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政府委員(
内村良英君) それに関連いたしまして、第三次
国連海洋法会議の見通しはどうか、という御
質問があったわけでございます。これは確かに御
指摘のように、
わが国漁業にとって非常に大きな影響を与える問題でございます。そこで、具体的問題といたしましては、ことしの六月からベネズエラの首都のカラカスで
会議があるわけでございますが、いろんな情報を総合しますと、なかなかこの
会議ではまとまらないのではないか。ということは、
各国の利害が非常にふくそうしている。単に
漁業だけではございませんで、軍事上の問題、あるいは航行権の問題その他の問題、あるいは大陸だなの
資源の問題というような問題もからみますので、
各国の利害が非常にふくそうしておるということでまとまらないのではないか。通常の国際
会議でございますと、次の
会議の場所というものを想定しておく
会議はあんまりございませんけれ
ども、この
会議は、来年さらにまとまらない場合には、オーストリアのウイーンで
会議をやるということまできめているわけでございます。したがいまして、私
どもといたしましては、これはまあ断定はできませんけれ
ども、なかなかまとまるのはむずかしいと思っております。
しかし、いずれにいたしましても、現在
開発途上国さらに一部の先進国、すなわちカナダとか、豪州とか、ニュージーランドというような国が、二百海里経済水域をつくれ
——領海は大体十二海里というのが多いようでございますけれ
ども、そういった経済水域をつくれと、
中国も同様の主張をしております。ということで、そういったかなり広い経済水域あるいは排他的な
漁業水域の設立ということが、そういった方向に動いていく可能性は非常に強いというふうに私
ども見ておるわけでございます。
そこで、一体そうなると、
わが国の
漁業に対する影響はどうなのか、ということが次の問題として出てくるわけでございますけれ
ども、この際、特に申し上げておきたいことは、私
どもが新聞等見ておりますと、二百海里というものは
開発途上国が非常に主張しておるわけでございます。したがいまして、二百海里経済水域というようなことがかりにできたとすれば、
日本の
漁業は、アフリカの沖だとか、中南米の沖からシャットアウトされるのではないか、あるいはフィリピンの沖とか、インドネシアの沖からシャットアウトされるのではないか。その影響が非常に大きいのではないかというような取り上げ方が、新聞紙上等を見ておると、多いように感ぜられるわけでございます。
そこで、
統計で調べてみますと、
わが国が、去年、外国の二百海里でとっている漁獲高は次のようになっております。すなわち、北部太平洋のベーリング海でとっておりますものが約二百九万トンでございます。それからオホーツク海の北部が三十五万一千トン、オホーツク海の南部、ここには樺太それから例の歯舞、色丹、千島列島が入るわけでございますが、ここで八十八万八千トン、それから
日本海のソ連の二百海里、あるいは韓国の二百海里になりますところで約三十万トン、それから
中国と非常に
関係がございます
東海、
黄海で五十三万六千トン、で、いわゆる
開発途上国の水域でとっているのは六十一万八千トンでございます。したがいまして、かりに二百海里の経済水域というものが認められたということになりますと、一番影響を受けるのは
わが国の北洋
漁業なわけでございます。
そこで
開発途上国に対しましては、
水産庁といたしましてもそういった国々の
漁業というものが、まだ非常に幼稚な
段階でございますから、これに対して、技術指導あるいは資金的な援助等行ないまして、向こうの
漁業を
向上させながら同時に、
わが国の
漁業もやらしてもらうというような形で、そういった国際協力を通じて
漁場の確保をはかっていきたい。ただ問題は、相手はソ連、アメリカ、カナダ、
中国と、こういうことになってくるわけでございまして、これらの国々はいわゆる先進国でございまして、いまさら技術援助というような問題あるいは資金援助というような問題もございません。したがいまして、こういった国々とは
資源の維持ということを前提にしながら、いろいろ国際的な二国間あるいは三国間の
協定をつくりまして、そういった
協定によって、
わが国は北洋で大きな
実績を持っておりますから、そういった
実績を背景に主張をし、同時に、
資源保護については、やはり
わが国も協力してやるということでやらぬと、そういったことは成り立ちませんので、現在日米加
漁業条約、あるいは
日ソ漁業条約でやっているようなことをさらに拡充いたしまして、
わが国漁場の確保に遺憾なきを期したい、こういうふうに
考えておるわけでございます。