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1974-02-07 第72回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月七日(木曜日)    午後零時四分開会     —————————————    委員異動  二月七日     辞任         補欠選任      杉原 一雄君     中村 波男君      亀井 善彰君     中村 登美君      河口 陽一君     斎藤 十朗君      棚辺 四郎君     岩本 政一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         初村滝一郎君     理 事                 梶木 又三君                 高橋雄之助君                 足鹿  覺君     委 員                 佐藤  隆君                 斎藤 十朗君                 田口長治郎君                 棚辺 四郎君                 中村 登美君                 温水 三郎君                 平泉  渉君                 神沢  浄君                 工藤 良平君                 中村 波男君                 沢田  実君                 塚田 大願君    国務大臣        農 林 大 臣  倉石 忠雄君    政府委員        農林政務次官   山本茂一郎君        農林大臣官房長 大河原太一郎君        農林大臣官房予        算課長      渡邉 文雄君        農林省農林経済        局長       岡安  誠君        農林省構造改善        局長       大山 一生君        農林省農蚕園芸        局長       松元 威雄君        農林省畜産局長  澤邊  守君        農林省食品流通        局長       池田 正範君        農林水産技術会        議事務局長    小山 義夫君        食糧庁長官    三善 信二君        林野庁長官    福田 省一君        水産庁長官    内村 良英君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和四十九年度農林省関係施策及び予算に  関する件)     —————————————
  2. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、杉原一雄君、亀井善彰君及び河口陽一君が委員を辞任され、その補欠として、中村波男君、中村登美君及び斎藤十朗君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 昭和四十九年度農林省関係施策及び予算に関する件を議題といたします。  まず、農林大臣所信を聴取いたします。倉石農林大臣
  4. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 農林水産委員会の開催にあたりまして、所信の一端を申し述べたいと存じます。  最近のわが国経済社会は、石油の供給削減と物価の著しい高騰等により、これまでにないきびしい局面を迎えております。  農政の分野においても、農産物の国際価格の高騰、農林漁業生産資材の需給、価格の問題、地価の値上がりによる農業開発用地取得難等、きわめて困難な事態に直面しております。  私は、昨年十一月に農林大臣に就任いたしましたが、このようなきびしい局面に対処しつつ農林漁業の健全な発展をはかり、国民の負託にこたえるため、最善の努力を払ってまいる覚悟であります。  まず、食料政策基本的態度について申し述べたいと思います。  最近における国際的な食料需給事情の動向から見て、国民の基礎的な生活物資である食料については、国内生産が可能なものは極力国内でまかない、自給度の維持向上をはかることが基本的に重要であります。このため、国民食料の需要の動向に即応しながら、農業生産の振興をはかってまいる考えであります。  また、わが国の国土資源の制約等から海外に依存せざるを得ない農林産物につきましては、海外からの安定的な供給を確保するための対策を推進する必要があると考えております。  農業生産の振興をはかるためには、生産基盤の整備、農業団地の形成、集団的生産組織の育成等により農業の近代化を進め、その生産性の向上をはかることはもとよりであります。  昭和四十九年度からは需要の増大にもかかわらず、生産の停滞している麦、大豆及び生産の振興が一そう要請される飼料作物につきまして、特段の生産奨励措置を講ずることといたしました。また、未利用、低利用の土地を活用して畜産を基軸とする大規模な農業開発を推進すべく、農用地開発公団を新設し、農用地造成、畜舎等の施設の整備及び家畜の導入等を一体的に行なわせることを予定しております。  野菜、果実、畜産物等につきましては、需要に見合った生産の増大をはかることとし、野菜指定産地の拡充、施設野菜生産合理化、果樹の大規模生産流通基地の育成、乳用牛や肉用牛の資源確保対策畜産経営環境整備対策等を進めてまいる所存であります。  稲作につきましては、休耕奨励補助金は昭和四十八年度限りで打ち切りますが、稲作転換対策を行ない、麦、大豆、飼料作物等の生産の増加と転作の定着化をはかるとともに、土地改良事業通年施行に関しては、圃場整備の促進が稲作転換にも寄与いたしますので、稲作転換奨励補助金を引き続き交付することといたしました。  この場合、最近における一連の経済情勢を考慮して、米の需給に十分な余裕を持たせるため、稲作転換目標を前年実績程度として、予約限度数量の増大をはかっております。  一方、飼料穀物、大豆、木材等海外に依存せざるを得ない農林産物につきましては、当面所要の輸入量の確保に万全を期することはもとより、海外からの供給の減少等の不測の事態に備えて、輸入農林産物の在庫量の増大をはかるなどの備蓄政策を進めるつもりであります。また、新たに設立される国際協力事業団によりまして、国際協力の観点に立った海外農林業開発を総合的に支援することにいたしました。  このほか、国際的な農林産物需給動向の的確な把握、貿易安定化のための取りきめにつとめ、わが国の輸入の安定的な確保をはかるつもりであります。  また、農業生産維持増強をはかっていくためには、農業基盤の整備と農業のにない手の育成が肝要であります。  このため、農業基盤整備事業につきましては、総需要の抑制の見地から全体としては進度を調整しながらも、特に圃場整備農道整備畑地帯総合整備農村総合整備に重点を置いて、その円滑な事業の実施をはかることといたしました。  また、農業地域における土地の開発行為について必要な規制措置を講ずることにより農業用の土地の確保をはかり、あわせて農地の集団的な利用を通じて農業経営規模の拡大をはかることとし、農業振興地域制度について所要の制度上の改善措置を講じてまいりたいと考えております。  さらに、農地保有合理化法人農業開発用地先行取得を促進するための措置を強化する等農地保有合理化促進事業の拡充をはかってまいりたいと考えております。  このほか、第二次構造改善事業等農業構造改善促進対策の計画的な推進、自然休養整備事業拡充実施農村地域への工業導入の推進等、引き続き所要の措置を講じてまいる所存であります。  また、農業者年金制度につきましては、農業経営の近代化及び農業者の老後の生活の安定と向上に資するため、農業者年金基金の行なう給付について給付水準引き上げ等の措置を講じたいと考えております。  農産物の価格流通対策につきましては、生産者の所得確保と消費者の生活安定をはかるため、一そうの拡充強化をはかる所存であります。  特に、野菜、畜産物等について、その価格安定対策を充実いたしますとともに、中央、地方を通ずる卸売り市場計画的整備総合食料品小売りセンターの増設等により流通の合理化近代化を推進いたします。また、これらにあわせて産地直結取引等の新流通経路開発消費者保護対策の充実にも力を注いでまいる所存であります。  農林関係生活関連物資につきましては、需給不安を与えることのないよう生産出荷等にわたって随時適切な行政措置を講ずるとともに、消費者の理解を深めるための努力を続けてまいりたいと存じます。また必要に応じ、買い占め、売り惜しみ防止法等の国民生活安定に関する諸制度を適切に運営し、価格の安定と供給の確保につとめてまいる所存であります。  米の政府売り渡し価格につきましては、本年四月から最小限度の値上げを予定しておりましたが、その後の異常な物価情勢にかんがみ、物価安定対策の一環として、その改定時期を半年延期することにいたしました。また、精米の消費者価格につきまして、品質に応ずる価格形成を基本として適正な水準で安定し得るよう、標準価格米以外のものについても各都道府県の実態に応じて品質区分ごと小売り販売価格の限度を設け、販売業者を指導していく考えであります。  森林・林業につきましては、近年へ林地の保全や森林の公益的機能に対する国民的な要請が高まり、また、住宅建設の増大に伴う木材の安定的供給の必要性が強まっております。このような情勢に対処して、林業生産基盤の整備、国土保全と森林の公益的機能の強化、林業構造の改善、林産物の加工流通対策等の施策の充実につとめてまいる所存であります。  また、最近の全国的な開発の進展等に対応して、森林の有する諸機能の高度発揮をはかるため、林地開発許可制度の導入、森林計画制度及び森林組合制度の改善等を内容とする森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を提出しているところでありますが、現在継続審査となっておりますので、早期に成立の運びとなるよう御審議をお願いいたします。さらに、本年四月末日で期限切れとなる保安林整備臨時措置法につきましては、保安林の整備をなお継続して実施する必要がありますので、適用期間を延長したい考えであります。  水産業につきましては、近年、公害による魚介類の汚染、開発途上国を中心とする漁業水域拡大動き等漁業をめぐる諸情勢は内外ともにきびしい様相を呈しております。  このような動向に対処して、沿岸漁業につきましては、沿岸漁場の総合的、計画的な整備をはかるための計画の策定、沿岸漁業構造改善事業の推進、栽培漁業全国的展開漁業生産基盤の整備、公害対策の大幅な強化等をはかる所存であります。遠洋漁業につきましては、海外漁場の確保と関係沿岸国に対する漁業協力とを一体的に推進し、あわせて、新漁場の開発を進めてまいる所存であります。  また、水産物の価格の安定をはかるため、産地消費地を通ずる水産物の入出荷の計画化を進める等水産物の流通加工の合理化を進める所存であります。  さらに、漁業近代化資金制度中小漁業融資保証制度及び漁業災害補償制度につきまして漁業の実態等の変化に対応して所要の制度上の改善措置を講じ、漁業経営の安定をはかってまいる考えであります。  次に、農林漁業資材対策について申し述べます。  農林漁業用石油につきましては、その適正な必要量が確保されるように、石油需給適正化法等においても特別な配慮を行なっているところであります。また、中央、地方段階を通じて石油対策のための連絡体制の整備、石油あっせん相談所の活用、供給者団体需要者団体との協議等を通じ、その必要量の確保につとめております。これから春先にかけては、特に農耕用及び漁業用石油の確保が重要であり、今後とも事態の推移に応じた適切な対策を講じてまいる所存であります。  また、肥料、農薬、農業用ビニール漁網綱等農林漁業用資材につきましても、必要量を確保するため、関係方面とも十分連絡調整を進めているところであり、今後とも遺憾のないようつとめてまいる所存であります。  これまで申し述べました農林水産業に対する施策の推進をはかるため、昭和四十九年度予算の編成にあたりましては、所要の財源の確保につとめ、主要な施策を推進するために必要な経費につきましては、重点的にこれを計上いたしましたところであります。また、必要な法制の整備につきましても、鋭意法律案の作成を取り進めているところでありますので、本委員会においてこれら法案についてよろしく御審議のほどをお願いいたします。  以上、所信の一端を申し述べましたが、農林水産行政推進のために、本委員会及び委員各位の御支援、御協力を切にお願い申し上げる次第であります。
  5. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 次に、昭和四十九年度農林省関係予算について説明を聴取いたします。山本農林政務次官
  6. 山本茂一郎

    政府委員山本茂一郎君) 昨年十一月に農林政務次官を拝命いたしました山本茂一郎でございます。微力ではございますが、最善を尽くしてまいりたいと思いますので、皆さま方の御指導、御協力を賜わりますよう、よろしくお願い申し上げます。  昭和四十九年度農林関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十九年度一般会計における農林関係予算の総額は、総理府など他省所管の関係予算を含めて一兆八千二百八十九億円であります。前年度の当初予算額と比較して一一九・二%、二千九百四十四億円の増加となっております。  予算の内訳は、食糧管理費七千百三十二億円、公共事業費五千七百九十七億円、一般事業費五千三百六十億円となっており、公共事業費については、総需要抑制の見地からその増額を押えましがが、一般の生産、価格、流通対策関係の経費を前年対比一三二・一%と大幅に増額したことが明年度農林関係予算の特徴であります。  以下、予算の重点事項について御説明いたします。  第一に、国民食糧の安定的確保に関する予算について申し上げます。  最近における農産物の国際需給の動向にかんがみ、国民食糧の安定的な供給確保を基本とした諸施策の積極的な展開が重要であります。このため、まず、国内で生産が可能なものについては、生産性を高めながらできるだけ国内での生産をはかることとし、これに必要な各般の施策を強化することにいたしました。また、今後とも輸入に依存せざるを得ないものについては、その安定確保をはかるため、海外農林業開発を推進するための措置を講ずるとともに、必要な備蓄体制の整備をはかることとしました。  国内生産体制の強化としては、まず、麦、大豆及び飼料作物について、新たに、四十九年度から一定期間、長期的な生産目標に即してその生産振興をはかることとし、このため、麦及び飼料作物生産振興奨励補助金の交付を中心に総額百二十四億七千五百万円を計上しております。  次に、農業生産基盤の整備につきましては、総需要抑制の見地から、全体としては進度を調整いたしましたが、その中でも圃場及び農道の整備、畑地帯総合整備農村総合整備等に重点を置いた事業を行なうことにしております。特に、農用地開発公団を新設し、広く未利用、低利用の土地資源の存する地域において、畜産を基軸とする大規模な農業開発を推進することとしており、これらを含めた農業生産基盤整備費として総額三千四百七十五億九千四百万円を計上いたしました。  次に、畜産の振興対策について申し上げます。  畜産の振興につきましては、まず、旺盛な畜産物の需要動向に対処して前に申し述べましたように、新たに農用地開発公団による畜産基地の建設を積極的に推進するとともに、引き続き、公共事業による草地開発を推進し飼料基盤の整備をはかることとしております。  また、酪農及び肉用牛対策につきましては、大家畜資源の維持増大と飼養規模の拡大をはかるため、新たに、乳用牛の資源確保対策、牛の繁殖促進事業等を実施することとしており、豚鶏対策につきましても、養豚団地対策の拡充、養鶏団地の育成をはかる等事業の充実につとめました。  さらに、畜産経営をめぐる環境問題に対処するため、新たに、環境保全集落群の育成、団体営の畜産経営環境整備事業等を実施するほか、家畜衛生対策につきましてもその充実をはかることにしました。  畜産物の価格対策につきましては、肉用牛等価格安定事業保証基準価格の引き上げ、卵価安定のための全国液卵公社事業の強化をはかるとともに、引き続き加工原料乳に対する不足払いを実施いたします。また、流通加工対策につきましては、新たに、生乳流通輸送体系の整備、食鳥流通近代化センター及び鶏卵加工合理化センターの設置等の事業を実施することにしております。  このほか、学校給食用牛乳供給事業を引き続き実施することとし、これらを含めた畜産振興対策の総額は六百六十九億五千八百万円となっております。  次に、畑作農業の振興について申し上げます。  野菜対策につきましては、まず、生産対策として野菜生産出荷近代化事業を拡充するとともに、新たに、施設野菜合理化推進モデル事業及び加工用トマト緊急生産対策事業等を実施することにいたしました。  価格対策につきましては、野菜生産出荷安定資金協会が行なう価格補てん事業につき対象品目の拡大等事業内容の拡充をはかることにしました。  また、都市近郊産地にかわる新産地の育成事業及び都市近郊の優良産地の整備を行なう特別事業、産地及び消費都市における低温貯蔵庫の設置等の事業を行なうことにいたしました。  以上のほか、野菜の流通、加工対策等につきましても、所要の経費を計上することとし、これらを含めた野菜対策の総額は、百九十三億四千三百万円となっております。  果樹農業の振興対策につきましては、新たに、需要に応じた温州ミカンの生産を確保するための生産安定事業、大規模な産地に生産流通近代化施設の導入をはかる果樹生産流通基地整備事業等を実施することといたしました。  更に、加工原料用果実価格安定事業の拡充をはかるとともに、特に、果汁工場に関する予算を大幅に拡充することとし、これらを含めた果樹対策の総額は、六十二億一千二百万円となっております。  その他、養蚕、特産農作物等生産振興につきましては、新たに、人工飼料による稚蚕飼育の実証事業てん菜輪作体系確立推進事業、沖繩におけるサトウキビ収穫機械導入事業等を実施することといたしました。  次に、稲作転換の推進について申し上げます。  稲作につきましては、引き続き、飼料作物、大豆等他作物への転換を推進することとしておりますが、最近における一連の経済情勢等を考慮し、米の需給については十分な供給余力を持たせることといたしました。このため、稲作転換の目標数量を昨年より大幅に減少して、百十八万トンとし、ほかに土地改良の通年施行による調整数量十七万トンを見込んでおります。  この稲作転換の円滑な推進をはかるため、稲作転換奨励補助金を引き続き交付することとし、関係経費総額一千二百七十九億三千五百万円を計上いたしました。なお、土地改良事業通年施行に関しましても同補助金を交付することとしております。  次に、輸入農林産物安定確保対策について申し上げます。  最近の国際的な食糧需給の動向等に対処して、トウモロコシ、マイロ、大豆、木材等今後とも輸入に依存せざるを得ない農林産物を、安定的に確保するための施策を強化する必要があります。  このため、新たに国際協力事業団を設立して、国際協力の視点に立った農林業開発を積極的に推進することとし、当該事業団関係の新規経費として総額五十億円を外務省に一括計上いたしました。  また、大豆、飼料穀物及び木材につきましては、海外からの供給の急激な減少など不測の事態に備えて一定量の備蓄を行なうこととし、これに要する経費として、総額九億八千六百万円を計上いたしました。  次に、農業構造の改善に関する予算について申し上げます。  まず、農地流動化の促進につきましては、四十九億九百万円を計上して農地保有合理化法人の行なう事業の拡充及びその運営基盤の強化等をはかることといたしました。  また、今後のわが国農業の発展のためには、農業生産のにない手を育成することが肝要であります。このため、新たに、自立経営育成特別事業を実施するとともに、農村青少年対策の拡充、総合施設資金貸し付け限度額の引き上げをはかる等農業生産のにない手の育成のための施策を拡充強化することといたしました。  このほか、集団的生産組織の育成、農業団地育成対策を引き続き拡充実施するとともに、農業構造改善事業につきましては、総額三百三十八億六百万円を計上して事業の推進をはかることとしました。  また、農業と非農業との土地利用の計画的な調整を進め、農業生産に必要な農用地を確保することが肝要であります。  このため、農業振興地域整備計画についての適切な管理及び農地保有合理化法人による農業開発用地先行取得等を行なわせることにより農用地の適切な確保と計画的な土地利用をはかることとしております。  農村対策としては、農村総合整備モデル事業の大幅な拡充をはかるほか、農村地域への工業導入、山村・過疎対策等につきましても所要の経費を計上いたしました。  なお、農業者年金制度については、給付水準の引き上げ等改善措置を講ずることとし、八十六億六千五百万円を計上いたしました。  次に、食料品の価格の安定と消費者対策の充実について申し上げます。  国民の日々の生活に直結する食料品の安定的に供給し、消費者価格の安定をはかることは、農政の重大な使命であります。このため、さきに申し述べましたように、畜産物、野菜、果実等についての生産、価格、流動加工対策を拡充強化するとともに、特に中央、地方を通ずる卸売り市場計画的整備のため八十五億五千四百万円を計上いたしました。また、新流通経路開発等流通機構の整備については、引き続きこれを推進することとしております。  また、消費者保護対策及び食品産業等農林関連企業対策につきましても、それぞれ所要の経費を計上して施策の拡充をはかりました。  次に、農林漁業金融の拡充について申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫資金につきましては、新規貸し付け計画額を三千八百二十億円に拡大し、総合施設資金貸し付け限度額を引き上げる等融資内容の拡充整備をはかり、同公庫に対する補給金として三百二十一億一千三百万円を計上いたしました。  また、農業近代化資金農業改良資金及び漁業近代化資金につきましては、それぞれ必要な貸し付けワクの確保をはかるとともに、中小漁業融資保証制度の改善等を行なうこととしております。  次に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。  まず、林業生産基盤の整備につきましては、林道事業として二百八十二億八千万円、造林事業として百七十五億九千八百万円をそれぞれ計上し、助成内容の改善をはかることといたしました。  治山事業につきましては、総額六百三億四千六百万円を計上し、このうち、百億五千万円を国有林野内治山事業に充てることとしました。  林業構造改善事業につきましては、七十億五千五百万円を計上して事業の推進をはかるとともに、新たに、林地開発許可制度などに必要な経費を計上して森林の公益的な機能の拡充をはかることとしております。  また、マツクイムシ対策事業の大幅な増額を行なうとともに、林産物の生産流通改善対策林業労働力対策等につきましても、所要の経費を計上し、これら事業の拡充実施をはかることとしました。  次に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。  まず、沿岸漁業の振興につきましては、沿岸漁場の総合的な整備をはかるため、新たに沿岸漁場整備計画の策定に着手し、沿岸漁業構造改善事業栽培漁業振興対策等の拡充をはかるため、総額七十億六百万円を計上いたしました。  また、漁場環境保全対策につきましては、二十六億八百万円を計上して、漁業公害の監視指導体制の整備、漁場の浄化、赤潮対策の強化等をはかることとしております。  漁業生産基盤の整備につきましては、五百六十五億九千五百万円を計上して漁港及び漁港関連道の整備を進めることとしております。  また、海洋水産資源の開発を促進するための各種調査を拡充するとともに、海外漁業協力財団による海外漁場の確保対策につきましては、外務省の関係予算を含め三十六億二千六百万円を計上して事業の推進をはかることといたしました。  その他、漁業災害補償制度につき、赤潮特約の創設等制度の改善をはかるほか、水産物の価格安定対策につきましては、新たに、大消費地における大規模冷蔵庫の設置等の事業を実施することとし、二十三億五千三百万円を計上いたしました。  以上のほか、農林漁業施策の推進のために重要な予算といたしましては、試験研究費として二百七十七億三千六百万円、農業改良普及事業及び生活改善普及事業として、百六十七億四千八百万円を計上するほか、林業及び水産業の改良普及事業につきましても所要の経費を計上いたしました。  また、農業災害補償制度の実施につき六百二十五億八千三百万円、農林統計情報の充実整備に九十一億三千万円等を計上しております。  次に、昭和四十九年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。  まず、食糧管理特別会計につきましては、国内米、国内麦及び輸入食糧につき食糧管理制度の適切な運営をはかるため、所要の予算を計上しておりますが、一般会計からは、調整勘定へ五千百八十億円、国内米管理勘定へ六百六十九億円、農産物等安定勘定へ四億円、輸入飼料勘定へ五百九十八億円をそれぞれ繰り入れることといたしました。  また、農業共済再保険特別会計につきましては、一般会計から総額三百六十六億八千七百万円を繰り入れることとしたほか、「自作農創設特別措置」、「特定土地改良工事」、「国有林野事業」、「森林保険」、「漁船再保険及漁業共済保険」及び「中小漁業融資保証保険」の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上いたしました。  最後に、昭和四十九年度の農林関係財政投融資計画につきましては、農林漁業金融公庫等が必要とするものとして、総額三千六十一億円の資金運用部資金等の借り入れ計画を予定しております。  これをもちまして、昭和四十九年度農林関係予算の概要の御説明を終わります。
  7. 初村滝一郎

    委員長(初村滝一郎君) 本件に対する質疑は後日行なうことといたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時四十六分散会