○
説明員(
柴崎敏郎君) 私
どもの
検査報告は、違法または不当その他特に意見を申し述べましたことだけを提示いたす、これが従来からのていさいになっておりますので、
検査の概要を特に記載するという手だてをとっておりません
関係上、ただいま先生から
お話のありましたような
検査の
内容が明らかでない、こういう御不満はごもっともであろうかと思います。
そこで四十六年度のNHKの
検査の概要について若干御
説明申し上げたいと思いますが、この年度につきまして、私
どものほうでは、従来の
検査の経験に徴しまして、NHKの問題点と申しますか、ぜひ私
どものほうで年次計画として特に重点的に
検査をいたしてまいりたい、こういう
事項を
検査に臨みます年度当初に、当然のことでございますが、
検査計画として設けてございます。これはすでに
検査も終わりました後のことでございますので御披露申し上げて差しつかえないと思いますので、以下御
説明申し上げます。
NHKの
会計を大別いたしまして収入と支出とあるわけでございますが、その収入面につきましては申し上げるまでもなく受信料収入、これの
会計が最も
基本的な
検査上の眼目になります。これにつきましては従来から私
ども検査の重点として取り上げてまいりましたが、
内容を見てまいりますと、その当時といたしまして受信料の収入をまたさらに類別いたしますと世帯のものと非世帯のものと
二つに分かれるわけでございます。
世帯に関する受信料につきましては、多年NHKでも御努力をされておりまして、その捕捉率、徴収上のパーセンテージ、これは九〇何%ということでたいへんいい成積になっております。ただ非世帯の分につきまして
——非世帯と申しますのは、私から御
説明するまでもなく学校とかホテルとか
会社とか船舶とかそういうものでございますが、これについての把握率、これが非常に低いということはかねてから私
ども心配をいたしておったわけでございますが、四十六年度においては特にその点をひとつ
検査上確認し、
検査の結果申し上げる改善策があれば申し上げようということでその点の
検査をいたしました。
手始めといたしまして四国の地方本部につきまして
検査をいたしたわけでございますが、私
どもが四国本部で船舶について
テレビの設置
状況、これを
調査いたしましたところ、当時、四国本部で契約いたしておりました件数が十六件。ところが私
どもが実態
調査をいたしました船舶の数が百四十六、その百四十六のうち実際に
テレビを設置いたしておった台数が百三十四ということで、たいへん船舶
関係の
テレビについての契約の捕捉漏れが多い、こういう実態が明らかになりました。
こういうようなところから、私
どものほうといたしましては
会社とかホテルとかそういうところにつきましてもさらに
調査の手を伸べようといたしたわけでございますが、この非世帯の受信の契約の問題につきましてはNHKでもかねがね非常に心配をされておられまして、私
どもの
検査と相まってその改善策を当時並行的にお立てになったということで、私
どもの
検査の結果をお示しいたしまして御努力を願いましたところが、NHKでは船舶に限らずホテル、
会社、学校等につきましてもあわせて独自の
調査を進められ、その改善策として、これもたいへん具体的な手順についての通達をお流しになった、こういうことで、これはNHKの御努力でもありますが、私
どものいたしました
検査は船舶の一部だけでございますけれ
ども、その効果があがったものではなかろうか、このように考えておるわけでございます。これが重点といたしました収入面、非世帯受信契約の問題でございます。
次に支出の面。これにつきましては例年
国内放送費関係を重点のテーマといたしております。
これも申し上げるまでもなく
国内放送費はNHKにおきます
基本的な費目でございますので、これが重点となるわけでございますが、この四十六年度の
検査におきましては私
ども多少目先を変えまして、
国内放送費の中での番組制作費、その
内容といたしましては最も具体的な大道具、小道具といったような美術
関係、そういったものまでひっくるめましてひとつ番組制作の
関係、これを見ていこうということで、これを重点にいたしまして
検査をいたしました。
話が前後いたしましたが、その具体的な
検査のために私
どもが投入いたしました実地
検査の施行の態様でございますが、私の局には八つの課がございまして、そのうちの
一つの課でNHKの
検査を担当いたしております。この課は小さな課でございまして八名の
調査官でやっておるわけですが、実は、さらにまことに残念なことには、この八名の
調査官で現在九つの団体の
検査を実施しております。というようなことで、先ほ
ども先生からの
お話がございましたが、なかなか悉皆的に
検査をするということ、特にNHKはこの課の重要な
検査対象機関と考えておりますけれ
ども、なかなか精力をすべてNHKばかりに投入するわけにはいかないというような事情もございまして、四十六年度では本部のほか六地方本部、それから一
放送局。
で本部には、特に重要ということで二回実地
検査を施行いたしております。それから地方本部でございますが、これは御案内のとおり七地方本部ございまして、そのうち中国を除く他の六地方本部の
検査を実施いたしました。施行率は八五%ということでございます。それから
放送局は六十
放送局当時ございましたが、そのうちの
一つ、これは福岡
放送局ということで、これがただいま申し上げました番組制作
関係を重点としたということと関連いたすわけでございますが、福岡
放送局におきましては自主的に番組制作をいたしておる、こういうような
関係でこの
放送局を特に選びました。
計八カ所でございまして、投入したしました人員は百九十八人日。百九十八人日という人日は、これも御
説明を要しないと思いますけれ
ども、一人の
調査官が二日参り
検査いたしますと二人日、あるいは二人の
調査官が一日
検査いたしましても二人日、こういう計算でございますが、百九十八人日の実地
検査をいたしたわけでございます。ということで番組制作の
関係、これを本部並びに地方の機関の若干ということで
検査をさしていただいたわけでございます。
そのほかに、当時としては、これも御案内のとおり代々木のセンターの工事を施行中でございます。その他地方においても各
放送局なりあるいは地方本部の局舎の
建設ということが行なわれております。というようなことで建築工事
関係、これもゆるがせにするわけにまいらないということで、支出の面では工事の
検査の面、これにも
一つの重点として精力を投入いたしました。
それからさらに、これも御案内のとおり、当時は札幌オリンピックが四十七年の二月でございましたか施行されるということで、NHKもこれに相当の
事業費をつぎ込んでおられるということでこれは札幌オリンピックの施行前にははなはだ業務多忙ということで、その円満な施行に支障を及ぼしてもいかぬというような事情もありまして、これはオリンピックの終わりました次の日でしたか、間を置かずに
検査員を差し向けたというようなことでございました。
以上が四十六年度のNHKの業務を大観いたしまして、私
どものほうでその年度の
検査の重点的な
事項ということで計画をし、またそのとおり実行をした
内容でございます。