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参考人(板野學君) それでは、私から、ただいま先生から御質問がございましたこの日中の
海底ケーブルにつきまする第一回、第二回、第三回の会合におきまする協議あるいは打ち合わせの内容につきまして御
説明を申し上げたいと思います。
すでに御
承知のように、昨年の五月、日本国の郵政省と中華人民共和国との間に
日中間海底ケーブルの
建設に関する基本的な取りきめが行なわれたわけでございます。この取りきめにおきまして、この
ケーブルを
建設することは日中間の文化、経済その他の発展のために非常に必要であるというような一つの趣旨をお互いに確認をし合われまして、そうしてこの大綱が取りきめになったわけでございますが、私どもはその取りきめの線に沿いまして、具体的な話し合いに入った次第でございます。
その一つを申し上げますと、第一には、一体、どういう容量の
ケーブルを日中間に敷いたらいいか、こういうような点でございまして、将来の
両国間の
通信の
需要あるいは
第三国にまいります
通信の
需要等いろいろと考えまして、四キロヘルツ、四百八十チャンネルの容量の
ケーブルを敷こうということに結果としてきまったわけでございます。
それから二点は、
ケーブル区間でございまするけれども、この
ケーブル区間につきましては、先ほど
社長からも
説明がありましたように、日本のほうは種々の検討の結果熊本県の苓北町、それから中国側におきましては上海市南匯県ということに決定をしたわけでございます。
それから第三番目は、
ケーブルの性能でございまするけれども、この
ケーブルは電信
電話、ファクシミリ、
データ通信等のいわゆるそういう電気的信号が送れるような、そういう性能のものにしましょう、こういう点でございます。
第四点は用途の問題でございますが、どういう用途に使うか、これも先ほど申し上げましたように、これは日中間に用いられるということはもちろんでございまするけれども、日本あるいは上海を通じまして
第三国にも
ケーブルが利用される、こういう点につきましての
合意をいたしたわけでございます。
それから第五点は
建設の責任という点でございますが、
建設する場合に、どういう責任分担においてこれを
建設するか、こういう問題でございまするが、お互いに陸揚げ局は上海それから熊本におのおの陸揚げ局を持つわけでございますが、その土地、建物、電力
設備、こういうものはそれぞれの責任においてひとつ
建設いたしましょう。それ以外のいわゆる共同で使う
ケーブル部分あるいは等化器、
中継器、こういうものにつきましては共同の責任をもって
建設に当たる、こういうことをきめたわけでございます。
第六番目は
建設費の分担でございまするが、これも
建設の責任の方法、いわゆる陸揚げ局の土地、建物、電力
設備等それぞれが単独に負担をいたしまして、共同の分いわゆる
海底ケーブルとか
中継器あるいは端局
設備、等化器、こういうものにつきましてはそれぞれ両当事者が折半をして分担をしましよう、半々で分担、こういうことを議論し、きめたわけでございます。
それから第七番目は完成の
予定期日でございますが、これはすでに郵政省と、中国のその当時の電信総局、ただいま郵電部でございますが、それとの間に、大体
昭和五十一年内にこれを完成するという目標でいこうという内々のお話でございましたけれども、これをさらに確認をいたしまして、それまでに完成するように
努力をいたします、こういうことをいろいろな観点から議論をいたしましてきめたわけでございます。
それから次に、八番目は
資産の所有の
関係でございますが、共同
建設の部分の
資産は、両当事者が共同の分と先ほど申し上げましたような中間にある
ケーブルとか
中継器、等化器、端局施設、そういうものにつきましては、おのおのが不可分で均等の持ち分を持ちます、分けることのできない均等の持ち分を持つようにいたしましょう、こういう点でございます。こういう点につきましても、最初は、日本海
ケーブル方式であるいは中間地点とか三分の一地点とかと地点を区切ってそれの
範囲内においておのおの所有をする、
資産を持つとかいうような議論もなされました。しかし
最後は、
太平洋ケーブルと同じように、これは共同の均等の持ち分にする、こういうふうに決定いたしたわけでございます。
それから、どういうふうに
回線を使用するか、こういうことでございますが、御案内のように中国とは衛星
回線もございます。また
第三国との
通信もございますけれども、それらは随時そのつど協議によってこれをきめていきましょう。
それから十番目は保守の責任でございまするが、
ケーブルが完成をした暁におきましては保守の区間ですね、どういうように保守をするか。これは先ほども申し上げました陸揚げ局等の場所につきましては、おのおのが単独で責任を持ってやる。共同の部分につきましては、その中点を割りまして、中点から北側は日本、南側は中国、このような方法で保守の責任を負います、こういうことをきめたわけでございます。
それから十一番目は保守費の分担でございまするが、保守費も共同の部分は折半をして分担をします。それから単独で所有するものは単独の自分のほうでおのおの保守費を持って保守をする、こういうことでございます。
それから十二番目は協定の有効期間でございますが、これは
太平洋ケーブルと同じように二十五年の有効期間でやる。
さらにそのほか、
ケーブルの海底
調査の問題、
ケーブルの設計の問題、それから今度は実際の
ケーブル、
中継器等、これに要するいろいろな施設の購入のしかた、それから経費の支払いの方法、それからまた次のいろいろな専門家会議なりあるいは第四回の会談等につきましての打ち合わせ等もいろいろ検討したわけでございます。
それから第三回の会議を、先ほどお話がありましたように、北京でやりまして、先ほど申し上げました内容の点につきまして
建設保守協定というものの大体の大綱をきめまして、これに対する仮調印をいたしたわけでございますが、さらにこれから本調印が行なわれる。それからそのほかに
ケーブルに関する情報の開示のための協定というものもすでにこの三月に締結をいたしております。そういう問題の討議、それから中国側におきましては、日中
ケーブルの
建設保守と言っておりますけれども、そのための
ケーブル船を一隻つくりたい、こういうことでございまするので、それに対する
KDD側の協力をどうしてするかというような問題もこの間に討議をされたわけでございます。
以上でございますが、
お答えを申し上げます。