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神沢浄君 少しここへ時間をかけなきゃならぬようでございましてたいへん恐縮ですが、いま
法案の
説明にちょっと触れられたようですが、これはなるほど
法律の上ではいまの
規定は飛行場の
周辺ということになっております。しかし、私は
規定のみを言っておるわけではなくて、飛行場の
周辺はすごい騒音ですから、これはことさらそうでしょう。しかし、やっぱり演習場の
周辺といえ
ども演習のあるときには相当騒音もあるでしょうし、ただ騒音のみに限らず、演習
行為によってかなり
周辺にはいわゆる迷惑の及ぶようなことは多いわけなんですから、法の上の
規定は飛行場のみだと言っても、さっき申し上げたようにいわゆる思想、方針という点からいけば、私はこれは演習場といえ
どもやっぱりそれに準ずるような
考え方というものは当然とられていかなきゃならぬことだろうと思うんです。演習場のほうは逆に、ある国有地は外に売り出すなんということにはこれはなってはいけないことだろうとこう思う。そういう見地からお尋ねをしているのでありますが、どうも明快なお答えになりませんから私のほうから申し上げます。
これは何といってもこの国有地二百十ヘクタールー二百十ヘクタールといえはたいしたものです。しかも、もとより御存じでしょうけれ
ども、
山中湖から河口湖の間に所在をする国道百三十八号線の直接沿道であって、いまあの付近はもう大体時価では坪五万円を下りません。こういう場所なんです。私はその林業
整備事業という払い下げの目的につきましてもあとからお尋ねをする予定にいたしておりますが、そのようなところを、しかもいま、ときに公害列島などとまことに不名誉なことがいわれるような日本の現状において、あの演習場に年間に東京の都民の方たちなどを中、心にしてどのくらい休養を求めておいでになる数があるか、
長官御存じかどうか知りませんが、これは相当の数に及ぶんです。おそらく年間を通じましたら百万をこすんじゃないでしょうかね、私もそこまで詳しく調べてはおりませんが。ときによれば不発弾の事故なんかも起こります。不発弾の事故などが起こってもなおかっ百万をこすような人たちか——それは無理からぬことですよ、日本の象徴ともいう、まあ外国人は大体日本といえば富土山、桜と、こういうことになるじゃありませんか。霊峰富土のふもとの高原ですもの、これは東京の都民の皆さん方あたりが毎日よごれた空気の中でうめくような
生活をしておられる方たちが、車で一時間かあるいは二時間以内ぐらいの間に行くことができる場所ですもの、そういう
状況になってあたりまえのことなんです。
そのような地帯のしかも目抜きの場所なんですね、この二百十ヘクタールは。私はこれは国家としての政策の見地の上からいっても、はたして林業
整備事業などということは何をするのか知りませんけれ
ども、これにやらせるよりか、やっぱり演習場の
周辺であるから、この新しい
法案の持っておるところのそういう精神や
考え方の上に立ってみてもしかり、もっと大きく国民のための環境政策というふうに見地の上に立ってみれば、なおさらのこと私は国有地として残して、そうしていま国民運動としてもかなりそういうものが強まってきておりますが、富土の高原をあの演習場をなくしてひとつ国民の休養センターにしてほしいというこういう運動がいまかなりほうはいたるものがあります。演習場のその問題はきょうの
質問の主眼じゃありませんからこれはさておきましても、その
周辺の国有地をこれを売り渡して払い下げてしまうというようなことは、これは私は何としても不自然千万だと思う。不自然どころじゃなくて、これはちょっと言い方が失礼かもしれませんが、私はふらち千万のことだというくらいに
考えまずよ。私が調べてみたところでは、これは
防衛施設庁はその団体にそれを払い下げなきゃならぬような原因をつくっているんですね。
この前、時間がないから非常に
質問が中途はんぱになってしまったんですけれ
ども、予算
委員会の一般
質問の際にたしか
施設庁
長官に資科として読んでいただきました。これまた覚書ですね。とにかく
防衛施設庁はこの覚書にずいぶんと拘束をされちゃっている現状のようでありますが一
昭和四十五年の七月四日に、今度——まだ本ぎまりにはなっていないんでしょうけれ
ども、表面にそういう文字はあらわしてはありませんが、国が払い下げをしようと
考えておるところの団体は富士吉田市外二ヶ村思賜県有
財産保護組合ですね、まあ手続上そうなってはいないでしょう、まだ測量の最中だそうですから。この保護組合とそれから当時の
防衛施設庁の
長官の山上信重さんとの間にこれまた覚書が取りかわされておりまして、甲というのは組合のほうで、乙というのが
防衛施設庁のほうですが、いいですか、第二項に、「甲が上記1の林業経営の再建
整備事業」——もうここへあらわれてくるわけですね、四十五年に。——「を実施するための用地として払下げを希望している国有地(宇梨ケ原——檜丸尾——土丸尾等軍用道路北側)」——いまの場所です。二百十ヘクタールという問題の場所です。——「については、乙は、本演習場の使用転換の際に約百五十ヘクタール以上の」——このときはまだ二百十ヘクタールが演習場から除外をするという以前の問題、とにかく四十五年てすから。——「
区域の返還の実現に努めるとともに、甲が関係機関に払下げを申請した場合は、乙はこれに協力する。」こういう条項がありますね。それから六には、「甲は、東京地方裁判所に提訴中の
自衛隊違法使用排除の訴訟の進行を停止するよう努めるものとする。また、甲は、上記2の国有地の甲に対する払下げの方針が決定した場合には、本訴訟を取下げ、
自衛隊への使用転換賛成の意思表示を行なうものとする。」、これはやみ取引じゃないですか。
要するに、平たく言えば、この恩賜林組合は
自衛隊に対して訴訟を起こしていたんですね。不法使用の訴訟を。私が聞くところによると、これは裁判所の例の見通しというのは、どうも国のほうが負けそうだというんです、八分どおり。そこでたいへんあわてまして、国有地百五十ヘクタール以上——今日においては二百十ヘクタールというところのきわめて大きく貴重な
財産をあえて代償として提供をしてその訴訟の取り下げをしてもらった、こういうことですね。してもらうという約束をしたその覚書を四十五年に諦結をしたわけですね。それが今度四十八年に及んで、いよいよ
自衛隊への使用転換という方向が実現化してまいりましたから、この覚書があるがためにその団体からねじ込まれて、これは国はそれを聞かざるを得なかった。私はそれが真相だと思うわけであります。したがって、これもついに三月三十日の閣議の了解の中でもって認知をされているわけであります。私は、何といいますか、国会議員という立場からはもとよりですけれ
ども、国民という立場からいたしましても、何か国のそういう政治のあり方というものに不可解といいますか、非常にわからない気持ちを避け得ないんです。
それは繰り返すようで恐縮ですが、言うなれば日本の目抜きの場所ですよ。日本全体の目抜きの場所をあの団体に払い下げをしてしまわなきゃならぬでしょう。しまわなきゃならぬ原因は、
防衛施設庁がこんな覚書なんというものを取りかわしちゃってあるからですね。これはしようがないですね。だからいま私は、それはいろいろ
説明をされても、それをそのまますなおに理解するというふうな気持ちになれといったって無理ですよ、こういうことを知っておる以上は。ですから、それに対するひとつ国側の見解をも聞かしていただきたいということと同時に、まだ払い下げがきまっちゃっているわけじゃないんだから、私は国家的立場から、国の政治というものにほんとうに真剣に取り組む立場から、これは何とか
考え直すぐらいの決断というものは持てないですか。特に私は
山中長官などには人間的に期待をするだけに、ほんとうに真剣にそういうことを訴えたいと思うんです。ただ単なる二百ヘクタールくらいの
土地の左右くらいじゃ私はこんなことをくどくど申し上げませんよ。日本の目抜きの場所なんです。これは
委員会でも、
委員長、もし何だったら一度御調査をお願いいたします。こういう目抜きの場所を、裁判を取り下げるための約束をしちゃったそういう代償として一団体に渡してしまうというようなことできるんでしょうか。ほんとうに国の政治をあずかるというこういう立場からして、私は何としてもそこら辺がふに落ちないんです。前段の経過は
施設庁の
長官からでけっこうでございますし、また、あとから申し上げましたいわゆる国の政治をあずかる立場からの御所見というようなものは
大臣からお聞かせをいただきたい。