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工藤良平君 私はなぜこういうことを言うかといいますと、これからの
農業経営、畜産経営というもののパターンを、大きくやはり変えていかなければならないんじゃないかという
考え方があるわけです。それは、やはり大家畜についてはできるだけ粗飼料
——もちろん鶏やあるいは豚については非常にサイクルが早いわけですから、
日本のような狭い国では、人口をかかえているところでは、サイクルのなるべく早い家畜を飼って、やはりたん白質を
供給するということが非常に私は
農業の
サイドから大切だと思っているわけです。ただ、従来のようにトウモロコシやあるいはマイロや、そういうものだけにたよっていいのか。現在のこのような
状態を迎えたときに、
日本は
日本なりの、
日本に合ったやはり畜産のやり方というのがあるのではないか、飼料の確保の方法というものがあるのではないか。そういうことをやはり検討していく必要があろう。ですから、マイロやあるいはコウリャンに非常にたよらなければならぬ。しかし何とかして確保しなければならぬとするならば、それに見合った、見合うべき、代替になるべきものは
一体ないのかということ、それをやはり検討していく必要がある。各国ともやはりそういう面については非常に綿密な研究というものが進められているわけでありますから、
日本の場合も私はそういうことを十分に考えていいのではないか、こういうような気がいたします。
そこで、これは
大臣にちょっとお伺いしたいんですけれ
ども、
農林省としても、近ごろ米のいわゆる飼料化という問題について若干論議が出てきて、具体化しようとしているようでありますけれ
ども、これも
一つの私は方法だと思っているわけです。
ちょうど私、四十四年にソビエトからずっとあっちのほうを回ったときに
——これは余談になりますけれ
ども、クラスノダールの米の試験場に参りました。
日本は開聞以来二千数百年米をつくっているから
世界一だということを、米の技術家に聞きますと、よくそう言うんですけれ
ども、私がソビエトに行きましたところが、ヘクタール
当たり九トンとれるという米があるということを聞きまして、そんなばからしい話があるかということで行ってみましたところ、確かに粒数計算を簡単にやってみるととれるという計算が出るんです。
一体何だろうということで私は見ましたら、
——私きょうは持ってきておりませんけれ
ども、大分に置いてありますが。ずいぶん
農村を、これ持って歩いたものですけれ
ども、稲を見ますと、折っても折れないわけであります。
日本の稲なんというのは、ちょっとでき過ぎますと倒伏をするというのが、実は最大の欠陥なんですけれ
ども、あっちのやつは枝が出ているんです。途中から枝が出たぐらい稲が強い。私はそれをだまって盗んで帰りました。そして、大分の試験場に持っていって、これをつくってみろ、といってやりまして
——去年私ちょっと試験場に行きまして、おれ三、四年前に種子を持って帰って、おまえのところへやったけれ
ども、どうしたか、と言ったら、ああ、あれは何かそういうのがありました、ということです。それで、この前いろいろさがしておりましたら
——試験場が大分に二つあるんですけれ
ども、宇佐のほうの試験場が米のほうの専門ですということで、そこへ私、この前行って、また聞きましたところが、あれやったんですけれ
ども、どうも
日本のあれには合わないようなんでやめましたと、こういうことです。おれが言ったのは、あのじょうぶな茎がほしい。折っても折れないような茎が、機械化されて、直まきをされて、それがきちんと米を九トンつくって、その米は食べてみたら実においしいんです。ですからつくってみろと。しかも、それは場合によっては、多収穫品種として
——これは
生産調整に入る直前のころでありますから、私がそんなことを言うと、ばからしい話のようでありましたけれ
ども、私はやはり豚のえさや牛のえさに可能ではないか。それが九トン、十トンとれるということになると、それは可能であろうと、こういうことから実はその問題を提起をして試験をさしたんですけれ
ども、いや
日本の
国民の口に合いませんということで簡単に葬られてしまって、私は非常に残念に思っているんですけれ
ども。いま直まきの問題が問題になった、飼料の問題がなった。実際に直まきをして九トン、十トンとれるということが
日本の場合でも私は可能であろうと思うんです、
現実にそういうことがありますから。
そういうことを考えてみると、まだマイロや大麦やトウモロコシや、そういうものに匹敵するでん粉や、あるいはたん白
資源として
供給する飼料の代替すべき要素というものはたくさん、開発のしかたによってはあるのではないか、こういう気がするのであります。けれ
ども、それは特にいま問題になっておる米の飼料化、あるいは減反
政策との
関連から非常に重要な
課題であると思いますから、これとは直接関係がありませんけれ
ども、飼料問題として
大臣の御
見解を伺っておきたいと思います。