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政府委員(内村良英君)
漁業災害補償法の一部を改正する
法律案につきまして、提案理由を補足して御
説明申し上げます。
本
法律案を
提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
第一に、漁獲共済の仕組みの改善であります。
まず、共済契約の締結方式の改善でありまして、現行法上漁獲共済への加入は任意とされているのでありますが、普遍的な加入をはかり本制度を漁業者に広く定着させることにより、本制度がより一そう漁業経営の安定に資することとなるよう、一定の手続に従い多数の同意があった場合には、
関係漁業者が漁獲共済に加入する義務を負うこととする道も開くことといたしております。
次に、てん補内容の改善でありますが、共済限度額の算定方法につきまして、最近における生産費その他の漁業経営事情を反映し得るよう改正いたしますとともに、てん補方式につきまして、現行の浅い事故から深い事故まで事故の大きさに応じててん補する方式のほか、浅い事故または深い事故を重点的にてん補する特約を設け、漁業者がその漁業の実態に合致したてん補方式を選択できることといたしております。
第二に、養殖共済の仕組みの改善であります。
まず、共済契約の締結要件の緩和でありますが、現行法上は養殖水産動植物及び養殖施設を一体として共済目的としなければ共済契約を締結できないこととされておりますものを、養殖水産動植物のみを共済目的とする場合であっても共済契約を締結できるようにしようとするものであります。
次に、小損害不てん補要件の緩和でありますが、現行法上は、一定の養殖業につきましては、共済契約者の事故率が一定割合以上であり、かつ、当該漁場全体の事故率が一定割合以上である場合しか損害をてん補しないこととされておりますものを、漁場全体の事故率にかかわりなくてん補できるようにしようとするものであります。
また、異常な赤潮にかかわる特約の創設でありますが、最近頻発しております異常な赤潮につきましては、従来の赤潮とは異なり、かなり広域にわたって漁業者に甚大な被害をもたらしておりますことから、今回これによる損害につきましても、本制度において特約により積極的にてん補してまいろうとするものであります。この赤潮特約につきましてはその共済掛け金に対する国及び地方公共団体の
助成措置について定めることといたしております。
第三に、特定養殖共済の試験実施であります。
まず、特定養殖共済の対象とする特定の養殖業は、政令で定めることといたしておりますが、政令ではノリ養殖業とすることを予定しております。
事業の実施につきましては、漁業共済組合及び漁業共済組合連合会が農林
大臣の認可を受けて特定養殖共済にかかわる漁業共済事業及び漁業再共済事業を行ない、さらに
政府がこれに対する漁業共済保険事業を行なうことといたしております。
次に、事業の内容でありますが、特定養殖共済は、特定の養殖業につき生産金額の減少に関して必要な給付を行なう事業とすることといたしております。
なお、このほか、所要の規定の整備を行なうことといたしております。
以上をもちまして
漁業災害補償法の一部を改正する
法律案の提案理由の補足
説明を終わります。
次に、
漁業近代化資金助成法及び
中小漁業融資保証法の一部を改正する
法律案につきまして、提案理由を補足して御
説明申し上げます。
本
法律案を
提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
まず、第一に、漁業近代化資金制度の改善措置について御
説明申し上げます。
その一は、漁業近代化資金の資金種類の拡大であります。これは、水産物の安定的供給源として近年重要性を増しつつある養殖業の経営の近代化を推進するため、成育期間が通常一年以上である水産動植物の種苗の購入または育成に必要な資金を漁業近代化資金の対象とすることといたしたものであります。
その二は、貸し付け対象者について、近年の中小漁業における経営規模の拡大、資本装備の
高度化の傾向等にかんがみその範囲を拡大することであります。すなわち、貸し付け対象者の資格は、漁業を営む法人につきましては、現行では、常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつ、その使用する漁船の合計総トン数が、原則として千トン以下であるものとなっておりますが、使用する漁船の合計総トン数につきまして、これを三千トン以下に引き上げることといたしております。また、水産加工業を営む法人につきましては、現行では、その常時使用する従業者の数が四十人以下であるものとなっておりますが、これを百人以下に引き上げることといたしております。
その三は、貸し付けの最高限度額の引き上げであります。貸し付け限度額は、制度の創設以来据え置かれておりますが、現行の貸し付け限度では最近の資金
需要に十分対応できない場合が見られますので、現行の貸し付け限度額を三倍に引き上げることといたしております。
その四は、漁業近代化資金の融通の円滑化をはかるための漁業信用基金協会への出資に対する
助成措置であります。漁業近代化資金の円滑な融通をはかるため、都道府県が漁業信用基金協会に対して漁業近代化資金の保証にかかわる債務の弁済に充てるための基金とすることを条件として出資するのに要する経費の一部を、新たに
政府が助成することができることといたしております。
第二に、中小漁業融資保証保険制度の改善措置について御
説明申し上げます。
その第一は、漁業信用基金協会の行なう債務保証制度の改善であります。
その一は、基金協会の業務範囲の拡大等であります。すなわち、中小漁業者等の生活に必要な資金を基金協会の保証対象資金に加えるとともに、手形の割り引きにかかわる債務についても基金協会の保証の対象とすることといたしております。
その二は、基金協会の会員資格の拡大であります。すなわち、漁業及び水産加工業を営む法人のうち今回新たに漁業近代化資金の貸し付け対象者とされるものに対しても基金協会の会員資格を与えることとしております。さらに、今回生活資金を基金協会の保証の対象とすることにかんがみ、漁業従事者に対しても基金協会の会員資格を与えることといたしております。
その三は、基金協会の財務及び会計についての改善であります。すなわち、基金協会にその負担する保証債務の弁済に充てるため、出資金、繰り入れ金等を財源とする基金を設けその管理方法を規制する等基金協会の財務及び会計に関する所要の措置を講ずることとしております。
その第二は、
政府の行なう保証保険制度の改善であります。
その一は、保証保険の対象資金の拡大であります。すなわち、今回新たに基金協会の保証対象となる生活資金のうち漁業経営等の改善に資するものを保証保険の対象資金に加えることといたしております。また、手形の割り引きにかかわる基金協会の保証についても、保証保険の対象とすることといたしております。
その二は、保証保険にかかわる保険価額の範囲の拡大であります。すなわち、現在保証保険にかかわる保険価額は借り入れ金元本に限られておりますが、これを改め、借り入れ期間が政令で定める期間以上である借り入れ金については、借り入れ金元本のほか遅延利息以外の利息を含めた額とすることといたしております。
その三は、保証保険にかかわるてん補率に関する改善であります。公害防止に必要な資金及び主務
大臣が指定する災害にかかわる事業の再建に必要な資金のうち、主務
大臣の指定するものにつきましては、当該資金の融通の円滑化をはかるため、保証保険にかかわるてん補率を一割引き上げることといたしております。
その四は、
政府と漁業信用基金協会との間の保険契約の方式の改正であります。基金協会の保証の対象となる借り入れ金等の額が政令で定める額未満の保証債務については、基金協会の選択により保険
関係が成立する選択保険方式とし、それ以外の保証債務については、基金協会の保証により自動的に保険
関係が成立する包括保険方式とすることといたしております。
その第三は、中央漁業信用基金の設立等であります。まず、中央基金の設立については、水産業及び金融について学識経験を有する者十五人以上が発起人となり、主務
大臣の認可を受けて、中央基金を設立することができることといたしております。
この中央基金に対しては、
政府及び漁業信用基金協会、農林中央金庫その他の
政府以外の者がそれぞれ出資を行なうことを予定しておりますが、このうち
政府出資につきましては、
昭和四十九年度予算に七億九千七百万円を計上しております。その他、中央基金の運営に関する重要事項を
審議する機関として評議員会を設置する等中央基金の組織、管理等につきまして所要の措置を講ずることといたしております。
次に、中央基金の業務でありますが、その一は、融資保険の業務であります。これは、農林中央金庫が二県以上にまたがる漁業協同組合連合会等に対して行なう大口の漁業近代化資金等の貸し付けについて保険を行なうものであります。
その二は、漁業信用基金協会に対する資金の貸し付けの業務であります。これは、基金協会の保証能力を拡充するとともに代位弁済を円滑に実施するため、所要資金を基金協会に貸し付けるものであります。
以上をもちまして、この
法律案の提案理由の補足
説明を終わります。
次に、
沿岸漁場整備開発法案につきまして、提案理由を補足して御
説明申し上げます。
この
法律案は、提案理由の
説明にもありましたとおり、沿岸漁場整備
開発事業を総合的かつ
計画的に推進するための措置を講ずるとともに、水産動物の育成をはかり沿岸漁場としての生産力を増進するための事業を推進することにより、沿岸漁業の基盤たる沿岸漁場の整備及び
開発をはかり、もって沿岸漁業の安定的な発展と水産物の供給の増大に寄与することを目的としているものであります。
以下その内容を御
説明申し上げます。
第一に、沿岸漁場整備
開発計画制度について御
説明申し上げます。
農林
大臣は、沿岸漁場整備
開発事業の総合的かつ
計画的な実施に資するため、沿岸漁業等振興
審議会及び
関係都道府県知事の意見を聞いて沿岸漁場整備
開発計画の案を作成し、閣議の
決定を求めなければならないことといたしております。
この沿岸漁場整備
開発事業とは、すぐれた沿岸漁場として形成されるべき相当規模の水面において水産動植物の増殖または養殖を推進するために行なう魚礁の設置、消波施設の設置、しゅんせつ等のいわゆる生産基盤の整備
開発の事業と沿岸漁場としての効用の低下している水面においてその効用を回復するために行なう堆積物の除去等のいわゆる沿岸漁場の保全の事業であります、
なお、国は、この
計画の達成をはかるため、その実施につき必要な措置を講じなければならないものといたしております。
第二に、特定水産動物育成事業について御
説明申し上げます。
その一は、都道府県は、その区域に属する水面における沿岸漁場の生産力の増進に資するため、海区漁業調整
委員会の意見を聞いて、増殖を推進することが適当な特定の水産動物の育成に関し基本方針を定めることができることといたしております。
その二は、漁業協同組合または漁業協同組合連合会は、都道府県知事の認可を受けて、特定の水産動物を育成する事業を実施できることといたしております。この認可を受けようとするときは、漁業協同組合等は、当該事業を効率的に実施するために必要とされる水面すなわち育成水面の区域及び当該水面の区域内において組合員が特定水産動物の採捕につき順守すべき事項等を定めた育成水面利用規則を定めて都道府県知事に
提出しなければならないことといたしております。
このような手続により都道府県知事の認可を受けた漁業協同組合等は、特定水産動物育成事業を適切に実施するとともに、その組合員に対し必要な指導を行なわなければならないこととしているほか、都道府県知事は当該事業の実施が適切さを欠くに至ったと認めるときは、必要な措置をとるべきことを勧告することができることといたしております。
なお、国及び都道府県は、この特定水産動物育成事業の実施に関し必要な助言、指導その他の援助を行うようつとめなければならないことといたしております。
このほか、国及び都道府県は、これらの事業と水産動植物の種苗の生産施設の整備運営とをあわせて推進することにより、栽培漁業の振興につとめなければならないことといたしております。
なお、水産業協同組合法及び海洋水産資源
開発促進法につき所要の改正を行うことといたしております。
以上をもちまして、本
法律案についての補足
説明を終わります。