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1974-05-21 第72回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十一日(火曜日)    午前十時四十九分開会     —————————————    委員異動  五月十四日     辞任         補欠選任      鍋島 直紹君     山本 利壽君      柴立 芳文君     矢野  登君      高橋 邦雄君     山下 春江君      藤原 房雄君     浅井  亨君      村尾 重雄君     萩原幽香子君  五月十五日     辞任         補欠選任      山下 春江君     高橋 邦雄君      増原 恵吉君     斎藤 寿夫君      山本 利壽君     鍋島 直紹君      柴田  栄君     片山 正英君      矢野  登君     柴立 芳文君  五月十六日     辞任         補欠選任      片山 正英君     今  春聴君      小山邦太郎君     安田 隆明君      柴立 芳文君     山本茂一郎君      高橋 邦雄君     黒住 忠行君      鍋島 直紹君     小枝 一雄君      松永 忠二君     鈴木美枝子君  五月十七日     辞任         補欠選任      小枝 一雄君     鍋島 直紹君      黒住 忠行君     高橋 邦雄君      山本茂一郎君     柴立 芳文君      安田 隆明君     小山邦太郎君      今  春聴君     片山 正英君  五月二十日     辞任         補欠選任      浅井  亨君     藤原 房雄君      萩原幽香子君     村尾 重雄君  五月二十一日     辞任         補欠選任      永野 鎮雄君     橘  直治君      安永 英雄君     宮之原貞光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         久保田藤麿君     理 事                 高橋 邦雄君                 原 文兵衛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 柴立 芳文君                 橘  直治君                 鍋島 直紹君                 藤原 房雄君                 村尾 重雄君    衆議院議員        地方行政委員長        代理理事     中村 弘海君        発  議  者  青柳 盛雄君        発  議  者  井岡 大治君        修正案提出者   中山 利生君    国務大臣        自 治 大 臣  町村 金五君    政府委員        自治省行政局長  林  忠雄君        自治省行政局公        務員部長     植弘 親民君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        自治省行政局福        利課長      大嶋  孝君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出衆議院送付) ○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案衆議院送付予備審査) ○地方自治法の一部を改正する法律案(内閣送  付、予備審査) ○地方自治法の一部を改正する法律案衆議院送  付、予備審査) ○地方自治法等の一部を改正する法律案衆議院  送付予備審査)     —————————————
  2. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る五月十五日、増原恵吉君及び柴田栄君が委員辞任され、その補欠として斎藤寿夫君及び片山正英君が選任されました。  本日、安永英雄君が委員辞任をされ、その補欠として宮之原貞光君が選任されました。     —————————————
  3. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 理事補欠選任についておはかりいたします。  高橋邦雄君の委員異動に伴い、理事に欠員が生じておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事高橋邦雄君を指名いたします。     —————————————
  5. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案閣法第七九号)及び地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(衆第二七号)を一括議題とし、まず、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案閣法第七九号) について政府から趣旨説明を聴取いたします。町村自治大臣
  6. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいま話題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  政府は、恩給年額増額をはかるため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い、地方公務員退職年金制度についても、恩給法等改正内容に準じて所要措置を講ずるほか、長期給付給付額算定基準となるべき給料算定方法改善退職年金等のうち低額なものの年金額引き上げ遺族年金扶養加算制度創設及び短期給付任意継続制度創設等措置を講ずるとともに、地方団体関係団体職員共済組合支給する年金算定方法について、地方公務員共済組合支給する年金算定方法に準ずる措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方公務員共済組合制度改正に関する事項のうち恩給制度改正に伴うものについてであります。  その一は、恩給年額増額措置に準じ、地方公務員共済組合支給する退職年金等の額について増額することとしております。すなわち、昭和四十七年度以前の退職にかかるものについては、その額を一五・三%増額するものとし、加えて、昭和四十四年度以前の退職にかかるものについては、退職時期の区分により恩給水準公務員給与水準との格差を是正する措置を講じ、その改定された退職年金等昭和四十九年十月から支給することとしております。  その二は、恩給における最低保障額引き上げに伴い、退職年金廃疾年金及び遺族年金最低保障額引き上げることの措置を講ずることとしております。  その三は、恩給における増加恩給の額が増額されたことに伴い、公務による廃疾年金及び遺族年金最低保障額引き上げることの措置を講ずることとしております。  その四は、年金条例職員期間等を有する七十歳以上の老齢者等支給する年金について、その額の算定基礎となる期間戦務加算等期間を加える措置及びその額に、最短年金年限をこえる年数一年について給料年額の三百分の一に相当する額を加える措置を講ずることとしております。  その五は、以上の措置のほか、外国政府等在職期間通算条件の緩和及び教育公務員勤続加給改善等措置を講ずることとしております。  第二は、その他の地方公務員共済組合制度改正に関する事項であります。  その一は、長期給付給付額算定基準となるべき給料について、従来、退職前三年間における掛け金標準となった給料により算定することとなっておりましたが、これを退職前一年間における掛け金標準となった給料により算定することとしております。  その二は、退職年金年金額算定にあたって、現行算定方式により算定した額が通算退職年金の額の算定方式に準ずる算定方式により算定した金額に満たないときは、その金額によることにより低額年金の額の引き上げをはかることとし、廃疾年金及び遺族年金についても、これと同様の措置を講ずることとしております。  その三は、妻または子に対する遺族年金について、新たに扶養加算制度を設けることとしております。  その四は、組合員がその資格を喪失した後、一定期間内に、引き続き短期給付を受けることを希望する旨を組合に申し出たときは、資格喪失後一年間に限り、任意継続組合員として、短期給付を受けることができるものとしております。  その五は、短期給付制度を適用しない組合が行なう福祉事業について、その費用に充てるための掛け金及び負担金の額についての特例を定めることとしております。  第三は、その他の制度改正に関する事項であります。すなわち、地方団体関係団体職員共済組合支給する年金算定方法について、地方公務員共済組合支給する年金算定方法に準ずる等措置を講ずることとしております。  以上が、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 久保田藤麿

  8. 中村弘海

    衆議院議員中村弘海君) ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、衆議院における修正趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  まず、修正趣旨について申し上げますと、地方議会議員年金制度につきましては、その年金額国会議員互助年金改定の例に準じち増額改定する等の措置を講ずるとともに、土地開発公社職員につきまして、地方道路公社等職員と同様に、地方団体関係団体職員共済組合に加入させる措置を講じようとするものであります。  次に、その内容について御説明申し上げますと、地方議会議員年金につきましては、この制度創設以来、今日まで一度も年金額改定措置が講じられておりませんでしたが、このたび、これを国会議員互助年金制度における給付額改定の例に準じて増額改定するとともに、地方議会議員在職期間で他の公的年金制度の適用を受ける期間と重複している期間を有する者の年金について、重複する期間にかかる公的負担分として一定額を調整する措置を講じ、また、地方議会議員年金計算基礎となる標準報酬月額について、給付事由が生じた日の属する月以前の地方議会議員であった期間一年間における掛け金標準となった標準報酬月額により算定するように改めること、その他所要規定整備をはかろうとするものであります。  また、土地開発公社職員につきましては、地方団体関係団体職員共済組合組合員とするとともに、それに伴う厚生年金保険特別会計からの資金の移換等所要規定整備をはかろうとするものであります。  以上が、修正趣旨及びその内容であります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  9. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 次に、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(衆第二七号)について、発議者から趣旨説明を聴取いたします。井岡大治衆議院議員
  10. 井岡大治

    衆議院議員井岡大治君) ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党日本共産党革新共同、公明党及び民社党を代表して、提案理由とその内容概要を御説明申し上げます。  最近の異常な物価上昇は、狂乱物価投機物価といわれ、卸売り物価消費者物価ともに二〇%をこえる状態となっており、勤労国民生活は、ますます圧迫されてきております。労働者賃金は実質的に切り下げられ、賃金引き上げ物価のあと追いにすらならないのが現状であります。このようなインフレ物価高のもとで、最も被害を受けているのは、いわゆるインフレ弱者といわれる各種社会保障給付受給者であります。  インフレ国民生活を破壊し、所得格差拡大、富の偏在など、社会的不平等をさらに拡大するものであります。今年の国民春闘がこうした社会的弱者の救済を掲げたのは、まさに当然なことと言わなければなりません。  また、その国の文化水準福祉水準は、老齢者母子世帯社会福祉生活者生活水準を見れば明らかになるといわれております。  このような観点から、現在の地方公務員共済組合現状を見ますと、その実態は、きわめて憂慮すべき状況であります。地方公務員及びその遺族に対し、共済組合が人間らしい生活を保障することは、その趣旨に照らして当然の任務であります。  さらに、最近の医療の急激な増高は、各種共済組合短期給付財源の収支を悪化させ、組合員に過重な掛け金負担をしいることになっており、また長期給付におきましても、インフレのもとで極度に逼迫しているのが実情であります。  このような事態に直面し、共済組合制度を充実強化するため、給付内容を大幅に改善し、賦課方式を採用するとともに、国庫負担制度の導入を行ない、あわせて共済組合制度組合員福祉増進のために運用されるよう規定整備をするほか、退職者短期給付特例等措置を講ずることは、緊急かつ重要な課題となっているのであります。  以上が、本法案を提出いたした理由であります。  次に、法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方共済組合給付に要する費用について新たに国庫負担金制度を設け、組合員及び地方公共団体負担を軽減することにしております。すなわち、短期給付に要する費用負担割合については、現在、地方公共団体負担金組合員掛け金がそれぞれ百分の五十となっているのを、国の負担金百分の二十、地方公共団体負担金百分の五十、組合員掛け金百分の三十とし、また、長期給付に要する費用負担割合については、現在、地方公共団体負担金百分の五十七・五、組合員掛け金百分の四十二・五となっているのを、国の負担金百分の三十、地方公共団体負担金百分の五十、組合員掛け金百分の二十といたしております。ただし、短期給付にかかる組合員掛け金率最高限度は、当分の間、千分の三十五とすることとし、この場合において、費用不足が生ずるときは、国は当該不足額組合に補助することとしております。  第二は、長期給付財政方式について、現行積み立て方式では、本改正案による給付内容を大幅に改善充実し、その他年金額改定スライド制を実施するためには限界がありますので、現行積み立て方式から新たな賦課方式に移行することといたしております。すなわち、現行長期給付についての財政方式に関する規定を削除して、新たに、三年を一期とする期間内の費用予想額掛け金及び負担金の額の合計額が均衡を保つことができるように定めることといたしております。  ただし、長期給付にかかる組合員掛け金率は、当分の間、組合員負担長期給付に要する費用見通し等を配慮し、必要な調整を行なって定められるべきものといたしております。なお’これとの関連で、現行長期給付に充てる責任準備金制度を廃止することといたしております。  第三は、給付内容について、その支給率引き上げ等により、現行給付水準を大幅に改善することといたしております。  すなわち、短期給付については、家族療養費現行支給率の百分の七十を百分の八十に引き上げることとし、また長期給付については、現行退職年金支給率のうち、その基本率の百分の四十を百分の六十に、その最高支給率の百分の七十を、百分の八十一にそれぞれ改めるほか、その最低保障額の三十二万千六百円を七十二万円に引き上げることといたしております。  なお、これに準じて、退職一時金の額の引き上げ廃疾年金及び遺族年金支給率及び最低保障額引き上げ通算退職年金の定額及び報酬比例部分計算率引き上げ等により、それぞれの給付内容改善を行なうことといたしております。  さらに、長期給付算定基礎となる給料は、退職前三年間の平均額となっているのを、退職時の給料に改めることにより、退職年金等給付水準引き上げることといたしております。  第四は、遺族に対する給付について、遺族範囲拡大するとともに、新たに年金者遺族一時金制度創設する等の措置を講ずることといたしております。すなわち、遺族範囲拡大について、年金を受けるべき遺族としては、現行の、「死亡の当時主としてその収入により」とあるうちの「主として」を削除して、一部でも組合員によって、その生計を維持している者にまで拡大することとし、年金以外の給付を受けるべき遺族には、組合員とは生計維持関係のない者も含めることといたしております。  また、年金者遺族一時金は、組合員死亡の当時、遺族年金支給要件を満たしていても、遺族年金を受け取る遺族がないときは、生計維持関係のない者に対して支給されるものであり、その額は、遺族年金の額の七・五年分からすでに支給を受けた退職年金等を控除した額としております。さらに、在職年が二十年未満短期在職者にかかる遺族年金支給要件現行一年以上二十年未満を、六カ月以上二十年未満に改めるとともに、その年金額計算率の一年につき百分の十を百分の二十四に引き上げることとしております。  第五は、組合員退職後における医療等給付水準を維持するため、新たに任意継続組合員制度等創設することとしております。すなわち、組合員期間が二十年以上の者または組合員期間が十年以上で五十五歳以上の者が退職した場合に、その者の申し出により、十年間に限り、なお引き続き短期給付規定を適用することとしております。また、現行福祉事業組合員のみを対象としているが、新たに組合は、組合員以外の年金受給者退職後の福祉増進するため、老人福祉施設その他必要な施設の設置及び運営事業を行なうことができることとしております。  第六は、長期給付に充てられる積み立て金等余裕金については、組合員の意思を反映して、もっぱら組合員福祉増進のため運用することとしております。すなわち、長期給付に充てる積み立て金等については地方公共団体行政目的にも使用することができることとしている規定を削除するとともに、その運用については、現在は、法令に定めた基準に基づいて組合または連合会が行なっているのを、運営審議会等議決事項とすることといたしております。  第七は、職員団体等組合専従者職員とみなして、地方公務員共済制度を適用することとしております。  すなわち、昭和四十三年十二月十三日に職員であった者のうち、同日以降昭和四十八年十二月十三日まで引き続き、地方公務員規定による職員団体及び地方公営企業労働関係法規定による労働組合役員としてその業務にもっぱら従事した者が、同日に職員退職した場合において、その退職の日の翌日において職員団体等役員であるとき、その者は、その後における職員団体等役員である間、職員である組合員と同様に取り扱うこととしております。  第八は、退職一時金から通算退職年金原資控除を受けないことを選択することができる特例期限のうち、男子については、昭和四十四年十月三十一日にすでにその期限が満了しているが、今回その期限昭和五十三年五月三十一日まで延長することとしております。  第九は、地方職員共済組合等運営審議会及び地方公務員共済組合審議会委員は、それぞれ組合員から任命することになっておりますが、その運営実態及びその特殊性にかんがみ、かって組合員であった者のうちから職員団体または労働組合が推薦した者を任命することができることにしております。  第十は、以上の改正措置に伴い、新法附則施行法及び四十二年度以降年金額改定法について、それぞれ所要特例及び経過措置を講ずることとしております。  なお、さきに四野党で共同提案いたしました賃金及び物価の変動に対応する公的年金給付等の額の改定等に関する特別措置法案におきまして、共済組合法についても賃金物価スライド制を適用するよう規定しておりますことを申し添えておきます。   以上が、本法案提案理由とその概要であります。慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  11. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 昭和四十二年度以降における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案について質疑に入ります。
  12. 藤原房雄

    藤原房雄君 議題になっています政府提出共済年金改正について、若干の質問をいたしたいと思います。  まず、この年金額増額改定について伺いたいんでありますが、この法案によりますと、昭和四十五年、四十六年、四十七年の各年度は、公務員給与引き上げ率で、昭和四十四年度以前は、恩給水準給与水準との格差の是正を含めて一九・七%から一六・三%を退職の時期の区分によって引き上げる、このようになつでいるわけでありますが、これで既裁定年金給与改定率はすべて改められたことになるのかどうか、この点についてはどうでしょうか。
  13. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 御指摘のように、それぞれの退職年度によりまして改定率を変えておりますが、一つのポイントは、四十五年の四月あるいは四十六年四月に退職した場合には、給与改定が五月までしか遡及いたしておりませんでしたので、四月分が若干不利でございました。そういった点を改めております。  またもう一つは、従来、恩給改定に準じて年金改定をやっておったんでございますが、従来、四十五年度までは、いわゆる消費者物価スライドといいますか、消費者物価水準公務員給与改定との率をそのまま使っておりませんでした。いわば、給与改定におきましては、給与改定率につきましては、職務給的なものを約四割ぐらい割り落としをするというかっこうでございましたので、その点が今度恩給におきましても一四・七%の差があるということで、それを二年間で、四十九年度と五十年度とで復元させていただきたいというので、本年度はその二分の一でございますところの七・三五%を復元させていただく、明年七・三五%を復元するということにさせていただきますと、おおむね、給与水準によって改定するということになってまいります。ただ問題は、改定期が十月ということでありますので、その点は若干のズレはございますが、改定そのものは合ってくる、こういうことになるわけでございます。
  14. 藤原房雄

    藤原房雄君 ところで、まあ改定率一五・三%は、これは公務員給与引き上げ率ということですけれども、昨年の人事院勧告で一五・三九%だったと思うのですけれども、この改定率勧告引き上げ率で〇・〇九ですね、まあ差があるのですけれども、これは〇・〇九どうして入れなかったのかということをちょっと御説明いただきたいと思いますが。
  15. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 御承知のように、地方共済年金改定にりきましても、先ほど申し上げましたように、恩給改定に準じておるわけでありますが、それでは恩給のほうではどうして一五・三しかとらなかったかと、〇・〇九を何かこう召し上げたんじゃないかという御質問であると思いますが、この一五・三九という人事院勧告改善率は、十種、十の職種につきまして比較しておるわけでありますが、その場合には諸手当を含めておるわけであります。ところが、恩給基礎になります年金につきましては本俸でございますので、その分が〇・〇九だけ違ってくるという、単にこの現在の制度上、年金なり恩給計算基礎となっております給料月額といいますか、これのとり方の違いでございまして、意識的に〇・〇九を値切ったというものではないように聞いております。
  16. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ昨年と今度一二年続いて公務員ベースアップ率が増額改定されておるわけでありますが、明年もこの給与スライドですね、これを維持していくのかどうかということ。高い額が出たからといってこれを値切るようなことはないだろうという、これからのことについてどういうお考えでいらっしゃるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  17. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 年金改定は、まあ恩給と合わせるわけでございまして、後ほどもまた御指摘があるかと思いますが、このスライド制をどうするかという問題とからんでまいるわけでありますが、恩給につきましては、昭和四十七年以来、制度はまだ制度化はされておりませんが、ルールといたしましては、賃金スライドといいますか、賃金改定に準じて恩給改定していただくというのが大体ルール化されておるというふうに私どもも承知いたしております。したがって、四十七年から四十九年につきましては、ずっと給与改定率によって恩給改定され、それに準じで地方共済年金改定さしていただくと、こういうふうになってまいっておりますので、そういったルールがもうはつきりいたしておりますので、五十年度におきましても、たぶん、恩給ではそういうふうに取りはからっていただけるのではないだろうかというふうに考えております。恩給のほうでそういうふうに取りはからっていただきますと、当然地方共済につきましても同じように取り扱わしていただきたい、このように考えております。
  18. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあいまお話ございましたが、昨年もこれ、附帯決議で、給与スライド制の法制化についてこれは載っておったわけでありますし、また、公的年金制度調整連絡会議ですか、ここでもいろいろ論議があったということもわれわれ聞いておるわけでありますが、一応給与によるこの年金のスライド、これがまあ定着化しつつあるということがまあいえるのじゃないかと思うのですけれども、この給与スライド制の法制化と、もう一つは、この実施時期の繰り上げですね。これ、給与改定時期に合わせて実施するようにすべきではないかということをまあ考えるわけでありますが、この間のことについて、まあいまちょっとお話ありましたけれども、実施時期の繰り上げとい、うこともあわせまして、どのようにお考えになっているのか、ひとつお伺いしたいと思うのです。厚生年金や国民年金においては、実施時期を今年は繰り上げることになったわけですね。それから、聞くところによりますと、衆議院でも、恩給の実施時期の繰り上げについてはいろいろ話が出ているということも聞いておるわけでありますけれども、その間のことについてお伺いをしたいと思います。
  19. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 年金改定につきましてスライド制を採用することにつきましては、私どもも念願でございまして、御指摘のございましたように、総理府審議室が中心になりまして、公的年金関係の連絡協議会を持って検討いたしておりますが、このスライド制を採用するにいたしましても、賃金スライドによるかあるいは消費者物価スライドによるかという点は、相当重要なポイントであろうかと思います。  現在、厚生年金なり国民年金におきましては、一応消費者物価スライドという制度をとられているわけでありますが、それでは、年金につきまして同じように消費者物価スライドをとるかということになってまいりますが、私どもの地方共済審議会なり国家公務員の共済審議会なり、そういったような機関では、やはり公務員年金というのは、公務員の身分なり職務の公共性といった特殊な立場に立ちますので、恩給と同じような立場で考えるべきであろう。そうなってまいりますと、恩給が、先ほど申し上げましたように、ルールとしての給与スライドをとっておりますから、やはり制度化さしていただくとすれば給与スライドということになろうかと思います。附帯決議の御趣旨もそこにあると思います。  そこで、そういった厚年なり国年なりといったものとの関係をどうするか、やはり広い意味の公的年金全般の権衡なり調整の問題がございますので、直ちに制度化するということについてはなかなか問題も多いようであります。したがいまして、先ほどの協議会におきましても、そこらの点も中心に論議を進めておりますが、まだ結論出ておりませんが、そこらのところもあわせながら、十分前向きに検討をしなければならないものであろう、このように考えているわけでございます。
  20. 藤原房雄

    藤原房雄君 実施時期の繰り上げ……。
  21. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 失礼しました。  繰り上げの問題でありますが、これも、実は年金改定時期は恩給改定時期にずうっと合わして実施さしていただいておるわけであります。  恩給につきましても、先生御承知と存じますが、四年、五年も差がございましたのを、恩給についての関係者の努力によりまして、年々と逐次差を縮めてまいりまして、いまようやく一年半になったわけであります。御指摘のように、この実施時期も、給与ベースの改定に合わして、それと一致させるように近づけることが理想であろうと思います。しかし、恩給局のお話等を聞いてみましても、なかなか切りかえの問題等もございまして、そう簡単にはまいらぬようでありますが、逐次、これを前進させていくという方向には恩給のほうもあるようでございます。  したがって、もし今回の国会におきまして、恩給等につきましてそういうような前進的な措置がとられるということになりますならば、私どもの年金につきましても同じような御措置をお願いしたいと、このように考えるのでございます。
  22. 藤原房雄

    藤原房雄君 次に、退職年金等の最低保障についてお伺いしたいと思うのでありますが、今回新たに短期在職者についても最低保障額が設けられまして、退職年金の場合には、実在職年が九年以上のときには二十四万一千二百円ですか、それから九年未満のときには十六万八百円と、こうなっているわけでありますが、この九年という年数ですね、これ、九年に区別した何か理由といいますか、これはどこにあるのか、ちょっとお伺いいたします、こまい話ですけれども。
  23. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) そこらになりますと、どうも実は私ども弱いんでございまして、恩給に準じてやるたてまえで進ませていただいておりますので、恩給と同じように九年にさせていただいたのでありますが、恩給の関係者のほうから伺いますと、御承知いただいていると思いますが、恩給の最低年限が十七年でございますから、その半分ということで八・五年、それをもう四捨五入して九年と、こういったような考え方で九年というのがとられているように承っております。
  24. 藤原房雄

    藤原房雄君 で、長期給付算定基準ですね、これが退職時前三年平均の給与であったのが一年平均に改められた。この基準を改めることによってどのぐらい改善されるか、これはもし統計がございましたらお伺いしたいと思います。  また、退職時を基準にするようにとの要望が今日まで強かったわけでありますが、退職時にしなかった理由、それが一年平均と退職時ではどの程度の差額があるか、また、これらの措置が既裁定者にも適用されるのかどうか、その間のことについてお伺いしたいと思います。
  25. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 年金計算基礎でございます給与年額をどの時点をとるかという点につきましては、前回にも御審議をいただきまして、いろいろと御指摘いただきました。そこで、私どもといたしましても、年金の事実上のアップを行なうということになってまいりますと、やはりその計算基礎となります給料月額を引き上げるということがやはり重要なポイントであると思いまして、一年間、関係省との間で鋭意検討を続けてまいりました。御承知と存じますが、三公社五現業等の公共企業体の共済につきましては退職時になっております。国家公務員なり地方公務員退職前三年平均でございましたので、その間の調整をどうするかと。一挙に公共企業体と同じように退職時の給与まで持ち上げるのがいいのかどうかというようなことで、いろいろ議論してみました。それからまた、方法といたしましては、退職前一年の給料の一号アップといったようなことも計算の過程で検討いたしました。やはり退職時の給料にいたしますと、国の場合はそれほど心配はありませんが、地方団体でございますと、三千もございまして、大きな団体、小さな団体ございまして、特別昇給をむちゃくちゃやるとかいったような事例も出てまいるおそれもございます。そういった意味で、給与行政をそんなふうに放漫にしないというふうな立場からいきましても、やはりそこには歯どめが要ると。そうなると、退職前一年間の平均というのが最も合理的ではないだろうかというような結論に達したわけでございます。  そこで、一年にいたしますと、退職時とは差があるんじゃないかということになってまいりますが、この点につきましては、若干の差があることはもうこれは申すまでもございません。もちろん退職時にもよります、退職した月にもよりますが、まあ大体において差が出てくると思います。したがいまして、その差をできるだけカバーいたしますために、ベースアップが行なわれますと、一年前にさかのぼってベースアップがあったものとして計算さしていただくということでその差を縮めると、こういうような考え方で今回法案を出さしていただいております。  そこで、具体的には、行政職の(一)の四等級十一号といったようなところで退職した者はどうかということでサンプルで計算してみますと、約二三%ぐらいの改善率になっております。それから、いま申し上げました、退職時と一年間とでどのくらいの差があるのかと。まあこれも個別的に違いますが、非常に大ざっぱに平均的に申し上げますと、大体一・五%程度の差ではないだろうかというように思われます。
  26. 藤原房雄

    藤原房雄君 共済年金給与水準を厚生年金等の給与水準以上にするために、新たに今度、通算退職年金算定方式ですね、いわゆるこの特別算定方式が設けられることになりましたけれども、この方式によって算定する年金額年金引き上げられるものがどのぐらい出てくるかということですが、これをもしデータがあったらお知らせいただきたいと思いますけれども。
  27. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 先ほど先生ちょっとすみません、答弁漏れかあったようです。——なかったかな。失礼しました。  いまの点につきましては、数字の問題でありますから、福利課長からひとつ。
  28. 大嶋孝

    説明員(大嶋孝君) いわゆる通年方式を採用いたしまして算定いたしました年金額が、従来ルールによりまして算定をいたしました年金額を上回ることとなるものの全体の割合でございますけれども、大体、退職年金にありましては五二%、廃疾年金にありましては六〇%強、遺族年金にありましては五〇%といったものが、この通年方式の適用を受けてその年金改善されるというように大体数字が出ております。
  29. 藤原房雄

    藤原房雄君 この最近のような異常な物価上昇を考えますと、三十二万一千六百円ですか、この最低保障額、これは当然引き上げるべきじゃないか。おそらく現在の状況から見まして、少なくとも月額五万や六万程度は保障するようにしなきゃいかぬじゃないかと、こう考えるわけですが、この点についてはどうお考えになっていらっしゃるかということと、この低い最低保障額が適用されるものから、一時金を受けている人ですね、この一時金の分が控除されることになっておりますけれども、これはぜひ廃止すべきだという声が非常にあるわけでありますけれども、これらのことについてはどうお考えですか。
  30. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 最低保障額をどの程度にするかという問題は確かに大事な問題でありまして、年金制度、社会保障の一環として——まあこれは広い意味でございますが、年金と社会保険と違いますけれども、広い意味において社会保険の一環としてこれを充実するという点については、私どもも同様に考えるわけでありますが、やはり、地方共済年金制度が、恩給なりあるいは最も身近な国家公務員共済あるいは厚年といったものとの関係を考えながら逐次充実さしていただくということでございますので、そこらの点も、先ほど来申し上げております公的年金連絡協議会等におきましても今後積極的に検討を続けなきゃならない問題であろうと、このように考えているのでございます。  それから、一時金との関係でありますが、やはり公的負担の関係では、どういたしましても二重払いということはこれは避けなきゃいけませんので、ある程度一時金を出している場合には、その分はどうしても除外さしていただくと、これはやはり公的負担がございます制度の本質的問題としてやむを得ないものじゃないだろうかというふうに考えております。
  31. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあこれは最低保障額が非常に低いということから、こういうことについても、一時金のことについても検討する余地があるじゃないかということを申し上げておるんですけれどもね。こういう異常な状態であれば特にそういう点が目につくといいますか、大きな問題だろうと思います。これ、ひとつ積極的にまた御検討いただきたいと思うんですが。  次に、扶養加算制度を今度新しく設けられたですね。この遺族年金給付水準改善、第一子、第二子が九千六百円ですか、それから第三子以下が四千八百円給付することになったんですけれども、この額の選定ですね、積算の基礎といいますか、何を基準にこれきめられたかということをちょっとお伺いしたいと思うんですが。
  32. 大嶋孝

    説明員(大嶋孝君) この九千六百円なり四千八百円という数字は、厚生年金保険で取り入れておりますもの、要するに、厚生年金保険の中に入っておりますものを、そのまま同じ制度を国家公務員共済にも地方公務員共済にも設けたという趣旨でございます。その大もとは、扶養手当の額ではないかというふうに考えております。厚生年金に合わしたというものでございます。
  33. 藤原房雄

    藤原房雄君 本来、この遺族年金改善は、退職年金の百分の五十という支給率引き上げることによって措置すべきじゃないかという、こういう考え方をするわけですけれども、この扶養加算制度創設によって、百分の五十の支給率については一応終止符を打ったことになるのかどうか。それから、たとえばこの生活保護費などの算定の基本を見ますと、基準額の最低生活基本額というものがありまして、それに一人とか二人とかという一般的な社会生活費分が上のせされるという、こういうことに——大体最低生活基本額というものがあって、それに上積みされるということになっていますわね。そういう考え方がとれないかどうか。また一般に、一人で生活するよりも二人で生活するほうが安上がりになると、これは一般に言われているわけでありますけれども、そういうことからいたしまして、考え方はどうかということですね、どうでしょう。
  34. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 遺族年金の充実という点につきましても、すでに当委員会でもしばしば御指摘いただきまして、私どもも前向きに取り組んでいるつもりでございます。昨年も、支給期間を十年を一年に短縮させていただきまして一それによってだいぶん対象者も広がったわけであります。そのように努力いたしておりますが、支給割合そのものを一挙に五割とか八割とかといろことになりますと、これはいろいろな問題がございまして、そう簡単にいかないのでございますが、たとえばこの既裁定の遺族年金あるいは既裁定の退職年金遺族年金に転化する、転給するといったような場合には一体どうするのかとか、あるいはその場合に増加する費用を一体だれが負担することになるのか、それからまた、他の社会保障、社会保険ですか、これにおける遺族給付の均衡はどうであろうか、そういった点をいろいろと考えなければ、地方共済だけで一挙に充実するということにもまいりません。しかし、方向といたしましては、先ほど申し上げましたように、遺族年金も充実すべきであるということで関係省庁といろいろと協議しながらまいっているわけであります。今後とも、引き続き御趣旨を体しまして検討させていただきたい、このように思います。
  35. 藤原房雄

    藤原房雄君 新法の第百十三条の長期給付費用負担のところで「掛金及び負担金の額が平準的になるように定める」、この項を改められておりますね。このようにあるのを、「平準的」というのを今回取りましたですね。この理由ですね。また、「少なくとも五年、ことに再計算を行なうものとする。」ということになっておりますけれども、本年度がその再計算の年になっているようでありますけれども、この再計算期に合わせて「平準的」を取った。掛金率や負担率を変動しやすくしたのじゃないかという、ここらあたりのことについて御説明いただきたいと思うのですけれども。
  36. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) この平準化という問題は、基本的には、財政方式におきますところの現行積み立て方式がいいのか、あるいは先進諸国でもとっておりますが、賦課方式にかわるべきかといったような問題と関連して起こった問題でございます。しかしながら、私ども、いまの年金制度におきましては、積み立て方式を急にやめて賦課方式にかえるということにつきましては、いろいろな問題があって、なかなかまいりません。しかし、現実問題といたしまして、最近の相当な異常な物価高騰、あるいはそれに関連いたしまして、給与水準も著しく引き上げさせていただく、こういうふうな事態になってまいりますと、非常に原則的な、基本的な立場における平準化というものを定めておりましても、こういった社会経済の変転する情勢には即応しがたいというふうなことから、ある程度弾力的に運用させていただこうというつもりでございまして、決してこれによって掛け金負担率を直ちにどうするというつもりはございません。むしろ、そういった五年ごとに見直しをいたします際にも、あまり原則論だけで立ちますと、現行積み立て方式そのものの運用が非常に息苦しくなるというふうな点から、こういうことをさせていただきましたのでございます。しかし、基本はあくまでも積み立て方式を依然として維持するのか、賦課方式に転化すべきものなのか、この問題はわれわれの年金制度では最も重大な問題でありますので、総理府を中心にいたしまして、関係省庁の間で積極的に検討を進めたい、このように考えているところでございます。
  37. 藤原房雄

    藤原房雄君 最後に大臣、いま何点か問題申し上げましたわけであります。また、四党提案地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案の中にもいろんな問題提起されたわけでありますが、こういう時代の大きな変転の中で新しい方式もいろいろ導入しなければなりませんし、また、いままでの考え方でなくて、発想の転換——田中さんよくおっしゃる——そういうことて、思い切ったこともしなければならぬいろんな問題がありますが、最後にひとつ大臣の所信をお伺いしまして終わりたいと思います。
  38. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 御承知のような、地方公務員退職後における生活の保障をできるだけ進めてまいるということに相なりますると、いままでの年金が必ずしも十分ではなかった。特に、最近における諸物価の高騰ということによって、一そう退職者生活が窮迫を告げるというような状況にかんがみまして、御承知のように、国家公務員におきまする恩給というものあるいはまた共済組合年金も、かなりの増額をしなければならぬという立場に立ちまして、御承知のとおり、本年は相当の大幅の改定が加えられたということはすでに十分御承知のところでございます。  そこで、現在の地方公務員につきましては、やはり国家公務員に準ずると申しましょうか、国家公務員とやはりはずを合わせていくということが私どもは一番適切な方途であろうという考えのもとに、すでに、いまの御質疑等にもございましたけれども、大体恩給改定に準ずるというやり方をいたしてこのたび御審議を願うということになったわけでございます。このたびの改正も、実は前から懸案になっておりました多くの問題についてできるだけ前進をさせようという考えのもとに、かなり多くの問題が取り上げられておるということは、ただいまの御質疑の過程を通じても明らかになったわけでございまして、もとより、今日これをもって、私どもも必ずしも万全なものだというふうに考えておるわけではございませんけれども、少なくとも、今度のこの年金改正というものはかなりの前進であったと。ただ、金額的には御承知のとおり、物価の高騰というものはかなり激しゅうございますので、したがって、年金受給者の立場からしますると、はたしてこの改正によってかなり年金がふえたという実感を実際に持っていただけるかどうかということになりますれば相当問題がございますが、少なくとも、たてまえとしては、従来からいろいろ指摘されておりました問題がかなりの改善が加えられたということは、これは間違いのないところでございます。  今後、わが国の諸物価が一体どんなふうに安定をし、鎮静をしていくかということが、やっぱり私は年金の問題を考えまする場合には一番重要なことで、いかに、相当な改善を加えたといたしましても、物価がそれを上回るような高騰を続けるということになりまずければ、せっかくの改善必ずしも十分な効果があがらないというこどに相なってしまうことは明らかでございます。したがって、私どもはやはりまず物価の鎮静をはかる、同時に、公務員年金制度というものにつきましては、他の厚生年金制度その他との関連といったようなことも十分ひとつ比較検討をしながら、とにかく、若い時代を、働ける時代を地方公務員として長く奉仕をした、働いたという方が、老後において生活に難渋を来たすということのないようにしなければならぬということを基本に置いて、この問題につきましては、いろいろ御指摘等のございました問題、十分ひとつ検討をしながら、さらに改善を加えなければならぬ問題につきましては、今後そのことにさらにひとつ十分な検討を加えて、改正を必要とするものについては実現のために努力をしてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  39. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 先ほどやっぱり答弁漏れがございました。失札いたしました。  三年を一年に変えるのに過去にさかのぼるかというのは、あれは全部さかのぼります。その点を落としておりましたので……。失札いたしました。
  40. 占部秀男

    ○占部秀男君 あと十五分しか時間がないから、ごく簡単に聞きますから、簡単にひとつ答えてください。  まず、大臣にお伺いしたいんですが、いま藤原さんからお話がありましたように、いまの経済情勢は非常な経済情勢にあるわけですね。特に一番ひどい目にあっているのが年金生活者、これはもう言うまでもないことです。ところで、今度、例の十五・三%の引き上げと、積み残し分の半分、七・三五でしたか、これをプラスしたやつが——七・三五引き上げになるわけですが、いずれにしても、絶対額の問題あるいは給与引き上げ率の問題あるいはスライドの問題、今度は積み残しが解決を来年はするようですけれども、これらの問題、さらにまた一年半の実施期間にからむおくれの問題、こういうような問題は、大なり小なり恩給法と関連があるわけですね。そこで、いま大臣の御答弁で、大体、恩給法の改定に準じてやるんだというお話ですが、ぼくはそういう態度はこの際やめてもらわなきゃならぬじゃないかと思うんですよ。というのは、いまの物価狂乱物価といわれておる一こういう経済的な条件もありますけれども、恩給法と地共済、特に共済関係とでは、立て方が違うことは、きょうはもう時間がないから言いませんが、違うんですね。しかも、戦後、労組法ができてからもう三十年近い。地方公務員法ができてからも二十年。さらに、この地方共済——地公法にのっとってと言っちゃ悪いけれども、そこから、公務員生活保障の問題に関連して、この地共済になってから——あれはたしか三十七年だと思いますから、もう十年、この辺でそろそろ恩給法に準ずるというやり方を脱皮する時期じゃないかと。しかも、経済的な条件が条件だから、なおさら絶好の好機じゃないかと私は思うんですが、これは非常に概念論ですけれども、大臣の腹がまえをひとつお聞きしたい。
  41. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 今日たいへんに物価が安定をしない、たいへん激しくこの一年間上がってまいったというようなことからして、年金生活者がたいへん難渋をいたしておるということについては、私ども全く同様に考えておるところでございます。したがって、このたびの改定必ずしも十分だというふうにはお考えいただけないかもしれませんけれども、こういった点を実はかなり十分配慮をいたしたつもりであるわけでございます。  そこで、いま占部議員によりますれば、地方公務員と国家公務員というものはたてまえもかなり違うのであるから、この際、恩給に準ずるといったような考え方はひとつやめたらどうかと。確かに、私は一つの御意見であると存じます。ことに、いまの地方公務員と国家公務員というものは、たてまえが確かに違うということはもうそのとおりでございます。ことに、地方公務員と国家公務員では、かなりその職務の内容のたいへんよく似ている部分もございますけれども、かなり違ったような立場の地方公務員もあるわけでございます。したがって、そういった非常に違っておるものと国家公務員とを対比するというような場合には、全然年金制度についても違ったたてまえの考えのもとに進めてしかるべきではないかという御意見も確かに有力な御意見として存在し得るものだと、かように私も考えるわけでございます。しかし、また一面考えてみますると、なかなか一しからば、それじゃ一体国家公務員恩給なりあるいは国家公務員の共済制度と全く違ったたてまえのもので、準じないで考えろと、こう言われましても、これは実はなかなか私そう簡単に  ごもっともだというふうには考えましても、しからば、そういうたてまえをこれからつくり上げていくということになりますると、なかなかこれは現実の問題としてはそう簡単な問題でないということは、もうこれは占部議員もよく御理解の願える点でございまして、私どもは、やはり国家公務員地方公務員というものは、まあいろんな点で違いはあってもそう大差はないと、むしろ、恩給制度とこれとをいわば並立をさせまして、両者が、御承知のとおり、人数から申しましても、むしろ地方公務員のほうが数の上においては最近は多いというようなこともいわれておるのでございますから、ただ単に国家公務員に準ずるんだということでなくて、まあ私どもは、国家公務員年金制度あるいは地方公務員のこういった年金制度というものは、両々相まってお互いにひとつ十分検討し合っていくということもたいへん必要であろう。ただ機械的に右へならえをすることがしかるべきだというふうに私どもも考えているわけじゃございません。今後、その点はひとつ十分検討を加えてまいるべき問題だと。少なくとも私どもは両々相まって、ともにこういった老後の生活保障が十分できるのにはどうあるべきかということをひとつ念頭に置いて検討を加えさせていただきたいと思います。
  42. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで積み残しの問題、これは御存じのように、この恩給の二万円ベースのやっと、それから給与の二万円ベースのやつの対比の中から出ているわけてすから、これはもう明確な——一四・七%ですか、これは明確な問題だ。そこで、今度なぜこれを半々にしてやったのかということが一つと。  それからあとまあ残っちゃったやつですね。これは残ったってしょうがないけれども、残っちゃったやつは、明年度は、恩給法の給与改定のいかん、あるいはこの年金関係の改定のいかんにかかわらず、これは実現していくんだと私は思うけれども、その点どうなんですか。簡単にひとつ。
  43. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) もう二年間でやるというのは、恩給のほうでは単純に、いま財政問題のように承っております。したがって、財政的にいま二年にしたのでございますから、その点では恩給のほうはだいじょうぶだと思いますというので、私どものほうもそれに準じてだいじょうぶだと思っております。
  44. 占部秀男

    ○占部秀男君 次に、スライドの問題、いま藤原さんのお話で事情がわかってきたんです。ある程度は理解しますが、いずれにしても、恩給法との関連から、これいまあれでしょう、厚生年金関係との見合いから、自動改正みたいになるわけでしょう。で、そこまできてるなら、はっきりと七十四条を改正したらどうなんですか。それやっぱり地共済あたりが先べんつけるのがほんとうじゃないかと思うんだけども、その点どうですか。
  45. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 先ほども藤原先生にお答えいたしましたが、いまの公務員給与ベースは、おおむね、消費者物価等がその母体になっておりますから、賃金スライドといっても消費者物価スライドといってもそれは大差ないのかもしれませんが、やはり公務員特殊性等考えますと、給与スライドと言うのが——これは地方共済審議会、国家共済審議会等の、まあ職員の代表が入った審議会等でも、やはりこれは賃金スライドすべきだという意見が強いわけです。そうなりますと、一方では厚年、国年のほうが消費者物価でございますから、公務員だけというのはやはりいろいろと差しつかえがあるようでございまして、いまのところはルール化されておりますので、まあ制度化は少し時間かけてもという気持ちでおります。
  46. 占部秀男

    ○占部秀男君 どうもひなた水に入ったような気持ちでいやな気持ちなんだけれども、時間がないからもうそれで切っておきます。  それから一年半の実施時期の問題。これで、今度の春闘でも、弱い層に対しては何か厚生年金やその他の問題で、たしか三ヵ月ぐらい前進さしたんじゃなかったかと思う、実施時期を。あれ十一月かのやつを九月か何かにしたんじゃないかと思う——ああ八月にね。あんた、公務員だからほうっておくという手はないでしょう。あれ特に大臣ね、公務員だけがほうっておかれるということはない。幾らかでも前進させなきゃロジックが合わぬですよ。頭がいいんだから、あんた方。そういう点はもうわかり切っているんだから、何とかならぬのですか、これ。もうほかの文句は言いませんよ、時間がないから。
  47. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 同じ答弁で恐縮でございますけれども、やはり先ほども大臣に御質問ございましたが、恩給との関係あるいは国家公務員共済年金の関係等考えてまいりますと、そういった基本的な年金改定という問題は、やはり共済、恩給から出ておりますから、恩給とどうしてもはずを合わせなきゃいけません。その他の問題で恩給と関係ないような部分につきましては、共済プロパーの立場で改善をはかってまいっております。しかし、いまの繰り上げにつきましても、やはり恩給がどうなるかということが、そこらの問題でもやっぱり大事なポイントでございますので、恩給の動向に従って処理さしていただきたいと、こういうふうに考えております。
  48. 占部秀男

    ○占部秀男君 最低保障の問題で、相当こまかく本法や施行法の問題、それから四十二年の改定法の問題に関連して聞きたいんですが、もう藤原さんがだいぶお聞きになっておりますから、ぼくは言いませんが、今度改定されることになると、一部に伝えられている標準世帯の生活扶助の基準より少ないなんていうのはもうなくなるわけですか、まだ残るわけですか。その点を明確にしてもらいたい。
  49. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 最低保障の問題につきましては、恩給なり、国公共済との関係を考えて改善をはからせていただきましたが、若干、やはり御指摘のような点で残るものがあるかと思います。しかし、それはやはり制度の立て方の問題でございますので、ちょっと早急には解決できませんが、たとえば昨年御指摘ありまして、厚生年金よりもむしろ年金のほうが低い層がございました。これは今度の改正で、通算特例でやれることになりましたので、そのように、もし一そういうのを少し調べまして、そういう事態になれば、やっぱりこれは考えなきゃいかぬ問題だとこういうふうに思います。
  50. 占部秀男

    ○占部秀男君 このことは、ちょっと公的年金と銘打った以上あまりにもどうもひど過ぎるんで、その点、ひとつ大臣も努力していただきたいと思います。答弁は要りません。  次に、税金の問題なんですがね。年金を非課税制度にすべきであるという問題、これはもう年金が始まって以来の問題になっていますが、これはやはりいろいろな事情があって、問題があると思います。わかるけれども、少なくとも地方公務員の大部分というものは、もうやめちまうとそう収入はないのですね。年金だけで生活しておる。せめて年金だけで生活しておる者ぐらいは非課税制度に持っていってやらぬと、食っていけないと思うんですよね。そういう点については、どうですか、何とか改善をさせるような考え方はないんですか、あるんですか、その点をひとつ。きょう今日解決つけようといったって無理ですから、よく知っておりますから、無理ですから言いませんけれども、そういう点についての努力というか、あるいは話し合いで、大蔵省との折衝とか、そういうものはあるんですか、ないんですか。
  51. 植弘親民

    政府委員植弘親民君) 先生の御指摘のとおりでございまして、これは所得税制といいますか、所得税の国民全体の権衡論の問題等もございますので、なかなか簡単にまいりませんけれども、非課税範囲拡大といったような点につきましては、共済サイドからは大蔵省にも話をしてございます。今後とも、十分それは検討さしていただきたいと思います。
  52. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 他に御発言もなければ、質疑は結局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。−別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  55. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  56. 原文兵衛

    ○原文兵衛君 私は、ただいま可決されました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、各派共同による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    昭和四十二年以後における地方公務員等共    済組合法年金の額の改定等に輪する法律    等の一部を改正する法律案に対する附帯決   議案  政府は、地方公務員共済制度現状にかんがみ、公的負担及び各種給付内容改善給与改定率によるスライド制の法制化、年金改定の早期実施、長期給付財源における賦課方式の採用、通算退職年金制度の抜本的改善について検討するとともに、次の諸点について善処すべきである。一、公務員関係共済制度に共通する基本的問題  を調整改善するための関係閣僚協議会の設置  等について検討すること。二、退職年金等の最低保障制度については、既  支給一時金の控除の廃止を含めて引き続きそ  の改善をはかるよう検討すること。三、年金制度施行前の職員期間組合員期間に  通算するための要件について、その緩和をは  かるよう検討すること。四、中高年齢で就職した者に係る退職年金等の  受給資格については、特例措置を講ずるよう  検討すること。五、休職者が復職して一年以内に退職する場合  の退職年金等算定基礎となる給料につい  ては、特別な措置を講ずるよう検討すること。六、短期任意継続組合員制度については、その  通用期間の延長及び継続組合員負担の軽減  をはかるよう検討すること。七、労働組合の非在籍専従役員共済組合員と  しての資格を継続しうるよう検討すること。八、地方公務員共済制度における運営審議会等  の委員特例措置の中に審査会の委員を含め  るよう検討すること。九、地方公共団体の条例の規定により設立され  た互助組織その他地方行政に極めて密接な関  係のある団体等の職員について、地方団体関  係団体職員共済組合制度を適用するよう検討  すること。   右決議する。以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  57. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいま原文兵衛君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  58. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 全会一致と認めます。よって、原君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、町村自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。町村自治大臣
  59. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいまいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、その実現に努力いたしたいと存じます。
  60. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  62. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 次に、地方自治法の一部を改正する法律案閣法第七一号)、地方自治法の一部を改正する法律案(衆第二三号)及び地方自治法等の一部を改正する法律案(衆第二四号)を一括議題とし、まず、地方自治法の一部を改正する法律案閣法第七一号)について、政府から趣旨説明を聴取いたします。町村自治大臣
  63. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、まず、特別区の区長の選任制度を中心とする特別区制度のあり方についての第十五次地方制度調査会の答申の趣旨にのっとり、特別区の選任方式について公選制度を採用するとともに、あわせて特別区の事務、人事等の諸制度改正し、住民により選挙された区長が適切にその責任を果たすことができるよう、規定整備を行なおうとするものであります。  さらに、一部事務組合制度の充実をはかるための改正は、最近における住民の生活圏の広域化に対応して、第十三次地方制度調査会の答申の趣旨にのっとり、市町村が、共同で総合的かつ計画的な行政を推進するための制度整備しようとするものであります。  以上のほか、地方公共団体の処理すべき事務に関する規定等につきましても、この際、整備する必要があります。  以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案要旨につきまして御説明申し上げます。  第一に、地方公共団体の処理すべき事務の例示中に公害の防止その他の環境の整備保全に関する事項、都道府県の処理する広域的な事務の例示中に上下水道事業、下水道事業及び産業廃棄物の処理に関する事項をそれぞれ加えるとともに、地方公共団体は、他の地方公共団体と協力して、住民の生活圏の広域化に対応する総合的かつ計画的な行政の運営につとめなければならないことといたしております。  第二に、特別区の区長の選任方式について公選制度を採用し、あわせて関連する諸制度整備するため、次のような規定を設けることといたしております。  その一は、昭和五十年四月から特別区の区長について公選制度を採用するものとする規定であります。  その二は、特別区の存する区域を通じて都が一体的に処理する必要がある事務を除き、特別区に、おおむね、一般の市に属する事務と同一の事務を処理させるほか、保健所を設置する市に属する事務をも処理させるための規定であります。  その三は、都区財政調整上必要な措置を講じる場合には、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するようにしなければならないとするための規定であります。  その四は、特別区への事務移譲に伴う職員の引き継ぎに関する規定及び特別区の区長に他の地方公共団体の長と同様の人事権を付与し、配属職員制度を廃止するための規定であります。  以上の改正に関連して、現に区長の職にある者及び昭和五十年三月末日までに区長が辞職または死亡したこと等により選任される区長は、その任期のいかんにかかわらず、最初の区長の統一選挙の前日まで在職することといたしました。  第三に、市町村が広域にわたる総合的な計画を作成し、その実施のために必要な連絡調整をはかり、及び、総合的かつ計画的な事務を共同して処理するために設ける市町村の一部事務組合につきまして、次のような規定を設けることといたしております。  その一は、この組合の共同処理する事務が組合を構成する市町村相互間で相違することがあっても差しつかえないものとする規定であります。  その二は、この組合の規約には、組合の作成する計画の項目を規定するほか、組合の議会の議決方法について特例を定めることができるものとする規定であります。  その三は、この組合には、管理者にかえて理事会を置くことができるものとする規定であります。  第四は、監査委員の任期の延長、行政財産の貸し付け等に関する規定及び地方公共団体の処理事務等を掲げた別表の規定改正する等、所要規定整備を行なうことといたしております。  以上が、地方自治法の一部を改正する法律案提案理由及びその趣旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  64. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員中山利生君から説明を聴取いたします。中山利生衆議院議員
  65. 中山利生

    衆議院塾員(中山利生君) ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院における修正趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  今日、交通、通信手段の目ざましい発達によって、住民の日常社会生活上の行動圏域は非常に広くなり、市町村の行政区域を越えて住民の日常社会生活圏が形づくられるに至っております。  広域市町村圏構想は、このような地域社会の変貌に対処し、住民の日常生活実態に合わせ、幾つかの市町村の共同計画によって行政施設の充実をはかろうとするものでありますが、都市化の波が至るところに押し寄せている現状から見ますならば、広域行政への要請は、いわば時代の趨勢とも言えるのであります。  しかしながら、市町村は、住民にとって最も身近な、かけがえのない基礎地方公共団体であり、広域行政の名のもとに、その自主性がそこなわれるようなことがあってはなりません。  今回の政府案による一部事務組合制度改正規定におきましては、市町村の事務等に関し、広域にわたる総合的な計画を共同して作成し、その事務の管理及び執行について必要な連絡調整をはかり、これらの事務の一部を共同処理するための市町村の一部事務組合について制度改正を行なおうとするものでありますが、この法律案規定は、基礎地方公共団体としての市町村の事務処理について、常に広域行政的な視点に立ってのみこれを行なわなければならないとの趣旨に解されるおそれがあり一適当ではないので、これを相互に関連する事務と改めることにいたしました。すなわち、今回の改正制度による場合も、市町村の事務について、その組合で共同処理する事務とするかどうかは、市町村自体が自主的かっ合理的な判断に立ってきめるべきものであるとの趣旨を明確に規定したのであります。  次に、一部事務組合は、構成市町村の協議により設けられる独立した法人格でありますが、その処理する事務が、本来構成市町村が処理する事務であるところがら、構成市町村ときわめて密接な関連を持つものでありますので、組合の議会で議決すべき事件のうち政令で定める重要なものにつきましては、組合の議決があったときはもちろん、組合の議会の議決にかけようとするときも、あらかじめこれを当該一部事務組合を組織する市町村の長に通知することに改めることとしております。  以上でございます。
  66. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 次に、地方自治法の一部を改正する法律案(衆第二三号)及び地方自治法等の一部を改正する法律案(衆第二四号)について、順次発議者から趣旨説明を聴取いたします。青柳盛雄衆議院議員
  67. 青柳盛雄

    衆議院議員(青柳盛雄君) ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案に関し、日本共産党革新共同を代表いたしまして、提案理由概要を御説明申し上げます。  東京都において、区長公選、自治権拡充の要求は、いまや保守、革新を問わず、都民の一致した要求となっております。  東京都の特別区は、昭和二十七年の地方自治法改正により、現行の区長選任制度が採用され、都区一体化をはかり、行政の統一的、能率的運営をはかる必要があるとして、一般市町村とは異なった都の内部的団体であると規定されたのであります。  それ以来、東京都の二十三の特別区の存する地域においては、東京都が市に相当する基礎的団体とみなされ、特別区は都の内部的団体とみなされているため、住民は、区長を直接選挙によって選出するという住民自治の基本原則が、市町村民に比較し、不当に制限されております。  また、特別区は、区民にきめこまかな行政サービスを提供する権限がなく、区の仕事について国や都の主導性が強く働くこと、区役所職員の半数以上を占める配属職員に対する人事権を持たず、区の組織や財政についての自主的決定が制約されるなど、自治体ならば当然処理できる諸権能を大きく制限されております。  この制度が、その後の情勢の変化と相まって、区長の長期不在など、好ましからざる状態をつくり出していることも事実であります。特別区の制度の限界と制約は、区民の諸要求に的確に対応することを困難にさせております。  以上のような状態に対し、東京都では、昭和二十七年の地方自治法改正以後、区議会や特別区住民の間において、自治権拡充を求める運動がねばり強く続けられ、昭和四十二年、練馬区における準公選運動を皮切りに、十七の区において準公選条例制定を求める直接請求が行なわれ、三つの区では準公選制度が実施されるなど、運動が前進してきております。  こうした実態を放置してきた政府は、運動の高まりに押され、第七十一国会に、地方制度調査会の答申を得て、区長の公選制採用、自治権拡充など、東京都の特別区に関する改正案を、第六十五国会で廃案となったいわゆる市町村連合法案を引き継いだ、複合事務組合に関する改正案と抱き合わせた地方自治法の一部改正案を提出したのであります。  日本共産党革新共同は、従来、地方自治権を守り、東京都民の基本的な権利を保障し、命と暮らしを守る立場から、区長公選制の実現、住民に身近な事務の区移管、区財源の確保など、区長公選を直ちに実施し、特別区の自治権を拡充すべきであると一貫して主張してまいりました。  しかるに、東京都民が強く求めている区長公選、自治権拡充が今日まで実現しなかった責任は、まさにこのような抱き合わせ法案を提出してきた政府自民党にあることは明らかであり、野党がとうてい賛成しがたい抱き合わせ法案を提出したのは、実は区長公選の実現を不可能にするためのものであると言わざるを得ないのであります。  政府・自民党が真に区長公選を実現する意思があるならば、すべての政党が賛成できる区長公選、自治権拡充を、野党に反対のあるいわゆる市町村連合との抱き合わせにせずに、独自の法案として提出すべきであります。  この立場から、今国会において、都民の一致した要求であり、基本的には与野党が一致している区長公選制、特別区の自治権拡充を実現するために、本法案を提出した次第であります。  次に、法案概要について御説明申し上げます。  第一に、特別区の区長の選任方法について直ちに公選制度を採用することとし、区長の任期終了に伴う選挙は公選制により実施するとともに、議会選任による区長について、昭和五十年に行なう一斉選挙の日以後任期を満了するものについては、任期を一斉選挙の前日までとし、一斉選挙を実施することとした次第であります。  第二に、特別区の存する地域におきましては、特別区の自治権を拡充するため、廃棄物、公共下水道、消防等に関する事務並びに法律またはこれに基づく政令により特に定める事務を除き、おおむね、一般市に属する事務及び保健所に関する事務のうち政令で特別の定めをする事務を除き特別区に移管することとし、必要な規定等を設けることといたしております。  第三に、区財政の確保をはかり、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を保障するために、都区財政調整上必要な措置を講じなければならないことといたしました。  第四に、配属職員制度を廃止することといたしました。廃止にあたっては、都、区及び関係職員の間で協議が整った日に廃止することとし、廃止の日を政令で定めることとし、必要な規定を設けることとしております。  以上が、地方自治法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  68. 久保田藤麿

  69. 井岡大治

    衆議院議員井岡大治君) ただいま議題となりました地方自治法等の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表して、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  本法案は、自民党政府案の複合事務組合に関する規定を全面的に削除し、勤労国民の要求に早急にこたえるため、特別区の区長公選の実施と、地方自治法附則第八条の改正を主たる内容とするものであります。  まず第一に、一千万人都民が長年要求してきました特別区の区長公選制を早急に複活、実現する問題について申し上げます。  昭和二十七年の自民党政府による地方自治法の改悪によって公選制が廃止されて以来、日本社会党は一千万都民とともに公選制の複活を要求し、あわせて準公選運動を展開してきました。今日、この運動は、品川区において革新区長を誕生させるとともに、第十五次地方制度調査会においても、公選制の実施の答申となって大きく結実しております。  ところが、自民党政府は、区長公選制に一応賛成するかのポーズをとりつつも、他方では、日本社会党をはじめ、全国の自治体関係者が強く反対してきた一部事務組合の複合化と抱き合わせの法改正案を提出することで区長公選の実現を妨害しております。広域行政の美名のもとに、全国の市町村を再編、合理化し、将来の道州制に道を開く一部事務組合の複合化は、地方自治を根底から破壊するものであり、一千万都民の要求を逆手にとるこうした自民党政府措置は、きわめて遺憾なことと言わねばなりません。したがって、区長公選について一千万都民の要求にこたえるためすみやかに実施する必要があります。  第二は、地方事務官制度の問題であります。地方自治法附則第八条は、昭和二十二年に同法が制定された当時の暫定措置として、都道府県職員のうち政令で定めるものは当分の間これを官吏とする、と規定しております。このため、都道府県職員のうち、社会保険、国民年金、職業安定の業務に従事する職員、いわゆる地方事務官は、同法の規定を受け、国家公務員たる身分のまま今日に至っております。したがって、現在、都道府県職員として勤務する者の中には、国家公務員身分の者が混在しているわけでありますが、こうした実態は、都道府県知事の指揮監督権にもかかわる問題であり、地方自治を侵すものであります。  自民党政府は、これまで再三再四、この問題の解決を言明し、今国会における自治大臣の所信表明においても確約されているところであります。にもかかわらず、各省庁のセクショナリズムによって反対されている実態は、まことに遺憾なことであります。したがって、この際、地方事務官制度についても早急に廃止する必要があります。  以上が、本法案提案理由であります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一は、特別区の区長公選方式について公選制度とし、あわせて関連する諸制度整備するため、次のような規定を設けることといたしております。  その一は、区長公選制度については、本法案公布の日から三月を経過した日から施行するとともに、五十年四月以降任期を有する特別区の区長については、五十年四月一日以降三月をこえない範囲において政令で定める日に選挙を行なうこととしております。  その二は、特別区の存する区域を通じて都が一体的に処理する必要がある事務を除き、特別区は、おおむね、一般の市に属する事務と同一の事務を処理することといたしております。  その三は、保健所の事務についてであります。特別区は、保健所を設置する市に属する事務を処理するといたしておりますが、都知事と各特別区の区長とが協議して定めるまでの間は、または都知事が処理するものとして、都、特別区の実態にかんがみ、経過措置を設けております。  その四は、都区財源調整上必要な措置を講ずる場合には、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するようにしなければならないとするための規定であります。  その五は、特別区への事務移譲に伴う職員の引き継ぎに関する規定及び特別区の区長に他の地方公共団体の長と同様の人事権を付与し、配属職員制度を廃止するための規定であります。  第二は、地方自治法附則第八条に関する改正であります。  その一は、地方自治法附則第八条に基づく政令事務の範囲を、道路運送法、道路運送車両法等の施行に関する事務に限定いたしました。  その二は、現在の公共職業安定所を都道府県の機関とすることといたしました。  その三は、この法律の施行に際し、新たに都道府県職員となる者が受ける給料が、従来の国家公務員としての俸給を下回る場合には、都道府県は、調整のため手当を支給すべきものといたしました。  その四は、社会保険審査官及び失業保険審査官につきましては、審査事務が各都道府県で異なることは望ましくありませんので、従来どおり国家公務員とすることにいたしました。  なお、本改正は、昭和五十年四月一日より施行することといたしております。  第三は、監査委員の任期の延長、行政財産の貸し付け等に関して所要改正をいたしております。  以上が、本法案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  70. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  71. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 委員異動について御報告いたします。  本日、永野鎮雄君が委員辞任され、その補欠として橘直治君が選任されました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会      —————・—————