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衆議院議員(
井岡大治君) ただいま
議題となりました
地方自治法等の一部を
改正する
法律案につきまして、
日本社会党を代表して、その
提案理由及び
要旨を御
説明申し上げます。
本
法案は、自民党
政府案の複合事務
組合に関する
規定を全面的に削除し、
勤労国民の要求に早急にこたえるため、特別区の区長公選の実施と、
地方自治法附則第八条の
改正を主たる
内容とするものであります。
まず第一に、一千万人都民が長年要求してきました特別区の区長公選制を早急に複活、実現する問題について申し上げます。
昭和二十七年の自民党
政府による
地方自治法の改悪によって公選制が廃止されて以来、
日本社会党は一千万都民とともに公選制の複活を要求し、あわせて準公選運動を展開してきました。今日、この運動は、品川区において革新区長を誕生させるとともに、第十五次地方
制度調査会においても、公選制の実施の答申となって大きく結実しております。
ところが、自民党
政府は、区長公選制に一応賛成するかのポーズをとりつつも、他方では、
日本社会党をはじめ、全国の自治体関係者が強く反対してきた一部事務
組合の複合化と抱き合わせの法
改正案を提出することで区長公選の実現を妨害しております。広域行政の美名のもとに、全国の市
町村を再編、合理化し、将来の道州制に道を開く一部事務
組合の複合化は、地方自治を根底から破壊するものであり、一千万都民の要求を逆手にとるこうした自民党
政府の
措置は、きわめて遺憾なことと言わねばなりません。したがって、区長公選について一千万都民の要求にこたえるためすみやかに実施する必要があります。
第二は、地方事務官
制度の問題であります。
地方自治法附則第八条は、
昭和二十二年に同法が制定された当時の暫定
措置として、都道府県
職員のうち政令で定めるものは当分の間これを官吏とする、と
規定しております。このため、都道府県
職員のうち、社会保険、国民
年金、職業安定の業務に従事する
職員、いわゆる地方事務官は、同法の
規定を受け、国家
公務員たる身分のまま今日に至っております。したがって、現在、都道府県
職員として勤務する者の中には、国家
公務員身分の者が混在しているわけでありますが、こうした
実態は、都道府県知事の指揮監督権にもかかわる問題であり、地方自治を侵すものであります。
自民党
政府は、これまで再三再四、この問題の解決を言明し、今
国会における自治大臣の所信表明においても確約されているところであります。にもかかわらず、各省庁のセクショナリズムによって反対されている
実態は、まことに遺憾なことであります。したがって、この際、地方事務官
制度についても早急に廃止する必要があります。
以上が、本
法案の
提案理由であります。
次に、その
要旨を御
説明申し上げます。
第一は、特別区の区長公選方式について公選
制度とし、あわせて関連する諸
制度を
整備するため、次のような
規定を設けることといたしております。
その一は、区長公選
制度については、本
法案公布の日から三月を経過した日から施行するとともに、五十年四月以降任期を有する特別区の区長については、五十年四月一日以降三月をこえない
範囲において政令で定める日に選挙を行なうこととしております。
その二は、特別区の存する区域を通じて都が一体的に処理する必要がある事務を除き、特別区は、おおむね、一般の市に属する事務と同一の事務を処理することといたしております。
その三は、保健所の事務についてであります。特別区は、保健所を設置する市に属する事務を処理するといたしておりますが、都知事と各特別区の区長とが協議して定めるまでの間は、または都知事が処理するものとして、都、特別区の
実態にかんがみ、
経過措置を設けております。
その四は、都区財源調整上必要な
措置を講ずる場合には、特別区の行政の自主的かつ計画的な
運営を確保するようにしなければならないとするための
規定であります。
その五は、特別区への事務移譲に伴う
職員の引き継ぎに関する
規定及び特別区の区長に他の
地方公共団体の長と同様の人事権を付与し、配属
職員制度を廃止するための
規定であります。
第二は、
地方自治法附則第八条に関する
改正であります。
その一は、
地方自治法附則第八条に基づく政令事務の
範囲を、道路運送法、道路運送車両法等の施行に関する事務に限定いたしました。
その二は、現在の公共職業安定所を都道府県の機関とすることといたしました。
その三は、この法律の施行に際し、新たに都道府県
職員となる者が受ける
給料が、従来の国家
公務員としての俸給を下回る場合には、都道府県は、調整のため手当を
支給すべきものといたしました。
その四は、社会保険審査官及び失業保険審査官につきましては、審査事務が各都道府県で異なることは望ましくありませんので、従来どおり国家
公務員とすることにいたしました。
なお、本
改正は、
昭和五十年四月一日より施行することといたしております。
第三は、監査
委員の任期の延長、行政財産の貸し付け等に関して
所要の
改正をいたしております。
以上が、本
法案の
提案理由及びその
要旨であります。
何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。