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1974-04-25 第72回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十五日(木曜日)    午後一時二十六分開会     —————————————    委員異動  四月二十四日     辞任         補欠選任      西村 尚治君     星野 重次君      星野  力君     岩間 正男君  四月二十五日     辞任         補欠選任      今  春聴君     安田 隆明君      星野 重次君     片山 正英君      源田  実君     稲嶺 一郎君      上原 正吉君     細川 護煕君      郡  祐一君     木村 睦男君      楠  正俊君     西村 尚治君      中山 太郎君     鍋島 直紹君      鈴木  強君     藤原 道子君      上田  哲君     前川  旦君      岩間 正男君     星野  力君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺本 広作君     理 事                 岩動 道行君                 岡本  悟君                 鈴木  力君     委 員                 稲嶺 一郎君                 片山 正英君                 木村 睦男君                 西村 尚治君                 細川 護煕君                 安田 隆明君                 戸叶  武君                 中村 波男君                 藤原 道子君                 前川  旦君                 宮崎 正義君                 中村 利次君                 星野  力君    国務大臣        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    政府委員        人事院事務総局        給与局長     茨木  広君        人事院事務総局        職員局長     中村  博君        内閣総理大臣官        房総務審議官   佐々 成美君        総理府人事局長  皆川 迪夫君        行政管理庁行政        管理局長     平井 廸郎君        防衛庁参事官   大西誠一郎君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁参事官   岡太  直君        防衛庁長官官房        長        丸山  昂君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        防衛庁人事教育        局長       高瀬 忠雄君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛庁装備局長  山口 衛一君        防衛施設庁総務        部長       安斉 正邦君        文部省大学学術        局長       木田  宏君        厚生省医務局次        長        宮嶋  剛君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        大蔵省主計局主        計官       梅澤 節男君        厚生省児童家庭        局障害福祉課長  北郷 勲夫君        厚生省児童家庭        局母子福祉課長  岩佐キクイ君        自治省行政局公        務員部給与課長  山田 守一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十四日、西村尚治君、星野力君が委員辞任され、その補欠として星野重次君、岩間正男君が選任されました。また、本日、今春聴君星野重次君、鈴木強君、岩間正男君が委員辞任され、その補欠として安田隆明君、片山正英君、藤原道子君、星野力君が選任されました。     —————————————
  3. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 中村利次

    中村利次君 きょうは防衛医大開校式だそうでありますので、防衛医大に関してほんのちょっと質問したいと思います。  防衛医大は、さきに行なわれました入学試験で、競争率四十何倍というまことに高い競争率応募者があって、きわめて優秀な学生を採用することができたといって防衛庁でもたいへんお喜びになっていたようでありますけれども、ところが、ふたをあけてみたところが、合格者の中からたいへんな入学辞退者が出る、補欠者に対して合格通知をお出しになったら、またこれもほんの少数の入学希望者しかなかったというので、どうもこれは、何ですか、三十数人の入学定員を欠員のまま開校式を挙行されなければならないということになったようでありますが、これは考えようによっては、今日以降の対処をちゃんとやっていけばそれほど問題にすることもないということにもなりましょうけれどもとりようによっては、まことにこれは重大にして、かつ深刻な問題でもあろうと思うのですけれども、いずれにしても、この対処をするにしましても、そういう事態に対する正確な認識と誤りのない対処がありませんと、これはやっぱり深刻な問題のほうにウエートがかかってくると思うのですけれども、まずやっぱり正確な認識をどのようにおやりになっておるのか、そういう点からお伺いをしたいと思います。
  5. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) まあ、率直に申し上げまして、初めてのことであったものですから、私ども分析が少し甘かったという点はこれは認めたいと思うのです。ただ、八十名の定員を予定していながら四十六名によって開校する——第一期生ですね、これは何としても正常ではありません。しかし、八十名にできなかったかといえば、これは簡単に八十名にすることはできました。ということは、四十三倍以上の応募者であって、しかも試験官がびっくりするほど優秀な成績の者たちがおったものでありますから、ことにひしめいていたものですから、それを八十名確保ということに目標を置けばこれは確保は簡単にできるんです。しかし、そういうことをやっていいかどうかについて私いろいろ考えたんですが、予算法律の通過のおくれ、あるいは予算執行についての校舎その他の所沢における整備等が間に合いませんで、入間基地隊舎を借りてのまことに一期生としては待遇の悪い環境で最初の教育を、しかも重大な一期生を送り出す基礎教育を始めますので、これはむしろ予定していた中の、応募した者、入隊してくる者四十六名だけを、それで切って、そしてむしろ隊舎設備資材その他の教材等不足分を、先生方の八十名に対する指導を四十六名に対して濃密に指導していただくことによってカバーしていくほうをとることがいいんじゃないか、こう思ったんです。そこで、四十六名で、それ以上を満たす努力をすれば簡単に満たせたんですが、しなかったという判断があります。  しかし、今後はそういうことのないように初めから考えておきませんと、察せられる原因は、試験官も驚くほど優秀だったということは、あとで追跡はしておりませんでしたが、国立大学に相当行ってしまっておる。その他の大学にもすべりどめ、腕だめし等でやってみようかというので一応いどんできて、自分たちは本来医者になりさえすればいいんだということでありましょうから、したがってそちらのほうへ、本来の道のほうへ進む者が多かった。本来の道と申しますのは、防衛医科大学校を卒業しても医官たる自衛官であって、医者であることには変わりませんが、しかし、やはり自衛官たる医官になるんでありますので、学生も普通の必要な医者になるための勉強のほかにやっぱり訓練その他の基礎訓練を受けるわけであります。そうすると、やっぱり執銃訓練なんかどうかなあという、そういう医者になるのに不要な気持ちもあると思うのです、いまの若い青年諸君には。そういうことなんかをかれこれ思いますと、来年からは少しくそのような事態を事前に考えた上の定員充足ということを考えて、試験後の通知のしかたその他を考えなくちゃならない、こういうふうに思いまして、今回はむしろ四十六名にあえてとどめたということで、今後の教訓に資すると同時に、そのほうがかえって一期生としてよろしいのではないかという気持ちもありまして私が裁断をしたわけであります。
  6. 中村利次

    中村利次君 八十名の定員充足をしようと思えば簡単にできたという御答弁でございましたけれども、これは追試験等をおやりになれば確かに可能であったと思うのですが、しかし、大臣がおあげになった理由で、確かにそうであるというものも私はあると思うのです。しかし、まさにこれは異常状態ですね。八十三人の合格者の中で三十六人ですか、実際に入学されるのは。七十数名の補欠の中にたった十名しか実際に入学を希望される人はいなかったという点については、これはやっぱり大臣の御答弁の中で、確かにそうであろうというものをすべりどめなんていうのは、私はこれはちょっと理由にならないと思いますが、ほかの国立大学を受けて、そちらのほうを合格して希望された、そっちのほうに入学された、こういうことは大いにあると思いますけれども、いかにもちょっと数字が異常過ぎましてね、何かわれわれの常識からいくとなじめないものがありまして、これはあとで逐次私は質問をしたいと思うのですが、自衛隊に対するイメージといいますか、そういう点について、はたして全然関係なかったのかどうか、そういう点の分析はいかがでしょう。
  7. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは一般隊員募集の際もそういうことは同じ前提があると思いますし、ことにこのむつかしい試験を受ける能力のある学生たちでありますから、これはいわゆるインテリの青年諸君であります。その当然の考えられる背景としては、やはり日本防衛の任に当たる自衛隊の国民的な理解、コンセンサスというものがいまだに得られていない、これは私ども立場から申し上げるわけであります。反面、またこれは相当教養の高い諸君でありますから、長沼判決自衛隊というようなことも、あるいは考えている者もあるかもしれません。一般隊員の場合には、あまり影響はないように見受けますが、そういうこと等は、これは私どもとしてやはり相なるべくんば、日本国民の全部とはなかなか言えませんでしょうが、最大公約数の理解と支持とを得ることにこれは全力を尽くすべきである。これは内に対しても外に対しても、自分たち自身も含めてでありますけれども、そういうことがやっぱり背景にはあるだろう。そのことはこれは共通の問題として考えておりますし、先ほど私が述べました理由にそれを落としたのは、ついうっかり落としたわけでありまして、それが一大前提であるかもしれないという気持ちはございます。
  8. 中村利次

    中村利次君 そこで、これはやっぱりどういう対策をお立てになるのかということが続いてくるわけでありますけれども、まあ一時間程度の質問ですから、これはひとつ続いて質問をいたしますので、同時にお答えをいただきたいと思いますが、確かにこれは大臣もきびしく認識をされておりますのにそういう問題がある。そこで、これはわが党は、独立国としての自衛権があるのだという立場をとって、自衛権を行使する手段としての自衛力はこれは持つんだという立場をとっておりますけれども、しかし、その立場に立っても、いまなおこの四次防に対してはやっぱり批判をし反対の人がおります。現在の国際情勢下における自衛力はどうあるべきか、限界はどうあるべきかということは、これは基本的な立場に立っての議論をしなければならないと思いますが、しかし、であっても、現在ある隊員、いまは大臣もお認めになっておるように、自衛隊に対するイメージ隊員に対するイメージというものは必ずしもよくない。そこで、一つ方法として、りっぱな隊員が二期、三期というぐあいにできるだけ長期にわたって定着をしてもらうようにというので本法律案提案されたと思うのです。  ところが、提案理由を拝見をしてみますと、これは大臣さきの国会だったと思うのですが、青年がみずからの意思によって、やっぱり自衛隊員たらんとするようなそういう気持ちを出してもらうようなものに資するためにと、こういう意味のことを答弁であっしゃったと思うのですね。ところが、こういうことを提案をされるのに、そういう意味提案理由といいますか、こうこうこうだからこういう法律改正をしたいのだというようなものが全くない。ただ事務的なことだけしかないのですが、それはどういうことでしょう。
  9. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) これは実はこの問題だけが、隊員たちあるいは若者たち自分たちの生涯の道として自衛官たる道を選ぶいろんな条件があるわけですが、その中の一環としての処遇改善、これはまあやっぱり金でものを解決するということは基本的には正しいとは思いませんが、しかし、やはり処遇とか退職の際の幾らもらえるかというのは、これはやはり無視できない要素でございますので、ここに出してありますものは法律によっておきめいただかなければ措置できないものが書いてあるだけでございまして、そのほかに処遇改善等については、もうすでに御案内のとおり、四十三歳、四十五歳の三曹、二曹の定年を予算上の定員のワクを一ぱい取ることによりまして、五十歳まで希望する者は自分の意に反して四十三、四十五の中途はんぱな年齢でやめさせられることはないと、こういう措置もいたしましたし、また試験を受けても通らなかった、あるいは受ける意思もなかった、しかし自衛隊につとめて長い間一曹として努力をしておる、しかもある方面においてなかなか優秀であるという者は准尉への道を開いていただいておりますが、さらにその准尉ももう曹の吹きだまりであって、五年間はまあ准尉かという、そういうことではせっかく設けていただいた准尉への道というものが、実際上はほんとうに中核、準幹部としての役に立つ存在になるかどうかに疑問が起こるおそれがありますので、そこで、試験をしないで選考をもって、大体該当者の一割ぐらいを選抜をもって二年間三尉の職につかしめる。実際上にすぐれた技能その他の部門についての三尉職を執行するというようなことも予算上実現いたしておるわけでありますから、それらの問題全部を踏まえて言えばいまおっしゃったようなことになると思いますが、この部分だけでもって、これは特に手当等は、これは横並びの問題で改定されるものに伴ってやるものでございますし、そう大上段から、これがそれでございますというようには、その一部門であることは間違いございませんが、法律でお出しする分はこの分だけでございますという意味で、格別提案理由説明にそういう大げさな大上段のものの言い方は遠慮いたしましたというのが事実でございます。
  10. 中村利次

    中村利次君 これはまあずうっとその経過がございましてね、何か政府提出法律案、まあ議員立法もそうですけれども法律案というのはやっぱり提案するにはそれなりの根拠というか理由というか、そういうものを伴ったスタイルというのが私は一般的なスタイルだと思うんですね。まあ大臣の御答弁格別のあれはないようでありますけれども、しかし、これは先ほども私は申し上げましたけれども反対反対賛成賛成でわれわれは、立法府は、これは立場立場ではっきりものを言います。しかし、やっぱり行政の責任としては常にあれじゃないんですか、こうであるべきだという姿勢があって、私どもがかりに反対立場であっても、そういうものが基調となったものがスタイルとしては当然ではないかという感じがしましたのでこれは質問をしたんです、あえて。  やっぱり同じようなあれになりますけれどもね、いつも問題になりますこの隊員募集状況充足率、その後これは変化がございましたか。明るい見通しじゃなくて暗い見通しになっていませんか、どうでしょう。
  11. 高瀬忠雄

    政府委員高瀬忠雄君) 四十九年の二月末の自衛隊員充足率は八七・一%でございまして、それで実はまあ非常に募集環境はきびしゅうございまして、必ずしも明るい見通しということにはまいりません。まあしばしば申し上げますけれども、十八歳から二十四歳までの年齢の者を採用するわけでございますが、その年齢層が四十六年をピークにいたしまして毎年毎年三十二、三万人ずつ減っております。そういった客観的な事情もございますし、それから高校への進学率がもう九〇%になっておりますし、それから大学への進学率も相当高くなっている。それから一般企業における求職率といいますか、そういうものも非常にありまして、まあ一般企業では大体その考えた目標の一〇%余しか何か採用しておらないような事情でございます。まあそういうようなきびしい環境がございます。  したがいまして、ことしは必ずしも見通しは明るくはありませんけれども、まあしかし先ほど大臣が申し上げましたように、いろいろ処遇改善をいたしまして、そうして自主的に応募をしてくる者の数をふやすと同時に、現在おる者につきましては継続して任用してもらって、そしてその充足率を高めるというようなそれに関する施策をいろいろ考えておりまして、で、まあこの問題は募集のための施策ということばかりじゃなくて、隊員の生きがいを感ぜしめるという反面のあれがありますけれども、そういうことによりまして充足をできるだけ高めていこうというような努力をいたしている次第でございます。     —————————————
  12. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、源田実君、上原正吉君が委員辞任され、その補欠として稲嶺一郎君、細川護煕君が選任されました。     —————————————
  13. 中村利次

    中村利次君 これは隊員募集あるいは定着率の問題にしても、たいへんにどうも暗い状態であるということは否定できないと思いますね。そこで、定着率はどうですか。これは何も自衛隊だけじゃなくて、この民間の企業でもなかなかどうも定期採用で人が、若年労働力はいままでのところはなかなか集まりにくい、定着率の問題はまあ経営者の頭痛の種であるという面もありますけれども、この中途退職者がどうも五割に近い状態というのもこれもやっぱり異常だと思うんですけれども、これはずっと一貫をして、こういうものに対してやっぱりどういう認識をされ、あるいはどういう対処をされていくのか。相当これは深刻な問題として対処をしなければならないと思いますけれども、いかがでしょう。
  14. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 先ほどの御質問はまさにそのとおりで、募集環境は現状もそれから将来の見通しもそう明るいと言えません。このことは私どもは正直にこれは認めて対処しなければなりませんし、客観情勢がなかなか困難な状態になりつつある。しかもその中でせっかく入ってもらった者が離隊率が高い、この点はやっぱり問題がある。この点を考えて、まあ今回の二任期制になるべく進んでもらうようにというようなことも考えたわけでありますが、これもまた背景を考えますと、今日の青年諸君たちのまあある意味で自由奔放なそういう青春時代というものの中で、自衛隊はやはりこの規律ある生活、上下の服従、それよりも自分の自由がなかなか束縛される隊舎生活、こういうようなものに伴いまして、まあロングヘアにしておれも歩いてみたいと思うがなかなか隊内で——長髪禁止はいたしておりませんが、みんな長髪をしておりませんから、まあそういうようなこととか、ガールフレンドと気ままに遊べないとか、徹夜で飲めないとかいろいろなこと等もまあ若者考え方ではこれはやっぱり重大問題だと思うのですね。そういう諸君を、ある意味ではどうも閉じ込められて、しごかれて、上官に従うように——自分では強要されてというような環境の中へ直ちにほうり込まれますと、これはどうもいかぬわい、こういうところに長居は無用だということで、許可をとってやめる者もおりますし、蒸発みたいにいなくなってしまう、親元と相談してさがしてみてもなかなか見つからないというそういう隊員たちも出てまいりまして、これはたいへん悩みの種でございますが、私はやっぱりいまの青年たちは非常に知識とかそういうものは昔よりもすぐれたものを持っておると思いますが、一種のある意味では甘えたところもあるんじゃないか。  だから、親元と離れてきておる青年をお預かりしているという立場で、単に演習のときだけの指揮官上官ではなくて、勤務が済んだらさっさと官舎のほうに、あるいは自分の宿舎に帰ってしまうというそういう気持ちから一歩踏み込んで、きょうはあれだけ演習のときにきびしくやった、いまごろはめしが済んでいるころだなあと思ったら、隊舎に行って、そして兄貴のつもりで、おやじのつもりでいろいろな雑談をしたり、身上相談に乗ったり、そういうことも決して小さいことではないぞというようなことも含めて、いろいろ対人関係というようなものなども非常に注意してやっておるつもりでありますが、なかなかこの問題も基本的な解決策が見出しがたい。この点は今後私どもがいかにこれに対して努力するかという問題にかかっておるわけでありますが、かといって、この傾向を、まあ五割とかいう数字はこれは異常でありますから、どこまでいけるか。これをなくすることは私はできないと思うのですね、志願してまいるわけですから。いやになったらやめちゃうわけでありますので、そこらを考えますと、やっぱり私たちのやるのにも限度があるなあということをいまのところは考えてるところであります。
  15. 中村利次

    中村利次君 確かに中途退職者をなくすることは、これはまあ至難のわざというよりも不可能だと思いますね、これはどこでも定着率一〇〇%というのはないわけでありますから。まあおっしゃるとおり異常な退職者をどうしていくかということだと思いますね。  もう一つ募集方法、これはもう前々から本委員会でもずいぶん議論を尽くされてきたところですから蒸し返しの蒸し返しみたいになりますが、ここでやっぱり思い起こしますのは、どうもあんまりバラ色募集をして、入隊をしてみたところがあまりにもうたい文句とはかけ離れていた、こういう点も——これは募集なんというものは幾らかの誇張はあるかもしれませんが、そういう点が常に指摘されるところですけれども、こういう点については何か当面のお考えございますか。
  16. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私は、志願兵制度のもとにおいて、相なるべくんば自主志願というものの比率が一番高いという姿であるべきが至当であると考えます。しかし、最近徴兵から志願に切りかえたアメリカなどを見ましても、なかなか自主志願のほうがそうそう高いとは申せないようでありますが、わが国の場合はことに最近それが低下してまいりまして一〇%台に落ち込んでおる。したがって、縁故募集なり、あるいはまた街頭勧誘などという悪口をきかれるそのような手段というものもやむを得ず努力をさせておりますが、まず基本的な考え方として、これは自衛隊内部の問題でありますが、募集担当官が、数多く入隊せしめた者に何年かの実績によって表彰状が贈られる、そういうことは一体どうなのかなということを考えまして、まず数多きがゆえにとうとからず、要するに質の問題、定着率の問題を——その募集官募集した人員、相手の数がどの程度ほんとに定着し、質もよかったかという問題も考えなければいかぬ。また募集官としても、半年か一年たったら、あのときあそこで会って、喫茶店で会った青年が快く入ってくれたが、いまどこにいるだろうか、自分募集したことが本人にとっては後悔しているのではないかというような、電話一本、はがき一つぐらい、そういうことをやったことがあるかという——どうもただ入れてはそれだけという感じがしてなりませんので、これからはそういう表彰のしかたも改める、たくさん入れた者だけを表彰するというような考え方はとらないと、こういうようなことも言っております。  しかし、いずれにしてもこの募集の問題はよほど私たち考え方を改めて、方法も考えていきませんと、いよいよ困難な環境の中で、ときたま、入れてはならないような社会的な基準というものも、それを無視して、どうしてそんな、まあたとえば、決して軽視するわけではありませんが、自衛隊としてはどうかと思われるいわゆる精神薄弱的なですね、施設の者等が勧誘されて入っていたというような事例も指摘されております。こういうようなことは、入ってみてもしょせんは一緒についていけませんし、そういうようなこと等で本人をかえって不幸にいたしますから、十分戒心すべき点でありますが、私たちにとって、募集のあり方という問題は、いままさにわれわれにとって基本的な課題としていま検討中でありますが、何とかしてこの募集のあり方を正常な姿に近づけたいと、まあこういうことでいま努力をいたしております。  なお、募集の文句等、入ってみたら、見ると聞くとは大違いという、そういう感じをなくするようにしなきゃいかぬ。たとえば、これは国民みんな、自衛隊は、少なくとも隊内居住で生活している者は食事はただで食わしてもらっているんだとみんな思っていると思うんです。しかし、実際はその自衛官給与体系の中に食費はめり込ませてある。ですから、形こそ自分が金を払って食べてるわけじゃありませんが、給与体系はめり込ませてあるわけでありますので、自分の金で実はめしを食ってるわけなんですね。しかし、隊内できょうはライスカレーだといえば、自分はライスカレーを食いたくない、うどんを食いたいと思う者も選択の余地が許されない。一斉単一の種類の給食を余儀なくされるものが、しかも自分の月給から実際上は天引きされてるんだという実態というのは国民はあまり御存じない。あるいはまた当然自衛隊隊員たちめしはただで食ってるんだろう、船に乗って航海に出たら当然それは官給されてるんだろうと思っていらっしゃると思うんですが、そういう常識が、入った者にとっては、その常識と違うという実態はやっぱり——何だと、めし代は結局自分たちが払ってるのかと、それなら自分の好きなものを食わせいという、そういうようなことにもなると思うんですね。私はことしの予算要求でこれを解決しようと思ったんですけれども、相当金額も食いますので、いまは自衛隊——防衛庁給与制度に関する学識経験者の調査会というものをつくっていろいろ検討をお願いしておりますので、そこらのところでどうすべきかについての御検討をいただいた後具体化していきたい、こういうことも考えております。たいへん長い答弁をいたしまして恐縮でございました。
  17. 中村利次

    中村利次君 この法律案提案される前に、継続任用奨励金構想をお持ちになって、予算要求でこれをおやりになってきたはずでありますけれども、これとこの内容及びこの継続任用奨励金と本法案との関連ですね、そういう点についてはいかがでしょう。
  18. 高瀬忠雄

    政府委員高瀬忠雄君) かねてからこの継続任用の状況が、二任期に参りますのが入りました者の半分、それから三任期はそのさらに半分というようなことで、非常に継続任用につきまして、その実態から見て継続任用の問題を取り上げておりました。それでいろいろまあ、しからばどういうふうなことでこの継続任用者の数をふやそうか、その対策はどうかということを考えたわけでありますが、その中の一つといたしまして、それでは継続任用奨励金というものはということでその問題を研究したことがございます。それと同時に、並行いたしまして、この任期制の特退職手当の増ということも研究いたしまして、その両者いろいろ比較検討いたしましたけれども、継続任用奨励金と申しましてもなかなか制度的にどういう根拠でやるかというようなことで、検討いたしましたが、法律改正も必要であろうというようなことでございまして、それでかれこれ検討した結果、特退官手当の制度の改正のほうがむしろ制度としてはやりやすいというふうに考えましたので、継続任用奨励制度にかえましてこの制度をとろうということを最終的には決定していただいたわけであります。
  19. 中村利次

    中村利次君 それから予算編成の場合ですね、さき防衛二法案で定員増も制定をしたわけでありますけれども予算は、人件費等は定員でお組みになるのか実員でお組みになるのか、その点はどうでしょう。
  20. 小田村四郎

    政府委員(小田村四郎君) 予算は、おっしゃる御質問にお答えいたしますと、結論として実員で組みます。つまり年度末の推定人員に当該年度の募集見込みそれから退職見込み、両者を差し引きまして別々の推定人員を出しまして、それに基づいて予算を積算するわけでございます。
  21. 中村利次

    中村利次君 これは当然そういう組み方をされると思いますね。そうなりますと、これはやっぱりまた基本に返るんですけれども、あの定員をふやしてみたって、実際には募集してみてもなかなか応募者はない。中途退職者も非常に多くの数があるということになりますと、防衛力整備計画自体これはやっぱり問題なしとしない、見直さなければならないという原則論に返っていくんですが、これはきょうの目的ではありませんからここで議論しようとは思いません。そういうことが私はやっぱり重大な課題としてあると思いますね。だから、国民の合意というものがなかなかどうもとりにくいという状態にあるんではないかと思いますね。  そこで、この法律案——その前に聞いておきたいと思うんですが、自衛隊員というのは、これは公務員ですか、公務員でないんですか。
  22. 高瀬忠雄

    政府委員高瀬忠雄君) 公務員でございます。
  23. 中村利次

    中村利次君 公務員ですね。そうしますと、公務員の退職手当というのは、これは永年勤続には優遇制度というのがあるんですね。二十年以上ですね。それから通算制度もありますね。これは大臣総理府総務長官もおやりになっていたんですから、そのことはようく御承知だと思うんですが、日満日、満日方式が恩給法の改正案の中ではいつも問題になって政府は苦労される。それほどやっぱり日満日、満日に通算をするかしないかということは非常に大きな議論になっておるわけですけれども、この公務員である自衛隊員については、任期制隊員というまあ特別なことだかどうだか知りませんけれども、通算制度もなければ、今度のこの法律改正によっても、これが制定される、そうすると、制定されて発効をした時点以降の退職者にこの法律が適用されるんではなくて、発効した時点に入隊した隊員から適用されるという、まさにこれは大体退職手当のスタイルをしているんだかしていないんだか、公務員の退職手当との比較において、私はこれはもうそういう点についてはたいへん疑問を持つんですけれども、いかがでしょうか。
  24. 高瀬忠雄

    政府委員高瀬忠雄君) 任期制隊員に対しまして、一般の国家公務員につきましては、御説のように国家公務員等退職手当法によりまして退職手当が支給されますが、任期制隊員は特に二年または三年という任期をきめまして採用されるということでございまして、退職手当法の特例ということでございまして、そうして特に一般退職手当法に比べれば有利な退職手当が支給されるということで従来きておるわけでございます。それで、いまこの法律は七月一日から適用するということになっておりますが、この法律の趣旨は、御承知のように、任期制隊員の短任期ということに着目いたしまして、特に二任期、三任期における先ほど申しました継続任用率が低い、それから二任期または三任期における退職者がかなり多いというようなことで、そういうようなことでなくて、将来継続して任用される者の数を多くしようということでございます。したがって、将来に向かっての効果を期待するといいますか、今後継続任用してもらう人の数を多くしようということがねらいでございます。そういうようなねらいから、この二任期または三任期の退職手当の日数を多くするわけでございますが、それで普通の退職手当法ですと、さかのぼって上がるというスタイルがございますが、この場合は、いま申し上げましたように、今後の継続任用を奨励するというたてまえでございますので、それで七月一日以降に採用する者、二任期または三任期に継続任用される者に満額にしよう。それで、それ以後、現に二任期または三任期にある者をどうするかというと、それは二任期にある者につきましては一月について四日プラスをする、三任期につきましては一月について二日プラスをする、そういうようなことで、自衛隊の採用状況というのは毎月二千名ぐらいずつ入っているわけです。で、ずっと続いているわけですね。それで七月一日の以前の者と以後の者とで格段の格差が生ずるということになりますと、やっぱり七月一日、その施行日前にやめた者と施行日以後にやめる者との間の処遇の均衡といいますか、処遇の公平といいますか、そういうことを考えまして、現に二任期にあり、現に三任期にあるという者につきましては、月割りで四日または二日と、こういうふうな計算をしているわけでございます。
  25. 中村利次

    中村利次君 これは問題がえらいあるんですよ。経過措置としてやっぱりそういうことを考慮したものもあると。しかし、私が言っているのは、もうこれは法律論というか原則論ですね。実にこれは珍妙ですね。そして政府がおっしゃることは、やっぱり自衛隊員に誇りを持たして、自覚を持たしてということをおっしゃるけれども、やっていらっしゃることは、やっぱりどうも自衛隊に対してはいろんな批判もあれば反対もある、何か日陰者をこそこそ幾らか処遇改善をするというふうな、私はかりに自衛隊反対であっても、いまの自衛隊に対する処遇が公務員としてまことにちぐはぐな納得のできないものであるならば、これは私は指摘をして当然だと思う。政府みずからが何だかわけのわからぬようなことをおっしゃるので私は納得できない。だから逐次お伺いしますよ。  これは一般公務員の場合には、先ほど申し上げました問題は二つありますけれども、永年勤続者に対しては優遇措置がある。任期制隊員の場合は違う、退職金の割合も法律になっておるんだというあれでしたけれども、私はそんなことは決して納得させ得る説明にはならないと思います。それから先ほど申し上げましたように、恩給法の改正のつど問題になる日満日だとか満日だとか、満州国政府だけじゃなくて当時の国策会社、特殊機関、こういうものに対する通算もやっておるんですよ、恩給の。勤続年数の通算もやっているんですよ。これは当時の国策によってそういうことだったんだからというので通算をしておるという理屈だったら、これは特に自衛隊員の場合、冷遇されるという理由はどこにあるのか私はお伺いをしたいと思います。ましてこれは任期制隊員として特殊条件だとおっしゃるならば、しからば農林省林野庁あたりで用いておる定員内作業員、定員外作業員、あれは日々雇用で、そして三月の三十日か三十一日に解雇をして四月の一日にまた採用をする。それから定期作業員なんかは六カ月とか八カ月とかそういう年間の雇用で、あとはこれは解雇状態ですよ。そういう間は失業保険で食いつないで、また新たに採用される。こういうのがやっぱり通算をして、非常勤作業員といえども通算をして退職手当、勤続期間も通算されておる、私はこれは当然だと思う。問題になっておるのは、それをやっぱり月給制にするとか、待遇、処遇改善をしろ、これは国会でもえらい議論になっていますし、それからやっぱりそういう方向に向けての検討はされているんでしょう。にもかかわらず、これはどういうことですか。これはつじつま合いますか。御答弁を聞いたあとで私はまた質問しますが、私はつじつま合わないと思います。
  26. 高瀬忠雄

    政府委員高瀬忠雄君) 任期制隊員が二年または三年で一任期終わって、さらに二任期に継続する、さらに三任期に継続する、いまの制度では一任期ごとに退職手当を支払う。で、今度の改正はその中で二任期を倍にし、三任期を一倍半にする。こういう制度でございまして、これをかりに四任期まで、一任期が百日、二任期が二百日、三任期が百五十日、それから四任期が七十五日と今度こういうことになりますが、これの平均をいたしました場合に、この退職手当の率は実は平均しますと百三十一日になります。それでこの率は国家公務員の退職手当法の第五条の第一項、この整理退職の場合でありますが、それの率は勤続三年の場合で——第五条の場合が九十日でございまして、その率と比べましても百三十一日で相当高くなっております。いまのように一任期、二任期、三任期、四任期というような通算の姿勢はとっておりませんけれども、全体として見渡しました場合におきましては、一般の公務員の退職手当法の場合よりは高くなっているというようなことで、いろいろこまかい検討をし計算をしました結果、こういうことでございまして、いまおっしゃるように特に任期制隊員自衛隊隊員に対して冷たい、そういうような退職時の手当としては姿勢ではないと考えております。
  27. 中村利次

    中村利次君 これは時間もだんだん少なくなってきまして、私はますます納得できなくなってきたわけですが、しからばこの法案の前の退職手当制度はどうだったのかということに、また原点に返るわけです。これは同じ公務員の中にも、たとえば人材確保法律によって教職者は一般公務員よりもやっぱり給与も高くなければいけないというのでああいう法律ができた。退職手当にしてもあるいは勤務態様にしても、公務員の中にいろいろな職種がありますね、それで違っているわけで、それがいいと是認して前の法律があったわけでしょう。そしてなお前向きに今度は改善をしようというのでこういう改正案をお出しになってきておる。それを比較してまだ決して悪うございませんというのは、私はこれは納得できる御答弁では失礼ながらないと思うのですね。私が申し上げておるのは制度の問題でございまして、ですから、非常勤作業員は日々雇用という形で、年度末になると解雇をされて再雇用をされる、これがずっと通算をされておりますよと、退職手当でも何でもですね。それからやっぱり永年勤続者に対しては退職手当の優遇措置もありますよ。そういうものと比較して、制度上はたしてこれが説明のつくものなのかどうか、退職手当として。私はこれは制度の比較からいったらできませんよということを指摘していますから、これは議論はかみ合わないでしょうから、時間もだんだん少なくなりましたから一括して御答弁を願いたいと思います。  もう一つの問題は、これは経過措置として幾らかの措置をされておりますけれども、年金にしろ、これは公務員共済年金、三公社五現業、一般公務員があります。それから退職手当もあります。これは法律が発効した時点以降の退職者に対して適用するとどうも不均衡が生ずるからということでありましたけれども、しからば一般公務員の共済年金だとか退職手当はどうですか。法律が制定されて発効します。そうすると、過去勤続二十年、三十年、それに全部適用されるんですよ、これは、退職手当。年金にしたって同じです。一年違うだけで、あるいは一月違うだけで百万単位の退職金の相違となり、法律改正によって、あるいは相当多額な年金の相違になるんですよ。なりませんか。ならなければ私はこういう問題は提起しない。なるんです、これは。そうなりますと、制度としておっしゃるような不均衡、アンバランスが生ずるからという説明は失礼だけれども説得力はない、こういうことを言っているんです。ですから、これについて一括してお答え願いたいと思います。
  28. 高瀬忠雄

    政府委員高瀬忠雄君) まず、第一の点でございますが、先ほど申し上げましたように一任期ごとに切り離して退職手当を払っております。それで通算して、先ほど申し上げました四任期をやってみました場合には平均して百三十一日になります。この退職手当は一般公務員の退職手当よりは有利でございます。さらに今度有利になりますが、しからば、さればといって非常に一般退職手当とのバランス、均衡はとれないということも、退職手当というこの制度でものを考えます場合にはなかなかむずかしいという点がございます。それで確かに通算をしてそうして支払うという方法もありましょう。それからそのほうが有利かどうか、これは制度としてはなかなかむずかしいと思いますが、通算をしまして、かりに一、二、三、四と合計いたしました場合でも、いまよりは有利になっておる。それは一応現行の退職手当、国家公務員の退職手当法とのある程度の見合いといいますか、バランスといいますか、そういうことも一方では勘案しながら、やっぱり退職——特別な退職手当とは言いますものの、そういったバランスがひとつ必要なんじゃないかという配慮が一方ではございます。  それからもう一つは、退職手当法が改正になりまして、そうしてさかのぼりますから、さかのぼって適用になります場合におきましては、長い期間勤務した者につきましても、おっしゃるように退職手当の額が相当違ってくる場合がございます。確かにそういう場合がございますが、それは退職手当制度につきまして、いろいろそのときの改正の趣旨でねらいがあるようでございます。それで私ども国家公務員の退職手当のすべてを知っておるわけじゃありませんけれども、たとえば人事の新陳代謝をはかって退職手当を改正するというようなこともあるようでございますが、そういうねらいもあるようでありますけれども、で、私ども退職手当の今度の改正は、先ほど申し上げましたように継続任用を奨励する、今後二任期ないしは三任期に大いに任用するようにという奨励をする趣旨でございまして、若干一般退職手当の考え方と違う面もあるんじゃないかと思います。  そういうことで、先ほど申しましたように、私どもの場合には毎月隊員が二千名ずつ入ってくる。それで施行日以前と施行日後で、前に入った二千名がやめていく、あとの二千名、その次の二千名の者がやめた場合に非常に格段の差が生ずるということは、やはり前に退職した者、あと退職した者の間の格差、公平という点からいきまして、公平、均衡を失するというおそれもあります。そういうことで、施行後一カ月おる者は、二任期の場合は四日をプラス、三任期の場合は二日をプラスというようなことで、公平を期するというか、そういう趣旨でこの退職手当制度は考えられておるわけでございます。
  29. 中村利次

    中村利次君 もう時間が参りましたから最後にしますけれども、こういう法律は、もう提出されたわけでありますから、これはおかしいよという御答弁は、これは出てこないと思いますよ。しかし、どうしても私は、やっぱり法律改正されて、それが発効をしたら、法の前にこれは平等ですから、何もこの法律は、その日から発効はするんだが、該当者はこれはまた別に考えるんだよという、そういう発想といいますか、制度上どうも納得できません。この優遇あるいは通算の問題についてもやっぱり釈然としない。ですから、最後ですから、大臣、これはまあなかなか答えにくいかもしれませんけれども、どうですか、いまの議論をお聞きになっていて、どうでしょう、やっぱりいまのこれが制度上も正しいし、また当を得ておるというぐあいにお考えになるのか、あるいは、やっぱりこれはちょっと再検討をしてみる必要があるというぐあいにお考えになるのか伺って、私の質問を終わります。
  30. 山中貞則

    国務大臣山中貞則君) 私もおっしゃるとおり給与担当大臣は三年やっておりましたからよく実情を知っております。したがって、永年勤続に対する優遇措置、そういうもの等も、そろそろ自衛隊もそういう対象者が出てきているわけでありますから、そこらの問題点のあることも承知いたしておりますが、まあさしあたり、そこの問題よりも、この任期制隊員の任期継続という問題をやはり重点にまず取り上げたということでございまして、これをもって終われりといたしてはおりません。  なお、法の施行、効力発生前と後との扱いについては、これはまあ絶えずやめ、絶えず入ってまいりますので、これを、四月に入って三月の末にやめる者はやめるという形態とちょっと違うもんでありますから、したがって、経過措置の日割りということにせざるを得なかったわけでありますけれども、確かにそういう意味でもって、たとえ公務員特別職であろうとも、公務員の身分の保障というものについては理論的に一致すべきである、御意見については私はそのとおりだと思います。しかし、それについて私たちがかかえている特別な任期制隊員のあり方、結果的にはそれが永年勤続につながっていった場合等のあり方等については、今後の課題として検討してみたいと考えます。
  31. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  32. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  34. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こしてください。  この際、暫時休憩いたします。    午後二時二十八分休憩      —————・—————    午後二時四十八分開会
  35. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を再会いたします。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小坂総理府総務長官。
  36. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) ただいま議題となりました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  本年三月二十六日、一般職職員である看護婦等の給与について、その俸給月額の改定を内容とする人事院勧告が行なわれました。また、本年四月四日、昭和四十九年度に支給される期末手当を〇・三月分増額し、これをこの法律の施行の日に在職する一般職職員に支給することを内容とする人事院勧告が行なわれました。これは、本年の民間給与実態調査に基づいて支給されることとなっておる期末・勤勉手当の一部について、本年度に限り、早期に支払いを行なうことができるよう特別の措置を講ずるものであります。  政府としては、これらの勧告の内容を検討した結果、勧告どおり実施することとし、このたび、一般職職員給与に関する法律について、所要の改正を行なおうとするものであります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、医療職俸給表日の全俸給月額を引き上げることとしたことであります。  第二は、昭和四十九年度に限り、職員に支給する期末手当の額を〇・三カ月分増額することとし、その〇・三カ月分をこの法律の施行の日に在職する職員に支給することとしたことであります。  以上のほか、附則において、この法律の施行期日、適用日、最高号俸等の切りかえ及び切りかえに伴う所要の措置等について規定しております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  37. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 以上で説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  38. 藤原道子

    藤原道子君 お伺いいたします。  看護婦給与についての人事院勧告でございますが、看護婦関係団体の要望でもあり、また自民党看護問題小委員会の決議もございまして、それによりましても、勧告の時期を教職員のそれと同時に行なうこと、上げ幅は二けた以上とすることというふうな、それから三としましても、実施時期は本年一月にさかのぼって行なうこと、こういう要望でございます。この項目も去る三月二十六日付の人事院勧告は無視して、実現されておりません。いかなる事情にせよ、看護婦団体の要望でもあり、政府与党の決議を完全実施しないのは、その理由はどういうわけでございましょうか。この際、人事院の勧告において要望や決議を実施するに至らなかった理由を明確にしてほしいと思います。
  39. 茨木広

    政府委員(茨木広君) 今回の勧告は、昨年の八月に公務員の給与全般に関します報告及び勧告を実施いたしました際に、看護婦についても引き続き改善をする必要がある旨の指摘があったわけでございますが、それを受けまして鋭意検討を重ねておりまして、その結論が得られましたので、勧告を申し上げるという段取りになったわけでございます。その間に各方面の御意向も伺っておりましたし、また、関係の省庁との相談もいたしておったわけでございます。で、昨年の十二月、総裁から厚生大臣に、その準備として財源措置を予算に要求していただいて組んでおいていただきたいというような要請をいたしてございます。その結果、五%程度の改善財源を一応予算に組んでおっていただいたわけでございます。それらを受けて作業を進めてまいった次第でございます。  そこで、ただいま御指摘になられましたいろいろ御要望がございましたわけですが、まず実施時期の一月一日からと、教員と同じようにという要請が各方面からございました。ただまあ、その出発が、片方の教員の場合には、また別個の観点から、一昨年の十二月期におきます予算折衝時期に折衝が行われて、その別ワク財源が予算に計上され、昨年の三月——四月になりましたか、予算が確定しておると、こういうような情勢が一方ございまして、一年前から準備が行なわれておったというような経緯がございます。そしてまた、それとうらはらに出ました、いわゆる教員の人材確保法案につきましても、一月一日からできますようにという義務づけ的な人事院に対します条文が国会の全会一致の御決議で決定されました経緯もございます。まあ、そんなことで向こうのほうが一月一日からということになったわけでございます。こちらのほうは、いまお話し申し上げましたように、昨年の十二月の予算期に初めてそういうことで財源を出してまいったものでございますから、今年の四月からの財源ということに相なったわけでございます。それから当時補正予算を編成するということも時期を失しておったような時期でございましたので、したがって、まあ予算的に財源の準備等がございましたのでことしの四月一日からというふうにせざるを得ないというようなことで、関係団体の陳情に見えられました方にはそういう点をお話し申し上げまして、まあ最終的にはそれではやむを得ぬがなというような感じにはなったわけでございます。そういう事情でございます。  それから二けたという問題、要するに一〇%台の勧告をということでございましたわけですが、これも御案内のように、教員のほうも昨年の夏の勧告で給与が改定になりました以後でもって比較してみますと、九%台になるわけでございます。こちらのほうも、まあ全体といたしまして、別に教員と歩調を合わせながらという筋から入ったわけじゃございませんわけですが、一応一番主流をなします正看の方のいわゆる三等級のところでございますが、ここはいわゆる調整額を含めまして二けたになるように努力しましょうというふうなお話をした経緯はございます。そこで、まあ一番中心のところを二けたにしますけれども、全般というわけにはなかなかまいらぬ事情がございますというお話を申し上げておったわけでございます。まあその他のところは、八%ないし九%という平均でとどまったわけでございます。まあそういう経緯でございます。  それからもう一つ、それでは勧告を一緒に出すようにという要請がございました。これはまあ事務的に鋭意なるだけ一緒に出したいということで努力を重ねたわけでございますけれども、まあ率直に申し上げまして時間的に実は間に合わなかったというようなことであったわけでございます。まず作業の順序といたしましては、片っ方のほうは法律的に施行の関係が限定されておりましたので、そちらから早くまあ入っていったわけでございますが、看護婦のほうがどうしても一週間以上ずれざるを得ないような感じになってまいって、恐縮でございましたが切り離さざるを得なかったと、こういう事情でございます。しかし、まあそれがおくれるとしましても、できるだけ三月中には出してくださいよという要請が各方面からございましたので、そこの点だけはおこたえできたようなわけでございますけれども、まあそういう事情でございます。
  40. 藤原道子

    藤原道子君 私は、現在の看護婦の実情からいたしまして、やはり教職員と同じような時期にやってほしかった。それと同時に、看護協会の要望も一五%ですね。それから私たちは二〇%と言っていたんです。で、看護協会では一五%と言ったのが、実施されるのは九%ですか。それで、教職員のほうと時期がおくれたとしても、実施するのはいま決定するんだって、一月からしたって、さかのぼったっていいんじゃないですか。  それからもう一つ伺いたいのは、教員手当は今後六カ月でまた昇給すると伺っておりましたが、看護婦もそうですか。
  41. 茨木広

    政府委員(茨木広君) まあ、いまの要望、いろいろ時期を異にいたしましてだんだんこう違った率の要望が出てまいりました。当初は二けたというようなことでございましたが、だんだんまた時期が接近するにつれまして一五%というような要望も出てまいりましたし、まあいろいろ要望がございましたわけですが、また一方、私どもも、看護婦さんの給与改善を決定いたします際に、やはり同じ医療職の俸給表の(二)の方々との関係とか、いろいろなことをやはり考えながらきめてまいらなければいかぬ関係上、現段階におきましては、俸給表そのものをやはり改善をするということに限定して申し上げますというと、今回提案申し上げましたところがちょうどバランスがとれておるところではないかというようなことで、こういうふうなことに相なったわけでございます。  それから今後の問題でございますが、いま一方、何年計画とかあるいは二次というようなことで、一方予算も計上されておりますものですから、たいへんほかのほうの者を刺激しておるということはございますわけで、そういう意味で看護婦さん方からもいろいろ御要望がございますわけです。教員の問題は、今後やはり夏の、まず一般勧告が各俸給表を通じまして、これ、相当大幅なものが勧告せざるを得ないような情勢に相なるだろうと思います。そういうようなことも経ましたその次の問題として第二次の教員のものをどうするか、これは一応予算には財源的に計上されておりますが、それをどう取り扱うのかという問題は全く今後の問題でございまして、いまのところ、まだ成案を持ってないというのが現状でございます。  それから看護婦の問題につきましては、今回の勧告の説明文の中に「その他」といたしまして、「看護婦についてその要員の確保を図るためには、給与改善について今後とも努力するほか、」と、こういうふうにうたってございますように、そういうような方針を人事院といたしましても持っておるわけでございまして、そういうことで今後ともやはり努力していきたいという考え方を人事院としては持っております。
  42. 藤原道子

    藤原道子君 私はこれから看護婦の問題について少し質問していきますけれども、いまの現状をお考えいただきまして、国民の医療が完全に行なわれるのには看護婦の充実ということが絶対必要だと思うのです。そういう点で、さらに人事院としてはお考えを願いたいということを強く要望いたしておきます。  参議院の社会労働委員会の決議といたしまして、昭和四十四年の六月十日に社労委員会で「看護職員の不足対策に関する決議」が行なわれましたが、この決議事項に対し政府はどのように実現に努力したかということを、まず聞いておきたいんです。そのときの対策に対しての決議といたしましては、(1)として「政府及び関係機関は看護職員確保のため、その養成機関の拡充整備をはかること。」、(2)は「看護職員の夜間勤務について必要な改善を行うこと。」、(3)といたしましては「看護職員の夜勤についての昭和四十年五月二十四日の「人事院判定の速かな実行をはかること。」、(4)として「政府及び関係機関は、看護業務と労働諸条件を考慮し、その改善をはかること。」、(5)として「以上のことについては、両三年を目途としてその改善をはかること。」と、こういう要望をいたしましたが、「両三年を目途としてその改善をはかること。」としているが、いまだにその実現を達成していないのはどういう理由によるのか、ひとつその点をお聞かせ願いたい。厚生省。
  43. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 先生御指摘のように、四十四年の参議院社労におきまして決議をちょうだいしましてから、私どもあらためて看護婦の需給の改善のためにいろいろな対策を進めようという気持ち努力をしております。具体的に、ただいま先生御指摘のいろいろな柱がございますが、二・八の問題、夜勤制の改善の問題、この問題につきましては、四十四年にこの社労の決議がございまして、四十五年度から四十八年度までの四年度計画をもって、当面国立病院及び療養所におきまして二・八のこの複数夜勤の実施割合を高めるという当面の努力目標を持ちまして、そしてその増員につとめたわけでございます。当時国立病院が約三五%程度の複数夜勤の実施状況でございましたが、これを四十八年度に五〇%まで持っていくという当面の目標を持ったりいたしまして、それから進んだわけでございますが、具体的には四十五年から四十八年の四年計画を途中で四十五年から四十七年度までということで、四十七年度に四十八年度分までの二年度分をやってしまいまして、三カ年度で二・八のこの当面の目標達成のための増員をいたしました。国病、国療合わせまして当時二・八分といたしまして、四十五、四十六、四十七におきましておおむね二千五百名程度の増員を行なっております。また、二・八にはストレートに関連ございませんけれども、その他の分野におきましてもそれぞれ名目をつけて看護力の強化をはかるというふうなことをやってまいりました。それで実は四十七年度に、当面の目標であるこの五〇%、あるいは療養所におきまして三五%というふうな目標を持っておったわけでございますが、一応了しまして、その後、四十八、四十九というこの年度におきましては、実は当面の計画を達成したわけでございますので、今度は内容面から看護婦の看護力の増強をはかろうというふうな考え方に変わってまいりまして、たとえて四十九年度を申し上げますと、四十九年度は新たに、まあ最近難病関係の患者も多うございますし、特に手も取りますし、また十分な看護もしなきゃならないというふうな名目で看護力を増強するということで、四十九年度におきまして二百十名程度の実は看護力の増強をはかることといたしております。で、まあ、この看護力の需給の関係につきましては、特に二・八問題がやかましくなったのが四十年度の例の、先生おっしゃいます人事院判定があるわけでございますが、四十一年度からこの四十九年度まで二・八分で増員しました数は、全部で約二千六百名に及んでおります。で、そのほか、いろんな重心、筋ジスの看護力の増加とか、あるいはただいま申しました難病分とか、その他を含めますと、四十一年度から四十九年度までの九年度間におきまして約七千五百名の看護力の増加をはかっております。  それから先生御指摘の社労決議の中の第二の大きい柱でございますが、看護婦の養成力の強化の問題でございます。具体的には看護婦の養成所の入学定員をふやす、看護の教育のキャパシティをふやすということがまず大事なわけでございますけれども、その面につきましても四十四年度以降実は予算も伸ばしました。しかしなおその増加の状況は少のうございまして、いまから反省いたしますと国のてこ入れもまだまだ弱かったと思っておりますが、四十四年当時からおおむねこの看護婦の養成所に対します施設整備の補助金が五億台でございました。その後ずっと横ばいでございまして、これを上向きに持っていく努力ができなかったことについてはまことに遺憾に思いますけれども、四十九年度におきましてはこれを一挙に倍近く持っていくということで、約九億何千万かの予算を計上いたしまして、従来になく看護婦の養成力を強化する、施設をふやす、学年定員をふやすということにいたしております。大体傾向といたしまして、最近三、四年を見ておりますと、毎年毎年の入学定員の増が二千四、五百から三千程度というのが普通の年の推移でございました。で、四十八年度がたしか三千二、三百だったと思いますが、若干のぼりつつありますが、どうも強くはなかった、急ピッチではなかった。で、私ども、いま申しますように国の補助金も大幅にふやすことによりましてこれを急ピッチで上げるということで、四十九年度においては私どもの計画では一挙に一学年定員四千人というものの増強が可能であろうと、このように見ております。  なお、先生もすでに御存じかと思いますが、厚生省におきましては、看護婦の需給の逼迫したこの緊急事態にかんがみまして、今後五カ年計画をもって看護力を強化するというプランを持っております。その中の最も柱になってまいりますのがこの看護婦の養成力の強化でございますが、大体私どもの見積もりでは、新聞でも発表されましたように、四十八年四月一日現在約六万人の養成力を持っておりますけれども、これをこの五年間で八万人まで持っていく、二万人ふやすというふうな実はみつくろいをしておりまして、四十九年度にはその五分の一の四千人をふやすということで、そのための努力をし、それを裏打ちする予算がとれたと、このように思っております。そういう意味合いにおきまして、これまでテンポにおいて若干にぶい面があり、御期待に沿えなかった面があるかもわかりませんけれども、今後はまた大いに努力をしてまいりたいと、かように存じております。  以上でございます。
  44. 藤原道子

    藤原道子君 人事院の二・八の指定に対しまして、いまこれが行なわれているのはわずかですね。結局、一カ月に大体十三日以上夜勤しているところが四〇%もあるんですね、病院施設で。十三日以上。それで、いまこちらのほうの調べでは厚生省の関係では日数は九・一日だということになっておりますが、実際を見ますると十三日以上が四〇%もある。そうしてこのごろ看護婦の要求に対しまして、日本看護協会が四十九年二月に女子高校生にアンケートを出した。どういう職業を望んでいるかということをやっておりますが、結局、看護婦というのはまるでお話にならないですね。非常に少ない。私はこれを見てがっかりしているんでございますが、なぜ看護婦にならないか。看護婦になってみたいと思うというのはたった九・四%。なりたくないというのは九〇・六%、看護婦になりたくない。なりたくない理由は、やりがいが、自分に向いていないということ、責任が重過ぎて自信がないとか、重労働低賃金、待遇が悪い、それから興味がない、ばかばかしい、こういうふうなこと。それから結婚した場合の育児の関係、これが問題なんです。なってみたいという人は九・四%、なりたくないというのは九〇・六%。これは高校生です。これを見てほんとうに私はがっかりいたしました。だから待遇を直してほしいと思うんです。  それで、私はこの間も島田療育園とか、あとはびわこ学園とか視察いたしました。座談会もしてまいりました。実際を見ましたけれども、国立病院ですよ、この四〇%上回っているというのは。一般病院ではそれはひどいんですよ。それで、看護婦はほとんど腰痛になっている。看護婦が足りない、だから身障児を家へ帰す。それで今度は園長はやめましたね、島田療育園の。こういうことを一体政府はどう思っているんだろうか。私は、病人の問題、老人の問題、心身障害児の問題、あらゆる面から押しましても、この際何が何でも看護婦の待遇をよくして看護婦をふやすという以外に道はないと思うんです。と同時に、昭和二十三年ですか、保助看法ができたのは。あのときから、私は、看護婦は一本化でなきゃいけない、乙種看護婦なんということは反対だということを主張しているんです。ところが、それが乙種看護婦はやめて、そのあとに准看護婦ということになった。看護婦と准看、これをずっと反対して二十何年やってきましたが、やっとこのごろ厚生省では、この問題について看護婦の一本化を考えていらっしゃるようですけれども、その実情を聞かしてもらいたい。  それから身障児の施設なんかで、国立、公立、これはまずあんた方考えているが、一般の施設に対して、重要な人たちが世話になっているんですが、これに対してはあんた方はどう思うか。ことに看護婦の問題は、これが足りないから大きな問題化しているということをお考えになっているかどうか、その解決はどうしますか。それで、看護婦を一本化するならば看護婦の養成はどういう方法でおやりになるのか。それから養成費用ですね。この費用に対しては厚生省はどう考えておるか。一括まとめてひとつお伺いしたい。
  45. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) ただいま先生から幅広く看護婦制度の持っております問題につきまして御指摘があったわけでございますが、まず第一の看護対策のおくれ、特に二・八の問題についてお述べになったわけでございます。  看護対策はなかなかむずかしゅうございまして、需給を改善する、その場合に一体何が柱になるのか、こう申しますと、一つには、もうただいま議題になっておりますこの給与関係、何と言おうと給与関係改善が一番明るく、また身近な改善策の一つでございまして、私どもは、昨年の夏場の人事院勧告におきまして、一般が一五・三であるのに対して看護婦は一六・七、准看護婦あるいはまた正規看護婦に至りましては一八%ないし一九%という大幅なアップをしてもらいました上に、さらにまた第二次追加勧告といたしまして、このたびの国病——三年コースの看護婦で八・九%というアップがあるということで、こういうことがどれだけ関係者を喜ばせ、また看護婦に対する魅力をつくる一つの大きい要因になろうかと大いに期待もしております。  で、同時にまた、給与の問題もございますが——また実は給与で忘れましたが、四十八年度から、先生御存じのとおり、夜間看護につきまして一回千円という、従来三百五十円でございましたけれども、これまた大幅に上げたというふうな足取りもございます。で、給与関係はそういうことで関係各省あるいは人事院の御協力を得ながら年年努力をしておりますことをひとつ御了承願いたいと思います。  また同時に、もう一つの柱といたしまして、看護婦につきましては勤務条件の改善という問題で、やはり夜間看護ということで夜間働かなければならない看護婦さんの特性というのはなかなかきびしい労働条件でございまして、これに対応するためにも、二・八制度はできるだけ普及するということがきわめて大事であることはわれわれも痛感しております。そういう意味合いにおきまして、私ども、先ほど申しますようにいろいろ努力をしてまいりました。  で、そういうことで、たとえば四十五年の十月現在で国立病院で約三五%程度の複数夜勤の実施状況でございましたけれども、今日四十八年の十月現在では五六%まで複数夜勤の実施体制ができてまいりました。さらにまた四十九年、先ほど申しますように難病関係定員もつきましたので、それによってまた数%、二、三%実施率は上がるものと期待しております。また、この二のほうに対して八があるわけでございまして、月間の夜勤回数の問題がございますが、これにつきましては、結果的に一室当たりの看護婦が多ければ多いほど実は夜勤回数が少なくて済むという計算でございまして、これまた定員の問題でございますけれども、私ども力が足りなかったかもわからないけれども努力もしてまいりましたし、今後とも大いに努力をしたい、かように存じております。  そのほか、先生も若干お触れになりましたが、看護婦の職場におきます環境条件と申しますか、いろいろ問題がございます。こういう改善につきましても一例を申し上げますと、四十九年度におきまして初めて新しい芽といたしまして、まさに先生御指摘の病院内における保育事業を始めるというふうなことを、実はこれからスタートをいたします。内容はまだまだ乏しいかもわかりませんけれども、私どもはこの芽を大事に育てまして、今後とも大きく成長させ、また看護婦さんの勤務環境について魅力あらしめる大きいかてにしたいと、このように思っております。  で、なお先生から、例の看護婦さんになる志望、高校生の例の希望調査、アンケート調査のことも聞いておりますが、かつて以前にはあれが十四、五位であったものが、先生のいまお持ちの資料ではおそらく九番目じゃなかったかと思います。まだまだ順番はよくありませんけれども、だんだん上がりつつあります。私ども一挙にまいりませんけれども努力をしながら、ひとつもっと魅力のある順番の高い職場にしたいものだと、かように存じております。  それから、看護婦のこの制度につきまして、おそらく先生の頭の中には、昨年十月の看護婦制度改善検討会の答申のことがおありだと思いますけれども、ここできわめて何と意欲的な実は答申が出まして、まさに御指摘のとおり、今後看護婦教育については一本化して、三年コース、高卒三年のコースを原則とするという線を打ち出しております。ただ現状は、約千四百校の看護婦の養成所がございますけれども、そのうち約半分、また入学定員六万と申しますけれども、そのうちの約五割五分がなお准看教育をいまやっております。片や、いま看護婦の需給関係で、ものすごく逼迫している時代でございますので、私ども、何とかうまく、この准看教育を正規看護婦の教育施設に切りかえていくということにしたいと思っております。そこにもし摩擦や混乱がございますと、そこで看護の養成力が一時的にせよ弱まりましたらたいへんでございますので、できるだけ順調にそういう切りかえに持っていきたいと、こう思います。ただ残念ながら、いま准看のその養成所を経営しておられる方、その衝にある方につきましていろんな情報を私どもとっておりますけれども、四十九年度なら四十九年度の本年度中において准看から正規の看護婦コースに切りかえたいという希望はまだ少のうございます。ただ、本年春の試験を見てみますと、どうもその競争率が弱まったと申しますか、具体的には志望する方が減ってきて競争率が弱まったと、去年よりもっと弱まったと、こう聞いております。で、そういう状況の中で、本年度の推移を見ながら、五十年度以降におきまして、計画的にしかも現実を踏まえて、特に関係者の意見を聞きながら順調に正規三年コースに切りかえていくという道を歩んでいきたいと思っております。そういうふうに考えております。  なお最後に、先生からお話のございました社会福祉施設の関係で、特に重心の施設とかその他の施設で、大いに看護力の問題から問題が持たれて悩んでおられるということを聞きます。私どもほんとうに申しわけないと思っております。要は、全体的に看護婦対策を広め、そして看護婦の需給を緩和する方向に持っていくことであると思いまして、そういう線でとにかくがんばりたいと思います。
  46. 藤原道子

    藤原道子君 これは、答弁ではいつもそういうふうに答えるんだけれども、実行しないんだよね。保健師法のときに、やはり看護婦を四対一にするという答弁があった。四人に対して一人だって三交代制だとたいへんなことになる。だからわれわれは、やはり二・一くらいにしなきゃ将来たいへんなことになるということを主張いたしましたら、いま病床の数と看護婦の数では、どうしても四人に一人しかできないんだと、したがって、できる限り看護婦の養成を早めまして、なるべく御期待に沿うように努力いたしますというのが答弁だった。二十三年ですね、そうするときょうは四十九年ね。二十六年間いまなお、病床はうんとふえたけれども、看護婦の数はそれほどふえてない。相変わらず四対一でしょう。特別の場合が三・五に一ですか。こういうふうになっているけれども、だんだん医療制度も変わってきておりますからね、できない。厚生省はわれわれに答弁しながら看護婦の養成がいつまでたっても進んでいないと、こういうことで、いまそういう御答弁なさいますけれども、ほんとうにそれができるのかどうか、する気があるのかどうか、その点をこの際明らかにしておいてほしい。そして、いまは看護婦は何人、患者何人に対して看護婦は何人か、それが正確なところを聞かしておいてください。
  47. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 大体四十八年度末の推定でございますが、一ベッド当たり大体〇・二三三人というふうに踏んでおります。一ベッド当たり〇・二三三人。ですから患者四人に対しまして一人弱というのが全国の現状でございます。まさに先生御指摘のとおり、なかなか進んでおりません。ただ、そうは申しますものの、過去から現在にかけまして、みんな関係者は努力しておりまして、私ども努力しておりまして、現に二・八関係も四十年の人事院判定もございましたし、その後政府自体も努力しておりまして、二・八の普及を中心としてベッド当たりの看護力も強まっていく、看護装備力も強まっていくという傾向があるわけでございまして、私ども、先ほど申しますように、こういう逼迫したきわめて緊急な事態の中で、今後五年間にこれをもっと強化いたしまして、今日約三十七万人の看護婦がおりますけれども、五十三年度には四十九万人というふうに持っていきますれば、大体一ベッド当たりの人員が、看護力が〇・三三人くらいになります。そうしますと、大体ヨーロッパのスウェーデンとか、あるいはイギリス並みの看護力は確保できるものと、かように期待しておりまして、特にその柱になるのは看護婦養成所の施設の強化ということでございまして、先ほど答弁しましたように、その施設の整備に向けて特に重点的に予算も使い、伸ばしていくという気持ちを持っているわけでございます。
  48. 藤原道子

    藤原道子君 それ、できますか。
  49. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) やりたいと思います。
  50. 藤原道子

    藤原道子君 とにかく二十何年おんなじことを質問しているから、いやになっちゃうんです。それ、実行してもらわなければ困ります。  それから人事院から指定されました二・八ですね。その八日間の夜勤はふえつつあるが、二人の夜勤はどの程度やられています。相変わらず一人でやっているところがけっこうある。そうすると、重症患者、私の知っている人が夜ボタンを押したけれども看護婦は来てくれない。一人夜勤だから、ほかの病室へ行っていて、幾ら重症患者が押しても来てくれなかったんだという。だから何が何でも二人夜勤にしたいと思いますが、それに対してどう思うか。それで人事院では、人事院の判定が一向実行されていないときには、どういう態度をとっておいでになるのか、この監督はするのかしないのか、その点聞かしてください。
  51. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 先ほどから申し上げますように、国立病院におきまして、約五年ほど前には三五%程度であった二人夜勤制、複数夜勤制、逆に言えば六五%が一人夜勤でございますけれども、それが今日では、四十八年十月現在で五六%まで二人夜勤制がある。
  52. 藤原道子

    藤原道子君 五一%。
  53. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 五六%です。
  54. 藤原道子

    藤原道子君 ほんとか。
  55. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) ほんとうです。あの、なりました。(笑声)四十九年度におきましてはさらに難病関係定員もとれましたので、数%上がるものと見ております。ただわれわれ、国立病院、療養所だけではございませんで、実は公立病院、公的医療機関の関係も調べておりますが、私どものうかがい知るところでは、都道府県立が大体八〇%の複数夜勤制、それから日赤が約八〇、市町村立が七五%の複数夜勤制をとっていると、かように聞いております。もっとも、これには条件がつきまして、前提条件があるわけですが、三交代制をとっている中でということでございますから、いま三交代制をとっておりますのが大体ここら付近で九〇%ぐらいでございますから、九割の八割とか、九割の七割五分になりますけれども、国病、国療と比べまして、どうもそっちのほうがいい条件でございまして、これでは困るわけでございまして、特に看護力の、看護環境の条件の改善のためには、官主導と申しますか、給与もそうでございますが、国立がぼやぼやしておりますとよくなりませんので、私どもはさらに力をふるい、元気を出して、この二・八関係がさらによくなりますように定員増に努力をしたいと、かように存じております。
  56. 藤原道子

    藤原道子君 人事院は。
  57. 中村博

    政府委員中村博君) 二・八判定、いわゆる二・八判定といわれております場合の二のほうでございますけれども、この判定におきましては、全部を一人を二にしろということは言っていないのでございまして、医学的な、医療的な立場から一人で許されるところはそれでけっこうです。しかし、必要なところはその勤務条件の面から二人にしろと、こういう趣旨合いでございます。先ほど来厚生省からお答えのとおり、いろいろ努力なすって、ずいぶん一人夜勤率というものは減少いたしてきておる状態でございます。この二・八、いわゆる二・八判定というものは実は勧告でございまして、強制力を持つものではないのでございますが、これを受けられまして、厚生省のほうとしては十分な御努力をなさっておるものと考えております。とはいえ、この二・八判定の指向する点が現在直ちに十全に実現されておるかどうかという点につきましては、先生御指摘のように、まだまだ努力を要する点があることは率直に認めなければならぬと思います。私どもとしましては、この判定を出しまして、厚生省のほうでは増員その他いろいろ配慮をして努力をしておられるという前提はございますけれども、独自のいろいろな調査をし監査をいたしましてその状況を把握しつつ、厚生省と常に連絡を密にして、なるべく早期に無理のない姿でこの趣旨が実現できるようにいろいろお願いし、あるいは協議をさしていただいておる、こういう状況でございます。
  58. 藤原道子

    藤原道子君 私は、人事院が今後原因を追求して、看護婦の処遇改善の勧告をやってほしいということをお願いしておきます。  それから病院、診療所等の労働基準法違反による件数が九〇%以上を上回っているんですね。労働省はきょう呼ぶのを忘れたけれども、九二、三%。これらに対してこれを追及したのは三、四年前ですが、その後改善されておりますか。  それから、週休二日制が一般の職場では行なわれているときに、看護婦業務はこれを採用されるのか、どういう方針をおとりになるかを聞かしてほしい。
  59. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 前段につきましては労働省所管でございますし、私どもも、労働条件におきまして、特に民間におきましてどうもよくないというようなことを聞いておりますけれども、つまびらかでございません。私ども医務行政を通じまして、そういうことのないようにできるだけ努力をしたいと思っております。  第二の点、週休二日の問題につきましては、人事院が五十年度を目途に週休二日制の実施に入るような、そういうことについての検討を始めておられると聞いております。私ども部内でも検討しておりますが、当面は、やるとすれば隔週週休二日ということになるんじゃないかということも聞いておりますけれども、そういう条件で考えますと、わがほうの国立病院、療養所に例をとりますと、現在二万四千人の看護婦がおりますけれども、わがほうも当然週休二日は隔週とらせるとして、大体看護力の増が千人強要るという理論的計算はしておりますけれども、そういう面での増員問題が二・八問題に加わってさらにあるということを考えております。先生の御質問は、やるのかやらないのかというお話でございますが、週休二日が入れば、もちろん病院業務についてはこれは年じゅう無休でやらなくちゃいかぬわけでございますけれども、看護婦さんの勤務体制といたしまして週休二日をとることは当然実施をしたいと、このように考えております。
  60. 藤原道子

    藤原道子君 五日制にする計画を実行するのはいつごろのつもり……。やらなきゃだめよ。
  61. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 週休二日につきましては、政府全体の態度がいつきまりますか、私どももさだかではございません。まあ、わりかた早いのじゃないかということも聞いておりまして、そういう心がまえも持っておりますし、いろいろ検討はいたしておりますが、まださだかではございません。
  62. 藤原道子

    藤原道子君 厚生省は弱いから、しっかりやってちょうだい。  そこで、教育職員の人材確保に関する特別措置法が成立を見たけれども、政府は同様に看護婦等の人材確保に関する特別法案を提出しなかったけれども、これはどういうわけでしょう、政府。
  63. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 所管の問題が私どものほうにありますから、便宜私からお答えしますが、人材確保の問題につきましては、教員の人材確保法が通りまして給与勧告もなされ、給与改善をされるわけでございますけれども、私ども厚生省に身を置くものといたしまして、特に病院勤務の看護婦とか、あるいはまた先ほど来先生が、相当苦労しながら働いていらっしゃる職場の一つとしてあげておられます社会福祉施設の大事な職員の方、こういう方はきわめて恵まれない環境の中でたいへんつらい仕事をしながら直接的に国民の福祉とかあるいは健康のために身をささげていらっしゃるわけでございますから、こういう方々につきましても、まあ人材確保と言うと語弊があるかもわかりませんが、こういう大事な方を確保するという意味におきまして何か制度的な改善ができればというのが私ども関係者の気持ちでございます。聞くところによれば、自民党の社会部会におきまして、いろいろその間のことにつきまして御検討をされまして、目下自民党筋の組織の中でいろいろもんでいらっしゃるということでございまして、私どもにもいろいろ御下問があり、いろいろ御指示もございますが、おそらくはその線でいろいろ進んでいくものと期待もし、希望もしております。
  64. 藤原道子

    藤原道子君 お説のとおり、看護婦、保母等の人材確保に関する特別措置法案というのが自民党でいま検討されていると聞いている。で、保育所と育児休暇もその中に入っていると、そういうふうに聞いておりますが、ぜひこれは実現したいと思うのです。  と同時に、看護婦がやめていくその主たる原因は、保母が足りない、保育所が足りない、それから育児休暇がない。また乳幼児の保育所というのを厚生省はつくったけれども、そこへはいれるのは九カ月後の赤ちゃんしかはいれないらしい。ところが産前産後の休暇は六週間ですね。六週間で働かなきゃならないということになると、その赤ちゃんはどうしておくのか、結局、しかたがないから看護婦をやめる、こういう傾向が強いのです。で、私は前から主張しておりますけれども、諸外国においては病院に保育所をつくっている。で、赤ちゃんを連れて預けておいて、それで育児時間が二時間くらい与えられているのですね、中国だのソビエトにおいては。だから、看護婦は働きながら、普通の工場で働きながら赤ちゃんの世話ができるから勤務ができる。ところが日本では、病院につくっているのは、労働組合がつくっているのが若干ありますけれども、幾ら言っても政府はこれを考えてくれない。それで、九カ月以上の赤ちゃんでなければ乳幼児保育所が預かってくれないということになれば、やめざるを得ない、こういうことになるじゃないですか。この保育所の問題、保母の問題等に対しては厚生省はどのように考えるか。看護婦が一番大事な仕事を受け持っておりながら、赤ちゃんのために、育児のためにやめざるを得ない、こういう傾向がずいぶんたくさんあるのだが、それに対してどういう考え方を持っておいでになるかを聞かしてください。
  65. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) かねて看護婦の勤務いたします勤務環境改善というものの中で最も関係者が声をそろえて言っておったことが、実はこの院内保育、病院内において保育ができるようにしてくれと、そういう施設をつくってくれということでございました。で、私どももその構想を練り、またその実現方にいろいろ努力をしてまいりましたが、先ほど申しますように、おかげさまで、やっと四十九年度からこの院内看護婦の子供のための保育事業を始めるということが緒についたわけでございます。で、特に私ども見ておりますと、お困りの面は、まあ施設については、わりかた病院内、少人数の子供さんでございますから、施設の一画を利用して若干の改造をするということで、まあこれはたいしたことはないのだけれども、お預かりして、今度は保母さんをお雇いすれば、またおやつも出せば、いろいろ金がかかる、費用がかかって困る、運営費の補助をしてくれと、そうでなければこの制度は進まないという声が圧倒的に強かったわけでございます。そういうことでございますので、私ども四十九年度新たな芽と先ほど申しましたが、病院内でこの保育事業をやります場合に、一部施設についての補助も、従来二、三年前からございますけれども、ちゃちなものですけれども、主体を運営費の補助に置きまして、病院側ないし父兄が三分の一費用を持つ、それから県が三分の一持つ、国が三分の一持つというふうなしかけで、しかもまた一般的には昼間型だけ、あるいはまた昼夜型と両方ございますが、実情を見ますと、そういうものがございますが、その二つのAタイプ、Bタイプに分けまして、それぞれ状況に応じて運営費の補助を差し上げるという制度を今度始めたわけでございます。現在、その個所数が年々四、五十ずつふえていくような状況を私は見ておりますけれども、現在約三百数十あったかと思いますけれども、この面につきましてはそういうことで今後補助を差し上げ、同時にまた、院内におきます保育所につきまして、わが医務局の看護課におきましては、今後、児童福祉の領域にわたるかもわかりませんが、適正な保育が行なわれるようにいろいろ指導もして、りっぱなものにしていきたい、育て上げたいというふうに思っております。また、国立病院、療養所におきましても、現在六十カ所程度の院内保育事業をやっておりますが、これにつきましても、人件費につきまして国が持つ、保母さん二人分を持つというかっこうで、新たにこの国病、国療の院内保育所の助成を始めるというふうになってまいりました。  なお、御質問の乳児の問題につきましては、児童家庭局の課長から答弁させます。
  66. 岩佐キクイ

    説明員岩佐キクイ君) ただいまお尋ねの乳児の保育所の問題についてでございますが、その前に、現在保育所は非常に足りないんじゃないかという御指摘がございましたが、現状を申し上げますと、昭和四十八年度の九月一日現在におきまして、全国で一万六千三百九十一カ所、それから入所の定員は百四十七万五千八百九十九人となっておるところでございます。  それから、いまの乳児の取り扱いにつきましては、御指摘のように、九カ月未満の乳児は保育所では預かることができないというふうな指導につきましては、私どものほうではいたしておりませんのでございまして、ただ、地方自治体等におきまして、一つの乳児を取り扱うに必要な物的条件、人的条件の整備ができない場合に、そこで九カ月以前のものは預からないというような線をお出しになっておるのではないかと思うんでございますが、一般的に申し上げますと、乳児につきましては、何と申しましても母親があたたかい一対一の人間関係の中で十分スキンシップだとか、あるいはその他の配慮を行ないながら育てることが最も望ましいわけでございますけれども、しかしながら、いま御指摘になりましたような看護婦さんの場合等につきましては、労働基準法に定められました休暇が済んだ後にはやはり預けて働いていただかなければならないという社会的要請もあるわけでございますから、そういう点も配慮されているわけでございます。そこで、ただしかし、一般の保育所におきましては、乳児が三カ月以前でございますと首の根もすわっておりませんし、また骨格的にも、あるいはその他身体的条件が非常に脆弱でございまして、外的刺激に耐えられないというふうな点がございますので、私どもも、三カ月以降の乳児については預かることができるようにいたしておるところでございます。  以上でございます。
  67. 藤原道子

    藤原道子君 そこに問題があるんですよ。だから、結局私は、看護婦さんが足りない場合に、それを充足していくにはどうしても病院に保育所をつくるべきだ、夜勤が多いでしょう、そうすると、だんなさんはつとめているでしょう、その人が夜赤ちゃんを見るということになれば、どうしてもだんなのほうからやめろということになるのはあたりまえだと思う。しかも、深夜勤務でございますから、大体十一時か十二時からでしょう。こういう職業についているのだから働きいいような施設をもっと真剣に考えてほしい。  それから乳幼児の保育所一般の、これに対しましても、産前産後の休暇は六週間ですから、そうすれば三カ月たたなければ預かってくれないとなればたいへんなことになる。給料はどれだけ残りますか。働く女性の立場をもっと真剣に考えて計画を立ててほしいということを強く要望いたします。  たとえばソビエトあたりでは、子供が病気のときには母親は有給休暇とし、子供が病気という医者の診断書がつけば有給休暇で休める。それから中国あたりでもそうですけれども、妊娠五カ月からは六時間働いて八時間の給料をもらえるわけですね。妊娠食が出る。それから産後一年間は大時間勤務で、育児勤務というのは六時間で、二時間が育児時間として与えられている。こうして子供を守り、母親を守る、こういうやり方がやられておりますから、元気で働いて、子供もたいへん助かっている。看護婦さんが足りないということもないわけです。そういうことから諸外国の例を見ても、もう少しお考えになってやってほしいと思います。こういうことは野党は前々から主張しておりますけれども、野党の言うことは政府は取り上げないんですね。看護婦の問題だって、二十三年からやっていて、このごろやっとそれが問題化した。野党も国民の代表ですから、国民の立場を主張しているんだから、もう少し政府としても、あるいは与党としても考えていただかなければならない。看護婦が足りなくて一番困るのはだれですか、病人でございます。こういう点から、私はこの点を強く要望していきたいと思います。  時間がなくなって、たいへん簡単に飛ばしてまいりましたけれども、結局、社会保障長期計画懇談会において看護婦需給五カ年計画が発表されているが、この計画は国際比較によりわが国の不足数を明らかにしておるにすぎない。具体的な諸施策をどのように行なうことにより不足数を増強するのか明確にしていただきたいと思います。同時に、潜在看護婦というのがずいぶんおりますね。潜在看護婦に再び就職してもらうための努力ですね。アメリカでは、ニクソンでしたか、大統領が、あれを通じまして、それで国民に訴えて、再就職のために二週間なり三週間の再教育をしますね。その他、失業保険を出して、手当を出して、子供を預かって、母親が再就職の教育を受けているわけです。そういうふうにしているけれども日本ではどのようにしているか。潜在看護婦が二十万か三十万いるということですが、私は三十万くらいいると思いますが、潜在看護婦、これらを再び職場で働いてもらうというようにしなければ、五日制の制度をとるにしても、看護婦が足りなければできないじゃありませんか。夜間を二人制にするにしても看護婦が足りなければできない。やるやるというけれども、実際にやれないのは看護婦が足りないからやれない。その看護婦は普通のしろうとがどんどんなれるのではなくて、看護婦の教育を受けて資格がなければだめです。そうすると、看護婦の待遇が悪いからやめた人がたくさんいるし、育児のためにやめた人もたくさんいるんだから、こういう人たちを再教育をして、そうして再び職場に帰ってもらうという方法はどのように行なわれておりますか。この前の質問努力いたしておりますという答弁があったけれども、どのように努力をして、それで潜在看護婦が具体的に職場へ帰った人がどのくらいあるかということをちょっと伺わしてほしいと思います。
  68. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) お答え申し上げます。  まず、前段の看護婦の需給計画、四十九年度から五十三年度までの五カ年計画についてでございますけれども、私どもヨーロッパ先進諸国の国に負けないように看護力を整備するということでこの五カ年計画をつくったわけでございまして、先ほど来申し上げますように、スウェーデンとか、あるいはイギリスあたりが一ベッド当たり〇・三二とか三三とか、こういう看護力を持っておりますが、そこまではぜひ五年間で持っていきたいということでこういう計画を策定したわけでございます。この計画をつくりまして、問題はいかに魂を入れるか、いかにこれを具現化するかという問題でございますが、これまた先ほどから申し上げましたように、看護養成力の充実をはかる、その他給与改善をこういうふうにやっていく、あるいはまた職場環境改善としまして、あるいは院内保育所事業をやる、あるいはまた二・八関係も普及する、いろいろなことをやっておりますが、さらにこういう施策をもっと力強いものにする。もっと現実的に力の強い、メリットのきいた、そういうものにするような努力を今後とも続けることによってこの計画を達成したいと思います。  なお、後段の先生の御質問の潜在看護婦のお話でございますが、これは推定でございますけれども、今日在野の、家にある看護婦の資格を持ったお方の数は約三十万人といわれております。ただ、三十万人の中で約半分は、もう年輩からいって、とてもじゃないが再就職をお願いするのは無理であろうという方が半分ぐらいある。また、その中のまた半分、残りの半分がほかにもすでに職業をお持ちになっていて、もう見動きつかぬだろうというふうなことで、結局残りのもの、大体七、八万人になろうかと思いますけれども、こういう方たちが私どもの潜在看護婦の掘り起こしという対象になるわけでございます。で、私ども従来とも各県におきまして大いに努力をしながら、アンテナを張り、あるいはまたつかんでくればいろいろその指導、講習をしてあげるということで、従来講習会の予算等も補助いたしまして、潜在看護婦につきまして、新たなまた再出発ということにつきまして、技能をみがいてもらい、あるいはまた病院についての予備知識を持ってもらって、安心して再度就職してもらうというふうな努力をしておりましたけれども、さらにそれに加えまして、これも先生御存じかと思いますが、われわれも努力はいたしております。  四十九年度また新たにナースバンクを発足させる。ナースバンク——看護婦銀行と申しますか、をつくると。全国十一カ所につきまして四十九年度におきましてナースバンクをつくる。このナースバンクの機能と申しますのは、一つにはモニタリング、すなわち情報の収集、これはできるだけ町村、あるいは場合によっては町村の中の町内会、あるいは部落のほうまで連絡をとっていただいて、広く情報を集める。そして同時にまた、そこで見出されました潜在看護婦の方につきまして、情報を提供し、そしていろいろお知恵を授けて、それで県の中央に持ってきて訓練をする、そして労働省とタイアップして再就職をお願いする。こういうシステムでございますが、新たにナースバンクのしかけを四十九年度から始めるということで、先般来県とも連絡とりまして発足を急ぐということでいま努力をしております。中身は金額的にも少ないし、数も少ないというおしかりがあるかもわかりませんが、私どもとにかく看護婦対策につきましては一年一年、一挙にはまいりませんけれども、とにかく芽を出している。特に四十九年度はいろいろな面で芽を出したということをもって先生の御了承をいただきたいと思うのでございます。
  69. 藤原道子

    藤原道子君 私はここに、看護制度の改善に関する報告という看護制度改善検討会、この中にも潜在看護婦のことが書いてありますけれども、時間の関係——それを必ず実行してほしい。答弁だけで終わるから困るんで、それを実行してもらいたいということを強く要望いたしておきます。  そこで、看護婦さんの引退の理由ですね、それの多くは、子供ができるから、保育所がないから、子供が学校に行くから、夜勤が多いから、いまの職場では体がもたないから、仕事に希望がないというようなことが多いのですね。ここに明らかに出ている。したがって、私申し上げましたように、子供の問題、育児休暇の問題、こういう点をもう少し考えて、そうして何といいますか、夜勤を、人事院からも言われておりますように、多くて八日間、私たちその前、六日間というのがわれわれの主張であったのですが、人事院から八日間というのが出て、まあ八日間を実行してもらえば、一時的にはそれでしかたがないと思っておりましたら、もう八年も九年もたってもそれが実行されてないから、ぜひこれを、過去においても何回となく看護婦の需給計画を行なわれるようにお願いしたけれども、それに対して計画は発表されたが、いつも机上のプランで終わっているのですよ。それを今度看護婦不足が解消されるように真剣に努力をしていただきたいということを強く要求いたしております。  そこで、医療費が結局引き上げられるでしょうね、いろいろな問題で。それらについてはどういう考えを持っておいでになるか。それから自治省ですね、今回の看護婦給与改善により、さらに地方公務員や一般病院の看護婦への影響、さらにこれが医療費の再引き上げの見通しについてはどのように考えておいでになるか、厚生省とそれから自治省の方にお伺いしたいのです。  それから看護婦と准看護婦の一元化についてはどのように考えておるか、法改正を実施すべきではないかと思うが、わが党は今国会に保健師法案を提出しようとしておるけれども、とにかくこの非常に問題になっておる医療制度、特に看護婦の問題あるいは医療費の引き上げ等に対しての政府の考え方、これを伺わせていただきたいと思います。
  70. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 医療費即社会保険診療報酬の問題でございますが、このことにつきましては、保険局でやっておりますけれども、便宜私からお答え申し上げれば、大臣も先般某地で、現在中医協でスライド制の問題をやっておりますけれども、物価もいろいろ高騰しておるし、諸般の情勢もずいぶん急速に動いておりますから、年内に緊急の整備というふうなことも検討させたいとおっしゃっておりましたが、診療報酬についての吟味が急がれております。私どもこの看護婦の処遇改善に伴いまして、もちろん病院の経常経費も増高するわけでございますので、その点につきまして、保険局において十分検討してもらうように、そういう御吟味方をお願いしておりますし、当然また吟味あるものと考えております。  それからいま一つ、制度の、看護婦制度と准看制度の一本化の問題につきましては、先ほど来私が答弁しましたように、今後正看三年コースの方向でいく、准看護婦は今後相当長期にわたると思いますが、転換計画は。そういう方向で粗漏がないように、看護力の需給関係に、そこに大きい摩擦が起きないように、溝ができないように、そういうことを配慮しながら現実的に、しかも慎重にそういう計画をつくり、かつ実行することをこれから考えていきたいと思っております。
  71. 山田守一

    説明員(山田守一君) 看護婦を含めまして、地方公務員の給与は国家公務員の給与と均衡をとりつつ決定するということで指導してまいっております。今回の看護婦につきましての給与改善が行なわれまして、法律が成立いたしました場合においては、地方にも全く同一の水準を確保することを内容とする各公共団体の条例を改正いたしまして必要な措置を講ずるよう指導連絡しておるところでございます。なお、看護婦のうち、その七割は公立病院に勤務しておりますので、その経営の中で行なわれるわけでございますけれども、その場合の財源は、本来的には社会保険診療を主体とする診療収入の確保に待たなければならないわけでありますけれども、その他病院経営の改善を通しましてその中で措置していく。なお、それによってまかない切れないものは一般会計から繰り入れて確保する例などもあるようです。いずれにいたしましても、基本的には国においてとられました措置による改善は地方公共団体においても実施するよう強く指導してまいるつもりでございます。
  72. 藤原道子

    藤原道子君 私、少しよけいなことを言ったかもわかりませんけれども、病院は看護婦が足りないから病床をうんと遊ばしておる。東京の国立第一病院でも、千床あるのに四百床くらいしか使っていないんじゃないですか。あとは看護婦が足りないから遊んでいる、あいているんです。全国的にそういうのが多い。この間も結核の患者さんが、年寄りが非常に悪いので入院さしてほしいと病院へ行ったけれども、病床がない、看護婦が足りない、だからだめだといって入院させていただけません、こういうことで一体どうしたらいいでしょう、年寄りのめんどう見てやれば子供へ肺病がうつります、だから早く病院へ入れたいけれども、病院では看護婦が足りない、あるいは病床が一ぱいだ、軽い病人は入れる、ところが重症患者は入れてくれない、こういうことの訴えもあるわけなんですね。そういう状態でございますから、答弁だけうまいこと言っても、実際は入院患者が多いのに入院さしてもらえない。それで病床はたくさんあいておる、これを放置しておくということは、私は許されないことじゃないかと、こう思うんです。あなた方えらい人は、入院すると言えばどこでも入れてくれる。一般の人はたいへんなんです。こういう点もございますから、医療制度についてもっと真剣に考えてほしい。  それから准看と看護婦を一本化するということは、長年の主張ですから早く実現してほしいけれども、やはり准看が普通の看護婦になるための努力が要りますね。そういう点もございますから、もしかりに試験が受からなくても准看をやめなきゃならないというようなことのないように、その点もひとつ考えてやっていただきたい。  それから看護婦を全部一本化していくためには、看護婦の学校が、養成所が非常に必要だと思う。それらについても、いろいろ骨は折れるでしょうけれども、国民の医療達成のために真剣に考えてほしいと思いますが、それに対してのお答えをいただき、さらに人事院の方にお願いしたいのは、実行されてないときにはやはり注意していただいて、やらしていただけるようにしてほしいんです。お願いいたします。
  73. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) まことに困ったことでございまして、私どもの国立病院中の病院である東京第一病院、おひざ元の東京第一病院があれだけ高層の十六階建てのデラックス病棟をつくったわけでございますが、現在五階分だけランプがつかないでまことに面目ないと思っております。私ども、実は答弁だけではございませんで、常日ごろこの問題については頭を悩まし、マクロ的に全体の行政のベースから何とか看護力の需給を改善するために日夜努力を続けているわけでございまして、先ほどから申しますように、四十九年度につきましても、私ども精一ぱい努力をし、いろいろの新しい芽を出したつもりでございます。もちろん一挙には参りませんので、そこに先生の御指摘になるようないろんな御不満があり、御批判があるかもわかりませんけれども、とにかく私どもは日夜ほんとうにからだを張ってこの看護力の需給問題に取り組んでいるつもりでございまして、今後ともそういう面で努力をしたいと思います。  なお、東一の問題についていろいろ皆さん方に御迷惑をかけておりますけれども、私ども、本年度に入りまして約六十名弱の看護婦が新たに採用できまして、現在病院で見習い中でございますが、これにつきまして、職場の皆さん方とよく話し合いをしまして、現在五階あいておりますが、そのうちの四階ぐらいはランプをともしたいと、そういうことでいま必死でございます。私ども実は現場と一緒になってそのための努力もいまやっております。そういうことでひとつ御了承願いたいと思います。  なお、制度の一本化の問題につきましては、何回も申し上げましたように、私ども慎重にやっていきたいと思いますが、御指摘の取り残された准看護婦について、将来とも不安がないようにいたしたいと思います。もちろん看護教育制度が一本化されましても、准看の看護婦さんがいらっしゃる限りは、安堵してその職業ができますように、そういう配慮をすることはもちろんでございますけれども、一本化すれば当然、今日約二十万弱の准看の方が将来正規看護婦の資格をとりたいということで、おそらく進学のこともお考えになると思います。そういうことを考えますと、いまの二年間のいわゆる進学コースだけでいいかどうかが一つの問題でございまして、そのために看護制度改善検討会では通信教育をこの進学二年コースに取り入れたらどうだろうかと、そういう御提案もあっております。そのほかにもいろいろ論議はあったようでございますけれども、当面私どもは、この四十九年度内におきまして通信教育の検討というものを始めるべく、そのための銭もとりましたし、またそういうことでこれから検討を急ぎたいと思っております。もちろん直ちに通信教育が始まるというわけではございません。これからおそらく、いま千四百ある中の約七百ぐらいが准看の施設でございますから、一挙に移ることは困難でございまして、先ほど来申しますように長期かかると思います。その長期の中で考えることでございますから、いま一カ月あるいは一年で通信教育の問題をきめなくてもいいと思いますけれども、とにかく、しかし方向だけは早く示すように、それでそれによって皆さん方の御安心感を得るように、そういう努力をしたいと思っております。
  74. 中村博

    政府委員中村博君) 先生御発言の御趣旨を体しまして、密接な連絡のもとに引き続き私ども努力してみたい、かように存じます。
  75. 藤原道子

    藤原道子君 たいへんいろいろ御答弁いただきましたけれども答弁を実施できるようにお願いしたいと思うんです。私も長年看護婦もしてまいりましたので、看護婦問題は特に気にしておりますから、ひとつ真剣にやってほしい。  いまの通信教育ですけれども、六年間の実地勤務が終わったら、通信教育をしていて、六年たったら講習をちょっと受けて試験を受けるというような方法は、この前の私の提案にも申しておりますけれども、そういう方法を考えていただきたいということを強く要望いたしまして、時間が参りましたから、私はこれで終わりたいと思います。
  76. 鈴木力

    鈴木力君 関連で、一つだけはっきりしておきたいことがありますので、これは総務長官に伺ったほうがいいと思います。  この法律案の施行の日、全部申し上げなくてもおわかりいただけると思いますから——「施行日から起算して十日を超えない範囲内において人事院規則で定める日に期末手当を支給する。」と、こうありますけれども、問題は、施行の日というのがはっきりしません。大体いつを考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  77. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 法案の御審議中でございますので、もちろんいろんな前提はあるわけでございますが、参議院のほうを通過いたしましたら直ちに公布をいたしたいと思っております。現在事務的にいろいろ折衝をいたしておりますが、もしあすにでも御通過さしていただければ、あさってにも公布をいたしたいと、このような準備を進めております。
  78. 鈴木力

    鈴木力君 わかりました。  直ちに公布をする、そうすると、これは仮定の話ですけれども、いま伺いましたように、あした法案が成立をすればおそくもあさってということですね。できればあしたということで努力をしてもらえれば、即日公布となればなおはっきりするわけですけれども、おそくもあさってということで確認をしたいと思います。
  79. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 実は会期末に迫っておりまして、法律が非常に込んでおりまして、非常な無理を印刷局のほうにお願いをしておるわけでございますが、何とかあさってには公布の手続をとりたいと、こういうことでいま進めておるわけでございます。
  80. 岩動道行

    岩動道行君 ただいま藤原委員から看護婦の充足についてきわめて貴重な質疑をなさいましたことを私は高く評価をいたしたいと思います。  そこで、私は、まず今回の人事院勧告については必ずしも看護婦の不足を十分に解決することに資するかどうか疑問を持たざるを得ない立場質問をいたしたいと思います。  まず、総務長官も、人事院勧告に基づいて、この勧告は看護婦の不足問題の解決に資することを主眼としての特別な給与改善だと、こういうことでございまするが、先ほど来の質疑を通じても、一体ほんとうに確保できるのかどうか、その辺からまずひとつ大臣のお考えを伺いたいと思います。
  81. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) お答え申し上げます。  看護婦の不足の状態ということは、もう一種のいま現在大きな社会問題ではないかと私は認識しておりまして、この看護婦の藤原委員も御指摘になりましたが潜在力というものをもっと職場に早く復帰してもらうとか、あるいは現在やっている人たちがやめていかないとか、まああらゆる努力を私は政治の中でやることがやはり今後の政治の中できわめて重要な課題であるという認識を持っております。そうした面から見ますと、今回の給与改善ということは、その及ぶ範囲があるいは小さいという認識があるかもしれません。しかし、同時にやはりこうした改善が今日提案されて御審議をいただいているということ自体に大きな意味があるように考えまして、まずこれを第一歩とし、さらに先ほど来伺っておりますようないろいろな御議論そのものも早く政治の中で解決をする努力をしていかなけりゃならぬというふうに強く感じておるわけでございます。
  82. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、今回の措置に対応して、厚生省に伺いますが、いわゆる賃金職員としての看護婦というのがあるわけですが、これは一体いまどれくらいおりますか。
  83. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 先生、まことに申しわけございません。現在のやつすぐ調べますが、ちょっと時間をかしていただきたいと思いますけれども
  84. 岩動道行

    岩動道行君 各国立病院には、それぞれかなりの賃金職員の看護婦がおって、そして正規の看護婦定員の不足を補っていると、こういう実情にあると思うんです。しかもその勤務状態は八時間の常勤とほとんど変わらないという実情にあると思いますが、この点はどうですか。
  85. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 先生のおっしゃるとおりでございます。
  86. 岩動道行

    岩動道行君 そういたしますと、今回の給与改善については、これらの賃金職員としての看護婦に対してはどのような改善が講ぜられているのか。これについては政府側はどういうふうにお取り扱いになるか、それを伺いたいと思います。
  87. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 今回の給与改善との関連ということはございませんけれども、看護婦資格を持った賃金職員につきましては、四十九年度予算におきましてこれを大幅にふやしまして、約二千円弱だったものを今度は二千六百円程度の賃金でお雇いするというふうに、賃金の実額を大幅に上げるということを考えております。
  88. 岩動道行

    岩動道行君 もう少し具体的に、たとえば今度は、人事院勧告では、一般病院勤務者の場合は、一般看護婦は三等級で一〇・一%、准看護婦、総婦長等を含めた全体で八・九%、こういう改善措置が講じられるんですが、賃金の職員についても同様に予算措置を講じて改善をはかられるかどうか、この点はどうなのか。
  89. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) ただいまちょっと数字の間違いがございまして、四十八年度看護婦の賃金は単価千八百五十円で、たしか実行は二千百円か二百円だと思いますが、四十九年度単価二千百六十円で予算がついておりまして、これにつきましては二千六、七百円程度の単価でやろうと思っております。まあそういうふうに上げておるんでございますが、ただいま先生の御指摘ございましたように、このたびこういう人事院勧告があって、一般給与は上がるけれども、この賃金分につきましては、一応全般的な賃金の状況を見てきめたわけでございまして、年度内においてこれを変える予定はいまのところございません。
  90. 岩動道行

    岩動道行君 その点はひとつしっかりと、一般の看護婦と同じ勤務状態でありまするから、非常勤といえども差別待遇にならぬように、その点の配慮を願いたいと思いまするが、総務長官、いかがですか。
  91. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) これは所管庁で処理する問題でございます。よく所管庁の担当省のほうとも、その点について抜かりないようにひとつやってもらいたいという希望を私は申し述べておきます。
  92. 岩動道行

    岩動道行君 大蔵省はどうですか、主計官。
  93. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) おくれて参りまして申しわけございません。  先生の御質問の趣旨は、今回、去る三月の幾日でしたか、看護婦の給与改善の勧告がございまして、定員内の看護婦につきましては給与の改定を織り込みまして四十九年度の予算で編成いたしておりますが、賃金の看護婦職員の単価についていかがするかというお尋ねであるようでございますけれども、賃金単価につきましては、看護婦に限りませず、各職種別に、四十九年度の予算編成の段階で、諸般の情勢を見ましてそれぞれランキングをきめまして統一の査定単価でやっております。で、四十九年度の予算編成の時点におきまして、人事院のほうから内々の御連絡がございまして、看護婦の給与につきましては先般の勧告になりました所要財源を当初から織り込んでございます。ということは、そういうことも背景にいたしまして、私ども賃金単価を策定したものでございまして、現時点におきましては、四十九年度以降の問題といたしましては、当初予算の単価どおりで予算を執行していただくという形になるかと思いますけれども、なお五十年度以降、将来の問題につきましては、現在の賃金の各職種別のランクづけ等につきまして、先生御指摘の線に沿いまして引き続き実態に即した方向で検討をいたしたいと、かように考えております。
  94. 岩動道行

    岩動道行君 五十年度でやったんじゃおそいのでして、四十九年度で四月一日からすでに給与改善を特別に看護婦さんのためにはやってあげるんです。したがって、それと同じ職種のものは同じように賃金の場合もやってあげなければいけないので、これは政府が、大蔵省はもちろんのこと、厚生省もあるいは人事院も十分な協議を遂げて、そうして同じような待遇をしてあげなければ、私は看護婦の不足の解消の一つの役割りを果たしている賃金職員、これの確保すらむずかしくなってくる。これじゃ一体、厚生省、国立病院の看護婦の不足対策として十分だと思いますか。
  95. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) まあ、賃金職員の看護婦につきましても、一般看護婦と同様の勤務についているわけでございますから、私ども気持ちの上でできるだけの配慮をしたいと思っておりますけれども、何さま賃金につきましては、いま申しますように、一般的なほかの職種の賃金とのバランスもございますので、なお慎重に検討さしてもらいたいと思います。
  96. 岩動道行

    岩動道行君 ほかの職種との関係があるというけれども、ほかの職種との関係において今度看護婦の分は特別な措置を講じているわけでしょう。それならば、それと同体である賃金職員である看護婦も同様に私は扱うべきなんで、そういうことをやっておられると、私どもはいかに与党といえども、そういうやり方に対しては納得ができないわけです。もう少し前向きの答弁をいただきたいと思います。
  97. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) まあ、きめられた予算でございますし、予算の中での一つのやりくりの問題でございますけれども、先生の御趣旨を体しまして、できるだけの配慮をしていきたいと思います。
  98. 岩動道行

    岩動道行君 これは予算の実行上の問題であり、あるいは場合によっては補正予算の問題が起こると、その場合にも十分にこれは四十九年度の予算実行の中において、一般の看護婦が受けた給与改善に相応するような対策をぜひ講じていただきたい。この点はひとつ総務長官、国務大臣としてお心にとめていただきたいと思いますが、いかがですか。
  99. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 岩動委員の御発言の趣旨は十分理解できます。
  100. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、いま看護婦の定員の現状でございまするが、行管にまず伺いたいと思いますが、総定員法の中で年次計画で定員削減をやっておるわけでありますが、平均してまあ全体で五%ということでありまするが、その中において看護婦の定員削減はどのような扱いをしておられるかお聞きしたい。
  101. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 先生御指摘の看護婦につきましては、職種的に見て最も緊要度の高いものというふうに考えまして、いわば分類をいたしました場合に第四分類ということにいたしまして、最低の削減率でございます三年間を通じて一%という削減率を一応積算の根拠として用いております。
  102. 岩動道行

    岩動道行君 看護婦の不足というのは非常にばく大な数になっておって、その養成機関をつくることにもたいへんであり、あるいは潜在看護婦の動員のためにナースバンクもつくっていかなければいけないと、そういう中において、私はいかに緊要度を高く見ても、なおかつ定員削減の対象にすること自体がすでに政府の姿勢としておかしくないかと、こういう感じがいたしますが、今後この問題について、定員削減の対象から全くはずしてしまうと、増員をやって一方において定員削減があって、プラスマイナス、プラスになっていくんだと、こういうような考え方で、実際には増員になってるからいいんだと言いまするけれども、思想的に看護婦の定員を削減をしておいて、一方においてほかのほうから埋めることによって実質的な増員になるからいいんだと、こういう考え方はあまりにも技術的なやり方であって、私は看護婦の定員削減は行なわないと、充足が十分に行なわれるまでは削減の対象にしないと、これはほかの職種にもあり得る問題だと思いまするが、特にただいまは看護婦の問題についてこの点を行管が十分に反省をしていただかなければいかぬと思いまするが、政府の見解を伺っておきたいと思います。
  103. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 看護婦等を最重点職種といたしながら、なお一%の削減率を適用いたしました趣旨は、あらためて御説明申し上げるまでもないことでございますが、国立病院、療養所等の立地条件その他の関係からいたしまして、確かに全体としては看護婦について不足状況があることは事実といたしましても、なお療養所等の合理化の余地が全体的に存在するということも事実でございまして、そういった事態を受けまして、このような処理をいたしてまいったというふうに理解いたしているわけでございます。ただ、五十年度以降の問題といたしまして、全体的にどのような処理をいたしますか、私どもまだ全然方針をきめておりませんので、先生の御趣旨等も念頭に置きながら、こういう問題についての検討を進めてまいりたいと考えております。
  104. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、いまは閣議決定でそういう申し合わせで削減をいたしておりまするから、これを変えろということは申しませんが、五十年度以降は十分に検討するということでありまするから、それで了承して、ぜひそのような矛盾した定員削減ということを行なわないように特別な配慮をお願いしたいと思います。  そこで四十九年度——四十八年度でまずその欠員のできた場合に補充をしたいというそれぞれの病院等があるわけでありまするが、その定員の不足、欠員に対して新規に採用をする、補充をする、その場合に、これを凍結をしたという事実がありますが、厚生省、この点についての説明をしていただきたいと思います。
  105. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 実は、ただいま話題になっております定員削減、第二次定員削減のいま三年目に入っているわけでございまするが、実は看護婦、医療職(三)のこの職員とか、あるいはまた医師、医(一)の職員でございますが、こういう職員につきましても、実は一律の削減がかかっておるわけでございますけれども、現実の問題として、実際に削減することが困難でございますので、全体の病院、療養所の中におきますこの削減の数のこなしといたしまして、行(一)あるいは行(二)の職員につきまして定員をカットするということをやっております。実はただいま第二次の定員削減下にあるわけでございますが、第一次定員削減から数えますと、もう六年間にわたりまして、行(一)、行(二)の定員削減が相当つらい現実になっております。そういう状況でございますので、結果的に行(一)、行(二)につきまして相当程度の過員がございまして、全体として病院、療養所におきまして過員をかかえているという結果になって出てまいります。で、そういうことがございまして、実は四十八年度秋になりまして、いろいろ年度内の見込みを立てましたところ、相当の行(一)、行(二)に過員がありますために、全体としまして予算上きまっております人件費のワクその他を考えますときに、とてもじゃないがしのげないというふうなこともございまして、四十八年の暮れから四十九年の二月にかけまして、一時期、看護婦さんの採用につきましても極力これを押えるという指導をしたことがございます。ただ、幸いにしまして、全体的な定員状況がその後改善されまして、三月以来この措置を解除いたしまして、この四月に入ってきているわけでございます。目下四十九年度年度当初でございまして、まあ増員もございましたし、その中で息をついている、こういう現状でございます。
  106. 岩動道行

    岩動道行君 マクロの話とすればそれで通るかもしらぬのですけれども、具体的に個々の病院にとってみますると、そういう臨時定員ですか、こういう制度があるわけですね。年間の間に定員削減を行なう、したがって一次的には、法律でというか、各省に割り当てられた定員をこえる、したがって欠員を補充することが困難である、できないと、こういう凍結のしかたも私は看護婦の場合には非常に問題がある。現場職員、そして病棟においてすでにもう看護婦が足りない。どうやって配置をしていいのかわからない。そのために非常に大きなトラブルが現場で起こっている。そうして、あなたのほうは凍結解除を二月にしたからもういいんだと、こう言っておられまするけれども、それまでの間に何人も何人もやめていっている。それを補充できない。そのために看護体制が十分にいかない。そのために、逆に二・八どころか月に十回も十一回も夜勤をしなければいけない、あるいは二人勤務のところを一人で済まさなければいけないという非常に不完全な看護体制をとらざるを得ない、あるいはベッドをあけておくというような非能率の病院管理運営をしなければいけないと、こういうことになってきておるわけです。私はそういうところに対してもっと弾力的に、そしてこの緊急な病院の看護体制というものをやっていかなければいけない。どうしてそういう凍結をして、そして二月ごろに解除したといっても、あるいは私の聞いてるところだと、そういう通達も各地方医務局を通して各病院に行く。病院に到達したときにはまあ三月の半ばごろになってしまう、あるいはそのあとになってしまう。それでそれを三月一日にさかのぼって発令してもいいと。さかのぼって発令するというけれども、採れないのですよ。採ってないのですよ。あるいは臨時職員をそうやって本物に直すということもあるかもしれない。そこら辺のやり方というものがきわめて机上論、現場を知らないやり方だ。現場の声をもっとお聞きにならなければいかぬと思う。そしてこれに対しての措置を弾力的におとりにならなければいけないと思うのです。この点について、厚生省どうお考えになりますか。
  107. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 私どもも政府部内の一員としまして、この定員削減という一つの対策というもののワクの中にございますし、そういうワクの中で定員管理をやっているわけでございます。で、まことに、残念なことに、その定員管理につきまして従来十分できておりますれば、定員をこえることそうはなはだしき過員があるという事態もなかったわけでございましょうけれども、年々たまってきたと、それが相当大きい数字になってきたという異常の事態でございまして、そういう異常の事態対処としまして、あるいは先生から御批判もありましたけれども、私どもとしましてはやっぱり定員管理の筋から申しまして、やはり定員内でやっていくという努力はしなくちゃいかぬと、そういうことで、まことに残念ながらこういうことをやったわけでございます。今後私ども定員充足につきましては、さらに努力をすることはもちろんでございまして、今日各病院、療養所側から相当熾烈な要請も出ておりまして、私ども今後ともこういう定員削減がないことを望んでいきますし、また定員充足につきましても増員を十分はかるということを努力いたしまして、こういう事態が二度とないように注意したいと思います。
  108. 岩動道行

    岩動道行君 大いに反省をしていただかなければならぬわけですが、これはまあ厚生省だけでも、なかなか努力はしてもそのワクを破ることができない。そのワクはやはり行管、そして大蔵省のほうの予算関係もあると思いますが、それぞれこれについて今後どうするのか、そしていまのような問題に対する反省はどうなのかお伺いしたい。
  109. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 最初に先生御指摘がございましたいわゆる調整定員制度というものも一応制度上考えられておりますし、年度内にそういった事態が解決される見込みがあり、暫定的に定員超過の事態を来たすような場合につきまして、真に必要がございます場合においては調整定員制度の活用も考えるべきではないかというような感じを私どもは持っておりますが、ただそれには、同時に、ある程度予測される事態がございまして、予算上の措置も当然なされておることが必要ではないかというふうに考えております。
  110. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) まず、第一点の五十年度以降の定員削減の問題をいかがするかという問題でございますけれども、これは御案内のように行政管理庁で御立案になるわけでございまして、従来の経緯から見まして、その御立案の過程の段階で財政当局に内々に御相談を賜わりまして計画が策定されるという段取りになると思いますけれども、まずその点につきましては、先ほど来先生御指摘の点を私ども十分留意いたしまして、今後の計画につきまして行政管理庁当局と十分お話し合いをしてまいりたいと思います。  それから第二点目のその定員管理のあり方の問題でございますけれども、先ほど仰せになりましたように、マクロの管理とミクロの管理というのは非常に微妙な関係にあるわけでございまして、マクロの理論といたしましては、かりに適正な定員規模というものが策定されました場合でも、部分的に過員の状態が生じているという場合に、片っ方のほうで欠員があって、しかもそれは補充できないと、当然それは人件費の積算上そういうことになりまして、執行当局である厚生省でいろいろ御苦労になってるという事情はあるかと思いますけれども、個別の定員管理の問題につきましては、もちろんマクロの定員の規模のあり方というのは当然適正であるべきかどうかという問題はございますけれども、個別の定員管理の問題につきましては、厚生省当局におきまして、十分末端の病院、医療機関等の実情を把握願いまして、これは人事異動を伴う問題でございますから非常にむずかしい問題であるかと思いますけれども、そういう御努力を賜わりまして、今後とも医療機関の特に看護婦問題につきましては十分な対処をしてまいりたいと、かように考えております。
  111. 岩動道行

    岩動道行君 いずれにいたしましても定員削減の問題、そして調整定員の運用の問題等、非常に大きな現場に直接響いてまいる、マクロではなかなか説明のできても、現場のそれぞれの病院においてはそれが十分に機能しないと申しまするか、非常に悪い影響しか出てこないという面があるので、この点については根本的にひとつ考え直していただいて、四十九年度からこの問題については真剣に現場に迷惑のかからないようなきめのこまかい対策を具体的に講じていただきたいと思いますが、この点について厚生省、責任ある答弁をしていただきたい。
  112. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 実は定員の管理の面で私ども現場現場のいろいろな実情も見ているわけでございますが、昨年からことしの二月にかけましての異常な事態ができました理由一つに、四十八年度に入りますのに際しての看護婦の見込み採用と、四十八年三月卒業の看護婦の見込み採用の問題に狂いがあったこともその一因になっている面がございますが、そういうことを含めまして、四十九年度の当初から、個々の病院の実態に応じまして、定員管理につきまして十分病院側の意向も聞きながら、同時に現実を踏まえていい定員管理が初めからできるように指導をして、二度とそういうことのないように注意をしたいと思っております。
  113. 岩動道行

    岩動道行君 私はここで現場の声を少し皆さんに申し上げてお伝えをしておきたいと思うのです。本来ならば参考人でも来ていただいて、それからしゃべっていただくのがあるいはよろしいのかもしれませんが、そういう時間もないので申し上げたいと思います。  たとえばここに一つ例がありますが、これはまあ文部省関係になりますが、三月の二十四日の毎日新聞「読者の広場」、これで、「国立移管で減った医大病床」という投書がございますが、これによりますと、三重医大病院が県立から国立に移管をされたその結果——これはまあ投書でありまするから正確にはどの程度かわかりませんので、政府側で調べた結果をお知らせいただきたいと思いますが、「県立医大病院当時、三百五十九人いた看護婦が国立移管後、二百七十五人に削減され、その結果、七百二十五床のうち百九十四床が閉鎖されていると聞く。」と、これはこういうことであります。「県民は、みな、国立に移管されると、すべての面で向上するものと思っていた。」と、そうして「きょうか、あすかと入院通知の来るのを待っている患者の実情を、病院当局や組合側は十分承知していたのか。これに対して組合側も努力すべきではなかったか。」といったような趣旨の投書もあるわけであります。  これは国立病院というよりも医大の付属病院の問題でございまするが、必ずしも的確な数字をもって投書の中身ができているとは私も考えませんけれども、これらの点についての解明もしていただきたいと思いまするし、また現場のいろいろな声として、たとえば日勤の場合で申しますると、患者に対しての処置、検査介助、配ぜん、配食、検温、与薬のみで勤務が終わり、看護らしい看護が全くできないという感じでおると。また、急患が二名もあると、やはり夜勤同様の処置だけに終始をし、床頭看護は全くできない、やむを得ず家族に協同を求めることがしばしばあるというような声もあります。あるいは老人が多いために目が離せない、現在ではただもう事故が起こらないように配慮するのが精一ぱいだと、こういうような声もございます。そういうところから、看護定員をもっとほしいということにつながってくるわけであります。また、内科病棟の看護の現状につきましても、いま言ったようなことでありますが、特に夜勤で重症患者または急患の出た場合は、一人夜勤の場合は当直医、当直婦長の応援を頼むと。そして準夜勤者を一名の准看で行なうこともしばしばあるというような実態。夜勤者が一名で急患の処置に時間を費やすと、そうすると他の患者への病状把握も不十分になりがちであるし、処置も単なる投薬のみで終わる傾向もある、看護の体制としてはきわめて不本意であると、こういったような声もございます。  また、外科病棟におきましては、その処置に追われて患者のアフターケアがなかなかできない、こまかい点滴の問題とか、いろいろ包帯交換とかございますが、これらのことは省略をいたします。また、手術の直後の看護は床頭看護、つまり、まくら元で看護をして、絶えず患者の体温とか脈搏とか呼吸の測定を行なう等、全身の状態の管理をするという必要があるけれども、それもなかなかできない、それをやっているとほかの患者に手抜かりが出てくる。こういったようなことも看護婦の足りないことに対する一つの声であるわけでございます。そうして非常に集中して勤務するために疲れてしまって、休日はもうただ寝ているだけであると、ほんとうの休日にはならない。また、年次休暇もなかなか思うようにとれない、こういったような声もあるわけであります。小児病棟についても、非常に手がかかるということから、その負担の重さということの訴えが出ております。また、産科につきましても、これは業務の特殊性ということが非常に多いわけであります。一つの分べんが無事に終了するために要する時間の長さは看護に要する時間の長さと比例するとか、あるいは産婦が育児に対してある程度自信を持った状態で退院していくために、入院中の指導、たとえば沐浴であるとか調乳であるとか、いろいろな点について多くの時間を必要とする。あるいは新生児、異常新生児、未熟児については全く依存的な存在で、産科病棟内ではなかなか思うような看護ができない。これは産科のワク外の仕事にもなってきておる。こういうようなことで、非常に産科病棟の勤務というものの特殊性が十分に考慮されていないような定員配置であるというふうに訴えておるわけであります。  いろいろこまかい点は省略いたしますが、こういったようなことで、具体的に現場の声というものは非常に切実なものがあります。また、われわれが入院をいたしたというような場合を考えてみましても、なかなか思うように手が回ってこない。そうしてたとえばベッドをつくる。これも看護婦の完全看護の中の一つでありまするから、シーツを取りかえる、まくらカバーを取りかえる、部屋の掃除もする、テーブルの上もふく、こういったようなことまで看護婦の仕事の中に入ってしまっている。どうもホテルのメードみたいな仕事まで看護婦さんにやらせざるを得ない。こういうところにも実は看護婦とその勤務体制の問題がありはしないか。こういうものはある程度重症患者や何かの部屋あるいは特別な病床は別といたしましても、一般的なものについては外注をするというようなこともひとつ考えなければならない。洗たくについても病院内でやっている。これを何カ年計画かで外注に移すという計画もあると聞いておりまするが、こういったようなことも、私は病院の定員をできるだけふやさないで、しかも完全看護を行なってまいるという観点から必要ではないかと、かように考えるわけでありまするが、これらの点について厚生省の所見を伺っておきたいと思います。
  114. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 先生からお話がございましたまず第一の点で、現場の看護業務に携わる看護婦さんたちがずいぶん苦労しておるというお話がるるあったわけでございますが、私ども国立病院、療養所のみならず、いずこの病院においても、夜間勤務なんというきびしい条件も持ちながら、さらにそれ以上に、昼間におきましてもたいへんな労働に従事しておるという実態を見ておりまして、私ども看護行政をあずかる者としましてもっと施策の転換をしなくちゃいかぬということを痛感します。先生から、特に看護が忙しい、人手が足りない、いろいろお話がございましたが、多くの場合に見られる現象は、看護婦の定員がある、採るつもりはあるけれども看護の人手がないという実態がある。要するに需給の逼迫の問題が一つあろうかと思いますし、また一つには国公立をとれば定員の問題があるということであろうかと思います。  看護婦の需給の問題につきましては、先ほど来、藤原委員との質疑を通じましてるる私から申し述べましたように、従来以上に私どもはピッチをあげて看護行政を伸ばすということでいろいろ努力をしております。本日ここで御論議いただいております給与改善にいたしましても、かつて例を見ない第二次勧告というふうなことで大幅な給与改善が行なわれるというようなことでございまして、これがどれほど看護婦の充足に役立つか、私どもいまから大いに胸をはずませております。  また、看護の勤務条件につきましても、これまた先ほど申し上げましたように、二・八制度につきまして私どもはだんだんこれを普及させると。病棟部門における看護力につきましては、確かに従来おくれがおそかったこともございますので、今後実態を踏まえながら、実情を十分お話ししながら関係当局の御理解を得てなお増員に努力をしたいと思っております。  それから看護婦の業務の範囲につきまして、先生からきわめて貴重な御意見をただいま承ったわけでございますが、実は昨年十月の看護制度改善検討会におきましても、看護婦の守るべき業務の範囲、守備範囲というものが一つの大きい論点とされまして、特に病棟看護の実態においては、看護チームをつくって看護婦のみならず他の業種の者の協力を得て看護をやる。このことは、ひいてはただでさえ供給側の事情の悪いこの看護婦の実態からいっても必要であるという御指摘がございまして、たとえば私ども国立病院、療養所の例をとりますと、看護婦の業務につきまして、たとえば重心筋ジス等のこの看護面におきましては、保母さんとか、あるいは児童指導員とか、あるいはまた看護助手、こういう方の指導援助を受けると、そういうことで看護力をカバーしていく。また、チームワークによってよき看護、よき指導が行なわれるようにするというようなこともやっております。また端的に、病棟勤務の場合におきまして、食事の運びとか、あるいは清掃とか、あるいはまたベッドの取りかえとか、こういう他の職種の者をもって充てることができます分野につきましては、先生が御指摘のように、できるだけ他の職種に、たとえば行(二)職員をもってこれに充てる、あるいはまた看護助手に相当程度やらせることはやらせるというふうなことで、そういう面での合理化もはかりたいと思います。今後ともそういう方向で努力をしたいと思います。
  115. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 御質問の中で新聞の投書についての御指摘がございました。この投書の点につきましてはちょっと事実と違う点がありますので、その点だけ御説明申し上げておきたいと思います。  三重の県立医大が国立に移管されましたときに、三百五十九人いた定員が二百七十五人に削減されたというふうに投書に書いてございます。また、七百二十五床のうち百九十四床がそれによって閉鎖されたかのような記事になっております。これは事実がそうでございませんので、三百五十九人というのは三重県立医大のときの看護婦の定員でございましたが、実際におりました実員は三百三人でございまして、国立移管のときにまた実際におりました看護婦の実員は二百八十五人でございました。また、病床数も七百二十五というのはその規定の病床数でございましたが、現実に動いておりましたものは五百五十ばかりでございまして、移管によってこれが減ってしまったのではない、移管前から事実そういう状態にあった。しかし、私ども移管を受けます際には、七百二十五の病床に対して、二・八に必要な三百十七名という定員予算上の措置をいたしまして引き取り、実際に実員が少なかったわけでございますから、その後の増員を移管と同時に措置できるようにした。また、四十九年度にはさらに三十一名の定員増を手当ていたしまして、病床数は五十二床上回って運営できるような措置をしておるわけでございまするから、国立移管によって減ったということでない点だけは御了承を願っておきたいと思います。
  116. 岩動道行

    岩動道行君 そこで、実はまだまだ明らかにしてまいりたい問題が多いんでありますが、時間もなくなってまいりましたので二・八問題について触れておきたいと思います。これは先ほど藤原委員も触れたわけでありますが、たとえば東京周辺の国立病院の例をとってみますると、国立大蔵病院では、一人の平均の夜勤日数が、厚生省の調査によりますと一〇・〇、小児病院が一〇・七、東京第一病院が九・六、第二病院が一一・〇、王子病院が一〇・五ということになっております。  ここで、一つ問題を指摘しておきたいのは、東京国立第一病院が九・六というので、いまあげた中では一番夜勤日数の回数が少ないという数字になっております。ところが、先ほど藤原委員も指摘された第一病院は千二床ですか、千四床ですか、とにかく千床の大病院です。そうして開かれているのはわずかに四百四十六床しか開かれていない。およそ六割近いものは眠っている。ばく大な財政資金を投入して、予算を投入して、そうしてこれが眠っている。しかも、ちまたには入院をしたいという患者が一ぱいいる。横井さんや小野田さんはああやって歓迎されてどんどん入っていく。しかし、一般の市民はその陰に泣いているんですよ。そういうことは私は国立病院の使命から見てもゆるがせにはできない問題だと思う。この点については、私は、先ほど厚生省も十分に反省すると言っているけど、反省の程度じゃきかないのです。本来ならば厚生大臣においでいただいて、責任のある答弁をしていただきたい。大蔵大臣も出てきて、これに対しては十分に予算上の協力をして見てまいりますというくらいの答弁をいただきたい。いま大蔵大臣は海外出張中ですから、政務次官をお願いした。ところが、遺憾ながら辞表を出している政務次官が一人いるものだから、回り切れないでこっちに来れない。重大な国会審議に支障を来たしていると私は言わざるを得ない、そういうことでは。はなはだ遺憾です。  しかし、それはさておきまして、このようにですね、東京国立第一病院は九・六という夜勤日数がありまするけれども、それはおおよそ六百近い病床を犠牲にしておいて初めてやられている事実。もしも全ベットを国民のために利用させるならば、おそらく月に二十日も夜勤をしなければいけないという結果に逆算すればなってくるでしょう。この恐るべき実態。これを私は政府としては十分に反省をして、すみやかにその問題を解決していただかなければいけない。そうして国立の病院がそういうことですが、たとえば同じ国立でも医大の付属病院、これをとって見ましても、それぞれ数字がばらばらであります。一人当たりの月平均の夜勤日数、回数が東北大学の場合は千五十床、そして八・八。それから群馬大学は六百四十五床で一〇・〇。東京大学は千四十床で一〇・七。看護婦の数は三百八十八人であります。新潟大学は七百十床で九・〇。岡山大学八百十九床で二百八十人の定員で一〇・〇。徳島大学は六百五十床で定員二百十八人、八・三というような回数が出ております。こういうような非常なばらつきがありまするし、そのベッドの利用度ということをその陰で考えてみた場合に、これがはたして正当な回数であるかどうか。この点についても私どもは究明をしていきたい。時間がないからきょうはやめます。しかし、政府においては、その実態を十分に調査をして、そうして国民の要望にこたえる、あるいは看護婦さんの勤務条件の改善をはかるということに目を向けていただかなければならない。たとえば私立医大の例もありますが、これはもう省略をいたします。  実は、はなはだけっこうなことではありまするが、国と地方自治体、特に東京の場合でございまするが、都立の病院におきましては、これは病院名はABCDというふうにして申し上げますが、平均の夜勤回数はA病院においては七・五、B病院においては七・九、C病院においては八・二、D病院においては七・六と、こういう数字が出ております。これも裏を見てみなければわかりませんけれども、一応そういう数字が出ている。これも私は実態を究明していただきたい。そしてむしろ自治体の病院のほうが看護体制がうまくできている、こういう印象をわれわれは持たざるを得ない。一体、国立病院というものは、医療法によって、最もその基準を守って充実をはかっていく模範としての病院でなければならない。にもかかわらず、非常にその点においては不十分な面が見受けられるわけです。この点について、厚生省どう考えますか。
  117. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) いろいろお話しになった中で、第一に、東京第一病院の現状について相当なあきベットがある、現在十六階の建物の中で五階のランプがつかない、あの高層病棟でつかないことは全く困ったことでございまして、特に東京第一病院は国立病院中の病院であり、代表選手でチャンピオンだと。いわば国立病院の顔みたいなところでございますので、私どもも日夜この改善につきまして努力しておりまして、特に、ちょうどただいま年度の切りかわり目でございまして、前年度末、すなわちこの三月、学院の新卒も出た時期に、本省も含めまして現場と一体になりまして、全国的に看護婦の獲得に努力をいたしまして、その結果、目下のところ約五十名の看護婦が確保できましたので、現在五階ランプがついておりませんけれども、何とかそのうちの四階まではランプをともしたいということで、現場の職員にも趣旨を話し、その納得を得て、これを開棟すべく目下努力をしております。いずれにしましても、この実態はまことに申しわけないことでございまして、私どもも単に現場だけにまかせることではなしに、局も一体になりまして何とかこれを改善できますように目下努力もしておりますし、今後とも大いに力を尽くしたいと思いますので、御了承を願いたいと思います。  なお、先生のお話の中で、国立病院については、あれが全部開棟すればたいへんなことになるじゃないか、夜勤回数はべらぼうにふえるだろうというお話がございましたけれども、現在私どもは、東京第一病院につきましては、現在開棟しております部門、その病棟部門に対応しました約二百名の定員を配賦しておりまして、その二百名の看護力をもって現在の開棟された病棟を守っております。で、今後開きました場合には、もちろんそれに対応いたしまして看護力を補ってやる、看護婦を増員する、その用意はございます。そういうことでございますので、その点もひとつ御了解願いたいと思います。  次に、二・八の実施の問題につきまして先生から御指摘があったわけでございますが、四十年の人事院判定につきましては、先ほど人事院当局からお答えがございましたように、実は必要な部門については二人夜勤をやれ、そうでないところは一人夜勤だと、こういう端的に言えばお答えでございまして、二人夜勤をどの分野に、いかなる基準で、どういう算定で二・八を実施せよと、そういう明確な基準は実はないわけでございます。私ども国立病院、国立療養所をかかえ、いわば全国の病院のモデルとしての運営をやりたいわけでございますので、この二・八問題につきましても、理論的にどの分野にどういうふうに看護力を強化すべきであるのか、どの分野に複数夜勤を取り入れるべきであるのか、そういうことについてはかねて検討をしておりますけれども、今日の段階ではまだ結論を得ておりません。そうは申しますものの、現状、各病棟を見ますと、それぞれいろんなニュアンスの差はございますけれども、特に苦しい部門につきましては重点的に二人夜勤制を取り上げていくということで、これまた先ほど来何度も繰り返し答弁をしておりますように、年々この二・八要員の確保関係当局の御協力も得まして努力をしてまいっております。今後ともそういう面で理論的な究明も行ないつつ、理論的な結論を得られない場合でも、個々の病棟の実態に応じまして、看護力が増強できますように努力をしてまいりたいと思います。  先ほど先生の具体例の中で、あるいは産科、あるいは小児科、いろいろの例がございましたけれども、私ども現段階におきましては、各診療科別の病棟の状況というものをもっと具体的にせんさくいたしまして、吟味をいたしまして、そういうところから具体的なニードを引き出し、その結論をもって関係当局と話しながらなお増員につとめていく、こういうふうなことをやりたいと思っております。  それからまた自治体病院の関係で、自治体病院はきわめていいんだというお話ございましたが、自治体病院のこの看護の状況を見ますと、システムとしまして三交代制をとっているのが、自治体病院ないしその他の公的医療機関合わせた全体でございますが、約九割ございまして、九割が三交代制をとっている。その九割とっております中で、その中の七五%が現在二・八、二人夜勤を実施しておるというふうに聞いております。なお、月間夜勤回数はおおむね九・三回と承知しておりますが、そういう状況にございます。それと比べまして、国立のほうがまだ悪いじゃないかという御指摘があるかもわかりませんが、先ほど来申し上げますような実態についての理論的究明、ないしは実態を踏んまえての現実的な処理といたしまして、なお現実を踏まえて増員をし、整備をするように努力をしたいと思います。
  118. 岩動道行

    岩動道行君 この人事院の回答は昭和四十年五月になされたんですね。もうそれから九年がたっている。そういう中において、医療の困難さ、複雑さ、そうしてまた看護婦さん自体のものの考え方、いろいろ私は大きな変化がきているだろうと思います。そういう中において、九年前のものをいまだに金科玉条のように考えて、必ずしも二・八、全部にやれということは人事院は言っていないんだからと、こういったようなことで、私はいまの問題を逃げるといいますか、見のがしていくわけにはまいらぬと思います。私は、この際人事院も、この問題について再度新しい医療の実態、病院の実態、そういうことから再検討をしていただきたいと、こういうことをまず——答弁は要りません。要望しておきます、時間もありませんから。  それから東一の問題について、こだわるようでありまするが、これは一つの非常にティピカルな例であります。病床を使っていないという、国費のむだであり、私はおそらく会計検査院から指摘されているのではないかと思う。重大な問題です、これ。これに対して私は、行管当局もあるいは大蔵省も十分に協力をして、せっかく巨大な国費を投入してつくった病院なんです。ほかの病院はむしろほとんど満床に近いような状態で運営をして経営管理もうまくいっている。多少の黒字になっているかもしれない。東一はそういう犠牲のもとにおいて安穏としているというような声がもし出てきたとすればゆゆしい問題だと思う。私は、東一自体も十分にその実情を反省して、国全体として、お互いが、何だあそこばっかりいいことやっているんだというようなことにならないように、ひとつ十分な配慮、反省が必要だと思います。これは厚生省だけの責任じゃないと思う。大蔵省も行管も相ともに政府全体としてこの問題に取り組んでいただかなければならないと思います。答弁要りません。大臣が来ていないから、もう要望だけしておきます。いずれまた別の機会にこういう問題は論議をいたしたいと思いますが、まあ総務長官は十分におわかりだと思いますので、お聞き取りをいただきたいと思います。  そういうことで、私は、看護婦の定員充足問題は非常に重大な国の医療行政、そうして国民の健康を保持し、あるいは社会復帰への重大な役割りを果たしている。そういう意味において看護婦問題はゆるがせにできない。まあそういうことから私どもは、看護婦に対するあるいは保母を含めまして——教員の人材確保法律を成立さしたわけでありまするが、それにならって看護婦、保母等の人材確保に関する法案というものをいろいろ検討いたしております。先ほど藤原委員質問に対して政府側はいささかおかしい答弁をされたんで、あれはひとつ引っ込めていただきたい。党では、真剣にわが党は検討しているんであって、前向きにこれを成立させるために検討しているんだから、ただごちゃごちゃしているというんじゃないんです。政府当局とも十分に話し合いをしながら、何とかして看護婦の充足をはかり、国民の健康を保持し、また看護婦自体の勤務体制の改善をはかっていくという考えで、この法案をできるだけ早く実現をさせたいということで検討している。ただ、給与の問題はこれだけで解決するというわけじゃないんです。その他にも同様な職種が出てくる。一波は万波を呼ぶという問題であります。したがって、われわれは慎重に考えなければいけない。しかし、また慎重に考えて三年も五年もたつということは許されないと思う。そういう意味において、政府にこれをまかしておいたんじゃ、なかなかそういったようなことがうまくいかない。そこで、議員立法すら辞さないというような気持ちで、われわれ政府与党の立場から、この問題を前向きにいま慎重にかつ真剣に早急に実現をはかるための検討をしているんであります。そういうことで自民党の中でいろいろ議論はありますが、しかし、これはうしろ向きの議論ではないんで、この点厚生省は十分に認識をしていただきたい。  そこで、私の質問はもうこれで時間も参りましたので終わりますが、いずれにいたしましても、看護婦の勤務状態というものは国立病院において一番問題があり、よくないという印象をわれわれは持たざるを得ない。かような意味において、国立大学の付属病院も含めて政府の責任においてこれは改善をしていただく。そのためには定員の増加、予算の増加、あわせて積極的に取り組んでいただきたい。そして東一の問題につきましても、残っている、閉鎖されているものについては年次計画をもって、三年なら三年の間に残された五百数十床というものを国民のために利用させると、こういうことでなければいけない。ただ、ことしは努力します、来年は努力しますではいかぬと思うんです。このことを私は強く要望して、私の質問を終わります。
  119. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 委員長から申し上げます。  先ほど厚生省の答弁で、自民党内でもんでいるようであるが、という発言がございまして、いまその発言について岩動君から言及されましたが、何か発言があれば……。
  120. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) ちょっと私、私お答えしました中で、もめているというようなことは言った覚えはございませんで、速記録を……。
  121. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) もんでいると……。
  122. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) それは私の使いなれた方言かもわかりませんが、要するに、検討をされているという意味で申し上げたことでございますので、そのようにひとつ御理解願いたいと思います。
  123. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) それじゃ、検討されておると訂正されますか。
  124. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) はい。そういうつもりでございます。
  125. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  126. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 速記を起こしてください。
  127. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案提案理由で、先ほど総務長官から御説明がございましたその中のしまいのほうに、「政府としては、これらの勧告の内容を検討した結果、勧告どおり実施することとし、このたび、一般職職員給与に関する法律について、所要の改正を行なおうとするものであります。」と、このように言われている点がありますが、私はこの字句をとらえて申し上げるわけじゃございませんけれども、いままでお二人の委員の方々の質問等を通して、看護婦に対する今日までのあり方というものがまことに切実であったかということ、そういうようなことと、また医療行政全般の問題等を踏んまえられてお考えになって、この「検討」という中に入っていたのか。医療行政の場当たり的な姿というものが、全国九十一カ所にある国立病院で、看護婦の不足のために病棟閉鎖までしているという事態に追い込まれているというそういうこと等を踏まえられて、そして今日の狂乱物価あるいは悪性インフレ等の国民生活を圧迫されている中で、行く先どうして生活を、物価高騰に対してどんなにして処置していけば、というような不安の中でこの検討を十分にされたかどうか。また、これを提案をされた以上、看護婦対策に対しては今後二度と……、この法律給与改正等が出るときには、万全の処置ができた上で、やっていけるような自信の上でこの内容を検討されたのかどうなのか。この点について、まず国務大臣にお伺いいたします。
  128. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 私は、現在の医療行政等につきましては、もちろん一人の国民といたしましても、また政治家といたしましても、いろいろな面でなお改善を要する面が多々あるということは私自身考えておるところでございます。先ほど来御指摘にありました、特に医療行政の根本をなすところの看護婦さんの問題につきましては、非常に私はここで拝聴いたしておりまして有益な御議論であったと敬意を表するわけです。もちろんこうした問題は厚生省その他で十分踏まえて検討してもらっていると思います。われわれは、この十分検討したということの中に、そうした現在までのいろいろなやり方に対する反省を含めまして、厚生省は厚生省なりにこの問題を十分取り上げてもらっていると聞いております。また同時に、具体的な問題といたしまして、看護婦の給与改善、これだけではとても足りぬじゃないかという議論ももちろんございます。しかし、一挙にこれを改善するということは他へ及ぼす影響も大きいわけでございます。そうした点から見て、人事院の勧告というものは、まあこの時点においては十分了解できるものだということを考えて、これを閣議で了解し国会に御提出をしたわけでございます。しかし、これだけで問題がすべて終わっているわけではもちろんございません。本日のような有益なしかも現場に即した御議論を賜わることは、私一人が伺っておって国務大臣他に出ておりませんが、こうしたような問題は、よく担当の大臣にも伝え、きわめて重要な問題として、今後は十分問題の核心を把握して進むということを閣内においても主張いたしてまいろうと考えております。
  129. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、宮嶋医務局次長さんにお伺いいたしますが、先ほど私の申しました中に、全国九十一カ所ですか、国立病院、その中に病棟を閉鎖しているという事態が、この九十一カ所の実態というものを御承知でございましょうか。もちろん宮嶋さんはこのことについては大のベテランでございますので、先ほどお二人の委員の方の御答弁にもいろいろ確信のある答弁をなさっておられたようでありますが、この点についてどう掌握をされておられるか伺っておきたいと思います。
  130. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 国立病院、全国でがんセンターを含めまして九十四病院でございます。なお、一般的に国立の病院という意味では国立療養所がございまして、これがらい療養所十三カ所を除きまして百四十八カ所ございます。それで九十四国立病院の中で現在看護婦の不足で病棟を閉鎖しておりますところは、先ほど来まことに私どもも残念に思っておりますし、申しわけないと思っておりますが、東京第一病院の看護単位十三単位と、それからいま一カ所ございます、二病院でございます。それから療養所のほうでは、私どもが把握しております限り、百四十八療養所の中で五療養所が部分的に看護婦の人手難のために病棟が閉鎖されている、こういう実態でございます。
  131. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは即重大なことなんですね。国民生活を守っていくための医療行政というものの欠除を明らかにこれは物語っているわけであります。それで特に関東、東海、近畿地方にこれは慢性的に看護婦が不足状態になっているということで、この点の状態を、特に関東、東海、近畿地方の実態というものを明らかにしていただきたいと思います。
  132. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 看護婦不足の状況から、ただいま先生がおっしゃいましたように、いろいろその不足をしているところがあるわけでございますが、全体的に看護の需給のバランス状況を見てみますと、ブロック別にかなりの差がございまして、北海道、東北、それに中国、四国、九州につきましては、ある程度需給バランスがとれておるということは言えるかと思いますけれども、東京周辺の関東地区及び東海、北陸地区、それに近畿地区につきましては一般に看護力を得ることが困難な様子にございます。先ほど私、国立病院、療養所のことのみ申し上げましたけれども、国立病院、療養所につきましても、実は先ほど申しました国立病院二カ所及び療養所五カ所と申しましたけれども、実は関東地区に三カ所、それから近畿、東海地区に四カ所、実はこの看護婦不足に基づく欠員状況がございまして、いま申しましたブロック別の需給の状況を如実に物語っているかと思います。
  133. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは言うならば人口密度の非常に高いところ、そういうことになるわけです。そういうところで、いま御答弁のあったその閉鎖状態になっているということ、これはまことにゆゆしき問題であろう。こういう点を踏まえて先ほど第一病院のお話がございましたけれども、これは全くひどいものですね。まことにひどいものです。あれは厚生省の総工費が四十七億で四十二年に着工して、それで昨年の夏には患者の給食のまかないをやっている棟のところまで完成をして、そうして先ほど御答弁にありましたように、言うならば東京の病院のセンターといわれるくらいの中において、そうして残念ながら五階が灯が消えているというようなお話ですけれども、実際問題として、私の調べたところによりますと、病棟の使用されているところというのは十六階、九階、八階、七階、この程度じゃなかろうかと思いますし、それから半分だけ使用されているというのは四階とか五階、六階、十階、これらが北とか南とかそれぞれ半分しか使用されていない。使用していないものからいえば十一階から十五階——十五階は個室ということになりますけれども、これは部屋数が大体一階に八十六室くらいあるんですね、たいへんな数です。そういうところが片方しか使われていないとすると、合計すると五百二十四床ですか、これらが使用されていないという計算になるわけですが、この実態を先ほど、まことに申しわけない、もう病院側と厚生省とは一体になって善後策を講じておる、採用についても五十名は今年度獲得したと言われておりますけれども、昨年は六十人を採用した、その半分の人がもう退職してしまっている。今年度は約七十人くらい補充も入れて採用して、実際問題はどれだけ三月末で退職をされているか、この数なんかも掌握しておられますか。
  134. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 先生のほうがよく御存じでございますが、そのとおりでございます。実はこの国立病院医療センター東一につきまして、何で東一が人手を得にくいのか、いろいろ考えておりますけれども一般的に申しますと、看護の職場についての魅力がまだ薄い、看護婦対策を先ほど来いろいろの議論がございますけれども、またいろいろ前進はしておりますけれども、もっともっとよくしなければならないという一般的な全体的な話もございますけれども、やはりやや話をもう少し具体的に詰めてまいりますと、どうも最近看護婦さんにつきましては、一般の労働市場で見られますようにUターン現象がございまして、昔は都会の病院の勤務を好むということでいなかからお見えになる傾向もございましたけれども、最近は都心部を去って、できるだけ郊外あるいはいなかのほう、こういうこともふえてまいりますし、またある程度年限、看護婦養成所を出まして若いうちは都会にいるけれども、三、四年つとめるといなかで一ぺん仕事をしたいというのでお帰りになるというふうな一つの流れ、傾向がございまして、そういうことも影響しておるかと思います。私どもは全般的な看護対策につきまして、全力をふるってその前進をはかることはもちろんでございますけれども、同時にまた、具体的に東京第一病院の職場環境につきまして、もっと看護婦さんたちが楽しく働ける、気持ちよく働けるようなそういう職場環境というものもつくっていかなければならないということで、東一の施設面その他につきまして私どもも極力その整備改善につとめる、内容の改善につとめるということもやっております。
  135. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 御答弁によりますと、都会のほうにという、中央での病院に働きたい看護婦というものを、希望地をあっせんする、何といいますか、職安事務を始めたというふうに聞いているんですが、これはどうなんですか。
  136. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 先ほど申し上げました四十九年度新規事業のナースバンク、看護婦銀行と申しますのは、先ほど全国十一カ所と申しましたのは間違いでございまして、十二カ所全国につくろうとしておりますが、これからでございます。そこにおきましては、一般的にこれは国立病院、療養所のみならず、全国的な看護婦需給の逼迫の状況があるわけでございますから、一義的には各県でもつくりますので、県内における病院側の需要と、それから潜在看護婦のほうの希望というものを結び合わせて、地域地域で需給の改善につとめるということが主体になろうかと思いますけれども、全体的にこの十二のナースバンクのネットというものは十分結びまして、全国的に需給の状況に差があることは先ほど申し上げましたような状況がございますので、その間のいわゆる区域を越えた相互の連絡、それによる看護婦さんの区域を越えた再就職ということも促進したいと思っております。  なお、国立病院、療養所につきましては、私どもその現場のほうのネットを持っておりますが、特に地方医務局というものがございまして、全国八ブロックに国立病院、療養所の管理関係の元締めである私ども出先を持っておりますが、ここにおきましても、この東一問題については十分関心を持っておりまして、お互いに情報を交換する、お互いに人手を、要するにいなかのほうからこっちに持ってくるように説得もしてもらうし、そういう情報もいただくというふうなこともやっております。
  137. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その実績はどうなんですか、今日やってこられた実績。
  138. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) ナースバンクにつきましては、実は四十九年度事業でございまして、これからその開設作業を始めて、おそらくこの年の秋ぐらいになると思いますが、そのころからその仕事が始まるというふうに御理解願いたいと思います。
  139. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いままででもやっていたということを聞いているんですがね。それは事業費の予算の面からいけば四十九年度ということになっているんですけれどもね。
  140. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 従来はほとんどやっておりません。で、従来やっておりましたのは、潜在看護婦の方で病院勤務を希望する方があれば、県の主管課のほうに御連絡いただきまして、そういう方を集めて講習会をやる。再就職のためには、長い間離れておった看護婦さんですから、だいぶ医療の質も変わり、それから量的にもだいぶ忙しくなっておりますし、職場環境も変わっておりますから、そういうことについての事前の知識を持たせ、安心して働けるように講習会をやっているということでございまして、ナースバンクについてはまだ作業を進めておりません。
  141. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど藤原委員からも、患者四人に対して看護婦一人というふうな質問がありましたときに御答弁ございましたね、四対一弱というようなお話でございますが、これは看護基準の「看護、給食及び寝具設備の基準」、これに基づいていることでしょうか。
  142. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 看護婦とか、それからドクターとか、こういう方を標準的に何人置くかにつきましては、医療法の中に医療に携わる病院勤務の医師、あるいはまたこういう看護婦についての標準というものがございまして、看護婦につきましては四ベッドに一人置くことを原則とするというかっこうで、実はぴしりとそうでなければならないというかっこうできめたわけではございませんで、原理、原則として患者四人に対して一人は置こうじゃないか、置くようにつとめましょうということで設けております。
  143. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 法律のあれを言ってください、医療法の……。  なぜ私があえて質問するかと言いますと、藤原委員のほうからもお話がありましたように、この標準といいますか、基準といいますか、それが今日の時点に適用しているか、適用されてないのかということなんです。その一点だけ聞きたい。それであるならば、法律でその基準がきめられてあるならば、この際これは考えなきゃならないんじゃないかということを言いたいわけなんですね。
  144. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) そういう先生のような御指摘も、実は去年十月に出ました看護制度改善検討会の御意見の中にも、もう今日の段階では医療法の単純なその四対一の原則というものではなしに、個々の病棟の実態に応じて、病棟にも診療科の差もございますし、あるいはまた入っている重患、あるいはまた軽い病気の人が入っているかどうか、あるいはまた年輩の方が入っている、あるいは若い人が入っている、いろいろな状況に応じて、もっと具体的に実態に即するようなそういう基準をつくったらどうかという御提言がございます。  で、現実、先ほど来話がございますように、二人夜勤制につきましても、二人夜勤というのは患者二・五人に対して一人でございまして、そういう厚い看護をする場合も相当ふえてまいりまして、たとえば産科の病棟とか、小児科の病棟とか、あるいはガンをやりますがんセンターとか、こういうところはすでに二・五対一でやっておりますし、そういう実態もだんだんできてまいりましたから、そういうふうなことも踏んまえまして今後改善検討を加えていきたいと思いますが、ただ看護制度改善検討会の御意見のように、実態に応じてとおっしゃっても、なかなかその実態はいろいろ複雑でございまして、この理論的な分類、それに基づく新基準というのは言うべくしてなかなか困難だ。おそらく相当時間もかかり、その解明にはいろいろな困難があると、こういう気持ちでおります。
  145. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 大体病棟または病院は、いま御答弁にありましたようないろいろな状態によって考えなければならないと、それはわかります。わかりますがゆえに、またそこが盲点になるんだと思うのです、逃げの盲点になるんだろうと思うのです。逆に言えばそういうことにもなるわけです。したがって、やはりこれは早急にきめていかなければならない。施行規則の第十九条ですか、ここにもございます。「看護、給食及び寝具設備の基準」という法律も出ておりますが、これにもやはりそういう内容が出ております。  そういう点等をあわして見ましても、この「当該病棟の入院患者」云々ということ、これはいま御答弁になった状態だと思います、私も。いずれにしましても、この法律の解釈のしかたというものをあいまいにさせるような字句というものは、やはりはっきりしていかなければいけないのじゃないかということを私は申し上げたいわけなんです。これは御検討を願えばいいと思いますが、いかがですか。
  146. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 現在社会保険点数でも特類、一類、二類、それから三類というふうに段階がございまして、特類は御案内のとおり三対一、一類は四対一、二類は五対一、それから三類は六対一というふうなのが実態で、これは社会保険の診療報酬の支払いでございますから、実態的に実態に応じてお金を払うということになっておるわけでございますが、そこで一般的に認められている基準看護の一般のほうでは六対一ということでございまして、まだそういう実態が一般であるということでございます。  片や看護婦の需給につきましては、先ほど来お話がございますように、なかなか情勢は悪いわけでございまして、一挙に全体的にこの看護力のあり方、具体的には患者対比の看護婦さんのあり方につきまして改善することは困難でございますけれども、今後の方向といたしまして、病院の態様、病棟の態様、あるいはまたそこに入っている患者の態様に応じてモデル的にあるべき姿を示すということは、今後の看護の内容の改善、ひいては病院医療の向上のためにも必要かと思いますので、今後とも検討してまいりたいと思います。
  147. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 先ほど岩動委員に対する御答弁の中に、守備範囲をつくっていってよくやっていく、看護婦のあり方として。そういう面から、現在開棟阻止というふうな運動をされているという、第一病院ですね、ということを聞いておりますが、そういう面から勘案しまして、先ほどの採用者が五十名あるという答弁がございましたね。五十名採用したという御答弁がありましたね、第一病院では。その第一病院の五十名採用した人、それが現在どういうふうな配属になっておるか、実態は御存じでございますか。
  148. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 現在正確には五十四名の看護婦が新たに得られたわけでございますけれども、これにつきましてはまだ現実病棟勤務になっておりませんで、病院内の事情に通ずる、あるいはまた一般の勉強をするということで現在実務の見習いをやらしております。今後どういうふうに配分するかにつきましては、病院の中における管理者と、それからまた具体的には労働組合からいろんな意向が出ておりますが、その話し合いによってきめたいと思っております。
  149. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私の聞くところによりますと、グループに分けて、そして一週間ごとに各科のところへ回って研修をしている。その人たちも配属されてきた、その配属の場所がいっときも早く知りたいんだと、また受け入れの側では、この人にいろんなことを、技術的なことを、これからの将来の行き方というものを一生懸命に教えても、この人は来ないんだということになると、受け入れるほうも採用された側のほうも不安な状態で、ぐるぐるぐるぐる順番に各科のところをグループごとに分かれて研修が行なわれているということになると思うんです。確かにいまお話がありましたように、なれさせるということは必要かもわかりませんけれども、いまこの患者が病室がない。都立病院なんか病室がありません。この間も私はある緊急な急病人の方に依頼をされてあちこちの病院を当たりました。都立病院じゃほとんど空室はない。というと、先ほどの質問にもありましたように、第一病院はがらがらにあいているというふうな形態、で、御答弁にありましたように、今度はいっときも早く五階あいているのを四階にしたいという答弁がありますけれども、配属をきめて実務をちゃんとそこにつけていくことによって実際上はそこでならさせるのがほんとうじゃないんでしょうか。それは行政のやり方というのはいろいろあるでありましょうけれども、私の考えなんかはそうです。また、受け入れる側としてもそういう考えが私は強いんじゃないかと思うんですがね、この点どうなんですか。
  150. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) まさにいまどの病棟に何人つけるかということについて、実は病院側、管理者側が、まあ職員側、労働組合側と話をし合っているわけでございまして、私どもは一日も早くということで、実はもうすでに最近からその話し合いに入っておりますし、もう五月に入ればできるだけ早目に話し合いの解決を見て、具体的に五十数名の看護婦さん方が自分たちの職場にすわると、具体的に患者さん方のめんどうを責任を持って見るという体制に一日も早くしたいということで現在努力をしているわけでございます。
  151. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いろいろ問題があると思うんです。配置に今度ついた、配置についたまたそこで実習をあらためてしなければならぬということになる。そうなりますと日にちが相当先に延びることになる。申し上げることもありません。給与だけの問題でこの看護婦の人たちを永住さしていけるということではなくて、精神的な面も大きな問題があります。もちろん言うまでもありません。専門の技術を体得して、そうしてその看護婦になったという、最初は誇りを持って各病院なり配属されるところに希望を持ち、そして使命感を持って臨むわけですがね、それが何となくあっち回りこっち回りしている、それから先ほどお話がありましたように雑役、これをさせられるので、いつの間にか最初の希望あるいはその使命感というものがぼんやりしてしまって、マンネリ化してきて今日の形態というものがつくられたのだということを私は考えるわけです。  そういう面から考えてみまして、特に第一病院の問題を先ほど宮嶋次長のほうからも御発言なさったから、私もこの第一病院を取り上げているわけでありますから、そういう面から、最初のときから、この精神面の上からせっかく希望と使命感を持って入られたその人たちを従来のマンネリ化した形態で置いておくというようなことはまことにいかぬと思うのです。むしろいっときも早く適材適所にその配属をつけるということが、その人たちにほんとうの希望を与え使命感を与えるということになると思うのです。また、そのほか基本的ないろんな問題があるでありましょうが、今日の受け入れの姿というものは私はいかぬじゃないかと思うんですがね、どうなんですか。
  152. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) 東京第一病院その他の開棟が、看護婦を得られなくて開棟できないという状況はまことに残念なことであり申しわけないことだと思います。要は、先ほど来申し上げますように、看護婦全体に対する対策を進めます一方、個々の病院におけるこの看護婦の職場環境というものをできるだけよくするという努力、さらにはまた看護婦さんをできるだけ獲得する、人手を求めるという面での努力ということにつきましては今後私ども大いにがんばりたいと思いますし、特に東京第一病院につきましては一日も早く解決いたしまして、この五十数名の看護婦が一日も早く職場につくことができますように努力をしたいと思います。
  153. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 特にこの際、資料でもけっこうですが、採用をされてから途中で退職をされる、採用数と退職数と、これらの先ほど申し上げました関東、近畿、中部、特に北陸、この方面についてひとつ御提出を願いたいと思います。後日その問題につきましてまた別にやりますので、ひとつこの点、委員長……。
  154. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 厚生省、提出できますか。
  155. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) はい、提出いたします。
  156. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) それでは委員会から……。
  157. 宮嶋剛

    政府委員(宮嶋剛君) ブロック別でお出しいたします。
  158. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ブロック別でお願いいたします。  それで、この法案の中に入っていきたいと思いますが、今回の問題は、行政職と比較してみましても看護婦の場合一〇・五%の格差が一七・五%と開くわけですが、私はいま質問をいたしたいと思うのは、小中学校の教員の場合と今回の改正に基づいての初任給と、それから何年か後にどうなっていくかということをお伺いをしてみたいと思うんです。そして今回の改正が妥当であったのかどうなのかという点をひとつお聞きしていきたいと思います。  たとえば高校を同じように卒業した。一人の女性は短大に行った。もう一人の女性が看護婦の養成所のほうに三年の期間を通して卒業した、そして看護婦になった。短大の初任給は人材確保法で五万二千二百円というふうになります。ここに表だけを私は持ってきておりますが、この表と、これは教育職の俸給表でございます。それから今回の勧告されている表、給与表の一覧ですね。それと対比してみるとよくわかると思うんですが、今回は高校卒業して看護婦の高等学院を出て、三年やって、そうして現行俸給というものが三等級の二号俸ということになるわけですね。そうですね、看護婦の場合。それから教職員のほうはどういうことになりますか。教職員の場合は二等級の二号ということになりますか。
  159. 茨木広

    政府委員(茨木広君) 一号でございます。
  160. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 一号ですか。そうすると、確かに現行法からいきましても看護婦のほうは五万四千五百円、それから教育職のほうが五万二千五百円ということに俸給月額、こうなっておりますが、そうですね、これは改正された分です。そしてこれをずっと一年一年たっていきますとだいぶん差が、改正された面から見ていきましても、最初には確かに看護婦のほうが多いですけれども、教職員の俸給がだんだんだんだん多くなってきているという形態、そうじゃないでしょうか。
  161. 茨木広

    政府委員(茨木広君) 教員と看護婦とを直接に比較することはたいへんむずかしい問題がございます。まず第一に、先生のところは二等級でございます。看護婦はいま正看になりますと三等級でございます。ただ、免許資格からいいますというと、先生のところは、特に義務教育等については短大卒でもいいことになっておりますけれども、実態が大学出がもう大部分になっておるという事態がございまして、それが高等学校俸給表等の関係でたいへん問題になりまして、今回の改正ではそういう実態を踏まえて俸給表を改善せざるを得なかったという、こういう実態がございます。したがって、学歴のところを申し上げると相違がございますが、そういう意味の基礎の出発点がたいへん違っておる関係がございますのが第一点でございます。  それから第二点は、先生のほうは大体俸給表にほとんど全部のものが盛り込んでありまして、俸給表一本といっても過言でないぐらいになっておるわけでございますが、看護婦さんのほうの職場は、俸給表のほうと調整額等その他のものもございますが、そういうものがかみ合って、合わせまして一つの待遇を考えていくという色彩がたいへん強うございます。で、今度の改正前の状況で申し上げましても、約四五%の看護婦さんが調整額二ないし五のものがついております。平均いたしますというと、その四五%の看護婦さんについて言いますと、一三%強の調整額というものが本俸に対してついておる、こういう状況になります。全般にならしましても六%平均の調整額が別途ついておる。今回の措置でも御案内のように、その他のついてない看護婦さんのほうには四%の調整額をつけ、それから俸給表のほうにも半分ばかりは盛りつけると、こういうふうに分けて改正をいたさせていただいておるわけでございます。  でございますから、よくおわかりになっていらっしゃる普通の方に対しましては、むしろ俸給表に全部盛りつけたほうがわかりやすいのではないかという議論も内部の会議の際にはございました。ただ、職種ごとに同じ看護婦さんの中でも勤務の態様がいろいろ異なりますものでございますから、全部俸給表に盛りつけるということもいかがかということで調整額のほうと分けたわけでございます。したがいまして、そんなことがございます関係上、看護婦と教員と比較いたします際にも、その辺のところも御勘案をいただきまして、実質的に見ていただかないといかぬ問題があるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。たいへん分かれておりますものですから理解しにくくて恐縮でございます。
  162. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私、わかりますよ。その教育職とのスタートというものに対する考え方というものはわかります。一般の常識論から論じているわけです、そんなのはもう承知の上で。ですから、行政職との比較でいきますとかなりのアップになるということになるわけです。しかし、他方いま実例を言ったが、何のために実例を言ったかといえば、女性ですから、先生にあなたはなるの、私は看護婦になるわというようなことで、同じ同級生が二つの道に分かれていった場合に、それで十年なり八年たったときに、それじゃ実収面は、給与の面だけでいきますとどんなふうな形になるのかと、お互いなったときに、これは一つの例でありますけれども、私の調べた一つの例でありますけれども、一人の看護婦の方が実質八年の実績を持ち、その間に特昇されているわけです。特昇されて、その特昇された金額と、教育職の人の八年のその件と、差がずいぶん出てきているわけです。そういうことで、特昇が二度あった人です。そういう点でさえも差が出ているんだということになると、二人が会ったときに、あなた幾ら、私幾らよということになりますと、給与の面だけでも、まあ卑屈感を持つか持たないかわかりませんけれども、そんなような一つのギャップといいますか、危惧といいますか、そういうものを生ずるのじゃないか。だから、行政職と比較した場合にはすごいアップ率だ、教育職と比較した場合には今度はこうなんだというそういう——一般の人はわかりません。教員の人と看護婦の人が二人集まったときに、内容はともかく、実質面は違いがきているということです。そういう点もいまの御答弁でありますと考慮をされているような御答弁もありましたけれども、こういう意味で私は質問を申し上げているということを了解してもらいたいのです。その上で御答弁願いたいのです。
  163. 茨木広

    政府委員(茨木広君) ただいまの御意見はもっともなことでございまして、内部でいろいろ検討します際にも、女性の方が高等学校からいずれの職場を選ぶかというようなことがございますので、その際に、教員にいかれる方と看護婦になられる方と、いずれにいきましてもやはり遜色のないようにというようなことでやはり考えていかなければいかぬというようなたてまえはやはり同意見で、院内でもいろいろそういうたてまえで審議をし、考えさしていただいたつもりでございます。
  164. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 将来もあることですから、この点人事院としては相当お考えを、あらゆるものから考慮していかれていると思いますけれども、さらに御勘考を願いたいと思うのですね。この点を要望いたしておきます。  それからこの施行日のことにつきましては、先ほど鈴木委員のほうからお話がございましたけれども、今回この法律のこの状態、お考えになった状態というものを私なりに考えてみますと、一番先に申し上げましたような狂乱物価の高騰だとか、悪性インフレによる問題が昨年からこれ、惹起されたわけですね。特に石油危機というものを一つの契機として起きてきたと思うのです。起きてきたと思うじゃなくて、起きているのです。そこで、この十二月に退職した人、そういう危機の中で退職した人、それから三月三十一日に退職した人、これらの人にこれは適用しないのかどうなのか。当然適用するべきじゃないかと私は思うわけですが、この点どうなんでしょうか。
  165. 茨木広

    政府委員(茨木広君) ただいまの問題はいろいろ考え方があると思いますが、今回のお願い申し上げております形は、御案内のように、公務員の特別給、つまり期末・勤勉手当は民間調査による、前年度の民間にきております特別給の月数というものを公務員のほうに持ってまいりましてやるという制度をとっております。その関係で概算調査をいたしまして、本年度、本来であれば夏に出るであろうところの分を推測しながら御提案を申し上げたわけであります。そこで、本年度の期末手当の支給時期を特に法律公布の日に繰り上げて支給していただくと、こういうような措置をとったものでございますから、したがって、その法律公布の日在職者を対象に支給すると、こういう形をとらしていただいてお願い申し上げておるわけでございます。昨年の十二月の方々は、去年で一応完結いたしておりますし、それから今年三月までの間では一応前年度の期末・勤勉手当といたしましては、その分を十二月に繰り上げてというふうな措置をとりましたものですから、その限りにおいて、それに早く渡ったという意味で、物価がずっと動いてきておったものでございますから、そういう意味のやはり有利性を持っていただくというような意味を持ったわけでございます。今回のものは今年度のものでございますが、そういう意味で早期にお渡ししていただくという意味でやはり意義があるのではなかろうかと、こういう意味で御提案を申し上げたわけでございます。     —————————————
  166. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、楠正俊君、郡祐一君。上田哲君が委員辞任され、その補欠として西村尚治君、木村睦男君、前川旦君が選任されました。     —————————————
  167. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 どうもわかったようなわからないようなお話なんですけれども、結論的に言えば適用除外ということですね、はっきり言えばそういうことになるわけですね。
  168. 茨木広

    政府委員(茨木広君) はい。法律公布の日に在職者でございますので、それ以前に退職されました方は適用になりません。
  169. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 考えられない……。
  170. 茨木広

    政府委員(茨木広君) はい。
  171. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これはさかのぼっていろいろ給与を支給する場合もあるわけです、実際問題としては。ですから、本年度の公務員給与の勧告なんかもいつごろの見通しか、まあ総裁がおいでになりませんのですけれども、やはり責任ある給与局長さんですから、ひとつ責任ある御答弁をお聞かせ願いたいと思うのですがね。
  172. 茨木広

    政府委員(茨木広君) 本年度の給与勧告は、御案内のように、民間の特にこの春闘時期におきますベース改定等の状況を織り込んで勧告するというたてまえで、まあ毎年七千事業所ほどの実態調査をやって勧告を申し上げるという例になっております。昨年の十二月ごろから準備をいたしまして、それぞれいま調査員等の任命その他訓練をやりまして、連休明けのときから一斉に実態調査におもむくことになっております。ただ、しかし、まあいろいろこの周辺の事情もございますので、できるだけ早く勧告できますように努力すべきだというふうに人事院としても考えておりますので、それぞれ関係方面の了解を得て——例年でございますというと、連休明けから調査をいたしまして、六月十五日までかかって調査をするわけでございますが、本年は一週間ばかりそれを早めまして、六月八日までで一応実態調査のほうを締め切ると、それからそれを集計にかかる。こういうようなことで、そこで一週間繰り上げていこうと、こんなふうに考えております。それで例年八月の中旬——昨年は九日の日でございましたが、勧告申し上げておるわけでございますが、今年はそれをさらに繰り上げるように努力したいということで、いま総理府のほうの統計局の御援助も——いまいろいろ打ち合わせをいたしておるところでございますが、得て実施いたしたい。こんなことでいま鋭意努力いたしておる最中でございます。
  173. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 三公社五現業は、これはもう配分がきまればすぐにでもやるということです。そういうふうなことから考えまして、いまの御答弁によりますと、八月初旬だというふうに私は聞いたんですけれども、できるだけ早くこれをやって、そして経済状態も社会状態も非常に不安な状態の中にあるのですから、そういう面を勘案された上で、さらに早期にやれるように御尽力を願いたいと思いますが、これは私希望なんですけれども、いかがですか。
  174. 茨木広

    政府委員(茨木広君) 午前の衆議院のほうの委員会でも、総裁も、参議院選挙後の国会があるように予想されますので、そういう時期がございますれば、なるべくならばそれに間に合わせまして、そこでおきめいただいて早期に支給ができますようにしていただくことがよいのではないかということで、そういうことで大いに努力いたしますということを申されましたが、そういうつもりで人事院としては取り組んでおる次第でございます。
  175. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 医療費全体も上がってくるでありましょうし、諸問題が高騰の中におきまして、重症心身障害児者のことをちょっとお伺いをしてみたいと思いますが、高崎コロニーの実態といいますか、現況といいますか、それを御説明願いたいと思うのです。
  176. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 高崎のコロニーにおきましては重度の精神薄弱者でございます十五歳以上の方を収容いたしまして、昭和四十五年に開設いたしまして、現在約五百人の障害者を収容いたして運営いたしております。
  177. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 ずいぶん不親切ですね、もう少し詳しく話したらどうですか。ずいぶん不親切ですよ。そんなことぐらい知っていますよ。四十五年につくって約五百人ぐらいおるという、そんなことぐらいわかっております、私。これが唯一じゃないですか。あとは診療所等で重症心身障害児者というものを取り扱っているわけです。実はこの高崎コロニーというのはずいぶん注目されているわけですよ。この親御さんたちの人たちの中においては非常に重く置かれておるわけです。それが今日うまくいっているのか、いっていないのか。諸設備に対して、その設備が完全に所期の目的どおりに完成されているのか、してないのか。
  178. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 高崎のコロニーは一応の整備は進められておりますが、なおいろいろな面で、たとえば職員の宿舎でございますとか、福利厚生施設でございますとか、そういう面での整備はさらに進めなければならぬということで現在具体的な計画について検討中でございます。  それから高崎のコロニーは、私が申し上げましたような重度の精神薄弱者の施設でございまして、重症心身障害児は現在のところ収容いたしておりません。重症心身障害児につきましては、主として国立の療養所に重症児用の病棟を設けていただきまして、そこで収容いたしておるという状況でございます。
  179. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そこで、お話が出ましたから、重症心身障害児の島田療育園、ここの状態といいますか、現況といいますか、これらについてひとつ御説明を願いたいと思います。
  180. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 島田療育園につきましては、収容定員でございますとかそういうものは先生も御承知だろうと思いますが、現在非常に新聞なんかでも報道されておりますが、職員の不足、特に看護婦さんの不足というようなことが問題になっておりまして、いろいろ施設の管理者あるいは所管しております東京都庁を含めまして職員確保ということに努力しているわけでございますが、全体の看護婦不足の中で、特に重症児施設で働く看護婦さんというのはなかなか得にくいというふうな実態でございます。看護婦さんに限らず、ほかの保母さんなんかにつきましても、なかなか重症児施設には来手がないというふうな状況でございまして、何とかできるだけ多くの方に呼びかけて、来ていただくようにというような努力を現在いたしておるような状況でございます。
  181. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 厚生省の重症心身障害児への運営費といいますか、措置費といいますか、それに対する実態というものをお話し願いたいのですが。
  182. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 重症心身障害児の施設に対します措置費と申しますか助成措置、運営費の助成でございますが、これはおおむね三つの要素から成り立っております。第一は医療費でございます。これは予算上の数字でございますが、一人月額で申しますとほぼ十万六千円程度、それから医療費以外の部面で特別の措置費、重症児指導費というのを出しておりますが、これが六万七千円ほどでございます。それから第三の要素として日用品費、入っておりますお子さんの日用品のための経費でございますが、これが月額約五千七百円程度、合わせましてほぼ月に十八万円程度の経費が支出されておるということでございます。     —————————————
  183. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、中山太郎君が委員辞任され、その補欠として鍋島直紹君が選任されました。     —————————————
  184. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 重症心身障害児者の現在の病人の数といいますか、それに対する病床といいますか、それらの内容、内訳でございますね、そういうものについて。
  185. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 昭和四十八年度末で、重症心身障害児のベッド数で、これはちょうどいま現在完成中のものとかいろいろありますので、若干数字が動いている時点でございますが、約一万ベッドございます。実際に入っております人数は約九千人ほどの障害者が収容されております。
  186. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 総数は一万七千、私の調べているのは一万七千人に対して九千人というふうに見ていいですか。
  187. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 私どもの推計によりますと、重症心身障害児、成人も含めまして約一万七千人、推計いたしております。このうち施設に入所を必要とする方、これが一万六千五百という推計をいたしております。
  188. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 だから、入っている人が九千だということですね。
  189. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) そういうことでございます。
  190. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そういうことですね。そのほかの不足数というものをどんなふうに考えておられるか。
  191. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) できるだけ早く、施設に入所を必要とする方については入所をさせるという方針のもとに昭和五十年度末までには必要な病床数を整備したいということで整備を進めております。
  192. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 いま御答弁がありましたように、四十八年度については一万床でありますが、これも繰り延べられたもの、また繰り延べていくもの、流動的であるとおっしゃっておられましたですね。四十九年度の予算面から考えて五十年末に、いまのそういう状態等を勘案されて全くの対策が、完全なる対策ができると、こうお思いなんですか。
  193. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 四十八年度の整備につきましても、整備の段階で非常に、端的に申しますと建築費のいろいろな高騰の問題がございまして、なかなか予定どおり進まないという状況はございますが、一応私どもとしては国立療養所の整備量もお願いし、あるいは民間、公立、こういったものの病床数整備量もかなり見込みまして、何とか五十年度末までにはもうぜひ整備したいという決意のもとに整備を進めておるわけでございます。
  194. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 四十九年度の予算についてはお話がなかったのですが、いま民間についてというお話がありましたけれども、民間の問題については、各家庭によってはその施設に入れるのを拒む人も、また施設を求めている人も、これはさまざまあると思うのですが、いずれにしろ、いまお話がありました建築資材の高騰というものばかりじゃなくて、物価の変動によって四十九年度の予算がどのように立てられ、何床つくられて、そして民間とを合わせて五十年度には何床つくってこうなるのだというその計画の明快な御答弁がないのですけれどもね。
  195. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 四十八年度の現実にできておりますのは約一万ベッドでございますが、四十八年度までの一応整備の計画としましては約一万一千床を考えておるわけでございます。それから四十九年度におきましては、国立療養所の整備を千二百床ほど予定しております。それから民間と申しますか、公立、地方公共団体の建てるものあるいは民間の建てるもの合わせまして約四百ほどを予定しております。できればこの四百以上にやっていただくようにお願いしたいと思っておりますが、合わせまして四十九年度千六百床ほどの整備を予定しております。なお残りますのが約三千五、六百、もうちょっとになりましょうか、数字ございますが、これは五十年度の間に国立療養所あるいは民間、公立含めまして整備をするという考え方でおります。
  196. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、四十八年度一千床残るわけですね。一千床が四十九年度に回るわけですね。この千二百床という、この千というのは残ったやつの千なんですか、四十九年度に。四十八年度一万一千にしたがったのが一万しかできないから、その一千のやつをこの四十九年度のほうに回すんだというふうに解釈するんですか、それとも別なんですか。
  197. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 私申し上げました四十八年度の整備一万一千床とは別に、四十九年度には申し上げました千二百——四百という数字は別ワクでございます。
  198. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 四十九年度でさえそうしますと二千六百ですね。五十年度に民間ベース等も入れて三千五百にしていこうという、四十八年度さえすでにもう一千床残っているわけですね。ですから、こういう形態でいくと五十年末にこれができるかどうかというのは非常に疑問なんですが、いずれにしましてもきょう時間がございませんので、この施設の関係の重症心身障害児施設の実態というのを資料でいただいておりますが、この資料と現時点の各地域の私の調べたものと照らし合わせてみて相当な疑義があるわけです。きょうは残念ですけれども、こまかい問題になっていきますので次回に回しますけれども、いずれにいたしましても非常におくれているということです。これだけははっきり申し上げておきたいと思うんです。こういうふうなこと等を考え合わせながら、医療行政全体の考え方というものをこの際さらに明確にしていかなければならないということをあわせて私は最後に申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、実際は終わっていないんです。まだ中途はんぱの質問で、これからが詰めていくところなんですけれども、きょうは時間の関係等もございますのでこれで質問は終わりますけれども、いまの私の重症心身障害者等の問題、あるいはその他の病院の看護婦不在で閉鎖されている問題等の論議を取りかわしておりましたけれども、最終的に国務大臣のほうから御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  199. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 厚生大臣がお答え申すべきことだと存じますが、ただいま御指摘の医療問題、そうしてまた身体障害者の問題等はわれわれも非常に深く関心を寄せている点でございます。同時にまた、このような委員会におきましてそのような御議論がなされているということを拝聴いたしまして非常にわれわれといたしましては貴重な御意見だと考えております。
  200. 藤原道子

    藤原道子君 いまの御質問の心身障害児の問題だけれども、最近厚生省では入所できない人、家庭で世話している者に対する費用ですね、予算が非常に低いと思うのですね、あまり少な過ぎる。幾らになっているかということと、入所させれば一人十八万七千円か、それで家庭の者には幾ら出しているか、しかも厚生省では、入所はたいへんだから、なるべく今後は家庭で保育することに重点を置くというようなことを私は聞いているのです。そうなった場合に、たった三千円や四千円の費用を出しておさめようというのはけしからぬと思うのですけど、それはどういうふうに解釈したらいいんですか。そのことをいずれ社労でまた伺いますけれども、きょうちょっとこの問題、さっき時間がないから——それをお伺いします。
  201. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 在宅の重症のお子さんにつきましては、現在六千五百円ほどの手当でございますが……。
  202. 藤原道子

    藤原道子君 今度ふやして……。
  203. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 来年度はいろんな加算を含めまして、一万四千三百円まで引き上げたわけでございます。在宅のお子さんに対する対策といたしましては、こういった現金給付のほかに、ホームヘルパーでございますとか、あるいは日常生活用具の支給でございますとか、こういったような施策がございます。まだ御指摘のように確かに十分でない面がございますので、ただ、たとえば日常生活用具なんかにいたしましても研究が進んでない面がございまして、具体的にどういう道具を給付したらいいかというような点をさらに研究しながら在宅のお子さんに対する施策を拡充していこうという私ども考え方を持って進めているわけでございます。
  204. 藤原道子

    藤原道子君 そう言うけれど、各施設から家庭へ帰すという傾向がふえているんじゃないですか。それで一万や一万五千円で子供の世話ができるか。入所させれば十八万幾らかかる。そんなら家庭で世話する場合に、訪問して世話するなんていう施策はほとんど生きちゃいないのですよ。ごまかしの答弁でなくて、ほんとうに心身障害児をかかえた親たちがどういう気持ちであるかということを考えて、この予算を真剣に考慮してほしいということを申し上げておきたい。
  205. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) じゃ、この問題はいずれ社労で御検討していただく……。
  206. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 委員長、いまの答弁のことですが……。
  207. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) あなたはもう先ほど具体的に触れられました……。
  208. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私、ちょっと一言。  というのは、いま藤原委員のほうからお話がありまして、先ほど私の、答弁を得て、六万七千円と日用品のやつが、あれ、五千七百円ですか、そうしますと合計で幾ら——七万三千円ですね、七万三千五百円ですよ。これを一人当たり国では出すわけです。家庭でやる場合には、いま言った一万四千円なんです。こういった面もあわせながらお考え願いたいということだけ、一言だけ申し添えて終わりにします。
  209. 北郷勲夫

    説明員(北郷勲夫君) 在宅の障害児者の対策につきましては、私どもも積極的に努力しなきゃならぬと思っております。さらに一そう、たとえば特別児童扶養手当の額の引き上げとか、そういう方向で努力いたしたいと思います。
  210. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。   一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  211. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十九分散会      —————・—————