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1974-05-07 第72回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月七日(火曜日)    午後一時九分開会     —————————————    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      片山 正英君     星野 重次君      細川 護煕君     上原 正吉君      西村 尚治君     楠  正俊君      木村 睦男君     郡  祐一君      稲嶺 一郎君     源田  実君      安田 隆明君     今  春聴君      前川  旦君     上田  哲君      藤原 道子君     鈴木  強君      星野  力君     岩間 正男君  五月七日     辞任         補欠選任      鍋島 直紹君     中山 太郎君      源田  実君     片山 正英君      今  春聴君     高橋 邦雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺本 広作君     理 事                 岩動 道行君                 岡本  悟君                 鈴木  力君     委 員                 片山 正英君                 楠  正俊君                 高橋 邦雄君                 長屋  茂君                 星野 重次君                 戸叶  武君                 中村 波男君                 宮崎 正義君                 中村 利次君    衆議院議員        内閣委員長代理  野呂 恭一君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君        運 輸 大 臣  徳永 正利君    政府委員        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        中小企業庁長官  外山  弘君        運輸大臣官房長  内村 信行君        運輸省船員局長  住田 俊一君        運輸省自動車局        長        中村 大造君        運輸省航空局長  寺井 久美君        運輸省航空局次        長        後藤 茂也君        運輸省航空局技        術部長      中曽  敬君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        外務省欧亜局外        務参事官     加賀美秀夫君        文部省初等中等        教育局高等学校        教育課長     柴沼  晉君        運輸省航空局管        制保安部長    松本  操君        郵政省電波監理        局無線通信部航        空海上課長    曾根 正司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月二十六日、片山正英君、細川護煕君、西村尚治君、木村睦男君、稲嶺一郎君、安田隆明君、前川旦君、藤原道子君、星野力君が委員辞任され、その補欠として星野重次君、上原正吉君、楠正俊君、郡祐一君、源田実君、今春聴君上田哲君、鈴木強君、岩間正男君が選任されました。また、本日、鍋島直紹君委員辞任され、その補欠として中山太郎君が選任されました。     —————————————
  3. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、中曽根通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根通商産業大臣
  4. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 過般、宇都宮で行ないました私の演説の中で、不穏当、不謹慎のところがありまして、社会党、共産党に対して御迷惑をおかけいたしましたことをおわびいたします。自今、深く戒めまして、このようなことを繰り返さないように自戒をいたします。     —————————————
  5. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 中小企業庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中小企業庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、中小企業の大多数は小規模企業でありますが、これらの小規模企業は概して資金面情報面等で多くの格差を負っており、きめのこまかい施策を必要としております。このような観点から、小規模企業対策につきましては、従来から各種中小企業施策の中でも格段に配慮を払ってきたところであり、四十九年度予算案におきましても、大幅な施策拡充強化をはかることといたしております。  本法案は、このような施策拡充強化と相まって行政機構強化をはかり、小規模企業者に対する行政を強力に進めることを主たる目的とするものであります。  次に、本法案内容につきまして御説明申し上げます。  改正の第一点は、中小企業庁小規模企業部設置することであります。中小企業庁の現在の組織は、長官官房のほか、計画部及び指導部の二部によって構成されておりますが、以上申し述べましたような小規模企業対策強化観点から、新たに小規模企業部設置し、小規模企業対策に関する事務を行なうこととしております。  小規模企業部所掌事務といたしましては、まず小規模企業に対する経営改善普及事業をはじめとする各種小規模企業施策につきまして、その立案・実施に当たることといたしております。また、中小小売り商業及び中小サービス業は、その大多数が小規模企業でありますので、これら中小小売り商業及び中小サービス業に関する中小企業施策につきましても、小規模企業部において他の小規模企業施策とあわせて一元的に所掌することといたしております。  改正の第二点は、従来ややもすれば不十分になりがちであった中小企業者からの相談、苦情の処理、あっせん等業務を充実させることであります。すなわち、これらの業務規定上明らかにするとともに、なかんずくその必要性が強く要請されていた小規模企業者中小小売り商業者及び中小サービス業者につきまして、そのなまの声をくみ取り、親身な窓口となって、その声を的確に行政に反映させていくこととし、これらの業務小規模企業部において所掌させることといたしております。  改正の第三点は、中小企業施策に関して漏れのない体制をとるよう万全を期するため、中小企業庁所掌事務整備をはかることとするとともに、以上のような小規模企業部設置と関連いたしまして、現行の長官官房計画部及び指導部事務配分の若干の変更を行なうことといたしております。  以上が本法案提案理由及び要旨でございます。  何とぞ意のあるところを御賢察いただき、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  7. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 以上で説明は終わりました。  本案の審査は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  8. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 運輸省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。徳永運輸大臣
  9. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  今回の改正の要点の第一は、運輸省付属機関として、愛媛県越智郡波方町に波方海員学校設置することであります。  運輸省におきましては、全国で十二校の海員学校におきまして海員養成を行なっておりますが、特に、最近の内航海運における海員の不足の状況にかんがみ、その養成体制強化をはかるため、現在波方町にある栗島海員学校波方分校生徒数を八十名から百六十名に倍増し、同分校海員学校に昇格させることといたしました。改正の第二点は、運輸省地方支分部局として、沖繩県那覇市那覇航空交通管制部設置することであります。  現在、運輸省におきましては、航空交通管制業務を札幌、東京及び福岡の各航空交通管制部において行なわせております。沖繩の空域につきましては、現在、アメリカ合衆国政府が、一部を除き、航空交通管制業務を行なっておりますが、昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会における日米間の合意により、本年五月十五日よりおそくない時期に日本国政府が行なうことになっております。このため、政府は、所要の施設の整備、要員の訓練等を進めてまいりましたが、近くこれらの準備が整うことに対応いたしまして、当該航空交通管制業務を行なわせるため那覇航空交通管制部を新設することといたしました。  以上がこの法律案を提出する理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  10. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 引き続いて、本案衆議院における修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理野呂恭一君。
  11. 野呂恭一

    衆議院議員野呂恭一君) ただいま議題となりました運輸省設置法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  政府原案では、波方海員学校設置に関する改正規定昭和四十九年四月一日から、那覇航空交通管制部設置に関する改正規定は同年五月一日からそれぞれ施行することといたしておりましたが、これらを公布の日から施行することに改めた次第であります。  以上が修正趣旨であります。
  12. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 以上で説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 鈴木力

    鈴木力君 最初に、直接的には法案内容じゃありませんで恐縮ですけれども、若干の問題を先にお伺いをしておきたいと思います。  それは、一つローカル空港のあり方とでも言ったらいいかと思いますけれども、そういう問題について若干伺いたいんです。具体的に言いますと、いまそれぞれ地方空港滑走路延長とか、あるいは三種空港から二種空港への格上げなどで地方住民との間にさまざまなトラブルを起こしております。そういうことが相当あるように聞いておりますけれども、岩手県の花巻空港に例をとりまして具体的に若干伺いたいと思うのです。  現在、花巻空港県管理の第三種空港であります。これを滑走路を延長しようと県側のほうが提案をいたしまして、地元は特にこの土地買い上げ反対期成同盟なんかをつくって反対をしておる、あるいは騒音についての反対などがございます。具体的に花巻空港運輸省としてどういう形に持っていこうとされていらっしゃるのか、あるいはその目的趣旨はどうなのか、まず御説明をいただきたいと、こう思います。
  14. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) ただいま例としてあげられました花巻空港は、御指摘のように岩手県知事設置管理いたしますいわゆる第三種空港でございます。現在同空港にはYS11型機が東京花巻花巻八戸というわけで就航いたしておりまして、四十八年度の旅客輸送実績四万九千人という数字が出ております。で、航空需要は、時間距離短縮の効果という点から全国的に非常に増加しておりまして、花巻空港も、将来東北幹線の開通を見込んでの、東京名古屋大阪あるいは千歳などとの間に相当大幅な需要増が予想されております。このような状態から、岩手県は県の総合交通体系整備の一環といたしまして、花巻空港ジェット機が就航するようにいま拡張したいという御計画をしておられます。  御存じのように、プロペラ機によって処理できます需要量というのは、相手方空港の容量との関係がございますが、非常に限度がございまして、おおむね年間十五万人程度以上の旅客需要が見込まれます空港につきましてはジェット化をするほうが望ましいということで、現在のところ第二次空港整備五カ年計画におきましては、ジェット機が就航できるように拡張を計画予定いたしたわけでございます。この計画実施につきましては、御指摘のようにまだ地元住民の同意が十分得られておりませんけれども、岩手県といたしましては問題の解決に非常に積極的に取り組んでおられるというふうに了解いたしておりまして、遠からず何らかの了解が得られるであろうというふうに観測いたしております。  ただ、御指摘のように、今後日本の空港をどういうふうな形で整備していくかという点につきましては、騒音問題等もございまして、地域社会と十分溶け込んだ空港にならなければならないという観点から新しい五カ年計画考え方というものを現在検討いたしております。したがいまして、そこで新しい結論が出てまいりますと、この現在の第二次空港整備五カ年計画計画というものが多少修正されるということになろうかと存じます。新しい考え方に基づきまして、御指摘花巻空港あるいはその他のローカル空港が今後どうなっていくかという点につきましては、鋭意その上で検討をしていきたいというふうに考えております。
  15. 鈴木力

    鈴木力君 きょうの本題でありませんから、できるだけ簡単に伺おうと思うんですけれども、どうも私はいまの御答弁で納得できない点がたくさんあるんですね。  それでは具体的にまず最初のほうをもう少し伺っておきますが、花巻空港の、いまの計画名古屋大阪千歳等の航路ということがもう計画の中に入っているんですか、どうですか。
  16. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 第二次空港整備五カ年計画を立てました時点におきましては、全国一日行動圏という一つ考え方がございまして、その時点におきましては、花巻大阪、あるいは名古屋千歳というような間に相当量需要増が見込まれておったわけでございます。
  17. 鈴木力

    鈴木力君 その需要増が見込まれておったという計算の根拠がありますか。
  18. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) これは県間流動旅客を現実に計算いたしまして、それと鉄道等の時間差というものをもとにいたしまして出したもので、一応の根拠はございます。
  19. 鈴木力

    鈴木力君 これはもうこのあと大臣にお伺いしたほうがいいと思いますが、地方のいわゆるローカル空港ですね、これの役割りというのは一体何なんでしょうか。いまの御報告を伺いますと、もっぱら航空会社輸送上の必要から生まれておるのですね。ところが、地元のほうはどれだけの利益を得るのか、十五万人以上になればプロペラ機では輸送しきれない、それはそういう事情があることは私もわかります。しかし、たとえば羽田から花巻まで、プロペラ機とそれからジェット機、時間差というのは二十五分ぐらいでしょう、大体。そうすると、二十五分違ったために、早く着いたために地元の県民にどれだけの利益を与えるだろうか、二十五分おくれて着いたためにどれだけの損失を与えるだろうか、そういう地元住民のサイドから検討されたことがあるのかどうか、それをまず伺いたいと思う。
  20. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 御指摘のように、そういう点につきまして十分検討する必要がある。ただ、いま御指摘になりましたそのプロペラジェットの時間差というものは、確かに花巻の場合は二十五分ないし三十分だろうと思いますけれども、飛行機一機で運ぶお客の数が非常に違います。したがいまして、ある限度以上の旅客需要が存在いたしますと、プロペラ機を同じ回数運航いたしておりますと運べないという事態になるわけでございまして、その意味からやはり大型ジェット機を必要とするというのが私どもの一応の考え方でございます。
  21. 鈴木力

    鈴木力君 だから、私の言うのは、それはジェット機のほうが輸送量が大きいということはだれもわかっておるわけですね。それは航空会社のほうの都合だろうと私は言っておるのです。岩手県に言わせれば、むしろプロペラ機運航回数をふやしてもらったほうが非常に都合がいい。ある特定の時間に一本しか行かないで運んでもらうよりも、プロペラ機運航回数をふやしてもらったほうが地元としては非常に都合がいいわけなんですから。ところが、航空会社のほうからいうと、ジェット機で大量に運んだほうがこれはコストの上からいっても非常に都合がいい、こういうことになるでしょう。だから、航空会社コストのほうをたてまえにとればジェット機がどこまでも必要だという理屈が出てくる。地元サービスをするというか、地元民の立場に立って考えてみれば、ジェット機にする前に、十五万人になるまでには相当の時間がかかるわけでありますから、まず運航回数をふやしたらどうか、その辺はどうなんですか。
  22. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、羽田あるいは大阪という空港離発着回数というのが現在一ぱいになっておりまして、離発着回数をふやすことができない状態でございます。したがいまして、先生指摘のように、とりあえずプロペラ機をふやすということも現在のところ技術的には非常にむずかしい問題がございます。ただ、成田空港が開港いたしますと羽田に多少余裕ができますので、そういう先生指摘のようなプロペラ機の増便ということも可能になってまいります。ただ、現時点におきましては、単純にプロペラ機をふやすということは非常に困難な状態にあるということを御理解いただきたいと思います。
  23. 鈴木力

    鈴木力君 どうせ現時点では、しかしプロペラ機しかないわけなんです。これは大臣地元の人が反対がなければいいのですよ。ほとんど大部分地権者土地を取り上げられるということにものすごいいま反対をしておるわけですね。この間なんかもテスト飛行をやろうとするのも結局やめざるを得なかった。それから県にすれば——これはまあ県のあれですけれども、近いところに農業高校をつくって、空港でまた延長するためにはその高校も動かさなければいけないような、そうしてでき上がる時期と成田空港ができ上がる時期とどっちが早いのか、成田空港のほうが早いですよ。地元人たちのそういう利害というものをもう少し頭に入れた航空行政がなければ私はいけないと思う。さっき言いましたように、二十五分時間が詰まるということは、それほどの地元利益にはならぬですよ。そうじゃなくて、プロペラ機をふやしてもらえば、それが熱望しておる。そうすれば成田空港ができるまで待つことだってそれは可能ですよ。どうしてああいう無理押しをして、地元人たちの意思というものを無視して押しつけなければいけないのか、そのことが私はわからない。  それから私は大体地方空港でちょっと運輸省お忘れではないのかと思うのは、何か幹線空路の中はいろいろ考えられるのですね。いまの局長の御答弁の中にも名古屋大阪千歳等が出てくる。しかし、ローカル空港は、もっと望ましいことは、特に東北地域というような地域はこれからがいろいろな面で全国的な水準に追いかけていく地域ですよ、ほんとうのことを言いますと。それからまた東北という地域の自然とかなんかいろいろ見直されまして、見直されてまた東北に人が行こうというようなそういう時期でももちろんありますね。それが、すべてがこの幹線という考え方というものは私はどうもやっぱり地域あるいはローカルという考え方に立ってみると適当ではないのではないか。まず私はプロペラ機でけっこうだから、たとえば花巻と山形とを結ぶ、これは羽田とは違いまして一日に何本かあれしても空港がパンクすることはないはずですね。それから花巻と秋田と結ぶ、それから花巻と北海道と結ぶ、いまは八戸までしかありませんから、そういう形の空港をつくる、あるいはあそこにヘリポートをもう少し併設をして沿岸と、岩手県で言えば三陸海岸のヘリポートをつくっておいての海岸との連絡網をとる。もっとそういう小さな空港連絡網というものがいまや必要な時期になってきているのではないか。ところが、それがさっきの局長さんの御答弁によると、まず一応幹線空路をずっとこうつくりあげて、それから考えましょうというようなゆうちょうな考え方では社会の進歩におくれてしまいます。飛行機そのものスピード化ということはよくわかるけれども、それより先に行政の先回りということがもっと先じゃないですか。大臣、いかがですか。
  24. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まあ、ジェットにはジェット大型機であるとか、あるいは経費の問題とかいろいろなメリットがあるだろうと思います。しかし、それを追求ばかりしていくということは、これは確かに御指摘のような問題が出てくると思います。したがいまして、これから先のジェット機運航というものは、やはり公害、環境問題解決なしには私は実際問題としてできないと思います。そういうようなことを十分爼上に乗せて検討の上で需要を満たしていく、また需要を満たすからにはやはり経営が成り立たなければなりませんから、非常に理想的な路線を考えてみましても経営という問題もあろうと思います。しかし、そういうようなものを総合的に考えて、やはり根本になるのは環境保全——環境保全ということはやはり地元の県なり市町村なりの皆さま方の協力がなければこれはもうできることではないと思います。昨年から大阪空港等におきまして、あるいはその他の空港におきましても、この問題ではもう痛いほど問題をかかえておりまして、そういう面からも、いろんなそういう問題のある空港につきましては検討をあらためてし直さなければならぬというふうに考えております。
  25. 鈴木力

    鈴木力君 それでわかったんですがね、やっぱり私はそういう検討をお願いしたい。ところが、いま岩手県では、まだはっきりはしていませんけれども、県内でいろいろ伝えられるところによりますと、予算をつくったものだから、どうしてもこれを進めなければいけないという立場のほうが先行しているわけですね。したがって、土地収用法を適用するかどうかという議論さえいま出ているわけです。そういう空港の周辺の農民なら農民人たち土地収用法まで適用して土地を取り上げて何が何でもこれをやるという姿勢を一応押えておいていま大臣がおっしゃるような角度から再検討していただく、そしてそれがたとえば、それでもその検討の上にあるいはジェットとそれからローカルとが併用という結論が出るかもしれません。いずれにしてもこの計画を立てたときといまとは非常に条件が違ってきているわけですから、幸いにあそこは土地収用法を用いない限り土地買い上げもまだやっておらないわけですね。したがって、いまのところ一応あれを現状のままにしておいて、さらに将来どうするかという検討を具体的に私はしていただきたい、それが私の希望を持ちながらの実は御質問を申し上げたわけであります。  特に会社側というと少しことばがよくはないんですが、経営が成り立たなければという大臣の御答弁、私はよくわかる。しかし、経営立場というものが優先をして地元利益というものがあと回しになる航空行政だけはこれは絶対にやめていただかなくちゃいけないと思う。そうすると、いまこれは大臣に特にこれからの航空行政として私はお願いしておきたいのは、私はただ単に花巻といういま例に申し上げたわけですけれども、花巻だけじゃない、何か私がある航空会社の方から聞きますというと、将来全部ジェット化ということが進みまして、航空機の製造も、プロペラ機製造のほうはだんだんだんだんにやめてしまってジェット機のほうに主力を注ぐ、そのほうが効率がいいんだと。そうすると、航空会社のほうは、買うにはそのほうが買いやすいからジェット機にどんどんどんどん切りかえるんだという話も実は伺った。効率からいえばそういう面があるだろう。  そうすると、いま早手回しにといいますか、行政が先回りをするという立場からすれば、そうした将来の見通しの上に立てば、計画ができれば航空機の製造の方向もやはり検討の必要が出てくるだろうと、こう思うのですね。だから、何が何でも昔飛行機が珍しかった時代の、幹線を飛んでいれば飛行機だという形ではなしに、もっともっと横の連絡といったような地域同士の連絡ということが私は優先されるべきだと思いますが、そういう形の上のものをひとつ取り上げていただきたい。したがって、さっきの大臣の御答弁で私はよくわかると思いますけれども、ゆめ土地収用法とか、そんなむちゃなことをやらせないで、そうして成田の空港のでき上がる時期、それらと合わした一つ空港を将来どうするという具体的な計画のもとに住民納得の上に進める、そういう方向の御指導をぜひ願いたいと、こう思うのです。もう一度大臣の御答弁をいただきたい、こう思います。
  26. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 飛行機というのは、乗りものすべてそうでございますけれども、安全な運航でなければならぬと思います。これはもう特にこの問題については絶対的な使命を持っていると思います。したがいまして、この点をまずはずしてものは考えられない。その次に、先ほど需要供給、経営の問題を言いましたけれども、そうじゃなくて、そういうふうなものも大切だけれども、やはり今後この空港をどういうふうに運営していくか、整備していくかという上においては、やはり県なり市町村なり地元皆さま方の協力なしにはこれはもうできない、それを十分納得の上でやらなければならぬ。こういうことを申し上げたわけでございますから、いま先生の御指摘の点等につきましては、それぞれジェットにするとか、大型にするとか、あるいは時間が早うなるというメリットはあるだろうと思います。しかし、そのメリットばかりを追求していったんでは今後の航空行政というものは私は成り立たないというふうに考えておる次第でございます。
  27. 鈴木力

    鈴木力君 ぜひひとつそういう角度から検討をされまして、その上に、しばらく待たせ得るものは待たせながらも、最も住民の側に立ったひとつ具体的な計画でやり直していただくように私は強く御要望申し上げまして、あまりくどくは申し上げないで、この件についてはこれで終わります。  その次にもう一つ、バスなんです。このバス問題についてひとつ運輸省の御方針を伺いたいんですが、実はことしの春、運輸労連と運輸大臣との間でもバスをどうするかということではずいぶんいろいろ意見交換もなされておって、そうして非常にバスの立場をよく理解した上でのさまざまの御意見というものを伺っておりますが、問題は、たとえば岩手県のような過疎地域はいわゆる乗客数が非常に少ないということからバス会社そのものが経営がピンチに来ておる。そういう状態でもう路線の廃止という問題がいま差し迫った問題になっておるのですね。こういう問題に対して、これはおそらく運輸省が運輸労連のほうに回答した文書がこの春の文書にあります。その中の一つに、「地方の中小私鉄、バスの維持強化については、従来から当該地域の交通網の再編整備を行うとともに、所要の助成措置を講じてきたところであるが、四十九年度においては、補助に係る要件の緩和、補助金の増額等を行うこととしており、これにより地域住民の足を確保するため、相当の効果があるものと期待している。」——それからそのあとずっとこう続いておりますけれども、そういう期待をなさっていらっしゃると思うのですけれども、ところが、現状はどうかというと、なかなかそういうふうにはまいりません。  私の——私のといいますか、岩手県の県南バスを例にとってみますと、現在、県南バスが岩手県では一番大きいバス会社、四百三十三系統がありますものが、そのうちの百三十八系統が廃止路線として予定をされておる。そしていま労働組合のほうに百三十八系統を廃止することを認めてほしいという申し入れをしておる。これがきのう時点の県南バスのストライキという形にあらわれておる。それはまあストライキはどうこう——これは別問題。労使の問題でありますけれども、こういう四十九年度の予算でこれこれ措置をしたから相当期待されておる、されておるけれども、四百三十三系統のうち百三十八系統が廃止の予定、こうなってまいりますと、相当部分岩手県民の足が奪われることになる。これは県南バスだけじゃありませんで、花巻バスというのがありますが、この花巻バスは七十二系統のうち二十六系統を廃止する。それから中央バスというのがありますが、これは大体百六十三系統のうち三十系統ぐらいが廃止予定になっておる。通じますと、三〇%をこえる系統路線がことしから廃止される、廃止をしなければ会社側経営ができない、こういう現状になっておるわけなんです。こういう緊迫した事態といいますか、逼迫した事態に運輸省としてどういう手をいま打とうとなさっていらっしゃるのか、具体的などういう御指導をなさっていらっしゃるのか、まずそれを伺いたいと、こう思うのです。
  28. 中村大造

    政府委員中村大造君) ただいま先生指摘岩手県のバス事業につきましては、これは単に岩手県だけではなくて、やはり全国的な過疎化の進んでおります地域についてのバスの経営の問題をこの岩手県が非常に反映しておる、こういうふうに考えるわけでございます。ただいま御指摘のように、具体的な廃止路線の数について労使の間でいろいろ話し合いがなされておりますことについては私ども直接まだ承知いたしておりませんけれども、私どもが現在とっておりますそういうふうないわゆる過疎化地域のバス対策といたしましては、やはりこれがいかに運行回数が少なく、また乗車人員の少ないバスでございましても、他に適当な交通機関がなくて、それが住民の唯一の公共的な輸送機関であるという場合には、できる限りこれをやはり残す。  こういう方針で指導しておることには変わりないわけでございまして、具体的に申し上げますと、私どもがいまとっております補助の対象といたします路線につきましては、一回の乗車密度が五人から十五人、こういうものを補助の対象にいたしておるわけでございます。一回に平均して乗ります乗客の数が五人から十五人、十五人以上乗る路線につきましては、これはいわゆる経営努力ということで事業者が適正な運賃政策をとれば経営が成り立つと、こういう前提でございます。それから一回に五人未満——五人以下しか乗らない、こういう路線につきましては、バス事業者にこれの経営を強制するということはいかがかということで、これは路線それぞれについていろいろな事情がございますけれども、こういう路線について、当該市町村が住民の足を確保するためにぜひ必要だというものについては市町村がそれを肩がわりをして運行していただく、そういうものについては、これに対して車両費の補助を国と県で行なう、こういうふうな補助制度をとっておるわけでございます。  で、四十九年度におきましては、その場合に、その乗車密度を計算いたします場合に、従来一日に三回しか運行をいたしておりません、あるいは二回しか運行をいたしておりません回数のところにつきましても、それを三回運行したというふうに想定いたしまして一回の乗車密度を計算いたしておったわけでございますけれども、これは実情に合わない。もう少し助成の対象を広げるといいますか、甘くすべきだということから、いわゆる三回換算という制度を廃止いたしまして実際の運行回数でこれを見る、こういうふうにいたしたわけでございまして、金額にすると四十八年度の約二倍の補助金額になるわけでございます。そういう意味で、四十九年度につきましては、まあある程度の効果がこれで出てくるのではないかというふうに思っているわけでございます。  具体的に、岩手県の場合につきましては、実はこの二月に約三十数%の運賃改定をいたしましたわけでございまして、これは概算でございますけれども、岩手県南バスについて例をとりますと、その運賃改定によりまして四十九年度約五億二千万円程度の増収になる予定でございます。しかしながら、現在実はまだ春闘が解決いたしておりません。いわゆるベースアップの問題がございますけれども、これがどのような金額で妥結いたしますかわかりませんけれども、たとえばかりに二万七千円程度ということになりますと、約八億五千万円のそれによる経費増になる。そういたしますと、運賃改定で五億二千万円の増収に対して、ベースアップによる経費増が約八億数千万円、こういうことでございまして、そういうことを考えますと、確かにバス事業の経営は非常に苦しい、こういうことになることは先生指摘のとおりでございます。  で、私どもといたしましては、そういう事態を踏まえまして、バス事業のあり方、これに対する助成のあり方については、もう一度原点に戻りまして根本的に再検討いたしたいというふうに考えておるわけでございますけれども、さしあたりの問題といたしましては、たとえば金融機関等からの融資の問題につきましても目下鋭意関係の方面と折衝をいたしておる、こういうことでございまして、適正な運賃政策、それからまあいろいろ経営の合理化といいますか、路線の適正化といいますか、そういうもの、それから融資と、こういうふうなあらゆる手を尽くしまして過疎地帯におけるバスの経営が成り立ちますよう努力いたしてまいりたい、こういうことでございます。
  29. 鈴木力

    鈴木力君 いままでもあらゆる手を尽くして実はきたわけですよ、この問題が始まってから。ことし初めて降ってわいたような問題じゃなくて、この補助制度ができ、あるいは車の補助をするとか、いろいろな手をやってこられたわけですね。だが、そういう施策を進めれば進めるほどというとことばがよくないんですが、そういう施策を進めながら、赤字路線のほうも施策がふえていくに比例してふえていくような現状ですね。私は、いまあらゆる手を講じて何とかなさりたいという、あるいは原点に返って御検討なさる、これもぜひそうしていただきたいと、こう思うんです。そうしていただきたいと、こう思うんですが、現在ただいま三〇%の路線が廃止をされようとしておるわけです。これは原点に返って検討なさって、いろいろな手続を経てその方策ができ上がったときには、もうすでに県民の足というのは奪われてしまっておると、こういう時期になると思うんです。だから私は、将来こうするという一つの方向を示しながらも、その間のつなぎに何をするかということが速急に手を打たれないとこの問題は解決しないだろうと思います。したがって、さっき局長から今度の賃金、ベースアップと、それから運賃値上げの収支の話が出ました。それは労使で解決するだろうと思うんですけれども、いずれにしても、しかし世間並みの賃金を上げなければどうにもならないんですね。  たとえば県南バスで言いますと、これはまあこまかいことを申し上げて恐縮なんですけれども、沢内線というのがあります。これは秋田県境の村ですが、ここではそういう問題のほかに、雪がある地域ですからワンマンはとても運行できない。車掌がいないために欠行するというようなそういう事態まであって、そうすると賃金という問題は、やっぱりバス路線を確保するにはある程度大事な問題ですね。しかし、きょうは賃金をどうするということが主題じゃありませんから、それは一応取っておきますけれども、県民の立場で言えば、もう見ている路線がなくなるということが一番心配なんです。どうにかこのバスを確保してくれということなんですね。  そこで、実は御存じのように運輸省でもメリット、デメリットを検討するということの中に、岩手県でもいま問題になっているといいますか、意見が出ている公的一元化という問題もある。これもいま直ちの問題にはなりませんけれども、いま直ちの問題にはなりませんけれどもそういう問題が出た。そういたしますと、ほとんど全部の市町村が、市町村議会あるいは市町村当局から、できるだけ早く公的一元化をして、そしてこのバス問題を解決してほしいという決議なんかも相当出ているんですね。ところが、それはなかなか具体的には進行しない。たとえば該当で申し上げますと、盛岡、花巻、東部の釜石、江刺、水沢、これはもう市議会で公的一元化を早く実現をしてバス路線を確保してほしい。その間には地方のこうした市町村の補助なんかも出ております。しかし、そういうことをも希望しておるわけです。それから北上市では市長がそういう意思表示をしてやっております。それから町村では雫石町あるいは大迫町というように町議会の決議もございます。こういう形でほとんど全部の市町村がその道を探求してくれと——これでなければということではないとは思いますけれども、いずれにしても、このバスを、いままでの対策を従来どおりでいってもらってはテンポがおそ過ぎるし、こうした経営者もあるいはそこで働いている人たちも壁にぶつかってどうにもならぬという問題で、住民がまたそこへぶつかっておる。これを打開をするということにぜひひとつ急いでほしいと、こういうことが非常に強い要望としても出ている。  したがって、私は、いま伺いたいことは、実は補助政策ということでやられてきた。さっきも五億何がしの運賃の値上げもされた。しかし、実態はどうかと言いますと、昨年の三月、昨年度になりますか、三月の補助金が交付をされた額が賃金の遅配分の支払いの財源になっちゃっているんですね。そうしてことしの運賃の値上げ部分については、おそらくいまの給与のベースアップ分に追いつかない。そうなってくると、会社側のほうはやっぱりその効率のあがらない路線の廃止というところをどうしても出さざるを得ないと言う。だから私は、経営者の立場もよくわかるような気がするが、働く人たちだってある程度の生活がなければ、車掌になり手がなくて欠行するといったような現状も出てくる。そうすると、バスという一つのいまの交通機関という問題は、私はやっぱり公的な性格のものとしてこれはもうはっきりと位置づける時期が来ているのじゃないかという感じが一つはするのですね。まあ公営であるか私営であるかは別であります。しかし、公営か私営かは別といたしましても、公共機関であるという立場に立った——公共機関というとことばが足らないかもしれませんが、公共性があるという認識はもうはっきり政策上に持たなければいけない。そうすると、どこにどう変えるかといういろいろな形があるけれども、せっかくやり出したこの公的一元化という問題も、私は、運輸省としてもどういう形にやるかということがいろいろ検討の余地があるにしても、一つの試案として積極的な検討ということが必要なのではないか、こう思うんです。だから、その他まだ施策がないとは私は言いませんけれども、具体化しているところが、それが何かどこかの反対で全部ストップしてしまって先が見えなくなった。市町村議会が決議したけれども、これ以上進まないというような状態で路線廃止というところにいってしまったのでは進歩がないような気がするんですね。この辺の御見解をまず伺っておきたい、こう思うのであります。
  30. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) バスの運行と申しますか、これはもう国民の足を確保するということで、これは当然公共性が追求されてしかるべきだと思います。また、運輸行政そのものが国民の生活をどう守るかということに基本がなければならないということもこれはもう言をまたないところでございます。で、先ほど来局長が御説明申し上げましたように、今年度も——昨年度は九億くらいの欠損補助をいたしておったんでございますけれども、本年は、あんまり元が小さいのにいばれた話じゃないですけれども、約倍の二十億、約二十億をもってそういう採算のとれない路線の補助をやろうということで予算の通過を見たわけでございます。まあそういうようなものは、手当ては手当てとしてやりつつ、この事業者を、効率的な運営をはからなければなりませんから事業者を統合するということもこれは一つの方法だと思います。また、可能な場合にはもう条約化してしまうというのも一つ考え方だと思っております。それによってその事業の経営が改善されるということがまずできなきゃならぬことでございまして、この改善のためにそういうようなことができるとするならば、そういう方法も一つの方法であろうと思いますが、これを公的に一元化するかどうかという問題については、これは民間企業の活力と申しますか、そういうものも、いいところも多分にあるわけでございまして、それぞれのまた立場と申しますか、その地方においてこれはひとつ十分検討をしてみなきゃならぬことだと思います。しかし、非常に抽象的なことで、具体的にはまた局長がお答え申すと思いますけれども、いま申し上げましたように事業者を統合することも一つの方法であると、また集約化も、ことによればそういうことも考えられてしかるべきだと、これが経営の改善等につながるならば。そういう観点に立ってそういう方向に進められることは私はいいことだと思います。ただ公的な、公の立場でひとつつくり上げていくということは、これはその民間企業の先ほども申し上げましたよさ等も十分考え合わして、そういう公的なものにするのか、あるいは統合して民間企業でやるのかという問題は十分そこで検討されるべきだと、こういうふうに考える次第でございます。
  31. 鈴木力

    鈴木力君 私がいま申し上げているのは、これは岩手県で、長い間かけて、バスの経営者も労働者も、それから県が委託したバス対策協議会ですか、そういう点もいろいろなものが検討していろいろな案をつくってきているわけです、実は。それでそのうちで、たとえば中央バス、花巻バス、岩手県南バス、この三つの株式会社の経営者側からも公的一元化プランというのが実は出ているわけです。それからもちろん労働組合からは一元化案というのが出ておる。その中身は多少違いますけれどもね、構想はもう同じ立場に立っておるんです。と申しますのは、やはり会社の経営という立場からだけではもうどうにもいかぬというところに来て、そういういうところにいま経営者も含めてそこへいっているわけです。そして、さっき申し上げましたように市町村がそれに参加をして、そして賛成であるという市町村議会の決議なり市町村当局なりの賛成という意思表示も出ている。まあ正直言いまして、岩手県では県北バスというのは赤字線が比較的なくて、それから三陸の観光バスなんかがある程度の収益があるもんですから、県北バスはあまりこれには賛成をしていない。他の三社はみんな賛成をしている。そういう状況で地元住民の指向性というのはほぼ出そろった形だと思うんですね。で、新聞等では、県が反対だと、こういうことをいっておりますけれども、県が反対だというのは、そうしたいろいろなプランが出ておるけれども、それぞれのプランに食い違いがあって意思統一がまだできない、それから会社側の企業努力という具体的な計画がもう少し具体性を持たなければと、こういうことをいっておるんで、やはり私営であるか公営であるか、どちらにしても公共性に立つべきものだということについては県もはっきりとこれをうたっておるわけです。  だから私は、一つのそういう機運が煮詰まってきている、それをみんながそろわないからだめだというようなことにものを持っていってしまうんじゃなしに、そうしたことの中から運輸省あたりがリーダーになって具体的なものをまとめあげていく。沖繩が実はそういう形になっておるわけでしょう。だから、いろいろな形のものというものは私はくふうができると、こう思うんでして、そういう道を積極的に探究しながら、これはもう過疎地域といいますか、十人なり十五人なり、あるいは五人以下なんというところは、とてもじゃないが経営という立場に立ったらこれはもう足は確保できないことはあたりまえ、はっきりしておるわけですから、そうすると、公共性の立場に立てば、そういう道というものを一つの道として私は検討の値があるし、そしてその方向が、かわるものがあるということなら別だけれども、なければやっぱりそういう方向を追求をしてみる。全部が一律にということじゃないにしても、そういう地域住民がそこまでこう煮詰まってきている、そういう状況の中ではやはりそういう議論は取り上げるだけの価値が私はあるんではないか、こういうふうに思って実は御質問申し上げておるわけなんです。いかがですか。
  32. 中村大造

    政府委員中村大造君) 確かに岩手県におきます公的一元化の問題は相当以前から検討をされてきておりまして、昨年に岩手県のバス対策協議会というものが設置されまして、そこで一元化問題を取り上げて真剣に討議されてきたわけでございます。  それで、その公的一元化ということは、非常にことばとして言われますけれども、一体公的一元化というものの中身はどういうものであるかということになりますと、これは必ずしもその当事者間で一つのきまった概念というものではないようでございまして、それにはいろいろなやっぱりニュアンスの違い、思惑の違いというものもございます。それから公的一元化というものを最終目標、到達点といたします場合におきましても、それに至る過程というものをどこからどのようにして進めていくかということについても、またいろいろ進め方があるわけで、これについてもまた当事者間で考えは必ずしも同一ではない、こういうことでございまして、私ども公的な一元化というものが、いわゆるでき上がった姿として、もしその地域の要望に沿うものであれば、これは非常にけっこうなことだというふうに思っておることについては、これはもう疑義がないわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、その中身あるいはそれの実現に至る進め方、こういうものにつきましては、なおまだその議論に熟していない点があるんではないかというふうに思うわけでございます。  先生ただいま例としてお出しいただきました沖繩でございますけれども、これは初めから公的ということをいっているのではなくて、むしろ逆に最近沖繩市内の二社が合併の調印をいたしました。で、来年には郊外の三社が合併の機運でございまして、再来年あたりにはそれを一体といたしまして沖繩本島五社のバス事業が一元化する、で、その暁におきまして、公的一元化といいますか、県がそれにどのようなかっこうでタッチしてまいるかということが具体的なスケジュールとしてあがってくるということでございまして、初めから公的一元化ということを前提にして沖繩の市内の二社が合併するということではございません。  そのようにいろいろ進め方というものがあるわけでございまして、岩手県の場合につきましても、最初から公的ということをあまり強く打ち出しまして、はたしてその具体的に進めてまいります場合にスムーズにいくかどうかということもやはり考えなければならないと思うわけでございます。いずれにいたしましても、岩手県につきましては、そういうふうな一元化問題について相当いろいろな当事者で努力がなされてきておるわけでございますので、私どもといたしましては、先ほどから重ね重ね申しておりますような総合的ないろいろな施策の中で、そのような一元化問題というものもまあこれの効果というものを十分考えまして推進してまいりたいと、こういうふうに思うわけでございます。
  33. 鈴木力

    鈴木力君 これでやめますけれども、私は強く要望しておきたいのは、初めからこうしようということでこうなったというのじゃない。しかし、やっぱり沖繩でもそういうことをやってみたら公的のところに追いついたという前例があるということなんですね。そうすると、そういう例から、公的というのを目標に置きながら、どういう過程に進んでいくかというその道筋は運輸行政の中でひとつ検討をしながらこれを前に進めていくということが私はやっぱり必要なことだと、こう思うんです。もちろんそういう目標、道筋を入っていっても一ぺんに形ができるというものだと私は思っていません。これは相当なむずかしいものがある。しかし、ああいう地域のバスというものは公共性を持つんだという認識だけはこれはもう大臣にも持っていただかなければいけないと思うんですね。そうすると、その面から地方自治体がどういう形でこれに参加するのか。いまだって相当の市町村で、廃止——いやであれば補助金をくださいというようなことがあって、やむを得ず市町村の補助というものもずいぶんいま出ている段階です。そうすると、補助金を出すのか経営に参加するのかというその違いをどうするかという問題だってもう具体的な問題として出ているわけです。  ですから、そういう面でいきなり公的というのはどうかというような——そうじゃなしに、公的を考えずにやってみたが、沖繩は公的のほうにたどりついたわけですから、まだ実施はしないにしても計画の中に出てきている。そういう例は検討に値するはずでしょう。そうすると、地元の要望、各市町村も要望しているわけだ。ただ、いまプランが最初からぴしゃっと一本にならないということだけがだめだという理由では、これは行政指導というのは私はあまり見上げたものじゃなくて、そうじゃなしに、いろいろの違ったプランの中で一つの指導の立場に立ったプランというものがもっと先に力をもって進んでいっていいのではないか。そういうことから将来の県民の足というものに対しての明るさが私は県民に出てくるだろうと思う。毎年毎年決算をするたびに三〇%路線がなくなりますぞという不安を与えながら進んでいくというのは私は後手を踏む行政だと、こう思うわけです。そういう意味で、少なくとも運賃値上げをすれば賃金のベースアップ分にならない、あるいは補助金を出せば賃金の遅配分のそれが全部入ってしまう、そしてまたお先まっ暗だと。これは二十億という補助金では大臣、私は片づかない、こう思うんです。  たとえば、岩手県で一年間にバスを利用するのが延べにして四千八百万人と私は記憶をしておる。そういう人たちの足というものが、そういう先回りした行政の指導によって守られるということになると思いますね。だから、四万九千人の空港土地収用法などというむちゃなことを一方からこうやっておりながら、一方では、ほんとうの県民の足というのはこういう形で危険にさらされている。こういうこともやっぱり県民の立場からすれば、一つの運輸行政の中に住民、県民というものと行政府がどこで結びつくのか、これはやっぱり真剣に御検討いただきたい、こう思います。これは御要望申し上げておきたい、こう思います。  それで、だいぶ時間もたちましたので、これからあと法案について若干お伺いをいたしますが、まずこの法案で、今度沖繩の航空交通管制が日米合同委員会で返還をされる。沖繩の飛行情報区といいますか、東京飛行情報区、いままである札幌と東京と福岡に沖繩の情報区を一つつくるわけでありますけれども、これは東京の情報区と一本化してはできないものかどうか、その点はどうなんですか。
  34. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 御指摘の飛行情報区と申しますものは、ICAOの第十一付属書に基づきまして、航空交通の実態と、それから能率的な航空交通業務の処理を考慮いたしまして設定されるものでございまして、那覇の管制部設置後におきます那覇FIRのあり方につきまして検討いたしました結果、東京と那覇の飛行情報区におきます航空交通の流れがそれぞれ異なるパターンの運航となっておりまして、航空機の安全と、かつ能率的な整理業務実施いたしますためには、両方の飛行情報区は従来どおり別個に存在さしたほうがいい、こういう結論になりまして、東京FIRとは別個に那覇FIRというものを置くことにきめた次第でございます。
  35. 鈴木力

    鈴木力君 航空の態様が違うということの主たる違いはどこにありますか。
  36. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 東京FIRというのは非常に広い範囲でございますけれども、その中心をなしておりますのはやはり国内交通でございまして、那覇の場合は国内交通まりも通過する国際交通というものがかなり多いというような状態にございます。この流れの整理をいたしますのに、やはりその特色あるものを中心にいたしまして整理をしたほうがいい、こういうふうに判断された次第でございます。鈴木力君 これはいきなりでは数字はちょっとおわかりにならないかもしれませんけれども、通過する国際航空といいますか、国際航空機ですかね、沖繩上空のほうがはるかに多いというような御答弁をちょうだいしたんですけれども、東京FIRの区域、どれくらい年間に国際航空機が通過をして、それから那覇の上空はどれだけ通過をしているのか、数字わかりませんか。
  37. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 通過機だけを抽出する数字がちょっといま手元にございませんが、東京FIR、東京管制部といいますか、東京管制部が扱っております機数が四十七年度で四十四万機でございますが、これに対応いたします那覇の場合が二十万六千。このほかに実は福岡の管制部と札幌の管制部がございますので、東京FIR全体といたしましての数字はこれよりもちょっと違った数字になるかと思います。
  38. 鈴木力

    鈴木力君 いまの、はっきりよくわからなかったんですが。
  39. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 東京FIRの中には、御存じのように札幌、東京、福岡と三つの管制部がございます。ただいま申し上げましたのはこの管制部の取り扱いました機数でございます。したがいまして、四十四万回と申し上げましたのは、東京管制部が取り扱いました機数でございまして、二十万六千と申し上げましたのは、この那覇の管制部で取り扱った機数でございます。
  40. 鈴木力

    鈴木力君 だから、私がさっき、どうしても分離をしなければ——こう言いましたけれども、そうすると二十万という回数が多くなったから分離をする、こういうことになるんですか。
  41. 松本操

    説明員(松本操君) ただいま局長が申し上げましたように、取り扱い機数も東京管制部の場合に四十数万、那覇管制部の場合におそらく二十万少しぐらいということになろうかと思いますが、航空路図をごらんいただきますとすぐおわかりいただけると思いますが、東京管制部及び札幌と福岡の管制部を合わせました東京FIRの中の航空機の流れというものは、大体東京を中心といたしまして、国内の路線、それから太平洋を渡ってハワイ、アンカレッジ、サンフランシスコ、こちらの太平洋方面へ参ります流れ、それからやはり東京を中心といたしまして東南アジアのほうに入っていく流れと、それからごく一部ではございますけれどもシベリア路線に入っていく流れ、東京を中心とする放射状の流れになっておるわけでございます。その端のほうのきわめて地区的な部分を札幌管制部及び福岡管制部の区域として扱っておるわけでございます。  これに対して那覇の場合には、那覇の近辺の航空路図をごらんいただきますとこれもおわかりいただけますように、那覇と本土との間の太い幹線が一本ございます。これには国際線も国内線も同様に入ってまいっておるわけでございますが、那覇を中心といたしまして、台北から香港のほうへ抜けます路線が一本、マニラのほうへ抜けてまいります路線が一本、グアムのほうへ抜けてまいります路線が一本、それから交通量は現在非常に少なくなってまいっておりますけれども、大邸のFIRの中へ入りまして、釜山とかあるいはソウルとかいう方面へ入ってまいります航空路が一本ございます。模式的に申し上げますならば、那覇を中心といたしました放射状のパターンになっておるわけでございますで、東京を中心といたしました放射状のパターン、那覇を中心といたしました放射状のパターンというふうに大別できるかと思いますので、この二つを一つにまとめることは、現在のいろんな通信技術その他の方法を使えばできないことはあるいはないかも存じませんけれども、やはり那覇には当然のことながら何らかセンターの機能を果たしますものを置きませんと、非常に長い通信回線を使って管制をするというふうな不合理が出てまいるのではないか、こういうふうに考えられる次第でございます。
  42. 鈴木力

    鈴木力君 私が聞いておりますのは、東京FIRの中で札幌管制部の管轄区域と福岡管制部の管轄区域というのがあるわけでしょう。三つに分けて管制をやっているわけですね。まあ那覇のFIRのほうも、管制部を置くということは置いてもいいが、このFIRのほうは統一をすることができないのかどうだろうかということを実は私は考えた、これはまあしろうと考えみたいなものですがね。那覇空港が中心になって、そしてそんなに放射状に数は多いんですか、国際路線は。
  43. 松本操

    説明員(松本操君) 全部の数字はちょっと手元に私数字を持っておりませんので申しわけございませんが、台北から香港のほうへ抜けてまいりますルートだけを拾って申し上げますならば週間に約二百五十便、したがいまして、五百機でございますから七で割りまして七十機程度が一日に飛んでおるわけでございます。で、そのほかにグアムへ参ります路線がやはり週に何便かございますし、マニラに抜けるのもおそらく毎日一便、二便という、あるいはもう少し多いかと思いますが、程度の数字があろうかと思います。  それからもう一つ、前段で先生がおっしゃいました、那覇にかりに管制部を置いたとした場合、管制部を置いてもいいが、これを東京FIRとして一本にできないかという点につきましては、通常その管制部を置きまして統括いたしますFIRの空域というものをつくりました場合に、ICA ○的な考え方を非常に厳密に踏襲いたしますと、一つのFIRの中に一つの管制部というのがきわめて常識的な線ではないかというふうにICAOではされております。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、東京FIRの中には北海道地区及び九州地区という、かなりローカルで、中でこう動き回るフライトがある。こういうことがございますので、東京FIRの中に一部を区分いたしまして御承知のように福岡管制部及び札幌管制部というふうなものが置いてあるわけでございますが、これはほとんど国内のフライトを扱っておるということになりますので、もちろん福岡の管制部の空域の中を通り抜ける国際線もございますけれども、主たるねらいは国内の航空路の管制をするというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。  したがいまして、二つを統合して一つのFIRにするということは、FIRとしても非常に大きなFIRになってしまいます。また、いま申し上げましたようなICAO的な考え方、あるいはその他通信技術の問題あるいは運航の先ほど来御説明いたしましたパターン等から判断しても多少無理があるのではないか。むしろ二つのFIRとして独立さしておいたほうがよろしいのではないかというのが私どもの考えでございます。
  44. 鈴木力

    鈴木力君 それは独立させるさせないはまあ技術的な問題もあると思いますが、これは私どもしろうとでよくわからぬのですけれども、問題はあの嘉手納がからんでいやしないかという感じが私はするんですね、率直に申し上げると。もしあすこにアメリカの基地がなければ、そんなに飛行機の回数というのが、あすこを中心にして東京空域の半分に達するような国際空路というのがあるとはどうしても私は考えられないんですけれども、これは嘉手納のあの米軍の航空機は全然除いてこれだけの数字ですか。
  45. 松本操

    説明員(松本操君) 先ほど申し上げました数字は含んでおります。ただ、その含んでおる内容がどの程度になるかという点は、正確な統計を私ども現時点では持っておりませんのでよくわかりません。
  46. 鈴木力

    鈴木力君 まあ、数字につきましては、突然に申し上げてもお持ちにならない、これはもうやむを得ないことでありますけれども、傾向的にいいまして私はやっぱりそこに問題があるような気がするんですね。だから、嘉手納という膨大なあの米軍の基地がかりにあすこになくなればだいぶこの空が違ってくるような気が実は私はしているんですけれども、それはまあそれといたしまして、伺いたいのは、そのあとに、日米合意事項の第五項ですか、那覇空港への進入管制を暫定的に米国政府実施することになっておる、第五項にそういうあれがあると思うんですけれども、これは今度の那覇空港への進入管制業務は、引き継いだ場合に、この米軍との関係はどういうことになっておりますか。
  47. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) ただいま先生が御指摘沖繩における航空交通管制に関する日米合同委員会の合意の第五項でございますが、これによりますと、那覇空港の周辺には嘉手納、普天間、三つの空港がございまして、これらの地域におきます航空交通の安全を確保するためには単一の施設によって進入管制を行なうという必要がある。したがって、「日本国政府がこれら飛行場のレーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務実施する」と、こういう合意になっております。したがいまして、この日米の合意によりまして、まず私どもは四十七年の五月に那覇空港の管制を引き継ぎました。さらに本年の五月十五日に沖繩の航空路の管制を引き継ぐと、こういう段取りになっております。で、この進入管制業務につきましては、ただいま御紹介いたしましたように、日本側がこういうレーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に米軍が行なう、こういう三段階になっておるわけでございまして、現在この二段階目の航空路の管制を引き継ぐという準備が完了いたしましたので、本月の十五日を期して日本側が航空路の管制を引き継ぐ、こういう状態になっております。この進入管制につきましては、これを引き継ぐためには、管制官の訓練あるいはこうした複数の空港の進入管制の経験がございません。一つの方式を設定しそれに慣熟する必要もございます。相当長期間の準備が必要であろうかと考えておりますが、今後の全国的な航空保安業務改善策との関連におきまして、こういう進入管制業務の引き継ぎ計画検討するということにいたしたいと考えております。
  48. 鈴木力

    鈴木力君 あの、成立しておりませんけれども、速記をとめて……。
  49. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をちょっととめてください。   〔速記中止〕
  50. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こしてください。
  51. 鈴木力

    鈴木力君 それで、じゃ非公式に伺うみたいなことになりますけれども、いまのこの日米合同委員会の決定ですね、引き継ぎ事項の第五項ですよ。どうしても私がわからぬのは、「単一の施設によって」——全部は読まなくてもおわかりいただいていると思うんですけれども、「飛行場のレーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務実施するものとする。」、こういう御決定がありますね。そして第四項には、まあこういう政府職員の管制業務の訓練について協力をすると、こうなっているわけでしょう。ところが、前にたぶんうちの上田哲委員予算委員会で質問をしたことがありますけれども、実際は米国は訓練には協力しなかったということが国会でも問題になった、そういうことになっているんですけれども、この合同委員会でどういう話になっておったのですかね。その後の訓練の協力状況はどうなっているんですか、アメリカ局長に伺っておきたい、こう思います。
  52. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 四十七年五月の日米合同委員会におきまする沖繩における航空交通管制に関する合意の第五項につきましては、先ほど運輸省航空局長のほうから御答弁があったように私どもも承知しておるわけでございまして、この第五項の意味といたしましては、米国政府は、地位協定の規定により使用を認められた飛行場、すなわち嘉手納並びに普天間に関する航空交通管制業務実施する、この航空交通管制業務、すなわち進入路管制、こういうふうに了解しておりますけれども、この嘉手納並びに普天間にきわめて地理的に近接しております那覇空港の管制の問題につきましては、非常に航空交通量がふくそうしているという事態にかんがみまして、日本国政府がレーダー進入管制業務を行なうことができるようになるまでは暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務実施する、こういう了解になっているわけでございます。また、要員の訓練につきましては、私ども航空局のほうからその後米側の協力を得られて円滑に実施されたというふうに承知しておりますけれども、詳細は運輸省のほうからあるいは御答弁いただいたほうがよろしいかと存じます。
  53. 鈴木力

    鈴木力君 運輸省に聞くのは正式の委員会で伺いますが、いまどうしても正式の委員会じゃありませんですけれども、局長の時間の都合があるからいま伺っているんですけれども、「日本国政府がこれら飛行場のレーダー進入管制業務を行なうまで」という、この「行なうまで」というこの時期的な話し合いというのは合同委員会にはあったのですか、なかったのですか。
  54. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 時期的に何年をというふうな具体的な話はないわけでございます。
  55. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、運輸省がこの管制業務を行なうと決定をすれば、その時期で全部進入管制も新しい管制部がやれる、そういうことになるわけですね。
  56. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 第五項の前段には、嘉手納並びに普天間に関する航空交通管制業務実施を米側が行なうということがございまして、後段に那覇の進入管制業務のことをうたってあるわけでございますが、日本側がそれを引き受けるまで暫定的にと申しておりますのは、先ほど運輸省のほうから御答弁ございましたように、技術的に非常にむずかしい問題を含んでおるということもありまして、このような暫定的な措置をすることにきまったわけでございます。で、将来の日本側の体制が整う段階におきまして米側からどういうふうに引き受けを行なうのかどうかということにつきましては、当然米側との調整を要する問題でございます。
  57. 鈴木力

    鈴木力君 何か、そうすると、この文章は私はごまかしみたいに見えてならないですね。結局は半永久的に米国政府が進入管制業務実施すると、こう読むべきじゃないんですか、そうなってくると。
  58. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど答弁申し上げましたように、合同委員会合意第五項の前段には嘉手納並びに普天間に関する航空交通管制の実施について規定してございまして、後段について那覇空港のことを触れているわけでございますが、那覇空港は日本側が管理をする空港ではございますけれども、先ほど来政府側から答弁がありますような問題がございますので、暫定的にそのものも一元的に米側が実施を行なうと、こういうことになっているというふうに承知いたしております。
  59. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、「暫定的に」ということが時期的にははっきりしない。それから「これら飛行場のレーダー進入管制業務を行なうまで」という「行なう」については、また日米が協議をしなければいけない。とすると、きまったのは、「暫定的に」ということばがあるけれども、米国政府が那覇空港の進入管制業務実施すると、これがきまったというだけでしょう。そうすれば、私はなぜこういうことを言うかというと、あそこへ管制部をつくっても結局後背地に米軍の機関、嘉手納空港と普天間がある、これが理由になっていつまでもここの進入管制業務というのは米軍がやっているんだと、こういうことにしかならないんじゃないですか。これは外務省としては、これをできるだけ早く日本の運輸省がやれるような努力というものはなさっているんですか。これは運輸省次第ですか、外務省との関係があるんですかということを聞いているんです。
  60. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど航空局長から御答弁ございましたように、沖繩が復帰しました昭和四十七年の五月に、那覇空港につきましては飛行場管制業務が日本側に移管され、この五月には沖繩全体の航空路管制業務が日本側に移管されるわけでございます。そういうふうに管制業務が段階を経て日本側に移管されてきて、日本側がそれの実施を引き受けてきているわけでございますが、那覇空港におけるレーダー進入管制業務実施を日本側がいつ行なうのかということにつきましては、これは技術的にいろんな問題があるようでございますし、私どもといたしましては運輸省とよく御相談しながら考えていくべき問題であるというふうに思っております。
  61. 鈴木力

    鈴木力君 局長さんと約束した時間がなくなっていますから、同じことを繰り返してもいけませんので、この点はあとでまた運輸大臣に詳しくお伺いしたいと、こう思います。  もう一つ伺っておきますのは那覇空港の返還問題ですね。あそこにまだもちろん自衛隊の基地もあります。米軍の基地も依然として残っておるわけです。これがとっくにもう返還されなければいけないのであるけれども、いまだに返還をされていない。これの見通しはどうなっているんですか。
  62. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 現在、那覇空港には米海軍の部隊が駐留いたしておりまして、主としてP3の運用に当たっているわけでございます。沖繩返還交渉当時以来、P3を那覇空港から移転さして、早く那覇空港を民間空港にしたいというふうな方針のもとにこの問題に取り組んできているわけでございますが、P3の移転先につきまして、いろいろ経緯がございまして、現在移転先として考えております嘉手納における受け入れ施設の整備を急いでおりまして、明年春にはこの整備を終わらしたいと、こういうふうに考えておりますので、その整備が終わり次第P3を那覇空港から嘉手納に移転させると、こういう計画でございます。
  63. 鈴木力

    鈴木力君 沖繩返還のいろいろな問題で私どもが審議をいたしました場合には、こんなに延びるというはずじゃなかったわけですね。ところが、何かずるずるずるずる延ばしておけば、約束をした期限というのは、事日米に関する限りは延びてもこちらのほうはどうにもならないというような現状を繰り返しておる。私はなぜこの返還問題をお聞きしたいのかといいますと、せっかくいま管制部があそこにできていろいろな管制を引き継ぎはしますけれども、結局はそばに米軍の基地があって、これまたその空を複雑にしておる。結局は、引き継ぎはするけれども、進入管制といいますけれども、相当な部分というものを、空を米軍が握っておる。沖繩復帰はしたけれども、しかし事実上は空だけは米軍のものだと、こういう形に、この設置法を改正していろいろな部局をつくっても事実上は返還されないということがこれから何年続くのかということが私どもにとってはきわめて憂慮すべき問題だと、こう思うのでいま伺いました。これもあとで運輸大臣にもいろいろまたお伺いしたいと、こう思います。  もう一つ局長さんに伺いたいのは、今度引き継ぐわけでしょう。アメリカがいままで管制しておったものを運輸省が五月の十五日に引き継ぎますが、問題は台湾との関係がどうなるのか。要するに台湾のFIR、これとの連絡が日本とあった。米軍の場合には協定があっておるわけですね。日本に引き継ぐ場合にはこの台湾のFIRの関係はどういう形で引き継ぎなされるのか、その点をお伺いいたしたい、こう思います。
  64. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) ただいまの点は、具体的には運輸省の御当局から御答弁いただいたほうがよろしいと存じますけれども、私の所管の中で承知しておりますのは、米側といたしましては、この五月の十五日にこの業務合意に従いまして航空路管制業務を日本側に引き継ぐということでございまして、台湾当局との技術的な折衝、接触等につきましては運輸省のほうで御担当をせられておるというふうに……。
  65. 鈴木力

    鈴木力君 私が聞いているのは、台湾当局との折衝の話じゃなしに、米軍は台湾との協定したものを持っておるわけでしょう、現在も。米軍が管制圏を管制しておれば、台湾のFIRとの関係もこの協定したものを持っているわけです。それを米軍から日本に引き継ぐときは、米軍は台湾を連れ子にして引き継いでくれるのか、切り離して引き継がれるのか、その日米間のことについて聞きたいわけです。
  66. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) この引き継ぎの細目につきましても、運輸省のほうから御答弁いただいたほうがよろしいかと思う問題でございますけれども、いずれにしましても従来米側が管制の業務実施しておりましたものにつきまして、五月の十五日に日本の航空当局に航空路管制業務を移管するということでございまして、将来の沖繩FIRと台湾のFIRとの関係につきましてはこれは台湾当局との打ち合わせを必要とする問題であると、こういうふうに承知しておるわけでございまして、いずれにしましても五月の十五日に米側から日本側が引き継ぐ業務は航空路管制業務沖繩FIR内における航空路管制業務であるというふうに私ども承知しております。ただ、技術的な詳細につきましては、これは運輸省のほうから御答弁いただくのが適当であろうかと存じます。
  67. 鈴木力

    鈴木力君 まあいいです。あと運輸省から聞きます。  では、いまの問題を運輸大臣にもう少し詳しく実は伺いたいと、こう思います。  まず最初に、管制官の訓練に協力をするという、この第四項にそうなっておるのですが、これは去年の予算委員会のときには、きわめて不十分で、引き継ぎといいますか、これがおくれる、こういう御答弁もあったように記憶しておりますけれども、その後の状況はどうなんですか。
  68. 松本操

    説明員(松本操君) いま先生指摘ございましたように、昨年の予算委員会においてその点が御指摘を賜わったわけでございます。その後その時点においてどういう点が問題になったかと申しますと、米側のほうが、同時にわがほうの管制官を訓練生として受け入れる人数が少な過ぎるのではないか、そういう数字では——昨年のことでございますが、来年、つまりことしの五月十五日までに十分な数の管制官が訓練できないのではないか、こういう御指摘をいただいたわけでございます。その後私どもはその御趣旨を体しまして、さらに米側と折衡をいたしました。その結果、米側といたしましても、先ほど来引用されております合意の趣旨に全面的に従いまして、もっと多量の管制官の養成についてくふうをしようということに考え方を全面的に切りかえました。その結果レーダーの管制官を十五名、これを完全に嘉手納の中で訓練できるようにしましょう、それからさらに、マニュアルと申しまして、レーダーを用いない管制官の訓練につきましても、二十名を嘉手納の中で訓練できるようにするということに話を広げたわけでございます。  さらに、それだけではなお十分といたしませんので、私どもといたしましては米国の連邦航空庁と直接交渉をいたしました。その結果、さらに十六名の管制官をレーダー管制官として米連邦航空庁の、日本流に申しますと、保安大学校と申しましょうか、アカデミーと呼ばれておりますが、そこと、それからホノルルの管制部、この二カ所で訓練をさせるということにしたわけでございます。その結果、最終的にはレーダー管制官三十人、マニュアル管制官二十人、五十人について連邦航空庁の訓練、さらにそれを上のせいたします形で嘉手納の、シーラップと呼んでおりますが、嘉手納の米軍のセンターの中における訓練を行なうということで、訓練をずっと実施してまいりました。で、現時点の状況を申し上げますと、ほとんど訓練の段階を終わりまして、そのほとんど全部の人間が、レーティングと呼ばれておりますが、それぞれの管制にふさわしい資格を取得できるところまで技能が向上いたしております。この一両日中に新しく私どものほうが管制をいたします予定の庁舎に移りまして、もはや米軍と切り離したかっこうでわがほうの施設を使って最後の仕上げをするという段階までまいっておるということを御報告申し上げます。     —————————————
  69. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、源田実君、今春聴君委員辞任され、その補欠として片山正英君、高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  70. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、この第五項の「日本国政府がこれら飛行場のレーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に米国政府が」云云とある。その「行なうまで」という、行なう期日というのは大体わかると思いますけれども、この「行なうまで」という、その行なうための具体的な条件というのは何であるか。
  71. 松本操

    説明員(松本操君) 先ほど私が御説明いたしましたのは、この五月十五日に引き継ぎます航空路管制のための訓練でございましたが、いま先生御質問のございましたのは進入管制関連であろうかと思います。進入管制業務というものをいたしますためには、先ほど局長答弁申し上げましたように、レーダーを使いまして複数の空港の進入管制を一元的に行なう、こういうことを実は遺憾ながら私ども経験がございません。したがいまして、レーダーを用いた複数空港の一元的進入管制の方法はどういうふうにするか、この方式をまずはっきりときめなければなりません。次に、この方式を定めました後に、それぞれの管制官に、ただ単にレーティングが取れた程度ということではございませんで、相当の高い慣熟度を有するまで訓練を行なう必要がございます。それとあわせまして、レーダーを用いて訓練をするわけでございますし、さらに複数空港を一元的に管制するわけでございますので、施設的に所要のレーダー通信施設、管制官、そういったようなものを整備してまいらなければならないかと思います。こういった一連の作業を完全に終わりませんと、いま先生のおっしゃいましましたレーダー管制業務を行なうまでという、行なうに足るだけのわれわれの能力を持つことができない、こういうふうに考えております。
  72. 鈴木力

    鈴木力君 だから、そうすると、この協定ができてからもう二年になるわけですがね、協定後、いまの進入管制を引き継ぐための準備というのは、いままあ三つありましたね。複数の空港管制をするのに、レーダーを使ってやるのにどういう方式を決定しなければならないかということが一つ。それから、それをやるためには、またさらにその管制官の訓練が必要である。それから施設的に整備しなければいけない。この三つのうち、具体的に進行しているものは、何がどの程度に進行しておりますか。
  73. 松本操

    説明員(松本操君) 先ほど、初めのほうの先生の御質問に航空局長からお答えいたしましたように、これらの引き継ぎについては私どもとして階段的に対処してまいったわけでございまして、まず最初、那覇空港の飛行場管制を何が何でも返還の日に引き継ぎますために私どもは非常な努力をいたしました。次の二年間というものは、航空路管制業務を引き継ぐための最大の努力を払ってまいってきたわけでございます。その次の段階として進入管制業務、こういうものが出てまいるわけでございますので、現時点において率直にお答え申し上げますならば、いま先生の御指摘の、どの点がどうなっているかという点については見るべき成果を持っておりません。
  74. 鈴木力

    鈴木力君 見るべき成果を持っていませんというのは、ことばがうまいことで、何もしていませんということでしょう。
  75. 松本操

    説明員(松本操君) ほとんど実施されていないと申し上げてよろしいかと思います。
  76. 鈴木力

    鈴木力君 あのね、ほとんど実施されていないということは、幾らかやっているということなんですよ。百のうち一つでもやって、大部分でき上がらないことがほとんどと、われわれの日本語ではそうだ。そうすると、少しでも手をつけたものは何ですか。つけていないでしょう。
  77. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のとおり、いままでいろいろ申し上げたのは、先生指摘のとおりでございます。まあいろいろなむつかしさもございますけれども、きょうまで那覇のFIRを引き継ぐだけにもう手一ぱいでございます。しからば計画なんかは当然できるじゃないかという御主張もあろうかと思いますが、そういうところまで手をつけていなかったというのが現状でございます。
  78. 鈴木力

    鈴木力君 私がさっきアメリカ局長にお伺いしたのも、どうもそうじゃないかと、こう思ったのですね。そうすると、この三つの条件を整えて、「暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務実施」して、その「暫定的に」を解消するためにこれからやる以外にはないわけですね。そうすると、これからはどういう順序でこの三つを埋められるのですか。  それから、これから直ちに着手をしたとすれば、あと何年かかるか。
  79. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 三つの順序の中で、やはり私どもが一番最初に手がけなければならないのは、管制官そのものの養成でございます。管制官自体が非常にいま不足しておる状態にございますので、やはり日本全体の管制官の養成計画の中でこれを徐々に取り上げていくのがまず第一であろうかと思います。  なお、かりに、いますぐ着手してどのぐらいかかるかという御質問でございますが、これはいろいろな条件がございますので正確にお答えすることは困難でございますが、やはりかりにすぐ準備を始めても五年前後という年月はかかるであろうというふうに考えております。
  80. 鈴木力

    鈴木力君 かりにいますぐ準備を始めてもということなんですけれども、これは大臣、ほんとうのことを言ってくださいよ。準備を始める気があるのかないのかですね。大体こういう日米合同委員会で協定をしてあるわけでしょう。これは二年前だ。そうしていよいよ十五日に引き継ぎをするわけですね。この「暫定的に」ということは望ましいことじゃないから、結局はこの進入管制は運輸省がやるべきことなんです。それまでの間は暫定的にと、こういうことなんでしょう。この日が来て——ちょっと御答弁のことばじりをつかむようでぐあいが悪いんですけれども、気を悪くしないで聞いていただきたいんですけれども、かりに準備を始めるとすればという、この答弁のおことばは私はどうも気にかかるんです。する気があるのかないのか、これはもう大臣に伺ったほうが一番いいと思うんですけれども、どういうことですか。
  81. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 気にかかるとおっしゃいますが、そのとおりだと思います。これがいろいろ問題に今日まではなっているわけなんです。日米安保条約の六条というものにひっかかって、実際やる気があってもできないのじゃないかというところからも根があるわけでございます。それはなぜかと申しますと、普天間あり、嘉手納ありということが話題になってくるわけでございますが、いろんなこれから詰めていかなきゃならぬ問題がたくさんあろうと思います、私も、事実。しかし、いつまでもこれをほっておかれる問題ではございません。そこで、那覇だけ、那覇空港だけ切り離すことはできぬかというようなことも一つの私は考えじゃないかと思うわけでございます。でございますから、そういうような点もあわせ考えて、とにかくやろうと思った時点から五年間なんというような——いつやるかは、そのやろうと思うことが問題なわけでございますから、そのいわゆる出発時点を、もうすぐ即刻に始めまして——これも先ほど来繰り返して申し上げますが、いろんなやはり問題点を私は残しているだろうと思います。ただ条文の上をさらっと読みますと、そういうふうに三つの空港一ぺんに進入管制までいけるということでございますが、これは今後詰めてみなきゃならぬと思いますが、先ほど申し上げましたように、那覇空港だけでも、最悪の場合には一つでも切り離していくという覚悟は私はきめて手順を進めてまいらなきゃならぬと、そのように考えます。
  82. 鈴木力

    鈴木力君 だから、どうも私は心配なのは、さっき嘉手納や普天間や、米軍の基地がある限り、沖繩の空の返還というのは永久にないのじゃないか。そうすると、返還のときの合同委員会の協定事項やなんかですね、ああいうわれわれが審議したときとはまた違ったものが出てきているような気がするんです。そして、いまの御答弁ですと、少なくとも私は、この「暫定的」という、これを解消するための努力というのは政府側には見えなかった。外務省に聞くと運輸省に聞いてくれ、運輸省に聞けばいまのようなことなんです。そうすると、私は疑問に持つのは、意地悪みたいなことを言いますと、たとえばいまこの三つの条件がある。どういう方式を採用するのかという条件がある。管制官の訓練がある。諸施設がある。それなら施設なんというようなことこそ、どういう施設をしなければいけないのか、その計画書ぐらいは出ていなければいけないでしょう。管制官の養成が一番先だと局長さんからはさっき御答弁いただいた。しかし、どういう方式でやるかがわからぬで管制官の養成が先だということも、これもどうも、専門家はどういうことなのかわからぬけれども、私にはわからない。まずどういう様式があるかということを決定することが先なら、それくらいのことは緊急に着手したぐらいの答弁がなければ、ほんとうに沖繩の今度の管制、航空路進入管制からいろいろありますが、そういうものをわがほうが引き継ぐという意義がどこにあるのかというのです。名前だけは引き継ぐけれども、実際は引き継いでいないのじゃないか。少なくともいま伺った限りにおいては、この点に関する限りは政府側では具体的な検討もなければ、やろうとする気持ちか——気持ちがないというと、気持ちはありますよと言うかもしれない。しかし、その気持ちのあらわれは一つもなかったというふうに私はもうがっかりせざるを得ない。これはもう早急に着手をすべきですよ。そしていま大臣がおっしゃったように、まず那覇空港の進入管制だけでも早いところ、P3を中心とするアメリカの海軍の基地を移動さしてでも、早いところそれだけでもまず実施ができるような体制というものを私は国民に示すべきだ。やっぱりいままでの御答弁から伺いますと、空は米軍にまかせますという政府の態度がはっきりしたと思う。私は非常に残念です。これは運輸大臣の御決意を伺いたいのです。
  83. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほど申し上げましたように、いままで手をつけてなかったということは事実でございますが、今後におきましては、三つをとにかくそのむつかしさを克服してもやる努力は積み重ねてまいらなければならぬと思います。いろいろ問題も出てこようと思いますけれども、さしあたりその大目標に計画を進めると同時に、那覇空港だけでもまずやるという決心をきめて早々に着手し、発足していきたいと、かように考える次第でございます。
  84. 鈴木力

    鈴木力君 それからもう一つ伺っておきたいのは、防衛局長おいでですから、こういう状況で沖繩の空というのは、米軍管理が一つありますね。それはもう圧倒的に私は飛行回数は米軍が多いだろうと想像しますがね。それからわがほうの自衛隊があるわけでしょう。そして民間の空路があるわけです。この中で自衛隊の航空機はどの管制に入るのか。
  85. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 現在は、言うまでもなく那覇の米軍の管制のもとにありますが、五月十五日以降は運輸省の管制官の管制のもとに飛行することになります。
  86. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、いまの進入管制のほうはしばらくは米軍の管制の中にあるわけですね。それから、これは現在は運輸省の管制下に入っていると思うけれども、発進の場合ですね、緊急発進というような場合にはどういう経路を経てどう回っていきますか。
  87. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 緊急発進機の扱い方につきましては、本土では中央で協定を結んでおりますが、沖繩は従来米軍の管制下にありましたので、米側と運輸省側、それから自衛隊側と、三者で沖繩だけの協定をつくっております。そして五月十五日以降は、本土の中央の協定の傘下にある一つ地方協定としてやはり米側も関与いたしまするので、三者の地方協定を結ばせるということになっております。
  88. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、米側と運輸省と自衛隊とですか、三者というのは。その本土の形式によって沖繩だけのその協定をまた結ぶ、こういうことですか。
  89. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 本土は米側が入っておりませんで、運輸省系統と私どもの中央の協定、及び地方の協定は運輸省と自衛隊だけでありますが、沖繩につきましては、この中央の協定を受けた一つ地方協定をつくるわけでありますが、その場合に米側も入ると、こういうことであります。
  90. 鈴木力

    鈴木力君 その米側が入るのは、これは米軍の基地がある限り永久ですか。さっき運輸省とやりとりをしましたその諸条件が整うまでですか、それはどちらですか。
  91. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) これは運輸省の御意見も伺わなければなりませんが、進入管制業務運輸省側が引き継げば私は米側は関係ないのではないかと、こういうふに思います。
  92. 鈴木力

    鈴木力君 運輸省、いかがですか。
  93. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 防衛局長のお答えのとおりでございます。
  94. 鈴木力

    鈴木力君 さっきから私がしつこく進入管制の引き継ぎをやるべきだ、「暫定的に」を解消すべきだと言うのは、そういう心配があったからだと思うのですね。ここのところが解決をすれば、発進、進入、これはもう日本側同士の管制のもとに自衛隊もやれるわけでしょう、いまの局長の御答弁では。ここのところが解決しない限りは、わが自衛隊機といえども米軍の管制下の中に入っている。その米軍の管制下に入っている期間というものが、いま、いつこれが解除されるのかという計画が何もない、こういうことになるわけです。したがって、自衛隊機の管制というものも、緊急発進にいたしましても、新しい協定を結ばなきゃ、そこにもまた米側が関与する、関係をする、そういう関係が永久に続く、こういう問題に戻ってくる。そういう点で、どうも私は、この那覇空港の返還という、管制の引き継ぎということに対しましても、ほんとうに実効があがるのかどうかわからぬ。名前だけ貸しておいて、実際はそちら側のほうにまかしておる、こういう関係が永遠に続くと思われてならないのです。  こういう点で、さらにあれしてもらわなくちゃ、努力をしていただかなければならないと思いますが、もう一つ防衛庁の防衛局長さんに伺いたいのは、民間の空港のわきに、これは那覇だけじゃありませんけれども、自衛隊の基地がある。千歳なら千歳もそうですね。そうして運輸省が実際は管制を実施をしている。しかし、緊急発進になるというと、それを運輸省の管制官が待てと言う権限はないわけでしょう。そうすれば、実権がどちらにあるかということになるんです。緊急発進が必要だということになれば、民間機しばらく待てと、緊急発進のほうが先だと、こういう形になってくると、管制はまかしてあるけれども、管制に対する指令はむしろ自衛隊のほうが優位に立つ、こういう形のものがいつまでも続くということになれば、これも望ましいことではないと、こう思うのですよ。そういう関係を自衛隊のほうでもいつまでもこういう状況に置くのか、あるいは整理しようとしているのか、そういう計画があるのかないのか伺いたい。
  95. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) スクランブル機の絶対的な優先的な思想というのは、実は一昨年でありましたか、その前ですか、雫石の航空機事故がありましたその以前はそうでありました。したがって、その時点におきまして、中央の協定を改めまして、絶対的な優先権ではございません。現在の扱い方としましては管制権を持っているところ、まあ運輸省であれ、あるいら自衛隊側であれ、それがその民間機の状況、それから航空機、わがほう自衛隊機のスクランブルの任務及び全体的な航空の安全を考慮して便宜的な措置を講ずるということでありまして、そのときそのときに応じた措置を管制官側が講じられるということでありますので、常に優先的に扱われるということではございません。したがって、優先ということばは使っておりません。そこで、私どもとしましては、今日の状況で今後もよろしいんではなかろうか、事は領空侵犯措置ということは、主権の保護、主権の防衛と申しますか、そういうことにかかわることでありますので、その程度の措置はとっていただきたい、かように思っております。
  96. 鈴木力

    鈴木力君 優先ということばを使っていないということは承知しておる。優先ということばを使わないながら事実上優先するということが私は危険な状態になると、こう思って聞いたんですけれども、その辺は運輸省のほうもよほどしっかりしてもらわないと、あとで問題が起こる可能性があると思って伺ったんですが、だいぶ時間がありませんで、もう一つだけ伺いたいのは、さっきの台湾との問題ですね。台湾のFIR、これは、今日の場合には米軍は台湾との間の協定があるわけですね。それで五月の十五日には米軍から日本のほうが引き継ぐわけですから、管制のあれを。そうするというと、その引き継ぎ方の中に台湾との関係がどういう形に引き継がれるのか。全然関係なしに引き継がれるとすると、将来の台湾のFIRと日本の航空の関係がどうなるのか。これは運輸省に伺いたい。
  97. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) 台北の管制部と那覇の管制部との間で何らかの航空機の受け渡しに関する技術的な了解というものが必要なことは先生指摘のとおりでございまして、現在は米軍との間にそういう取りきめがあるわけでございます。この米軍から引き継ぐ際に、現在ある米軍と台北の管制部との間の取りきめがそのまま引き継がれるかと申しますと、私どもの了解では引き継がれないというふうに了解しております。新たに台北の管制部との間に何らかの了解が必要になる。そういう前提で、ただいま交流協会、亜東協会を通じまして台湾側と折衝しておる段階でございます。
  98. 鈴木力

    鈴木力君 大臣に伺いますけれども、この場合どういう手続になるんですか。要するに、いまのFIRというのは、あれは国連で定めた、国連の関係の世界的なあれでしょう、情報交換網といいますか、そういう形で設けられているわけですね。そうすると、中国が国連に加盟をしておる。台湾は国連に加盟をしていないわけなんです。それから日本とは国交がない。日本は国と認めていない。だが、そのいまの協定を結ぶということですね。その道筋は、しかし事実上うまいこといけばいいという方法があるだろうと思いますけれども、その辺は、いま交渉が進んでいるんですか、進んでいないんですか、それからその行き方というものは、どういう方法で、どういう根拠でおやりになっておるのか伺いたい。
  99. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 台湾に対しまして正式な国交を持ってないのは御承知のとおりでございまして、先ほど航空局長が御答弁申し上げましたように、米軍から引き継ぐFIRのいわゆる管轄権と申しますか、安全運航権と申しますか、この点につきましては、御指摘の国連の下部機構でございますICAOの会議において、それを中心にしてそれぞれ設定されるわけでございます。したがいまして、米軍から引き継ぐFIRの問題につきましては、わがほうの——これはもう純技術的な問題でございますから、現に外国機は台湾のFIRの中に日本から発進いたしまして着陸し、あるいは通過している現状でございますし、またわが国の航空機といたしましても、南西航空が与那国に事実管制区をくぐって——くぐってと言ってはおかしいですが、このFIRの線の中に入って運航しているわけでございます。こういうような問題につきまして、台北に係官を派遣いたしまして、純技術的な問題でございますから、そういう問題につきましてわがほうの考えていることも十分述べております。また、台湾側といたしましても、その点については非常に友好的な理解を示してくれておりまして、これを最後にどういうふうに仕上げるかということにつきましては、いま航空局長が御答弁申し上げましたように、外務省を通じまして、いわゆる民間協定と申しますか、その正式な名前はともかくといたしまして、そういう形で亜東協会あるいは交流協会を通じて正式なものに話し合いがつくというふうに考えております。
  100. 鈴木力

    鈴木力君 直接関係はないと思いますけれども、防衛局長に伺いますが、山中防衛庁長官がいつか防衛庁の航空識別圏ですか、防空識別圏を台湾の上空まで拡大をするというような意味の談話をなさったというふうに、そういう記憶がありますけれども、その防空識別圏を広げるという実際の計画は、防衛庁はどこまでどうなっておりますか。
  101. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 四月末ごろでありましたか、衆議院の外務委員会で山中長官が答弁された内容でありますが、それは沖繩方面のADIZ、つまり防空識別圏の線が与那国島の真上を通っております。これはその線で台湾側と日本側とで分かれておるわけでありますが、防空、あるいは領空侵犯措置の面から見れば、与那国島の上空を横切っておりましても、これは内部的な扱いの問題でありまするので格別支障はないわけでありまするけれども、わが国領土を全部包摂してないのはおかしいんじゃないかという率直な御疑念があられたようであります。そこで、できるならば与那国をこちらの防空識別圏の中に取り込むように若干の修正をはかったらどうだろうかということが答弁趣旨でありまして、具体的な線引きをまだ検討はいたしておりませんが、長官の趣旨はそういうことでありまして、それを遠く台湾のほうまで持っていくというようなことではございません。
  102. 鈴木力

    鈴木力君 そういたしますと、いまの台湾に関する限りは、民間機にしろ、あるいは自衛隊機にしろ、大体の航空路の上の問題は一応解消されたと伺っていいわけですか。
  103. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 問題がいま残っておりますのは、FIR、あるいは防空識別圏に関連をして、台湾側では、日本の航空機がその中を許可なしに飛ばないであろうし、もし飛んだ場合には適当な措置を講ずると、こういうことがありますので、具体的な問題としましては、すでに民間機は遠回りをしておりますので、その点は問題ありませんが、救難関係——航空救難及び海上における漁船の遭難等におきまする海上保安庁なり自衛隊なりの救難の場合に、救難機が行きました場合にどうなるかという問題が若干残っております。この点につきましては、運輸当局のほうでしかるべき措置を講じられつつあるそうでありますので、私どもとしましては、五月十五日以降といえども救難活動について格別の支障はないものというふうにいまのところ見通しておりますが、その時点になってどうなりましょうか……。
  104. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いまの鈴木先生の御指摘は、全部それでは解決したのかと、こういう御指摘でございましたが、まだ全部解決したというわけではございません、これは最後の、どういうふうな形になりますか、成案をつくり上げなきゃなりませんから。しかし、いまの現状において、運航その他につきましては差しつかえはないと、安全に運航できると、こういうふうに考えております。最後の詰めというものが、まだどういう形になりますにしろ残っているわけでございまして、これ、いま外務省を通じてやっていると、こういうことでございます。
  105. 鈴木力

    鈴木力君 アジア局長さんおいでですか。——それではいいです。  それでは最後に、もうこれでやめますけれども、いろいろと伺いましたが、やっぱり私がきょう伺いますと、何となしに沖繩の空がほんとうに今度は返るんだというふうなあれに見えますけれども、事実上は返った形をとりながら全然返らない、そういう形になるだろう。その障害は何といっても五項の解決だと思うんですね。協定の五項の解決だ。したがって、さっきいろいろとやりとりをいたしましたが、その線に沿っての具体的な一つのものというもの、プランというものがほんとうに国民に示されてこそ、いつ沖繩の空がほんとうにわがほうに返るんだということが出てくるだろうと思います。そういう点の具体的なプランをひとつつくってお示しいただくように、私のほうからは強いこれは御要望を申し上げると言ったほうがいいと思います。  同時に、管制官の養成の問題なんですけれども、もういろいろと伺いはしませんが、どう見てもやはりこれからさらに航空路といいますか、わが国の航空がどんどんどんどん前に進んでくる、進歩するといいますか、大きくなるだろう。さっき私が一番先に申し上げましたように、ローカル空港もいまのような状態ではなしに、もっと横なり何なりというのの連絡網にほんとうに地域の要求が生かせるような空港に私は衣がえすべきだ。そういう形になってきますと、いまの管制官の養成という問題はきわめて重要な問題になってくると思いますね。そんな意味でこの中身を伺いたかったんですけれども、結局私は将来足らないだろう。本格的なそういう要員の養成ということも、具体的に計画を立てて実施をされたいと申し上げたらいいと思いますが、そういう御要望も申し上げて、きょうの質問を私はこれで終わります。
  106. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私、すわったままで質問をいたしますので、どうか大臣はじめ政府の方々、そのままのお姿で御答弁願えればけっこうだと思いますので、よろしくお願いします。  いま熱心に鈴木委員のほうから、沖繩における航空交通管制の昭和四十七年五月十五日の日米合同委員会においての合意された問題点について、四項、五項の点で相当こまかく質問をなさいましたので、私はこの質問をする予定でおりましたけれども、避けまして、ここで問題になりましたのは、暫定的という、「進入管制業務を行なうまで暫定的に」という五項と、それから四項における「航空交通管制業務の運用を行なう。それまでの間は暫定的に米国政府がICAO基準に準拠した方式により、」云々と、ずっとこうあります。問題になりましたのは、この「暫定的」というふうなことが一点だと思います。  そこで、この法律案には関係のないことですが、一、二点お伺いをしたいと思います。と申し上げますのは、タクシー料金が暫定されて暫定料金とされております。つい最近に、二、三日前ですか、報道によりますと、タクシーに遠距離逓増料金制の制度を採用することが云々ということが出ておりましたけれども、ロンドンやパリ、ローマ等欧州の主要都市ではもうすでにそれを実行して効力もあげているというようなことも報じられております。その遠距離逓増料金制の理由として、私はこのように解したのですが、遠距離区間は電車やバス、そういう利用度が——利用していけばいいと、それからもう一つは、春闘で予想を上回ってベースアップをした、会社経営がそれによって困難になってきたというような理由でこの逓増料金制というものを考えているというふうに私は受けとめたんですが、その点、大臣のほうから、それは違うと、こういう考えのもとにそういうことを考えているんだというふうに御答弁を願えればいいと思いますが、申し上げましたように、暫定運賃というものは、申し上げるまでもなく、一月の二十九日から大体実施をしております。この暫定運賃というのをいつまでこの形にしておくのか、また、いま申し上げた遠距離逓増料金制の基本料金としてこれを切りかえていこうとするのか。初乗りから、それからこの遠距離にわたっていくところの逓増料金制というものをつくっていこうとされるのか。タクシーというのは、大臣も御存じのように、もう庶民の足でございます。したがって、大型の電車だとかバスだとか、大型輸送していくというものとこれは別個に分けられないと私は思うわけです。こういう問題から、タクシー料金がわれわれ国民生活にどれほど大きな影響を与えてくるかということ、そういう点を考えた点の上からも大臣の御答弁をひとつお願いしたいと思います。
  107. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) ちょっと、立ちませんと気分が出ませんから、立たしてやらせていただきます。  暫定運賃は一月二十九日にきめたが、いつまでこれを暫定という名のもとに引っぱっていくのか、いつ本料金に切りかえるのかと、こういう趣旨の第一点であったと思います。御承知のように、当初、暫定に踏み切りますときに申し上げましたように、これは、一つはLPGの供給の問題あるいは値段の問題、そういうような問題が非常に浮動的な状態でございまして、いつどういう形でこれが落ちつくだろうか、その落ちつくまで一応の暫定期間というものを考えたわけでございます。で、いま現状におきましても、LPガスの問題は、非常に一見出回っているようでございますけれども、毎月まだ確保して詰めていかなきゃならぬというような状況でございます。しかし、以前のような状態でないことは事実でございます。したがいまして、この暫定料金を固定した本料金に切りかえる時期というのは、決算期のいろんな状況を見まして、そしてそれとあわせましてこのLPGの供給の実績、あるいは今後の見通しというようなものも十分見きわめた上で、なるたけ早い時期と申し上げたがいいかどうかは別といたしまして、そう長くこのままほうっておくつもりはございません。そういうものを十分勘案いたしまして、四十八年度の決算とか、あるいはいま話題や、あるいは大きく問題にはなっておりませんけれども、まだ油の供給状況というものはさだかでないものがございますが、そういうものを見きわめた上で、なるたけ本料金に切りかえていきたいと、こう考えております。  そこで問題になりますのが、いま御指摘の第二点の遠距離逓増問題でございます。これは二、三日前でございますか、四、五日前だったか、日本経済新聞だったと思いますが、日本経済新聞のいわゆる料金制の立案構想でございまして、運輸省として、そういうようなものも一つ考え方ではあると思いますが、これにこだわっているわけでもございません。今後どういうようなふうに本料金の基礎を固めていくか、基本料金の基礎を固めていくかということについては、まだいろんな点を勘案していま構想を進めておるという段階でございます。
  108. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 暫定運賃につきましても、これは業界のほうとしても、これは非常にたいへんだと思うんです。われわれがタクシーを利用するにしても、いざこざがちょいちょい起きているという場面もございますし、われわれも、料金表を見て、料金表のお金だと思うと、暫定表の料金でこれこれかかったんだというようなことで、この暫定運賃というものをやったときには相当ごたごたが起きたということ、私自身も不便を感じた。これがいつまでの時点までそれが続くのかということは、いま御答弁によりますと、四十八年度の決算等によって考えていきたいというお話でございますが、大体あれは二九%程度のアップの姿だと思いますが、申し上げるまでもなく、春闘の以前でありますし、それが今度は基本料金というふうに据えかえられてきますと、三〇%アップということがまあ一段階というふうにわれわれは考えられるわけですが、そういうようなことがはたしてお考えの中に入った——あのいまお話かありました日経のあの記事をお読みになったものなら、どうなのか、そういう点もひとつ伺っておきたいと思うんですがね。
  109. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まあ日経の記事は、先ほど申し上げましたように、非常に各国の例も取り入れて、一応傾聴に値する議論だとは思いますが、まだそういうところまで実は運輸省としては考えていないわけでございます。暫定料金をいつまでも置いておくということについては、いま御指摘のとおり、取るほうも利用するほうも非常に不便でございまして、これは先ほど申し上げたとおりに基本料金に切りかえていきたいと思っております。その場合に、どういうものを要素に入れるかということでございますが、これはやはり四十八年度の決算というものを一応ながめてみませんと案が出てこないと思います。それから、春闘におきましてのアップ率等も、もちろんそういうものも考慮の中に入れて案を固めてまいらなければならぬと思います。そういうようなもろもろの底辺をつくった上で、油の情勢等を勘案しまして基本料金に切りかえたいと、かように考える次第でございます。
  110. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、これは料金は基本料金も上がるというふうに考えなきゃならないのかという——私はとうもせっかちで結論を先にもらいたいみたいな考えなんですけれども、そうなりますと、先ほど申し上げましたように、庶民の足を大体事実上奪うようになってくるというような考え方から、いまの御答弁によりますと、上げざるを得ないようなふうにしかとれなかったんですが、そうではないんですか。
  111. 中村大造

    政府委員中村大造君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、四十八年度の決算をよく吟味いたしまして、しかる後に、たとえば四十九年度の収支ということで考えてみた場合にどうだろうか、あるいは五十年度、翌年度の収支ということで考えたらどうなるか、まあいろいろとり方はございますわけで、したがいまして、いまの時点で基本運賃をきめます場合に、考ちに再値上げと、こういうことには結びつかないのではないかと思うわけでございます。特に今回は六大都市だけではなくて、全国的に暫定運賃を実施いたしておるわけでございまして、それぞれ地域地域によりまして状況は若干異なるわけでございまして、したがいまして、一律にもう一度値上げになるという結論はいまの段階ではまだ出せないのではないかというふうに思っております。
  112. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 じゃ、本題じゃございませんので、また次の機会に……この点はわれわれ庶民の立場の上から考えていきますと大事な問題ですから、いまの御答弁等についてよくこれからの姿を見守っていきたいと思います。  次、もう一つは、航空交通管制部の組織といいますか、東京並びに福岡の管制部の組織と、それから千歳におけるその組織といいますか、それらのことにつきましてまずお伺いをしたいわけなんですが、今回の沖繩那覇航空交通管制部の関係施設の整備というものについては法案として取り上げられておりますが、私は特に札幌関係の航空交通管制部の組織の形態というもの、どんなふうにお考えになっておられるのか、将来どういうふうにしていこうとされておるのか、まずその点から伺ってみたいと思います。
  113. 松本操

    説明員(松本操君) 先生御承知のように、航空交通管制部は現在東京、福岡、札幌の三カ所にございまして、四番目が、いま御審議願っております法律の改正を待って那覇にできるということになるわけでございます。札幌にございます航空交通管制部は現在七十五名の総員をもって運営をいたしております。主として北海道及び東北地方の北部の一部、この空域を航行いたします航空機の航空路管制、それから一部の空港についての進入管制、これを行なっておるわけでございます。将来この札幌航空交通管制部をどのようにする考えかという御質問でございますが、現在、御承知のように、第二次空港整備五カ年計画によりまして、航空保安の向上のために全国を八つのレーダーでおおう、さらにそのレーダーと電子計算機を結びつけて情報処理方式を導入するというふうなことを実施しておる段階でございますが、札幌におきましても、函館の近所にございます横津岳と、それから宮城県の上品山、この二カ所のレーダーを札幌の管制部のほうに引いてまいる、それによって、現在札幌の管制部はすべて、マニュアルと申しまして、レーダーを使わない管制をしておりますが、これが完成いたしました時点、予定といたしましては五十一年度の半ば過ぎごろからというふうな考えでおりますが、レーダーを用いた管制にいたしたい。したがいまして、現在の管制部の庁舎が非常に狭隘でございますので、そのごく近くでございますが、新たに用地を購入いたしまして管制部の庁舎も全く新しく建て直す、こういうふうな計画で作業を進めております。
  114. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、たしかあれは四十一年の予算委員会だったと思いますが、冬季オリンピックを招聘するために札幌の飛行場を将来国際空港としての展望の上に立ってやるのかというふうなことを質問したことがありますけれども、そのときに、準国際空港としての機能を備えたいというような答弁が確かにあったと思うのですが、それらを考え合わせまして、いまの御答弁を得たわけですけれども、そこで問題は、最近二十数回にわたって、ソ連の放送局の電波といいますか、ソ連の電波によって、東京千歳間、これの航空路がハバロフスクのほうに、西側のほうにずうっと引っぱられてきたという事故が、事故といいますか、幸いにして航空事故というものはございませんでしたけれども、西側のほうに移行されていったということが問題になっております。この点につきまして、どういうふうな処置、またどういうふうな関係でそういう事態が生じたのかということについてお伺いをいたしたいと思います。
  115. 寺井久美

    政府委員寺井久美君) ただいま御指摘の件につきましては、直ちに航空局の飛行機によりまして電波の検査をいたしました。その際、千歳のNDBの周波数に非常に近い外国の放送の周波が混信しておるという事実が判明いたしましたので、直ちに電波監理局にこの旨を通報いたしますとともに、この旨をNOTAMによりまして運航関係者に周知徹底をいたしますとともに、また、定期航空会社三社に対しましては函館のVOR/DME及び熊NDBを併用いたしまして正確に航空路を飛行することを指示いたしまして、また、航行中管制機関とも十分連絡をとって航空路から逸脱しないようにということで周知徹底をはかりました。で、その結果、その後防衛庁からのレーダーの監視による報告によりますと、ほとんど逸脱する航空機がないというふうに聞いております。また、電波監理局と引き続き協議をいたしまして、すみやかに処置をとるということで目下検討中でございます。
  116. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 要を得て簡単な御答弁ですが、これは要を得たというおつもりで答弁なさったと思うんですが、非常に大きな事故等が起きたときに万全の処置を講ずるということ、そういうことで絶対の体制というものをやはり整えなきゃならないということで、私は、将来の問題としてどうとらえていこうとしているのかということ、それが一点なんです。  で、いまお話を伺えば、伺ったことについてはこれはすでに北海道新聞等で内容の記事が出ておるんです。その点までは私は知っているわけなんです。それで、このソ連の電波というものに対してどんなふうな処置をとられたのか、ソ連とどういうふうな折衝をなさったのか、あるいは、郵政省の人もおいでですけれども、国連の周波数の問題等もからんでくるでありましょうけれども、こういう点からどんなふうに手を打たれようとしているのか、その点も伺っておきたいんですが。
  117. 曾根正司

    説明員(曾根正司君) ただいまの件でございますが、第一点といたしまして、国際上周波数がどのような状態になっているかということでございますが、現在、札幌のNDBに使っておりますところの二百二十キロヘルツという周波数は、第三地域と申しまして、アジアですね、アジア、豪州方面におきましては航空無線航行のための周波数になっております。それからヨーロッパ——ソビエトを含めてヨーロッパ地域におきましては、第一地域と申しておりますが、これは放送と航空無線航行の業務というようになっております。したがいまして、国際法上はソビエトは放送に使えるわけでございます。それで、ソビエトのいま御指摘のございました放送の周波数でございますが、二百十八キロヘルツでございます。函館のNDBが二百二十キロヘルツでございます。そこで二キロヘルツの、何といいますか、差がございます。それで、ソビエトといたしましては、一九五九年にこの波に対しまして、周波数登録委員会、IFRBと申しておりますけれども、ここに登録をいたしまして、その前後から使用しているのではないかと想像されております。現在のところ、使用開始月日はさだかにされておりませんけれども、一九五九年に登録されておりますので、それから以後ずっと使っておると、こういう状況だと思っております。  したがいまして、この函館のNDBに対しましては、過去十五年間、いままでこういったことがなく過ごされてまいったわけですが、この二月になって突然、先生が御指摘のような航空機が西に寄るという事故がございました。これに対しまして、運輸省さんのほうから連絡を受け、直ちに私どもといたしましてはNDBの検査を実施し、それからソビエト領のほうから参ります放送波に対しましても監視をいたしたわけでございます。その結果、ソビエトに対しまして、これは条約上はスキータスといたしましては全く日本もソビエトも同じように権利として認められているのでございますけれども、航空保安の関係上人命にも関係するということでございまして、ソビエトに対しまして混信の排除方を打電した次第でございます。これは三月の四日の日にソビエトに対しまして打電をいたしました。ところが、ソビエト側からは、四月の十七日になりまして、現状を維持すると、こういうような回答をいただきまして現在に至っておる次第でございます。したがいまして、私どもといたしましてはこの対策を現在考究中でございます。
  118. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまこちらで話をしてましてね、肝心な最後のところを聞いてなかったのです。ごめんなさい。四月の十七日に……
  119. 曾根正司

    説明員(曾根正司君) 四月の十七日にソビエトから、ソビエト政府としては現状を維持すると、こういうような旨の電報を受け取りました。それで結局、ソビエトといたしましては現在の放送波を変更するというような意向がないということがわかりました。したがいまして、電波監理局といたしましては、現在の札幌のNDBの周波数に対しまして三月二十五日に運輸省さんのほうから周波数変更の申請が出てまいりましたので、その申請を受けまして現在作業を進めているところでございます。
  120. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ソ連では現状維持していく、それで三月二十五日に連輸省のほうから変更の通知を受けたのでその方向に向かっていると言われております。夜間、特に冬だった関係もありますけれども、これからどうあるかということも予測されないことだと思うんですね。したがって、この問題は郵政省ばかりじゃなくて、外務省のほうもこの点について、加賀美外務参事官のほうはこういう問題についてどんなふうな考え方をされているのか、外交上の問題としてどうとらえられているのか、この点もひとつ伺っておきたいと思います。
  121. 加賀美秀夫

    説明員加賀美秀夫君) 私どもといたしましては、先生指摘のように、航行上の安全、ひいては人命の安全にも関係する問題でございますので、運輸省当局それから電波監理局御当局と協議いたしまして、実害がある、あるいはそのおそれがあるということであればしかるべき措置をとるように十分に検討いたしたいと思います。
  122. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまお聞きのように、現状維持をしていくというソ連のほうのことですね。そういう点等を踏まえられて、私は、運輸省それから郵政省等とよく打ち合わせをしょっちゅうしなきゃならないと思うのです。変更といっても一ぺんに変更できるわけではありませんし、ですから、その点を特にこの際念を押しておきたいと思います。もし万一のことがあって、外交上の手が抜けておったなんというようなことのないように、その点も確認をしておきたいと思うわけです。  そこで、稚内のレーダー基地の問題等もありますけれども、千歳——防衛庁久保防衛局長かおいでになりますのでお伺いしたいのですが、北海道のほうに戦闘機の増備をはかっていくというような問題、それからいま申し上げた稚内のレーダー基地の問題等を含めて今日の千歳における防衛庁のレーダーの装備が完全であるかどうかという点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  123. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 防空体制の面から見ますると、レーダーサイトを幾つか設置しておりまするし、そのレーダーサイトはそれぞれ電子計算機によるいわゆる半自動早期警戒施設に連動されております。レーダーサイトのレーダーにつきましての換装、これは方位、高度と、それから何でしたか、三次元レーダーに換装する計画は逐年持っておりますけれども、それ以外に、千歳の飛行場のレーダーにつきましては現在進入管制業務をやっているものがありまして、これについての換装は考えておりません。そして千歳については民間と自衛隊機の両方の管制をやっておりますので、それに関する限りにおいてレーダーの機能が不十分であるというふうには考えておりません。ただ、全般の防空体制の一環として、千歳でありません、レーダーサイトのほうのレーダーの逐次の換装、こういう計画はございます。
  124. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 運輸大臣は、いまの防衛局長答弁ですね、運輸省としてはどういうふうな考え方千歳に関してですね、お考えになっておるか。運輸省としての考え方
  125. 後藤茂也

    政府委員(後藤茂也君) お答え申し上げます。  ただいま防衛庁から御答弁のございました防衛関係のレーダーでございまして、私どもがいま航空路管制その他について整備を急いでおりますのは、先ほど管制保安部長から御説明申し上げました北海道あるいは東北の北部に設置いたします航空路管制用のレーダーでございます。それらはそれぞれ用途を別にいたしますものでございまして、特別に運輸省の側から希望なり意見なりというものを申し上げることではないと存じます。
  126. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大体、自衛隊のレーダー、五十マイルが現在使用されているわけですか。
  127. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 千歳のお話だと思いまするけれども、現在進入管制業務に使っておりまするレーダーは、機能的には八十マイルぐらい到達するそうでありまするけれども、進入管制業務運輸省から委任を受けておりまするその範囲が五十マイルでありますので、五十マイルの範囲でレーダーをきかせ、管制を行なっている、そういうことであります。
  128. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 じゃ、ついでにお伺いしますが、三沢のものも同じですか。
  129. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 三沢その他、いわゆる進入管制業務を行なうターミナルレーダーでありますると、機能的には大体五十マイルから六十マイルというふうになっております。
  130. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、千歳と三沢との間に空間が起きるようなことはありませんか。
  131. 久保卓也

    政府委員(久保卓也君) 言うまでもなく、飛行場周辺のためのレーダーコントロールでありまするので、したがって、五、六十マイルの範囲を自衛隊側がやってくださいというふうに運輸省から委任を受けておるわけで、その間のものは、これはいわゆる航空路の管制を行なっておられるわけで、しかしながら、航空路管制を行なうにあたって全部を運輸省系統のレーダーがカバーをしておりませんので、先ほどからお話が出ておりまするような新たな全般的なレーダー、ポジティブコントロールと申すと思いまするけれども、そういう組織を運輸省のほうで設置をしたい、こういう計画だと思います。
  132. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 もう一つこの問題について伺って終わりとしたいと思うんですが、この周波数の問題で、国内間の中には、そういう問題点が将来起きるようなことはありませんでしょうね。これは運輸省のほうですけれども、国内の航空関係のほうでそういうような……。
  133. 松本操

    説明員(松本操君) 先生の御質問が、先ほど来問題になっておりましたNDBと放送局の周波数の間の混信という趣旨でございますならば、私ども郵政のほうからいろいろ承っております限りにおきましては、そのような心配はないというふうに考えております。国内についてはそういう問題はないというふうに聞いております。
  134. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いずれにしましても、大臣、この問題は将来も起きないとは限りません。これはひとつ綿密に御研究願って、手を打っていただきたいということを要請しておきます。どうぞ、郵政省の方、外務省の方、けっこうでございます。  そこで、今回の法案の問題に入りますが、海員学校の件でございますが、私がいまさら申し上げるまでもなく、わが国の諸産業の発展と並行して、原材料や製品の輸送量というものは、これはもう相当、年ごとにふえていると思うんです。そういうふうな関係で、わが国は御存じのように島国である関係から、港湾整備がどうにかできているというふうにも思えるわけですけれども、まだまだ日本海の海域とか、あるいは北海道全道の海域等については、その港湾整備もまだできてないところもだいぶんございます。いずれにしましても、そういう中において、日本の海運の将来をになうという生徒のことについて運輸省としてどんなふうに考えておられるのか、まずそのお考えをお伺いしておきたいと思います。
  135. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、わが国におきましては海運というものはきわめて重要な産業でございます。と同時に、これを担当する海員の力というものは非常にまた重かつ大であることは申すまでもないことでございます。で、運輸省といたしましては、この海員養成あるいは技術革新に伴いましていかに今後この訓練をはかっていくかということに従来鋭意つとめておるわけでございます。しかしながら、問題は、最近は、先生も御承知のように、海員に対する応募がきわめて少なくなりつつあることはいなめぬ事実でございまして、こういった点につきましては、私どもとしては、極力各海運局あるいは地方の各団体を通しましてPR活動に鋭意努力しておると同時に、また、ただいまこの海員学校、特にこの中堅である海員学校の卒業生に対しましては高校卒の資格を与える、こういうことにつきまして文部省とも鋭意努力を払っておる、こういうことで、極力海員の応募率を高めるということ、同時に、海員の技術革新に即応したレベルアップにつとめる、こういった点について予算の面あるいはその他の面について鋭意努力を払っておる、こういう状況でございます。
  136. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 御答弁にありましたように、非常に応募数が減少している。その問題点というものが幾つかあると思うのですがね、時間の関係で、こまかくお伺いすればよろしいのですけれども、私のほうから……。私の調べた状態によりますと、資料は運輸省のほうからいただいた資料ですから、その資料に基づいて私なりに計算をしてみたのです。そうしますと、四十八年度の定員九百三十五に対して、合格者が九百十四名で、〇・九八である。四十九年度は、定員の九百三十五に対して七百九十三名で、〇・八五というふうに、こういうふうにすでに定員を割っているのに加えて、四十五年度からの総体的な面から見ていきましても、中途退学者が非常に多いということ、応募者数も四十八年から減少して、四十九年度はかろうじて定数よりたった二十五名しか多くなかった。しかし、いま申し上げたように、中途退学者が年次別に見てものすごく多いわけです。そうしますと、先ほどの御答弁がありましたように、これからの内航にしろ外航海運にしても、にない手としての第一線で働くこの若い青少年の人たちに希望を与えていないと、こう思うわけです。さっきも言いましたように、その減少している理由というものが幾つかあるでありましょう。それらを一つずつチェックしていきながら対策を講じていくようにしなければいけないと思うのです。  そこで、さらに申し上げてみますと、この高等科で例をとってみますと、四十六年度応募者数と、そして卒業者数とを差し引いてみますと、二年間たっておりまして、応募した二年前の分と、そして現実に卒業した者と差を引いてみますと、中退者が三百四十四名、三六%という計算になります。それから四十七年度については三百五十二名も中退者が出ているわけであります。三四%です。それから四十八年度は四百三十七名の中途退学者で四一%、こういうふうに、ものすごく上昇をしてきているわけであります。確かに、四十五年におきましては、応募数は千五百七十五、定員七百七十五に対して。そしてその合格者が九百五十一というふうに、四十五年の時点においてはややいいと思ったのが、いざ四十六年の卒業ということになりますと、いま申し上げましたように、三六%というごく悪い結果が出ているということ、これらのデータ等を見ていきましても、内航科についてはさらに四十八年度は五八%も悪いということになっております。で、本科のほうの司ちゅう科のほうにいきますと、司ちゅう科のほうはわりあいに卒業——応募数に対して卒業者数というものが一番いいわけです。こういうふうな面から見ていきまして、これは私の考えですが、司ちゅう科というのは免許証も与えられるという資格の問題がはっきりしているから、ですから卒業者も、やめる者が、中途退学する者がいないというふうに私なりに考えたわけです。これらのデータ、パーセント等で私が調べたものから、どんな理由をつけて、どんな理由のもとにこういうふうな中途退学というものがふえているのか、これでは日本の海運界というものの将来というものは全く暗いものになっていくんじゃないかというふうに思えるわけですが、この点について明快な御答弁を願いたいと思います。
  137. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生が御指摘のように、最近におきまする海員学校の応募率、並びに中退者が多いということは遺憾ながらいなめ得ぬ事実でございます。  まず、応募率の点から申し上げますと、先生も御承知のように最近高校進学率が非常に上がっております。かてて加えて、いわゆる陸上産業といいますか、こういった第二次、第三次産業への希望者も非常に多い、こういうことが大きな理由であることはいなめ得ぬ事実だと思います。  それから一方、先生指摘の中退者が多いではないか、こういう点でございますが、確かに先生指摘のようにそういった事実はございます。では、なぜそのようなことが起きるのかと申しますと、いろいろと私どもも調べておりまするが、一つ先生も御承知のように、海員学校におきましては全療制をしいております。そして、きびしいある意味の規律生活を行なっておりますので、そういった中には、遺憾ながらこういった団体生活に順応できないというような意志薄弱の者があることも事実でございます。また、そのほか家庭の事情、あるいは先ほど申しました陸上産業へのあこがれ、こういうようなことから遺憾ながら中退者が多いことも事実でございます。で、私どもといたしましては、では、しからばどうすればいいか、こういうことについて日夜頭を痛めておるわけでございますが、基本的にはこういうふうに考えております。やはり先ほど先生も御指摘のように、日本海運のいわばにない手、担当者といいますか、こういった海員に対する世間の評価といいますか、こういったものを高める、これを名実ともに高めていくというじみなPR運動が私はまずもって必要じゃないか、同時に、それが物心両面においても考えなくちゃいけない。たとえば給与の面においても、極力海運企業の経営を圧迫しない限りにおいて考えていく、あるいは将来の先生指摘のように夢を与える、希望を与える、こういう意味におきまして、いろいろな持ち家制度の問題なり、あるいは福祉制度の問題につきましても、海運の各団体を通しましていろいろと努力を払っておる次第でございます。  それから先ほど申しましたように、やはり先生も資格というお話がございました。確かに司ちゅう関係におきましては資格が与えられております。こういったことが魅力の一つであることは事実だと思います。それ以外のいわゆる海員に対しまして、先ほど触れましたように、この海員の卒業生に対しまして高校卒の資格を与える、こういうことにつきまして文部省の当局ともいろいろといま折衝を重ねている段階でございます。そういうようなことをいろいろと考え、いわゆる魅力のある産業といいますか、チャーミングなインダストリーといいますか、こういった点につきまして厚生の面、あるいは予算の面、その他につきましていろいろと今後とも努力を払っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  138. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 非常に歴史が古いにかかわらずだんだん衰微していくということは、これは問題だと思うのです。いま御答弁がありましたけれども、通信教育でも高校卒の資格を与えられているという時代なんだし、それからさらに私なんか申し上げたいのは、通信制というものをこの期間、一年は無理かもわかりませんけれども、あとの一年のときに通信制なんかもやって、そしていまお話しありました高校卒業資格というものを取らせるようにするとか高校卒という資格も与えられていない。しかも学科の面では、教育は高校教育というものも一応はやっているというように思えますし、特にそれに加えて実習課程というものをやっているわけですから、この二年、高等科二年卒業して、あと一年六カ月して、実地訓練やって二等航海士とかあるいは二等機関士というふうな試験の資格を、筆記試験なしでやれるという、そこまでの筆記試験を免除しているという面からいっても、当然高校卒というものに対する考え方というものをまとめていかなければいけないんじゃないか。文部省側のほうの意見もこの際聞いておきたいと思います。
  139. 柴沼晉

    説明員柴沼晉君) いま先生指摘のとおり、通信制の高校に、海員学校に在学しながら通信制高校の課程を履修することは可能でございまして、通信制高校において四年間の年限を勉強し、一応卒業に必要な単位は八十五単位でございますが、を取ることによって高校の卒業資格が与えられる、このようになっております。現在、船員局長からもお話し申し上げましたように、運輸省といろいろどのような方法が一番いいかということで話し合いをしているわけでございますが、海員学校は現在二年間である、それからまたその内容が専門の非常に何といいますか、科目が多いというようなこともございまして、これをストレートに、まあ高等学校を認めるんではなく、通信制高校をあわせて履修する。また、場合によりましては、通信制高校で、現在勉強中の技能教育施設の単位をそのまま認める制度もございますし、そのような方法によってできるだけ海員学校の生徒に対して高校卒の資格を与えるようにしていきたいということで相談中の事案でございます。
  140. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私がことさら申し上げることもありませんですけれども、中学校から高校に入っていく生徒数の率を見ていきましても、年々職業教育のほうの入学者が非常に少なくなってくるという、これは私、非常に、将来日本の産業というものから考えてみて重大な問題になると思うんですが、いただいたデータによりましても、四十六年度で普通科の生徒が二百四十五万四千百五十九人に対して職業——農業、工業、商業、水産、家庭、そういうものを全部ひってくるめましても、その累計からいきましても百六十九万二千四百五十九名と非常に劣っているわけであります。その他等も入ってですからね、これは。こういうふうな全体の面から見て、いま御答弁がありましたように、いまほとんど高校のほうに進学をしていくということがあたりまえのような形になってきているわけであります。しかも、それで海員学校に、中学校を卒業して高校に行けない人が、家庭の事情等々で、いろんな事情がありましょうけれども、高校に行けないので技術を身につけようとして、日本の将来の海運界というものをになっていこうというような大きな希望を持って入ってくる人も、そういう面から考えていって、いまのままの状態でいったらこれはなくなっていくんじゃないか、こういうふうに思うわけです。  こういう問題が一つと、もう一つは、これがもし週休二日制になれば、これはどうしていくんだろうということになる。こういう点、何かお考えになったことがあるかどうか。週休二日制になっていったら、海運界をになっている人たちが、むしろこの学校、この程度の卒業生で将来の希望が持てるかどうかという問題、これが第二点です。第三番目は、先ほど御答弁の中にありました、陸上に希望するということをおっしゃっておられましたけれども、これは海員学校じゃなくて、商船大学の卒業者が海上勤務にどれだけの者が残り、またそして陸上勤務の者がどれだけ多くいっているのかというそういう問題。それは海員学校の点ばかりじゃなくて、いま申し上げたような商船大学の卒業者も、今日に至っては非常に陸上を希望する者が多くて、海上を希望する者が少ないという、この点等についても、第三番目として、どんなふうなこれからお考えを持っていこうとされているのか伺っておきたい。
  141. 住田俊一

    政府委員(住田俊一君) お答え申し上げます。まず第一に、先生が、休日休暇の増加に伴いまして船員の需給関係はどうかと、こういう御質問でございます。確かに先生御承知のように、今度の春闘におきまして休暇が非常にふえたことは事実でございまして、そういうことによりまして、船員に対する需要、あるいは予備員の増加ということが非常に予想されることでございまして、それに伴いまして不足の傾向が出てくることもいなめ得ぬ事実だと思います。また一方、内航につきましても、最近までは労働力はやや不足の傾向が出始めておりましたけれども、これまた今回の春闘によりまして休日休暇がふえたと、こういうことで今後不足の傾向が出始めることは、これもまたいなめ得ぬ事実だと思います。これにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、運輸省といたしましても関係機関、特に業界あるいはその他出先機関と協力いたしまして、船員に対する応募率を極力高めるようにいろいろと努力をしておると、こういう状況でございます。それが第一点。  第二点に、私どもの所管しておりまする海員学校の卒業生についての御質問でございます。これにつきましては、最近の統計によりまする資料によりますると、この春の卒業生総数七百九十三人でございますが、外航が六百二十九人、内航が百十九人、それから官庁関係が二十九人、その他陸上関係が十六人ということで、ほぼ就職率は一〇〇%に達しておるというわけでございまして、なお商船大学のほうにつきましては文部省の所管になっておりますので、そちらから御答弁いただきたいと思います。
  142. 柴沼晉

    説明員柴沼晉君) 実はたいへん申しわけないんでございますが、その資料を持っておりませんので、後ほど御説明させていただきたいと思います。
  143. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 商船大学のほうのまた資料、お願いします。
  144. 柴沼晉

    説明員柴沼晉君) はい。
  145. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 委員長、これはお願いします。  時間がございませんので、もっといろいろな諸問題にわたってこまかく質問をする予定でございましたけれども、時間の関係でもう一点だけ伺って終わりたいと思いますが、この海員学校予算の成立状況を見ますと、四十八年度から四十九年度の予算にかけては非常に減額をされている。これは新しい施設が四十九年度はなかったから、四十八年度は逆に新設した施設が大きなものがあったから予算がふえたんだと、こういうふうに私は思えるわけですが、ところが陸上で実地訓練をやっておりますね。内燃機関だとか、機関関係等で陸上実習というものをやっております。この実習をやっております関係の状態を私は二、三カ所見てきましたけれども、予算が非常に少なくて、そしてその部品なんかも座礁した船の中からもらってきたとか、あるいは要らなくなったものを、要らなくなったというものの船から取ってきたとかというようなことで実習訓練をしているというところも私はあるように見てきたわけですが、こういった問題それからカッターにしても相当もう年数の経過しているやつがあるんです。こういうものも少しずつしか切りかえていくことをしない。そういうことなんかではやはり私はいけないと思うのです。これ、減額をするんですから、減額した分を、そういう当然カッターにしても十年以上経過していればどんどん取りかえるということなんですけれども、十年たたなくてもいかれているものもあるわけです。そういう全体の総点検をして、全くの施設関係の整備が完成しているかいないかとあうこと、これをつぶさに各学校単位をやってもらいたい、こう思うわけです。非常にこの問題点、一ぱいあります。私、調べたのもだいぶあるんです。だが、時間がないものですから、きょうはこの程度でやめますけれども、実際上予算がないないと言う。一面では、運輸省の側から言わせれば、予算はあるんだと、こう言っていますけれども、実際現地の実態調査をしましても、そうは言えない面が一ぱいあるわけです。  これは幾つか私行ったところの要覧を持っておりますけれども、この要覧で、今度は一々支援している外郭団体の内容についても、政府がもっと助成の、補償の方法というものも、援護してあげるような形じゃなきゃならないと思うのです。というのは、施設関係の、援護関係のところから小づかいをもらっているわけです。そういうふうな点で、今日の物価高騰によって見ても、寮の海員の生徒たちの私生活という、自分の日用品は自分で買わなきゃならぬ。まあ衣服は借りられる。ところが下着なんかは全部自分が持たなきゃならない。その小づかいはどこから出るかと言えば、ほんとうに食事の面だけが出るようなことであって、その本人自身は家から持ってくるかしなければ私物のものは補えない。貧しい家庭のところから多くの人たちが来ているとすれば、これはこういう点にも大きく愛情の手を差し伸べてやらなければ衰微していくばかりだというふうに思うわけです。こういう私の、いま問題点と、初めからやりとりしておりますことを大臣がお聞きになりまして、どんなふうなお考えを持っておられるか。また、どうしていかなければならないのかということを伺って、私の質問をやめたいと思います。
  146. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お話の点は、私も御同様船乗りをやっておりましてよくわかります。なお、この若い少年たちに夢を持たさなきゃならぬということも全く同感でございまして、これはもう私ども——私どもと言ってはまことに失礼でございますが、私は尋常高等小学校だけしか出ていないもので、そういう身につまされて、こういう海員学校の生徒にどうしてもひとつ夢を持たしてやろうと。これは私の在任中の一つの課題として必ずこの点をなし逐げようと思って文部大臣とも御相談し、また文部省にもお願いしまして、このことだけでも私はひとつ残していきたいと、かように考えるわけでございます。  なお、いまいろいろな御指摘の点等につきましては、幸いにいたしまして、今日まではほんとうに海の国民だというんで学校の先輩諸君がいろんな点で援助をしてくれて、後援会等をつくって若い後進の者たちを激励してくれていることも承知しております。これはまことにうるわしいことだと思いますけれども、こういうものだけにたよって、政府がそういう施策をないがしろにするわけにはまいりません。先ほどお話がございましたように、一ぺん総点検をして、さらにひとつ予算の面におきましても、あるいはその他の処遇の面におきましても、今後これを機会に、この法案を、波方学校を昇格さしてもらいます機会にひとつ努力をしてまいるということをお約束申し上げたいと思います。
  147. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いまの大臣の御答弁を私は大きく期待しております。大臣が就任なさってから、遠洋航海に行かれる、また海員の生徒に直接に激励に行かれたということ等は、ほかの大臣にはできなかったことだというようなことも漏れ承っております。いずれにしましても、将来の海運界をになっていくこの子たちの大きな道を開いてあげていただきたいということを申し上げて、終わりにしたいと思います。
  148. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 文部省当局に申し上げます。  先ほど宮崎君から要求のありました商船大学校卒業者の就職状況を資料として当委員会に御提出願います。
  149. 柴沼晉

    説明員柴沼晉君) はい、わかりました。
  150. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 本日の審査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会      —————・—————