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鶴園哲夫君 いまの長官の説明を聞いておりますというと
——火曜日に見えた運輸省の説明では、私は十一万二千ヘクタールというふうに聞いておったんです。いまいろいろ数字が出ましたですけれ
ども、センサスはこれは三十八年から四十二年の間ですね。私は、少なくとも
水産庁としまして、
沿岸漁業にとって非常に重要な海岸の埋め立てですね、それは決定的に重要な問題なんだから、それらについての数字というものはある
程度つかめていなければならないというふうに思いますね。これは建設省なり運輸省なり等々は、それはそれなりの数字をつかんでいると思いますけれ
ども、
水産庁としても、
沿岸漁業のことを言う場合に、
漁場がどれだけ埋め立てられている、それから、どれだけ埋め立てられつつあるのかという点等についての数字というものは、やはりしっかりしておくべきだと思いますね。これは
沿岸漁民にとってはたいへんな問題なんですから。
漁場が埋め立てられるということは、これはもうたいへんな問題ですわね、これ。その数字があいまいで、さて
沿岸漁業を
振興しようというような話では、これはいただけない点が非常に大きい。しかも、どれだけの
被害を受けているかということについても、これは私は去年の記憶ですけれ
ども、全漁連の発表では、二千何百億という数字を出しておりますね。去年も
水産庁は、
被害額がわからぬというようなことを言った
——たしか、
公害によって受けている数字は百六十億か、百八十億ぐらいだと言っていますね。あいまいですね。なぜ、そういうことになるのかという点を考えてもらいたいと思うんですね。
農業で農地がつぶれるということについてはこれは握っていますよ、これだけの農地がつぶれているということについては。で、この
漁場は、農地と同じだと思うんです、
生産側にとっては。これは農地以上に私は、重要だと思いますね。そこに卵を生みつけ、そこでちっちゃな幼魚が育って出ていくわけですから、そこを埋め立てられるということは、これは
沿岸漁業にとってはたいへんな大きな問題だと思うのですね。ですから、もう少しそういう問題についての、その
被害の問題なりあるいは面積の問題なりについて
水産庁として、正確なやはり数字を持っていることが、
沿岸漁業を
振興する上について説得力を持つというふうに私は思うわけですけれ
ども、それはそれだけに一応いたしまして……。
そこで、そういう
漁業に最も適した
沿岸が、あるいは
漁場が次から次に埋め立てられていく。そこでそれと
沿岸漁業振興政策との問題なんですけれ
ども、どうも私の見るところでは、そういう埋め立てられようとしているところ、あるいはこれから三年後なり四年後に埋め立てられるという
計画があるところ、そういうところについては、
沿岸漁業構造改善事業とか、あるいはそれに類する
沿岸漁業振興政策というものは避けて通っているという印象を強く受けているわけです。そういうことはないのか。
私の県の例を申し上げますと、鹿児島の
沿岸は一区、二区、三区、四区と分けている。で、一区、二区のほうは、これは
漁業構造改善事業というのが進められている。で、三区のほうはこれは志布志湾を
中心にいたしましてあすこの十三キロにわたる
沿岸を埋めるという
計画があって、そこにたいへんな大きな石油コンビナートをつくろうという
計画がありました、いま中座いたしておりますが。それに伴って志布志湾から内之浦、佐多岬半島、それから錦江湾にかけての
沿岸漁業構造改善事業とか
沿岸漁業振興というものは行なわれない。これは埋め立てる場合に、賠償金の問題も出るでしょうし、せっかく金をつぎ込んでみても、これは埋め立てるのだとか、あるいはそれによる
被害があって
沿岸漁業として成り立たないだろうとか、あるいは
被害を受けるだろうというようなことがあって、おそらくおやりにならないのではないかという私は印象を受けているわけです。四区は離島です。いま、御承知のように、離島のほうに石油基地をつくろうという、あるいはコンビナートをつくろうという
計画が進められております。奄美本島の枝手久島です。そういうことで、三区なり四区というところは、そういう
沿岸振興政策というのがどうも
水産庁としてはあすこはもう埋め立てるであろうからひとつよけて通れというような感じがしてしょうがない。そういうことで、私の推測では、
全国的に言ってそういう
傾向というのが相当強いのじゃないか。これは言うならば、やはり奪い合いですから、
水産庁としては積極的に出ていかなければならないと私は思うのです。火曜日も、
足鹿委員のほうから、いろいろ建設省や運輸省や通産省に
質疑がありましたけれ
ども、私は積極的にやはりやっていくべきだと思うのです。何かそういう印象を受けているのですが、そういうことはないのかどうかという点について
お尋ねをいたします。