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森勝治君 どうも事
総理のことになると、あなたとは覚えないような歯切れが悪いですね、失敬でありますが。
NHKが佐藤内閣のときに、四十七年の一月十八日に、あまりにも不評判だということで
NHKが進んで打ち切ったんじゃないですか、そうでしょう。なかなか
総理が当時うんと言わなかったんでしょう。だけど視聴率二%にダウンしちゃどうにもなりゃしませんというので
NHKがみずから取り下げたものを、なぜ今日評判の悪い、失敬でありますが、佐藤さんに輪をかけたような評判の悪さの人にこれをあなたのほうから持ちかけたとは何事ですか。世評では
政府から押しつけたということになっています。あなたの話だと、何か両方からランデブーしたような話だし、さっぱり要領を得ない。あなたの
立場をもってすれば、なるほどその辺は明快に言えないかもしらぬ。しかし、この辺は
国民が聞きたいところなんですよ、
小野さん、いいですか、一体どこから持ちかけたんだろうと。
評判がよいならいいです。ゆうべのをごらんになりましたか。まさにあれでは
総理のうっぷん晴らしじゃないですか。ゆうべはそれでも慶応の教授の方が、それはこうじゃないですかなどと盛んに言ってくださっておるけれ
ども、その前なんかどうですか、
松岡君が
指摘したとおりじゃないですか。まさにこれじゃ評判が悪くなったのはなぜだか考えてみてください、佐藤内閣のときに。ごますりばかりが集まって、評判の悪い佐藤のごきげんばかりを損じまいと、それから
国民があきれ果ててそっぽを向いてしまったんじゃないですか。だから
NHKがおやめくださいということでやめてもらったんじゃないですか。
いまの談話を見てくださいよ。
坂本さんは何かおとといの
質問では、
総理大臣としておやりになるんですから、自民党の総裁としてやってないんだからいいでしょうと言っている。ところがどうです、おとといあなたはそういう
答弁をしているけれ
ども、ゆうべの
田中総理の談話、
発言は何ですか。私は
総理大臣であるけれ
ども、自民党の総裁としてと言ってしゃべっているんですよ。たとえば臨時所得税について、いま国会で議論されている問題について、いままで配当ももらわないやつをそういうところから取るのは無理だと思うと言っているのですよ。ところがその自民党が、野党のわれわれには、そういうのも含めて取りますといって提案してきて一致したものでも、そういうふうに
総理は変なことを言っているんですよ。クレームをつけたとしか思えないでしょう。あれは
総理と語るじゃないですよ、
総理放言ですよ、
総理が語るですよ。外国の例を見なさい。
総理にさせるなとは言わない。しかし一国の
総理とあろう者は、たとえば昨夜の場合には春闘で組合側は何だと、公労協は親方日の丸だと言って、何やってもいいんだと言って、あたかも侮辱するような言辞を用いている。
総理は一国の宰相でしょう、公労協の
諸君の上司でしょう。その人が自分が使っている職員を侮辱するようなことは、外国じゃそういうことはないんじゃないですか。それで
国民の期待をになう
総理大臣だと言ってうそぶけますか。国会できめた方針とか、そういうものを
国民の理解を求めるために
総理が
発言してくださるならまだしも、野党攻撃であり労働組合攻撃であり唯我独尊的な
発言では、これはもう世間が許しませんと私は断言したい。
それでもこれを続ける気なのですか。まさにこれは偏向番組じゃないですか。もし
総理にああいうことをどんどん放言させ言いたいほうだいをさせるならば、うっぷん晴らしをさせるような番組ならば、
総理がしゃべった問題について、あるいは
世界観の問題、経済対策の問題、政治の理念の問題について、反対する
国民の意向を代弁する者を出させなければ、中正、公正であるべき
NHKの使命は全うされません。このことは
会長に声を大にして私は申し上げたい。
総理にしゃべらせるなら、野党の
委員長や、そういう野党の代表を出さしてくれなければ片手落ちじゃないですか。それで
国民に期待される
NHKなんて言ったってちゃんちゃらおかしいですよ。
ゆうべの九時半からのを見てください。ビデオとっておるでしょう、官邸でとったやつですから。私が言うのはけしからぬと
皆さんがお思いなら、
協会の本部にお帰りになって
皆さんで、幹部であの放映されたのをもう一ぺん映して見てください。それでもわれわれは黙って
総理の放談を金を払いながら聞かなきゃならぬのですか。これから国会できまるような問題について野党をけなしているんじゃないですか、労働組合をけなしておるんじゃないですか。何か一時間幾らで買ったとするならば、PR用で自党が買ったというのなら何をか言わんやです。番組の切り売りは
NHKはしないことをもって旨とするんですから、
会長、まことにこれは困ります。
たとえば、ゆうべの話の中で、弱い者を助けろと野党の
諸君は言っている、したがって身体の不自由な方々の年金等もふやせと野党は言っているんだが、と言いながら、またべらべらと自分のかってなことを言っているんですよね。
一つのことがある意図のもとに
発言されれば、当然
世界観や人生観が違った処世訓を持っている方々から反撃を受けるのは当然でしょう。
NHKといえ
ども、いかに
総理の押しつけといいながら、
総理にああいうことを今後ともしゃべらしておけばごうごうたる非難が
国民の中から渦を巻いてわき起こってくることは明らかだということは想像がつくでしょう。そう思いませんか、
会長。だから、あなた方がこの問題を今後もお続けになるなら、
総理が語った命題について題目について、野党のわれわれに反撃の機会を与えてください、われわれ野党にもチャンネルを提供してください、公平に。それでなければ片手落ちです。われわれの
立場からいたしますならば、もちろん
総理とは
考え方が
違いますから、
考え方の違うわれわれの
立場からいたしますれば、ああいう独善的なうっぷん晴らしのようなことをされたんでは、金を払って
NHKを見る気持ちは毛頭起きませんよ、こんなのは、ばかばかしくて。
だから私は
冒頭に申し上げた。最近の
NHKは
経営委員の
任命にいたしましても、中正、公正であるべき経済
委員がある特定の政党のために長い間資金調達の
中心をなしていたということ、反対の
立場の人がそれを聞いたら快くその人を
経営委員として迎えることができるでありましょうか、迎えられない、気持を悪くするのは常識でしょう。
NHKの人事にしてもまたしかりでしょう。どうしてそういうふうなことをやるのです。だから私は
質問の過程で申し上げた。大黒柱をうしろにしょってあぐらをかいておると、やがて
民放に追い越されますぞと私は警告を発したのです。
この問題は、私もあまり時間がありませんから、あまり深くは語れません。ほんとうなら、この問題については重大な問題でありますから、四十九
年度の
予算の
冒頭に私はやるべきだったかもしれません。しかし何といっても
予算案の成立時期でありまして、もうあしたとあさってしかありません、
委員会ではきょうが最後ということになりますから、定例日はありませんから、やむを得ず私は
予算案から入りました。
国民が
NHKのほうに向いて一番関心をそそり不快感を持つのは、この
総理独演会であります。これをけっこうだ、けっこうだと
担当局長は言っておるが、あなたは一体これを見ておられるのか、失敬でありますが、それを聞きたい。
それから、おとといのこの問題についての
担当局長の
答弁は、行政の責任者の声を
国民に伝えるのは公共
放送の使命だ、
放送法上も問題はない、こういう意味のことを言っておるわけです。先ほ
ども申し上げたように、なるほど
総理は一国の宰相でありますから、行
政府の最高責任者でありましょう、と同時に自民党の総裁であります。だから、あなたが
松岡君に
お答えになったのとは違うのですよ。
総理大臣だけれ
ども、自民党の総裁としてというわざわざ注釈をつけて
発言をされておるんです。
総理大臣の
発言ならよろしい、自民党の総裁がすりゃ困るとあなたは
答弁したつもりだけれ
ども、中身はそうじゃないんです。時間がないから、私はかいつまんでこういう問題を申し上げているわけだが、これで
NHKを
批判するな、
国民よついてこい、黙って払い込め、ちゃんちゃらおかしいと言いたい。
かつて私が聴視料不払いの動きがありましたときに、数年前でございました、この
委員会で副
会長であります
小野さん、あなたに申し上げたことがあるんです、御記憶でありましょう、私がたたみかけたのですから。この動きがやがて燎原の火のごとく燃え広がらないとは限らぬから手を打ちなさいと申し上げたときに、あなたは動きはわずかですから御心配に及びませんと
お答えになった。そこで私は重ねて申し上げた。
小野さん、あなたは楽観をしているけれ
ども、いまにそんなことを言っている時期じゃなくなりますぞと、お気をつけなさいと警告を発したことがあります。記憶まだ私は明らかであります。そのときはもう来たんです。なるほど、あなたがたは少数派だと言うでしょう、言うけれ
ども、不払い同盟という団体もできてきたんです。
NHKはそんなことを言って
総理のちょうちん持ちばかりをしていると、そういう方々のみならず、ばかばかしくなって
NHKのチャンネルを切りかえて
民放のほうがいいわということになってしまう。
民放のように
総理の出演の場合に、PRのように金を出してもらってスポンサーになるならば、あああれはどこそこの会社でやっているから、だれそれがここを買って自分の金で出しているんだと、見るほうだって
承知して見ますよ。しかし一国の宰相として
発言するからには、もう少し
NHKといえ
ども考えてもらわなければ困るんですよ。
総理といえ
ども、
考え方の違うのがたくさん
国民におるんですから、そうでしょう、自分が金を払っているそのチャンネルで反対の意見をどんどん押しつけられちゃ困るんです。だからそういうときには、おやりになるなと言いませんけれ
ども、反対意見の者も登場さしてくださいと申し上げているんですよ。アメリカではそうやってるじゃないですか。
私は全く最近の
NHKというのは歯がゆいし、昨夜も公労協の
諸君を
田中総理は親方日の丸の連中だという
表現を用いましたが、私はそのことばをあなた方に申し上げたい気持ちがやまやまだ、しかし、きょうは若干教養がじゃまさせて、そういうはしたないことは申し上げません。
しかし、言いたい。こういうことについては、失敬でありますが、先ほどおられました新谷さんも、いつかそういうことで苦言を呈しておられたことがあります。佐藤
総理時代に世の指弾を買って、不信を買ってだれもチャンネルを見向きもしなくなった。たまりかねて
NHKがみずから打ち切っておいてだ、
田中さんがいかに
テレビ好きだからといったって、痛々しい限りで見ちゃいられないですよ、まだ病中ですから口がへの字に曲がっている姿、口はなおさぬでもよろしいけれ
ども経済だけは早く直してくざさいと、
国民の中には言う人もあるでしょう。私も言いたいけれ
ども、あまり言うといけませんから言いません。どうかひとつ
会長、この辺で考えてもらいたい。
それから郵政大臣に一言。最近の郵政省は事あらば
NHKに容喙をしたいという姿勢を持っているように思う。たとえば私が先ほど触れました財団の問題にいたしましても、何とかして
NHKの
発言権をこの中で爆発させたいという願いをお持ちのようだ。だから私はあの点については
NHKに
質問しただけで、監督官庁であります郵政省には
質問をしなかった。もう小林武治大臣でこりごりですよ、
皆さん、私もそうだ。あんなに干渉し、傍若無人で、かって気ままなことをやった大臣で、もうたくさんです。どうかひとつ、あまり郵政省は
NHKに干渉をすることなく、公正を旨とする
NHKの
運営ができるように、そういう面から指導してもらいたい。
このことについては時間を急ぐあまり、私は少し時間を多く取り過ぎた
模様であります。
一つ一つかいつまんで
質問をしたいと思ったんですが、時間がありませんから、ある程度しゃべってみたわけです。したがって前段は
NHKの
会長から、後段は郵政大臣から
お答えいただきたい。