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1974-04-02 第72回国会 参議院 農林水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二日(火曜日)    午前十時十八分開会     —————————————    委員異動  三月三十日     辞任         補欠選任      高橋雄之助君     渡辺一太郎君  四月一日     辞任         補欠選任      渡辺一太郎君     高橋雄之助君      小笠原貞子君     塚田 大願君  四月二日     辞任         補欠選任      鈴木 一弘君     沢田  実君      塩出 啓典君     中尾 辰義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 梶木 又三君                 高橋雄之助君                 足鹿  覺君                 鶴園 哲夫君     委 員                 河口 陽一君                 佐藤  隆君                 田口長治郎君                 棚辺 四郎君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 堀本 宜実君                 神沢  浄君                 工藤 良平君                 中尾 辰義君                 塚田 大願君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   山本茂一郎君        農林省構造改善        局長       大山 一生君        農林省構造改善        局次長      杉田 栄司君        農林省畜産局長  澤邊  守君        林野庁長官    福田 省一君        林野庁林政部長  平松甲子雄君        建設省河川局長  松村 賢吉君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     杉岡  浩君        経済企画庁総合        開発局離島振興        課長       青木 良文君        文部省社会教育        局社会教育課長  澤田  徹君        厚生省医務局指        導助成課長    木戸  脩君        厚生省児童家庭        局母子福祉課長  岩佐キクイ君        林野庁林政部管        理課長      降旗 正安君        水産庁漁政部沿        岸漁業課長    平井 義徳君        水産庁漁港部長  矢野 照重君        自治省大臣官房        参事官      栗田 幸雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正す  る法律案(第七十一回国会内閣提出、第七十二  回国会衆議院送付) ○農用地開発公団法案内閣提出衆議院送付) ○農林水産政策に関する調査離島漁港整備計  画に関する件)     —————————————
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動によりまして理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事高橋雄之助君を指名いたします。     —————————————
  4. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 塚田大願

    塚田大願君 政府は、今度の法改正で、森林の健全な維持、育成をはかろうと、こういう趣旨でございますが、これは確かにいま大資本あるいは大企業によります森林乱開発を規制するという意味におきまして、私は一定の歯どめの役割りを果たすだろうと思うわけであります。しかし問題は、この法の精神というものが、ほんとうに生かされていくかどうかということが、やはり非常に重要な問題じゃないかと考えるわけです。  そこで、私はまず最初にお聞きしたいんですが、わが国では、全森林面積の約三〇%を国有林が占めておる、こういう状態の中で、国有林がどのように管理運営されておるかという問題、これについて農林省としては、どのような方針を持っておられるか。また、国有林におけるこの乱開発、あるいはこの乱伐というようなことがないのかどうか、この点をまずお聞きしたいと思います。
  6. 福田省一

    政府委員福田省一君) 国有林におきます森林の取り扱い、森林施業と申しておりますが、これにつきましては、基本的には、国土保全水資源涵養などの森林の持っております公益的な機能木材生産機能、これを総合的に高度に発揮するということを基本方針といたしております。昭和四十八年度から実施しておりますが、具体的には国土保全、それから自然環境保全など公益的な機能発揮が特に必要な林分、それから学術研究上貴重な森林などにつきましては、その実態に応じまして禁伐あるいは画伐をしておるのでございます。その他の林分につきまして皆伐を行なう場合でございましても、伐採個所をつとめて分散することとしまして、一つ伐採個所面積保安林等におきましては、おおむね五ヘクタール以内、その他の森林にあっては、おおむね二十ヘクタール以内というふうなぐあいにいたしまして、特にそういう保全、あるいは水資源涵養環境保全に留意して実施いたしておるところでございます。
  7. 塚田大願

    塚田大願君 いまのお答えを聞きますと、まあ国有林というのは非常に模範的にやっておられるという感じがするわけです。いわば優等生の答案みたいなお返事ですけれども、どうもしかし、実態がはたしてそうなのかどうか。たとえばまあ最近新聞など幾つか見ましても、たとえば林野庁は、「株式会社伐採庁」であるというふうなことも書いてありますし、あるいは「ばさばさ切って大幅黒字」というふうな、この批判も、相当いろんな新聞に出ておりまして、はたしてこれが真実なのかどうか。確かに林野庁とすれば、いろいろな言い分があるんだと思うわけですが、しかし、やはりこうして世論が、相当林野庁のしかたに、仕事のしかたに対して批判を持っておるということもまた事実なんで、そこで実は私もまず、やはりどちらが正しいか、この目でその真実を見る必要があると思いまして、先般、長野の木曽谷を視察してまいりました。  大体、南木曽町を中心にいたしまして妻篭、三殿、坂下営林署管下を走ってみたわけでありますけれども、どうもその国有林、特に木曽ヒノキで有名なこの国有林——木曽谷国有林がまあすごく乱伐されておるという印象を受けました。私、写真もとってまいりましたが、相当この乱伐、皆伐、尾根だけわずか残して両面が全部皆伐されておるというふうなところがたくさんございましたし、また、この林道開発によりまして、この崩落が非常に激しい。これは坂下営林署管下でありますけれども、こういうところですね、私、実際に見てまいりました。さらには山腹崩落によりまして、下流にはものすごい土石の堆積がある。これは坪川でありますけれども、この辺の写真もとってまいりました。この実態を見ますと、いま長官がたいへんいろいろ国土保全であるとか、学術用地域は禁伐しているとかおっしゃったんだけれども、どうもその実態がそうでないように思うわけであります。まずこの写真を、まあこの写真はあまりよくできておりませんけれども、カメラの技術はかんべんしていただいて、大臣に見せてください。——そこでそのざっと見ていただければわかるんですが、はたして、これでいま長官が言われたような森林公益的機能というものが守られるのかどうか。これはもう全部国有林ですけれども、それについてどういうふうにお考えなのか、まずお聞きしたいと思うんです。
  8. 福田省一

    政府委員福田省一君) 写真を拝見したわけでございますが、木曽谷のこれは南部署あたり写真というふうに思います。この木曽谷国有林につきましても、ただいま申し上げましたようなことで、方針は同じと考えて施業しておるのでございますけれども、この木曽谷につきましては、急傾斜地が非常に多いのでございます。大部分が、水源涵養保安林であるとか、また皆伐の対象地は、国有林面積の半分以下にいたしております。特に、ここは花こう岩が非常に風化した地帯南部地区に非常に多いのでございます。比較的そういうことで、御承知のように崩壊しやすい地域でございます。特に、この木曽全体では、この花こう岩の分布が約三割ぐらいございますけれども、この南部三署は五四%ぐらいあると思いますが、非常に崩壊しやすいということでございます。一伐区の面積も平均しまして、先ほど五ヘクタールというふうに申し上げたわけでございますけれども、三ヘクタール以内といたしております。国土保全上の配慮をするとともに、県民ヒノキ保護林等もいたしまして、その保存につとめておることでございます。ただいま拝見しました地区は、おそらくこれは伊勢湾台風被害あと処理の結果だというふうに考えておるのでございます。一応、考え方といたしましては、いま申し上げたような方針で、南部の三署につきましても実施いたしておりますし、今後もそれについて厳正な指導をしてまいりたいと、こう考えておるところでございます。
  9. 塚田大願

    塚田大願君 いろいろ言い分もおありのようですけれども、どうもその実態を見ますと、これは私、しろうとですけれども、地元では、いろいろ専門家にも意見を聞きましたけれども、これはとにかくむちゃくちゃだという意見でありました。そこで、これはいまその実態の一部分だけを紹介しただけですけれども、私は、これからお聞きしたいのは、いまの写真にもありますけれども、林道新設による崩落というのがものすごくある。これはもう実に、いま大臣が見ていらっしゃる写真なんか徹底的だと思うんですけれども、めちゃくちゃにくずれている。ですから、山腹森林が全部やられるというふうな実態があるわけでありまして、やはり林道の問題というのが、私は、一つは重要な問題点であろうと思うんです。  そこで話を進めまして、この林道についてお伺いしたいんですけれども、一体林道国有林における林道というものはどういうものをさすのか、また、この林道新設する場合、どのような手続が要るのか、さらには、どのような条件が満たされた場合に、林道というものをつけるのかどうか、この点についてひとつ簡潔にお答え願いたいと思うんです。
  10. 福田省一

    政府委員福田省一君) 林道は、国有林民有林ともにございますが、道路法で言っておりますところの道路には該当しないものでございます。この林道は、主として木材の搬出のために供せられるものでございますが、最近はそれ以外に、いろいろとこの地帯におきますところの伐採あと地造林はもちろんでございますが、特に管理のために必要な場合もございます。  そういうことで、国有林におきましては、林道をつくります場合には、一応国有林基本計画というものがございまして、その線に沿いましてこの林道計画をつくりますけれども、具体的には地域施業計画というものがございます。これは全国の国有林を約八十に分けてございますけれども、その中で、特にどういう林道をどの程度どういう目的でつけるかということを明確に計画いたしております。そういう計画に基づいて具体的に林道を設計いたしております。現在国有林林道におきましては、平均いたしますというとヘクタール当たり密度としましては、まだ五メーターぐらいでございますけれども、将来もっとこの林道を伸ばしまして、そして伐採なり造林なり、あと地管理に十分役立つような密度に深めてまいりたいということで計画の中では考えております。  まあしかし、御指摘ちょっとございましたように、この林道をつくったために、非常に山が荒れるということがございます。ですから、その工法を完全にいたしまして、そのためには予算も必要でございますが、そういうふうな考え方十分あと地をこわさないような施設を、ちゃんとした林道をつけてまいりたい、そのための予算を設定するように努力してまいりたいというふうに考えております。
  11. 塚田大願

    塚田大願君 そうしますと、林道施業計画というのは、大体、地域的に策定される。たとえば各営林局なんかによってこれが大体、計画が立てられる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  12. 福田省一

    政府委員福田省一君) 御指摘のとおりでございます。
  13. 塚田大願

    塚田大願君 そうしますと、やっぱり私、非常に不安をそこで感ずるんですけれども、この林道というものが、結果から見てそういうふうなものになってしまうという場合が多いんですけれども、その後、計画が、いわば地元にまかせられ、ケース・バイ・ケースで、ここは必要だろうと思われたら、どんどんやられる、こういう林道行政だと思うんです。問題は、そういう林道行政に対する批判が非常に多いんじゃないかと私は思うんです。特に、林道というものは一度開設されますと、その修復というものが非常に困難だと聞いております。特に、この自然公園の場合には最も困難だ、原植生やなんかがあって、その回復というものはほとんど不可能だと言われるほどの地域が多いわけでありまして、それだけに、いまのようなやり方では、林道行政林野行政を主管される林野庁としては非常に不十分ではないかというふうに考えていますが、どうでしょうか。
  14. 福田省一

    政府委員福田省一君) 先生ごらんになったとおっしゃいますのは、この木曽谷南部国有林の中で坂下営林署管内林道ではなかろうかと思います。これは、先ほどちょっと申し上げましたように、花こう岩の非常に深層まで風化した基盤の悪いところでございます。昭和三十四年に有名な伊勢湾台風がございまして、この地域風倒木が大量に発生したのでございます。そこで、この風倒木処理する必要もございまして、林道開設をしたのでございますが、昭和三十四年、三十五年、三十六年とずっとこのころから林道開設——丸野林道と申しておりますが、いたしております。もう一本坂下営林署では田立林道、こういう二つ開設したのでございます。その後、集中豪雨等被害もございまして、あるいは第二室戸台風というのがございまして、いま申し上げたような地盤でございまして非常に荒れましたが、どうしてもこれは風倒木処理上、あるいはそのあと造林をするために必要な林道でもございましたので、この地区につきましては特に経費を投入いたしまして、四十七年、四十八年には二つ林道とも改良工事をいたしております。のり面緑化であるとか、あるいは土のう積みであるとか、モルタルの吹きつけであるとか、そういったような、あるいはブロックを施工するとかいうことで、路体を強化し、緑化する工事を四十七年、四十八年いたしております。  なお、四十九年度以降におきましても、いま申し上げたような工法を完全に施工するために、四十九年以降は丸野林道におきましては一億三千七百万円程度、また田立林道におきましては一億四千万程度工事をいたしまして、この林道を完全に補強してこの被害を防ぐようにいたしたいというふうに計画いたしております。
  15. 塚田大願

    塚田大願君 じゃ、いまの木曽谷のことは、いわばその実態だけを紹介するつもりでおりましたので……。  これからお聞きいたしますのは、北海道大雪国立公園にある事実であります。  ここに私写真パネルを持ってまいりましたが、こういう写真があるわけであります。これは旭川営林局大雪営林署管下でありまして、ニセイチャロマップの林道というものであります。これは林野庁よく御存じだろうと思うんですが、三十二林班であります。これは標高千メートルの地域であります。ここでいま新設林道をつくっているわけでありますけれども、この地域は、まず一つ申し上げておかなければいかぬのは、大雪国立公園内の特別地域でございまして、水源涵養保安林という地域であります、この地域は。ところがここに非常に大規模な林道をつくっている。しかも山を、この稜線——ここからこっちの稜線を切りくずして——こうなっておりますが、これはもともとこういうふうに稜線があったわけです。この稜線をけずって——千メートルの高さの地域ですよ、しかも保護地域です、水源涵養保安林ですよ。ここにこういう道路が堂々といま新設をされておるこの実態なんですね、これが私は、非常に典型的な国有林乱伐一つの型ではないかと思うんですが、これではたして、いまおっしゃったような公益的機能というものが守られるのかどうかですね。  特に常識的に言にいましても、この稜線を削るなんということは、もうとうてい考えられないことなんですけれども、平気でブルドーザーでこの稜線——この高い山をえぐり取ってしまっておる。しかも、この土砂はみんな下の下流に流されておる。こういうやり方が、はたして、いまおっしゃったような趣旨に合致するのかどうかですね。これはちょっと、よく手に取って、これは大臣もよく見ていただきたいと思うんです。こういうもんです。たいへんなものなんです。ここからこの山、この稜線が全部削られておる。こういう工事林野庁御存じなのかどうか。そしてそういうことが、ほんとうにいまのおっしゃった精神に合致するのかどうか。これについて御意見をお伺いしたいと思います。
  16. 福田省一

    政府委員福田省一君) いま御指摘のございましたこの林道のことでございますが、おっしゃいますように、この林道をつくります場合は、おおむね、平地と違いまして山岳地帯でございますので、どうしても斜面に入ってくるわけでございます。したがいまして、平地と違って、やはりその斜面を切った場合に、そののりを切る角度であるとか、あるいは切った土を盛り土する場合、非常な細心な、厳密な工法を必要とするものでございます。で、のりを切った面の緑化であるとか、あるいは盛り土をしたところに対しての補強工事であるとか、ということを、必ず、厳重にするように指導をいたしてきてはおります。  この林道利用対象地域は、トドマツとか、エゾマツ等を主体とするおおむね林齢が二百年以上の天然林でございます。一部に風倒木が見受けられるのでございますけれども、稚樹の発生も微力なところでございます。全域が水源涵養保安林に指定されていることは、先生指摘のとおりでございます。それから老齢天然林状況、それから老齢天然木状況であるとか、それから稚樹、あるいはそういった幼樹育成によりまして、活力のある健全な森林の造成をはかりながら、保安機能の強化をはかって、さらに本地域大雪国立公園特別地域に、先生指摘のとおり指定されているという趣旨に沿いまして、森林施業実施にあたりましては、択伐または漸伐を採用するなど、森林の多面的な機能発揮をはかってまいりたいと考えておるところでございます。これらのことから、適切な施業実施、それから管理に必要なものとしまして、この林道開設するものでございますが、その開設にあたりましては、自然環境保全に十分留意しながら、実施しているところではございます。  いま申し上げましたように、一部捨て土の処理が不十分であった個所につきましては、その後緑化工施工をいたしまして、そうして土砂の安定と保全につとめておりまして、さらに、今後とも自然環境保全に十分配慮してまいりたいと考えているところでございます。  四十八年度の施工個所から、地形が非常に急峻になっております。施工には、十分留意しているのでございますが、四十八年度の基点付近、これは三十二林班でございますが、地質的にもろいのでございまして、切り取りの勾配を八分としまして、余土の処理につきましては、土どめ施工をいたしまして四十八年度に設置したものでございます。四十九年度には、余土ののり面緑化いたしております。それから四十八年度の基点から千百二十メートル付近、三十二林班でございますが、ここで林道工事のために川が汚染されておるという批判もありましたので、四十八年度に余土の土どめ施設、これは石ワク工でございますが、これを設置しまして、また、余土ののり面緑化工実施したのでございます。それから基点から七・五キロメートル付近——二十六年度に開設したんでありますが、そこで、のり面土砂がずり落ちたという点がありましたので、四十九年度にはのり面を整理しました上で、緑化工実施いたしております。  これらを集計して申し上げますというと、四十八年度には約三百四万円、四十九年度には六百四十万円、過去につくりました林道に対して経費を投入して、これを完全に補強することをいたしております。  なお、延長します新設計画におきましても、これは四千百七十五万円の予定でございますが、その中におきまして、保全工事をするための経費を一千百十四万円考えておりまして、御指摘のような懸念がないように、安全にこれを補強してまいりたいというふうに指導いたしております。
  17. 塚田大願

    塚田大願君 いろいろ対策を講じておられるという話ですけれども、その写真は、ごく最近の写真でありまして、依然として、私は、そういう方針が徹底していないんじゃないかと思うわけです。これは、現場担当官の話でありますけれども、とにかくこの林道開設するのにあたって、地質調査をやっておられなかったと言うんですね。いま、土石が非常に云々と言われましたけれども、現場ではそういうことを言っておるんです。地質調査をやっておらなかった。で、工法も勘に頼ったやり方なんだと。事実、工事の、請負というのは、いわば請負業者でありますから、そんな科学的なことはやっておらない。これは一般的には、どうも林道工事というものは、大体、そういう請負工事で、そんなに科学的な緻密な計画というものはないようでありますが、しかし、事が、自然公園の中でありますから、これはもっと慎重でなければならぬと思うわけです。特に林道をつける場合、多くは山の中腹につくられておる。これは本来、経費節減ということが主要な要因のようであります。大体常識的に言って林道というものは、沢伝いに主要な林道をつける、あるいは小さいのは尾根につける。これが常識だそうでありますが、実際は山の中腹のまん中につけられる。これは要するに、非常に経費が安上がりにできる、まあそういうことらしいんですが、いま申し上げましたその標高千メートルをこしているところの中腹というものは、もちろん場所や、林種の違いはありましょうけれども、大体千メートルをこえますと、その修復が不可能だというのが、大体の定説のようであります、学界でも。  北海道で聞いてみますと、東大の演習林研究者が言っておるところによりますと、北海道では、大体標高八百五十メートルだと言っております。だとすると、いまの、こういうところは千メートルをこしているところでありますから、まずもう回復が困難だと、特に針葉樹が非常に多いわけでありまして、針葉樹というものは、非常にきびしい条件にあるそうでありまして、したがって、もう北海道大雪のこの林道などは、全く回復は不可能だろうと、こういうふうに言われておるわけでありまして、それだけに私は、たいへんこれは重大な錯誤ではないか、間違いではないかと思うわけです。  そこでもう一つ——もう一つついで写真を、パネルを持ってきましたが、これはペンケチャロマップ川沿いにございまして、やはり大雪営林署管下であります。標高は九百メートル、ここの特徴は——もちろんこれは大雪国立公園内の特別地域、先ほどと同じでありますが、第一種特別地域の原生林と隣合わせた地域なんです。ここももちろん原生林なんですけれども、この原生林を切り開いて林道新設しょうとしている。しかも、この工事の、これはほんとうにひどい工事だと私は思うのですけれども、この土砂というのが全部下の沢に落とされてしまう。ところが、その沢の、川の下流には大雪ダムがある。そうしますと、その土砂の堆積によりまして、ダム災害というものが起きる危険性が非常にあるということを地元の人が言っておるわけであります。そうしますと、事が単純ではないわけでありまして、そういう意味で、やはりこういう林道開設のしかた、これも非常に私は、問題じゃないかと思うのです。これもひとつちょっと見てください。——こういうひどいやり方ですね。原生林ですよ、第一種原生林に隣合わせた原生林。しかも、大雪ダムに災害が及ぶかもしれない、こういうことなんですね。このいまのペンケチャロマップのこれについて、林野庁はお調べになりましたか。
  18. 福田省一

    政府委員福田省一君) いま御指摘ございましたペンケチャロマップ林道のことでございますけれども、この林道は、大雪ダムの建設に伴いまして、建設林道の一部が水没するということになりましたために、北海道開発庁旭川建設部がつけかえ補償するということで着手した林道でございます。当初計画におきましては、四十八年度施行の五百メートルを含めまして左岸沿いに、旧林道に結ぶ計画であったのでありますが、地形が御指摘のように急峻でございます。また、自然保護上問題があるというので、この路線計画を中止、それから、あるいは代替ルートの選定について目下検討いたしておるところでございます。  なお、補償林道開設に当たりましては、自然保護には十分配慮するように、条件を付しまして施工の万全を期してまいりたいと思っているのでございます。ことしの三月二十日に、開発建設部にそういった点を申し入れてございます。  御指摘ございましたように、ここは国有林で、しかも保安林でございますし、また、自然公園法でいう国立公園の特別地域にもなっておるわけでございます。そういった点で、非常に問題もございますので、御指摘の点十分配慮いたして、計画を変更するようにただいま折衝中でございます。
  19. 塚田大願

    塚田大願君 一般的に申し上げまして、やはり林道新設という、森林施業上重要な開発行為につきましては、やはり現植生に手を触れる、手を入れる、いわば生物の生態系を破壊するような行為は、これは厳重に慎まなければならないのじゃないかと思いますし、とりわけ、原生林の多い、数少い希少価値を持っております北海道のような場合、それだけに事前の調査を十分にしていただく必要があるだろうと思うのです。  そういう点で、私は林野当局の慎重な検討を望みたいと思うわけでありますが、なおちなみに、私のほうで、いろいろ計算をしてみましたら、大雪全体で——昭和四十七年末で東大雪——帯広営林局管区です。それと表大雪旭川営林局管区合わせた幹線の事業林道というものは四十一本あります。延長で百五十五キロ、平均の幅員が三・五メートルといたしまして総延長の面積というものは五千五百ヘクタールに及ぶと、こういうふうに私どもは計算をしましたけれども、もちろんそのほかにも作業林道なんというのが一ぱい小枝のように入り込んでおりますから、もっと面積は広がるのじゃないかと思うのです。が、こういうやり方は、たとえ林業生産の効果をあげるという立場から考えてみましても、私はこういう林道開設のしかたというものは考え直してみる必要があると思うのですけれども、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
  20. 福田省一

    政府委員福田省一君) 林道につきましては、ただいま御説明申し上げましたように、木材生産のみならず、その他公益的な機能発揮する森林造成、あるいはその管理という面で非常に必要なものでございます。でございますので、できるだけ工法を完全にした形で林道を設置してまいりたいということは申し上げたわけでございますが、一応全国の営林局十四ございますし、営林署三百六十一あるわけでございますが、具体的にそれぞれ計画をいたしております。その場合に、山の中におきますところの林道でございますので、非常にあと管理が不完全ですというと、崩壊を起こす危険があるわけでございますから、その辺につきましては細心の注意を払っていかなければなりません。そこで、このあと地の特に補修等につきましても、予算等を最近できるだけ見るようにいたしておるわけでございます。また、林道の見回り等につきましても、できるだけそれを配置するようにつとめてまいっているところでございます。  北海道は、特にたびたび御指摘ございましたように、非常に寒い地帯でございますから、工法が不完全でございますというと、凍上等の現象を生じて非常に破壊しやすいことは、内地に比べて特に配慮しなければならぬ点でございます。したがいまして、そういう面では経費も相当かさむわけでございますけれども、のり面をしっかり固めるとか、あるいは盛り土の面をしっかり固める、あるいは緑化、そういった点につきましては十分配慮し、監督も厳重にしてまいりたいというふうに考えております。
  21. 塚田大願

    塚田大願君 大臣、いまお聞きのとおりであります。林道がどういう実態になっておるかという点で、いろいろいま質疑をかわしましたが、確かに、今度の法改正では、民有林の開発規制については、一定の前進をしていると思うのですが、しかし一方では、国有林ということになりますと、いまの例にも見ますように、もう非常に旧態依然たるものがある。これをほうっておくとしたら、私は、やはり非常に片手落ちになるだろうと思うのです。そういう意味では、政府みずから範をたれるということが必要だと考えますし、特にこの自然公園内、いまのような大雪公園のような自然公園区域では、特に自然保護というものについて努力を払わなければならないと思うので、そうでなければ、森林の「公益的機能」云々といっても、これは全くお経の文句にしかすぎなくなる。こういうことで、私はこういう点、ひとつ農林大臣としても、特に自然公園区域におけるこういうやり方については、ひとつ十分な対策を払っていただくように要望したいと思うのですが、その点、大臣の所見を伺いたいと思います。
  22. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 林道開設にあたりましては、災害の防止はもちろん、自然環境保全につきましても十分留意して対処すべきものと考えております。今後、林道計画施工にあたりましては、路線の選定、斜度の整理、処理のり面の安定、それから崩壊防止等につきまして特に配慮してまいらなければならない。こう思っておりますが、御承知のように、林道は、国有林もそうでありますが、森林を適当に伐採し、保護していくのに必要なものでありますので、——これらも大切にやらなければなりませんが、いま申しましたように、のり面の安定だとか、崩壊防止等について十分の措置を講じないところにやはりいろいろな損害が出て、災害が出てきたんですから、そういう面でわれわれは特段にそういう点に注意してまいらなければいけない。このように考えて、そういう方針で進めておるわけであります。
  23. 塚田大願

    塚田大願君 では次に進みまして今度は、この林野庁で出されました「大規模林業圏開発基本構想の概要」、これについてお伺いしたいと思うわけであります。  御承知のように、この大規模林業圏基本構想というのは、昭和四十三年、いわゆるこの新全総の一環として取り組みが始まったものでありまして、今日全国で七カ所の圏域指定、うち先発三カ所については四十八年から、後発四カ所については四十九年から林道建設が着工されておる、こういうものです。ただし、四十八年は予定されておったものが、まあ、一年繰り延べになったわけでありますけれども、この構想を私、拝見いたしまして、これはこれまでの林業のあり方そのものを根本的に変える性質のものではないかという疑問を持ったわけであります。そこで、この構想の目的、内容をひとつ、大臣からじかにお伺いしたいと思うのですが、簡潔にひとつ教えていただきたいと思うのです。
  24. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 大規模林業圏開発は、かつての薪炭生産地帯等、低位利用の広葉樹林が豊富に存在して、かつまた、林野率がきわめて高く、開発のおくれている地域を対象として、農畜産業等、他産業との調整並びに自然の保護等に配慮しながらやってまいりたい。それから高生産性森林への転換をはかること等、林業を中心として地域開発を推進しようとするものでございます。     —————————————
  25. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) この際委員異動について御報告いたします。  本日鈴木一弘君及び塩出啓典君が委員辞任され、その補決として沢田実君及び中尾辰義君が選任されました。     —————————————
  26. 塚田大願

    塚田大願君 これを拝見いたしまして、まず感じましたのは、この構想の目玉といいますか、心臓というのは、いわば広域林道ネットワーク、こういうものだと思うのです。その広域林道ネットワークの中身をいえば、大規模林道が中心になりまして、次に中核林道、こういうようになっておるわけですが、この大規模林道で大体幅員が七・五メートル、有効幅員が五、五メートルということですか。完全舗装の二車線、中核林道でも幅員五メートル、有効幅員四メートル、これも完全舗装だ、こういう林道ですね。これを、どんどんつくって、はたしてこれが常識的にいって林道だといえるようなものなのかどうかですね。私は、まず第一にここに非常に大きな疑問を持ったわけであります。  しかも、これと関連して北海道開発庁が出されました「北海道大規模林業圏開発計画基本構想」を見ますと、こう書いてあります。「交通量が多く、かう、大型車輌の交通に適応する規模と構造を有することが必要である」こういっているわけですね。だとすると、これはどうも林業生産が目的ではなくて、いわば観光レジャーを主目的にしたものではないか、こういう疑問がわくわけであります。また同時に、こうも書いてあります。「道路交通網の一環として、この体系に即した広域的、多目的機能を有する林道網の整備が必要である」。多目的機能を有する林道網の整備というのは一体何なのか、こういう疑問でありますが、これについては、どういうふうな説明がされるのかお聞きしたいと思うのです。
  27. 福田省一

    政府委員福田省一君) ただいま大臣からも御答弁ございましたように、この大規模林業圏開発林道につきましては、従来開発のおくれておりました地帯でございまして、北海道のいま御指摘のあった地帯、あるいは岩手県の北上山地を中心とした地帯、あるいは中国の脊梁山脈地帯、そういったような、主として、昔、木炭とか、まきを主に生産しておった、現在では開発のおくれたそういう過疎地帯でございます。こういう過疎地帯の人たちを、過疎化の減少を食いとめて、どのようにしてこの地域の振興をはかっていこうか、ということを考えた結果、そういう大規模林業圏開発構想ということになったわけでございますが、したがいまして、林業の面での開発は、いま申し上げましたような、非常に生産性の低い薪炭林のようなものを、もっと生産性の高い針葉樹林にかえていく。たとえば北海道で申し上げますならば、エゾマツとか、トドマツとか、そういったような価値の高い森林を造成していく。しかし、その森林の造成ばかりじゃなくて、その地帯における畜産の振興であるとか、あるいはその農村地帯の家内工業の振興というふうなこともあわせて考えていく、あるいはレクリエーションの場としても考えていくというふうなことをかみ合わせたものでございます。それがまあ多目的ということであるわけでございます。  その場合に、一番最初にやらなければならないことは、やはり道路開設なわけでございまして、従来の林道というものは、きわめて小規模の林道が主体でございました。先ほど先生から御指摘のございましたように、林道というのは沢通りにつくられるものじゃないか、それが常識だったと。確かにそうであったわけでございます。木材は昔、川の端で生産しておりましたが、それがダムの建設等によってだめになった。そこで、林道はそれにかわるものとして出てきたわけでございます。しかし最近は、それによって非常に災害を受ける場合が多い、維持費がかかる、開設費がかかるということでございますので、できるだけそれを中腹地帯に上げてまいっております。そうしますというと、機械が発達してきておりますので、その道路から下の地帯の作業も可能でございますし、上からの作業も可能であるというふうに考えまして、中腹地帯を通る幹線的な林道はそういったような形になってまいっております。  北海道におきましては、いま選びました地域というのは、北海道の中でも特に過疎化の現象のある地帯だというふうに見られるのでございます。たとえて申し上げますと、林野率は、北海道全体では七一・七%でございますけれども、いま選びました大規模林業圏は八一・四%。また、人工林の率を拾ってみますというと、北海道全体では一七%でございますが、この大規模林業圏の予定地域は一四・一%というぐあいに、きわめて北海道全域の中でも、過疎化と申しますか、非常におくれた地域だと思います。  そういう意味で、まず幹線となります林道をつくりまして、そのつくった林道が簡単に被害にこわれないような、しっかりしたものをつくらなければならないということで、初めて、林道としましては、幅員の広い、しかも舗装ということに踏み切ったのでございます。それを幹線道路といたしまして、これから肋骨になります中核林道を延ばし、そうして、次第に、いま申し上げましたようないろいろな、伐採事業なり、造林事業なり、その他の畜産振興、あるいはレクリエーションに関連する事業、あるいは家内工業、そういったものを総合的にこの地域で興して、その地帯の振興をはかってまいりたいということが趣旨でございます。いま先生指摘ございましたいろいろの懸念される点もございますが、私たちは、いま申し上げたような趣旨を踏まえて、その地域の振興に全力を尽くしていきたいというふうに考えておったものでございます。
  28. 塚田大願

    塚田大願君 確かに、この発想は、いわば開発がおくれたところ、生産性の低いところ、過疎地域というところが主要な対象のようでありますけれども、しかし私は、林業開発、林業発展の振興の名において、こういう自然保護林が、こういう形で乱伐されていく、荒らされていくということに非常に問題があるのじゃないかと思うのです。今日、環境保全ということは、いわば国民的コンセンサスでありまして、この社会的な要望から見ましても、こういう林道をいまこの地域につくるということは、やはり非常に問題があるし、特にその構想の中に、いわば多目的というふうなものが入ってくる。これはやはり、ことばをかえて言えば、観光用ということにもなるわけでありまして、やはりいまの構想を、一般的でなくて、具体的に調べてみますと、非常に問題がある。特に北海道大雪、阿寒の——これはまあ世界に知られた景勝の地であり、自然が保存されておる地域でありますけれども、この阿寒、大雪——まあ、きょうは時間がありませんから、具体的に申し上げられませんけれども、阿寒、大雪を結ぶ、いわば循環道路のようなものをつくっていくというのが北海道開発庁のねらいだろうと思うのです。  で、もちろん、そのために森林レクリエーションエリアを幾つつくるとか、もういろいろな構想が入っておりますけれども、要するに、これは阿寒、大雪を結ぶ観光道路というふうに、地元の自然を守る会の方々は言っておるわけです。現に、この北海道開発の構想の中に、こういうことが新聞に報道されております、北海道新聞でありますけれども。基本計画では、森林レクリエーションエリアとして、東大雪、奥日高云々、五地域計画し、十四億四千二百万円を投入して、自動車道、駐車場、スキー場などを整備する。四十五年度の利用状況から推定し、六十年段階では、五千七百八十万人の延べ利用と、五百八十一億の消費を想定しておりと、こういうふうになっているのですね。五千万人以上の利用と、六百億近い収入、こういうものがこの構想の中に見込んであるわけです。問題は、私は、こういう発想のしかたがやはり問題になる。  だから、林野庁がどうおっしゃろうと、地元の人たちは、これは阿寒、大雪を結ぶ観光循環道路、こういうふうに見ているわけです。ですから、反対運動も起きるということだと思うのです。が、しかし林野庁にすれば、自然保護、そういう過疎地域や生産性の低い地域の振興と、それから林業の振興ということをおっしゃると思うのですけれども、しかし、どうもそういうふうに計画がなっていない。もし、自然保護ということをおっしゃるならば、たとえば予算を見ると、私は非常にはっきりするのじゃないかと思うのです。予算書をいただきましたけれども、この大規模林道周辺だけ見まして、いろいろ調査をする、こういうわけですけれども、その予算が四十八年で千六百七十万、四十九年度で二千二百二十二万、二カ年で合計三千八百九十二万円という非常にわずかなものであります。まあ四千万足らずでありますが、あの広い阿寒、大雪自然公園地域で、これぐらいの予算で、一体何が調査ができるのかという感じがするわけであります。非常に調査の対象がマクロ的でありまして、ほんとうに表をなでるという程度のものでありますが、私どもとすれば、やはり大規模林道だけではなくて、中核林道も対象に入れて、調査も、動植物の基礎的な生態系の調査も十分にやる、そうして時間もかけてやる。こういうものでなければ本来の調査ということにならぬと思うのですけれども、実際は予算上そんなことは全く不可能であります。この程度予算では全く不可能である。この少なくとも十倍なければいかぬのではないかと私は、感ずるのです。  こういう意味では、いろいろ問題がありまして、地元にも反対がありまして、最初北海道では、自然公園を通る計画を、今度は若干改めるということを、道議会でも当局は発言しているようでありますが、私は北海道の問題だけではなくて、いま北上やその他いろいろなことを長官おっしゃいましたが、そういうものを含めまして、私はやはりこういう計画を見直していく、再検討する必要があるのではないかと思いますが、この点では、大臣並びに長官はどういうふうにお考えでございますか。
  29. 福田省一

    政府委員福田省一君) 先生指摘ございましたように、単純なる観光道路ということでは確かに問題があるわけでございます。私たちはそういった趣旨、ただいま御説明申し上げましたような趣旨を貫いていきたいというふうに考えるわけでございますが、北海道におきましても、当初は大雪国立公園の第一種特別地域においてこの計画はあったわけでございます。それを検討いたしました結果、これを変更しまして、これを第一種特別地域開設は取りやめるようにいたさせたいきさつもございます。で、この自然保護の調査費あるいは保全工法調査費、それぞれ二千二万百ないしは一千万円ではあまりに少な過ぎるんじゃないかという御指摘でございます。確かにいまそういうこともございましょう。しかし、実はこの調査は、基本調査を二年、それから実地調査を一年、三年調査しまして、着手しましたのは四十八年度からでございます。七地域のうち、三地域を四十八年度に着手しまして、わずかにこれは五キロでございます。四十九年度に至りまして、この七地域、つまり先に出発した三地域と、あとに出発した四地域、合わせて七地域でございますが、それが全部で実は十キロの着手でございます。まだ着手したにすぎないというふうな状態でございます。でございますので、この自然保護調査、これは道路の両側、幅一キロにわたりまして、いま先生指摘ございましたように、生態系その他いろんな保全に関する調査実施する計画でございますし、また、この保全工法調査費、これは北海道のような地帯あるいは九州のような地帯、それぞれ自然状況が違いますので、その保全工法調査ということもあわせて実施するという計画でございます。  御指摘の点は十分私たちも配慮いたしまして、まだわずか十キロではございますが、そういった調査に全力を尽くしまして、今後の実施に誤りがないようにしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。でございますので、実際問題としましては、四十九年度はむしろ調査に主体を置いて、実施はほんのまあその端緒についたということに御理解願いたいと思うわけであります。
  30. 塚田大願

    塚田大願君 まあ、大体私の質問は以上なんです。要するに、一言で言えば、いままでの林道行政というものが非常に安上がりの、経済性だけを追求しておる。そこにやはりいろいろの問題が出てくるわけでありまして、確かに今度の法改正では、民有林に対する規制は相当行なわれておるけれども、国有林がこういう状態であっては、これは片ちんばで、せっかくの民有林の規制というものも私は意味をなさないだろうと思うわけです。そういう意味で、やはり民有林と言わず、国有林と言わず、私は、やはりもっと国土保全基本的な立場に立って、言われているような法規制を、法規的機能ほんとうに充実するという意味で、私は、こういう大型プロジェクトなんかの場合には、もっと慎重な検討を望みたいと思うわけであります。  そこで、大体時間も迫ってまいりましたから、最後に、私は、結論的に三点について、ひとつ大臣及び長官の所信をお聞きして終わりたいと思うわけであります。  一つは、この民有林の開発許可あるいは伐採届け出にいたしましても、やはり都道府県知事にその権限が与えられておりますね。与えられておりますが、その権限を実際に生きたものとするためには、その地域地域の実情に即応したものでなければならないだろうと思うんです。通り一ぺんの許可に流れてしまえば、これはお墨つきの今度は乱開発というふうな結果にもなりかねません。  そこで、私はまず第一にお伺いしたいのは、そういう意味でこの知事の許可にあたりましては、地域に最も密着している地域住民のなまの意見を反映させる道を開くことである。つまり、知事がめくら判こを押すんじゃなくて、やっぱりこの地域住民の声を反映させる方途を考えていく、これが一つであります。  それから二番目には、この都道府県には審議会というものがございます。森林審議会がございますが、この森林審議会に地域代表を加える、そして、この審議会を民主的に運営する。あるいは災害や公害などの専門家も加えて、もっと充実していく。まことにいままでの審議会というものは形式的に流れている面がございますから、この中身をもっと充実し、そして民主的に運営していく、このことがひとつ必要ではないか。さらには、知事が行ないます開発許可や保安林伐採の許可の場合には、審議会の意見を聞くという制度的な保障を、私は確立する必要があるのではないか。何のために審議会があるのか。やっぱり審議会を生かすという方向で、当然この制度的な保障は考えていいのではないか。今回の改正を見ますと、そこまでいっておりません。これでは、やっぱり非常にせっかくの改正が実らないのではないかと思うわけであります。  それから三番目でありますが、三番目にいま申しました国有林の問題であります。これは、私が幾つか例示しましたように、非常に国有林林野行政というものは私は、閉鎖主義だと思うんです。やっぱりこのお役所だけでこうきめてしまう、だから、あとになると地域住民から猛烈な反対が起きる、計画を変えなければならない。こういう事態に直面しているわけでありますから、この閉鎖主義を改めまして、地域住民に密着した施業計画を立てていく。そのためには、やはりこの施業計画を公開にして、われわれは、林野庁としては、農林省としてはこういうふうに考える、こういうふうにしたいと思うと、これはやっぱりオープンにして、そしてみんなの意見を聞く、地域住民の。こういうやり方でなければほんとうに正しい林野行政というものは私は生まれてこない。いわば官僚主義の閉鎖主義では旧態依然たるものがある。これをやはり改めるべきだと考えておるわけであります。  そのために一つは、いま申しました林道の新規開設であるとか、あるいは大型プロジェクトの設定であるとか、あるいは大規模皆伐、急傾斜地での伐採などにつきましては、やはり事前に市町村の意見を聞く、市町村との協議を行なう、地元意見を十分に反映させるということがどうしても必要だろうと思いますし、あるいはこの審議会の意見も当然聞くべきだと思います。これは決して無理なことではなくて、きわめて常識的であたりまえのことですけれども、これがいままでやられてなかった。  それからまた、国有林の保安林伐採の許可などにつきましても、現行のこの知事の許可制をやはり厳正に運用することが必要でありましょうし、審議会の意見も聞くことは当然だろうと思うわけであります。まあこういう改善をやっぱりしていく必要があるんじゃないか。せっかく今回の法改正で、一定の前進はしたと、しかしどうも振り返ってみると穴だらけだというようなことがないように、私はやはりこの森林の持つ公益性また経済性、こういうものをほんとうに完全に一〇〇%生かしていくという道を開くべきだと思うのでありまして、その点につきまして大臣並びに当局の所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  31. 福田省一

    政府委員福田省一君) ただいま先生おっしゃいましたことはまことに重要な問題でございますし、確かに国有林は従来非常に閉鎖主義的であったのじゃないかということも反省しなきゃならぬ点だというふうに考えております。国有林森林施業計画でございますが、先ほど申し上げました地域施業計画をつくります場合に、これは十年の計画でございますけれども、従来から国有林野経営規程というのがございまして、その中で一応地元関係者の意見を聞かなければならないということにしておるのでございますが、施業の面で非常にその点が徹底しなかったという点は十分反省しなきゃならぬと思っております。最近特にいろいろな木材生産以外の面でも国民の全般の方々から非常に国有林に対する関心も高まってまいっております。そういう意味におきまして、計画の樹立に際しましては、地元の協議会というふうな適切な場を設けて、地域の住民の皆さんの意見を聞きますとともに、国有林経営についての一そうの理解を深めていただくようにしてまいりたいと思うのでございます。そういう意味でこの運用の面では十分配慮してまいりたいと考えております。  なお、森林法の改正に関連しまして、都道府県の森林審議会の組織の拡充の問題と、それから知事が十分その意見を聞くように運用すべきではないかという御意見でございます。都道府県の森林審議会は、都道府県知事の適切な森林行政の遂行を確保するために、公正な立場から都道府県知事の諮問に答申する機関ではございますが、今回森林法の改正によりまして森林計画制度の改善、それから森林開発行為に対する許可制度の導入、こういった都道府県知事が森林行政を行なうにあたりまして、従来以上に非常に専門的な知識を有する分野も多くなってまいったのでございます。このような見地から、都道府県の森林審議会の果たすべき役割りは一そう重要なものとなってまいっております。広範な専門的知識が必要となりますために、今後は、都道府県森林審議会の組織などのあり方につきましては、これらの要請にこたえるよう十分指導してまいりたいと考えております。  現在のところ、そのメンバーは大体大学あるいは研究機関の関係者であるとか、森林所有者の代表とか、あるいは林業関係団体の代表、その他の関係者、あるいは都道府県その他行政機関の職員ということを構成のメンバーにいたしておりますのですが、御指摘ございましたように、たとえば自然保護の協会団体、そういった方々の意見も十分取り入れるように考えていかなければならぬということも指導の面で強化してまいりたい、かように考えておるところでございます。御指摘の点につきましては十分そういう御趣旨を尊重しまして、今後の指導に万全を期してまいりたいと考えております。
  32. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま林野庁長官がお答えいたしましたように、十分そういう点について慎重にやってまいります。
  33. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 他に発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより採決を行ないます。  森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  34. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 総員挙手と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ただいま可決されました森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案が、先ほどの理事会においてまとまっておりますので、便宜私から提案いたします。  案文を朗読いたします。    森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、わが国の森林及び林業をめぐる諸条件がますますきびしいことに対処して、その期待される経済的機能及び公益的機能を総合的かつ高度に発揮させるため、本法の施行にあたっては、左記事項について遺憾なく措置すべきである。       記  一、森林計画については、施策推進の指針として、国有林及び民有林並びに国及び地方との連けいを密にしてその実効を期するため、その計画内容及び決定手続に関して適正な運用を図るとともに、森林計画実施に必要な措置の確保を図ること。  二、森林開発規制措置については、保安林制度との連けいに努め、国土利用に関する諸計画との調和を図るとともに、その具体的な運用基準を明確にし、執行体制を整備し、本制度創設の趣旨を徹底するなど、森林の保続及び森林生産力の増進に留意しつつその厳正な運用を期すること。  三、造林を推進し、造林後の保育管理の適正を期するため、関係諸施策の体系化と充実を図るとともに、森林災害の予防及び被災対策の整備を促進すること。  四、森林組合は、林業が主産業の山村地帯において、地元森林所有者がその諸条件の変動に自主的かつ積極的に協同して対応する組織として、事業運営の適正を図りつつ一そうその体質の改善強化に努めるとともに、その推移に適合した組合制度の整備を期すること。  五、林業労働に従事する者の福祉を向上してその安定的な確保を図るため、その社会保障措置の拡充、労働災害と職業病発生の防止等を始め、労働環境の改善及び労働条件の向上を図る措置の強化に努めること。  六、森林公益的機能の重要性と森林の低い私経済的収益性とに対処して、森林保全する経費に対する公約負担の拡大等合理的な措置の検討を積極的に推進すること。    右決議する。  以上であります。  それでは、本附帯決議案の採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  35. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 総員挙手と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、倉石農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣
  36. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し善処してまいる所存でございます。
  37. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) なお、審査報告書の作成はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  39. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 農用地開発公団法案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石農林大臣
  40. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 農用地開発公団法案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  最近における農畜産物の需給の動向等にかんがみ、国民食料の安定的な供給の確保を基本とした諸施策の展開が重要な課題となっており、このため、国内で生産が可能な農畜産物について、極力その供給体制を整備していくことが急務となっております。  このような課題に対処するためには、未利用、低位利用の土地が広範囲にわたって所在する地域において、畜産を基軸として、近代的な農業経営群による農畜産物の大規模かつ濃密な生産団地を拠点的に創設、育成することを内容とする農業開発を推進していくことが必要であると考えております。  このため、特に、農用地の造成のほか、関連する土地改良施設、畜舎その他の農業用施設の整備等を総合的かつ計画的に行なう新しい事業実施方式を設けるとともに、これらの事業を一元的に実施する機関として農用地開発公団を設立することとした次第であります。  他方、昭和三十年発足以来、先進的な大型開発機械の活用を通じて、農用地の開発に寄与してまいりました農地開発機械公団につきましては、最近の民間における機械の装備、技術の水準等を考慮いたしまして、この際これを解散せしめて、同公団に蓄積された技術及び経験を活用する見地から新公団にその権利及び義務を引き継ぐことが適当と考えている次第であります。  以上がこの法律案の提案の理由でありますが、次にその主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、公団の業務といたしましては、先に申し述べました公団の目的を達成するため、農畜産物の濃密生産団地を建設するのに必要な農用地等の造成、土地改良施設、畜舎その他の農業用施設新設または改良を行なうほか、これらの事業とあわせて農業用施設の譲り渡し及び農機具、家畜等の売り渡し等の業務を行うことといたしております。  第二に、公団の業務の実施につきましては、都道府県から区域を特定して申し出があった場合に農林大臣が事業実施方針を定め、これを公団に指示することとし、公団は、事業実施方針に基づいて事業実施計画を作成し、関係権利者の同意、農林大臣の認可等所要の手続を経て、事業を行なうことといたしております。  なお、農業用施設の譲り渡し及び農機具、家畜等の売り渡しにつきましては、業務方法書に基づいて実施することにいたしております。  第三に、公団事業のうち農業生産基盤整備関係の事業に要する費用につきましては、公団は、国の助成部分を除いたものを都道府県に負担させることができることとし、都道府県は、直接または市町村を通じて、受益者からその負担金の全部または一部を徴収することができることといたてしおります。  その他、公団の組織、財務、会計、監督等につき所要の規定を設けております。  なお、解散する農地開発機械公団との関係につきましては、新公団は、職員の雇用関係を含めて、一切の権利及び義務を承継し、また、当分の間、農地開発機械公団の現行業務を行なうことができることとして、そのため必要な経過規定等を定めることといたしております。  以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。  なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願いいたします。
  41. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に補足説明を聴取いたします。大山構造改善局長
  42. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 農用地開発公団法案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。  この法律案は、提案理由にもありましたとおり、農用地開発公団を設置して、未利用、低位利用の土地が広範囲にわたって所在する地域において、農畜産物の大規模かつ濃密な生産団地の建設に必要な農用地の開発、農業用施設の整備等の業務を総合的かつ計画的に行なうことにより、農畜産物の安定的供給と農業経営の合理化に資することを目的としているものであります。  以下その内容を御説明申し上げます。  第一章は、この法律の目的、法人格、事務所、資本金等総則に関する規定であります。  このうち、公団の資本金は、二億円と農地開発機械公団に対する政府の出資金に相当する額との合計額とし、その金額を政府出資といたしております。  第二章は、公団の役員及び職員に関する規定であります。  公団の役員の定数は、理事長一人、副理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内といたしております。  第三章は、公団の業務の範囲、その実施方法等公団の業務に関する規定であります。  まず、公団の業務の範囲でありますが、近代的な農業経営の成立のための条件を備えた農用地と農業用施設等とを有する農畜産物の濃密生産団地を建設するため、農用地等の造成を中核的な事業とし、これとあわせて農業用用排水施設の整備等の農用地の改良の事業及び畜舎等の農業用施設新設、改良の事業を行なうこととしております。  同時に、これらの事業とあわせて農畜産物の濃密生産団地の建設に必要な交換分合、災害復旧事業、農業用施設の譲り渡し及び農機具、家畜等の売り渡しの業務を行なうことといたしております。  なお、委託に基づき、農林大臣の認可を受けて、濃密生産団地の建設のための農用地の造成等の工事と密接な関連を有する工事を行なうことができることといたしております。  次に、公団の業務の実施手続について規定しております。  第一に、都道府県から区域を特定して農畜産物の濃密生産団地建設のための事業を実施すべき旨の申し出があった場合において、農林大臣は、その申し出が一定の要件を備えているものと認めたときは、所要の手続を経て、事業実施方針を定め、これを公団に指示することといたしております。  第二に、公団は、農畜産物の濃密生産団地建設のための農用地の造成等の事業を行なおうとするときは、事業実施方針に基づいて事業実施計画を作成し、事業参加資格者の同意を得る等の所要の手続を経た上、農林大臣の認可を受けることといたしております。  第三に、換地処分、交換分合または災害復旧事業を行なおうとするときは、公団は、換地計画、交換分合計画または災害復旧事業実施計画を作成し、所要の手続を経た上、農林大臣の認可を受けることといたしております。  第四に、農業用施設の譲り渡しまたは農機具、家畜等の売り渡しを行なおうとするときは、公団は、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けることといたしております。  第五に、農用地または農業用施設用地の造成、土地改良施設新設、改良等の事業に要する費用の負担につきましては、その一部を都道府県に負担させることができることとし、都道府県は、その負担金の全部または一部を、直接または市町村を通じて、受益者から徴収することができることといたしております。  第四章においては、公団の財務及び会計に関する規定を、第五章においては公団に対する農林大臣の監督に関する規定をそれぞれ設けております。  第六章及び第七章は、雑則及び罰則に関する規定であります。  附則におきましては、公団の設立手続、農地開発機械公団の解散等について定めております。  まず、公団の設立について、農林大臣が設立委員を命じて公団の設立に関する事務を処理させること等所要の規定を設けております。  次に、農地開発機械公団は、公団の成立の時において解散することとし、その一切の権利及び義務は、そのときにおいて公団が承継することといたすとともに、公団は、当分の間、農地開発機械公団の業務を行なうことができることといたしております。このような措置に対応して、公団に、先に御説明いたしました役員のほか、三年間を限り、理事二人を置くことができることといたしております。  なお、関係法律につき所要の改正を行なうことといたしております。  以上をもちまして、本法律案についての補足説明を終わります。
  43. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  それでは、本案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。
  44. 梶木又三

    ○梶木又三君 いま提案趣旨の御説明がございましたが、公団法の細部の御質問に入る前に大臣に一言だけお尋ねをしておきたいと思います。  この国会で、予算委員会等で食糧問題、特にこの畜産の問題がだいぶ問題になりました。物価の問題と石油の問題と同じくらいのウエートでいろいろ論議されました。大臣も、生産目標に向かって自給率を高めていく、あるいは価格についても再生産を維持できるように努力すると、常々御答弁があったわけでございますが、先般、畜産物の価格、加工原料乳と豚肉がきまったわけでございます。加工原料乳は七十円二十銭、それから豚肉は五百七円が安定基準価格になっておるわけでございます。前年に比べまして非常に大幅な増でございます。しかし、いまの畜産の飼料の問題は、結局は生産者の立場、それから一方では消費者物価へのはね返り、あるいはまた、財政支出等の限界、こういうからみで非常に御苦心をされた結果の価格と思うわけでございます。私は、ただいま申し上げました価格につきましては、非常に決断をいただいたと、一応高く評価をいたしておりますが、しかし、これで問題が解決したわけでないと思うわけでございます。生産者だって、まだ一部には不満を持っております。消費者の方々も、これからどんな値段になっていくんだろうか、あるいはまた、ほんとうにほしいだけ手に入るんだろうかというような心配も聞かれます。  こういう際でございますし、それから、ちょうど昨日、予算委員会の公聴会がございまして、東大の逸見教授が公述人で出席されました。私、逸見教授と意見は異なりますが、非常に国際協調的な意見を昨日は述べられました。そして、いまの飼料を含めて、輸入しておる食糧価格が、全般的なこの価格の高騰はこれはもういつまでも続くものじゃない。いつまでも続くと思うのは錯覚であるというような、きのう御発言ございました。この辺に、私若干疑問を持っておりますが、それはさておいて、こういう先生でさえも過度の修正というのは——こういう農業問題を一ぺんに修正というのは、摩擦なり、困難があるから、過度の修正というのは避けにゃならぬけれども、草地造成だけはもっともっとやらにゃいかぬと、こういう御意見でございました。だから、根本的に私は意見は異にしますが、しかし、いろいろお話を聞いている中には傾聴すべき御意見もございました。こういうことを踏まえて、これから公団をおつくりになって、大規模の畜産基地をどんどん建設されるわけでございますが、こういう自給飼料の生産これも含めて——もっと大事な価格問題もございますが、こういう問題を一切がっさい含めて、非常に私はいま生産者も、それからまた一般の消費者の方々も畜産に対して、あるいは酪農製品に対して、心配があるわけでございます。で、今後長期的観点に立って日本の畜産行政といいますか畜産対策、これを生産の面あるいは価格の面からどのようにやっていくか、この基本的な対策につきまして、ひとつ大臣の御所見を承りたいと思うのでございます。
  45. 倉石忠雄

    ○国務大臣(倉石忠雄君) 畜産、酪農は、わが国で自給度を維持拡大してまいろうとする食糧政策の中でも、一部はたいへん骨の折れるものであると思っております。御存じのように、五十七年を目当てに長期の目標を立てておりますその中でも、米をはじめ、野菜、くだものその他八〇%あまりの自給率を維持いたしたいという計画でありますけれども、ことに、畜産の中の肉類は、これは飼料の点から見ても、いろいろな面から見ても、かなり困難が伴いますが、これはやはり肉の不足はいま国際的な傾向であります。  われわれは、しかしながら米の消費量が一般にやや逓減しておる中でも、肉であるとか、野菜であるとか、そういうものの需要は逆に逓増しておるわけであります。しかも人口が増加するに従って消費量がふえるわけでありますから、ことし、かりに自給度が六〇とか、七〇とかであっても、来年はさらにいまの生産量だけだとすれば下がるわけでございます。そういう点から考えますと、食糧政策の中で畜産関係——酪農につきましては特段の力を入れなければ私は、自給度を維持という問題から見て、たいへん前途が悲観する結果になるのではないか。したがって、多々ますます弁ずるということでなければならないのではないかと思っております。  そういう意味から申しまして、やはり一がいに酪農、畜産と申しましても、酪農はこれはたいへん、今回飼料の輸入が高騰いたしてまいりましたので、経営の苦しさを訴えられ、私どもといたしましては、半面において消費者の物価に対する関心、また政府が国民の多くの人々の御期待にそむかないための物価安定政策を一面において考慮しながら、しかも大切な食糧部門の酪農について特段の配慮をいたした結果、今回のような決定を、審議会の答申を基礎にしてきめたわけであります。が、また、財政当局もその点は非常に奮発してくれましたし、それから生産者団体とも私どもは当初から緊密な連携をいたしておりながら、最終的にもよく御理解をいただいて決定することができましたわけであります。  そこで、やはり引き続いて私どもはやるべきことは、この酪農、畜産の生産力を維持拡大するということのために、飼料の必要な面を、できるだけ自給度を高めるということは、もちろんこれは並行してやらなければなりませんで、もう一つはやはり国内で低位利用、または未利用地で、そういう水田などにはだめだけれども、酪農、畜産には若干の改善を加えれば適地と見られるものを、できるだけ操作をいたしまして、長期的計画で百五十万ヘクタール程度のものを見込んでおるわけでありますが、その中でも、土地改良長期計画の中では、とりあえず十年の間に七十万ヘクタール、そのうち草地四十万ヘクタールというものを見込んでおります。これはもうすでに御存じのように、草につきましては長年の間それぞれの専門家に検討していただきまして、外国品種等でもわが国に適するものがかなり出ておりますし、草地につきましてはもう一般の農家、酪農家もよく勉強しておられるところであります。したがって、そういうことをいたしまして、酪農、畜産には特段の努力をいたしてまいりたい。こういう方針のもとに今回御提案申し上げました農用地開発公団というような構想が出てまいったわけでありますが、全国の方々からこれは政党政派というふうなことを抜きにいたしまして、この構想がこの国会に問題になりますころから、ずいぶん全国的に御熱心に御要望がございまして、いまとりあえずは全国に大規模のものは四カ所、その他畜産基地としては二十七カ所ほどの予定をいたしまして、これは、地元の御要望もございますものについて十分な検討を加え、可能な限り、これを採用していきたいと。それに合いますための飼料、飼料作物等についての供給について計画的にこれを進めてまいる。まあ一口に申せばそういう方向で将来の酪農、畜産に対処してまいりたい。このように考えまして、私ども食糧政策の中でも、なかんずくひとつこれに重点的に最善の努力をしてまいりたいと、こう思っている次第でございます。
  46. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 暫時休憩いたします。午後は一時から再開いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時十三分開会
  47. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  農用地開発公団法案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  48. 梶木又三

    ○梶木又三君 午前中大臣に、今後の畜産行政の基本的なあり方、これをお伺いしたわけでございますが、その中で、大臣いろいろお話ございました。この公団法をつくって土地開発をどんどんやっていくと、こういうお話があったわけでございますが、さて、この大規模畜産基地建設をされるわけなんですが、これから。農林省で、いままで基本調査とかいろいろやられておりますが、あるいはまた、土地改良の長期計画を立てる前に、いろいろ調査されたわけでございますが、そういう資料からして、農用地として、特に今回の対象になる草地ですね。その草地として開発の可能な面積、これはどのぐらいあるかということと、その面積をはじき出されるについていろいろ基準があろうと思うんですよ。傾斜度とか、あるいは——社会的な条件は別にして、自然的ないろいろ条件があろうと思うんですが、そういう調査基準について御説明願いたいと思います。
  49. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 農用地、特に草地につきまして、草地の造成可能といいますか、適地面積がどれくらいあるか、こういうまず第一点の御質問でございますが、その点につきましては、四十四年度に土地改良総合計画捕捉調査、これを実施いたしまして、そして農用地としての開発可能面積を把握した次第でございます。土地改良総合計画捕捉調査の際におきまして、農用地として開発可能な土地というものの基準といたしましては、月の平均気温がその作物の生育に適しているかどうか、それから傾斜が、草地の場合には二十五度というような一つの基準、その他については三十度というのがございますが、三十度なり二十五度以内であって、そして農業地帯として持続性がある、そしてまた、地域農業の動向に即しました主産地形成の見通しがあるかどうか。こういったような点を基準といたしまして、そして把握いたしました結果が、草地といたしまして約九十四万ヘクタール、なお農地については約六十万ヘクタール、合わせて百五十四万ヘクタールの農用地開発可能面積があると、こういうふうに把握した次第でございます。
  50. 梶木又三

    ○梶木又三君 去年十三兆の長期計画を立てられましたですね。あの中で、先ほど大臣からも説明ありましたけれども、今後十カ年間に農地三十万、それから草地が四十万ヘクタール、この造成を見込んでおられるわけなんですが、これはいま局長のお話の百五十四万町歩のおそらく中だと思うのですよ。だから、その百五十四万町歩の中から三十万町歩なり四十万町歩というのを、一番楽なところから、楽というか、経済的に安くできるようなところから、とっていかれたのか。まあ地域地域で大体とっておられるのかということと、それから長期計画では、七十万町歩の農地造成、それから草地は四十万なんですが、いま予定されておる公団で、今後十カ年間に、この四十万町歩のうちどれくらいやるおつもりなのか国営で——国営はいいですわね。この公団でどのくらいやるつもりか、その点について。
  51. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 先ほど申し上げました可能面積約百五十四万ヘクタールの中から、とりあえず四十八年から五十七年までの土地改良長期計画におきまして草地四十万、農地約三十万、計七十万ヘクタールを開発したい。こういうふうに土地改良長期計画で定めたわけでございますけれども、何と申しましても、やはり過去の造成の実績でありますとか、あるいは動向でありますとか、こういったこと、それからさらには地元の意向、意欲、こういったようなことから草地でいうならば九十四万の中で、今後十年間に可能であるというのを約四十万、こういうふうに押えたような次第でございます。  そこでこの四十万ヘクタールとそれから農用地開発公団で考えますその中での位置づけと申しますか、につきましては、御存じのように、四十四年以来広域四カ所につきまして、いわば技術的可能性を追求し、さらには地元の意向等を含んで可能性の非常に強まっているようなところ、こういうところを対象といたしまして、この公団事業として考えたい、こういうふうなことで進んでおります。そして現在のところ、すでに先行的なものといたしまして根室中部、それからさらには中標津、こういったところが、すでに先発工区として発足しておりますし、畜産基地で申しますならば、麓山等がすでに発足しているわけでございますが、今後十年間に、現在のような地元の意向等から見まして、どれくらいが可能であるかということにつきましては、農地につきまして、といいますか、広域農業開発のほうで約六万五千ヘクタール、それから畜産基地のほうで二万七千ヘクタール、大体合わせまして九万三千ヘクタール程度が今後十年間においてこの農用地開発公団によって開発し、そして広域営農団地化し得るのであろうというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、土地改良長期計画四十万ヘクタールのうちの約二三%が、この新公団の仕事というふうにわれわれは理解し、また期待しているわけでございます。
  52. 梶木又三

    ○梶木又三君 今後、公団でやられるのが十カ年間に、広域が六万五千ですか、畜産が二万七千、計九万三千、約十万町歩ですね。で、これは、仕事は、どんどんやっていただきたいと私も思うんです。ところが、一番問題は、今後、公団でこの仕事をやっていく上においての一番隘路といいますか、困難なこと、これは私は、土地取得だと思うんです。これは言うまでもないことですが、土地の価格がどんどん上がっておるので。これは農地だけでなくて、地方の山林原野、これなんかでも非常に高騰しておる。こういう状態のもとで今後やっていくわけなんですね。  そこで、農林省からいただいた参考資料、これの六ページに、この「耕地面積と草地面積の推移」というのが出ておるんですが、既耕地は減っております。四十三年の五百八十九万七千町歩から逐次減って、四十七年には五百六十八万三千町歩と、二十一万四千町歩減っておりますね。一方、草地は、十八万一千町歩から四十七年は二十八万八千町歩と十万七千町歩ふえておるんですよ。これは、現在の傾向だと思うんです。よく既耕地が壊廃する、これが問題になっておりますが、これはもちろん問題にしなければならぬのですが、私は、既耕地と言っても、優良農地もあれば——不良農地ということばは適当じゃないかもわかりませんが、優良農地もあれば、あまり農業用から見て優良ではない、こういう農地もあろうと思うんですよ。それから、また一方、農業以外の利用から見た場合に、農業よりは、ほかのものに使ったほうが社会的な価値が非常に大きい、こういう土地もあろうと思うんですよ。だから、私は、一がいに既耕地の壊廃がどうのこうのと神経質になって言う論者じゃないんです。優良農地をどんどんつぶせというんじゃないですよ、これは誤解をしてもらっては困りますが。どうしてもつぶれざるを得ない土地も出てくると思うんですよ。それよりも、私が問題にしたいのは、この草地が、十八万ヘクタールから二十八万八千町歩、大体十万町歩ほどしか過去五年間にふえてないというこの事実、このほうを私は、むしろ問題にしたいと思うんですよ。先ほど言いましたように、だから土地の取得、これはおそらく農林省でも、草地造成というものに、この公団法が出た今日に限らず、もう相当前から鋭意いろいろと努力されたと思うんですよ。予算の面もあろうかと思うんですがね。しかし、なかなかこれが計画どおり伸びていかないというのは、私は、土地の取得に問題があるのではないか、こういう気がするんです。  そこで、先ほども言いましたように、既耕地の壊廃、これはやむを得ない面もありますから、これからも私は、どうしてもとめることはできないと思う。優良農地は別ですよ。農業振興地域内に入っておる優良農地をつぶす、これはもってのほかなんですが。去年きめられたように、道路沿いとか、いろいろなところでは、もうつぶれていくのがいまの世の中の趨勢である。だから、それはそれとして、どんどん、どんどん未利用地、低利用地の開発が今後一番大事な問題になってくる。  そこで、この公団で——これは公団の事業だけじゃもちろんありません、先ほど言いましたように四十万町歩で、二三%が公団事業で、あとの七七%ですか、これが国営なり県営なりでやられるわけですからね、これも同じだけれども。国、県営の場合は、規模は小さいから土地も、公団で大規模にやられるほど取得がむずかしくないと思うのですよ。それから公団では、あとからまたお尋ねしますが、工事を一気にやっていく、でないとメリットが出ない。こういうことですから、土地の取得が私はほんとうに今後問題になってくると思う。  それで私の意見を申し上げたんだけれども、この草地がこういう調子にしか造成が伸びてこなかったという理由と、それからいままでるる申し上げましたように、今後の土地取得の問題——この公団をつくられた場合に、各県の農地保有合理化法人、これをも利用をするのだというお話も聞いております。だから、それなんかをどういうふうに使われて土地を取得されるのか、この具体的な方法、この二つについてお尋ねをしたいと思う。
  53. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 先生の御質問の第一点として、過去の実績の伸びがおそいではないか、こういうお話でございます。確かに旧土地改良長期計画、このときに草地開発として四十万ヘクタールを四十年から四十九年までに計画をしたわけでございますが、四十七年までに実績として見ました場合に、二十一万四千ヘクタールの草地開発がなされているわけでございます。しかし金のほうでは一〇〇%をこす投下、こういうことになるわけでございますけれども、草地開発といたしましては、この八年間における実績が二万七千ヘクタールと、こういうふうな草地の開発の実績になっているわけでございます。で、われわれ新しい土地改良長期計画におきまして、四十万ヘクタールをということを言っておるわけでございますけれども、やはりその問題の前提といたしましては、ことしのような物価抑制というような特殊事情は別といたしまして、この土地改良長期計画計画どおり実績をあげる、こういうことが、やはりわれわれ今後ともあらゆる施策を講じていくのに必要ではないだろうか、こういうふうに考える次第でございます。  そういうこととの関連もございまして、新公団の場合に、土地取得をどうするのだ、こういうお話になるわけでございますけれども、われわれといたしましては、この新公団におきます用地の取得につきましては、事業参加資格者がみずから出す土地以外の土地につきましては、極力合理化法人による土地の取得ということによって対処してまいりたいと、こういうふうに考えるわけでございます。すでに先発工区というようなかっこうで発足しております根室中部におきましては、あそこの道の合理化法人におきまして六千百ヘクタールの先行取得をしておった、これがこの問題を非常に可能にしている、またスピードアップしてできる一番大きな要因になっておることの経験にかんがみまして、今後とも合理化法人の活用によって対処してまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。したがいまして公団事業ということと直接の関係はございませんけれども、四十九年の予算におきまして——四十七、八と毎年無利子資金ワクとして二十億ずつの国庫補助を得ていたわけでございますが、四十九年におきましては、同じく二十億の国庫補助のほかに、おそらく中金資金になると思いますけれども、それの全額利子補給のかっこうによる無利子資金ワクというのを新たに二十億追加して創設したわけでございます。  したがいまして今後の問題としては、合理化法人のそうした事業費のワクの金のバーゲンといいますか、こういうことが広まったことも踏まえまして、今後とも公団事業が発足いたしましたときには、合理化法人あるいは市町村等と密接な連絡の中で先行取得するために、さらに一そう必要な予算措置は講じてまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。新たな無利子資金ワクというものが、いわば今後のこうした土地取得への一つの足がかりというふうに実は考えているような次第でございます。
  54. 梶木又三

    ○梶木又三君 いまお話しのとおり、合理化法人をうまく活用していただいて、スムーズな土地の取得をやっていただきたいと思います。特に、これは御答弁は要りませんが、大分の久住・飯田等では入り会い地の問題等でなかなか土地の利用というのはむずかしい問題がありますから、これはひとつ一生懸命取り組んでいただきたいと思います。  それに関連しまして、これは朝、午前中、森林法をやっておって森林法を可決したばかりで、ちょっと気がひける質問なんですが、どうも、朝までは森林をどんどん守れ、こう言いよった舌の根もかわかぬ間に、森林法の問題を出すのは、ちょっと気がひけますが、森林だって、必ず森林にしてずっと置いておくのは、いいかどうかという点もあろうかと思うんですよ。それでまた、われわれ、決議につけましたが、「開発規制措置については、保安林制度との連けいに努め、国土利用に関する諸計画との調和を図る」云々というのをつけたわけなんですよね。だから、国有林で、林業そのものとして大事な森林、あるいはまた、水源涵養林とか、国土保全に大事だとか、こういうところは当然守らにゃいけませんが、そうでないところもあろうかと思うんですよ。だから、大規模畜産基地をつくるについて、もちろん民地もからみます、それから——民地の話は先ほど局長からいろいろお話があったとおり、この民地と国有林の活用、こういうことも問題になってくるんじゃないかと思うんですよ。この点についてどういう調整を今後とっていかれるか、これについて一言御説明願いたいと思います。
  55. 降旗正安

    説明員(降旗正安君) 国有林の畜産的利用につきましては、先生御承知のように、国有林野の活用に関する法律、その規定に従いまして、適正かつ円滑な活用が進むように積極的に進めてまいりたいという方針でございます。
  56. 梶木又三

    ○梶木又三君 ありがとうございました。まあひとつその点でよろしく、うまくやってください。  今度の、この公団法の第一条に、目的が書いてあります。「農用地開発公団は、」云々ですね、「農畜産物の濃密生産団地の建設に必要な農用地の開発、農業用施設の整備等の業務を総合的かつ計画的に行うことにより、農畜産物の安定的供給と農業経営の合理化に資することを目的とする。」と、こうあるんですが、開発される基地は、これは北海道から九州まであるわけですわ、沖繩も入るやに聞いておるんですが。そうすると、まさに日本の南から北まで、北から南まで全部あるわけなんですよ。そこで、地域地域によってやはりいろいろ条件が違うと思うんですよね。相手は牛だから、牛飼うんだから、それほどの大きな違いはないと思いますがね。思うけれども、それでも、牛だって北海道の牛と九州の牛とはぼくは何か根性も違うと思うんだ。そういうことで、画一的にこの計画を立てた場合に、やはりうまくいかないことがあるんじゃないか。よくいままで、やはり画一的な基準で当てはめて開発やって、あまり成功しなかったという例もあるわけなんですよ。だから、これから、たとえば先ほど局長のお話の、いまやっておられる根室中部とか、あるいはまた九州の久住・飯田、ここらは同じ方式の開発方式じゃないと思うんですよね。だから、どのように——その地域地域において、社会経済的の条件も異なろうし、自然的な条件も異なろうと思うんですが、そういう条件に対してどういう開発方式をお考えになっておるか、それについてお伺いします。
  57. 大山一生

    政府委員(大山一生君) まことに御指摘のとおりだというふうに思います。いま現在われわれが着工しようとしているところ、あるいは全計あるいは精査地区というようなかっこうで事業化を急いでいるような地域におきまして四つのタイプがあろうかと思っております。一つは、酪農につきまして大型の大規模酪農経営をやる根室のようなタイプ、それからもう一つは、これはしたがいまして成牛ベースで五十頭規模の乳用牛でございますが、大規模酪農経営を創設していくというようなタイプ、それからもう一つは、北上あるいは北岩手というような地帯におきまして、成牛二十頭ペースぐらいの規模と、それからもう一つは、公共的共同経営というようなかっこうで粗飼料を供給する、あるいは肥育、あるいは何といいますか、繁殖育成といいますか、こういうような牧場を経営する中で、在来の農家の規模を拡大していくというようなかっこうのタイプ、それから同じようなかっこうになると思いますけれども、肉用牛につきまして、阿蘇・久住・飯田のような繁殖牛ベースで十頭規模、そして夏山冬里、こういったようなタイプ、それからもう一つは、中小家畜のふん尿を草地に還元する中で大家畜を飼っていく、まあ、畜産基地と称せられるタイプ、こういったような四つのタイプに分けられるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  いまのお話をもうちょっと具体的に申し上げますならば、確かに地域農家によって区々でございますけれども、酪農でいうならば、根室の場合につきましては、これは、現在あの地帯は、大体二十五頭から三十頭規模の農家があるわけでございますので、そこの農家を間引き——間引きということばは適当でございませんけれども、その中から、農家を新たな土地に入植させるかっこうで、大体五十ヘクタール、成牛五十頭規模に創設をしていく、こういうふうなかっこうがあるかと思います。それから北上・岩手あるいは阿武隈・八溝というところでは、先ほど申し上げましたように、二十頭を目標にしながら水稲等との複合的形態、こういうふうなかっこうで所得を上げていく、こういうふうなかっこう。それから肉用牛のほうでは、肉専用牛と乳用雄牛による場合があると思いますけれども、その場合におきましても、肉専用牛につきましては、いわば内地の三地区におきましては、またその中を、繁殖を主とするものと、それから肥育を主とするものに分けて、繁殖は、先ほど申し上げましたように、繁殖用十頭ぐらい以上、それから夏山冬里。それから肥育につきましては、三百頭規模の肥育牧場を創設して集団飼育をしていく。それから乳用雄牛につきましても、これは一部先ほど申し上げましたような個別経営の拡大というかっこうもありますけれども、肥育牛について、年出荷頭数三百頭程度、というような公営共同タイプ、こういったようなかっこうでやってまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。  なお、今後沖繩等が出てまいりますときには、それぞれの立地条件に応じたようなタイプということを、必要あれば考えざるを得ない。また考えていきたい。こういうふうに考えるわけでございます。
  58. 梶木又三

    ○梶木又三君 いまこの新公団でやろうとされている地区は、この公団のあるなしにかかわらず、新全総以来、農林省で広域農業開発基本調査をやっておられたですね。——全部あの地区ですか。
  59. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 広域農業開発というかっこうで、先ほど今後、十年間に六万五千ヘクタールというのを、とりあえずやりたいと、こう申し上げました部分というのは、四十四年のあの調査事務所を、北海道開発局、あるいは農政局に置きまして、技術的な可能性、さらにそれを自然経済的な条件まで加味して事業化を進めてきた結果の、とりあえずこの公団によって今後十年間にやりたいところ、というのがそれになるわけでございます。
  60. 梶木又三

    ○梶木又三君 そうすると、希望があればこの調査以外のところでも入れていただけますか。
  61. 大山一生

    政府委員(大山一生君) この考え方は、相当の未利用、低位利用の土地があって、なおかつ、そこにつきまして単に下物といいますか、基盤を整備するだけではなくて、その上のいわば上物まで一体的にやるような大きな事業地区があれば、その地区につきましては、今後とも考えてまいりたい。とりあえず、そういうようなものに適するところとして、全国四カ所について調査しておりました結果を実行しようというわけでございますが、そのほかに、畜産基地というようなかっこうで、上物も一体的にやる、こういうふうなことでございます。今後、この種の土地がほかにもあるということになりますれば、また調査をして、その技術的可能性から追求する中で、今後事業化するということも当然考えてしかるべきことであろう。こういうふうに考えるわけで、そういう点は、内地においては相当程度あり得るのではないか、こういうふうに考えております。
  62. 梶木又三

    ○梶木又三君 さっきの開発構想で、局長から四つのタイプの説明を受けたわけですが、結局四つのタイプはいろいろ組み合わせがあるけども——これはまあ当然な話だけども、畜産開発が重点ですわね。それで、農畜産物の濃密生産団地の建設と、こう言われておって、これは当然法律の先ほど目的にもあったんですが、——その前にこの濃密生産団地ということばなんですが、これは目的にも出ておるし、業務のところにも出ておるのだけれども、ことばの、ごろはなかなかいいのですが、よく内容がわからないので、ちょっと濃密に説明してください。
  63. 大山一生

    政府委員(大山一生君) この濃密生産団地というのは、整備された農用地あるいは土地改良施設等があり、それからまた、農業生産上必要な畜舎、サイロといったような経営施設もある。さらには農機具、家畜等の経営手段もあって、こういうところから、近代的な農業経営というものが効率的にある程度のまとまりをもって行なえる地域。こういうふうなところを濃密生産団地、こういうふうに称しているわけでございます。  したがいまして、その濃密生産団地の中身としては、先ほど申し上げましたように、酪農地域に置いてある場合、あるいは大家畜と中小家畜を組み合わしてやる場合、あるいは畜産物以外の作物を対象としてつくる場合と、まあいろいろの場合がそれぞれの事情に応じて出てくると思うわけでございますが、まあこういったような効率的な生産というものが近代的な経営によって行なわれる条件の整ったまとまりのある地域と、こういうのを濃密生産団地と称してるわけでございます。したがいまして、たとえば肉等でいいますならば、その中には集出荷施設というようなことも当然入ってまいりましょうし、それから将来の問題として考えるならば、産地処理施設といったようなことも将来の展望としては濃密生産団地の概念に入ってくるべきものであろうと、こういうふうに考えるわけでございます。
  64. 梶木又三

    ○梶木又三君 そうしますとね、先ほどの四つのタイプとからむわけなんですが、この畜産物以外に、ほかの作物との組み合わせもやったほうがいい。こういうことになれば——それを含めたほうがいま御説明のまあ濃密生産団地になっていくと、畜産もよくなる、それから、ほかの農作物といいますかね、これ全体含めた農業経営が、単独にやってるよりいいということになれば、今後そういう作物との複合経営ですね、これもどんどんとっていっていただけるかどうか、この点について。
  65. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 新公団事業方式というのが、先ほど来申し上げておりますように、まあ基盤から上物まで一体的に緊急に整備すると、こういうふうなことが一つの特徴になっているわけでございます。したがって、その意味からいいますと、未墾地が広く存在してる地域ということにおきまして、まあ畜産を基軸とした農業開発に適するところ、ということで当面いかざるを得ないだろうと、こういうふうに思っております。  ただ、その場合に、たとえば入り会い権の整理をその際やらなければできないようなところもあるかと思います。こういうところにおきましては、入り会い権者の全員が必ずしも畜産を指向してない場合もあり得る。現に大分等におきましては、一部は高原野菜をぜひやりたいと、こういうふうな意見もあるように聞いておりますので、そういった意味におきまして付帯的なものとして、いま畜産を基軸とするけれども、やるというようなことは当然あり得るだろうと思います。ただ、畜産以外のものだけの公団事業というようなことをかりに考えるといたしますと、上物、下物一体として行なうのを、急速に行なうことになじむようなものがあるかどうかということは、今後さらに詰めてみたいというふうに思いますが、もしかそういうものがありますならば、それらも当然公団事業として考えていいのではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  66. 梶木又三

    ○梶木又三君 私はね、この大規模畜産基地建設をやられますわね、これは相当な広がりを持ったところなんですよね。だから、そこで畜産基地をつくられるということになれば、私は必ず付帯的にというか、もう切り離せない既耕地の改良事業とか、それからそういう農業上の仕事以外にまあどの程度道路なんかやられるかしりませんが、この公団というか、農業サイドだけでできない道路との結びつきとか、こういう問題が起きてくると思うんですよ。  それで、これは私、持論なんだけれども、これは私もう前々から新しい村づくりということでね、別にこの畜産基地とは関係ないんですが、たとえばいまやっていただいているモデル事業だとか、あるいは総パとか、または、自然休養村なんかで、今度構造改善やってもらうんだね。ああいう山村開発事業とかいろんなものは、その地域の非常な発展になっていくんですよ。だから、ああいう小さな事業以上にこれは広がりを持った大きな事業ですから、当然そこへいろんな事業が付随してくると思うんですよ。もちろん、農用地開発公団だから、あるいは業務内容もはっきり法律で明示されておるから、あの業務内容以上に逸脱して仕事をすることはできないと思います。思いますが、——二十条ですか、業務内容は。
  67. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 十九条です。
  68. 梶木又三

    ○梶木又三君 「農用地の造成及びこれと併せて行う農業用施設(農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施設」、こういうことがありますからね、拡大解釈というか、これだけさらっと読むなら、先ほど言いました、いわゆる既耕地の改良、これなんかも入るんじゃないかと思うんですがね。地域内にあれば、これと一緒にやっていけるかどうか、これが一つ。  それから、先ほど何回も言ってるように、大きな地域開発ですから、この際、この事業をやるときに、言うなれば大きな一つ地域の村づくりみたいなものなんですよね。だから、ほかの機関にお願いして、これはもう文教施設もあれば、私は、厚生施設等も要ると思うんですよ。そういうようなものも実施計画の段階、こういうときに考えて、それでそういうやつはぜひひとつ同時に進めていくと、こういうことが必要だと思うんですがね。この二点についてひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  69. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 根室中部の場合、かりに例としてとりますと、あそこで、とりあえず十年間で二万一千ヘクタールの農用地を造成して、その上に上物もつけまして、そして五十頭規模の入植農家を持ってまいる、こういうことがまず第一として出てまいります。その結果といたしまして、根室中部に現在おる農家が、そういうふうなかっこうで間引きされますので、その間引きされた地域におきましては、いわば同時に並行的に交換分合等も含め、あるいは換地も含めて、既耕地についてのいろいろな施設もあわせ行なってまいる、こういうことに相なるわけでございます。したがいまして、そういう意味において、この十九条の一項の一号あるいは一号のイなりロにありますのは、その農用地の周辺にあります既存の農用地、あるいは混牧林等の利用ということについてのことは公団事業として行なえる、こういうふうに考えておる次第でございます。  そして、地域の村づくりと、こういうふうな意味におきまして、たとえば飲雑用水の水を持ってまいるというときに、そこの集落に対します水道事業もあわせ行なうと、これは委託を受けて、というかっこうの、この十九条で申し上げますならば、十九条の二項に該当するようなことに相なるわけでございますけれども、そういう水道事業をあわせ行のうというようなかっこうでの地域の村づくりということを公団が行なうことは可能であるというふうに考えております。ただ、公団法のたてまえといたしまして、いわば農産物の安定供給ということにしぼり込んでおりますので、広い意味におきます村づくり、先生が先ほど言われました総合モデルでありますとか、あるいは広域農道的な事業でありますとか、こういうことまでは公団事業としては実は考えておらないわけでございます。その点につきましては、当然こういうところにこういうふうな新たな上物も含めた大きな集団ができるわけでございますので、それにつきましては、既存のそれらの施策をあわせ並行的に優先的に採択するというんですか、というようなかっこうで、その地帯の、地域の村づくりをしてまいりたい、こういうふうに考えるわけです。
  70. 梶木又三

    ○梶木又三君 少なくともですな、道路網の整備ですね、いま広域農道はこの範疇に入れないというお話なんですがね、畜産物をつくっても、これはやっぱり搬出というのがあって初めて、経営が成り立つわけなんですね、うまく。これはまあ少なくとも私の希望とすれば、大規模農道ぐらいは、また別途の事業をつけ加えるんじゃなくて、この事業の中でやっていただきたい気がするんですよ。その点について重ねて局長の見解をひとつ。
  71. 杉田栄司

    政府委員(杉田栄司君) 公団事業に何でも取り込めるようなことになれば、非常に効率的な運営になる、という点は確かにございますけれども、実は、道路全体につきましては、建設省所管という問題もございまして、建設省ともこの公団法の原案をつくる際には十分相談をいたしまして、国道、県道を含めまして、その地域道路網の整備については、事前に十分協議をして進めるということになっております。したがいまして、全体の道路の整備計画——まずその地域に最も理想的な形をきめて、そのうちから建設省所管のものについては建設省が優先的にやるというようなことに話がついております。  なお、当然いわゆる乳製品等の集出荷のための連絡道路というようなものも必要でございますかち、当然これら基幹的な府県道につながるやや大型の道路等はこの事業の中でやらなきゃならぬと思います。しかし、現行の大規模な広域農道、これにつきましては、それ自体が一つ施策として確立しておる関係もございますし、実態上は広域農道とやや似たものかもしれませんけれども、この公団事業の中でやる道路というのは、生産物の集出荷等に焦点を合わせて、この事業の中で連絡道路としてやる、ということになるというふうに思います。いずれにしましても、これだけの国家投資をするわけでございますから、最も効率的なやり方道路網等の整備をやっていくというふうにすべきであると考えておる次第でございます。
  72. 梶木又三

    ○梶木又三君 ぜひいま御答弁のように——どうしても一体的にできないということであればやむを得ませんが、とにかく建設省でも、どこでもけっこうなんですよ。この基地ができた場合に、その畜産物をうまく市場に持っていける道路網の整備だけは、ぜひひとつやっていただきませんと、私は、失敗すると思うので、重ねて御要望申し上げておきます。  それからちょっとこまかい質問になりますが、「併せて行う」というところですね、たとえば農業用施設ですね、これはどういうふうなものを考えておられるのか。
  73. 大山一生

    政府委員(大山一生君) ここで考えております農業用施設と申しますのは、畜舎でありますとか、あるいは監視舎でありますとか、避難小屋でありますとか、あるいは農機具を入れておきます倉庫でありますとか、そのほか集出荷施設等を考えておるわけでございます。
  74. 梶木又三

    ○梶木又三君 もう一つ。業務の中の五号ですか、「農機具、家畜その他農林省令で定める物の売渡しを行うこと。」こういうふうにありますが、農機具なんかはどういうふうな売り渡しをされるかということなんですがね。私の心配するのは、公団が一方的に機械買って、お前この機械で今後畜産経営をやっていけと、こういうおしきせになると、得てして遊離があるわけなんですよ、構造改善ですな昔の。最近だいぶんなくなりましたが、大きなコンバインを買って、そのコンバインが半分遊んでおる、あるいは農民が使いきらぬと。こういう問題が構造改善事業の発足当時は間々あったんですよ。だから、今度の公団が、農機具や——まあ家畜は公団が買おうと、梶木又三が買おうと、これは同じ家畜だから、これは問題ないと思うんですよ。問題は機械で、これはやはり今後、売り渡す人の意向とか、そういうふうなことを十分考えてやりませんと、公団の一方的なおしきせじゃ、私は、失敗すると思うんですよ。こういう点について、いま、農林省はどういう指導をされるかどうか。
  75. 大山一生

    政府委員(大山一生君) この機械あるいは家畜の売り渡しにつきましては、現在の農地開発機械公団が、共同利用模範牧場をやっております。その共同利用模範牧場事業として行ないます農機具の導入のしかた、これを参考にしたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、共同利用模範牧場の場合には、牧場の経営予定者といいますか、これの希望をもとにいたしまして、学識経験者の助言を得て機種をきめて、そして入れている。こういうふうなかっこうをとっております。したがいまして、今度の公団の場合におきましても、畜舎、サイロというようなものの農業用施設を整備しなきやならぬ、あるいはトラクターなり、牧草の収穫機というようなものを入れにゃならぬ、あるいは家畜も必要である。こういうふうなことで農民が希望するようなもの、その機種の決定なりにつきましては、当然、農協等とも十分相談する中で、これの実施を公団営で一元的に実施してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。本人が公団営でもらわないで、どうしても自分とこで買いたいということであれば、それはそれなりに近代化資金その他の施設資金を使ってやることも可能であるというふうに考えますが、こういうふうな機械なり、家畜の売り渡しという制度をつくりましたのは、公団には、いわば御存じのように、補助残は財投資金でございますので、その財投資金によって、いわば公団が買って売り渡しするということになれば、当然その売り渡しを受けた農民側から言いますならば、きわめて有利な償還条件のもとで買えると、こういうふうなことになりますので、農民が希望するならば、そういうかっこうでやってまいりたい、こういうふうなことでございます。したがいまして、どういう機種を入れるか、こういう問題につきましては、先生の御指摘のとおり、農家の希望を十分に取り入れたかっこうでやってまいりたい、こういうふうに考えるわけです。
  76. 梶木又三

    ○梶木又三君 最後に。こういう大きな事業をやるとき、だらだら、だらだらやっていると、なかなかメリットが出てこない、そこで負担金も大きくなっていく、こういうことなんですよ。それで昔、これは私もやっておったのでよく経験しておるんですが、国営事業を、一般の普通事業よりは速度を上げてどんどんやったほうが、若干の休耕料を出しても農民負担は軽いということ、そういうことで、御承知のとおり、あの特別会計で六〇%を五八%にして出発しましたね。で、あれは、普通の一般事業よりは速度を早めるという、そのほうが負担も安くなる、それからまた早く効果も出るということで、二%ぐらいの休耕料を払ってもいいんだということで出発したんですが、現実はだんだん、だんだん国営の特別会計を見ておっても、最初七年ということだったですが、いま何年ぐらいになっておるか知りませんが、大体十年とか、十何年になっておるんじゃないかと思うんですよ。こうなると、メリットがないわけなんですよ。だから、今度、公団で大がかりに畜産基地を建設されるとなれば、やはり集中投資をやっていただいて、早く仕上げる、それが一番、私、メリットが出てくると思うんですよ。  だから、一番最初に申し上げました土地の問題、まずやはり土地の確保ができるという前提に立って、これは努力をしてもらわなきゃいけませんが、土地の確保ができる、手当てができると、こうなれば、あとはもう資金の問題だけですからら、ひとつ集中的に投資をしていただいて早くやり遂げていただく。そうしませんと、メリットが出てこない、私はこう思うわけなんですよ、過去の例から見てね、国営事業のいま申し上げた特計の事例から見ても。だから、今後少なくとも十年間、先ほどお話のあった十万町歩を進めるについて、そういう方向でやるのかどうか、これをひとつお伺いしたい。
  77. 大山一生

    政府委員(大山一生君) 御指摘のように、新公団のメリットというのは、上ものも一体的にやるということのほかに、早急にそういう生産団地を創設するということが一つの大きな目的でございますので、そういうふうな趣旨に合うように進めてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それから地区ごとの事業内容なり、事業規模に応じまして、それぞれの工期というのをきめざるを得ないというふうに考えておりますけれども、現在、われわれが考えておりますのは、畜産基地の建設につきましては三カ年程度、それから広域で申しますならば根室、これは五百億以上の事業になりますので七年程度、そして、その他の地区についておおむね五年程度の工期でもってこれを完成さしたい。こういうふうなかっこうの中におきまして、いわば一般管理費的な負担を含めても、なおかつ、この公団事業のほうが農民負担は有利になると、こういうふうなことになるように考えておりますので、ぜひいま申し上げましたような工期で進みますように予算措置も講じてまいりたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  78. 梶木又三

    ○梶木又三君 ぜひひとつ、いま御答弁のとおりの方向で御推進願いたいと思います。  それで最後に、これはもう御答弁要りませんが、いまの機械公団から今度新しい農用地開発公団に移る、それは三年間の暫定期間を見ておられます。私は、特に希望いたしておきますのは、ひとつ円満に新しい公団に移っていただいて、三年後には、この新しい法律に基づいたすっきりした形で公団を出発していただきたいと、これを強く御要望申し上げまして質問を終わります。
  79. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  80. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、離島漁港整備計画に関する件を議題といたします。  本件に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  81. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 第五次漁港整備五カ年計画、そうしたものの進みぐあいを簡単にお聞きして、その中で、最近新聞紙上にもたいへん大きく報道されました離島粟島、新潟県粟島でたいへんな被害を出しましたそのことについて——これは一面、災害対策特別委員会で取り上げるべき性格のものかとも思いますけれども、とりあえずきょう時間をいただきまして、簡単に整備計画とあわせて大被害を受けた粟島漁港、これらの問題を中心にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、去年——もうきょうは四月の二日でありますから、すでに一年を経過いたしているわけですが、四十八年度、昨年度から始まりました第五次漁港整備五カ年計画、この実施状況、それとあわせて粟島の漁港整備計画を御説明いただきたいと思います。時間もあまりございませんから簡単にお答えいただきたいと思います。
  82. 矢野照重

    説明員(矢野照重君) お答えいたします。  第五次漁港整備計画は、四十八年度を初年度としまして、五十二年度終年の五カ年計画、その五カ年間に総事業費七千五百億ということで計画が立てられております。この中には、修築事業四千八百億円、改修事業千五百億円、局部改良事業五百億円、その他調整費、単独費等が見込まれております。初年度であります四十八年度におきましては、修築、改修、局部改良三事業合わせまして七百二億円の事業を実施しておりまして、その進度は一〇・三%になっております。四十九年度におきましては、現在予算審議中でございますが、一応事業費に直しましてほぼ七百六十億円ぐらいの事業ができるんじゃないかと思っておりますが、かりに七百六十億の事業を実施した場合に、第二年度までにおきます進度は約二二%となります。
  83. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 まだ、初年度が終わって第二年度目に入ったばかりでありますから、大した実績も出ていないということはよくわかります。いま一連の総需要抑制政策の中で、多少やはりそうした一つの国の大きな政策に順応した形のものも、予算面ではそういう意味では若干の制約を受けざるを得ないということも私よくわかりますが、ひとつ、これは答弁は要りませんけれども、政務次官御出席でありますから、政務次官にもひとつよく聞いておいていただきたいと思いますが、どうかひとつ、四十九年度予算はすでにきまっている、——まだ参議院でいま審議中ではありますけれども、一応の形がついておる。そうした中で、さっそく五十年度の予算要求の準備も進められることに相なるわけでありますから、初年度の進みぐあい、総需要抑制の中での四十九年度の予算の組み立て、そうしたものを踏まえて第五次五カ年計画が当初考えられたが、あるいはそれ以上のひとつ前進した考え方で五十年度予算というものを組んでいただかなければいかぬのではないか。一連の漁港整備計画をずっと考えてみますと、何かそうした中で五十年度の予算要求時にはある程度の見直しが必要なのではないか、こう私考えておりますので、ひとつお含みおきをいただきたいと思います。この点についてはお答えは要りません。含んでおいていただきたいというお願いをいたしておきたいと思います。  そこで、まあ粟島漁港は、この第五次五カ年計画の対象港であることは私も承知をいたしておりますが、これが相当な被害を受けた。三月二十二日から二十三日にかけてたいへんな騒ぎが起きたわけでありますが、ほとんど漁港は使用不能、こういうことが報道されているわけであります。しかもそれは高波によってということでありますが、その後の調査ないしはいろんな見方によりますと、どうも高波だけではない、いろんな理由があるようなんですね。そこで、あとでこれは建設省の河川局が来られましたら——まだ来ておられないですね。来られましたら、海岸線の問題等もお聞きをしたいと思いますが、漁港水域を含めた海底部分の調査というものをやっぱりしなきやならぬと思うんです。早急にこれは進めなきゃいかぬと思うんです。現地の状況を聞きますと、第二次災害というものすら予想されるような非常に不安な状況があるんだということを私ども実は報告を受けているわけであります。そういうことで、ひとつ粟島漁港の被害状況をどの程度把握をしておられるのか。その辺を中心にひとつ、これも簡単でいいですから、説明してください。
  84. 矢野照重

    説明員(矢野照重君) 粟島漁港の今回の災害によります被害につきましては、現在われわれが報告を受けておりますところによりますと、第一防波堤決壊三十メートル、第三防波堤決壊百八十メートル、防砂堤決壊百二十五メートル、海岸決壊百九十八メートル、これら合わせまして被害総額十六億円余となっております。また、これらの復旧につきましては、現在その原因調査を検討中でございますが、先ほどもお話にございましたように、従来水深が五メーター前後のところが十メーターないし深いところでは二十メーターというような非常な侵食といいますか、付近の砂の侵食という現象が見られまして、従来われわれが経験したのとは非常に違った状況を示しております。そういうことで、これらの原因につきましては十分調査したいと思っておりますが、とりあえず、まず深浅測量をやりたい、やるべきだということで現在すでに県のほうで実施しております。これらにつきましては、四月中旬ごろまでには、結果が出るんじゃないかと思います。また、合わせましてボーリング調査等も必要となれば実施したいということで現在検討中でございます。
  85. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 原因調査は、四月中旬ごろにははっきりしようかと、こういうことですね。——そうすると、これは失礼な言い方ですが、水産庁だけでいいわけですか。
  86. 矢野照重

    説明員(矢野照重君) とりあえず四月中旬までと言いますのは、深浅測量を行ないまして、この漁港整備に着工前に測量しました図面と比較しまして、どういうふうな海底の状況になっているかということをまず見まして、それに基づいて次の段階として、さらにどういう調査をやるかということを検討したい。とりあえず海底の状況がどういうふうに変わったか、ということを調べたいということでございまして、この調査につきましては漁港区域のみならず、付近の海岸線も合わせて実施するということで進めております。
  87. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 そこで、私は水産庁にお願いしておきたいのは、被害額は十六億だが、これは、金額の問題ではなくけ、離島振興法という法律があって、そして離島について特別な措置を講じようという中で——この場合は漁業中心の離島である、そうしたときに大きな被害を受けた。さてそのときに、これを機会に、たとえば漁港あるいは防波堤とか、そういうものを含めて漁港の整備をやるのに、原形復旧をすべきか、改良復旧をすべきかというのが、これは大きな問題となるわけです。で、企画庁からわざわざ来ていただいたのも実はそこに理由があるのです。そこで、私は、やはり改良復旧をやるべきである。その場合、私は、第五次漁港整備五カ年計画の対象漁港であったそれが、こういう災害を受けた。そこに離島振興という問題を含めてどう措置をしたらいいんだろうか、具体的には、改良復旧のやり方を企画庁と水産庁が効率的に何か取り運ぶ方法はないのであろうか、こういうことを私は考えるんですが、企画庁いかがですか。
  88. 青木良文

    説明員(青木良文君) いま先生から御指摘のございました粟島は漁業の島でございます。したがいまして、私たちとしましても、その振興のために鋭意努力をしてきたわけでございますが、今回災害を受けました結果、非常な被害を受け、それで、この漁港の修築計画につきましては水産庁とも十分協議をし、あるいは関係省とも協議をして、前向きにひとつ取り組んでまいりたいと、かように考えております。で、応急対策としては、いまお話のございましたような災害復旧で進めさしていただきたいと思います。
  89. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 応急対策は、これは災害復旧でひとつぜひ関係各省が進めることであります。それとは別に、ひとつ離島振興というものをこの機会に——災害復旧事業の中での改良復旧すべき部分、そういう要望については、企画庁が、積極的に離島振興予算をかさ上げして積み重ねてひとつやっていただく。これは原因やなんかもこれからいろいろはっきりしてくるでしょうし、いろいろな考え方があろうと思いますけれども、いま、企画庁としても積極的に離島振興という問題も、この機会にあわせて努力をしたいと、こういうことでありますから、非常に私はけっこうだと思います。そのお答えをいただければけっこうでございます。  そこで、政務次官もお急ぎのようでありますから、あと——私、実は養殖施設だとか漁具、その被害等についても聞きたいんですが、それはまだ来ておりませんな。——来ていますか。それじゃ、養殖施設、漁具、そうしたものの被害状況とその対策を簡単にひとつ話をしてください。
  90. 平井義徳

    説明員(平井義徳君) それではお答えいたします。  粟島浦村と、それから若干その他の、小木町その他を含めまして、被害といたしましては、いろいろな被害がございますが、底びき網あるいはワカメ養殖その他を含めまして、全体で一億六千三百万ということになっております。詳細については必要があればお答えをいたします。
  91. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 それで、どうですか。この養殖ワカメだとか漁具だとか、こういうものは個人施設ですね、民間施設ですね、言うなれば。ですから、これに対する救済措置、これは——私、もう時間もございませんから私のほうから具体的に申し上げますが、やはり手っとり早いのは特別融資ですね。天災融資法並みの特別融資、これはできるかどうか。その辺のことをどう考えておられますか。
  92. 平井義徳

    説明員(平井義徳君) ただいま天災融資法並みの特別融資を措置すべきではなかろうかという御意見がございましたが、われわれといたしましては、県当局といろいろ相談をいたしておりまして、いまのところ、制度上の低利資金としまして、たとえば公庫であるとか、あるいは近代化資金という形で、県のほうは何らかの措置をしたいというふうに考えておるように聞いております。
  93. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 その場合ですな、天災融資法並みの特別融資がどういう形でできるか。たとえば利子補給とか、そういうことも考えておると、そう理解してよろしいですか。これ県だけにまかしておかぬで、いろいろな全国の事例があるわけでありますから——かつては千葉の問題もありましたし、あるいは新潟港沖のジュリアナ号事件、タンカー事故等の問題もございましたし、その場合の漁業補償問題、そういうこともいろいろありましたから私申し上げるのだけれども、そういう全国にいろいろな問題がございましたから、そういうことでやっぱり県に対しても徹底した行政指導をひとつやっていただきたい。そういう意味で具体的に特別融資の問題は考えられないか。特別融資という問題の中に、たとえば利子補給という問題も含めて指導しょうと考えておられるのか、話し合っておられるのか、それを聞きたいわけであります。
  94. 平井義徳

    説明員(平井義徳君) いま従来の、いろいろな例があって、それで、そういうものを検討して、参考にして措置したらどうか、という御意見がありましたので、われわれといたしましても、いろいろな事例等も勘案いたしまして、どのようにしてまいるか、検討はいたしてみたいというように考えております。
  95. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 よく検討して——いろいろな例がありますからね。できれば、これは融資で救うよりしょうがないと思うのですよ。ですから、それ以外方法がないと思うものですから、お願いをしているわけなんで、ひとつよろしくお願いします。  そこで、政務次官お急ぎでありますから、一言だけでも答えていただきたいと思いますが、たまたま第五次漁港整備五カ年計画、この対象漁港がこういう大被害にあって、ほとんどその機能を喪失しておる。こういう現状でありますが、これはやはり何がしかの手直しをするとか——これだけの事態、先ほど来お聞きのようなたいへんな被害を出しているわけでありますから、非常に局部的な、日本全部を考えれば局部的な問題ではありますけれども、しかも第五次漁港整備五カ年計画という大きな問題に取り組む姿勢として、計画計画であっても、事情の変化によって、それをひとつ実情に合うようにやっぱり手直しもしていかなければいかぬ。そういうこともあろうかと思いますので、そういう意味で、農林省、水産庁において、このたびの粟島漁港に関してどういう取り組みの姿勢を持とうとしておられるのか、そのかまえを、特にいま融資等の問題につきましてもまだいろいろこれから議論し、詰めなければいかぬ問題もあるようでありますけれども、そういうことも含めてひとつ答えていただきたいと思います。
  96. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) ただいま御質問がございました粟島漁港は、第五次漁港整備計画において、事業費十二億円をもって防波堤、岸壁等を整備することになっておりました。今回の被災しましたのは、そのうち、泊地への漂砂の流入を防止するために建設中であった第三防波堤がおもなものであると存じております。御指摘のように、今回の漁港施設の被災原因、復旧工法の検討を含み合わせまして、粟島漁港の整備計画について、根本的に再検討を行なって、第五次漁港整備計画において想定しておった漁港の機能が低下しないように、万全の対策をはかっていきたいと考えております。
  97. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 政務次官どうぞ。
  98. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 そこで、話は先ほどちょっと触れましたが、漁港部長、ちょっとやっぱり一緒に聞いておいてください。漁港の海底も含めたあの水域の、私どもが聞いておりますのは、延長沿岸四百メーター、沖合い百メーターから百二十メーター、その部分について、ただ高波で洗われたということだけではなしに、陥没があるのではないか、こういうようなことを漁民も心配をしておるわけであります。そういうことでありますので、海底の、漁港部分の海底の調査は、水産庁でも、先ほどこれからもいろいろ測量をしたり調査をよくきわめたい、こういうことでありますが、これは、建設省河川局で、やはりこのことについても、相当突っ込んだ調査を願わなければいかぬのではないか、こう思うんですが、いかがですか。
  99. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 今回の粟島の災害でございますが、これの建設海岸関係の被災個所と申しますか、これは、漁港にすぐ隣接しております、比較的漁港区域に比べるというと範囲が狭い区域でございます。それでこの基本的ないろいろな調査、原因等の調査、これはまあ主として漁港関係のほうに実はお願いしているわけでございまして、われわれのほうといたしましては、現在この被災個所の復旧につきましては、応急的な工法を、現在応急復旧をやっております。本格的な復旧工事につきましては、ただいまお話ありました基本的な原因等の追及、これは水産庁のほうに主としてお願いしておりますが、われわれのほうといたしましても、これに協力いたしまして、おそらく原因としては同じことでございますので協力いたしまして、その結果等を見まして技術的な検討、これを十分相談いたしまして、われわれのほうとしても、本格的な復旧をやりたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、調査そのものにつきましては、われわれのほうといたしましては、やはり主であります農林省関係のほうに実はお願いしているということでございます。
  100. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 実は、あなたが来られる前に、二次災害の危険もあるという話を私はしておったんですが、そういう意味で、現地では非常に神経質になっておりますので、たとえば海岸線に大量のテトラポットをひとつ入れてくれないかとか——これはしろうと的な考え方なんで、技術的に見ればあるいはおかしいのかもしれません。私どももよくわかりませんけれども、そういうようなことも私どもに言ってきているんです。そうすると、たとえば海岸線四百メーターについて、これは近い将来、暫定的には大量の、応急的には大量のテトラポットを投入するとか、その他の方法があるのかどうかわかりませんが、少なくとも海岸線に堤防を新設するぐらいの心組みは、まあしろうと考えでもその程度は当然だなというようなことを言われておるんですが、これは役所として、それじゃ建設省として、何メーターのどれだけの堤防をつくりますなんということを、ここでは言えるのか、言えないのかわかりませんけれども、しかし、あれだけのものが被害を受けて、しかも二次災害も予想されておる、きわめて危険な状態にあるというときでありますので、答えられるだけの最大限の答えを、見通しについてしていただきたいと思うんです、海岸線について。
  101. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 建設海岸といたしまして今回被災した個所は、実は百三十メーターほどになっておりまして、これに対しましては、現在先ほど申し上げましたように、応急的な工法といたしまして鉄線じゃかごで約九十メーター、それから土俵積みでもって四十メーター、これは応急でございます。こういうことで、臨時的な措置を講じたいということで現在やっておるわけですが……。
  102. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 それはいつごろまでにやれますか。じゃかごやなんか、いつごろまでに大体……。
  103. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) あと十日ぐらいで完了いたします、応急工法につきましては。それで、本格的な工事につきましては現在工事内容を検討中でございます。実を申しますと、この付近には四十八年度海岸保全事業として、新規着工で、四十八年度中ということで実は一部工事を始めていた。工事といっても、現地にはいたしておりませんで、ブロック製作等を終わっておるわけでございます。それで、そういう海岸保全事業とあわせまして、その復旧事業の本格化とあわせて措置したい。それで、これは何メーターの実は海岸堤防をつくるかというような話——これは海岸堤防というのは私の直覚的な考えでは、ちょっとまあそういう海岸堤防というような問題じゃなくて、やはり根固めと申しますか、そちらのほうを強化することが必要なんじゃないかというふうに考えております。しかし、いずれにしましても、その本格的な復旧工法については調査の結果等待ちまして、十分水産庁のほうと連絡をとりまして考えていきたいと思います。
  104. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 これは予算的には海岸予算でできますか。
  105. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 本格的な復旧につきましては、被災部分につきましては、当然これは災害復旧工事費でやります。それから、ただそれに隣接いたしまして海岸保全事業のあれもついておりますから、これもつぎ込みまして、これは被災個所じゃございませんけれども、そちらのほうも強化していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  106. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 そうすると、結果的には、改良復旧的なものができるというふうに理解しておいていいわけですか。
  107. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) はい。
  108. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 四十八年度に事業はしていなかったけれども、事業の準備はしておったという部分も一部あると、その他の部分もあると、今度被災を受けた部分もあると。それを全部合わせて、結果的にはまあ改良復旧と言っちゃいけないのかもしれないけれども、とにかく両方の、災害予算、それから海岸予算を含めたものでやろうとしておる、こういうことでいいわけですか。
  109. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) 現在の災害復旧の考え方自体がこれを改良復旧でございます。再度災害防止という意味で改良復旧をやっていく。しかし被災個所以外、これのほうの一般の海岸保全事業といたしまして、現在ついている分は、つぎ込んでいきたいというふうに考えております。
  110. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 これは私ちょっとしろうとでわかりませんが、離島振興上の海岸線の整備、そういうものとは関係ありませんか。
  111. 松村賢吉

    政府委員(松村賢吉君) その離島振興の一環であります海岸保全事業でございます、現在ついておりますのは。
  112. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 わかりました。先ほど企画庁ではえらい前向きな答えをしておられますから、どうかひとつ離島振興予算とも含めて十二分にいいものができ上がるようにひとつお願いをいたしておきたいと思います。  それから原因調査について、ちょっと話が前後して恐縮でありますが、実は三十九年の新潟地震、これとの関係があるのではないかとかという、これもまああるいはしろうとの考え方かもしれませんが、そういうことも言われておるので、水産庁に調査——海底調査については水産庁にまあまあまかした形というお話でありますが、建設省と水産庁だけで話し合って進められるのかな、というような私ちょっとそういう懸念を持つんです。その点は中央防災会議に出ておられますので答弁要りませんが、成り行きによっては、もう少し関係省を間口を広げた形で、あるいはお調べをいただかなければいかぬ時期がくるのではないかというような気がするのです。これはほんとうに感じで申し上げて恐縮でありますけれども、それをひとつ、含んでおいていただきたいと思います。  それから、ついでに中央防災に聞いておきますが、現地では、局地激甚の適用を頼むというような声があったわけですが、この間、水産庁、建設省で出かけられた査定官ももうお帰りのはずでありますが、局激の関係はどうですか、見通しは。
  113. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) お答え申し上げます。  現在、県及び関係省庁から、粟島浦村の被害が報告されておりますが、おもな被害といたしまして、村役場の倒壊、あるいは保育所、あるいは漁港、それから海岸——これは漁港海岸及び建設海岸等でございます。それから村道——大体二十億程度被害になっておりますが、先生御案内のとおり、局地激甚につきましては、市町村管理施設の災害復旧、これが当該市町村の標準税収入を越え、かつ、一億円以上の被害ということになっておるわけでございます。漁港及び海岸につきましては、県管理の事業ということになっておりまして、市町村管理施設といたしましては、保育所及び村道等がございます。これの被害は大体三千万ぐらいというふうに、現在、県のほうから御報告がきております。したがいまして、その局地激甚の基準に達するにはちょっとむずかしいんじゃなかろうかというふうに、現在、推定しておりますけれども、なお、今後の調査を待って検討してみたい、こう考えております。
  114. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 だいぶ時間が、予定の時間よりたってしまいましたから、はしょってやりますから。そうすると、局地激甚というのは、なかなかむずかしいな、という私なりの判断というか、推測をするわけでありますが、たとえば局地激甚が適用にならなかった場合の措置、それが十二分にできれば、別に局激にこだわる必要はないのであって、そういう意味で——自治省は栗田参事官来ておられますね、——自治省にもお尋ねをしたり、それから、全部一緒に一本にまとめて質問をいたしますから……。それで終わりに、最後に、総理府に一言だけお聞きして終わりたいと思いますから、御協力を願います。  あそこで、一番、新聞報道でも大きな話題になったのは、高波によって庁舎が——役場が実は海の中にのめり込んだ形になりまして、皆さん御存じのとおりでありますが。あの庁舎の中に、実は公民館もあれば、粟島浦村の総合開発センターもあれば——これは県管理のものだと思いましたが、それからまた、僻地の出張診療所というものもあれば、また、その庁舎の隣には保育所がある。これもやられておる。こういうことで、保育所あるいは僻地出張診療所のことになりますと厚生省、それから公民館のことになれば文部省、そういうことで、あと総合庁舎を建てることに——もうこれは建て直さなきゃいかぬわけでありますから、そのこと自体についても、これは県とそれから自治省がからんでくるわけでありまして、これ全部一緒にひとつお聞きをいたしますので、各省ごとに一言ずつ、取り組み、こう考えておる、というようなことが、言えれば言っていただければ幸いだと思います。特に、私、お忙しいところを、関係各省庁にこうして出てきていただいたのは、統合庁舎という形で、おそらくこれから復旧しなきゃいかぬのだろうと思います。小さい島でありますから。そうした場合に、やっぱり横の連絡を十二分にとってやっていただきたいという気持ちがあるからでありまして、そういうことでお尋ねをいたすわけであります。  まず、厚生省は保育所を——保育所がだめになったわけでありますから、これをどう指導をされるつもりであるか。現地では、さっそくこの四月から、子供たちの問題でもありますし、仮設のものをとりあえずやったらどうか、というようなことで、見積りをしたら、千二百万もかかるという見積りが出てきたということを、私、聞いているんです。それじゃ、そんなかかるんだったら、仮設なんというんじゃなくて、本建築のものをやって——その間どっか場所を、仮の保育所を見つけて、そして本建築にすぐとりかかったほうが、むだがないようだというような話も実は漏れ聞いているわけでありますが、そのことについてひとつお聞きしたいし、同時に、僻地の出張診療所、これも大事な施設でございますので、統合庁舎の中に入れるとするならば、どんな形で入れようとか、あるいは統合庁舎の中へ入れる、入れないという話を、どういうふうに考えておられるのか、そのことをひとつ厚生省からお聞きをしたい。  それから、文部省からは、公民館のことについて、文部省は、社会教育課長さんが出席のようでありますけれども、どう考えておられるか、ひとつお聞きをしたい。  それから、自治省からは、局激がなかなか適用にならないとするならば、いま言ったような保育所とか、村道なんというのは、これが一体どうなるか、ということが心配をされる。そうなると、もう勢い統合庁舎にしても、起債という問題が大きく出てくるわけでありますね。この起債の点についてどう考えておられるか。これは具体的にあがってこなければわからないよ、ということではなしに、概略もうわかっておられるわけでありますから、こういう方向でやるよ、というようなお答えをいだだければありがたいと思うし、それからこれは四十八年災になりますね、——四十八年度の特交というのはもうすでに終わっておる。そうすれば四十九年度の特交というと四十九年度末になるわけですな。そうすると一年間何かめんどうを見てやるかもしらないが、まあ一年間待てや、ということではなしに、なるべく早く、年度末になれば四十九年度特交としてこの程度見てやることができると思う、という程度の内示は、早目にひとつ県を通じて言っていただかないと、ありがたみがないというだけではなしに、ほかの予定が立たなくなるわけです。そういうことでその特交の問題についてもひとつ自治省から触れていただきたいと思います。起債の問題それから特交の問題。起債の問題というのは交付税の問題に関連してまいります。そういうことで特別の配慮をしなければいかぬな、ということについてのお答えをいただければありがたいと思うわけであります。  それじゃ、厚生省、文部省、自治省の順でひとつお答えをいただきたいと思います。
  115. 岩佐キクイ

    説明員岩佐キクイ君) ただいまの粟島浦村の保育所の流出事故によります復旧対策でございますが、ただいまの復旧の関係につきましては、国庫補助の問題を考えておるところでございますけれども、具体的に復興計画がどのように進められておるかというふうな問題を検討いたしまして、今後の国庫補助の対象としてまいりたいと思っておるわけでございます。それはたとえば保育所の敷地につきましても、流出あと地というのでは、やはり問題があるわけでございまして、新たにどこの敷地を求められるのか、そうしてそこにどのような構造のものを建てられるのか、あるいは定員等につきましても、現在入っておりますのは二十八名でございますけれども、もちろんここにおきましては、小規模の三十人の保育所をつくる対象にはなっておりますし、したがいまして、国庫補助の対象にもなるわけでございます。しかし、今後の全体計画を考えられた場合に、あるいは少し大きなものをつくって、そうしてその他の子供を入れたいというふうな話も一部現地においてあるやに伺っておりますので、それらのものを全部踏まえました復旧計画というものを具体的に立てていただいた上で、私どもも積極的に国庫補助の対象としていきたい、このように考えております。  それから、局地激甚災の指定を受けませんでも、離島振興法あるいは過疎地域特別対策措置法の指定を受けておる地域でございますので、国庫補助につきましては補助率の高い補助ができるようになっておりますので、対象にならなくとも復旧対策としては考えられるというふうに考えております。
  116. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 僻地診療所の再建の点についてお答えをいたします。  粟島浦村の僻地の診療所は、四十六年度に総合庁舎ができましたときに、その中の一部としてできたわけであります。そのときに国庫補助をしているわけでございます。僻地診療所の整備につきましては、従来から僻地診療所の整備費という国庫補助を持っているわけでございます。御要望の点につきましては、やはり今回の総合庁舎の中に復旧したほうがよかろうというふうに県も考えているようでございますし、私どもも、そのように考えておるわけでございます。したがいまして、できるだけ国庫補助額が多くなるように、どういう形でいくか、僻地診療所の一般整備でいくか、災害復旧でいくか、いずれにいたしましても、できるだけ国庫補助の額が多くなるように検討いたしたいと、こう思っております。
  117. 澤田徹

    説明員(澤田徹君) 粟島浦村の村立公民館でございますが、これは先ほど先生おっしゃいましたように庁舎の一部、二階を使って設置されて、四十六年度に設立されましてございます。この被害状況につきましては、私どものほうでも、調査を依頼しておるわけでございますが、この復旧につきましては、庁舎の一部ということでございますれば、庁舎全体の復旧にあわせて関係各省ともよく御相談してまいりたいと存じております。なおまた、これを公民館として別個の施設として設けたいと、こういうふうな御希望でございましたら、私どもこの予算の額の範囲で前向きに善処したいと考えております。
  118. 栗田幸雄

    説明員(栗田幸雄君) お答えいたします。  まず起債の問題でございますが、庁舎あるいは保育所、公民館といったようなものにつきましては、単独の災害復旧事業債がございますので、これの適用について十分検討してまいりたい。これが適用になりますと、その元利償還の九五%の三割でございますから二八・五%が普通交付税で措置をされるということになりまして、当該村の財政に寄与できることになるのではないかと、このように考えております。  それから特別交付税のほうでございますが、いま御指摘のありましたように、四十九年の災害でございますので、四十九年度の特別交付税で考慮するということになります。なるべく早く内示でもできないかということでございますが、全体の特別交付税の額なり、あるいは今後における災害その他の特別の財政事情が、どのようなものが全国的に出てくるか、といったようなこともありまして、なかなか事前に内示をするということはむずかしい問題でございますが、先生の御趣旨は十分わかりますので、復旧事業を具体的に相談していく段階で、ざっくばらんに村なりあるいは新潟県と御相談いたしたいというぐあいに考えております。
  119. 佐藤隆

    ○佐藤隆君 まあそれぞれ御丁寧なお答えをいただきましたので、これ以上申し上げませんが、ひとつ調査の結果を待って、一番有利な方法でそれぞれ措置をしていただきたいと思います。  特に、自治省に再度お願いをいたしておきますが、これは内示をすると言ったってなかなか——特交なんて年度末に内示をして実施をするのに、その前に内示をせいと言ったってなかなか無理でありますから、——私の気持ちはもうわかっておられるということでありますからあれですが、何か内示で、ほかの計画から、計画をしたところに漏れたものを救う——漏れているものは年度末に救い得るんだ、というようなことばだけでもあれば、これはもうみんな安心してそういう計画が組めるわけでありますから。そういう意味で、数字は示さなくても、内意を伝えるという方法もございますし、もうおわかりだろうと思いますので、これ以上申し上げませんが、ひとつよろしくお願いをしておきたいと思います。  たいへん予定の時間よりオーバーして申しわけございませんでしたが、とにかくこの粟島浦村——小さな島ではございますが、標準税収わずか四百万程度の小さな村で二十億からの被害を出しておる。しかもこれが全部国家財政にたよらざるを得ないという、こういう大きな被害を受けた。しかも第五次漁港整備五カ年計画、その中にあって、たいへんな事態になっておる。こういうことで、実は小さな問題ではありまするけれども、こうした国会審議の場で、やはり一応こういうものも取り上げて、一応のお考えをただしておくべきである、こういうことでお伺いをいたしたわけであります。特に関係各省庁、こういうことになりますと非常に多くにわたりますので、中央防災におかれてはひとつ、いまそれぞれもう水産庁と建設省はそれぞれ話し合っておる、あるいは離島振興とのかね合い、過疎とのかね合いにおいては、企画庁とそれぞれがまた話し合われることになる。こういうことで、いろんな横の連絡調整が必要かと思いますので、中央防災会議は、やはり局地激甚の適用がなされないとしても、ひとつ、そういう面でのめんどうは見ていただきたい、こう思っておりますが、この種のことについての中央防災の考え方をお聞きして、私の質問を終わります。
  120. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) お答え申し上げます。  ただいま佐藤先生の御質問ございましたように、大きな災害だからわれわれ中央防災会議が乗り出して、小さな災害には乗り出さない、ということじゃございませんで、やはり小さな災害でも災害という以上、関係省庁に非常に多岐にわたるということがございます。したがいまして、小さな災害におきましても、それが万全に復旧されるということを主眼点にいたしまして、われわれ絶えず関係省庁と連絡をとり合いながらその復旧に万全を期してまいりたいという覚悟でおります。
  121. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十七分散会      —————・—————