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1974-05-28 第72回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十八日(火曜日)    午前十時五十分開会     —————————————    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      柴立 芳文君     亀井 善彰君      高橋 邦雄君     志村 愛子君      鈴木美枝子君     松永 忠二君  五月二十二日      橘  直治君     永野 鎮雄君      志村 愛子君     高橋 邦雄君      亀井 善彰君     柴立 芳文君  五月二十八日     辞任         補欠選任      永野 鎮雄君     金井 元彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         久保田藤麿君     理 事                 高橋 邦雄君                 原 文兵衛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 金井 元彦君                 柴立 芳文君                 鍋島 直紹君                 秋山 長造君                 松永 忠二君                 藤原 房雄君    衆議院議員        修正案提出者   山本弥之助君    国務大臣        自 治 大 臣  町村 金五君    政府委員        自治省行政局長  林  忠雄君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        厚生省環境衛生        局食品衛生課長  三浦 大助君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方自治法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月二十二日、橘直治君が委員辞任され、その補欠として永野鎮雄君が選任されました。  本日、永野鎮雄君が委員辞任され、その補欠として金井元彦君が選任されました。     —————————————
  3. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 理事補欠選任についておはかりいたします。  高橋邦雄君の委員異動に伴い、理事に欠員が生じておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは理事高橋邦雄君を指名いたします。
  5. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 原文兵衛

    原文兵衛君 最初大臣にお尋ねいたしたいと思います。  多くの都民が待望しておりましたし、また、二十三区の区議会が超党派でその早期実現を望んでいた、いわゆる区長公選制を含む地方自治法改正がいよいよ成立しようとしているわけでございまして、たいへん喜ばしいことと存じます。ただ、ここで気をつけなければならないのは、特別区の事務人事等の諸制度改正され、都から区へ移管されるものがあるわけでありますが、それがあまりにも観念論的に、あるいは机上のプラン的に行なわれて、実情にそぐわないものになってしまわないようにすることが肝心だと思うのでございます。  そこで、私は時間の関係もありますので、衛生行政移管、特に保健所事務移管についてお尋ねいたしたいと思います。  それは、新しく設けられる附則第十九条第一項によりますと、「特別区又は特別区の区長は、当分の間、法律又はこれに基づく政令により保健所を設置する市に属する事務又は保健所を設置する市の市長の権限に属する事務処理し、又は管理し、及び執行する。」とありますが、私は特別区と保健所法施行令政令市とはだいぶ違うんじゃないか、ことにその地域的な態様がだいぶ違うのではないかと思うのであります。たとえば札幌とか仙台とか、広島とか、鹿児島とか、これらはみんな政令市、いわゆる保健所法施行令政令市でございます。一応例として北から南まであげたんですが、これらの政令市東京の特別区とはだいぶ違う。これらの政令市は一応地域的に独立していると思うんです。ところが、東京の特別区は区と区が全く密着しております。どこが境かわからないところです。例をあげてみますと、有楽町から銀座、新橋にかけて、この一帯は、たとえば、すし、そば、日本料理中華料理西洋料理というような飲食店やあるいはバー、キャバレーというような、食品衛生行政の対象となるものが軒をつらねているのであります。しかし、地域的には千代田区、中央区、港区に分かれているのでございます。盛り場としては、これはもうほとんど続いている一帯のものでございますけれども地域的には三区に分かれております。もし、食品衛生法による予防とかあるいは食品衛生法違反に対する措置がまちまちになったりしてはいけないと思いますし、特に、食中毒発生したような場合の緊急措置にそごを来たしたりしては、これはたいへんなことになると思うのでございます。そのようなことのないように、よほど十分な配慮がなされることが必要だと思うのですが、この点につきまして、大臣のお考え伺いたいと思います。
  7. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 今度の特別区の区長公選関連をして、従来都にありました行政事務を、できるだけ特別区のほうに委譲をしようというたてまえであることは、ただいま御指摘のとおりでございます。ただ、しかし、この特別区というものが、いまもお話がございましたように、地域的に独立しておる、地方のいわゆる政令市というものとは非常に事情が違っておる。ただいま特に御指摘になりました地域など、一つ業態が全く同じところに密集して存在をし、しかも、地域的にはそこが三区に分かれておる。おそらく、そういうことが、他の特別区の中にもいろいろそういう点が私は存在をしておるのではないかと。そこで、もし、たとえば、御指摘になりました食品衛生に関する事務というものを、全部完全にこれを各区保健所委譲をしてしまうということに相なりますれば、その間に扱い上のいろいろ差別が出、そのためにこうむるところのいろいろの影響というものも起こり得るということは、まさに御指摘のとおりだろうと思うのでございます。  そこで、これらの問題に関連をいたしまして、どういう事務をどういうふうに移管をするのかという具体的の問題につきましては、これは、さらに、自治省といたしましては十分東京都と相談をいたしまして、今後、おそらく、これは政令等でそういうことがきめられるということに相なるのではないかと思うのでありまして、その段階において、どういうものを都に従来どおり残しておき、どういうものをこれから特別区のほうに委譲をするかということを具体的に相談をしていくということに相なると思うのであります。いずれにしても、いま御指摘になりましたようなことからくるいろいろな行政上の支障というもの、あるいは扱い上の不適正というようなことができるだけ起こらないように配慮をいたしていくように、政令制定段階において十分検討いたしてみたい、こう考えておるところであります。
  8. 原文兵衛

    原文兵衛君 公衆衛生の向上という大事な問題でございますので、いま大臣から御答弁がございましたが、この点につきましては十分に御配慮をお願いしておきたいと思います。  そこで、若干細部についてお伺いしますので、関係の方からお答えいただきたいと思います。  まず最初に、衛生行政を補完する指導員制度というものについてお伺いいたしたいと思います。  一昨年——昭和四十七年に食品衛生法の一部が改正されたのですが、この改正法衆議院で可決される際に、「営業者自主的管理体制を確立させ、食品衛生指導員制度活用を図る」という旨の附帯決議がなされております。東京都においても、これを受けて、ことしの一月から衛生管理運営基準施行されることになりまして、都内食品業者は、同法改正趣旨にのっとって、自主管理体制確立に向かって全力をあげてその推進に当たっているのであります。中でも、社団法人東京食品衛生協会におきましては、すでに昭和二十七年から一もう二十数年になるんですが、食品衛生確保衛生思想普及をはかるために、都内に七千人に及ぶ自治指導員協会長名で委嘱して、都の指導のもとに統一的指導体制を確立し、その成果を着々とあげているわけでございますが、これが、今度の改正によって各区移管することになった場合には、側面から協力をしてきたこれらの指導員制度統一的体系がくずれるおそれがあると思うのでございます。私はせっかくここまで発展してきた自主管理体制をくずさないように、十分配慮すべきだと思うのですが、この点について関係者からお答えいただきたいと思います。
  9. 三浦大助

    説明員三浦大助君) 今回の地方自治法改正によりまして、食品衛生行政が特別区に移管されることになりますと、東京都におきましては、従来と異なりました行政体系となることは先生の御指摘のとおりでございますが、これに伴いまして、行政を補完する指導員制度といった民間の自主的活動も、ある程度対応した措置を講ずる必要があるかとも考えておるわけでございますが、これらの制度につきましては弾力的に対応することが可能であると思われますので、今後十分検討の上、有効な活用がはかられるようにやってまいりたいというふうに考えております。
  10. 原文兵衛

    原文兵衛君 重ねて申しますが、いまの指導員制度の統一的な体制がくずれない、自主管理体制をさらに進展させるように十分配慮してもらいたいと思います。  次に、伝染病食中毒発生というような緊急時における処置についてお伺いしたいと思いますが、地域住民伝染病食中毒から守るということは、これはもう衛生行政の基本であることは言うまでもありません。そして、このように食品衛生思想普及してきてはいるんですけれども、それでもなお、伝染病とか食中毒というものは相当数発生しております。四十七年、四十八年を見ましても、それぞれ数千件——詳しい数字は述べませんが、数千件発生しております。患者にいたしましても、二千数百人というような発生率でございますが、これらのほとんどが、その発生は一区——特別区の一つの区にとどまらないで、数区にまたがって発生するということが非常に多いわけでございます。そこで、そのような場合に、その防止措置について、一元的、広域的に処理することが必要であって、特別区の間の対応措置がまちまちに行なわれるようなことになりますと、その被害がさらに拡大するおそれがありますし、非常に憂慮されるのでございますが、これらに対するところの配慮はどういうふうになっておるか、それをお伺いいたしたいし、また、それが食品衛生法違反に基づいてそういうような食中毒伝染病発生したというような場合には、食品衛生法第二十二条、第二十三条の営業の禁止、停止等処分が行なわれることになると思うのでございますが、そういうような処分がまちまちになってはたいへんまずいのではないかと思う。そういう意味でまちまちにならないようにする必要があると思うのですけれども、そういう点についての配慮がなされているかどうか、それについてお伺いしたい。
  11. 三浦大助

    説明員三浦大助君) 伝染病食中毒につきましては、迅速に、かついま先生おっしゃいましたように、一元的あるいは広域的な処理が肝要であることは御指摘のとおりでございまして、そのような緊急時におきましては、国及び東京都の指導のもとに、各区連携を保って統一的な処理がはかられるように、今後十分指導協議を行ないまして、万が一にも支障のないよう体制を整えていきたいと思っておりますが、なお伝染病につきましては、当該区域内の清潔方法あるいは消毒方法施行といった、伝染病予防対策上初歩的かつ基本的なものでございまして、こういったものは区が実施することになっておりますけれども伝染病院の設置あるいは家庭用水の供給、こういう広域的に対処しなきゃならぬものは、いままでどおり東京都が実施することになっておるわけでございます。したがって、この改正後におきましても、伝染病につきましては、広域的な予防措置東京都知事実施することによりまして、御指摘のような数区にまたがる伝染病発生に際しても十分対処できるというふうに考えております。  なお、最後に御質問のございました営業停止の問題でございますけれども飲食店営業で、ホテル、旅館を兼ねるものあるいは菓子製造業、それからあん類製造業、こういった製造業にかかわります営業停止というものは、これは都知事がやることになっております。なお、区のほうに移管されるものもある場合には、都と区と十分密接な連携を保ちまして、統一できるような方向でやってもらいたいというふうに考えております。
  12. 原文兵衛

    原文兵衛君 いまの点ですね。同じ飲食店でも、ホテルの中にある場合、しかしまあそのホテルの中にあるつたって、いまはもう外部の人がどんどん行くわけなんです。実質上はホテルの隣にある飲食店と同じことなんですよね。だから、そういうようなものが処分がばらばらになるというようなことのないように十分配慮するということですが、具体的にそういう点をよく詰めてやってください。それをひとつ要望しておきます。  それから次に、食品検査ということでお伺いしたいのですが、食品衛生法第十八条によりますと、政令都市にあってはそれぞれその市が食品衛生検査施設を設け、食品検査をすることになっているのですが、この施設をただ設置すればよいというわけじゃないので、やはり能力のある技術者を常に常置しておくということが大事だと思うのでございます。それができないと、その運用に非常に支障を来たすと思うのでございますが、東京都には従来から衛生研究所がありますし、また、東京食品技術研究所というようなものもあるわけでございますが、この検査につきまして、こういう東京都の衛生研究所とかあるいは東京食品技術研究所というようなところに検査事業を委託して実施するというような方法考えられると思うんだけれども、こういうような点についてどういうふうにお考えですか。
  13. 三浦大助

    説明員三浦大助君) 食品衛生行政におきまして、検査設備あるいは関係専門職員整備確保ということは、もうこれは基本的な重要な問題でございますが、特別区におきまして食品衛生行政実施することになりますと、そのための体制整備が急務であるということは、私どもも痛切に感じておるわけでございます。したがいまして、特別区に対しましては、これらの体制整備をはかるように強力に指導していきたい。また、過渡的に必要があれば、既存の都の検査施設活用がはかられるような方策も確保してまいりたい。で、消費者の保護に不十分な点が生じないように、御指摘のとおり万全の措置をはかってまいりたいと考えております。
  14. 原文兵衛

    原文兵衛君 それから環境衛生関係業者による同業組合、こういうものは、みんな府県あるいは都道府県単位でもって確立しているわけですね。これはまあいろいろな指導をしているわけですが、やっぱりその中に衛生面指導も行なっているでしょうが、現実にね。そういうようなのが——やはり経済的な指導というようなものはいままでどおりずっとやっているが、衛生面指導では、その業態によって都道府県単位でもって統一的に行なわれるが、いま言った保健所行政事務が区に移管されると、やっぱりその区ごと指導というようなものがどうしてもそこに入ってくるというようなことでもって、衛生面における衛生思想普及とかというような点において非常に複雑になってくる、指導体制が複雑になってくる、そのことによって弱められるのではないかという心配もあるというような点について、やはり十分配慮していただきたいと思うのだけれども、その点についてはいかがですか。
  15. 三浦大助

    説明員三浦大助君) 食品関係環境衛生組合同業組合のほうの仕事は依然として都に残るわけでございますけれども、これは現在主として経営指導が中心になっておるわけでございます。中に、衛生面仕事ももちろん加わっておるわけでございます。これまた縦割りの業種になっておりまして、この食品関係衛生管理基準制度とかあるいは施設基準制定というものは都知事がやることになっておりますので、統一的に実施できるのではないかというふうに考えておりますが、ただ、指導員のほうはこれは区のほう、それから同業組合仕事のほうは都のほうということになりますと、そこのやり方にまたいろいろむずかしい問題が出てまいるかと思いますが、これらの点につきましても、十分連絡をとって統一的にできますようにやってまいりたいと思っております。
  16. 原文兵衛

    原文兵衛君 時間がありませんので、最後に、この附則十九条の、「当分の間」、法律またはこれに基づく政令市云々とあるのですが、この「当分の間」というのはどういうことなのか、これをお伺いしたいのと、それからただし書きの、「政令で特別の定めをするものは、この限りでない」。というこの「政令」は、政令をつくるときにいま私がいろいろ質問した点を十分考慮してもらいたいのだが、いつごろこの政令をつくる予定になっておるのか、そういう点についてお伺いしたい。
  17. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) これは附則に入れましてしたがって、附則にある限りは一種の経過的な措置という意味で「当分の間」と入れたのでございますが、これをこういうふうにいたしましたのは、本来ならば、保健所関係の、厚生省関係法律改正して保健所を置く政令市と同じ権限を区に渡すというのが常道でございますけれども厚生省のほうで保健所体系を全般的に洗い直して、近々と申しますか、できるだけ早い機会に保健所あり方というものを全国的にきめる、それまではちょっと本法をいじりたくないというお考えでございましたので、そこに至りますまでの間、こちらの附則でつなぐという意味でございます。したがって、「当分の間」区にやっていずれは都に返すという意味ではございませんので、保健所体系を全体を整理されるときにあらためてはっきりと区の形になる、こういう法律の技術的な原因だけでございます。  それから政令をつくりますときに、まさに御指摘の点その他について十分配慮してやることは、お約束をさしていただきたいと思います。現在、すでに厚生省と個々の問題について一つ一つ協議中でございまして、厚生省はまた都のほうから意見を求めて、都の意見も十分聞くという体制をとっております。これはできるだけ早くつくりたいとは思っておりますけれども、早くっくるということと、協議を十分煮詰めるということとの妥協と申しますか、その調整をとりながら、大体一月ぐらいの間には、来年どれだけの事務が行ってどれだけの事務が残るかということを、都と区にはっきりさしたいという意味で、この一月の間には何とかつくり上げたいと考えておる次第でございます。
  18. 原文兵衛

    原文兵衛君 いま行政局長の話があったわけですが、保健所あり方を、いま、何かあれですか、懇談会審議会か知らないけれども、いろいろそういうところにはかって根本的に洗い直すという作業をしているので、そういうものがあるから「当分の間」というふうにつけたということですが、その保健所あり方を根本的に見直すというその場合において、これはお答え要りませんけれども、先ほど来私が言いましたことも、これはやっぱり国民の保健衛生に関する重要なことなんで、十分やはり考慮のうちに入れてほしいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  19. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 速記を中止してください。   〔速記中止
  20. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 速記起こしてください。
  21. 占部秀男

    占部秀男君 この自治法改正法案は、衆議院修正されて全会一致で可決されたものですから、私も賛成でありますけれども、念のため、二、三の点についてひとつお尋ねして、解明だけしておきたいと思うんです。  第一に、これ一つだけ、まことにお忙しいところ申しわけないんですが、衆議院側修正提案者にお伺いをしたいんですが、それは修正された原案によります、つまり今度の修正による複合的事務組合目的というか、あるいは目的からくる性格、つけというか、そうした問題点についてであります。今度の衆議院修正は、政府改正案にありましたいわゆる第二条のところですね、地方公共団体法律上の性格とその処理すべき事務事業並びにその処理すべき事務事業処理する基本的な原則、これをきめた第二条の中に、先生も御案内のように、十五項を起こして、「地方公共団体は、他の地方公共団体と協力して、住民生活圏広域化に対応する総合的かつ計画的な行政運営に努めなければならない」、こういう文章を入れたわけであります。さらにまた、旧組合法人格を規定したところの第二百八十五条では、「広域にわたる総合的な計画を共同して作成し、これらの事務管理及び執行についてその計画実施のために必要な連絡調整を図り、並びにこれらの事務の一部を広域にわたり総合的かつ計画的に共同処理する」云々、こういうことばを入れたわけであります。ところが、これはいずれも衆議院側修正によって、第二条のその十五項に入れる新しい文言は全部削除になりました。さらに、二百八十五条では、いまの文句が削除されて、そのかわりに、相互に関連する事務について複合組合を設けることができる、かようになったわけであります。そこで、これらの衆議院側削除をした点を考えてみますと、共通しておる点は、いわゆる新しい総合的な共同処理方式、こうしたものを一応削除したんであると見受けられるわけであります。  そこでお伺いをしたいんですが、今度の修正意味でありますけれども、わかりやすくいえば、政府改正案では、いわゆる政府原案では、各市町村ブロック化をしてその地域総合計画をつくらせ、かつ共同処理方式実施をさせると、こういう強い形のものでありましたが、今度の修正では、そうした点ではなくて、単に現実にある市町村の不便を幾ぶんでもできるだけ取り除いてやらなければならないということで、現行法の欠けている点をいわば補うという趣旨修正になったと思うのであります。この点についての先生の、いわゆる修正提案者としての御見解を承りたいと思います。
  22. 山本弥之助

    衆議院議員山本弥之助君) お答え申し上げます。  第二条の削除につきましては、私どもも、第二条十五項につきましては、これは地方公共団体としては、当然今日の生活圏の拡大に伴いまして、当該市町村住民の要望にこたえて行政をいたします上において、隣接町村の状況を無視するわけにはいかないという意味で、まあ精神規定でございますので、そう重視をいたしておるわけではないわけでありますが、ただ、この精神規定の入ることによりまして、市町村が安易にいわば事務組合処理に重点を置くということがありますれば、本来の市町村行政がいわば空洞化される心配もあるわけでありますので、そういう懸念を取り除くという意味におきまして、この精神規定を除いたほうが適当ではないかということで削除いたしたわけであります。  それから、二百八十五条の改正につきましては、従来の連合法案といわれておったときの考え方と変わってはいないのでありますが、自治省では一部一部事務組合変形であるというふうな見解をとっておられるようでありますが、従来の一部事務組合変形でありまするならば、その変形であるということを明瞭にするという意味におきまして、共同処理いたします事務に重点を置いた変形組合にすることが妥当であるという考え方に立って修正をいたしたわけでありまして、従来の計画立案あるいは相互調整、さらにそれに基づいての共同処理をその組合で何でもできるというようなあり方も、第二条に関連して申し上げましたように、本来市町村でやるべきことを安易に市町村が一部事務組合に依存しないという意味におきまして、事務が密接に関連しておる場合にのみ、便宜上、全市町村が加盟していなくとも、その共同処理する事務が相互に密接に関連のある場合は、便宜上、関係のない市町村複合組合をつくるという、自治省の言われる一部事務組合変形であるという精神を規定の中にも明らかにするという意味でこういう修正をいたした次第であります。
  23. 占部秀男

    占部秀男君 ありがとうございました。  今度は自治省にお伺いします。これは大臣じゃなくてもけっこうでありますが、おそらくこの修正原案は、本委員会でも間もなく全会一致で通ると思うんです。通れば、いずれにしても今国会中に本会議で成立することは明瞭なんです。そこで、この修正原案が成立をした暁には、自治省としては、いま山本先生が言われました、衆議院修正趣旨の上に立って法の執行に当たってもらうのが当然であると私は考えるのですが、その点はいかがですか。
  24. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 修正の御趣旨は、いま山本先生から御説明があったとおりでございますが、本来、政府原案といえども、山本先生の言われました、安易に何でも共同処理へ取り込むということを意図したものではございませんので、どういうものを共同処理するかは、まさに合理的な科学的な判断に立って地元の市町村がおきめになる、それに便宜な組織をつくるというつもりでございましたので、政府原案とその修正されたものとが、結果において非常に異なったものとなるとは毛頭実は思っておりません。これが成立いたしました暁には、まさにそういう修正の御趣旨も含みまして、そのとおり指導をしてまいりたいと存じております。
  25. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、念を入れるようですが、修正原案で、したがって、政府改正案でなくて、今度の修正原案で規定している一部事務組合、これは従来のままの一部事務組合である、それで、その従来のままの一部事務組合とその複合的な事務組合ということになるわけであって、いわば事務事業が従来の一部事務組合よりは相互関連するものにだけ少し大きくなってきておる、こういうふうに解釈ができるんじゃないかと私は思うんです。と言うのは、これは、もう言うまでもなく、政府改正案にありました、この組合の規約を規定した二百八十七条ですか、あれに新しく二項を起こして、規約の中にも明確にさせようとした点を今度また削除したわけですから、したがって、論理的にはそういうふうになっていくのじゃないかと私は思うんですが、その点もひとつ、時間の関係がありますから簡潔でいいです。ノーかイエスかでけっこうですから。
  26. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 政府原案のままでも、まさに従来の一部事務組合のうちの一部について、全部に共通しなくてもいいという特例を設けたわけでございまして、現在の広域市町村圏においても、三分の一程度は、関係市町村全部入った組合計画の立案なり共同処理に当たっているわけでございますけれども、それらにおいては、まるっきり関連しない事務を同じところで扱っているというケースもほとんどないのではないかと思います。したがって、修正の御趣旨に従った考え方で今後対処してまいりたいと存じております。
  27. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、どうも念には念を入れて言うんだが、あとあと問題が起こるといけないから、はっきりしておきたいと思うのですが、修正原案による一部事務組合複合組合性格の問題ですが、昭和四十四年十月ですか、第十三次地方制度調査会で答申が出ているわけですね。政府改正案では、あの答申のいわば線上というか、延長線上というようなことばを使うのが一番適当だと思うんですが、それの延長線上に乗ったところの構想というか、考え方を基礎にして、この政府改正案がつくられた。ところが、今度はいま言ったような修正になったわけですから、したがって、この答申にあるような、たとえば、特にこの答申の中では、従来の一部事務組合方式ではできないから、新しい総合的な共同処理方式を創設することが必要で、それに基づく連合あるいは複合組合、こういう観念になっておる。これは一応たな上げになっておる一この修正案ではですよ。政府改正案ではなくて、修正案では、一応それとは別に現行を基礎にしてやっておると、こういうふうに解釈が当然できていいんだろうと思うんです。これは、あとあと具体的に問題起きたときの問題があるから、率直にひとつお願いしたい。
  28. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) この御審議の過程でたびたび申し上げましたように、広域市町村圏の問題と特別区の問題、両方とも、地方制度調査会の答申に基づきまして、その趣旨に従って提案いたしましたということはたびたび御説明を申し上げているんで、その意味では延長線上と言ってもいいのかもしれませんし、それが変わったとは実は思っておりません。ただ、御修正のときの御相談で、その延長線上というよりも、特に共同処理だけを強調して、何でもかんでも、市町村から取り上げて共同処理にする、そういう精神がその延長線上にあったと言われると、それは違うということをたびたび御説明しておりましたけれども、それでないということをはっきりさせるための修正であると受け取っております。したがって、この十三次の答申に基づきまして、広域行政をどういうふうに処理するか、その処理するための便宜な方式をつくるということは維持されていると私たちは考えておりますけれども、何でもかんでも取り上げるという趣旨でないんだということをはっきりいたしまして、従来の一部事務組合にちょっと手を加えることによって新しい共同処理方式を創設した−創設したというよりも、従来不便であったところを取り除いた、従来の一部事務組合制度の不便であったところを取り除いた、これによって新しい広域行政に対処する方式ができるんだと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  29. 占部秀男

    占部秀男君 時間の関係があるから、あまりこまかくは言いませんが、局長の言われた、いまの最後のところ、いまの不便を取り除いた、それで問題は決着していると思うんで、私もこれ以上は申し上げません。  そこで次に、複合組合の、問題は共同処理する事務事業の問題の範囲なんですが、結局そういうようなことで、相互に関連する事務というんですから、たとえば清掃の一部と下水の一部はこれは関連しておる、たとえば終末処理の場合に関連するとか、競馬と競輪はある程度関連するとか、こういうように常識的に見て、何というか、両者の、常識的に見て事務事業関連しでおる事務事業、あるいはまた種別からいっても、あるいは実施する方法からいっても、取り扱いのほうからいっても、やはり関連しておると思われるようなものを主にして、ここは関連ということであって、連鎖的に拡大していこう、こういう考え方ではないと私は思うんですが、その点はそれでいいわけですね。
  30. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 地方団体の事務というのは非常にいろいろな態様がございますので、一口に、これは関連している、関連していないという基準と申しますか、方程式をつくることは非常に困難であると思います。一見、全然関連をしないようなごみ処理と老人ホームというようなものでも、ごみ処理の熱を利用して老人ホームのためのおふろをつくるというようなことになると関連してまいることになる。そこで、何が関連をしておって共同処理することが合理的であるかどうかという御判断を、できるだけまさに当事者である市町村におまかせしよう、こういう点でこういうふうに関連していますと、関係者がみんな同意して一緒に処理しようということになれば、それはそれでけっこうじゃないかというふうに考えておりますので、関連するということばを特に限定的に考えようとも思いませんが、逆に、特に広げてみようとも思わない、むしろ自主的な御判断を最も尊重してまいるのが適当な運営ではないかと考えております。
  31. 占部秀男

    占部秀男君 私も、今度はそのことを聞こうと思ったわけです。自主的に、何が関連するかは当該市町村に自主的にまかしてもらいたい、これを聞こうと思って実は言ったわけで、先に局長から先回りの答弁いただいちゃったのでまことにあれですが、その点、確認します。  それから、今度の改正——先国会の政府原案のときには、直接請求の問題が出ていたわけです。それが今度は、政府改正案には欠けているわけですね。なくなっている。そこで、私は、従来の市町村連合とかあるいはまた複合的一部事務組合とかがいろいろ批判されている原因は、これをつくることによって住民の義務はある程度まではよけいになる。ところが、市町村連合なり複合組合なりでやっておる事務事業に対しては、決定あるいは事業のやり方そのものが間接的になっている。つまり、直接住民が選挙した市議会議員なり町村議会議員なりというものから間接的になってくる。そこで、義務は多くなるけれども、権利は離れてくるというような感じを一般に与えた、われわれもそう感じたわけです。そこに問題があったわけです。そこで、この直接請求はなぜこれを除いたのか、そういう点についてお伺いをしたいのです。
  32. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) この前の提案のときにこの直接請求の規定を入れましたのは、まさにいまの先生のおっしゃった後段の、住民から少し離れるじゃないかという御批判、その前の国会の審議での御批判に対して、それらの手段をつくろうかという意味で入れたわけでございます。そこで、今回それをまた出したり、引っ込めたり——落とした理由でございますけれども、大きく言って、大きな理由は二つほどあるわけでございまして、まず一つは、従来、政府としては考えておりませんでしたけれども、御審議の過程で、この複合事務組合ができると、それが第三団体として大きく成長してしまって、関係市町村の自主性を弱めるのじゃないかという御批判がずいぶんあった。ところが、今度複合組合を含めて一部事務組合に直接請求までできますと、ますます一部事務組合というものが別個の団体のような色彩が非常に強まる。また、そういうふうな運営がされかねない。その御心配を除きたい。一部事務組合というのは、今度できます複合組合まで含めて、あくまでそれは関係市町村共同処理機構なんだ、関係市町村が、それぞれ意見があればその場で言えばいいのであって、直接住民の意向を関係市町村が聞いて、自分の責任でもって組合の動き方を是正すればいいんじゃないか。あくまでも共同処理機構であって、第三の団体ではないんだという気持ちを強く出すためには、むしろこの直接請求の規定があることは害があるだろうということが一つでございます。  それからもう一つは、はっきり言って自信がないということ。自信がないということは、直接請求の規定というのは、たとえば住民の五十分の一の署名、三分の一の署名というのがございますけれども、三つ、四つの団体の場合、五十分の一というのはどうとるかというのに非常ないろいろな苦労がある。完全に合理的な答えが出るかどうかという問題。  そこで、これらの住民参加の方式——現在自治法にいろいろな直接請求とかリコールとかございますが、これらが、自治法施行されてから二十年以上たちまして、最近の社会情勢もいろいろ変わってきておる。そこで、一部事務組合、あるいは普通の地方団体に限らず、住民参加の方式というものをこの際もう一ぺん全部について洗い直してみたい。洗い直していってさらに制度整備する。その過程では、あるいは地方制度調査会その他に御意見を伺うような過程もあるかと思いますけれども、そういうふうに全部洗い直すまでは、現在なかったものを、新たにここでそういった検討を十分なしにつけ加えるというのはいかがなものであろうか、技術的にも多少自信がない、そういう面もございまして、はなはだ不見識のようでございましたけれども、この前出しましたものを今回はやめましたわけでございます。ですから、いずれ近い将来、こういった住民の直接参加というものを、現在の社会情勢に照らして全部洗い直して、組合、普通の団体、全部を通じての一つ体系を探り当てたい、こう思っておる次第でございます。
  33. 占部秀男

    占部秀男君 この点についてはまだ議論のあるところですが、き上うはもうやめます。そういう事情はわかりました。  そこで、もう一つは、複合的な事務組合実施を機会に、直接、事務事業の統廃合や、民間委託だとか、あるいはまた下請化なんていうものを促進するような気配になると、これは市町村としては大ごとになってくるわけです。そこで、そういう点については、この複合的な事務組合制度を契機として、そういうようなことをもちろん自治省としては促進するようなことは行政指導しないでしょうけれども、そういうことのないようにひとつ行政指導をしてもらいたい。本来はまあ市町村はそれはできるのですから、それは本来の問題は別ですけれども、いずれにしても複合組合がそういうようなものの契機にならないように注意をしてもらいたいことが一つと。  それからもう一つは、複合組合の職員の労働条件というか、給与、勤務条件、こういうものについては、一般職員との間に格差があまりあると、非常に不利益になってくるので、こういう点についてもやはりひとつ指導をしてもらいたい、この二つの点ですが、いかがですか。
  34. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 事務事業の統合なりあるいは民間委託というもの、この民間委託というものは、衆参両院の御質問の底流には、しばしば、委託はなるべくすべきでない、直営にすべきだというお考えをずっと貫いた上での御質問が非常に多かったわけでございます。これに対しては、私のほうは、別に委託というのは好ましくないとかいう考え方はむしろないのでございまして、最もその町村、その団体が自主的に御判断なさって、委託されることが住民の福祉に連なるんだと御判断をなされる場合に委託することは、それはけっこうだと。ただし、委託によってたとえば住民のサービスが低下する、責任が持てないというようなところは十分配慮せいと、そういう考え方で指導しておったわけでございますけれども、この複合組合ができたからといって、そちらの方向に促進して引っぱっていこうというつもりは毛頭ございません。従来どおり、それぞれの自治体で御判断になりまして、委託が適当と思えば委託をなされることもけっこうでございますが、その場合は十分住民に対するサービスの低下のないような配慮と申しますか、布石を十分打ってやっていただきたいと思うことは従来と変わりございません。  それから、職員の待遇の問題でございますが、これもその関係市町村の御相談によってきまるわけでございますが、それぞれの関係市町村にいたときよりも待遇を悪くするようなことはあり得るはずがないし、あってはまた職員も行かないと思います。事務をスムーズに進める上では、たとえこの一部事務組合に職員が行こうと、もとの市町村にあろうと、その間に待遇の差異があってはならないし、また、ないような運営を期待し、またそういう趣旨での指導もいたしたい、こう思っております。
  35. 占部秀男

    占部秀男君 この問題についてはこれが最後で、あと、区長公選の問題一、二伺いたいのですが、この衆議院附帯決議を見ますと、広域市町村圏についての行政的な、財政的な措置の強化をしてはならない、こういうように書かれておると思うのですが、そういう点いかがですか。
  36. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 衆議院附帯決議の御趣旨としては、その審議の過程で、何度もある種の懸念が表明されまして、この複合組合制度ができると、自治省はこういう複合組合をつくったところには起債を見てやる、特交で配慮してやるからこういうものをつくれつくれと指導するだろう一まあするだろうじゃございません、するおそれがないかということをしばしば御質問いただきまして、そういうことは私のほうは絶対いたしませんと、もちろん広域市町村圏自体を育成していくことは、従来からもやっておりましたし、これは今後も続けたい、しかし、その共同処理機構をつくるものについて特に見るというようなことはいたしませんということを答弁ではっきりと申し上げておったわけでございますが、その趣旨のことが附帯決議に書かれておると存じます。それならば、まさにこの附帯決議の御趣旨どおりに私たちのほうは運用するつもりでございまして、合理的な形で組織をつくって、共同処理なさるのはもちろんけつこうでございますけれども、それぞれの市町村が御相談の上で、従来どおり、それぞれの市町村処理なさるのもこれも御自由でございます。広域市町村圏全体の育成ははかりますが、そういう機構をつくるかっくらぬかによって差別をするというようなことは、もちろんいたすつもり毛頭ございません。この附帯決議の御趣旨はそのまま伺いまして、指導に生かしてまいりたいと存じます。
  37. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、区長公選問題に関連して、二つばかり伺いたいのですが、この都と特別区の事務配分に関して、今度の改正では、できるだけ一般の市と同じ扱いにしようという方向、また保健所の設置などでは、これは政令によるいわゆる設置市と同じように扱うというような方向、こういう細部にわたっていろいろ問題があるわけですけれども、従来の都と区の行政実態から考えますと、保健所の問題にしても、その他の事務配分の問題にしても、特に配属職員の制度の問題にしても、廃止の問題にしても、非常に複雑な問題が多いわけです、これはまあ局長御存じのとおり。そこで、都と区との協議ですね、あるいはまたこの配属職員の廃止問題についての具体的な措置については、都の職員の意見ども十分ひとつ配慮して、政令なりあるいは行政指導なり、これをしてもらいたいと思うんですが、いかがですか。
  38. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 東京都のこの行政の実態というのは、まさに御指摘のとおり、いろいろ複雑な、われわれさえもはかり知れないような複雑な問題を含んでおることは御指摘のとおりでございます。それが大都市制度の持っている宿命といいますか、むずかしさの問題でございまして、それぞれの区の独立性を強化するということと全体の統一性をいかに保つかということは、いつも相ぶつかり相矛盾すると。その矛盾というか、その二つの要請の調和点をどこに求めるかということが、大都市制度を最も合理的にするその調和点を発見するということが一番大切なわけでございます。そこで今回は、そういう両方の要請をそれぞれ配慮しながら、一応区長を公選すると、区の事務をふやす、権限をふやす、それから人事権を確立する、言ってみれば個々の独立性の強化という方向の改正であることは間違いございませんが、独立性の強化を行なう以上、今度はその統一性の確保配慮も十分はからなければならない。何よりも大切なことは、この新しい制度が都と区の間に意思のそごがなく、まあそのためにはある程度両方でがまんしてもらわなきゃならない問題もあると思いますけれども、十分御相談いただきまして、移すものは円滑に移すと、それから残すものはすなおに残すという形で、十分相談をしていただきたいと思いますし、その当事者の御相談なり合意というものをできるだけ尊重してまいりたい。ただ、ものによっては、あるいはお金がからむ問題であったり、権限がからむ問題であったりして、合意に達しない面もあるかもしれない。おっしゃるような複雑なものというのはすべてがきれいに割り切られるとは限りません。そういう場合は、私のほう、あるいは厚生省とか政府各省のほうの意見も伺って、できるだけ最も合理的と思われる調和のとれた点に制度をきめてまいりたいと、そういうふうに感じておる次第でございます。
  39. 占部秀男

    占部秀男君 この区長選任制の問題、区長公選が廃止された昭和二十七年から、私どもは公選の復活ということでいままで運動をしてきたんですが、その場合、いつでも運動しながら心配していたのは、区の財政権の問題というか、財政上の問題ですね。ところが、今度のこの改正案を見ますと、行政制度についてはある程度やられておるけれども、どうも行政制度の改革が先行をして、財政制度の問題についてはあまり見るべきものがない一まあありますけれども、あまり見るべきものはないように、私は率直に言って思うんです。もういよいよ区長が公選ということになれば、これはまあたとえば税制問題にしてもそうだし、交付税の扱い方についても、いまのように都区合致してやられたんじゃ少なくなるのはこれはあたりまえなんで、それはやっぱり普通の府県や市町村等の扱いにゆくゆくはしてもらわなけりゃならないんじゃないかとも思えるし、また一方、東京都下の問題としては、都区の財政調整の問題でも、今回改正のあれが出ていますけれども、幾らかありますけれども、これだけじゃとても足りないんで、将来の課題としてやはり区の財政の自主性というものを固める方向でひとつ自治省としては改革をしてもらわなくちゃならぬじゃないかと。特に区長が公選になったんですから一そういう意味も私は考えておるんですが、その点はいかがですか。
  40. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 今回の改正によりまして、区長さんも公選になり、それから従来ほとんど人事権というものがなかった、配属職員という制度のおかげで自主的な人事権がなかったものも与えられると、まあ権限も広まる。そういう意味では、各区というのはそれぞれ独立の市のほうに一歩、二歩近づく。先ほど申しました全体の統一性と個々の自主性との調和点を、まあ自主性を強化するほうに一部求めておりますけれども、やはりその大都市制度のむずかしさというのは、全体の調和、統一性というものを全く無視して、個々の区を独立の市に、全く市にしてしまうのがいいのかどうかというと、そこまで十分に踏み切っておらないわけでございまして、やはりこれだけ家屋が密集しております一つの大都会でございますから、先ほど原先生の御質問にもございましたように、食品衛生一つをとって見ても、場合によれば統一性というのも相当重視をしなければならないと、こういう今日の段階におきましては、財政の面では、確かに先生の御指摘のように、今度はそう大きく進歩しておりません。まあ訓示的な規定が一本入りまして、従来の一件算定というようなものをできるだけ最小限にして、全くなくすことはできないにしても最小限にして、区の財政の自主性を強めるという配慮はしておりますけれども、交付税をたとえば一人前の市扱いにする、都と別計算をするというところまではまだいってないということは、たとえば現在の特別区の中の財源の偏在というのを見ましても、千代田区あたりになりますと、全国的な商社の本社、その他いっぱいありまして、まともな市町村税をそのまま取ります場合は、ものすごい超過団体になってしまうということ。この二十三区の間でも、財源のアンバランスの分布の状態、あるいは東京都自体の持ってる超過財源その他を考えます場合に、財政的にはなお、今回の改正によって一歩独立性は進めますが、財政につきましては従来の都区財政調整制度を残す。ただ、その運用につきましては、そういう訓示規定をただお経のごとく入れるだけではなくて、現実には公選された区長さん、人事権をお持ちになった区長さんということであれば、区の独立性、自主性、発言権も強くなりますので、運営の面では相当改善されることを期待し、またそれも指導してまいりたいと思いますけれども、ここでこういう一歩そちらのほうへ進めた改正は、ある意味では一つの試みであろうと。まあこのために、たとえば全体の統一性が非常にそこなわれてくるというようなことになれば、その時点に即してまたものを考えなければなりませんし、そうでなければ、さらにもう一歩、二歩と自主性を進めていく体制が将来できるかどうか、まさに一つの試みの成果というものを見た上でなければ考えられないことでございます。  そこで将来の方向としまして、さらに自主性を強め、さらに財政自主性を強めるか、あるいはこの形をなお当分維持しなければならないか、まさに今後の運営の適否いかんにかかっておることでございまして、ただ自主性を強める方向にのみ将来を考えるというと、やはり一つの合理性に欠ける面もあるのだと。全体の統一と自主性の強化というのを常に並行して考えていく、で、その場合に、したがって一番適切な改革を加えていく、こういうことを考えておる次第でございます。
  41. 占部秀男

    占部秀男君 どうも少しなまぬるいような感じで納得できないんですが、きょうはまあ時間が制約されているから、これはまた別の機会の問題にします。  そこで、区長公選問題の最後の点で、これ先ほど局長も言われた住民運動の扱い方の問題結局直接請求なんかの今度の問題にも関連するわけですが、高度成長政策が進展して以来、たとえば公害問題であるとか自然環境の破壊であるとか日照権の問題であるとか、これはいろいろな、いま住民運動をしなければならないような問題がうんと生まれておるわけですね。そこで、やはりこの住民運動の問題は前向きに速急にひとつ検討してもらいたい。特にいまの直接請求の運動の場合などは、どうも法律的にあまりこまかくしばるような形なんで、住民の間で直接請求ができにくいような——私はきょうはこまかい点は言いません、いいませんけれども——節もあるので、やはりこれは住民運動というものは世界的に見て一つの政治の流れなんですから、それを法的に進歩的にどういう形でとらえるかと、こういう立場から、前向きのひとつ検討を速急に願いたいと思うんですが、この点いかがですか。
  42. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 先ほど御答弁いたしましたように、今回直接請求規定を法案から落としましたのは、まさに、その現在の時点に即して住民運動というものをひとつ根本的に考え直してみたいということからでございますので、これに対する検討は鋭意行なってまいりたいと存じておる次第でございます。
  43. 占部秀男

    占部秀男君 これで最後ですから。  最後に、地方事務制度の問題で、大臣にお伺いというよりは、ひとつ決意をお伺いをしたい。  今度の衆議院修正に伴って、衆議院では全会一致で、全部の政党が一致して、御存じのように、「地方自治法附則第八条の職員については、」「昭和五十一年三月三十一日を目途として地方公務員とするよう努めること。」と、こういう一その間飛ばしましたけれども、決議が行なわれて、大臣も了承しておるわけです。で、おそらくこの委員会でもあとで附帯決議をつける場合に、同様な趣旨附帯決議がついてくると思うんです。そこでですね、自治省としては、今度こそひとつ不退転の決意でやってもらいたいんですね。というのは、今度の附帯決議は、従来自治省の各大臣がやるんだといって言明をしたこと、特に昨年の六月の当委員会で当時の江崎自治大臣が、四十九年度中には決着をつけるんだという言明をされた、それを受けて自治省は、五十一年三月三十一日までにはという、そのことを言っておるわけですね。同時に、これは国会の意思を明らかにみたという点で、いわゆる江崎さんの言明なりあるいは町村大臣の言明なり、大臣言明の場合ともう一つ私は質的な違いがあるんじゃないか。大臣言明を推すと同時に、大臣言明のいわばうしろだてというか、国会全体が突つかい棒となるんだと。各政党が突っかい棒となる。同時に国会として、各政党として、大臣に対してはやってもらうんだという責任を預けておる。ここに、従来のこの地方事務制度扱いと今回からの扱いの質的な違いというか、発展的な姿というか、そういうものが私はあるんじゃないかと思うんです。そこで、この問題はもう二十何年来の問題ですから、決着をつけることは当然でありますけれども、そうした国会の全政党が決議をしたんだという点を踏まえて、国会の要請に対する責任を果たしていただくと、こういうことで、町村大臣のひとつこの問題に対する不退転の決意をお伺いをして、私どもも安心してあとで全会一致で賛成ができるようにしてもらいたいと、これがお願いというか、最後質問です。よろしくお願いします。
  44. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 現在のいわゆる地方事務制度というものが暫定的なものであり、しかも、現在の府県におけるこの地方事務官の存在というものは、すみやかにこれを解消すべきであるという、長い間の、あるいは知事会等の御要望もございましたし、また当委員会におきましても、しばしばそういうことに関連をしての御質疑等もあり、常に自治大臣といたしましてはこれをすみやかに解決をする方向に向かって努力をするということをしばしば言明をされておったんでありますけれども一御承知のようなことで、今日に至るまでいまだ決着を見るに至らなかった。で、このたびの衆議院における附帯決議というもうは、私どもから考えますると、少なくともこういった一種の期限つきに解決をしなければならぬということに相なってまいりましたので、まあ従来、関係省といたしましては、必ずしも——これをしばらくこのままに存続をしておきたいと考えておりました各省といたしましても、どうしてもこれは期限つきで解決をしなければならぬという立場に追い込まれておるわけでございまするし、われわれといたしましても、そういったただいまの衆議院における附帯決議趣旨というものは全く私ども考えておることと一致いたしておるわけでございますので、それをいわば背景にいたしまして、早急に解決のめどをつけるために、この自治法改正案が国会の議決になりましたのを契機といたしまして、今後精力的に、なるべく早くひとつめどをつけるということに努力をいたしていきたい、こう考えておるところでございます。
  45. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、わずかの時間でございますし、今日までまた審議を続けられてまいりましたので、一、二点だけお伺いしたいと思います。  今度のこの一部改正では、われわれが今日まで主張しておりました点についてはだいぶまあ織り込まれておりますし、一部の疑義はあるといたしましても、私どもは賛成するものでありますので、個々の問題についてはまたの機会にひとつさせていただくことにしまして、広域市町村圏のことについて。  まあ今度地方自治法の一部改正によりまして、複合的一部事務組合などの広域行政が進められるわけでありますけれども、現在まで、広域市町村圏振興整備措置要綱に基づいての三百二十九件ですか、これが設定されて進められてきたわけでありますけれども、時代の推移もあり、いろんな問題があるわけでございますが、特にこの大都市の周辺のこの地域について、今後これの整備についてはどのように進めていくというお考えなのか。この点について、自治省として大都市周辺の問題についてのお考え、今後のあり方について、まあ大臣の所信をまずお伺いしたいと思います。
  46. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 最近におきまする大都市の周辺地域というものは、人口の全く想像以上の増加というものによりまして、こういった市町村というものは財政的にも行政的にも非常な困難な問題に当面をいたしておるわけでございます。関係市民の生活環境の改善というようなことにつきましても、あるいはまた当面、児童の教育施設というようなものの整備にも追われて、なかなかその整備が追いつかないというような状況にある周辺市というものが現実存在をいたしておるわけでございます。したがって、今日まで政府といたしましては、こういうような地域におきまする、まず学校の施設等につきましては、補助率の特別なかさ上げを行なうことによって学校の整備を促進をさせるなり、あるいはまた都市的な施設をできるだけ整備をさせるというために、下水その他等におきましても、特別の措置を講じていることは御承知のとおりでございますけれども、なかなか現実にはこれらの地域の市民生活というものは必ずしも十分に改善されていないというのが現状でございまして、自治省といたしましてはそういったことをさらに深く重視いたしまして、これらの地域の市民生活というものが今日以上に改善をされるのにはどうあるべきかということで、いままでのそういった財政的な援助制度というようなものをなおひとつさらに再検討をいたし、これらの補助金等の問題等も解決の上にはたいへん重要な役割りを果たしておりますので、関係省ともひとつ十分協議をいたしまして、当面こういった問題の解決にできるだけの努力をしてまいろうというのがいまの自治省の当面する考えでございますけれども、まあしかし、なかなかどうも人口急増にはいつもあと追いの状況にならざるを得ないということでございまして、何とか一体こういった地域にあまり人口が集中しないようにするような問題等も、今後政府全体の施策の中で進めていくということもこれは必要なんでありまして、人口が現在のように急増するのをそのままに放置いたしておきまして、ただその設備をあと追い的に急ぐというだけでは私はなかなか問題の解決にはなりにくいのではないか、こう考えて、これらの問題も、政府全体として私はもっと何らかそこに画期的な対策があってしかるべきであり、また立てなければならぬのではないかというように考えておるところでございます。
  47. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この人口急増都市のあり方ということもさることながら、大都市の周辺についての広域行政ですね、これも十分な配慮がないと、いま大臣も部分的なお話がありましたけれども、どうしてもこれはあと追い的なことになる。こういうことについて、まあ自治省としてもいろんな面についてはこれは御検討しておられるのじゃないかと思いますけれども事務当局でどうですか。
  48. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) この問題、まあ衆議院の審議の経過でも、小濱先生のほうから御指摘受けた点でございますが、確かに現在大都市の周辺というのは、一つの空白地帯と申しますか、長い先を見通した施策が欠けているところでございます。しかも、その緊急という意味では、むしろ通常の広域市町村圏よりも緊急かもしれない。ほうっておきます場合に爆発的な人口増加というのがどんどん続いておりまして、東京都で例をいえば、二十三区はもうすでに人口が減少の傾向に至っているのにもかかわらず、ちょっと離れたいわゆる保谷、田無というような大都市周辺の市町村はなお爆発的な増加が続いておる。これに対して、何らそれを制御させる、きちんと秩序正しく受け入れるという施策が施されていなくて、いわゆるスプロール化と申しますか、無秩序な家屋の密集というのが進んでいるわけでございますから、実は一日も早くこれに対する対策は出さなきゃいけないということでございます。  で、政府といたしましても、この点に関しては、すでにこの両三年研究費を国から予算をもらいまして、学識経験者その他にもお願いをいたしまして、この大都市周辺の市町村のいわゆる広域行政と申しますか、住民の生活水準の向上に見合う行政あり方についての研究を進めておりまして、二、三の結論——まあ結論と申しますか、まだ結論には至っておりませんのですけど、その方向の手探りはやや進んでおるわけでございますが、何せ一般の広域市町村圏あたりに比べて実に問題が複雑でございまして、むずかしい面がございます。たとえば普通の広域市町村圏であれば、たとえば中心に県の地方事務所の存在するような市がありまして、道路は大体放射状にそこへっながっておると、それらが一つの圏域として一つのまとまった生活圏域があるんでございますけれども、大都市周辺となりますと、ほとんど、たとえば中央線を通じて住民生活圏域は東京の都心まで延びてしまっておる、地方事務所所在地を中心にするようなまとまりはどうしてもないわけでございまして、広域市町村圏と同じ手法でやるということはどう考えても合理的でない、しかし、それにかわる新しい方策が見出せないというのがまさに現実の状況でございます。しかし、ほうっておけないことは確かでございますので、さらに、実は来年度予算でもその研究費を一部いただいておりまして、この研究を進めるつもりでございますが、ただ研究している研究しているだけではほんとに弁解にも何にもならぬわけでございます。一日も早く、こういった複雑な状況に対応した、何らかの広域行政と申しますか、時代の進展に即応した新しい行政の進め方の方策を見つけ、そちらのほうに向かって努力してまいりたい。いまのような、人口が急増したからといって財政的手当てを多少するというのは、いわば痛いところに張るこう薬のようなものでございまして、病気の根本というものに対する治療法と申しますか、新しい方策を一日も早く見出すことに努力を続けてまいりたいと思います。今日の段階では、こういうふうな具体的な方向というのが申し上げられないということはまことに残念でございますけれども、できるだけ早く、そちらのほうの研究も急いで進めてまいるという決意でおりますので、見守っていただきたいと存じております。
  49. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 まあいま積極的なお話ございましたが、どうしてもあと追い的な状況になり、そして何せそこに住まうのが個々の住民でありますので、これは欠かし得ないことだということで、できるだけまあ、これだけ人口急増地帯を中心といたしましていろんな問題を経験してきたわけでありますから、今後のことについてはひとつ十分に配慮していただきたいと思うんですが、ひとつ、広域市町村圏の振興整備についてはある程度の目・途が、計画が進められて今日まできたわけですね。これを今後どう持っていくかということですね。今度のこの複合組合のことについても、その中の一つの手直しといいますか、問題だろうと思いますけれども、まあ大きくいきまして、これか.らの、いままで広域市町村圏、こういうものを計画し進めてきた段階で、これを今後どう推進していくのかという、どういう形のものにしていくのかという、これはまあわれわれとしましては当面する問題多々あるわけでありますけれども、諸外国においても当然まあこういう経験もしているわけでありますし、こういうことを踏まえまして、今後のこのあり方について、自治省としてまあどういうことについてのお考えを持ってらっしゃるのか、また対処する体制なり何なりお考えがあるのかどうか、それらのことについてはどうでしょう。
  50. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 広域市町村圏につきましては、従来のこれを整備し強化していくという方向はなお進めてまいりたいと存じております。ただ、すでに設定は全部終わりまして、三百二十九カ所、まあ全部といいますか、ほんの一、二残っている場所を除きましては大体終わりまして、それに対する措置も、一応一圏域一千万ずつニカ年という、これも本年度で一回りをするわけでございます。そして、その間にもまた、社会経済の発展その他はとどまっておりませんので、すでに、最初設定したところあたりはだいぶまた事情の変化というのも生じておるという状況もございますので、本年の予算では、この三百二十九のうち五十圏域を選び出しまして、当初つくました計画を、いまの新しい時点で新しい条件に応じて見直すということをやってみたいと考えておる次第でございまして、従来のまあ三年か四年前の条件で立てました計画がいまの時点でこれはまたどういうふうに積極的な方向で発展的に改めるべきかということを、科学的な手法その他も駆使いたしまして、新しい方向をそれぞれ見出していきたい。で、まあこれは来年もまた同じようなことをやるつもりでごでいますので、この社会経済の進歩に合わして広域行政というものを強化していくという方向は堅持しつつ、その事態の発展に応じた新しい対応というものをそれぞれの圏域で講じていただく、またそれについてこちらのほうでまあ助言もし、いろいろ参考意見も申し上げるという形で進めてまいりたいと存じております。
  51. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 地方事務制度のことについてはさっきお話がございましたが、まあこのことについても、これは今度は衆議院でも決議あったようでごさいますが、やはりそろそろ——そろそろといいますか、今日までの前自治大臣や、また大臣からの——総理大臣からの発言もあったわけでありますので、これは積極的に取り組んでいくのは当然だろうと思いますし、また、今度の改正では、今日まで主張されたことがだいぶ実現されていると思うんですが、やはり住民自治といいますか、住民の意思というものが尊重されなければならないという、こういうことで、今回の法改正にもそういう点の盛り込まれた点が多々見受けられる点もあるわけでありますが、広域市町村圏振興整備措置要綱の中で、広域市町村圏の設定について、「都道府県知事は、関係のある市町村協議のうえ、広域市町村圏を設定するものとする。この場合においては、あらかじめ自治大臣協議するものとする」、こうなっているわけですけれども、自治大臣とまず協議をする前に一するのではなくして、関係市町村協議をするという、この下との話し合いを積み上げて上にいくという形、そういうものを、この時代の要請に応じてこういう形をとるべきじゃないかということを私も痛感するわけでありますが、個々については、非常にこういう運用面や理論の面では改革されつつあることはわれわれも認めるわけでありますけれども、この広域市町村圏ということにつきましても、今後非常に大きな問題で、自治省としても取り組んでいかなければならない多数の問題があるわけでありますけれども、この問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  52. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 広域市町村圏というのは、御承知のとおり、社会経済の進展に伴って住民生活圏域が広まる、それに対応する行政体制整備ということで発足したわけでございますが、法律も何もつくりませんで、全く一つ行政的な措置としてこれを発足さしてまいりました。そこで、当初は、この広域市町村圏というものを具体的に設定するにあたって、こういうふうにあるべきだろうという、役所で考え一つの観念と、現実に府県でいろいろ御相談をなさってつくるものとの間に、あまりそごがあってしまってはということで、いま先生の御指摘になったような、ひとつ自治大臣相談してくれということを書いたわけでございます。しかし、現実には、三百二十九、もうすでに設定済みでございますし、その設定の過程におきましては、大体最初の年度で幾つかが設定されまして、具体的な広域市町村圏というのがもう世に出てまいります。そこにもう一つのイメージができてまいりますので、もう一々自治大臣に御相談していただかなくても、県で大体従来できたものを参考にしながらおきめになれば、ほぼこの広域市町村圏の考えている趣旨とそう違ったものにはなりませんので、実際の運営の問題としては、その市町村と知事さんとの御相談、その御相談のまま設定できたところが大分でございます。今後、新しい設定という問題もございませんが、今後それを育成してまいるにつきましても、いまの先生の御指摘のとおり、地元の自主的な熱意、意向、そういうものを尊重しつつ進めてまいりたいと存じております。
  53. 河田賢治

    ○河田賢治君 今度の地方自治法の一部改正について、東京都の特別区の区長公選を中心とした改正案、わが党はこの部分だけでも早く取り出して採決するということを衆議院でもやったわけでして、しかし、今度市町村連合のほうでも若干の修正がなされたので、これに賛成する立場をとりました。東京都の問題については、もうすでに他の委員からお聞きになりましたし、きょうの私の発言時間も非常に限られておりますので、今後、首長公選に伴い、自治権の拡大、そういう方向で事務の配分で職員の配属問題これからの相当問題があるように思いますし、それからまた最近は、日本のいろんなところの風潮として、総論は賛成であるけれども各論は反対というような問題がありまして、いろいろ、ごみ処理であるとかあるいは下水処理であるとか、そういうところを持ってくるのをどこでもいやがっているわけですね。だから、よほどこれらの問題は、それぞれ自律的に自分たちの地方自治体を守るという立場で、東京都と区、あるいは区相互の関係、こういう人々の協力によってこれを進めるべきでありますし、また行政当局としましても、やはりいろいろなこういう問題でやかましくなるのは、財政上の問題も一つの理由になるわけです。先ほど社会党の委員から話されましたので、これにも触れませんけれども、十分この経過措置なり、また、今後財政上の特別区の問題、あるいは都との調整、こういう問題についても、絶えず注意を払いながら、必要な場合には絶えずそれらの内容を改定していくという気持ちで自治省はやってもらいたいと、このことをまず一つ言っておきます。  次に、一応自治省から出されましたこの法案について、いろいろと問題がありますので、私は二、三質問しておきたい問題があるわけです。  御承知のとおり、今度の一部事務組合に関する住民の一これもさっき他の委員からリコール権や監査、条例の問題について話がありました。けれども自治省に一応聞いておきたいのは、だいぶこれまでの態度と今度の問題と変わったところがあるわけですね。この点をはっきり私たちはしておきたいと思うんです。第七十一国会提出法では、二百八十七条の三で、一、組合の条例の制定もしくは改廃、二、組合事務もしくは組合管理者、委員会もしくは委員権限に属する事務の執行に関する監査、三、組合の議会の解散、四、組合の議会の議員、管理者、その他の職員(政令で定めるもの)の解職について、選挙権を有する者は、政令で定めるところにより直接請求を行なうことができる、としていたわけですね。ところが、今回改正案ではこの部分がそっくり削除されておるわけです。そこで質問するのは、一部事務組合に対する住民のリコール権、監査請求、条例制定改廃の直接請求権を先国会提出法案に挿入したのは、野党の強い要求に基づいて自治省が譲歩したものであったはずだと思うんです。今回の改正案は、この部分をあらためて削除しているのは一体なぜでしょうか。この問題が第一です。  それからもう一つ、続けて時間の関係質問しておきます。  第二は、第六十五国会の答弁で、当時の宮澤行政局長は次のように言っておられます。地方自治法の直接請求の規定は、リコールと事務監査の請求、条例の制定改廃の二種類がある。リコールは公選を前提としなければ動く余地がないが、事務監査の請求、条例の制定改廃の請求は動かしてよいではないかと個人的には考えていた。市町村処理しておれば、事務監査の請求や条例の制定改廃の請求ができるが、その事務が一部事務組合に移っていくことによって請求ができないということは、合理的でなく、疑問を持っていた。一部事務組合より仕事の量、質がふえる連合制度について、事務監査の請求と条例の制定改廃の請求ができるように考えるべきではないかと思う。今回、それが可能な手続的規定を定めたい。このように、第六十五国会でも、自治省自身が、事務監査と条例の制定改廃の直接請求権については法改正の必要を認め、さらに七十一国会では、一歩進めて、リコール権——事務組合の議員、管理者、職員のですね一まで認めるところまで前進したわけでありますが、自治省のこのような重大な態度の変更について、ひとつ納得のいく説明を聞かしてもらいたいと思うんです。
  54. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 先ほどの占部先生の御質問に対するお答えにほぼ尽きるわけでございますけれども、この前の国会で、その直接請求の規定を挿入いたしまして御提案申し上げたのは、いま先生も御指摘になりましたような、一部事務組合事務がいく場合には住民の手が届く範囲から遠のくではないかと、それを何らか住民の手近なものに引き戻すために、この直接請求という規定をやはり動かすべきではないかという考え方に基づいて一応御提案したことは、確かにそのとおりでございます。  ところが、今回これを落としましたという理由につきましては、先ほども申し上げたところでございますが、まあ大きく言って二つの理由がある。  まずその第一としては、この複合組合をつくるにつきまして、過去何回かの国会の御審議で最も御懸念が表明されましたのが、この一部事務組合というのが強力な第三団体に発展をするんではないかと。自治省が発展をするように指導するかどうかは別として、現実の問題として発展をしてしまって、個々の市町村の自主性を奪い、個々の市町村から事務をどんどん吸収していってしまうではないかと、そういう懸念があるということが何度も質疑関係で表明をされました。そこで、その団体に、通常の普通地方公共団体と同じように、住民の直接参加の規定をそのままなまに持っていく、各種のイニシアチブ、リコールを適用いたしますと、それが契機となりまして、なおさらその第三団体的な色彩を強める懸念があるということで、むしろ、そちらのほうの御心配というものが一つ出てきました。そこで、あくまでも一部事務組合というのは、関係団体のもう合意の上に立つ共同処理機構であるということにひとつ徹すべきである。そこで事務処理する場合は、それぞれの団体の住民は、自分の団体を通じて、自分の団体から出ております議員とかあるいは自分の団体の市町村長を通じまして、その組合事務の不合理の是正をはかるという、各それぞれの構成団体の共同責任の上に立って処理をすべきであるという考え方に徹しまして、直接その一部事務組合に対して住民がものをいうということは、かえってその一部事務組合を別の団体、個々の構成市町村とは違う人格の別の団体に仕上げ、それを強めるという懸念をはずす意味で今回は落としたということが一つ。  それからもう一つは、これは率直なところ、この一部事務組合に対して直接請求規定を適用する場合の技術的な自信というものがございません。——ございませんと言うと、前に出したのにということでおしかりを受けるわけでございますが、たとえば住民の五十分の一という条例制定の請求の場合も、構成団体が違う場合は、全体を通じて五十分の一でいいのか、全体を通じて五十分の一であるが、それぞれの団体のまた五十分の一以上なきゃいけないのかという、いろいろな技術的な問題が起こってまいります。そこで、これらの問題を合理的に解決するためにどうしたらいいかという問題に行き当たりましたときに、もう一歩考え方を進めまして、すでに自治法制定されましてから、各種の直接請求制度が取り入れられましてから、二十年近くもう経過いたしました。最近の社会経済情勢の進歩その他によりまして、住民の直接参加というのが、これは一部事務組合のみならず、一般の地方団体についても非常に新しい面をもっていろいろな現象を呈してまいりましたので、ここでひとつ、全体を通じて自治法体系の中にある住民の直接参加制度をどういうふうにこの際積極的に改めることが合理的であるかという、全体を通じての検討をぜひいたしたいと。そこで、その検討が十分できませんうちに、いま申しましたような、技術的にも多少まだ問題点の残っているこの直接請求制度を、一部事務組合だけについて設けるということはいかがかと、全体の検討を通じてこれらも含めて考えたいということで、若干その時間をいただきたいという意味で今回落としたわけでございます。  したがって、先生の後段の御質問事務監査その他につきまして、前に宮澤行政局長の申しました答弁はまさにそのとおりでございまして、一部事務組合事務がいってしまうということで住民の手が届かなくなるということの不合理を是正するために何か積極的に考えたいということでございますが、この積極的に考え考え方を、いま言った全体を通じての検討の中に含めて、できるだけ近い将来に、地方制度調査会の御意見等も伺って、一つ体系を編み出したいということでございますので、今回はそういう意味で落としました。したがって、また近い将来、全体の住民の直接参加制度についての検討をし、一つの結論を出す決意を持っておりますので、御了承をいただきたいと思います。
  55. 河田賢治

    ○河田賢治君 今度、一部事務組合共同処理できる事務の範囲というものが修正されて、政府案より後退したものの、相当まあ権限が強化される、構成団体も拡大するという方向にあります。しかも、清掃工場とか下水道の処理、社会福祉施設、病院、保育所、養老、老後施設など、住民に直接する事業がますます事務組合に移されるという傾向にあるわけですね。  かつて市町村の合併問題が起きて、ずいぶんと大きな範囲で、京都あたりはもう三十六町村しかございませんが、市を一つ中心にして二つぐらいの郡がずうっとまとまっていると。しかもそこでは、一番遠い部落から行きますと、もう何といいますか、十四、五キロ離れているわけですね。あるいはそれ以上のところもあります。そういうところは、戸籍上の問題は若干は取り扱いますけれども、やはり問題によっては市役所まで行かなくちゃならぬと、一日をもう費やしてしまう。そういう不便があって、非常に過疎状況も続いておるというようなところもあるわけですね。  ですから、町村合併もまだずいぶんおくれているところもありますけれども、しかし、何といっても、こういう広域行政が行なわれますと、これもまた中心地に重点が置かれて、そしてやはり非常に離れた山里なんかはそのままにしておかれることがあると。したがいまして、全体の受益という面から見ましても、住民全体がこれに該当するわけのものでもないわけですね。したがいまして、やはりここには市町村の補助金なり交付金、こういうものが十分でないし、また、御承知のとおり、わずかばかりの金を出して、広域市町村圏へ入れとか、こういう事業をやれとかいって、こう何といいますか、誘い水をいま自治省ではやっているわけなんですね、これはまあわずかな金ですけれども。しかし、これによって多少でもみなそれに引っぱられると。そしてだんだん、地方自治体の本来のやるべき仕事がそちらのほうへ移されてしまうと。特にもう住民と直結するような、一つの村落、村であるいは町で、当然一つは独立して置くべきようなものまでもこれが共同化されてしまうというような状態が、いま、いろいろの広域市町村圏の材料をもらいますと出ておるわけです。だから、この点は、先ほど局長も話されましたように、いろいろ多様な内容を持つものですけれども、これは自主的にその町村で解決できるものは解決させると。したがって、それにはやはり必要な財政的な措置もしなくちゃならぬと。そうでないと、何かこう広域市町村圏をつくれば一これは御承知のとおり、以前道州制の問題が非常にやかましく言われたときに、どうしてもこういう中間団体をどんどんつくっていくという発想もかなりまじっておるわけですね。ですから、こういう点で、今後市町村のやはり独立した立場、自主的な立場、これを尊重して当事者が自主的にやれるような、しかも、それをまた保っていくための財政的な処置なんかを十分私は考えるべきだと、こういうように思うわけですが、この点はいかがでしょうか。
  56. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 広域市町村圏を策定いたしましてこれを進めましたものも、社会経済の進歩によって住民生活圏域が広がる場合、その広がるものに対応する合理的な行政共同処理するということが主眼でございまして、何でもかんでも、その市町村でやるのが合理的なものまでも、ここに引っぱり上げて共同処理やれという指導はしたつもりもございませんが、ただまあ最初のころは、広域市町村圏をつくるのに熱心であるあまり、多少そういったふうにとれるような指導なりあるいは態度もあったのではないかと思いますけれども、あくまでも基本は、どうしたら最も住民の福祉を向上できるかということでございまして、その仕事のうちには、共同処理したほうが合理的なものもありましょうし、個々の市町村で従来どおり自主的にやるのが、最も住民の身近で、一番住民に対するサービスが濃厚になるものもございましょうから、それらをまさに各構成市町村で自主的に判断していただきましておきめいただけばけっこうでございますし、私のほうも、そういう点を十分配慮して今後は指導を続けてまいりたいと存じます。御懸念のような点がないように努力をさしていただきたいと思います。
  57. 河田賢治

    ○河田賢治君 あと一つです。  この広域市町村圏振興整備措置要綱というものが、昭和四十四年に自治省行政局から通達が出されております。この最後には、「この要綱は、昭和四十四年五月二十八日つけ通知された「昭和四十四年度広域市町村圏振興整備措置要綱」を恒久化するため昭和四十五年に通知されたものである。」と、こう書かれていますね。ところが、この中にはずいぶんいろいろと、やはり、広域市町村圏についての計画をつくるとか、あるいはまたいろいろ実施のための連絡調整をはかるとか、つまり、今度の国会で修正されました第二百八十五条の二行目にあります、「広域にわたる総合的な計画を共同して作成し、これらの事務管理及び執行についてその計画実施のために必要な連絡調整を図り、並びにこれらの事務の一部を広域にわたり総合的かつ計画的に」という、この項が今度は除かれたわけですね。ところが、この精神というものはかなりこの要綱の中に入っているわけです。そうしますと、この要綱というものはいま生きているんじゃないかと思いますけれども、当然、こういう要綱をもうちょっとやはり今度は改めて、先ほど来から局長が言われておりますように、やはりその自治体の自主性を尊重し、自治体が必要と認めるときに初めて広域市町村圏の中に組み入れる、ある一種のいろいろな目的に応じて。そういうことになるべきだと私は思うわけですが、この点について、この要綱の取り扱いについてどういうふうにお考えか、聞いておきたいと思います。
  58. 林忠雄

    政府委員林忠雄君) 広域市町村圏を始めましたころは、いわゆる社会経済の進歩に従って生活圏域が広がる、それに対応する行政体制が十分できていないということで、それに対応するものをつくれつくれという気持ちが先立ちまして、したがって、もうとりょうによれば何でもかんでも取り上げろというふうに読めぬことはないような表現が確かにございます。しかし、それはあくまでも、何でもかんでも広域でまとめてしまえということではなくて、まとめるために、まとめることが合理的なものをまとめる、そのまとめるための機構をつくってほしいということでございましたので、精神としては、それぞれの町村が自主的に処理することが合理的なものはあくまでも自主的に処理をする。で、広がったものを共同処理するものが合理的なものをまとめて計画的に処理するという考え方でございましたので、その考え方は今後とも貫きたいと思います。  ただ、この要綱に、先生の御指摘もございましたように、さっき申しましたような気持ちが先走っておるために、なるべく一部事務組合をつくって共同処理をよけいしろとか、従来の一部事務組合はなくしたらどうかとかいうようなところまで入っておりますので、この点は、先ほど来と申しますか、国会の今度の御審議を通じて一貫して私お話しいたしましたように、結局は、最後には地域住民の福祉をいかに向上するかということでございますから、それに関します地元の自主的な御判断というものを尊重し、地元の御意思に従って運営していくよう指導してまいりたい。何もかも吸収しろというようなことはもう今後申し上げるつもりは毛頭ございませんので、そういう趣旨での指導によって正しい発展をはかってまいりたいと存じますので、御了承いただきたいと思います。
  59. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地方自治法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  62. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  63. 原文兵衛

    原文兵衛君 私は、ただいま可決されました地方自治法の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党、民社党、日本共産党、共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    地方自治法の一部を改正する法律案に対す    る附帯決議案   政府は、本法の施行にあたり、次の諸点につ  いて善処すべきである。  一、複合的一部事務組合に対する行政的、財政   的措置によって、その構成団体である市町村   の自主性がそこなわれることのないようにす   ること。  二、都から区への事務移管、配属職員制度の廃   止にあたっては、都区間の協議を十分尊重す   るよう配慮すること。    特に保健所事務移管については、公衆衛   生の向上に支障を生ずることのないよう配慮   すること。  三、地方自治法附則第八条の職員については、   関係省庁間で積極的に協議を進め、昭和五十   一年三月三十一日を目途として地方公務員と   するよう努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  64. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいま原文兵衛君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  65. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 全会一致と認めます。よって、原文兵衛君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、町村自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。町村自治大臣
  66. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいま御決議をいただきました決議につきましては、御趣旨に沿うよう鋭意努力をいたしてまいりたいと存じます。
  67. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会      —————・—————