○神沢浄君 長官、私は非常にこれは重大な点だと、こう思いますのは、まあ
民有林にまで拡大して乱伐、
乱開発などを
防止はできると。しかしまあ、こういう言い方が適当かどうかしりませんけれども、ざこはとらえられるけれども呑舟の魚はつかまらないというような
法律では、あまり、ほんとうに
日本の山を守っていこうということにはならないのじゃないかと。
私はまあ二、三の事例をあげて申し上げたいと思うんですが、私の県に、
河口湖から富士山五合目まで登山道があります。富士スバルラインと、こう称するものです。これは大体三十六年ごろ実はでき上がっているわけであります。まあお恥ずかしいですが、私もまあそのとき県会の議員でした。で、いろいろまあそのために山をこわし汚すようなことが起こりはしないかというような点でもって相当論議をいたしましたけれども、
調査の結果そのおそれはないということでもってわれわれも了承をいたした経過があるわけであります。ところが何とぞの後問題に
——これは
環境庁の方おいでになってますか、その後問題になってきておりますのは、まあその後モータリゼーションなどの進行変化の関係というものももちろんこれはかかわり合うからでありますが、まあ排気ガスによるところの障害とか、それから大体この
工事そのものの際に相当の土砂が落ち、それが堆積をしたために、あの富士山の五合目までの、まあ
日本の山の全くこれは象徴みたいな所ですが、かなりの樹木を枯らしてしまっているわけです。その後もやっぱり自動車のその排気ガスなどの関係もありまして、いまその樹勢の回復のために相当苦労をしておりますけれども、なかなかこれは容易でない状況があるわけであります。
しかも、これは少し話が脱線するかもしれませんが、私はある外国人が富士山へ登った手記を読んだことがありますが、まあその霊峰富士の五合目といえば、ちょうどまあ中腹でありますけれども、ほとんど、モーテルまではないかもしれませんが、もう都市の一隅などに匹敵するような
——まことにそれはさもありなんと思います。外国人からしたっても富士山というのはかなりこれは渇仰の的ですから。来てみましたら、その富士山の中腹あたりに、どうも都市の一隅さながらのような情景が展開しておって、大体
日本人というのは富士山をどう
考えておるんだろうというような私は手記を読んだことがあるのですけれども、あの辺は御
承知のとおり、恩賜県有財産、山梨県特有の県有林があるわけです。で、県有林でもって県の有料道路事業ですから、おそらく
森林関係の法規などにおいてはこれは手がつかなかったんでありましょうし、今度の
改正案の中だっても手がつかないというわけですから、
——あれらの許認可などについてはどうなっておったのか、おそらく
環境関係の行政のほうからチェックができるようになっておったのかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、そういう事態がいま生じておるわけであります。これはまさに呑舟の魚であります。ざこのほうはとらえられるけれども、そういう大きなものについては手がつかない。
さらにいま私の県におきましては、連峰スカイラインという構想がありまして、これは富士山ろくの
河口湖を起点にして、そしてあの辺は御
承知のとおり富士箱根伊豆国立公園の
地域です。それから今度は柳沢峠等、いわゆる大菩薩峠等、あの付近はこれは秩父多摩国立公園の
地域であります。それを通過をして、そして八ケ岳に至るわけであります。八ケ岳というのはたしか八ケ岳中信東部国定公園ですか、でありまして、このコースは国立公園が大体もう六割
地域的には占めているわけであります。しかも、それどころではないわけでありまして、標高が大体千三百メートルから千七百メートルくらいの
地帯を縫っていくわけであります。なお、このコースについて調べてみますと、
対象面積の八五%を占めておるのは
保安林です。それで、そのうちのさらに九〇%はこれは
水源涵養保安林です。
〔理事
高橋雄之助君退席、
委員長着席〕
ただ幸いとでも申しますか、社会
経済情勢がこういう総需要抑制というような時期に入ってまいりましたから、いま凍結状態にはなってきておるわけでありますが、コース全体としては凍結をしたけれども、そのうちの一部は先取り着工的に、今度は名称も変えまして自然公園道路
計画、こういうことでもってもうすでに八ヶ岳付近の一部については本年着工するわけであります。
こういう状況に対してこれは私の県だけでなしに、山を愛し、知る
人たちの間には、全国的にこれに対する反対の機運というものが高まってきて、本
委員会にもたしか請願が出ておるのではないかと思うんですけれども、衆議院ではたしか請願の採決か何かが行なわれていたようにもちょっと聞いた覚えがあります。ところが、県のほうでは凍結はしたけれども、やめたとは言わないですよ。やがて
経済情勢などがさらに好転、安定でもいたしました場合には、凍結ですから、凍結を解除をするということにもこれはなりかねないわけであります。現にもう先取り着工というものをやっているわけであります。
こうなりますと、私などの見るところでは、
民有林を
対象拡大をいたしまして
開発の
規制を行なう、乱伐、
乱開発はこれによって抑止がされていくと、法の
目的はその面においては達成し得るわけでしょうけれども、ほんとうに
日本の、だからさっきあんなことを申し上げたんですが、山と水を守っていかなければならないというこの
基本の姿勢やそれから目標からいたしますと、これは小さなものばかりは押えても、大きなものは、それこそ山梨県全体をくずすようなものを押えることができないというようなことでは、私はこの
法律自体もさらに
考えていく必要があるんじゃないかという気がしてならないのでありまして、そんな点について
一つは
環境庁のほうにお伺いしたいです。もし富士スバルラインが現状のような状況というものがあるについて、そのことを知っておって、なおかつ認可をしたのかどうなのか。認可し得ないような状況であるとするならば、いまにおいてさえもやはりいずれかの
指導はこれは行なう必要があるんじゃないか、こういう点が
一つ。
それから、いまの連峰スカイラインの問題については、この法案はこれはどう見たっても全くかかわり合いを持たないと思います。そういうわけで、山と水を守っていかなければならないという国としての
基本の
考え方からいたしまして、こういうようなものが手がつかない、放置しておく以外にはないというようなことであってはならないと思いますので、これは大臣にもお伺いをいたしたいんですが、それはどうあるべきか。いまのままならどんどんそれはだれはばからず進行をするわけであります。これは私は
森林行政上の重大な問題だと、こう思いますので、この
法律の
内容とはちょっとはずれますけれども、この際お伺いをいたしたいと、こう思いますし、さらに私がそれらの状況を見ながら、先ほども申し上げましたように、これはよほどのいわゆる思想や論理的な姿勢というものをしっかりと打ち立てておかなければ、
経済主義的なもののまるで暴力のごとき攻撃の前にもう抵抗しきれないんじゃないかということです。
さらにこれについてちょっと触れてみますと、私の県において、現在
知事が掲げておる政策の
中心的なものはグリーンプランと、こう言うんですよ。それはりっぱですよ。グリーンプランですよ。緑を守っていこうと、こういうことですよ。しかし、グリーンプランと称するからには、これは山をこわすようなことを
考えたら逆のことですけれども、ところが、その
知事のいうところのグリーンプランというものの
内容、それから趣意は何かというと、山梨には山が豊かに恵まれておるんだから、大東京の都民の方たちのことを
考えれば、ひとつ山梨の山を開放してあげようというようなところにその
考え方が置かれておるようでありますが、しかし、これは開放してあげようといったところで、やはり一種の観光事業ですよ。ほんとうに山を守っていこうという
考え方ではこういう発想は私は生まれてくること自体がおかしいと、こう思うんですけれども、ところが、グリーンプランを主たる政策に掲げて、実はそのグリーンプランに基づいてスカイライン構想をやるんだと、
——くどくなるようですけれども、そのうちの八五%は
保安林でもって、さらにその
保安林の九〇%は
水源涵養林だというふうなことであります。かなり反対運動なんかも激しくなってまいりましたし、いわゆる総需要抑制の情勢に差しかかったからいま凍結中でありますけれども、私は放置すべき問題ではない、こう
考えているところでありまして、個人的には
知事にもアドバイスなどをしたおりもありますけれども、しかし、二千万も
調査費を使っちゃって、そうして
計画を立ててどんどん進めようとしておるわけでありますから、これは個人的なアドバイスくらいでもってとまるものではありません。私はやっぱりここには国政の
立場というようなものがこれは働かなければならぬのじゃないか、そうでない限りは、たいへんなことになっていくんじゃないか、こういうふうに実は心配にたえないわけでありますが、そういうような、申し上げましたような状況に対しての国としての
立場からの御所見も伺っておきたいとこう思います。大臣並びに長官、もしありましたら長官の御
意見も承りたいんです。
環境庁からもさっきお尋ねしたような点をひとつお答えください。