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1974-02-27 第72回国会 参議院 物価等対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十七日(水曜日)    午前十時七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小笠 公韶君     理 事                 佐藤 一郎君                 棚辺 四郎君                 工藤 良平君                 田代富士男君                 中沢伊登子君     委 員                 上原 正吉君                 志村 愛子君                 嶋崎  均君                 山下 春江君                 小林  武君                 前川  旦君                 柏原 ヤス君                 沓脱タケ子君    国務大臣        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        公正取引委員会        事務局経済部長  熊田淳一郎君        公正取引委員会        事務局取引部長  後藤 英輔君        経済企画政務次        官        竹内 黎一君        経済企画庁調整        局長       青木 慎三君        経済企画庁国民        生活局長     喜多村治雄君        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        科学技術庁資源        調査所長     酒井忠二三君        農林大臣官房審        議官       下浦 静平君        通商産業省基礎        産業局化学製品        課長       赤羽 信久君        通商産業省機械        情報産業局産業        機械課長     安田 佳三君        通商産業省生活        産業局日用品課        長        日下部光昭君        特許庁審査第四        部長       中本  宏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○当面の物価等対策樹立に関する調査  (物価対策基本方針に関する件)  (公正取引委員会物価対策関係業務に関する  件)     —————————————
  2. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。  当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。  前回の委員会において聴取いたしました物価対策基本方針等に対し、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 工藤良平

    工藤良平君 私は、先般の大臣所信表明、さらに当面する物価問題の幾つかの問題についてお聞きをしてまいりたいと思います。  まず、最初に経済企画庁長官にお伺いいたしますけれども、近ごろの物価上昇状態を見ますと、一番新しい統計発表でも、卸売り物価上昇が三六%をこえたというようなことが出ておりますけれども一体これはどこまで上がるのか、実際にこれは人為的にそういうことをつくり出していると思うのですけれども大臣としては見通しをどう立てていらっしゃるのか、これは特に経済担当大臣としてひとつお伺いをいたしたいと思っているわけでございます。
  4. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私ども経済企画庁政策の進め方は、申すまでもなく、物価上昇をとどめ安定させることにあると私は確信をいたしております。しかし、もう工藤さんよく御承知のように、国外並びに国内の要因に、それにまた価格上昇というよりも大蔵大臣などのことばを借りますと思惑相場というような要素が非常に多く加わりまして、ただいま仰せられましたように、卸売り物価上昇が特に激しい。最近発表されました、二月上旬だけでございますが、それの対前年同月同旬に比べた上昇率というものが三六をこえるというようなことでございまして、私どももまことに愁眉を開くことができないというような状況で、残念でもあり、また国民皆さま方に対して申しわけないと思っております。しかし、これも工藤さんお気づきのように、日本銀行の二月上旬の卸売り物価品目別価格の移動の中には、かなり幾つかの市況商品のようなものにつきましては、目立った頭打ちと申しますか、あるいは下落の品目等も出てまいりまして、したがって、今後そのような傾向を助長するように私どももさらに一段と政策的な力を加えてまいりたいと思っておるところでございます。総理大臣等発言によりましても、物価の異常な上昇というものはおそくとも夏くらいまでには落ちつけたいと、こういうことを申されておりますので、私どももその線に沿って政府の全力を傾注するように、通産省農林省その他経済関係の各省にも申し入れをしたり、あるいは協力をいたしておるところでございます。ただ、これも最近新聞でにぎやかに伝えられておりますように、九九・七%輸入にたよっております石油のわが国への入着価格値上がり分がすでに一月の二十日ごろから着荷をいたしておりまして、安い価格の時代に持っておった備蓄分がほとんど底をついてきているというような状況でありますことを考えますと、これはいろいろな政策的配慮をもちろん入れていかなければなりませんが、原油価格上昇に伴う原油製品すなわち石油製品、これがまたいろいろの重要資材生活関連物資に影響を及ぼすわけでございますが、これを放置すればそういう悪い要素が加わってまいるわけでありますので、それをでき得る限り押え込んでまいりまして、先ほど申しましたような物価の低落しておる分野のさらに一そうの低落安定というものを進めてまいりまして、物価上昇を少しでも押えてまいる。いまここで二月を起点として全体の物価水準を下げてまいるということはなかなか言い切れませんけれども、少なくともその上昇足取りは押えてまいったり、また、国民に直接関係のあるような生活関連物資等につきましては、上がることをとどめるだけでなしに引き下げの措置も行政指導その他を通じてやってまいりたい、こういうふうに私は考えております。
  5. 工藤良平

    工藤良平君 先日から衆議院の予算委員会集中審議でもそれぞれ業界皆さん参考人として追及がなされているわけでありますけれども、きのう石油業界の代表が発言をしておりますように、かなり強い姿勢で今後石油中心にしてなお値上げをしなければ企業そのものについても赤字だというような話が大勢を占めておったようでありますけれども、確かに原油原価そのものが上がったということは私も理解できます。そのような状況がさらに今後続いていくとするならば、おそらく卸売り物価上昇はなお依然として続くであろう。それと関連をして、それじゃ消費者物価のほうは、現在のところでは、消費者物価のほうが二二、三%程度でありますから、こちらのほうが低いわけでありますけれども卸売り物価上昇はそれから三カ月ないし六カ月おくれて消費者物価にはね返ってくるといういままでの経緯からいたしますならば、なおこの物価上昇傾向というものは相当進んでいくのではないかという私は気がいたしますけれども、その点について消費者物価との関連で、今後どのような推移をたどっていくか、その点についての大臣の御見解を承りたいと思います。
  6. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これはなかなか正確には正直に申して推測もつきませんけれども、私は、これから明年度四十九年度にかけましても、卸売り物価上昇、まあこれはもちろんゆるめてまいりますけれども、かりに上昇があったといたしましても、消費者物価のほうが卸売り物価上昇への足取りほどには上がらないというか、上げさせないという方向をとってまいる前提でいろいろのことを考えております。もちろん、卸売り物価が上がりますと、数カ月後には、それは小売り物価と申しますか、あるいはその他の支出要素がございまして、今日では消費者物価、家計の支出項目にそれぞれプライスをつけました消費者物価になるわけでありますが、それが上がってまいりましたが、最近では卸売り物価上昇あと追いする消費者物価上昇の期間も短くなったということが言われておりますので、とうてい楽観はできませんけれども、しかし、卸売り物価消費者物価との間にはいろいろなこまかい行政的政策的配慮がきく面もあるわけでございますので、卸売り物価上昇の動きが消費者物価に移ってまいります間に一そう行政的あるいは政策的な配慮を行ないまして、その上昇足取りを押えてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  7. 工藤良平

    工藤良平君 私、いろいろ小売り店皆さんともお会いをして状況把握をしてみたのでありますけれども、従来は卸売り物価が上がりまして消費者物価のほうが逆に非常に上昇率が高いという傾向を示しておりましたけれども、いま私が指摘をしましたように、今回の場合には全然全く卸売り物価のほうが極端に高いという状態が続いておるわけですね。実際に小売り店に行ってみますと、それでは、従来のパターンが全然変わった状態の中で、非常に卸売り物価が異常に上がっている、それを卸、小売り段階に吸収していくだけの余力が一体あるのかどうかというと、そうではなくて、やはり異常な物価高のために消費者そのものがぶっつかるのは最前線で販売している小売り店になってくるわけですね。むしろ卸あるいはメーカーというのはうしろのほうにおるものですから直接それには世論的にはあっても実際の問題としてはぶっからないという状況から、たとえば三〇%を上げたいとしても、やはりそれをかなり無理をして制限しなきゃならぬという状態が実際の問題としては小売り段階にあるのではないか。逆に言うと、小売りあるいは中卸からさらに卸の段階でそれを吸収していくだけの力というのが以前はたいへん幅があったけれども、現在はそれが少し圧縮された程度でなおかつ吸収するだけの力はあるというように経済企画庁としては判断をしているのかですね。前者か後者なのか。いま小売り店段階ではかなり無理をして圧縮をしていかなければ消費者の直接反撃にあうということからかなり無理をしているのじゃないか。こういう点の把握は私は今後の物価問題の非常に重要な問題ではないかと思いますので、この点を実際に把握をしていらっしゃる状況をお聞きしたいと思います。
  8. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私、まあそういうことを申し上げるとたいへん恥ずかしいことになりますが、正直に申しまして私がそれらの状況把握しているわけではございませんので、これはあとから直接物資を所管されるお役所の政府委員の方もお見えでございますから、ありのままお話しをしていただきたいのでありますが、私は、先ほど私が申しました点、工藤さんが心配される点につきまして、三つ要素をあげることができると思います。一つは、工藤さんは、小売り、また小売りばかりじゃなしに、中間問屋と申しますか、取り次ぎ店のことはおっしゃいませんでしたけれども、他のいろいろな会合などにおきまして、便乗値上げ、先どり値上げがあるのはメーカー段階元売り段階ばかりでなしに、中間におきましても上にならえというか右にならえみたいな形がかなりあるので、政府はそういう点をも十分監視をしろと、こういう実は御警告もいただいておるわけでございますので、これはまあ物の需給のタイトであるかあるいはゆるんでいるかによりまして、小売り店などのマージンや、あるいはもしありとすれば便乗的な利益の吐き出し方もいろいろございましょうし、ことに中間問屋等につきましては小売りよりもそういう要素があろうと思いますので、その点を、私は、通産省にも農林省にもきっちり監視をしていただいて、そして値下げなどを勧告する場合には、単にメーカー元売り仕出し価格ばかりでなしに、問屋の口銭とか、あるいは小売りの合理的な利潤とかいうようなものまでも監視をしていただくというようなことが一点であります。  それから第二点は、それらの販売機構の問題があると思うわけでありまして、石油製品などの経験について見ますると、そのことを一そう私どもは感ずるわけでありますが、中間販売機構というものが、必ずしも物を安くして、工藤さんがおっしゃる消費者に密着する部分の値段が安定するような仕組みになっておらない。ある場合には、メーカーから一つ卸段階を経て、そしてスーパーなり小売り店に行くというような仕組みがあるかと思うと、これは長い間の商的慣習で、あるいは社会構造と申しましょうか、その中間幾つもの曲がりくねった取り次ぎ機構があるものもございまして、そういうものを合理的にこういう物不足、価格上昇を機会にできるならば一番安く消費者に到着するような方向で誘導していくということが必要ではないか、やるべきだということが第二でございます。しかし、これをうっかりやりますと、中小企業関連する問題でありまして、中小企業いじめにもなりますので、ここにむずかしい点がございます。メーカー、産地からの直販形態、あるいはまた生協への助成とか、あるいはスーパー小売り店との関係調整とかいうことをいろいろ含むと思います。  それから第三番目は、卸売り価格では高い価格で入ってくる。たとえば原油なんかが入ってまいりますのは輸入価格卸売りとして日本銀行統計に出るわけでありますが、それが製品になって石油精製会社を出るときには、たとえば原油の入着価格が一キロリッター当たりかりに一万円上がったとしても、それが製品になって出るときには平均して一万円上げないようなかっこうにして出す。それがまたさらに石油化学工業会社石油製品が渡って、そしてたとえば農薬とか農業資材製品になって出るときには、その間また石油化学工業会社利益を吐き出させる等々の手段を講じまして、もとの原油が上がったりあるいは石油製品が上がったりした割合ではないような価格販売機構を通して小売りに渡るというようなそういう努力を私はいたさなければならないと思うわけでありまして、まあ大ざっぱに分けますとその三つのような努力を進めることによりまして、最近のように、卸はおっしゃるとおり三四とか、あるいは三六・七上がりましても小売りは二〇・四とかいうこと、これはさらにその勢いを縮めてまいるようなことをしなければならない、こういうふうに私は思うわけでございますが、あるいはこれは私の観念論にすぎないかもしれませんので、あとからあなたが具体的な品目をおあげになりました際に、関係省政府委員の方からも答えていただくようにいたしたいと思います。
  9. 工藤良平

    工藤良平君 答弁がたいへん先取りをしておるようでありますけれども、私はなぜこういうことをお聞きするかといいますと、この前、大臣は、田中総理に七項目かのいろいろな提言をなさっておるようでありますけれども、その中で標準価格をたくさんきめて規制をしなさいという話も出ておるようであります。そこで、私、本題にこれから入っていくわけですけれども本題の問題に入る関係上、たとえば石油の場合に、私どもが現在ガソリンを買う場合に一リッター当たり八十円で買っているわけですけれども、この石油が精製される原油ですね、原材料というものは製品販売価格の中で一体何%いままで占めておったのか。大幅に上げろ上げろと言うけれども一体全体的な価格の中における原材料は何%程度か、それについてどのように把握をしていらっしゃるのか。
  10. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 私は経済企画庁でございまして、石油そのものにつきましては通産省の資源エネルギー庁が具体的に把握されておりますので、私の申しますことがまあたぶん間違っておらぬと思いますが、あるいは間違っておりましたら直していただくことにして申し上げますと、いまおっしゃるように、ガソリン小売り価格が八十円とします。その中には、御承知のように、揮発油税等がたぶん二十八円でございましょうか、二十八円入っておりますから、正味は五十円とか五十二円とかいうことに相なると思います。それを一キロリッターということで上まで引き上げていきますと、そうすると、五十円ですから五万円になります。あるいは五万二千円になります。その場合のガソリンの元値は、オクタン価が高いハイオクはもっと高いのでありましょうけれども、普通のスタンダードといいますか、標準物は、たしか平均二万七千円ぐらいのはずであります。これはいまの石油というものは原油は一本の価格でもちろん入ってくるわけでありますが、その原油をトピングして、そしていろいろな製品を、ガソリンとか、ナフサとか、あるいは軽油、灯油、あるいはA重油B重油C重油というようないろいろなものを出しますが、そのときの値段の開き方が、たとえば灯油のごときものは、国民がどうしても冬場必要なものであるからということで非常に安い値段に開かせておりまするし、ガソリンのほうは、これもドライバーには御迷惑だけれどもということではございましょうけれども、高い値段にいたしまして、いま言うような普通の標準物で二万七千円と、こういうことになっているはずでございます。したがって、二万七千円とそれから五万円との間の二万三千円というようなものが、メーカーからスタンドの小売りに至るまでの流通経費といいますか、流通利潤と申しますか、そういうものに分けられているはずでございます。しかし、C重油というようなものは、これは電気を起こさなければなりませんから、その場合、例で言いますと、ガソリンは一キロリッター二万七千円のコストにして開いているが、C重油は一万一千円のコストにして開いて電力会社に渡していると、こういうかっこうになっておるわけでございます。
  11. 工藤良平

    工藤良平君 この問題ばかりやっておりますとあと本題に入れなくなりますから、この問題はまた後日ゆっくり——あんまりゆっくりやっておりますと物価が下がりませんから早くやらなければいけませんけれども、次回に譲るといたしまして、問題は、いま石油が非常に中心になっております。ですから、石油業界あるいは商社に対する国民の非常に大きな目が向いておりますし、国会でもすべて一〇〇%もそちらのほうに向いているわけでありますけれども、私は、そういう非常に大きな国際的な、日本国内でも経済をゆり動かすような大きな問題ももちろん非常に大切でありますけれども、その陰に隠れて、より深刻な問題があるにもかかわらず、それに対する手だてというものが行なわれていない。それがやがて消費者に非常に大きくはねかえってくる。また、いつも現象的にそういう問題がとらえられて苦しい立場に追い込まれる方たちがあるのであります。それを私はきょう具体的に事例をあげて申し上げたいのであります。  それは、私は特に農業関係に携わっておりますけれども、いわゆる農業用資材上昇というものは非常に大切な問題であります。これから私はその問題を具体的にお聞きをしたいと思うのですが、きょう農林省もお見えになっておりますけれども鶏卵鶏肉あるいは豚肉が非常に生産費が高くて、実際に売却する場合には安いと、こういうことから、近ごろは、農業を放棄するという人たちがずいぶん出ておるわけです。もちろん、いますでに自殺をなさったという方もたくさんおるようでありますけれども、私は、この問題については、非常に深刻な問題がありますから、これから具体的にお聞きをして、これは農林省だけではなくて、やはり大きな見地から特に経済企画庁としても考えていただきたいという気がするわけであります。  そこで、大臣、ひとつゆっくり聞いておいていただきたいと思うのですが、これは農林省にお伺いしますが、ごく端的に申し上げまして、養鶏やあるいは養豚をやる場合の、あるいは乳牛を飼育する、あるいは肥育をする場合の配合飼料でございますが、昨年と比較をいたしまして現在一番新しい統計一体どういう程度上昇を示しているか、この点について概略でよろしゅうございますが、御説明していただきたいと思います。
  12. 下浦静平

    説明員下浦静平君) お答え申し上げます。  配合飼料価格でございますが、これは先生御承知のとおり、四十七年の十一月ぐらいまではきわめて安定的に推移してまいったわけでございます。その後、その年の夏ごろからかなり国際的に需給関係が基調が変わってまいりまして、そのために飼料原料価格上昇、それがひいては国内配合飼料価格上昇ということにつながってまいったわけでございます。昨年中——四十八年でございますが、三回の値上がりを見ておりまして、工場建て値で申し上げますと、一年間に一万八千円程度値上がりということになっております。これは、それ以前が、やはり同じ工場建て値で申し上げますと、トン当たり三万二千円程度でございましたので、昨年の終わりごろには五万円程度の、これは平均でございますが、配合飼料価格ということになっておったわけでございます。私ども、昨年の十月、十一月ごろにはかなりシカゴ市況等も落ちついてまいりましたので、これで今後も落ちつくかなというぐあいに思っておりましたが、十一月の半ば過ぎごろから海上運賃の非常な高騰、あるいは円とドルとの為替関係の悪化と申しますか、そういった状況が重なってまいりまして、シカゴ相場もまた再騰をしてまいったということでございまして、昨年中の配合飼料価格値上がりはどうやら押え込んだわけでございますけれども、年が明けましてから、つまり二月からでございますが、これも工場建て値トン当たりでございますけれども平均一万一千円程度値上がりと、こういう状況に相なっております。
  13. 工藤良平

    工藤良平君 近く全農がさらに一万一千円程度値上げをするというようなことがいわれておるわけでありますけれども、そういたしますと、これは農協の資料でありますけれども配合飼料が四十九年ことしの三月に大体六万八千円ぐらいというような推定がなされておるようでありますけれども、これは過去の状態を見ますと、四十六年から四十七年ぐらいまでは、いまお話しがありましたように、アメリカの食糧事情なり、あるいは円の切り上げ等もございまして、かなり値下げというような状態も起こってきておったわけでありますが、それが四十八年昨年の一月から急激に上昇状態に転じた。したがって、この農業というのはそのように非常に変動が激しい。それに対応して直ちにそれを切りかえていけるというような状態にない。農業生産というのはサイクルが非常に長いというのが特徴でありまして、したがって、そのための財政的な援助なり、あるいは飼料に対する食管会計の補てんによる対策というようなものが必要になってくるということから手だても行なわれておるようでありますけれども、現在のように異常にこのように上昇してまいりますと、それに対応する畜産農家というものはまさにもう崩壊せざるを得ないということになってくるわけであります。  ちなみに、それでは、それだけ飼料が上がったから、それじゃ一体生産をした製品のほうはどうなのか、こういうことになるわけでありますが、その点、鶏卵鶏肉、あるいは豚肉上昇傾向について、その点もちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  14. 下浦静平

    説明員下浦静平君) まず豚肉でございますが、豚肉について申し上げます。昭和四十八年の一月時点でございますが、これは上一キロあたりの卸売り価格でございます。これが四百五十二円でございまして、昨年は、豚肉につきましては、魚のPCB汚染あるいは水銀問題等がございまして、六月ごろから上昇に転じまして九月ぐらいまで五百円台であったわけでございますが、その後やはりこれも魚の関係でサンマの豊漁とかいわゆる多獲性大衆魚豊漁がございまして、その関係でまた下降をしてまいりまして一十一月に四百二十一円に相なりました。その後、年末の需要期等がございまして、また若干ずつ上がってまいりまして、二月の上旬では四百七十二円ということに相なっております。  それから、次に鶏卵でございますが、鶏卵は、同じ四十八年の一月で申し上げますと、キロ当たり東京の価格でございますが二百七円でございましたが、これは先生御承知のとおり、鶏卵価格には季節性がございまして、大体四月から八月の中旬ぐらいまでが下降期でございます。したがいまして、四月から二百円を割った価格で推移いたしましたが、九月からまた上昇いたしまして、昨年の十二月の年末需要期では三百十円と相なっております。ただいまも、年が明けましてから上下がございますが、大体年末価格程度で推移いたしておるというように御理解いただいてよいのではないかと思います。  それから鶏肉でございますが、鶏肉は、昨年の一月時点では、大ひなキログラム当たりでございますけれども、二月十五円でございましたが、これは四十七年が非常に安かった反動がございまして、徐々に上昇してまいりました。九月以降おおむね三百円台ということに相なっております。現在では二月上旬の価格で三百二十七円ということに相なっております。
  15. 工藤良平

    工藤良平君 これはちょっと数字が小さくなりますけれども、いまお話がありました、たとえば四十八年の一月いわゆる値上げ前の配合飼料の三万八千円から三万九千円当時の豚肉や卵の価格とその中に占める飼料の割合と、現在の六万八千円前後を予想されるその飼料を使った場合の現在の豚肉やあるいは鶏肉鶏卵価格との割合ですね、これはしろうとが考えてみましても、かなりどこかの部分を圧縮しなければたいへんな問題だということがわかるのでありますけれども、言いかえますならば、製品上昇率よりも飼料上昇率のほうがはるかにこれはもう異常に高いという状態、それがいまの畜産農家をここまで追い込んで、自殺者まで出すし、あるいはやめなきゃならぬというような状態が起こっているわけでありまして、私はこれからのお互いの食生活の中でたいへんな事態が来るということをおそれてあえてこの問題を申し上げているわけでありますけれども、その点について、概略でよろしゅうございますが、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  16. 下浦静平

    説明員下浦静平君) 配合飼料価格が安定時代から上昇へ転じました直前の価格というお尋ねでございますけれども、これは先ほど申し上げました四十八年の一月時点の価格、まあこれがほぼそのとおりの価格というぐあいに御理解をいただいていいのではないかと存じております。  それから今回一万一千円の工場建て値の引き上げがございましたわけですが、これは畜種によりまして配合飼料への依存度が相当違うということがございますので、一がいには申せないわけでございます。たとえば採卵鶏、あるいはブロイラー——食鶏でございますが、こういう畜種でございますと、生産費の中で占めます配合飼料費の割合が六二、三%というような高い比率を占めているわけでございます。それから肥育豚になりますと、三一、二%というようなことでございますし、一がいには申せないわけでございますが、畜種全体を分けて申し上げますと、酪農経営なり肉用牛の繁殖経営につきましては粗飼料給与がかなり行なわれるわけでございますので、その影響というのは相対的に低いということは申せるわけでございます。  それから肥育牛経営につきましては、枝肉の価格が比較的高水準でございますので、影響といたしましては中小家畜に比べまして比較的少ないのではないかと考えております。ただ、この肥育牛の中では一部乳用雄牛でございますがこれの肥育部門がございますけれども、これは最近の枝肉価格の動向からいたしまして、影響は相当大きいのではないかというぐあいに考えております。  それから養鶏、養豚につきましては、先ほど申し上げましたような配合飼料の使い方ということになっておりますので、今後の価格水準の動向いかんによりましては影響はかなり大きいものがあるのではないかというふうに考えております。  まあ御参考まででございますけれども、一万一千円の値上がりの場合の生産費への影響という点から申し上げますと、これは最近の生産費が出ておりませんので四十七年の生産費調査からざっと推定いたしてみるわけでございますが、採卵鶏におきましてはおおむね三十二円程度響くであろうというような推定でございます。
  17. 工藤良平

    工藤良平君 いずれにいたしましても、特に養鶏関係につきましては配合飼料の大幅な上昇というものは経営にとりまして決定的な打撃を受けるということが言えると思います。この点は、大臣もいまお聞きのように、こちらからもちょっとため息が漏れるぐらいかなりその影響というのは大きいということはおわかりだと思います。  それでは、もう一つ、これは通産省がお見えになっておりますからお聞きをしたいと思いますが、これから苗しろ期に入ります。お米をつくるわけですけれども、いま幸いにいたしまして消費者米価を凍結しておりますから、この物価騰貴のときに十キロ当たり千六百十円ということで米がいただけるということはいかに食管制度がありがたいかということを私はその後しみじみ感じているわけです、全然上がらないわけですから。まあ袋代を二十円取ったとかいう話はありますけれども、まあそれはいいことじゃありませんけれども、それにいたしましてもこれは微々たるものだと思いますね。これは据え置いたということは非常に有意義だったと思うのですが、いま農林省から資料をいただきましたけれども、アメリカの加州米の一番新しい昨年十二月のシカゴにおける価格を見てみますと、かつては日本の米の半分以下だと、こう言われておりましたけれども、五百七十三ドルですね。といいますと、トン当たり十七万一千円をこしますね。そうすると、日本の高い高いいと言われておりましたいまの政府の買い入れの米の三等建て値で一万三百円といたしまして十七万一千円です。一緒になったのですね、一年の間に。まあたいへんなことになってきた、これはこの場では私は米の生産調整とかそういうものには触れませんけれども。ところが、いま農村の構造改善によりまして近代化が進められておるわけですが、非常に手不足でありますからライスセンターをつくろうということでやっているのですが、これは重油を使います、乾燥したりするのに。A重油が、これは統計をとってみましたら、いま農協の卸で四十八年の一月と四十九年の一月を比べますと五九%上昇しているのですね。それからライスセンターのプラント、特に乾燥プラント、これが非常に大幅に上昇しているわけです。これは通産省はお調べになっていると思いますが、たとえばヤンマー、サタケという代表的な乾燥プラントがありますけれども、これはいまどれくらい上がっているか。ここ二、三カ月の間にたいへんな上昇率でありますけれども、この点をひとつ皆さんに発表していただきたいと思います、おわかりになっていれば。
  18. 安田佳三

    説明員(安田佳三君) 御説明申し上げます。  ライスセンターの乾燥機につきましては、四十八年の初めからことしの二月にかけまして、一部のメーカーから聴取したところによりますと、五、六割の上昇を見ております。たとえば、あるメーカーの三十一石ものにつきましては約五三%程度値上げを見ております。
  19. 工藤良平

    工藤良平君 それじゃ、私、おたくは五三%ということですけれども、私が調べたのを申し上げますよ。これは現実に建設する過程の中で末端にまいりますと実際に入札をして機械を取らなきゃなりませんから、私はそれを調べてきたわけなんです。一番高いのを申し上げましょうか。サタケの一万五千俵から二万俵もの、RC一〇〇というやつです、これが二千八十四万円でありましたものが四千百四十五万円、二〇〇%です。ここ二、三カ月の間ですよ、これは。それから同じサタケでさらにもう一つ段階上のRC一五〇、二万俵から二万三千五百俵の能力を持つものでありますと、これが二千三百万円が四千五百三十五万円、一九七%です。ヤンマーは、ヤンマーのほうがちょっと低いのですけれども、これは規模が少し小さいようでありますが、YHK六〇〇、これが大体八千俵扱う能力でありますけれども、これで千二百五十二万円が二千九十五万円で一七〇%と、このように一七〇%から二〇〇%の上昇率ということであります。これは、長官、影に隠れて表に出ない、石油どころの話じゃないんです。たいへんな設備の増加を来たしている。ところが、これは農林省の補助金とかそういうのはあまりふえませんから、結局これは直接生産者の負担ということにかからざるを得ない。幸いに米の場合にはいま国が統制をしております。これはもちろん生産者米価の段階で大きな問題になりましょうけれども、このような状態一つとってみましてもたいへんな状態なんです。飼料が異常に上がる、あるいは設備がこれだけ上がるということですね。さらに、建築資材なんというのは八〇%も上がっているわけでありますから、たいへんな事態が起こってくる。農業なんというのは、全くもうやめてしまって、出かせぎが手っとり早い。しかし、その出かせぎも近ごろではどうも怪しくなってきているわけですから、やはり農村の首つりというものは現実の問題となってきた。それは食糧のたいへんな状態をつくり出すということの心配が具体的にこれから出てくるわけなんです。そういう意味合いから、私は、これに対する徹底的な解明と同時に、通産省関係につきましてもこういう事実があるわけですから、これは調査をしてくださいよ。調査をきちんとして、私がいま機種まで発表しているわけですから、調査をして、一体どのような指導をなさるのか。きわめて私は不当な価格だと思いますから、もしこれが妥当なものであるとするならば、その内容を示していただきたい。これは通産省、さらに企画庁長官として、たいへんな事態に農業が来ているということを、経済企画庁は総合的な立場から農業政策については農林省関係がありますから、ぜひひとつ長官の見解を閣議でもさっそくこの問題を大きく取り上げていただきたいと考えておりますけれども、その点をお伺いしておきたいと思います。
  20. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これはまあエネルギー問題でこりたからというわけではございませんで、今回に限らず、しばらく前から、食糧の自給率を高めること、あるいはまた備蓄等の問題につきましても、政府自身が前向きの姿勢をとってきておるようになっておりますことは、これはもう工藤さんも御承知のとおりだと思います。そこへもってきて食料品が国際的に非常に不足であるばかりでなしに、その価格が、加州米の例をとるまでもなく、小麦などを見ましても非常に高くなってまいりまして、したがって、国際比較生産費説のようなものによって安いものは外国から輸入すればいいということ、そういう面からもなくなってきておるわけでありますから、国内で自給可能なものはこれは農産物につきましても十分そこに政策の重点を置いて進めるべきであると私は思いますし、私自身が先般の国会における経済演説でもそういうことを実は申しておるわけでございます。まあ、米などにつきましては、幸い食管制度がありまして、いろいろな資材が上がった場合に、それに対応する方法がないとはいえませんけれども、しかし、それは無制限に政府もそれは再生産を保証する価格であるとかあるいは所得を補償する価格であるということで上げられるものではないと思いますので、私は、最近、農業用資材につきましては、いまの熱風送風機のような農業用の機械ばかりでなしに、いろいろな農業用機械の価格、あるいはまた肥料とか農薬等、そういうものの価格、それからその需給面までも含めて、農林大臣にしじゅうそのほうをしっかりやってくださいと、ぜひやるべきであるということをほんとうに言っているんです。ほんとうに言っているわけでありますから、いまのヤンマーですかどこですか、送風機の価格の異常な上昇につきましては、その原因を調査してそうして対処をしていただけるように私からも農林大臣に直接伝えることをお約束いたします。通産省でもどうぞひとつよろしくお願いをいたします。
  21. 安田佳三

    説明員(安田佳三君) 今回の価格上昇は、鋳物とか電装品とかモーターとかいう諸資材の価格、あるいは加工費、包装費等、各面にわたりまして上昇があったためというふうには考えられますが、価格の決定にあたりましては、全国農業組合連合会とも話し合いをいたしているところであります。しかしながら、私ども調査がまだ十分行き届いておりませんので、この点につきましては今後ともさらに調査いたしました上、農業用資材値上がりが非常に重要な農林畜産関後の価格にも影響することを考えまして、不当な価格上昇がないよう十分監視し、価格上昇抑制につきまして指導を行なってまいりたいというふうに考えております。
  22. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、いま大臣からそういう御回答をいただいたわけですけれども、ぜひひとつこの問題は真剣に取り組んでいただきたいと思います。  私もかねがね日本の食糧問題については心配をしてきた一人であります。全国各地をあっちこっち走り回りながら、一体どうすれば日本の食糧をふやすことができるのか、何かいい方法はないかということでずいぶんかけずり回ってまいりました。昨年暮れ、私は沖繩に参りまして、沖繩の農業を一週間にわたって見せていただいたわけですけれども、農村に入りますと非常にみじめな状態でありまして、沖繩農業をどうするかということで先般私は櫻内農林大臣ともいろいろと議論を戦わしたところでありますけれども、そこで、私はあそこに参りまして、沖繩の農業というものが、内地における米と同じように、サトウキビ——甘蔗というものが非常に中心的な作目であります。しかし、それの実態を見ると、まだまだ多くの問題点が残されておりますし、その問題点を解決することによって大きく伸びるであろうということが指摘できるのでありますけれども、そのときに、このサトウキビのいわゆる砂糖をとった残りのかすでありますね、何かこれの利用の方法はないかということで私は現地に入りましてもいろいろお聞きをいたしましたところが、これを畜産に利用できるという話を聞いてまいりました。それはたいへん一挙両得でいいことではないかということで、その後、私も、文献をあさり、現実を見ながら検討してきたわけですが、現に私ども大分県におきましても、酪農農協がこのサトウキビのかすからつくりましたいわゆるバカスといわれる飼料を使用するということが具体化されました。しかも、非常に安くて成果がいいというような話を聞いているのでありますけれども、これは、現在の飼料不足に悩み、しかも飼料高騰という状態の中からいたしまして、やはり私どもが着目しなければならない一つの事項ではないかと、このように思っているわけですが、たまたまそのことについて科学技術庁におきましても具体的な検討がなされまして、一九七〇年の三月から四月にかけましてサトウキビ総合利用調査団というのを派遣いたしまして調査し、その結果を発表して、これを工業化していくというようなことがいわれておるのでありますけれども、その点について科学技術庁のほうからひとつ御説明をいただきたいと、このように思います。
  23. 酒井忠二三

    説明員酒井忠二三君) 御説明申し上げます。  沖繩が日本に復帰する以前から科学技術庁資源調査所におきましては沖繩の資源の総合利用ということで水資源または食料資源というものを調査いたしております。先生ただいま御指摘のサトウキビにつきましても、昭和四十四年の九月に「沖繩のさとうきび資源の総合利用に関する調査報告」というのを作成して公表しております。そのうちで、先生御指摘のサトウキビのしぼりかす——バカスと申しますが、バカスの有効利用をはかることが重要である。現在は製糖工場の燃料に使っておりますが、そのほか、これを高度利用する、付加価値を高めるということで、飼料のほか、フルフラールとかバガスパーチクルボードとかパルプに使えないかということを検討いたしました。飼料に使うのが非常に日本全体の食糧の粗飼料のためにもなるという見解で、その後も引き続きまして調査をいたしておりまして、昭和四十七年の七月にいままでバガスを粗飼料として使いました公式に発表されたデータをまとめた資料も発表しております。その中で、バガスをそのまま圧縮しまして固形にいたしましたものをそのまま粗飼料にいたしますと、牛の食欲をそそらないと申しますか、嗜好性に合わない、また、反すう動物でございますので消化作用を助けないというようなことも順次わかりまして、それにサトウキビをしぼりましたときの廃糖みつをまぜたらどうかということでその飼育試験も出ておりますので、そういう点で大体乾燥状態にいたしまして三〇%から三五%の廃糖みつをまぜた、いわゆる吸着バガスと申しますが、そういうものの実験データも出しております。その中で吸着バガスのほうが肉牛に使いましたときに非常に効果がある。嗜好性も増す。それからたとえば一日当たりの牛の体重の増加、増体量と申しますが、その増体量も普通の牧草のネピアグラスとかレッドクローバーとかまたはギンネムというものに比べて非常にまさっているという結果も出てまいりました。さらに、その吸着バガスを発酵させたらどうか、それでもっとその効果を上げたらどうかという試験もいたしましたところ、吸着バガスにつきましては、特殊な菌でございます、黒こうじカビの一種でございますが、それでやりましてもあまり効果がなかったという結果が出ております。それから無添加のバガス、これは固体にしたものでございますが、これにいま申し上げました特殊なカビをつけまして発酵させますと、無添加のものよりも効果がいい、嗜好性を増すという結果が出ております。バガスにただ廃糖みつをまぜただけでは非常に雑菌がつきやすくなりまして腐敗という現象を起こしますので、やはり廃糖みつを加える場合には一応吸着方法で乾燥させるほうが長持ちもいたしますし、効果も大きいという結果がただいまのところ出ております。
  24. 工藤良平

    工藤良平君 そうすると、科学技術庁の調査団といたしましては、バガスの飼料としての使用は適当であると、このような結論を出されたわけでございますね。
  25. 酒井忠二三

    説明員酒井忠二三君) ただいまの調査結果につきましては、そういう可能性があるということでございまして、これを企業化する——たとえば沖繩のバガスは、使われるというまあ潜在量と申しますかが大体四十万トンぐらいございます。また、鹿児島を含めまして南西諸島におきましても同等ぐらいのバガスが出ます。そういうものについてこれをどういうふうに企業化するかということにつきましては当方ではまだ問題としてあげておりまして、その具体的なことについては所掌の方がおやりになるというふうになって、問題点としては残しております。しかし、こういうバガスが飼料として有効であるということは、一応調査結果として公表してございます。
  26. 工藤良平

    工藤良平君 この資料の中にも、一二ページから一三ページにかけまして、特に糖みつ吸着バガス、いまおっしゃったですね、これの飼料化につきましても効果があるということから、これにつきましては企業化する上におきまして飼料の品質改善に関する法律に基づくいわゆる登録飼料として正式に認定される必要がある、こういうことも書いてありますし、あるいは企業化モデル工場を指定して必要な措置を講ずることが望まれる、こういうようなことをやって、これを飼料として有効に使えば、将来にわたりまして、これは世界各国合わせますと約六千万トンというような状況のようでありますから、六千万頭の家畜が飼えるというたいへんな福音になるわけでありまして、そういう意味からいたしますと、たいへん有効な報告ではないかと私は考えておるのでありますが、この問題についてこれは特許庁にさらにお伺いをいたしたいのでありますけれども、特許庁にこの糖みつバガスについて特許が出されておるようでありますけれども、この点の経緯についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  27. 中本宏

    説明員(中本宏君) 御説明申し上げます。  この出願は昭和四十二年に出願されたものでございまして、一度拒絶理由が出ております。これは従来の公知事実をもとにした二十九条の要件を満たしていないという意味の拒絶理由通知でございます。その後公告されまして、その公告に対しまして現在異議が六件出ております。で、異議決定それから査定といったようなものは現在なされていなくて継続中の出願でございます。
  28. 工藤良平

    工藤良平君 その異議の六件というのは、大体概要どういうことでございますか。
  29. 中本宏

    説明員(中本宏君) 中身は、主として公知事実を引いて二十九条の要件を満たしていないと、だから拒絶すべきであるといったものが内容でございます。
  30. 工藤良平

    工藤良平君 その二十九条の要件というのはどういうことですか。
  31. 中本宏

    説明員(中本宏君) 二十九条の要件と申し上げますのは、いわゆる公知公用、それから出願前の刊行物、そういったものと同一であるか、あるいはいま申し上げましたような事実から容易に発明をすることができるようなもの、こういったものは特許を受けることができないという要件でございます。
  32. 工藤良平

    工藤良平君 いままで、科学技術庁の報告、そしてまあ特許を四十二年に申請した、一応それは公告された、そこで異議申請が出てきてとまっていると、こういう形になるわけですね。私は、ぜひこれを飼料に使いたい、それによって畜産農家に幾らかの恩典になり、それがしかも非常に安くてできると、これは畜産農家にとりましてもあるいは消費者にとりましても非常に恩典があるということから、いろいろ研究を進めてきたのですけれども、いままでの話によりますと、これはたいへんいいわけでありますけれども、しかし、だんだんと調べているうちに、何かこれに問題があるような気がしてまいりました。それで調べてみたのでありますけれども、この科学技術庁の資源調査所から出ております資料を見ましても、いま御答弁がありました内容といささか違う内容のものがあるような気がいたします。たとえば、搾乳牛の場合に、福岡畜産試験場——種畜場ですね、これの資料、さらに先ほどの報告のありました資源調査所の資料によりましても、搾乳牛の搾乳の状態というものは必ずしもよくない。与えることによって低下をしている。体重は若干ふえたようでありますけれども、搾乳については相当減少している。さらに、肥育牛につきましては、赤血球数の増加が認められたということになっておりますけれども、これは福岡種畜場の調査によると、逆に減少しているのではないかという疑問が投げかけられている。とするならば、この糖みつバガスの有効性というものには疑問を持たざるを得ない、この報告そのものから見ましてですね。私はそのように思うのでありますが、その点については先ほどの御回答とこの資料だけ見ましても私は問題があると思いますけれども、その点についてはいかがお考えでございますか。
  33. 酒井忠二三

    説明員酒井忠二三君) 御説明申し上げます。  先生御指摘のとおり、この調査所の資料では、福岡県の当時の種畜場、現在の畜産試験場でございますが、そのデータも公表されたものを載せてございます。それで、私がただいままで御説明申し上げました牛の試験結果と申しますのは肉牛を申し上げたのでございまして、搾乳牛のことについて落としまして申しわけなかったのでございますが、搾乳牛につきましては  先生御指摘のように、吸着バガスを与えましてもそういうような問題点が出ておりますことは確かでございます。で、その点も調査所の資料では問題を指摘しております。
  34. 工藤良平

    工藤良平君 これはよく資料を見ないと、前段の前書きから——いいですか——前書きから飼料として使えるということは出ているのです。しかし、詳細に検討してみると、いま言うように、搾乳牛については減少するということがいわれているのですね。そうすると、これはたいへん問題を実は持っているわけですね。私、喜んだのですけれども、検討してみると問題がある。困ったことだ、何だろうと、こういうことで検討してみると、その原因は明らかなんであります。それはどういうところに原因があるわけですか。
  35. 酒井忠二三

    説明員酒井忠二三君) 私のほうでその原因として持っておりますのはリグニンでございまして、やはり繊維でございますから、パルプにいたしましても長い間にどうしてもリグニンが取れなくて変色していくというような現象がございます。それと同じように、どうしてもバガスにもリグニンがまざっております。それで、リグニンだけを抽出するということにつきましては、非常に技術も要しますし、また、費用、コストもかかります。しかし、その後私のほうの調査によりますと、一応リグニンを減少させる効果として認められたものは、やはり無添加のバガスにあるものから比べると吸着バガスのほうがリグニンが幾分減っているというデータも出ておりますので、さらにそういうリグニンを少なくとももっと減少させる。先生御指摘のように、増体量だけじゃ、嗜好性だけじゃだめじゃないか、乳牛の場合には牛乳をとるのが目的ではないかという御指摘で、いまリグニンをいかに取るかということもこの三月当所の職員を沖繩に派遣いたしましてそういう点を調査させるということで、いま調査中でございます。
  36. 工藤良平

    工藤良平君 いま所長のお話のように、せっかくこの貴重なバガスがある、使おう、いい、こうなったのですけれども、問題はリグニンがある。そこで、リグニンの問題を私も調べました。これはたいへん古い本ですけれども昭和二十五年に書かれている本であります。加藤晴治さんという方が書いているんですね。この人は台湾におられましてこの問題を終始手がけてこられた方でありますけれども、この方も、バガスが有効である、これは牛の嗜好性にも合うんだと。しかし、問題は、いまお話しのようにリグニンがある。これを何とかならないかということでずいぶん研究しておるようですね。石灰を使ったり、あるいは苛性ソーダを使ったり。ところが、やはりこれは採算の問題で経済性の問題で合わない、こういうことが指摘されておりますね。  それからさらに、古い資料ばかりですけれども、畜産関係につきまして日本畜産学会がありますね、この学会報を全部私は読ましていただきました。そうすると、これの一九七一年の三月号の一三〇ページに、「高繊維質材料に対する脱リグニンの効果」と、こういうことで茨城大学農学部の先生が三名でこの研究をなさっていらっしゃいます。ところが、これもやはりリグニンというものについて執念のように一生懸命に、これをどうして除くか、そうしなければ飼料化がむずかしいという指摘の上に立ってやられているわけですね。  さらに、貴重な問題ですから事実をたくさんあげたいと思いますけれども、同じく畜産学会報の一九七二年の四月号、これの一七五ページに、農林省の畜産試験場の三名の先生方も同じようにこの問題を指摘して一生懸命研究をなさっていらっしゃいます。  さらに、七三年の十一月号、これの五五九というところに、同じくこれも農林省の畜産試験場の栄養部の四名の先生方が全く同じような問題の指摘をなさっていらっしゃいます。  さらに、アメリカの文献もさがしてみました。アメリカのオリバー・ウィーマンという先生が、バガスの問題について非常に着目をされて研究をなさった。ところが、これを与えましたところが、これはハワイ大学の先生ですけれども、バガスを使用すれば搾乳牛の生産は三週間ぐらいで乳量が五〇%以下に落ちた。したがって、水の量を少なくしてバガスを入れない飼料をたん白質とともに与えたらもとに戻った。こういうことで、糖みつバガスの場合にリグニンが非常に大きな支障になっているんだと執念のように皆さんが一生懸命になってこれをどうして除くかということを研究されています。  さらに、これはアメリカの一九六五年の発表でありますけれども、F・J・ストーンという先生がやっぱり同じようにこのリグニンを研究されて、リグニンのパーセントが一%上がるごとに消化率が五%低下をする、こういうような発表をなさっているわけです。  そうしますと、このバガスの畜産飼料の中における一番大きな問題はリグニンだということがほぼ間違いなく言われているわけであります。ところが、この科学技術庁の発表は、その点について残念ながら明確な発表をなされていない。しかも、現実にこの糖みつバガスを使って畜産農家がたいへん被害を受けている、一体どこに要求をしたらいいのかということが言われているという現実も私は突きとめることができました。そういたしますと、この科学技術庁資源調査所の発表というのは一体どこに何があるのかということを私は疑わざるを得ない。いま私が指摘した事項について反論できる資料があればひとつ御提示いただきたい、あるいはこれを認められるかどうか、重要な問題でありますから、私はその点をお聞きをしたい。
  37. 酒井忠二三

    説明員酒井忠二三君) 御説明申し上げます。  確かに、昭和四十七年の七月に公表いたしましたバガスの飼料化に関する調査におきましては、先生御指摘のように、リグニンが乳牛に対しまして非常に影響があるということは、あまり重要な認識として持っておりませんでした。で、リグニンが乳牛の搾乳量と申しますかに対しまして非常に影響があるということで現在調査中でございまして、先生御指摘のいろいろな古くは昭和二十五年からの資源等もおあげいただいたのでございますが、そこまで私どもまだ知りませんで、その後畜産学会誌等も先生御指摘のようなものを調べたりしておりまして、いかにしたらリグニンを安く抜けるかというようなことに主力を置いた調査をいましております。
  38. 工藤良平

    工藤良平君 畜産局のほうは、私、さっき、畜産局の畜産試験場からのリグニンの問題のいろいろな試験研究の状態というのが論文に出ていますからその点で指摘をしたわけですけれども、この点について御承知でございますか。
  39. 下浦静平

    説明員下浦静平君) リグニンにつきましての文献がございますことは承知をいたしております。要は、まあもみがらでも多量に与えますと皮膚に害があるということで、使い方の問題であるというぐあいに認識をいたしております。
  40. 工藤良平

    工藤良平君 所長、それじゃ私さらにお聞きをいたしますが、いま所長さんはこのリグニンの除去についてまだ研究中だということなんですね。そういう問題がありながら、四十七年ですよ、これはもう二年前です、四十七年の七月五日にはこういうような発表をしている。しかも、なおかつ問題がありますのは、さらに調べてみましたら、この調査団の中に大洋飼料社長、あるいは南西糖業徳之島事業所農務部長、こういう人たちが入っている。しかも、本調査の原案を作成する過程の起草者の中にもそれらに関係する人が入っている。しかも、特許の申請は大洋漁業の小会社といわれる関連しているところが特許を出している。私は、これを有効に飼料として使うということはまことに有意義だと思うのです。しかし、なぜそのようなことを出さなければならないのか。さらに調べてみますと、これはちょっとさっきお話がありましたけれども、発酵バガスという酵素による発酵によってリグニンを除去してきわめて有効にこれを飼料として使えるということが全く小さな一中小企業の中で研究をされて、何とかしてそれを沖繩の農業に奄美の農業にということで努力されている方がある。そういう研究は無視されている。しかも、それは国際的にもアメリカ、イギリスをはじめとして六ヵ国の特許が許可されている。その許可の条件を見ても、バガスはリグニンが問題だ、そのリグニンを除去するという効果をあげ得たということについて高く評価をして、ここにちゃんと書類がありますけれども、これが国際的にも認められているんですよ。あなたはまだ知らないと言う。しかも、一方、糖みつバガスをつくってよろしいんだ、そのために飼料の品質改善に関する法律の中の一つ飼料にしなさいというようなことまで出しておきながら、なぜ貴重なこのような資料を眠らしていくのか、私は大きな疑問を持たざるを得ない。あえて科学技術庁と業者とのつながりというものはきょうは指摘はしないけれども、しかし、疑問を持たざるを得ない。発酵バガスについてはこれは有効であるということが言われているのですけれども、その点については全く掌握をしていないのですか。
  41. 酒井忠二三

    説明員酒井忠二三君) 先生御指摘の吸着バガスではなくて、発酵だけのバガスにつきましては、一番最初に御説明申し上げましたように、長く貯蔵いたしますと雑菌がふえて腐敗をするというような点で市場性というような問題がございましたので、調査の対象にはしておらなかったわけでございます。しかし、いろいろ時間の経過とともに調査いたしましたところ、肉牛につきましてはリグニンが非常に問題になるということで、廃糖みつを加えました発酵バガスにつきましてこれから調査検討いたしたいと思っております。
  42. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、糖みつ吸着バガスについてはこれは有効でないという判断をなさっているわけですか。この報告書の内容とその点は違いますが、どうですか。
  43. 酒井忠二三

    説明員酒井忠二三君) 乳牛の飼育試験の結果では先生御指摘のような結果が出たわけでございますが、肉牛としては効果があるということは現在認めております。
  44. 工藤良平

    工藤良平君 それでは、今後も糖みつバガスは使うということを奨励なさるわけですか。そういうことをやっても別に差しつかえないわけですか。発酵バガスという飼料が養分的にいってもあるいは嗜好性からいっても決して劣らない。しかも、逆に非常に消化率がよくなった、こういうデータも出て、現実に私は申し上げますけれども、鹿児島県それから岡山県の農協では、これを使って乳量が非常にふえていると、こういうようなデータまであげられております。現実に私はお会いをして調べてまいりましたけれども、非常によろしいと。しかも、子牛は、出生いたしまして二十日ぐらいからこれを与えますと、常時これを与えても何ら差しつかえない、いい成果をあげているということまでも言われているのでありますけれども、この点について御承知ではございませんか。
  45. 酒井忠二三

    説明員酒井忠二三君) 私どもが廃糖みつ発酵バガスにつきまして、いろいろ効果が大きいということを聞きましたのは、先生には言いわけになるかと思いますが、この四十七年の七月にまとめました資料のときにはわかっておらなかったわけでございまして、その後いろいろ試験のデータ等もあるということで、現在調査しておるわけでございます。しかしながら、データの結果につきましての考察と申しますか、これには非常に条件がございます。で、一応専門の方にどういう条件下でどういうような試験をやったかというようなことも検討してみませんと、ただうのみにもできないということで、現在そういうような資料等も集めて検討している状態でございます。それで、先ほども申し上げましたように、バガスの利用ということにつきまして、飼料のみでなく、使われている状態が製糖工場の燃料というようなことで、サトウキビはそういう地域におきましては非常に大きな産業でございますので、付加価値のさらによりよい効果を上げるような使い方というようなこともあわせて、この三月に当方の職員を沖繩に派遣いたしまして再度そういう面からも調査をいたす予定にしております。
  46. 工藤良平

    工藤良平君 いま、所長は、四十七年の七月にこの報告書を出したあとで発酵バガスのあることを知ったということなんでありますけれども、これは鹿児島県で現に四十二年あたりから試験をしているわけですね。岡山あたりでは現実にその製品を使って成績をあげているというデータが出ている。しかも、この発酵バガスの特許は、これは特許庁にも聞いていただきたいのですが、四十年に出されているんですね。さっきのは四十二年でしょう。その二年前に発酵バガスのほうは出ているんですね。どこでどうなっているか私はあえてその点を追及するつもりはありませんけれども、ずっと以前からこの問題についてリグニンを除く酵素による発酵によってずいぶん成果をあげているということから試験的にも行なわれている。しかも、この調査段階でそのことが各地で行なわれていたにもかかわらず、知らなかったということ自身、私は疑問を持たざるを得ない。これをいろいろ調べているうちに疑問が出てきたんです。沖繩の農業にサトウキビを生産させ、それのかすまでも有効に畜産に使えるとするならば、沖繩の畜産農業も発展をするだろうし、これは国際的に見ればたいへん大きな貴重な資源となるわけでありますから、日本のように濃厚飼料を七〇%も輸入しなきゃならぬという状況の中で、少しでも濃厚飼料を少なくしてこういうもので粗飼料をまかなっていくということは非常に大切なことだということから科学技術庁の資源調査所も私はそういうことを始めたと思うのです。ですから、そういう意義をしっかり踏まえて、もう少しこういう民間における研究家の貴重な資料というものをくみ上げてやるということが非常に大切ではないか、そういうように思うのです。それがやはり畜産農家の危機を救い、物価上昇石油やそういうものから比べるとごく微々たるものかもわからないけれども、しかし、人間の命をつなぐ食糧のもとになるわけでありますから貴重だ。それが経済的に利用できないということになるとたいへんな不幸になるというようなことで私は実は追及をしてみたわけです。  私も、いま、畜産問題をどうするか、飼料をどう確保するかということで、今回出されている公団法の問題等につきましても積極的に協力をして、やはり牧野改良なり飼料の確保について全力をあげたいということで必死になって血眼になってさがしていたそのときにさがしあてたものがこれなんです。ですから、そういう意味で私はあえて所長さんにこの点については全力をあげて解明をし、具体的なデータもあがっているわけでありますから、そのことについて努力をしていただきたい。  さらに、特許庁の関係につきましても、四十二年のものがまあ前後になるということは、私は役所の内容のことはわかりませんから言いませんけれども、しかし、これが有効なものであり、すでに世界の六カ国、イギリスやアメリカでこういうことが認められて、非常に有効にこれを利用しようとしているという等のことから考えましても検討に値するのではないか、私はこういう気がいたしまして、あえてこういう席でこの問題を取り上げたわけで、ぜひひとつその点に対する所長さんの賢明な御判断と、そしてこの調査に対する決意のほどを示していただき、できるだけ早くそういうものが有効に生かされるように、特に民間の研究家の貴重なそれをくみ上げるということが大切ではないかと思いますから、その点に対する御見解を伺いたいと思います。
  47. 酒井忠二三

    説明員酒井忠二三君) 先生の御趣旨に沿いまして至急調査をいたしまして御報告いたしたいと思っております。
  48. 中本宏

    説明員(中本宏君) いまの院生の御趣旨に沿いまして審査のほうを十分に検討してなるたけ早く結論を出していきたいと思います。
  49. 工藤良平

    工藤良平君 大体ここら辺で終わりたいと思いますが、そこで、大臣大臣は一人しかおりませんから責任を持って、先ほどからたいへん小さなことになってしまいましたけれども、私はやっぱりこういうことが非常に大切だと思う。こういうことを見のがしておきますと、たいへんな大ごとになるわけです。食糧の危機なんというのは小さいアリの穴から大きなダムもこわれるわけでありますから、さっきも決着のほどを伺いましたけれども農業に対して、日本全体の経済の中で受け持つ役割り、それを農林省だけではなくて、大きな見地から閣僚の皆さんがみんなでやっぱりここで知恵をしぼり合うということが大切ではないかと、このように考えまして、私も小さな知恵でありますけれども、ひとつしっかり出していこうということでいろいろ調べてみましたところがこういうことでありました。ぜひひとつこれから特に食糧の確保につきましては全力をあげて経済企画庁のほうからもひとつ田中総理のほうにも大蔵大臣のほうにもネジを巻いていただきまして全力をあげていかないと、これは六ヵ月や一年の問題ではなくて、五年、十年の非常に長期な展望に立っての問題があるように思いますから、その点ひとつぜひ大馬力をかけまして物価一つの大きな一環としてとらえていただくように私は特に御要請を申し上げ、決意のほどをお伺いして終わりたいと思います。
  50. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 先ほども申し上げましたように、食糧の自給、ことに、最近、飼料自給の問題また輸入配合飼料等の値上がりの問題が大きく畜産農家に影響を与えておりますことは、単に役所の中の問題ばかりでなしに、役所の外におきましても大きな問題になっておりますことは私もよく承知をいたしておりまして、関心を深くいたしておるところでございます。実は、すでに大蔵大臣にも、あれは何とかしないことにはこれから先非常に大きな課題になるということを私から大蔵大臣にも言ってありまして、農林大臣とも相談をして何かいい知恵を出してくれと、こういうところまで来ておりますので、今後一そう私も微力を尽くしてみたいと考えます。
  51. 工藤良平

    工藤良平君 終わります。
  52. 田代富士男

    田代富士男君 長官に具体的な問題でお尋ねしたいと思いますが、その前に一、二点長官からお話を承っておきたいことがありますから、最初にそれを申し上げたいと思います。  長官は、二月の十五日に田中総理に七項目の緊急物価対策を申し入れられたと思います。その第一項目の中に、石油一次製品及び二次製品の新しい価格体系を早急に確立する必要がある。各製品メーカーの出し値を中心標準価格を網羅的に設定してバランスのとれた価格維持をするような意味の第一項目がありましたけれども、もうちょっと具体的にこのことをお話し願いたいと思います。まず第一点です。
  53. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) これはまあ私が申したわけではありませんが、石油産業は諸悪の根源というようなことを政府の役人で言った人もありますけれども、私は、そういう意味ではなしに、石油価格というものは今日では諸物価の根源であると考えるわけでございます。先ほども申し述べましたように、わが国の石油の九九・七%は御承知のとおり輸入でございますが、その輸入原油価格が一月一日から著しく上昇の通告を受けておりまして、その高くなった原油が一月の二十日ぐらいから入ってきておると伝えられておりますので、備蓄にかかる分で値上がりしない前のものも若干ございましょうが、今後は主として全面的に値上がりをした原油を加工して石油製品をつくるということにならざるを得ない。その場合の石油製品価格のきめ方についてどのようにきめていくかということがまず物価対策の第一の課題になってきておると、こう私は考えまして、その際の値上げの幅、時期、また値上げのやり方——原油は一本でありますけれども、しかし、原油からつくる石油製品は、先ほども触れましたように、ガソリンからナフサ、あるいは軽油、灯油、各種の重油というようないろいろのものがございますので、これに私の考えではそれぞれの政策的な要素をも加味しまして一つ価格原油をその各種の石油製品価格に開いてきめてまいるということが必要であると考えます。その開き方等につきまして、これはまあ私の言うことを聞いてほしいということではなしに、これは政府全体でこの問題を取り上げて検討すべきであると、こういう趣旨をまず第一に私は取り上げておると、こういう次第でございます。
  54. 田代富士男

    田代富士男君 それから引き続いて第二項目でございますが、公取がやみカルテルに排除勧告を出したあと、今度は行政面から値下げを指導しているけれども値下げがなかなか行なわれていない、それでは意味がないじゃないかということがいまいろいろうわさされておりますが、その場合、該当品目標準価格を設けまして、不当値上がりが確実に排除できるようにならねばならないと思うのですが、なかなかこれが思うようにいっておりません。それで問題は標準価格のことですが、昨年の暮れのこの委員会で私は大臣にもこのことについてお尋ねいたしましたけれども、昨日の暮れといまとはずいぶん事情が違っておりますけれども、何を基準に今後、いまも話していらっしゃいますけれども標準価格を設置していかれるのか、まずこれをお聞きしまして、後ほど具体的な数字を出したところでさらに詳しく標準価格のことについて聞きたいと思いますから、七項目のうちの第二項目に述べられたことについてさらに詳しいことをお聞きいたしたいと思います。
  55. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 公取によって価格カルテル廃棄を勧告されましたそういう企業の製品についての値下げの問題、いま田代さんからお話がございましたとおり、私はそれに対する一つの考え方をも提言したわけでございますが、その前に、実は、第二項目というのは、各種の石油製品値段を開いてきめましたところで、その石油製品を使ういろいろの企業があるはずだ、それは石油化学企業もございましょうし、製鉄業もございましょうし、あるいはセメントもあるかもしれないし、あるいは農産加工もございましょう、それらのものが新しい石油製品価格によって形成された原材料を使う場合に、極力それらの各種の企業においてその値上がり分は吸収して、そしてそれらの重要な生活関連物資なりあるいは基礎資材なりの値上がりを来たさないようないろいろのくふうを検討すべきであるということを申し述べておるわけでございます。それからいまお尋ねがございましたカルテル廃棄勧告にかかる物資価格の引き下げ問題でありまして、これにつきましては、すでに私どもと同じ考え方をもちまして通産省等が公取によるカルテル廃棄勧告と同時にあるいはそれと前後して価格引き下げの行政指導をいたしておりまして、幾つかの産業の製品につきまして価格の引き下げをやっておりますことは、田代さん御承知のとおりであります。その際に、引き下げをした価格についてそのものを行政指導価格として置いておくか、あるいは標準価格というような価格できっちりきめていくかと、こういう問題の検討を私が提起をいたしておるわけでございまして、これにつきましては、私はいま直ちに標準価格をつけるべしということを言っておるわけではございませんで、特に石油価格の変動を通じましていろいろの価格要素が流動的でありますために、その間に何といいますか、小回りのきく行政指導価格というようなものを一時的には使う必要があるのかもしれません。その辺は、行政指導価格によるにしても、あるいは標準価格をつけるにいたしましても、カルテルで高くなった価格を独禁法のほうでは引き下げ指示の規定がないからといってそのまま放置すべきではないということを強調いたしておるわけであります。  ところで、これは前に戻って恐縮でありますが、私が総理のほうに申し出たといいますか、官房長官を通じて、上は総理に、あるいは横は各省のほうに経済企画庁としての考え方を取り上げてもらうように申し入れましたのは、二月の十五日よりも実は少し前でございます。しかし、それはこういうことを申し出たということで同じ政府の部内において新聞等に早く発表することはいたずらに摩擦を起こすことになるわけでございますので、ここにもマスコミの方々がおって恐縮でございますが、そういうことを述べてもいいという時期において私が新聞社のほうにもお知らせをしたということで、それよりやや前に政府はそのことについてちゃんとした姿勢を検討してほしいということを申し入れた、このように御理解をいただければ幸いでございます。
  56. 田代富士男

    田代富士男君 具体的な問題を質問する前に、大臣、これはこまかい数字ですから、ここに昭和四十五年の五月から四十九年の二月に至るいろいろな価格の移行をこまかく書いております。これをお渡しいたします。これで質問していきますから。   〔資料を手渡す〕  大臣、先日の新聞にも載っておりましたが、いま物価が高騰したためにそのしわ寄せが学校給食等に及んでいるわけなんです。その場合にどういうところにしわ寄せが来ているかといえば、いままで一週間に五本飲んでいた牛乳が一本減ずられていると、そういうような事態が起きていることが新聞に載っておりました。牛乳も値上がりのことが云々されておりますが、実情はどうなっているか。これはこの価格をずっと見ていっていただいたならば、大臣もここまでこうなっていたのかとおそらく初めて気がつかれると思います。そういう意味で、牛乳、あるいはそれにまつわるいろいろな製品昭和四十五年五月から六年、七年、八年、九年の二月にわたる価格の推移をこの一覧表に出してあります。  まず、一番上の欄は、牛乳びんの問題です。八角びんの牛乳びんですが、四十五年の五月は一本当たり十一円八十銭です。これが一本単価です。それから四十六年も値動きはありません。四十七年の八月になりまして十三円四十銭になっております。その後ずっと値動きがなくして、四十八年の十月に十四円六十銭に値上がりしております。それから十二月には十九円五十銭に上がっております。そして四十九年の一月、ことしですけれども、一躍二十四円に値上がりしております。三十二円前後しておりました牛乳一本、このうちにびん代が二十四円になるということはどういうことになるか。これはびんだけです。  その次に二番、三番とずっと書いてありますが、全部やっていたら時間がたちますから代表的なものをやりますと、七番目のカットテープを見てください。これは四十五年の十二月が一巻き当たり四百八十円、四十六年の二月にこれは四百七十円に値下がりしております。それからずっと四十七年は値動きがありません。四十八年の四月に六百三十円になっております。そして四十八年の十月に七百円、四十八年の十二月に九百九十五円、四十九年の一月には一躍千二百円、これが価格の推移です。  それから砂糖、重油、いろいろありますけれども、二十三番の包装紙を見ていただきたい。一巻き当たりが四十八年の二月は二千円、四十八年の五月が二千三百円、これが四十九年の二月には五千三百四十円になっています。  二十七番の段ボール、これは四十八年の二月は五十五円、これが四十八年の九月は六十四円四十銭、四十八年の十二月が九十六円六十銭、四十九年の一月が百十二円です。  それから最後の二十九番防湿セロハン、これは四十六年の五月が五千四百円、四十七年の二月が五千八百円、四十八年の九月が七千百円、四十九年の二月が一万二千円です。  これがいま大臣の手元にお渡しいたしました資料でございます。これは現実に購入している伝票その他でその会社で価格の推移を集計したもののごく一部の写しにすぎません。特に、この表は四十五年から出発しておりますが、四十五年から四十八年の九月前後までの価格の移り変わりは一応はありますけれども、さほどの移り変わりはな、四十八年の九月、十月からことしにかけましての値上がり率というものはいかに大きいか。私は、これを一言で言うならば、石油危機に端を発した便乗値上げ以外にないと思うのです。  まず、この一覧表から、たった一枚の紙ですけれども、ここまで来るにはいろいろな経過をたどってきているわけなんですが、これを見て経企庁長官あるいはその管轄によりまして品物によりましては通産省以外の農林省関係したものもありますが、この中では大部分が通産省にも関係した品物でありますけれども、率直にどういうふうにお考えになるのか、まず長官並びに通産省関係の方からお尋ねしたいと思います。
  57. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) この表をお見せいただきまして、私はことさらに事態を痛感いたしました。私の手元にたとえば四十五年を一〇〇とする消費者物価指数というものがございまして、そして毎月の値上がり足取りがわかります。その足取りと比べてみましても、まあ消費者物価指数のほうはここにあげられた十幾つの個別物資のみならず、四百数十の支出項目を並べてありますから、これほどひどくはありませんけれども、私が自分の手持ちの消費者物価指数を見ましても、この消費者物価指数というものの毎月の上がり方がちょうどこの表と似たような形で昨年の十一月とか十二月とかそういうような季節からの月々の上げ幅というものが非常に急激な上げ幅になっております。その中でも、いま御指摘になりましたような数個の品目は、これで見ますと、四十五年あるいは四十七年当時の値段の倍とかあるいはそれ以上になっておる。それがおおむね昨年の十二月からことしの一月における価格上昇によってこのような事態が来たしておるということは、いまあなたが仰せられましたとおり、私は、便乗同調といいますか、付和雷同してわれもわれもと値上げをしたような要素が相当含まれていると見なければならないと考えます。
  58. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) 私の関係しておりますのは特に牛乳びんの問題でございます。これにつきましては、値上がりの幅というのが最近非常に大きくなってきているということは事実でございまして、これは先生が御提出くだすった資料と私どもの調べましたものとも大体符合しております。したがって、この点については、便乗であるのかないのかということは究明しなければいかぬというふうに私どもも考えております。
  59. 田代富士男

    田代富士男君 これが便乗であるかないかは究明しなくてはならないと。まあ長官もこれは多分に便乗値上げ的なのが含まれていると、そういうふうにお考えになっていらっしゃると思うのですが、これが、いま言うとおりに、牛乳びん一本にたとえましても、四十七年の八月が十三円四十銭、四十八年の十月が十四円六十銭、十二月が十九円五十銭、これが二十四円になる。じゃ三十円、四十円している牛乳がびんだけでこれだけになったらどうか。これが急にこういうふうに上がらなくてはならないような何かそういうような背景があったのか。特にこれを指導されます行政当局といたしまして、じゃこの値上げ幅が妥当な値上げ幅であるのかどうか。その点、通産省の当局からお尋ねしたいと思います。
  60. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) この点は先生からここで御指摘を受けるまでもなく、私どもも非常に気になっておりまして、現在鋭意調査中でございます。現実問題といたしましてこの業種というのは石油への依存度がかなり大きいということがございますので、値上げというか、コスト上昇要因というのはあるかと思いますけれども、それがこういう値上がりをもたらすということになるのが自然なのかどうか、問題がないのかどうかということは、すでに業界のほうにも連絡をいたしまして、きょう以前の段階からヒヤリングをしつつあるわけでございます。その結果をまた十分まとめまして結論をわれわれとしても出して御報告したいというふうに考えております。
  61. 田代富士男

    田代富士男君 もう一つ、これが便乗値上げであると、このように私はいま一言で申し上げましたけれども、これにはことばは簡単ですけれどもいろいろな意味が含まれていると思うのです。それで、この十月ぐらいからどういう動きがその業界でされたのかということを具体的な例で申し上げます。通産当局としてこの問題に対しては調査をするということでございます。通産省といたしましても、多い品目のことですから、一つ品目についてどうかといっても、それはたいへんだということを私は理解しておりますけれども、しかし、事こういう牛乳というものはわれわれ国民には欠くことのできない生活必需品です。ただ、物件が小さいからとか大きいからとかじゃなくして、われわれの日常生活に必要な必需品が高値であるのか安定しているのかということは、その時代時代を安定さすかどうかということで影響が非常に大きいわけなんです。そういうことからいま衆議院におきましても集中審議をやっておりますが、いろいろな問題点が指摘されておりますが、大きい企業は大きい企業、小さい企業は小さい企業なりに便乗値上げをはかっているということは明々白々たる事実なんです。だから、私は、便乗値上げでこれは許せない。この四十五年からこれまでの図表を書きまして、これは何も関係のない人が見ましてもたいへんだ、こんな値上げは何か裏にからくりがあるはずだと。いま通産省自身が調べなくてはまだそのほんとうのことがわからないということ自身が私から言うならばおかしいわけなんです、指導する立場なんですから。行政当局として指導してなくちゃならない。それがこの実態を示されて、いまからどういう背景にあったか調べますというのは、どういう指導をしていたのか、私はその点納得できないですね。その点どうですか。
  62. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) これはいま申し上げましたように、これから調べますという姿勢でわれわれございません。私どもも気になっておりまして鋭意いろいろ調査をしておるわけです。ただ、これは簡単に一日でぱっと結論が出るという問題ではございません。そういうことで私どももこういう問題につきましては日夜いろいろほんとうにやっておるわけでございますが、その辺はぜひ御了解いただきたいと思います。問題意識としては先生と同じような問題意識で取り組んでおります。
  63. 田代富士男

    田代富士男君 一つの例をあげます。これは牛乳びんのメーカーが牛帳の生産者に対して出しました通告書です。ここに十枚ほどあります。この内容がずっとありますけれども、中を一、二点代表的なところを読んでみます。「ポリスチレンの原料となるナフサが削減及び五〇%の値上げと、燃料の重油と電力のカットという事態となりました。この影響によりポリスチレン樹脂が十一月十五日に遡って値上げとなり、その上十二月分の原料樹脂を四〇%削減、一月以降はナフサの見通しが全くたたないとの通告をレヂンメーカーより受け弊社としましても不本意乍ら十二月一日より、容器価格を六〇%値上げさせて戴かなければならない事態と相成りました」と、あとずっと書いてあるのです。そうしますと、ここに書いてあることがそもそも事実であるか。この書かれた時点と現在とは時が経過しております、数カ月。しかし、現時点からその当時の状態がはたしてここに書かれてあるような状態であったかです。たとえばナフサ削減について載っております。現時点では十一月度のナフサの生産量というものは従来よりも高い生産量をやったということはいま証明されております、現時点において。これは国会でも明らかです。それがここで「ナフサが削減」と、こう書いてある。「及び五〇%の値上げ」とあるのは、現時点においては五〇%は不当であると、そういうことが論議になりました。また、「ポリスチレン樹脂が十一月十五日に遡って値上げとなり、」と、こういうことが書いてあります。これに対しましては、明確にポリスチレンにつきましては一キロ六十円と言っていた。これは便乗分を含まれた価格であるということは明確にされまして、ほんとうは二十二円五十銭でいいんだ、三十七円五十銭分は不当な便乗値上げであるということが合化労連のほうでも明確にこれがされている。こうなりますと、ここに通達を出されましたこの文章の一行一行をとりましても、その当時では明確にされていなかった。しかし、いま明確にされた。その中から見ますと、これは値上げの理由に当てはまらない理由になっているわけなんです。これによりまして六〇%値上げさしていただきますと、こういうことになって、ただいま私が申し上げましたとおりに、この一覧表で四十七年の八月は十三円四十銭、そして四十八年の十月には十四円六十銭、四十八年の十二月には十九円五十銭、四十九年の一月には二十四円、このように、値上げの通知書の理由に書いてありましたナフサの削減五〇%値上げ、ポリスチレンの問題、この理由もいまから言うならば値上げの理由にならないわけなんです。値上げの理由にならないのを値上げの理由として現実には高くなっている、二十四円になっている。この通知書をいま私は端的に三点指摘しました。この三点は正当な理由であるのかどうか、まず通産省からお聞きします。私はいま正当な理由でないと言った。私の正当な理由でないというのが正しいのか、この通達書の理由が正しいのか、正しいとなるならば通産省はそのように指導してきたのか、そこのあたりのあれを明確にしていただきたい。
  64. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) まず、この件は時点がいつかわかりませんが、ある程度前であると、これは実際にそのケースを調べてみないとわかりませんけれども、その当時そういうような事態があったということは十分あり得ることだろうと思います。その後いろいろ値下げ指導等も原材料段階でしておりまして今日に至っておるわけですが、したがって、その手紙を出したところが便乗をやっているのかどうかということは、これは一がいには私は言えないと思います。そういう点についてもこれから調べる必要があると思いますが、いずれにしても、まずびんの問題については、先ほど申し上げましたように、便乗は絶対いかぬという立場で鋭意いま調査をしておるところでございます。  それからいまおっしゃったのは若干品目があるいは別のほうまで及んでおる話かと思いますので、これはこれで別途検討さしていただく、必要とあらば差しつかえない範囲で具体的なことを文書等も教えていただいて措置したいというふうに考えております。
  65. 田代富士男

    田代富士男君 私は、文書をそちらへ手渡しておりませんから、そのために読みました。要点だけを読んで、それで値上げの理由として書いてある「ナフサが削減」と。だから、私は、あなたがわかりやすいように、ここに出ているのが値上げの理由になるかどうかということを、出ていた三点だけ取り上げた、三点だけ。それでも現時点からはもうこの三点の問題は国会審議を通じて明確にされている。こういうことはなかったということが現時点ではもう明らかにされておる。その時点でこういうことをやって、六〇%値上げするんだと、そういうわけで二十四円、これは三十円から四十円ぐらいする牛乳がびんだけで二十四円になったらどうなるかというんです。倍近くです。だから、これは調査されるということですが、これが一回ならばいいんです。ここに同じような内容がだんだんきびしくなりました内容が十月にも出されている。これは十月分です。この二枚目が十月です。同じ会社から十一月も出ている。また十二月も出ている。だんだんときびしくなっている。この事実をどうするか。十月、十一、十二と毎回これが一つの会社ならば、その会社が勇み足をやったと、これは私も一般的常識としてそういうことを理解できない立場ではございません。理解しますけれども、今度別の製造メーカーも同じく毎月同じような内容でこの通達を出しているということです。これはどういうふうにお考えになりますか。
  66. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) いまおっしゃったのは牛乳びんのことでございますね。
  67. 田代富士男

    田代富士男君 そうです。
  68. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) その件については、先ほど申し上げましたとおり、大体毎月値上げをするというのは私はおかしいと思います、はっきり申し上げて。で、そういう事実がまあそれは文書を持っておられますのでその関係ではあったということになると思いますが、ほかのほうも大体毎月上げているのかどうか、私どもはそういう実態はいままで調べたところでは聞いておりません。したがって、もうちょっとその辺の先生御指摘の事実も含めて再度十分調査したいと思っております。
  69. 田代富士男

    田代富士男君 私は、これは上げたと言うんじゃないんですよ。その値上げの通告がきびしい通告書になっているんです、毎月毎月。それで、一社だけがやったならば、いま言うとおりに納得できる点もあります。ところが、まあ大体ガラス製造メーカーというのは限られております。その限られたガラス製造メーカー自身の中にありましては——まあカラス製造の企業と大手企業とは企業の母体が違いますが、その企業の中にありましては大手に当たるべき製造メーカーが同じような通達を出すということは、私はこれは勘ぐるわけじゃないんですけれども、話し合いがなされて、いま問題になっております独禁法違反の線もあるのじゃなかろうかと、こう思うのです。そういう指導を通産当局はやっているのかどうか、そこらあたりを明確にしてもらいたいんです。そう考えざるを得ませんよ、これは。まさしく、文章とか内容を見ますと、全然別個のまあガラスにすれば大手の二つのメーカーから幾カ所へ通達が行っているものがこういう状態になっているんです。そういう指導をされているんですか。その点、もしもそうしたらたいへんなことです。おそらく答弁はそういうことはいたしておりませんとおっしゃるでしょうけれども、しかし、現実にはこういう実態が起きている。この現実をどうとらえるか当局といたしまして。
  70. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) まず、はっきり申し上げますが、全部一斉に上げろというような指導をしておるということは全くございませんので、十分御理解いただきたいと思います。  それからこれがどうして値段が上がるかという問題ですが、たとえばこの業種は低硫黄重油——ローサルファの重油を使っておる。あるいはLPGを使っておる。それからソーダ灰、珪砂、それからびんを回収したカレットと申しますか、古びんをくだいて入れるわけですが、そういうものを原料として使っておるわけですけれども、特に公害防止等の関係で低硫黄重油というのは需給が非常に逼迫して値が上がった、この石油の危機の段階でですね、そういう事実がございます。それからソータ灰、珪砂、カレット——特に珪砂、カレット等は、中小企業というかそういう人たちが集めて、あるいは取ったりしてやっておる、そういうものでございます。したがって、これは非常に原料の値が上がりやすいという問題がございます。ただ、私、こう申し上げても、だからいいじゃないかということではございませんで、そういうファクターは確かにあるわけです。あるので、これはどこのメーカーもそういうものを買っておるわけですから、したがって、同じような時期に——同じようというのは、別に同じ日という意味じゃありませんが、大体似たような時期に上げざるを得なくなってくるという状況は、これはあり得るかと思いますけれども、そういうファクターはございますが、いずれにしても、そういうファクターを勘案して納得できる値上げであるのか、あるいはそうじゃなくて便乗があるのか、あるいはもっと言って話し合ってやったのか、これはそんなことは絶対われわれのほうはもちろん指導しておりませんけれども、その辺も全部ひっくるめてすでにやっておる調査をもっと拡充してやっていきたいというふうに考えております。
  71. 田代富士男

    田代富士男君 それで次にもう一つなんですが、今度一覧表のナンバー九番のカップです。カップというのは何かといいますと、アイスクリームの入れ物なんです。これが四十八年二月の値段が一個二円八十銭です。四十八年の六月には三円六十銭、四十八年の八月には四円十銭です。三十円ぐらい売りのカップです、これが三円六十銭、四円十銭ですから、それで一応まあ製造していた。ところが、これがいま申しましたような牛乳びんと同じような形で四十九年の一月には十円になっている。これは大きいですよ、四円十銭から十円です。牛乳びんの問題をいま取り上げまして、これもたいへんだと言ったけれども、今度は牛乳ぴんとカップとは性格が違う。どういうふうに性格が違うかといえば、牛乳びんは上がってメーカーはつくればつくるほど赤字になる傾向があるということを聞いておりますが、それでも牛乳びんの場合はまだ回収して回していくならば、これはまたちょっと考える余地がある、一本のびんを大事にして。ところが、アイスクリームのカップは、カップ自身が一人一人の消費者が負担をしなくてはなりません。アイスクリームのカップを回収して使うというわけにはいかぬ。そうすると、あのカップ一個が十円に値上がりするということはどういうことになるのか。これは、長官、また通産省にも具体的に聞きますけれども、この値段価格だけ見てどう思いますか。長官もアイスクリームをお食べになると思いますが、価格は聞きません。何ぼかまだいろいろ種類があるとおっしゃるのだと思いますが、大体三十円、高いのは五十円、百円もあります。しかし、それはパっと食べ終わって捨てるんですよ。それが二円八十銭ぐらいだったら採算がつくが、十円になったら、消費者のことしのアイスクリームの値段はどのくらいになりますか。私は何で取り上げるかといえば、いまからアイスクリームのシーズンに人ってくるんです。この時点で十円になったとなったら、最終消費者価格はどうなりますか。この点長官、いかがです。
  72. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 牛乳びんと同じような形のタイプの値上がりのしかただと思います。私が最初述べましたように、消費者物価全体の総合の対前月上昇率というものも、それは年末から一月に上がっておりますけれども、しかし、そういうものをはるかにこえた値上がり方でございますから、あなたがお取り上げになるのももっともで、何か特別な理由がない限り、やはりまことに指弾をさるべき要素があるのではないかと疑われても当然であると思います。ただ、牛乳ぴんと違いまして、牛乳びんのほうはたしかメーカーが七社でございますか、大きいんですが、プラスチックでしょうか、あのカップのほうは何か零細メーカーが非常に多いそうでございまして、その辺の値段を上げる過程におけるあり方が牛乳ぴんとは違う何か要素があるかもしれないような点があるのかなというようなことをあなたのお話を承りながら思ってはおりましたけれども、しかし、これはたいへんな値上がりで、夏に向かって私もまことにそれは心配でございます。
  73. 田代富士男

    田代富士男君 いまから手を打とうと思うのですから、驚いて心配しているだけでは話にならないんですから……。それで、私は通産省の当局に申し上げますが、いま私がここに持っているのが今度はカップに対する値上げの通知書です。これも毎月出されてきております、いま言うような形で。これも全部私の手元にあります、ここに。だから、これも、いま牛乳の問題も言いましたとおりに、こう考えてみましても、カップの製造メーカーも数社ありますが、同じような形態をとっている。だから、私は、総称いたしまして——まだ時間があればほかの各品目をやりたいんですが、総称しまして便乗値上げだ。だから、これは調査をするとおっしゃるけれども、明らかになるならば、ここで何ぼに値段をどうこうというんではなくして、もしもこれが明らかに便乗値上げであるならば、値下げを通産当局として当然やるべきだと思う、値下げ指導を。それはどうですか。
  74. 日下部光昭

    説明員日下部光昭君) 便乗値上げであるということがはっきりしてくれば、われわれとしては値下げ指導をするつもりでおります。この業界につきましては、先ほど長官がお答えなさいましたように、大体三十社近くの中小企業がつくっておるという状況でございまして、したがって、原材料が不足の時代が続いたわけですが、そういう時代にどのぐらいの値段のものを買っておったかということは一つあると思いますが、御指摘のとおり、値段の上がり方というのは非常に激しいということがあると思いますので、この点はまあメーカー数も多くてかつ小さいところということで作業がなかなか困難な面はあると思いますが、そういうことを言っておられない状態だと思いますから、鋭意調査をして、もし便乗であるということになれば、値下げ指導をやるということにしたいと思います。
  75. 田代富士男

    田代富士男君 時間もずいぶん来たようでございますが、これを調査されるならば私は協力をいたします。特にびんの場合は、私も通産省から資料をもらいまして昨年一年間と先年度のびんの生産量あるいは在庫量、それから出荷量を調べさしていただきましたけれども、四十七年に比べまして四十八年は多くなっております、すべてのものが。こういうこともこちらは承知しております。にもかかわらず、こういう事態が生じたことに対しては、いま一、二点の指摘をいたしましたけれども、ちゃんとやっていただきたい。特にアイスクリームのカップの問題はいまからシーズンに入りますから、この点はひとつ厳重にやっていただきたい。だから、長官も、いま言ったようなことで驚いていらっしゃったらたいへんです。いまから申し上げる資料はもっと長官自身が驚かれる資料です。これを具体的に申し上げます。  私がここに手元に持っております資料は、大阪の西成区——西成区といえば、長官も御存じのように、東京の山谷、大阪の釜ケ崎といわれます釜ケ崎を持ちました西成区です。それと浪速区です。西成区、浪速区の近くが釜ケ崎です。大阪でも物価はこの地域が一番安いところです。だから、一番安いところで調査をしてみようということで、百八十五人の御婦人、そしてスーパー十八軒、それから市場——大阪は公設市場があります、市場が二十一軒、一般小売店が八十四軒、合計百二十三店を対象にいたしまして、一月の十六日から一月の二十二日の七日間、物価問題につきまして調査をいたしました。この調査の資料は全部まだ保管してあります。そして、古いものは主婦の家計簿から全部出しました資料です。その辺のいいかげんな資料と違います。家計簿から集まりました資料です。これは私は一部しか持っておりませんから、長官のところへ持っていくわけにいきませんが、御希望でしたらあとでゼロックスしてお渡しいたしますが、ここでこの値上げ調査をしてくださった人たちが一様に言っていたことはどういうことか。値上げの進行はスーパーが一番早い。その次が公設市場。小売り店への反応というのはだんだんおそくなっている。これはもう御承知のとおり、スーパー値上げは、大量仕入れの関係上、一次問屋からの値上げがすぐに掌握できる。小売り店の値がおそいということは、やはり十月以前の在庫品を小出しにしているということです。それで、高値と安値と両方調査しております。安値のほうは、小売り屋さんが良心的に十月前に持っていた品物は安い値段で売っている。こういうわけで、スーパーと市場と一般店と、三つに分けてやっております。ここに取り上げたのは、砂糖、しょうゆ、みそ、ソース、食用油、とうふ、味の素、うどん、食パン、小麦粉、インスタントラーメン、化粧石けん、洗剤、マッチ、ビニールごみ袋、トイレットペーパー、歯みがき、灯油、こういうような品物を対象に調査をしまして、代表的なものをあげてみますと、まず砂糖でございます。  砂糖は、一月の十六日から二十二日の間の店頭価格は、スプーン印一キログラムが、スーパーの場合は安値百八十円と高値が二百九十八円、それから市場の場合は最低百九十円、最高二百九十円、一般店の場合は最低百九十円、最高三百円、こういう数字が出ております。それからカップ印、これはメーカーが違います。一キログラムが、スーパーで最低二百十五円、最高三百円。ママ印、一キログラムが市場で最低が百九十円、最高が二百九十円。これは一軒一軒回って調査しております。これを四十八年の十月に家庭が同じ店で買った家計簿を持ち寄りましてその価格を調べますと、四十八年の十月が、スーパーでは最低九十八円、最高百九十五円、これはスプーン印ですね。同じく市場では最低百三十円、最高百五十円、一般店では最低百円、最高百九十円です。カップ印がスーパーで最低九十八円、最高百三十八円、ママ印が市場で最低百二十円、最高百四十円、こういう数字が出ている。私の手元に十一月、十二月と全部数字が出ております。それで、昨年の十月と一月十六日から二十二日までに調査しました数字で倍率を出してみますと、スプーン印は、スーパーで最低の値段にしましても一・八三倍、最高にしまして三・〇四倍、今度は市場へいきますと、最低が一・四六倍、最高二・二三倍、一般店では最低一・九〇倍、最高三・〇〇倍、カップ印は、スーパーで最低二・一九倍、最高三・〇六倍、ママ印は、市場で最低一・五八倍、最高二・四一倍、これが家庭の主婦百八十五人の人がやってくれました数字でございます。砂糖だけです。それで経済企画庁から出されました消費生活関連物資需給状況等速報ナンバー4を私はいただいております。ここに砂糖の小売り価格が経企庁でまとめられたものが載っておりますが、いま申し上げました数字と比較いたしましたら値上げ幅が実際は大きい。発表していらっしゃる長官は御存じだと思います。この砂糖一つをとりましてもこういう高値です。これは家庭の主婦の家計簿から出しておりますから一番信憑性があります。この実態です。二倍から三倍上がっております、昨年の十月から砂糖だけで。  これはいま申し上げました品目を一々言ったらたいへんです。しゅうゆを言いますと、最高は二・六〇倍、みその最高は二・九〇倍、食用油は二・五六倍、それから驚くことなかれ、私がびっくりしたことは、たとえばマッチが、小さなマッチですけれども、三・三三倍に上がっている。これよりももっと驚いた数は何かといいますと、ごみ捨てのためのビニール袋があります。このごみ捨てのビニール袋がどういう値段になっているかと申しますと、驚くことなかれ、最高これは八・〇〇倍の値上がりになっております。これは石油の二次製品です。端的に申し上げますと、昨年の十月、スーパーで最低七十八円、最高百二十円、これがこのときの調査で最低が百六十八円、最高三百円、市場の価格は最低五十円が二百三十円、最高八十円が二百九十円、そして一般の商店が、最低五十円のとこうが百八十円、高値七十五円のところが四百円、こういうような実態が出ているんです。いまカップの値段だけでも長官は驚いたとおっしゃいますけれども、これは家庭の主婦の百八十五人の人の結集されましたなまの、それも大阪の西成区、浪速区というところは物価の一番安いところです。この実態を長官はどう思われますか。
  76. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いまあなたがお述べになられましたように、砂糖の値段は昨年の十一月ぐらいからことしの一月ぐらいまでにかけてそのような値上がりをしてきておることは、私もおおむね了承いたしておりました。それで、砂糖に限りませんけれども、先ほど冒頭にお尋ねがございましたように、私が、物価の根本対策として、石油から始めて、石油製品、あるいは公取の勧告を受けた企業の製品、さらには一般の国民生活関連物資等について総点検をして、高いものは各物資の主務官庁ができ得る限りこれらの引き下げ等の措置をやってほしいということを申し入れましたのも、先ほど来おあげになりましたようなものがあるからでございまして、私のところにあります資料、またあなたがお取り上げになりました生活関連物資状況速報にも、これは砂糖の値段は十二月までしか出ていないようで少し古いのですが、これは二月になってからだと思いますが、農林省も、これはまあ砂糖は御承知のとおり、ロンドンの原料相場というものが日に日に上がっているような状況がありまして、市況製品一つでございますから、ほうっておけば精製糖にもその値段が反映して高くなる一方でございましょうから、しかし、その辺は途中には砂糖については糖価安定事業団というようなものもございましょうし、あるいはまた関税をかけたりいたしておることも御承知のとおりでありますから、糖価安定事業団が持っている金を全部払い出すなり、あるいは砂糖の関税を引き下げたり免除するなりというような方法まで含めまして精製糖の価格の引き下げを指図をするということになりまして、これはまあ二月に入ってからだろうと思いますが、これは昨年の九月、十月の値段に戻したということではもちろんございませんけれども、引き下げの指示勧告をいたしまして、引き下げをさせておるという状況でございますので、砂糖に限らず、いろいろな事情はあるようでございますけれども、私ども政府の気持ちとしては、高いものを高いまま放置する、こういう気持ちではなしに、特に砂糖のごときは、これは国民生活関連物資として重要なものであると私は考えます。塩でさえも専売で押え込んでいるわけでありますから、塩のウエートよりも砂糖のウエートのほうが多いと思いますので、できる限り引き下げの方向で私ども農林省に申し入れをし、農林省にも大いにその方向努力を続けてもらいたいと考えております。
  77. 田代富士男

    田代富士男君 時間があれば一つ一つ申し上げたいことですけれども、ここで一言申し上げますと、トイレットペーパーで標準価格がきまりました、一応は。標準価格の打ち出しがなされておりますけれども標準価格で売られている店なんかありません。たとえば二百三十五円のそういう標準価格は一応は出されておりますものの、実際は何ぼで売られているか。その時点で二百三十五円のものが、スーパーでも安値で三百十円、高値で三百二十円、市場では安値二百八十円、高値三百円、小売り店でも安価二百九十円、高値三百四十円、それから四個入りのロール二百二十円の分も、スーパーでは安値二百六十円、高値三百円、市場で安値二百三十円、高値三百円、こういうような実態調査が出てきております。標準価格の問題については昨年の暮れのこの委員会でも問題になりましたけれども、こういうような実態を長官はどうお考えになりますか。
  78. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) トイレットペーパーでありますとか、あるいはちり紙、灯油その他の標準価格がつけられておるようなものにつきましては、私はもう最低限標準価格だけは守らせるべきだと考えます。それで、これらのものにつきましては経済企画庁中心となりまして実は二つの調査を定期的になるべく短い期間の間にやっておりまして、たとえば毎月一日と十五日でありますとかというような期間にやっておりますが、これは反論をいたしましてまことに恐縮でございますが、いま田代さんがおっしゃられましたのは一月中旬ごろのお調べのように承りましたが、たとえば私どもの手元でごく最近調べましたところによりますと、二月十五日の資料でございますが、トイレットペーパーにつきましては、一般小売り店スーパーなどを通じて三百五十二の店舗、実はこれは県庁の所在地の市町村ということでありますので、郡部のほうなどは入っていないと思いますが、各都道府県の県庁所在地の市町村でいま言うようなトイレットペーパーについては三百五十二店を調べましたところが、標準価格を超過しているお店が二十五軒、それから標準価格以内で売られておりますのが三百二十七軒というようなことでございます。そういうようなことでございまして、二月中旬ころにおきましてはいま田代さんがおっしゃられた数字が非常に改善されていると、こういうような状況でございます。しかし、まあ何軒でも起過しているということは、標準価格はそれを超過したものは取り締まらなければならないものでございますから、標準価格を超過するものが一つもないような状態を来たすことが私どもの理想でございますので、今後も大いに国もまた取り締まり等のお仕事をお願いをいたしております都道府県とも十分連絡をとりまして、超過しているものを押え込むというようなことにいたしたいと考えます。
  79. 田代富士男

    田代富士男君 私の持ち時間がもう来てしまいまして、最後にまとめて高橋委員長にお尋ねしたいと思います。  いま独禁法の問題が非常に論議になっております。公取としましてもこれの欠陥を改めるべきであるという立場でいま鋭意御検討されているということは理解しておりますが、この独禁法改正にあたりましてまず第一点は管理価格の問題についてであります。いまいろいろ衆議院の段階でも検討されておりますが、寡占事業者が形成する管理価格というものが物価高の大きな要因の一つになっております。そういうところから、管理価格と言われるものの中にはその多くがカルテルなども言われているわけですけれども、それについてはびしびし摘発もしてもらっておる状態ですけれども、この管理価格についての対策というものがいま論議の中であまりこの点が明確にされておりませんから、管理価格に対する対策をどうされるのか、これが第一点。  それから不況カルテルが今日の物価狂乱の要因となってまいりまして、これもいま問題にされているのですけれども、今後この問題に対してどう取り組んでいかれるのか。  それから三番目には、再販制度について廃止という方針でいま検討されておりますけれども、いつまでを目途としていらっしゃるのか。そこらあたりを、私の時間が来てしまいましたので、簡単でございますけれども、三点まとめましてお願いしたいと思います。
  80. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 管理価格の問題というのは、私どもが捕捉できるいわゆるカルテル、これは管理価格とは言っていない。ただし、今回、アルミの精錬部門、これは従来は管理価格であったとされておりました。初めて私どもがメスを入れまして、それについてはすでに勧告を最近出したわけです。ですから、管理価格といえどもやりようによってはカルテルであるということを指摘できますが、一般には寡占の度合いが非常に高度であるために、品物も比較的複雑でないものについてはお互いにツーカーでやられている。それこそゴルフ場で歩きながらでも相談ができるというふうなものでありますので、これを証拠をとらえて摘発するということはたいへん困難である、そういう問題でございます。管理価格とは私どもは隠れたカルテルであると。カルテルという事実は客観的には大体わかるのですが、証拠を捕捉することがほとんど不可能に近いというものでございます。これが、どちらかというと、定期的にとは言いませんが、ある時期をおいてほとんど同じ時期に値上げを行なっているということです。同じような幅で値上げを行なっている。しかし、その証拠はつかめない。これに対しましては、私どもはいろいろ外国の例などもしんしゃくしながら対策を考えております。一つは、管理価格であるということをどういうふうに認定するかむずかしいけれども、これは管理価格に属する、つまり高度寡占であると公取が指定したものについては、その値上げなんかが行なわれた場合に、原価の公表ですね、経理の公開を求めるということができるという規定があればいいのではないかと思います。ただし、これは独占禁止研究会というところでいろいろ検討していただく事項の一つであると思います。さらに、高度の寡占に対しましては、いわゆる分割命令、これをやらなければ、管理価格といいますか、一つの大きなシェアを持ったものがプライスリーダーになりますと、文句なしに他のものがこれに追随する。ですからどうしようもないということなんです。実体的にはカルテルそのものはないかもしらぬけれども価格は全くそろっちまう。ということは、独占といいますか、市場を独占に近い状態までシェアを占めているというもの、こういうものに対してはやはり分割ということも場合によって考えざるを得ないのじゃないかということが一つ対策でございます。管理価格につきましてはそういった下案はありますが、十分いろいろな観点からやりませんとたいへんむずかしい問題です。そういうことでこれはいま鋭意この秋を目ざして一連の改正案の中で解決をしたいものだと考えております。  それから不況カルテルの問題は、私ども——実は私は不況カルテルが行なわれている最中に就任したものですから、初め多少理解が十分でなかった点もございますが、やはり不況カルテルはきびしく適用しなきゃいかぬ。なぜかと申しますと、これは規定をどう運用するかでいいわけです。平均生産費を相場が下回わっているということは、つまり赤字であるということは、これは商品別に計算するわけです。商品別に計算しますが、かつ、その条文の上での、それだけではなくて、その事業の大部分が継続困難である、事業を維持していくことができ得ないというふうな認定が必要であるとなってくる。それらの点についていままでの判断がまあそう言っては悪いですけれども、少しゆるかったのじゃないかという感じがします。つまり、事業の継続が困難であるかどうかというふうな点は、これは大部分と書いてありますが、しかし、大部分がだめならその当該企業全体がだめになるくらいに非常な危機におちいっているという場合に認めるべきである。そうでないと、あとあとまでそれらのグループはカルテルマインドが完全に定着いたしまして、今度は値上げのときにやっておるわけですね。だから、かつて不況カルテルをやっておったのが今度は好況カルテルを、好況と言っちゃ変ですけれども値上げカルテルを大幅にやっているという事実がもうすでにわかっておりますので、これらもやはり十分私ども反省していかなきゃならぬ。だから、一口に言えば、厳正な適用が望ましいと私は思います。ただし、あんまりきびしくして一切認めないと言いますと、やみカルテルばっかりやるわけですね。不況期において不況カルテルを今度独自に生産制限をやってしまう、そういうこともありますから、その辺のことはほどほどだと思いますが、いままでのやり方が多少甘かったという点は反省しなきゃならぬと思います。  再販制度につきましては、私どもは昨年の八月の終わりに方針を打ち出して、その後いろいろないきさつがございまして、やっと十月になって告示をし、今年の九月から廃止するものが三つございますが、残るのが化粧品と医薬品しか残らぬけども、化粧品については金額で千円をこえるものは再販制を認めないとか、医薬品のうちで一部のものをはずしたということでありまして、さて、はたしてこれはどういう方針で今後行くのかと言われますと、いまこの問題はいろいろ私ども再販廃止の問題の方向で取り組みまして、その事柄の大きさはどうか知りませんけれども、たいへんなことである、容易ならぬことであると。これはへたに取り組むとほかの仕事ができなくなっちゃうくらいなんです。ですから、いまあんまりこれはあせらないで、まあ残ったのが二品目でございますから、そのうちおのずから解決するような時期が来るのじゃないか。あるいはそういう世論が高まれば、やはりそういうことは全部を廃止する方向に向かって、ただし、出版物なぞは別です。これはどこの国でも認めておりますので、そういう特殊なものは別といたしまして、しかし、直ちにこれを今回の法律改正でやるなんという気持ちはありません。これはあまり無理をしないで時期を待ったほうがいいというふうに私どもは考えております。
  81. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 公取の委員長の時間の都合がございますし、ちょうどいま田代委員から再販の問題が出されましたので、私も、公取委員長と多少意見が違うかもしれませんけれども、この問題をまず先にお伺いをしたいと思います。  いまの再販の問題ですけれども、私どもは実は再販制度というものでさんざんいじめられてきたような感じがしております。そしてこの期になって自分たちがかってに値上げができないということでかってに再販を取り下げてきたわけですね。こういう事態のときこそ、むしろ再販によって物の値段を上げられないようにすべきではなかったか。今回あちこちで値上げが行なわれましたとたんにかってに再販を取りはずしてしまったのですから、これを反対に再販でくくるべきではなかったのだろうか、私はそんな感じがするのですが、委員長はどうお考えでございますか。
  82. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) この十月以降特に目立ったのですが、ぞろぞろと届け出を撤回しまして再販も不要であるということでありまして、再販制度というのは、そもそもよく御存じと思いますけれども、二十八年に設けられた制度でございまして、結局その業界製品の値くずれを防ぐ、いわば下のほうに歯どめをつけるというのが再販制度であります。で、まあいままででも合理的な理由があるものについては値上げを一切認めないという態度ではございません。これはそういうことでやっておりますから、それらの事業者がもう二十八年以来——二十八年とは言いませんけれども、最初に届け出して以来全然値上げをしていないなんていうことを宣伝する向きがありますが、そんなものはほとんど売れでいないものでありまして、実際には実質的な値上がりは合理的な範囲では認めておる。今度は、石油危機を契機としまして十月からにわかに取り下げが相次いだわけです。確かに、おっしゃるように、利用するだけ利用してきまして、今度は自分たちの都合が悪ければ抜け出してそこから大幅な値上げをするというためにもこれはやっているわけですから、そういうものが相当たくさんにあるということはまことに遺憾だと思いますし、業界の態度もおかしいのじゃないかと私は思います。  しかし、いまおっしゃられた下の値段をささえるためにつくった制度を今度は高値を押えるために使えなかったのかという点ですが、これは少なくとも現行法律では不可能です。そういう仕組みになっていないわけです。まあ、こまかいことを少しつけ足しますと、今回資材の原料の値上げに伴なってある程度値上げを認めたものは私どものほうでもあるわけです。それは品目としては多くないのですけれども、中には二割も認めたものもあるのです。それは洗剤の場合でございますが、これはきき目が二〇%増しであると、品質改良をやりましてですね。だから、効能が二〇%増しになって、二〇%減の量で同じ洗剤の効用を果たすということから、それで特にこれは二割認めました。いずれにしても、私どもで認めている例というのは、原料の値上がり分製品にそのまま乗せるだけだと。他のいろいろな口実は認めない。そういう方針でやっております。しかし、制度として上の値段を押えるためにということは、一ぺん加入したらこちらの承認を得なければ抜けられないという制度になっていればこれは縛っていいわけです。しかし、そうすることが公取のいまの独占禁止法のたてまえから言っていいのかどうか。短期的に見れば、確かにそういう制度に法律上なっておれば、私どもが許さない。で、値上げは非常な最小限度の範囲しか認めないということでチェックできるわけですが、それは法律上どう解釈しても不可能であるということから抜け出していった。抜け出していったものに対してはそれぞれの主務官庁からその御指導をいただくというのですか、下値をあんまり乱暴な引き上げをしたものについては値上げをしろというふうな勧告をしてもらうということになっているわけです、現実に。どうもこの点について再販制度というものがいずれにせよあまりいい制度とは思われないわけです。まあ法律を改正したらどうかというのですが、九月からあとに残るのは二品目でございますから、その二品目のために一ぺん入ったら抜けさせないというのは、これは世界じゅうどこをさがしても実はないんです。それで、どちらかというと、廃止そのものの方向へ行っているのが世界の趨勢でございますので、いまのおっしゃることはまことにごもっともで、抜け出してべらぼうに上げている、これはもうとんでもない。一〇〇%も上げているのがあるらしいです。そういう点からいってたいへん遺憾なことと思いますが、独禁法上の規定としてはいかんともしがたいというのが現在の状態でございます。
  83. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまおっしゃることは私どもももよくわかっているわけですけれども、その下の値段をきめてあったわけですね。だから、いろいろな品物がたくさん出回ってきて、それこそそのときには再販をはずしてもらって公正競争規約かなんかで自由に競争してもらったらもっと値段が安くなるべきだと、こういうふうなことでずいぶん私どもも再販を取りはずせと、こういうふうにこういう委員会でもあちこちでそういうところを突かれたと思います。私も現にそういうことを何べんか言ってきたと思います。そういうときには再販制度がはずせなくて、やっぱり相当高いものを消費者は買わされていたわけですね。そして今度こういう状態になってきたときには、かってに再販制度から抜けてしまって、そして一〇〇%も値上げをしたというようなものがございます。もうここには消費者の怒りがほんとうに心頭に達しているわけですよね。だから、これから、もしもまた経済がどのようにどう変動しないとも限らない、そういうときにまた再販をつくってくれなんというようなことがあったら、そのときにはもう一品目たりとも再販制度の中には適用しないと、これくらい皆さんはおなかの底からおこり切っているんです。ですから、この問題をもう一ぺん見直してもらわなければなりませんけれども、いまのように再販では値上げをチェックするわけにいかないと。これも私どもはよくわかっているわけですね。ですから、独禁法はどうしても改正をしていただいて、消費者が二度と再びこんな目にあわされないようにしていただかなければならないと、このように考えながらきょうはまっ先にこの問題を取り上げたわけでございますが、いま取りはずしてかってに値上げをしているものはむしろもう一ぺん再販の中に戻してもらいたいと、こんな感じがするのですけれどもこれはどうなんですか。
  84. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) お気持ちはもうよくわかるのですけれども、出ていくものをとめることができないので呼び戻しはちょっと不可能でございまして、ただ、いまおっしゃられたように、今度またいつ不況が来るかわからない。現にまあ部分的な不況だったらことしのうちにも起こるかもしれない。総需要の圧縮を続けていけば、どこかで値上げが一巡したところで今度は全体の効果が出てきますから、そちらのほうがむしろ目立ってくる。そういうときになりますと、再販制度はやっぱり必要だというふうな声が出てくる。しかし、そういいましても、私どもはもう三品目につきましては合成洗剤のように非常にきわ立った値上げをした。これは九月から先は今度は全然受け付けることができないんです。受け付けることができなくしちゃったんですから、出戻り不可能でございます。問題は、化粧品が最大で、それから医薬品がこれに次いでおる。これだけはしばらく残るわけです。ですから、それなんかにつきまして一たん出ていったものがまた姿を変えて戻ってくる、これはあるんです。名前を変えればいいというものもずいぶんございますから、びんを変えたり、入れものを変えたり、名前を変えたり、中身は同じだと、こういうケースもありますので、私どものほうは現に出戻り的なものがあった場合に中身を審査する。前に言ったものと違ったものを今度は値を上げて届けるわけです。何か現在でも例が全くないわけじゃないらしいですが、前に一ぺん廃止しておいて製造をしませんというやり方があるんです。再販から抜け出たものの中には値上げのためということを正面からうたっているのと、製造を中止しましたというのとあるわけですね。そのほかにもあります。製造を中止したものが今度は実はこういう新製品をつくりましたのでというのがあります。これは出戻りなんです。価格はもう何割も高くなっている。こういう事例がありますから、そういうことは厳重にチェックして、原則として抜け出たものを戻すのは道義的に許せない。法律上私どもは実は受け付けなければならぬけれども、実質的な値上げをして出戻りしてくるというようなのは、これは私どもはむしろ争ってもいいんじゃないかというくらいの感じで、むしろ説得でけしからぬ行為であるということでおやめ願う、こういうことで行こうと思っておりますから、まあ二品目についてもこれは起こり得るんです。化粧品なぞは、実際言うと、いままででも値上げはしていないということを言っても、別な新製品という形で実質的に値上げが行なわれた節もずいぶんありますから、そういう点は私どもは厳格に処理したい、審査をしてですね、というつもりでおりますからその点は……。
  85. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 消費者が二度と再びこんな目にあわされないように、それはほんとうに厳重な審査をしていただきたい、これを要望しておきます。  あとの問題はこちらにいらっしゃる課長さんでけっこうでございますから、きっと衆議院のほうでお呼ばれだと思いますから、どうぞ御退席していただいてけっこうでございます。  なお、いまの再販の問題ですけれども、いま委員長からもお話がありましたように、どの企業がどんな製品をはずしたか、その点を伺わしていただきたいと思います。
  86. 後藤英輔

    政府委員(後藤英輔君) 再販の廃止の状況について御報告いたします。  昨年の十月ごろから先ほどもお話がありましたように値上げの空気になりまして、再販のもとではそれが思うようにできないということで再販をはずして値上げをするという動きになりまして、その数が、昨年の十月一日から本年の一月の末までの数字でございますけれども、廃止された商品数が八百八十ございます。ことしの一月の末現在で再販商品というものは四千九百三十五でございますけれども、それに比べまして昨年の十月一日から本年の一月の末までの間に廃止されました商品が八百八十ということで、この期間に非常に多くの商品が再販を廃止いたしました。この中には、もちろん値上げもございます。先ほど委員長のお話のございましたような製造を中止するとかいうものもございます。そのほか、いままで再販という制度で売っていたけれども、どうも効果がさっぱり上がらない。だから、再販制度をやめてしまうと。値を上げないけれども再販制度というものをやめてしまう、そういうものもこの中にはございます。  それで、この八百八十のうち、化粧品につきまして値上げしたものを申し上げますと、これは十六社ございまして、品目数にして百三十八品目でございます。おもな社名を申しますと、マンダムとか、中山太陽堂とか、それから黒龍堂、伊勢半とか、こういうようなところがこの百三十八の商品数のうち多くのものを占めております。  それから洗剤につきましては、四社六十五品目が再販をはずして値上げをいたしております。おもなものといたしましては、ライオン油脂、それからサンホームというようなものでございます。  それから薬につきましては、十六社百八品目値上げを出されておりまして、おもな会社としては、佐藤製薬、エスエス製薬、それから大正製薬というようなものが多うございます。  それから歯みがきにつきましては、三社二十品目が再販をはずして値上げをしておりまして、おもなものはライオン、サンスターの商品でございます。  それから石けんにつきましては、三社六品目が廃止後値上げされておりまして、これはライオン、花王というようなところでございます。
  87. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私、今度ほど自分も日本人でありながら、日本人って何ていやらしいかしらんとほんとうに日本人にもうあきれたんですけれども、いまいろいろお伺いしました。これからまたこっちでも物価集中審議がやがて行なわれると思いますから、そのときにこれらについてまた詳しく質問をさしていただきたいと思います。  そこで、経企庁長官にお伺いをいたしますけれども物価の最近の異常な上昇、これについて福田大蔵大臣が狂乱物価だと、こういうふうに言われましたけれども、その物価上昇の構造をどのようにするか。たとえば、昭和四十七年までは生産性格差インフレといわれましたね。つまり、生産性が非常に低いところ、そういうところが生産性を高めたり、あるいは物価を上げてきたりして、少し物価が上がってきたわけですね。ところが、昭和四十八年度つまり昨年度になってから様相は一変してまいりました。つまり、それは、今度はコストが安くて生産性も高くあるべき工業製品物価を異常につり上げた。これはそういったような企業の社長がよりよけいに利益を得ようとして値上げをしたからにほかならないと思います。これがつまりよくいわれるところの悪性インフレだと思いますが、これをどうしてもやめさせなければならないでしょう。で、昭和四十七年度までは、投機防止法なんという法律は全然要らなかったんです。ところが、昭和四十八年度になりましてから、こういう法律もどんどんつくってみたり、また昨年の石油二法案をつくってみたりしなければならなくなったほど、昭和四十七年までの物価の問題と、昭和四十八年以降の物価の問題では、様相がほんとうに一変してしまった。そして、しかも、そのインフレの速度は、非常に大幅に、しかもテンポが非常に早くなってまいりました。このような問題について、物価担当大臣である経企庁長官はどのようにお考えでございますか。
  88. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 中沢さんおっしゃるとおり、四十七年、それから四十八年、ことに四十八年から先ほど来問題になっております一月の原油が非常な高い価格でなければ供給できないというような事態が伝えられましたころ、この三つぐらいの時期を通じまして物価上昇の要因というものが違ってきたと私も同じように考えます。  大体、昭和四十七年の終わりごろから卸売り物価というものは上昇してまいりました。また、四十八年の春ごろから消費者物価上昇してまいりました。御承知のとおりでございますが、それには私は幾つかの理由があると思いますが、卸売り物価上昇に転じましたのは、おっしゃるように、生産性が高くてもコストが安くても国際的な影響をかなり受けてきてそして物の需給が非常に引き締まってきたということがあるようでございます。これはまあドルの値打ちがもう世界的になくなってきた、換物景気が地球をおおった、世界じゅうまた好景気の波が襲っておったというようなこともございまして、したがって、原材料輸入して製品を輸出するようなわが国といたしましては当然その影響を受けてきたということが一つでございます。  それから四十七年ごろまでは、御承知のとおり、日本は非常な輸出超過であり、また、それだけ日本経済力は非常に充実しておるということで、外国から余ったドルとかなんとかいうものがみな日本に逃げてきたというか、貿易以外の原因でも日本に外貨が集まりましたので、それも御承知のように非常な外貨の受け取り超過になってまいりました。外貨の受け取り超過ということはどういうことかというと、外貨を日本に持ち込んだ人がその外貨を外国為替特別会計を通じて日本銀行に売りましてそして日本の円を受け取ったということでございますから、四十七年ぐらいを通じましてそういう輸出超過等のあります事態のもとにおいて何兆かの過剰購買力というものが円として日本国内に放出をされておった。その状況は、今日でも私は一部残っておると思います。金融引き締めにもかかわらず、いろいろな場合のしわの中にその二年半前の過剰流動性というものが残っておると思いますが、とにもかくにも国内的にはそういう要因がございました。しばしば野党から御批判を受けますように、そのときなぜ総需要の抑制をたとえば財政の緊縮とか金融の引き締めとかいうことをやらなかったか、政府のやることは後手後手じゃないかと言われておりますのも、そういうときの事態に対応しての御批判だと思います。しかし、まあそのときもちろう私は閣僚ではございませんでしたが、そのときとすれば、日本の輸出が出過ぎて困るんだから、国内の需要を喚起しないと、どんどん日本の物が外国に出ていって、またまた世界じゅうの外貨が日本に向かって集まってくるというような状態でございましたから、おそらく引き締めというものもなかなかやりにくかったと、こういう事態でもあったと思います。  それが、四十八年に入りまして、それらの事態を再検討した上、引き締めに転じましたことは御承知のとおりでございまして、四十八年中、四月から十二月までの間に何しろ日本銀行の公定歩合でも五回も引き上げましたけれども、なかなか総需要抑制の効果というものがあがらない。四十八年度の予算もかなり大きかった。大きかったがゆえに、それはひとつ使うのを繰り延べようということで、公共事業費等も繰り延べをいたしたり、また大きな建築物等を規制したり、さらに設備投資というようなものも抑制するというようなことに方向転換を政府はいたしてまいりまして、その効果が秋ごろあらわれておりました。これは物価指数などの動きを見るとわかるのでございますが、秋ごろには卸売り物価消費者物価ともおくればせながら総需要抑制の効果があらわれつつあったのでありますが、そこへ問題の石油危機が発生をした。石油の供給が非常にショートする。そうなると、これはエネルギーあるいは主要物資原材料が減るわけでありますから、やはり物の需給が締まるであろうということと、それからもう一つは、供給される石油値段が三回も四回も引き上げられることになり、ついに十二月中にはことしの一月一日からは四十八年中の原油価格平均の三倍ないし四倍ぐらいの価格に引き上げられるというようなことになりましたので、そこで先取り値上げというような、まあ簡単に申しますと先取り値上げ、これは企業の立場にいたしますと、むずかしい企業会計原則によりますと、先入れ先出しとかあと入れ先出しとかいう問題がございましょうが、もう御承知の最近の事態が起こってまいりましたので、二年前のように、農業とか中小企業とか生産性がおくれておるもの、あるいはまた賃金が低かったものを大企業並みに賃金を引き上げるところに物価上昇が起こったというような、おっしゃるような事態とまるで変わった姿であの物価が上がってきた。したがって、これに対応する策というものも、その事態を見きわめての策でなければならないと私は考えます。
  89. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 昨年の年末に国民生活安定緊急措置法というのができましたね。これによって標準価格あるいは特定標準価格というものをつくることになりました。その中で、灯油の問題なんかは、三百八十円という標準価格が発表されたころにはもっと安い値段ででも買えるところもできてきたわけですね。だから、私は、この法律の運用が、物の値段がどんどんこの間のように上がりかけたときには標準価格を早くきめて、そして物資が出回ってきて少し値段が下がりかけたときにはその標準価格なんというのはむしろ取っ払ったほうがいいのじゃないかと、こういうふうな弾力的な法律の運用をもっとすべきではなかろうかと思いますが、その点はどうですか。
  90. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 一般論としては私も同感でございます。しかし、灯油を例にとりましても、灯油はあたたかくなりつつある今日の季節においては下がりつつあるわけであります。これは持っていましても夏は買う人がない、秋口になるとまた高くなるということがございましょうが、しかし、灯油標準価格を実際の販売価格が割っているということは、これはまたよく考えてみますといろいろの課題がございます。ということは、原油価格は先ほど申しましたような非常に高いものが入りつつありますにもかかわらず、今日十八リッター三百八十円の灯油の基本価格としての原油の精製コストというものは、これは高くなりつつある原油価格どころではなしに、まだ昨年の暮れごろの価格から比べても非常な安い価格のところに押え込んでの上の三百八十円でございます。これは数字的に申しますと、いま通産省原油から精製する各石油製品を通算しました。一キロリッター値段を一万四千三百五十三円ぐらいに押え込んであるわけでありますが、灯油三百八十円の基礎になっている石油製品の元値というものは、これも御承知のように一キロリッター一万二千八百九十円ぐらいで押えておりますので、ほんとうは三百八十円の灯油小売り価格というものはいまの時期においては石油の全体からいうと逆ざや構成になるはずでございます。その証拠には、揮発油のごときはたいへん高く、灯油が一キロリッターいま申しますように一万二千円に対して揮発油のごときは普通のレギュラーものでも二万七千円ぐらいの価格で押え込まれておりますから、国民は安い灯油を三百八十円で買うかわりにかなり高いガソリンを買わされているというような計算になっております。その上、今度九ドルベースの原油が入ってきまして、いま私ども新聞などで御承知のようにこれに対していかに対応すべきかというようなことを考えますと、私は、正直のところ、いまの灯油が安くなってきておるというところで、これが手おくれであるから取っ払ってしまうほうがいいかどうかということについては、これはいろいろ問題もあり得ると思います。しかし、油ばかりでなしに、その他の物資が昨年の十二月から一月にかけて非常に上がりつつあったときに、可能ならば私はさらに幾つか多くのものに標準価格をつけてきっちり押えるべきであるとも思いますが、これが実はまた先ほど来御議論がございますように十二月から一月の価格の中には便乗価格があるからもう一ぺん洗い値せという問題がございますので各省が実は洗い直しておる最中でございまして、かなりのものにつきましては多かれ少なかれ行政指導で安くいたしておりますので、へたなところで標準価格をつけることがこの際適当かどうかということがあり、さらにまた、もう一ペン繰り込しますと、高い原油の問題をどうはね返さすかということが問題にもなっておりますので、いいかげんの腰だめで標準価格をつくるということがなかなかできない。現在においては、各省とも、小回りのきくということばがいいかどうか知りませんが、小回りのきく行政指導価格というものでいろいろさわっておいて、きっちりしたところで、標準価格をつくると、こういう方向にあるようでございます。
  91. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 はからずもいまの衆議院の物価集中審議の中で石油業界が明らかにしたように、見込み違いで二百六十億円だか何かを先取りしたということがわかりましたね。ですから、いまの灯油の問題なんかは、もうこれだけ先取りしているのですから、一バーレル九ドルの石油がもしも入ってきても当分は私は値上げをすることはまかりならないと、こういうふうに思っておりますが、同時に、トイレットペーパーなんかは、もう安いものが出回ってきてから二百二十円だか二十五円の標準価格がきめられている。現に、私どものところでは、トイレットペーパーは、まあこれはあんまり口外しないでくださいといって買わされているんですけれども、もう百円前後で売り出されているところもある。ところが、標準価格が二百二十円だか二百二十五円だといわれているものですから、そういう安いものが出てきても、これは黙っておってくださいというふうなことを言われて私ども買わしてもらっているわけです。こういうところにたいへん矛盾があると思うのです。これはいまの灯油の問題だけじゃなくて、トイレットペーパーが現にそうでありますし、私はその他にもこういうような矛盾があると思いますね。ですから、そこら辺は、私は、やっぱり法律を弾力的にぜひとも運用してもらって、消費者を守ってもらうべき責任が経企庁にはあると思います。で、その辺を申し上げたわけですが、私もまだまだ質問の問題がたくさんありまして、これはまた集中審議のときにもいろいろ申し上げたいと思いますけれども、質問を先に進めたいと思います。  きのうの新聞によりますと、通産省がライオン油脂だの花王石鹸ですか、こういうところに物隠しパニックの仕掛け文書の追跡調査を行なったと発表がございますが、これは買い占め売り惜み防止法の第五条によって強制調査をしたと、こういうふうに新聞発表があるわけですが、この結果を御報告いただけますか。
  92. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) 御指摘のように、一昨日から三つの通産局を動員いたしまして洗剤の流通経路を取り調べております。  これの第一の目的は、現在、たとえば値上げ期待などにより流通が滞っていることがないかということの実態を調べるのが第一の目的でございます。あわせまして、昨年の洗剤不足が激しくなりました時点におきまして物の流れがどうなっていたかということを調べる目的でやっております。  調査は、個別の伝票に当たりまして正確な数字を調べながら、物の流れを対照、突き合せていくという作業でたいへんな大きい作業でございます。長いものは一週間以上かかるかと思います。現在は目立ったそういう停滞というのが見つかるということではございませんけれども、結論はまだ出ておらない状態でございます。
  93. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 結論が出たら、いずれまたこの物価委員会に御報告をいただけるものと思いますが、御報告していただけますね。
  94. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) まとめて御報告申し上げます。
  95. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの洗剤の問題ですが、私は二月の十四日にあるスーパーへ洗剤を買いに行きました。それは二月の一日でしたか二日ごろでしたか、実は、いま、私、宿舎のほうに秘書を一人置いておりますけれども、いよいよ洗剤がなくなったので、そのスーパーに参りました。そうしましたら、どうぞ洗剤を予約してくださいということで、彼女が二日かかって予約に行ったのですが、予約してもらっても夕方にはもうありませんから予約はかんべんしてくださいと、こういって断わられてきたわけです。そこで、私が行こうかと思ったんですけれども、私自身もなかなか行かれなかったものですから、私は予約をいたしませんでした。ところが、五日から十二日までちょっと私ども全員留守をいたしました。十二日の晩に帰ってまいりましたので、私は十四日の日にそのスーパーに参りましたら、そのスーパーにはバリという洗剤が並んでおりました。ですから、この十日余りの間にもう洗剤が出回ってきたわけですね。ところが、そこにどういう紙がかけてあったかといいますと、「洗剤が値下げをいたしました。いままで七百七十円でお買いになっていた方はどうかその振り出し口のラベルを持っておいでください。七十円お返しをいたします」ということだったんです。私どもは大体生協を利用していますから、そのバリというような洗剤の名前はあんまり知らなかったわけですけれども、しかし、それにしても七百七十円で売っていたものをどういうわけで急に洗剤が値下げをしたのか。しかも、それが七十円だけなんですね。その辺が一つ不審でございましたから、あるいはこれは衆議院のほうでいろいろ追及をされてきたので、先回りして値下げをしたのかなと、こういうふうにも思いました。ところが、お正月の二日の日に私のところにお客さんが参りました。そのお客さんは大阪の方でございましたけれども、昨年の十一月ごろ洗剤のパニックが起こったときにその商店に洗剤を買いにいきますと、ほんとはなかなか洗剤を出してくれない。洗剤がちょびっとしか来ないから、洗剤をお渡しするわけにはいかない。しかし、その二・六五キロの洗剤が一箱そのころ三百五十円でございましたそうです。そうすると、その三百五十円の洗剤をどうしてもあなたにお分けをするのならば、これとこれを買ってくださいということで、つまり抱き合わせ販売ですね、約千円出さなければ二・六五キロの洗剤が手に入りませんでしたと、こういうことで、何とかしてもらわぬと要らぬものばっかり買わされて洗剤一箱買うのにもたいへんだという話でした。ところが、その後、十二月ごろに洗剤が急に上がりました。五百円から六百円ぐらいに上がりましたが、二月の十四日に私が買にいったときにはもうすでに七百七十円であったわけです。こんなに何べんも洗剤が値上げをされてまいったわけでございます。これは、いろいろまだ資料を持っておりますけれども消費者はいままで環境公害を防ごうということで洗剤は何とかしてやめたい、かたがた自分たちの手も荒れるしいろいろ肉体的にも毒があるので洗剤をやめよう、こういうふうに盛んに消費者は洗剤追放運動に立ち上がったわけです。ところが、合成洗剤にかわるものがないものですから、あの合成洗剤のパニックが起こりましたときにはもう石けんなんということばはどこかへ行ってしまって、ひたすらに洗剤を求めてしまった。ほんとうに残念な気がいたしますが、その当時通産大臣はあまりに消費者が洗剤、洗剤と言うものですから洗剤メーカーには原料をたくさん回しまして、そして石けんメーカーにはなかなか原料が渡らなかったわけです。それで、とうとう石けんというものはなかなか手に入りませんでしたが、これをもっと詳しく申しますと、通産大臣が洗剤三割増産要請というものを洗剤のメーカーに出したのが一月九日でございます。こういった面を見ても、消費者が環境公害をも防ごうと、こういうことで洗剤追放運動をやりながら、これではやっぱり洗剤優先の態度だ、こう言わざるを得ないのですけれども、その辺はどうお考えになられますか。
  96. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) まず、値段のことでございますが、ただいま御指摘ありました点は三点だと思います。  まず、七百七十円のものということでございますが、これはたぶん想像いたしますところバリという製品がある大手のうちの小さいほうでございますがありまして、これが標準の値段を八百円としておりました、一月に値上げしておりまして。これのことかと思われます。洗剤の値上げ状況としましては一般に時間は去年の十二月一日から一月の二十一日にかけまして、ものによってバラついておりますが、たとえば二・六五キログラム入りのものにつきまして、五百円のが六百円、六百円のが七百円または七百二十円、大体二割あるいは二割弱の値上がりをしております。その中でこのバリというのだけが一時八百円に上がった。例外的に高く上がったわけでございます。ところが、品物が出回ってまいりまして、われわれのほうも前からこれは上げ過ぎであるから下げるように指導しておったのでございますが、御指摘のように、ちょうど出回り始めたころに七百円に下げたようでございます。  それから三百五十円のものが大阪にあったそうでございますが、いわゆるメーカー品といいますのが、まあ再販制度もありまして、これは一割の値幅再販、したがいまして、十一月ごろですと、再販の定価で五百円、スーパーあたりでは一割引きで四百五十円で大手の商品は売られていたわけでございます。それに対しまして、中小製品は、包装等が簡単だったり、多少の差はございますが、実勢三百五十円とか四百円で売られたというふうにも承知しております。それを抱き合わせ販売の対象にしたということははなはだ遺憾でございます。これは、そういう情報が入り次第、いろいろなルートを通じましてわれわれもそういうことのないように指導してまいったのでございますが、非常に小売り店の数が多くて行き届かなかったことがございますのは、申しわけないと思っております。  それから次の石けんの問題でございます。安全性につきましては厚生省の統一見解がございます。われわれはそれに従いまして合成洗剤でも使い方さえ正しければ問題がないというふうに考えて生産のほうを担当しておるわけでございます。昨年からの洗剤不足のおりに確かに洗剤メーカーに対しまして原料を手当てし、本年の一月には大臣から三割増産の指示が出されて今日に至っておりますけれども、同時に、行政指導としましては、粉石けんに対しましても原料手当てが必要ならばいたしますという方針は出しまして工業組合のほうにも通知してございます。しかしながら、昨年一年をとりましても、粉石けんは合成洗剤の約三十分の一の生産量で、いまでは非常に零細な企業しかつくらない状態になっております。原料が合成洗剤と比べまして非常に単純で、油脂とソーダだけあればいいということで、主としてソーダのほうがあるいは入手しにくいかと思いましてそういう声をかけたのでございますが、特段の申し出はございませんでした。最近に至りますと、油脂の特に植物油脂でございますが、非常な値上がりがございまして、やはり価格的に合わないということもあってメーカーが積極的でないという感じを受けます。特に申し出がございません。
  97. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまのバリという洗剤の話ですが、これは私のほうの資料でも昨年十二月に五百円から六百円、ことし一月に六百円から八百円、こういうふうな値段を調べてまいりましたが、このバリというのは私どもほんとうはあまり聞いたことのない洗剤だったんですね。ところが、最近はバリというのはたいへんよく出ている。それで、メーカー品ですね、そういうものに私どもあんまりお目にかからないわけですよね、どこに行ってしまったかよくわかりませんけれども。そこで、先ほどいろいろなメーカーとそのメーカーのつくっている洗剤の名前を教えていただくようにお願いをしましたが、時間がもう限られておりますので、それはあとで資料として私のほうにいただきたいと思います。  その中で、洗剤の原材料値上げを見てみますと、昭和四十七年の十二月にいろいろなおもな原材料値段を一〇〇といたしますと、昭和四十八年の十月にやっと一〇九に上がっているわけですね。ところが、大幅にその原材料値上げになったのは四十八年の十二月なんです。これは急激に一七二という数字にまで上がっているわけですね。ところが、実際に洗剤が上がったのは、もう十一月ごろからあのパニックが起こって一ぺんなくなったときから上がってしまったわけですね。こういうふうにやっぱり洗剤も非常に便乗値上げをしておった、こういうふうに言わざるを得ないわけでございますが、いまその問題を言っておりますと時間が相当過ぎてしまうわけですけれども、この洗剤の中で、合成洗剤のおもな原料は、まあ石油もおもな原料ですけれども、その中で燐光石というものがございますね。この燐光石からトリポリ苛性ソーダというふうなものをつくるのだと思いますけれども、それも一月一日から生産国から二倍ないし数倍の値上げを言ってきているわけですね。それにもかかわらず、もうすでに十二月には大幅に洗剤が値上げをしてしまった。もしもこういうことが行なわれていたとすると、これもまたゆゆしい問題だということで私どもは大いに追及をしなければならないわけでございます。まあこういうふうなことで消費者はもう二重、三重のツケを回されてきて、ほんとうは石けんのほうがいい、天然洗剤のほうがいいと消費者が思っているときにこういうふうなパニックが起こって、結局は通産大臣も洗剤のほうに三割増産を命じたり、あるいはまた消費者がもうとにかく洗剤がなければ赤ちゃんのおしめを洗うわけにもいかないということで、石けんということはどこかへ行ってしまって、洗剤洗剤とそのほうに飛びついていったということはまことに残念で、私どもはそれこそ洗剤のメーカーにあわをふかせたかったのですけれども、そういうことができなかったということはたいへん反省をしているし、また残念に思っているわけですけれども、そこで、いまその原料もヤシ油なんかたいへん上がってしまって天然の石けんというものが手に入りにくくなっているのならば、せめて純毛製品を洗うために、毛糸やなんかを洗うためには、昔ありましたモノゲンとかラックスとかああいったような洗剤をぜひとも増産をしていただきたい。これは消費者のほんとうに切なる願いでございます。  それからこれは厚生省なんかに聞かなければいけないことかもしれませんけれども、昔洗剤がよかったのは、われわれがはだにつけているものが大半木綿ものだったのですね。ところが、最近私どもがはだにつけたり下着にしているものの中には合成繊維のものがたいへんたくさんございます。ですから、やっぱり合成洗剤のほうがいいのか、そこら辺はこれは厚生省にお聞きをすべきかもしれませんけれども、たまたま通産省の化学製品課長でいらっしゃるから、この辺をどういうふうに見ていらっしゃるか、その点を一つお伺いをしたいのと、また、人によっては石けんを使いますとたいへんあかが浮きますね、上に。私どもがからだを洗っても、石けんを使うとあかが浮くわけです。もしも前のように私どもが石けんを使って洗だくをしたときにあかがたくさん浮きますと、それを流しましたときにみぞが詰まるというような、たくさん集まればですね、そういうような話も聞きますけれども、それもそういうことになるのかどうか、おわかりでございましたら聞かしてください。
  98. 赤羽信久

    説明員(赤羽信久君) 最初の、毛糸等を洗いますいわゆる中性洗剤と言っておるカテゴリーがございます。これは一般の合成洗剤は重質用と言っておりますが、重質用に対します中性も同時に増産しておりまして、最近の洗剤の出回りとともに相当量が供給されておると思います。なお、御指摘のとおり、今後も十分その点も注意いたしまして増産を進めていきたいと思います。  それから合成繊維製品につきましては、かつては合成繊維は中性洗剤で洗ったほうがいいという形で推薦がされておりました。しかし、だんだん用途が広くなったり混紡製品が多くなるに従いまして、合成繊維もあるいは混紡も木綿もみんな洗えるような製品というのがメーカーから多数出されるようになりました。私、正確ではございませんけれども、現在の合成洗剤は混紡製品ならほとんど心配なく使ってよろしいと思いますし、特に合繊も木綿も両方洗えますというふうに銘打った洗剤が各社出七おりまして、これが適当かと思われます。  それから石けんのあかがみぞを詰めるということは、これは水質によりましてかなり差はあるようでございますが、水の中にあります金属分が石けんを溶かさない、再び固めてしまうということがございます。これが一たん排水のパイプにたまりますと、だんだん上に重なっていきまして細くなるという現象があるようでございます。そしてまた、それを取り去る洗剤も別途売られているようでございます。
  99. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 もう時間がなくなってしまいましたけれども、もう一つ二つお聞きしたいのは、これは別の話なんですけれども、最近、子どもの勉強机ですね、この勉強机が実は私のおいが買ったものでございますけれども、年末に勉強机を買ったときには三万円台であった。ところが、それが同じものが年を越したとたんに四万円台に一万円上がっちゃったわけですね。この子供の勉強机というものは、教育的見地から考えると、子供にもやっぱり想像力を発揮させたり、一生懸命で勉強させるようなものでなくてはならないわけです。ところが、最近の勉強机というものは、ラジオがついていたり、寒暖計がついていたり、電気鉛筆削りがついていたり、あるいは漫画が一ぱい書いてあったり、マジック箱というものまでこのごろついて、お母さんに秘密か何か知りませんが、かぎがかけられるようなものまでもついて、相当高価なもの、子供の勉強机が四万円もするというような時代でございます。これはまたほかの立場から言わなきゃいけない問題ですけれども、私どもはこういう机はほんとうはやめてほしいと思っているわけですね。ところが、この机を買っても自分の家へ運んで持って帰る人はほとんどないわけです。みんなデパートなり商店から運んでもらうわけですね。そうすると、どこそこの家へ、いつ幾日この四万円の机を運んだということがわかっておりますから、最近聞いた話では、この一万円不当に値上げをしたお金をその伝票によって返すという話が持ち上がっております。これは関西のほうでそういう話があるわけです。この間から灯油についても不当に値上げをしたのだから一かんについて二十円の返金をするとか、あるいは机に至っては一万円のお金を返すとかいうようなうわさが飛びますと、もう私どもは二重三重に横っつらをはたかれたような感じがするわけです。まあ机の一万円はぜひとも返してもらいたいと思いますけれども灯油の二十円なんかをいまさら五かん買って百円玉一つ返してもらっても、それで私どもは気が済むようなものではございません。こういうふうに今度のパニックの問題では消費者は次から次からひどい目にあわされてしまっている。国民経済生活を守ってもらう責任がある経済企画庁としては、こういうようなニュースをいち早くキャッチしていただいてそして消費者を守ってもらうようにしていただかなければならないと思います。その点について長官のお答えをいただきたいのと、もう一つは、きょう朝の九時半に大阪の国際空港の公害訴訟の判決がおりました。これは、訴訟を起こした人たち、あの激しい騒音に責めさいなまれて気も狂わぬばかりに生活をしてきた人たちの思うような判決ではどうもなかったようでございます。しかし、最近の非常に異常なインフレ物価高、こういう中で、若い娘さんたちがいなかから出てきて全繊同盟の中で働いている人たちが、ようやく貯金をした、その貯金が昨年一年間でも、もしも三十万円の貯金をしていればいまは二十五万円ぐらいに減っているだろう、利子がつくどころか反対に二十五万円ぐらいに減ってしまっていると、こういうことで三月の十六日に大阪の地裁にこの貯金の目減りを返してほしいという裁判を起こします。こういうような国を相手どった裁判が二つ続くわけですね。確かに、大阪国際空港の問題は、飛行機という国際的な乗り物でもあるし、公共性がありますから、なかなか裁判を起こした人たちの思うようにはあるいはならなかった点があるかもしれません。しかし、この貯金の目減りなんというのは、これだけ異常な物価値上げがあった中で当然返してもらってしかるべきではなかろうか、このように思いますが、この問題について長官のお答えを伺います。
  100. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 十二月から一月にかけましての石油値上がり関連する国民生活関連物資あるいは重要資材値上がりにつきましては、当委員会の本日の会合の初めにも委員のどなたからかお尋ねがございましたことにも関連する私の七項目——あれはほんとうは八項目でございますが、その中に入っているんです、実は。主要物資の各省各庁は、全部この際最近の物価のそうした値上がりを点検して、そうして思い切って引き下げろ、そうして引き下げて自信があったら標準価格をつくることについても検討すべきかどうかと、こういう私の命令でもないんですが、課題を実は投げかけてあるんです。そういうことに各省が歩調を合わしてくださいまして、いまの学生の勉強机についてまで検討されて、そして何割か引き下げの行政指導をやることになりまして、しかし、それで十分だとは私は思いません。が、しかし、それは一つの前進だと私は思っているところでございます。そのお金の返し方につきましてまで私があれこれ言いますと、今度は、私がいいことを言いましても、おまえは小さいことばかり言うというわけでなかなか通用しないところもありますので、あとの実施の細目につきましては各省にお願いをいたしておると、こういう次第でございます。  また、最後にお話がございましたインフレに伴う貯金の目減りの補償、ことにそれに対する訴訟ということにつきましては、これは私は違った見地からやはりこの八項目の中に検討すべきことを、実はちゃんと入れてあるのでございます。それは、インフレの目減りの補償という形ではなしに、インフレを起こさせないように、そういう貨幣所得について総需要を抑制する見地からもある特定の手段を講じて、そうして高い金利をもってそこに浮動購買力を誘導する措置について検討すべきではないかと。それは預金のスライディングということでもございません。あるいはまたマル優などの免税預金についての利子を上げるということでもありません。あるいは二年、三年の定期貯金について特別の利上げをするということをきしているわけではありませんが、それらのいろいろな方途について取り上げて研究すべきではないかと、こういうことで私がその八項目の最後の課題にも取り上げておるわけであります。大蔵大臣にも、もちろん手段方法はあなたのほうにまかせるが、やるべきではないかということを機会あるごとに申し入れをいたしておるようでございまして、大蔵大臣も日銀総裁も検討してくださっているようでありますが、これはしまいになってくるとなかなか技術的、事務的のむずかしさがあるということで進捗を見ないと、こういうような場面もあるようでございますが、私は私の考え方を変えておりませんので、微力ではございますけれども、大いにその方向でひとつ進めるような努力を積み上げたいと考えておるものでございます。
  101. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの全繊同盟の貯金の目減りを返せというのは、去年一年分の目減りを返してほしいという訴えでございます。私のほうは、昨年度の卸売り物価が異常に高うございましたね、三十何%。長官の所信表明では、卸売り物価が三四%、それから消費者物価が、二〇・六%ですね、一月末で。
  102. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 二〇・四です。
  103. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 二〇・四%ですか。それだけ卸売り物価が上がりますと、幾ら努力をしていただいてもことしの消費者物価も非常に上昇いたします、一四・何%の見通しでございますけれども。そういたしますと、ことしもまた消費者はほんとうにあくせくしなければならないわけです。そこで、これから先にどうしてもらおうかということで、私のほうは預貸金利の物価スライド制というのを発表いたしております。これは、底辺になる金利を七%、それから物価が一四%まで上がりますとそれの半分、つまり七%を基礎の七%に足して一四%の利息をつけてほしい、もしも一五%以上になりますと、当然その物価が上がった分だけ金利としてつけるべきだと、こういう考え方を発表したのですが、これについてお読みいただいていると思いますので、お考えを承って、私の質問を終わらしていただきます。
  104. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 検討さしていただいております。しかし、片面だけの政策としてこれを取り上げるところにむずかしさがあるので、たとえば金銭債務はどうなるんだ、物価が上がっている状況のもとにおいては借り入れ金や債務などについてもそれはスライドでいくのか、あるいはまた、この上一定の借り入れ金利息の積み上げをするのかというような問題も他面においてございますし、要するに、金銭的な表示による財産、負債全体についての問題として考えなければならない点があるというようなことでいろいろな派生的問題が生じているようでございます。しかし、これは、私がかってなことを申しますよりも、大蔵大臣等をまた適当の機会にお呼びをいただきまして、あるいは日銀総裁なり、いろいろ御討論をいただきたいと存ずるものでございます。
  105. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 ありがとうございました。
  106. 小笠公韶

    委員長小笠公韶君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十六分散会      —————・—————