○神沢浄君 さっきの
工藤委員の質問の中でも、特に強調して触れられておったように、結局
森林の
機能というのが非常に広範になってまいっておると思いますし、国民の
保健的な見地からして、その
役割りも非常に増大をしてきておると考えます。そういう見地に立って、これは私は、
大臣の御意見も聞いておきたいと、こう思うのです。
私の県には、御承知のとおり富士山があるわけなんです。その富士山のふもとに、これはまあ問題になっておりますけれ
ども、例の北富士演習場と称する相当広い
地域があります。今度その演習場の一部が、演習場の
区域から除外をされました、約二百十ヘクタールですが。その所在するところは、富士五湖と称せられるうちのまあ代表的な山中湖、それから河口湖をつなぐ国道の百三十八号線というのがございますのですが、その国道百三十八号線の沿道なんですよね。これは、確かにもう
日本を代表するような風致的な
地域なんです。従来は、演習場の
地域内に包括をされていたわけなんですが、昨年の四月から自衛隊への演習場に使用の転換がなされる際に、二百十ヘクタールという沿道の部分が、それは従来まあ演習場の
地域内にあったとはいえ、実際にはこれはもう演習場に使えるような地点ではありませんから、今度まあそれが除外をされました。除外をされましたから、普通国有地になったわけでありますね。普通
——まあもともと
森林ですから国有林です、国有林になったわけなんです。それをまあいろいろ何かいきさつももちろんあることはありますが、その
地域の一林業団体に払い下げをするわけです。私
どもはそれに反対をしております、いろんな見地から。
しかし、いろいろの見地の
一つの部分、いわゆる
森林問題としてまた、この
保安林問題として考えてみましても、昨年あたり、その演習場というのは毎日やっておるわけじゃありませんから
——やらない日もあるわけですから、その日には演習場内の出入も許されます。そういう際に、もうすでに何と言いますか、演習した弾丸が地内にもぐりこんでおって、そしてそれがときどき急に爆発をしたなどして被害を起こすことがあるわけなのです。そういう危険や不安があるにもかかわらず、昨年あたりの例を見ましても、その演習場地内に、富士の風光をめで、あるいは休養のために出入をしているところの人は、主としてこれは東京都民などが多いわけですけれ
ども、数万を数えております。演習のないときにだけ出入をしているところの国民の数が数万を数えている。いまや東京都民などの全く息苦しい日常の
都市生活から少しでも開放されようという、こういう状況という
ものは、これはその例を見てもまことに明瞭だと思うわけなのです。
私がいま申し上げておるその二百十ヘクタール、百三十八号線の沿道地帯、山中湖と川口湖を結ぶそれは、それこそ
日本を代表するような風致地帯、これがせっかく今度は普通国有地、いわゆるしかも
森林ですから、国有林になったんですから、演習場から除外をされて。私は、国の
考え方としては、まず第一義的に、このようなところこそやはり風致
保安林というか、あるいは
保健保安林というような
ものに指定をすべきところ、これはもう当然の常識だと思うわけです。それもいろんな、もちろん既往の経緯があるとはいいましても、払い下げをしてしまうというような
——いま大体
法律の
趣旨からいけば、
保安林は国が買収しようという、こういう積極的な姿勢が盛り込まれておるわけなのですから、せっかく国有林としてある
ものを払い下げをしてしまおうというような、こういう姿勢というのは、私はこの
法律に照らしてみますと、まことに逆行するもはなはだしい
ものであると思うのです。もちろんこれは演習場などにからむ問題でありますから、なかなかその
農林省としての立場、あるいは
林野庁としての立場だけでもって解決し得る
ものではないでしょうけれ
ども、国全体の私は、行政の中でもってやる
ものを、
農林省や
林野庁あたりの
発言という
ものが、ただ見て見ぬふりをしておるような姿勢ではならぬのじゃないかという
感じを強く持つわけです。事、どうも防衛庁の関係だからとか何とかというようなことで
——あの地帯をぜひ国民のいわゆる休養センターとして何とか国で考えてもらいたいという、こういう国民運動が非常にしきりに行なわれているわけです。本院に対してもそういう、そっちの
委員会だと思いますけれ
ども、請願などがたくさん出ておるような事実もあるわけです。そういうような情勢にあるだけに、私はやはりほんとうに
森林行政という
ものを真剣に取り組むとするならば、何らの一言の
発言もなしに、ただ防衛庁などのなすにまかせるというような姿勢であってはならないではないかという、こういう
感じがしてならないのです。その点についてひとつ
大臣の所見、それから長官の所見等をちょっと伺って終わりたいと思います。