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1974-03-28 第72回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員の異動  三月二十八日     辞任         補欠選任      山田 徹一君     塩出 啓典君      小笠原貞子君     野坂 参三君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         川村 清一君     理 事                 今泉 正二君                 植竹 春彦君                 古池 信三君                 横川 正市君     委 員                 迫水 久常君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松岡 克由君                 松本 賢一君                 森  勝治君                 塩出 啓典君                 木島 則夫君                 小笠原貞子君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  原田  憲君    政府委員        郵政政務次官  三ッ林弥太郎君        郵政大臣官房長  神山 文男君        郵政省電波監理        局長       齋藤 義郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        郵政省電波監理        局放送部長    河野  弘君    参考人        日本放送協会会        長        小野 吉郎君        日本放送協会副        会長       藤根井和夫君        日本放送協会専        務理事      藤島 克己君        日本放送協会専        務理事      松浦 隼雄君        日本放送協会専        務理事      野村 忠夫君        日本放送協会専        務理事      吉田 行範君        日本放送協会専        務理事      坂本 朝一君        日本放送協会専        務理事      斎藤  清君        日本放送協会理        事        山本  博君        日本放送協会理        事        川原 正人君        日本放送協会経        理局長      堀場 仁徳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  前回に引き続き、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 森勝治

    森勝治君 これから約三時間、NHK予算案について質問をしてみたいと思うのです。  一つだけ、予算案の内容とかけ離れた問題をお伺いしてみたいと思うのです。  毎日、午後六時になりますと「こどもニュース」ということで、七色のにじのアーチのもとにずっと画面が展開されるものがありますが、その際、アナウンサーが「こんにちは皆さん」と、こうやるんですね。はて、こんにちは皆さんという表現とするならば、太陽の光がまだ地上から没せざるうちの表現がこんにちはではないかと素朴な私の頭で推理をしたのでありますが、一、二回は私はこれは間違いではないか、こう思ったんでありますが、連日お続けになっておる模様であります。  実は、かつて「お早うニッポン」というのと「こんにちは奥さん」というんで、NHKが「こんにちは奥さん」、他の民放が「お早うニッポン」というときに、当時鈴木アナ担当であったでありましょうが、午前九時半に「こんにちは奥さん」というタイトルで出しものをされたときも、数年前、こんにちはというのは少なくとも午前十時以降ではなかろうかということで質問をしたことがまだ記憶新たでありますが、そのときの皆さん方NHK側の回答というのは、私をもって言わしむるならば、場当たり的な答弁で、その場しのぎでございました。  あのときも私はきびしく申し上げたつもりでありますから、今度は、おはようのかわりにこんばんわというこの表現の使い方について、私はまたここでこういう時間を費やすとは夢にも考えておりませんでした。しかし現実に連日そうであります。  おとなならば、たとえば芸能人が出てくると夕方でも「おはよう」と、こう言いますから、おとな世界ではそれが一つの形で通用するでありましょうが、子供の場合にはまともにこれを受ける。ある家庭の主婦いわく、子供とこの点で議論をした。日が暮れて、たとえば十二月、冬至ごろはもう午後四時三十分ごろは暗くなる。ちょうど五時ごろの話だそうでありますが、早くおふろに入りなさい、夜になったじゃないかと言ったら、おかあさん、何言っているの、テレビで六時に「こんにちは」と言っているから、おかあさんはだめですと、こう言われた。このテレビが教える、子供に思い込ませる錯覚というのは全くおそろしいといって私に告げられたおかあさんがおるわけです。  私は、そのときは、これは何かアナウンサーの時の間違いだと思ってさりげなく聞き過ごしたのでありますが、ついせんだって両三日にわたってこの耳ではっきり聞きました。田中さんは口が曲がった模様でありますが、私の耳はまだしっかりしておりますから、一度ならず両三度にわたって聞いたわけでありますから、私の見違い、聞き違いではないと思うのでありますので、一体、こういう点をややもするとなおざりにする傾向があるのじゃないか。私なんかもそういうことがありますね、長い問聞きなれると、違ったことをさも——たとえばいま言ったように夜だから「こんばんは」と言っているような錯覚を持ちがちであります。  さて、午後六時のときに太陽が当たるのは、三月はどこかと考えてみたら、あまりないのですね。ほとんどもう六時になると暗くなります。この点、私がいっか用語等について質問いたしましたら、当時の担当局長NHK用語集なんて、こんな分厚い辞書らしいものを持ってきて、おまえさん勉強せいということで持ってきてくださったのだと思うのですが、その中にも、周囲が暗くなって人の顔形もさだかにならない、いわばやみになりかけたときも「こんにちは」と言いなさいというふうには書いてない。これは皮肉を言って恐縮でありますが、この点を明確にしてもらわないと困ると思うのです。  これは「こんにちは」「こんばんわ」というささやかな一つのことば、あるいはささやきかもしれませんが、このことが子供世界に与える影響というものははかりしれない、親子げんかがそれで起こるわけですからね。特にNHKは信頼されておりますから、学校教育を受けた小学生がおかあさんの言うことよりも先生の言うことを正しいと信じ込むと同じように、テレビで言っているじゃないか、毎日言っているじゃないかと言ったら、おかあさんのほうが、はて私が間違っているのかしらと小首をかしげざるを得なかったというのですね。これでは私はNHKの態度、立場としても改めてもらわなければならぬような気がしておりますので、この予算案質問冒頭にそのことをあえて出したわけですから、この点ひとつNHK考え方を聞かしていただいて、もし直さなければならぬものならば、ぜひともひとつ改めていただきたい。
  4. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) たいへんこまかなところまで御聴視いただき御指摘いただきまして、たいへん恐縮いたしておる次第でございます。  ただ、この際、先生お話の中で私どもとの間に多少の行き違いがあろうかと思うのでございますけれども、おっしゃるように、ただいまは六時の子供ニュースで「こんにちは」と冒頭のあいさつをいたしておりますが、これは日本は非常に南北に長い列島でございまして、日照時間、日の暮れる時間等がかなり北と沖繩の南までまいりますと幅がございまして、大体二時間前後の幅があるものでございますから、春分から秋分までの間は、六時のニュースの頭で「こんにちは」という呼びかけをいたしております。それから日暮れが早くなります秋分から春分までは、逆に「こんばんは」という呼びかけを実施いたしておるわけでございます。  先生の御指摘の冬の時間にそういう発言があって、親子の間でいさかいがあったという御指摘をいただいてたいへん恐縮いたしておるのでございますが、もしその場合に「こんにちは」と言ったとすれば、それは私ども定めにはずれて誤って発言したのではないかと思って、この際おわび申し上げますけれども協会のほうの定めといたしましては、いまの日本状況から、春分から秋分まで「こんにちは」という言い方をお許しいただき、秋分から春分までは「こんばんは」というやり方をいたしておるのでございます。  これにつきましては、御承知かと思いますけれども、私どものほうに放送用語調査委員会というのがございまして、それに諮問をしてきめれば一つ客観性が出るかと思いますが、この言い方そのものはまだ放送用語委員会の決定は経ておりませんけれども放送用語委員会でインフォーマルに話題にしていただいたときは、一応、いまの段階ではそういう考え方でもよいのではないだろうかということで実施いたしておりますので、もし御理解いただければそういうことでお許しいただきたいと思いますが、なお、この席での御指摘でもございますから、もう一度正式に用語委員会にかけて検討してもらうということも必要かと思いますので、その点はひとつ御了解いただきたいというふうに思う次第でございます。
  5. 森勝治

    森勝治君 おそらく今晩もおやりでしょうね。ですから去年のことはいざ知らず、昭和四十九年のこの三月、たとえば三月二十八日のこよい、午後六時、太陽の光が日本国土のどこにそそいで、日本のどこで午後六時に「こんにちは」と言うところがありますか、この点お伺いしたい。げすな発言で恐縮ですが。
  6. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) まことに不勉強で申しわけありませんけれども、具体的にどこでという御指摘をいただきますと私も十分知識がないんでございますけれども、統計的に申しますと南のほうはまだ日が暮れてないという実態のようでございます。
  7. 森勝治

    森勝治君 あなたの言う南のほうというのは沖繩のほうでしょう。ところが放送中心は、大体、NHKは、失敬ですが、関東エリア中心でものさしをはかっているんでしょう、そうじゃないですか。  あなたのお答えの苦衷のほどもわからぬでもないけれども、なぜ率直にお認め願わないんですか、そこがNHKのちょっと高ぶったところなんですよ。一昨日の松岡君の発言にも、失敬でありますが、何となくまともなお答えをされないような気がしたのです。私はこれからも松岡君の一昨日の発言に関係した問題について一、二質問してみたいと思うのだが、なぜNHKはもっと謙虚にならないのですか。  NHK運営の中でそうやってアナウンサー発言させるとあなたが明言しているからには、いま発言しているのですから、ゆうべもやりおとといもやったのですから、今晩もやるであろうから、それなら日本国じゅうどこが午後六時に「こんにちは」と言って通用するところがあるかと聞いたら、わからぬと言うんだ。わからぬものなら、御指摘はごもっともだと思うからぜひ検討さしてくださいと、前のごたごたなんか言わんで、われわれマンネリになったからついうっかりしました、御指摘があったから気をつけますと、なぜこう率直に言ってくださらぬのですか。こういう点で私はNHKが気にくわない。いつもそうだ、きょうの答弁が済めばいい、そういうことではいかぬですよ。民放諸君はそんなこと言いませんよ、悪かったらすぐ直しますよ。民放諸君のほうがよっぽど謙虚だ、私はそういう答弁はいただけない。
  8. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私のお答えがもし不遜であるということであれば、その点はおわびいたしますけれども、そういう趣旨ではございませんで、そういう定めに従ってやっておるという事情を御説明申し上げたわけでございます。  最初に申し上げましたように、非常にこまかいところまで御聴視いただいての御指摘でございまして、その点は感謝いたしておるわけでございますから、私どものほうの中の用語調査委員会等にはかって、もし改める必要があるとすれば改めさしていただきたいというふうに思いますので御了解いただきたいというふうに思う次第でございます。
  9. 森勝治

    森勝治君 改めなければならないとすればじゃないでしょう。午後六時に太陽がわが日本国土を照らしているところはどこだと、三月の二十八日にだ、「こんにちは」と言える午後六時の段階日本国土のどこですかと聞いているんですよ。なぜすなおになってくれないんですか。それはわからぬと言うのでしょう、どこだかわからぬと言うのでしょう。だから、わからぬでそういうのをきめているということは惰性でおやりになっていると私は指摘しておるんですよ、いいですか。  このことばかりやったのじゃ三時間——ほかにもたくさんあるんですから、私はそういうのをさがすのがうまいほうですからたくさんありますので、きょうは私はそれを質問するのが趣旨でないのです。  私がなぜこの問題を出したかというと、皆さん方にはささやかでしょう「こんにちは」というたった五字にすぎないのですから。午後六時になって日本国土が薄暗くなりかけても「こんにちは」と言って、それがNHKの内部で批判もできない、批判をすれば何だか知らぬが変なことになりかねないというこのNHK体質というものに対して、私は、午後六時はそろそろ鳥なんかみんなねぐらに帰っちゃう、その午後六時に、人々がねぐらに帰ろうというときに、目をさましてくださいと申し上げているのですよ、いいですか、おわかりですか、私の言わんとするところ、体質を少し変えてくださいと。  あなた方の長年の放送事業の中には、われわれがおかしいなと指摘することで、あなた方が思い込んでいて気のつかないたくさんの問題があるんですよ。だから、この際私がそういう用語で簡単な指摘をいたしましたが、こればかりでなく、そのほかにもたくさんおありですから、そういうことにもひとつお気づきになって目をさましていただきたいとお願いしたいから私は申し上げたのです。しかし、このごとはこれ以上議論するのが趣旨でありませんから、皆さん考え方をひとつ改めていただくようにして、いわば総ざらいとは申しませんが、皆さんマンネリになって、その渦中に没入してしまうと案外気がつかないものがおありですから、もう少し周囲を見回してくださいというお願いをいたしまして、私は本題に入ります。  御承知のように、大蔵大臣狂乱物価という表現を用いるほど、国の台所を預かる大蔵大臣でさえこの現実インフレ高騰を認めざるを得ない。田中総理はなかなか口が曲がってもインフレだとは認めないこの点はわれわれと総理とは見解を異にするんでありますが、このように物価高騰の中で今後三年間受信料を値上げしない、いわゆる据え置きという公約をし、これを履行して、いわばおしなべて物価を値上げし料金を値上げするときに、NHKだけは、当面、しないというお約束があるからしないと先般の御答弁でもおっしゃっておられた模様でありますが、私は、そこで、この予算編成するNHK皆さんがこの物価高騰の中で四十九年度予算編成をされたその御苦心のほどはお察し申し上げたい。だからといって、ああそれでよいんですということではないのです、喜ばれるとちょっと早いですからね。御苦心のほどはわかります。  何といっても、石油の問題一つとりましても、つくられたインフレ、つくられた物価高という印象はぬぐい切れない。ですから、そういう昨今の経済事情の中で国民生活を守るというNHKの果たす役割りというものは非常に大きくなってきているのではないか。いわゆる世論を形成しあるいは指導するという分野からするならば、従来よりもなおかつNHKというものの重要性というものは今日では増大してきたと私は思うのです。ところがこのNHKを取り巻く環境というものは必ずしも楽観ができない。  失敬でありますが、この前も私は申し上げた、攻めの前田だと、今度は小野さん、あなたですから守りの小野ですと、こう申し上げた。今日、NHKに寄する批判は非常にきびしくなりました。しかし新会長小野さんのこの重厚な、いわばじみと申しますか、失敬でありますが、あなたの人柄はこういうときには最も打ってつけですね。乃公出でずんばといって進んで声を大にして自己顕示をするには、前田さんはまさに武将の器でさっそうたるものですから、ふさわしいでしょう。しかし退いてわが城を守るというにはまさに小野さんは打ってつけで、この点は田中さんもなかなか会長任命がうまかった。これだけは私は田中総理共通点があります。ほかのことはもうまっこうから反対でありますが、こういうときに小野さんをNHK会長に据えたのは適材適任だと思うのです。大体、経営委員からして政府が持ってくるのは、われわれから見たら、この間だっていやだと言って私なんかも異論を差しはさんだところでありますが、小野さんだけは今度のこの狂欄怒濤さか巻く経済界、特にNHKの難局に対処してくださって名会長ぶりを発揮してくださるものと私は考えています。  そういう点では会長としては御期待申し上げるんであるわけでありますけれども、どうも最近NHK政府寄りだ、自民党寄りだという声が非常に多くなりました。私もそんな気がするんです、私も、率直に申し上げると。何となくそんな気がする。「総理と語る」ということからいたしましても経営委員任命傾向からいたしましても、あるいはまた個々の番組の編成等にいたしましても、そんな気がいたします。しかし私はここであまり——いま「こんにちは」というのは午後六時までか午後五時半までかというやぼな発言をいたしましたが、そういう小さい問題をここで次から次へと出そうとは思いません。しかしどうも政府寄り自民党寄りの気がしてならぬ。  特に田中さんはテレビが大好きの方であります。池田さんのときから始めたこの「総理と語る」というのは佐藤さんのところで不評さくさくたるものがあってやめちゃったんですからね。当時は前田会長がどうですかと言って政府に持ちかけた、今度は総理のほうから小野さんに昔のよしみで復活せいと言ったのかどうか知らぬが、総理のほうから持ちかけたと、こう聞いております。このことについてもあとでNHKにおける「総理と語る」という問題について私はもっと具体的に触れてみたいと思うんです、いまは総体的に申し上げているわけですから。  ですから、どうかNHKの創立した趣旨にぜひとも戻っていただきたい。路線はごうまつも変更しないというお答えになるでありましょうが、私どもはややもすればそういう疑念にかられがちでありますから、私どもをしてそういう疑念を差しはさむことのないように運営を厳たるものにしていただきたい、これはぜひともお願いをしておきたいと思うのであります。  そこで具体的な問題に入りますが、本年度予算審議にあたりまして旧放送会館の売却で御承知のように三年間の受信料据え置き、こういうことでございましたが、経済情勢の急激な変化に伴って経営構想の修正をせざるを得ないという線を打ち出しておりましたね。そこで私は昭和四十五年度決算審議の際にも、しからばその構想見直し等についていかん、どうだということを質問申し上げましたところ、小野会長は目下作業中でありまして、明年度予算、つまり昭和四十九年度予算編成までには見直しの成果を得たい、こういうふうにお答えのように記録では相なっております。  しかし今度出されましたこの四十九年度予算案等を見ましても、会長はそう明確に明快におっしゃっておられるにもかかわらず、どこに基本を置いたのか、どこにそういう私に対するお答えというものを織り込まれておられるのか、私はこの点がどうもわからないんです。ですから、この点ひとつお答えをいただきたい、明確にしていただきたい。
  10. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ただいま御指摘決算審議の際にあたりまして、将来の三年間の構想ぐらいは見直してみたい、こういうことを申し上げたことはそのとおりでございます。しかも非常に困難な作業ではあると思う、こういうことも申しておりますけれども、何にいたしましても三年間のいわゆる将来構想なるものを固めまして、それによって四十九年度予算に取り組みたいと、当時まだ石油危機はありませんでしたが、NHK経営の行く末についてはかなり心配なものがありました。  そういうような面から、そういった状況にありながら三年間値上げをしない、こういう公約を守っていきますためには在来の路線に何がしかの変更を加えざるを得ないであろう、そういう変更を織りまぜた三年間の見通しぐらいは早く持ちたいということで作業を命じ、事実、そのような作業も続けてまいったのでありますけれども、その後、石油危機に伴う非常な事情の激変が生じ、またそういうことにまつわる物価問題、金利問題等に当時予想もしなかったような大幅な変化が生じてまいりました。そういうような状況下におきまして将来構想を打ち立てますことはなかなか至難であるということが明確になりましたので、残念ながら、これは先に延ばしまして、いましばらく諸情勢が察知できるような段階になるときまで延ばすということにいたしまして、さしあたり四十九年度予算はできるだけ均衡予算に近づけるような努力をすることをモットーといたしまして編成をいたしたようなわけでございます。決算審議の際に私が申し上げましたそのとおりにならなかったことはまことに遺憾千万でございます。深くおわびを申し上げますけれども、そういう事情でございますので、この四十九年度予算が御承認になりました暁におきましては、早急に将来の構想を打ち立ててみたい、かように考えております。  どうやら石油危機に関係する一連の変化状況も見きわめがつきましたし、また今後の情勢はいろいろまだ予測しがたいものがありましょうけれども政府におきましても、また国会の各党におかれましても、この物価問題は現下の最優先事項としていろんな進言をされてもおります。そういう状況から見まして、一応、そういった面をある程度構想するものと予定をいたしましての作業は可能であろうと思いますので、この予算承認の直後、将来構想についてはさっそく取りかかってまいりたい、かように考えます。
  11. 森勝治

    森勝治君 いまもおっしゃいましたように、確かに朝鮮動乱を上回るというインフレ経済情勢のもとでは長期計画長期構想というものを修正せざるを得ないと思うのですが、その辺がNHKの心を砕かれるところだと思うのでありまして、その点はわかるわけでありますが、しかしNHK放送というものが国民日常生活に大きな役割りを果たしておりますことは会長みずからお認めになっておられるとおりでありますから、そういう重大な役割りを果たしておるというNHK立場からいたしますならば、当然、長期事業計画というものを早く国民に示していただかなければならぬと思うのです。  いまのお話ですと、四十九年度予算案が通れば、その後直ちに作業にかかる、こういうお話と承ったわけでありますが、どうかひとつできるだけ早い時期に長期的計画を発表してもらいたいと思うのです。いま作業にかかるという御発言がありましたが、それではいつごろ発表できるか、この点ひとつお聞かせをいただきたい。
  12. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 将来の趨勢を考えますと、五十年度予算編成はたいへんな事態であろうと思います。そういうような面から申しまして五十年度以降の予算の関係につきましては、御承知のとおり、現下の状況の中でNHKの使命が逆に倍加しておることはそのとおりでございます。その使命を果たしますためにはサービスの低下を心がけるべきではないのでありまして、サービスは非常に増強をしながらも、いろいろ経営のすみずみにまでわたって在来の状況を再検討いたし、それによってできるだけ均衡に近いもの、あるいは赤字がやむを得ないとしても最小限度にとどめるような努力をしなければならないと思います。  そういうことで五十年度予算編成にはそういった長期展望が絶対に必要であろうと思うのでありますので、いかに情勢変化のさなかにおいてむずかしいとはいえ、そういう状況変化の中でこそ長期展望が必要であろうと思いますので、五十年度予算編成の直前ぐらいまでには作業を完了いたしたい、かように考えております。
  13. 森勝治

    森勝治君 それでは昨年提出されております「四十八年から五十年度における経営の基本構想」これによりますと、四十九年度の事業収入は千二百七十八億円、五十年度は千三百六十七億円と推計されております。そうしてこの中では事業安定化資金の三十五億円をどのように案分しておるかということはさだかでありませんが、かりに四十九年度に十億円、五十年度に二十億円とした場合に、四十九年度の経常収入の増加額は八十億、伸び率は六・七%、五十年度は七十四億、伸び率が五・八%と、こうなります。ところが四十九年度の本予算の見積もりでは増加額は七十二億二千万円、伸び率が六・一%ということになります。しかし実際には長期借り入れ金の未返済八十七億円の利息が約六億三千万円含まれておりますから、これがないとすると六十六億円、伸び率が五・六%にすぎないのでありますから相当低い数字となってまいります。もちろんこれはあくまでも推算でありますが、経常収入の伸び率の低下ということは明らかになってくるわけであります。  収入が計画を下回るという、こうした情勢というものについてNHKはどう考えておられるのか、どう対処されようとしておるのか、この点ひとつお答えをいただきたい。
  14. 山本博

    参考人(山本博君) ただいま御指摘になりました見通しの数字はそのとおりでございまして、昨年の三月に提出をいたしました時期においての見通しは今回の収支予算の見通しよりも若干上回っておったのでございます。これはただいま会長からも答えがございましたが、その後の変動というものが相当激しい状態でございましたので、その当時の見通しに沿って収支予算の計画を立てるということがきわめて困難になりました。勢い、いろいろなその後の事情を勘案いたしまして、収支予算を組む段階におきましては当時の見通しと違った、下回った数字ということになったのは残念でございますが、事実でございます。  で、この傾向は、実は、四十七年以降、四十七年の受信料収入は一〇%の増でございます、その後四十八年は六・八、それから四十九年五・六と漸減をしてきております。特に昨年度の後半以降の支出の面の増大というのが一番大きいわけでございますが、受信料収入におきましても、このギャップのできました問題点というのは、カラー契約数の伸びが昨年度考えたときよりも減ってきておるというのが一つの重要な事情でございます。したがいまして、今後、このギャップを埋めてまいります最大の問題点と私たちが考えておりますのは、契約中のこういう面におきます充実だろうということで、本年度予算におきましては、もろもろの項目の中で、特に受信料の契約収納の面におきまして他に比べますと非常に大きな比重をかけまして約一四%、金額にしまして十八億円の増という、いわば予算一つの目玉といたしまして重点を置いた次第でございまして、この点の充実によりまして受信料の収入というものを増加し、このギャップを埋めていきたいというように考えます。反面、もろもろの支出の面におきましても、できるだけ効率的な支出をはかりましてバランスをとっていかなければならないというふうに考えております。
  15. 森勝治

    森勝治君 お答えする皆さんにちょっと御注意を申し上げておきますが、まことに失敬な発言をして恐縮でありますが、従来、前田会長時代は、前田会長が非常に積極的な方でありますから、何もかも一人で御答弁をされました。私はその前も御注意を申し上げたんでありますが、できるだけ私の質問について担当局長の所管は担当局長みずからがお答えをいただいて、前田会長時代のように何でもかんでも会長におんぶするという姿勢はひとつこれから改めていただきたい、このことを皆さんお願いを申し上げておきます。よろしいですね。  そこで、いまそういうお答えでありましたが、収入が計画を下回るということについてどうかという質問をいたしましたが、どうも山本さん明確にお答えをなさらないんです。ですから私はさらに付言して質問してみたいと思うのです。  四十九年度予算の内容を見ますと、四十五億五千万円という経常収入の大幅赤字を埋めるために四十九年度、五十年度の両年度の収支不足に充当するとしていた三十五億円の事業安定化資金というものを食いつぶしてしまう。しかも減価償却の方法を改めて支出減をはかる、さらに建設投資を抑制して利子負担を軽減するなどいろいろとくめんしているところはわかります。そしてこの赤字の要因が事業支出の増高によるというお話もいまありましたが、これは現在の社会情勢の中ではやむを得ないのではないかと、そこまではわかるのです。問題は翌年度をどうするかということであります。  NHK受信料の三年間据え置きという公約は当然守らなきゃなりませんし、守るでありましょう。一体、五十年度の収支の見通しとその対策というものをどう考えておられるのか。ことしはこれでよいとしても来年度どうなるのか。この点の策定がなされない限りまっ暗なトンネルを走るようなかっこうになりはせぬかと、私はそこを心配いたしますから、あえてこういう失敬な質問を重ねてするわけでありますが、五十年度の見通しをどう立てられるか、この点をお伺いしておきたい。
  16. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) いまの情勢下におきましてまだ長期の展望をつくり上げておりません段階で、五十年度の見通しにつきまして明確にお答えを申し上げることはまことに至難でございます。そのために本予算の御承認後、早急に長期の展望を立てたい、五十年度予算編成時までにはそれを立てたいと思っております。  が、これでは非常に御質問に対しまして何が何だかわからないそれで、ほんとうにやみの中を突っ走るような感がございます。失礼千万だというおしかりを受けてもやむを得ないのでありますが、私が心ひそかに考えておりますそれは、おそらく経常収支で四十九年度この予算におきましても四十五億の実は赤字予算ということになっております。いろいろ物価情勢あるいはそれに伴います人件費の増高あるいは番組の増強をはからなきやならない等、諸般のことを考えてみますと、五十年度にはおそらく最低に見積もりましてもこの四十五億のそれは百億ぐらいには変わってこようかと、ばく然とながら考えられるわけでございます。  しかし、できるだけこの面につきましては、経営の末端までいろんな検討を加えまして、あるいは圧縮をし、あるいはものによっては、取りやめ得るものはないと思いますけれども、そういうものがあるかないか真剣な検討を加えなければならぬと思いますけれども、合理化措置もここ長い間続けてまいっております。この予算におきましても、むしろ合理化よりも圧迫を受ける度合いが高いのでありますけれども、既定費の面で二十一億の節減をはかっておるような状況でございますが、そういったことはそう長続きするものではございません。そういう方法ではなかなか施策の立てようもないわけでございますので、要は、やはりできるだけ能率向上に期待いたしまして、人件費の増高はやむを得ないと思いますけれども、頭数につきましてはかなり真剣な検討を加えなければならないのではないか、こういうことを念頭に持っておりますし、一面には、この予算の中で返還を繰り越しておりますけれども、田村町の土地建物の売却の益金の中から八十七億は返済をする予定で繰り延べをいたしております。  経営全体から見ますと、かりにこれを返済したといたしますと、いわゆる現在でも自己資本と他人資本との比率からいえばNHKは非常に自己資本率が高いのでありますけれども、これを返済してしまえば、現在持っております外部借り入れ資金は三百億見当でございますので、二百億ちょっとぐらいになります。そうすれば自己資本率はかなりさらにそれによって充実するわけでございますので、経営全体から見れば、経常収支の中でかりにかなりの赤字が出ても、それとの見合いで考えれば、経営全体としては五十年度まで値上げをしないでいっても破綻に瀕するというような状況には観念されないのではないか、かようなことを考えておるような次第でございます。
  17. 森勝治

    森勝治君 なるほど来年度の見通しですから、会長、歯切れの悪いお答えはやややむを得ないかと思うんでありますが、あとの最後のほうのおことばは、なるようにしかならぬのじゃないかというふうに私は邪推をして聞いておったのですが、そうではないと思うのです。  そこで、私は、どうもその辺はなかなか明快にお答えがおそらく出ないだろうと思ったんでありますが、むしろこれは言わないんでなくして出せないんではないかと思うので、この点について重ねて私見を交えて質問してみたいと思うのです。  御承知のように、今年度は旧放送会館の売却収入の中から百八十億を長期借り入れの返済金に充当する、こういうことにしておりますが、経済情勢の急変等を理由に八十七億円を四十九年度に繰り越して、これをしかも御丁寧に第四・四半期で返す、こういう計画でありますね。返すというなら何も第四・四半期、年度末に持っていかないで、早く返せばよいものと私は考えたんです。ところが、いまの明確なお答えが言いにくいようなことを私が私なりに考えてみますと、八十七億円の返済金を年度末の一番最後に持ってくるということは五十年度の対策ということを相当頭に入れて第四・四半期までに返済金を——あるなら年度当初で返しちゃえばいいはずです、荷物が軽くなるわけですから。それを四十九年度年度のぎりぎりまて持っていこうというのには——いま会長はいみじくも、ことしの例でいくならば五十年度の赤字は約百億にのぼるであろうと、これは一応推定としておっしゃっておられましたが、私は、したがってこの八十七億というのは五十年度の赤字対策の含みのために、返したいのだけれども返しそびれて様子を見ているというかっこうがこの予算編成の中でうかがわれるような気がするんです。  そこで私は申し上げたいんですが、むしろそれならば返済をするというよりも赤字対策に明確に充てていったほうが、五十年度予算が暗やみでわからないのですから、やはり大事をとってそういうふうにしむけておいたほうがよいのではないかと私は思います。したがって、この点ひとつNHKお答えをいただきたい。  さらに郵政大臣にお伺いをしたいのでありますが、来年度の第四・四半期で八十七億円を返すというこの金を、いま私が申し上げましたように、もしNHKが返さないで五十年度の赤字予算に充当するために置いておくとするならば、現行の規定上、つまり一たん資本収支へ繰り入れたものをまた事業収入に戻すことができるかどうか。これは監督官庁として郵政省の考え方をひとつ聞かせてもらいたいと思うんです。これは局長でいいです。
  18. 山本博

    参考人(山本博君) 八十七億円の件につきましては、これは御指摘のように百八十億円の返済資金の残りの一部でございます。したがいましてこの八十七億円を予算編成段階におきまして、四十九年度予算総則に基づきまして繰り越しをいたしたという手続をとりました。  これを第四・四半期にいたして計画をいたしましたのは、まだ金融情勢がはっきりいたしておりませんので、できるだけこれを早期に返したらという考えもございますけれども、金融情勢の逼迫ということもございますし、それから借り入れ金をする場合に、事業の運営資金として借ります場合と、それから建設資金に充てる場合とでは条件が非常に違ってまいりますので、これをもう少し様子を見て、金利の動向、金融情勢の逼迫、そういうものを見定めて、兼ねて将来のNHK経営状況、こういうものも総合的に勘案する時間が必要だというふうに考えましたので、これを第四・四半期に充てておくということにいたしたわけでございます。
  19. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 御指摘の八十七億円を、当初予定の債務の返還に充てるという計画を変更して、これを事業収入に計上して赤字対策に使うということになりますと、現在の放送法の第三十七条の規定によりまして、これは予算等の変更でございますので、その変更の手続をとらなければならない、とれば可能でございます。
  20. 森勝治

    森勝治君 山本さん、あなた、失敬だが私の質問に答えておらない。もう一度明確にお答えいただきたい。  あなたのは、いまのは経過説明ですから。私は具体的に申し上げているのです。いいですか、八十七億を五十年度の赤字対策として確保しておきなさいと申し上げているのですから、その点を明確にひとつお答えをいただかなきゃならぬのです。
  21. 山本博

    参考人(山本博君) これも私の表現が適切かどうかと思いますけれども、ただいまは四十九年度予算案の御審議をいただいておりまして、私のほうから提出しております予算の内容は、これを借り入れ金の返済として充てておりますので、直ちにただいま御指摘のようなことは予算審議の過程において私のほうからはっきり申し上げることはいかがかと存じます。  ただ、そういうことも考えるべきであるという点につきましては、これは非常に私たちといたしましても五十年度予算編成段階までには総合的に考えるべき問題だと思っております。
  22. 森勝治

    森勝治君 山本さん、失敬だが、きれいごとじゃ通りませんよ。昔と違うのですから、NHK経営は。きれいごとじゃ通らないのです。あなたのはきれいごと過ぎるじゃないですか。いまいみじくも会長が、ことしの赤字ということを勘案していくと来年度は百億程度になりゃせぬかと、率直に言っておられるんじゃないですか。  だから、それなら八十七億全部返さないで——それは経済界が好転すればけっこうであるでしょう、聴視料が上回ればけっこうでしょう、契約が九七%ぐらいいけばけっこうでしょう、企業努力と相まって。それはけっこうでしょうが、いまはそういうことがなかなかむずかしい状態だから、返す金を一時延期して、そういう含みを持たせておいたらどうですかと言うのです。あなたの話はきれいごと過ぎて、それは来年度予算編成で考えますと、こういうつっけんどんのお答えとしか私には承れないのですよ。すでに来年度は少なくとも百億の赤字が推定されるということを会長が言っておられるんだから、だから私はことしはこの予算でいいかしらぬが、来年度はどうするんだと申し上げているんですから、来年度は来年度予算編成のときに考えますということであってはならぬでしょう。  だから、私はNHK長期計画を前から出しなさい出しなさいと言って、また蒸し返して恐縮でありますが、昨年の九月十八日の四十五年度決算のときも私はこの点を指摘して、会長お答えになっているけれども、残念ながらできませんと率直におっしゃっておられるんだ。そういう見通しが先暗いのでしょう、暗ければ暗いように、返せば人のものになってしまうんですから、持っているうちはまだ自分のものですから、げすな表現をして恐縮だが。だから来年のこともはからなければたいへんでしょう。あなたも初めて経理担当になったんでしょうから御苦労のほどはわかりますけれども、そういう点も十分配慮されてしかるべきじゃないですかな、この点もう一度お答えいただきたい。
  23. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 私からお答えを申し上げます。  この八十七億は四十八年度中に返済する予定であったのでありますけれども、その後、客観情勢は非常にNHKに不利でございます。そういう状況から四十九年度予算編成過程においてもいろんな四苦八苦をいたしましたけれども、五十年度予算編成にあたっては、非常なこれは苦労が要ると思います。もちろん営業活動等につきましても万全な対策をとってまいりたいと思いますが、これはなかなか、いまの客観情勢から、そのようなことで明るい芽が出るとは思えません。その他いろんな関係を考えてみますと非常に情勢は暗いのでありまして、先ほどのそれは私のほんの直感でのそれでございますが、五十年度百億ぐらいの赤字にはなるであろう、こう予想しますそれに対処いたしますやはり心がまえを持たなきゃなりません。  そういう面から率直に申し上げますと、この八十七億円は当初は返済に充てる予定でありましたけれども、五十年度のそういった大幅赤字をできるだけ縮めまして、予算のつらとしてはあまりぶかっこうなものにならないようにいたしますためには、所定の手続をとって変更をお認めいただく手段をとるといたしましても、これはやはり赤字補てんに回したほうがいいんじゃないかと、私、個人的にはそのように考えておりまして、まあNHKも非常に正直でございますから、四十八年度に返済の予定だったので四十八年度末までには返したいと、これが大勢でありましたけれども、繰り越さしたわけでございます。そういうことで繰り越したそれは、一応、四十九年度第四・四半期に資金計画では返済を予定しておりますが、私の気持ちのすみには、これは返済に充てないで所定の手続をとって赤字補てんに回すべきではないか、こういう気持ちがございます。正直に申し上げますと、そういう気持ちも持っております。
  24. 森勝治

    森勝治君 長期計画の策定の基礎となった経済指標というものは、御承知のように大きく動いておるわけです。だが、放送文化基金の設立等をめぐるいきさつというのは、関係の皆さん承知のとおり、いろいろ問題がありましたから、直ちに受信料の値上げには踏み切れないことは当然であります。ですから、いま会長も率直に私見を述べられましたから私は申し上げるわけでないですが、私は私なりに会長考え方を、この辺の心のゆれ動き等を考えてみますと、そういういろいろの情勢でも三年間受信料据え置きという公約だけは絶対守っていかなきゃならぬという、この考え方会長のいまのお立場だろうと思うのです。  ことし赤字そして来年も赤字というふうに赤字が累増傾向にある現今におきまして、この赤字続きという理由のもとに難視聴の解消がブレーキをかけられたり、また番組編成に著しい影響をもしかりに与えるようなことがあるとするならば、職員の士気にいわゆる阻喪を招来しかねない、私はこの点を非常に心配するのです。  それらのことを配慮するあまり、この八十七億円というのは運用の妙を発揮していわば活用されたほうが、当面するNHK立場も、運営の衝に当たる皆さんもそのほうが切り抜けることができるだろうし、将来に向かってもそのほうがよかろうということで発言をしたわけですから、この点はひとつぜひとも配慮をしていただきたいと思うのです。このことについては私の要望の意見として申し上げておきます。  そこで次の問題に移りますが、難視聴解消の問題で若干質問をしてみたいと思うのです。  三年間の経営の基本構想の中では、この期間に百二十三億五千万円の建設投資を抑制する、そして各年度の投資額を百七十億円としていたはずでありますが、ところが、この本予算では建設費を百四十億円としておりまして、テレビ局の共聴施設数とともに前年度より減少を見ておるわけです。  そこで、この建設の繰り延べとしているものは一体何なのか、また今後の難視聴解消対策をどう進めるおつもりなのか。まあ長期的な見通しがわからないと、この予算策定ではおっしゃっておられますが、この辺のことは長期的な見通し、計画というものは当然おありのはずですから、この点ひとつお伺いしておきたい。
  25. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) ただいま先生指摘のとおり、この前見直しましたときは各年度百七十億ということで一応考えておったわけでございます。それが四十九年度予算におきまして百四十億と、三十億ばかり圧縮をしたということでございますが、私どもといたしまして、先ほどから会長がるる御説明申し上げましたような財政全般の規模におきまして圧縮せざるを得ない状況にございます。その中で当然建設費も圧縮をするということで、減価償却その他の方法もいろいろ勘案いたしまして、百七十億という見直しをもう一度百四十億に変更いたして実施せざるを得なくなったということでございます。  ただし建設費全体のワクは、いま申し上げましたように、圧縮いたして三十億減になっておりますけれども、その中で特に難視解消の部分につきましては、これはもうかねがね先生もおっしゃって、私どももそのとおりに思っていますNHK最大の義務行為でございますので、難視解消は最優先的に扱う。また一方、政府筋では公共投資をいろいろ圧縮するという方針で仕事が行なわれていくようでございますけれども、また別な意味で、そういうふうな受信者の立場に立ちますと、いろいろ環境を改善していきたい、いい生活をしていきたいという希望も非常に強いわけでございますので、両々相まちまして難視聴解消については絶対にスローダウンしないということでまいったわけでございますけれども、ただいま申し上げましたように、建設予算全体を圧縮した中で少なくとも難視解消につきましては昨年と同程度の額を、直接費だけでおよそ五十億でございますけれども、導入いたしまして実施をするということにいたしておるわけでございます。  ただ、いま御指摘のように金は同じかもしれぬけれども中身の数が減っておるではないかということでございまして、そのとおりでございまして、本来ならば金額を、この物価がいろいろ変動いたして上昇いたしておるさなかにおきましては、本来ならばそれを膨張さすべきものが同じ額で押えておりますので、結果的に申し上げますと、いま申し上げたように置局二百二十というのが二百、共聴設備千十施設というのが九百と、おおよそ両方通じまして一割の数が減ってきておるわけでございます。この点はたいへんに私としては遺憾に思っておるわけでございますけれども、建設経費全体の圧縮の中で難視解消の経費を従来とほとんど同等に押えたたてまえで、物価の上昇分をいろいろ努力してみたわけでございますけれども、最終的にはここに申し上げましたように約一割の施設の数が減となっておるわけでございます。
  26. 森勝治

    森勝治君 郵政大臣にお伺いしたいと思うのですが、この四十九年度予算案に対する大臣の意見書が出されておりまして、第二項に「テレビジョン放送の難視聴解消については、国民の強い要望と放送の全国普及を図るべき協会の使命とにかんがみ、更に効率的にこれを実施するよう格段の努力を傾けるべきである。」こういわれておるわけですが、これはどういう趣旨なのかお伺いしたい。  いまも率直にお答えいただいたように、こう書かれておるけれども、実際具体的には数が少ない。物価高騰ももちろんあるでしょうが、それならばこういうのはつけたりで作文じゃないかと指摘せざるを得ないのです。それでこの予算はおおむね妥当であるというのがまだくっついているのですからね。今日、横川委員も先般指摘されたように、難視聴の問題はもうたいへんな問題になっているのでしょう。あなた方は行政官庁の立場で難視聴解消をNHKに当たらせる、郵政省みずからも担当官庁として努力すると言っておられる。言っておられるけれども現実にはもうそういうことで数が減っている。難視聴の場所はどんどん広がる。広がるにもかかわらず数が減っている、解消地域が減っている、計画が減ってくる。それなのに「格段の努力を傾けるべきである。」といっている。話が違うではないかというのだ。作文行政というのはこれではないかと私は申し上げざるを得ないのです。  この第二項について、いかなる趣旨でこういうのをくっつけたのか。毎年毎年同じような時期に予算案が提案されるから同じような文句でもいかぬというのでくっくけたわけではないでしょう、もっとまじめなはずでしょう、この点ひとつお伺いしたい。
  27. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) まず政府委員から答弁さして、その後私から答弁いたします。
  28. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 難視聴解消の問題につきましては、御指摘のとおりきわめて重要な問題でございまして、われわれも真剣に取り組んでおるわけでございますが、まだ三月末現在でNHKにつきましては辺地難視が百二万、それから都市難視が約四十万、世帯でございますけれども、そういう数が残されているわけでございます。  それでNHKの難視解消の予算の金額は去年と同じでございますけれども、いまお聞きのように、ある程度数においては圧縮せざるを得ない。これははなはだ遺憾でございますけれども予算の均衡というような面から考えまして、これまたやむを得ない措置であろうかと思います。  ただ同じ金を使うにいたしましても、一軒でも一世帯でも多く救済できるようにというようなことで実効面においてひとつ格段の配意をお願いしたいというような趣旨と、それから都市難視につきましては、ビル陰その他いろいろな問題があるわけでございますけれども、これは直接に建設費と関係のない受信相談その他いろいろなことで受信者の相談に乗ってやるというような活動もあろうかと思いますので、そういうあまり金がかからぬ面でもひとつ十分に配意願いたい、こういう趣旨で書かれたわけでございます。
  29. 森勝治

    森勝治君 相当局長も率直にお答えいただいたから、私はこのことについてこれ以上追及しません。  しかし難視聴解消をするんだと、われわれもこれを要求し、皆さんも行政官庁の立場で声を大にして天下に声明をされておったものが一朝にして消えうせてしまったじゃないですか。「効率的」と  いうのは重点的というんでしょう、重点的の場合もあるでしょう。しかし現実NHK予算案を見ると、難視聴解消の意欲に燃えておりながら、難視聴という問題がたくさんふえているのです、従来よりも。倍増どころじゃないです、薬九層倍ということばがありますが、それ以上でしょう、至るところでしょう。都市におけるビルの谷間の問題をはじめとして至るところですよ。にもかかわらず均衡予算のたてまえで減るのを認めざるを得ない、そんなことはおかしいじゃないですか。いままで何をほざいていたのですか、何を天下に声明したか。難視聴解消のため郵政省もNHKを督励してやりますと、あなた方は毎年のように、毎回のようにわれわれの質問に胸を張って答えておったじゃないですか。もうすでにNHKへの国民の信頼というものはこの辺からくずれていっているんですよ。おかしいじゃないですか、いままで何言ったんですか、歴代大臣はみんな。いまの大臣に相すまぬことだけれども、こういう発言をするのは。胸を張って難視聴解消の先頭に立つと小林大臣以来ずっと歴代大臣は言っておった。初めてですよ、こういうことは。  ことばではきれいなことばで「効率的」といっているが、難視聴を解消する地域が広がったというのならまた別です、数が少なくなるのですよ、数が少なくなるということは難視聴にあえぐ国民皆さん方の数がふえたということです。あたかもにしきの御旗のごとく振りかざした郵政省の考え方と違ったことが出てきているというのです。まことに遺憾千万ですね。おおむね妥当なんということをあなた方が言うならば、いままでそんな胸を張った答えはしなさんな、妥当じゃないでしょう。確かに均衡予算も必要でありましょう。しかし皆さんが鬼の首でも取ったように、失敬でありますが世俗でばかの一つ覚えということばがあります。皆さんはそうじゃないとは思いますけれども、私をもって言わしめるならば、あたかもばかの一つ覚えのごとく、二言目には難視聴を解消いたしますと大臣はじめ全部関係の皆さんが言っておったじゃないですか。ところが、ことしになってがたっと難視聴解消の地域か——難視聴の地域が広がっているのに、今度は解消する場が少なくなるということは、これはうしろ向きです、後退です。これは皆さんがかねてから言っておったことと違うから、この点はひとつ郵政省も再考をしていただきたい。  いま私が指摘したように、この問題は至るところでしょう、何とかしてくれ何とかしてくれと。われわれ特に担当でございますから全国至るところから陳情がきます。そのとき、われわれは、NHKも前向きでやろうとしている、郵政省だって大臣が先頭に立ってやると言っているから間もなく解消するだろうからしばらくお待ちくださいと、こう言ってきた、皆さんのことばを信用して。これから、この難視聴解消の陳情を受けたときにはどうするんですか。残念ながらことしから解消の予算が少なくなりました、物価高ですからねと、われわれは済まされる立場じゃないでしょう。どうされるのです、大臣、この点は。郵政省が胸を張って答えた難視聴解消の考え方はこの一事をもって後退した。歴代大臣がわれわれに向かって公言したことは絵空ごとになった、非常に残念です。  ですから、このことについては改めてほしい。従来どおり、国民の期待にこたえるように、難視聴解消につきましては大臣がみずから先頭に立ってやることを重ねてここでお約束をいただきたい。あわせてNHKからもひとつこの点についてお答えいただきたい。
  30. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 森委員の御指摘のように、郵政大臣が先頭に立ちまして難視聴解消のために最大の努力をいたしたいと存じます。
  31. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 難視聴解消のNHKの責任を後退さすべきでないことは厳として私どもは守っていきたいと思います。  四十九年度におきましては数におきまして遺憾ながらこのような姿になっておりますけれども、これも予算編成の最後の段階まで私は前年度の数を減らすべきでないと、こういうことはかなり主張し続けたのでありますけれども、財政均衡をはかる上ばかりでなしに、この数で現在私どもが陳情を受けております手持ちの数は十分消化し得ると、こういうような事情も事務当局から聞きましたので、そうだとすればそれで支障ないだろう、しかし後年度いかに財政が苦しくてもこの面につきまして努力を消極にすべきではない、この面は、かりに赤字になっても借り入れ金によっても、解消につとめるべきだ、これは私が強く考えておるところでございます。
  32. 森勝治

    森勝治君 重ねて皆さんの再考を促すとともに、この点については従来お約束どおり積極的に進めていただきたい。  いまのお話にもありましたように、心はやれど銭足らずということばだ、NHKお答えは。郵政省のお答えは言語道断です、うそ言ってる。いまの大臣の木で鼻くくったようなのじゃいただけません。われわれはそんなお答えを聞くために口角あわを飛ばして議論をしてきたのじゃない。もっと深みのある、もっと愛情のある、もっと積極的な姿勢をわれわれは期待してきたのです。その先頭に立って努力しますと言っておりながら、この予算はおおむね妥当だといっているんじゃないですか。だからこれは作文行政だと言っているのです。新任の大臣にはまことに恐縮な発言だが、歴代大臣と同じようなことを言っていて、何年たっても変わらない。やるやると言ってやらない。これでは話になりませんから重ねて大臣ひとつ、せっかくあなたが積極的におやりになるとおっしゃっておるのにまぜっ返すのは恐縮だが、もうわれわれは郵政大臣にどうも信頼を置けないような気がする。個人としてのあなたはりっぱな人ですから、もう一回だけ私は信頼の誠をささげたいと思う。だから、うしろ向きのような行政指導はもうこれからはやめてもらいたい、いいですか。  郵政省はわれわれとの約束と違ったことをしている、客観的情勢変化のしからしむるところでありましょう、経済という魔物のなせるしわざかもしらぬ。しかし国民はこれでは迷惑です。そこで、私は、この難視聴の中の都市難視についてちょっと触れてみたいんです。  NHK立場では都市難視、特にビル陰の問題につきましてはいわゆる原因者負担主義という主張をしてきました。郵政省もそういう指導をしてまいりました。しかしもはや陸続として起こる枚挙にいとまのないこの紛争事件というものを考え合わせるときに、もうこういうことではさばき切れない、解消し切れない段階にきているんじゃないかと私は思うのです。いわゆる原因者責任主義という行政指導はもはや限界にきている、私はこう指摘せざるを得ないんであります。  したがって、この問題については抜本的な対策が早急に必要になってくると思うのでありますが、このことを私どもが問いただすと、いや調査会の答申を待たなければなりません、こうまた答えが返ってくるわけであります。しかし迷惑しているのは国民でありますから直ちに直さなきゃなりません。したがって、この調査会の答申というものをいつ求めるのか、一体調査会ではどういう調査、検討をされておるのか、しかももう難視聴はしりに火がついているわけですから、調査会の答申をいつ求めるのか、このことについてひとつお答えをいただきたい、その時期ですね。
  33. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 都市難視の問題でございますけれども、これは御指摘のように高層建築物によりまして年々増加しております。それで今月の末で、推定でございますけれども約四十万世帯という数が出てまいっております。こういうことになりますと、従来は原因者に責任をとってもらってその負担でもって解消していくというような指導をしてまいったわけでございますけれども、なかなかそれだけでは間に合わなくなってきたということで、去年の六月に調査会を設けていただきまして、鋭意、都市難視を中心にしていま検討をしている段階であります。  この調査会は都市難視ばかりではございませんで辺地難視についても有効な施策を考究しようということで出発したわけでございますけれども、いままで検討した内容でございますが、主として初めは都市に取り組んでおりますが、都市難視の実態の把握、どういうような状態で都市難視が起こっておるか、あるいはビル陰あるいは反射波によりますゴースト、こういうような問題でございますけれども、これの実態の把握。それからいままでどういうような解消策がとられてきたか、これも実態の把握でございますが、そういうような調査。それから現在はこういうような実態に対してどのような技術的な手段が有効であるか、いろいろ手段があるわけでございますけれども、どの手段をもって解消するのが一番有効かということの検討をいましている最中でございます。それから、それの技術的な方策がわかりました場合には、それに応じて経費の分担をどこがなすべきかというような問題、これも相当むずかしい問題を含んでいると思いますけれども、建物の関係とそれから電波を受ける権利と申しますか、そういうような間の調整の問題、それから責任の分担になるわけでございますけれども、それをどういうぐあいに措置すべきかというような問題、あるいはその結論のいかんによりましては法制的に検討する必要があるのかないのか。おそらくある程度法制的な裏づけが必要になるのではないかと思われますけれども、それはそれといたしまして、そういうような検討を進めております。  それで当初は一年ぐらいである程度まとまった結論がいただけるのではないかと期待しておったわけでございますけれども、検討し始めてみますといろんな問題が出てまいりまして、とても一年では完ぺきな答申をいただくというわけにはまいりませんもんですから、四十九年度予算におきましてもう一年予算をいただいて継続して審議していく、それで二年間で都市難視及び辺地難視の有効適切な抜本的な施策を樹立しよう、こういうような意気込みでいま熱心に討論している段階でございます。
  34. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) ただいま電波局長からるる御説明があったようでございまして、都市難視の問題は最近のビルラッシュに応じまして急速に発生してきたものでございます。もちろん放送法制ができた当時にはおそらく予想できなかった問題でございまして、現在の法制ではいかんともいたしかねる部分もございますので、ただいま御説明があったように調査会でいろいろその点も含めて検討しておられるはずでございまして、私どもも十分委員も出しまして御協力申し上げているわけでございます。  そのほかにもう一つの問題は、やはり法制のほかに技術的にどういう方法を使えばその解消が一番うまくいくかという問題が緊急にございますけれども、これもあまり、これをやれば必ずこの都市難視は一〇〇%よくなるのだというきめ手もございません。それでいろいろ私どもの技術研究所も動員いたしまして新しい微小電力の送信方式その他をいろいろ検討さしております。いずれその中から実を結ぶものもあろうかと思いますけれども、都市難視の本質からいいまして、どれかの方法を使えば必ず直るというものじゃございませんので、いろんな方法をやはりその場その時に応じまして使い分けてこの解消につとめていかなければならぬ問題だと思っております。  ただ、それまで待っているわけにいきませんので、私どもは別に事業費のほうで約二、三億の金を用意いたしまして、毎年十数万の世帯の御相談に応じておるわけでございます。法律のたてまえからいいますと御承知のように第九条の第二項に放送の受信に関して公衆の相談に応じなければならないという規定もございますが、規定はともかくといたしまして、御承知のとおり私ども受信料皆さんからいただいて事業の運営の基礎といたしておる法人でございますので、その受信料を払っておられる受信者の方から、おれのところはどうも映りが悪い、あるいは見えないんだとかいう苦情が当然まいりますし、まいった場合は、私どもはお金をいただいているたてまえから申しましても、そこへ出向きましていろいろと御指導申し上げたり御相談に応じたりするのが当然であるという考え方もございまして、両々相まちましていまの都市難視につきましては受信の指導ということを第一にやっております。  その次には指導だけでは片づかない、多少アンテナを取りかえるとか、あるいはフィーダーを別なものにつけるとか、いろいろ具体的なものまでお手伝いしなければうまくいかない場合もございますので、そういう改善の指導もいたしております。さらにまた、もう少し強度の難視になりますと、ビル陰あるいは反射と同時に、東京のように非常に土地の高低の激しい土地におきましては土地の地形もそれにからんでくる場合もございます。それからずっと前にできたビルでいまさらだれにしりの持っていきようもないようなビルもございますので、そういうときはやはり私どもは共同受信で解決できるようにいろいろ技術指導をいたしまして、経費の一部分も私どもが負担をいたしまして解決をするという方法をとっております。  いずれの場合でも、その原因者責任というたてまえは郵政省の御指導も受けまして貫いてまいりたいと思いますけれども先生指摘のように、それだけではなかなか解決できないような状態にもなってまいっておるわけでございますので、いろいろそういう法制の整備その他を速急に私どもとすれば希望する次第でございます。
  35. 森勝治

    森勝治君 この都市難視聴は日照権の問題とともにいま都会の一つの大きな悩みですから、何かいま担当局長はもう一年予算をもらってというふうな話でありますけれども、早く調査会を督励して方針を出していただかなければ、一年たって世の中が目まぐるしく変わるのに二年たったらもうお話にならなくなっちゃいますから、早く方針を出して難視聴に悩んでいる市民の期待にこたえていただくようにもっと積極的に働きかけをしてもらいたいと思うんです。  そこで難視聴について角度を変えて質問をしたいと思うのでありますが、御承知のように、最近は国鉄当局すらも新幹線等につきましては技本的な騒音対策というのを打ち出しております。また防衛施設庁等も航空機による聴視障害の軽減対策、いわゆる騒音障害を軽減させるために共聴施設の設置の補助金を出すようになったり、騒音障害を克服できる自動車音量調整つき受信機の効果測定等に乗り出すなど、他の官公庁は積極的な姿勢を示しておるわけです。  もちろんNHK放送の実施者として、また郵政省は聴視者保護という立場からいたしましても、原因者たる両者に対して障害の軽減措置を積極的に働きかけるべきではないかと思うのですが、これらについて案外のんびりということばは担当諸君には失敬でありますけれども、私ども立場からいたしますと歯がゆい思いをしているわけでありますが、もっとひとつ積極的にしてもらいたいわけです。もちろんこれはやらぬわけじゃなくて、ある程度交渉等難関解消のためには御努力いただいているわけだと思うのでありますが、この点について重点的にお答えをいただきたいんです。郵政省とNHKと両方からお答えをいただきたい。
  36. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 御承知のように、基地それから射爆撃場周辺の受信障害者に対しましては受信料免除基準に基づきまして半額免除をしているわけでございます。このNHKの減収分につきましては防衛施設庁から補てんされておるというのは御承知のとおりでございますが、そのほかに東京、大阪、福岡、この空港周辺の受信障害者に対しましても財団法人航空公害防止協会というのがございまして受信料の半額を助成しておるわけでございます。これにつきましては当省も運輸省としばしば折衝いたしまして、こういうような形になったわけでございます。  しかしながら御指摘のように、これらの原因によって受信障害を受けている方々が受信料の免除または助成によって良好なテレビジョンの画像を楽しむようになったわけではございませんので、画像禍、騒音禍、そういうものは相変わらずあるわけでございますが、これはテレビジョン放送の受信者にとってみますと、むしろ免除よりも良好な放送が享受したいという熱意のほうがもちろん当然なことでありまして、今後、そういうような問題につきまして検討を進めてまいりたいと思いますが、いままでのところは、免除基準と申しますか、受信料の減免措置という事柄に精力的に取り組んでおったわけでございまして、いまの先生の御意見につきましては、今後、早急にひとつ検討さしていただきたい。それから郵政省ばかりでやれるわけではございませんので、関係の省とも十分打ち合わせをしたいと考えております。
  37. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) この都市難視は、ただいま御指摘のように、たいへんどうもじれったいような感じでふえるばかりでございまして、解消が一向に進んでおらぬではないかという御指摘のとおりでございます。  先ほども申し上げましたように、できるだけ当事者間の話し合いによります原因者責任というたてまえを通しておるものですから、両方が話を納得しませんとなかなか実際に着手できないという面もございます。ただそれだけではございませんけれども、そういう関係もございまして、その納得の場合に、これがただの難視だけという問題の場合はわりと簡単にすんなり話もいく場合も多うございますけれども、それと、特に新幹線とか高速道路なんかの場合は、ただの難視だけじゃなくて、騒音の問題とか日照権の問題とかいうのが一緒にからみまして、全部話がつかなければだめだというような話になる場合が非常に多くなっております。そういう関係で、なかなか実際の難視解消の施策が手をくだせないというものもございます。  ただし、そういうことで日を送っているわけでもございませんので、別に先ほど申し上げましたように、個々の受信者につきまして受信の指導あるいは改善である程度見えるようになるものはできるだけそちらのほうをいたしまして、なるべく受信者とNHKとの関係において受信者が御満足いただけるようなことの努力は別途重ねておるつもりでございます。
  38. 森勝治

    森勝治君 この問題については、私の設問とお答えとにすれ違いがあります。もっとも例が新幹線などと言いましたからまあレールのすれ違いのようなかっこうにお答えがなったんだろうと思うですが、むずかしいことはわかります、わかりますけれども、ほっておくという手はないのだし、ほっておくというのはややもすれば怠慢のそしりを免れ得ないのでありますから、この点はひとつ心して取り組んでいただかなきゃならぬと思うのです。  そこで時間も迫ってまいりますから、私はやむを得ず次の問題に移りますが、当年度の経常収支は、この予算案にも盛られておりますように、四十五億五千万円という大幅な赤字になっているわけです。NHKとしては当然自己の経営財源を確保するためにも、また受信料負担の公平を期すという見地からも、未契約者あるいは未払い者の根絶に一そう心を用いなければならぬし、積極的にこの点についてはいわゆる企業努力を払っていかなければならぬと思うのでありまして、この点の御努力を待ちたいところです。  特に非世帯との契約という面については、先般も私がつぶさにしばしば指摘をしてまいったところでありますが、そのことについてどのような実績をおさめてこられたか、また当年度受信契約の開拓や受信料の収納対策として、どのような施策を織り込まれておられるのか、この点をひとつ、これはもちろん担当局長でいいですから、お答えをいただきたい。
  39. 川原正人

    参考人(川原正人君) 契約の問題につきましては、いま森先生指摘のとおり、私ども協会経営の基盤をささえるものとして最大の努力を続けているつもりでございますが、いま御指摘の非世帯の問題につきましては、昨年のこの委員会の審議等においても御指摘、御督励を受け、その影響等もありまして大会社、官公庁等においての理解もかなり進みました。私ども、その後の契約はかなり予想をこえまして、昨年度、四十八年度予算では非世帯の契約増三万と見込んでおりましたが、いま年度末にまいっておりますけれども、ほぼその三倍、九万件ぐらいの増加が見込め、総件数は非世帯で五十万件ぐらいのものになるであろうというふうに予想しております。なお四十九年度につきましては、五万件の増加を目標に努力をいたしたいというふうに考えております。  そのほか非世帯を含めまして当然契約の増加については私どもさらに努力をいたさなければならぬわけでございまして、四十九年度予算におきましても、それに関する対策経費等はできるだけのものを用意いたしております。先ほど山本理事から申し上げましたように、営業関係の経費も十八億円の増加というものを苦しい中で見たわけでございます。  具体的に申し上げますと、いまの契約の問題で一番私どもがむずかしい問題に当面しておりますのは、大都市におきまして受信者の不在といいますか、こちらが集金に訪問しましてもなかなかお宅にいらっしゃらない、それからもう一つは、特に都市部でございますが、移動、引っ越しをされる世帯が非常に多い、この二つが非常に私どものいま契約の増加をはかるにあたっての難関でございますので、この部門に力を集中したい。そのためには、私どもの職員あるいは委託をお願いしております委託集金人の方が、できれば受信者がおうちにいる時間、といいますとどうしても休日とか夜間になるわけでございますが、そういうところをできるだけ可能な範囲で訪問をしたい。ただし、これはまあ一つの社会的な条件、こちら側でいえば労働条件等の問題もございますので、ある限度はございますけれども、なるべくそういうところに力を持っていきたい。それからお留守でございますので、文書による督促といいますか、お願い、これに力を入れたい。数字を申し上げて恐縮でございますけれども、四十八年度は百八万ぐらいの督促状をお配りいたしましてかなりの成果もあがったと思っておりますので、さらに四十九年度においてはこれを百三十万ぐらいのその種の文書をお配りして、不在がちの世帯の方から契約をいただく、あるいは収納をするように努力をいたしたい、かように考えております。
  40. 森勝治

    森勝治君 昨夜のテレビで「営業所日記」なるものを私は拝見いたしました。これは大阪地方のある営業所の皆さんのことが紹介されておりましたが、いまお話しのように現場のなまなましい姿を目で見て、現場の皆さんの御苦労は他の職場における保険の契約や集金のそれのごとく、いまちょっとお話が出ましたように、ある人は午後八時以降でなければ帰ってこない、ある者は日曜でなければ帰ってこない、NHKの集金や契約の皆さんも、それらの方々と同じように御苦労なさっている姿が放送されておりまして、私もたいへんだなと、特に私はきょう質問する関係で、それをしみじみ拝見したところでありますが、これは何といっても現場の皆さんの士気を阻喪させているような客観的な状態というものをむしろ私は本部のほうがつくっていはせぬかと思うのです。  失敬でありますが、本部の皆さんはきれいごとであります。服装でも皆さんみんなりっぱであります。私の言うのが違ったとしたら、皆さんは昨夜のおそらくあれはビデオですからもう一ぺんとって現場の作業員の皆さんの姿を見ていただきたい。服装等もあまりりっぱでない、これは失敬な表現でありますが。私はここに恵まれない現地の隠れたる皆さんの努力というものがNHKの信頼というものの表に出てきているのではないかと思うのです。何といってもこれらの諸君を大切にしてやらなければなりませんけれども、どうも営業所のつくり等を見ましてもその他を見ましても、あの伽藍もはだしで逃げるような代々木のあの威容と昨夜見た大阪の営業所の現場とは何てまあ隔世の感のある——一瞬万里を走るという電波を扱っているNHKにしては、このNHK本部と出先の距離の何て遠いことであろうと私はしみじみ痛感させられたところであります。したがって、この点はどうぞひとつ出先の諸君の苦労に報いるように経営をさらに現場優先主義に変えていくように御努力をいただきたいのです。これは私の昨夜見た「営業所日記」に対する所見でございます。私はこれは皆さんに対して要望として申し上げたわけであります。  いまのお話にもありましたように、人件費の高騰などに伴って受信契約、受信料収納などのコストも非常に高くなっているとともに、特にいま御指摘がありました不在などによる集金上の隘路も非常に多いわけです。NHKの集金といわず郵便局の集金もそうだし一般民間の保険等あるいはまたガス、水道の集金等に見ても同じような隘路が横たわっているわけであります。  そこで私は一つの提案をしてみたいと思うのですが、この点がよいか悪いかは別として、できるだけむだを省くという見地であります。  たとえば銀行等の振り込み者に対しては割引制度を設けること。いまは半年前納、一年前納ということになりますと、いわゆる前納者については割引制度があり、半年で五%ですか、一年で一〇%というふうになっておりますが、いま申し上げたように振り込みされた方々に対する割引、そういう制度。これは理論的にいえばいろいろ議論の分かれるところでありましょうが、ただ私はいわゆる集金を可能ならしめ、何回もむだ足しないという一つの方法としてそんなことをやってみたらどうだと、こう考えているわけでありますが、この点どうでしょうか。皆さんひとつ十分検討してみてくれませんか。
  41. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 現場で非常に苦しい仕事をしておられる方々がNHKをささえる大きな大黒柱であることは当然でございますし、NHK経営だけでなしに受信者に対する関係面を見ましても、受信者に接触をしてNHKの信頼を得る大きな足がかりになる大切な職場であろうと思います。この方々の処遇につきましてはいろいろ善処をしてまいっておるわけでございますけれども、将来とも、この辺については十分な注意を払ってまいりたいと思います。そういうような面から契約が完全に把握され収納が非常にいい成績で結末を告げますことは、やはりその下積みの仕事に当たっておられる方々の士気と申しますか使命感と申しますか、それが盛り上がることが非常に必要であろうと思います。  そういうことを考えますと同時に、ただいま御提案の面から申しますと、集金のコストとかあるいは営業総体のコストというものは年々上がってまいっております。そういった面を何とか打開をいたします一つのきめ手は口座の利用であろうと思います。そういう大事な口座の利用の関係である以上、何かそこに口座利用に魅力をつけるようなことも必要であろうかと思いますので、そのために割引制度がいいかどうかいろいろ検討してみたいと思いますけれども、何にしても口座利用についてはそれだけの何か利便があり非常なメリットがあるんだというような点をいろいろ多角的に検討して善処してまいりたいと思います。
  42. 森勝治

    森勝治君 おわかりのように、ことしも赤字、来年度も赤字ということで、残念ながら赤字が毎年続くというかっこうになります。したがってこの辺でやはりNHKの姿勢、方針というものも確たるものに、改めるものは改めるという立場に立っていかなければ、王国といわれたNHKの屋台骨もぐらつきはせぬかというおそれを私は持っているわけであります。  で、愚見を交えて私はこれから質問をしてみたいと思うのですが、何といってもこの赤字続きの財政から黒字経営に移るNHKの体勢を立て直すと申しましょうか、国民NHKを守るという見地から、取るべきものは取る、また出さないものは出さないという、この辺を当然けじめをつけてしかるべき時期に来ているのじゃないかと思うのです。  従来、NHKは文教、福祉、特に福祉施設関係、それから社会救済施設等につきましては、いわゆる受信料の減免措置をNHKみずから進んでおやりになっています。あるいはその他の社会施設にはNHKのそれぞれの対象団体等によって物品等の給付等も行なっております。これは非常に好感があり、従来とも関係諸団体から歓迎されておるところでありますけれども、何とこの額も年々三十億に達しておるわけですからばかにはなりません。これは私ども立場をもって言わしむるならば、本来国がやるべきものであります、この種のものは。国が施策の一環としてやるべきものをNHKが従来資金上、財政上のゆとりもあったところでありましょう、まあやり繰りできたのですから。だからおやりになってきたわけですが、いま申し上げたように、これから赤字が累増するという段階になれば、こういう問題もある程度考え直してみる時期が来ていると私は思うのです。したがってこうした受信料の減免措置については今後は全額国庫負担などにするという抜本的な考え方をもってする時期が来たと思うのです。  監督官庁であります郵政省は、私がいま愚見を交えた提案をいたしましたが、こういう問題について当然再検討する時期だなとは、そこまではお考えでしょうが、当然、これを本来あるべき姿に戻すということになりますと、いろいろ予算等の関係も国でありましょうけれども、ただ、あり方としてはそうあるべきではないかと思うのです。本来あるべき姿に戻せということで申し上げたわけでありますから、監督官庁としての郵政省のこれに対する考え方、さらに、いままで施設等に寄付したり何かして非常にかっこうのよいといわれたNHK、人に恵むということは非常にいいことでありましょうから忘れがたき気持ちだろうけれども、この辺で自分のそでがちぎれそうになっているときにはやっぱりその辺も考えてみなければならぬと思うので、私はNHKにもこの点について考えをわずらわしてみたいと思うので、その点お答えをいただきたい。
  43. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) ただいま御示唆をいただきました点につきましては、事やはり福祉政策あるいは国の教育政策にも関係することと思います。そのような方向に向けば、私どもとしては非常にこれまた一つの願わしい方向ではないかと思いますけれども、何しろ国の予算の関係でございますので、そう一気にはまいらないと思います。  在来、NHKは、事業創始以来、そういった面の施策を講じますこともNHKの使命といたしまして当然にやるべきことではないか、このようなことで、現在の段階で免除件数が百十六万件ぐらいになりましょうか、金額にすれば三十億をややこえるような減免額に相なっております。その本体は、いろいろ騒音関係とかいろんなものがあとから入りましたけれども、免除の本体としてはやっぱり社会福祉関係、教育関係、これを主体としてまいったわけでございます。  そういうようなことで、この面はやはりNHKとしても財力の関係では限界がございます。現在の社会福祉関係の減免措置にいたしましても、これはいまの福祉国家にふさわしい福祉政策としては十分なものではございません。まだまだ幾多の要望があるわけでございますけれども、悲しいかな、財源の関係でそういう要望を全部満たすわけに相なっておりません。そういう面については、今後、日本国家が福祉国家を目標に進んでいかなければならない一つの趨勢から見ましても、やはり国のほうでもそういう面についてのお考えをお持ちにいただけること、これは非常にNHKとして願っておるところでございます。
  44. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 森委員指摘のように、いまNHKが当面しておる中に、御指摘の問題、非常に含蓄のある御示唆だと思います。  NHKが創設されましたときから、これは公共の福祉のために電波を送って、国民のために尽くす、そしてそれは受信料をもってまかなう、こういうたてまえで国が関与せずに、国民NHK、こうことで今日まできております関係から、そういう趣旨に沿うために、いまのNHK会長が言われたように、いろいろな事業を通じて国民と結びつき、また福祉関係の問題につきましてはNHK受信料を免除するために郵政大臣の認可を得てこれを行なうという措置をとってまいっておるのでございますが、今日の事態に立ち至りますと、これは当然国あるいは公共団体が負担すべきものは負担すべきではないかというお考えにつきましては、私は全面的に否定する考えはございません、検討を要する問題であると思います。  ただ、お話の中にもございましたように、これは予算の伴うことでございますから、いま一挙に全面的にNHKがやっておるものを変えるということはなかなか問題があろうと思いますが、この御提案になりました問題につきましては、今後も検討を重ねていかなければならないと存じます。国会におきましても、いまの森委員の御指摘のような考え方というものが私は当然であろうと思うのでありますが、逆に、なお福祉関係のほうにNHKがいまやっておる免除の点をふやせという御質問も出てくるぐらい、昔からNHKというのはよかった、余裕があった、こういうことで、まだその考え方というものが全部に及んでおらない点もございますから、これらの点も勘案しつつ、私は御提案の点につきまして検討いたしてみたいと存じます。
  45. 森勝治

    森勝治君 現在の免除方式がNHKの公共性という点から、それがいわゆる視聴者対策ということで有効である、だからこれを当分続ける、こういうことであるならば私は何もこれ以上申し上げるつもりはないんでありますけれども、しかし、これとは性質が若干異なりますが、これは必ずしも同じではありませんが、基地周辺の免除による減収補てんについても、失敬でありますが、われわれがこれを取り上げたからこそ防衛施設庁の予算補助が六億円も実現したという、このいきさつも忘れないでもらいたいんです。みんながその気になればできるという一つの姿があの件でもあらわれているわけですから、私はそういうところも十分ひとつ考えてもらいたいと思うのです。  そこで、私は、今度は未契約ないし不払いという問題、先ほどもちょっと触れましたが、これは何といっても放任ができないと思うのです。現場の例を若干とって申し上げましたが、現場の諸君はたいへん苦労しておる。しかし、この現場の諸君の苦労に報いるためばかりでなくして、やはり何といってもこの問題は決着をつけるといいましょうか、りんとしたNHKの態度が必要だと思うのです。これは赤字対策という面からも当然でありましょうし、赤字という面を離れても、これは何といっても公平の原則に反するわけですから、当然、この点はやはり強い態度と申しましょうか、き然たる態度で臨んでもらわなきゃなりません。したがって、そういうことは、従来の御努力は認めますけれども、これ以上なおざりにすることはできませんから、そういう意味からいきましても協会の業務のPRとか、このPR等につきましては、いま言ったように「営業所日記」というのもPRの一環でありましょうけれども、聴視者の意向のくみ上げのためにも、この受信者対策というものをさらに強めていかなきゃならぬ気がします。したがって、あのゆうべの「営業所日記」の中でも、一例として、営業所を訪れたお嬢さん方の音楽グループと申しましょうか、これらの方々を営業所が紹介をして電波に乗せたという、この営業所の隠れた話等もテレビで御紹介になっておりましたが、もちろん、それも国民NHKをつなぐ一つの潤滑油になるでありましょうが、いま申し上げた未契約あるいは不払いという問題を解消するために、しばしば指摘したことでありますが、過去一年間、どういう御努力を払ってこられたか、この点、ひとつお伺いしておきたいのです。
  46. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) 森先生の御指摘のとおり、協会国民の共感を得て初めて存在が成り立つ組織でございます。したがいまして、その基本であります受信料の不払いあるいは拒否というような問題をそのまま放置するわけにはまいりません。  しばしば新聞または週刊誌上でこの問題が報ぜられますが、私どもとしては、全力をあげて当事者にもお会いし、かつまた、その事柄を掲載しました週刊誌等には積極的に編集責任者にお会いしまして、私どもの実情を説明しております。幸いなことに、昨年来、一時熾烈に燃え上がりました各種の不払い運動、たとえば不払い受信票を全国に配付して、これを張れば受信料を払わなくてもよろしいというような非常に積極的な不払い運動的なものは、あまり他の受信者に蔓延することなく、私どもの判断ではある程度のワクでとめ得ていると思います。  しかし、森先生が御指摘のように、これは単なる説得や口説だけで国民が納得するものではございません。協会の全業務、全機能をあげて国民に信頼されているNHKをつくらなければなりませんので、これもまた森先生の御指摘のとおり、たとえば営業の面で集金者が全国を約四千人ほど二カ月に一回各家庭に訪問しておりますが、その出先でも当然のことながらNHKの性格なり、あるいはいまNHKがやっている、たとえば朝の番組についての簡単な質問や何かには答えられるようなPR精神をもって従事するということをやっております。  で、私ども、この機会に、全般的な協会のPRにどういう姿勢で臨んでいるかを大ざっぱに申し上げますと、非常に多角的な七本か八本かの柱があろうかと思います。  その一つは、先ほど森先生がごらんになった協会のメディアを通じて、つまり協会の番組を通じて私どもは私どもの性格なり業務なりをPRしております。昨日は営業の問題が出ましたけれども、あるときには放送の番組の問題、あるときには放送の技術の問題、そういった問題が大体一週間三十八本出ております。これ以外に百三十三本程度  のいわゆるステーション・ブレークといいますか、非常に簡単なPRの画面が私どもテレビを通じて国民に訴えかけております。もちろんこの私どものメディア以外に新聞とか週刊誌等々にも私どもの主張をあるいはお願いを掲載さしていただいております。また御承知のように全国に六十九カ所相談室を設けておりまして、この六十九カ所の相談室にはおおよそ件数にして年間三十五万件の御相談がきております。あるものは直接おいでいただき、あるものは電話その他でこの三十五万件の御相談に応接いたしております。それから、この相談室以外に投書というのがございます。これはやはり年間十万通ぐらいまいっております。そのほか私ども年間七百八十六回という聴視者懇談会を、これは全国の各津々浦々の個所で開催いたしまして、直接聴視者に接触いたしております。また協会の仕事の中に世論調査所というのがございます。これは放送法に命ぜられているとおり、国民の意向を調査しなければならないという業務が与えられておりますが、その世論調査所を使いまして国民の世論あるいは意向調査あるいは番組の視聴率等々について毎年活動をいたしております。さらに私どもの建物施設等はやはり国民の建物施設でございますから、東京の放送センターに対する見学だけではなくて、全国で各放送会館が地方の聴視者に開放されております。ある場合には集会所にも利用いたさせております。これが大体二百五十万人年間で御訪問されております。  以上申し上げましたような方向で、できる限り国民NHKという観点でPRしたいと思っております。
  47. 森勝治

    森勝治君 御承知のように、来年度放送開始五十周年記念を迎えるというわけで、新年度から何か番組を大幅に改定するとかと、こう聞いておるわけですが、この大幅に編成を改定するという趣旨はどういうことなのか、この点ひとつお聞かせを願いたい。
  48. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いま先生のおっしゃいますように、来年度放送開始五十周年の記念日を迎える年でございますので、それを大きな柱の一つにしていることは事実でございますが、これに先立ちまして、いま野村専務その他からの御説明がございましたように、協会の基本的な姿勢としてあらゆる番組を通じて聴視者との結びつきをさらに強化したい。聴視者の立向を把握して番組を強化するということは、これはもう言うまでもなく当然のことではございますけれども、来年度はさらにそこら辺のところに一段の努力とくふうをすべきではないか、こういうことでございまして、来年度編成の基本計画の冒頭に、聴視者の意向を積極的に把握して聴視者との結びつきの強化につとめるという一言を持にうたいまして、そして番組編成の基本にしたい。要するに協会の独善的なひとりよがりな番組ということのそしりのないように努力したい、こういうことでございます。  その他一つ一つの問題といたしましては、政治の問題あるいは来年度は参議院の選挙などもございますし、いろいろな面でそういう重点的なものを番組の中に、個々の編成の中に生かしていきたい。それからローカルの放送はやはり聴視者との結びつきの中では大きなウエートを持つ番組でございますので、ローカル番組の充実も特に努力したいというような幾つかの諸点をあげまして、なお教育テレビにおきましてはカラー放送の時間増を一時間はかりたいというような幾つかの諸点を明らかにいたしまして来年度の重点にしたい、こういうことでございます。
  49. 森勝治

    森勝治君 おことばを承ると非常にけっこうずくめでございますね。特に聴視者の意向を尊重して番組編成中心としたいというおことばはけっこうであります。ならばNHKが四十九年度放送五十年を記念して、より前向きの姿勢で積極的に取り組むという意向だと承りました。  さて、それではこの予算はどうか、いまのおことばは非常にきれいでありますが、物価高のおりからでありますから、いまのおことばを裏づけするためには、何といっても資金上、予算上の問題がついて回りますが、どうでしょうか、その点は。国内放送費は前年度の三・三%の増加にすぎないんでありますから、物価高騰を考えれば実質的にはマイナスになる。これでいまおっしゃられた聴視者の意向を尊重して聴視者の期待にこたえる番組の放映をしたいという皆さんのその願いと現実はかけ違ってくるではないか。難視聴解消の場合にも私は指摘したように、急にやらなければならぬものがどうしてこういうふうにうしろ向きの姿勢になるのでしょうか、この点がどうも合点がいかない。  ことばでは美辞麗句です。NHK皆さんですから、頭がよいですから、新しいことばでも何でも日本語の創造でもお手のものでありましょう。聴視者のみなさんの期待にこたえて積極的にやると言いながら、予算がついていかないじゃないですか。やろうと思ってもできないじゃないですか。こういうところに私は基本的な姿勢に迫力の欠けるところがあるのではないかと懸念されるのです。意気込みはわかりますけれども、何といっても物価高のおりからですから、いま局長のおっしゃったようなことをすなおにお伺いするならば、国民の期待にこたえるためには国内放送の番組予算がもっとふえてなければそれができないじゃないですか。番組編成でもなるほど額は三%ふえておりますけれども物価は高いんですから、出しもの等も前よりも劣ることになるんじゃないですか。金をもって番組を評価するのはいかぬと思う、確かにそれは。しかし現実の面では、だれかをお願いするにしたってある程度のギャラを払わなければ、その時期時期にふさわしいギャラを払わなければ来てくれないでしょう。資材を購入する場合だってそうでしょう。昨年度の三・三%増だけでいまのこの狂欄怒濤といわれる物価を押えることはできないでしょう。意気込みは壮なりといえども、中身はこれについていかないということになるならば、どうどこの辺がじみでけっこうかしらぬけれども、不安感というものがぬぐい切れない、私は。  この点、私は率直に申し上げたのですから、この点をお答えいただきたい。
  50. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 確かに先生の御指摘のとおり放送番組費の増加は三・三%でございますから、物価高その他の見合いを見れば、確かに苦しいということは率直に申し上げます。ただし、この三・三%の放送費の増の中での配分で、できるだけ番組の直接費と申しますか、そういうものに配分のウエイトを置いてできるだけ質の向上ということの努力のよすがにしたい、こう考えております。  それからなお、四十八年度の中で一応計画が終了いたしましたものを差し引きまして考えますと、大体、国内放送費三・三%増に見合いますものが四・九%ぐらいの増にはなるわけでございまして、それの配分をいま申し上げましたような形で番組費のほうにウエートを置いてさらに配分いたしまして、それが五・八%ぐらいの比率になるようないわば配分の努力はいたしておりますけれども、それだから物価等の見合いにおいて問題はないというふうな不遜なことを申し上げる気はさらさらございませんで、その中でわれわれ努力し、さらに放送をささえてくださる皆さま方の御協力もいただいて、質の低下を来たさないという努力をしたい、こう考えております。
  51. 森勝治

    森勝治君 どうも私は心配でなりませんね。せっかく信用されてきたNHKがそういう問題でぼろぼろと何か期待感というものが落ちこぼれていくような気がしてならぬのですよ、実際のところ。  前向きでやるやるとおっしゃるけれども予算の裏づけがない。物価高騰のおりから予算の裏づけのない出しものというのは、残念ながら、皆さんだっていままでたいへんそのことで御苦労なさったとおり現場では非常に困るわけでしょう。切り詰め予算はけっこうでありましょう、合理的に使うことはけっこうでありましょう。ただでさえ不払いの運動ができ、難視聴の問題について不満が渦巻き、国民の不信感というものが従来と違って非常にはびこってきたでしょう、根強いものでしょう、具体的な行動が始まっているでしょう。  たとえば大都会においてはNHKの不払いをしようというスローガンを掲げて行動されたこともあるし、いまもおっしゃったようにワッペンを各戸の表に不払いというので張りつけたというここに具体的に——なるほどそれらの運動は小さいからよろしいといって放任しておくしろものではないでしょう。そういう期待感が薄れてきておるときに、ことばでは前向きでやると言っておりながら、その裏づけがなされないということになるならば、出しものに対して不安感が生まれる。この不安感と不信感が両々相まってかもしだすものは何か、すべてNHKに向かっていくんですよ、強いかたまりとなって向かっていく。これを皆さんはどう回避され、どう解消されようとするのですか。この点ひとつ会長からお答えをいただきたい。
  52. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御指摘のとおり、放送費の増加分は現在の物価高騰の環境下におきまして十分でないことはこの数字が示すとおりでございます。  ただ、この点は金額のみによって番組の内容が一〇〇%左右されるものでないということも考えられますので、非常に素朴に考えましてこれでは番組の低下になるんではないかと憂えられるような予算の中におきましても、そうならないように、むしろ番組の質の向上になりますように努力をいたしてまいりたいと思うのでありまして、そこには異常なくふうをしなければなりません。  そういうような一つの一端が、やはりNHKは独善的なひとりよがりの放送で満足しておるべきではございません。やはり国民の共感の上に立った番組を楽しんでもらう姿でなければならないと思いますので、そのことが四十九年度番組編成の基本方針の中では私強く申したのでありますけれども、聴視者の参加番組をふやすべきだ、こういうことを申しております。これは非常に高いギャラのタレントをお願いするよりも、身近な自分たちの生活に直結した問題として御出演願って、しかもそういう生活に直結した身近な問題について十分にそこで将来の生活のあり方についてのいろんな参考になるような御討論もいただき、そのようなことをすることがかえって現下のいまの日本情勢の中では最も必要ではないか、かように考えますので、そのような番組をふやすことを一つの基本方針といたしております。  そういうような面からいろいろくふうを重ねてまいりますならば、金額の増加の比率は非常に低うございますけれども、何とか質を落とさないで、場合によれば非常に、より共感を得るような方途もさがし得るのではないか、かように考えておるような次第でございます。
  53. 森勝治

    森勝治君 御承知のように、民放の合いことばはNHKに追いつけ追い越せということばです。昔と違って、もう民放も長い年月を経てまいりましたから昨今は非常に成長してまいりました。NHKが聴視料をもってやっていくんだということでひとり安住をきめこんでおりますと、やがて民放に追い越されてまいりますよ。もちろん今日の組織の面からいっても、民放が束でかかってもNHKには太刀打ちできないかもしらぬ。しかしNHKが現状のままであぐらをかいておりますと民放に追い越されてしまうということを私はあえて苦言として申し上げておきます。  ことしは御承知のように参議院の選挙が行なわれるわけです。このことについてNHKはどのようなあり方を考えておられるか。四十六年からカラーテレビ放送というようなことで四十六年は新しい出しものになりましたが、ことしはどうされるか。たとえば候補者の放送、それから通常選挙の世論調査、開票速報等、もうあと三カ月後で行なわれるわけですから、計画がおありならばお聞かせを願いたい。
  54. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) まだいっその投票日になるのか、そういうことの事情は私もよく存じませんけれども、第十回の参議院の選挙の通常選挙が行なわれることは既定の事実でございますので、それに対応いたしますためにNHKの中に私を最高責任者とする選挙放送の対策本部を設けまして、現在、検討をいたしております。  いま御報告できますことは、当然のことでございますけれども、公職選挙法によります政見、経歴放送、これは従来と同様にラジオ、テレビの最も視聴好適時間に編成するというたてまえでXデー、投票日がきますればそれから逆算してということでXデーで現在検討いたしております。立候補者の推定等も大体例年にならって推定されておりますので、そういう数字をもとにして検討を進めております。それから当然いま先生のおっしゃいました開票速報等につきましても、これも万全を期するために従来同様準備を取り進めております。また、これも御指摘のございました世論調査の実施にいたしましても、全国調査、選挙区調査、それぞれ従来同様に実施したいということで準備を取り進めておる次第でございます。
  55. 森勝治

    森勝治君 一月の十六日から節電対策ということで放映時間を昼間一時間、夜間一時間短縮をしておるわけですが、これについて聴視者の反響はどうですか、まずそれから。  あとありますからね、何もかもあわててしゃべらんでけっこうです。
  56. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 現在までに実施いたしました一月十六日以降の放送時間短縮についての聴視者の反響は、東京を中心に全国各放送局を含めましておおむね千九百九十四件、これは投書とかあるいはお電話とか、そういうことを含めまして要望並びに御意見がございました。  で、正直のところ短縮を始めました当初から見ますと、非常に最近はその御反響のテンポと申しますか、そういうものは落ちてまいってきております。その反響のおもなるものは、教育テレビの「たのしいフランス語」「やさしいドイツ語」という、この語学講座を休止しているということに対する御不満、これが一番多うございます。これはフランス語、ドイツ語を合わせますと、大体、全体の五五.五%ぐらいがこの語学講座の廃止を考え直せというような御意見でございます。あとは経営受信料の問題等々でございまして、全般的に時間短縮そのものについて御不満、けしからぬというような御意見はほとんどございません。
  57. 森勝治

    森勝治君 時間短縮をしているのに、総理大臣の要求で一時間とられてしまったという不満の投書はきてませんか。言いにくいだろうけれども、正直に言ってください。
  58. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 時間短縮とのかかわりで総理の出演がけしからぬというような反響はございません。
  59. 森勝治

    森勝治君 時間と関係のない問題についてはありますか。
  60. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) それは「総理と語る」のみにかかわらず、あらゆる番組がそうでございますけれども、やはりいい悪いという意味合いの反響は当然ございます。
  61. 森勝治

    森勝治君 じゃ総理出演問題については、私もあとで質問させていただくことにして、この放映時間を短縮することによってNHKではどれだけのメリットがあったのでしょうかね。たとえばどのくらい節電できたのか、具体的な節約額がどのくらいになったのか、これを聞いておきたいのです。  NHKが一方的に放映時間を昼間一時間、午後は十一時以降一時間短縮したわけです。それで私のところへこう言ってきているんですよ。十二時まで放映するといって契約して受信料を取っておきながら、節約だという美名のもとに一方的に二時間打ち切ってしまった。たとえばフランス語の話が出ましたが、勉強している人やなんかがある。当然、その分だけ受信料の減免措置をはかるべきではないか、こう言ってきておるわけなんですよね。だから、そういう問題も受信料に関係してNHKに相当抗議がいっている。まあけっこうだというのもあるでしょう、早く寝られるからけっこうだというのもあるだろうし、子供勉強の妨げにならなくなったからいいというのもあるだろうし、なぜ急に切ってしまったんだというのもあるだろうし、しかし現に私に言ってきているのは、NHKが約束に反して切ってしまったというのですよね。全く一方的に打ち切ってしまった、だからその分返せと、こう言ってきているわけです。だから、この点についてNHKはどう釈明しようとするのか。  それから私は受信料を負けろという意見も一理あるような気がしてならぬのです。だから、こういう不平不満を巻き起こす方々がたくさん出てきたわけです。次から次へとNHKのやり方——もっとも、ああすればこう、こうすればああ、これは批判がつきものなのは世の常でありましょう。ありましょうけれども、こういう素朴な批判に対してNHKはどう答えようとされておりますか、その点お答えいただきたい。
  62. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 放送時間短縮によります経費の節減と申しますと、ごくささやかなものでございまして、これは電力節減による電気料金の節減分、あるいは番組はおおよそは再放送ものでありますので番組制作費としてはほとんど節減の対象にはなりません。大きいのは電電公社との回線の使用料でございますが、これも一時間に満ちませんと、五十五分短縮しましてもこれは全然節減になりません。現在、教育・総合合わせまして短縮をいたしておりますその時間が電電公社の所定のものさしに照らしまして減額の対象になり得るということで減額を受けておるもの、それらを一切入れまして月額にいたしまして千百万円ぐらいでございます。もちろんこの放送時間の短縮は臨時暫定措置でございまして、電力事情の改善とともに旧に復すべきものと考えております。  そういうような面で私のところへもいろいろ投書があるわけでございますけれども、中には、現在の放送時間短縮ぐらいでは足らないのだ、もっと大幅に短縮すべきじゃないか、こういうような意見もあります。あるいは放送時間短縮は非常にけっこうだというそれもございます。おおよそは放送時間短縮がけしからぬという投書は私は一通ももらっておりません。ただ問題は放送時間を短縮すれば、それによって経費が節減されるであろう、それはやはり受信者に還元すべきじゃないか、こういう投書は全体の中の約二〇%ぐらいはそういうものもございます。しかし、それは月額にいたしまして、現在の節減額から申しますと、白黒にして日に三銭ぐらいになりましょうか、カラーテレビにいたしましても四銭六厘ぐらいのものでございます。それはそういうような料金の減額という形で返還すべきにも満たないような非常にささやかなものでもございますし、しかもこれが臨時暫定措置だというような面もございまして、料金のような将来に永続するような体系のそれで措置すべきものではないと考えておりまして、この面については番組のむしろ質の向上に向けるべきだ、かように考えておる次第でございます。
  63. 森勝治

    森勝治君 NHK国民生活の時間調査というデータを見ましても、朝寝、おそ寝の傾向が増加してきた、こういうふうに統計上はなっております。しかも、ふえるテレビの視聴ということで、非常に国民テレビを見るようになってきた傾向があると皆さんの調査された中でも指摘をされているわけです。いわゆるこれは表現が適切でないかもしれませんが、夜行型がふえてきたということかもしれませんね。  そこでお伺いするのでありますが、十一時というのをこのままずっと続けるのか、五十年の記念事業の一環として四月一日からもとに改めておやりになるのか、この辺はいつごろあれをお解きになるのか、この点お伺いしたい。
  64. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) これは今後の石油事情、電力事情の成り行きにも関係することでございますけれども、先ほど申し上げましたような、現在のような電力節減、石油の節減、こういう事情が存します限りにおきましては、その間の暫定措置としてとっておるわけでございますけれども、当面、四月から新番組の編成をいたします。  そういった関係から、現在では、三月末までは十一時で放送を打ち切っております、総合テレビも教育テレビも同様でございます。総合テレビにつきましては、そういった新番組の編成の過程におきまして、四月一日からは十五分延ばしまして十一時十五分まで放送をするように考えております。そのかわり昼間は現在約一時間休んでおりますけれども、この時間が約一時間十五分ぐらい休みになるようでございまして、これはすべて再放送ものでございます。また教育テレビにつきましては、夜間十一時以後フランス語、ドイツ語の講座について深刻な非常な要望もございます。そういう面は私どももあの措置をとりまして以来最も痛い投書でございまして、これには十分御要望に沿えますように十一時から十一時半まで時間を延ばして、フランス語、ドイツ語講座を復活いたしたい、かように考えております。
  65. 森勝治

    森勝治君 部内からも、もとに戻してはどうだという声が相当強いというように聞いておるのですが、部内関係はどうですか。これは幹部会議でばさっときめるものですか。それとも部内の担当とかその他各般の総合的な意見を求めて、しかる後にきめるのですか。  いま聞くと千百万円程度——一月十六日から今日まで、その間ずっと、会長もいみじくもおっしゃったように額として効果を求めるとすればそうはあがっていない。だから、むしろこれは国民に、時代がかった表現で恐縮でありますが、いわば警鐘を鳴らすという意味の、いわば頂門の一針となれ、こういう意味でおやりになって、いわば政策的におやりになっているような気がするのでありますが、この辺はどうですか。
  66. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 政策的に実施をしたものではございません。どこまでも客観的にきびしい一つのそういった電力事情等による節電の必要に迫られての措置でございまして、そういう事情がなくなれば、これはもとに復元すべきものと考えております。  また内部的には、現在の放送時間短縮のそれは上から押しつけられたものであって、現場のほうではもとどおりにやりたい、こういう希望があるのではないか、そういう反発がありはしないか、こういう御質問でございますけれども、もちろんあの時期にあの措置に踏み切りましたそれにつきましては、私はかなり指導性を発揮いたしました。しかし、その後の状況を見ますと、現場の方面におきましても、現下の電力事情等の関係に照らしまして、それに対する反発はないようでございます。また四月から、先ほど申し上げました一部放送時間短縮の変更をはからいますそれも、現場の要望として出たものでございまして、それはそのまま私は受けとめておるような次第でございます。
  67. 森勝治

    森勝治君 放送文化基金の設立計画については、基本の活用方針をめぐって御承知のように問題になったわけですが、この財団の業務の範囲というものはどのようになっておるのか。また基金の百二十億円というのはどう運用をされているのか。  もちろんこれは二月一日ですね、設立は。だから、そういま直ちにこうしたああしたという成果を求めるつもりの発言ではないんです。ただ将来にわたってどうされようとしているのか、その辺は、設定いたしますという風のたよりは聞いたが、さっぱりその後の様子がわからぬし、そっかくおつくりになったものを活用しなきゃならぬし、あるいはまた仄聞するところによると何かNHKとあたかも何かの部門については競合するかのごとき計画があるやにも聞いている。屋上屋を重ねるためにこの基金財団をつくったわけではないのですから、その辺のこともいまから申し上げておかないと、形がばんとできちゃってからでは直すことも直せないでしょう。NHKの機構改革一つとったってなかなか容易じゃないと同じように、一つの歴史と伝統というものにはぐくまれてしまうと、そう簡単に形を変えるわけにはまいりませんから、私は、二月一日にできたばかりでありますけれども、これからの方針等についてもとくと伺っておかないと、またすったもんだしてほぞをかむようなことになってはなりませんから、質問をしているわけです。
  68. 野村忠夫

    参考人(野村忠夫君) お答えいたします。  ただいまの御質問のまず第一点、この財団の業務の範囲はどういうところにきているかという御趣旨でございますが、御承知のように、この予算に関連します「説明資料」の最終ページに、この財団に関する設立準備段階の経過が記載されて当委員会にも提出してございますが、これに関連して少しく御報告申し上げたいと思います。  先生の御指摘のとおり、昨年の三月、NHK予算審議の際に、この財団の業務の範囲をめぐりまして、先生も御参加になりましたが、塚田十一郎先生及び郵政大臣との間にもいろいろと質疑応答が行なわれました。最終的には、参議院逓信委員会の附帯決議の中で、この財団の運営、設立にあたっては、基金の設立者たる協会の目的と使命にかんがみ、その業務の運営を非常に慎重にせよというような御趣旨の附帯決議が付されております。これらの審議の経過並びに附帯決議は詳細にわたって準備委員先生に御説明申し上げました。  その際、内容的に明らかになりましたのは、当委員会において、その業務の範囲は、この基金がそもそもが受信料である、したがってその受信料という性格からして、放送法第九条二項の協会の業務の範囲の外、つまり放送以外の業務には当然使えないのだ、そういう意味合いからして九条二項の範囲内の業務関連ということに御限定をされたわけでございます。したがいまして設立委員会といたしましては、それらの国会審議を踏まえまして、業務の範囲は例示的にするほうが明確であるということで、「説明資料」にも書いてありますように、非常に条項的に列記いたしました。  読み上げますと、一つは「放送に関する技術の研究開発の助成、援助」。二番目は「受信改善手段の開発の助成、援助」。三番目は「放送に関する国際協力への助成、援助」。四番目は「特定の教育施設、社会福祉施設に対する受信設備の援助」。五番目には「放送に関する法律、経済、社会、文化的研究調査の助成、援助」。六番目には「放送に関する文化の振興、文化の保存のための助成、援助」。七番目には「放送文化及び放送技術に関する著しい貢献に対する表彰」。八番目は「その他」でございます。  二番目の御質問の資金の運営でございますが、これまた国会での諸先生の御議論を踏んまえました内容を逐一準備委員会にお伝えいたしまして、その結果、百二十億円の資金の運営につきましては、主として公社債、金額にいたしまして大体八十億、残りの四十億は信託銀行に信託してございます。で信託銀行の信託の専門家を通じて、この公社債を含めての運営をおまかせしているという状況でございます。  現在、二月に発足いたしまして、四十八年度は二カ月分の利息の計算が計上できるわけでございます。四十九年度一年間を加えますと、最近の債券市場の非常に高利回りということを反映いたしまして、直接利回りとしては八分一厘七毛程度の運営ができるという予想を立てております。したがいまして使い得る事業支出に振り向ける金額につきましては、当初大体七分の利回りということの予想を昨年の三月には御説明申し上げておりましたけれども、若干ふえまして、四十八年度の二カ月分を含めて四十九年度結局十四カ月分という期間を見ますと、九億から十億の間、十億にほぼ近いという基金の運営ができる予定でございます。
  69. 森勝治

    森勝治君 スタート早々ですから、期待感はたくさんありますが、多くを求めることは早計でありましょう。しかし、かりそめにも国民の浄財をもって設立した財団でありますから、その運営にあたりましては、少なくともNHKとあたかも運営が重複するような愚は避けてもらいたい、このことはひとつお願いしておきます。  このことについて郵政省にも注文があるんでありますが、時間がもうありませんので、私は次の問題に移りたいと思います。  私がこれから質問したいのは、職員の待遇問題と総理NHK出演問題と、あと簡単なの一、二でございますので、お許しをいただいて質問を続けさせていただきます。  一昨日の同僚委員質問にこういうことがあったのです。今日の赤字の原因が人件費の高騰にあるのではないか、これが質問の要旨の一端にありました。ところが、この問いに対しまして、会長は肯定なさっておられるような印象を受けたのでありまして、私は非常に意外に思ったのであります。  今日の赤字の原因が人件費の高騰にあるなどとはどこの企業でも言っておりません。狂乱物価のなせるしわざだというのが使うほうの立場の者も使われる立場の者も一致した見解ではないでしょうか。その中で企業努力が要求されるところがあることはもちろんでありますけれども、大かたの国民考え方はそこにいっておるんではないかと思うんです。したがって私はむしろ人件費の高騰ではなくして、何といっても今日の悪性インフレが引き起したもの、したがってこれらについては企業みずからの努力や経営努力に帰すべきものと考えておりまして、あたかも人件費が高騰したからNHKが赤字だと言われたのでは、一万六千の諸君がそれこそいても立ってもおられない心境になるだろうと思うので、この点は国民NHKたらんと日夜努力しておる職員の立場からいっても、彼らの生産意欲を減殺するようなことになりかねないのでありまして、私はこの点特に、他の人とのやりとりについての言及質問は恐縮でありますけれども、取り上げたわけでありますので、これは何かはずみと申しましょうか、やはり何かおありだと思いますので、もし私が指摘したような立場でおっしゃったとするならば、ここで明確にこの点をひとつお聞かせいただきたい。
  70. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 一昨日の私の答弁が誤解を生じたようでございます。  御指摘のとおり、われわれといたしましても非常に高度な重要な仕事に携わる職員でありますので、この職員に対しまして適正、十分な給与を考えることは何をおいてもなさなければならぬことだと思います。またそのようなことでいままで対処してまいっておりますし、将来もそのようなつもりでまいりたいと思います。  現在の状況において、この赤字の関係、いわゆる経営の非常に切り詰まったそれが人件費の圧迫のせいだ、こういうような面で私はお答えをしたつもりはございません。ただ将来漫然といきますと、物価高騰はおさまらない、賃金はそれに追っかけてやはり上昇をしなければならぬ、こうなってみますと、ただ漫然と運営をしておったのでは人件費の重圧は、将来——現在ではございません、将来、やはり経営に対してかなり重荷になるであろう、こういうようなことは申したわけでございますけれども、その点についてはいろいろな能率向上の措置等によって給与改善を十分なし得るような基盤をつくっていきたい、こういうような趣旨で申し上げたわけでございまして、決して現在人件費が経営を圧迫し赤字の原因になっておる、こういうことを申したわけではございません。
  71. 森勝治

    森勝治君 わかりました。どうかひとつ職員の生産意欲を阻害するような発言等はゆめなさらないと考えますし、いまの話で明快にまいりましたが、あるいは今日のようにことしも赤字、来年も赤字ということになりますと、やはり誤解に基づく錯覚発言がなされないとも限りませんから、この点はひとつ十分気をつけていただきたいんであります。私は、むしろ赤字だから職員の給与なんか上げなくてもよかろうという近視眼的な発言が出されると困りますから、申し上げたわけであります。  何といっても、この前も私は職員の給与問題のときに触れましたが、NHKの職員の皆さんは高度な専門的知識を特に要求されます。ですから、そういう面から考えても適材適所という名にふさわしい労働の対価が支払われてしかるべきものと考えておりますけれども、これは他の同種産業に例をとりましても高いということはどこからもうかがい知ることはできないのであります。たとえば平均賃金は三十五歳八カ月の人が十万九千五十八円と、こう聞いているわけです。そうなりますと、世上ややもするとNHKの職員は高給取りだという声が私どもにときどき入ってくるのでありますが、いまのこの平均賃金を見ましても少しも高いことはないし、むしろ少ないくらいではないかと私は言わざるを得ません。これは別にNHKの職員の肩を持つわけでありません。世間の一般的な賃金水準から見てもちっとも高くないし、むしろ低きに失するような気がしてならぬわけであります。しかも今次の春闘相場というものが二五%から三〇%以上といわれる中で、NHKの昇給は定昇込みで二一・三%という賃上げでありますから、多いこともないし、これはむしろ他の産業にくっついていくためにはもっとふやしてやらなければならぬと思うのです。したがって先ほども私か指摘したように、赤字の根源は——会長かそれは明快にされましたから私もあわせてその点は安堵いたしましたけれども、赤字の根源は人件費の高騰に起因するものでないということがこの数字からもはっきりとうかがい知ることができるわけであります。  私は、会長が補足説明の中でもおっしゃいましたように、適正な水準を維持させたいと述べておられるわけでありますから、この点は皆さんの良識にまかせたいと思うのでありますが、いま申し上げたようにベアが低く押えられております。したがって、いわゆる春闘相場から見て低いということになるならば、NHKの労使では年間協約でありますから、当然、春闘相場がきまったあとでは他の産業の諸君と水準が違ってくるわけですから、こういうときには給与の年間協約がたとえあっても時代に対応する補正をすべきが正しいと思うのでありますが、この点、基本的な問題についてのみお答えをいただきたい。
  72. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御趣旨は全く仰せのとおりだろうと思います。  ただ、NHKでは一たん予算を組みますと、その基準のベースをどうこう左右することは過去にもやったことがありませんし、またこれは手をつけるべきでないと思います。春闘相場がきまりまして、今年度この予算の中に組んでおります給与改善のそれが非常に見劣りがするというようなことになれば、これはやはり善処しなければならないと思うのでありまして、そのような面の足がかりはこの予算編成してあります、給与交渉の妥結の際にも一つの将来にわたっての配慮すべき問題として組合との間には了解事項としてでき上がっておりますので、そういう面については、ベースをさらに改定するという意味ではございませんけれども、適切な何かの方法によって組合との交渉過程において善処してまいりたいと思います。
  73. 森勝治

    森勝治君 たたみかけるわけではありませんが、NHKの労使のような年間協約というのも他の民間等には見受けられます。しかし、いずれのそれらの会社、事業所にありましても、このようにあすもさだかでない物価のもとでは、やはり他の産業の従業員の諸君の給与が上がった場合には、もう一ぺん見直して、あるいはおさらいということばかもしれませんが、見直して適正水準でその事態に対処するというふうにされておりますから、賢明なる小野さんの率いられるNHKでありますから、この点はちゃんと処理してくださるものと考えております。  そこで時間がありませんから次の問題に移りますが、これはいわゆる世上いろいろ話題になっております、あえてこれは問題になっていると申し上げてもよかろうと思うのでありますが、NHKにおける「総理と語る」という総理出演番組についてであります。  御承知のように、総理大臣がテレビにこういうかっこうで出てきたのは三十六年の十一月ですね。これはむしろNHK側から時の池田総理に時の前田会長が提案をされたわけです。ところが何か今日は、総理のほうからNHKにこれを要求されたというふうに聞いておるわけです。  これは佐藤さん時代に評判があまり悪くてやめたという前科つきのものです。評判が悪いというのでやめちゃった。これは日本のみならずアメリカにおいても、この総理テレビに登場するということ、特に昨夜のように春闘をなで切りにし、今度の臨時所得税についても、総理大臣としての発言でなくして自民党の総裁として発言をしているということ。私は一部始終九時半から十時半まで全部ゆうべは聞いてみた。問題点がたくさんあるわけです。かてて加えて今度は放映回数が倍増されるということになりました。  問題は、中正であるべき——公正という表現が正しいでしょうかね、国民に対して公正運営を期待されるNHKが、まさにこれは偏向番組と、私は昨夜の問題からいたしましても、きめつけはいたしませんけれども、そういう疑いがある。総理立場を考えて、きめつけはしません。しかしこういうことが今後繰り返されることになるならば、先ほど言った難視聴解消の意欲もなくなった、五十周年記念事業で四月一日からがんばるといっているのも予算措置がさっぱりなされてない、むしろ削ったかっこうになっておる。にもかかわらず総理の番組だけ倍増するということであると、どうも最近のNHKの偏向ということが、週刊誌にも取りざたされ各紙も書いたこの問題が、まことしやかに伝えられたこの問題が、やはり真実であったのかというふうになってしまうのではないかと思うのです。  そこで私は聞きたいのでありますが、一体、NHKはこの番組についてどういう考え方をお持ちなのか。先般も同僚が質問したら、けっこうだ、けっこうだとおっしゃっておる。しかしどうも合点がいかないわけであります。だからまず、三十六年に時の前田会長の提案でなされたこの「総理と語る」問題は、佐藤総理が評判が悪いというのでやめてしまったものを、今度は政府側から持ちかけて、まあ復活ということが正しいのか新設ということが正しいのかさておいて、いまテレビに出ているということ、電波にのせられているというこのことは一体どちらから持ちかけたのか、これは一体どういう意図でNHKが、もし政府からの申し入れならば受け取ったのか、この辺をひとつお伺いをしたい。
  74. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) この問題は、先生も御承知のとおり、発端は池田内閣時代にNHKから持ちかけたものでございます。その趣旨といたしますところは、政治が生活に浸透し生活が政治に反映される、これがやはり非常に好ましいことではないか。こういうようなことから政治の最高責任者であります総理に、日常生活に関係のある政治問題についていろいろ対談を通じて明らかにしてもらい、そのことが国民生活の中に浸透し、あるいは国民生活の上から政治に要望するものがあればそれが政治に反映される、こういうことが好ましいということで始まったものでございます。  したがいまして、当時としては現在やっておりますような毎月一回ぐらいが好ましい、こういうような気持ちであったわけでございますけれども、あれを始めてみますと民放さんのほうも意欲を出されました。そういうような状況NHK民放を交互にしようというようなことで発足当初よりはNHK放送分はその限度において減少をしたわけであります。また一面、内容的には、新聞社のほうからいえば、あの対談を通じてニュース性のあるものが流れては困るのだ、こういう意見もありました。そういうような面でできるだけニュース性のあるものはあの対談の中から避けようというようなことで運営をしてまいったのでありますが、この辺の回数なり対談の内容等については、当初NHK政府に働きかけましたその意図とはその限度において非常な相違を来たしておったわけでございます。そういう面で、当初の要望のとおりできるだけひんぱんに、しかもそういったニュース性のあるものもやっぱり取り上げていくことが必要でありますので、そういうような面を念願しておりました。幸いにいたしまして新聞社との関係におきましても、ニュース性のあるものを取り上げてもらっては困るという気持ちも引っ込められたようでございますし、また回数としては当初の月一回、これをわれわれは要望しておりましたが、たまたま田中総理もそれを非常に希望をせられ——決して押しつけではございません、私は何ら一回もそういうことは総理から聞いておりません。そういう総理の要望のあったことも事実でございます。  そういうことで、当初、発足当時にNHKが考えておりました意図のとおりに今日なったということでございまして、別段に押しつけを受けてNHKがこれに屈したわけではございません。
  75. 森勝治

    森勝治君 どちらから持ちかけたのですか。
  76. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 回数が多いことは常にNHKから要望をしております。佐藤総理時代においてもそうでございます。
  77. 森勝治

    森勝治君 今度もあれですか、NHKから「総理と語る」という番組を編成しましょうということを話しかけたのですか、その点明確にしてくださいよ。
  78. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) われわれのほうからも、田中総理になっても当初の池田総理当時に開始した当時のNHKの気持ちはこうなんだということで、現在よりもやはりひんぱんであることが好ましいということは申してありますし、総理のほうからも毎月一回ぐらいやってくれないかと、こういうようなそれは、私にではありませんけれども、そういう要望はNHK並びに民放双方に漏らされたようでございます。
  79. 森勝治

    森勝治君 どうも事総理のことになると、あなたとは覚えないような歯切れが悪いですね、失敬でありますが。  NHKが佐藤内閣のときに、四十七年の一月十八日に、あまりにも不評判だということでNHKが進んで打ち切ったんじゃないですか、そうでしょう。なかなか総理が当時うんと言わなかったんでしょう。だけど視聴率二%にダウンしちゃどうにもなりゃしませんというのでNHKがみずから取り下げたものを、なぜ今日評判の悪い、失敬でありますが、佐藤さんに輪をかけたような評判の悪さの人にこれをあなたのほうから持ちかけたとは何事ですか。世評では政府から押しつけたということになっています。あなたの話だと、何か両方からランデブーしたような話だし、さっぱり要領を得ない。あなたの立場をもってすれば、なるほどその辺は明快に言えないかもしらぬ。しかし、この辺は国民が聞きたいところなんですよ、小野さん、いいですか、一体どこから持ちかけたんだろうと。  評判がよいならいいです。ゆうべのをごらんになりましたか。まさにあれでは総理のうっぷん晴らしじゃないですか。ゆうべはそれでも慶応の教授の方が、それはこうじゃないですかなどと盛んに言ってくださっておるけれども、その前なんかどうですか、松岡君が指摘したとおりじゃないですか。まさにこれじゃ評判が悪くなったのはなぜだか考えてみてください、佐藤内閣のときに。ごますりばかりが集まって、評判の悪い佐藤のごきげんばかりを損じまいと、それから国民があきれ果ててそっぽを向いてしまったんじゃないですか。だからNHKがおやめくださいということでやめてもらったんじゃないですか。  いまの談話を見てくださいよ。坂本さんは何かおとといの質問では、総理大臣としておやりになるんですから、自民党の総裁としてやってないんだからいいでしょうと言っている。ところがどうです、おとといあなたはそういう答弁をしているけれども、ゆうべの田中総理の談話、発言は何ですか。私は総理大臣であるけれども、自民党の総裁としてと言ってしゃべっているんですよ。たとえば臨時所得税について、いま国会で議論されている問題について、いままで配当ももらわないやつをそういうところから取るのは無理だと思うと言っているのですよ。ところがその自民党が、野党のわれわれには、そういうのも含めて取りますといって提案してきて一致したものでも、そういうふうに総理は変なことを言っているんですよ。クレームをつけたとしか思えないでしょう。あれは総理と語るじゃないですよ、総理放言ですよ、総理が語るですよ。外国の例を見なさい。  総理にさせるなとは言わない。しかし一国の総理とあろう者は、たとえば昨夜の場合には春闘で組合側は何だと、公労協は親方日の丸だと言って、何やってもいいんだと言って、あたかも侮辱するような言辞を用いている。総理は一国の宰相でしょう、公労協の諸君の上司でしょう。その人が自分が使っている職員を侮辱するようなことは、外国じゃそういうことはないんじゃないですか。それで国民の期待をになう総理大臣だと言ってうそぶけますか。国会できめた方針とか、そういうものを国民の理解を求めるために総理発言してくださるならまだしも、野党攻撃であり労働組合攻撃であり唯我独尊的な発言では、これはもう世間が許しませんと私は断言したい。  それでもこれを続ける気なのですか。まさにこれは偏向番組じゃないですか。もし総理にああいうことをどんどん放言させ言いたいほうだいをさせるならば、うっぷん晴らしをさせるような番組ならば、総理がしゃべった問題について、あるいは世界観の問題、経済対策の問題、政治の理念の問題について、反対する国民の意向を代弁する者を出させなければ、中正、公正であるべきNHKの使命は全うされません。このことは会長に声を大にして私は申し上げたい。総理にしゃべらせるなら、野党の委員長や、そういう野党の代表を出さしてくれなければ片手落ちじゃないですか。それで国民に期待されるNHKなんて言ったってちゃんちゃらおかしいですよ。  ゆうべの九時半からのを見てください。ビデオとっておるでしょう、官邸でとったやつですから。私が言うのはけしからぬと皆さんがお思いなら、協会の本部にお帰りになって皆さんで、幹部であの放映されたのをもう一ぺん映して見てください。それでもわれわれは黙って総理の放談を金を払いながら聞かなきゃならぬのですか。これから国会できまるような問題について野党をけなしているんじゃないですか、労働組合をけなしておるんじゃないですか。何か一時間幾らで買ったとするならば、PR用で自党が買ったというのなら何をか言わんやです。番組の切り売りはNHKはしないことをもって旨とするんですから、会長、まことにこれは困ります。  たとえば、ゆうべの話の中で、弱い者を助けろと野党の諸君は言っている、したがって身体の不自由な方々の年金等もふやせと野党は言っているんだが、と言いながら、またべらべらと自分のかってなことを言っているんですよね。一つのことがある意図のもとに発言されれば、当然世界観や人生観が違った処世訓を持っている方々から反撃を受けるのは当然でしょう。NHKといえども、いかに総理の押しつけといいながら、総理にああいうことを今後ともしゃべらしておけばごうごうたる非難が国民の中から渦を巻いてわき起こってくることは明らかだということは想像がつくでしょう。そう思いませんか、会長。だから、あなた方がこの問題を今後もお続けになるなら、総理が語った命題について題目について、野党のわれわれに反撃の機会を与えてください、われわれ野党にもチャンネルを提供してください、公平に。それでなければ片手落ちです。われわれの立場からいたしますならば、もちろん総理とは考え方違いますから、考え方の違うわれわれの立場からいたしますれば、ああいう独善的なうっぷん晴らしのようなことをされたんでは、金を払ってNHKを見る気持ちは毛頭起きませんよ、こんなのは、ばかばかしくて。  だから私は冒頭に申し上げた。最近のNHK経営委員任命にいたしましても、中正、公正であるべき経済委員がある特定の政党のために長い間資金調達の中心をなしていたということ、反対の立場の人がそれを聞いたら快くその人を経営委員として迎えることができるでありましょうか、迎えられない、気持を悪くするのは常識でしょう。NHKの人事にしてもまたしかりでしょう。どうしてそういうふうなことをやるのです。だから私は質問の過程で申し上げた。大黒柱をうしろにしょってあぐらをかいておると、やがて民放に追い越されますぞと私は警告を発したのです。  この問題は、私もあまり時間がありませんから、あまり深くは語れません。ほんとうなら、この問題については重大な問題でありますから、四十九年度予算冒頭に私はやるべきだったかもしれません。しかし何といっても予算案の成立時期でありまして、もうあしたとあさってしかありません、委員会ではきょうが最後ということになりますから、定例日はありませんから、やむを得ず私は予算案から入りました。国民NHKのほうに向いて一番関心をそそり不快感を持つのは、この総理独演会であります。これをけっこうだ、けっこうだと担当局長は言っておるが、あなたは一体これを見ておられるのか、失敬でありますが、それを聞きたい。  それから、おとといのこの問題についての担当局長答弁は、行政の責任者の声を国民に伝えるのは公共放送の使命だ、放送法上も問題はない、こういう意味のことを言っておるわけです。先ほども申し上げたように、なるほど総理は一国の宰相でありますから、行政府の最高責任者でありましょう、と同時に自民党の総裁であります。だから、あなたが松岡君にお答えになったのとは違うのですよ。総理大臣だけれども、自民党の総裁としてというわざわざ注釈をつけて発言をされておるんです。総理大臣の発言ならよろしい、自民党の総裁がすりゃ困るとあなたは答弁したつもりだけれども、中身はそうじゃないんです。時間がないから、私はかいつまんでこういう問題を申し上げているわけだが、これでNHK批判するな、国民よついてこい、黙って払い込め、ちゃんちゃらおかしいと言いたい。  かつて私が聴視料不払いの動きがありましたときに、数年前でございました、この委員会で副会長であります小野さん、あなたに申し上げたことがあるんです、御記憶でありましょう、私がたたみかけたのですから。この動きがやがて燎原の火のごとく燃え広がらないとは限らぬから手を打ちなさいと申し上げたときに、あなたは動きはわずかですから御心配に及びませんとお答えになった。そこで私は重ねて申し上げた。小野さん、あなたは楽観をしているけれども、いまにそんなことを言っている時期じゃなくなりますぞと、お気をつけなさいと警告を発したことがあります。記憶まだ私は明らかであります。そのときはもう来たんです。なるほど、あなたがたは少数派だと言うでしょう、言うけれども、不払い同盟という団体もできてきたんです。NHKはそんなことを言って総理のちょうちん持ちばかりをしていると、そういう方々のみならず、ばかばかしくなってNHKのチャンネルを切りかえて民放のほうがいいわということになってしまう。民放のように総理の出演の場合に、PRのように金を出してもらってスポンサーになるならば、あああれはどこそこの会社でやっているから、だれそれがここを買って自分の金で出しているんだと、見るほうだって承知して見ますよ。しかし一国の宰相として発言するからには、もう少しNHKといえども考えてもらわなければ困るんですよ。総理といえども考え方の違うのがたくさん国民におるんですから、そうでしょう、自分が金を払っているそのチャンネルで反対の意見をどんどん押しつけられちゃ困るんです。だからそういうときには、おやりになるなと言いませんけれども、反対意見の者も登場さしてくださいと申し上げているんですよ。アメリカではそうやってるじゃないですか。  私は全く最近のNHKというのは歯がゆいし、昨夜も公労協の諸君田中総理は親方日の丸の連中だという表現を用いましたが、私はそのことばをあなた方に申し上げたい気持ちがやまやまだ、しかし、きょうは若干教養がじゃまさせて、そういうはしたないことは申し上げません。  しかし、言いたい。こういうことについては、失敬でありますが、先ほどおられました新谷さんも、いつかそういうことで苦言を呈しておられたことがあります。佐藤総理時代に世の指弾を買って、不信を買ってだれもチャンネルを見向きもしなくなった。たまりかねてNHKがみずから打ち切っておいてだ、田中さんがいかにテレビ好きだからといったって、痛々しい限りで見ちゃいられないですよ、まだ病中ですから口がへの字に曲がっている姿、口はなおさぬでもよろしいけれども経済だけは早く直してくざさいと、国民の中には言う人もあるでしょう。私も言いたいけれども、あまり言うといけませんから言いません。どうかひとつ会長、この辺で考えてもらいたい。  それから郵政大臣に一言。最近の郵政省は事あらばNHKに容喙をしたいという姿勢を持っているように思う。たとえば私が先ほど触れました財団の問題にいたしましても、何とかしてNHK発言権をこの中で爆発させたいという願いをお持ちのようだ。だから私はあの点についてはNHK質問しただけで、監督官庁であります郵政省には質問をしなかった。もう小林武治大臣でこりごりですよ、皆さん、私もそうだ。あんなに干渉し、傍若無人で、かって気ままなことをやった大臣で、もうたくさんです。どうかひとつ、あまり郵政省はNHKに干渉をすることなく、公正を旨とするNHK運営ができるように、そういう面から指導してもらいたい。  このことについては時間を急ぐあまり、私は少し時間を多く取り過ぎた模様であります。一つ一つかいつまんで質問をしたいと思ったんですが、時間がありませんから、ある程度しゃべってみたわけです。したがって前段はNHK会長から、後段は郵政大臣からお答えいただきたい。
  80. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御高見はつぶさに拝聴いたしました。「総理と語る」の聞き手、出演者、その運営等については改善を要するものがあろうかと思います。いろいろ参考になる御意見を拝聴いたしましたので、そういうことを大いに取り入れながら、運営についてはいろいろ改善をしてまいりたいと思います。
  81. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 先ほども答弁をいたしました際に申し上げましたが、NHK国民の聴視料と申しますか、受信料によって運営をされておりまして、NHKはこういう機関でありまして、何人も干渉を許されない、そういう法律によって立っておるところの機関でございまして、私はNHKに対して法律に許されないような干渉がましいことは一切させない、してはならないという立場に立っております。御指摘がありましたが、郵政省がそのような干渉がましいことをしたがっておるとは私は思っておりませんが、御指摘がありますので、なお注意してまいりたいと思います。  なお、具体的な問題というのは新しくできました放送文化基金設立に対する問題であろうと思いますが、これの目的を達成するために十分に配意してまいりたいと思いますが、少なくとも郵政省が干渉をするというような態度ではまいらずに、十分にこの機関もまた目的を達成するように配意してまいりたいと存じます。
  82. 森勝治

    森勝治君 会長が慎重に対処するとおっしゃるわけですから、私はそれにすべての期待を込めたいと思います。したがってこれ以上このことについて多くを語りませんが、一言だけ申し上げておくのです。  先ほどもつぶさに指摘を申し上げたように、NHKに対して不信があらゆる角度から高まっておる今日でありますから、さらに番組編成等について、いま私が総理出演の問題についても申し上げたように、NHK側の体制にも大いに問題があるわけです。総理が何と要求しようとも、国民NHKなのですから、やはり出しもの等には、しゃべらせるならしゃべらせるように、先ほど申し上げたように対立点のあるような重要な案件については反対党の党首をもってこれに充てるとか、そういうふうに公平な扱いをするならばよろしいと私が思うことを申し上げたわけです。したがってゲストの人選、テーマの取り上げ方等についてももっと慎重な態度、指弾をされないようなあり方をNHK自体が持つべきではないかと思うのです。もとより田中総理は所管の大臣経験者ですから、その辺のことはちゃんと心得ておられるんですよ。だからNHKが一言助言さえしてくれれば、ああいう傍若無人な——失敬でありますが、私の所見を申し上げているんですから、傍若無人な、なで切りにするような、総理のうっぷん晴らしをするような——国会で長いときは私なんかやめろとときどき言いますよ、長過ぎるから。質問されないこともしゃべっているわけですから。私なんかもその傾向なきにしもあらずでありますけれども、特に総理はそうだ。国会でぶたれないからといって、テレビで、国民からいわば入場料を取っているんですから、入場料を取っている、金を払っている人に向けてつばをかけるような、悪口を言われるような、そういう番組は困るんですよ。甲論乙駁けっこうであります、もとより望むところでありますから、おやりになるならそういう編成のしかたをしてもらいたい。  せっかく、あなたが慎重にかまえるとおっしゃるから、そのことについて、今回は全幅の信頼は置きませんけれども、多少信頼感を込めて、私はこれでその問題は終わりますが、どうぞひとつ慎重な対処をしていただきたい。  それから郵政省も抽象的な大臣のお答えでありますが、どうかひとつNHKが世間から何だかんだ言われる原因の相当な部分は、郵政省のNHKに対する姿勢の中で芽ばえてきたんだし、いいですか大臣、それをひとつお気づきになっていただきたい、いいですね。そのことはひとつ要望として申し上げておきます。  それから最後に、時間がありませんのでこれで終わりにいたしますが、いかなる思想を持ち、いかなる信教に走ろうとも、それは憲法で保障されている個人の自由でありますから、私はそういうことには少しも触れたいとは思いません。しかし今回の参議院選挙にあたって、長年NHKの第一線に立たれた宮田さんの処遇をめぐる問題については憶測が乱れ飛んでおります。たとえば、ふるさと政策をもって世に問う、私がやってきたと宮田さんは記者会見でそういう発表をされたやに漏れ承りますが、あれは宮田さん個人のものでおやりになったのではないでしょう、NHKの施策として行なったんでしょう。ところが、われわれが間接的に聞くと宮田さんがおやりになったと、NHKというのは特定な人にはかって気ままにさせてよろしいという不文律があるのか、そういう邪見も生まれてくるわけです。  ここにも、人をあげて恐縮でありますが、木島さんがおられます。ちょうど木島さんも宮田さんと同じように選挙に出られました。かつて上田君もNHKの職場から羽ばたきました。これら両君のごとく、本人を目の前に置いて恐縮でありますが、木島さんや上田君が出たときには、こういう宮田さんが出たときのようないろいろ揣摩憶測が乱れ飛んだことはありません。これはどういうことでありましょうか。何も私はあの人が自民党から出たからことあげしているのではないのです。かててさえ自民党と密着をしかねまじきもろもろの所業がNHKの中にあるふうに世の中で思い込まれておるおりもおり、そういうふうな形で出てくるから、さらに揣摩憶測が現実性を帯びてくる。ものによってはなるほどと人はかしらを縦に振るような事態にもなってくるわけであります。自民党の党籍を持つ諸君が、一昨日は、そのことについて質問をいたしました。お二人さんも発言をされました。こういうことは当委員会始まって以来でございます。人のことをあげつらうということは非常に勇気を持ってしなければなりません。しかし今日のように、何かあるんでは、何かあるんではないかとすべてのことにNHKが勘ぐられてくるようであってはならぬと私は思うのです。  たとえば宮田さんの退職手当等についてもたいへん御配慮を願ったと、こう出ている。外部の人が言うのですからあるいは違うかもしれませんけれども、世上そういうふうに思い込ませるというところに私はNHKの体制寄りの姿というものをうかがうような気がしてならぬのであります。これは私ども立場をもっていたしますならば、まことに残念な姿であります。  私は何をやろうと個人の自由だから、出たことがけしからぬとか、出ちゃならぬとか、やってはならぬということは申し上げませんが、どうも世間のうわさを聞いたり、私どもがあえてここで邪推という表現を用いますが、邪推をいたしますと、どうもこれは前から仕組んできたのではないか、こんな気がしてならぬ。私は非常に回りくどい抽象的な表現を用いております。これは個々人の動向に関する問題でありますから私もいささか慎重な発言をしなければならぬという意味で回りくどい表現を用いておるわけです。  これもだめ、あれもだめ、あれもそうだということで国民NHKはけしからぬという、この浮き世の片すみのささやき、不満のつぶやきというものが、これとこれとこれ、点と線が結びついたときにおそるべきNHKの崩壊がそのときに爆発するのですよ。そのときに始まるんではないのです。結びついたときにはNHKが瓦解するときなのですよ。私はこれを心配するのです。これを心配するのです。いまは、先ほど申し上げました、民放が束にかかってもNHKの人的資源あるいはまた規模、構想等にはなかなか太刀打ちできないでしょう。今日のようにあぐらをかいておったらまたたく間につぶされますぞ。NHKがつぶれるなどということばはいままで使ったことはない。ないけれども、どうもほんな気がしてならぬわけです。  国民NHKたらしめんために、われわれも約十年近い年月をこの場でみずからの駕馬にむちうって努力をしてきたつもりです。しかし今日のように国民批判というものがNHKのあらゆる部門に集中したことは今日をおいてありません。なるほどわれわれは野党の立場であります、ひがみ根性という批判を受けるような発言も過去にしたこともあります。しかし少なくともNHKの問題につきましては、大乗的見地に立って、健全な運営がなされることをこいねがいつつ、あらゆる機会に私は発言を試みてまいりましたけれども、今日のようなNHKの姿を見ますと、まことに残念であります。私の発言について、誠心誠意御努力の皆さんは御不満でありましょう、反撃もありましょう、しかしこれは正直に言って私の考え方、受けた印象を申し上げたのです。あるいはものによっては絵空ごとといって一笑に付される、あなた方の立場から言われればそういう問題もあったかもしらぬ。しかし私の立場ではそういう批判をせざるを得ない、そういう考え方を持って私は発言したつもりです。  古いことわざを引用して恐縮でありますが、小さいアリがうがった穴から巨大帝国がくずれるということわざがありますが、どうぞそういうことを言われないようにしていただきたいのです。前田会長は建設、発展を中心として考えられた会長でありました。だから私はこれを攻めの前田という表現を用いました。あなたはでき上がったNHKを今後とも国民NHKたらしめに末長く守り育てていく、守っていく義務のある会長だと思うのです。あなたがせっかく就仕されて日もまだ浅いのに、就任されたばかりで巨大帝国がくずれそうな、いまにも天井が落っこってくるような発言をいたしますが、もとよりそういうことを願うことは私の本旨でありません。そういうことのないようにという願いを込めての私の発言でありますから、この点は誤解のないように明快にひとつお聞き取りをいただきたいと思うのであります。  いま私が申し上げましたのは、私の意見を申し上げたわけですから、この点について私は会長や大臣からお答えをいただこうとは思いません。ただ、皆さんが私の発言について、あなたは誤解があるという趣がおありならば、ここで皆さん方のこれからのあり方について、考え方についてお聞かせ願ってもそれはけっこうであります。  ですから、私の質問はこれで終わります。
  83. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) NHKが不偏不党、公正でなければならぬことは肝に銘じて考えております。そのような運営にあたっておるわけでございますけれども、世間の一部には非常に片寄っておる、あるいは公正を欠いておる、こういう見方もございます。私どもは、これもわれわれが反省の具といたしまして大いに姿勢を正していかなければならぬことだと思います。そのような批判のないところに発展はございませんので、その意味においては非常にありがとうございます。  またNHKの今後のあり方につきまして、アリの一穴が崩壊につながらないようにと、こういう非常な御心配もいただきました。非常にありがたいことでございます。私どももそのようなことにならないように万全を期してまいりたいと思います。  ただ、そのような姿勢でやっておりましても、やはりとかくいろいろな批判は出るものでございます。それが悪いとは申しません。非常にこれもけっこう、ありがたいことだと思うのであります。宮田君の個人の問題も出ましたけれども、あるいはその処遇にまつわる問題等につきましても、どうしてそのようなあれが出るのか私どもには理解できないのでありますけれども、たとえば退職金の問題についても、実際はあの五分の一にも満たないものしか出さないのでありますけれども、世上にはあのように伝えられるわけでございます。これは当の雑誌社にはいろいろ真相を申し上げて、反省を促しておりまして、その意味においてはまことに相すまぬ、こういうことばもいただいておりますけれども、どうしてそういうようなあれが出るのか私どもは非常に残念に思います。  しかし、そのようなことが出ないことが好ましいことでありますので、将来、一そう姿勢を正し、気持ちを厳粛に持ちまして、先生の御心配になるようなアリの一穴が崩壊につながらないように万全の努力を続けてまいりたいと思います。  ありがとうございました。     —————————————
  84. 川村清一

    委員長川村清一君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、山田徹一君及び小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君及び野坂参三君が選任されました。     —————————————
  85. 川村清一

    委員長川村清一君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時五十分まで休憩いたします。    午後一時五十六分休憩      —————・—————    午後三時二分開会
  86. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでは最初に、NHKの唯一の財源である受信料の伸びがだんだん頭打ちになってきておるわけなんですが、これはNHK経営の安定という点から非常にゆゆしき問題だと思いますが、こういう点につきましてNHK当局としてはどのように認識をしているのか。また今後はどういう方向で合理化等につとめていくのか。もうすでに今度の予算でも経常収支で四十五億五千万ほどの赤字が出ているわけですが、そういう点をまず伺っておきたいと思います。
  88. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 現在の契約状況で申しますと、大体九〇%は現実に正確に把握をいたしております。で、あと一〇%でありますけれども、これはやはり現在の社会環境と申しましょうか住宅環境と申しましょうか、いろんな関係で移動あるいは不在、こういった面が非常にネックになりまして顕在に把握できません。と申しましても、全然、それのすべてが、一〇%がNHKの契約制度、いわゆる受信料制度外に放置されておるかというと、そうではないのでありまして、そこには明年度でも契約総数の増加を予定いたしておりますけれども、そういう数だけではなしに、現実には契約をとるものが多いのであります。が、契約廃止になるものがありまして、結局、純増が六十七万、こういうような数になりますけれども、そういう面から言えば三百万ぐらいは契約を獲得するわけですが、二百二十数万が落ちる。これはいまの社会の変動関係から起きることでございまして、そういう面を潜在契約とかりに呼べば、大体は把握できておるという現状でございます。  ただ、収入の伸びが年々低率になりつつありますことは、これは否定できません。その原因はどうかということは、現在の契約のたてまえからいって一世帯に一台、こういうことに相なっております関係上、普及度が高くなればなるほどだんだん畑が少なくなるということで、これは否定し得ない傾向であろうと思います。そういうところから、明年度もわずかに五・六%の収入の伸びしかないというようなことになっておるわけであります。もっとも、これはNHKといたしましては、経営の安定化をはかります上においてはそう多くの数ではないにしても、やはり一〇〇%把握するような努力をしなければなりません。現在テレビをつけましても全然申告の制度もありませんし、NHKがこれを見つけて歩かなきゃならぬのですが、さして調査権といったようなものはない。ひたすらに各世帯の御協力にまって辞を低くしてお願いをしながらやっていくということで、いわゆるNHKに対する理解を深めますためには、番組面で非常に理解し得られるような好まれる番組を出しますと同時に、いろんな広報等の関係においては、NHK経営状態について御理解を賜わるような努力をいたしておるわけでございまして、趨勢としては年々収入の増加率が低下することは否定できません。  そういう状況の中で、何としてもそういった契約の確保、収納の万全を期することが第一でありますが、これと並行していろいろ合理化措置を進めてまいらなければなりません。これもサービスの低下にならないような合理化でなければならぬわけでございまして、将来の経営については、そういった両面をあわせ努力をいたさなければならないものと考えております。
  89. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで四十八年度は、契約予定件数が最初の予定件数に比べて三十一万件ぐらい達していないわけでございますが、これはNHKとしては、いままではそういうことはあまりなかったと思うんですが、大体予定よりもたくさんいっている場合が非常に多かったと思うんですがね。四十八年度はそれが下がっているわけですが、それはどういうように考えているのかですね。また新しい四十九年度は、四十八年度よりはだいぶ目標が減っているようでありますが、そういう点は見通しはどうなのか、簡単でいいですから。
  90. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 四十八年度につきましては、予算で計上いたしました目標数に対しまして、現実いまもうあと二日しかありませんけれども、かりにカラー契約について申しますと三百二十万件の増を期待いたしておりましたが、なかなかそこまでは到達できないようでございます。これはいろいろいまの社会環境のむずかしさでそのようなことに相なるわけでございまして、四十九年度につきましては、そういった現地に即した達成可能な限界を出先からすべて集計をしておりますけれども、そういうことではとても均衡のとれた予算は組めないわけでございまして、かなりやっぱりそういう面は本部としてもいろいろ配意をしなければならぬ面が多々あろうかと思いますけれども、現地集計のそれにかなり上のせをした、カラー契約では二百四十三万件の増、契約総数では六十七万件増、こういう期待数を置いて、これをぜひ達成するように努力いたしたい、かように考えております。
  91. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま話しましたように、受信料の伸びというのはだんだん困難な情勢にあるわけで、来年度も先ほど申しましたように四十五億の赤字が出て、来年度は事業安定化資金とか、減価償却の方法を改めたり、あるいは建設投資を抑制するとか、そういうことでつじつまを合わしているわけでありますが、こういうのは抜本的な問題じゃないと思うんですね。  そういうことになってまいりますと、結局、将来として料金を値上げするということが一つの道、これはあまり好ましくない。そうなりますと当然経営の合理化という、そういうことになると思うのですが、はたしてそういう経営の合理化というような点で何を節約していくのか、そういうような余地があるのかどうか、そういう点はどうなんですか、NHKとしては。
  92. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 合理化の措置はここ数年続けてまいっております。その対象となりますものは、主として物件費あるいは旅費とか、あるいは打ち合わせ費とかといったようなもの、あるいは電力の使用量、水道の使用の規制、そういった面でございますけれども、今後の問題としては、そういう面もそう多くを期待できません。  何が合理化できるかということになりますと、サービスを低下すれば、それはありますが、これはとるべきでありませんので、経営の十分な緊密な強力な経営体制をしきまして、できるだけ人員面について増加をはからない、こういうような面がその一つの方向ではないか、かように考えております。
  93. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはどうなんですか、よくこういう意見があるわけですけれども。  NHKはあまり民放と競合するような、銀河ドラマというのですか、そういうようなことを金かけてやるというのはどうか。そういう点で国民のためのNHK放送の内容はいかにあるべきかということで、民間放送と競合するようなものはある程度民放にまかして、番組の内容において変更すべきだ、こういうような意見もいままでずっとあったと思うのですよ。これは私たちも非常にむずかしい問題で、ここでこうしろああしろということはわれわれも言えない問題でありますけれども、そういうような問題についてNHK当局としてはいろいろと考えているのかどうか、またそういうものに対して検討しているのかどうか、そういう点はどうなんですか。
  94. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) そのような意見もございます。主としてこれは民放さんのほうから、NHK民放の両立のたてまえの上からいって、NHKは報道と教育をやっておればいいんだ、芸能番組の面は民放に譲って手を引いたらどうか、こういう意見もあります。  しかし、現在の放送法NHKのほかに民放の存立を許し、両者の併用の上に放送の発展と国民生活の充実に資せよ、こういうようなたてまえの上から申しますと、NHK民放との関係で番組種別のそういう配分上の考慮をいたしますことはかえって放送法の精神に反するのではないか。やはり番組の多様化と申しますか、両者相研摩し合うところに非常な発展があるわけでございますので、そのような意味合いにおける検討は、ただいま率直に申し上げまして、いたしておりません。
  95. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  受信料のいわゆる滞納が年々増加しているわけです。そういう点で、今年度予算の中においてそういう対策のための予算がたしか——契約収納経費、そういうのが非常にふえております。ところが一方、受信改善費とかあるいは協会事業広報費というのは減っておるわけです。これをちょっと簡単に説明してもらいたいと思います。
  96. 川原正人

    参考人(川原正人君) 営業費といたしましては、御指摘のように十八億の増加を考えたわけでございます。  その内訳としまして、営業費の中の広報費、それから受信改善費が減っておりますが、広報全体としましてはかなりの経費を用意いたしたのでございますけれども、営業の面におきます若干の印刷物の合理化をいたしまして、ここで二千万円の経費を浮かしたということが一つございます。それから受信改善費につきましては、実は、新幹線に対します、これは国鉄のほうでおやりいただいている対策、これにいま協会として御協力申し上げている分があるわけでございますけれども、このうちの東海道新幹線に対する対策がある程度減ってまいりましたので、その面で約六千万円ぐらいの経費の削減ということが出てきたわけでございます。その分がここに一番大きく出ているわけで、それ以外の面は大体前年度並みの予算を確保いたしまして、同じような規模の仕事は続けよう、こう思っているわけでございます。
  97. 塩出啓典

    塩出啓典君 契約収納経費は。
  98. 川原正人

    参考人(川原正人君) この契約収納経費につきましては、その一番の大きい部分は、私どもの三千七百名以上に及びます委託集金、集金の委託をしておりますこの方たちの実際の事務費といいますか手数料、この部分でございまして、それに郵政関係、郵便局のほうで地方のほうは集金をお願いいたしております。これに対しまする事務費。この辺は率直に申し上げまして、実際はその委託の方たちの月々の収入というものとの見合いもございますので、これはやはりいまの社会情勢の中で相当なものは考えておかなければいけないということで、この部分に充てました経費が大半でございます。  もちろんそのほか、先ほども申し上げましたけれども、現在、協会が当面しております契約収納の面での一番の問題であります、訪問いたしましても、お宅にいらっしゃらない御家庭に対していろいろ文書によって契約をお願いしたり、あるいはお金を払い込みいただくような、そういうものをお配りする経費が相当ございますので、この面についてはかなりの力を入れております。
  99. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、私もちょっとこれを見まして、いわゆる収納を促進するために、そういう契約収納経費をふやして、そうして手数料を上げる、あるいは人員をふやすわけですね。そういうことはもちろんいいことだと思いますけれども、そっちのほうにばかり重点を置いて、受信改善費が非常に減っておる。  われわれとしては、むしろサービスをよくして、良好な放送国民に提供していく、そういうことに力を抜いたのではいけない、そういう感じがしておったわけですけれども、いまのお話では、いわゆる新幹線の問題が減っておる、そういうことで辺地の、サービスカーでいろいろ各家庭を訪問して技術サービスをするとか、そういうような点については大体前年度並み、前進もしていないけれども後退もしていない、そう考えていいわけですか。
  100. 川原正人

    参考人(川原正人君) 予算の全額の面では、ほぼ前年並みというふうになっております。
  101. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  午前中、いろいろ番組の内容の問題についても話があったようでございますが、昨年の委員会のときにも、当時の郵政大臣に申し上げたわけでありますが、NHK小野さんにも申し上げたわけでありますが、NHKといたしまして、やはり国民立場、庶民の立場に立った番組の編成という点で、物価につきまして国民皆さんはいまぐらい関心を持っているときはないわけで、ちょうど一年前に、私は、そういう物価情報をもっと——今回の石油騒動等は情報の不足というようなことが必要以上に国民皆さんにそういういろいろな動揺を与えたということが言えるんじゃないかと思うんですけれどもね。そういう点で物価情報等をもっとやはりたくさん流すべきじゃないか、こういうことを申し上げたわけでありますが、そのときに小野さんも、努力もしてきているし努力もする、そういう話だったんですけれども、去年といまではそういう必要度が違ってきていると思うんですけれども、そういう点で、NHKとしてはそういう内容についてはどういう配慮をしているのか、これをちょっと承っておきたいと思うんですが。
  102. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 前回御指摘をいただきまして、そのように御答弁申し上げ、その後も引き続き努力をいたしております。御承知のように、テレビでは午後の「町から村から」というローカルの生活時間情報のワクの中でいろいろと物価の情報を提供をいたしておりますし、それからラジオでは「朝のロータリー」というふうな総合番組の中で市場からの情報等々を提供いたしておりますし、それから物価につきましてはローカルの問題がかなりございますので、同じような趣旨でそれぞれの地方局で同様の努力をしております。なお、そういう情報そのものを提供する時間のみならず、「一億人の経済」であるとか、あるいは「こんにちは奥さん」ないしは毎週土曜日の婦人向け番組の「くらしのけいざい」のいうような時間の中には、それぞれの責任者にも御出席いただいて物価情報等についての話題を繰り広げております。  なお、ちなみに昭和四十八年の十月、石油危機発生以来、それらのことに関連する特別の番組、定時番組を含めまして、石油関係では百四十七本、それから物価等につきましても同じく百四十四本編成する努力をいたしております。
  103. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから、最近、NHKNHKのPRをやっているのがよく目につくように思うわけです、前に比べればね。これはやはりNHKとしてはそれを意識的にやっているのか、それはどういう点を主眼にしているのか、これをひとつ承っておきたいと思うのです。
  104. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) NHKは受信者の方々の共感を得なければ運営のむずかしい機関でございます。そういった意味合いから、NHK経営状況なり、また御協力をいただきたい面につきまして十分に知っていただくために、この面は特に意識的に編成をいたしておるような次第でございます。
  105. 塩出啓典

    塩出啓典君 それで、よくいなかのほうに参りますと、非常にテレビの映りが悪いというところが多いわけですね。しかしやっぱりNHKが集金に来るから払わざるを得ない、あんまり見えないのに払っているところがあるわけですけれども、これは私の記憶しているところでは、たとえば画像というものも何段階かあって、これ以上悪いところはもう払う必要はない、そういうような基準があると聞いているんですけれども、そういうのもやはり国民にPRして、見えない場合に、テレビの故障で見えない場合もありますし、そういう見えないときにはちゃんとこういう連絡をしてくれとか、そういうような国民の側に立ったPRももっとやるべきじゃないか、こういう点はどうですか。
  106. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 私からお答えいたします。  いま画像のいろいろランクのことにお触れになったように思いますが、確かにそういうランクを私ども持っておりまして、部内的にいろいろ仕事を進める上の基準としておるわけでございますけれども、御承知のようにテレビの画像のランクというのは非常に主観的な判定でございまして、結局、第三者的な客観的な裏づけといいますか、妥当性を持たせるということは、私どももいろいろ苦労してそういう尺度をほしいと思っておりますけれども、なかなかこれができないわけです。いまおっしゃいましたランクづけというのは私どものもっぱら部内のいろいろ仕事を進める上の一つの目安として持っているわけでございまして、御指摘のように難視聴のところへ参りまして、見えるか見えないかという問題にその尺度を当てはめて見える見えないの議論をしましても、なかなか納得してもらえない。それよりも、私どもとしますと、その見える見えないの議論の前に、受信者の方々にそういう状態が起きておればその状態を早く解消してあげる努力をすることが私どもの任務だと思っております。  特に、都市難視あるいは新幹線その他につきましては、いままではとにかく見えていたわけですが、そこへビルができるとか高架ができるとかして見えなくなるような状態でございますので、これがほんとうに見えなければもちろんそれはいただくわけにはまいらないと思いますけれども、いままで見えていたものが見えなくなったという事実を私どもは重視いたします。そこを早く見えるようにする努力をすべく、いろいろ先ほどお話がありましたが、受信改善の費用その他も多少持っておりまして、時を移さず措置をすることにはなっておりますけれども、なかなか全国的にはまだ十分行き渡っていないかと思います。これからも気をつけて実施をしたいと思います。
  107. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうしますと、テレビがあまり映りが悪いと——ぼくらがこうあっちこっち参りましてテレビの映りが悪い、映りが悪い場合は料金は払わなくていいというようにも私は認識しているわけですけれども、その映りの悪いところは。それはどうなんですか、NHKとしては映りが悪くても取るのか、ある程度以上映りが悪いところは料金は——もうこれは映りが悪いわけですから、そういう点はどうなんですか、それをはっきりしておかないと——
  108. 川原正人

    参考人(川原正人君) NHKといたしましては、いささか理屈っぽいのでございますけれども、現在の放送法におきます受信料規定等から見まして、NHK放送を受信できる受信機をお備えになっておられれば、そして実際にそれを御活用になっておられるならば、その料金はいただくと。その映りのぐあいのランクによって料金に差をつけるということはしておりません。  そのところは、実際聴視される方のお気持ちはお気持ちとして私どもわからないわけではないのですけれども、一応、法のたてまえ並びに協会経営のあり方としまして、とにかくNHK放送が受けられる受信機をお備えであれば、契約をしていただき料金をいただく、こういうことでやっております。
  109. 塩出啓典

    塩出啓典君 そうすると電波が悪くても、そこにテレビがあって、テレビの画像は映らなくても声だけ聞こえる、それでもやっぱりテレビのスイッチを入れておれば料金を取る、そういうことになるわけですかね、極端に言えば。
  110. 川原正人

    参考人(川原正人君) 理屈の上でまいりますと、放送法規定そのままでまいりますと、そういう受信機を備えておられればそれはいただくというたてまえは私ども持っております。ただ、現実の問題として、全く絵が映らないというところにおいては、それはまた現場の処理としてはいろんなやり方はあろうかと思います。
  111. 塩出啓典

    塩出啓典君 わかりました。  それで、いろいろこれから都市難視、いわゆるビルの難視とか新幹線の難視とか高層の難視とか、そういうようなのが非常にふえてくるわけでございますが、これについては、大体、NHKとしては現在どの程度そういう難視をつかんでいるのか。また将来の方向としては、これはどんどんふえる方向にあると思うのですけれど、どの程度予想しているのか、それをひとつお願いします。
  112. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) 都市難視でもそうですけれども、その難視というものの状態がたいへんに物理的には判定がむずかしいものでございまして、たとえば全くビル陰で見えないといえばこれははっきりしておりますけれども、反射のゴーストその他で多少見にくくなった、これも難視といえば難視でございまして、そこはだいぶ判定の基準が、先ほどから申し上げているように、たいへん客観性を欠く見方しかできないわけです。  あるいはNHKは見えるけれども民放が見えないとか、民放も、あるチャンネルは見えるけれどもよそのチャンネルは見えないとか、いろんなものがからみ合っていまして、難視の実態と数というものの把握がたいへんにむずかしいわけでございますけれども、そういうものを総合的にサンプル的に調査をいたしました私どもの手持ちの資料によりますと、四十八年度末で大体全国で四十万世帯と把握しております。そのうちの約半分ぐらいは東京にあるというふうに考えております。
  113. 塩出啓典

    塩出啓典君 将来は、大体、どういうあれでふえるかということを予想しているわけですか。
  114. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) いまちょっと申し落としまして失礼いたしました。  将来の問題につきましては、主としてビルの増加に関係がございますので、ビルの増加の割合をいろいろ消防庁その他の資料から判定いたしまして、今後、やはり毎年二、三万ずつふえるだろうというふうに考えております。
  115. 塩出啓典

    塩出啓典君 この救済の問題につきましては、今日まで一応原因者負担ということできているわけでございますが、今後、そういうのはどんどんふえる方向にあると思うんですね。そういう点で、こういう問題について、郵政省としては、どういう考え方を持っておるのか、またNHKとしてはどういう姿勢でこれに対処していくのか、それをちょっと承っておきたいと思います。
  116. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 難視聴の対策といたしましては、抜本策を講ずるために難視聴対策調査会を設けまして、いま検討を続けておるところでございます。  また、これの結論が出るまでも、いま御指摘のように、現在起こっておる現象に対しましては、関係者が話し合って早く解決をするように指導をいたしております。
  117. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) NHK側の考え方を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、都市難視というものは僻地の難視とは多少趣を異にいたしまして、とにかく電波は十分来ていままでは見えておった、そこへあるビルができた、あるいは高架鉄道ができたというところで陰になって見えなくなったというわけで、原因者がわりとはっきりしているわけでございますので、そういう点で、実際の仕事といたしますと原因者と被害者の間へNHKが立ちまして、一日も早く具体的に処置をしてもらう。その処置をする基礎となりますものはやはり原因となった方が処置をしていただきたい、原因者が責任を持ってもらいたいというたてまえを通して、いろいろあっせんをいたしておるわけでございます。
  118. 塩出啓典

    塩出啓典君 たとえば山陽新幹線でこの前福山市に参りましたけれども、やっぱり福山も新幹線のためにテレビの見えない世帯がたしか二千世帯ぐらいございまして、これも国鉄あるいはNHKによって、いわゆる共聴アンテナをつくって、それでまあ見えるようにはなったわけなんですけれども、ただ問題は、毎月百円ぐらいの維持費を負担しなきゃいかぬ。それからまた新幹線ができてあとにそこに来た人たちは一それより先に入っている人たちは最初つくるのは全部自分の負担なしにやってもらえるわけですけれども、あとから来た人は、テレビが見えないのはおまえが来たのが悪いんだ、新幹線が悪いんじゃない、こういうことで、結局、そういう人たちは自分がより高い負担をしなければテレビが見えない、そういうことになるわけですね。そしてまたテレビ共聴等にしても、あるいはアンテナにしても耐用年数があるわけですから、そういう年数が過ぎて建てかえなきゃならぬときには、また自分たちがやらなくちゃいけない。そうなると、新幹線がなければ、そういう必要もないわけで、並通のアンテナを買えばいいわけですけれども、それ以上の過大な負担がかかるということで、確かにそういう点、住民の立場から考えれば私はやはりそれが道理にかなっているんじゃないかと思いますけれどもね。  こういうような点については、やはりどうあるべきなのか、そのあたりをわれわれももっとはっきりさせなきゃいけないんじゃないか。そこの力関係で結局きまるようでは困るわけで、一つの原則というものを確立しなきゃいけないんじゃないか、こういう点は郵政大臣どうでしょうか。
  119. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) この問題は、やはりあなたのおっしゃるように、原因者負担というたてまえですべていくべきである、私はそのように思います。  ただ、そう思っても、実際問題になって話をしておると、なかなかそれが話ができないために実現をしない、こういうことになりがちでありますから、抜本策につきましては、いまの答申を待っておりますけれども、そういうような問題は、その現地におきまして、きのうも同じような問題で国鉄のほうから、運輸省から指示があればという話がありましたが、すぐ指示をいたしましたが、その中に、そこの当該市町村が世話人で公害対策部があれば入ってもらって話をつける、非常にこまかい話になりますけれども、そういう話し合いで早く解決をして、テレビが見えていたんですから、見えるようにするというような方向をとってやって具体的には難視を解消するということにつとめなければならぬと考えておりますが、たてまえとしては、やはり原因者負担というたてまえで話がつくように、抜本策といたしましては、早く私どもの調査会の答申を待ちまして解決につとめていきたい、このように考えております。
  120. 塩出啓典

    塩出啓典君 調査会の答申待ちと言われましたけれども、実際に現実に時は過ぎていくわけで、調査会からどういう答申が出るかしれませんけれども、ぼくは早く急がなくちゃいけないんじゃないかと思うんですけれどもね。  それで郵政大臣が言われたように、確かにあとからそこに来た人でも、早く新幹線があったんだから、あとから来るのが悪いんだというわけにはいかぬ。やっぱり国土というものは国民全体のものですからね。だから、原則からいえば、あとから来た人でも、新幹線のために見えないところに来たのであれば、当然、筋としては原因者が負担すべきじゃないかと思いますけれども、これをやはり郵政大臣としては通達なり、あるいは行政指導なり——いま郵政大臣が言われましたように、筋はそうでも、話し合いが結局そういう筋を通しているとまとまりがつかないから適当なところで妥協しちゃうということになっちゃうわけですけれども、そういうことでは困るわけで、やはり郵政省として原因者負担なら原因者負担と、そういうことをはっきりとぼくはさすべきじゃないかと思うのですけれども、その点どうなんですか。
  121. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) そういう方向で話を詰めていくように努力をしますし、そういう点でいっております。  これはいま塩出さんのおっしゃったように、この話になってきますと、空港の場合なんかでも、新幹線の場合より、これは見えないんですからね、実際言うと、空港の場合。それをあとから入って飛行機のほうが先に飛んでおった、こういうようなことで、それで建築を許した者がいいとか悪いとかというような議論になってきまして、なかなか調整がむずかしい。しかし、やはり原因者負担というたてまえを貫いて難視聴を解消する、こういう方向で私は進んでいきたい、こう考えております。
  122. 塩出啓典

    塩出啓典君 たとえば新宿の三井不動産のビル等におきましては、いま言ったように何もかも全部原因者でやる、そういうところがあるわけですね、そこはもう住民の負担はないわけなんですよ。ところが、ほかのところは住民の負担がある。  しかも原因者負担でも、いわゆる東海道新幹線の場合はNHKが二割、国鉄が八割、山陽新幹線の場合はNHKが一五%で国鉄が八五%、その前はNHKが五〇%で国鉄が三〇%とか、こういうように場所によって違うということは、ぼくはあまりよくないのじゃないかと思うんです。  やはり同じ日本国民ならばどこであろうとも、また相手がだれであろうとも原則というものは平等にしていかなければいけないのじゃないか。そういう点で、なぜこういうような違いがあるかということは、それに対する郵政省の姿勢がはっきりしていないからじゃないかと思うのですね。これはNHKさんはそういう点でぼくはむしろ被害者じゃないかと思うのですがね。前々から原因者負担の原則というものは法的な裏づけも何もないわけでありまして、やはり日本は法治国家ですから、法律がなければだれだってお金を出したくないわけですから、それでは結局弱い者が負けて強い者が勝つようになってしまう。大衆もそうなると徒党を組んである程度デモなりをやらなきゃいかぬ。こうなってくるとデモをするというのも腹も減りますし、そういうことはあまり好ましくないわけで、やはりそういうことはちゃんと法律なり立法措置をして明快にすべきではないか、私は郵政省にそれを望みたいのですけれども、それはどうですか。
  123. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) お説はそのとおりだと私は思います。きのうも、またきょうも午前中の質問の中にその趣旨があり、きのうもそこで法律がいつできるか、こういうところまで問われたので、私は正直ですから、法律はすぐいまやるというところまできていないから、いま調査会の答申を待って抜本的な措置を講じなければならぬ。やはりあなたのおっしゃるように、法律的なものがなければ実際のなにができないのじゃないか、こういう考え方はそのとおりだと思いますが、それを待っておったのでは、いまおっしゃるようにできないということですから、極力、原因者負担という線でできれば法律をもってするというところまでいきたいという姿勢を持っております。  いまおっしゃいました一五%、二〇%の問題も、そこのそれぞれの理屈があるところからそういうことになってまいりますので、こちらがしつかり国鉄に出せと言いましても、現地に行ってあのところはどうだこうだという話になってくるのだと私は思います。  重ねて申し上げますが、その方向で今後も努力を重ねてまいりたいと思います。
  124. 塩出啓典

    塩出啓典君 いま郵政省の放送難視聴対策調査会でそういうのを検討していると聞いておるわけでございますが、これはいつできたのか、予算は大体どれぐらいで、いままで何回ぐらい会合を開いて、どういうことを検討しているのか、どうも会議録も何かはっきりしてないようで、あまり何もやっていないんじゃないか、そういうような気がするわけですけれども、それはどうなんですか。もっと本気でやってもらいたいと思うのですがね。
  125. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) この調査会は去年の六月に発足いたしまして、委員としましては十九名、斯界の専門家と申しますか、あるいは学者、そういう方々にお集まりいただきまして、定例的には毎月一回開いておるわけでございます。そのほかに分科会がございまして、これは随時開催されております。それで予算は四十八年度が四百七十五万円ということで、人件費あるいは事務費的なものだけでございます。  それから、いままでやってきたことは、一番最初は難視聴の実態の把握、どういうような形になっておるのだろうかという実態の把握にまず取り組みました。それから、現在までの難視聴解消の具体的な方策はいままでどうやっておったのかということ、これは関係者に来ていただいて相当経験を聞いてもらったということでございます。その次には、しからば難視聴がこういう実態ならば、これに対してどういうような技術的な方策をとったら最も効率的な解消策ができるかというところにいま取り組んでおる最中でございます。これもまたなかなかむずかしい問題でございまして、これは日本ばかりじゃございません、世界各国とも頭を悩ましている問題でございますけれども、これをどういうぐあいに技術的な方策をとったら最も効果的にいくのかという、それが現段階の取り組み方でございます。  将来は、おそらくその方策ができましたら、だれの金でこれをやるのか。これはいろいろ複雑な、たとえばビル陰ならばビルが原因になっておりますからわかるわけでございますけれども、そのほかに、複雑な反射によりましてゴーストで見えにくい、あるいは全然絵にならないというようなところの原因者が特定しない場合にはどうするのかというような問題。それからそれを強制するために、先ほどからお話が出ましたけれども、これを法制的にどういうような措置をとるのか。あるいは日照権というような問題でいろんなやかましい法律論争を巻き起こしておりますけれども、これは電波権と申しますか、何かそういうような考え方がとり得るのかとり得ないのか、これも全く新しい分野でございます。そういうような事柄を鋭意検討していただいておるわけでございます。工学関係の先生あるいは法律関係の先生、そういうような方々も多数入っておられますので、非常に活発な議論を展開しておられます。
  126. 塩出啓典

    塩出啓典君 四十九年度も、これは続けるわけですか。予算幾らですか、四十九年度は。
  127. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 当初は一年間ということで出発いたしましたけれども、問題が山積しておりまして、一年ではとうてい答申までにはこぎつけられない複雑な要素が入っておるということで、四十九年度にも引き続きこれを検討して、二年間で抜本的な策をさがそうではないかと、予算が三百五十万円予定されております。
  128. 塩出啓典

    塩出啓典君 ことしじゅうには結論が出る見通しがあるのですか。非常に何か論議が盛んなようで、いろいろそういうむずかしい問題でディスカッションばかりやっていて結論が出なきゃわれわれ国民は困るわけなんですけれども、その点はどうなんです、見通しは。
  129. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 一日も早く結論を出していただきたいわけでございますけれども、何せまだ経験したことのない領域が相当入っておるものでございますので、先生方もなかなか議論は活発でございますけれども慎重でございまして、ぜひもう一年ぐらい時間をかけて都市難視とそれから辺地難視——僻地の難視て言いますけれども、こういうようなものをひとつ取り組んでみたい、こういうことでやっていただいております。
  130. 塩出啓典

    塩出啓典君 これはひとつ早く促進をして、やっぱり理想までいかなくてもある程度のところでひとつ出していただきたい。  これはいままでどういうことをやってきたか、会議録かなんかはあとでいただけますか。
  131. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 差し上げます。
  132. 塩出啓典

    塩出啓典君 NHK会長にお聞きしますが、大体、そういう原因者負担という原則はNHKも異存はないと思うのですけれども、その点はどうですか。
  133. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 私どもはそれを主張し続けてまいっておるわけでございます。
  134. 塩出啓典

    塩出啓典君 それでNHKはいままでは被害者だったわけですね、むしろ。ところが、NHK放送センタービルの難視は、NHKが加害者になっているわけですね、結局。あそこの神山テレビ視聴会というのもやはり加入者の自己負担を、五十円維持費を取っておる。これはNHKが取っているわけじゃないでしょうけれども、そこのあれが取っているのですけれども、私はやはりそういうところからNHKが範を示していかなくちゃいけないんじゃないかと思うのですけれども、そういうわけで、この神山テレビ視聴会におきましては、NHKはその原因者負担ということでどういう配慮をしているのか。  私はこの規約ももらいましたが、ここもやはりあとから来た者は恩恵を受けないわけですね。だからNHK放送センターが先に建って勝ちなんだから、おまえたちあとから来たやつはテレビが見えないでもがまんしろという、そういうことになっているんじゃないかと思うのですけれどもね。こういうのはやっぱりNHKとしては、私は、全国の範を示す意味において原因者負担のあるべき姿をとるべきではないか。あとから来た人にもやはり原因者負担の原則を貫くべきじゃないか。あるいはこれは耐用年数が過ぎた後もやはりそういう原則を貫くべきじゃないか。NHKがそういう姿勢をとることが私は全国的にも姿勢を正す一つの因になるんじゃないかと、その点はどうなんですか。
  135. 川原正人

    参考人(川原正人君) いま御指摘NHK放送センターの裏にあります共同受信設備の運営にあたりましては、この設備をつくりますときは原因者でありますNHKが設備の金は全部負担いたしまして、当然のことながら設備をしたわけでございます。  ただ、これができましたのが四十六年の初めだったわけでございます。その当時のいろんな各方面の考え方協会の中にもいろんな議論がございまして、その議論の中で、ぎりぎり各家庭でアンテナを立てられましても何がしかの維持費というものはかかりますので、ごくわずかの電力代等全くの日常の維持をする経費は、地元の住民の方々の組合組織のようなものをおつくりいただいたらいかがと言ってお話し申し上げて、その点は円満に納得いただいた上でこれは始まったわけでございます。ただ、そのときにおきましても今後大きな事故がありまして、相当の経費のかかるような、修繕がかかるような場合は、当然、これはNHKのほうが見ましょうということでずっとやってまいりましたので、三年前の当時のものの考え方の中で、これが発足いたしたわけでございます。  なお組合の運営につきましては、私どものほうは直接これは関知はしないわけでございますけれども、たしか私の承るところでは、あとから参られた方でもその組合に加入されれば、当然、何といいますか共聴設備の恩恵は受けられるものであろうというふうに聞いております。ただ、その加入をがえじない方がおられた場合に、現実問題としていろいろ組合の中で問題が生ずるのではないかと思います。
  136. 塩出啓典

    塩出啓典君 これは第七条に「施設完了後の入会希望者は役員会の承認を得、設備費を自己負担し、加入し得るものとする。」と、こうなっているわけなんですね。  これは別にこの会から私のところへ文句を言ってきたわけじゃありませんけれども、ただ、あとから来てもやはり原因者負担の原則で貫くべきじゃないか。もちろん、そういう放送でなければ、普通のアンテナを立てるにもある程度の個人負担が要るわけですから、その範囲内でわずかの負担をすることは、これは場合によってはやむを得ないのじゃないかと思うんですけれども、そういう点、NHKとしても今後ひとつ検討していただいて、私はやっぱりNHKとしては筋を通してもらいたいと思うんです。  たとえば国鉄の新幹線の場合は、国鉄が本来負担すべきものまでこっちがやっておる。これはいまの郵政大臣は前は運輸大臣をしておったわけですから、そういう点の責任があると思うんですけれども、国鉄は赤字だしNHKは黒字なんだからと、そういうようなことできめられては非常に困るわけです、今後の問題として。そういう点でやはり筋を通すべきだと思いますし、それを守るのが郵政大臣のつとめじゃないかと思うんですけれども、そういう点でひとつこの問題に対処していただきたい、このことを要望しておきます。  辺地難視とともにいわゆるローカル難視、これは先般NHKあるいは郵政省にも地元の何万名かの署名を持って陳情申していたわけでありますけれども、米子市は鳥取県でありますけれども、島根県との県境にある。そういうことで、あそこは島根県のNHKが映って鳥取県のNHKが映らないわけですね。  こういうのが各地にもあるわけで、先般、隠岐島の布施村というところへ参りました。そこもやっぱり島根県でありながら、隠岐のほかのところは島根県のNHKが見えるんでありますが、そこだけはちょっと山陰になりまして、海の向こうからくるいわゆる鳥取県のNHKが入っちゃうわけですね。それで普通の全国番組は差しつかえないわけですけれども、いわゆるそういうローカルニュース、あるいは選挙のときとかにはみな自分の県の知事じゃなしに隣の県の知事しか知らない、そういうようなところがまとまってあるわけです。まとまってないところもたくさんあるわけなんですけれどもね。  こういうローカル難視の問題については、NHKとしては放送法の精神にのっとって、どう考えているのか。これはもう対策を講じないのか、あるいはこういうような問題についても順次解消に努力していくのか、そのあたりを承っておきたいと思います。
  137. 藤島克己

    参考人(藤島克己君) ただいま先生指摘の米子につきましては、昨年十二月、一万三千人の署名を持って先生においでいただきまして、たいへん恐縮をいたしたわけでございます。  数年前からの問題でございますので、相当事実について私どもも正確に把握しているつもりでございますけれども、なおまだ米子の関係がローカルで見えないという問題について一万名以上の署名が出るような始末でございますので、私ども立場としましても、何とかこの問題を現地の皆さまが納得がいかれる形で早く解決をしたいと努力をして考えておるわけでございます。  ただ、そう申しましても、繰り返すようでございますけれども、県境の松江の側から非常に強い電波がすでに米子に一ぱい届いておりますし、それから米子の電波といたしましては南側の日野というところからNHKの電波も、それから鳥取県の民放である日本テレビでございますか、両方ともちゃんと電波が米子には届いているはずでございます。ただ、はずでございますけれども、そういう御不満が出ているということはどこかに欠陥があるわけでございますので、部分的にあるいは地域的にそういうこまかい難視があるんだろう、あるんではないかということで、現地にもいろいろ指令を出しましてこまかい調査をいま進めさしておるわけでございますけれども、もしもそういう形があるとすれば、それはそれなりに解決の方法もあろうかとは思いますけれども、いまのままで枕木山の上にもう一つ電波の強い放送局をつくるということは、従来からの電波の有効な利用という立場からいいましても、たいへんむずかしい問題ではなかろうかと思っております。  それから隠岐島の話でございますけれども、この隠岐島は私も現地へ一ぺん参ったことがございますけれども、たいへん岩山の峨々たる小さい島でございますけれども、全部で世帯数は五千ぐらいあるそうでございますけれども、この中へ私どものサテライトが四つございます。これは全部松江を中継いたしておりまして、御指摘のように鳥取県の中継じゃなくて、松江の、要するに島根県のローカルがちゃんと出ているはずでございます。ただ先生いま御指摘の布施村というところだけこれは千人ぐらいの村だそうでございますけれども、この布施村には地形的に電波が入らぬもんですから、昔のNHKの助成共聴というのが三施設ございまして、この三施設に二百五十九世帯が加入している。そこのところの村の世帯数は二百五十四世帯だそうでございますので、ほとんど全部がこれに加入しておられるということになるわけでございますけれども、いま申し上げましたように、この助成共聴の親局が現地のローカルの電波に地形的につながらないもんですから、これだけが鳥取県の電波を受けているということだそうでございます。これは何とかその受ける親局を変えればいいわけでございますから、現地でいろいろ調査をして、なるべく早く御希望に沿うように、これはできると思います。  そういうわけで、全国的に見ますとかなりまだローカル難視が四十八年度のおしまいでは大体十五万ぐらいございますけれども、いまの全国難視を解消していく過程の中で逐次ローカル難視も解消されていっておるわけでございます。
  138. 塩出啓典

    塩出啓典君 この米子の件は結局枕木山に中継局をつくれば一番いいわけなんですけれども、枕木山というのはいわゆる島根県になるわけで、そういう点で、いままでNHKとしては大体県単位ですから、よその県までは中継局を置くようなあれはないんじゃないかと思うんです。しかし実際島根県の枕木山に中継局を置いても、その方向が米子市内であれば、私は、郵政省としても、こういう例外的なものは住民の立場に立って認めるべきじゃないかと思うんです。そういう点をひとつ郵政省としても前向きに検討をして、それでもちろん辺地難視に比べればローカル難視はその必要度は薄いと思いますけれども、やはりその方向に努力をしてもらいたい。この点どうですか。
  139. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 実情を十分に調査いたしまして、対処したいと思います。
  140. 塩出啓典

    塩出啓典君 それから最後に、これも一年前のこの委員会において私は当時の久野郵政大臣にも要望いたしまして、検討するということだったわけでありますが、老人用のテレビを免除または割り引きしてはどうか。もちろんこれはNHKの負担でやれという意味ではありませんけれども、いろいろそういうお年寄りについての施策、電話の問題とかあるわけですから、何らかの形でそういうことをやってはどうかと、こういう主張をいたしまして、一年前に久野さんは検討するというお話だったわけでありますが、こういう点は大臣はかわりましたけれども、やはり郵政省としても厚生省なりに働きかける用意はあるかどうか、その点ひとつ。
  141. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) ただいまの老人の受信機の問題、免除の問題でございますけれども、現在の免除基準でまいりますと、老人ホームあるいは老人ホーム入居者に対しましては全額免除ができておるわけでございます。それから生活困窮者についても全額免除ができておりますということで、貧困な老人世帯につきましては現在の基準によって免除が行なわれておりますが、ただ六十歳以上の老人すべてについてということになりますと、まだそこまではいっておりませんので、郵政省としても検討しておったところでございますが、これは主管は金の関係からいきますと厚生省ということになるわけでございまして、厚生省の考え方を聞いたところによりますと、老人問題全体の中でひとつ検討すべき問題である、これはどれを先にどう取り上げていくかという事柄は今後少し検討をさせていただきたいというような返答をいただいております。
  142. 木島則夫

    ○木島則夫君 四十九年度予算審議に入る前に、一言私から申し上げておきたいことがございます。  先ほど森委員質問お答えになりまして、会長は「総理と語る」という番組はNHKが自主的に編成をしているからと、こう言われたんでありますけれど、中で語られている内容は必ずしも行政府の責任者としてだけではなく、自民党総裁としての発言も含まれておりますので、客観的にこれを見ますと、何かNHKの電波が知らず知らずのうちにある利用のされ方をしている結果につながるおそれがある。いま非常にNHKが置かれている状況がきびしいおりですから、すきあらばと、いろいろのミスをあげつらう、そういう言い方はよくないかもしれませんけれど、虎視たんたんとNHKというものはあらゆる意味で注目が集まっているわけです。ですから、森委員からこのことについて御指摘がございましたので、私は重複は避けますけれど、心して運営をしていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。  それから私も個人的なことはあまり申し上げたくございませんけれど、宮田輝さんの退職、立候補表明から番組改正までわずかな期間でありましたけれど、あたふたと宮田さんが番組から姿を消して、何かあたかも突然に起こったことのように説明をされております。私が聞いておりますところでは、ずっと以前から自民党から矢の催促があったようであります。立候補は個人の自由でありますから、これについては私はとやかく申し上げません。しかし番組の自主的編成という立場と、あれほど視聴者の方と親しみがあった、接近していた宮田さんがある日突然番組から姿を消して一言もごあいさつがないという、こういう行き方がほんとうに中立的な行き方なのかどうか。私はむしろ独善的な政治に押された、政治サイドでものが押し流された結果こうなったんではないかというようにむしろ私はとるわけであります。自民党、そのNHK寄りという意識がああいう形でもし宮田さんの立候補表明に伴う形をおとりになったとしたら、私はこれは問題があると思いますので、この点だけちょっとお触れいただきたいと思います。
  143. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) もちろん立候補の意思を持ち、これをやはり選挙に有利なように番組に出演することはNHKとしてはあってはならないと思います。  そういう面は十分に承知いたしておりますので、党の筋からいろいろ立候補をすすめられた経過も知っております。御本人自身につきましては、そういう意思があるのかどうか、そういう方面に固めつつあるのかどうか、何度も本人に当たりましてその辺は調べておりますけれども、そういう意思はない、こういうことで推移したわけでございまして、そういう意思があるやに感知できれば、これはやはり番組をおりてもらうのが本則ではないかと思います。  結果はそういうようなことで経過をいたしておりますので、あるいは世間的に見ればある日突然ぱっと変わったということはあり得ないじゃないかという受け取り方も十分わかりますけれども、私どもとしては、はっきりしたその辺の事実を把握しないでいたずらに番組からおろすということはやはり個人の自由に関する問題でございますし、そういう面もございまして、御承知のような経過に相なったわけでございます。
  144. 木島則夫

    ○木島則夫君 私が申し上げたことは、それはそれでいいでしょう、だけれども、あれだけ視聴者の方と結びつきのあった宮田さんがせめて一身上の都合で私は番組を御辞退しますというようなけじめをおつけになることこそ、番組の自主的編成権をお持ちのNHKのお立場ではなかろうかと、私はこう申し上げておるわけです、いかがですか。
  145. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 立候補の意思を固め、そうして受け持ちの番組を通じましてそういうごあいさつを申し上げること、このことはかえってこれが選挙の運動に利用されるようにとられるのではないかということを考えまして、別にやはりあいさつの方法もありましょうから、ブラウン管を通じてのあいさつは慎むべきじゃないか、私はそう考えております。
  146. 木島則夫

    ○木島則夫君 この問題であまり時間を私費やしたくございません。何かいままで胸に一物あったり、触れられると困るからということで、あたふたと宮田さんを番組からあいさつもなしにおろした、というといやなことばでありますけれど、形をおとりになったとしたら、私はむしろ聴視者の立場を考えないでNHK立場ばかりを考えた措置ではないだろうかということですから、これはもうお答えの必要はございません。先に進みます。  NHKの四十九年度収支予算、事業計画、これに伴う資金計画については、一昨日来、小野会長から御説明があり、各委員質問どおり、私もNHKが置かれている状況は非常にきびしいものであるということは全く同じ認識に立つものでございます。したがって、ほかの委員との重複を避けましてなるべく違った視点から御質問したいと思いますけれど、ある程度の重複もまた避け得ないところでございます。  NHK経営基本方針については、小野会長から御説明があったとおり、緊縮予算であるということ、曲がりかどに来ることは予測できたことなんだという意味のことをおっしゃった。そうして五十年度までは聴視料の値上げをしないということがはっきりしたはずでございます。  そこでNHKの番組編成の基本的姿勢にもつながる問題としまして、まず国会中継のあり方について視聴者から寄せられた一通の手紙を御紹介してみたいと思います。これは予算委員会の最中に参りましたものであります、東京の中央区の方です。  「実は、昨十八日委員会中継を拝見致し居りましたが、」「萩原委員——これは民社党の議員であります。この議員が民社党であるとか自民党であるとかいうことは問題といたしません。「議員の質問中にテレビ中継が終りました。問題が教育より家庭の子供の将来の問題へと進行する大事な質問の時に、時間が来たからといって中継を打ち切られてよいものか?」「相撲放送の大切さも解ります。しかし、今年度国民の政治に対する関心度を度外視するわけにはいかないと思います。むしろ、相撲放送よりは国会に対しての国民の心を捨てさせる様な放送姿勢に疑問を感じます。この点いかがでしょうか?」「当日の第三チャンネルは四時三十分〜五時三十分中止とあります。」「二つのチャンネル権を持つNHKに融通性はないものでしょうか?」「政治不信はこうした生の声を聞くことの制限からも生れるのだと思います。NHK受信料をとり「国民のための放送」を主旨とするならば、やはりその声を反映させていただきたいのです。」「相撲優先、国会軽視の態度に少々納得しかねるのです。」あえてお手紙を出しました。  率直にお答えをいただきたいと思います。
  147. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 期せずして、私も同様の趣旨の投書をいただいたことでございます。非常にやはり悩みの多いところでございます。  現下の情勢にかんがみまして、非常に重要な事柄が審議されます国会中継、これはいまこそ非常に価値高いものではないかと思いまして、国民もすべてそれを要望せられておると思います。他面、番組もいろいろ事情がございまして、ある時間を全部犠牲にして国会中継が終わるまでなまで出すということには一つの限界があろうかと思いますので、ある一定の時間にこれを中断いたしますことは、これまたやむを得ないことと思いますけれども、それはやはりあとでニュースその他によって重要な点は放送に出すべきものではないかと、私はそのように考えております。
  148. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま政治番組、国会中継の基本原則について伺ったわけであります。いかに状況を判断するか、置かれている状況に従ってという意味のことをおっしゃいましたね。私はそこが非常に大事だと思います。  これから高校野球も始まります、また予算の集中審議もございますね。そういうときに置かれている状況をどう判断するか、これがNHK一つの姿勢に私はつながると思う。いまなかなか受信料対策も思うにまかせない、やはり各県それぞれに野球を見ている人にはサービスをする、そのほうが受信料が取りやすい、こういうお気持ちもわからないわけではありませんけれど、それをなしくずしにしていくと、非常に低い数ではあるけれど、NHKに対して抜き差しならない批判をしている人たち、そういう人たちをもっともっと大きくしていくことにもつながると思いますのでね。これから相撲放送も高校野球もいろいろありますね。実は、昨年の暮れの中継のおりも「新八犬伝」ですか、あの放送で打ち切られたことがございますので、もう一回、その状況を判断する、どうとらえるかというそこのところに力点を置いて、おそれ入りますが簡潔でけっこうですから、お答えください。
  149. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 現下の物価状況生活状況にかんがみまして、その核心に触れたような問題につきましては、できるだけ中断を避けるべきだと思います。それかといって一つの波だけではあれでございますけれども前田会長時代には教育番組放送、いわゆる3の波と東京で申しますと一の波の性格を明確にする、そして純然たる性格づけの番組を両者に乗せる、こういうように両者の交互融通作用がないような、欠点をいえばそういうことになります。利点をいえば、波の性格が明確になったということでございますけれども、将来は、これはさらに考え直して、両者の相互融通も可能なような運営をなすべきではないか、かように考えております。
  150. 木島則夫

    ○木島則夫君 私、非常に建設的な御意見だと思います。前田会長の何もかもを小野会長が踏襲なさる必要はございませんね。波の性格を明らかにするからお互いに融通ができないのかといえば、私は決してそうじゃないと思いますね。そこら辺を融通無碍というか、うまく融通されることが国民立場に立つNHKであるならば、そこではっきりとした状況判断の上に立った決断をこれからもお願いしたいと思います、よろしゅうございますね。  とにかく受信料収入が頭打ちであるということは、もう各種資料からも各委員からも御指摘のとおりでございます。一々私は数字を申し上げません。四十七年度受信料収益が四十六年度の九・七%増に比べて、四十九年は五・六%増と非常に収益率が下降化というか、下がっているわけであります。ですからNHKには資産千五百億ですか、これに対し借金が四百十一億、その返済に充てる予定の手持ち資金八十七億があるのにもかかわらず、手持ち資金を食いつぶすような予算のやりくり算段というものは、結局、私は五十一年度には受信料の値上げをしてほしいということにつながるだろうと思います。この辺はもうけっこうです。  イギリスのBBCあたりでは、日本の聴視料制度とは違いますね。違うということは私もはっきり認めた上で、つまりイギリスのBBCあたりでは限られたお金のワクの中で放送事業運営をされているわけですね。NHKの場合も予算が組まれる。しかしどうも過去のいきさつを見ると、事業計画を強引に広げ過ぎて、それに無理に収支を合わせるというような、悪く言いますと場当たり的経営が見受けられた。しかもカラーテレビが急激な勢いでふえて、それに伴う受信料が予想よりもはるかに早いスピードでふえたことからやたらに事業、施設の拡大を進めた。言ってみれば膨張政策をとり過ぎたんじゃないだろうか。ここで曲がりかどに来るのはいつの日か予測できたことであるという会長の御説明の中に、こういったいま私が申し上げたような事態そして経過というものも当然含まれていたと思いますが、一体、NHKというのは何ですか、NHKの原点というのは何でしょうかね、ここで私ははっきりさしておく必要があると思う。
  151. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) BBCとNHKの組織、運営のそれはおのずと差異がございます。財政の本則といたしましてはやはり入るをはかって出ずるを制する、これが本則であろうと思います。NHKといえどもそのようなことでやっておりますけれども、しかしこれは単年度、単年度のそれを把握した上での断片的措置ではいけないと思います。長期の見通しを持った上で、長期的に全体の収入をもって支出をまかなっていく、こういうことでなければならないと考えております。  そういう面から申しますと、やはりそういう観点に立って収入の非常に多いときに、いつの日かやらなければならない施設の拡充、そういった面のそれは日本放送がラジオから始まり、それにテレビが始まり、テレビは白黒からカラー化する、そういう趨勢の時代にそういった発展の情勢に即応できるような建設、施設をつくっておくことは、これは必要であったと思うのでありまして、これが決して膨張主義あるいはむだの支出であった、かようには実は考えないわけでございます。  将来の状況から見れば、どうやら曲がりかどにまいっておりますので、ここで厳粛に将来の収入の見通しの上に立って支出のあんばいを考えていかなければならないのではないか。少なくともいまの状況はいろいろやりたいことがあっても膨張主義でいける時代ではございません。コンパクトな経営の上に立ち、放送事業の原点は、国民にいろいろ有益な、しかも必要な情報を提供申し上げるのが使命でございますので、そういう観点に立っての収入の範囲内において最大限にその情報が提供できるような措置を講じていくべきではないかと思います。  もちろん、収入状況といってもいろいろ変遷がございまして、ある一定の、いつの日か料金をきめたそれが永続的にそれでいくわけのものでもございません。その辺は、一般の趨勢なり、また受信者の方々の共感の上に立って、得られるであろう収入の範囲内に支出を押えていく、こういうことが必要ではなかるまいかと考えております。
  152. 木島則夫

    ○木島則夫君 まさにそのとおりだそうと思いますけれど、実態は共感から少しはみ出した、ずれたところがありはしなかっただろうかという反省は十分にしていただきたいと思うんですね。  そこで緊縮予算という限られたワクの中で放送事業を行なうということになりますと、これはもう先ほどからたびたび各委員が触れております難視聴の解消による新規の受信者と自然増によるいわゆる新規受信者の獲得、未納であるとか、あるいは不払いなどへの徹底的な対策、受信料収納システムの強化など受信料収入の増収をはかること、これが第一だと思いますけれど、あわせて内部でできる限り合理化をはかっていく、そうでなければ、この容易ならない事態というものは私は乗り切ることはできないと思います。  そこで内部の合理化問題として、前から継続されている各種団体への助成、援助などいろいろございます。この際、徹底的に洗い直してみたらどうだろうかというふうに考えます。  特に学校や生活困窮者に対する受信料免除、基地公害などの免除を入れますと、防衛施設庁から還元のあるものを差し引いても、約三十億円になるということですね。公共放送という立場はよくわかるんでありますけれど、これは、本来、私は、先ほどどなたかがお触れになっていたけれど、やはり国がやるべきことではないだろうか、それをNHKが肩がわりをしていることは、いま置かれているNHK状況の中ではほんとうに国民の共感が得られるだろうか。二十一億の節減をしても四十五億の赤字が出ている、こういう現状ですね。  ですから、NHKがいう節減、合理化の中に、各種団体へのこういった助成とか援助とか、あるいは国のやるべきことは国にやらせ、NHKが肩がわりをしていることをもはやこの辺で打ち切ることもやはり含めるべきではないだろうかというのが節減、合理化の私は一番大きな趣旨だと思いますが、いかがですか。
  153. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 積極面、消極面のNHKのとるべきシステムについていろいろ御高見をいただきまして、私もそのとおりだと思います。  特に、こういう時代に、NHKが公共性の名のもとにおきましていろんな助成の措置をとっておりますけれども、これもやはり再検討してみる必要もあろうかと思います。あるいはそのために放送文化基金等も設立されたのでございますから、むしろ事柄の性質上、そういった基金が手を伸ばしてこそ意義があるというようなものがあれば、そういう肩がわりもできましょう。また別段に肩がわり先がなくっても、ある程度の問題でそこまでやる必要はないと思われるものがあれば、それは切って捨てるべきものではないかと思いますし、また国の施策も非常に高遠な福祉国家を目標に歩んでおりますので、むしろ事柄の性質上、国で持たれたほうがいいと思われるものは、NHKが国家の福祉行政のいわゆるかわり役としてやっておったものも、希望としては国で持っていただくことがいいのではないか、かように私は考えております。
  154. 木島則夫

    ○木島則夫君 いまたいへん大事なことをおっしゃいましたね。基金が肩がわりをする、基金と抵触をするものがあれば整理統合してもよろしいんだという意味のことをおっしゃいましたね。  どういうものと抵触をしているか、もうすでにお考えだろうと思います、いかがですか、もう少し具体的に前向きな形で答えていただけませんか。
  155. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 放送文化基金は放送界全般の進歩発展のために活躍することを期待されております。NHKのためではなく、放送界全体でありますけれども、現在、NHKよりも、NHKを除いたむしろ民放さんの活動を主体としていろいろ措置をいたし助成をいたしておるものもございます。そういうものは放送界の進歩、発展、向上を全般的に促していく放送文化基金、こういうところでやられることが非常に意義があるんじゃないか、かように考えておりますが、現在すぐそれを左から右に移すわけにはまいらないと思います。将来の問題としてはそういった問題もあろうかと思います。  具体的に申しますと番組センター、これは民放の番組向上のためにNHKは三億の金を出しておりますけれども、そういったものはいつの日か放送文化基金が肩がわりされてしかるべきものではないか、かように考えております。
  156. 木島則夫

    ○木島則夫君 ほかにございませんか、ダブっているもの。言いだしたんですから、もう少しおっしゃってください。
  157. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) いまさしあたり具体的にこれというものをずばり持ちませんけれども、いろいろこれは重要な問題でございますので、検討を続けてまいりたいと思います。
  158. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ公共放送立場を重く見るあまり、こういう言い方はちょっと口ぎたない言い方かもしれませんけれど、外部に対してあまりにもいい顔をし過ぎているんではないか。今日のNHK状況では切るべきものははっきり切る。なるほど国の予算が厚生、文教、そういうところでは完全でないことは私もよくわかっております。だから、それがある程度完ぺきになるまではNHKもできることはなさろう、これは赤い羽根的な発想として私はとてもいいと思う。赤い羽根と同じじゃありませんよ、ありませんけれど、NHKの公共性というものを踏まえれば、会長のおっしゃっていることもよくわかるんですけれど、しかしそういうことをやると国がかえって甘えて、ほんとうはここに厚生大臣とか文部大臣がいらっしゃれば、私ずけずけ申し上げるんだけれど、ほんとうは政府NHK批判をされているわけですよ、痛烈に。  郵政大臣、文部あるいは厚生大臣のお考えも、政府当局者ですから、含めて、こういうものはこの際はっきり検討をして、やはりNHKにあんまり重荷に感じさせないようにしたほうがいいんではないかというお気持ちがあるならば、ひとつ聞かしていただきたい。
  159. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) これも午前中の質問に出てきた問題でございますが、私は考え方としては検討をすべき問題だ、このように思います。  ただ、そのときも質問者のほうでもものわかりがよくお話があったんですが、一ぺんにやろうとしても予算の関係があるからどうだということで、全面的にこれをやるということは、簡単に口でそう言ってもなかなかそう簡単にいく問題ではございませんし、NHK自体が発足以来国民とそういうものを通じて結びついておる、今日までそれをやってきた、こういうことでございますから、私はこれらの福祉関係——厚生省、文部省等か筋道からいったら背負うべきものというものについて国が負担をする、公共団体が負担をする、NHKの肩の荷を軽くするということについての検討はいたすべきものだ、このようには思いますが、一ぺんにということになると、これはそう簡単なものではないんで、今後とも検討をしたいと思います。
  160. 木島則夫

    ○木島則夫君 さしあたり、いま会長からおっしゃったように、放送文化基金、そして放送番組センター、抵触するものはやはり将来はそちらへ吸収をしていったほうがいいだろうというような前向きのお答えは私たいへんけっこうだと思いますので、これからあとの質問に対しても具体的にどうぞお答えをいただきたいと思います。  確かにNHKホールというのはえらいりっぱですね。あれを見ると、ああっと言って、それだけであめ息が出るほどだという話を聞く。放送百年の大計ももちろん私はけっこうだと思います。が、あれだけりっぱなホールに見合うものとなりますと、中身はなかなかたいへんであります。入れものを大きいものをつくってしまった。だから、ちょっとやそっとのものを入れても見ばえがしないからということで、この緊縮予算のおりに無理に、たとえば豪華な音楽を外国から呼んだり、それに見合うものを無理にこじつけたりすることは、これは間々ないだろうと私は思いますけれど、NHKホールのいまの稼働率、これはどういうふうですか。実際採算ベースに乗っかっているんでしょうか。
  161. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) ただいまの御質問で稼働率という……
  162. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ稼働率というとおかしいですけれどね、タクシーと一緒にしちや悪いですけれどね、タクシーに実車率というのがありますね、空車で走っているときとお客さんを乗せて走っているとき。まあ実車率みたいなものはどうだという意味で伺ったんです。たいへん失礼な言い方で恐縮です。
  163. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) わかりました。  御承知のとおり、NHKのホールができ上がりまして実際に利用するようになりましたのは昨年の六月の二十日でございます。六月二十日以降、この三月の三十一日まで二百八十五日でありまして、そのうちでホールが実際に、いま御質問のように、実車しておりましたのは二百五十四日でございます。そこほか三十一日は、これは保守とか、いろいろ手入れをいたしましたり清掃したり、いろんな作業がございます。これに使っておりますので、実際の御質問の稼働率は、大体、九六%ぐらいだと思います。  なお申し上げますと、そのうちNHKみずからが使った日数が百九十二日でございます。それから外部から御希望があって、これを利用していただいたのが二十七日でございます。
  164. 木島則夫

    ○木島則夫君 外部にも開放するということで、きょうの趣旨からはちょっとはずれますけれど、外部にもNHKホールを使ってもらう、開放するという趣旨は私も大いにけっこうだと思います。  しかし一口に開放すると言っても、いろんな制約があり過ぎるわけですね。だから、ふるいにかけていくと、なかなか利用をしたくても、ああこれはどこかの政治、政党の団体に、あるいは労働組合に、まあいいでしょう、それも。ということで非常に制約が多過ぎて、ほんとうにあのホールが国民のものであるか。たとえば東京大学の卒業式をあそこでやろうという話があったけれども、これはだめですね。私はむしろいいんじゃないかなと思う、たいへんしろうとっぽい考えですがね。今後、そういうものがたくさんこう出てきますね、どういう意図でおやめになったのか私は知りませんけれど、ほんとうに国民にそれが開放されていて、NHKホールの趣旨が生かされているものかどうか、もう一回ひとつ聞かしてください。
  165. 吉田行範

    参考人(吉田行範君) NHKのホールをNHKみずからが利用する以外に、あいている日に外部に利用していただくということのために、私どもといたしましては、郵政省とも御相談いたしまして、NHKのホール利用規程というものを設けております。  一々申し上げますと若干わずらわしいかと思いますけれども、ごく簡単にかいつまんで申し上げますと、協会の業務に支障を及ぼさない範囲内において、わが国文化の向上及び公共の福祉に寄与する催しものであって、次に掲げるものをホールの外部利用の対象とするという規程がございます。これは放送番組の充実に寄与し視聴者の要望に沿い得る公開演奏会等の催しもの、あるいは音楽団、劇団の育成に役立ち文化の向上に寄与する公開演奏会等の催しもの、文化、学術、教育の向上に寄与しまたは社会福祉に貢献する催しもの、その他協会の事業目的に照らし適当と認められる催しもの。これがプラスの面の非常に大ざっぱな規程でございます。  マイナスと申しますか、あまり外部の御利用の対象とならないというもののおもなものをあげますと、特定の宗教もしくは政党を支持しまたは反対することを目的とする催しもの、秩序を乱し公益を害し風俗を乱すおそれがあると認められる催しもの、もっぱら営利を目的としていると認められる催しもの、その他協会の事業目的に照らし不適当と認められる催しもの。  これは一番おもな点を申し上げたわけでございますけれども、なお、これらの実施にあたりましては、副会長を長とするホール運営委員会というものを設けまして、私ども委員でございますけれども、その委員会において、お申し出のあったものについては、いま申し上げた点を考えながら、なお若干こまかいわれわれの尺度を設けまして、それに照らして御利用を願うというのが現在のたてまえでございます。
  166. 木島則夫

    ○木島則夫君 きょうは、その問題は派生的なものですから、それに時間を私は費やしたくございませんので先にまいります。  内部の合理化で節減をはかることも大いにけっこうです、ホールの稼働率というか実車率も相当高いということですから。しかし、さっき言ったように、入れものが大きいから無理して入れるものをさがしたり、こじつけたりすることはかえってこの際マイナスであるということを私は申し上げたかったわけであります。  さて、そこで内部の合理化で節減をはかることも大いにけっこうであります。しかし、これも限りがあると私は思いますね。やはり受信料増収をはかる決定的な対策が必要だと思います。それには難視聴解消による新規の契約をふやすこと、年間十四、五万件はありそうである。それから未納者、不払い者に対する対策がより要求されているということ。そこで総理府統計相談所の調べによりますと年々八十万から百万の世帯が増加をしております。ことばをかえますと中継局や共聴施設による新たな受信対象世帯が十四、五万件ふえる。世帯の自然増が年々八十万から八十五万程度、これだけでも百万世帯が新規受信対象者になるわけです。そして現在の契約率を当てはめましても八十万世帯の新規契約者があるはずであります。しかも非世帯の受信対象者を合わせれば、もっとふえていいはずであります。そして受信料の滞納件数が四十八年の九月現在、航空騒音が四万件、受信障害三万件を含め、四十万件といわれている。これらを全部合わせて考えますれば、開拓余地は二〇%以上あるはずだと思いますが、この点はどうでしょうか。  四十八年度は、六十六万世帯の新規契約を予定しながら、実際には五十六万世帯しかしていない、ここに十万の開きがあるわけですね。四十九年度に六十七万世帯増を見ているんですけれども、これを下回ることだって当然予想ができるわけであります。この見通しと、少し低く見積もり過ぎてはいないだろうかということ。そしてたとえば十万の開きがある、その辺の予算措置はどういうふうにしているのか、簡潔でけっこうですから、お答えください。
  167. 川原正人

    参考人(川原正人君) 確かに、いま木島先生指摘のような数字がございます。私どもも論理的に申せば、この数字の新規増の世帯を全部契約をしていただけば確かにそのとおりになるわけです。  私どもそれは十分に承知して、それを目標にやっているんでございますが、現実の問題としまして実際に一年間に私どもが新しく契約していただくのは、実は、四十九年度においても三百万を見込んでいるわけです。ただ、残念なことに一方で移動——引っ越してございますね、これはいまたいへん高くて、そういうことのために二百数十万の世帯の方が片方で落ちていく、また、こちらで新しい契約をしていただくということを繰り返しておる中で、残念なことに、相当の努力をしているつもりなんですが、差し引き純増分というのが六十万前後というふうにどうしてもなってくるので、これは新年度はそういうことではいけないというので、先ほど申し上げましたようないろんな対策を講じまして何とか純増六十七万というのを確保していこう、こういうふうにいま考えておるわけであります。
  168. 木島則夫

    ○木島則夫君 どこに一番その障害があるんですか。何が一番大きな壁ですか。
  169. 川原正人

    参考人(川原正人君) 率直に申しまして、私どもの大原則は一軒一軒御家庭を訪問して、そこで契約をしていただき、かつ集金をしてまいる、こういうシステムをとっているわけです。その訪問をしましたときに、相手の方が御不在な方が非常に最近ふえている。  これは私どもの世論調査所の調べでも、家庭婦人の昼間の不在率と申しますか、外へお出かけの率が、午後の一時から三時ごろの時間になりますと四〇%に近い。これは一つにはパートタイムのようなお仕事もあるでございましょうし、それから非常に最近ふえました核家族と申しますか、若い世帯の場合は、いわゆる共働きといいますか、奥さんも外に出ている、こういうことのために、なかなか繰り返し訪問していてもお会いできない。世論調査の場合等も三回ぐらいやるんですけれども、それでもなお九%から一〇%ぐらいお目にかかれない方が現実におります。そこが一番のネックでございます。
  170. 木島則夫

    ○木島則夫君 そうしますと、国民生活の動態というか、いわゆる状況が変わってきたわけですね、大きく。昼間なかなかいない、そうすると、あらかじめ手紙を出すなり通知をするなり、いつ幾日伺ってよろしいでしょうかというような承諾を得ることも必要でしょうね。  それから、これは私から言いだすことではないけれど、休みに訪問をしたり、夜そういうおうちにいかなければ、それじゃ捕捉できないということですか、そうですか。
  171. 川原正人

    参考人(川原正人君) 率直に申しまして一つはそういうことがございます。そういうことも私ども力を入れて、これはちょっと若干無理があるんです。お訪ねするにしてもこちら側にもいろいろ条件がございますし、それから訪問されるほうも夜になって集金に来られては、これはとにかく御迷惑な点もあろうと思います。そういうことも、しかし、やらなければならぬと思っていますが……
  172. 木島則夫

    ○木島則夫君 やるんですか、そういうことも。
  173. 川原正人

    参考人(川原正人君) 多少はやっております。しかし極端に真夜中に行くというようなことはいたしておりません。夜と申しましても、時間帯はそんなにむちゃくちゃにおそい時間に伺うんではなく、若干もうお帰りでないかという時間は少し考えております。それから休みの日にも、これは新聞の集金等もみんなやっておりますけれども、私どものほうもいろんな条件の許す範囲ではやろうと思っておりますが、これはしかし限界がございます。  そこで、やはり次に私ども考えますのは、先ほど文書等によってお願いをし、郵便振替とか、これでお願いすると同時に、やはり銀行口座等も相当利用していただきたい。実は、この利用率もかなり上がってまいりまして、予算におきましても四十八年度二九%ぐらいと見込んでおりましたものを、今度四十九年度は三二%ぐらいまで上げていきたい。都会等においてはもうすでに四〇%ぐらいになってきております。こういう方策もさらにあわせて用いていきたいというふうに考えております。
  174. 木島則夫

    ○木島則夫君 そこで、NHKをささえている陰の力というか、縁の下の力持ちともいうべき集金者、集金業務に携わる方たちの問題を多少取り上げてみたいと思うんです。  まずNHK職員の集金業務に携わる方たちの職能ランクというんでしょうか、NHKというのは知識集約型の産業だと私は思います。したがって外勤者というのは従来ですとわりあい低くランクをされていたはずでありますけれど、現在もそういうものは変わっておりませんでしょうか。
  175. 川原正人

    参考人(川原正人君) これはたぶん、かつてNHKの職員制度の中でいろいろな仕事の性質に応じまして、ある種の区分けをしておりました。当時、LとかMとかいう記号をつくりました、こういうことがございました。これはもういまはございません。全部職員は同じランクといいますか、職員制度の中で仕事をする、こういうふうになっております。
  176. 木島則夫

    ○木島則夫君 多少こまかくなりますけれど、それじゃ職員の契約取り次ぎ手数料の単価、NHKサービスセンターの契約手数料の単価、委託集金人の契約手数料の単価を聞きたいんです。
  177. 川原正人

    参考人(川原正人君) いま、その手数料の単価につきましては、これは正直申し上げまして、職員、それから委託職員、サービスセンターによりましてそれぞれ差がございます。  これはいろんなケースによって金額が違いますので、どのケースを申し上げればいいかわかりませんが、その基本の考え方は、職員の場合には、本来の賃金と申しますか、月給が出ております。それから委託の方の場合には、これは主としてある一定の地域を受け持ちまして、その中に三千件とか五千件とかいう世帯を受け持ちまして、その中で大原則としては二カ月に一回の集金というものをやっている。先ほどのサービスセンターの場合は、これは全然別個の企業でございます。企業が別にございまして、そこの従業員でありあるいは委託関係にあるわけでございます。そのサービスセンターの従業員としての特別な雇用の関係にございます。それから仕事の中身はいわゆる毎日毎日の集金ではなくて、まだ契約をしていらっしゃらない方の新しい契約をとるということを中心の仕事にしておりますので、それぞれ実情が違いますので、手数料を変えて、月々の収入がある一定のものがあるようにと、こういう仕事のシステムになっておりますので、たいへん複雑な、契約を一つ取ってもそれぞれ差があるというふうな仕組みになっておるわけでございます。
  178. 木島則夫

    ○木島則夫君 何か私は少し複雑過ぎるような気もするし、でこぼかがあり過ぎるような気もするんですけれど、あまりこういうところに時間を費やしたくないんです。  NHKをささえるものとして重要な役割りを持つのが集金業務に携わる人、これはさっき言ったとおりでございます。ことに委託の人たちのウエートは大きいですね。過密地区Aとこういうふうになっておりますけれど、過密地区Aの担当が千九百人、過疎地区Bが二千人、計三千九百人による受信料の集金率は全体の五三%ですか、さらに新規契約獲得数の六三%もこの委託集金人によって開拓をされているということでございます。  とすれば、現在の処遇で十分かどうかということですね。私が伺っているところでは固定給が月給の一五%、何か非常に不安定だと思いますね。そうして銀行振り込み、銀行口座のようなウエートがどんどん広がっていくとこの人たちの生活にもつながってくる。じゃそういう合理的な方法をどんどん推し進めていくということになると、NHKアナウンサー放送記者や解説者がNHKの顔であると同時に、またこの方たちも私はNHKの顔であるというふうに判断をしている。その辺のコミュニケーションがだんだん少なくなっていくというような、非常に複雑な相矛盾する問題を私は含んでいるように思いますね。  そこで、いまの問題をとらえて定着率、定着年数、やめる理由、この辺ちょっと聞かしてください。
  179. 川原正人

    参考人(川原正人君) 現在、委託の方の平均勤続年数で申し上げますと、Aの方が五・二、二という端数がついて約五年間。Bの方、これはおもに都会地でないちょっと外側の地域を担当しております方々が六・九、七年ぐらい。平均しますと六・一という数字が出ます。それでもって大体の定着率といいますか、ひとつ御推察いただきたいと思  います。
  180. 木島則夫

    ○木島則夫君 おやめになる理由は何ですか。
  181. 川原正人

    参考人(川原正人君) おやめになる理由はいろいろでございまして、大体、年齢的にも平均年齢がA、B平均いたしますと四八・九、五十歳近い方でございますので、年齢的なものが一つございます。そしてさらに五、六年たてばおやめになるとか、あるいは六十ぐらいになればおやめになる方がございます。それから正直申し上げまして、ここ一、二年のところは、やはり何といいますか高度成長といいますか、景気の問題がございまして、私どものほうの事務費、手数料の関係とそれ以外の、そう言っては何ですけれども、日当数千円というふうな世の中の状況がありましたものですから、その辺の勘案からおやめになる方も少しおられました。これは正直のところそういう事情がございます。
  182. 木島則夫

    ○木島則夫君 私が概略調べたところですと、この方たちの月収平均は四十八年度がA、Bの平均が十万二千円、四十九年が十二万一千円。いま経済成長の影響でどうもほかのほうが高いだろう、だからそっちのほうへ吸収をされていくということも私はよくうなずけるのですね、この数字を見れば。  で、さっきも私が申し上げたように、電波を通じて聴視者と接するアナウンサー放送記者がNHKの顔であると同時に、直接視聴者に接するこういう方たちこそNHKの顔であるはずであります。この認識が間違っているかどうかということと、この方たちがNHKの顔であるとするならば、同時に私はNHKの精神の持ち主でなければならないと思います。  ところが委託集金人ということですね、純然たる職員じゃない。その辺はどうやってNHKの精神を徹底されているんですか。あるきまった期間研修をされて、NHKとはこういうもので、現在置かれているNHK状況はこんなにもきびしくて、こんなにも大事なものですよというようなきちっとした教育はおやりになっているのかどうか。いろいろその集金人の方たちにからむ苦情が私のところにもきているわけです。それは熱心のあまりということもあるでしょうね。また、どうせ行ったってNHKは見てないよと言われるから、アタックしたってしょうがないという、多少ニュアンスは違うかもしれませんけれど、いろいろある。それやこれやを含めて、教育指導方針というのはどういうふうにやっていらっしゃいますか。
  183. 川原正人

    参考人(川原正人君) いま先生おっしゃいますように、かりにNHKとの関係がどうあれ、現実問題として、この委託の方たちが一軒一軒の聴視者のお宅をおたずねいたしまして、NHKから参りました、契約をお願いします、お金をお払いいただきたいと申して、お顔とお顔を接しているわけです。確かにNHKの顔といいますか、NHKそのものであるというふうに聴視者がおとりになるのは当然だろうと思います。  その意味では、私どももかりに契約はどうあれ、この方たちに対しましてはNHKというもののありよう、NHKと聴視者との関係を十分にのみ込んでいただかなければ仕事にもなりませんので、教育といいますか、そういう点については十分気を配っておりまして、最近では、初めてこういう委託をお願いいたしました場合には、どんな場合でも最低十日、大体二十五日間を研修といいますか見習いといいますか、そういう期間を設定いたしまして、その間は通常の集金の手数料、歩合にまだまいりませんので、別の形の収入を考えまして、その間NHKの職員である外務の専門の者ができるだけ一緒について現地の指導をするなり、あるいは多角的な研修をするなり、そういうことを十分に徹底をいたしております。また、このくらいな分厚なガイドブックと申しますか、そういう教科書みたいなものをつくって、その点はのみ込んでいただくようにしております。
  184. 木島則夫

    ○木島則夫君 いま私がこういう問題を取り上げたのは、NHKがそれこそ生きるか死ぬかというか、たいへん剣が峰に立たされているわけですね。そういうときにほんとうにNHKをささえているこの人たちが陰の力であるわけですね。だから、あなた方はNHKの顔なんだよ顔なんだよと言うからには、やはりそれらしい顔ができるように財政的な援助をしなければうそでしょう。  さっき私があげた十万何がし、十二万何がしというのは、これは私はちょっと低いように思いますね、私は思う。そして置かれているこの方たちを取り囲む状況というのはきびしいですよ、ほんとうに。行ったっていない、伺ってもいない。それからいろいろ罵声を浴びせられる、そこでディスカッションも起こるでしょう、非常にむずかしい。都会の場合には過密、いろいろな状況がそこに出てくると思います。だからNHKがほんとうにこの方たちを顔であるとするならば、私は顔であると言い切れるバックグラウンド、そういうものは結局給与体系というかをよくしてあげることにつながらないだろうか。保険の外務員と一緒にしては失礼ですけれど、と同じような給与体系で最も大事な契約とか集金業務に携わるのは、何か前近代的な体質はそのままにしておいて、これは言い過ぎるかもしれない、にしておいて、きれいなところだけ皆さまにお見せをするというようなことがあってはいけないという意味で、私は申し上げているわけです。これは要望として私ははっきり申し上げておきたい。  それから集金委託人一人当たりの受け持ち件数は、過密地区Aでは四十八年が四千二百世帯、それが四十九年が三千八百世帯、過疎地区Bでは四十八年が三千件、四十九年が二千九百世帯と減っています。私がちょうだいした資料ではそうなっている。  一方、委託のAは、四十八年では人数でいくと千七百人、それが四十九年では千九百人になっていますね。委託Bは四十八年が千九百人、四十九年が二千人ですね。受け持ち件数は減っているわけです、そして人員的にはふえている。だから集金人の人数をふやして一人当たりの受け持ち件数を減らしたということは、新規契約の開拓にほんとうに力を入れさせるためなのかということ、歩合制のシステムをいまとっていらっしゃるから月収がいままでよりも減ってしまう場合も十分に考えられるのですけれど、この辺は私の思い過ごしでしょうか、いかがでございましょうか。
  185. 川原正人

    参考人(川原正人君) 人数がふえているという点で申し上げますと、これは受信者の数が約六十万人ぐらいふえますし、四十九年度は六十七万人の増加を見込んでおりますので、これは一応の算術といたしまして当然ふえざるを得ないということでございます。  それから一人一人の受け持ちが多少減りぎみでありますのは、これは実はその受け持ちの町の区域を設定いたしましてやっておりますので、その中で、何と申しますか、いま私どもが当面している、先ほど申し上げました、何度おたずねしてもなかなかお目にかかれない、そういう御家庭が多い。そういうところをさらに緻密に、つまり二度行ってお目にかかれなければ三度行かざるを得ない、三度行ってやっぱり契約がうまくいかなければ、これしょうがない、四度でも五度でも私どもは行って、先ほど先生指摘のように、未契約があってはいけない、とにかく契約をしていただかなければいかぬということで、三度でも四度でもおたずねしなければならぬ。そのためには、従来は大体一回か二回やればお目にかかれたのでございますが、最近では三回、四回と行かなければお目にかかれないということから、どうしても勢い一人の受け持ち件数を前のままにしておいたんでは十分に回れない、こういう事情があるわけです。  これは全体の受信者の数が毎年六十万なり何なりふえていくということに伴う人員の増と、それから一方、いま言ったように、中身を今度は同じ町の中を緻密に何度も回らなければならないということから、いまのような事情が出てきているわけです。  ただし、最後に御質問がありましたように、それでは収入が減らないかと。それは単価をそのままにしておけば当然減るわけです。ですから、その点が一番問題でございまして、今度、営業費の中で十八億の増をはかりましたけれども、大半はこの委託の方の実は事務費、手数料にわれわれは考えておるわけです。ですから、一つ一つの単価を上げまして、いままで一件行って幾らだったのを今度はその何割増しというふうにいたしまして、総体としまして一八%増収になるように、こういうふうに考えているわけです。数が減りましても逆に収入は一八%ふえるようにというふうな仕組みにしたわけです。
  186. 木島則夫

    ○木島則夫君 とにかく現場でやっていらっしゃる方、私もいろいろ伺ったんだけれど、非常に御苦労ですね。ほんとうにたいへんだと思いますね。ですから、そういう意味でできるだけの私は配慮をしてあげてほしいと思うのですよ。  それでどうなんですか、思想的背景を持っていたり、もともとNHKに対してはいわゆる反対であるというような手ごわい人に対してはNHKの職員が行くわけですか、精鋭が。それで何回くらいアタックするんですか。もうこの人はだめだと、ある新聞社の有名な評論家はもう行ったってだめなんだというようにクレジットがついちゃうともう行かないんですか。それともある程度アタックをちゃんともうひっきりなしに繰り返していらっしゃるのか。その辺ちょっと教えてください。
  187. 川原正人

    参考人(川原正人君) 非常に手ごわいといいますか、問題の方に対しましては、これは委託の集金人が最初はもちろん参りますけれども、ある一定のところで協会の職員がそれを引き取ります。さらに協会の職員の中でも、特にいま若干御指摘がありましたような方については、これは営業所長なり副所長なり、あるいは私どもの相談センターと申しますところにかなり管理職がおります。そういう者が接触をいたします。それで正直言いますと、この方はおそらく何度行ってもだめだろうという方もいらっしゃいますが、これは絶対に私どものほうもあきらめません。それは私どものやはり任務と申しますか、義務でございます。つまり払わないだろうからといって、そういう方のところを訪問しないというわけにはまいりません。それですから、一応、毎期おたずねをしてお話は続けております。
  188. 木島則夫

    ○木島則夫君 まあ、あんまりしつこく聞きませんけれどもね、この人はだめだと思うと行かないという話がありますよ、この人のところに行ったらかえって逆宣伝されたり、またトラブルがあったりということで。  川原さん、実際にいらっしゃったですか。
  189. 川原正人

    参考人(川原正人君) 正直言いまして、私は行っておりません。  ただ、東京営業局の管理職にそれは命じまして、つい最近も、この問題といわれる方を全部当たらせました。ただし、お一人は実はいろんな事情があって住所を明らかにされておられません。これは何かその方の一種の人生観といいますか、ジャーナリストとして何かあまり住所は明らかにだれにも教えないんだという方がいらっしゃいます。残念ながらお一人どうしても住所のわからない方が著名な方でいらっしゃいましたけれども、そのほかは必ずそうやってだれかが訪問して、その御本人いらっしゃらなければ、長時間お留守でもしょうがないんですけれども、おうちの留守番の方にNHKが来ましたけれどもということだけは申し上げて、ぜひお願いしますと、これは繰り返しております。絶対に払わないから行かないということはございません。
  190. 木島則夫

    ○木島則夫君 川原さんいらっしゃったですかというのはちょっと象徴的なことばですから、悪くおとりにならないように。  とにかく、そういうふうにしてやはり徹底的に不払いという方、それぞれのお立場、それぞれのお考えがあってのことだと思いますけれど、私は説得をお続けになることだと思いますね。  さて、国内放送費の増額率がわずかに三・三%、これは物価高騰のおりから、これだけのことではもうどうにもなるまいというのは私も全く同感であります。三十七年を一〇〇とした場合に事業収入が四十八年度二九八、四十九年度が二五九ですか、支出に占める給与が四十八年度三八〇、四十九年度が四五〇、こういうふうに大きく数字がふえているにもかかわらず、国内放送費四十八年度が二〇六、四十九年度が二一三ということで、ふえ方はたいへん微々たるものであるというほかはございませんね。これで視聴者の意向を把握し、各分野の番組を充実刷新がほんとうにできると思うのかという点が一点。  さらに問題なのは、NHK交響楽団、日本放送協会学園、NHK厚生文化事業団、放送番組センターに対して助成が行なわれておりますが、この出所の名目は国内放送番組費から出され、計上されているということでございます。さらに会員になっている団体に対しても分担金というようなものも支払っているようでありますけれど、まず、こういう四団体に対する助成というものを国内放送番組費から計上する、出す、その辺の確たる根拠をひとつ示していただきたい。
  191. 山本博

    参考人(山本博君) NHKから各種団体に対しまして支出をしておりますものの性格といたしまして、大体、分担金という性格のものと、それから助成金という性格のものとございます。  それで、ただいま御指摘になりましたような団体に対しましては、これが放送番組を編成する上において助成するに値するという判断から放送関係の費用から出しておるということでございます。
  192. 木島則夫

    ○木島則夫君 番組を編成する上から必要と認められる団体に対して、いわゆる放送番組費から出ているということですね。そうすると厚生文化事業団というのは番組を編成する上に必要ですか。
  193. 山本博

    参考人(山本博君) 厚生文化事業団に対します助成金の趣旨は、これは放送番組編成上、編集上、NHK側にいろいろなプラスの点を評価いたしまして、そういう内容についての判断をいたしまして、厚生文化事業団自身がNHKに対するいろいろな寄与、そういう点の評価をいたしまして、番組編成上の利点を考えまして助成をするというたてまえになっております。
  194. 木島則夫

    ○木島則夫君 何かちょっとその辺少しこじつけ的に私は思うんですよ、無理があるように思いますね。  こういうものは何も番組編成費から出す必要はないと——まあNHKがそういうふうにお認めになるんですから、これは私が何と言おうといたしかたないとは思いますけれど、そうすると、取材とか番組編成をする上にそういうものを出しておくと都合がいいということであるならば、要するに何というんですかね、その取材のためにはあっちこっちにそういうものを出しておかなきゃ取材ができないということになるんじゃありませんか、そういうことはありませんか。  取材をしやすい、それからドキュメンタリーなどをつくる、そういう場合には、確かに一年前からカメラが入って一年後の子供の成長、そういうものをおとりになるときには、これは取材はしやすいかもしれない。しかし取材をしやすくするため、編成をたやすくするために、こういうものにお金を出すということになると、今度は、ほかから、うちはもうちょっとお金をいただかないと御協力できませんよということになるんじゃありませんかね。
  195. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いま木島先生のおっしゃいました具体的な、一つ一つの学園とかN響とかいう形でなしに、たとえばドキュメンタリーのようなもので、そういう長期にわたって取材するというような場合でも、長期にわたってお願いすることがあらかじめ番組の企画として認められる場合には、そのお願いする先にいわゆる何らかの意味での謝礼と申しますか、そういうものは当然お支払いしながら長期にわたって取材するという実態がございます。
  196. 木島則夫

    ○木島則夫君 私はこういうところへ助成をするのは悪くないんですよ。悪くないんだけれど、助成をしたからにはこちら側の言いなりと言っちゃいけませんが、ドキュメンタリーもつくられたドキュメンタリーになりやすいんですよ、確かに。向こうは負い目がありますからね、NHKのやるなりに、ひとつプロデューサーの編成方針なりに番組制作方針なりにこちらも御協力しましょうということになれば、何か、私は、つくられたものになってしまう危険はないだろうか、それがほんとうの自主的な放送なんだろうかということまで私は考えているから、こういうことを言うわけです。  ですから、その辺もあわせて、ほんとうに厚生文化事業団というようなものに番組編成上からお金を出したほうがいいのか、あるいはほかの費目から出したほうがいいのかという問題は確かにあるでしょうね。どうもこの辺はちょっと釈然としない。もう一回聞かしてください。
  197. 山本博

    参考人(山本博君) 厚生文化事業団に対しまして助成をいたしております基本的な考え方といたしましては、これは考え方によってこじつけだという御批判もあるいはあるかと思いますが、NHK側といたしましては、社会福祉番組を制作するにつきましていろいろな資料の提供を得るということ、それに付帯いたしまして文化事業団のほうから番組編成にいろいろな角度からの協力をしてもらうということ、そういうような意味での両者の関係に対する助成をするという考え方になっております。
  198. 木島則夫

    ○木島則夫君 この辺はちょっと平行線で、どこまでいっても合いませんから、私の持ち時間はあと二十分足らずですから先にいきまずけれど、こういう釈然としないようなものがこの際宙ぶらりんの形で受けとめられるということは一緊縮財政を守っていかなきゃならない、その中でNHK運営をしていかなければいけないというこのときに、私はもっと徹底的にきちっとこういうけじめ、決着をつけてほしいという意味で申し上げているわけです。  そしてそれが、いいですか、さっきも申し上げたように、やはり助成をしていれば向こうもある程度の負い目を感じる、そうなればNHKの意図どおりのものがそこに行なわれやしないだろうかということも考えて、私は発言を申し上げているわけですからね。  放送番組センターについては、先ほど会長から前向きなお話があって、放送文化基金とこれは抵触するから、将来は整理統合の方向で考えるという御発言がございましたから、残されたこういう問題も一つ一つつぶしていくにはあまりにも時間がなさ過ぎますから、たまたまいま私は厚生文化事業団というものに対する助成が国内放送番組費から出ていることの確たる根拠を伺ったわけですね。これはひとつ十分に私は検討して洗い直していただきたいと思いますね。会長いかがですか。
  199. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) いろいろ御意見の趣旨はよくわかります。あるいはそういったNHKが番組を編成するのに直接必要な経費でなくて、間接にはそれを番組に取り上げる場合もありますけれども、ある種の助成を必要とする場合、それが番組編成上非常に益するものであっても、一くくりにして、あるいは助成費のような項目でもあれば、そこへ一括することも一つの方法ではないかと思います。  いろいろ長いしきたりもございますし、一挙にということはむずかしいと思いますけれども、御趣旨の存するところは十分にわかりましたので、将来、いろいろよく検討してみたいと思います。
  200. 木島則夫

    ○木島則夫君 私も放送世界におりましたものですから、きょうがあすにでもというような短兵急なことを言っているんではございません。やはり今日置かれているNHK状況を踏まえれば、当然、いままではあいまいな形で通ってきたものもそうはいかなくなるという意味で、きちっとそこにスポットを当ててもらいたいということを申し上げているわけでございます。  緊縮予算で国内放送費がわずか三・三%増といえば、これはNHKの側にお立ちになればそういうことはないとおっしゃるかもしれないけれど、日の当たる番組と当たらない番組との格差は私は相当広がるだろうと思います。町のレストランでもそうですね、値段が据え置かれれば、国会の食堂でもそうでした、据え置かれますとやっぱり中身でもって調節をしていく。中身を落とす以外にないですね、薄める以外にありません。当然、私は番組の制作でもそういうことが現実に行なわれているし、行なわれるだろうという意味でこれはお聞きしたいのです。  一つには、身銭を切ってもNHKに出たいというような出演者の考え方もなきにしもあらずです。それをまたNHKが逆手に取って、出してやる式の考え方がまだまだ残っているようにも見受けられるのですけれど、たとえば「勝海舟」に例をとりますと、何か主役には力をかけ過ぎても回りの人には手を抜いてやしないだろうかというようなことが私の耳に入ってきている。主役とのばく大な契約料であるとか、まあいろいろ問題はあるにしましても、たとえばここに一つの一これは全体じゃありませんよ、一つの例がございます。  二十年以上のキャリアの人が三日間拘束された場合に、基本出演料が一万二千円、時間割り増し五〇%で六千円、リピート料四五%で五千四百円、リハーサル料四〇%で四千八百円、計二万八千二百円。マージンと税金差し引きで手取りが二万一千百五十円。これは一つの例です。同じ海舟の番組に出ている三年くらいのキャリアの人は三日間拘束によると基本出演料五千円、時間割り増しが二千五百円、リピート料千五百円、計九千円ですね。ほかにいろんなマージン、税などを引かれますと大体七千円近くの金しか手元に入らないというようなことです。  昨年の六月の一日から基本出演料がアップされて、比較的出演回数の多い方たちの出演料が改善されたことは私もちゃんと聞いております。しかし、これは放送芸能家協会というような組合員の人たちのことでして、関西あたりにまいりますと、こういう組合に入っていない人が多い。で、こういう関西の俳優さんたちは恵まれませんし、また、こういう協会に未加入の俳優さんたちは当然支払われるべきリハーサル料さえ支払われていない事実があるというようにも聞いております。結局、制作費が切り詰められる、その中で日の当たるものは日が当たるけれど、いわゆるしわ寄せをされる部分もまたよりはっきりとした形をとってあらわれてくるんではないだろうか。  この辺は、基本的な姿勢としてちょっと伺っておきたい。
  201. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 基本的な姿勢といたしましては、いわゆる出演料へしわ寄せさせるというような考え方は毛頭持っておりません。  ただ、木島先生も御指摘のように、番組費そのものが必ずしも多々ますます弁ずるというような状況でございませんので、そこら辺の使い方と申しますか、そういうもののくふうは当然われわれとしてはしなければならないんじゃないか。  したがってドラマの場合に例をとれば、そもそも執筆する先生方にある程度の予算を提示して、そしてシーンの問題であるとか、そういういろんな意味の協力をお願いして、なおかつ内容的な低下を来たさないごくふうもお願いしてそしてやる、これはある程度やらざるを得ないんじゃないか。ただし、いま御指摘の中で、当然支払うべきものを支払ってないとすれば、これは全く申しわけないと思いますので、これは直ちに調査いたしまして、そういうことのないようにいたします。
  202. 木島則夫

    ○木島則夫君 NHKが置かれている立場がこういうことであるから御協力をお願いしますという中に、しからば値引きをしていただきたいというような事実はございますか。
  203. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 私の知っている限りにおいては、そういうことはないと思います。
  204. 木島則夫

    ○木島則夫君 出演料に対する不満は俳優さんだけじゃなくて、教育番組とか教養番組に出演する人たちにも聞かれることですね。  たとえば理科教室小学校五年では、二十分番組で制作費が二十万八千円ですか、そのうち人件費が六万円でありますけれど、材料費もこういう時勢ですからたいへん上がっているわけですね。人件費の圧迫というか、そういうもので出演料にも当然その影響が出てくるというようなことも私は聞いておりますので、これは一つ一つここで事実関係をどうのこうのということではありません。けれど、そういう声が非常に多いんです、このごろ。  それから最近、民放で、ゴールデンアワー番組に出演するときは出演料を出すが、ゴールデンアワー以外は出演料を負けろというような話も実際に起こっているようですね。民放がそうならNHKもというようなことはないんでしょうけれど、ゴールデンアワー番組以外の出演料を値引きする何か風潮というか気配が見えるようであると、番組予算が少ないために現場で苦しまぎれに出ることばではございましょうけれど、このような出演時間帯によって出演料に差をつける考えがあっては私はいけないと思いますし、じみな番組に出る人こそ、公共放送であるならば私は大事にしなきゃいけないというふうに思いますね。こういう人たちを、さっきの集金人の方々じゃないけれど、犠牲にしておいてNHKが現状を続けようとするならば、これはもってのほかだと私は思う。  さて、俳優さんたちだけじゃなくて、音楽関係者も相当不遇ですね。見た目には非常に皆さんいいように思われるかもしれない、世間の方は。なかなかそうはいかない、実態はそうじゃないですね。たとえば東京フィルハーモニー、東フィルの場合には、NHKと月に七回——間違っていたら御指摘くださいよ、年間四十八回の契約をしておりますけれど、一回の出演料がメンバー六十人で合計四十万円以下だというふうに私は聞いている。ほかのオーケストラもこれが基準になっているそうでありますけれど、何かこれではかおり高い文化というにはほど遠いような私は現状のような気がしてならない。しわ寄せが音楽関係者にいっているんじゃないだろうかということが一つですね。  それから時間がありませんから私はもう問題提起をします。音楽家の出演については拘束時間制ではなく放送時間が基準になっているわけであります。特に長い時間拘束をされますと、これは私も放送に携わったことがございますんで、たいへんですね。いろんな事情で番組が予定よりも長くなったり拘束時間がえらい長くなる。たとえば「あなたのメロディー」というのを一つ例にとりますと、リハーサル五時間拘束、十五時から二十時で行なわれた場合に千円、本番が八時間拘束で七千五百円、二日間の合計十三時間働いて八千五百円にしかならない。しかもこれは税込み、もう一つめんどうな仲介手数料というのがあるようですね。これも私はいつの日か問題にしようと思っておりますけれど、仲介料込みの出演料だということを聞いている。だから文化のにない手であるこういった音楽家あるいは芸術家が不当ともいえる出演料をしいられていやしないだろうか、改善するお考えはございませんでしょうか。
  205. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 音楽家の楽団の方々の出演料の問題につきましては、昨年のこの委員会でもお話がございまして、最低の出演料と申しますか、そういうものがラジオが三千円のテレビが四千円でございましたのを、ラジオ・テレビとも五千円ということに引き上げる努力をいたしまして、いま現在に至っておるわけでございますが、ただ、いま木島先生の御指摘のように、それらの音楽の楽団の方々をお願いいたしますのに、私どものほうはいわゆるマネージャーの方に御交渉申し上げてそしてお願いするというような実態がございますので、まあマネージャーの問題もいま御指摘があった点だろうと、こういうふうに思うわけでございます。  ただ音楽家の方々の長時間の拘束の問題につきましては、私どもも考えなきゃならない点があるということは承知いたしておりますけれども、これも申し上げましたように、私どもといたしますれば、放送そのもの、放送の時間そのものにその音楽家の方々のいわば成果を世にお問いいただく、こういうことになろうかと思いますので、やはり放送の時間を単位に充実していくというNHK考え方は今後も続けたいというふうに考えております。ただ、そのテスト料の問題であるとか、その他の問題の金額なり割合なりの問題はいろいろと御交渉の中でのことになろうかと思いますけれども考え方といたしましては、もし改善する、のせるという余裕があれば、まず放送時間の中のエネルギーにそれを充当することを第一にしたい、こういうふうに考えております。  それらの方々と、現在、いろいろと交渉ごとを続けておるわけでございますが、現時点においては、ともかく改善いたしますということまではお約束しておるわけでございます。音楽家だけではなしに、いろいろの諸団体とのいま話し合いを進めておりますので、それらのお話し合いの中で煮詰めさせていただくために、具体的な回答をいましばらく御猶予願いたい。しかし四十九年度においても改善をいたしますというふうにはお約束いたしておりますので、きょうの段階ではその点で御理解いただければ幸いかと思います。
  206. 木島則夫

    ○木島則夫君 あまりしつこくは申しませんけれど、要するに放送の中でその成果を世に問うということは、これはもう私もよくわかるんですよ。しかし、たとえば三十分なり一時間という放送はやはり氷山の一角だと私は思いますね。積み重ねの上に立ったある部分が放送電波に乗って世に問うわけですからね。その下で、やはりリハーサルとかテストとか、いろいろ苦労を重ねてきた、そういう積み重ねが氷山の一角として出るということを考えれば、私はやっぱりそれも含めて改善をする方向で検討していただきたい。  改善というのは、放送のワクの中での改善を一次的に考えるというお話でありますけれど、私はなおも下の部分、それをささえる部分においてもやはり改善をお約束していただけないだろうか。くどいようですけれど、坂本さんお願いします。
  207. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 木島先生のおっしゃることは私もよくわかるわけです。ただし、その支払いの方法、考え方というのは、私は、要するに放送の時間を単位にしたい。そしてリハーサル料が安いとか、リハーサルのレートが低いとかいうことの御議論は当然あろうかと思いますので、それはそれなりの御交渉の中において煮詰めなきゃなりませんけれども、全く放送の拘束の時間もリハーサルの拘束時間も、要するにすべて時間制でもって割り切るという考え方にはNHKとしては賛同をいたしかねますと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  208. 木島則夫

    ○木島則夫君 前向きなひとつ御検討をちょうだいしたいと思いますね、これは。改善をしていただきたいと思います。  もうほとんど時間がございませんから、あと七、八分残りの時間を十分に使って精一ぱい質問させていただきたいのですけれど、たとえばNHK放送管弦楽団の団員もだんだん減少の傾向にある。つまりNHKと契約をしているとほかの番組やなんかに出られなかったりして、なかなか恵まれないから、だんだん自然消滅をしていってしまう。むしろNHKはそういう自然消滅の形を——奨励とまではいかないにしても、そういう方向を歓迎しているような筋もなきにしもあらずである。合唱団も同じですね。そうであるとするならば、NHKのほんとうのカラーを持った、NHK精神を持ったと言うと大げさになりますけれど、カラーを持ったものがだんだん減っていって、その足りない部分をエキストラで補えば、これは私は番組の質の低下、NHKらしからざるものがどんどんどんどんそこに出てくる憂いがある。  そういうことからもまた検討をしてもらわなきやならないし、またやはり弱いところへしわ寄せがいくというのは、これはいまの日本の経済だってそうですね、政治だって同じことですよ。だからそうあってはいけないという歯どめをきちっとしておかないと、NHKというのはそういうところからも崩壊していきますよ、さっきの森委員の御指摘ではありませんけれど。集金人の方たちも大事にしなきゃいけない、番組をささえている方も大事にしなきゃいけない。それから現場のプロデューサーに聞けば、劇の伴奏音楽なんかもなまの音楽を使いたいということを言いますね。使いたいけれど、やはりお金に制限があるから、極端なことを言うとレコードにせざるを得ない。そうすると音楽家の生活にも響くだろうし、音楽家の育成の問題にも響いてくるだろうし、番組の質的低下にもこれがつながってくるということであります。  そういうことはそれとして置いておいて、一方ではたいへんあいまいもことした団体にずいぶんのお金を助成しているというような矛盾が現実にあるわけですからね。そういうものはやっぱりこの際きちっとえりを正す意味で私はおやりになることこそ、それこそNHK百年の大計をお立てになるごくごく基本的な原点につながるんではないだろうかということを申し上げているわけです。  いろいろ伺いたいんですけれど、とにかく時間がありませんので、はしょりたいと思いますが、とにかく出演者、いわゆる末端で緊縮予算のしわ寄せを受けないように、演奏家の皆さんに対しても、日本の文化をささえる人たちですからね、俳優さんに対しても芸能人に対しても、私は格段の御配慮をひとつ考えていただきたいと思います。  それから結論としていまのことを申し上げれば、目玉番組にはお金をかけて視聴者の注目を集めるけれど、じみな番組はその影響を受ける。また、もっと極端なことを言うと、弱いものにしわ寄せがくるということで外向きにつじつまを合わせようとするならば、これはNHKのためのNHKでしかなくなっちゃうと私は思いますよね。だからNHKが置かれている容易ならないこの事態というものを十分に御認識をしていただいて、この際、不必要にしょい込んでいる各種団体への助成、援助などを徹底的に洗い直すこと。それから一方では、積極的に受信料回収、開拓への残された可能性を追求をしていくということ以外にはなかろうかと思います。そういう意味を込めまして会長の御決意をひとつ伺いたいと思います。  何かいままで御決意と言うと、通り一ぺんなお答えとは申しません、大臣にしても責任ある方にしましても、一生懸命がんばりますと、それに違いないんですけれど、ひとついままでの状況を踏まえて、ほんとうにNHKが置かれている立場が、状況が容易ならないんだと、だから口うるさく聞こえるかもしれないけれど、塩出委員、それから森委員、与党の方からもそうでした、私からもやっぱりNHKを百年の大計の安きに置くためにこういうことを申し上げているのですから、口うるさいなどと思わずに、私もNHK出身者としては言いにくいこともずいぶんはっきり言っています、個人的にはいやですよ、しかし、そういうことを越えて、やっぱりNHKがほんとうの意味で公共放送を全うしてもらいたいからこういうことを申し上げているんです。会長の御決意を伺いたい。
  209. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 御指摘のとおり、NHKはいま重大な時期にあろうかと思います。この重大な時期に施策を誤りますと、これは取り返しのつかないことになろうかと思っておりまして、これは深刻に受けとめております。  NHKが当然に積極的にやらなければならない面につきましては、今後、そういった認識の上に立って、全力をあげて努力をいたしてまいりたいと思いますし、また、こういった重大な時期に、いろんな面で将来禍根を残すかもわからないような諸問題につきましては、そういうようなことが導火線になってNHKのつまずきにならないように、十分に心してまいりたいと思います。
  210. 木島則夫

    ○木島則夫君 私の持ち時間は百分で、五時四十分までですというメモが届きましたけれど、あと大臣に、最後の結びとしての私の提言を聞いていただいて終わりたいと思います。  NHKにはなお一そうの御努力をお願いすることとして、さらに受信料の増収安定をはかるために、受信料制度について法制面で改善すべき点はないであろうかということですね。  これは郵政省の中でも今日までいろいろ検討をされてきたと私は思います。特に受信料制度の問題については、法的に罰則を設けたほうがいいんだと、NHKが幾ら努力をしても、それだけではやはりこれはパーフェクトではないという意味で、法律の網をそこにもう一つかぶせたほうがいいんだという議論もあるはずであります。特に不払い者への罰則適用についてはどういうふうな具体的な話し合いが行なわれて、今日どういうふうな状況になっているか、これからどうあるべきか、お答えいただきたい。
  211. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 放送法、電波法の改正につきましては、引き続き省内で関係者をもって検討を続けておるわけでございます。  いま御質問受信料の問題につきましては、いろんな意見があるわけでございまして、いまは現行法はNHK放送を受信することができる受信設備を設置した者は受信契約を結ばなければならないと、契約強制という形になっておりますが、それでは手ぬるいではないか、むしろこれは直接に支払い義務を聴視者に、受信者に課したほうがいいのではないかというような意見がございます。これはNHK放送を受信することができる受信設備を設置した者はNHKに聴視料を支払わなければならないと、こういう規定のしかたもあるではないか、これが一つの説でございます。  それから受信料支払い義務制にするのと同時に、受信料の額を法定しよう、それでNHK受信料の強制徴収権を与えるべきではないかというような説もございます。  それから国が税金として受信料を徴収するというような考え方もあるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、現行の受信料制度というものはNHKと受信者の信頼関係ということを基礎においた一つの制度でございまして、世界に類例のない、いろいろな弱点もあるかと思いますが、類例のない制度でございまして、この制度は多年国民の間に定着しております制度でございまして、これがたとえば税金になった場合でも、受信料の捕捉率といいますか徴収率といいますか、これが必ずしも改善されるかといいますと、改善されないのではないかという説もあるわけでございます。  いずれにいたしましても受信料制度というものは非常に大事な問題でございますので、今後引き続き検討してまいりたい、こういう状況でございます。
  212. 木島則夫

    ○木島則夫君 もう一問。それは各考え方があるというのは、それはぼくもよくわかるわけですよ。だからNHKと受信者との信頼関係の中で行なわれなければいけないというのは私も百も承知です。その信頼関係に立っていままでやってきたんだけれど、もう一つどうしても越えられない壁があるということになれば、そこに法的な網をかぶせる必要がないだろうかというような議論も、NHKの置かれているきびしい状況とあわせてウエートが出てきたわけですよね。だから、そこら辺のニュアンスをくみ取っていただいて、これこれこういう考え方がありますというのは、私も初めから知っている。だから、どの辺にウェートが置かれていま検討しているのか、そして将来どうもこっちの方向へ行きそうであるというようなニュアンスでもいいですよ、聞かしてください、大事な問題ですよ。
  213. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) いま申し上げましたようないろんな考え方があるわけでございますけれども、これを法制的に強化して受信料の強制徴収権を持つとか、罰則を設けるとかいうことをしたほうがかえって受信料を確保する上で改善策になるかどうかという事柄に対して疑問が提出されているわけでございます。したがってヨーロッパあたりでは税金制度をとっているところもございますけれども、いろいろな実情をもう少し調査してみなければわかりませんけれども受信料の捕捉率というものではおそらくNHKの現在の制度のほうがすぐれておるのではないかと考えられる節もあるわけでございます。したがって改善策になるかどうかというところに検討の焦点を合わせておるわけでございまして、いましばらく時間をかしていただきたい、こういうことでございます。
  214. 木島則夫

    ○木島則夫君 これで終わります。  あるいは失礼なことを申し上げたかもしれまれんけれど、ひとつ御努力ください。ありがとうございました。
  215. 青島幸男

    ○青島幸男君 審議しておりますこの予算の問題に入る前に、各委員からもいろいろ発言があったようですけれども、あえて重複することを避けずに申し上げますけれども、「総理と語る」の番組でございますが、私ここでその放送法十六条を読み上げるというような意図もございませんし、そういうことをあえていたしませんけれどもNHK体質あるいは使命からして、いまのまんまああいうかっこうでこの放送が続けられるということにはかなりの方が疑問をお持ちですし、私も重ねてここで重複を避けずに言うということは、ああいう形の放送があるということは、たいへん不満であると、これを何とか改善をする、あるいは継続をやめてほしいというような要望の意味から最初に申し上げたいと思います。  ほかの方がおっしゃったから言わないということではなくて、だれもかれもがそう認識しているのだというようなことの一端として私はあえて申し上げたいと思いますけれども、その辺をお聞き取り願って御参考に資したいと思います。  それから再三、今度の予算NHKは曲がりかどに来ているのだということを申されておりますけれども、一方では、郵政省には、六、七年前から、十年後に現行使用のVを全面Uに転換するという大方針がございました。その後、何の進展もないように見受けられます、全面移行につきましては。  この緊縮財政の中でNHKにもオールUに転換せよというような話がもし出たら、たいへんな議論を呼ぶような状況にいまあります、ということを踏まえて、いまだに郵政省はオールU転換をもくろんでいらっしゃるかどうか、その現況を踏まえてお答えをいただきたいと思います。
  216. 河野弘

    説明員(河野弘君) お答えいたします。  テレビジョン放送用周波数をVHF帯からUHF帯へ移行する必要性につきましては、現在もこの方針を発表いたしました昭和四十三年当時と変わりがございませんので、この方向で現在検討いたしておるところでございます。  御承知のように、UHFへの移行につきましては、まず受信者の皆さん方国民皆さん方のUHF放送の受信体制が整うことがまず第一の必要でございます。次にオールチャンネル受像機の全面的な普及、これも必要でございます。これらと見合わせながら、その実施をはかるようにすることが肝要であるというふうに考えておったわけでございます。その意味におきまして、現在のところ、受信者が最も多い東京、大阪にNHKのUHF放送試験局を設けました。オールチャンネル受像機の普及をはかってきたわけでございます。  郵政省におきましては、UHF移行の円滑なる実施をはかるために、先ほどから放送事業者との間に専門連絡会議を設けまして、UHFへの移行に伴う置局、それから関連経費等の問題につきまして検討を行なってまいりましたところであります。具体的な移行計画、それから経費、受信者対策などにおきまして、なお十分検討しなければならない点があると考えられます。したがいまして、これらの点につきまして今後さらに検討を進めたい、こう考えているわけでございます。  また、この移行計画につきましては非常に大きい問題でありますので、今後の検討にあたりまして、NHKの、ただいま先生指摘のございました現在の経営状況、これを十分に踏んまえまして、その上に立って各方面の御意見など十分参照し、十分また連絡をとりながら納得の得られる線で対処してまいりたい、こう考えておるわけであります。
  217. 青島幸男

    ○青島幸男君 その納得が得られる線ということですけれども現実NHKのいまの状況から考えてそれは無理じゃないかという気がするのですけれども会長NHKとしてこのオールU移行が可能であるとお考えになっていらっしゃいますか、あるいは政府の方針だから可能であろうとなかろうとやっていかなければならないのだとお考えでしょうか。その点をひとつNHKの態度として明確にしていただきたいと思います。
  218. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) VHFをUHFに転換するという方針が掲げられましたのは、先ほど河野放送部長から申されましたように、もうかれこれ六年になんなんとしております。当時、いろいろ、そういうことをやれば一体NHKとして経費負担はどうなるか、こういうようなことを試算したことがございますが、大体九百億ぐらいの経費がそのために必要でございます。  もちろん一気にしてVHFがUHFに変わるわけではございません。しばらくの間は両方を併用運用しなければなりません。そういたしますと完全転換に至るまで何年かかるかということが一つの問題でございましょうけれども、少なくともそういった面について五年や六年はかかるでございましょうし、その間UHFも運用しVHFも運用するということになれば、その併用運転のために生ずる経費の負担分もございます。かえって経費がかさむような点もございまして、そういうことをあわせて考えますと、転換のためのそれと並行運用による所要経費、おそらく両方合算をいたしまして三千億ぐらいになるのではないか、このような試算をしたことがございます。これももうずいぶん前のことでございますから、今日の状況でいえば、そういった面に対する経費もおそらくその当時よりもかなり上がっておるわけでございますから、少なくとも五千億ぐらいはかけなければできないのじゃないか。  そうなってまいりますと、現在の料金を、NHKの財政の規模の中においてたえていきますためには、五倍に上げても間に合わぬというような状況でございまして、財政的には非常にこれはむしろ不可能ではないか、NHKが独自に、NHKの財政の範囲内においてやっていくということであれば、おそらくこれは受信者の方々からもそういう大幅な料金の一気の値上げというようなもの、これは是認されるところではないでございましょうし、非常にその面からいって、NHK限りでいえば、他の何らかの措置があわせ用いられない限り、不可能ではないか、かように考えております。
  219. 青島幸男

    ○青島幸男君 そもそもVをあけるということは移動用無線に必要だという趣旨から始まりまして、Vをあけて全面Uにしてしまったほうがいいじゃないかというのは四十三年以前ですから、小林郵政大臣がお考えになりまして閣議了承して、歴代の大臣の方々もそういうことを主張なすっておいでになったわけですけれども、さて大臣、いまNHKの見解では財政の面で五千億も六千億もかかる、しかもはたしてそれが可能かどうか、それだけお金をかけても、いまのカバレージを確保しながら全面Uに移行するということが可能かどうかたいへん疑問ですね。  その当時、十年をめどとしてというのに、もうすでに六年経過しているわけですね。その途中で、十年をめどにと当初申しておりましたが、なかなかそうもいきそうにないので、もう少し時間の余裕を持とうではないかという話もありましたけれども、何年待ってもできるわけがないというような感じがするのですけれどもNHKの見解としては、少なくとも財政的にどこか国の援助とかあるいはほかに求めなければ、それはできないのだということをはっきり会長はいまおっしゃいましたし、その辺も踏まえまして、そういう看板はあげたけれども、これはおろさなければなるまいとか、あるいは何とか塗りかえようとかいう辺の決断を、私は歴代の大臣に求めてきたわけですけれども、どなたからも明確なお答えがいただけぬまま、非常にすっきりしない気持ちでおりましたけれども、その辺のところを、現状の認識を十分お持ちでしょうから、明確にしていただけるのではないかという期待を持ちまして御質問申し上げますけれども、いかがでございましょう。
  220. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) いまのところ、日本の全体的な情勢は、総需要抑制ということばでいわれているように、一ぺん考え直さなければならぬのではないか、こういうところへきています。しかし初めに考えた考えが全然間違いかというと、VをUに持っていこうという考え方は間違いじゃないのじゃないか、だから閣議了解もしたのじゃないか。ただ、それを十年でやれるかということになると、いま一つの大きなウエートを受け持っているNHK会長がなかなかむずかしい問題であると言っておられる。私どももそのとおりじゃないかと思います。  したがって、この問題は、青島さんの話を聞いていると、もうやめちゃったらどうだというように聞こえますけれども、それはあなたの御意見はそうにいだしましても、私どものほうは初めに考えたことが正しいということで今日まで続けてきておるということで、十年でできるかと言われたならば、これはうちの部長がいま言いましたように、たいへんむずかしい状態である、こういうことを踏んまえながら今後に処してまいりたい。  まあ日本列島そんなに急いでどこへ行くというようなことが書いてあるのがありますが、あんただから私こんなの言っているのじゃないのですよ、そういう気持ちでやはりいいことであるということでありますから、捨て去るということでなしに検討を続けていきたい、こう思います。
  221. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、その当初小林郵政大臣が言われた目途十年というのはあと三年を残すわけですけれども、三年では無理だというふうに大臣が御了解になっていらっしゃると解釈してよろしゅうございますか。  UV混在というようないまのかっこうがわりあい定着しておりますし、このまま逐次Uの新しい方式も開発されるなりしていけば、もうちょっとカバレージも高くなる方策もできるかもしれませんし、それから難視聴解消の目的でUの局あるいはサテライトをどんどんふやしていかなければならない状況にもあります。そうこうしてまいりますうちに、自然とUで全部カバーできるような状況にあるいはなるかもしれませんね、何十年か先には。そうなりましたら政府の最初の目途のようにVがあけられるかもしれない。その辺のところは私もわかるのですけれども、その十年ということにこだわっているようですけれども、あと三年しかございません。そうすると三年では無理だというふうに私は大臣がお考えになっていらっしゃる、もう十年ぐらいかかるのではなかろうかというふうな解釈を持ちますが、いかがでございましょうか。
  222. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) VをUに転換するという問題でございますが、これは御案内のとおりテレビジョン放送は初め六チャンネルでVで始まったわけでございまして、そのあともう六チャンネル追加して十二チャンネルでVが始まった。それで一重の構想が一応日本全国に行きわたったということでございます。そのあとでUの波が開発されて、Vは十二波しかございませんけれども、Uは五十波出てきた、使えるようになった。その五十波とVの十二波を合わせてすべてテレビに使うという事柄は、いまの周波数事情からは、テレビ側に偏しやせぬかということで、移動無線あるいは重要無線にさこうかという話になったわけでございます。  それで、この方向につきましては、大かたの関係者の間では、そういう方向でいくべきだということではおおよそ意見が一致していると思います。  初めからUが開発されて五十波使えるならば、おそらくVの波は使わなかっただろうと思います。ところが技術の開発がVから始まってUにいったものですから、そこでVからUに移るか、あるいはUの五十波の波のうちで、いま使っておるのは三十波でございますけれども、あとの二十波をほかのやつに使うかという問題、選択の問題になるわけでございます。  そのときに、経費の問題その他を考えないで単純に周波数の効率的な使用という面からいきますと、やはりこれは当初の計画どおり、VをあけてUに持っていく。それからVには移動局中心の重要無線を置くということが、周波数の割り当て上からはあまり異論のないところだと思います。  ただ現実の問題はVが先行したわけでございますので、そこでいま経費の問題その他足の短い問題等の問題が出てきているわけでございます。それがありますけれども、まあともかく十年を目途にひとつ着手しようではないかということでいままできたわけでございますが、何と申しましても経費の問題、これが一番大きな問題でございまして、なかなか名案が浮かばない。方向はよろしいとしても金をどうするか、こういうことでございまして、そのうちに十年間のめどという事柄がおっしゃるようにあと三、四年しか残されていないということでございますので、できるだけ早くこの方針は貫きたいとは思いますけれども、経費の問題その他の条件が整わないうちに強行するということもきわめて重大な問題でございますので、大かたの関係者の移行に関する意見と申しますが、大かたの関係者の意向が一致する段階においてこれは実行すべきものであろう、こういうぐあいに考えるわけでございます。
  223. 青島幸男

    ○青島幸男君 ですから、もう三年しかないんですから、もう少し時間をおいて延ばしていこう、そのうちにかっこうがつくんじゃないかということなら、かつて十年でというめどは一回なくなったと考えてよろしいわけですね。それで明確になりました。  何もやめてしまえということは私も申しません。だけれども事実上不可能に近いことである。しかし状況によってはだんだん、先ほど申し上げましたように、Uの形が変わってまいりましてVがあけられるような事態になるかもしれません。それはそれでいいんですけれどもね、多くの国民の方々の協力を得なければならないことでもございますし、NHKにも民放にも協力を得なければならないことですし、それがこういう形であいまいもことしたまま、もはや六年たってしまったということに私は国民の一人としてたいへんに不満を持っているわけです。それでしつこくこのことを申し上げるわけですけれども、それがはっきりわかればそれでよろしいわけでして、ほかの問題も幾つか用意いたしましたが、私より前の委員質問にも重複いたしますから、私はこの程度でとどめさしていただきます。どうもありがとうございました。
  224. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  225. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——特に御発言もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  227. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を問題に供します。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  228. 川村清一

    委員長川村清一君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  横川君から発言を求められておりますので、これを許します。横川君。
  229. 横川正市

    ○横川正市君 私は、この際、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、第二院クラブの共同提案にかかる次の附帯決議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府および日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。  一、放送法の精神にのつとり、放送による表現の自由を確保し、放送の不偏不党を堅持すること。  一、辺地における難視聴解消にさらに格段の努力を払うとともに、とくに今後ますます増加する都市における高層建築物等による受信障害の解消に、総合的かつ抜本的方策を講ずること。  一、協会は、事業の運営にあたり、国民の理解と支持を得るよう積極的な施策を推進し、併せて受信料収入の確保に努めて経営基盤の強化をはかること。  一、協会は、経営の効率化を一層推進し、協会の業務に従事する者の待遇改善に資すること。   右決議する。  以上であります。  これは先日来の本委員会における審議の経過を踏んまえて取りまとめたものでありまして、各委員は十分御承知のことと存じますので、趣旨の説明はこの際省略させていただきます。何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
  230. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいま横川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  231. 川村清一

    委員長川村清一君) 全会一致と認めます。よって、横川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し、原田郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。原田郵政大臣。
  232. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 本件に関しましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後の放送行政にあたりまして、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  233. 川村清一

    委員長川村清一君) 小野日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小野会長
  234. 小野吉郎

    参考人小野吉郎君) 日本放送協会昭和四十九年度収支予算、事業計画並びに資金計画につきましては、連日、きわめて御熱心な御審議を賜わり、ただいま全会一致をもって御承認をいただきました。厚くお礼を申し上げます。  なお、この審議の過程におきまして賜わりました数々のわれわれが教訓とすべき御意見に対しましては、十分これを体しまして将来の経営の万全に資してまいりたいと思います。  なお、採決にあたりまして付せられました附帯決議の条々は、私どもが今後の経営の指針としてかたくこれを堅持してまいらなければならない項目でございます。そのように努力をいたしてまいりたいと思いますし、また、この予算案に付せられました郵政大臣の意見書の御趣旨に対しましても、これはわれわれが将来の経営の万全を期する上において守っていかなければならない条々と考えております。かたくこれを尊重かつ順守いたしまして、経営の万全をはかってまいりたいと思います。  今後とも、何とぞよろしく御鞭撻御支援のほどお願いを申し上げます。ありがとうございました。
  235. 川村清一

    委員長川村清一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時六分散会