運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-05-30 第72回国会 参議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月三十日(木曜日)    午前十時三十五分開会     —————————————    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     源田  実君      中村 登美君     今  春聴君      上田  哲君     足鹿  覺君      星野  力君     岩間 正男君  五月三十日     辞任         補欠選任      黒住 忠行君     平島 敏夫君      今  春聴君     高橋 邦雄君      源田  実君     堀本 宜実君      林  ゆう君     中山 太郎君      足鹿  覺君     上田  哲君      神沢  浄君     鈴木  強君      岩間 正男君     星野  力君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺本 広作君     理 事                 岩動 道行君                 岡本  悟君                 鈴木  力君     委 員                 上原 正吉君                 高橋 邦雄君                 長屋  茂君                 平島 敏夫君                 星野 重次君                 堀本 宜実君                 足鹿  覺君                 神沢  浄君                 戸叶  武君                 中村 波男君                 宮崎 正義君                 中村 利次君                 星野  力君    国務大臣        自 治 大 臣  町村 金五君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       二階堂 進君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    政府委員        内閣法制局第二        部長       味村  治君        行政管理庁行政        監察局長     大田 宗利君        防衛政務次官   木野 晴夫君        防衛庁参事官   大西誠一郎君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        丸山  昂君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       高瀬 忠雄君        防衛庁衛生局長  鈴木 一男君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛庁装備局長  山口 衛一君        防衛施設庁長官  田代 一正君        防衛施設庁次長  鶴崎  敏君        防衛施設庁総務        部長       安斉 正邦君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        防衛施設庁労務        部長       松崎鎮一郎君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵省理財局次        長        井上 幸夫君        自治大臣官房審        議官       近藤 隆之君        自治大臣官房審        議官       山下  稔君        自治省行政局長  林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、高橋邦雄君、中村登美君、上田哲君が委員辞任され、その補欠として源田実君、今春聴君足鹿覺君が選任されました。  また、本日、黒住忠行君が委員辞任され、その補欠として平島敏夫君が選任されました。     —————————————
  3. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。  速記をとめてください。   〔速記中止
  4. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こしてください。
  5. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は、今回の防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案、これを新法と便宜上言わしていただきますが、と憲法との関係につきまして、長官並びに関係政府当局に伺いますが、このたびの新法はきわめて画期的なものでありまして、日本政治に及ぼす重大な影響をひそかに憂うるものであります。この法案は、何らかの被害に対して救済をするという現行の基地周辺整備法の規定をさらに一歩を進めまして、米軍または自衛隊基地があるという、そのことだけで地方自治体助成金を出し、あるいは国有財産の譲渡または貸し付けをしようとしておる点であります。従来の法律は、御承知のように、「この法律は、自衛隊等の行為又は防衛施設運用により生ずる障害防止等のため」とあったのを、「防衛施設周辺地域生活環境等整備について必要な措置」という条項が入ってきまして、きわめてこれは重要な意味を持っておると思うからであります。こうした点から、去年の暮れごろだったでしょうか、忘れましたが、朝日新聞に早稲田大学の畑穣教授が、この法案を新軍都育成法と言った記事を読みました。私もそういう感じを持っておるのであります。この点について山中防衛庁長官の御見解を承りたいのですが、大体はこういう問題ですから、できれば総理に伺いたいのが本意でありますが、それも審議の都合で困難と思いますので、長官から御答弁いただきたい。
  6. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 初めに、私ども先輩であり、長い政党政治家の活動を続けてこられました先生が、承るところによりますれば、今国会限りで御勇退されるとのことであります。おそらく、ただいまの御質問先生の最後の御質問であるかもしれないと私思いますので、私も誠心誠意先輩に対する答弁をさせていただくつもりでございます。ただ、政党立場が違いますので、御意に召さない点がもしありましても、その点は事情おくみ取りの上、お許しを賜わりたいと存じます。  まず第一に、ただいまの、なぜ今回「設置」ということばを入れたかという問題であります。いままでは確かに運用による障害防止でございましたが、それは、自衛隊基地もしくは自衛隊等基地運用のされ方によって、あるときには騒音その他の被害周辺がこうむっておる、いわばデメリットがそれによって生じている部分について何とか御援助申し上げて、いわば障害が起こらない状態というものにしようということになっていたと考えます。しかし、四十一年に法律をつくりましたときの衆参両院附帯決議等においても、このようなものではだめだからもう少し考え直せ、あるいは運用についても考えろというような御意見等衆参両院でいただいておりますので、それを踏まえて今日まで行政を展開してまいりました。しかしながら、しょぜん運用だけでは解決できない問題に数多くぶつかったわけであります。すなわち、運用から見れば、そう特別に地域住民に対する被害運用面だけでは巨大なものとしてとらえがたいものであっても、一地方市町村行政区画の大半が基地の中に入っているというその事実だけでもって、その町村にとっては都市計画あるいは開発計画、あるいは自分たち住宅環境改善等、あらゆる問題において、青写真を書こうとする場合にそこだけ空白にせざるを得ないだろう、それはもうたいへんな問題であるということで、その問題に対処する必要がある。したがって、自衛隊施設があるということ、自衛隊等施設があるということ、そのことも今回は原因の一つにとらえよう、そして施設があるということだけでもって直接的な被害というものは、先ほど申したような設置だけでは出てこないケースが多うございますから、因果関係等も若干そこらは、施設があることによって予想される地方公共団体の、目に見えない、あるいはまた将来描き得る構想欠除というような問題等に対して対処することができないだろうかということが、その考え方のおもなるものであります。  さらに、生活環境整備というようなことば等についてのお話もございましたが、これは、今日の国民生活環境、あるいはまた自分たち環境周辺地域環境という問題が公害等議論等もふくそうしながら無視できない要素になりつつありますし、自分たち生活環境をよくしようという国民意識高まりは、やはり四十一年法制定当時に比べてきわめて顕著な向上を示しておるものと思います。やはり私どもは私どもの党の立場で、国家として自分たちの力で、あるいは安保条約というものをもって国家の平和と独立を守りたいということを考えておりますので、どうしても基地というものが、ある数、ある場所において必要である、その場合に、周辺生活環境整備というカテゴリーまでわれわれの手の届き得る行政対象にしておかなければ、この際要求される側、周辺地域住民自治体等のこうむっておられる有形無形被害に対する要求に対し対応できないという行政上の過去の実態反省を踏まえまして、ここに新しいそういう考え方を入れたわけであります。  新軍都法というようなことばもございましたが、私どもはそういう気持ちを実はあまり持っておりませんで、今日の自衛隊存在することが軍都になるというような感じをあまり地域住民の人々も持っていただいておりませんし、また、自衛隊がいまいる場所も、米軍基地も含めてでありますが、喜んで、おってよろしいと言っていただくところはむしろわずかでありまして、移転をしようにも移転先の敷地は新規にはなかなか困難であるというような背景等があることを考えますと、この法律ぐらいで新軍部法というような大げさな大上段にかまえたものではない。むしろ、多様化する地域住民意識に沿い得るようなくふうを私どもが一生懸命やってみたんだというふうにおとりをいただきたいと願う次第でございます。
  7. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいまの長官の御答弁については、順を追うて、あとでまたいろいろとお尋ねをし、あわ起て私の見解も申し上げますが、事実関係から伺っておきたいのでありますが、これはおそらく大蔵省、私もよくわかりませんが、自治省、どちらも関係があると思うのですが、戦前明治憲法下軍国主義時代には、今日の基地交付金調整交付金に当たる海軍助成金、それから軍関係市町村財政特別補給金というものがございます。いろいろ私も調べてみたんですけれども、十分な資料が手元に入りませんでした。で、私の調べ得たことを具体的に申しますと、この海軍助成金ですが、海軍省通達第九七号、市町村助成規則大正十二年制定昭和二十年までこれが続いたわけですが、大正十二年にこれに基づいて政府が支出した金が、当時の金額にして三十三万二千円であります。それから軍関係市町村財政特別補給金、これの予算措置終戦時の昭和二十年で一千万円、大体いま審議をしておる基地周辺の、新法というよりむしろ旧法的な、両方の意味を持っておると思いますが、こういうものがあったわけです。この点、大蔵当局なり自治省当局は何か資料をお持ちでありますか、その辺を伺いたい。
  8. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 調査をいたしてみましたが、十分なる調査がまだできておりません。いままでに判明いたしております事項を申し上げますと、海軍助成金大正十二年から昭和二十年まであったようでありまして、これは横須賀、呉、佐世保、舞鶴の四軍港に対して支出されたものであります。最初は三十三万円というお話でございましたが、最も近いところで調べてみますと、昭和十九年には四軍港合わせて七百八十九万円。昭和二十年には千二百四十四万円を支出する予定になっておったようでありますが、これが実行されたかどうかははっきりした資料が得られておりませんので、昭和十九年を基準として申し上げますと、現在の時価に換算いたしますと、約十五億円程度でございます。それから軍関係市町村財政特別補給金は、昭和二十年一千万円支出されておりまして、これは時価換算で十三億、合わせまして二十五億円ぐらいのものが、やはり関係市町村の特別の財政需要ということと、それから軍施設があることによって租税収入が減少するということを緩和するために、支出されておったようでございます。なお、詳細につきましては、まだ調べがついておりませんので、省略さしていただきます。
  9. 足鹿覺

    足鹿覺君 時価換算までしていただきまして、念の入った御答弁をいただいてたいへん感謝をいたします。というわけで、今日と同じような理由軍関係市町村に金が交付されておった。いま柳田政務次官の話によりますと、十九年で千二百四十四万円、時価換算十五億円相当。それから、昭和二十年交付予算措置が、軍関係市町村財政特別補給金が一千万円、私の申したとおりのようでして、時価換算十三億円、こういうことになる。つまり、昭和二十年において海軍助成金交付対象市町村にしてみますと、どれぐらいの数であったでしょうか。これは自治省がいいのか、どこがいいか、私もわかりません。そして、その金額はどれぐらいだったでしょうか。特に軍港関係のものをいまおっしゃったようですので、まあ全部その市町村名を承ろうとは思いませんが、大体どの程度市町村にどの程度金額交付されておったか。もう一つは、今日のそれらに該当する基地交付金調整交付金交付市町村数合計金額を明らかにしていただきたい。  この前鈴木力委員要求しまして、防衛庁が熱心にお調べになった非常に膨大な資料をいただいて、私も一とおり目を通しましたけれども、とうていこれでは、われわれの理解力では理解できない。膨大なものだということだけわかりますが、この中で私は農村関係のものやいろんなものを拾ってみました。あるいは、いま問題になっておる北富士関係のものを拾ってみましたけれども、なかなか容易なことではありません。ですから、大まかにいって、いま言ったような三点を、それぞれの大蔵自治または防衛当局か、どちらからでもけっこうですので、御答弁願いたい。
  10. 山下稔

    政府委員山下稔君) 海軍助成金につきましては、いろいろ調査をいたしましたけれども資料紛失等市町村数を明確にすることができませんでした。交付の基本といたしましては、海軍官衙所在する市町村のうち、助成交付金交付を必要とする市町村及びその隣接市町村となっているわけでございますが、その数は明確にできなかったわけでございますので、御了承いただきたいと思います。  それから軍関係市町村財政特別補給金につきましては、軍関係施設所在市町村及びこれに近接する市町村といたしまして、昭和二十年度に総額一千万円が交付されたということはわかっておりますが、関係市町村数が幾つであるか明確にすることができませんでしたので、御了承いただきたいと思います。  次に、基地交付金調整交付金でございますが、基地交付金は、昭和四十八年度の実績で五十三億でございまして、交付いたしました市町村数は二百九十一でございます。調整交付金は、昭和四十八年度の実績で二十億一千万でございまして、交付市町村は九十六市町村になっております。なお、基地交付金調整交付金の四十九年度の予算額は、それぞれ七十一億、二十七億でございますが、市町村数につきましては、秋に決定する段階にならないと明確にならないわけでございます。
  11. 足鹿覺

    足鹿覺君 いろいろ防衛庁からいただいたこの資料との突き合わせ、これとの関連で承りたいことはありますが、あまり時間を空費してもいけませんので、それはまた別の機会に……。いまの自治省の御答弁とこれとの関係鈴木力議員要求提出資料との関係等をまた別の機会にしたいと思います。  で、いまもお話がありましたように、終戦時の軍事費に比して、新法の適用がこれからもしあったといたしますと、お話にならないほどの高額なものが出ると想定されます。その是非とかどうとかということはまた別の問題としまして、私が長官に御所見を承りたいのは、かつての予算委員会においても軍事費の内訳については審議権がなかった。タブーであった。また、首班指名があっても、当時の天皇陛下から首班指名があっても、陸海軍大臣入閣がなけらねばその内閣は成立をしないほどの大きな影響力を持っていた。たとえば、軍縮を主張した宇垣陸相がそれを理由にして——あのときは寺内内閣ですか、私も覚えませんが、鳥取県の三朝温泉に来まして、宇垣陸相総理指名を受けましたけれども、当時の陸軍が入閣を拒否した、そのために快々として楽しまず、三カ月ぐらいいたのであります。いまだに記録がありますが、そういう日本内閣の存立を左右するぐらい軍の力が強い時代、つまり軍国主義はなやかなりしころにおいて行なわれた保護措置と同様のことが、今日の平和憲法下で、しかもより多い——私の資料によりますと、三百十市町村ぐらいになっておりますけれども、いま自治省では二百九十一市町村だということをおっしゃいましたが、昭和四十八年度において七十三億一千万という規模であります。そしてこれだけでも私は対比してみて、最近の防衛費の膨張ということに対しては相当問題があるのではないか、静かに考えてみなければならぬことがあるのではないか、かように思うわけです。先ほども、今後なかなか市町村の受け手がない、そこで手厚く周辺のものを取り扱いたい、こういう意味の私の質問に対する長官の御答弁がありましたが、基地被害の有無ということだけでなしに、基地があるというだけで助成金を出そうという、こういうことになりますと、新法によりますとたいていのことはやれるんですね、第三条、第八条。しかもその種別については第四条。つまり地方自治なり、あるいは文教関係なり、厚生関係なり、建設関係農林関係と、いわゆるこの法律一本で多くのことが多岐にわたって行なわれることになる。いわゆる二重行政といいますか、基地を置くということを存続していくために、それだけの多くの金と多種多様な助成金、あるいは国有地払い下げ対策、その他のこともあわせて行なわれる。そのことそれ自体、私は戦前と現時点と比べてみて、これでいいであろうか、こういう感じ国民の一人として持たざるを得ない。まさにいま平和憲法下でありまして、平和憲法下において基地安定確保補助金と引きかえに地方自治体に主としてやらせるということは、私は、地方自治そのもの意義の上からいいましても、軍部育成というような大げさなものではないと長官はおっしゃいましたが、内容的にはそういう性格を持つのではないか、つまり軍事優先の方向へ進みつつあるのではないか、こういう感じを持たざるを得ません。重ねて山中長官のこれに対する御見解があれば承っておきたいと思います。
  12. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 足鹿先生の御見解、私もむげに無視してものを申し上げる気は全くございません。ただ、私どもはこういうふうに考えておるわけであります。戦前は、軍の存在というものについての国民コンセンサスは少なくとも表面においては国民一致の形で得られていたと思いますし、臨軍費その他の問題は、これは議会と軍との問題でございましたでしょうが、たとえば先ほどの戦前軍施設所在に対する交付金の問題でも、第六条に「鎭守府司令長官、警備府司令長官海軍火薬廠長及海軍燃料廠長ハ毎年度當該市町村財政状況、諸施設助成金使途等調査シ意見附シ海軍大臣ニ報告スヘシ」、こういうふうになっておりまして、金はくれてやるがおまえのところの財政状況から何から全部調べて適正に使ったかどうかまで報告しなければならぬのだという、そういう意味の、戦前でしか通用しないような交付のしかた、あるいは使わせ方ということになっていたと思うんです。そして今日を顧みますと、もちろん戦前の軍と対比すべき存在ではありませんが、しかし、少なくとも専守防衛の立場からであっても、武装集団が一定の地域に、国民のただでさえ狭い国土のあちこちに居住している、存在しているという実態については、やはり市町村の方々にとってまず第一に戦前と違いますところは、国民コンセンサスが得られていない、むしろその存在に疑問を投げかける声も高い、そのような環境の中において、私どもはこの点申しわけありませんが、やはりわれわれは日本の自衛というものの手段を放棄しておくわけにはいかぬという立場をとっております。  そういたしますと、戦前構想と全く違うことは、国民の全面的なコンセンサスの得られないままに今日まで推移し、当分の間は、またその中で設置運用をしていかなければならないつらい立場が私たちにございます。その際において、われわれとしては、決して高飛車に、われわれは存在する権利があるなどということを申し上げているわけではありません。存在することの意義をわかっていただきたい、しかし、そのためには租税その他の免除条項もあるし、市町村財政のとるべかりし収入駐留米軍等から得られないような問題は、交付金米ドル資産交付金と言われるようなもので一応の補てんを目ざして自治省でやっていただいておりますが、しかし、その他の周辺の、先ほど申しました面積や環境や、そういうようなもの、あるいは意識高まりや、そういうものに私ども存在することによって御理解を得たいと願うためには努力をしなければならない。その努力は決して金で片づくものではありません。しかし、われわれとしては多様なる要望に対してこたえ得るだけの法的な基礎は国会お許しを得てぜひとも持っておきたい、そういう気持ちのあらわれにすぎないわけであります。  でありますから、われわれとしては、これが地方財政立場からくる地方自治の撹乱とか独立を侵すとかいう気持ちは全くありませんし、地方自治体申請を待って、それに対してわれわれとしては交付もいたしてまいります。また、法律案の第十二条におきまして、一項、二項それぞれ横の関係、各省庁関係が、この法案の成立した暁における事業の執行にあたって混乱を来たさないように、この新法のもとにおいて、たとえば道路なら道路建設される、しかし、当該市町村における建設省所管都市計画道路とは全く打ち合わせも何もされないで行き詰まりの道路ができてしまったりというようなことがあってはならない、やはり一緒に多角的に組み込んだ中で消化していくようにという願いを、そういう考えを法律の上で明らかにしておるわけでございまして、もっとも、専門的な、あるいは相当巨大な工法、資金等を要しますものは、建設農林等に移しかえなどをしてやっていただいておるということで、官庁間の協力ということで、その限りにおいて国の間においての省庁間の混乱はないようにしておりますし、地方自治体においても、これを事業として執行するにあたっては、当然自分市町村における各種の計画の中に組み込んでそれをやっていただくであろう、それに基づいての申請であろうということで私どもとしてはそれを査定するわけでございますので、しかし、こういう金を交付することによって市町村財政独立権自主性を侵すということについての御警告はすなおに承りまして、あくまでもわれわれとしては謙虚に申請にかかるものについてそれを行なう、押しつけていくという考え等はとってはならぬ、そう戒めたいと思います。
  13. 足鹿覺

    足鹿覺君 超過負担の問題について伺いますが、今国会でも、国の補助金が法令できめられた額どおり交付されないために超過負担に悩む七十近い市町村から意見書が提出されておることは御存じだろうと思います。たとえば、大きいところでは近くの横浜とか川崎あたりが例でありますが、他方、基地関係市町村には、基地設置を承認さえすれぼ優先的に補助金が出される。文部省、厚生省からの補助金が足りなくて学校や保育所などの建設が思うようにいかない現実はそのままにしておいて、防衛施設庁から、学校、保育所の補助金防衛施設庁の予算の中から出されてくる、こういう事態が生ずると思うんですね。で、山中長官の慎重な、いまの強い内省を含めた御見解については、私もあなたと長い衆議院時代からのやりとりを通じて、そらには聞いておりません、よく承っておきますが。新法は、要するにこういうオールマイティの一部を与える強い財政的にも力がある。で、自治体の財政が困難になっておるときだけに、正規の厚生省や文部省やその他の官庁から出ていくのが少なくて、そしてまともな施設が十分できておらないのに、基地だけがあるからといって学校や保育所の補助金がどんどん出されていく、そこに何か違和感——違和感といいますかね、そういうものが生ずることは、だれしも国民の常識を持つ者としては当然ではないかと私思うんです。で、要するに、それがまあ軍事優先ということば——軍隊でないとわれわれも思っておりますし、長官もそうお考えになっておるようです。このことばはどうかと思いますけれども、まあ一番端的なので、こういうことばを使いますけれども、この軍事優先、つまり防衛施設優先、もう一ついけぼ自衛隊優先、自衛隊に関することはすべてに優先をするというようなものが法的にきまっちまう。そしてその結果、防衛施設を持たない地方自治体と、持っておる地方自治体との間に格差が拡大することを法的に確定される結果となると思うんです。そこで、こういう事態は私は基本的な問題として明確にしておきたいと思うんですが、私はあまり憲法などの知識が十分でありませんので、わかりませんが、このような軍事優先の法的確定は現憲法の第何条の規定に基づくものであるかを明らかにしてもらいたい。私もわからないわけです。いかがでしょうか。
  14. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず、憲法の前に、このような基地があるために、その周辺、その基地所在する市町村のみが、本来国がやらなければならない各種の補助事業等について優先してし養うではないか、あるいは全国的に地方財政の超過負担問題があるじゃないかというお話でございます。確かにそういう御意見は一見肯定できますが、超過負担の問題、これ、自治省のほうで大蔵省と相談しながら年次計画で少なくとも解消に努力しておることは間違いないことでありますが、しかし、われわれのほうでは何もこれだけが特別に利しておるというふうに実は思えないんであります。国の施設やあるいは国のやり方で特別に被害を国が加えたところでない場所、しかし社会現象からしてほうっておけないところというものについては、これはお互いに一緒に立法などいたしました。過疎対策緊急措置法とか、あるいは辺地対策とか、山村振興とか、離島とか、産炭地とか、いろいろなものをつくりまして、時の流れでほっておけないような状態のところには、優先的に新しい法律をつくって、それを適用しようとしてきました。でありますから、この問題は、たまたまその基地がなければ、あるいは保育所も公園も森林公園も市街化公園も、あるいは住宅も、いろいろな施設をその町村計画ができたであろう、しかし、基地所在することによって思うようにならない、逆に障害さえも受けておる、もちろんその障害、阻害を防ぐための努力は、騒音その他やりますけれども基地があることだけでもってその不自由をしいておる、という形に国の権力というものが地方自治体にかぶさっている。そういう結果論であることは間違いないと思います。したがって、それらの問題を、何とかこれを少しでも御迷惑をかけておることに対して国ができる限りのことをしたいということの範囲もおのずから限定もされますが、したがって、われわれの考え得る範囲、そして地方自治体自主性を侵さない範囲、また超過負担等に対する配慮、すなわち補助残の起債適用と同時に、補助額の残り二分の一は当該年度特別交付税において当該町村交付をしてもらい、補助額のきまっておる問題については、ついでにたくさんつくられると地元負担のほうがえらい膨大なものになりますので、補助額については補助額の二分の一というものを自治省の省令で書き加えていただきまして、それによって大体最終的に町村負担というものはごくわずかなものになっていくであろう。したがって、この問題に関する限り、超過負担という問題をあらためて提起するような事業執行ということには財源上ならないのではなかろうか。私どもは、特別に基地があるからその周辺が繁栄するという現象は、これはおそらく考えられない。また周辺の方々も、住民も、市町村も、基地があるから繁栄するというお気持ちをあまり持っておられないのではなかろうか。私どももそのような気持ちを、この法律のみによって果たし得る役目を持つというふうに思っておりませんので、これは私どもが、多様化する基地周辺の状態に対応するために、四十一年につくりました法律を踏まえた行政を執行してまいりました経験から、ここまでは何とか国会お許しを得て私どもにやらしていただけないだろうかというお願いをいたすという立場に立っておるわけでございまして、たいへん恐縮でございますが、そういうようなつもりでございますので、御理解を願えないかもしれませんけれども基地所在市町村だけが特別な優遇措置を受けて他市町村との格差を生ずるというようなふうなメリットを本来持つものではないのではないかと考えます。
  15. 足鹿覺

    足鹿覺君 自治省、いかがですか。
  16. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 超過負担の問題につきましては、これは地方財政全般を通ずる問題でございまして、御案内のとおり、昭和四十六年度に大蔵省及び事業所管官庁と自治省と三者で実態調査をいたしまして、その結果に基づきまして昭和四十八年及び九年度でその是正措置を講ずるということで、一応四十九年度の予算まででその措置を講じたわけでございます。ただ、まあ昨年以来資材等の関係が相当値上がりしてまいっておりまして、昨年は年度中におきまして、おもな事業につきましては御案内のとおり再三にわたる単価改定が行なわれ、四十九年度は当初予算におきましても実態に合うように相当の単価是正が行なわれております。まあしかし、一方なお、超過負担になるという声も地方団体のほうに強うございますので、昭和四十九年度におきましては、再び大蔵省及び関係省庁とも相談いたしまして、おもな事業につきまして実態調査を行なおうということで、昨日も関係地方公共団体全部集めましてその具体的な方法について打ち合わせをしたところでございます。われわれといたしましては、今後ともこの超過負担の解消につきましては努力していきたいと思っております。  なお、この今回の防衛施設周辺の公共事業その他におけるところの財源措置、これはまあ当然のことでございますけれども地方財政計画で十分やっておるわけでございますが、それによりまして一般の地方団体と周辺市町村との間に相当の格差ができるんじゃないかというお話でございますけれども、この点につきましては、いま長官からお話がございましたように、われわれはそうは見ておりません。また、防衛施設周辺市町村もいろいろ生活関連施設にお困りのことでございまして、それらの市町村生活関連施設がよくなることはわれわれも望んでおるところでございます。それ以外の市町村につきましても、われわれといたしましては、全国的によくなるように、いままでも努力してまいりましたし、今後とも努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿覺君 山中長官は明らかにされなかったんですけれども憲法関係についての御所見ですね、憲法の規定に基づくものかどうかということに対して政府がどういう見解を持っておられるかということを聞いておるんですけれども、いまの御答弁では触れられなかったんですが、あなたでなくて他の人であれば御答弁いただけますか。  つまり、私はどういう角度から見ても現憲法では軍事優先を法的に確定することを許す条項はないと思うのです。なるがゆえに、明らかにこの新法憲法に反する結果を生ずるのではないか、すなわち、きびしく言えば、違憲立法ではないか、こういう疑問を持っておるわけです。ですから、長官がかりにそれは違憲ではないと言われるならば、何ゆえに違憲ではないかということのやはり見解をお示しになる必要があるんではないか。御所見を承っておきたい。
  18. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私があえて答弁を避けましたのは、特別にこの法律憲法のどの条章から出てくるという、そういう特例法ではございませんので、一般論を申し上げる以外にはないと思います。  憲法第五章の「内閣」、第七十二条「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」、そして第七十三条で、第五号「予算を作成して国会に提出すること。」、第六項「この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。」等々、こういう……。たとえば第七十四条では「法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。」、こういう手続を踏んで出してある法律ということでございますので、これでは先生への御答弁にならないと思いましたからやめたんですが、この法律がしからば逆に憲法の第何条かに触れる法律かとかいう御質問がありましたならば、またあらためて答弁もいたしますが、この法律を出すことが憲法違反ということは、ちょっとどこにも——まあもともと、戻れば、自衛隊存在に対する第九条の議論ですね、この問題ならば、これは私はあり得ると思います。自衛隊がなければこんなもの、あるいは安保条約がなければ、この中にもまた安保条約条項は入らぬわけですから。そういうことになりますので、第九条の議論はあると思います、しかしこれはまだ結論を得ておらない、もう議論はやめますが、結論を得ておらない問題で、このことをおっしゃっているんじゃないだろうと。ちょっと真意をつかみかねたものでありますから、一応普遍的な、内閣の行為として法律案国会にお出ししておるわけでありますという、まことに答弁にならないかもしれませんが、一応その答弁で御質問を待ちたいと思います。     —————————————
  19. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、今春聴君委員辞任され、その補欠として高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  20. 足鹿覺

    足鹿覺君 もっとこの問題について入りたいんですけれども、ほかに問題もありますので、大体いまの長官の御見解を承りましたので、先へ進みます。  かつて本国会では、広島平和記念都市建設法、長崎国際文化都市建設法、さらに昭和二十五年には旧軍港市転換法を可決しておりますね。これらの法律は、私は現憲法の精神に合致したりっぱな法律であると存じます。旧軍港市転換法は、要するに、旧軍港市を平和産業都市に転換するために、国が国有財産国家予算を提供して援助しようというものでございます。ところが、このいま審議をしております新法は、国が国有財産国家予算の援助を与えるということでは同じでありますが、その目的が違うんですよ、長官。このいま述べた長崎国際文化都市建設法、広島平和記念都市建設法というようなものは国が援助をするということは一緒であるけれども、目的が全く反対なことに使われる。そこに私は矛盾を感じるわけです。  具体的に申し上げますと、軍事基地を確保するために、基地関係市町村基地を撤去しそのあと地を平和利用しないように、国が国有財産国家予算を投入しようというわけであります。同じ憲法下にもかかわらず、十数年前と今日では、国の行政の姿勢がかくも大きく変わったことを私はいまさらながら指摘もし、私自身もこの法案審議するにあたっていろいろと考えさせられたわけなんです。で、これをただ単に指摘するのみならず、相矛盾することが国の援助によって行なわれておるというところに問題があるのでありまして、大蔵省にもひとつ聞いておきたいが、基地撤去あと地は必ず平和利用をすると、こういう、やはりそれぐらいの、国有財産を管理しておる大蔵当局としては、考え方を持つべきではないか。アメリカから環付されたものが直ちに自衛隊に使われるということで、各地域において地元住民との間に相克摩擦を起こしておる。このことに対して何らの反省を加えなくていいでありましょうか。この法案審議にあたって少なくとも具体的に私は指摘したい。そして大蔵省自治省の、基地撤去あと地の平和利用問題に対する御見解が聞きたい。特に、柳田政務次官大蔵省立場からお越しいただいておりまして、内閣委員長として、私どももこの議場で先生委員長下で審議をいたした一人であります。どうでしょうか。
  21. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まず、防衛庁の姿勢でございますが、私は、昨年五月二十九日、昨日でございますか、就任して翌日、昨年の本日役所に参りまして記者会見をし、米軍に提供されている施設が返還された場合は優先的かつ先行的に特権的に自衛隊が入り込むというものであってはならないということを、まず第一声として申しております。したがって、われわれは、ときに米軍基地の機能、特殊な機能を持っておりますものでわが国の防衛上どうしても引き継がなければならぬ、米軍がそこを去る場合には私たちがその機能を代替する必要があるというようなものについて典型的なもの、たとえば稚内のエリント基地等、これは議論のあるところでありますが、ことばだけ使わしてもらいますと、純軍事的にやはり日本としては必要な施設である、そういう意味がありまして、例外はございます。また最も顕著な例外は沖縄でございます。これも賛否両論ありますから、あえて深くは申しませんが、そういう例外はございましても、今後返還されたら直ちにいつもどこでも自衛隊がそのあとにもぐり込んでくるということは、われわれとしては権利としても、また行政上の優先権としても持ってはならない、もし必要とするものがありましたら地方自治体と競願になりましょうから、それについては大蔵省国有財産審議会の議を経て大蔵省の決定されるところに従っていくと、そういう姿勢をとるつもりでありますが、原則はただいま申し上げたような姿勢でもって臨むつもりであります。
  22. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 米軍の返還財産につきましては、国有財産審議会にはかりまして慎重な審議を経て処分方法を決定しておることは御承知のとおりでありますが、国家的見地に立ち、国民全体の福祉ということを念頭に置きまして、大部分が今日におきましては公園であるとか民生施設であるとか、そういうものに使われるような方向に向いております。現在も、九州におきます大きな弾薬庫あるいは返還財産の処分についてもそういった方向で審議をされておるのでございます。決して、米軍が返還したものが直ちにこれが自衛隊行政財産に引き継がれるというようにはまいっておりませんので、その点は御承知おき願いたいと思います。
  23. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 米軍から返還されました国有財産の使途につきましては、地方団体としては、その希望するところなりを十分国のほうに申し上げる、そしてその使途の決定にあたりましては、それぞれ十分協議をとげて合意を得られた線に従ってきめていただきたいということをわれわれは考えておる次第でございます。ただ、まあ国の防衛ということも非常に大切なことではございますし、地方団体の希望もその地方団体としての立場がございますものですから、その間に納得がいく御相談の上きめていただきたいということを私たちも常に申しておるところでございます。
  24. 足鹿覺

    足鹿覺君 大体こういう問題は、総理大蔵大臣、自治大臣等の御列席をいただいてやらねば、やはり高度の政治的な判断を必要とするものでありますし、ただ単なる政策上の問題ではありませんので、これ以上私はこの問題について質問を進めることは一応留保いたしておきます。  先ほども申しましたように、憲法九十五条の住民投票によって広島、長崎の新都市計画法も旧軍港市転換法も、いずれも制定されておるのであります。このことは非常に大事なことであります。地域住民の投票によって制定されるということは、まさに自治法の精神に基づき、しかも憲法九十五条によって行なわれておる。少なくともわれわれが過去の侵した軍国主義、日本が侵した軍国主義的な姿から新しく脱皮していく方向としてはこういう方向を志向すべきであろうと思う。しかるに、この新法は、特定防衛施設関連市町村の指定をきめながら憲法九十五条の規定を無視し、その指定を内閣総理大臣の判断だけで行なおうとしておる。これが私は問題ではないかと思うんです。この法案には、財政法の特例、会計法の特例、国有財産法の特例、重要軍事基地都市の特例規定などが盛り込まれておるにもかかわりませず、政府はそれらを独立の特例法とせずに、本法案にまぎれ込ませて一括承認をとろうとしておられるところに私は問題があるのではないかと思う。特例法とすればどうなるか、安保関係の規定ならば別でありますが、このような軍事優先の特例法が憲法上許されないことは、私はこういう立場からも指摘できるのではないかと思うんです。この点について、できれば総理大臣の御出席を得たかったのですけれども、いたし方ありませんが、政府関係ですね、防衛、会計検査院、行管、大蔵、そういったところの御所見を承っておきたいと思います。
  25. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先生憲法との関連の条項がやっとわかりました。第九十五条の問題は、さっきの沖縄の六百本に及ばんとする法律の特例法についても議論されたところであります。しかしながら、この憲法第九十五条の条章にいう特別法というものは、普通の地方公共団体と違った法律の適用を受けなければならない場合、しかもそれが賛否両論もしくは地方自治体の普遍的に有すべき権能、機構、組織、そういうものに悪い影響を及ぼすかもしれないというような議論がありまする場合には、これはまあ「法律の定めるところにより」となっておりますが、それがどこまでということが明確になっていないきらいが、若干法律論争では私はまだ残っていると思います。そういう場合には、先ほど申されました国会法の手続に明記された手段をとるべきことを九十五条は要求しておると思います。この法律の場合には、昭和四十一年制定いたしました際にそのような議論は、たしか私の記憶では、なかったんではないかと思いますが、今回の法律新法でありますけれども、換骨奪胎したものでありますし、さらにそればかりではない、第九条はどうだと言われましたので、第九条の問題は、これは通常総理関係の外局にあります役所がつくります法律の場合において、最終決定権者というものを、たとえば環境庁の地方公害防止基本計画等の承認等についても、あるいは経済企画庁の各種の計画についても、内閣総理大臣となっております等のものと同じでございまして、総理府の長たる、行政機関の長たる内閣総理大臣ということでございまして、各大臣を統括する内閣総理大臣の意味ではございません。したがって、通常の総理府の外局できめまする場合の表現のしかたを踏襲したにすぎないわけであります。したがって、その意味で、内閣総理大臣というふうに非常に大げさに出てまいりますが、ここにいう内閣総理大臣とは、総理府の長である内閣総理大臣、すなわち防衛庁総理府の外局である、総理府の機構の中にあるということだけでこのような表現をしたわけでございます。したがって、内閣総理大臣が直接にこの町村を指定しろとか、あるいはこの町村を指定してはならぬとかいうような実際上の行政行為も行なわれないものでございまして、これは総理府の各庁同じことでございます。
  26. 足鹿覺

    足鹿覺君 関係方面の御答弁を……。
  27. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 大蔵省見解というわけにはまいりませんが、特別法は、憲法九十五条の定めは、一つ地方団体にのみ適用される法律ということになっておりまして、広島とか長崎だとかいう特定の地域の戦災復興の場合に、この法が適用されたと思います。今回の場合は、さきに冒頭で御質問によってお答えをいたしましたように、約三百の市町村が現在においても関連を持っておるものでございまして、普遍的にやはり基地日本全国にまたがっております。したがって、特別法としてこれを住民投票にする必要はないと考えて、われわれも、この中に国有財産法の特例を規定するようになったのでございます。
  28. 足鹿覺

    足鹿覺君 会計検査院と行政管理庁の御意見、自治省……。
  29. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) これは法案でございますので、私どものほうからとやかく申し上げるのは、あるいは筋が違うかもしれませんが、個人的にただいまの御質問についての見解を申し述べさせていただきますならば、この法律案は、目的としておりますところが、要するに障害防止あるいは損失の補償というような、自衛隊等の行為なり施設設置運用、そういうものを原因としまして生じるそれらの態様についての措置を定めたものであると、こういうようなところから申しまして、先ほどお話しの憲法九十五条という、特別法というような範疇に入るものではない、このように私どもは考えております。むしろ私どもといたしましては、この法案、この法律の今後の適用、この適用の段階におきまして、これらの規定に盛り込まれました措置というものが法律の趣旨どおりに行なわれているかどうかというようなところが、もっぱら検査の対象になると、このように考えております。
  30. 大田宗利

    政府委員(大田宗利君) 行政監察局といたしましては、その所掌範囲が、行政の実施状況を監察して所要の勧告を行なうということでございますので、御意見を申し上げる立場にないと思いますので、御了承願います。
  31. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 自治省見解もお求めでございますけれども自治省といたしましては、この法律は結論的に申し上げて、憲法九十五条の特別法には該当しないと考えております。  その理由は、九十五条の特別法は特定の団体にのみ適用されるというものでございますから、この法律基地というものを基準といたしまして、その基地で何らかの影響がある市町村には一般的に適用になる、ちょうど、山村振興法という一定の要件に該当する場合は山村振興法の適用になる、あるいは過疎の市町村の成果をあげるためのものは一定の要件に該当するものはその法律の適用になる、それと同じように、全市町村には適用になりませんけれども一定の要件を備えた市町村には一般的に適用になるということでございますので、九十五条の法律に該当しないという考え方をとっております。
  32. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は君と議論をしようとは思いませんが、いま引用された山村振興法とか、いろんなものを引っぱり出されたが、それとこれとを同日に語るということは、全く行政姿勢としてもなっておりません。山村振興法は、私どもが衆議院で発議をしたことがもとになって、現在当院におられる小枝一雄さんなどとも相談をしてつくったものです。これは地域立法でありまして、過疎状態に悩む山村を、面積率等を法律で定めて、そうしてこれに対して特別な振興措置を講ずるということを目的とした立法であって、議員の総意からわれわれがその音頭をとって超党派でつくったものであります。先般も大会があって、私は招かれて行きました。現在いかに山村がきびしい現実におるかということを、自民党の野原正勝氏が会長であり、議長をしておられましたが、そのときの決議の一端でもあなたお読みになれば、よくおわかりだろうと思う。そういうものと本法とを同日に論ずるということでは問題になりません。委員長町村自治大臣の御出席を——そういう見解をあなた方が持っておられるということになりますと、きわめて重大であります。町村さんの御出席を求めておきます。御都合のほどをよく聞いていただきまして、できる限り御出席を願いたいと思います。  要するに、私がさきに引用しましたように、広島・長崎の新都市計画法も旧軍港市の転換法も、いずれも憲法九十五条で、特定地域を新しい自治体として生まれかわらそう、こういう趣旨をもって住民投票に付せられたものでありまして、きわめて建設的な方向が指向されておる。私はさきにも指摘したような理由から、これは違憲立法ではないか、こういう判断を持っておりますがゆえに、また、基地存在そのものに対して、この新法は国の特定の恩典を与えようとしており、超過負担に悩む現在の地方自治体の姿を見たときに、基地あるがゆえに普通行政ででき得ないことが次々と実施されるということは格差の拡大であるということも先ほど指摘をしました。にもかかわらず、山村振興法のごとき法律を引用されてこの憲法九十五条の問題に行政姿勢を示すということは、私は納得まいりません。あなたのいまの御答弁はそのままそっくり返上いたします。
  33. 林忠雄

    政府委員(林忠雄君) 委員長
  34. 足鹿覺

    足鹿覺君 もうよろしいですよ。そんな答弁要らぬ。委員長答弁要りません。大臣の御出席を私は求めます。大臣がお越しになったときに、この問題の御見解を承ることにいたします。  そこで、この問題だけで論議をいたしましておりましても、先へ進めませんから……。この新法は、その内容におきましても、また手続におきましても、二重、三重の意味から考えて、私は、いまも憲法九十五条の住民投票等を必要とする、住民投票に付することが相当するような中身である、それを一括して新法の中へ織り込もうとしておるわけでありまして、これについては大きな問題点として十分まだこの点については審議を尽くしていかなければならぬと思います。要するに、それでなくても財源難に苦しんでおる地方自治体を金しばりにするといいますか、基地代官といいますか、そういう立場に置こうとしておるのではないか。もしかりに、その結果地方住民の若干の生活権や福祉が向上したとしても、大きな立場から見ますならば、いま指摘したような立場において堂々と地方住民住民投票に付するぐらいの手段を憲法に基づいてやるに相当する私は基本的な立法だということを主張いたします。   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕 この点は平行線であるようでありますので、これ以上申し上げませんが、表現は適当であるかどうかはわかりませんが、この新法の性格を考えたときに、以上述べましたような立場から、地方に新しい一つの新軍都を確保していこうという大きな目標のもとに進んでおるわけであります。立場の相違はありましても、これはそれを離れて、やはり行政技術論や立法技術ではなくして、ものの考え方として、この性格についてもう一ぺん反省してみる必要が政府にはあるのではないかと、このことだけを私は強く指摘して次の質問に入ります。御所見は、特にあれぼ承りますが、いままでと変わりなければ御所見は承らなくてもけっこうであります。——御所見がないようですから先へ進めます。  次に、具体的な問題について、従来私が内閣委員会に長い間籍を置いて取り組みました問題に関連をしましてお尋ねをしたいと思います。それは北富士返還国有地の払い下げについてであります。恩賜林組合が払い下げ申請理由としてあげております演習被害のための荒廃地として放置せざるを得ない土地面積はどのぐらいでありますか。組合有地、部分林、保護管理県有地別に明らかにしていただきたいと思いますが、 いかがでしょう。
  35. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) 御質問の土地は、五月十七日付で防衛庁長官から実質上の管理権を大蔵省が承継しております。それに先立ちまして防衛庁で測量が行なわれたわけでございますけれども、その数字として私どものほうがいだだいております数字は、大蔵省で今後管理処分すべきことになるべき土地が二百十六ヘクタール、農林省及び建設省の所管となるべきものが十三ヘクタール、合計、端数がございますが、国有地であるものが二百三十ヘクタール、そのほかに恩賜林組合の持っておりますもの、山梨県の持っておるものがございまして、合計で二百四十七ヘクタールという数字をいただいております。
  36. 足鹿覺

    足鹿覺君 同じく、組合有地、部分林、保護管理県有地で、放置せずに再建整備できる土地面積はどれぐらいあるでしょうか。さきの荒廃地は全く整備不可能ですか。これは防衛庁ですか、どこですか。
  37. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) ただいま大蔵省のほうから御答弁ありましたのは、昨年の閣議了解なり現地との覚書に基づいて林業整備のために地元に払い下げる対象とされた二百十ヘクタールであります。それ以外に、昨年恩賜県有林が千三百ヘクタール同じく返還になっております。引き続き北富士演習場の中に恩賜県有財産及び恩賜県有財産保護組合有地等で残っております面積が約二千六百万平米ほどあったと記憶しておりますが、その中で、特に着弾地に接しまして撫育管理が十分に行なわれない、あるいはかって被弾立木等が発生したというようなところで、状況から見ましてかなり荒廃していると思われますものは、六林班と九林班の二カ所だと私は思います。六林班が約二百三十ヘクタールぐらい、それから九林班が約百七十八ヘクタールぐらい、これぐらいのところが山林としては荒廃している状況にあると考えられます。
  38. 足鹿覺

    足鹿覺君 例の二百十ヘクタールを払い下げる経済的根拠は何でしょうか。政府の考えられる林業経営上の根拠は何でありますか。前の質問と関連をして、数字で御答弁願いたいと思います。   〔理事岡本悟君退席、理事岩動道行君着席〕
  39. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 昨年の閣議了解なり覚書に二百十ヘクタールという数字が出ましたのは、特にそれに見合う林業整備上の損失があるとか被害があるとか、そういう見合いでの数字じゃないわけでございまして、北富士演習場が使用転換され、引き続き自衛隊が管理しながら演習場として使用していき、また米軍も地位協定の二条四項(b)で演習場として使用していきながら、なおかつ国有地として、あるいは県有地として今後の演習場から除外できる可能性のあるところはどうであろうかという点を検討したわけでございます。これは当然過去から地元の県なり地元からの多年の御要望があった点を踏まえての検討であったわけであります。その際、二百十ヘクタールにつきましては、北富士演習場に中道というところから入りました突き当たりに自衛隊の梨ケ原演習廠舎があるわけでございます。その前の演習用道路から五十メートル北側の場所において東西にわたって線を引いて、それから北側が除外できるであろう、その線の外側に存在します国有地が約二百十ヘクタールと推定されたわけで、それを閣議了解のときに数字としてあげ、また地元との間に、これを林業整備事業に資するために払い下げることにいたしましょうというふうに考えたわけでございます。
  40. 足鹿覺

    足鹿覺君 私は建設的な意見をひとつ申し上げましょう。二百十ヘクタールを県有地になさって、管理のみ組合にやらせる方法等は御検討になる必要があろうかと思う。林業整備のためということがストレートに組合の財産をふやす方式につながるのは一体どういうわけか、こういう疑問も出てくるわけですが、またはこの二百十ヘクタールを市町村の共有地にして各団体に貸し付けをする方法もあります。たとえば恩賜林組合は一部事務組合の性格上、地元民の一般民生安定、福祉に関係ないから、民生安定、福祉に責任を持つ普通地方公共団体たる市町村の共有地にし、地元各団体に林業整備をやらせたほうが私は地元民のためになると思います。東富士をごらんなさい。東富士のように、地元民に払い下げて林業整備をやらせれば、なおよいではありませんか。恩賜林組合をあなた方は非常に重視していらっしゃいますが、それはあなた方の自由ですが、恩賜林組合の財産にしたのでは、組合はけっこうでしょうけれども、地元民には直接の恩恵はないというのが地元の声です。そういうことも言い得るんであります。ですから、あまりにもあなた方のやり方というものは一つの偏向を繰り返しておるにすぎない。もっとこのような国有地の利用方法等については、多岐にわたってその利害得失を判断し、地元の人々にいかにすれば利益をもたらすか、その福祉に貢献できるかということを考えてやるべきだと思います。そういう立場から、閣議了解するにあたって、あなた方は十分検討しておらなかったんじゃないかと、私はそう言いたい。  そういう見地から大蔵省に伺いますが、大蔵省の通達「在日米軍から返還等が予定されている国有財産の処理について」という四十四年二月十四日蔵理第五三四号の内容はどういうものでありますか、通達の趣旨はどういうものでありますか、ひとつ文書があればお示しを願いたい。
  41. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) 四十四年二月十四日蔵理第五三四という通達、ただいま手持ちいたしておりますけれども、非常に長文なものでございますので、ここで読み上げることは御遠慮さしていただきたいと思いますが、要するに、この通達の趣旨は、前文に、「現下の土地事情及び基地問題に対する国民の関心がきわめて高くなっている現状にかんがみ、返還財産がこれらの要請にこたえうるよう有効に活用されることを図ることにある。」という前文がございまして、それを受けまして具体的な条項が幾つか書かれているわけでございますけれども関係があると思われるところを読み上げさしていただきますと、「その使用を継続させることが相当と認められるものについては、当該財産にかかる処理方針が決定されるまでの間、普通財産取扱規則(昭和四〇年大蔵省訓令第二号)第三二条第二項第二号による使用承認又は同規則第四条の(3)の口による貸付契約を行なうことができるものとする。」とございまして、注がございまして、「(注) 「その使用を継続させることが相当と認められるもの」とは、国の事務事業の用に供していたもので、その使用が真にやむを得ないもの及び道路、排水管の埋設等公用、公共の用に供されていたもの等をいう。」という規定がございます。
  42. 足鹿覺

    足鹿覺君 いまの通達の第三項では、「当該財産の立地条件、財産の現状、都市計画及び近隣の環境等を勘案し、慎重かつ適正な処理を図るものとする。」とされております、私の資料によれば。このことについて、閣議了解を行なうにあたって、この通達の内容に従うことは全く考慮されなかったのか。政策上の必要が第一で、大蔵省の通達の精神は無視されたと私は思うがどうか。もちろん、決定の重要性からいえば、閣議了解ということは大きな力を持つに相違ありません。しかし、四十四年二月十四日蔵理第五三四号の通達の精神というものが、閣議了解という名のもとに恣意的にすべてがじゅうりんされるということであるならば、私どもはきわめて遺憾の意を表せざるを得ない。  かりに恩賜林組合に払い下げるとした場合、これを他の目的に使用したり、第三者に処分したりしないために条件をつけるとのことであるが、どんな条件をつけられるのですか。たとえば、将来そのようなことをしないために、買い戻しの特約とか、契約解除の特約とか、それとも、もっともっと弱いものでありますか。  聞くところによりますと、恩賜林組合では、返還国有地の払い下げを予定し、すでに六十ヘクタールの所有地を富士急行会社に貸し付けの決議をしておるといわれておるが、これは現在どういうふうになっておりますか。
  43. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) ただいまは、国有地の処分をいたしますにあたりましては、必ず用途指定をつけて処分をするということになっております。本地につきましても、ただいま造林地として処分をいたします場合には、用途指定二十年という指定をつけまして一般的に処分をいたしておりますので、その例に従うことになると考えております。
  44. 足鹿覺

    足鹿覺君 貸し付け決議は現在凍結されているといいますが、払い下げを受けた後決議を実行するという、何か——これはおだやかならぬ言い分ですけれども、まあ密約とでもいいますか、そうとしか言えない、表面化していないので……。何か約束が富士急行との間に取りかわされておるという話をわれわれは聞くのでありますが、この点について組合を調査なさったことがありますか。また、この取引に小林演対協会長が一役買っておるといううわさも高いようでありますが、そのようなうわさを聞いたことがありますか。また、恩賜林組合と富士急行との関係でありますが、有名な「ハイランド」の敷地ほか三百ヘクタールの土地を同組合は富士急行に処分をしておりますが、この事実を知っておられますか。以上三問。
  45. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) 順序が逆になりますけれども、三百ヘクタールの処分というのは、これはかなり古い時代の話だと伺っております。それから、恩賜林組合と富士急行との間の密約云々のお話でございますけれども、これは恩賜林組合のほうでの決議は取り消されたという連絡を私どもは聞いております。それから、調査云々の問題でございますけれども、本件の物件は、処分につきましては四十八年の四月でございましたか、国有財産審議会に付議しておりまして、ただ財産の実質的管理権が大蔵省にまいっておりませんので、一時審議を中断しておりましたが、先ほど申し上げましたように、五月十七日に財産の管理権が防衛庁長官から私どものほうへ移管されましたので、五月二十三日でございましたか、国有財産審議会の委員方による現地調査を行なっていただいたという段階でございます。したがって、審議はこれからでございまして、それに関連いたしまして、事実関係調査をする必要がございましたら、当然私どものほうで調査をいたすということになろうかと思います。
  46. 足鹿覺

    足鹿覺君 つまり、さっき言いましたように、現在は凍結されておる、払い下げ後に決議を実行するという協定がある、こういわれておるのですが、大蔵省調査していませんか、その点。
  47. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) ただいま申し上げましたように、大蔵省といたしましては、本件財産の処分についての仕事を始めたばかりでございます。調査する必要を生じました場合には調査をいたすということになるかと思います。
  48. 足鹿覺

    足鹿覺君 それでは調査を早急におやりになって、不当不法なことになるようなことにならないように、十分慎重に対処されますね。
  49. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) 本地にからみますすべての問題につきまして十分に調査し御審議を願うということになるはずでございます。
  50. 足鹿覺

    足鹿覺君 この恩賜林組合が返還国有地の払い下げの後、すでになされておるといわれておる所有地六十ヘクタールの富士急行貸し付け決議を実行する、それは、そのことそれ自体を別に批判することは、いまから私どもがとやかく言う筋合いのものではないとも思われます。何となれば、組合の林業再建の熱意があって富士急行が林業の再建を組合にかわってやるというならけっこうです。外国へまで、海外協力事業団をつくって、外国に森林の再建をしていこうという、そういう意味合いの一部を含めた法案がこの国会で成立をいたしておりますから、そういう殊勝な考えであるならば、あえてとやかく言う筋合いはありません。ただ、林業再建の熱意は全く払い下げのための方便に使うようなことがあっては許されないということを申し上げておきます。  いまも審議官が申されましたが、二十三日に審議会の委員の現地調査も済んだから、その答申を急がせ、参議院議員の選挙終了前に払い下げ等の処分を行なうのではないか、こういう推定もまあ成り立ちますが、こういうことまで選挙にからませたくないのですけれども、いまの大蔵省の井上さんの御所見がこれについてあれば承りますし、どうですか。
  51. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) 本物件の処分につきましては、国有財産中央審議会の議を経た後に、さらに私どものほうの関東財務局でお預かりしております関東地方国有財産審議会へもう一度付議をして具体的な処分方法をきめる、こういうことに相なります。ただいまこの土地につきまして、そのほかに、たとえば国立公園法の関係での土地の利用制限、森林の伐採制限等の取り扱いが確定しておりませんので、それらの諸要件がすべて充足されませんと評価あるいは処分という具体的な方針が筋としては立たないわけであります。したがいまして、いつまでに処分を具体的に完了するというめどは、私のほうでは現在申し上げかねます。
  52. 岩動道行

    ○理事(岩動道行君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  53. 岩動道行

    ○理事(岩動道行君) 速記を起こしてください。
  54. 神沢浄

    神沢浄君 ただいまの足鹿委員質問に関連をいたしまして、ちょっと大蔵省の方にお聞きしておきたいと思うのですけれども自治大臣がお見えになりましたから、ひとつ要点だけ申し上げて質問をいたしますが、私が前の質問の中で、この払い下げ問題に関して関連の事項として、かつてあの地域を一時使用許可の、その競願が恩賜林組合と忍草入会組合の間で行なわれて、その際には、植栽地として忍草入会組合がその許可を取得をしておる、こういう事例があるだけに、今回の払い下げについても当然そのことが尊重されるべきではないかという趣旨の質問をいたしております。しかし、そのことについての御答弁は、私としてははなはだ意に沿わないような御答弁がありましたが、その後私がいろいろと資料等について調査をいたしてみたわけでありますが、以下申し上げるものが出てきておるわけであります。  これは、「北富士演習場問題の概要」という、山梨県の県民室北富士演習場対策班というものが北富士問題についての問題を記録的に編集をいたしまして発行をいたしておるものでありまして、かつて、ちょうどきょう御出席になっております柳田委員長当時の内閣委員会でもって調査の際にも、みんなこれを受け取っておる冊子であります。この中に、檜丸尾の一時使用許可についてこういう個所がありまして、「昭和三十一年五月関東財務局長は、植林のための檜丸尾の一時使用を忍草区長に許可した。保護組合に許可しない理由は、同組合規約第二条により恩賜県有財産の保護の目的に必要以外の事務について行為能力がないと判断されたからだと県あて明らかにした。」、こういう記録があるわけであります。これは私が考えていたとおりの内容でございまして、したがって、私は、恩賜林組合が今回の払い下げの対象者としての資格に全く欠けておるのではないかという点をあの際指摘をしてまいっているわけでありますが、この記録を見ますと、私が指摘したとおりのものが裏づけされているわけであります。  そこで、関連質問ですから、時間をあまりむだにしてはなりません、自治大臣もお見えになっておりますから。もしその点についての御説明がいまいただけるならばいただきたい。用意等がございませんでしたら、そのときの許可の書類を——これは県に対してこういう説明を関東財務局長からやっておるわけなんですから、おそらくそれを内容としたところの書類があるに相違ありません。この書類をひとつ資料として提出を願いたい。もしいま御説明いただけるならば説明をしていただきたい。どちらでもけっこうです。
  55. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) 古い話でございますので、具体的な資料をただいま手持ちしておりませんけれども、お尋ねのように、三十一年に忍草入会組合に一時使用の許可をしたという事実はございます。これは関東財務局長の職務でございます。このときの事情は、当時演習場に立ち入ることについて忍草入会組合が米軍から事実上の許可を受けているということで、いわば追認的に関東財務局がその一時使用の許可の手続処理をしたということのようでございます。その際、恩賜林組合との間で競願があったようでございまして、御指摘のように、関東財務局長が恩賜林組合に対しまして、恩賜林組合の行為能力についてやや疑問があるという旨を申し述べたようでございます。
  56. 神沢浄

    神沢浄君 やや疑問がある旨を申し述べたなどというなまやさしいことではないと思いますよ。不許可の理由として、「同組合規約第二条により恩賜県有財産の保護の目的に必要以外の事務について行為能力がない」ということが不許可の理由になっている。それを関東財務局が県あてに書類をもって明らかにしておるというのですから、これはたいへん明瞭なことであります。ですから、時間を空費してもなりませんから、この書類をひとつ資料として提出願いたい。それでけっこうです。
  57. 井上幸夫

    政府委員(井上幸夫君) 書類は関東財務局にあるはずでございますので、ありましたらお届けいたします。
  58. 足鹿覺

    足鹿覺君 町村自治大臣がおいでになりました。お忙しいところをありがとうございました。  御出席をいただきましたのは、要領を申し上げますと、われわれはいま御承知の防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案審議しておるわけでございます。これは第一条が、新法においては——旧法の場合は、防衛施設運用によって生ずる障害防止等のために必要な措置を講ずるという目的が明記してあるにもかかわらず、今度め場合は「防衛施設設置若しくは運用により生ずる障害防止等のため」と、こうずっと長く続くのです。いわゆる運用から何か影響が出るとかいうことではなしに、基地設置そのものによっていろいろ国が補助金その他の便宜を供すると、そういう趣旨のきわめて重大な、言うならば軍事優先措置の法的確定にも通ずるような重要な法案だとわれわれは理解しておるわけでありますが、今国会にも、国の補助金が法令で定められた額どおりにもらわれないために超過負担問題がありまして、大臣御承知のように、七十近い市町村から意見書が提出されております。こういう現状の中にあって、軍事基地関係市町村には、基地設置を承認しさえすれば優先的に補助金が出されるということは、一方に、予定どおりの交付が得られないで超過負担で苦しんでおる町村があるのに対して、基地があるというだけできわめて有利な立場になることになる。いわゆる平和で平凡な都市は財政に苦しみ、基地防衛施設の置かれておるところは豊富ないろいろな優先措置が受けられる。これは相互間の格差拡大を法的に認めることになりますし、きわめて私は問題であると思います。こういうことについて大臣としての御所見を承りたいと思っておりましたけれども、御多忙でありましたので、まずこの点を明らかにしていただきたい。  それから、本国会では、広島平和記念都市建設法と、長崎国際文化都市建設法、さらには昭和二十五年に旧軍港市転換法を可決して現在に至っているわけでして、これは私は現憲法の精神に合致したいい法律であると思います。いま申し上げましたように、この法律憲法九十五条に基づいて、住民投票を経て制定されておる。にもかかわらず、これと対照的に、この新法は、特定防衛施設関連市町村の指定をきめながら、憲法第九十五条の規定を無視しまして、山中長官に言わしむると、この指定は総理大臣が統括しておる総務長官のことだと、こうまあおっしゃるわけでありますけれども、一応法律のたてまえは総理大臣が指定権を持っておる、こうなっておる。しかもこの法律には、財政法の特例、会計法の特例、国有財産法の特例、重要軍事基地都市の特例規定などがたくさん盛り込まれておりまして、政府はそれらを独立の特例法とせずに、この本法の中へ入れて一括承認の態勢を確立しようとしておるのではないか。私ども立場を越えて並行的な議論を好んでおるものではありません。事実このようなことをおやりになるならば、憲法九十五条の定めるところに基づいて、さきに述べたような広島、長崎等が住民投票によって新しい平和都市として脱皮をしていこうという、そういう事態に逆行するものではないか、こういう立場から御質問を申し上げておるのであります。これに対して、あなたのところの局長さんは、山村振興法を例にとられて御答弁になりましたが、そういうことを聞いておるのではない。やはり自治権の侵害を伴う面も、ないという保証はない。また、財政的な格差が拡大をして地方自治体財政難にあえぐ中に、さらに  一方では苦しみ、一方では基地あるがゆえに優遇されると、こういう重大な結果になる。自治体を預かられるその長として、高度の政治判断に基づいて、やはりこのような問題に対しては、きわめて正しい姿勢で対処していかれるべきではないかと、私はそういうふうに思うわけです。  先ほど山中長官が、冒頭に、私が今国会を限りに引退をいたしますので、立場は越えて誠心誠意答弁をしたいということを言われて、私は非常に感激を新たにいたしております。ためにせんがために私はあえて並行的な見解の対立を求めておるのではありません。そういう心境から、私は、ただ単にこの法案に対しての問題のみならず、ややもすれば、われわれがすべてのことに何でも反対をするというような、そういう世論形成が一方においてなされておる中にあって、私どもとしても、筋を通して憲法に定められた合法的手続に基づいてなされるならば、あえてとやかぐ言う筋じゃありません。その憲法の中身も、この法律の根拠法というようなものの条文は、条文それ自体としてはない。そこで高度の政治判断に基づいて、北海道の知事も御経験になり、戦前から豊富な行政経験をお持ちになる町村さんの御所見を承りたい、こういうことでございますので、よろしく。
  59. 岩動道行

    ○理事(岩動道行君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕   〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
  60. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こして。
  61. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 実は、このたびの防衛施設周辺生活環境整備に関する法律の御審議のことをいま伺ったわけでございますが、先ほど来私ども行政局長が参りましてお答えを申し上げたこと等にも関連してのお尋ねだというふうに伺ったのでございますが、先ほど来政府地方自治体に対するやり方の中に、あるいはときに超過負担を生ずるようなことが起きたり、あるいは今回の法案は、足鹿議員の御指摘によりますれば、一部の市町村にたいへん財政的に有利な条件を付与しておるというような点についての御指摘も伺ったわけでございますが、まあ一般的に申し上げてみまして、実は超過負担の問題が、ことに最近は御承知のように諸物価が非常に高騰をいたしておるというようなことからして、従来ございましたもので、しかもわれわれとしては一日も早く解消しなければならぬ、努力をいたしておりました超過負担の問題、必ずしも所期の成績をおさめていないというようなこともございまして、政府としては昭和四十七年以来このことにはかなりの努力もいたしており、さらに、本年度特に超過負担の問題が重視されておりまするような問題については特別な調査関係省庁とともにいたしまして、明年度以降こういった問題の解消に極力つとめたい、こう考えておるのでございます。  なおまた、このたびの法案に関連をいたしまして、政府の施策が一部の地方自治体に特に有利な措置を講ずるというようなことは好ましくないのではないかという意味の御指摘のようにも伺ったのでございます。まあ、私は今回のこの周辺整備法の内容を十分承知をいたしておりませんので、あまり確たるお答えを申し上げることはできないのでございますけれども、おそらく、やはり基地が置かれておるということによって周辺町村がいろいろの点でたいへんな難渋を来たす、そういうようなものに対する一つのこれは政府としての特別の措置であろうと、まあこう思うのでございます。自治省といたしましては、全国の市町村というものをよく総体としてながめまして、財政上にあまり凹凸があると申しましょうか、非常に力の差異のできるというようなことは、つとめてこれを是正をしたい。交付税の措置なぞも、そういったことをかなり念頭に置きながら配慮されておるものでございますが、まあこのたびこの周辺整備法によりましてどういうような事態に相なりますか。自治省自治省といたしまして検討をいたし、今後これにできるだけの善処をいたすようにいたしたいと考えております。  なお、この法律憲法九十五条のいわゆる特別法であるかどうかということにつきましては、まあ自治省としては、これは憲法九十五条の特別法に該当はしないのではないか、こう考えておるのでございます。言うまでもなく、政府といたしましては、これを提案するに際しましては法制局の判断に従って提出をいたしたものであることは申し上げるまでもございません。行政局長が引例として山村振興法のことを特に申し上げたそうでございますが、これは私も引例としては必ずしも適当ではなかったのではないかと、かように考えるのでございまして、山村振興法は、申すまでもなく、今日の山村が必ずしも繁栄をしていない、いろいろ困難な状況にあるために、これを振興させようというためにつくられた、きわめて有意義な重要な法案であると、こう考えておるのでございまして、自治省といたしましても、この効果的な施行には従来とても努力をいたしておるんでありますが、今後もそういうつもりでこのことには対処いたしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。  なお、私いまの山村振興法のことについて御説明がやや不十分でございましたが、これは実はこの法案が議員立法によってでき上がったものであり、そういった意味では、当時山村関係者から非常に期待を持ち、感謝をされてでき上がった法案だということは私も重々承知をいたしておるところでございまして、したがって、自治省といたしましても、さびれる傾向のございます山村振興のためには、この法案一つの土台にいたしまして、今後とも山村振興のためにはできるだけの努力を重ねてまいりたいと、こう存じておるところでございます。
  62. 足鹿覺

    足鹿覺君 やめようと思いましたけれども、山村振興法の問題にもお触れになったようでありますし、もう一点だけ大臣に伺いますが、山村振興法の点については、これは私も衆議院時代に超党派でその法案の作成に当たった一人で、山中さんもよく御承知のとおりです。私は、具体的な実利をやはり無視した議論というものはあまり好みません。そのことが国民なり地域住民にとってほんとうに具体的に生かされる、そういう立場で、今日まで長い間政界で、野党の陣笠でありますが、つとめてまいりました。そういう意味から、あれは政府の発意が一部にもあったと思いますけれども、過疎に悩む山村振興の問題につきましても、占有率の問題をめぐってもずいぶん冷たい態度を自治省は示しました。占有率八〇%などという、その林野率ですね。そういうものが、適用できる条件として出てきましたので、いわゆる作業の段階で、そんなむちゃなことがあるかということで、これはずいぶん主張に主張を重ねて現行法になっております。ですから、特例法として特に必要を認めた場合には、われわれも党派を越えて、その趣旨によっては参画をしてきて、実現のために努力しております。したがって、そういう政治行動を私は信条として持っておりましたので、山村振興法に言及されてこの問題を比較されたことについて、私はそれは次元が違う。それを引用されたことそれ自体を、その振興法それ自体を軽視したり、どうこうということではない。ただ、大臣が熱意のほどをお示しになりましたから……。この間も大会がありまして、あなた方の党の野原正勝君がこれは責任者、たとえばその大会で満場一致採択された決議の中に、山村振興の基準として人口で規定することはよろしくない、面積を基準にせい、こういうきびしい決議も採択されております。確かに問題が山積しておるんです。事ほどさように、やはり特例法であれば、いろいろと問題を提起し、改善に改善を重ねていけるわけであります。  このように財政法上の特例、会計法上の特例、国有財産法の特例、重要軍事基地都市の特例規定などが一括してこの法律の中にたたみ込まれておるし、趣旨自体としてもわれわれとしては問題であり、手続その他の面からいっても、私はこういう一括承認を求めるようないき方はどうかと思う。こういう点で問題を提起し、できればこれは、住民の意思の的確にあらわれるのは住民投票が一番でありますから、広島、長崎の新都市計画法も憲法九十五条に基づく住民投票を経て制定されたものでありますから、やはり地域住民なり国民が必要と認めて判断を示したことに従うべきではないか、手続としては憲法九十五条の住民投票によってやるべきではないか、こういう手続上の問題も示した。一面、学校も不十分だ、保育所もない、地方行政のいまの貧弱な実態に比べまして、それらの学校や保育所や厚生施設や体育施設をどんどん金づくめで、地方自治体を金しばりにしていこうと、金で万事を片づけていこうという、そういう意図もあるのではないか。しかし、金で解決のつかぬ問題も私はあると思います。言うならば、地方自治体基地の番人になったり代官になるようなことがないように地方自治体としては対処されるべきではないか、私はこういう点も、意図を含めてさっきからやりとりをしておったわけなんです。お忙しいところをお越しいただきましたが、そういう私の意図も含めて御所見を伺えたらと思います。
  63. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 私、このたびの周辺整備法の内容、たいへん不勉強で、よく勉強をいたしておりませんので、いま御指摘になりました点についてはおそらく防衛庁長官にだんだんの御質疑等があったのではないか、こう存じますので、それについて私の私見を申し上げることは差し控えることにいたしたいと思いますが、いまもだんだんと御指摘になっておりまするように、私ども全国三千幾つかの地方団体の財政状況あるいは行政の状況というようなものを自治省として全体的にながめておるのでございまして、できるだけそれぞれの市町村はみな健全な財政基盤のもとに発展をさせなければならぬという立場に立って自治省としての施策を講じておることは申し上げるまでもございません。そういった立場に立ちまして、このたびのこの法案がそういった角度から見て一体どういうような結果を関係市町村に及ぼすことになるかということについては、私どももひとつまた十分これは検討をさせていただかなければならぬ。先ほども申し上げたわけでございますけれども財政的には、やはり現在といたしましては、交付税制度の適正な運用をはかってまいるということでございまして、私ども自治体に対しまする財政的な援助措置をいたしてまいりまするときには、実はこれが一番大きな力を発揮いたすわけでございまして、そういったものと今回の法案との関係等もひとつ十分私といたしましては検討をさせていただきたい。  なお、いま御指摘がございましたが、山村振興法とこの法律とを同様の次元で考えるというようなことはおかしいという御指摘のようでございました。同じ一部の地域に適用される法案ではございますけれども、少なくとも法の目的とするところのものは全く違うわけでございまして、したがって、次元は違うんだという御指摘には、私もまた同様に存ずる次第でございます。
  64. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 本案に対する午前からの質疑はこの程度にとどめ、午後二時再開することとし、休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      —————・—————    午後二時一分開会
  65. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  66. 足鹿覺

    足鹿覺君 官房長官がお忙しいところ御出席いただきましたので、きわめて簡単にお尋ねをいたしましてお引き取りをいただきたいと思います。  問題は、北富士問題に関連をいたしまして、かねてから山梨県知事との間に、あるいは他の団体との間に、いろんな閣議了解ないしは協定が結ばれておりますが、そのことについてであります。  そこで、いままで払い下げ国有地二百十ヘクタールと言っておりますが、この払い下げの価格の基準とでも申しましょうか、前愛知大蔵大臣は、どこかで時価と言ったといわれております。この時価というのは、近傍取引価格を基礎として考えるということでありましょうか、それとも別のことでありましょうか。最初からこの問題に対して二階堂長官がタッチをしておられますので、その辺の御見解を承ることが第一点。  時間の節約上次に移ります。第二点、すなわち返還国有地払い下げの閣議了解に至る経過でありますが、政府はもみにもんだ調整過程を経て、苦心に苦心を重ねた結果、到達したものが閣議了解だとおっしゃいました。経過の中で最大の問題点は何であったでしょうか。いままでいろいろ経過を述べられる中で、恩賜林組合と防衛庁との覚書に触れられることが少ないようでありますが、この点は山中長官でもけっこうでありますし、お答えを願いたいと思います。  それから閣議了解についてでありますが、この恩賜林組合と防衛施設庁との間に覚書があるそうであります。これをお示しできればと思います。閣議了解とのこの覚書を普通密約だなどといっておりますが、考慮されたのか、全然別個な立場、観点できめられたのか。閣議了解は覚書の格上げでもあるし、密約の合法的施策化であるのではないかという気もいたします。この覚書の中にあるといわれておる自衛隊不法使用排除訴訟はその後どうなったでしょうか、この問題について御答弁をいただき、あと一問だけ、また数点お尋ねをいたしまして、官房長官のお引き取りをいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  67. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 足鹿先生から、きょうは午前中から内閣委員会出席要求がございましたが、人事院勧告がなされ、そのことやら、またいま経済企画庁長官の代理も仰せつかっておりまして、物価問題その他でいろんな仕事をやっておりまして、まだめしも食わずにずっと仕事を続けておったわけでございますから、午前中は出席できないということで、出席できなかったことをあらためて足鹿先生の前に御報告を申し上げ、おわびを申し上げておきたいと思います。  承りますと、足鹿先生は来たるべき参議院の選挙にはもう立候補されないということでございます。多年にわたる衆議院、参議院を通じて、先生が特にこの農林、水産、林業その他の安定育成、またこれに関係する地域住民あるいは国民のために、国会活動を通じて非常なお働きをされたことは、私もしばしば委員会等の先生の御議論を通じて頭の中に深く入っておることでございます。国会議員をおやめになるという話を承りまして、まことに惜しい人であるという感をさらに深くいたしますので、答弁をいたします前に、このことだけを一言申し上げておきたいと思います。  先ほどの先生の御質問の中に、私が答弁のできないこともありますし、また大蔵省も来ておりますし、防衛庁の当局も来ておりますから答弁がなされると思いますが、いつかも予算委員会先生が御質問ございましたが、この覚書に関することだけでございまして、この覚書ができましたのは最初四十七年の八月二十人目でございましたか、官房長官という仕事を仰せつかって間もないころでございまして、山梨県の知事、それから小林さんという県会議長でございますかと、それから金丸県連の会長、三人見えまして、これらの問題について、ひとつ県民の要望もあるから骨折ってくれということでございました。もともとこれは、いまにして思えば、私がこういう話の中に入ったことが何回も内閣委員会に呼び出される原因になっておるのだと思いますが、そのたびに答弁も、なかなか思うような答弁もできなくて、こまかいことを問われても、これまた私もどうも要領を得ない答弁ばかりしておって、おしかりを受けるわけでございますが、先日も内閣委員会に呼び出されまして、神沢先生から御質問ございましたが、そのときも申し上げましたが、山中防衛庁長官から、こういうものに判こを押す場合には、君は念には念を入れよと、こういうおことばも承りましたが、手形なんというものに判こを押すと家も財産もなくなるというようなこともあるじゃないかという例を引いてのおことばもございまして、いまにして思えば、私がこれは関係することではなかったが、山梨県知事や県民を代表してきておる演対協の会長という資格で小林議員が来ておられる、それに友人であります金丸君も来て話をしたものですから、ずるずる話をするうちに、これは県の要望だ、県民のためだということでございまして、また知事もそういうことをしきりに力説されるものですから私も覚書に調印をした。した以上は、これは内閣の窓口でございますから、法律的な効力は別といたしまして、行政上の効果というものは引き続きこれは存続しているものと思います。  まあ、こまかい当時のいきさつはこれ以上申し上げませんが、この覚書がもとになりまして、そしてこの北富士演習場の使用に関する措置について閣議了解事項というものが私はできてきていると思うのでございます。これに関連して、先ほど恩賜林の問題であるとか、あるいは価格の問題であるとか、その他のお尋ねがございましたが、そういう話は、そのときには私には全然話もなかったし、また議論をしたこともありませんし、御意見を承ったことも一切ございません。ただ、知事その他からこういう要望があるし、また富士保全法も、静岡県側と比べるとどうも山梨県側は国の投資も足らない、地域のいろんな道路とかレクリエーションとか、あるいはその他の公共施設に対する国の配慮も足らぬじゃないかということで、これらと合わして富士保全法というものをつくれ、考えてくれということでございましたが、それもそうだと思いまして、そういう法律が必要ならばひとつ骨折りましょうと、こういうことになって、いよいよ富士保全法の法律をつくる段になりますと、これまた私の所管でなくして、所管はどこかということでいろいろ議論しまして、環境庁にお願いしてつくってもらうということになったわけでございまして、まあそういう大まかな話で私はこの覚書というものに署名をし、署名をした以上は、またこれらの問題が議論される限りは、私もやはり政府の一員として責任を負わなければならぬということでございまして、そういうこと、足鹿先生質問ももう二、三回にわたってでございますが、質問を受けるたびに、私としての責任もあるんだと、こういうことを身にしみじみ思いながら答弁のために立っておるわけでございますが、こまかいことは一切私はこの話にも出ておりませんし、関係もしておりませんことだけをひとつ御理解願いたいと思います。
  68. 足鹿覺

    足鹿覺君 ただいまは私自身の問題について過分なごあいさつをいただき深く感謝をいたします。党派を越えて、ただいまのおことば、ありがとうございました。  最後に、こまかいことはまた事務当局に承ります。先ほど申し上げたことと重複いたしますが、長官には初めてでありますので、もう一ぺん重複させていただきます。恩賜林組合に払い下げをした場合、これを他の目的に使用したり、第三者に処分をしたりしないために条件をつけるということを聞いております。私はそういうふうに聞いておりますが、どんな条件をつけるのでありましょうか。たとえば、将来そのようなことをしないために、買い戻しの特約とか、契約解除の特約とか、それとももっと弱いものか、どういうものでありましょうか。もし長官との——これはただいまのおことばのように、いつの間にかあなたの所管事項になってしまっていることになった。あなたが窓口になられたぜいです。それであなたをわずらわすわけですが、恩賜林組合では、返還国有地の払い下げを予定して、すでに六十ヘクタールの所有地を富士急行会社に貸し付けの決議をしておるのであります。これはもう現地の人がよく知っておる。しかし、これは現在凍結をされておるそうであります。先ほどもそういう意味の御答弁大蔵当局からありました。で、問題は、払い下げを受けた後、決議を実行するということが富士急行との間に約束されておるということでございます。この点について、やはり先ほどの恩賜林組合が他の目的に使用したり、第三者に処分したりしないための条件が私は必要ではないか。  で、先ほども長官がお越しになりますまでに、まさか富士急行が造林をするだけの殊勝なことを考えておらない、これはだれが見てもそう思います。何らか観光が目的か、企業目的に、レジャー関係の企業等を考えておられるに相違ない、こういうことがいろいろな疑惑を生んでくるわけでありまして、さらにそれはただ単なる疑惑にとどまらず、いままでの防衛施設庁が現行法の第三条、すなわち障害防止工事の助成、第四条の民生安定施設の助成等について、その運用はひんしゅくに値するのだ。いやしくも、みずからが国の自衛に当たる、こういう大義名分に立脚して事を行なうものが、いかに目的達成のためとはいえ、われわれが了承しがたい、国民が納得しがたい事柄が数々あります。私は、二階堂官房長官も、現行法における運営についても多くの疑惑を国民に与えておる中に、今度のいま私が指摘したような一企業との間に転売等が行なわれるというようなことになりますと、これはきわめて遺憾千万なことにならざるを得ません。  そういう意味合いから、きょうは時間もありませんし、ここへ、全部防衛施設庁が出しました資料そのものに基づいて、これを実地踏査をし調べあげたものがありますが、これは本日は質問をする時間もありませんし、この間神沢同僚議員が、四十八年度富士演習場北富士土地周辺対策事業一覧表と称する、こういうものが出ておりまして、事業名、事業所と事業費、補助額、採択理由——この採択理由が問題なんであります。この採択理由に照らして、現地の実地踏査した結果がございますが、私はこれを割愛をいたします。どうか国民の疑惑や地元住民の不信を買うがごとき事態がごうまつもないように十分御留意をお願いいたしたい。中身についてはこれ以上申し上げません。慎重に対処していただきたいと存じます。  私は、あまり学もなく、知識にも乏しい一農民運動者にすぎませんが、今日、北富士における農民の防衛庁の施策に対して抵抗する動きのあることは天下公知の事実であります。権力に何がためにからだを張って抵抗せざるを得ないかということに対する、まず惜しみよりも、なぜそのようなことをしなければならないかという、同じ国民立場に立って防衛庁も当局もものごとを考えていただきたい。何を苦しんで権力に抵抗し、国家権力にからだを張って立ち向かうかという、これは一、二の者たちの扇動や思想によってそういうことが行なえるはずのものではありません。長い間入り会い権を主張し、今日まで戦ってきたこれらの地域住民の声を、私は十分防衛庁並びに防衛庁の特に出先が、功をあせり、目的を達成せんがためにはいかような手段でもかまわないというような態度を改められて、堂々たる理由があるならば理由を掲げて対処されることが当然だと思います。  私は、今日まで衆参合わせて二十四年間議席を与えられました。私の生涯は農民運動に身を投じて五十年間専心いたしました。どのような小さな農民の要求でも、地域の声でも、私は一番いまの世の中で下積みになっており、大事な食糧を生産しておる農民は、貴重な、最も大切な存在だと思うからであります。どうかその人たちを泣かせないで、この人たちに対してあたたかい気持ちをお持ちになりまして、今後も北富士の入り会い権の問題、それをめぐる各種の農民の声を国政の上で対処していただき、十分こたえることができないまでもが、立場を相違しておりますから、必ずしもすべてをとはならないでありましょう。しかし、国民として、一番金もなく権力もない農民が、長い問の悲願であった北富士の入り会い権の問題も各地で判例も新たに下り、大正四年の大審院判例で、唯一の手がかりでこれを拒否しておられる態度についても、私は再検討願いまして、事の紛争のもとは入り会い権問題でありますが、すでに各地において新しい判例も出ておることでありますし、十分山中長官におかれましては民意をくみ、また新しい情勢に対応する判例等も吟味いただきまして、入り会い権問題に対する理解ある態度を関係方面に連絡をおとりいただきまして対処していただきたい。  私がこの北富士問題と取り組むに至ったのは、農民の長い間の入り会い権を理不尽にこれをじゅうりんしようとした防衛庁の態度に対して、私はあえてこの問題と取り組むに至りました。私は山陰の一角の人間でありまして、わざわざ北富士の農民闘争についてこの三年間情熱を傾けたのは、この恵まれない農民たちの先祖から伝わる入り会い権を無視しようという権力の立場に対して憤りを感じ、その農民にこたえたいと、こういう気持ちからでありました。あえて私が——私は大体こういう質問をすることは不得手な人間でありますが、入り会い権問題を取り上げて論ずるに至ってだんだんと入っていくうちに、新しい問題にぶつかり出して、こういう今日の質問をするような立場になりました。どうか十分この点を山中長官、二階堂官房長官も意のあるところをおくみ取りいただきますことを最後にお願いを申し上げまして、私の質疑を終わらしていただきます。たいへん無礼なことを言ったと思いますが、御了承いただきたいと思います。
  69. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 言々肺腑をえぐる最後の御忠告、つつしんで承ります。
  70. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) いま長年にわたる北富士の問題についての先生のなみなみならぬこの情熱を傾けられたいきさつについての御発言がございました。私も心から傾聴をいたしました。  ただ、お尋ねの中で、恩賜林の払い下げについての密約の問題とか、あるいは恩賜林のこの組合が富士急行に何かこう払い下げをしたというようなこと等について、私に対してどうだったのかというような意味のお尋ねがあったかのごとく私も拝聴いたしましたが、これらの二つの問題は、きょう実は初めて私は承ることでございまして、私がこの覚書を結ぶときなどには、こういう話は一切出ておらなかったことだけを最後に明確に申し上げておきたいと思います。
  71. 星野力

    星野力君 防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案の具体的な諸点について質問に入ります前に、外務省アメリカ局長に簡単な質問を二、三いたしたいと思います。  那覇空港の米軍P3対潜哨戒機の基地移転問題はどうなっておりますか。一九七五年というと明年でございますが、明年の沖縄海洋博までには、沖縄の玄関口である那覇空港からはP3機の姿はなくなると言われてきたのでありますが、その辺のことはどうなっておりましょうか。
  72. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 那覇空港からのP3の移転の問題につきましては、昨年一月の第十四回日米安保協議委員会の席上におきまして、日米間で原則的な合意が固まったわけでございます。その後、那覇空港からP3が移転してまいります先であります嘉手納並びにそれに関連いたしまして普天間の飛行場の整備計画というものにつきまして、日米間で具体的な細目の打ち合わせがずっと続けられてきておったわけでございますが、その細目打ち合わせにかなり時間がかかりましたために、当初考えましたよりは若干の作業日程がおくれております。一方また、移転先であります嘉手納の飛行場にP3収容のための格納庫その他の受け入れ施設整備が必要でございますが、このほうの整備作業も若干の工事のおくれが見られるところでございまして、当初、明年の三月ごろにはという目標で関係の当局において作業を急いできておられるところでございますが、目下の状況では、三月一ぱいということはむずかしくて、昭和五十会計年度に若干ずれ込むことになりそうであるという状況でございますが、いずれにいたしましても、なるべく早く作業を急ぎまして、P3の那覇空港からの移転を完了させたい、こういうふうに関係者は考えておるところでございます。
  73. 星野力

    星野力君 那覇から嘉手納、嘉手納から岩国、岩国から三沢という、いわゆる玉つき移転でありますが、いま御答弁のように、那覇−嘉手納というのは来年度に入るということでございますが、その一環である岩国−三沢についてはどうでございますか。
  74. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) ただいま玉つき移転ということを御発言ございましたけども、沖縄返還交渉当時、確かにP3の玉つき移転ということが米側において計画された事実はあるわけでございます。しかしながら、その後、日米間において話し合いの結果、先ほど申し上げましたようにP3は那覇空港から嘉手納へ移るということになっておりまして、その限りにおいては玉つきは断ち切られているわけでございます。ただ、これも昨年一月の第十四回日米安保協議委員会におきまして、岩国に駐留いたしておりますP3が三沢に移転するという問題につきましても原則的な合意ができたわけでございます。ただ、この移転につきましても、三沢での受け入れ施設整備という作業がございまして、この点につきましては、いまのところ、いつまでに移転できるかということについては具体的な目算を得ておりません。
  75. 星野力

    星野力君 新聞報道によりますと、最近アメリカ本国から三沢基地にトレーラーバンが輸送されて到着したとされておるのでありますが、その事実どうでし二うか。
  76. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) トレーラーバンというふうな御指摘であったと伺いましたけれども、三沢の米軍施設・区域内にいわゆるトレーラーハウスというものが前々からあるというふうには聞いておりますけれども、最近特にトレーラーバンというものが米本国から三沢に移されてきたという事実については承知いたしておりません。
  77. 星野力

    星野力君 トレーラーバンというのは、私もよく知りませんが、いままであそこにあるところのトレーラーハウスというものと同じような機能を持った移動修理工揚みたいものではないかと思うのでありますが、地元ではP3Bの岩国からの移転に備えてのことと受け取っておるようであります。一昨日の政府答弁で、新しい隊舎の建設に三沢で近く着工するかのように言っておられたと思うのでありますが、それはP3Bの移転に備えてのことでございましょうか。
  78. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 御指摘の点は、昨年の一月二十三日第十四回日米安保協議委員会がございまして、その際に、岩国からP3Bが三沢に移るに伴って、三沢における所要の施設の提供ということが日米間で合意されております。これに基づきまして、その後、日米間で具体的な所要の施設建設、改築等につきまして話し合いを行ないまして、最近に至りまして、ようやくその整備に関しまするところの具体的な細目についての日米間の話し合いがととのったわけでございます。当面実施しようとしておりますのは、三沢飛行場の中にありますところの老朽の十棟の隊舎にかえまして一棟の隊舎、面積にいたしまして五千百十七平方メートルの鉄筋コンクリートづくりの隊舎、これを一棟三沢において建設するということで基本的な話し合いがつきまして、所要の手続を進めた上で着工の運びに至りたいと考えておる状況でございます。
  79. 星野力

    星野力君 そうしますと、いま着工されようとしておるのはP3B移転に備えての工事ということになるわけであります。三沢市議会は、さきにP3Bの移転について、抜本的な基地対策を示さないまま一方的な移駐には反対という方針をきめていたと思いますが、市当局、市議会との間に了解は進んでおるんでありましょうか。
  80. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 御指摘のようないろいろの御要望が三沢市当局から私どものほうへも参ってることは事実でございます。なお、そういったいわゆる周辺整備事業としての御要望、あるいは三沢の飛行場の提供しております地域の一部地元へのための返還、開放その他、たとえば民航機の乗り入れの問題、いろんな問題が合わさっての一つの地元の御要望であり、まあいわば条件みたいなものになってるわけでございまして、これらの点について逐次地元のほうと話し合いを進めさしていただく過程において、三沢飛行場をめぐるもろもろの問題を円満に解決したい、そういうふうに考えております。
  81. 星野力

    星野力君 この新法が成立しますと、市議会、市当局が言っております抜本的な基地対策を示すことができる、それによって説得できると、こういうふうにお考えになっておるんではないでしょうか。
  82. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 特に新法との関係において御要望がどうこうという問題では、私ども理解していないわけでございます。現在ありますところの防衛施設周辺整備法に基づきまして対処していくという考えのもとに、昨年来からもいろいろ話し合いは進めさしていただいてるわけでございますが、この新しい法律案が成立いたしますれば現行法にかわって新法という形になりますので、周辺整備事業新法に基づくものになろうかと思います。従来からの話し合いは、現行法というたてまえでも十分お話し合いのできる内容であろうと承知しております。
  83. 星野力

    星野力君 そのように言われますけれども、あの地元の要望というもの、たとえばいろいろの要求事業の規模からいいまして、私たちから見ましても、現行法の範囲内ではどうにも納得させることができないものであるというふうに理解されるんですが、いろいろ話を進めておいでになるとしますと、具体的にはどのような対策を御用意なさっておられるんですか。
  84. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 地元のほうからは、一つの全体的な構想というものが出されてはおりますが、私どものほうといたしましては、法律のたてまえに基づき、その当該年度成立いたしております予算の範囲内において逐次具体的な事業計画というものをお話し合いさしていただきながら実施計画の段階に移していくというのが筋道でございますので、具体的にこれとこれとを本年度、これは来年度という、そういうふうな形でのお話し合いは実はさしてはいただいてないわけでございます。
  85. 星野力

    星野力君 もう御存じと思いますが、最近の新聞紙上にもいろいろ防衛施設庁が地元を説得するための対策とかというものを報道いたしております。たとえば下水道から道路、公園、それから漁港という項目もあがっておりますが、漁港のことなどに至るまで考えておいでになるわけですか。
  86. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 具体的に三沢市の御要望にかかわるところの漁港施設というものをどうするかという問題は、これは今後のお話し合いの問題になろうかと思います。従来の周辺整備法におきましても、ただいま御審議いただいております防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案におきましても、それぞれ現行法で申しますと第四条、新しい法律案で申しますと、第八条の民生安定施設の助成としての対象施設の中に漁港施設というものも一応範疇に入っておりますので、こういったワク組みの中から考えていくことになろうと思います。具体的に三沢の事案についていまどうという話し合いが固まっているわけではございません。
  87. 星野力

    星野力君 それではもう少しこの法案に即してお聞きするようにしたいと思いますが、今日米軍及び自衛隊基地、とりわけ沖縄の嘉手納をはじめとする米軍基地や、本土の横田、厚木、三沢、岩国などの主要な在日米軍基地周辺住民は、騒音その他のいわゆる基地公害によって、生活権、環境権を侵害され、精神的、身体的苦痛をしいられながら生活いたしております。申し上げるまでもなく、日本憲法第二十五条で、すべての国民が健康で文化的ないわば快適な生活を営む権利を保障されておるのでありますが、基地周辺住民はこの憲法で保障された権利を著しく侵害されている。私は基地周辺住民のそういう生活権、環境権を守るという立場から、まず質問いたしたいと思います。  個々の住民被害が除去される、あるいは軽減されるということが一番大事なことなのでありますが、この新法で、いわゆる基地公害に苦しむ基地周辺住民に対する基地公害除去あるいは緩和、補償が現行法に比べてどのような点で変わっていくのか、前進していくのか、輪郭をお願いします。
  88. 田代一正

    政府委員(田代一正君) お答えいたします。  今般御提案いたしております、われわれ新法と言っておりますが、その体系の中で申し上げますというと、一つ障害防止、軽減という問題がございます。この体系といたしましては、一応三条におきまして、従来と同様に学校防音とか、病院関係の防音とか、そういった公共的ないろんな施設についての防音ということを引き続きやっていこうという考え方でございます。  それから新たに、従来それだけだったんでございますけど、その系統の問題といたしましては、新たに四条、五条、六条、七条という四条文を起こしまして、飛行場の周辺につきまして、音響による障害と申しますか、それを新たな観点からICAOで考えております例のWECPNL、こういったものをもとにいたしまして、一種、二種、三種というぐあいに区分けいたします。で、その中で、一種につきましては個人の住宅について防音いたしましょう、二種の地域につきましては、移転する場合の補償その他についてごめんどうをみましょう、三種につきましては、緑地帯として整備いたしましょうということで、音響による障害というものを極力排除するという形でもってお願いいたしておりますのが四条、五条、六条、七条という条文でございまして、これは今回の法律の最も特色のある問題かと思います。  あと、そういったことで障害防止、軽減ということをはかっていくわけでございますけれども、どうしても昨今の技術その他では十分それができないということになりますというと、依然としてやはり障害影響というものは残るでしょうということで、従来四条でとられておりました民生安定施設の助成というものを第八条におきましてそこでやる。さらに、第八条の規定だけでは十分でないというような問題につきましては、第九条によって、特定防衛施設周辺整備調整交付金という制度をつくりまして、それでもって補完していこうというのが今回の新法のねらいでございまして、そういたしますというと、二つの体系、たとえば騒音の——騒音と申しますか、音響による障害防止、軽減という体系でとられた問題では、  一種、二種、三種という区分けをつくるということ、それから障害の緩和という点になりますというと従来の四条、新法の八条になりますか、このほかに特定防衛施設調整交付金制度、こういうことになるんじゃないかと思います。
  89. 星野力

    星野力君 直接被害をこうむります住民立場から考えますと、現行法に比べて変わったのは基地周辺の防音工事対象が拡大されたという点だろうと思うんでありますが、新法の第四条で規定されていますこの第一種区域、ここに線引きされる地域の居住者というのは、戸数にして数万から十万というふうに聞いておりますが、そういうものでございましょうか。また、防音工事対象の公共施設は全国でどのくらいあるものでしょうか。
  90. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 新法案第四条に掲げられております第一種区域と申しますのは、これから該当いたします飛行場周辺におきまして、WECPNLという騒音単位に基づきますところのいわゆる騒音コンターの調査、線引きをやった上で初めて範囲が確定されてくると思いますが、したがって、その中に入る戸数がどのぐらいになるかということは、いまの時点ではなかなか把握しにくいわけでございます。従来私どものほうでターボジェットエンジンを有しております飛行場あるいはその他の飛行場で、いわゆる一級防音工事を施す必要のある範囲等を一応押えております。そういった点を参考といたしまして、この前の質疑のときに数万戸から十万戸というような非常に概略な数字で申し上げたわけであります。ただいま四十八年度からそういう騒音コンターの調査を始めております。できるだけ早くその調査を終わって、線引きができました時点で数は確定してくることになろうかと思います。  また、第一種区域に含まれる公共施設がどのくらいかという御指摘でございますが、これは非常に把握がしにくいと思います。と申しますのは、従来防音工事を現行法の三条ないしは四条においてとらえてまいりました範囲と、今回のWECPNしの第一種の区域の範囲とがおそらく必ずしも一致しないだろうと思います。しかし、一応現在までわれわれのほうで従来から実施してまいりました三条におきます病院、学校等の施設、それから四条におきまして行なっております学習等教養施設でいわゆる防音助成事業に該当しております数は、たとえば防音工事の対象としての学校といたしましては、一級防音工事を施す学校としては三百五十校ぐらい存在している、二級防音工事の対象学校としては六百九十四校ぐらいが対象の数になるであろうと、そういった数字を把握しながら、現在までに一級防音工事としては、学校としては三百五十校のうちすでに本年度の計画を入れますと三百四十二校ぐらいになります。大体九七%ぐらいは一級防音工事の学校としてはすでに実施してきております。それから二級の学校といたしましては、六百九十四校のうちで、すでに昨年度までで四百二十校余り、今年度も入れまして四百八十五校ぐらいということで、大体六九%ぐらいになろうかと思います。また、従来の四条に基づきます防音助成では、たとえば公民館等では四十八年度までで三十八ほどの公民館の防音助成事業を実施したわけでございます。あと公民館等につきましては、これからやはり新しい計画等も出てまいるだろうと思いますので、四条に関しましては、全体の数字というものは、施設によっては必ずしも全部をつかんでないという状況でございます。
  91. 星野力

    星野力君 個人住宅につきましては、大体数万から十万と、こう大ざっぱな数字でございますが、四十九年度の個人住宅の防音工事のための予算というのは一億円でございますね。これで一体何戸の防音工事をやろうというのか。たしか百戸とおっしゃったのではないかと思いますが、そうですか。
  92. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) いわゆる予算ベースといたしまして、一戸百万円で一億ということで、百戸でございます。ただし、これはあくまで予算要求ないし成立のベースとしてでございますが、実は昭和四十七年度に、個人住宅の防音工事をやるとすればどういうふうな工事が必要であろうかということで、昭和四十七年度に航空自衛隊の入間基地の滑走路の北端から五百メートルほど離れた地点にいわゆるモデルハウスというものを六棟建てました。それぞれ構造の異なったものを建てまして、防音工事のいろいろな施工上の検討を行なったわけでございます。これらをもとにして、一応個人住宅で、とりあえずぜめて一室は家族集まられる静穏な部屋を整えていきたい、そういう個人住宅の防音をやっていきたいということで考えた予算上の計数でございますが、今後の実施にあたりましては、おそらく飛行場周辺の家屋の構造がまちまちでございますので、そういった中から標準的な施工の方法というものはどんなものがあるだろうか、そういった検討も試行的にやりながら見通しを立てていきたいと、そういうふうに考えております。
  93. 星野力

    星野力君 一戸当たり百万円として、一億円の予算で百戸と、こういう計算になるわけでありますが、横田基地周辺自治体の要求の中で、一戸当たり一部屋の工事をやるとしても百八十万円かかるとしております。その後の物価高からしますともっとかかるのではないかと思われます。そういうことになりますと百戸ということもむずかしい。あるいは二月当たり百万円ということが動かなければ、きわめて不十分な防音工事しかできないということになるのではないかと思いますが、六種類のモデルハウスをつくって検討しておられるということでありますが、百万円でできましたですか。
  94. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) モデルハウスそのものの建設費というものは当然これは防音工事の範疇外になるわけで、個人住宅の防音工事を施す場合の防音という部分に入りますのは、いわゆる開口部、窓等の部分の遮音工事、それから音を吸収させますところの吸音工事、それから密閉状態になるために必要とします換気施設の工事、そういったものが基本的な工事内容になるわけでございます。そういった点を一応私どものほうで積算しました範囲で、大ざっぱなところ大体百万円ぐらいでできるんではなかろうかということだったわけでございます。御指摘のように工事費その他物価の高騰等の状況にかんがみまして、いろいろ構造等工事の施工の標準化等を考えたとしても、いろいろ百万円があるいはむずかしくなろうかもわかりませんが、今後の研究課題として至急に見通しを立てたいと思います。
  95. 星野力

    星野力君 全戸で数五戸ないし十万戸という対象がありながら、四十九年度で防音工事が行なわれるのは、どうもいまの御答弁でも百戸もあぶないと思うんでありますが、こうなると象徴的な数字にしかすぎないと思うのであります。これで住民の騒音公害を除去する、あるいは軽減すると、その百戸ないし百戸足らずのものはできるかもしれませんが、これで騒音公害がどうかなると。これは四十九年度だげのことでありますが、こう積み上げていってもずいぶん気の長い話でございますね。しかも防音工事はいまお話の中にもありましたように一世帯一室ということのようであります。まあ一世帯五、六人といった家族が防音を施された一室に詰め込まれて、一日じゆうではないにしても、そこで暮らす、そこで寝るということになる。これは憲法を引き合いに出すまでもなく、かなり人権無視のことになりはしないかと思うんです。一室といいましても、いまそう大きな部屋はございませんですが、部屋の広さの制限というようなことは考えておられないんでしょうね。長官、どうですか、こういう状況、人権無視じゃございませんですか。
  96. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 人権無視というお話でございますけれども、従来何もしてなかったところに今度住宅に防音工事を施すということでございます。そこで、まあいよいよ始めていくわけでございますけれども、たった一億円で何ができるかという話、先ほどから何回もしておられますが、先ほど申し上げましたように、やはり過去に二、三年かけまして研究はしてまいりましたけれども、何ぶんにも初年度でもあるという問題がございますので、初年度は多分に実験的な要素が入ってくるんじゃないかと思います。ただ、私どもといたしましては、今後相当急ピッチにこの住宅防音というものに取り組まなきゃいかぬという感じでおります。その点ははっきり申し上げておきます。
  97. 星野力

    星野力君 山中長官、いかがですか、赤ん坊や年寄りのいる家庭、進学のための受験勉強中の子供たちをかかえた家庭というのもあるわけであります。これらの人々が一室に詰め込まれて、うまく生活できるはずはこれはないと思うんです。一世帯でわずか一室という防音対象が、いかに非人間的な施策であるかは明らかだと思います。家屋そのものに対して防音工事ができるようにならなくては、これはしようがないんじゃないかと思いますけれども、今回の防音工事はその対象お話にならないほど少ないというだけでなく、一世帯一室などというちょっと常識はずれのしたやり方、これでは実際に被害をこうむっておる住民のこの生活権、環境権が守られるとは言いがたいと思うんです。大臣にもあとでお考えをお聞きしたいと思います。  防音工事予算が一億円、約百戸ということにしまして、四十九年度はどこの基地周辺で工事を行なう予定になっておりましょうか。
  98. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 先ほども答弁申し上げましたように、日本の住宅の家屋構造、それから特に防衛施設たる飛行場の周辺と申しますのは、民間航空の飛行場と違いまして必ずしも都市施設的要素を持っておりませんので、周辺の民家の構造も区々まちまちでございます。農家の構造もあれば一般の都会地のような住宅構造もございます。それらの非常に多種多様の構造の中から一室防音というものをどういうふうに取り組んでいくかという、いわば本年度は一つの標準的な工事を幾つか考えていくというテスト段階でございまして、その答えを得た上で、先ほど施設長官から御答弁申し上げましたように来年度以降できるだけ早いピッチで全体に及ぼしていこうということでございます。本年度につきましては、具体的にどこということにつきましては、本法案の成立を待った後に実施計画というものを詰めて取りかかっていこうということで、現在どこという具体的な場所は、いまのところきめておりません。
  99. 星野力

    星野力君 どこの基地でどういう条件のところからこの防音工事を始めるかということになりますと、当然基準がなくてはならぬと思うんでありますが、基準は先ほどもお話がありましたところの騒音コンター、これに基づいておやりになるわけですか。
  100. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) そのとおりでございます。
  101. 星野力

    星野力君 騒音コンターの作成、どこでやっておられますか。
  102. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 私どものほうからいわゆる第三者機関たるそういう能力を持った調査研究所のようなところに依頼をいたしまして、実は昭和四十八年度におきまして、千歳と百里と横田、ここにおきましては、とりあえず実施してみたわけでございますが、これらもさらに精査いたしました上で詰めていくと同時に、今後その三つも合わせまして、とりあえずターボジェットエンジンを有しまず飛行場と、それからそれらのジェット機が演習を行ないます対地射爆撃訓練場、合わせて二十五ケ所ございますので、この二十五カ所につきまして、そういう第三者機関に委嘱をしながら、できるだけ早く騒音のコンターを作成したい、そういうふうに考えております。
  103. 星野力

    星野力君 第三者機関というのは民間の機関ということでございますか。これはそう数多いところへ委嘱、委託されておるわけではないと思いますが^名前はあげられませんですか。
  104. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 日本音響材料協会というのに昨年は委嘱して調査をしてもらいました。今後は相当数もありますし、これと同様の能力を持っておられるところにも逐次委嘱をして調査を進めたいと、そういうふうに考えております。
  105. 星野力

    星野力君 いま申された日本音響材料協会でございますか、私存じませんが、この騒音コンターは今後この法律が成立しました場合、これを実施していく上で非常に重要な役割りをすると思うんですね。多数の、複数のそういう第三者機関に委託した場合に、それらの間に、これは科学の問題だから違いはないと、こうおっしゃるかもしれませんけれども、例の日本分析化学研究所、ああいう例もございますし、よほどこれは監督をしっかりやっていただきたいと思います、法案ができました場合のことですね。  厚木基地をかかえております神奈川県の大和市が、同市福田の一住宅で記録しました航空機騒音データ表というものがございます。ここは言うまでもなくアメリカ空母ミッドウェーの艦載機がひんぱんに飛来しておるところであります。そのひどい騒音によって多くの市民が苦しめられております。もちろん海上自衛隊機の離着陸も少なくないのでありますが、特にミッドウェーの出入港前後と停泊中は艦載機の離発着による騒音の強度と頻度は住民にとって耐えがたいものになっております。ことし四月十八日のデータを見ますと、これはミッドウェー艦載機の飛来でありますが、百ホン以上の騒音が一日十三回もある。その持続時間が、三月の一日平均五分四十四秒、それを四倍も上回る二十二分三十五秒となっております。施設庁はこういうような状態を把握しておられますか。
  106. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 私どものほうでは、現行周辺整備法に基づきまして各種の三条ないしは四条の防音工事、防音障害工事ないしは防音助成工事の実施をやっておるわけでございます。これらはいずれも、たとえば学校の場合は、当該学校におきまして、この学校が防音工事を施す必要があるかどうか、施すとすれぼ防音工事のどの程度のもの、一級の工事をやらなきゃならぬか、あるいは二級で効果が出るかということで、対象として予定されます施設についての騒音測定をやっているというのがたてまえになっております。   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕 したがって、各飛行場におきまして、常時的にどういうふうな騒音がこの飛行場で発せられているかという調査につきましては、必ずしもすべての飛行場でやっているわけではございません。ただ、いわゆる定点測定的に、自動的に騒音が測定できますような機械を据えましてやっている場所、たとえば千歳のような場所もございます。厚木の場合には、私の手元にあります資料では、これは昨年の八月の資料でございまして、いわゆる機種としてはA4でございます。これがやはり離陸時に二キロ離れました地点におきまして百五ホンを発しているというような測定の答えというものは一応手元には持っております。
  107. 星野力

    星野力君 そういう基地の騒音の実態を的確に把握していただかなければならぬわけでありますから、そういう意味におきましても、騒音コンターの作成を第三者機関に委託される場合には、十分指導監督をやっていただかなければならぬということを申し上げたいのです。  基地周辺住民要求というものは決して防音工事だけではありません。たとえばテレビの聴視料を免除せよとか、電話についても防音を行なえとか、無数の要求が出ております。これらの要求にもやはりこたえていかなければいけないだろうと思いますが、その辺のお考えがどうかということ。  それからテレビの共同アンテナをつくるということは、新法の中にも含まれておるようでありますが、それは四十九年度の場合は横浜の深谷通信基地周辺だけなのではないかとい、われておりますが、他の基地周辺住民要求はどうなるのか、その辺のこと。
  108. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) まず、順次お答え申し上げますが、いわゆるテレビの放送受信障害につきましては、すでに全国におきまして飛行場施設周辺におきまして実施しておりまして、経過といたしましてはいろいろの経過ございましたが、これはNHKにおきまして、NHKの受信料の減免基準というのがございます。その中に、米軍の飛行場、自衛隊の飛行場の周辺におきまして、いわゆるその飛行場の施設の、簡単に申しますと、横一キロ、両側に一キロ、縦は飛行場の両端から五キロ、そういった範囲につきましては受信料の半額をNHKとしては視聴者から免除することになっております。その半額免除しました部分につきまして防衛施設庁のほうからNHKに対しまして補助金を出しているということで、前々から実施してきております。  それから騒音防止用の電話機につきましては四十六年度から実施してきておりまして、たとえば四十六年度におきましては千四百台、各飛行場の周辺で実施しまして評判がよかった事情で、四十七年度は一万台、四十八年度は一万六千台というふうにおいおいふえてきております。これは構造といたしましては、通常の送受話器に、ある特殊の装置を取り付けまして、一種の指向性を持ちまして、航空機等の騒音方向から入ってくる音は入らないで、その送受話器で話しておられる方の音に対して指向性を持ってはっきり聞こえる、そういう構造でございます。これも逐次実施しております。  それから共同受信アンテナにつきましては、従来の法律、現行法におきましても、三条に基づきまして、飛行場の周辺におきまして飛行機のひんぱんな離着陸に伴いますテレビジョンのいわゆるフラッター現象、そういった障害について取り組んできていたわけでございますが、今回の新しい法案におきましては、これに加えまして、神奈川県深谷に所在します通信施設から発しますところの電波が周辺住民の方たちのテレビジョンの受信に障害を与えて同様なフラッター現象を起こしているということに伴いまして、政令で、障害の原因となる自衛隊等の行為の中に、ひんぱんな電波の発射というものを加えて、その種の共同受信アンテナ施設も実施できるように考えたわけでございます。——これは新しい今回の法案に加えようとしているわけでございます。飛行機の障害によりますところのテレビジョンの障害に関しましては、従来から現行法にもうすでに掲げられております。
  109. 星野力

    星野力君 軍事通信基地周辺における電波妨害というのは、これは横浜の深谷だけではないわけであろうと思いますが、いわば深谷は四十九年度手始めにやる、こういう意味理解してよろしいかどうか。それはあとでついでにお答え願えればいいです。  民家や公共施設の防音工事も重要なこれは基地公害対策の一つに違いないんであります、防音対策の、騒音対策の一つに違いないんでありますが、もっと根本的な騒音対策は、騒音の発生源である基地内において騒音を減らすこと、たとえば夜間飛行を禁止するとか、基地内に緩衝地帯を設けるとか、あるいは音響遮断壁を設けるとかすることと思いますが、そのような発生源側の基地内の努力措置というものは何らとられる方向ではないように思いますが、どうですか。
  110. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 米軍の飛行場におきましても、自衛隊の飛行場におきましても、やはり騒音対策としましては、御指摘のとおり音源対策、それから飛行機に関しましては運航改善対策、さらにその音の障害を受ける側の防音工事等の周辺対策、こういったことになろうかと思いますが、まず音源対策といたしましては、各飛行場に、特にジェットエンジンを有します飛行場におきまして、いわゆるエンジンテスト等をやりますので、そういった場合のいわゆるサイレンサーという、消音器の装置を各飛行場において設けることにしておりまして、自衛隊のジェット機を配置しております飛行場にはほとんどすべて設置されております。また、米軍に関しましては、おくれておりました岩国と嘉手納飛行場におきまして、最近ようやく工事も終わりまして、おそらく消音器の取りつけもいまごろ完了しているのではなかろうかと思いますが、嘉手納に対しましては、さらに二器、四十九年度から五十年度にかけて消音器の設置米軍側で予定しております。また、その他の運航改善の方法といたしましては、米軍の場合には、日米合同委員会の中に航空機の騒音対策分科委員会というものがございまして、この分科委員会の作業を経て、昭和三十八年、三十九年、さらに一部改正で昭和四十四年と、厚木及び横田に関しまするところのそういう騒音規制の日米間の取りきめが行なわれております。その取りきめに従いまして、厚木、横田はもちろんでございますが、さらにこれに準じて、その他の米軍の飛行場におきましてもこの規定を守るということになっております。たとえば飛行の方法といたしましては、大体場周をどういうふうな方向で、民家の密集している上空等で無理な飛行をやらない、アフターバーナーをふかす時点を考慮しろとか、あるいは夜間飛行というものは、特に特殊な任務その他緊急の場合以外には行なわないといったふうな運航上の規制等も取りきめております。また、自衛隊の飛行場におきましても同様な、いわゆる一種の音源対策の範疇になります飛行方法等についての配慮を行なっておる状況でございます。
  111. 星野力

    星野力君 いま申されたような音源対策というのは、北海道の千歳基地についてはどうでございますか。
  112. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 千歳におきましても、これは千歳は御存じのように航空自衛隊の飛行場でございます。たとえば、ただいま申し上げました夜間飛行の時間規制というものを設けまして、二十時から明け方の七時までは緊急発進以外の通常の訓練は実施しない、あるいは人口密集地域の上空の飛行規制等も具体的に掲げまして、それからエンジンの試運転の時間規制も設けております。それからサイレンサー、いわゆる消音器も二器設備しております。そういう形で千歳の飛行改善等の配慮をしておる次第でございます。     —————————————
  113. 岡本悟

    ○理事(岡本悟君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、神沢浄君、足鹿覺君が委員辞任され、その補欠として鈴木強君、上田哲君が選任されました。     —————————————
  114. 星野力

    星野力君 いま申されましたエンジンテストの時間を調節するとか、それから夜間飛行の時間を制限するとかいうことは、いつからおやりになっておられますか。
  115. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 夜間飛行の規制につきましては、これは個々の飛行場によって違っております。手元の資料にはございませんけれども、地元からのお話がございました場合に、時間の面とそれから飛行の就航経路、これにつきまして人家の密集地域を通らないようにするというようなケースを考えております。で、千歳の場合には、この飛行経路につきましても、一昨年あたりにすでに現在と同じ方法をとっておると思っております。
  116. 星野力

    星野力君 私たちのところへは、最近でございますが、やはり千歳基地周辺住民から騒音防止に対する要求としまして、大体三つのことをあげてきております。一つは、いまお話しのありました早朝のエンジンテストをやめてほしいということ、もう一つは夜間飛行をやめてほしいということ、三番目は、せめて飛行コースを変えられないのかというようなことが中心になった切実な訴えを比較的最近も寄せてきております。ところが、基地の側では、住民の声によりますと、ほとんど有効な措置はとられておらない。千歳基地周辺で騒音にたまりかねた住民が、航空自衛隊第二航空団司令部に電話でそのことを訴え、抗議したところ、当方はうるさいとは思わないとして取り合ってくれなかった。それだけではなしに、その後、隊員がその住民の自宅へたずねてきまして、この間の電話は一体どこからかけたのだというようなことを聞いたりして、いわばいやがらせをやっておるような事実もございます。まあ騒音でうるさかったら出ていけと言わんばかりの態度でありますが、この法案が成立しますと、移転の補償という形で、うるさかったら出ていけが公然とこれは言えるようになる。新法のねらいの一つがそこにあるのではないかと考えられさえするわけであります。  さらに、三沢基地について申しますと、昭和四十四年十二月に、これは少し古うございますが、天ケ森射爆撃場問題解決促進協議会が、天ケ森射爆撃場におけるナパーム弾及びロケット弾投下訓練の中止、それから射爆撃場における訓練時の南北への飛行禁止、三番目に射爆撃使用弾の種目を地元民に公表すること、四番目に危険区域にフェンスを設けるなど、七項目の請願を三沢市の市議会にあてて出しております。この請願は、米軍の天ケ森射爆撃場使用による米軍のナパーム弾訓練に対する恐怖及びロケット弾訓練の強烈な騒音による住民被害とそれに対する恐怖を訴えたものであり、最近ではこれに、ミッドウェー艦載機の飛来訓練が加わって、騒音被害は非常にひどいものになってきておるんであります。この状態が現在においてはミッドウェー艦載機などによって増幅されておるけれど、緩和されておらぬ、こう住民は申しております。基地側の対策もあわせて行なうことによって、いわば音源対策をもっと重視して行なうことによって住民の切実な要求にこたえるべきではないかと思うんです。いま千歳、三沢をあげましたが、私、基地の状況をわりあいに知っておるんです。ほかの基地周辺住民にもこういう苦情、こういう何といいますか   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕 恐怖、そういうものはもう共通しておる。要求も共通しておるんでありますが、もっと基地側の対策を重視して行なうということについてはどうでしょうか。
  117. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 初めに私のほうからちょっと一言つけ加えさしていただきますが、千歳の場合には、部隊のほうでいまおっしゃるようなことがあったかどうかは存じませんけれども、私ども承知している限りでは、部隊側も、また中央、われわれのところでも非常に真剣に取り組んでおるつもりでありまして、地元の方々からの陳情も受け、かつ図上について皆さん方と御検討したこともございます。ただ、航空機の場合に、風向きによって離着陸をする関係もありますので、千歳の場合ですと、南から北に着陸する場合、これは民間機とそれから自衛隊機との紛淆を避けるためにコースを変えております。そういうことで、両方とも一緒にしてしまいますと、飛行回数が多くなってしまうというようなこともありまして、まあ騒音の分散というようなことも民間機とあわせて考えておりまするし、私どもとしては可能な限り飛行経路は下げておるつもりでありますが、それにしても、なおかつ市街地の一部にひっかかっておるということで、現在地元の方々とも御相談をして、滑走路をなるべく南のほうに下げようという方向で話が進められております。しかし、これまたあまり南に下げ過ぎますと、室蘭のほうに被害が及ぶというようなとともありまして、なかなかそこに基地を置くということからくる面は、ある程度の問題はやむを得ない点もあろうかと思いますが、最善の努力を進めておるところであります。  失礼いたしました。苫小牧でありました。室蘭でなく苫小牧であります。
  118. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 三沢の点についての御指摘でございますが、昭和四十四年に地元のそういう動きがございまして、三沢の市長から仙台の防衛施設局長を通じて私どものほうにいろいろ御要望と御照会があった経緯がございます。そしてその際問題になりました南北の進入によりますところのコースというものは、訓練コースとしては廃止することにいたしました。また、ナパーム弾の使用につきましても、昨年やらないということで話し合いはついております。また、その他の弾種、どういうものを使った訓練をやるかということにつきましては、昭和四十四年七月に三沢市長に対して御回答申し上げた経緯がございます。ただ、御存じのように、昭和四十六年の三月に、当時の第五空軍の戦闘機部隊が三沢から移動いたしまして、しぼらく空軍のジェット戦闘機等がいなくなった時期があったわけでございます。それが昨年の十月五日からミッドウェーの艦載機等が飛来しましたために、それまでわりあいに静穏であった状態が変化したということに伴う御苦情も最近において出ていることは確かでございます。艦載機の三沢飛来に伴いますところのいわゆる着艦訓練等の時間につきましては、その後も米軍側に対して夜間おそくにわたるような着艦訓練は行なわないようにということで、申し入れも引き続きやっておりまして、逐次そういった問題も改善の方向へ持っていくように努力したいと考えております。
  119. 星野力

    星野力君 いまずっといろいろお聞きもいたし、お答えも伺ってまいりましたが、それによってもわかりますように、基地公害の直接の被害者である基地周辺住民自体の生活権、環境権、これを守り、障害を除去する、あるいは緩和するという目的からみますと、この新法、やれるところというものはきわめて微々たるものじゃないかと、こういう気がいたすのであります。新法の目的というのは、はたしてそこにあるかどうか、疑わざるを得ないのであります。新法は、基地をかかえる地方自治体に、基地があることによる、新聞などによく使われておりますところの迷惑料、迷惑料的な形で金をつぎ込むこと、民生安定という名目で自治体が行なう一般公共事業に金をつぎ込むことであり、さらにそのうちの米軍自衛隊にとって最も重要な基地を安定的に確保するということで、そこを特定施設とし交付金をつぎ込む、こういうことをおもなねらいとするものではないかと思われるのでありますが、そこでお聞きしたいのです。  まず、民生安定事業に対する各事業ごとの補助率、これを説明していただきたいと思うのであります。それぞれの対応するところの省庁が行なう通常の補助率はどうなっておるか。これは学校なら文部省、保育所なら厚生省、道路なら建設省、いろいろありますが、自治省もございます。施設庁のほうからまとめてお答えくださってもけっこうでございます。
  120. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) まず、補助率でございますが、これは現行法におきましても同じような考えでございますが、新法案におきまして、第三条に関しましては、障害の原因者が国でございまして、しかもまさにその障害防止し軽減するということで、必要な工事を地方公共団体その他の方が行なうことに対する補助でございますので、原則としては十分の十ということをたてまえといたしております。これは三条の一項の障害防止工事及び二項の防音工事、両方とも同様でございます。また、第四条の住宅の防音工事に関しましても、一応防音工事に必要な部分ということで、これは三条と同じたてまえで、十分の十を考えております。それから第八条に関しましては、一応これは補助率は政令事項になるわけでございますが、現在のところ、政令に掲げます補助率といたしましては、現行周辺整備法でとっておりますたてまえと同様なたてまえで、道路に関しましては十分の八、有線放送電話に関しましては、たとえば十分の五・五、あるいは農業用施設に関しましては三分の二と、そういったふうな補助率を一応いまのところ考えております。  なお、この同種のものが他の省庁との補助率の関係、比較においてどうなるかということでございますが、たとえば学校の防音というのは、文部省の学校新設ということに伴います場合には二分の一という補助になっております。それから道路の場合には、建設省のほうでは改良、舗装ともに三分の二の補助率でございますが、私どものほうとしては、原則としては十分の十という、三条の障害工事の場合には十分の十というたてまえでございますが、改良とか舗装等で一部やはり地元の利せられる限度もございますので、実際には建設省の三分の二に対して、当庁の場合には改良で五分の四、舗装では四分の三、そういうふうな実情になっております。
  121. 星野力

    星野力君 要するに、防衛施設庁の補助率というものは、同種の公共事業に対する、それぞれの所管の省庁がやる場合の補助率に対して、二分の一が十分の十、あるいは三分の二が五分の四と、まあ全額あるいはそれに非常に近いところまで補助をやる、こういうことになると思うのです。これはやはりこの法案の非常に重大なポイントではないかと思います。新法で民生安定事業として補助対象とされておる事業は、たとえば道路建設、保育所の建設、各種学校や老人ホームなどの福祉施設建設など、これは道路であれば建設省、学校なら文部省、保育所などは厚生省というふうに、国のそれぞれの対応する省庁の補助対象としての公共事業であるわけでありますから、したがって、各省庁が当然なすべきことである、それをなぜ防衛施設庁がまとめて肩がわりするのか。その辺の理屈ですね、これをひとつ述べていただきたい。
  122. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 現行周辺整備法におきましても、また新法案におきましても、その法律の目的のところに掲げてございますように、「自衛隊等の行為又は防衛施設設置若しくは運用により生ずる障害防止等のため防衛施設周辺地域生活環境等整備について必要な措置を講ずる」ということで、一般のたとえば建設省の行政とか厚生省の行政とかと違った形というものがここにはっきりと出ているわけでございます。いわば防衛施設を管理し運営する側、自衛隊等がもろもろの行為を行なう場合に、その行為を行なう者がその障害の原因者になっているというところが——他の省庁で、たとえば学校を手がけ、保育所を手がける場合にも、立場の相違があるのじゃなかろうかと思います。そういったいわゆる原因者の立場で、こういった各種の公共施設等の整備を手がけていくということであるならば、これらの仕事については、やはり原因者の立場らしく、やはり補助率も特殊なものを考え、また原因者の立場でそういった補助金を支出することによってこれらの施策を実施していくことが一番なじむ姿ではなかろうか、そういう考えで従来から実施してきているわけでございます。新法案におきましても同じような考えで組み立てを考えているわけでございます。
  123. 星野力

    星野力君 新法案の第一条、目的、いま現行法とあわせて申されましたが、ここには「関係住民生活の安定及び福祉の向上に寄与することを目的とする。」と、こう明記されております。防衛庁も国の機関でありますから、国民生活の安定、福祉の向上に寄与するのは当然のことと言えるかもしれないんでありますが、防衛庁は、もともとこれは厚生省でもなければ生活安定省でもないのであります。その防衛庁国民生活安定を目的にした法律をつくり逃げるということには、どうもその根本のところにまやかしがあるように思われてしょうがないのであります。この法案の目的は別のところにある。基地の安定的確保という軍事目的のために、この法律によって本来各省庁行政分野に属すべき一般公共事業防衛施設庁が肩がわりする。言いかえれば防衛庁が各省庁行政分野を侵害することになる。これは軍事優先、私はむしろ日米安保条約優先と言っていいと思うんでありますが、軍事優先、日米安保優先のたてまえによって日本行政の仕組みを破壊することになると思うんでありますが、どうでしょうか、長官
  124. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そういう御解釈もこれは党によりて御自由であると思いますが、私どもとしては、しからば厚生省なり建設省なりその他の行政それぞれの主管省が、私どもが何もしない場合に、国の基地があるからその周辺に対して迷惑をこうむっているであろう、だから予算の配分にあたって特別にめんどうを見るような傾斜配分等をしているかと言えば、それはないのであって、一般行政上の都道府県、市町村配分にとどまっております。でありますから、われわれは基地の固定化とか、日米安保に奉仕するためとかいうことではなくて、基地そのものがあります以上は、われわれが使うわけです。したがって、使えば周辺の人々というものがやはりそれによって直接、間接の影響を受ける。基地があることについても、そもそも議論の存するところであろう。  でありますから、一般の行政行政で展開してもらいますが、私どもとしては、基地周辺の方々に限っての国の責任において行なうべき施策というものをとらえて、それが行なわれることによって、結果としては、関係住民生活の安定及び福祉の向上に寄与するようにしようと、こういうわけであります。でありますから、法律の第十二条においても、関係行政機関の間にそれぞれちぐはぐにならないように、所掌事務の遂行と、「防衛施設周辺における生活環境及び産業基盤の整備について、計画的に推進するよう努める」と、訓示規定ではありますが、やはり防衛庁はかってに周辺道路をつくろうとする、しかし、その趣旨は、本来建設省の都市計画でつくろうとした道路とは全く違ったところを走っていて、つながらない道路ができたりするようなことがあってはならぬ。やはりその町の都市計画の要望する、合致する線というものを私どものほうも対象としてとらえるように努力し、また一方において、市町村、所管省もそういう事業が行なわれる場合においては、防衛施設周辺整備、今回の生活環境整備によって行なわれるであろう事業を念頭に置きながら、うまくかみ合うようにしてやっていきなさいということを言っておるわけであります。でありますので、私どもは、僭越に、この法律をもって全国民国民生活や福祉の向上というものに貢献しようなどという大それた考えは持っていない。そういう意味で、基地周辺について特別に手厚くすることが一般行政上むずかしい現状において、私どもみずから国の責任でそれをやろうという範囲のことでございます。
  125. 星野力

    星野力君 山中長官は、この法律に対して、そういう解釈もできるかもしれないが、解釈はまあ自由だと、こうおつしゃいました。私が述べましたような解釈ができる法律法案であるということが一大事だということを私言っておるんです。またお聞きします。とりあえず自治省にお尋ねしますが……。
  126. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私はもういつも議論しておりますから省略したんですけれど、それはそういう議論ができる余地のある法律であることが問題なんだと、こうおっしゃるんですけれども、その議論が出る出発というのはどこかというと、日米安保条約を認めない、防衛庁自衛隊というものを認めないという党のお立場がございましょうから、そういう角度からの御議論も成り立つでありましまうと。しかし、私どもは厳然として防衛庁設置法、自衛隊法等の国会を通過した法律に基づいて設置されているものである。一部議論があることはもちろん承知の上のことでありますが、それらはそれらとして、一方において係争中でありますし、私どもとしては、その存在について根本的に見解が違う。国を守る守り方についての意味が違うわけでありますから、そういうことをあらためてここで議論しても、ふだんいつも言っていることでありますから、たいへん失礼に当たると存じて省略をいたしました。でありますから、簡単に申し上げますと、日本共産党・革新共同としての立場からお考えになれば、そのようなお考えもあり得るかと思いますという理解を示したにすぎないということでございます。
  127. 星野力

    星野力君 正確に申しますと、ここは参議院でございますので、日本共産党なんでございます。
  128. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 参議院ではそうですが。
  129. 星野力

    星野力君 自治省にお尋ねします。  自治体はこれまで各省庁補助金によっていた公共事業施設庁に依存するという傾向に走ることは、これは必至だと思います。そうなりますと、この公共事業を通じて自治体の運命が防衛庁に握られてしまうようなことも予想されるのであります。そうなりますと、自治権の侵害という問題も起きるわけでありますが、自治省、近藤審議官お見えになっておると思いますが、どのようにお考えになりますか。
  130. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 第八条の民生安定事業関係かと思いますが、地方公共団体の意思を無視して防衛庁のほうがこれらの事業をやるということは、現実問題として考えられないと思います。で、この民生安定事業そのものにつきましては、基地地方団体もこれをぜひやってほしいというわけでございますから、これだけが先行して、ほかの公共事業が進まなくてちぐはぐがくるというようなことはもちろん問題でございますけれども、それぞれの地方団体には、それぞれ自分たち地域計画というものがあるわけでございますから、それにのっとりまして、この部分はこの事業防衛庁にお願いする、この部分はどこそこにお願いするというような形にやっていけば、別に支障は来たさないのじゃないかと思います。
  131. 星野力

    星野力君 もう少しお聞きしますが、新法では施設庁が補助対象とする民生安定施設建設自治体負担分を二分の一特別交付税で見てやるということになっておりますが、自治省はどういう理由でこれを了承されたんでありましょうか。特別交付税は自治省の所管であります。自治省自治省の判断で地方公共団体に対して使用できるものであります。これを施設庁の行なう事業に回す、しかもその補助事業施設庁がきめる、自治省は金だけを出すということになってしまう。自治省の権限に対する侵害になるのではないかと思うんですが、私、何もなわ張り根性を発揮せよと、こう言っていることじゃないんですよ。その点についてはあとで申し上げますが、自治省の権限に対する侵害になるようなことを自治省はどうして承認できるのかということであります。
  132. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 経過をちょっと申し上げませんと近藤君も答弁しにくい点もあるかと思いますが、現在の交付金でも二五%、調整のワクがございまして、基地の形態その他によっては施設庁と自治省とが話し合って配分するワクとして大蔵省も認めておるわけであります。まあそれはそれでありますが、今回地元の方々の自己負担というものがある。これについては、第九条、あるいはまた第三条のような、十分の十原則というものが望ましいと思うんでありますけれども、これをあまりやりますと、著しく私どももこれは他の行政との均衡を欠くという、均衡を欠いて手厚過ぎるという点をおもんばかりまして、そのバランスは大蔵省と十分相談をして補助率等はきまっておるわけであります。しかし、なお地元では、国の設置者の責任によって起こっておることについて、仕事を関連してやるのに、地元負担があっては困るという御意見があることは否定できません。したがって、全額できないとするならば、まず残りは起債で見てもらう。自治省もこれは了解をいたされました。官庁間の相談であります。  さらに私としては、当初、その元利償還について、過疎あるいは辺地等のように八〇%ないし七〇%を交付税で元利償還金を見てあげたらどうだという構想も持って、相談も持ちかけたわけでありますが、これはよほど特別なものしかないので、その点はちょっとのめない。そこで、自治省側のほうで鎌田事務次官、事務当局の最高責任者と私と直接話をいたしました。鎌田事務次官の構想として、その手段は、すなわち元利を交付税で補てんするという手段は直ちに適用しがたいと。よって、ほかに省令で定めた例等があるので、それを今回新たに明示して追加することにしますと。したがって、補助率のものは残りの補助残の二分の一を特交で見る。補助額のものは、補助額そのものの二分の一を見るということで、それにかわる措置としては、うまくいっているとも言えないかもしれないが、結果、金利のついた金の償還をやっていくという、自治体の実態から考えると、たとえ二分の一であっても、起債のうちの二分の一は、まあ補助率の場合ですね、自治体に特交でいくのだから、計算してみるとそう損ではないと思いますという説明等も聞きまして、それで合意できるならばということで、官庁間の完全な合意を得、法制局等の審査も経て、そういう考え方——法律でありませんから、法制局の審査ということにはなりませんが、そういうことを進めていこうということで合意しておるわけでございまして、両省間、大蔵省も含めて、それぞれ異論のない合意点でございます。  以上私から説明申し上げます。
  133. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 山中長官からお話しあったとおりでございますけれども先生も御承知のように、地方財政全般につきましては毎年度地方財政計画というのをつくっております。この防衛庁の民生安定事業についての国庫補助金、これは負担区分がございまして、地方団体の負担分があるわけでございます。補助金も含めまして、その事業費というのは地方財政計画に載っておる。したがって全体的に、包括的には財源措置が行なわれておるという形になるわけでございます。具体的にこれは個々の地方団体にどのように財源措置をするか、一般の公共事業のように全般的にもあるものではございません、特定の市町村にあるものでございます。したがいまして、普通交付税の中でこれを基準財政需要額に算定するということは技術的にできません。しかしながら、それぞれ地方団体におきましては財政需要があることは事実でございます。この財政需要に対しましてどのような財源措置を講ずるか、起債の対象になるものはもちろん起債の対象にいたします。起債の対象にならない一般財源の持ち出した部分につきましては、現在われわれのほうでは地方交付税の中の特別交付税で配分するというほかには方法がないわけでございます。それで、特別交付税をどのような形で配分するか、御案内のように、これは毎年度、自治省令で具体的な配分方法をきめます。恣意的に交付するものではございません。いま長官からお話しございましたように、四十九年度の省令をつくります際の問題でございますけれども地方負担の半分程度、半分を特別交付税の算定の基礎に入れるというような省令をつくったらどうであろうというような考え方でおるわけでございます。
  134. 星野力

    星野力君 自治省の権限に属する特別交付税が防衛施設庁の権限で動かされるという点が重大な問題だと私感じておるわけであります。  先へ進みましょう。施設庁にお伺いしますが、各自治体から補助対象の民生安定施設事業がたくさん申請され、四十九年度予算のワクとの関係でこれが消化されなかった場合はどうなるんですか。次年度に繰り越すことになると思いますが、その際どういう順位でもって選択していかれるのか、その辺のところを、基準……。
  135. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 大体、現行周辺整備法におきましても、毎年度の周辺整備事業に関しましては、前年度概算要求時におきまして、一応予測されます予算の規模等の中で、各防衛施設周辺のどういった事業を採択していこうかという一つの方向づけがまず前提としてございます。そしてそれが予算の検討、審査の段階を経て、最終的には国会で承認を得ました段階で、成立した予算の範囲であらためて当該年度の実施計画を練っていくわけでございますが、昨年から今年にかけましてのような特殊な工事費その他の物価高騰の状態のときには特別ではございますが、一般的には一応予測しておりました範囲で、どういう防衛施設周辺で、どういう周辺事業を採択していくという一つの方向づけとそう変わった形にはならないのではなかろうかと思いますが、ただ、本年度のような場合に、これから周辺対策事業を実施する場合に、たとえば学校防音等で考えました場合には、昨年度から継続しておりまして、本年度でももって防音工事も完成して、来年の四月一日、新学期から開校の運びになる、あるいは人口増に伴う教室増もその時点から解消するような計画で進む、そういった学校防音工事の場合にはぜひ本年度の工事で実施完了をすべきものだと考えます。ところが、本年度から来年度にまたがって継続工事として行なうような学校防音工事、あるいはその他の工事の場合には、本年度の予算の範囲の中で、当初考えておりました規模を縮小して、たとえば建物等の場合には、付帯工事だけをまず本年度に行なって、本年度予定されていた分を来年度に延ばしていく、そういったくふうの中から、せっかく障害防止なり障害の軽減緩和に資するということで地元の皆さんも期待され、またそれができるまでの間その障害をしんぼうしていただいている地元のお立場も十分考えながら、予定に間に合わしていきたいと思います。いろいろ地元の各種の御要望の中から、やはり予算の範囲の中でどうくふうしていくかという点では、たとえばいま申し上げましたような考慮をした上で実施していきたいと考えております。
  136. 星野力

    星野力君 この問題では、あとで時間がございましたらさらにお聞きいたすことにします。  新法によりまして、一般公共施設建設事業防衛施設庁予算に基づく補助対象事業になるということは、明らかに各省庁行政の肩がわり、各省庁行政への侵害になるだけでなしに、基地周辺自治体を金によって動かしている、施設庁の基地確保に従わせる、こういう危険性がきわめて強いということを申し上げたいのであります。施設庁は基地の安定的確保を目的として金で自治体を動かすだけではなく、そのことを通じて地方自治体基地撤去を要求することを押え、基地の受け入れを承認する、また基地公害で苦しむ周辺住民自治体との対立をあおる、そういう方向にいくおそれが大いにあると思うのであります。基地周辺自治体が財政難に置かれておることはこれは確かなことでありますし、いろいろの要求を持っておることもこれは正当なことでありますが、金がほしい、周辺整備でやれば早く金が入ると、安易にこの施設庁予算に依存することになれば、金は出たけれども、その金を得るために自治体の行政が侵されるという重大な問題が出てくる。  私、時間があまりございませんが、かつて日本軍部が臨時軍事費というものを握って、中央の各行政分野、地方行政分野に介入していた。そうして中央、地方を通ずる軍国主義の国家体制を押し上げてきたというこれは歴史的な事実があるのです。まあ規模からいえば、いまこの法案意味するところのものはまだ小さい。予算からいっても、これはたいしたことはないのでありますが、いわば萌芽の状態ではありますが、その本質において、かつての日本軍部の中央、地方行政分野への介入と本質を同じくするものがここにあるという、軍事優先、日米安保優先のもとにそのような方向が指向されつつあることを重大視せざるを得ないんです。一体、防衛庁長官は、この法案が成立したとしまして、どのように運営されるのか、そのことを思うと、そらおそろしいような気持ちさえするのでありますが、その辺いかがでございますか。
  137. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) そういうたいへんな内容の金額でもありますとわれわれも大助かりなんですが、リロケーションの費用すら、各国と比較する場合は、日本軍事費、国内ではGNPとか総予算に対する防衛費の総額の中にはうり込まれて四苦八苦やっておるような状態でありまして、とてもとても臨軍費などという、それに類するなんというものはどこにもありませんし、来年からはもう少し防衛施設周辺生活環境整備予算は、国家予算の環境、すなわち総需要抑制、公共事業抑制等のしがらみがとれますならば、どうしてももう少し予算をふやして、われわれとしては地域住民の方々になるべく最大の努力をしたいものだと念願しておりますけれども、これも全部国防費の予算の中に、総額の中に入って議論されますので、臨軍費のような戦前のそんな姿勢はもちろんのこと、それよりも予算をふやすのに天井があって、頭打ちで、なかなか御要望にこたえられないという現状でございます。そういうことでございますので、御意見は御自由だと思いますが、われわれは戦前の軍とも違い、全く新しい体制のもとに存在しておるものでありますので、そのような大それた考え方等が入ってくる余地は今後ともあり得ないところである、そのように考えます。
  138. 星野力

    星野力君 防衛庁予算がかっての臨軍費と比べてどうのこうのということを私言っておるんじゃないですが、この法案の仕組み、目ざしておるところのものの、その性格、本質というものがきわめて重大なものである、危険なものであるということを私申しておるのであります。そういう意味ではこれは画期的な法案ではないかと思うわけであります。  特定防衛施設について若干お伺いしたいんです。この施設は政令できめられることになっておりますが、何カ所、どこの防衛施設基地を指定するのかお聞きしたい。
  139. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 第九条の特定防衛施設並びに関連市町村の指定の問題でございますが、これは現在ここに、条文にございますような要素、たとえば人口の問題、あるいは人口の動態、あるいは面積の問題、それから防衛施設あるためのいろんな障害の度合いとかいうものを根拠にいたしまして、客観的なものさしをつくって、それに基づいて指定する考えでございますが、ただいまのところ検討中でございまして、新法が成立した暁においてさらに具体的に検討するという段階になると思います。
  140. 星野力

    星野力君 時間がもうないそうでございますので、ちょっと締めくくらぬことにはやめられませんので、もうちょっとお願いします、委員長。  この特定防衛施設というのは、この法案の目玉でもあるんでありますが、まだどこを指定するかはっきりきまっておらない、こういうことでございますか。それはおかしいと思うんです。正式にきまっておらないにしても、施設庁としては大体腹づもりはお持ちだろうと思うんです。その辺のところをひとつ説明していただきたい。
  141. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ただいま事務当局でいろんな検討をさせております。したがいまして、いろんな考え方があろうかと思いますけれども、まだ法律もできてない段階でございますし、国会でも済みまして、法律が通りました暁におきまして、私を入れて最終的にいろんな調整をしたいと思いますので、先ほどおっしゃったように、腹案があるんじゃないかというお話ですが、腹案はないというぐあいに御理解願います。
  142. 星野力

    星野力君 政令で特定防衛施設に指定する基準が示されておりますが、この基準で対象となる施設はどれだけあるか。たしか衆議院で五十施設ないし七十施設というようなお答えがあったように思うんでありますが、かりに七十施設あるとしますと、関係自治体の数というのはどのくらいになりますか。大体倍あるいは何倍という数字が出るだろうと思います。  ところで、四十九年度にこの特定防衛施設に指定する自治体への交付金は五億円じゃございませんか。五億円を七十もある特定防衛施設、その何倍にもなるであろう関連自治体に交付するということになりますと、一自治体に交付される額というものはきわめてわずかなものです。そんなわずかな金をばらまいてみたところで、これはどうにもならぬ。目的に沿うようなことは何もできやいたしません。実際には指定する特定防衛施設というものはきわめて少数にしぼられるだろうと思うのでありますが、しぼられる施設は一体幾つぐらいか、どこか。お答えになられぬかもしれませんが、私のほうからお聞きしますと、結局嘉手納をはじめ横田、三沢、岩国、厚木、こういうところあたりが第一級の候補、北富士はどうなりますか。
  143. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 個々にお名前があがっておりますが、別に私のほうでそういったものを現在腹案として持っているということではございませんので、お答えいたしかねるということになると思います。  それから先ほど五十とか七十とかいうお話がございましたけれども、これはこの法律の第一号、二号、三号、四号というのがございます。ターボジェット発動機を有する航空機の離着陸する飛行場とか、あるいは演習場でございますとか、港湾でございますとかいうのがあがっております。それ以外に、その他政令で定める施設といたしまして、いま私ども考え方といたしましては、一つは大規模な弾薬庫というのを考えております。それからもう一つは、こういった特定の飛行場とか何かという問題を除きまして、それ以外の防衛施設であるけど、それを全部足してみますというと、その公共団体の中で非常に面積や占拠率が高くなるという場合も想定しているわけでございます。したがいまして、候補になるのは幾つかと言われましても、いろいろ幅のある問題でございまして、一号から三号ぐらいまでをとりますというと、大体五十ちょっとぐらいだと思います。それに四号、先ほど申しましたように政令で指定するということを入れますというと、かれこれ八十近くなるというぐあいに考えます。その中からことし指定するわけでございますけれど、先ほど御質問のように、ことしはわずか五億でもございます。したがいまして、そういった中から慎重な上にも慎重な検討を加えて、やっぱり相当しぼって指定しなければいかぬということに相なるかと思います。  それからもう一つの御質問で、一特定防衛施設について関係市町村は幾つかということでございますが、これ、全国平均いたしますと、いろいろ数字の取り方あるのでございますが、二ないし三市町村ぐらいが一特定防衛施設に関連した関係市町村ということになるんじゃないかと思います。
  144. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  145. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こしてください。
  146. 星野力

    星野力君 いまお述べになりましたいろいろの基準みたいなものですね、弾薬庫云々というようなお話、それから総合的に見るとどうというような、こういうような基準からしましても、私があげました嘉手納であるとか横田であるとか三沢、岩国あるいは厚木、北富士についてはどうなりますか。こういうところは大体含まれるんではないかと思うのであります。これらのところは、アメリカが極東戦略に基づく在日基地の効率的運用をはかるものとして集約、機能の強化をやっておる中心的なこれは在日米軍基地になりますが、そういう在日米軍基地の統合強化、在日米軍の再編強化、それに呼応して、それらの在日米軍基地を安定的に確保する、そのために交付金交付して、自治体が住民基地撤去あるいは基地公害を除去または緩和せよという要求を押えていく。ここに先ほど申しました日本行政秩序を侵害していく——まあ臨軍費の例もあげたんですが、ああいう危険と、もう一つ大きなこの法案の持つ危険として、この点を私は指摘しておく必要があると思うんであります。  実際、基地周辺住民要求しておるのは、先ほども申しましたけれども、嘉手納にしましても、横田、三沢にしましても、周辺住民自治体が真に要求しておるのは、騒音を減らせ、そのために飛行回数を減らしコースを変えろ、夜間飛行はやるな、日曜祭日の飛行もやめてくれ、そして防音をちゃんとやってくれ、人間が住めるような、暮らせるような、一軒の家の中で六畳なり四畳半なり一室だけを防音するというようなことじゃなしに、普通の屋内の生活ができるように防音装置をやってくれというような切実なものばかりであります。さらに、周辺自治体や住民がほんとうに要求しているのは基地の撤去でありますよ。あるいは基地の縮小であります。それを周辺自治体がかかえておるところの財政的困難につけ入って、わずかな交付金、あるいは将来わずかでなくなるかもしれません交付金によって、基地安定確保という名の基地反対運動抑圧という意図がこの法案には非常にはっきり見え透いている。このようなやり方ではたして住民自治体の切実な要求にこたえることができるかどうか。できはしない、こう思っておるわけであります。  これについて御意見をお聞きして、質問を終わります。
  147. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私どもはそう思っておりませんが、日本共産党の御意見として承っておきます。
  148. 鈴木力

    鈴木力君 だいぶ私の前の質問で、法案の具体的な問題やあるいは各基地のそれぞれの問題についての御質問が出ましたので、私はできるだけ重複をしないように注意しながら若干の問題を御質問申し上げます。  まず、先に申し上げておきますけれども、さっきの星野委員長官との質疑と応答を伺っておりますと、どうせ日米安保条約反対、自衛隊違憲という立場なんだからというふうに聞こえるような御答弁があったと思うんですが、私も立場自衛隊違憲論の立場をとっております。それから日米安保条約も破棄すべきであるという立場をとっておりますが、しかし、きょう御質問申し上げる趣旨は、その立場からの御質問はいたしません。そういうつもりで初めから御答弁をいただきたいということをまず申し上げておきます。  で、軍事地域といいますか、基地をかかえておる市町村がたいへん迷惑をしておる。これは政府もそれを認められていろいろな施策をいままでやってこられた。その立場は、そういうお考えは私もよく理解をするつもりであります。したがって、現在ある基地に対してはそれなりの施策ということが必要であるということも理解しながら、ただ一つ私はまずお伺いしておきたいのは、基地のある地域市町村当局なり市町村民なりが、基地があるからそれに対してさまざまの助成をほしいという要望がある、要求がある、こういうまあ御説明なんです。それはそのとおり私もそうだと思います。私どもにもそういう陳情が来る。しかし、もう一つ私は政府に認識をしてもらいたいのは、基地があるから金をくれというこの立場はあるけれども、本質的には、基地が要らないという本質的な立場を持っている市町村長なり市町村住民なりが非常に多いということですね。できれば、ほんとうは助成金は要らないから基地をどこかへ持っていってくれということがほんとうの願いなんです。だけれども、なかなか基地を持っていってくれないから、それならその障害に対する補償を国がせよという要求になっておる。そういう一面の住民立場ということを私はまず政府は基本的に認めるべきだと、こういうつもりなんです。いままでのいろいろな私の防衛問題等の御質問を申し上げた経験では、どうもそういう点についての認識に立った御答弁というものをあまり聞いていないもんですから、まず最初に、その認識が正しいと私は思うがどうかという質問を先に申し上げておきます。
  149. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) もちろん、日本の自衛手段のあり方等について見解が分かれる立場にあっても、かりにそれを認める方であっても、現在の制度を認める立場の人であっても、自分のところに基地があることについて賛成であるという人の、総論賛成、各論反対ということも含めて、やはり基地があることについて迷惑がっておる方が多いということを承知いたしております。ことに沖縄等においてはその顕著なる事例等がございますし、われわれ自衛隊としては、なるべくそういう国民理解を得る努力をこれからもしてまいりますが、他方、米軍に提供をしております基地等については、沖縄等を中心に、今後ともやはり地域住民生活の基礎設計、未来の展望の青写真というものが描けるような状態に私たち努力をしなければならない沖縄本島の中南部の状態であると認識しておりますので、この点は逐年努力をいたしておりますが、さらにこれは姿勢として対米折衝その他続けながら沖縄住民の悲願にこたえていくという努力を、基地接収の経緯から考えても、沖縄の問題は本土の者の責任である、このようなふうにも考えておりますので、自衛隊基地米軍提供基地地域場所、いろいろの感触の違いがございますが、私も先生のおっしゃるような意見は当然前提として基地を維持し管理し運用していかなければならぬ、そういうことは十分わかっておるつもりでございます。
  150. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、その次なんですが、実は私はこの法案審議に先立ちまして、防衛施設庁に膨大な資料要求をいたしました。ずいぶん無理なと自分もそう思いましたけれども、そう思う前に、実はこの程度のものはできているだろうという気持ちも私はありました。というのは、いままでのこの法、現行法を廃止して相当大きな法案といいますか、大改正をするのでありますから、少なくとも防衛施設庁は現在までの、今日までの基地行政については総括ぐらいはしておるはずだと私はそういう認識をしておったんです。そうすれば、少し大きな資料であったけれども要求すればすぐ出してもらえるだろうと。たいへん御苦労をおかけしまして、伺うところによると、何か二日か三日皆さんが徹夜なさっておつくりになったということで、これはたいへん御苦労をおかげしたと思っておりますが、そう思いながらも、こういう大改正をするにあたって、今日までの基地行政というものを防衛施設庁としてずうっと総括をしてみなかった。あるものは反省すべきものもあると思うし、あるものはもっとどうしなきゃいけないと思うし、そういうもので数字の上からも統計の上からもいろいろ振り返ってみた一つのものが実は私は提案理由になっていくべきものだと、こう思っておったんです。そういう点がどうも私は不満なんですけれども、いままでのそういう点についての——まあいまそれをお伺いしてもしようがない話ですが、私はまず質問に先立って御要望申し上げておきたいと思うのです。それは賛成反対の立場はともかくとして、やはり今日の日本における軍事基地のあり方、あるいはまあアメリカの、米軍の進駐からいろいろな形での制度の変遷を経て今日まで来た。それが国民生活に与える影響もさまざまなものを持ってきた。いいと見る、悪いと見るというような、そういう私見を加えることなしに、そういうものが今日まで歩いてきて、今後どうなるかという節に私はこの法案を実は見たかったわけなんです。  そこで、ちょうだいした資料昭和四十一年から以降のものを実は私はちょうだいしたんですが、この際私は、私自身もあれをまだ十分に分析しかねるぐらい膨大なものでありますから、でありますけれども、今後のこの種の問題をわれわれが審議をしていきます場合にも相当大きな参考になると思うのです。それからまた、その他におきましても使えるものになると思いますから、ついでに言うと恐縮なんですけれども、ああいう資料の取りまとめに取りかかったことを契機に、防衛施設庁が戦後の日本のこの防衛基地行政といいますか、防衛施設関係のそういうものを一つのものにまとめ上げて、あるいは文章なり解説をつけてもよろしいと思う。単なる統計集でなしに、そういうものをひとつおつくり願えたらどうか。それをまず提案をかねて御質問を申し上げておきます。
  151. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 資料の提出等で非常に私どもで時間がかかって、土曜、日曜をつぶして職員が働いたということ、実を申しますというと、弁解がましいことは申し上げませんけれども、非常に古い文書がなかったということで時間がかかったようでございます。しかし、たいへん重大な御指摘でもございますし、非常に大事な防衛施設行政というものの過去というものを理解し、将来の展望というものを生かすというためにたいへん有益な御示唆だと思いますので、私どもといたしましては相当古いところから統計資料を収集いたしまして、さらに防衛施設行政がどういう移りかわりをしてきているかということを今後まとめてみたいという感じがいたしております。
  152. 鈴木力

    鈴木力君 実は、何ですか、日本におけるこの戦争史とかそういうものは防衛庁自分でおやりになっている、あるいは委託しているといういろんなことがありますけれども、非常に膨大なものをおまとめになっている。これは賛成する立場からも反対する立場からも非常に貴重な資料だと私はそう思っているのです。だから、そういう面で、必ずしもこれは賛成する人も反対する人も、これは貴重な資料だというやつができるはずだと、こう思いますので、そういう意味でいま御要望申し上げたわけであります。  そこで、その次に進みますけれども、私はさきに申し上げましたように、いまの前に振り返ってみた点について私はどうも不十分だったと思うのですが、この法案審議が始まりましてからずっと何日かたちまして、少なくとも私はこの法案審議にあたりまして、私もそういう気持ちなんです。私もというよりも、私自身は、法案の条文が第一条がどうだ、第二条がどうだというよりも、もっと先に議論しなければいけないのは、どんな法律案をつくったにいたしましても、それを運用する当局の行政姿勢が基本的な問題だと私は思う。たいへん失礼な言い方になると思いますけれども、私自身は、いままでの防衛施設庁の基地行政、あるいは基地をいろいろな形で取得をしたり、あるいはそこに施設をしたりそういう形の行政についてはきわめて私自身は不満だと思っております。これは批判的なものを持っておる。それはさっき失礼な言い方だと言いましたけれども、非常に何といいますかね、不明朗な手口というものがどうも私は目立ってならないような気が実はしております。  いつかの神沢委員質問、私が関連いたしましたときに、防衛庁長官が車力村の例を出された。たとえば青森県の車力村のあの基地取得にあたりましてのいろいろな手続ですね。これにいたしましても、当局に言わせればそれなりの理屈はあるかもしれません。いま具体的にどこにどうしたということは申し上げませんけれども、どうしてもあの手口というのは、私は明朗なまともな行政の手口だとは思えない。長官のこの前の御答弁で、あそこはもう基地にするつもりはないし、その計画はやめたし、それからあそこに持っている土地は、地元から要請があれば払い下げもするという御答弁をちょうだいしておりますから、これ自体に私がどうこうということじゃなくて、今日までの経過を見れば、どうもそういう手口は私は納得できない手口を使っておったということは間違いないと思うんですね。あるいは北海道の長沼の馬追コミュニティーセンターですか、あそこだってレクリエーションセンターなのか何なのか、会計検査院が来たら、何とかというものをかっこうをよくしておいて、検査が済んだらまたもとに戻ったというようなこんなことを基地行政で繰り返しておるところに、これは私はいろいろな法案、いい法案が出ても、そこから出る法案ならあぶないということが頭の上で先にきてしまう。私自身は実はそういう気持ちがまだあるんです。したがって、例をあげれば数々あると思います。それはもちろん防衛庁当局からはそれに対する答えも出るだろうし、あるいは私どもが言うことに対するおまえの誤解だというものもあると思います。  で、きようはあまり時間もありませんから一つ一つは言いませんけれども、わが党のいままでの二人の質問者も、北富士の地域に集中をした質問が実は出たわけです。この北富士の演習場についての今日までのいきさつにつきましても、法律的に違反だとかなんとかということになれば、これは手続的にこれがあります、これがありますということになりますから、そういう議論でなしに、行政的に適切であったかどうかというと、やっぱり私はそれなりの考え方がとにかく一本にはまとまらない、そういう見方もあったと思うんです。そういうことを考えてみて、やはりさきに申し上げましたように、いままでの点を振り返ってみる気がないかということを申し上げたんでありますけれども、そういう基地行政のあり方というものを、私は防衛施設庁がやはり常に、これはこうでした、ああでしたという弁解ばかりするというと、これもことばが少し適当でないかもしれませんが、そういう立場を固執することなしに振り返ってみる必要がありはしないか。そういうところから、まあ自衛隊違憲論であろうと合憲論であろうと、いずれにしてもこういう行政に対する国民というか、その地域の合意を得るという道は、私はそういう正しい道を歩むことによって出てくるだろうという感じがするんです。これも施設長官あたりからの御所見をひとつ承っておきたいと、こう思うのです。
  153. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 私も、先生御案内のとおり、参りまして半年ぐらいの経験で、防衛施設行政全体を見切っている人間ではございませんが、そういう立場答弁さしていただきますが、確かにいろんな問題に徴しますというと、やはり防衛施設庁といたしましても今後の基地行政を進めるにあたって反省すべき点は数々あろうかと思います。ただ、なかなか個々のケースごとにいろんなむずかしい問題がそれぞれございまして、そういった問題に対処する場合の一つの方法として、あるいはお気に召さない方法があったかもしれませんけれども、これは一つはやはりなかなか基地行政のむずかしいという問題を逆に述べているかもしれません、率直に言って。しかし、そうばかりも言っておれませんので、私どもといたしましては、謙虚に過去の行政というものを見渡し、また反省をし、その上に立って今後の行政というものを行なうべきであるというのが、率直なところ私の現在の考えでございます。また、そういう気持ちで部下を指導してまいりたいと私は思っております。
  154. 鈴木力

    鈴木力君 これは私はこの内閣委員会でこの種のものを審議をするにあたりまして、私自身も実は深刻な気持ちを多少持っているんです。それはさきに私が申し上げましたように、私の考え方立場というものと、いまの政府立場考え方というものは、これはもうまっこうから出遅っておることは私自身も承知をしておるんです。しかし、立場が違うからといって、何かこの種の審議をすると、政府側のほうはつとめてぼろを出さずに何とかすり抜けようとすることが一つ審議の態度であり、われわれのほう、野党のほうは、そこをごまかされまいぞ、どっかにぼろがあるはずだというようなそういうことの繰り返しをいつまでやっておっても、防衛問題なり基地問題なりの審議というものはあまり実りのあるものにはならぬじゃないかという気持ち自分は持っておったんであります。  そういう気持ちを持ちながら、いままでこういう審議に参加してまいったんですけれども、いま私がこういうことをあえて申し上げたのは、立場の相違というものは正々堂々とまた議論をする場があるはずだし、国民生活というものがかかわるような行政問題についてはもっとフランクに、できないところはできない、できるところはできる、そうした問題についても、さっき言ったような、ぼろを出すまいぞ、出させてやるぞというようなことが先に来ることなしに審議できるように、そういう行政になってほしいし、そういうことについては、われわれもまた反省する面もあるかもしれませんけれども、決して当局だけ悪いと、おれだけ一〇〇%満点だというようなつもりで言うわけでもありません。いずれにしても、私はこの法案審議に際しまして、そういう面まで当局もまたわれわれも考えてみる必要があるんではないか。そういうつもりで、少しお聞きにくかったかもしれませんけれども、従来のいろいろな——全部とは私は言いませんけれども、きわめて不明朗だといいますか、何となく陰で何かをこそこそとやるといったような、そういう面があったという御批判を一つ申し上げたわけなんです。  そこで、この法案にあたりましても、まあいろいろいままでに議論が出ました。特に私は各党ともそういう立場からの御質問があったと思うんですが、やはり縦割り行政というものが、これは防衛庁行政なり防衛施設行政だけというつもりで私は言っているつもりもありませんけれども、最近それぞれ縦割り行政というものが非常にいろいろな形から出てくる。それはまあ担当省がその責任を持つべきというその考え方は、それだけに限っていえばわからないわけでもありませんけれども、どうもその意図について若干私は疑問を持っておるんです。これはいままでに何べんか私は申し上げたことがあると思うんですが、たとえば基地周辺整備、いままでもいろいろなものをやってまいりました。しかし、ほんとうにこの行政というものが、地方自治体を中心に考えての行政であれば、たとえば何か工事をする助成金を出すわけですね。今度も調整金とかいろんな金が、交付金が出てくる。その場合の条件に、どうして防衛施設庁が認定をした業者でなければ設計ができない、施工ができないということになっているんですか。  これは前にもそういう御質問を実は私が申し上げまして、そうして防衛施設庁の指定業者一覧表というのを私が書いてもらって、いまも持っております。事実その人のほうは、別にこれは防衛庁と金の関係どうあるとか、そんなことで言っておるわけじゃありませんよ。そういうことでもないし、認定といいますか、指定をしているその業者の方は、大体はその市町村関係のある業者が多いと私も見ます。だけれども、たとえば学校なら学校、防音校舎を建築をする場合に、施設庁の認定業者が設計をしなければいけないし、それから施設庁の認定業者でなければ施工できないというこの仕組みは私にはどうも理解できない。その中から市町村が選ぶんだから自治体の自主性があると、こう言いますけれども、そんな業者の指定まで私は施設庁が口を出すというのは、やはり縦割り行政からそこへ持ってくるということになると思うんです。だから、そこの住民に対する具体の交付金なり調整金なりというものが出るのはいいけれども、そういう制度はやめるべきだ、こう思います、どうです。
  155. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 御指摘の点は防音工事に関する問題だろうと思います。学校の防音、病院の防音等に関しましては、やはりたとえば開口部、窓のサッシ等につきましては、通常のサッシでは遮音効果が出ないわけでございます。したがって、十分われわれのほうで各メーカーの中から、この業者のサッシならば防音工事のサッシとして使って十分であるという、一つの資格と申しますか基準というものに合格した業者のサッシを使ってもらいたい。そうでなければ、せっかく補助金を出して防音工事を施していただいても、遮音効果の乏しいサッシを使われたのでは補助金の目的に沿わないというようなものに関しまして、また防音工事等の設計ということに関しましては、一応やはり防音工事という特殊工事の設計技術というものを持った設計業者でなければまずいわけでございます。そういった特殊の分野に限りましては、一つの登録あるいは銘柄の指定と申しますか——指定と申しましても、一つに指定するわけではなくて幾つかのグループとして認めているわけでございます。そういった部分に関してだけは一つの基準以上のものをやはり選んでいただくということで限定しておりますが、それ以外の施工業者等につきましては、何ら私どものほうでは登録制度とかそういったものは持っておりません。     —————————————
  156. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、源田実君が委員辞任され、その補欠として堀本宜実君が選任されました。     —————————————
  157. 鈴木力

    鈴木力君 施工業者については何ら関係がない、そういう指導をしていないといういまの御答弁、初めてです。これはこの前に私が東京都の周辺地域の防音校舎で質問申し上げまして、そして施工業者、設計業者の指定をした一覧表まで私は資料としてちょうだいしてある。それはそれとして、それはいま部屋へ行って持ってくればそれもありますけれども、それはないと言うなら、それでないということで確認をしておいてよろしい。  ただ、私はいまの御答弁でもどうしても気に食わないのは——気に食わないということばはいけませんから、これは取り消ししまして、納得できないのは、防音校舎の認定なり設計なりというものが施設庁しかできないということが私はおかしい。そうでしょう。防音校舎のどういうサッシという、その認定は、施設庁以外にはできる人がいないんだという答弁だ、いまの部長答弁は。したがって、建設省の指定、認定業者だってできる人がいるんじゃないですか。だから、防音校舎なら防音校舎のサッシならサッシはこういう条件のものという基準は、防音能力がどうだということでいけばいいんであって、そうすると、いまの平井さんの答弁をまともに私が聞きますとね、今度は運輸省関係でも防音工事や何かそれは出てくるでしょう。その場合には、やっぱり施設庁でなければ防音施設のサッシなり何かなり、あるいは業者なりというものが判断つかないわけですか。いまの平井さんの答弁だと、運輸省がやるのも施設庁の認定業者に頼まなければできないという答弁になってくる。私は、そういうことをせずに、防音校舎なら防音校舎を建てるというなら、それは建てるのに助成金はいいですよ。助成金はいいけれども、たとえばそういう業者の認定というのは、また変な業者にやられて途中で投げられたり、あるいは効果のないものを建てられちゃ困るという、その配慮は私はよくわかるんです。そうすると、国なら国が一定のものがあって、それの担当は建設省なら建設省がやって、そういう形になって私はこの防衛施設行政といいますか、そういうものが大体理解されてくるんじゃないか。何となしに、自分のものはみんなおれでなければというこの姿勢が私は納得できないんです。  それから、たとえばこれも何べんか私は——もうこれは何回目か私も記憶にないようなことですけれども、防音校舎でいえば、学校に、防衛施設補助金によるとかなんとか書いた礎石、あれをなくせと私は何べんか言っている。そうすると、あれは無理に義務づけていませんという答弁がそのつど出るんです。義務づけてはいませんというその答弁がそのつど出るけれども、その市町村の教育委員会なり市町村の当局に聞きますと、いや、これは義務づけられていないはずだから、なくてもいいんだよと言うと、いや、その施設局の何とかという下のほうの課長さんから、できれば入れてほしいと、まだ言われるんですと、こういう形の——われわれが質問をすると、それは義務づけていませんと。しかし、行政の系統の中のどこかがやっぱり下で、義理にからむのか何にからむのかわからぬけれども入れさせておる。そうすると、学校という教育の場の子供たち——まあ私は教師出身だから特にそういうことにこだわるんですけれども、これは学校だけじゃないと思うう。将来は保育所もできる、幼稚園もできる。この建物はどこからもらった建物だからということを一々そこに書いてということもないはずだ。国の補助でもらったと書いてもかまわぬじゃないか。何か防衛関係に関する——これは簡易保険の何かを借りたとかなんとか、あの棒ぐいを立てるというくせもありますけれどもね、それにこだわって、自分のなわ張りというものをそこまでしいるというこの行き方、それが私ども施設行政なり特に助成金を出すというこの行き方に自分たちのひもをつけるさまざまな意図があるということをどうしても疑わざるを得なくなるわけです。こういうものは私はもっとフランクに、これを返上してといいますかね、国が統一をして、そこまでは地方自治体にひもをつける必要がないんじゃないか、こう思いますけれども、この辺は改める気がありませんか。
  158. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) まず二つの問題、お答えいたしますが、一つは先ほどのサッシの問題でございます。これはいわゆる施工業者の指定じゃなくて、サッシのメーカーの銘柄の指定と申しますか、標準以上のものの指定ということになるわけでございますが、実は防音工事というものを補助金行政で始めましたのは防衛施設庁が初めてでございまして、最近になりまして運輸省の公共飛行場周辺におきましても同様な防音工事が施されるようになってまいりました。したがって、当時の事情といたしましては、やはりそういう防音工事の補助金を出します責任官庁として唯一でございました防衛施設庁として、責任ある銘柄というものを用いた工事をしてもらいたいというたてまえから、そういう制度をとって今日まで来ているわけでございますが、最近運輸省のほうでも公共飛行場の周辺でどんどんと防音工事も施されますし、またその他にもそういった防音工事の分野も広がってきているというたてまえから、今後各省庁の同種補助金行政に関しまして、これらの問題の一つの共通の姿というものを見出していく努力は今後当然必要であろうかと思います。  それから標示板の問題でございますが、これも動機といたしましては、こういった工事を国の費用で出したという一つの姿を残す意味においては、当該市町村のほうからの話もあって、適当であろうという判断のもとにそういった指示等を各現地の局に流して、御要望があれば、お話がそういうことになれば標示板をつけることもよかろうということでまいったわけでございますが、いろいろと誤解を招く事情が経緯としてございましたので、昨年の七月十六日には、そういった経緯を踏まえて、この防音工事の定礎板に関しましては、今後国の補助金の一部としてその費用を出す形での取り組み方は廃止するということで、各現地の防衛施設局長に指示文書を出しております。
  159. 鈴木力

    鈴木力君 そういう指示文書を出しておればそれで私もわかりました。いままでは、いま平井さんがおっしゃったように、市町村から要請があればということになっておったです。ところが、市町村に聞いてみると、要請してくれという人が必ず来たというのですね。だから、そういう行政のあり方というものを、表向きはりっぱだけれども、下では要請さしておいて、要請があればとね、これを繰り返しておったから、私はこの問題を委員会で、つまらぬ問答みたいだけれども、言ったのはこれで三回目か四回目ですよ。  それからもう一つは、人がかわったからだけれども防衛施設庁が自分の認定した業者なら一〇〇パーセントいいんだと。それをやめなさいと私が言ったのは、これは皆さんと人がかわっているからですけれども、青森県のあの地震のときなんです。青森県の何とかという中学校で避難階段が、生徒が避難しようと行ったら避難階段がそっちに倒れた。幸いにしてその避難階段を使う前に倒れてくれたから生徒に被害者がなかった。そこで私は、防衛施設庁が自分の認定した業者でなければというこの考え方を捨てなさいと。そういう人の設計でそういう人の施工でもそういう事故があったんです。そのとき以来私が言っている。だから、少なくとも私は、いまになったら、何でも防衛庁なりこっちのものというような、そういう考え方はやっぱり捨てるべきだ、そう思うんです。特に、簡易保険も棒ぐいを立てたからなんというのは、あなた、とんでもない話ですよ。向こうのほうは、金を貸してくれと来られて借りていったほうです。この種のあれは、迷惑をかけているから申しわけありません、これをやってあげますと、こういう立場でしょう。恩着せがましい態度というのはやっぱり私は直すべきだ。そういうつもりでいまの問題、具体的な例を出したわけであります。  その次に、何べんも出ましたけれども、これはもうこの法案だけじゃないんですけれども、やはりこの縦割り行政というものがちんばになってきますと、やっぱり私は行政の事務配分という面からもいろんな問題を起こしてくるんじゃないかという心配を実はするんです。地方自治体の側に立ってみますと、ある学校は防衛施設庁の——まあ礎石はないということになったからそれでいいけれども、これは防衛庁の学校だ、これは文部省から補助金をもらって建った学校だ、これは老朽校舎の学校だとかね。病院も厚生省筋の病院ができる、防衛施設庁筋の病院ができるといったようなこういう形でどんどんいくということになると、どう見ても私は行政事務配分の上からいって適当でない結果が出てくるような気がするんです。だから、これは各省ともいろいろそういう形でありますから、たとえば青少年施設にいたしましても、あるところに行けばこれは文部省のものだ、これは運輸省のものだとかいろんな——だんだん防衛施設庁の青少年施設も出るかもしれない。これもまたいろいろどうも行政の筋からいうと少しおかしい。だから、この法案ならこの法案を適用しそ助成の基準が出るにしても縦割りは一本化すべきだ。実はこれは昭和三十七年ですか、そういう関係の県知事さんたちからのそういう要請が出ているわけですね。そういう要請があったにもかかわらず、関係知事たちの要請とも別に、だんだんだんだん縦割りがふくらんでくるということもどうも私は適当でない。  これはしかし、防衛施設庁に言うことではなしに、実は政府全体に私はこういうことを申し上げたいと思うんです。この際政府全体として、そういう行政事務の適正配分というものがどうあればいいのか、縦割り行政とそれから地方自治体とがどうあればいいかということを検討するべき時期が来ているんじゃないかという感じを私は持つんです。これは山中長官から、責任持ってそうやりますとかおっしゃれと言っても、そうは言えないだろうけれども、閣僚の一人として、やっぱり政府にそういう問題提起をしていただきたいと思うし、またそういう方向でやれるところを検討を始めてもらったらと、こう思いますけれども、いかがでしょう。
  160. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 御承知のように、総務長官時代、私は、たとえば一例をあげますと、同和という問題を各省庁がそれぞればらばらに要求したり予算折衝をしたり、ばらばらにおりたりしておりましたものを、統一して計画的にやるようなこともやってみました。しかし、いま例をあげられました青少年の各種施設の問題、あるいは今度は留学生なんかの問題ですね。どうも各省いろいろと一生懸命やっているんですけれども日本政府はという問いかけをされると、外国に対してもおかしなことになって、日本に留学したがために反日学生となって帰っていって向こうの指導者になっている例などは多いという、ここらはそろそろわれわれ日本も、政府としてやっぱり考えるべき点は大いに考えなきゃなるまいというふうに私自身は思っております。ただ、各省庁はそれぞれ自分の省の主管事務について責任を負わされますから、責任ある立場でどこまでなし得るかという限界の追求をいたしますし、その所管事項においては責任をとる。しかし、一歩離れますと、自分行政区画でなければ、たとえば高速道路の上のハイウェーパトロールなども——アメリカ等ももめたようですけれども、わが国もごたぶんに漏れず、交通安全の上からいけば一本のハイウエーは一本のハイウエーパトロール隊が負うべきなのに、どうしても県境を相互に何キロまでというようなことで、そういうものがたくさんあります。  ことに、地方自治体というものに対して、それが結果迷惑を及ぼすというようなことが、これが顕著であるとするならば、それらの点は確かに政府の責任としてもう一ぺん洗いかえてみて、やり方を考えるという方法がどうしてもあっていいのではないかというふうに思いますが、どうも現今の情勢を見てみますと——これは私は閣僚の山中としての意見ですよ。だから、そういう意見を言えとおっしゃるんですが、大臣の数もだんだんふえてぐるというと、その大臣にはまた役所の機構がくっついて、また仕事が別途分離されていよいよ縦割りの数が多くなる。私は好みません、そういうことは。しかし、そういう方向にいきつつある体制に目下のところ微力にして抗しがたい状態に閣内であります。だから、先生の御意向は私もよくわかります。しかし、政治家としてこれは与野党を越えた問題として取り上ぐべき、ことに対外的な問題等も含む基本的な問題であります。地方行政委員会でちょっと附帯決議をつけたら、もう党内で、ほかの地方事務官について所見を異にする部会から文句がついて、てんやわんやであるという、役人どころか党内までそういう騒ぎが起こるような現状は決して私は好ましいとは思っておりません。  政治家としての考え方の一端を申し述べさせていただきます。
  161. 鈴木力

    鈴木力君 長官がそんなに微力にしてとおっしゃられると、これは総理大臣にも来てもらわないといけないことになりますから、いまから来てくれといってもしようがないと思いますからやめますけれども、これはしかし、私どもはこの行政問題を扱う当委員会としても、いまの基地行政とは離れても、真剣に取り組むべき一つの課題だというふうに私はそう思っておる、そういう意味で申し上げておるわけです。  と同時に、もう一つだけ伺いたいのは、これは実は自治省においでいただければ一番いいんですけれども、時間が時間ですから……。防衛施設庁自体としても、防衛施設庁の交付金とか補助金とかいろいろなものがありますが、大体その町村の、ある特定の町村なら町村の何%くらいまでが適当だというふうなそういうお考え、そういう検討はなさったことがありますか、ありませんか。
  162. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 御質問意味に正確に私が答えておるかどうか、ちょっとじくじたる気持ち答弁しておるんですが、これもその町村基地との関連性、各種関連性いかんによるものだと思います。たびたび嘉手納空港の例を出しますけれども、嘉手納村の八〇%以上の行政面積は基地である、北谷、読谷、いずれも七〇%というようなことになりますと、もう村民が住んでいる場所というものは海岸べりにひしめき合っておる。北谷村などは、自分の村の義務教育の小学校を自分行政区画につくることができない。面積はあるわけです、基地としては。よその村に北谷小学校をつくらしてもらって、文字どおり越境をして自分の村の子供を通わしておる。このようなことは何としても見るに忍びない、聞くにたえない、つらいことであります。でありますから、それらの町村等については一般の自主財源、そうして普通三割自治とか幾らとかいわれております交付税との関係、そうして自治省がおやりになるさらに交付金米ドル資産交付金等の問題、そういうもの等もあわせて考えなければなりませんが、私どものこの法律に根拠を置く交付金なり補助金の面についても、やはりそういうところは結果は手厚くしてあげなければならないことになるだろう。ただ、そのことが、自主財源の乏しい予算総ワクのわずかなところのウエートが高くなる、これを一方的に強制的に押しつけると、それは力を持つことに、国家権力の方針につながりますので、そういうことではなくて、そういう町村の御要望というものを踏まえていくという姿勢を堅持していけば、そこらのどころの弊害はあるいは除き得るのではないかと考えておりますので、慎重、細心な運営に当たりたいと存じます。
  163. 鈴木力

    鈴木力君 突然の御質問でちょっとお答えが出るかどうかわかりませんけれども、たとえば福生市ですね。あまり遠いところ、嘉手納まで飛ばないで、近いところの福生市で、いま、たとえば去年なら去年の当初予算とそれから防衛施設関係助成金交付金、いわば国有提供施設所在市町村助成交付金、それから施設所在市町村調整交付金、同じように関係補助金及び交付金、これを合計したものとの比率はそこにありますか。——なければ、これは私のところでちょっと調べてもらったものがあるんです。福生市の四十八年の当初予算といまのを比べると、もう数字を抜きにしましょうか、二二%になる、福生市は。それが今度の法律が通りますと、これはあそこの地域はもう横田のあれですから、相当にまた交付金とかいろんなものが出ていくだろうと思う。大体福生市あたりだと、現行法でいくのと、新法でいくのと、どれだけふえる見通しになりますか。精密な計算がないと思いますから、端数が違ったってあとで小言は言わないという条件で、推定で大体どの程度になりそうだと、その辺は推定がつくんですか、つかないんですか。
  164. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) どうも突然でもございますし、またそういう角度からちょっとながめた資料を持っておりませんでしたので何とも申し上げられませんが、ちょうど私の手元にありますので、昭和四十八年度の国有提供施設所在市町村助成交付金と、それからドル資産の調整交付金を合わせまして、福生市に対しては約一億七千万でございます、調整交付金基地交付金と合わせまして。  それから福生におきまして、たとえばこれはだいぶん前からでございますが、講和条約発効後、昭和四十七年度までに周辺対策経費として補助金を支出しましたものが十三億……
  165. 鈴木力

    鈴木力君 いやいや、いまその累計のことを言っているんじゃない、金額のことは言ってない。
  166. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 昭和四十八年度では、補助金としては福生に約四億でございます。
  167. 鈴木力

    鈴木力君 どうもこれは私が調べてもらったのとは少し違うみたいですけれども、これはいいです。突然だから、数字が合わなけりゃ合わなくてもいい。  私がなぜこれをいま言い出したかといいますと、どうも私が調べてもらったのによりますと、これは自治省の方にも頼んだりしてやってもらったんですから、そんなに間違いがないと思いますけれども、当初予算の二二%なんですね。それが今度の法案でさらにまたそういういろんなものがふえていくとしまして、この福生市が何か防衛施設庁立福生市みたいなそんな形になってきたら一体どういうことになるか。だんだんに市長まで防衛施設庁から派遣をするような、こういうふうな——それは少し極端な言い方ですけれども、縦割り行政のどうこうといいますけれども一つのほうが非常に大きく奇形的にふくれるというような気が私はするんですね。だから、そういう点のことも考えてみますと、それはその基地と町の関係で、正確な一つの計算をすれぼふくれ上がるということが出てぐると思う。それはやむを得ない計算といいますか、やむを得ないものがある。均衡というか、それを一定の比率ということに尺度を置いて補助金を取り上げるというと、これはまた不均衡になりますからね。ただ、そういうことも出てまいりますので、さきに私が長官に申し上げた縦割り行政の整理ということをしないと、地方自治体がだんだんにいびつになってくる。そういう点を御配慮願いたいというつもりでいまの福生の例を出したんです。これはだから数字が合うとか合わないとかということではなしに、そういう面の御配慮というものをこの法律運用にあたっても抜かりなしにやらないと——さっき地方自治権の侵害だ、侵害でないという議論もあった。私はその地方自治権の侵害になるかならないかということも、法律論やなんかでいえば非常にむずかしい議論が出てくるだろうと思いますが、実態の、国から来る金のあり方と、その中のあり方ですね、そういう形のものでは望ましい姿になくなるおそれがある、そういう気持ちなもんですから、そういうことを申し上げたわけであります。  それで、もう一つだけ自治体のことを考えますと、これはどっちがいいか悪いかということになるとわからぬですけれども、最近はやはり市町村長もいろいろなことに目をつけておって、国からの助成をもらえる、交付金をもらえるというと、あの手この手を使って、これも取ろう、あれも取ろうというような形にいまどうもなってきているような気がします。これがいいか悪いかということは一応論外としましても、そういう形になってきたときに、ある一つの村なら村に、いろいろな公民館も建ててやります、病院も建ててやります、いろいろなことをやります。そこのところで、そのあとの維持管理ということについては、施設庁はどういう配慮をいまなさっていらっしゃるのか。その辺まで考えないと、基地がある、助成金をもらっていろいろなものをつくって喜んだはいいけれども、さて、維持管理ができないというようなことに追い込むおそれはありはしないかという点です。
  168. 平井啓一

    政府委員(平井啓一君) 各種補助金によりましてつくられますところの防衛施設周辺のもろもろの施設でございますと、当然それができました後の維持管理費がかかるわけでございます。現在のところ、われわれのほうといたしましては義務教育の学校におきまして防音工事を施しております。これに伴いまして、防音工事を施して室内をいわば遮音、一種の気密状態のような形にするわけでございますので、当然適当な温度、湿度の保持をしなければなりません。そこで、やはり除湿設備あるいは温度を保持するための暖房設備等、適当な施設を施すことに伴いまして、従来の学校の維持管理経費よりも相当額がふえる部分がございます。この分につきましては、何と申しましても国民の最も基本的な教育の場である義務教育の施設でございますので、これに関しましては、維持費につきましては、引き続き国の立場として補助金を出していくという姿勢を示しておりますが、それ以外の補助金のいろいろ施設等に関しましては、現在のところ、その分野まで後年の維持費までを国で見るというところまでは考えておりません。
  169. 鈴木力

    鈴木力君 これもばか話みたいに聞かれるとぐあいが悪いんですが、適切な例がありませんけれども、たとえば個人でいいますと、土地が非常に売れる、開発で土地を売った、それでデラックスな家を建てて、金が入るから、いろいろな立ちのき料やなんかをもらったんで、クーラーも買った、何もつくった、車も買ったと、ずっとこうやります。そうしている間に、あとどうにもこうにも管理維持ができなくなっちゃって、結局その家を売って、またもとに戻ったというような開発ブームの悲劇というものがどこにもある。そういう形で、補助金が取れるから、これは公民館も建てる、病院もつくる、この今度の法案対象になるもの、あれもこれもというようなものができ上がっても、あとで維持管理ができないというようなところに追い込むとすれば、これは私はやはり相当また問題があとで出てくる可能性がある。そうすると、国が見るか、どこが見るかは別としても、その村の財政力と、それからそれだけの施設設備の維持管理の能力と、そういうものはやっぱりこの法律の執行上はどうしても計算をしなければいけないだろうということです。将来のことは見ていませんと言われるのでは、これはどこかやっぱり手抜かりがありはしないか。そういう点の点検ということもおやりいただくべきではないかと、私はそう思っていま申し上げたわけなんですよ。  そこで、もうそろそろあれですが、実は私どもいままでずっとたいへんお気に召さないことを申し上げたわけで、失礼なことを申し上げたんですが、やはり私どもはこの法案を見ましたときに、率直に申し上げて、こういうものができた、そうすると、軍事基地という——まあそこの施設があると国からどんどん金が行くんだぞということがあるために、新しい基地を求めるためにこれは非常にいい材料になるんじゃないか、そういう疑いを私どもは実は持ってこの法案を最初拝見をしたわけなんです。そういう心配があってはどうもぐあいが悪いんです。これは率直に伺いたいんですけれども、いま米軍なら米軍は、いろいろな形で海外の基地縮小とか、あるいは本土の基地は縮小して海外にというようないろんな政策があるようです。具体的にそのよそのことは要りません。日本における基地に対して、米軍の拡大要求というのがあるんですか、ないんですか。それから、それに対して日本の基本的な政府の態度はどういう態度なんですか、まずそれを伺っておきたい。
  170. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 拡大要求というものはございません。
  171. 鈴木力

    鈴木力君 将来ともそういう要求はないと見ていいわけですか。
  172. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) むしろ米軍のほうとしては、ここらのところは皆さんと御意見が分かれるかもしれませんが、米軍自体の機能を失うことない範囲であれば、日本政府の願望とする個所、面積等については、何回も何回も相談をして、なるべくその要望に沿いたいという姿勢をとっているようでございます。
  173. 鈴木力

    鈴木力君 自衛隊基地の新設の計画がおありですか、ありませんか。
  174. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 既定計画で、ナイキ配備等について、現実には進んでおりませんが計画はございます。しかし、現在、じゃどこがというところまではまだ煮詰まっている個所はどこもございません。将来は、私は、大体ナイキというのはアメリカの兵器でして、アメリカはあの広大な国土の上に、かりに敵意というものがあらわれる戦争状態になったときに、その飛行機が直接アメリカの本土の上に来た場合ということはあまり想定してないように思うのです。戦略を。むしろミサイル戦略だと思います。したがって、そういう日本のような地形、山岳、河川、狭い居住面積、そういうところの制約下における兵器として、今後もそういうものが適当だろうかどうか。ことに中東戦争のソ連製にかかるSAM6の性能がほとんどナイキと同じ性能で、それは自由自在に動き回ることが原則なんですね。そうすると、われわれ自衛隊の研究開発能力をもってしてそういうものができないはずはない。そうすると、狭い土地をさらに御迷惑をかけるようなこともないじゃないかという、そういうことも言いながら研究を命じつつあるわけでございまして、まあかつて郊外だったところの刑務所がだんだん宅地に包まれて、刑務所を移転しろという騒ぎが一時ありましたように、私ども自衛隊のほうも、都市化してまいりまして、かつては相当離れておったところでも、だんだん取り囲まれてきて、移ってくれないかというところもないでもありません。かといって、じゃどこかありますかと言うと、いや、それはもうとてもということで、たいへん私どもつらい思いをいたしておりますが、特別に現在予定しておる新規取得の施設地域というものはないということでございます。
  175. 鈴木力

    鈴木力君 それでわかりました。まあ私が申し上げたいのは、そういうことで、現在ないということでありますから、それでわかりましたが、一番先に長官と私と見解が一致しましたように、助成をしてくれという要望はあるけれども、基本的には基地は要らないんだという気持ちのほうが先なんだと、大体そういうところが多いだろうと思います。したがって、この法律を使って無理無理と、というようなことをやらないような御配慮はぜひひとつこれはお願いを申し上げたい、これは要請をしておきます。  それからその次に二番目でありますが、私の御要請の二番目は、わが党の質問者二人とも、ほとんど大部分は北富士に質問が集中したわけです。この意図はもう御理解いただけると思いますから繰り返しては申し上げません。少なくともわれわれが見ていますと、いままでの基地に対するさまざまな助成なりそれなりの対応の処置が、北富士に対しては、客観的に直接の演習の頻度なり、大きさなり、度合いなりというものとの因果関係を離れたいろいろな処置がどうもありそうだという見方を実は私どもがしておるわけで——しておったわけと言ったほうが正解かもしれません。そこで私は、この法執行にあたりまして、そういう点はだれが見ても、施設庁から出された資料にもありましたように、人口なり、面積なり、規模なりといろいろなものがありました、それと、基地と民生との因果関係というものも含めた、だれが見ても公正だ、公平だというような扱いに、そういう配慮をして執行していただきたい、こう思います。政府としてはいままでだって公平に扱ったとおっしゃるかもしれません。おっしゃるかもしれませんが、だれが見てもなるほどというような執行をぜひひとつ私は強く要望を申し上げたいと、こう思うのですが、いかがですか。
  176. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 最後の質問の締めくくりの御要望でございますので、十分その御要望を尊重して配慮してまいりたいと考えます。
  177. 鈴木力

    鈴木力君 もう一つは、これは各党ともそういう御意見が出たと思います。周辺地域市町村と、それから基地関係のない市町村とのアンバランスが出はしないか、これは防衛庁だけでそのアンバランスをなくするというわけにはいかない。それぞれの所管と所管とあれば、所管だけで見ればよそはというわけにはいかないと思いますけれども、その所管の立場からも、そういう格差をなくするというふうな配慮は、各省との連絡のもとに常に手落ちなしにやっていただくという御配慮をお願いしたい。  もう一つは、北富士でもそういう議論をずいぶん私どもがしたわけなんです。ある一定の基地周辺地域住民に対する手当てにつきましても、政府側がそうだということを認めろと私は言うわけじゃありませんけれども、私どもから見れば、思想、信条によってどうも差別扱いがあったのではないかというような節がなかったわけでもない。これはわれわれが見ればと、こういうふうな表現のほうがいいと思いますけれども、したがって、そういうような住民に対する思想、信条によっての差別待遇とか、あるいは基地に対する態度によっての差別待遇とか、そういうことは絶対しないということをひとつ私は御要望申し上げたい、こう思います。
  178. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 第一点の御要望は、法案の第十二条の趣旨が完全に実現されれば解消されると思いますし、そういう方向で努力を続けてまいります。  さらに第二点は、具体的な場所の問題としてではなくて、思想、信条の自由というものは、最高の基本法規たる憲法で保障されているものであります。政府行政権というものが憲法を越えることは絶対に許されないものでありますから、憲法の制約下にある行政の行使に、万々憲法の定めている最高の法規である思想、信条の自由を侵すということはあってはならないことである、そのように考えます。
  179. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  速記をとめてください。   〔速記中止
  180. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こしてください。  これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  181. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  速記をとめてください。   〔速記中止
  182. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こしてください。  鈴木君から発言を求められております。これを許可いたします。鈴木君。
  183. 鈴木力

    鈴木力君 私は、ただいま可決されました防衛施設周辺生活環境整備等に関する法律案に対して、社会、公明、民社の三党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。   防衛施設周辺生活環境整備等に関する   法律案に対する附帯決議(案)  本法の施行にあたっては、政府はつぎの諸点  につき善処すべきである。  一、現行の行政事務配分の秩序を尊重し、厳に   地方自治の本旨にもとることなきよう配慮す   ること。  二、防衛施設周辺市町村間の均衡に留意すると   ともに、一般の市町村生活環境整備との間   においても較差を生ずることなきよう特に配   慮すること。  三、基地周辺対策については、地元住民の意志   を尊重し、不公平にわたることのなきよう配   慮すること。   右決議する。  この附帯決議案の趣旨は、案文及び委員会の審査の過程においてすでに明らかでありますので、説明は省略させていただきます。  以上でございます。
  184. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいま鈴木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  185. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 多数と認めます。よって、鈴木君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、山中防衛庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山中防衛庁長官
  186. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 政府としては、ただいまの附帯決議を全面的に尊重してまいります。
  187. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会