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1974-04-04 第72回国会 参議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月四日(木曜日)    午前十時三十五分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月三日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     源田  実君      竹内 藤男君     今  春聴君      中村 禎二君     田中 茂穂君      前川  旦君     中村 波男君      小笠原貞子君     岩間 正男君  四月四日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     佐藤  隆君      今  春聴君     棚辺 四郎君      源田  実君     菅野 儀作君      郡  祐一君     寺下 岩蔵君      中村 波男君     藤田  進君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         寺本 広作君     理 事                 岩動 道行君                 岡本  悟君                 鈴木  力君     委 員                 楠  正俊君                 佐藤  隆君                 菅野 儀作君                 棚辺 四郎君                 寺下 岩蔵君                 戸叶  武君                 藤田  進君                 宮崎 正義君                 中村 利次君                 岩間 正男君    国務大臣        法 務 大 臣  中村 梅吉君    政府委員        人事院事務総局        任用局長     大塚 順七君        法務大臣官房長  香川 保一君        法務大臣官房司        法法制調査部長  勝見 嘉美君        法務省民事局長  川島 一郎君        法務省入国管理        局長       影井 梅夫君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        人事院事務総局        給与局次長    長橋  進君        法務省入国管理        局次長      竹村 照雄君        外務省アジア局        次長       中江 要介君        文部大臣官房人        事課長      望月哲太郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨三日、高橋邦雄君、竹内藤男君、中村禎二君、前川旦君、小笠原貞子君が委員辞任され、その補欠として源田実君、今春聴君田中茂穂君、中村波男君、岩間正男君が選任されました。  また、本日、田中茂穂君が委員辞任され、その補欠として佐藤隆君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 鈴木力

    鈴木力君 先に、いまこの法案提案の御趣旨は、登記事務が非常にふえてきておるということで、特に東京地域事務の増大が激しいので部局を拡大をしてそれに対処するという方針になっているようでありますけれども、まず最初に、この登記事務といいますか、この業務が最近十カ年ぐらいですとどういう伸びの状況になっておるか、最初に伺いたい。
  5. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 登記事務は御承知のように近年におきます取引の活発化、それから公共事業拡大等によりまして著しい増加を示しております。これを事件数について申し上げますと、甲号事件、つまり登記所登記簿に記入を要する所有権移転登記とか、抵当権設定登記とか、そういう事件のことを甲号事件と呼んでおりますが、その甲号事件を見ますと、十年間の比較で申し上げますと、昭和三十八年が一千百万件、これに対しまして十年後の昭和四十七年が二千百万件余りと二倍程度増加となっております。一年間に大体一千万件ずつふえているという平均になろうかと思います。さらに四十八年を見ますと、百万件以上また増加をいたしておりまして、ここ十年ぐらいの経過を見ましてもかなり急激な増加を示しているということが言えようと思います。  それから次に乙号事件、これは登記簿閲覧でありますとか、登記簿謄本、抄本の交付請求事件でございますが、こちらのほうも十年間の比較でまいりますと、昭和三十八年が六千五百万件、四十七年が二億二千万件、大体三・五倍の増加ということになっております。四十八年におきましてはざらに二千数百万件伸びまして二億四千三百万件、このように増加の一途をたどっているということが言えようかと思います。
  6. 鈴木力

    鈴木力君 これ、いまのはあれですか、東京中心としての件数ですか。全国のあれですか。
  7. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) ただいま申し上げましたのは全国件数でございますが、地域的に増加程度の差はございますが、いずれも増加傾向を示しておりまして、特に、東京法務局管内と申しますと関東地方が主として入るわけでございますが、東京、横浜、浦和、千葉、まあ最近では水戸、このあたりの事件が相当高い増加率を示しております。
  8. 鈴木力

    鈴木力君 東京法務局内部組織の改組の提案ですから、東京法務局管轄のやつは数字が出ているでしょう。
  9. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 東京法務局だけで申し上げますと、昭和三十七年の甲号事件数が七十九万件、これに対し四十七年が百六十七万件でございますので二倍強の増加ということになっております。それから乙号事件につきましては六百四十八万件が二千五百三十四万件、四倍近い増加ということになっております。
  10. 鈴木力

    鈴木力君 そうしますと、こういうことになりますか、甲号事件のほうは大体東京法務局管内全国平均とは数値的にはそう比率の変わりはない、乙号事件のほうが全国的に三・五倍、それから東京法務局管轄は四倍、そういうことになるわけですか。
  11. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) そのとおりでございます。  なお、御参考までに申し上げますと、比率はそのとおりでございますが、東京法務局で取り扱っている事件件数そのものはほかの法務局に比べまして非常に多いわけでございまして、たとえばいまの乙号事件で申しますと、東京法務局一局で取り扱う乙号事件全国登記所で取り扱う乙号事件の一割をこえておる、こういった実情でございます。
  12. 鈴木力

    鈴木力君 私がそのことを聞きましたのは二つの問題があると思うんです。大体御提案趣旨はよくわかってはおるつもりですけれども、特に東京法務局を今度持ってきたという場合には、東京法務局管内の特別の理由というやつが出てくるべきはずだということが一つです。それからもしそうでなしに、いまおっしゃったような事情であれば、東京法務局は、あとでまた御質問具体的に申し上げたいと思っておりますけれども、地方は一体どうなんだということが、同じ比率であったとすればそういう問題を一つ含んでいるような気がするのでいまちょっとその数字を伺ったんですが。  それと、もう一つお伺いしておきたいのは、今度は、これだけの大きい事務を処理しておるのですけれども、職員のほうはどうなっておりますか。
  13. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) まず、最初のお尋ねでございますが、東京法務局は、東京法務局の取り扱っております事件自体が非常に多いし、また増加しておるということのほかに、管区の法務局といたしまして約十一カ所でございますかの地方法務局を指揮監督する仕事をいたしておるわけでございまして、その管内事件増加というものも非常に著しいものがあるわけでございます。そういった意味におきまして、東京法務局はほかの法務局に比べまして非常に取り扱う事務なり、これに対処するいろいろな問題が多く起こっているということが言えようかと思います。  それから人員の点でございますが、東京法務局職員数は約八百名でございまして、全国法務局職員が一万一千名ぐらいおりますが、大体その八%が東京法務局職員で占めておる、こういうことになろうかと思います。
  14. 鈴木力

    鈴木力君 いま件数で言うと、昭和三十八年から聞いたんですけれども、人員のほうは昭和三十八年と現在と比べるとどうなっておりますか。
  15. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 実は十年前の人員を調べてまいりませんでしたので、最近の三カ年の経過だけを申し上げさせていただきたいと思いますが、四十七年には東京法務局――これは東京法務局管内地方法務局の分も含めてでございますが、五十四名増加しております。四十七年度は全国で九十五名の増員が認められたわけでございますが、その半数以上が東京法務局管内増員に充てられているということになります。それから四十八年度は六十九人の増員となっております。これは百三十三名増員が認められた中の六十九名でございますので、これも約半数ということになります。それからこれは本年度の予算が通った場合のことでございますが、法務局増員が予定どおり認められました場合には、七十数名の者を東京法務局増員したいと、このように考えております。
  16. 鈴木力

    鈴木力君 そうすると、こういうことだと思いますね。事務量のほうは四倍ぐらいになっている。それから職員のほうは結局あれですか、三十七年度は東京法務局管内でいうと七百四十六名だったんですか、六百名ぐらいだったのですか――何かこう五十四名増というのが途中で入って、四十八年度六十九名増ですから、百二十三名を引きますと、八百名とあれば、六百七十七名で三十七年度はやっておったと、そういうことになりますか。まあこれは数字は多少違っても傾向から言うとそうどうという問題にすべきことでありませんですけれども、要するに人員の増というのはもう十年間で一〇%ぐらいふえたかどうかということにしかならない。それから事業量のほうは四倍になっておると、こういうことになると思いますからですね。そういたしますと、もう一つ、さっき地方のほうと比べると、事業量伸び地方東京もあまり大きな差がなく伸びておるわけですね。で、人員の配置のほうは東京に集中している、そういうことだと思いますが、そこで、さっき局長さんの御答弁をそういう事情の御説明の御答弁だと思って伺ったんですけれども、東京法務局管内事件は、件数はこういう件数だけれども、非常に問題のある件数が多いと、そういうことが特徴だというふうにさっき伺ったんでありますが、東京法務局管内に起こる問題というのは、全国と比べて特殊な問題というのはどういうことなんですか。
  17. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) まあ、東京法務局管内に限りませんが、特に東京法務局のような大都会において多い問題と申しますと、まあいろいろあるわけでございますが、たとえば最近マンションができてまいります。そうしますと、一つ土地の上に大きなマンションが建って、それが大ぜいの人に分割所有されると、そのための建物につきましては、区分登記移転登記抵当権設定登記というようなものが行なわれますし、土地につきましては、これを持ち分に分けまして、共有の形の登記がされるわけでございます。ところが、これが非常に団地になりますと関係者の方も数が多うございまして、持ち分が非常に計算しにくいとか、あるいはその建物の構造が複雑であるために建物区分登記がいろいろ問題が起こるとか、こういったような問題があるわけでございます。まあそのほか何と申しましても都会地におきましては、土地が高いというようなことから、ちょっとしたことでもトラブルの原因になりまして、また裁判所に仮処分などの登記がされるとか差し押えと競合するとか、いろいろな問題が起こってまいります。そういった事件につきましては、うっかり取り扱いを間違えますと、それが当事者間の紛争のもとになるというようなことになりますので、非常に登記官としては神経を使わざるを得ないと、こういう実情でございます。
  18. 鈴木力

    鈴木力君 私が伺っていますのはそういうことだと思います。そういたしますと、今度の法案改正東京法務局だけを対処して持ってこられたということがどうも私はよくわからない。いまお伺いした局長さんの御答弁のような事情は、たとえば大阪とか名古屋とか神戸とか福岡とかですね、ああいう大都会でも同じ現象が起こってやしないかと。ただ、東京のほうは一歩先だったかもしれませんけれども、東京だけと、こう出てきた。私はやっぱりこういう行政関係はもう少し先回りをした対処というのが必要じゃないか。後手から追っかけてまいりますと、このあとちょっと伺いたいと思いますけれども、職員が非常に過重労働になりましたり、また起こさなくてもいいミスも、職員事務量との比率が多くなれば、不可抗力と言えば少しあれだけれども、そういうミスも多くなってきたりするだろう。そうするとまあ大阪名古屋福岡あるいは神戸というような、ああいう大地域対処などというのは、同様の処置というものがほんとうは先回りしてこの法律一緒に出てきておっておそくはなかったのじゃないかという感じがしたんです。けれども、法案を拝見をしますと、東京法務局だけになっているもんですから、なぜかということを伺ったんですけれども、これは大臣、どうなんですか、大都市地域なんかをやっぱり早急に同様の処置というものをとるべき必要がありはしないかと思うんですけれども、いかがですか。
  19. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 一言先説明をさしていただきたいと思います。  ただいま御指摘になりました点はまことにごもっともでございまして、まあそういう点からいたしますれば、東京に限らず大阪とか名古屋とかそういう県についても同じような現象が見られるわけでございますが、ただ問題は程度の差でございまして、取り扱い事件数、それから東京法務局の監督をしております地方法務局の数、その地方法務局繁忙度その他いろいろな点を総合いたしますと、やはり東京法務局繁忙度なり人員というものが群を抜いているという現状でございます。したがいまして、現段階においてはまず東京法務局に機構の改革を行ない、また必要が出てきた場合にはその次のところをというのが事務的な考え方でございまして、これは御承知のとおり予算にも関係する問題でございますし、まあ特に東京法務局においてはこのような改善を行なう必要がある、それが登記事務を円滑に処理する上において差し迫った必要があるというような見地から、今回は東京法務局についてのみお願いをしておるわけでございまして、まあ事務的には一応そのような考え方に立っておるわけでございます。
  20. 鈴木力

    鈴木力君 私、大臣どうですかとお伺いしたのは、事務的にはおっしゃるとおりだと思いますよ、だからこうしたと。予算都合もある。しかし、私はもう少し政治的な問題がこれに含んでおると、こう思うんですがね。ともすると、こういう設置法改正というのは、私はこれは法務省だけじゃない、どこの省もそういうあれがあると思いますけれども、あとから追っかけてきているような気がするんですね。そうしてあとで追っかけてきて法律を出して、さて、これが何かの都合で通らないとさあたいへんだという、店開きの準備はできているしといったような、国会は追認機関みたいな形で設置法改正をしていって、それが問題に対処しては後手後手と追っかけている。もう少し先を見たことがやられていいのじゃないかという感じが実はするんです。さっきの局長さんの御答弁で、数字の上から言いますと、どうしても大阪東京で、大阪はいいけれども東京は困るという説明がどうしても私はほんとうは納得できないんですけれども、したがって、これは大臣の御所見をひとつ承って、今後どうするかということを、そういう方向性をやっぱり見ながらいきたいとこう思って御質問申し上げたわけです。
  21. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 鈴木先生の御意見まことにごもっともだと思います。ただ問題は、まあ役所としましては将来大阪のようなところも類似の場所でございますから考えなきゃならないと思いますが、問題は段階的に進める以外には方法がありませんので、今回東京法務局について民事第一部、第二部を設置したいということになりましたが、これについてはなおほかにも事情がありまして、まあ東京法人の本社が集中しておるところでございまして、法人登記専門にかねがねから日本橋登記所というものが独立をしておりまして、ここにおりましたが、だんだん事件数増加して処置がつかなくなりまして、日本橋ではもう間に合わなくなりましたので、現在は東京法務局合同庁舎の中に移転して、いまでも日本橋登記所という名称は使っておりますが、実際には大手町のほうに一緒合同庁舎へ入っておるわけです。この中がしかも一課、二課に課が分かれておりまして、法人別建てでございますが、今回はこれも吸収しまして、民事行政第一部の中に入れていこうと、こういう仕組みでございますので、法人登記との関係もございますので、とにかく東京法務局については特殊事情もありますので、第一部、第二部の設置をしたいと、こういうような次第でございます。どうかそれらの点おくみ取りいただきたいと思います。
  22. 鈴木力

    鈴木力君 さっきの他の地域との関係という、これだけやるのはけしからぬという意味で言っているんじゃないですけれども、そういういまの大臣のおっしゃるような事情対処をすると同時に、他の地方というものも点検する必要があるということを申し上げておるわけですが、そこで、前に戻りますけれども、まず、いまの法人登記という特殊事情はよくわかりますけれども、事務量拡大職員伸び比率というのは非常にアンバランスでいままでやってきた、それだけはもうはっきりしていると思うんです。これはきわめて私もその職員人たちには同情的な気持ちを持ちながらお伺いしておるんですけれども、そういう十年間なら十年間に、今度は人員伸びないけれども事務的に処理をする、何といいますか、近代化といいますか、合理化といいますか、あるいは機械の導入とか、そういうくふうはどういうことをいまなされているんですか。
  23. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 仰せのとおり、事務量増加人員増加アンバランスであるということは、われわれも十分認識しておりまして、増員につきましてはこの上とも努力しなければならない、しかし国家公務員の総定員法との関係もございまして、そう大幅な増員が望めないという現状にございますので、事務合理化なり機械化能率化といった点につきましていろいろ考えておるわけでございます。これは最終的には、たとえばコンピューターを導入するというような方法も考えられるわけでございますが、それは非常に大きな問題で簡単にできませんので、さしあたりましては機械化ということを中心にやっておるわけでございます。たとえば登記簿に記入いたします場合には、これは登記専用のタイプライターというものをつくりまして、そしてこれを各庁に配付して、これによって登記を行なっておる、それから謄本作成にあたりましては複写機を用いまして謄本作成する。この謄本作成に用いる複写機もいろいろなものがございまして、なるべく性能のいい、速くしかもきれいにコピーがとれるようなものを採用するようにっとめておるわけでございます。それからそういった直接の機械化のほかに、たとえば現在の登記所の持っております登記簿の中には、非常に登記用紙の質の悪いものがございます。これは読むのにも不便でございますし、また謄本をつくる場合にコピーにかけてもよく写らないというような事情にありますために、そういうものについての謄本作成する場合には非常に職員が苦労するというようなこともございます。  そこで、そういった質の悪い登記用紙になされている登記を質のよい登記用紙に書きかえる、これをわれわれは粗悪用紙移記というように呼んでおりますが、そういった作業もいたしておるわけでございます。それからまた、一つ登記簿があちこちで利用される。たとえば会社の場合でございますと、一つ登記簿の中にABCDEFGといったような幾つもの会社登記用紙がおさめられております。そのA会社について登記の申請があった、ところがC会社について登記簿閲覧が行なわれているために、すぐその登記簿を使えないというようなことがひんぱんに起こってまいります。そこで、会社登記につきましては、これを一会社ファイルファイル化いたしまして、一つ会社ごと登記簿をつくるというような方法も採用いたしております。で、目下そういうものへの移行作業ということを実施しておるわけでございます。さらに大きな問題といたしましては、制度的に簡略できるものをなるべく簡略にしていくというようなことも考えられるわけでございまして、それは過去におきまして登記簿台帳の一元であるとか、あるいは登記簿バインダー化であるとか、そういうような作業を行なってきたわけでございまして、今後ともそういったいろいろな面から事務能率の向上に資するような対策を考えていきたいと、そのように考えております。
  24. 鈴木力

    鈴木力君 いまの、機械を導入してとか、ずっといろいろな御説明をいただきましたけれども、それの達成率は何%ぐらいになっておりますか。
  25. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 達成率というと非常にむずかしいのでございますが、たとえば先ほど申し上げました登記簿の、バインダー化であるとか、あるいは登記簿台帳の一元化というのは、もうすでに実施を終わっております。それから粗悪用紙移記作業でございますが、これは昭和四十年度から始めまして、現在なお継続して実施中でございます。大体大きな登記所についてはほぼその作業を終わっているわけでございますが、最近は、いままで事件の少なかった登記所事件増加してきておるというところもございますので、そういうところを対象としてさらに継続して行たっておるという現状でございます。それから商業登記簿ファイル化につきましては、これは最初株式会社中心に行ないまして、株式会社につきましてはほぼファイル化を終わったわけでございます。まだそのほか有限会社とかいろいろほかの会社がございますので、そういうものについても必要なものから実施していきたいということで、昭和四十一年度から現在なお継続実施中でございます。それから……。
  26. 鈴木力

    鈴木力君 あまり詳しくはなくてもいいですがね、継続実施中と言うなら、何年度を目標継続実施をしているのか、達成率が出てこなかったら、何年度完成を目当てにいまやっているのかという、そういう御説明でいいですよ。
  27. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 粗悪移記作業は五十六年を達成目標といたしております。それから会社登記簿ファイル化は五十年度を達成目標といたしております。
  28. 鈴木力

    鈴木力君 あまりこまかいことを伺って恐縮でしたけれども、私はいまのような問題に対処していくためにやっぱり二つの問題があると思うんです。一つは、何といいましてもこれは人員だと思いますね。機械にまかせるわけにいかないものが大部分であります。しかし、そうはいっても、近代化ということは相当くふうをする必要があるのではないか、この両面から改善をしていかないと能率が増進しないのではないか、こう考えたもんですから、いまのようなことを伺ったわけであります。人員の問題にいたしましても、今度まあ民事行政部一緒にする、そうすると定員は一体どれだけふえるのかといいますと、さっきお伺いいたしましたけれども、今年度は三百二十五人増になりますか、全体で。そのうち何人が今度の民事行政部第一部ですか、そちらのほうに強化されるような計画になっておりますか。
  29. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 法務局増員予定は、これは全国取りまとめまして申し上げますと、三百三十七名の増員が認められておるわけでございます。しかしながら、計画削減の人員百五十七名を差し引きますと、法務局全体で純粋に増加するいわゆる純増の人員は百八十名ということになります。それから、このうち何人をどこの法務局に割り当てるかということは、予算が成立いたしました上で確定するわけでございますが、現在、全国登記所事件増加傾向、その繁忙度というようなものを見まして各法務局に割り当てる計算をいたしておるわけでございますが、東京法務局管内におきましては、先ほど申し上げましたように、七十三名の増員を――七十まあ三名程度になろうかと思いますが、七十数名の増員、このうち、東京法務局自体につきましては八名ということになろうかと思います。  それから今度の組織の変更でございますが、これに伴いまして特にそのために事件がふえるというわけではございません。ただ、日本橋登記所を新しくできます民事行政第一部のほうに吸収するという形にしたいと考えておりますので、日本橋登記所の六十六名という人員民事行政第一部の中にさらに加わってくる計算になるわけでございます。組織の変更に伴って特に増員されるということは別に考えていないわけでございます。
  30. 鈴木力

    鈴木力君 じゃ、部長がふえるだけであとは同じだと、こういうことですか。それならば、私は何もあわてなくても、日本橋出張所という名前にしておいていまのようにやっても同じことじゃないか。さっきの私の伺ったのに対する御答弁は、非常に問題の多い性格のものを含めて、事務も非常に繁忙になっておる、その件数もどんどんふえている、それに対処するために、もちろんこれはただ職員をどうするだけじゃ意味がない、意味がないといいますか、法人という問題が対象になっているという特徴に、そういう特質に対するためには、民事行政部という一つの部をつくって、そして日本橋出張所をまあ昇格をさせるといいますか、こういう機構の動きだと、こういうことになりますけれども、私はそれに対処するために部長がふえただけというなら、あんまり大きな意味がないだろう、そうじゃなしに、その機構の中に入れてそれに対処するためには、それだけの人間の配置ということも必要じゃないのかと思うんですけれども、それはほんとうのところどうなんですか。これはぼくは、そういう必要上から、機構もつくるけれども、それを拡充するという意図もあるというふうに理解をしておって、それでまあ賛成しようかと思っておったんだけれども、拡充のほうが必要がなくて、ただ機構をいじるだけだということになるなら、そんなたいした意味があるとは思わないんですけれども、どうなんですか、これは。
  31. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 今度の東京法務局の機構の改革の理由でございますが、これは最初に先生御指摘の登記事務増加ということが一つの大きな原因になっておるわけでございます。と申しますのは、民事行政部というものが法務局に設けられておるわけでございますが、この民事行政部はさらに内部的にいろいろな課に分かれておりまして、登記を扱います登記課のほかに、戸籍課、国籍課、供託課、供託は供託第一課、供託第二課というふうに分かれておりますが、こういったいろいろな仕事をやっておるわけでございます。ところが、御承知のように、東京法務局管内にさらに出張所というものがございまして、それぞれ登記事務を扱っております。それから管区の法務局という立場から、横浜、浦和、千葉をはじめとして十ばかりの地方法務局の監督事務も行なっておるわけでございます。そこで、この民事行政部の仕事が非常に大きくなり過ぎる。というのは、つまり登記事務が非常にふえてきておる。それに対して人員がやはり相当な増加を示しておるわけでございますが、そういう面から見まして、この民事行政部登記事務のほかに供託とか、戸籍とか、国籍とか、そういった仕事まで分担させるということは荷が重くなり過ぎるということが一つの大きな理由であったわけであります。そこで、登記事務だけを専属に取り扱う部というものをつくりまして、そうして東京法務局の直接の支配下にあります本局の登記事務、それからその監督下にあります登記所登記事務、これの円滑な運営をはかっていきますために、登記専属の部としての民事行政第一部というものを設けようというのが今度のねらいであるわけであります。  それからもう一つは、先ほど大臣が仰せになりましたように、日本橋出張所という、これは非常に商業登記のみを扱う変則的な登記所でございますが、これが東京法務局の庁舎の中に併置されておりますので、これを同時に民事行政第一部の中に取り込もう、こういった組織を合理化するということが一つの大きなねらいであったわけであります。  それから増員関係でございますが、これは東京法務局事件というものも毎年増加をいたしておりますので、それに見合った増員というものは、先ほど申し上げました百八十名の全国法務局増員予定人員の中からしかるべき人員東京法務局にさらに増員させると、こういうようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  32. 鈴木力

    鈴木力君 申しわけない言い方をしますが、私は局長さんの御答弁はきわめて不満なんです。しかるべき人間を増置するなんというのはあたりまえの話でね。だから、こういう機構改革をしたら、拡充のために今年度は何人そこに要員を準備しているかということを聞いているんです。しかるべきとか、適当にとか、いい方法なんというようなことなら、これはもう伺わなくてもいいから、具体的におっしゃってください。それからどうしても私はわからぬのは、さっきのたとえば日本橋出張所なら日本橋出張所でやっている仕事をそっくりそのまま持ってくるわけでしょう。そうしていままでの民事行政部でやっているのを登記部門はそっちに集中するわけでしょう。そうして件数がふえてきているということなんだけれども、それをただ合わせればいいという理屈はどうしても私はわからぬのですが、だから、いまのしかるべき人員というのはどれくらい考えていらっしゃるんですか。
  33. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 東京法務局自体に対する増員といたしましては……。
  34. 鈴木力

    鈴木力君 いや、今度の改正した部分だけのところを答えてください。
  35. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 改正に伴う増員というものは特に考えていないわけでございます。事件増加に対する増員というものが予定されておりますので、それが全国で百八十名、このうちから東京法務局管内には地方法務局部門を含めて七十三名、それから東京法務局直接には八名の増員を予定している、こういうことでございます。
  36. 鈴木力

    鈴木力君 これ、だんだん時間がなくなるから、私は基本的にさっきからいろいろ申し上げているのは――全国のこともわかります、どうしても私は人員が、いまの職員の皆さんにいろいろ聞いてみますと、とてもじゃないがやり切れないと、みんなわれわれにはそう訴えているんですね。そういう話を聞いて、現場でやっている職員の皆さんの声を聞いているから、私は総定員法のことを知らないで言っているわけじゃありませんですよ。知らないで言っているわけじゃないけれども、もっと人員増加する中で、一つ過重労働というものの軽減というものを積極的にはかる必要がある。それからもう一つは、機構改革に見合った――機構改革というのはただ役所の中の機構をいじるというだけでは私はあまり意味がない。そのことによって能率がどれだけ向上していくのかというところにつながらないといけないんですから、そうすると、そのためには人員機械がどうなるという計画が出ているだろうと、こう思ったんですけれども、どうも局長さん、どういう意図で御答弁なさっているかわからないが、これでいいんです、これでいいんですという御答弁、何か逆みたいな立場でお互いにこうものを言っているみたいなんですけれども、私はこの件はこれでやめますけれども、これはやっぱり大臣にもひとつ御要請を申し上げておきたいんです。私は基本的に、さっき言いましたように、どうしてもこういういろんな障害を解決をしていくには人的配置の面と事務近代化といいますか、これにもっともっと積極的なくふうをする必要があるのではないかと思っております。これはひとつ法務省としてもメスを入れて検討してみていただきたいと、私はそう思います。  きょうはもう御要望にこれはかえておきますけれども、それで総定員法の関係は、これは法務大臣の立場で申し上げてもあれですけれども、これは各省とも総定員法がきわめていまの現実と合わないものがずいぶん出てきているんでしょう。たとえば機械化がどんどん進んでいく、そうすると機械要員の定員が総定員法で押えられて、そして何か臨時といったような形でこれをやっているという、行政的にはつじつまが合っているけれども、内容的には全然つじつまが合っていないみたいな、もうそこまで来ているわけですよ。それは私はだれがいいとか悪いとかいうことじゃなしに、社会がこう進歩していくわけですから、それに伴った定員の配置なり技術員の配置なりということが必要になってきているんで、政府全体として私は総定員法をそういう角度から洗い直す時期に来ているのではないかという感じもするんです。そういう中でいまの法務省の問題を、法務大臣は実力大臣、大もの大臣ですから、政府をリードして、そういう中で解決をする方向に御努力をいただけたらたいへん前に進むのではないか、そういうふうに考えますんですけれど、いかがですか。
  37. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 全くお説のとおりでございます。そこで過去三年の実績を見ますと、増員関係は総定員法の関係で当然カットというものを差し引くものですから思うようにまいっておりませんので、昭和四十七年が純増九十五名、四十八年が純増百三十三名、四十八年度の予算化して現在御審議いただいておるのが純増は百八十名ということでまことに伸び率が悪いんでございます。確かに現場の人たちの意見を聞けば、全くこの激務ではかなわぬというお説のような現状だと思いますので、何とかこれを早く打開したいと思います。  それと、この今回の改正について一言申し上げますと、実際に法務局の仕事というのは、登記関係法人関係のほかに国籍それから供託等、全然種類の別な業務をやっておるわけです。そこで、全然別な業務を今度は分けて、登記登記専門の部にしようというわけでございますが、そこで部長が一人できると人間一人食われちゃうじゃないかと、こういうことが御指摘のように出てくるわけですが、実際問題としますと、日本橋法人登記のほうは総員がたぶん六十六名だと思います。それで一課、二課に分かれておりまして、したがって所長というのは実務は実際上できない、やっぱり一課、二課統括をして目を配っておるという現状でございますから、この法人登記関係を本部のほうへ吸収する機会に部長を一人つくっていただいて、そして性質の全然違うこの業務というものを分けてやったら能率的になるんじゃないかというようなことでございまして、管理職が何か一人ふえるような感じでございますが、実質上は同じことで、人がかわるかかわらないかは別問題として、日本橋法人登記所の所長が部長にかわると――人はどうなるかわかりませんけれども、実際はそういうようなかっこうになりますので、今回の改正をお認めいただいて東京法務局の業務というものを能率化したいというように考えておる次第でございます。
  38. 鈴木力

    鈴木力君 それはどうも名前が変わっただけであまり変わりばえしないみたいに聞こえますけれども、それはそれでさっきの私の気持ちを申し上げて、あと残り時間があまりありませんが、ついでに例の登記所の統廃合の問題ですね。これ、詳しく、いつ行管がどうして、それから答申がどう出たということを復習しておると時間がありませんから、それは一切省略をいたしますけれども、現在まだ統廃合が方針としては生きておるし、またこれを全然やるなということを私も申し上げるわけじゃありませんけれども、たとえば、まあ私は岩手県でありますけれども、岩手県のような地域件数機械的に統廃合されたら住民がたまらないという事情があるんです。これはちょっと隣の町に行けばそれでいいと言ったって、その隣の町に行くにも容易じゃない。そうすると、住民の何といいますか、利便といいますか、そういうことがきわめて重要な一つの要素になっておると思いますので、これは私は大体伺いますと、法務省自体も機械的にただ進めるというようなことではなしに、地元の意思を相当尊重されながら慎重に取り組んでいらっしゃるというふうにも伺ってはおりますけれども、将来のお考え方は基本的にはどうなんですか。
  39. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 登記所の統廃合の問題につきましては、昭和四十六年度から現在実施中でございまして、先生お話のように地域住民の利害に影響のある問題でございます。この統廃合の方針といたしましては、昭和四十六年から七年にかけまして民事行政審議会で審議していただきまして一応の基準はつくっております。その基準に従ってやっておるわけでございまして、これによりますと、事件数の少ない登記所が対象に主としてなるわけでございますが、それだけではございませんで、そのほかに、登記所が統合された場合の住民の不便が著しくならないように、たとえば距離がどれくらいであるとか、あるいは交通状況がどういうぐあいになっておるかというような点もあわせて考慮することにいたしております。したがいまして、事件数が少なくても交通不便の地にある登記所というものはこれは存置せざるを得ないというふうに考えておりますし、具体的な実施にあたりましては、よく実情を調査し、さらに地元の方々の御理解を得るようにつとめて円滑に実施してまいりたいと、こういう方針で進んでおります。
  40. 鈴木力

    鈴木力君 いままでに統廃合を実施しようとして地元の反対運動なんか起こったケースはどれだけあります。ありませんか。
  41. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 反対運動と申しましてもいろいろな形のものがございますのでちょっと正確には申し上げかねますが、特に顕著な反対運動というのはそう数が多くはございません。ただ、存置してもらいたいという要望が提出される場合というのは、非常にケースとしては多いわけでございまして、半数以上あるいは四分の三をこえろところからそういった陳情が出されておるという実情でございます。ただ、これはお互いの話し合いの問題でございますので、いろいろ話し合っているうちに御理解をいただいて円満に解決するというようなケースもあるわけでございます。
  42. 鈴木力

    鈴木力君 ケースもあるんではなしに、円満に解決をするというケースが大部分というふうに、これはぜひ御要望申し上げておきたいんです。反対運動というとことばが悪いから、局長さんははっきりは言わないが、しかし、存置要求というのは反対運動なんですからね、統廃合の。そこを見てとって住民の意思というものをやっぱり尊重していただきたい。これはもう御要請だけにしておきます。  もう一つだけ。登記事務のほうで乙号登記事務といいますか、乙号事務の一部を請け負いさしておるわけですね。これはちょっと私伺いましたら、財団法人登記協会に大体委託をしているというふうに伺っておりますけれども、そこで、私は端的にお伺いしたいのは、この登記協会に年間どれだけ支払ってやっていらっしゃるのですか。
  43. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 四十八年度で申し上げますと約九千万円でございます。
  44. 鈴木力

    鈴木力君 それで何か個人の財産の登記簿のフアックスをとったり、いろいろなことをやるわけですけれども、これを民間団体に請け負いをさしてやらせるということで何か私は心配なのは、単純な業務でありますから、それによって、ミスが起こるということはあまりなかろうと思いますけれども、個人の固有財産の登記簿の写しやなんかをいろいろつくったりする作業を、責任のない民間団体に請負をさしておるということがどうも心配なんですけれども、それは心配ありませんですか。どういう仕組みになっているのですか。
  45. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 作業はもちろん登記所の内部で行なわせておりますし、登記所側の指示、監督を受けるということになっております。また、作業の結果は記録をさせまして、そしてこれを登記所のほうで点検するという形にいたしておりますので、現在までのところ特に問題は起こっておりませんし、今後もそういう問題が起こらないように十分注意してまいりたいと、このように考えております。
  46. 鈴木力

    鈴木力君 私が聞いているのはちょっと違うと思うんですがね、ミスが起こらないのは、あとで点検をしてやっておればミスが起こらないわけでしょう。ところが、たとえば、私はそういうことは将来ともあり得ないんだけれども、私なら私が土地を買って登記をする。その登記簿をだれかが複写をして何かにするというその作業職員の人でない民間の人がやるわけです。そうして家へ帰って、だれだれが今度また土地を買ったとか、安く買った、高く買ったなんというようなことが晩めしで、もししゃべるとかなんとかがあったら相当迷惑をすることがあるだろうと思うのです。しかし、この財団法人登記協会というこの定款を読んでみても、そういう業務上の責任というものはどこにもないのですね。もちろんこれは財団法人であって、寄付行為を読んでみても、目的はそういうことじゃなしにいろいろな事業団体の問題ですけどね、登記関係の。そういうところに請負をさしておくというのもどうも私は納得ができないんです。直轄でおやりになるわけにいかぬのですか、こういうことは。要するに個人の財産の問題を取り扱う事務ですからね。単純であろうと複雑であろうと、こういう問題はやっぱり国家が責任をもって管理をするということが大事なんであって、民間にこれを委託をさせるという、一部であっても、どうしても私は納得できないんですけれども、それはこの協会とはどういう契約になっているのですか。
  47. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) まず、なぜ請け負わせるかということでございますが、これは御承知のように登記所事務が繁忙をきわめておりまして、特に最近謄抄本の交付請求が多いわけでございます。これの事務をほとんど職員がかかりつきりでやらなければならないという登記所が多数出ております。しかしながら、全く機械的な事務でございますので、そのコピーをとるという機械的な作業の面だけは職員以外の者が請け負っても、かえって熟練した者がやればそれだけ能率があがるということもございますし、登記所事務の遅滞もその分だけ避けられるというようなところから、この請負制度というのを実施しておるわけでございまして、いま登記協会とおっしゃいましたが、地方によりましては登記協会以外の会社に委託しておる場合もございます。  それからどういう契約になっておるかと申しますと、これは法務局登記協会との間で契約書を作成しておりまして、その契約書によりますと、登記簿謄本、抄本作成のための複写とこれに付随する業務を行なわせる。それから先ほど御心配のありました秘密の問題につきましては、登記協会側は業務上知り得た秘密を外部に漏らしてはいけないという条項を特に取りきめております。御承知のように、登記簿は本人でなくても登記簿閲覧あるいは謄抄本の交付の請求という手段によりまして本人以外の者がその登記を見ることもできるようになっておるわけでございますが、登記協会の職員はそういった手続をしないで登記簿を直接目に見ることができるという点で、御指摘のように、その仕事をやりながら何らか他人の取引について知り得たというような場合がありますれば、これはこの秘密の保持の条項に従って外部に漏らさないようにしなければならない、こういうことになっておるわけでございます。まあ機械的な作業でございまして、一日に何百通というコピーをつくるのでございまして、もちろんそれを一々見ているというようなこともないと思いますけれども、しかし、この契約の条項に従って、これが違反されることのないように登記所側としては十分注意していきたいと、このように考えておるわけでございます。
  48. 鈴木力

    鈴木力君 私は、注意しているのじゃなしに、直轄でやる方法を考えないかということをいま提案をしているんです。どっちみち、会社が請け負うにしたにしても同じ人間が要るんでしょう。それなら法務省が直轄でやったらどうなんです。わざわざ民間団体にそれを下請をさせるというコースを、単純だから下請をするなんという、どうも私はそういう考え方は納得できないんですけれども、それが会社にやったほうが安くなりますと、そう言えば、会社側のほうが人件費を安く使っているということになりはしませんか。特に私は、この個人の財産を取り扱う事務だけに、単純であろうと単純でなかろうと、これはやっぱりどこまでも国が直接責任を持つという体制をとるべきだと。だから、総定員法があるから、これ以上定員が増せないからあとは下請でやっておる、こういうシステムをどこでもどこでもやったら総定員法なんというものはおかしくなってしまう。そういうことでしょう。だから、この点は私はやっぱり廃止の方向で研究してみていただきたい。いますぐに廃止しますと言えといったってこれは無理な話ですから、それは申しません。しかし、やはり逐次直轄でふやしていくという形の方向にひとつ検討をしてみていただけないかと、こう思います。  それからついでですからこれだけ伺いますが、この登記協会の役員の方は、法務省におられた方が何人かおりますか、おりませんか。
  49. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 登記協会というのはもともと、もと法務局職員をしておられた方が登記制度の円滑な利用というものに少しでも役立たせたいということでつくった財団法人でございますので、理事の方はすべて法務局職員をされておった方がなっておられるわけでございます。
  50. 鈴木力

    鈴木力君 そうだとしますと、ますます私は、そういうあれをつくって、それはまあ登記研究をしたり関係の著書の出版をしたりという、それは大いにけっこうなことだと思いますけれども、そういうもとの登記所というか法務省のOB陣が一つの協会をつくって、そして登記事務の下請をして、そして九千万ですか幾らかの金で運用している、こういう形はやっぱり私は天下りとかなんとかやかましいことは言わないけれども、何かそういう外郭団体をつくればすぐに役所はそこへ下請の仕事を持っていくというような関係もあまり望ましいことじゃないと私は思うのです。そういう点も含めてこの下請問題は御検討願いたいと、こう私は思います。  あともう少し伺いたいんですけれども、時間がだいぶ過ぎましたからこれでやめますが、いまの点も御要望としてつけ加えて御検討いただきたい、こう思います。
  51. 岩動道行

    岩動道行君 時間もありませんので私のほうからまとめて申し上げますから、それに対して簡潔に明確なお答えをいただきたいと思います。  まず、いま鈴木委員からも明らかにされましたように、東京等の繁忙庁に対する配慮、これが今回の法律改正一つのポイントであろうと。これはこれなりに私ども了承をいたします。しかしながら、小規模庁に対する配慮ということについて私は法務省のお考えをこの際明らかにしていただきたい、かように考えて質問申し上げるわけであります。  まず第一に、登記所の適正配置、小規模庁の整理統合、こういうことについて答申が四十七年に出てまいったわけでありまするが、その答申の小規模庁の廃止の基準であります。答申の当時の昭和四十七年一月一日現在で一人庁は五百庁、二人庁は四百五十五、三人庁二百三庁、合わせますと千百五十八庁。全体で三人庁まで入れますと七八・三%、こういうように小規模庁の割合が非常に大きいわけであります。しかも一人庁が五百庁。この一人庁が実は問題であろうと特に思うのであります。一人庁でありますると、一日じゅうとにかく一人の職員登記事務に従事をする。しかしながら、登記所の中に、出張所の中に引きこもっているわけにはいかない。現地も見に行かなければいけない。その間に登記を要請するために人がやってくる。奥さんがそこで受け付けをしてみるとか、あるいは待ってもらうとか、とにかく買いものにも出られない。自分の用事も足せない。土曜、日曜もない。あるいは大事な国民の権利である登記台帳の保管についても不安が生じる等、いろいろ一人庁等については問題があり、人権上の問題もある。こういうことから、私どもは登記所の整理統合については慎重にやっていかなければいけないという基本的な考え方を持っておるわけであります。  先ほど鈴木委員からも、岩手のような場合には非常に不便な地域が多いと。これは交通の便あるいは離島、そういったようなところで十分な配慮をさらにしていかなければなりませんけれども、整理統合ということをあまり急いでやるということは大きな問題がある。そしてまた今日におきましては地域開発であるとか、あるいは宅地の造成であるとか、あるいは自動車道、新幹線等々、国土の総合開発、これらに伴う登記事務は非常に激増しているわけであります。川島局長からも先ほど件数が出ておったわけでありまするが、そのような状態において、一人庁といえども、これは人道上の問題もありまするし、したがって、むしろ廃止よりも増員を考えていく、こういう方向も私は法務省としては積極的に考えていただかなければならない、かように思うわけであります。それが本年度純増百八十人になってあらわれたと思いまするが、まだまだ不十分であります。繁忙庁を加えて小規模庁等を考えた場合には大幅な登記職員増員ということが必要ではないか、かように考えるわけであります。  なお、私どもは機械的に適正配置基準――答申によりまするとおおよそ五百カ所ぐらいあるというふうに聞いておりまするが、これを機械的にそのままやりますると非常に問題が起こってまいる。したがいまして、これらについては一体今日の地域住民の要請等々から考えて、どの程度のところが大体考えられるのか、これをひとつお伺いしたいと思います。  その次に、地域的な摩擦を少なくしながらやっていくという点から、特に地域社会との調和、この点については私どもは、特に登記所が長い歴史を持っております。しかもその町村においては土地建物等を寄付したような事例が数多く残っております。そういうことによって、政府のほうもここに登記所を置きましょうと、登記所を置くについては土地建物を寄付してもらいたい、こういったような地域住民との話し合いによってつくられたものがある。それをにわかにやめてしまうということになりますると地域住民としては耐えられないものがある。かつまたその地域における唯一の国家機関、その町、村の誇りでもあると、こういうような感情も無視はできない。こういう点からも地域社会との調和の中において適正配置を考えていかなければならない、かようにも考えるわけであります。この点についての基本的な姿勢も大臣から伺いたいと思います。  また、登記行政のサービス、もしも一人庁等を廃止した場合には非常な不便が起こると、こういうことからアフターサービスをどのようにやっていかれるか、この点も私どもの関心の深いところでございます。したがいまして、私どもは特にきめのこまかい諸方策、たとえば登記相談所の開設であるとか、登記抄本の交付申請書用紙の市町村役場への備えつけであるとか、   〔委員長退席、理事岡本悟君着席〕 電話の予約制度の導入であるとか、登記巡回サービス、能率機器の全庁配付、あるいは司法書士、土地家屋調査士の活用等、いろいろな面からのアフターサービスというものを考えていかなければなりませんが、これらの点についての配慮がどの程度になされており、また今後どういうふうにこれを進めて、そうして調和のとれた登記所の適正配置というものをお進めになるのか、これをお伺いいたしたいと思います。
  52. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御承知のとおり、昭和四十六年の閣議決定で、一人庁、二人庁、三人庁のようなところはできるだけ整理統合するようにという閣議決定がありまして、その後民事行政審議会というものをつくりましていろいろ御検討をいただき、その審議会の結論としましても、かなりこまかい点まで触れまして、件数がどうの、それから統合する役所との距離がどのくらい、あるいはバスで何十分、交通の便はどうなっているかというようなこともこまかく検討をされまして、その民事行政審議会の答申の線に沿いまして統合の努力を続けておる次第でございますが、皆さしのたいへんな御協力をいただきまして、四十六生に四十一庁、四十七年に六十一庁、四十八年に大十六庁の統合ができたわけでございます。  しかし、なかなか目標数には達しておりませんが、達しないという理由は、いまお話がありましたように、登記所という特殊事情がありまして地元の御協力もいただいておりますので、地元の意向を無視して強行するわけにもまいりませんし、また地域によりましては登記所建物が老朽になりまして、この決定をしました昭和四十六年以降はありませんけれども、その以前、五年か六年とか近い時期において、その町が登記所を保持するために建築費を出して改築をしていただいたりしておるようなところもございますので、なかなかこの統合ということはむずかしい事情にあります。したがいまして、われわれの方針としましては、できるだけ地元とよく相談をし、協力を得られるものからやっていく、あまり無理なことはつとめて避けながら円満な解決をはかっていくというような努力をしておる次第でございます。今後ともそういう方針でやりたいと思いますので、御理解をいただきたい、かように思います。  その他の点につきましては事務当局からお答えさせます。
  53. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 岩動先生からいろいろ御注意をいただいたわけでございまして、私ども先生のお話の御趣旨まことにごもっともだと思うわけでございます。ごく簡単に申し上げますと、小規模庁に対する問題といたしましては、離島その他僻地にあります登記所で、これを廃止すると住民に著しい不便を生ずるというようなところにつきましてはこれを存置し、むしろその一人庁をどのように合理的にうまく運営していくかということを考えなければならないと思うわけでございまして、御指摘のありました、たとえば一人庁の補助経費というのがございます、あるいは渡し切りといったような制度もございます。こういった点につきまして予算の増額を行なって努力しておるところでございます。  それから人員の配置につきましても、今回百八十名の増員の予定で予算が提出されておりますが、これが認められました場合には、そういった点につきましても十分配慮した配分をいたしたい、このように考えております。さらに今後大幅な増員に努力して先生の御趣旨達成につとめたいと考えておるところでございます。  今後の問題でございますが、大臣がただいま仰せになりましたように百六十数庁、現在までに整理統合が行なわれたわけでございますが、われわれの目標といたしましてはなお相当数の、三百以上になろうかと思いますが、統合候補庁というものを予定しております。しかしながら、地元とのお話し合いを通じまして十分御納得をいただいたところから実施していきたいと考えておるわけでございまして、現に昭和四十八年度におきましても百六十庁の候補庁の統合について御相談を申し上げましたが、御了承をいただきましたのは六十六庁で、その半数に満たないところが実行できたというわけでございます。無理をしないで御理解をいただきながら今後も推進していきたい、このように考えております。  それからアフターサービスの点でございますが、御指摘になりました登記相談所の開設であるとか、あるいは謄抄本交付申請書用紙の市町村役場への備え付け、電話予約制の導入等につきましては、統合のことで地元とお話し合いをする場合にそういった問題をいろいろ話題といたしまして、地元の方の御希望がございます場合にはそういう措置をとることにいたしておりまして、予算的にも、来年度の予算におきましてはそのための経費を若干見込んでおるというような実情でございます。それからさらに能率器具を配付いたしまして統合後の登記所における行政サービスの向上をはかる、これによって、少なくとも統合が行なわれたことによって登記行政サービスが低下しないように、むしろ向上するように努力してまいりたいと、このようにいたしておる次第でございます。
  54. 岩動道行

    岩動道行君 ただいまの御答弁で前向きの態度がわかりましたが、特に百六十庁の廃止統合について交渉した結果、その半分以下の六十六庁程度のところが了承ができたと、なかなか難航したと思いまするが、これも一人庁等の立場から見ればやむを得ないことであったと思います。繰り返して申しますが、一人庁というのは先ほど申したように非常に事務能率の点あるいは職員の勤務条件、その他いろいろな点で問題が多いわけであります。したがって、これは原則として私どもは人道上の立場からも一人庁というものを廃止をする、それは統廃合という方向とあわせてそれを存置する、存置する場合には増員あるいは補助職員、こういうもので補っていかなければ職員の人権問題も起こってくる、こういう点を配慮していただかなければなりませんので、慎重に対処していただきたいということを要望いたしておきます。また、離島など僻地等に対しては、その執務条件、特に待遇、環境等の改善は十分にやっていただかなければなりませんので、この点についての予算獲得を十分にひとつ引き続き努力をしていただきたい。  このことを申し上げ、かつまた将来の問題として、戸籍事務はすでに市町村に移っておるわけであります。登記事務は一体市町村に移せるかどうかと、こういう長期的な展望のもとに登記行政というものの検討、その他全般に登記行政が明治以来あまり変わっていない、現代の情勢に適応するためにはどうしたらいいか。私は、いたずらに人員整理ということでなくて、むしろ登記行政事務がふえていく、そういう中においていかに対処するか。増員も必要、あわせて合理化近代化も必要と、これを今後どのような決意を持って進んでいかれるか、大臣並びに局長の御答弁をお願いして、私の質問を終わります。
  55. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘の点はまことにごもっともでございまして、一人庁のような場合には、実際夫婦で旅もできなければ外出もできないというような事情もありますので、統合とあわせてその他の御指摘の点も十分検討してまいりたいと思います。なお、増員あるいは市町村に一体まかせるかまかせないか、この問題は非常に大きな問題でございますが、これらにつきましても慎重に検討してまいりたいと思います。
  56. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 将来の展望ということでございまして、これは非常に大切なことであろうと思います。先ほど鈴木委員の御質問に対してもお答えいたしましたように、たとえば登記のコンピューター化といったようなことも、これは時代の一つの趨勢から見まして検討に値する問題であろうというふうに思うわけでございます。そのほかいろいろな面において、今後の登記所のあり方、登記行政の方向といったものを十分に考えていきたいというふうに考えております。  ただ、市町村への移管という点について一言申し述べたいと存じますが、そのような御意見が一部に出ておりますことは私も承知しております。これは私ども反省しなければならない点もいろいろあろうかと思います。したがって、そういう点につきましては十分反省もし、対策も考えていきたいというふうに思うわけでございますが、登記事務の性質から申しまして、これを市町村に移管するということには多大の疑問を持つわけでございます。  その理由を簡単に申し上げさしていただきますと、登記事務はいろいろな法律を適用するわけでございますが、その法律の適用の問題でありますとか、あるいは事務取り扱い等につきましては全国的に統一をはかっていく必要があるということがございます。それから登記事務に従事する職員というものは、非常に複雑な仕事を長年経験した者でないと十分な処理ができないという面がございますので、そういった職員の養成というような問題もございます。そういった点から見まして、これを市町村に移管するということは非常にむずかしい問題が多く出てくるのではなかろうか、このように思うわけでございまして、外国の例などを見ましても、登記事務は国家が管理する、直接国がみずから行なうという制度になっておるようでございます。まあそういった点から見まして、市町村移管の問題につきまましては私ども非常に問題が多いというふうに思うわけでございますが、まあ御指摘の将来の展望の問題につきましては私ども十分に考慮してまいらなければならないと、このように考えております。     ―――――――――――――
  57. 岡本悟

    ○理事(岡本悟君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、今春聴君源田実君、郡祐一君が委員辞任され、その補欠として棚辺四郎君、菅野儀作君、寺下岩蔵君が選任されました。     ―――――――――――――
  58. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は腰かけたまま質問を申し上げますので、どうか皆さんもそのままのお姿でひとつ御答弁をお願いします。  きょうは、私は三つの点につきまして質問をおもに進めてまいりたいと思います。時間があればまたそのほかの件も質問をする予定でございますが、まず第一点は、北海道大学の文部教官、教育職の方で、地質学鉱物学科の鉱床学講座勤務を命ぜられておられる理学博士のキムチョルウーという人の、これは日本読みにいたしますと金喆佑博士でございますが、この方の再入国問題につきまして質問をするのが第一点。  それから第二番目は、今回の法務省設置法の一部を改正する法律案の中で、賃金職員というふうに俗にいわれているように思います、非常勤勤務でありながら常勤勤務のような形で働いている職員の方、その人によって今日の登記事務というものが守られ、しかもそれが、法務大臣も守られてきているということになるわけでありますが、その方々等の実働の状態を質問をする予定でございます。  それから第三番目は、訴訟事件がだんだんだんだんと大型化してまいりまして、原告にしましても、被告にしましても、選定人にしましても、傍聴人にしましても、これは法廷に入れない状態が随所に起きております。そういうこと等の問題につきまして、法務大臣として、今後この法廷、裁判所というものをどんなふうに考えていかれて、またその原告、被告あるいは選定人、傍聴人に対する考え方をどういうふうな処置をとっていくかというような問題、この三つの点にしぼりまして質問をいたしたいと思います。  一番最初に私が申し上げました、この入国管理法の問題にこれは関連していくわけでありますが、先ほど申し上げました金博士のことにつきましては、法務大臣、御存じでございましょうか。その経緯といいますか、その現在の実情といいますか、そういうものを御存じでございましょうか。
  59. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この件につきましては、金博士の弟子という人が、ある代議士の紹介を得まして秘書官室に来られて事情説明があり、こちらでも検討を一応してみたようでございます。私もその結果報告を聞いておるわけでございますが、再入国の許可を得て昨年羽田を立って本国へ行かれたようですが、本国へ行ってから、何か韓国の政府に北朝鮮とのスパイであるというような嫌疑を受けて、その事件で起訴されて、一審の判決は懲役三年とかいう話を聞きましたが、一審の判決があって目下控訴中のようでございます。そんな関係で再入国の期間を徒過して過ぎちゃったんです。さて、これから先どうするかということを、再入国の条文だけ見ますと、再入国の期限というのは、延長もそれから裁量も、普通ならば大臣の裁量とか、自由裁量の期間が何かあるのが普通なんですが、そういうこともないようでございますので、さてこの人が事件が片づいて帰るとなったら一体どうすればいいのか、私どもも実はまだ見当つかずでございます。出入国管理局のほうでこまかく検討していただく以外には方法ないと、こう思っておるわけでございます。
  60. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 期日としてはまだ過ぎていないんです。
  61. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まだ過ぎていないんですか、ああそうですか。
  62. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 過ぎる可能性はあります。それはなぜかと言いますとか、四月七日なんです。きょうは四日でございます。あと三日に迫っておるわけであります。それだけに私はこの問題を、入管の事務設置、出張所の設置、名称変更等のこの法案に基づきまして、重要な、これは教育上の問題も大きな――日本の学生に対しては不利な1学生を守る意味におきましても、日本の教育を守る上におきましても、やはり得がたい地質鉱物学者の教べんを受けさしたほうがいいというような見地から、当然これはいっときも早く入国できるように、再入国できるようにと思いますので、もう期日が迫っておりますので、特にこの問題を取り上げましてお伺いするわけですが、大臣はこの留守家庭の状態なんか御存じでございましょうか。留守家庭、おうちを守っておられる方々を。
  63. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) そこまでよく承知しておりません。
  64. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は昨年の九月の二十六日に午前、午後、本委員会におきまして長時間にわたってこの質問をしているわけです。これは給与の問題等ございまして、それから身分の上のことでどうするかということ、という問題で取り上げまして、家庭には奥さまとお子さんが三人おいでになる。今日では扶養手当が四千円支給されております。そして住宅費を引きますと、これはもうまことにお気の毒なんですが、手取りが五百九十円ぐらいしかない。これで御家族が生活をしなければならないというので、見るに見かねまして、北大の関係方面の一部の方々が、何とかして金博士の救援をしなければいけないというので、篤志の有志の方々がお集まりになりまして、そういう救援会等おつくりになっているわけです。それで、今日はほんとうにごくわずかなお金を救援会のほうで贈られているというふうに私は知っているわけですが、このことも、月給を払うような、また月給をもらうようなわけにはまいりませんし、俸給をもらうようなわけにもまいりません。まことに困窮をなさっているというこの事実ということをまず御認識をいただいた上で、それで先ほど申し上げましたが、北大ではこの金博士がおいでにならないことで教育上に大損害をしているということも御考慮に入れていただきたいと思いまして、つけ添えて申し上げているわけであります。  そこで私は、まず最初に文部省の望月人事課長さん、あなたにお伺いをいたしたいんですが、九月二十六日に私が質問をしましたときに、あなたは説明員として席においででございましたが、それでまた特に御答弁もかわってなさった記録がここにございます。その後、私があのときに申し上げたのは、その給与法の法律に基づて文部省は金を出すことも考えられないという冷たい答弁がありっきりで、答弁をしっぱなしで、そしてその後、いま申し上げましたような救援会等に対しても文部省はどんなふうな手を打っておられるのか。日本の家庭に残っている、北海道の札幌に残っておられる家族の方々に文部省はどういうふうなあたたかい手をお打ちになりましたか。もう九月二十六日と言えば約七カ月の歳月がたっております。この事件が始まって以来すでに十カ月以上にもなんなんとしております。こういう日の経過をしている中で、それ以後半年以上もたっている今日、どんなふうに手を打たれたかお伺いをしたい。
  65. 望月哲太郎

    説明員望月哲太郎君) 先ほど先生お話しございましたように、昨年の九月の当委員会におきまする金助手の問題につきましては、六月四日から六月八日までの年次休暇をとりまして、その後、年次有給休暇の期間が終わりましても職場に復帰しないということで、関係者が心配しておりましたところ、韓国におきましてスパイ容疑で逮捕されましたことは、先生先ほどおっしゃったとおりでございまして、まあそういうことでございまして、結局年次有給休暇が過ぎたあとも職場に復帰いたしませんので、北大当局といたしましては欠勤扱いにせざるを得ないということでございまして、その状態は今日まで変わっておりませんので、その点につきましては、昨年当委員会で御答弁をした状態というものは今日まで続いております。そこで、私どももこの問題は非常に重要なむずかしい問題でもございますので、その後も外務省等関係官庁あるいは北大当局と十分連絡をとりながら実情の把握につとめておるところでございますが、何ぶんにも外国籍を有する人の関係しております国際的問題でもございますので、今日まで慎重に事態の推移を見守っておるというのが現段階の状況でございます。  なお、救援会等との関係につきましては、主として北大当局のほうが現地においていろいろと接触もあるようでございまして、文部省といたしましては、直接そういうところと今日までのところ特に接触をとっておるというようなことはございません。
  66. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 外務省と連絡をとり合っている、また北大当局と連絡をつけているというのは、どんなふうな連絡のとり方をしておりますのか、あるいは外務省とどういうふうな打ち合わせをなさったか。  中江アジア局次長さん、おいででございますか。――何回ぐらいおやりになりました。
  67. 中江要介

    説明員(中江要介君) 何回と言われると、正確に私、回数を数えているわけでございませんけれども、金先生が向こうで裁判にかけられるということがわかりましてから、北大の担当の教授の方、それからこの地質鉱物学教室の助手の皆さん方が何度も東京においでになりまして、事情も伺いましたし、先生方がソウルに行って金先生に面会される手はずその他で韓国大使館とも再三にわたってお話をしております。それから裁判が進行いたしましてからは、その裁判の状況、それから判決が出ました場合には、その判決の内容の分析といいますか、事実の報告、そういうことは絶えずフォローしている、こういうことでございます。
  68. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 第一審の判決、どうおとりになっていますか。
  69. 中江要介

    説明員(中江要介君) 第一審は、先ほどお話があったと思いますが、無期懲役の求刑に対して懲役三年ということと聞いておりますが、この中の、北朝鮮に渡ったとか、朝鮮労働党に入党していたとか、北朝鮮工作員と会ったとか、こういったものが国家保安法に違反するというのがその違反事由で、ただ、四回にわたって韓国を訪問したのは、これは地質調査のためであって、これは無罪になっているということで、最初、何回も韓国に渡られたこと自身がスパイ行為のためであったというふうにいわれて、その点については北大のほうでも、そういうことはあり得ないことだということを私どもも担当教授の方から聞いておりましたけれども、幸いにして、その起訴事実のうちで、韓国に四回渡られたことについて無罪になったという点は評価していいと思っておりますが、いずれにいたしましても、これは韓国内での刑事事件の問題でございますので、日本政府として公の立場でこれを批判するということはこれは許されないことかと思いますが、私どもは印象といたしましてはそういうふうに思っておるということを申し上げられるかと思います。
  70. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 公文書等お出しになられたあれがありますか。
  71. 中江要介

    説明員(中江要介君) これは先ほど文部省のほうからも御答弁がございましたけれども、国際関係からとらえますと、韓国国籍を保有しておられる人でありますから、日本政府が公文書その他で行動を起こすというには非常にワクがあるわけでございまして、外交上の行為というものは、そのワクをはみ出ない範囲内で、弁護士の問題とか、日本から行く面会人のあっせんとか、そういったことはやりますけれども、政府レベルで相手の司法権に何らかの誤解を与えるような行為というものは慎みながら、日本と関係の深い方でございますので、それを踏まえて、事実上の交渉といいますか、話し合いという形でできるだけ公正な裁判が行なわれるように期待しているというのが現状でございます。
  72. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、端的に伺いますと、文書では早く言えば取り調べの中に立ち入るわけにはいかないけれども、いまの御答弁を通して、文書の中にはそういうものは含められないとしても、こういう人が日本の北大の教授であり教官であるという立場で行っているので、少なくとも早く日本のほうに戻してもらえるようにというような要請等はなされてないわけですね、文書等では。
  73. 中江要介

    説明員(中江要介君) いま先生がおっしゃいましたような申し入れというのは、ちょっと政府レベルではむずかしい問題かと思います。それで、北大の担当教室のほうから、あるいは金先生のためにつくられております民間のグループの方からのいろいろの希望表明その他について、そういったものが正確に向こうに渡るように、事実上の橋渡し、便宜供与をあっせんするということはしておりますけれども、政府レベルでそういうことに文書その他で申し入れるということは外交上非常にむずかしい問題だ、こういうふうに思います。
  74. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 その点は理解をしました。そこで、これは給与関係で、人事院総裁あるいは総理府長官にも御答弁を願ったりした前の経緯がございますが、その後文部省との給与関係と話し合いをしていくというような答弁もありましたけれども、この点についてどんなふうにおやりになりましたか。  それからもう一つは、休職者に対する外国でのこういう事件のときに、わが国の法律では休職者に対する給与というのは規定がないわけです。これはこの前私さんざんやりまして、今後こういう問題は、もう国際関係で往来が激しくなればなるほど起きてくる。だから、法律をつくったときには、外国でそういう事件があるようなこと、病気で戻れなくなったような場合だとか、そういったようなことで自分が手続ができない場合にも――あとで私は言いますけれども、やれないような事態が起きたときに、現在のこの一般職の職員の給与に関する法律に規定されている二十三条を改正をしていかなければ、いろんな問題が将来起きてくるんじゃないかということを私はずいぶん論議をしました。そういう点につきまして研究をされるというような答弁もあったようですけれども、その後文部省は、ただ法律がないからと言って冷たくけ飛ばして、   〔理事岡本悟君退席、委員長着席〕 先ほどの答弁じゃありませんけれども、いまのところはどうすることもできません、こういう給与に関する法律というものがはっきりしていれば、手の打ちようがありませんと言って冷たく一蹴するだけでありますが、やはり人間の血の通った法律というものは人間がつくっていく。こういう事件が起きてからでも私は当然おそくないと思う。  先ほども鈴木委員のほうの質問がありましたけれども、設置法なんというのは、たいがい、きめられたあとからつくってくるみたいな、追っかけられるみたいなというようなお話がありました。ほとんどそうであります。それでもかまいません。要するに、外国でそういうふうな立場になった方々に対する休職者の給与というものをどう考えられてきたのか、その点について御答弁を願いたいと思います。
  75. 長橋進

    説明員(長橋進君) お答えいたします。  給与に関します現行制度上の取り扱いにつきましては、前回御質問ございました際に文部省当局から御説明があったことと思います。その後、正確には数は把握してございませんけれども、文部省の人事当局から御相談もございまして、いろいろ検討いたしましたけれども、事柄の性質といいますか、要するに現行制度のもとにおきましては、年次休暇でございますとか、あるいは特別休暇と、法令の定めがある場合を除いて勤務を欠いた場合には減額するということになっておりまして、やはり勤務関係を制度上どう位置づけるかということによりまして、給与がそれをフォローしていくという性質のものでないかというふうに考えております。したがいまして、現時点におきまして御満足をいただける御答弁をいたしかねるわけでございますけれども、やはり身分関係取り扱いをどうするかということを待って給与上これに対処せざるを得ないというような事情にございますので、今後なお検討していきますけれども、その辺の事情についてひとつ御了承いただきたいということでございます。
  76. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 身分上というふうなお話がありましたけれども、それがきまってからこの法律のことも考えようというようなふうにいま御答弁を私とったわけですが、この身分上の立場はどうなるかということは、これはいろいろ問題点があると思うんですが、法務大臣として、いま私がやりとりしておりましたことを法制上からどんなふうにお考えになりますか、お考えをお伺いしたいんですけれども。この一般職の職員の給与に関する法律の「休職者の給与」というのがあるんですが、外国でああいう立場になった人は、この休職者の中に入れないというんですね。ということが、ここじゃないかと私は思うんですが、そういうことを、このまま身分の行き方を待ってからというふうな、考え方によって変えようじゃないかというようないまの答弁だと私は思ったんですが、そういうふうな点について、お立場ではどんなふうにお考えでございましょうか。
  77. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これはひとつ人事院を中心にぜひ御検討願っておきたいと思いますね、こういうことを。ケースがめずらしいもんですからね。ただ、私もわからないんですけれども、この金さんという人は、行くときに何か休職手続か休暇手続か、何か手続をして行っているんだろうと思うんですけれども……。
  78. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 休暇です。
  79. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 休暇ですかね。休暇の場合にはどうなるか、給与を払うのか払わないのか、私どもそういう点、まことにうといもんですからよくわかりませんが、ひとつぜひ人事院を中心に、これからもあることで、御研究を願っておきたいと私もそう要望します。
  80. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 法律的に、ぜひ法制の上からもお立場でひとつ御研究を願いたいと私は要望しておきます。よろしくお願いします。  この問題につきまして、総理府の長官、当時坪川長官でございます。それから坪川長官から今度は小坂長官におかわりになりましたんですが、坪川長官が、当時こういう事情をずっと申し上げたら、こういうふうに御答弁してくださっているんです。「先ほど来の先生の御意見、全く憂えられるお気持ち同様、私も非常に憂えておるわけでございます。当時出ました新聞を切り抜いて私の資料の中に張っているほどまで、私も心を打たれた問題でございますので、ただいま人事局長申しましたとおり、いわゆる人事院の協議をいただきながら、こうした不幸なお人方の生活を守る意味において、正しい正義感を持って取り組んでいくことは、政治の意味からも正しいことだと思いますので、十分前向きの姿勢で検討してまいりたいと、こう思っております。」、このように御答弁なさっている。  それから小坂総務長官におなりになりましたときに、給与法の問題がございましたときに、一言触れまして、で、小坂長官の御答弁もこのような御答弁がありました。「ただいまのお話は、実は前総務長官から引き継ぎのときも、宮崎先生からこういう問題が出ているんだということで私も記憶しておるわけでございますが、この給与法の解釈あるいは国家公務員法の解釈等について、人事院と私のほうの人事局長のほうと詰めてもらうようにいまやってもらっているはずでございますが、同時にまた文部省におきましても、こういう問題については実務的に取り組んでもらっているようでございますので、ただいまの先生からのお話をよく承りまして、善処してまいりたいと思っております。」、このようにはっきり仰せになっているわけです。で、先ほど申し上げましたように七カ月、これは私はその留守家庭の方、またその学校の関係の方々の立場になってみますと、事件始まって以来十カ月以上もたっておりますと相当ゆるくない問題だと思う。ゆるくないというのは、北海道のことばでたいへんだということでございますが、そのゆるくないことなんでございますが、そういう立場を変えた上で、これは十分考えていかなきゃならないと思うんです。  そこで、時間等の関係がございますので、私はその再入国のお願いを大臣並びに関係の所管の方々にお願いしたいと思うんです。実は、先ほど申し上げましたように、出入国管理令の中からいきますと、四月七日で自動的に消滅していくようにこれはなってくる形になるわけであります。これは私がえらそうに引っぱり出す必要もございませんけれども、出入国管理令の第二十六条に「再入国の許可」というのがございます。この法律の案文をひとつ担当者の方から読んでいただきたいと思うんです。この法律の文案を御存じない方のためにひとつ当事者の方から読んでいただきたいと思うんです。そして皆さんに認識を与えていただきたい。
  81. 竹村照雄

    説明員(竹村照雄君) 出入国管理令第二十六条でございます。「法務大臣は、本邦に在留する外国人(乗員及び第四条第一項第三号に該当する者としての在留資格を有する者を除く。)」――この第四条第一項第三号というのは通過客ということで、十五日間滞在する在留資格のことです。「がその在留期間の満了の日以前に本邦に再び入国する意図をもって出国しようとするときは、法務省令で定める手続により、その者の申請に基き、再入国の許可を与えることができる。」――これが一項でございます。第二項、「前項の許可があったときは、当該外国人は、法務省令で定める手続により、法務大臣又は入国審査官から再入国許可書の交付を受けなければならない。」、第三項、「第一項の許可は、再入国の許可を受けた日から起算して一年をこえない在留期間を有する外国人にあってはその在留期間内に本邦から出国し、且つ、その在留期間の満了の日以前に再入国しないとき、再入国の許可を受けた日後なお一年をこえる在留期間を有する外国人にあってはその者が当該許可を受けた日から六月以内に出国しないとき、又は許可を受けた日から一年以内に再入国しないときは、それぞれその効力を失う」。以上でございます。
  82. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 読んでいただきましたように、大臣の御答弁もございましたように、切れてしまうわけですね。そうしますと、特別なやむを得ない事情が、やはり外地に行っておりますと問題が出てくると思うんです、やむを得ない問題が。病気とか突発的な事故とか、いろいろなことで本人がこの手続がとれないという場合に、その者に対してはどうするかという項目はないわけなんです。そういうふうな事件が、病気では前に事例が、わずかな日数の変更で、あったとも聞いてはおりますけれども、これは特別に再延長の申請を認めたとかという事例もあるというふうに聞いておりますが、こういうふうなことから考え合わせてみて、当然今回のこういう事件が起きたときには、この法律の第三項までで打ち切られておりますけれども、あたたかい血を通わせていくという人間的な考えの中からいけば、突発事故が起きたときには、何らかの方法によってその一年というものを猶予してやるというみたいなことは考えられませんでしょうか。大臣いかがでしょう。
  83. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私もあなたと同じような感覚なんですけれども、たとえば再入国期限は一年である。再入国できない事情が本人の自由意思なら、これはもう切れて切れっぱなしでよろしいと思うんですが、この本件の場合を考えますと全く本人の自由意思じゃないんですね。本人の自由意思にあらざることによって帰れない、事実上帰れない、こういう場合には、何かほかの解釈ができる条文が、ただし書きか何かなきゃならないはずだと思うんですが、ないんですね、この法律は。ですから、これはひとつ今後入管局を中心に御研究願いたいと私自身も思うんですがね。役所でもやはり何かそういうようなことを検討はしておるようですが、本件のみならず、こういう特殊の事情というものは、まれであったにせよ、あり得ることだと思うんです。ですから、法制上もひとつ整備できるならするように検討させたいと、こう思っております。
  84. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これはもう非常に得がたい、何というのですかね、事件だと思われるから。
  85. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それじゃ、なお入管局長が来ておりますから、局長次長から、この問題について、現行法でもそういう解釈はできるのか、できないとすればどうするか、ひとつその点についてお答えをさせたいと思いますが、どうですか。
  86. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) 現行の出入国管理令のもとにおきまして、現在のような事案を救済できるかどうか、これは私どもいろいろな観点から検討を重ねております。しかしながら、いままでの検討の見通しといたしまして、現行の出入国管理令のもとにおいては、これの救済というのは非常にむずかしいのじゃないかという印象を持っております。  なお、今後の問題といたしましては、ただいま大臣から御答弁がありましたとおりに、こういうことは起こり得ることである。そういう場合の救済策ということは一応私どもも気がついておりまして、現在私どもが準備しております新たな出入国法案におきましては、こういう場合を想定して、これをいかにすべきであるかという規定を設けております。
  87. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これは私の幼稚な考えですが、代理人制か何かを設けてこれをやるような手続をやっていけるような形だとかというものならば手っ取り早いんじゃないかと思いますし、特に先ほど、北大の教え子の方々が向こうに、韓国のほうに行かれて、いろいろな事情と、また金博士にもお会いしたりなんかしておるような状態もございますし、そういうことができればすみやかにこの処置がとれるんじゃないかというふうに考えるんですがね。いま御答弁がありましたように、救済策というものを考えておられるという面にあわせまして、そういうことをいかがでしょうかね。
  88. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) 私ども、たてまえといたしまして、現在は現行の出入国管理令の規定、これが一体どこまで解釈できるかということに当然制約されるわけでございまして、ただいま御指摘のような点も含めまして検討しておりますけれども、少なくとも現在までの私どもの一応の印象と申しますか、検討の結果では、なかなかむずかしいということでございます。
  89. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 間に合わないんです、四月七日に。それで私は心配するんです。で、特にこの問題を取り上げましたのは、もうせっぱ詰まっちゃっている。それで泣きたいような気持ちなんです。何とかこの方法が人道的にも人間的にも、何かの救済方法というものが講じられないのかなあというふうに切実な叫びを私は上げているわけなんです。で、法務大臣のほうにもお願いに行くようになると思いますけれども、現地の人たちがお願いをしたいということで、こんなふうなことをお考えになっておられますので、読み上げてみたいと思うんですがね。  要旨   北海道大学理学部助手、キムチョルウー博士の再入国の権利が、現行出入国管理令上、本年の四月七日で自動的に消滅いたしますので、この延長について、特段のご配慮を賜わりますよう強く要望いたします。  理由   北海道大学理学部助手、キムチョルウー博士は、昨年六月渡韓直後、治安当局により逮捕拘禁をされ、十二月にソウル地方法院で懲役三年の判決があり、現在、ソウル高等法院に控訴をしているところであります。   金博士は、渡韓の際、一時帰国の申請を札幌入国管理事務所に、昨年四月七日に提出をしており、まもなく満一ケ年になります。金博士は、日韓条約に基づく法的地位協定により永住権を取得した、いわゆる協定永住権取得者でありますが、現行出入国管理令によりますと、協定永住権取得者の場合、再入国期限は最高一ケ年であり、これを経過すると、自動的に再入国の権利が消滅してしまうことになります。   金博士は、現在おかれている立場上、本年四月七日までの再入国は事実上不可能であり、このままでは、職場並びに家庭への復帰が閉ざされてしまうことになり、人道上の見地からも、再入国の権利が確保される必要があると考えられます。   よって、国におかれては、このような事情を御賢察の上、金博士の裁判が最終的に確定をするまで、再入国の期限を延長することについて、特段の配慮を賜わりますよう強く要望をいたします。  こういうようなこのお願いの案が私のところに来ておりますが、いま私がずうっと質問をいたしました内容でございました。いずれにしましても、本件は特殊な事情といえば特殊な事情でございますが、今後将来にわたって起こり得る問題でございます。先ほどの大臣の御答弁あるいは影井入国管理局長の御答弁等を通じまして、私はもうほんとう意味の善処という立場を大臣からもう一度お伺いをして、この問題については質問を終わりたいと思います。
  90. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これはどうも出入国管理令というのがポツダム政令による法律と同様の効果のあるものだものですから、どうもいまの条文解釈では、出入国について再入国の期限が切れてしまうとやりょうないように思うんです。ただしかし、ほかに手があると考えられれば、他の方法で日本に入国していただいて、入国をしてしまってから永住権をどうするかという問題はこれはある程度の自由裁量がないことはありませんから、入管で十分研究をしていただいて、それで永住権を認めるなら認めるということになればもとのとおりになっちゃうわけですから、何かそういう処置ができるんではないかと、そういう点をひとつ。いずれにしても、しかし韓国の事件が片づかないことには、向こうも実刑判決している以上は、その判決片づかぬうちは出国を認めないでしょうからね。ですから、その事件の解決と相まって、何かこちらはこちらとして、再入国はできなくても、再入国ができたと同一の結果が生まれればまあまあですから、そういうようなことをひとつ検討してみたい、こういうように考えております。
  91. 影井梅夫

    政府委員(影井梅夫君) ただいま大臣から御答弁ございましたとおりでございますが、これは事務的に私のほうからふえんさしていただきますと、先ほど先生の御質問に対しまして、私非常にむずかしかろうという答弁を申し上げましたのは、これは再入国許可の期間の延長ということが非常にむずかしかろうという趣旨でございます。他方、本件の救済策といたしましては、ただいま大臣から御答弁がありましたとおりに、金先生が日本に再びおいでになりまして、日本に希望される期間在住されるということが可能であるということ、これが救済策であるといたしますならば、これは制度的に日本に対する入国のいわゆる査証申請をされる、これに対しまして、その査証を与えられまして日本に一定の年限在住される、その一定の要件を経ました後には、いわゆる一般の永住権というものを取得されて日本に永住することが可能になるという制度的な道が現在でも開かれているわけでございます。したがいまして、先ほど最初の御答弁の機会に非常にむずかしかろうということを申し上げまして、あるいは間違った印象をお与えしたかもしれませんけれども、あれは再入国許可の期間の延長ということに限ってみれば非常にむずかしいということでございまして、ほかにも、いま申し上げましたような制度的な道は開かれているということをこの際あわせて申し上げさしていただきたいと考えております。
  92. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 こうしている間にも物価は上がっていきますし、生活はもう逼迫をしてきておる、この家族の状態等を考えますとまことにもうことばもないほどです。人事院のほうも、それから文部省のほうも、それから外務省のほうも、こぞってこの問題についての対策を――御審議を今日まで続けてきてくださいましたけれども、より審議を進められて、何とか救済法というものを考えてあげなきゃならないんだろうと思うんですね。この点、私は強く要望しておきたいと思いますが、いかがですか、人事院のほうは。
  93. 長橋進

    説明員(長橋進君) 先生の御趣旨を体しまして十分真剣に検討してまいりたいと思います。
  94. 望月哲太郎

    説明員望月哲太郎君) 人事院、外務省等、関係官庁と十分御連絡をとりながら慎重に検討してまいりたいと思います。なお、実情等も十分把握できますように、その点に関しましても関係各庁と十分御連絡をとってまいりたいと思います。
  95. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 文部省は一番冷たいんですよ、一番関係の担当のところがね。一番冷たいんですよ、考え方が。それより言いようがない、言いようがないと言って逃げているだけなんだ。それじゃしょうがないじゃないか、生活はどうするのかというんだ。あなたがそういう立場になったら御家族どうなるんだよ。そういう立場の上から、やはり法はどうあるべきかということを検討しなければいけないと私は申し上げているわけですよ。ひとつ十二分な御検討を願いたいと思います。  続けてまいりますと、今度はほかの、先ほど申し上げました第二点目に入ります。この第二点目は登記所等の合理化対策、合理化方策といいますかのことにつきまして御質問をしたいと思います。現在、先ほど質問をしました中で、項目では賃金という項目であるわけでありますが、この非常勤でありながら常勤のようにしておつとめになっている人が今日何人ぐらいおいでになりますか。俗にいう賃金職員という人で、全国でどれだけの人がおりますか。
  96. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 昭和四十八年、つまり昨年の七月一日現在で調査いたしたところによりますと、法務局におきましては、全国で三百九十二名の賃金職員が在職しているということになっております。なお、これらの賃金職員は、先ほどお話に出ました粗悪登記用紙改正作業でありますとか、あるいは公共事業関係土地登記事件でありますとか、あるいは住居表示制度の実施作業、こういった登記所における事務の補助をするために賃金職員として仕事をしておられる方々でございます。     ―――――――――――――
  97. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、中村波男君が委員辞任され、その補欠として藤田進君が選任されました。     ―――――――――――――
  98. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それで、この登記簿台帳の一元化をするときには、三十五年から四十五年、十年間ぐらいかけて相当な人数を使われたわけですね。いま御報告によりますと、四百名足らずだというようなお話でございますけれども、いままでこういう方々によって今日の法務省事務が、登記所事務というものが守られてきたわけです。何ごともなく守られてきたということは、皆さん方はじめ感謝をなさらなければならないと思うんです。じゃ、この方々がどれだけの賃金で働いておられますか。上限はどのぐらいで、下限はどのぐらいで働いておられて、平均賃金はどのぐらいになっていますか。
  99. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) 賃金の単価は年度によって少しずつ上がってきておるわけでございますが、本年度におきましては、つまり昭和四十八年度におきましては、予算上の単価は日額千四百六十円でございます。実際の運用におきましては、地域差、またその任用される方々の年齢その他により差異を設ける必要がございますので、百円程度の上下の幅を認めております。したがいまして多いところでは千五百六十円、少ないところでは千三百六十円、この程度の日額になっておるわけでございます。
  100. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 この方々にいろんな諸手当、国家公務員一般職の人たちがそれぞれ受けております、調整額だとか、あるいはその他通勤手当だとか、そういう手当、そんなことは何ら対策をされてないように聞いておりますが、いかがですか。
  101. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) これは正規の恒常的な業務に従事する職員とは違いますので、そのような手当は認められないということになっております。
  102. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 そうしますと、社会的保障という、そういうものはどうなんですか。
  103. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) したがいまして、たとえば公務員の共済組合にも入れないということになりますので、失業保険とか、健康保険とか、そういうものに加入していただくように指導をしておるというところでございます。
  104. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 まことにこれは今日まで長い間、この方々によって早くいえば登記所事務が守られたと言っていいんですよ、言い方をはっきり変えて言えば。そういうことになるわけです。その方が社会的な保障というものも全然考えられていないというようなことを、法を制定される法務省で、人間を守っていこう、人権を尊重していこう、そしてまた生活権も守ってあげようというふうな考え方をしていないということは私はおかしいんじゃないかと思うんです。まことにお気の毒ですよ、これは。長い間おつとめになっている人もいるんですよ。事実の面は、私いろいろな点から申し上げてもけっこうですが、時間がありませんからきょうは省略します、これは。短い方もいます。熟練者もずいぶんいるんです。若い人もお年寄りの方もおいでです。りっぱな業務をやっておられるわけです。こういう方によって守られているということを私は再認識をしていかなければいけない、その方々に対して申しわけない、こう思うわけなんです。ですから、何らかの、臨時採用にするとかあるいは昇格の道を考えてあげるとかいうような行き方をして、末端事務の、それこそ先ほどの岩動委員が言いましたね、小規模庁なんというのはもうこういう人が多いんですよ。そういうふうな面からいきましても、十分にあたたかい手当てを考えてやらなければいけない、こう思うわけです。これはこの考え方がいいか悪いかどうかということは、法務大臣から私は御答弁願いたいと思います。
  105. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これはどうも本質的に考えれば、たとえば大きな区画整理があったとか、土地改良があったとか、団地の分譲団地ができたとかいうようなときに、臨時に人手が非常に必要で頼むというのが本質であって、これが恒常化して一つ役所に何年もおるというのは本来からいえばおかしいんで、総定員法で押えられているからやむを得ずこういうことをやっておりますけれども、本来からいえば根本的に解決すべきもので、臨時にどうしても登記事務が非常に繁多になるという期間だけお願いするというのが本筋ではないかと思うんですけれども、まあお説の点につきましては、臨時賃金職員では実際ほかに手がないので今後も検討はさせますけれども、なかなかむずかしい問題ではないかというように考えます。
  106. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 確かにそれはそうなんです。先ほども申し上げましたように、登記簿台帳の一元化をするときには十年もかかっているわけです。また、そのほかに粗悪登記用紙改正、これは昭和四十年から今日まで実施しているんです。実施しているんですよ、まだこれは。ずっと続いているんです。これを、その中のメンバーを私申し上げますと、いろいろ問題点があるんです。そのほか商業登記簿ファイル化を四十一年からこれまた実施をしているんです。それから解散会社等の整理、これは四十八年から実施しておりまして、休眠会社等もこれからやろうとしているんです。  こういうふうに、いま大臣から御答弁ございましたけれども、これは臨時的なものだと言いながらかなり長期的なものをやっているんです。こう考えますと、じゃ、一カ月働いたからおまえはもういい。二カ月働いたからおまえはもういい。三カ月はもうぎりぎり一ぱいだから、切りかえだから、今度は切りかえしてからまた使うからというようなことになりますと、これはたいへんなことになると思うんです。かわいそうなんです。かわいそうなんて言ったらことばは悪いですけれども、非常にお気の毒です。ですから、いま大臣から御答弁ございましたように、何とかこういう方々を守ってあげなければならないというふうな点からひとつ御検討を願いたいということを強く要請いたしたいと思うんですが、いかがですか。
  107. 川島一郎

    政府委員川島一郎君) この賃金職員につきましては、いろいろ問題がありますことは先生御指摘のとおりでございます。先ほど大臣のお答えになりましたのは、たてまえとして、制度的な問題といたしましてはそういうふうなことになるわけでございますが、実際の実情といたしまして、賃金職員登記所の仕事を手伝っていただいているという方の中にも、正規の職員として採用してもらいたいという御希望の方もいらっしゃいます。そういう方につきましては、なるべく御希望に沿うようにという趣旨から、国家公務員の採用試験を受験していただくとか、あるいは事情によって受験できないという方につきましては、選考により、人事院の承認を得てその欠員を補充するというような方法もございます。そういうことでやってきてまいりまして、これは少し期間が長くなりますが、昭和三十五年以降現在までに、こういった賃金職員から正規の職員に採用さたれ方が一千百名以上おられるわけでございます。したがいまして、こういう方針を今後も続けてまいりたいというふうに思うわけでございます。  なお、賃金職員の中にはいろいろな方がおられまして、たとえば御婦人でございますとか、ほんの一時的に手伝ってやろうというような方もおられるわけでございますので一がいには言えないわけでございますが、私どもといたしましては、この賃金の日額をなるべくふやすように予算の要求の面におきましても努力いたしますし、また運用の面におきましてもできるだけの配慮をしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  108. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 それはいろんな事情はあります。事情がありますから言っているんですから、いい人も悪い人もあるでありましょう。しかしながら、先ほどの御答弁で、幾らですか、千四百六十円ですか、それっきりなんですよ。それで今年度は何%――二〇%ぐらい考えておられるんですか、おられるように聞いておりますけれども、いずれにしましても、いまの物価高からいって底知れない――今度また電気料金が一ぱい上がりますよ。各社全部上げるという、各地域の。もう全部高騰状態の中に入って、上昇率等も考えてみても、相当考慮しなければいけない問題点が一ぱいあるはずですよ。先ほど局長の御答弁の中に、岩動委員への御答弁の中に、機械化していくんだ、機械をどんどんやっていくというんです。機械化していくつたって、私この資料をもらいましたけれども、お粗末なもんですよ。どうしていままで予算措置をどんどんして、思い切った予算措置をしながら登記所事務を簡略にできなかったのかと、もうはがゆくてしょうがないんです。この点につきましても、私は詳しく一つ一つ事例をあげながら大臣にも質問を申し上げようと思いましたんですが、どんどん委員のメンバーおそろいになってくるので、この問題はもう一つだけ質問をしてやめます。  じゃ最後に、訴訟事件は先ほど申し上げましたように大型化になってくるわけです。団体訴訟なんかがどんどん出てくるようでございます。先ほど申し上げましたように、原告及び選定人、あるいは傍聴人が裁判当日の日に裁判所に入れないというような事例があっちこっちに起きているわけです。こういうことを大臣承知だと思いますが、いかがでございますか。
  109. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これはまあ法務省でなく裁判所の問題でございますが、裁判所としても、近来の傾向にかんがみて、庁舎の増築、改築等される場合には、法廷の大型化は考えておるようでございますが、しかし、いずれにしても、法廷というのには幾ら広げてみたって限度がありますから、その限度内で傍聴をなかなか全員はさせられないんで、やむを得ず抽せんでやっておるというようなこともある程度はいたしかたないんではないか。問題は裁判所の問題で、裁判所の営繕のほうでこの点は考えておられるだろうと、こう思いますが、したがって、法務省としては直接の所管でないもんですから、お説の点は確かに時代の趨勢としてそのとおりだなという感じを持っておるわけでございます。
  110. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 私は、きょうは司法のほうの裁判所の方を特にお呼びしなかったんです。で、国務大臣として日本の政務を担当なさっているという大臣のお立場を勘案しましてあえて質問しているわけです。ですから、その点をひとつ御了承願いたいのです。  実は、裁判所のほうのことですから、もう全然私のほうじゃないからと言われりゃこの質問はおしまいでございますけれども、御参考に私は知っていていただきたいと思うんです。というのは、これは北海道のほうで起こしております環境権の裁判の件なんでございますがね。これは第一次原告が四十七名、第二次原告が四十七名、それから選定人が百二十名、こういう人数なんでございます。そうしますと、法廷に入り切れない、抽せんになってしまった。いままでは早い者順にやっていたわけです。もう切実に迫っているから早い者順になるんです。われわれが旅行するんでも、汽車の切符がほしけりゃ前の日から並んでおるわけです。それからまたいい劇でもあれば、若い子たち、老若男女含めて列をなして入場券を買おうという、そういう心理は変わらないと思うんです。特に自分たちの生活権にかかってくるような問題になりますと、より切実だと思うんです。そういうことで抽せんをするようになってしまったというんですね。そういうことで関係者から札幌地裁のほうに公開状まで出している。二月の十五日ごろに公開状を出して、いまだに返事もなければ何にもない。そういうふうなことで、裁判所の問題とは言いながら、やはり日本の行政の面から見ていきましても、法制上の行政の面から見ていきましても、そのままで今後知らぬ顔をするわけには私はいかないだろうと思うんです。そういう点を一言伺って、私のきょうは質問を終わりたいと思います。
  111. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お説のとおり、各地区でそういう大規模な訴訟がこのごろは多い時代になってまいりましたので、大規模な事件が起こりやすいような大都市の裁判所の構造につきましては、法務省は直接関係がありませんけれども、裁判所の営繕を通して、改築等の場合に一つぐらいは大きな法廷をつくっておく、用意しておくというような方向に向かいまして、裁判所も御尽力なさるでしょうが、われわれも予算編成のときには、裁判所は三権分立で直接行政権に関係ないもんですから、法務省あと押しをしてやるのが習慣になっておりますから、われわれもできるだけ配慮をしてまいりたいと、かように思います。
  112. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 勝見司法法制調査部長さんおいでですね。いま私が申し上げた、環境権の問題で公開質問状を札幌地裁のほうに出しておられる状態等、御存じでございますか。
  113. 勝見嘉美

    政府委員(勝見嘉美君) 私ども承知しておりません。
  114. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 これも御研究願いたいと思うのです。司法法制調査部長さんとしてひとつ御検討を願いたいと思います。
  115. 勝見嘉美

    政府委員(勝見嘉美君) 民事事件でございますと、結局手続法である民事訴訟法の問題になりますれば、その所管局で検討いただくことに相なると思いますが、いま先生御指摘のいわば大型化した訴訟に対して裁判所がどうやって対処していくか、手続法の問題、それからその運用の問題、これはもう裁判所独自の問題でございますので、いろいろな問題がからみ合ってまいると思います。十分その傾向承知いたしまして、関係当局のほうに――私ども実は手続法そのものを担当しておりませんので、関係局に十分ただいまの先生御指摘の趣旨をお伝えしていきたいと思います。
  116. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 終わります。
  117. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  法務省設置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  118. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  119. 岩動道行

    岩動道行君 私は、ただいま可決されました法務省設置法の一部を改正する法律案について、自民、社会、公明、民社、共産の各党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    法務省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、登記制度の重要性にかんがみ、登記事務合理化を一層推進し、国民に対する登記行政のサービス向上を図るため、登記事務従事職員の大巾な定員増に努めるとともに、登記所の適正配置の実施にあたつては、地域住民の利便等を十分考慮し、慎重に対処すべきである。   右決議する。  この附帯決議案の趣旨は、案文及び委員会の審査の過程においてすでに明らかでありますので、説明は省略さしていただきます。  以上でございます。
  120. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいま岩動君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  121. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 全会一致と認めます。よって、岩動君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、中村法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中村法務大臣
  122. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、今後一そう努力につとめたいと思っております。
  123. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後一時二十分散会