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1974-02-19 第72回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十九日(火曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————    委員異動  二月十六日     辞任         補欠選任      柴立 芳文君     今  春聴君      古賀雷四郎君     田中 茂穂君  二月十八日     辞任         補欠選任      星野  力君     岩間 正男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺本 広作君     理 事                 岩動 道行君                 岡本  悟君                 山崎  昇君     委 員                 楠  正俊君                 長屋  茂君                 星野 重次君                 上田  哲君                 鈴木  力君                 戸叶  武君                 村田 秀三君    国務大臣        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小坂徳三郎君    政府委員        内閣総理大臣官        房会計課長    升本 達夫君        厚生大臣官房長  會根田郁夫君        厚生大臣官房審        議官       三浦 英夫君        厚生大臣官房審        議官       福田  勉君        厚生省環境衛生        局長       石丸 隆治君        厚生省医務局長  滝沢  正君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        大蔵省主計局主        計官       梅澤 節男君     —————————————   本日の会議に付した案件国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査  (昭和四十九年度総理府本予算に関する件) ○厚生省設置法の一部を改正する法律案(第七十  一回国会内閣提出衆議院送付)(継続案件)     —————————————
  2. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十六日、柴立芳文君、古賀雷四郎君が委員辞任され、その補欠として今春聴君田中茂穂君が、また、昨十八日、星野力君が委員辞任され、その補欠として岩間正男君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査議題といたします。  昭和四十九年度総理府本予算について、総務長官から説明を聴取いたします。小坂総理府総務長官
  4. 小坂徳三郎

    国務大臣小坂徳三郎君) 昭和四十九年度総理府本府の歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  昭和四十九年度総理府本府の歳出予算要求額は五千五百三十一億四千四百二十五万一千円でありまして、これを前年度歳出予算額四千四百七十二億七千三百八十七万九千円に比較いたしますと一千五十八億七千三十七万二千円の増額となっております。  以下、そのおもなるものについて、予定経費要求書の順に従って申し上げます。  広報及び世論調査に必要な経費五十九億九千八百七十万円、褒賞品製造に必要な経費四億七千八百五十三万六千円、恩給支給に必要な経費五千三百三十億九千五百三十四万七千円、統計調査に必要な経費二十五億九千九百八十九万四千円、青少年対策本部に必要な経費十四億四千九万一千円、北方対策本部に必要な経費二億五百三十四万一千円、日本学術会議に必要な経費四億五千九百二万八千円等であります。  次に、その概要を御説明いたします。  広報及び世論調査に必要な経費は、広報媒体拡充強化及び世論調査実施等に必要な経費でありまして、前年度に比較して二十五億三千二百二十万四千円の増額となっております。  褒賞品製造に必要な経費は、叙勲及び褒章の授与に必要な経費でありまして、前年度に比較して一億七千二百七十八万四千円の減額となっております。  恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基づいて、文官、旧軍人及びその遺族等に対して恩給支給し、また、国会議員互助年金法に基づいて、退職した国会議員及びその遺族に対して互助年金等支給するための経費でありまして、昭和四十九年度においては、昭和四十八年度に実施した恩給金額の平年度化及び恩給金額改定等昭和四十九年度恩給改善措置に要する経費等でありまして、前年度に比較して一千二十三億六千九百六十万五千円の増額となっております。  統計調査に必要な経費は、昭和四十九年度就業構造基本調査全国物価統計調査全国消費実態調査昭和五十年国勢調査及び事業所統計調査の準備並びに各種経常統計調査等に必要な経費でありまして、前年度に比較して一億六千九十二万二千円の増額となっております。  青少年対策本部に必要な経費は、青少年問題の研究調査少年補導のためのセンター運営費補助青少年健全育成推進事業、青年の国際交流青少年指導者養成確保及び国民健康体力増強等のための経費でありまして、前年度に比較して二億七千五十七万一千円の増額となっております。  北方対策本部に必要な経費は、同本部一般事務処理費及び北方領土問題対策協会に対する補助に必要な経費でありまして、前年度に比較して五千四百四十万七千円の増額となっております。  日本学術会議に必要な経費は、科学に関する重要事項の審議、内外の研究についての連絡調査及び国際共同事業の協力に関する業務の推進等のための経費でありまして、前年度に比較して七千百三十七万八千円の増額となっております。  以上をもちまして昭和四十九年度総理府本府の歳出予算要求額説明を終わります。
  5. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 本件に関する本日の調査はこの程度といたします。     —————————————
  6. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案は、前国会において趣旨説明を聴取し、継続審査となっておりますので、これより直ちに質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 上田哲

    上田哲君 厚生大臣小児医療センター構想具体化について御質問をしたいと思います。  齋藤大臣とは断片的にこうした問題は常々質疑をさしていただいておりますけれども、総括的にこの問題にしぼって深く御議論をいただいたことがないわけでありまして、たまたま予算措置具体化というたてまえからすると、今時点はきわめて重要な正念場にもなっております。そういう立場でひとつ掘り下げて、大臣の勇断を問いつつ、御見解を承りたいというのが趣旨であります。  そこで、この問題につきましては、私ももう数年にわたって厚生省側議論を続けております。特に塩見厚生大臣の時代に、四十八年度予算に向かっての議論の中で、かなり緊急、かつ多極的な現状としての小児病院問題を取り上げられ、その上で当面その窮状の救済、また当然なものとしてそれだけにとどまらない大きく小児医療センター構想具現化ということについて、非常に前向きなお考えを伺うことができました。また塩見大臣は、当時さっそく、これは就任早々でありましたけれども小児病院にも出向かれてこの具体的な内容も観察をされ、その上で、四十九年度予算にはこの国立小児病院小児センター化について予算化に取り組むと、こういうことも明確に約束されたのが議事録にとどめられているところでもあります。私はこのことはたいへんけっこうなことだと思うのでありまして、それが今回予算措置の中でどのように具現化するのかということを伺いたいわけです。  私自身は、この問題を十数年来取り組んでいる立場がありまして、「こどもの城」運動というふうに名づける運動の中で努力しております。これはまた、この前の斎藤厚生大臣も非常に賛同の意を表されておりまして、そういう見解については厚生省側と私どもの間に意見の対立はないというふうに理解をしているわけでありまして、あとはそれをどれだけ具現化するかということしかないのだろうと思っております。それで、現齋藤厚生大臣は、この問題についてもたいへん前向きな意見をお持ちのように承っておりますが、特に昨年の七月の衆議院委員会におきましても、他の委員質問に答える形で非常に前向きな構想を述べられているように伺っております。惑星的に小児医療施設を配置するという表現が使われているようでありますが、はなはだこの意図の雄大、かつ緻密な配慮といいましょうか、このことがそのとおり実現されるならばけっこうだと思うわけです。ひとつそういうおことばもあるわけでありますから、具体的にどのような展望をお持ちであるのかということについて、まず大まかに承っておきたいと思います。
  8. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 小児医療センターをつくりたいということは私ども多年の願望でございます。すでに御承知のように、最近における医学、医術の進歩母子保健福祉行政というふうなことの進捗をはかっていかなければならぬことは当然でございまして、特に小児につきましては、最近非常なこの難治性疾患というものが非常に世上にいわれるようになってまいりました。しかもまた考えてみますというと、小児科専門のお医者さんというものの数も非常に少ない、そういうふうなこともありまして、この日進月歩の医療技術進歩に対応して、いまのような状態でいいであろうかということを私どもは多年考えておったわけでございます。  そこで、上田委員その他の方々の非常な強い御支援もいただきまして、今日までこれを何とか大きなものに打ち立てていかなければならぬということで考えておるわけでございますが、それにはやはりこの臨床研究、それからまた専門の職員の養成、これはやっぱり絶対必要だと考えております。特に小児専門病院ということになりますと、難治性疾患というものを中心としなけりゃならぬ。これはもう当然のことでございまして、その難治性疾患中心とした専門的な、またしかも非常に高度な臨床、これはまあ一番大事な問題でありましょう。その臨床と同時に、どうしてこういう病気が発生するであろうか、さらにまたその治療方法の開発されてないものもたくさんあるわけでございますので、臨床とあわせて研究と、さらにまた先ほどもちょっと申し上げましたが、全国小児科のお医者さんというのはたった三千人きりいないと、そういういわれておるような状況でもございますので、こういう小児医療専門に従事する方々養成訓練、こういうふうな三つの問題。臨床さらに研究養成、この三つを包括的に管理するようなものでなければならぬのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  私どもがこういうふうな考え方を持ちましたのは、私が申し上げるまでもなく、すでに御承知のように戦後日本結核病という国民病を撲滅することに成功し、さらにまた乳児の死亡率というものを低下させることにも成功いたしました。しかしながら、ここに非常に大きな問題として出てきましたのはガン問題循環器の問題、あるいは脳卒中の問題と、そういうふうなものとあわせてこの小児難治性疾患、これはやっぱり四つ大きな部門だと思うのです。で、ガンなどにつきましてもこういうふうな構想で進み、さらにまた循環器疾患につきましても、御承知のような大阪にそういうようなセンターをつくろうではないかというふうなことも計画的にいま進められておりますので、私どもとしては、そういうものと相並んで小児医療センターについて総合的な国立のものを一日も早くつくらなければならぬと、こういう考え方で進めておるわけでございます。ただ、まあこういうふうな経済の状況でございますので、多少テンポが、私は率直に申しますとテンポは多少おくれておるということを、私は率直にまああらかじめ申し上げておきたいと思います。しかしながら、四十八年度において、いろんな病棟の整備とかそういったものには相当な金をつぎ込み、四十九年度におきましても債務負担行為において相当な金をつぎ込んでおりますので、テンポは多少おくれておると思いますけれども、まあできるだけ早く完成さしたい、こういう構想で努力しておることだけはどうか御認識をいただきたいと思いますし、また今後とも国会皆さん方の御支援もいただきながら、一日も早くこの小児医療センターというものを専門的な高度のものとして完成さしたい。こういう熱望に燃えておるような次第でございます。
  9. 上田哲

    上田哲君 心がまえのところはわかりました。それはこれまでの各大臣厚生大臣とあるいは厚生省当局と私は議論してきたことと同じ軌跡の上に乗っておりますし、その方向で御努力いただくということについては私はけっこうだと思います。  で、問題の一つは、もうすでに初めから予防線を張られたわけですけれどもテンポがおくれておるということでありまして、このこともひとつ後ほどじっくり伺いたいわけでありますが、そういうことを進めていくことの前に、いま概略においてはそれでけっこうなんですけれども、まあこれは簡単に言われたことですから、ことばじりの問題ではありませんけれども臨床予防養成という三つ側面というだけではこれは足りないわけでありますから、もう少し縦割りでない横割りといいましょうか、まあどっちでもいいですけれども、その言い方は。つまり、単に難治疾患に対する治療体制をどうすると、あるいはリハビリテーションをどうするという、その療養並びにリハビリテーションという側面でなく、予防の面をどのように考えるか。治療とそれからリハビリテーションとそれから予防と、特にここなわけですけれども、ここの面を一緒にするような施設。それは病院でもあり、それから研究施設でもあり、養成施設にもなるということに——養成ということはこれはリハビリテーションも入るわけでしょうけれども、そういう三位一体論というものにならなけりゃならなくなるということだと。これは御見解がずれているとは思っておりませんから、ふえんしただけのことでありますけれども。  問題は、そういうことの上に、日本医療制度と言ってしまってはことばが正確にならないけれども制度はどういうふうになっているかというと、これが一元的に、一義的に、一般的な国立病院の中に実は閉じ込められているという問題が行政上の問題だということになるはずであります。われわれが従来指摘してまいりましたのは、九十五も国立病院がある、九十五の国立病院のうち、この二つを除いてはみんな昔の軍病院のまあ引き継ぎ施設であって、今日はその昔の軍病院そのものなごりをとどめるということもないほど拡充強化されていることは間違いありませんけれども、たとえば所在地であるとか、その他の伝統であるとかということのなごりは十分にとどめている軍病院海軍病院陸軍病院の実は旧施設活用というのが国立病院実態である。その国立病院の上に——そこまでに文句があるわけじゃありませんけれども、その国立病院というこれまでの軍病院継続の上にたまたま小児病院が乗っている。旧施設のそういう意味の活用というだけでは、これは前向きの小児医療センター化ということにはならない。財政的にもですね、たいへんむずかしい一般会計の中のやりくりになっているわけだし、そこをひとつ前向きにどのように取り組んでいくかというところに、基本的な構想と、それからその構想を追いかけていく、実現をしていく行政の仕事の分野があるわけです。そこがポイントになっていると思うんですね。テンポがおくれているということがありましたが、そこはちょっとはずしておきますけれども、どういうふうな構想実現しようと考えておられたのかというところですね。私どもはそれを、完全ながんセンターがある、できあがっているわけですから、がんセンターと並び称せられるようなシステム内容を持った全国統一センターとしての小児医療センターがつくられなければならない。少なくともがんセンターと同じレベルのものがつくられなければならない、簡単に言えば。こういうことを主張してきたわけですけれども、そのことを現実にお考えになっておられるか。
  10. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 御質問の中にありました、まず最初の予防の問題ですが、これはもう当然私ども研究部門の中で十分考えるというたてまえをとっておるわけでございます。そこで、このセンターはいま申し上げましたように予防治療、それから治療方法研究開発養成、こういうふうな仕組みを一元的に総合的にやっていこうというものでございます。したがいまして、この一元的、総合的にやっていくという考え方は、従来のような国立病院体系の中でものを律しようという考えは全然ございません。これはもう全然ありません。この構想というものはいまりっぱにでき上がっておりますのは——まありっぱにと言っていいのかどうかは別ですが、がんセンターですね、がんセンター、一応これはがんセンターとしてできておるわけです。で、このがんセンターのような構想を私どもは進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがって、こういう構想考えておりますのは、まあがんセンターのほうは一応全国的にもそれぞれ専門診療体系というものはでき上がってまいっておりますから、それに見合って小児医療センター全国的なそういう、まあ何と申しますか、診療上の体系的な運営ができる、その中の上に、頂点にすわらせる、こういう考え方でございまして、従来のような国立病院体系の中でものを運んでいこうというような考えはございません。私どもはこういう考え方小児医療センターをつくり、さらにまた現在考えておりまする循環器医療センター、これもやはりそういう構想に基づいておるわけでございまして、独立のりっぱな小児医療についての総合的な治療であり、予防であり、研究であり、養成訓練である、こういうふうな仕組みに築き上げていきたい、これが私の構想でございます。
  11. 上田哲

    上田哲君 じゃ、ちょっと整理しておきます。  つまり、考え方としては、子供病気専門的な治療施設、それから患者リハビリテーション施設、それから予防中心とした研究施設——まあ予防中心だけではありませんけれども、この三つシステムが総合的に構築されるような施設をつくると、これが一つ。それからそれを今日九十をこえる国立病院一つとして考えるんではなくて、具体的に言うなら、がんセンターと並ぶレベルまで引き上げるようなことを処置していくと、これが構想基本であるというふうに考えていいわけですね。
  12. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) そのとおりでございまして、予防を含めての研究、それから治療、さらにリハビリ、さらに養成訓練四つの使命を持った総合的なものである。その位置づけがんセンターと同じような位置づけにしていきたい、こういう考え方でございます。
  13. 上田哲

    上田哲君 がんセンターと同じ位置づけというのは、財政的に全く格段の違いがあるわけです。  それからもう一つは、がんセンターの場合ですと、全国ガン治療機関研究機関というもののメッカといいましょうか、中心的な機能を果たしているということがあるわけです。小児センターというのがそういう構想と同じレベルのものであるという上は、全く財政的にも機能的にもそういうことを目ざしているんだということでよろしいわけですね。
  14. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 財政的にも機能的にもそうして進めてまいりたい、こういう構想でございます。
  15. 上田哲

    上田哲君 そこまでは大臣、非常にけっこうですね。これはもう私がその話を承っていると、ぞくぞくうれしくなってきますよ。これはもう十年来叫んできたことが、行政の面からそれだけすきっと言われるということは、私はもう非常にけっこうなことで、ぜひひとつやってもらいたい。それができ上がらないうちは、厚生大臣はやめてもらいたくないということですよ。ただ、これまでの大臣も……(「留任決議案だ」と呼ぶ者あり)そうそう、留任決議案、いつでも出したい。(笑声)ところが、いままでの大臣留任決議案を出さなかったのは、みんなそうおっしゃるんだけれども、実際には実現をしない。実現をしないで、そのままになってしまったというところに問題があるわけなんです。これはまあ笑いごとにはなりませんので、ひとつ数少ない留任大臣の中で引き続き留任をされているという立場からしても、ぜひこれを、いまおっしゃったような夢——これはもう夢というにはあまりに現実性を帯び過ぎている悲惨さがうしろについているわけですけれども、これをぜひ実現をしてもらいたいと思うので具体的に承るんですけれども、そうなりますと、その具体化のためにどれだけの予算が計上されるべきか。  まず、世田谷小児病院具体化するしかないのですから、その世田谷小児病院現状というのは、そんな前向きにりっぱな小児センターがんセンターと並べられるように拡充強化されていくなどというよりも、私は繰り返しませんけれども、ここで私は大きく問題にしなければならなかったのは、たとえばベッドが四百ベッドあるのに八割方しか使えない、これは看護婦の定員が足りないからだ、そこまでは何とかなるとしても、かりに。そもそも滅菌装置ですね、手術のためにガーゼを滅菌しなければいけない。一つ五百万円で買えるやつがもう七年間使いっぱなしになってフル回転しているから、みんなだめになってしまって、たしか三つありましたね、滝沢さん、三つあったやつが全部だめになってしまって、夏は手術ができぬと。あるいは、あそこは太子堂でありますから、世田谷太子堂というのは光化学スモッグメッカでありまして、壁一つ隣には太子堂中学があって、ここは話題になったためにエアコンディショニングがすぐできたけれども、病人の子供をかかえている小児病院は壁一つ隔てたところで全然冷暖房がない。したがって血液検査は夏はできない。しようがないから何とかしようというので扇風機を入れたら、電源が吹っ飛んでしまったというような事態が連続して起きているわけです。あそこで懸命にがんばっている先生方は、ほかの大学へ行ったら当然教授になるような人ばかりだけれども、ひたすら小児センター実現を目ざして今日まで歯を食いしばっておられたのだが、いつまでたっても事態は逆を向くというような実態があって、当時滝沢局長、行ってもらって、私も一緒にお医者さん方と窮状を話し合って、まあそこで蓄電室ができたり、エアコンディショニングもできましたが、やっと一年たちまして。まあこれはおくればせなことは問題だと思うのだけれども、とにかくようやく光が少しは当たっているのだが、現状はどうだといったら、あそこで一日八百人の患者——難病奇病ばかりですからね、鼻かぜは見ないことになっている。全国紹介状つき子供の八百人がとても処理できないという現状があるわけですから、いまの大臣構想は私は非常にけっこうだし、ぜひこれはやってもらいたいと思うのだけれども現状はあまりにもそれと違うわけです、天国と地獄ぐらい。地獄の様相があります、あそこには。そういう実態を御存じだと思うけれども、ひとつそういう実態がある以上は、きれいごとでは済みませんので、このことの上にそのセンターをつくろうというのであれば、一体どれぐらいの予算が必要であるのかということ、私はもうどんなに少なく見積もっても、当面ですよ、どんなに少なく見積もっても三十億という試算が出ていると思うのですが、どれぐらいの予算というものが必要なのかということをひとつお話をいただきたい。
  16. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) 先ほど大臣からお答えいたしましたように、四十七年の八月、塩見大臣のときに上田哲委員からこの小児医療センター実態につきましていろいろ御質疑がございました。われわれ四十八年度の予算編成にあたりまして約四億三千万の予算を組みましたが、その後センター構悪を実現するためには年次的な計画を立てる必要がございまして、四十八年度の四億三千万を繰り越しまして、四十九年度契約ベースとして五億の債務負担行為がつけられましたので、約九億三千万で四十九年度に基本的な建物の着工に踏み切りたいということでございまして、先ほど来大臣からお答えしておりますように、機能的にも十分小児医療センターとしての機能を果たせるようなものをつくりたいというふうに考えております。  予算の計画総額でございますが、上田委員御指摘のように、三十億前後というのが、いわゆるこのような物価変動の激しくないときに計画いたしました金額としてはややそれに近い二十八億をわれわれ想定いたしましたけれども、この点につきましてはすでに九億認められておりますので、物価変動その他の要素は当然財政当局から御考慮願いまして、したがいまして、金額的にいまどの程度のものになるかということについては予測的な数字としては申し上げることは困難でございますけれども、一応上田委員御指摘の線とほぼ同じような当初計画で進めておるわけでございます。
  17. 上田哲

    上田哲君 委員長、私要求していなかったのですけれども、間に合えば、だれでもいいのですが、大蔵省のこの問題の担当官、間に合えば呼んでいただきたい。よろしくお願いします。  金のことは厚生省が幾ら詰めていてもやはり総合的にやらなければだめでしょうから、そのことをひとつ向こう側にもぶつけるようにしますが、二十八億と、この数字はもうお認めになったんでけっこうです。二十八億でも、とてもじゃないけれども、こんなに削っていいのか、たとえば十一階の七階でしょう。建物の高さですよ、とてもこれはもうこんなにけちらぬでいいじゃないかということになると思うんだが、最低見積もって、いままでずいぶん青写真があったわけですけれども、まあ三十億ということになる。私は三十億じゃ足りないと思うけれども、夢みたいなことを言ったって現実には子供が毎日困りますからね。だから、とにかく早くやってもらわなきゃならない、子供のために。とりあえず物価変動前の、この激しいインフレ前の数値が三十億だと——二十八億ですけれども、まあ三十億ということで見ておきましょうよ。それだけはとにかく厚生省、どんなことがあってもやってもらわないと子供が困っちゃうんだ、病院がなくなっちまう、倒れてしまうというところはひとつ御認識いただいていると思いますから、大臣、一言だけ認識を言ってください。
  18. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは私は非常に力を入れるといいますか、熱心に考えなきゃならぬ問題だと考えているんです、実は。日本の医療供給体制の中で最初から盛んにたびたび申し上げているように、ガンと循環器と小児医療と脳卒中、この四つの疾病について思い切った医療体制ができれば、確かに日本の保健衛生の状況というものはすっかり変わってくるんじゃないか、こういう基本的な認識の上に立ってこの問題を取り組みたいと考えております。したがって、そのでき上がるときは私は大臣はやっておらぬでしょうけれども、もうりっぱな医療センターができるために、今後とも大臣である限り大いに努力したい、こういう決意を持っておるわけでございます。
  19. 上田哲

    上田哲君 ガンと循環器と脳卒中と、これと並べられるのは——そっちがどうでもいいということは全然ありませんけれども、これはちょっと違うんですよ、大臣。これは小児医療とは意味が違う。まあお年寄りでもありますから、そっちが気になるでしょうけれども、それも大いにやっていただくとして、これはちょっと違った次元だという認識はよろしいですね。
  20. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) はい。
  21. 上田哲

    上田哲君 その上で、むき出しでお気持ちをあらわそうとされたんだから、そこは私も前向きに受け取るんだけれども、やっぱり最低限の予算措置なわけですよ。ところが、去年つくっていただいた予算が、いまおっしゃるように四億三千三百万、これが繰り越しになっちゃいましたね。これは何で繰り越しになったんですか。
  22. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) たいへん率直に申し上げますが、四十八年度の予算を編成する場合、施設からの御要望が、手術室が非常に手狭になっておる、そこで手術中材関係——中央材料室の関係を外に別建てに建ててくれ、そのあいたところに研究、検査などの充実をはかってくれ、こういう案が三月、四月のころ、四十七年の、六月予算編成の素案ができるときに施設側の希望がそうなっておった。それをもとにして四億三千万を編成の数字に入れたわけです。まあその八月、上田委員塩見大臣との質疑応答がございました。われわれもかねがねこの医療センター構想というものは私自身もぜひ実現したいという気持ちもございましたので、この問題をたな上げにしまして、現在も手術室その他の狭隘の点は暫時あれしていただいて、この予算と四十九年度の予算とを合わせて四十九年度にセンター構想を打ち出して、そして五億の債務負担行為と合わせて九億を四十九年度に着工する、こういうことになりましたために、四億三千万を四十九年度に繰り越して合わせて契約する、基本的な設計の上に契約する、こういう形にしたわけでございます。
  23. 上田哲

    上田哲君 まあ、それでいいんですよ。いいんですが、ほんとうは違うわけですな。書類の上はそうなるのです。ところが実際には、これは四億三千万では、そこでその規模のペースで作業が始まっちゃうと、これはたいへんな、将来計画と、そごが起きる、そういうことでしょう。
  24. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) 私の説明した考え方は全くそうでございまして、そのような中途はんぱなものを手をつけてしまうと、センター構想そのものに中断した形、将来遠くその実現が延びてしまうということになりますので、ただいま御説明申し上げたような処置にいたしたわけでございます。
  25. 上田哲

    上田哲君 そうなんですよ。そこが問題なんですね。構想はいいんです。構想はいいんだけれども、役所の段階に入ると、大蔵省が悪いんだろうと私は思うけれども、しかし、とにかく話がすうっと狭まって、三十億でも十分じゃないんだけれども、三十億ないことにはまるっきり次元の違ったものができてしまう。こういうものが、まあたとえばよくないけれども、セントラルヒーティングとまきをたくのとは違うんで、そういうことが、一定の保温ができなければまきでも買っておいたら、それでも幾らかないよりはましだろうというような話になっていっては、それは次元が違うわけで、これは例としてはよくないけれども。そういう形になってしまうための金でしかなかったのが四億三千万円だ。現場からも非常に反対があったはずですね。そういう経過はいいんだけれども、経過は別にしても、そういうびほう策でこの問題が手をつけられる。継ぎ足し継ぎ足しでもって問題の解決がかえっておくれるということは、私は政策的、行政的には反省すべきだと思うのです。これは大臣、やっぱりこの反省点はあると思うのですがね、いかがでしょうか。
  26. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) やはりこういうふうな思い切った構想実現するためには、継ぎはぎ継ぎはぎではもうできない、これはおっしゃるとおりだと思います。私もやはり過去のそういうまあ予算のいろいろな組み方、こういう建物のつくり方についてのいろいろなやり方があるんでしょうが、それはやっぱり改めて、もう白紙でものを書くようなつもりで基本的な構想というものを実現するように努力していくべきだと、かように考えております。
  27. 上田哲

    上田哲君 そうしますとね、じゃ、どこを基準にするかということが非常に問題になってきます。私は長い経過の議論があった末なんだけれども、ここに厚生省がおつくりになった国立小児医療センター設置計画が、まあ案ですな、これは不十分ですよ。非常に不十分だけれども、ここにある骨子はとにかく守ると。これは私のほうも長いことこの問題に執着してきた立場からいいますと、これじゃやっぱりびほう策の範囲を出ていないという不満はたくさんあるのです。あげれば切りがない。しかし、いまは総花的な厚生施策の中で、大臣の認識では、脳卒中やなんかと一緒に並んだというところは不満ではあるけれども、とにかく小児病院をどうしてもやらなきゃいかぬのだという決意が述べられたところをくみ取るなら、ようやくこういうものができた。この前に一ぱいあったのですよ、大臣。これは大筋なり何なり一ぱいあったのですけれども、ようやく厚生省が自分の名前を書いてこういうものを出したというのは、私は評価したいと思う。したがって、この計画案は絶対にやるんだと、こういうことをしっかりひとつ基準としてきめていただくなら、これはもう百尺竿頭大きく一歩を進めることになるということになるし、私どもはそのことを政府全体といいますか、各省、財政当局にも大きく要求していくことができる正当性を持つんじゃないかというふうに思うのですね。ぜひともこれだけはやるんだと、この線をやるんだということを政策の基準線としてひとつ御確認をいただきたいと思う。
  28. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) いま上田委員のお述べになりましたような計画を貫くために努力をいたしたいと考えます。
  29. 上田哲

    上田哲君 けっこうです。きっとまたいろいろな要求が出てくると思いますけれども、とにかくここで厚生省側が引き取っておつくりになったことは私は画期的だと思う。この画期的なところをぜひひとつ、不十分であってもこれが現実的な前進であるということで、びほう策でない、すれすれであってもやっていただきたいということを申し上げて——。そうしますと、さっきの四億円というのは全然だめだ。これは繰り延べ以外に道はなかった。あんなものでやり出した日には似ても似つかぬものができてしまう。絶対にやってはならぬことをやったというのは、これは許せぬと私は思うのですよ。  そこで、終わったことはしかたがないから、繰り延べになっているのだけれども、四十九年度がどうか。塩見厚生大臣の約束では、四十九年度には三十億は入るというくらいのニュアンスで私は受けとめていたわけです。それでちっとも早過ぎることはないわけでして、今日までの長い長い小児病院設立以来の経過からすれば、当然な行政の約束の一つだったはずですよ。ところが、まああとあとになってきて、子供に力がないものですからおくれてきたということはあるのですけれども、今回の四十九年度は、さっきの御説明にもちらっと出たけれども、五億ですな。この五億円というのはどこに財源があり、どういうふうな確定の手続になり、そしてそれが四億三千万円と五億円と合わせると、どういう形でどういうふうになっているのか、そこのところをひとつ御説明いただきたい。
  30. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) 先ほどちょっと触れましたように、五億は債務負担行為でございますので、四十九年度四億三千万と合わせました九億三千万の工事契約ができるわけでございます。五億は支払いとしては国の債務として五十年において払うと。四億三千万はまあキャッシュで要するに執行できる、こういうことでございますが、工事契約としては九億で契約ができるということでございますので、全体の構想のうち、おそらく具体的には鉄骨の躯体が打たれていくというようなことと、物価等の関係でどの程度の工事の進捗になりますか、その点のところは契約あるいは入札等の具体的な場面においてきめられると思います。われわれとしては、規模その他についてばできるだけ計画を維持するということでいきたいと思います。したがって、先ほどお答えしましたように、財政的な将来へのはね返りの金額については予測できません。したがいまして、目的を達成するような財政の御配慮を願いながらこのセンター実現していきたい、こういうふうに考えております。
  31. 上田哲

    上田哲君 ちょっと技術論的になりますけれども、この五億円というのはどこから出てきて、どういう査定で、いつ実現するのかと、そのちょっと財政技術論的なところを御説明いただきたい。
  32. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) この問題は、まあ端的に申しますと、予算と同じなんでございます。ただキャッシュとしては契約はしてよろしい……。
  33. 上田哲

    上田哲君 財投なわけですか。
  34. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) 財投でございます。  したがって、実際はもう契約ができるという資金でございまして、ただ、それがキャッシュになるのは五十年の約束をさきに政府がしてあるという仕組みになっておるわけでございます。
  35. 上田哲

    上田哲君 さっき大臣が言われた、テンポがおくれていると言われましたね。そのテンポがおくれているという意味は、どういう意味ですか。
  36. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) テンポがおくれておると申しますのは、できますことならば、四十九年度においても五億などという金は債務負担行為でなくて予算にはっきり組むということのほうが私は適当だと思うんです。ところが、御承知のような経済状況でございまして、はたして五億で予定どおりうまくいくかというふうな問題もありましょう。それから全体計画として三十億と、二十八億ということですが、これが名目的にでき上がるときに何十億になるかそれはわかりませんが、その三十億構想というものがあるとするならば、去年の分とことしの分の債務負担行為、合わせて九億ということになれば、四十九年度九億。そうすると、五十年度、五十一年度くらいまでかかるんじゃないかというふうなおそれがあるわけですね。それは来年度中に完成するかもしれません。するかもしれませんが、いまのような経済状況のもとで順調にうまく進むだろうかなという懸念があるために多少テンポがおくれるような感じがしていると、こういうことを私申し上げているわけでございます。
  37. 上田哲

    上田哲君 テンポのおくれというのは、そういうことですね。これじゃだめなんですよ。去年繰り越したやつを合わせて四十九年度の計算をしちゃこれは虫がよ過ぎるわけで、間違っていた金は使えないからということで繰り越したわけですから。五億円もやっぱりはっきり予算に計上すべきものであって、こういう形というのは苦肉の策ではありましょうけれども、やっぱり大事な大政策の眼目であるという打ち出し方に比べたらいかにも扱いがこそくであるということを、私はやはり非常に不安を持つわけです。  で、さっき御承知いただいて、ぜひともこれを政策の基準線にするんだと、実現するんだと言われた内容は、全部あげたらたいへんですけれども、「専門かつ高度な臨床と、それに関連する臨床並びに基礎的研究を行なうほか、医師等関係医療技術者の教育研修を行ない、わが国小児医療の中枢となるべき医療機関とする。」ということが明示されていて、たとえば外来部門をうんと広げる。これはあたりまえのことですけれども、前から私どもが、とっぴなことじゃなくて、大事だと言っていたヘリポートなんというものをつくらなきゃいかぬ。何か小児センターというと、水のきれいで空気のきれいな山奥につくればいいみたいな誤解があるわけですけれども、救急性ということがどうしてもいまの小児医療の中では重要な部分になってくるということになると、小児専門の救急医師を派遣し、あるいは救急処置ができるようなヘリポートというものもつくらなければこれはだめなんだというようなことも入っておるわけですな。そういう、あるいは未熟児、新生児等の施設にしてもいろいろ入っているわけですけれども、これで大臣、全部かかってこの計画書では五十二年度なんですよ。五十二年度完成なんですよ。この辺は、大臣、おれはそれまで大臣をしておらぬがということになったのかもしれませんけれども、これは困る。このことのためだけだって、一生懸命やってくれる人なら私はそこにいてもらう必要があると思っているということは、さっきから何べんも申し上げているところだが、大臣の任期とこう首っ引きで考えて五十二年じゃ責任が持てなかろうと思うので、私はこの議論がむなしくなることが不安でならないわけですよ。ペースのおくれということが、そういうことであっては困るのですね。だから、私は財政的にこの部分はよくわからぬわけですけれども、ちゃんと十七兆三千七百億円の全予算一般会計予算の中に入っているのじゃないなら、そうして便宜な方法であるにしてもこういう形の財政措置がとれるなら、これをひとつ大いにこの基準線を進めて、この金額をこの際大きくする、あるいは何らかの特別な財政的処置をとってみるというようなことを進めることができぬものでしょうか。
  38. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 実は、この小児医療センターについては、去年とことしと合わして九億ですね。そうすれば、大体来年度もどのくらいになりますか、これはいまから予測はできません。そこで一応事務当局に言わすと五十二年完成と、こう言っているのです、実は。五十二年完成。私は五十二年完成じゃおそいと言っているのです、実は。五十一年に、五十一年度中に小児医療センターの総裁を任命する、そこまでいくべきではないかということを実は私は役所の内部で言うているのです。経済状況が、こういう状況がいつまでこれは続くか、私もこういう状況というものは一日も早く決着をつけなければならぬと、こういうわけで政府をあげて努力をしているわけでございますので、将来のことはわからぬと言いましても、五十二年度ではおそいと、五十一年度中には総合医療センターの総裁は任命できて動いていける、そこまで持っていかなければどうもちょっとまずいのじゃないかということを私は実は省内で議論しているのです。私は今後とも、そういう意味において五十二年度なんて——五十二年度なら、四十九年度の約十億でございましょう、それから五十年度十億でしょう、五十一年度にも十億と、こういうわけですね。そのころになれば金額は変わっていくでしょうけれども、どうも五十二年度完成ではちょっと私はおそい、五十一年度に完成する、こういう努力目標を置いて私はやっていきたい、こういうふうに考えております。
  39. 上田哲

    上田哲君 いいじゃないですか、これは。すぐやれというのは、ぼくらの立場としては言いたいけれども、しかし五十二年度、これはさっき私も、文句はあるけれども、とにかくこれを基準政策にしようじゃないかという話を共通の土俵にしているわけですから、それでも五十二年度ではおそいのだ、五十一年度というところが——まあ四十九年度ですから一刻もなおざりにすべきではないということはあるけれども大臣、ひとつ五十一年度にしましょうよ。これは段階からいって、いまの数字をおあげになったが、十億、十億、十億で、物価変動から上がる分は幾らあるかという話は別にしても、それはそれでは上げればいいみたいなことですから、基本的なレベルで言えば、その十億、十億、十億で、五十二年度というのは間延びがしているわけですな。だからいまの、いま言った前向きの御意見はけっこうだと思います。ぜひこの基準計画の中でも五十二年ではなくて五十一年度、これはひとつ最終年度にしようというその政治決断を、ぜひひとつ大臣がしていただければと思う。五十一年度中には小児センター総裁を任命するなんというのは、実にかっこうのいい話ですよ。これは子供が喜ぶ話だ。文句を言う人は日本じゅうだれもいないはずなんだから、これはぜひひとつ、おっしゃるように五十一年度中に総裁を任命できる、総裁なんというのはいい時期ですな。そういうことができるように五十一年度に決断するということを、ここでお約束いただければたいへん福音だと思います。
  40. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 次年度、その次の年の予算とも約束するわけにいきませんので、五十一年度中に必ずというお約束はできませんが、そういう目途のもとに私は努力いたしたいという決意を持っているということで御了承を願っておきたいと思います。
  41. 上田哲

    上田哲君 まあ、これは事務的にはそれ以上言えないことですから、非常に強い決意を持ってこの計画年度を繰り上げるという、そのようないまの御発言は、私は最大限に意味のあるものとして承っておきたいし、このことはおそらくこの問題に携わっている全国の献身的な小児科のお医者さん方を鼓舞激励することになるだろうと私は思いますよ。  ついでに伺っておきたいのだけれども、やっぱりそれにしても、大臣が、ペースがおくれていると最初に予防線を張らなきゃならないほどおくれているということは、五億じゃ足らないと言うのですけれども、五億ずついったんじゃとてもこれは五十二年度までかかっちゃうけれども、前の年と合わせるから十億ということになるだけの話でありますが、これをやっぱり五億をかさ上げする、何らかの方法でかさ上げするということはできないのですか。これはやっぱり今日の総需要抑制の中のあおりを食った一つであるのですか。
  42. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 御承知のような経済状況でございますから、ことしの予算としてはこの程度でごしんぼういただいて、そしてまた景気が変わってまいりますれば、私どもはもっともっと予算をふやすように努力したい、こう考えております。
  43. 上田哲

    上田哲君 やっぱり総需要抑制の結果でありましょうか。そうでなければもっと金額的にも、あるいは費目的にも希望的な線が出るはずであったでありましょうか。もともとこうだったということでは私は納得できない。
  44. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 総需要抑制と申しましても、医療機関だけは特別な配慮をするということは、もう財政当局と打ち合わせができているわけであって、ただ問題は御承知のような経済状況でございましょう。はたして五億でどの程度やれるかといったような問題もこれはありますから、もうちょっと様子を見るというふうな考え方も背景にはあったわけでございます。
  45. 上田哲

    上田哲君 そうすると、五億は伸縮性があって、プラスアルファということもあり得るわけですか。
  46. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 本年度はこれでごしんぼういただきたいと先ほど申し上げておるわけでございまして、また五十年度になりますが、五十年度になればもっと多く予算を取るように努力したいと、こう申し上げておるわけです。
  47. 上田哲

    上田哲君 ついでに、二十八億というのは、このような狂乱物価になる前です。その数値からしますと、五億を出すにしても一定の財政効果としての試算がなかったはずはないわけですが、そういう試算からしますと、二十八億というのは、この基準政策を遂行するためには一体どれくらいにならなければならぬでしょうか。
  48. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) 先ほど大臣からお答えしましたように、われわれのベースとしても、二十八億のうち四十九年度を五億というのは、ほぼわれわれのベースと同じでございまして、五十年度に病院部門を完成したい、こういうことで計画としては五十年度にかなりの要求をしたい、こういうように考えておりまして、いま御議論の五十一年、組織としても発足できるようにということでございますれば、一そうこの五十年度の予算の処理ということが重要になってまいるわけでございます。決して五億という債務負担行為が五十年度においてもほぼその範囲でとどまるのだということではございません。われわれの、現実、大阪の循環器センター等も、当初の予算額と二年目以降の予算額では、明らかに二年目以降が増額されて完成のめどを立てているというのが実態でございますので、小児医療センターの場合にも、五十年度の予算においてかなり進捗をさせるようにしたい、こういうふうに考えております。
  49. 上田哲

    上田哲君 ひとつその方向で、四十九年度は一応これをベースにして、さらに前向きにスピードアップしながら進むという強い御決意が表明されたわけですから、これはぜひがんばっていただきたいと思います。  大蔵省にもまた伺いますが、それで少し具体的に入っていきますけれども、医療センターということばは、先ほど来いろいろ使われるんですけれども、医療センターという言い方の中にも、大ざっぱにいって二とおりあるわけでありまして、がんセンター、これは私が先ほど来そのいいほうの、望ましいほうのパターンとして例示しているわけですが。それと一つ、たとえば国立東京第一病院の成人病センターというようなパターンがあります。同じセンターといってもこういう二つの違いというのは、やはり十分にかまえていかなければならないと思うのです。この違いをどういうふうに認識されておられますか。
  50. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) この問題は、確かに先生御指摘のように、現実の東京の医療センターの組織というものと、がんセンターとは違うわけでございますが、実はわれわれ医学的にも、ガンであるとか小児医療であるとか、先ほど大臣が申し上げました循環器であるとか、疾病をとらえたわが国全体の医療組織と申しますか、そういう網を張っていく。ガンの場合には東京にセンターがあって、それからブロックのセンター病院を国ないし県立でやる。それから各都道府県ごとにガン治療ができたり、あるいは早期発見ができるような組織を計画的につくっていく。ちょうど循環器も国立の循環器センターを大阪に設けまして、各都道府県にもそのような動きを今後期待するわけでございますし、一部国立のブロックによっては国立施設に循環器センター的機能を持たしていきたい。そういうふうに疾患別の機能として全国の組織でいく場合には、やはりがんセンター方式のセンター構想が最も妥当であるというふうに考えております。ただ東一の医療センターの場合は、名称が医療センターでございまして、一般的な意味の医療の中心になり、機能的にはかなり同様のものでございますけれども、まあどちらかというと、この医療センター的なものを各県も持つというふうなものではない感じがします。どちらかというと、国立病院の医療センターというような組織的な感じがするわけでございます。そういう面からは直ちに、小児医療センターについてはやはりもうすでに神奈川、神戸その他にもございます。国立病院でも小児医療センター的機能を強化していく病院がございます。やはり組織として全国にその医療機能の組織ができる、その中に中心になる研究費の配分その他のこともがんセンターと同様に、中心になってやっていくということであれば、われわれとしてはがんセンター方式のセンター小児の場合は望ましい、こういろふうな考え方に立つわけでございます。
  51. 上田哲

    上田哲君 そこが非常に重要なことです。何かセンターセンターというのがはやるものですから、同じセンターというのでも東一方式のような形になっては困るわけです。いま滝沢さんの言われる全国組織とする場合には、がんセンターのような形がいいのだと言われるもそのとおりですが、もう一つ内容の問題があるわけですね。つまりがんセンターのように、病院研究所と運用部門というのがそれぞれ三位一体にして構成されている。これが大事なわけです。東一の場合もそうですし、この成人病センターなんかは、いわば研究所が病院の付属機関になっている。名古屋の血液センターなんかもそうです。こういう形ではセンター化ということばは同じでも中身は違うわけです。全国のそういう機能を果たしていくということはできないわけであります。単にその全国的なシステムの上に乗っかっていればよろしい、ネットワークの中心にあればいいというのではないわけで、そのセンターの中身は東一方式のような形、研究所が付属機関ではだめだ。まさに病院研究所と運用部というものがちゃんと三位一体の機能を果たす、こういう形にならなければいけない、こういうことでいいですね。
  52. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) 私のお答えした趣旨を、上田委員のほうでさらに質問の形で確認していただいたというふうに感じまして、同様な、考え方は全く同じでございます。
  53. 上田哲

    上田哲君 そうしますと、ちょっと気がかりなことも一つあるのですよ。国立東一の場合は成人病センターの、これも成人病センター全国センターと言っているわけですけれども、ことしでその計画が打ち切りになりましたね。このことだって問題はありますけれども、きょうはこの問題が中心ではありませんが、そういうような形であのようなパターンを追いかけていくと、この小児センターも四十八年度繰り越し分と四十九年度で打ち切られてしまうと、これで一つのユニットになっている財政長期計画では困るのです。四十八年度はそういうにおいを持ったんだから、この疑いは非常にゆえなしとしないんですよ。だから、その四十八年度の繰り越しと四十九年度の合わせて九億円が一つのユニットとして計画の一定限の終わりになるようなことじゃなくて、これはあくまでも総合的な計画の一部である、完全に最低限五十二年度なら、大臣の言われる五十一年度末完了を目ざす計画の一部として着工されるということを、その同じセンター化ということのパターンの区別の上に立ってきちんとやっぱり御判断をいただいて、御認識をいただいておきたいと思うのです。これは大臣、よろしいですね。
  54. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これはもうたびたび申し上げておりますように、このセンターのほうを設立する初年度と申しますか、出発であって、これで打ちどめにしてしまう、こんな考えは全然ございません。
  55. 上田哲

    上田哲君 そうしますと、一つ問題が出てくるのです。一つ問題が出てくるのは、今日の法律上の手続で、これ、国立ですからね、このままじゃできないのですよ。設置法の改正をしなきゃならぬのですよ。いま国立東一的なことでやるんならこのままでやれるわけですがね。いまおっしゃるような、当然そういうことを考えるんだということになると、これは考え方は根本的に変わってくる。行政システムが変わってくる。これは組織法が変わってくるわけですから厚生省設置法の改正を行なわなければできないことになるんで、それは当然行なうことになるわけですね。
  56. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) そのとおりでございまして、完成予定年度において組織法の改正をお願いしたいと、こう考えておるわけでございます。
  57. 上田哲

    上田哲君 完成年度でいいんですか。
  58. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 完成年度でけっこうだと思います。ですから、私どもは五十一年度のところで完成さしたいと、こう考えますと、五十一年度ということになりますと、その年度のときにまた内閣委員会に御心配いただくと、こうなるわけでございます。
  59. 上田哲

    上田哲君 たいへんけっこうです。私はそこを心配していたのだ。まさに同じセンターと言うけれども、どっちのセンターにいってしまうのかということが数年来とにかくあやふやでしようがなかったのですよ。きょうは非常にそこがはっきりしましたよ。このはっきりしたということが一つ。なかなか設置法というのは手を下したくないらしいので、この設置法の改正までやるんだということが明快に出たということは——私が心配したのは、話のわかっている大臣が、すぐ設置法をやってもらって——五十一年度になったらどういうことになるのか心配だということもあったんだけれども、これははっきりいま明快に言われたので、非常にけっこうだと思います。設置法の改正を含めて、気持ちの上では五十一年度、政治的な判断として五十一年度、現在の基準としては五十二年度だけれども、そういう内容実現をしていくということが確認されたということは非常に前進であるというふうに評価をいたします。念のためにもう一ぺん聞いておきます。それでよろしいですね。
  60. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) そのとおりでございますから、その節は何とぞ早く御審議をいただくようにいまからお願いいたします。
  61. 上田哲

    上田哲君 大臣がそこで惑星的ということを言われましたけれども、惑星的配置というのは、ちなみに伺っておきたいのですけれども、どういうことでしょうか。空の、宇宙の惑星でしょう。
  62. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) まあ、惑星的ということば大臣も私も使ったかどうかちょっとはっきり覚えていませんが、要するに、先ほど来御説明しましたように、わが国の医療制度の中でガンの対策が一つ中心になるものがあり、それから組織として、ブロックにまたさらにその中心がある、それから各県に施設を整備していく、こういうような考え方というものを小児医療の場合でもとっていきたいし、すでにそのような動きもあるし、われわれのほうでも都道府県に対する予算措置等もやっております。そういう意味で惑星という感じと申しますか、考え方というものは、ガンで始まりましたわが国の医療組織の中ではやはりかなり重要な問題であるというふうに考えております。
  63. 上田哲

    上田哲君 ガンですか。
  64. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) ガンで最初始まったということです、そういう組織をつくる仕組みというもの。
  65. 上田哲

    上田哲君 それは深くはいきません。惑星でも衛星でも遊星でもいいです。とにかく子供のためのそういう施設——こんなにおくれていちゃ話にならないので、いま年来の議論が一点の曙光を見出したような感じが私はするのですがね。どうか、合わせて二年分で九億ぐらいでもっておおばんぶるまいしたようなお立場にならずに、ぜひひとつ、これでは九牛の一毛であるという立場で御努力をいただきたい。  大蔵省、まだですか。——じゃ、いいです、またあとにしましょう。  あわせて伺っておきますが、国立精神神経発達障害研究センター、ずいぶん長い名前のセンターができたわけですけれども、この調査費として二百四十一万円が計上されているわけですけれども、これはどういう中身、経緯でしょうか。
  66. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは御承知のように、筋ジストロ、そのほかの精神神経発達障害に悩んでおる子供が非常に多いわけでございます。そこで、これはやはり一つの独立した研究機関国立につくる必要があるのではないか。今日までいろいろ研究のための予算は出しておりまするが、総合的な研究機関をつくる必要があるのじゃないか。これは非常に範囲の広いもののようでございます。私は専門じゃございませんから。  そこで、ことしこういう研究所をつくるにはどういう範囲のものを研究対象にしたがいいか、どういう規模にしたがいいか、いろいろそういう問題を、設置の場所をどこにしたらいいかとか、そういったものを十分調査いたしまして、五十年度の予算において研究所設立のための予算を要求したい、こういう考え方でございまして、ことしはそういう研究所設置のための調査費を計上いたした次第でございます。
  67. 上田哲

    上田哲君 これは、筋ジストロフィーの親の会ですね、その親の会が田中総理に会って陳情をした。それで総理がわかったわかったということで、こういうことになったという経緯であります。私はこのことは、もう大いにわかったわかったでけっこうだと思いますし、親の会がこういう努力をされたことに対しても、全く窮状おくべからずということだったことに深い共鳴の念を覚えるわけですけれども、だから、このことを悪いということを理由もなく申し上げるということはない。ただ問題が、そういうことでしか予算がつかないということでは困るということが一つ残るわけですよ。筋ジストロフィーはこういうことになって、十分ではありませんけれども、それはそれでいいのですけれども、いわゆる難病奇病、難治性疾患というものは幾らでもあるわけですけれども子供に限定しても、やっぱりそういう立場で、こういう陳情がなくてもこういうことをどんどん進めていくというような前向きの施策というものはお考えでありますか。
  68. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは、私どもはそういう陳情があったからということではないのです。これは前々から実は厚生省も考えておったわけでございまして、筋ジストロにつきましては、難病の指定をし、療養所のほうにそういう子供を収容するとか、医療費を更新するとか、いろいろの措置を講じておったのです。そこで、一昨年ごろから——やはりこの筋ジストロというのは治療法がないというのですね、お医者さんに言わせますと。これは非常に悲惨なんですね。そこで、厚生省の児童家庭局のほうにおいても、何とかこれは研究をしようじゃないか、治療法がないないでは済まぬではないか、こういう話がありまして、研究所をつくろうではないかという計画はもともとあったわけでございます。そうした中にあって、また昨年もそういう陳情もあったということだけでございまして、私どもは国民が困っていることにつきましては、陳情があろうがなかろうが、医学的な立場においてわかることについては全力を尽くして救済をしていく、治療法の開発に努力をしていく、これは私は当然のつとめだと、かように考えておる次第でございます。
  69. 上田哲

    上田哲君 精神論はそれでいいのです。精神論はそれでいいのですが、私はこの筋ジストロフィーへのできるだけ光を当てるということには全く大賛成で、ぜひもっとやってもらいたい。足りないと思うのですよ。ただ、比較考量をするわけではないけれども、こういうところによって金が出て、それでもっと基本的なところへ——基本的なところというのは、たとえばこの小児センターをつくるための予算が十分にいかないと、これが二つプラスマイナスの関係にあったとは言いませんけれども、何か押したところが出てくると、言われて出たんじゃなくて前々から考えていたんだというのはお経としてはりっぱですよ。しかし、それがお経としてりっぱなだけじゃなくて、完全に難病奇病だけではないが、小児医療に対する光をもっと当てるためには、これは大臣、やむを得ないから、現実、ぼくも長いことやっているものだから、あんまり夢みたいなことは言わないから、この九億円でとにかく進もうじゃないか、五十一年度はそれも前進じゃないかということをかなり踏み込んで言っていますけれども、けたにならぬですよ、こんなものは。三十億や四十億の金がこんなことに一回に出ないなんという予算はあってしかるべきものではない、私は恥ずかしいと思うんですね。そういう恥ずかしさの一つのあらわれが、おためごかしにと言ったらことばは非常に悪いんで、ことばとしては悪いけれども、どこかで振りかえに筋ジストロフィーの親の会に幾らか涙を注いだということであってはならぬと思うんです。全体的に、たとえばガンを守る子供の会の問題でも八割しか実は行きわたらない、国費がですね、たてまえがそうなっている。実際にはいろんな努力をするわけですけれども、そういうものぐらいはやっぱり底上げしなきゃならない。これも一般論になっちゃうかもしれないけれども、私は具体的なデータの上でものを言っているつもりです。そういうものに対してもっと大きな光を当てる、具体的に財政措置というものが講じられるということがないと、そうした一つ一つの施策は全部びほう策にしかならぬですね。私はそこには、きょうは具体的に長い経過を踏まえて言っているものだから、前進だと言って評価をしつつ、やっぱりこの程度ではいかぬじゃないかということは一つだけきちっと言っておかないと、何かこれがいいことをやったみたいな話になっちゃ困るわけです。そこのところは基本的に、お経でないところですな、伺っておきたいと思います。
  70. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 国立小児医療センターの設置というのは、まあ確かにお述べになりましたように、去年とことしで九億というわけで、その点は御不満もあろうかと思いますが、私どもはもうこれを全力を尽くして完成させよという考え方でございます。  それから筋ジストロのほうは、そういうわけでことしは調査費をつけて、これから出発していこうというわけでございますから、こっちの予算が少ないから、こっちのカムフラージュのためにこっちのほうへ調査費をつけたと、こういうふうにはお考えにならぬで、この小児医療センターはこれから前向きにどんどん進んでいくわけですから、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  71. 上田哲

    上田哲君 いや、そういうふうに考えませんよ、考えようと思っているわけじゃないです。そういうふうになってしまわなきゃならない仕組みではいかぬではないかということですね。そのことをどんなに努力したって、し過ぎることはないんですよ。またこれでもって国の予算がひっくり返っちまうなんというけたではないわけですから、これもぜひ御努力をいただくということに一点の狂いもあるはずのないことだと思うんです。そのことを言いたいんです。いいですか。
  72. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私どもも一日も早く完成させるように全力を尽くしたいと考えております。
  73. 上田哲

    上田哲君 最後に、そういうことがお経にならないためには基本的な考え方があるわけです。社会保障の名句である揺籃から墓場までというようなことのこの面の考え方で言えば、それだけでは足りないと、われわれは指輪からゆりかごまでと、まさに妊娠から出産までの期間を完全にコントロールしていく予防措置というプロセスを重視しなければいけないということを、大きく行政の対象としても考えなきゃいけないということを年来主張しているわけです。こういう考え方、われわれこれを「こどもの城の会」というような運動にもしているわけですけれども、これはこれまでにも厚生省側からたいへん深い御理解を示されておりますけれども大臣、こういう考え方行政的にも大きく取り上げていかなきゃならないという点については、いかがでしょう。
  74. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) そのとおりと私も理解をいたしております。
  75. 上田哲

    上田哲君 指輪からゆりかごまでということばはどうですか。
  76. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) おっしゃるとおり、そのとおり、いいことばだと思います。
  77. 上田哲

    上田哲君 その部分にやっぱり新しい政治の前向きな分野があると思うんですよ。これはぜひその面については、ここのところは金が出にくいですよ。生まれたばかりの赤ん坊、これから生まれる赤ん坊は声を出しませんから、声が出ないところにはプレッシャーグループが発生しないから、どうしても予算が出にくいです。そこをやってもらわないと、百年の大計なんていうような大きな演説を国会でぶってもしようがないわけです。ぜひひとつそこは、大臣、非常に行政的な手腕もある方でありますけれども、夢もかなりあるようであります。いま指輪からゆりかごまでということば、たいへんけっこうじゃないかということが述べられたので、私は意を強ういたします。がんばっていただきまして、一ぺんこの小児病院現状を御視察になることをお考えになってはいかがでしょうか。
  78. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 実は私、まだお伺いしておりません。国会でも、といいますか、予算でも全部済みましたら、四月にでもなりまして予算でも済みましたら、一度私も見たいと考えております。
  79. 上田哲

    上田哲君 きょうはたいへんすべてについて前向きな御意見で、まあこれは対立するはずがないことですから、どれだけやるかやらぬか、足りなきゃいかぬじゃないかというまでの話で、方角がこっちであるものが、こっちでなきゃいかぬという議論になってはならぬはずのものでありますから、あたりまえだとは言いながら、大臣、非常に前向きな御決意や判断が聞けたことは、私は率直に評価しておきたいと思います。四月になったらという具体的なこともありましたので、ぜひ一ぺん行ってください。あそこは子供の救済のメッカではありませんよ。子供の苦しみの、いま地獄のるつぼですよ。これはやっぱり厚生大臣が見ていただくことによって、現場の方々とも話をしていただき、その中で、さらにその計画の充実とテンポを速める、かりにも総需要抑制の中でここがとばっちりを受けるというようなことがあってはならない、こういうふうな御見解がおそらくさらに強められることだと私は確信をいたします。  私も長くこの問題を取り扱って議論してまいりましたけれども、ようやく小児センター日本に初めてでき上がるようだと、これは十分ではありませんけれども、とにかく形として十一階建てが七階建てになったり、非常に不満足なところはたくさんありますけれども、手がかりとして進むことになったのだということを、これはもうかなりテンポのおくれでは言いあらわせないぐらいおくれおくれてきましたから、今度こそはこれは進むのだと、どんなに物価が上がろうと、資材が高くなろうと、それは関係なく、何としてもこれは緊急措置として進めるんだということは、いよいよつち音が聞こえるなと、子供が生まれる前の問題なんですから、これは。票にはなりませんけれどもね。生まれてからだって二十年かかるのに、これから生まれようということをやるのですから、これはそういうバルガルな現実性はありませんけれども、ぜひひとつ百年の大計のために、これは齋藤大臣御在任中に、この問題がなるほど柱が立ったと、そしてほんとうに五十一年には完成の上、総裁任命ができるぐらいのことをどうしてもひとつ精力的に進めていただくように、小児病院の具体的な視察のお約束も含めて、私は強く要請をしておきたいと思います。その面についての決意を伺っておきたいと思います。
  80. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 小児医療センターは本年度からいよいよ軌道に乗ったと、こう私は喜んでおるわけでございますから、この軌道に乗って脱線することなく、スピードをどんどんどんどん速めて、一日も早く完成させるように最大の努力をいたすことをお約束申し上げます。
  81. 山崎昇

    ○山崎昇君 たいへん私は短い時間でありますから、ごく簡潔に二、三聞いておきたいと思います。  厚生行政については、まだまだたくさんの問題がありまして、本来なら一日でも二日でもお尋ねしなきゃならぬことが多いと思うのですが、いまとりあえずは、上田議員のほうから、懸案事項がある程度前進できるような回答がありまして、たいへん厚生省前向きだ、前向きだとおほめのようでありますが、私、これから聞くことはまた逆なことでありまして、少し腹を据えてひとつ答弁を願いたいと思います。  行政機構の論議でありますから、関連をして二、三聞いておきます。一つは、医療審議会の構成について私は聞いておきたいと思うんです。これは御存じのとおり、審議会令によって設置をされておるわけなんですが、行政府に審議会という名前のものがたくさんあって、どれもこれも似たり寄ったりの構成ではありますが、ただ、私はこの医療審議会令を見て、一つ特異だなと思うのは、人数がものすごく多い。「五十人以内で組織し、」とある。しかし、実際には任命されている名簿を見ますというと二十五名しか任命されておらない。「五十人以内」でありますから、何も違反だとかという意味で聞いているわけではありませんが、どういう意味で、この審議会令には「五十人以内」となっているのが、半分の二十五名になっておるのか、まずこの経過から聞いておきたい。
  82. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) 審議会令の第六条に、「審議会に、医療機関整備部会及び診療報酬部会を置く。」となっておりますが、現実にはこの診療報酬部会が実際に運営されておりませんで、医療機関整備部会だけが動いておるわけでございまして、したがって、五十名の委員の半数の二十五名で医療審議会が運営されておるわけでございます。
  83. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはどういうわけですか。あなた、得々として答弁していますが、審議会令でちゃんと置くことになっておって、それを置かないでおりますから、片方の医療機関整備部会だけあるから半分の二十五名でけっこうだというのは、それは答弁にならぬと思うんですよ。そうでしょう。審議会令は六条ばかりじゃない。だから、審議会令で二つの部会を置くなら、ちゃんと置くべきじゃないですか。片方だけ置くために二十五名で、あと二十五名要らないというなら、この第一条を改めたらいいじゃないですか。それは私は答弁にならぬと思う。それじゃ、なぜ診報療酬部会というのを置かないのですか。政令できめておいて、なぜ置かないのですか。
  84. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) この問題につきましては、現実に医療の報酬の審議が中医協においてなされておりますので、この審議会については、その際、この審議会令を改正せずに残してございますけれども現実には中医協が診療報酬の問題を国民皆保険のもとで一本で運営されておりますので、したがいまして、この医療審議会は医療機関整備部会だけが現在活動しておると、こういうような形になってございます。
  85. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはあなた方、かってな運営の方法であって、ただ、現実にそうしているというだけの話であって、読みかえ規定があるわけでもなきゃ……そうでしょう。正規の政令で、あなた方がそういう設置をきめておいて、それをやらぬでおいて、別な機関でやっておりますから、けっこうですなんということは、行政機関の言うべきことではないですよ。これは改めてもらいたい。きちんと法制を整備するなら整備する、あるいはそうでなくて、この政令どおり置くのなら置いて、そしてこの六条どおり審議会なら審議会の議を経て、やるならやる、そうでなければ審議会は何のために置くんですか。これは大臣、ひとつ改めるなら改めてもらいたい。どっちにせよ、大臣見解を聞いておきたい。
  86. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この医療審議会令は、お述べになりましたように、整備部会と診療報酬部会と、こう二つあるわけでございます。ところで、診療報酬ということになりますと、御承知のように、国民皆保険になりましたために全部社会保険だけが中心になるわけでございます。社会保険の診療報酬というのは中医協できめるということになっておるわけなものですから、ここにいう診療報酬部会が取り扱う事務量がそれだけ減ってくるわけでございます。そこで、ここでしいてやるとすれば、ここの診療報酬部会でかりにやるとすれば、社会保険の適用のない診療報酬をきめるということだけがその仕事の任務になるわけでございます。中医協というのは法律に基づいて社会保険の診療報酬をきめるということになっておりますものですから、そうすると、この診療報酬というようなそちらの部分には手をつけられませんから、社会保険以外の診療報酬をきめると、こういうことになるわけでございます。そこで、実際上そういうものはあんまりあるまいと、あんまりきめる必要もあるまいということで現在のところ任命されてないと、こういうふうに私は承知しておりますが、お述べになりましたように、確かに御指摘をいただけば、向こうでやるものなら、こっちは要らぬじゃないか、まあ少しはやることはあるとしても、なぜ任命しないのだと、こういう御指摘をいただくことになるわけでございまして、これはやっぱり相当私は考えなくちゃならぬ問題だと思います。したがいまして、中医協とこの医療審議会の診療報酬部会との関係をどうするか、これ、ひとつ調整するように検討いたしたいと思います。これは私も前々からそういう考えを持っておったのです。中医協でみんなやるわけなんです。ですから、こちらでやるものは、社会保険でないお医者さん方の診療報酬を必要があれば、きめれば、きめるということになるわけです。しかし、実際はそんなものはないだろうと、こういうことで任命されていないことは事実でございます。実際問題はそうなっております。しかしながら、御指摘がありますれば、そういう点はやはり考えなければならない問題、全然任命しないというのもこれはおかしな話でございますから、相当これは検討をさしていただきたい、かように考えます。
  87. 山崎昇

    ○山崎昇君 理解はいたしますよ。理解はいたしますが、少なくとも麗々しく審議会等を設けて、規定を設けて、そうしてやるなら、それにふさわしいような運営にやはりしてもらいたい。で、やはりこの問題は医療法の三十七条とも関連をしてまいりますし、重要な私は項目だと見ておるのです。そういう意味で、いま大臣から答弁がありましたから、これ以上は申し上げませんが、いずれにしてもその点はひとつきちんとしてもらいたい。  それからこの第二条に、「委員は、医師、歯科医師、薬剤師、医療を受ける立場にある者、学識経験のある者及び関係行政機関」と、こうあります。そこで、お尋ねしておきたいのは、学識経験者というものと、それから医師を代表するというものと、医療を受ける立場を代表するというものと、どういうふうに私ども理解をしたらいいのか。そこで、具体的にですね、時間がありませんからお聞きをしたいのですが、あなた方が任命をしております委員の中に、これを色分けしたら一体どういう人が学識経験者の代表で、どの人が医療を受ける立場の人を代表する者、どの人が医師なのか、われわれちょっとこれだけではわかりませんので、この肩書きだけでは。できたら、あわせて説明願いたい。
  88. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) この問題につきましては、ただいまわれわれとしても、見解によっては若干何といいますが、混在しているのじゃないかという御批判もあろうと思いますが、一応われわれの委員の区分けといたしましては、学識経験として、経済学・大熊、医療行政・尾村、あるいは前社会保険の審査会の久下、医学の黒川、公衆衛生・外山、病院管理学の永澤、医事評論の堀川というような方々考えております。それから医師、歯科医師では、医学、歯科の関係のお医者さんでございます日本精神病院の渡辺、歯科の伊藤、診療所代表の高島、一般病院の中村、公立病院の根元、医師会の花輪、病院開設者としての松川、それから医療を受ける立場にある者、この点につきましても、いろいろな御見解がございますけれども、一応ボランタリー活動としての立場から田辺繁子さん、健保の立場から山本庸一さん、国保の立場から石川要三さん、労災保険の関係から工藤さん、社会福祉の関係から水野肇さん、共済の関係から松島五郎さん、農民の代表という意味で農協の吉田さん、そのほか行政関係の機関として、文部省の大学学術局長、それから都道府県知事の代表として津田神奈川県知事、それから医務局長の私、そういうような一応の区分けは考えておるわけでございますが、これには見解によって多少そのような御批判はあろうと思います。
  89. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまあなたから説明がありまして、順序不同なものだから、しるしをつけるのがちょっとできませんで、間違うかもわかりませんが、医者を同じ代表するといっても、これは国立病院にいる者、それから民間で医者をやっている者、あるいは自治体立病院等にいる者、あるいは医療法人等でやる者等々、私はさまざまなやはり職場におる人がおると思う。そうすると、いまこれをざっと見ただけでも、私はこの審議会のあり方からいけば、あらゆる階層の人が——多少利害得失が相反する場合もありますよ。あるいは中医協のように、激論もあってなかなかまとまらぬという場合もあり得るかもしれない。しかし、審議会という立場からいうならば、あらゆる階層の人ができるだけ網羅されて、そしてそういう場を通じてそれぞれの意見を述べて、それを行政機関がどういうふうにやっていくかということがやっぱり私は重要だと思うのです。そういう意味で言うならば、たいへんこのあとの中医協のほうと関連をしてきますけれども、やっぱり公的病院といいますか、公立病院の代表者というものがほとんどと言っていいぐらい入っておらない。しかし、実際には診療報酬の面からいったって、全体の三〇%もこえるぐらいの担当者になっておるわけでしょう。そういう意味で言うならば、この審議会のメンバーの中に公的病院の代表がきわめて少ないというのは私はやっぱり一つの欠陥ではないだろうか、こう思うんだが、幸い何かこの審議会の委員はことしの十一月が任期のようですね。一つの。したがって、いますぐ入れかえるなんということは困難にいたしましても、先ほどの厚生大臣の答弁とあわせて、この委員の任命にあたっては、やっぱりできるだけ広い層の立場を代表する人を入れるという考え方でやってもらいたいと思うのですが、大臣、どうですか。
  90. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) こういう審議会でございますから、広く各方面の方々委員になっていただくということが私は望ましいと思います。具体的にどういう人がどうのこうのということを私は言うわけじゃありませんが、広くやはりこの仕事に、こういうことを審議するにふさわしい適当な人を各方面から求めるということについては、私は全然異議はございません。
  91. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま大臣から、まあ広く考えるということでありますから、今後のあなた方の運営を見たいとは思うんです。思うんですが、たとえば中医協一つしましても、診療報酬に対しまして、公的病院方々意見と医師会を代表する者の意見とやっぱり違う。そういう点等を考えますと、たとえばこの中医協の十五条を見たって、医師あるいは歯科医師及び薬剤師を代表する者八人となっているが、そのうちにはほとんど公立病院代表者がいないという現状になっておる。そういう意味で、重ねてひとつ大臣に申し上げておきますが、今後こういう審議会の運営等については、できるだけ各層の代表を入れて広く意見を求めるようにしてもらいたい、このことを重ねてあなたに要望をしておきたいと思います。  それからその次にお聞きをしておきたいのは、看護婦養成所の運営費の補助でありますが、これもすでに予算委員会、あるいは昨年の予算の際に地方行政委員会あるいは社会労働委員会等々でいろいろな方々から論議をされておる。そして厚生大臣は、四十九年度の予算では運営補助については考えますとあなた答弁されているのですね。しかし、四十九年度の予算にそんなものはない。一体これはどうなっているのか、お答えを願っておきたい。
  92. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) おっしゃるとおり、過ぐる国会等で大臣からも、私からも、自治体病院がただいま交付税あるいは特別交付税等で看護婦養成についての自治省からのお世話がありますけれども、その性格、使命にかんがみまして、やはり積極的に運営費の補助を出したいという気持ちをお答えいたしておることは確かでございます。予算要求といたしましても、その問題を踏まえていろいろ検討したわけでございますが、実は、まあ率直に申しまして、看護婦関係の予算は非常に例年になく増額されました。たとえば具体的な運営費の問題でも、実はいままで各施設が生徒数、教員数が大幅な差がありましても、一施設当たりの単純な単価方式でやっておりました。これがたいへんな御不満でございましたので、今回思い切ってそれを人数の割り当て方式に直しまして、そのために二億数千万の予算増額になっております。これはわれわれとしても、この改善が今回一歩を踏み出しましたので、確かに率直に申して宿題になった形になっております。自治体病院養成所の運営費については、なるべく早くこれが実現するように今後とも努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  93. 山崎昇

    ○山崎昇君 いやいや、明確に、大臣が出られて、四十九年度で処置いたしますと、そう答弁をしておいて、いまになってから宿題にしておきますでは、これは通る話じゃありませんね。ですから、なるべく早くなんていう、あなた、いまことばを使われておる。四十九年度は一体どうなるんですか。私が聞いてるのは、大臣やあなた方が出て、そして予算の分科会でも地方行政委員会でも社労でも、いろんな形で質問が行なわれて、交付税についてはこれは自治体の固有の財源だからこれで云々すべきものではないということをあなた方も認めて、あらためて自治体病院については運営費の補助を出しますとあなた方答弁しておいて、いまになって宿題とは、それはいただくわけにはまいりません。一体四十九年度どうされるというのか、明確にしてください。
  94. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) 運営費の補助につきまして、まあまた言いわけみたいなことで恐縮でございますが、実は自治体病院運営補助問題が新たに起こってまいりまして、四十九年度予算編成の重要な一つの課題になりました。で、自治省と厚生省が十分協議した結果、結果的には不採算地区自治体病院に対する運営費の補助が二億四千万、予算化されたわけでございます。で、もろもろのこのような自治体病院に対する対策というものを今後進める一つの出発点がここにできたわけでございまして、たいへんまあわれわれとしてはお約束した形が実現しなかったことは申しわけございませんけれども看護婦養成所の運営費につきましては改善をはかった上、五十年度においてぜひ実現するように努力いたします。
  95. 山崎昇

    ○山崎昇君 結局、あれですか、あなた、いろんなことを言うけれども、結局は四十九年度やれませんでしたと、五十年度でやりますと、こういう話でしょう。だから、それは医務局長としてはそれでいいかもしらぬ、私は大臣に聞きたい。あなただって出て答弁されてる。四十九年度中できちんとしませんというと、せっかく答弁をされて、約束をされて、そして違った委員会に出てくるというと五十年度になりますとか、あるいは近いうちだとか、そういう答弁でこれは過ごすものではありません。それから関連して、いま自治体病院の赤字の問題も出ました。自治体病院の赤字の問題も大筋によって三点になっておる。三点になっておるが、このうちの一点と、まあここには読み上げませんが、二つの点については自治省で予算要求をやった。しかし、肝心の高度特殊医療等に対する助成措置については、厚生省は何も四十九年度は要求をやってないじゃないですか。だから、あなたがそれだけ言うなら、一体自治体病院の赤字の問題についても、いつ、どこで、どうするのか、もう少し明確にしてください、看護婦の問題とあわせて。
  96. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) 公的病院である日赤、済生会等の特殊診療部門に対する補助につきましては、四十八年からスタートしたわけでございまして、四十九年度も引き続き若干の増額をしたわけでございます。それから自治体病院の不採算の問題以外の高度の医療の問題につきましても、実はこの点が予算編成の当初から自治省のベースでお答えになるということでまいりましたので、われわれとしてもこの点については調整をしながら進めてまいりまして、最後に不採算地区だけが具体化したわけでございます。で、これもいま申し上げましたように、一つの自治体病院に対する助成措置の糸口がここで出たわけでございますので、高度、不採算の問題につきましても、今度は厚生省ベースで要求というものを考えまして実現の方向で努力いたしたい、こういうふうに考えております。
  97. 山崎昇

    ○山崎昇君 それはだいぶ違うんじゃないですか。自治省でやったのは不採算地域の問題と、それから今日までの不良債務の問題と、二つやってますよ。しかし、問題になっております高度特殊医療等に対する自治体病院に対する補助については、あなたのほうは何かやりましたか、何にもやってないじゃないですか、四十九年度で。そしていま結果として、結論として、自治省で要求したうちで不採算地域の問題についてはなるほど芽が出ました。あとの二つについては何も芽が出てないじゃないですか。ですから私は、ほんとうに厚生省が、この自治体病院——今日までの経過はまあ申し上げません。上げませんが、置かれているいまの現状からいって、もしこの自治体病院が閉鎖したらあなた、僻地医療その他どうなりますか。あなた方、東京だとか大都市にいまたいへん前向きだというように上田議員からほめられましたけれども、そういう設置は私は重要だと思う。しかし、現実に医療を受けられないような僻地の場合に、自治体病院だとかこういう公的病院が果たしている割役りというのはどれほどのものかあなたわかりますか。そういうものに対する厚生省のあり方というのがどうも片手落ちではないだろうか、こう考えさせられてしようがないんです。そういう意味で、いま看護婦の問題もありましたし、ぜひひとつ考えてもらいたい。  特に、私どもは地方にずっと参りますというと、これは一つ余分でありますけれども、公務員の皆さんですら共済組合の短期の掛け金はやめさしてもらいたいという意見すらある。なぜならば、掛け金を納めても医療を受けることができないと言うんですよ。だから、掛け金を納めるのではない、取られるのだと。そして極端なことを言いますというと、隣の大きな市まで行かなきゃならぬとなると交通費がかかる。だから、共済組合で診療のための交通費を出しなさいという要求すらある。それぐらい、公務員でさえそういう状況にある。そういうことを考えますと、この公的病院だとか自治体の病院だとかというものをもっともっと厚生省は力を入れてもらいたい。そして、あわせてこういうところの代表を——まあ少し戻りますが、中医協なりあるいは医療審議会なり、そういうところのメンバーにやっぱり入れて、たくさん入れまして、そしてそれぞれの地域の意見等も入れてもらいたい。そうしませんというと、いつまでもこの問題は置いてきぼりを食ってしまう。  こういうことですから、私は時間がありませんので繰り返しはもう申し上げませんが、少なくとも看護婦養成所の運営費の補助を含めまして、四十九年度予算はいま審議中ですから、これがきまってしまいますと、なかなかやれぬにしても、少なくとも補正予算、その他の場合でも私は努力をしてもらいたい。こう思うんですが、一体厚生大臣、どうなりますか。
  98. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 実は、公的病院、地方の公的病院の赤字問題というのは、先般の国会でも重要な問題になっておったわけでございます。そこで、私どもも何とかこの問題を解決したいと思って自治省といろいろ相談をしまして、こういう項目は自治省、こういう項目は厚生省、こういうふうにふるい分けをいたしました。ふるい分けをしまして、最後の決着のところで、いわゆる公的病院に対する経常費の一部の補助は、これは厚生省の予算につけたほうが筋ではないかということで、そこで決着をつけたわけでございます。もとよりこれはわずかな金でございます。私はこれで十分だとは思っておりません。したがいまして、今後とも私は、診療報酬の改定も今度行なわれましたが、これがはたしてどの程度の赤字解消に役立つのか。そういう実態も踏まえながら、公的病院の赤字問題を解決するために今後とも努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  99. 山崎昇

    ○山崎昇君 最後に、保健所の問題について一点聞いておきたいと思うんですが、何か保健所の問題については専門の協議会等が設けられて、いろいろ検討されて、その一つの答申みたいなものが出たようでありますが、これを受けまして、厚生省は一体この保健所というものを将来どうされていくのか。私どもずっと行ってみますと、たとえば私は北海道の出身でありますが、北海道は四十五カ所の保健所がある。しかし、半分以上は医師がいない。それから保健所法の中で、所長が医師でなければできぬものですから、実際は町のお医者さんを嘱託にして、そして保健所長にして、どうやらこうやら運営しているというところがたくさんある。言うならば、この保健所の機能というものを厚生省はどうされようとするのか。で、一方、この定員のほうを見ますというと、第二次削減等もありましてたいへんこの人数が減らされる。しかし、新しい公害、その他の問題があるものですから、多少は振りかえでふやしてきておる。しかし、総体的には保健所の機能そのものが低下をしていくというような内容になっているんじゃないだろうか。で、私ども行っていろいろ関係職員と話しますと、少しきついことばでありますが、意気沈滞しているんじゃないかと私は思います。  そういう意味では、保健所というものを一体厚生省はどういうふうに将来機能さしていくのか、あるいはこれは公的病院と違って診療をやるわけでもありませんし、臨床をやるわけでもありません。ただ、予防行政等が主力でありますから、行政機関でありますから、私は多くのことを言わないけれども、少なくとも保健所については、もう保健所ができましてから二十何年たっておる関係上、ある程度地域住民の間には保健所というイメージがかなり浸透しているのじゃないかと思う。そういう意味でいえば、かなり住民側からも、やはり増強といいますか、機能強化といいますか、そういう方向というのが要望されてきているのじゃないだろうかという私は気がいたしますが、大臣として、この保健所というものを今後どうされようというのか、専門の協議会等の答申等も受けまして、一ぺん聞いておきたいと思います。
  100. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 私は率直にお答えを申し上げますが、最近の保健所は非常に仕事がふえてまいってきております。一般の地域住民の保健計画をつくったりという本来の仕事のほかに、食品問題、あるいは最近は公害の問題でまあ水銀問題まで飛び出してほんとうにたいへんな忙しい仕事に従事していただいておるわけでございます。それに対して厚生省が、ほんとうに私は、この点についてはまあ交付税ということで運営されている関係もあるかもしれません。どうも役所というのはそういう面も率直に言いますとやっぱりあるのです。そういうこともあって、どうもいまの保健所の機能がはたして十分発揮されているであろうか、そうしてまた重要な任務を負わされておる保健所にそれだけの待遇が与えられているであろうか。私は実際内心じくじたるものがございます。私率直に申します。しかし、私どもはいまのような状態で満足はいたしておりません。やはり保健所というのはそれぞれの地域における保健、予防医療、そういうものの中核として接していかなければならぬものであろうと考えております。で、この点は率直に申しますが、きょうの時点において私は非常に弱いと思うのです。これはもう率直に申します、私。そこで、今後この問題については、昨年の暮れいただきました答申もございますから、その答申の趣旨を踏まえて今後もう少し積極的に努力をいたさなければならぬであろう、こういうふうに考えておりますから、もうしばらくこれは時間をかしていただきたいと、かように考えておる次第でございます。
  101. 山崎昇

    ○山崎昇君 いま大臣からお答えがありましたから、あえて言うこともないのですが、厚生省というのは出先機関がやっぱり少ないのですね、ほかの省と違いまして。そういう場合に、第一線のまあ医療機関とまでいかぬまでも、こういうものをやっぱり充実をして、そしてほとんうの意味で国民総医療というものが完成されてこなければならぬと思う。ところが、いまお話ありましたように、あなた自身率直に遺憾だと言うから、それ以上は申し上げませんが、少なくともこの次私ども質問さしてもらうときには、もっともっとこの保健所の第一線機能というものを強化をするという立場考えてもらいたいということを重ねてつけ加えまして、私のきょうの質問を終えたいと思います。
  102. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 上田委員に申し上げます。要求のありました大蔵省から梅澤主計官がお見えになっております。
  103. 上田哲

    上田哲君 きょう私は国立小児病院小児センター化の問題について厚生省側の最終的な御意見を承ったわけであります。私はこれがまあ数年間議論議論を重ね、そして非常に不十分だけれども現状このようなあり得べからざる姿で放置されている小児問題を取り上げるためには、ようやく形になるようなところに一歩踏み出すことができたということについては評価することにやぶさかでない。ぜひひとつ厚生省のほうの努力をお願いしたいということを再三申し上げておるわけです。しかし、財政当局にはそうはいかない。私はきょう再三にわたって前向きだとか評価するとかということばを使ったのは、これができれば子供の問題万々歳であるなんということを夢にも言っておるつもりはないのであって、これじゃ率直に言えば恥ずかしいのです。諸外国に比べたって。しかもこれは政府側がこれまで四十九年度にはきちっとやるということを大臣も約束をされていた、当委員会において。にもかかわらず、そのままいったらかえって逆行するのじゃないかというような金が昨年四億三千万円ついて、実際にはこれをやったらたいへんなことになるというので、とめなきゃならない。ことしは四十九年度で、約束の年度であるからどうかと思っていたんです。一般会計にも入らぬ。こんな形では子供の医療なんというのは政府はやる気があるのかどうかということになる。厚生省をたたいてもしようがないのです。ようやく基準政策が立てられて、私はそれを最低のベースにして努力してもらいたいということを、励ます立場に立っているんですが、大蔵省は一体総需要抑制というようなことのためにこういう弱いところを切ったのか。何で一般会計の中でこういうものを予算化することの努力をしないのか。この問題について十分な説明がなければならぬと思うんです。これをひとつ明快に御答弁をいただきたい。
  104. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) ただいま先生御指摘の小児医療センターの問題でございますが、四十九年度予算編成の過程におきまして、私ども厚生省側から総額約二十八億、五十二年度完成という構想を一応お伺いいたしております。そこで、四十九年度にどういう予算処置を講じたかという問題でございますが、御指摘の点、二点ございます。  まず、一般会計でなぜ処理しないかということでございますが、御承知のように、国立小児病院につきましては、病院特会の中で従来も経理いたしておりまして、一般会計で処理するか、特別会計で処理するかという問題は、財政技術上の問題であるということで御容赦願いたいと思うんでございますが、そこで、四十九年度いかがするかという点につきましては、今後実施計画の段階で厚生省と十分に詰めてまいりたい。ただ、センター構想につきましては、五十年度以降の問題として、大蔵省といたしまして、現時点で二十八億の計画、これが価格の問題で二十八億をこえるような構想にあるいはなるということもございましょうが、四十九年度の段階では、まだセンター構想につきましてはっきりと決着をつけるということに至らなかったわけでございます。
  105. 上田哲

    上田哲君 そんなことを言っているからいかぬのだ。特別会計にしておいて一般会計にしないのは、財政技術上の問題だから御容赦を願いたいと言っているから。——あなたは厚生大臣より権限が上なんですか。そんなことは、議事録をしっかり読んでもらいたい。あなたは急にここへ出ていただいたんだから、無理な点はあるだろうとは思う。しかし、この問題を査定した担当官であるなら、こんな言いわけは通りませんよ。何を言っていますか。これまでの何べんも行なわれた議事録をあなたは読んでいるのか。塩見厚生大臣がはっきりこの当委員会において約束をしたことばがある。そこの議論中心は、一般会計でなければだめだ、特別会計ではいかぬのだという議論が、決着がついておる。いいですか。それを財政技術論の問題だなんということを考えておるから、大蔵省というのは金で子供の問題を見るということになる。金で見ていては子供は救われぬのですよ。その問題を再三にわたって、長いこと、五年間議論してきたのだ、これは。その五年間の議論の中で、特別会計でやったんでは、金の糸目でもって子供の医療がきまってしまうから、そういう限界をつけないような一般会計の中でやらなきゃいかぬのだということは決着がついておる、これは。これは医務局長、それをはっきりその方向で全力を尽くして善処するんだということになっておって、それをなおかつ、いま財政技術論だからしかたがないから御容赦願いたいなんということを言っておるんでは、全然話が通ってないじゃない。そういう考え方だから五億しかつかぬのですよ。私はその考え方は、金を中心にして考えて、金の切れ目が医療の切れ目だというような考え方になるから、子供に対する医療がこれだけおくれているということをみごとに立証したではないかという怒りを持って追及しなければならない。完全に、この前の塩見厚生大臣の発言と、きょうまたそれを受けた齋藤厚生大臣考え方とは違うじゃありませんか。そういう考え方基本がずれておるのでは、子供は不幸のままなんだ。小児病院がどんなことになるのかということがわかっておらぬのだ、あなた方は。それがわからぬのにやってもらちゃ困る。これは撤回してもらわなくちゃ議論にならぬ。
  106. 滝沢正

    政府委員滝沢正君) ただいま上田委員から四十七年の八月のときの国会論議のこととつながった問題が出てまいりましたので、私から、昨日実は議事録も読ましていただきましたし、ちょっと御説明いたしたいと思いますが、一般会計論は確かにあの議論の最後のころに出てまいりました。これは運営の問題ございまして、したがって、がんセンターの一部である運営部あるいは研究所、こういうものは一般会計からの財源をいただいて、国立病院特別会計のワクで新たに設置法で独立した付属機関として認められた。運営上、一般会計論が出てまいりました。これは非常にごもっともな御意見でございますので、この点については一昨年の国会論議でもその方向で考え——きょうのお答えも、要するにがんセンター方式というものを考えていきたいということは、その必要な部分には一般会計の導入ということがあるわけでございます。ただ、いま主計官がお答えになったのは、建物整備ということに対して、財源は、国立病院一般で申しましても、看護婦養成であるとか、研究所であるとかというようなものは一般会計負担でございますが、大部分はこれは財投資金でやるほうがむしろ積極的な投資がしていただけるものですから、われわれとしては今回小児医療センターの投資については、決して財投にこだわることなく、一般会計であるというよりはむしろ財投で積極的な投資をお願いいたしたいと、こういうふうに考えておりまして、一昨年の議論一般会計という議論は、その後センターになったときの運営の問題の一般会計論でございますので、私は先生のただいまの御質問を承りまして、そのように区分けができるというふうに思いますので、あえてお答えするわけでございます。
  107. 上田哲

    上田哲君 一般会計論として二つあるんですよ。建物をつくるならそれでいいということは、技術論の範囲であることはけっこうでしょう。一般会計で今回その十七兆三千七百億円の中に出ていないじゃないですか。そのことが前進でありますか。技術論で済みますか、済まぬじゃないですか。当然一般会計の中に五十二年度であれ五十一年度であれ、これは当然に意欲的な政策として盛り込むべきじゃありませんか。そうでしょう。順序からいったら、それだけの政策的なウエートの置き方というものが一歩譲っているということは明らかじゃありませんか。元来ならば四十九年度に予算措置を完了するはずだったんだから、そのように私たちは、あのときの国会審議が意味を持っているならば、そういう形でもって御発言を受け取っているんだから、塩見厚生大臣時代にですよ。そういう立場で言うなら、こんな予算措置は十分な責任を果たした予算措置、約束を守った予算措置とは言えませんね。これはお認めになるでしょう。それをたまたま財投のほうで、債務負担行為のほうでやっていくなんということはびほう策だと、財政的に言っても。これはこっちのほうが金が使いやすいからだということだけでは説明がつかないんだということは、そこには厳然として一つあるんです。  それから私はもう一つの問題として、いま局長が言われたように、実際にこれを運用する場合に特別会計でやってはいけないのだという議論はあのときの中心課題でありました。そういう立場でこの問題を取り上げなければいかぬのだということを、これはしっかり持ってもらわなければ困るのですよ。これはその辺のところを簡単に一言答えれば済むみたいなことを言ってもらっては困るんです。これは将来の方向としてももうきびしく、いま医務局長から、この意見は尊重するということが出てきたから、これは財政当局も理解をしておいてもらいたいということにとどめておきます。  その上に立って、ひとつはっきり二点だけお伺いをしておきたいが、第一点は、二十八億という話は、二十八億、五十二年度完成というのは、とんでもない金銀サンゴの大屋敷をつくるなんという話とは違うんですよ。これは全く最低のおくれたおくれた、たいへんおくれた恥ずかしい限りの、何が福祉元年だと言えるような——そんなことば使う人はいまいないだろうが、おくれた小児医療というもののようやく第一歩、半歩というところだ。それでも、ないよりはましだと、ほんとうにそういうことなんです。私はこれについて数年間やってきたから、こんなことが、りっぱなことだなんということは一言だって申し上げていない。評価なんていうことばはそんな意味じゃない。しかし、全然なかったのに比べれば、ようやくそのことがおくれおくれながら発足することになったということは、きょう計画が出され、大臣がその発言をされたということは、私は数年間というものの成果が一応ここに実ったということだけは認めてよろしいと率直に思っている、そこまでなんだ。しかし、これは全体のレベルからいえばずっと下なんだけれども、とにかくスタートをする、だから二十八億、五十二年完成なんということをたいへんなことだと思ってもらっちゃ一大事なんだ。このことを最低限の出発点として、とにかく窓はあいたのだからこの上にもっと、五十二年度などと言わないで、大臣も五十一年度完成ということを言われたくらいだから、そのことをスピードアップもして、これ、おくれているんだからもとへ戻すだけなんだ、おくれているんだからもとへ戻すだけなんだが、スピードアップをしていくという行政努力もするんだということにあわせて、財政当局というのは、それだけの予算措置を今年もできるならばやる、来年度もやるということに努力をしてもらいたいということが一つ。それから二十八億というのは、この狂乱怒濤の物価高の前の考え方ですから、二十八億を基礎にされたのではこれは試算ができないのです。だからこれは当然に、はね返り分というんですか、そのインフレ分というものを中に含めながら考慮をしていく。この二点をもうひとつ、きょうは非常に大臣が前向きな努力をされたわけだから、この発言にあわせて御回答をいただいておきたい。
  108. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) まず、四十九年度の予算の実行の問題でございますが、これは厚生当局と十分協議いたしまして、適正な処置をとってまいりたいと思います。  なお、五十年度以降の問題につきましては、現段階で私の立場でいかがするというお約束はできませんので御了承願います。ただし、厚生省とよく話し合ってまいりたいと思います。
  109. 上田哲

    上田哲君 大臣を呼ばなきゃしようがないんでしょうから、あまりこまかいことを言ってもしようがないけれども、適正だというのは、あなたね、この五億円が適正だと思っていますか。これはだれもみんなこれでは足りないということを認めているんだ。いいですか。これは適正ではないんです。だから、これを何とか努力しなけりゃいけない。これは将来に向かって十分に努力をしていくのだということでなければならないという基本姿勢だけは、子供のためだから、これはきちっとひとつ一言言ってください。
  110. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) 実は実施計画の問題は、予算が通りまして、四月以降事務的に話を詰めますので、五億になりますか、六億になりますか、正式な話は私どもは承っておりませんけれども、厚生省とよく話し合って適正な処置をとりたいと思います。
  111. 上田哲

    上田哲君 これから先よ、来年度以降も適正でない部分をやろうということについて。
  112. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) 五十年度以降の問題につきましては、先ほどお答え申したとおりでございます。
  113. 上田哲

    上田哲君 努力すると、努力すべきだと。
  114. 梅澤節男

    説明員(梅澤節男君) もちろん厚生省とよく話し合いまして、この問題に限らず、社会保障全体の問題について財政当局として努力いたします。
  115. 寺本廣作

    委員長寺本広作君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会      —————・—————