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1974-03-05 第72回国会 参議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月五日(火曜日)    午前十時十一分開会     —————————————   委員異動  二月七日     辞任         補欠選任      加藤  進君     小笠原貞子君  二月十四日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     岩本 政一君  二月十六日     辞任         補欠選任      岩本 政一君     今泉 正二君  二月十九日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     大松 博文君  二月二十日     辞任         補欠選任      大松 博文君     今泉 正二君      西村 尚治君     田中 茂穂君  二月二十一日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     今  春聴君  二月二十二日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     西村 尚治君      今  春聴君     今泉 正二君  二月二十六日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     田中 茂穂君  二月二十七日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     今泉 正二君  二月二十八日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     松平 勇雄君      西村 尚治君     船田  譲君  三月一日     辞任         補欠選任      松平 勇雄君     今泉 正二君      船田  譲君     西村 尚治君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         川村 清一君     理 事                 今泉 正二君                 古池 信三君                 横川 正市君     委 員                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松岡 克由君                 鈴木  強君                 松本 賢一君                 森  勝治君                 山田 徹一君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  原田  憲君    政府委員        郵政政務次官  三ツ林弥太郎君        郵政大臣官房長  神山 文男君        郵政大臣官房電        気通信監理官   浅見 喜作君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君        郵政省郵務局長  石井多加三君        郵政省貯金局長  船津  茂君        郵政省簡易保険        局長       野田誠二郎君        郵政省電波監理        局長       齋藤 義郎君        郵政省人事局長  北 雄一郎君        郵政省経理局長  廣瀬  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社副総裁     秋草 篤二君        日本電信電話公        社経理局長    好本  巧君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (郵政省基本施策に関する件)  (日本電信電話公社事業概況に関する件) ○郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二月七日、加藤進君が委員辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。     —————————————
  3. 川村清一

    委員長川村清一君) この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  今泉正二君の委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認めます。  それでは理事今泉正二君を指名いたします。     —————————————
  5. 川村清一

    委員長川村清一君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  まず郵政大臣から郵政省基本施策について所信を聴取いたします。原田郵政大臣
  6. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 逓信委員会皆さまには、平素から郵政省所管業務の適切な運営につきまして、格別の御尽力をいただき、ここに厚くお礼申し上げます。  申し上げるまでもなく、郵政省全国津々浦々に散在する二万一千余の郵便局を通じて、郵便貯金保険の三事業を行ない、国民日常生活にきわめて密着した重要な機能を果たしており、また通信主管庁として、電信電話等をはじめとする電気通信及び電波放送の各行政分野において国民生活の発展、向上に寄与してまいっておりますが、現下のきびしい経済社会情勢の中で総需要抑制貯蓄奨励等高度成長から福祉優先を指向する政府施政方針にのっとり、私どもに課せられました重大な使命を果たし、国民皆さまの御期待に沿うべくこん身努力してまいる所存でございます。  本日は、この機会に所掌事務の当面する諸問題について所信一端を申し上げ、皆さまの深い御理解格別の御協力を賜わりたいと存じます。  まず、郵便事業について申し上げます。  昨年末期における郵便業務は、労働組合の長期かつ激しい闘争により一時全国で二千万通をこえる滞留が生ずるなど業務運行が大きく混乱し、さらに国鉄輸送事情日本海側の豪雪の影響も加わって国民皆さまにたいへん御迷惑をおかけしましたことは遺憾に存じます。このため年賀郵便物の処理につきましても懸念されたところでありますが、幸い、全国的におおむね順調に配達することができました。特に、本年は、郵便外務員に休養を与えるため一月二日の郵便配達を休止させていただきましたが、このことについての国民皆さまの御協力と御理解にあらためて感謝する次第であります。  郵便事業財政の問題につきましては、昨年十二月、郵政審議会から「郵便事業の健全な経営を維持する方策」について答申をいただきまして、答申は、郵便事業収支改善をはかるためには、この際、郵便料金改正することが適当であるとの御意見でありましたが、昨今の経済情勢にかんがみ、現在の最大の政治課題である物価抑制に取り組む政府公共料金抑制基本方針にのっとり、国鉄運賃消費者米価値上げ繰り延べ措置と同様に、通常郵便料金については昭和四十九年度予算にその改定を織り込まないことといたしました。  小包料金につきましては、国鉄小荷物運賃との関係もあり、十月から改定することとしておりますが、通常郵便物料金凍結の結果、郵便事業収支は、昭和四十九年度において約七百億円の歳入不足が生ずる予定となっております。これらにつきましては緊急の措置として同額の借り入れ金によりまかなうことといたしております。  なお、郵政審議会答申では、郵便事業改善策について種々の提言をいただいておりますので、これら検討すべき事項については鋭意検討いたし、郵便事業の円滑な運営につとめてまいりたいと存じております。  次に、為替貯金事業について申し上げます。  政府貯蓄増強策一環として、郵便貯金としましても、昨年以来四回にわたり貯金利率引き上げを行なったほか、特別定期貯金を新設するなど、預金者利益増進につとめ、貯蓄に対する国民信頼感を高めるよう努力してまいりました。また今国会冒頭には、貯金総額制限額引き上げ内容とする郵便貯金法の一部改正を御可決いただき、去る十二月十五日から施行しているところであります。  郵便貯金としましては、今後とも国民に魅力のある貯蓄手段を提供し、国民消費生活合理化と、健全な資産形成に寄与しつつ、貯蓄増強努力する所存でありますが、さしあたって今次国会におきましては、国民生活実態に照らし、預金者貸し付け制限額引き上げについて御審議をいただく考えであります。  次に、簡易保険事業について申し上げます。  簡易保険は、国の信用と組織を基盤とし、生命保険の普及を通じて、国民経済生活の安定と福祉増進につとめてまいっております。  最近におけるわが国経済社会の変化は著しいものがあり、国民保険需要高度化多様化しておりますが、一方、外国生命保険会社進出等を契機として、わが国における生命保険事業は新たな対応を求められております。このような情勢に対処し、簡易保険は、国営事業としての特色を生かしながら、時代の推移に即応したサービス向上経営効率化に一そうの努力を払ってまいりたいと存じます。  この一環として、さきの特別国会簡易生命保険法の一部改正を御可決いただき、本年一月から定期保険及び疾病傷害特約を創設する等制度充実をはかったところでありますが、さらに昭和四十九年度においては、加入者に対する保障の充実をはかるため保険金最高制限額引き上げるとともに、資金運用利回り向上を通じて加入者利益増進をはかるため資金運用範囲を拡大する等、制度改善を行なうことを予定しており、今次国会におきまして、所要の改正法案について御審議をいただく考えであります。  ところで郵政事業は、人力に依存する度合いのきわめて高い事業であります。したがって業務の円滑な運営をはかる上で、労使間の円満な協調関係の樹立は不可欠なことであり、省としても常に重要課題として取り組んでいるところであります。  幸い、昨年末、省から組合側に対して、労使関係正常化について労使双方が真剣な努力をすべきであることを提起しましたところ、組合側からも同意が得られ、両者共通基本認識が得られましたので、今後さらに労使関係改善がはかられていくものと期待しております。  省といたしましては、今後とも誠実でしかも筋の通った労務管理を行ない、秩序ある明るい職場づくりのため積極的な努力を傾けていく所存でありますが、労使関係はあくまでも労使双方の存在の上に成り立つものでありますことから、労働組合に対しましても労使関係正常化努力するよう率直に要望してまいりたいと考えております。  なお、事故犯罪の防止につきましては、省をあげて努力してまいったところでありますが、事業信用確保のため、今後一そう防犯体制強化をはかりますとともに、不祥事件等の根絶を期し、国民期待信頼にこたえるため職員の指導監督配意し、もって綱紀粛正の実をあげるよう格段の努力をいたす所存であります。  次に、電波放送行政について申し上げます。  今日、電波利用は、わが国社会経済活動のあらゆる方面に及んでおり、今後さらに増大する傾向にあります。また一方、宇宙開発海洋開発における電波利用等新しい分野技術開発も急速に進展する趨勢にあります。  これらの情勢にかんがみ、今後、多様化し、高度化するであろう国民情報需要の動向に即応して、適時適切な電波行政を推進してまいりたいと考えております。  当面する問題について申し上げますと、通信衛星及び放送衛星開発につきましては、これまで順調に進捗いたしております。昨年十月二十九日、宇宙開発委員会におきまして、両衛星昭和五十一年度打ち上げが正式に決定されましたが、最近における諸外国の急速な宇宙開発現状に照らし、わが国としても国際的権益確保をはかるとともに、今後増大する通信需要放送需要を満たす技術の確立をはかるため、昭和五十一年度打ち上げはぜひともこれを実現する必要がありますので、今後さらに一そうの努力をしてまいりたいと考えております。  テレビジョン放送につきましては、最近の石油不足からくる緊急事態に対処するため、電力節約をはかる見地から、昨年十一月、深夜におけるテレビジョン放送を実施している一般放送事業者に対し、午前零時以降の放送を自粛するよう要望したのであります。また去る一月十六日からは、東京タワー等三十三の事業所に対し電気事業法に基づく電力の一〇%の使用制限が行なわれております。なお日本放送協会におきましては、電気事業法に基づく電力使用制限の実施に伴って、一月十六日からテレビジョン放送時間の一〇%を短縮しております。  次に、電気通信行政について申し上げます。  資源、エネルギーの節約流通機構整備改善等わが国が当面している重要課題に対処するため、電気通信はきわめて有効に機能するものと考えられます。このような見地から、生活必需品としての加入電話需給均衡達成に一そうの努力を傾注するとともに、データ通信その他の情報通信システム開発等社会的要請に応ずる新しいサービス開発実用化を推進していく所存であります。また国際交流緊密化多様化により国際間のかきを越えた情報の自由かつ円滑な疎通の必要性が一段と高まっていることにかんがみ、各国の電気通信関係機関との密接な連携をはかるとともに、衛星通信海底同軸ケーブルなどの最新の技術による世界情報通信ネットワーク形成促進に寄与していく所存であります。  さらに、わが国の高度に発達した電気通信技術に対する開発途上国期待にこたえ、国際協力を一段と推進していきたいと考えております。  以上、所掌事務の当面の諸問題について所信一端を申し述べさせていただきましたが、この裏づけどもなります昭和四十九年度予算案につきまして、概略を御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は百十九億九千七百万円で、これを前年度予算額と比較いたしますと、八億四千六百万円の増加となっております。  この歳出予定額には、通信衛星及び放送衛星開発に必要な経費のほか、電離層観測衛星及び実験用静止通信衛星研究開発福祉社会のための情報通信システム開発調査総合的電気通信施策強化など、多様化する情報化社会に即応した通信行政に必要な経費が含まれております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入予定額歳出予定額とも一兆八千百三十八億円で、前年度予算額と比較いたしますと、歳入では五千百九十億円、歳出では五千五十七億円とそれぞれ増加いたしております。この歳入予定額中には、業務運営に要する経費の財源として六百九十六億円の借り入れ金を計上いたしております。また歳出予定額中には、重要施策としております郵便局舎改善集配運送施設拡充整備等、円滑な郵便業務運行確保するための施策に必要な経費をはじめ、郵便貯金簡易保険増強利用者サービス向上に必要な経費並びに明るい職場づくりのための施策に必要な経費などが含まれております。  次に、日本電信電話公社予算案でありますが、建設投資につきましては、総需要抑制方針に沿って、電話増設に重点を置くとともに、その他投資についてはつとめて圧縮することにより、建設勘定支出予定額を一兆二千五百四十億円とし、これにより一般加入電話三百二十万加入事業所集団電話七万五千加入等増設を柱とする建設計画を実施することとしております。  損益勘定収入予定額及び支出予定額とも一兆九千二百七十七億八千万円で、ともに前年度予算額と比較いたしまして二千六百五十三億五百万円の増加となっております。  また資本勘定収入予定額及び支出予定額とも一兆四千九百二十九億二千百万円で、収入では、減価償却引き当て金等内部資金で六千九百十三億三千九百万円、加入者引き受け電信電話債券等外部資金で八千十五億八千二百万円を見込んでおりまして、この外部資金のうちには政府引き受け債三百三十億円、特別債一千七百五十億円が含まれております。なお支出では、前述の建設投資のほか、債務償還等に二千三百八十九億二千百万円を予定いたしております。  以上るる申し述べましたが、郵政省所掌事務の円滑な運営のため、委員各位の御支援、御協力を切にお願い申し上げる次第でございます。
  7. 川村清一

    委員長川村清一君) 次に、日本電信電話公社総裁から、日本電信電話公社事業概況について説明を聴取いたします。米澤総裁
  8. 米澤滋

    説明員米澤滋君) 電信電話事業につきましては、平素格別の御配意と御支援を賜わり、まことにありがたく厚く御礼申し上げます。  ただいまから日本電信電話公社の最近の事業概況について御説明申し上げます。  まず、経営状況でありますが、昭和四十八年度は、電信電話拡充第五次五カ年計画の初年度として、建設資金一兆一千九百四十億円をもって、一般加入電話三百十万加入を中心とする電信電話拡充改善を実施するとともに、データ通信サービス開発拡充を積極的に推進しております。  本年度予算におきましては、事業収入を一兆六千六百二十五億円と見込んでおりますが、十二月末における実績は一兆二千四百十四億円でありまして七四・七%の達成率であり、収入予定に対しましては、おおむね順調に推移しております。  公社といたしましては、今後とも、加入電話早期架設、通話の利用促進をはかる等の経営努力により、収入確保につとめてまいりたいと考えております。  建設工事につきましては、工事費総額は、前年度からの繰り越し額を加え一兆二千四百八十六億円となっておりますが、最近における経済情勢にかんがみ、政府財政運営方針に即応して契約繰り延べを実施した結果、十二月末における契約額は一兆一千三百三十一億円でありまして、総額に対し九〇・七%の契約率となっております。一方、支出状況について見ますと、十二月末における支出額は九千二百二十四億円でありまして、総額に対し七三・八%の支出率となっております。  また、十二月末における加入電話増設数は二百五十三万加入でありまして、年間予定の八一・七%を消化しております。  なお、第六十五回通常国会におきまして御可決いただきました広域時分制につきましては、昭和四十七年十一月十二日から順次実施してまいりましたが、昨年八月の沖繩県を最後に全国すべての地域について円滑裏に切りかえを完了いたしました。  次に、昭和四十九年度予算案につきましては、電信電話拡充第五次五カ年計画基礎とするとともに、政府の総需要抑制方針に沿って編成いたしました。  まず、事業収支計画でございますが、収入総額一兆九千二百七十八億円で、その内訳は、電信収入三百八十八億円、電話収入一兆七千三百二十三億円、専用収入一千二十八億円、雑収入五百三十九億円を見込んでおりまして、昭和四十八年度に比べて二千六百五十三億円の増加となっております。  一方、支出総額一兆九千二百四十七億円で、その内訳は、人件費五千八百四十九億円、物件費二千七百九十九億円、業務委託費九百九十億円、減価償却費六千五百十五億円、その他利子等三千九十四億円でありまして、昭和四十八年度に比べて二千六百六十八億円の増加となっております。  以上の結果、収支差額は三十一億円となります。  建設投資について申し上げますと、その規模は総額一兆二千五百四十億円で、前年度当初予算一兆一千九百四十億円に対し五・〇%の増加となっております。  この資金の調達は、内部資金で六千九百十三億円、外部資金で八千十六億円、総額一兆四千九百二十九億円でありますが、このうち債務償還等二千三百八十九億円を除いた額を建設資金に充てることといたしております。  外部資金内訳は、加入者債券四千二百三十四億円、設備料一千七百二億円、政府引き受け債及び特別債で二千八十億円を予定いたしております。建設計画内容について申し上げますと、一般加入電話三百二十万加入公衆電話約八万四千個等の増設計画いたしております。  なお、基礎工程につきましては、手動式局自動化を推進するとともに、既自動式局においても設備行き詰まり状況近傍局とのサービス均衡等を考慮して、分局開始を行なうなど、合計一千百三十二局の新電話局建設を行なうことといたしましたが、このうち昭和四十九年度中にサービスを開始する局は五百七十二局であります。  また、データ通信施設につきましては、需要実態等を勘案し、六百四十五億円をもって、販売・在庫管理システムシステム科学技術計算システムシステム各種システム二十一システム建設と、特定通信回線五千六百回線及び公衆通信回線二千端末回線等増設計画いたしております。  また、災害時における通信確保をはかるため、昭和四十八年度に引き続き防災計画を推進するほか、農山漁村における電話サービス改善のため、逐次加入区域の拡大をはかるとともに、既設地域集団電話についても、一般加入電話への変更、組み合わせ数緩和等を行なうことといたしております。  以上をもちまして、最近の公社事業概況説明を終わらせていただきます。
  9. 川村清一

    委員長川村清一君) 以上で説明を終わります。     —————————————
  10. 川村清一

    委員長川村清一君) 郵便貯金法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず政府から趣旨説明を聴取いたします。原田郵政大臣
  11. 原田憲

    国務大臣原田憲君) ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便貯金預金者貸し付け限度額引き上げることを内容とするものであります。  現在、預金者貸し付け限度額は一人十万円でありますが、預金者から引き上げについての要望も強く、最近における経済情勢にかんがみまして、日常生活の不時の出費をまかなうための資金として十万円では低きに失しますので、これを二十万円に引き上げて、預金者利益増進しようとするものであります。  なお、この法律案施行期日は、公布の日といたしております。  以上がこの法律案提案理由であります。  何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。
  12. 川村清一

    委員長川村清一君) 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。     —————————————
  13. 川村清一

    委員長川村清一君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題とし、質疑を行ないます。
  14. 横川正市

    横川正市君 実は、毎回の国会同僚議員からいろいろ質問のあった事項ですけれども、その第一は、一体電波法放送法改正問題で郵政省はどういう取り組み方をしてきたのか、現状どうなっているのか、これからどうなるのか、この点についてまずひとつお伺いいたしたいと思うのです。  これは前国会鈴木委員速記録を蒸し返すことはやめたいと思うのです。問題点をひとつ浮き彫りにしていただいて、その問題について質疑をいたしたいと私は思うものですから、前回までの蒸し返しはいたさないことで時間の節約をまずはかっていきたい。  それから第二の問題は、いまの電波放送関係状況法律改正を必要としないで十分まかなっていけるというふうにお考えかどうか。いまの大臣所信表明をちょっと聞いておりますと、適時適切に何か対応すれば事が済むような印象を受ける個所があるわけですね、「適時適切な電波行政を推進してまいりたい」ということですが、「適時適切な電波行政」というのは、一体、いまの問題点に対してどう対処するということなのか、この点をはっきりしていただきたいと思うのです。  四十一年に、実は、私ども超党派で小委員会をつくりまして、そして当時の状況から見て、今日を推測しながら電波放送法改正は必要である、必要であるだけでなしに、これはぜひやらなければいかぬということで与野党の意見の一致を見たという経緯がありますが、それからはすでにもう十年近くこの問題については具体的に進んでおらない、こういう現実の問題にぶつかっておるわけです。そういうことから政府、郵政当局のこれに対する考え方をまずお伺いいたしたいと思います。
  15. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 電波法放送法改正につきましては、いま横川さんからお話しのように、昭和四十一年度国会に提出いたしました改正案が与野党一致して議論をされましたが、結論は廃案になって以来、引き続き政府といたしましては検討を進めているところでございます。  法改正にあたりましては、放送番組の適正向上をはかるための必要な措置を講ずるほか、電波計画的な使用、特に放送用周波数の使用計画の作成、放送局の免許の審査基準のうち重要なもの等を法定化するとともに、新たに発生いたしました多重放送放送大学等、新しい放送分野に関する規律のあり方について検討をいたしておるところでございますが、問題がきわめて多岐にわたりますとともに言論にかかわる問題でございますので、さらに各方面の意見をお聞きし、世論の動向を見た上で成案を得たい、こう考えておるのが現状でございます。
  16. 横川正市

    横川正市君 私は、放送法とか電波法というものの改正をしなけりゃいけないという、そういう時点に立って、いまから考えてみますと、政府当局は現状というものをただ言論抑圧その他ということに藉口しながら盛んにプッシュをかけて、そして拡大をしてきたと思うんですよ。そのひずみが最近非常に顕著になってきたんであって、そのひずみをどうするかということになったと思うんです、問題点としては。だからそのプッシュをかけた政府考え方を直さない限り問題点の明確なとらえ方もできませんし、それからそれに対する改正案の準備もできない。  で、これは郵政省電波当局では実はどうしようもない状態になってきているのではないか。だから郵政大臣は閣僚の一人として、田中内閣の中で電波放送の問題についてどうするのか——田中さんは非常に積極意見を持っているわけですよ。その積極意見に対して、郵政省はただ手をこまねいて「適時適切な電波行政を」といってやっているところに私は問題があるんだと思うんです。閣僚の一人としてこれをどうするかというのは、いま言われたような答弁ではちょっと私は納得しないのですがね。
  17. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 電波法放送法改正につきましては引き続き検討を進めていくところでございますが、いまの総理大臣が相当積極的な考えを持っておるのではないかという横川委員の御意見でございますが、私は具体的にまだ総理大臣との間で、一体総理大臣が何を考えておるのかということで詰めて話をしてはおりません。  電波放送法は、四十一年以来、先ほどお話のありましたように、せっかくこれが提案されながら、意見の一致を見ないために廃案となって今日に至っておる。これをこれからの情報時代というものに対応するために十分その機能を果たすための法律改正というものが必要であるという認識を私も持っておりますが、事は表現の自由という問題にかかわる重要な問題でございますので、これに対しては、いまも申し上げましたように各界の意見も必ずしも一致を見ておらない状態でございますので、この重要な問題につきまして各方面の意見を——総理大臣だけでなしに、十分拝聴して、慎重に検討を行なう必要があろうかと考える次第でございまして、私もまだ就任日浅く、いま予算委員会を中心とする政治問題に集中しておりますけれども、鋭意勉強を続けまして、御期待に沿えるように努力を重ねてまいりたいと存じます。
  18. 横川正市

    横川正市君 前大臣の久野さんからの引き継ぎは、大体、郵政大臣はどういうふうに引き継いでおられるわけですか、いまの問題。
  19. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 大まかに率直に言いますと、電波問題放送問題はたいへん重要な問題であるから、よくひとつ引き続いて十分検討を進めてもらいたい、こういう引き継ぎを受けております。
  20. 横川正市

    横川正市君 これは速記録を蒸し返したくはないわけですけれども、私四十一年にこの問題に参画をした一人としては、わずかな期間じゃないわけですね。だから一体提案に至らない問題点は何かということを聞いているわけですよ。  提案に至らないのは、非常にこれは重要で、言論抑圧その他反発もあるからというようなことだけでは、これは処されない問題だと思いますから、まず第一には、提案に至らない問題点一体何か、これをはっきりひとつ出していただきたい。——齋藤さんでもいいです。
  21. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 電波法放送法改正の問題につきましては、この法律が昭和二十五年に制定されまして、それから二十数年たつわけでございますけれども、民間放送というものがない時代につくられたということ、あるいはテレビジョン放送というものがない時代につくられたといういろんなことがございまして、放送法の不備ということが指摘されたわけでございますが、これに伴いまして、郵政省としましては権威者からなる調査会を設けまして、その調査結果をもとに昭和四十一年に法案を作成いたしまして提案申し上げたわけでございます。  その中身は、大臣から御答弁がありましたように、チャンネルプランを、いままでは電波監理審議会に諮問し、あるいは関係者の公聴会を開いて、そこで基本的な方針をきめる、こういうようなやり方をとっておったわけでございますけれども、これは必ずしも実情に適さない、少なくとも基本的な問題だけは法定すべきであるというような御意見。それから放送局の免許をする場合の審査の基準でございますけれども、これも省令で大かたの審査基準というものがつくられておりまして、これもまた電波監理審議会に諮問して公聴会あるいは聴聞会を開いて決定するという手続をとっておりますけれども、これも必ずしも十分でない、重要なものは法定すべきである。それからNHKと民放の仕事のあり方、たとえばNHKが義務として何十の放送をすべきであるか、あるいは民放が少なくともいずれの地域においてもどれくらいの放送が受信できるようにすべきであるかというような放送体制の問題、こういうような問題もその当時議論になったわけであります。  それから一番むずかしい問題でございますけれども、公衆の要望に即した放送番組というものを確保するための方策いかん。この法律の改正案では、世論調査委員会というようなものを設けまして、放送事業者が自主的にこれを設置あるいは運営いたしまして、それに勧告権あるいは番組の推賞権、こういうものを持たせるというようなことも議論されたわけでございます。さらにそのほかに、また民放に対する国の接触のしかたと申しますか、具体的には事業免許の問題、これがまた問題として議論されたわけでございます。  そんなようなことで、いろんな問題点がございましたけれども昭和四十一年のときには大かたの御意見がある一定の方向に落ちつくというところまでには至りませんで、その後、引き続き検討を進めておるというのが現状でございます。その後の問題といたしましては多重放送の問題、あるいは将来衛星放送というような問題も検討の対象になろうかと思いますが、現在、そういうものも取り入れて研究を進めておるというのが現状でございます。
  22. 横川正市

    横川正市君 問題点は、これは何回あれしても人間の知能指数がそう変わらない限り、これとこれとこれ、よしあしの判断とか影響する度合いとかいうものも大体結論は幾つか出て、あとはどれを採択するかという問題になるのだと思うのですよ。  ですから、この問題は緻密に何と何だということがはっきりしてきている。そしてその問題には幾通りかの意見がある。それは対社会的にどういう影響力を持っているかについての判断もいろいろある。そして権威者が集まって一カ月に一回か何回か調査会をやった。それが一年、二年ならばいざ知らず、四十一年からもうすでにまる八年か九年同じことを繰り返しているということは一体何になるのかということを私どもは問いたいわけですね。ただ前に廣瀬さんが次の国会まで出しますと約束したとか、久野さんがやってみたらたいへんむずかしかったとか、そういうことの推移は実はもう終止符を打っていいんじゃないかと私どもは思うんだが、しかも放送法電波法のできた時点と今日とは全然一升ますに入り切らない状態ができているということもみんな知っているわけなんですよ。それでいてそれに対する対応策が出てこないというのは一体どこが問題なのか。  これは原田郵政大臣の感覚の中に電波法放送法に起こる諸問題というのは適時適切にそのとき起こった問題を処理すればいいんだ、こういうことでものごとを考えておるんだったら法案というのはできないですよ。それから調査会はいまこうやってますというんであれば、その調査会は信用ができないという結論が出ますね。  そうではなしに、もっと具体的に日限を切って、少なくとも今日に適応する最善でなけりゃ次善の策でもまず案を出して、それを世論に問うて立法措置をするというような積極的な姿勢が私は必要だ、強権でなしに。そういう積極的な姿勢がない限り、これは出てきませんよ。所信表明を私は聞きながら、適時適切なんていうことばでどう措置するのか全然わからんですね。これはどうこれからされていかれるのか、はっきりとした態度を表明してみていただいて、いま私の言うように前向きで具体的に——おそらくどんな案をつくってもいろいろな意見というのは付随されますよ。それを世論に問う方法も考えていただいて、そして成案を得る土台をつくっていく、こういう積極的な前向きの姿勢が必要だと思いますけれども、どうでしょうか、大臣の意見を聞きたいと思います。
  23. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この四十一年にせっかく提案されたものが、しかもそれを超党派でひとつ問題点を集めて修正をしようじゃないかという意見が出てから、残念ながら廃案になって今日に至っておるというところにむずかしさがあるのではないかと愚考するのでございますが、この問題につきましては、むずかしいからといってほっておくわけにいかぬ、これは何とかしなきゃならぬという考え横川さんの御意見のとおりであろうと私は思っております。  内輪話で正直に申し上げますと、これはやはり修正案というものに対しましては各政党の意見というものも出てまいります。政府といたしましては調査会その他について意見もいただきますが、自由民主党の放送電波の基本問題の委員長が、これは重要問題でございますから、この問題を取り上げて鋭意まとめていくという努力をいたしておるのも政党として当然なことであろうと考えます。  私は、いまここで、いつという期限を切って申し上げることはできませんけれども大臣に就任いたしまして問題と取り組む責任者となりました以上、私のできる限りの力を投入いたしまして、そのつどそのつどやっておったらいいんだというような考え方でなしに、取り組んでいきたい、このように思います。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 関連して。  大臣ね、これはもう四年ぐらいあなたがいま言った同じことをこの委員会で聞いているのですよ。しかも前回も必ず出すんだという大臣の御所信だったのですよ。会期がかなり過ぎましてもうだめじゃないかと言っても、いやまだ出すと、そういう姿勢であったのは事実なんですね。  そこで、おっしゃるように、確かに内容的に見ると、いろいろと臨時放送関係法制調査会の答申の線に沿って四十一年に一応まとまったんですが、意見がわかれた。したがってその後の情勢の変化に伴って若干の修正すべき点もあると思うんですよ。ですから、そういう点を詰めて、それぞれの各界各方面において検討しているんだということを大臣も四回ぐらい言っているんです。一体、どういうふうにその問題点を各界各方面に相談をしてやったのか。ここでは、非常にむずかしい問題ですから相談をしてさらに検討しますというお答えでずっときているわけですが、そんな繰り返しをしておったってらちはあかないですよ。ですから、もっと具体的に、この一年間に一体どういう問題点について相談しましたか、それを聞きたいんです。その裏づけがあれば、われわれも努力したことがわかる。ただ国会ではそういう所信を述べられて、われわれの質問に対してお答えをしている。その後、何らの動きもしてないじゃないですか——何らの動きと言うと語弊があるかもしれませんが、そこらにやはり行政の姿勢が問題だと思うんです。  一番問題だった免許を与える場合の委員会設置というのが臨時放送関係法制調査会のぼくらはポイントだと思っていましたがね。大体UHFのテレビ局の許可というのは大どころは済みましたね。ですから、われわれが一番必要だというときにつくらないでおいて、そうして大臣の権限でどんどん免許を与えて、いまや新しい第三の電波はあるでしょう、これからね。ありますけれど、必要がなくなったころに法律改正をしたって意味がない。たとえば12チャンネルの免許の問題だってたいへんなことがあるんですよ、私はまたあらためて質問しますけれども、あれの免許をやるいきさつというのは相当紆余曲折を経ていますよね。そういうことを平気であなた方やっちゃうんですよね。  ですから、もう少し国会に対して発言したことについては責任をもって裏づけを実行してもらいたいんです。あなた方は大臣がかわっておりますから、初めておっしゃるのはわかりますよ、が、聞くほうからすれば四回も五回も同じことを聞かされる、これでは納得できませんよ。だから、ほんとうにやる気があるならば、積極的に委員会をつくって各方面の意見を聞いたらどうですか。その後、社会党なんかに対しても何らの意見聴取もないですよ。私は、与党だけでなくて、各野党に対しても十分に意見を聞いてくださいということを何回も申し上げてきているんですが、そういうこともない。だから、おそらくあまりやってないと思うんですが、どうなんですか、実際にこの一年間に具体的にだれとどういうふうに相談したか。
  25. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 最近におきましては、われわれが事務的に電波監理局の中で問題点を集約して討論しておりますけれども、その現在やっております中身の大部分は、番組の適正化の方策いかんというようなことで、いろんな文献その他を集めまして検討を重ねておるという状態でございます。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 番組が適正かどうかということについては、これはそれぞれの放送局に番組審議会があるわけですから、そこで一つの基準をつくって、そして番組編成をされているわけでしょう。だから、そういうものに対してあなた方のほうで何か具体的な検討を進めるということになると、むしろ言論、報道の自由というものに対するいろんな介入問題とかという誤解を受けるわけですよ。さっき大臣がおっしゃった事業免許の問題にしても、あるいは免許を与える場合の委員会の設置の問題なり、あるいはエリアの問題なり、そういったいろいろあの当時出された臨時放送関係法制調査会の中における答申内容というのは、そんなものじゃないです。  大臣、お聞きのとおりです。あなたがほんとうにここではっきり言われたんですから、来年また同じようなことの繰り返しがないように——問題点はわかっておるんです、すでに。それについて、一体、どういうふうにしたら与野党の意見が一致するか、国民世論が支持するかということをあらゆる角度から検討してくださいよ、真剣に。そして一年間やりましたが、この点は意見がある程度狭まりました、この点はまだ意見が離れております、したがってもう少し待ってくださいというならわかるんです。電波放送法については改正をしますということを毎年毎年言われてきておるわけでしょう。そして聞いてみると、いまおっしゃったような、問題があるからこれから検討します、意見を聞きますと言って、延び延びになっているわけですから、われわれから見ると、その発言は全く信用できないという気持ちがあるもんですから、しつこく伺っておるんです。  もっとやる気を出すならば、やっぱりちゃんとやってほしい、そしてこの国会に法案を出そうという御所信ですか、そうでしょう、従来の経緯からすれば。
  27. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私先ほども申し上げましたが、いつ結論が出るかどうかということをいま具体的に言われると、いつということは申し上げかねますけれども、私が就任をいたしまして今国会に臨むにあたって、郵政省は何の法案を出すのかということを当然責任者でございますから事務当局と話をし、また与党とも話をしてまいりましたが、その時点におきまして電波放送法の結論が出せなかったということはまことに遺憾でございます。  したがいまして、いまのお尋ねのように、大臣がかわるたびに、言っておるあんたはそのつもりだろうけれども、もうすでに廣瀬さんのときからいつも出てくる大臣がそういう答弁だから、それでは了承しかねるぞと、こういうお話でございますから、私も鋭意努力をいたしまして、いまのお話のように電波放送法の問題を問われました際に、事務当局がいま問題点等を言いましたが、これは御満足を得られないようでございますが、なお一そう力を入れてひとつ検討を進めていきたいと存じます。
  28. 横川正市

    横川正市君 これは思いつきみたいな提案で、郵政大臣に一考をしてもらうのには粗末かもわかりませんが、あなたが大臣になられて任命したわけじゃないでしょうが、電波関係の責任者である局長ですね、私たちから見ると、電波放送法改正しないで、だらだらと延ばしていくのに適当な人を選んですわらせているんじゃないかというぐらいに思われますよ、九年もたってみると。そういうふうに思われる齋藤さんは、たいへん困るんだと、実は、これは保守政党のこれに対する姿勢が定まらないんだと。私どもは実はそういう気持ちで行政府を見たいと思うんですね、実際に。  そこで、まあいまの田中内閣がどう続くかわからぬし、郵政大臣どうなるかわからぬが、あなたのときに少なくとも一つの基礎をつくって、大臣がかりにかわっても前向きに問題を解決できるような、そういう基礎をつくるということだけはお約束できませんか。出す出さないということよりか、その前段で基礎をつくってもらう、それぐらいは——もういまとなってみれば三月のきょう五日ですからね、残り少ない国会に法案を出せと言っても無理だろうと私は思うんです。ただしかし、あなたが大臣の間に、少なくとも前向きで一歩前進できるようなものをつくって、次の大臣あるいは局長のときには国会に出せるような準備ができる、あるいはいま鈴木委員の言うように、途中の経過が明確に報告ができるという、そういう手だてはできませんか。
  29. 原田憲

    国務大臣原田憲君) まことに御理解あるおことばでございまして、三月のきょうは五日である、この国会の会期中にいま法律案を出せと言うのも無理であろうというお話でございますが、私も先般まで国対の責任を持っておりまして、法案の審議国会で願うために会期の終わりがけに法案を出したりするということはなかなか問題であるということで、特に法律案の提出におきましては、わが郵政省法律案を早く出す、そして御審議を十分賜わるということを示してございまして、それに対しまして電波放送法が残念ながら提出ができないという状況にありますことについて先ほど遺憾の意を表明いたしたのでございます。  私といたしましては、いま御提案がございましたが、人事の問題につきましては、これは齋藤君が一生懸命やりまして、この人をおいてほかにないというぐらいの電波の専門家でございますから、すぐにこれをかえてどこかへ持ってきたらできるというようなものではない、逆な面も私はあろうかと存じております。一生懸命にやっておるのでございますから、なお私から督励をいたしまして、なかなかこれだけ四年かかって結論が出ないということにつきましては御批判もあろうかと思いますが、それだけにやはり重要な問題である、こういうことを考えながら、この基礎というものも、大体問題点は、いまお話がございましたように、出ておる。これをどうまとめるかということにかかっておると思いますので、先ほどの御意見等も拝聴いたしまして、十分配慮しつつ取り組んでまいりたいと存じます。
  30. 横川正市

    横川正市君 その有能な電波監理局長にそれじゃ資料をひとつ出していただきたいと思うんですが、少なくともあなたの手元で法案をつくろうとして努力をされた経緯ですね、それを資料でちょっと出してくれませんか。これはNHKの予算審議のときに別件で必要ですから、それまでの間でよろしゅうございますから、出していただくようにお願いしたいと思います。
  31. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 資料提出につきましては、委員会で御協議をいただきましたならば、私ども提出をすることにさしていただきます。(「提出すればいいんだ、そんなことは。」と呼ぶ者あり)
  32. 川村清一

    委員長川村清一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  33. 川村清一

    委員長川村清一君) それでは速記を起こして。  郵政大臣に申し上げます。横川君のいまの資料要求に対しましては、理事の皆さんの御賛同を得ましたので、その経過を出していただきたいと思います。
  34. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 承知いたしました。
  35. 横川正市

    横川正市君 その次に、郵政事業、ことに郵便関係で質問をしたいと思うんです。  郵政大臣郵政審議会答申の取り扱いについて、まず大臣考えを聞いておきたいと思うんですが、この所信表明による取り扱いでいきますと、審議会の答申というものの取り扱いについては非常に尊重されるように受けとめるわけですけれども審議会でいろいろ検討された内容はどういう取り扱いをされるお考えでしょうか、まず、それを聞かせていただきたいと思います。
  36. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 十分尊重して、それを具体化するように努力をしていくつもりでございます。
  37. 横川正市

    横川正市君 去年の十二月の十三日に答申された郵政審議会答申案なんですが、この答申案と今日の一般情勢というものは、どうも私は不符合する点が多くなってきたんじゃないかと思うんですけれども、この答申を受けて、郵政大臣はこれを尊重、実施をするということと現状とをどういうふうにお考えになっていますか。
  38. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この審議会の御意見の中で、郵便料金の改定ということについての審議会の御答申をいただいておるわけでございますが、この問題につきましては、私ども現在の日本の経済情勢の中で物価というものに対応することが一番大きな課題であるという関係から、政府間で相談をいたしまして、現在当面しております郵便業務についての御答申はいただきましたけれども、今年は改定をいたすということはごかんべん願って、予算上も約七百億円ほどの赤字ということが見込まれるわけでございますが、これはこれとして対応策をとっていくということで、せっかくいただいた御答申でございますが、その問題は一番重要な政治課題として取り組むという考え方を審議会の皆さん方にも私から御了解を賜わるようにお願いを申し上げ、予算の上からもそのような措置をとっておるというのが現状でございます。
  39. 横川正市

    横川正市君 私はそういう審議会に料金改定の提案を延ばしたということについて了解を求めてくれと言っているんじゃないんですよ。少なくともこの郵政審議会答申までの状況といまとはずいぶん違うんじゃないですかと言っているんです。  だから、私は、できれば審議会をもう一回、これは特別委員の任命でやっているわけですか、これをやって諸般の情勢にマッチした再答申をもらう、そういうことが必要なんじゃないでしょうか、それはどうでしょう。審議会の答申現状との情勢判断をして、これをただ守っていきますということだけではなしに、変化に伴って審議会の再審議を願う、こういうことになるんじゃないかと私は思うのですけれども、その点どうお考えかとお聞きしているんです。
  40. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これからの問題につきまして審議会に再答申を求めるかどうかということは、私いまのところきめておりません。  いま予算審議最中でございまして、私どもといたしましては、この郵便業務につきまして審議会から答申いただいたことにつきまして実行いたさない点がございますので、これもまた実際上郵便業務というものがまず料金というものによってまかなうのがたてまえ、こういうことになっておりますが、これにつきましての状況に応じまして、今後検討さして態度をきめたい、このように考えておりまして、いま再審を求めるかということについては、私は考えておりません。
  41. 横川正市

    横川正市君 実は、私、予算を提起されて四十九年度予算も衆議院審議の末に向かっておりますから、この予算が今日の一般情勢にマッチしたものかどうかということをここで結論づけようとは思わないわけですが、現業官庁の業務取り扱い責任大臣として四十九年度予算の成立を見れば、一年間、予算上の背景で各業務というのが円滑に動く、こう判断をしておりますか。
  42. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 今年度、四十八年度も最初からなかなかむずかしい状況にあったようでございますが、これを何とか切り抜けられるということになっていこうかと思います。  四十九年度におきましては、初めて赤字に対する借り入れということをやりますので、これはかつてないことでございますから、なかなかたいへんなことであろうと思いますけれども、私どもは何とかこれで切り抜けて、国民の皆さん方に御迷惑のかからないように、また職員の皆さん方にも心配をかけないようにやっていけるつもりをいたしております。
  43. 横川正市

    横川正市君 お役所の予算というのは、その点では何とか方法とか手段はあるものだと思うんですよ。一般家庭のふところぐあいなら、これはもうにっちもさっちも動かない。だから四十八年度の予算執行の結果、七百億近い一つの見積もりの赤字でもって四十九年度の予算を組まざるを得なくなってくる、そういう台所というものを実は私どもはそうなまやさしい状態だとは思わないんですよ。  普通の審議会の審議のあり方をちょっと私見まして、実は、これは従前の状態いわゆる高度経済成長の中での伸び率というものを、やや上昇が大きかった程度というそういう見方で審議会というのは論議したんじゃないかと思うのです。ところが、いま当面している状況というのはそれでは対応できない状態だと思うのですね。だから、いま郵政大臣は全逓との間の当事者能力を持って個別折衝をしているわけですよ。それでことしの狂乱物価上昇に伴っての要求額というものはあるわけです、それに対してお答えが出ていると思うんですね。状況はわかるけれども、ないそでは振れぬでもって過ごせるかどうかという問題にぶつかっていると思うんです。  基本的に言えば、これは利用者負担でいわゆる料金改定をすることで一切をまかなうという、そういう方針をずっと堅持してきておりますね。だからこの審議会というのはそれで済んだんです。ところが七百億近いものの借り上げでこれをやり、さらにこれから積み重ねられるものも借り上げてやるという状態の中での審議会ではないわけですよ、郵政審議会審議状況というのは。だから私は情勢が変わったんだから即刻審議会を開いて、もう一回論議し直す必要があるのじゃないか、こう思っているわけなんですが、これはいやそうしなくてもやれるというのなら、それで私どもは皆さんにおまかせしますけれども、私は非常にむずかしいのじゃないかと思っているのです。  考え方としては、利用者負担でいくか、それとも他に財源を求めるか、求めたときの積み重ねが普通の借金で金利を払っていけばいいという状態ではなしに、相当これは事業に大きな負担がかかってくる、そういうことを予測してものごとを考えているものですから、いま言ったような意見を私は申し上げるわけですけれども、それに対しての大臣としての考えをもう一回聞かしていただきたいと思います。
  44. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いま私は再び審議会に答申を求めるという考えは持っておりませんけれども、お話のありましたように、今後の問題はそうなまやさしいものでないという認識はいたしております。  しかし、いずれにいたしましても最大の政治課題というものと取り組むためには、政府は公共料金を上げないということによって国民協力を求めようという姿勢を具体的に示しておりますので、このことにつきましてはその態度を貫いていきますとともに、今後の問題につきましては十分御意見もございました、この御意見も十分拝聴さしていただいておりますので、今後にも支障がなきよう——四十八年度もなかなかたいていでない状態でございましたが、事務当局からも後刻お尋ねがあれば御報告すると思いますけれども、要するに、こういうベースアップをせよと仲裁裁定が出た、これにどう取り組むかということにつきましても、現在の会計の中で何とかまかないをつけていっておるということでございますが、それがこのような今度初めて借り入れ金をもってまかなうというようなことで将来心配なしにいけるかどうかということにつきましては十分考えなきゃならぬと考えておりますので、そのことを胸に置きまして、対処してまいりたいと存じます。
  45. 横川正市

    横川正市君 私は必ずしも悲観論だけでものごとを見ているわけじゃないのです。ただ卸売り物価三〇%、消費物価二〇%上昇している要因、これを見まして、いま物価上昇について万般の施策をとってこれが旧に復するというような見通しはどうかということを私どもが見たときに、これは絶対にそうならなければいけない情勢にありながら、そうならないことのほうが答えとして出てくるわけですよ。いわゆる他因ですね、郵政事業運営のために労働がどうだとか、それから役人の精勤度がどうだとかということは内因ですけれども、いわゆる郵政事業を取り巻いて起こってくる外郭の条件というものは政治情勢ですから、私はそういう意味では担当の局長から意見を聞く必要はないので、大臣から施策を聞きたいわけです。  あなたが大阪の選挙区でどういう公約をされているか私は聞いたことはありませんけれども、ただ、いままでのようにあなたが国対委員長をやっておったときのような、あるいは運輸大臣をやっておったときとは情勢が少し違うのじゃないでしょうか、他因の情勢は。そして現業官庁を担当する大臣になってみて、その違いというものをそう簡単に見過ごすことはできないという、そういう要因が出てきた。これで一体郵政事業をどう運営するかという問題にぶつかっているのじゃないかと思うのですが、その点、ベテランの経験者としてひとつ意見を明確にお答えいただきたいと思うのです。
  46. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、公共料金というものをことし一年間押えた、それはそのほうで役に立つかわからぬけれども、いまの郵政事業というものはそうなまやさしいものではないから、これに対して基本的には料金をもってまかなうということでいかなければならないと、法律がそうなっておりますから。これを置いておいて、そして今後その本筋を通そうとするならば、これはたいへんな問題を含んでいるじゃないか、そこをどうしていくかという基本の問題を横川さんはお尋ねになっていると思います。したがいまして私が先ほどからお答えをいたしておりますのは、そのことも含めて、ことばは足りませんけれども、お答えをいたしておるつもりでございます。  結論的に申し上げますと、やはり郵便事業というものは料金をもってまかなうというこのたてまえというものを私はいまくずすという考えは持っておりません。それでは値上げをせずにやっていけるか、こう言われますと、これはたいへんむずかしい問題である。  私は、いまお話しのように、この前運輸大臣をつとめた際に値上げをいたしたのでありますが、その当時と今日とを考えると、諸般の事情が違うのではないか、こういう御意見でございますが、これは各国を見ましても、私の浅い知識で、専門家であるあなたに言うと笑われるかしれませんが、この郵便事業というものは、世界じゅうどこでも結局最後には人が集めて人が配っておる、こういうことでございますから、この事業というものをどういうふうにして、高い労働賃金というものをみなほかでもらっておるのに、それではもらえないのかということになりますが、その場合に値上げをしてはいけないのかどうか。やはりバランスというものがとれて初めて経済というものあるいは人間としての生活というものが成り立っていくのであって、郵便を運んでおる者だけが安い賃金で働かなければならぬということにはならぬので、その賃金というものをどういうふうにして出してくるかということになりますと、間接的に税金でまかなうか直接的に料金でまかなうかという問題になりますので、私は、先ほど申し上げましたように、料金でまかなうということを変えようという気持ちは持っておりません。  が、何はさておき、いま当面しておる問題は物価の問題である。この物価の問題と取り組んでおるときに、審議会ではこれはやっていけないだろうからひとつ料金の改定をしなさいという答申をいただきましたけれども、これは姿勢としては、政府は、この際料金を据え置こうという決意をいたしたということでございまして、今後の問題につきましては、非才でございますけれども、勉強いたしまして取り組んでまいりたい、このように存じます。
  47. 横川正市

    横川正市君 的確に私の質問に答えておらないわけですが、私は、郵政の三事業の全体はやはりいま相当な危機の状態を迎えているのだと判断しているのです。  何が危機の原因かといえば、いまのいわゆる狂乱物価上昇といわれるような、田中さんはインフレだとか悪性だどかいうのをいやがっておられますけれども、やはりそういう外因が原因なんですよ。だから現業官庁の大臣になられて、いまの状態というものをもう少し真剣に見ていかないと、郵政事業の三事業ともお手上げですよ、実際、このまま推移してみまして。  そういう点で、担当大臣としてびしっとしていただきたいのは、たとえばこの答申にあるような姿勢で利用者負担の考え方をあくまでも貫くのか、それとも今回六百何十億か借金するわけですけれども、その借金と同じように、ある程度出てきた借金は利用者負担に転嫁をしないで解決をするというのか、これ一つとってみたってたいへんな問題じゃないですか。いまの大臣の意見ですと、どうも他に転嫁しないでどこかから金を持ってくるような意見なんですが、そういうことができれば一番いいわけですがね、実際には。どうしますか、いま予想される赤字も含めて、どういうふうに処置しますか。
  48. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) 基本的な考え方につきましては、ただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、御承知のように四十九年度の予算におきまして六百九十六億の収支差額を生じたわけでございます。これにつきましては借り入れ金によって措置するということでございます。したがいまして四十九年度内におきましては借り入れ金という形で収支を合わせるという措置をとっておるわけであります。  四十九年度の問題よりも、むしろただいま御質問のございました点につきましては、五十年度以降においてどういうふうにこれを処理するかということに関連してくると思います。これにつきましては五十年度の予算を編成する際に十分検討してまいらなければならない問題かと思います。基本的には大臣が申し上げましたような態度で取り組むわけでございますけれども、その措置すなわち料金の関係それから借り入れ条件、そういったものにつきまして、原則的な問題につきましては五十年度予算編成の際に十分真剣に取り組んでまいりたい、こう考えております。
  49. 横川正市

    横川正市君 審議会の説明に出てきている収入というのは、これはさしむき今後三年間の収支相償うことを目途につくったものであって、そのことのために必要な料金改定等であるというふうに審議会は答申していますね。  両三年というのは五十一年ですか。しかし、ことし料金改定をかりにしたとしても、まかない切れない状態になってくると思う。そういう見越しをして、当然の支出増というものが予想されるその段階で答申はストップを食っているわけですよ。  私は、答申のとおり値上げをするというんじゃなしに、もうすでに政府がひとつ今度とった処置というのは、これは郵政事業に今度組み入れられる処置ですかと、処置としては、郵政事業の中に。いわゆる料金の改定以外に経営する方法はないんだという考え方ではなしに、他から持ってきた金である程度まかなっていける、そういう考え方を織り込んだこれからの経営方針ですかと、こういう点をお伺いしたいと思うんです。
  50. 廣瀬弘

    政府委員(廣瀬弘君) ただいま申し上げましたこと若干説明不足かと思いますが、そういった基本的な問題を含めまして五十年度予算編成の際に検討いたしたいという意味のことを申し上げた次第でございます。
  51. 横川正市

    横川正市君 大臣所信表明の中にあります他の問題は、それぞれ法案が出ておりますから、法案の出たときにさらに質問をすることにいたしたいと思います。  ことに今回この所信表明の中にあらわれておりますものの考え方でどうしても私どもが納得できないのは、非常に急激に変化をしている情勢に対応するそういう気がまえでは、どうも私どもは少し取り越し苦労かと思われますけれども、そういう危険度に対してお答えがないように思いますので、それぞれ各事業の問題を論議したときに、私のほうからまた意見を交えて御質問を申し上げたいと思います。  それであと電電公社関係を二、三お聞きをいたしたいと思うんです。  総裁のこの所信表明の中にもありますけれども、一番の問題点は電電債ですね。電電債のいわゆる利率ですか、利回りといいますか、それが今日のこの高利回り時代に即応して適切な利回り維持ということになっているかどうかという点では、公社としてはどうお考えでしょうか。
  52. 米澤滋

    説明員米澤滋君) 最初に経理局長からちょっと答えさせます。
  53. 好本巧

    説明員(好本巧君) お答えいたします。  四十八年の一月以降の金融情勢の変化によりまして、ここ一年余り非常に債券の金利が変動しております。私ども電信電話債券は、御案内のように加入者引き受けの加入者電電債券、これが一番量的にも圧倒的に多いものでございます。それから財政投融資計画としての政府保証債あるいは政府資金引き受け債、それから電電公社特別債、すなわち公募債と非公募債の特別債でございます。  ただいまの御質問の金利でございますが、四十八年の一月から長期金利体系の改定が一年間に四回もあるいは五回もございまして、私どもの発行いたします電電債券其資金調達という面から見ますと、できる限り低い金利で、起債者にとって条件のいい金利にしたいということがございますが、一方、その圧倒的な量を占めておりますところの加入者引き受け電電債券につきましては、金融市場の妥当な合理的な金利でございませんと、債券をお持ちになった方がそれをお売りになるときのいわゆる売却差損というものが非常に大きくなりますので、その点につきましては、できる限りそういう面からの配慮も必要かと思います。
  54. 横川正市

    横川正市君 電話をつけてもらいたいという私意による希望というものは非常に強いと思うんですよ。そういう強い私意を、事実上は金に計算のできないものを金に計算をした一つの資金調達方法みたいなかっこうにならざるを得ないような状況というものは私は出てくるのじゃないかと思うんです。  いわゆるいまの債券の義務化ですね、義務化は、結局、買っても幾らに売れるから幾ら損すればいい、だから電話をつけようという、個人のいわばふところ計算がまあそのぐらいのことならばという計算に助けられるような資金調達にならないかというふうに思うんですけれども、いまのこの金利状態を踏みながら、公社のほうではその点をどう考えて進められているか、お聞きしたいと思います。
  55. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  私、あんまりそういう専門家ではございませんけれども、いまのこの物価上昇というのは非常に異常な状態じゃないかというふうに考えておりまして、したがってこの異常な物価上昇に対しまして、政府としても、たとえば公共事業の伸び率をほとんどゼロ%にするとか、あるいは金融の引き締めを徹底的にやる、これはそう長く続くのではなくて、ある非常な特殊な状態じゃないか。  電電公社といたしましては、もともとなるべく安い金で建設して、料金はなるべく上げないということ、また技術革新等もできるだけ入れまして、それからまた労働組合と話しまして合理化あるいは自動化あるいは無人化をするというようなことをいろいろ進めてまいったのでございますが、基本的にはなるべく安い金を使いたい。したがってただいまの状況というものは、経理局長が先ほど御説明いたしましたように、去年の十一月以来三回も四回も金利が変わっている。これは非常な異常状態でございますので、何とか早く正常状態になるということを、実は私個人としてでございますが、期待している次第でございます。  なお、この全体の資金計画の中で債務償還が二千三百八十九億円ございます。この債務償還というものだけはどうしてもやはり外部から借りてきて埋めなければならない。債務償還までを自己資金でカバーするというわけにはいかない、こんなふうに考えております。
  56. 横川正市

    横川正市君 この全体に占める利子が三千九十四億あるわけですが、この利子の負担は、いまの状態ではそれほど負担はこたえているということにならないのかどうか。しかし、これからこの利子負担というのは相当ふえるのではないかと思いますけれども、この見通しについてはどうお考えになっているでしょうか。
  57. 好本巧

    説明員(好本巧君) お答えいたします。  御指摘のように、最近、建設投資がどんどん伸びてまいりますので、それに伴いまして外部資金の調達額も年々ふえておりますので、傾向といたしましては金融費用は上向きでございますけれども、過去五カ年間、昭和四十五年度から四十九年度の予算までを概観いたしますと、総費用に対し金融費用の占めます割合というのは大体一二%から一三%。昭和四十九年度予算ベースでいいますと一三・三%でございますが、四十八年度を初年度といたします第五次五カ年計画の一応の収支計算の中におきますところの総費用に対する金融費用の比率は、五カ年間平均で一三・一%程度でございますので、やや最近四、五年間上向いてまいりましたけれども、何とかこのままで進みますと、第五次計画の中では吸収していけるんではないかというふうに考えております。
  58. 横川正市

    横川正市君 それともう一つは、昨年の大体三百十万ですか、ことしの三百二十万くらい——施設に必要な資材費その他の値上がりはどのくらい見積もっておられるわけですか。
  59. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  詳しくは局長から御説明いたしますけれども、私たちといたしまして、この四十九年度予算案を編成する場合に、とにかく電話の架設ということに最大の重点を置きました。  第五次五カ年計画の第二年目でございますが、第五次五カ年計画の二年目では三百十五万を最初つけるという計画でございました。しかし、当時、この予算の編成に当たりました昨年の七月、八月の時点ではわりあいに景気が上昇して需要が伸びておりましたので、それに二十万上のせいたしまして、結局、三百三十五万という要求を大蔵省にいたしました。建設投資額といたしまして、本年度の投資額に対しまして約一七%の伸びということで要求を出しました。しかし、その後十一月の時点で石油のああいう危機が起こったりいたしまして、政府の総需要抑制という御方針がございまして、大臣にもいろいろお願いいたしまして、大臣接衝で電電の場合にはゼロ%の伸びではなくて五%の伸びというところになりましたが、その際に、ほかのデータ通信とかそういうものはもう大蔵省の査定そのまままるのみいたしまして、電話だけは最初の査定が三百十万でございましたが三百二十万と、こういうことで十万だけ復活していただいた次第であります。  ただ最近の状態を見ますと、幾らか需要がやっぱり減っているような傾向がございます。したがって最初五カ年計画をつくった第二年目が三百十五万でありましたが、今度の予算が三百二十万になっておりますし、積滞も大体毎年三十万ぐらいずつ減りだしておりますので、私たちといたしましては、いわゆる第五次五カ年計画末の昭和五十二年度の末にはぜひとも全国的規模において電話の積滞をなくなす、こういうふうにしたいと考えております。
  60. 横川正市

    横川正市君 私は、実は、電電公社はいま各企業の中で一番いい企業じゃないかというふうに思っておりましたけれども、この企業の一つのピークの時期というものがあって、そのピークの時期というものは、田中さんの列島改造じゃないけれども、言ってみれば電話料金の値下げをするという方向で、いい企業——いわば収益率がうんと高まる意味での一つのピークがあって、それからだんだん電話料を安くしていっても経営か成り立つような意味での良質と私どもは判断しておったのですが、総裁としては、いま実際に電信電話をやっておられて、そういう企業経営内容をどう判断になっておられましょうか。
  61. 米澤滋

    説明員米澤滋君) お答えいたします。  電電公社の企業経営というものは、確かにこれまでは昭和四十六年に一ぺん赤字を出しました、それ以外は大体黒字なんでございます、四十七年も若干黒字でございます。四十八年はまだ決算が出ておりません。大いに増収努力を現場の三十万の公社の職員の人にも努力してもらいましてやっております。  しかし、いま先の見通しという問題になりますと、私は、一つ非常に大事な問題は、最近つけております電話というものが住宅電話が主体だと、したがって第五次五カ年計画の特徴というのは、結局、ビジネス電話というものはせいぜい二〇%ぐらいで、八〇%は大体住宅電話であって、しかもこのように核家族化になったり、あるいは住宅がだんだん都市から離れてくる、そうすると夜たとえば子供が病気になったとか、あるいはいろいろ打ち合わせもしなきゃならないということで電話生活必需品になった。ところがこの住宅電話収入というものは月々せいぜい三千円ぐらいで、建設のほうは技術革新も入れ、労働組合とも話していろいろ近代化その他を進めておりますけれども、やっぱり五、六千円収入がないとバランスがとれないという、この問題をいままでは技術革新によってカバーしてまいりましたけれども、これが一体将来どうなるかということを実は私真剣に考えているわけでございます。  ただいま四十九年度に、いわゆる一般の国民の皆さんが使う電話料金を借上げするということは毛頭考えておりません。  しかし先ほど横川委員がおっしゃいましたように、昭和二十八年以来——たとえば電話の度数料を当時たしか一度数五円であったものを十円というのを昭和二十八年に政府国会提案いたしました。そのときですからいまから二十一年前、それが国会で修正されまして結局五円が七円になったという経緯がございますけれども、これまで維持できたのはやはり技術革新を経営に反映したことと、労働組合がとにかく立場は違ってもいろいろ合理化理解を示してくれたというこんなことだと思いますけれども、これから先の問題につきましては、私はまだこの経済の今後の状態が一体どうなるのかちょっと自分にも見当がつかない。ですから昭和五十年度の予算の編成をする時点、これはまだだいぶ先でございますから、その辺まで、十分諸般の情勢それから国際的ないろんな電話料金の問題等を真剣に公社の中で研究したい、こんなふうに考えております。
  62. 横川正市

    横川正市君 私はそれは郵政も電通もみな同じだと思うんですよ。  私どもの乏しい経験から言いますと、この間から衆議院で商社その他の社長さんを呼んで論議しておりますけれども、あそこでひとつやはり論議の不足しているのは、日本のこの高度経済成長の中で消化能力があれば——外国の原材料の買い付けについては相当無理していますね、その無理が国内の物価というのを上昇させているわけですね。そしてその上がったものを、加工生産したものをまた持っていきますね、それだから安く売れないわけです。そうすると向こうの原材料が年毎に上がってくる要因は実は日本の高い物資を持っていくところにあるわけなんですね。そういうことで海外の原材料の値上げ、国内のインフレの度合い、物価の上昇、これがシーソーをやっておりまして、その要因にあおり立てられている点について、政治とか何かをどういうふうにするかという点は少しも論議していないんだと私は思うんです。  悪徳とか何とかではなくて、もうかれば買ってくるという考え方ですね。これは一番最初、私、海外で米が値上がりしてしようがないと、これはもうカリフォルニアにしてもイタリアの米にしても、どこの米も値上がりする、どうして値上がりするんだと言ったら、もう日本が全部どこへ行っても買い付けしていまして、そしてその値上がりの要因——そのときは日本が食糧不足ですから、もう至上命令で米の買い付けをする、それで海外の米の値段を上げた。いまそうじゃないんですね。高度経済成長の中でいわゆる消化能力があれば幾ら高くても買ってきて売ればいい、損をしない、これが海外市場の価格の引き上げの要因になってきている。こいつを私はもっと日本自体が真剣に考えていかないと、これはたいへんだと思うんですよ。  だから郵政にしても電電公社にしても、現業をかかえて経営するときに一番大きな問題は何かというと、これはやはり原材料とか人件費の値上がりですわね。これが企業経営の中の要因ならばがまんできるとしても、他因ならばこれはがまんのできない問題が出てくるんじゃないか、節約だけぐらいじゃ消化できないんじゃないかという問題に私はぶつかると思うんですね。  そういう点をこれからの経営の中にぜひひとつ、私はまあ観念的なことでこういうことを言っておりますけれども、それがデータなり裏づけの理論がつけられて明確に公社としても出す、郵政省としても貯金とか保険とか出す、これが一つの政治に対する私は発言力になってくるんじゃないか、こう思いますから、現業官庁としてはぜひこれはやっていただきたい問題だと思いますが、郵政大臣は自民党の閣僚ですが、考え方は直接意見が出せる立場ですし、公社総裁は現実に企業を経営している立場でものを言える立場ですから、それぞれ意見を伺っておきたいと思うんです。
  63. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 横川さんが最後に言われたことは私も同感であります。  いまの世界の中で、日本が高度経済成長政策を持ってきて、一億人というかつてない人間がみんなどっかで就職ができるという福祉政策の最大要件をつくり上げたことは事実でありますが、今後、いまの状態をまだ先に伸ばしていくということは私は困難であると思います。  したがいまして、今日、先ほど所信表明で申し上げましたが、これを福祉という政策に持っていくということを考え、その中で種々の政策を実現しなければならない、こういうことでございますから、限りある資源の中で、大きく言えば百四十に及ぶ国、これが三十億が四十億になり、五十億になる人間の数がどうして暮らしていくかということを考えますときに、私は、今日、いま横川委員が言われました点を十分考えながら処していかなければならない、このように思います。  特に衣食足って礼節を知るということばがございましたけれども、衣食足ってもなお礼節もわきまえないという点もなきにしもあらず。われわれは道義正しい福祉国家ということを目ざしてやっていくために、私ども、自民党の閣僚でございますが、反省すべきことは反省し、今後に処してまいりたい、このように存じます。
  64. 米澤滋

    説明員米澤滋君) ただいま大臣から総括的なお答えがございましたが、私、電電公社に限りまして御説明いたします。  まず、いま進めておりますのは第五次五カ年計画でございますが、少なくとも昨年の十一月までの時点におきましては、たとえば技術革新によって第四次五カ年計画の中でどのくらい一体金がセーブされたか。たとえば市外回線なんかでいいますと、従来の建設費の三分の一になっております。それで大体概算しまして約六千億円ぐらい経費節約されたのではないか。  それからもう一つ、いわゆる物品といいますか、公社で買う品物というのは、国鉄がたとえば電車を買うとか自動車を買うというのじゃなくて、こまかい部品を一つずつ買っていまして、たとえば自動車でいったらハンドルを買うとかタイヤを買うとかいうやつでつくっているわけなんで、いわゆる付加価値が非常に多いものでありまして、材料費そのものの値段にわりあい影響がない。十年間に大体公社が、これは技術革新のほうでなくて、購入面においてどれだけ節約したかということを概算いたしますと、十年間で累積しまして約千二百億円ぐらい安く買っておる。しかし昨年の十一月の時点からちょっと世の中が変わりだしちゃったものですから、これはこれからどうなるか見当がつきません。それまでは確かにそういう点で努力してまいりました。  したがってこれからも、いま御指摘にございましたような問題は非常に根本的な問題でございますから、これから経営を進めていく場合に十分お考えを尊重してまいりたい、こういうふうに考えております。
  65. 川村清一

    委員長川村清一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午前十一時五十五分散会      —————・—————