○前川旦君 私は、
日本社会党、公明党、
日本共産党を代表するとともに、実質的には第二院クラブをも代表いたしまして、ただいま議題となりました
国民生活安定緊急措置法案修正案の提案理由及びその内容の要旨を御説明申し上げます。
なお、第二院クラブは本
委員会に
委員の割り当てはございませんが、本修正案は第二院クラブとも協議の上作成されたものでありますから、実質的には四派共同提案にかかるものであり、ただいま第二院クラブを代表して青島幸男君が見えております。
最近の物価の値上りはきわめて異常であり、
石油不足と相まって国民
生活は深刻な不安と苦しみに包まれ、物価の問題は緊急に解決しなければならない最も重要な問題であります。
政府自民党は、これまでわれわれが再三にわたって高度経済成長政策を改め、国民
生活優先の政策を実施し、大企業の管理
価格、商品の
買い占め、売り惜しみのきびしい規制等の物価抑制策を要求してきたにもかかわらず、真剣にこれを聞き入れようとはせず、それらの実行を怠ったことにより、現在このような異常な物価の暴騰を招いたことは、きわめて重大な責任があり、われわれはこれまで一貫して続けてきた
政府自民党の大企業本位、国民軽視の行政に対してきびしく抗議するものであります。
政府自民党は、このような緊迫した
情勢になって、国民の抗議が大きくなったことにより、十分な検討のないままきわめて短時間のうちに作成した
法案を国会に提出し、これにより物価を抑制しようという姿勢を見せておりますがあわれわれから見た提出
法案は、不十分なものであるだけでなく、大企業本位の
高値安定のおそれがきわめて強いものであり、これでは物価が安定することは困難であると言わなければなりません。われわれは、共同して修正案を作成することにより、真に物価を抑制し、国民
生活の安定をはからんとするものであります。
以上がこの修正案を提出する理由でありますが、次に、この修正案の要旨を御説明いたします。
第一は、国民
生活を安定させるため、国民
生活との関連性が高い物資または国民経済上重要な物資の安定的な
供給の確保とその
価格の安定を
政府の責務とし、これを法律的に定めたことであります。
政府は、このような
事態に至った政治責任をいまだ明らかにすることなく、反対にその責任の一部を勤労国民に押しつけるという
態度をとっておりますこのようなインフレを招いたのは明らかに
政府の責任であり、その責任を感ぜずして政治を行なっている
政府に真の物価安定がはかれるものではありません。われわれは、
政府が物資の安定的な
供給の確保とその
価格の安定に対する強い責務を持つことにより、真に国民
生活の安定をはかる積極的な真剣な政治の実行を求めて本規定を設けるよう、要求するものであります。
第二は、情報の提供に関する規定の新たな設置であります。本規定は、
政府が
生活関連物資等の生産、輸入、
流通または在庫の
状況に関し、国民
生活を安定させるため必要な情報を国民に提供すべきことを義務づけたものであります。情報の提供に関する規定は衆議院の
委員会修正案にもありますが、これは単に情報を国民に提供するよう努めなければならぬとしただけで、常に国民に対して物資の
状況に関する情報を確実に提供し、事実を明らかにするという積極的な姿勢を欠いており、きわめて不十分と言わなければなりません。
第三に、指示
価格に関する規定であります。
政府原案は、
標準価格、特定
標準価格という二種類の
価格を設け、
価格の安定を図るべき物資の
価格、特に
価格の安定を確保すべき物資の
価格というふうに、きわめてまぎらわしい
価格の設定をしておりますが、修正案は、指示
価格として
価格を一本化し、すべての指示
価格に対して、その決定の基礎となった生産費、輸入
価格または仕入れ
価格、
販売費用及び利潤の各項目ごとにその算定の基礎及び算定方法並びに当該
指定品目にかかわる指定物資の需給の見通しその他指示
価格の決定の経過を公表し、国民の前に明らかにするとともに、指示
価格を国民に周知させるための
新聞、テレビ、ラジオ等による報道
措置を新たに規定しております。
第四に、物資の売り渡し、
輸送または保管に関しては主務大臣による命令規定を設け、
買い占め、売り惜しみ等を行なっている事業者に対して物資の放出を命令できるようにし、国民に対する安定的
供給の確保をはかっております。さらに、指定された物資に関し、特に
供給を優先すべき国民、事業を指定し、一般
消費者、中小企業者及び農林漁業者並びに公共交通事業、通信事業、教育事業、医療事業、社会福祉事業、言論、出版に関連する事業その他の国民
生活の円滑な運営に重大な影響を及ぼす事業及び活動に対し物資の優先的な
供給を保証しております。
第五は、指定物資の割り当て及び配給に関して当該
措置の大綱につき国会の議決を経ることを新たに規定してあります。これはこれまでの大企業優先の
政府の政策がこれらの物資の割り当て、配給に関しても行なわれることを厳しく規制し、公正な
供給をはかるようにするための
措置であります。
第六は国会への報告に関する修正であります。
法案は国会への報告として六ヵ月に一回国会にこの法律の施行の
状況を報告するものとするとなっておりますが、これでは
政府当局が具体的にどのように物価抑制の行政を行ない、どの業者が悪質な物価値上げをやっているかということが国民に知らされる機会がきわめて少なく、われわれは国民に知る機会をふやすため、国会への報告は三月に一回行なうよう修正するものであります。
第七として、われわれは新たに
公正取引委員会の権限として、この法律のいかなる条項も独占禁止法の適用または
公正取引委員会の権限を排除、変更または影響を及ぼすものと解釈してはならないと規定し、実質的に
価格カルテルになるおそれのある
政府原案に対してきびしい規制
措置を規定してあります。
第八は、資料の提出命令を新たに設け、
価格の構成内容、商品の生産、
販売等の取扱
状況に関する資料の提出を命令できるようにしております。
さらに、第九番目には、自由民主党がわれわれの要求により衆議院で修正して設けた「国民
生活安定審議会」に関して、内閣総理大臣または主務大臣が物資の指定、指示
価格の決定、物資の割り当て、配給等に関して必ず当審議会に諮問しなければならないとして、審議会の意思を必ず行政に反映させるよう
措置するとともに、その
委員数は二十名とし、五名増員し、多数の
委員によって物資に関する審議が行なえるよう
措置してあります。
第十には、都道府県には「住民
生活安定審議会」を設置し、地域の実情に応じた物資の
価格、需給等を調査審議が行なえるようにするとともに、都道府県において住民に
生活物資調査員を委嘱できるようにし、各地域における物資の
価格及び需給の実態を把握できるように
措置してあります。
以上が本修正案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかなる御賛同をお願いするとともに、あわせて
日本社会党、公明党、
日本共産党、第二院クラブの意思を明らかにいたすところであります。(拍手)