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1974-05-07 第72回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月七日(火曜日)    午前十時四十六分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     亀井 善彰君      嶋崎  均君     塚田十一郎君      片山 正英君     星野 重次君      鍋島 直紹君     中山 太郎君  四月二十六日     辞任         補欠選任      亀井 善彰君     高橋 邦雄君      星野 重次君     片山 正英君      塚田十一郎君     斎藤 寿夫君      河本嘉久蔵君     増田  盛君  五月七日     辞任         補欠選任      中山 太郎君     鍋島 直紹君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         久保田藤麿君     理 事                 高橋 邦雄君                 原 文兵衛君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 小山邦太郎君                 柴立 芳文君                 鍋島 直紹君                 松永 忠二君                 村尾 重雄君    国務大臣        自 治 大 臣  町村 金五君    政府委員        文部省管理局長  安嶋  彌君        建設大臣官房長  高橋 弘篤君        自治大臣官房長  山本  悟君        自治大臣官房審        議官       近藤 隆之君        自治省財務局長  松浦  功君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十五日、嶋崎均君及び鍋島直紹君委員辞任され、その補欠として塚田十一郎君及び中山太郎君が選任されました。  また、四月二十六日、塚田十一郎君及び河本嘉久蔵君が委員辞任され、その補欠として斎藤寿夫君及び増田盛君が選任されました。  本日、中山太郎君が委員辞任され、その補欠として鍋島直紹君選任されました。     ―――――――――――――
  3. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 理事補欠選任についておはかりいたします。  高橋邦雄君の委員異動に伴い、理事に欠員が生じておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事高橋邦雄君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 松永忠二

    松永忠二君 地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由の中に、「地方財政状況にかんがみ、地方交付税の総額について特例を設ける等の必要があります」と、こういう説明でありましたが、これはどういう理由でありますか。
  7. 町村金五

    国務大臣町村金五君) このたびの地方交付税法の一部を改正する法律案につきましては、提案理由を御説明を申し上げたところでも、千六百七十九億六千万円の減額措置をするということをいたしたわけでございます。このことは、御承知のように、本年度におきまする地方財政計画全体を、この予算編成のときにあたりまして、御承知のように、本年度は総需要抑制という立場から、公共事業等についてはかなりこれを圧縮を行ない、これによりましていわゆるインフレを鎮静をさせるということをまず第一の主眼としてこのたびの予算編成が行なわれたわけでございますので、そういった観点から、本年度地方財政支出というものは、一面かなり減額をされる要素というものがあるわけでございます。もちろん、こういった高物価の時代でありまするので、できるだけ地方財政における生活関連施設等については、できるだけ必要なものはこれは計上をするということは当然でございますけれども、一番大きな公共事業が、少なくとも予算面におきましては、ほぼ四十八年度並みというように圧縮を加えたわけでございまするし、他面、地方財政地方税収入等伸びもこれは相当に増額が期待をされる、すなわち、本年度におきましては、かりにそういったような情勢あれこれ勘案をいたしますると、約千六百八十億円の減額をいたしましても、なお、前年度に比べまして交付税は、国税三税の伸びによりまして、減額をいたしましてもなおかつ五千億円余の増額が見込まれる、そういったような状況でございまするので、御承知のように、すでに交付税会計といたしましてはちょうど約千六百八千億円程度借り入れ金をいたしておる。これを本年度減額をいたしましても、地方財政の運営に支障を来たすことはない、かような判断のもとに今回この措置を講じたということでございます。
  8. 松永忠二

    松永忠二君 それがはたして実際どうであるかというところに問題があると思うわけでありますが、質問を少し進めて、当初予算で、都道府県普通会計市町村普通会計がいわゆる地方財政計画にある一九・四%の伸び以上に伸びている都道府県市町村一体どのくらいあるのか。また、この普通会計企業会計を含めて、平年平均伸びがこの一九・四%をこえている県はどのくらいあるのか、市町村はどうなのか。それをひとつ。
  9. 松浦功

    政府委員松浦功君) 市町村につきましてはまだそういった集計、統計ができておりませんので、お答えの申しようがございませんが、府県の分につきまして見ますならば、おおむね一九・四%の伸び以下に押えておる。平均いたしますと一五・八%の伸びということになっております。ある数県におきましては非常に伸び率が高くなっている県もございますが……。
  10. 松永忠二

    松永忠二君 その県の数を言ってごらんなさい。
  11. 松浦功

    政府委員松浦功君) 二〇%をこえております県は二県でございます。一九・四%という県が一県ございます。
  12. 松永忠二

    松永忠二君 市町村普通会計についてまだ資料がないというのは少しおそいじゃないですか。これは実情はどんなでしょうか。どう見ていますか。
  13. 松浦功

    政府委員松浦功君) 市町村につきましては、府県ほど直接に私どもにいろいろ御相談があるわけではございませんで、府県で集計いただいておるものを私のほうでちょうだいいたしまして、一応の見通しを立ててみたいと思っておる段階でございます。県の場合とあまり大きな違いはないのではなかろうかという推測をいたしております。
  14. 松永忠二

    松永忠二君 私は市町村については必ずしもそうではないと思いますがね。われわれの知っている範囲でも、一九・四%以上をこしたものを相当出していることは事実なんです。都道府県は、数も少ないし、自治省の、ある意味では監視の目も相当きいておるけれども市町村については、むしろ、実情はそう必ずしも言っているような一九・四%増にとどまっているというばかりではないと私たちは見ているわけです。これはむしろ市町村関係がないのじゃなくて、市町村についてもそういう資料を整備しておくということが必要だと思います。  そこで、四十八年度単価是正をして、その上で交付税措置をした、いわゆる単価手直し裏負担をしているものは一体どういうものなんですか。
  15. 松浦功

    政府委員松浦功君) 四十八年に――御指摘をいただいているのは公共事業費単価であろうかと思いますが、単価補正年度の途中で三度行なわれております。二回目までのものは補正予算で行なわれております。そのときにまとめまして、普通交付税採算点、これを通じて措置をいたしました。三次につきましては、一月に行なわれたわけでございます。政府部内としてはおよそ見当をつけておりましたので、それらのものは特別交付税包括算入という形で算入をいたして措置をいたした、こういう次第でございます。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いたのは、そういうふうなことをやっている公共事業の――全部にやっているわけではないのであって、どういう費目についてやっているのですか。
  17. 松浦功

    政府委員松浦功君) 国の公共事業単価改定が行なわれたものについてすべてやっております。
  18. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、たとえば建設省関係で、単価を八月、それからまた補正の際、三月と、こうやっておりますけれども、こういうものについても全部やっているんですか。
  19. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御承知のように、交付税の中に算入すべきものと算入すべきでないものとがございます。算入すべきものについてはすべてやっております。
  20. 松永忠二

    松永忠二君 それをもう少し――算入すべきものというのは一体どういう項目のものについてですか。
  21. 松浦功

    政府委員松浦功君) たとえば住宅のようなもの、これは交付税算入にはなじまないものでございますので、これは入れておりません。そのほかの、学校でございますとか保育所でございますとか、そういったものの建物のたぐい、そういったものは、一切、単価改定が行なわれたものについては財政措置をいたしたつもりでございます。
  22. 松永忠二

    松永忠二君 あれじゃないんですか、文教施設福祉関係のものについて、つまり単価是正をやったものについて、その裏づけとしての予算化も、予算補正すると一緒に、交付税のほうで裏づけをして見ているのは、文教施設福祉関係のものだけじゃないんですか。そういうふうな意味で、単価是正をしたと、したがって、事業量を確保するために予算補正をして、同時にその裏づけとしての交付税改定をするということをやっているのは、これは文教施設福祉施設関係のものだけじゃないんですか。たとえば建設省道路とか、そういうものも全部そういうことをやっているんですか。
  23. 松浦功

    政府委員松浦功君) この点につきましては、建設省のほうからもおいででございますので、詳しいことはそちらからお話があるかと思いますが、道路等につきましては、単価の値上がりを、千メートル工事実施するところを九百メートルに縮めるという形で、事業量圧縮単価のアッブをやっておるところ、そういうものについては交付税では措置は要らないわけでございます。千メートル分の安い単価交付税のものは入っておりますので、これを九百メートルに直しまして、上がった単価交付税でやれるという計算になります。単価改定が行なわれたものについてのみ交付税措置をしておる、その意味で先ほど来申し上げておるところでございます。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 私の言ったのは、そういうふうに単価是正をやって、予算的な補正もつけて、しかも交付税のほうでもその裏づけをした、こういうものは一体事業の中の何と何なんだかということを聞いているわけです。だから、道路のようなものについては、結局、単価についても改定をしたことは事実である、しかし、事業量圧縮をしてそして置いてある。したがって、その裏づけとしては、この交付税のほうではめんどう見る必要はないので、九割になったから、九割のものについては、これ単価是正をしてあっても裏づけを見てあるから、それは裏づけをしていない。私の言っているのは、そうじゃなくて、単価是正した、そのために補正もつけた、予算裏づけをした、したがって、交付税のほうでも、その裏づけをつけるために単価是正を、交付税改定をやっている、そういうものは何と何なんだということを聞いているのですよ。
  25. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先生御指摘いただきましたように、社会福祉文教関係に尽きるかと思います。  これも蛇足になるかもしれませんが、交付税といたしましては、その他の単独事業にも単価アップという問題があるかと存じます。たとえば庁舎あるいは出張所、そういったものにつきましては、その他の諸費で、交付税の中に公共事業並み単価アップを織り込むという措置を講じておりますことをつけ加えさしておいていただきます。
  26. 松永忠二

    松永忠二君 だから、私の質問していることは、いま最後にあなたが答えたことだぐらいのことはおわかりでしょう、そんなものはもう。一体財政局長なんか、そんなことはわかり切っているじゃないですか。何で初めからそういうことを言わぬのですかね。文教関係福祉関係については、単価是正をした際に補正してちゃんと予算もつけたし、それに対して交付税改定もやっている。しかし、そのほかのものについては、これは単価が直った場合においても、手直しをした場合においても、それは事業量を縮めておいて、そして別に交付税のほうはいわゆる裏づけはない、してないわけです。そういうものが結果的にはどういうことになるかというと、地方における公共事業というものの事業量が減ってくるわけでしょう。それを問題にしているわけですよ。だから、国が予定したような事業量をきちっとやっているのは、要するに文教施設福祉関係だけですということですよ、私の聞いてるのは。そんなことを聞いているくらいのことは、あなたよくおわかりでしょう。もっと簡単に聞いたことをお答えをいただきたい。  そこで、建設省のほうに伺いますけれども建設省関係で、四十八年度補助単価を八月と補正と三月の際にやった、大体三〇・八%だと、こう言っているわけですが、どのくらいの事業量建設省関係では減っておるんですか、これをひとつ。
  27. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 先生の御質問、先ほどからお伺いしておりまして、私のほうは二点に分けて御説明したほうがわかりやすいと思います。  一点は、道路その他の公共土木事業、これは先ほど自治省からも説明がありましたように、これにつきましては、いわゆる他事業の流用または事業内容の変更という措置によりまして、いわゆるスライド条項適用ということにいたした次第でございまして、この金額、これはなかなか把握しにくいわけでございますが、大体五百億から六百億というふうに私ども推定いたしております。  それから、公営住宅につきましては、御承知のように、これは標準建設費制度をとっております。そういう単価をきめておりますから、それにつきましては、これも御承知のように、昨年の六月、十月、ことしの三月初め、三回単価改定をいたしました。これは大体累計しますと三六%の増ということになっておる次第でございます。これもお金が非常に把握しにくいんですが、百億を大体こえるんじゃないかと思います。戸数にしまして大体二万戸足らずになろうかと考えます。公営住宅につきましても一応国費では私ども措置いたしておる次第でございます。
  28. 松永忠二

    松永忠二君 道路についていうと五百億ないし六百億というお話がありましたね。
  29. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 先ほど申し上げましたように、道路だけじゃございません。道路等公共土木事業でございます。
  30. 松永忠二

    松永忠二君 その道路等公共土木事業で五百億と六百億というのは、事業量からいうとどのくらいの減少になるんでしょうか。
  31. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) 御承知のように――先生、これは公共土木事業のことは御承知のことと思いますが、この事業量推定は非常にむずかしゅうございまして、その各事業によりまして使用資材が違います。そうしますと、その単価がどのくらい変わるかということも違ってきます。また、改良事業とかそれから舗装事業でも、その場所によって非常にこれは違うものですから、これはどのくらいの事業量がどうだということを簡単に申し上げるようなわけにいかないわけでございまして、私どももそういう資料はないわけでございます。が、私ども昨年の公共土木事業スライド条項適用にあたりましては、残工事方式ということを基準日をきめまして、それ以降のものについてでございましたが、それ以降の残工事の中では大体これは一〇%――一割ですね――近くというふうに私ども考えておる次第でございます。
  32. 松永忠二

    松永忠二君 金額で五百億ないし六百億、住宅なんかでいうと二万戸ぐらいというお話が出ていましたね。それくらいまあ要するに減ってきている、事業が減ってきていることは事実なんだね。だから、実際には、その地方自治団体が要望している仕事で、まあ事業量も減らないで出てきたのは、要するに文教施設福祉関係のことだけであって、それについては交付税もちゃんとめんどうを見てあるけれども、こっちのほうは事業量が減って、結果的には地方仕事が減っちゃってきているということなんです。  それじゃ今度は、四十八年度繰り越し事業の量というのは一体どのくらいなんですか。これは五月末まででその事務を締めていくから、大体推定でありますけれども一体結果的にはどのくらい、何%くらい繰り越しになっているんですか。これは自治省のほう。
  33. 松浦功

    政府委員松浦功君) まだ十分な調査は行なわれておらないのでございますが、大体都道府県分で五千億程度というふうに推計をいたしております。
  34. 松永忠二

    松永忠二君 まあ公共事業繰り延べ分は、もう少し――その都道府県市町村を入れて大体どのくらいのパーセントの繰り延べになるんですか。
  35. 松浦功

    政府委員松浦功君) 公共事業費のいわゆる繰り延べのほうは各省でつかめますが、単独事業のほうが必ずしもまだ明確になっておりませんので、私どもとして自信を持って申し上げる数字は持ち合わせておりません。
  36. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃ府県公共事業費は、大体何%ぐらいの繰り延べに結果的にはなると推定をしているんですか。あなたがわかると言った、そっちを聞かしてください。
  37. 松浦功

    政府委員松浦功君) 大体七、八%ではないかという推定を立てておりますが。
  38. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、だいぶここに書いてあるいろんな記事なんかと違いますね。まあ一番先に、四十八年九月七日に閣議決定で八%の繰り延べをやったわけでしょう、閣議決定。八%も実行できていないんですか、あなたがおっしゃったようなことになると。だから、いわゆる繰り越し、そういうものを四十八年度府県予算公共事業関係に対して平均一四・二%という繰り越し率は大体ある、しかし、五月までにいろいろな事故繰り越しの追加があって、最終的には一六%前後の繰り越し率になると見ているという、これは全くの誤りですか。
  39. 松浦功

    政府委員松浦功君) 国の繰り延べも、八%というのは一般でございまして、教育とか社会福祉とか、そういったものについては、四%とか、あるいは繰り延べをしないとか、そういうやり方も含まれております。そういった点から――日経の記事をお指しいただいておるのかと思いますが、どうもこの繰り延べがどういう繰り延べであるのか、その辺が私どもには、府県やり方にいろいろやり方があるものでございますから、私どもとしては自信が持てない。まあ大体単独事業国並みに押えてくれているだろうという推計を立ててそういうふうに申し上げたわけでございます。
  40. 松永忠二

    松永忠二君 単独事業を入れて大体どのくらいの繰り延べがあると見ているのですか、都道府県については。
  41. 松浦功

    政府委員松浦功君) 単独事業を入れまして七%から八%ぐらいではなかろうかという推計でございます。公共事業だけでございますと、教育とか社会福祉とか、これは繰り延べ率が非常に少のうございますので、それだけでは、それだけの率を若干下回ることになりはせぬかというふうに考えております。
  42. 松永忠二

    松永忠二君 まあ私、問題にしたのは、何か財政的に余裕ができてきているというような大臣説明もあったけれども、実際には、いわゆる単価是正をやってみたところが、事業量が結果的に減って、公共事業事業量は少なくなる。その上繰り延べもきている。何のことはない、ただ事業をやらないから、それだけは結局水準が下がってきているということになるのであって、ただ事業をやらないという意味の、そういう内容自身に問題があるということを私は考えてお聞きをした。まあとにかく、事業量公共事業関係で相当やっぱり減ってきていると思いますし、また、繰り越しも相当されている。したがって、地方では、いわゆる必要な公共事業というものが実際には割合を下げて実施をされている状況にある。だから、要望に沿うだけの公共事業もできてないという状況ではないか。ことしは、一体単価のいわゆる手直しであるとかあるいはまた繰り越しとかというような問題については、どういうふうな見通しを持っているんでしょうか。
  43. 松浦功

    政府委員松浦功君) まず単価の問題でございますが、四十九年度予算編成の時期にあたりましては、各省が、十分にこれまでの経験的な事実を生かされて要求を大蔵省にしておったようでございますが、私どもといたしましては、交付税減額等ともからみまして、これらの金をできるだけ超過負担の解消に充ててくれるようにということを大蔵省にもお願いをし、ある程度どもが納得できる単価予算編成をいただいたつもりでおりましたが、その後の経済の推移に伴いまして、現在きめられております四十九年度単価ではたして事業がまっとうに実施できるかどうか。まあこれからの経済情勢にもよると思いますが、いろいろ問題もあろうかと思っております。実際に実施にあたりまして、かりに単価がどうしても低過ぎて現実に合わないというような事態がございますれば、関係各省単価是正をお願いする等、地方公共団体がこれらの事業実施にあたって困難を来たさないように、自治省としては努力をする責めがあるというふうに考えております。  それから、繰り越しの問題につきましては、現在の段階では私どもにはかいもく見当がつきませんが、少なくとも国は、第一四半期におきましてはできるだけ事業の執行を抑制するという方向をすでに打ち出しております。自治省といたしましては、この国の方向を受けて、地方公共団体にこれらの旨を連絡を申し上げておるところでございますが、あとは、後半になりまして、事業繰り越しが出るのかあるいは事業繰り越しが出ないのか、それは今後の経済状況次第であろうかというふうに私どもは見ておるところでございます。
  44. 松永忠二

    松永忠二君 で、その次に、本年度一般会計公共事業費というのが、四十九年度二兆八千四百七億、前年度と同じような公共事業費。で、これが予算委員会とかいろいろなところで説明をするところによると、四十七年の二兆一千四百八十四億に匹敵するものだと、大体事業量において。したがって、事業量についていうと、大体三〇%減ということであるというような説明をしているわけですね。したがって、公共事業費についていえば、二兆八千四百七億という前年同様の金額が出ているけれども、事実上事業量は三〇%減っているということになるんだと、こう言っているんだが、地方財政計画の中の公共事業費は三・七%伸びて三兆三千百四十億になっているわけですが、前年に比べると三・七%の伸び金額的にはなっているけれども、こういうふうに考えると、事業量減少というのは一体どのくらいの割合だと推定をしているんでしょうか。
  45. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方財政計画の中に占めます、先生先ほど御指摘いただきました文教社会福祉施設、こういった関係がわりあいウエートが高いので、国の公共事業費伸び率が違って出てまいっているかと思います。そして、地方財政計画公共事業費の中で、文教社会福祉、こういったものが相当重点的に国の予算との関連において伸ばされておりますので、まあいわば四十七年度から、予算単価で申しますならば一四五%程度、全体の公共事業費の、特に建設関係単価伸びておりますが、それに対しまして、文教施設で申しますと八五%、それから社会福祉で申しますと一二二%、こういう伸びを四十七年から示しております。この数字から逆算をいたして考えていきますと、先生がおっしゃった、四十八年の単価と四十九年の単価は約三〇%違っておるわけであります。それを逆算でいきますと、社会福祉あるいは文教施設等は大体四十八年度事業量を消化できるんじゃなかろうか。その他のものは、予算委員会説明がございましたとおり、四十七年並み事業量の消化しかできないのではなかろうか、大体そういう推測をつけております。
  46. 松永忠二

    松永忠二君 地方単独事業費というのが、一般事業費と特別事業費と合わせて二兆七千三百八十六億、前年と比べて一〇・七%の増ということになっておりますが、このほうの事業量というのはどのくらいの減少になると見ているんですか。
  47. 松浦功

    政府委員松浦功君) 特に単独事業費につきましては、地方財政計画を作成するにあたりまして、社会福祉関係文教関係、こういったものの単独事業費は極力伸ばすという方向で組んでおりますので、地方単独事業につきましては、社会福祉文教関係、こういったたぐいのものは、四十八年度ペースの事業量は執行は可能だろうと考えておりますが、その他のものは、四十七年度並みを少し上回る程度ではなかろうか。特に町村道等につきましては、国の道路とは違いまして、過疎等の道路もございますので、こういったものも相当積み上げておりますので、これは四十七年度と四十八年度の中間ぐらいのところまでは事業実施できるのではなかろうか、こういうふうに推測をいたしております。
  48. 松永忠二

    松永忠二君 次に、国の予算一般会計と特別会計、政府関係機関の予算を見ると、実際には二〇・四%伸びているわけですね。要するに、国では、一六・七%ですか、一般会計では伸びだと、そう言っているけれども、実際において一般会計と特別会計、それから政府機関の歳出の純計というのを当初ベースに比較してみると、二〇・四%ふえているわけなんです。一体地方自治体において、普通会計企業会計合わせて、これと同じように何%純計で伸びているというふうに見ているのかな。
  49. 松浦功

    政府委員松浦功君) どうも申しわけないのでございますが、その辺のところはまだ地方公共団体からの数字をいただいておりませんので、明確にお答えを申し上げかねますが、たとえば水道あるいは病院、こういったものにつきましては、経常経費のほかに、地方債で臨時的な経費をまかなうことは先生承知のとおりでございます。地方債等につきましても、ほかの地方債につきましては前年並みにしているにもかかわらず、病院あるいは水道、こういったものについては二五%ないし三〇%の地方債の増額をはかっております。そういう意味では、むしろ一般会計より特別会計のほうが伸びが多い場合のほうが多いのではなかろうかという推計をいたしております。
  50. 松永忠二

    松永忠二君 これはどういうことになっているのですか。私もよくあれですけれども一体普通会計企業会計を一緒にして純計で事業量伸びを実際出しているのかどうなのか。それからまた、地方財政計画の中に公営企業繰り出し金というのが三千五百五億ばかりあるわけですけれども普通会計企業会計企業会計の準企業会計を含めてこれがはっきりどのぐらい事業量があるのか、そういうことは全然地方財政計画の中で予定をしてないのですか。これは私はちょっとこういう点においては、国の会計において、いままで財政投融資というものを別に込みにして予算説明していたのを、これは財政投融資を別個にして、そしてこれも国会に報告をして承認をするという形をとってきたわけだよね。したがって、その財政投融資というものは非常によくはっきりだんだんわかってくるような形をとってきたんですが、地方財政計画の中にも、普通会計企業会計というのは一体どういう、積算してどのくらいになるのか、純計でどのくらい一体伸びていくのかという、そういうようなことはちっとも私たち地方財政計画を見てもわからない。ところが、いまお話があったように、実際は普通会計と特別会計を入れなければ――企業会計入れなければ、実際の事業量というものはわかりはしないわけですね。財政に対する見通しの影響というようなものについてだってそういう見方をしない限りはわからないわけなんですね。こういう地方財政計画やり方というのは一体いいものなのでしょうか。私はもう少し企業会計というものと普通会計というものを明確にして、企業会計についてもう少し明確にしておく必要があるのじゃないか。つまり、収益勘定繰り出し金とか、資本勘定出資金というふうな、こういう程度のことでやってあるけれども、公営企業、準公営企業というものが地方でどういうふうにして計画的にやられていくであろうか、そういうことを含めて地方財政計画というものを立てなけりゃ意味がないのじゃないかというような感じを持つんですが、おやりになっているあなた方としては、そういう必要は毛頭ない、これでよくわかるんだというようなお考えでしょうか。これのひとつお考えを少し聞かしてください。
  51. 松浦功

    政府委員松浦功君) 御承知のように、公営企業は原則として企業収入をもって充てるという形になっておりますので、これは一つの地方団体における財政の一部だというふうに私どもは考えておりますが、これは国と地方団体との間における財源配分というものとは直持関係がないわけでございます。そういう意味で、これまでも地方財政計画の中にはおよそ公営企業というものは無関係でおったわけでございます。それはそれで一つの考え方であろうかと私も存じておりますが、最近に至りまして、公営企業にいろいろ問題が生じてきておる。そのために、公営企業法の定める範囲において一般会計が公営企業に金額を繰り入れるということの必要を認め、財政計画に繰り出し金を計上するという形をとってまいっております。したがって、その繰り出し金の金額に関する部分においては国と地方との財源配分の問題財源措置の問題という問題と関係してまいりますので、その部分は財政計画に計上をさせていただいた、そしてはたして収支が償うかどうかということを見さしていただいておるというのが現実でございます。もちろん、一切のある年度の決算が終わりまして、繰り出し金がどれだけあるかということで、全体の公共投資ということを考える場合においては、先生がおっしゃられるように、純計を出して、一体、公共投資に関する部分がどれだけあったかということを見出すということは必要かと思いますが、現在の地方財政計画のもとにおいてはそういう仕組みはとっておりません。ただ、いろいろ適債事業になる分野が公営企業、準公営企業会計にもございます。それらは、地方債計画の中で国の投融資との関連においていろいろと検討をされているという形でございますので、いまの行き方は一つの方法であろうと私どもは考えております。
  52. 松永忠二

    松永忠二君 大臣ちょっと聞きますがね。いまのことですがね、一つの行き方として、資金的な面でこういうふうなことを、そういう資金の上でどうなっているかというようなことは地方財政計画でわかるわけですよね。しかし、公営企業なり、準公営企業の全体の全貌というものはわからない。それからまた、公営企業会計普通会計のいわゆる純計ベースのものは出していないというような、出せない、そういうようなことでは、国の予算と同じように、地方予算という中で占める企業会計の位置というのは非常に高いということであるし、それからまた、そういう全貌を明らかにするということが地方財政計画に必要だと私たちは思うのです、しろうと考えでしょうがね。こういう点について、やはりいまのやり方で非常によくわかるというようにお考えでしょうか。何か考え方がないものなのかということを感ずるのですが、自治大臣はどうお考えでしょう。
  53. 松浦功

    政府委員松浦功君) ちょっと申しわけございませんでしたが、国の財政投融資でございますと、国鉄とか、非常に限られたところでございますから、それぞれの明年度における企業の活動というものをどの程度にするかということは、大蔵省との間で折衝されてある程度数字がつかめます。地方公共団体の公営企業なり、準公営企業というのは、御承知のように、非常に数が多うございまして、それを自治省が一々地方団体の意見を聞いてつくったんではこれはぐあいが悪いだろうと思います。技術的にも非常に困難であろうかと思います。しかしながら、そういうただいま先生の御指摘をいただいたような点を考えまして、毎年度、公営企業につきましては、決算の際に決算統計をとりまして、一体地方団体全体の純計というものがどれだけになっているか、そのうち公共投資がどのくらいになっておるかということは、決算の時期に明らかにするという方式をこれまでもとっておるわけでございます。先生から御指摘をいただきましたように、地方財政計画の中に現実の地方公営企業を推計で組み入れるということは、私どもは技術的に不可能であろうというふうに考えております。
  54. 松永忠二

    松永忠二君 もう少しお聞きをしたいところですけれども、次に移りますが、私がいま申し上げていることは、要するに、単価問題から考えてみても、交付税ではっきりめんどうを見ていない事業、それで事業量で相当少なくなっているものがある。それからまた、公共事業についても、事業量が非常に減少してきていることも事実である。これがまたこれなりに必要があってやっていることであって、それが事業量が減ってくるということになると、地方のいわゆるいろいろな事業において要望に沿わないような点が出てくるのじゃないかというようなことを言っているわけなんですが、その次に、予算単価改定というものは少し不十分ではないかという意味、そういうことは、要するに超過負担というものがここに相当出てきているじゃないかと、こういう意味からいって、また地方財政における一つのしわ寄せが出ておるという意味でこの問題を取り上げるわけなんですが、これは予算単価改定が不十分だということは、いま言ったように、交付税裏づけが不十分だ、それに基づいてやっているわけだから、全体にまたもっと不十分になってくるんじゃないかという意味でありますが、その中で、公共事業の問題、公立文教施設の問題をひとつ取り上げるわけでありますが、公立文教施設の小、中学校の校舎については、四十八年度の当初の予算単価に比較して、四万二千五百円に比較して、四十九年の当初が六万一千七百円になっている。四五・二%伸びたと、こういうふうに言っているわけです。ところが、四十八年度において、特例加算を入れて四十九年の一月一日に五万二千円という、つまり単価を出しているわけです。それに比べると、六万一千円というのは八・二%しか伸びてない。当初に比べてはそうかもしらぬが、物価の変動というか、そういうものがあって、したがって単価是正をやった、最終の単価が、四十九年一月一日に出てきているのは五万二千円だと、それと比べると四十九年は六万一千七百円だということで、非常に伸び率も低いのではないかということが一つ。当初予算に比べないでも、いまでは最後の予算とむしろ比べて考えるのがあたりまえじゃないか。これは、調査室等を通じて調べてもらった調布市の教育委員会の施設課で、四十九年四月五日に、九月の契約分について七万六千四百四十三円。当時、予算単価が四万七千二百円だったが、実際には七万六千四百四十三円。一月の契約は十一万四千七百六十九円で、そのいま予算単価は五万七千円であるわけです。ここに、急増市町村というものが義務教育施設の請負状況を調べたものも資料に出ていますけれども、これを調べてみても、六万一千七百円をもうすでに――この調査は八月三十一日現在で調べたことで、非常なオーバーをしているわけです。ことに、それより少ないというのはほんのわずかしかないわけです。これはよく言うように、はたして施設が基準に合致しているかどうかという問題点は、私はあると思う。しかし、考え方として、いま非常に予算の不足しているときに、余分な施設をつくるということは私はないと思う、ほとんど。やはり、大体必要なものをつくっていくのであって、必要な義務教育施設だというふうに私たちは考えるわけなんですけれども、そういうことから言うと、六万一千七百円というのは低いのじゃないか。また、これは直さなければできないじゃないか、この現在の経済情勢の推移から考えてみて、また、これが結果的には全部いわゆる超過負担という形でおっかぶさってくることも事実だと思う。この文教施設については、単価是正をやれば交付税のほうも改まってはきますけれども、しかし、これらも一つの超過負担の大きなことになると思う。保育所なんかについて言うと、これは前からもうすでに皆さん御存じのとおり、ここにも資料出ておりますが、保育所の、三億一千八百十八万かかる保育所の中で、国が出しているのは六百七十万、結局一般財源から持ち出しをしているのが二億七千五百二十一万、八六・五%を結局一般財源でめんどうを見ているわけです。これがもうみんな、いわゆる超過負担という形で結果的には地方財政にしわ寄せがきている。片方は、その事業量で、単価裏づけのないものをまたぞろ上げるということで、地方のいわゆる行政水準というのが、実際どの程度――こういう抑制をしたり、あるいは物価の値上がりのためにどれだけ現実的に被害を受けているか、また下がっているかという、そういう実態を見ないで、ただ、表面税収が今度多くなります、地方交付税もその中で多くなります、そうして公共事業を無理に押えつけて、そして公共事業も少なくなったから、それに伴う支出も低いのです、地方財政状況は改善いたしましたというわけには、なかなかそう簡単にいかぬのじゃないかというように私たちは理解をするわけですが、まずその公立文教施設のいまのこの補助単価の問題について、一体、文部省の管理局長はどういうふうに見ているのか、今後いわゆる単価是正の問題などについてはどういうふうに考えているのか、この点をひとつお聞かせをいただいて、そういう問題について、一体自治省のほうはどういう見方をしているのか。こういうことがやはり大きく地方の財政に相当な影響をしてきているというふうに見ているのか、どんなふうなのか、その二つをまずお聞かせください。
  55. 安嶋彌

    政府委員(安嶋彌君) 超過負担の問題でございますが、御承知のとおり、昭和四十七年度におきまして、関係省協議をいたしまして実態調査をやったわけでございます。その結果に基づきまして、教室につきましては二〇%の基準改定を四十八年度からすでに実施をいたしております。屋内運動場につきましても、四十九年度からある程度是正をしたいというふうに考えています。単価につきましては、ただいま申し上げました四十七年度の実態調査におきまして、平均で六・七%のいわゆる超過負担があるという結果が出ておるわけでございます。これを二カ年間にわたって是正をしたいということで、四十八年を四十九年におきまして、六・七%の二分の一の三・三五%ずつをそれぞれ補正是正をするという措置を講じておるわけでございます。  で、ただいま御指摘の単価でございますが、四十九年度の当初予算単価は六万一千七百円ということでございますが、これは昨年十月に補正予算でもって改定をされました五万二千三百円という単価を基礎にいたしまして、物価の動向あるいは賃金の動向等を見ながら、こうした六万一千七百円という単価をつくったわけでございます。この単価が適正かどうかという問題は、確かに御指摘のとおりあるわけでございますが、最近の物価の動向を見ますと、木材は一月をピークにしてかなり下向いておるようでございますし、また、丸鋼も同様な傾向を示しております。それから、セメントは一月以降横ばいというような状況のようでございます。丸鋼も、一月をピークにいたしまして下向いているようでございます。また、政府全体といたしましても、先ほど財政局長からお話がございましたように、総需要の抑制あるいは物価全体の鎮静化をはかるという政策を進めておるわけでございますので、こうした最近の物価の実態並びに政府の政策の成果を見ながら、事態を注目してまいりたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。御指摘のとおり、実際の契約単価が、予算単価をかなり上回っておるという傾向は確かにございますが、しかし、しさいに見てみますと、予算単価をかなり下回った形で事業実施されておるというところもなくはないわけでございます。  で、予算単価を上回っておる場合、その中身が私ども問題であろうかと思いますが、いわゆるそのデラックス部分というものもございましょうし、もともと公立文教が補助対象としておりませんところの、門でございますとか、さくでございますとか、へいでございますとか、こういったものがいわゆる実施単価には含まれておるというようなこともございますし、極端な場合には、設備的なものが含まれておるというようなこともございます。また、既設建物に関連をいたしまして、たとえば電力の引き込みの工事費がございましたり、あるいは浄化槽の工事費がその中に含まれておりましたり、単価の中身をしさいに検討いたしますと、まあいろんな要素があるわけでございます。でございますから、実施単価予算単価を上回っておるその分が全部いわゆる超過負担だということには直ちにはならないかとも思いますが、ただ、しかし、御指摘のような問題があるわけでございますので、私どもは近い機会に、いわゆる超過負担の実態調査を早急にやりたいというふうに考えておる次第でございまして、ただいまその準備もいたしておるということでございます。
  56. 松永忠二

    松永忠二君 まあ自治省からお聞きをする時間もあれですが、そこで自治省のほうには、四十八年度末の地方の、地方公共団体公共事業について補正をし、まあ超過負担分といいますか、とてもいまのでは足らぬから、予算の上で予算増をやっているわけですね。これはまあ私たちの町あたりでも、相当な金額をのっけなければ結局事業をやれないということになってその補正をしているわけですが、これは都道府県については、いわゆる超過負担的な意味で、要するに年度末、四十八年度末に二月県会あたりで補正予算をつけている金額というのは、一体、どのくらいあるんでしょう。各市町村、各府県とも、これを年度末にやったわけです。だから、その際に、四十八年度事業についてだけは要するに補正をしてきちっと金額をつけた。この金額は相当な額にのぼるというふうに私たちは実際に見ておるし、そういうものが一番よく、超過負担そのものといいますか、中を分析しなければいかぬけれども地方財政に及ぼしてくる、こういうふうないわゆる単価の値上がりというものに伴う地方の財政を圧迫する原因になるというふうに考えているので、そういうものをよく見るのには非常にぐあいがいいというふうに思っているのですが、こういう面については何かしっかりしたものを持っておられるのでしょうか。実情はどんなでしょうか。
  57. 松浦功

    政府委員松浦功君) 三月あるいは十二月の議会でそういう措置をとっております地方公共団体の話は聞いておりますが、起債が認められなくなったから、ことしは一年事業繰り延べるという形で減額をして、そして一般財源で新たに不足分をつぎ足すというような形をとっておる団体もございます。そういった関係から、私どものほうではなかなか――個々の団体を呼んでよく聞いてからでないと、先生のおっしゃったような趣旨の数字を扱うことは危険だというふうに考えておりまして、それらの点については数字をまとめておりません。
  58. 松永忠二

    松永忠二君 いま文部省からもお話がありましたが、自治省自身も、その超過負担については新たに調査を始めたいと言っているわけですが、自治省は、今度はこの前みたいに、大蔵と自治と共同調査をしてきちっと的確に千六十九億といういわゆる減額負担をはっきり認めるという、こういうふうなやり方を今度もするんですか。それはどうです。いつごろ、一体これは実施をして結果が出てくるんですか。
  59. 松浦功

    政府委員松浦功君) この点につきましては、地方公共団体にとってたいへんな問題だと思っておりますので、関係各省と御相談をしながら、具体的には、文教でございましたら文部省と自治省大蔵省と、こういう形で五月から七月にかけて公共事業系統のおも立ったものについての実態調査をやってみたいと。さらに、去年は公共事業系統六種目だけに限定をいたしておりましたが、いわゆる消費的経費についてもだいぶ問題があるようでございます。たとえば農業委員会の補助金、農業改良普及事業費の補助金、こういったものについても問題があるようでございますので、今回はこういう運営費系統のものについてのおも立ったものについて、関係各省と十分連絡をとりながら、先般結論を得たような形で、はっきり各省納得づくで、これだけはオーバーしているというふうに認められるような形で調査に入りたいと、このように考えております。
  60. 松永忠二

    松永忠二君 それから今度は、地方交付税の中の積算の問題ですが、こういうものも足りないじゃないかということです。地方公務員の給与費について、基準財政需要額の中でまあ都道府県が四千三百六十七億、市町村が二千六百五十一億、計七千十八億まあ見ているわけですね。それで、いわゆる昇給財源――定期昇給を含め、あるいはまた人事院勧告に基づく昇給というようなものも予定して、昇給財源としてめんどうを見ているのは、地方財政計画で五%千七百六十三億、一般行政費で三%千三百億だけ見ている。要するに、財源的には八%三千億という財源を考えているようだが、現実には御承知のとおり三〇%アップということの実情ですね、人事院勧告どうなるかわかりませんが。ここで二五%アップしたとした場合に、九千三百七十五億要るわけです。で、三十億だと六千億財源不足する。こういうふうな地方公務員給与費のもう当然出てくるいわゆる財源不足については、これはどうするんでしょうか。また、私はこういうものこそきちっと交付税の中で見ておくべきじゃないかと思うのですがね。そうしておいて、足らぬとか、余ったとかということを言うべきであって、そんなものを八%しか見ないような、そういうようなものをつくっておいて、それで余ってますとかどうでございますというようなことはおかしいじゃないかと思うんですがね。だから、まず一体、たとえばどのくらい財源不足が出てくるのか、昇給財源について。それから、その不足はどういうふうに一体補うつもりなのか。なぜそういうものを、わかり切っているという状況、去年の状況から見たって、ことしのいわゆる経済情勢見通しから見たって、八%なんていうあり得ないものを何もしておくことはないのだが、どうして正しいもっと近いものを、一体、きちっと交付税の中でめんどうを見ておかぬのか、勘定しておかぬのでしょうかね。そうかといって、逆に今度は財政調整資金をつくったり、いろいろなものをこさえたりなんかしているんだね。これは非常に私たちは矛盾だと思うのですが、この点は、いま言うとおり、どのくらい不足ができるのか、不足したものはどうするのか、なぜ一体交付税ではっきり見ないのか。この点について、三点についてお答えいただくと一緒に、大臣のほうにひとつ、こういう問題は、一体、どういうふうに今後すべきかということを大臣考えているのですか。このことを大臣のほうから、あとからちょっと答弁してください。
  61. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 本年度地方公務員のベースアップがどの程度になるかということは、これは御承知のように、本年度予算編成をいたしましたときにはまだ全く予想のつかない問題である。もちろん、諸般の情勢から考えてみますると、相当に大幅なものになるであろうということは、これはもうもとより予見をし得たところでございますけれども、御承知のように、この地方公務員のベースアップ予算については、いま御指摘のございましたように、相当大幅になれば相当の金額になる。したがって、現在は、御承知のように、大体御指摘もございましたが、八%程度予算は一応計上をしてあるというわけでございますが、したがって、それを上回るものについてはどうなるか、私は従来の例から考えてみましても、御承知のように、地方公務員のベースアップ予算というのは、大体国の国家公務員と同じような考え方で計上をいたしております。相当大幅な不足のものが出てまいりまする場合には、従来も、御承知のように予算補正ということが行なわれ、そこで必要な金額が当然計上をされるということになるわけでありまして、本年も私どもは当然そういうようなことで措置をさるべきものだと、かように考えておるところでございます。
  62. 松浦功

    政府委員松浦功君) どうして交付税にもっとたくさん給与費を計上しなかったかということについては、ただいま大臣お答えで御了解いただけるのではないかと思いますが、国の方針と合わせるということと、技術的に、地方財政計画を組む時点においては、現在のようなわれわれ自身が納得し得るような、この程度まで上がるだろうという、納得できるような事態に立ち至っていなかったということを御了承をいただきたいと思います。かりに、先生御指摘いただきましたように、二五ないし三〇というところでどのぐらい金が要るかということになると、約一兆弱ということだろうと思います。そのうち三千億は措置をしてございますので、約七千億、率が低ければ先生御指摘いただきました六千億、大体、そんな見当になろうかと思います。これらの金額につきましては、国におきましても、御承知のように五%のベースアップ財源しか組んでおりません。したがって、率が高ければ国も相当各種の財源を必要とするはずでございます。それをめぐります補正予算において、地方公共団体が国家公務員並みの給与改定ができるように措置をするということに相なろうかと存じております。
  63. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことを直したらどうかと言っているわけです、そういうことを。国自身の予算だっておかしい、国がおかしいから地方だって同じようにやりましたという、それだけで一体いいのかどうか。地方交付税とかはふえます、一体地方税は伸びます、余裕はありますという言い方で――財政調整資金だって、あるいはいま言ったとおり特別な措置もあるわけだから、そういうところをはっきり直したらどうですかということを言っているわけです。大臣に聞いているのはそのことを言っているわけです。その金をよそから持ってくるという場合、補正でやるというのはそれはあたりまえのことだけれども、余裕があるから、こういうことを地方財政状況にかんがみてやったと言うから、地方財政状況を的確に見るには、こういうことをきちっと的確に見ておかなければわからないじゃないかと言っているわけです。だから、地方交付税というのは基本的に地方の基本的な財源だとかという、それはもうもちろんのことです。けれども、一つ一つ事業を考えてみると、いま言ったようなことは一つ一つ不足をしたような状況の中で交付税というものはつくられて、考えているし、また地方財政にしても、そういう形でそれで無理やりに縮めよう、国の施策に応じようとしている。  そこで、時間もありませんし、私はほかに土地開発基金の問題、財政調整資金の問題についてなお質問をしたいんですが、これはまた時期を改めることにいたしまして、いま言ったようなことから考えてくると、国と地方の財政規模というのは、いつも同じように縮小をしたり、拡大をしなければいかぬという考え方が少しおかしいじゃないかということです。また事実、地方制度調査会でも、今後の地方行財政のあり方に関する中間答申の中に、地方財政の年間調整という問題に触れていろいろなことを言っているわけでしょう。やっぱり何か一つの基準を定めて、こういうふうなときにはこういう財源調整をやるんだと、地方財政の年間調整というものをやるのだという形の中で措置をとるというのならいいのに、かってに計算をして、都合のいいような計算をしておいて、そうして余っているから取りますよというようなやり方、国が公共事業を縮めて需要抑制やるから、地方だってやらなければできない。だから、地方から言わせれば、実際仕事をしているのは私たちであり、この仕事は次々にやらなければできない仕事がたくさんあるのに、無理やりに公共事業をまずばっさり切ってその仕事を落としてかかる。ところが、一方はまた財源、いわゆる物価の値上がりに伴う超過負担の問題があり、あるいはまた事業の量の縮小がある。みんな地方へしわ寄せが乗っかっちゃってきている。そういう実態をはっきりさせないで、いま言うようなやり方ですぽっと一千六百八十億を取っていくというやり方、いや、千三百億を財源調整に使うのだというやり方、これだって、財源調整と言ったって、国の経済やり方によってこういう結果が出てきてやらなければできなくなった。予備費なら、国の予算のように予備費というような形をどういうふうに今後とっていくのか。そういうことはやらずに、経済情勢に弾力的なあれが必要だからといってそれを取るというやり方一体地方財政の年間調整についてどういうルールをつくろうとしているのか。こういうルールをきちっとしてやっていくべき筋合いのものであるし、それはあくまでも、地方のいわゆる自主性に基づいてそういうことを実施をしていかなければできないものだと思うけれども、こういう点について一体どういうふうに大臣は考えているのか。毎回、大臣折衝をしては地方交付税をああするとかこうするとかというようなことをやっていくという、こういういわゆる年間調整というのはよくないということを地方制度調査会からも言われているのだが、それをどういうふうに一体実施をしていこうとしているのか。今度だって、一体地方自治団体にどれだけ承認を求めたのか。いや、けっこうなことです、大いに賛成ですと言って賛成したのですかね。どういう一体――やはり地方交付税というのは地方の固有の財源だというような基本的な性格にあくまで立脚した上で、一体、六団体に承認を求めたのかどうなのか。こういうことをやるについて、自主財源なんだからこういうふうにしなきゃできぬという措置を完全にやったのかどうかという問題。それからまた、こういう地方財政の年間調整のルールについて、一体、どういうふうにこれからしていかなければできないのかということをお聞きをするわけです。私は結論的に、地方財政状況にかんがみて減額にするということには賛成はとてもできない。いま質問してきたように、インフレによる諸単価の上昇、人件費の上昇、インフレから生ずる社会的不公正、弱者の救済、いろいろな仕事をやらなければできなくなってきている。そういう支出面について考えてみても、いろいろな住民からの要求がすでにもう出てきている。しかもいま、地方公共団体は、住民要求を取り上げてそのものを解決していくというやり方地方自治の民主化という方向は進んでいる。事業の要望はますます多くなってきているという状況の中で、地方財政状況にかんがみて減額ができるなんという筋合いじゃないと私は思うのだが、それにしても、一体、いま言う地方交付税というものは地方固有の財源だというような認識に基づいて年間調整をどうこれから進めていこうと考え、ルールをつくろうとしていくのか。また事実、今度にあたってどれだけそういう趣旨を徹底して一体地方公共団体と折衝したのか。この二点を大臣にお聞かせをいただきたい。
  64. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 先ほど、給与の問題について、非常に計上のしかたが足りないということについてはお答えを申し上げたのでありますが、これは私ども四十九年度予算編成に際しましては、本年度のベースアップ一体どの程度のものになるかということについては、当時はなかなか予測のつかない状況にあったということは申し上げるまでもございません。そこで、相当に給与財源を必要とするであろうということを私どもも大体予測はいたしておったわけです。そういった状況の中にあって、千六百八十億円の減額ということに大蔵省との話し合いをしたのはまことにおかしいじゃないかという私は御指摘だったと思うのであります。これはかりにいまの交付税の総額というものの中で、いま御指摘になりましたように、確かに給与財源のほうに相当これを回してしまうということに相なりますれば、交付税としての弾力性というものが現実に相当に窮屈な状態になってしまうというようなこともございますので、むしろ私どもは、大体あらかじめ予測のできない給与ベースの引き上げというものについては、やはり私はいままでのような程度の計上をいたしておいて、その不足を生じたという場合には、やはりこれを補正予算の中で計上をしてもらうということのほうが、むしろ私は、これは必ずしも地方団体にとっては不利なやり方ではないのではないかという感を持っておるところでございます。  そこで、いま松永議員から、この交付税というものの基本的な考え方についてのお尋ねがあり、ことに、いわゆる年度間調整といったような問題を一体どういうふうに考えておるのかという御指摘と伺ったのでありますが、申し上げるまでもなく、この交付税というものが、国税三税の一定割合交付税として計上をされるというたてまえになっておるわけでございますので、この国税三税というものが、御承知のとおり、時に景気の状況によってかなり増減と申しましょうか、伸び率が非常に低い場合と相当高い場合というものがあるわけでございますが、一方、地方財政としては、やはりある程度伸び率をもって、年々同額程度の――年々ある程度伸び率を加えた金額というものが交付税に計上されるということが一番望ましいわけであります。私どもは、その間、いま申し上げたような年度間、時に年によりましての交付税総額の増減というものが出てまいるわけでございますので、これを何らかの形で、やはり一定の規模に従った増額が必ず確保されるというたてまえが、一番、地方財政の健全な運営をしてまいりまする上にはたいへん大事なことじゃないかというように私は考えておるのでありまして、その点をあるいは年度間調整というふうな考え方で適切な措置が講ぜられてしかるべきであろう。現在行なわれておりまするいわゆる貸し借りの問題、まあこれについてはいろいろ御批評の存するところでございますけれども、私どもは、これも一つのやっぱり年度間調整としての役割りはある程度果たしてきておるものであろうと。ただ、先ほども御指摘がございましたが、地方財政としては、多々ますます弁ずるという一面のあることはもとより私どもも否定はいたしませんけれども、しかし、だからと申しまして、やはり地方財政も国の財政も相当に大きな規模になっておりまするので、国の財政運営と全く違った方向地方財政の運営が行なわれていくということは、やっぱり私は、国全体の財政経済の運営の上から申しますると、これは必ずしも適当でないという場合もあり得るわけでございますので、いまの段階では、現在のこの交付税制度の運営というものは、大体、いまのやり方を基本として進めてまいるということが適切ではないのか、かように私どもは考えておるところでございます。
  65. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本案に対する午前中の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十分開会
  66. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  67. 河田賢治

    ○河田賢治君 これはしばしば委員会でも問題に衆議院でもなりましたし、また参考人なども意見を述べておりますが、今度の交付税の中から千六百七十九億六千万円の借り上げという問題について、主として法律上の問題で質問したいと思うんです。一応自治省側の見解をこれについて述べてもらいたいと思います。
  68. 町村金五

    国務大臣町村金五君) このたびの、地方交付税によりまして千六百八十億円の減額措置を講じたということにつきましては、午前中、松永議員にもお答えを申し上げたところでございますが、御承知のように、いまわが国の財政経済の問題としては、何といってもこの高物価をすみやかに鎮静をさせるということが必要であり、そのために国としては、御承知のような総需要抑制という見地から、歳出を押えるという方針をとったことは申し上げるまでもございません。したがって、このことは、非常な大きな財政規模を持っておる地方財政がそのらち外にあるというわけにはまいらぬのでありまして、当然、歳出は相当に圧縮をするという方針をとったわけでございます。さらに、歳入面におきましては、地方税収入はかなりの増収が期待される状況にあるということは、諸般の情勢からさようなふうに判断ができるわけでございます。したがって、そういうような情勢の中にありまして今回の措置は行なったのでございまして、千六百八十億円の減額を行ないましても、なお地方交付税は五千七十億円の増額が期待できるわけであります。さらに、地方税等を含めました一般財源というものも前年度における伸び率をかなり上回っておるというような状態であります。したがって、こういった情勢の中にございまするので、われわれとしては、このたびの減額措置を講じましても何ら地方財政の運営に支障を来たすことは万ないと、かような判断に基づいて今回の措置を講ずるということにいたしたわけであります。
  69. 河田賢治

    ○河田賢治君 地方交付税法の目的などについては、御承知のとおり、この地方自治を強化するということでいろいろと交付税法自身の中にも――できる限り自主的な、健全な運営を助長すると、また公共団体に負担を転嫁するような施策を行なってはならぬと財政法でもいっておるんです。この交付税法自身でも、やはり「地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」と、こういう意味交付税の第一条には書かれてあるわけです。そうだとすると、このような交付税法で、御承知のとおり、国税の三二%を国がおろすという、これは規定があるんですけれども、それはその瞬間からは、もう御承知のとおり、これは地方税として各地方自治体がいわばこれを管理し、運営するという、こういうことになるわけですね。なるほど、今度は特例でこの法律で一応借り上げるということにはなっておりますけれども交付税法そのものに沿っていえば、これはもう当然国がこういうことをやるべきでないと私たちは考えるんですが、これはまあこの法律ができた当座から、こういう国が借り上げたり、あるいはその他いろいろな措置をしてはならぬというのが自治省の考えであったんじゃないかと思うんです。まああとでこれは出しますけれども、その辺はどうです。
  70. 松浦功

    政府委員松浦功君) 全くお説のとおりであろうかと存じます。ただ、私どもは今回の措置は、基本的には、国の一般会計から交付税の特別会計が借り入れております金額に相当する金額を、地方財政に余裕のある時期において返還をしておいて将来の健全性を確保したい、こういう意図から出たものでございまして、基本的な考え方には必ずしも逆行しておるとは考えておらないわけでございます。  また、あわせて補足して申し上げますならば、千六百八十億借金がございましたものを国に返しますと。しかし、返します千六百八十億は、ひとつできる限り地方公共団体の財政運営に資するように使ってほしいということで、単価の問題あるいは下水道の補助率の引き上げの問題、そういった財源にお使いを願うということについて、事務的にある程度打ち合わせも済みましたので、先生から御指摘をいただきましたように、三二%というのが交付税でございますが、ことしはそれから千六百七十九億差し引いたものを交付税の額といたしますという法律案を国会に御提出申し上げて御審議をいただいておる、こういうふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。
  71. 河田賢治

    ○河田賢治君 この交付税ができたとき、二十九年の六月十二日、各知事あてに自治庁の次長名ですか、通達が出ているわけですね。この趣旨からいきますと、これは読んでみますと、「地方交付税制度の運営について依命通達」「単年度毎には必ずしも基準財政需要額が基準財政収入額をこえる額(以下「財源不足額」という。)を補てんせられない場合もあり、又財源不足額以上の額を交付せられる場合もあること。右は」「その総額を国税の一定割合とし、単年度毎の財源不足額との凹凸は地方財政自体における財政の自律的運営により措置し、長期的に財源保障の機能を果そうとする趣旨に基くものであること。従って地方団体自体においても財政運営の自律性の確保に努力するとともに基準財政収入額と交付をうけた地方交付税との合計額即ち一般財源の額が基準財政要需額を著しくこえる場合においては、別途制定施行せられた地方財政法第四条の二の規定に従い、自ら年度間における財源調整の措置を講じ財政運営の円滑を期すること」、まあこういう通達が出ているわけですね。ですから、なるほど交付税で基準財政額の上下することは、まあいろいろな収入その他の関係であるけれども、それは各自治体がそういう情勢に常に適応しながら運営すべきである、こうして、各自治体にその自主性、その責任を持たしているんですね。これはもうこの交付税のできたときの自治省の方針なんですよ。ところが、今度はまあ国が、少しよけいありそうだから借り上げる、前には借金したから、足らぬから借りると、ああいう場合も、御承知のとおり地方交付税法では、三二%で足らなければこれは当然この率を上げるべきだという――不足の場合ですね、そう書いてあるんですね。ところが、それがずっと数年続きましたよね、二、三年不足が。それで借り上げということに――国が借り上げでなくて、交付税の会計が借り上げる、国から、一般会計から借りるんですけれども、これは当然あの法律に基づいて三二%――まあ当時いろいろな団体が要求したように、四〇%とか、それができなくても、それに近い線に上げることが交付税法の法律の趣旨に沿うものなんですね。あれは何も三二%を永久不変なものとして置くわけのものでないということが法律自体の中にも明らかに書いてあるんですね。だから皆さんが――いつでも法律は毎年ちょいちょい税法なんか変わるのですけれども、あれと同じように、交付税法そのものをやっぱり手心を加えてやるべきが私は至当だと思うんですよ。ところが、あの法律はそのままにしておいて、こういう附則なんかでこの財政の出入りをきめるというのは、法の精神からしても、また地方自治体自身を、自主的な、独立した一つの自治体としてこれを運営させると――多少の、いわゆる財政運営のへた、じょうずはあるでしょうけれども、しかし、そういうことを信じて、やはり各地方自治体そのものをやっぱり運営させなければ、私は地方自治体の自主的な、独立した、そういう形で発展がないと思うのです。あまりに中央自身で、つまり自治省の本省自身で、この金はこうだとかああだとかいうような、いろいろ引いたり足したり、あるいは後に述べます土地開発基金であるとか、財政調整資金であるとか、こういうふうに、もう一般財源として使っていいものまでも自治省のほうでこの法律によって指定すると、それはもう自主財源にならぬわけですね。自由に使えて初めて自主財源ということが言えるんです。この点についていかがですか。
  72. 松浦功

    政府委員松浦功君) 河田先生御指摘のとおり、昭和二十九年度に自治庁次長の通達が出ておりますことは、ただいまお読みになられたとおりでございます。しかも、この問題にからんで、地方交付税法の六条の三の規定を御引用になっておられるわけでございますが、六条の三の第二項には、合算額と著しく異なった場合においてということが書いてございます、それから「引き続き」ということが。まあいずれにしても、これまで借り入れを何年か続けた時期がございましたけれども、この条項には該当しないという解釈でやっておるようでございます。先般も衆議院の地行のほうでも問題になりましたが、「引き続き」とは一体何だと。二年間著しく足らないというのが続いた場合においては、三年目においては直すんだと、その状況が続くならば。大体そういうことかということで、いままでの解釈はそうでございますということをお答えを申し上げました。また、「著しく異なることとなった場合に」というのは、ほぼ一割程度不足額が生ずる、そういうようなことを前提に運用しておるということをお答え申し上げたのでございますが、これまでは、総体の交付税のワクに比べてそれほど大きく食い違って、国にお貸しをするというような事態はなかったわけです。あるいは借りておったものを返すというような事態を繰り返しておったわけでございます。もちろん先ほど大臣からお答え申し上げましたように、国との間に貸借関係がいろいろ複雑になるということを私どもあえて好むものではございませんが、率の改定もできない、しかも、額としては少ない額でも不足する、これでは地方団体非常に困りますので、そこのところの便法としてこれまで貸し借りが行なわれてきたものと理解をいたしております。今後は、好ましいものとは思っておりませんので、できるだけこういう方法は避けてまいるということについて異論はございませんが、六条の三の二項に該当して率の改定を行なえる場合はよろしゅうございます。行なえない場合に、金が余裕が出るというようなことになりましたならば、あるいは借り入れ金がないというようなときもあるというようなときには、それを返すというような措置もまたやむを得ないのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  73. 河田賢治

    ○河田賢治君 この交付税問題では、いろんな立場の人でいろんなことを言っている方もありますけれども、まあこの法律自体を正確に読むならば、やはり私は交付税法そのものの趣旨に沿えば、できるだけもう国に対する借り上げだとか、あるいは借金とかということでなく、交付税の率を変えたり、あるいはまた他のいろんな計算方法を変えたりして私はやるべきで、そして自治体自身をほんとうに自主的な、独立した一つの自治体としてこれを伸ばしていく。非常に中央集権的な国であった日本においては、できるだけ自治体の民主的な発展のためには、やはり自治体がいろいろなものを考え、みずから行なっていくという責任もまた伴ってやらせるような私は制度にしなくちゃならぬじゃないかと思うのです。ところが今度でも、さきに申しましたように、土地開発基金であるとか、あるいは財政調整資金であるとか、こういうようにして、もう自由に使えるものをワクをはめてこれで規定してしまう。それはなるほど、たくさん要ったから、あまりむだづかいはするなということではありましょうけれども、しかし一面、これは後に述べますけれども、財政計画との関係では、ずいぶん地方自治体の財政というものは今日の物価狂乱では非常に困難になっているでしょう。だから、いまこれだけの交付税をおろしたから、そのうちの幾ぶんかをここの調整資金に置けとか、まあこれもやがてはどっちかで使うんでしょうけれども、あまりにこまかいことまで規定してそしてやるということは、地方自治体をちょっと――まあおまえらは能力がないから、こうして手綱をとっておれたちが少しこうやるんだと言わぬばかりのことに私たちから見ると見えるんですね。もう少し地方自治体というものを真剣に、それぞれにまかしていく。  それと私は、こういう問題で非常に地方自治体の何らかの欠陥が出れば、毎年地方財政白書なんかをお出しになっているんだから、そこに、別に名前をあげぬでも、こういう地方自治体にはこういう欠陥があるとかなんとかいうような一般的な指摘をして、そして行政をためさしていく、直さしていくと、そういうことが私は必要でないかと思うんですよ。ただ、国の財政白書を見ましても、だあっとこう数字がたくさん出ていますけれども、まあときたま超過負担の問題やその他の問題が出ておりますけれども、やはりそれぞれの都道府県地方自治体の財政運営などについてのいい面や悪い面を、ああいう中にどんどんと批判もすると。また、自治省自身も、これは政府の一部ですから、他の省が自治省に協力せずにどんどん地方自治体を困らせるようなことをやっておれば、これはもうそういう点は明らかにして、若干責任を問うというふうにして、私はやはり財政運用の面でももっと地方自治体を信ずることと、そしてこれの結果をいろんな形で明らかにしていく。すべての国民の批判にもたえるような、そういう批判なんかもやっていくということが、むしろ、地方自治体のそれぞれの財政運営や行政のやり方についても、それぞれ切磋琢磨して発展するんじゃないかと、こう思うわけですよ。こういう点から、少し、大臣ひとつ御答弁願いたいと思うんですよ。もう基本に関する問題なんですよ。
  74. 町村金五

    国務大臣町村金五君) まあ自治省としては、地方団体に対しましてその自主性をできるだけ尊重していくということは、当然私どもの基本的な考え方であることは申し上げるまでもございません。で、このたびの交付税のいわゆる減額措置というものが、著しく自治体の自主性をそこねておるのだと、こういう御指摘でございますが、これは実は本会議等でもお答えを申し上げたわけでございますが、私どもとしては、今日のこういった、特に物価が著しく高騰をしておるというような時代における、一種の緊急事態における緊急の措置だ、こういう実は考え方をもって今回の措置を講ずることにいたしたのでありまして、こういったことを一つの当然のたてまえにしていくというような考えはもとよりございません。先ほど、土地開発基金あるいは財政調整資金というようなことでいろいろワクをはめてしまって、地方自治体の固有財源であるという性格を著しくそこなうというようなことを自治省はやっておるではないかという御指摘もあったのでございますが、これもいま、御承知のように、現在のわが国の経済社会におきましては、土地というものは著しく暴騰をする。したがって、こういう公共用地の取得ということについては自治体も非常に難渋をいたしておる。したがって、特にそういった意味の基金、資金を交付税の中においても供給をするという特別の措置を講じたわけでございまするし、また財政調整資金にいたしましても、これはまた最近における物価高騰というような状況から考えまして、特に本年度におきましてはそういった事態が予想されまするので、それに対処するための特別の措置を講じようということにほかならないのでありまして、こういった考え方を、今後とも交付金の運営において当然なすべき事柄だというふうには考えておるわけじゃございません。先ほど冒頭に申し上げたように、いわゆる緊急事態における例外措置として、この際、こういう措置を講ずることがやはり地方自治体の財政運営を円滑ならしめていく上において必要であろうというふうに実は判断をいたしたというふうに、ひとつ御了解をいただきたいのであります。
  75. 河田賢治

    ○河田賢治君 大体いまおっしゃったことは理解はできますけどね。とにかくこの法律ができたときでも、かつて大蔵省の主税局次長かな、正示啓次郎といういまの代議士がやっておりました、このときでも、「年度間の調整の唐はいろいろ検討の結果、自治庁とも御相談申し上げましてとりやめました。」と、地方制度調査会の答申では、やはりこういう地方制度の間にいろいろ問題があって、調整の措置をやってもいいというような意見が地方制度調査会ではあったんですけれども、しかし、当時自治庁並びに大蔵省はこれをやめて、とにかく「借入金を認むべきではないかというようなお話もあったかと思うのでありますが、この点につきましても、やはり地方公共団体の行政費の裏づけをするような財源の性質から考えまして、やはり国につきまして、財政法はそういうものを借金でまかなうことを禁じておるのでございますので、そういう精神から考えまして、その点はできるだけ健全にいたさなければならぬのではないかというような気持で、そういう規定は削除されているのであります」、つまり、公共団体のいろいろな地方交付税としては借金もしない、それから国が借り入れもしないとか、とにかくそれはそのままとしていくというのが大体交付税の精神なんですね。いま、ことしの一年限りだというお話もありましたけれども、やはり私はこの交付税の精神にのっとって、そして先ほど土地開発やら、あるいは財政調整資金というようなことも言われましたけれども、しかし、これは交付税の中の位置をそう義務づけるのであって、別にほかから持ってきて、これは地方自治体の調整資金にしてやるとか、開発の資金にしてやるとかというんじゃないのですから、交付税そのもの全体は、地方自治体の自主的な、いわば自由に使える財源としてあの法律はあるわけなんですからね。だから、あの中で区別することは、私はさっきも申し上げたように間違いなんで、これはやはり自治権のいわば財政的な侵害になる、こういうように思うわけなんですよ。だから、そういう点で今後この問題について私はそのいわば原点といいますか、昭和二十九年にできた、そして自治省も同意しておられたこの線でこの運営はやるべきであるということを私は申して、次の問題へ入りたいと思うんです。もう大臣はいいですよ。  次は、財政計画の問題です。これについてちょっと伺いたいんです。最近の財政計画、これの歳入歳出、それから実際の地方自治体の決算の歳入歳出ですね。これが最近どれだけ離れているかというような問題をちょっと御答弁願いたい。
  76. 松浦功

    政府委員松浦功君) 一番近い年次で申し上げますと、四十七年度財政計画当初でございますが、十一兆七千億に対しまして純計決算十四兆六千、その乖離は二兆九千億という数字になっております。
  77. 河田賢治

    ○河田賢治君 この財政計画がこうも変わる――これは変わるというよりも、幅があまりあり過ぎるんじゃないかというような気がするのですが、この点はどのようにお考えですか。国でも、やはり予算はそういうふうに多少経費の関係補正なんかを毎年やりますけれども、こういう点では自治省はどういうふうにお考えですか。
  78. 松浦功

    政府委員松浦功君) いまの数字は純然たる当初と決算との比較でございますので、その後の補正――財政計画は補正を組みませんので、補正その他の要因をそれぞれ差し引きをいたしますと、約二兆前後の乖離になります。問題の一番大きな部分は、いわゆる雑収入見合いの歳出、これが地方団体の実情を的確に捕捉をいたしておりません。その部分が非常に大きいのと、もう一つは、給与費が非常に大きく食い違っております。これは財政計画上算入の人数の問題、職員数の問題、それから財政計画上に見込んでおります単価は国家公務員並み単価を見ております。地方のほうが国家公務員より平均して高い。これから出てくる乖離、この二つが非常に大きな乖離の原因であろうかと考えております。
  79. 河田賢治

    ○河田賢治君 そうすると、毎年こういうふうな乖離があった場合に、財政計画とは言えないのじゃないですかな。毎年相当ある、一〇%なり、二〇%。これがせいぜい五%とか七、八%というのなら、これはいろいろな予測しがたい問題もあるでしょうけれども、毎年相当こういうものがあるとすれば、財政計画というと、何か計画がそろばんでは出ておるのですけれども、数字で。これが一つの財政運用の指標ということになるわけですから、各個々の都道府県市町村になりますとまたこれは違うでしょうけれども、しかし、大体こういう方向でいくとすれば、ちょっと計画と決算の実際というものとは食い違えば、しかもこれが恒常的になっておるということになると、どうも計画そのものが何かおかしなものになるんじゃないでしょうか。実際のものに合って、しかし、これは国費で支払うものはこれだけだということに別個にあればまだ理解はできますけれどもね。それは抜いてしまうとか、あるいはいろいろな――こういう複雑ではありましょうけれども、どうも計画そのものがこう大きく離れては、ちょっと計画とはわれわれは受け取りにくいんですがね。
  80. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先ほど申し上げました乖離のうち、補正予算に伴う手直しをするとか、それから項目の入れ違い――というよりは、当然違ったところに入っておりますが、それを引き直すというような操作をいたしますと、約二兆一千ばかり規模で食い違いがあるわけでございます。そのうちの一兆五千億は使用料、手数料あるいは雑収入、こういったものを財源とする経費の食い違いでございます。一番極端な例を申し上げますと、先生よく御承知の、たとえば中小企業の年末の融資ということで予算をあげますと、三カ月間の貸し付け期間で、当該年度内に回収金を財源として見込みます。そういうものは、国のほうからながめて、地方団体全般にどういう程度のその金が出てくるかということについて、なかなか推測がつかないわけでございます。その返還金を当てにした歳出が別に規模として食い違っておりましても、地方財政計画というものは、地方公共団体への行政の指針という意味意味をなさなくなるとは私どもは考えておらないわけでございます。この点については、できるだけ実態に近いほうがいいと思いますけれども、各地方公共団体が財源は返還金で充てるというような問題でございますと、われわれがあまりこれに口出しをするのもいかがかということでございます。  問題は、むしろ給与費の問題になるかと思いますが、四十七年度の給与費、それぞれ必要な要素というものを補正予算等によるものを差し引きをいたしましても、五千億をこえる給与費の乖離が出ております。これにつきましては、私どもは五年に一度の給与実態調査に基づいて、職員数については是正をいたしております。単価につきましては、私どもは日ごろ、国家公務員の行政水準に準じて給与制度を組み立てるようにということを御指導申し上げておりますが、その点、地方公共団体の実際は国家公務員より高目の単価になっておるということが実態でございます。四十八年の四月一日現在の指定統計になります調査が本年の秋に出てまいります。その時点になりますと、さらに地方公共団体の給与の実態が明らかになるかと思いますが、決算自体で五千億の乖離があるわけでございます。これを財政計画上、実態に合わせるというわけにはいかないわけでございます。この部分だけは、どうしてもわれわれは国家公務員並み措置しかいたしません、こういう考え方で来ておるものでございますので、ほんとうの意味での地方財政計画とそれから決算との乖離の大きな要素は給与にあるというふうに申し上げて差しつかえないかと思います。給与の問題につきましては、御承知のように、地方公共団体も自分のところの給与がどれくらいであるかということはよく知っているはずであります。そういう意味では、国がこれだけ措置をしている、地方公共団体はこれだけ財源が要る、この間はこれだけの理由で、これだけよけい金がかかるのだということを十分理解をしてやっておることと思っておりますので、地方財政計画としてのこの地方公共団体に対する標準的な指針という意味は、私どもとしては、現在の地方財政計画でも失われているところはないというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  81. 河田賢治

    ○河田賢治君 それでは、給与の問題について聞くのですけれども、財政白書では地方公務員の数、三十六年五月が百七十万六千人、四十六年の四月で二百二十一万七千人、四十七年四月で二百二十九万一千人、四十八年四月は二百四十万二千人、こういうふうに最近の数字は出ております。ところが、これで年平均大体六万人ふえているわけですが、特に四十七年から八年にかけては、いろいろ地方の事情があったとみえまして、十一万一千名の大幅な増加となっております。ところが、財政計画で計上される計画人員というのは、四十七年度が百九十一万五千人、四十八年が百九十二万六千人、四十九年が百九十七万九千五百人、最初の四十七年の差が三十七万六千人、四十八年の差が四十七万五千七百人、こういうふうに非常に大きな、最近では五十万人近い開きがある、人員に。一体、これはどういうふうに理解していいのでしょうか。
  82. 松浦功

    政府委員松浦功君) 財政計画に盛り込んでおりますのは、公営企業あるいは準公営企業というようなものは全部はじき出しております、これは独立採算でございます。不足分があれば繰り出し金という形で財政計画見ておりますから、その種の関係の職員は入っておりません。現実の問題として、私ども現在の時点、四十九年度の時点で職員数の乖離は十二、三万ではなかろうかという推定をいたして、衆議院の地行のほうでもお答えを申し上げたところでございます。この問題につきましては、先ほども申し上げましたように、五年に一度、指定統計という立場で給与の実態調査を行ないまして、そのときに正確に職種別に人数を算定をして突き合わせることにいたしております。四十八年の四月一日現在での調査が本年度の秋には結論が出てまいります。その結論を明年度地方財政計画にはぜひ反映をさせるべく私どもとしては努力をしてまいりたいということを考えております。
  83. 河田賢治

    ○河田賢治君 この財政計画の職員は、いまいろいろ国庫補助職員とか委託職員等が入っているので、実際の格差は若干縮まると思うのですけれども、こういうふうに縮まったにしましても、これは相当今日の職員の、何といいますか、給与にしましても、平均二百万円としても、かりに十二万としても、一人二百万円で二千四百億と、相当なものになるわけですね。だから、それは統計が、そういうふうに基本統計が四十五年で、それから何年何年ということをおっしゃっているのですけれども、大体いま公害の問題とか、衛生の問題とか、それから保母、いろいろ厚生関係などで、どんどん職員は地方自治体がある程度住民の要求に応じようとすれば要るわけなんですね。だから、そのようにできるだけ接近するということが、自治省のほうでも計画の中にやっぱりやりませんと、地方自治体のほうではむやみやたらにふやしたくはないだろうけれども、あまりそういう点で締められますと、なかなか計画自体があまりうまくいかぬのじゃないかと。どこへ行きましても、まだまだ人は足らぬと言われているのですね。第一、看護婦さんにしてもあるいは保母さんにしましても、ずいぶんどこでも人が足らぬで困っている。こういう場面もあるわけですから、できるだけ地方自治体の実際人員また国との関係で、非常に国の給与と地方職員の、団体職員の給与との差があると言われますけれども、比較的国のほうは、いろいろな、何といいますか、いろいろな階級ですな、そういうものでちょっと違うわけですね、地方とは。だから、その辺の違いもあるでしょうけれども、できるだけ地方財政計画などは早く現実に合わしていくと。それで、必ずしもこの乖離がたくさんあるということは、あまりほめたことじゃないですね。それだけ科学的にものが考えられていないとも言えるのですから、もちろんいまのような経済段階では、なかなかむずかしい問題もありますけれども、やはりそういうところを科学的に、冷静に考えた場合にはどうだということになれば、できるだけそういう問題についても、私は精細に、これらの合致する方向へ一歩でも近づくべきだというふうに思うわけです。それから公営企業なんか、いまもう普通は大体どこの団体でも、いろいろな、何といいますか、水道、交通、病院などの法適用事業――非適用事業も若干ありますけれども、国民健保の会計繰り出しとか、こういうものがたくさんあるわけです、現実に。それは自治省から見れば、これじゃ困るとおっしゃるかもしれぬけれども、できるだけ独立採算制でやれというようなお考えが強いと思うのですけれども、しかし、実態はそういうふうに出ているわけですね。ですから、これもやはり時代に応じて、もう何らかそれぞれの処置をしなくちゃならぬと思いますけれども、財政計画の中にやっぱりこういうものが入っていく、一般会計の繰り出しですね、そういうものも見ておきませんと、私は非常に財政上の問題が締められる感じがするというように思うわけです。この点はどうでしょう、まあいろいろほかにもありますけれども
  84. 松浦功

    政府委員松浦功君) 先ほども説明を申し上げましたように、公営企業等につきましては繰り出し金を財政計画に相当多額に計上いたしておりますので、公営企業の職員数は財政計画の中へ入ってこないということを申し上げたわけでございまして、御了承いただけるかと思います。  人数の問題につきましては、これは指定統計が行なわれるたびに、規模是正という形でできるだけ実態に近づけるという努力をしてまいることをお約束をいたします。  単価の問題につきましては、これは国家公務員並みにしか、私どもは算定するつもりはございません。
  85. 河田賢治

    ○河田賢治君 最近、いろいろ経済の総需要抑制ということで、まあここもかなり自治省関係はいろんな面で圧迫されているわけですね。しかし、総需要抑制というても、何もかも平均にやるわけには――多少平均ではないわけですけれども、しかし、もう日本の国として、また将来のことを考えれば、学校の建築とか、小学校、中学校ですね、少なくとも義務教育ぐらいは――どこの人口急増地帯なんかでもみなプレハブなんですね、三分の二以上がもうプレハブになっていると。そういうところが多いわけですね。だから総需要抑制で何もかも押えるというのはこれは愚の骨頂だと私は思うんです。いなかでも、やはりこのごろは交通量が多くて、どんどん道路も町の中を通らずにバイパスをつくっております。まあこんなのは一年、二年おくらしても、ガソリンがなくなれば自動車も少なくなったように、とにかく多少時期をおくらしても、しかし、学校の教育とか、それからまた働きたい細君たちのあれをするためには保育所をつくらすとか、まあ私立保育所なんかにももっと援助を与えるとか、とにかく人間の社会生活の中で何が大事かと、これに第一に取り組まなければならぬと。こういうことをやりませんと、総需要抑制で、何でもかんでもレジャー的なものと同じように考えては悪いわけですね。けしからぬのですよ、そういうことは。そのためにいま大都会でも子供がプレハブなんかの学校へやらされて、これから夏になりますと、暑い中ですからなかなか勉強もできやしませんわ。そういうところも、やはりこれは文部省の関係、また一方は厚生省の関係というふうにそれぞれ関係があるんですけれども自治省地方自治体をいわば統括し、これを指導もし援助もする本省なんですから、ここらでもう少し自治省はそういう問題について他の省に対して一体どの程度おやりになっているか。まあ大臣はやはり閣議なんかでこれやってもらわなきゃならぬと思うのですけれども、どうもその辺が足らぬのじゃないかと。どこもここも抑制だということになっている。  しかも、御承知のとおり、いまどこもここも物価はどんどん上がりますよ、これからまだ。いわゆる学者はスタグフレーションとか言っておりますけれども、私はスタグフレーションどころじゃない、パニックフレーションも起きているんですよ。御承知のとおり、この間、大阪の泉南でしたか、あそこの機業――機を織って、木綿ものでしょうけれども、それを織って六百反か焼いているでしょう、値段が下まって売れないと。いま、私の近くなんかは丹後ちりめんです。あの辺は、もうほとんどの、昔の郡でいえば三つ、四つの郡は、農業であれ漁業であれ、もうほんとどみな機業に半ば変わってきているわけですね、兼業で。ところが、そのちりめんが、韓国からどんどんどんどんあの安いやつが入りますから、もう先月の二十八日から一カ月の――賃機業者あるいは労働者を使っている業者は、これ全部一カ月の休業をやっているんですよ。最近まあ政府も千五百億でなくて三千六百億ぐらいの融資をしなくちゃならぬと言っておりますけれども、とにかく一方では、こうして入るでしょう、どんどん物価が上がっていくと。それでまあ仕事の、輸出のきくところはありますけれども、こういう産業は、いま繊維産業というのは主として外国からの輸入によって困るんですね。そうすると、働く人にしましても、たとえば住民税が下がったといいますけれども、去年の所得で住民税払いますね。ところが、もう食っちゃっているんですから、残っているわけじゃないんですから、去年のやつが、たいていは。そうすると、やはり去年の所得に対して税金は相当かかっているんですから、今年は下がるとしましても。やはりこういう事情がいま地方自治体の中にあるわけですよ。これはもう相当大きな私は差ができてくると思うのです。こういう点は自治省あたりも、この繊維産業あるいはその他の企業等にいま非常な不況の風が吹いて、だんだん休業やっているとか、生活に困っている。地方自治体も何とかして金をつくって融資をするとか、かなりいろんな手を打っておりますけれども、一方、そういうものもあるわけですから、そうだとすれば、それらの人の仕事のないときには、やはり地方自治体の公共事業は多少でもこの仕事のないときにやらせると、そういうことが私は必要じゃないかと思うのですよ。そうでなければ、一カ月も機休んで、あるいは仕事休んで、収入なしでおられるわけじゃないんです、労働者は。ですから、そういう場合には、地方自治体の公共事業あるいは独立的な事業、あるいは府なんかと協力する、県と協力して、やはりそこで何か働く仕事を与えませんと、これはなかなか生活がやっていけないという場面もできているんですね。ですから、総需要抑制ということで、あまり一般的な財政を引き締めるというだけでは足らなくなった産業もいま出てきていると、それによって生活している地方住民がやはりこれに対して適応した仕事もさがさなくちゃならぬ、また仕事を自治体も与えなくちゃならぬ、こういう私はいま問題ができてきておると思うのです。こういう問題で自治省あたりは何かお考えあるのですか、指導上。
  86. 松浦功

    政府委員松浦功君) 地方財政はやはり国庫財政と車の両輪をなすべきものであって、われわれも政府の一員でございますので、やはり国の方針に、大臣お答えいただいたように、国の財政基調というものに準じて地方財政を運営していくというのが基本的にとるべき方向であろうかと存じております。もちろん今回のように、国の圧縮基調の中で、地方財政自体についてもできるだけ圧縮基調を踏襲をしていただくという前提で地方財政計画を組んでおりますが、先ほども御指摘申し上げましたように、公共事業よりは地方公共団体単独事業伸び率をよくいたしておりまするし、また圧縮された全体の中でも、学校系統、福祉系統あるいは生活基盤系統につきましてはこれをできる限り伸ばす、道路とか港湾とかいうものは前年度どおりの国の方針に従って押えると、ものごとに軽重をつけるという形で財政計画を組んだつもりでございます。ちなみに、地方債計画をごらんいただければその点が一番よくわかると思うのでございますが、病院あるいは水道、学校、それから生活環境整備、福祉、こういったものは、みんな二五%から四〇%ぐらい地方債のワクも伸ばして、それぞれの事業が行なえるように、圧縮基調の中でも重点配分をはかったつもりでございます。したがって、午前中の松永委員の御質問にもお答え申し上げましたように、これらの重点を置いた事業は四十八年度ぐらいの事業量の達成はできるだろうが、その他のものについては、四十七年度ベースの事業量の達成しかできないだろうということを推測として申し上げたような次第でございます。  なお、ただいま御指摘をいただきました中小企業の問題等につきましては、これはやはり各省庁がそれぞれ所管事項としてお持ちになって、詳しい実態を御承知になっておられることと思いますので、各省庁のほうで手をお打ちをいただく、その場合に地方裏負担が出てくるということになりますれば、私どもも最大の努力をして、地方団体がそれらの事業あるいは予算を執行するのに不都合でないように措置をするというのが自治省のお役目ではなかろうかと、控え目ながらそのような考え方を持っております。ただ、現実の問題として、たとえば学校の単価が低いじゃないか、あるいは保育所単価が低いじゃないかというようなことについては、私ども地方団体からいろいろな話を聞く機会もございますので、これらの方々の御意見を十分伺いまして、そうして関係各省単価の引き上げ等をお願いをするという形でこれまでもやってまいっておりまするし、また今後も、そういう形で地方公共団体の味方という立場で、地方公共団体がそれぞれの財政運営に困らないようにつとめてまいりたいと考えております。  また、地方公共団体がそれぞれの団体の事情に応じてどういう仕事をやるか、これは先生も御指摘をいただきましたように、自主的におまかせをしてあるわけでございます。道路の経費を全部削って社会福祉に回すということもけっこうでございまするし、単独事業等については、そこいらは相当地方公共団体に自主的な裁量の幅があるものと考え、またそういう制度のもとにおいて地方公共団体が住民の希望に沿うような財政運営をすることを、われわれとしては期待をいたしておるというところでございます。
  87. 河田賢治

    ○河田賢治君 とにかく、超過負担は、いろいろ努力しておるとおっしゃるけれども、現に毎年、しかも物価が上がれば異常な超過負担になるわけですね。だから、地方自治体はもうしょっちゅうこのことはやかましく言っておりまして、多少自治省も努力されておりますけれども、何と言ったって、各それぞれ事業をやっている省が本気でやらなければなくなるものじゃありませんけれども、しかし、地方自治体の、やはり統括をし、これらの地方自治体の利益を守るのは自治省以外にはないわけですからな。この点はくれぐれも時代に、何といいますか、すぐに三月、四月済めば今度は五、六月、七月というふうに、どんどん経済状態も変わったり、いろいろな情勢が変わるわけですから、したがって、こういうものに応じてどんどん適応できるようなやはり地方財政なんかの支出、それからまた事業の着手、あるいはおくらすものはおくらすとか、こういうものをかなり何といいますか、機動的にといいますか、弾力的にといいますか、こういうふうにして、もう少し実態に即したやり方をやってもらわないと、人口急増地帯なんか全くどうにもならぬ、公共施設がおくれておる、あるいは起債もなかなか許してもらえないと、土地もなかなか土地制度が固まらぬものだから土地が入りにくいとか、いろいろな困難を伴っております。過疎は過疎で今日やはりいろいろな問題かかえているわけですから。しかし、自治省も、やはりそういう点では国の全般的な運営について地方自治体の立場をうんと尊重もし、利益を代表するという立場で、ひとつ大臣おられませんけれども、つまり、大臣あたり閣議で始終こういうことを問題にしてもらわぬと、ただ三カ月に一回ぐらいの閣議でちょこちょこっとやっているぐらいでは追っつかなくなってきていると私は思うのですよ。この点を特に注意しまして、私の質問を終わります。
  88. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午二時十三分散会      ―――――・―――――