幅な上昇があって価格据え置きが無理になった場合には、主務省事前了承を得るまでは値上げをしないということで指導をすることになっております。詳細は、その二つ目資料に基づいてお話し申し上げます。  (2)は、「当面の物価対策上、流通段階における価格の安定が特に重要であることに鑑み、総合商社百貨店及びスーパーに対し、生活関連物資等価格抑制のための所要措置を講ずるよう協力を求めるものとする。」これは、生活関連物資になりますと、一般的に中小企業分野が非常に多うございまして、なかなかその個々のものにつきまして(1)と同じような形で指導することは実際問題として不可能でございます。そこで、大体シェアにおいて二割を占めるといわれております百貨店スーパーに対しまして個別にこういうことで了承をとって、当面、これは通産省からモデル的に百五十品目ほどのものを提示いたしまして、それを参考にして各百貨店スーパーあるいは総合商社が独自でさらに追加したところが多いようでございますけれども、非常に多くの品目について据え置き実施する。それからさらに将来そういうものが値上げが必要になった場合には、やはり(1)に準じて事前了承をとるというようなことで、生活物資についての目張りが行なわれております。  それから(3)が、「上記措置のほか、値上げ抑制については、広く関係各方面に協力方を要請するとともに、主務省において、値下げ指導強化、拡充を含め所要措置を講ずるものとする。」これはいままで通産省農林省等値下げ指導をしたものもございます。これは値下げをしたあとすぐに値上げをされてしまっては何もならないわけでございますから、値下げをした段階で当面据え置くということが当然その指導の内容として入るわけでございますが、その値下げ指導したもの以外も含めまして、要するに監視品目として生活物資の中で重要なものにつきましては所管省が深甚な関心を持って監視をしていくというようなことで、これは農林省のあとで出てまいります作文の中にも品目が例示されておりまして、食パン、みそ、プレスハム・ソーセージ、グルタミン酸ソーダ、マーガリン、乾めん、合板というようなものがあがっておりますけれども、監視品目でございます。そのほかに、いままでは値下げ指導をしていなくても、まだどうも現在の価格水準があるべき水準に比べて上がり過ぎているのではないかと思われるようなものにつきましては、通産省農林省を通じてさらに値下げ指導強化して、値下げ品目をふやしていくということを言っておるわけでございます。  それから第3が「実行体制の整備と国民生活安定緊急措置法等機動的運用」でございまして、(1)が、「政府は、主務省中心に、関係省庁をあげて上記1および2の諸措置の実効を確保するための体制を整備する。」  (2)に、「上記措置にあわせて「生活関係物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」及び「国民生活安定緊急措置法」の機動的な運用を図るとともに、必要に応じ物資追加指定を行うものとする。」  この実行体制の問題は、二つ目資料にやや詳しく書いてございますので、そちらに譲ります。  それから第4が「公共料金抑制」でございまして、「公共料金については引き続き極力抑制する。」ということで、当面、学者とか財界その他には、やはり新しい価格体系に早く移行することが必要なので、その意味からいうと、石油のみならず電力等も含めて、やるべきことを早くやってしまって経済界が早くそれに順応することが必要だという議論もあるわけでございますけれども、何ぶん物価の情勢がこういう非常にきびしい事態でございますので、公共料金については引き続き極力抑制的な方針を貫くということを言っているわけでございます。  第5が「総需要抑制策の堅持」でございまして、「物価及び景気の動向に鑑み、今後とも引き続き、総需要抑制策を堅持するとともに、必要に応じ、その強化を図るものとする。」これは昨年公共事業の八%繰り延べが行なわれましたが、本年に入りましてからも一——三月分について新規のものを極力抑制するということで措置が行なわれております。どうやら総需要調整効果も次第にあらわれ始めておりますけれども、やはり石油価格上昇に伴うコストアップというものが簡単に製品価格に転嫁されるということは、総需要調整策がゆるいと簡単に転嫁されてしまうわけでございますが、総需要調整が厳正に行なわれていれば、コストが上がりましても、さらに適正利潤が確保されている限り、なかなか簡単には製品価格に転嫁されにくいわけでございまして、そういう意味で、やはり、総需要調整それから独禁政策というような基本的な物価対策がべースとしてきわめて重要でございます。そういうことを言っておるわけでございます。  それから二枚目の資料で「価格抑制のための緊急対策実施について」でございますが、これはただいま申し上げました大方針実施していくためのやり方につきまして関係省庁が申し合わせをいたしましたものでございます。  第Iは「石油製品価格について」でございまして、「国民生活と密接な関係を有する揮発油軽油及びA重油については、既に決定された方針に従い末端小売価格指導を強力に行う。なお、とくに上記油種については、今後の推移をみまもりつつ、適当な時期に標準価格へ移行するよう努力することとする。」これは初めの段階からなるべく標準価格設定することが一番望ましかったわけでございますけれども、各種の事情によりましてさしあたり指導価格で発足をして、なるべく早い時期にいま申しました三つの油種につきましては標準価格に移行するように努力するということで合意いたしております。  それから第IIが「事前了承品目について」でございまして、「1対象企業」の(1)は、「対象企業は、対象物資生産企業のうち大企業中心とし、当該企業価格抑制することにより全般的な価格抑制効果を期待できるよう選定するものとする。」  (2)は、「対象企業に対する要請は、主務省より個別企業毎に、文書をもって行うものとする。」  「2価格水準」は、「価格水準決定にあたっての基準は、原則として三月十六日以前であって主務省が適当と認める日の価格とし、その価格主務省届け出るよう指導するものとする。」  それから「3末端価格抑制方針」といたしまして、「主務省庁は、流通段階での価格の安定を図るため、調査監視を行い、必要に応じ、是正指導を行う等末端価格抑制に努める。」なかなか末端価格は先ほど申しましたように規制がむずかしいわけでございますけれども、できるだけその面の監視を行ない指導するということでございます。  それから「4価格引上げ了承手続」といたしまして、(1)が、「真にやむをえない場合の価格引上げについては、主務省に届出るものとし、その了承を得るまでは値上げを行わないよう指導するものとする。」  (2)が、「届出は、値上げを必要とする対象企業毎に個別に受付けるものとし届出せる内容は、値上げの額、その理由及び値上げ時期とする。」やはりこれは個別にやるということが非常に重要でございまして、業界まとめて団体等と話をいたします場合は独禁法との問題が出てまいりますので、あくまで個別指導原則でございます。しかも、値上げの額、その理由を聞いて、合理的なものであると認められる場合に限って必要最小限度の値上げを認めていこうということでございます。  (3)が、「審査は、まず値上げの理由となっているコスト上昇等がやむを得ないものであるか否かについて行い、次にそのコスト上昇等の企業努力による吸収の可能性から考えて当分の間値上げを回避し又は値上げ幅を縮小することが可能か否かを判断するものとする。」これは具体的なやり方を書いてございます。  それから第IIIが「百貨店スーパー等の流通段階における価格引上げ抑制について」でございまして、1は、「品目は、主務省が提示するリスト等を参考として、総合商社百貨店スーパーが自主的に幅広く具体的な品目を選定する。」  2は、「基準となる価格は、三月十六日以前の日であって主務省が適当と認める日の価格原則とする。」  3は、「百貨店スーパーにおける値上げ抑制品目を表示等によって消費者に周知させるよう指導を行う。」  4は、「主務省の定める方法により、価格抑制を旨として指導を行うものとする。」  それから第IVは「その他の抑制措置」といたしまして、1は、「中小生産・流通企業に対しても、商工会議所、協同組合等を通じ、値上げ抑制につき協力方を要請するものとする。」個々の企業についてなかなか先ほど申しましたように手が回りかねますので、業界団体等を通じてこういう趣旨を徹底させて協力してもらうことを要請するということでございます。  それから2は、「近時の価格高騰が著しい品目で、価格引下げが可能なものについては、引き続き、価格引下げを強力に指導する。」  3は、「その他、国民生活上その価格の安定が必要であると認められる物資については、価格、需給の動向を調査監視するとともに、価格の安定のため、所要行政指導を行うもあとする。」先ほどの監視等でございます。  それから第V「実施体制について」としまして、「1指導体制」の(1)は、「緊急対策の実効を期すための指導体制強化するものとし、各省庁の臨時物資物価対策本部等を中心に、必要に応じ、物資所管省価格調査官、その他の職員を動員して監視するものとする。」現在、買い占め法に基づきますいわゆる価格調査官が、本省の四省庁合計いたしますと七百三十九人になっております。この中で専任は百七名でございますが、これはまあたてまえは買い占め法の調査でございますけれども、買い占め法にとどまらず、今回のこういう連の物価安定対策のために必要な監視調査価格調査官その他の者が共同して行なっていこうということでございます。  それから(2)は、「監視の方法としては、対象企業、需要者等から価格等について報告を徴収するほか、価格調査官等による巡回、各省のモニターによる監視を行うものとする。」  「2関係省庁協力」ということで、ここは、まあ当然のことながら、物資所管官庁及び企画庁は総括価格調査官会議等においてお互いに連絡しながらやっていくということと、行政管理庁が特に地方の監察局あるいは行政相談員等を通じてチェックして必要なものを関係省庁に流していくということでございます。  それから3が「地方公共団体との関係」でございまして、これも三月日現在で地方団体、都道府県及び指定都市を含めまして価格調査官が八千六百二十五名になっております。その中で専任が七百三名でございますが、これはまあ二法の関係中心でございますけれども、特に今度の措置につきましても地方団体の協力が必要でございますので、去る三月二十二日に全国物価行政会議を開きまして、都道府県及び指定都市の部課長にお集まりいただいて、この措置説明するとともだ、その協力を要請したわけでございます。  それから第VIに「情報の周知」が最後に書いてございます。  以上でございます。
  10. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、通産省森口審議官
  11. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) お手元に「石油価格改訂に伴う物価対策強化について」という資料がお配りしてございますので、資料に基づいて説明申し上げます。先ほど物価局長から説明されましたところで要旨は尽きておりますので、漏れております点を重点的に御説明申し上げます。  まず、第一に、事前了承制をとる品目でございますが、政府全体として五十三品目ございますが、当省所管関係は四十五品目でございます。選びました考え方は、「石油関連製品等とくに価格の安定を図るため特段の措置を必要とする基礎物資等とする。」ということといたしております。基礎物資を選びましたのは、やはりこの段階価格引き上げが行なわれますと、二次製品、三次製品にその価格引き上げが波及するという配慮から、やはり基礎物資を選ぶべきであるという観点から基礎物資等を選ぶことといたしたわけでございます。具体的には、ポリエチレン等の合成樹脂の石油関連製品、それから鉄鋼、アルミニウム、セメントというような品目を選んでおります。  次に、どういう企業についてやるかということでございますが、対象物資を選ぶにあたりまして、大企業がつくる製品中心にして選んでおりますので、当然値上げを自粛するよう要請いたしますものは大企業になるわけでございます。その場合に、要請をいたします大企業の生産シェアがその当該品目において十分高くなるように配慮をして、原則として少なくとも五割以上のシェアを占めるようにということで対象企業を選んでおります。企業数は延べ四百八社、実数で申しますと二百九十七社でございまして、三月十六日に通商産業大臣から対象企業にすでに要請済みであります。  値上げを自粛する価格水準といたしましては、原則として三月十五日の価格といたしております。  それから(4)の値上げ届け出の手続等につきましては、先ほど小島物価局長のほうから御説明がございましたので、この点については説明を省略いたします。  次に、百貨店スーパー等の流通段階における値上げ抑制でございます。  まず、どういう基準対象物資を選んだかということでございますが、日常消費者が使いますような雑貨あるいは軽衣料というような生活関連物資中心にいたしまして、当省におきまして百四十八品目基準となる参考リストを選んでおります。各店はこの基準となる、参考リストを基準にいたしまして自主的に幅広く具体的な品目を選定していただきたいということで、百貨店スーパー協力を依頼いたしております。各店ごとに非常に対象物資については差がありまして、多いところは四百品目以上にも達しますが、まあ少ないところでは百品目そこそこにとどまる店舗もございます。それからこういうようなリストはすでに三月十六日に提示を行なっております。  値上げ自粛いたします価格水準は、日にちとしては三月十五日の価格というように考えております。  それからこれは消費者が購入するものでございますから、やはりどういう商品が値上げ自粛の物資になっておるかということを消費者がわかりませんと全然意味がございませんので、百貨店スーパー等には店内に表示をする、あるいは広告をするというような方法で具体的に消費者にわかるようにしていただきたいという指導をいたしております。まあ各店ごとにやり方が違いまして、あるいは店頭に表示し、あるいは売場に表示し、あるいは各品物ごとにたとえば価格安定品目というような表示をいたして値上げを自粛をするというような趣旨を明らかにする等、各店ごとにいろいろな方法でやっておるというのが現状でございます。  それから価格抑制指導ですが、基礎物資四十五品目と同じように、当分の間値上げを自粛するということといたしております。  それから値上げ届け出でございますが、やはり基礎四十五品目と同じように、事前届け出て相談をしていただきたいということを申しておりますが、四十五品目と異なりまして、これは消費者の手元に渡る最末端に位をしておるところでございますので、メーカーの段階あるいは卸の段階値上げがありました場合に、流通マージンだけでカバーをするということがきわめてむずかしいところでございますので、値上げの審査にあたっては四十五品目とは異なる態度で臨みたいというように考えております。ただ、値上げ自粛をいたしております百貨店スーパー等は、当然各店の立場において値上げ自粛を当分行なうということでございますので、当分の間表示をしております品目については値上げをしないということを期待しておる次第であります。  それから次に三ページに参りまして、総合商社に対します指導でありますが、総合商社十七商社につきましても、やはり百貨店スーパーと同じように、総合商社として当分の間値上げを自粛できる品目というものを明らかにして、それによって取引をしていただきたいというような指導をいたしまして、各総合商社ごとにいろいろな品目値上げ自粛品目を明らかにしておるところであります。  それからその他の値上げ抑制措置でございますが、先ほど小島物価局長のほうから御説明がありましたので、この点については省略いたします。  それから4の実施体制でございますが、先ほど小島局長のほうから御説明がありましたとおり、当省におきましても、臨時物資価格対策本部を中心にいたしまして、価格調査官四百三十五名を動員いたしますとともに、通商産業省各局及び通商産業局を動員いたしまして、以上行ないました四十五品目基礎物資等の価格の状況の監視、それから百貨店スーパー等における値上げ自粛品目監視等に当たりたいということを考えております。すでに三月の現在の時点におきまして価格調査官を動員いたしまして、この種の監視をすでに実施をいたしておるところであります。  それからやはりこういう価格監視をやるということになりますと当省の職員だけでは十分とは申しかねますので、たとえば石油末端価格等につきましては都道府県に協力を依頼し、あるいは百貨店スーパー等の価格監視につきましては行政管理庁に御協力をお願いをするということで、緊密な連絡をとってその監視を行なってまいりたいというように考えております。  以上でございます。
  12. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 次に、農林省松本審議官
  13. 松本作衛

    政府委員(松本作衛君) 農林省関係生活関連物資価格抑制対策について御説明申し上げます。  お手元に農林省関係説明をした資料を差し上げてございますが、そこの「記」のところに書いてございますように、生活関連物資価格指導と、それから農業資材関係価格指導とに分かれております。  生活関連物資価格指導につきましては、まず、米でございますが、米の消費者価格につきましては、標準価格米のほか、いわゆる上米、中米につきまして、各都道府県にいわゆる価格指導の準則を通達いたしまして、それによって強力な価格指導を行なうことにしております。  それから二番目に、先ほど企画庁のほうから御説明がありましたいわゆる事前承認品目でございますが、農林物資といたしましては、小麦粉、即席めん、しょうゆ、砂糖、食用油、いわゆる国民生活に密接な関連を持っておる物資でございまして、生産の集中度も高くて事前届け出等の実行が確保できるというような品目につきまして、従来から価格値上げが非常に高かったというようなものについて指導をしてまいっておりますが、そういうふうな指導を引き続き強化いたしまして価格を現行水準内に抑制する。それからまた、値上げをしようとする場合には、事前にその値上げ幅、時期等について了承をとるように指導することにしております。この場合に、その値上げ要因がやむを得ないものであるかどうかというようなことにつきまして十分検討して、改訂をする場合には極力小幅にとどめるように指導したいということでございます。これらの物資につきましては、それぞれ関係企業に対しまして関係庁から通達を発して具体的な指導を行なっておるところでございます。  それから次に、国民生活に密接な関連のある物資でございますけれども、中小企業の比率が高い、それからまた最終の商品形態が規格化されておらないというようなことで事前協議の対象とすることがむずかしいというものでございましても、今後、市場における需給なり価格の動向につきまして調査監視強化いたしまして、値上げの動きがある場合には、その値上げの原因が真にやむを得ないものであるかどうか、値上げ幅なり値上げ時期等が適当であるかどうかというようなことを慎重に検討して、できるだけ価格据え置き等必要な勧告をしたり、または原料供給の円滑化等各般にわたる指導措置を講ずるというような品目、先ほど企画庁のほうから御説明がありましたいわゆる監視品目でございますけれども、それらの物資といたしまして、いわば国民の食生活に密接しております食パン、乾めん、みそ、プレスハム・ソーセージ、マーガリン、グルタミン酸ソーダ、合板というようなものを予定をいたしまして、いま申しましたような指導強化してまいりたいというふうに考えております。  それから次のページにまいりまして、先ほど企画庁、通産省からも御説明がございましたスーパー百貨店等に対するいわゆる自粛の指導でございますが、食料品の価格につきましても抑制につきまして協力を要請することにしておりまして、各企業の努力によって小売り価格抑制する品目を選定していただきまして、それを店頭に表示するというような措置をとり、特に農林省におきましてはただいま申しました事前届け品目なり監視品目なりにつきましては十分に行政指導もしていくというようなことと結びつけましてスーパー百貨店における価格抑制指導をしてまいりたいということでございます。これらのスーパー百貨店等に対しましても所要指導をいたしたところでございます。  また、主要農林漁業用資材の価格抑制でございますけれども、農林業の再生産確保に必要な生産資材でございます肥料、このうちいわゆる窒素系の肥料につきましては肥料価格安定等臨時措置法がございますので、いわゆる過燐酸石灰なり溶性燐肥、高度化成というようなものにつきましての肥料、それからトラクターなり耕うん機、田植え機というような農機具というようなものにつきましては、通産省協力いたしまして価格抑制をしてまいりたい、また、農薬、農業用の塩化ビニール・フィルム、ポリエチレン・フィルムというようなものにつきましても、通産省協力を得まして、当分の間、価格を現行水準以内に抑制するように企業に対して指導する、また、価格引き上げを行なおうとする場合には、主務省事前了承を得るというような指導をすることにいたしておるわけでございます。  それから漁業関係の漁網綱、農林水産物資の流通に必要な包装用の塩化ビニール・フィルムなりポリエチレン・フィルム等につきましても、通産省協力を得て、価格動向を監視し、必要に応じて価格抑制のための所要措置を講じてまいりたいということでございます。  なお、これらの品目につきましての価格抑制の具体的な監視指導体制につきましては、農林省におきましても、本省をはじめといたしまして、各ブロックごとにございます地方農政局、それから各県ごとにございます食糧事務所等を動員いたし、また、地方公共団体の協力も求めまして、具体的にはいわば生産者の出荷の段階、それから卸売り価格段階及び小売り段階というようなそれぞれの段階におきまして適正な価格実施されておりますように指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。農林関係といたしましては、おおむね千名程度の関係職員を動員いたしましてこの価格指導の適正化をはかってまいりたい。また、そのほか、モニターが二千七百名ほど関係のモニターがございますので、これらのモニターも動員してまいりたい。さらに、都道府県に対する協力をお願いいたしまして、都道府県の指導を進めていただくというようなことで、いわゆる指導監視体制強化をはかってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  14. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 運輸省佐藤事官
  15. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) 石油価格引き上げに関しましての運輸省の意見を御説明申し上げたいと存じます。  御承知のように、運輸関係事業というのは石油を動力源として使っておりますので、当然その価格引き上げということは経営に大きな影響を与えるということになろうと思います。特に中小企業の占めるウエートが非常に大きいたとえば国内旅客船航路事業、内航海運事業、バス、トラック等につきましては非常にいま深刻な打撃を受けまして、収支の顕著な悪化が予想されております。これを企業の中だけで吸収するということは非常に困難であるというふうに考えられます。  すなわち、これらの事業につきましての収支状況を見ますと、四十七年度におきましては、先ほど申し上げましたような事業におきましては、営業収支の段階でバスを除きまして若干の黒字を計上しているわけでございますけれども、四十八年度におきましては、人件費、物件費の上昇に加えまして、昨年の秋以降の燃料費の値上がりによりまして、収支の悪化が予想されているところでございます。さらに、今回の石油製品価格値上げによりまして、営業収支が大幅な赤字となるであろうというふうに実は予想している次第でございます。  しかし、先ほど経済企画庁ほか関係各省のほうから御説明がございましたように、物価抑制というのは政府の当面する最大の緊急課題でございます。運輸省といたしましては、先ほど申し上げましたように、運輸関係事業というふうなものにつきまして、赤字の大幅な増加というふうな問題が出てまいりますけれども、それを一斉に運賃料金を引き上げまして収支を改善するというふうな方向を避けまして、各事業ごとにその経営状況等を勘案しつつ、公共料金は極力これを抑制するというふうな政府方針に沿いまして今後とも慎重に対処してまいりたいと、かように存じておる次第でございます。
  16. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) これより質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 時間がたいへん制約されておりますので、二、三お聞きをしておきたいと思います。  私の手元に塗料関係の販売店に対しますところの値上げ通告の資料があるわけでありますけれども、たとえば、これは尼崎市の川上塗料、これが各特約店に対しまして十一月の一日にニュース特報をマル秘で出して、十一月十日出荷のものから大体全品目三五%から七五%値上げをするという通知が出ておりますし、また、鈴鹿塗料、これは四日市にありますが、これが十一月の十六日に特約店各位へやはりニュースを流しておりまして、これにおいても十一月の十六日即日出荷分から五〇%以上の塗料の全製品に対しての値上げ通告をしておりますし、また、斎藤塗料ですか、ここにおいても十一月十日の通達で十一月二十一日から塗料の全製品について六〇%、それからシンナー類については一〇〇%の値上げ通告が出ております。また、カナエ塗料というここからも十一月の十九日に十一月二十六日出荷分より全製品五〇%、シンナーについては時価扱い、こういうことで秘密資料が出ているわけでありますけれども、他のほうから見ましても、たとえばペイント、ラッカー、合成樹脂塗料、シンナー等につきましても、十一月、十二月の二月の卸売り価格を見ますと、いずれも前月比で五〇%から七〇%ぐらいの値上げになっておりますし、前年同月対比では一〇〇%から一七〇%ぐらいの値上げになっているわけです。同じ時期におけるところの塗料の製造の材料であるナフサを見ても、実はそれほど大幅な値上げはしていないわけであります。さらに、二月の六日になれば、先ほどお話がありましたような形で通産省価格の引き下げ指導一〇%をやっているということでありますが、この塗料について、私は、そういう点から、大手を含めまして、関西ペイントとか、あるいは大日本塗料とか日本ペイントとか、そういうような大手の資料は持っておりませんけれども、これらの書類から、塗料関係においてはかなり大幅な値上げが大体一致して行なわれているし、さらに、この前の九月から十月にかけても、例の油工場の火災というようなことで大体二〇%の値上げをしているということになりますと、十月、十一月、十二月にかけて、相当、一〇〇%に近い値上げが行なわれているわけでありますけれども、これに対して、私は、どうも裏でやみカルテルをしているのではないだろうかという疑惑が当然持たれますし、特約店においても、当然、裏でこのように引き続きマル秘で文書が来ているということになれば、塗料関係のやみカルテルがあると、こういうふうに見なければならないと思うのです。これについて、一体、公取委員会では調査をしているのかしていないのか、どうなんですか。
  18. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 塗料メーカーが価格協定をしている疑いがあると、これもかなり大幅な五〇%程度の、そういう疑いで、現在、事件として審査をいたしております。したがいまして、詳細については申し上げられませんが、本年の二月七日に価格協定の疑いで大阪、東京を中心にいたしまして二十五カ所を臨検いたしまして、目下審査中でございます。これはできるだけ早く結論を出したいというふうに考えております。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 二十五カ所というのは、あれですか、各メーカーというふうに理解していいわけですか、あるいは、特約店を含めて調査をしていると、こういうことでございますか。
  20. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) メーカー及び支店を含みまして十社、六団体でございます。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 その十社、六団体の名前をあげていただけませんか。
  22. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) いま手元に資料がございませんので詳細はちょっとわかりませんが、あとでお調べしてお知らせしたいと思います。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 あとでといっても、なかなかお会いする機会がありませんので、大まかなところを言ってください。そのぐらいはわかるでしょう、大体大まかに。
  24. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) いますぐ電話で聞けばわかりますから、聞いて、先生の御質問中にお答え申し上げます。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 通産省は二月の六日に一〇%の塗料価格の引き下げを実は行政指導しているのですが、二月七日に公取が調査に入ったと。どうも、二月六日と二月七日、前日に価格の引き下げをやっていると、こういうわけですが、その価格の引き下げをやっているということは、やはりそういう協定をして値段をかなり上げていると、こういう疑いがあるから価格引き下げの指導をしたのかどうなのか。どうも、感じとしては、七日に手入れに入って、その前日に一〇%の引き下げをやっているということになると、その辺、われわれの判断として、ああ、これはやられそうだから通産省がちょっと一日前に、あまりにもひどい乗便値上げであるしということで価格の引き下げ指導をしたというふうにしか考えられませんけれども、こういう公取のほうが入る可能性があるということを知りながら引き下げをやったと、こういうことになりますか。
  26. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) 私ども、一月になりまして、化学製品全般につき値段がかなり上がったものを対象にしましていろいろ調査いたしました。その後の事情の変更等で値下げの余地のあるものにつきましては値下げ指導をする用意をしてまいりました。その結果、一月の末になりまして、合成樹脂をはじめとし、大きい品目につきまして順次値下げ指導をしたわけでございます。合成樹脂の場合には、見込みました稼働率が実際ほど落ちなかったというような理由も一つ値下げの理由にございますが、塗料の場合はちょっと事情が異なりまして、非常にたくさんの原料からたくさんの製品をつくるという事情にありますので、大手メーカーはもちろん、中小メーカーでは、原料の購入ロットが非常に小さいのが普通でございます。そうしますと、需給が逼迫している状態ではそのマーケットでの比較的高いほうのものをつかまされる傾向がございまして、それがだんだん需給が安定に向かうにつれましてそういった高いものを買わなければならないという要素が減ってきた。それを勘案しますと、若干値上げの余地があるのではないか。モデル的に考えてみますと、平均一〇%ぐらい可能ではないかということで各社を指導したわけでございます。そういう作業の結果としてたまたまその日になったわけでございまして、公取のほうがどういうことをしているか、われわれのほうは全然承知しておりませんでございます。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、通産省のほうでは、二回にわたってどうも業者がそうした価格協定をやっているのではないかという危惧心配ですね、そういうものは二月六日まで全然感じられなかったわけですか。
  28. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) 塗料は、普通に売られます品目で大手メーカーでは約一千種ございますし、中小メーカーでも数百種のものを売っております。それからメーカー数も、大手六社のほかに中小が百社前後ございます。そういうことで、使い道から原材料、製品のグレードを考えますと、非常に千差万別な商売が行なわれておりますので、逆にわれわれのほうとして原価を推定することも非常に困難ではございまするけれども、そういった非常に千差万別であり、かつ、いままで従来から競争の激しかった業界でございまして、そういった疑いをわれわれのほうは直接感じたことはございません。
  29. 竹田四郎

    竹田四郎君 公取のほうにお伺いするのですが、二回にわたって上げているわけですね。十月には大体二〇%程度上げている。それから十一月から十二月へかけてやっぱり五、六〇%上げているわけですが、公取のほうの調査はどっちを重点にやっているのですか。両方一緒にやっているのですか。それとも、十月分をやっているのですか。あるいは、十一月——十二月にかけての分をやっているのですか。どっちですか。
  30. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 現在審査中でございますので、いつということは詳しいことは申し上げられませんが、われわれは、現在、違反があるかどうかという点を重点にしておりまして、もちろん過去どういう値上げ協定をやったかということも同時に調べるわけでございます。われわれが一応違反の疑いとして調べておりますのは、二月の一日から五〇%程度上げているのではないか。ですから、過去においても、先生おっしゃったように、あるいはやっているかもしれません。それもあわせて調査はいたしたいというふうに思っております。
  31. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、通産省というのは、言うならば、二月一日から上げているのがあると。いま、公取は、二月一日から上げている分を中心におやりになっているような感じがする。その前、十一月ごろ、これは明らかに協定があったかどうかわかりませんけれども、まあ通達の日にちは大体十一月ということで、最近はそんな一斉に出すなんということはおそらくやらないだろうし、価格の問題についても、私、価格表を持っていませんから、具体的に同じ割合で上がっているのかどうなのか、これもまだ明らかでないわけでありますけれども、そうなると、大体三回上げていると、こういうふうに言わざるを得ないわけですね、十月、あるいは十一月、あるいは二月と。通産省がこんなにもひんぱんに上げていることを知らないということ自体が私はたいへんおかしいと思うのですね、通産省自体がですね。確かに、小さなものもあるでしょうけれども、大きなところは三社がほとんど独占的にやっているわけです。しかも、石油価格値上がりということでまああのころはペイントが足りないということが非常にあちらこちらで騒がれていたわけですね。そういう事態の中で価格協定を知らないということは、そういうにおいも感じられなかったということは、これは私はたいへん遺憾だと思うのですが、ほんとうに知らなかったのですか。
  32. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) 統計もございますし、それから主要メーカーの主要な製品についての価格動向は常時把握しておりますので、値段が上がってきたことは承知しております。ただし、それが協定に基づくものであるということは存じなかったということでございます。
  33. 竹田四郎

    竹田四郎君 協定に基づくか基づかないかは別として、どうもこれは何か変わっているなという感じは得られなかったのですか。もしその感じすら得られないということになると、通産省の目はどこについているかということに今度は逆になるわけですが、それもわからなかったのですか。
  34. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) 塗料は、顔料と合成樹脂と溶剤とからなるわけでございます。そして、平常でも原料費比率が七〇%前後でございます。したがいまして、原料がこのころ大体一様に上がってまいりまして、それとの関係で見ますと、大体やむを得ない値上げかという認識ではおりました。協定というふうには感じなかったわけでございます。
  35. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ、協定であるなしということすら感じなかったというと、その一〇%の値下げ指導というのはどういうわけでしたのですか。その根拠は何ですか、一〇%値下げするという根拠は。
  36. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) 先ほど申し上げましたように、原材料費の動向を調べます際、ことに昨年の秋からことしの初めにかけましては、市中の原材料費価格が非常に幅がございました。極端なものは五割程度あるものもございました。それが一月になりまして先行きの見通しが落ちついてくるということで、その高いほうが少し安定してきた。したがいまして原材料費から、まあ大ざっぱでございますが、一〇%のうち七%ぐらい出してもらう、それから経費、利益等からその操業度等も勘案いたしまして三%程度出るのではないか、それが合わせて一〇%程度ということでございます。  なお、その一〇%の指導をいたしました時点では、一〇%は若干無理ですという中小企業のほうの反対もございましたのですが、なお二月、三月安定してくることを予想しまして、大体その線で実行してもらったわけでございます。
  37. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは、この各会社から出してきている資料によると、全製品一〇%という形で引き下げ指導があったと、こういうわけなんですが、それはどうなんですか。
  38. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) 指導の際は、平均一〇%という申し渡しをいたしました。それで、結果といたしましては、大手メーカーは一〇%からそう偏差のない値下げをしているようでございます。ただし、中小メーカーは、特に原料の落ちつきの目立ちましたシンナー類を大幅に値下げし、高級品は値下げを少なくするというような幅が大きいところもございます。
  39. 竹田四郎

    竹田四郎君 私、時間がありませんから、もう少し聞きたいのですがたいへん残念なんですが、具体的に各社の製品がどれだけ値下げになったのか、各社の価格表を一度あとで出してください。そのことによってまた詳しくやっていきたいのですけれども、いずれにいたしましても、公取が審査中だということですし、あまりものを言わないので困っちゃうのですが、これは大体いつごろまでに調査完了をする予定になっているわけですか。二月の七日に調査に入っているということでありますから、もうすでに二カ月近くになっているのですが、結論は大体どのぐらいに出せるという予定ですか。
  40. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 近いうちに出せると思いますが、何月何日までということは申し上げかねます。できるだけ早く出したいというふうに思っております。
  41. 竹田四郎

    竹田四郎君 近いうちに出すというと、あれですね。大体調査は九分どおりまで終わっているというふうに見てよろしゅうございますか。
  42. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 大体終わっていると申し上げてもいいと思います。ただ、大体と申しましても、まだ突っ込みが足りないという点もございます。まあ大体ということばで申し上げればほぼ当たっているのじゃないかというふうに思います。
  43. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、大体終わっているというと、これも大体ということで聞かないと正確なことは言えませんけれども、大体やみカルテルがあったと、こういうふうに考えて大体いいわけですか。
  44. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) これは現在審査中の事件でございますので、大体ということをつけましてもやみカルテルがあったかないかということは申し上げられません。
  45. 竹田四郎

    竹田四郎君 これ以上この問題を聞いてもしようがありませんから、ほかの問題を一点だけ聞かしていただきたいと思うのですが、石油価格が三月の十八日に上がりました。しかし、ガソリンスタンドでチケットで売っているスタンドというのがかなりあるわけですね、私は現実にそういうものにぶつかったわけですけれども。そして、ガソリンをチケットで売るというのは、まあ私の判断では、ある程度前の価格で買って品物をガソリンスタンドに預けていたと、こういう私は理解をしております。これに特に何か特約的なことがありまして、もし上がった場合にはその日から差額はいただきますよとか、こういうような何かあれば別ですけれども、そういうものなしにチケットで売っている。そうして、政府値上げをしたから、まあ私の知った場合は、リッター七十三円で売っていた。一リッター券百枚のつづりのを売っていた。三月の十五日までそういうチケットを売っていた。しかも、これには別に値段が上がったときには差額をいただきますよということを言って売ったわけでもない。そういうものを表示して売っているわけでもない。しかし、十八日になったならば、あとの差額はいただきますと、こういうことで料金を取ったわけですが、私は、こういうのは、むしろ政府価格を上げたからこっちもまだ上げなくてもいいのにもかかわらず上げるという、まあこれは商人の予想ですか、そういうものがない、その商人の見通しのなさということになるかもしれませんけれども、そういう中でそういう形で追加料金を払うということは、これはやっぱり一種の便乗的なやり方だと、こういうように思いますがね。私が通産省に聞いたら、これに対して、そのチケットはまあバスのチケットと同じじゃないかと。したがって、バスも値上げをしたら回数券を買っていてもあとで追加払いをするじゃないかと、こういうふうな答弁が最終的ではありませんけれども返ってきたわけですが、ガソリンをそういうチケットで予約して買って、しかも前払いで買っている。バス料金のサービスに対する問題とこういう商品に対する問題とは私は全然違うと思うのですがね。通産省のほうではそういう問題を一体どのように指導しているのか、どのような考え方でいるのか、その点をただしておきたいと思いますが、まあ私のところで起きた問題は、通産省の手をわずらわすまでもなく、消費者とガソリンスタンドで話し合いましてこれは返しました。それからまた、今後も前に売ったチケットについては別に追加料金を払うということはしないというふうにはなりました。しかし、通産省のその辺の指導というのは、私は非常に不明確なような気がするわけですよね。ですから、石油製品値上げ、それが逆にそうした形で追加料金を取る。むしろ、消費者のほうではなしに、価格を上げるというそういう立場での指導のように私は思いますけれども、それは具体的にほんとうにどういう指導をしているのか。もう大多数そういうチケットもなくなったからこれから問題にはならないと思いますけれども、通産省のものの考え方それ自体に問題があるように思うから、私はあえて質問したわけですがね。
  46. 北村昌敏

    政府委員北村昌敏君) 先ほど説明の際にも申し上げましたとおり、この指導価格は、たとえばレギュラーのガソリンリッター当たり九十四円二十銭という指導価格は、これは上限価格ということでございまして、実際にその地域地域によりましてガソリンの値段に若干の相違があることも事実でございます。したがいまして、われわれ、こういう決定をいたしまして、それを指導通達という形で各社に、小売り店の場合にも各店ごとに流しておりまするが、その場合には、これ以内ということが一点と、それからもう一つは、十八日からいままで旧の値段で据え置いていたのを解除するということでございまして、在庫なども旧の在庫もあるわけでございまするから、実施の時期などについても良識ある行動をとってくれるようにというような通達を流しておる次第でございまして、何ぶん末端の小売り段階のことでございまして、十八日以来まだ日もたっておりませんので、詳細な小売り段階におきまする実態の把握に欠けておることは事実でございまするが、考え方は以上申し上げましたとおりでございます。
  47. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう終わりますけれども、しかし、次長ですか、あなたのおっしゃるようなそういうことじゃないですよ、通産省の中は。私は二回も三回もこの問題は通産省に電話をかけて聞いたのですよ。もう意見がまちまちですね、まさに。バス料金と同じだから追加料金を取るという人もあれば、いや、それはやっぱり物を買ったんだから、先にもう前納してあるんだから、それは追加料金を取るのはおかしいとね。まあ私のほうは片づいたからいいですけれども、通産省の見解というのは、係官一人一人が見解が違うんですよ。そんな調子でこれからのいろいろなものをやっていくということになったら、これは一体価格の問題はどうなるのか。大もとがはっきりしていないんです。こういう問題については、もう少し通産省は意思統一をして、特にこの変わっていくときに混乱が起きないようにする責務があると思うんですよ。その辺はしっかりひとつ意思統一をしていただきたいと思うのです。これはさらにあなたともう少し論争したいのですけれども、残念ながら私の時間がありませんので、それはほんとうによく統一をしておいていただきたいと思います。
  48. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 先ほどの臨検をいたしました十社、六団体の名前を申し上げます。  十社と申しますのは、関西ペイント、日本ペイント、大日本塗料、ロックペイント、東亜ペイント、神東塗料、日本油脂、中国塗料、日本特殊塗料、川上塗料、以上の十社でございます。  六団体と申しますのは、日本塗料工業会、中部塗料工業会、九州塗料工業会、関東塗料工業会、それから東部塗料工業協同組合、大阪塗料工業協同組合、以上の六団体でございます。
  49. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 時間がないので、私も簡単に質問しますから、答弁もひとつ簡潔にお願いいたします。  最初に、いま各省ごとに石油危機以来の物価の問題についていろいろと伺いましたが、それぞれ努力をしておられることは多といたします。ここに文書にもあり、皆さんの御説明を聞いたのですが、かなり物価抑制に対して意欲的な動きをしておられるようでありますけれども、実際はなかなか皆さん方のせっかくの御努力にもかかわらず、具体的にはその抑制が私の目で見ますと容易でない点があるのじゃないか。そこで、ひとつ物価局長に端的にお伺いしますが、あなた方はこういう一連の施策を講じて今日までやってみえておりますが、あなた自体は、いま、日本の物価というものは、特に生活必需物資中心に、あなた方が期待しているように抑制効果がきいて値上がりはとまりつつあると、あるいはまた、一部には下がりつつあると、こういったような見通しを持っておられるのか、これを端的にお伺いします。
  50. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 卸売り物価につきましては、すでに指数にもあらわれておりまするように、原油が上がったときに一%ぐらい上がったり、今度は石油製品価格が上がりますとおそらく三月の下旬あたりの数字はまた一%弱ぐらい上がると思いますけれども、その他のものが非常に上昇率が鈍化してきておりまして、最近の数字でも〇・四%三月の上旬は上がっておりますけれども、この九〇何%は海外関連品目ということでございますので、国内的には需給が非常によろしくなってきているということが言えると思います。したがいまして、卸売り物価のほうはまさに狂乱状態は過ぎ去ったと判断してよろしいかと思います。  消費者物価のほうは、どうしても卸売り物価落ちつきましてもこれが消費者物価に反映いたしますのに若干のタイムラグがあるということが一つと、それから公共料金関係がいままで先へ先へと延ばしてきておりますから、この関係が今後出てまいる。特に石油に関連して電力等もございますし、私鉄等もございますから、消費者物価についてはいま直ちに鎮静化したと申し上げるのはやや早過ぎると思いますけれども、方向としては、消費者物価が十二月と一月と二月と三カ月の間に一〇%も上がっておりますけれども、こういうような状態は明らかに方向としては上がり方が鈍化しているということははっきり申し上げられる、こういうふうに思います。
  51. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いま、あなたは、需給のバランスがとれているとおっしゃいましたね。去年の十月、石油危機ということばで表現された時点から、物がないということを言われた、私どもはあると見ておった。あるが、商社なりあるいはメーカー等がああいうふうに流通過程において隠匿ないしは売り惜しみをしたという見方をしたのですが、そのことはいま値段がある程度上がったから急に供給がふえたのじゃなくって、その時点から物があったのがいわゆる値上がりしたために順調に出回っていると、こういう見方が正しいと思うのですが、あなたは物価担当の責任者としてどういう見方をされておるのか。昨年の暮れの物がないといって騒いだ時点においても、あなたは、騒いでいるのはなかったと見ておるのか、あるいは、あったんだが、いま私が指摘したように、売り惜しみあるいはストックその他のいわゆるまあ悪いことばで言うと悪徳行為が存在したということをお考かどうか、この点をひとつお伺いいたします。
  52. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 供給量といたしましては、昨年の十一月、十二月ごろも実は石油の供給量が初めおそれられていたほどには減らなかったということがわかってまいりましたし、そういう意味では私は全体の供給量は当時からそれほど削減されていたとは思わないわけでございます。ただ、あの段階では、石油価格が十月、十一月ごろ上がりましたのに加えて、要するに、先行き石油の供給がどんどん減っていきそうだという情報が一般化いたしまして、そのためにあらゆるものについて供給不足になりそうだという気分が経済界をおおったわけでございます。そのために、あらゆる段階でやはり先が高いとなれば買い急ぎが起きるというのがどうも免れがたい情勢で、一部には消費者自身も洗剤等につきましてふだんよりもたくさん買ったということもございますけれども、大筋においてそういう生産段階流通段階、消費段階を通じて、買い急ぎ傾向あるいは売り惜しみ的な傾向があったということはやはり否定できないというふうに思います。それが石油の削減が心配されたほどでないということがはっきりしてきて、これがやはり非常にきいたと思いますけれども、同時に、先生おっしゃるように、価格が上がったことに伴って一種の高位安定的な動きが出てきたということも言い得るだろうと思います。
  53. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 石油について伺いますが、昨年の十月十七日に産油国が値上げを発表した。これが具体的に日本に輸入する原油が産油国で発表した値段で上がってきた油が一番最初に入ったのはいつからなんですか。それと同時に、当時五十日前後のストックがあったわけですね。というと、まあ三千五、六百万キロリットルですかがあったわけですが、これはいわゆる石油の危機の前からあるわけですから、もちろん前の値段で当然入ったものだし、それからあれを発表したときもうすでに船にも積んであったろうし、また、積んだのを持ってきたのでしょうしするので、かなりのものが値上げしない状態であったわけでしょう。それもあるわけですね。したがって、値上げした最初の原油が入ったのは何月何日だったのですか。
  54. 北村昌敏

    政府委員北村昌敏君) 一月一日積みの油から二・二倍強の値上げを通告してきておるわけでございます。そういたしますると、一月一日に積み込んだ油は、中近東の油でございますると、航海日数が二十日でございまするので、一月の二十日から高い値段の油が入ってくる。それからインドネシアなどの南方油でございますると、航海日数が十日程度でございますので、これは一月の十日ごろから新値の油が入ってくると、こういうことでございます。なお、中近東の油が大体八割ぐらい占めておりますので、まあ一月二十日ごろから新しい油が入ってくるといたしまして、当時の在庫日数は、全社平均原油製品、半製品も含めまして五十日分大ざっぱに言いまして持っておった次第でございます。実は、この一月一日積みから二・二倍強の値上げを行なうと。もっと正確に言いますると、OPECは一月一日積みから公示価格を従来の五ドル十一セントに対して十一ドル六十五セントにするという決定を十二月の二十三日にやっておりまして、その翌日、われわれの大臣が談話を出しまして、新しい価格決定をするまでは旧水準価格石油を供給してもらいたいという協力要請の談話を発表いたしまして、年明け以来三月の十七日までまいったと、こういう次第でございます。
  55. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 あれは業者が実際に値上げして売ったのはいつからでしたか、ちょっと私は記憶がないのですけれども。
  56. 北村昌敏

    政府委員北村昌敏君) むしろ、値上げをいたしましたのは、十月の十七日にOPECが当時三ドルぐらいの公示価格を七〇%上げまして五ドル十一セントに決定いたしております。また、ミナスのほうは十月一日から値上げを通告いたしておりまして、昨年十月以降の月ごとの状況をちょっと申し上げますると、バーレル当たりFOBで十月が二ドル八十五セント、十一月が三ドル七十七セント、十二月が四ドル三十九セントと、これはもとのほうが上がってきております。片や、元売り仕切り価格は、十月が二万四百四十九円のところ、十一月一万二千二百二十七円、十二月一万四千三百五十七円と、こういうふうに原油も上がり、元売りの出し値も上がってきておる次第でございます。
  57. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 ほんとうを言うともう少し聞きたいのですが、時間がないからきょうはこれでやめておきますが、ガソリンのレギュラーを九十四円二十銭ということで、これを上限として、これは徹底していますか、小売り店で。あなたどう思いますか。
  58. 北村昌敏

    政府委員北村昌敏君) これは店頭現金売りという取引形態をとらえて九十四円二十銭の指導上限価格決定したわけでございまするが、おおむねこの線で守られておると、こういうふうに承知をいたしております。
  59. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私は群馬県の前橋ですが、九十五円です。これは八十銭違うな。これはもうほとんど常識なんです。あなた方、いまさっきも言ったように、物価局長はだいぶ下がりそうだと言うけれども、あなた方が幾ら声を大きくして指導しても、末端の国民はやっぱりこうした高いものを買わされているわけです。上限なら上限でやはりそれが守られなければしょうがないと思うんですね。これは、あなた方、何か物価調査官を置いたようだが、どういうところを調べているか知らぬけれども、おそらく前橋だけじゃないと思うのだな。これは私現に買っているのだから間違いない。こういうふうに文書をつくってこうしておりますというだけじゃ済まないのですよ、国民生活と密着しているのだから。その辺をしっかりとつかんで指導するなら指導しなければ、ただこうしていますとか、ああやっていますではこれは済まぬのですよ。私どもは何も個人で言っているのじゃない。そうした国民大衆の生活を踏まえて言っているわけだ。またそれが政治なんだから。一リッターたとえば八十銭にしても、これはあなた大きいよ。これに対して今後具体的に——ただ単に指導しますとかやりますじゃ済まぬと思うのです。どうしてこういうものをあなた方の上限指導価格である九十四円二十銭まで下げる計画をしているかどうか、ひとつ伺いましょう。
  60. 北村昌敏

    政府委員北村昌敏君) さっそく業界を通じましてこの前橋地区に厳重注意喚起をいたしますとともに、通産局及び県にも依頼をいたしまして、前橋地区の小売り店の実情調査をいたしたいと存じます。
  61. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 これは前橋だけでなくて、一つの例だから、おそらく全国にこれはあると思うのです。だから、前橋だけじゃなくて、全国にできるだけ多く調査をして、その内容をひとつ指導方をお願いしたい。これは要望です。  それから飛び飛びになるんだが、物価局長、この間タクシーの値上げをしましたな。これはまあガソリンが上がった時点ではやむを得ぬと思うのですが、かなりにこのタクシーの値上げについては問題があるんですよ。私はタクシーに乗ると必ず運転手さんに聞くんだ、いろいろなことをね。相手は私が国会議員とは知らぬから気やすく話してくれる。この値上げ前にも、私は、個人タクシーの運転手さん、それもお年寄りと若い人、それからいわゆるタクシー会社の運転手さん、これに聞きました。あの値上げ前でも、個人タクシーの運転手さんに聞くと、かなりの収入をあげておられる、無理をしないで。六十歳の運転手さんは、一日大体十時間前後働いて、まあ燃料費はそのとき収入のうち一〇%と言っていましたが、私の場合でも月に四十万ぐらいはあがりますと。若い連中になると六十万か七十万あげていますと、こう言っているんです。その時点で値上げしたんです。今度は、タクシー会社の運転手に聞きますと、これはまあタクシー会社ですから、自分の収入は幾らといっても、水揚げのことをいろいろ話しましたが、私は、特に東京なんかのタクシー会社は騒いでいますけれども、これは決して値上げをしなければやっていけぬ実態じゃないと思うのですよ、具体的に。この間個人タクシーが騒いだのは、あれはいわゆるLPガスが入らぬから騒いだ。どういう調査をしてタクシーの値上げをしているんですか、あなたたちは。会社からこういうわけでもうからぬからとか赤字だからといってただ会社の言いなりになって値上げしているのか、ほんとに実態をつかんで値上げしているのか。私は、どうも、あなた方のやっていることは、会社の経営の実態はつかまないで、会社の言いなりになっているような感じがするんです。もっと綿密に調査をすると、私は、——タクシーの値上げはまあガソリンが上がったとかあるいはLPが上がった時点では幾らか事情が違いますよ。それにしても、私はそういうことを感じる。具体的に調べてそれはわかっている。少しその調査がずさんじゃないか、あるいは会社側の言いなりであって、需要者である一般利用者の立場を少しおろそかにしていやしないかと、こう思う。このタクシー料金の値上げについて、どういう調査をして、どういうことであれをしておるのか、ひとつ具体的にお伺いをしたい。
  62. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) タクシー料金は、運輸省が認可をいたしまして、その場合に企画庁に協議をするということになっておりまして、調査その他は運輸省がやっておるわけでございます。で、われわれは、もちろん物価をあずかるほうでございますから、利用者の立場からなるべく上げ幅を少なくするということで協議に応じているわけでございますけれども、まあ調査の具体的な内容は後ほど運輸省のほうからお答えいただきますけれども、中小企業業界の場合には、大企業業界の場合に比べますと、やはり直接生活に関連するということで、自殺者も出るというような騒ぎもございましたものですから、本来の、何と申しますか、正規の値上げの計算をいたしますと、まあ各地区別に若干違いはございますけれども、もっと大幅な値上げ要求があったわけでございますけれども、当面やはり暫定的な措置としてかなりまあもちろん要求に対しては相当の査定を加えてああいう数字を出したわけでございまして、なかなかこういう業界コストの状況自身が非常にばらつきがあると思います。ですから、確かにああいう水準で楽になり過ぎたところもないことはないと思いますけれども、全体として見ますと、どうもああいう事態においてはあの程度の値上げはやむを得なかったのではないかというふうに思っているわけでございます。
  63. 佐藤久衛

    説明員佐藤久衛君) お答え申し上げますが、私どもがタクシーの運賃改訂に踏み切りましたのは、先ほどからお話がございましたように、昨年の秋以来LPガス等の量の削減ということと同時に価格の高騰、こういう点が非常に大きな影響を関係のタクシー業者に与えたということでございます。先生にあらかじめお断わり申し上げておきますけれども、タクシー関係ではガソリンのウエートというのはあまり多くございませんで、大体LPガスが中心でございます。それがLPガスがこれは家庭用ともかち合いますものですから量が非常に削減された。そのために、走高キロ数が落ちる、さらにその単価もアップするというようなことでたいへんな苦況におちいった、こういうことでございます。その審査につきましては、全国に陸運局がございまして、そこにおきまして個別の業者から申請書を出させます。ただ、実際の問題といたしまして、その申請書につきましては、個別的に一社一社当たっていくということは非常にむずかしゅうございます。したがいまして、ある程度実態を把握いたしました上でやはりモデル的なものも考慮いたしまして——といいますのは、先ほどのように水揚げの多い地区もございます。と同時に、東京都心部ではいざ知らず、周辺部に参りますと、水揚げの非常に劣っているというところもございます。そういうことで、先ほど申し上げましたようなモデル的なものにならざるを得ないわけでございますけれども、それぞれの企業につきましての人件費、それから物件費、それから燃料、ダイヤ等の運営費といったようなものを全部調査いたしまして、そして陸運局であげる。さらにそれにつきまして本省のほうにおきまして調査をいたすという手続をとりまして、これはこういう状況ではタクシー運賃改訂もやむを得ないだろうということで企画庁に御相談申し上げ、所要の手続をしまして改訂に踏み切った、こういうような事情でございます。
  64. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 いまの答弁では私は了承できないので、時間がないのできょうはやめますが、あらためて時間をゆっくりとって、私も資料を持ってきて、みんなと話し合って、ただ単にここで国会で答弁をすれば終わりじゃ困ると思うのです。あなたたちそれでいいかも知れぬけれども、やっぱり国民は困るわけだ、生活問題なんだから。それについてまたあらためてじっくり時間をかけてやりますから、あなた方もひとつもっといろいろと真剣に考えてもらいたい。これで答弁が済めば終わったんじゃない。われわれはもう何十年取り組んでいるんだから、そのことを申し上げて、あなた方ももつとそういう立場からこのことはひとつぜひ考えてやっていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
  65. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 たいへん短い時間の中でできるだけたくさんお聞きしたいと思いますので、わかりやすく簡単にお願いいたします。  物価安定対策強化の面をお聞きいたしましたが、その中に、「公共料金については引き続き極力抑制する。」とございますが、電気料金、私鉄運賃、バス、トラック、こういう料金をどうお取り扱いになるか、この点お願いします。
  66. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 一般的には、ここに書いてございますように、極力抑制的にやっていくわけでございまして、特にその場合にも、先ほど申しましたように、電力、私鉄のような大企業分野においては、確かに、今度の電力の場合などは、石油価格値上がりによって相当コストに大きな影響が出ていることは認めざるを得ないわけでございますけれども、大企業の場合は、何といってもいろいろな意味で抵抗力もあるだろうということで、こういう事態でもあるから極力やはり時期を先に延ばして考えようということで考えているわけでございます。その場合に、やはり、中小企業業界におきましては、抑制的な方針を貫きながらもケース・バイ・ケースに対処していかざるを得ないというふうに考えております。
  67. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、買い占め売り惜しみ投機防止法がございますが、これによって追加指定が行なわれる用意があるようでございますが、具体的に検討している物資がございますか。
  68. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 石油価格が上がり、さらにそれに関連して今後物価体系の変化が予想されるわけでございますから、いま具体的にこの品目を検討しているということではございませんけれども、一般的にやはり先行きに、あるものについて値上げが予想されるような場合には、買い占め売り惜しみが生ずる可能性があるわけでございまして、そういう際には適切にこの買い占め法に指定してチェックをしてまいりたい。それからきのうも予算委員会で御質問がございましたが、事前了承制の品目につきましても、これはまあ企業のほうから役所に申請があったというようなことがかりに新聞に出て非常に長い時間この審査に時間がかかるというようなことになりますと、その間にやはりそういうような動きが出ないものでもございませんから、そういう際にも必要があると認められればさっそく買い占め法に指定して監視をしてまいりたいというふうに考えております。
  69. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 いまのお答えで、まあいまは具体的には検討しているものがないと、そういうふうに受け取りましたが、そういう状態であるのに、こういう指導価格品目をたくさんきめている。買い占め売り惜しみの心配がないような物資というのは、現在の需給関係価格の動きから、必ずしも価格抑制対象品目にする必要はないと、こういうふうに考えられます。そういうものは、自由な市場のメカニズムにまかして置いておいても必ずしも上昇するとは限らない、そういう物資だと思うわけですね。そういうふうにそちらでもお考えだと思うのですね。今回のこの基礎物資を凍結するということに何かやっぱり納得しないものがあるわけです。その点いかがでしょうか。
  70. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 最近の新聞論調や学者の先生方も言っておられますけれども、行政的に無理をして押え込みにかかり過ぎますと、しかもそれが長い期間わたると、どうしても自由な物の生産流通を阻害して損がいくようなものはつくらないようになったり、あるいは商店にしてもそういうものを扱わないで利幅の大きなようなものを扱うというようなことになってしまいますと、これは全く国民のサイドから見ましても一そう困るわけでございますから、私どもが今度の措置で期待しておりますのは、要するに便乗値上げの防止ということでございます。需給関係からいうとそんな上がるはずがないのに、石油価格が上がったりその関連品目が上がることを理由にしてまた去年の年末からことしの初めにかけましてのような便乗的な値上げ機運が広まってまいりますと、これはもう非常に困りますから、むしろ、われわれの感じとしては、いままでこの二、三カ月の間にかなり先取り的な値上げが行なわれていると思いますので、コスト的に見てもここしばらくは石油価格が上がっても多くの品目はすぐに値上げをしないでも済むはずであると、そういう判断に立って、便乗値上げ防止のために緊急措置としてこういうかなり網の目のこまかい行政指導をやろうとしているわけでございますので、あくまでもこれは過渡的な緊急避難措置であるということで御理解いただきたいと思います。
  71. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 石油製品値上げについて、二、三お聞きしたいと思いますが、石油製品値上げしたわけですが、この価格は一体いつまで維持させていくおつもりか。これは予算委員会で総理が一年間というようなこともおっしゃったようですが、皆さん方もその点そのようにお考えなのか、いかがなんでしょうか。
  72. 北村昌敏

    政府委員北村昌敏君) 一番大根っこのところの石油価格をめぐりまする海外の情勢がきわめて流動的でございまするので、なかなか確定的なことは申し上げられない現状でございまするが、少なくもこの指導価格が下ざさえに働く、あるいは高値安定に働くというような事態でございますならば、直ちにこれを引き下げの方向に是正するか、もしくは撤廃するかする必要があると、こういうふうに考えております。
  73. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 家庭用の灯油のところについてお聞きしたいのですが、ここに「今需要期の」とございます。それならば、来年の冬、つまりことしの末から来年の初めの価格も現在のままと考えていいか、また今需要期だから変わるのか、その点どうでしょうか。
  74. 北村昌敏

    政府委員北村昌敏君) 灯油の価格の今需要期は、日本の大体の部分は三月末と考えておりまするが、一部北海道、東北等、北のほうのところでは四月一ぱいまでくらいは今需要期かと思います。その今需要期までは据え置きをいたす方針でやっておりまするが、その需要期を過ぎますると、また秋から始まります次の需要期に備えまして、必要な灯油の備蓄をもこの夏場の間に用意を進めていかなければならない事情もございます。したがいまして、原油値上がり事情をも踏まえ、それからまた、いまの備蓄の意欲をもそがないような両面の要請を念頭に置きまして今需要期経過後はやはり適正なる価格設定が必要かと、こういうふうに考えております。
  75. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それじゃ、上げないということは言えないわけですね。
  76. 北村昌敏

    政府委員北村昌敏君) 灯油に限らず、今回の石油値上げにつきましても、できる限り諸物価へのはね返りを必要最小限に押えたいという要請と、同時に、再び昨年暮れのような供給不安を起こすことのないような価格水準設定という、全く相矛盾する両面の要請を常に念頭に置きながらやってきたわけでございまして、そのような事情家庭用灯油につきましても同様の、むしろ数量の不足ということは絶対回避したいと、そういう事情は特に家庭用灯油については強いものと、こういうふうに考えてる次第でございます。
  77. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 次に、事前了承制についてお聞きしますが、化学、アルミ業界など事前了承制のもとに通産省が認めることになりますならば、値上げの正当性を与えることになるわけです。その価格水準を低く押え過ぎますとその値段のものの物不足が起き、高いものならば出回るというこういうやみ値が生ずると思いますが、こういう問題はどう対処するおつもりでしょうか。
  78. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) おっしゃるように、低く押え過ぎますと供給不足になり、高くなり過ぎますとこれは需要者、消費者が迷惑をこうむるわけでございますから、物の流れ、生産等を阻害しない程度に極力やはり低い水準で持っていくというたいへんむずかしい問題でございますけれども、所管省においてコストの動きその他を綿密に審査をして、先ほど申しましたようなむずかしい線を見つけて、必要やむを得ない最小限の値上げを将来認めていくということだと思います。
  79. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 この事前了承制を採用した物資価格は、いつの時点で凍結しますのでしょうか。これは「三月十六日以前」というふうになっておりますけれども、その点もう少し御説明いただきたいのですが。
  80. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 通産物資は三月十五日の水準だそうでございます。——農林省も同じだそうでございます。
  81. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 三月十五日ですか。「以前」といって、はっきりきまっていないのじゃないですか。
  82. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 三月十六日以前の日で所管省の定める日ということでございまして、それを三月十五日ときめたということでございます。
  83. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 そこで、この価格水準をどうするか。基礎物資のうちの十四品目は公取委からやみカルテルで摘発されておりますね。つまり、価格水準の中に便乗と思われる水増しの部分があると、こういうふうに考えますが、それはその便乗と思われるままで凍結させるのでしょうか。
  84. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) これは必ずしも一度フィックスしたらそれでもう万事終わりということでございませんで、うしろのほうに出てまいります価格値下げ指導、これは事前了承品目にもかかっておるということでございます。したがいまして、一応三月十五日の水準にきめましても、各省庁が個別に検討して、どうもいまの水準が上がり過ぎていると思われます場合には、値下げ指導をいたしまして、より低い水準でフィックスすると、そういうことを考えているわけでございます。
  85. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 これは通産省農林省にお聞きしておきたいのですが、監視体制ですが、消費者も含めたものにするために資料を公表してはどうか。この凍結価格を維持しているかどうか、消費者がちょっとわからないのじゃないか、そういう点でお聞きしているわけですが、いかがでしょうか。
  86. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 私のほうは二つ関係がございまして、一つ基礎物資等と称しまする四十五品目品目がございます。この中には、消費者に直接関係がありますような合成洗剤、住宅設備機器、プレハブ、一般家家用電球というようなものがございます。こういうふうなものにつきましては当然その価格を何らかの形で示すべきではないかというように考えますが、自余の品目につきましては、大体工業者が相手の価格でございますので、あまり必要はなかろうかというように思うわけでございます。  それから第二に、百貨店スーパー等が自主的に価格値上げ自粛しておる品目でございますが、先ほど御説明申し上げましたとおり、これはどういう品目価格引き上げ自粛品目にするかということは各店において何らかの形において消費者にお知らせをするというようなことといたしておりますので、その体制で消費者のほうも十分監視できるであろうというように考えます。  なお、私のほうは、各店から、価格値上げ自粛品目につきまして、どういう価格基準にして値上げ自粛をするかということについて報告を受けることになっておりますが、この品目数は非常に膨大であります。たとえば、某店は大体百八十品目をやると言っておりますが、百八十品目の中にまた銘柄が十数種類に分かれますので、結局、一つ一つ価格をとりますと、一つの店舗だけで二千種類ぐらいの品目に相なるということでございますので、これを全体で四百数十店舗ありますものを一般の形で公表するということは技術的に非常に困難でございますので、柏原先生おっしゃったような趣旨の御意見は私ども聞くわけでございますが、どういう方法で一般消費者に知らせたらいいかということについてはもう少し検討さしていただきたいと存じます。
  87. 齋藤稔

    説明員(齋藤稔君) 農林省事前了承品目の食料品関係の五品目でございますが、これにつきましては、すでに価格抑制あるいは引き下げ等の指導をいたしておりまして、御承知のように、砂糖でございますと、上白百八十六円以下と、あるいは小麦粉でございますと、スーパーがキログラム当たりでございますが、百二十八円以下、一般小売りで百三十五円以下というようなことで、これは一般には発表申し上げておるわけでございます。  なお、先ほど説明申し上げましたように、現在、砂糖、しょうゆ、食用油につきましては、これは県を通じて小売りの現実の値段を御調査願って報告いただいておるわけでございますが、さらにそれを小麦粉、即席めんなんかにも広げましてとるわけでございますから、その結果につきましては、何らかの方法でさらに消費者の方にわかるようにいたしたいと、そういうふうに思っております。
  88. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 凍結品目の選定基準がどうなっているか、これに多少意見がございます。それは、農林省のほうで扱っている品目の中に、ハム、ベーコン、ソーセージ、そういうものが入っておりません。それからバター、粉ミルクも入っていない。こういう点はどうお考えか。また、通産省の場合は、家庭電器製品、こういうものも入っておりません。それから大蔵省の関係では、ビールはあるけれども、酒とかウイスキー、こういうものがない。これはいかがなんでしょうか。
  89. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 私のほうで品目を選定いたしました基準は、消費者が日常何らかの形で毎日使うものということで考えております。したがいまして、電気用品等につきましては、電球とか、螢光ランプとか、乾電池とか、そういうものを中心にして選んでおるわけでございます。一方、御指摘がございました品物につきましては、いわば耐久消費財というべき範疇のものでございまして、まあ考え方はいろいろあるわけでございますけれども、いまや日常必需的になっておるじゃないかという考え方はあるわけでございますけれども、まあある程度購入をがまんできるというていのものでも今回は、特に基準的な品目にあえて掲げないということといたしたわけでございます。
  90. 齋藤稔

    説明員(齋藤稔君) 農林省といたしましては、先ほど申し上げましたように、事前了承品目といたしましては、国民の生活に非常に密接な関係がある、あるいは生産の集中度が高くていわゆる大手筋の行政指導をすることによりまして全体の価格抑制する効果のあるようなものでありますとか、あるいは従来の行政指導の経過等も考えまして、五品目了承品目といたしたわけでございますけれども、先ほどお話のございました中で、ハム、ソーセージにつきましては、これは生産の集中度の問題でございますとか、それから原料が生鮮食料でございまして、同時に、現在問題になっておりますように、行政価格改訂というものもございますのですが、この中でプレスハムの標準クラスのもの、それからソーセージのウィンナにつきましては、これは加工品でもございますので、これにつきましてJAS規格もございますし、これをいわゆる監視品目ということで事前了承品目に準じまして抑制指導をしてまいりたいと、そういうふうに考えております。  それからバター、チーズ等につきましては、御承知のように、現在、生産者価格が非常に問題になっておりまして、現状の価格では国内の自給度というものがますます減っていくと、そういうことでございますので、やはりその値段を上げなければいかぬということが眼前に控えておりますので、その結果、乳製品にもはね返ってくるということもございますので、その経過を見ませんと、現時点で直ちに価格抑制というわけにまいりませんので、これは今回の対象外にしているわけでございます。
  91. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 それでは、もう時間がありませんが、最後に公取の方にこの際お聞きしておきたいことが幾つかございますので、お願いいたします。  石油業界はやみカルテル事件で公正取引委員会のカルテル破棄勧告を受けたわけですが、最近になってその応諾した勧告を取り消す訴えを出すという動きが報道されております。一体、これはどうなっているのか。いままでないことでございます。その辺の事情、各石油メーカーの状況、そして法律上の問題を御説明いただきたいと思います。
  92. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 新聞報道によりますと、そういう記事がちらほら出ておりますが、私どもとしては、石油業界関係者からそのような話は一切聞いておりません。ただ、その内容でございますが、新聞報道によりますと、勧告を一ぺん応諾しておきながら、それに対して審決の取り消しの訴訟を出そうというようなことのように思います。一たん勧告を応諾した者が、勧告を応諾したから勧告と同趣旨の審決をいたしたわけでございます、その審決に対しましてまた高裁に審決取り消しの訴訟を起こすということは、いままでそういう前例は全然なかったわけでございます。また、一般論といたしましても、勧告から応諾、それから審決までに、その間によほど重大なミスでもない限り、そういうふうな審決取り消し訴訟を起こすというようなことは考えられないというふうに私どもは考えております。独禁法の七十七条には、審決に対して効力を生じた日から三十日以内に取り消しの訴えができるというふうに書いてございますが、これは大体審判をして審決をしたという場合を想定したものと思われます。したがいまして、勧告を応諾しておいて、その審決に対してまた不服の訴えを起こすということは、ちょっとわれわれとしても理解できないところでございます。まあよほど重大なミスがあるということであれば、それは全然そういうことはできないというわけではございませんけれども、そういうふうに考えているわけでございます。
  93. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 もう一点、行政指導によって値上げ抑制を行なうことについて、独禁法との関係をめぐって政府内部に食い違いがある。総理の言っていることと公取委員長の言っていることと食い違いがある。これはいろいろ議論されていることでございますが、これはこのまま不明確なことにしておいてはならないと思います。  そこで、公取としては、独禁法の中にも第四十四条二項に、国会に対する意見の提出ができるというふうになっておりますが、この独禁法の立場を明確にしておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  94. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 私どもの立場というのは、これは私どもの委員長がたびたび国会において申し上げているとおりでございまして、価格というものは、本来、市場において需給関係を主たる基準にして自由に設定されるべきものである。行政庁が価格設定できるのは、法律に特別の定めある場合に限られる。行政指導によって価格設定をするということはこれはできないので、その場合の価格設定は事業者自身がやるものである。行政指導というのはあくまで指導でございます。価格は事業者自身がきめるものである。したがいまして、価格引き上げ行政指導というようなものは、これはどうしても必然的にカルテルを伴いがちなものである。通常の場合はカルテルが伴うのじゃないか。横の連絡なしに縦だけで個個的に行政指導をするということも考えられるわけですが、それは実際問題としてはあり得ない。横を向かないで縦の関係だけで行政指導に従うというのは、まあいわば仮定の論理ではなかろうか。その場合に、そういった行政指導の介在というものが業者間のカルテルの違法性を阻却するものではないということは、これは申し上げるまでもないことであります。したがいまして、行政指導によって特に価格等を指導するのは、これは適当ではなくて、価格の施策は標準価格制度によるべきではなかろうかというのが私どもの考え方でございます。ただし、可及的すみやかに標準価格設定するという前提のもとで、それまでの間行政庁が緊急の必要からとりあえず行政指導を行なうというのは、これはいわば緊急避難的な措置としてやむを得ないというふうに考えるということは、私どもの委員長も国会で言明しているところでございます。ですから、この点につきましては、いわゆる政府と公取の間で意見の根本的な食い違いはないのではないかというふうに考えられます。したがって、独禁法四十四条による国会への意見提出ということは現在までのところ考えていないわけであります。
  95. 柏原ヤス

    ○柏原ヤス君 時間がまいりましたので、きょういろいろお答えいただきましたことについてさらに次の機会を通してまたお聞きいたしたいと思います。ありがとうございました。
  96. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 昨日の予算委員会でいろいろ聞かしていただいたわけですが、一つだけ聞くのを忘れておりました問題を思い出しました。  それは、価格抑制緊急対策実施にあたって地方公共団体の協力を要請すると、こういうふうに先ほども説明があったわけですけれども、その地方公共団体には監視をする権限が与えられているかどうか。また、その監視をする体制ができているのかどうか。そしてまた、地方公共団体からいろいろな問題があったときに情報提供をするだけなのか。この点について伺いたいと思います。
  97. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 都道府県には一般的に生活二法の運用につきまして非常に前向きに協力していただいております。それで、先ほど申しましたように、三月の二十二日でございましたが、全国物価行政会議を開きまして今回の措置説明をして協力の要請をいたしまして、おおむね前向きに御協力いただくことになったわけでございますけれども、その場合に、権限的には、監視をしたり、現場ですぐに指導したりということは、やや無理な面がございます。したがいまして、一般的な線としては守られていないというケースを見つけた場合に、それを所管省に連絡していただきまして、具体的な指導はやはり所管省が直接やる、局を通ずることがもちろん多いと思いますけれども、そういう形で処理してまいりたいと思っております。ただ、それ以外に、わりに能力のあるところで都道府県が多少それよりも進んで実質上の指導をやっていただくことは、これはむしろ私どもとしても歓迎をするところでございます。
  98. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そうすると、一般的には、ここにこういう問題があるということで一々その主管省に相談をしなければならない。こうなると、相当な日にちがかかるわけですね。それからもう一つは、物価監視員ということで家庭の主婦が採用されておりますね。そういう方がいろいろ苦情を言いに行きますと、ずいぶんいじめられて、何かおつき合いがなくなっちゃう、こういうことでたいへんやりにくいという苦情がよくあるわけです。特に自分の隣組みたいなところに普通の消費者からあそこで売っているものがどうも高過ぎるということを言われるものですから、今度監視員ということで行きますね。そうすると、たとえば洗剤がなかったときだの、それからトイレットペーパーがないときなんていうのは、なかなかそういう人には売ってくれないということをたいへん苦情を聞きますので、こういう問題をどういうふうに処理したらいいんでしょうか。
  99. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) モニターが各省別に相当数ございまして、先ほども御説明いたしましたように、中央官庁の本省及び出先、それにさらに地方公共団体の協力を得て監視するほかに、モニターの方々にも悪いケースがありましたら連絡していただくということが当然必要でございますけれども、やはりモニターの方がその店に行かれて直接何かやろうと思いますと、おっしゃるようにいろいろなフリクションが出るのじゃないかと思います。したがいまして、積極的にそういうことをやっていただくことは私は御本人さえよろしければ歓迎するのですけれども、たてまえとしてはやはり情報として役所のほうに知らしていただいて、具体的指導は役所がやるというのが一番オーソドックスじゃないかというふうに考えております。
  100. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 それでは、これは兵庫県の川西の生活学校の奥さんたちからたぶん農林省の食糧庁の長官にお願いに行っていると思いますが、それはパンの価格を十円引き下げてくださいと、こういう手紙が三月の十一日に行っていると思います。その写しが私のほうにも来ているわけですけれども、最近はわれわれの食事がお米依存型からだんだん小麦型に変わってきておりますね。そういう中で家庭でも一日一回ぐらいはみんなパン食をなさるわけです。そのパンがいままで七十円だったのが九十円に値上がりをした、八十円のパンが百円に値上がりをした、こういうふうにこの手紙には書いてあるわけですね。ところが、小麦粉の売り渡し価格を上げられましたけれども、パンのメーカーの便乗値上げを誘った行政の責任が大きいとこの人たちは言っているわけですね。それでいろいろ調べてみると、六枚切りか八枚切りかのあのパンでは大体一山当たり小麦粉のアップが四円なので、諸経費を含めても十円アップに押えるように行政指導をなさったのに、メーカーは強引に二十円に押し切ったとのことですという手紙なんです。  これは、私も、一月の終わりごろだったと思います、地元に帰りましてあしたの朝のパンがなかったものですから、あるパン屋さんへ飛び込んで翌日の朝のパンを買いましたところが、いままで百二十円なんていうパンは知らなかったわけですね。よく調べてみると、普通のパンと上食というパンと、それがいま言っているおそらく八十円のが百円になったというのだろうと思います。その上に、最近は、特別上食というのがつくってあります。そしてそれが百二十円ということで、実は私もほんとうにびっくりしたんです。それまで、私はたいてい生活協同組合をよく利用するのですが、生活協同組合は自分のところでパン工場を持っておりますから、大体パンが値上がりをしてもほとんどパンの値上げをしませんでした。そして無漂白のパンをつくっておりますけれども、大体、パンというのは、去年の九月、十月ごろまでは、八枚切りが四十五円から五十円ぐらいだったと思います。それがやっぱり小麦粉が上がったということで六十円ぐらいになったのは知っておりましたけれども、飛び込んで、それも特別上等のパン屋さんではないんですよ、普通の道路にパンの看板をかけてあるパン屋さんですけれども、晩に飛び込んだら百二十円でございまして、実にびっくりしました。そういうことでございますから、この手紙でぜひ生活必需品のパンも十円から十五円下げるように行政指導をしてほしいと、こういう手紙が行っているのですが、これのお答えはどうなっているのでしょうか。
  101. 杉山克己

    説明員(杉山克己君) たいへん恐縮でございますが、その手紙そのものは私は直接読んでおりません。ただ、一般的にそういう消費者の御要望があるということは承知しておりますので、一般的なことでお答え申し上げたいと思います。  昨年の暮れごろから、確かに、パンは、七十円のものが九十円に、時間的にやや間を置いてではございますが上がってまいっております。それからなお、一般的に、これはまあ消費者の嗜好の問題もあろうかと思いますが、高級品をつくる、そして九十円の標準的なパンだけでなしに、百円、百二十円あるいは百五十円といったようなものも逐次シェア・ウエートが高くなってきているということも事実でございます。私ども、パンが七十円から九十円に上がりましたことにつきましては、いろいろ原価等も調べてこれを指導してまいったわけでございますが、二十円の上がり幅のうち直接政府が小麦粉を上げたことによります原料費の上がりが六円七十二銭分、それから副原料、これはマーガリンでありますとかそのほか砂糖でありますとか各種の副原料を使いますが、そういったものの値上がりでありますとか、それからパンは今日になりますというと昔のように裸では売らない。特殊な石油化学工業製品でありますところのあの紙に包んでお売りするというようなこともあります。そういう包装資材も上がっている。一般的な製造販売経費もこれまた賃金等も上がっておる世の中でございますので、上がるということがございまして、おおむね私ども二十円の値上がりは今日の時点においてはやむを得ないのではないかというように思っているわけでございます。  ただ、そういう事態が、今後ともさらに上がるとか、あるいは高い上等のパンを売ったほうが利益率が高いからそういうものを売って九十円の標準パンそのものはなくなるというようなことになりますとこれは問題だと思います。先生おっしゃられるように現在の九十円のものを十円とか十五円下げるということ、これは困難でございますけれども、九十円の標準的なパンは消費者の欲する限りはこれは供給しなければいけないというふうに考えております。そういうことで、現在、私ども、先ほども説明申し上げましたように、今回の価格抑制対象品目といたしまして監視品目として取り上げて九十円パンの消費者の要求する限りの供給ということをはかってまいりたいというように考えております。
  102. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 これは三月三十一日に私もお答えを求められている問題ですから、いまの答弁を伺って、私もそのような農林省のお答えでございましたということで返事を書いておきますが、消費者が高級品を嗜好するからということで百二十円も百五十円ものパンをつくりますね。これは、私、やっぱり業者の隠れみのだと思うのです。それは、小麦粉が一ころパニックを起こしておりました。あの当時、この物価委員会で皆さんで昭和産業ですか、あすこに倉庫を見に行きましたときにちょっとびっくりしたのは、小麦粉が強力粉と薄力粉と、こう二つぐらいあって、それは種類も五、六種類かと思ったら、なんと三十種類ぐらいあるんですよね。三十種類ぐらい小麦粉があるというので私ども知らなくてびっくりしたのですけれども、それは、値段を上げようとするたんびに、消費者がこういうものを喜びますから、いやこういう上等なケーキを喜びますからというのでだんだん品種をたくさんつくって、そのつど高級だ高級だということで値段を上げてしまったと、こういうことになっていると私どもそのときに見てまいりましたので、高級品を消費者が嗜好するからとか何とかということでどんどん値上げをしてしまうということは私はこれはやっぱり隠れみのだと思うのですね。それですから、今度の事前了承制ですか、こういうのについても、私、基準をどこにきめるのかと言ったのは、そういう点も入っているわけです。ですから、今度消費者にすべてそうやって責任がおっかぶされるのですから、その辺も十分これからは指導監督をしておいてほしい、このように要望して、私の質問を終わります。
  103. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間を短縮するために資料を渡しておきます、そのほうが早いですから。   〔資料を手渡す〕  それでは、短時間でございますから、端的にお伺いをしていきたいと思います。  御報告のありました事前了承品目にはビールは入っているのですけれども日本酒は入っておりません。そこで、経企庁にお伺いをしたいのですけれども、中小酒造業者が日本酒の値上がり要求を出しておるというふうに伺っておりますが、日本酒の値上がりはどういうふうな経過をとっておりますか。現状はどうでしょうか。
  104. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) これは国税庁のほうにどういう話が行っておりますのか、私どものほうにはまだそういう話は聞いていないわけでございます。
  105. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、大蔵省はどうですか。
  106. 横井正美

    説明員(横井正美君) 清酒につきましては、昨年の秋ごろから、原料であるお米の価格のアップ、それから人件費のアップ等があったのでございますが、石油の問題が出まして以来、びんでありますとか、あるいは箱でありますとか、あるいはまた原料のアルコールでございますとか、そういうもののコスト上昇がございまして、清酒メーカーの各企業から私どものほうへ値上げをいたしたいという要望が相次いでおるというのが現状でございます。しかしながら、私どもといたしましては、政府が総需要抑制あるいは物価対策に総力をあげておるというときでございますから、各企業値上げ抑制するようにということを要望いたしまして今日に至っております。
  107. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ、時間がありませんから端的に伺いますが、原料用アルコールの大手メーカー、これは協和醗酵、寳酒造、三楽オーシャンあるいは東洋醸造などでございますが、値上げのためのやみカルテルを結んでいると思われる筋があります。ある酒造組合の話でございますけれども、四十八年の七月に値上げをした上に、さらに十二月から大手各社とも全く同額、二万四千七百円です、キロリットル当たり、の再値上げ決定をして、酒造会社にこの金額の値上げ、これを強要しております。これはカルテルの疑いが十分あると思いますが、こういう事実を御承知になっておられますか。これは大蔵省にも公取委員会にも御見解を伺いたい。
  108. 横井正美

    説明員(横井正美君) 御承知のように、清酒の原料用のアルコールにつきましては、かつてはカンショ——サツマイモでございますが、これを原料にいたしておったわけでございますが、その後におきまして国内産カンショが品薄になったというふうなこともございまして、海外の糖みつ並びに主としてこれを原料にいたしますところの粗製アルコール、これを輸入いたしまして精製をいたしまして清酒業者に提供しておると、こういう状況でございます。昨年の石油以後において特にその輸入原料でございます糖みつ並びに粗製アルコールの価格の騰貴が非常に著しいと。たとえて申しますと、四十八年の一月と四十九年の一月の糖みつ、粗製アルコールの輸入価格、これは私ども税関への申告面で把握したところでございますが、これがそれぞれ三〇%、五〇%という上昇をいたしております。実際にアルコールメーカーに入りますのは、それに諸がかりがかかるわけでございますから、必ずしも価格がそのCIFの上昇価格そのままであるというふうには申せませんけれども、そのような上昇の状況にあるわけでございます。そういうことからいたしまして、かつ、重油の主たる……
  109. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんから、簡単に。
  110. 横井正美

    説明員(横井正美君) 燃料でございます重油の価格がアップいたしましたというようなことから、酒造用の原料アルコールのメーカーでありますいまお話しの各社からそれぞれ値上げをいたしたいと、こういう要望がございましたが、私どもは、それぞれの企業に対しまして、こういう際でございますし、政府物価抑制をいたしておる、事情も好転することが期待できるというふうなことから、抑制をいたしまして今日に至っておるという状況でございます。
  111. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 実は、原料用アルコール製造業者らの一斉値上げでございますか、これは私きょう初めてお伺いしたので、内容については詳しくは存じませんが、この資料を見まして、これは具体的な事案でございますから、カルテルがあるかないかということは申し上げられませんが、一般論として申し上げますと、民間製造業者らが共同して販売価格決定しているという事実がございますれば、これは独禁法の不当な取引制限の疑いがあるというふうに思います。しかし、同一価格で販売しているということだけをもって直ちに共同行為ありということは言えないのじゃないかと思います。
  112. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 時間がありませんから詳しく申し上げられませんが、いまお手元にお渡しした資料は具体的事例でございますけれども、三楽オーシャンも四十八年十二月から二万四千七百円、それから協和醗酵からも、それから寳酒造、これらがみな四十八年十二月に二万四千七百円というふうに、全部そろっているわけです。これはある県の酒造業者の組合での調査です。それから具体的には酒造会社の方からの御意見でもあります。こういう状態なんで、これは御承知がなければ公取としては直ちに調査をしていただきたい。  この具体事例でございますけれども、お手元に渡しております日本蒸留酒酒造組合の会長さんは、元専売公社の総裁で大蔵省の事務次官であったといわれております松隈秀雄さん、ここの組合から清酒の酒造組合あての文書によりますと、値上げの理由として幾つかあげておりますが、まず第一に、原料用アルコールの原料であります糖みつと粗留アルコールの輸入価格の高騰があげられております。ところが、これは、国税庁からいただいた資料によりますと、あんまり上がっていないんですね。ごく若干は上がっております。実例を申し上げますと、粗留アルコールは、四十八年七月がトン当たりのCIF価格が四万二千四百三十六円、それから十二月が同じく四万六千三百六十円というふうな状況になっております。ところが、原料用アルコールの大手メーカーである協和醗酵、これはシェアが三六%だといわれておりますが、実はこのような値上げ通告を出して七月にさかのぼって再値上げを強要しておる。その上で、さらに契約数量が納入できなくても文句を言うなというふうな内容の「覚書」が出されて、しかも、それを署名捺印をとって回っておるというふうな状況がお手元にお渡しをした内容になっております。その「覚書」の前にこういう文書が出ている。協和醗酵の取締役社長名で「前酒造年度に比して一キロリットル当り三万円の増額改訂をお願い申し上げておりますが、貴社におかれましては業界の当面する」云々「を特にご理解をいただきまして衷心より御礼申し上げます。」ということを書いて、それからあとに「原燃料の急騰」その他値上げの理由をあげて、「一キロリットル当り約二万五千円に及ぶ情勢と相成り、この金額につきましては、弊社において到底負担し得ないところでございます。つきましては、直面するご事情のなかで、誠に申し訳のないことでございますが、今回の原価高騰分につきましては本酒造年度分原料用アルコールの四十九年三月までのご納入量の半量につき価格改訂を重ねてご依頼を申し上げますので、何卒ご諒承を賜りますようお願い申し上げます。」最後のほうに「近く弊社員が参上いたし、親しくご説明申し上げますが、何卒宜敷くお願い申し上げます。」というふうな文書が配付されて、そのあと親しく来られて「覚書」というのを持ってきて、価格については「一キロリットル当り二万四千七百円程度の原価高」そして二、三行おいて、「昭和四十八酒造年度用原料用アルコールの総量について価格の見直しをすること。」それから契約数量については「経済事情の著しい変化により契約数量の納入について甲が最善の努力をしても納入未達の事態が発生の場合は、乙はその責を追求しないものとすること。」というふうな「覚書」を出して値上げを強要し、しかも七月にさかのぼってやっておるということなんですが、実際には、先ほど申し上げたように、CIF価格もあんまり上がっていない。輸入量を見ましても、四十八年の七月、糖みつの輸入は五万二千九百九十トン、それから十二月が五万五千四百十三トンというふうにほとんど変わっていないわけですけれども、こういうやり方というのは、明らかに石油危機に便乗した大企業の不当な価格引き上げであるというふうに断定せざるを得ません。しかも、原料用アルコールなしには酒はできないのですから、こういう値上げ通告書あるいは「覚書」、こういうやり方値上げを強要する、しかも七月にさかのぼってやるというふうなのは、当然もうこれは不公正な取引だというふうに言わざるを得ないと思いますし、独禁法違反であると思うわけですけれども、公取の御意見をお伺いしたいと思います。
  113. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) カルテルの点については先ほど申し上げたとおりでございますが、不公正な取引方法に該当するかどうか、これの具体的事案でございますから、私はここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、大企業が自分の優越した地位を利用して相手方に不当に不利益な条件を押しつけるということは、不公正な取引方法に該当するおそれがあるというふうに思います。
  114. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 調査をされて不公正な取引だということになれば、さかのぼっての値上げというのはとりやめさせるべきだと思いますが、この点について公取と大蔵省の御意見をお伺いしたいと思います。
  115. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) これがすぐ不公正取引方法になるかどうか、これは申し上げられませんけれども、先ほど申し上げましたように、一般論として、優越した地位の乱用行為が認められれば、それはいわゆる差しとめができるということでございます。さかのぼって価格を前に戻せということができるかどうか。そういう事例がございませんので私はむずかしいのじゃないかと思いますが、その点は検討してみたいと思います。
  116. 横井正美

    説明員(横井正美君) そういうカルテル行為等がないようにということにつきましては、私どもかねてから各企業にきびしく申しておるところでございます。かつ、現に原料アルコールの価格はその時期によりまして、あるいは当事者間の事情によりまして非常に区々でございます。具体的に例で申しますと、昭和四十七年度中の原料用アルコールの一キロリットル当たり価格でございますが、これが相当大きな相違がございます。四十七年度の価格の状況でございますが、一キロリットル当たりが十一万円未満と申しますのが八社、それから十一万から十二万が七社、それから十二万以上が二社ということで、非常に価格が分かれておる。こういう状況から見ましても、そういうカルテル的行為というのはないのではないかと、かように考えております。  また、先ほど御指摘ございました四万二千円と四万六千円という数字がございましたが、これは四十八年の七月と十二月かと思いますけれども、一月段階になりますと、この四万六千円が五万八千円ということで非常に高騰しておるということは事実でございます。
  117. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは聞いたことをお答えいただかないで違ったことをお答えいただいているんで、私が申し上げているのは、先ほど公取にもお伺いしたのは、十二月にまだ上がってないときに二万四千七百円の値上げを言うて、しかも年度の初めである七月にさかのぼって値上げを要求しているというやり方、まあ全く大企業が優位な地位を利用して中小醸造メーカー業者にしわ寄せをするというふうなやり方、これが不公正な取引だということに調査の結果なれば、さかのぼっての値上げはやめさせますかということを聞いた。そのことについてお答えをいただいたらけっこうなんです。
  118. 横井正美

    説明員(横井正美君) 公取の御調査等によりましてそういう事実がありましたならば、私どもといたしましては十分指導いたしたいと考えますが、原料価格の高騰につきましては実はそれ以前からもございまして、もう一年前の四十七年一月と四十八年の一月、この比較におきましても相当高騰いたしておるという事実があるということをお答えいたしたいと思います。
  119. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 七月から十二月まではあんまりCIF価格も変わっていないし、しかも輸入数量も変わっていないんです。私、時間が少ないからと思って数量の統計を全部は申し上げませんでしたけれども、ほとんど変わっていないんです。ところが、協和醗酵の文書によると、「覚書」ではっきり言うているんですね。契約数量の納入について納入未達の事態が起こっても文句を言うなと。「責を追求しないものとする」と。ごちゃごちゃ言うんだったら契約をした数量も入れませんぞというふうなことをやっておるというふうなことが明確なんですよ、これは資料なんですからね。ちゃんと会社の名前を書いてあるわけです。そういう資料に基づいて申し上げているんだから、調査の結果不公正な取引であるということになれば、七月にさかのぼっての値上げというのは取りやめさせますかということを聞いている。その点についてだけ答えていただいたらけっこうなんです。
  120. 横井正美

    説明員(横井正美君) ただいま御指摘の納入ができなくなるかもしれないと、こういう次第につきましては、実は日本の国全体がそうであったわけでございますが、石油のショックに対しまして非常に大きく受け取った。そういうことから、アルコール業界といたしましては、石油関係から燃料不足、操短というふうなことに追い込まれまして、生産ができないおそれがある、あるいはまた輸入の原料が届かないおそれがあるというふうなことを非常に過大に評価しておったということは事実でございます。これに対しましては、私どもから、当時、過大に見過ぎておるのではないかと。したがって、今後政府もいろいろ努力をしておるから供給に不足を来たすことがないように極力努力されたいということを申しました経緯がございます。  それから価格の形成につきましては、先ほど申し上げましたように、過去におきまして相当程度のアップがあり、また石油以後の相当程度のアップがあったと。で、私どもといたしましては……(「答弁が違う、全然答弁になっていないじゃないか、質問に対して」と呼ぶ者あり)
  121. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 一つも聞いたことを言わない。何べん言い直したらちゃんと言うのです。
  122. 横井正美

    説明員(横井正美君) 極力安定するように指導しておりますし、もしそういう御指摘の事実があればさらに強く指導いたしたいと、かように考えます。
  123. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 国税庁は、私が聞いていることを端的に答えてくださいというのに少しもお答えにならない。だから、もう一ぺん言いますけれども、七月に三万円値上げをした。で、今度二万四千七百円の値上げをしてもらいたいと言うてきているわけですね。先に文書が行っているわけですよ。そうして「親しくご説明申し上げます」と言うて、そのあと「覚書」を持っていって、わざわざ価格については年度をさかのぼって「昭和四十八酒造年度用——つまり四十八年七月から四十九年三月までです——原料用アルコールの総量について価格の見直しをすること。」ということ、値上げを七月にさかのぼってやりますぞと言うているわけですよ。それから二番目には、「契約数量について」ということで、「契約数量の納入について」「納入未達の事態が発生の場合」にも「乙はその責を追求しないものとすること。」というのは、値上げを七月にさかのぼってやりますぞ、これでごちゃごちゃ言うたら納入ができなくても文句は言わせませんぞということなんですよ。こういうやり方をしておるということについて、公取には御調査を願いますということを言うているわけです。公取は調べると言っているのだから、これで不公正な取引だということになれば、国税庁としては少なくとも七月にさかのぼっての値上げというものは取りやめさせますかと、このことを申し上げているんだから、そのことが明確になったら取りやめさせるとか、あるいはさせるとか、あるいはさせないとか、その辺をはっきりしてくれたらいいわけです。
  124. 横井正美

    説明員(横井正美君) 私、ちょっと事実認識が誤っておったので整理いたしますが、私どものほうへの企業からの申し出によりますと、総量のうち半分についてということでございまして、さかのぼって全部について値上げをいたしたいというふうには聞いておりませんし、私どもも、先ほど申し上げましたように、石油以後の値上げコストアップが多いわけでございますから、全部についてさかのぼって値上げをすることは適当でないと、かように考えますので、そういう方向で指導いたしたいと思います。
  125. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは資料を読んで私は先ほどから説明を申し上げているんです。あなたは私の言うことを聞かずに答弁をしていると同じなんですよ。「覚書」にはこう書いてあるというんですす。「四十八酒造年度用原料用アルコールの総量について価格の見直しをすること。」これは協和醗酵の発行した「覚書」の文書の内容なんです。だから申し上げているんだから、公取は調査をするとおっしゃっているんだから、調査の結果、大企業のいわゆる強い者の立場を利用しての不公正な取引だということになったら、七月にさかのぼっての値上げは取りやめさせますかと、イエスかノーかの返事でけっこうなんです。
  126. 横井正美

    説明員(横井正美君) お手元の別の資料をごらんいただきますと、「納入量の半量につき価格改訂を重ねてご依頼を申し上げます」というのがございます。私どもは便乗値上げ等をさせるというつもりはございませんので、その辺の価格を十分念査をいたしまして指導いたしたいと、かように考えます。
  127. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 どうもはっきり言わないけれども、「納入量の半量」というのは、これは十二月に言っているんですからね、実際には。だから、業者では、CIF価格も上がっていないのに、七月にさかのぼっての値上げをされるということは了承しがたいということの意見なんですよ。だからはっきりしなさいということを申し上げている。一月以降の分についてどうするかということは話は別なんです。その点をはっきりしてくださいと申し上げているんですから、その辺は公取は調べるとおっしゃっている。調べた結果が不公正な取引であるということが明らかになれば、これは取りやめさせますかということを申し上げているんだから、それについての御返答をいただけばいいんです。
  128. 横井正美

    説明員(横井正美君) 業界事情といたしましては、十二月までに入荷いたしますものが半分でございます。それから一月以降が約五〇%でございます。したがいまして、納入量の半量と申しますのは、おおむね一月以降の納入分について考えると、こういうことであるかと理解をいたしております。したがって、さかのぼってということは私どももさせないつもりでございます。
  129. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 やっとさかのぼってはさせないということをおっしゃった。はっきりそうですね。
  130. 横井正美

    説明員(横井正美君) はい。
  131. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 こういういま申し上げたような大企業が全く強い者というか強者の立場を利用してやっているというふうな値上げの強要、しかも納入量の契約についてまで脅迫的な言辞を、しかも「覚書」で判をとって回るというふうなやり方、こういうことをやられますと、これは中小の酒造業者の経営というのは困難になりますよ。先ほど国税庁がおっしゃったように、いまの情勢だから政府の政策に協力して値上げは極力押えるという指導をしておりますというふうに言っているわけでしょう。そしたら、中小の醸造業者というのは、これはたまたま工業用アルコールだけを申し上げましたけれども、あなたがおっしゃったびんだとか、あるいは箱だとか、あるいは酒米の値上がり、こういう大幅な値上がりというものはたくさんあるわけです。こういうたくさんのしかも大企業からの製品が強権的に値上げをされるというふうなことがやられたら、実際には一番しんどいのは、値上げ政府のほうはできるだけ抑制するということになったら、酒造業者というのは板ばさみで悩まざるを得ないという結果になるので、先ほどから物価抑制についてのいろいろな諸施策をお述べいただいておりますけれども、そういった点をほっておきますと、中小業者、あるいはそれが勢い消費者に犠牲がかぶせられるという結果になるのはもう明らかだ。そういうやり方をやっておったのでは、もうこのやり口を許したのではどうしたって物価安定はできないというふうに考えるのでございますけれども、これは経企庁の御意見並びに国税庁——これは大蔵大臣でもおったら聞きたいところですけれども、大蔵省の御意見をお伺いしたいと思います。
  132. 小島英敏

    政府委員小島英敏君) 大企業が優位な立場を利用して強圧的なやり方で取引を進めるということはまことに遺憾なことでございますので、これは公取の調査に基づいて関係省庁において善処されるものと期待をいたしております。  それからやはり、先ほど申しましたように、何でもかんでも押え込めばいいということでございませんで、物の出回りがおかしくなるとか、中小企業に非常に大きな影響が出るということでは、これは物価安定の目的は一時的に達しても、ほかのマイナスが出てくるということでございますから、ここら辺はやはり合理的なものは将来見てやらざるを得ないというふうに考えております。
  133. 横井正美

    説明員(横井正美君) ただいま御指摘がございましたように、清酒製造業者約三千、それぞれが非常に苦労いたしておるというのが現状でございますが、私どもは、ただいま話題になりましたアルコールにつきましても便乗値上げをしないように関係企業に要請すると同時に、びんとかそういう品物につきましては通産省のほうで指導されておる物資でございますので、これらにつきましても通産省当局にお願いしまして便乗値上げが行なわれないようにということを要請いたしております。かつ、業界自体におきましても、たとえばびんの回収制度を前向きに取り上げるとか、あるいはまた広告費その他のむだな経費を削減するとかいうふうなことで業界自体の合理化、経費の節減に取り組んでいただいて、極力値上げ抑制していただきたいということをお願いしておると、こういう状況でございます。
  134. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。本日はこれにて散会いたします。   午後五時十五分散会      —————・—————